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特表2024-509974真空ポンプを運転する方法及び真空ポンプ
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  • 特表-真空ポンプを運転する方法及び真空ポンプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】真空ポンプを運転する方法及び真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 25/02 20060101AFI20240227BHJP
   F04B 37/16 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
F04C25/02 B
F04B37/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555793
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2022056344
(87)【国際公開番号】W WO2022189633
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】2103478.0
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507102296
【氏名又は名称】ライボルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leybold GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Str. 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ディーツ ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】カイザー アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト ダニエル
【テーマコード(参考)】
3H076
3H129
【Fターム(参考)】
3H076AA16
3H076AA29
3H076BB14
3H076BB26
3H076BB36
3H076BB45
3H076CC07
3H076CC41
3H076CC51
3H076CC84
3H076CC98
3H129AA02
3H129AA03
3H129AA21
3H129AB06
3H129BB37
3H129BB45
3H129BB60
3H129CC14
3H129CC15
3H129CC46
3H129CC51
3H129CC59
3H129CC65
3H129CC83
3H129CC85
(57)【要約】
真空ポンプを運転する方法は、最初に、真空ポンプ内の湿度及び/又は真空ポンプの環境の湿度を決定し、決定された湿度が予め設定された閾値を超える場合、真空ポンプ内の湿度を低減するために凝縮低減手段を制御するための制御信号を発生させる及び/又は警告信号を発生させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプを運転する方法であって、
前記真空ポンプ内の湿度及び/又は前記真空ポンプの環境の湿度を決定するステップと、
決定された湿度が予め設定された閾値を超える場合、前記真空ポンプ内の湿度を低減するために凝縮低減手段を制御するための制御信号を生成する及び/又は警告信号を生成するステップと、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記湿度は、前記真空ポンプの排気管において及び/又は前記真空ポンプの最後のポンプチャンバ内で決定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凝縮低減手段は、前記制御信号により開放されるガス安定器を含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御信号により、ガス安定器流量は、好ましくは前記決定された湿度に基づいて増加される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記凝縮低減手段は、前記真空ポンプに結合された加熱要素及び/又は冷却要素を備え、前記制御信号により加熱要素の加熱温度が上昇され、及び/又は冷却要素の冷却温度が上昇される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記凝縮低減手段は、前記真空ポンプの入口に設けられた入口弁及び/又は出口に設けられた出口弁を含み、前記真空ポンプの運転停止時、前記制御信号は、前記入口弁及び/又は前記出口弁を閉鎖するように制御する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記真空ポンプの運転停止時、前記真空ポンプは、所定時間の間又は前記真空ポンプ内の前記湿度が第2の閾値未満になるまで作動し続ける、
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
真空ポンプを運転する方法であって、
前記真空ポンプの運転を停止するための停止信号を受け取るステップと、
ガス安定器を開放するステップと、
水蒸気を移送し、それにより前記真空ポンプの内部を乾燥させるために、前記真空ポンプを所定時間の間、作動し続けるように制御するステップと、
前記所定時間の後、前記真空ポンプの運転を停止し、好ましくは前記ガス安定器を閉鎖するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
真空ポンプであって、
入口及び出口を備えるハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、モータによって回転されるロータ軸であって、少なくとも1つのポンプ要素は、前記ロータ軸に結合され、前記ハウジングによって画定された少なくとも1つのポンプチャンバ内に配置される、ロータ軸と、
前記真空ポンプの運転を制御する制御ユニットと、
前記制御ユニットに接続された少なくとも1つの湿度センサと、
を備え、
前記制御ユニットに接続され、前記真空ポンプ内の凝縮を低減するための凝縮低減手段をさらに備え、
前記制御ユニットは、前記湿度センサによって湿度を決定し、取得された湿度が予め設定された閾値を超える場合に、前記真空ポンプ内の凝縮を低減するために前記凝縮低減手段を制御するように構成されている、
ことを特徴とする真空ポンプ。
【請求項10】
前記湿度センサは、前記真空ポンプ内に、好ましくは排気管又は最後のポンプチャンバ内に配置される、及び/又は前記湿度センサは、環境の湿度を取得するために前記真空ポンプの外部に配置される、
請求項9に記載の真空ポンプ。
【請求項11】
前記凝縮低減手段は、警告信号を含み、前記制御ユニットは、決定された湿度が予め設定された閾値を超える場合に、前記警告信号を作動させる、
請求項9又は10に記載の真空ポンプ。
【請求項12】
前記凝縮低減手段は、ガス安定器弁を含み、前記制御ユニットは、決定された湿度が予め設定された閾値を超える場合に、前記ガス安定器弁が開放するように制御し、好ましくは、ガス安定器流量は、前記決定された湿度に基づいて制御される、
請求項9から11のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【請求項13】
前記凝縮低減手段は、加熱要素及び/又は冷却要素を含み、前記制御ユニットは、決定された湿度が予め設定された閾値を超える場合に、前記加熱要素及び/又は前記冷却要素の温度が上昇するように制御し、好ましくは、前記温度は、前記取得された湿度に基づいて上昇する、
請求項9から12のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【請求項14】
前記凝縮低減手段は、入口弁及び/又は出口弁を含み、前記真空ポンプの運転停止時に、前記入口弁及び/又は前記出口弁は閉鎖される、
請求項9から13のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【請求項15】
前記真空ポンプの運転停止時に、前記制御ユニットは、前記真空ポンプ内の湿度が第2の閾値未満になるまで又は予め設定された時間だけ、前記真空ポンプを作動させ続けるように構成されている、
請求項9から14のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプを運転する方法及び真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプは、ポンプチャンバを画定するハウジングを備える。ロータ軸は、ハウジング内に配置され、軸受によって回転可能に支持され、ロータ軸は、電気モータによって回転され、ハウジングに結合されたステータと相互作用する少なくとも1つのポンプ要素を備える。ロータ軸の回転により、ガス状媒体は真空ポンプの入口から出口へと送られる。
【0003】
水分を多く含むガスをポンプ送給する場合、この水分が真空ポンプ内の高圧領域で凝縮するリスクがある。これは、例えば材料が錆びる可能性又は潤滑油の品質が劣化する可能性など、ポンプの部品を損傷させる可能性がある。そのため、凝縮を回避する必要がある。詳細には、多くの乾式真空ポンプの内部は、鋳鉄など、水の存在下で激しい腐食を受ける材料でできている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、凝縮を回避するための真空ポンプの運転方法及びそのような真空ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
解決手段は、請求項1に記載の真空ポンプを運転する方法によって提供され、さらに請求項8に記載の真空ポンプによって提供される。
真空ポンプを運転するための本発明による方法は、
真空ポンプ内の湿度及び/又は真空ポンプの環境の湿度を決定するステップと、
決定された湿度が予め設定された閾値を超える場合、真空ポンプ内の湿度を低減するために凝縮低減手段を制御するための制御信号を生成する及び/又は警告信号を生成するステップと、
を含む。
【0006】
従って、最初のステップでは、真空ポンプ内の湿度、詳細には移送されるガス状媒体の含水量が決定される。代替的又は付加的に、真空ポンプの環境、すなわち真空ポンプの外部の湿度が決定される。代替的又は付加的に、真空ポンプの環境の湿度と真空ポンプ内部の湿度の差が決定される。第2のステップでは、決定された湿度に基づいて、決定された湿度が予め設定された閾値を超える場合に制御信号が生成される。制御信号により、真空ポンプの凝縮低減手段が制御される。従って、凝縮低減手段により、ポンプ送給された水蒸気が希釈され、凝縮を回避するために水の分圧が局所蒸気圧未満に低減される、及び/又は凝縮低減手段により、真空ポンプ内で凝縮した水が蒸発し、乾燥ステップでシステムから除去される。従って、湿度を決定し、予め設定された閾値に基づいてそれぞれの制御信号を生成することにより、真空ポンプの使用者の経験又は判断に依存しない真空ポンプの信頼性の高い運転が提供される。
【0007】
好ましくは、湿度は、真空ポンプの排気管において及び/又は真空ポンプのガス流れの順の最後のポンプチャンバにおいて決定される。このように、湿度は、通常凝縮が起こる高圧領域で測定される。これにより、水蒸気又は移送されるガス状媒体の湿度が決定され、湿度の決定は、凝縮を回避する必要がある現場で直接行われる。
【0008】
好ましくは、凝縮低減手段は、制御信号によって開放されるガス安定器を含む。詳細には、真空ポンプ内の湿度が決定され、予め設定された閾値を超える場合、真空ポンプの環境から乾燥空気を吸い込むためにガス安定器が開放される。詳細には、真空ポンプ内の湿度が真空ポンプの環境の湿度を超える場合、ガス安定器が開放される。その後、真空ポンプ内の水蒸気は、安定器を開放することで真空ポンプ内の環境の乾燥空気で希釈され、結果として真空ポンプ内の凝縮が回避される。
【0009】
好ましくは、制御信号によってガス安定器の流量が制御され、詳細には真空ポンプ内の決定された湿度に基づいて増加される。従って、真空ポンプ内の湿度が増加すると、ガス安定器流量が増加され、それによって真空ポンプの環境から乾燥空気が真空ポンプ内に導入され、水蒸気が希釈されて凝縮が回避される。その点で、好ましくは、真空ポンプの環境の湿度も決定され、環境の湿度が真空ポンプ内の湿度に満たない場合にのみ、ガス安定器流量が増加される。従って、真空ポンプの性能を不必要に低下させることなく、真空ポンプ内の凝縮を回避するために、真空ポンプ内で決定された湿度に対するガス安定器流量の連続的な適合が行われる。
【0010】
好ましくは、凝縮低減手段は加熱要素を含み、凝縮を回避するために、制御信号により、真空ポンプの加熱要素の加熱温度を上昇させて、真空ポンプ内の既に凝縮した水を蒸発させるか又は水の分圧を増加させる。代替的又は付加的に、凝縮低減手段は冷却要素を含み、真空ポンプの冷却要素の冷却温度を上昇させて温度を上昇させ、それにより同様に真空ポンプ内の水の分圧を増加させて凝縮を回避する。これは、空気又は水のような何らかの冷却剤の流量を減少させることによって行うことができる。その後、運転により、冷却効果の低下により真空ポンプの温度が上昇する。
【0011】
好ましくは、凝縮低減手段は、真空ポンプの入口の入口弁及び/又は出口の出口弁を含み、真空ポンプの運転停止時、好ましくは真空ポンプの完全停止前に、制御信号は、入口の入口弁及び/又は出口の出口弁を閉鎖するように制御する。従って、詳細には、真空ポンプの環境において湿度が予め設定された閾値を超えると決定された場合、環境からの湿度の高い空気が真空ポンプに導入されて腐食を引き起こすのを回避するために、真空ポンプの内部は待機時、すなわち非運転時に密閉される。その点で、入口に吸入弁又は出口には出口弁を予見することができる。あるいは、真空ポンプの内部を確実に密閉するために、入口の入口弁及び出口の出口弁を組み合わせて使用することもできる。
【0012】
好ましくは、真空ポンプの運転停止時に、真空ポンプは、真空ポンプ内の湿度が第2の閾値を下回るまで又は所定時間の間、作動し続ける。従って、ポンプ制御装置又はユーザからの停止信号を受け取ると、真空ポンプ内部の水蒸気を除去するために、真空ポンプの運転が一定時間維持される。その点で、腐食を回避するために、真空ポンプは、周囲から乾燥空気を吸い込み、真空ポンプ内部を乾燥させるために、ガス安定器が開放された状態で作動し続ける。詳細には、ガス安定器は、真空ポンプの環境の湿度が真空ポンプ内の湿度を下回ると決定された場合にのみ運転停止中に開放される。
【0013】
本発明のさらなる態様では、真空ポンプを運転する方法、詳細には真空ポンプを運転停止する方法が提供され、本方法は、真空ポンプの運転を停止するために停止信号を受け取るステップと、ガス安定器を開放するステップと、真空ポンプの内部を乾燥させるために、真空ポンプを所定時間の間、作動し続けるように制御するステップと、所定時間後、真空ポンプの運転を停止し、好ましくはガス安定器を閉鎖するステップと、を含む。従って、真空ポンプ内部の湿分が乾燥するまで、真空ポンプの運転が維持される。
【0014】
好ましくは、本方法は、上述した方法の特徴に従ってさらに構築される。
【0015】
本発明のさらなる態様では、入口及び出口を有するハウジングを備える真空ポンプが提供される。ロータ軸は、ハウジング内に配置され、モータ、詳細には電気モータによって回転される。その点で、少なくとも1つのポンプ要素は、ロータ軸に結合され、ハウジングによって画定された少なくとも1つのポンプチャンバ内に配置される。真空ポンプに接続された制御ユニットは、真空ポンプの運転を制御するように構成されている。さらに、真空ポンプは、制御ユニットに接続された少なくとも1つの湿度センサを備える。その点で、湿度センサによって、真空ポンプ内、詳細には最後のポンプチャンバ内の湿度が検出される。代替的又は付加的に、真空ポンプの環境、すなわち真空ポンプの外部の湿度が検出される。さらに、本発明によれば、真空ポンプは、制御ユニットに接続され、真空ポンプ内の凝縮を低減するための凝縮低減手段を備える。その点で、制御ユニットは、湿度センサにより湿度を取得し、取得した湿度が予め設定された閾値を超える場合に、凝縮を低減するために凝縮低減手段を制御するように構成されている。従って、真空ポンプ内の凝縮が効果的に回避される。
【0016】
好ましくは、湿度センサは真空ポンプ内に配置され、さらに好ましくは排気管又は最後のポンプチャンバに配置される。代替的又は追加的に、湿度センサは真空ポンプの外部に配置され、環境の湿度を取得する。
【0017】
好ましくは、凝縮低減手段は警告信号を含み、制御ユニットは、取得された湿度が予め設定された閾値を超える場合に警告信号を作動させる。従って、警告信号は、ポンプ送給される湿度の高いガス又は水蒸気による真空ポンプ内の腐食のリスクを使用者に示す。
【0018】
好ましくは、凝縮低減手段は、ガス安定器弁を含み、制御ユニットは、決定された湿度が予め設定された閾値を超える場合に、ガス安定器弁が開放するように制御し、好ましくは、ガス安定器流量は、決定された湿度に基づいて制御される。好ましくは、さらに、真空ポンプの環境の湿度が決定され、ガス安定器弁は、真空ポンプの環境の湿度が真空ポンプ内の湿度を下回る場合にのみ開放される。
【0019】
好ましくは、凝縮低減手段は、加熱要素及び/又は冷却要素を含み、制御ユニットは、取得された湿度が予め設定された閾値を超える場合に、加熱要素及び/又は冷却要素の温度が上昇するように制御する。その点で、好ましくは、温度は、取得された湿度に基づいて連続的に上昇される。従って、加熱要素及び/又は冷却要素の温度を上昇させることによって、分圧が増加し、真空ポンプ内の凝縮が回避される。
【0020】
好ましくは、凝縮低減手段は、真空ポンプの入口に配置された入口弁を含み、真空ポンプの運転停止時に、入口弁は制御ユニットによって閉鎖される。付加的又は代替的に、凝縮低減手段は、真空ポンプの出口に配置された出口弁を含み、真空ポンプの運転停止時に、出口弁は閉鎖される。その結果、入口弁及び出口弁によって、真空ポンプの環境の湿った空気が、真空ポンプが停止した後に侵入することが防止され、それにより、真空ポンプの非運転時間中の真空ポンプ内の腐食が回避される。
【0021】
好ましくは、真空ポンプの運転停止時に、制御ユニットは、真空ポンプ内の湿度が第2の閾値を下回るまで又は所定時間の間、真空ポンプを作動し続けるように構成されている。従って、真空ポンプによるガス状媒体のさらなるポンプ送給により、真空ポンプ内の水蒸気は、凝縮を回避するために第2の閾値未満に低減される。
【0022】
さらに、真空ポンプは、上述した方法の特徴に沿って開発される。同様に、上述した方法は、真空ポンプに関連して上述した特徴を含むことができる。
本発明は、添付図面を参照してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】真空ポンプの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図を参照すると、真空ポンプ10は、真空装置に接続される入口14と、環境又はバッキングポンプに接続される出口16とを備える。その点で、真空ポンプ10は、好ましくは、スクロールポンプ、スクリューポンプなどの乾式真空ポンプである。真空ポンプは、真空ポンプ10の運転を制御するために制御ユニット12に接続されている。さらに、真空ポンプ10の出口16に向かう排気管には、第1の湿度センサ20が配置され、これも制御ユニット12に接続されている。第1の湿度センサ20により、ガス状媒体の湿度が検出される。同様に、第2の湿度センサ22は、真空ポンプ10の環境内に配置され、環境内、すなわち真空ポンプ10の外側の空気の湿度を検出することもできる。第2の湿度センサ22は、真空ポンプ10の制御ユニット12に接続されている。
【0025】
真空ポンプ10は、制御ユニット12に接続されたガス安定器弁19によって制御されるガス安定器18を備える。さらに、入口弁24は、真空ポンプ10の入口14に接続され、制御ユニット12にも接続され、制御ユニット12によって制御される。同様に、真空ポンプ10の出口16には出口弁26が配置され、同様に制御ユニット12に接続されている。
【0026】
真空ポンプ10の排気管の第1の湿度センサ20によって、予め設定された閾値を超える湿度が検出された場合、制御ユニット12は、真空ポンプ10内の湿度が高すぎて、真空ポンプ10内で水蒸気が凝縮し、真空ポンプ10の部品の腐食及び損傷を引き起こすリスクがあることを真空ポンプ10の使用者に警告するために、警告信号を生成することができる。
【0027】
さらに、制御ユニット12は、真空ポンプ内の湿度を低減するための1又は2以上の凝縮低減手段、すなわち、ガス安定器弁19、入口弁24、出口弁26、真空ポンプに接続された加熱要素及び/又は冷却要素(図示せず)、又は真空ポンプ10自体を制御するための制御信号を生成することができる。
【0028】
第1の湿度センサ20によって検出された検出湿度が予め設定された閾値を超える場合、制御ユニット12は、ガス安定器弁19を制御してガス安定器を開放するための制御信号を生成する。この場合、真空ポンプ内の凝縮を回避するために、真空ポンプ10の外部からの空気が真空ポンプ内に吸い込まれ、それにより、ポンプ送給された水蒸気が希釈され(delude)、その結果、水の分圧が局所分圧以下に低下する。その点で、ガス安定器流量は、湿度センサ20によって測定された測定湿度に基づいて、ガス安定器弁19によって連続的に制御することができる。さらに、真空ポンプ10の環境の第2の湿度センサ22によって検出された湿度が、真空ポンプ10の排気管の第1の湿度センサ20によって検出された湿度を超える場合、真空ポンプ10内の湿度のさらなる蓄積を避けるために、ガス安定器弁19は開放されない。
【0029】
真空ポンプ10の停止又は運転停止、すなわち真空ポンプ10の運転を停止するための停止信号を受け取ると、制御ユニット12は、真空ポンプ10の内部に現在ある水蒸気を出口16に運び、それによって真空ポンプ10の内部を乾燥させるために、真空ポンプ10を作動し続けるように制御する。これは、真空ポンプ10の排気管の第1の湿度センサ20によって検出された湿度が第2の閾値を下回るまで、又は予め設定された時間だけ行うことができる。さらに、真空ポンプ10を作動し続ける乾燥プロセスの間、真空ポンプの環境から乾燥した空気を吸い込むために、入口弁24を閉鎖すること、及び/又はガス安定器弁19を開放することができる。その点で、第2の湿度センサ22によって検出された真空ポンプの環境中の湿度が、真空ポンプ10内の湿度を超える場合、ガス安定器弁は開放されない。この場合、ガス安定器弁19が開放されると、真空ポンプ10内にさらに湿度が蓄積し、真空ポンプ10内の乾燥が妨げられることになる。
【0030】
真空ポンプ10の停止時、環境からの水分又は湿度が真空ポンプ10に吸い込まれるのを回避するために、真空ポンプ10の環境の第2の湿度センサ22によって検出された湿度が予め設定された閾値を超える場合、入口24及び/又は出口弁26は、真空ポンプ10の内部を密閉するために閉鎖される。その前に又は同時に、ガス安定器弁19が閉鎖される。従って、真空ポンプが作動していない時間、すなわち非運転時間中、真空ポンプ10の内部は、入口弁24及び出口弁26を閉鎖することによって乾燥状態に保たれ、それによって真空ポンプ10の内部の腐食が回避される。
【0031】
その点で、図の実施形態では、真空ポンプ内の凝縮及び湿分の蓄積を回避するいくつかの異なる方法が開示されており、これらは一緒に組み合わせること又は個別に使用することもできる。その点で、一実施形態では、ガス安定器18が存在しない場合、真空ポンプ10の非運転時の腐食を回避するために、入口弁24及び/又は出口弁26が存在することができる。同じ又は別の実施形態では、制御ユニット12は、真空ポンプ10が完全に停止する前に真空ポンプ10の内部を乾燥させるために、停止プロセス中に真空ポンプ10が作動し続けるように制御するように構成することができる。
【0032】
一実施形態では、ガス安定器18及びガス安定器弁19は、入口弁24及び/又は出口弁26なしで使用することができる。
【0033】
一実施形態では、環境の湿度を検出するための第2の湿度センサ22が存在しない。いくつかの実施形態では、環境の湿度を検出するための第2の湿度センサ22のみが、第2の湿度センサ22によって検出された湿度によって入口弁24及び/又は出口弁26が制御されるように存在する。同様に、湿度センサ22なしで第1の湿度センサ20のみが存在する。
【0034】
一実施形態では、凝縮を回避するために、加熱要素及び/又は冷却要素を使用することができる。これは、ガス安定器18及びガス安定器弁19の有無にかかわらず行うことができる。同様に、加熱要素及び/又は冷却要素は、入口弁24及び出口弁26と自由に組み合わせることができる。
【0035】
一実施形態では、真空ポンプ10の排気管の第1の湿度センサ20のみが存在し、制御ユニット12は、真空ポンプ内部を乾燥させるために、単に運転停止処理中に真空ポンプ10を作動し続けるように構成することができる。その点で、この実施形態では、ガス安定器18が存在せず、さらに入口弁及び/又は出口弁26が存在しなくてもよい。
【0036】
従って、ガス安定器18による乾燥空気の導入、運転が完全に停止する前の真空ポンプ10の内部の乾燥、加熱要素/冷却要素の温度の適合による真空ポンプの温度の適合、又は入口弁24及び/又は出口弁26による真空ポンプ10の内部の密閉のいずれかによって、真空ポンプ内の腐食を効果的に回避するために、異なる凝縮低減手段及び湿度の検出を自由に組み合わせることができる。
図1
【国際調査報告】