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特表2024-509927誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質への結合を介して全身性アミロイドーシスを検出する方法
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  • 特表-誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質への結合を介して全身性アミロイドーシスを検出する方法 図1
  • 特表-誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質への結合を介して全身性アミロイドーシスを検出する方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質への結合を介して全身性アミロイドーシスを検出する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 49/00 20060101AFI20240227BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61K49/00
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555270
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 US2022020013
(87)【国際公開番号】W WO2022192714
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/160,602
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521197586
【氏名又は名称】アミディス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サッラーフ, ステラ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】バンダークリシュ, ピーター ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】タフレシ, アリ
【テーマコード(参考)】
2G045
4C085
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA36
4C085HH11
4C085JJ02
4C085KA27
4C085KB56
4C085LL13
4C085LL20
(57)【要約】
患者が全身性アミロイドーシスに罹患しているか否かを決定するための方法および組成物であって、上記方法は、上記患者の組織中の誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質の存在を検出する工程であって、ここで上記検出する工程は、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質と本明細書で記載される化合物とを接触させる工程を含む方法および組成物が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、トランスサイレチンである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体が全身性アミロイドーシスを有するか否かを決定するための方法であって、前記方法は、前記被験体の眼に式1:

【化6】
の化合物または薬学的に受容可能なその塩を投与する工程、および誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質の存在または非存在を検出する工程、を包含し、
ここでEDGは、
-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないアリール、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリール、ORNRC(O)R、-NR、-SR、またはPRであり、
ここで
は、ハロゲン、-OR、-NR1011、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、R12-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないアリールまたはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでRおよびRは、必要に応じて一緒に結合して、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
およびR10は、独立して、水素、R12-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでR10および は、必要に応じて一緒に結合して、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
12は、ハロゲン、-OR13、-NR1415、R16-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
13、R14およびR15は、独立して、水素または置換されていないアルキルであり;
16は、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
ここでπCEは、以下の式:
-L-(A-L-(A-L- または -L-(A-L-A-L-(A-L
を有し、ここで
qおよびrは、独立して、0または1であり、ここでqもしくはrのうちの少なくとも一方は、1であり;
、AおよびAは、独立して、R17-置換されたかもしくは置換されていないアリーレンまたはR17-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり;
、L、LおよびLは、独立して、結合または以下の式:
【化7】
を有する連結基であり、ここでxは、1~50の整数であり、
17は、ハロゲン、-OR18、-NR1920、R21-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
18、R19およびR20は、独立して、水素、R21-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
21は、ハロゲン、-OR22、-NR2324、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
22、R23およびR24は、独立して、水素または置換されていないアルキルであり;
ここでWSGは、
25-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないアリール、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
ここで
25は、ハロゲン、-OR26、-NR2728、R29-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
26、R27およびR28は、独立して、水素、R29-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでR27およびR28は、必要に応じて一緒に結合して、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
29は、ハロゲン、-OR30、-NR3132、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
30、R31およびR32は、独立して、水素または置換されていないアルキルであり;
ただし、前記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、アミロイドβペプチドではない、
方法。
【請求項2】
前記化合物は、
【化8】
または薬学的に受容可能なその塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、トランスサイレチンである、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記全身性アミロイドーシスは、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)、ATTRアミロイドーシス、TTR心アミロイドーシス、TTRアミロイド心筋症(ATTR-CM)、家族性または遺伝性ATTRアミロイドーシス(ATTRvまたはATTRm)、老人性全身性アミロイドーシス(SSAまたはATTRwt)、ALアミロイドーシス、AA(血清アミロイドAアミロイドーシス)、感染症に起因する炎症から生じるAAアミロイドーシス、リウマチ学的疾患、後天性または遺伝性にかかわらず自己炎症性および自己免疫疾患、がんもしくは新生物、フィブリノゲンα鎖アミロイドーシス、アポリポタンパク質A-1およびA-2アミロイドーシス、ゲルゾリンアミロイドーシス、Ab2M(β2マクログロブリン)アミロイドーシス、ALECT2(白血球走化性因子2)アミロイドーシス、AApoAIV(アポリポタンパク質AIV)アミロイドーシス。AApoCII(アポリポタンパク質CII)アミロイドーシス、AApoCIII(アポリポタンパク質CIII)アミロイドーシス、ALys(リゾチーム)アミロイドーシスである、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
投与は、前記眼の表面への局所的なものである、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記投与は、前記眼の内部への直接的投与を含まない、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記投与は、注射を含まない、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記化合物と前記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質とを接触させる工程は、光による活性化の際に、検出可能なシグナルの放出を引き起こす、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記検出可能なシグナルは、蛍光シグナルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質は、野生型である、請求項3~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質は、変異されている、請求項3~9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
全身性アミロイドーシスを診断するための方法であって、前記方法は、その必要性のある被験体の眼に、式I:
【化9】
の化合物または薬学的に受容可能なその塩を投与する工程、および誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質の存在または非存在を検出する工程を包含し、
ここでEDGは、
-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないアリール、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリール、ORNRC(O)R、-NR、-SR、またはPRであり、
ここで
は、ハロゲン、-OR、-NR1011, 置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
、R、R、R、R、R、およびRは、独立して、水素、R12-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないアリールまたはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでRおよびRは、必要に応じて、一緒に結合して、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
およびR10は、独立して、水素、R12-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでR10および は、必要に応じて一緒に結合して、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
12は、ハロゲン、-OR13、-NR1415、R16-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
13、R14およびR15は、独立して、水素または置換されていないアルキルであり;
16は、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
ここでπCEは、式:
-L-(A-L-(A-L- または -L-(A-L-A-L-(A-L-,
を有し、ここで
qおよびrは、独立して0または1であり、ここでqまたはrのうちの少なくとも一方は、1であり;
、AおよびAは、独立して、R17-置換されたかもしくは置換されていないアリーレンまたはR17-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり;
、L、LおよびLは、独立して、結合または以下の式:
【化10】

を有する連結基であり、
ここでxは、1~50の整数であり;
17は、ハロゲン、-OR18、-NR1920、R21-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
18、R19およびR20は、独立して、水素、R21-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
21は、ハロゲン、-OR22、-NR2324、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
22、R23およびR24は、独立して、水素または置換されていないアルキルであり;
ここで WSGは、
25-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないアリール、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
ここで
25は、ハロゲン、-OR26、-NR2728、R29-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
26、R27およびR28は、独立して、水素、R29-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでR27およびR28は、必要に応じて一緒に結合して、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
29は、ハロゲン、-OR30、-NR3132、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
30、R31およびR32は、独立して、水素または置換されていないアルキルである、
方法。
【請求項13】
前記化合物は、
【化11】
または薬学的に受容可能なその塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記全身性アミロイドーシスは、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)、ATTRアミロイドーシス、TTR心アミロイドーシス、TTRアミロイド心筋症(ATTR-CM)、家族性または遺伝性ATTRアミロイドーシス(ATTRvまたはATTRm)、老人性全身性アミロイドーシス(SSAまたはATTRwt)、ALアミロイドーシス、AA(血清アミロイドAアミロイドーシス)、感染症に起因する炎症から生じるAAアミロイドーシス、リウマチ学的疾患、後天性または遺伝性にかかわらず自己炎症性および自己免疫疾患、がんもしくは新生物、フィブリノゲンα鎖アミロイドーシス、アポリポタンパク質A-1およびA-2アミロイドーシス、ゲルゾリンアミロイドーシス、Ab2M(β2マクログロブリン)アミロイドーシス、ALECT2(白血球走化性因子2)アミロイドーシス、AApoAIV(アポリポタンパク質AIV)アミロイドーシス、AApoCII(アポリポタンパク質CII)アミロイドーシス、AApoCIII(アポリポタンパク質CIII)アミロイドーシス、ALys(リゾチーム)アミロイドーシスである、請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
投与は、局所的なものである、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記化合物は、前記眼の結膜に達する、請求項12~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記投与は、前記眼の内部への投与を含まない、請求項12~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記投与は、注射を含まない、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
全身性アミロイドーシスの診断のために患者を準備するための方法であって、前記方法は、式I:
【化12】
の化合物を前記患者の眼に局所投与する工程を包含し、
ここでEDGは、
-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないアリール、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリール、ORNRC(O)R、-NR、-SR、またはPRであり、
ここで
は、ハロゲン、-OR、-NR1011、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、R12-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないアリールまたはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでRおよびRは、必要に応じて一緒に結合して、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
およびR10は、独立して、水素、R12-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでR10および は、必要に応じて一緒に結合して、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
12は、ハロゲン、-OR13、-NR1415、R16-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
13、R14およびR15は、独立して、水素または置換されていないアルキルであり;
16は、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
ここでπCEは、以下の式:
-L-(A-L-(A-L- または -L-(A-L-A-L-(A-L
を有し、ここで
qおよびrは、独立して、0または1であり、ここでqまたはrのうちの少なくとも一方は、1であり;
、AおよびAは、独立して、R17-置換されたかもしくは置換されていないアリーレンまたはR17-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり;
、L、LおよびLは、独立して、結合または以下の式:
【化13】
を有する連結基であり、ここでxは、1~50の整数であり;
17は、ハロゲン、-OR18、-NR1920、R21-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
18、R19およびR20は、独立して、水素、R21-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
21は、ハロゲン、-OR22、-NR2324、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
22、R23およびR24は、独立して、水素または置換されていないアルキルであり;
ここでWSGは、
25-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないアリール、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
ここで
25は、ハロゲン、-OR26、-NR2728、R29-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
26、R27およびR28は、独立して、水素、R29-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでR27およびR28は、必要に応じて一緒に結合して、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
29は、ハロゲン、-OR30、-NR3132、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
30、R31およびR32は、独立して、水素または置換されていないアルキルである、
方法。
【請求項20】
誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質への前記化合物の結合を検出する工程をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、トランスサイレチンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物は、前記眼の結膜へと送達される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2021年3月12日出願の米国仮特許出願第63/160,602号(これは、その全体において本明細書に参考として援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
全身性アミロイドーシスは、アミロイドと称される異常なタンパク質が器官の中で蓄積し、それらの正常な機能に干渉する場合に起こる疾患である。アミロイドは、多くの異なるタイプのタンパク質のうちのいずれかから形成され得る。影響を及ぼされ得る器官としては、心臓、腎臓、肝臓、脾臓、神経系および消化管が挙げられる。アミロイドーシスのうちのいくつかの種類は、生命を脅かす器官不全をもたらし得る。患者は、アミロイドーシスの徴候および症状を、その状態が進行するまで経験しない可能性もある。
【0003】
トランスサイレチンは、血中で甲状腺ホルモンおよびビタミンAを運ぶのを助ける、肝臓によって作られるタンパク質である。トランスサイレチン(TTR)の誤った折りたたみおよび凝集は、多くの状態と関連する。家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)は、トランスサイレチンアミロイドポリニューロパチーとも称され、末梢神経および他の組織の周りにタンパク質またはアミロイドが異常に沈着することによって引き起こされる遺伝性で進行性の希少疾患である。FAPは、TTRテトラマーを不安定化するTTR遺伝子における変異によって引き起こされる。FAPは、ポルトガルの数家族において観察された1952年に、最初に特定された。ポルトガル北部のいくつかの地域では、FAPは、500人に約1人が罹患し、全世界で起こっている。場合によっては、肝移植が示される。現在、FAPの治癒はない。
【0004】
別の重要な障害は、アミロイドトランスサイレチン(ATTR)アミロイドーシスと称される進行性の全身性障害である。ATTRアミロイドーシスでは、タンパク質が心臓および/または神経ならびに他の器官および組織に沈着する。ATTRアミロイドーシスは、身体の器官および組織におけるアミロイドと称されるタンパク質の異常な沈着の蓄積(アミロイドーシス)によって特徴づけられるゆっくりと進行する状態である。
【0005】
全身性アミロイドーシスを検出するための安全でかつ便利な方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
いくつかの実施形態において、患者が全身性アミロイドーシス、例えば、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)またはトランスサイレチン(ATTR)アミロイドーシスに罹患しているか否かを決定するための方法であって、上記方法は、上記被験体の眼に本明細書で記載される化合物または薬学的に受容可能なその塩を投与する工程、および誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質の存在または非存在を検出する工程を包含する方法が提供される。上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質(TTR)であり得る。上記化合物は、式Iの化合物であり得るか、または本明細書で記載される任意の化合物であり得る。ある特定の実施形態において、アミロイドが検出され、ここで上記アミロイドは、アミロイドβペプチドを含まない。
【0007】
いくつかの実施形態において、全身性アミロイドーシスを診断するための方法であって、上記方法は、その必要性のある被験体の眼に本明細書で記載される化合物または薬学的に受容可能なその塩を投与する工程、および誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質の存在または非存在を牽出する工程を包含する方法が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態において、以下の構造を有する化合物:
【化1】
または薬学的に受容可能なその塩が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、全身性アミロイドーシスを診断することにおける使用のための化合物1が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、患者が全身性アミロイドーシスに罹患しているか否かを決定することにおける使用のための化合物1が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、全身性アミロイドーシスの診断のために患者を準備することにおける使用のための化合物1が、本明細書で提供され、ここで上記化合物1は、上記患者の眼に局所投与される。
【0009】
本開示は、上記被験体の眼の表面にアミロイド結合化合物を適用し、それによって生成される蛍光を直接検出することによって、全身性アミロイドーシスを検出するための単純かつ非侵襲的な方法を提供する。ATTRおよび他の全身性アミロイドーシスにおいて、アミロイド形成は、自己会合して、小さなオリゴマー、不定形凝集物、および/または原線維を形成する凝集傾向にあるモノマーを形成するために、TTRテトラマーの解離によって開始される。他方で、アミロイドβは、アミロイド前駆タンパク質から切断される36~43アミノ酸のペプチドを含む。変異体および野生型両方のTTRが、凝集物および原線維を形成し、形成は、不十分にしか理解されていない複雑な機序を介して起こる。よって、本開示は、驚くべきことに、全身性アミロイドーシスが、ある特定の化合物をその蛍光検出のために患者の眼の表面に適用することによって、TTRアミロイドの表面検出によって診断されることを可能にする。
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、凝集したTTRの存在ありおよびなしでの化合物1の蛍光スペクトルを図示する。
【0011】
図2図2は、一定濃度での凝集したTTRの存在下で蛍光強度と化合物1の濃度との間の関係性を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
定義
以下の説明は、本技術の例示的実施形態を示す。しかし、このような説明が、本開示の範囲に対する限定として意図されないが、代わりに例示的実施形態の説明として提供されることは、認識されるべきである。
【0013】
本明細書で使用される場合、以下の文言、語句および記号は、それらが使用される文脈が別のことを示す範囲を除いて、以下に示される意味を有することが概して意図される。
【0014】
用語「アルキル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、別段述べられなければ、完全飽和、一価不飽和または多価不飽和であり得、二価および多価ラジカルを含み得、指定された炭素原子数を有する(すなわち、C-C10は、1~10個の炭素を意味する)直鎖(すなわち、非分枝鎖)または分枝鎖、またはこれらの組み合わせを意味する。飽和炭化水素ラジカルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、(シクロヘキシル)メチルのような基、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどのホモログおよび異性体が挙げられるが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、1またはこれより多くの二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニルおよび3-プロピニル、3-ブチニル、ならびにより高次のホモログおよび異性体が挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシは、分子の残りに酸素リンカー(-O-)を介して結合されるアルキルである。
【0015】
用語「アルキレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、-CHCHCHCH-によって例示されるとおりであるが、これに限定されない、アルキルに由来する二価ラジカルを意味し、「ヘテロアルキレン」として以下に記載される基をさらに含む。代表的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を有し、10個またはこれより少ない炭素原子を有する基が好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、概して8個またはこれより少ない炭素原子を有する、より短い鎖のアルキルまたはアルキレン基である。
【0016】
用語「ヘテロアルキル」は、単独でまたは別の用語との組み合わせにおいて、別段述べられなければ、少なくとも1個の炭素原子、ならびにO、N、P、SiおよびSからなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子からなる、安定な直鎖もしくは分枝鎖、もしくは環式の炭化水素ラジカル、またはこれらの組み合わせを意味する。窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化され得、窒素ヘテロ原子は、必要に応じて四級化され得る。上記ヘテロ原子、O、N、PおよびSならびにSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部の位置に、または上記アルキル基が分子の残りに結合される位置に配置され得る。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない: -CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、CH=CH-N(CH)-CH、O-CH、-O-CH--CH、および-CN。2個までのヘテロ原子が、連続していてもよい(例えば、-CH-NH-OCHのような)。同様に、用語「ヘテロアルキレン」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、-CH-CH-S-CH-CH-および-CH-S-CH-CH-NH-CH-によって例示されるが、これらに限定されない、ヘテロアルキルに由来する二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基に関しては、ヘテロ原子はまた、鎖の末端のいずれかまたは両方を占有し得る(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。さらになお、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基に関しては、上記連結基の配向は、連結基の式が書かれている方向によって示唆されない。例えば、式 -C(O)R’-は、-C(O)R’-および-R’C(O)-の両方を表す。上記のように、ヘテロアルキル基は、本明細書で使用される場合、ヘテロ原子を介して分子の残りに結合される基(例えば、-C(O)R’、-C(O)NR’、-NR’R”、-OR’、-SR’、および/または-SOR’)を含む。「ヘテロアルキル」が記載され、続いて、特定のヘテロアルキル基(例えば、-NR’R”など)の記載がある場合、用語ヘテロアルキルおよび-NR’R”は、冗長でも相互に排他的でもないことは理解される。むしろ、その特定のヘテロアルキル基は、明確性を付加するために記載される。従って、用語「ヘテロアルキル」は、特定のヘテロアルキル基(例えば、-NR’R”など)を排除するとは本明細書中で解釈されるべきではない。R’およびR”は、各々「置換基」に関して以下で定義されるとおりである。
【0017】
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、単独でまたは他の用語との組み合わせにおいて、別段述べられなければ、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環式バージョンを表す。さらに、ヘテロシクロアルキルに関しては、ヘテロ原子は、複素環が分子の残りに結合される位置を占有し得る。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「シクロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれ、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルに由来する二価ラジカルを意味する。
【0018】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、別段述べられなければ、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」のような用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことが意味される。例えば、用語「ハロ(C-C)アルキル」は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されないことが意味される。
【0019】
用語「アシル」は、C(O)Rであって、ここでRは、置換されたかもしくは置換されていないアルキル、置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないアリールまたは置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであるものを意味する。
【0020】
用語「アリール」とは、別段述べられなければ、一緒に縮合される(すなわち、縮合環アリール)または共有結合的に連結される1個の環または複数の環(好ましくは1~3個の環)であり得る、多価不飽和、芳香族、炭化水素置換基を意味する。縮合環アリールとは、多数の環が一緒に縮合されかつ上記縮合環のうちの少なくとも1個がアリール環であるものをいう。用語「ヘテロアリール」とは、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含むアリール基(または環)をいう。窒素および硫黄原子は、必要に応じて酸化され、窒素原子は、必要に応じて四級化される。従って、用語「ヘテロアリール」は、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、多数の環が一緒に縮合されており、ここでその縮合環のうちの少なくとも1つがヘテロ芳香族環であるもの)を含む。5,6-縮合環ヘテロアリーレンは、1つの環が5員を有し、他の環が6員を有し、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である、2個の環が一緒に縮合されたものをいう。同様に、6,6-縮合環ヘテロアリーレンとは、1つの環が6員を有し、他の環が6員を有し、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である2個の環が一緒に縮合されたものをいう。そして6,5-縮合環ヘテロアリーレンとは、1つの環が6員を有し、他の環が5員を有し、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である2個の環が一緒に縮合されたものをいう。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りに結合され得る。アリールおよびヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルが挙げられる。上で注記されたアリールおよびヘテロアリール環系の各々に関する置換基は、下記の受容可能な置換基の群から選択される。「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれ、アリールおよびヘテロアリールに由来する二価のラジカルを意味する。
【0021】
簡潔さのために、用語「アリール」は、他の用語と組み合わせて使用される場合(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、上で定義されるように、アリールおよびヘテロアリール環の両方を含む。従って、用語「アリールアルキル」は、炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば、酸素原子によって置換されているアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど)を含め、アリール基がアルキル基に結合されているラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことが意味される。
【0022】
用語「オキソ」とは、本明細書で使用される場合、炭素原子に二重結合されている酸素を意味する。
【0023】
用語「アルキルスルホニル」とは、本明細書で使用される場合、式-S(O)-R’を有する部分であって、ここでR’は上記で定義されるとおりのアルキル基である部分を意味する。R’は、特定の炭素数を有し得る(例えば、「C-Cアルキルスルホニル」)。
【0024】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)の各々は、示されたラジカルの置換されたおよび置換されていない両方の形態を含むことが意味される。ラジカルの各タイプに関する好ましい置換基は、以下に提供される。
【0025】
上記アルキルおよびヘテロアルキルラジカルの置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしばしばいわれる基を含む)は、0~(2m’+1)の範囲に及ぶ数(ここでm’は、このようなラジカル中の炭素原子の総数である)において、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R”、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R”R’”、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R’”、-NR”C(O)R’、-NR-C(NR’R”R’”)=NR””、-NR-C(NR’R”)=NR’”、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R”、-NRSOR’、-CNおよび-NOから選択されるが、これらに限定されない種々の基のうちの1またはこれより多くのものであり得る。R’、R”、R’”およびR””は、各々好ましくは、独立して、水素、置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないアリール(例えば、1~3個のハロゲンで置換されたアリール)、置換されたかもしくは置換されていないアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基に言及する。本明細書で開示される化合物が、1個より多くのR基を含む場合、例えば、上記R基の各々は、これらの基の1より多くのものが存在する場合、独立して、各R’、R”、R’およびR’”基であるように選択される。R’およびR”は、同じ窒素原子に結合される場合、それらは、窒素原子と組み合わさって、4員、5員、6員、または7員の環を形成し得る。例えば、-NR’R”は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルが挙げられるが、これらに限定されないことが意味される。置換基の上記の考察から、当業者は、用語「アルキル」が、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基(例えば、ハロアルキル(例えば、-CFおよび-CHCF)およびアシル(例えば、-C(O)CH、-C(O)CF、-C(O)CHOCHなど))を含むことが意味される。
【0026】
アルキルラジカルに関して記載される置換基と同様に、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は、変動し、0から芳香族環系上の開放結合価(open valence)の総数までの範囲に及ぶ数において、例えば:ハロゲン、-OR’、-NR’R”、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R”R’”、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R’”、-NR”C(O)R’、-NR-C(NR’R”R’”)=NR””、-NR-C(NR’R”)=NR’”、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R”、-NRSOR’、-CNおよび-NO、-R’、-N、-CH(Ph)、フルオロ(C-C)アルコキシ、ならびにフルオロ(C-C)アルキルから選択される;ここでR’、R”、R’”およびR””は、好ましくは、独立して、水素、置換されたかもしくは置換されていないアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないアリールおよび置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールから選択される。本明細書で開示される化合物が1個より多くのR基を含む場合、例えば、上記R基の各々は、これらの基の1より多くのものが存在する場合、独立して、各R’、R”、R’およびR’”基であるように選択される。
【0027】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、必要に応じて式 -T-C(O)-(CRR’)-U-の環を形成し得る。ここでTおよびUは、独立して、-NR-、-O-、-CRR’-または単結合であり、qは、0~3の整数である。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、必要に応じて、式 -A-(CH-B-の置換基で置き換えられ得る。ここでAおよびBは、独立して、-CRR’-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-S(O)NR’-または単結合であり、rは、1~4の整数である。そのように形成される新たな環の単結合のうちの1個は、必要に応じて、二重結合で置き換えられ得る。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、必要に応じて、式 -(CRR’)-X’-(C”R’”)-の置換基で置き換えられ得る。ここでsおよびdは、独立して、0~3の整数であり、X’は、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、またはS(O)NR’-である。置換基R、R’、R”およびR’”は、好ましくは独立して、水素、置換されたかもしくは置換されていないアルキル、置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないアリール、および置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールから選択される。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロ原子」または「環ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、およびケイ素(Si)を含むことが意味される。
【0029】
「置換基(substituent group)」とは、本明細書で使用される場合、以下の部分から選択される基を意味する:
・(A)-OH、-NH、-SH、-CN、-CF、-NO、オキソ、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、ならびに
・(B)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールであって、以下から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたもの:
○(i)オキソ、-OH、-NH、-SH、-CN、-CF、-NO、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、ならびに
○(ii)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールであって、以下から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたもの:
*(a)オキソ、-OH、-NH、-SH、-CN、-CF、-NO、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、ならびに
*(b) オキソ、-OH、-NH、-SH、-CN、-CF、-NO、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、および置換されていないヘテロアリールから選択される少なくとも1個の置換基で置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール。
【0030】
「サイズが制限された置換基(size-limited substituent)」または「サイズが制限された置換基(size-limited substituent group)」は、本明細書で使用される場合、「置換基」に関して上記の置換基のうちの全てから選択される基を意味し、ここで各置換されたかもしくは置換されていないアルキルは、置換されたかもしくは置換されていないC-C20アルキルであり、各置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキルは、置換されたかもしくは置換されていない2~20員のヘテロアルキルであり、各置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキルは、置換されたかもしくは置換されていないC-Cシクロアルキルであり、各置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、置換されたかもしくは置換されていない4~8員のヘテロシクロアルキルである。
【0031】
「低級置換基(lower substituent)」または「低級置換基(lower substituent group)」とは、本明細書で使用される場合、「置換基」に関して上記の置換基の全てから選択される基を意味し、ここで各置換されたかもしくは置換されていないアルキルは、置換されたかもしくは置換されていないC-Cアルキルであり、各置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキルは、置換されたかもしくは置換されていない2~8員のヘテロアルキルであり、各置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキルは、置換されたかもしくは置換されていないC-Cシクロアルキルであり、各置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、置換されたかもしくは置換されていない5~7員のヘテロシクロアルキルである。
【0032】
用語「「薬学的に受容可能な塩」は、本明細書で記載される化合物上で見出される特定の置換基に依存して、比較的非毒性の酸または塩基で調製される活性化合物の塩を含むことが意味される。本明細書で開示される化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、このような化合物の中性形態と十分量の所望の塩基とを、そのまままたは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって得られ得る。薬学的に受容可能な塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、もしくはマグネシウムの塩、または類似の塩が挙げられる。本明細書で開示される化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、このような化合物の中性形態と十分量の所望の酸とを、そのまままたは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって得られ得る。薬学的に受容可能な酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、重炭酸(monohydrogencarbonic acid)、リン酸、リン酸一水素酸(monohydrogenphosphoric acid)、リン酸二水素酸(dihydrogenphosphoric acid)、硫酸、硫酸一水素酸(monohydrogensulfuric acid)、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などのような無機酸に由来するもの、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、メタンスルホン酸などのような比較的非毒性の有機酸から得られる塩が挙げられる。アルギニン酸(arginate)のようなアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などのような有機酸の塩も含まれる(例えば、Bergeら, 「Pharmaceutical Salts」, Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照のこと)。本明細書で開示されるある特定の化合物は、上記化合物が塩基付加塩または酸付加塩のいずれかへと変換されることを可能にする塩基性官能基および酸性官能基の両方を含む。
【0033】
従って、本明細書で開示される化合物は、例えば、薬学的に受容可能な酸との塩として存在し得る。このような塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)-酒石酸塩、(-)-酒石酸塩またはラセミ混合物を含むこれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、およびグルタミン酸のようなアミノ酸との塩が挙げられる。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製され得る。
【0034】
上記化合物の中性形態は、好ましくは、上記塩を塩基または酸と接触させ、その親化合物を従来の様式で単離することによって再生される。上記化合物の親形態は、ある特定の物理的特性(例えば、極性溶媒中での溶解度)においてその種々の塩形態とは異なる。
【0035】
上記化合物のうちのいくつかは、互変異性体として存在する。互変異性体は、互いと平衡状態にある。例えば、アミド含有化合物は、イミド酸互変異性体と平衡状態で存在し得る。どの互変異性体が示されるかにかかわらず、および互変異性体の間での平衡の性質にかかわらず、上記化合物は、アミドおよびイミド酸両方の互変異性体を含むことが当業者によって理解される。従って、上記アミド含有化合物は、それらのイミド酸互変異性体を含むことが理解される。同様に、上記イミド酸含有化合物は、それらのアミド互変異性体を含むことが理解される。
【0036】
本明細書で示される任意の式または構造はまた、上記化合物の非標識形態および同位体標識された形態を表すことが意図される。同位体標識された化合物は、1またはこれより多くの原子が、選択された原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられていることを除いて、本明細書で示される式によって示される構造を有する。本開示の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体(例えば、H(重水素、D)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Clおよび125Iが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。種々の同位体標識された本開示の化合物、例えば、Hおよび14Cのような放射性同位体が組み込まれたもの。このような同位体標識された化合物は、代謝試験、反応動態試験、検出または画像化技術(例えば、薬物もしくは基質組織分布アッセイを含む、陽電子放出断層撮影(PET)または単一光子放射断層撮影(SPECT))において、または患者の放射性物質処置において有用であり得る。
【0037】
本開示はまた、炭素原子に結合した1~n個の水素が重水素で置き換えられ、nは、その分子における水素の数である、式Iの化合物の「重水素化アナログ(deuterated analog)」を含む。このような化合物は、代謝に対して増大した抵抗性を示し、従って、哺乳動物、特にヒトに投与される場合に、式Iの任意の化合物の半減期を増大させるために有用である。例えば、Foster, 「Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism」, Trends Pharmacol. Sci. 5(12):524-527(1984)を参照のこと。このような化合物は、当該分野で周知の手段によって、例えば、1個またはこれより多くの水素が重水素によって置き換えられた出発物質を使用することによって、合成される。
【0038】
重水素で標識または置換された本開示の治療用化合物は、分布、代謝および排出(ADME)に関連するDMPK(薬物代謝および薬物動態)特性を改善している可能性がある。より重い同位体(例えば、重水素)での置換は、より大きな代謝安定性、例えば、増大されたインビボ半減期、低減された投与量要件および/または治療指数の改善から生じるある特定の治療利益を与え得る。18F標識化合物は、PETまたはSPECT試験に有用であり得る。同位体標識された本開示の化合物およびそのプロドラッグは一般に、容易に入手可能な同位体標識された試薬を同位体標識されていない試薬の代わりに使用することによって、スキームの中で、または以下に記載される例および調製の中で開示される手順を実施することによって調製され得る。この文脈における重水素は、本明細書で記載される化合物における置換基としてみなされることが理解される。
【0039】
このようなより重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数(isotopic enrichment factor)によって定義され得る。本開示の化合物において、特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定な同位体を表すことが意味される。別段述べられなければ、位置が、「H」または「水素」として具体的に指定される場合、その位置は、その天然の存在量同位体組成において水素を有すると理解される。よって、本開示の化合物において、重水素(D)として具体的に指定される任意の原子は、重水素を表すことが意味される。
【0040】
多くの場合、本開示の化合物は、アミノ基および/もしくはカルボキシル基またはこれらの類似の基の存在のせいで、酸および/または塩基の塩を形成し得る。
【0041】
本明細書で記載される化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、互変異性形態、多形体、およびプロドラッグがまた、提供される。「薬学的に受容可能な」または「生理学的に受容可能な」とは、化合物、塩、組成物、投与形態および獣医学的またはヒトでの薬学的使用に適した薬学的組成物を調製するにあたって有用である他の物質に言及する。
【0042】
用語、所定の化合物の「薬学的に受容可能な塩」とは、その所定の化合物の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にまたは別の点で望ましくないものではない塩に言及する。「薬学的に受容可能な塩」または「生理学的に受容可能な塩」は、例えば、無機酸との塩および有機酸との塩を含む。さらに、本明細書で記載される化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸塩の溶液を塩基性化することによって得られ得る。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に、薬学的に受容可能な付加塩は、酸付加塩を塩基化合物から調製するための従来の手順に従って、上記遊離塩基を適切な有機溶媒中に溶解し、その溶液を酸で処理することによって生成され得る。当業者は、非毒性の薬学的に受容可能な付加塩を調製するために使用され得る種々の合成方法論を認識する。薬学的に受容可能な酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製され得る。無機酸から得られる塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。有機酸から得られる塩は、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。同様に、薬学的に受容可能な塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製され得る。無機塩基から得られる塩は、例示に過ぎないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩を含む。有機塩基から得られる塩としては、一級、二級および三級アミン(例えば、アルキルアミン(すなわち、NH(アルキル))、ジアルキルアミン(すなわち、HN(アルキル))、トリアルキルアミン(すなわち、N(アルキル))、置換されたアルキルアミン(すなわち、NH(置換されたアルキル))、ジ(置換されたアルキル)アミン(すなわち、HN(置換されたアルキル))、トリ(置換されたアルキル)アミン(すなわち、N(置換されたアルキル))、アルケニルアミン(すなわち、NH(アルケニル))、ジアルケニルアミン(すなわち、HN(アルケニル))、トリアルケニルアミン(すなわち、N(アルケニル))、置換されたアルケニルアミン(すなわち、NH(置換されたアルケニル))、ジ(置換されたアルケニル)アミン(すなわち、HN(置換されたアルケニル))、トリ(置換されたアルケニル)アミン(すなわち、N(置換されたアルケニル)、モノ-、ジ-もしくはトリ-シクロアルキルアミン(すなわち、NH(シクロアルキル)、HN(シクロアルキル)、N(シクロアルキル))、モノ-、ジ-もしくはトリ-アリールアミン(すなわち、NH(アリール)、HN(アリール)、N(アリール))、または混合されたアミンなどの塩が挙げられるが、これらに限定されない。適切なアミンの具体例としては、例示に過ぎないが、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリ(n-プロピル)アミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジンなどが挙げられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」または「薬学的に受容可能な賦形剤」は、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合である場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性成分はまた、組成物へと組み込まれ得る。
【0044】
「溶媒和物」は、溶媒および化合物の相互作用によって形成される。本明細書で記載される化合物の塩の溶媒和物がまた、提供される。本明細書で記載される化合物の水和物がまた、提供される。
【0045】
誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質
いくつかの全身性アミロイドーシス、ならびに家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)および特にATTRアミロイドーシスは、誤って折りたたまれたトランスサイレチンタンパク質の放出および/または蓄積と関連する。上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質は、本明細書で記載されるとおりの化合物との接触によって検出され得、ここで上記接触は、光による活性化の際に、検出可能なシグナルの放出を引き起こす。一般に、本明細書で記載される組成物および方法は、患者の任意の組織において誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質を検出するために有用である。しかし、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質は、患者の眼に蓄積し得る。特に、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質は、眼の結膜に蓄積し得る。網膜における誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質のこのような存在は、誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質に結合する化合物で検出され得、次いで、その結合は、網膜のレーザー活性化蛍光スキャンのような手段によって検出され得る。
【0046】
トランスサイレチン(「TTR」、「TTRタンパク質」または「TBPA」)は、血清および脳脊髄液中の輸送タンパク質であり、これは、甲状腺ホルモンサイロキシン(T4)およびレチノールに結合したレチノール結合タンパク質を運ぶ。肝臓は、トランスサイレチンを血液へと分泌し、脈絡叢は、TTRを脳脊髄液へと分泌する。TTRはまた、プレアルブミンまたはサイロキシン結合プレアルブミンともいわれ得る。
【0047】
TTRは、肝細胞、網膜色素上皮細胞、脈絡叢上皮、膵臓α細胞、シュワン細胞、およびいくつかの条件下ではニューロンにおいて合成される特有のヒトタンパク質である。それは、血清中で、レチノールで負荷されたレチノール結合タンパク質(RBP)のキャリアであり、組織脱ヨード酵素によって組織学的により活性なトリヨードサイロニン(T3)へと変換される前の、甲状腺ホルモン前駆体サイロキシン(T4)のマイナーなキャリアである。循環TTRのごくわずかな割合がT4を運ぶ一方で、25~50%は、RBPレチノールを負荷している。しかし、脳脊髄液では、脈絡叢で合成されたTTRが、主要なT4キャリアである。結晶構造は、二回対称軸(twofold axis of symmetry)を示す。それは、中央チャネルの周りで、主に疎水性であり、2個のT4結合部位を含むダイマーのダイマーとして組み立てられる。第1の部位でのT4結合は、第2の部位をその天然のリガンドへとアクセスしにくくするアロステリック変化を誘導する。上記タンパク質の異なる部分は、T4およびRBPを結合し、両方が、テトラマー構造を安定化し、その解離する傾向を低減する。
【0048】
TTRは、7Kb内に含まれる4つのエキソン、6Kbの上流(5’)配列および転写後に正常なmRNAプロセシングを可能にする従来の3’非コード配列を含む下流の6Kbを有するおよそ19KbのDNAを含む第18染色体上の単一遺伝子によってコードされる。プロモーターに近い2Kbは、上記遺伝子の組織特異的発現に必要とされる配列全てを含むようである。トランスサイレチンアイソフォーム配列は、NP_000362.1を含む。トランスサイレチン配列は、改変体または変異体であり得る。上記改変体または変異体は、任意の公知の形態であってもよく、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
G6S、C10R、L12P、M13I、D18N、D18G、D18E、A19D、V20I、R21Q、S23N、P24S、A25S、A25T、V28M、V28S、V30M、V30A、V30G、V30L、V32A、V32G、F33I、F33L、F33V. F33C、R34G、R34T、K35N、K35T、A36D、A36P、D38A、D38V、D39V. W41L、E42G、E42D、F44Y、F44S、F44L、A45S、A45T、A45D、A45G、G47R、G47A、G47E、G47V、T49A、T49P、T49I、T49S、S50R、S50I、E51G、S52P、G53R、G53E、G53A、E54L、E54K、E54G、E54D、E54Q、L55Q、L55R、L55P、H56R、G57R、L58R、L58H、T59R、T59K、T60A、E61K、E61G、E62K、F64I、F64L、F64S、G67R、G67E、I68L、Y69H、Y69I、K70N、V71A、E72G、I73V、D74H、S77F、S77Y、Y78F、A81T、A81V、G83R、I84N、I84S、I84T、H88R、E89Q、E89K、H90N、H90D、A91S、E92K、V93M、V94A、A97S、A97G、G101S、P102R、R103S、R104C、R104H、I107V、I107F、I107M、A109S、A109T、A109V、L111M、S112I、P113T、Y114C、Y114H、Y114S、Y116S、T119M、A120S、V122A、V122I、P125S。
【0049】
TTRは、成熟ポリペプチドモノマーが、リーダー配列の切断後に、127アミノ酸を含む非ジスルフィド結合連結ホモテトラマーである。上記テトラマーは、Ka=1.1×1024 -3で概して安定である。TTRテトラマーの解離は、組織におけるタンパク質の沈着およびアミロイド形成をもたらし得る。誤って折りたたまれたかまたは凝集したTTRタンパク質は、N-オリゴマーであり得る。TTRは、野生型TTRであってもよいし、その改変体または変異体であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、β2マクログロブリン、白血球走化性因子2、アポリポタンパク質AIV、アポリポタンパク質CII、アポリポタンパク質CIII、もしくはリゾチーム、またはこれらの変異体もしくは改変体であってもよく、これらの各々は、当該分野で公知である。上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、そのアミロイドであってもよい。
【0051】
従って、本開示のいくつかの実施形態によれば、患者が全身性アミロイドーシスに罹患しているか否かを決定するための方法が提供される。上記方法は、被験体の眼のような組織における誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質の存在を、上記被験体の組織と本明細書で記載される化合物とを接触させることによって検出することを包含する。上記接触は、インビボであってもエキソビボであってもよい。上記接触は、局所投与によるものであってもよい。上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質の蓄積は、眼の結膜において起こり得ることが企図される。よって、上記検出は、眼の表面への局所投与によって、結膜における誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質を標的化し得る。投与が局所である場合、上記化合物は、眼科的に受容可能な製剤中に製剤化され得る。
【0052】
別の実施形態において、全身性アミロイドーシス、特に、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)またはATTRアミロイドーシスの診断のために患者を準備するための方法であって、上記方法は、上記患者に、誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質を特異的に結合する化合物を投与する工程を包含する方法が提供される。上記化合物は、患者の眼に投与され得る。上記化合物が患者にいったん投与された後、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質へのその結合は、任意の方法(本明細書で記載される方法を含む)で検出され、その結合は、誤って折りたたまれたトランスサイレチンタンパク質の蓄積(全身性アミロイドーシスの指標である)を示す。
【0053】
誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質に結合する化合物
本開示はさらに、誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質に結合し得る化合物を提供する。いくつかの実施形態において、上記化合物は、誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質に結合し得る。1つの実施形態において、上記化合物は、国際公開番号WO 2011/072257または米国特許第9,551,722号(これらは、それらの全体において参考として援用される)に記載される化合物から選択され得る。上記化合物の合成は、援用される参考文献に記載されるものを含め、当該分野で公知の方法によって進められ得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、本開示は、式Iの化合物またはその塩もしくは溶媒和物:
【化2】
であって、ここでEDGは、
-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R-置換されたかもしくは置換されていないアリール、R-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリール、ORNRC(O)R、-NR、-SR、またはPRであり、
ここで
は、ハロゲン、-OR、-NR1011、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、R12-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないアリールまたはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでRおよびRは、必要に応じて一緒に結合して、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
およびR10は、独立して、水素、R12-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでR10および は、必要に応じて一緒に結合して、R12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
12は、ハロゲン、-OR13、-NR1415、R16-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR16-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
13、R14およびR15は、独立して、水素または置換されていないアルキルであり;
16は、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
ここでπCEは、以下の式:
-L-(A-L-(A-L- または -L-(A-L-A-L-(A-L
を有し、ここで
qおよびrは、独立して、0または1であり、ここでqもしくはrのうちの少なくとも一方は、1であり;
、AおよびAは、独立して、R17-置換されたかもしくは置換されていないアリーレンまたはR17-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり;
、L、LおよびLは、独立して、結合または以下の式:
【化3】
を有する連結基であり、ここでxは、1~50の整数であり;
17は、ハロゲン、-OR18、-NR1920、R21-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
18、R19およびR20は、独立して、水素、R21-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR21-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
21は、ハロゲン、-OR22、-NR2324、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
22、R23およびR24は、独立して、水素または置換されていないアルキルであり;
ここで
WSGは、R25-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R25-置換されたかもしくは置換されていないアリール、R25-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
ここで
25は、ハロゲン、-OR26、-NR2728、R29-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり;
26、R27およびR28は、独立して、水素、R29-置換されたかもしくは置換されていないアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29-置換されたかもしくは置換されていないアリール、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここでR27およびR28は、必要に応じて一緒に結合して、R29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR29-置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し;
29は、ハロゲン、-OR30、-NR3132、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールであり;
30、R31およびR32は、独立して、水素または置換されていないアルキルである、
化合物を提供する。
【0055】
ある特定の実施形態において、上記化合物は、
【化4】
または薬学的に受容可能なその塩
【化5】
または薬学的に受容可能なその塩
である。
【0056】
疾患および障害ならびにその処置
患者が疾患または障害に罹患しているか否かを決定するための方法であって、上記方法は、誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質の存在を、上記被験体の眼において検出する工程を含み、ここで上記検出する工程は、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質と本明細書で記載される化合物とを接触させることを含む、方法が、本明細書で提供される。上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質であり得る。上記疾患または障害は、全身性アミロイドーシスであり得る。上記全身性アミロイドーシスは、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)であり得る。上記全身性アミロイドーシスは、ATTRアミロイドーシスであり得る。上記化合物は、本明細書で記載される化合物であり得る。上記接触させる工程は、インビボで行われ得る。上記組織は、眼の組織であり得る。上記組織は、手首、脊柱管、心臓、または涙腺であり得る。
【0057】
全身性アミロイドーシスの症状としては、以下が挙げられ得る: 足首および/もしくは脚の腫脹、重篤な疲労、虚弱、息切れ、麻痺、手もしくは脚における刺痛もしくは疼痛、手首における疼痛(手根管症候群)、下痢、血便、便秘症、意図しない体重減少(例えば、10ポンド(4.5キログラム)を超えるもの)、舌肥大、波打っている舌(rippled tongue)、皮膚肥厚化、打撲傷、目のまわりの紫がかった変色(purplish patches around the eyes)、不規則な心拍、および/または嚥下困難。
【0058】
上記全身性アミロイドーシスは、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)、ATTRアミロイドーシス、TTR心アミロイドーシス、TTRアミロイド心筋症(ATTR-CM)、家族性または遺伝性ATTRアミロイドーシス(ATTRvまたはATTRm)、老人性全身性アミロイドーシス(SSAまたはATTRwt)、ALアミロイドーシス、AA(血清アミロイドAアミロイドーシス)、感染症に起因する炎症から生じるAAアミロイドーシス、リウマチ学的疾患、後天性または遺伝性にかかわらず自己炎症性および自己免疫疾患、がんもしくは新生物、フィブリノゲンα鎖アミロイドーシス、アポリポタンパク質A-1およびA-2アミロイドーシス、ゲルゾリンアミロイドーシス、Ab2M(β2マクログロブリン)アミロイドーシス、ALECT2(白血球走化性因子2)アミロイドーシス、AApoAIV(アポリポタンパク質AIV)アミロイドーシス、AApoCII(アポリポタンパク質CII)アミロイドーシス、AApoCIII(アポリポタンパク質CIII)アミロイドーシス、ALys(リゾチーム)アミロイドーシスであり得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、上記全身性アミロイドーシスは、家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAPまたはFAP)であり得る。FAPは、トランスサイレチンアミロイドポリニューロパチーともいわれ、末梢神経および他の組織の周りのタンパク質またはアミロイドの異常な沈着によって引き起こされる遺伝性かつ進行性の希少疾患である。FAPは、TTRテトラマーを不安定化するTTR遺伝子における変異によって引き起こされる。今日まで、上記遺伝子における100を超える異なる変異が報告されている。FAPの症状としては、脚および足における異常な感覚(例えば、麻痺、刺痛、または灼熱感)として早期に現れ得る末梢神経障害、ならびに不随意身体機能(例えば、血圧、体温制御、および消化)を制御する神経が損傷される場合には自律神経性ニューロパチーを含め、進行性の感覚運動性および自律神経性ニューロパチーを含む。運動線維の変性は、進行性の虚弱および歩行障害を引き起こし得る。FAPの1つの処置は、肝移植である。他の処置は、遺伝子療法、免疫化、TTR凝集物の溶解、フリーラジカルスカベンジャー、およびメグルミンの投与を含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記全身性アミロイドーシスは、ALアミロイドーシス(免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシス)である。先進国におけるアミロイドーシスの最も一般的なタイプであるALアミロイドーシスは、原発性アミロイドーシスともいわれる。それは通常、心臓、腎臓、肝臓および神経に影響を及ぼす。
【0061】
いくつかの実施形態において、上記全身性アミロイドーシスは、AAアミロイドーシスである。炎症性アミロイドーシスとしても公知であり、この種類は、通常、炎症性疾患(例えば、関節リウマチ)によって誘発される。重篤な炎症状態のための処置は、AAアミロイドーシスを処置または防止し得る。それは一般に、腎臓、肝臓および脾臓に影響を及ぼす。
【0062】
いくつかの実施形態において、上記全身性アミロイドーシスは、限局性アミロイドーシスである。このタイプのアミロイドーシスはしばしば、多数の器官系に影響を及ぼす種類より良好な予後を有する。限局性アミロイドーシスに代表的な部位としては、膀胱、皮膚、喉または肺が挙げられる。正確な診断は、全身に影響を及ぼす処置が回避され得るように重要である。
【0063】
いくつかの実施形態において、上記全身性アミロイドーシスは、ATTRアミロイドーシスである。上記ATTRアミロイドーシスは、TTR心アミロイドーシス、TTRアミロイド心筋症(ATTR-CM)、家族性または遺伝性ATTRアミロイドーシス(ATTRvまたはATTRm)、または老人性全身性アミロイドーシス(ATTRwt)であり得る。
【0064】
ATTRmアミロイドーシスは、心血管、末梢神経および自律神経の関与を伴う多系統障害であり、これは、表現型が不均一であることから、診断が困難であり得る。ATTRmアミロイドーシスは、遺伝子型によって部分的に決定される多様な臨床症状発現を伴う希少疾患である。この複雑さを考慮すると、末梢神経障害を呈するATTRmを有する患者に関しては症状の始まりから最大4年、および心筋症を呈する患者に関しては最大8年、診断の遅れが生じ得る。手根管症候群(CTS)は、患者の最大33%において初期症状である可能性があり、他の器官が臨床的に関与するまでに、4~6年の平均期間が存在する。次に、患者は、通常は、末梢神経障害および自律神経性ニューロパチーを発生させ、しばしば、心臓併発症を伴う。TTRは、脈絡叢および網膜上皮内でも生成されることから、中枢神経系(CNS)の症状発現が希に起こる可能性もあり、ATTRL12Pのような、CNSに素因を有するいくつかの疾患を引き起こす変異に関してはより一般的である。さらなる臨床症状発現としては、末梢神経障害および自律神経性ニューロパチーが挙げられる。V30Mは、最も一般的なATTR変異であるが、ATTRV122IおよびATTRL12P、または本明細書で記載されるとおりの改変体もしくは変異体を含め、他の変異が根底にある場合もある。
【0065】
常染色体優性の臨床障害である家族性アミロイドポリニューロパチー(感覚運動性および自律神経性ポリニューロパチー)および家族性アミロイド心筋症(Familial Amyloidotic Cardiomyopathy)を引き起こすアミロイド形成タンパク質改変体は、TTRタンパク質中の127アミノ酸のうちの77個において見出された。40個の残基は、単一のアミロイド形成変異を有することが見出されたが、15個の残基は、2つの変異を有し、6個は3つの変異を有し、5個は4つの変異を有し、1個は5つの変異を有する。50個のアミノ酸は変異がなく、12個の変異が記載されているが、臨床上検出可能なアミロイドーシスをもたらさなかった。しかし、その関与した残基のうちの2つは、アミロイド形成性および非アミロイド形成性両方の置換を有した。年齢が高くなるにつれて心臓、手根管および腸における野生型TTRアミロイド沈着の頻度は増加しており、野生型タンパク質の安定性を低くしている可能性がある合成後の(おそらく酸化的)変化に関連すると現在考えられているが、他の未だ規定されていない機序が担っている可能性もある。変異の場合には、それらは全てテトラマーを形成し、このテトラマーは,増強された解離を生じる生理学的条件下では、動態学的にまたは熱力学的に不安定であり、急速な、誤った折りたたみ、凝集、および原線維形成に感受性であるモノマーを放出するようである。これらの観察は、上記モノマーが、互いに、機能的に「シャペロン」であることを示唆する。
【0066】
「処置」または「処置すること」は、臨床結果を含む、有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。有益なまたは所望の臨床結果としては、以下のうちの1またはこれより多くのものが挙げられ得る: a)上記疾患もしくは状態を阻害する(例えば、上記疾患もしくは状態から生じる1もしくはこれより多くの症状を減少させる、および/または上記疾患もしくは状態の程度を減少させる); b)上記疾患もしくは状態と関連する1もしくはこれより多くの臨床症状を改善する、その発生を遅らせる、または停止させる(例えば、上記疾患もしくは状態を安定化する、上記疾患もしくは状態の増悪もしくは進行を防止するもしくは遅らせる、および/または上記疾患もしくは状態の拡がり(例えば、転移)を防止するもしくは遅らせる);ならびに/あるいはc)上記疾患を軽減する、すなわち、臨床症状の退縮を引き起こす(例えば、上記疾患状態を改善する、上記疾患もしくは状態の部分的もしくは完全な退縮を提供する、別の薬物療法の効果を増強する、上記疾患の進行を遅らせる、クオリティーオブライフを増大させる、および/または生存を延ばす)。
【0067】
「防止」または「防止すること」は、疾患もしくは状態の臨床症状が発生しないようにする、その疾患もしくは状態の任意の処置を意味する。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記疾患もしくは状態のリスクにあるかまたはその家族歴を有する患者(ヒトを含む)への本明細書で記載される化合物の投与を提供する。
【0068】
「被験体」とは、処置、観察もしくは実験の対象になったかまたはそのような対象になる哺乳動物(ヒトを含む)のような動物に言及する。本明細書で記載される方法は、ヒト治療および/または獣医学的適用において有用であり得る。いくつかの実施形態において、上記被験体は、哺乳動物である。1つの実施形態において、上記被験体は、ヒトである。
【0069】
用語、本明細書で記載される化合物の「治療上有効な量」または「有効量」とは、症状の改善または疾患進行を遅らせるような治療上の利益を提供するために、被験体に投与される場合に処置をもたらすために十分な量を意味する。例えば、治療上有効な量は、疾患の症状または全身性アミロイドーシスの状態を減少させるために十分な量であり得る。上記治療上有効な量は、被験体、および処置されている疾患もしくは状態、患者の体重および年齢、疾患もしくは状態の重篤度、ならびに投与様式に応じて変動し得る。その量は、適用可能な分野の当業者によって容易に決定され得る。
【0070】
本明細書で記載される方法は、インビボまたはエキソビボで細胞集団に適用され得る。「インビボ」とは、動物またはヒト内部のように、生きている個体の内部を意味する。この文脈において、本明細書で記載される方法は、個体において治療的に使用され得る。「エキソビボ」とは、生きている個体の外側を意味する。エキソビボの細胞集団の例としては、インビトロ細胞培養物および生物学的サンプル(個体から得られた流体もしくは組織サンプルを含む)が挙げられる。このようなサンプルは、当該分野で周知の方法によって得られ得る。例示的な生物学的流体サンプルとしては、血液、脳脊髄液、尿、および唾液が挙げられる。この文脈において、本明細書で記載される化合物および組成物は、治療目的および実験目的を含め、種々の目的のために使用され得る。例えば、本明細書で記載される化合物および組成物は、所定の適応症、細胞タイプ、個体、および他のパラメーターに関する本開示の化合物の投与の最適なスケジュールおよび/または投与を決定するためにエキソビボで使用され得る。このような使用から収集される情報は、インビボでの処置のためのプロトコールを設定するために、実験目的またはクリニックにおいて使用され得る。本明細書で記載される化合物および組成物が適切であり得る他のエキソビボでの使用は、以下に記載されるか、または当業者に明らかになる。選択された化合物は、ヒトまたは非ヒト患者における安全性または耐性投与量を調べるためにさらに特徴づけられ得る。このような特性は、当業者に一般に知られた方法を使用して調べられ得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、アミロイドβ(Aβ)ペプチド、α-シヌクレイン、プリオンペプチド、ハンチンチン、血清アミロイドA、リゾチーム、アミリン、免疫グロブリン軽鎖、ウイルス感染の精液由来エンハンサー、PAB、SEM1、プロテグリン-1(protegrin-1)、CsgA-R5、およびCsgA-R1、スーパーオキシドジスムターゼ、インスリン、またはp53ではない。いくつかの実施形態において、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、アミロイドβ(Aβ)ペプチドを含まない。いくつかの実施形態において、上記疾患もしくは障害は、子かん前症ではない。
【0072】
誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質の検出
疾患または状態の診断のための方法であって、上記方法は、上記被験体の眼に本明細書で記載される化合物を局所投与する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。上記疾患または障害は、全身性アミロイドーシスであり得る。上記全身性アミロイドーシスは、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)であり得る。上記全身性アミロイドーシスは、ATTRアミロイドーシスであり得る。上記方法は、誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質への上記化合物の結合を検出する工程を包含し得る。上記方法は、誤って折りたたまれたかまたは凝集したトランスサイレチンタンパク質への上記化合物の結合を検出する工程を包含し得る。上記結合は、光による活性化の際に、検出可能なシグナルの放出を引き起こし得る。上記シグナルは、蛍光シグナルまたは赤外シグナルであり得る。上記投与は、局所投与であり得る、および/または眼の結膜に限局され得る。
【0073】
誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質の検出は、誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質に選択的に結合し得る化合物で行われ得る。1つの実施形態において、上記化合物は、誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質に結合した場合、レーザー光による活性化の際に、その放出される蛍光シグナルを通じて検出され得る。
【0074】
患者の眼における誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質へのタンパク質結合プローブ、例えば、本明細書で記載される化合物の結合のインサイチュ検出は、画像化デバイスで容易にされ得る。上記画像化デバイスは、手持ち式または携帯式であり得る。上記画像化デバイスは、レンズおよびイメージセンサ、ならびに必要に応じて、レーザー光源を含み得る。上記光源がレーザー光を組織(例えば、結膜)へと発する時に、誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質がそこに蓄積しており、かつ結合した時に蛍光を発する化合物に結合したときに、上記蓄積は、容易に検出され得、蛍光シグナルを収集し、感知する上記レンズおよびイメージセンサによって定量される。
【0075】
患者が疾患または障害(例えば、全身性アミロイドーシス)に罹患しているか否かを決定するための方法は、本明細書で記載される任意の様式において、または当該分野で公知のように、行われ得る。いくつかの実施形態において、上記接触は、光による活性化の際に、検出可能なシグナルの放出を引き起こす。いくつかの実施形態において、上記検出可能なシグナルは、蛍光シグナルである。いくつかの実施形態において、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、原線維として組織に存在する。いくつかの実施形態において、上記誤って折りたたまれたかまたは凝集したタンパク質は、プラークとして組織に存在する。いくつかの実施形態において、上記方法は、蛍光減衰を決定する工程を包含しない。いくつかの実施形態において、上記方法は、参照に対する比較に基づいて蛍光減衰を決定する工程を包含しない。
【0076】
いくつかの実施形態において、全身性アミロイドーシスを有する被験体の処置への応答をモニターするための方法であって、上記方法は、(i)有効量の本明細書で記載される化合物と上記被験体の眼とを接触させることによって、検出可能な複合体を形成する工程;および(ii)上記検出可能な複合体の形成を検出する工程であって、ここで上記処置の前と比較した場合の検出可能な複合体の減少は、上記被験体が上記処置へ応答性であることを示す工程を包含する方法が、提供される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、眼に局所適用される。
【0077】
投与および薬学的組成物
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される化合物の薬学的組成物は、被験体の眼に投与される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、眼の表面に送達される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、点眼剤として投与される。上記投与は、局所投与であり得る。
【0078】
上記化合物は、幅広い投与量範囲にわたって有効であり得る。いくつかの実施形態において、成人への適用において、1日あたり0.01~1000mg、0.5~100mg、1~50mg、および1日あたり5~40mgの投与量が、使用される投与量の例である。例示的な投与量は、1日あたり10~30mgである。若年者への適用において、上記投与量は、成人の用量と同じであってもよいし、それより少なくてもよい。いくつかの実施形態において、上記化合物の有効量は、成人患者1人あたり約50~500mgの化合物に相当する。正確な投与量は、投与経路、上記化合物が投与される形態、処置されるべき患者、処置されるべき患者の体重、ならびに主治医の優先傾向および経験に依存する。
【0079】
いくつかの実施形態において、上記化合物の有効量は、約0.01~1000mgの化合物/ヒト患者/投与量に相当する。いくつかの実施形態において、化合物の上記有効用量は、ヒト1人あたりの1投与量あたり、50~500mgである。いくつかの実施形態において、上記有効量は、ヒト1人あたり、1投与量あたり、約0.01~100mg、0.01~200mg、0.01~300mg、0.01~400mg、0.01~500mg、0.01~600mg、0.01~700mg、0.01~800mg、0.01~900mg、0.01~1000mg、0.1~100mg、0.1~200mg、0.1~300mg、0.1~400mg、0.1~500mg、0.1~600mg、0.1~700mg、0.1~800mg、0.1~900mg、0.1~1000mg、1~100mg、1~200mg、1~300mg、1~400mg、1~500mg、1~600mg、1~700mg、1~800mg、1~900mg、100~200mg、100~300mg、100~400mg、100~500mg、100~600mg、100~700mg、100~800mg、100~900mg、100~1000mg、200~300mg、200~400mg、200~500mg、200~600mg、200~700mg、200~800mg、200~900mg、200~1000mg、300~400mg、300~500mg、300~600mg、300~700mg、300~800mg、300~900mg、300~1000mg、400~500mg、400~600mg、400~700mg、400~800mg、400~900mg、400~1000mg、500~600mg、500~700mg、500~800mg、500~900mg、500~1000mg、600~700mg、600~800mg、600~900mg、600~1000mg、700~800mg、700~900mg、700~1000mg、800~900mg、800~1000mgまたは約900~1000mgに相当する。いくつかの実施形態において、上記有効量は、成人1人あたり、1投与量あたり、約50~100mg、50~400mg、50~500mg、100~200mg、100~300mg、100~400mg、100~500mg、200~300mg、200~400mg、200~500mg、300~400mg、300~500mg、または400~500mgに相当する。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、単一用量において投与される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、複数用量において投与される。いくつかの実施形態において、投与は、1日あたり約1回、約2回、約3回、約4回、約5回、約6回であるか、または6回より多い。いくつかの実施形態において、投与は、1ヶ月に約1回、2週間ごとに1回、1週間に1回、または2日ごとに1回である。別の場合には、上記化合物および別の薬剤が、1日あたり約1回から1日あたり約6回、一緒に投与される。いくつかの実施形態において、上記化合物および薬剤の投与は、約7日間未満継続する。さらに別の場合には、上記投与は、約6日間、10日間、14日間、28日間、2ヶ月間、6ヶ月間、または1年より長くにわたって継続する。いくつかの実施形態において、連続投与が達成され、必要なだけ長く維持される。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記化合物は、1日に1~10回、1~4回、または1回投与される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、1日に1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回投与される。いくつかの実施形態において、上記化合物は、滴剤として投与される。いくつかの実施形態において、投与される滴剤のサイズは、約10~100μL、約10~90μL、約10~80μL、約10~70μL、約10~60μL、約10~50μL、約10~40μL、約10~30μL、約20~100μL、約20~90μL、約20~80μL、約20~70μL、約20~60μL、約20~50μL、約20~40μL、または約20~30μLの範囲にある。本開示の一例は、約10~約30μLの範囲にある滴剤を投与する。本開示の一例は、約10~約100μLの範囲にある滴剤を投与する。本開示の一例は、約20~約50μLの範囲にある滴剤を投与する。本開示の一例は、約20~約40μLの範囲にある滴剤を投与する。本開示の一例は、約10~約60μLの範囲にある滴剤を投与する。いくつかの実施形態において、本開示の眼用製剤は、1回あたり数滴、例えば、1回あたり1~3滴、1回あたり1~3滴、1回あたり1~4滴、1回あたり1~5滴、1回あたり1~6滴、1回あたり1~7滴、1回あたり1~8滴、1回あたり1~9滴、1回あたり1~10滴、1回あたり3~4滴、1回あたり3~5滴、1回あたり3~6滴、1回あたり3~7滴、1回あたり3~8滴、1回あたり3~9滴、1回あたり3~10滴、1回あたり5~6滴、1回あたり5~7滴、1回あたり5~8滴、1回あたり5~9滴、1回あたり5~10滴、1回あたり7~8滴、1回あたり7~9滴、または1回あたり9~10滴、投与される。1つの例では、本開示の製剤は、1回あたり約1滴かつ1日あたり1~6回投与される。
【0082】
薬学的組成物/製剤
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される化合物は、薬学的組成物へと製剤化される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物の処理を容易にする賦形剤および補助物質を含む、1もしくはこれより多くの生理学的に受容可能なキャリアを使用して、従来の様式で製剤化される。適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。任意の薬学的に受容可能な技術、キャリア、および賦形剤は、本明細書で記載される薬学的組成物を製剤化するために適切であるとして使用される: Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第19版(Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L.編, Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 第7版(Lippincott Williams & Wilkins 1999)。
【0083】
本明細書で記載されるとおりの化合物および薬学的に受容可能な希釈剤、賦形剤、またはキャリアを含む薬学的組成物が、本明細書で提供される。ある特定の場合には、本明細書で記載される化合物は、1もしくはこれより多くの化合物が、併用療法におけるように、他の活性成分と混合される薬学的組成物として投与される。特定の場合には、上記薬学的組成物は、本明細書に記載されるとおりの1もしくはこれより多くの化合物を含む。
【0084】
薬学的組成物は、本明細書で使用される場合、本明細書で記載される化合物と他の化学的構成要素(例えば、キャリア、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、濃化剤、および/または賦形剤)との混合物に言及する。ある特定の場合には、上記薬学的組成物は、生物への上記化合物の投与を容易にする。本明細書で提供される処置または使用の方法を実施するためのいくつかの実施形態において、本明細書で記載される1もしくはこれより多くの化合物の治療上有効な量は、薬学的組成物中で、検出、診断または処置されるべき疾患または状態を有する哺乳動物に投与される。具体的な例では、上記哺乳動物は、ヒトである。ある特定の場合には、治療上有効な量は、疾患の重篤度、患者の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力および他の要因に応じて変動する。本明細書で記載される化合物は、単独で、または混合物の構成要素として1もしくはこれより多くの治療剤と組み合わせて使用される。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記1もしくはこれより多くの化合物は、水性溶液へと製剤化される。具体的な例では、上記水性溶液は、例示に過ぎないが、生理的に適合性の緩衝液、例えば、ハンクス液、リンゲル液、水性酢酸緩衝液、水性クエン酸緩衝液、水性炭酸緩衝液、水性リン酸緩衝液または生理学的塩類緩衝液から選択される。
【0086】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される化合物は、眼投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、上記眼用製剤は、液体(溶液、懸濁物、再構成用の粉末、ゾルゲル系(sol to gel system)の形態にある)、半固体(軟膏剤およびゲル)、固体(眼用挿入物)、および眼内投与形態(注射、灌流液および移植物)である。上記化合物は、例えば、眼への局所投与のために製剤化され得る。
【0087】
本明細書で記載される化合物および眼科的に受容可能な構成要素を含む眼科的製剤が、本明細書で提供される。上記眼科的製剤は、眼の薬物投与に適した任意の形態において、例えば、溶液、懸濁物、軟膏剤、ゲル、リポソーム分散物、コロイド状微粒子懸濁物などとして、または眼用挿入物において、例えば、必要に応じて生分解性の制御放出ポリマーマトリクスにおいて投与され得る。
【0088】
「薬学的に受容可能な」または「眼科的に受容可能な」構成要素は、生物学的にまたは別の点で望ましくないものではない構成要素が意味される。すなわち、上記構成要素は、本開示の眼科的製剤へと組み込まれ得、いかなる望ましくない生物学的効果をも引き起こすことも、それが含まれる製剤組成物の他の構成要素のいずれとも有害な様式で相互作用もすることなく、患者の眼へと局所投与され得る。用語「薬学的に受容可能な」が、薬理学的に活性な薬剤以外の構成要素に言及するために使用される場合、上記構成要素が、毒性試験および製造試験の必要とされる基準を満たしていること、または米国食品医薬品局が準備したInactive Ingredient Guideに含まれていることが示唆される。例えば、Kaurら, Drug Development and Industrial Pharmacy(2002) 28(5), 473-493を参照のこと。
【0089】
眼科的製剤は、懸濁物またはエマルジョンの形態での眼への局所投与のために適合され得る。上記眼科的製剤は、眼科的に受容可能なキャリアを含み得る。このようなキャリアとしては、例えば、水、水の混合物、例えば、リン酸緩衝液、ホウ酸、塩化ナトリウム、およびホウ酸ナトリウム、および水混和性の溶媒、例えば、低級アルコール、アリールアルコール、ポリアルキレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびミリスチン酸イソプロピルが挙げられる。上記眼科的製剤はまた、1もしくはこれより多くの賦形剤(例えば、乳化剤、保存剤、湿潤剤、増粘剤(bodying agent))を含み得る。例えば、上記眼科的製剤は、ポリエチレングリコール200、300、400および600、カルボワックス(carbowax)1,000、1,500、4,000、6,000および10,000、抗菌構成要素、例えば、四級アンモニウム化合物、フェニル水銀塩、チメロサール、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、緩衝化剤、例えば、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸緩衝液、ならびに他の薬剤、例えば、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン、オレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(polyoxyethylene sorbitan monopalmitylate)、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、モノチオグリセロール、チオソルビトール、ならびにエチレンジアミン四酢酸を含み得る。上記眼科的製剤は、等張性であり得る。上記眼科的製剤はまた、界面活性剤または安定化剤を含み得る。界面活性剤としては、Carbopol(登録商標)が挙げられる。安定化剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0090】
上記製剤は、細胞膜、組織、および細胞外マトリクス(角膜を含む)を経る上記製剤構成要素の透過を促進する有効量の透過エンハンサーを含み得る。上記製剤は、眼の表面から結膜へと透過し得る。上記透過エンハンサーの「有効量」は、直前に記載されるように、膜、組織、および細胞外マトリクスを経る上記製剤構成要素のうちの1もしくはこれより多くのものの透過の測定可能な増大を提供するために十分な濃度を表す。適切な透過エンハンサーとしては、例示によれば、メチルスルホニルメタン(MSM;メチルスルホンともいわれる)、MSMとジメチルスルホキシド(DMSO)との組み合わせ、またはMSM、およびあまり好ましくない実施形態では、DMSOとの組み合わせが挙げられ、MSMが特に好ましい。
【0091】
キットおよびパッケージ
本開示の化合物、網膜画像化デバイス、および必要に応じて適切なパッケージングを含むキットおよびパッケージも、本明細書で提供される。1つの実施形態において、キットはさらに、使用についての指示を含む。
【0092】
上記網膜画像化デバイスは、放出されたシグナルを検出するために、レンズおよびイメージセンサ(従って、適切な網膜スキャナを形成する)を含み得る。いくつかの実施形態において、上記網膜画像化デバイスは、蛍光シグナルを検出する。いくつかの実施形態において、上記網膜画像化デバイスはさらに、上記蛍光シグナルを活性化するために使用され得るレーザー光源を含む。
【実施例
【0093】
実施例
以下の実施例は、本開示の具体的実施形態を明らかに示すために含められる。以下に続く実施例中で開示される技術が、本開示の実施において十分に機能する技術を表し、従って、その実施のための具体的な様式を構成すると見做され得ることは、当業者によって認識されるべきである。しかし、当業者は、本開示に鑑みて、多くの変更が、開示される具体的実施形態において行われ得、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく類似または同様の結果をなおも得ることを認識するべきである。
【0094】
実施例1: 全身性アミロイド沈着のインビボでの画像化
画像化のために3匹のマウスを飼育し、加齢させた。上記マウスを、アミロイド蓄積のライブイメージングのために調査する。本明細書で記載される化合物を、眼の表面に適用し(製剤: 200μLの、20% DMSO/80% プロピレングリコール中の本明細書で記載される化合物10mg/mL溶液)、これは、TTRの可視化を可能にする。
【0095】
Zeiss Stemi 2000-C顕微鏡上でモデル化した光学的画像化システムを使用する。入力光は、顕微鏡の軸付近に送達される。蛍光励起または遠赤色入力は、干渉フィルターとスペクトル的に成形される。蛍光放出バンドパスフィルターを、一体型カメラの近位に配置する。投入源は、エネルギーの一部を捕捉し、それを小さな直径の光ファイバーケーブル(1.4mm直径、NA約0.5)へと圧縮する球面鏡に隣接して配置されたショートアーク連続キセノンランプに基づく。上記ランプのスペクトル出力は、およそ1ミリワット/cmの出力を有する400~700nmの比較的均一の広帯域光源を提供する。上記光学縦列は、ビームのスポットサイズを成形し、瞳孔を過充填する(overfill)ことを回避し、照明器からマウス瞳孔へと光の効率的エネルギー移動を提供する。RIS設計光学縦列の結果は、ただ1個の光学要素の変調を通じて、1~2mmの範囲に及ぶ調節可能なスポットサイズを有する、散大した瞳孔面上に集束した狭いビームを生じる。
【0096】
結膜の蛍光画像を取得し、分析する。本明細書で記載される化合物は、TTRタンパク質凝集物と接触して蛍光を発する。これは、このような化合物が、全身性アミロイドーシスのインジケーターとしてインビボでの網膜画像化のために使用され得ることを示す。
【0097】
実施例2: TTR凝集物調製
いくつかの凝集したTTRサンプルを、以下に記載されるように、種々の条件を使用して調製した。
【0098】
凝集物Aを、約3.6のpHにおいて50mM グリシン緩衝液中でTTRを再懸濁し、24時間、これを室温においてさらにインキュベートすることによって調製した。
【0099】
凝集物B1を、約7.4のpHにおいて水の中でTTRを再懸濁し、7日間、これを37℃で維持して撹拌(200rpm)しながらさらにインキュベートすることによって調製した。
【0100】
凝集物B2を、約7.4のpHにおいて水の中でTTRを再懸濁し、14日間、これを37℃で維持して撹拌(200rpm)しながらさらにインキュベートすることによって調製した。
【0101】
実施例3: TTR凝集物を伴う化合物Iの分光学的特性
化合物1(4μM)を、1×リン酸緩衝化食塩水(PBS)中で凝集物B1ありまたはなしで調製した。吸収、蛍光および励起スペクトルを、両方のサンプルで取得した。励起波長を、440nmであるように最適化した。そのようにして受容した発光スペクトルを、ブランク溶媒コントロールに対して補正して、相対蛍光強度(RFI)を波長の関数として得た。図1に図示されるように、化合物1のRFIは、凝集物B1の存在下で約3.2倍増大した。
【0102】
さらに、蛍光スペクトルを、440nmで励起した時に、化合物I(4μM)と、凝集物A、B1、またはB2それぞれとの混合物(各々5μMの濃度、565 nmの発光波長において)に対して取得した。化合物1単独に対するRFIの増大を計算し、表1に示す:
表1. TTR凝集物の存在下での化合物1の蛍光強度増大
【表1】
【0103】
実施例4: 凝集したTTRとの化合物1の結合親和性
DMSO/PBSの溶液(144μL PBS(pH7.4)中6μL DMSO)を、ブランクコントロールとして調製した。さらに、DMSO中の化合物1の250μM 溶液を調製した。次いで、以下のサンプルを、4% DMSO/PBS中で一定の5μM TTR濃度を維持しながら三連で調製した:
表2. 結合定数決定のための蛍光に関して分析されるサンプル
【表2】
【0104】
発光スペクトルを、各サンプルに関して取得し、445~700nmの範囲にわたってブランクに対して補正した。λmax(em)でのRFIを、各サンプルに対して決定した。次いで、RFIを、1つの部位特異的結合アルゴリズムを使用して0~10μMの範囲にわたる化合物1の漸増濃度に対してプロットした。結合親和性(K)を、0.3±0.1μMであると決定した、これを図2に図示する。
【0105】
実施例5: ATTR死体の眼の染色
以下のプロトコールを、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を染色するために採用した:
1.組織切片の脱パラフィンおよび湿潤化:
- 60℃において1時間、予備加熱
- スライドをホルダーに配置し、洗浄剤(clearing agent)キシレン(パラフィン溶媒)および一連の勾配をつけたエタノール(EtOH)で以下のように処理する:
(i)100% キシレン - 5分
(ii)100% キシレン - 5分
(iii)50%/50% キシレン/100% EtOH - 3分
(iv)100% EtOH - 3分
(v)95% EtOH - 3分
(vi)70% EtOH - 3分
(vii)50% EtOH - 3分
(viii)水 - 2×3分。
2.抗原回復(antigen retrieval): 99% ギ酸中で5分間インキュベートする。
3.蒸留水で5分間洗浄する。この工程を2回反復する。
4.10mM クエン酸緩衝液(pH 6.0)を沸騰するまで予備加熱する。
5.加熱したクエン酸緩衝液を入れた染色チャンバー中にスライドを20分間置く。
6.ウォーターバスの中で冷却する。蒸留水で5分間洗浄する。この工程を2回反復する。
7.1×PBS中で15分間平衡化する。
8.PBST(Tween 20を有するPBS)中の5% 正常ヤギ血清(NGS)の中で1時間、室温(RT)においてブロックする。
9.一次抗体中、4℃においてO/Nインキュベートする(PBST中2.5% NGS)。
10.組織を3×10分間、PBST洗浄緩衝液中で洗浄する。
11.二次抗体(PBST中1:500)の中で1時間、RTにおいてインキュベートする - この時点から暗所に保つ。
12.組織を3×10分間、PBST中で洗浄する。
13.化合物(60μM)で30分間、RTにおいて染色する。
- 化合物をRTまで(約30分間)加温する。
- 5mgの化合物を、3.75ml DMSO中に溶解させる - 暗所に保つ。
- 100μlの化合物溶液を5ml PBS中で希釈する。
14.組織を3×10分間、PBST中で洗浄する。
15.核をHoechst(PBS中1mg/ml 希釈物から2:1000)で10分間染色する。
16.組織を3×10分間、PBST中で洗浄する。
17.Prolong Glass封入剤を使用して組織を封入し、クリップで固定し、ON乾燥させる。
18.縁部をマニキュアで密封する。
【0106】
実施例6: ヒト組織中のTTRへの化合物1の結合
Amydis網膜トレーサーを利用して、標準的な眼の画像化装置を使用する非侵襲性検出のために眼の中のTTR凝集物に印を付け、このように、ATTRの診断およびモニタリングを容易にする。
【0107】
既知のTTR変異を有する硝子体アミロイドの組織からの切片(パラフィン包埋組織ブロック)および硝子体アミロイドを有する剖検眼球(パラフィン包埋器官)をそれぞれ、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)ならびにCongo redで染色して、アミロイドーシスを有する領域に印を付ける。隣接する切片を、実施例5に記載される最適化したプロトコールを使用して、化合物1およびTTRに特異的な抗体で同時染色する。免疫蛍光画像を収集し、比較する。化合物1からの過蛍光の領域を決定して、Congo RedおよびH&E染色を使用して画定されたアミロイドーシスのエリアに対応させる。化合物1がヒト組織におけるTTR沈着に結合し、先の実施例に記載されるように、凝集したTTRの存在下で、インビボで蛍光の増大に類似の様式で、蛍光放出の増大を受けることが企図される。
* * *
【0108】
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0109】
本明細書で例証的に記載される開示は、本明細書で具体的にて開示されない、任意の要素、限定の非存在下で適切に実施され得る。従って、例えば、用語「含む、包含する(comprising)」、「含む、包含する、が挙げられる(including)」、「含む、含有する(containing)」などは、広くかつ限定なしに読んで理解されるものとする。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、説明の用語として使用されているのであって、限定の様として使用されているのではなく、このような用語および表現の使用において、示され、記載される特徴またはその一部の任意の均等物を排除するという意図はないが、種々の改変は、特許請求される開示の範囲内で可能であることが認識される。
【0110】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、各々が個々に参考として援用されるかのように同程度まで、それらの全体において明示的に援用される。矛盾する場合には、本明細書が定義を含め優先する。
【0111】
本開示は上記の実施形態とともに記載されているが、前述の詳細な説明および実施例は、例証であり、本開示の範囲を限定しないことが意図されることは、理解されるべきである。本開示の範囲内の他の局面、利点および改変は、本開示が属する分野の当業者に明らかである。
図1
図2
【国際調査報告】