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特表2024-509959圧力逃し装置及び気道を開放するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】圧力逃し装置及び気道を開放するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555545
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022019739
(87)【国際公開番号】W WO2022192530
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/159,355
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523345105
【氏名又は名称】ソメトリクス,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523344784
【氏名又は名称】エアフリー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ウィンター,デイビッド
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA03
4C267AA39
4C267BB23
4C267CC01
4C267JJ05
4C267JJ08
4C267JJ09
4C267JJ14
(57)【要約】
装置及び方法は、1つ以上の圧力逃し弁要素の使用によって内部チャンバ容積を封入するハウジングを有するチャンバ装置内の真空レベルを調整するためのものであり、1つ以上の圧力逃し弁要素は、所定の真空レベルで開き、ハウジングを通る開口部を作成し、チャンバ容積内のより低い所定の第二真空レベルで閉じる。
【選択図】図1A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空レベルを調整する方法であって、
ハウジングを有するチャンバ装置を提供することであって、前記ハウジングは真空の適用によって前記チャンバ装置内から排気される気体を含む内部チャンバ容積を封入し、前記ハウジングは前記チャンバ装置の外部にある周囲気相雰囲気から前記内部チャンバ容積を分離し、前記ハウジングは弁を含み、前記弁は前記内部チャンバ容積内の所定の第一真空レベルで開き、前記ハウジングを介して開口部を作成し、前記周囲気相雰囲気からの気体は前記開口部を通り前記内部チャンバ容積に入ることができ、前記弁は前記内部容積内の所定の第二真空レベルで閉じ、前記所定の第二真空レベルは前記所定の第一真空レベルより低く、
前記弁は、
周縁エッジ、前記内部チャンバ容積に対向する内側部、前記周囲気相雰囲気に対向する外側部を有する半楕円形弁ヘッド、
その前記周縁エッジに弾性スリーブ、及び
前記弁ヘッド内の弁アパーチャであって、可逆的に開くと、そこを通り流体が流れることが可能になる、前記弁アパーチャ、
を含み、
前記弁が閉位置にあるとき、前記弁ヘッドは前記ハウジングに対してほぼ凸状の向きを有し、前記弾性スリーブは、折り曲げられ、ローリング方式では、前記弁ヘッドにトルクを印加するため、前記弁ヘッドがほぼ凹状の向きに反転して、前記凹状の向きが前記弁アパーチャを前記所定の第一真空レベル以上で開くことを支援し、前記所定の第二真空レベル以下でそれをほぼ凸状の向きに戻すように延在するように構成され、配置される、
前記提供することと、
前記チャンバ装置を真空源に操作可能に連結して前記内部容積から前記気体を排気することであって、前記弁の開閉は前記内部容積内の前記真空レベルを前記所定の第一真空レベルから前記所定の第二真空レベルの間の範囲に調整する、前記排気することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記チャンバ装置は圧縮要素を含み、前記圧縮要素は、前記内部チャンバ容積内の前記圧力及び前記周囲気相雰囲気が等しく、前記弁が閉じているとき、前記弁ヘッドの前記外側部に圧縮力を加えることによって圧縮状態を生じ、前記圧縮力は、前記弁ヘッドの前記外側部を内向きに偏向させることで、前記弁アパーチャが前記弁ヘッドの前記内側部で開くが、前記圧縮状態では前記弁ヘッドの前記外側部で閉じるように構成され、配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハウジングを有するチャンバ要素を含む、陰圧治療装置であって、
前記ハウジングは、個体の一部分に嵌めて覆うことにより、前記個体の前記覆われた部分の上で内部チャンバ容積を封入するように構成され、前記ハウジングは、前記内部チャンバ容積を前記チャンバ装置の外部にある周囲気相雰囲気から分離し、
前記ハウジングは、
前記チャンバ要素を前記個体に嵌めるときに形成された前記内部チャンバ容積内から気体を排気するために、真空源に嵌合されるように構成された真空アパーチャと、
前記内部チャンバ容積内の所定の第一真空レベルで開いて、開口部を前記ハウジングに通して作成し、気体は前記周囲気相雰囲気から前記開口部を通して、前記内部チャンバ容積に入ることができ、前記内部チャンバ容積内の所定の第二真空レベルで閉じる弁であって、前記所定の第二真空レベルは前記所定の第一真空レベルよりも低い、前記弁と、
を含み、
前記弁は、
周縁エッジ、前記内部チャンバ容積に対向する内側部、前記周囲気相雰囲気に対向する外側部を有する半楕円形弁ヘッド、
その前記周縁エッジに弾性スリーブ、及び
前記弁ヘッド内の弁アパーチャであって、可逆的に開くと、そこを通り流体が流れることが可能になる、前記弁アパーチャ、
を含み、
前記弁が閉位置にあるとき、前記弁ヘッドは前記ハウジングに対してほぼ凸状の向きを有し、前記弾性スリーブは、折り曲げられ、ローリング方式では、前記弁ヘッドにトルクを印加するため、前記弁ヘッドがほぼ凹状の向きに反転して、前記凹状の向きが前記弁アパーチャを前記所定の第一真空レベル以上で開くことを支援し、前記所定の第二真空レベル以下でそれをほぼ凸状の向きに戻すように延在するように構成され、配置される、
前記陰圧治療装置。
【請求項4】
前記チャンバ装置は圧縮要素を含み、前記圧縮要素は、前記内部チャンバ容積内の前記圧力及び前記周囲気相雰囲気が等しく、前記弁が閉じているとき、前記弁ヘッドの前記外側部に圧縮力を加えることによって圧縮状態を生じ、前記圧縮力は、前記弁ヘッドの前記外側部を内向きに偏向させることで、前記弁アパーチャが前記弁ヘッドの前記内側部で開くが、前記圧縮状態では前記弁ヘッドの前記外側部で閉じるように構成され、配置される、請求項3に記載の陰圧治療装置。
【請求項5】
前記真空アパーチャに操作可能に連結され、エネルギーを与えられたときに前記気体を前記内部チャンバ容積から排気するように構成された真空源をさらに含む、請求項3または4に記載の陰圧治療装置。
【請求項6】
前記真空源は、前記弁が開いているとき、前記所定の第一真空レベルより高い前記内部チャンバ容積内の真空レベルを生成するのに十分な気体流量を、前記真空源に供給する、請求項5に記載の陰圧治療装置。
【請求項7】
前記真空アパーチャを通る気体流量は、前記内部チャンバ容積と前記真空源との間に位置決めされた流路の断面積によって制限され、前記流路は臨界オリフィスタイプの気体流量を供給し、前記気体流量は、前記臨界オリフィスタイプの気体流量によって、前記弁が開いているとき、前記所定の第一真空レベルと前記所定の第二真空レベルとの間にある、前記内部チャンバ容積内の真空レベルを維持する流量まで制限される、請求項6に記載の陰圧治療装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、第二弁をさらに含み、前記第二弁は、前記内部チャンバ容積内の所定の第三真空レベルで開いて、第二開口部を前記ハウジングに通して作成し、気体は、前記周囲気相雰囲気から前記開口部を通して、前記内部チャンバ容積に入ることができ、前記所定の第三真空レベルは、前記所定の第一真空レベルより高い、請求項3~7のうちの1項に記載の陰圧治療装置。
【請求項9】
前記真空源は、前記弁が開いているとき、前記所定の第一真空レベルより高い前記内部チャンバ容積内の真空レベルを生成するのに十分な気体流量を、前記真空源に供給する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記真空源は前記ハウジング内の真空アパーチャに連結され、前記真空アパーチャを通る気体流量は、前記内部チャンバ容積と前記真空源との間に位置決めされた流路の断面積によって制限され、前記流路は臨界オリフィスタイプの気体流量を供給し、前記気体流量は、前記臨界オリフィスタイプの気体流量によって、前記弁が開いているとき、前記所定の第一真空レベルと前記所定の第二真空レベルとの間にある、前記内部チャンバ容積内の真空レベルを維持する流量まで制限される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ハウジングは、第二弁をさらに含み、前記第二弁は、前記内部チャンバ容積内の所定の第三真空レベルで開いて、第二開口部を前記ハウジングに通して作成し、気体は、前記周囲気相雰囲気から前記開口部を通して、前記内部チャンバ容積に入ることができ、前記所定の第三真空レベルは、前記所定の第一真空レベルより高い、請求項1、2、9または10のうちの1項に記載の方法。
【請求項12】
前記弁は、そこを通る流量を可能にすることを選択的かつ可逆的に遮断するように構成されるため、前記弁の遮断により、前記内部チャンバ容積内の前記真空レベルが前記所定の第三真空レベルに達し、前記遮断が逆転するまで、前記第二弁が開いている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記気体流量は、前記臨界オリフィスタイプの気体流量によって毎分約2リットルの流量まで制限される、請求項7に記載の陰圧治療装置。
【請求項14】
前記所定の第一真空レベル及び前記所定の第二真空レベルは、約31.3hPa~約47.1hPaの間にある、請求項3~8または13のうちの1項に記載の陰圧治療装置。
【請求項15】
前記所定の第三真空レベルは、約47.1hPa~137hPaの間にある、請求項8に記載の陰圧治療装置。
【請求項16】
前記装置は医療機器である、請求項3~8または13~15のうちの1項に記載の陰圧治療装置。
【請求項17】
前記医療機器は、人体の外部を覆うように構成された陰圧チャンバである、請求項3~8または13~16のうちの1項に記載の陰圧治療装置。
【請求項18】
前記陰圧チャンバは陰圧創傷閉鎖(NPWT)装置である、請求項17に記載の陰圧治療装置。
【請求項19】
前記陰圧チャンバは、ヒトの外部に真空を加えることによる気道開存性の維持に適応した連続した外部陰圧(cNEP)治療装置である、請求項17に記載の陰圧治療装置。
【請求項20】
前記気体流量は、前記臨界オリフィスタイプの気体流量によって毎分約2リットルの流量まで制限される、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記所定の第一真空レベル及び前記所定の第二真空レベルは、約31.3hPa~約47.1hPaの間にある、請求項8、請求項1、2、9~12、または20のうちの1項に記載の方法。
【請求項22】
前記所定の第三真空レベルは、約47.1hPa~137hPaの間にある、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記装置は医療機器である、請求項1、2、9~12、または20~22のうちの1項に記載の方法。
【請求項24】
前記医療機器は、人体の外部を覆うように構成された陰圧チャンバである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記陰圧チャンバはNPWT装置である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記陰圧チャンバは、ヒトの外部に真空を加えることによる気道開存性の維持に適応したcNEP治療装置である、請求項24に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月10日に出願された米国仮特許出願第63/159,355号の利益を主張するものであり、その優先権が主張されるすべての表、図、及び請求項を含むその全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景に関する以下の説明は、単に読者が本発明を理解するのを助けるために提供するものであり、本発明の従来技術を説明する、または構成することを認めるものではない。
【0003】
緩和または治療目的で患者に外部から陰圧を加えることは、医療分野で十分に確立されている。
【0004】
米国特許第5,343,878号、第7,182,082号、及び第7,762,263号には、患者の首の外側表面に陰圧を外部から加えることを目的とする様々な装置が記載されている。治療用器具は、一般的には、上気道の一部の上に存在する咽頭(本明細書で使用される「咽頭」という用語はほぼ頤から胸骨の頂部まで、そして外頚静脈の後側の点まで側方に延在する首の前側部分を指す)の外側領域を封入するように構成される表面を有するように設けられる。特定の実施形態では、これらの器具は、チャンバ(例えば、空気分子で充填された中空空間)を設けることができ、チャンバの内側表面と咽頭との間にあることができる。治療用器具は、このチャンバ内に部分真空を作るように構成されるエアポンプに操作可能に連結される。チャンバ内に治療レベルの陰圧を加えると、首領域の軟組織を外向きに引くことによって上気道の開放性を維持する運動を誘発し、例えば、いびき、睡眠時無呼吸、及び完全または部分的な気道虚脱などの状態を緩和する可能性がある。
【0005】
局所陰圧(「TNP」)療法は、持続陰圧吸引療法、陰圧創傷閉鎖法、または減圧創傷療法とも呼ばれ、創傷の治癒速度を向上させる有益な機構として広く認識されている。このような治療法は、切開創、開放創及び腹部刺創などの広範囲の創傷に適用可能である。TNP療法は、組織の浮腫の軽減、血流の促進、肉芽組織形成の刺激、過剰な滲出液の除去によって創傷の閉鎖及び治癒を支援し、細菌量を減少させ得ることで、創傷の感染を減少させ得る。さらに、TNP療法により、創傷の外部からの妨害が少なくなることが可能になり、より迅速な治癒が促進される。創傷の陰圧治療のための装置は、最先端技術で知られている。したがって、例えば、WO1993/009727A1には、創傷を呈する皮膚領域及び創傷の周囲に陰圧を加えることによって治癒を促進するための装置が記載されている。WO1993/009727A1による装置は、陰圧を発生する真空装置、真空装置と機能的に連結される創傷のハーメチックカバー、及びハーメチックカバー内に創傷を位置決めするための包帯材を含む。
【0006】
カッピング療法は、伝統的な中国医学の従来の理学療法である。伝統的な中国医学の理論によれば、人々が経線に関連している病気になるということに関連している。「痛くないのが一般原則だが、痛いのは許せない」と言われている。カッピング療法とは、カッピングにより人体の治療部位の経穴に形成された陰圧を導入し、経線に誘導し、損傷の治療と人体の正常な機能の調節という医療効果を達成することである。カッピングは優れた治療効果があるため、古くから人々に尊重されてきた。WO2007128163は、真空ポンプによって真空が作られるカッピング治療装置を開示している。
【0007】
これらの「陰圧」治療装置及び方法では、陰圧を加える場合、値が最適な治療に必要な値を上回るまたは下回る値に達すると、身体の運動によって、チャンバの圧縮及びまたは膨張、漏れによるチャンバ容積の変動が引き起こされることで、装置の外部の圧力が変化し、及びまたは電気/機械/ソフトウェアがうまく機能しないため、真空源が所定のヒステリシス制御範囲外で動作し続けることが誘起される可能性がある。この用語は、本発明の詳細な説明において後で定義される。これは、装置が長時間にわたる使用、装置内側の圧力における変化を発生する可能性のある様々な条件下での使用を意図したものである場合に特に当てはまる。したがって、陰圧の治療レベルを厳密に維持するために、アクティブシステムまたはパッシブシステムのどちらでも陰圧の増加または減少を行うことができるように、装置内側の圧力におけるあらゆる変化を迅速に感知する必要がある。さらに、圧力の変化を感知して訂正するとき、イベント(複数可)を検出しない、またはユーザを混乱させないように必要な調整がスムーズに得られることが有益である。これは、圧力調整システムの1つまたは複数の構成要素を、ヒステリシス制御範囲を達成して維持するように設計することによって実現されることができる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、治療装置内の陰圧の治療制御を支援するための圧力逃しシステムを提供することである。この治療装置は、患者の外部組織、例えば顔、首、創傷の周囲領域などに取り付けて密閉することを意図したものである装置の間に合致するシールを形成するように適合されたシールチャンバ及びシールを含む。この治療装置は、アクティブ制御システム、つまり圧力センサ及び真空制御システム、及び/またはパッシブタイプシステム、つまり機械的に作動する圧力逃し弁(複数可)を使用して最大真空値を超えることなく、個体の外部組織上の標的治療に陰圧を与えるように構成される、シールチャンバを形成するのに特に適している。また、この装置を逆に使用して、患者の肺に呼吸ガスを送達する人工呼吸器または蘇生器マスクなどの装置内の過剰な陽圧を防止することが可能であることも理解されることができる。この装置は、従来の弁システムがかさばり、信頼性が低く、コストが法外に高くなる傾向にある低圧環境(圧力9hPa~140hPa)で受動的に機能するのに専用に適合される。
【0009】
本発明は、図1に示されるように、少なくとも3つの異なる陰圧動作シナリオで使用されることができる。第一シナリオ(図1a)は、陰圧真空源が治療陰圧またはその近くで動作する真空ポンプである場合である。この場合、真空源が制御されて制限された流量(したがって圧力)範囲を有するため、本発明は気体流量を制御する(弁の動作容量を超えない)ために臨界オリフィスを利用する必要がなく、圧力逃し弁は主に、真空ポンプまたはその他のイベントによって弁を開くのに十分な陰圧レベルが作成されるような場合には、ヒステリシス圧力制御を備えたポップオフ弁として機能することができる。第二シナリオ(図1b)では、陰圧真空源は、真空チャンバ内に所望のレベルよりも高い真空を作ることができる、比較的高流量の真空源(病院の真空またはその他の外部真空源など)である。このような真空源は、調整されていなくてもよく、または標的となる治療陰圧、その近傍、もしくはそれを下回る陰圧レベルに設定された圧力調整器に操作可能に連結されてもよい。この第二シナリオでは、本発明の装置は、装置内の陰圧レベルを維持するために、1つまたは複数の圧力逃し弁と組み合わせて臨界オリフィスを使用することができ、臨界オリフィスは、装置を通る流量を最大レベルに調整し、圧力逃し弁は、圧力制御システムが再び信頼性の高い過真空圧力逃し弁として機能するように、この所望の動作流量範囲内になるように選択される。第三操作シナリオ(図1c)では、陰圧真空源は、真空チャンバ内の標的となる真空レベルを超える真空レベルで動作する。このシナリオでは、圧力制御システムは、流量制御臨界オリフィスを利用して、システムを通る流量を制御してもよく、圧力調整器として機能する1つまたは複数の圧力逃し弁を利用して、操作する真空を標的圧力レベル付近に連続して維持してもよい。後述されるように、臨界オリフィスの有無にかかわらず、2つの弁システムを使用して、弁の1つが閉塞するとき、真空中で制御された「スパイク」を与えることができる。これは、例えば、虚脱した気道を再開放するために必要となる場合がある。これらの陰圧シナリオと同様の方法で、圧力制御システムは、過剰な陽圧による肺損傷を防ぐために、例えば外部人工換気シナリオなどの陽圧用途に使用されることができる。
【0010】
関連する態様では、本発明は、陰圧療法を必要とする個体に適用する方法に関し、陰圧療法は、本明細書に記載の治療装置を個体に嵌めることと、チャンバ内に治療レベルの陰圧を加えることにより、個体の気道の開存性を高めることとを含む。これらのような方法は、睡眠時無呼吸の治療、いびきの治療、完全または部分的な上気道の虚脱の治療、完全または部分的な上気道の閉塞の治療、例えば外傷または手術によって生じた創傷の陰圧治療等のためのものであることができる。
【0011】
したがって、第一態様では、本発明は、陰圧治療装置を提供し、
この陰圧治療装置は、
ハウジングを有するチャンバ要素を含み、ハウジングは、個体の一部分に嵌めて覆うことにより、個体の覆われた部分の上で内部チャンバ容積を封入するように構成され、ハウジングは、内部チャンバ容積をチャンバ装置の外部にある周囲気相雰囲気から分離し、
ハウジングは、
チャンバ要素を個体に嵌めるときに形成された内部チャンバ容積内から気体を排気するために、真空源に嵌合されるように構成された真空アパーチャと、
内部チャンバ容積内の所定の第一真空レベルで開き、ハウジングを通る開口部を作成し、気体が周囲気相雰囲気から開口部を通り、内部チャンバ容積に入ることができ、内部チャンバ容積内の所定の第二真空レベルで閉じる弁であって、所定の第二真空レベルは、所定の第一真空レベルよりも低い、弁と、
を含み、
弁は、
周縁エッジ、内部チャンバ容積に対向する内側部、周囲気相雰囲気に対向する外側部を有する半楕円形弁ヘッド、
その周縁エッジに弾性スリーブ、及び
弁ヘッド内の弁アパーチャであって、可逆的に開くと、そこを通り流体が流れることが可能になる、弁アパーチャ、
を含み、
弁が閉位置にあるとき、弁ヘッドはハウジングに対してほぼ凸状の向きを有し、弾性スリーブは、折り曲げられ、ローリング方式では、弁ヘッドにトルクを印加するため、弁ヘッドがほぼ凹状の向きに反転して、凹状の向きが弁アパーチャを所定の第一真空レベル以上で開くことを支援し、所定の第二真空レベル以下でそれをほぼ凸状の向きに戻すように延在するように構成され、配置され、
チャンバ装置は圧縮要素を任意選択で含み、圧縮要素は、内部チャンバ容積内の圧力及び周囲気相雰囲気が等しく、弁が閉じているとき、弁ヘッドの外側部に圧縮力を加えることによって圧縮状態を生じ、圧縮力は、弁ヘッドの外側部を内向きに偏向させることで、弁アパーチャが弁ヘッドの内側部で開くが、圧縮状態では弁ヘッドの外側部で閉じるように構成され、配置される。
【0012】
特定の実施形態では、装置は、真空アパーチャに操作可能に連結され、エネルギーを与えられたときに気体を内部チャンバ容積から排気するように構成された真空源をさらに含んでもよい。このような真空源は、ベッドサイド用真空ポンプ、ハウジングの不可欠な構成要素として設けられた真空ポンプ、「家庭用」バキューム(例えば、病院または他の医療施設のインフラストラクチャの一部として真空が利用できる施設内のもの)などであり得る。好ましくは、真空源は、弁が開いているとき、所定の第一真空レベルよりも高い真空レベルを内部チャンバ容積内に生成するのに十分な真空源で気体流量を与える。「真空レベル」とは、チャンバ装置の外部の周囲気相雰囲気よりも低い状態を意味し、通常、パスカル、mmHg、またはmmHOなどの圧力単位で測定される。真空レベルにおける「増加」とは、周囲気相雰囲気と内部チャンバ容積との間の圧力差の増加を指す。したがって、「圧力」という用語はこの圧力差を指し、圧力の増加はこの差の増加を指す。
【0013】
特定の実施形態では、装置は、内部チャンバ容積と真空源との間に、臨界オリフィスタイプの気体流量を生成する絞りを含む。このような装置では、真空アパーチャを通る気体流量は、内部チャンバ容積と真空源との間に位置決めされた臨界オリフィス(チョーク流れ状態を作成する)によって制限される。好ましくは、臨界オリフィスの寸法は、弁が開いているとき、内部チャンバ容積内に、所定の第一真空レベルと所定の第二真空レベルとの間の真空レベルを与えるように選択される。以降本明細書に説明されるように、チョーク流れ状態は、真空源の流量が弁容量を上回るほど大きくなるのを防ぎ、内部チャンバ容積内の「過真空」状態を防ぐ。つまり、弁を通して入ることができる空気よりも大きい流量で空気が真空源によって除去される場合、真空レベルは真空を受ける組織に損傷を与えるレベルまで上昇する可能性がある。このように気体流量を絞ることで、過真空状態が防止される。様々な実施形態では、気体流量は、「臨界オリフィス」または「チョーク流れ」タイプの気体流量によって、毎分約0.2、0.5、1、2、3、4、5、または10リットルの流量に制限される。
【0014】
特定の実施形態では、ハウジングは、第二弁をさらに含み、第二弁は、内部チャンバ容積内の所定の第三真空レベルで開いて、ハウジングに通して第二開口部を作成し、気体は、周囲気相雰囲気から開口部を通して、内部チャンバ容積に入ることができ、所定の第三真空レベルは、所定の第一真空レベルより高い。以降本明細書で説明されるように、装置は、第一弁の閉塞に備えて、内部チャンバ容積内に一時的に真空レベルを作成することができ、真空レベルはこの第二弁によって制御される。閉塞が解かれると、第二弁は閉じ、真空レベルは再び第一弁によって制御される。
【0015】
様々な実施形態では、所定の第一真空レベル及び所定の第二真空レベルは、約5hPa~約75hPaの間、より好ましくは約25hPa~約55hPaの間、及びさらにより好ましくは約31.3hPa~約47.1hPaの間である。上述のように、所定の第三真空レベルは、所定の第一真空レベルよりも高い。様々な実施形態では、所定の第三真空レベルは、約47.1hPa~137hPaの間である。
【0016】
本明細書で使用される「約」という用語は、所与の値の+/-10%を指す。
【0017】
特定の実施形態では、装置は、医療機器、及び最も好ましくは人体の外側部分を覆うように構成された陰圧チャンバである。これらのような医療機器の例には、陰圧創傷閉鎖(NPWT)装置、及びヒトの外部に真空を与えることによって気道開存性を維持するための体外式持続陰圧(cNEP)治療装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
関連する態様では、本発明は、本明細書に記載の装置を使用して真空を調整する方法を提供する。特定の実施形態では、方法はNPWTまたはcNEPのためのものである。
例として、これらの方法は、
ハウジングを有するチャンバ装置を提供することであって、ハウジングは真空の適用によってチャンバ装置内から排気される気体を含む内部チャンバ容積を封入し、ハウジングはチャンバ装置の外部にある周囲気相雰囲気から内部チャンバ容積を分離し、ハウジングは弁を含み、弁は内部チャンバ容積内の所定の第一真空レベルで開き、ハウジングを介して開口部を作成し、周囲気相雰囲気からの気体は開口部を通り内部チャンバ容積に入ることができ、弁は内部容積内の所定の第二真空レベルで閉じ、所定の第二真空レベルは所定の第一真空レベルより低く、
弁は、
周縁エッジ、内部チャンバ容積に対向する内側部、周囲気相雰囲気に対向する外側部を有する半楕円形弁ヘッド、
その周縁エッジに弾性スリーブ、及び
弁ヘッド内の弁アパーチャであって、可逆的に開くと、そこを通り流体が流れることが可能になる、弁アパーチャ、
を含み、
弁が閉位置にあるとき、弁ヘッドはハウジングに対してほぼ凸状の向きを有し、弾性スリーブは、折り曲げられ、ローリング方式では、弁ヘッドにトルクを印加するため、弁ヘッドがほぼ凹状の向きに反転して、凹状の向きが弁アパーチャを所定の第一真空レベル以上で開くことを支援し、所定の第二真空レベル以下でそれをほぼ凸状の向きに戻すように延在するように構成され、配置され、
チャンバ装置は圧縮要素を任意選択で含み、圧縮要素は、内部チャンバ容積内の圧力及び周囲気相雰囲気が等しく、弁が閉じているとき、弁ヘッドの外側部に圧縮力を加えることによって圧縮状態を生じ、圧縮力は外側部に偏向するように構成され、配置され、圧縮力は、弁ヘッドの外側部を内向きに偏向させることで、弁アパーチャが弁ヘッドの内側部で開くが、圧縮状態では弁ヘッドの外側部で閉じるように構成され、配置される、
提供することと、
チャンバ装置を真空源に操作可能に連結して内部容積から気体を排気することであって、弁の開閉は内部容積内の真空レベルを所定の第一真空レベルから所定の第二真空レベルの間の範囲に調整する、排気することと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】例示的な治療装置200を示す本発明の一実施形態の概略図である。エアポンプ119は、メインチャンバ104と、物理構造体107によって分離された保護容積105とを含む装置の真空チャンバ100の部分から経路117に沿って空気を除去する。この空気210はポンプを通って外部雰囲気中に排気される。圧力逃し弁103は、真空チャンバ100内の所定の第一真空レベルで開き、空気を真空チャンバ100内に導入することによって、過圧状態の発生を防止し、より低い所定の第二真空レベルで閉じることで、真空チャンバ100内の所望の真空レベルが所望の範囲内に維持される。
図1b】例示的な治療装置300を示す本発明の第二実施形態の概略図である。エアポンプ119は、メインチャンバ104と、物理構造体107によって分離された保護容積105とを含む装置の真空チャンバ100の部分から経路117に沿って空気を除去する。この空気210はポンプを通って外部雰囲気中に排気される。圧力逃し弁103は、真空チャンバ100内の所定の第一真空レベルで開き、空気を真空チャンバ100内に導入することによって、過圧状態の発生を防止し、より低い所定の第二真空レベルで閉じることで、真空チャンバ100内の所望の真空レベルが所望の範囲内に維持される。臨界オリフィス120は、エアポンプ119と列形に配置され、エアポンプ119が作成した気流を除去することによって、圧力逃し弁103を通る内向きの気流を上回らないように、真空チャンバ100から出る気流の流量を制限する。
図1c】例示的な治療装置400を示す本発明の第三実施形態の概略図である。エアポンプ119は、メインチャンバ104と、物理構造体107によって分離された保護容積105とを含む装置の真空チャンバ100の部分から経路117に沿って空気を除去する。この空気210はポンプを通って外部雰囲気中に排気される。圧力逃し弁103は、真空チャンバ100内の所定の第一真空レベルで開き、空気を真空チャンバ100内に導入することによって、過圧状態の発生を防止し、より低い所定の第二真空レベルで閉じることで、真空チャンバ100内の所望の真空レベルが所望の範囲内に維持される。臨界オリフィス120は、エアポンプ119と列形に配置され、エアポンプ119が作成した気流を除去することによって、圧力逃し弁103を通る内向きの気流を上回らないように、真空チャンバ100から出る気流の流量を制限する。所定の第一真空レベルとは異なる真空チャンバ100内の所定の第三真空レベルで開き、より低い所定の第四真空レベルで閉じる第二圧力逃し弁113が設けられ、動作することを可能にする圧力逃し弁を選択することによって、真空チャンバ100内の真空レベルを一時的に変更する機能を提供する。
図2】真空源の圧力の関数として、異なる直径を有する臨界オリフィスを通る気流のグラフ表現である。
図3】本発明の例示的な真空制御要素101を示す例示的な図である。一連の不連続な空気通路として示される物理構造体107は、皮膚表面または他の材料が真空源コネクタ110ならびに圧力逃し弁103及び113の下側部を閉塞するのを防ぐ、本明細書では「保護容積」と呼ばれる空間105を作成する。この図では、圧力逃し弁103及び113のリーフレットは、それぞれアパーチャ構造体250及び圧縮要素145の壁部によって遮られているため、示されていない。真空制御要素の真空側から真空源コネクタを通る外向きの空気の流れの方向200は、矢印で示されており、圧力逃し弁のうちの1つ以上が開いているときの陰圧治療での装置203の周囲側から装置101の真空側への空気の流れの内向きの方向であるものと同様である。破線は、装置の周囲側と装置の真空側との間の境界線を表す。第一圧力逃し弁要素103及び第二圧力逃し弁113のそれぞれは、それぞれ圧縮要素135及び145によってわずかに圧縮される。
図4図3に示されるような本発明の例示的な真空制御要素101の例示的な断面図である。圧力逃し弁103及び113はそれぞれ、ドーム形状の半楕円形の弁要素130及び140を備え、それらのドームはそれぞれ、圧縮構造体135及び145によってわずかに圧縮される。
図5図4の要素130及び140に相当するドーム形状の半楕円形弁要素125の例示的な断面図である。それぞれはその圧縮状態で示されており、破線155は弁ヘッドの非圧縮状態を示している。半楕円形の弁要素125は、弁ヘッドの周縁エッジ165に弾性スリーブ160を備える。圧縮により、弁ヘッド163の開口部または弁アパーチャを形成するリーフレットは、上面では密閉されたままであるが、底面ではわずかに開くようになる。これは強調のため拡大図にも示されている。半楕円形の圧力逃し弁が開いている場合の弁の周囲側から陰圧装置チャンバへの空気の流れの方向210が矢印で示されている。
図6】圧縮(または「予荷重」)状態にある半楕円形の弁ヘッド125の写真であり、弁アパーチャ170の内面を示しており、弁リーフレットは、弁ヘッドの内側に向かい部分的に開いているが、弁が気流を密閉するように弁ヘッドの外側で閉じたままになる。
図7】本発明の例示的な第二真空制御要素115の例示的な図であり、物理構造体107による閉塞から保護された最小保護容積105、一体型真空ポンプ121、真空ポンプハウジング200を通る空気の流動方向、圧力逃し弁103を通り陰圧治療装置チャンバに入る空気の流動方向210、及び逃し弁103の圧縮要素135を示している。
図8図7に示された圧力逃し弁装置115の例示的な断面図であり、第一圧力逃し弁要素103、最小保護容積105、物理構造体107、一体型真空ポンプ121、陰圧治療装置200から出る空気の流れの方向210、圧力逃し弁103が開いているときの空気流動方向210、第一半楕円形弁ヘッド130、及び第一圧縮要素135を示している。
図9】20秒の圧力逃し流量サイクルのグラフ表現であり、圧力逃し弁を通る流量(リットル/分単位)を、時間の関数(上のトレース300)及び対応する真空レベル(cmHO単位)(下のトレース320)として示している。325では、真空度が上昇し始めるため、圧力逃し弁を通る流量はほぼ0である。「クラッキング圧力」330に達した後、圧力逃し弁が開く。一定期間、圧力逃し弁を通る流量はほぼ一定であり(315)、装置内の陰圧レベルにおける変化はほぼ平坦なままである(325)。圧力逃し弁のリーフレットが閉じ始めるとき、圧力逃し弁を通る流量の対応する減少が335で始まり、350で弁が閉じるまで流量が減衰する(340)。
図10】同じ弁要素の3つの流量サイクル中、図6に示される圧縮を欠くドーム形状の半楕円形弁要素の時間の関数としての真空レベル(cmHO単位)のグラフ表現である。下のトレース360は弁の第一サイクルであり、真空レベルが325で増加し始めると、「クラッキング」圧力375(すなわち、弁の開口)が約57cmHOで達成されるまで、真空における一定の増加が起こることを示し(320)、約7.5分で弁を通る空気の安定した流量が達成されるまで、弁はいくぶん非線形の圧力逃しプロファイルを示す。その後、弁が短時間で完全に閉位置に戻ることができると、第二流量サイクルによって圧力トレース365及び370になる。これらの後続の流量サイクルは、より低く、再現性のあるクラッキング真空レベル380と、より早期の安定した空気流量を示し、その結果、圧力逃し弁要素のリーフレットが閉じ始めるまで(350)、安定した損失の真空レベル345になる。
図11】同じ弁要素の複数の流量サイクル中に、図7に示された圧縮要素135によって動作するドーム形状の半楕円形の弁要素の真空レベル(cmHO単位)を時間の関数として表すグラフである。真空レベルが325で増加し始めると、約50cmHOで「クラッキング」圧力390(すなわち、弁の開口)が達成されるまで、真空度の一定の増加が起こり(320)、弁は使用期間全体にわたって再現性のある圧力逃しプロファイルを示す。弁の予圧縮は、図10に見られる初期クラッキング圧力における変動を実質的に除去する。
図12】2つの予圧縮されたドーム形状の半楕円形の弁要素を備える圧力逃し弁装置を通る空気流量のグラフ表現である。流量サイクルのグラフには、いくつかの重複するトレースが含まれており、上のトレース300は圧力逃し弁装置を通る流量を、時間の関数としてリットル/分単位で示し、下のトレース305は結果として生じる真空レベルにおける変化を時間の関数としてcmHO単位で示す。第一弁のクラッキング圧力330は約4秒で発生する。第一弁要素は約42cmHOで安定した真空レベル310を維持し、第二弁要素は約47cmHOで安定した真空レベル385を維持し、臨界オリフィスは約37cmHOで調整された制御を維持する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明、及びその様々な特徴及び有利な詳細は、添付の図面に示され、以下の説明で詳述される非限定的な実施形態を参照してより完全に説明される。図面に示された特徴は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではないことに留意されたい。本発明を不必要に分かりにくくしないように、周知の構成要素及び処理技術の説明は省略する。本明細書で使用される例は、本発明を実施できる方法の理解を容易にし、さらに当業者が本発明を実施することを可能にすることを意図したものにすぎない。したがって、これらの例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。図面における同様の参照数字は、いくつかの図において対応する部分を指定する。
【0021】
陰圧治療装置及び方法では、陰圧が最適な治療に必要な真空レベルを超える真空レベル、またはさらにはそれらのような真空レベルに露出する生体組織にとって危険な真空レベルに達する可能性がある。これらの望ましくない値は、真空源自体が調整されていない高流量源であること、外部流量調整器か真空源自体かいずれかの電気/機械/ソフトウェアがうまく機能しなかった結果、過剰な真空レベルを作成するのに十分な真空流量になること、身体運動により、チャンバの圧縮及びまたは膨張、及びまたは陰圧を加える際にチャンバに入る組織の運動が原因でチャンバ容積の変動が引き起こされること、いずれかの設計された気流(例えば、通気または冷却のため)を超える漏れ及びまたは瞬間的なシールの破損による漏れ、温度変化による圧力における変化、装置の外部の圧力における変化などによって引き起こされる可能性がある。
【0022】
装置内側の圧力における変化が起こる可能性がある様々な条件下で、ユーザが部分的に鎮静剤を与えられている間、鎮静剤を与えられている間、及びまたは眠っている間に何時間も長期間使用するように意図される装置では、装置自体は、ユーザの安全のために圧力変化を制限するように、それらのような真空における変化に応答できなければならない。したがって、陰圧における増加または減少を行って、治療レベルの陰圧を厳密に維持することができるように、装置内側に圧力変化を引き起こすあらゆる変化は、迅速に感知され、装置の真空源、制御システム、及びまたは1つ以上の特徴によって応答される必要がある。
【0023】
本発明の目的は、陰圧装置の構成要素として圧力調整及び/または逃し装置を提供することである。様々な実施形態では、装置は、所望の陰圧を確立し、装置の真空チャンバ内で所望の真空レベルを維持するように構成される。他の実施形態では、装置は、望ましくない過剰な真空を開放するように構成される。特に、第一陰圧に達するときに開き、第二(より低い)陰圧に達したときに再密閉する弁が設けられることによって、陰圧装置の真空チャンバ内で所望の治療圧力範囲を維持することを提供する。以下に説明される様々な態様では、圧力調整/逃し装置は、陰圧治療装置に一体化されている1つまたは複数の圧力逃し弁要素(複数可)の形態にあることができる。弁要素(複数可)は、所望の真空範囲の上限に達するときに開くことで、外部の空気が装置の真空チャンバに流入することが可能になることによって、真空源が過圧状態を引き起こすのを防ぎ、所望の真空範囲の下限に達するときに閉じることで、圧力低下状態を防ぐように構成される。したがって、弁要素(複数可)は、真空チャンバ内の真空レベルを所望の範囲に制限する。
【0024】
本明細書で使用される圧力逃し弁要素(複数可)は、1つ以上の所定の陰圧レベルを超えるときに装置内の圧力を制御するために使用される真空装置の構成要素(複数可)として定義される。特定の実施形態では、圧力逃し弁要素(複数可)の開閉はヒステリシス制御を提供するため、真空レベルは、装置の周囲側から真空チャンバに流入する流量によって範囲内に制御され、最も好ましくは、圧力逃し弁(複数可)の開値及び閉値のほぼミッドレンジ内の範囲に真空レベルを維持する。
【0025】
特定の実施形態では、本発明の装置は、適切に調整されないと、弁要素(複数可)の補償能力を超える可能性がある真空源と共に使用されることができる。つまり、真空源は、弁要素(複数可)が空気を入れるよりも速く真空チャンバから空気を除去する。本明細書で使用される場合、「高真空源(elevated vacuum source)」とは、1つまたは複数の圧力逃し弁要素によって収容されることができる空気流量よりも大きい空気流量を有するそのような陰圧源を指す。このような高真空源から保護するために、本発明の装置は、真空チャンバと真空源との間の流路内に「臨界オリフィス」として知られる絞りを任意選択で備えてもよい。臨界オリフィスは、可変流量を下流の制御された流量に変換して、治療装置内での所望の陰圧レベルの達成を支援し、1つまたは複数の圧力逃し弁要素(複数可)の動作範囲(複数可)にほぼ合致させる。
【0026】
圧力制御システム(複数可)の実施形態の概略的な説明は、3つの可能な陰圧調整シナリオを示すそれぞれ図1a、図1b、及び図1cに見られることができる。図1aに示されるような第一シナリオの本発明の一実施形態では、装置200はシステムポンプ119を備え、システムポンプは、関連するプロセッサ、センサ、及び事前にプログラムされたパラメータを好ましくは含む。システムポンプ119は、流路117に沿って真空チャンバ100に操作可能に連結される。真空チャンバ100は、最小容積105及びチャンバ容積104を有する。これらのそれぞれは、第一圧力逃し弁要素103に操作可能に連結される。最小容積105は、システムポンプ119が通常動作下で両方の容積から空気を真空排気するように、チャンバ容積104に流体連結される。バリア107は、物体(例えば、陰圧を使用して治療される患者の皮膚表面)が真空ポンプ及び圧力逃し弁103を閉塞させるのを防ぐという意味で、最小容積105をチャンバ容積104から分離する。これにより、空気流量(つまり、真空源)及び圧力逃し弁(複数可)がチャンバ容積に関係なく気流ループを作成することができる個別の領域が設けられ、過剰な圧力状態による皮膚表面の損傷を防ぐ。したがって、この好ましい実施形態では、最小容積及び圧力逃し弁システムが不注意で封鎖された場合に、真空の連続した適用が回避される。
【0027】
通常動作中、圧力逃し弁要素103は、チャンバ要素内の圧力におけるあらゆる変化に応答して動作する「ポップオフ」タイプの弁として機能することができ、したがって、ポンプの「無拘束」という万一の場合には安全要素を提供することができる。装置の動作中、システムポンプ119は、装置内で所望の陰圧レベルが得られるまで、装置、最小容積105及びチャンバ容積100を通って装置210から出る空気の流れを作り出す。陰圧が選択された圧力逃し弁の公差を超える場合、圧力逃し弁要素103が開くことにより、圧力逃し弁要素103が閉じるレベルに真空圧力が低下するまで、圧力逃し弁の外側の周囲空気から最小容積105及びチャンバ容積104への気流が可能になる。
【0028】
図1aでは、システムポンプは装置200の要素として示されている。これは説明のみを目的としている。システムポンプは、装置の機能を変更することなく、装置自体とは別個の真空源、例えばベッドサイドもしくは卓上ユニット、または医療施設の家庭用バキュームであってもよい。システムポンプは、調整されていない真空源であってもよく、またはシステムポンプ自体内で、またはシステムポンプとは別個の真空調整器を設けることによってのいずれかで調整されてもよい。
【0029】
図1bに概略的に示される本発明のさらなる実施形態では、第二シナリオは、装置300とは別個の真空源119(例えば、病院用吸引真空源または真空ポンプ)から生じる流動を伴う。この実施形態では、臨界オリフィス要素120を使用して、過圧状況を補償する圧力逃し弁103の能力を上回る真空源の能力を制限する。装置300から流出する真空流量は、真空源からほぼ所望のレベルの気流を与えて装置内の陰圧の制御レベルを達成するように選択される、臨界オリフィス要素内のアパーチャによって調整される。好ましい実施形態では、この所望のレベルの気流は、圧力逃し弁103が供給することができる装置内への気流のほぼ中間点にある。
【0030】
一例として、本明細書に記載のドーム形状の半楕円形弁要素は、第一真空レベルで開くが、より低い第二真空レベルで閉じることができる(「ヒステリシス」)。弁リーフレットの運動(「フラッタ」)のため、このヒステリシスによって、弁が気流に対して開いている場合、弁を通る気流に範囲が生じる。この気流範囲は、真空チャンバ100で管理されたヒステリシス範囲の真空レベルを作り出すことができる。真空側の装置から出る臨界オリフィスタイプの気流を使用して、このヒステリシス範囲内の気流を作り出すと、追加のレベルの調整が与えられるため、真空レベルが安定する。
【0031】
図1cに概略的に示される本発明のさらなる実施形態では、第三シナリオは、所望の流量を超える真空流量で動作する外部高真空源119から、最小容積105、チャンバ容積104及び1つまたは複数の圧力逃し弁(103、113)に操作可能に連結された臨界オリフィス120に通して生じる流量を伴う。このシナリオでは、臨界オリフィス120は装置を通る流量を制御して、装置内に所望のレベルの陰圧を作り出す。この実施形態では、第一圧力逃し弁103は、第一真空レベルで開くことにより、第一陰圧レベルを維持することができるように装置への気体の流入が可能になり、第二圧力逃し弁113は、異なる真空レベルで開くことにより、異なる陰圧レベルを維持することができるように装置への気体の流入が可能になる。様々な実施形態では、第一圧力逃し弁と第二圧力逃し弁との間の選択は、手動で制御されることができる、または装置400内のコントローラによって電子制御されることができる。特定の実施形態では、より低い真空レベルで開く圧力逃し弁(103または113)はデフォルトの弁として動作し、その圧力逃し弁によって与えられる陰圧レベルは作動陰圧レベルを与える。デフォルトの弁を手動または電子で強制的に閉じると、より高い真空レベルで開く第二圧力逃し弁が機能するようになり、第二圧力逃し弁が与える陰圧レベルによって動作可能にする。強制的な閉鎖が開放され、デフォルトの弁が開くと、作動陰圧レベルが再開される。
【0032】
真空レベル調整及び逃し装置はさらに、身体の運動、装置/ユーザの位置、または上気道狭窄もしくは閉塞のオンセットもしくは軽減に起因して、使用中に異なる種類の治療標的真空レベルを適用するように構成され得る。このほぼ一定の標的陰性真空レベルは、所定の範囲、上限及び下限を有する標的真空レベル、すなわち、最大値、最小値及び中間点値を含む標的真空レベル範囲を有することができ、最大値及び最小値はそれぞれ、約5hPa以内、及びより好ましくは約2hPa以内の中間点値(+/-約5hPa、及び好ましくは約2hPa)であり、中間点値は約10hPaから60hPaの間である。標的真空レベルの範囲は、標的とする値の最大約25%未満、約20%未満、約10%未満、及びより好ましくは約5%未満、またはそれ以下の範囲であり得る、真空レベルの逃し弁の材料及び製造のばらつきに対応することが認められ得る。
【0033】
高真空源及び臨界オリフィスを利用する本発明の一実施形態では、臨界オリフィスの寸法と、圧力弁要素(複数可)のうちの1つまたは複数の設計圧力範囲とによってもたらされる流量と組み合わせて使用することによって、チャンバ要素内の陰圧が達成される。例として、高真空源は毎分5リットルを超える動作流量を有し得、臨界オリフィスは、チャンバ要素から出る空気の流量を毎分約2リットルに調整するように選択される。高真空源が利用され、臨界オリフィスに操作可能に連結される圧力調整及び逃し装置の一実施形態では、臨界オリフィスの直径は約0.6ミリメートル、長さは約1.3ミリメートルであるため、毎分約2リットルの流量をもたらし、1つ(または複数)の圧力弁要素(複数可)が開閉すると、真空チャンバ内に約31hPaから約48hPaの間のおおよその陰圧をもたらす。
【0034】
臨界オリフィス(複数可)の選択の結果、達成可能な真空レベルがどのように制限されるかのグラフ表現を図2に示す。臨界オリフィスの動作特性は、真空源の圧力に対する臨界オリフィスを通る流量として示されることができる。真空圧が増加すると、各臨界オリフィスを通る流量は、臨界オリフィスを通る最大流量に達するまで増加する。これはチョーク流れ状態と呼ばれる。図2に示されるように、真空圧が0psiから約7psiまで増加すると、各臨界オリフィス(直径0.015インチ、0.020インチ及び0.025インチ)は最大流量(それぞれ約1.0lpm、1.5lpm及び2.5lpm)に達し、その後、真空圧におけるいかなるさらなる増加にも、臨界オリフィスを通る流量が増加しない。臨界オリフィスは、オリフィスプレートと呼ばれることが多い、表面内の穴のような単純なものであってもよく、または細長いチューブの形態を取ってもよく、いずれの場合も、流路がこのように絞られていなかった場合に発生する流量よりも小さい流量に流れを絞る流路を設け得る。所望のチョーク流量を達成するために必要な臨界オリフィスの寸法を決定するための方法は、当技術分野でよく知られている。
【0035】
本明細書では、陰圧環境をもたらすように構成された装置に関して説明するが、本発明が、標的となる気体流量、例えば毎分最大100リットルで動作し得る人工呼吸器または蘇生器など、陽圧源と同様の方法で使用されることができることを理解されたい。
【0036】
本発明の一実施形態では、調整された真空源は、装置と一体として構成され、治療装置が個体に嵌められ、治療レベルの陰圧がチャンバ要素内に加えられるとき、チャンバ要素内にほぼ一定の標的陰圧を与えるように構成され得る。本明細書で使用される「ほぼ一定」とは、通常の意図された使用中に、運動、嚥下、くしゃみなどによる陰圧の短期間の過渡的なスパイクまたは損失(増加または低下)に起因する摂動がなく、陰圧が所定の範囲内に維持されることを意味する。好ましい実施形態では、「ほぼ一定」は、装置の使用中に設計値の+/-25%以内、より好ましくは+/-20%以内、さらにより好ましくは+/-10%以内、及び最も好ましくは+/-5%以内である。以降本明細書に説明されるように、調整された真空源の圧力制御システムはまた、圧力損失の特性がシールの完全性の喪失を示しているとき、ポンプの気流を急速に増加させることによって、真空チャンバへの意図しない漏れによる圧力変化に適応した後、動作真空レベルが回復するとき、通常の気流に戻るように好ましくは構成される。
【0037】
「圧力逃し構成要素」という用語は、第一(例えば、過剰なまたは望ましくない)陰圧閾値を超えるときにのみ開き、第二(より低いまたは望ましい)レベルを再び達成するときに閉じるように設計された要素(「ポップオフ弁」タイプの使用)、または一方向の空気の定流量を可能にし、所望のヒステリシス制御圧力範囲を維持するために開閉するように設計される動的要素(「調整器」タイプの使用)を指す。「ヒステリシス制御」とは、最近のシステム履歴を考慮して、出力が他の場合よりもあまり迅速に反応しない制御システムを意味する。例えば、ヒータを制御するサーモスタットは、温度がAを下回るとヒータのスイッチをオンにし得るが、温度がBを超えるまでオフにし得ない(例えば、温度を20℃に維持したい場合、温度が18℃を下回るときにヒータをオンにし、温度が22℃を上回るときにオフにするようにサーモスタットを設定し得る)。この場合、25hPaの真空レベルを維持したい場合、真空レベルが27hPaに達するときに圧力弁が開き得るが、圧力が23hPaに達するときに閉じ得る。
【0038】
特定の実施形態では、圧力逃し構成要素は、個別の圧力逃し弁要素、またはエアポンプ要素、制御要素もしくは陰圧装置の任意の態様と合わせて一体化された圧力逃し弁要素の形態であることができる。好ましい実施形態では、圧力逃し弁要素は、保護ハウジング内、すなわち、不注意による封鎖を避けるための最小容積内に収容される。最小容積は装置の真空側の一部分を隔離する物理構造体によって作り出されるため、組織の侵入などによって、物理構造体が遮断されるようになる場合、最小容積は、維持され、真空の流れを圧力逃し弁に通して向ける。
【0039】
特定の実施形態では、圧力逃し構成要素は、1つまたは複数の逆止弁、ダイヤフラム弁、ピンチ弁、ポップオフ弁、電磁弁、スリット弁、または陰圧装置内の圧力の制御及び調整のための任意の適切な弁を備え得る。圧力逃し弁装置は、約10hPaから約140hPaの間の好ましい真空圧で、これらのレベルを超える真空が適用されるかどうかにかかわらず、すべての真空範囲にわたって機能上動作できるように設計されている。
【0040】
特定の実施形態では、図1c、図3及び図4に示されるように、圧力逃し構成要素は、例えば、初期動作真空値を有する第一圧力逃し弁103、及び第一圧力逃し弁103と同じまたはそれよりも高い動作真空値を有する少なくとも後続の第二圧力逃し弁113などを含む複数の圧力逃し弁を備え得ることにより、第一圧力逃し弁103が不注意で塞がれる場合の冗長性がもたらされてもよく、または第一圧力逃し弁103が手動で塞がれるときの異なる動作真空値がもたらされてもよい。さらなる実施形態では、第一圧力逃し弁103は、密閉可能なアパーチャ250を備え、このアパーチャが例えば指で物理的に塞がれることによって、第二圧力逃し弁113が係合されることができ、第二圧力逃し弁の動作圧力値(複数可)によって、第二圧力逃し弁113のより高い真空範囲が達成されることが可能になる。陰圧装置内のより高いレベルの陰圧を使用して、例えば虚脱した上気道の開存性を回復させることができる。
【0041】
本明細書では陰圧用途での使用について説明しているが、同様の方法で、本発明は、患者の気道を損傷する可能性のある過圧状況を回避するために、患者の機械換気などの陽圧用途でも使用されることができる。
【0042】
特定の実施形態では、圧力逃し弁要素は、陰圧装置内の過剰な陰圧を逃すための一方向弁であり、陰圧装置の内側に対向するように配置される内面と、装置の外側に対向するように配置された外面とを備えたエラストマーのスリット弁を含む。
【0043】
特定の実施形態では、圧力逃し弁は、1つ以上のスリットを含む「スリット弁」であり、これら1つ以上のスリットは、中心軸上に位置し、中心軸に対して垂直に延出し、スリット弁が開くときに、アパーチャを作り出し、スリット弁が閉じるときに、再び密閉する。特定の実施形態では、スリット弁は、変形可能なエラストマー材料で作られており、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリウレタン(PUR)及びEPDMまたはゴム(例えば、シリコーンゴム)を含むが、これらに限定されない、任意のタイプのエラストマー材料から構成され得る。
【0044】
図5に示されるような特定の実施形態では、圧力逃し弁は、ドーム形状の半楕円形弁要素であり、周縁エッジ165を有する半楕円形弁ヘッド125、真空装置の低圧側に対向する内側部163、周囲気相雰囲気に対向する外側部、周縁エッジにある弾性スリーブ160、及び可逆的に開くとそこを通り流れることが可能になる弁アパーチャ175を含む。本明細書で使用される「半楕円弁ヘッド」は、最初はチャンバ容積100の外側に対向する部分的に圧縮された凸面と、装置の低圧側に対向する凹面とを含む平面曲線の形状で可撓性材料の形態の弁として画定されるため、この弁が開くときに、流体の流れ205は装置の周囲圧力側から低圧側に向かい進む。本明細書で使用される場合、半楕円形弁ヘッドの周縁エッジにある「弾性スリーブ」は、半楕円形弁ヘッドの可撓性側壁部として画定され、折り曲げられ、ローリング方式では、弁ヘッドにトルクを印加するため、弁ヘッドがほぼ凹状の向きに反転して、チャンバ要素内の真空が所定の第一真空レベルに達すると、弁ヘッドの頂点で弁アパーチャ(複数可)を開くことを、この凹状の向きが支援するように延出するように構成され、配置される。適切な弁、それらを製造するプロセスなどの例は、例えば、米国特許第1,739,871号、第2,147,16号、第5,115,950号、第5,839,614号、第5,927,566号、第6,273,305号、第6,405,901号、及び第7,784,652号に見いだされることができ、それぞれは参照によりその全体が本明細書に援用されている。
【0045】
好ましい実施形態では、半楕円形弁ヘッドはシリコーンゴムから作られ、弁アパーチャは半楕円形表面の頂点に1つ以上のスリット(図6、170)を含み、それによって弁のリーフレットを形成する。真空が適用され、真空チャンバ内の所定の真空レベルを超えるときに、弾性スリーブが真空チャンバの内側に向かい内向きに移動し、弁のリーフレットが開くことによって、空気が通過することが可能になり、チャンバの内側内の真空が開放される。弁ヘッドのリーフレットは、弁ヘッドのリーフレットが弛緩し、リーフレットが再密閉され、半楕円形弁ヘッドの弾性スリーブがその元の状態に戻る、所望の範囲にチャンバ内の陰圧が達するまで開いたままになる。
【0046】
好ましい実施形態では、弁リーフレットは、あらゆる使用を通じて実質的に一貫性のある「クラッキング」または「開口」レベルの真空圧を有する。本明細書で使用される場合、「クラッキング圧力」は、弁のリーフレットを開いて空気の流れを可能にするのに必要な圧力レベルとして定義される。本明細書で使用される場合、実質的に一貫性のあるクラッキング圧力は、リーフレットが閉位置に維持されている時間に関係なく、好ましくは約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、及び最も好ましくは約5%未満である、繰り返しの開口におけるばらつきとして定義される。
【0047】
装置動作の一実施形態のグラフ表現を図9に示すことができる。図9は、例示的な20秒の流量サイクル中の圧力逃し弁の動作を示す。弁の動作が必要に応じてより短期間またはより長期間で行われることができ、行われる可能性があることは注目に値する。上のトレース300は、時間の関数としてリットル/分単位の流量を示し、下のトレース320は、所望の真空レベルを超えた真空摂動後の対応する圧力を時間の関数として示す。流量325は、臨界オリフィスが一定の流量315をもたらすように引き受ける流量まで徐々に増加する。同時に、第一圧力逃し弁要素のクラッキング圧力330に達するまでの圧力損失を示すことができる(図3、4、7、8;103)。圧力逃し弁要素が開き、流量トレース315及び対応する圧力トレース325に見られるように、流量と圧力との間のバランスが達成されるまで、過剰な陰圧が開放されることを可能にする。圧力逃し弁の動作は、装置内の圧力を所定の値に安定させるために、動作中に完全に開いてもよく、または部分的に開閉してもよいという点で動的であり得る。図9に示される動作では、流量340の減衰があり、圧力逃し弁が350で閉じるまで、対応する圧力の増加345が観察される。
【0048】
シリコーンゴムは、医療機器及び食品加工機器の準備及び処理に使用される滅菌方法(例えば、温度、化学物質及び放射線を含むがこれらに限定されない)に対して非常に耐性がある。しかし、シリコーンゴムの既知の特性は、歪んだ後も経時的にその元の機械的特性及び形状のほとんどまたはすべてを取り戻す、部分的にも実質的にも「自己修復」する能力である。分離した表面の対向面が互いに接触するようになるとき、互いに接触を取り戻した表面は、再接着する能力を示している。表面が互いに接触した状態が長く続くほど、より大きい接着が観察される。医療機器では、この修復特性に起因するリスクは、第一摂動または歪みに対する抵抗が増大すると、最初の液体または流体の流量または送達の精度が妨げられる、及び/または低下すること(つまり、弁タイプの用途ではクラッキング圧力)である。別の言い方をすると、シリコーンゴム弁のリーフレットが閉位置で互いに接触したままになっている場合、リーフレットを開くのに必要な最初の真空圧は、その直後に続く第二、第三などの開口に比べて高くなることができる。これは、リーフレット表面の分離を容易にするために非接着の表面処理を追加する、または弁を開くのに専用の取り扱い及び保管の指令を提供する必要があることが多いメーカーに課題を提示する。これらの前処理は、シリコーンゴムの自己修復特性を支援するが、完全に除去しない。これは、メーカーのコストを増加させるだけでなく、製品の混入のリスクも増加させる。
【0049】
機械設計による事前調整に加えて、圧力逃し弁がシリコーンゴムなどの自己修復する接着特性を有する材料で作られている場合、圧力逃し弁を開くために必要なクラッキング圧力を規格化し、初期クラッキング圧力の矛盾を避けるため、クラッキング圧力のばらつきをさらに除去することができる。図4に示される装置の一実施形態では、圧力逃し弁要素(複数可)(103、113)は、閉状態で(つまり、真空側及び周囲気相雰囲気の圧力が等しいときに)弁ヘッドの外側に圧縮力を加える圧縮要素(135、145)を備える。本明細書で使用される圧縮要素は、半楕円形弁ヘッドの凸面に圧縮力を加える構造要素として定義される。圧縮力は、物体をよりコンパクトにするために物体に圧力をかける物理的な力として定義される。本発明の実施形態では、リーフレットの開きのばらつきを実質的に除去するために、圧縮要素(135、145)によって半楕円形弁ヘッド(130、140)の凸面に圧縮力を加えて、可撓性材料を真空チャンバの内側に向けて付勢するが、弁ヘッドの外側で閉じることができる。圧縮要素の接触面は、弁ヘッドの所望の付勢を作り出すために、必要に応じて平坦、隆起、またはテクスチャ加工することができる。
【0050】
圧力逃し弁の一実施形態では、半楕円形弁ヘッドの予荷重は、シリコーンゴム製フラップの再密閉及び接着を合わせた特性の軽減を支援することによって、初期クラッキング圧力を増加させる。この予荷重は、図5及び図6に示されており、圧力逃し装置が保管時間または使用間隔に関係なく、ある程度一貫して滑らかな初期開口と、ほぼ一貫したその後の動作クラッキング圧力を達成することを確保する。
【0051】
例として、図10は、このように圧縮されていない半楕円形圧力逃し弁を使用した一連の3つの連続した流量サイクルのグラフ表現を示す。サイクルごとに、真空が増加し始めると(325)、真空は弁のクラッキング圧力に達するまで増加する。弁360の第一サイクルに対応するトレースでは、この第一クラッキング圧力375が、第二トレース365及び第三トレース370(圧力逃し弁の第二及び第三流量サイクルに対応)で見られるものよりも実質的に低いことが観察されることができる。注目すべきことに、第一サイクル中、第一クラッキング圧力375に続いて、半楕円形圧力逃し弁のクラッキング/開口に必要な圧力が高くなる結果として、圧力逃し弁が変動した不安定な方法で動作することがさらに観察される。さらに注目すべきことに、第二及び第三サイクルのクラッキング圧力は実質的に区別がつかず(380)、クラッキング圧力後のトレースは滑らかであり、弁の滑らかな動作を示している。流動が終了するときに、弁が閉じる(350)まで圧力の減衰が観察されることができる(345)。
【0052】
好ましい実施形態では、クラッキング圧力に見られる変動(例えば、図10の375に示される)を除去するために(図5に示されるように)半楕円形圧力逃し弁が圧縮される(または「予荷重される」)。図11は、予荷重された半楕円形圧力逃し弁を使用した一連の連続した流量サイクルのグラフ表現を示す。サイクルごとに、真空レベルが増加し始めると(325)、真空は圧力逃し弁のクラッキング圧力390に達するまで増加する。弁の第一サイクル及びその後のサイクルに対応するトレースでは、この各クラッキング圧力390が全体を通してほぼ同一であることが観察されることができる。
【0053】
本発明の特定の実施形態では、圧力逃し装置は、1つより多い圧力逃し弁要素を含んでもよい。陰圧が第一及び第二圧力逃し弁要素の両方の公差を超える場合、両方の弁は連続して開き、流れ210が装置に流入することを可能にする。各圧力逃し弁要素は、圧力が第二圧力逃し弁の動作圧力を下回る値に戻り、続いて第一圧力逃し弁の動作圧力を下回る値に戻るまで、開いたままである。図12は、2つの予圧縮された圧力逃し弁要素(図3及び図4に見られるような)を備える圧力逃し装置のいくつかの流量サイクル及び対応する(重複する)トレースを示すグラフ表現である。ここで、真空アパーチャ110及び臨界オリフィス120を通じて真空が適用されると、空気が装置200から流出して、内部チャンバ容積105及びチャンバ容積100内に陰圧を作り出す。下の線385は第二圧力逃し弁の開口圧力値を示し、中央の線310は第一圧力逃し弁の開口圧力を示し、上の線340は外部調整供給源からの流れによって供給される圧力を示す。
【0054】
図12のグラフでは、上のトレース300は逃し弁を通る流量(時間の関数としてのリットル/分単位)を示し、下のトレース305は真空レベルを時間の関数として示す。この例では、第一圧力逃し弁要素103及び第二圧力逃し弁要素113の両方は、クラッキング圧力330に応じて開き、装置内の圧力が第二圧力逃し弁113の閉鎖を可能にするのに十分に増加するまで、装置への流入210を可能にする。この時点では、流れは第一圧力逃し弁要素103のみを通過する。
【0055】
シリコーンゴム製の半楕円形弁ヘッドを備える圧力逃し弁の実施形態では、所望の作動治療圧力範囲(複数可)を維持するために、弁の物性を変更することによってリーフレットの偏向を変化、増加または減少させることができる。本明細書で使用される場合、偏向とは、装置内の陰圧が生成した荷重によって圧力逃し弁が変位する度合いである。
【0056】
例として、シリコーンゴム製の半楕円形圧力逃し弁は、シリコーンゴム製の弁ドームの中心から放射状に延出する、互いに垂直な2つのスリットを含むことができる。装置の一例では、半楕円形弁ヘッドはおおよその高さ約28mmで、おおよその直径約6mmで、圧縮要素による圧縮は約0.25mm~0.8mmの間で、約48hPaの一貫したクラッキング圧力を達成し、逃し弁の再密閉圧力の自然制御範囲は約32hPaである。
【0057】
ヒステリシス制御は、開状態及び閉状態の値と、それらの状態に達するには短すぎる時間とによって引き起こされる圧力逃し弁の突然の開閉(フラッタリング)を解消する、動作圧力の範囲とそれらの圧力に達するまでの時間を提供するのに特に有用である可能性がある。本発明の実施形態では、ヒステリシス制御範囲は、装置の動作圧力の約5hPa~約15hPa、5hPa~10hPaまたはそれ以下の間である。圧力逃し装置が1つより多い圧力逃し弁要素を備える本発明の実施形態では、圧力逃し弁要素のヒステリシス制御範囲を重複させて、所定の第一圧力制御値と所定の第二圧力制御値との間の滑らかな移行などをさらに高めることができる。
【0058】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を裏付けるために含まれる。
【0059】
実施形態1.真空レベルを調整する方法であって、
ハウジングを有するチャンバ装置を提供することであって、前記ハウジングは真空の適用によって前記チャンバ装置内から排気される気体を含む内部チャンバ容積を封入し、前記ハウジングは前記チャンバ装置の外部にある周囲気相雰囲気から前記内部チャンバ容積を分離し、前記ハウジングは弁を含み、前記弁は前記内部チャンバ容積内の所定の第一真空レベルで開き、前記ハウジングを介して開口部を作成し、前記周囲気相雰囲気からの気体は前記開口部を通り前記内部チャンバ容積に入ることができ、前記弁は前記内部容積内の所定の第二真空レベルで閉じ、前記所定の第二真空レベルは前記所定の第一真空レベルより低く、
前記弁は、
周縁エッジ、前記内部チャンバ容積に対向する内側部、前記周囲気相雰囲気に対向する外側部を有する半楕円形弁ヘッド、
その前記周縁エッジに弾性スリーブ、及び
前記弁ヘッド内の弁アパーチャであって、可逆的に開くと、そこを通り流体が流れることが可能になる、前記弁アパーチャ、
を含み、
前記弁が閉位置にあるとき、前記弁ヘッドは前記ハウジングに対してほぼ凸状の向きを有し、前記弾性スリーブは、折り曲げられ、ローリング方式では、前記弁ヘッドにトルクを印加するため、前記弁ヘッドがほぼ凹状の向きに反転して、前記凹状の向きが前記弁アパーチャを前記所定の第一真空レベル以上で開くことを支援し、前記所定の第二真空レベル以下でそれをほぼ凸状の向きに戻すように延在するように構成され、配置される、
前記提供することと、
前記チャンバ装置を真空源に操作可能に連結して前記内部容積から前記気体を排気することであって、前記弁の開閉は前記内部容積内の前記真空レベルを前記所定の第一真空レベルから前記所定の第二真空レベルの間の範囲に調整する、前記排気することと、
を含む、前記方法。
【0060】
実施形態2.前記チャンバ装置は圧縮要素を含み、前記圧縮要素は、前記内部チャンバ容積内の前記圧力及び前記周囲気相雰囲気が等しく、前記弁が閉じているとき、前記弁ヘッドの前記外側部に圧縮力を加えることによって圧縮状態を生じ、前記圧縮力は、前記弁ヘッドの前記外側部を内向きに偏向させることで、前記弁アパーチャが前記弁ヘッドの前記内側部で開くが、前記圧縮状態では前記弁ヘッドの前記外側部で閉じるように構成され、配置される、実施形態1に記載の方法。
【0061】
実施形態3.ハウジングを有するチャンバ要素を含む、陰圧治療装置であって、
前記ハウジングは、個体の一部分に嵌めて覆うことにより、前記個体の前記覆われた部分の上で内部チャンバ容積を封入するように構成され、前記ハウジングは、前記内部チャンバ容積を前記チャンバ装置の外部にある周囲気相雰囲気から分離し、
前記ハウジングは、
前記チャンバ要素を前記個体に嵌めるときに形成された前記内部チャンバ容積内から気体を排気するために、真空源に嵌合されるように構成された真空アパーチャと、
前記内部チャンバ容積内の所定の第一真空レベルで開いて、開口部を前記ハウジングに通して作成し、気体は前記周囲気相雰囲気から前記開口部を通して、前記内部チャンバ容積に入ることができ、前記内部チャンバ容積内の所定の第二真空レベルで閉じる弁であって、前記所定の第二真空レベルは前記所定の第一真空レベルよりも低い、前記弁と、
を含み、
前記弁は、
周縁エッジ、前記内部チャンバ容積に対向する内側部、前記周囲気相雰囲気に対向する外側部を有する半楕円形弁ヘッド、
その前記周縁エッジに弾性スリーブ、及び
前記弁ヘッド内の弁アパーチャであって、可逆的に開くと、そこを通り流体が流れることが可能になる、前記弁アパーチャ、
を含み、
前記弁が閉位置にあるとき、前記弁ヘッドは前記ハウジングに対してほぼ凸状の向きを有し、前記弾性スリーブは、折り曲げられ、ローリング方式では、前記弁ヘッドにトルクを印加するため、前記弁ヘッドがほぼ凹状の向きに反転して、前記凹状の向きが前記弁アパーチャを前記所定の第一真空レベル以上で開くことを支援し、前記所定の第二真空レベル以下でそれをほぼ凸状の向きに戻すように延在するように構成され、配置される、
前記陰圧治療装置。
【0062】
実施形態4.前記チャンバ装置は圧縮要素を含み、前記圧縮要素は、前記内部チャンバ容積内の前記圧力及び前記周囲気相雰囲気が等しく、前記弁が閉じているとき、前記弁ヘッドの前記外側部に圧縮力を加えることによって圧縮状態を生じ、前記圧縮力は、前記弁ヘッドの前記外側部を内向きに偏向させることで、前記弁アパーチャが前記弁ヘッドの前記内側部で開くが、前記圧縮状態では前記弁ヘッドの前記外側部で閉じるように構成され、配置される、実施形態3に記載の陰圧治療装置。
【0063】
実施形態5.前記真空アパーチャに操作可能に連結され、エネルギーを与えられたときに前記気体を前記内部チャンバ容積から排気するように構成された真空源をさらに含む、実施形態3または4に記載の陰圧治療装置。
【0064】
実施形態6.前記真空源は、前記弁が開いているとき、前記所定の第一真空レベルより高い前記内部チャンバ容積内の真空レベルを生成するのに十分な気体流量を、前記真空源に供給する、実施形態5に記載の陰圧治療装置。
【0065】
実施形態7.前記真空アパーチャを通る気体流量は、前記内部チャンバ容積と前記真空源との間に位置決めされた流路の断面積によって制限され、前記流路は臨界オリフィスタイプの気体流量を供給し、前記気体流量は、前記臨界オリフィスタイプの気体流量によって、前記弁が開いているとき、前記所定の第一真空レベルと前記所定の第二真空レベルとの間にある、前記内部チャンバ容積内の真空レベルを維持する流量まで制限される、実施形態6に記載の陰圧治療装置。
【0066】
実施形態8.前記ハウジングは、第二弁をさらに含み、前記第二弁は、前記内部チャンバ容積内の所定の第三真空レベルで開いて、第二開口部を前記ハウジングに通して作成し、気体は、前記周囲気相雰囲気から前記開口部を通して、前記内部チャンバ容積に入ることができ、前記所定の第三真空レベルは、前記所定の第一真空レベルより高い、実施形態3~7のうちの1項に記載の陰圧治療装置。
【0067】
実施形態9.前記真空源は、前記弁が開いているとき、前記所定の第一真空レベルより高い前記内部チャンバ容積内の真空レベルを生成するのに十分な気体流量を、前記真空源に供給する、実施形態1または2に記載の方法。
【0068】
実施形態10.前記真空源は前記ハウジング内の真空アパーチャに連結され、前記真空アパーチャを通る気体流量は、前記内部チャンバ容積と前記真空源との間に位置決めされた流路の断面積によって制限され、前記流路は臨界オリフィスタイプの気体流量を供給し、前記気体流量は、前記臨界オリフィスタイプの気体流量によって、前記弁が開いているとき、前記所定の第一真空レベルと前記所定の第二真空レベルとの間にある、前記内部チャンバ容積内の真空レベルを維持する流量まで制限される、実施形態9に記載の方法。
【0069】
実施形態11.前記ハウジングは、第二弁をさらに含み、前記第二弁は、前記内部チャンバ容積内の所定の第三真空レベルで開いて、第二開口部を前記ハウジングに通して作成し、気体は、前記周囲気相雰囲気から前記開口部を通して、前記内部チャンバ容積に入ることができ、前記所定の第三真空レベルは、前記所定の第一真空レベルより高い、実施形態1、2、9または10のうちの1項に記載の方法。
【0070】
実施形態12.前記弁は、そこを通る流量を可能にすることを選択的かつ可逆的に遮断するように構成されるため、前記弁の遮断により、前記内部チャンバ容積内の前記真空レベルが前記所定の第三真空レベルに達し、前記遮断が逆転するまで、前記第二弁が開いている、実施形態11に記載の方法。
【0071】
実施形態13.前記気体流量は、前記臨界オリフィスタイプの気体流量によって毎分約2リットルの流量まで制限される、実施形態7に記載の陰圧治療装置。
【0072】
実施形態14.前記所定の第一真空レベル及び前記所定の第二真空レベルは、約31.3hPa~約47.1hPaの間にある、実施形態3~8または13のうちの1項に記載の陰圧治療装置。
【0073】
実施形態15.前記所定の第三真空レベルは、約47.1hPa~137hPaの間にある、実施形態8に記載の陰圧治療装置。
【0074】
実施形態16.前記装置は医療機器である、実施形態3~8または13~15のうちの1項に記載の陰圧治療装置。
【0075】
実施形態17.前記医療機器は、人体の外部を覆うように構成された陰圧チャンバである、実施形態3~8または13~16のうちの1項に記載の陰圧治療装置。
【0076】
実施形態18.前記陰圧チャンバは陰圧創傷閉鎖(NPWT)装置である、実施形態17に記載の陰圧治療装置。
【0077】
実施形態19.前記陰圧チャンバは、ヒトの外部に真空を加えることによる気道開存性の維持に適応した連続した外部陰圧(cNEP)治療装置である、実施形態17に記載の陰圧治療装置。
【0078】
実施形態20.前記気体流量は、前記臨界オリフィスタイプの気体流量によって毎分約2リットルの流量まで制限される、実施形態10に記載の方法。
【0079】
実施形態21.前記所定の第一真空レベル及び前記所定の第二真空レベルは、約31.3hPa~約47.1hPaの間にある、実施形態8、実施形態1、2、9~12、または20のうちの1項に記載の方法。
【0080】
実施形態22.前記所定の第三真空レベルは、約47.1hPa~137hPaの間にある、実施形態11に記載の方法。
【0081】
実施形態23.前記装置は医療機器である、実施形態1、2、9~12、または20~22のうちの1項に記載の方法。
【0082】
実施形態24.前記医療機器は、人体の外部を覆うように構成された陰圧チャンバである、実施形態23に記載の方法。
【0083】
実施形態25.前記陰圧チャンバはNPWT装置である、実施形態24に記載の方法。
【0084】
実施形態26.前記陰圧チャンバは、ヒトの外部に真空を加えることによる気道開存性の維持に適応したcNEP治療装置である、実施形態24に記載の方法。
【0085】
当業者であれば、本開示の基礎となる概念が、本発明のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、及びシステムの設計の基礎として容易に利用され得ることが理解されよう。したがって、特許請求の範囲が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、それらのような同等の構成を含むものとしてみなされることが重要である。
【0086】
装置の構造的実施形態は、装置のサイズに基づいて変動し得、本明細書で提供される説明は、機能的態様及び手段へのガイドである。
【0087】
当業者であれば、本発明が目的を実行し、言及された目標及び利点、ならびに本発明に固有のものを得るのによく適合していることが容易に理解される。本発明に記載の本実施例は、例示的なものであり、本発明の範囲を限定する意図はない。
【0088】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書で開示した本発明において様々な修正及び変形が行え得ることは当業者には明らかである。
【0089】
本明細書で言及するすべての刊行物及び特許出願は、本発明が属する分野の当業者のレベルを示す。すべての刊行物及び特許出願は、各個別の刊行物が、参照することにより具体的かつ個別に組み込まれることが示されているのと同程度に、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0090】
本明細書中例示として記載される本発明は、本明細書中具体的に開示されない任意の要素(単数または複数)または制限(単数または複数)がなくとも、適切に実行可能である。したがって、例えば、本明細書の各例において、用語「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれかに置き換えられ得る。さらに、本明細書中採用されてきた用語及び表現は、限定するためではなく説明するための用語として使用されてきており、そのような用語及び表現の使用には、示され説明される特長あるいはその一部分のどのような等価物も排除する意図は存在せず、そうではなく、特許請求の技術の範囲内で様々な修飾が可能であると認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態及びオプションの特徴によって具体的に開示されたが、本明細書に開示された概念の修正及び変形は、当業者によって利用され得ること、及びそのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲内であることが理解されよう。
【0091】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内に記載される。

図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】