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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ガス漏れ検出器及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20240227BHJP
   G01N 21/39 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G01N21/3504
G01N21/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553623
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 US2022019330
(87)【国際公開番号】W WO2022192247
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/157,897
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520418019
【氏名又は名称】オンポイント テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】マスターソン バーナード ピー
(72)【発明者】
【氏名】サッピー アンドリュー ディー
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB02
2G059CC05
2G059CC08
2G059CC09
2G059CC13
2G059EE01
2G059EE09
2G059EE11
2G059GG01
2G059GG02
2G059GG09
2G059GG10
2G059HH01
2G059JJ02
2G059JJ24
2G059KK01
2G059MM01
(57)【要約】
ガス漏れ検出器は、太陽検出器及び信号フィルタを含む。太陽検出器は、光信号を太陽信号と干渉させ、結果として生じる干渉信号を検出することによって、電気応答を生成する。信号フィルタは、太陽検出器に通信可能に連結され、電気応答をフィルタリングして、ビートノート信号を分離する。ビートノート信号は、太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームを形成する種の濃度に反比例する振幅を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を太陽信号と干渉させ、結果として生じる干渉信号を検出することによって電気応答を生成する太陽検出器と;
前記太陽検出器に通信可能に連結された信号フィルタであって、前記電気応答をフィルタリングして、前記太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームを形成する種の濃度に反比例する振幅を有するビートノート信号を分離する信号フィルタと、
を備えるガス漏れ検出器。
【請求項2】
前記種の共鳴吸収に対応する光信号周波数を有する前記光信号を生成する局部発振器を更に備える、請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
前記局部発振器に通信可能に連結されたコントローラであって、(a)前記太陽信号の強度及び(b)標的種濃度のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、前記光信号周波数を設定するコントローラを更に備える、請求項2に記載の検出器。
【請求項4】
前記局部発振器は:
光源と;
前記光源の周波数を調整するレーザドライバであって、それにより(i)前記局部発振器が、複数の中心周波数のそれぞれ1つをそれぞれ有する複数の光信号を生成し、(ii)前記太陽検出器が、前記複数の光信号のそれぞれを前記太陽信号と混合することによって複数の電気応答のそれぞれ1つを生成し、(iii)前記信号フィルタが、前記複数の電気応答のそれぞれをフィルタリングして、複数のビートノート信号のそれぞれ1つを分離するようにする、レーザドライバと、
を更に備え、
前記複数の光信号、前記複数の電気応答、及び前記複数のビートノート信号は、それぞれ、前記光信号、前記電気応答、及び前記ビートノート信号を含む、
請求項2に記載の検出器。
【請求項5】
前記複数のビートノート信号の各々を記録する信号検出器と;
前記信号検出器に通信可能に連結されたプロセッサと;
(i)複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける前記種の複数の基準吸光度スペクトルと、(ii)機械可読命令であって、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに:
前記複数のビートノート信号から、前記複数の中心周波数にわたる吸収スペクトルを決定させ、
(i)圧力依存線形状関数を前記吸光度スペクトルにフィッティングすること、及び(ii)前記吸収スペクトルを、複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける前記種の複数の基準吸光度スペクトルと比較することのうちの少なくとも1つによって、前記ガスプルームの高度を決定させる、機械可読命令と、を記憶するメモリと、
を更に備える、請求項4に記載の検出器。
【請求項6】
ガス漏れ検出器であって:
請求項4に記載のガス漏れ検出器のアレイであって、前記ガス漏れ検出器の各々が、前記ガスプルームを含む複数のガスプルームのそれぞれ1つに関連付けられたそれぞれの複数のビートノート信号を生成する、ガス漏れ検出器のアレイと;
前記それぞれの複数のビートノート信号の各々を記録する信号検出器と;
前記信号検出器に通信可能に連結されたプロセッサと;
機械可読命令を記憶するメモリであって、前記機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記複数のガスプルームの各々について:
前記複数のビートノート信号から、前記複数の中心周波数にわたる吸収スペクトルを決定し;
(i)圧力依存線形状関数を前記吸光度スペクトルにフィッティングすること、及び(ii)前記吸収スペクトルを、複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける前記種の複数の基準吸光度スペクトルと比較することのうちの少なくとも1つによって、前記ガスプルームの高度を決定させることによって、複数のガスプルームの3次元断層撮影データセットを生成させる機械可読命令と、を記憶するメモリと、
を備えるガス漏れ検出器。
【請求項7】
前記信号フィルタに通信可能に連結され、前記ビートノート信号を記録する信号検出器を更に備える、請求項1に記載の検出器。
【請求項8】
前記太陽検出器及び前記信号フィルタを含むフォトニック集積回路を更に備える、請求項1に記載の検出器。
【請求項9】
メタン漏れ位置の特定を支援する風速計を更に備える、請求項1に記載の検出器。
【請求項10】
ガス漏れを検出する方法であって、
太陽信号と光信号との干渉から生成される干渉信号を検出して電気応答を生成することと;
前記電気応答をフィルタリングして、前記太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームを形成する種の濃度に反比例する振幅を有するビートノート信号を分離することと、
を含む方法。
【請求項11】
局部発振器を用いて、種吸収に関連する光信号周波数を有する前記光信号を生成することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(a)前記太陽信号の強度及び(b)前記種の前記濃度のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、前記光信号周波数を選択することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記種の前記濃度に対応するガスプルームの位置を決定することを更に含み、前記決定することは、大気圧に少なくとも部分的に基づいている、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
複数のサブフィルタのうちの1つにそれぞれ通信可能に連結された複数のサブ検出器を用いて、対応するサブフィルタによって分離された前記電気応答の対応する部分を検出することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記光信号を振幅変調して、感度を増加させることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記太陽信号と、その各々が、複数の中心周波数のうちのそれぞれ1つを有する複数の光信号との干渉から生成される複数の干渉信号を検出して、複数の電気応答を生成することを含む、干渉信号を検出することと;
前記複数の電気応答の各々をフィルタリングして、前記種の前記濃度に反比例するそれぞれの振幅を有する複数のビートノート信号のそれぞれ1つを分離することを含む、電気応答をフィルタリングすることと、
を含み、
前記複数の干渉信号、前記複数の光信号、及び前記複数のビートノート信号は、それぞれ、前記干渉信号、前記光信号、及び前記ビートノート信号を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のビートノート信号から、前記複数の中心周波数にわたる吸収スペクトルを決定することと;
(i)圧力依存線形状関数を前記吸光度スペクトルにフィッティングすること、及び(ii)前記吸収スペクトルを、複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける前記種の複数の基準吸光度スペクトルと比較することのうちの少なくとも1つによって、前記ガスプルームの高度を決定することと、
を更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記高度、前記太陽信号のソースの仰角、及び前記干渉信号を検出するデバイスに対する前記ソースの方向から、前記ガスプルームの位置を決定することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数のガスプルームの3次元断層撮影データセットを生成することであって、前記複数のガスプルームの各々について、
請求項18に記載の方法を実行することによって、前記ガスプルームのそれぞれの位置を決定することによって、複数のガスプルームの3次元断層撮影データセットを生成することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
風速を測定することと;
前記高度、前記仰角、及び前記方向から位置を決定することを含む前記位置を決定することと、
を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ガス漏れ検出のためのフォトニック集積回路であって、
第1の入力ポート、第2の入力ポート、及び出力ポートを有する、マルチモード干渉カプラと;
前記第1の入力ポートに連結され、太陽信号を前記マルチモード干渉カプラに連結する第1の格子カプラと;
前記第2の入力ポートに連結され、光信号を前記マルチモード干渉カプラに連結する第2の格子カプラと;
前記出力ポートに連結され、干渉信号を出力する出力格子カプラと;
前記出力格子カプラに連結され、前記干渉信号の検出に対する電気応答を生成する検出器と、
を備えるフォトニック集積回路。
【請求項22】
前記電気応答を増幅するトランスインピーダンス増幅器を更に備える、請求項21に記載のフォトニック集積回路。
【請求項23】
前記電気応答をフィルタリングして、前記太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームの種濃度に反比例するビートノート信号を分離する信号フィルタと;
メタン吸収に関連付けられる光信号周波数を有する前記光信号を生成する局部発振器と;
前記ビートノート信号を記録する信号検出器と、
を更に備える、請求項21に記載のフォトニック集積回路。
【請求項24】
前記信号検出器に通信可能に連結され、前記種濃度に対応するガスプルームの高度を決定する線形状弁別器を更に備える、請求項23に記載のフォトニック集積回路。
【請求項25】
前記ビートノート信号を増幅し、増幅されたビートノート信号を生成するRF増幅器を更に備える、請求項23に記載のフォトニック集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月8日に出願された米国仮出願第63/157,897号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
メタンガスは、赤外(IR)光を強く吸収するため、強力な温室効果ガスである。地球の大気中のメタンガスは、地球の表面に向かう途中で太陽光を吸収し、地球の表面から放出された光、例えば反射されて放出された黒体放射を吸収する働きをする。メタンは、IR光の吸収が大きいので、二酸化炭素よりも強力な温室効果ガスである。メタンが大気中に導入される主なプロセスは、漏れによるものである。メタン貯蔵及び製造施設は、システム故障及び不十分な監視に起因して意図せずにメタンガスを放出してしまう。メタン漏れの検出は、環境への意図しない放出を軽減するために非常に重要である。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では、ガス漏れ検出器は、太陽検出器及び信号フィルタを含む。太陽検出器は、光信号を太陽信号と干渉させ、結果として生じる干渉信号を検出することによって、電気応答を生成する。信号フィルタは、太陽検出器に通信可能に連結され、電気応答をフィルタリングして、ビートノート信号を分離する。ビートノート信号は、太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームを形成する種の濃度に反比例する振幅を有する。
【0004】
第2の態様では、ガス漏れを検出する方法は、太陽信号の光信号との干渉から生成される干渉信号を検出して、電気応答を生成することを含む。本方法はまた、電気応答をフィルタリングして、太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームを形成する種の濃度に反比例する振幅を有するビートノート信号を分離することを含む。
【0005】
第3の態様では、ガス漏れ検出のためのフォトニック集積回路は、マルチモード干渉カプラと、第1の格子カプラと、第2の格子カプラと、出力格子カプラと、検出器とを含む。マルチモード干渉カプラは、第1の入力ポート、第2の入力ポート、及び出力ポートを有する。第1の格子カプラは、第1の入力ポートに連結され、太陽信号をマルチモード干渉カプラに連結する。第2の格子カプラは、第2の入力ポートに連結され、光信号をマルチモード干渉カプラに連結する。出力格子カプラは、干渉信号を出力する出力ポートに連結される。検出器は、出力格子カプラに連結され、干渉信号の検出に対する電気応答を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】ガス漏れ検出器の一実施形態を示す図である。
【0007】
図2A】実施形態における、図1のガス漏れ検出器のアレイを含むガス漏れ検出器の概略図である。
【0008】
図2B】実施形態における、図1のガス漏れ検出器のアレイを含むガス漏れ検出器の概略図である。
【0009】
図3図1のガス漏れ検出器の実施形態に存在する太陽追尾装置の概略図である。
【0010】
図4図1のガス漏れ検出器の実施形態である多波長ガス漏れ検出器の概略図である。
【0011】
図5図1のガス漏れ検出器の電子機器の一例である電子機器の概略図である。
【0012】
図6】一実施形態におけるメタン漏れを検出するための1つの方法を示すフローチャートである。
【0013】
図7】一実施形態における、図1のガス漏れ検出器内で使用するためのフォトニック集積回路の概略図である。
【0014】
図8図1のガス漏れ検出器の一実施形態であるガス漏れ検出器の概略図である。
【0015】
図9】自然発生バックグラウンドメタンのスペクトルと、図8のガス漏れ検出器の一実施形態によって決定されたスペクトルへのフィッティングとを示す図である。
【0016】
図10】異なる大気圧でのメタンのスペクトルを示す図である。
【0017】
図11】高度の関数として、(i)バックグラウンドメタンの混合比、及び(ii)図8のガス漏れ検出器の一実施形態の正面に直接注入されたメタンの混合比を示すプロットである。
【0018】
図12】バックグラウンドメタンと、図8のガス漏れ検出器の検出経路に直接注入された追加量のメタンとの直接吸収スペクトルのプロットである。
【0019】
図13】メタンの波長変調分光法(wavelength modulation spectroscopy、WMS)の2f信号のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、種181を含むガスプルーム180の濃度及び位置を決定するガス漏れ検出器100を示す。プルーム180は、表面194(地表面であり得る)の上方の高度189に位置する。ガス漏れ検出器100は、局部発振器110と、太陽検出器130と、電子機器140とを含む。電子機器140は、信号フィルタ144を含むが、更に、増幅器142、RF増幅器145、及び信号検出器146のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0021】
例示的な動作モードにおいて、太陽検出器130は、光信号119を、ソース196(太陽であり得る)から伝搬する太陽信号182と干渉させることによって、電気応答184を生成する。太陽検出器130は、干渉計(例えば、光ファイバ干渉計)、バランス検出器、及びプロダクト検出器のうちの少なくとも1つを含み得る。信号フィルタ144は、電気応答184をフィルタリングしてビートノート信号186を分離し、その振幅は、太陽信号182の経路191に沿った種181の濃度に反比例する(例えば、種181の濃度の減少関数である)。
【0022】
一実施形態において、局部発振器110は、光信号119を生成するが、その光信号119は、種181のスペクトル線に関連付けられた、1つ以上の光信号周波数を有する。気相種の例としては、オゾン、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、水、及びジクロロジフルオロメタン(CCl22)が挙げられる。光信号119の線幅は、種181のスペクトル線のスペクトル幅よりも小さくてもよい。例えば、種181がメタンである場合、光信号119は、1630nm~1680nmの自由空間波長を有し得る。光信号119の線幅は、2MHz未満であり得る。
【0023】
一実施形態では、ガス漏れ検出器100は、コントローラ121を更に含み、コントローラ121は、(a)太陽信号182の強度及び/又は(b)経路191に沿った標的種濃度に少なくとも部分的に基づいて、1つ以上の光信号周波数を設定する。コントローラ121は、例えば、1つ以上の光信号周波数を設定して、ガス漏れ検出器100の感度又は信号強度を最適化することができる。例えば、種181がメタンであり、太陽信号182が太陽検出器130に到達する前に大きな標的種濃度を通って伝搬する場合、メタン吸収と共振する光は完全に吸収され得るが、異なる光信号周波数は、より感度の高いメタン漏れ検出をもたらし得る。
【0024】
電子機器140は、信号フィルタ144によって分離されたビートノート信号186を検出する信号検出器146を含み得る。ビートノート信号186の一次スペクトル成分は、無線周波数であってもよく、したがって、信号検出器146はRF検出器であってもよい。検出器100が増幅器145を含む場合、増幅器145は、ビートノート信号186を増幅して、増幅されたビートノート信号188を生成し、これが次に信号検出器146によって検出される。実施形態では、検出器100は、増幅器145を含まず、ビートノート信号188は、ビートノート信号186と同一である。
【0025】
実施形態では、以下のうち少なくとも1つに該当する:増幅器145が、低雑音RF電力増幅器である;ビートノート信号186及び増幅されたビートノート信号188が、RF信号である;太陽検出器130が、増幅器142に接続されているか、又はそれを含んでいる。増幅器142は、太陽検出器130によって出力された電流183を、電気応答184として使用可能な電圧に増幅し、これは、信号フィルタ144によって受信される。増幅器142は、トランスインピーダンス増幅器であってもよい。実施形態において、検出器100は、増幅器142を含まず、電気応答184は、電流183と同一である。
【0026】
実施形態において、ガス漏れ検出器100は、データプロセッサ120を含む。電子機器140は、アナログ信号149を出力し、データプロセッサ120は、これを処理して高度189を決定する。データプロセッサ120は、プロセッサ122及びメモリ124を含む。メモリ124は、ソフトウェア125として、非一時的コンピュータ可読命令を記憶し、これは、線形状生成器126及び線形状弁別器128を含む。ソフトウェア125が、プロセッサ122によって実行されると、ソフトウェア125は、プロセッサ122に、本明細書で説明するようなガス漏れ検出器100の選択された機能を実施させる。ソフトウェア125は、ファームウェアであってもよく、又はファームウェアを含んでもよい。コントローラ121は、例えばソフトウェア125の一部として、データプロセッサ120の一部であってもよい。
【0027】
データプロセッサ120は、電子機器140、例えば信号検出器146に通信可能に連結されて、太陽信号182の経路191に沿って存在するガスプルーム180の高度189を決定する。吸収スペクトルプルーム180は、特定の高度におけるメタンガスの全大気圧によって影響を受ける。したがって、地球の大気圏内の高高度におけるプルーム180は、地球の大気圏内の低高度に位置する同一種のプルームとスペクトル的に異なる。データプロセッサ120は、例えば、ビートノート信号186から導出される吸収スペクトルを、既知の圧力で以前に測定された吸収スペクトルと比較することによって、ガスプルーム180の高度を決定してもよい。
【0028】
メモリ124は、そのようなスペクトルを、複数のフィッティングパラメータ192として記憶し得る。フィッティングパラメータ192は、種181の同じ吸収線の測定スペクトルを含んでもよく、測定中の大気圧に関して異なっていてもよい。大気圧は線形状に影響を及ぼすので、データプロセッサ120は、フィッティングパラメータ192を使用して、吸収スペクトル176を1つ以上のフィッティングパラメータ192にフィッティングすることによって、高度189を決定することができる。経路191が、異なる高度189の複数のガスプルーム180を横断するとき、線形状生成器126は、アナログ信号149から、異なる高度、したがって異なる大気圧における種181の吸収線を含む吸収スペクトル176を生成する。線形状弁別器128は、吸収スペクトル176を、複数のフィッティングパラメータ192にフィッティングして、ガスプルーム180が存在する複数の高度を、種181のバックグラウンド濃度と共に決定する。
【0029】
実施形態において、フィッティングパラメータ192は、吸収スペクトル176を記述する1つ以上の線形状関数の各々についての広がり係数を含む。そのような実施形態では、フィッティングパラメータ192は、広がり係数を含むことを含み、測定された吸収スペクトルを含まなくてもよい。線形状関数の例としては、ガウス関数、ローレンツ関数、及びそれらの組み合わせ(フォークトプロファイルなど)を含む。所与の種181について、フィッティングパラメータ192は、種181の複数の振動モード及び/又は回転モードの各々についてのそれぞれの広がり係数を含み得る。各々の広がり係数は、線形状弁別器128が、吸収スペクトル176に基づいて、ガスプルーム180が存在する1つ以上の高度を決定するように、大気圧の関数であり得る。
【0030】
太陽検出器130及び信号フィルタ144は、PIC108に組み込まれて、フォトニック集積回路(photonic integrated circuit、PIC)を形成し得る。図7も参照されたい。プロセッサ120は、PIC108から信号を受信し、そこから、標的種濃度、メタンプルームの位置、及び3次元断層撮影データセット等の判定を行ってもよい。
【0031】
PIC108はまた、局部発振器110、コントローラ121、プロセッサ120、増幅器145、信号検出器146、及びガス漏れ検出器100の他の電子構成要素のうちの少なくとも1つを統合してもよい。PIC108へのそのような統合は、いくつかの利点を提供する。第1に、ガス漏れ検出器100は、PIC上に一体化されたときに小型かつ軽量であり得るので、メタン又は他の標的ガスを感知する際に、空中ドローンにおいて使用され得る。第2に、PIC108は、太陽検出器130及び増幅器145が、密に連結されて、ノイズを低減し、ガス漏れ検出器100の全体的な感度を改善することを可能にし得る。第3に、太陽検出器130のサイズを縮小することができ、例えば、その直径を約300ミクロンから30ミクロンに縮小することができる。このサイズ減少は、面積比
【数1】
に基づいて、100倍、太陽検出器130の固有キャパシタンスを減少させる。高速検出(例えば、数百MHzより大きい繰り返し率)の場合、太陽検出器130の低減されたキャパシタンスは、より低い電圧ノイズに変換され、ガス漏れ検出器100の信号対ノイズ比を更に改善する。第4に、ガス漏れ検出器100の要素どうしの間の光損失の可能性及び深刻さが低減される。
【0032】
局部発振器110は、光源116を含み、更に、波長変調器112、振幅変調器114、及びレーザドライバ113のうちの少なくとも1つを含んでもよい。実施形態において、光源116は、ダイオードレーザなどの走査可能な単一周波数レーザであり、その例としては、垂直共振器面発光レーザ(vertical-cavity surface-emitting laser、VCSEL)及び分布帰還型レーザが挙げられる。
【0033】
実施形態において、波長変調器112は、光信号119の周波数を変調し、これは、ロックイン増幅及び/又は他の形態のノイズ低減を、有利に可能にして、ガス漏れ検出器100の全体的な感度を増加させる。
【0034】
ガス漏れ検出器100は、図示のように、例えば局部発振器110の一部である振幅変調器114を含み得るが、振幅変調器114は、局部発振器110に通信可能に連結された別体の要素であってもよい。実施形態において、振幅変調器114は、光信号119の振幅を変調し、これは、ロックイン増幅及び/又は他の形態のノイズ低減を、有利に可能にして、ガス漏れ検出器100の全体的な感度を増加させる。振幅変調器114は、太陽検出器130に到達する前に信号182を振幅変調する光チョッパであってもよく、これは、ロックイン増幅及び/又は他の形態のノイズ低減を有利に可能にして、ガス漏れ検出器100の全体的な感度を増加させる。光チョッパ151は、太陽検出器130及び/又はPIC108と物理的に一体化されてもよく、又は別個の構成要素であってもよい。
【0035】
光源116は、100Hzと1kHzとの間であり得る走査周波数において、その波長範囲を通して時間的に調整され得る。例えば、レーザドライバ113は、光源116に連結されてもよく、駆動信号を介して光源116の中心波長を時間的に調整するように動作し、駆動信号は、時間的に変化する、例えば周期的波形である、電流又は電圧であってもよい。
【0036】
一実施形態では、ガス漏れ検出器100は、スペクトルフィルタ152を含み、このスペクトルフィルタ152は、ソース196からの広帯域放射の望ましくない部分を遮断しながら、太陽信号182を透過させる。スペクトルフィルタ152は、図示のように、PIC108に取り付けられずに、太陽信号182の経路191に沿って配置されてもよいが、スペクトルフィルタ152は、本明細書の範囲から逸脱することなく、太陽検出器130及び/又はPIC108に組み込まれていても、あるいはそれらと一体化されていてもよい。
【0037】
一実施形態では、ガス漏れ検出器100は、経路191に沿って配置された集光光学系154を含む。集光光学系154は、図1に示されるように、1つ以上の別個の光学要素であってもよく、又は本明細書の範囲から逸脱することなく、PIC108、スペクトルフィルタ152、もしくは太陽検出器130と(例えば、光ファイバとして)統合されてもよい。光収集光学系154は、オフアクシス型放物面鏡などの鏡であってもよい。集光光学系154は、太陽信号182を太陽検出器130に集束させ、効率及び信号強度を増大させ、ノイズを低減する働きをする。集光光学系154は、太陽検出器130にファイバ連結されてもよい。
【0038】
図1に示す実施形態では、光チョッパ151、スペクトルフィルタ152、及び集光光学系154は、太陽信号182がこれらの3つ全てと、上記の順序で相互作用するように配置されるが、その順序は、本明細書の範囲から逸脱することなく変動し得る。光チョッパ151、スペクトルフィルタ152、及び集光光学系154は、例えば、互いに取り付けられてもよく、又はガス漏れ検出器100内に個別に取り付けられてもよい。
【0039】
一実施形態では、ガス漏れ検出器100は、データプロセッサ120に通信可能に連結され得る風速計156を含む。風速計156は、メタン漏れ位置、例えばガスプルーム180の位置を特定するのを助ける。ガス漏れ検出器100に対する、ガスプルーム180の測定された距離及び相対位置は、風速計156からのデータなしでは、より劇的に変化する。風速計156は、例えば、メタン漏出場所を隔離するために使用可能な風速及び/又は風向を測定してもよい。
【0040】
上述したように、ソース196は、太陽であってよく、太陽は、地球の大気を通過した後にガス漏れ検出器100に直接進む放射線を放出する。ソース196は、月であってもよく、月は、太陽から放出された光を、地球の大気に向けて、更に地球の大気を通してガス漏れ検出器100に向けて反射する。ソース196が月である場合、増幅器145を使用して増幅されたビートノート信号188を生成して、ガス漏れ検出器100が、メタン漏れ、例えばガスプルーム180を検出するのに十分な感度を有するようにする必要があり得る。
【0041】
図2A及び図2Bは、ガス漏れ検出器200のアレイを含む、複合ガス漏れ検出器201の概略図である。各ガス漏れ検出器200は、図1のガス漏れ検出器100の一例である。図2A及び図2Bは、空の異なる位置に示されるソース196(例えば、太陽)によって示される、1日の異なる時刻における検出器201を示す。図2A及び図2Bは、以下の説明と共に最も良く考察できる。図2A及び図2Bは、整数Pが少なくとも4であるP個のシステムを示しているが、複合ガス漏れ検出器201の検出器200の総数は、本明細書の範囲から逸脱することなく、2個又は3個であってもよい。
【0042】
実施形態では、複合ガス漏れ検出器201は、データプロセッサ220を含み、データプロセッサ220は、検出器200の各々から、それぞれのビートノート信号186又は188を受信する。データプロセッサ220は、データプロセッサ120の一例であり、各検出器200(p)から、それぞれの高度189(p)を決定する(なお、ここでインデックスp≦Pである)。データプロセッサ220は、検出器200のいずれか1つの一部であってもよく、あるいは、検出器200が検出器200の各々から分離されていて、各検出器200がデータプロセッサ220に通信可能に連結されていてもよい。
【0043】
ガス漏れ検出器200は、空間的に、1次元又は2次元アレイ状であってもよい。図2Aにおいて、各ガス漏れ検出器200は、太陽信号282(例えば、太陽信号182の一例である、太陽信号282(1))を受信する。各ガス漏れ検出器200は、それが受信する太陽信号282から、ビートノート信号(例えば、図1のビートノート信号186)を分離する。図2Aにおいて、ソース196は、現在の位置から各ガス漏れ検出器200に、太陽信号282を放射する。しかし、図2Bでは、ソース196は空を横切って移動して、異なる位置に現れており、したがって、ソース196’として示されている。ソース196は、空を横切るソース(196/196’)の動きを示すのを助けるために、図2Bには点線で示されている。図2Bにおいて、ソース196’の位置が与えられると、各ガス漏れ検出器200は、ソース196’の位置からの太陽信号282’(例えば、太陽信号182の一例である282’(1))を受信する。太陽信号の各対(例えば、282(1)及び282’(1))は、地球が回転し、ソース196が空を横切るときに、1日のうちの異なる時刻に、各ガス漏れ検出器(例えば、201(1))によって受信される。
【0044】
したがって、複数のガス漏れ検出器200は、その各々が、1日の間の複数の時刻に太陽信号282を受信し、複数のガス漏れ検出器200によって見られる大気の、2次元断層撮影データセットを構築する。2次元断層撮影データセット内の各点は、ソース196/196’からそれを吸収するガス漏れ検出器200までの太陽信号282の経路(図示せず)に沿って存在するメタン濃度を含み、したがって、メタンプルーム(例えば、プルーム180、図1)の3次元位置(高度を含み得る)を分解する。
【0045】
実施形態において、検出器100は、太陽検出器130への太陽信号182/182’の強度を最大化するために使用される太陽追尾装置358を含む。図3に示される実施形態では、太陽追尾装置358は、太陽光源196が、集光光学系154の一例である光収集光学系354を移動させるときに、太陽信号182/182’を、太陽検出器130に向ける光収集光学系354を含む。別の一実施形態では、太陽追尾装置358は、太陽検出器130を直接移動させ(図示せず)、ソース196が移動している間に、太陽検出器130がソーラー信号182/182’を受信するために最良に位置決めされるようにする。したがって、太陽信号182は、第1の時刻に、ソース196から放射され、太陽信号182’は第2の時刻に、ソース196’から放射され、ソース196及び196’は、所与の期間にわたって太陽検出器130に対して移動する、同じ物理的物体である。
【0046】
動作上、太陽追尾装置358は、(a)太陽検出器130に対する太陽信号182/182’のソース196/196’の位置を示す太陽データ、及び/又は(b)所与の時刻に太陽検出器130に到達する太陽信号182/182’の強度を使用して、太陽検出器130に到達する太陽信号182/182’の強度を最大化する。太陽追尾装置358は、例えば、既知の天文学的データを利用して、光収集光学系354(図3に示す実施形態において)又は太陽検出器130(代替的実施形態において)を位置決めし、太陽検出器130への太陽信号182/182’の量を最大化し得る。それ加えて又はその代わりに、太陽追尾装置358は、所与の時刻に太陽検出器130に到達する太陽信号182/182’の強度を使用して、太陽検出器130への太陽信号182/182’の位置を反復的に制御してもよく、これは、最近の測定及び位置合わせに基づいて位置合わせを反復的に改善するということを意味する。
【0047】
図4は、多波長ガス漏れ検出器400を示し、その多波長ガス漏れ検出器400は、M個の中心波長のうちのそれぞれ1つを有する複数の光信号419(1、2、...、M)を生成する局部発振器410を含むものである。ガス漏れ検出器400及び局部発振器410は、それぞれガス漏れ検出器100及び局部発振器110の例である。実施形態では、局部発振器410は、各光信号419を集合的に生成する、少なくとも1つの光源(例えば、単一周波数レーザ及び波長可変レーザの任意の組み合わせ等)を含む。第1の例では、局部発振器410は、各光信号419を生成する、単一の波長可変レーザを含み得る。第2の例では、局部発振器410は、M個の光源、例えば、M個の単一周波数レーザを含んでいてよく、そしてその各々は、それぞれの光信号419を生成するものである。
【0048】
複数の光信号419は、太陽検出器130によって受信され、太陽検出器130は、光信号419の各々を太陽信号182と混合して、複数の電気応答484(1~M)のうちの1つを生成する。その複数の電気応答484(1~M)の各々は、それぞれのビート音信号486を含み、複数のビート音信号486(1~M)を形成する。信号フィルタ144は、複数の電気応答484の各々をフィルタリングして、その対応するビートノート信号486を分離し、それらのビートノート信号486は、信号検出器146によって記録されることとなる。信号検出器146は、各ビートノート信号486を記録し、アナログ信号449をプロセッサ120に出力する。アナログ信号449は、アナログ信号149の一例である。
【0049】
例えば、局部発振器410は、光信号419(2)を生成し、これが太陽信号182と混合されて、ビートノート信号486(2)を含む電気応答484(2)を生成する。信号フィルタ144は、ビートノート信号486(2)を分離し、これは信号検出器146によって記録され、アナログ信号449としてプロセッサ120に送信される。複数のビートノート信号486の各々を、対応する光信号419の光信号周波数に対してプロットすると、スペクトル476が生成される。スペクトル476は、吸収スペクトル176の一例である。
【0050】
図5は、図1の電子機器140の一例である電子機器540の概略図である。電子機器540は、信号フィルタ144及び信号検出器146のそれぞれの例である、信号フィルタ544及び信号検出器546を含む。信号フィルタ544は、複数のサブフィルタ547を含む。信号検出器546は、複数のサブ検出器548を含む。複数のサブフィルタ547の各々は、電気応答584(電気応答184の一例である)の対応する周波数領域部分を分離するために、それぞれの周波数範囲に関連付けられている。例えば、サブフィルタ547(2)は、電気応答584(2)の一部を分離する。
【0051】
図示されるように、各サブ検出器548(n)は、1つのサブフィルタ547(N)に通信可能に連結されている(なお、ここでインデックスn≦Nである)。サブ検出器548(n)の各々は、その対応するサブフィルタ547(n)によって分離された電気応答584(n)の部分を記録する。例えば、サブ検出器548(2)は、サブフィルタ547(2)に通信可能に連結し、それによって電気応答584(2)の対応する部分を検出することができる。サブ検出器548によって記録された電気応答584の部分は、対応するサブフィルタ547の周波数範囲に対してグラフ化されると、図4のスペクトル476を生成する。
【0052】
図6は、ガス漏れ検出方法600を示すフローチャートである。いくつかの実装形態では、図6の1つ以上のプロセスブロックは、ガス漏れ検出器100の一実施形態によって実行され得る。いくつかの実装形態では、図6の1つ以上のプロセスブロックは、別のデバイス、又はガス漏れ検出器100とは別個の、もしくはガス漏れ検出器100を含むデバイスのグループによって実行され得る。追加的又は代替的に、図6の1つ以上のプロセスブロックは、ガス漏れ検出器100の1つ以上の構成要素によって実行されてもよい。
【0053】
図6に示すように、方法600は、太陽信号と光信号との干渉から生成された干渉信号を検出して、電気応答を生成することを含むことができる(ブロック610)。ブロック610の一例では、ガス漏れ検出器100は、光信号119との太陽信号182の干渉から生成される干渉信号を検出して、電気応答184を生成する。
【0054】
図6に更に示すように、方法600は、電気応答をフィルタリングして、ビートノート信号を分離することを含むことができるが、そのビートノート信号は、太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームを形成する種の濃度に反比例する振幅を有するものである(ブロック620)。ブロック620の一例では、ガス漏れ検出器100は、電気応答184をフィルタリングして、種181の濃度に反比例する振幅を有するビートノート信号186を分離する。
【0055】
方法600は、以下で説明される、かつ/又は本明細書の他の場所で説明される、1つ以上の他のプロセスに関連する、任意の単一の実装形態又は実装形態の任意の組み合わせなど、追加の実装形態を含み得る。
【0056】
第1の実装形態では、方法600は、局部発振器を用いて、種の吸収に関連する光信号周波数を有する光信号を生成することを含む。例えば、局部発振器110は、光信号119を生成する。この実装形態では、方法600は、(a)太陽信号の強度及び(b)種181の濃度のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、光信号周波数を選択することを含み得る。
【0057】
第2の実装形態では、方法600は、種濃度に対応するガスプルームの位置を決定することを含み、その決定は、大気圧に少なくとも部分的に基づいて行われる。第3の実装形態では、方法600は、例えば図5で説明したように、複数のサブフィルタのうちの1つにそれぞれ通信可能に連結された複数のサブ検出器を用いて、対応するサブフィルタによって分離された電気応答の対応する部分を検出することを含む。第4の実装形態では、方法600は、光信号を変調して増強した感度を可能にすることを含む。
【0058】
第5の実装形態では、ブロック610は、太陽信号と複数の光信号との干渉から生成された複数の干渉信号を検出し、複数の電気応答を生成することを含み、ここで、複数の光信号の各々は、複数の中心周波数のそれぞれ1つをそれぞれ有するものである(ブロック612)。ブロック612の一例では、図4のガス漏れ検出器400は、光信号419との太陽信号182の干渉から生成される干渉信号を検出して、電気応答484を生成する。
【0059】
第5の実装形態では、ブロック620は、複数の電気応答の各々をフィルタリングして、複数のビートノート信号のそれぞれの1つを分離することを含むが、その複数のビートノート信号のそれぞれは、種の濃度に反比例するそれぞれの振幅を有するものである(ブロック622)。複数の干渉信号、複数の光信号、及び複数のビートノート信号は、それぞれ、干渉信号、光信号、及びビートノート信号を含む。ブロック622の一例では、ガス漏れ検出器400は、電気応答484をフィルタリングして、それぞれが種181の濃度に反比例する振幅を有するビートノート信号486を分離する。
【0060】
第5の実装の実施形態では、方法600は、複数のビートノート信号から、複数の中心周波数にわたる吸収スペクトルを決定すること(ブロック640)を含む。例えば、線形状生成器126は、ガス漏れ検出器400のプロセッサ120によって受信されたアナログ信号449から、吸収スペクトル176を決定する。そのような実施形態はまた、圧力依存線形状関数を吸収スペクトルにフィッティングすることによって、ガスプルームの高度を決定して、ガスプルームの高度を決定することを含み得る(ブロック650)。例えば、線形状弁別器128は、吸収スペクトル176をフィッティングパラメータ192と比較することによって、高度189を決定する。
【0061】
そのような実施形態は、複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおいて、吸光度スペクトルを、種の複数の基準吸光度スペクトルと比較することによって、ガスプルームの高度を決定することを含み得る。例えば、線形状弁別器128は、吸光度スペクトル176をフィッティングパラメータ192と比較することによって高度189を決定するが、ここで、フィッティングパラメータ192は、前述の、種の複数の基準吸光度スペクトルを含む。
【0062】
第8の実装形態では、方法600は、高度、太陽信号のソースの仰角、及び干渉信号を検出するデバイスに対するソースの方向から、ガスプルームの位置を決定することを含む。この実装形態の一例では、メモリ124は、方向及び仰角を記憶し、ガスプルーム180の位置を決定する。
【0063】
第9の実装形態では、方法600は、第8の実装形態を含み、かつまた方法600の第8の実装形態を実行することによって、複数のガスプルームの各々について、ガスプルームのそれぞれの位置を決定して、複数のガスプルームの3次元断層撮影データセットを生成することを含む。
【0064】
第10の実装形態では、方法600は、第8の実装形態を含み、かつまた風速を測定することと、高度、仰角、及び方向から位置を決定することを含む位置を決定することとを含む。この実装の一例では、風速計156は風速を決定する。
【0065】
図6は方法600の例示的なブロックを示しているが、いくつかの実装形態では、方法600は、図6に示されているブロックに対して、追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、又は異なるように配置されたブロックを含み得る。追加的又は代替的に、方法600のブロックのうちの2つ以上が並列に実行されてもよい。
【0066】
上述したように、太陽検出器130及び信号フィルタ144は、単一のフォトニック集積回路(PIC)に統合されて、有利な利益をもたらしてもよい。PICからの信号は、(例えば、図1のプロセッサ122によって)解釈及び処理されて、例えば3次元断層撮影データセットなどにおいて、メタンプルーム位置を分離されてもよい。
【0067】
図7は、そのようなPIC700の一例を示すが、局部発振器110及び他の構成要素はなく、代わりにそれらはオフチップで提供され得る。PIC700の構成要素は、絶縁基板701(例えば、シリコン、二酸化シリコン(Si、SiO2)製であるが、ただし、例えば窒化シリコン、酸化シリコン、サファイア、窒化アルミニウム、ゲルマニウム、及びシリコンゲルマニウム合金などの他の材料も好適であり得る)上に存在する。これらの構成要素としては、格子カプラ702(1、2)、入力導波路704、マルチモード干渉カプラ706、出力導波路708(1、2)、格子カプラ710、検出器712(1、2)、及びトランスインピーダンス増幅器(transimpedance amplifier、TIA)720を含む。実施形態において、太陽検出器130は、マルチモード干渉カプラ706を含み、電子機器140は、検出器712及びTIA720を含む。
【0068】
マルチモード干渉カプラ706の分割比は、50:50であってもよい。導波路704及び708は、シリコンで形成されてもよい。実施形態において、検出器712は、半導体ベースの光検出器であり、半導体は、インジウムガリウムヒ素であってもよい。検出器712は、フリップチップボンディングを介して基板701に取り付けられてもよい。TIA720は、図示のように、PIC700上にあってもよく、図1の増幅器145のように、オフチップであってもよい。
【0069】
格子カプラ702(1)及び702(2)は、ピッチ703だけ離間されるが、そのピッチ703は、200μmと300μmとの間、例えば250μmであり得る。格子カプラ702(1、2)は、それぞれ、太陽信号182及び光信号119から(局部発振器110から)の電磁エネルギーを、PIC700に連結する。カプラ702(1)、702(2)から出力された電磁エネルギーは、入力導波路704(1)、704(2)に沿ってマルチモード干渉カプラ706内に移動し、その結果、連結された信号は、出力導波路708(1)、708(2)においては等しく半分のパワーであり、それぞれの検出器712(1)、712(2)内に異なる成分が統合された状態で入る。検出器712からの出力は、TIA720に連結され、それによってオフチップの無線周波数領域への接続を容易にする。2つの検出器712が図示されているが、その代わりに、信号対ノイズ比(SNR)に応じて、1つの検出器712が使用されてもよい。PIC700上にTIA720を統合することは、検出器(複数可)712とTIA720との間の距離を低減し、ノイズも低減する。図1と比較して、残りのRF検出列(RF増幅器145、信号検出器146、データプロセッサ120)は、PIC700外であり、増幅器ゲインどうしの間及びフィルタ帯域幅どうしの間で容易に切り替わるようになっている。しかしながら、その代わりに、図1のように、全ての構成要素が、チップ(例えば、PIC108)上に存在してもよい。
【0070】
図8は、ガス漏れ検出器100の一例であるガス漏れ検出器800の概略図である。ガス漏れ検出器800は、局部発振器810、2×2カプラ833、バランス検出器835、電子機器840、及びデータプロセッサ820を含む。
【0071】
局部発振器810は、局部発振器110の一例であり、関数発生器812と、ダイオードレーザドライバ813と、シングルモード(single mode、SM)ファイバ連結分布帰還型(fiber-coupled, distributed feedback、DFB)レーザ816とを含む。局部発振器810はまた、DFB816に連結された熱電冷却器818を含んでもよい。DFBレーザ816は、2MHzの帯域幅を有し得る。データプロセッサ820は、データプロセッサ120の一例であり、アナログ-デジタル変換器827を含む。ダイオードレーザドライバ813及びDFBレーザ816は、それぞれレーザドライバ113及び光源116の例である。
【0072】
ガス漏れ検出器800はまた、オフアクシス型放物面鏡854及び1×2光ファイバスイッチ804のうちの少なくとも1つを含み得る。スイッチ804は、遠隔操作し得る。電子機器840は、RF検出器846と、更に、バンドパスフィルタ841、ローパスフィルタ842、ローパスフィルタ843、増幅器845、増幅器847、及び増幅器848のうちの少なくとも1つとを含む。RF検出器846は、信号検出器146の一例である。鏡854は、集光光学系154の一例であるか、又はその一部であってもよい。
【0073】
以下では、ガス漏れ検出器800の例示的な動作モードを説明する。この例では、ガスプルーム180の種181はメタンである。局部発振器810からの光は、カプラ833において、この例では33mmの焦点距離を有する鏡854を使用して、単一モードに集光された太陽信号882太陽光と混合される。太陽信号882は、太陽信号182の一例である。光ファイバスイッチ804は、RFバックグラウンドオフセットレベル(RF検出器の温度によって影響される)を、断続的にサンプリングすることを可能にする。RFオフセットは、プルーム180の標的種の線形状を正確にフィッティングするためには、考慮に入れる必要がある。カプラ833の両方の出力レッグは、バランス検出器835へのデュアル入力を提供する。
【0074】
実施形態では、オフアクシス型放物面鏡854は、経緯儀マウントを有するGPS対応商用望遠鏡に便乗し、マイクロコントローラベースの追跡能力を使用することによって、ソース196を追跡する。追跡システムは、最初の位置合わせの後、日付、時刻、及び緯度に基づいて、ソース196の既知の位置を自動的に追跡する。直接吸収(direct absorption、DA)信号は、高速正弦波変調電圧を0に設定して収集される。
【0075】
関数発生器812は、ダイオードレーザドライバ813への入力として、200Hzの三角波を合成する。結果として生じる電流変調は、1665.956nmを中心とするCH42v3オーバートーンQ(6)遷移をカバーする、約1665.868nmから1666.075nmまでの波長範囲にわたって、DFBレーザ816を繰り返し走査する。DFBレーザ816からの光は、ソース196からの光と結合されて、RFビート音又は中間周波数(intermediate frequency、IF)を形成する。ビート音の包絡線には、太陽光が大気を通過する際に生じる任意の吸収線が刷り込まれる。フィルタは、225MHzより上のIF周波数を遮断し、DFBレーザ816の瞬時波長を中心とする狭い範囲の周波数を残す。次いで、DFBレーザ816は、Q(6)フィーチャにわたって200Hzで掃引されて、対象のスペクトルを生成する。データは、2MS/秒のA/D変換器によってデジタル化され、更に、LO 200Hzでの掃引と同期してスペクトルデータを収集し列平均化するようにトリガされる。A/D変換器は、データプロセッサ120の一部であってもよい。
【0076】
収集されたデータは、ソフトウェア125として記憶された検索プログラムを使用してフィッティングされ、高度189に対するメタン混合比を以下の方法で決定する。実際の大気の垂直列は、成層圏(50km)の最上部まで米国標準大気(1826版)を使用して近似される。この標準大気は、等しい平均ρiΔZi層に分割される。すなわち、層iにおける平均密度に層iの垂直深さを乗じたものは、全ての層i=1,...,Nについて等しい。層の数Nは任意であるが、ここでのデータ分析のために、以下に説明する理由でN=11を使用した。結果として、地表面により近い層はより浅く、より高い高度の層はより深くなっている。例えば、2つの層しかない(N=2)場合、最下層は5.6kmの深さであり、最上層は44.4kmの深さである。このようにして垂直列を分割することによって、異なる層が、層内のメタン濃度の所与の変化に対してメタンの積算吸収量のほぼ等しい変化に寄与する。
【0077】
ソフトウェア125の一部として記憶された検索アルゴリズムは、地表面から50kmの高度までのN(=ρiΔZi)層にわたる吸収量を合計することによって、メタンの垂直積算吸収スペクトルのモデルを計算する。このモデルは、レーベンバーグ・マルカート法を使用して、実際の測定されたPOHSメタン吸収スペクトルをフィッティングするために使用される。ルーチンは、モデルと測定されたスペクトルとの間の(二乗)差を最小化するためにフィッティングパラメータを変化させる。なお、N層のメタン濃度はフィッティングパラメータである。
【0078】
大気メタンの垂直プロファイルは、所与の測定スペクトルをフィッティングすることから得られる。そのプロファイルは、合理的な初期条件には敏感ではない。ここで示される結果について、本発明者らは、全ての層について1.8ppmに等しいメタン濃度を仮定している。所与の測定されたスペクトルをフィッティングすることから得られるメタンの垂直プロファイルは、層の数を10を超えて(N>10)増加させても同様のままであるが、プロファイルはNが増加するにつれて自然に滑らかになる。この問題は、本発明のレーザの走査範囲内で利用可能な少数のスペクトル特徴では数学的に過小に決定されるので、プロファイルの主要な特徴を依然として再現しながら、層の数を可能な限り少なく保つことを選択する。本発明者らは、11個のビンを使用して全ての結果をモデル化した。
【0079】
バランス検出器835、電子機器840、及びデータプロセッサ120は、ガス漏れ検出器800のスペクトル帯域幅を決定する。バランス検出器835は、2×2カプラ833の2つの出力レッグから光を受け取る。これらの光出力は本質的に逆位相である。共通モードノイズが除去され、しかも2つの入力からフォトダイオード信号を減算することによって、信号が強化される。バランス検出器835の出力帯域幅は、400MHzであってもよい。次に、バランス検出器835の出力は、バンドパスフィルタ841(この例では帯域幅は20MHz~1GHzである)によってバンドパスフィルタリングされ、RF電力増幅器845で増幅され(この例では+30dBの電力ゲイン、10MHz~1GHz)、次に、ガス漏れ検出器800のスペクトル分解能を決定する調整可能な周波数で、ローパスフィルタ842によってローパスフィルタリングされる。
【0080】
実施形態において、ローパスフィルタ842のカットオフ周波数は、52MHzから225MHzの間である。この範囲では、ガス漏れ検出器800の帯域幅は、測定されたメタンスペクトルプロファイルの広幅化を引き起こさない。しかし、より低いカットオフ周波数の欠点は、信号振幅が減少することである。ローパスフィルタリングされた信号電力は、0バイアスショットキーダイオードを含み得るRF検出器846において電圧に変換されるが、その帯域幅は10MHzから2GHzに及び得る。次いで、RF検出器846の電圧出力は、増幅され、増幅器847、ローパスフィルタ843、及び増幅器848を通してフィルタリングされて、アナログ信号149の一例である出力アナログ信号849を生成する。この例では、増幅及びフィルタリングは、70kHz未満の出力帯域幅で1472倍の電圧増加をもたらす。
【0081】
次に、アナログ信号849は、データプロセッサ120のA/D変換器の入力チャネルの1つに送られ、そこで同期してデジタル化され、列平均化される。200Hzで動作し、1000回の走査について平均化することにより、5秒の取得シーケンスが得られる。図8において、以下を除き全てのリード線が電気的接続であるが、(a)DFBレーザ816とバランス検出器835との間のリード線、及び(b)オフアクシス型放物面鏡854とバランス検出器835との間のリード線は、光学的構成要素/接続である。電気部品が支配的であり、これは検出器100の主な利点の1つであるが、大規模な実験室機器を単一基板の専用センサに極小化することを可能にする。
【0082】
ガス漏れ検出器800はまた、波長変調分光法(WMS:Wavelength Modulation Spectroscopy)、1f及び2f信号を収集するための、デジタルロックイン増幅器806を含むことができる。増幅器806は、ローパスフィルタ843及びデータプロセッサ120に通信可能に連結される。この例では、増幅器806は、ダイオードレーザドライバ813内のバイアスT回路によって200Hz掃引にインプリントされる、高速正弦波変調波形を生成する。増幅器806はまた、位相が、1f及び2f
【数2】
信号成分を最大にするように調整されることを可能にする。最適位相は、帯域幅を決定する電子機器構成が変化するにつれて変化するが、その後は一定である。したがって、信号の
【数3】
成分を測定する単一のロックインのみが必要である。約45kHzの周波数では、700mV(78pmの変調深さ)までの変調電圧で動作させる。増幅器806の1f及び2f出力は、A/D変換器827のチャネル2及び3に向けられ、そこで同様にデジタル化され、列平均化される。直接吸収データを収集するとき、増幅器806上の高速変調電圧は、メタンスペクトル特徴を広げることを回避するために0に設定される。
【0083】
図9は、1665.956nmを中心とする、CH42v3Q(6)遷移上の、約1.8~2.0ppmの地上レベル濃度で生じる、自然発生バックグラウンドメタンのスペクトル910(黒色の曲線)を示す。Q(6)遷移の分光法は、よく知られている。これは、本発明におけるスペクトル分解能で、約1665.948nm及び1665.967nmにピークを生じさせる、近接しながらも離間された3つの線の2つのグループからなる。フィッティングされたスペクトル920(灰色の曲線)は、本発明の検索アルゴリズムを使用したスペクトル910へのフィットであり、ソフトウェア125として記憶される。
【0084】
6本の線は全て、2v3オーバートーン帯域(非対称伸縮の2量子)のQ分岐の一部であり、E″=219.9cm-1の無振動のほぼ縮退した下位状態レベルから発する。スペクトル910は、2021年5月22日午前10:18:54MDTに、検出器100の一実施形態によって取得されたデータである。それは、その時刻に存在するバックグラウンドメタン信号と、検出器100に対する太陽の位置によって決定される空間方向のみからなる。フィッティングされたスペクトル920は、研削されたスペクトルのフィットである。図から分かるように、5秒間にわたる1,000回の走査を平均することによって得られたスペクトルのノイズレベルにおいて、フィットは良好である。このスペクトル領域が選択されたのは、それが、低圧(高高度)で十分に分解され、大気圧(低高度)付近で単一の特徴に融合する、450MHzスペクトル分解能での2つの近接した特徴からなるからである。この圧力依存性は、メタンのおおよその高度を決定するための手段を提供し、これは、太陽の仰角及び検出器100に対する太陽の方向に関する位置データを用いて、メタンのいかなる異常源の位置をも計算することを可能にする。
【0085】
より良い広がり係数を決定する本発明者らの努力は、1665.956nmを中心とする2v3Q(6)線の基準スペクトル1001~1006を含む、図10に示されるデータをもたらした。各基準スペクトル1001~1006は、フィッティングパラメータ192のスペクトルの一例である。実施形態において、フィッティングパラメータ192は、スペクトル1001~1006から決定された広がり係数を含む。スペクトルは、0.12、0.2、0.3、0.5、0.7、及び1.0気圧の全圧で得られる。これらの圧力は、おおよそ、16km、12km、9km、7km、3km、及び0kmの高度にそれぞれ対応する。各スペクトルの走査範囲は同一であり、約1666.035~1665.879nmである。各走査の波長範囲は、図9に示されるものの逆であり、データ収集方法のアーティファクトである。
【0086】
図10を生成するために、標準TDLASシステムと、メタン試料の組成、温度、圧力、及び経路長を制御することができるマルチパスセルとを使用して、0.12~1.0気圧の圧力でQ(6)線を繰り返し走査した。これらの測定を行うために、本発明者らは、窒素中5%メタンの較正されたボトルで開始し、本発明者らが1%メタン濃度を達成するまで、較正されたマスフローコントローラーを使用してメタンを窒素でフロー希釈した。それゆえ、本発明者らが決定した広がり係数は、窒素に対するものであって、空気に対するものではない。濃度は、検出器100によって行われたレーザへテロダイン放射測定(LHR)測定と同じ波長(約1666nm)での直接検出を用いる波長可変ダイオードレーザ測定を使用して検証された。レーザは、1.22メートルの経路長を達成するために、我々の分光セルにおいて2回通過された。濃度は、全ての測定について1%で一定のままであった。異なる試行に対して、圧力のみを変化させた。これらの測定から、本発明者らは、ピークの三つ組が完全に分解されていなくても、Q(6)フィーチャを3つの非常に近接したピークの2つのグループとしてモデル化するには不十分であることを学んだ。代わりに、本発明者らは、6つ全ての特徴を、個々の位置及び広幅化パラメータを用いて独立してモデル化しなければならなかったが、最終的な線広幅化パラメータは、高分解能透過分子吸収データベース(HITRAN)の値と類似していた。
【0087】
上述の検索アルゴリズムは、図9のスペクトルプロファイルを分析し、図11に示される、高度(圧力)に対するメタン混合比をもたらした。図11は、(i)高度に対するバックグラウンドメタン混合比(トレース1110)、及び(ii)室温及び局所大気圧で約18,000ppm-mのメタンがオフアクシス型放物面鏡854の前に直接注入されたメタンの混合比(トレース1120)のプロットである。プロファイルどうしの間の劇的な差は、少量の過剰メタンを検出し、その過剰メタンの高度をおおよそ決定することができるということを示している。バックグラウンドメタンの検索アルゴリズムから本発明者らが決定する混合比対高度プロファイルは、先行作業に基づく予想と一致している。
【0088】
本発明者らのLHRが異常なメタン「漏出」を見る能力を試験するために、本発明者らは、図9のような正常なバックグラウンドスペクトルを得て、それらを、室温及び局所大気圧(0.83atm)で窒素中5%メタン(5000ppm-m)で充填された10cmの分光セルを挿入することによって、又は約18,000ppm-mのメタンをLHR集光光学系の経路内に直接注入することによって得られたスペクトルと比較した。注入されたメタンの濃度は、メタンの流量、500標準リットル/分(slm)(21.4kg/時)、及び注入パイプの直径(5cm)から、計算流体力学による計算を用いて産出される。この漏れレベルは、スーパーエミッタ定義の半分(50kg超/時)未満である。
【0089】
また、13kg/hr(300slm)のレベルで漏れが検出された。メタンを注入しない場合と注入した場合に得られたスペクトルを図12に示す。図12は、バックグラウンドメタン(トレース1210)と、ガス漏れ検出器800の検出経路内へのメタンの直接注入からの約18,000ppm-mに等しいメタンの追加量を伴う場合(トレース1220)との直接吸収(DA)スペクトルのプロットである。図12はまた、それぞれトレース1210及び1220に対する検索フィット1212及び1222を含む。スペクトルを比較すると、追加のメタンが予想とほぼ一致して吸収率を増加させ、また線形状を大きく広げることが明らかである。
【0090】
WMSレーザへテロダイン放射測定データ
WMSの1f及び2fLHR信号は、WMSがあるタイプのノイズを克服し、より小さい信号が、合理的な信号対ノイズ比で検出されることを可能にするので、収集するのに有利であり得ると、本発明者らは推測した。経路の内外のメタンセルを用いて、2fスペクトルを収集した。
【0091】
図13は、WMSの2f信号のプロットであり、0.83気圧及び室温で、5%メタンを充填した10cmセルあり(信号1310)及びセルなし(信号1320)のプロットである。変調深さは低く(この走査では18pm)、これは線形状の本質的な特徴を良好に保存する。より大きな変調深さは、信号を増加させるが、プルームの位置特定の取り組みに特に関連する線形状の詳細を不明瞭にする。
【0092】
本発明者らは、ピークツーピーク2f信号が、セル中の追加的メタンに起因して、より大きくなると予想した。我々の予想に反して、図13に示されるように、ピークツーピーク2fメタン信号(及び波長積算2f信号)は、メタンセルが挿入されるときに実際に減少する。この当初は驚くべき結果は、以下のように理解され得る。2f信号は、本質的に、直接吸収スペクトルの二次導関数である。数学的には、二次導関数は線形状の曲率の尺度である。加えられたメタンは、積算大気柱に対して広い線形状を示すので、線形状の曲率は、メタンセルが挿入されるときに減少し、より小さい2f信号をもたらす。
【0093】
これは、2f及び1f信号を、メタン漏れの検出及び位置特定に役に立たなくするように思われるが、以下を考慮されたい。直接吸収(direct absorption、DA)信号が吸光度の増加を示し、2fピークツーピーク振幅が減少する場合、追加のメタンが地面に近いことを示唆する(追加のメタンがガス漏れ検出器100に近いことも示す)。太陽の高度及び方位角と共にこの情報を取得すると、単純な三角法により、漏れのおおよその位置を計算することができる。追加の吸収が2f信号の増加を伴う場合、追加のメタンが高い高度にある(検出器100から離れている)ことを示す。この情報は、検索プロファイルに対して補足的であるが、プルームの位置特定に役立つはずである。
【0094】
特徴の組み合わせ
上述の特徴並びに以下に請求される特徴は、本明細書の範囲から逸脱することなく、様々な方法で組み合わせることができる。以下に列挙する例は、いくつかの可能な非限定的な組み合わせを示す。
【0095】
(A1)ガス漏れ検出器は、光信号を太陽信号と干渉させ、結果として生じる干渉信号を検出することによって電気応答を生成する太陽検出器と、太陽検出器に通信可能に連結された信号フィルタであって、電気応答をフィルタリングして、太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームを形成する種の濃度に反比例する振幅を有するビートノート信号を分離する信号フィルタと、
を含む。
【0096】
(A2)種の共鳴吸収に対応する光信号周波数を有する光信号を生成する局部発振器を更に含む、上記の実施形態(A1)。
【0097】
(A3)局部発振器に通信可能に連結されたコントローラであって、(a)太陽信号の強度及び(b)標的種濃度のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、光信号周波数を設定する、コントローラを更に含む、実施形態(A1)又は(A2)のいずれか1つ。
【0098】
(A4)光源と;光源の周波数を調整するレーザドライバであって、それにより(i)局部発振器が、複数の中心周波数のそれぞれ1つをそれぞれ有する複数の光信号を生成し、(ii)太陽検出器が、複数の光信号のそれぞれを太陽信号と混合することによって複数の電気応答のそれぞれ1つを生成し、(iii)信号フィルタが、複数の電気応答のそれぞれをフィルタリングして、複数のビートノート信号のそれぞれ1つを分離するようにする、レーザドライバと、を更に含む、実施形態(A1)~(A4)のいずれか1つ。
【0099】
(A5)複数のビートノート信号の各々を記録する信号検出器と;信号検出器に通信可能に連結されたプロセッサと;(i)複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける種の複数の基準吸光度スペクトルと、(ii)機械可読命令であって、プロセッサによって実行されると、プロセッサに:
をさせる、メモリと;
を更に含む、実施形態(A1)~(A5)のいずれか1つ。
【0100】
(B1)実施形態(A4)のガス漏れ検出器のアレイであって、その各々が、ガスプルームを含む複数のガスプルームのそれぞれの1つに関連付けられたそれぞれの複数のビートノート信号を生成する、アレイと;それぞれの複数のビートノート信号の各々を記録する信号検出器と;信号検出器に通信可能に連結されたプロセッサと;機械可読命令を記憶するメモリであって、機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、複数のガスプルームの各々について:複数のビートノート信号から、複数の中心周波数にわたる吸光度スペクトルを決定し、(i)圧力依存線形状関数を吸光度スペクトルにフィッティングすること、及び(ii)吸収スペクトルを、複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける種の複数の基準吸光度スペクトルと比較することのうちの少なくとも1つによって、ガスプルームの高度を決定させることによって、複数のガスプルームの3次元断層撮影データセットを生成させる機械可読命令を記憶するメモリと、を備えるガス漏れ検出器。
【0101】
(B2)信号フィルタに通信可能に連結され、ビートノート信号を記録する信号検出器を更に含む、実施形態(B1)。
【0102】
(B3)太陽検出器及び信号フィルタを含むフォトニック集積回路を更に含む、実施形態(B1)又は(B2)のいずれか1つ。
【0103】
(B4)メタン漏れ位置の特定を支援する風速計を更に含む、実施形態(B1)~(B4)のいずれか1つ。
【0104】
(C1)ガス漏れを検出する方法は、太陽信号と光信号との干渉から生成される干渉信号を検出して電気応答を生成することと、電気応答をフィルタリングして、太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームを形成する種の濃度に反比例する振幅を有するビートノート信号を分離することとを含む。
【0105】
(C2)局部発振器を用いて、種吸収に関連付けられる光信号周波数を有する光信号を生成することを含む方法を更に含む実施形態(C1)。
【0106】
(C3)(a)太陽信号の強度及び(b)種の濃度のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、光信号周波数を選択することを含む方法を更に含む実施形態(C1)又は(C2)のいずれか1つ。
【0107】
(C4)方法が、種の濃度に対応するガスプルームの位置を決定することを更に含み、決定することは、大気圧に少なくとも部分的に基づいている、実施形態(C1)~(C4)のいずれか1つ。
【0108】
(C5)複数のサブフィルタのうちの1つにそれぞれ通信可能に連結された複数のサブ検出器を用いて、対応するサブフィルタによって分離された電気応答の対応する部分を検出することを含む方法を更に含む実施形態(C1)~(C5)のいずれか1つ。
【0109】
(C6)光信号を振幅変調して感度増強するのを可能にすることを含む方法を更に含む、実施形態(C1)~(C6)のいずれか1つ。
【0110】
(C7)実施形態(C1)~(C7)のいずれか1つにおいて、方法は、その各々が複数の中心周波数のうちのそれぞれ1つをそれぞれ有する複数の光信号との太陽信号の干渉から生成される複数の干渉信号を検出して、複数の電気応答を生成することを含む、干渉信号を検出することと、複数の電気応答の各々をフィルタリングして、種の濃度に反比例するそれぞれの振幅を有する複数のビートノート信号のうちのそれぞれ1つを分離することを含む、電気応答をフィルタリングすることと、を含み、複数の干渉信号、複数の光信号、及び複数のビートノート信号は、それぞれ、干渉信号、光信号、及びビートノート信号を含む。
【0111】
(C8)複数のビートノート信号から、複数の中心周波数にわたる吸光度スペクトルを決定することと、(i)圧力依存線形状関数を吸光度スペクトルにフィッティングすること、及び(ii)吸収スペクトルを複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける種の複数の基準吸光度スペクトルと比較することのうちの少なくとも1つによって、ガスプルームの高度を決定することとを含む方法を更に含む、実施形態(C1)~(C8)のいずれか1つ。
【0112】
(C9)高度、太陽信号のソースの仰角、及び干渉信号を検出するデバイスに対するソースの方向から、ガスプルームの位置を決定すること含む方法を更に含む、実施形態(C1)~(C9)のいずれか1つ。
【0113】
(C10)実施形態(C9)の方法を実行することによって、複数のガスプルームの各々について、ガスプルームのそれぞれの位置を決定して、複数のガスプルームの3次元断層撮影データセットを生成することを含む方法を更に含む実施形態(C1)~(C10)のいずれか1つ。
【0114】
(C11)風速を測定することと、高度、仰角、及び方向から位置を決定することとを含む、位置を決定することとを含む方法を更に含む、実施形態(C1)~(C11)のいずれか1つ。
【0115】
(D1)ガス漏れ検出のためのフォトニック集積回路は、第1の入力ポート、第2の入力ポート、及び出力ポートを有するマルチモード干渉カプラと;第1の入力ポートに連結され、太陽信号をマルチモード干渉カプラに連結する第1の格子カプラと;第2の入力ポートに連結され、光信号をマルチモード干渉カプラに連結する第2の格子カプラと;出力ポートに連結され、干渉信号を出力する出力格子カプラと;出力格子カプラに連結され、干渉信号の検出に対する電気応答を生成する検出器と、を含む。
【0116】
(D2)電気応答を増幅するトランスインピーダンス増幅器を更に含む実施形態(D1)。
【0117】
(D3)電気応答をフィルタリングして、太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームの種濃度に反比例するビートノート信号を分離する信号フィルタと;メタン吸収に関連付けられる光信号周波数を有する光信号を生成する局部発振器と;ビートノート信号を記録する信号検出器と、を更に備える、実施形態(D1)又は(D2)のいずれか1つ。
【0118】
(D4)種濃度に対応するガスプルームの高度を決定するために、信号検出器に通信可能に連結された線形状弁別器を更に含む、実施形態(D1)~(D4)のいずれか1つ。
【0119】
(D5)ビートノート信号を増幅して増幅されたビートノート信号を生成するRF増幅器を更に含む、実施形態(D1)~(D5)のいずれか1つ。
【0120】
上記のガス漏れ検知方法及びシステムでの変更は、本実施形態の範囲を逸脱せずに行うことができる。したがって、上記の説明に含まれ、又は添付図面に示された主題は、例示的なものとして解釈されるべきであり、かつ限定的な意味で解釈されるべきではないことを留意されたい。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載された全ての一般的かつ特定の特徴、並びに本発明のガス漏れ検知方法及びシステムの範囲の全ての陳述をカバーすることを意図し、それは、言葉として、それらの間にあると言ってもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を太陽信号と干渉させ、結果として生じる干渉信号を検出することによって電気応答を生成する太陽検出器と、
前記太陽検出器に通信可能に連結された信号フィルタであって、前記電気応答をフィルタリングして、前記太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームを形成する種の濃度に反比例する振幅を有するビートノート信号を分離する信号フィルタと、
を備えるガス漏れ検出器。
【請求項2】
前記種の共鳴吸収に対応する光信号周波数を有する前記光信号を生成する局部発振器を更に備える、請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
前記局部発振器に通信可能に連結されたコントローラであって、前記太陽信号の強度及び標的種濃度のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて前記光信号周波数を設定するコントローラを更に備える、請求項2に記載の検出器。
【請求項4】
前記局部発振器は、
光源と、
前記光源の周波数を調整することにより、(i)前記局部発振器が、複数の中心周波数のそれぞれ1つをそれぞれ有する複数の光信号を生成し、(ii)前記太陽検出器が、前記複数の光信号のそれぞれを前記太陽信号と混合することによって複数の電気応答のそれぞれ1つを生成し、(iii)前記信号フィルタが、前記複数の電気応答のそれぞれをフィルタリングして、複数のビートノート信号のそれぞれ1つを分離するようにする、レーザドライバと、
を更に備え、
前記複数の光信号、前記複数の電気応答、及び前記複数のビートノート信号は、それぞれ、前記光信号、前記電気応答、及び前記ビートノート信号を含む、
請求項2に記載の検出器。
【請求項5】
前記複数のビートノート信号の各々を記録する信号検出器と、
前記信号検出器に通信可能に連結された少なくとも1つのハードウェアプロセッサと、
(i)複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける前記種の複数の基準吸光度スペクトルと、(ii)機械可読命令であって、前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサに、
前記複数のビートノート信号から、前記複数の中心周波数にわたる吸収スペクトルを決定させ、
(i)圧力依存線形状関数を前記吸光度スペクトルにフィッティングすること、及び(ii)前記吸収スペクトルを、複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける前記種の複数の基準吸光度スペクトルと比較することのうちの少なくとも1つによって、前記ガスプルームの高度を決定させる、機械可読命令を記憶するメモリと、
を更に備える、請求項4に記載の検出器。
【請求項6】
ガス漏れ検出器であって、
請求項4に記載のガス漏れ検出器のアレイであって、前記ガス漏れ検出器の各々が、前記ガスプルームを含む複数のガスプルームのそれぞれ1つに関連付けられたそれぞれの複数のビートノート信号を生成する、ガス漏れ検出器のアレイと、
前記それぞれの複数のビートノート信号の各々を記録する信号検出器と、
前記信号検出器に通信可能に連結された少なくとも1つのハードウェアプロセッサと、
機械可読命令を記憶するメモリであって、前記機械可読命令は、前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサに、前記複数のガスプルームの各々について、
前記複数のビートノート信号から、前記複数の中心周波数にわたる吸収スペクトルを決定し、
(i)圧力依存線形状関数を前記吸光度スペクトルにフィッティングすること、及び(ii)前記吸収スペクトルを、複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける前記種の複数の基準吸光度スペクトルと比較することのうちの少なくとも1つによって、前記ガスプルームの高度を決定する
ことによって、複数のガスプルームの3次元断層撮影データセットを生成させる、機械可読命令を記憶するメモリと、
を備えるガス漏れ検出器。
【請求項7】
前記信号フィルタに通信可能に連結され、前記ビートノート信号を記録する信号検出器を更に備える、請求項1に記載の検出器。
【請求項8】
前記太陽検出器及び前記信号フィルタを含むフォトニック集積回路を更に備える、請求項1に記載の検出器。
【請求項9】
メタン漏れ位置の特定を支援する風速計を更に備える、請求項1に記載の検出器。
【請求項10】
ガス漏れを検出する方法であって、
太陽信号と光信号との干渉から生成される干渉信号を検出して電気応答を生成することと、
前記電気応答をフィルタリングして、前記太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームを形成する種の濃度に反比例する振幅を有するビートノート信号を分離することと、
を含む方法。
【請求項11】
局部発振器を用いて、種吸収に関連する光信号周波数を有する前記光信号を生成することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(a)前記太陽信号の強度及び(b)前記種の前記濃度のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、前記光信号周波数を選択することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記種の前記濃度に対応するガスプルームの位置を大気圧に少なくとも部分的に基づいて決定することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
複数のサブフィルタのうちの1つにそれぞれ通信可能に連結された複数のサブ検出器を用いて、対応するサブフィルタによって分離された前記電気応答の対応する部分を検出することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記光信号を振幅変調することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記太陽信号と、その各々が、複数の中心周波数のうちのそれぞれ1つを有する複数の光信号との干渉から生成される複数の干渉信号を検出して、複数の電気応答を生成することと、
前記複数の電気応答の各々をフィルタリングして、前記種の前記濃度に反比例するそれぞれの振幅を有する複数のビートノート信号のそれぞれ1つを分離することと、
を含み、
前記複数の干渉信号、前記複数の光信号、及び前記複数のビートノート信号は、それぞれ、前記干渉信号、前記光信号、及び前記ビートノート信号を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のビートノート信号から、前記複数の中心周波数にわたる吸収スペクトルを決定することと、
(i)圧力依存線形状関数を前記吸光度スペクトルにフィッティングすること、及び(ii)前記吸収スペクトルを、複数の大気圧のうちのそれぞれ1つにおける前記種の複数の基準吸光度スペクトルと比較することのうちの少なくとも1つによって、前記ガスプルームの高度を決定することと、
を更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記高度、前記太陽信号のソースの仰角、及び前記干渉信号を検出するデバイスに対する前記ソースの方向から、前記ガスプルームの位置を決定することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ガスプルームは複数のガスプルームのうちの1つであり、
前記方法は、前記複数のガスプルームの各々について決定された前記位置を用いて前記複数のガスプルームの各々について複数のガスプルームの3次元断層撮影データセットを生成することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
風速を測定することを更に含み、
前記位置を決定することは、前記高度、前記仰角、前記方向、及び前記風速から位置を決定することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ガス漏れ検出のためのフォトニック集積回路であって、
第1の入力ポート、第2の入力ポート、及び出力ポートを有する、マルチモード干渉カプラと、
前記第1の入力ポートに連結され、太陽信号を前記マルチモード干渉カプラに連結する第1の格子カプラと、
前記第2の入力ポートに連結され、光信号を前記マルチモード干渉カプラに連結する第2の格子カプラと、
前記出力ポートに連結され、干渉信号を出力する出力格子カプラと、
前記出力格子カプラに連結され、前記干渉信号の検出に対する電気応答を生成する検出器と、
を備えるフォトニック集積回路。
【請求項22】
前記電気応答を増幅するトランスインピーダンス増幅器を更に備える、請求項21に記載のフォトニック集積回路。
【請求項23】
前記電気応答をフィルタリングして、前記太陽信号の経路に沿って位置するガスプルームの種濃度に反比例するビートノート信号を分離する信号フィルタと、
メタン吸収に関連付けられる光信号周波数を有する前記光信号を生成する局部発振器と、
前記ビートノート信号を記録する信号検出器と、
を更に備える、請求項21に記載のフォトニック集積回路。
【請求項24】
前記信号検出器に通信可能に連結され、前記種濃度に対応するガスプルームの高度を決定する線形状弁別器を更に備える、請求項23に記載のフォトニック集積回路。
【請求項25】
前記ビートノート信号を増幅し、増幅されたビートノート信号を生成するRF増幅器を更に備える、請求項23に記載のフォトニック集積回路。
【国際調査報告】