(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】RNAの体内伝達用組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/127 20060101AFI20240227BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240227BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240227BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240227BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240227BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240227BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240227BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240227BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240227BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240227BHJP
A61K 8/14 20060101ALI20240227BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20240227BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240227BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240227BHJP
C12N 15/33 20060101ALN20240227BHJP
C12N 15/88 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
A61K9/127 ZNA
A61K47/28
A61K47/18
A61K47/24
A61K48/00
A61K45/00
A61P37/04
A61K47/26
A61K47/06
A61K47/22
A61K47/14
A61K31/7088
A61P35/00
A61P29/00
A61P43/00
A61P31/12
A61P31/04
A61K39/00 G
A61K39/39
A61K8/14
A61K8/60
A61Q19/00
C12N15/12
C12N15/33
C12N15/88 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555319
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 KR2022003220
(87)【国際公開番号】W WO2022191555
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0029929
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521165714
【氏名又は名称】アイジーン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EYEGENE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヤン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソク ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,クァンソン
(72)【発明者】
【氏名】パク,シン エ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC32
4C076CC35
4C076DD34
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4C084ZC80
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4C086AA01
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4C086ZB09
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4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC80
(57)【要約】
本発明は、陽イオン性脂質ベースリポソームを含むmRNA伝達用組成物に関し、本発明に係るmRNA伝達用組成物は、保管安定性に優れており、in vivoで高い細胞内伝達率及び発現率を示し、癌治療用のmRNAワクチン又はウイルス感染予防用のmRNAワクチンなどの安定性及び効率を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽イオン性脂質ベースリポソームを含むmRNA伝達用組成物。
【請求項2】
前記リポソームが中性脂質をさらに含むものである、請求項1に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項3】
前記リポソームがコレステロールをさらに含むものである、請求項2に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項4】
前記陽イオン性脂質は、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタンカバモイルコレステロール(3β-[N-(N’,N’-dimethylaminoethane)carbamoyl cholesterol,DC-Chol)、1,2-ジオレオイルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリエチルアンモニウムプロパン(1,2-di-O-octadecenyl-3-trimethylammonium propane,DOTMA)、1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-dimyristoleoyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholine,14:1 Etyle PC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1-palmitoyl-2-oleoyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholine,16:0-18:1 Ethyl PC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-dioleoyl-snglycero-3-ethylphosphocholine,18:1 Ethyl PC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-distearoyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholin,18:0 Ethyl PC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-dipalmitoyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholine,16:0 Ethyl PC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-dimyristoyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholine,14:0 Ethyl PC)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-dilauroyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholin,12:0 Ethyl PC)、N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノ-プロピル)アミノ]ブチルカルボキサミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンザミド(N1-[2-((1S)-1-[(3-aminopropyl)amino]-4-[di(3-aminopropyl)amino]butylcarboxamido)ethyl]-3,4-di[oleyloxy]-benzamide,MVL5)、1,2-ジミリストイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(1,2-dimyristoyl-3-dimethylammoniumpropane,14:0 DAP)、1,2-ジパルミトイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(1,2-dipalmitoyl-3-dimethylammonium-propane,16:0 DAP)、1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(1,2-distearoyl-3-dimethylammonium-propane,18:0 DAP)、N-(4-カルボキシベンジル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(オレオイルオキシ)プロパン-1-アミニウム(N-(4-carboxybenzyl)-N,Ndimethyl-2,3-bis(oleoyloxy)propan-1-aminium,DOBAQ)、1,2-ステアロイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(1,2-stearoyl-3-trimethylammonium-propane,18:0 TAP)、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(1,2-dipalmitoyl-3-trimethylammoniumpropane,16:0 TA)、1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(1,2-dimyristoyl-3-trimethylammonium-propane,14:0 TAP)及びN4-コレステリル-スペルミン(N4-Cholesteryl-Spermine,GL67)からなる群から選ばれる一つ以上である、請求項1に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項5】
前記中性脂質は、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(1,2-Dimyristoyl-sn-glycero-3-phosphorylcholine,DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine,DOPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine,DOPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphocholine,DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine,DSPC)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-dilinoleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine,DLPC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスホエタノラミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスホリックアシッド(PA)及びホスファチジルコリン(PC)からなる群から選ばれる一つ以上である、請求項2に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項6】
前記陽イオン性脂質と中性脂質の重量比は、1:9~9.5:0.5である、請求項2に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項7】
前記陽イオン性脂質とコレステロールの重量比は、6:1~1:3である、請求項3に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項8】
前記陽イオン性脂質、中性脂質及びコレステロールの重量比は、1~9.5:9~0.5:0.05~3である、請求項7に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項9】
前記mRNAは、免疫原として作用可能なペプチド又はタンパク質をコードする、請求項1に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項10】
前記リポソームとmRNAのN:P比率は、0.23:1~1.39:1である、請求項9に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項11】
前記組成物は、免疫増強剤をさらに含む、請求項1に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項12】
前記免疫増強剤は、PAMP、サポニン、CpG DNA、リポタンパク質、フラジェラ(flagella)、poly I:C,スクアレン(Squalene)、トリカプリン(tricaprin)、3D-MPL、及び非毒性リポオリゴサッカライド(detoxied lipooligosaccharide,dLOS)からなる群から選ばれる一つ以上である、請求項11に記載のmRNA伝達用組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のmRNA伝達用組成物を有効成分として含有する癌、腫瘍、自己免疫疾患、遺伝疾患、炎症性疾患、ウイルス感染及びバクテリア感染からなる群から選ばれる疾病の予防又は治療用薬剤学的組成物。
【請求項14】
請求項1~12のいずれかに記載のmRNA伝達用組成物を有効成分として含有するワクチン。
【請求項15】
請求項1~12のいずれかに記載のmRNA伝達用組成物を有効成分として含有する機能性化粧料組成物。
【請求項16】
mRNA及びリポソームを混合する段階を含む、mRNA伝達用組成物の製造方法。
【請求項17】
前記方法は、mRNA、リポソームの順序で投入して混合する、請求項16に記載のmRNA伝達用組成物の製造方法。
【請求項18】
前記方法は、免疫増強剤を混合する段階をさらに含む、請求項16に記載のmRNA伝達用組成物の製造方法。
【請求項19】
前記方法は、免疫増強剤、mRNA、リポソームの順序で投入して混合する、請求項18に記載のmRNA伝達用組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、mRNA体内伝達用組成物に関し、具体的には、陽イオン性脂質ベースのリポソームを含むmRNA体内伝達用組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
本特許出願は、2021年3月8日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10-2021-0029929号に対して優先権を主張し、当該特許出願の開示事項は本明細書に参照によって組み込まれる。
[背景技術]
【0003】
遺伝子治療法及び遺伝子ワクチンは医薬分野で既に証明され、一般に適用される技術であり、遺伝的疾患の他、自己免疫疾患、感染性疾患、癌又は腫瘍関連疾患、炎症性疾患なども治療対象になり得る。
【0004】
遺伝子ワクチンは、ターゲット遺伝子をコードするDNA及びRNAを動物に直接注入すると、生きている動物でターゲット遺伝子が発現し、この発現によって免疫が可能であることが報告されながら開発され始めた(Wolff JA et al.Science,247:1465-8,1990)。
【0005】
遺伝子ワクチン接種は、バクテリア表面の特徴的な構成要素、ウイルス粒子、腫瘍抗原などのような選択された抗原に対して所望の免疫反応を起こすことを可能にする。概して、ワクチン接種は現代医学の中枢的な成果の一つである。しかし、効果的なワクチンは、現在、限られた数の疾患にしか利用できない。このため、ワクチン接種によって予防できない感染症は依然として毎年数百万の人々に影響を及ぼす。
【0006】
遺伝子治療又は遺伝子ワクチン接種において、DNAとRNAが遺伝子投与のための核酸分子として用いられてよく、DNAがRNAに比べてより安定しており、扱いやすいものとして知られている。
【0007】
しかし、DNAは、患者の遺伝体内に投与されたDNA切片が不所望の位置に挿入されて遺伝子が損傷する場合に、潜在的な危険が発生し得る。しかも、不所望の抗DNA抗体が現れることがあり、他の問題点は、DNA投与及びその後の転写/翻訳によって発現するペプチド又はタンパク質の発現レベルが限定されるという点である。DNA転写を調節する特定転写因子の存否が、投与されたDNAの発現レベルに主要な影響を及ぼし、特定転写因子がない場合には、DNA転写によって十分な量のRNAが生成されず、結果的に、翻訳されて生成されるペプチド又はタンパク質のレベルも限定される。
【0008】
一方、RNAを遺伝子投与のための道具として用いる場合に、RNAは、転写が不要なため、DNAのように核に入ることなく細胞質内に直ちにタンパク質を合成でき、よって、細胞染色体内に割り込んで不所望の遺伝子損傷を起こす虞がない。また、DNAに比べて半減期が短いため、長期遺伝子変形を誘導しない(Sayour EJ et al.,J Immunother Cancer 2015;3:13,2015)。一般のRNAワクチンは、細胞中に伝達すると短期間だけ活性化してターゲットタンパク質を発現させ、数日内に酵素学的反応によって破壊されるが、発現したターゲット抗原(タンパク質)に対する特異的な免疫反応は残る。
【0009】
また、遺伝子投与のための道具としてRNAを用いる場合に、核膜を通過することなく細胞膜のみを通過するだけで作用するため、DNAよりも少量を使用しても、DNAと同じ量のターゲットタンパク質を発現させることができる。また、RNAは独自て免疫補強原性を持っているため、DNAに比べて少量を投与しても同じ免疫効果を得ることができる。
【0010】
遺伝子ワクチン接種のためにDNAの代わりにRNAを用いることにより、不所望のゲノム統合及び抗DNA抗体生成の危険は最小化又は防止される。しかし、RNAは、偏在するRNaseによって分解されやすい非常に不安定な分子種とされている。
【0011】
ここ数年間多くの発展があったにもかかわらず、抗原の早期分解又は細胞でのmRNAの非効率的な放出によるmRNAの非効率的な翻訳によって投与が酷く損傷しない方法を提供する必要性は当該分野に依然として残っている。その上、安全性に対する潜在的な心配を減少させるために、そしてワクチンを第3世界でも十分に使用できるようにするために、mRNAワクチンの容量を減少させることが切実である。ワクチンのような核酸ベースの治療剤は、膨大な可能性があるが、この可能性を実現するためには、細胞又は有機体内で適切な部位に核酸をより効果的に伝達する必要性が依然として残っている。
【0012】
しかしながら、治療及び予防の目的における核酸の使用は、現在、2つの問題に直面している。第一に、遊離RNAは、血漿でヌクレアーゼ消化に脆弱である。第二に、遊離RNAは、関連した翻訳機構が常在する細胞内区画に接近する能力が制限的である。中性脂質、コレステロール、PEG、ペグ化脂質及び核酸のような他の脂質構成要素と陽イオン性脂質から形成された脂質ナノ粒子が血漿においてRNAの分解を遮断し、オリゴヌクレオチドの細胞吸収を促進するために試みられている。
【0013】
リポソーム(Liposome)や脂質ナノ粒子(lipid nanoparticle)のような脂質ベースの伝達体を用いる場合に、mRNAは通常、外部に吸着(adsorption)されるか、内部に封入(encapsulation)される方法を用いる。特に、mRNAを外部に吸着させる場合には、一般に、単一のリポソームではなく、リポソームと核酸の凝集体として存在することが知られており、脂質の組合せ、核酸の状態、及び核酸とリポソームとの比率によって、吸着力がばらつき、安定性にも影響が及ぶため、それに対する最適化が必要である。
【0014】
また、mRNAの発現能において、一般的に伝達体のin vitroで発現が検証されたとしてもin vivo発現の結果は異なるという問題がある。In vivoでは脂質の構成及び伝達体の物理化学的特性によって、血漿タンパク質(plasma protein)の凝集によって半減期(half-life)及び生体内分布(bio-distribution)の減少、及び脂質構成による細胞取り込み(cell uptake)方式の違い、ECM(extracellular matrix)によるバリア(barrier)などのように、細胞内に伝達される効率を減少させる要因が多数存在する。したがって、体外伝達と違い、体内伝達において伝達体最適化が必須である。
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
【0015】
本発明者らは、mRNAを安定的に体内伝達して細胞内発現効率を上げることにより、安定したタンパク質発現を誘導できる伝達体改良技術を見いだそうと鋭意研究努力した。その結果、特定工程によって陽イオン性リポソームベースの[リポソーム+mRNA複合体]を製造し、当該工程によって製造された[リポソーム+mRNA複合体]がin vivoで高い細胞内伝達率及び発現率を示し得ることを突き止め、本発明を完成するに至った。
【0016】
したがって、本発明の目的は、高い体内伝達率及び発現率を有する、陽イオン性脂質ベースリポソームを含むmRNA伝達用組成物を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、前記mRNA伝達用組成物を有効成分として含有する、癌、腫瘍、自己免疫疾患、遺伝疾患、炎症性疾患、ウイルス感染及びバクテリア感染からなる群から選ばれる疾病の予防又は治療用薬剤学的組成物を提供することである。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、前記mRNA伝達用組成物を有効成分として含有するワクチンを提供することである。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、前記mRNA伝達用組成物を有効成分として含有する機能性化粧料組成物を提供することである。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、mRNA伝達用組成物の製造方法を提供することである。
[課題を解決するための手段]
【0021】
本発明者らは、mRNAを安定的に体内伝達して細胞内発現効率を上げることにより、安定したタンパク質発現を誘導できる伝達体改良技術を見いだそうと鋭意研究努力した。その結果、特定工程によって陽イオン性リポソームベースの[リポソーム+mRNA複合体]を製造し、当該工程によって製造された[リポソーム+mRNA複合体]がin vivoで高い細胞内伝達率及び発現率を示し得ることを突き止めた。
【0022】
本発明は、陽イオン性脂質ベースリポソームを含むmRNA伝達用組成物、前記mRNA伝達用組成物を有効成分として含有する、癌、ウイルス感染及びバクテリア感染からなる群から選ばれる疾病の予防又は治療用薬剤学的組成物、前記mRNA伝達用組成物を有効成分として含有するワクチン、前記mRNA伝達用組成物を有効成分として含有する機能性化粧料組成物、及び前記mRNA伝達用組成物の製造方法に関する。
【0023】
特に定義しない限り、本明細書で使われる全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術の分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使われる命名法は、当該技術分野でよく知られており、通常使われているものである。
【0024】
本発明では、核酸を用いた体内遺伝子伝達において、ウイルスやバクテリア表面の特徴的な構成要素、ウイルス粒子及び腫瘍抗原などのような選択された抗原に対して所望の免疫反応を誘導して治療用タンパク質発現を誘導し、疾病を予防又は治療する方法が開発されたことをきっかけに、mRNAの細胞内発現効率を上げて安定した効果が得られる方法を見いだそうとした。
【0025】
そこで、陽イオン性脂質ベースリポソームを用いたmRNA伝達用組成物を製造し、前記mRNA伝達用組成物がin vivoで高い細胞内伝達率及び発現率を示すことを確認した。
【0026】
本発明の陽イオン性脂質ベースリポソームを用いたmRNA伝達用組成物において、mRNAは陽イオン性脂質ベースリポソームと複合体をなす形態で存在し得ることから、陽イオン性脂質ベースリポソームを用いたmRNA伝達用組成物と、[リポソーム+mRNAの複合体」は同じ意味で使われる。
【0027】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0028】
本発明の一態様によれば、本発明は、陽イオン性脂質ベースリポソームを含むmRNA伝達用組成物を提供する。
【0029】
本発明において、「陽イオン性脂質」は、pH変化の影響無しで持続的に陽イオン性を有する脂質、又はpH変化によって陽イオン性に転換されるイオン性脂質を含む。
【0030】
前記陽イオン性脂質は、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)、3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタンカバモイルコレステロール(3β-[N-(N’,N’-dimethylaminoethane)carbamoyl cholesterol,DC-Chol)、1,2-ジオレオイルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリエチルアンモニウムプロパン(1,2-di-O-octadecenyl-3-trimethylammonium propane,DOTMA)、1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-dimyristoleoyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholine,14:1 Etyle PC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1-palmitoyl-2-oleoyl-snglycero-3-ethylphosphocholine,16:0-18:1 Ethyl PC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholine,18:1 Ethyl PC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-distearoyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholin,18:0 Ethyl PC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-dipalmitoyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholine,16:0 Ethyl PC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-dimyristoyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholine,14:0 Ethyl PC)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(1,2-dilauroyl-sn-glycero-3-ethylphosphocholin,12:0 Ethyl PC)、N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノ-プロピル)アミノ]ブチルカルボキサミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンザミド(N1-[2-((1S)-1-[(3-aminopropyl)amino]-4-[di(3-amino-propyl)amino]butylcarboxamido)ethyl]-3,4-di[oleyloxy]-benzamide,MVL5)、1,2-ジミリストイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(1,2-dimyristoyl-3-dimethylammonium-propane,14:0 DAP)、1,2-ジパルミトイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(1,2-dipalmitoyl-3-dimethylammonium-propane,16:0 DAP)、1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(1,2-distearoyl-3-dimethylammonium-propane,18:0 DAP)、N-(4-カルボキシベンジル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(オレオイルオキシ)プロパン-1-アミニウム(N-(4-carboxybenzyl)-N,N-dimethyl-2,3-bis(oleoyloxy)propan-1-aminium,DOBAQ)、1,2-ステアロイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(1,2-stearoyl-3-trimethylammoniumpropane,18:0 TAP)、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(1,2-dipalmitoyl-3-trimethylammonium-propane,16:0 TA)、1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(1,2-dimyristoyl-3-trimethylammonium-propane,14:0 TAP)及び/又はN4-コレステリル-スペルミン(N4-Cholesteryl-Spermine,GL67)であってよく、好ましくは、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)又はC12-200であってよいが、これに限定されるものではない。
【0031】
具体的には、前記「DOTAP(1,2-Dioleoyl-3-trimethylammonium propane)」は、下記化学式1の構造を有する陽イオン性乳化剤であり、繊維柔軟剤として用いられており、最近では、リポソームを形成する核酸運搬体として用いられている。
【0032】
【0033】
本発明の陽イオン性脂質ベースリポソームを含むmRNA伝達用組成物は、中性脂質がさらに含まれてよい。
【0034】
本発明において、「中性脂質」は、pH変化の影響無しで持続的に中性を有する脂質又はpH変化によって中性に転換されるイオン性脂質を含む。
【0035】
前記中性脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine,DOPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(1,2-Dimyristoyl-sn-glycero-3-phosphorylcholine,DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine,DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphocholine,DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine,DSPC)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-dilinoleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine,DLPC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスホエタノラミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスホリックアシッド(PA)及び/又はホスファチジルコリン(PC)であってよく、好ましくは、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine,DOPE)であってよいが、これに限定されるものではない。
【0036】
具体的には、前記「DOPE(1,2-Dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine)」は、下記化学式2の構造を有し、陽イオン性リポソーム用補助脂質として用いられる。
【0037】
【0038】
本発明において、前記陽イオン性脂質と中性脂質の重量比は、1:9~9.5:0.5、2:8~9:1、3:7~8:2、又は4:6~7:3であってよいが、これに限定されるものではない。
【0039】
前記重量比を外れると、mRNA伝達効率が顕著に低下することがある。
【0040】
また、本発明の陽イオン性脂質ベースリポソームを含むmRNA伝達用組成物は、コレステロールがさらに含まれてよい。
【0041】
本発明において、前記陽イオン性脂質とコレステロールの重量比は、6:1~1:3、4:1~1:2.5、3:1~1:2、又は2:1~1:1.5であってよいが、これに限定されるものではない。
【0042】
また、本発明に係るリポソームに陽イオン性脂質、中性脂質及びコレステロールが全て含まれる場合に、前記陽イオン性脂質、中性脂質及びコレステロールの重量比は、1~9.5:9~0.5:0.05~3、3~8:7~1:0.45~7.0、又は1~3.5:1~3.5:0.5~3であってよいが、これに限定されるものではない。
【0043】
前記重量比を外れると、mRNA伝達効率が顕著に低下することがある。
【0044】
例示的には、コレステロールがさらに含まれる場合に、DOTAP:DOPE=1:1に対してコレステロールを0.2~0.85、又は0.5~0.85の重量比の割合で混合してリポソームを製造することができる。
【0045】
さらに、本発明の陽イオン性脂質ベースリポソームを含むmRNA伝達用組成物はさらに、プロタミン、アルブミン、トランスフェリン、PTD(protein transduction domains)、CPP(cell penetrating peptide)及びマクロファージ標的化部分(Macrophage targeting moiety)などの一つ以上の伝達用因子が含まれてよい。
【0046】
なお、本発明の陽イオン性脂質ベースリポソームを含むmRNA伝達用組成物はさらに、免疫増強剤が含まれてよい。
【0047】
前記免疫増強剤は、病原体関連分子類型(Pathogen-associated molecular pattern,PAMP)に該当してパターン認識受容体(Pathogen recognition receptor,PRR)に反応する物質群、非毒性リポオリゴサッカライド(detoxified lipooligosaccharide,dLOS)、CpG DNA、リポタンパク質、フラジェラ(flagella)、poly I:C、サポニン、スクアレン(Squalene)、トリカプリン(tricaprin)及び/又は3D-MPLであってよいが、これに限定されるものではない。
【0048】
具体的には、前記非毒性リポオリゴサッカライド(dLOS)は、大韓民国登録特許第1509456号又は大韓民国登録特許第2042993号に開示された物質であってよいが、これに限定されるものではない。
【0049】
本発明のmRNA伝達用組成物において、リポソームに代表されるmRNA伝達体とmRNAとの混合比率はN:P比率(ratio)で表示でき、N:P比によって発現及び伝達体の安定性に影響が及ぶ。
【0050】
前記リポソームとmRNAのN:P比率は、0.23~1.39:1、0.3~1.3:1、0.4~1.2:1、0.5~1.1:1、0.6~1.0:1、0.6~0.9:1、0.6~0.8:1、又は0.7:1であってよいが、これに限定されるものではない。
【0051】
本発明のmRNA伝達用組成物において、前記mRNAは免疫原としては働き得るペプチド又はタンパク質をコードすることを特徴とし得る。
【0052】
前記mRNAは、典型的に、mRNAと共に提供される細胞又は有機体によって翻訳され得る少なくとも一つのオープンリーディングフレーム(Open reading frame,ORF)を有するmRNAであってよい。この翻訳の産物は、抗原、好ましくは免疫原として働き得るペプチド又はタンパク質である。この産物は、また、2つ以上の免疫原からなる融合タンパク質、例えば、同一又は個別のウイルスタンパク質に由来する2つ以上のエピトープ、ペプチド又はタンパク質からなる融合タンパク質であってよく、このとき、エピトープ、ペプチド又はタンパク質はリンカー配列によって連結されてよい。
【0053】
また、前記mRNAは、人工mRNA、すなわち、自然的に発生しないmRNA分子として理解されてよい。人工mRNA分子は、非天然mRNA分子として理解されてよい。このようなmRNA分子は、(自然的に発生しない)個別配列及び/又は自然的に発生しない他の変更、例えばヌクレオチドの構造的変更によって非天然的であってよい。人工mRNA分子は、ヌクレオチドの所望の人工配列(異種配列)に相応する遺伝子操作方法によって設計及び/又は生成されてよい。
【0054】
なお、前記mRNAは、生体内分解(例えば、エクソ-又はエンド-ヌクレアーゼによる分解)及び/又は生体外分解(例えば、ワクチン投与前の製造過程によって、例えば、投与されるワクチン溶液の製造過程において)に対する耐性を増加させる変形を示すことができる。RNAの安定化は、例えば、5’-CAP構造、ポリ-A-尾部、又は任意のその他UTR変形の提供によって達成されてよい。また、RNAの安定化は、化学的変形又は核酸のG/C含有量の変形によって達成されてよい。様々な他の方法が当該分野に公知されており、本発明の適用が可能である。
【0055】
本発明の他の態様によれば、本発明は、上述したmRNA伝達用組成物を有効成分として含有する、癌、腫瘍、自己免疫疾患、遺伝疾患、炎症性疾患、ウイルス感染及びバクテリア感染からなる群から選ばれる疾病の予防又は治療用薬剤学的組成物を提供する。
【0056】
本発明において「予防」とは、本発明に係る薬剤学的組成物の投与によって上述の疾患を抑制させたりその進行を遅延させたりする全ての行為を意味する。
【0057】
本発明において「治療」とは、本発明に係る薬剤学的組成物の投与によって上述の疾患に対する症状が好転したり有益に変更されたりする全ての行為を意味する。
【0058】
本発明の薬剤学的組成物は、一つ以上の製薬上又は生理学上に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わされてよい。前記薬剤学的組成物は、緩衝剤、例えば、中性緩衝塩水、ホスフェート緩衝塩水、クエン酸緩衝溶液など;炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチド又はアミノ酸、例えば、グリシン;抗酸化剤;キレーティング剤、例えば、EDTA又はグルタチオン;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び防腐剤を含んでよい。
【0059】
本発明の薬剤学的組成物は、経口又は非経口で投与でき、例えば、静脈内投与、皮下投与、血内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、腫瘍内投与、脳内投与、頭蓋骨内投与、肺内投与及び直腸内投与などで投与できるが、これに限定されるものではない。
【0060】
本発明の薬剤学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な受恵/危険の割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効量は患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時使用薬物を含む要素及びその他医学分野によく知られた要素によって決定されてよい。
【0061】
本発明の薬剤学的組成物は、個別治療剤として、又は他の治療剤と併用して投与されてよく、従来の治療剤とは順次に又は同時に投与されてよく、単回又は多回投与されてよい。前記要素を全て考慮して副作用無しで最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは当業者にとって容易に決定できる。
【0062】
具体的には、本発明の薬学的組成物の有効量は、患者の年齢、性別、状態、体重、体内に活性成分の吸収度、不活性率及び排泄速度、疾病の種類、併用薬物によって異なってよい。
【0063】
本発明の薬剤学的組成物は、上述したmRNA伝達用組成物を有効成分として含むので、重複する内容については本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0064】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、癌、腫瘍、自己免疫疾患、炎症性疾患、ウイルス感染及びバクテリア感染に対する予防又は治療が必要な患者に、本発明のmRNA伝達用組成物を投与する段階を含む、癌、腫瘍、自己免疫疾患、炎症性疾患、ウイルス感染及びバクテリア感染に対する予防又は治療方法を提供する。
【0065】
前記mRNAの投与量は、容量当たりに1~5μg、5~10μg、10~15μg、15~20μg、10~25μg、20~25μg、20~50μg、30~50μg、40~50μg、40~60μg、60~80μg、60~100μg、50~100μg、80~120μg、40~120μg、40~150μg、50~150μg、50~200μg、80~200μg、100~200μg、120~250μg、150~250μg、180~280μg、200-300μg、50~300μg、80~300μg、100~300μg、40~300μg、50~350μg、100~350μg、200~350μg、300~350μg、320~400μg、40~380μg、40~100μg、100~400μg、200~400μg、又は300~400μgであってよいが、これに限定されるものではない。
【0066】
前記ワクチンは、インフルエンザー、コロナウイルス、帯状疱疹、ヒトパピローマウイルス、ジカウイルス、ヘルペスウイルス、エイズウイルス、SFTSウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルス、エボラウイルス、メルスウイルス、肝炎ウイルス、鳥類インフルエンザー、狂犬病ウイルス及び口蹄疫ウイルスなど、ヒトと動物に感染を起こし得るウイルスに対するワクチンであってよいが、これに限定されるものではない。
【0067】
前記ワクチンは、少なくとも一つのウイルス抗原のポリペプチド又はその免疫原性断片を暗号化するオープンリーディングフレームを有する少なくとも一つのmRNAを含む。
【0068】
本発明の治療方法は、上述した薬剤学的組成物を有効成分として含むので、重複する内容については本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0069】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、上述したmRNA伝達用組成物を有効成分として含有するワクチンを提供する。
【0070】
前記ワクチンは、上述したmRNAが免疫原として働き得るペプチド又はタンパク質によって引き起こされる疾病の予防目的の範囲において、投与対象の体重、年齢、食餌段階及び/又は免疫力を考慮して適切な濃度で上述したmRNA伝達用組成物を含んでよい。
【0071】
前記ワクチンは、担体、希釈剤、賦形剤、及びアジュバント(adjuvant)からなる群から選ばれる1以上をさらに含んでよい。担体は、その種類に特に限定されず、任意の全ての溶媒、分散媒質、コーティング、安定剤、保存剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などを含んでよい。
【0072】
前記ワクチンは、経口、非経口、皮下、筋肉内、血内、舌下、経皮、直腸、経粘膜、吸入による表面的、頬側投与で、又はその組合せで投与されてよい。
【0073】
前記ワクチンは、ワクチン接種又は治療の所望の期間及び有効性によって1回又は多回、また、間欠的に、例えば、数日、数週又は数カ月の間に毎日、同量又は異なる投与量で投与されてよい。注射は、所望の量で注射したり又は皮下或いは鼻腔に噴霧したりして注入できる。或いは、連続注入してもよい。
【0074】
本発明のワクチンは、上述したmRNA伝達用組成物を有効成分として含むので、重複する内容については本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0075】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、上述したmRNA伝達用組成物を有効成分として含有する機能性化粧料組成物を提供する。
【0076】
本発明に係る化粧料組成物は、化粧料組成物に通常用いられる成分を含んでよく、例えば、金属イオン封鎖剤、活性成分(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム及び酢酸トコフェロールなど)、防腐剤、粘増剤及び香料のような通常の補助剤、そして担体を含む。
【0077】
また、本発明に係る化粧料組成物は、当業界における一般的な剤形、例えば、乳化剤形や可溶化剤形などの形態で製造されてよい。乳化剤形には、栄養化粧水、クリーム、エッセンスなどを挙げることができ、可溶化剤形には、柔軟化粧水を挙げることができる。また、本発明の化粧料組成物は、化粧品の他にも、皮膚科学的に許容可能な媒質又は基剤を含有することにより、皮膚科学分野において通常用いられる局所適用又は全身適用可能な補助剤の形態で製造されてよい。
【0078】
適切な化粧品の剤形には、例えば、溶液、ゲル、固体又は練り無水生成物、水相に油相を分散させて得たエマルジョン、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、微細顆粒球又はイオン型(リポソーム)、非イオン型の小嚢分散剤の形態、クリーム、スキン、ローション、パウダー、軟膏、スプレー又はコンシールスティック(conceal stick)の形態で提供されてよい。また、泡沫(foam)の形態又は圧縮された推進剤をさらに含有したエアゾール組成物の形態でも製造されてよい。
【0079】
また、本発明の化粧料組成物はさらに、脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤及びゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型又は非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤及びキレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性又は親油性活性剤、脂質小嚢又は化粧品に通常使用される任意の他の成分のような化粧品学又は皮膚科学分野において通常使用される補助剤を含有できる。そして、上記の成分は、皮膚科学分野において一般に使われる量で導入されてよい。
【0080】
本発明の化粧料組成物を添加可能な製品には、例えば、収れん化粧水、柔軟化粧水、栄養化粧水、各種クリーム、エッセンス、パック、ファンデーションなどのような化粧品類とクレンジング、洗顔剤、石鹸、トリートメント、美容液などがある。
【0081】
本発明の化粧料組成物の具体的な剤形としては、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、シャンプー、クレンジングフォーム、クレジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション、ボディークレンザー、乳液、プレスパウダー、ルーズパウダー、パッチ、噴霧剤などの剤形を含む。
【0082】
本発明の化粧料組成物は、上述したmRNA伝達用組成物を有効成分として含むので、重複する内容については本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0083】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、mRNA及びリポソームを混合する段階を含む、mRNA伝達用組成物の製造方法を提供する。
【0084】
前記mRNA及び/又はリポソームは、凍結乾燥された状態の粉末形態で提供されてよく、適切な溶液やバッファに溶解された状態で提供されてよい。mRNA及び/又はリポソームが凍結乾燥された状態で提供される場合に、適切な溶液やバッファに溶かして使用可能である。
【0085】
本発明の具体的な実施例において、本発明者らは、リポソーム及びmRNAの混合順序を調節して製造されたmRNA-リポソーム複合体の特性を分析し、リポソーム及びmRNAの混合順序によるin vivo mRNA発現を確認した。
【0086】
本発明において、前記mRNA及びリポソームは、mRNA→リポソームの順序で投入して混合してよい。
【0087】
前記順序でmRNA及びリポソームを混合することによって、製造されたmRNA-リポソーム複合体の生体内mRNA伝達及び発現率が増加し得る。
【0088】
本発明のmRNA伝達用組成物の製造方法は、免疫増強剤を混合する段階をさらに含んでよい。
【0089】
前記免疫増強剤は、凍結乾燥した状態の粉末形態で提供されてもよく、適切な溶液やバッファに溶解された状態で提供されてもよい。免疫増強剤が凍結乾燥した状態で提供される場合に、適切な溶液やバッファに溶解して使用可能である。
【0090】
本発明の具体的な実施例において、本発明者らは、リポソーム、mRNA及び免疫増強剤の混合順序を調節して製造されたmRNA-リポソーム複合体に対して、リポソーム、mRNA及び免疫増強剤の混合順序によるin vivo mRNA発現を確認した。
【0091】
本発明において、前記mRNA、リポソーム及び免疫増強剤は、免疫増強剤→mRNA→リポソームの順序で投入して混合するものであってよい。
【0092】
前記順序でmRNA、リポソーム及び免疫増強剤を混合することによって、製造されたmRNA-リポソーム複合体の生体内mRNA伝達及び発現率が増加し得る。
【0093】
本発明のmRNA及びリポソームは、上述したmRNA伝達用組成物の有効成分であるので、重複する内容については本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
[発明の効果]
【0094】
本発明に係る陽イオン性リポソームを含むmRNA伝達用組成物は、保管安定性に優れており、in vivoで高い細胞内伝達率及び発現率を示し、癌の治療/予防用のmRNAワクチン又はウイルスやバクテリア感染予防用のmRNAワクチンなどの安定性及び効率を向上させることができる。
[図面の簡単な説明]
【0095】
[
図1]mRNAの使用量を異ならせて製造したリポソーム-mRNA複合体のマウスにおけるmRNAの発現を確認した結果である。
【0096】
[
図2]DOTAP:DOPEの比率を異ならせて製造したリポソームを使用したリポソーム-mRNA複合体のマウスにおけるmRNAの発現を確認した結果である。
【0097】
[
図3]DOTAP:DOPE:コレステロールの比率を異ならせて製造したリポソームを使用したリポソーム-mRNA複合体のマウスにおけるmRNAの発現を確認した結果である。
【0098】
[
図4]mRNA及びリポソームの混合順序を異ならせて製造したmRNA-リポソーム複合体の試料のサイズ、分散度、ゼータ電位を分析した結果である。
【0099】
[
図5]mRNA及びリポソームの混合順序によるmRNAの発現差をin vivoで確認した結果である。
【0100】
[
図6]mRNA及びリポソームの混合順序を異ならせて製造したmRNA-リポソーム複合体でマウスを免疫化した後、細胞性免疫反応(
図6A)、抗体性免疫反応(
図6B)及び中和抗体力価(
図6C)を確認した結果である。
【0101】
[
図7]dLOS使用量を異ならせて製造したリポソーム-mRNA複合体のマウスにおけるmRNAの発現を確認した結果である。
【0102】
[
図8]mRNA、リポソーム、及びdLOSの混合順序を異ならせて製造したmRNA-リポソーム-dLOS複合体をマウスに注射した時に、mRNAの発現を確認した結果である(LP:リポソーム;R:mRNA;dL:dLOS)
【0103】
[
図9]N/P比率を異ならせて製造したmRNA-リポソーム複合体の安定性を測定するために、保管期間別にサイズ(
図9A)、分散度(
図9B)、ゼータ電位(
図9C)を測定した結果である。
[発明を実施するための形態]
【0104】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
【0105】
製造例1.mRNA-リポソーム複合体(mRNA-liposome)製造
【0106】
リポソーム製造(Film method)
【0107】
DOTAP(Merck & Cie/CH2900014)、DOPE(Avanti Polar Lipid)及び/又はコレステロール(Avanti Polar Lipid)にクロロホルムをそれぞれ混合した後、37℃で10分間完全に溶解させて液状溶液として製造した。
【0108】
丸底フラスコに前記液状溶液を一定重量比で混合して脂質混合物(lipid mixture)を作り、ロータリーエバポレーター(Buchi/B491_R200)で60℃、30分間揮発させてクロロホルムを飛ばし、フラスコ壁面に脂質膜フィルムを作製した。
【0109】
前記脂質膜フィルムが作製されたフラスコに4%(w/v)スクロース含有の20mM HEPESバッファ(pH 7.4)を入れて60℃で脂質膜を溶かし、リポソームの濃度が7.5mg/mLとなるようにリポソームを形成した。形成されたリポソームは、動的光散乱分析装備で粒子のサイズ、ゼータ電位、分散度を測定した。製造された残りリポソームは試験前まで4℃で保管した。
【0110】
mRNA-リポソーム複合体製造
【0111】
4%スクロース含有の20mM HEPESバッファ(pH7.4)に、上記で製造したリポソーム(LP-DOTAP/DOPE/コレステロール(40:40:20,w/w/w)又はLP-DOTAP/DOPE(50:50,w/w))及びレニラルシフェラーゼ(Renilla Luciferase)に対するmRNA(配列番号1)を混合してmRNA-リポソーム複合体を製造した。
【0112】
このとき、7.5mg/mLのリポソーム溶液(LP-DOTAP/DOPE/コレステロール(40:40:20,w/w/w)は、製造直後又は最大で製造後2週以内の期間で冷蔵保管された試料を使用した。1mg/mLのレニラルシフェラーゼmRNA(配列番号1)溶液は-70℃に保管したし、使用直前にアイス上で溶かして使用した。4%スクロース含有の20mM HEPESバッファ(pH7.4)は、実験の直前に作って使用したり又は実験前日に製造した後に冷蔵保管した。
【0113】
リポソームとmRNAの混合割合であるN/P比率(N/P ratio)は、次の計算式で計算した。
【0114】
【0115】
実施例1.mRNA-リポソーム複合体のmRNA含有量によるmRNA発現確認
【0116】
前記製造例1においてリポソーム-mRNA複合体を製造するとき、mRNAの量を5μg、10μg及び20μgと別々にし、それぞれの場合に対してDOTAP:DOPE:コレステロール(40:40:20,w/w/w)のリポソームの量を18.75μg、37.5μg、75μgで混合した複合体(N/P比率=0.7)を製造した後、in vivoで発現率を確認した。
【0117】
具体的には、除毛したマウス(7週齢C57BL/6N雌、オリエントバイオ、中央実験動物)に各リポソーム-mRNA複合体を100μlの容量で大腿部三角筋に筋肉内注射(intramuscular injection;I.M.injection)した。
【0118】
投与6時間後に、マウスをアバチン(avertin)(250mg/kg)で麻酔した後、ルシフェラーゼ基質ストック溶液(ViviRenTM in vivo renilla luciferase substrate stock solution)に1X PBS 2.4mLを入れて0.15μg/μlにした基質(substrate)を200μgずつ静脈注射(intravenous injection;I.V.injection)した。
【0119】
投与の直後に、IVIS装備(Ami-HTX,USA)内にマウスをポジションさせ、撮影露出時間を60秒に設定してマウスを撮影したし(xenogen IVIS-200)、Aura Imaging Software(Spectral Instruments Imaging,USA)を用いて、投与部位のルシフェラーゼの発現程度(Region of interest,ROI)を数値化した。
【0120】
その結果、
図1から確認できるように、5μg、10μg mRNAでは発現率の差がなかったが、20μgのmRNAを含む場合は、5μg、10μgm RNAを含む場合に比べてそれぞれ、発現率が135%、170%増加した。mRNAが一定レベル以上増加すればin vivo発現率が増加した。
【0121】
製造例2.リポソームの陽イオン性脂質:中性脂質:コレステロール(DOTAP:DOPE:cholesterol)混合比率が調節されたmRNA-リポソーム複合体製造
【0122】
2-1.DOTAP:DOPEの混合比率調節
【0123】
下記の表1に示すDOTAP:DOPEの比率(w/w)でリポソームを製造した後、mRNAと混合してリポソーム-mRNA複合体を製造した。リポソーム-mRNA複合体のNP比率(molar ratio)は0.7:1となるように、20μg mRNA(レニラルシフェラーゼmRNA、配列番号1)に対して30μg DOTAPが含まれたリポソームを使用した。この時、リポソーム対照群として、メーカーが推奨するプロトコルを用いてNanoAssemblr Ignite(Precision NanoSystems)でC12-200、DSPC、コレステロール及びDMG-PEG2000を50:10:38.5:1.5に混合したLNP(C12-200:DSPC:コレステロール:DMG-PEG2000=50:10:38.5:1.5)を使用した。
【0124】
【0125】
2-2.DOTAP:DOPE:コレステロールの混合比率調節
【0126】
下記の表2に示すDOTAP:DOPE:コレステロールの比率(w/w)でリポソームを製造した後、mRNAと混合してリポソーム-mRNA複合体を製造した。リポソーム-mRNA複合体のNP比率は0.7:1となるように、20μg mRNA(レニラルシフェラーゼmRNA、配列番号1)に対して30μg DOTAPが含まれたリポソームを使用した。この時、リポソーム対照群としてインビボフェクタミン(invivofectamine)(Thermo Fisher Scientific)を使用した。
【0127】
【0128】
実施例2.リポソームの陽イオン性脂質:中性脂質:コレステロール(DOTAP:DOPE:コレステロール)混合比率によるmRNA発現確認
【0129】
2-1.DOTAP:DOPEの混合比率によるin vivo発現率
【0130】
前記製造例2-1で製造された各リポソーム-mRNA複合体に対して、前記実施例1と同じ方法でin vivo発現を確認した。
【0131】
その結果、
図2から確認できるように、40:60、50:50及び70:30のDOTAP:DOPEの比率で製造されたリポソームを使用したリポソーム-mRNA複合体において、高いマウス内mRNA発現率を示した。
【0132】
2-2.DOTAP:DOPE:コレステロールの混合比率によるin vivo発現率
【0133】
前記製造例2-2で製造された各リポソーム-mRNA複合体に対して、前記実施例1と同じ方法でin vivo発現を確認した。
【0134】
その結果、
図3から確認できるように、DOTAP:DOPEの比率を1:1に固定し、コレステロールの比率を調整した時に、40:40:20~35:35:30のDOTAP:DOPE:コレステロールの比率で製造されたリポソームを使用したリポソーム-mRNA複合体において、高いマウス内mRNA発現率を示したし、コレステロール比率を固定した時に、20:60:20~40:40:20のDOTAP:DOPE:コレステロール比率で製造されたリポソームを使用したリポソーム-mRNA複合体において、高いマウス内mRNA発現率を示した。
【0135】
実施例3.リポソームの陽イオン性脂質:中性脂質:コレステロール(DOTAP:DOPE:コレステロール)混合比率による特性分析
【0136】
前記製造例2-2で製造したリポソーム及びmRNA-リポソーム複合体を、4%スクロースを含有する20mM HEPESバッファ(pH7.4)で1/10に希釈した。Zetasizer Nano ZSP(Malvern Pnanlytical)でDLS(Dynamic Light Scattering)分析を行い、複合体のサイズ(size)、分散度(PDI)、ゼータ電位(Zeta potential)を測定した。
【0137】
その結果、下記の表3(リポソーム)及び表4(リポソーム-mRNA複合体)から確認できるように、リポソームのサイズは100~200nm、分散度は0.4未満であった。DOTAPとDOPEが同比であるとき、コレステロール含有比が大きくなるほど粒子サイズと分散度が大きくなったし、コレステロール含有比が20であって、同一であるとき、DOATPに比べてDOPE含有量が多いと、粒子サイズと分散度が大きくなる傾向が観察された(表3)。リポソーム-mRNA複合体は概ね180~240nm、分散度は0.3未満であったし、これらの数値は、mRNAが混合していないリポソームに比べて増加した。mRNAが混合している場合には、コレステロールの含有比率による粒子サイズ変化様相が観察されなかった。
【0138】
【0139】
【0140】
製造例3.リポソーム及びmRNAの混合順序が調節されたmRNA-リポソーム複合体製造
【0141】
前記製造例1の-70℃に保管されていた1mg/mLのレニラルシフェラーゼmRNA溶液、及び冷蔵保管されたリポソーム溶液(LP-DOTAP/DOPE/コレステロール(40:40:20,w/w/w))及び4%スクロース含有の20mM HEPESバッファ(pH7.4)を使用した。
【0142】
下記の製造方法は、リポソーム-mRNA複合体400μL製造例示であり、必要によって一定比率で増量して製造したし、溶液の混合は、ピペッティングをはじめとして撹拌などの周知の方法を用いた。
【0143】
3-1.mRNA→リポソームの順序
【0144】
RNA専用200Pチップ(tip)を用いて4%スクロース含有の20mM HEPESバッファ(pH7.4)340μLを取ってマイクロチューブに分注した。200Pチップを用いて、完全解凍された1mg/mLのレニラルシフェラーゼmRNA溶液40μL(40μg mRNA)を取ってバッファの分注されたマイクロチューブに入れた後、約10回ピペッティングした。200Pチップを用いて7.5mg/mLのリポソーム溶液(LP-DOTAP/DOPE/コレステロール(40:40:20,w/w/w)20μL(150μgリポソーム)を取って前記バッファ及びmRNA溶液の分注されたマイクロチューブに入れた後、約30回ピペッティングした。最後に、前記バッファ、mRNA溶液及びリポソーム溶液が混合された試料を1000Pチップで約10回ピペッティングしてさらに混合した。
【0145】
3-2.リポソーム→mRNAの順序
【0146】
RNA専用200Pチップ(tip)を用いて4%スクロース含有の20mM HEPESバッファ(pH7.4)340μLを取ってマイクロチューブに分注した。200Pチップを用いて7.5mg/mLのリポソーム溶液(LP-DOTAP/DOPE/コレステロール(40:40:20,w/w/w))20μL(150μgリポソーム)を取ってバッファの分注されたマイクロチューブに入れた後、約10回ピペッティングした。200Pチップを用いて、完全解凍された1mg/mLのレニラルシフェラーゼmRNA溶液40μL(40μg mRNA)を取って前記バッファ及びリポソーム溶液の分注されたマイクロチューブに入れた後、約30回ピペッティングした。最後に、前記バッファ、mRNA溶液及びリポソーム溶液が混合された試料を1000Pチップで約10回ピペッティングしてさらに混合した。
【0147】
実施例4.リポソーム及びmRNAの混合順序による特性分析
【0148】
前記製造例3で製造されたリポソーム-mRNA複合体に対するDLS分析を行い、複合体のサイズ(size)、分散度(PDI)、ゼータ電位(Zeta potential)の平均と標準偏差を導出した。
【0149】
その結果、
図4から確認できるように、各リポソーム-mRNA複合体の物理的特性には大差がなかった。
【0150】
実施例5.リポソーム及びmRNAの混合順序によるmRNA発現確認
【0151】
前記製造例3で混合順序によって個別に製造されたリポソーム-mRNA複合体に対して、前記実施例1と同じ方法でin vivo発現を分析した。
【0152】
その結果、
図5から確認できるように、mRNA→リポソームの順序で混合して製造した複合体においてmRNA発現が顕著に高く示された。
【0153】
実施例6.リポソーム及びmRNAの混合順序による免疫原性確認
【0154】
レニラルシフェラーゼに対するmRNAの代わりにSARS-CoV-2 S mRNA(配列番号3)を使用した以外は、前記製造例3と同じ方法で混合順序によって個別に製造されたリポソーム-mRNA複合体に対して、次の実験を行った。
【0155】
まず、6週齢雌マウス(B6C3F1/slc,中央実験動物)に混合順序を異ならせて製造されたリポソーム-mRNA複合体を、マウスの左後肢の大腿部に筋肉投与経路で0.1HD(human dose)ずつ3週間隔で2回投与した。
【0156】
6-1.サイトカイン
【0157】
脾臓細胞再刺激(Splenocyte restimulation)
【0158】
最後の投与2週後に頚椎脱骨でマウスを犠牲させ、脾臓を摘出した後、脾臓をプール(pooling)し、1%ペニシリンストレプトマイシン溶液添加のPBS(以下、PBS w/antibiotics)が分注された24ウェルプレートに移した。使用した培地は、下記の表5及び表6に示す。
【0159】
【0160】
【0161】
クリーンベンチ内で脾臓組織を鉗子で挟んでPBS w/antibioticsに洗浄した後、3mLの基本培地(basal media)の入っている60mmディッシュに移し、40μmセルストレーナー(cell strainer)を用いて、組織を潰して脾臓細胞(splenocyte)を分離した。分離された脾臓細胞を15mLチューブに移した後、4℃、3,000rpmの条件で5分間遠心分離して上澄液を除去し、細胞を3mLのRBC溶解バッファで懸濁して常温に3分静置した後、4℃、3,000rpmの条件で5分間遠心分離した。上澄液を除去して細胞を3mLのPBS w/antibioticsに懸濁して4℃、3,000rpmの条件で5分間遠心分離し、上澄液を除去した後、細胞を10mLの完全培地(complete media)に懸濁した。前記細胞懸濁液を完全培地を用いて2×107細胞/mLとなるように希釈した後、96ウェル細胞培養プレートに100μl/ウェルで分注した。
【0162】
別途に、PepMix SARS-CoV-2-S1ペプチドプール(pool,JPT)及びSARS-CoV-2-S2ペプチドプール(JPT)を各1バイアルに50μlのDMSOを入れて溶解させた後、最終濃度2.5μg/mLとなるように完全培地と混合してSARS CoV-2スパイクペプチド刺激剤(stimulant)を製造した。
【0163】
前記細胞懸濁液の入っている96ウェルに前記刺激剤40μg/ウェル及び完全培地60μl/ウェルずつ添加して37℃、5% CO2の条件で72時間反応させた。
【0164】
IFN-γ濃度確認
【0165】
刺激された脾臓細胞の培養液を試薬希釈剤(reagent diluent,1% BSA)で1/5希釈し、抗マウスIFN-γキャプチャー抗体(Jackson)がコートされたマイクロプレートに100μl/ウェルで分注し、シーリングフィルムを覆って常温で2時間静置した後、ELISAウォッシャー(ELISA washer)(Tecan/Hydroflexelisa)で各ウェルの溶液を除去し、洗浄バッファを用いて3回洗浄した。
【0166】
試薬希釈剤を用いてIFN-γ ELISAキット(Mouse IFN-γ Duoset ELISA,R&D systems)内のStreptavidin-HRPを1/40に希釈した後、イムノプレートに100μl/ウェルずつ分注し、シーリングフィルムで覆って常温で20分間静置した後、ELISAウォッシャーで各ウェルの溶液を除去し、洗浄バッファで3回洗浄した。
【0167】
キット内の抗マウスIFN-γ検出抗体を試薬希釈剤を使って200ng/mLに希釈した後、イムノプレートに100μL/ウェルずつ分注し、シーリングフィルムを覆って常温で1時間静置した後、ELISAウォッシャー(Tecan/Hydroflexelisa)で各ウェルの溶液を除去し、洗浄バッファで3回洗浄した。
【0168】
TMB基質(KPL sureblue TMB microwell peroxidase substrate,Seracare)溶液をイムノプレートに100μlずつ分注し、常温の暗所で15分間反応させた後、1N H2SO4溶液をイムノプレートに100μlずつ分注して反応を停止し、ELISAリーダー(reader)を用いて450nmで吸光度を測定した。
【0169】
その結果、
図6Aから確認できるように、mRNA→リポソームの順序で混合して製造した複合体においてIFN-γ濃度が最も高かった。
【0170】
6-2.抗体力価(IgG titers)
【0171】
最後の投与2週後にアバチンワーキング溶液(Avertin working solution)を250mg/kgで腹腔投与して麻酔させ、心臓採血で全血を採取した。採取された全血をマイクロチューブに移して常温に3時間静置した後、4℃、15,000rpmの条件で10分間遠心分離し、上澄液を新しいマイクロチューブに移して血清を確保し、分析前まで-20℃に保管した。
【0172】
次に、1X PBSを用いてRBD(SARS-CoV-2 receptor binding domain)抗原(Mybiosource,USA)を1μg/mLに希釈した後、イムノプレート(immunoplate)に100μl/ウェルずつ分注し、シーリングフィルムを覆って4℃に一晩静置した。ELISAウォッシャー(Tecan/Hydroflexelisa)で各ウェルの溶液を除去し、洗浄バッファ(20X PBSを精製水で希釈した1Lの1X PBSに500μlのtween20を投入)を用して5回洗浄した。イムノプレートに試薬希釈剤(reagent diluent,1% BSA、1gのBSAを100mLのPBSに溶かして製造)を200μl/ウェルずつ分注し、シーリングフィルムを覆って37℃反応器で1時間静置した。ELISAウォッシャーで各ウェルの溶液を除去し、洗浄バッファで5回洗浄した。試薬希釈剤をイムノプレートに100μl/ウェルずつ分注した。
【0173】
試薬希釈剤(1% BSA)を用いて上記で確保した血清を1:50に希釈した後、イムノプレートのB~Gの1列に100μlで分注し、ウェル内で数回ピペッティングして試料を混合した後、1列から100μlを取って2列に入れる方法で、ELISAプレート上で試料を12列まで1/2順次希釈(serial dilution)した。この時、試験の適合性評価のために、試薬希釈剤を用いて過血清(hyper serum)を1:200に希釈した後、各イムノプレートHの1列に100μlで分注し、上記のような方法で1/2順次希釈した。
【0174】
イムノプレートをシーリングフィルムで覆って37℃反応器で2時間反応させた。ELISAウォッシャーで各ウェルの溶液を除去し、洗浄バッファで5回洗浄した。試薬希釈剤を用いてヤギ抗マウスIgG抗体(Jackson Laboratory)を1:5,000に希釈した後、イムノプレートに100μlずつ分注し、シーリングフィルムを覆って37℃反応器で1時間反応させた。ELISAウォッシャーで各ウェルの溶液を除去し、洗浄バッファで5回洗浄した。
【0175】
常温に平衡させたTMB基質溶液をイムノプレートに100μlずつ分注し、常温の暗所で5分間反応させた。1N H2SO4溶液をイムノプレートに100μlずつ分注して反応を停止し、ELISAリーダー(Biotek/Epoch)を用いて450nmで吸光度を測定した。
【0176】
その結果、
図6Bから確認できるように、mRNA→リポソームの順序で混合して製造した複合体において最も優れた抗体性免疫反応を示した。
【0177】
6-3.中和抗体形成能(surrogate Neutalization)(%)分析
【0178】
1.5mLマイクロチューブに、陰性対照群(negative control)(DMEM培地)、又は前記実施例6-2で確保して-20℃に保管中である免疫化したマウス血清サンプル60μLをそれぞれ、1:1000希釈されたHRP標識RBD 60μlと混合した後に37℃で30分間反応させ、マイクロタイターテストストリッププレート(Microtiter test strip plate)に100μlを分注した後、シーリングフィルムを覆って37℃で15分間反応させた。ELISAウォッシャーで各ウェルの溶液を除去し、1X洗浄溶液で4回洗浄した。TMB溶液を100μl/ウェルずつ分注し、シーリングフィルムを覆って常温の暗所で15分間反応させた後、停止溶液を50μl/ウェルずつ分注して反応を停止させた後、ELISAリーダーを用いて405nmで光学密度(optical density)を測定した。
【0179】
その結果、
図6Cから確認できるように、mRNA→リポソームの順序で混合して製造した複合体において、最も高いレベルの中和抗体力価誘導能を示した。
【0180】
小結
【0181】
mRNA-リポソーム複合体の製造時に、混合方法によってin vivo発現及び免疫原性誘導能が変わり、mRNA→リポソームの順で混合する時に最も優れた効果を示した。
【0182】
製造例4.リポソーム、mRNA及び免疫増強剤の混合順序が調節されたmRNA-リポソーム複合体製造
【0183】
4-1.リポソーム、mRNA及び免疫増強剤が含まれたmRNA-リポソーム複合体
【0184】
前記製造例1で免疫増強剤dLOS(detoxified Lipooligosaccharide)(TLR4 agonist;アイジン(株)、韓国)をさらに混合してmRNA-リポソーム複合体を製造した。
【0185】
4-2.リポソーム、mRNA及び免疫増強剤の混合順序調節
【0186】
前記製造例1の-70℃に保管されていた1mg/mLのレニラルシフェラーゼmRNA溶液、及び冷蔵保管されたリポソーム溶液(LP-DOTAP/DOPE/コレステロール(40:40:20,w/w/w))及び4%スクロース含有の20mM HEPESバッファ(pH7.4)を使用した。さらに、免疫増強剤dLOSを使用した。前記3つの溶液(mRNA、リポソーム及びdLOS)の混合順序を組合せ可能な場合の数である、下記の6つの方法で試料を混合した:
【0187】
a:リポソーム→mRNA→dLOS
【0188】
b:リポソーム→dLOS→mRNA
【0189】
c:mRNA→リポソーム→dLOS
【0190】
d:mRNA→dLOS→リポソーム
【0191】
e:dLOS→リポソーム→mRNA
【0192】
f:dLOS→mRNA→リポソーム
【0193】
具体的には、RNA専用200Pチップ(tip)を用いて4%スクロース含有の20mM HEPESバッファ(pH7.4)定量を取ってマイクロチューブに分注した。200Pチップを用いて一番目の溶液定量を取ってバッファの分注されたマイクロチューブに入れた後、約10回ピペッティングした。200Pチップを用いて二番目の溶液定量を取ってバッファの分注されたマイクロチューブに入れた後、約10回ピペッティングした。200Pチップを用いて三番目の溶液定量を取ってバッファの分注されたマイクロチューブに入れた後、約10回ピペッティングした。最後に、1000Pチップを用いて30回ピペッティングして混合した。
【0194】
実施例7:免疫増強剤含有量別mRNA発現確認
【0195】
前記製造例4-1において免疫増強剤dLOSを含有量を異ならせて添加してリポソーム-mRNA複合体のin vivoで発現率を確認した。この時、dLOSは、0.25μg、0.5μg、0.75μg及び1μgを添加したし、in vivo発現確認は、前記実施例1と同じ方法で行った。
【0196】
その結果、
図7に示すように、dLOS添加量は0.25μg以上、1μg以下の場合に発現量が増加することが見られた。
【0197】
実施例8:リポソーム、mRNA及び免疫増強剤の混合順序によるmRNA発現確認
【0198】
前記製造例4-2で製造された各リポソーム-mRNA複合体に対して、前記実施例1と同じ方法でin vivo発現を確認した。
【0199】
その結果、
図8に示すように、dLOS→mRNA→リポソームの順序で混合した組成物を投与したマウスにおいて相対的に高い発現量を確認した。
【0200】
実施例9:mRNA-リポソーム複合体の時間による安定性(物理化学的性質)変化確認
【0201】
[0EGFP]
【0202】
EGFP mRNA(配列番号2)とリポソーム(DOTAP:DOPE:コレステロール 40:40:20,w/w/w)の複合体を対象に、製造後の時間の経過による物理化学的性質変化をDLS測定から確認した。
【0203】
具体的には、前記製造されたEGFP mRNA-リポソーム複合体を凍結乾燥剤形の状態で9週間冷蔵保管しながら毎週、サイズ、ゼータ電位及びPDIを測定した。
【0204】
その結果、
図9から確認できるように、NP比率1.39:1以下において、9週間安定していることが分かった。
【0205】
[0SARS-CoV-2 S]
【0206】
液状剤形と凍結乾燥剤形のSARS-CoV-2 S mRNA(配列番号3)とリポソーム(DOTAP:DOPE:コレステロール 40:40:20,w/w/w)の複合体を対象に、製造後の時間の経過による物理化学的性質変化をDLS測定から確認した。
【0207】
具体的には、前記製造されたSARS-CoV-2 S mRNA-リポソーム複合体を16週間冷蔵保管しながら一定期間別(0、2、4、8、12、16週)に、サイズ、ゼータ電位、PDIを測定した。
【0208】
その結果、表7(液状剤形)及び表8(凍結乾燥剤形)から確認できるように、液状剤形と凍結乾燥剤形のいずれも16週間安定していることが分かった。
【0209】
【0210】
【0211】
本発明は、mRNA体内伝達用組成物に関し、具体的には、陽イオン性脂質ベースのリポソームを含むmRNA体内伝達用組成物及びその製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【
図1】mRNAの使用量を異ならせて製造したリポソーム-mRNA複合体のマウスにおけるmRNAの発現を確認した結果である。
【0213】
【
図2】DOTAP:DOPEの比率を異ならせて製造したリポソームを使用したリポソーム-mRNA複合体のマウスにおけるmRNAの発現を確認した結果である。
【0214】
【
図3】DOTAP:DOPE:コレステロールの比率を異ならせて製造したリポソームを使用したリポソーム-mRNA複合体のマウスにおけるmRNAの発現を確認した結果である。
【0215】
【
図4】mRNA及びリポソームの混合順序を異ならせて製造したmRNA-リポソーム複合体の試料のサイズ、分散度、ゼータ電位を分析した結果である。
【0216】
【
図5】mRNA及びリポソームの混合順序によるmRNAの発現差をin vivoで確認した結果である。
【0217】
【
図6A】mRNA及びリポソームの混合順序を異ならせて製造したmRNA-リポソーム複合体でマウスを免疫化した後、細胞性免疫反応を確認した結果である。
【0218】
【
図6B】mRNA及びリポソームの混合順序を異ならせて製造したmRNA-リポソーム複合体でマウスを免疫化した後、抗体性免疫反応を確認した結果である。
【0219】
【
図6C】mRNA及びリポソームの混合順序を異ならせて製造したmRNA-リポソーム複合体でマウスを免疫化した後、中和抗体力価を確認した結果である。
【0220】
【
図7】dLOS使用量を異ならせて製造したリポソーム-mRNA複合体のマウスにおけるmRNAの発現を確認した結果である。
【0221】
【
図8】mRNA、リポソーム、及びdLOSの混合順序を異ならせて製造したmRNA-リポソーム-dLOS複合体をマウスに注射した時に、mRNAの発現を確認した結果である(LP:リポソーム;R:mRNA;dL:dLOS)
【0222】
【
図9A】N/P比率を異ならせて製造したmRNA-リポソーム複合体の安定性を測定するために、保管期間別にサイズを測定した結果である。
【0223】
【
図9B】N/P比率を異ならせて製造したmRNA-リポソーム複合体の安定性を測定するために、保管期間別に分散度を測定した結果である。
【0224】
【
図9C】N/P比率を異ならせて製造したmRNA-リポソーム複合体の安定性を測定するために、保管期間別にゼータ電位を測定した結果である。
【配列表】
【国際調査報告】