(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】レボドパ-チロシンコンジュゲートを含む安定した液体組成物およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/05 20060101AFI20240227BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240227BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240227BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240227BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240227BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240227BHJP
C07K 5/065 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
A61K38/05
A61K45/00
A61K31/198
A61P25/28
A61P25/16
A61P43/00 121
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/54
C07K5/065
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555193
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 IL2022050269
(87)【国際公開番号】W WO2022190100
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522084681
【氏名又は名称】ニューロデルム,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ラクセル,アビタル
(72)【発明者】
【氏名】ガザル,エラナ
(72)【発明者】
【氏名】ダガン-リオン,マッジ
(72)【発明者】
【氏名】バインシュトク,イレナ
(72)【発明者】
【氏名】タルハミ,アラー
(72)【発明者】
【氏名】マインフェルド,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ザウォズニク,エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】モロクマ ケンジ
(72)【発明者】
【氏名】ナカヤマ,カズキ
(72)【発明者】
【氏名】ヨシダ,エイジ
(72)【発明者】
【氏名】ナカオ アキラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB16
4C076CC01
4C076DD49Q
4C076DD50Q
4C076DD50Z
4C076DD51Q
4C076DD59S
4C076EE23Q
4C076EE59
4C076FF31
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA23
4C084CA59
4C084DC50
4C084MA02
4C084MA55
4C084NA05
4C084NA15
4C084ZA02
4C084ZC20
4C084ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA56
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA75
4C206NA05
4C206NA15
4C206ZA02
4C206ZC20
4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA11
4H045BA50
4H045EA20
4H045FA10
4H045GA45
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、レボドパプロドラッグ化合物およびそれらの使用のための方法である。本明細書にさらに開示されるのは、レボドパ-チロシンコンジュゲートおよび安定剤を含む液体医薬配合物であり、液体医薬配合物は、デカルボキシラーゼ阻害薬、例えば、カルビドパ、抗酸化剤、溶媒、または任意の他の薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことができる。さらに開示されるのは、開示されたプロドラッグおよび/または液体医薬配合物を投与するステップを含む、生殖の状態(generative conditions)および/または脳内のドパミンのレベルの低下を特徴とする状態、例えば、パーキンソン病などを治療する方法である。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I)または(III)により表されるレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩:
[化学式1]
【化1】
[式中、Rは、置換することができるアミノ酸側鎖であり;
R
1およびR
2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルカノイル、ホスホノ、スルフィノ、または置換することができるグリコシルであり、ただし、R
1およびR
2は、同時に水素原子ではなく;
R
3およびR
4は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子またはC
1~C
6アルキルであり;
R
5は、水素原子である];または
[化学式3]
【化2】
[式中、R
11およびR
12は、同一または異なり、それぞれ水素、アルキル、アルカノイル、P(=O)(OH)
2、S(=O)(OH)または置換することができるグリコシルであり;
R
13は、置換することができるアルキル、-R
15-O-R
16または少なくとも1個の窒素原子を含む5員ヘテロシクリルであり、R
15は、アルキレンであり、R
16は、水素、アルキル、P(=O)(OH)
2、S(=O)(OH)、または置換することができるグリコシルであり;
R
14は、水素またはアルキルである];
ただし、次の化合物;
(2S)-2-[(2-アミノアセチル)アミノ]-3-(3,4-ジアセチルオキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-6-[(2-クロロフェニル)メトキシカルボニルアミノ]ヘキサノイル]アミノ]-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノイル]アミノ]-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-フェニルプロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2R)-2-アミノ-3-フェニルプロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジアセチルオキシフェニル)プロパン酸、および
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-5-メトキシ-5-オキソペンタノイル]アミノ]-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパン酸
は除く、
レボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
R
3、R
4およびR
5が、水素原子であり、
R
1およびR
2が、同一または異なり、それぞれ水素原子、アセチルまたはホスホノであり、ただし、R
1およびR
2が、同時に水素原子ではない、
請求項1に記載のレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
R
3、R
4およびR
5が、水素原子であり、
R
1が、水素原子であり;
R
2が、ホスホノである、
請求項1または2に記載のレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
アミノ酸側鎖のアミノ酸が、グルタミン酸、バリン、アラニン、リジン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンまたはチロシンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-ホスホノオキシプロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-ホスホノオキシフェニル)プロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-アミノ-5-[[(1S)-1-カルボキシ-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)エチル]アミノ]-5-オキソ-ペンタン酸、
(2S)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-[(2-メチル-2-ホスホノオキシプロパノイル)アミノ]プロパン酸、
および
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[4-[(2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシフェニル]プロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸
からなる群から選択されるレボドパアミノ酸複合体。
【請求項6】
有効成分として、請求項1~5のいずれか一項に記載のレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩を含む、液体医薬組成物。
【請求項7】
神経変性疾患および/または脳内のドパミン濃度の低下によって引き起こされる疾患もしくは症状の治療薬であって、有効成分として、請求項1~5のいずれか一項に記載のレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩を含む、治療薬。
【請求項8】
神経変性疾患および/または脳内のドパミン濃度の低下によって引き起こされる疾患もしくは症状がパーキンソン病である、請求項7に記載の治療薬。
【請求項9】
式(II):
【化3】
のレボドパ-チロシンコンジュゲート(LD-Tyr)、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、またはそれらの任意の組合せ;および
安定剤
を含む、液体医薬組成物。
【請求項10】
約10~約45%w/vの間のLD-Tyr、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項9に記載の液体医薬組成物。
【請求項11】
少なくとも約30%w/vのLD-Tyr、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項9に記載の液体医薬組成物。
【請求項12】
約30~約45%w/vの間のLD-Tyr、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項10または11に記載の液体医薬組成物。
【請求項13】
安定剤が約0.1~約30%w/vの量で存在する、請求項9~12のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項14】
安定剤が塩基を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項15】
塩基が、アルギニン、NaOH、NH
4OH、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、エチレンジアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の液体医薬組成物。
【請求項16】
塩基が、アルギニン、NH
4OH、エチレンジアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の液体医薬組成物。
【請求項17】
塩基が、L-Arg、ジエチルアミン、およびその組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の液体医薬組成物。
【請求項18】
塩基が、L-Arg、エタノールアミン、およびその組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の液体医薬組成物。
【請求項19】
約0.1~約30%w/vの間の塩基を含む、請求項14~18のうちいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項20】
約1.5~約20%w/vの間の塩基を含む、請求項19のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項21】
pHが、約25℃で約5~約10の間の範囲である、請求項9~20のうちいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項22】
pHが、約25℃で約8~約10の間の範囲である、請求項21に記載の液体医薬組成物。
【請求項23】
pHが、約25℃で約8~約9の間の範囲である、請求項22に記載の液体医薬組成物。
【請求項24】
デカルボキシラーゼ阻害薬をさらに含む、請求項9~23のうちいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項25】
デカルボキシラーゼ阻害薬が、カルビドパである、請求項24に記載の液体医薬組成物。
【請求項26】
約0.25~約1.5%w/vの間のデカルボキシラーゼ阻害薬を含む、請求項24または25に記載の液体医薬組成物。
【請求項27】
1種の抗酸化剤または2種以上の抗酸化剤の組合せをさらに含む、請求項9~26のうちいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項28】
抗酸化剤が、それぞれ独立に、アスコルビン酸またはその塩、システイン、亜硫酸水素塩またはその塩、グルタチオン、チロシナーゼ阻害薬、Cu
2+キレート剤、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項27に記載の液体医薬組成物。
【請求項29】
システインが、N-アセチルシステイン(NAC)である、請求項28に記載の液体医薬組成物。
【請求項30】
抗酸化剤が、アスコルビン酸およびNACの組合せである、請求項27~29のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項31】
約0.05~約1.5%w/vの間の1種の抗酸化剤または抗酸化剤の組合せを含む、請求項27~30のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項32】
カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬、界面活性剤、緩衝液、酸、溶媒、またはそれらの任意の組合せのうち少なくとも1種をさらに含む、請求項1~31のうちいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項33】
緩衝液が、TRISである、請求項32に記載の液体医薬組成物。
【請求項34】
約5.0~約40.0%w/vの間の緩衝液を含む、請求項32または33のうちいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項35】
安定剤が、ポリエチレングリコールを含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項36】
2~8℃で2週間後、約1.5%w/v未満のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項37】
2~8℃で2週間後、約0.8%w/v未満のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む、請求項36に記載の液体医薬組成物。
【請求項38】
25℃で2週間後、約5.0%w/v未満のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項39】
25℃で2週間後、約4.0%w/v以下のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む、請求項38に記載の液体医薬組成物。
【請求項40】
神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルの低下を特徴とする状態を治療する方法であって、請求項1~39のいずれか一項に記載の液体医薬組成物の有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項41】
神経変性状態は、パーキンソン病である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
液体医薬組成物が、追加の有効成分と共に患者に同時に投与される、請求項40または請求項41に記載の方法。
【請求項43】
追加の有効成分が、デカルボキシラーゼ阻害薬、COMT阻害薬、MAO阻害薬、および任意のその組合せからなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
液体医薬組成物が、患者にほぼ連続的に投与される、請求項40~43のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
液体医薬組成物が、皮下投与される、請求項40~44のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルの低下を特徴とする状態の治療における使用のための、請求項1~39のいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項47】
神経変性状態が、パーキンソン病である、請求項46に記載の液体医薬組成物。
【請求項48】
追加の有効成分と共に患者に同時に投与される、請求項46または47に記載の液体医薬組成物。
【請求項49】
追加の有効成分が、デカルボキシラーゼ阻害薬、COMT阻害薬、MAO阻害薬、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項48に記載の液体医薬組成物。
【請求項50】
患者にほぼ連続的に投与される、請求項46~49のうちいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【請求項51】
皮下投与される、請求項46~50のうちいずれか一項に記載の液体医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2021年3月10日出願の米国仮出願第63/159,236号および2022年1月3日出願の米国仮出願第62/296,032号の利益および優先権を主張し、そのそれぞれの開示全体は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は、レボドパプロドラッグ化合物およびその医薬用用途に関する。本発明はまた、レボドパ-チロシンコンジュゲート(LD-Tyr)およびそれらの塩を含む安定した組成物、LD-Tyr組成物を調製する方法、ならびに、例えば、神経変性および/または脳内のドパミンのレベルの低下を特徴とする状態、例えば、パーキンソン病の治療においてそれを用いる方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
[0003]パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質ドパミンの濃度の低下を特徴とする変性状態である。レボドパ(L-ドパまたはL-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)は、ドパミンと異なり、血液脳関門を通過することが可能であり、最も一般的には、脳内のドパミン濃度を回復させるために用いられるドパミンの即時型代謝前駆体である。過去40年にわたって、レボドパは、依然として、パーキンソン病の治療のための最も有効な療法である。
【0004】
[0004]しかしながら、レボドパによるパーキンソン病のための従来の治療は、医学文献の記録の多くの理由で適切でないことが証明されている。例えば、一部の患者は、以前に有効だった投与量が、最終的に、いかなる治療効果をももたらすことができないように、最終的に、レボドパに対して反応が低下する。したがって、レボドパを全身投与すると、最初は臨床的に有益な効果をもたらす一方、副作用をもたらし得るような高用量まで投与量を増加させる必要性を伴う。そうした理由のために、レボドパ治療の恩恵はしばしば、初期の治療応答に関係なく、療法の約3または4年後に減弱し始める。
【0005】
[0005]レボドパを末梢投与すると、投与されたレボドパの約1~3%のみ、変質しなかった脳に入ることができ、レボドパの大部分は、主に、レボドパをドパミンに脱炭酸することにより、脳外に代謝され、血液脳関門を通過せず、したがって、治療において有効でないという事実をさらに伴う。レボドパのドパミンへの代謝的変換は、腸管粘膜、肝臓、脳および脳毛細血管において特に濃度が高い遍在性の酵素である、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ酵素により触媒される。レボドパを脳外に代謝する可能性により、多量のレボドパを投与する必要があり、ドパミンの脳外濃度が高くなる。レボドパおよび末梢ドパミンデカルボキシラーゼ(芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ)阻害薬、例えば、カルビドパまたはベンセラジドなどの同時投与は、レボドパの用量の所要量、それぞれ、副作用のいくつかを減少させることが判明しているが;しばしば、得られた減少は、不十分である。
【0006】
[0006]最後に、レボドパへの臨床応答におけるいくつかの変動は、治療の延長による頻度の増加と共に生じる。一部の患者において、これらの変動は、「ウェアリング・オフ反応(wearing-off reaction)」または「薬の切れ際の(end-of-dose)無動」として知られる、レボドパ摂取のタイミングに関係する。他の例では、臨床状態における変動は、投与のタイミングと関係せず、一般に、「オンオフ現象」と称される。オンオフ現象において、著明な無動および動作緩慢の「オフ期間」は、数時間にわたって、可動性の改善の「オン期間」と交互に現れ、これらは、厄介なジスキネジアをしばしば伴う。
【0007】
[0007]脳内の所望のドパミン濃度を維持するために、レボドパを含有する配合物をポンプで連続的に投与する方法が開発されている。一例として、L-ドパ/カルビドパゲル(欧州ではDuoDopa(登録商標)、米国ではDuopa(登録商標)の商品名で知られている)の連続的な経腸送達のための方法が知られており、この方法を用いてパーキンソン病の治療が行われている。しかしながら、腸への刺入を要するため、患者への負担が大きく、したがって、より低侵襲で薬物動態的に安定した送達系が求められている。低侵襲性の送達系の一例として、ポンプを用いて溶液配合物を皮下投与する方法がある。そのような配合物は、現在研究中であるが、まだ市場には出ていない。
【0008】
[0008]前述した通り、パーキンソン病の治療における連続送達系の最適な配合物を開発する場合、有効成分が配合物中で可溶性でありかつ安定していることが必要である。多くの異なるアプローチを考慮することができるが、有効成分そのものの溶解性を改善するためには、新規なレボドパプロドラッグの創製が一つのアプローチとなり得る。例えば、アミノ酸をレボドパ分子に付加するプロドラッグが公知である(米国特許第3803120号)。さらに、リン酸エステルを有するレボドパプロドラッグ化合物もやはり公知である(国際特許公開第WO2017/184871号)。
【0009】
[0009]さらに、上述した不利な点の多くが、レボドパの好ましくない薬物動態学的特性から、さらに詳細には、in vivoにおけるその難水溶性、バイオアベイラビリティおよび高速な分解から生じるということが当技術分野において広く受け入れられている。別のアプローチは、障害、例えば、パーキンソン病などの治療用に安定性を高めた、効果的な治療用配合物を開発することであり得る。
【0010】
[0010]アミノ基およびカルボン酸基を含有する、アミノ酸は、タンパク質の基本単位である。一般に、アミノ酸は、体において主な役割を果たし、組織タンパク質形成および酵素ホルモン形成に関与することが知られている。したがって、アミノ酸の任意の欠乏は、タンパク質合成に影響を与える。アミノ酸は、遺伝子発現に関連するプロセスを調節することも知られ、さらに、アミノ酸は、メッセンジャーRNA翻訳に関与するタンパク質機能を修飾する。いくつかのアミノ酸、例えば、チロシンなどは、人体で合成される一方で、必須アミノ酸として知られる、例えば、アルギニンおよびリジンは、食事により消費される。ランチオニンアミノ酸は、天然であるが、非タンパク質性、ジアミノ二酸(diamino diacid)であり、アミノ酸システインに構造的に関連する。ランチオニンは、2つのアラニン残基(R/S立体配置)に結合される、中心の単一の硫黄部分を有し、ランチオニンの異なるステレオメリックの形態の可能性をもたせる。
【0011】
[0011]アミノ酸が、水溶液中でイオン化され、溶液のpHは、アミノ酸のイオン種に影響を与え、アミノ酸は、両性イオン、陽イオンまたは陰イオンの形態であるかどうか決定する。皮膚を通した様々な化合物の透過係数は、それらのイオン型に依存し、イオン化されていない種は、一般に、イオン化された種と比較して透過係数が高く、さらに、陽イオンは、一般に、陰イオンより透過係数が高い。
【0012】
[0012]米国特許第3,803,120号、米国特許第4,035,507号、米国特許第5,686,423号および米国特許出願第2002/099013号は、いくつかのレボドパアミノ酸およびレボドパペプチドコンジュゲートを開示しているが;配合物に関する詳細は、その中で示されておらず、示された場合、固体の経口配合物のみが考えられる。液体組成物を調製する理論的なオプションは、米国特許第3,803,120号(US‘120中の3段、49~53行目)において簡潔に言及されているが;かかる組成物は調製されておらず、さらに、コンジュゲートが可溶性であることが誤って開示されている(3段、65~66行目)。
【0013】
[0013]さらに、レボドパアミノ酸コンジュゲート、例えば、LD-Tyrは、不安定であり得、かつ/または経時的に不純物を形成し得る。例えば、LD-Tyrは、以下のスキームに示す通り、ジケトピペラジン(DKP)不純物を形成する傾向がある。
【0014】
【0015】
[0014]上記で詳述した通り、有効で、安定した配合物、特に、障害、例えば、パーキンソン病を治療するための液体配合物への必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0016】
[0015]本開示は、新規なプロドラッグを創製することにより、レボドパと比較して溶液中での溶解性および安定性が改善され、化合物が体内でレボドパに変換されることを可能にする新規な化合物を提供することを意図する。
【0017】
[0016]本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、一般式(I)または(III)により表されるレボドパプロドラッグ化合物が、高いレボドパ転換効率を有し、溶液の溶解性および安定性が良好であることを見出し、したがって、本発明を完成するに至った。
【0018】
[0017]したがって、一実施形態では、本開示は、次の式(I)もしくは(III)により表されるレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩:
[化学式1]
【0019】
【0020】
[式中、Rは、置換することができるアミノ酸側鎖であり;
R1およびR2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、C1~C6アルキル、C1~C6アルカノイル、ホスホノ、スルフィノ、または置換することができるグリコシルであり、ただし、R1およびR2は、同時に水素原子ではなく;
R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子またはC1~C6アルキルであり;
R5は、水素原子である]、または
[化学式3]
【0021】
【0022】
[式中、R11およびR12は、同一または異なり、それぞれ水素、アルキル、アルカノイル、P(=O)(OH)2、S(=O)(OH)または置換することができるグリコシルであり;
R13は、置換することができるアルキル、-R15-O-R16または少なくとも1個の窒素原子を含む5員ヘテロシクリルであり、R15は、アルキレンであり、R16は、水素、アルキル、P(=O)(OH)2、S(=O)(OH)、または置換することができるグリコシルであり;
R14は、水素またはアルキルであり;
ただし、次の化合物;
(2S)-2-[(2-アミノアセチル)アミノ]-3-(3,4-ジアセチルオキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-6-[(2-クロロフェニル)メトキシカルボニルアミノ]ヘキサノイル]アミノ]-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノイル]アミノ]-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-フェニルプロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2R)-2-アミノ-3-フェニルプロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジアセチルオキシフェニル)プロパン酸、および
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-5-メトキシ-5-オキソペンタノイル]アミノ]-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパン酸
は除く]に関する。
【0023】
[0018]特定の実施形態では、本開示はさらに、R3、R4およびR5が水素原子である、上記(1)によるレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩に関する。
R1およびR2は、同一または異なり、それぞれ水素原子、アセチルまたはホスホノであり、ただし、R1およびR2は、同時に水素原子ではない。
【0024】
[0019]特定の実施形態では、本開示はさらに、R3、R4およびR5が水素原子である、上記(1)または(2)によるレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩に関する。
【0025】
R1は、水素原子であり;
R2は、ホスホノである。
[0020]特定の実施形態では、本開示はさらに、アミノ酸側鎖のアミノ酸がグルタミン酸、バリン、アラニン、リジン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンまたはチロシンである、上記の実施形態のいずれか1つに記載のレボドパアミノ酸複合体、または薬学的に許容されるその塩に関する。
【0026】
[0021]特定の実施形態では、本開示はさらに、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-ホスホノオキシプロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(4-ホスホノオキシフェニル)プロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-アミノ-5-[[(1S)-1-カルボキシ-2-(3,4-ジアセトキシフェニル)エチル]アミノ]-5-オキソ-ペンタン酸、
(2S)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-[(2-メチル-2-ホスホノオキシプロパノイル)アミノ]プロパン酸、および
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-[4-[(2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシフェニル]プロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸
からなる群から選択されるレボドパアミノ酸複合体に関する。
【0027】
[0022]特定の実施形態では、本開示はさらに、上記の実施形態のいずれか1つによるレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩を有効成分として含む液体医薬組成物に関する。
【0028】
[0023]特定の実施形態では、本開示はさらに、神経変性疾患および/または脳内のドパミン濃度の低下によって引き起こされる疾患もしくは症状の治療薬に関し、この治療薬は、上記実施形態のいずれか1つに記載のレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩を有効成分として含む。特定の実施形態では、神経変性疾患および/または脳内のドパミン濃度の低下によって引き起こされる疾患もしくは症状は、パーキンソン病である。
【0029】
[0024]本明細書で提供されるのは、とりわけ、レボドパ-チロシンコンジュゲート(LD-Tyr)またはその塩(例えば、薬学的に許容されるその塩)を含む組成物、例えば、薬学的に許容される組成物、例えば、安定性が改善された液体医薬組成物である。かかる組成物を調製する方法もやはり本明細書中に記載されている。やはり開示されるのは、例えば、神経変性および/または脳内のドパミンのレベルの低下を特徴とする状態、例えば、パーキンソン病の治療において、LD-Tyrおよび薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物、およびそれを含む組成物を用いる方法である。
【0030】
[0025]本明細書中に開示されるのは、
式(II):
【0031】
【0032】
のレボドパ-チロシン(LD-Tyr)コンジュゲート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、またはそれらの任意の組合せ;および安定剤を含む液体医薬組成物である。
【0033】
[0026]一部の実施形態では、本明細書中に開示される液体医薬組成物は、約10~約45%w/vの間、少なくとも30%w/v、または約30~約45%w/vの間のLD-Tyr、もしくは鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0034】
[0027]一部の実施形態では、安定剤は、約0.1~約30%w/vの量で存在する。
[0028]一部の実施形態では、安定剤は、塩基を含む。一部の実施形態では、塩基は、アルギニン、NaOH、NH4OH、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、エチレンジアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、塩基は、アルギニン、NH4OH、エチレンジアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、塩基は、L-Arg、ジエチルアミン、およびその組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、塩基は、L-Arg、エタノールアミン、およびその組合せからなる群から選択される。
【0035】
[0029]一部の実施形態では、液体医薬組成物は、約0.1~約30%w/vの間の塩基を含む。一部の実施形態では、液体医薬組成物は、約1.5~約20%w/vの間の塩基を含む。
【0036】
[0030]一部の実施形態では、本明細書中に開示される液体医薬組成物は、約25℃で、pHが、約5~約10の間の範囲である。一部の実施形態では、本明細書中に開示される液体医薬組成物は、pHが、約8~約10の間の範囲である。一部の実施形態では、本明細書中に開示される液体医薬組成物は、pHが、約8~約9の間の範囲である。
【0037】
[0031]一部の実施形態では、本明細書中に開示される液体医薬組成物は、式IIの化合物の遊離塩基および対イオンを含むことができる。
[0032]一部の実施形態では、本明細書中に開示される液体医薬組成物は、デカルボキシラーゼ阻害薬を含むこともできる。例えば、一部の実施形態では、デカルボキシラーゼ阻害薬は、カルビドパである。一部の実施形態では、本明細書中に開示される液体医薬組成物は、約0.25~約2.0%w/vの間のデカルボキシラーゼ阻害薬を含むこともできる。
【0038】
[0033]本明細書中に記載される前述の液体医薬組成物のうちのいずれかは、1種の抗酸化剤または2種以上の抗酸化剤の組合せをさらに含むことができる。例えば、一部の実施形態では、本明細書中に記載される液体医薬組成物は、アスコルビン酸またはその塩、システイン、例えば、N-アセチルシステイン(NAC)、亜硫酸水素塩またはその塩、グルタチオン、チロシナーゼ阻害薬、Cu2+キレーター、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される抗酸化剤を含むことができる。一部の実施形態では、本明細書中に記載される液体医薬組成物は、約0.05~約1.5%w/vの間の1種の抗酸化剤または抗酸化剤の組合せを含むことができる。一部の実施形態では、液体医薬組成物は、アスコルビン酸およびNACの組合せを含む。
【0039】
[0034]本明細書中に記載される前述の液体医薬組成物のうちのいずれかは、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬、界面活性剤、緩衝液、酸、塩基、溶媒、または任意のその組合せのうちの少なくとも1種をさらに含むことができる。一部の実施形態では、液体医薬組成物は、約5.0~約40.0%w/vの間の緩衝液、塩基または溶媒を含む。例えば、一部の実施形態では、本明細書中に記載される液体医薬組成物は、溶媒を含むことができ、溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トロメタミン、トリス(TRIS))、エーテル、例えば、テトラヒドロフランおよび1,4-ジオキサンなど、アミド、例えば、N,N-ジメチルホルムアミドおよびN-メチルピロリドンなど、ニトリル、例えば、アセトニトリルなど、ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、クロロホルムおよびジクロロメタンなど、芳香族炭化水素、例えば、トルエンまたは任意のその組合せであり得る。いくつかの材料、例えば、トロメタミン(TRIS)は、例えば、塩基、緩衝液、溶媒、または任意のその組合せのような、組成物および機能に加えることができることに留意されたい。一部の実施形態では、本明細書中に記載される液体医薬組成物は、界面活性剤を含むことができ、界面活性剤は、Tween-80である。一部の実施形態では、本明細書中に記載される液体医薬組成物は、溶媒および界面活性剤を含むことができ、溶媒は、NMPであり、界面活性剤は、Tween-80である。一部の実施形態では、液体医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/vの間の界面活性剤、例えば、0.1~約1.0%w/vの間のTween-80を含むことができる。一部の実施形態では、液体医薬組成物は、約5.0~約40.0%w/vの間の溶媒、例えば、約5.0~約40.0%w/vの間のNMPを含むことができる。
【0040】
[0035]いくつかの実施形態では、溶媒は、TRISである。特定の実施形態では、安定剤は、ポリエチレングリコールを含む。
[0036]特定の実施形態では、液体医薬組成物は、2~8℃で2週間後、約1.5%w/v未満のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、2~8℃で2週間後、約0.8%w/v未満のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、25℃で2週間後、約5.0%w/v未満のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、25℃で2週間後、約4%w/v以下のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む。
【0041】
[0037]本明細書中でやはり開示されるのは、神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルの低下を特徴とする状態を治療する方法であり、本方法は、本明細書に記載される液体医薬組成物を投与するステップを含む。
【0042】
[0038]例えば、本明細書中に開示されるのは、神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルの低下を特徴とする状態を治療する方法であり、本方法は、LD-Tyrおよび安定剤を含む液体医薬組成物を投与するステップを含む。
【0043】
[0039]本明細書中に開示されるのは、神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルを低下させることを特徴とする状態を治療する方法であり、神経変性状態は、パーキンソン病である。
【0044】
[0040]治療する開示される方法の一部の実施形態では、液体医薬組成物は、追加の有効成分と同時に投与される。例えば、一部の実施形態では、追加の有効成分は、デカルボキシラーゼ阻害薬、COMT阻害薬、MAO阻害薬、または任意のその組合せである。
【0045】
[0041]本明細書中に開示されるものを治療する方法の一部の実施形態では、液体医薬組成物は、ほぼ連続的に投与される。一部の実施形態では、液体医薬組成物は、皮下投与される。
【0046】
[0042]本明細書中でやはり開示されるのは、神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルの低下を特徴とする状態の治療における使用のための液体医薬組成物である。
[0043]本明細書中に開示されるのは、神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルの低下を特徴とする状態の治療における使用のための液体医薬組成物であり、神経変性状態は、パーキンソン病である。
【0047】
[0044]いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物は、追加の有効成分、例えば、デカルボキシラーゼ阻害薬、COMT阻害薬、MAO阻害薬、およびそれらの任意の組合せと共に患者に同時に投与される。
【0048】
[0045]いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物は、患者にほぼ連続的に投与される。さらなる実施形態によれば、液体医薬組成物は、皮下投与される。
[0046]本発明の実施形態は、本明細書中に開示される通り、液体医薬組成物の有効量を患者に皮下投与するステップを含む、パーキンソン病の治療を必要とする患者においてパーキンソン病を治療する方法をさらに対象とする。本発明のさらなる実施形態は、神経変性状態および/または脳内ドパミンのレベルの低下を特徴とする状態、例えば、パーキンソン病を治療するための、本明細書に開示される液体医薬配合物の使用を対象とする。
【0049】
[0047]本明細書中でやはり開示されるのは、液体医薬組成物を調製するための方法であり、前記方法は、LD-Tyrの薬学的に許容される塩を提供するステップと;薬学的に許容される塩を少なくとも1種の溶媒と組み合わせ、それによって、溶液、ゲル、クリーム、エマルション、または懸濁液を形成するステップと;溶液、ゲル、クリーム、エマルション、または懸濁液を安定剤と組み合わせるステップと;溶液、ゲル、クリーム、エマルション、または懸濁液のpHを、生理学的に許容されるpH値に調整し、それによって、液体医薬組成物を生成するステップとを含む。
【0050】
[0048]一部の実施形態では、本明細書中に記載される液体医薬組成物を調製するための方法は、LD-Tyrの薬学的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、または任意のその組合せを提供するステップを含む。
【0051】
[0049]本明細書中に記載される方法の一部の実施形態では、薬学的に許容される塩の形態の式(II)のLD-Tyr化合物を、少なくとも1種の溶媒および少なくとも1種の安定剤と混合し、それにより、溶液を形成させる。一部の実施形態では、本方法には、塩基性溶液を加えるステップを含む、pHを調整するステップが含まれる。例えば、一部の実施形態では、本方法には、塩基性溶液を加えるステップを含む、pHを調整するステップが含まれ、塩基性溶液は、NaOHを含む。一部の実施形態では、本方法は、加熱を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】[0050]示された塩基を含むLD-Tyr配合物における、2~8℃での経時的なLD-Tyr-ジケトピペラジン(LD-Tyr-DKP)の形成速度を示すグラフである。
【
図2】[0051]示された塩基を含むLD-Tyr配合物における、25℃での経時的なLD-Tyr-ジケトピペラジン(LD-Tyr-DKP)の形成速度を示すグラフである。
【
図3】[0052]ラットの血液中でのインキュベーション後のLD-TyrのK
RBC/PLを示す図である。
【
図4】[0053]ミニブタ血液中でのインキュベーション後のLD-TyrのK
RBC/PLを示す図である。
【
図5】[0054]ヒトの血液中でのインキュベーション後のLD-TyrのK
KRBC/PLを示す図である。
【
図6】[0055]18時間連続皮下注入を行った後の飼育ブタにおける複合平均血漿LD-Tyr濃度対時間プロフィールを示す図である。
【
図7】[0056]LD-Tyrの18時間連続皮下注入を行った後の飼育ブタにおける複合平均血漿LD濃度対時間プロフィールを示す図である。
【
図8】[0057]高濃度のLD-Tyrおよび1%CDの18時間連続皮下注入を行った後の飼育ブタにおける複合平均血漿LD濃度対時間のプロフィールを示す図である。
【
図9】[0058]高濃度のLD-Tyrおよび0.5%CDの18時間連続皮下注入を行った後の飼育ブタにおける複合平均血漿LD濃度対時間のプロフィールを示す図である。
【
図10】[0059]LD-Tyrおよび様々な量のCDの18時間連続皮下注入を行った後の飼育ブタにおける複合平均血漿LD濃度対時間プロフィールを示す図である。
【
図11】[0060]異なるCD濃度と共に、30%LD-Tyrの18時間連続SC注入を行った後の飼育ブタにおける複合平均正規化LD血漿濃度対時間プロフィールを示す図である。
【
図12】[0061]飼育ブタにおける、30%LD-Tyrおよび1%CDの異なる容量のボーラス注入ならびに2時間の連続SC注入を行った後の複合平均血漿LD濃度対時間プロフィールを示す図である。
【
図13】[0062]2700mg投薬レジメンの複合平均血漿LD-TyrおよびLD濃度対時間プロフィールを示す図である。PKパラメーターも示す。
【
図14】[0063]5400mg投薬レジメンの複合平均血漿LD-TyrおよびLD濃度対時間プロフィールを示す図である。PKパラメーターも示す。
【
図15】[0064]2700mgおよび5400mg投薬レジメンの複合平均血漿LD濃度対時間プロフィールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
[0065]本開示の特徴および他の詳細は、ここに、より詳細に記載される。本明細書、実施例、および添付した特許請求の範囲において使用されるいくつかの用語は、ここに収集される。これらの定義は、本開示の以下の部分に照らして読まれ、当業者により理解されるべきである。別段定義されていない限り、本明細書中に用いられるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって普通に理解されているものと同じ意味を有する。
【0054】
[0066]用語「治療する」、「治療」、「治療している」などは、所望の薬理効果および/または生理学的効果を得ることを一般に意味するために本明細書中で用いられる。この効果は、疾患および/または疾患に起因した有害作用を部分的にまたは完全に治癒する点から見て治療的であり得る。用語「治療」とは、本明細書で使用される場合、哺乳動物、特に、ヒトにおける疾患の任意の治療を含み、(a)疾患を抑制すること、すなわち、疾患が、重症度もしくは範囲を増加するのを防ぐこと;(b)疾患を軽減すること、すなわち、疾患の部分もしくは完全寛解をもたらすこと;または(c)疾患の再発を防ぐこと、すなわち、疾患が、疾患の症状の以前の治療の成功もしくは疾患の治療後、活動状態に戻るのを防ぐことを含む。
【0055】
[0067]「予防する」は、状況、障害、疾患、もしくは状態に苦しみ得るまたはそれらの素因になり得るが、状況、障害、疾患、もしくは状態の臨床症状または不顕性症状をまだ経験していないまたは示していない対象において発現する、状況、障害、疾患、または状態の臨床症状、合併症、または生化学的兆候の開始を遅延することを含む。「予防する」は、対象における、または対象において発現する、状況、障害、疾患、もしくは状態の臨床症状、合併症、または生化学的兆候を予防的に治療することを含めた、対象における、または対象において発現する、状況、障害、疾患、または状態を予防的に治療することを含む。
【0056】
[0068]用語「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」とは、本明細書で使用される場合、同義的に、薬剤投与と適合性がある、任意のおよびすべての溶媒、分散媒体、コーティング剤、等張剤および吸収遅延剤などを意味する。
【0057】
[0069]用語「医薬組成物」および「医薬配合物」とは、本明細書で使用される場合、1種もしくは複数の薬学的に許容される賦形剤と共に配合される、少なくとも1種の生物活性化合物、例えば、本明細書中に開示される通り、レボドパアミノ酸コンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩を含む、組成物または配合物を意味する。用語「配合物」および「組成物」とは、別段詳細に言及されない限り、または別段当業者が理解する場合を除いては、置き換え可能であることに留意されたい。
【0058】
[0070]本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩(複数可)」とは、本明細書中に開示される組成物において用いられるコンジュゲートと共に形成することができる酸性基または塩基性基の塩を意味する。
【0059】
[0071]「個体」、「患者」、または「対象」は、同義的に用いられ、哺乳動物、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、またはヒト以外の霊長類、およびヒトを含めた、任意の動物を含む。一部の実施形態では、本発明の方法で治療される哺乳動物は、神経変性状態、例えば、パーキンソン病および/または脳内のドパミン濃度の低下により引き起こされる疾患もしくは症状に罹患しているヒトである。
【0060】
[0072]用語「約」とは、本明細書で使用される場合、そうではないことが具体的に言及されない限り、または別段当業者が理解する場合を除いては、列挙された値(複数可)の±10%の範囲を包含すると考えられる。提供された任意の値が、用語「約」を使用せずとも、その値の±10%の範囲を包含することがやはり考えられ得ることにさらに留意されたい。これには、実施例セクション中の値が含まれ、これらは、使用された用具および機械類、化合物の純度などによって変わり得る。
【0061】
[0073]本明細書で使用する用語「安定した」とは、別段詳細に言及されない限り、溶液中で分解しない、または分解しにくい物質の状態を指す。したがって、本明細書で使用される場合、用語「安定した」とは、例えば、物質の溶液を調製し、溶液の調製直後に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の面積百分率法を用いて測定した物質のピーク面積比と、25℃で約1日放置した後の物質のピーク面積比とを比較した場合に、ピーク面積比の減少が観察されない、またはピーク面積比の減少の程度が小さいことを意味する。別の実施形態では、用語「安定した」とは、物質、例えば、配合物を、少なくとも×1.75の倍率で目視した後、沈殿物が目視できなかったような、指示された期間後に物理的に安定した物質を指す。
【0062】
[0074]本明細書で使用される場合、用語「安定剤」という用語は、別段詳細に言及されない限り、または別段当業者が理解する場合を除いては、物質、例えば、液体医薬配合物の沈殿または不純物の発生を防止するまたは遅らせる物質を指す。したがって、本明細書で使用される場合、用語「安定剤」とは、強化された安定性、例えば、物理的および/または化学的安定性を液体医薬組成物に提供する任意の賦形剤を指す。安定剤は、例えば、溶媒、緩衝液、塩基、酸、またはそれらの任意の組合せであってもよく、したがって、本明細書において、例えば、溶媒、緩衝液と称される任意の賦形剤も、同様に安定剤と考えることができる。
【0063】
[0075]用語「液体」とは、本明細書で使用される場合、そうではないことが具体的に言及されない限り、または別段当業者が理解する場合を除いては、ゲル、水性および非水性組成物などを含めた、流体の任意のタイプを意味する。
【0064】
[0076]本明細書で使用される場合、用語「組み合わせて用いる」とは、別段詳細に言及されない限り、2種以上の有効成分を組み合わせて投与することを意味し、これらの有効成分を別々にまたは同じ組成物中に同時に投与することを含み、また、2種以上の有効成分を同じ日に連続して投与すること、および有効成分を所定の時間互いに分離して投与することを含み、さらに、2種以上の有効成分を異なる日に投与することを含む。
【0065】
[0077]用語「同時の」とは、本明細書で使用される場合、そうではないことが具体的に言及されない限り、または別段当業者が理解する場合を除いては、別々のまたは同じ組成物で、同時のそれらの有効成分の投与を含めた、2種以上の有効成分の併用投与の任意のタイプ、ならびに順次、継続的に、同じ日に、有効成分の投与を互いに分ける所定の期間などで、2種以上の有効成分を投与することを意味する。
【0066】
[0078]用語「連続的に」および「ほぼ連続的に」とは、本明細書で使用される場合、そうではないことが具体的に言及されない限り、または別段当業者が理解する場合を除いては、組成物が、約24時間、約12時間、約5時間、約3時間、約1時間、約30分、約15分、約5分または約1分未満の休止と共に、全期間にわたって投与される期間を意味する。組成物が投与される期間は、少なくとも約6時間、約8時間、約12時間、約15時間、約18時間、約21時間、約24時間、3日、7日、2週間、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年、2年、3年、5年、10年などであり得る。
【0067】
[0079]用語「生理的に許容されるpH値」などとは、本明細書で使用される場合、そうではないことが具体的に言及されない限り、または別段当業者が理解する場合を除いては、約4.5~約10の間の範囲のpH値を意味する。これらの例を含めて、pH値が示される場合、これらの値は、測定されたpHが8.1である場合、同じ配合物は、pH約8.0または8.2を示すように調製することができるような、列挙された値(複数可)の約±0.1および/または±10%の範囲であり得ることにさらに留意されたい。かかる差は、温度変化、様々な測定デバイスなどが原因であり得る。
【0068】
I.プロドラッグ
[0080]本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩は、レボドパへの転換効率が良好であり、神経変性疾患および/または脳内のドパミン濃度の低下によって引き起こされる疾患または症状、例えば、パーキンソン病の予防薬または治療薬として有用である。
【0069】
[0081]さらに、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩は、溶解性が高く、さらに、溶液中での安定性が高く、溶液状態での取り扱いが容易であり、したがって、定常の送達系の形態での使用に非常に適している。
【0070】
[0082]本発明において、アルキルとは、1~6個の炭素原子(C1~6)を有する直鎖状または分枝状の飽和炭化水素基を指す。特に、1~4個の炭素原子を有する基(C1~4)が好ましい。その詳細な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシルなどが挙げられる。特に、メチルが好ましい。
【0071】
[0083]アルカノイルとは、前述のアルキルが、カルボニルに結合される一価の基を指し、それらの例としては、1~6個の炭素原子(C1~6)を有する直鎖状または分枝状のアルキル-CO-が含まれる。その特定の例としては、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル(heptanoyle)などが含まれる。特に、アセチルが好ましい。
【0072】
[0084]アミノ酸側鎖とは、天然の、合成の、非-天然の、または非タンパク新生のアミノ酸のアミノ酸側鎖を指し、アミノ酸の例には、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ランチオニン、セレノシステイン、ピロリジン、ADDAアミノ酸((2S,3S,4E,6E,8S,9S)-3-アミノ-9-メトキシ-2,6,8-トリメチル-10-フェニルデカ-4,6-ジエン酸)、β-アラニン、4-アミノ安息香酸、γ-アミノ酪酸、S-アミノエチル-L-システイン、2-アミノイソ酪酸、アミノレブリン酸、アゼチジン-2-カルボン酸、カナリン、カナバニン、カルボキシグルタミン酸、クロロアラニン、シスチン、デヒドロアラニン、ジアミノピメリン酸、ジヒドロキシフェニルグリシン、エンドウラシジン(endouracidine)、ホモセリン、4-フェニルグリシン、ヒドロキシプロリン、ハイプシン、β-ロイシン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、ペニシラミン、プラコヒパホリン(placohipaphorin)、ピログルタミン酸、キスカル酸、サルコシン、テアニン、トラネキサム酸、トリコロミン酸、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンが含まれる。特に、グルタミン酸、バリン、アラニン、リジン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンまたはチロシンが好ましい。
【0073】
[0085]本明細書で、本発明におけるアミノ酸側鎖は、置換することができ、その例としては、-P(O)(OR6)2(式中、R6は、水素、アルキルなどである)、グルコシル基(例えば、[(2R,3S,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-2-イル]など)、隣接する別の基に結合して、置換することができるアルキレン基を形成する基(置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基などが含まれる)などが含まれる。置換アミノ酸側鎖の例には、チロシン側鎖、セリン側鎖、スレオニン側鎖、または例えば、(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチルなどのヒドロキシを有するアミノ酸側鎖が置換されるものが含まれ、その特定の例には、ホスホノオキシメチル、(4-ホスホノオキシフェニル)メチル、[4-[(2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシフェニル]メチル、(2,2-ジメチル-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル)メチル、(2-エトキシ-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル)メチルなどが含まれる。
【0074】
[0086]本発明において、グリコシルの発生源である単糖類には、アルドース、例えば、グルコース(デキストロース)、リボース、エリスロース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトースなど、ならびにケトース、例えば、リブロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、およびタガトースなどが含まれる。これらの単糖類は、d-型、l-型、またはdl-型のものであり得る。本明細書で、本発明における単糖は、置換することができ、置換基の例には、カルボニル基、アセチルアミノ基、スルフィノオキシ基、ホスホノオキシ基などが含まれる。置換単糖類の特定の例には、グルクロン酸、N-アセチルグルコサミン、グルコピラノシド-6-(硫酸水素)などが含まれる。
【0075】
[0087]本発明には、一実施形態として、一般式(I)もしくは(III)により表されるレボドパアミノ酸複合体または薬学的に許容されるその塩:
[化学式1]
【0076】
【0077】
[式中、Rは、置換することができるアミノ酸側鎖であり;
R1およびR2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、C1~C6アルキル、C1~C6アルカノイル、ホスホノ、スルフィノ、または置換することができるグリコシルであり、ただし、R1およびR2は、同時に水素原子ではなく;
R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子またはC1~C6アルキルであり;
R5は、水素原子である]、または
[化学式3]
【0078】
【0079】
[式中、R11およびR12は、同一または異なり、それぞれ水素、アルキル、アルカノイル、P(=O)(OH)2、S(=O)(OH)または置換することができるグリコシルであり;
R13は、置換することができるアルキル、-R15-O-R16または少なくとも1個の窒素原子を含む5員ヘテロシクリルであり、R15は、アルキレンであり、R16は、水素、アルキル、P(=O)(OH)2、S(=O)(OH)、または置換することができるグリコシルであり;
R14は、水素またはアルキルであり;
ただし、次の化合物;
(2S)-2-[(2-アミノアセチル)アミノ]-3-(3,4-ジアセチルオキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-6-[(2-クロロフェニル)メトキシカルボニルアミノ]ヘキサノイル]アミノ]-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノイル]アミノ]-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-フェニルプロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパン酸、
(2S)-2-[[(2R)-2-アミノ-3-フェニルプロパノイル]アミノ]-3-(3,4-ジアセチルオキシフェニル)プロパン酸、および
(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-5-メトキシ-5-オキソペンタノイル]アミノ]-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパン酸
は除く]が含まれる。
【0080】
[0088]本発明の化合物(I)または(III)がその分子中に不斉炭素原子を有する場合、不斉炭素原子に基づいた立体異性体(光学異性体、ジアステレオマー異性体)が存在し得る。本発明の化合物(I)または(III)には、これらの立体異性体のいずれか1つ、およびそれらの混合物が含まれる。
【0081】
[0089]本発明の化合物(I)または(III)には、同位体(例えば、3H、13C、14C、15N、18F、32P、35S、125Iなど)で標識された化合物が含まれ、重水素転換体が含まれる。
【0082】
[0090]本発明の化合物(I)または(III)は、遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態または共結晶の形態のいずれかで、製薬目的で用いることができる。本発明の化合物(I)または(III)の薬理学的に許容される塩の例としては、無機酸付加塩(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸の塩など)、有機酸付加塩(例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、マンデル酸、リンゴ酸、パントテン酸、メチル硫酸の塩など)、無機塩基付加塩(ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アミノ酸の塩(グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リジンの塩など)などが含まれる。
【0083】
[0091]本発明の化合物(I)もしくは(III)または薬理学的に許容されるその塩には、それらの分子内塩または付加体、それらの溶媒和物または水和物などのいずれかが含まれる。
【0084】
[0092]本発明の化合物(I)もしくは(III)または薬学的に許容されるその塩は、単独で、または化合物(I)もしくは(III)または薬学的に許容されるその塩および薬理学的に許容される担体を含む医薬組成物として、経口投与することも非経口投与することもできる。薬理学的に許容される担体は、当技術分野において一般的に用いられる担体でもよく、その例には、希釈剤、結合剤(例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、およびポリビニルピロリドンなど)、賦形剤(例えば、ラクトース、スクロース、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビトール、およびグリシンなど)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、およびシリカなど)、崩壊剤(例えば、デンプンカリウムなど)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)などが含まれる。さらに、液体医薬組成物、例えば、注射または輸液などを生成する場合、当技術分野において一般的に用いられる担体を用いることができ、その例としては、水性溶媒(例えば、注射用水、および精製水など)、等張化剤(isotonizing agent)(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ホウ砂、グルコース、およびプロピレングリコールなど)、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸緩衝液、およびε-アミノカプロン酸緩衝液など)、保存剤(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ホウ酸、およびホウ砂など)、無痛化剤(例えば、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、ベンジルアルコール、およびクロロブタノールなど)、粘稠剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコールなど)、安定剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびジブチルヒドロキシトルエンなど)、pH調整剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、および酢酸など)などが含まれる。液体医薬組成物は、前述した本発明の化合物を、これらの担体を適切に加える溶液に、溶解または分散させることにより生成することができる。かかる薬学的に許容される添加剤は、目的に従って当業者により適切に選択することができ、添加量などの条件も適切に設定することができる。さらに、必要な場合、可溶化剤などを用いてもよい。
【0085】
[0093]そのような医薬組成物の剤形は、特に限定されず、その例には、従来の医薬配合物、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、注射剤、吸入剤、および坐剤などが含まれる。特に、注射剤を含有する液体医薬組成物を用いることができる。
【0086】
[0094]本発明の化合物(I)もしくは(III)または薬学的に許容されるその塩は、例えば、ボーラス投与、連続投与または持続投与などの非経口投与によるすべての適切な投与経路に適用可能な配合物として、液体医薬組成物の形態で配合することができる。詳細には、本発明の化合物を含有する液体医薬組成物を、皮下投与、経皮投与、皮内投与、経粘膜投与、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、気管内投与、くも膜下腔内投与、十二指腸内投与、胸膜内投与、鼻腔内投与、舌下投与、頬側投与、頬側投与、腸管内投与、十二指腸内投与、直腸内投与、眼球内投与または経口投与用に配合することができる。さらに、組成物はまた、吸入用、または粘膜組織を通した直接吸収用に配合することもできる。
【0087】
[0095]本発明の化合物(I)もしくは(III)または薬学的に許容されるその塩の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態などに応じて変わる。しかしながら、液体医薬組成物として投与する場合、通常1日当たり1~200mg/kgである。
【0088】
[0096]本発明の化合物(I)もしくは(III)または薬学的に許容されるその塩は、治療されようとする疾患(例えば、パーキンソン病)に応じて、単独でまたは1種もしくは複数の他の治療薬と組み合わせて用いることができる。かかる治療薬としては、例えば、ドパミンデカルボキシラーゼ阻害薬(例えば、カルビドパおよびベンセラジドなど)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(「COMT」)阻害薬(例えば、エンタカポンおよびトルカポンなど)およびモノアミンオキシダーゼA(「MAO-A」)またはモノアミンオキシダーゼB(「MAO-B」)阻害薬(例えば、モクロベミド、ラサギリン、セレギリンおよびサフィナミドなど)からなる群から選択される1種または複数の薬剤を用いることができる。
【0089】
[0097]本発明の化合物(I)もしくは(III)または薬学的に許容されるその塩は、組み合わせて用いることができるまたは別々に投与することもできる、前述の治療薬と同時に投与することができる。さらに、本発明の化合物を組み合わせて用いることができる前述の治療薬と一緒に治療的に用いる場合、本発明の化合物および治療薬は、非経口投与などの同一剤形で投与してもよく、一方を非経口投与および他方を経口投与などの異なる剤形で投与してもよい。
【0090】
[0098]本発明の好ましい実施形態を、以下の表に示す。
【0091】
【0092】
[0099]本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩は、例えば、次の通り、生成することができる。
[00100]一般合成方法(A)
【0093】
【0094】
[式中、Bnは、ベンジルを示し、Cbzはカルボベンゾキシを示し、他のシンボルは、上記と同じ意味を有する]。
[00101]本発明の標的化合物[I]の中でもとりわけ、一般式[Ia]により表される化合物は、例えば、次の通り、生成することができる。化合物[a-1]および化合物[b-1]または化合物[b-2]は、縮合反応にかけて、化合物[c]を得、次いで、化合物[c]を、亜リン酸エステル化(phosphite esterification)および酸化にかけ、またはリン酸エステル化にかけ、それにより、化合物[f]は得られる。一方、化合物[f]は、化合物[e]および化合物[b-1]または化合物[b-2]を縮合することにより得ることもできる。化合物[Ia]は、このようにして得られた化合物[f]を脱保護にかけるか、または加水分解し、次いで、脱保護にかけることによって生成することができる。
【0095】
ステップ1
[00102]化合物[a-1]と化合物[b-1]もしくはその塩または[b-2]の縮合は、塩基の存在下または非存在下で、縮合剤の存在下または非存在下で、および活性化剤の存在下または非存在下で、適当な溶媒で従来の方法に従って行うことができる。溶媒として、本反応に影響しない任意の溶媒は、用いることができる。溶媒の例には、エーテル、例えば、テトラヒドロフランおよび1,4-ジオキサンなど;アミド、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドおよびN-メチルピロリドンなど;ニトリル、例えば、アセトニトリルなど;ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、クロロホルムおよびジクロロメタンなど;芳香族炭化水素、例えば、トルエンなど;またはこれらの化合物の混合物が含まれる。塩基の例には、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンなどが含まれる。縮合剤の例には、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩などが含まれる。活性化剤の例には、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、4-ジメチルアミノピリジンなどが含まれる。
【0096】
[00103]用いられようとする化合物[b-1]または[b-2]の量は、化合物[a-1]に対するモル比で、1.0~5.0当量、好ましくは、1.0~2.0当量であり得る。
【0097】
[00104]用いられようとする塩基の量は、化合物[a-1]に対するモル比で、1.0~5.0当量、好ましくは、1.0~2.0当量であり得る。
[00105]用いられようとする縮合剤の量は、化合物[a-1]に対するモル比で、1.0~5.0当量、好ましくは、1.0~2.5当量であり得る。
【0098】
[00106]用いられようとする活性化剤の量は、化合物[a-1]に対するモル比で、1.0~5.0当量、好ましくは、1.0~2.5当量であり得る。
[00107]本反応は、室温~加熱下で、例えば、室温~80℃で、好ましくは、室温~50℃で行うことができる。
【0099】
ステップ2
[00108]化合物[c]および亜リン酸エステル化剤(phosphite esterifying agent)の縮合は、活性化剤の存在下で適当な溶媒で、従来の方法に従って行うことができる。溶媒として、本反応に影響しない任意の溶媒は、用いることができる。溶媒の例には、ニトリル、例えば、アセトニトリルなど;ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、クロロホルムおよびジクロロメタンなど;またはこれらの化合物の混合物が含まれる。亜リン酸エステル化剤の例は、ジベンジルN,N-ジイソプロピルホスホロアミダイトである。活性化剤の例は、1-テトラゾールである。
【0100】
[00109]用いられようとする亜リン酸エステル化剤の量は、化合物[c]に対するモル比で、1.0~5.0当量、好ましくは、1.5~3.0当量であり得る。
[00110]用いられようとする活性化剤の量は、化合物[c]に対するモル比で、1.0~5.0当量、好ましくは、1.5~3.0当量であり得る。
【0101】
[00111]本反応は、氷冷下~加熱下で、例えば、0℃~80℃で、好ましくは、室温~50℃で行うことができる。
ステップ3
[00112]化合物[d]の酸化は、酸化剤の存在下で適当な溶媒で、従来の方法に従って行うことができる。溶媒として、本反応に影響しない任意の溶媒は、用いることができる。溶媒の例には、ニトリル、例えば、アセトニトリルなど;ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、クロロホルムおよびジクロロメタンなど;またはこれらの化合物の混合物が含まれる。酸化剤の例には、過酸化水素溶液、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メタクロロ過安息香酸などが含まれる。
【0102】
[00113]用いられようとする酸化剤の量は、化合物[d]に対するモル比で、1.0~5.0当量、好ましくは、1.5~3.0当量であり得る。
[00114]本反応は、氷冷下~加熱下で、例えば、0℃~80℃で、好ましくは、室温~50℃で行うことができる。
【0103】
ステップ4
[00115]化合物[c]およびリン酸エステル化剤の縮合は、塩基の存在下または非存在下で適当な溶媒で、従来の方法に従って行うことができる。溶媒として、本反応に影響しない任意の溶媒は、用いることができる。溶媒の例には、ニトリル、例えば、アセトニトリルなど;ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、クロロホルムおよびジクロロメタンなど;またはこれらの化合物の混合物が含まれる。リン酸エステル化剤の例には、ジベンジルホスホリルクロリド、ピロリン酸テトラベンジルなどが含まれる。塩基の例には、アルカリ金属アルコキシド、例えば、ナトリウムt-ブトキシドおよびカリウムt-ブトキシドなど;アルキルアミン、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンおよび1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンなどが含まれる。
【0104】
[00116]用いられようとするリン酸エステル化剤の量は、化合物[c]に対するモル比で、1.0~5.0当量、好ましくは、1.5~3.0当量であり得る。
[00117]用いられようとする塩基の量は、化合物[c]に対するモル比で、1.0~5.0当量、好ましくは、1.5~3.0当量であり得る。
【0105】
[00118]本反応は、室温~加熱下で、例えば、室温~100℃で、好ましくは、室温~70℃で行うことができる。
ステップ5
[00119]化合物[e]および化合物[b-1]もしくはその塩または[b-2]の縮合は、一般合成方法(A)で化合物[a-1]および化合物[b-1]もしくはその塩または[b-2]の縮合と同じ方式で行うことができる。
【0106】
ステップ6
[00120]化合物[f]の脱保護は、水素雰囲気下で適当な溶媒で、触媒で処理することにより従来の方法に従って行うことができる。
【0107】
[00121]溶媒として、本反応に影響しない任意の溶媒は、用いることができる。溶媒の例には、エーテル、例えば、テトラヒドロフランおよび1,4-ジオキサンなど;アルコール、例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなど;水;またはこれらの化合物の混合物などが含まれる。
【0108】
[00122]触媒の例には、パラジウム/炭素などが含まれる。
[00123]本反応は、室温~加熱下で、例えば、室温~80℃で、好ましくは、室温~50℃で行うことができる。
【0109】
ステップ7
[00124]化合物[g]の加水分解は、塩基および水の存在下で適当な溶媒で、従来の方法に従って行うことができる。溶媒として、本反応に影響しない任意の溶媒は、用いることができる。溶媒の例としては、アルコール、例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなど;エーテル類、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンおよび1,2-ジメトキシエタンなど;水;またはこれらの混合物などが含まれる。塩基の例としては、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムなどが含まれる。
【0110】
[00125]本反応は、氷冷下~加熱下で、例えば、0℃~50℃で、好ましくは、室温で行うことができる。
[00126]用いられようとする塩基の量は、化合物[g]に対して、1.0~10.0当量、好ましくは、1.0~4.0当量であり得る。
【0111】
ステップ8
[00127]化合物[g]の脱保護は、一般合成方法(A)における化合物[f]の脱保護と同じ方式で行うことができる。
【0112】
[00128]一般合成方法(B)
【0113】
【0114】
[式中、シンボルは、上記と同じ意味を有する]
[00129]本発明の標的化合物[I]の中でもとりわけ、一般式[Ib]により表される化合物は、例えば、次の通り生成することができる。化合物[a-2]および化合物[b-3]を、縮合反応にかけて、化合物[h]を得、次いで、化合物[h]を、亜リン酸エステル化および酸化にかけ、またはリン酸エステル化にかけ、それにより、化合物[J]を得る。化合物[Ib]は、化合物[j]を脱保護することにより生成することができる。
【0115】
ステップ1
[00130]化合物[a-2]および化合物[b-3]もしくはその塩の縮合は、一般合成方法(A)で化合物[a-1]および化合物[b-1]もしくはその塩の縮合と同じ方式で行うことができる。
【0116】
ステップ2
[00131]化合物[h]および亜リン酸エステル化剤の縮合は、一般合成方法(A)における化合物[c]および亜リン酸エステル化剤の縮合と同じ方式で行うことができる。
【0117】
ステップ3
[00132]化合物[i]の酸化は、一般合成方法(A)における化合物[d]の酸化と同じ方式で行うことができる。
【0118】
ステップ4
[00133]化合物[h]およびリン酸エステル化剤の縮合は、一般合成方法(A)における化合物[c]およびリン酸エステル化剤の縮合と同じ方式で行うことができる。
【0119】
ステップ5
[00134]化合物[j]の脱保護は、一般合成方法(A)における化合物[f]の脱保護と同じ方式で行うことができる。
【0120】
[00135]一般的合成方法(C)
【0121】
【0122】
[式中、Acは、アセチルを示し、他のシンボルは、上記と同じ意味を有する]
[00136]本発明の標的化合物[I]の中でもとりわけ、一般式[Ic]により表される化合物は、例えば、次の通り生成することができる。化合物[a-3]および化合物[b-1]を、縮合反応にかけて、化合物[k]を得、次いで、化合物[k]を、脱保護にかけ、それにより、化合物[Ic]を生成することができる。
【0123】
ステップ1
[00137]化合物[a-3]および化合物[b-1]もしくはその塩の縮合は、一般合成方法(A)で化合物[a-1]および化合物[b-1]もしくはその塩の縮合と同じ方式で行うことができる。
【0124】
ステップ2
[00138]化合物[k]の脱保護は、一般合成方法(A)における化合物[f]の脱保護と同じ方式で行うことができる。
【0125】
[00139]一般的合成方法(D)
【0126】
【0127】
[式中、シンボルは、上記と同じ意味を有する]
[00140]本発明の標的化合物[I]の中でもとりわけ、一般式[Id]により表される化合物は、例えば、次の通り生成することができる。化合物[a-2]および化合物[b-1]を、縮合反応にかけて、化合物[l]を得、次いで、化合物[l]を、脱保護にかけ、それにより、化合物[Id]を生成することができる。
【0128】
ステップ1
[00141]化合物[a-2]および化合物[b-1]もしくはその塩の縮合は、一般合成方法(A)で化合物[a-1]および化合物[b-1]もしくはその塩の縮合と同じ方式で行うことができる。
【0129】
ステップ2
[00142]化合物[l]の脱保護は、一般合成方法(A)における化合物[f]の脱保護と同じ方式で行うことができる。
【0130】
[00143]上記の方法における出発化合物は、公知の方法および/または後述する実施例に記載の方法と同様の方法で生成することができる。
[00144]官能基への保護基の導入および官能基の保護基の除去は、公知の方法(PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS(Theodora W.Greene、Peter G.M.Wuts)など)を参照して行うことができる。
【0131】
[00145]前述した通り生成された本発明の化合物またはその出発化合物は、その遊離形態でまたはその塩として単離され精製される。塩は、一般的に用いられる塩調製プロセスにより生成することができる。単離および精製は、従来の化学的手順、例えば、抽出、濃縮、結晶化、ろ過、再結晶、および様々なタイプのクロマトグラフィーなどを適用することにより行うことができる。
【0132】
[00146]本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩が、不斉炭素原子に基づいた光学異性体として存在する場合、通常の光学分割手段(例えば、分別晶出法、およびキラルカラムを用いる分離法)により、個々の光学異性体に分離することができる。さらに、光学異性体を、光学的に純粋な出発物質を用いて合成することもできる。さらに、光学異性体を、不斉補助基または不斉触媒を用いて各反応を立体選択的に行うことにより合成することもできる。
【0133】
[00147]本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩は、神経変性疾患および/または脳内のドパミン濃度の低下によって引き起こされる疾患もしくは症状の予防または治療に有用である。詳細には、本発明の化合物および組合せ医薬品(combination medicament)は、パーキンソン病、続発性パーキンソン症候群、ハンチントン病、パーキンソン病様症候群、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シャイ・ドレーガー症候群、ジストニア、アルツハイマー病、レビー小体型認知症(LBD)、無動、動作緩慢および運動低下の予防または治療に有用であり、好ましくは、パーキンソン病の予防または治療に有用である。さらに、本発明の化合物および組合せ医薬品は、一酸化炭素中毒またはマンガン中毒を含めた、脳損傷により引き起こされる疾患もしくは症状、またはアルコール依存症、薬物依存もしくは勃起不全を含めた、神経疾患または神経障害に伴う疾患もしくは症状の予防または治療に有用である。
【0134】
II.安定したLD-Tyr配合物
[00148]本発明の実施形態は、式(II):
【0135】
【0136】
のレボドパ-チロシンコンジュゲート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、またはそれらの任意の組合せ、および安定剤を含む液体医薬組成物を対象とする。
【0137】
[00149]一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、薬学的に許容される塩の形態でのLD-Tyr化合物を含む。一部の実施形態によれば、LD-Tyr塩は、トリフルオロ酢酸(TFA)塩、HCl塩、フマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、グルセプチン酸塩(gluceptic acid salt)、リン酸塩、硫酸塩、Hbr塩、硝酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、グリコール酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、馬尿酸塩、メタンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、スルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、ムコン酸塩、アルカリ金属塩、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩、アルミニウム塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N-メチルグルカミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸酪酸塩(camphorate butyrate salt)、カンファースルホン酸酪酸塩(camphorsulfonate butyrate salt)、ジグルコン酸酪酸塩(digluconate butyrate salt)、ドデシル硫酸酪酸塩(dodecylsulfate butyrate salt)、エタンスルホン酸酪酸塩(ethanesulfonate butyrate salt)、グルコヘプタン酸酪酸塩(glucoheptonate butyrate salt)、グリセロリン酸酪酸塩(glycerophosphate butyrate salt)、グルコン酸酪酸塩(gluconate butyrate salt)、ヘミ硫酸酪酸塩(hemisulfate butyrate salt)、ヘプタン酸酪酸塩(heptanoate butyrate salt)、ヒドロヨージド酪酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸酪酸塩(2-hydroxy-ethanesulfonate butyrate salt)、ラクトビオン酸酪酸塩(lactobionate butyrate salt)、ラウリル酸酪酸塩(laurate butyrate salt)、メタンスルホン酸酪酸塩(methanesulfonate butyrate salt)、2-ナフタレンスルホン酸酪酸塩(2-naphthalenesulfonate butyrate salt)、ニコチン酸酪酸塩(nicotinate butyrate salt)、オレイン酸酪酸塩(oleate butyrate salt)、パルミチン酸酪酸塩(palmitate butyrate salt)、パモ酸酪酸塩(pamoate butyrate salt)、ペクチン酸酪酸塩(pectinate butyrate salt)、過硫酸酪酸塩(persulfate butyrate salt)、3-フェニルプロピオン酸酪酸塩(3-phenylpropionate butyrate salt)、リン酸酪酸塩(phosphate butyrate salt)、ピクリン酸酸塩(picrate butyrate salt)、ピバル酸酪酸塩(pivalate butyrate salt)、酒石酸酪酸塩(tartrate butyrate salt)、チオシアン酸酪酸塩(thiocyanate butyrate salt)、p-トルエンスルホン酸酪酸塩(p-toluenesulfonate butyrate salt)、ウンデカン酸酪酸塩(undecanoate butyrate salt)、吉草酸塩、または任意のその組合せから選択される。
【0138】
[00150]本発明の液体医薬組成物は、約2.5~約70%w/vの間のLD-Tyr化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、もしくは任意のその組合せ、または2種以上のLD-Tyr鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるそれらの塩、もしくは任意のその組合せのうちの任意の組合せを含むことができる。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約2.5~約5%w/vの間、約5~約10%w/vの間、約10~約15%w/vの間、約15~約20%w/vの間、約20~約25%w/vの間、約25~約30%w/vの間、少なくとも約30%、約30~約35%w/vの間、約35~約40%w/vの間、約30~約45%w/vの間、約30~約50%w/vの間、約30~約55%w/vの間、約30~約60%w/vの間、約30~約65%w/vの間、約30~約70%w/vの間、約40~約45%w/vの間、約45~約50%w/vの間、約50~約55%w/vの間、約55~約60%w/vの間、約60~約65%w/vの間、約65~約70%w/vの間、約10~約12.5%w/vの間、約12.5~約17.5%w/vの間、約17.5~約22.5%w/vの間、約22.5~約27.5%w/vの間、約27.5~約32.5%w/vの間、約32.5~約37.5%w/vの間、約37.5~約42.5%w/vの間、約42.5~約45%w/vの間、約10%w/v、約12.5%w/v、約15%w/v、約17.5%w/v、約20%w/v、約22.5%w/v、約25%w/v、約27.5%w/v、約30%w/v、約32.5%w/v、約35%w/v、約37.5%w/v、約40%w/v、約42.5%w/v、約45%w/v、約47.5%w/v、約50%w/v、約52.5%w/v、約55%w/v、約57.5%w/v、約60%w/v、約62.5%w/v、約65%w/v、約67.5%w/v、約70%w/vのLD-Tyr化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、もしくは任意のその組合せ、または2種以上のLD-Tyr鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるそれらの塩、もしくは任意のその組合せのうちの任意の組合せを含む。
【0139】
[00151]本明細書中に記載される液体配合物は、配合物の沈殿を防止するもしくは遅らせるかつ/または配合物中の不純物の蓄積を防止するもしくは遅らせる安定剤を含む。LD-Tyrは、以下のスキームに示す通り、ジケトピペラジン(DKP)不純物を形成する傾向がある。
【0140】
【0141】
[00152]したがって、特定の実施形態では、本明細書中に記載される安定化剤は、液体医薬組成物に加えられる、または液体医薬組成物に含まれ、ジケトピペラジンの形成を防止する。したがって、特定の実施形態では、液体医薬組成物は、2~8℃で2週間後、約1.5%w/v未満のLD-Tyr-ジケトピペラジン(LD-Tyr DKP)を含む。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、2~8℃で2週間後、約0.8%w/v未満のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む。例えば、液体医薬組成物は、2~8℃で2週間後、約0.8%w/v、0.7%w/v、0.6%w/v、0.5%w/v、0.4%w/v、0.3%w/v、0.2%w/vまたは0.1%w/vのLD-Tyr-ジケトピペラジンを含むことができる。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、25℃で2週間後、約4.0%w/v未満のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む。例えば、液体医薬組成物は、25℃で2週間後、約5.0%w/v、4.5%w/v、4.0%w/v、3.5%w/v、3.0%w/v、2.5%w/v、2.0%w/v、1.5%w/vまたは1.0%w/v未満のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含むことができる。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、25℃で2週間後、約4.0%w/v以下のLD-Tyr-ジケトピペラジンを含む。DKPを測定する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)が含まれる。
【0142】
[00153]特定の実施形態では、液体医薬組成物は、約0.1%~約30%w/vの間の安定剤を含む。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、約1.5~約20%w/vの間の安定剤を含む。例えば、液体医薬組成物は、約1.5~約5.0%、約1.5~約10.0%w/v、約1.5~約15.0%w/v、約1.5~約20.0%w/v、約1.5~約25.0%w/v、約3.0~約5.0%w/v、約3.0~約10.0%w/v、約3.0~約15.0%w/v、約3.0~約20.0%w/v、約3~約25.0%w/v、約3.0~約30.0%w/v、約5.0~約10.0%w/v、約5~約15.0%w/v、約5.0~約20.0%w/v、約5.0~約25.0%w/v、約5.0~約30.0%w/v、約7.0~約10.0%w/v、約7.0~約15.0%w/v、約7.0~約20.0%w/v、約7.0~約25.0%w/v、約7.0~約30.0%w/v、約10.0~約15.0%w/v、約10.0~約20.0%w/v、約10~約25.0%w/v、約10.0~約30.0%w/v、約15.0~約20.0%w/v、約15.0~約25.0%w/v、約15.0~約30.0%w/vの間の安定剤を含むことができる。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、2、3、または4種の安定剤を組み合わせて含み、各個別の安定剤は、前述した量で存在する、または安定剤の組合せは、前述した量で存在する。
【0143】
[00154]特定の実施形態によれば、安定剤は塩基を含む。他の実施形態では、液体医薬組成物は、安定剤を含み、例えば、予め定義されたpHを有する組成物を提供するために、塩基をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、塩基は、NaOH、NH4OH、Ca(OH)2、水酸化アンモニウム、アルギニン、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、メグルミン、トロメタミン(TRIS)、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンまたはそれらの任意の組合せから選択される。液体医薬組成物は、約0.1~約30.0%w/vの間の塩基を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/vの間、約1.0~約2.0%w/vの間、約2.0~約3.0%w/vの間、約3.0~約4.0%w/vの間、約4.0~約5.0%w/vの間、約5.0~約6.0%w/vの間、約6.0~約7.0%w/vの間、約8.0~約9.0%w/vの間、約9.0~約10.0%w/vの間、約10.0~約11.0%w/vの間、約11.0~約12.0%w/vの間、約12.0~約13.0%w/vの間、約13.0~約14.0%w/vの間、約14.0~約15.0%w/vの間、約15.0~約16.0%w/vの間、約16.0~約17.0%w/vの間、約17.0~約18.0%w/vの間、約18.0~約19.0%w/vの間、約19.0~約20.0%w/vの間、約20.0~約21.0%w/vの間、約21.0~約22.0%w/vの間、約22.0~約23.0%w/vの間、約23.0~約24.0%w/vの間、約24.0~約25.0%w/vの間、約25.0~約26.0%w/vの間、約26.0~約27.0%w/vの間、約27.0~約28.0%w/vの間、約28.0~約29.0%w/vの間、約29.0~約30.0%w/vの間の塩基を含む。
【0144】
[00155]特定の実施形態では、安定剤は、アルギニン、NaOH、NH4OH、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、エチレンジアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、トリエタノールアミン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される塩基を含む。特定の実施形態では、塩基は、アルギニン、NH4OH、エチレンジアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、およびその組合せからなる群から選択される。特定の実施形態では、塩基は、L-Arg、ジエチルアミン、およびその組合せからなる群から選択される。特定の実施形態では、塩基は、L-Arg、エタノールアミン、およびその組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、約0.1%w/v~約30.0%w/vの間の塩基を含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、約1.5%~約20.0%w/vの間の塩基を含む。例えば、液体医薬組成物は、約1.5~約5.0%w/vの間、約1.5~約10.0%w/vの間、約1.5~約15.0%w/vの間、約1.5~約20.0%w/vの間、約1.5~約25.0%w/vの間、約3.0~約5.0%w/vの間、約3.0~約10.0%w/v、約3.0~約15.0%w/vの間、約3.0~約20.0%w/vの間、約3.0~約25.0%w/v、約3.0~約30.0%w/vの間、約5.0~約10.0%w/v、約5.0~約15.0%w/vの間、約5.0~約20.0%w/vの間、約5.0~約25.0%w/vの間、約5.0~約30.0%w/vの間、約7.0~約10.0%w/vの間、約7.0~約15.0%w/vの間、約7.0~約20.0%w/vの間、約7.0~約25.0%w/vの間、約7.0~約30.0%w/v、約10.0~約15.0%w/vの間、約10.0~約20.0%w/vの間、約10.0~約25.0%w/vの間、約10.0~約30.0%w/vの間、約15.0~約20.0%w/vの間、約15.0~約25.0%w/vの間、約15.0~約30.0%w/vの間の塩基を含むことができる。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、2、3、または4種の安定剤を組み合わせて含む。例えば、特定の実施形態では、液体医薬組成物は、アルギニン、およびNH4OH、エチレンジアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミンからなる群から選択される追加の塩基を含む。特定の実施形態では、それぞれ個別の安定剤は、前述した量で存在する、または安定剤の組合せは、前述した量で存在する。特定の実施形態では、アルギニンは、約7.0~約8.0%w/vの量で存在し、追加の塩基は、約3.0~約8.0%w/vの量で存在する。特定の実施形態では、配合物は、約7.0~約8.0%(例えば、7.2%)w/vのL-Argおよび約3.0~約8.0%(例えば、約5.4%)w/vのジエチルアミンを含む。特定の実施形態では、配合物は、約7.0~約8.0%(例えば、7.2%)w/vのL-Argおよび約2.0~約7.0%(例えば、約4.5%)w/vのエタノールアミンを含む。
【0145】
[00156]特定の実施形態では、安定剤には、ポリエチレングリコール(例えば、PEG-300、PEG-400、PEG-600)、プロピレングリコール、コリン、ナトリウムイオンまたはアンモニウムイオン、アミノ酸(例えば、LysまたはHis)、ベンジルアルコール、エタノール、IIA族金属錯体(例えば、CaCl2およびアスコルビン酸CaのようなCa2+塩)、クエン酸、乳酸、または酢酸、求電子試薬(例えば、ルイス酸、例えば、Na+、K+、Ca2+、ホウ素化合物、Fe3+、Al3+、Cu2+などおよびα-β不飽和カルボニル、例えば、マレイン酸など)、リン酸緩衝液、Zn2+イオン、還元糖、例えば、グルコースなど、酢酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン、可溶性βシクロデキストリン、中鎖トリグリセリド、例えば、オクタン酸など、グリココール酸/レシチンの混合ミセル、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ダイズ油、ゴマ油、ヒマシ油、ジメチルスルホキシド、グリセリン、トリス緩衝液、酢酸アンモニウム、またはHClグアニジンが含まれる。特定の実施形態では、安定剤には、本明細書に記載されるもののような界面活性剤、例えば、ポロキサマー、Tween-80、Tween-20、およびKolliphorが含まれる。
【0146】
[00157]いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物は、例えば、予め定義されたpHを有する組成物を提供するために、酸をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、酸は、HCl、HBr、メタンスルホン酸、アスコルビン酸、酢酸、クエン酸、またはそれらの任意の組合せから選択される。液体医薬組成物は、約0.1~約30.0%w/vの間の酸を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/vの間、約1.0~約2.0%w/vの間、約2.0~約3.0%w/vの間、約3.0~約4.0%w/vの間、約4.0~約5.0%w/vの間、約5.0~約6.0%w/vの間、約6.0~約7.0%w/vの間、約8.0~約9.0%w/vの間、約9.0~約10.0%w/vの間、約10.0~約11.0%w/vの間、約11.0~約12.0%w/vの間、約12.0~約13.0%w/vの間、約13.0~約14.0%w/vの間、約14.0~約15.0%w/vの間、約15.0~約16.0%w/vの間、約16.0~約17.0%w/vの間、約17.0~約18.0%w/vの間、約18.0~約19.0%w/vの間、約19.0~約20.0%w/vの間、約20.0~約21.0%w/vの間、約21.0~約22.0%w/vの間、約22.0~約23.0%w/vの間、約23.0~約24.0%w/vの間、約24.0~約25.0%w/vの間、約25.0~約26.0%w/vの間、約26.0~約27.0%w/vの間、約27.0~約28.0%w/vの間、約28.0~約29.0%w/vの間、約29.0~約30.0%w/vの間の酸を含む。
【0147】
[00158]本発明の液体医薬組成物のpHは、約25℃で約4.5~約10の間であり得る。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約4.5~約5の間である。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約5~約6の間である。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約6~約7の間である。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約7~約8の間である。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約8~約9の間である。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約9~約10の間である。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約4.5~約5.5の間である。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約5.5~約6.5の間である。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約6.5~約7.5の間である。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約7.5~約8.5の間である。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約8.5~約9.5の間である。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物のpHは、約25℃で約9.5~約10の間である。
【0148】
[00159]一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、デカルボキシラーゼ阻害薬をさらに含む。一部の実施形態によれば、デカルボキシラーゼ阻害薬は、カルビドパ、ベンセラジド、メチルドパ、3’,4’,5,7-テトラヒドロキシ-8-メトキシイソフラボン、α-ジフルオロメチル-ドパ、または任意のその組合せから選択される。一部の実施形態によれば、デカルボキシラーゼ阻害薬は、カルビドパである。
【0149】
[00160]本発明の液体医薬組成物は、約0.25~約3.0%w/vの間のデカルボキシラーゼ阻害薬、例えば、カルビドパを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.25~約0.5%w/vの間、約0.5~約0.75%w/vの間、約0.75~約1.0%w/vの間、約1.0~約1.25%w/vの間、約1.25~約1.5%w/vの間、約1.5~約1.75%w/vの間、約1.75~約2.0%w/vの間、約2.0~約2.25%w/vの間、約2.25~約2.5%w/vの間、約2.5~約2.75%w/vの間、約2.75~約3.0%w/vの間、約0.5~約1.0%w/vの間、約1.0~約1.5%w/vの間、約0.75~約1.4%w/vの間、約0.6~約0.9%w/vの間、約0.7~約0.8%w/vの間、約0.5%w/v、約0.55%w/v、約0.6%w/v、約0.65%w/v、約0.7%w/v、約0.75%w/v、約0.8%w/v、約0.85%w/v、約0.9%w/v、約0.95%w/v、約1.0%w/v、約1.05%w/v、約1.1%w/v、約1.15%w/v、約1.2%w/v、約1.25%w/v、約1.3%w/v、約1.35%w/v、約1.4%w/v、約1.45%w/v、約1.5%w/vの、デカルボキシラーゼ阻害薬、例えば、カルビドパなどを含む。
【0150】
[00161]いくつかの実施形態によれば、安定剤は、緩衝液を含む。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物は、安定剤を含み、緩衝液をさらに含む。一部の実施形態によれば、緩衝液は、クエン酸塩緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、酢酸緩衝液、酒石酸緩衝液、リン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、トリス緩衝液、グリシン緩衝液、塩酸緩衝液、フタル酸水素カリウム緩衝液、ナトリウム緩衝液、クエン酸酒石酸ナトリウム緩衝液、水酸化ナトリウム緩衝液、リン酸二水素ナトリウム緩衝液、リン酸水素二ナトリウム緩衝液、トロメタミン(トリス)、または任意のその組合せから選択される。液体医薬組成物は、約0.1~約30.0%w/vの間の緩衝液を含むことができる。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/vの間、約1.0~約2.0%w/vの間、約2.0~約3.0%w/vの間、約3.0~約4.0%w/vの間、約4.0~約5.0%w/vの間、約5.0~約6.0%w/vの間、約6.0~約7.0%w/vの間、約8.0~約9.0%w/vの間、約9.0~約10.0%w/vの間、約10.0~約15.0%w/vの間、約15.0~約20.0%w/vの間、約20.0~約25.0%w/vの間、約25.0~約30.0%w/vの間の緩衝液を含む。
【0151】
[00162]一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、抗酸化剤をさらに含む。一部の実施形態によれば、抗酸化剤は、アスコルビン酸またはその塩、システイン、亜硫酸水素塩またはその塩、グルタチオン、チロシナーゼ阻害薬、二価陽イオン、例えば、Cu+2キレート剤、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、βヒドロキシ酸(BHA)トコフェロール、ゲンチシン酸、トコフェロール、トコフェロール誘導体、例えば、酢酸トコフェロールもしくはコハク酸トコフェロール、チオグリセロール、または任意のその組合せから選択される。
【0152】
[00163]一部の実施形態によれば、抗酸化剤は、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸カリウム、または任意のその組合せから選択されるアスコルビン酸塩である。一部の実施形態によれば、抗酸化剤は、L-システイン、N-アセチルシステイン(NAC)または任意のその組合せから選択されるシステインである。一部の実施形態によれば、抗酸化剤は、亜硫酸水素塩の、メタ重亜硫酸ナトリウムである。一部の実施形態によれば、抗酸化剤は、チロシナーゼ阻害薬カプトプリルである。一部の実施形態によれば、抗酸化剤は、Cu+2キレート剤であり、Na2-EDTAおよびNa2-EDTA-Ca、または任意のその組合せから選択される。
【0153】
[00164]一部の実施形態によれば、抗酸化剤は、メチマゾール、ケルセチン、アルブチン、アロエシン(aloesin)、N-アセチルグルコースアミン、レチノイン酸、フェルラ酸α-トコフェリル、リン酸アスコルビルMg(MAP)、例えば、基質類似体、例えば、安息香酸ナトリウム、L-フェニルアラニン、ジメルカプトコハク酸、D-ペニシラミン、HClトリエンチン、ジメルカプロール、クリオキノール、チオ硫酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、クルクミン、ネオクプロイン、タンニン、クプリゾン、亜硫酸塩、例えば、亜硫酸水素ナトリウムまたはメタ重亜硫酸ナトリウム、リポ酸、CB4(N-アセチルCysGlyProCysアミド)、CB3(N-アセチルCysProCysアミド)、AD4(N-アセチルシステインアミド)、AD6(N-アセチルGluCysGlyアミド)、AD7(N-アセチルCysGlyアミド)、ビタミンE、ジ-tert-ブチルメチルフェノール、tert-ブチル-メトキシフェノール、ポリフェノール、トコフェロール、ユビキノン、コーヒー酸、または任意のその組合せから選択される。
【0154】
[00165]本発明の液体医薬組成物は、約0.05~約2.0%w/vの間の1種の抗酸化剤または抗酸化剤の組合せを含むことができる。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.05~約0.1%w/v、約0.1~約0.2%w/v、約0.2~約0.3%w/v、約0.3~約0.4%w/v、約0.4~約0.5%w/v、約0.5~約0.6%w/v、約0.7~約0.8%w/v、約0.8~約0.9%w/v、約0.9~約1.0%w/v、約1.0~約1.1%w/v、約1.1~約1.2%w/v、約1.2~約1.3%w/v、約1.3~約1.4%w/v、約1.4~約1.5%w/v、約1.5~約1.6%w/v、約1.6~約1.7%w/v、約1.7~約1.8%w/v、約1.8~約1.9%w/v、約1.9~約2.0%w/vの間、約0.75%w/v、約0.8%w/v、約0.85%w/v、約0.9%w/v、約0.95%w/v、約1.0%w/v、約1.05%w/v、約1.1%w/v、約1.15%w/v、約1.2%w/vの1種の抗酸化剤または抗酸化剤の組合せを含む。
【0155】
[00166]いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物は、2つの抗酸化剤の組合せを含み、各抗酸化剤は、約0%w/v~約2%w/vの間の量で存在し、抗酸化剤の総量は、約0%w/v~約2%w/vの間の量で存在する。いくつかの実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.05~約0.1%w/v、約0.1~約0.2%w/v、約0.2~約0.3%w/v、約0.3~約0.4%w/v、約0.4~約0.5%w/v、約0.5~約0.6%w/v、約0.7~約0.8%w/v、約0.8~約0.9%w/v、約0.9~約1.0%w/v、約1.0~約1.1%w/v、約1.1~約1.2%w/v、約1.2~約1.3%w/v、約1.3~約1.4%w/v、約1.4~約1.5%w/v、約1.5~約1.6%w/v、約1.6~約1.7%w/v、約1.7~約1.8%w/v、約1.8~約1.9%w/v、約1.9~約2.0%w/vの間の第1の抗酸化剤および約0.05~約0.1%w/v、約0.1~約0.2%w/v、約0.2~約0.3%w/v、約0.3~約0.4%w/v、約0.4~約0.5%w/v、約0.5~約0.6%w/v、約0.7~約0.8%w/v、約0.8~約0.9%w/v、約0.9~約1.0%w/v、約1.0~約1.1%w/v、約1.1~約1.2%w/v、約1.2~約1.3%w/v、約1.3~約1.4%w/v、約1.4~約1.5%w/v、約1.5~約1.6%w/v、約1.6~約1.7%w/v、約1.7~約1.8%w/v、約1.8~約1.9%w/v、約1.9~約2.0%w/vの間の第2の抗酸化剤を含み、第1および第2の抗酸化剤の組合せは、液体医薬組成物約2%w/v以下の量で存在する。特定の実施形態では、第1および第2の抗酸化剤は、N-アセチルシステイン(NAC)およびアスコルビン酸またはその塩を含む。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、0、約0.25%、約0.5%、約0.75%、約1%%、約1.25%、約1.5%、約1.75%、または約2%NACおよび0、約0.25%、約0.5%、約0.75%、約1%、約1.25%、約1.5%、約1.75%、または約2%アスコルビン酸もしくはその塩を含み、液体医薬組成物は、2%以下のNACおよびアスコルビン酸またはその塩の組合せを含む。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、約1%NACおよびアスコルビン酸なし、約1%NACおよび約1%アスコルビン酸もしくはその塩、約2%NACおよびアスコルビン酸なし、または約2%アスコルビン酸もしくはその塩およびNACなしを含む。
【0156】
[00167]一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬をさらに含む。一部の実施形態によれば、COMT阻害薬は、エンタカポン、トルカポン、オピカポンまたは任意のその組合せから選択される。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.1~約5.0%w/vの間のCOMT阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/vの間のCOMT阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約1.0~約2.0%w/vの間のCOMT阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約2.0~約3.0%w/vの間のCOMT阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約3.0~約4.0%w/vの間のCOMT阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約4.0~約5.0%w/vの間のCOMT阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、COMT阻害薬と同時に投与することができる。
【0157】
[00168]一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬をさらに含む。MAO阻害薬は、MAO-A阻害薬でもMAO-B阻害薬でもよい。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.1~約5.0%w/vの間のMAO阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/vの間のMAO阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約1.0~約2.0%w/vの間のMAO阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約2.0~約3.0%w/vの間のMAO阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約3.0~約4.0%w/vの間のMAO阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約4.0~約5.0%w/vの間のMAO阻害薬を含む。一部の実施形態によれば、MAO阻害薬は、モクロベミド、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド、または任意のその組合せから選択される。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、MAO阻害薬と同時に投与することができる。
【0158】
[00169]一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、界面活性剤をさらに含む。一部の実施形態によれば、界面活性剤は、Tween-80、Tween-60、Tween-40、Tween-20、Tween-65、Tween-85、Span20、Span40、Span60、Span80、Span85、ポリオキシル35ヒマシ油(Cremophor EL)、ポリオキシエチレン-660-ヒドロキシステアレート(macrogol 660)、もしくはポロクサマー188(Pluronic(登録商標)F-68)、または任意のその組合せから選択される。本発明の液体医薬組成物は、約0.1~約3.0%w/vの間の界面活性剤または2種以上の界面活性剤の組合せを含むことができる。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、約0.1~約0.2%w/vの間、約0.2~約0.3%w/vの間、約0.3~約0.4%w/vの間、約0.4~約0.5%w/vの間、約0.5~約0.6%w/vの間、約0.6~約0.7%w/vの間、約0.7~約0.8%w/vの間、約0.8~約0.9%w/vの間、約0.9~約1.0%w/vの間、約1.0~約1.5%w/vの間、約1.5~約2.0%w/vの間、約2.0~約2.5%w/vの間、約2.5~約3.0%w/vの間の界面活性剤または2種以上の界面活性剤の組合せを含む。
【0159】
[00170]液体医薬組成物は、追加の薬学的に許容される賦形剤、例えば、N-メチルピロリドン(NMP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、プロピレングリコール、保存剤、薬学的に許容されるビヒクル、安定剤、分散化剤、懸濁化剤、アミノ糖、カルシウムキレート剤、プロテアーゼ阻害薬、または任意のその組合せをさらに含むことができる。本発明の液体医薬組成物は、約5.0~約80.0%w/vの間の追加の薬学的に許容される賦形剤、例えば、溶媒、緩衝液もしくは任意の他の共溶媒を含むことができる。
【0160】
[00171]一部の実施形態によれば、本発明の液体医薬組成物は、約5.0~約10.0%w/vの間、約10.0~約15.0%w/vの間、約15.0~約20.0%w/vの間、約20.0~約25.0%w/vの間、約25.0~約30.0%w/vの間、約30.0~約35.0%w/vの間、約35.0~約40.0%w/vの間、約40.0~約45.0%w/vの間、約45.0~約50.0%w/vの間、約50.0~約55.0%w/vの間、約55.0~約60.0%w/vの間、約60.0~約65.0%w/vの間、約65.0~約70.0%w/vの間、約70.0~約75.0%w/vの間、約75.0~約80.0%w/vの間の溶媒、緩衝液または任意の他の共溶媒を含む。
【0161】
[00172]本明細書中に開示される構成成分のうちのいずれか1つまたはこれらのうちのいずれかの任意の組合せは、本発明の液体医薬組成物に加えることができるということに留意されたい。
【0162】
[00173]本発明の液体医薬組成物は、溶液、ゲル、クリーム、エマルション、または懸濁液の形態であり得る。一部の実施形態によれば、本発明の液体医薬組成物は、例えば、凍結乾燥により、乾燥して、固体を生成することができ、乾燥材料、例えば、凍結乾燥物は、例えば、溶媒、例えば、水を加えることにより、液体組成物を生成するよう構成することができる。乾燥組成物が構成される場合、抗酸化剤、界面活性剤などを加えることもできる。一部の実施形態によれば、乾燥組成物は、例えば、溶媒、抗酸化剤、界面活性剤および任意の他の必要とされる賦形剤を含む、専用の溶液を用いて再構成される。一部の実施形態によれば、本発明の液体医薬組成物は、水性組成物である。
【0163】
[00174]本発明の液体医薬組成物は、投与の任意の適した経路のために、例えば、非経口投与のために、例えば、ボーラス投与または連続投与により、配合することができる。本発明の液体医薬組成物は、皮下、経皮、皮内、経粘膜、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、気管内、くも膜下腔内、十二指腸内、胸膜内、鼻腔内、舌下、口腔、腸管、十二指腸内、直腸、眼内、または経口投与用に配合することができる。組成物は、吸入用、または粘膜組織を通した直接吸収用に配合することもできる。
【0164】
[00175]本発明のさらなる実施形態は、液体医薬組成物を調製するための方法を対象とし、前記方法は、
薬学的に許容される塩の形態で、式(II):
【0165】
【0166】
のレボドパ-チロシン(LD-Tyr)コンジュゲートを、少なくとも1種の溶媒および/または安定剤と混合し、それによって、溶液、ゲル、クリーム、エマルションまたは懸濁液を形成するステップと;溶液、ゲル、クリーム、エマルションまたは懸濁液のpHを、生理学的に許容されるpH値に調整し、それによって液体医薬組成物を生成するステップとを含む。
【0167】
[00176]いくつかの実施形態によれば、本方法は、薬学的に許容される塩の形態の式(II)のLD-Tyr化合物を、少なくとも1種の安定剤と混合し、それにより、溶液を形成するステップを含む。いくつかの実施形態によれば、本方法は、薬学的に許容される固体の塩の形態の式(II)のLD-Tyr化合物を、少なくとも1種の安定剤と混合するステップを含む。いくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、式(II)のLD-Tyr化合物を、本発明の液体医薬組成物に関して詳述する通り、任意の追加の医薬有効成分および/または薬学的に許容される賦形剤とさらに混合するステップを含む。特定の実施形態では、混合は、加熱せずに行われる。特定の実施形態では、混合は、室温で行われる。
【0168】
[00177]一部の実施形態によれば、本方法は、LD-Tyrの塩の形態を、少なくとも1種の溶媒および/または安定剤と混合するステップを含み、塩は、TFA塩、HCl塩フマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、グルセプチン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、HBr塩、硝酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、グリコール酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、馬尿酸塩、メタンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、スルホン酸、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、ムコン酸塩、アルカリ金属塩、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩、アルミニウム塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N-メチルグルカミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸酪酸塩、カンファースルホン酸酪酸塩、ジグルコン酸酪酸塩、ドデシル硫酸酪酸塩、エタンスルホン酸酪酸塩、グルコヘプタン酸酪酸塩、グリセロリン酸酪酸塩、グルコン酸酪酸塩、ヘミ硫酸酪酸塩、ヘプタン酸酪酸塩、ヒドロヨージド酪酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸酪酸塩、ラクトビオン酸酪酸塩、ラウリル酸酪酸塩、メタンスルホン酸酪酸塩、2-ナフタレンスルホン酸酪酸塩、ニコチン酸酪酸塩、オレイン酸酪酸塩、パルミチン酸酪酸塩、パモ酸酪酸塩、ペクチン酸酪酸塩、過硫酸酪酸塩、3-フェニルプロピオン酸酪酸塩、リン酸酪酸塩、ピクリン酸酸塩、ピバル酸酪酸塩、酒石酸酪酸塩、チオシアン酸酪酸塩、p-トルエンスルホン酸酪酸塩、ウンデカン酸酪酸塩、吉草酸塩、または任意のその組合せである。
【0169】
[00178]本発明のさらなる実施形態は、本発明の方法に従って調製される液体医薬組成物を対象とする。
[00179]本発明のいくつかの実施形態は、LD-Tyr化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、または任意のその組合せが、生理的に許容されるpHで、約100~約1000mg/Lの間の溶解性を有する、液体医薬組成物を対象とする。一部の実施形態によれば、LD-Tyr化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、または任意のその組合せの溶解性は、生理的に許容されるpHで約100~約200mg/Lの間、約200~約300mg/Lの間、約300~約400mg/Lの間、約400~約500mg/Lの間、約500~約600mg/Lの間、約600~約700mg/Lの間、約700~約800mg/Lの間、約800~約900mg/Lの間、約900~約1000mg/Lの間である。
【0170】
[00180]本発明のさらなる実施形態は、神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルを低下させることを特徴とする状態を治療する方法を対象とし、本方法は、液体医薬組成物を投与するステップを含み、液体医薬組成物は、安定剤および式(II):
【0171】
【0172】
のレボドパ-チロシン(LD-Tyr)コンジュゲート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0173】
[00181]一部の実施形態によれば、神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルを低下させることを特徴とする状態は、パーキンソン病、続発性パーキンソン症候群、ハンチントン病、パーキンソン様症候群、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シャイ・ドレーガー症候群、ジストニア、アルツハイマー病、レビー小体認知症(LBD)、無動、動作緩慢、および運動低下、一酸化炭素またはマンガン中毒を含めた、脳損傷から生じる状態、アルコール依存症、オピエート嗜癖、および勃起不全を含めた、神経疾患もしくは障害を伴う状態から選択される。一部の実施形態によれば、神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルを低下させることを特徴とする状態は、パーキンソン病である。
【0174】
[00182]一部の実施形態によれば、本発明の方法は、式(II)のLD-Tyr化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、もしくは任意のその組合せ、または2種以上のLD-Tyr鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるそれらの塩の任意の組合せ、もしくは任意のその組合せを、追加の有効成分、例えば、デカルボキシラーゼ阻害薬、例えば、カルビドパ、COMT阻害薬、MAO阻害薬、または任意のその組合せと同時に投与するステップを含む。一部の実施形態によれば、LD-Tyr化合物は、デカルボキシラーゼ阻害薬、例えば、カルビドパと一緒に投与され、LD-Tyr化合物およびデカルボキシラーゼ阻害薬は、単一の配合物で投与される。
【0175】
[00183]一部の実施形態によれば、本発明の方法は、液体医薬組成物をほぼ連続的に投与するステップを含む。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、皮下投与される。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、指定されたポンプデバイスを介して皮下投与される。
【0176】
[00184]指定されたポンプの実施形態は、例えば、US62/529784、US62/576362、PCT/IB2018/054962、US16/027804、US16/027710、US16/351072、US16/351076、US16/351061、USD29/655583、USD29/655587、USD29/655589、USD29/655591、USD29/655592、USD29/655594、USD29/655597、US62/851903、およびUS29/723714において開示される、ポンプの実施形態のうちのいずれかであり得、そのすべてを、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0177】
[00185]一部の実施形態によれば、本発明の方法は、1つの部位、2つの部位、または3つ以上の部位で液体医薬組成物を投与するステップを含み、これらの部位の位置は、任意の適切な、可能であれば予定された間隔で変化し得る。いくつかの実施形態によれば、ある特定の部位を介して投与した後、同じ部位、またはその部位の近傍による投与は、所定期間、可能であれば予め定義された所定期間が経過して初めて可能であり得る。一部の実施形態によれば、これらの部位のうちのいずれか1カ所の位置は、12、24、36、48、60または72時間後に変化する。一部の実施形態によれば、その部位の位置は、4、5、6または7日後に変化する。一部の実施形態によれば、その部位の位置は、2、3または4週間後に変化する。一部の実施形態によれば、その部位の位置は、必要とされる場合または望まれる場合、例えば、患者から受けた主観的データによっておよび/または例えば、注射部位(複数可)に、または注射部位(複数可)の近傍に位置したセンサーから受けた客観的データによって、変化する。
【0178】
[00186]一部の実施形態によれば、投与される体積および/または投与速度は、すべてのまたは少なくとも2カ所の部位において同一である。他の実施形態によれば、投与速度および/または投与される体積は、部位によって異なる。各部位は、独立に制御することができ、または別の方法で、すべての部位は、互いに依存的に制御することができる。
【0179】
[00187]一部の実施形態によれば、本発明の方法は、約1~約15mlの間の本発明の液体医薬組成物を、24時間にわたって皮下に投与するステップを含む。一部の実施形態によれば、本発明の方法は、24時間にわたって約1~約2の間、約2~約3の間、約3~約4の間、約4~約5の間、約5~約6の間、約6~約7の間、約7~約8の間、約8~約9の間、約9~約10の間、約10~約11の間、約11~約12の間、約12~約13の間、約13~約14の間、約14~約15mlの間で皮下に投与するステップを含む。
【0180】
[00188]投与速度は、24時間にわたって一定であっても、24時間にわたって変化してもよいことに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態によれば、活動が高い/日中の時間の場合のある速度および活動が低い/夜間の場合の異なる速度があり得る。活動が高い/日中の時間は、例えば、それぞれ、約15、約16、約17、約18または約19時間であり得、活動が低い夜間は、それぞれ、約9、約8、約7、約6または約5時間であり得る。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の速度は、約18時間実行され、活動が低い/夜の速度は、約6時間実行される。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の速度は、約16時間実行され、活動が低い/夜の速度は、約8時間実行される。
【0181】
[00189]いくつかの実施形態によれば、投与速度は、24時間にわたって一定である。いくつかの実施形態によれば、液体医薬配合物は、各24時間中の一定時間、例えば、1日8時間、1日9時間、1日10時間、1日11時間、1日12時間、1日13時間、1日14時間、1日15時間、1日16時間、1日17時間、1日18時間、1日19時間、1日20時間、1日21時間、1日22時間、または1日23時間投与される。いくつかの実施形態によれば、1日当たりの投与時間数は、一定の日数、例えば、7日、14日、21日、28日、2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月、7ヵ月、8ヵ月、9ヵ月、10ヵ月、11ヵ月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上にわたって一定であり得る。いくつかの実施形態によれば、1日当たりの投与時間数は、患者の状態、介護者または医師の決定、センサーからの入力などに応じて、日によって異なり得る。さらに、全時間のみが詳細に言及されているが、時間、日、月などの任意の部分が、例えば、1日16.5時間、7.5日など投与可能であることに留意されたい。
【0182】
[00190]投与速度は、約0.01mL/部位/時間~約1mL/部位/時間の間であり得る。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.01~0.02mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.02~0.03mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.03~0.04mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.04~0.05mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.05~0.06mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.06~0.07mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.07~0.08mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.08~0.09mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.09~0.1mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.1~0.15mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.15~0.2mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.2~0.25mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.25~0.3mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.3~0.35mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.35~0.4mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.4~0.45mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.45~0.5mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.5~0.55mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.55~0.6mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.6~0.65mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.65~0.7mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.7~0.75mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.75~0.8mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.8~0.85mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.85~0.9mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.9~0.95mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、投与速度は、約0.95~1.0mL/部位/時間の間である。
【0183】
[00191]一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.01~0.15mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.01~0.02mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.02~0.03mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.03~0.04mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.04~0.05mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.05~0.06mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.06~0.07mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.07~0.08mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.08~0.09mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.09~0.1mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.1~0.11mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.11~0.12mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.12~0.13mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.13~0.14mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.14~0.15mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が低い/夜間における投与速度は、約0.04mL/部位/時間である。
【0184】
[00192]一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.15~1.0mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.15~0.2mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.2~0.25mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.25~0.3mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.3~0.35mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.35~0.4mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.4~0.45mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.45~0.5mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.5~0.55mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.55~0.6mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.6~0.65mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.65~0.7mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.7~0.75mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.75~0.8mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.8~0.85mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.85~0.9mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.9~0.95mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.95~1.0mL/部位/時間の間である。一部の実施形態によれば、活動が高い/日中の時間における投与速度は、約0.32mL/部位/時間である。
【0185】
[00193]投与される体積および/または投与速度は、治療を通して一定であり得る、またはその日の異なる時間中、治療の異なる日、週または月間などで変わり得ることにさらに留意されたい。一部の実施形態によれば、患者は、例えば、独立に、世話人により、または電子的に、例えば、専用のデバイス、例えば、時計様デバイス(watch-like device)、投与ポンプなどにおいて見出される可能性がある、センサーによりモニターされる。かかる実施形態によれば、投与体積および/または速度は、かかるモニタリングから受けたデータに従って決定される。
【0186】
[00194]いくつかの実施形態は、本発明の液体医薬組成物のボーラス皮下注射を投与するための方法を対象とする。一部の実施形態によれば、ボーラス注射は、約0.5~約2.0mL/Kgの間の液体医薬組成物を含む。いくつかの実施形態によれば、ボーラス注射は、約0.5~約0.75mL/Kgの間の液体医薬組成物を含む。いくつかの実施形態によれば、ボーラス注射は、約0.75~約1.0mL/Kgの間の液体医薬組成物を含む。いくつかの実施形態によれば、ボーラス注射は、約1.0~約1.25mL/Kgの間の液体医薬組成物を含む。一部の実施形態によれば、ボーラス注射は、約1.25~約1.5mL/Kgの間の液体医薬組成物を含む。一部の実施形態によれば、ボーラス注射は、約1.5~約1.75mL/Kgの間の液体医薬組成物を含む。一部の実施形態によれば、ボーラス注射は、約1.75~約2.0mL/Kgの間の液体医薬組成物を含む。一部の実施形態によれば、ボーラス注射は、約0.75~約1.25mL/Kgの間の液体医薬組成物を含む。一部の実施形態によれば、ボーラス注射は、液体医薬組成物約1.0mL/Kgを含む。
【0187】
[00195]ボーラス皮下注射は、例えば、連続投与前、連続投与中または連続投与後、任意のあり得る連続皮下投与に関して、任意の時点で投与することができる。
[00196]一部の実施形態によれば、投与される用量は、各ポンプについて2個以上のポンプ、2カ所以上の注射部位などを用いることにより、2倍、3倍またはそれ以上になってもよい。
【0188】
[00197]一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、決められた期間、例えば、日、週、月、または年の間投与される。一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、慢性状態の治療のために、際限なく反復して投与される。
【0189】
[00198]本発明のさらなる実施形態は、神経変性状態および/または脳内のドパミンのレベルの低下を特徴とする状態の治療における使用のための液体医薬組成物を対象とし、液体医薬組成物は、安定剤および式(II):
【0190】
【0191】
のレボドパ-チロシン(LD-Tyr)コンジュゲート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、イオン、両性イオン、薬学的に許容されるその塩、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0192】
[00199]一部の実施形態によれば、液体医薬組成物は、パーキンソン病、続発性パーキンソン症候群、ハンチントン病、パーキンソン様症候群、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シャイ・ドレーガー症候群、ジストニア、アルツハイマー病、レビー小体認知症(LBD)、無動、動作緩慢、および運動低下、一酸化炭素またはマンガン中毒を含めた、脳損傷から生じる状態、アルコール依存症、オピエート嗜癖、および勃起不全を含めた、神経疾患もしくは障害を伴う状態の治療における使用のためのものである。本発明のいくつかの実施形態は、パーキンソン病の治療における本発明の液体医薬組成物を対象とする。
【0193】
[00200]本発明による使用のための組成物は、本発明の組成物の実施形態に関して本明細書に詳述する通り、追加の材料のうちのいずれか、それらの材料のうちいずれかの量を含むことができる。さらに、本発明による使用のための組成物の形態、pHなどは、本発明の組成物の実施形態に関して本明細書に詳述する通りであり得る。さらに、本発明の組成物は、本明細書に詳述する通り、COMT阻害薬、MAO阻害薬、または任意の他の有効成分と共に用いることができる。
【0194】
[00202]明示的に示されない限り、本明細書中に記載される方法の実施形態は、ある特定の順序または配列に縛られない。さらに、記載される方法の実施形態またはそれらの要素の一部は、同時に、同じ時点で、または同時発生的に起こり得るまたは行うことができる。
【0195】
[00203]本発明のいくつかの特徴が、単一の実施形態において、組み合わせて提供することもできるということが理解される。逆に、単一の実施形態の文脈中に記載されている、本発明の様々な要素は、別々にもしくは任意の適当なサブコンビネーションでまたは本発明の任意の他の記載された実施形態において適するように提供することもできる。さらに、様々な実施形態の文脈中に記載されるいくつかの特徴は、その実施形態が、それらの要素なしで作用しない場合を除き、それらの実施形態の必須の特徴であると考えるべきでない。
【0196】
[00204]上文に詳述したおよび以下のクレームセクションで主張される、本発明の様々な実施形態および態様は、次の例により裏付けることができるが;これらは、これらの例に限定されるものではない。
【実施例】
【0197】
パートI:プロドラッグ
実施例1:(2S)-2-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-3-(3-ヒドロキシ-4-ホスホノオキシフェニル)プロパン酸の生成
【0198】
【0199】
[00205](2S)-3-[4-ビス(フェニルメトキシ)ホスホリルオキシ-3-フェニルメトキシフェニル]-2-[[(2S)-2-(フェニルメトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]ベンジルプロパノエート(551mg)を、エタノール(2mL)およびテトラヒドロフラン(2mL)の混合溶媒に溶解し、パラジウム/炭素(含水)(69mg)を加え、混合物を、水素雰囲気下で、室温で7時間撹拌した。反応混合物を、メンブレンフィルター(酢酸セルロース)を通してろ過して、不溶物を除去した。その不溶物を、水/エタノール(2:1、12mL)で洗浄し、ろ液を減圧下で、約1mLに減少するまで蒸留した後、凍結乾燥を行い、次いで、表題化合物(214mg、収率:100%)を白色粉末として得た。
MS(ESI);m/z349.1[M+H]+。
【0200】
実施例2~19および120~131
[00206]対応する出発化合物を、実施例1と同じ方式でそれぞれ処理して、以下の表2に示される化合物を得た。以下の表2に示される化合物の一部は、上記の例と同じ方式で得ることができる。
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
実施例20:(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-5-カルバムイミドアミド(carbamimidamide)ペンタノイル]アミノ]-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸;塩酸塩の生成
【0207】
【0208】
[00207](2S)-3-[3,4-ビス(フェニルメトキシ)フェニル]-2-[[(2S)-5-[(N-ニトロカルバムイミドイル(Nitrocarbamimideyl))アミノ]-2-(フェニルメトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]ベンジルプロパノエート(257mg)を、テトラヒドロフラン(2mL)、2-プロパノール(3mL)および2M塩酸(0.80mL)の混合溶媒に溶解し、パラジウム/炭素(含水)(341mg)を加え、混合物を、水素雰囲気下で、室温で24時間撹拌した。2-プロパノール(4mL)および水(6mL)を反応混合物に加え、メンブレンフィルターを用いて不溶物を除去した。不溶物を、水(6mL)で洗浄し、2-プロパノール(25mL)を加え、混合物を減圧下で蒸留した。ジイソプロピルエーテルを、残留物に加え、沈殿させた固体をろ過により収集し、減圧下で乾燥し、それにより、黄褐色の粉末として表題化合物(144mg、収率:100%)を得た。
MS(ESI);m/z354.2[M+H]+。
【0209】
実施例21~28
[00208]以下の表3に示される化合物は、上記の例と同じ方式で得ることができる。
【0210】
【0211】
参考例1:(2S)-3-[4-ビス(フェニルメトキシ)ホスホリルオキシ-3-フェニルメトキシフェニル]-2-[[(2S)-3-(2-エトキシ-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソル-5)-イル)-2-(フェニルメトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]プロパン酸(proanoic acid)の生成
【0212】
【0213】
[00209](2S)-3-[4-ビス(フェニルメトキシ)ホスホリルオキシ-3-フェニルメトキシフェニル]-2-[[(2S)-3-(2-エトキシ-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル)-2-(フェニルメトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]ベンジルプロパノエート(208mg)を、水(0.41mL)およびテトラヒドロフラン(1.0mL)の混合溶媒に溶解し、氷浴下で水酸化リチウム一水和物(9.4mg)を加え、次いで、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチルを加えた後、飽和クエン酸水溶液を、混合物のpHが6になるまで加え、酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を、硫酸マグネシウムで脱水し、不溶物をろ過し、次いで、溶媒を減圧下で留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/(酢酸エチル)=70/30~0/100、(酢酸エチル)/メタノール=100/0~85/15)により精製し、それにより、無色の粘性物質として表題化合物(179mg、収率:94%)を得た。
MS(ESI);m/z929.3[M-H]-。
【0214】
参考例2:(2S)-3-[4-ビス(フェニルメトキシ)ホスホリルオキシ-3-フェニルメトキシフェニル]-2-[[(2S)-2-(フェニルメトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]ベンジルプロパノエートの生成
【0215】
【0216】
[00210]1H-テトラゾール(72mg)およびジベンジルN,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト(0.38mL)を、氷冷下で(2S)-3-(4-ヒドロキシ-3-フェニルメトキシフェニル)-2-[[(2S)-2-(フェニルメトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]ベンジルプロパノエート(387mg)、ジクロロメタン(4mL)およびアセトニトリル(1.6mL)の混合物に加え、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を、氷冷し、tert-ブチルヒドロペルオキシドデカン溶液(5.5M)(0.18mL)を加え、混合物を、室温で1時間撹拌した。反応混合物の溶媒を減圧下で留去した後、トルエンを加え、不溶物をPhase-separator(登録商標)で除去した。ろ液を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/(酢酸エチル)=67/33~40/60)により精製し、それにより、無色の粘性物質として表題化合物(551mg、収率:90%)を得た。
MS(ESI);m/z843.7[M+H]+。
【0217】
参考例3~16:
[00211]対応する出発化合物を、参考例2と同じ方式でそれぞれ処理して、以下の表4に示される化合物を得た。
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
【0222】
参考例101:
ベンジル(2S)-3-[4-ビス(フェニルメトキシ)ホスホリルオキシ-3-フェニルメトキシフェニル]-2-[[(2S)-4-メチル-2-(フェニルメトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]プロパノアートの生成
【0223】
【0224】
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(223uL)およびテトラベンジルジホスフェート(805mg)を、氷冷下で、ベンジル(2S)-3-(4-ヒドロキシ-3-フェニルメトキシフェニル)-2-[[(2S)-4-メチル-2-(フェニルメトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]プロパノアート(623mg)およびアセトニトリル(5mL)の混合物に加え、徐々に室温に昇温し、混合物を21時間撹拌した。1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(74uL)およびテトラベンジルジホスフェート(266mg)を混合物に加え、混合物を3.5時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を、反応混合物に加え、酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を、硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を、減圧下で除去した。得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/(酢酸エチル)=67/33~40/60)により精製し、それにより、無色の粘液として表題化合物(702mg、収率80%)を得た。
MS(ESI);m/z885.3[M+H]+。
【0225】
参考例102~112:
対応する出発化合物を、参考例101と同じ方式でそれぞれ処理し、以下の表8-5に示される化合物を得た。以下の表8-5に示される化合物の一部は、上記の例と同じ方法で得ることができる。
【0226】
【0227】
【0228】
【0229】
参考例17:(2S)-3-(4-ヒドロキシ-3-フェニルメトキシフェニル)-2-[[(2S)-2-(フェニルメトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]ベンジルプロパノエートの生成
【0230】
【0231】
[00212](2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)プロパン酸(1.02g)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)(712mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCI)(1.03g)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.750mL)を、(2S)-2-アミノ-3-(4-ヒドロキシ-3-フェニルメトキシフェニル)ベンジルプロパノエート;塩酸塩(1.87g)およびN,N-ジメチルホルムアミド(18mL)の混合物に加え、混合物を室温で18時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水を、反応混合物に加え、酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。不溶物をろ過し、溶媒を減圧下で留去した。残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/(酢酸エチル)=67/33~45/55)により精製し、それにより、白色粉末として表題化合物(2.56g、収率:99%)を得た。
MS(ESI);m/z583.6[M+H]+。
【0232】
参考例18~34:
[00213]対応する出発化合物を、参考例17と同じ方式でそれぞれ処理して、以下の表5に示される化合物を得た。
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
参考例35:(2S)-2-アセトアミド-3-(3,4-ジアセチルオキシフェニル)ベンジルプロパノエートの生成
【0240】
【0241】
[00214](2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ベンジルプロパノエート;塩酸塩(253mg)およびピリジン(1mL)の混合物に氷冷下で、無水酢酸(0.291mL)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を、反応混合物に加え、クロロホルムによる抽出を行った。有機層を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、不溶物をろ過し、次いで、溶媒を減圧下で留去した。得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/(酢酸エチル)=80/20~0/100)により精製し、それにより、無色の粘性物質として表題化合物(280mg、収率:72%)を得た。
MS(ESI);m/z414.2[M+H]+。
【0242】
参考例36および37:
[00215]対応する出発化合物を、参考例35と同じ方式でそれぞれ処理して、以下の表6に示される化合物を得た。
【0243】
【0244】
参考例38:(2S)-2-アミノ-3-[3,4-ビス(フェニルメトキシ)フェニル]ベンジルプロパノエート;塩酸塩の生成
【0245】
【0246】
[00216]4M塩化水素ジオキサン溶液(43mL)を、氷冷下で、(2S)-3-[3,4-ビス(フェニルメトキシ)フェニル]-2-[(2-メチルプロパン-2-イル)オキシカルボニルアミノ]ベンジルプロパノエート(13.2g)に加え、混合物を室温で3時間撹拌した。4M塩化水素酢酸エチル溶液(3mL)を加え、混合物を、2時間撹拌した。反応混合物の溶媒を、減圧下で留去した。残留物を、ジイソプロピルエーテルに懸濁し、沈殿させた固体をろ過により収集し、減圧下で乾燥し、それにより、白色粉末として表題化合物(10.4mg、収率:96%)を得た。
MS(ESI);m/z468.3[M+H]+。
【0247】
参考例39:
[00217]対応する出発化合物を、参考例33と同じ方式でそれぞれ処理して、以下の表7に示される化合物を得た。
【0248】
【0249】
参考例40:(2S)-2-アミノ-3-(3-ベンジルオキシ-4-ヒドロキシフェニル)ベンジルプロパノエート;塩酸塩の生成
【0250】
【0251】
[00218](1)N-(tert-ブトキシカルボニル)-ホスホノグリシントリメチルエステル(10g)および1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(5mL)を、化合物A-1(8.31g)およびジクロロメタン(90mL)の混合物に氷冷下で加え、混合物を室温で24時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水を、反応混合物に加え、酢酸エチルによる抽出を行った。有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル)に通し、ろ液の溶媒を減圧下で留去した。残留物を、エタノールに懸濁し、沈殿させた固体をろ過により収集し、減圧下で乾燥し、白色粉末として化合物A-2(10.7g、収率:79%)を得た。
MS(ESI);m/z440.3[M-H]-。
【0252】
[00219](2)(+)-1,2-ビス((2S,5S)-2,5-ジエチルホスホラノ)ベンゼン(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート((S,S)-Et-DUPHOS-Rh)(144mg)を、化合物A-2(9.65g)およびテトラヒドロフラン(80mL)の混合物に加え、混合物を加圧水素雰囲気下(800kPa)で、35℃で3時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/(酢酸エチル)=50/50)に通し、ろ液の溶媒を減圧下で留去した。残留物を、エタノールに懸濁し、沈殿させた固体をろ過により収集し、減圧下で乾燥し、白色粉末として化合物A-3(9.00g、収率:93%)を得た。
MS(ESI);m/z442.2[M-H]-。
【0253】
[00220](3)化合物A-3(7.52g)を、テトラヒドロフラン(40mL)、メタノール(20mL)および蒸留水(15mL)の混合溶媒に溶解し、4M水酸化リチウム水溶液(20mL)を氷冷下で加え、混合物を、0℃で7時間撹拌した。1M塩酸(60mL)を、反応混合物に加え、酢酸エチルによる抽出(100mL)を行った。有機層を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、不溶物をろ過し、溶媒を減圧下で留去し、それにより、黄色の粘性物質として化合物A-4(7.52g、88wt%、収率:100%)を得た。
MS(ESI);m/z386.2[M-H]-。
【0254】
[00221](4)-1炭酸セシウム(3.97g)および臭化ベンジル(2.40mL)を、化合物A-4(7.46g、88wt%)およびN,N-ジメチルホルムアミド(4mL)の混合物に室温で加え、混合物を同温で4時間撹拌した。飽和塩化ナトリウム溶液および水を、反応混合物に加え、酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、溶媒を、減圧下で留去した。得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/(酢酸エチル)=80/20~67/33)により精製し、それにより、白色粉末として化合物A-5(8.81g、90wt%、98%)を得た。
MS(ESI);m/z476.2[M-H]-。
【0255】
[00222](4)-2(化合物A-5の別の合成方法)ヨウ素(153mg)を、窒素雰囲気下で、5℃で活性亜鉛(923mg)およびN,N-ジメチルホルムアミド(7mL)の混合物に加えた。20℃に昇温し、混合物を10分間撹拌した。反応混合物を、再び6℃に冷却し、化合物A-6(1890mg)を20℃またはそれ以下で部分的に加え、混合物を、20℃で30分間撹拌し、それにより、化合物A-7の溶液を得た。
【0256】
[00223]トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(31mg)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニルジシクロヘキシル(2’,6’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)ホスフィン(30mg)、および化合物A-8(1309mg)を順次に加え、混合物を室温で16時間撹拌した。ヘキサン/(酢酸エチル)(1:1)を、反応混合物に加え、不溶物を、セライトろ過により除去した。不溶物を、ヘキサン/(酢酸エチル)(1:1)および水で洗浄し、ろ液を、飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で順次に洗浄した。有機層を、無水硫酸マグネシウムで脱水し、不溶物をろ過し、次いで、溶媒を減圧下で留去した。得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/(酢酸エチル)=80/20~67/33)により精製し、それにより、黄色の粘性物質として化合物A-5(1.84g、収率:90%)を得た。
MS(ESI);m/z378.2[M+H-Boc]+。
【0257】
[00224](5)4M塩化水素ジオキサン溶液(6mL)を、化合物A-5(1.63g)および1,4-ジオキサン(15mL)の混合物に氷冷下で加え、混合物を、室温で1時間撹拌した。4M塩化水素ジオキサン溶液(6mL)を加え、混合物を、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、その体積が約1/10になるまで減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチルに懸濁し、沈殿させた固体をろ過により収集し、減圧下で乾燥し、それにより、白色粉末として化合物[a-1](1288mg、収率:90%)を得た。
MS(ESI);m/z378.4[M+H]+。
【0258】
参考例41:(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジアセトキシフェニル)ベンジルプロパノエート;塩酸塩の生成
【0259】
【0260】
[00225](1)炭酸セシウム(1.43g)および臭化ベンジル(0.58mL)を、化合物B-1(2.0g)およびN,N-ジメチルホルムアミド(19mL)の混合物に加え、混合物を、室温で2時間撹拌した。飽和塩化ナトリウム溶液および水を、反応混合物に加え、酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、不溶物をろ過し、次いで、溶媒を減圧下で留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、それにより、無色の粘性物質として化合物B-2(1.68g、収率:75%)を得た。
MS(ESI);m/z372.1[M+H-Boc]+。
【0261】
[00226](2)4M塩化水素酢酸エチル溶液(0.5mL)を、化合物B-2(515mg)の酢酸エチル(5mL)溶液に氷冷下で加え、混合物を、室温で4時間撹拌した。4M塩化水素酢酸エチル溶液(3mL)を加え、混合物を、室温で2.5時間撹拌した。反応混合物の溶媒を、減圧下で留去した。残留物を、酢酸エチルに懸濁し、沈殿させた固体をろ過により収集し、減圧下で乾燥し、それにより、白色粉末として化合物B(409mg、収率:98%)を得た。
MS(ESI);m/z372.1[M+H]+。
【0262】
参考例42:(2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル)プロパン酸の生成
【0263】
【0264】
[00227]p-トルエンスルホン酸(175mg)および2,2-ジメトキシプロパン(12.5mL)を、化合物C-1(3.66g)およびトルエン(102mL)の混合物に加え、混合物を、ディーン・スターク装置を用いて14時間加熱還流した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を、反応混合物に加え、酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を、硫酸マグネシウムで脱水し、不溶物をろ過し、次いで、溶媒を減圧下で留去し、黄色の粘性物質として化合物C-2の粗生成物を得た。
【0265】
[00228]化合物C-2の粗生成物を、メタノール(25mL)、水(20mL)およびテトラヒドロフラン(51mL)の混合溶媒に溶解し、水酸化リチウム一水和物(855mg)を氷浴下で加え、混合物を同温で40分間撹拌し、次いで、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、水で希釈し、ジエチルエーテルで洗浄した。酢酸エチルを水層に加え、飽和クエン酸水溶液を、混合物のpHが6になるまで加え、酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を、硫酸マグネシウムで脱水し、不溶物をろ過し、次いで、溶媒を減圧下で留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル)により精製し、それにより、黄色の粘性物質として化合物C(2.40g、2段階収率:63%)を得た。
MS(ESI);m/z370.2[M-H]-。
【0266】
参考例43:(2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(2-エトキシ-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル)プロパン酸の生成
【0267】
【0268】
[00229](1)化合物D-1(1.35g)を1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(7.51mL)に溶解し、オルト酢酸トリエチル(1.38mL)を加え、混合物を80℃で3時間撹拌した。水を、反応混合物に加え、次いで、酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を、硫酸マグネシウムで脱水し、不溶物をろ過し、次いで、溶媒を減圧下で留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/(酢酸エチル)=85/15~70/30)により精製し、それにより、無色の粘性物質として化合物D-2(1.41g、収率:87%)を得た。
MS(ESI);m/z430.0[M+H]+。
【0269】
[00230](2)化合物D-2(1.35g)を、メタノール(3.9mL)、水(6.3mL)およびテトラヒドロフラン(6.3mL)の混合溶媒に溶解し、水酸化リチウム一水和物(264mg)を氷浴下で加え、次いで、混合物を、室温で10時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチルを加えた後、飽和塩化アンモニウム水溶液を、混合物のpHが6になるまで加え、酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を、硫酸マグネシウムで脱水し、不溶物をろ過し、次いで、溶媒を減圧下で留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:(酢酸エチル)/メタノール=100/0~95/5)により精製し、それにより、無色固体として化合物D(816mg、収率:65%)を得た。
MS(ESI);m/z400.2[M-H]-。
【0270】
実験例1:ヒト肝細胞を用いたin vitro転換効率の評価
[00231]プロドラッグからレボドパへの転換効率を、ヒト肝細胞を用いた代謝試験で評価した。プロドラッグを、ヒト肝細胞を用いて37℃で4時間インキュベートした。反応溶液の一部を、各所定時間で試料採取し、有機溶媒で混合して、反応を停止した。反応-停止溶液を遠心し、得られた上澄みを液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法を用いて分析した。レボドパへの転換効率は、4時間のインキュベーション後のレボドパ生成量として評価した。表8は、本発明の例の一部として化合物のレボドパ生成量を示す。
【0271】
【0272】
[00232]上記の試験の結果において示される通り、すべての化合物が、レボドパを生成することが確認された。これらの結果から、in vivoにおける効率的なレボドパ生成が予想され、パーキンソン病の治療用医薬品として特に有用であることが考えられる。
【0273】
実験例2-1:溶液安定性の評価
[00233]pH7.4のリン酸緩衝液を各化合物に加えて、各化合物を溶解させ、必要に応じて、NaOH溶液を加えて混合物のpHを調整して、約1mg/mLの溶液を調製した。この溶液を25℃で約1日保存した後、HPLC純度(面積百分率、%)を測定した。調製直後の溶液のHPLC純度、または化合物のHPLC純度を、25℃で約1日間保存した後のHPLC純度から差し引き、HPLC純度の差を得た。表9は、本発明の例のいくつかの化合物の溶液安定性を示す。表9-1および表9-2中で、「LDP-Ala」は、L-チロシン、N-L-アラニル-3-ヒドロキシ-(9CI)を表し、次の構造式を有する:
【0274】
【0275】
【0276】
実験例2-2:溶液安定性の評価
pH7.4のリン酸緩衝液を各化合物に加えて、各化合物を溶解させ、必要に応じて、NaOH溶液を加えて混合物のpHを調整して、約1mg/mLの溶液を調製した。この溶液を60℃で約1日保存した後、HPLC純度(面積百分率、%)を測定した。調製直後の溶液のHPLC純度、または化合物のHPLC純度を、60℃で約1日間保存した後のHPLC純度から差し引き、HPLC純度の差を得た。表9-2は、本発明の例のいくつかの化合物の溶液安定性を示す。
【0277】
【0278】
[00234]上記の試験の結果において示される通り、本発明の化合物が、中性付近の水溶液中で安定しており、その中でもとりわけ、実施例1および実施例8の化合物が安定していることが確認された。
【0279】
[00235]上記の結果から、本発明の化合物は、pH6~8の高い溶液安定性を有することが予想され、溶液配合物として有用であると考えられる。
実験例3:溶解性の評価
[00236]水を各化合物に加えて、懸濁液を調製し、これを25℃で24時間振とうし、次いで、フィルターを通したろ過を行って、ろ液を得た。ろ液中の化合物濃度を、HPLCを用いて定量して、溶解性を得た。さらに、ろ液のpHを測定した。表10-1は、本発明の例のいくつかの化合物の溶解性を示す。
【0280】
【0281】
[00237]上記の試験の結果において示される通り、すべての化合物が、等電点近くのpHの良好な溶解性を示すことが確認された。
[00238]上記の結果から、化合物は、pH6~8で高い溶解性を示すことが予想され、溶液配合物として特に有用であると考えられる。
【0282】
(配合物の調製方法)
LDP-Ala/CD配合物の調製方法
[00239]NaOH溶液を、LDP-Alaに加え、室温下で撹拌してLDP-Alaを溶解させた。カルビドパおよび抗酸化剤(N-アセチルシステインおよびアスコルビン酸)を混合物に加え、必要に応じて、NaOH溶液を加えることによりpHを調整しながら溶解させた。その後、ポリソルベート80およびNaOH水溶液を加えて、表10-2の配合物組成物を作製し、適宜超純水で体積を調整した。上記の溶液を、0.22μmのフィルターを通してろ過し、ヘッドスペースを窒素と置き換えながらバイアルに充填した。
【0283】
【0284】
LDP-Lys/CD配合物の調製方法
[00240]KOH溶液およびメグルミンをLDP-Lysに加え、室温下で撹拌してLDP-Lysを溶解させた。カルビドパおよび抗酸化剤(N-アセチルシステインおよびアスコルビン酸)を混合物に加え、必要に応じて、KOH溶液を加えることによりpHを調整しながら溶解させた。その後、ポリソルベート80およびKOH溶液を加えて、表10-3の配合物組成物を作製し、適宜超純水で体積を調整した。上記の溶液を、0.22μmのフィルターでろ過し、ヘッドスペースを窒素と置き換えながらバイアルに充填した。
【0285】
【0286】
(LDP-AlaおよびLDP-Lys配合物の安定性評価の結果)
[00241]表10-2および表10-3に示す通り調製した配合物を冷蔵(2~8℃)で2週間保存した。その後、各配合物の外観を目視で確認し、沈殿物の存在について評価した。HPLCも用いて、LDP-AlaおよびLDP-Lysの定量および純度を決定した。
【0287】
[00242]表10-2および表10-3に示す両配合物において、冷蔵の2週間後に、沈殿は観察されず、定量値にも有意な変化は観察されず、冷蔵で2週間までは安定していると考えられることが示された。表10-2および表10-3に示された配合物の安定性評価の結果を、それぞれ表10-4および表10-5に示す。
【0288】
【0289】
【0290】
パートII:LD-Tyr配合物
実験例4 - 2~8℃における30%LD-チロシン/0.75%カルビドパの長期安定性
[00243]LD-チロシン(LD-Tyr)300mg/mL(30%)およびカルビドパ7.5mg/mL(0.75%)を含む配合物を、5.5%L-アルギニンおよび11.5%Trisを用いて調製した。本配合物には、0.5%アスコルビン酸(Asc)、0.5%N-アセチルシステイン(NAC)、0.3%Tween80も含まれた。配合物を、2~8℃で指示された時間保存し、回収%およびLD-Tyr-DKP(不純物)形成%を試験した。結果を表11に示す。回収パーセントは、経時的に高いままであった。DKP不純物は、経時的に蓄積した。
【0291】
【0292】
実験例5 - 共溶媒中の溶解性
[00244]LD-チロシン(LD-Tyr)の溶解性を、表12に示す通り、種々の共溶媒中で試験した。配合物を、2~8℃または25℃で指示された時間保存し、安定性(沈殿の存在により測定)およびDKP形成%(不純物)を試験した。表12に示す通り、プロピレングリコールを含む配合物は、2~8℃で少なくとも1ヵ月まで、25℃で少なくとも2週間まで安定しており、実施例1に示した5.5%L-アルギニンおよび11.5%Trisを含む配合物よりもDKPの蓄積が少ないことを示した。PEG300を含む配合物は、2~8℃で不安定で、試験した他の配合物よりもDKPの蓄積が多いことを示した。5%、10%、15%でのDMAを含む配合物も調製した。すべての濃度のT=0で、DKPの有意なレベルを検出した。
【0293】
【0294】
実験例6 - 30%LD-チロシン-L-アルギニンベースの配合物の安定性に対する様々な添加剤の影響
[00245]配合物を、LD-Tyr300mg/mL、NAC5mg/mL(0.5%)、アスコルビン酸5mg/mL(0.5%)、18.1%L-Arg、および表13に示す添加剤を用いて調製した。PVP K17は、ポリビニルピロリドン低分子量(PVP K17)の略語である。すべての配合物は、2~8℃および25℃で少なくとも2週間物理的に安定していた。表13に示す通り、どの試験した添加剤も、DKPの形成を抑制または防止する能力を示さなかった。
【0295】
【0296】
実験例7 - 塩基(有機および無機)の溶解性および物理的安定性
[00246]この実施例では、LD-チロシンを、対イオンおよび酸化防止剤の0.8M溶液に、撹拌しながら部分的に添加した。L-アルギニン配合物を、撹拌しながら加熱し、他の配合物は加熱しなかった。pHは、調整しなかった。溶解性は、HPLCによりろ過後に確認した。物理的安定性を、2~8℃または25℃で2週間および1ヵ月保存した後に測定した。表14に示す通り、LD-チロシンをエタノールアミン、ジエチルアミンおよび水酸化アンモニウムに可溶化すると、2~8℃および25℃で少なくとも1ヵ月まで物理的に安定した(沈殿の証拠がない)。溶解性および安定性は、pHのみでなく、用いた特定の塩基に依存した。
【0297】
【0298】
[00247]安定性に加えて、不純物(DKP)の形成を各配合物で測定した。表15に示す通り、DKPの形成は、25℃で水酸化ナトリウムを用いた配合物で最少であった。DKPの形成は、ジエチルアミン、エタノールアミンおよび水酸化アンモニウムでそれぞれわずかに高かった。
【0299】
【0300】
[00248]配合物を、LD-Tyr300mg/mL、NAC5mg/mL(0.5%)、アスコルビン酸5mg/mL(0.5%)、および17.2%メグルミンまたは18.1%L-Argで調製した。すべての配合物は、2~8℃および25℃で少なくとも2週間物理的に安定していた。表16に示す通り、L-Argを用いた場合、メグルミンと比較して、より低いDKPレベルが観察された。
【0301】
【0302】
実験例8 - 30%LD-チロシンの安定性に対する様々なアミンおよび無機塩基の影響
[00249]本実施例では、LD-チロシン配合物300mg/mL(30%)を、表17に示した成分、ならびに抗酸化剤であるアスコルビン酸(0.5%)およびN-アセチルシステイン(NAC)(0.5%)で調製した。加熱を用いずにこれらの配合物を調製した。
【0303】
【0304】
[00250]表17および
図1および2に示す通り、ジエチルアミンおよびL-Argを含む配合物によって、最も低いDKPレベルの形成がもたらされ、ジエタノールアミンおよびL-ArgならびにエタノールアミンおよびL-Argが、それに続いた。試験したアミンの中で、DKPの最高量は、エチレンジアミンおよびL-Argを含む配合物ならびにエチレンジアミン単独(L-Argなし)を含む配合物において示された。相対的なDKPレベルの形成は、2~8℃および25℃でも類似した。
【0305】
[00251]配合物を、LD-Tyr300mg/mL、NAC5mg/mL(0.5%)およびアスコルビン酸5mg/mL(0.5%)、ならびに表18に示す塩基の組合せで調製した。すべての配合物は、2~8℃で少なくとも70日間物理的に安定していた。
【0306】
【0307】
[00252]配合物を、表19に示す通り、LD-Tyr300mg/mL、NAC5mg/mL(0.5%)、アスコルビン酸5mg/mL(0.5%)、7.2%L-Arg、および水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウムで調製した。表19に示す通り、水酸化ナトリウムを含む配合物は、物理的に不安定であることを実証した。
【0308】
【0309】
実験例9 - 30%LD-チロシンの安定性に対するエタノールアミンの影響
[00253]本実施例では、LD-チロシン配合物300mg/mL(30%)を、表20に示す通りL-アルギニンおよびエタノールアミン単独および異なる濃度のそれらの組合せ、ならびに抗酸化剤であるアスコルビン酸(0.5%)およびN-アセチルシステイン(NAC)(0.5%)で調製した。18.1%L-Argを含有する配合物のみ、調製中に加熱した。
【0310】
【0311】
[00254]次いで、配合物を、2週間にわたって、2~8℃および25℃でDKP蓄積および物理的安定性について試験した。表21に示す通り、L-Argを単独で含有する配合物は、DKP蓄積レベルが最も低く、DKP蓄積の量は、一般に、エタノールアミン対L-Arg比が増加するにつれて増加した。試験したいかなる配合物においても沈殿の証拠は示されなかった。18.1%L-Argを含有する配合物のみ、調製中に加熱した。
【0312】
【0313】
[00255]表22は、L-アルギニンおよびエタノールアミンまたはジエチルアミン、ならびに抗酸化剤であるアスコルビン酸(0.5%)およびN-アセチルシステイン(NAC)(0.5%)で調製した追加のLD-チロシン配合物300mg/mL(30%)を示す。
【0314】
【0315】
実験例10 - 血液/血漿比
[00256]50、150、2500ng/mLの濃度のLD-Tyrの血液/血漿比(R
B)を、ラット、ミニブタ、およびヒトの血液中でex vivoで調査して、赤血球(RBC)への分配を理解した。ラットおよびミニブタの血液中で、RBCおよび血漿間の分配係数(K
RBC/PL)の値は、5を下回り、RBCの結合が限定されることが示された。ラットの血液では、K
RBC/PLは、インキュベーション時間と共に増加した(
図3を参照のこと)。ミニブタの血液では、K
RBC/
PLは、2つの高濃度(150および2500ng/mL)の場合のインキュベーション時間と共に増加したが、低濃度(50ng/mL)では15分および30分で1に達した後、K
RBC/PLは、0.0まで低下した(
図4を参照のこと)。ヒトの血液では、測定された全K
RBC/PLは、1を下回り、RBC結合を示さなかった(
図5を参照のこと)。
【0316】
実験例11 - ラットおよびミニブタにおける安全性試験
[00257]in vivo非臨床安全性試験を、ラットおよびミニブタの両方で実施した。さらに、飼育ブタにおけるPK試験の一環として、LD-Tyrの局所注入部位反応の評価を行った。LD-Tyrの様々な非臨床試験で得られたin vivo非臨床安全性の結果のまとめを、表23に示す。
【0317】
【0318】
実験例12 - 20%LD-チロシン-L-アルギニンベースの配合物の安定性に対する様々な添加剤の影響
[00258]配合物を、LD-Tyr200mg/mL、NAC5mg/mL(0.5%)、アスコルビン酸5mg/mL(0.5%)、15.5%L-Arg、および表24に示される添加剤で調製した。表24に示す通り、試験した添加剤は、2~8℃でのDKP生成を制限することが可能であったが、室温でのDKPの量は、依然として有意であった。さらに、MgCl2を含む配合物は、比較的高い粘度を実証したことに留意されたい。LD-Tyrの溶解性は、DMA>エタノール>PEG300であり、配合物の粘度は、エタノール<DMA<PEG300であった。
【0319】
【0320】
実験例13 - 配合物の特徴に対するエタノールおよび/またはPEG300の影響
[00259]表25中の配合物の安定性および飽和度を評価した。F1は、LD-Tyrの量を400mg/mlまで増加させる場合でも、5℃で1週間安定していることを証明した。一方、F2~F4は、LD-Tyrの量を、400mg/mlまで増加させても依然として安定しなかった。物理的安定性を維持するために、配合物F2~F4にL-アルギニンを加え、pHを元のレベルに調整した。それを行った後、LD-Tyrの量を400mg/mlまで増加させても、F2~F4は、5℃で1週間安定したままであった。
【0321】
【0322】
[00260]1ヵ月後の目視検査でも、表25中の配合物の物理的安定性が確認された(配合物は、透明なままであり、沈殿は明らかでなかった)。安定性を、同様にHPLCにより試験し、結果は、5日後におよそ100%の回復を示した。さらに、2~8℃または25℃で1ヵ月間保持した配合物に関する1ヵ月の安定性HPLC試験では、両条件下で安定性が維持されたことが示された。配合物間の主な差は、経時的に形成されたDKPの量にあり、2~8℃ではDKPの形成が抑制されるが、25℃では抑制されない。この点について、F1中で生成されるDKPの量は、F2~F4のいずれかで生成される量よりも少ないことに留意されたい。
【0323】
実験例14 - 飼育ブタにおけるLD-Tyrの薬物動態
[00261]表26に詳述した、いくつかのLD-Tyr配合物および表27に詳述した、投薬レジメンを用いて、飼育ブタにおいて、一連のPK試験を完了した。LD-TyrのPKプロフィールならびにそれによるLDを、雌の飼育ブタに18時間連続SC注入した後、決定した。各配合物を、輸液セット(Accu-chek(登録商標)、FlexLink、Roche社)に接続されたCrono-ND輸液ポンプ(Cane SpA Medical Technology社、Rivoli、Italy)を用いて、動物1匹当たり1ヵ所の注入部位に投与した。
【0324】
[00262]LD-TyrおよびLD血漿レベルを決定するための血液サンプルを、注入開始後次の時点:0(投与前)、30分、1時間、2時間、6時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、18時間、18.5時間、19時間、21時間、23時間および26時間でブタから採取した。
【0325】
【0326】
[00263]各試験についてのPKパラメーターならびに投薬レジメンの要約を、表27に詳述する。
【0327】
【0328】
[00264]上記で詳述した試験に由来する、LD-Tyrの複合平均濃度および得られたLDを、それぞれ
図6および
図7に示す。
実験例15 - 飼育ブタにおけるTRISを含む高濃度LD-Tyr配合物に対する薬物動態および局所部位反応試験
実験例15A - 1%CD
[00265]一連のPKおよび局所毒性試験を、表28に詳述した、1%CDおよび様々な量のTRISを含むいくつかの高濃度LD-Tyr配合物、ならびに表29に詳述した、投薬レジメンを用いて、飼育ブタにおいて完了した。LD-TyrのPKプロフィールならびにそれによるLDを、雌の飼育ブタに18時間連続SC注入した後、決定した。各配合物を、輸液セット(Accu-chek(登録商標)、FlexLink、Roche社)に接続されたCrono-ND輸液ポンプ(Cane SpA Medical Technology社、Rivoli、Italy)を用いて、動物1匹当たり1ヵ所の注入部位に投与した。
【0329】
[00266]LD-TyrおよびLD血漿レベルを決定するための血液サンプルを、注入開始後次の時点:0(投与前)、30分、1時間、2時間、6時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、18時間、18.5時間、19時間、21時間、23時間および26時間でブタから採取した。
【0330】
【0331】
【0332】
PK結果
[00267]において得られたPKパラメーターのまとめを、表30に示した。
【0333】
【0334】
[00268]上記で詳述した試験に由来する、LDの複合平均濃度を、
図8に示す。
[00269]本試験の結果に基づきおよび本試験の条件下で、LDへの全身曝露の有意差は、9mLにおけるLD-Tyr30%、7.5mLにおけるLD-Tyr37%、または6mLにおけるLD-Tyr44%の注入後に観察されなかったと結論付けることができる。
【0335】
局所部位反応
[00270]ポンプ取り外し直後に、注入部位に任意の局所反応について検査した。任意の皮膚反応(例えば、紅斑、浮腫/腫脹)を記録し、表31に示す通り、皮膚刺激を点数化するための5点Draizeスケールに従って点数化した。
【0336】
【0337】
[00271]これらの結果では、有意な局所皮膚反応が、いずれの試験配合物によっても誘発されなかったことが示された。表32に示す通り、ごく軽微から明瞭な紅斑および浮腫(グレード1~2)がポンプ取り外し直後に観察された。
【0338】
【0339】
実験例15B - 0.5%CD
[00272]一連のPKおよび局所毒性試験は、飼育ブタにおいて表33に詳述した、0.5%CDおよび様々な量のTRISを含むいくつかの高濃度LD-Tyr配合物、ならびに表34に詳述した、投薬レジメンを用いて完了した。LD-TyrのPKプロフィールならびにそれによるLDを、雌の飼育ブタに18時間連続SC注入した後、決定した。各配合物を、輸液セット(Accu-chek(登録商標)、FlexLink、Roche社)に接続されたCrono-ND輸液ポンプ(Cane SpA Medical Technology社、Rivoli、Italy)を用いて、動物1匹当たり1ヵ所の注入部位に投与した。
【0340】
[00273]LD-TyrおよびLD血漿レベルを決定するための血液サンプルを、次の時点でブタから採取した:
[00274]0(投与前)、注入開始の30分、1時間、2時間、6時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、18時間、18.5時間、19時間、21時間、23時間および26時間後。
【0341】
【0342】
【0343】
PK結果
[00275]得られたPKパラメーターのまとめを、表35に示した。
【0344】
【0345】
[00276]上記で詳述した試験に由来する、LDの複合平均濃度を、
図9に示す。
[00277]本試験の結果に基づきおよび本試験の条件下で、LDへの全身曝露の有意差は、9mLにおけるLD-Tyr30%、7.5mLにおけるLD-Tyr37%、または6mLにおけるLD-Tyr44%の注入後に観察されなかったと結論付けることができる。
【0346】
局所部位反応
[00278]ポンプ取り外し直後に、任意の局所反応について注入部位を検査した。任意の皮膚反応(例えば、紅斑、浮腫/腫脹)を記録し、表31に示す通り、皮膚刺激を点数化するための5点Draizeスケールに従って点数化した。
【0347】
[00279]有意な局所皮膚反応は、ほとんどの治療部位において観察されなかった。ポンプ取り外し直後に観察された反応は、表36に示す通り、ごく軽微から中等度(グレード1~3)の紅斑および浮腫であった。
【0348】
【0349】
実験例16 - 様々な濃度のLD-TyrおよびCDを含む配合物を投与している飼育ブタにおける薬物動態および局所部位反応試験
[00280]一連のPKおよび局所部位反応試験を、飼育ブタにおいて、表37に詳述した、様々な量のCDを含む、いくつかの濃度のLD-Tyr配合物、および表38に詳述した、投薬レジメンを用いて完了した。LD-TyrのPKプロフィールならびにそれによるLDを、雌の飼育ブタに18時間連続SC注入した後、決定した。各配合物を、輸液セット(Accu-chek(登録商標)、FlexLink、Roche社)に接続されたCrono-ND輸液ポンプ(Cane SpA Medical Technology社、Rivoli、Italy)を用いて、動物1匹当たり1ヵ所の注入部位に投与した。
【0350】
[00281]LD-TyrおよびLD血漿レベルを決定するための血液サンプルを、次の時点でブタから採取した:
[00282]0(投与前)、注入開始の30分、1時間、2時間、6時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、18時間、18.5時間、19時間、21時間、23時間および26時間後。
【0351】
【0352】
【0353】
PK結果
[00283]得られたPKパラメーターのまとめを、表39に示した。
【0354】
【0355】
[00284]上記で詳述した試験に由来する、LDの複合平均濃度を、
図10に示す。
局所部位反応
[00285]ポンプ取り外し直後に、任意の局所反応について注入部位を検査した。任意の皮膚反応(例えば、紅斑、浮腫/腫脹)を記録し、表31に示す通り、皮膚刺激を点数化するための5点Draizeスケールに従って点数化した。
【0356】
[00286]有意な局所皮膚反応は、すべての治療部位において観察されなかった。ポンプ取り外し直後に観察された反応は、表40に示す通り、ごく軽微から明確に定義された紅斑(グレード1~2)であった。
【0357】
【0358】
実験例17 - CD用量設定
[00287]LDの全身曝露に対するCDの用量の効果を、LD-Tyr30%および異なる濃度のCD(0.5~1.5%)の組合せの連続SC注入後のLDの血漿中濃度を比較することにより評価した。データを、様々な前臨床試験から得(表41を参照のこと)、動物の体重に従って正規化した。
図11に、の(of)LDの正規化された複合平均血漿濃度を示す。
【0359】
【0360】
[00288]これらの結果によって、様々なCD濃度のLD-Tyr30%の注入後のLD血漿濃度が、CD用量とは無関係に、互いに類似したことが示されていることに留意されたい。
【0361】
実験例18 - 30%LD-Tyr配合物のボーラス投与および皮下投与後のPKおよび局所部位反応試験
[00289]一連のPKおよび局所毒性試験を、飼育ブタにおいて、表42に詳述した、様々な量のCDを含む、いくつかの濃度のLD-Tyr配合物、および表43に詳述した投薬レジメンを用いて完了した。LD-TyrのPKプロフィールならびにそれによるLDを、雌の飼育ブタへの18時間連続SC注入を行った後、決定した。各配合物を、輸液セット(Accu-chek(登録商標)、FlexLink、Roche社)に接続されたCrono-ND輸液ポンプ(Cane SpA Medical Technology社、Rivoli、Italy)を用いて、動物1匹当たり1ヵ所の注入部位に投与した。
【0362】
[00290]LD-TyrおよびLD血漿レベルを決定するための血液サンプルを、次の時点でブタから採取した:
[00291]0(投与前)、10分(ボーラスの終了)、ボーラス投与の開始の15分、30分、45分、60分、75分、90分、120分および240分後。
【0363】
【0364】
【0365】
PK結果
[00292]飼育ブタにおけるLD-Tyrおよび得られたLDの複合平均PKパラメーターを、表44に示す。LD-Tyrおよび得られたLDの複合平均血漿濃度を、
図12に示す。
【0366】
【0367】
[00293]本試験の結果に基づきおよび本試験の条件下で、ボーラス注射体積を0.7mLから1.2mLまで、さらに1.7mLまで増加させ、その後、同じLD-Tyr/CD濃度(30%/1%)で2時間連続注入を行うと、LDへの全身曝露が用量に比例して増加すると結論付けることができる。
【0368】
[00294]これらの結果でも、連続SC注入前のLD-Tyrのボーラス注射が、ボーラス注射なしのLD-Tyrの連続SC注入と比較して、LD tmaxを低下させ得るということが示唆される。
【0369】
局所注入部位反応
[00295]ポンプ取り外し直後に、任意の局所反応について注入部位を検査した。任意の皮膚反応(例えば、紅斑、浮腫/腫脹)を記録し、表31に示す通り、皮膚刺激を点数化するための5点Draizeスケールに従って点数化した。
【0370】
[00296]有意な局所皮膚反応は、すべての治療部位において観察されたなかった。ポンプを外した直後に観察された反応は、表45に示す通り、ごく軽微から明確に定義された浮腫(グレード1~2)であった。
【0371】
【0372】
実験例19 - 飼育ブタにおける2時間SC投与後の様々な配合物の局所忍容性および病理学的研究
[00297]表47に詳述した投薬レジメンに従って、表46に詳述した配合物およびビヒクルを飼育ブタにおけるSC投与の24時間後の注射部位の局所忍容性および病態を試験した。
【0373】
【0374】
【0375】
結果
[00298]病理組織学的結果に基づき、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジエチルアミンベースの配合物(F2~F5およびV2~V5)は、9mLの体積で24時間SC注入した後、忍容性がないということが結論付けられた。それに対して、アミン系でないF1/V1配合物は忍容性があった。
【0376】
実験例20 - 飼育ブタにおける24時間SC投与後の追加の配合物の局所忍容性および病理学的研究
[00299]表49に詳述した投薬レジメンに従って、表48に詳述した配合物およびビヒクルを飼育ブタにおけるSC投与の24時間後の注射部位の局所忍容性および病態を試験した。
【0377】
【0378】
【0379】
結果
[00300]病理組織学的結果に基づき、すべての被験配合物は、9mLの体積で24時間SC注入した後、十分に忍容性があったと結論付けることができる。追加の化学実験(安定性など)を考慮して、配合物F1およびF4に焦点を当てることにし、F4は、F1よりも良好な局所忍容性を実証したことに留意されたい。
【0380】
実験例21 - 飼育ブタにおける24時間SC投与後のPEG300および/またはエタノールを含む配合物の局所忍容性試験
[00301]表51に詳述した投薬レジメンに従って、表50に詳述した配合物およびビヒクルを飼育ブタにおけるSC投与の24時間後の注射部位の局所忍容性および病態を試験した。
【0381】
【0382】
【0383】
結果
[00302]ポンプ取り外し直後に、任意の局所反応について注入部位を検査した。任意の皮膚反応(例えば、紅斑、浮腫/腫脹)を記録し、表31に示す通り、皮膚刺激を点数化するための5点Draizeスケールに従って点数化した。
【0384】
[00303]有意な局所皮膚反応は、すべての治療部位において観察されなかった。ポンプ取り外し直後に観察された反応は、表52に示す通り、ごく軽微から中等度(グレード1~3)の紅斑または浮腫であった。
【0385】
【0386】
[00304]さらに、組織病理学的結果に基づきおよび本試験の条件下で、3種すべての配合物(F1~F3)が、9mLの体積で24時間SC注入後、良好に忍容性であったと結論付けることができる。
【0387】
実験例22 - エタノールを含む配合物中のLD-TyrのSC投与後のレボドパ(LD)の薬物動態(PK)
[00305]本研究の目的は、30&LD-Tyrおよびエタノールを含む配合物を飼育ブタに18時間連続皮下(SC)投与した後のLD-Tyrの薬物動態(PK)を決定することである。表53は、本試験で試験したLD-Tyr配合物を示す。
【0388】
【0389】
[00306]動物に、注入体積9mlまたは18ml(9mL×2部位)での18時間連続皮下投与において、表53の配合物中のLD-Tyr2700mgまたは5400mgで投与した。
【0390】
[00307]
図13は、2700mg投薬レジメンの複合平均血漿LD-TyrおよびLD濃度対時間プロフィールを示す。PKパラメーターも示す。
[00308]
図14は、5400mg投薬レジメンの複合平均血漿LD-TyrおよびLD濃度対時間プロフィールを示す。PKパラメーターも示す。
【0391】
[00309]
図15は、2700mgおよび5400mg投薬レジメンの複合平均血漿LD濃度対時間プロフィールを示す。
[00310]表54は、PK結果のまとめを示す。
図15ならびに表54に示した結果は、LD-Tyrの用量比例性を示す。
【0392】
【0393】
実験例23
[00311]LD-Tyr配合物中の抗酸化剤を最適化するために、次の配合物を調製し、分析的に評価した。
【0394】
【0395】
【0396】
[00312]表56に示した結果では、酸化防止剤単独ではどちらも不純物を防止せず、それら2つの組合せも同様であったことが示されている。したがって、アスコルビン酸およびNACのそれぞれの最終量は、約0.1%~約1%の間である。
【0397】
[00313]表57に詳述した、次の追加配合物もやはり調製し、表58aおよび58bに詳述した、2つの分析法を用いて、時間0におけるそれらの分析値を測定した。
【0398】
【0399】
【0400】
【0401】
[00314]アスコルビン酸の量が最適化されると、NACの量も同様に最適化される。NACの量を最適化するために用いた計画された配合物を、以下の表59に示す:
【0402】
【0403】
均等物
[00315]本発明のいくつかの特徴は、本明細書中に例証され記載されており、当業者であれば多くの修正、置き換え、変更、および均等物を想定することができる。したがって、添付した特許請求の範囲は、本発明の真の精神に属するすべてのかかる修正および変更を包含することを意図しているということを理解されたい。本明細書中で用いられる成分の数量、反応条件などを表すすべての数字は、開示された実施形態のうちのいずれかに関して用語「約」が詳細に列挙されない場合でも、用語「約」により、すべての場合において修正されるものと理解されるべきである。
【0404】
参照による組み込み
[00316]本明細書中で参照される、すべての特許、公開された特許出願、ウェブサイト、および他の参照文献の内容全体は、参照によりその全体を本明細書に明確に組み込む。
【産業上の利用可能性】
【0405】
[00201]本発明において、本明細書中に記載されるレボドパプロドラッグ化合物および安定化配合物は、パーキンソン病および関連症状のような、神経変性疾患および/または脳内のドパミン濃度の低下により引き起こされる疾患または症状の予防または治療に有用である。したがって、本発明は、医薬品産業において利用価値が高い。
【国際調査報告】