(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】クラッシャーシステムにおける過負荷事象を検出およびハンドリングするためのシステム
(51)【国際特許分類】
B02C 2/04 20060101AFI20240227BHJP
B02C 25/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B02C2/04
B02C25/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555304
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2022056036
(87)【国際公開番号】W WO2022189507
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516067058
【氏名又は名称】メトソ・アウトテック・フィンランド・オーワイ
【氏名又は名称原語表記】Metso Outotec Finland Oy
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニエミネン、パーボ
(72)【発明者】
【氏名】ペルトネン、ミカ
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
【Fターム(参考)】
4D063BB06
4D067FF13
4D067GB04
(57)【要約】
本発明は、クラッシャーシステムにおける過負荷事象を検出およびハンドリングするためのシステムに関する。システムは、材料の粉砕のためのクラッシャーを備えるクラッシャーシステムを備える。クラッシャーは、クランピング構成体と、クランピング構成体のクランピング圧力を測定するように構成されているクランピング圧力センサーとを備える。処理ユニットは、クランピング圧力センサーに通信可能に接続可能であり、処理ユニットは、受信されるクランピング圧力信号に基づいて、クラッシャーシステムの動作パラメーターを調節するアラーム信号および/または指示を出力するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッシャーシステムにおける過負荷事象を検出及びハンドリングするためのシステムであって、前記システムは材料の粉砕のためのクラッシャーシステムを備え、前記クラッシャーシステムは、材料の粉砕のためのクラッシャーを備え、
前記クラッシャーは、
クラッシャーフレームと、
ボウルねじ山を備えるクラッシャーボウルと、
前記クラッシャーの設定値を調節するための調節リングと、ここで、前記調節リングは、前記ボウルねじ山と係合するように構成されており、
前記調節リングと一緒に前記ボウルねじ山をクランプするように構成されているクランピング構成体と、
前記クラッシャーフレームと接触して前記調節リングを保持するように構成されている保護シリンダーと、ここで、過負荷事象において、前記保護シリンダーは、前記調節リングが前記クラッシャーフレームに対して移動することを可能にするものであり、
を備え、
前記システムは、
前記クランピング構成体のクランピング圧力を測定するように構成されているクランピング圧力センサーと、
前記クランピング圧力センサーに通信可能に接続可能な処理ユニットと
をさらに備え、
前記処理ユニットは、
- 前記クランピング圧力センサーからクランピング圧力信号を受信するように構成されており、ここで、前記クランピング圧力信号は、前記クランピング圧力センサーによって測定される1つ又は複数のクランピング圧力を示し、
- 過負荷事象を検出するために、受信された前記クランピング圧力信号をクランピング圧力閾値と比較するように構成されており、
- 受信された前記クランピング圧力信号が前記クランピング圧力閾値を超える場合には、前記クラッシャーシステムの動作パラメーターを調節するアラーム信号及び/又は指示を出力するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記クラッシャーシステムは、破砕されることとなる材料を前記クラッシャーに給送するための給送システムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記クランピング圧力閾値は、手動で調節可能である、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理ユニットは、
- 期間内の複数のクランピング圧力ピークを示すクランピング圧力信号を受信するようにさらに構成されており、
- クランピング圧力ピーク値を識別するために、前記クランピング圧力センサーから受信される前記クランピング圧力信号を処理するようにさらに構成されており、
- 過負荷事象を検出するために、前記クランピング圧力ピーク値をクランピング圧力閾値と比較するようにさらに構成されており、
- 前記クランピング圧力ピーク値のうちの1つ又は複数が前記クランピング圧力閾値を超える場合には、前記クラッシャーシステムの動作パラメーターを調節する前記アラーム信号及び/又は前記指示を出力するようにさらに構成されている、請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記クラッシャーシステムは、前記処理ユニットによる前記指示に基づいて前記動作パラメーターを調節し、前記処理ユニットは、
- 期間内の複数のクランピング圧力ピークを示すクランピング圧力信号を受信するようにさらに構成されており、
- クランピング圧力ピーク値を識別するために、前記クランピング圧力センサーから受信される前記クランピング圧力信号を処理するようにさらに構成されており、
- 前記クランピング圧力ピーク値をクランピング圧力閾値と比較するようにさらに構成されており、
- 前記クランピング圧力ピーク値が前記クランピング圧力閾値を超えない場合には、前記指示による調節を逆にするために前記動作パラメーターを調節する逆の指示を出力するようにさらに構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理ユニットは、
- クランピング圧力信号を受信するようにさらに構成されており、
- 前記クランピング構成体の通常動作クランピング圧力を取得するために、受信された前記クランピング圧力信号を分析するようにさらに構成されており、
- 前記クランピング構成体の前記通常動作クランピング圧力に基づいて前記クランピング圧力閾値を設定するようにさらに構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理ユニットは、
- 過負荷事象を検出するために、受信された前記クランピング圧力信号をパッキングクランピング圧力閾値及びトランプクランピング圧力閾値と比較するようにさらに構成されており、
- 前記パッキングクランピング圧力閾値を超えた場合には、パッキングアラーム信号を出力するようにさらに構成されており、
- 前記トランプクランピング圧力閾値を超えた場合には、トランプアラーム信号を出力するようにさらに構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理ユニットは、
- 受信された前記クランピング圧力信号が前記クランピング圧力閾値を超える場合には、前記クラッシャーシステムの動作を停止させるための停止指示を出力するようにさらに構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記クラッシャーシステムは、前記クラッシャーを通して材料を再循環させるための再循環システムをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記再循環システムは、再循環させられている材料の1つ又は複数の特質をセンシングするための1つ又は複数の材料センサーを備え、前記1つ又は複数の材料センサーは、前記処理ユニットに通信可能に接続可能であり、前記処理ユニットは、
- 前記1つ又は複数の材料センサーから材料信号を受信するようにさらに構成されており、
- 受信された前記クランピング圧力信号が前記クランピング圧力閾値を周期的に超える場合には、再循環させられている材料の1つ又は複数の特質を取得するために、受信された前記材料信号を処理するようにさらに構成されており、
- 再循環させられている材料の前記1つ又は複数の特質に基づいて、トランプ事象が起こったというアラーム信号を出力するか、又は、パッキング事象が起こったというアラーム信号を出力するかのいずれかを行うようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
クラッシャーシステムを備えるシステムにおける過負荷事象を検出及びハンドリングするためのコンピューター実装方法であって、前記クラッシャーシステムはクラッシャーを備え、
前記クラッシャーは、
クラッシャーフレームと、
ボウルねじ山を備えるクラッシャーボウルと、
前記クラッシャーの設定値を調節するための調節リングと、ここで、前記調節リングは、前記ボウルねじ山とクランピング係合するように構成されており、
前記調節リングと一緒に前記ボウルねじ山をクランプするように構成されているクランピング構成体と、
前記クラッシャーフレームと接触して前記調節リングを保持するように構成されている保護シリンダーと、ここで、過負荷事象において、前記保護シリンダーは前記調節リングが前記クラッシャーフレームに対して移動することを可能にするものであり、を備え、
前記システムは、前記クランピング構成体のクランピング圧力を測定するように構成されているクランピング圧力センサーをさらに備え、
前記コンピューター実装方法は、
- 前記クランピング圧力センサーからクランピング圧力信号を受信するステップと、ここで、前記クランピング圧力信号は、前記クランピング圧力センサーによって測定される1つ又は複数のクランピング圧力を示し、
- 受信された前記クランピング圧力信号をクランピング圧力閾値と比較するステップと、
- 受信された前記クランピング圧力信号が前記クランピング圧力閾値を超える場合には、前記クラッシャーシステムの動作パラメーターを調節するアラーム信号及び/又は指示を出力するステップと、を備える、コンピューター実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッシャーシステムにおける過負荷事象を検出およびハンドリングするためのシステムに関し、また、クラッシャーシステムを備えるシステムにおける過負荷事象を検出およびハンドリングするためのコンピューター実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料(たとえば、鉱物および鉱石など)の粉砕において使用されるクラッシャーは、高価であり、高い効率を実現するためにほとんど一定に稼働することを必要とされる。したがって、わずかな休止期間でも、コストがかかる可能性がある。
【0003】
いくつかのクラッシャー(たとえば、Metsoによって作製されるNordberg HPシリーズのコーンクラッシャーなど)は、クラッシャーフレームを備えて製造されている。クラッシャーの設定値を調節するための調節リングが、クラッシャーフレームの上に載っている。調節リングは、クラッシャーのクラッシャーボウルに係合されている。調節リングは、クランピング構成体によってクラッシャーボウルにクランプされている。そのようなクラッシャーの動作の間に、調節リングは、保護シリンダーによってクラッシャーフレームと接触した状態に維持される。しかし、過負荷事象の間に、クラッシャーがクラッシャーの中の材料を破砕することができない場合、保護シリンダーは、過負荷事象を解決するために、調節リングがクラッシャーフレームに対して移動することを可能にする。
【0004】
過負荷事象に伴う問題を解決するために多大な労力が払われてきたが、材料の破砕に関与する大きな力に起因して、過負荷事象の間にクラッシャーが損傷を受けるリスクが依然として存在している。過負荷事象の間にクラッシャーが損傷を受けることは、クラッシャーの休止時間および/またはクラッシャーの故障につながる可能性がある。
【0005】
したがって、過負荷事象によって引き起こされる悪影響を最小化することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様によれば、本開示は、クラッシャーシステムにおける過負荷事象を検出およびハンドリングするためのシステムであって、システムは、材料の粉砕のためのクラッシャーシステムを備え、クラッシャーシステムは、
材料の粉砕のためのクラッシャーを備え、クラッシャーは、
クラッシャーフレームと、
ボウルねじ山を備えるクラッシャーボウルと、
クラッシャーの設定値を調節するための調節リングと、ここにおいて、調節リングは、ボウルねじ山と係合するように構成されている、
調節リングと一緒にボウルねじ山をクランプするように構成されているクランピング構成体と、
クラッシャーフレームと接触して調節リングを保持するように構成されている保護シリンダーと、ここにおいて、過負荷事象において、保護シリンダーは、調節リングがクラッシャーフレームに対して移動することを可能にする、
を備え、
システムは、
クランピング構成体のクランピング圧力を測定するように構成されているクランピング圧力センサーと、
クランピング圧力センサーに通信可能に接続可能な処理ユニットと
をさらに備え、
処理ユニットは、
- クランピング圧力センサーからクランピング圧力信号を受信するように構成されており、
- 過負荷事象を検出するために、受信されたクランピング圧力信号をクランピング圧力閾値と比較するように構成されており、
- 受信されたクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値を超える場合には、クラッシャーシステムの動作パラメーターを調節するアラーム信号および/または指示を出力するように構成されている、システムに関する。
【0007】
結果的に、クラッシャーシステムにおける過負荷事象をハンドリングおよび検出するための自動的で簡単なシステムが提供される。過負荷事象は、たとえば、材料のパッキングに起因して、または、破砕不可能な材料に起因して、クラッシャーが材料を破砕することができない事象として理解されるべきである。クラッシャーは、コーンクラッシャー、ジャイレートリークラッシャー、または、上述のパーツを備える任意のクラッシャーであることが可能である。クランピング圧力センサーは、クランピング圧力を測定することができる任意のセンサーであることが可能である。処理ユニットは、外部デバイス(たとえば、アラームランプ、ラウドスピーカー、またはスマートデバイス)に通信可能になっていることが可能である。アラーム信号は、外部デバイス(たとえば、スマートデバイスの上での通知、アラームランプからの点滅光、または、ラウドスピーカーからの聴覚アラーム)を介して、過負荷事象の検出についてオペレーターに通知することが可能である。指示は、クラッシャーの動作パラメーター(たとえば、クラッシャーの設定値)を調節する、クラッシャーに与えられる指示であることが可能である。設定値は、クラッシャーの破砕ギャップである。出力される指示は、クラッシャーシステムに(たとえば、クラッシャーに接続されているコントローラーに)直接的に出力されることが可能である。コントローラーは、クラッシャーの動作パラメーターを調節するように構成されている。また、指示は、オペレーターのためのものであることも可能であり、その指示は、次いで、どのように動作パラメーターを調節するかについてオペレーターに指示する。指示は、受信されるクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値を超えないようになるまで、動作パラメーターを徐々に変化させるための指示であることが可能であり、たとえば、過負荷事象が解決されるまでクラッシャーの設定値を徐々に増加させる指示であることが可能である。処理ユニットは、クランピング圧力信号、アラーム信号、および/または指示のログをとるためのデータベースを備えることが可能である。クランピング圧力信号は、クランピング圧力センサーによって測定される1つまたは複数のクランピング圧力を示すデータを含有する。また、処理ユニットは、クランピング圧力センサーによって測定される複数のクランピング圧力を示す複数のクランピング圧力信号を受信することが可能である。代替的に、処理ユニットは、クラッシャーシステムの動作の間に連続的に複数のクランピング圧力信号を受信することが可能である。
【0008】
ある実施形態において、クラッシャーシステムは、破砕されることとなる材料をクラッシャーに給送するための給送システムをさらに備える。
【0009】
クラッシャーシステムが給送システムを備えることは、給送システムの動作パラメーター(たとえば、フィード速度、フィードを停止すること、または、フィードホッパーレベルを低下させること)を調節するための指示を可能にする。給送システムは、材料をクラッシャーに搬送するための1つまたは複数のコンベヤーベルトを備えることが可能である。給送システムは、材料をクラッシャーに給送するためのフィードホッパーを備えることが可能である。
【0010】
ある実施形態において、クランピング圧力閾値は、手動で調節可能である。
【0011】
クランピング圧力閾値は、現場のオペレーターによって調節されることが可能である。代替的に、現場外のオペレーターが、閾値を調節することも可能である。また、クランピング圧力閾値は、オペレーターによって除去されることも可能であり、または、追加的な閾値がオペレーターによって追加されることも可能である。クランピング圧力閾値を手動で調節する可能性を有することは、クラッシャーシステムのオペレーターにより大きな自由度を与え、一方では、オペレーター自身の専門的技術および知識がクランピング圧力閾値を設定するのに役立つことも可能にする。
【0012】
ある実施形態において、処理ユニットは、
- 期間内の複数のクランピング圧力ピークを示すクランピング圧力信号を受信するようにさらに構成されており、
- クランピング圧力ピーク値を識別するために、クランピング圧力センサーから受信されるクランピング圧力信号を処理するようにさらに構成されており、
- 過負荷事象を検出するために、クランピング圧力ピーク値をクランピング圧力閾値と比較するようにさらに構成されており、
- 2つ以上のクランピング圧力ピーク値がクランピング圧力閾値を超える場合には、クラッシャーシステムの動作パラメーターを調節するアラーム信号および/または指示を出力するようにさらに構成されている。
【0013】
2つ以上のクランピング圧力ピーク値が閾値を上回る場合に、クラッシャーシステムの動作パラメーターを調節するアラーム信号および/または指示が出力されるようにすることは、異常値が誤ったアラーム信号および/または指示につながらないことを保証することが可能である。そのうえ、いくつかのケースでは、1つのクランピング圧力ピーク値のみが閾値を超えたことが検出された場合には、それは、過負荷事象が自分自身によって解決されたことを示している可能性があり、したがって、アラーム信号および/または指示の必要性をなくす。閾値を超えるクランピング圧力ピーク値は、処理ユニットによってログをとられることが可能であり、閾値を超えるクランピング圧力ピーク値をオペレーターが再検討することを可能にする。クランピング圧力ピーク値は、処理ユニットによって実施されるピーク発見アルゴリズムによって識別されることが可能である。期間は、処理ユニットによって設定されることが可能であり、または、期間は、クラッシャーシステムの連続的なモニタリングを可能にするために連続的な期間であることが可能である。代替的に、期間は、クラッシャーシステムのオペレーターによって設定されることが可能である。処理ユニットは、期間内の複数のクランピング圧力を示す複数のクランピング圧力信号を受信することが可能である。
【0014】
ある実施形態において、クラッシャーシステムは、処理ユニットによる指示に基づいて動作パラメーターを調節し、処理ユニットは、
- 期間内の複数のクランピング圧力ピークを示すクランピング圧力信号を受信するようにさらに構成されており、
- クランピング圧力ピーク値を識別するために、クランピング圧力センサーから受信されるクランピング圧力信号を処理するようにさらに構成されており、
- クランピング圧力ピーク値をクランピング圧力閾値と比較するようにさらに構成されており、
- クランピング圧力ピーク値がクランピング圧力閾値を超えない場合には、指示による調節を逆にするために動作パラメーターを調節する逆の指示を出力するようにさらに構成されている。
【0015】
したがって、システムは、前の指示によって変化させられた動作パラメーターを自動的に逆にすることが可能である。さらに、完全に自動的なシステムを促進させる。逆の指示は、動作パラメーターを部分的にまたは完全に逆にすることが可能である。逆の指示は、調節された動作パラメーターが時間の経過とともに徐々に逆にされるための指示であることが可能である。処理ユニットは、期間内の複数のクランピング圧力を示す複数のクランピング圧力信号を受信することが可能である。
【0016】
ある実施形態において、処理ユニットは、
- クランピング圧力信号を受信するようにさらに構成されており、
- クランピング構成体の通常動作クランピング圧力を取得するために、クランピング圧力信号を分析するようにさらに構成されており、
- クランピング構成体の通常動作クランピング圧力に基づいてクランピング圧力閾値を設定するようにさらに構成されている。
【0017】
したがって、システムは、通常動作クランピング圧力を見出すために、簡単な機械学習アルゴリズムを実施することができ、さらに、完全に自動的なシステムを促進させることが可能である。機械学習アルゴリズムアーキテクチャーは、複数のトレーニングクランピング圧力を備えるトレーニングデータセットを評価することによってトレーニングされることが可能である。複数のトレーニングクランピング圧力は、クラッシャーシステムの以前の動作によって取得されることが可能である。トレーニングクランピング圧力のそれぞれは、クランピング圧力が所望の動作に関連付けられたかまたは望ましくない動作に関連付けられたかを示すために、それらに付けられたスコアを有することが可能である。スコアは、専門家によって割り当てられることが可能であり、すなわち、機械学習アルゴリズムは、教師あり学習モデルであることが可能である。スコアは、バイナリースコア(たとえば、悪い/良い)、または、(たとえば、0から100までの)スケールの上のスコアであることが可能である。機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワーク(たとえば、深層学習アーキテクチャーなど)に基づくことが可能である。代替的に、クランピング構成体の通常動作クランピング圧力に基づくクランピング圧力閾値セットは、通常動作クランピング圧力から通常動作クランピング圧力の1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の標準偏差を超えるクランピング圧力として設定されることが可能である。
【0018】
ある実施形態において、処理ユニットは、
- 過負荷事象を検出するために、受信されたクランピング圧力信号をパッキングクランピング圧力閾値およびトランプ(tramp)クランピング圧力閾値と比較するようにさらに構成されており、
- パッキングクランピング圧力閾値を超えた場合には、パッキングアラーム信号を出力するようにさらに構成されており、
- トランプクランピング圧力閾値を超えた場合には、トランプアラーム信号を出力するようにさらに構成されている。
【0019】
処理ユニットがトランプアラーム信号またはパッキングアラーム信号のいずれかを出力することは、過負荷事象を引き起こしたもののより正確な査定を与えるのに役立つ可能性がある。トランプアラーム信号およびパッキングアラーム信号は、好ましくは、異なるアラームにつながり、たとえば、トランプアラーム信号は、異なるメッセージが表示されること、アラームランプの異なるライトスキーム、および/または、パッキングアラーム信号のものとは異なる聴覚信号につながる。パッキングクランピング圧力およびトランプクランピング圧力閾値は、異なる圧力値を有することが可能である。一般的に、トランプクランピング圧力閾値は、パッキングクランピング圧力閾値よりも高い。いくつかの実施形態において、処理ユニットは、両方の圧力閾値を超えた場合には、最も高い閾値に関係付けられるアラーム信号のみを出力するようにさらに構成されることが可能である。
【0020】
ある実施形態において、処理ユニットは、
- 受信されたクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値を超える場合には、クラッシャーシステムの動作を停止させるための停止指示を出力するようにさらに構成されている。
【0021】
クラッシャーの動作を停止させることは、過負荷事象によって引き起こされるクラッシャーシステムへの損傷を制限して最小化することが可能である。停止指示は、クラッシャーシステム全体、または、クラッシャーシステムの少なくとも一部の動作を停止させることが可能であり、たとえば、クラッシャーシステムが給送システムとクラッシャーとを備える場合には、停止指示は、給送システムもしくはクラッシャーのみの動作を停止させるか、または、給送システムとクラッシャーの両方の動作を停止させることが可能である。いくつかの実施形態において、停止指示は、受信されたクランピング圧力閾値が停止クランピング圧力閾値を超える場合にのみ出力される。停止クランピング圧力閾値は、クランピング圧力閾値以外の追加的な閾値であることが可能である。停止クランピング圧力閾値は、好ましくは、クランピング圧力閾値よりも大きな値を有する閾値である。
【0022】
ある実施形態において、クラッシャーシステムは、クラッシャーを通して材料を再循環させるための再循環システムをさらに備える。
【0023】
再循環システムを備えるクラッシャーシステムを有することは、再循環システムの動作パラメーター(たとえば、再循環速度、または、再循環を停止させること)を調節するための指示を可能にする。再循環システムは、材料の所望の粒度を実現するために、クラッシャーによって放出されてクラッシャーを再び通る材料を搬送するための1つまたは複数のコンベヤーベルトを備えることが可能である。
【0024】
ある実施形態において、再循環システムは、再循環させられている材料の1つまたは複数の特質をセンシングするための1つまたは複数の材料センサーを備え、1つまたは複数の材料センサーは、処理ユニットに通信可能に接続可能であり、処理ユニットは、
- 1つまたは複数の材料センサーから材料信号を受信するようにさらに構成されており、
- 受信されたクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値を周期的に超える場合には、再循環させられている材料の1つまたは複数の特質を取得するために、受信された材料信号を処理するようにさらに構成されており、
- 再循環させられている材料の1つまたは複数の特質に基づいて、トランプ事象が起こったというアラーム信号を出力するか、または、パッキング事象が起こったというアラーム信号を出力するかのいずれかを行うようにさらに構成されている。
【0025】
再循環システムに1つまたは複数の材料センサーを提供することは、より精密な推定(パッキング材料または破砕不可能な材料が過負荷事象を引き起こしたかどうか)を可能にすることができる。1つまたは複数の材料センサーは、金属検出器、超音波センサー、X線センサー、重量センサーなどであることが可能である。1つまたは複数の材料センサーは、再循環させられている材料の形状、材料タイプ、重量、または材料組成をセンシングするように構成されることが可能である。処理ユニットによって受信される材料信号は、クラッシャーシステムの動作の間に連続的に受信される複数の材料信号であることが可能である。代替的に、処理ユニットは、クランピング圧力信号がクランピング圧力閾値を超えることに続いて、設定された期間のみにわたって受信される複数の材料信号を受信することが可能である。この複数の材料信号が周期的に戻る場合には、それは、トランプ材料などの再循環の徴候である可能性がある。また、材料信号は、再循環させられている材料の1つまたは複数の特質のスナップショットを与える単一の材料信号のみであることが可能である。処理ユニットは、過負荷事象と過負荷事象を引き起こした材料が材料センサーを通過するときとの間の時間遅れに対処するために、設定された時間の期間にわたって複数の材料信号を処理するように構成されることが可能である。処理ユニットは、クラッシャーシステムの動作パラメーターを調節するための指示を最初に出力し、その後に、材料信号を処理し、そして、再循環させられている材料の取得された1つまたは複数の特質に基づいて、アラーム信号を出力するように構成されることが可能である。処理ユニットは、再循環させられている材料の中に金属が検出される場合には、トランプアラーム信号を出力し、または、再循環させられている材料の中に金属が検出されない場合には、パッキングアラーム信号を出力するように構成されることが可能である。
【0026】
第2の態様によれば、本発明は、クラッシャーシステムを備えるシステムにおける過負荷事象を検出およびハンドリングするためのコンピューター実装方法であって、クラッシャーシステムは、クラッシャーを備え、クラッシャーは、クラッシャーフレームと、ボウルねじ山を備えるクラッシャーボウルと、クラッシャーの設定値を調節するための調節リングと、ここにおいて、調節リングは、ボウルねじ山とクランピング係合するように構成されている、調節リングと一緒にボウルねじ山をクランプするように構成されているクランピング構成体と、クラッシャーフレームと接触して調節リングを保持するように構成されている保護シリンダーと、ここにおいて、過負荷事象において、保護シリンダーは、調節リングがクラッシャーフレームに対して移動することを可能にする、を備え、システムは、クランピング構成体のクランピング圧力を測定するように構成されているクランピング圧力センサーをさらに備え、方法は、
- クランピング圧力センサーからクランピング圧力信号を受信するステップと、ここにおいて、クランピング圧力信号は、クランピング圧力センサーによって測定される1つまたは複数のクランピング圧力を示す、
- 受信されたクランピング圧力信号をクランピング圧力閾値と比較するステップと、
- 受信されたクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値を超える場合には、クラッシャーシステムの動作パラメーターを調節するアラーム信号および/または指示を出力するステップとを備える、方法に関する。
【0027】
本発明の異なる態様は、上記および以下に説明されている異なる方式で実装されることが可能であり、上記に説明されている態様のうちの少なくとも1つに関連して説明されている利益および利点のうちの1つまたは複数をそれぞれ生み出し、また、上記に説明されているおよび/または従属請求項に開示されている態様のうちの少なくとも1つに関連して説明されている好適な実施形態に対応する1つまたは複数の好適な実施形態をそれぞれ有している。
【0028】
そのうえ、本明細書で説明されている態様のうちの1つに関連して説明されている実施形態は、他の態様に等しく適用されることが可能であるということが認識されることとなる。
【0029】
本発明の上記のおよび/または追加的な目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的で非限定的な詳細な説明によって、さらに解明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】クランピング圧力デバイスによって働かされるクランピング圧力を経時的に示すグラフ。
【
図3】本発明の第1の実施形態によるクラッシャーシステムの中の通信のブロック図。
【
図4】本発明の第2の実施形態によるクラッシャーシステムの中の通信のブロック図。
【
図5】本発明の実施形態による、処理ユニットによって実施されるステップのフローダイアグラム。
【
図6】本発明の実施形態による、処理ユニットによって実施されるステップのフローダイアグラム。
【
図7】本発明の実施形態による、処理ユニットによって実施されるステップのフローダイアグラム。
【
図8】本発明の実施形態による、処理ユニットによって実施されるステップのフローダイアグラム。
【
図9】本発明の実施形態による、処理ユニットによって実施されるステップのフローダイアグラム。
【
図10】本発明の実施形態による、処理ユニットによって実施されるステップのフローダイアグラム。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明では、添付の図が参照されており、図は、どのように本発明が実践され得るかということを例示として示している。
【0032】
図1を最初に参照すると、
図1は、クラッシャー10の部分断面図を示している。クラッシャー10は、フレーム2を備える。フレーム2の上に横たわっているのは、調節リング4である。調節4は、クラッシャー10の設定値を調節するためのものであり、すなわち、クラッシャー10の破砕ギャップを調節するためのものである。調節リング4は、通常動作時に(すなわち、クラッシャー10に給送されている材料の粉砕のときに)、保護シリンダー(図示せず)によってフレーム2に接続された状態に保持されている。調節リング4は、調節リングねじ山41を備える。調節リングねじ山41は、好ましくは、耐荷重ねじ山面を有するバットレスねじ山41であることが可能であり、その耐荷重ねじ山面は、スクリュー軸線に対して垂直であり、第1の方向に向けて配向されている。調節リングねじ山41は、クラッシャーボウル3のボウルねじ山31と係合している。ボウルねじ山31は、好ましくは、耐荷重ねじ山面を有するバットレスねじ山31であることが可能であり、その耐荷重ねじ山面は、スクリュー軸線に対して垂直であり、第1の方向の反対である第2の方向に向けて配向されている。ボウルねじ山31と調節リングねじ山41との間の係合は、スクリュー軸線の周りでの調節リング4の回転によって、クラッシャーの設定値が調節されることを可能にする。調節リング4およびボウルねじ山31は、通常動作時に、クランピング構成体5によって一緒にクランプされている。クランピング構成体5は、クランピングリング51を備える。クランピングリングは、ボウルねじ山31と係合しているクランピングねじ山53を備える。クランピングねじ山53は、好ましくは、耐荷重ねじ山面を有するバットレスねじ山53であることが可能であり、その耐荷重ねじ山面は、スクリュー軸線に対して垂直であり、第1の方向に向けて配向されている。クランピング構成体5は、クランピング圧力デバイス52をさらに備える。クランピング圧力デバイス52は、クランピングリング51と調節リング4との間に配置されており、クランピングリング51および調節リング4に直接的に接続されている。クランピング圧力デバイス52は、調節リング4の上に、または、調節リング4とクランピングリング51の両方の上に、クランピング圧力を働かせることが可能である。クランピング圧力デバイス52によって働かされるクランピング圧力は、調節リングねじ山41がボウルねじ山31と一緒にクランプされることを結果として生じさせる。クランピング圧力デバイス52は、クランピングシリンダーまたはクランピングブラダーであることが可能である。クラッシャー10の動作の間に、クランピング圧力デバイス52は、調節リング4と一緒に移動する。
【0033】
過負荷事象の間に、たとえば、材料のパッキングまたは破砕不可能な材料がフィードの中に導入されている間に、フレーム2に対して調節リング4を保持する保護シリンダーは、調節リング4がフレーム2から上におよびフレーム2から離れるように移動することを可能にする。調節リング4の上向きの移動は、増加した設定値を結果として生じさせ、それは、その見返りとして、たとえば、詰め込まれたおよび/または破砕不可能な材料がクラッシャー10を通過することを可能にすることによって、過負荷事象が解決されることを可能にする。調節リング4の上向きの移動の間に、クラッシャーボウル3は、調節リングと一緒に移動する。その理由は、それらが一緒にクランプされているからである。上向きの移動の後に、保護シリンダーは、調節リング4をフレーム2に向けて引っ張り下げ、これは、調節リング4がフレーム2に衝突することを結果として生じさせる。調節リング4とフレーム2との間の衝突は、機械的な衝撃を結果として生じさせる。本出願人は、クランピング圧力デバイス52によって働かされるクランピング圧力をモニタリングすることによって、この機械的な衝撃が検出され得るということを発見した。
【0034】
図2を参照すると、
図2は、クランピング圧力デバイス52によって働かされるクランピング圧力を経時的に示すグラフ8を描いている。クラッシャー10の通常動作の間に、クランピング圧力は第1の閾値81の下方に維持されていることが見られる。過負荷事象に起因して、最大クランピング圧力が第1の閾値81を越えた状態で、鋭いクランピング圧力ピーク82および83が出現することが見られる。鋭いクランピング圧力ピーク82および83は、フレーム2と調節リング4との間の衝突によって生成される機械的な衝撃の結果である。したがって、これらのクランピング圧力ピーク82および83は、過負荷事象が起こったことを検出するために使用されることが可能である。第1の閾値81は、オペレーターが処理ユニット7に入力を与えることによって、手動で設定されることが可能である。代替的に、第1の閾値81は、処理ユニット7によって自動的に設定されることが可能である。示されている実施形態では、第1の閾値81および第2の閾値84が適用されている。異なる閾値は、異なる事象を示すことが可能である。たとえば、本出願人は、トランプ事象に関連付けられる圧力ピークが、パッキング事象に関連付けられる圧力ピークよりも高い大きさのものであるということに気付いた。これに対処するために、異なる事象を示す異なる閾値81、84が設定されることが可能である。グラフ8において、第1の閾値81は、パッキング事象を示すパッキングクランピング圧力閾値81であり、第2の閾値は、トランプ事象を示すトランプクランピング圧力閾値84である。
【0035】
図3を参照すると、
図3は、本発明の第1の実施形態によるクラッシャーシステム1の中の通信のブロック図を描いている。システム1は、クランピング構成体5を備える。クランピング構成体5のクランピング圧力を測定するように構成されているクランピング圧力センサー6が、クランピング構成体5と関連している。クランピング圧力センサー6は、クランピング構成体5のクランピング圧力を測定するように構成されている測定デバイス61を備える。クランピング圧力センサー6は、測定されたクランピング圧力をクランピング圧力信号として処理ユニット7に送信するように構成されているセンサートランスミッター62をさらに備える。処理ユニット7は、受信されたクランピング圧力信号を処理するための内部ロジック72を備える。内部ロジック72は、汎用または専用のプログラマブルマイクロプロセッサー、たとえば、デジタル信号プロセッサー(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特殊用途電子回路など、または、それらの組み合わせであることが可能である。処理ユニット7は、クランピング圧力信号を受信するための、ならびに、クラッシャーシステム1の動作パラメーターを調節するためのアラーム信号および/または指示を送信するための、トランシーバー71をさらに備える。処理ユニット7は、受信されたクランピング圧力信号、ならびに/または、クラッシャーシステム1の動作パラメーターを調節するためのアラーム信号および/もしくは指示のログをとるためのデータベース73をさらに備えることが可能である。処理ユニット7は、アラーム信号を外部デバイス9に送信することが可能である。外部デバイス9は、タブレット、パーソナルコンピューター、モバイル端末、またはディスプレイなどのような、ユーザーデバイスであることが可能である。外部デバイス9は、アラーム信号をディスプレイに表示するように構成されることが可能である。また、外部デバイス9は、アラーム信号を受信することに応答して感覚信号を作り出すことができるアラームランプまたはラウドスピーカーであることが可能である。処理ユニット7は、クラッシャーシステム1の動作パラメーターを調節するための指示を出力するように構成されることが可能である。クラッシャーシステムは、クラッシャー10、給送システム11、および/または再循環システムを備えることが可能である。給送システム11は、破砕されることとなる材料をクラッシャー10に給送するためのものである。給送システム11は、1つまたは複数のコンベヤーベルトであることが可能である。給送システム11は、好ましくは、フィードホッパーを備える。再循環システム12は、たとえば、材料の追加的な破砕が必要とされる場合に、クラッシャー10を通して材料を再循環させるためのものである。再循環システム12は、1つまたは複数のコンベヤーベルトであることが可能である。再循環システム12は、1つまたは複数のコンベヤーベルトを介して給送システム11に接続されることが可能である。処理ユニット7によって送信される指示は、クラッシャー10、給送システム10、および/または再循環システムの中のレシーバーによって受信されることが可能である。指示は、クラッシャーシステム1の動作パラメーターを調節するためのものである。クラッシャーシステム1の動作パラメーターは、クラッシャー設定、給送システム11のフィード速度、再循環システム12の再循環速度、クラッシャーへの材料のフィードを停止すること、またはフィードホッパーレベルのうちの1つまたは任意の組み合わせであることが可能である。
【0036】
図4を参照すると、
図4は、本発明の第2の実施形態による、クラッシャーシステム1の中の通信のブロック図を描いている。第2の実施形態は、第1の実施形態と同じコンポーネントを備えることが可能である。再循環システム12が、再循環させられている材料121の1つまたは複数の特質をセンシングするための1つまたは複数の材料センサー122を備えるという点で、第2の実施形態は第1の実施形態とは異なっている。1つまたは複数の特質は、重量、形状、密度、または材料タイプであることが可能である。1つまたは複数の材料センサー122は、処理ユニット7に通信可能に接続可能である。1つまたは複数の材料センサー122は、再循環させられている材料の特質を測定するように構成されている材料測定デバイス123を備えることが可能である。1つまたは複数の材料センサー122は、測定されたクランピング圧力をクランピング圧力信号として処理ユニット7に送信するように構成されている材料センサートランスミッター62をさらに備える。1つまたは複数の材料センサー122およびクランピング圧力センサー6からのセンサー入力を組み合わせることによって、より精密な推定(破砕不能な材料またはパッキング材料が過負荷事象を引き起こしたかどうか)が実現されることが可能である。
【0037】
図5を参照すると、
図5は、本発明の実施形態による、処理ユニット7によって実施されるステップのフローダイアグラム100を描いている。第1のステップ101において、処理ユニット7が、クランピング圧力センサー6からクランピング圧力信号を受信する。第2のステップにおいて、過負荷事象が起こったかどうかを検出するために、受信されたクランピング圧力信号が閾値81と比較される。閾値81は、オペレーターが処理ユニット7に入力を与えることによって、手動で設定されることが可能である。入力は、外部デバイス9を介してオペレーターによって与えられることが可能である。代替的に、閾値81は、処理ユニット7によって自動的に設定されることが可能である。受信されたクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値81を超える場合には、処理ユニット7は、第3のステップ103において、クラッシャーシステム1の動作パラメーターを調節するアラーム信号および/または指示を出力するように構成されている。受信されたクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値81を超えない場合には、処理ユニット7は、第1のステップ101に戻る。
【0038】
図6を参照すると、
図6は、本発明の実施形態による、処理ユニット7によって実施されるステップのフローダイアグラム200を描いている。第1のステップ201において、処理ユニットが、複数のクランピング圧力を示すクランピング圧力信号を受信する。クランピング圧力信号は、クランピング圧力センサー6によって提供されることが可能である。複数のクランピング圧力は、外部デバイス9からの入力として処理ユニット7に提供されることが可能である。クランピング圧力信号は、処理ユニットのデータベース73の中に記憶されることが可能である。第2のステップ202において、処理ユニット7は、クランピング構成体5の通常動作クランピング圧力を取得するために、受信されたクランピング圧力信号を分析する。通常動作クランピング圧力は、クラッシャー10の通常動作の間にクランピング構成体によって働かされるクランピング圧力値またはクランピング圧力間隔に対応している。第3のステップ203において、処理ユニットは、クランピング構成体5の通常動作クランピング圧力に基づいてクランピング圧力閾値を設定する。クランピング圧力閾値は、クランピング構成体5の通常動作クランピング圧力を超える値として設定されることが可能である。第4のステップ204において、処理ユニット7は、クランピング圧力センサー6からクランピング圧力信号を受信する。第5のステップ205において、受信されたクランピング圧力信号は、過負荷事象が起こったかどうかを検出するために、処理ユニットによって設定されたクランピング圧力閾値81と比較される。受信されたクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値81を超える場合には、処理ユニット7は、第6のステップ206において、クラッシャーシステム1の動作パラメーターを調節するアラーム信号および/または指示を出力するように構成されている。受信されたクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値81を超えない場合には、処理ユニット7は、第4のステップ204に戻る。
【0039】
図7を参照すると、
図7は、本発明の実施形態による、処理ユニット7によって実施されるステップのフローダイアグラム300を描いている。第1のステップ301において、処理ユニット7が、クランピング圧力センサー6からクランピング圧力信号を受信する。第2のステップ302において、材料信号が、1つまたは複数の材料センサー122から処理ユニット7によって受信される。第3のステップ303において、受信されたクランピング圧力信号は、過負荷事象が起こったかどうかを検出するために、閾値81と比較される。受信されたクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値81を超えない場合には、処理ユニット7は、第1のステップ301に戻る。受信されたクランピング圧力信号がクランピング圧力閾値81を超える場合には、処理ユニット7は、第4のステップ304において、再循環させられている材料の1つまたは複数の特質を取得するために、受信された材料信号を処理するように構成されている。再循環させられている材料の1つまたは複数の特質に基づいて、処理ユニットは、第5のステップ305において、パッキング事象が起こったというアラーム信号を出力するか、または、第6のステップにおいて、トランプ事象が起こったというアラーム信号を出力するかのいずれかであることが可能である。第4のステップ304において行われるプロセスは、たとえば、材料センサー122が再循環システム12の材料の中の金属を検出したかどうかをチェックすることであることが可能である。金属の存在は、トランプ事象が起こったことを示し、トランプ事象が起こったというアラーム信号を出力するように処理ユニットに促すことが可能であり、または、金属が検出されなかった場合には、これは、パッキング事象が起こったことを示し、パッキング事象が起こったというアラーム信号を出力するように処理ユニット7に促すことが可能である。
【0040】
図8を参照すると、
図8は、本発明の実施形態による、処理ユニット7によって実施されるステップのフローダイアグラム400を描いている。第1のステップ401において、処理ユニット7は、期間を設定する。期間は、たとえば、30~60秒または10~120秒など、任意の時間の期間であることが可能である。代替的に、期間は、連続的な期間として設定されることが可能である。期間は、クラッシャーシステム1のパラメーターに基づいて設定されることが可能であり、たとえば、期間は、再循環システム12を通る材料の再循環時間に対応することが可能であり、または、期間は、給送システム11のフィード速度に基づいて設定されることが可能である。第2のステップ402において、処理ユニットは、設定された期間内の測定されたクランピング圧力を示すクランピング圧力信号をクランピング圧力センサーから受信する。したがって、受信されるクランピング圧力の量は、クランピング圧力センサーのサンプリングレートおよび設定された期間に依存し得る。第3のステップ403において、処理ユニット7は、クランピング圧力ピーク値を識別するために、クランピング圧力センサーから受信されるクランピング圧力信号を処理する。処理ユニットは、測定されるクランピング圧力の中のピークを識別するために、公知のピーク発見アルゴリズムを使用することが可能である。第4のステップ404において、処理ユニット7は、過負荷事象を検出するために、クランピング圧力ピーク値をクランピング圧力閾値と比較する。2つ以上のクランピング圧力ピーク値がクランピング圧力閾値を超える場合には、処理ユニット7は、第5のステップ405において、クラッシャーシステムの動作パラメーターを調節するアラーム信号および/または指示を出力する。処理ユニット7がアラーム信号および/または指示を出力するようにするために、クランピング圧力閾値を超えることを必要とされるクランピング圧力ピーク値の量は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上であることが可能である。少なくとも2つ以上のクランピング圧力ピーク値がクランピング圧力閾値を超えることを必要とすることによって、それは、測定異常値が誤った指示および/またはアラーム信号につながらないことを保証することが可能である。
【0041】
図9を参照すると、
図9は、本発明の実施形態による、処理ユニット7によって実施されるステップのフローダイアグラム500を描いている。
図9に示されている実施形態では、クラッシャーシステム10は、処理ユニット7による指示に基づいて、動作パラメーターをすでに調節している。第1のステップ501において、処理ユニット7は、期間を設定する。期間は、たとえば、30~60秒または10~120秒など、任意の時間の期間であることが可能である。代替的に、期間は、連続的な期間として設定されることが可能である。期間は、クラッシャーシステム1のパラメーターに基づいて設定されることが可能であり、たとえば、期間は、再循環システム12を通る材料の再循環時間に対応することが可能であり、または、期間は、給送システム11のフィード速度に基づいて設定されることが可能である。第2のステップ502において、処理ユニットは、設定された期間内の複数のクランピング圧力を示すクランピング圧力信号をクランピング圧力センサーから受信する。したがって、受信されるクランピング圧力の量は、クランピング圧力センサーのサンプリングレートおよび設定された期間に依存し得る。第3のステップ503において、処理ユニット7は、クランピング圧力ピーク値を識別するために、クランピング圧力センサーから受信されるクランピング圧力信号を処理する。処理ユニットは、クランピング圧力信号の中のピークを識別するために、公知のピーク発見アルゴリズムを使用することが可能である。第4のステップ504において、処理ユニット7は、過負荷事象を検出するために、クランピング圧力ピーク値をクランピング圧力閾値と比較する。クランピング圧力ピーク値がクランピング圧力閾値を超えない場合には、処理ユニット7は、第5のステップ505において、指示による調節を逆にするために動作パラメーターを調節する逆の指示を出力する。逆の指示は、処理ユニットによって調節された動作パラメーターを逆にするかまたは少なくとも部分的に逆にする逆の指示であることが可能であり、たとえば、処理ユニット7によって出力された指示の結果として、クラッシャー10の設定値が増加した場合には、逆の指示は、クラッシャー10の設定値を完全にまたは部分的に戻すためのものであることが可能である。
【0042】
図10を参照すると、
図10は、本発明の実施形態による、処理ユニット7によって実施されるステップのフローダイアグラム600を描いている。第1のステップ601において、処理ユニット7は、クランピング圧力センサー6からクランピング圧力信号を受信する。第2のステップ602において、処理ユニット7は、過負荷事象を検出するために、受信されたクランピング圧力信号をパッキングクランピング圧力閾値およびトランプクランピング圧力閾値と比較する。パッキングクランピング圧力閾値は、クラッシャー10の中の材料のパッキングによって引き起こされる過負荷事象に関連付けられるクランピング圧力閾値である。トランプクランピング圧力閾値は、クラッシャー10の中の破砕不可能な材料によって引き起こされる過負荷事象に関連付けられるクランピング圧力閾値である。トランプクランピング圧力閾値およびパッキングクランピング圧力閾値は、互いに異なっている。トランプクランピング圧力閾値およびパッキングクランピング圧力閾値は、オペレーターによって手動で設定されるか、または、処理ユニット7によって自動的に設定されることが可能である。パッキングクランピング圧力閾値を超えた場合には、処理ユニットは、第5のステップ605において、パッキングアラーム信号を出力する。パッキングアラーム信号は、起こった過負荷事象が材料のパッキングによって引き起こされたということを示す信号である。トランプクランピング圧力閾値を超えた場合には、処理ユニットは、第6のステップ606において、トランプアラーム信号を出力する。トランプアラーム信号は、起こった過負荷事象が破砕不能な材料によって引き起こされたということを示す信号である。パッキングクランピング圧力閾値とトランプクランピング圧力閾値の両方を超えた場合には、処理ユニット7は、最も高い閾値に関連付けられるアラーム信号のみを出力するように選択することが可能である。
【0043】
いくつかの実施形態が詳細に説明されて示されてきたが、本発明は、それらに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に定義されている主題の範囲の中で他の方式で具現化されることも可能である。とりわけ、本発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態が利用されることも可能であり、構造的なおよび機能的な修正が行われることが可能であるということが理解されるべきである。
【0044】
いくつかの手段を列挙しているデバイスの請求項において、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアの全く同一のアイテムによって具現化されることが可能である。特定の手段が、相互に異なる従属請求項に記載されているかまたは異なる実施形態において説明されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないということを示すものではない。
【0045】
本明細書で使用されるときの「備える(comprises/comprising)」という用語は、述べられている特徴、整数、ステップ、またはコンポーネントの存在を特定するために用いられているが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネント、またはそれらのグループの存在または追加を除外するものではないということが強調されるべきである。
【国際調査報告】