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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20240227BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240227BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J11/06
C09B67/20 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555234
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2022056202
(87)【国際公開番号】W WO2022189577
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】21161875.6
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】507055925
【氏名又は名称】データレース リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DATALASE LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,マーティン
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040HC16
4J040HC26
4J040HD41
4J040JB01
4J040KA26
4J040KA29
4J040KA35
4J040LA01
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB05
4J040NA06
(57)【要約】
本発明は、ホットメルト接着剤から形成された組成物であって、ホットメルト接着剤がその中に混合された色形成化合物を有する、組成物に関する。本発明は、さらに、組成物を有する基材または多重層基材構造体であって、その上にまたはその中に組成物が塗布されている基材または多重層基材構造体、ならびに前記組成物を使用して基材または多重層基材構造体の上および/または内に色および/または像を形成する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤から形成された組成物であって、前記ホットメルト接着剤はその中に混合された色形成化合物を有し、前記色形成化合物は、ロイコ染料、および多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物から選択され、前記色形成化合物がロイコ染料である場合:
(a)前記ロイコ染料は、2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オンおよび2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オンから選択され;
(b)前記ホットメルト接着剤は、その中に混合された熱的酸発生剤をさらに有し、前記熱的酸発生剤は、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)、トリ-n-ブチルアンモニウム-4,4’-ジオキソ-4H,4’H-2,2’-スピロビ[ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボリニン]-2-ウイド、N,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、(2,4-ジヒドロキシフェニル)フェニルメタノン、3-(3-トシルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホネート、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸プロピルおよび4,4’-メタンジイルジフェノールから選択され、
(c)前記ホットメルト接着剤の融解温度は、前記ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低く;
前記色形成化合物が多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物である場合、前記ホットメルト接着剤の融解温度は、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の分解温度より低い、組成物。
【請求項2】
ホットメルト接着剤から形成された組成物であって、前記ホットメルト接着剤は、その中に混合された色形成化合物および赤外線吸収化合物を有し、前記色形成化合物は、ロイコ染料、あるいは多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物から選択され、
前記色形成化合物がロイコ染料である場合、前記ホットメルト接着剤は、その中に混合された熱的酸発生剤をさらに有し、前記ホットメルト接着剤の融解温度は、前記ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低く;
前記色形成化合物が多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物である場合、前記ホットメルト接着剤の融解温度は、前記多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の分解温度より低い、組成物。
【請求項3】
ホットメルト接着剤から形成された組成物であって、前記ホットメルト接着剤はその中に混合された色形成化合物を有し、前記色形成化合物が、八モリブデン酸アンモニウム、ならびに以下のロイコ染料:2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン、および2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オンから選択され、前記色形成化合物がロイコ染料である場合、前記ホットメルト接着剤はその中に混合された熱的酸発生剤1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンをさらに有する、組成物。
【請求項4】
前記ホットメルト接着剤が、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー;ポリ(エチレンアクリレート)コポリマー;アクリル樹脂;ポリビニルブチラール;ポリブテン、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、例えば低密度(LDPE)および高密度(HDPE)ポリエチレン;エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンなどのポリアミド;ナイロン;ポリ(乳酸)(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)およびポリ(グリコール酸)(PGA)を含むポリエステル;ポリウレタン;アクリル樹脂およびスチレンアクリレートコポリマー;スチレン-イソプレン-スチレンブロックトリ-およびコポリマー;ポリスチレン(PS);ポリカプロラクトン;ポリカルボネート;フルオロポリマー;エラストマー;シリコーンゴムおよびポリピロール、またはそれらの組み合わせから選択される熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン、およびポリ(乳酸)(PLA)から選択され、好ましくは、前記熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物が、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー、および低密度ポリエチレン(LDPE)から選択され、より好ましくは、前記熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物が、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、およびポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーから選択され、より好ましくは、前記熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーがポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物が、バイオプラスチックもしくは石油系プラスチック熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物である、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物がリサイクル可能、生分解性および/または堆肥化可能である、請求項4から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ホットメルト接着剤が、1~1000g/10分、好ましくは100~1,000g/10分、より好ましくは500~900g/10分のメルトフローインデックスを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ホットメルト接着剤が、50~200℃、または50~160℃、または70~150℃の融点を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記色形成化合物がロイコ染料である場合、前記熱的酸発生剤が、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンおよびN,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)から選択され、好ましくは1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンである、請求項1およびその項に従属する請求項4から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記色形成化合物が多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物である場合、前記多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物が、多価金属のオキシアニオンまたは多価金属のオキシアニオンの水和物であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物、または多価金属のオキシアニオンのアンモニウム塩であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物、またはモリブデンのオキシアニオンのアンモニウム塩であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物、または八モリブデン酸アンモニウム(AOM)であり、より好ましくは八モリブデン酸アンモニウム(AOM)である、請求項1またはその項に従属する請求項4から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記色形成化合物が、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物であり、好ましくは、多価金属のオキシアニオンまたは多価金属のオキシアニオンの水和物であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物、または多価金属のオキシアニオンのアンモニウム塩であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物、またはモリブデンのオキシアニオンのアンモニウム塩であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物、または八モリブデン酸アンモニウム(AOM)であり、より好ましくは八モリブデン酸アンモニウム(AOM)である、請求項1またはその項に従属する請求項4から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記色形成化合物がロイコ染料である場合、前記ロイコ染料が、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-フェニルアミノフルオラン(ODB-2:Wincon-2);3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランまたは2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(ETAC);6-(ジメチルアミノ)-3,3-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]フタリド(ブルーI2R-クリスタルバイオレットラクトン);および3,3’-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(レッドI6B)、2-アニリノ-3-ジエチルアミノ-6-メチルエチルフルオラン(カメレオンブラック1)、2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオラン(カメレオンブラック2)、6-(ジメチルアミノ)-3,3-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]フタリド(カメレオンブルー3)、4,4’-[(9-ブチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン]ビス[N-メチル-N-フェニルアニリン](カメレオンブルー4)、3,3’-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(カメレオンレッド5)、6’-(ジエチルアミノ)-3-オキソ-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-2’-カルボン酸エチルエステル(カメレオンオレンジ6)、7-[4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル]-7-(2-メチル-1-オクチル-1H-インドール-3-イル)フロ[3,4-b]ピリジン-5(7H)-オン(カメレオンブルー8)、2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン(カメレオングリーン9)、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチロキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]-ベンゼンアミン(カメレオンイエロー10)、6’-(ジエチルアミノ)-2’-[(ジメチルフェニル)アミノ]-3’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(カメレオンブラック15)、2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン(CAS No.89331-94-2)(ODB-2/Wincon-2)、6’-(ジエチルアミノ)-3’-メチル-2’-(フェニルアミノ)スピロ[2-ベンゾフラン-3、9’-キサンテン]-1-オン(CAS No.29512-49-0)(ODB-1/Wincon-1)、2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(CAS No.59129-79-2)、6-(ジメチルアミノ)-3,3-ビス-[4-(ジメチルアミノ)フェニル)フタリド(ブルー3-CVL、CAS No.1522-42-7)、4,4’-[(9-ブチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン]ビス[N-メチル-N-フェニルアニリン](ブルー-4、CAS No.67707-04-4)、3,3’-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(レッド-5、CAS No.50292-95-0)、6’-(ジエチルアミノ)-3-オキソ-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-2’-カルボン酸エチルエステル(オレンジ-6、CAS No.154306-60-2)、7-[4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル]-7-(2-メチル-1-オクチル-1H-インドール-3-イル)フロ[3,4-b]ピリジン-5(7H)-オン(ブルー-8、CAS No.87563-89-1)、2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン(グリーン-9、CAS No.34372-72-0)、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチロキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]-ベンゼンアミン(イエロー-10、CAS No.144190-25-0)、6’-(ジエチルアミノ)-2’-[(ジメチルフェニル)アミノ]-3’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(ブラック-15、CAS No.36431-22-8)、2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオラン、6-(ジメチルアミノ)-3,3-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]フタリド、4,4’-[(9-ブチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン]ビス[N-メチル-N-フェニルアニリン]、3,3’-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、6’-(ジエチルアミノ)-3-オキソ-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H)、9’-[9H]キサンテン]-2’-カルボン酸エチルエステル、7-[4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル]-7-(2-メチル-1-オクチル-1H-インドール-3-イル)フロ[3,4-b]ピリジン-5(7H)-オン、2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチロキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]-ベンゼンアミン、および6’-(ジエチルアミノ)-2’-[(ジメチルフェニル)アミノ]-3’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン、4,4’-[(9-ブチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン]ビス[N-メチル-N-フェニルアニリン](CAS No.67707-04-4)、6’-(ジエチルアミノ)-3-オキソスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-(9H)キサンテン]-2’カルボン酸エチルエステル(CAS No.154306-60-2)、および2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン(CAS No.34372-72-0)から選択される、請求項2、およびその項に従属する請求項4から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ロイコ染料が、2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン,6’-(ジエチルアミノ)-3’-メチル-2’-(フェニルアミノ)スピロ[2-ベンゾフラン-3,9’-キサンテン]-1-オンおよび2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン、好ましくは2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オンおよび2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オンから選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記熱的酸発生剤が、4-ヒドロキシフェニル-4’-イソプロポキシフェニルスルホン(カメレオン顕色剤-1);N-(p-トルエンスルホニル)-N’-(3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル)尿素(Pergafast 201);1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)およびボロベンジレートのアミン塩に基づく熱的酸発生剤およびボロジサリチル酸トリ-n-ブチルアンモニウム、例えばN,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)、トリ-n-ブチルアンモニウム-4,4’-ジオキソ-4H,4’H-2,2’-スピロビ[ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボリニン]-2-ウイド、ならびに、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、(2,4-ジヒドロキシフェニル)フェニルメタノン、3-(3-トシルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホネート、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸プロピルおよび4,4’-メタンジイルジフェノール、好ましくは、N,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)、トリ-n-ブチルアンモニウム-4,4’-ジオキソ-4H,4’H-2,2’-スピロビ[ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボリニン]-2-ウイド、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、(2,4-ジヒドロキシフェニル)フェニルメタノン、3-(3-トシルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホネート、または3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸プロピルおよび4,4’-メタンジイルジフェノール、より好ましくは、N,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)および1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)から選択され、より好ましくは1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)である、請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
前記色形成化合物が多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物である場合、前記多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物が、多価金属のオキシアニオンまたは多価金属のオキシアニオンの水和物であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物、または多価金属のオキシアニオンのアンモニウム塩であり、好ましくはモリブデン酸ナトリウム二水和物、またはモリブデンのオキシアニオンのアンモニウム塩であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物、または八モリブデン酸アンモニウム(AOM)であり、より好ましくは八モリブデン酸アンモニウム(AOM)である、請求項2、その項に従属する請求項4から9のいずれか一項、または請求項13から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記色形成化合物が、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物であり、好ましくは多価金属のオキシアニオンまたは多価金属のオキシアニオンの水和物であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物、または多価金属のオキシアニオンのアンモニウム塩であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物、またはモリブデンのオキシアニオンのアンモニウム塩であり、好ましくは、モリブデン酸ナトリウム二水和物または八モリブデン酸アンモニウム(AOMであり)、より好ましくは八モリブデン酸アンモニウム(AOM)である、請求項2、その項に従属する請求項4から9のいずれか一項、または請求項13から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記色形成化合物が八モリブデン酸アンモニウム(AOM)である、請求項3またはその項に従属する請求項4から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記ホットメルト接着剤が、その中に混合された赤外線吸収化合物をさらに有する、請求項1または3、それらの項に従属する請求項4から12および18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記赤外線吸収剤が、ヒドロキシルリン酸銅(II)(CHP)などの無機銅塩;N,N,N’,N’-テトラキス(4-ジブチルアミノフェニル)-p-ベンゾキノンビス(イミニウムヘキサフルオロ-アンチモネート)などの有機NIR染料および顔料;還元インジウムスズ酸化物、還元酸化亜鉛、還元タングステン酸化物、下記式MxWyOz[式中、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、BiおよびIからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、Wはタングステンであり、Oは酸素であり、0.001≦x/y≦1;および2.2≦z/y≦3.0を満たす。]の無機化合物を含む還元ドープタングステン酸化物、還元アンチモンスズ酸化物、またはアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)およびフッ素ドープ酸化スズ(FTO)などのドープ金属酸化物などの、非化学量論的な還元もしくはドープ無機化合物;ポリポリスチレンスルホネート(PEDOT)などの伝導性ポリマー;ならびにそれらの組み合わせから選択され、好ましくは、前記赤外線吸収化合物が、ヒドロキシルリン酸銅(II)(CHP)などの無機銅塩;還元インジウムスズ酸化物、還元酸化亜鉛、還元タングステン酸化物、下記式MxWyOz[式中、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、BiおよびIからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、Wはタングステンであり、Oは酸素であり、0.001≦x/y≦1;および2.2≦z/y≦3.0を満たす。]の無機化合物を含む還元ドープタングステン酸化物などの、非化学量論的な還元もしくはドープ無機化合物から選択される、請求項2または請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物を含む基材であって、その上に前記組成物が塗布されている、基材。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物を含む多重層基材構造体であって、その上に前記組成物が塗布されている、および/またはその中に前記組成物が組み込まれている、多重層基材構造体。
【請求項23】
前記組成物が、露出するように前記基材または多重層基材構造体の外側にある、請求項21または22に記載の基材または多重層基材構造体。
【請求項24】
前記基材または多重層基材構造体が、包装用品、好ましくは、厚紙およびカートン用板紙の箱を含む紙系および容器箱を含む包装製品、厚紙チューブを含む紙系チューブ、プラスチックボトル、紙系ボトル、プラスチック蓋、ガラス瓶、アルミニウム缶および蓋、スチール缶および蓋、巻きつけラベル、ストレッチスリーブ、シュリンクスリーブ、および自己接着性ラベルである、請求項21から23のいずれか一項に記載の基材または多重層基材構造体。
【請求項25】
前記組成物のホットメルト接着剤が、バイオプラスチック熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物であり、前記基材または多重層基材構造体がバイオプラスチック材料から形成される、請求項21から24のいずれか一項に記載の基材または多重層構造体。
【請求項26】
請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物を形成する方法であって、前記ホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、前記色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、前記熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度より低い温度に、前記ホットメルト接着剤が融解するように前記ホットメルト接着剤を加熱する工程、ならびに、前記色形成化合物および任意選択的に前記熱的酸発生剤および赤外線吸収化合物を、前記融解ホットメルト接着剤の全体にわたってそれらが分布するように、前記融解ホットメルト接着剤中で混合する工程を含む方法。
【請求項27】
請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物を含む基材であり、その上に前記組成物が塗布されている基材を形成する方法であって、前記ホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、前記色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、前記熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度より低い温度に、前記ホットメルト接着剤が融解するように前記組成物を加熱する工程;前記ホットメルト接着剤が融解したら、前記基材に前記組成物を塗布する工程;ならびに前記組成物を冷却させ前記基材上で固化させる工程を含む方法。
【請求項28】
請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物を含む多重層基材構造体であり、その上に前記組成物が塗布されている多重層基材構造体を形成する方法であって、前記ホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、前記色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、前記熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度より低い温度に、前記ホットメルト接着剤が融解するように前記組成物を加熱する工程;前記ホットメルト接着剤が融解したら、前記基材に前記組成物を塗布する工程;ならびに前記組成物を冷却させ固化させる工程を含む方法。
【請求項29】
請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物を含む多重層基材構造体であり、その中に前記組成物が組み込まれている多重層基材構造体を形成する方法であって、前記ホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、前記色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、前記熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度より低い温度に、前記ホットメルト接着剤が融解するように前記組成物を加熱する工程;前記ホットメルト接着剤が融解したら、前記基材に前記組成物を塗布する工程;ならびに、前記基材が前記組成物によって互いに結合されて多重層基材構造体を形成するように、前記基材を別の基材と、それらの間に前記組成物を位置させた状態で接触させる工程を含む方法。
【請求項30】
請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物を含む基材であり、その上に前記組成物が塗布されている基材に、または請求項21もしくは23から25に記載の基材に、色および/または像を形成する方法であって、色および/または像を前記基材に形成するように適宜に前記組成物に放射線を印加する工程を含む方法。
【請求項31】
請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物を含む多重層基材構造体であり、その上に前記組成物が塗布されているおよび/もしくはその中に前記組成物が組み込まれている多重層基材構造体の上および/もしくは内に、または請求項22から25のいずれか一項に記載の多重層基材構造体の上および/もしくは内に、色および/または像を形成する方法であって、前記多重層基材構造体の上および/または内に色および/または像を形成するように適宜に前記組成物に放射線を印加する工程を含む方法。
【請求項32】
前記放射線がレーザー光源から印加される、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
印加される前記放射線が赤外(IR)線である、請求項30から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記色形成化合物が放射線の印加前に色を表示しないが、前記放射線の印加後に色を表示する、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
色および/または像の形成における、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項36】
前記組成物を有する基材であり、その上に前記組成物が塗布されている基材上での、色および/または像の形成における、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項37】
前記組成物を有する多重層基材構造体であり、その上に前記組成物が塗布されているおよび/またはその中に前記組成物が組み込まれている多重層基材構造体の上および/または内での、色および/または像の形成における、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材または多重層基材構造体の上および/または内での色および/または像の形成に使用するための組成物に関する。本発明はさらに、その上に塗布されたおよび/またはその中に組み込まれた組成物を有する基材または多重層基材構造体、ならびにそのような基材または多重層基材構造体の上および/または内で色または像を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトおよび/または機械読み込み可能な像、ならびに可変情報を生成する色形成化合物を含むレーザー反応性組成物の使用は公知である。そのようなレーザー反応性組成物を基材に塗布した後、レーザー反応性組成物に対する好適な刺激を印加すると、像(複数可)を形成することができる。放射線などの刺激は、色形成化合物に影響を与え、像が形成されるように刺激が印加される組成物の領域中で、それに色または色変化を表示させる。
【0003】
無関係な技術分野において、ホットメルト接着剤は、同じまたは異なる基材の表面の効果的な結合を提供するために使用される。ホットメルト接着剤は通常、室温にて固体形態で、例えば、スティック、ブロック、ビーズ、ペレット、ボール、棒、顆粒または粉末として存在する。これらのホットメルト接着剤は、熱接着剤ガンおよび熱接着剤アプリケーターなどのデバイスにおいて一般に利用される熱可塑性材料である。使用される場合、デバイスの発熱素子は、ホットメルト接着剤を室温より高く熱し、必要に応じて、デバイスから、結合される基材(複数可)の表面に移し塗布することができるように、それを融解し、すなわち、熱によって液化する。次いで、ホットメルト接着剤が十分に融解し粘着性である間に、これらの基材表面を接触させ、ホットメルト接着剤が室温に冷めるにつれて、それは成功裡に基材表面を互いに結合させる。このようにホットメルト接着剤は、基材表面の接着および結合のために適している材料として周知である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によると、ホットメルト接着剤から形成された組成物が提供され、ホットメルト接着剤はその中に混合された色形成化合物を有し、ここで、色形成化合物は、ロイコ染料、および多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物から選択され、色形成化合物がロイコ染料である場合:
(a)ロイコ染料は、2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オンおよび2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オンから選択され;
(b)ホットメルト接着剤は、その中に混合された熱的酸発生剤をさらに有し、熱的酸発生剤は、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)、トリ-n-ブチルアンモニウム-4,4’-ジオキソ-4H,4’H-2,2’-スピロビ[ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボリニン]-2-ウイド、N,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾエート(2-)-kO]ボレート(1-)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、(2,4-ジヒドロキシフェニル)フェニルメタノン、3-(3-トシルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホネート、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸プロピルおよび4,4’-メタンジイルジフェノールから選択され、
(c)ホットメルト接着剤の融解温度は、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低く;
色形成化合物が多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物である場合、ホットメルト接着剤の融解温度は、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の分解温度より低い。
【0005】
本発明の第2の態様によると、ホットメルト接着剤から形成された組成物が提供され、ホットメルト接着剤は、その中に混合された色形成化合物および赤外線吸収化合物を有し、ここで、色形成化合物はロイコ染料、あるいは多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物から選択され、
色形成化合物がロイコ染料である場合、ホットメルト接着剤は、その中に混合された熱的酸発生剤をさらに有し、ホットメルト接着剤の融解温度は、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低く;
色形成化合物が多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物である場合、ホットメルト接着剤の融解温度は、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の分解温度より低い。
【0006】
本発明の第3の態様によると、ホットメルト接着剤から形成された組成物が提供され、ホットメルト接着剤はその中に混合された色形成化合物を有し、ここで、色形成化合物は、八モリブデン酸アンモニウム、ならびに以下のロイコ染料:2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン、および2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オンから選択され、色形成化合物がロイコ染料である場合、ホットメルト接着剤はその中に混合された熱的酸発生剤1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンをさらに有する。
【0007】
本発明の第4の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む基材であって、その上に組成物が塗布されている基材が提供される。
【0008】
本発明の第5の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む多重層基材構造体であって、その上に組成物が塗布されているおよび/またはその中に組成物が組み込まれている多重層基材構造体が提供される。
【0009】
本発明の第6の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を形成する方法が提供され、方法は、ホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度より低い温度に、ホットメルト接着剤が融解するようにホットメルト接着剤を加熱する工程、ならびに色形成化合物および任意選択的に熱的酸発生剤および赤外線吸収化合物を、融解ホットメルト接着剤の全体にわたってそれらが分布するように、融解ホットメルト接着剤中で混合する工程を含む。
【0010】
本発明の第7の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む基材であり、その上に組成物が塗布されている基材を形成する方法が提供され、ここで、方法は、ホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度より低い温度に、ホットメルト接着剤が融解するように組成物を加熱する工程;ホットメルト接着剤が融解したら、基材に組成物を塗布する工程;ならびに組成物を冷却させ基材上で固化させる工程を含む。
【0011】
本発明の第8の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む多重層基材構造体であり、その上に前記組成物が塗布されている多重層基材構造体を形成する方法が提供され、ここで、方法は、ホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度より低い温度に、ホットメルト接着剤が融解するように組成物を加熱する工程;ホットメルト接着剤が融解したら、基材に組成物を塗布する工程;ならびに組成物を冷却させ固化させる工程を含む。
【0012】
本発明の第9の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を有する多重層基材構造体であり、その中に組成物が組み込まれている多重層基材構造体を形成する方法が提供され、ここで、方法はホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度より低い温度に、ホットメルト接着剤が融解するように組成物を加熱する工程;ホットメルト接着剤が融解したら、基材に組成物を塗布する工程;ならびに基材が組成物によって互いに結合されて多重層基材構造体を形成するように、基材を別の基材と、それらの間に組成物を位置させた状態で接触させる工程を含む。
【0013】
本発明の第10の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む基材であり、その上に組成物が塗布されている基材に、色および/または像を形成する方法が提供され、ここで、方法は、色および/または像を基材に形成するように適宜に組成物に放射線を印加する工程を含む。
【0014】
本発明の第11の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む多重層基材構造体であり、その上に前記組成物が塗布されているおよび/またはその中に組成物が組み込まれている多重層基材構造体の上および/または内に、色および/または像を形成する方法が提供され、ここで、方法は、多重層基材構造体の上および/または内に色および/または像を形成するように適宜に組成物に放射線を印加する工程を含む。
【0015】
本発明の第12の態様によると、色および/または像の形成における本発明の第1、第2または第3の態様による組成物の使用が提供される。
【0016】
本発明の第13の態様によると、前記組成物を有する基材であり、その上に組成物が塗布されている基材上での、色および/または像の形成における、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物の使用が提供される。
【0017】
本発明の第14の態様によると、前記組成物を有する多重層基材構造体であり、その上に組成物が塗布されているおよび/またはその中に組成物が組み込まれている多重層基材構造体の上および/または内での、色および/または像の形成における、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物の使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図2】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図3】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図4】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図5】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図6】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図7】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図8】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図9】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図10】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図11】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図12】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図13】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図14】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図15】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図16】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図17】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図18】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図19】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図20】本発明の第1、第2および第3の態様による組成物の、ならびに本発明の第4の態様による基材での色および像の形成を示す。
図21】本発明によらない比較組成物を示す。色および/または像は、そのような組成物を使用する場合、放射線の後続の印加で形成することができない。
図22】本発明によらない比較組成物を示す。色および/または像は、そのような組成物を使用する場合、放射線の後続の印加で形成することができない。
図23】本発明によらない比較組成物を示す。色および/または像は、そのような組成物を使用する場合、放射線の後続の印加で形成することができない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
驚くべきことに、また有利なことに、ホットメルト接着剤が、有利なことに基材表面の接着および結合に加えて、他の目的に利用することができることが見いだされた。本発明者らは、有利なことに、ホットメルト接着剤を利用して、基材または多重層基材構造体に色形成化合物を移して、基材または多重層基材構造体に色および/または像を表示する能力を与えることができることを確認した。本発明は、包装および印刷産業において、とりわけ包装の外側に可変情報像を形成するための特別の用途を有する。本発明は、以下により詳細に論じられるように、公知の印刷および包装技術に比較して多数の恩恵および利点を示す。
【0020】
驚くべきことに、また有利なことに、色形成化合物をホットメルト接着剤に組み込んで、基材または多重層基材構造体に塗布し、または、多重層基材構造体の形成に使用することができる組成物を形成することができ、続いて、好ましくはレーザー光源(複数可)からの放射線に曝露して、基材または多重層基材構造体の上および/または内に、色および/または像を形成することができることが見いだされた。放射線の後続の印加による色および/または像の形成が起こり得ないことを意味する非発色が、放射線の特定の印加前の、組成物の製作中、または基材および/もしくは多重層基材構造体への組成物の塗布中に起きている。組成物は、有利なことに、基材または多重層基材構造体の外表面のいずれかに塗布されて、その上に色および/もしくは像の形成を容易にすることができ、ならびに/または、多重層基材構造体の2つの基材を互いに結合し、その中に色および/もしくは像を容易に形成するために使用することができる。
【0021】
本発明による組成物の形成において、ホットメルト接着剤は、それが効果的な混合、色形成化合物の製作およびその内側で起こる取り込みのために融解するように、室温からの加熱を必要とする。さらに、本発明による組成物のホットメルト接着剤は、融解し組成物が基材(複数可)もしくは多重層基材構造体(複数可)に塗布することを可能にするために、および/または、多重層基材構造体(複数可)の形成に使用することができるように加熱を必要とする。このために、室温より上の温度への組成物の加熱を必要とする。
【0022】
したがって、本発明の組成物に関して、それが融解するような室温より上への組成物のこの加熱の間に、すなわち、製作、加工、および基材(複数可)もしくは多重層基材構造体への組成物の塗布の間に、ならびに/または多重層基材構造体の形成にそれを使用する間に、ホットメルト接着剤内に混合された色形成化合物は、温度上昇によって影響を受けず、基材または多重層基材構造体の上および/または内での所望の色および/または像形成は、基材もしくは多重層基材構造体への組成物の塗布に続いて、および/または多重層基材構造体の形成にそれを使用した後に、好ましくはレーザー光源を使用する放射線の特定で制御された印加で開始させることができることは間違いなく驚くべきことである。したがって、有利なことに、ヒトおよび/または機械読み込み可能な像、特にヒトおよび/または機械読み込み可能な可変情報像の制御された生成が達成される。色形成化合物は通常、熱感受性であるので、それは特に驚くべきことである。特に、ロイコ染料などの色形成化合物は通常低い熱感受性を有する。したがって、製作、加工および塗布の間に加熱を必要とする、ロイコ染料を含む色形成化合物を、本発明の組成物において利用することができることは、本発明者らには驚くべきことである。
【0023】
驚くべきことに、また有利なことに、本発明の組成物の性質は、希釈を必要とせずに、それらを、基材(複数可)もしくは多重層基材構造体(複数可)に直接に塗布し、および/または多重層基材構造体(複数可)の形成に使用することができることを見いだした。低粘度液体配合を必要とするものなどのレーザー反応性色形成組成物のための多くの印刷プロセスは、基材(複数可)への塗布前に組成物の希釈を伴う。このことで、色形成化合物(複数可)の活性固体濃度に、したがって、放射線への曝露で形成される色および/または像の光学密度に負の影響を与える場合がある。しかしながら、本発明の組成物に関しては、組成物中の色形成化合物の濃度は変化せず、希釈せず十分に高いままであるので、高い光学密度の色および/または像を達成することができる。
【0024】
なおさらに、公知のレーザー反応性色形成組成物のための多くの印刷プロセスは印刷機を利用し、そのためかなりの量の廃棄物、すなわち未使用の組成物を生み出すことがある。さらに、レーザー反応性色形成組成物を塗布するために使用される公知のプロセスは、通常、低いコーティング重量でのみ組成物の層を基材に塗布することができる。かなりの数の組成物層が塗布されるのでないなら、不十分な色形成化合物が基材に移されることになり、低い光学密度を有する不十分な、低品質の色および/または像形成をもたらす。本発明の組成物はこれらの問題を払拭し、色および/または像を基材に効果的に形成するためにより容易で、より信頼できる方法を提供する。
【0025】
さらに、驚くべきことに、また有利なことに、本発明の組成物は、基材または多重層基材構造体の外表面に存在し、環境条件に曝露されたときでさえ、改善された経時的な色および像安定性を示すことができることを見いだした。組成物のホットメルト接着剤は、疎水性であり水中で不溶性であるので、湿気がそれから排除される。このことによって、本発明の組成物は、常温での高湿度または湿潤状態などの因子に対する増加した環境抵抗を示し、経時的に高い光学密度の色および/または像を維持することができる。このことは、特に、組成物がラベルとして働き、包装基材などの基材または多重層基材構造体の外側で曝露される場合有利である。
【0026】
さらに驚くべきことに、また有利なことに、基材または多重層基材構造体の上および/または内に直接に本発明の組成物を塗布すると、包装製品に統合ラベルを形成することが可能になることを見いだした。ラベルはそれが露出されるように、基材もしくは多重層基材構造体の外表面で露出され、および/または多重層基材構造体内に組み込まれてもよい。製品に対する可変情報の追加は、包装製品に魅力的な外観を提供するだけでなく、また、それは、製品の追跡、タグ付け、トレースにとっても望ましい。統合ラベル、およびそれが表示する可変情報は、意図的にまたは偶発的に製品から除去することができない(その結果は、ラベルによって製品に帰属する情報が失われるので、製品の特定にとって不利益になる。)。したがって、包装へラベルを統合することによって、付加されたセキュリティの利益がある。
【0027】
より一層驚くべきことに、また有利なことに、本発明の組成物が、改善された環境および持続可能性の信任を示すことを見いだした。そのような事例において、本発明の組成物のホットメルト接着剤は、リサイクル可能で生分解性および/または堆肥化可能な材料から形成されてもよい。そのようなリサイクル可能で生分解性および/または堆肥化可能な材料を含む本発明の組成物を、同様にリサイクル可能で生分解性および/または堆肥化可能な基材および/または多重層基材構造体の上または内に直接に塗布すると、全体としてリサイクル、生分解または堆肥にすることができる基材の形成が可能になる。したがって、ホットメルト接着剤が、バイオプラスチック材料などの生分解性および/または堆肥化可能な材料から形成され、組成物が塗布されおよび/または内に組み込まれる基材または多重層基材構造体もまた、同様に生分解性および/または堆肥化可能な、例えば、厚紙、板紙またはバイオプラスチック材料である場合、本発明の組成物は特別の環境および持続可能性の利点を示す。そのような事例において、統合された可変情報を表示するラベルを有する全体製品は生分解性および/または堆肥化可能である。
【0028】
本明細書において使用される場合、用語「室温」は、10~35℃、典型的には18~28℃の温度を意味する。室温は、「周囲条件」のより広範な定義によって包含され、組成物が曝露される周辺環境の条件の通常範囲、すなわち、組成物が使用、貯蔵およびそれ以外の間に曝露される温度、圧力および大気条件の範囲を指す。これには、X線、紫外線(UV)および赤外(IR)線の電磁放射線を含む太陽光を含む。通常、周囲条件は10~35℃の温度、20~100kPaの圧力を含み、環境は、通常酸素を含む雰囲気である。
【0029】
本発明の第1の態様によると、ホットメルト接着剤から形成された組成物が提供され、ホットメルト接着剤はその中に混合された色形成化合物を有し、ここで、色形成化合物は、ロイコ染料、および多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物から選択され、色形成化合物がロイコ染料である場合:
(a)ロイコ染料は、2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オンおよび2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オンから選択され;
(b)ホットメルト接着剤は、その中に混合された熱的酸発生剤をさらに有し、前記熱的酸発生剤は、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)、トリ-n-ブチルアンモニウム-4,4’-ジオキソ-4H,4’H-2,2’-スピロビ[ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボリニン]-2-ウイド、N,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、(2,4-ジヒドロキシフェニル)フェニルメタノン、3-(3-トシルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホネート、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸プロピルおよび4,4’-メタンジイルジフェノールから選択され、
(c)ホットメルト接着剤の融解温度は、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低く;
色形成化合物が多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物である場合、ホットメルト接着剤の融解温度は、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の分解温度より低い。
【0030】
本発明の第2の態様によると、ホットメルト接着剤から形成された組成物が提供され、ホットメルト接着剤は、その中に混合された色形成化合物および赤外線吸収化合物を有し、ここで、色形成化合物はロイコ染料あるいは多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物から選択され、
色形成化合物がロイコ染料である場合、ホットメルト接着剤は、その中に混合された熱的酸発生剤をさらに有し、ホットメルト接着剤の融解温度は、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低く;
色形成化合物が多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物である場合、ホットメルト接着剤の融解温度は、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の分解温度より低い。
【0031】
本発明の第3の態様によると、ホットメルト接着剤から形成された組成物が提供され、ホットメルト接着剤はその中に混合された色形成化合物を有し、ここで、色形成化合物は、八モリブデン酸アンモニウム、ならびに以下のロイコ染料:2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン、および2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オンから選択され、色形成化合物がロイコ染料である場合、ホットメルト接着剤はその中に混合された熱的酸発生剤1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンをさらに有する。
【0032】
ホットメルト接着剤は当業界で公知である。ホットメルト接着剤は、室温で固体である熱可塑性接着剤材料であるが、熱を印加すると固体状態から融解状態に移行し、流動が可能になる。それは、室温まで冷えると固体状態に戻る。ホットメルト接着剤に関して用語「融解」とは、ホットメルト接着剤が流動することができることを意味する。それは粘性があってよいが、流動することができる。融解するために、ホットメルト接着剤はその融解温度以上に加熱される。ホットメルト接着剤の融解温度は、ホットメルト接着剤が融解し流動が可能になる温度である。それは、ホットメルト接着剤が固体状態から粘性のある流動状態へ移行する温度である。これは、当業界で時には、軟化温度として知られることもある。この融解温度が、ホットメルト接着剤の有効な最低加工温度であることは理解される。本発明の文脈において、ホットメルト接着剤が通常、融解し、したがって、流動することができる融解温度範囲があることは当業者に認識される。これは、例えばホットメルト接着剤が以下に論じられる複数の熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーを含む場合、起こり得る。ホットメルト接着剤は、したがってその融解温度以上で融解するが、室温で固体である。融解したとき、ホットメルト接着剤は粘着性である。融解したとき、したがって、それは、接着剤として働くか、または容易に基材(複数可)に塗布することができる。融解したとき、ホットメルト接着剤は粘着性であり得るが、冷えて室温で固体であるときは、非粘着性(通常、非感圧ホットメルト接着剤として当業界で公知)であり、または融解したときは粘着性であり、冷えて室温で固体であるとき、粘着性のままである(通常、感圧ホットメルト接着剤として当業界で公知)。
【0033】
ホットメルト接着剤およびその成分は当業界で周知である。例えば、「Sustainable Raw Materials in Hot Melt Adhesives: A Review;Vineeth et al.;Open Journal of Polymer Chemistry; Vol. 10, No. 3; August 2020」および「Basic Study of Evaluation of Thermoplastic Polymers as Hot-Melt Adhesives for Mixed-Substrate Joining; Open Journal of Polymer Chemistry; Col. 6, No. 8; August 2016」はホットメルト接着剤について論じている。
【0034】
本発明の文脈において、ホットメルト接着剤が、色および/または像が形成され得る基材または多重層基材構造体の上および/または内への色形成化合物の転写のためのビヒクルとして働くことが理解される。
【0035】
本発明の第1、第2または第3の態様の組成物のホットメルト接着剤は、基礎材料として熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を含む。通常、ホットメルト接着剤は粘着付与剤または樹脂をさらに含む。ホットメルト接着剤はまた、通常、以下に記載される1種以上の添加剤成分をさらに含む。好ましくは、ホットメルト接着剤は粘着付与剤または樹脂をさらに含む。好ましくは、ホットメルト接着剤は1種以上の添加剤成分をさらに含む。
【0036】
ホットメルト接着剤の熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、以下から選択されてもよいが、これらに限定されない:ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー;ポリ(エチレンアクリレート)コポリマー;アクリル樹脂;ポリビニルブチラール;ポリオレフィン、例えば低密度(LDPE)、中密度(MDPE)および高密度(HDPE)ポリエチレンを含むポリブテン、ポリエチレン、およびポリプロピレン;エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンなどのポリアミド;ナイロン;ポリ(乳酸)(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、およびポリ(グリコール酸)(PGA)を含むポリエステル;ポリウレタン;アクリルおよびスチレンアクリレートコポリマー;スチレン-イソプレン-スチレンブロックトリ-およびコポリマー;ポリスチレン(PS);ポリカプロラクトン;ポリカルボネート;フルオロポリマー;エラストマー;シリコーンゴムおよびポリピロール、またはそれらの組み合わせ。
【0037】
熱可塑性ポリマー、コポリマーまたはオリゴマーは、石油系プラスチック熱可塑性ポリマー、コポリマーもしくはオリゴマー、またはバイオプラスチック熱可塑性ポリマー、コポリマーもしくはオリゴマーであってもよい。好ましくは、熱可塑性ポリマー、コポリマーまたはオリゴマーは、バイオプラスチック熱可塑性ポリマー、コポリマーまたはオリゴマーである。本明細書において包含されるバイオプラスチック熱可塑性ポリマー、コポリマーまたはオリゴマーは、以下を含むが、これらに限定されない:ポリ(乳酸)(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)およびポリ(グリコール酸)(PGA)、ならびにサトウキビおよび/または他の天然起源に由来するエタノールから形成された場合の、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニル(EVA)コポリマーならびにサトウキビおよび/または他の天然起源から形成された場合のポリエチレン。熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物に関して、本明細書において列挙されたポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーおよびポリエチレン材料について、バイオプラスチックおよび石油系プラスチック形態の両方が包含される。
【0038】
本明細書において使用される場合、接頭辞「石油系プラスチック」は、石油化学起源(複数可)に由来する任意の材料を指す。そのような材料は通常リサイクル可能である。したがって、それらは通常、バージンもしくは回収材料、またはそれらの組み合わせのいずれからも製作される。
【0039】
本明細書において使用される場合、接頭辞「バイオプラスチック」は天然で持続可能な起源に由来する任意の材料を指す。そのような材料は、通常、リサイクル可能、生分解性および/または堆肥化可能であり、特に生分解性および/または堆肥化可能である。したがって、それらは通常、バージンもしくは回収材料、またはそれらの組み合わせのいずれからも製作される。
【0040】
好ましくは、熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、リサイクル可能、生分解性および/または堆肥化可能である。
【0041】
好ましくは、熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、およびポリ(乳酸)(PLA)から選択される。より好ましくは、熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニル(EVA)コポリマー、および低密度ポリエチレン(LDPE)から選択される。より好ましくは、熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、およびポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニル(EVA)コポリマーから選択される。最も好ましくは、熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーは、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニル(EVA)コポリマーである。
【0042】
熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、任意の適切な量でホットメルト接着剤中に存在してもよい。好ましくは、熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、ホットメルト接着剤の20~90%、例えば30~80%または40~75%の量で存在する。
【0043】
熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、任意の適切な量で本発明の第1、第2または第3の態様の組成物中に存在してもよい。好ましくは熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、組成物の10~90%、例えば、20~70%、またはさらに25~60%の量で存在する。
【0044】
本発明の第1、第2または第3の態様の組成物のホットメルト接着剤は、粘着付与剤または樹脂をさらに含んでいてもよい。好ましくは、本発明の第1、第2または第3の態様の組成物のホットメルト接着剤は、粘着付与剤または樹脂を含む。複数の粘着付与剤または樹脂が存在してもよいことは理解される。
【0045】
粘着付与剤または樹脂は、酸、ヒドロキシルまたはエステル官能基を含んでいてもよい。好ましくは、粘着付与剤または樹脂は、酸性またはエステル官能基を含む。粘着付与剤または樹脂が酸性官能基を含む場合、粘着付与剤または樹脂は、好ましくは5~250、例えば5~200の酸価を有する。
【0046】
適切な粘着付与剤または樹脂は以下を含むが、これらに限定されない:コーパル、ダンマル、マスチックおよびサンダラックなどの天然樹脂を含む樹脂;石油樹脂;ロジンおよびそれらの誘導体、例えば、ロジン、ロジン酸、ロジンエステルおよびロジン樹脂-ガムロジン、ウッドロジンまたはトール油ロジン;Eastman Chemical CompaniesからのForal AXおよびForal AX-Eロジンなどの水素化ロジン;二量化ロジン樹脂;変性ロジン樹脂;テルペンおよび変性テルペン;脂肪族、脂環式および芳香族樹脂、例えば、C5脂肪族樹脂、C9芳香族樹脂およびC5/C9芳香族/脂肪族樹脂;水素化炭化水素樹脂;テルペンフェノール樹脂;ポリブテンおよびポリイソブテン;ならびにそれらの組み合わせ。粘着付与剤または樹脂の市販されている例は、Eastman Chemcial Companiesから入手可能な「Piccotac 1020-E Hydrocarbon Resin」、「Piccotac 1095-N Hydrocarbon Resin」、「Piccotac 9095 Hydrocarbon resin」、「Piccotac 8095 Hydrocarbon resin」を含む。好ましくは、粘着付与剤または樹脂は、ロジンおよびそれらの誘導体、水素化ロジン、二量化ロジン樹脂、および変性ロジン樹脂から選択される。
【0047】
粘着付与剤または樹脂は、本発明の第1、第2または第3の態様の組成物のホットメルト接着剤中に任意の適切な量で存在してもよい。好ましくは、粘着付与剤または樹脂は、存在する場合、ホットメルト接着剤の1~90%、例えば、2~80%、または5~70%、または10~60%の量で存在する。
【0048】
粘着付与剤または樹脂は、本発明の第1、第2または第3の態様の組成物中に任意の適切な量で存在してもよい。好ましくは、粘着付与剤または樹脂は、存在する場合、組成物の10~90%、15~80%、20~70%、好ましくは25~60%の量で存在する。
【0049】
本発明の第1、第2または第3の態様の組成物のホットメルト接着剤は、1種以上の添加剤成分をさらに含んでいてもよい。好ましくは、ホットメルト接着剤は1種以上の添加剤成分を含む。適切な添加剤成分は当業者に周知である。これらの添加剤成分は通常、ホットメルト接着剤の粘度などのレオロジー特性、およびそれにより組成物を管理するために存在する。適切な添加剤成分の例は、以下を含むが、これらに限定されない:ワックス、例えば脂肪酸アミドワックス、酸化fischer-tropschワックスまたはFischer-TropschおよびZigler-Nattaプロセス両方に由来するワックス、水溶性ワックス、ポリアルキレンワックス、パラフィンおよび微結晶ワックスなどの鉱物ワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレングリコールワックス(DOW Chemical Inc.からのCarbowax)、酸化ポリエチレンワックス、N,N’-エチレンビスステアルアミド(Lonza Inc.からのAcrawaz)などのビスステアルアミド、天然および合成ワックス、例えば蜜蝋、ダイズワックス、カルナウバ、オゾケライトおよびセレシン、およびシリコンワックス;スリップ剤;滑剤;阻害薬;抗酸化剤;Irganox 1010などの安定剤;Tinuvin 770、928 326、1130、(384-2)および123、ならびにそれらの組み合わせ(BASF)を含むTinuvin系列などのUV安定剤およびUV吸収剤;接着促進剤;可塑剤、例えばトリ安息香酸グリセリル、安息香酸アルキルおよび安息香酸エステル(例えばEastman Chemical CorporationからのBenzoflex 9-88)、ジエチレングリコールのようなグリコール、安息香酸C12-15アルキル、安息香酸C2-C22アルキル、クエン酸アルキル、フタレート、フタル酸エステル、パラフィン油、およびポリイソブチレン;光またはエネルギーの吸収剤;界面活性剤;湿潤剤、例えばポリヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸ポリグルセリル-4、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、炭酸プロピレン、イソノナノン酸イソノニルのようなエステル、ベヘン酸/エイコサ二酸グリセリル、トリヒドロキシステアリン、安息香酸Cl2-15アルキル、安息香酸C2-C22アルキル(ここで、アルキル基は直鎖もしくは分岐またはそれらの混合物である)、トリエトキシカプリリルシラン、ヒマシ油;乾燥促進剤;顔料などの着色剤;難燃剤;帯電防止剤;充填剤;色付け剤;粘性調整剤;蛍光剤;光学増白剤;酸化剤または還元剤;安定剤;Tinuvin 292を含むヒンダードアミンなどの光安定剤;増粘剤または減粘剤などのレオロジー改質剤;つや消し剤;活性粘土;抗沈降剤;抗サギング剤;分散剤;表面改質添加剤;スリップ剤;レベリング剤;充填剤;保湿剤;接着促進剤;酸または塩基捕捉剤;遅延剤;消泡剤;界面活性剤;発泡防止剤;殺生物剤;防腐剤;BHT、ホスファイトおよびホスフェートなどの抗酸化剤;抗微生物剤;抗ウイルス薬;抗菌剤;抗真菌薬;防かび剤;殺菌剤;消毒剤;ならびにそれらの組み合わせ。通常、ホットメルト接着剤は、ワックス、可塑剤、抗酸化剤、UV安定剤および充填剤またはそれらの組み合わせから選択される1種以上の添加剤成分をさらに含む。
【0050】
1種以上の添加剤成分は、本発明の第1、第2または第3の態様の組成物のホットメルト接着剤中に任意の適切な量で存在してもよい。好ましくは、存在する場合、1種以上の添加剤成分は、ホットメルト接着剤の0.1~35%、例えば、0.1~30%、または0.1~25%または0.1~20%の量で存在する。
【0051】
1種以上の添加剤成分は、本発明の第1、第2または第3の態様の組成物中に任意の適切な量で存在してもよい。好ましくは、1種以上の添加剤成分は、存在する場合、組成物の0.1~35%、例えば0.1~30%、またはさらに0.1~25%、例えば0.1~20%の量で存在する。
【0052】
ホットメルト接着剤は商業的に購入されるか、または好適な出発物質から配合されてもよいことは当業者に認識される。ホットメルト接着剤およびそれらの成分は当業界に周知である。当業者は、問題のホットメルト接着剤の所望の性質に応じて、適切なホットメルト接着剤または必要とする成分、例えば、熱可塑性ポリマー、オリゴマー、コポリマーまたはそれらの混合物、粘着付与剤または樹脂、および1種以上の添加剤成分を容易に特定することができる。さらに、ホットメルト接着剤および当業界で公知のホットメルト接着剤材料、例えば、グルーガンおよび熱グルーアプリケーターにおいて利用されるものが、本発明での使用に適していることは理解される。そのような材料は当業者によって知られている。
【0053】
ホットメルト接着剤において適切な市販されている熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、以下を含むが、これらに限定されない:以下から入手可能なポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー:商品名「Escorene(商標)Ultra」の下でExxonMobil;商品名「Rowalit(登録商標)300」の下でRowak;および「SK機能性高分子」としてEvatane;DistrupolからのVersalis S.p.A Greenflex HN70;商品名「RE 420」の下のBorealisからのポリプロピレン;ならびに商品名「Rowalit(登録商標) H」の下のRowakからおよび商品名「Lupolen 1800S」の下のLyondell Basellから入手可能な低密度ポリエチレン。バイオ系ホットメルト接着剤に関して、市販されている熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、Nature Works(Minnetonka,MN,USA)からのIngeo(商標) Biopolymer 3251Dとして公知のポリ乳酸(PLA)を含むが、これらに限定されない。
【0054】
本発明の第1、第2および第3の態様の組成物中で使用するために適している市販されているホットメルト接着剤は、以下に限定されないが、以下から入手可能なものなどのホットメルト接着剤を含む:Henkel(Technomelt、Technomelt Cool、Technomelt Supra、Technomlet Supra Pro、Technomelt Pur、Technomelt PA、Technomelt DA、EasymeltおよびEasyFlow)、Caswell Adhesives(PremiermeltまたはCasmeltの製品)、Loctite、Bostik (Kizen、Kizen Force、Kizen ice、Kizen heat、Supergrip、Close TLH 4280EおよびTLH 2901E、Protect and Seal TLH 4492E、TLH 2299E、Send TLH 4280E、TLH 4119E、Track TLH 4000E、Show TLH 2211ELO、TLH 2299E、Hang TLH 2281EおよびTLH2211ELO、ならびにTEF272)、DuPont(ELVAX 40W、150W、210W、220W、240W、250、260、265、350、360、410、420、450、460、470、550、560、660、670、750、770、4260、4310、4320および4355)、Repsol(Primeva EVAのP1550M、P18150、P18500、P20020、P2430、P2735、P2870、P28025、P28150、P28400、P28045、P28800、P2850M、P2836M、P33015、P33025、P33045、P33400、P40055(VAを15~40%含む)およびEbantix EBAのE1715、E1770、E20020、E27150、E33150 EBA(エチレンアクリル酸ブチル)(粘着付与剤-ロジン樹脂、ポリテルペン樹脂、脂環式芳香族樹脂と共に使用される))、Technology Supplied Ltd(「Proflex 970 Hot Melt Glue Stick」)、Tian Tian Adhesive Factory(「Hot melt glue stick」)、Toolstream Ltd(「Hot melt Glue Stick」、698462、652076、349348、100024)、FPC Corporation(「Hot Melt Glue」、501、601、701、702、707、708、7011、724)および3M(Hot Melt Adhesive 3764、3747、3748、3731、3738、3796、3792、3762、3779および3789)。
【0055】
本発明の第1、第2または第3の態様による組成物のホットメルト接着剤は、任意の適切なメルトフローインデックス(MFI)を有していてもよい。ホットメルト接着剤は1~1000g/10分、例えば3~900g/10分または10~900g/10分のメルトフローインデックスを有していてもよい。メルトフローインデックスが、その融解温度以上で融解した場合、ホットメルト接着剤の流動性を規定することは当業者に認識される。
【0056】
ホットメルト接着剤のメルトフローインデックス(MFI)を測定する方法は、当業者に周知であり、値はISO規格1133-1またはASTM D1238に従って測定されてもよい。メルトフローインデックスという用語は、メルトフローレート(MFR)またはメルトインデックス(MI)と相互交換可能に使用されてもよいことは当業者によって理解される。メルトフローインデックスは、ホットメルト接着剤などの熱可塑性材料の流速の尺度である。それは、印加される圧力のために10分で特定の直径および長さの毛細管を通って流動する熱可塑性材料の質量(グラム)として定義される。本発明の文脈において、メルトフローインデックスは、それらが融解し流動することができる、室温より上の温度に加熱された場合、ホットメルト接着剤の相対的な流速およびそれらが挙動する仕方を示す値として測定される。ホットメルト接着剤のメルトフローインデックスは、ホットメルト接着剤の熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物の分子量におおよそ反比例し得る。メルトフローインデックスは、異なる温度、異なる荷重および異なる時間で測定することができるが、しかし、MFIは一般に、190℃および/または230℃の温度、2.16kgまたは5kg重で、10分間測定される。例えば、標準試験は、MFI設備、例えばExtruson Plastometer、190℃、および2.16kg重で10分間使用する。印加する荷重は、設備装置の剪断応力を提供する。
【0057】
ホットメルト接着剤の熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、任意の適切な分子量を有していてもよい。分子量は通常、MFI測定を使用して間接的に見積ることができ、一般に高いMFIは低い分子量に対応し、逆もまた同様であることは当業者に認識される。
【0058】
ホットメルト接着剤の融解温度は、50~200℃、または50~160℃であってもよく、70~150℃を含む。ホットメルト接着剤の融解温度は、ホットメルト接着剤が融解し、流動することができる温度である。それは、ホットメルト接着剤が固体状態から粘着性流動状態へ移行する温度である。これは、時には、軟化温度として当業界には公知であり得る。この融解温度が有効にホットメルト接着剤の最低加工温度であることが理解される。上記に論じられたように、ホットメルト接着剤の融解温度は、融解温度範囲に及ぶことができる。本発明の文脈において、任意の融解温度範囲の両終点は、ホットメルト接着剤の融解温度についての明示の値によって包含される。
【0059】
ホットメルト接着剤の融解温度の測定に適切な方法は、当業者に周知である。融解温度は、温度計を用いる融点測定装置を使用して、示差走査熱量測定法(DSC)、または公知の「環球式」融解温度測定法によって測定することができる。これはISO 4625-1:2020に従ってもよい。「環球式」方法において、ホットメルト接着層の層は鋼鉄製環中に設置され冷却される。環を辛うじて通るボールがこのホットメルト接着層の上に配置される。系全体は油浴中に配置され加熱される。球がホットメルト接着層を抜け落ちて、油浴の底部に触れた温度として、融解温度は決定される。好ましくは、ホットメルト接着剤の融点はDSCによって測定される。これはISO 11357-1:2016に従ってもよい。
【0060】
DSCは当業者に周知の技法であり、ホットメルト接着剤の試料および比較対照の温度を変化させるのに必要な熱エネルギーの量の差異が温度の関数として測定される熱分析技法である。狙いは、ホットメルト接着剤の試料および参照の両方が同じ温度を維持することであり、その結果、ホットメルト接着剤が融解し流動できるようになると吸熱性転移、すなわち融解温度をDSCが決定することができる。DSCの根本原理は、ホットメルト接着剤の試料が物理的な転換を起こす場合、参照と比較して、試料が流動するのにより多くの熱エネルギーが両方を等温に維持するために必要になるということである。試料と参照の間の熱流の差異の測定によって、DSCは、吸熱性転移の間に吸収される熱の量を決定することができる。
【0061】
融解したとき、ホットメルト接着剤、したがって本発明の第1、第2または第3の態様の組成物は粘着性であることは理解される。ホットメルト接着剤、したがって組成物の「粘着性」は、ASTM3121(「回転球粘着性(Rolling Ball Tack)」)に従って測定されてもよい。
【0062】
ホットメルト接着剤の熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物がポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーである場合、コポリマー中の酢酸ビニルとエチレンの比が変動し得ることは当業者に認識される。例えば、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーは、1~60%の酢酸ビニル、例えば10~40%、またはさらに15~33%の酢酸ビニルを含んでいてもよい。ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーは25%以上の酢酸ビニルを含んでいてもよい。ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーは24%以下の酢酸ビニルを含んでいてもよい。
【0063】
ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー構造体の骨格の酢酸ビニルとエチレンモノマーの比の変更は、基材への組成物の結合などの性質、したがって、組成物が塗布され得る基材のタイプに影響を与えることがあることは当業者に認識される。例えば、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーが、高含有量の酢酸ビニル(25%以上)を含む場合、組成物は、好ましくは「より粘着性の」組成物を必要とする高分子フィルムなどの、より低い表面エネルギーを有する基材に塗布される。他方で、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーが、より低い含有率の酢酸ビニル(24%以下)を含む場合、組成物は、好ましくはより低い「粘着性の」組成物を必要とする紙、カード、厚紙およびカートン用板紙を含む紙系の基材などの、多孔性または半多孔性の基材を含むより高い表面エネルギーを有する基材に塗布される。
【0064】
好ましくは、ホットメルト接着剤は、本発明の組成物の20~80%、例えば30~70%を占める。
【0065】
色形成化合物は組成物のホットメルト接着剤内に混合され、それによりホットメルト接着剤の全体にわたって均質に分布し、分散され、懸濁され、組み込まれて、本発明の第1、第2または第3の態様の組成物を形成する。色形成化合物は固体微粒子形態でホットメルト接着剤へ導入される。「色形成化合物」とは、放射線への曝露で色を形成する任意の適切な化合物を意味する。「色」とは、可視光線色スペクトルの色、色調、濃淡および色相、すなわち、赤、オレンジ、黄、青、緑および菫色、さらに黒、茶、緑青、紫、ピンク、シアン、マゼンタ、白およびそれらすべての混合物を意味する。原色、二次、三次、四次および五次色すべてが包含され、すなわち、色形成化合物によって形成される色は、原色、二次、三次、四次または五次色であってもよいことが理解される。本発明の文脈において、黒、茶、緑青、紫、ピンク、シアン、白およびマゼンタに加えて可視光線色スペクトルの色それぞれの異なる濃淡を記載するための用語もまた使用されてもよい。本発明の文脈において、組成物が色を有する場合、本発明の組成物への放射線の印加で形成される色は、それへの放射線の印加前に本発明の組成物が配合、貯蔵、または基材もしくは多重層基材構造体への塗布もしくはその内への取り込みで有し得る色とは異なり、または、より強い密度を有することが理解される。本発明の組成物への放射線の印加で形成される色は、放射線が印加されない組成物のそれらの部分(複数可)を有し得る色とは異なるか、または、より強い密度を有する。本発明の文脈において、組成物が放射線の印加前に色を有する場合、基材または多重層基材構造体への本発明の組成物の塗布に続いて、または、多重層基材構造体の形成でのその使用に続いて、色形成化合物は、組成物、したがって色形成化合物の特定領域の、レーザー光源(複数可)からの放射線への制御された曝露でコントラストのある色を形成する。「コントラストのある色」とは、組成物の色形成化合物によって形成される色が、組成物の背景、すなわち放射線に曝露されていない組成物の部分(複数可)、ならびに放射線に曝露されていない組成物の部分(複数可)を通して目に見える任意の基材とは別であり、容易に弁別可能であることを意味する。色の効果的な形成の程度は、放射線に曝露されていない組成物の周囲領域、ならびに曝露されていない組成物を通して目に見える任意の基材と比較して、形成された色の密度に依存する。
【0066】
色形成化合物は、可変情報を表示する像を形成するのに特に適切な像形成化合物である。「像形成化合物」とは、基材または多重層基材構造体への本発明の組成物の塗布に続いて、または、多重層基材構造体の形成でのその使用に続いて、色形成化合物が、組成物、したがって色形成化合物の特定領域の放射線への制御された曝露で、基材または多重層基材構造体の上および/または内に色および識別可能なコントラストのある像を形成することを意味する。像はヒトおよび/または機械読み込み可能である。「コントラストのある像」とは、組成物の色形成化合物によって形成される像が、組成物の背景、すなわち放射線に曝露されていない組成物の部分(複数可)、ならびに放射線に曝露されていない組成物の部分(複数可)を通して目に見える任意の基材とは別であり、容易に弁別可能であることを意味する。色または像の効果的な形成の程度は、放射線に曝露されていない組成物の周囲領域、ならびに曝露されていない組成物を通して目に見える任意の基材と比較して、形成される色または像の密度に依存する。本発明の文脈において、組成物が放射線の印加前に色を有する場合、本発明の組成物への放射線の印加で形成される像の色は、本発明の組成物がそれへの放射線の印加前に配合、貯蔵、または基材または多重層基材構造体への塗布もしくは内への取り込みで有し得る色と異なるか、またはより強い密度を有することは理解される。本発明の組成物への放射線の印加で形成される像の色は、放射線が印加されない組成物のそれらの部分(複数可)が有し得る色とは異なるか、またはより強い密度を有し、それによりコントラストのある像が形成される。
【0067】
放射線の印加前の組成物、したがって、組成物の背景は任意の色を有していてもよい。代替として、放射線の印加前の組成物、したがって組成物の背景は無色であってもよい。
【0068】
放射線の印加前の組成物、したがって組成物の背景は、透明でも不透明であってもよい。
【0069】
本発明の文脈において、色形成化合物は、好ましくは組成物への放射線の制御された特定の印加まで色を形成しないことは理解される。幾つかの事例において、色形成化合物は、組成物への放射線の印加前に多少の色(「背景」)を表示してもよい。これは、加工、製作または基材または多重層基材構造体への組成物の塗布の間に到達した温度の結果としてであってもよい。しかし、この場合でさえ、放射線の印加によって、形成された「背景」色より強い密度の色を色形成化合物が表示するので、本発明の所望の色および/または像はなお組成物への放射線の後続の印加によって形成されてもよく、その結果、効果的なコントラストのある色および/または像がなお形成される。好ましくは、組成物への放射線の印加前に、放射線が印加されない組成物の部分(複数可)では色形成化合物は色を表示しない。好ましくは、放射線が印加された組成物の部分(複数可)、すなわち放射線に曝露された組成物の部分(複数可)のみ、色形成化合物は色を表示する。
【0070】
色形成化合物が、達成することができる化合物の色(複数可)、および形成される像の望ましい色(複数可)に基づいて選択されることは理解される。
【0071】
色成形化合物は、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物、およびロイコ染料から選択されてもよい。複数の色形成化合物が組成物中に存在してもよいことは理解される。好ましくは、色形成化合物は、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物である。
【0072】
多価金属のオキシアニオン
色形成化合物は、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物であってもよい。水和物は、多価金属のオキシアニオンまたは多価金属の対応するオキシ酸のものであってもよい。多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸はまた無水であってもよい。多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物は、陽イオン性対応物と組み合わせて存在する多価金属の任意の適切なオキシアニオン(陰イオン性成分)であってもよい。組成物中の多価金属のオキシアニオンの使用は、米国特許第7,485,403号に開示され、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。陰イオン性成分は、無機金属オキシアニオン化合物、例えば、ジ、トリ、ヘキサ、ヘプタ、オクタおよびデカモリブデン酸塩を含むモリブデン酸塩、タングステン酸塩、クロム酸塩、または混合酸化状態の類似遷移金属化合物および混合無機金属オキシアニオンの類似遷移金属化合物であってもよい。好ましくは、随伴する陽イオン性成分は、ナトリウムなどのアルカリ金属、またはアルカリ土類金属、またはアンモニウムである。多価金属のオキシアニオンの好ましい水和物の1つの例は、モリブデン酸ナトリウム二水和物である。多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸の好ましい水和物の別の例は、パラタングステン酸アンモニウムである。多価金属の好ましいオキシアニオンは無機金属オキシアニオン化合物のアンモニウム塩である。モリブデンのオキシアニオンのアンモニウム塩は、多価金属のオキシアニオンとして特に好ましい。多価金属の特に好ましいオキシアニオンは、八モリブデン酸アンモニウム(NHMo26すなわち「AOM」であり、CAS番号12411-64-2を有する市販されているモリブデン組成物である。
【0073】
好ましくは、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物は、多価金属のオキシアニオンまたは多価金属のオキシアニオンの水和物である。より好ましくは、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物は、モリブデン酸ナトリウム二水和物、または多価金属のオキシアニオンのアンモニウム塩、例えば、モリブデンのオキシアニオンのアンモニウム塩である。より好ましくは、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物は、モリブデン酸ナトリウム二水和物または八モリブデン酸アンモニウム(AOM)である。より好ましくは、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物は、八モリブデン酸アンモニウム(AOM)である。
【0074】
本発明の文脈において、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物が、多価金属のオキシアニオンのアンモニウム塩、例えば、八モリブデン酸アンモニウム(AOM)などのモリブデンのオキシアニオンのアンモニウム塩である場合、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物が色形成化合物として利用される場合に形成される色および/または像は、典型的にはそれらの色または濃淡が黒くなり、放射線によって形成される黒色の密度に応じてグレースケールを含む。色および/または像は、効果的であり、ヒトおよび/または機械に視覚可能である。そのような場合、視覚的に識別可能であること以外に、絶対光学密度(ODB)の黒色値の測定によって色または像の効果的な形成が示されてもよい。これは、像の黒色の密度を測定する。ODB値の文脈において、値が高いほど、形成される黒色は暗い。ΔODB値(絶対ODB値-背景ODB)もまた色または像の効果的な形成を示すために測定されてもよい。「背景ODB」は、基材の組成物、すなわち、放射線に曝露されていない組成物の部分(複数可)、ならびにそれを通って目に見える任意の基材の背景の尺度である。したがって、ΔODB値は、像と組成物の画像化されていない部分(複数可)の光学密度の差異の尺度である。本発明に関しては、0.5以上、好ましくは0.7以上、例えば0.8以上、最も好ましくは1.0以上のΔODB値が望ましい。そのような値は、放射線への曝露で本発明の組成物による高コントラスト像の形成を示す。これは、低い値から高い値まで黒色目盛りの光学密度を定量化し、ODB測定は、標準機器濃度計およびX-Rite eXactまたはSpectroEye分光光度計を使用して行うことができる。
【0075】
本発明の文脈において、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物がモリブデン酸ナトリウム二水和物である場合、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物が色形成化合物として利用される場合に形成される色および/または像は、典型的にはそれらの色または濃淡が明るくなる。色および/または像はヒトおよび/または機械に視覚可能である。理論によって束縛されないが、本発明者らは、モリブデン酸ナトリウム二水和物が利用される場合、好ましくはレーザー光源(複数可)からの放射線の印加で、モリブデン酸ナトリウム二水和物は脱水形態に脱水(熱により分解する)すると考える。理論によって束縛されないが、本発明者らは、モリブデン酸ナトリウム二水和物からの水蒸気(「泡立」)のガス抜きまたは脱ガスが、微視的な窪みまたは泡を生じ、屈折率の変化をもたらし、その結果、組成物が放射線の印加に続いて白色を表示すると考える。
【0076】
モリブデン酸ナトリウム二水和物について、ヒトおよび/または機械によって視覚的に識別可能であること以外に、色および/または像の効果的な形成は、不透明性値の測定によって示されてもよい。これは、色および/または像の密度の尺度として使用されてもよい。本明細書において使用される場合、不透明性は、光、この事例においては、可視光線の組成物の不可入性の尺度である。不透明性は透明(0%)から不透明(100%)にパーセントとして表現される。パーセントは、組成物を通過しない光の量の、すなわち0%の不透明性の尺度であり、組成物は、光の0%が組成物を通過しないので完全に透明であり、100%の不透明性で、光の100%が組成物を通過しないので、組成物は完全に不透明である。本発明の文脈において、放射線が印加された組成物の領域(像)と放射線が印加されていない組成物の領域(背景)両方の不透明性値を、識別可能なヒトおよび/または機械読み込み可能な像の効果的な形成を示すために測定することができる。本発明の文脈において、像の不透明性は、背景の不透明性より大きく、その結果、識別可能なヒトおよび/または機械読み込み可能な像が形成されることは当業者に認識される。像と背景の間の不透明性値の差異が大きいほど、像はより明瞭で識別可能である。
【0077】
多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物がモリブデン酸ナトリウム二水和物である場合、組成物の背景、すなわち放射線が印加されていない組成物の部分(複数可)は、20%以下、例えば15%以下、好ましくは10%以下、さらに5%以下の不透明性を有していてもよい。さらに、放射線が印加された組成物の領域、およびその上に形成された像は、40%以上、例えば45%以上、好ましくは50%以上、またはさらに60%以上、例えば70%以上の不透明性を有していてもよい。像の不透明性値が高いほど、形成される像はより明瞭で識別可能であることは理解される。したがって、高い不透明性値は効果的な像形成を示す。
【0078】
本発明の文脈において、不透明性測定は、ASTM標準ASTM D589-97に従ってTechkon SpectroDens分光光度計の不透明性機能を使用して行われ、基材または多重層基材構造体の組成物の画像化された領域(像)および画像化されなかった(背景)領域は、それぞれ黒および白の標準に対して測定される。最初に、Techkon SpectroDensスペクトロメーターの不透明性機能が選択され、次いで、基材の組成物の不透明性が黒のLenetaチャートに対して測定され、次いで、基材または多重層基材構造体の組成物の不透明性が、最低50シートの白色紙などの白の背景に対して測定され、結果として不透明性測定がTechkon SpectroDensスペクトロメーターによって表示される。
【0079】
多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物は、固体微粒子形態の組成物中に導入され存在する。多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物は、0.1~20μm、例えば0.5~15μm、または0.5~10μm、好ましくは1~3μmのD50粒度分布を有する粒子を含んでいてもよい。
【0080】
本明細書において使用される用語「D50粒度分布」とは、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の粒子の中央粒径、すなわち、粒子集団のうちの数のちょうど50%の粒径を指す。
【0081】
粒度分布測定が、多価金属のオキシアニオンまたはそれらの水和物もしくはオキシ酸の組成物の形成中のホットメルト接着剤への取り込み前に行われることは当業者に認識される。本明細書において規定される粒度分布測定は、ISO 13320:2009に従ってMalvern Instrumentsからの通常のMalvern Mastersizer(登録商標)3000粒度アナライザーによって測定される。
【0082】
本発明の多価金属のオキシアニオンの粒子は、950m/kg以上、例えば1200m/kg以上、または1500m/kg以上、好ましくは2000m/kg以上、例えば2500m/kg以上、例えば3000m/kg以上、またはさらに3700m/kg、より好ましくは4000m/kg以上の表面積を有していてもよい。
【0083】
表面積は、粒度分布データから表面積を計算するISO規格13320:2009に従ってMalvern Mastersizerを使用して測定される。
【0084】
多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物は、80~700℃、または80~500℃、例えば100~500℃、例えば150~400℃、またはさらに200~300℃の分解温度を有していてもよい。分解温度は、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物が色を形成する温度である。多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の分解温度は、化合物が化学的に分解する温度である。幾つかの文献において、これもまた融解温度として知られることがある。モリブデン酸ナトリウム二水和物に関して、これは、水がそれから蒸発する温度であると考えられる。
【0085】
八モリブデン酸アンモニウム(AOM)の分解温度は275℃である。モリブデン酸ナトリウム二水和物の分解温度は100℃である。
【0086】
多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の分解温度は、示差走査熱量測定法(DSC)、または熱重量分析(TGA)を使用して測定されてもよい。好ましくは、分解温度はDSCを使用して測定される。これは当業者に周知である技法である。
【0087】
DSCは当業者に周知である技法であり、多価金属のオキシアニオンの試料と比較対照の温度を変化させるのに必要な熱エネルギーの量の差が温度の関数として測定される熱分析技法である。狙いは、多価金属のオキシアニオン試料および参照の両方が同じ温度を維持することであり、その結果、多価金属のオキシアニオンが分解し流動できるようになる吸熱性転移、すなわち分解温度をDSCが決定することができる。DSCの根本原理は、多価金属のオキシアニオンの試料が物理的な転換を起こす場合、参照と比較して、試料が流動するのにより多くの熱エネルギーが両方を等温に維持するために必要になるということである。試料と参照の間の熱流の差異の測定によって、DSCは、吸熱性の転移の間の吸収される熱の量を決定することができる。
【0088】
多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物は、任意の適切な量で本発明による組成物中に存在してもよい。好ましくは多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物は、組成物の5~80%、例えば10~70%、20~60%または25~55%の量、存在する。
【0089】
ロイコ染料
色形成化合物はロイコ染料であってもよい。ロイコ染料は色を形成することができる化合物として当業者に周知である。適切なロイコ染料の例は国際公開第2015/015200号および国際公開第2013/068729号に含まれ、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。適切なロイコ染料は、以下に限定されないが、任意の市販されているかまたは化学的に合成することができるロイコ染料を含み、市販されているサーモクロミックおよびハロクロミックロイコ染料を含むが、これらに限定されない。適切なロイコ染料の例は、以下に限定されないが、スピロオキサジン、ナフトピラン、フタリド、フルオラン、トリアリールメタン、ベンゾキサジン、キナゾリン、スピロピラン、キノン、テトラゾリウム塩、チアジン、フェナジンおよびオキサジンを含み、そのいくつかは国際公開第2006/108745号に開示され、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
ロイコ染料は以下から選択されてもよい:3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-フェニルアミノフルオラン(ODB-2:Wincon-2);3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランまたは2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(CAS No.59129-79-2)(ETAC);6-(ジメチルアミノ)-3,3-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]フタリド(ブルーI2R-クリスタルバイオレットラクトン);および3,3’-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(レッドI6B)。
【0091】
ロイコ染料の適切な供給業者は、以下に限定されないが、Yamada Chemical Company Limited(Yamada)、Chameleon Speciality Chemicals LimitedおよびConnect Chemicalsを含む。
【0092】
Yamadaからの適切なロイコ染料は、以下に限定されないが、グリーン300(フルオラン);スピロ[11H-[1]ベンゾピラノ[2,3-g]キノロン-11,1’(3’H)-イソベンゾフラン]-3’-オン、1-エチル-8-[エチル(4-メチルフェニル)アミノ]-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチル(H-1046、フルオラン)(CAS No.140895-67-6);CVL(フタリド);BLUE 203(ピリジンブルー);BLUE 220(ピリジンブルー);BLMB(フェノチアジン);レッド500(フルオラン);レッド520(フルオラン);レッド550(フルオラン);S-205(フルオラン);ブラック305(フルオラン);ブラック400(フルオラン);ブラック100(フルオラン);およびNIRブラック78(ジビニルフタリド)を含む。
【0093】
ロイコ染料はさらに、以下から選択されてもよい:2-アニリノ-3-ジエチルアミノ-6-メチルエチルフルオラン(カメレオンブラック1)、2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルエチルフルオラン(カメレオンブラック2)、6-(ジメチルアミノ)-3,3-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]フタリド(カメレオンブルー3)、4,4’-[(9-ブチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン]ビス[N-メチル-N-フェニルアニリン](カメレオンブルー4)、3,3’-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(カメレオンレッド5)、6’-(ジエチルアミノ)-3-オキソ-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-2’-カルボン酸エチルエステル(カメレオンオレンジ6)、7-[4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル]-7-(2-メチル-1-オクチル-1H-インドール-3-イル)フロ[3,4-b]ピリジン-5(7H)-オン(カメレオンブルー8)、2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン(カメレオングリーン9)、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチロキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]-ベンゼンアミン(カメレオンイエロー10)、6’-(ジエチルアミノ)-2’-[(ジメチルフェニル)アミノ]-3’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(カメレオンブラック15)、2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン (CAS No.89331-94-2)(ODB-2/Wincon-2)、6’-(ジエチルアミノ)-3’-メチル-2’-(フェニルアミノ)スピロ[2-ベンゾフラン-3、9’-キサンテン]-1-オン(ODB-1/Wincon-1)(CAS No.29512-49-0)、2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(CAS No.59129-79-2)、6-(ジメチルアミノ)-3,3-ビス-[4-(ジメチルアミノ)フェニル)フタリド(ブルー3-CVL、CAS No.1522-42-7)、4,4’-[(9-ブチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン]ビス[N-メチル-N-フェニルアニリン](ブルー-4、CAS No.67707-04-4)、3,3’-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(レッド-5、CAS No.50292-95-0)、6’-(ジエチルアミノ)-3-オキソ-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-2’-カルボン酸エチルエステル(オレンジ-6、CAS No.154306-60-2)、7-[4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル]-7-(2-メチル-1-オクチル-1H-インドール-3-イル)フロ[3,4-b]ピリジン-5(7H)-オン(ブルー-8、CAS No.87563-89-1)、2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン(グリーン-9、CAS No.34372-72-0)、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチロキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]-ベンゼンアミン(イエロー-10、CAS No.144190-25-0)、6’-(ジエチルアミノ)-2’-[(ジメチルフェニル)アミノ]-3’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(ブラック-15、CAS No.36431-22-8)、2-アニリノ-3-ジエチルアミノ-6-メチルエチルフルオラン、2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルエチルフルオラン、6-(ジメチルアミノ)-3,3-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]フタリド、4,4’-[(9-ブチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン]ビス[N-メチル-N-フェニルアニリン]、3,3’-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、6’-(ジエチルアミノ)-3-オキソ-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H)、9’-[9H]キサンテン]-2’-カルボン酸エチルエステル、7-[4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル]-7-(2-メチル-1-オクチル-1H-インドール-3-イル)フロ[3,4-b]ピリジン-5(7H)-オン、2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチロキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]-ベンゼンアミン、および6’-(ジエチルアミノ)-2’-[(ジメチルフェニル)アミノ]-3’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン、4,4’-[(9-ブチル-9H-カルバゾール-3-イル)メチレン]ビス[N-メチル-N-フェニルアニリン](CAS No.67707-04-4)、6’-(ジエチルアミノ)-3-オキソスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-(9H)キサンテン]-2’カルボン酸エチルエステル(CAS No.154306-60-2)、および2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン(CAS No.34372-72-0)。
【0094】
好ましくは、ロイコ染料は、2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン(ODB-2,CAS No.89331-94-2)、6’-(ジエチルアミノ)-3’-メチル-2’-(フェニルアミノ)スピロ[2-ベンゾフラン-3,9’-キサンテン]-1-オン(CAS No.29512-49-0)、および2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(ETAC)(CAS No.59129-79-2)から選択される。好ましくは、ロイコ染料は、2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン(ODB-2,CAS No.89331-94-2)または2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(ETAC)(CAS No.59129-79-2)である。
【0095】
ロイコ染料は、80~220℃、例えば100~220℃、またはさらに160~210℃の融解温度を有していてもよい。ロイコ染料の文脈において、これはロイコ染料が色を形成する温度である。以下に論じられるように、随伴する熱的酸発生剤がまた同じ液体状態にある場合、ロイコ染料は色を形成する(以下により詳細に論じられる)。ロイコ染料の文脈において、融解温度とは、ロイコ染料が、固体微粒子形態(固体状態)から液体状態(すなわち融解物)へ転移する温度を指す。
【0096】
ロイコ染料の融解温度は、温度計または示差走査熱量測定法(DSC)を用いて融点測定装置を使用して測定されてもよい。好ましくは、融解温度はDSCを使用して測定される。これは当業者に周知の技法である。
【0097】
DSCは当業者に周知の技法であり、ロイコ染料の試料および比較対照の温度を変化させるのに必要な熱エネルギーの量の差異が温度の関数として測定される熱分析技法である。狙いは、ロイコ染料試料および参照の両方が同じ温度を維持することであり、その結果、ロイコ染料が融解する吸熱性転移、すなわち融解温度をDSCが決定することができる。DSCの根本原理は、ロイコ染料の試料が物理的な転換を起こす場合、参照と比較して、試料が流動するのにより多くの熱エネルギーが両方を等温に維持するために必要になるということである。試料と参照の間の熱流の差異の測定によって、DSCは、吸熱性の転移の間の吸収される熱の量を決定することができる。
【0098】
2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチル-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン(ODB-2,CAS No.89331-94-2)の融解温度は、183℃である。2-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[5イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(ETAC)(CAS No.59129-79-2)の融解温度は、206℃である。
【0099】
本発明の文脈において、ロイコ染料が組成物の色形成化合物として利用される場合、形成される像は任意の好適な色であってもよい。例えば、像は、赤、青、緑、オレンジ、黄および黒またはそれらの濃淡から選択される色で形成されてもよい。色が黒またはその濃淡である場合、これは、放射線によって形成された黒色の密度に依存するグレースケールを含む。特定のロイコ染料は、基材の像に必要になる色に応じて選択されることは理解される。
【0100】
ロイコ染料が組成物の色形成化合物として利用される場合、色および/または像の効果的な形成は光学密度値の測定によって示されてもよい。色および/または像はヒトおよび/または機械に視覚可能である。黒色形成については、これは、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物について上記に論じられたように、測定された絶対光学密度ブラック(ODB)値である。赤色形成に関して、効果的な像形成は、絶対光学密度マゼンタ(ODM)値によって測定される。これは、像の赤色の密度を測定する。青色形成に関しては、効果的な像形成は絶対光学密度シアン(ODC)値によって測定される。これは、像の青色の密度を測定する。黄色形成に関して、これは、絶対光学密度イエロー(ODY)値によって測定される。これは、像の黄色の密度を測定する。ODM、ODCおよびODY値の文脈において、値が高いほど、形成された赤色、青色または黄色それぞれの色はより濃い。ΔODB、ΔODM、ΔODCおよびΔODY値もまた、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物のΔODBについて上記に詳述されたのと同じ方法で、色または像の効果的な形成を示すために測定されてもよい。本発明について、0.5以上、好ましくは0.7以上、例えば0.8以上、最も好ましくは1.0以上のΔODB、ΔODM、ΔODCまたはΔODY値が望ましい。そのような値は、放射線への曝露で本発明の組成物による高コントラスト像の形成を示す。ODB、ODM、ODCおよびODY値は、標準機器濃度計およびX-Rite eXactまたはSpectroEye分光光度計を使用して測定することができる。
【0101】
本発明の第1、第2または第3の態様による組成物に関して、色形成化合物がロイコ染料である場合、ロイコ染料は組成物中に熱的酸発生剤(TAG)を伴う。したがって、そのような事例において、本発明の組成物のホットメルト接着剤は、色形成化合物がロイコ染料である場合、その中に混合された熱的酸発生剤をさらに有し、このようにして全体にわたって分布する。
【0102】
熱的酸発生剤およびロイコ染料が、相互に作用し反応して色形成を達成することは当業者に認識される。理論に束縛されないが、本発明者らは、ロイコ染料および熱的酸発生剤が固体微粒子形態(固体状態)から同じ液体状態に融解した場合、色形成は容易になると考える。本発明の文脈において、理論に束縛されないが、本発明者らは、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方が同じ液体状態にある場合、ロイコ染料との熱的酸発生剤のそのような相互作用が組成物への放射線の印加で生じると考える。
【0103】
適切な熱的酸発生剤は、任意の適切な市販のまたは化学的に合成することができる熱的酸発生剤を含む。適切な熱的酸発生剤は、以下を含むが、これらに限定されない:4-ヒドロキシフェニル-4’-イソプロポキシフェニルスルホン(カメレオン顕色剤-1);N-(p-トルエンスルホニル)-N’-(3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル)尿素(Pergafast 201);1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)およびボロベンジレートのアミン塩に基づく熱的酸発生剤およびボロジサリチル酸トリn-ブチルアンモニウム、例えばトリ-n-ブチルアンモニウム-4,4’-ジオキソ-4H,4’H-2,2’-スピロビ[ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボリニン]-2-ウイドまたはN,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシkO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)、ならびに、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、(2,4-ジヒドロキシフェニル)フェニルメタノン、3-(3-トシルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホネート、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸プロピルおよび4,4’-メタンジイルジフェノール。
【0104】
好ましくは、熱的酸発生剤は、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)、トリ-n-ブチルアンモニウム-4,4’-ジオキソ-4H,4’H-2,2’-スピロビ[ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボリニン]-2-ウイド、N,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、(2,4-ジヒドロキシフェニル)フェニルメタノン、3-(3-トシルウレイド)フェニル-4-メチルベンゼンスルホネート、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸プロピルおよび4,4’-メタンジイルジフェノールから選択される。より好ましくは、熱的酸発生剤は1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)およびN,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)から選択される。より好ましくは、熱的酸発生剤は1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)である。
【0105】
熱的酸発生剤は、100~270℃、例えば110~250℃の融解温度を有していてもよい。熱的酸発生剤の文脈において、融解温度は、熱的酸発生剤が固体微粒子形態(固体状態)から液体状態(すなわち融解物)に転移する温度である。本明細書においてより詳細に論じられるように、これは、随伴するロイコ染料もまた同じ液体状態にある場合、熱的酸発生剤が、ロイコ染料が色を形成するのを可能にする能力を有する温度である。
【0106】
熱的酸発生剤の融解温度は、温度計を備えた融点測定装置、または示差走査熱量測定法(DSC)を使用して測定されてもよい。好ましくは、融解温度はDSCを使用して測定される。これは当業者に周知の技法である。
【0107】
DSCは当業者に周知の技法であり、熱的酸発生剤の試料および比較対照の温度を変化させるのに必要な熱エネルギーの量の差異が温度の関数として測定される熱分析技法である。狙いは、熱的酸発生剤試料および参照の両方が同じ温度を維持することであり、その結果、熱的酸発生剤が融解する吸熱性転移、すなわち融解温度をDSCが決定することができる。DSCの根本原理は、熱的酸発生剤の試料が物理的な転換を起こす場合、参照と比較して、試料が流動するのにより多くの熱エネルギーが両方を等温に維持するために必要になるということである。試料と参照の間の熱流の差異の測定によって、DSCは、吸熱性の転移の間の吸収される熱の量を決定することができる。
【0108】
1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)の融解温度は244~248℃である。N,N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシkO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)の融解温度は139℃である。
【0109】
熱的酸発生剤もまた、組成物の形成中に固体微粒子形態でホットメルト接着剤へ導入されることは理解される。
【0110】
ロイコ染料は、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物中に任意の適切な量で存在してもよい。好ましくは、ロイコ染料は、組成物の5~80%、例えば10~40%の量で存在する。
【0111】
色形成化合物がロイコ染料である場合、熱的酸発生剤は、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物中に任意の適切な量存在してもよい。好ましくは、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物の色形成化合物がロイコ染料である場合、熱的酸発生剤は、組成物の10~80%例えば15~50%の量で存在してもよい。
【0112】
本発明の第1、第2または第3の態様による組成物の配合中に、すなわちホットメルト接着剤への色形成化合物の取り込み中に、または基材または多重層基材構造体への組成物の塗布中に、および/または多重層基材構造体の形成におけるその使用中に、ホットメルト接着剤は、それが流動することができるように融解することが必要とされることは当業者に認識される。これは、ホットメルト接着剤、したがって、組成物を、ホットメルト接着剤の融解温度以上、好ましくはそれを超えて加熱することにより達成される。上記に論じられたように、これが融解温度範囲を包含し得ることは当業者に理解される。これらの配合または塗布の段階の後に放射線の印加によって組成物で色および/または像を形成することができるためには、存在する場合、熱的酸発生剤の融解温度を含む色形成化合物の融解または分解温度に到達しないことは当業者に認識される。したがって、これらの配合または塗布の段階の後に放射線の印加によって、配合または塗布段階のいずれかでの加熱中に、組成物で色および/または像を形成することができるためには、ホットメルト接着剤および色形成化合物の好適な選択が必要である。そのような選択は、ホットメルト接着剤の融解温度と、色形成化合物の融解または分解温度(存在する場合、熱的酸発生剤の融解温度を含む)の関係に依存する。
【0113】
本発明の第1、第2または第3の態様による組成物に関して、ホットメルト接着剤の融解温度は、色形成化合物が色を形成する温度より低い。すなわち、ホットメルト接着剤の融解温度は、選択される色形成化合物の融解または分解温度、ならびに存在する場合、熱的酸発生剤の融解温度より低い。
【0114】
多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物が本発明による組成物の色形成化合物として利用される場合、多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の分解温度は、ホットメルト接着剤の融解温度より高い。したがって、ホットメルト接着剤または組成物は、ホットメルト接着剤が基材、多重層基材構造体または多重層構造体の基材への塗布のために融解し適切になるように、ホットメルト接着剤の融解温度以上、好ましくはそれを超える温度に加熱されてもよい。しかしながら、この温度は多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物の分解温度より低い。したがって、色および/または像形成は、続いて必要とされる場合に、組成物への放射線の印加によって制御し達成することができる。
【0115】
本発明の第3の態様の組成物に関して、色形成化合物がモリブデン酸アンモニウム(AOM)または規定されたロイコ染料である場合、これらの色形成化合物の分解または融解温度は、本明細書において詳述されるように、50~200℃、または50もしくは160℃の、70~150℃を含むホットメルト接着剤の融解温度より高いことは理解される。
【0116】
ロイコ染料が、熱的酸発生剤を伴う、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物の色形成化合物として利用される場合、ロイコ染料および熱的酸発生剤両方の融解温度は、組成物のホットメルト接着剤の融解温度より高い。これは、ホットメルト接着剤の融解温度に到達した場合に、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方が固体微粒子形態でとどまることを保証するためである。これは、ロイコ染料と熱的酸発生剤の間の相互作用によって引き起こされる、放射線の後続の印加による色および/または像の形成を妨げる色形成を回避するためである。理論に束縛されないが、ロイコ染料および熱的酸発生剤が固体微粒子形態(固体状態)から同じ液体状態に融解した場合、すなわち、ロイコ染料の融解温度および熱的酸発生剤の融解温度の1つまたは両方に到達し、および、ロイコ染料および熱的酸発生剤が同じ液相中で緊密に相互作用し反応することができる場合、色形成は容易になる。したがって、ホットメルト接着剤または組成物は、ホットメルト接着剤が基材、多重層基材構造体または多重層構造体の基材への塗布のために融解し適切になるように、ホットメルト接着剤の融解温度以上、好ましくはそれを超える温度に加熱されてもよい。したがって、色および/または像形成は、続いて必要とされる場合に、組成物への放射線の印加によって制御し達成することができる。
【0117】
したがって、ホットメルト接着剤、色形成化合物、および存在する場合、熱的酸発生剤は、適宜、それぞれ融解または分解温度、およびその間の関係に応じて選択されることは理解される。後続の放射線の印加による色および/または像の形成を妨げる色形成は、したがって、所望の色または像の形成を容易にする制御された放射線の印加前に、本発明の組成物の製作、加工および基材、多重層基材構造体への塗布中に、または積層基板構造体の形成において回避される。
【0118】
さらに、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物が、複数の色形成化合物を含む場合、色形成化合物は両方とも上に述べた関係に適合しなければならないことは当業者に認識される。
【0119】
本明細書において詳述される色形成化合物の融解または分解温度および熱的酸発生剤の融解温度の範囲が、本明細書において詳述されるホットメルト接着剤の融解温度のそれと重なるが、ホットメルト接着剤、色形成化合物、および存在する場合、本発明の組成物の熱的酸発生剤は、上記明示の関係を維持するように選択されることは当業者に認識される。
【0120】
本発明は、ホットメルト接着剤が製作、加工および印加中に融解する組成物、ならびにホットメルト接着剤が、貯蔵中、または基材もしくは多重層基材構造体への組成物の塗布の後、固体状態(室温に冷却された場合)である組成物を包含することは当業者に認識される。
【0121】
本発明の第1または第3の態様による組成物のホットメルト接着剤は、その中に混合された赤外線吸収化合物をさらに有していてもよい。好ましくは、本発明の第1または第3の態様による組成物のホットメルト接着剤は、その中に混合された赤外線吸収化合物を有する。
【0122】
本発明の第2の態様による組成物のホットメルト接着剤は、その中に混合された赤外線吸収化合物をさらに有する。
【0123】
色形成化合物に関して、赤外線吸収化合物は、組成物のホットメルト接着剤の全体にわたって均質に分布し、分散され、懸濁され、組み込まれる。複数の赤外線吸収化合物が存在してもよい。近赤外(NIR)線を含む赤外(IR)線が色および/または像の形成に利用されるためである場合、赤外線吸収化合物が通常含まれることは理解される。赤外線吸収化合物は、IR放射線の吸収を増強し、このようにして、形成される色および/または像を増強する能力がある。適切な赤外線吸収化合物の例は、以下を含むが、これらに限定されない:ヒドロキシルリン酸銅(II)(CHP)などの無機銅塩;N,N,N’,N’-テトラキス(4-ジブチルアミノフェニル)-p-ベンゾキノンビス(イミニウムヘキサフルオロ-アンチモネートなどの有機NIR染料および顔料;還元インジウムスズ酸化物、還元酸化亜鉛、還元タングステン酸化物、下記式MxWyOz[式中、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、BiおよびIからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、Wはタングステンであり、Oは酸素であり、0.001≦x/y≦1;および2.2≦z/y≦3.0を満たす。]の無機化合物を含む還元ドープタングステン酸化物、還元アンチモンスズ酸化物、またはアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)およびフッ素ドープ酸化スズ(FTO)などのドープ金属酸化物などの、非化学量論的な還元もしくはドープ無機化合物;ポリポリスチレンスルホネート(PEDOT)などの伝導性ポリマー;ならびにそれらの組み合わせ。
【0124】
好ましくは、赤外線吸収化合物は、ヒドロキシルリン酸銅(II)(CHP)などの無機銅塩;還元インジウムスズ酸化物、還元酸化亜鉛、還元タングステン酸化物、下記式MxWyOz[式中、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、BiおよびIからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、Wはタングステンであり、Oは酸素であり、0.001≦x/y≦1;および2.2≦z/y≦3.0を満たす。]の無機化合物を含む還元ドープタングステン酸化物などの、非化学量論的な還元もしくはドープ無機化合物から選択される。
【0125】
赤外線吸収化合物は、存在する場合、本発明による組成物中に任意の適切な量存在してもよい。好ましくは、赤外線吸収化合物は、組成物の0.1~33%、例えば組成物の0.5~30%を占める。
【0126】
赤外線吸収化合物は、固体微粒子形態で組成物へ導入される。組成物中に存在する場合、赤外線吸収化合物は固体微粒子形態中に存在する。
【0127】
赤外線吸収化合物が存在する場合、組成物に色または像を形成するために使用される放射線が好ましくはIR放射線であることは当業者に認識される。
【0128】
本発明の組成物は溶媒または水を含まない。ホットメルト接着剤または本発明の組成物のいずれにも水または溶媒は存在しない。
【0129】
本発明の組成物は、放射線反応性組成物、レーザー反応性組成物であり、すなわち組成物への、好ましくはレーザー光源(複数可)からの放射線の印加で色および/または像を形成する能力がある。
【0130】
本発明による組成物は任意の適切な基材に塗布されてもよい。組成物の内容は、組成物が塗布される基材に応じて変動する可能性があることは理解される。
【0131】
したがって、本発明の第4の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む基材であって、その上に組成物が塗布されている基材が提供される。
【0132】
本発明の第4の態様に関しては、組成物は、本発明の他のいずれかの態様に関して好ましいまたは任意選択と記載される特徴のうちのいずれを有していてもよい。
【0133】
組成物が塗布されてもよい適切な基材の例は、以下を含むが、これらに限定されない:ポリマーおよびリサイクルされたポリマー材料、例えばポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、配向ポリプロピレン(OPP)、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、流延ポリプロピレン(CPP)、ナイロンなどのポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはそれらの組み合わせ;セルロース;ガラス;プラスチック;金属および金属箔、例えばブリキ板;テキスタイル;紙、カード、カートン、板紙、カートン用板紙、波状紙、波状カード、波状カートン、波状板紙、厚紙、波状カートン用板紙、折り畳み式カートンおよび同等のリサイクル類似物、またはそれらの組み合わせを含む紙系基材;セラミック;食料品および医薬品;またはそれらの組み合わせ、例えばポリマーコート紙またはポリマー含浸紙。適切な基材は、上記に列挙された材料および基材から形成された多重層基材を含む。ポリマーおよびリサイクルされたポリマー材料は、ポリマー箔またはフィルム基材の形態をしていてもよい。
【0134】
好ましくは、組成物が塗布される基材は、リサイクル可能で生分解性および/または堆肥化可能な基材である。
【0135】
本発明の第4の態様による基材は、例えば、ホットメルト接着剤、したがって基材での組成物が室温で粘着性である場合、組成物を使用して追加の基材に結合されてもよい。追加の基材は、本発明の第4の態様による基材に関して上記に詳述された通りであってもよい。多重層基材構造体はこのようにして形成されてもよい。
【0136】
本発明の文脈において、ホットメルト接着剤の熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物がバイオプラスチック熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物である場合、組成物が塗布される基材は、好ましくはバイオプラスチック材料から形成されている。同様に、ホットメルト接着剤の熱可塑性ポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物が石油系プラスチックポリマー、コポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物である場合、組成物が塗布される基材は、好ましくは石油系プラスチック材料から形成されている。本明細書において包含されるバイオプラスチック材料は、以下を含むが、これらに限定されない:ポリ(乳酸)(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)およびポリ(グリコール酸)(PGA)、ならびにサトウキビおよび/または他の天然起源に由来するエタノールから形成された場合のポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー、およびサトウキビおよび/または他の天然起源から形成された場合のポリエチレン。基材に関して本明細書において列挙されたポリ(エチレン-酢酸ビニル)またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーおよびポリエチレン材料については、バイオプラスチックおよび石油系プラスチック形態の両方が包含される。
【0137】
組成物が塗布される基材は、12μm~5mm、例えば12μm~500μmの厚さを有していてもよい。特に、基材が紙系基材である場合、紙系基材は、50~500gsm、例えば60~250gsmの単位面積当たり重量(gsm)を有していてもよく、80~200gsmを含む。
【0138】
基材が、それに塗布される本発明による組成物の単層または多層を含んでもよいことは理解される。好ましくは、組成物の単層のみが必要とされる。このことは、通常の印刷プロセスで効果的な色および/または像形成を達成するのに必要である組成物の多層に対して有利である。
【0139】
本発明による組成物は、好ましくは基材に直接に塗布される。
【0140】
本発明による基材に関して、組成物は、その表面の表面積のすべて、実質上すべてまたは一部に塗布されてもよい。
【0141】
好ましくは、組成物は、それが露出するように基材の外表面に塗布され、すなわち、保護層または組成物の上に重なるその他の層などの層はない。
【0142】
基材が以下に論じられる製品の形成において利用される場合、組成物は、それらの任意の表面、内部または外部に存在してもよい。
【0143】
本発明の第4の態様は、組成物を有する基材であって、それに組成物が塗布されており、ここで、組成物は、塗布されたばかりで融解している、すなわち室温に冷却する前である、基材を包含することが理解される。本発明の第4の態様はまた、組成物を有する基材であって、それに組成物が塗布されており、ここで、組成物は室温で固体である、基材を包含する。この組成物は室温で粘着性であってもまたは非粘着性であってもよい。
【0144】
本発明による基材について、放射線の印加前に、基材に塗布された組成物の色形成化合物が好ましくは色を表示しないことは理解される。
【0145】
本発明の第5の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む多重層基材構造体であって、その上に組成物が塗布されているおよび/またはその中に組成物が組み込まれている多重層基材構造体が提供される。
【0146】
本発明の第5の態様に関して、組成物は、本発明の他のいずれかの態様に関して好ましいまたは任意選択と記載される特徴のうちのいずれを有していてもよい。
【0147】
多重層基材構造体は、組成物で互いに結合された少なくとも2つの基材から形成されてもよい。そのような多重層基材構造体に関して、組成物は、それが少なくとも2つの基材間にあり、多重層基材構造体内に組み込まれるように、基材を互いに接着するために利用されてもよい。代替として、多重層基材構造体は少なくとも2つの基材から形成され、それらの表面に塗布された本発明による組成物を有していてもよい。多重層構造体は、上記に論じられた少なくとも2つの基材に結合した基材をさらに含んでもよく、前記さらなる基材(複数可)は、その中に混合される色形成化合物を含まない、同じ接着剤、または通常は他の接着剤で結合されることは理解される。他の接着剤は当業者に周知である。
【0148】
本発明の第5の態様について、多重層基材構造体の基材のそれぞれは、本発明の第3の態様に関して上に記載した基材の1つから形成されてもよい。
【0149】
通常、本発明の第5の態様による多重層基材構造体は、少なくとも2つの基材から形成され(本発明の第4の態様に関して上に記載した基材から形成され)、少なくとも2つの基材は、その間にサンドイッチされた本発明による組成物を有する。したがって、組成物が2つの基材を互いに結合するのに利用されることは理解される。そのような事例において、組成物はなお視覚可能であるべきであり、例えば、通常、基材、例えば高分子フィルムの少なくとも1つは透明または半透明であり、その結果、形成された任意の色および/または像は視覚可能でありヒトおよび/または機械読み込み可能であることが理解される。
【0150】
本発明の多重層基材構造体の形成において、組成物は、多重層基材構造体に、または、
もう一方へ結合して多重層基材構造体を形成する前の、単層または多層、好ましくは単層である少なくとも2つの基材のうちの1つに塗布されてもよいことが理解される。
【0151】
本発明による多重層基材構造体の形成において、多重層基材構造体の表面積のすべて、実質上すべてまたは一部に、またはもう一つと結合される基材に、組成物が塗布されて多重層基材構造体を形成してもよいことは理解される。
【0152】
好ましくは、組成物が多重層基材構造体に塗布される場合、組成物は、それが露出されるように多重層基材構造体の外表面に塗布され、すなわち、保護層または組成物の上に重なるその他の層などの層はない。
【0153】
本発明の第5の態様は、組成物を有する多重層基材構造体であって、それに組成物が塗布されており、ここで、組成物は塗布されたばかり、融解している、すなわち室温に冷却される前の基材を包含することは理解される。本発明の第5の態様はまた、組成物を有する多重層基材構造体であって、それに組成物が塗布されており、ここで、組成物は室温に冷却され固体である、基材を包含する。この組成物は粘着性であっても非粘着性であってもよい。
【0154】
本発明の第1、第2または第3の態様による組成物、組成物が塗布される基材、または組成物が塗布されたおよび/または内に組み込まれた多重層基材構造体は、ラベル(接着または巻きつけ)としておよび/または高回転消費物資において;食品および高温または低温飲料容器を含む使い捨て包装などの包装;衛生用およびシャンプーボトルなどのパーソナルケア製品の包装;化粧品の包装;装飾金属製品;ブリスターパック包装;積層パウチ;医療および診断デバイスおよび付随する包装において最終使用するのに適している可能性がある。
【0155】
本発明による組成物、基材および多重層基材構造体は、包装産業において特定の使用がなされてもよい。基材または多重層基材構造体は通常、厚紙およびカートン用板紙の箱などを含む紙系および容器箱、厚紙チューブなどを含む紙系チューブ、プラスチックボトル、紙系ボトル、プラスチック蓋、ガラス瓶、アルミニウム缶および蓋、スチール缶および蓋、巻きつけラベル、ストレッチスリーブ、シュリンクスリーブ、および自己接着性ラベルを含むが、これらに限定されない包装製品などの物品であってもよい。
【0156】
本発明の第6の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を形成する方法が提供され、方法は、ホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、色形成化合物、および存在する場合、熱的酸発生剤の融解温度の融解温度または分解温度より低い温度に、ホットメルト接着剤が融解するようにホットメルト接着剤を加熱する工程、および色形成化合物および任意選択的に熱的酸発生剤および赤外線吸収化合物を融解ホットメルト接着剤中で、融解ホットメルト接着剤の全体にわたってそれが分布するように混合する工程を含む。
【0157】
本発明の第6の態様について、組成物は、本発明の他のいずれかの態様に関して好ましいまたは任意選択と記載される特徴のうちのいずれを有していてもよい。
【0158】
組成物の形成について、ホットメルト接着剤は、それが融解するようにその融解温度以上に加熱され(ホットメルト接着剤の前記融解温度は、色形成化合物の融解または分解温度、および該当する場合、熱的酸発生剤の融解温度より低い。)、色形成化合物は、融解ホットメルト接着剤と接触し、それに導入されそれと混合される。代替として、ホットメルト接着剤および色形成化合物を、接触させ、ホットメルト接着剤の融解温度以上に加熱し(ホットメルト接着剤の前記融解温度は、色形成化合物の融解または分解温度、および該当する場合、熱的酸発生剤の融解温度より低い。)、次いで、色形成化合物を融解ホットメルト接着剤へ混合する。さらに、色形成化合物がロイコ染料であり、組成物が熱的酸発生剤をさらに含む場合、および/または赤外線吸収化合物が存在する場合、熱的酸発生剤および/または赤外線吸収化合物が、融解状態で色形成化合物と共にホットメルト接着剤へ導入されるか、または、加熱前にホットメルト接着剤および色形成化合物と接触させられるかのいずれかであることは理解される。さらに、色形成化合物がロイコ染料である場合、ロイコ染料および熱的酸発生剤は、ホットメルト接着剤の一部と別々に接触させてもよく、次いで、これらの部分は合わせられ、ホットメルト接着剤の融解温度以上に加熱され(ホットメルト接着剤の前記融解温度はロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低い。)、存在するロイコ染料および熱的酸発生剤はこの融解状態でホットメルト接着剤へ混合される。赤外線吸収化合物が組成物において利用される場合、このこともまた当てはまる。
【0159】
色形成化合物、および存在する場合、熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物が固体微粒子形態で組成物に導入されることは理解される。
【0160】
本発明の第1、第2または第3の態様の組成物を形成する方法において、ホットメルト接着剤は、ホットメルト接着剤が融解し、流動できるようになるように、その融解温度以上に加熱される。ホットメルト接着剤の融解温度は、本発明の第1、第2および第3の態様の組成物について上記に論じられた通りである。好ましくは、ホットメルト接着剤は、50~200℃、または50~160℃、例えば70~150℃に加熱される。
【0161】
上記に論じられたように、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物の形成中に、色形成化合物の融解または分解温度、および、該当する場合、熱的酸発生剤の融解温度には到達しない。色形成化合物の融解または分解温度、および該当する場合、熱的酸発生剤の融解温度は、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物に関して上に記載された通りである。
【0162】
本発明の組成物の形成中のホットメルト接着剤の加熱は、任意の手段によって達成されてもよい。適切な加熱装置は、ホットメルトガンおよびアプリケーター、押出および成型設備、射出、ブロー成形、カレンダリング、回転成形、熱成形およびホットメルト塗工機を含む。組成物の製作は、標準の熱可塑性加工機械を使用して達成することができ、例えば、押出、ブレンド、混合、粉砕ならびに射出およびブロー成形を含む成形に使用されるものなどの設備、ならびに異なるサイズおよび仕様の他の通常の設備は、カレンダリング、回転成形、熱成形、ホットメルト塗工に使用することができる。これは、液体または固体のマスターバッチを使用する加工、およびスティック、ブロック、塊、棒、球、ビード、ペレット、顆粒および粉末などの固体形態での加工を含むことができる。
【0163】
組成物が形成されたら、ホットメルト接着剤が融解したとき、組成物は、基材または多重層基材構造体に直接に塗布し、または、上記に論じられた多重層基材構造体の形成に使用することができることは当業者に認識される。次いで、組成物は室温に冷却し、基材または多重層基材構造体で固化するか、または、多重層基材構造体の形成中に、ホットメルト接着剤は冷却し、固体状態に移行する。
【0164】
代替として、組成物が形成されたら、ホットメルト接着剤が固体状態に戻るように、組成物を室温に冷却させ固化させることができる。次に、組成物は、全体として固体状態になる。次いで、組成物を固体状態で貯蔵または輸送し、必要な場合、ホットメルト接着剤が融解し、組成物が基材または多重層基材構造体に塗布される順にホットメルト接着剤の融解温度(色形成化合物の融解温度または分解温度、該当する場合、熱的酸発生剤の融解温度より低くなるように選択される。)に再加熱し、または多重層基材構造体の形成に使用することができる。
【0165】
本発明の第7の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む基材であり、その上に組成物が塗布されている基材を形成する方法が提供され、ここで、方法は、ホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、色形成化合物の融解温度、および存在する場合、熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度または分解温度より低い温度に、ホットメルト接着剤が融解するように組成物を加熱する工程;ホットメルト接着剤が融解したら、基材に組成物を塗布する工程;ならびに組成物を冷却させ基材上で固化させる工程を含む。
【0166】
本発明の第8の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む多重層基材構造体であり、その上に組成物が塗布されている多重層基材構造体を形成する方法が提供され、ここで、方法は、ホットメルト接着剤の融解温度以上であるが、色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度より低い温度に、ホットメルト接着剤が融解するように組成物を加熱する工程;ホットメルト接着剤が融解したら、基材に組成物を塗布する工程;ならびに組成物を冷却させ固化させる工程を含む。
【0167】
本発明の第9の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を有する多重層基材構造体であり、その中に組成物が組み込まれている多重層基材構造体を形成する方法が提供され、ここで、方法はホットメルト接着剤の融解温度以上、しかし、色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、熱的酸発生剤または赤外線吸収化合物の融解温度の融解温度または分解温度より低い温度に、ホットメルト接着剤が融解するように組成物を加熱する工程;ホットメルト接着剤が融解したら、基材に組成物を塗布する工程;ならびに、基材が組成物によって互いに結合されて多重層基材構造体を形成するように、基材を別の基材と、それらの間に組成物を位置させた状態で接触させる工程を含む。
【0168】
本発明の第7から第9の態様について、組成物、基材または多重層基材構造体は、本発明の他のいずれかの態様に関して好ましいまたは任意選択と記載される特徴のうちのいずれを有していてもよい。
【0169】
組成物が、本明細書において記載される本発明の第5の態様の方法に従って形成されることは理解される。
【0170】
上記に論じられたように、組成物は、基材もしくは多重層基材構造体の外表面、またはその形成中の多重層基材構造体の基材の1つの表面積の、すべて、実質上すべてまたは一部に、塗布されてもよい。
【0171】
上記に論じられたように、組成物は、基材もしくは多重層基材構造体、または多重層基材構造体の基材に任意の好適な塗布方法を使用してその形成中に塗布されてもよい。適切な塗布方法は、以下に限定されないが、ホットメルトガンおよびアプリケーター、押出、射出成形、および成型設備および塗工機を含む。
【0172】
上記に論じられたように、組成物は、基材もしくは多重層基材構造体、またはその形成中の多重層基材構造体の基材に、単層または多層として、すなわち、1回または複数回で塗布されてもよい。好ましくは、組成物は単層として基材または多重層基材構造体に塗布される。
【0173】
本発明の組成物を有する本発明の基材または多重層基材構造体であり、その上に組成b津が塗布されている基材または多重層基材構造体を形成する方法について、組成物が、融解したときに基材または多重層基材構造体に塗布され、室温に冷却させ、固化させることが理解される。基材または多重層基材構造体への塗布の後、組成物を室温に冷却させ、固化させることによって、組成物のホットメルト接着剤は固体状態へ転移する。使用されるホットメルト接着剤が室温で非粘着性である場合、この冷却の結果、組成物は、固化し、基材もしくは多重層基材構造体の任意の後続の取り扱い、貯蔵または使用中の剥落に対して耐性ができることは理解される。
【0174】
通常、組成物が冷却し固化するためにかかる時間は、塗布される組成物の量、すなわち、塗工重量に依存するが、しかし、通常、これは室温で0.1~100秒、例えば1~10秒である。
【0175】
組成物は、基材もしくは多重層基材構造体、または多重層基材構造体の基材に、組成物が塗布される基材および塗布方法に依存する任意の適切な塗工重量で塗布されてもよい。基材の組成物の塗工重量が、色形成化合物によって形成される色の強度に影響を与えることは当業者に認識される。好ましくは、組成物は、0.1~1000gsm(1平方メートル当たりグラム)、例えば0.1~500gsm、または0.1~250gsm、最も好ましくは0.1~150gsmの塗工重量に塗布される。この塗工重量は、基材もしくは多層基材構造体または多重層基材構造体の基材に塗布される組成物の個々の層当たりである。
【0176】
組成物の塗工重量は任意の適切な方法によって測定されてもよい。適切な測定法は当業者に周知である。好ましくは、塗工重量は、それに塗布された組成物を含む基材と、含まない基材の同じ面積を秤量し、2つの重量を比較することによって測定される。
【0177】
ホットメルト接着剤が融解したとき、基材、多重層基材構造体、または多重層基材構造体の基材への組成物の塗布ができるためには、組成物は、ホットメルト接着剤の融解温度以上(しかし、色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、熱的酸発生剤の融解温度より低い温度)に加熱されなければならないことは当業者に認識される。これは、ホットメルト接着剤が融解している間の組成物の生成直後であってもよく、またはホットメルト接着剤が基材への塗布のために融解するように、ホットメルト接着剤の融解温度以上(しかし、色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、熱的酸発生剤の融解温度より低い温度)に組成物が加熱される組成物の貯蔵後であってもよい。組成物を加熱するために適切な方法は当業者に周知であり、典型的な工業用熱可塑性加工および塗布設備、例えば、押出、成型、射出、ブロー成形、カレンダリング、回転成形、熱成形、ホットメルト塗工に使用されるもの、グルーガンおよび熱グルーアプリケーターを含む。組成物が色形成化合物の融解温度または分解温度、および存在する場合、熱的酸発生剤の融解温度まで加熱されないので、色および/または像形成は放射線の後続の印加によって容易になり得ることは理解される。
【0178】
本発明の第7および第8の態様の方法について、基材または多重層基材構造体への塗布の後、好ましくは、色形成化合物が色を表示しないことは理解される。
【0179】
本発明の第9の態様の方法について、組成物が融解したとき、基材は互いに合わせられ、次いで冷却されてもよく、その結果、組成物が基材を互いに結合することは理解される。代替として、ホットメルト接着剤、したがって組成物が室温で粘着性である場合、組成物が冷却され室温で固体であるが粘着性になったら、基材は合わせられてもよい。通常、多重層基材構造体の基材、または少なくとも1つの基材、例えば高分子フィルムは透明または半透明であり、放射線の印加で、形成された任意の色および/または像は視覚可能でありヒトおよび/または機械読み込み可能となる。多重層構造体は、上記に論じられた少なくとも2つの基材に結合する基材をさらに含んでもよく、前記さらなる基材は、同じ接着剤によって、または典型的には色形成化合物を含まない他の接着剤によって結合されることは理解される。他の接着剤は当業者に周知である。
【0180】
本発明の第9の態様の方法については、多重層基材構造体への取り込みの後、好ましくは、色形成化合物が色を表示しないことは理解される。
【0181】
本発明の組成物を有する本発明の基材および多重層基材構造体であり、その上に組成物が塗布されている基材および多重層基材構造体を形成する方法、または本発明の組成物を有する本発明の多重層基材構造体であり、その中に組成物が組み込まれている多重層基材構造体を形成する方法について、組成物のホットメルト接着剤の融解温度、および色形成化合物、および存在する場合、熱的酸発生剤の融解温度または分解温度は、本発明について上に記載された通りである。
【0182】
本発明の組成物によって色または像の形成が可能になる。これは、放射線の特定の印加による。
【0183】
本発明の第10の態様によると、その上に塗布される、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む基材に色および/または像を形成する方法が提供され、ここで、方法は、必要に応じて組成物に放射線を印加して色および/または像を基材に形成する工程を含む。
【0184】
本発明の第11の態様によると、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物を含む多重層基材構造体であり、その上に組成物が塗布されているおよび/またはその中に組成物が組み込まれている多重層基材構造体の上および/または内に、色および/または像を形成する方法が提供され、ここで、方法は、多重層基材構造体の上および/または内に色および/または像を形成するように適宜に組成物に放射線を印加する工程を含む。
【0185】
放射線は、組成物の局所的位置で組成物に印加されて選択的に色および/または像を形成することができる。ヒトおよび/または機械読み込み可能な像が形成される。本発明の文脈において、組成物への放射線の印加で、色形成化合物の融解または分解温度、および該当する場合、熱的酸発生剤の融解温度に到達するので、色または像が形成されることは理解される。
【0186】
上記に論じられたように、本発明の文脈において、本発明の組成物への放射線の印加で形成された色または像の色が、本発明の組成物が配合、貯蔵、または基材もしくは多重層基材構造体への塗布でおよび/またはそれの内の取り込みで、それへの放射線の印加前に有し得る色とは異なることは理解される。組成物への放射線の印加で形成される色および/または像の色は、放射線が印加されない組成物のそれらの部分(複数可)が有し得る色とは異なるか、またはより強い密度を有する。色形成化合物は、好ましくは、放射線が印加された組成物の部分(複数可)のみに色を表示する。
【0187】
選択される放射線は、色形成化合物に識別可能な色の形成をもたらすのに必要なものであることは当業者に認識される。
【0188】
その中に組成物を有する多重層基材構造体に関して、「組成物に印加される」とは、組成物が配置され、したがって組成物への放射線の印加が達成されるような、多重層基材構造体の領域への放射線の印加を指す。
【0189】
本発明の第10および第11の態様について、組成物、基材または多重層基材構造体は、本発明の他のいずれかの態様に関して好ましいまたは任意選択と記載される特徴のうちのいずれを有していてもよい。
【0190】
用語「像」は、ロゴ、単語または文字列などのマーク、グラフィックス、図、写真、記号、線形バーコードなどのコード、2次元Datamatrix、QRコード、Digimarcコードおよび文字列、例えば英数字および記号に基づくものを組み込むが、これらに限定されない。本発明の文脈において、像の形成を容易にするのは、像形成化合物として色形成化合物を含む組成物の操作であることが認識される。形成された像は、ヒトおよび/または機械読み取り可能であり、コード化およびマーキング、タグ付け、トラッキング、トレーシング、ならびに後期段階のカスタム化または個人化の目的のために使用することができる。形成された像は通常、可変情報を表示するために使用される像である。像の密度は、ODB、ODY、ODMまたはODC値、および上記に記載されるΔODB、ΔODY、ΔODMまたはΔODC値によって測定される。
【0191】
本発明の文脈において、放射線は、組成物が室温で冷却し固化した後、それに印加され、通常、組成物は、基材に塗布され、または多重層基材構造体の上に塗布されおよび/または内に組み込まれる。
【0192】
「放射線」および本明細書において使用される同類の用語は、波または粒子の形態のエネルギーを指し、特に、紫外線(UV)、可視および赤外線(IR)などの電磁波を指し、近赤外(NIR)、粒子放射線、例えばアルファ(α)線、ベータ(β)線、中性子線およびプラズマを含む。電磁スペクトルの異なる領域の波長範囲は、当業者に公知である。
【0193】
組成物に印加される放射線は、その中に混合された色形成化合物に依存することは当業者に認識される。放射線は、10~400nmの波長を有する紫外(UV)線、400~700nmの波長を有する可視光線、700~1600nmの波長を有する近赤外(NIR)線を含む700nm~1mmの波長を有する赤外(IR)線から選択されてもよい。
【0194】
好ましくは、放射線は、9000~12000nmの波長を有する赤外(IR)線(COレーザーを使用して印加される)、700nm~1mmの波長を有する赤外線、および700~1600nmの波長を有する近赤外(NIR)線から選択される。より好ましくは、放射線は、9000~12000nm(COレーザーを使用して印加される)、例えば、9300、9600、10200または10600nm(COレーザーを使用して印加される)、またはさらに10600nm(COレーザーを使用して印加される)の波長を有する赤外(IR)線から選択される。
【0195】
放射線は任意の適切な手段によって組成物に印加されてもよい。適切な手段は、レーザー光源(複数可)による組成物への放射線の印加によるレーザー励起を含む。好ましくは、放射線がレーザー光源(複数可)から組成物に印加されることは当業者に認識される。放射線は組成物に局所的位置に印加されて色の形成を、したがって、組成物中のこれらの局所的位置に像の形成を選択的に容易にすることができる。これらの局所的位置は、互いに重複してもよい。放射線が、像の形成を容易にするのに必要な適正量の時間、組成物に印加されることもまた当業者に理解される。通常、十分な放射線を送達するのに必要な時間は、放射線を印加するために使用される手段および印加の方法に依存する。例えば、一実施形態において、放射線は、120秒未満、または60秒未満、例えば20秒未満、またはさらに10または5秒未満、組成物に印加されてもよい。
【0196】
レーザー光源(複数可)を使用して印加される場合、印加される放射線線量は、放射線が印加される時間、放射線を印加するのに使用される手段の出力(ワット数)、したがって、レーザー光源(複数可)によって送達されるフルエンス(単位面積当たり送達されるエネルギー量)、例えばJ/cmの変更によって制御することができることは理解される。これが、形成される像の密度に影響を与え得ることは当業者に理解される。例えば、レーザー光源(複数可)が放射線を印加するために使用される場合、フルエンス(単位面積当たり送達されるエネルギー量)は形成される像の密度に影響を与えることができる。本発明の文脈において、フルエンスは、放射線を印加するのに使用される手段の出力(ワット数)、および基材の特定の局所的位置に放射線が印加される時間に依存し、それは、レーザーの走査速度またはステージを動かす速度によって制御されてもよい。これらの2つの可変項はフルエンスを変化させるために変えることができる。フルエンスが低い(例えば、より低い出力および/またはより短い照射時間)場合には、形成される像はより低い光学密度を有し、フルエンスが大きい(例えば、より大きい出力および/またはより長い照射時間)場合には、形成された像はより高い光学密度を有し、組成物の背景に対してより高いコントラストのものになる。本発明の文脈において、フルエンス値は0.01~50J/cm、例えば、0.1~25J/cm、さらに0.5~10J/cmの範囲であってもよい。
【0197】
好ましくは、放射線は所望の像を形成するために組成物の局所的位置で組成物に印加される。基本的に、放射線の印加で、放射線が印加される基材の組成物の領域に、色が形成される。色形成化合物は反応を起こして色を形成する。ヒトおよび/または機械読み込み可能な像はこのようにして生じる。像の形成を可能にするのは、組成物の「像形成化合物」として機能する色形成化合物である。
【0198】
本発明の第12の態様によると、色および/または像の形成における本発明の第1、第2または第3の態様による組成物の使用が提供される。
【0199】
本発明の第13の態様によると、前記組成物を有する基材であり、その上に組成物が塗布されている基材上での、色および/または像の形成における、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物の使用が提供される。
【0200】
本発明の第14の態様によると、前記組成物を有する多重層基材構造体であり、その上に組成物が塗布されているおよび/またはその中に組成物が組み込まれている多重層基材構造体の上および/または内での、色および/または像の形成における、本発明の第1、第2または第3の態様による組成物の使用が提供される。
【0201】
本発明の第12から第14の態様について、組成物、基材または多重層基材構造体は、本発明の他のいずれかの態様に関して好ましいまたは任意選択と記載される特徴のうちのいずれを有していてもよい。
【0202】
本明細書において含まれる特徴はすべて、任意の上記の態様と任意に組み合わせで組み合わせてもよい。
【0203】
「%」へのすべての言及は、明示される、全組成物またはホットメルト接着剤の観点の成分の重量パーセントを指す。
【0204】
本発明のよりよい理解のために、また本発明の実施形態がどのように有効に働くか示すために、ここで例としての以下の実験データに言及する。
【実施例
【0205】
[実施例1]
多価金属(八モリブデン酸アンモニウム(AOM))のオキシアニオン0.8グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)0.8グラムを、ホットプレートを使用して、アルミ箔トレー中で140℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、AOMの分解温度より低い)に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってAOMを混合した。組成物を室温に放冷し、固化させた。AOMによる色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320(10.6μm)COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加した。その結果、図1に示すように、AOMは色を形成し、黒い像が形成された。
【0206】
[実施例2]
多価金属(八モリブデン酸アンモニウム(AOM))のオキシアニオン0.8グラム、赤外線または近赤外線吸収剤(ヒドロキシルリン酸銅(II)(CHP))0.4グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)1.2グラムを、ホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で140℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、AOMの分解温度より低い)に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、AOMをそれによって混合した。組成物を室温に放冷し、固化させた。図2Aに示すように、AOMによる色形成は表示されなかった。DataLase FL20(1070nm)NIRレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にNIR線を印加し、その結果、図2Bに示すように、AOMは色を形成し、黒い像が形成された。レーザーによって得られるフルエンスを変動させることにより光学密度は変化した。
【0207】
[実施例3]
熱的酸発生剤(THPE)0.5グラム、ロイコ染料(ETAC)0.25グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)0.75グラムを、ホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で140℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低い)に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、ロイコ染料および熱的酸発生剤をそれによって混合した。組成物を室温に放冷し、固化させた。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図3に示すように、ロイコ染料は色を形成し、黒い像が形成された。レーザーによって得られるフルエンスを変動させることにより光学密度は変化した。
【0208】
[実施例4]
配合物1
熱的酸発生剤(N、N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾエート(2-)-kO]ボレート(1-))0.5グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)1.0グラムを、ホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で140℃に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによって熱的酸発生剤を混合した。図4Aに示すように、色形成は表示されなかった。
【0209】
配合物2
ロイコ染料(ETAC)0.5グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)1.0グラムを、ホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で140℃に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料を混合した。図4Bに示すように、色形成は表示されなかった。
【0210】
0.1グラムの配合物1および0.1グラムの配合物2を、125℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低い)にホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料および熱的酸発生剤は混合した。組成物を室温に放冷し、固化させた。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図4Cに示すように、ロイコ染料は色を形成し、黒い像が形成された。レーザーによって得られるフルエンスを変動させることにより光学密度は変化した。
【0211】
[実施例5]
配合物3
ロイコ染料(ODB-2:Wincon-2)0.5グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)1.0グラムを、ホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で140℃に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料を混合した。図5Aに示すように、色形成は表示されなかった。
【0212】
0.1グラムの配合物1および0.1グラムの配合物3を、125℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低い)にホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料および熱的酸発生剤を混合した。組成物を室温に放冷し、固化させた。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図5Bに示すように、ロイコ染料は色を形成し、黒い像が形成された。レーザーによって得られるフルエンスを変動させることにより光学密度は変化した。
【0213】
[実施例6]
配合物4
熱的酸発生剤(THPE)0.5グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)1.0グラムを、ホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で140℃に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによって熱的酸発生剤を混合した。図6Aに示すように、色形成は表示されなかった。
【0214】
0.1グラムの配合物4および0.1グラムの配合物2を、140℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低い)にホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料および熱的酸発生剤を混合した。組成物を室温に放冷し、固化させた。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図6Bに示すように、ロイコ染料は色を形成し、黒い像が形成された。レーザーによって得られるフルエンスを変動させることにより光学密度は変化した。
【0215】
[実施例7]
0.1グラムの配合物4および0.1グラムの配合物3を、140℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低い)にホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料および熱的酸発生剤を混合した。組成物を室温に放冷し、固化させた。ロイコ染料によって色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図7に示すように、ロイコ染料は色を形成し、黒い像が形成された。レーザーによって得られるフルエンスを変動させることにより光学密度は変化した。
【0216】
[実施例8]
多価金属(八モリブデン酸アンモニウム(AOM))のオキシアニオン4.0グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)4.0グラムを、ホットプレートを使用して皿中で140℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、AOMの分解温度より低い)に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってAOMを混合した。図8Aに示すように、AOMによる色形成は表示されなかった。
【0217】
間隙寸法25μmの「バードフィルム(bird bar)」アプリケーターを使用して、ホットメルト接着剤、したがって組成物が融解している間に褐色箱紙ライナーに組成物を塗布した。組成物を基材上で室温に放冷し、固化させた。図8Bに示すように、AOMによる色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図8Cに示すようにAOMは色を形成し、黒い像が形成された。レーザーによって得られるフルエンスを変動させることにより光学密度は変化した。
【0218】
[実施例9]
熱的酸発生剤(THPE)2.5グラム、ロイコ染料(ETAC)1.5グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)4.0グラムを140℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低い)にホットプレートを使用して皿中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料および熱的酸発生剤を混合した。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。
【0219】
間隙寸法25μmの「バードフィルム」アプリケーターを使用して、ホットメルト接着剤、したがって組成物が融解している間に白いカートン用板紙に組成物を塗布した。組成物を基材上で室温に放冷し、固化させた。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図9に示すように、ロイコ染料は色を形成し、黒い像が形成された。レーザーによって得られるフルエンスを変動させることにより光学密度は変化した。
【0220】
[実施例10]
熱的酸発生剤(N、N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-)2.5グラム、ロイコ染料(ETAC)1.5グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)5グラムを125℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低い)にホットプレートを使用して皿中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料および熱的酸発生剤を混合した。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。
【0221】
間隙寸法25μmの「バードフィルム」アプリケーターを使用して、ホットメルト接着剤、したがって組成物が融解している間に褐色箱紙ライナーに組成物を塗布した。組成物を基材上で室温に放冷し、固化させた。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図10に示すように、ロイコ染料は色を形成し、黒い像が形成された。レーザーによって得られるフルエンスを変動させることにより光学密度は変化した。
【0222】
[実施例11]
熱的酸発生剤(THPE)2.5グラム、ロイコ染料(ETAC)1.5グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)4.0グラムを140℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、ロイコ染料または熱的酸発生剤の両方の融解温度より低い)にホットプレートを使用して皿中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料および熱的酸発生剤を混合した。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。
【0223】
間隙寸法25μmの「バードフィルム」アプリケーターを使用して、ホットメルト接着剤、したがって組成物が融解している間にHiFiフィルムからの96μmPET(ポリエチレンテレフタレート)の透明フィルムに組成物を塗布した。組成物を基材上で室温に放冷し、固化させた。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図11に示すようにロイコ染料は色を形成し、黒い像が形成された。
【0224】
[実施例12]
熱的酸発生剤(N、N-ジブチルブタン-1-アミニウムビス[2-(ヒドロキシ-kO)ベンゾアト(2-)-kO]ボレート(1-))2.5グラム、ロイコ染料(ETAC)1.5グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)5グラムを125℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、ロイコ染料および熱的酸発生剤の両方の融解温度より低い)にホットプレートを使用して皿中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料および熱的酸発生剤を混合した。ロイコ染料による色形成が表示されなかった。
【0225】
間隙寸法25μmの「バードフィルム」アプリケーターを使用して、ホットメルト接着剤、したがって組成物が融解している間にHiFiフィルムからの96μmPET(ポリエチレンテレフタレート)の透明フィルムに組成物を塗布した。組成物を基材上で室温に放冷し、固化させた。ロイコ染料による色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図12に示すように、ロイコ染料は色を形成し、黒い像が形成された。
【0226】
[実施例13]
オーブン中で16時間100℃で乾燥し乳鉢および乳棒で粉砕した多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物(パラタングステン酸アンモニウム(NH10(H1242).4HO)0.5グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティック(製品コード:6217411000)から得られた)1.0グラムを140℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、多価金属のオキシアニオンの無水アンモニウム塩の分解温度より低い)にホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによって多価金属のオキシアニオンの無水アンモニウム塩を混合した。組成物を室温に放冷し、固化させた。図13Aに示すように、多価金属のオキシアニオンの無水アンモニウム塩による色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320(10.6μm)COレーザーを使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、多価金属のオキシアニオンの無水アンモニウム塩は色を形成し、図13Bに示すように黒い像が形成された。レーザーによって得られるフルエンスを変動させることにより光学密度は変化した。
【0227】
[実施例14]
20重量%の多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物(八モリブデン酸アンモニウム(AOM))および80重量%のホットメルト接着剤(Caswell Adhesivesから得られた)をホットメルト接着剤の融解温度より高いが、AOMの分解温度より低い温度に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってAOMを混合した。AOMによる色形成は表示されなかった。
【0228】
ホットメルト接着剤、したがって組成物が融解している間に、紙系離型ライナーに組成物を塗布した。組成物を基材上で室温に放冷し、固化させた。AOMによって色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザー(10.6μm)を使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、AOMは色を形成し、図14から図17に示すように黒い像が形成された。
【0229】
[実施例15]
多価金属のオキシアニオンまたはそのオキシ酸もしくは水和物(八モリブデン酸アンモニウム(AOM))3.5グラムおよびホットメルト接着剤(配合物5)6.5グラムを150℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高いが、しかしAOMの分解温度より低い)に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってAOMを混合した。AOMによる色形成は表示されなかった。
【0230】
配合物5
【0231】
【表1】
【0232】
紙系離型ライナー、HiFiフィルムからの96μmPET(ポリエチレンテレフタレート)の透明なフィルムおよび厚紙に別々に組成物を、ホットメルト接着剤、したがって組成物が融解している間に塗布した。組成物を基材上で室温に放冷し、固化させた。AOMによる色形成は表示されなかった。Videojet VJ-3320 COレーザー190mmのレンズ(10.6μm)を使用して、組成物の一部(複数可)にIR線を印加し、その結果、図18から図20に示すようにAOMは色を形成し、黒い像が形成された。
【0233】
比較例
[比較例1]
配合物6
熱的酸発生剤4-ヒドロキシフェニル-4’-イソプロポキシフェニルスルホン(カメレオン顕色剤-1)0.5グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティックから得られた)1.0グラムを,ホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で140℃に加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによって熱的酸発生剤を混合した。図21Aに示すように、色形成は表示されなかった。
【0234】
0.1グラムの配合物5および0.1グラムの配合物2を、140℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高く、かつロイコ染料および熱的酸発生剤の一方または両方の融解温度より高い)にホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料および熱的酸発生剤を混合した。図21Bに示すようにロイコ染料は黒い色を形成した。したがって、像を形成するための放射線の後続の印加は可能ではなかった。
【0235】
[比較例2]
0.1グラムの配合物5および0.1グラムの配合物3を、125℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高く、かつロイコ染料および熱的酸発生剤の一方または両方の融解温度より高い)にホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、ロイコ染料および熱的酸発生剤はそれによって混合された。図22に示すようにロイコ染料は黒い色を形成した。したがって、像を形成するための放射線の後続の印加は可能ではなかった。
【0236】
[比較例3]
熱的酸発生剤4-ヒドロキシフェニル-4’-イソプロポキシフェニルスルホン(カメレオン顕色剤-1)0.75グラム、ロイコ染料3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-フェニルアミノフルオラン(ODB-2:Wincon-2)0.75グラムおよびホットメルト接着剤(HobbyCraftからの7mmのホットメルト接着剤グルースティックから得られた)1.5グラムを、125℃(ホットメルト接着剤の融解温度より高く、かつロイコ染料および熱的酸発生剤の一方または両方の融解温度より高い)にホットプレートを使用してアルミ箔トレー中で加熱した。ホットメルト接着剤は融解し、それによってロイコ染料および熱的酸発生剤を混合した。図23に示すように、ロイコ染料は黒い色を形成した。したがって、像を形成するための放射線の後続の印加は可能ではなかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
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図20
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図22
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【国際調査報告】