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▶ ハイファイバイオ(ホンコン)リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】抗ヒトCXCR5抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240227BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240227BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240227BHJP
   C12N 15/70 20060101ALI20240227BHJP
   C12N 15/74 20060101ALI20240227BHJP
   C12N 15/81 20060101ALI20240227BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/46 ZNA
C07K16/28
C12N15/70 Z
C12N15/74 Z
C12N15/81 Z
C12N15/85 Z
A61P37/02
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P1/04
A61P3/10
A61P25/00
A61P17/06
A61P21/04
A61P9/10 101
A61P27/02
A61P1/16
A61P17/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 U
A61K39/395 N
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555391
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022019587
(87)【国際公開番号】W WO2022192423
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/158,462
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/111049
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】522256668
【氏名又は名称】ハイファイバイオ(ホンコン)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァイツァー,リャン
(72)【発明者】
【氏名】エロウズ,サミ
(72)【発明者】
【氏名】ハルノバ,アイリン・コック
(72)【発明者】
【氏名】ベック,ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラミネッリ・ニコラ・アルトゥーロ・アルド
(72)【発明者】
【氏名】チャン,キアン
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン,フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ユン-ユー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA33
4C084ZA45
4C084ZA68
4C084ZA75
4C084ZA89
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZB07
4C084ZB15
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC35
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、(ヒト)CXCR5に特異的なモノクローナル抗体及びその抗原結合フラグメント、ならびにそれらをシェーグレン症候群、ある特定のがん、及び自己免疫性疾患の治療に使用する方法(併用療法を含む)を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、ヒトCXCR5に特異的であり、前記モノクローナル抗体が、
(1)VH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)であって、前記VH CDR1配列、前記VH CDR2配列、及び前記VH CDR3配列が、表A、B、及びDにあるいずれか1つのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列をそれぞれ含み、任意選択で、前記VH CDR1配列、前記VH CDR2配列、及び前記VH CDR3配列が、表A、B、及びDにあるいずれか1つのモノクローナル抗体のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列をそれぞれ含む、前記重鎖可変領域、及び/または
(2)VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)であって、前記VL CDR1配列、前記VL CDR2配列、及び前記VLCDR3配列が、表A、C、及びDにあるいずれか1つのVL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列をそれぞれ含み、任意選択で、前記VL CDR1配列、前記VL CDR2配列、及び前記VL CDR3配列が、表A、C、及びDにあるいずれか1つのモノクローナル抗体のVL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列をそれぞれ含む、前記軽鎖可変領域を含む、前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗体結合フラグメント。
【請求項2】
(1)前記VH CDR1配列、前記VH CDR2配列、及び前記VH CDR3配列が、配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列をそれぞれ含み、前記VL CDR1配列、前記VL CDR2配列、及び前記VL CDR3配列が、配列番号9、10、及び11のアミノ酸配列をそれぞれ含む、
(2)前記VH CDR1配列、前記VH CDR2配列、及び前記VH CDR3配列が、配列番号17、18、及び19のアミノ酸配列をそれぞれ含み、前記VL CDR1配列、前記VL CDR2配列、及び前記VL CDR3配列が、配列番号25、26、及び27のアミノ酸配列をそれぞれ含む、
(3)前記VH CDR1配列、前記VH CDR2配列、及び前記VH CDR3配列が、配列番号33、34、及び35のアミノ酸配列をそれぞれ含み、前記VL CDR1配列、前記VL CDR2配列、及び前記VL CDR3配列が、配列番号41、42、及び43のアミノ酸配列をそれぞれ含む、
(4)前記VH CDR1配列、前記VH CDR2配列、及び前記VH CDR3配列が、配列番号33、49、及び51のアミノ酸配列をそれぞれ含み、前記VL CDR1配列、前記VL CDR2配列、及び前記VL CDR3配列が、配列番号57、58、及び59のアミノ酸配列をそれぞれ含む、
(5)前記VH CDR1配列、前記VH CDR2配列、及び前記VH CDR3配列が、配列番号33、49、及び65のアミノ酸配列をそれぞれ含み、前記VL CDR1配列、前記VL CDR2配列、及び前記VL CDR3配列が、配列番号57、58、及び59のアミノ酸配列をそれぞれ含む、
(6)前記VH CDR1配列、前記VH CDR2配列、及び前記VH CDR3配列が、配列番号69、70、及び71のアミノ酸配列をそれぞれ含み、前記VL CDR1配列、前記VL CDR2配列、及び前記VL CDR3配列が、配列番号76、77、及び78のアミノ酸配列をそれぞれ含む、
(7)前記VH CDR1配列、前記VH CDR2配列、及び前記VH CDR3配列が、配列番号33、49、及び51のアミノ酸配列をそれぞれ含み、前記VL CDR1配列、前記VL CDR2配列、及び前記VL CDR3配列が、配列番号149、150、及び151のアミノ酸配列をそれぞれ含む、または
(8)前記VH CDR1配列、前記VH CDR2配列、及び前記VH CDR3配列が、配列番号114、115、及び116のアミノ酸配列をそれぞれ含み、前記VL CDR1配列、前記VL CDR2配列、及び前記VL CDR3配列が、配列番号120、121、及び122のアミノ酸配列をそれぞれ含む、請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記モノクローナル抗体が、ヒト抗体(例えば、hIgG1、hIgG2、hIgG3、またはhIgG4)の定常領域配列を含むマウス-ヒトキメラ抗体であり、前記VH配列が、配列番号8、24、40、56、65、もしくは75のいずれか1つであるか、または配列番号8、24、40、56、65、もしくは75のアミノ酸配列のいずれか1つに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、及び/または前記VL配列が、配列番号16、32、48、63、68、もしくは83のいずれか1つであるか、または配列番号16、32、48、63、68、もしくは83のアミノ酸配列のいずれか1つに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する、請求項1または2に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
(1)前記VH配列が、配列番号8であるか、もしくは配列番号8に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記VL配列が、配列番号16であるか、もしくは配列番号16に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する、
(2)前記VH配列が、配列番号24であるか、もしくは配列番号24に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記VL配列が、配列番号32であるか、もしくは配列番号32に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する、
(3)前記VH配列が、配列番号40であるか、もしくは配列番号40に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記VL配列が、配列番号48であるか、もしくは配列番号48に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する、
(4)前記VH配列が、配列番号56であるか、もしくは配列番号56に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記VL配列が、配列番号63であるか、もしくは配列番号63に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する、
(5)前記VH配列が、配列番号65であるか、もしくは配列番号65に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記VL配列が、配列番号68であるか、もしくは配列番号68に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する、または
(6)前記VH配列が、配列番号75であるか、もしくは配列番号75に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、前記VL配列が、配列番号83であるか、もしくは配列番号83に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する、請求項3に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記モノクローナル抗体がヒト化抗体であり、任意選択で、前記ヒト化抗体が、
(1)表B、D、及びEにあるいずれか1つのモノクローナル抗体のVH配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVH配列;及び/または表C、D、及びEにあるいずれか1つのモノクローナル抗体のVL配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVL配列、
(2)配列番号96のVH配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVH配列、及び配列番号112のVL配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVL配列、
(3)配列番号113のVH配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVH配列、及び配列番号112のVL配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVL配列、
(4)配列番号96のVH配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVH配列、及び配列番号101のVL配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVL配列、
(5)配列番号96のVH配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVH配列、及び配列番号109のVL配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVL配列を含む、請求項1または2に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
前記ヒト化抗体が、
(1)VHフレームワーク領域配列VH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4であって、
(i)表B及び表Dにあるいずれか1つの抗体のものである、
(ii)それぞれ配列番号84、85、86、及び87と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(iii)それぞれ配列番号89、90、91、及び87と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、あるいは
(iv)それぞれ配列番号93、94、95、及び87と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(v)それぞれ配列番号132、85、133、及び87のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(vi)それぞれ配列番号93、126、127、及び87のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(vii)それぞれ配列番号132、133、134、及び87のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(viii)それぞれ配列番号138、94、139、及び87のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、あるいは
(ix)それぞれ配列番号141、142、143、及び87のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、前記VHフレームワーク領域配列、及び/または
(2)VLフレームワーク領域配列VL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4であって、
(i)表C及び表Dにあるいずれか1つの抗体のものである、
(ii)それぞれ配列番号97、98、99、及び100と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(iii)それぞれ配列番号97、102、99、及び100と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(iv)それぞれ配列番号103、104、105、及び100と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(v)それぞれ配列番号103、107、108、及び100と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(vi)それぞれ配列番号134、135、136、及び131のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(vii)それぞれ配列番号128、129、130、及び131のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(viii)それぞれ配列番号145、146、147、及び131のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、
(ix)それぞれ配列番号97、98、152、及び100のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、あるいは
(x)それぞれ配列番号154、102、99、及び47のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含む、前記VLフレームワーク領域配列を含む、請求項1または2に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
(1)前記VH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列が、
(i)それぞれ配列番号93、94、95、及び87、
(ii)それぞれ配列番号132、85、133、及び87、
(iii)それぞれ配列番号93、126、127、及び87、もしくは
(iv)それぞれ配列番号132、133、134、及び87を含み、及び/または
(2)前記VL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列が、
(i)それぞれ配列番号134、135、136、及び131、もしくは
(ii)それぞれ配列番号128、129、130、及び131を含む、請求項6に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
(1)前記VH配列が、配列番号96のアミノ酸配列を含み、前記VL配列が、配列番号112のアミノ酸配列を含む、または
(2)前記VH配列が、配列番号113のアミノ酸配列を含み、前記VL配列が、配列番号112のアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
前記VH配列が、配列番号56のアミノ酸配列を含み、前記VL配列が、配列番号111のアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
ADCCを増強するための修飾されたFc領域を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項11】
前記修飾されたFc領域が、
(1)FcγRIIIa結合を増強するためのF243L/R292P/Y300L/V305I/P396L変異、
(2)FcγRIIIa結合を増強するためのS239D/I332E変異、
(3)FcγRIIIa結合の増強及びFcγRIIIb結合の減少を同時に行うためのS239D/I332E/A330L変異、
(4)FcγRIIIa結合を増強するためのS298A/E333A/K334A変異、及び/または
(5)FcγRIIIaの結合を増強するためのFc領域での脱フコシル化N297を含む、請求項10に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項12】
前記抗原結合フラグメントが、Fab、Fab’、F(ab’)、F、単鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド結合F、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH、ミニボディ、F(ab’)、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb、(scFv)、またはscFv-Fcである、請求項1~9のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項13】
ADCC活性に関し低い(例えば、1~5または1~2)pM範囲のEC50値を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項14】
表面hCXCR5を発現する初代B細胞、及び/または表面hCXCR5を発現する初代T細胞に対しADCC活性を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項15】
hCXCR5表面抗原を内在化しない(または最小限の内在化にとどまる)、請求項1~14のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項16】
cAMPシグナル伝達を阻害する(例えば、1nM未満のEC50)、請求項1~15のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項17】
走化性を阻害する(例えば、約0.1~0.5nMまたは約0.1nMで約100%阻害)、請求項1~16のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項18】
hCXCL13誘導性B細胞移動を阻害する、請求項1~17のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項19】
hCXCR3と実質的に交差反応しない、請求項1~18のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項20】
接着細胞株(例えば、DX002)及び/または浮遊細胞株(例えば、M300-19)に発現したhCXCR5に結合する、請求項1~19のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項21】
hCXCR5のサルまたはマウスのオルソログと交差反応しないか、または最小限に交差反応する、請求項1~20のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項22】
対象におけるメモリーB細胞集団のパーセンテージを低減する、請求項1~21のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項23】
約25nM未満、20nM未満、15nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、または1nM未満、またはそれ以下のKでhCXCR5に結合する、請求項1~22のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項24】
同じエピトープへの結合に関し、請求項1~23のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと競合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項25】
シェーグレン症候群(SS)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、請求項1~24のいずれか1項に記載の抗体の治療有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項26】
SSの少なくとも1つの症状を軽減する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
異所性胚中心(GC)を伴う疾患または適応症(自己免疫性疾患または障害を含む)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、請求項1~24のいずれか1項に記載の抗体の治療有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項28】
前記疾患または前記適応症が、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、I型糖尿病、多発性硬化症(MS)、サルコイドーシス、乾癬、重症筋無力症、橋本病、グレーブ病、動脈硬化症、結膜炎、胃炎、肝炎、または皮膚炎である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
リンパ腫または白血病の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、請求項1~24のいずれか1項に記載の抗体の治療有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項30】
前記リンパ腫または前記白血病がB細胞リンパ腫である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記B細胞リンパ腫がCLL(B細胞慢性リンパ性白血病)である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記リンパ腫または前記白血病が非ホジキンリンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫)である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
固形癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、請求項1~24のいずれか1項に記載の抗体の治療有効量を前記対象に投与することを含み、前記固形癌が、胃癌、乳癌、腸癌、肺癌、または前立腺癌である、前記方法。
【請求項34】
化学療法剤、抗血管新生剤、成長阻害剤、がん免疫薬剤、及び/または抗新生物組成物を患者に投与することをさらに含む、請求項29~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
請求項1~24のいずれか1項に記載の重鎖もしくは軽鎖またはその抗原結合部分をコードするポリヌクレオチド。
【請求項36】
ヒト細胞での発現のためにコドン最適化されている、請求項35に記載のポリヌクレオチド。
【請求項37】
請求項35または36に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項38】
発現ベクター(例えば、哺乳類発現ベクター、酵母発現ベクター、昆虫発現ベクター、または細菌発現ベクター)である、請求項37に記載のベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、米国仮特許出願第63/158,462号(2021年3月9日出願)及び国際特許出願第PCT/CN2021/111049号(2021年8月5日出願)の優先権を主張し、上記出願の各々の全ての内容(任意の図面及び配列表を含む)が、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
C-X-Cケモカイン受容体5型(CXC-R5)は、CD185(分化抗原群185)またはバーキットリンパ腫受容体1(BLR1)の別名でも知られ、ケモカインCXCL13(別名BLC)に対するGタンパク質共役型7回膜貫通受容体であり、CXCケモカイン受容体ファミリーに属する。ヒトの場合、CXC-R5タンパク質は、CXCR5遺伝子によりコードされ、T細胞がリンパ節のB細胞ゾーンに移動できるようにする。
【0003】
BLR1/CXCR5遺伝子は、バーキットリンパ腫及びリンパ組織(例えば、リンパ節及び脾臓内の濾胞)で特異的に発現する。この遺伝子は、B細胞移動に不可欠な役割を果たしている。CXCL13分泌により、B細胞はリンパ節の位置を特定することができる。さらに、最近のいくつかの研究では、CXCL13は、CXCR5を介し造血前駆細胞(CD3CD4)を動員することが可能であり、これによりリンパ節及びパイエル板を発生を引き起こすことが示唆されている。
【0004】
一方、T細胞は、CXCR5の発現なしではB細胞濾胞にアクセスすることができない。B細胞及びT細胞は、Igクラススイッチを活性化するために相互作用する必要があるため、これは、高親和性抗体の生成における重要なステップである。
【0005】
したがって、CXCR5は、成熟静止B細胞、扁桃B細胞、CD4及びCD8両方のT細胞で発現していることが示されているが、しばしばT濾胞ヘルパー(Tfh)細胞の定義的マーカーとみなされている。
【0006】
乳癌患者におけるCXCR5の過剰発現は、リンパ節転移との相関が高い。さらに、CXCR5の発現上昇は、機能的なp53タンパク質を欠く乳房腫瘍において異常な細胞生存及び移動に寄与し得る。CXCR5遺伝子プロモーター領域内に位置し、多発性硬化症のリスクに関連するSNP rs630923のマイナーアレルは、MEF2C結合部位の出現に関与し、活性化時のB細胞内でCXCR5遺伝子プロモーター活性の低減をもたらし、自己免疫応答の減少につながる可能性がある。
【0007】
CXCR5は、前立腺癌の転移性進行にも関連付けられている。前立腺癌の組織及び細胞株は、より高い非基底レベルのCXCR5を発現することが分かっている。さらには、CXCR5の発現レベルとグリソンスコアとの間に相関が見出されている。
【0008】
CXCR5はGC(胚中心、Forster et al,1996-Allen et al.2004)の極性化/組織化に必要とされる。CXCR5及びそのリガンドCXCL13は、B/T境界領域におけるB/T細胞の二次リンパ臓器のGCへの移動に必要とされる(Allen et al,2004-Relf et al.,2012)。B/Tゾーン内のB/T細胞の相互作用は、BCR親和性成熟及びB細胞の拡大に必要とされる(Breitfield et al.,2000)。
【0009】
ほとんどのケモカインは、複数の受容体に結合することが知られている。しかし、CXCR5-CXCL13相互作用は、他のリガンドがCXCR5に結合せず、他の受容体がCXCL13に結合しないという点においてユニークと思われるが、CXCR3は、CXCR5と約38.5%のアミノ酸配列同一性または51.5%の類似性を共有する最も近いパラログである。
【0010】
シェーグレン症候群(SjS、SS)は、体内の水分を生成する腺に影響を及ぼす長期にわたる自己免疫性疾患である。この疾患は、1933年にHenrik Sjogrenが説明したことにちなんで命名された。SSの主な症状としては、ドライマウス及びドライアイが挙げられる。他の症状としては、ドライスキン、膣の乾燥、慢性の咳、四肢の麻痺、疲労感、筋肉及び関節の疼痛、ならびに甲状腺の問題を挙げることができる。罹患者は、リンパ腫のリスクも増加する(5%)。
【0011】
人口の0.2%から1.2%がSSに罹患しており、半数が原発性形態(他の健康問題とは無関係に発症する)、半数が続発性形態(他の結合組織障害の結果として発症する)である。女性は、男性の約10倍高頻度に罹患し、一般的には中年期に発症するが、誰でも罹患し得る。他の自己免疫性疾患を伴わない患者の間では、平均余命は変わらない。
【0012】
SSの正確な原因は不明であるものの、遺伝的性質及び環境的誘因(例えば、ウイルスまたは細菌への曝露)の組合せが関係すると考えられている。結果的に生じる炎症は、徐々に腺を損傷する。
【0013】
現在のSSの治療は、症状を対象としている。ドライアイの治療としては、人工涙液、炎症を低減する薬剤、涙点プラグ、または涙管を閉鎖する手術が挙げられる。ドライマウスについては、ガム(できれば無糖)を噛むか、水を口に含むか、または唾液
代替物が使用され得る。関節または筋肉の痛みを有する患者には、イブプロフェンを使用することがある。乾燥を引き起こし得る薬剤(例えば、抗ヒスタミン剤)を中止することもある。
【0014】
したがって、シェーグレン症候群に加えて、機序的に関連する他の疾患または適応症を治療する治療試薬を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0015】
本明細書に記載の発明は、アンタゴニスト的抗hCXCR5抗体であって、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を介しさらにCXCR5細胞を選択的に枯渇させる抗体を提供する。ADCCは、Tfh及びB細胞両方の移動を阻害するだけでなく、既に存在するCXCR5細胞も除去し、それにより組織損傷及び病原性抗体の生成を減少させる。
【0016】
したがって、本明細書に記載の発明は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、ヒトCXCR5(hCXCR5)に特異的であり、当該モノクローナル抗体が、(1)VH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)であって、当該VH CDR1配列、当該VH CDR2配列、及び当該VH CDR3配列が、表A、B、及びDにあるいずれか1つのVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列をそれぞれ含み、任意選択で、当該VH CDR1配列、当該VH CDR2配列、及び当該VH CDR3配列が、表A、B、及びDにあるいずれか1つのモノクローナル抗体のVH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列をそれぞれ含む、重鎖可変領域、及び/または(2)VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)であって、当該VL CDR1配列、当該VL CDR2配列、及び当該VLCDR3配列が、表A、C、及びDにあるいずれか1つのVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3配列をそれぞれ含み、任意選択で、当該VL CDR1配列、当該VL CDR2配列、及び当該VL CDR3配列が、表A、C、及びDにあるいずれか1つのモノクローナル抗体のVL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列をそれぞれ含む、軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0017】
いくつかの実施形態において、VH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列は、配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列をそれぞれ含み、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列は、配列番号9、10、及び11のアミノ酸配列をそれぞれ含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、VH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列は、配列番号17、18、及び19のアミノ酸配列をそれぞれ含み、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列は、配列番号25、26、及び27のアミノ酸配列をそれぞれ含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、VH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列は、配列番号33、34、及び35のアミノ酸配列をそれぞれ含み、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列は、配列番号41、42、及び43のアミノ酸配列をそれぞれ含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、VH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列は、配列番号33、49、及び51のアミノ酸配列をそれぞれ含み、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列は、配列番号57、58、及び59のアミノ酸配列をそれぞれ含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、VH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列は、配列番号33、49、及び65のアミノ酸配列をそれぞれ含み、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列は、配列番号57、58、及び59のアミノ酸配列をそれぞれ含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、VH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列は、配列番号69、70、及び71のアミノ酸配列をそれぞれ含み、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列は、配列番号76、77、及び78のアミノ酸配列をそれぞれ含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、VH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列は、配列番号33、49、及び51のアミノ酸配列をそれぞれ含み、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列は、配列番号149、150、及び151のアミノ酸配列をそれぞれ含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、VH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列は、配列番号114、115、及び116のアミノ酸配列をそれぞれ含み、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列は、配列番号120、121、及び122のアミノ酸配列をそれぞれ含む。
【0025】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト抗体(例えば、hIgG1、hIgG2、hIgG3、またはhIgG4)の定常領域配列を含むマウス-ヒトキメラ抗体であり、VH配列は、配列番号8、24、40、56、65、もしくは75のいずれか1つであり、または配列番号8、24、40、56、65、もしくは75のアミノ酸配列のいずれか1つに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、及び/またはVL配列は、配列番号16、32、48、63、68、もしくは83のいずれか1つである、または配列番号16、32、48、63、68、もしくは83のアミノ酸配列のいずれか1つに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する。
【0026】
いくつかの実施形態において、VH配列は、配列番号8であるか、または配列番号8に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、VL配列は、配列番号16であるか、または配列番号16に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、VH配列は、配列番号24であるか、または配列番号24に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、VL配列は、配列番号32であるか、または配列番号32に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、VH配列は、配列番号40であるか、または配列番号40に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、VL配列は、配列番号48であるか、または配列番号48に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、VH配列は、配列番号56であるか、または配列番号56に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、VL配列は、配列番号63であるか、または配列番号63に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する。
【0030】
いくつかの実施形態において、VH配列は、配列番号65であるか、または配列番号65に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、VL配列は、配列番号68であるか、または配列番号68に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、VH配列は、配列番号75であるか、または配列番号75に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、VL配列は、配列番号83であるか、または配列番号83に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する。
【0032】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントはヒト化抗体であり、任意選択で、ヒト化抗体は、(1)表B、D、及びEにあるいずれか1つのモノクローナル抗体のVH配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVH配列;及び/または、表C、D、及びEにあるいずれか1つのモノクローナル抗体のVL配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVL配列;(2)配列番号96のVH配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVH配列、及び配列番号112のVL配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVL配列;(3)配列番号113のVH配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVH配列、及び配列番号112のVL配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVL配列;(4)配列番号96のVH配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVH配列、及び配列番号101のVL配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVL配列;(5)配列番号96のVH配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVH配列、及び配列番号109のVL配列、もしくはそれに対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるVL配列を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、表B及びDにあるいずれか1つの抗体のVHフレームワーク領域配列VH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、VHフレームワーク領域配列VH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列は、(i)配列番号84、85、86、及び87とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(ii)配列番号89、90、91、及び87とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(iii)配列番号93、94、95、及び87とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(iv)配列番号132、85、133、及び87のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(v)配列番号93、126、127、及び87のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(vi)配列番号132、133、134、及び87のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(vii)配列番号138、94、139及び87のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(viii)配列番号141、142、143、及び87のものと実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、表C及び表Dにあるいずれか1つの抗体のVLフレームワーク領域配列VL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、VL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列は、(i)配列番号97、98、99、及び100とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(ii)配列番号97、102、99、及び100とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(iii)配列番号103、104、105、及び100とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(iv)配列番号103、107、108、及び100とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(v)配列番号134、135、136、及び131のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(vi)配列番号128、129、130、及び131のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(vii)配列番号145、146、147、及び131とのものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列;(viii)配列番号97、98、152、及び100のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一である;あるいは(ix)配列番号154、102、99、及び47のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)か、または同一であるアミノ酸配列を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、VH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列は、(i)それぞれ配列番号93、94、95、及び87、(ii)それぞれ配列番号132、85、133、及び87、(iii)それぞれ配列番号93、126、127、及び87、もしくは(iv)それぞれ配列番号132、133、134、及び87、及び/またはVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列は、(i)それぞれ配列番号134、135、136、及び131、もしくは(ii)それぞれ配列番号128、129、130、及び131を含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、VH配列は配列番号96のアミノ酸配列を含み、VL配列は配列番号112のアミノ酸配列を含む、またはVH配列は配列番号113のアミノ酸配列を含み、VL配列は配列番号112のアミノ酸配列を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、VH配列は配列番号56のアミノ酸配列を含み、VL配列は配列番号111のアミノ酸配列を含む。
【0040】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、脱フコシル化されており(例えば、Fc N-グリカン上にコアフコースが存在しないため、FcγRIIIaに対するIgG1 Fc結合親和性の増加を示す)、配列番号114~116のVH CDR1~CDR3アミノ酸配列を含むVH配列と、配列番号120~122のVL CDR1~CDR3アミノ酸配列を含むVL配列とを含む。
【0041】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、脱フコシル化されており(例えば、Fc N-グリカン上にコアフコースが存在しないため、FcγRIIIaに対するIgG1 Fc結合親和性の増加を示す)、配列番号113のアミノ酸配列を含むVH配列と、配列番号112のアミノ酸配列を含むVL配列とを含む。
【0042】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、脱フコシル化されており(例えば、Fc N-グリカン上にコアフコースが存在しないため、FcγRIIIaに対するIgG1 Fc結合親和性の増加を示す)、HFB2-4hz42hG1のVH CDR1~CDR3アミノ酸配列を含むVH配列と、HFB2-4hz42hG1のVL CDR1~CDR3アミノ酸配列を含むVL配列とを含む。
【0043】
ある特定の実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、脱フコシル化されており(例えば、Fc N-グリカン上にコアフコースが存在しないため、FcγRIIIaに対するIgG1 Fc結合親和性の増加を示す)、HFB2-4hz42hG1のVH配列のアミノ酸配列を含むVH配列と、HFB2-4hz42hG1のVL配列のアミノ酸配列を含むVL配列とを含む。
【0044】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ADCCを増強するための修飾されたFc領域を含む。
【0045】
ある特定の実施形態において、修飾されたFc領域は、(1)FcγRIIIa結合を増強するためのF243L/R292P/Y300L/V305I/P396L変異;(2)FcγRIIIa結合を増強するためのS239D/I332E変異;(3)FcγRIIIa結合の増強及びFcγRIIIb結合の減少を同時に行うためのS239D/I332E/A330L変異;(4)FcγRIIIa結合を増強するためのS298A/E333A/K334A変異;及び/または(5)FcγRIIIa結合を増強するためのFc領域の脱フコシル化N297を含む。
【0046】
ある特定の実施形態において、抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)、F、単鎖FvまたはscFv、ジスルフィド結合F、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH、ミニボディ、F(ab’)、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb、(scFv)、またはscFv-Fcである。
【0047】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ADCC活性に関し低い(例えば、1~5または1~2)pM範囲のEC50値を有する。
【0048】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、表面hCXCR5を発現する初代B細胞、及び/または表面hCXCR5を発現する初代T細胞に対しADCC活性を有する。
【0049】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、hCXCR5表面抗原を内在化しない(または、最小限の内在化にとどまる)。
【0050】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、cAMPシグナル伝達を阻害する(例えば、1nM未満のEC50)。
【0051】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、走化性を阻害する(例えば、約0.1~0.5nM、または約0.1nMで約100%阻害)。
【0052】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、hCXCL13誘導性B細胞移動を阻害する。
【0053】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、hCXCR3と実質的に交差反応しない。
【0054】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、接着細胞株(例えば、DX002など)及び/または浮遊細胞株(例えば、M300-19)に発現するhCXCR5に結合する。
【0055】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、hCXCR5のサルまたはマウスのオルソログと交差反応しないか、または最小限の交差反応にとどまる。
【0056】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、対象におけるメモリーB細胞集団のパーセンテージを低減する。
【0057】
ある特定の実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、約25nM未満、20nM未満、15nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、または1nM未満、またはそれ以下のKでhCXCR5に結合する。
【0058】
本発明の別の態様は、先行実施形態のいずれかの単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと同じエピトープとの結合が競合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0059】
本発明の別の態様は、シェーグレン症候群(SS)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本発明の抗体(例えば、本発明のヒト化抗体)の治療有効量を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0060】
ある特定の実施形態において、この方法はSSの少なくとも1つの症状を軽減する。
【0061】
本発明の別の態様は、リンパ腫または白血病の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本発明の抗体(例えば、本発明のヒト化抗体)の治療有効量を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0062】
ある特定の実施形態において、リンパ腫または白血病はB細胞リンパ腫である。
【0063】
ある特定の実施形態において、B細胞リンパ腫はCLL(B細胞慢性リンパ性白血病)である。
【0064】
ある特定の実施形態において、リンパ腫または白血病は非ホジキンリンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫)である。
【0065】
本発明の別の態様は、異所性胚中心を伴う疾患または適応症(自己免疫性疾患または障害を含む)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本発明の抗体(例えば、本発明のヒト化抗体)の治療有効量を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0066】
ある特定の実施形態において、疾患または適応症は、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、I型糖尿病、多発性硬化症(MS)、サルコイドーシス、乾癬、重症筋無力症、橋本病、グレーブ病、動脈硬化症、結膜炎、胃炎、肝炎、または皮膚炎である。
【0067】
本発明の別の態様は、固形癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本発明の抗体(例えば、本発明のヒト化抗体)の治療有効量を対象に投与することを含み、固形癌が、任意選択で胃癌、乳癌、腸癌、肺癌、または前立腺癌である、方法を提供する。
【0068】
ある特定の実施形態において、リンパ腫もしくは白血病を治療する方法、及び/または固形癌を治療する方法はさらに、化学療法剤、抗血管新生剤、成長阻害剤、がん免疫薬剤、及び/または抗新生物組成物を患者に投与することを含む。
【0069】
本発明の別の態様は、本発明の重鎖もしくは軽鎖またはこれらの抗原結合部分をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0070】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドはヒト細胞内での発現にコドン最適化されている。
【0071】
本発明の別の態様は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0072】
ある特定の実施形態において、ベクターは、発現ベクター(例えば、哺乳類発現ベクター、酵母発現ベクター、昆虫発現ベクター、または細菌発現ベクター)である。
【0073】
本発明の任意の1つの実施形態(実施例または特許請求の範囲にのみ記載された実施形態を含む)は、明示的に否定されない限り、または不適切でない限り、本発明の任意の1つ以上の追加の実施形態と組み合わせることができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】ヒトCXCR5及びその最も近いパラログCXCR3の配列アラインメントを示しており、配列同一性は38.5%、配列類似性は51.5%と低い。
図2】A及びBは、様々な同定されたマウス抗CXCR5モノクローナル抗体のVH(A)及びVL(B)領域のIMGT配列アラインメントを示している。VH及びVL配列のCDR1~CDR3が強調表示されている。全ての抗体は、異なるVDJ組換え事象(異なるファミリー)から得られる。HFB2-3は、VH4及びVH5に類似するVH配列を有するが、CDR3はより多様であり、そのため固有の特性を付与する。HFB2-4及びHFB2-5は、CDR3領域配列内の1アミノ酸(a.a)が異なる。
図3】キメラ抗CXCR5マウスモノクローナル抗体HFB2-4hG1の野生型マウスにおける薬物動態(PK)プロファイルを示している。
図4】A及びBは、マウスモノクローナル抗体HFB2-4に基づき、それぞれ3つのヒト化VH領域及び4つのヒト化VL領域のIMGT配列アラインメントを示している。
図5】本発明のいくつかのキメラモノクローナル抗体における、接着細胞株に発現したhCXCR5抗原に対するnM以下のEC50結合能力を示している。
図6A】本発明のキメラ抗体が、抗体交差反応性評価に基づいて、一過性に形質移入された細胞に発現したカニクイザル及びネズミのCXCR5に対し本質的に交差反応性を有しないことを示している。
図6B】本発明のキメラ抗体が、hCXCR5の最も近いオルソログhCXCR3に結合しないことを示している。
図7】本発明の抗CXCR5抗体が、リガンド(CXCL13)誘導性B細胞移動を効率的に阻害したことを示している。
図8】ある特定の抗CXCR5モノクローナル抗体が細胞内cAMPシグナル伝達に及ぼす効果を示している。このデータは、2つのキメラ抗体が、リガンド(CXCL13)の活性化に対するcAMPシグナル伝達を効率的に遮断することを示した。
図9A】本発明の6つのキメラモノクローナル抗体に対するADCCレポーターバイオアッセイの結果を示している。このデータは、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体が、CD16の係合を通じてADCCを誘発し得ることを示しており、HFB2-4が最も強力なCD16結合を示している。
図9B】HFB2-4hG1抗体及びHFB2-4hG1DE抗体を用いたADCCレポーターバイオアッセイを示している。抗CD20 IgG1(陽性対照)及びアイソタイプが一致した陰性対照IgG1抗体もアッセイに含めた。代表的なEC50値(必ずしもグラフ内の値と一致するわけではない)をグラフの下の表に示す。
図9C】初代NK細胞によるRaji細胞のHFB2-4hG1DE媒介性ADCC溶解を、陽性対照リツキシマブ及びアイソタイプ対照(MGO53-hG1DE)と比較して示している。
図9D】初代NK細胞による初代B細胞のHFB2-4hG1DE媒介性ADCC溶解を、陽性対照リツキシマブ及びアイソタイプ対照(MGO53-hG1DE)と比較して示している。
図9E】HFB2-4hG1DEによって誘導された初代NK細胞による初代T細胞のADCC媒介性溶解を、アイソタイプ対照(MGO53-hG1DE)及び抗体なし(CD4細胞+NK)と比較して示している。図9Fも参照。
図9F】脱フコシル化抗体AfuHFB2-4hG1によって誘導された初代NK細胞による初代T細胞のADCC媒介性溶解を、5:1のE:T比において、リツキシマブ(hG1)、アイソタイプ対照(MGO53-hG1)、抗体なし(CD4細胞+NK)と比較したものである。リツキシマブは、全てのB細胞の表面に発現するCD20を標的とするため、リツキシマブは、CD20を発現しないT細胞を標的としないことが予想される。
図9G】原発性シェーグレン症候群(SS)患者のB細胞を標的細胞として、HFB2-4hG1DE、hG1形式のリツキシマブ(陽性対照)、及び3:1のE:T比のDEアイソタイプ対照を用いたADCCレポーターアッセイの結果を示している。上のグラフ:ADCCレポーターアッセイの発光リードアウト(RLU)。下のグラフ:誘導の倍数(RLU(抗体あり-バックグラウンド)/RLU(細胞のみ-バックグラウンド)として計算)。下のグラフにおいて、左のバー:HFB2-4hG1DE、中央のバー:陽性対照、右のバー:アイソタイプ対照。
図9H】リンパ増殖性pSS患者のB細胞を標的細胞として、HFB2-4hG1DE、hG1形式のリツキシマブ(陽性対照)、及び3:1のE:T比のDEアイソタイプ対照を用いたADCCレポーターアッセイの結果を示している。下のグラフ:誘導の倍数(RLU(抗体あり-バックグラウンド)/RLU(細胞のみ-バックグラウンド)として計算)。下のグラフにおいて、左のバー:HFB2-4hG1DE、中央のバー:陽性対照、右のバー:アイソタイプ対照。
図10A】2つの異なるプロトコルによる抗体内在化の測定を示している。その結果、陽性対照(CD71)抗体と比較して、HFB2-4hz9-hG1DE及びHFB2-4hz12-hG1DE(いずれもHFB2-4キメラ抗体に基づくヒト化抗体)がいずれも内在化しないことが示された。
図10B】2つの異なるプロトコルによる抗体内在化の測定を示している。その結果、陽性対照(CD71)抗体と比較して、HFB2-4hz9-hG1DE及びHFB2-4hz12-hG1DE(いずれもHFB2-4キメラ抗体に基づくヒト化抗体)がいずれも内在化しないことが示された。
図11A】選択したヒト化バリアント抗体を用いたADCCレポーターバイオアッセイの結果を示している。
図11B】選択したヒト化バリアント抗体を用いたADCCレポーターバイオアッセイの結果を示している。
図12】選択されたヒト化バリアントによる走化性阻害を示している。
図13】初代B細胞を用いたADCCレポーターバイオアッセイを示している。
図14】異なるがん細胞株に対する標的結合を示している。
図15】B細胞リンパ腫細胞株に対するADCCレポーターアッセイを示している。
図16】HFB2-4-hG1の抗腫瘍in vivo有効性試験の結果を示している。HFB2-4hG1及び陽性対照の両方が、対照(PBSまたはアイソタイプが一致したMGO53-hG1抗体)と比較して統計的に有意であった(p<0.00001****)。
図17】主題抗体のシェーグレン患者B細胞に対するADCC活性を示している。
図18】主題抗体によるpSS患者試料中のメモリーB細胞集団のパーセンテージの低減を示している。
図19A】HFB2-4hG1のさらなるヒト化バリアント(HFB2-4hz-hG1)とRaji細胞との結合を示している。矢印は、上位の結合プロファイルを有するヒト化バリアントを示している。
図19B】HFB2-4hG1のさらなるヒト化バリアント(HFB2-4hz-hG1)とRaji細胞との結合を示している。
図20】上位9種のヒト化HFB2-4hz-hG1バリアントの薬物動態プロファイルを示している。
図21】上位6種のHFB2-4hz-hG1バリアントとCXCR5+Raji細胞との結合(左パネル)、及びレポーター系においてCD16に係合するADCC活性を示している。
図22】CXCR5を発現する接着性DX002細胞に対するhG1DE形式におけるHFB2-4hzバリアントの結合を示している。
図23】上位4種のヒト化HFB2-4hzの薬物動態プロファイルを、親hG1形式(左パネル)及びhG1DE形式(右パネル)で示している。
図24A】脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1(afu-HFB2-4hz42-hG1)、脱フコシル化親HFB2-4hG1(afu-HFB2-4hG1)、脱フコシル化ベンチマークhG1抗体、及びアイソタイプ対照(MGO53-hG1)と、CXCR5を発現するDX002細胞との結合を示している。
図24B】afu-HFB2-4hz42-hG1、afu-HFB2-4hG1、脱フコシル化ベンチマークhG1抗体、及びアイソタイプ対照(MGO53-hG1)のADCCレポーターアッセイによって定量されたCD16係合を示している。
図25】脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1(afu-HFB2-4hz42-hG1)を介した初代NK細胞による健康ドナー由来の初代B細胞のADCC媒介性溶解を、ベンチマーク抗体及びアイソタイプ対照抗体(MGO53-hG1)と比較して示している。
図26】脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1(afu-HFB2-4hz42-hG1)を介した初代NK細胞によるSS患者由来のB細胞のADCC媒介性溶解を、ベンチマーク抗体及びアイソタイプ対照抗体(MGO53-hG1)と比較して示している。
図27】脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1(afu-HFB2-4hz42-hG1)、脱フコシル化親HFB2-4hG1(afu-HFB2-4hG1)、hG1形式のリツキシマブ(陽性対照)、及びアイソタイプ対照MGO53-hG1の補体依存性細胞傷害性(CDC)活性の試験結果を示している。血清を使用して補体系を準備した。Bでは、2つの異なる血清を試験した。
図28A】野生型マウス(n=1)における脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1(afu-HFB2-4hz42-hG1)、脱フコシル化親HFB2-4hG1(afu-HFB2-4hG1)、及びベンチマーク抗体の薬物動態プロファイルを示している。
図28B】1頭の雄及び2頭の雌のカニクイザルにおける脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1(afu-HFB2-4hz42-hG1)の薬物動態プロファイルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0075】
1.概要
本明細書に記載の発明によれば、複数の免疫化戦略を用いてマウスを組換えヒトCXCR5で免疫した。出願人独自の単一細胞に基づく抗体スクリーニング技術と組み合わせることにより、3つの独立したスクリーニングから6種の高親和性抗CXCR5マウスモノクローナル抗体HFB2-1~HBF2-6が特定された。
【0076】
これらの抗体に対し、所望される機能的特徴(特異性(例えば、hCXCR3に対する交差反応性がほとんどない)、細胞株(例えば、DX002などの接着細胞株及びM300-19などの浮遊細胞株)に発現するCXCR5に対する結合親和性、交差反応性(例えば、hCXCR5のカニクイザルまたはマウスオルソログ)、B細胞移動(走化性)に及ぼす効果、細胞内cAMPレベルに及ぼす効果、ADCCレポーターアッセイ、CXCR5発現安定性細胞株を用いた内在化アッセイ、ならびにマウスにおけるPKプロファイルなどを含む)をさらに試験した。
【0077】
例えば、FACS(フローサイトメトリー)分析により、1つのリード候補抗体を除く全てが、hCXCR5発現CHO細胞に対しnM以下のEC50値を示し、いずれのリード抗体もカニクイザルまたはマウスCXCR5オルソログと交差反応しないことが示された。さらに、いずれのリード抗体もhCXCR3パラログに結合せず、それらの特異性が確認された。また、リード抗体はさらに、hCXCL13を効率的に遮断してB細胞移動を誘導し、HFB2-4キメラ抗体が最も効率的に走化性を阻害した。HFB2-4及びHFB2-5は、hCXCL13誘導性cAMPシグナル伝達を効率的に遮断し、ベンチマーク抗体よりも優れていた。ADCCレポーターアッセイ(Promega)から、抗hCXCR5 mAb(特にHFB2-4)がCD16に係合することが示された。
【0078】
これらの試験に基づき、6種の1桁ナノモル親和性抗体のうち、HFB2-4を、機能的アッセイで最も高い効力及び最大の効果を有するものとして選択し、さらに野生型マウスにおいてそのPKプロファイルを解析した。その結果、HFB2-4がマウスにおいて良好なPKプロファイルを示すことが示された。
【0079】
腫瘍のマウスRajiモデルでHFB2-4の抗腫瘍有効性を試験した予備的結果からも、陽性対照としてのリツキシマブを用いた場合と同等の有望な抗腫瘍効果が示された。
【0080】
HFB2-4を、その全体的に優れた生物学的プロファイルに基づき、さらなる試験とヒト化のためのリード抗体として選択した。
【0081】
3つのVH及び4つのVL領域のCDR配列を組み合わせる(VH1をVL1~VL4の各々と、VH2をVL1~VL4の各々と、VH3をVL1~VL4の各々と)ことにより、少なくとも12種のヒト化バリアント(全てS239D/I332E変異を有する)を生成し、特性評価し、さらなる13種のバリアントをさらに合成した。注目すべきことに、全てのヒト化(Hz)バリアントは、IMGTシステムに従うヒト生殖系列配列の第1の一致を有する。これらのヒト化バリアントの大部分は、物理化学的活性(標的に対する親和性、安定性、溶解性など)及び/または生物学的活性(標的の遮断もしくは刺激、ADCCなど)を維持していた。
【0082】
これらのヒト化バリアント抗体に対し、所望される機能的特徴(特異性(例えば、hCXCR3に対する交差反応性がほとんどない)、細胞株(例えば、DX002などの接着細胞株及びM300-19などの浮遊細胞株)に発現するCXCR5に対する結合親和性、交差反応性(例えば、hCXCR5のカニクイザルまたはマウスオルソログ)、B細胞移動(走化性)に及ぼす効果、細胞内cAMPレベルに及ぼす効果、
CXCR5発現安定性細胞株を用いた内在化アッセイ、抗体開発可能性評価(例えば、SEC及びSDS-PAGE解析)、ADCCレポーターアッセイ、ならびにマウスにおけるPKプロファイルなどを含む)をさらに試験した。
【0083】
その結果、12種のHFB2-4hzバリアントのうちの10種が親抗体HFB2-4と同等のhCXCR5への結合を示し、12種のHFB2-4hzバリアントのうち9種によるcAMPシグナル伝達の遮断、Hzバリアントによる強力な走化性阻害作用(HFB2-4hz12が最も強力(0.1nMで約100%))、HFB2-4hz9における同等の効果、及びhCXCL13誘導性B細胞移動の効率的遮断が示された。
【0084】
全体的な優れた生物学的プロファイルに基づき、HFB2-4hz12をADCC試験のリード候補として選択した。その結果、HFB2-4hz12hG1DE及びHFB2-4hz9hG1DEは、低いpM範囲(1~2pM)のEC50に達する強力なADCC活性を有することが示された。データからはさらに、ヒト化プロセスが候補抗体(例えば、HFB2-4DE抗体)の高いADCC効力を変更しないことが示された。さらに、HFB2-4hz12hG1DEは、hCXCR5を発現する初代B細胞に対するADCC活性を示した。
【0085】
内在化試験からは、HFB2-4hz12-hG1DE及びHFB2-4hz9-hG1DE HzバリアントがhCXCR5表面抗原を内在化しない(または最小限の内在化にとどまる)ことが示された。
【0086】
PKプロファイリングからは、HFB2-4hz12-hG1DEの血漿中の半減期が親抗体HFB2-4hG1(109時間)よりも短い(4.5時間)ことが示された。
【0087】
また、選択されたHz抗体(HFB2-4hz2hG1、HFB2-4hz9hG1DE、HFB2-4hz10hG1DE、HFB2-4hz11hG1DE、及びHFB2-4hz12hG1DEを含む)に対し、複数の開発可能性アッセイ(25℃及び40℃における最大14日間の加速安定性試験、25℃、pH3.5の100mMアセテート中での最大6時間の強制分解試験、及びpH7.4のPBS中での最大3回の凍結解凍サイクル(全て2mg/mL抗体濃度)を含む)も試験した。その結果、SDS-PAGEゲルにより、HFB2-4hz12hG1DEが最も安定したプロファイルを有することが示された。全体的に見て、HFB2-4hz9hG1DE及びHFB2-4hz12hG1DEは、試験抗体の中で最も好ましいプロファイルを示し、これに基づきさらなるHzバリアントを生成するためにこれらを選択した。
【0088】
さらなる多数の第2ラウンドヒト化抗体を生成し、選択した。このような第2ラウンドヒト化(Hz)バリアントを以下の表に列挙する。試験した全てのこのようなヒト化バリアントは、nM以下のEC50値でhCXCR5に結合する。全てのこのようなHzバリアントは、nM以下のEC50でhCXCR5に結合する。同等の結合特性(hCXCR5に対する結合親和性及びADCCを誘導するCD16の係合を含む)が親抗体及びヒト化バリアント抗体に見出された。
【表1】
【0089】
これらの二次Hzバリアントのうち、HFB2-4hz14-hG1DE及びHFB2-4hz15-hG1DEをさらなる開発可能性評価のために選択された(上述のアッセイを参照)。その結果、Hz14及びHz15 DEバリアントは、20mMアセテート、pH6.0で製剤化すると、25℃及び40℃で不安定性を示さないことが示された。さらに、凍結解凍サイクル及び低pHストレス処理(pH3.5~6時間)の後も安定性は概して保持される。全体的に見て、HFB2-4のヒト化バリアント(HFB2-4hz9-hG1DE、HFB2-4hz12-hG1DE、HFB2-4hz14-hG1DE、及びHFB2-4hz15-hG1DEを含む)は全て、良好な開発可能性プロファイルを示している。これらのリード候補の1つであるHFB2-4hz12-hG1DEをさらなる開発のために選択した。
【0090】
HFB2-4に基づくさらなるヒト化バリアントを、HFB2-4hG1(HFB2-4hz-hG1)(HFB2-4hz37-hG1及びHFB2-4hz42-hG1を含む)に基づいて生成した。実施例5及び特に表4を参照。
【0091】
したがって、本明細書に記載の発明は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、当該モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトCXCR5(hCXCR5)に特異的であり、当該モノクローナル抗体は、(1)HCVR CDR1配列、HCVR CDR2配列、及びHCVR CDR3配列を含む重鎖可変領域(HCVR)であって、図2Aにあるモノクローナル抗体(例えば、HFB2-1、HFB2-2、HFB2-3、HFB2-4、HFB2-5、及びHFB2-6)のいずれか1つのHCVR CDR1配列、CDR2配列、及びCDR3配列をそれぞれ含む、重鎖可変領域と、(2)LCVR CDR1配列、LCVR CDR2配列、及びLCVR CDR3配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)であって、図2Bにあるモノクローナル抗体(例えば、HFB2-1、HFB2-2、HFB2-3、HFB2-4、HFB2-5、及びHFB2-6)のいずれか1つのLCVR CDR1、CDR2、及びCDR3配列をそれぞれ含む、軽鎖可変領域とを含む。
【0092】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、(1)図2AにあるHFB2-4のHCVR CDR1配列、HCVR CDR2配列、及びHCVR CDR3配列と、(2)図2BにあるHFB2-4の(対応する)LCVR CDR1配列、LCVR CDR2配列、及びLCVR CDR3配列とを含む。
【0093】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、ヒト抗体(例えば、hIgG1またはhIgG2)の定常領域配列と、図2Aにあるモノクローナル抗体(例えば、HFB2-1、HFB2-2、HFB2-3、HFB2-4、HFB2-5、及びHFB2-6)のいずれか1つのHCVR配列のHCVRと、図2Bにあるモノクローナル抗体(例えば、HFB2-1、HFB2-2、HFB2-3、HFB2-4、HFB2-5、及びHFB2-6)のいずれか1つの(対応する)LCVR配列のLCVRとを含む、マウス-ヒトキメラ抗体である。
【0094】
ある特定の実施形態において、マウス-ヒトキメラ抗体は、図2AにあるHFB2-4のHCVR配列と、図2BにあるHFB2-4のLCVR配列とを含む。
【0095】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体はヒト化抗体である。
【0096】
ある特定の実施形態において、ヒト化抗体は、(1)図4Aにあるモノクローナル抗体のHCVR CDR1配列、HCVR CDR2配列、及びHCVR CDR3配列と、(2)図4Bにあるモノクローナル抗体のLCVR CDR1配列、LCVR CDR2配列、及びLCVR CDR3配列とを含む。
【0097】
ある特定の実施形態において、ヒト化抗体は、(1)図4AにあるVH1、VH2、及びVH3配列のいずれか1つのHCVR配列のフレームワーク領域配列、及び/または(2)図4BにあるVL1、VL2、VL3、及びVL4配列のいずれか1つのLCVR配列のフレームワーク領域配列を含む。
【0098】
ある特定の実施形態において、ヒト化抗体は、(1)図4AにあるVH3のフレームワーク領域配列、及び/または(2)図4BにあるVL1のフレームワーク領域配列を含む。
【0099】
ある特定の実施形態において、ヒト化抗体は、(1)図4AにあるVH3のフレームワーク領域配列、及び/または(2)図4BにあるVL4のフレームワーク領域配列を含む。
【0100】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、ADCCを増強するための修飾されたFc領域を有する。例えば、ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、FcγRIIIa結合を増強するためのF243L/R292P/Y300L/V305I/P396L変異を含む。ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、FcγRIIIa結合を増強するためのS239D/I332E変異を含む(本明細書におけるhIgG1-DE)。ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、FcγRIIIa結合の増強及びFcγRIIIb結合の減少を同時に行うためのS239D/I332E/A330L変異を含む。ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、FcγRIIIa結合を増強するためのS298A/E333A/K334A変異を含む。
【0101】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体はヒト化マウスモノクローナル抗体であり、任意選択で、この抗体はFcγRIIIa結合を増強するためのS239D/I332E変異を含む(hIgG1-DE)。例えば、ヒト化モノクローナル抗体は、マウスモノクローナル抗体のCDR領域をヒトフレームワーク領域にCDR移植することにより、生成することができる。
【0102】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、ADCC活性に関し低い(例えば、1~5または1~2)pM範囲のEC50値を有する。
【0103】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、表面hCXCR5を発現する初代B細胞に対するADCC活性を有する。
【0104】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、hCXCR5表面抗原を内在化しない(または最小限の内在化にとどまる)。
【0105】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体はcAMPシグナル伝達を阻害する。
【0106】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は走化性を阻害する(例えば、約0.1~0.5nM、または約0.1nMで約100%阻害)。
【0107】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、hCXCL13誘導性B細胞移動を阻害する。
【0108】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体はhCXCR5に特異的であり、例えば、hCXCR3に対し交差反応性を全くまたはほとんど有しない。
【0109】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、接着細胞株(DX002)及び/または浮遊細胞株(M300-19)に発現するhCXCR5に結合する。
【0110】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、hCXCR5のサルまたはマウスのオルソログと交差反応しないか、または最小限に交差反応する。
【0111】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、対象におけるメモリーB細胞集団のパーセンテージを低減する。
【0112】
本発明の別の態様は、シェーグレン症候群(SS)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本発明の抗体(例えば、本発明のヒト化抗体)の治療有効量を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0113】
シェーグレン症候群患者の約25%は、唾液腺にCXCR5細胞の高い浸潤を伴う異所性胚中心(GC)を示し、SS患者におけるGCは、CXCL13生成Tfh細胞に富み、抗体生成細胞内にCXCR5B細胞を動員し分化させる。CXCL13レベルは、SSモデルマウス及びヒトの疾患において上昇することが分かっている。さらに、CXCL13の中和は、シェーグレン病の動物モデルにおいて保護的であることが分かっている。
【0114】
ある特定の実施形態において、この方法はSSの少なくとも1つの症状を軽減する。
【0115】
本発明の別の態様は、リンパ腫または白血病の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本発明の抗体(例えば、本発明のヒト化抗体)の治療有効量を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0116】
ある特定の実施形態において、リンパ腫または白血病はB細胞リンパ腫である。
【0117】
ある特定の実施形態において、B細胞リンパ腫はCLL(B細胞慢性リンパ性白血病)である。
【0118】
ある特定の実施形態において、リンパ腫または白血病は非ホジキンリンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫)である。
【0119】
本発明の別の態様は、異所性胚中心を伴う疾患または適応症(自己免疫性疾患または障害を含む)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本発明の抗体(例えば、本発明のヒト化抗体)の治療有効量を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0120】
ある特定の実施形態において、疾患または適応症は、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、I型糖尿病、多発性硬化症(MS)、サルコイドーシス、乾癬、重症筋無力症、橋本病、グレーブ病、動脈硬化症、結膜炎、胃炎、肝炎、または皮膚炎である。
【0121】
本発明の別の態様は、固形癌の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、本発明の抗体(例えば、本発明のヒト化抗体)の治療有効量を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0122】
ある特定の実施形態において、固形癌は、胃癌、乳癌、腸癌、肺癌、または前立腺癌である。
【0123】
本発明の詳細な態様について、以下の各セクションでさらに個別に説明する。ただし、本発明の任意の1つの実施形態(実施例または図面でのみ説明される実施形態、及び以下の1つのセクションでのみ説明される実施形態を含む)が、本発明の任意の他の実施形態(複数可)と組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0124】
2.定義
「抗体」という用語は、最も広い意味では、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、及び多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を含む様々な抗体構造を包含する。「抗体」という用語は、重鎖の相補性決定領域(CDR)1、CDR2、及びCDR3、ならびに軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む分子も広く指すことがあり、この分子は抗原に結合可能である。また、「抗体」という用語には、限定されるものではないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、様々な種(例えば、マウス、ヒト、カニクイザルなど)の抗体も含まれる。
【0125】
ただし、狭義には、「抗体」とは、キメラモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、及びヒトモノクローナル抗体を含む様々なモノクローナル抗体、特に本発明のヒト化モノクローナル抗体を指す。
【0126】
いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域の少なくとも一部を含む少なくとも1つの重鎖(HC)と、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む少なくとも1つの軽鎖(LC)とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、2つの重鎖であって、各重鎖が、重鎖可変領域及び重鎖定常領域の少なくとも一部を含む、2つの重鎖と、2つの軽鎖であって、各軽鎖が、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む、2つの軽鎖とを含む。
【0127】
本明細書で使用する場合、単鎖Fv(scFv)、または、例えば、6つ全てのCDR(3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDR)を含む単一のポリペプチド鎖を含む任意の他の抗体は、重鎖及び軽鎖を有するとみなされる。いくつかのこのような実施形態において、重鎖は、3つの重鎖CDRを含む抗体の領域であり、軽鎖は、3つの軽鎖CDRを含む抗体の領域である。
【0128】
本明細書で使用する場合、「重鎖可変領域(HCVR)」という用語は、少なくとも、重鎖CDR1(CDR-H1)、フレームワーク2(HFR2)、CDR2(CDR-H2)、FR3(HFR3)、及びCDR3(CDR-H3)を含む領域を指す。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域はまた、CDR-H1に対しN末端側であるFR1(HFR1)の少なくとも一部(例えば、全体)、及び/またはCDR-H3に対しC末端側であるFR4(HFR4)の少なくとも一部(例えば、全体)も含む。
【0129】
本明細書で使用する場合、「重鎖定常領域」という用語は、少なくとも3つの重鎖定常ドメイン:CH1、CH2、及びCH3を含む領域を指す。非限定的な例示的な重鎖定常領域としては、γ、δ、及びαが挙げられる。非限定的な例示的な重鎖定常領域としては、ε及びμも挙げられる。各重定常領域は、抗体アイソタイプに対応する。例えば、γ定常領域を含む抗体はIgG抗体であり、δ定常領域を含む抗体はIgD抗体であり、α定常領域を含む抗体はIgA抗体であり、ε定常領域を含む抗体はIgE抗体であり、μ定常領域を含む抗体はIgM抗体である。
【0130】
ある特定のアイソタイプは、さらにサブクラスに細分化され得る。例えば、IgG抗体としては、限定されるものではないが、IgG1抗体(γ1定常領域を含む)、IgG2抗体(γ2定常領域を含む)、IgG3抗体(γ3定常領域を含む)、及びIgG4抗体(γ4定常領域を含む)が挙げられ、IgA抗体としては、限定されるものではないが、IgAl(α1定常領域を含む)抗体及びIgA2(α2定常領域を含む)抗体が挙げられ、IgM抗体としては、限定されるものではないが、IgM1(μ1定常領域を含む)抗体及びIgM2(μ2定常領域を含む)抗体が挙げられる。
【0131】
本明細書で使用する場合、「重鎖」という用語は、少なくとも重鎖可変領域を含み、リーダー配列を含むまたは含まないポリペプチドを指す。いくつかの実施形態において、重鎖は、重鎖定常領域の少なくとも一部を含む。本明細書で使用する場合、「完全長重鎖」という用語は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含み、リーダー配列を含むまたは含まず、C末端リジンを含むまたは含まないポリペプチドを指す。
【0132】
本明細書で使用する場合、「軽鎖可変領域(LCVR)」という用語は、軽鎖CDR1(CDR-L1)、フレームワーク(FR)2(LFR2)、CDR2(CDR-L2)、FR3(LFR3)、及びCDR3(CDR-L3)を含む領域を指す。いくつかの実施形態において、軽鎖可変領域はまた、FR1(LFR1)の少なくとも一部(例えば、全体)及び/またはFR4(LFR4)の少なくとも一部(例えば、全体)も含む。
【0133】
本明細書で使用する場合、「軽鎖定常領域」という用語は、軽鎖定常ドメインCを含む領域を指す。非限定的な例示的な軽鎖定常領域としては、λ及びκが挙げられる。
【0134】
本明細書で使用する場合、「軽鎖」という用語は、少なくとも軽鎖可変領域を含み、リーダー配列を含むまたは含まないポリペプチドを指す。いくつかの実施形態において、軽鎖は、軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む。本明細書で使用する場合、「完全長軽鎖」という用語は、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含み、リーダー配列を含むまたは含まないポリペプチドを指す。
【0135】
「抗体フラグメント」または「(抗体の)抗原結合部分」という用語は、限定されるものではないが、抗原に結合可能なフラグメント、例えば、Fv、単鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、及び(Fab’)を含む。ある特定の実施形態において、抗体フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)、F、単鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド結合F、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH、ミニボディ、F(ab’)、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb、(scFv)、またはscFv-Fcを含む。
【0136】
「Fab」という用語は、およそ50,000ダルトンの分子量の抗体フラグメントを指し、抗原に結合する活性を有する。これは、ジスルフィド架橋によって接続している重鎖のN末端側のおよそ半分及び軽鎖の全体を含む。Fabは、詳細には、免疫グロブリンをプロテアーゼのパパインで処理することにより得ることができる。
【0137】
「F(ab’)」という用語は、およそ100,000ダルトンのフラグメント及び抗原に結合する活性を示す。このフラグメントは、ヒンジ領域内でジスルフィド橋を介し接続している2つのFabフラグメントよりもわずかに大きい。これらのフラグメントは、免疫グロブリンをプロテアーゼのペプシンで処理することにより得られる。Fabフラグメントは、F(ab’)2フラグメントから、ヒンジ領域のジスルフィド結合を切断することにより得ることができる。
【0138】
Fv短鎖「scFv」は、VL及びVHドメインをコードする遺伝子と、これらのドメインに結合するように意図されたペプチドをコードする配列とを用いて合成されたVH:VLポリペプチドに相当する。本発明によるscFvは、例えば遺伝子組換え技法を用いて、適切な立体構造で維持されているCDRを含む。
【0139】
「scFv」の二量体は、ペプチド結合によって一緒に接続した2つのscFv分子に相当する。このFv鎖はしばしば、ペプチドをコードするリンカー配列によって接続しているVH及びVLをコードする遺伝子を含む融合遺伝子の発現の結果である。ヒトscFvフラグメントは、好ましくは遺伝子組換え技法の使用により、適切な立体構造で維持されているCDR領域を含むことができる。
【0140】
「dsFv」フラグメントとは、ジスルフィド結合によって安定化されたVH-VLヘテロ二量体のことであり、二価(dsFV)の場合もある。二価のSc(Fv)または多価抗体のフラグメントは、一価のscFvの会合によって自然発生的に形成することもあれば、ペプチド結合配列によってscFvフラグメントを接続することによって生成されることもある。
【0141】
Fcフラグメントは、抗体の生物学的特性、詳細には免疫エフェクターにより認識される能力または補体を活性化する能力を支持するものである。これは、ヒンジ領域を超えた重鎖の定常フラグメントからなる。
【0142】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原固定部位を有する小さな抗体フラグメントを意味する。これらのフラグメントは、同じVH-VLポリペプチド鎖内で、可変軽鎖ドメインVLに接続した可変重鎖ドメインVHを含む。短いために同じ鎖の2つのドメインが一致しない結合配列を使用すると、
別の鎖の2つの相補的なドメインとの一致が必然的に生じるため、2つの抗原固定部位が作出される。
【0143】
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、抗体競合アッセイによって決定することができる。これは、競合アッセイで参照抗体とその抗原との結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイで当該抗体とその抗原との結合を50%以上遮断する。「競合」という用語は、同じエピトープに関し競合する抗体の文脈で使用される場合、試験を行っている抗体が参照抗体と共通抗原との特異的結合を防止または阻害するアッセイにより、抗体間の競合が決定されることを意味する。
【0144】
多数のタイプの競合結合アッセイを使用することができ、例えば、固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242-253を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619を参照);固相直接標識アッセイ;固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照);I125を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung et al.,1990,Virology 176:546-552を参照);及び直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.を参照)を使用することができる。
【0145】
典型的には、このようなアッセイは、固体表面に結合した精製抗原か、または標識されていない試験抗原結合タンパク質及び標識された参照抗体のいずれかを有する細胞の使用を伴う。競合阻害は、試験抗体の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を測定することによって測定される。通常、試験抗体は過剰に存在する。競合アッセイによって特定される抗体(競合抗体)としては、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体に結合する抗体、及び立体障害が生じるほど十分に近接して参照抗体が結合する隣接エピトープに結合する抗体が挙げられる。いくつかの実施形態において、競合抗体は、過剰に存在するときに、共通抗原に対する参照抗体との特異的結合を少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%阻害する。いくつかの場合において、結合は、少なくとも80%、85%、90%、95%、または97%、またはそれ以上阻害される。
【0146】
「抗原」という用語は、選択的結合剤(例えば、抗体またはその免疫学的に機能的なフラグメント)が結合可能であり、さらに、哺乳類に使用してその抗原に結合可能な抗体を生成可能である分子または分子の一部を指す。抗原は、抗体と相互作用可能な1つ以上のエピトープを有し得る。
【0147】
「エピトープ」という用語は、選択的結合剤(例えば、抗体またはそのフラグメント)によって結合される抗原分子の一部のことである。この用語は、抗体に特異的に結合可能な任意の決定基を含む。エピトープは、連続でも非連続でもよい(例えば、ポリペプチドの場合、アミノ酸残基は、ポリペプチド配列内で互いに連続していないが、分子の文脈内では抗原結合タンパク質によって結合している)。いくつかの実施形態において、エピトープは、抗体の生成に使用されるエピトープに類似する三次元構造を含むが、抗体の生成に使用されるエピトープに見られるアミノ酸残基を全くまたは一部しか含まないという点で模倣的であり得る。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニルなどの分子の化学的に活性な表面グルーピングを含み得、3次元構造特性及び/または特定の電荷特性を有し得る。
【0148】
いくつかの実施形態において、「エピトープ」は、その決定に使用される方法によって定義される。例えば、いくつかの実施形態において、抗体は、水素-重水素交換(HDX)による定量において抗原の同じ領域に結合する場合、参照抗体と同じエピトープに結合する。
【0149】
ある特定の実施形態において、抗体は、X線結晶解析による定量において抗原の同じ領域に結合する場合、参照抗体と同じエピトープに結合する。
【0150】
本明細書で使用する場合、「キメラ抗体」とは、第1の種(例えば、マウス、ラット、カニクイザルなど)由来の少なくとも1つの可変領域と、第2の種(例えば、ヒト、カニクイザル、ニワトリなど)由来の少なくとも1つの定常領域とを含む抗体を指す。いくつかの実施形態において、キメラ抗体は、少なくとも1つのマウス可変領域と、少なくとも1つのヒト定常領域とを含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗体の可変領域の全てが第1の種由来であり、キメラ抗体の定常領域の全てが第2の種由来である。
【0151】
本明細書で使用する場合、「ヒト化抗体」とは、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、カニクイザル、ニワトリなど)のフレームワーク領域内の少なくとも1つのアミノ酸が、ヒト可変領域由来の対応するアミノ酸で置き換えられた抗体を指す。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、少なくとも1つのヒト定常領域またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体フラグメントは、Fab、scFv、(Fab’)などである。
【0152】
本明細書で使用する場合、「CDR移植抗体」とは、第1(非ヒト)の種の1つ以上の相補性決定領域(CDR)が第2(ヒト)の種のフレームワーク領域(FR)に移植されたヒト化抗体を指す。
【0153】
本明細書で使用する場合、「ヒト抗体」とは、ヒト内で生成された抗体、非ヒト動物内で生成されたヒト免疫グロブリン遺伝子を含む抗体(例えば、XenoMouse(登録商標))、及びin vitroの方法(例えば、ファージディスプレイ)を用いて選択された抗体を指し、抗体レパートリーはヒト免疫グロブリン配列に基づく。
【0154】
「増強されたADCC活性」を有する抗体には、対照抗体または親抗体と比較したときにより有効にin vitroまたはin vivoでADCCを媒介する抗体が含まれ、抗体及び対照/親抗体は、少なくとも1つの構造的側面において異なり、アッセイに使用されるこのような抗体及び対照/親抗体の量は本質的に同じである。いくつかの実施形態において、抗体及び対照/親抗体は、同じアミノ酸配列を有するが、親抗体がフコシル化されているのに対し、抗体は脱フコシル化されている。ADCC活性は、任意の当技術分野で認められている方法を用いて定量することができる。いくつかの実施形態において、ADCC活性は、本明細書で開示するようなin vitro ADCCアッセイを用いて定量されるが、ADCC活性を定量するための(例えば、動物モデルなどにおける)他のアッセイまたは方法も企図されている。いくつかの実施形態において、ADCC活性が増強された抗体は、FcガンマRIIIAに対する親和性が増強されている。いくつかの実施形態において、ADCC活性が増強された抗体は、FcガンマRIIIA(V158)に対する親和性が増強されている。いくつかの実施形態において、ADCC活性が増強された抗体は、FcガンマRIIIA(F158)に対する親和性が増強されている。
【0155】
FcR結合親和性またはADCC活性が「変化した」抗体とは、対照/親抗体と比較して増強または減弱したFcR結合活性及び/またはADCC活性を有する抗体のことであり、この抗体及び親抗体は、少なくとも1つの構造的側面で異なる。
【0156】
FcRに対する「結合の増加を示す」抗体は、親抗体よりも良好な親和性で少なくとも1つのFcRに結合する。
【0157】
FcRとの「結合の減少を示す」抗体は、親抗体よりも低い親和性で少なくとも1つのFcRに結合する。FcRとの「結合の減少を示す」抗体は、FcRとの結合がほとんどまたは全く認識できず、例えば、ネイティブ配列のIgG Fc領域と比較してFcRとの結合が0~20パーセントであり得る。
【0158】
「FcガンマRIIIAに対する増強された親和性」とは、FcガンマRIIIA(場合によってはCD16aとも称される)に対する親和性が対照/親抗体よりも高い抗体を指し、この抗体及び親抗体は、少なくとも1つの構造的側面で異なる。いくつかの実施形態において、抗体及び対照/親抗体は、同じアミノ酸配列を有するが、対照/親抗体がフコシル化されているのに対し、抗体は脱フコシル化されている。FcガンマRIIIAに対する親和性を定量する任意の好適な方法を使用することができる。いくつかの実施形態において、FcガンマRIIIAに対する親和性は、本明細書に記載の方法によって定量される。いくつかの実施形態において、FcガンマRIIIAに対する親和性が増強された抗体は、ADCC活性が増強されている。いくつかの実施形態において、FcガンマRIIIAに対する親和性が増強された抗体は、FcガンマRIIIA(V158)に対する親和性が増強されている。いくつかの実施形態において、FcガンマRIIIAに対する親和性が増強された抗体は、FcガンマRIIIA(F158)に対する親和性が増強されている。
【0159】
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」とは、補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1の構成要素(C1q)が、同族抗原に結合している(適切なサブクラスの)抗体に結合することによって開始される。補体の活性化を評価するには、例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163,1996に記載のようなCDCアッセイを実施することができる。Fc領域アミノ酸配列が変化し、C1q結合能力が増加または減少している抗体については、例えば、米国特許第6,194,551B1号、米国特許第7,923,538号、米国特許第7,994,290号、及びWO1999/51642に記載されている。
【0160】
「宿主細胞」とは、ベクターまたは単離されたポリヌクレオチドのレシピエントであり得るか、またはレシピエントであった細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞であっても真核細胞であってもよい。例示的な真核細胞としては、哺乳類細胞(例えば、霊長類または非霊長類の動物細胞)、真菌細胞(例えば、酵母)、植物細胞、及び昆虫細胞が挙げられる。非限定的な例示的な哺乳類細胞としては、限定されるものではないが、NSO細胞、PER.C6(登録商標)細胞(Crucell)、ならびに293及びCHO細胞、ならびにこれらの誘導体(例えば、それぞれについて293-6E細胞及びDG44細胞)が挙げられる。
【0161】
本明細書で使用する場合、「単離された」という用語は、自然界で典型的に見られる構成要素の少なくとも一部から分離されたか、または典型的に生成される構成要素の少なくとも一部から分離された分子を指す。例えば、ポリペプチドは、それを生成した細胞の構成要素の少なくとも一部から分離された場合は、「単離された」と称される。ポリペプチドが発現後の細胞により分泌される場合、ポリペプチドを含む上清をそれを生成した細胞から物理的に分離することは、ポリペプチドを「単離すること」とみなされる。同様に、ポリヌクレオチドは、自然界で典型的に見られるより大きなポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチドの場合に、ゲノムDNAまたはミトコンドリアDNA)の一部でないとき、または例えばRNAポリヌクレオチドの場合に、それを生成した細胞の構成要素の少なくとも一部から分離されるとき、「単離された」と称される。したがって、宿主細胞内のベクターに含まれるDNAポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが自然界でそのベクター内で見られない限り、「単離された」と称することができる。
【0162】
「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ヒトなどの哺乳類を指す。いくつかの実施形態において、他の非ヒト哺乳類(限定されるものではないが、げっ歯類、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳類実験動物、哺乳類家畜、哺乳類スポーツ動物、及び哺乳類ペットを含む)を治療する方法も提供される。いくつかの場合において、「対象」または「患者」とは、疾患または障害の治療を必要とする(ヒト)対象または患者を指す。
【0163】
本明細書で使用する場合、「試料」または「患者試料」という用語は、例えば物理的、生化学的、化学的、及び/または生理学的特徴に基づいて、特性決定及び/または特定されるべき細胞及び/または他の分子実体を含む、目的の対象から得られるか、またはそれに由来する物質を指す。例えば、「疾患試料」及びそのバリエーションという表現は、特性評価を行う細胞及び/または分子実体を含むことが予想される、またはそれが知られている目的の対象から得られる任意の試料を指す。
【0164】
「組織または細胞試料」とは、対象または患者の組織から得られた同様の細胞の集合を意味する。組織または細胞試料の供給源は、新鮮、凍結、及び/または保管された臓器もしくは組織試料または生検もしくは吸引液からの固形組織;血液または任意の血液組成成分;脳脊髄液、羊膜液、腹腔液、または組織液などの体液;対象の妊娠期間または発育における任意の時点からの細胞であり得る。また、組織試料は、初代または培養細胞であっても、細胞株であってもよい。任意選択で、組織または細胞試料は、疾患組織または臓器から得られる。組織試料は、自然界の組織とは天然には混ざり合わない化合物、例えば、防腐剤、抗凝固剤、緩衝液、固定剤、栄養素、抗生物質などを含んでもよい。
【0165】
本明細書で使用する場合、「参照試料」、「参照細胞」、または「参照組織」とは、本発明の方法または組成物がその特定を行うために使用されている疾患または状態に罹患していないことが知られている、またはそのように考えられる供給源から得られる試料、細胞、または組織を指す。1つの実施形態において、参照試料、参照細胞、または参照組織は、本発明の組成物または方法を用いて疾患または状態の特定を行っている同じ対象または患者の身体の健康な部分から得られる。1つの実施形態において、参照試料、参照細胞、または参照組織は、本発明の組成物または方法を用いて疾患または状態の特定を行っている対象でも患者でもない少なくとも1人の個体の身体の健康な部分から得られる。いくつかの実施形態において、参照試料、参照細胞、または参照組織は、疾患もしくは状態を発症する前に、または疾患もしくは状態の早期段階で、患者から以前に得られたものである。
【0166】
「障害」または「疾患」とは、本発明の1つ以上のGal-9アンタゴニストによる治療から利益を得られると考えられる任意の状態のことである。これには、慢性及び急性の障害または疾患(哺乳類を問題とされる障害に罹患しやすくする病的状態を含む)が含まれる。本明細書で治療の対象となる障害の非限定的な例としては、がんが挙げられる。
【0167】
「がん」という用語は、本明細書では、異常に高度の増殖及び成長を示す細胞群を指すために使用される。がんは、良性(良性腫瘍とも称される)、前悪性、または悪性であり得る。がん細胞は、固形癌細胞(すなわち、固形腫瘍を形成する細胞)または白血病癌細胞であり得る。「がん成長」という用語は、本明細書では、対応するがんのサイズまたは程度の増加をもたらすがんを構成する細胞(単数または複数)による増殖または成長を指す。
【0168】
がんの例としては、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられる。このようながんのより詳細な非限定的な例としては、扁平上皮癌、小細胞肺癌、下垂体癌、食道癌、星細胞腫、軟部組織肉腫、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、膠芽腫、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、大腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)癌、腎臓(renal)癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌、脳腫瘍、子宮内膜癌、精巣癌、胆管癌、胆嚢癌、胃癌、黒色腫、及び様々なタイプの頭頚部癌が挙げられる。
【0169】
ある特定の実施形態において、本明細書で使用する場合、がんは、血液癌(例えば、リンパ腫もしくは白血病(CLLを含む)、バーキットリンパ腫)、または固形腫瘍(例えば、乳癌、肺癌、及び前立腺癌)を含む。
【0170】
「化学療法剤」とは、がんの治療に有用であり得る化学化合物である。化学療法剤の例としては、限定されるものではないが、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びCytoxan(登録商標)シクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツルドパ、及びウレドパ;エチレンイミン及びメチルアミン、例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンエチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミン;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(詳細には、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189、及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン;抗生物質、例えば、エネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1l(gammall)及びカリケアマイシンオメガ1l(omegall)(例えば、Agnew,Chem lntl.Ed.Engl,33:183-186(1994)を参照));ダイネミシン(ダイネミシンAを含む);ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エナジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、Adriamycin(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナリン、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充物、例えば、フロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシノイド、例えば、マイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、Taxol(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、Abraxane(登録商標)パクリタキセルのクレモフォールフリーアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Illinois)、及びTaxotere(登録商標)ドキセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;Gemzar(登録商標)ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;Navelbine(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロン酸;イリノテカン(カンプトサール、CPT- 11)(5-FU及びロイコボリンを伴うイリノテカンの治療レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン(オキサリプラチン治療レジメン(FOLFOX)を含む);PKC-アルファ、Raf、H-Ras、EGFRの阻害剤(例えば、細胞増殖を低減するエルロチニブ(Tarceva(登録商標))及びVEGF-A阻害剤、ならびに上記のいずれかの医薬的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。
【0171】
さらに非限定的な例示的な化学療法剤としては、がんに対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)(例えば、タモキシフェン(Nolvadex(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFareston(登録商標)トレミフェン;副腎内でのエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、Megase(登録商標)酢酸メゲストロール、Aromasin(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、Rivisor(登録商標)ボロゾール、Femara(登録商標)レトロゾール、及びArimidex(登録商標)アナストロゾール;ならびに抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、詳細には、例えば、PKC-アルファ、Ralf、H-Rasなどの異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの;リボザイム、例えば、VEGF発現阻害剤(例えば、Angiozyme(登録商標)リボザイム)及びHER2発現阻害剤;遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えば、Allovectin(登録商標)ワクチン、Leuvectin(登録商標)ワクチン、及びVaxid(登録商標)ワクチン;Proleukin(登録商標)rIL-2;Lurtotecan(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;Abarelix(登録商標)rmRH;ならびに上記のいずれかの医薬的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。
【0172】
「抗血管新生剤」または「血管新生阻害剤」とは、直接または間接のいずれかで血管新生、脈管形成、または望ましくない血管透過性を阻害する低分子量物質、ポリヌクレオチド(例えば、阻害性RNA(RNAiもしくはsiRNA)を含む)、ポリペプチド、単離されたタンパク質、組換えタンパク質、抗体、またはこれらの結合体または融合タンパク質を指す。血管新生阻害剤には、血管新生因子またはその受容体の血管新生活性に結合し遮断する薬剤が含まれることを理解されたい。例えば、抗血管新生剤は、血管新生剤に対する抗体または他のアンタゴニスト、例えば、VEGF-Aに対する抗体(例えば、ベバシズマブ(Avastin(登録商標)))またはVEGF-A受容体(例えば、KDR受容体またはFlt-1受容体)に対する抗体、抗PDGFR阻害剤、例えば、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、VEGF受容体シグナル伝達を遮断する小分子(例えば、PTK787/ZK2284、SU6668、Sutent(登録商標)/SUl1248(リンゴ酸スニチニブ)、AMG706、または、例えば、国際特許出願第WO2004/113304号に記載のもの)である。また抗血管新生剤には、ネイティブな血管新生阻害剤(例えば、アンジオスタチン、エンドスタチンなど)も含まれる。例えば、Klagsbrun and D’Amore(1991)Annu.Rev.Physiol.53:217-39;Streit and Detmar(2003)Oncogene 22:3172-3179(例えば、悪性黒色腫における抗血管新生療法を列挙した表3);Ferrara & Alitalo(1999)Nature Medicine 5(12):1359-1364;Tonini et al.(2003)Oncogene 22:6549-6556(例えば、既知の抗血管新生因子を列挙した表2);及びSato(2003)Int.J.Clin.Oncol.8:200-206(例えば、臨床試験に使用した抗血管新生剤を列挙した表1)を参照。
【0173】
本明細書で使用する場合、「成長阻害剤」とは、in vitroまたはin vivoで細胞(例えば、VEGFを発現する細胞)の成長を阻害する化合物または組成物を指す。したがって、成長阻害剤は、S期の細胞(例えば、VEGFを発現する細胞)のパーセンテージを顕著に低減するものであり得る。成長阻害剤の例としては、限定されるものではないが、(S期以外の段階で)細胞周期の進行を遮断する薬剤(例えば、G1停止及びM期停止を誘導する薬剤)が挙げられる。古典的なM期阻害薬としては、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシン)が挙げられる。G1を停止する薬剤、例えば、DNAアルキル化剤(例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、及びara-C)は、S期にも停止が及ぶ。さらなる情報は、Mendelsohn and Israel,eds,The Molecular Basis of Cancer,Chapter 1,“Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs”(Murakami et al.)(W.B.Saunders,Philadelphia,1995)の、例えば13ページに見出すことができる。タキサン(パクリタキセル及びドセタキセル)は、いずれもイチイの木に由来する抗がん薬物である。ドセタキセル(Taxotere(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer)は、ヨーロッパイチイに由来し、パクリタキセル(Taxol(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)の半合成アナログである。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体からの微小管の集合を促進し、脱重合を防止することによって微小管を安定化させ、その結果、細胞内の有糸分裂を阻害する。
【0174】
「抗新生物組成物」という用語は、少なくとも1つの活性治療剤を含む、がんの治療に有用な組成物を指す。治療剤の例としては、限定されるものではないが、例えば、化学療法剤、成長阻害剤、細胞傷害剤、放射線療法に使用される薬剤、抗血管新生剤、がん免疫療法剤(がん免疫薬剤とも称される)、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及びがんを治療するための他の薬剤、例えば、抗HER-2抗体、抗CD20抗体、上皮成長因子受容体(EGFR)アンタゴニスト(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤)、HER1/EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、血小板由来成長因子阻害剤(例えば、Gleevec(登録商標)(イマチニブメシル酸塩))、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、CTLA4阻害剤(例えば、抗CTLA抗体イピリムマブ(YERVOY(登録商標)))、PD-1阻害剤(例えば、抗PD1抗体、BMS-936558)、PDL1阻害剤(例えば、抗PDL1抗体、MPDL3280A)、PDL2阻害剤(例えば、抗PDL2抗体)、VISTA阻害剤(例えば、抗VISTA抗体)、サイトカイン、以下の標的:ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR-ベータ、BlyS、APRIL、BCMA、PD-1、PDL1、PDL2、CTLA4、VISTA、またはVEGF受容体(複数可)、TRAIL/Apo2のうちの1つ以上に結合するアンタゴニスト(例えば、中和抗体)、ならびに他の生物活性及び有機化学薬剤などが挙げられる。これらの組合せも本発明に含まれる。
【0175】
「治療」とは、例えば目的が、標的となる病的状態または障害を遅らせる(軽減する)ことである療法的治療、及び例えば目的が、病的状態または障害の再発を阻害することである療法的治療を指す。「治療」は、哺乳類(ヒトを含む)における疾患(本明細書では「障害」または「状態」とも称される)に対する治療薬の任意の投与または適用を網羅し、疾患もしくは疾患の進行を阻害すること、疾患もしくはその進行を抑制もしくは遅らせること、その発症を阻止すること、疾患を部分的もしくは完全に緩和すること、疾患の1つ以上の症状を部分的もしくは完全に緩和すること、喪失した、欠損した、もしくは不全な機能を回復もしくは修復すること、または非効率的なプロセスを刺激することを含む。また「治療」という用語は、任意の表現型特性の重症度を低減すること、及び/またはその特徴の発生率、程度、もしくは可能性を低減することも含む。治療を必要とする者には、既に障害を有する者に加えて、障害の再発のリスクがある者、または障害の再発を予防するか、もしくは遅らせるべき者も含まれる。
【0176】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、対象における疾患または障害を治療するのに有効な薬物の量を指す。いくつかの実施形態において、有効量とは、所望の治療的または予防的結果の達成に必要な投与量及び期間における有効な量を指す。本発明の抗体の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、体重、及び個体において所望の応答を誘発するアンタゴニストの能力などの因子に応じて変化し得る。治療有効量は、主題抗体の任意の毒性または有害作用が治療的に有益な効果によって上回る量を包含する。
【0177】
「予防有効量」とは、所望の予防的結果を達成するのに必要な投与量及び期間の有効量を指す。典型的には、ただし必ずしもそうとは限らないが、予防用量は、疾患の前または疾患の早期段階の対象に使用されるため、予防有効量は、治療有効量よりも少なくなる。
【0178】
「医薬的に許容される担体」とは、対象に投与するための「医薬組成物」を一緒に構成する治療剤とともに使用するための、当技術分野で慣例的な無毒性の固体、半固体、または液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料、製剤助剤、または担体を指す。医薬的に許容される担体は、用いられる投与量及び濃度においてレシピエントに無毒性であり、製剤の他の成分と適合性である。医薬的に許容される担体は、用いられる製剤に適切である。例えば、治療剤が経口投与される場合、担体はゲルカプセルとすることができる。治療剤が皮下投与される場合、担体は、理想的には皮膚に刺激性がなく、注射部位反応を引き起こさない。
【0179】
「製造品」とは、少なくとも1つの試薬(例えば、疾患もしくは障害の治療のための医薬品)、または本明細書に記載のバイオマーカーを特異的に検出するためのプローブを含む、任意の製造物(例えば、パッケージもしくは容器)またはキットのことである。いくつかの実施形態において、製造物またはキットは、本明細書に記載の方法を実施するための単位として販売促進、流通、または販売される。
【0180】
3.使用方法(例えば、がんを治療する方法)
本明細書に記載の発明は、ヒト及び他の非ヒト哺乳類を治療する方法に使用するための抗CXCR5抗体を提供する。
【0181】
いくつかの実施形態において、がんを治療または予防するための方法であって、主題の抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかの有効量を、このような治療を必要とする対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0182】
いくつかの実施形態において、がんを治療する方法であって、がんを有する対象に、主題の抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかを投与することを含む、方法が提供される。
【0183】
本発明の方法/使用により治療可能ながんには、本明細書/上記に記載の任意のがんが含まれる。
【0184】
主題の抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかを用いて治療され得る非限定的な例示的ながん(癌腫、リンパ腫、胚腫、肉腫、及び白血病を含む)が本明細書で示される。このようながんのより詳細な非限定的な例としては、黒色腫、子宮頚癌、扁平上皮癌、小細胞肺癌、下垂体癌、食道癌、星細胞腫、軟部組織肉腫、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、膠芽腫、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、大腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)癌、腎臓(renal)癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌、脳腫瘍、子宮内膜癌、精巣癌、胆管癌、胆嚢癌、胃癌、黒色腫、及び様々なタイプの頭頚部癌が挙げられる。
【0185】
ある特定の実施形態において、がんは、黒色腫、乳癌、結腸癌、子宮頚癌、腎臓癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、肺癌(NSCLC)、卵巣癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌もしくは基底細胞癌)、リンパ腫、または白血病である。
【0186】
いくつかの実施形態において、本発明の抗CXCR5抗体は単独で使用してもよく、あるいは疾患または適応症を治療できることが知られている他の好適な化合物、例えば抗がん剤と組み合わせて使用してもよい。
【0187】
すなわち、使用ががんの治療である場合、抗体は、例えば、手術、放射線療法、化学療法、またはこれらの組合せなどのがんに対する既知の療法と組み合わせて、使用することができる。例えば、この抗体は、腫瘍抗原(詳細には、EBV抗原)に対するエフェクターリンパ球の1つ以上の注射からなる養子免疫療法と組み合わせて使用することができる。いくつかの態様によれば、がん療法のために本発明によるCXCR5に対する抗体と組み合わせて使用される他の抗がん剤は、抗血管新生剤を含む。ある特定の態様によれば、抗体は、(サイトカイン、例えば、抗腫瘍免疫応答を刺激するサイトカイン)と同時投与することができる。
【0188】
このような併用療法において、本発明の抗体は、第2の治療剤の前、後、またはそれと同時に使用することができる。併用療法については、以下のさらなるセクションを参照されたい。
【0189】
本発明の関連する態様は、CXCR5の活性を低減する方法であって、本明細書に記載の本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0190】
本発明の関連する態様は、炎症性疾患を治療する方法であって、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0191】
本発明の関連する態様は、免疫抑制を必要とする対象を治療する方法であって、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0192】
本発明の関連する態様は、自己免疫性疾患、障害、または状態を治療する方法であって、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0193】
本発明の関連する態様は、CXCR5を発現する細胞の数の減少を、それを必要とする対象において行う方法であって、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0194】
ある特定の実施形態において、細胞は、その表面にCXCR5を発現する。ある特定の実施形態において、細胞は、B細胞及びTfh様細胞である。
【0195】
ある特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0196】
ある特定の実施形態において、この方法は、抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたはその医薬組成物を静脈内または皮下投与することを含む。
【0197】
ある特定の実施形態において、抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは医薬組成物は、週に約2回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回投与される、10週間に1回、1か月に2回、1か月に1回、2か月に1回、3か月に1回、4か月に1回、5か月に1回、6か月に1回、7か月に1回、8か月に1回、9か月に1回、10か月に1回、11か月に1回、または12か月に1回投与される。
【0198】
本発明の関連する態様は、試料中のCXCR5+細胞の数を減少させる方法であって、当該細胞を本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物に接触させることを含む、方法を提供する。
【0199】
本発明の関連する態様は、医薬品として使用するための、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物を提供する。
【0200】
本発明の関連する態様は、対象におけるCXCR5の活性の低減に使用するための、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物を提供する。
【0201】
本発明の関連する態様は、免疫抑制を必要とする対象の治療に使用するための、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物を提供する。
【0202】
本発明の関連する態様は、対象における自己免疫性疾患、障害、または状態の治療に使用するための、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物を提供する。
【0203】
本発明の関連する態様は、免疫疾患、障害または状態を治療するための医薬品の製造における、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0204】
本発明の関連する態様は、免疫疾患、障害または状態を治療するための医薬品の製造における、本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0205】
本発明の関連する態様は、医学的状態を治療する方法であって、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0206】
ある特定の実施形態において、状態は、炎症性応答、例えば、乾癬及び皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)を含む炎症性皮膚疾患;皮膚筋炎;全身性強皮症及び硬化症;炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性腸疾患)に関連する応答;呼吸窮迫症候群(成人呼吸窮迫症候群;ARDSを含む);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ぶどう膜炎;大腸炎;胃炎;糸球体腎炎;アレルギー性疾患、例えば、湿疹及び喘息、ならびにT細胞の浸潤及び慢性炎症応答を伴う他の疾患;アテローム性動脈硬化症;白血球接着不全症;関節リウマチ;全身性エリテマトーデス(SLE);糖尿病(例えば、I型糖尿病またはインスリン依存性糖尿病);多発性硬化症;レイノー症候群;自己免疫性甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年発症糖尿病;ならびに結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症、及び血管炎に典型的に見出されるサイトカイン及びTリンパ球により媒介される急性及び遅発性過敏症に関連する免疫応答;ウェゲナー病;悪性貧血(アジソン病);白血球漏出を伴う疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害;多臓器損傷症候群;溶血性貧血(限定されるものではないが、クリオグロビン血症またはクームス陽性貧血を含む);重症筋無力症;抗原抗体複合体媒介性疾患;抗糸球体基底膜疾患;抗リン脂質症候群;アレルギー性神経炎;グレーブス病;ランバート-イートン筋無力症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫性多腺性内分泌不全症;白斑;ライター病;全身硬直症候群;ベーチェット病;巨細胞性動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎症;IgM多発ニューロパチー;免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)または自己免疫性血小板減少症及び自己免疫性溶血性疾患;橋本病;自己免疫性肝炎;自己免疫性血友病;自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS);自己免疫性ぶどう膜炎;ギラン-バレー症候群;グッドパスチャー症候群;混合性結合組織病;自己免疫関連不妊症;結節性多発動脈炎;円形脱毛症;特発性粘液水腫;移植片対宿主病;筋ジストロフィー(デュシェンヌ型、ベッカー型、筋強直型、肢帯型、顔面肩甲上腕型、先天性、眼咽頭型、遠位型、エメリー-ドレイフス型)ならびに膵臓癌、結腸癌、膀胱癌、T細胞白血病、及びB細胞白血病などのCXCR5を発現するがん細胞の増殖の制御からなる群より選択される。ある特定の実施形態において、疾患は、SLEまたは関節リウマチである。
【0207】
ある特定の実施形態において、疾患はシェーグレン症候群である。
【0208】
本発明の関連する態様は、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物を用いて、試料、組織、または細胞中のCXCR5を検出する方法であって、試料、組織、または細胞を抗体に接触させ、抗体を検出することを含む方法を提供する。
【0209】
本発明の関連する態様は、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントを用いて試料、組織、または細胞中のCXCR5を検出する方法であって、試料、組織、または細胞を抗体に接触させ、抗体を検出することを含む方法を提供する。
【0210】
本発明の関連する態様は、体液性免疫応答の阻害を、それを必要とする対象において行う方法であって、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0211】
ある特定の実施形態において、抗体は、脾臓内のTfh細胞、末梢血中のB細胞、及び末梢血中のTfh様細胞からなる群より選択される、CXCR5を発現する少なくとも1つの細胞の枯渇を媒介する。
【0212】
4.投与経路及び担体
様々な実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、皮下または静脈内に投与することができる。分かりやすくするため、「主題の抗CXCR5モノクローナル抗体」とは、本発明のマウス-ヒトキメラ抗CXCR5抗体及びそのヒト化バリアントを指す。
【0213】
いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、in vivoで、限定されるものではないが、経口、動脈内、非経口、鼻腔内、筋肉内、心臓内、脳室内、気管内、頬側、経直腸、腹腔内、吸入、皮内、局所、経皮、及び髄腔内、または他の方法(例えば、移植)を含む様々な経路により、投与することができる。
【0214】
いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、静脈内または皮下により投与することができる。
【0215】
主題の抗体組成物は、固体、半固体、液体、または気体形態の調製物に製剤化することができ、このような調製物には、限定されるものではないが、錠剤、カプセル、粉末、粒剤、軟膏、溶液、坐薬、浣腸、注射液、吸入剤、及びエアロゾルが含まれる。
【0216】
様々な実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体を含む組成物は、多種多様な医薬的に許容される担体との製剤で提供される(例えば、Gennaro,Remington:The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons:Drugfacts Plus,20th ed.(2003);Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th ed.,Lippencott Williams and Wilkins(2004);Kibbe et al.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd ed.,Pharmaceutical Press(2000)を参照)。ビヒクル、アジュバント、及び希釈剤を含む様々な医薬的に許容される担体が利用可能である。さらに、様々な医薬的に許容される補助物質、例えば、pH調整及び緩衝剤、張度調整剤、安定剤、湿潤剤なども利用可能である。非限定的な例示的な担体としては、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0217】
様々な実施形態において、主題のCXCR5モノクローナル抗体は、水性または非水性溶媒、例えば、植物油もしくは他の油、合成脂肪族酸グリセリド、より高級の脂肪族酸、またはプロピレングリコールのエステルに、所望に応じて可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、及び防腐剤とともに溶解、懸濁、または乳化することにより、注射用(皮下投与を含む)に製剤化することができる。
【0218】
様々な実施形態において、組成物は、加圧された許容される噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など)を用いて、吸入用に製剤化することができる。
【0219】
また、組成物は、様々な実施形態において、例えば、生分解性または非生分解性ポリマーを用いて、持続放出マイクロカプセルに製剤化することもできる。非限定的な例示的な生分解性製剤としては、ポリ乳酸-グリコール酸(PLGA)ポリマーが挙げられる。非限定的な例示的な非生分解性製剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。このような製剤を作製するある特定の方法は、例えば、EP1125584A1に記載されている。
【0220】
また、1つ以上の容器を含む医薬投与量パックであって、各々が主題の抗CXCR5モノクローナル抗体の1つ以上の用量を含む、医薬投与量パックも提供される。いくつかの実施形態において、単位投与量であって、1つ以上のさらなる薬剤を伴ってまたは伴わずに、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体を含む組成物の所定量を含む、単位投与量が提供される。いくつかの実施形態において、このような単位投与量は、使い捨ての充填済み注射用シリンジで供給される。様々な実施形態において、単位投与量に含まれる組成物は、食塩水、スクロースなど、緩衝剤(例えば、リン酸)などを含むことができ、及び/または安定し有効なpH範囲内で製剤化することができる。代替的に、いくつかの実施形態において、組成物は、適切な液体(例えば、滅菌水)を加えれば再構成することができる凍結乾燥粉末として提供することができる。いくつかの実施形態において、組成物は、タンパク質凝集を阻害する1つ以上の物質を含み、このような物質としては、限定されるものではないが、スクロース及びアルギニンが挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、ヘパリン及び/またはプロテオグリカンを含む。
【0221】
医薬組成物は、特定の適応症の治療または予防に有効な量で投与される。治療有効量は、典型的には、治療を行っている対象の体重、対象の身体または健康状態、治療を行う状態の広範さ、または治療を行っている対象の年齢に依存する。
【0222】
いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、用量当たり約50μg/kg体重~約50mg/kg体重の範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、用量当たり約100μg/kg体重~約50mg/kg体重の範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、用量当たり約100μg/kg体重~約20mg/kg体重の範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、用量当たり約0.5mg/kg体重~約20mg/kg体重の範囲の量で投与することができる。
【0223】
いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、用量当たり約10mg~約1,000mgの範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、用量当たり約20mg~約500mgの範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、用量当たり約20mg~約300mgの範囲の量で投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、用量当たり約20mg~約200mgの範囲の量で投与することができる。
【0224】
主題の抗CXCR5モノクローナル抗体組成物は、必要に応じて対象に投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体の有効用量は、1回以上対象に投与される。様々な実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体の有効用量は、1か月に1回、1か月に1回未満、例えば、2か月ごと、3か月ごと、または6か月ごとに、対象に投与される。他の実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体の有効用量は、1か月に複数回、例えば、2週間ごと、毎週、週に2回、週に3回、毎日、または1日に複数回投与される。主題の抗CXCR5モノクローナル抗体の有効用量は、少なくとも1回対象に投与される。いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体の有効用量は、複数回(少なくとも1か月、少なくとも6か月、または少なくとも1年の期間を含む)投与することができる。いくつかの実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、状態の1つ以上の症状を軽減するように必要に応じて対象に投与される。
【0225】
5.併用療法
本発明の主題の抗CXCR5モノクローナル抗体(その機能的フラグメントを含む)は、疾患の治療のために他の生物学的活性物質または他の治療手順と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することができる。例えば、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、単独で、または他の治療様式とともに投与することができる。これらは、他の治療様式(例えば、放射線療法)の前、実質的にそれと同時、またはその後に提供することができる。
【0226】
がんの治療において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、1つ以上の抗がん剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤、化学療法剤、成長阻害剤、抗血管新生剤、または抗新生物組成物)とともに投与することができる。
【0227】
ある特定の実施形態において、CXCR5に特異的に結合する主題の抗CXCR5モノクローナル抗体(「CXCR5結合アンタゴニスト」)、例えば、CXCR5アンタゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメントは、第2のアンタゴニスト、例えば、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD-1またはPD-L1経路の阻害剤)とともに、免疫系の刺激が有益と考えられる疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象に投与される。2つのアンタゴニストは、例えば、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体とがん免疫薬剤との組合せについて後述するように、同時にまたは連続して投与することができる。がんまたは自己免疫性疾患を治療するために、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体による治療に1つ以上の追加の治療薬、例えば、チェックポイントモジュレーターを加えることができる。
【0228】
ある特定の実施形態において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、別の治療と同時にまたは連続して、対象(例えば、がんを有する対象)に投与される。例えば、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、放射線療法、手術、または化学療法、例えば、標的化学療法または免疫療法のうちの1つ以上とともに投与することができる。
【0229】
ある特定の実施形態において、がんを有する対象を治療する方法は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及び1つ以上のがん免疫薬剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)を対象に投与することを含む。
【0230】
免疫療法(例えば、がん免疫薬剤による療法)は、対象における免疫応答を増強、刺激、及び/または上方調節するのに有効である。1つの態様において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤(例えば、PD-1阻害剤)の投与は、がんの治療、例えば、腫瘍成長の阻害において、相乗効果を有する。
【0231】
1つの態様において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、がん免疫薬剤の投与前に、順次投与される。1つの態様において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、がん免疫薬剤(例えば、PD-1阻害剤)と同時に投与される。また1つの態様において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、がん免疫薬剤(例えば、PD-1阻害剤)の投与後に、順次投与される。2つの薬剤の投与は、例えば、30分、60分、90分、120分、3時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、3日、5日、7日、もしくは1週間以上の間隔をおいた時点で開始してもよく、または第2の薬剤の投与は、例えば、第1の薬剤を投与してから30分後、60分後、90分後、120分後、3時間後、6時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、3日後、5日後、7日後、もしくは1週間後に開始してもよい。
【0232】
ある特定の態様において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤(例えば、PD-1阻害剤)は、同時に投与され、例えば、同時に、例えば、30分間または60分間にわたって患者に注入される。主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、がん免疫薬剤(例えば、PD-1阻害剤)と共製剤化することができる。
【0233】
がん免疫薬剤としては、例えば、低分子薬物、抗体もしくはそのフラグメント、または他の生物製剤もしくは低分子が挙げられる。生物学的がん免疫薬剤の例としては、限定されるものではないが、抗体、抗体フラグメント、ワクチン、及びサイトカインが挙げられる。1つの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。ある特定の態様において、モノクローナル抗体は、ヒト化またはヒト抗体である。
【0234】
1つの態様において、がん免疫薬剤は、免疫細胞、例えば、T細胞上の(i)刺激性(共刺激性を含む)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアゴニスト、または(ii)阻害性(共阻害性を含む)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアンタゴニストであり、いずれも抗原特異的T細胞応答の増幅をもたらす。ある特定の態様において、がん免疫薬剤は、(i)自然免疫に関与する細胞(例えば、NK細胞)上の(i)刺激性(共刺激性を含む)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアゴニスト、または(ii)阻害性(共阻害性を含む)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアンタゴニストであり、がん免疫薬剤は自然免疫を増強する。このようながん免疫薬剤は、しばしば免疫チェックポイント調節剤、例えば、免疫チェックポイント阻害剤または免疫チェックポイント刺激剤と称される。
【0235】
ある特定の実施形態において、がん免疫薬剤は、膜結合リガンドのB7ファミリーのメンバー(B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-DC(PD-L2)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5、及びB7-H6を含む)を標的とする(もしくはそれに特異的に結合する)薬剤、またはB7ファミリーのメンバーに特異的に結合する共刺激性もしくは共阻害性受容体であり得る。がん免疫薬剤は、膜結合リガンドのTNFファミリーのメンバーを標的とする薬剤、またはそれに特異的に結合する共刺激性もしくは共阻害性受容体(例えば、TNF受容体ファミリーのメンバー)であり得る。がん免疫薬剤によって標的とされ得る例示的なTNF及びTNFRファミリーメンバーとしては、CD40及びCD40L、OX-40、OX-40L、GITR、GITRL、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4-1BBL、CD137(4-1BB)、TRAIL/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fnl4、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTfiR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンパ毒素α/ΤΝΡβ、CXCR5、TNFa、LTfiR、リンパ毒素a 1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、ならびにNGFRが挙げられる。がんを治療するために主題の抗CXCR5モノクローナル抗体と組み合わせて使用され得るがん免疫薬剤は、B7ファミリーメンバー、B7受容体ファミリーメンバー、TNFファミリーメンバー、またはTNFRファミリーメンバー(例えば、上述のもの)を標的とする薬剤、例えば、抗体であり得る。
【0236】
1つの態様において、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、(i)T細胞活性化を阻害するタンパク質(例えば、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、TIM3、CEACAM-1、BTLA、CD69、ガレクチン-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、B7-H3、B7-H4、2B4、CD48、GARP、PDIH、LAIRl、TIM-1、TIM-4、及びPSGL-1、ならびに(ii)PSGL-1、及びPSGL-1)のアンタゴニスト(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)、ならびに(ii)T細胞活性化を刺激するタンパク質(例えば、B7-1、B7-2、CD28、4-1BB(CD137)、4-1BBL、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、CD40L、DR3、及びCD28H)のアゴニストのうちの1つ以上とともに投与される。
【0237】
1つの態様において、がん免疫薬剤は、T細胞活性化を阻害するサイトカイン(例えば、IL-6、IL-10、TGF-β、VEGF、及び他の免疫抑制性サイトカイン)を阻害する薬剤(すなわち、そのアンタゴニスト)、またはT細胞活性化を刺激するサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、及びIFNα)のアゴニスト(例えば、サイトカイン自体)であり、免疫応答を刺激する。
【0238】
免疫系を刺激するために、例えば、がん及び感染性疾患の治療のために、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体と組み合わせることができる他の薬剤としては、NK細胞上の阻害性受容体のアンタゴニストまたはNK細胞上の活性化受容体のアゴニストが挙げられる。例えば、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、KIRのアンタゴニストと組み合わせることができる。
【0239】
併用療法のためのまた他の薬剤としては、マクロファージまたは単球を阻害するまたは枯渇させる薬剤が挙げられ、これには、限定されるものではないが、CSF-IRアンタゴニスト、例えば、RG7155(WO11/70024、WO11/107553、WO11/131407、WO13/87699、WO13/119716、WO13/132044)またはFPA008(WO11/140249;WO13169264;WO14/036357)を含むCSF-IRアンタゴニスト抗体が含まれる。
【0240】
がん免疫薬剤には、TGF-βシグナル伝達を阻害する薬剤も含まれる。
【0241】
主題の抗CXCR5モノクローナル抗体と組み合わせることができるさらなる薬剤としては、腫瘍抗原提示を増強する薬剤(例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、及びImiquimod)、または腫瘍細胞の免疫原性を増強する療法(例えば、アントラサイクリン)が挙げられる。
【0242】
主題の抗CXCR5モノクローナル抗体と組み合わせることができるまた他の療法としては、Treg細胞を枯渇させるまたは遮断する療法(例えば、CD25に特異的に結合する薬剤)が挙げられる。
【0243】
主題の抗CXCR5モノクローナル抗体と組み合わせることができる別の療法としては、代謝酵素(例えば、インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、または一酸化窒素シンターゼ)を阻害する療法がある。
【0244】
使用され得る別のクラスの薬剤としては、アデノシンの形成を阻害する薬剤またはアデノシンA2A受容体を阻害する薬剤が挙げられる。
【0245】
がんを治療するために主題の抗CXCR5モノクローナル抗体と組み合わせることができる他の療法としては、T細胞のアレルギーまたは疲弊を回復/防止する療法、ならびに腫瘍部位での自然免疫活性化及び/または炎症を誘発する療法が挙げられる。
【0246】
主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、複数のがん免疫薬剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせることができ、例えば、以下のうちの1つ以上のような、免疫経路の複数のエレメントを標的とするコンビナトリアルアプローチと組み合わせることができる:腫瘍抗原提示を増強する療法(例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、Imiquimod);例えば、CTLA-4及び/またはPD1/PD-L1/PD-L2経路を阻害することにより、及び/またはTregもしくは他の免疫抑制細胞を枯渇させるもしくは遮断することにより、負の免疫調節を阻害する療法;例えば、CD-137、OX-40、及び/またはGITR経路を刺激する及び/またはT細胞のエフェクター機能を刺激するアゴニストを用いて、正の免疫調節を刺激する療法;抗腫瘍T細胞の出現頻度を全身的に増加させる療法;例えば、CD25のアンタゴニスト(例えば、ダクリズマブ)を用いて、またはex vivo抗CD25ビーズ枯渇によって、Treg(例えば、腫瘍内のTreg)を枯渇させるまたは阻害する療法;腫瘍内のサプレッサー骨髄系細胞の機能に影響を及ぼす療法;腫瘍細胞の免疫原性を増強する療法(例えば、アントラサイクリン);遺伝子修飾細胞(例えば、キメラ抗原受容体によって修飾された細胞(CAR-T療法))を含む養子T細胞またはNK細胞移入;代謝酵素(例えば、インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、一酸化窒素シンターゼ)を阻害する療法;T細胞のアネルギーまたは疲弊を回復/防止する療法;腫瘍部位における自然免疫活性化及び/または炎症を誘発する療法;免疫刺激性サイトカインの投与または免疫抑制性サイトカインの遮断。
【0247】
例えば、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体は、正の共刺激受容体をライゲーションする1つ以上のアゴニスト的薬剤;阻害性受容体を介しシグナル伝達を減弱させる1つ以上のアンタゴニスト(ブロッキング剤)(例えば、腫瘍微小環境内の独特の免疫抑制経路を克服するアンタゴニスト)(例えば、PD-L1/PD-1/PD-L2相互作用の遮断);抗腫瘍免疫細胞(例えば、T細胞)の出現頻度を全身的に増加させ、(例えば、CD25を阻害することによって)Tregを枯渇させるまたは阻害する1つ以上の薬剤;代謝酵素(例えば、IDO)を阻害する1つ以上の薬剤;T細胞のアネルギーまたは疲弊を回復/防止する1つ以上の薬剤;ならびに腫瘍部位における自然免疫活性化及び/または炎症を誘発する1つ以上の薬剤、とともに使用することができる。
【0248】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はCTLA-4アンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト的CTLA-4抗体)である。好適なCTLA-4抗体としては、例えば、YERVOY(イピリムマブ)またはトレメリムマブが挙げられる。
【0249】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、主題の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はPD-1アンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト的PD-1抗体)である。好適なPD-1抗体としては、例えば、OPDIVO(ニボルマブ)、KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)、またはMEDI-0680(AMP-514;WO2012/145493)が挙げられる。また、がん免疫薬剤にはピジリズマブ(CT-011)も含まれる。PD-1受容体を標的とする別のアプローチは、AMP-224と呼ばれるIgGlのFc部分と融合したPD-L2の細胞外ドメイン(B7-DC)から構成された組換えタンパク質である。
【0250】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はPD-L1アンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト的PD-L1抗体)である。好適なPD-L1抗体としては、例えば、MPDL3280A(RG7446;WO2010/077634)、デュルバルマブ(MEDI4736)、BMS-936559(WO2007/005874)、MSB0010718C(WO2013/79174)、またはrHigM12B7が挙げられる。
【0251】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はLAG-3アンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト的LAG-3抗体)である。好適なLAG3抗体としては、例えば、BMS-986016(WO10/19570、WO14/08218)、またはIMP-731もしくはIMP-321(WO08/132601、WO09/44273)が挙げられる。
【0252】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はCD137(4-1BB)アゴニスト(例えば、アゴニスト的CD137抗体)である。好適なCD137抗体としては、例えば、ウレルマブまたはPF- 05082566(W012/32433)が挙げられる。
【0253】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はGITRアゴニスト(例えば、アゴニスト的GITR抗体)である。好適なGITR抗体としては、例えば、TRX-518(WO06/105021、WO09/009116)、MK-4166(WO11/028683)、またはWO2015/031667に開示されているGITR抗体が挙げられる。
【0254】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はOX40アゴニスト(例えば、アゴニスト的OX40抗体)である。好適なOX40抗体としては、例えば、MEDI-6383、MEDI-6469、またはMOXR0916(RG7888;WO06/029879)が挙げられる。
【0255】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はCD40アゴニスト(例えば、アゴニスト的CD40抗体)である。ある特定の実施形態において、がん免疫薬剤はCD40アンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト的CD40抗体)である。好適なCD40抗体としては、例えば、ルカツムマブ(HCD122)、ダセツズマブ(SGN-40)、CP-870,893、またはChi Lob7/4が挙げられる。
【0256】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はCD27アゴニスト(例えば、アゴニスト的CD27抗体)である。好適なCD27抗体としては、例えば、バリルマブ(CDX-1127)が挙げられる。
【0257】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤は(B7H3に対する)MGA271である(WOl 1/109400)。
【0258】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はKIRアンタゴニスト(例えば、リリルマブ)である。
【0259】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤はIDOアンタゴニストである。好適なIDOアンタゴニストとしては、例えば、INCB-024360(WO2006/122150、WO07/75598、WO08/36653、WO08/36642)、インドキシモド、NLG-919(WO09/73620、WO09/1156652、WOl 1/56652、WO12/142237)、またはF001287が挙げられる。
【0260】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益を得られ得る疾患、例えば、がんまたは感染性疾患を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することによって治療され、がん免疫薬剤は、Toll様受容体アゴニスト、例えば、TLR2/4アゴニスト(例えば、Bacillus Calmette-Guerin);TLR7アゴニスト(例えば、HiltonolもしくはImiquimod);TLR7/8アゴニスト(例えば、Resiquimod);またはTLR9アゴニスト(例えば、CpG7909)である。
【0261】
1つの実施形態において、免疫系の刺激から利益が得られ得る疾患(例えば、がんまたは感染性疾患)を有する対象は、本発明の抗CXCR5モノクローナル抗体及びがん免疫薬剤を対象に投与することにより治療され、がん免疫薬剤は、TGF-β阻害剤、例えば、GC1008、LY2157299、TEW7197、またはIMC-TR1である。
【0262】
6.例示的な抗CXCR5モノクローナル抗体
本明細書に記載の発明は、CXCR5に特異的なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0263】
したがって、本発明の1つの態様は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、hCXCR5との結合、またはHFB2-4もしくはそのHzバリアントが結合するエピトープとの結合に関して、本明細書に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかと競合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0264】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト-マウスキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植抗体、またはリサーフィスド(resurfaced)抗体である。
【0265】
いくつかの実施形態において、抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)、F、単鎖FvまたはscFv、ジスルフィド結合F、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH、ミニボディ、F(ab’)、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb、(scFv)、またはscFv-Fcである。
【0266】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ADCCを増強する操作Fc領域(例えば、本明細書/上記に記載のもの(二重変異hG1DEを含む))を有する。
【0267】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトCXCR5に特異的であり、例えば、CXCR3と実質的に交差反応しない、及び/またはマウスもしくはカニクイザルCXCR5と実質的に交差反応しない。
【0268】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのhCXCR5に対する解離定数(K)は、1μΜ以下、100nM以下、50nM以下、25nM以下、20nM以下、15nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)である。
【0269】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、HFB2-4またはそのHzバリアント(例えば、Hz9、Hz12、Hz14、Hz15、Hz37、Hz38、Hz39、Hz40、Hz41、及びHz42)により結合されるエピトープに結合する。
【0270】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、細胞に発現するhCXCR5に、約0.4~4nM(例えば、約0.9nMまたは約1.2nM)のEC50という見かけの親和性で結合する。
【0271】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、cAMPレポーターアッセイにおいて、CXCR5-CXCL13シグナル伝達を約0.5~3.5nM(例えば、約0.49nM)のEC50でアンタゴナイズする。
【0272】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、hCXCR5を発現する細胞に対し、0.1nM未満、例えば、0.001~0.1nM、例えば、約0.002nMのEC50でADCC活性を示す。
【0273】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、NK細胞によるhCXCR5を発現するヒトB細胞の殺滅を0.1fM未満、または約0.3aM~0.8pMのEC50で媒介する。
【0274】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、hCXCR5に結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、及びXCR1とは検出可能に結合しない。
【0275】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、末梢血中のB細胞を枯渇させ、任意選択で末梢血中のB細胞を可逆的に枯渇させる。
【0276】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、末梢血及び/または脾臓のTfh様細胞を枯渇させる。
【0277】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、CXCR5とCXCL13との結合を阻害する。
【0278】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントの非存在下のcAMPレベルと比較してcAMPレベルの増加をもたらすフォルスコリンによって別の方法で誘発される細胞におけるcAMP生成のCXCL13阻害を阻害する(例えば、約0.4~3.5nM(例えば、約0.49nM)のEC50でcAMP生成のCXCL13阻害を阻害する)。任意選択で、CXCL13阻害の最大阻害率は、少なくとも約60%、70%、または80%である。
【0279】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトドナー末梢血単核球(PBMC)におけるCXCR5発現細胞のADCCを誘発する。
【0280】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、hCXCR5に特異的に結合し、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかと競合する。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【0281】
いくつかの実施形態において、本発明の抗ヒトCXCR5抗体またはその抗原結合フラグメントは、表A及び表Bに収載されたいずれか1つの抗体の対応する少なくとも1つ、2つ、または3つ(例えば、3つ全て)のVH CDRを含む。
【0282】
いくつかの実施形態において、本発明の抗ヒトCXCR5抗体またはその抗原結合フラグメントは、表A及び表Cに収載されたいずれか1つの抗体の対応する少なくとも1つ、2つ、または3つ(例えば、3つ全て)のVL CDRを含む。
【0283】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列と、配列番号9、10、及び11のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3配列とを含む。
【0284】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号17、18、及び19のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列と、配列番号25、26、及び27のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3配列とを含む。
【0285】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号33、34、及び35のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列と、配列番号41、42、及び43のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3配列とを含む。
【0286】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号33、49、及び51のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列と、配列番号57、58、及び59のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3配列とを含む。
【0287】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号33、49、及び65のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列と、配列番号57、58、及び59のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3配列とを含む。
【0288】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号69、70、及び71のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列と、配列番号76、77、及び78のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3配列とを含む。
【0289】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号33、49、及び51のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列と、配列番号149、150、及び151のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3配列とを含む。
【0290】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号114、115、及び116のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3配列と、配列番号120、121、及び122のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3配列とを含む。
【0291】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、本発明の抗体のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3のいずれか1つ以上において、最大1、2、3、4、もしくは5つ(例えば、最大1、2、もしくは3つ)のアミノ酸残基変化(例えば、欠失、挿入、もしくは置換(例えば、保存的置換));及び/または本発明の抗体のVL CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3のいずれか1つ以上において、1、2、3、4、もしくは5つ(例えば、最大1、2、または3つ)のアミノ酸残基変化(例えば、欠失、挿入、もしくは置換(例えば、保存的置換))を含む。
【0292】
本開示による抗ヒトCXCR5抗体またはその抗原結合フラグメントは、表Aに記載のアミノ酸配列のフレームワーク領域(FR)のいずれか、または表Aに記載のFRアミノ酸配列と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)配列を用いて調製することができる。ある特定の実施形態において、重鎖FR領域は全て、本明細書で例示する同じ抗体に由来する。ある特定の実施形態において、軽鎖FR領域は全て、本明細書で例示する同じ抗体に由来する。ある特定の実施形態において、重鎖FR領域及び軽鎖FR領域はいずれも全て、本明細書で例示する同じ抗体に由来する。
【0293】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、表Aに列挙されたいずれか1つの抗体の対応する重鎖フレームワーク領域の重鎖フレームワーク領域1(VH FR1)、重鎖フレームワーク領域2(VH FR2)、重鎖フレームワーク領域3(VH FR3)、及び/または重鎖フレームワーク領域4(VH FR4)のうちの1つ、2つ、3つ、または全て(すなわち、4つ)、あるいは表Aに記載のいずれか1つの抗体の対応するVH FRアミノ酸配列と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する)配列を含むVH FR1、VH FR2、VH FR3、及び/またはVH FR4を含む重鎖可変領域(VH)を有する。
【0294】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号4、20、36、52、もしくは72のVH FR1、または配列番号4、20、36、52、もしくは72と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)アミノ酸配列を含む。
【0295】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号5、21、37、53、もしくは73のVH FR2、または配列番号5、21、37、53、もしくは73と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)アミノ酸配列を含む。
【0296】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号6、22、38、54、64、もしくは74のVH FR3、または配列番号6、22、38、54、64、もしくは74と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)アミノ酸配列を含む。
【0297】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7、23、39、もしくは55のVH FR4、または配列番号7、23、39、もしくは55と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)アミノ酸配列を含む。
【0298】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、表Aに列挙されたいずれか1つの抗体の対応する重鎖フレームワーク領域の重鎖フレームワーク領域1(VL FR1)、重鎖フレームワーク領域2(VL FR2)、重鎖フレームワーク領域3(VL FR3)、及び/または重鎖フレームワーク領域4(VL FR4)のうちの1つ、2つ、3つ、または全て(すなわち、4つ)、あるいは表Aに記載のいずれか1つの抗体の対応するVL FRアミノ酸配列と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する)配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及び/またはVL FR4を含む軽鎖可変領域(VL)を有する。
【0299】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号12、28、44、60、66、もしくは79のVL FR1、または配列番号12、28、44、60、66、もしくは79と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)アミノ酸配列を含む。
【0300】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号13、29、45、61、67、もしくは80のVL FR2、または配列番号13、29、45、61、67、もしくは80と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)アミノ酸配列を含む。
【0301】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号14、30、46、62、もしくは81のVL FR3、または配列番号14、30、46、62、もしくは81と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)アミノ酸配列を含む。
【0302】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号15、31、47、もしくは82のVL FR4、または配列番号15、31、47、もしくは82と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)アミノ酸配列を含む。
【0303】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、VLフレームワーク配列及びVHフレームワーク配列を含み、このVLフレームワーク配列及びVHフレームワーク配列の一方または両方が、それが由来するヒト生殖系列配列に対し少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり、このVLフレームワーク配列が由来するヒト生殖系列VL配列は、V1~22、Vλコンセンサス、Vλ1コンセンサス、Vλ3コンセンサス、Vκコンセンサス、Vκ1コンセンサス、Vκ2コンセンサス、及びVκ3からなる群より選択され、このVHフレームワーク配列が由来するヒト生殖系列VH配列は、VH3、VH5、VH1、及びVH4からなる群より選択される。
【0304】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、VLフレームワーク配列及びVHフレームワーク配列を含み、VLフレームワーク配列及び/またはVHフレームワーク配列の一方または両方が、それが由来するヒト生殖系列配列と少なくとも66%、76%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である。
【0305】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、VLフレームワーク配列及びVHフレームワーク配列を含み、VLフレームワーク配列またはVHフレームワーク配列の一方または両方が、それが由来するヒト生殖系列配列と同一である。
【0306】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは脱フコシル化されている。
【0307】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ADCCの増強を示す。
【0308】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトVH3生殖系列配列に由来するフレームワークVH配列を含む。
【0309】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、Fcドメイン、例えば、IgA(例えば、IgA1もしくはIgA2)、IgD、IgE、IgM、またはIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4)のFcドメインを含む。ある特定の実施形態において、Fcドメインは、IgGのFcドメイン、例えば、(ヒト)IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のものである。
【0310】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントにおいて、抗体または抗原結合フラグメントは、Fc融合タンパク質、モノボディ、マキシボディ、二機能性抗体、scFab、scFv、ペプチボディである。
【0311】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、約10nM、5nM、2nM、1nM、900pM、800pM、700pM、600pM、500pM、400pM、300pM、250pM、200pM、150pM、100pM、50pM、40pM、30pM、25pM、20pM、15pM、10pM、5pM、及び1pMからなる群より選択される値前後またはそれ未満のKで、ヒトCXCR5に結合する。
【0312】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、約1日~7日のヒトにおける予測半減期を有する。
【0313】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント(ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む)は、良好な開発可能性プロファイルを有し、これには、高温(例えば、25℃もしくは40℃)下で、低pH条件(例えば、およそ室温でpH3.5)下で、及び/または数ラウンドの凍結/解凍サイクル後に安定であることが含まれる。
【0314】
ある特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント(ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む)は、抗体の開発可能性を改善するように設計されているアミノ酸配列の1つ以上の点変異を含む。例えば、Raybouldら(Five computational developability guidelines for therapeutic antibody profiling,PNAS 116(10):4025-4030,019)は、可変ドメイン配列のダウンロード可能な相同性モデルを構築し、5つの開発可能性ガイドラインに対しこれらを試験し、有力な配列の傾向及び正準形を報告する計算ツールTherapeutic Antibody Profiler(TAP)について説明している。著者らはさらに、TAPをopig.stats.ox.ac.uk/webapps/sabdab-sabpred/TAP.phpで自由に利用できるように提供している。
【0315】
治療用mAbの開発には、抗原に対し所望される親和性を達成することの他にも多くの障壁が存在する。このような障壁としては、内在性免疫原性、化学的及び立体構造的不安定性、自己会合、高粘度、多特異性、及び発現不良が挙げられる。例えば、高レベルの疎水性は、特に高度に可変性の相補性決定領域(CDR)において、凝集、粘度、及び多特異性に繰り返し関与している。重鎖及び軽鎖の可変ドメインの正味電荷における非対称性は、高濃度での自己会合及び粘度とも相関する。CDRの正負の電荷のパッチは、高いクリアランス率及び低い発現レベルに関連付けられる。生成物の不均一性(例えば、酸化、異性化、またはグリコシル化)は、しばしば翻訳後修飾または共翻訳修飾がされやすい特定の配列モチーフに起因する。配列傾向の特定を容易にする計算ツールが利用可能である。Warszawski et al.(Optimizing antibody affinity and stability by the automated design of the variable light-heavy chain interfaces.PLoS Comput Biol15(8):e1007207.https://doi.org/10.1371/journal.pcbi.1007207)も、可変軽鎖-重鎖界面の自動化設計により、抗体の親和性及び安定性を最適化する方法について説明している。候補抗体の潜在的な開発可能性の問題を特定するためのさらなる方法が利用可能であり、本発明の好ましい実施形態では、このような問題に対処して本発明の最適化された治療用抗体を導くために、従来の方法を介し候補抗体に1つ以上の点変異を導入することができる。
【0316】
7.ヒト化抗体
いくつかの実施形態において、本発明の抗体はヒト化抗体である。ヒト化抗体は、非ヒト抗体に対するヒトの免疫応答(例えば、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答)(これは、結果として抗体治療薬に対する免疫応答を生じ、治療薬の有効性を減少させる可能性がある)を低減または除去するため、治療用分子として有用である。
【0317】
抗体は、任意の標準的方法によりヒト化することができる。ヒト化の非限定的な例示的な方法としては、例えば、米国特許第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第6,180,370号;Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al,Nature 332:323-27(1988);Verhoeyen et al,Science 239:1534-36(1988);及び米国公開第US2009/0136500号に記載の方法が挙げられる。これらは全て、参照により援用される。
【0318】
ヒト化抗体とは、非ヒト可変領域のフレームワーク領域内の少なくとも1つのアミノ酸が、ヒトフレームワーク領域内の対応する位置に由来するアミノ酸で置き換えられた抗体のことである。いくつかの実施形態において、非ヒト可変領域のフレームワーク領域中の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも15個、または少なくとも20個のアミノ酸が、1つ以上のヒトフレームワーク領域内の1つ以上の対応する位置に由来するアミノ酸で置き換えられる。
【0319】
いくつかの実施形態において、置換に使用される対応するヒトアミノ酸の一部は、異なるヒト免疫グロブリン遺伝子のフレームワーク領域に由来する。すなわち、いくつかのこのような実施形態において、非ヒトアミノ酸のうちの1つ以上が、第1のヒト抗体のヒトフレームワーク領域からの対応するアミノ酸で置き換えられても、第1のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされてもよく、非ヒトアミノ酸のうちの1つ以上が、第2のヒト抗体のヒトフレームワーク領域からの対応するアミノ酸で置き換えられても、第2のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされてもよく、非ヒトアミノ酸のうちの1つ以上が、第3のヒト抗体のヒトフレームワーク領域からの対応するアミノ酸で置き換えられても、第3のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされてもよい、などとなる。さらに、いくつかの実施形態において、単一のフレームワーク領域内、例えば、FR2内で置換に使用される対応するヒトアミノ酸の全てが、同じヒトフレームワーク由来である必要はない。ただし、いくつかの実施形態において、置換に使用される対応するヒトアミノ酸は全て、同じヒト抗体由来であるか、または同じヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされる。
【0320】
いくつかの実施形態において、抗体は、1つ以上のフレームワーク領域全体を対応するヒトフレームワーク領域で置き換えることによってヒト化される。いくつかの実施形態において、置換される非ヒトフレームワーク領域に対し最も高レベルの相同性を有するヒトフレームワーク領域が選択される。いくつかの実施形態において、このようなヒト化抗体はCDR移植抗体である。
【0321】
いくつかの実施形態において、CDR移植に続いて、1つ以上のフレームワークアミノ酸が、マウスフレームワーク領域内の対応するアミノ酸に戻される。このような「復帰変異」は、いくつかの実施形態において、1つ以上のCDRの構造に寄与すると思われる、及び/または抗原接触に関与すると思われる、及び/または抗体の全体的な構造的完全性に関与すると思われる1つ以上のマウスフレームワークアミノ酸を保持するために行われる。いくつかの実施形態において、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1、またはゼロの復帰変異が、CDR移植後に抗体のフレームワーク領域に対し行われる。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【0322】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、表Bに列挙されたいずれか1つの抗体の対応する重鎖フレームワーク領域の重鎖フレームワーク領域1(VH FR1)、重鎖フレームワーク領域2(VH FR2)、重鎖フレームワーク領域3(VH FR3)、及び/または重鎖フレームワーク領域4(VH FR4)のうちの1つ、2つ、3つ、または全て(すなわち、4つ)、あるいは表B及びDに記載のいずれか1つの抗体の対応するVH FRアミノ酸配列と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する)配列を含むVH FR1、VH FR2、VH FR3、及び/またはVH FR4配列を含む重鎖可変領域(VH)を有する。
【0323】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号84、85、86、及び87のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列を含む。
【0324】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号89、90、91、及び87のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列を含む。
【0325】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号93、94、95、及び87のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列を含む。
【0326】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号138、94、139、及び87のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列を含む。
【0327】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号141、142、143、及び87のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列を含む。
【0328】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号132、85、133、及び87のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列を含む。
【0329】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号93、126、127、及び87のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列を含む。
【0330】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号132、133、134、及び87のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVH FR1、VH FR2、VH FR3、及びVH FR4配列を含む。
【0331】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、表Cに列挙されたいずれか1つの抗体の対応する重鎖フレームワーク領域の重鎖フレームワーク領域1(VL FR1)、重鎖フレームワーク領域2(VL FR2)、重鎖フレームワーク領域3(VL FR3)、及び/または重鎖フレームワーク領域4(VL FR4)のうちの1つ、2つ、3つ、または全て(すなわち、4つ)、あるいは表C及び表Dに記載のいずれか1つの抗体の対応するVL FRアミノ酸配列と実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する)配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及び/またはVL FR4を含む軽鎖可変領域(VL)を有する。
【0332】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号97、98、99、及び100のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列を含む。
【0333】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号97、102、99、及び100のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列を含む。
【0334】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号103、104、105、及び100のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列を含む。
【0335】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号103、107、108、及び100のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列を含む。
【0336】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号134、135、136、及び131のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列を含む。
【0337】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号128、129、130、及び131のものとそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列を含む。
【0338】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号145、146、147、及び131のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列を含む。
【0339】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号97、98、152、及び100のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列を含む。
【0340】
いくつかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号154、102、99、及び47のアミノ酸配列とそれぞれ実質的に同一である(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する)または同一であるアミノ酸配列を含むVL FR1、VL FR2、VL FR3、及びVL FR4配列を含む。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【0341】
いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト重鎖定常領域及び/またはヒト軽鎖定常領域も含む。
【0342】
8.ヒト抗体
いくつかの実施形態において、本発明の抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、任意の好適な方法により作製することができる。非限定的な例示的な方法としては、ヒト免疫グロブリン座位を含むトランスジェニックマウスにおいてヒト抗体を作製することが挙げられる。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551-55(1993);Jakobovits et al,Nature 362:255-8(1993);onberg et al,Nature 368:856-9(1994);ならびに米国特許第5,545,807号;同第6,713,610号;同第6,673,986号;同第6,162,963号;同第5,545,807号;同第6,300,129号;同第6,255,458号;同第5,877,397号;同第5,874,299号;及び同第5,545,806号を参照。
【0343】
非限定的な例示的な方法としては、ファージディスプレイライブラリーを用いてヒト抗体を作製することも挙げられる。例えば、Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.227:381-8(1992);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-97(1991);及びPCT公開第WO99/10494号を参照。
【0344】
抗体定常領域
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のヒト化抗体、キメラ抗体、またはヒト抗体は、1つ以上のヒト定常領域を含む。いくつかの実施形態において、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG、及びIgDから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施形態において、ヒト軽鎖定常領域は、K及びλから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG定常領域、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4を含む。いくつかの実施形態において、抗体またはFc融合パートナーは、例えばIgG1定常領域内に、C237S変異を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG2重鎖定常領域を含む。いくつかのこのような実施形態において、IgG2定常領域は、米国特許第6,900,292号に記載のようなP331S変異を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域を含む。いくつかのこのような実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4定常領域内にS241P変異を含む。例えば、Angal et al.Mol.Immunol.30(1):105-108(1993)を参照。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4定常領域及びヒトκ軽鎖を含む。
【0345】
重鎖定常領域の選択により、抗体がin vivoでエフェクター機能を有するか否かが決定され得る。このようなエフェクター機能は、いくつかの実施形態において、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/または補体依存性細胞傷害(CDC)を含み、抗体が結合する細胞の殺滅をもたらし得る。典型的には、ヒトIgG1またはIgG3重鎖を含む抗体は、エフェクター機能を有する。
【0346】
いくつかの実施形態において、エフェクター機能は望ましくない。例えば、いくつかの実施形態において、炎症性疾患及び/または自己免疫性疾患の治療において、エフェクター機能は望ましくないことがある。いくつかのこのような実施形態において、ヒトIgG4またはIgG2重鎖定常領域が選択または操作される。いくつかの実施形態において、IgG4定常領域は、S241P変異を含む。
【0347】
本明細書に記載の抗体はいずれも、任意の好適な方法により精製することができる。このような方法としては、限定されるものではないが、アフィニティーマトリックスまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用が挙げられる。好適な親和性リガンドとしては、抗体が結合する抗原及び/またはエピトープ、ならびに抗体定常領域に結合するリガンドが挙げられる。例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、または抗体アフィニティーカラムを使用して定常領域に結合させ、抗体を精製することができる。
【0348】
いくつかの実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、例えばブチルまたはフェニルカラムも、いくつかのポリペプチドを精製するために使用される。ポリペプチドを精製する多くの方法が当技術分野で知られている。
【0349】
代替的に、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、無細胞系で生成される。非限定的な例示的な無細胞系は、例えば、Sitaraman et al.,Methods Mol.Biol.498:229-44(2009);Spirin,Trends Biotechnol.22:538-45(2004);Endo et al,Biotechnol.Adv.21:695-713(2003)に記載されている。
【0350】
9.抗体のフコシル化及び脱フコシル化
本発明の1つの態様は、CXCR5に結合するフコシル化抗体及び脱フコシル化抗体、ならびにこのような抗体を含む組成物、ならびにこのような抗体の使用(治療及び医薬の使用を含む)を提供する。
【0351】
代替的に、本発明は、変化したエフェクター機能を示す抗CXCR5抗体を提供する。いくつかの実施形態において、変化したエフェクター機能はADCCの増加である。いくつかの実施形態において、抗体はフコースを欠くか、または検出可能に減少したレベルで(例えば、10%未満、5%未満、2%未満)含む(すなわち、脱フコシル化されている)。
【0352】
いくつかの実施形態において、CXCR5に結合する抗体を形成可能な脱フコシル化抗体重鎖及び軽鎖が提供される。いくつかの実施形態において、1つ以上の特定の相補性決定領域(CDR)を含む脱フコシル化抗体、重鎖、及び軽鎖が提供される。いくつかの実施形態において、脱フコシル化抗CXCR5抗体は、変化したエフェクター機能を有する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、他の点は同一の本発明のフコシル化抗CXCR5抗体と比較して増強されたADCC活性を有する。
【0353】
L-フコース(または6-デオキシ-L-ガラクトース)は単糖であり、動物におけるいくつかのN-及びO-結合グリカン及び糖脂質の構成要素である(Becker and Lowe,Glycobiology 13:41R-51R,2003(参照により援用される))。典型的には、フコースは、グリカン(血液型抗原、セレクチン、及び抗体に結合したグリカンを含む)の末端修飾として加えられる。フコースは、特異的なフコシルトランスフェラーゼによってα(1,2)-、α(1,3)-、α(1,4)-、及びα(1,6)-結合を介しグリカンに結合することができる。典型的には、α(1,2)-フコース結合はH-血液型抗原に関連する。α(1,3)-及びα(1,4)-フコース結合は、LewisX抗原の修飾に関連する。α(1,6)-フコース結合は、N-結合GlcNAc分子(例えば、抗体上のもの)に関連する。
【0354】
本発明の「脱フコシル化」抗体は、フコースを欠く抗体、例えば、定常領域グリコシル化においてフコースを欠くIgG1またはIgG3アイソタイプ抗体を含む。ヒトIgG1またはIgG3のグリコシル化は、最大2個のGal残基で終端されたコアフコシル化二分岐複合オリゴ糖グリコシル化としてAsn297で生じる。
【0355】
IgGのCH2ドメインに見られる主なタイプの複合オリゴ糖構造、すなわち「グリコフォーム」は、WO99/22764(参照により援用される、7ページ参照)に記載されている。ここでは、G0とは、末端シアル酸(NeuAcs)またはGalが存在しない二分岐構造を指し、G1とは、1つのGalを有しNeuAcsを有しない二分岐構造を指し、G2とは、2つの末端Galを有しNeuAcsを有しない二分岐構造を指す。
【0356】
いくつかの実施形態において、本発明の脱フコシル化抗体は、Asn297においてフコースを欠いている。これらの構造は、末端Gal残基の量に応じて、G0、G1(1,6もしくは1,3)、またはG2グリカン残基と呼ばれる。例えば、Raju,BioProcess Int.1:44-53(2003)を参照。抗体FcのCHOタイプグリコシル化については、例えば、Routier,Glycoconjugate J.14:201-207(1997)に記載されている。
【0357】
いくつかの実施形態において、本明細書で互換的に使用される「脱フコシル」または「脱フコシル化」抗体は、コアフコースを欠くように糖操作された抗体を指す。グリカン部分においてフコース含量が低減した抗体は、FcγRIIIa(CD16)に対する親和性が増加し、結果として、活性依存性細胞傷害(ADCC)活性が増強される。
【0358】
脱フコシル抗体は、フコース付加を担う遺伝子(α1,6-フコシルトランスフェラーゼ)のアレルを両方とも欠くPotelligent(登録商標)CHOK1SV細胞株(Lonza Biologics)を用いて生成することができる。また、脱フコシルまたは低減フコース抗体は、オリゴ糖生合成活性を様々な方法で修飾することによっても生成することができる。例えば、生成細胞株のゴルジ体でN-アセチルグルコサミントランスフェラーゼIII(GnTIII)を過剰発現させると、抗体のFc定常領域に関連する二分岐オリゴ糖構造が生成され、フコシル化が抑制される。このような発現系では、GnTIII発現のレベルは脱フコシル化IgG1グリコフォームの生成と相関し、ADCC活性の増強がもたらされる。
【0359】
また、フコシル化は、糖アナログ(例えば、限定されるものではないが、WO2012/019165に記載のようなフコースアナログ)の使用によっても細胞培養で減少させることができる。このように、脱フコシル化または低減フコース抗体は、当技術分野で周知されている多種多様な方法を用いて生成することができる。
【0360】
いくつかの実施形態において、本発明の脱フコシル化抗体は、FcガンマRIIIAに対する親和性が増強されている。いくつかの実施形態において、本発明の脱フコシル化抗体は、FcガンマRIIIA(V158)に対する親和性が増強されている。いくつかの実施形態において、本発明の脱フコシル化抗体は、FcガンマRIIIA(F158)に対する親和性が増強されている。
【0361】
「グリコフォーム」とは、様々な炭水化物単位の結合を含む複合オリゴ糖構造を指す。このような構造は、例えば、Essentials of Glycobiology Varki et al.,eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1999)に記載されている(この文献では、標準的な糖鎖生物学の命名法についても概説されている)。このようなグリコフォームとしては、限定されるものではないが、G2、G1、G0、G-1、及びG-2が挙げられる(例えば、国際特許公開第WO99/22764号を参照)。
【0362】
「グリコシル化パターン」とは、タンパク質に共有結合している炭水化物単位(例えば、グリコフォーム)のパターン、及びグリコフォーム(複数可)がタンパク質、より具体的には免疫グロブリンタンパク質のペプチド骨格に共有結合している部位(複数可)のパターンとして定義される。
【0363】
いくつかの実施形態において、非糖修飾CHO宿主細胞内で組換え発現した抗体のバッチの少なくとも85パーセントが、Asn297でフコシル化されている。
【0364】
複数の抗体を含む組成物について言及する場合、組成物中の抗体の約5パーセント未満が少なくとも1つのAsn297でフコースを含む場合、抗体は脱フコシル化されているとみなされる。
【0365】
ある特定の実施形態において、脱フコシル化のレベルは約100%であり、すなわち、抗体のフコシル化を測定するための標準的な方法を用いると、いずれの重鎖Asn297グリコフォームにもフコースが検出されない。
【0366】
フコースを測定する方法は、本明細書に記載の方法を含めて、当技術分野で知られている任意の方法を含む。いくつかの実施形態において、複数の脱フコシル化抗体を含む組成物中ではフコースが検出できない。いくつかの実施形態において、脱フコシル化抗体は、増強されたADCC活性を有する。
【0367】
いくつかの実施形態において、Fc領域に(直接的または間接的に)結合したフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体(すなわち、脱フコシル化抗体)が提供される。例えば、複数のこのような抗体を含む組成物中のフコースの量は、0~30%、0~20%、0~15%、1~10%、または0~5%であり得る。
【0368】
いくつかの実施形態において、複数の本発明の抗体を含む組成物は、80%超、85%超、90%超、95%超、97%超、99%超、または99.5%超の脱フコシル化抗体を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、検出限界内で100パーセント脱フコシル化されている(すなわち、抗体中のフコースを検出するための当技術分野で認められている方法(例えば、本明細書に記載のもの)を用いると、Asn297ではフコースが検出できない/検出されない)。フコースの量は、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の和に対し、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することにより、定量することができる。
【0369】
いくつかの実施形態において、フコシル化のレベルは0.5%以下であり、これは試験方法における定量限界(LOQ)に基づく。したがって、いくつかの実施形態において、脱フコシル化のレベルは99.5%以上である。
【0370】
N-結合オリゴ糖プロファイル法を使用して、試料中のフコシル化、シアリル化、マンノシル化、及び末端グラクトシル化のレベルを定量することができる。N-結合オリゴ糖法は、N-結合グリカンの評価に使用することができる。簡潔に説明すると、N-結合グリカンをペプチド-N-グリコシダーゼFを用いてタンパク質から酵素的に放出させる。次いでグリカンを蛍光剤によって誘導体化し、親水性相互作用液体クロマトグラフィー及び蛍光検出を用いて解析する。次いで、クロマトグラフィープロファイルを標準物質のプロファイルと比較する。当技術分野で知られているこの方法及び他の多くの方法は、抗体のフコシル化の程度を評価するために使用することができ、また、本発明の抗体中に存在するフコシル化のレベルを定量するために使用することができる。
【0371】
抗体内のフコースを検出する非限定的な例示的な方法としては、MALDI-TOF質量分析(例えば、WO2008/077546を参照)、放出された蛍光標識オリゴ糖のHPLC測定(例えば、Schneider et al.,N-Glycan analysis of monoclonal antibodies and other glycoproteins using UHPLC with fluorescence detection,Agilent Technologies,Inc.(2012);Lines,J.Pharm.Biomed.Analysis 14:601-608(1996);Takahasi,J.Chrom.720:217-225(1996)を参照)、放出された蛍光標識オリゴ糖のキャピラリー電気泳動測定(例えば、Ma et al.,Anal.Chem.,71:5185-5192(1999)を参照)、及び単糖組成を測定するためのパルスドアンペロメトリー検出を伴うHPLC(例えば、Hardy et al,Analytical Biochem.170:54-62(1988)を参照)が挙げられる。
【0372】
Asn297とは、Fc領域内の約297位に位置するアスパラギン残基を指す(Fc領域残基のEUナンバリング)が、Asn297は、抗体内のわずかな配列バリエーションにより、297位のおよそプラスまたはマイナス3アミノ酸上流または下流、すなわち、294~300位に位置することもある。本明細書に記載のCXCR5抗体の場合、Asn297は配列モチーフQYNSTに見出すことができる。
【0373】
フコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、US2003/0157108及びUS2004/0093621を参照。「脱フコシル化」または「フコース不全」抗体に関連する刊行物の例としては、US2003/0157108;WO2000/61739;WO2001/29246;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;WO2003/085119;WO2003/084570;WO2005/035586;WO2005/035778;WO2005/053742;WO2002/031140;Okazaki et al.,J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる(全て参照により本明細書に援用される)。
【0374】
脱フコシル化抗体を生成可能な細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が不全であるLec 13 CHO細胞(Ripka et al.,Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986));US2003/0157108A1;及びWO2004/056312(実施例11を参照)、ならびにノックアウト細胞株、例えば、機能的アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8を欠く細胞株、例えば、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda et al.,Biotechnol.Bioeng,94(4):680-688(2006);及びWO2003/085107を参照)が挙げられる。
【0375】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、二等分されたオリゴ糖を有し、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二等分されている、。このような抗体は、低減されたフコシル化及び/または改善されたADCC機能を有し得る。このような抗体の例は、例えばWO2003/011878、米国特許第6,602,684号、及びUS2005/0123546に記載されている。
【0376】
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、Fc領域に結合したオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を有する。このような抗体は、改善されたCDC機能を有し得る。このような抗体は、例えば、WO1997/30087、WO1998/58964、及びWO1999/22764(全て参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0377】
いくつかの実施形態において、本発明の脱フコシル化抗体は、ヒトエフェクター細胞の存在下で、フコースを含む対照/親抗体よりも有効にADCCを媒介する。概して、ADCC活性は、本明細書で開示するようなin vitro ADCCアッセイを用いて定量することができるが、ADCC活性を定量するための(例えば、動物モデルなどにおける)他のアッセイまたは方法も企図されている。
【0378】
いくつかの実施形態において、脱フコシル化抗CXCR5抗体は、in vitro及び/またはin vivoで増強されたADCC活性を有する。いくつかの実施形態において、脱フコシル化抗CXCR5抗体は、増強されたADCC活性をin vitroで有する。いくつかの実施形態において、in vitroでのADCC活性は、本明細書に記載の方法によって定量される。簡潔に説明すると、抗CXCR5抗体またはアイソタイプ対照の段階希釈液を、健康ヒトドナーまたはカニクイザルの末梢血単核球(PBMC)とともにインキュベートする。このアッセイでは、PBMCが、ナチュラルキラー(NK)エフェクター細胞ならびに標的CXCR5B及びTfh様細胞の供給源となる。フローサイトメトリーを使用して、およそ20時間後に残存するB細胞及びTfh様細胞の数を定量化する。PF-06835375抗体濃度の対数に対する抗原結合集団の細胞傷害性のパーセンテージをプロットすることにより、細胞傷害性滴定曲線を生成した。EC50値は、GraphPad Prism(version 6.0,GraphPad Software,Inc,San Diego,CA)の非線形回帰曲線フィット及びアゴニスト用量応答モデルのシグモイド対数を用いて、以下の式に従って決定した:
対数(アゴニスト)vs応答-可変勾配(4パラメーター)
Y=Bottom+(Top-Bottom/(1+10^((LogEC50-X)*ヒル勾配))
式中、Yは細胞傷害性のパーセンテージであり、Xは抗体濃度であり、Topはシグモイド曲線の上部プラトーに対応するY値の最大値であり、Bottomはシグモイド曲線の下部プラトーに対応するY値の最小値(0に拘束)であり、LogEC50は曲線の変曲点における抗体濃度の対数である。
【0379】
平均値及び標準偏差(STDEV)を用いて、実験間でEC50値をまとめた。
【0380】
いくつかの実施形態において、ヒト化mAbがヒト扁桃由来の真正Tfh細胞のADCCを誘導する能力は、扁桃単核細胞から単離したCD4+T細胞を用いて、PBMCから単離したNK細胞を加えて、同様に評価した。
【0381】
いくつかの実施形態において、CXCR5を発現するBa/F3細胞が標的細胞として使用される。いくつかの実施形態において、細胞傷害性は、CytoTox非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を用いてLDH放出を定量化することにより決定される。
【0382】
いくつかの実施形態において、最大溶解は5%のTriton X-100を用いて定量され、自発放出は、抗体の不在下で定量される。いくつかの実施形態において、特異的溶解のパーセンテージは、式:(実験-自発放出)/(最大-自発放出)×100=特異的溶解パーセントを用いて定量することができる。
【0383】
いくつかの実施形態において、増強されたADCC活性を有する脱フコシル化抗CXCR5抗体は、試験抗体の少なくとも1つの濃度において、同じ量のフコシル化抗体を用いた特異的溶解よりも少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、または少なくとも75パーセンテージポイント大きい特異的溶解をもたらす。
【0384】
いくつかの実施形態において、増強されたADCC活性を有する脱フコシル化抗CXCR5抗体は、フコシル化抗体を用いた特異的溶解よりも少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、または少なくとも75パーセンテージポイント大きい特異的溶解をもたらし、各抗体は、0.01~1マイクロg/mlの濃度であり、標的細胞は、CXCR5を発現するBa/F3細胞である。
【0385】
いくつかの実施形態において、抗体は、0.000005マイクロg/ml~5マイクロg/mlの範囲の濃度で試験される。
【0386】
いくつかの実施形態において、脱フコシル化抗CXCR5抗体は、FcガンマRIIIAに対する増強された親和性を有する。いくつかの実施形態において、脱フコシル化抗CXCR5抗体は、FcガンマRIIIA(V158)に対する増強された親和性を有する。いくつかの実施形態において、脱フコシル化抗CXCR5抗体は、FcガンマRIIIA(F158)に対する増強された親和性を有する。いくつかの実施形態において、FcガンマRIIIAに対する抗体親和性は、表面プラズモン共鳴を用いて、及び/または以下のように定量され、これは、FcガンマRIIIA(V158)を参照して記載されるが、FcガンマRIIIA(F158)に対する親和性の定量にも適している。
【0387】
簡潔に説明すると、いくつかの実施形態において、フコシル化または脱フコシル化抗CXCR5抗体は、プロテインAでコーティングされたデキストランチップ上に捕捉される。FcガンマRIIIA(V158)(例えば、R and D Systemsから入手可能)を様々な濃度で注入する。フコシル化及び脱フコシル化抗CXCR5抗体に対するFcガンマRIIIA(V158)の会合定数、解離定数、及び親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴システム(例えば、Biacore T200 Evaluation Software 1:1 binding model)を備えたソフトウェアを用いて定量することができる。
【0388】
いくつかの実施形態において、脱フコシル化抗CXCR5抗体は、FcガンマRIIIA(例えば、FcガンマRIIIA(V158)またはFcガンマRIIIA(F158))に対する増強された親和性を有し得、フコシル化抗CXCR5抗体と比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、少なくとも17倍、20倍、30倍、50倍、100倍、500倍、または少なくとも1000倍の親和性でFcガンマRIIIAに結合することができる。
【0389】
10.本発明の抗体をコードする核酸分子
本発明は、本明細書に記載の抗体の1つ以上の鎖をコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子も提供する。いくつかの実施形態において、核酸分子は、本明細書に記載の抗体の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、核酸分子は、本明細書に記載の抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチド及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドの両方を含む。いくつかの実施形態において、第1の核酸分子は、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチドを含み、第2の核酸分子は、軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチドを含む。
【0390】
いくつかのこのような実施形態において、重鎖及び軽鎖は、1つの核酸分子から、または2つの別々の核酸分子から、2つの別々のポリペプチドとして発現する。いくつかの実施形態において、例えば、抗体がscFvである場合、単一のポリヌクレオチドが、一緒に結合した重鎖及び軽鎖の両方を含む単一のポリペプチドをコードする。
【0391】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、翻訳されたときに重鎖または軽鎖のN末端に位置するリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含む。上記で説明したように、リーダー配列は、ネイティブの重鎖または軽鎖リーダー配列であっても、別の異種リーダー配列であってもよい。
【0392】
核酸分子は、当技術分野で慣例的な組換えDNA技法を用いて構築することができる。いくつかの実施形態において、核酸分子は、選択された宿主細胞(例えば、哺乳類細胞)での発現に適した発現ベクターである。
【0393】
11.ベクター
本明細書に記載の抗体の重鎖及び/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。このようなベクターとしては、限定されるものではないが、DNAベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、ベクターは、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド配列と、軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチド配列とを含む。いくつかの実施形態において、重鎖及び軽鎖は、2つの別々のポリペプチドとしてベクターから発現する。いくつかの実施形態において、重鎖及び軽鎖は、例えば、抗体がscFvであるとき、単一のポリペプチドの一部として発現syry。
【0394】
いくつかの実施形態において、第1のベクターは、重鎖をコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクターは、軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1のベクター及び第2のベクターは、同様の量(例えば、同様のモル量または同様の質量)で宿主細胞内に形質移入される。いくつかの実施形態において、5:1~1:5の第1のベクター及び第2のベクターのモル比または質量比で、宿主細胞内に形質移入される。いくつかの実施形態において、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターに対し、1:1~1:5の質量比が使用される。いくつかの実施形態において、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターに対し、1:2の質量比が使用される。
【0395】
いくつかの実施形態において、CHOもしくはCHO由来細胞、またはNSO細胞でのポリペプチドの発現に最適化されているベクターが選択される。例示的なこのようなベクターは、例えば、Running Deer et al.,Biotechnol.Prog.20:880-889(2004)に記載されている。いくつかの実施形態において、ベクターは、動物(ヒトを含む)における主題抗体のin vivo発現のために選択される。いくつかのこのような実施形態において、ポリペプチド(単数または複数)の発現は、組織特異的な方式で機能するプロモーター(単数または複数)の制御下にある。例えば、肝臓特異的プロモーターについては、例えば、PCT公開第WO 2006/076288号に記載されている。
【0396】
12.宿主細胞
本発明の別の態様は、本発明の抗CXCR5抗体のいずれか1つをコードする核酸分子、及び/または当該核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0397】
様々な実施形態において、本明細書に記載の抗体の重鎖及び/または軽鎖は、原核細胞(例えば、細菌細胞)、または真核細胞(例えば、真菌細胞(例えば、酵母)、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞)内で発現することができる。このような発現は、例えば、当技術分野で知られている手順に従って行うことができる。
【0398】
ポリペプチドを発現するために使用することができる例示的な真核細胞としては、限定されるものではないが、COS細胞(COS 7細胞を含む)、293細胞(293-6E細胞を含む)、CHO細胞(CHO-S細胞及びDG44細胞を含む)、PER.C6(登録商標)細胞(Crucell)、ならびにNSO細胞が挙げられる。
【0399】
ある特定の実施形態において、細胞は哺乳類細胞である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、CHO細胞、COS細胞、HEK-293細胞、NS0細胞、PER.C6(登録商標)細胞、またはSp2.0細胞である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、機能的なアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)を欠いている。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、機能的なアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ酵素を発現しない。ある特定の実施形態において、細胞は、機能的酵素をコードするFUT8遺伝子を欠いている。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、機能的FUT8遺伝子をコードする遺伝子を欠いている。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、Potelligent(登録商標)CHOK1SV細胞、またはLec13 CHO細胞である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、Potelligent(登録商標)CHOK1SV細胞である。
【0400】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体の重鎖及び/または軽鎖は、酵母内で発現することができる。例えば、米国公開第US2006/0270045A1を参照。いくつかの実施形態において、特定の真核宿主細胞は、CXCR5抗体の重鎖及び/または軽鎖に対し所望の翻訳後修飾を行う能力に基づいて選択される。例えば、いくつかの実施形態において、CHO細胞は、293細胞で生成される同じポリペプチドよりも高いレベルのシアリル化を有するポリペプチドを生成する。
【0401】
1つ以上の核酸の所望の宿主細胞内への導入は、限定されるものではないが、リン酸カルシウム形質移入、DEAE-デキストラン媒介形質移入、カチオン性脂質媒介形質移入、エレクトロポレーション、遺伝子導入、感染などを含む任意の方法によって達成することができる。非限定的な例示的な方法は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に記載されている。核酸は、任意の好適な方法に従って、所望の宿主細胞に一過性または安定的に形質移入することができる。
【0402】
いくつかの実施形態において、1つ以上のポリペプチドは、任意の好適な方法に従って、そのポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子で操作または形質移入された動物において、in vivoで生成することができる。
【0403】
したがって、本発明の別の関連する態様は、抗体またはその抗原結合フラグメントを作製する方法であって、本明細書に記載の本発明の宿主細胞(例えば、本発明の抗体またはその機能的抗原結合フラグメントのいずれか1つのためのポリヌクレオチドコード配列を含むもの)を、当該抗体または抗原結合フラグメントが当該宿主細胞により発現する条件下で培養することを含む、方法を提供する。
【0404】
ある特定の実施形態において、この方法はさらに、当該抗体またはその抗原結合フラグメントを単離することを含む。
【0405】
関連する態様において、本発明は、脱フコシル化抗CXCR5抗体またはその抗原結合フラグメントを作製する方法であって、本発明の核酸分子または本発明のベクターを含む宿主細胞を培養することを含み、宿主細胞が機能的FUT8を欠いている、方法を提供する。
【0406】
ある特定の実施形態において、宿主細胞はPotelligent(登録商標)CHOK1SV細胞である。
【0407】
本発明の別の関連する態様は、本発明の方法を用いて生成される単離された抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0408】
ある特定の実施形態において、本発明の単離された抗体またはその抗原結合フラグメントは脱フコシル化されている。
【0409】
ある特定の実施形態において、脱フコシル化抗体またはその抗原結合フラグメントは、フコシル化されていること以外は同一の抗体またはその抗原結合フラグメントと比較して、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の増強を示す。
【0410】
ある特定の実施形態において、脱フコシル化抗体またはその抗原結合フラグメントは、フコシル化されていること以外は同一の抗体またはその抗原結合フラグメントと比較して、約2倍、約5倍、約7倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約110倍、約120倍、約130倍、約140倍、及び約143倍大きいADCCを示す。
【0411】
本発明の別の関連する態様は、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントと、医薬的に許容される担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは脱フコシル化されている。
【実施例
【0412】
実施例1 キメラ抗CXCR5モノクローナル抗体の特定及び予備的特性評価
異なる設計を用いて3回の免疫キャンペーンを行った。これにより合計185種の候補マウスモノクローナル抗体が生成され、このうちの54種でCXCR5との結合が確認された。確認された結合体のうちの6種は高い結合親和性を有し、ベンチマーク抗体シグナルの50%超及び陽性細胞の80%超のMFIとして特徴付けられた。
【0413】
次いで、マウス抗体の可変領域(VH及びVL)ならびにヒトIgG1のhIgG1スキャフォールド/定常領域に基づき、キメラモノクローナル抗体を生成した。特異的抗体は、アイソタイプ対照で得られる%と比較して1Log超の陽性細胞の%を特徴とした。
【0414】
in vitroアッセイを用いた候補キメラ抗体の選択
次いで、キメラ抗体の一連のin vitro特性評価を行って、これらの抗体に優先順位を付けた。詳細には、6つの強力な結合剤の特性評価は、目的となる標的を発現する細胞上の結合としての種々の決定的なin vitroアッセイ、特異性アッセイ、及びフローサイトメトリーによる交差反応性アッセイに基づくものであった。いくつかの二次アッセイを確立して、B細胞移動に及ぼす機能的効果、酵素的細胞内アゴニスト活性、及び受容体内在化に基づき強力な結合剤をランク付けした。最も重要なことには、強力な候補抗体を次に抗体依存性細胞傷害性(ADCC)レポーターアッセイで特性評価した。これは、ADCCが、強力な候補抗体の所望される作用様式であるからである。ADCCレポーターアッセイのリードアウトは、ホタルルシフェラーゼの発現を駆動するNFAT応答エレメントからの発光シグナルである。
【0415】
CXCR5に対する結合能力を試験するため、標的抗原hCXCR5を発現する接着性安定性細胞株を用いた結合アッセイで6種のキメラモノクローナル抗体を試験した。その結果、6種のキメラ抗体全てが、異なる結合特性で標的抗原を発現する細胞に結合することが示された。これらのうち、キメラ抗体HFB2-3-hG1、HFB2-4-hG1、HFB2-5-hG1、及びHFB2-6-hG1は、HFB2-1-hG1及びHFB2-2-hG1と比較して高い結合能力を示した。1種のキメラ抗体を除く全ての抗体がnM以下のEC50値を示した。図5を参照。
【0416】
次に、交差反応性結合を評価したところ、いずれのキメラモノクローナル抗体も、アッセイに含めた陽性対照と比較して、サルまたはマウスCXCR5オルソログと交差反応しないことが示された。図6Aを参照。さらに、いずれの抗hCXCR5キメラ抗体もhCXCR5オルソログのhCXCR3には結合しないため、その特異性が確認された。図6Bを参照。
【0417】
標的抗原CXCR5は走化性に関与するGPCRであるため、主題抗体がin vitroでB細胞移動を阻害する能力について確認するために実験を行った。特異的抗体ランキングアッセイの1つとして、B細胞移動アッセイでは、CXCR5標的抗原を発現するM300.19浮遊細胞を利用して、全ての抗体候補及びベンチマーク/対照抗体を試験した。このアッセイにおける阻害の程度は、阻害%=(1-移動%/抗体なしの移動%の平均)*100として計算した。
【0418】
アッセイを行うために、10nM~0.1nMの3段階希釈の抗体を調製し、37℃で6時間インキュベートした。Cytoflexで細胞をカウントし、CXCR5標的抗原を発現するM300.19細胞に対し2回(n=2)繰り返した。
【0419】
その結果、候補抗体は異なる阻害特性を示し、少なくともその一部はリガンド(CXCL13)誘導性走化性を阻害できることが示された。このような走化性を阻害する最も強力な抗体候補はキメラ抗体HFB2-4-hG1であり、これは約1nMで100%阻害に達した。図7を参照。
【0420】
さらに、強力な結合剤をcAMPアッセイで試験して、それらのアゴニスト/アンタゴニスト特性を確認した。候補抗体が、CXCL13リガンドによる活性化で細胞内cAMPレベルを遮断できるかどうかについて評価した。このアッセイは、測定可能な化学発光シグナルが細胞内のcAMP量に正比例するという原理に基づくものであった。Gαi経路でリガンドが活性化すると、cAMPの減少が予想される。化学発光シグナルの増加は、cAMPレベルと逆相関する。
【0421】
cAMPアッセイにより、6種の候補抗体の異なる機能特性が示された。具体的には、HFB2-4-hG1及びHFB2-5は、他の4種の候補抗体と比較して、CXCL13誘導性細胞内cAMPシグナル伝達を効率的に遮断し、いずれもベンチマーク抗体よりも優れていた。図8
【0422】
主題抗体の望ましい標的産物プロファイルのため、この6種の強力なキメラ結合体をADCCレポーターバイオアッセイでも試験した。
【0423】
ADCCとは、Fc受容体を有するエフェクター細胞が、表面に抗原を発現する抗体(Ab)コーティング標的細胞を認識し、殺滅することができる免疫機構のことである。ADCCは、免疫エフェクター細胞表面での抗原結合抗体とFc受容体CD16Aとの架橋によって作動する。これらの相互作用は、細胞内カルシウム濃度の増加を誘導し、カルシニューリン(calicneurin)/カルモジュリンに媒介されたNFATの脱リン酸化を誘導して、その核内移動及びADCC関連遺伝子のプロモーター領域との結合を可能にする。最終的には、エフェクター細胞は標的細胞を殺滅する細胞傷害性顆粒を放出する。レポーターバイオアッセイのために、エフェクター細胞を、複数のNFAT応答エレメントと融合した最小限のプロモーターの制御下で、ルシフェラーゼレポーター遺伝子などのレポーター遺伝子を安定的に発現するエフェクターレポーター細胞として設計した。このシステムにおいて、ADCC誘導は、抗原結合抗体によりCD16Aシグナル伝達が活性化され、適切な検出試薬を加えたときにルシフェラーゼが生成する生物発光シグナルとして測定した。
【0424】
このアッセイでは、作用機序が既に知られている抗CD20抗体を陽性対照として使用した。異なる候補抗体は明らかに異なるADCC能力を示したが、HFB2-4-hG1は、CD16係合において最高の効力を示すことが示された。図9A
【0425】
要約すると、54種の特異的抗CXCR5抗体のうち、6種の1桁ナノモル親和性キメラ結合体(すなわち、HFB2-1-hG1、HFB2-2-hG1、HFB2-3-hG1、HFB2-4-hG1、HFB2-5-hG1、HFB2-6-hG1)を特定した。これらの6種の最も強力な結合剤の特徴により、様々な特性が示された。いずれも、マウスまたはサルのCXCR5オルソログとは交差反応しなかった。これらの全てが標的特異的であり、最も近いホモログであるCXCR3を認識しない。
【0426】
HFB2-4hG1の薬物動態(PK)評価
cAMP、走化性、及びADCCといった3つの異なる機能試験に基づけば、HFB2-4hG1が最も有望で強力な候補であると思われ、これをPK評価に選択した。マウスにおけるHFB2-4 hG1キメラ抗体の好ましいPKプロファイルを参照(図3)。
【0427】
8~10週齢の野生型(wt)C57BL/6Jマウスを用いて、HFB2-4-hG1の薬物動態(PK)試験を行った。HFB2-4-hG1を、1mg/kg及び10mg/kgの2つの異なる濃度で尾静脈から静脈内投与した。8つの異なる時点(1時間、2時間、4時間、8時間、24時間、48時間、72時間、及び7日)で、各マウスから約50μLの血漿試料を収集した。内部で最適化した標準プロトコルを用いて、各試料中のヒトIgG濃度をELISAにより定量化した。その結果、HFB2-4-hG1が良好なPKプロファイル(t1/2=158時間)を示すことが示された。
【0428】
DE変異がHFB2-4hG1のADCC活性に及ぼす影響
HFB2-4hG1抗体が他の5つの強力なhCXCR5結合体の中で最高のCD16係合を示した事実を考慮し、HFB2-4hG1抗体を選択して、ADCC活性を増強するためにDEスキャフォールド(S239D/I332E)で生成した。HFB2-4-hG1抗体及びHFB2-4-hG1DE抗体の両方を、抗CD20陽性対照抗体を含むADCCレポーターバイオアッセイで試験した。予想されたように、結果からは、HFB2-4が対照の抗CD20抗体よりも高度なCD16係合を誘導することが明確に確認され、DEスキャフォールドが抗体のADCC特性をさらに高め(Emax及びEC50の両方で)、陽性対照抗体の抗CD20よりも良好な活性を示すことが示された。図9B
【0429】
次に、HFB2-4hG1DEについて、健康ドナー末梢血単核球(PBMC)から単離した初代NK細胞(エフェクター細胞)及び標的を発現するRaji細胞(標的細胞)を使用することにより、ADCC活性を試験した。データからは、HFB2-4hG1DEが、0.76pMのEC50値で初代NK細胞によるRaji細胞の溶解を媒介することが示された。これは、リツキシマブ陽性対照抗体よりも強力である。図9Cを参照。
【0430】
さらに、HFB2-4hG1DEのADCC活性について、初代NK細胞(エフェクター細胞)及び標的を発現する初代B細胞(標的細胞)(いずれも異なる健康ドナーのPBMCから単離した初代細胞集団)を使用することにより、ADCC活性をさらに試験した。HFB2-4hG1DEは、0.44fMのEC50値で初代NK細胞による末梢B細胞の溶解を誘導した。これはまた、リツキシマブ陽性対照抗体よりも強力である。図9Dを参照。ヒト初代T細胞の溶解に対するHFB2-4hG1DEのADCC活性も調べるために同様の実験を行ったところ、HFB2-4hG1DEは、hCXCR5+CD4+初代T細胞の強力なNK媒介性溶解も誘導することが分かった。図9Eを参照。
【0431】
さらなる同様の実験を行って、脱フコシル化HFB2-4hG1(DE変異なし)モノクローナル抗体(AfuHFB2-4hG1)のヒト初代T細胞溶解に対するADCC活性を調べた。AfuHFB2-4hG1は、非常に広い抗体濃度範囲にわたり、用量依存的にhCXCR5+CD4+初代T細胞の強力なNK媒介性溶解も誘導することが分かった(図9Fを参照)。一方、リツキシマブ(hG1)(CD20表面抗原を発現するB細胞を標的とする)及びアイソタイプ対照抗体MGO53-hG1は、抗体なし対照(CD4+細胞のみ、NK細胞ありまたはなし)と比較して、広い抗体濃度範囲にわたって本質的に全く効果を有しなかった。図9Fを参照。
【0432】
HFB2-4hG1のin vivo抗腫瘍活性
がん細胞株(Raji及びDaudi細胞)で得られた結合データに続いて、Raji細胞ベース腫瘍モデルのみを用いて、CB17-SCID免疫不全マウスにおいてin vivo試験を行った。簡潔に説明すると、Raji細胞を6~8週齢のCB-17 SCIDマウスに皮下接種した。4つの異なる群:アイソタイプ対照(MGO53-hG1)、PBS対照、陽性対照(HFB2-リツキシマブ-hG1)、リード候補群(HFB2-4-hG1)を試験に含めた。処置は、抗体の1つを10mg/kgで3日ごとに21日間腹腔内(i.p.)投与することから構成された。各マウスの腫瘍成長及び体重を3日ごとに測定した。
【0433】
HFB2-4hG1の投与(10mg/kg、隔週×7、i.p.)により、Raji異種移植モデルにおいて、リツキシマブ対照に匹敵する強力な抗腫瘍活性が得られた。図16を参照。
【0434】
要約すると、HFB2-4(hG1及びhG1DE)キメラ抗hCXCR5抗体は、CXCR5発現細胞との強力な結合を示し、リガンド誘導性移動及びシグナル伝達を強力に抑制し、マウスにおいて好ましいPKプロファイルを示し、Raji異種移植マウスモデル試験で抗腫瘍活性を示し、Raji B細胞リンパ腫細胞株及び初代B細胞の両方において初代NK細胞で強力なADCCを媒介した。in vitro 及びin eで得られたデータに基づき、リード抗体シリーズHFB2-4(hG1及びhG1DE)がヒト化に最も適した候補であることが示された。
【0435】
実施例2 ヒト化抗体の特性評価
HFB2-4-hG1に基づき、CDR-グラフティング法を用いて、抗体の抗原認識を担う相補性決定領域(CDR)をマウス抗体配列から選択し、それをhIgG1のヒトフレームワーク領域(FR)内に移植することにより、ヒト化抗hCXCR5モノクローナル抗体を生成した。
【0436】
全体として、CDRグラフティングを用いて合計25種のヒト化バリアントを生成した。これらのバリアントの大部分は、親キメラ抗体と比較して、物理化学的活性(標的に対する親和性、安定性、溶解性)及び/または生物学的活性(標的の遮断もしくは刺激、ADCC)を維持していた。
【0437】
簡潔に説明すると、HFB2-4(すなわちHFB2-4hz)に基づく12種のヒト化抗体バリアントのうち10種が、親キメラ抗体HFB2-4と同等のhCXCR5との結合を示した。さらに、12種のHFB2-4hzバリアントのうち9種がcAMPシグナルを遮断し、この結果は、結合の結果と一致した。さらに、ヒト化バリアントによる強力な走化性阻害が観察され、HFB2-4hz12が最も強力であった(0.1nMで約100%)。その後の実験では、HFB2-4Hz9とHFB2-4Hz12との間には同等の効力も見られた。
【0438】
ヒト化抗hCXCR5モノクローナル抗体を、キメラモノクローナル抗体のin vitro特性評価に使用したのと同じ手順に従い、さらに特性評価した(実施例1を参照)。クリティカル及び2次特性評価試験に加えて、開発可能性評価試験もヒト化バリアントの特性評価に含めた。
【0439】
抗体内在化の評価
目的となる抗原(例えば、CXCR5)を発現する細胞による抗体内在化を、Incucyte抗体内在化及びpHAb反応性色素(Promega)アッセイにより評価した。
【0440】
抗原媒介性抗体内在化は、いくつかの抗体ベースの治療薬で重要な役割を果たしている。所望される作用様式に応じて、細胞表面抗原に結合したときに標的細胞内に優先的に内在化される抗体を有することが望ましい場合もある(例えば、抗体薬物結合体(ADC)を介したがん細胞への高毒性薬物の送達、及びがん細胞からの表面受容体(すなわち、EGFR))の除去もしくは分解、または細胞表面に優先的に結合したままの抗体(例えば、免疫細胞による殺傷のために腫瘍細胞を識別する(すなわち、ADCCもしくはADCP))。加えて、抗体に対する機能的応答(例えば、抗体クリアランス)を測定し最適化することも非常に重要である。例えば、抗体の主な排出経路の1つであるピノサイトーシスは、抗体開発時の定性的な薬物動態測定のために抗体の最適化を必要とする。各アプローチは、例えば、腫瘍細胞の同定のために細胞表面での維持を可能にするため、またはADCを送達する際の迅速な内在化のために、一連の抗体の特徴を必要とすることから、最適な抗体操作及び内在化特徴のためには、抗体候補の取込みプロファイル及びクリアランスを理解することが重要である。
【0441】
IncuCyte(登録商標)FabFluor抗体標識試薬は、pH感受性蛍光プローブと結合体化させたFc領域標的化Fabフラグメントである。これらの試薬は、全てのアイソタイプが一致したFc含有試験抗体のための包括的なワンステップで洗浄なしの標識プロトコルを可能にする。pH7.0では、Fab-Ab複合体は、ほとんどまたは全く蛍光を有しない。標識された抗体を細胞に加えると、Fab-Ab複合体が酸性(pH4.5~5.5)のリソソーム及びエンドソームを介して内在化及び処理されるに伴って蛍光シグナルが観察される。内在化の全時間経過は、可視化し、リアルタイム生細胞解析を用いて自動的に定量化することができる。
【0442】
pHAb色素は、pH>7では蛍光が非常に低く、溶液のpHが酸性になるにつれて蛍光が劇的に増加するpHセンサー色素である。pHAb Dyesは、532nmで励起極大(Ex)、560nmで発光極大(Em)を有する。pHAb色素は、抗体の標識用に特別に設計されている。例えば、pHAbアミン反応性色素(a)は、抗体上のリジンアミノ酸で利用可能な一級アミンと反応するスクシンイミジルエステル基を有する。
【0443】
両方のアッセイから得られた結果からは、HFB2-4hz9-hG1DEもHFB2-4hz12-hG1DEも陽性対照(CD71)抗体と比較して内在化しないことが示された。図10A~10B。
【0444】
ヒト化バリアントのADCC活性
ヒト化抗体のうちの2種、HFB2-4hz9-hG1DE及びHFB2-4hz12-hG1DEは、親キメラ抗体HFB2-4-hG1DEと同じ程度で強力なADCC活性を示した。予想されたように、HFB2-4及びhG1スキャフォールドのベンチマーク抗体は、ヒト化バリアントと比較して低いADCC活性を有した。2種のさらなるヒト化バリアントHFB2-4hz14-hG1DE及びHFB2-4hz15-hG1DEにおける結果からも、HFB2-4hz9-hG1DE及びHFB2-4hz12-hG1DEで先に示されたように、ADCCを誘導する効率的なCD16の係合が示された。図11A及び11Bを参照。
【0445】
シェーグレン症候群患者試料のADCC活性を網羅するアッセイ条件を最適化するため、健康ドナーの末梢血単核球(PBMC)から単離した初代B細胞を使用した。具体的には、数例の健康ドナーに対し、フローサイトメトリー解析に基づいて初代B細胞上での標的抗原CXCR5の発現をスクリーニングした。初代B細胞のCXCR5発現が高いドナーを使用して、ADCCレポーターバイオアッセイの条件(エフェクター標的比)を最適化した。ADCCに起因するCD16媒介性シグナル伝達によって活性化されたレポータールシフェラーゼが放出する蛍光シグナルを測定するために、Jurkat細胞(Promega)をレポーターエフェクター細胞として使用した。
【0446】
その結果、親キメラ抗体及びヒト化キメラ抗体の両方ならびにこれらのヒト化バリアントが、初代B細胞に対しADCC活性を示すことが示された。ヒト化バリアントの1つであるHFB2-4Hz12-hG1DEに対するADCCレポーターアッセイの結果を示す図13を参照。ヒト化抗体は、CXCR5発現初代B細胞に対しADCC効果を示した。
【0447】
ヒト化バリアントのin vivo抗腫瘍活性
HFB2-4hz42(マウスIgG2a形式)が抗腫瘍活性を誘導する能力を、in vivo静脈内Raji異種移植モデルで評価した。群当たり8頭のマウスにRaji細胞を接種し、HFB2-4hz42、またはマウスIgG2a形式のアイソタイプ、または陽性対照としてのリツキシマブ(hG1形式)でマウスを処置した。さらに、無処置のナイーブマウス群も含めた。マウスに、10mg/kgの試験抗体を3日ごとに15日間腹腔内注射した。以下の結果の表に示されているように、HFB2-4hz42mIgG2を投与した結果、アイソタイプ対照抗体を投与したマウスと比較して生存期間が顕著に増加した。
【表7】
【0448】
実施例3 ヒト化抗体のがん標的の特定
in vivo有効性モデルの選択の前に、in vitro標的CXCR5発現を確認するため、8種の異なるがん細胞株を選択してスクリーニングした。
【0449】
フローサイトメトリーによる結合評価により、HFB2-4hz12-hG1DEは、リツキシマブ(非ホジキンリンパ腫及び慢性リンパ性白血病の治療に使用される抗CD20モノクローナル抗体)と同様の程度でRaji及びDaudi細胞に結合するが、他の任意の選択されたがん細胞株には感知可能なほどには結合しないことが示された。図14を参照。
【0450】
次いで、B細胞リンパ腫細胞株(Raji及びDaudi細胞)を用いて、このヒト化抗体のADCC活性を異なるエフェクター:標的比(1:1及び3:1)で評価した。前述のように、キメラ抗体及びヒト化抗体のin vitro特性評価は、既に設定した実験条件を用いてRaji細胞を用いたADCCレポーターアッセイで実施しているため、Daudi細胞のみをADCCレポーターアッセイで試験した。データからは、HFB2-4hz12-hG1DEはDaudi細胞に対し、対照の抗CD20抗体が示すADCC活性よりも高いADCC活性を有することが示された。図15を参照。
【0451】
実施例4 シェーグレン患者B細胞に対するADCC活性
シェーグレン症候群(SS)の治療における主題抗体の潜在的な有効性を示すため、本発明のヒト化モノクローナル抗体HFB2-4hz12hIgDEが、治療済みのSS患者から得た凍結材料から単離したB細胞に対し、CD16と効率的に係合してADCC効果を誘導できることを示すために、ADCCレポーターアッセイを使用した。図17を参照。
【0452】
具体的には、B細胞を、過去に治療した2例のSS患者から得た凍結PBMC試料から単離し、上述のADCCレポーターアッセイに使用した。各抗体について、11nM~0.005nMの3倍段階希釈液を実験に使用した。その結果、HFB2-4hz12hIgDEはCD16に効率的に係合してADCCを誘導することが示された。
【0453】
さらなるデータからは、HFB2-4hz12-hG1がSS患者試料におけるメモリーB細胞集団のパーセンテージを低減することが示された。図18を参照。
【0454】
前述のように、HFB2-4hG1DEを、SS患者のB細胞に対しても、ADCCレポーターアッセイ(Promega)を用いて試験した。HFB2-4hG1DEは、hG1形式のリツキシマブよりも、高度なCD16係合を有し、はるかに強力なADCCリードアウトを誘導することが観察された。(図9B~9C)。
【0455】
全体的に見て、これまでに得られた結果からは、ヒト化抗hCXCR5 IgG1抗体が、ヒトCXCR5に対しnMの親和性を有し、シェーグレン症候群(SS)患者の胚中心内のhCXCR5発現B細胞、潜在的には濾胞ヘルパーT細胞/B細胞においてADCCを誘導することが示唆された。
【0456】
実施例5 ヒト化バリエーションのさらなるシリーズの生成及び特性評価
異なる可変重鎖及び可変軽鎖を組み合わせることにより、HFB2-4hG1(HFB2-4hz-hG1)に基づいた36種のさらなるヒト化バリアントを生成した。実施例1と同様の方法または実施例1に記載の方法を用いて、これらの抗体を特性評価した。
【0457】
これらの36種のヒト化バリアントの結合特性を、Raji細胞との結合アッセイにおいて、1nM及び0.1nMの2つの異なる濃度で試験した。36種のヒト化バリアントが全て、Raji細胞に対し顕著な結合プロファイルを示した。図19A及び19Bを参照。
【0458】
8~10週齢の野生型C57BL/6Jマウス(各ヒト化バリアントについてn=3)を用いて、上位9種のヒト化バリアントの薬物動態試験を開始した。各ヒト化バリアントmAbを、10mg/kgの濃度で単回用量において、尾部から静脈内(i.v.)投与した。1時間、24時間、96時間に0時間の前処置用量を含めた4つの異なる時点で、各マウスから50μLの血漿試料を収集した。内部で最適化した標準プロトコルを用いて、各試料中のヒトIgG濃度をELISAにより定量化した。9種のヒト化バリアント全てが、親HFB2-4hG1と同等のPKプロファイルを示した。図20を参照。表2に示した上位6種のヒト化バリアントを、in vitro 及びin vivoでのさらなる特性評価のために選択した。

【表8】
【0459】
上位6種のHFB2-4hz-hG1バリアント全てが、Raji細胞に対する同様の結合プロファイルを示し、レポーター系でCD16と係合するADCC活性を示した。図21を参照。
【0460】
注目すべきことに、上位6種の候補のうち、HFB2-4hz41hG1及びHFB2-4hz45hG1が示すヒト化レベルは比較的低かった。その結果、これらの2種のバリアントをリストから除外し、4種のバリアントをさらなる特性評価のために残した。
【0461】
最良の4種のヒト化バリアントのADCC活性を増強する目的で、これらのバリアントをhG1DE形式で生成した。hG1DE形式の上位4種のヒト化バリアントに対し、標的CXCR5を発現する接着細胞DX002-CHOK1との結合を試験した。ヒト化バリアントは、HFB2-4hG1DE親抗体と同等の効力を示した。図22を参照。
【0462】
DE形式が抗体の薬物動態学的(PK)プロファイルに影響を及ぼすかどうかを調べるため、8~10週齢の野生型C57BL/6Jマウス(各ヒト化バリアントについてn=1)において、hG1及びhG1DEスキャフォールドのヒト化バリアントにおけるスナップショットPK試験に着手した。各ヒト化バリアント抗体を、10mg/kgの濃度で単回用量において、尾部から静脈内投与した。1時間、24時間、96時間に0時間の前処置用量を含めた4つの異なる時点で、各マウスから50μLの血漿試料を収集した。内部で最適化した標準プロトコルを用いて、各試料中のヒトIgG濃度をELISAにより定量化した。ヒト化バリアントは、同じ形式で親抗体と同等のPKプロファイルを示した。
【0463】
要約
全体で36種のヒト化バリアントを生成し、試験した。HFB2-4hz37hG1、HFB2-4hz38hG1、HFB2-4hz39hG1、及びHFB2-4hz42hG1をリード候補抗体の特定のために保持した。4種のヒト化バリアントは、HFB2-4hG1-DEと非常に類似するプロファイルを有し、in vitroでの結合及び生物学的特性は同等である。
【0464】
しかし、PK解析において、HFB2-4hz39hG1はより短い半減期を有する。開発可能性プロファイルに関しては、HFB2-4hz42hG1の挙動の方がわずかに良好であった。cIEFプロファイルに関しては、HFB2-4hz42hG1及びHFB2-4hz37hG1が最も好適なプロファイルを示した。表3を参照。
【0465】
そのため、HFB2-4hz42hG1及びHFB2-4hz37hG1をリード抗体及びバックアップ抗体として選択し、さらにin vivo有効性試験を行う予定である。VH鎖及びVL鎖の配列を表4に示す。
【表9】
【表10】
【0466】
実施例6 脱フコシル化抗CXCR5抗体の生成及び特性評価
FcγRIIIaとの結合を増加させ、抗体エフェクター機能を増強するためのHFB2-4hG1及びHFB2-4hz42-hG1の脱フコシル化形式を生成し、同様のアッセイを用いて、先に記載したものに対し試験した。結果を以下に要約する。
【0467】
脱フコシル化HFB2-4hG1(afu-HFB2-4hG1)及びHFB2-4hz42-hG1(afu-HFB2-4hz42-hG1)は、DX002細胞上のヒトCXCR5にnM以下のアビディティーで結合し、互いに類似した結合プロファイルを示す。図24Aを参照。
【0468】
また、ADCCレポーターアッセイによって定量されたCD16係合からも、afu-HFB2-4hz42-hG1がafu-HFB2-4hG1親抗体と同様のCD16に係合する能力を実証することが示される。図24Bを参照。
【0469】
さらに、afu-HFB2-4hz42-hG1によって誘導されたADCCを介してのNK細胞によるRaji細胞(データは示さず)及び健康なドナーから単離したB細胞(図25)のin vitro殺滅は、ベンチマーク抗体と同等であった。CXCR5を発現するT濾胞ヘルパー細胞(Tfh)のADCC殺滅に関する予備データからは、afu-HFB2-4hz42-hG1が、ヒトから単離されたCD4+CXCR5+初代T細胞のNK媒介性溶解を誘導し得ることも示唆される(データは示さず)。
【0470】
脱フコシル化抗体を用いて、SS患者由来のB細胞のNK殺滅について調べた。図26に示されているように、脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1は、ベンチマーク抗体と同等の程度でB細胞溶解を誘導した。
【0471】
さらに、脱フコシル化抗体に対し、補体依存性細胞傷害性(CDC)を試験した。CDC活性を有することが知られているリツキシマブ(hIgG1形式)を陽性対照として使用した。血清を使用して、実験における補体系の構成要素を提供した。リツキシマブは、100nMで約70~80%の細胞溶解に達するが、脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1及び脱フコシル化HFB2-4hG1については、CDC活性が観察されなかった。図27A~27Bを参照。
【0472】
脱フコシル化抗体の薬物動態を野生型マウス及びカニクイザルにおいて調べた。野生型C57BL/6Jマウスにおいて、脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1抗体、HFB2-4hG1抗体、及びベンチマーク抗体を、10mg/kgの用量で単回用量において、尾部から単回静脈注射し、注射から0.5、6、24、96、及び168時間後に血漿を収集して抗体濃度を定量した。afu-HFB2-4hz42-hG1の半減期は114時間であり、PKプロファイルは親抗体及びベンチマーク抗体と同様であった。図28Aを参照。
【0473】
カニクイザル(雄1頭、雌2頭)において、1mg/kgで抗体の単回用量を静脈内注入し、注射後2週間にわたり、血中の抗体濃度を定量した。試験したサルにおいて、Afu-HFB2-4hz42-hG1は3~6.5日の半減期を有した。図28Bを参照。
【0474】
脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1を、25℃及び40℃における最大30日間の熱処理、3.5の低pHにおける最大6時間のストレス、ならびに最大5回の凍結/解凍サイクルという複数の安定性試験に供した。その結果、脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1は、これらの試験条件下で概して安定であることが示された(データは示さず)。
【0475】
全体的に見て、脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1は、親抗体と同様のpM濃度で、健康ドナー及びSS患者の両方からの初代B細胞に対し大きな結合活性及びin vitro ADCC活性を示し、補体依存性細胞傷害を誘導せず、好ましい薬物動態プロファイル及び高い安定性を示す。そのため、脱フコシル化HFB2-4hz42-hG1は、臨床治療に使用できる可能性が高い。
【0476】
参考文献
本明細書で検討された全ての参考文献は、参照により本明細書に援用される。
【0477】
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図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28A
図28B
【配列表】
2024509946000001.app
【国際調査報告】