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特表2024-509876能動的な障害監視を伴うLiDARシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】能動的な障害監視を伴うLiDARシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/484 20060101AFI20240227BHJP
   G01S 17/10 20200101ALI20240227BHJP
   G01S 7/497 20060101ALI20240227BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S17/10
G01S7/497
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554338
(86)(22)【出願日】2022-03-06
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022019054
(87)【国際公開番号】W WO2022265699
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/158,739
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518370091
【氏名又は名称】オプシス テック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドノバン, マーク ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ザイオニー, ノーム
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA15
2F112CA05
2F112CA12
2F112DA25
2F112EA05
2F112FA03
2F112FA07
2F112FA21
2F112FA45
5J084AA05
5J084AB01
5J084AB07
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA36
5J084CA03
5J084CA11
5J084CA15
5J084CA22
5J084CA31
5J084CA49
5J084CA69
5J084CA80
5J084EA20
5J084EA29
(57)【要約】
光検出および測距トランスミッタ内の障害条件を検出するための方法は、レーザアレイ内のレーザに関するアドレスと、所望の駆動電圧および駆動電流の情報とを含む、制御信号を発生させることを含む。駆動信号が、発生された制御信号に応答して、レーザアレイ内のレーザのために発生され、レーザアレイのアドレスと関連付けられる接点に印加され、それによって、所望の時間にわたって所望の出力電力においてレーザに通電する。駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である、値を伴うパラメータを有しているかどうかに関して、決定が、行われる。パラメータが、眼の安全性のための閾値範囲外の値を有する場合、アドレスおよび障害条件が、記憶され、障害条件に応答してLiDARトランスミッタ上で措置を講じるホストに報告される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出および測距(LiDAR)トランスミッタ内の障害条件を検出するための方法であって、前記方法は、
a)レーザアレイ内のレーザに関するアドレスと、所望の駆動電圧および駆動電流の情報とを含む制御信号を発生させることと、
b)前記発生された制御信号に応答して、前記レーザアレイ内の前記レーザのための駆動信号を発生させ、前記発生された駆動信号を前記レーザアレイのそのアドレスと関連付けられる接点に印加し、それによって、所望の時間にわたって所望の出力電力において前記レーザに通電することと、
c)前記駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することと、
d)前記パラメータが、前記眼の安全性のための閾値範囲外の前記値を有する場合、前記アドレスおよび障害条件を記憶することと、
e)前記障害条件に応答して前記LiDARトランスミッタ上で措置を講じるホストに、前記アドレスおよび前記障害条件を報告することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記レーザは、前記レーザアレイ内のレーザの群を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パラメータは、駆動信号パルス持続時間を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータは、駆動信号電力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータは、駆動信号繰り返し率を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記駆動信号は、低側駆動信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記駆動信号は、高側駆動信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、XOR動作を実施することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、前記駆動電流と所定の低電流値を比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、前記駆動電圧と所定の低電圧値を比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、前記駆動電圧と所定の高電圧値を比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、前記駆動電流と所定の高電流値を比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、前記駆動電流と所定の低電流値を比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、前記駆動電圧と所定の低電圧値を比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、前記駆動電圧と所定の高電圧値を比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記駆動信号が、眼の安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、前記駆動電流と所定の高電流値を比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記駆動電圧は、高側駆動電圧である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記駆動電圧は、低側駆動電圧である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記レーザアレイは、2次元レーザアレイを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記レーザアレイは、独立して動作され得る少なくとも2つのレーザを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ホストに前記障害条件の重大度を報告することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記障害条件に応答して付加的診断を実施することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ホストは、前記障害条件に基づいて動作パラメータを適合させる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記ホストは、前記障害条件に基づいて発射シーケンスを改変する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記ホストは、前記障害条件に基づいてレーザ/ピクセルマッピングを改変する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
健全性ステータスに応答して前記LiDARトランスミッタ上で措置を講じるホストに、健全性ステータスを報告することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
光検出および測距(LiDAR)トランスミッタ内の障害条件を検出するための方法であって、前記方法は、
a)レーザアレイ内のレーザに関するアドレスと、所望の駆動電圧情報とを含む制御信号を発生させることと、
b)前記発生された制御信号に応答して、前記レーザアレイ内の前記レーザのための駆動信号を発生させ、前記発生された駆動信号を前記レーザアレイのそのアドレスと関連付けられる接点に印加し、それによって、所望の時間にわたって所望の出力電力において前記レーザに通電することと、
c)前記駆動信号が、機能的安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することと、
d)前記パラメータが、前記機能的安全性のための閾値範囲外の前記値を有する場合、前記アドレスおよび障害条件を記憶することと、
e)前記障害条件に応答して前記LiDARトランスミッタ上で措置を講じるホストに、前記アドレスおよび前記障害条件を報告することと
を含む、方法。
【請求項28】
前記駆動信号が、機能的安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、駆動電流と所定の低電流値を比較することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記駆動信号が、機能的安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、前記駆動電圧と所定の低電圧値を比較することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記駆動信号が、機能的安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、前記駆動電圧と所定の高電圧値を比較することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記駆動信号が、機能的安全性のための閾値範囲外である値を伴うパラメータを有しているかどうかを決定することは、駆動電流と所定の高電流値を比較することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記駆動電圧は、高側駆動電圧である、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記駆動電圧は、低側駆動電圧である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記レーザアレイは、2次元レーザアレイを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記レーザアレイは、独立して動作され得る少なくとも2つのレーザを有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ホストに前記障害条件の重大度を報告することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記障害条件に応答して付加的診断を実施することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記ホストは、前記障害条件に基づいて動作パラメータを適合させる、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記ホストは、前記障害条件に基づいて前記発射シーケンスを改変する、請求項27に記載の方法。
【請求項40】
前記ホストは、前記障害条件に基づいて前記レーザ/ピクセルマッピングを改変する、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記健全性ステータスに応答して前記LiDARトランスミッタ上で措置を講じるホストに、健全性ステータスを報告することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項42】
光検出および測距(LiDAR)トランスミッタ内の健全性条件を検出するための方法であって、前記方法は、
a)レーザアレイ内のレーザに関するアドレスと、所望の駆動電圧情報とを含む制御信号を発生させることと、
b)前記レーザアレイ内の前記レーザの健全性条件に関する値を決定することと、
c)前記値が、機能的安全性のための閾値範囲外である場合、前記アドレスおよび前記健全性条件の値を記憶することと、
d)前記健全性条件に応答して前記LiDARトランスミッタ上で措置を講じるホストに、前記アドレスおよび前記障害条件を報告することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書において使用される節の見出しは、編成目的のためにすぎず、本願に説明される主題をいかようにも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0002】
(関連出願の節)
本願は、2021年3月9日に出願され、「LiDAR System with Active Fault Monitoring」と題された、米国特許仮特許出願第63/158,739号の通常出願である。米国特許仮特許出願第63/158,739号の全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0003】
(イントロダクション)
自律型、自動運転型、および半自律型自動車は、周囲の物体の検出および位置特定のためのレーダ、画像認識カメラ、およびソナー等、異なるセンサおよび技術の組み合わせを使用する。これらのセンサは、衝突警報、自動緊急制動、車線逸脱警報、車線維持支援、アダブティブクルーズコントロール、およびパイロット運転を含む、運転者の安全性における多数の改善を可能にする。これらのセンサ技術の中でも、光検出および測距(LiDAR)システムは、重要となる役割を担い、周囲の環境のリアルタイムの高分解能3Dマッピングを可能にする。
【0004】
今日、自律車両のために使用される最新のLiDARシステムは、環境を機械的に走査するある方法と組み合わせられる、少数のレーザを利用する。いくつかの最先端のLiDARシステムは、照明源として2次元垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)アレイを使用し、レシーバ内で種々のタイプのソリッドステート検出器アレイを使用する。将来の自律自動車が、高信頼性と、広い環境動作範囲とを伴う、ソリッドステート半導体ベースのLiDARシステムを利用することが、多いに所望される。これらのソリッドステートLiDARシステムは、それらが可動部品を有していないソリッドステート技術を使用するため、有利である。しかしながら、現在最先端のLiDARシステムは、多くの実践的限界を有しており、性能、安全性、信頼性、およびユーザ体験を改善するための、新しいシステムおよび方法が、必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本教示は、ここで、付随の図面に示されるようなその例示的実施形態を参照してより詳細に説明されるであろう。本教示は、種々の実施形態および実施例と併せて説明されるが、本教示が、そのような実施形態に限定されることは意図していない。むしろ、本教示は、当業者によって理解されるであろうように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。本明細書の教示へのアクセスを有する当業者は、本明細書に説明されるような本開示の範囲内にある、付加的な実装、修正、および実施形態、および他の使用分野を認識するであろう。
【0006】
本明細書における、「one embodiment(一実施形態)」または「an embodiment(ある実施形態)」の言及は、その実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本教示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書内の種々の場所における語句「in one embodiment(一実施形態では)」の表出は、必ずしも全てが同一の実施形態を指しているわけではない。
【0007】
本教示の方法の個々のステップが、本教示が動作可能なままである限り、任意の順序において、および/または同時に実施され得ることを理解されたい。さらに、本教示の装置および方法が、本教示が動作可能なままである限り、説明される実施形態のうちの任意の数のものまたは全てを含み得ることを理解されたい。
【0008】
本教示は、概して、物体までの距離(範囲)を測定するためにレーザ光を使用する、遠隔感知方法である、光検出および測距(LiDAR)に関する。LiDARシステムは、概して、光を反射する、および/または散乱させる、種々の物体または標的までの距離を測定する。自律車両は、LiDARシステムを使用し、高分解能を伴う、周囲環境の非常に正確な3Dマップを発生させる。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、高レベルの信頼性を伴いながら、また、長い測定範囲および低コストも維持する、ソリッドステートパルス飛行時間(TOF)LiDARシステムを提供することを対象とする。
【0009】
本教示は、トランスミッタ動作に影響を及ぼす障害を監視および検出し得、障害条件に基づいて措置を講じ、本システムの改良された安全性、信頼性、および有用性を提供し得る、LiDARシステムの種々の実施形態を説明する。説明されるシステムおよび方法は、それらの障害に適合するための方法およびアルゴリズムに加えて、LiDARシステム内の障害の改良された監視を提供する。これらの特徴は、システム安全性および製品動作の有意な改良を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
好ましい例示的実施形態によると、本教示は、そのさらなる利点とともに、付随の図面と併せて検討される、以下の詳細な説明においてより具体的に説明される。当業者は、下記に説明される図面が、例証の目的のためにすぎないことを理解するであろう。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、概して、本教示の原理を図示することに重点が置かれている。図面は、本出願人の教示の範囲をいかようにも限定することを意図していない。
【0011】
図1図1は、車両内に実装される、本教示のLiDARシステムのある実施形態を図示する。
【0012】
図2A図2Aは、本教示のホストプロセッサに接続されるLiDARトランスミッタおよびレシーバシステムを含む、監視されるシステムのある実施形態のブロック図を図示する。
【0013】
図2B図2Bは、本教示の標的を照明する伝送サブアセンブリを伴う、監視されるLiDARトランスミッタおよびレシーバシステムのある実施形態のブロック図を図示する。
【0014】
図2C図2Cは、図2Bの伝送サブアセンブリの拡大図を図示する。
【0015】
図2D図2Dは、本教示の伝送サブアセンブリの高側電流パルス実施形態の拡大図を図示する。
【0016】
図2E図2Eは、本教示の伝送サブアセンブリの低側電流パルス実施形態の拡大図を図示する。
【0017】
図2F図2Fは、本教示の監視されるLiDARトランスミッタの実施形態に関して、眼の安全性に関連する、時間の関数としての光出力に関する例示的故障モードを図示する。
【0018】
図3図3は、図2AのLiDAR伝送および受信システムの伝送電子機器のある実施形態を図示する。
【0019】
図4図4は、図3の伝送電子機器の実施形態の診断モジュールのある実施形態を図示する。
【0020】
図5A図5Aは、本教示の監視されるLiDARトランスミッタに関して、VCSELアレイのための伝送サブアセンブリのある実施形態を図示する。
【0021】
図5B図5Bは、本教示の低側ドライバおよび高側ドライバのための共有される診断回路を伴う監視されるLiDARトランスミッタに関して、VCSELアレイの伝送サブアセンブリのある実施形態を図示する。
【0022】
図5C図5Cは、本教示の低側ドライバおよび高側ドライバのための別個の診断回路を伴う監視されるLiDARトランスミッタに関して、VCSELアレイのための伝送サブアセンブリのある実施形態を図示する。
【0023】
図6図6は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アイドル動作に関する障害基準、障害、およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表を図示する。
【0024】
図7図7は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、高側ドライブにおける、アクティブ動作に関する障害基準、障害、およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表を図示する。
【0025】
図8A図8Aは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、良好なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと高閾値の時間依存性を示す、グラフを図示する。
【0026】
図8B図8Bは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、不良なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと高閾値の時間依存性を示す、グラフを図示する。
【0027】
図9図9は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、低電圧閾値に関する障害基準、障害、およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表を図示する。
【0028】
図10A図10Aは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、低電圧閾値における、良好なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフを図示する。
【0029】
図10B図10Bは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、低電圧閾値における、不良な非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフを図示する。
【0030】
図11図11は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードにおける、低電圧閾値における、アクティブチャネルに関する障害基準、障害、およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表を図示する。
【0031】
図12A図12Aは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードにおける、低電圧閾値における、良好なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフを図示する。
【0032】
図12B図12Bは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードにおける、低電圧閾値における、不良なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフを図示する。
【0033】
図13図13は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードのための高電圧閾値における、アクティブチャネルに関する障害基準、障害、およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表を図示する。
【0034】
図14A図14Aは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードにおける、高電圧閾値における、良好なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフを図示する。
【0035】
図14B図14Bは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードにおける、高電圧閾値における、不良な非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフを図示する。
【0036】
図15図15は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、監視されるパルス幅に関連する、障害およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表を図示する。
【0037】
図16図16は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、高側ドライブ内のパルスの時間依存性を示す、グラフを図示する。
【0038】
図17図17は、本教示の監視されるLiDARシステムのある実施形態の高側ドライブおよび低側ドライブおよび光パルスに関するタイミング図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、車両内に実装される、本教示のLiDARシステム100を図示する。LiDARシステム100は、光源によって発生された光ビーム102を標的場面に向かって投影する、照明器とも称される、レーザプロジェクタ101と、その標的場面において人106として示される、物体から反射された光104を受信する、レシーバとを含む。いくつかの実施形態では、照明器は、レーザトランスミッタと、種々の伝送光学系とを含む。
【0040】
LiDARシステムは、典型的には、また、反射光から、図内に人として示される、物体106についての距離情報を算出する、コントローラも含む。いくつかの実施形態では、所望の範囲および視野(FOV)を横断した静的パターンまたは動的パターンであり得る、光の特定のパターンを走査または別様に提供し得る、要素もまた、存在する。物体106からの反射光の一部が、レシーバによって受信される。いくつかの実施形態では、レシーバは、受信光学系と、検出器のアレイであり得る、検出器要素とを備える。レシーバおよびコントローラは、受信された信号光を、LiDARシステムの範囲およびFOV内にある、周囲環境の点毎の3Dマップを表す、測定値に転換するために使用される。
【0041】
本教示によるLiDARシステムのいくつかの実施形態は、レーザアレイである、レーザトランスミッタを使用する。いくつかの具体的な実施形態では、レーザアレイは、VCSELレーザデバイスを備える。これらは、上面発光型VCSEL、底面発光型VCSEL、外部空洞型VCSEL、および種々のタイプの高出力VCSELを含み得る。VCSELアレイは、モノリシックであってもよい。レーザエミッタは、全て、半導体基板またはセラミック基板を含む、共通基板を共有してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るトランスミッタアレイを使用する実施形態における、個々のレーザおよび/またはレーザの群が、個々に制御されることができる。トランスミッタアレイ内の各個々のエミッタが、各レーザエミッタによって放出される光学ビームが、全システム視野の一部のみに対する、3D投影角に対応する状態で、独立して発射されることができる。そのようなLiDARシステムの一実施例が、米国特許公開第2017/0307736A1号(本譲受人に譲渡されている)内で説明されている。米国特許公開第2017/0307736A1号の全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。加えて、個々のレーザまたはレーザの群によって発射されるパルスの数は、LiDARシステムの所望の性能目的に基づいて制御されることができる。本シーケンスの持続時間およびタイミングもまた、種々の性能目標を達成するように制御されることができる。
【0043】
本教示の1つの特徴は、トランスミッタ動作に影響を及ぼす障害を検出し、いくつかの状況では、これらの障害条件に基づいて是正措置を講じ、LiDAR単独の、またはLiDARがその一部である、より大きいセンサシステム内の改良された安全性、信頼性、および有用性を提供し得る、監視されるLiDARシステムを提供することである。いくつかのセンサシステムでは、LiDARは、より高いレベルのセンサ機能およびシステムのアクションおよび応答を管理する、ホストプロセッサに接続される。いくつかのセンサシステムでは、LiDARは、LiDARセンサを独立型センサシステムとして管理する、ホストプロセッサに接続される。本教示の1つの特徴は、これが、伝送アセンブリおよび/またはサブアセンブリハードウェアの近傍に位置し得る、監視能力を提供し、そのため、トランスミッタ内に放出された光を発生させるレーザデバイスに近接する、接触点における障害条件を監視する、識別する、および/またはそれに応答することが可能であることである。本アプローチは、多数の利点を提供する。例えば、応答時間は、より迅速であることができる、および/または障害を見出し、それに反応するために必要とされる構成要素のコストおよび複雑性は、低減されることができる。障害の識別は、迅速および/または先制的であることができる。障害に対する反応が、動作の間に行われることができる。障害に応答する措置が、本システムの一部の上で、本システムの他の部分が動作を持続させることを可能にしながら講じられ、例えば、突然の故障ではなく、緩やかな劣化を結果として生じさせることができる。ローカル処理を用いて、障害に対する反応をより高いレベルのオペレーティングシステムに伝送および/またはエスカレーションするための決定が、オペレーティングシステム上の負担を低減させ、システム信頼性を全体として改良することができる。上記は、本教示の監視されるLiDARトランスミッタシステムおよび方法の恩恵の実施例にすぎない。
【0044】
本教示の監視されるLiDARシステムの1つの特徴は、それらが、ホストシステムが効率的かつ効果的な様式において応答および反応し得るように、合成された障害情報をホストシステムに提供し得ることである。図2Aは、本教示のホストプロセッサ214に接続される、LiDARトランスミッタおよびレシーバシステム201を含む、監視されるシステム200のある実施形態のブロック図を図示する。ホストプロセッサ214に接続される、LiDARトランスミッタおよびレシーバシステム(LiDARシステム)201は、6つの主要構成要素、すなわち、(1)コントローラおよびインターフェース電子機器202と、(2)レーザドライバを含む、伝送電子機器204と、(3)レーザアレイ206と、(4)受信および飛行時間および強度算出電子機器208と、(5)検出器アレイ210と、(6)いくつかの実施形態では、光学モニタ212とを有する。LiDARシステムコントローラおよびインターフェース電子機器202は、LiDARシステム201の機能全体を制御し、ホストシステムプロセッサ214にデジタル通信を提供する。伝送電子機器204は、レーザアレイ206の動作を制御し、いくつかの実施形態では、アレイ206内の個々の要素のレーザ発射のパターンおよび/または出力を設定する。受信および飛行時間算出電子機器208は、検出器アレイ210からの電気検出信号を受信し、次いで、これらの電気検出信号を処理し、飛行時間計算を通して範囲の距離を算出する。帰還信号の強度もまた、電子機器208内で算出される。
【0045】
随意の温度センサ205、209もまた、トランスミッタおよび/またはレシーバの制御および動作のために使用されることができる。伝送温度センサ205が、レーザアレイ206に近接して設置されることができる。伝送温度センサ205出力が、伝送電子機器204に電気的に接続される。受信温度センサ209が、受信電子機器208に電気的に接続される出力を伴って、検出器アレイ210に近接して設置されることができる。温度センサ205、209は、監視されるシステム200内の電子機器204、208および他のコントローラ(接続は図示せず)に種々の熱監視を提供することができる。例えば、レーザアレイ206における障害条件は、典型的には、アレイからある距離を空けて離れて位置付けられる、システム温度センサ(図示せず)とレーザアレイ温度センサ205との間に温度差をもたらすであろう、過度の電力消散を引き起こし得る。本熱勾配の識別は、伝送コントローラ204に、アレイ206内のレーザの発射を停止させることができる。例えば、温度センサ205を使用して識別される種々のレーザアレイ206の過剰温度または過少温度条件が、伝送コントローラ204に発射を休止させるであろう。これらの条件は、絶対温度条件であってもよい、またはそれらは、システム200の内部および/または外部の他の温度条件に基づく条件であってもよい。過剰温度および/または過少温度関数の類似する識別およびそれへの反応が、レシーバ温度センサ209を使用して、検出器アレイ210のために提供される。
【0046】
いくつかの実施形態では、伝送コントローラ204は、パルス電流を低減させることによって、および/またはパルスデューティサイクルを低減させることによって光出力を低減させ、中程度の過剰温度条件を克服する。いくつかの実施形態では、伝送コントローラ204は、パルス振幅、パルス幅、および/またはパルス遅延等のパルスパラメータを制御する。いくつかの実施形態では、伝送コントローラ204は、パルス振幅、パルス幅、および/またはパルス遅延を調整し、ドライバの熱依存性を補償するであろう。また、いくつかの実施形態では、伝送コントローラ204は、パルス振幅、パルス幅、および/またはパルス遅延を調整し、レーザアレイ206の温度依存性を補償するであろう。例えば、冷間始動の間、伝送コントローラ204は、レーザアレイ206を駆動し、レーザ発射を実施し、本システムを加熱することができ、これは、温度センサ205からの入力によって管理されることができる。いくつかの実施形態では、伝送コントローラ204は、温度センサ205からデータを捕捉し、システム201内の光学および/または電子構成要素内に亀裂または他の故障を引き起こし得る、熱衝撃を引き起こすために十分に大きい温度変化を見出すことができる。
【0047】
図2Bは、本教示の標的224を照明する伝送サブアセンブリ222を伴う、監視されるLiDARトランスミッタおよびレシーバシステム221のある実施形態を含む、センサシステム220の略図を図示する。本実施例では、標的224は、運転者を伴う自転車であり、監視されるLiDARトランスミッタおよびレシーバシステム221の眼の安全性要件の重要性を強調する役割を果たす。LiDARトランスミッタおよびレシーバシステム221は、LiDARシステム制御プロセッサ225に接続される、伝送アセンブリ226と、受信アセンブリ228とを有する。伝送アセンブリ226の拡大視ブロック図が、トランスインピーダンス増幅器223および伝送コントローラ229に接続される、監視光ダイオード227を示す。アナログ信号およびデジタル信号が両方とも、コントローラ229と監視光ダイオード227との間を通過し得ることに留意することが重要である。伝送コントローラ229が、下記により詳細に説明される、伝送サブアセンブリ222に接続される。
【0048】
本明細書に説明される監視されるLiDARシステムの種々の実施形態は、種々のコントローラの言及を含む。種々のコントローラは、説明されるように、本システムの異なる側面を制御する。コントローラの説明が、実装をいかようにも限定しないことを理解されたい。センサシステムおよび/または監視されるLiDARシステム内での任意の特定の制御機能の設置は、特定の実装の種々の性能、サイズ、製造、コスト、および他の制約に基づいて、柔軟であることができる。本明細書に説明されるコントローラが、全体的または部分的に、特定の実施形態の説明において明示的に記載されない限り、本システムの構成に応じて、同一または異なる電気構成要素、プロセッサ、および/または回路を利用して実装され得ることを理解されたい。
【0049】
図2Cは、図2Bの伝送サブアセンブリ222の拡大図を図示する。伝送サブアセンブリは、VCSELレーザ要素236のアレイを保持する、基板234の上縁上に低側ドライバ230を含む。第2の低側ドライバ230’が、基板234の底縁に位置付けられる。低側ドライバ230、230’はそれぞれ、制御信号に応答して、レーザエミッタまたはエミッタの群に接続されるカソード電極を介してレーザに通電するために適切である、電圧駆動信号を発生させる。制御信号のアドレスは、低側駆動信号によって通電される、特定のカソード電極、結果として、レーザエミッタまたはエミッタの群を指示する。高側ドライバ232が、基板234の左側縁に位置付けられ、第2の高側ドライバ232’が、基板の右側縁に位置付けられる。高側ドライバ232、232’は、制御信号に応答して、レーザエミッタまたはレーザエミッタの群に接続されるアノード電極を介してレーザに通電するために適切である、電圧駆動信号を発生させる。
【0050】
制御信号のアドレスが、高側駆動信号によって通電される、特定のアノード電極、結果として、レーザエミッタまたはエミッタの群を指示する。本特定の基板234は、基板234の左縁上の16個のアノード接点238(3つのみが、描写される)と、基板234の右縁上の16個のアノード接点238’(3つのみが、描写される)とを有する。同様に、基板234の上縁および底縁上に位置付けられる、カソード接点240、240’が、存在する。レーザ要素236はそれぞれ、アノード接点およびカソード接点への接続を有する。レーザ要素の特定の行が、一般的には、アノード接点238を介して左側の高側ドライバ232、またはアノード接点238’を介して右側の高側ドライバ232’のいずれかに接続される。レーザ要素の特定の列が、一般的には、カソード接点240を介して上部側の低側ドライバ230、またはカソード接点240’を介して底部側の低側ドライバ230’のいずれかに接続される。多数の他の接続パターンも、可能性として考えられることを理解されたい。本特定の接続パターンは、個々のレーザ要素236が、レーザが接続される、高側ドライバおよび低側ドライバに駆動信号を提供することによって通電され得るように構成される。通電され、レーザ位置またはレーザエミッタ位置の群に接続される、アノード接点およびカソード接点の関連付けは、アドレスを与えられる。
【0051】
図2Dは、本教示の伝送サブアセンブリ250の高側電流パルス実施形態の拡大図を図示する。伝送サブアセンブリ250は、高電圧をアノード接点254、254’に接続する、電流パルス発生器253、253’を含む、高側ドライバ252、252’を含む。電流パルス発生器253、253’は、接地を低側ドライバ257内のカソード接点256に接続する、トランジスタスイッチ255の代わりに位置付けられる。伝送サブアセンブリ250の本実施形態では、低側ドライバ257、257’は、トランジスタスイッチ255を使用して、レーザダイオードカソードの所望の列を接地に切り替える。高側ドライバ252、252’は、選択された行のアノードに適切な電流パルスを駆動する。行/列選択は、アドレスに基づき、電流は、所望の駆動レベルおよび/またはパルス形状に基づく。いくつかの実施形態では、電流パルス発生器253、253’は、アノードへの電流限定パルスを発生させる。低側ドライバ257、257’の動作は、図2Cの伝送サブアセンブリ222に関連して説明される、低側ドライバ230、230’の動作に類似する。伝送サブアセンブリ222の高側ドライバ232、232’はまた、スイッチまたはセレクタとして動作し、図2Dの伝送サブアセンブリ251実施形態の高側ドライバ252、252’によって提供される、電流限定パルスを提供しない。低側に電流ドライバを置くこともまた、可能性として考えられる。
【0052】
図2Eは、本教示の伝送サブアセンブリ260の低側電流パルス実施形態の拡大図を図示する。高側ドライバ262、262’は、トランジスタスイッチ264、264’を使用して、アノード接点263、263’に接続する。したがって、高側電圧に接続されるレーザ行が、例えば、図2C内のドライバのスイッチベースのバージョンと同様に、適切な接続の行アドレスに基づいて選択される。低側ドライバ265、265’は、電流限定パルスドライバであり得る、電流パルス発生器267、267’を使用して、カソード接点266、266’に接続する。したがって、列への電流駆動は、列を選択するアドレスによって制御される。また、列への電流パルスは、低側ドライバ265、265’に接続される、駆動コントローラ(図示せず)によって設定されることができる。
【0053】
ドライバ、接点、および/またはレーザエミッタ要素の数は、本明細書に説明される種々の実施形態に示されるものに限定されない。一般に、はるかにより大きいアレイおよび数の要素が、最先端のシステムを構築するために実践において使用される。また、本明細書において提示される説明は、概して、2次元アレイの要素を参照するが、本教示が、そのように限定されないこと、および特徴がまた、当業者によって理解されるような、アレイに形成されない、1次元エミッタアレイ、単一エミッタ、およびエミッタの群にも適用され得ることを理解されたい。
【0054】
図2Fは、本教示の監視されるLiDARトランスミッタの実施形態に関して、眼の安全性に関連する、時間の関数としての光出力に関する故障モードの例示的実施形態を図示する。時間の関数としての所望の光出力が、第1のトレース282に示される。最大限の性能を達成するために、LiDARシステムは、典型的には、眼の安全性閾値に非常に近接して動作し、したがって、動作点からの逸脱が、安全性閾値の超過をもたらし得る。システムレベルの眼の安全性が、2つの規格によって与えられる。米国では、IEC60825眼安全性クラス1である、ANSI Z136.1およびFDA/CDRH 21 CFR 1040が、該当する。これらの安全性限界は、眼に入射するパルスの光エネルギーに関連する。したがって、パルスの持続時間(幅)、すなわち、繰り返し率と、パルスのピーク出力との両方が、眼の安全性閾値決定に組み入れられる。
【0055】
考慮するべき一般的な眼の安全性障害は、第2のトレース284に示される、長すぎる単一パルスである。第3のトレース286は、長すぎる、繰り返しパターンにおける、複数のパルスを示す。別の考慮するべき一般的な眼の安全性障害は、過度ピーク出力を有する、パルスである。第4のトレース288は、多すぎるピーク出力を伴う、パルスを示す。さらに別の考慮するべき一般的な眼の安全性障害は、高すぎる繰り返し率(またはデューティサイクル)である。第5のトレース290は、高すぎる繰り返し率を伴う、パルスを示す。全てのこれらの眼の安全性障害は、第1のトレース282内の所望の光出力より多い、時間周期あたりのエネルギーをもたらすであろう。増加されたパルス持続時間および/または増加された繰り返し率のこれらの故障は、下記にさらに説明されるように、時間/デジタルコンバータを使用して検出されることができる。
【0056】
図3は、図2Aと関連して説明される、LiDAR伝送および受信システムの伝送電子機器204のある実施形態を図示する。伝送電子機器は、高側レーザドライバ304から個々のレーザアレイアノード接点への接続の並列セット302を提供する。アノード接点は、設計に応じて、特定のエミッタの群に接続する。伝送電子機器は、低側レーザドライバ308からレーザアレイカソード接点への接続の並列セット306を提供する。カソード接点は、設計に応じて、特定のエミッタの群に接続する。高側レーザドライバ304および低側レーザドライバ308の出力はまた、診断モジュール310にも接続される。デジタル論理回路312が、高側レーザドライバ304および/または低側レーザドライバ308に、発射するためのアレイ内のレーザまたはエミッタの群のアドレスと、そのアドレスと関連付けられる接点に印加される、所望の駆動電圧と含む、制御信号を提供する。デジタル論理312もまた、本情報を診断モジュール310に提供する。デジタル論理312は、モニタ(随意)から入力を受信し、コントローラに入力および出力を提供する。コントローラは、例えば、図2Aと関連して説明される、コントローラ202であることができる。デジタル論理312はまた、入力および出力を介してレシーバモジュールに接続される。レシーバモジュールは、例えば、図2Aと関連して説明される、レシーバモジュール208であってもよい。
【0057】
デジタル論理回路312がまた、アナログ回路を含有し得、アナログ信号入力および出力を提供し得ることを理解されたい。例えば、概して、アナログデバイスとして構成される、監視光ダイオードが、デジタル論理回路312とインターフェースをとることができる。本教示の監視システムと関連して使用される、用語「デジタル論理」が、障害条件の迅速かつ正確な識別およびそれへの反応を提供する、単純な低コスト回路、論理要素、およびコンパレータの実装を含むことを理解されたい。
【0058】
熱センサを伴う随意の温度センサ314が、レーザアレイに近接して設置されることができる。温度センサ314の出力は、診断モジュール310に接続する。いくつかの実施形態では、温度センサ314は、高側ドライバおよび/または低側ドライバの一部であることができる。例えば、これは、図2C-Eに示される、ドライバ230、230’、232、232’、252、252’、257、257’、262、262’、265、265’のうちのいずれかまたは全てを含む。
【0059】
図4は、図3と関連して説明される、伝送電子機器204の実施形態の診断モジュール310のある実施形態を図示する。デジタル電子機器402が、高側制御部および低側制御部から、図3と関連して説明されるデジタル論理回路312によって提供される、アドレスと、所望の駆動電圧レベルとを含む、入力信号をフィードされる。また、デジタル電子機器402とデジタル論理回路312との間での他の信号の伝送のための、デジタル論理回路312への入力と、出力とが、存在する。
【0060】
デジタル電子機器402は、デジタルコンパレータを含むことができる。時間/デジタルコンバータ(TDC)404が、デジタル電子機器402に接続される。TDC404は、レーザおよびデジタル電子機器402に提供される、高側および低側のための所望のレーザ駆動電圧(または電流)および実際の高側および低側駆動電圧(または電流)の両方のパルス持続時間および/または繰り返し率に関する情報を提供することが可能である。このように、デジタル電子機器402によって実施される、単純な論理動作は、本明細書に説明されるような眼の安全性要件を充足することに関連する、障害情報を提供することができる。
【0061】
物理的高側信号駆動電圧(平行線)および物理的低側信号駆動電圧(または電流)(平行線)は、電圧減衰器および/または電流モニタであり得る、電気回路405、406を通して、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)408、410と、コンパレータ412、414の1つの入力側とに通過される。物理的信号駆動電流を通過させる電気回路405、406内で電流監視を使用する、実施形態では、ADC408、410が、サンプルおよびホールドを使用して、ピーク電流をサンプリングする。電流モニタ電気回路405、406は、電流ミラー回路であることができる。
【0062】
コンパレータ412、414は、アナログコンパレータである。いくつかの実施形態では、ADC408、410は、多重チャネル低速ADCである。いくつかの実施形態では、コンパレータ412、414は、多重チャネルコンパレータである。コンパレータ412、414の第2の入力が、デジタル電子機器402に接続される、デジタル/アナログコンバータ(DAC)416、418によってアナログ電圧を提供される。いくつかの実施形態では、ADC408、410は、多重チャネル低速ADCである。デジタル/アナログコンバータ416、418は、コンパレータ412、414内に比較されるべき閾値電圧を提供する。診断モジュール310の本構成では、コンパレータ412、414および/またはADC408、410の出力を使用する、デジタル電子機器402内の単純な論理動作が、種々の障害を検出し、デジタル論理312(図3)にそれに関する障害インジケータを提供することができる。例示的障害は、アレイマトリクス内の短絡したVCSELと、過度のVCSEL漏洩電流と、低すぎるVCSEL逆方向降伏電圧と、高電圧においてスタックした高側チャネル(アノード)と、デジタル論理312によって設定された所望の電圧より多いものによって駆動されている、高側チャネル(アノード)と、接地においてスタックした低側チャネル(カソード)と、デジタル論理312によって設定された所望の電圧より少ない低側チャネル(カソード)とを含む。
【0063】
本教示の別の特徴は、これが、マトリクス駆動型VCSELアレイに接続される高側および/または低側ドライバの異なるアーキテクチャおよび/または実装と併用され得ることである。加えて、高側のみおよび低側のみの構成も、使用されることができる。ドライバが、VCSELアレイの片側または両側に位置付けられることができる。
【0064】
図5Aは、本教示の監視されるLiDARトランスミッタに関して、VCSELアレイのための伝送サブアセンブリのある実施形態を図示する。VCSELアレイ502は、アレイ502の上部側に位置付けられる高側ドライバ508に接続されるアノードを伴う、レーザエミッタ504、506の列と、アレイ502の底部側に位置付けられる高側ドライバ514に接続される、レーザエミッタ510、512の他の列とを有する。VCSELアレイ502は、アレイ502の左側に位置付けられる低側ドライバ520に接続されるカソードを伴う、レーザエミッタ516、518の行を有する。エミッタカソードの他の行が、アレイ502の右側における、低側ドライバ522に接続される。ドライバ508、514、522、522の2×2構成が、単純化のために示されるが、はるかに大きく、一般化されていることの両方である、N×M構成も、使用されることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、高側ドライバおよび低側ドライバ508、514、520、522を含む、ドライバチップが、低いインダクタンスおよび良好な電気性能のために、VCSELアレイ502に対して可能な限り近接して設置される。ドライバ508、514、520、522およびアレイ502の近接近性はまた、マトリクスアレイ502下の接地帰還経路を向上させることもできる。
【0066】
図4に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、診断モジュール310は、物理的に、高側ドライバおよび低側ドライバ508、514、520、522のアナログドライバ回路と同一のチップの一部である。
【0067】
本教示の別の特徴は、種々の処理電子機器および制御機能が、所望に応じて共有され得ることである。図5Bは、本教示の低側ドライバおよび高側ドライバのための共有される集積回路チップ532を伴う、監視されるLiDARトランスミッタに関して、VCSELアレイ534のための伝送サブアセンブリ530のある実施形態を図示する。VCSELアレイ534は、それぞれが、共通のカソード電極接点538に接続され、チップ532の4連低側ドライバ区分内の4つの低側ドライバ540のうちの1つによって駆動される、エミッタの4つの行536を有する。
【0068】
VCSELアレイ534は、それぞれが、共通のアノード電極接点544に接続され、チップ532の4連低側ドライバ区分内の4つの高側ドライバ546のうちの1つによって駆動される、エミッタの4つの列542を有する。チップ532はまた、共有される診断部548内に電子構成要素を含有する。例えば、共有される診断部548は、図3および4と関連して説明される診断モジュール310内の機能および/またはデジタル電子機器402内の単純な論理動作の全てまたは一部を含むことができる。本構成は、有利には、サブアセンブリ530のサイズ、コスト、および/または複雑性を低減させることができる。
【0069】
図5Cは、本教示の低側ドライバおよび高側ドライバのための別個の診断回路562、564を伴う、監視されるLiDARトランスミッタに関して、VCSELアレイ576のための伝送サブアセンブリ560のある実施形態を図示する。2つの別個のチップ566、568が、診断回路562、564を実装するために使用される。一方のチップ568は、それぞれが、VCSELアレイ576内でエミッタの列574を接続する、共通のアノード接点572に接続される、4つの高側ドライバ回路570を含む。第2のチップ566は、それぞれが、VCSELアレイ576内でエミッタの行582を接続する、共通のカソード接点580に接続される、4つの低側ドライバ回路578を含む。各チップ566、568はまた、別個の診断部564、562内に、個別の高側ドライバ側または低側ドライバ側のための電子構成要素を含有する。別個の診断部564、562はそれぞれ、図3および4と関連して説明される、診断モジュール310内の機能および/またはデジタル電子機器402内の単純な論理動作の全てまたは一部を含むことができる。本構成は、有利には、伝送サブアセンブリ560のサイズ、コスト、および/または複雑性を低減させ、また、そのレイアウト整合を改良することができる。
【0070】
図5B-5Cを参照すると、実施例として、共有される回路548または別個の診断回路562のいずれかである、高側と関連付けられる診断回路内のコンパレータが、高側ドライバ546、570によって提供される、各出力電圧と、TH_HIGHと称される、所定の値の高閾値電圧を比較する。コンパレータ出力は、高速ドライバ546、570を有効化することから所定の遅延時間の後に、レジスタの中にラッチされることができる。ラッチされた結果は、共有される診断回路548または別個の診断回路562内でアドレスビットでビットXORされ、随意のマスクビットでマスクされる。結果は、これが、上流コントローラ(図5B-Cに図示せず)によって読み出されるまで、共有される診断回路548または別個の診断回路562内のエラースティッキービット内に記憶されることができる。
【0071】
動作時、エラービットが、高いと、これは、下記に詳細に説明される2つの例示的場合に関する、エラー条件を表していることになる。第1の実施例は、あるアドレス(チャネルとも称される)における高側エミッタが、TH_HIGHより高い場合、これが、異なるチャネルが選択された(または高チャネルにおいてスタックしている)間に、そのチャネルがアクティブであり、そのため、チャネル選択におけるエラーを示すことである。第2の実施例は、高側チャネルが、TH_HIGHより低く、本チャネルが、選択された場合、これが、不良な高側チャネルを示すことである。これは、例えば、短絡回路または隣接するチャネルとの短絡を意味し得る。
【0072】
図6は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アイドル動作に関する障害基準、障害、およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表600を図示する。識別され得る例示的障害は、VCSELアノードおよび/またはカソード接点の種々の短絡と、VCSEL内の過度の漏洩電流と、VCSEL内の閾値レベルを超えた過度の漏洩電流と、高電圧においてスタックしている、カソードおよび/またはアノードとを含む。種々の閾値電圧(V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、およびV10)が、対応する障害を識別するために使用され得る、種々の障害基準の一部として示される。本表現は、これらの電圧が、独立して選択され得ることを示す役割を果たし、必ずしも、それらが異なる値であることを示す役割を果たすわけではない。例えば、本明細書に説明されるように、アレイカソードおよび/またはアノード電圧のより低い値を示すそれらの電圧は全て、低電圧閾値の共通値を共有し得る。例えば、アレイの異なる区分が、所望に応じて、範囲の下限のための閾値電圧の異なる値または同一の値を有し得る。これは、例えば、本明細書の実施例では、TH_LOWであり得る。例えば、本明細書に説明されるように、アレイカソードおよび/またはアノード電圧の範囲内のより高い値を示す、それらの電圧は全て、高電圧閾値の共通値を共有し得る。これは、例えば、本明細書の実施例では、TH_HIGHであり得る。加えて、TH_HIGHおよびTH_LOW閾値は、説明されるように、アノードおよび/またはカソードに適用されることができる。いくつかの実施形態では、アノードのためのTH_HIGHは、カソードのためのTH-HIGHと異なる値を有し、アノードのためのTH_LOWは、カソードのためのTH-LOWと異なる値を有するであろう。
【0073】
種々の措置が、障害の識別に応答して講じられることができる。図2Aを参照すると、措置が、適宜、伝送電子機器およびレーザドライバ204、コントローラ202、および/またはホストプロセッサ214のいずれかまたは全てによって講じられることができる。例示的措置は、表600内に列挙されるものを含み、かつそれに加えて、警告メッセージ表示することと、レーザエミッタおよび/または関連付けられるドライバの全てまたは一部のシャットダウンを実施することと、エミッタの発射パターンの変更を行うことと、アレイおよびその制御スキームの一部を別の目的のために再利用することと、他の措置を実装することとを含む。
【0074】
本教示の1つの特徴は、監視されるトランスミッタが、VCSELアレイのアノードの高側で駆動される、電極側(または複数の側)と関連付けられる、障害を識別し得ることである。図7は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、高側ドライブにおける、アクティブ動作に関する障害基準、障害、およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表700を図示する。図3および4を参照すると、高側ドライバ304によって発生されたアノード駆動電圧が、デジタル電子機器402によって決定されるように、デジタル論理312によって発生される、コマンド所望駆動電圧に合致しない場合に、論理故障またはVCSEL間の短絡が、示されることができる。これらの2つのタイプの故障は、例えば、隣接するアレイ要素(および/またはドライバアドレス)を比較することによって、区別されることができる。デジタル電子機器402は、障害を識別することができる。デジタル電子機器402および/またはデジタル論理312は、次いで、短絡が発見される場合、障害が発生したチャネルを無効化するための措置を講じることができる。デジタル電子機器402および/またはデジタル論理312はまた、論理故障またはアドレス指定故障が電圧不整合のために決定された理由である場合、それを是正するための適切な措置を講じることもできる。
【0075】
加えて、本教示の監視されるトランスミッタは、ドライバ内の障害を見出すことができる。例えば、不良なアノード高側ドライバが、アクティブアノードチャネル電圧が、アノードに関するTH_HIGH閾値レベルより低い場合に決定されることができる。本場合には、診断部310によって測定されるような、高側ドライバ304の出力が、所望の電圧未満である、電圧を生産している。
【0076】
図8Aは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、良好なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと高閾値の時間依存性を示す、グラフ800を図示する。上のグラフ802は、特定のアドレスにおいて特定のエミッタに通電するための制御パルスのタイミングを図示する。下のグラフ804は、制御パルスに応答してレーザドライバによって発生される、時間の関数としての例示的高側電圧を示す。コントローラによってアドレス指定されるチャネルに関するものである、良好なアクティブチャネル806のための電圧パルスが、示される。加えて、コントローラによってアドレス指定されないチャネルに関するものである、良好な非アクティブチャネル808のための電圧パルスもまた、示される。TH_HIGH閾値電圧もまた、示される(810)。図3および4を参照すると、コンパレータ412は、遅延812の後、アノード電圧(良好なアクティブチャネル806)と所定の値、すなわち、TH_HIGHを比較する。遅延812は、アクティブチャネル806のサンプリングされた電圧が、任意の予期される立ち上げ時間の後になるように選定される。良好なアクティブチャネル806の電圧の値は、TH_HIGHを下回らない。結果として、コンパレータ412の出力は、良好なアクティブチャネル電圧806がTH_HIGHを超過するため、所定の遅延時間の後に障害レジスタの中にラッチされない。
【0077】
一般に、監視システムは、レーザの発射または通電の間にアノード駆動電圧の状態を捕捉し、これと発射の間の時点における所望の状態を比較する。本プロセスは、レーザアレイ、電極および他の電気接続部、ドライバ回路、および/またはドライバを制御するデジタル論理等の種々の構成要素内の障害条件を捕捉する。監視システムは、良好な動作を表す条件に反応する必要はない。
【0078】
図8Bは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、不良なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと高閾値の時間依存性を示す、グラフ850を図示する。上のグラフ852は、特定のアドレスによって表されるようにアレイ内に位置付けられる、特定のエミッタに通電するための制御パルスのタイミングを図示する。下のグラフ854は、制御パルスに応答してレーザドライバによって発生される、時間の関数としての例示的高側電圧を示す。コントローラによってアドレス指定されないチャネルに関するものである、不良な非アクティブチャネル856のための電圧パルスが、グラフに示される。不良なアクティブチャネル858のための電圧パルスもまた、グラフに示される。アクティブチャネルは、コントローラによってアドレス指定されるチャネルを意味する。
【0079】
TH_HIGH閾値電圧はまた、860としても示される。また、図3および4を参照すると、コンパレータ412は、遅延862の後、アノード電圧(例えば、不良な非アクティブチャネル856)と所定の値、すなわち、TH_HIGHを比較する。遅延862は、非アクティブチャネル856のサンプリングされた電圧が、任意の予期される立ち上げ時間の後になるように選定される。不良な非アクティブチャネル856の電圧は、TH_HIGHを上回る。コンパレータ412の出力は、障害を検出する、所定の遅延時間の後に障害レジスタの中にラッチされる。これは、例えば、コントローラがあるアドレスにおけるVCSELが低い、または非アクティブであることを求めていたにもかかわらず、そのアドレスにおけるVCSELのための実際の駆動電圧が高く駆動される、アドレス指定エラーであり得る。
【0080】
不良なアクティブチャネル条件858が、TH_HIGH電圧の比較によって識別されないことに留意されたい。本種類の障害のために、TH_LOW閾値が、実装される。一般に、監視システムは、レーザの発射または通電の間にアノード駆動電圧の状態を捕捉し、これと発射の間の時点における所望の状態を比較する。これは、ドライバ毎にTH_HIGHおよびTH_LOWの両方を提供することを含むことができる。また、図4を実施例として参照すると、比較が、設定された閾値を超えたずれをもたらすとき、コンパレータ412の出力は、コンパレータが障害を決定する場合、所定の遅延時間の後に障害レジスタの中にラッチされる。一般に、多くの実施形態では、監視システムは、レーザの発射または通電の間に実際の駆動電圧の状態を捕捉し、これと、通電制御信号の発行の後の遅延であり得、発射の間に生じる時点における、特定のレーザアドレスのための所望の駆動電圧を比較する。非アクティブ(アドレス指定されない)チャネルもまた、このように監視され得る。本プロセスは、レーザアレイ、電極、および他の電気接続、ドライバ回路、および/またはドライバを制御するデジタル論理内の障害条件を効率的かつ効果的に捕捉することができる。
【0081】
本明細書に説明されるように、アノード接点に接続される、高側ドライブは、高閾値電圧および低閾値電圧の両方を使用することができる。図9は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、低電圧閾値に関する障害基準、障害、およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表900を図示する。低電圧閾値を上回る、VCSELアレイアノード駆動電圧は、論理故障またはアドレス指定故障、アレイチャネル間の短絡、または以前に通電されたアレイ要素からの立ち下がりエラーを示すことができる。コントローラまたはシステムは、障害が発生したチャネルを無効化することによって、反応することができる。加えて、例えば、以前のチャネルが、後続のアクティブ化サイクルの間に立ち下がることが見出される場合、発射時間の周期を増加させることもまた、実装されることができる。本場合には、発射間の時間を延長させることが、本問題を回避することができる。
【0082】
図10Aは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、低電圧閾値における、良好なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフ1000を図示する。上のグラフ1002は、特定のアドレスによって表されるようにアレイ内に位置付けられる、特定のエミッタに通電するための制御パルスのタイミングを図示する。下のグラフ1004は、制御パルスに応答してレーザドライバによって発生される、時間の関数としての例示的高側電圧を示す。良好なアクティブチャネル1006のための時間の関数としての電圧パルスが、示される。良好なアクティブチャネルは、コントローラによってアドレス指定されるチャネルを意味する。非アクティブチャネル1008に関する、良好であると考慮されるであろう、電圧パルスもまた、TH_LOW閾値電圧1008に加えて示される。非アクティブチャネルが、上のグラフ1002に示される通電制御情報の開始の後に、選定された遅延1010において測定されるような、TH-LOW電圧1008を下回ったままであることが、重要である。
【0083】
図10Bは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、低電圧閾値における、不良な非アクティブチャネルと閾値との時間依存性を示す、グラフを図示する。上のグラフ1052は、特定のアドレスによって表されるようにアレイ内に位置付けられる、特定のエミッタに通電するための制御パルスのタイミングを図示する。下のグラフ1054は、制御パルスに応答してレーザドライバによって発生される、時間の関数としての例示的高側電圧を示す。遅すぎる立ち下がりを有する不良な非アクティブチャネルのための時間の関数としての電圧パルス1056が、これが制御パルス発生の後に遅延1060において比較される、TH_LOW閾値であるように示される。不良な非アクティブチャネルのための時間の関数としての電圧パルス1056は、TH_LOW値を超過するであろう。
【0084】
いくつかの実施形態では、コンパレータは、所与のチャネルのための各出力電圧と所定の値(TH_LOW)1058を比較する。コンパレータの出力は、制御パルスを有効化することから所定の遅延時間の後にレジスタの中にラッチされる。本場合には、それは、非アクティブであるが、TH_LOWを超過する電圧を呈することが想定されるチャネルに関するものであろう。ラッチ結果は、アドレスビットでビットXORされ、随意のマスクビットでマスクされることができ、結果は、エラースティッキービット内に記憶されることができる。エラービットが、高いと、少なくとも2つの場合では、障害を示すことになる。最初に、アノード高側で駆動されるチャネル出力が、TH_LOWより高く、チャネルが、非アクティブであることが想定される(すなわち、異なるチャネルが、選択された)場合、本条件は、以前に選択されたHSチャネルの遅い立ち下がりまたはチャネル選択のエラーのいずれかを意味し得る。アノード高側で駆動されるチャネル出力が、本チャネルがアクティブであるように選択されたにもかかわらず、TH_LOWより低い場合、これは、短絡回路または隣接するチャネルとの短絡であり得る、不良なチャネルを示す。
【0085】
本教示の別の特徴は、これが、低側におけるLiDARトランスミッタを含む、本システムの複数の点において、LiDARトランスミッタのカソード電極および/または高側で駆動されるアノード電極を監視し得ることである。図11は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードにおける、低電圧閾値における、アクティブチャネルに関する障害基準、障害、およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表1100を図示する。障害基準は、所望の制御電圧に合致しない、カソード駆動電圧を含むことができる。これは、論理故障およびVCSELアレイチャネル間の短絡等の障害を示し得る。これらの場合には、コントローラは、故障を診断する、および/または障害が発生したチャネルを無効化することができる。別の障害基準は、カソードにおけるアクティブチャネルが、閾値電圧を上回る駆動電圧とともに提示されるときである。本条件は、不良なカソードドライバによって引き起こされ得、障害が発生したチャネルを無効化することによって、修復されることができる。
【0086】
図12Aは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードにおける、低電圧閾値における、良好なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフ1200を図示する。上のグラフ1202は、特定のアドレスにおいて特定のエミッタに通電するための制御パルスのタイミングを図示する。下のグラフ1204は、制御パルスに応答して低側レーザドライバによって発生される、時間の関数としての例示的低側電圧を示す。コントローラによってアドレス指定されるチャネルに関するものである、良好なアクティブチャネル1206のための電圧パルスが、示される。コントローラによってアドレス指定されないチャネルに関するものである、良好な非アクティブチャネル1208のための電圧パルスもまた、示される。TH_LOW閾値電圧もまた、示される(1210)。
【0087】
図3および4に戻って参照すると、コンパレータ414は、遅延1212の後、低側ドライバ308(例えば、良好なアクティブチャネル1206)によるカソード電圧と所定の値、すなわち、TH_LOW1210を比較する。TH_LOWおよび特定の駆動信号のための条件は、デジタル論理312によって提供される、特定の制御信号に関連する。遅延1212は、アクティブチャネル1206のサンプリングされた電圧が、電圧レベル変化に関する任意の予期される反応時間の後になるように選定される。良好なアクティブチャネル1206の電圧の値は、TH_LOWを下回る。良好な非アクティブチャネルのトレース1208はまた、TH_LOWを上回る。コンパレータ414の出力は、良好なアクティブチャネル電圧1206がTH_LOWを下回るため、所定の遅延時間の後に障害レジスタの中にラッチされない。一般に、監視システムは、レーザの発射または通電の間にカソード駆動電圧の状態を捕捉し、これと発射の間の時点における、制御パルスによって示されるような所望の状態を比較する。本プロセスは、レーザアレイ、電極および他の電気接続部、ドライバ回路、および/またはドライバを制御するデジタル論理内の障害条件を捕捉する。本プロセスはまた、非障害条件に反応しないように構成されることもできる。
【0088】
図12Bは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードにおける、低電圧閾値における、不良なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフ1250を図示する。上のグラフ1252は、特定のアドレスによって表されるようにアレイ内に位置付けられる、特定のエミッタに通電するための制御パルスのタイミングを図示する。下のグラフ1254は、制御パルスに応答してレーザドライバによって発生される、時間の関数としての低側電圧のある実施例を示す。コントローラによってアドレス指定されないチャネルに関するものである、不良な非アクティブチャネル1256のための電圧パルスが、示される。コントローラによってアドレス指定されるチャネルに関するものである、不良なアクティブチャネル1258のための電圧パルスもまた、TH_LOW閾値電圧1260に加えて示される。
【0089】
図3および4を参照すると、コンパレータ414は、遅延1262の後、低側ドライバ308によって発生されたカソード電圧(例えば、不良な非アクティブチャネル1256)と所定の値、すなわち、TH_LOWを比較する。遅延1262は、非アクティブチャネル1256のサンプリングされた電圧が、発射制御信号への任意の予期される反応時間の後になるように選定される。
【0090】
障害条件では、不良な非アクティブチャネル1256の電圧は、TH_LOWを下回る。コンパレータ414の出力は、本非アクティブチャネルのアドレスに関する障害を検出する、所定の遅延時間の後に障害レジスタの中にラッチされる。不良なアクティブチャネル1258の電圧は、TH_LOWを上回る。コンパレータ414の出力は、本アクティブチャネルのアドレスに関する障害を検出する、所定の遅延時間の後に障害レジスタの中にラッチされる。
【0091】
図13は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードに関する高電圧閾値における、アクティブチャネルに関する障害基準、障害、およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表1300を図示する。カソード電圧と高電圧閾値、すなわち、TH_HIGHを比較することは、論理故障、アドレス指定故障、および/またはVCSELアレイチャネル間の短絡等の障害を識別することができる。コントローラは、障害が発生したチャネルを無効化すること、またはアドレスをリセットすることによって、反応することができる。
【0092】
図14Aは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードにおける、高電圧閾値における、良好なアクティブチャネルおよび非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフ1400を図示する。上のグラフ1402は、特定のアドレスにおいて特定のエミッタに通電するための制御パルスのタイミングを図示する。下のグラフ1404は、制御パルスに応答して低側レーザドライバによって発生される、時間の関数としての例示的低側電圧を示す。コントローラによってアドレス指定されるチャネルに関するものである、良好なアクティブチャネル1406のための電圧パルスが、示される。コントローラによってアドレス指定されないチャネルに関するものである、良好な非アクティブチャネル1408のための電圧パルスもまた、示される。TH_HIGH閾値電圧もまた、示される(1410)。
【0093】
再び図3および4を参照すると、コンパレータ414は、遅延1412の後、低側ドライバ308(例えば、良好なアクティブチャネル1406)によるカソード電圧と所定の値、すなわち、TH_HIGH1210を比較する。TH_HIGHおよび特定の駆動信号のための条件は、デジタル論理312によって提供される、特定の制御信号に関連する。遅延1412は、アクティブチャネル1406のサンプリングされた電圧が、電圧レベル変化に関する任意の予期される反応時間の後になるように選定される。良好なアクティブチャネル1406の電圧の値は、TH_HIGHを下回る。良好な非アクティブチャネルのトレース1408は、TH_HIGHを上回る。結果として、コンパレータ414の出力は、良好なアクティブチャネル電圧1406がTH_HIGHを下回り、良好な非アクティブチャネルも同様であるため、所定の遅延時間の後に障害レジスタの中にラッチされない。
【0094】
図14Bは、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、カソードにおける、高電圧閾値における、不良な非アクティブチャネルと閾値の時間依存性を示す、グラフ1450を図示する。上のグラフ1452は、特定のアドレスによって表されるようにアレイ内に位置付けられる、特定のエミッタに通電するための制御パルスのタイミングを図示する。下のグラフ1454は、制御パルスに応答してレーザドライバ308によって発生される、時間の関数としての低側電圧のある実施例を示す。コントローラによってアドレス指定されないチャネルに関するものである、不良な非アクティブチャネル1456のための電圧パルスも、TH_HIGH閾値電圧1458に加えて示される。
【0095】
再び図3および4を参照すると、コンパレータ414は、遅延1460の後、低側ドライバ308によって発生されたカソード電圧(例えば、不良な非アクティブチャネル1456)と所定の値、すなわち、TH_HIGHを比較する。遅延1460は、非アクティブチャネル1456のサンプリングされた電圧が、発射制御信号への任意の予期される反応時間の後になるように選定される。不良な非アクティブチャネル1456の電圧は、TH_HIGHを下回る。コンパレータ414の出力は、本非アクティブチャネルのアドレスに関する障害を検出する、所定の遅延時間の後に障害レジスタの中にラッチされる。
【0096】
本教示の1つの特徴は、これが、電圧閾値ベースの基準から別個に、またはそれに加えて、LiDARトランスミッタ内のタイミングエラーに基づいて、障害監視を提供し得ることである。図15は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、監視されるパルス幅に関連する、障害およびコントローラ反応の例示的実施形態を示す、表1500を図示する。複数のTDC(時間/デジタル)が、伝搬遅延、パルス幅(または持続時間)、およびパルス周期等のシステムタイミングを監視するために使用されることができる。これらは全て、所望の値と比較されることができる。以下は、いくつかの実施例である。
【0097】
アクティブチャネルのパルス持続時間が、短すぎると決定される場合、パルス幅は、増加されることができる。アクティブチャネルのパルス持続時間が、長すぎると決定される場合、本システムはさらに、眼の安全性限界が超過されたかどうかを決定することができ、それに応答して、アクティブ要素をシャットダウンすることができる。パルス持続時間が、長すぎるが、また、依然として安全である場合、反応は、異なり得る。例えば、反応は、パルスを短くするが、システム動作を高性能に保つために、レーザ要素をシャットダウンすることであり得る。いくつかの実施形態では、同期化パルスが、使用され、これらはまた、TDCを使用してチェックされ、パルスが、障害条件をトリガし、そのために、是正措置がこれらの障害条件内で講じられる程度まで、短すぎる、または長すぎるかどうかを決定することもできる。
【0098】
図16は、本教示の監視されるLiDARシステムに関して、アノードにおける、高側ドライブ内のパルスの時間依存性を示す、グラフ1600を図示する。上のグラフ1602は、特定のアドレスにおいて特定のエミッタに通電するための制御パルスのタイミングを図示する。下のグラフ1604は、制御パルスに応答してレーザドライバによって発生される、時間の関数としての例示的高側電圧パルスを示す。制御パルスの発生からの一連の異なる遅延1606、すなわち、遅延1、遅延2、...遅延10が、異なる時間にパルスを探査するために使用される。異なる高電圧閾値、すなわち、TH_HIGHX(X=1、2、3、...10である)が、異なる遅延のために使用される。これは、高側または低側電気パルス形状のより詳細な抽出を可能にする。電圧の本より詳細な時間ベースの抽出は、より高性能の条件が確立されることを可能にする。例えば、逐次近似アルゴリズムが、所与の遅延における電圧レベルを見出すために使用されることができる。これは、いくつかの目的のために使用されることができる。例えば、時間ベースの閾値化が、プリント回路基板アセンブリの電気的ターンアップの間に使用されることができる。時間ベースの閾値化は、システム遅延調整のために使用されることができる。高側パルス形状を抽出することによって、本システムは、高側制御と低側制御との間に要求される遅延を決定することができる。電源オンにおける広範囲にわたるシステム検査の間に、各チャネルパルス形状は、障害チャネルを見出すために診断されることができる。例えば、障害は、パルス電圧の立ち上がり時間および/または立ち下がり時間の遅すぎるものまたは速すぎるものに基づくことができる。図16および高側駆動パルスの場合と関連して遅延の使用を教示する、対応する説明が、低側駆動パルスに関する時間ベースの閾値化および障害条件検出に同様に適用され得ることを理解されたい。
【0099】
図17は、本教示の監視されるLiDARシステムのある実施形態の高側ドライブ1702および低側ドライブ1704および光パルス1706に関するタイミング図1700を図示する。本実施形態に図示される、動作の3つの主要領域が、存在する。システム電源オン領域1708は、VCSELマトリクス、個々の要素、およびアドレスのうちの全てまたはいくつかと関連付けられるドライバの広範囲にわたる診断を含むことができる。電源オン領域は、正常動作領域1710、1710’が続くことができる。これらの正常動作領域1710、1710’は、実行中診断領域1712、1712’によって分離されることができる。正常動作領域1710、1710’では、リアルタイム診断が、ライブレーザ駆動信号に対して実行される。本領域1710、1710’の特性は、本システムが、場面データを採取することの一部ではない、いかなるレーザの発射も回避することである。実行中診断領域1712、1712’では、正常動作領域1710、1710’と異なり、レーザの試験発射が、許容される。
【0100】
本教示の監視されるLiDARトランスミッタの例示的動作が、以下の方法において説明されることができる。レーザ伝送論理/コントローラ(例えば、図3のデジタル論理312、または図2のコントローラインターフェース202、または両方)が、発射の数(すなわち、印加されたレーザ駆動パルス)をカウントする。ホスト(例えば、図2のホスト214)は、本数と実際の発射(すなわち、放出されたレーザパルス)の数を比較する。レーザ伝送論理/コントローラは、発射エネルギー(所与の時間におけるパルスの数)を計算し、眼の安全性限界が超過されている場合、発射を停止する。
【0101】
パルスデューティサイクルが、TDCによって決定されるようなエネルギー関連機構を使用して、診断される。例えば、移動平均が、各所定の窓内のパルスの数をカウントすることによって、計算されることができる。カウント値が、所定の閾値を超過すると、エラーフラグが、立てられる。いくつかの実施形態では、「リーキーバケット」のようなデジタル指向計算方法が、使用されることができる。TDCの使用は、実際の電流パルス幅、伝搬遅延診断、および適合の決定を可能にする。これらの実施形態では、TDCは、フェイル-ハイエラーおよびフェイル-ローエラーを発生させる、デジタルコンパレータに接続される。TDCの使用は、各個々のVCSEL伝搬遅延の較正を可能にし、これは、本システムの較正を改良することができる。加えて、TDCを使用することによって、実際のパルスカウント値が、診断され、予期されるパルスカウント値との比較を可能にすることができる。
【0102】
本教示の装置および方法の別の特徴は、これが、LiDAR性能が、特定の所望の動作性能および信頼性に対して適合されることを可能にすることである。米国自動車技術者協会(SAE)は、0、すなわち、完全に手動~5、すなわち、完全な自律式の範囲に及ぶ、駆動自動化の6つのレベルを定義している。レベル0~2に関しては、人間運転者が、運転環境を監視する。レベル3~6に関しては、自動化システムが、種々のレベルの正確度および機能性を伴って、運転環境を監視する。
【0103】
監視は、周囲の物体の検出および位置特定のためのレーダ、カメラ、およびソナー等の異なるセンサおよび技術の組み合わせを通して実施される。これらのセンサ技術の中でも、光検出および測距(LiDAR)システムが、周囲環境からのリアルタイムの高分解能3Dマッピングを可能にする、重要となる役割を担う。
【0104】
自律運転内での使用を対象としたセンサは、典型的には、最初に2011年に定義され、2018年に改訂された、「路上車両-機能安全性」と題された、国際標準化機構(ISO)26262規格等の国際安全規格に準拠する必要がある。機能的安全性は、自動保護に依存する、機器のシステムまたはピースの全体的安全性の一部である。自動保護システムは、可能性として考えられる危険性を防止させる、またはそれらの重大度を低減させるための、種々のタイプのシステム故障に応答するように設計される。システム故障は、人的過誤、ハードウェア故障、および動作/環境ストレスに起因し得る。
【0105】
ISO 26262規格は、自動車安全水準(「ASIL」)によって決定されるような、乗用車内の電子システムおよび電気システムの動作不良によって引き起こされる、可能性として考えられる危険性に対処する。ASILは、3つの要因、すなわち、(1)暴露(危険性の確率)、(2)可制御性(運転者が危険性に応答し得るかどうか)、および(3)重大度(傷害のタイプ)によって決定される、4つの異なるリスクレベル(A、B、C、およびD)に対処する。ASILリスクレベルは、大まかに、重大度、暴露、および可制御性の組み合わせとして定義される。
【0106】
LiDARセンサはまた、少なくとも1つのレーザを組み込むため、眼の安全性に関する国際規格に準拠しなければならない。規制が、消費者が、特定の製品と関連付けられる安全性リスクを理解するような方式において、製品がラベル貼付されることを確実にするように、レーザ放射の許容可能な量に関する規格を設定するために確立されている。世界全体において最も参照されている規格は、欧州においてEN 60825-1規格として採用されている、国際電気標準会議(IEC)によって公開されている、IEC 60825-1規格である。米国では、レーザ製品は、CDRH 21 CFR 1040.10規格によって網羅され、60825-1規格への準拠は、US連邦規格を充足するために許容可能なものとして確立されている。
【0107】
これらの眼の安全性規格では、レーザが、波長および最大出力電力によって、異なる安全性カテゴリに分類される。規格は、いかなる損傷も引き起こすことなく、完全に開かれた瞳孔を通して通過し得る、光出力またはエネルギーとして規定される、最大許容暴露(MPE)を定義する。
【0108】
レーザが持続的に動作されず、代わりに、パルス化されるシステムでは、MPEは、レーザパルス持続時間およびデューティサイクルに関連する、エネルギーの関数である。クラス1レーザは、通常の使用の全ての条件下で安全である。最大許容暴露(MPE)は、クラス1製品内で超過されることはできない。したがって、自動車用LiDARシステムが、クラス1の眼の安全性であることが、非常に望ましい。
【0109】
LiDARシステムが国際安全規格に準拠することを確実にすることは、厳格な開発プロセスおよびロバストな設計を要求する。特別な注意が、そのシステムの寿命の間に起こり得る、電子、光学、および電気システム内の障害および制御不能挙動の発生の検出に対して払われるべきである。本教示の監視されるLiDARシステムは、本検出と、障害および制御不能挙動への後続の反応とを可能にする。
【0110】
自律自動車のためのLiDARシステムでは、クラス1の眼の安全性が、維持されながら、また、測定範囲を最大限化するべきである。範囲は、信号対雑音の関数であり、したがって、伝送レーザのピーク光出力の最大限化に伴って、対応して増加するであろう。しかしながら、クラス1の眼の安全性は、パルス持続時間/周波数とともに最大ピーク光出力を制限する。
【0111】
例えば、IEC 60825-1規格から、10ピコ秒~5μ秒の暴露持続時間に関して、903nmレーザのための許容可能な暴露エネルギーが、0.392μジュールであろうことを計算することができる。したがって、持続時間5ナノ秒の単一のレーザパルスが、5μ秒毎に伝送され、パルスが、形状が矩形である(ゼロの立ち上がり/立ち下がり時間)と仮定された場合、本パルスの最大ピーク出力は、78.4Wであろう。対応して、矩形パルスが、持続時間が50ナノ秒であった場合、最大ピーク出力は、10分の1、すなわち、7.84Wであろう。
【0112】
これらのピーク出力を達成し得る、レーザは、典型的には、適切なバイアス電流が供給される場合、同様に、より高い光出力を生産させるためにも使用されることができる。光パルスエネルギー(経時的に積分される出力)が、クラス1の眼の安全性に関するMPEを超過しないことをより明確に把握するために、これらのLiDARシステム内に光学伝送出力の監視を含むことが、重要である。例えば、図2Bと関連して説明されるような監視光ダイオード227が、使用されることができる。例えば、「Eye-Safe Scanning LiDAR System」と題された、米国特許出願第15/915,840号、および「LiDAR System with Transmit Optical Power Monitor」と題された、米国仮特許出願第63/112,735号(両方とも、本譲受人に譲渡され、参照することによって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0113】
光学監視は、それ自体で眼の安全性に関する重要となるフィードバックを提供するが、厳密な障害条件を位置特定し、ホストに障害条件を通知する、および/またはシステム動作パラメータを、障害を補償または是正するように潜在的に適合させるために使用され得る、付加的詳細を決定するために、本明細書に説明されるような、付加的な障害監視も、必要とされる。マルチレーザLiDARシステムでは、レーザが意図せずに発射されることをもたらす、短絡または電気クロストークが、存在し得る。1つを上回るレーザが、同時に、または別のレーザに対して時間的に十分に近接して発射されている場合、眼の安全性限界考慮点に対処することに関して、それらの組み合わせられたエネルギーを考慮することが、必要である。また、電子回路内のある意図されないクロストークまたは電気的短絡を通して、レーザが、意図せずに発射されていないことを確認することも、重要であり得る。
【0114】
多くのLiDARシステムが、環境内の物体を検出および識別することが可能であるために、環境を正確に表す、3D点群を構築する。3Dデータが、正確または信頼性があるものではない場合、種々のタイプの危険性が、生じ得る。例えば、自律車両の経路内に物体が、検出されず、車両が、移動中である場合、衝突が、生じ、監視上の損傷、場合によっては、個人への身体的危害をもたらし得る。LiDARセンサは、測定範囲限界を有し、そのため、遠い物体および/または低反射率物体に関して、ある程度の距離において、検出の確率が、ゼロまで低下することを理解されたい。しかしながら、欠落している物体もまた、LiDARシステムでの障害条件の結果であり得る。例えば、LiDARシステムは、動作の間に、レーザが正確に発射しないこと、レンズを被覆する、埃または他の異物、および/またはレシーバ回路内の種々のタイプのエラーを含む、いくつかの要因によって引き起こされ得る、「盲点」を被り得る。予期されるときにレーザが発射しないことを含む、種々の理由のために、帰還信号が当該場所から受信されない場合に、未検出が、不良なアクティブチャネルから生じ得る。
【0115】
LiDARシステムの別の潜在的問題は、いわゆる、「誤検出」であり、これは、LiDARシステムが、実際には事実上、そこにはない、物体の存在を報告することを意味する。これはまた、機能的な安全危険性も引き起こし得る。例えば、物体が、移動車両の経路内で報告される状況では、自動制動システムが、潜在的な衝突を回避するためにトリガされ得る。不必要な自動制動は、特に、車両が高スピード率で走行しているときに、人々および車両への傷害をもたらし得る。誤検出は、例えば、レーザ光が、能動的に探査されていない場所から反射され、受信された信号が、検出器アレイによって空間的に区別され得ない場合に、不良な非アクティブチャネル条件から生じ得る。
【0116】
安全性に関連する別の側面は、動作の間に障害が生じた時点のLiDARシステムの有用性である。LiDARシステム内の障害条件に関して、LiDARシステムをシャットダウンすることは、関連付けられるコストおよびユーザにとっての不便さに伴って、構成要素を修理または交換するための保守点検の必要性をもたらすであろうため、特に、LiDARシステムのいかなる部分も、ユーザ保守点検可能であろう可能性が低いことを考慮すると、LiDARシステムの完全なシャットダウンをトリガすることは、非常に望ましくない。LiDARシステムのシャットダウンはまた、安全ではない条件と、さらに、車両の使用の完全な喪失とをもたらし得る。完全自律車両では、LiDARシステムのシャットダウンは、車両を無効化する可能性が高いであろう。いずれにしても、進行中のいかなる移動も、LiDARシステムのシャットダウンによって悪影響を及ぼされるであろう。
【0117】
代わりに、LiDARシステムが、車両が機能し続けることを可能にし、その時点で進行中の任意の移動の完了を可能にする、ある方式において、障害条件に合わせて調節することが、望ましい。したがって、本教示のシステムおよび方法によって障害の場所および/またはタイプを隔離するための能力が、LiDARシステムの実践的な商品化にとって重要である。
【0118】
本教示の別の特徴は、監視されるLiDARトランスミッタによって識別される障害条件への複数のシステムレベル応答が、実装され得ることである。例えば、最も基本的レベルにおいて、監視されるLiDARトランスミッタは、ホストに障害条件を通知することができる。これは、LiDARシステムが講じ得る、基本的措置であり、ホストシステムが、障害情報に基づいて措置を講じることを可能にする。決定がまた、トランスミッタシステムが、障害が生じた後においてもある方式において機能し続けるように、LiDARトランスミッタレベルにおいて行われることができる。例えば、眼の安全性が、侵害されていない場合、LiDARトランスミッタは、障害条件をホストに通信し、ホストが、所定の基準またはある種類のコンピュータベースのアルゴリズムに基づいて、ある付加的措置(例えば、センサをシャットダウンすること、データを使用しないこと、または疑わしいものとしてデータにフラグを立てること等)を講じることを可能にしながら、障害条件下で機能し続け得る。多数のタイプの人工知能アルゴリズムが、ホストによって使用され、特定の障害条件のために講じるべき措置を決定し得ることを理解されたい。
【0119】
性能を改良するために本システムによって使用され得る、アルゴリズムの一実施例は、ホストに障害条件の重大度の程度を通信し得る、アルゴリズムである。本シナリオでは、障害条件の重大度に応じて、監視されるLiDARシステムはまた、ホストが講じるべき措置についての推奨を行い得る。障害条件に基づくコントローラ(例えば、図2のコントローラ202)内の論理木が、ホストに付加的情報を供給するために使用されることができる。すなわち、故障コードだけではなく、実際の出力電力、影響を及ぼされるFOB内の厳密な点、および潜在的に、ホストが講じるべき推奨される措置等、トランスミッタおよび/または特定のレーザの健全性に関連する情報もまた、ホストに伝送される。本明細書に説明される性能を改良する、アルゴリズムの種々の側面が、当業者によって理解されるように、特定の機能に対して、適宜、本明細書に説明される、LiDARシステムの異なる実施形態における異なる回路および/またはコントローラ内に実装され得ることに留意されたい。
【0120】
性能を改良するために本システムよって使用され得る、アルゴリズムの別の実施例は、個々のVCSELを含む、トランスミッタの障害条件および/または健全性をより良好に査定するために自己診断機能を実施するためのアルゴリズムである。また、いくつかの診断ツールが、光パルスを発生させることなく、トランスミッタおよび/またはVCSELの健全性を査定することができる。これは、トランスミッタおよび/またはVCSELが、発射する前に、いかなる潜在的な損傷、危険性、爆発、および/または発射も、障害が発生したトランスミッタおよび/またはVCSELにおいて生じないであろうことを確実にするためにチェックされ得ることを意味する。
【0121】
性能を改良するために本システムによって使用され得る、アルゴリズムのある実施例は、障害条件をより良好に査定するために自己診断機能を実施するためのアルゴリズムである。障害条件が、生じると、LiDARシステムは、あるタイプの能動的な自己診断を開始する。例えば、1つのものの代わりに、2つのレーザが、同時に発射している、障害条件が、検出される場合、レシーバの走査が、起動され、2つのレーザに関して帰還信号を検出している、レシーバ内の検出器を調査し得る。監視光ダイオードもまた、診断試験の一部として使用されることができる。加えて、アルゴリズムが、レーザのバイアスレベルを変化させ、レーザの挙動が、ある予期される方法において変化し、次いで、結果として生じる試験データに作用するかどうかを決定するために使用されることができる。さらに、アルゴリズムは、隣接するレーザまたはレーザの群を発射し、実際の挙動が、ある予期される挙動と比較され、障害条件を与えるレーザについての情報を与え、次いで、その試験データに作用し、さらに、トランスミッタ内の障害を診断するために使用されることができる。
【0122】
システム性能を改良するために本システムによって使用され得るアルゴリズムの別の実施例は、特定の障害条件に従って動作パラメータを採用するためのアルゴリズムである。例えば、本システムは、レーザ発射シーケンスを障害条件に適合するように改変することができる。この1つの特定の実施例として、障害条件が、FOV内の単一のレーザである場合には、本システムは、不良なレーザをこれ以上発射しないように、また、不良なレーザを発射するために割り振られた時間スロットを浪費しないように、レーザ発射マップを改変することができる。代わりに、不良なレーザを発射するために割り振られた時間スロットは、したがって、FOV内の隣接するレーザを発射するために使用され、「不良なレーザ」によって引き起こされる「盲点」の周囲のエリアにわたるSNRを向上させることができる。
【0123】
本システムの性能を改良するために使用され得るアルゴリズムのさらに別の実施例は、障害条件に適合するように受信検出器へのレーザまたはレーザの群のマッピングを改変する、アルゴリズムである。レーザが、有意に劣化または故障する場合、レーザ/検出器マッピングが、これが関連付けられる全ての検出器のためのその特定のレーザの使用を排除するように変更されることができる。そのレーザを使用していた、任意の検出器が、制御論理およびアレイの幾何学形状および電気接続パターンに基づいて、隣接するレーザに再度割り当てられるであろう。また、異なる距離において、最適なマッピング選択肢が、視差のために変化し得ることも、公知である。そのため、そのような変化は、特定のレーザに対応する検出器アレイFOVの少なくともある部分に関する、ある程度の低減された光学結合につながるが、依然として、いくつかの範囲における機能性を留保することができる。本教示のさらに別の側面は、再割当を使用して、1つまたはそれを上回る故障したレーザによって引き起こされる盲点が、一時的なマッピングを用いてより小さくされ得ることを理解することである。そのようなアプローチは、盲点が、より長い範囲においてより大きくなるであろうため、より短い範囲においてより良好に作用し得る。
【0124】
本教示の能動的な障害監視のためのシステムおよび方法の1つの特徴は、これが、光検出および測距(LiDAR)トランスミッタ内の障害条件を検出する、および/または健全性条件に関する診断を実施し得、検出された条件が、車両内の他のシステムおよび/またはLiDAR内の動作制御システムまたはホストシステムに報告され得ることである。例えば、本方法の実施形態は、障害条件に応答してLiDARトランスミッタ上で措置を講じるホストに、アドレスおよび障害条件を報告することができる。エラーの重大度も、報告されることができる。個々のVCSEL、VCSELの群、および/またはトランスミッタの健全性も、報告されることができる。例えば、本システムが、特定のレーザが、性能が劣化していると考えられるが、まだ故障していないことを検出する場合、本レーザの健全性が、早期警告としてホストに報告され得、したがって、後続の保守またはさらなる診断が、さらなる劣化より前に実施され得る。本報告機能は、LiDARトランスミッタの健全性および/または障害が、車両の安全性に影響を与える、より大きいシステムの一部として含まれることを可能にするため、機能安全システムの一部として有用であり得る。例えば、本教示の方法のいくつかの実施形態は、例えば、報告ステップおよび/または自己診断への自動応答を介して、管理、開発、生産、運用、保守点検、および廃止を含む、自動車の安全ライフサイクルをサポートすることができる。本教示の方法のいくつかの実施形態は、例えば、報告ステップおよび/または自己診断への自動応答を介して、許容可能なリスクレベルを達成することと関連付けられる、リスククラスの決定および/または要件の規定をサポートすることができる。
【0125】
(均等物)
本出願人の教示は、種々の実施形態と併せて説明されるが、本出願人の教示がそのような実施形態に限定されることは意図していない。むしろ、本出願人の教示は、当業者によって理解されるであろうように、本教示の精神および範囲から逸脱することなく、その中で行われ得る、種々の代替、修正、および均等物を包含する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
【国際調査報告】