(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】補酵素QHとニコチンアミドの共結晶、その製造方法および用途
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20240227BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240227BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20240227BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20240227BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240227BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240227BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240227BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240227BHJP
A23K 20/174 20160101ALI20240227BHJP
A23K 20/111 20160101ALI20240227BHJP
【FI】
A61K31/05
A23L33/10
A23L33/15
A61K31/455
A61P39/06
A61K47/22
A61K8/34
A61K8/49
A61Q19/00
A61P43/00 121
A61P17/00
A23K20/174
A23K20/111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555295
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 CN2022079488
(87)【国際公開番号】W WO2022188732
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】202110260473.5
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523322782
【氏名又は名称】コクリスタル テクノロジー(チアシン)カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】メイ シュエフォン
(72)【発明者】
【氏名】チャン チー
(72)【発明者】
【氏名】パオ チュンチエ
(72)【発明者】
【氏名】ルー リーイェー
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4C076
4C083
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
2B150AB03
2B150DA09
2B150DE06
4B018MD07
4B018MD18
4B018MD23
4B018ME14
4C076BB01
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC50
4C076DD60Q
4C076FF65
4C083AC471
4C083AC851
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4C083EE13
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4C086NA03
4C086ZA89
4C086ZC37
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA03
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4C206MA02
4C206MA04
4C206MA05
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4C206NA03
4C206ZA89
4C206ZC37
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、補酵素QHとニコチンアミドの共結晶、その製造方法および用途に関する。従来の補酵素QHと比較して、前記共結晶は、融点がより高く、より優れた安定性を有する。この補酵素QH共結晶は、製造方法が簡単で、制御しやすく、再現性がよい。本発明は、補酵素QHの利用便利性を大幅に向上させ、保存、運送および使用過程中のコストを節約し、補酵素QHの応用範囲を広げる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共結晶中の補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:1であることを特徴とする、補酵素QHとニコチンアミドの共結晶。
【請求項2】
X線粉末回折パターンにおいて、2θ角度4.3°±0.2°、5.7°±0.2°、17.1°±0.2°、17.9°±0.2°、18.9°±0.2°、19.8°±0.2°、20.8°±0.2°、23.1°±0.2°で特徴ピークを有し;特に、さらに2θ角度8.4°±0.2°、9.9°±0.2°、18.6°±0.2°、19.1°±0.2°、27.8°±0.2°、30.3°±0.2°で特徴ピークを有し;特に、前記共結晶が、基本的に
図1で示されるようなX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶。
【請求項3】
示差走査熱量分析測定により、10℃/minの速度で昇温する場合、前記共結晶の示差走査熱量分析図が57±2℃で特徴的な吸熱ピークを有し;好ましくは、前記共結晶が基本的に
図2で示されるような示差走査熱量分析図を有することを特徴とする、請求項1に記載の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶。
【請求項4】
赤外線スペクトルで3465cm
-1、3170cm
-1、および1697cm
-1で特徴ピークを有し;特に、さらに2964cm
-1、2945cm
-1、2907cm
-1、2847cm
-1、1664cm
-1、1607cm
-1、1445cm
-1、1422cm
-1、1384cm
-1、1280cm
-1、1261cm
-1、1197cm
-1、1164cm
-1、1149cm
-1、1109cm
-1、1009cm
-1、907cm
-1、877cm
-1、795cm
-1、751cm
-1、599cm
-1、475cm
-1で特徴ピークを有し;好ましくは、前記共結晶が基本的に
図3で示されるような赤外線スペクトルを有することを特徴とする、請求項1に記載の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶。
【請求項5】
以下の方法の一つである、請求項1~4のいずれか一項に記載の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の製造方法。
方法一:補酵素QHとニコチンアミドを溶媒において再結晶し、沈殿、乾燥して補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を得る。
方法二:補酵素QHとニコチンアミドを溶媒において10分間以上ボールミルし、さらに得られた固体を乾燥して補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を得る。
【請求項6】
前記溶媒が、水、アルコール系、ケトン系、エステル系、アルカン、芳香族炭化水素およびハロゲン化アルカンからなる群より選ばれる一つまたは複数であり;より好ましくは、前記溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルtert-ブチルエーテル、n-ヘキサン、n-ヘプタンからなる群より選ばれる一つまたは複数であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を含む、補酵素QH組成物。
【請求項8】
前記組成物中において、補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が2:1 ~ 1:2であることを特徴とする、請求項7に記載の補酵素QH組成物。
【請求項9】
サプリメント、食品、化粧品、医薬品、薬用添加剤および飼料からなる群より選ばれる製品であって、請求項1~4のいずれか一項に記載の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶、または請求項7もしくは8に記載の補酵素QH組成物を含む、補酵素QH製品。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか一項に記載の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶、または請求項7もしくは8に記載の補酵素QH組成物の、サプリメント、食品、化粧品、医薬品、薬用添加剤および飼料からなる群より選ばれる製品である補酵素QH製品の製造における用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補酵素Q10技術分野に関し、具体的に、補酵素QHとニコチンアミドの共結晶およびその製造方法に関する。従来の補酵素QHと比較して、前記共結晶は、融点がより高く、より優れた安定性を有する。この補酵素QH共結晶は、製造方法が簡単で制御しやすく、再現性がよい。本発明は、補酵素QHの利用便利性を大幅に向上し、保存、運送および使用過程中のコストを節約し、補酵素QHの応用範囲を広げる。
【背景技術】
【0002】
補酵素Q10は、人体の中の唯一の補酵素Q系物質であり、生体内に広く存在する脂溶性化合物である。それは、呼吸鎖の中のタンパク質と緊密に結合しない補酵素であり、人体の呼吸鎖中のプロトン転移および電子伝達において重要な役割を果たす。補酵素Q10は、細胞代謝および細胞呼吸の作動薬であり、重要な酸化防止剤および非特異的免疫増強剤でもあり、ミトコンドリアの過酸化を抑制することができ、酸化リン酸化反応を促進し、生物膜構造の完全性を保護する作用を有する。また、補酵素Q10は、免疫非特異性に対して増強の作用を有し、抗体産生の能力を増強し、T細胞機能を改善することができる。補酵素Q10は、実質的に代謝作動薬であり、細胞呼吸を活性化し、アデノシン三リン酸の産生を加速させ、そして解毒救急の役割を果たすことができる。さらに、補酵素Q10は、細胞および組織の酸欠状況を改変し、肝臓、脳、心臓および神経システムに対していずれも良好な保護および改善作用を有し、体内の非特異性免疫応答を増強することができる。現在、補酵素Q10は、広く食品、サプリメント、化粧品および医薬業界に応用し、多くの研究者や消費者の注目を浴びる。
【0003】
補酵素Q10は、酸化型および還元型の2つの存在形態に分ける。一般的に、人体には、40~90%の補酵素Q10が還元型として存在する。還元型補酵素Q10は、一般的に補酵素QHともいう。酸化型補酵素Q10と比較して、補酵素QHは、より良好な酸化防止性およびより効果的な吸収性を持つ。しかしながら、補酵素QHは、空気の中に酸化されやすく、安定性が悪く、そのさらなる応用および開発を制限してしまった。補酵素QHの安定性を改善するために、科学者らは、例えば、酸化防止剤の添加、新しい結晶形および共結晶の製造等の様々な方法を採用した。
【0004】
CN102381948AおよびCN101318889Aには、アスコルビン酸およびその誘導体を添加する方法により補酵素QHを安定させることが開示される。発明者らは、補酵素QHと10%質量のアスコルビン酸またはその誘導体と一緒に研磨した後、25℃で空気中に4日間放置した結果、13%程度の補酵素QHが酸化されたことが分かった。
【0005】
CN103635452Aには、補酵素QHの安定結晶形が製造されたが、長期間にわたって空気中に放置すると、依然として酸化される。発明者らは、この結晶形を25℃で、空気中に28日間放置した結果、依然として6%程度の補酵素QHが酸化されたことが分かった。
【0006】
WO2019162429Aには、補酵素QHの7種類の共結晶が開示され、その中、補酵素QHと3,4-ジヒドロキシ安息香酸および3,5-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶が、良好な安定性をもつ。しかしながら、これらの2種類のリガンドは、食品中の大量使用に適しなく、且つこの共結晶の製造方法が複雑であり、溶媒中に3日間以上撹拌する必要がある。
【0007】
そのため、さらに安定な補酵素QH製品を開発することが求められる。
【発明の概要】
【0008】
補酵素QH製品の安定性を向上させるために、本発明は、大量な実験により複数種類の化合物と補酵素QHから共結晶を形成することを試した。結果として、食用可能なニコチンアミド(ビタミンB3の形式の一つ)をリガンドとして採用する方法により、安定な共結晶を形成し、それにより分子レベルで補酵素QH分子の分子間相互作用および空間配列方式を変更し、補酵素QH分子の酸素に対する安定性を増強し、その融点を向上させ、さらにその化学的安定性を改善し、その応用分野を広げる。しかしながら、その他の類似する化合物、例えば、ニコチン酸(ビタミンB3の形式の一つ)、リボフラビン(ビタミンB2)、パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)、葉酸(ビタミンB9)およびアスコルビン酸(ビタミンC)等は、いずれも補酵素QHと共結晶を形成することにより補酵素QHの融点を向上させ、それにより安定性を改善することができない。これにより、ニコチンアミドを採用して補酵素QHと共結晶を製造する方案を決定し、上記の技術課題を解決し、本発明を達成する。
【0009】
より優れた安定性を有する補酵素QH共結晶は、さらに補酵素QHの応用範囲を広げることができる。そのため、本発明で記載の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶は、高い現実応用価値がある。
【0010】
本発明の目的の一は、補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を提供することにある。
【0011】
本発明の目的の二は、前記補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の目的の三は、サプリメント、食品、化粧品、医薬品、薬用添加剤および飼料からなる群より選ばれる製品であって、上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を含む製品を提供することにある。
【0013】
本発明の目的の四は、上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の、サプリメント、食品、化粧品、医薬品、薬用添加剤および飼料からなる群より選ばれる製品の製造における用途を提供することにある。
【0014】
本発明の一つの態様では、補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:1である、補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を提供する。
【0015】
前記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶は、X線粉末回折パターンにおいて、2θ角度4.3°±0.2°、5.7°±0.2°、17.1°±0.2°、17.9°±0.2°、18.9°±0.2°、19.8°±0.2°、20.8°±0.2°、23.1°±0.2°で特徴ピークを有し;特にさらに2θ角度約8.4°±0.2°、9.9°±0.2°、18.6°±0.2°、19.1°±0.2°、27.8°±0.2°、30.3°±0.2°で特徴ピークを有する。より特に、前記補酵素QHとニコチンアミドの共結晶が、基本的に
図1で示されるようなX線粉末回折パターンを有する。
【0016】
特に、前記補酵素QHとニコチンアミドの共結晶は、示差走査熱量分析測定により、10℃/minの速度で昇温する場合、示差走査熱量分析図が約57±2℃で特徴的な吸熱ピークを有し;好ましくは、基本的に
図2で示される示差走査熱量分析図を有する。
【0017】
特に、前記補酵素QHとニコチンアミドの共結晶は、赤外線スペクトルで約3465cm
-1、3170cm
-1、および1697cm
-1で特徴ピークを有し;特にさらに約2964cm
-1、2945cm
-1、2907cm
-1、2847cm
-1、1664cm
-1、1607cm
-1、1445cm
-1、1422cm
-1、1384cm
-1、1280cm
-1、1261cm
-1、1197cm
-1、1164cm
-1、1149cm
-1、1109cm
-1、1009cm
-1、907cm
-1、877cm
-1、795cm
-1、751cm
-1、599cm
-1、475cm
-1で特徴ピークを有し;好ましくは、基本的に
図3で示されるような赤外線スペクトルを有する。
【0018】
第二の態様では、本発明は、以下の方法の一つである、前記補酵素QH共結晶の製造方法を提供する。
【0019】
方法一:補酵素QHとニコチンアミドを溶媒において再結晶し、沈殿、乾燥して補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を得る;
【0020】
方法二:補酵素QHとニコチンアミドを溶媒において10分間以上ボールミルし、さらに得られた固体を乾燥して補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を得る。
【0021】
その中、前記溶媒が、原料に対して一定の溶解度を有するが原料を変質させない溶媒からなる群より選ばれる。好ましくは、前記溶媒が、水、アルコール系、ケトン系、エステル系、アルカン、芳香族炭化水素およびハロゲン化アルカンからなる群より選ばれる一つまたは複数であり;より好ましくは、前記溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルtert-ブチルエーテル、n-ヘキサン、n-ヘプタンからなる群より選ばれる一つまたは複数である。
【0022】
本発明にかかる製造方法は、操作が簡単で、結晶化過程を制御しやすく、結晶化度が高く、かつ再現性がよく、安定的に補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を得る。
【0023】
第三の態様では、本発明は、上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を含む、補酵素QH組成物を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態では、補酵素QH組成物には、本発明の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶に加えて、さらに、過剰量のニコチンアミドを含んでもよく、過剰量の補酵素QHを含んでもよく、その他の添加剤を含んでもよい。すなわち、補酵素QH組成物の原料において、補酵素QHとニコチンアミドのモル比が特に限定されなく、補酵素QH組成物の原料から上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を製造できればよい。例えば、補酵素QH組成物において、補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が2:1~1:2であってもよく、その中の一部の成分が補酵素QHとニコチンアミドの共結晶として存在し、他の部分の成分が遊離体として存在する。好ましくは、補酵素QHの全部を共結晶に形成し、補酵素QHの融点が低く、安定性が悪い欠点を克服する。そして、前記のその他の添加剤は、特に限定されなく、応用目的に応じて変化することができ、例えば、医薬品に適用する場合、薬理学的に許容される添加剤であってもよく;サプリメントに適用する場合、サプリメント的に許容される添加剤であってもよく;食品に適用する場合、食品的に許容される添加剤であってもよく;化粧品に適用する場合、化粧品的に許容される添加剤であってもよく;飼料に適用する場合、飼料的に許容される添加剤であってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記補酵素QH組成物中の補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が2:1である。
【0026】
前記の補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が2:1である補酵素QH組成物は、X線粉末回折パターンにおいて、2θ角度約4.3°±0.2°、5.7°±0.2°、8.4°±0.2°、9.9°±0.2°、17.1°±0.2°、17.9°±0.2°、18.6°±0.2°、18.9°±0.2°、19.1°±0.2°、19.8°±0.2°、20.8°±0.2°、27.8°±0.2°、30.3°±0.2°で特徴ピークを有する。
【0027】
前記補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が2:1である補酵素QH組成物が、基本的に
図4で示されるようなX線粉末回折パターンを有する。
【0028】
前記補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が2:1である補酵素QH組成物は、示差走査熱量分析測定により、10℃/minの速度で昇温する場合、示差走査熱量分析図が約57±2℃で特徴的な吸熱ピークを有し;好ましくは、基本的に
図5で示されるような示差走査熱量分析図を有する。
【0029】
前記補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が2:1である補酵素QH組成物は、赤外線スペクトルで約3465cm
-1、3195cm
-1、2964cm
-1、2945cm
-1、2909cm
-1、2848cm
-1、1696cm
-1、1664cm
-1、1607cm
-1、1445cm
-1、1427cm
-1、1384cm
-1、1280cm
-1、1261cm
-1、1197cm
-1、1164cm
-1、1149cm
-1、1109cm
-1、1009cm
-1、907cm
-1、877cm
-1、795cm
-1、751cm
-1、599cm
-1、475cm
-1で特徴ピークを有し;好ましくは、基本的に
図6で示されるような赤外線スペクトルを有する。
【0030】
別のいくつかの実施形態では、前記補酵素QH組成物中の補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:1.5である。
【0031】
前記の補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:1.5である補酵素QH組成物は、X線粉末回折パターンにおいて、2θ角度約4.3°±0.2°、5.7°±0.2°、8.4°±0.2°、9.9°±0.2°、17.1°±0.2°、17.9°±0.2°、18.6°±0.2°、18.9°±0.2°、19.1°±0.2°、19.8°±0.2°、20.8°±0.2°、27.8°±0.2°、30.3°±0.2°で特徴ピークを有する。
【0032】
前記補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:1.5である補酵素QH組成物が、基本的に
図7で示されるようなX線粉末回折パターンを有する。
【0033】
前記補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:1.5である補酵素QH組成物は、示差走査熱量分析測定により、10℃/minの速度で昇温する場合、示差走査熱量分析図が約57±2℃で特徴的な吸熱ピークを有し;好ましくは、基本的に
図8で示されるような示差走査熱量分析図を有する。
【0034】
前記補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:1.5である補酵素QH組成物は、赤外線スペクトルで約3465cm
-1、3367cm
-1、3167cm
-1、2944cm
-1、2909cm
-1、2845cm
-1、1697cm
-1、1681cm
-1、1619cm
-1、1445cm
-1、1422cm
-1、1384cm
-1、1280cm
-1、1261cm
-1、1197cm
-1、1164cm
-1、1149cm
-1、1109cm
-1、1009cm
-1、907cm
-1、877cm
-1、795cm
-1、751cm
-1、599cm
-1、475cm
-1で特徴ピークを有し;好ましくは、基本的に
図9で示されるような赤外線スペクトルを有する。
【0035】
別のいくつかの実施形態では、前記補酵素QH組成物中の補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:2である。
【0036】
前記の補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:2である補酵素QH組成物は、X線粉末回折パターンにおいて、2θ角度約4.3°±0.2°、5.7°±0.2°、8.4°±0.2°、9.9°±0.2°、14.8°±0.2°、17.1°±0.2°、17.9°±0.2°、18.6°±0.2°、18.9°±0.2°、19.1°±0.2°、19.8°±0.2°、20.8°±0.2°、25.3°±0.2°、25.8°±0.2°、27.3°±0.2°、27.8°±0.2°、30.3°±0.2°で特徴ピークを有する。
【0037】
前記補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:2である補酵素QH組成物が、基本的に
図10で示されるようなX線粉末回折パターンを有する。
【0038】
前記補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:2である補酵素QH組成物は、示差走査熱量分析測定により、10℃/minの速度で昇温する場合、示差走査熱量分析図が約57±2℃で特徴的な吸熱ピークを有し;好ましくは、基本的に
図11で示されるような示差走査熱量分析図を有する。
【0039】
前記補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:2である補酵素QH組成物は、赤外線スペクトルで約3465cm
-1、3367cm
-1、3167cm
-1、2944cm
-1、2909cm
-1、2845cm
-1、1697cm
-1、1681cm
-1、1619cm
-1、1445cm
-1、1422cm
-1、1384cm
-1、1280cm
-1、1261cm
-1、1197cm
-1、1164cm
-1、1149cm
-1、1109cm
-1、1009cm
-1、907cm
-1、877cm
-1、795cm
-1、751cm
-1、599cm
-1、475cm
-1で特徴ピークを有し;好ましくは、基本的に
図12で示されるような赤外線スペクトルを有する。
【0040】
また、別の態様では、本発明は、サプリメント、食品、化粧品、医薬品、薬用添加剤および飼料からなる群より選ばれる製品であって、前記補酵素QHとニコチンアミドの共結晶または上記の補酵素QH組成物を含む、補酵素QH製品を提供する。
【0041】
また、別の態様では、本発明は、前記補酵素QHとニコチンアミドの共結晶または上記の補酵素QH組成物の、サプリメント、食品、化粧品、医薬品、薬用添加剤および飼料からなる群より選ばれる補酵素QH製品の製造における用途を提供する。
【0042】
前記製品には、さらに、この製品に必要なその他の適切な原料を含むことができ、例えば、食品には、食品主材料および食品的に許容される食用可能な食品添加剤(例えば、甘味料、風味剤、防腐剤、香味剤、着色剤等)を含むことができ;化粧品には、化粧品的に許容される化粧品主材料および添加剤(例えば、溶媒、香味剤、防腐剤、香料、着色剤等)を含むことができ;医薬品には、医薬用活性成分および薬理学的に許容される添加剤(例えば、担体、希釈剤、アジュバント、着色剤等)を含むことができ;飼料には、飼料主材料(例えば、豆粕、乾草等)、および飼料的に許容される飼料添加剤(例えば、甘味料、風味剤、防腐剤、香味剤、着色剤等)を含むことができるが、これらに限定しない。
【0043】
上記の製品は、本発明による補酵素QHとニコチンアミドの共結晶または本発明による補酵素QH組成物を添加することにより製造される。本発明の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶または本発明による補酵素QH組成物を添加すること以外、前記製品の製造方法は、その一般的な方法により製造されることができる。
【0044】
本発明におけるX線粉末回折パターンは、Bruker D8 Advanced型番のX線共結晶回折装置を採用して得れたものである。この装置が、Cu-Kα照射(λ=1.54056Å)を採用し、スキャン範囲が2θ区間で3°から40°であり、スキャン速度が5°/分である。
【0045】
示差走査熱量分析法は、TA DSC Q2000装置を採用し、加熱速度が10K/minであった。
【0046】
フーリエ変換赤外線分光計は、Thermo Scientific Nicolet 6700を採用した。
【0047】
ボールミルは、浄信JX-2Gプラネタリーボールミルを採用した。
【0048】
液体クロマトグラフィーは、Agilent 1260 Infinity HPLCを採用した。
【0049】
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態は、単に例示的なものに過ぎず、本発明を限定するものではない。また、本明細書は、前記の先行技術や、発明の内容や以下の実施例に記載された理論によって限定されるものではない。
【0050】
明示的に別段の記載がない限り、本出願書類全体を通しての数値範囲は、その任意のサブ範囲およびその中の所与の値の最小のサブ単位だけ増分された任意の値を含む。明示的に別段の記載がない限り、出願書類全体を通しての数値は、所与の値からの軽微な偏差を含む実施形態の範囲の近似的な尺度または制限を表すとともに、ほぼ言及された値を有する実施形態および言及された正確な値を有する実施形態の範囲の近似的な尺度または制限を表す。詳細な説明の末尾に記載された工作実施例を除いて、添付の特許請求の範囲を含む本出願書類におけるパラメータ(例えば、数量または条件)の値の全部は、「約」が当該値の前に実際に現れるかどうかにかかわらず、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されたものとして理解される。「約」とは、記載された値がわずかに不正確であることが許容されること(値の精度がいくらか近似していること;おおよそ、または値に適度に近いこと;近似値)を意味する。「約」によって提供される不正確さが本技術分野においてこの通常の意味で理解されない場合、本明細書で使用される「約」は、少なくとも、これらのパラメータを測定し使用する通常の方法によって生じ得る変動を示す。例えば、「約」は、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、または0.5%以下、いくつかの態様では0.1%以下の変動を含み得る。
【0051】
明示的に別段の記載がない限り、本出願書類全体を通しての用語「包含」、「含む」、「有する」、「含有」またはその他の類似の用語は、共結晶または製品が、本明細書に列挙された要素に加えて、明示的に列挙されていないが、共結晶または製品に通常固有する他の要素を含み得ることを示す開放式用語である。また、本明細書において、用語「包含」、「含む」、「有する」、「含有」は、具体的に開示されたものとみなされ、「~からなる」や「~から基本的になる」などという閉鎖式接続詞または半閉鎖式接続詞の両方を含むものとみなされる。「基本的に~からなる」とは、本明細書に記載された要素が、共結晶または製品の95%以上、97%以上、ある態様では99%以上を構成することを意味する。
【0052】
有益な効果
本発明は、安定的な補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を提供する。補酵素QHそのものと比較して、この共結晶は、化学的安定性の点から著しく向上させた。本発明で開示される共結晶は、製造方法が簡単で、再現性がよく、コストが低く、環境にやさしく、および制御しやすい利点を有する。そして、本発明で開示される共結晶は、より優れた化学的安定性を有し、さらに補酵素QHの応用範囲を広げることができる。そのため、補酵素QHとニコチンアミドの共結晶は、高い現実応用価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が1:1である)を含む共結晶のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【
図2】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が1:1である)を含む共結晶の示差走査熱量分析(DSC)図である。
【
図3】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が1:1である)を含む共結晶の赤外線スペクトル(IR)図である。
【
図4】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が2:1である)を含む補酵素QH組成物のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【
図5】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が2:1である)を含む補酵素QH組成物の示差走査熱量分析(DSC)図である。
【
図6】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が2:1である)を含む補酵素QH組成物の赤外線スペクトル(IR)図である。
【
図7】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が1:1.5である)を含む補酵素QH組成物のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【
図8】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が1:1.5である)を含む補酵素QH組成物の示差走査熱量分析(DSC)図である。
【
図9】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が1:1.5である)を含む補酵素QH組成物の赤外線スペクトル(IR)図。
【
図10】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が1:2である)を含む補酵素QH組成物のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【
図11】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が1:2である)を含む補酵素QH組成物の示差走査熱量分析(DSC)図である。
【
図12】本発明で提供される補酵素QHとニコチンアミド(両方の化学量論比が1:2である)を含む補酵素QH組成物の赤外線スペクトル(IR)図である。
【
図13】本発明中の実施例1で製造された補酵素QHそのものの示差走査熱量分析(DSC)図である。
【
図14】本発明で提供される比較例1の示差走査熱量分析(DSC)図である。
【
図15】本発明で提供される比較例2の示差走査熱量分析(DSC)図である。
【
図16】本発明で提供される比較例3の示差走査熱量分析(DSC)図である。
【
図17】本発明で提供される比較例4の示差走査熱量分析(DSC)図である。
【
図18】本発明で提供される比較例5の示差走査熱量分析(DSC)図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の目的、技術案および利点をさらに明らかにするために、以下、図面および実施例を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。なお、ここで記載される具体的な実施例は、本発明を釈明するためのみに使用され、本発明を限定しない。
【実施例】
【0055】
実施例1
100gの95%エタノール中に10gの酸化型補酵素Q10、6gのL-アスコルビン酸を加入し、78℃で撹拌し還元反応を行い、20時間後、0℃までに冷却し、この温度で維持しながら引き続き1時間撹拌し、減圧濾過した。濾過ケーキを95%エタノールで3回リンスし、減圧乾燥して白色共結晶を得た。減圧乾燥以外、すべての操作が窒素保護で行った。得られた試料中の補酵素QH/酸化型補酵素Q10の重量比が99.2/0.8であった。
【0056】
この粉末が示差走査熱量分析(DSC)により検出し、結果が
図13で示される。
図13からわかるように、QHが約49℃で特徴的な吸熱ピークを有する。
【0057】
実施例2
0.4gのニコチンアミドと1gの実施例1で得られた補酵素QHを10mlのイソプロパノール/酢酸イソプロピル=1/1の溶媒中に加入し、40℃で清澄となるまで撹拌し、再結晶して白色沈殿物を得て、ブフナー漏斗により沈殿物を濾過し、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を得た。
【0058】
高速液体クロマトグラフィー方法により、得られた補酵素QHとニコチンアミドの共結晶中の補酵素QHとニコチンアミドの含有量をそれぞれ測定し、補酵素QHの含有量が約86.1%、ニコチンアミドの含有量が約12.6%であり、それにより、この共結晶中、補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が約1:1であることを分かった。
【0059】
この共結晶を、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量分析(DSC) および赤外線(IR)スペクトル等の固形方法により表現した。結果が、それぞれ、
図1-
図3で示される。
【0060】
図1で示されるように、前記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶は、X線粉末回折パターンにおいて、2θ角度約4.3°、5.7°、8.4°、9.9°、17.1°、17.9°、18.6、18.9°、19.1°、19.8°、20.8°、23.1°、27.8°、30.3°等で特徴ピークを有する。
【0061】
図2で示されるように、前記補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の示差走査熱量分析図が約57℃で特徴的な吸熱ピークを有する。
【0062】
図3で示されるように、前記補酵素QHとニコチンアミドの共結晶は、赤外線スペクトルで約3465cm
-1、3170cm
-1、2964cm
-1、2945cm
-1、2907cm
-1、2847cm
-1、1697cm
-1、1664cm
-1、1607cm
-1、1445cm
-1、1422cm
-1、1384cm
-1、1280cm
-1、1261cm
-1、1197cm
-1、1164cm
-1、1149cm
-1、1109cm
-1、1009cm
-1、907cm
-1、877cm
-1、795cm
-1、751cm
-1、599cm
-1、475cm
-1で特徴ピークを有する。
【0063】
実施例3
0.122gのニコチンアミドと0.87gの実施例1で得られた補酵素QHを2mlのエタノール中に加入し、60℃で清澄となるまで撹拌し、再結晶して白色固体を得て、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を得た。
【0064】
高速液体クロマトグラフィー方法により、得られた補酵素QHとニコチンアミドの共結晶中の補酵素QHとニコチンアミドの含有量をそれぞれ測定し、補酵素QHの含有量が約84.0%、ニコチンアミドの含有量が約11.8%であり、それにより、この共結晶中、補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が約1:1であることを分かった。
【0065】
この共結晶を、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量分析(DSC)および赤外線(IR)スペクトル等の固形方法により表現した。結果が、実施例2の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の検出結果とそれぞれ基本的に一致した。
【0066】
実施例4
0.244gのニコチンアミドと1.72gの実施例1で得られた補酵素QHをボールミル缶に加入し、1mlのエタノールを加入し、2時間ボールミルし、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を得た。
【0067】
この共結晶を、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量分析(DSC) および赤外線(IR)スペクトル等の固形方法により表現した。結果が、実施例2の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の検出結果とそれぞれ基本的に一致した。
【0068】
実施例 5
0.244gのニコチンアミドと1.72gの実施例1で得られた補酵素QHをボールミル缶に加入し、1mlのエタノール/酢酸エチル=1/1の溶媒を加入し、2時間ボールミルし、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を得た。
【0069】
この共結晶を、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量分析(DSC) および赤外線(IR)スペクトル等の固形方法により表現した。結果が、実施例2の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の検出結果とそれぞれ一致した。
【0070】
実施例6
0.122gのニコチンアミドと1.72gの実施例1で得られた補酵素QHをボールミル缶に加入し、1mlのエタノールを加入し、2時間ボールミルし、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が2:1である補酵素QH組成物を得た。
【0071】
この補酵素QH組成物を、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量分析(DSC) および赤外線(IR)スペクトル等の固形方法により表現した。結果が、それぞれ、
図4-
図6で示される。
【0072】
図4のX線粉末回折(XRPD)パターンからわかるように、前記補酵素QH組成物は、XRPDパターンにおいて、2θ角度約4.3°、5.7°、17.1°、17.9°、18.9°、19.8°、20.8°、23.1°で上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の特徴ピークを有し、前記補酵素QH組成物に上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を含有することを示した。
【0073】
図5の示差走査熱量分析(DSC)図からわかるように、前記補酵素QH組成物の示差走査熱量分析図が約50℃-60℃で特徴的な吸熱ピークを有し、その中、前の一つのピークが補酵素QHの熔融ピークと基本的に一致し、後の一つのピークが上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶とほぼ一致した。この組成物が補酵素QHおよび補酵素QHとニコチンアミドの共結晶とともに形成されたことを示した。
【0074】
図6の赤外線スペクトルからわかるように、前記補酵素QH組成物は、赤外線スペクトルで約3465cm
-1、3170cm
-1、1697cm
-1で上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の特徴ピークを有し、前記補酵素QH組成物に上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を含有することを示した。
【0075】
実施例7
0.366gのニコチンアミドと1.72gの実施例1で得られた補酵素QHをボールミル缶に加入し、1mlのエタノールの溶媒を加入し、2時間ボールミルし、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:1.5である補酵素QH組成物を得た。
【0076】
この補酵素QH組成物を、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量分析(DSC) および赤外線(IR)スペクトル等の固形方法により表現した。結果が、それぞれ、
図7-
図9で示される。
【0077】
図7のX線粉末回折(XRPD)パターンからわかるように、前記補酵素QH組成物は、XRPDパターンにおいて、2θ角度約4.3°、5.7°、17.1°、17.9°、18.9°、19.8°、20.8°、23.1°で上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の特徴ピークを有し、前記補酵素QH組成物に上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を含有することを示した。
【0078】
図8の示差走査熱量分析(DSC)図からわかるように、前記補酵素QH組成物の示差走査熱量分析図が約56℃で特徴的な吸熱ピークを有し、上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶とほぼ一致した。
【0079】
図9の赤外線スペクトルからわかるように、前記補酵素QH組成物は、赤外線スペクトルで約3465cm
-1、3170cm
-1、1697cm
-1で上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の特徴ピークを有し、前記補酵素QH組成物に上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を含有することを示した。同時に、3368cm
-1でニコチンアミドの特徴ピークを有し、この組成物がニコチンアミドおよび補酵素QHとニコチンアミドの共結晶とともに形成されたことを示した。
【0080】
実施例8
0.488gのニコチンアミドと1.72gの実施例1で得られた補酵素QHをボールミル缶に加入し、1mlのエタノールの溶媒を加入し、2時間ボールミルし、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、補酵素QHとニコチンアミドの化学量論比が1:2である補酵素QH組成物を得た。
【0081】
この補酵素QH組成物を、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量分析(DSC) および赤外線(IR)スペクトル等の固形方法により表現した。結果が、それぞれ、
図10-
図12で示される。
【0082】
図10のX線粉末回折(XRPD) パターンからわかるように、前記補酵素QH組成物は、XRPDパターンにおいて、2θ角度約4.3°、5.7°、17.1°、17.9°、18.9°、19.8°、20.8°、23.1°で上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の特徴ピークを有し、前記補酵素QH組成物に上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を含有することを示した。
【0083】
図11の示差走査熱量分析(DSC)図からわかるように、前記補酵素QH組成物の示差走査熱量分析図が約56℃で特徴的な吸熱ピークを有し、上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶とほぼ一致した。
【0084】
図12の赤外線スペクトルからわかるように、前記補酵素QH組成物は、赤外線スペクトルで約3465cm
-1、3170cm
-1、1697cm
-1で上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶の特徴ピークを有し、前記補酵素QH組成物に上記の補酵素QHとニコチンアミドの共結晶を含有することを示した。同時に、3368cm
-1でニコチンアミドの特徴ピークを有し、この組成物がニコチンアミドおよび補酵素QHとニコチンアミドの共結晶とともに形成されたことを示した。
【0085】
実施例9(補酵素QHそのものと本発明で記載の補酵素QH共結晶の安定性との比較)
実施例1で得られた補酵素QHと、実施例4-6で得られた補酵素QHとニコチンアミドの共結晶または補酵素QH組成物を採用して行った。
【0086】
実施例1で得られた補酵素QHと、実施例4-6で得られた補酵素QHとニコチンアミドを含む共結晶に関して、安定性差異の比較を行った。実施例1で得られた補酵素QHと、実施例4-6で得られた補酵素QH共結晶を25℃/60%相対湿度の条件で、開放し、遮光保存した。HPLCにより補酵素QHと酸化型補酵素Q10の重量比を分析した。結果が表1で示される。
【0087】
【0088】
上記の結果から示されるように、実施例1で製造した補酵素QHと比較して、本発明で開示される補酵素QH組成物または共結晶が、より優れた安定性を有し、特に酸素に対する保護措施を採用しない条件でも、依然として長期間にわたって安定を維持することができる。それにより、本発明で記載の補酵素QH共結晶が、補酵素QHそのものと比較して、安定性を著しく向上させたことを示した。
【0089】
比較例1
0.244gのニコチン酸と1.72gの実施例1で得られた補酵素QHをボールミル缶に加入し、1mlのエタノールを加入し、2時間ボールミルし、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、黄色粉末を得た。
【0090】
この粉末が示差走査熱量分析(DSC)により検出し、結果が
図14で示されるように、QHそのものと比較して、融点での明らかな差異がなかった。
【0091】
比較例2
0.752gのリボフラビンと1.72gの実施例1で得られた補酵素QHをボールミル缶に加入し、1mlのエタノールを加入し、2時間ボールミルし、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、黄色粉末を得た。
【0092】
この粉末が示差走査熱量分析(DSC)により検出し、結果が
図15で示されるように、QHそのものと比較して、融点での明らかな差異がなかった。
【0093】
比較例3
0.477gのパントテン酸カルシウムと1.72gの実施例1で得られた補酵素QHをボールミル缶に加入し、1mlのエタノールを加入し、2時間ボールミルし、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、近白色粉末を得た。
【0094】
この粉末が示差走査熱量分析(DSC)により検出し、結果が
図16で示されるように、QHそのものと比較して、融点での明らかな差異がなかった。
【0095】
比較例4
0.882gの葉酸と1.72gの実施例1で得られた補酵素QHをボールミル缶に加入し、1mlのエタノールを加入し、2時間ボールミルし、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、黄色粉末を得た。
【0096】
この粉末が示差走査熱量分析(DSC)により検出し、結果が
図17で示されるように、QHそのものと比較して、融点での明らかな差異がなかった。
【0097】
比較例5
0.352gのアスコルビン酸と1.72gの実施例1で得られた補酵素QHをボールミル缶に加入し、1mlのエタノールを加入し、2時間ボールミルし、固体を真空乾燥ボックスにおいて12時間室温乾燥し、近白色粉末を得た。
【0098】
この粉末が示差走査熱量分析(DSC)により検出し、結果が
図18で示されるように、QHそのものと比較して、融点での明らかな差異がなかった。
【0099】
上記の結果から、ニコチン酸、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、葉酸およびアスコルビン酸は、いずれも補酵素QHと共結晶を形成してその安定性を改善することができないことを分かった。
【国際調査報告】