(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】C4炭化水素混合物からイソブテンを除去するためのプラントを始動させるプロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 7/152 20060101AFI20240227BHJP
C07C 11/09 20060101ALI20240227BHJP
C07C 7/04 20060101ALI20240227BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
C07C7/152
C07C11/09
C07C7/04
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554890
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2022055185
(87)【国際公開番号】W WO2022189217
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ギュンター・ヴァーグナー
(72)【発明者】
【氏名】スマン・トトラ
(72)【発明者】
【氏名】ゲリット・ヴァーターズ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヒュプナー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ノイデルト
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ・フーゴ
(72)【発明者】
【氏名】トマ・ロシエール
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC13
4H006AC43
4H006AC80
4H006AD11
4H006BA72
4H006BC37
4H006BD40
4H006BD51
4H006BD84
4H006DA64
4H039CA20
4H039CA61
4H039CF10
4H039CG90
(57)【要約】
本発明は、イソブテン含有C4炭化水素混合物からイソブテンを除去するためのプラントを始動させるプロセスであって、プラントが、湿った酸性イオン交換樹脂を含有するエーテル化ユニット、第1の蒸留ユニット、エーテル開裂ユニット、および第2の蒸留ユニットを含む、プロセスに関する。本発明はさらに、プラントを定常運転モードから停止するプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソブテン含有C4炭化水素混合物からイソブテンを除去するためのプラントを始動させるプロセスであって、前記プラントが、湿った酸性イオン交換樹脂を含有するエーテル化ユニット、第1の蒸留ユニット、エーテル開裂ユニット、および第2の蒸留ユニットを含み、前記プロセスが、
(a)前記エーテル化ユニットをイソブタノールで充填するステップと、
(b)前記第1の蒸留ユニットをC4炭化水素および/またはイソブタノールで充填し、前記第1の蒸留ユニットを全還流で運転するステップと、
(c)前記第2の蒸留ユニットをC4炭化水素および/またはイソブタノールで充填し、前記第2の蒸留ユニットを全還流で運転するステップと、
(d)前記第2の蒸留ユニットの底部生成物を取り出し、前記底部生成物から水を除去し、前記底部生成物を前記エーテル化ユニットに導くステップと、
(e)前記エーテル化ユニットの排出を前記第1の蒸留ユニットに導くステップと、
(f)前記エーテル開裂ユニットをバイパスしながら、前記第1の蒸留ユニットの底部生成物を前記第2の蒸留ユニットに導くステップと、
(g)前記第2の蒸留ユニットの前記底部生成物が本質的に水を含まなくなった後に、前記エーテル化ユニットへのイソブテン含有C4炭化水素混合物の流れを提供し、前記イソブテン含有C4炭化水素混合物をイソブタノールと反応させて、IBTBEと未変換炭化水素との混合物を形成するステップと、
(h)IBTBE、未変換炭化水素および未反応イソブタノールの前記混合物を前記エーテル化ユニットから前記第1の蒸留ユニットに導き、前記混合物を蒸留して、前記未変換炭化水素を含む上部生成物と、IBTBEおよび未反応イソブタノールを含む底部生成物とを得るステップと、
(i)前記第1の蒸留ユニットの前記底部生成物中のIBTBEが所定の濃度に達した後、前記第1の蒸留ユニットの前記底部生成物を前記エーテル開裂ユニットに導いて前記IBTBEを分解し、イソブテンおよびイソブタノールを得るステップと、
(j)ステップ(i)で生成されたイソブテンとイソブタノールの前記混合物を前記第2の蒸留ユニットに導き、イソブテンおよびイソブタノールの前記混合物を蒸留して、イソブテンを含む上部生成物とイソブタノールを含む底部生成物とを得るステップと、
(k)ステップ(j)で得られた前記底部生成物を少なくとも部分的に前記エーテル化ユニットに再循環させるステップと、を含む、プロセス。
【請求項2】
ステップ(b)において、前記第1の蒸留ユニットがイソブテン以外のC4炭化水素で充填される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ステップ(c)において、前記第2の蒸留ユニットがイソブテンで充填される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップ(i)において、前記所定のIBTBE濃度が50%、好ましくは70%、より好ましくは80%である、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップ(d)において、水が蒸留によって前記底部生成物から除去される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ(h)で得られた前記上部生成物の一部が、前記エーテル化ユニットに再循環される、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記エーテル化ユニットが、直列の複数の固定床反応器を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記エーテル開裂ユニットが、直列に接続された第1のエーテル開裂反応器および第2のエーテル開裂反応器を含み、ステップ(i)において、前記第2のエーテル開裂反応器が、第1のエーテル開裂反応器の活性が低下するまでバイパスされる、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第1のエーテル開裂反応器および前記第2のエーテル開裂反応器が周期的に順序が交互にさせられる、および/または、前記第1のエーテル開裂反応器および/または前記第2のエーテル開裂反応器を通る流れ方向が周期的に変更される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ(j)で得られた前記底部生成物の一部を副生成物分離ユニットに導き、前記イソブタノールから高沸点副生成物を分離するステップを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記副生成物分離ユニットに導かれる底部生成物の、前記エーテル化ユニットに再循環される底部生成物に対する重量比が、1:20~2:10、好ましくは約1:10の範囲である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記酸性イオン交換樹脂が、スルホン酸基で官能化された架橋スチレン-ジビニルベンゼン共重合体である、請求項1から11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
イソブテン含有C4炭化水素混合物からイソブテンを除去するためのプラントを停止するプロセスであって、
前記プラントの定常運転が、
(a)エーテル化ユニット内で酸性イオン交換樹脂の存在下でイソブテン含有C4炭化水素混合物をイソブタノールと反応させて、IBTBEと未変換炭化水素との混合物を形成するステップと、
(b)第1の蒸留ユニットで前記反応混合物を蒸留して、前記未変換炭化水素を含む上部生成物と、IBTBEを含む底部生成物とを得るステップと、
(c)前記底部生成物をエーテル開裂ユニットに供給して前記IBTBEを分解し、イソブテンおよびイソブタノールを得るステップと、
(d)ステップ(c)で生成されたイソブテンおよびイソブタノールの前記混合物を第2の蒸留ユニットで蒸留して、イソブテンを含む上部生成物とイソブタノールを含む底部生成物とを得るステップと、
(e)ステップ(d)の前記底部生成物をステップ(a)に再循環させるステップと、を含み、
前記停止するプロセスが、
aa)前記エーテル化ユニット、前記第1の蒸留ユニットおよび前記第2の蒸留ユニットが運転中の間、前記エーテル開裂ユニットを稼働停止し、前記エーテル開裂ユニットを不活性ガスでパージするステップと、
bb)前記エーテル化ユニットへのイソブテン含有C4炭化水素混合物の流れを停止するステップと、
cc)前記エーテル化ユニットを稼働停止するステップと、
dd)前記第1の蒸留ユニットおよび前記第2の蒸留ユニットを全還流モードで運転するステップと、
ee)前記第1の蒸留ユニットおよび前記第2の蒸留ユニットを停止するステップと、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C4炭化水素混合物からイソブテンを除去するためのプラントを始動および停止するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
スチームクラッカーまたはFCCユニットからのC4画分は、本質的にブタジエン、イソブテン、1-ブテンおよび2-ブテンならびに飽和炭化水素イソブタンおよびn-ブタンからなる。このようなC4画分に対して世界中で使用されている慣習的な後処理方法は、以下のステップを含む:最初にブタジエンの大部分を除去する。飽和炭化水素をイソブテン、1-ブテンおよび2-ブテンと共に含む、ラフィネート1と呼ばれる炭化水素混合物が残る。この混合物からイソブテンを除去する可能な方法は、第一級アルコールと反応させてアルキルtert-ブチルエーテルを形成することである。これにより、飽和炭化水素および直鎖ブテンが残る。ブタジエンおよびイソブテンを除去した後に得られたC4混合物は、ラフィネート2と呼ばれる。
【0003】
欧州特許公開第0003305号明細書は、イソブテン含有C4炭化水素混合物からイソブテンを除去するプロセスを開示しており、この方法は、(a)酸性イオン交換樹脂の存在下で混合物を第一級アルコールと反応させて、アルキルtert-ブチルエーテルを形成するステップと、(b)反応混合物を蒸留して、未変換炭化水素を含む上部生成物と、アルキルtert-ブチルエーテルを含む底部生成物とを得るステップと、(c)底部生成物をエーテル開裂ユニットに供給して、アルキルtert-ブチルエーテルを分解して、イソブテンおよび第一級アルコールを得るステップと、(d)ステップ(c)で生成されたイソブテンと第一級アルコールとの混合物を蒸留して、イソブテンを含む上部生成物と、第一級アルコールを含む底部生成物とを得るステップと、(e)ステップ(d)の底部生成物をステップ(a)に再循環させるステップと、を含む。
【0004】
酸性イオン交換体は、湿った水和状態で市販されており、すなわち、それらは水で膨潤し、水で覆われている。また、エーテル化ユニットを酸性イオン交換樹脂で充填することは、通常、樹脂の適切な沈降を確実にし、樹脂の損傷を回避するために、樹脂で充填する前にユニットを水で充填することを含む。次いで、充填床は通常、微粉を除去するために水で逆洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許公開第0003305号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プロセス中の水の存在は、望ましくない副反応をもたらす。最も注目すべきことに、水はイソブテンと反応してイソブタノールを生成し、イソブテンのかなりの損失を引き起こす。
【0007】
水は、C4炭化水素(例えばラフィネート1)に容易に溶解しないため、湿った水和イオン交換体に由来する水分は、ラフィネート1または他の炭化水素混合物でパージすることによってエーテル化ゾーンから十分に除去することができない。
【0008】
そのため、酸性イオン交換樹脂に取り込まれた水を短時間で効率的に除去するための始動手順が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この必要性は、イソブテン含有C4炭化水素混合物からイソブテンを除去するためのプラントを始動させるプロセスによって満たされ、プラントは、湿った酸性イオン交換樹脂を含有するエーテル化ユニット、第1の蒸留ユニット、エーテル開裂ユニット、および第2の蒸留ユニットを含み、このプロセスは、
(a)エーテル化ユニットをイソブタノールで充填するステップと、
(b)第1の蒸留ユニットをC4炭化水素および/またはイソブタノールで充填し、第1の蒸留ユニットを全還流で運転するステップと、
(c)第2の蒸留ユニットをC4炭化水素および/またはイソブタノールで充填し、第2の蒸留ユニットを全還流で運転するステップと、
(d)第2の蒸留ユニットの底部生成物を取り出し、底部生成物から水を除去し、底部生成物をエーテル化ユニットに導くステップと、
(e)エーテル化ユニットの排出を第1の蒸留ユニットに導くステップと、
(f)エーテル開裂ユニットをバイパスしながら、第1の蒸留ユニットの底部生成物を第2の蒸留ユニットに導くステップと、
(g)第2の蒸留ユニットの底部生成物が本質的に水を含まなくなった後に、エーテル化ユニットへのイソブテン含有C4炭化水素混合物の流れを提供し、混合物をイソブタノールと反応させて、イソブチルtert-ブチルエーテル(IBTBE)と未変換炭化水素との混合物を形成するステップと、
(h)IBTBE、未変換炭化水素および未反応イソブタノールの混合物をエーテル化ユニットから第1の蒸留ユニットに導き、混合物を蒸留して、未変換炭化水素を含む上部生成物と、IBTBEおよび未反応イソブタノールを含む底部生成物とを得るステップと、
(i)第1の蒸留ユニットの底部生成物中のIBTBEが所定の濃度に達した後、第1の蒸留ユニットの底部生成物をエーテル開裂ユニットに導いてIBTBEを分解し、イソブテンおよびイソブタノールを得るステップと、
(j)ステップ(i)で生成されたイソブテンとイソブタノールの混合物を第2の蒸留ユニットに導き、イソブテンおよびイソブタノールの混合物を蒸留して、イソブテンを含む上部生成物とイソブタノールを含む底部生成物とを得るステップと、
(k)ステップ(j)で得られた底部生成物を少なくとも部分的にエーテル化ユニットに再循環させるステップと、を含む。
【0010】
本発明はまた、イソブテン含有C4炭化水素混合物からイソブテンを除去するためのプラントを停止するプロセスであって、
プラントの定常運転が、(a)エーテル化ユニット内で酸性イオン交換樹脂の存在下でイソブテン含有C4炭化水素混合物をイソブタノールと反応させて、IBTBEと未変換炭化水素との混合物を形成するステップと、(b)第1の蒸留ユニットで反応混合物を蒸留して、未変換炭化水素を含む上部生成物と、IBTBEを含む底部生成物とを得るステップと、(c)底部生成物をエーテル開裂ユニットに供給してIBTBEを分解し、イソブテンおよびイソブタノールを得るステップと、(d)ステップ(c)で生成されたイソブテンおよびイソブタノールの混合物を第2の蒸留ユニットで蒸留して、イソブテンを含む上部生成物とイソブタノールを含む底部生成物とを得るステップと、(e)ステップ(d)の底部生成物をステップ(a)に再循環させるステップと、を含み、
停止するプロセスが、
aa)エーテル化ユニット、第1の蒸留ユニットおよび第2の蒸留ユニットが運転中の間、エーテル開裂ユニットを稼働停止し、エーテル開裂ユニットを不活性ガスでパージするステップと、
bb)エーテル化ユニットへのイソブテン含有C4炭化水素混合物の流れを停止するステップと、
cc)エーテル化ユニットを稼働停止するステップと、
dd)第1の蒸留ユニットおよび第2の蒸留ユニットを全還流モードで運転するステップと、
ee)第1の蒸留ユニットおよび第2の蒸留ユニットを停止するステップと、を含む、プロセスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】C4炭化水素混合物からイソブテンを除去するためのプラントのブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
始動
始動のために、エーテル化ゾーンはイソブタノールで満たされる。水はイソブタノールにかなり(fairly)可溶である。したがって、酸性イオン交換樹脂床に含まれる水はいずれも、イソブタノールによって取り込まれる。
【0013】
第1の蒸留ユニットおよび第2の蒸留ユニットは、C4炭化水素およびイソブタノールの少なくとも1つを充填することによって稼働する。始動のために、カラムは全還流で運転される。「全還流」とは、塔頂生成物の蒸留物がカラムから取り出されておらず、上部で取り出された蒸気が完全に凝縮されてカラムに戻されることを意味する。この目的のために、入手可能性に応じて、任意のC4炭化水素またはC4炭化水素混合物を使用することができる。しかしながら、蒸留カラムで平衡を確立して上部で仕様に適合する生成物を得るのに必要な時間を短縮するために、第1の蒸留ユニットおよび/または第2の蒸留ユニットを、生産運転中に取り出された上部生成物の仕様に近いかまたはそれに適合する組成を有するC4炭化水素で満たすことが好都合であり得る。したがって、一実施形態では、第1の蒸留ユニットは、イソブテン以外のC4炭化水素、特にラフィネート2で充填される。第2の蒸留ユニットを充填するために高純度イソブテンが利用可能である場合、始動を加速することができる。したがって、一実施形態では、ステップ(c)において、第2の蒸留ユニットはイソブテンで充填される。
【0014】
次いで、エーテル逆分割ユニットがバイパスされている間に、再循環イソブタノールループが稼働する。ラフィネート1を取り込むことにより、エーテル化反応が開始し、IBTBEが生成される。
【0015】
好ましくは、ステップ(d)において、水が蒸留によって底部生成物から除去される。
【0016】
第1の蒸留ユニットの上部生成物は廃棄され、再循環イソブタノール流が水を含まなくなり、第1の蒸留ユニットのIBTBE底部生成物の濃度が所定の濃度に達するとすぐに、エーテル逆分割ユニットが稼働する。好ましくは、最小の所定のIBTBE濃度は50%、より好ましくは70%~80%である。
【0017】
ステップ(i)は、エーテル開裂ユニットのバイパスからエーテル開裂ユニットの定常運転への切り替えを含む。この切り替えは、ずらして(staggered)行うことが好適である。始動時に、蒸発器(例えば、ロバート蒸発器)は、最初に少量の供給物(すなわち、第1の蒸留ユニットの底部生成物)を用いて、供給物の蒸発によって開裂反応器内の任意の不活性ガス(窒素)が置き換わるまで運転され、一方、残りはエーテル開裂ユニットを通過する。この期間中、エーテル開裂ユニットからの出力は、廃棄され、例えば、フレアまたは排気システムに排出される。次いで、下流カラムへの接続を閉じたまま、開裂反応器のスイッチを入れ、出口の廃棄を継続する。次いで、エーテル開裂ユニットの出口での開裂生成物、すなわちイソブテンとイソブタノールの混合物が、下流のカラム、すなわち第2の蒸留ユニットの圧力に達するまで、蒸発器への供給およびエーテル開裂を増加させる。次いで、供給流をバイパスからエーテル開裂ユニットに完全に切り替える。
【0018】
イソブテン含有C4炭化水素混合物
本発明のプロセスに適したイソブテン含有C4炭化水素混合物は、例えば、石油生成物の熱分解もしくは接触分解から、液化石油ガス(LPG)、ナフサ、軽油などの熱分解から、またはn-ブタンおよび/もしくはn-ブテンの接触脱水素から得られる。一般に、これらのC4炭化水素混合物は、イソブテンに加えて、オレフィンおよびパラフィンC4炭化水素を含有する。それらはまた、ブタジエンおよびアセチレン、例えばブタ-1-インおよびブテニンを含有してもよい。ブタジエン含有C4炭化水素混合物は、そのままで、または、例えば選択溶媒で抽出することによって、C4炭化水素混合物からブタジエンを除去した後に使用され得る。一般に、イソブテン含有C4炭化水素混合物は、5~95%重量、好ましくは10~90%重量、特に20~70%重量のイソブテンを含有する。好ましくは、イソブテンに加えて、n-ブタン、イソブタン、ブタ-1-エン、トランス-ブタ-2-エンおよびシス-ブタ-2-エンを含み、ブタ-1,3-ジエンを含むまたは含まないC4炭化水素混合物が使用される。
【0019】
ラフィネート1と呼ばれる炭化水素混合物が、典型的には、本発明のプロセスに使用される。
【0020】
エーテル化ユニット
エーテル化は、イソブタノールと、イソブテン含有C4炭化水素混合物(例えばラフィネート1)に含まれるイソブテンとの選択的反応に基づく。形成された生成物は、イソブチル-tert-ブチルエーテルである(本明細書では「IBTBE」と呼ぶ)。他のC4炭化水素はエーテル化反応に関与しない。エーテル化は、例えば、1つまたは複数の撹拌釜または1つまたは複数の固定床反応器で行ってもよく、後者が好ましい。
【0021】
エーテル化反応は、不均一エーテル化触媒として作用する酸性イオン交換樹脂の存在下で起こる。酸性イオン交換樹脂は、酸性形態のカチオン交換体である。一実施形態では、酸性イオン交換樹脂は、スルホン酸またはリン酸イオン交換樹脂を含む。好ましくは、酸性イオン交換樹脂は、マクロ網状イオン交換樹脂を含む。適切なイオン交換樹脂の例は、スルホン化フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、クマロン-インデン縮合生成物から誘導されるスルホン化樹脂、特にスルホン化ポリスチレン樹脂である。好ましい実施形態では、酸性イオン交換樹脂は、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体、例えば、スルホン酸基で官能化された架橋スチレン-ジビニルベンゼン共重合体を含む。
【0022】
一実施形態では、酸性イオン交換樹脂は、乾燥樹脂のグラム当たり少なくとも約1ミリ当量のH+の酸性イオン交換基の濃度を有することができる。一般に、イオン交換樹脂の量は、反応器容積のリットル当たり0.01~1リットルのバルク容積である。
【0023】
好ましくは、エーテル化は連続的に行われ、この場合、反応ゾーンの容積(容積単位)と時間当たりの容積単位での処理量との商は、一般に0.01~5時間、好ましくは0.02~1時間、特に0.03~1時間である。
【0024】
一般に、エーテル化反応は、C4炭化水素混合物に含まれるイソブテンのIBTBEへの90%以上、好ましくは95%以上、特に96%以上の転化率をもたらす。
【0025】
イソブテンに対してモル過剰のイソブタノールは、イソブテンの高い転化率に達し、イソブテンオリゴマーの形成を抑制するのに有利である。転化率は、イソブタノール対イソブテンのモル比が増加するにつれて増加する。定常状態に達すると、C4炭化水素混合物に含まれるイソブタノール対イソブテンの重量比は、一般に100:1~1:1、好ましくは20:1~1.2:1、特に4:1~1.3:1である。
【0026】
エーテル化は、大気圧下で行うことができる。しかしながら、超大気圧下で、例えば1.01~30バール、特に2~20バールで作業することが有利である。イソブテン含有C4炭化水素混合物は、圧力および温度に応じて、液体または気体として使用することができる。好ましくは、液体イソブテン含有C4炭化水素混合物が使用される。エーテル化ユニット内で気化が発生しないことを確実にするために、圧力は12~20バールの範囲に維持される。
【0027】
好ましくは、エーテル化ユニットからの反応混合物の出口温度は、25~65℃、好ましくは30~60℃、特に30~50℃である。エーテル化は発熱反応である。エーテル化反応は平衡反応であり、エーテル形成は低温で有利である。低い副生成物形成と共に高い反応速度および高いイソブテン転化率に達するために、反応器システムはカスケード接続されることが好ましく、70℃未満の温度が適用される。一実施形態では、複数の断熱固定床反応器、例えば3つの断熱固定床反応器が直列(in series)に使用される。典型的な反応器入口温度は、30~40℃の範囲である。転化率は第1の反応器で最も高く、第2の反応器は残りのイソブテンを変換し、最後の反応器はエーテル化反応の平衡状態を達成するためにより長い滞留時間を有する。
【0028】
触媒の経年劣化が進むにつれて、総転化率に対する主な寄与は、第1の反応器から第2の反応器に移行する。反応器の入口温度は、意図された変換を達成するように調整され、各触媒の活性に依存する。第3の反応器の入口温度は通常最も低く、この反応器の出口で平衡条件を依然として達成しながら可能な限り低く保たれる。
【0029】
一般に、第1の反応器の触媒は、供給原料内の汚染物質が第1の反応器の触媒をより高い確率で失活させるので、第2および第3の反応器の触媒よりも頻繁に交換され、転化率は典型的に、第1の反応器内で最も高い。
【0030】
再循環イソブタノールは、一定量のIBTBEを含有する。IBTBEの含有量が低いほど、モル過剰のイソブタノールを低く選択することができ、および/または転化率を高めることができる。
【0031】
第1の蒸留ユニット
エーテル化ユニットから取り出された反応混合物は、IBTBE、未変換炭化水素および未反応イソブタノールを含有する。エーテル化反応に関与しなかったC4炭化水素は、第1の蒸留ユニットでIBTBEおよび過剰のイソブタノールから分離される。取り除かれた上部生成物は、イソブテンを実質的に含まないC4炭化水素ラフィネートである。一般に、イソブテン含有量は、5%重量以下、好ましくは2.5%重量以下、特に1.5%重量以下である。上部生成物中のイソブテン含有量は、エーテル化ユニット中の転化率およびイソブテン含有C4炭化水素混合物、例えばラフィネート1の初期組成によって決定される。上部生成物中のイソブテン含有量は、上部生成物の一部をエーテル化ユニットに再循環させることによって減少させることができる。
【0032】
好ましくは、上部生成物中のIBTBEおよび/またはジイソブチルエーテルの合計量は、200重量ppm以下である。上部生成物は、ラフィネート2と呼ばれる。
【0033】
第1の蒸留ユニットからの底部生成物は、IBTBEからなり、これは依然として過剰のイソブタノールを含有してもしなくてもよい。有利には、1,000重量ppm以下、好ましくは500重量ppm以下、特に100重量ppm以下のC4炭化水素を含有する底部生成物を取り出す。
【0034】
好都合には、第1の蒸留ユニットは約4~8バールの圧力下で運転され、底部温度は165~175℃、例えば約170℃である。非凝縮物、例えば窒素およびC3炭化水素はオフガスとして排出される。
【0035】
ラフィネート1は溶解した水を含み得るので、水は塔の還流ドラムから除去される。
【0036】
第1の蒸留ユニットの底部生成物は、IBTBE、未反応イソブタノールおよび他の高沸点化合物を含有する。定常状態に達した後、底部生成物は、例えばポンプによってエーテル開裂ユニットに移送される。
【0037】
エーテル開裂ユニット
エーテル開裂ユニットでは、IBTBEは、高温で酸触媒の存在下でイソブテンおよびイソブタノールに分解される。好ましくは、第1の蒸留ユニットからのIBTBE含有底部生成物は、存在し得る過剰イソブタノールを除去することなくエーテル開裂ユニットに移送される。あるいは、イソブタノールの一部または全部を除去することが可能である。
【0038】
第1の蒸留ユニットからのIBTBE含有底部生成物は、気化され、過熱され(吸熱反応および細孔凝縮によるエーテル開裂触媒上の凝縮を防止するため)、気相で酸触媒と接触する。可能性のある気化器は、すべての慣習的なタイプの気化器、例えば流下膜蒸発器、螺旋管、薄膜蒸発器、外部または内部循環を有する自然対流蒸発器、例えばロバート蒸発器、または強制循環蒸発器である。ロバート蒸発器または流下膜蒸発器が好ましい。
【0039】
第三級エーテルの分解はバッチ式で行ってもよいが、連続的に行うことが好ましい。
【0040】
エーテル開裂反応は平衡反応であり、分割は高温によって促進される。典型的な転化率は90%を超える。有用な反応器には、加熱管状反応器(例えば蒸気加熱管状反応器)、または加熱管状反応器とそれに続く断熱固定床反応器からなる2つの反応器システムが含まれる。
【0041】
適切な酸触媒の例は、酸形態のイオン交換体、例えばスルホン化石炭、スルホン化フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、クマロン-インデン縮合生成物から誘導されるスルホン化樹脂、特にスルホン化ポリスチレン樹脂、例えばスルホン化架橋スチレン-ジビニルベンゼン共重合体である。
【0042】
有利に使用され得る他の触媒は、固体担体上にモノリン酸または好ましくはポリリン酸を含む固体リン酸触媒である。リン酸触媒に適した担体の例は、アルミナ、シリカ、活性炭、珪藻土または軽石である。シリカゲルが好ましい担体である。
【0043】
他の好適な酸触媒は、金属硫酸塩、例えば、重硫酸ナトリウム、重硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸ニッケル、硫酸銅、硫酸コバルト、硫酸カドミウムおよび硫酸ストロンチウムである。これらの硫酸塩は、非担持で使用されてもよいが、好ましくは担体上で使用されてもよい。適切な担体の例は、シリカゲル、活性炭、アルミナおよび軽石である。
【0044】
分解にさらに適した触媒は、シリカゲルまたはアルミナ自体である。
【0045】
本発明によるプロセスのさらなる実施形態では、金属リン酸塩、特に金属リン酸水素塩が酸分解触媒として使用される。これらのリン酸塩はまた、酸金属リン酸塩の化学量論組成に対応する量を超えて、例えば最大65%、好ましくは1~50%、特に10~20%の過剰のリン酸を含有してもよい。そのような金属リン酸塩の例は、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸ストロンチウム、リン酸バリウム、リン酸マンガン、リン酸ニッケル、リン酸銅、リン酸コバルト、リン酸カドミウム、リン酸鉄(II)、リン酸クロム、特にリン酸アルミニウムである。金属リン酸塩触媒は、そのままで、または担体上で使用することができる。適切な担体の例は、アルミナ、シリカ、活性炭および酸化亜鉛である。
【0046】
酸触媒の量は、一般に、時間当たり反応器を通過するIBTBEのkg当たり約0.01~1 kg、好ましくは約0.03~0.3 kgである。好ましくは、固定床反応器がIBTBEの分解に使用される。
【0047】
第三級エーテルの分解温度は、酸触媒の性質および接触時間によって変化するが、一般に50℃~350℃、好ましくは80℃~300℃、特に100℃~250℃である。金属リン酸塩触媒またはリン酸触媒が分解触媒として使用される場合、分解は、一般に、80℃~350℃、好ましくは90℃~260℃、特に170℃~210℃で行われる。
【0048】
気化した第三級エーテルの接触時間は、有利には0.1~20秒、好ましくは1~10秒である。
【0049】
第三級エーテルの分解は、大気圧下で行うことができるが、一般に、超大気圧下、例えば最大30バール、好ましくは最大20バールで行われる。有利には、第三級エーテルの分解は、2~15バール、好ましくは3~12バール、特に4~12バールの圧力下で行われる。しかし、分解は減圧下で行うこともできる。
【0050】
一実施形態では、エーテル開裂ユニットは、直列に接続された第1のエーテル開裂反応器および第2のエーテル開裂反応器を含む。ステップ(i)において、第2のエーテル開裂反応器は、第1のエーテル開裂反応器の活性が低下するまでバイパスされる。第1のエーテル開裂反応器の高い初期活性のために、この反応器において、ほぼ完全な変換が達成される。第1の反応器の出力中に開裂可能なエーテルが存在しないと、第2の反応器において、イソブタノールのH2Oおよびイソブテンへの脱水などの望ましくない副反応が生じる可能性がある。第1のエーテル開裂反応器の活性が経時的に低下し、第1のエーテル開裂反応器の出力が所定の濃度のIBTBEを含む場合、第2のエーテル開裂反応器が運転される。
【0051】
好ましい実施形態では、第1のエーテル開裂反応器および第2のエーテル開裂反応器は、周期的に順序が交互にさせられる、および/または、第1のエーテル開裂反応器および/または第2のエーテル開裂反応器を通る流れ方向は、周期的に変更される。2つの反応器を切り替え、反応器を通る流れ方向を周期的に変更する可能性は、反応器の長さにわたってより均一な不活性化およびより良好な反応制御をもたらし得る。最終的に、全体的な実行時間を改善することができる。
【0052】
第2の蒸留ユニット
反応生成物としてイソブテンおよびイソブタノールを含むエーテル開裂ユニットから得られた反応混合物は、第2の蒸留ユニットに供給される。第2の蒸留ユニットでは、蒸留によって、高純度イソブテンが、より重い化合物、例えばイソブタノール、未反応IBTBE、およびさらに重い化合物、例えばジイソブテン(DIB)から分離される。第2の蒸留ユニットは、約4~8バールの圧力下で運転され、底部温度は約160℃(5バール)である。
【0053】
有利には、上部生成物は、99.3%重量以上、好ましくは99.5%重量以上、特に99.7%重量以上のイソブテンを含有する。好ましくは、500重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下、特に50重量ppm以下のイソブタノールを含有するイソブテンを上部生成物として取り出す。
【0054】
好ましくは、高純度イソブテン生成物は、上部に近い第2の蒸留ユニットのサイドドローから取り出される。イソブタノールを逆分割することによって生成された水は、還流ドラムによって系から除去される。
【0055】
底部生成物は、主にイソブタノールおよびIBTBEからなる。底部生成物の大部分には、イソブタノール供給ドラムからの新鮮なイソブタノールが補充され、次いでエーテル化ユニットに戻される。
【0056】
イソブタノールのブリード流および副産物分離ユニット
有利には、望ましくない重質(例えばジイソブチルエーテル)をシステムから除去するために、第2の蒸留ユニットからの底部生成物の少量がブリード流として取り出される。このストリームは、副生成物分離ユニットに送られる。したがって、好ましくは、ステップ(j)で得られた底部生成物の一部は、高沸点副生成物がイソブタノールから分離される副生成物分離ユニットに導かれる。副生成物分離ユニットに導かれる底部生成物の、エーテル化ユニットに再循環される底部生成物に対する重量比は、1:20~2:10、好ましくは約1:10の範囲であり得る。
【0057】
最も重要な副反応は、ジイソブテン(DIB)およびトリイソブテン(TIB)の形成である。他の可能な反応は無視できる。時間が経つにつれて、これらの成分でさえもシステム内に蓄積する可能性があり、副生成物分離ユニットにおいて除去する必要がある。
【0058】
第2の蒸留ユニットの底部から取り出されたブリード流は、副生成物分離ユニットに送られる。副生成物の分離は、再循環イソブタノール流内の望ましくない副成分の蓄積を防ぐために必要である。経済的実現可能性に応じて、最低2つの蒸留塔が推奨される。高いイソブタノール回収率を達成するためには、3塔システムが考慮されるべきである。回収されたイソブタノールは、イソブタノール供給ドラムに戻される。残りの炭化水素は廃棄される。
【0059】
本プロセスの一実施形態では、イソブタノールのブリード流は、脱水触媒の存在下で脱水され、イソブタノールだけでなくジイソブチルエーテルも脱水され、それによってイソブテンの収率をさらに増加させる。有利には、脱水は触媒上の気相中で行われる。適切な触媒の例は、シリカゲル、酸化トリウム、酸化チタン(IV)、特にアルミナである。一般に、脱水は、250℃~450℃、好ましくは300℃~400℃で行われる。水の存在下で脱水を行うことが有利であり得るが、これは目的のために添加されてもされなくてもよい。
【0060】
停止
副生成物分離ユニットは、プロセスに大きな影響を与えることなく一定時間止めることができる。高沸点副生成物、例えばジイソブタノールまたはトリイソブタノールの形成は低速で起こるため、これらの高沸点副生成物の許容できないレベルまでの蓄積にはいくらかの時間がかかる。
【0061】
プラントの制御された停止は、段階的に実行することができる。最初に、エーテル開裂ユニットは稼働停止され、プラントの残りのユニットが運転中の間、窒素でパージされる。「稼働停止する」とは、エーテル開裂をバイパスし、エーテル開裂をもたらす条件をオフにすること、特に反応器を反応温度未満に冷却することを意味する。エーテル開裂ユニット内にイソブテンおよびイソブタノールがこれ以上形成されないので、イソブタノールはエーテル化ユニットに再循環されない。エーテル化ユニット中のイソブテンに対するイソブタノールのモル比は減少する。比が所定の値を下回るとすぐに、エーテル化ユニットへのイソブテン含有C4炭化水素混合物の流れが止まる。
【0062】
次のステップとして、エーテル化ユニットは稼働停止される。第1の蒸留ユニット、第2の蒸留ユニットおよび副生成物の分離は、全還流モードで運転することができる。最終ステップとして、蒸留を止める。
【0063】
アイランドモード:
イソブテン含有C4炭化水素混合物からイソブテンを除去するための上述のプラントの定常運転は、プロセス入力の連続的な供給源、特にイソブテン含有C4炭化水素混合物、例えばラフィネート1供給原料に依存する。イソブテン含有C4炭化水素混合物の一時的な不足または利用不可能がある場合、プラントを「アイランドモード」にすることができる。この目的のために、生成物流はプラントの入口に向けられる。具体的には、第1の蒸留ユニットで得られた未変換炭化水素を含む上部生成物、および第2の蒸留ユニットで得られたイソブテンを含む上部生成物は、エーテル化ユニットに導かれる。したがって、プラントは正常に運転し続けるが、供給原料および生成物パイプラインからは独立している。これにより、進行中のエネルギー需要を犠牲にしてプロセス入力および生成物パイプラインが再び利用可能になるとすぐに、スムーズな移行が可能になる。
【0064】
エーテル開裂ユニットまたはプラント全体の停止後、製造を再開するのに時間がかかるが、アイランドモードから定常運転への移行はシームレスである。
【0065】
本発明は、添付の図面によって説明される。
【0066】
図1に示すように、イソブテン含有C4炭化水素混合物は、イオン交換体を含むエーテル化ユニットに通され、ここにイソブテンの流れも導かれる。有利には、ユニットは、固定床反応器、例えば流管もしくはループ反応器、または両方のタイプの組み合わせを含む。得られた反応混合物を第1の蒸留ユニットに供給する。第1の蒸留ユニットの上部で、実質的にイソブテンを含まないC4炭化水素ラフィネートを取り出す。第1の蒸留ユニットの底部生成物として得られ、過剰のイソブタノールを含有し得るIBTBEは、エーテル開裂ユニットに供給され、そこで気化され、気化後、酸触媒を含む反応器に通される。この反応器は一般に固定床反応器である。エーテル開裂ユニットから取り出されたイソブテンとイソブタノールの混合物は、第2の蒸留ユニットに通され、そこで純粋なイソブテンが上部生成物として得られる。底部生成物として得られたイソブタノールは、必要に応じてイソブタノールを補充した後、エーテル化ユニットに戻される。有利には、形成された任意の不純物、例えばジイソブチルエーテル、ジイソブテンまたはトリイソブテンを除去するために、ブリード流が取り出される。
【国際調査報告】