IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ツェーハーエー-モートーア アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2024-510012回転電気機械装置、およびステーター巻線の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】回転電気機械装置、およびステーター巻線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20240227BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20240227BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H02K3/04 E
H02K15/04 C
H02K21/14 G
H02K21/14 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557144
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2022057161
(87)【国際公開番号】W WO2022195080
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/057125
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523352446
【氏名又は名称】ツェーハーエー-モートーア アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハラー、ヴォルター
【テーマコード(参考)】
5H603
5H615
5H621
【Fターム(参考)】
5H603BB01
5H603BB02
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CC02
5H603CC19
5H603CD06
5H603CD11
5H603CE03
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP13
5H615PP14
5H615QQ06
5H615QQ19
5H615QQ26
5H615SS10
5H615SS11
5H621BB06
5H621BB10
(57)【要約】
本開示は、それぞれ、ケーシング(11)の内側表面(111)または外側表面(112)に隣接して配置された環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)を備える回転電気機械装置(1)であって、ステーター(12)は、2つの層(21、22)を有する連続的なヘアピン巻線(2)を含む、回転電気機械装置(1);連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための方法であって、平らな螺旋状のリボンを形成するために複数のワイヤ(3)のリボンを続けて折り重ねるステップと、直線セグメント(33)を、平らな螺旋状のリボンの各ワイヤ(3)となるように曲げて、それによって、平らな略螺旋状のリボンを形成するステップと、円筒状の連続的なヘアピン巻線(2)を形成するために、直線セグメント(33)が円筒形状の円筒軸に略平行に延びる状態で、平らな略螺旋状のリボンを、円筒形状となるように巻くステップと、を含む方法;および、連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための折り返し装置、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状の内側表面(111)および/または略円筒状の外側表面(112)を有するケーシング(11)と、
それぞれ、前記ケーシング(11)の前記略円筒状の内側表面(111)または前記略円筒状の外側表面(112)に隣接して配置された環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)であって、少なくとも2つの層(21、22)を有する連続的なヘアピン巻線(2)を含む、環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)と、
前記アイアンレス・ステーター(12)と同軸上に配置されるローター(13)と、
を備える、回転電気機械装置(1)。
【請求項2】
前記ケーシング(11)は、略円筒状の内側表面(111)を有し、前記ステーター(12)は、前記ケーシング(11)の前記内側表面(111)に隣接して前記ケーシング(11)の内側に配置される、請求項1に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項3】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、1つまたは複数の略矩形状のまたは平坦な絶縁されたワイヤ(3)から成り、好ましくは、高さに対する幅の比が、1:1:~5:1の範囲である、より好ましくは、2:1であるワイヤ(3)から成る、請求項1または2に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項4】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、複数のインターレースされた相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を備え、
各相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)は、1つまたは複数の隣り合うワイヤ(3)から成り、好ましくは、1つ~5つの隣り合うワイヤ(3)を備え、より好ましくは、1つのワイヤ(3)を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項5】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、複数のインターレースされた相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を備え、
各相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)は、単一で途切れのないワイヤ(3)から成り、前記ワイヤ(3)は、前記ステーター(12)の環状円筒形のまわりに複数のターン、好ましくは、3つのターンまたは5つのターン、を有し、
特に、前記複数のターンは、請求項22に記載の方法によって形成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項6】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、2組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)、前記ステーター(2)の前記環状円筒形に沿って第1方向に延びる相巻線(U1、V1、W1)の第1の組と、前記ステーター(12)の前記環状円筒形に沿って、第1方向とは反対の第2の方向に延びる相巻線(U2、V2、W2)の第2の組と、を備え、
両方の組は、前記ステーター(12)の軸方向(A)から見たときに、60°未満、好ましくは、45°未満の方位角(ψ)の範囲内で、前記ステーター(12)の同じ端上に入力リード線(23)を有する、
請求項4または5に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項7】
前記ケーシング(11)の前記略円筒状の内側表面(111)および/または前記略円筒状の外側表面(112)は、前記環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)の軸方向に沿って延在し、または、環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)の軸方向に沿ってその長さの3分の1より長く、好ましくは半分より長く、より好ましくは3分の2より長く延在する、請求項1~6のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項8】
前記ワイヤ(3)の折り返し領域(35)、特に、折り返しセグメント(35)の外側半径が、前記第1の層(21)の外側表面を越えて延在せず、前記第2の層(22)の外側表面を越えて延在しない、請求項1~7のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項9】
前記ローター(13)は、前記回転電気機械装置(1)が空の内側の円筒状領域を有するように環状円筒形である、請求項1~8のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項10】
回転電気機械装置(1)であって、
前記回転電気機械装置(1)は、前記ローター(13)の内側に追加のステーターをさらに備え、
前記追加のステーターは、追加の連続的なヘアピン巻線を有し、前記追加の連続的なヘアピン巻線は、特に、請求項1~9のいずれか1項に記載の連続的なヘアピン巻線(2)である、
請求項9に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項11】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、硬化可能なポッティング材料によって、封入されおよび/または前記ケーシング(11)に固定される、請求項1~10のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項12】
前記ケーシング(11)は、環状円筒形ケーシング(11)を形成するために螺旋状に巻かれた積層された透磁性材料の細片、好ましくは、鉄合金の細片を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項13】
前記回転電気機械装置(1)が、電気モーター、特に、ラジアルフラックスモーターである、回転電気機械装置(1)。
【請求項14】
前記回転電気機械装置(1)が、発電機、特にラジアルフラックス発電機である、回転電気機械装置(1)。
【請求項15】
アイアンレス・ステーター(12)のための連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための方法、特に、請求項1~14のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)のためのステーター(12)または追加のステーターのための連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための方法であって、
前記方法は、
複数のワイヤ(3)を直線状に並列にリボン状に配置するステップと、
前記複数のワイヤ(3)のリボンを、前記リボンの長手方向軸に沿って存在する連続した折り返し線(F)に沿って続けて第1の回転方向(R1)に、折り重ねるステップであって、前記折り返し線(F)は、連続して折り重ねられるリボンが第1の層(21)および第2の層(22)を提供する平らな螺旋状のリボンを形成するように、前記長手方向軸に対して斜角をなしている、ステップと、
略螺旋状のリボンが形成されるように、直線セグメント(33)が前記平らな螺旋状のリボンの前記折り返し線(F)に対して略垂直に延びるように各連続する折り返し線(F)の間の直線セグメント(33)を、前記平らな螺旋状のリボンの各ワイヤ(3)となるように曲げるステップと、
環状円筒形の連続的なヘアピン巻線(2)を形成するために、前記直線セグメント(33)が円筒形状の円筒軸に略平行に延びる状態で、前記平らな略螺旋状のリボンを、前記円筒形状になるように巻くステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記ワイヤ(3)の折り返しセグメント(35)の外側半径が、前記第1の層(21)の外側表面を越えて延在せず、前記第2の層(22)の外側表面を越えて延在しない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ワイヤ(3)は、矩形状のまたは平坦な絶縁されたワイヤ(3)であり、好ましくは、高さに対する幅の比が、1:1~5:1の範囲、より好ましくは、2:1であるワイヤ(3)である、
請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記ワイヤ(3)は、導体パッケージ(3a)を形成するために各々が導体絶縁体に包まれた複数の丸みを帯びた導体(31)、特に、リッツ線(31)から構成され、特に、前記導体パッケージは(3a)は、外側の絶縁体(32)に包まれる、請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の丸みを帯びた導体(31)は、互いに対して平坦な形状に、特に、平行四辺形の形状に配置され、それによって、矩形状のまたは平らにされたワイヤ(3)を形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
硬化可能なポッティング材料を使用して前記連続的なヘアピン巻線(2)をポッティングするステップをさらに含む、請求項15~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記回転電気機械装置(1)において前記連続的なヘアピン巻線(2)を取り付けるために、
略円筒状の内側表面(111)を有するケーシング(11)の中に、前記連続的なヘアピン巻線(2)を挿入するステップ、または
略円筒状の外側表面(112)を有する前記ケーシング(11)上に、または前記装置(1)の支持部上に、前記連続的なヘアピン巻線(2)を取り付けるステップ、
をさらに含む、請求項15~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、複数のインターレースされた相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を備え、各相巻線は、単一の途切れのないワイヤ(3)から成り、前記単一で途切れのないワイヤ(3)は、前記ステーター(12)の環状円筒形のまわりに複数のターン、好ましくは、3つのターンまたは5つのターン、を有し、
前記複数のターンは、
各相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)に対して1つのワイヤとなっている複数のワイヤを、前記直線状に並列に前記ワイヤ(3)の間に隙間を残してリボン状に配置することと、
隙間を有する前記平らな螺旋状のリボンを形成するために、前記複数のワイヤのリボンを、前記リボンの長手方向軸に沿って存在する連続した折り返し線(F)に沿って続けて第1の回転方向(R1)に、折り重ねることと、
戻し曲げゾーン(25)において合計で180°前記複数のワイヤ(3)を曲げることによって前記複数のワイヤを戻し曲げることと、
前記複数のワイヤ(3)が前記平らな螺旋状のリボンの隙間の中へと折り重ねられるように前記平らな螺旋状のリボンのまわりに直前の回転方向(R1、R2)とは反対の第2の回転方向(R2、R1)に前記複数のワイヤ(3)を折り重ねることと、
所望の数のターンが得られるまで、戻し曲げること、および折り重ねることを繰り返すことと、
によって形成される、
請求項15~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、2組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を有し、
特定の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)の特定の単一のワイヤ(3)は、前記戻し曲げの前に、第1の組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)に関係づけられ、かつ、前記戻し曲げの後に、第2の組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)に関係づけられるか、またはそれとは逆に関係づけられる、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記戻し曲げゾーン(25)は、前記平らな螺旋状リボンの平面に対して垂直でありかつ特にz-方向に沿う1つまたは複数の曲げ軸を備え、
前記ワイヤ(3)を戻し曲げることは、前記1つまたは複数の曲げ軸のまわりに各単一のワイヤ(3)を曲げることを含む、
請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
特定のワイヤ(3)に対して、前記戻し曲げゾーンの直前の前記ワイヤ(3)の第1の直線セグメント(33)、および前記戻し曲げゾーンの直後の前記ワイヤ(3)の第2の直線セグメント(33)は、両方とも、前記第1の層(21)または前記第2の層(22)のいずれかに属する、請求項15~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記曲げるステップは、2つのオフセット曲げ部を、前記複数のワイヤ(3)の各々となるように曲げること、を含み、それによって、前記オフセット曲げ部の間に存在し、平行で、かつ互いに対してずらされる前記直線セグメント(33)を提供し、それによって、曲げの後のリボンの前記略螺旋状の形状を形成する、
請求項15~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記巻くステップの後に、前記連続的なヘアピンステーター巻線(2)が重複領域を形成し、当該重複領域において、以前は前記平らな螺旋状のリボンの第1の端部に位置する第1の層(21)が、以前は前記平らな螺旋状のリボンの第2の端部に位置する第2の層(22)と重なる、
請求項15~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
折り返し装置(4)を使用し連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための方法、特に、請求項15~27のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記折り返し装置(4)は、折り返し部材(41)を備え、
前記折り返し部材(41)は、
第1の面(411)および第2の面(412)と、
スペーサ要素(413)と、
そのまわりに前記折り返し部材(41)が回転可能である折り返し軸(414)と、
を有し、
複数のワイヤ(3)のリボンを折り重ねることは、
前記折り返し軸(414)に対して傾斜角をなして前記折り返し部材(41)の前記第1の面(411)に横切って前記複数のワイヤ(3)の前記リボンを配置するステップであって、前記複数のワイヤ(3)は、前記スペーサ要素(413)によって分離される、ステップと、
前記リボンが前記折り返し部材(41)の前記第1の面(411)および前記第2の面(412)のまわりに連続的に繰り返し巻かれ、それによって、前記平らな螺旋状リボンを形成するように、前記折り返し部材(41)を、前記折り返し軸(414)のまわりに回転させるステップと、
を備える、
方法。
【請求項29】
前記折り返し装置(4)は、1つまたは複数のワイヤコーム(42)をさらに備え、
前記直線セグメント(33)を前記平らにされた螺旋状のリボンの各ワイヤ3となるように曲げ、それによって、略螺旋状のリボンを形成することは、
前記1つまたは複数のワイヤコーム(42)を、前記平らな螺旋状のリボンのワイヤ(3)と、特に、前記平らな螺旋状のリボンの複数のまたは全てのワイヤ(3)と同時に、係合させるステップと、
前記オフセット曲げ部を各ワイヤ(3)となるように曲げてかつそれらの間で直線セグメント(33)を曲げるために、前記ワイヤ(3)の長さに関して前記1つまたは複数のワイヤコーム(42)を横方向にずらすステップと、
を含む、
連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ワイヤコーム(42c、42d)の少なくとも1つは、前記連続的なヘアピン巻線(2)を製造するために、前記ワイヤコーム(42e、42f)の別のものに対して、前記折り返し装置(4)の前記折り返し軸(414)に平行な反対方向に、横方向にずらされる、
連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記折り返し部材(41)は、保持部材(415、416、417)を備え、前記保持部材(415、416、417)上へと前記平らな螺旋状のリボンが、折り重ねられ、前記保持部材(415、416、417)は、平面においてかつ互いの隣に配置されかつ隙間(417)によって分離された2つの平坦な板(415、416)によって形成され、
前記連続的なヘアピン巻線(2)の製造は、前記保持部材(415、416、417)を、前記平坦な螺旋状のリボンから除去するステップをさらに含み、
前記保持部材(415、416、417)を前記平坦な螺旋状のリボンから除去する前記ステップは、
前記隙間(417)を減らすために前記平坦な板(415、416)をともに移動させることと、
前記平坦な板(415、416)を、前記折り重ねられた平らにされた略螺旋状のリボンからから引き出すこと
によって行われる、
連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記折り返し装置(4)は、特にz-方向に沿って延在させた1つまたは複数の戻し曲げ部材(43)を備え、
前記ワイヤ(3)を戻し曲げることは、
特に、前記平らにされた螺旋状のリボンの第1の平面において、前記折り返し装置(4)を、前記1つまたは複数の戻し曲げ部材(43)のまわりに回転させるステップであって、前記第1の平面は、前記巻くステップの前において前記第1および第2の層(21、22)に平行である、ステップ、
を含む、
請求項28~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記単一のワイヤ(3)を戻し曲げることは、
同じ戻し曲げ部材のまわりにおいて所定の組のワイヤ(3)を戻し曲げるステップであって、前記所定の組の各ワイヤ(3)は、同じ前記戻し曲げ部材(43)上において異なる高さ位置において、曲げられる、ステップ、
を含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ワイヤ(3)を戻し曲げることは、
特に合計で180°の戻し曲げを完了させた後、前記ワイヤ(3)の各々が、前記z-方向に直交する平面において他のいずれのワイヤ(3)とも重ならないように、前記戻し曲げ部材(43)を配置するステップ、
を含む、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための折り返し装置(4)であって、
前記折り返し装置(4)は、
折り返し軸(414)のまわりに回転可能な折り返し部材(41)であって、第1の面411(411)および第2の面(412)を有する折り返し部材(41)と、
ワイヤ(3)を受容しかつそれらの間隔を空けるように構成されたスペーサ要素(413)と、
を備える、
折り返し装置(4)。
【請求項36】
前記折り返し装置(4)は、前記ワイヤ(3)と係合するように構成された1つまたは複数のワイヤコーム(42)をさらに備え、
前記ワイヤコーム(42)は、前記折り返し装置(4)の前記折り返し軸(414)に平行な方向に、前記折り返し部材(41)に沿ってずらされることが可能である、
請求項35に記載の折り返し装置(4)。
【請求項37】
前記ワイヤコーム(42c、42e)のうちの少なくとも1つは、前記連続的なヘアピン巻線(2)を製造するために、前記折り返し装置(4)の前記折り返し軸(414)に平行な反対方向に、前記ワイヤコーム(42d、42f)のうちの別のものに対して直線的にずらされる、
請求項36に記載の折り返し装置(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械装置、ステーター巻線の製造方法、およびステーター巻線を製造するための折り返し装置に関する。また、本発明は、ステーター巻線の製造方法によって得られるステーター巻線に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モーターおよび発電機などの回転電気機械装置が、公知であり、多くの国内の工業的適用および自動車の用途において使用され、それらの意図した使用に応じて、多くの大きさと種類において利用可能である。多くの電気機械装置において、ステーターの電気巻線に印加された交流電流が、回転電磁場を生成し、これがローターにおけるトルクを引き起こす。ローターは、例えば、回転電磁場と相互作用する一組の永久磁石、ローターコイルまたはローター巻線、ローター導体であって、誘導された電流が当該ローター導体を通じて電磁場を生成する、ローター導体、または、軟磁性材料であって、当該軟磁性材料においてローターの非永久磁極が誘導される、軟磁性材料、を有する。
【0003】
電気モーターまたは発電機は、一般的に、ステーター鉄とステーター巻線とを有するステーターを有する。ステーター巻線は、ステーター鉄のスロットの内部に配置される。ステーター鉄は、一般的に、磁性合金材料の積層されたシートのスタックであり、磁束を方向付けるための媒体の機能と、ステーター巻線を構造的に支持する機能とを有する。ステーター巻線は、ステーター鉄のスロットにおいてステーターの内側で巻かれるリッツ線、または、ステーター鉄のスロットの中に挿入され、例えば、レーザー溶接を使用することによって共に電気的に結合される単一のヘアピン巻線セグメント、などの様々な形態の導体を備える。
【0004】
しかし、アイアンレスモーターは、内側において高い透磁性の材料も、巻線の領域の中へと延在する材料も有していない。
【0005】
アイアンレスモーターは、一般的に、例えば、独国特許出願公開第3401776号明細書および独国特許発明第4414527号明細書に開示されるようなコイルの簡単な巻線を有する。独国特許出願公開第102011111352号明細書、米国特許第4924125号明細書、および米国特許第4211452号明細書などのさらなる先行技術は、電気的接続要素によって互いに機械的に結合された、回転軸に平行な直線状の導電性セグメントを備える巻線を示す。
【0006】
独国特許出願公開第102005051059号明細書には、複数の単一巻線コイルで形成されたアイアンレス巻線を有する電気モーターであって、単一コイルが、屋根瓦のように互いに重なる、電気モーターが開示されている。
【0007】
米国特許出願公開第2013/0300241号明細書には、回転軸に対して傾斜した角度で環状円筒形ボビンのまわりに巻かれた複数の巻線を備える円筒状のアイアンレス・ステーターコイルが開示されている。
【0008】
国際公開第2008/119120号には、波巻きの配置、およびその製造方法が、開示されている。
【0009】
米国特許出願公開第2013/0241369号明細書には、自動車用回転電気機械、および巻線アセンブリの製造方法が、開示されている。
【0010】
欧州特許出願公開第1469579号明細書には、電気回転機械、特に、車両用発電機などの電気回転機械に含まれるステーターが、開示されている。
【発明の概要】
【0011】
本明細書に開示される実施形態の目的は、先行技術の1つまたは複数の不利益を克服する、回転電気機械装置、そのような回転電気機械装置のためのステーター巻線の製造方法、およびそのようなステーター巻線を製造するための折り返し装置を、提供することである。
【0012】
特に、本明細書に開示された実施形態の目的は、先行技術から知られているものと比べて改善された電気効率を有する回転電気機械装置、例えば、電気モーターまたは発電機、を提供することである。さらに、ステーター巻線のより速くかつよりより信頼できる製造を可能にする、そのような回転電気機械装置のためのステーター巻線の製造方法が、開示される。さらに、当該製造方法は、巻線が簡易化された方法でかつ低コストで製造されることを可能にする。これら目的は、独立請求項の主題によって達成される。加えて、さらに有利な実施形態は、従属請求項、請求項の組み合わせから、ならびに明細書および図から明らかになる。その中では、様々な実施形態を、排他的な代替物である場合を除き、一般的に、互いに組み合わせることが可能である。
【0013】
本開示は、回転電気機械装置であって、当該装置が内側ローターを有するかまたは外側ローターを有するかに応じて略円筒状の内側表面および/または外側表面を有するケーシングを備える回転電気機械装置に関する。略円筒状という用語は、「円筒形状から逸脱するかまたは逸脱しない円筒状のマントルの形状を含む。環状円筒形ステーターは、内側ローターの場合においてはケーシングの略円筒状の内側表面に隣接して、または、外側ローターの場合においてはケーシングの略円筒状の外側表面に隣接して、それぞれ、配置され、ステーターは、少なくとも2つの層、特に、ちょうど2つの層または2つの倍数の層、を有する連続的なヘアピン巻線を含む。ケーシングは、環状円筒形アイアンレス・ステーターのための支持構造として機能する。
【0014】
ローターは、内側ローターの場合にはステーターの内側、あるいは外側ローターの場合にはステーターの外側のいずれかに、アイアンレス・ステーターと同軸上に配置される。
【0015】
当該装置は、固定して配置されたステーターと、回転可能なローターと、を含む。回転電気機械装置は、例えば、電気モーターまたは発電機である。特に、当該装置は、リング状電気モーターまたはリング状発電機であり、および/または、特に、ラジアルフラックス電気モーターまたはラジアルフラックス・発電機である。ステーターがケーシングの内側に配置されるかまたはケーシングの外側に配置されるかに応じて、ケーシングは、略円筒状の内側表面または外側表面、あるいはその両方を有する。ケーシングの円筒状内側および/または外側表面は、大きな突起のない略円筒状である。特に、ケーシングの内側および/または外側表面は、連続的なヘアピン巻線を受容するように構成されたスロットを有していない。ケーシングは、ステーターの領域の中へ、特に、連続的なヘアピン巻線の領域の中へと延在しないので、ステーターは、一般に、アイアンレス・ステーターと呼ばれ、高い透磁性の材料が巻線の内側にないか、巻線の領域まで延びていない。
【0016】
アイアンレス・ステーターを有することの有利な点は、当該電気機械装置がより高い電気効率を有し、径方向の寸法においてより少なくスペースしか必要とせず、特に、低減された径方向の寸法の環状円筒形に製造できることである。さらに、アイアンレス・ステーターを有する当該電気機械装置は、顕著なコギング効果を有さない。しかし、現在まで、アイアンレスモーターは、一般的に、小さいサイズのかつ小さいパワーの電気モーターにのみに適用されるか、または小さいサイズのかつ小さいパワーの電気モーターに主に適用されてきた。高性能のステーターおよび/またはローター巻線がないために、アイアンレスモーターは、産業上の適用または自動車への適用などの、電気的にハイパワーの適用において、これまでのところ広く使用されてこなかった。
【0017】
本発明の連続的なヘアピン巻線は、ヘアピンの形をしたワイヤであって、ローターの回転軸と同軸上にある連続的なヘアピン巻線の円筒軸に平行に延びる直線状の巻線セグメントを提供するワイヤを備えている。第1の直線状のセグメントの隣に、当該直線状セグメントの一端または両端上において、ワイヤは、続く第2の直線状セグメントが第1の直線状セグメントと逆並列に離れて延びるように、折り返されて曲げられる。ヘアピン巻線は、1つ、2つ、または少数の直線状セグメントを備えることによって定められる各ヘアピン巻線セクションが次のヘアピン巻線セクションと連続するという点で連続的である。特に、溶接、はんだ付け、または同様の技術によって引き起こされるヘアピン巻線セクションの間の電気的接合の必要がない。しかし、連続的なヘアピン巻線のワイヤは、以下において詳細に説明されるように、例えば、連続的なヘアピン巻線の異なる相をスターグラウンドするまたはデルタ結線するために、なんらかの溶接または同様の技術によって、それらの端部において最終的に結合されてもよい。連続的なヘアピン巻線は、径方向から見たときに一方が他方の上にある2層のヘアピンワイヤを有する。連続的なステーター巻線の周りにおいて見たときに、所定のワイヤが、例えば、第1の層から第2の層へと、またはその反対に位置を変える。第1の直線状セグメントが第1の層に配置され、その後、第2の、後に続く、または次の直線状セグメントが第2の層に配置される。
【0018】
一実施形態において、ケーシングは、略円筒状の内側表面または円筒状のマントル表面を有する。ステーターは、ケーシングの円筒状内側表面に隣り合ってケーシングの内側に配置される。この実施形態において、ローターは、内側ローターである。
【0019】
1つの実施形態において、内側ローターは、それ自身、当該電気機械装置が円筒形状の空の領域を部分的に囲むような、リング-円筒状ローターである。このことが、例えば、特定の適用に対するリング-形状モーターを組み立てることを可能にする。
【0020】
1つの実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、1つまたは複数の略矩形のまたは平らなワイヤであって、絶縁されたワイヤから成る。好ましくは、ワイヤは、1:1~5:1の範囲で高さに対する幅のアスペクト比を有する。より好ましくは、当該アスペクト比は、2:1である。特定のアスペクト比が、当該装置の適用に応じて選択される。ワイヤは、引き出されるか、または巻かれるかのいずれかである。ワイヤは、好ましくは銅で作られた導電コアと、外側の絶縁層と、を有する。さらに、ワイヤのコーナー半径の形状も、用途、特に、ワイヤの外側の絶縁層の設計に依存する。
【0021】
一実施形態において、ワイヤは、導体パッケージを形成するために各々が導体絶縁体に包まれた複数の丸みを帯びた導体、特に、リッツ線から構成され、特に、導体パッケージは、外側の絶縁体に包まれる。
【0022】
一実施形態において、複数の丸みを帯びた導体は、互いに平坦な形状に、特に、平行四辺形の形状に配置され、それによって、矩形状のまたは平らなワイヤを形成する。
【0023】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、複数のインターレースされた相巻線を備えることが可能であり、各相巻線は、1つまたは複数の隣り合うワイヤから成り、好ましくは、1つ~5つの隣り合うワイヤを備え、より好ましくは、1つ~3つの隣り合うワイヤを備える。好ましくは、各相が交流電源によって駆動される3つの相巻線が使用され、各相巻線は、他の相巻線に関して120°の位相角だけシフトされた電流によって駆動される。各相巻線が有するワイヤの数は、用途に依存する。特に、当該数は、ステーターが構成される誘導電磁気極の数と、使用されるワイヤのアスペクト比と、に依存する。より少数のワイヤが、アイアンレス・ステーターにおける導体のフィルファクターを大きくする。例えば、所定の相巻線の全てのワイヤを共に電気的に結合するために、各相巻線のワイヤは、入力リード線が配置される領域のみにおいて、共に電気的に結合されてもよい。各相巻線のワイヤは、(星型結線としても知られる)スターグラウンドまたはデルタ結線を形成するために電気的に結合させることも可能である。
【0024】
代替的な実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、複数のインターレースされた相巻線を備えることが可能である。各相巻き線は、ステーターの周りに複数のターン、好ましくは3つのターンまたは5つのターンを有する単一で途切れのないワイヤから成る。この実施形態において、例えば溶接または同様のものによるより少数の電気的接合が必要とされ、または、当該電気的接合を必要としない。なぜなら各相巻線は、単一で途切れのないワイヤのみから成るからである。ターンの数は、ステーターに必要とされる円筒形状に巻かれるときに所定のヘアピンワイヤが連続的なヘアピン巻線を1周する回数を指す。つまり、ターンの数は、円筒形状に巻かれる前の略平面形状である時に、例えば、平面形状に沿って前方向に延びるときに、または平面形状に沿って後方向に延びる戻し曲げを作った後、所定のヘアピンワイヤが当該ヘアピン巻線に沿って延びる回数のことも指す。各ワイヤは、所定のターンにおいて当該ワイヤが同じワイヤの別のターンに隣り合うようにして配置できる。特に、各ワイヤは、同じワイヤの隣り合うターンが連続的なヘアピン巻線によって生成されることになる磁場に寄与するのに役立つように所定のターンにおいて当該ワイヤが別のターンにおける同じワイヤに隣り合うように配置できる。別の実施形態において、各ワイヤは、所定のターンにおいて当該ワイヤが同じワイヤの別のターンと隣り合わないように配置できる。別の実施形態において、各ワイヤは、所定のターンが別のターンにおいて対応するローターの1つまたは複数の極距離だけ同じワイヤに対してオフセットされるように配置できる。後者の場合において、ワイヤはいわゆる極オフセットを有する。ここでは、同じワイヤの隣り合わないターンが、ローターの対応する隣り合わない極において連続的なヘアピン巻線によって生成されることになる磁場に寄与する。
【0025】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、2組の相巻線を有する。第1の組の相巻線は、第1の方向にステーターの円筒状の形状のまわりに延びるかまたは周回するかあるいは当該円筒状の形状を1周する。第2の組の相巻線は、第1の方向とは反対の第2の方向にステーターを周回する。ステーターの軸方向から見たときに、両方の組は、ステーターの同じ端部に入力リード線を有し、60°未満、好ましくは、45°未満の方位角ψの範囲内にある。第2の組の相巻線を、逆相巻線と呼ぶこともできる。したがって、第1の組の相巻線の各々は、第2の組の(逆)相巻線の対応する逆相巻線を有する。第1の組の相巻線のワイヤおよび対応する相巻線の対応するワイヤが相互に補強する電磁場を生成するように相巻線が配置された状態で、第1の組の相巻線、および第2の組の対応する相巻線が、同相に、電気的に作動される。
【0026】
一実施形態において、ケーシングの略円筒状の内側表面および/または略円筒状の外側表面は、環状円筒形アイアンレス・ステーターの軸方向の延在の3分の1超、好ましくは半分超、より好ましくは3分の2超の延在に沿って延在する。つまり、ケーシングは、環状円筒形アイアンレス・ステーターを、その軸方向の延在の大部分に沿って支持して保持する。このことが、ケーシングおよびアイアンレス・ステーターのアセンブリの安定性を高める。さらに、本実施形態は、ケーシングと環状円筒形アイアンレス・ステーターとの間の接続要素が当該装置の関連のある部分上においてより簡単に組み立てることができるという利益を生み出す。加えて、本実施形態は、回転電気機械装置の動作の間の不均衡の可能性を低減する。別の実施形態によれば、ケーシングの略円筒状の内側表面および/または略円筒状の外側表面は、環状円筒形アイアンレス・ステーターの全体の軸方向延在に沿って延在する。
【0027】
本実施形態は、回転電気機械装置の全体の安定性をさらに高め、特に、所望の形状でヘアピン巻線を備える全体の環状円筒形アイアンレス・ステーターを保持することの助けとなる。加えて、もしアイアンレス・ステーターが、ケーシングの範囲内に全体的に配置されれば、それは、機械的な損傷、衝撃、および汚染から好適に保護される。もし、アイアンレス・ステーターが、ケーシングによって部分的にのみ覆われていれば、アイアンレス・ステーターの少なくとも覆われている部分は、ケーシングによって保護される。
【0028】
回転電気機械装置の1つの実施形態、または連続的なヘアピン巻線を製造するための方法の1つの実施形態において、ワイヤの折り返し領域、特に、折り返しセグメントの外側半径は、第1の層の外面または包絡面を越えて延在せず、第2の層の外面または包絡面を越えて延在しない。
【0029】
第1の組の相巻線の所定の相巻線、および第2の組の相巻線の対応する相巻線が、同じ単一で途切れのないワイヤから形成される実施形態において、当該ワイヤは、連続的なヘアピン巻線において、偶数個の総ターン数、より好ましくは、6個のターンまたは10個のターン、を有する。本実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、好ましくは、3本のワイヤから成り、これらワイヤが各々、所定の数のターンにおいて、所定の相巻線を形成し、同数のターンにおいて、逆相巻線を形成する。
【0030】
一実施形態において、回転電気機械装置は、連続的なヘアピン巻線に供給される電流によって駆動される電気モーターとして構成される。それによって、トルクがローターにおいて生成される。
【0031】
一実施形態において、回転電気機械装置は、ローターに加えたトルクから電流を生成する発電機として、構成される。
【0032】
一実施形態において、ローターは、回転電気機械装置が空の内側の円筒状領域を有するように環状円筒形である。回転電気機械装置は、環状円筒形ローターの内側に追加のステーターをさらに備えることができる。特に、追加のステーターは、追加の連続的なヘアピン巻線であって、本明細書において開示されるような連続的なヘアピン巻線として特に設計される追加のヘアピン巻を有することができる。追加のステーターは、ローターを付加的に駆動するために使用できる。追加のステーターは、回転電気機械装置の支持部に取り付けることができる。
【0033】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線が、硬化可能なポッティング材料によって、封入されるおよび/またはケーシングに固定されることが可能である。
【0034】
一実施形態において、ケーシングは、積層された透磁性材料のスタック、好ましくは、鉄合金のスタックを備えることができる。この積層スタックは、渦電流損を低減し、磁束線を最適にする。積層スタックは、環状円筒形の形状を有する。それは、複数の環状円筒形の鉄合金板を備える。これら鉄合金板は、渦電流が1つの鉄合金板から別の鉄合金板へと通過することができないように電気的な絶縁材料において積層される。
【0035】
一実施形態において、ケーシングは、環状円筒形ケーシングの部分を形成するために螺旋状に巻かれた積層された透磁性材料の細片、好ましくは、鉄合金の細片を備える。ここで、「積層される」とは、透磁性材料が、一方の主表面上にまたは両方の主表面上に、絶縁層または絶縁コーティングを備える、ということを意味する。主表面は、細片が螺旋状の形に巻かれるときに互いに面するまたは互いに接触する細片の表面を意味する。具体的には、一定の厚さと幅の積層された透磁性材料の連続的な細片が、円筒状支持部の周りに螺旋状に巻かれ、それによって、環状円筒形のケーシングの部分を形成する螺旋状の積層スタックを形成する。螺旋状の積層スタックは、渦電流が、ケーシングの円筒軸に沿って、直接、進むことはできないが、代わりに、より長い螺旋状の経路に沿ってケーシングの円筒軸の周りを進まなければならない、という有利な点を有する。ケーシングは、上記説明したように本出願の全体を通して、好ましくは、ステーターの領域の中へ、特に、連続的なヘアピン巻線の領域の中へ延在することにはなっていない。積層された材料の当該薄い細片が、渦電流損を低減する。薄い板を積み重ねる代わりに環状円筒形を形成するために螺旋状に細片を巻くことの有利な点は、製造は簡易化され、したがって、製造時間および製造コストも著しく減らされる、ということである。加えて、1つの連続した細片から作られた環状円筒形のケーシングは、一体構造を形成する自立した環状円筒形ケーシングという結果となることができる。特に、このように形成された環状円筒形ケーシングは、薄板を積み重ねる場合と同様に、構造的支持をもたらすために軸方向貫通孔を通じて挿入されることになるピンを必要としない。そのような軸方向貫通孔およびピンを避けることによって、ケーシングは、同じ構造的安定性を達成するためにより薄く製造することが可能であり、追加の製造ステップを必要としない。
【0036】
回転電気機械装置に加えて、本発明は、アイアンレス・ステーターのための連続的なヘアピン巻線を製造するための方法に関する。特に、本方法は、本明細書において記載されたような回転電気機械装置のためのステーターまたは追加的なステーターのための連続的なヘアピン巻線を製造することに関する。本方法は、複数のワイヤを直線状に並列にリボン状に配置するステップを含む。複数のワイヤをリボン状に配置することを、前のステップにおいて行うことができる。例えば、ドラム上に、好ましくは、ワイヤが弾性的にのみ曲げられてしたがって曲げられずに直線状にドラムから外れるほど十分大きなドラム上に複数のワイヤを巻くときに、行うことができる。複数のワイヤを配置することは、異なるドラムからの複数のワイヤを並列にまとめることによっても行うことが可能である。ワイヤは、曲げられずに、リボン状に互いに平行となるように、好ましくは、ワイヤの短辺が互いに向かい合って配置される。
【0037】
本実施形態によって、ワイヤが、共に近接して配置されるか、またはワイヤの間に隙間を有して配置される。本方法も、第1の回転方向に複数のワイヤのリボンを折り重ねるステップ、特に、(リボンの長手方向軸が各ワイヤの長手方向軸に平行である状態で)リボンの長手方向に沿って存在する連続した折り返し線に沿って連続的にリボンを折り返すステップ、を含む。折り返し線は、連続して折り重ねられるリボンが第1の層および第2の層を提供する平らな螺旋状のリボンを形成するように、リボンの長手方向軸に対して斜角をなしている。リボンの各層は、略平坦である。斜角は、直交角ではなく、平らな螺旋状のリボンの巻き角度またはらせん角度に対応する。巻き角度は、リボンの幅(それ自体、相巻線の数、各相巻線のワイヤの数、各ワイヤの断面幅、および隣り合うワイヤの間の距離、の関数として選択できる)、および連続する折り返し線の間の距離を含むいくつかのパラメータに依存する。折り返し線は、折り重ねられたリボンが平らな螺旋状のリボンを形成するように、リボンに沿って等間隔で配置されることが可能である。本方法は、直線セグメントが平らな螺旋状のリボンの折り返し線に対して略垂直に延びるように各連続する折り返し線の間の直線セグメントを、完成した平らな螺旋状のリボンの各ワイヤとなるように曲げるステップを含む。当該曲げるステップは、ヘアピン形状をワイヤに導入する。特に、各ワイヤは、折り重ねられたリボンの各層が平坦なままであるように、リボンの平面に対して垂直な軸のまわりで曲げられる。つまり、第1のオフセット曲げ部が各折り返し線の前に作り出されかつ第2のオフセット曲げ部が各折り返し線の後に作り出されるように、横方向に曲げられる。それによって、2つの曲げセグメントの間に直線セグメントを含むヘアピン形状のセグメントを有する略螺旋状のリボンが、形成される。本方法は、環状円筒形の連続的なヘアピン巻線を形成するために、直線セグメントが円筒形状の円筒軸に略平行に延びる状態で、平らな略螺旋状のリボンを、円筒形状になるように巻くステップも含む。
【0038】
一実施形態において、本方法は、硬化可能なポッティング材料を使用して連続的なヘアピン巻線をポッティングするステップをさらに含むことができる。ポッティング材料は、例えば、二液型ポッティング材料、または(例えば、UV硬化を使用した)硬化可能なポッティング材料である。連続的なヘアピン巻線は、その連続的にインターレースされたヘアピン巻線のために、相当な構造的安定性を既に有するが、構造的安定性をさらに向上させるために、ワイヤの間の電気的絶縁性をさらに向上させるために、そして、抵抗損失による熱をワイヤから除去することを向上させるために、ポッティング材料を連続的なヘアピン巻線に導入することができる。
【0039】
一実施形態において、本方法は、回転電気機械装置において連続的なヘアピン巻線を取り付けるために、略円筒状の内側表面を有するケーシングの中に、連続的なヘアピン巻線を挿入すること、をさらに含むことができる。先行技術と比べて、当該挿入ステップは、ケーシングまたはステーター鉄の溝またはノッチに中にヘアピン巻線を配置することを伴わないことに注意する。したがって、本発明のケーシングは、スロット、溝、またはノッチがなくてもよい。挿入された連続的なヘアピン巻線は、例えば、内側のケーシングに接合されてもよい。挿入された連続的なヘアピン巻線は、上記したポッティングステップと共に、特に、同じ硬化可能なポッティング材料を使用して、ケーシングに接合されてもよい。ステップのこの組み合わせは、製造スピードを高め、連続的なヘアピン巻線とケーシングとの間の非常に良好な嵌合をさらに保証する。加えて、または代替的に、本方法は、回転電気機械装置において連続的なヘアピン巻線を取り付けるための略円筒状の外側表面を有するケーシングの中に連続的なヘアピン巻線を挿入すること、をさらに含むことができる。回転電気機械装置が外側ローターを有する時に、この構成が使用できる。加えて、本方法は、第2の連続的なヘアピン巻線を回転電気機械装置の支持部に取り付けることによって第2の連続的なステーター巻線を回転電気機械装置に追加すること、をさらに含むことが可能であり、第2の連続的なヘアピン巻線は、第1の連続的なヘアピン巻線と同軸上にあり、ローターはそれらの間に配置される。
【0040】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、複数のインターレースされた相巻線を備えることが可能である。各相巻線は、ステーターの環状円筒形環状円筒形のまわりに複数のターン、好ましくは3つのターンまたは5つのターンを有する単一で途切れのないワイヤから成る。単一で途切れのないワイヤは、その長さに沿って電気的な接合を有する必要はない。複数のターンは、各相巻線に対して1つのワイヤとなっている複数のワイヤを、直線状に並列にワイヤの間に隙間を残してリボン状に配置することによって形成される。各隙間は、ワイヤを受容するほど十分に広く、2つの隣り合うワイヤの間に複数の隙間があってもよい。複数のワイヤのリボンは、第1の回転方向に折り重ねられる。特に、平らな螺旋状のリボンを形成するリボンの長手方向軸に沿って存在する連続した折り返し線に沿って連続的にリボンが折り返される。平らな螺旋状のリボンは、隙間を有する。本方法は、戻し曲げゾーンにおいて合計180°だけ複数のワイヤを曲げることによる複数のワイヤの戻し曲げを含む。戻し曲げの後にリボンにおける隙間が占められるように、各ワイヤは、戻し曲げられる。本方法は、複数のワイヤが平らな螺旋状のリボンの隙間の中へと折り重ねられるように平らな螺旋状のリボンのまわりに第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に複数のワイヤを折り重ねること、を含む。戻し曲げのステップ、および折り重ねのステップは、所望の数のターンが得られるまで、繰り返される。ひとたび所望の数のターンが得られると、リボンにおける全ての隙間が埋められ、平らな螺旋状のリボンは、2つの層を有し、各層は、並んで配置させられたワイヤを備える。
【0041】
一実施形態において、戻し曲げゾーンは、平らな螺旋状リボンの平面に対して垂直でありかつ特にz-方向に沿う1つまたは複数の曲げ軸を備える。ワイヤを戻し曲げするステップは、1つまたは複数の曲げ軸のまわりに各単一のワイヤを曲げること、を含む。ワイヤを戻し曲げるステップは、例えば、各単一ワイヤを約90°だけ2回曲げること、を含む。2つの90°の曲げは、戻し曲げされたワイヤが平らな螺旋状のリボンにおける適切な隙間を占めるように所定の距離離される。
【0042】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、別々の連続的なヘアピン巻線から作られる2組の相巻線を有することができる。単一の連続的なヘアピン巻線を形成するために、2つの別々の連続的なヘアピン巻線が積み重ねられることが可能であり、またはインターレースされることが可能である。
【0043】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、単一で途切れのないワイヤから作られる2組の相巻線を有することができる。特定の相巻線の特定の単一のワイヤが、戻し曲げゾーンにおいて戻し曲げされ、戻し曲げされたワイヤが第2の組の相巻線の対応するワイヤに対する特定の隙間を占めるように所定の距離だけ離される。単一のワイヤは、戻し曲げの前に第1の相巻線に関係づけられ、かつ戻し曲げの後に第2の組の相巻線に関係づけられることが可能であり、またはそれとは逆にして関係づけられることが可能である。戻し曲げゾーンの前のワイヤの第1のセグメント、および戻し曲げゾーンの後のワイヤの第2のセグメントは、共に、第1の層および第2の層から選択される同じ層に属することができる。
【0044】
複数のワイヤの戻し曲げによって、複数のインターレースされた相巻線を備える連続的なヘアピン巻線であって、各相巻線が、ステーターのまわりに複数のターン、好ましくは3つのターンまたは5つのターンを有する単一で途切れのないワイヤから成る、連続的なヘアピン巻線を作り出すことが可能である。本実施形態において、例えば溶接または同様のものによるより少数の電気的接合が必要とされることが可能であり、または、当該電気的接合を必要としないことが可能である。なぜなら各相巻線は、単一で途切れのないワイヤのみから成るからである。ターンの数は、ステーターに必要とされる円筒形状に巻かれるときに所定のヘアピンワイヤが連続的なヘアピン巻線を1周する回数を指す。つまり、ターンの数は、円筒形状に巻かれる前の略平面形状における時に、例えば、平面形状に沿って前方方向に延びるときに、または平面形状に沿って後方方向に延びる戻し曲げを作った後、所定のヘアピンワイヤが当該ヘアピン巻線軸に沿って延びる回数のことも指す。各ワイヤは、所定のターンにおいて当該ワイヤが同じワイヤの別のターンに隣り合うようにして配置できる。特に、各ワイヤは、同じワイヤの隣り合うターンが連続的なヘアピン巻線によって生成されることになる磁場に寄与するのに役立つように所定のターンにおいて当該ワイヤが別のターンにおける同じワイヤに隣り合うように配置できる。別の実施形態において、各ワイヤは、所定のターンにおいて当該ワイヤが同じワイヤの別のターンに隣接しないように配置できる。別の実施形態において、各ワイヤは、所定のターンが別のターンにおいて対応するローターの1つまたは複数の極距離(pole distance)だけ同じワイヤに対してオフセットされるように配置できる。後者の場合において、ワイヤはいわゆる極オフセット(pole offset)を有し、ここでは、同じワイヤの隣り合わないターンが、ローターの隣り合わない極において連続的なヘアピン巻線によって生成されることになる磁場に寄与する。
【0045】
一実施形態において、曲げるステップは、2つのオフセット曲げ部で複数のワイヤの各々を曲げること、を含み、それによって、オフセット曲げ部の間に存在し、互いに平行で、かつ互いにずらされる直線セグメントを提供する。それによって、曲げの後のリボンの略螺旋状の形状が形成される。オフセット曲げ部のいずれかの側の直線セグメントが、平行なままであるようにして、各オフセット曲げ部は、特定の角度の第1の曲げ部と、反対方向の同じ特定の角度の第2の曲げ部とを含む。曲げの特定の半径および曲げの特定の角度は、用途に依存し、特に、ワイヤのアスペクト比、および各ワイヤのまわりの絶縁の種類または厚さに依存する。
【0046】
一実施形態において、連続的なヘアピンステーターを巻いて円筒形状にした後、連続的なヘアピン巻線は、重複領域を形成する。当該重複領域において、平らな螺旋状のリボンの第1の端部に位置する第1の層が、平らな螺旋状のリボンの第2の端部に位置する第2の層と重なる。この重複領域は、リボンの折り重ねの結果である。第1の層は、平らな螺旋状のリボンの一端に突起を有し、第2の層は、平らな螺旋状のリボンの他端に突起を有する。これらの突起は、連続的なヘアピン巻線が巻かれて円筒形状にされたときに第1の層および第2の層が互いに合致しかつ各々がワイヤの略一様な分布を有する連続的な内側の円筒状層および連続的な外側の円筒状層をそれぞれ形成するようにして相補的であるように互いに平面方向に部分的にずらされている。
【0047】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線を製造するための上記した方法は、折り返し部材を備える折り返し装置を使用することを含む。折り返し部材は、第1の面および第2の面と、スペーサ要素と、そのまわりで折り返し部材が回転可能である折り返し軸と、を有する。複数のワイヤのリボンを折り重ねることは、折り返し軸に対して傾斜角をなして折り返し部材の第1の面にわたって複数のワイヤのリボンを配置することを含む。複数のワイヤは、スペーサ要素によって分離される。スペーサ要素は、例えば、リボンのワイヤを受容しかつ適切にそれらに間隔を空けるように構成された、折り返し部材からの突起、または当該折り返し部材の中への凹み、である。リボンが折り返し部材の第1の面および第2の面のまわりに連続的に繰り返し巻かれ、それによって、平らな螺旋状リボンを形成するように、折り返し部材は、折り返し軸のまわりに回転される。
【0048】
一実施形態において、折り返し装置は、1つまたは複数のワイヤコームを、さらに備える。ワイヤコームは、スペーサ要素に類似し、ワイヤを保持するように構成される。直線セグメントを平らな螺旋状のリボンの各ワイヤとなるように曲げることは、1つまたは複数のワイヤコームを、平らな螺旋状のリボンのワイヤと係合させることと、オフセット曲げ部を各ワイヤとなるように曲げてかつそれらの間で直線セグメントを曲げるためにワイヤの長さに対して1つまたは複数のワイヤコームを横方向にずらすことと、を含む。その結果、螺旋状のリボンは、略螺旋状リボンに再成形される。ワイヤコームは、例えば、ワイヤと係合して折り返し部材に対してワイヤを押圧するように構成される。ワイヤコームは、このとき、折り返し部材に沿ってずらされる。
【0049】
一実施形態において、少なくとも1つのワイヤコームは、連続的なヘアピン巻線を製造するために、折り返し装置の折り返し軸に平行な反対方向に、ワイヤコームのうちの別のものに対して直線的にずらされる。本実施形態によれば、ワイヤコームは、1つのずらしステップの間に、したがって特に速く、ヘアピン巻線の直線セグメントを曲げるという有利な実現性を生み出す。さらなる有利な点は、ワイヤコームが、平らな螺旋状のリボンの好ましくは全てのワイヤと同時に係合する、ということである。別の有利な点は、ワイヤコームの係合が、軸方向張力下で1つまたは複数のワイヤがスプールから供給されることなく行われる、ということである。
【0050】
一実施形態において、折り返し部材は、保持部材を備える。平らな螺旋状のリボンが、保持部材上で折り重ねられる。保持部は、平面において互いの隣に配置されかつ隙間によって分離された2つの平坦な板によって形成される。また、連続的なヘアピン巻線の製造は、隙間を低減するために平坦な板を共に動かしかつ折り重ねられた平らな螺旋状のリボンから平坦な板を引き出すことによって、平らな螺旋状のリボンから保持部材を除去すること、をさらに含む。平坦な板の間に隙間を有することによって、平坦な板は、例えば、平らな螺旋状のリボンから容易に、かつ折り重ねられた平らな略螺旋状のリボンを邪魔することなく、連続的に、除去することが可能である。このことが、ワイヤ絶縁が損傷を受ける可能性、または平らな略螺旋状のリボンの規定された形状が損なわれる可能性を減らす。
【0051】
一実施形態において、折り返し装置は、平らな螺旋状のリボンの平面からz-方向に沿って特に延在した1つまたは複数の戻し曲げ部材を備える。ワイヤを戻し曲げることは、平らな螺旋状のリボンの特に第1の平面において1つまたは複数の戻し曲げ部材のまわりで折り返し装置を回転させること、を含む。当該第1の平面は、ヘアピン形状に曲げるステップの前において、特に、巻くステップの前において、第1のおよび第2の層に平行である。1つまたは複数の戻し曲げ部材のまわりで、または1つまたは複数の戻し曲げ部材の領域にある軸のまわりで、折り返し装置を回転させるステップに対して、折り返し装置が回転可能なテーブル上に配置されることは有利であり得る。
【0052】
一実施形態において、単一のワイヤを戻し曲げることは、同じ戻し曲げ部材のまわりで、所定の組の全てのワイヤを戻し曲げることを含む。当該所定の組の各ワイヤが、同じ戻し曲げ部材上において異なる高さ位置において曲げられる。ワイヤの弾性的柔軟性により、いくつかのワイヤが、単一の組にともにグループ分けされ、同じ戻し曲げ部材のまわりで同時に曲げられることが可能である。ワイヤにおける曲げ部が互いに重なることなく、それによって垂直方向に、より多くのスペースを占有することを保証するために、各ワイヤは、平らな螺旋状のリボンの平面の上方において異なる高さ位置において曲げられる。このことは、ワイヤを非弾性的に曲げることなく可能である。その結果、曲げ部が、水平方向位置に戻される時に、ワイヤにおける曲げ部は、これら曲げ部が互いに重ならないようにして、横方向に互いからずらされる。
【0053】
一実施形態において、ワイヤを戻し曲げることは、同じ第1の戻し曲げ部材のまわりで、かつ同じ第2の戻し曲げ部材のまわりで、所定の組の全てのワイヤを戻し曲げることを含み、特に合計で180°の戻し曲げを完了させた後、当該所定の組の各ワイヤは、これらワイヤが略平坦な位置に戻された後に、z-方向と直交する平面において、少なくとも一定の距離だけ、同じ組の他のワイヤから離されるようにして、当該所定の組の各ワイヤは、第1の同じ戻し曲げ部材および第2の同じ戻し曲げ部材上において異なる高さ位置において曲げられる。
【0054】
1つの実施形態において、ワイヤを戻し曲げることは、特に合計で180°の戻し曲げを完了させた後、ワイヤの各々が、z-方向と直交する平面において他のいずれのワイヤとも重ならないように戻し曲げ部材を配置すること、を有する。
【0055】
回転電気機械装置、およびアイアンレス・ステーターのための連続的なヘアピン巻線を製造するための方法に加えて、本発明は、連続的なヘアピン巻線を製造するための折り返し装置にも関する。折り返し装置は、折り返し部材を備える。折り返し部材は、第1の面および第2の面と、スペーサ要素と、そのまわりで折り返し部材が回転可能である折り返し軸と、を有する。スペーサ要素は、例えば、ワイヤを受容しかつ適切にそれらに間隔を空けるように構成された、折り返し部材からの突起、または当該折り返し部材の中への凹み、である。
【0056】
一実施形態において、折り返し装置は、1つまたは複数のワイヤコームを、さらに備える。ワイヤコームは、スペーサ要素に類似し、平らな螺旋状のリボンのワイヤを保持するように構成される。ワイヤコームは、ワイヤと係合するように構成され、かつワイヤの長さに対して1つまたは複数のワイヤコームを横方向にずらすことによってオフセット曲げ部を各ワイヤとなるように曲げてかつそれらの間で直線セグメントを曲げるように構成される。ワイヤコームは、例えば、ワイヤと係合して折り返し部材に対してワイヤを押圧するように構成される。ワイヤコームは、このとき、折り返し部材に沿ってずらされる。
【0057】
一実施形態において、折り返し部材は、平面において互いの隣に配置されかつ隙間によって分離された2つの平坦な板によって形成された保持部材を備え、保持部材は、隙間を減らすために平坦な板が互いに向かって移動できるようにして、構成される。
【0058】
1つの実施形態において、折り返し装置は、ワイヤを戻し曲げるための1つまたは複数の戻し曲げ部材を備える。
【0059】
一実施形態において、少なくとも1つのワイヤコームは、連続的なヘアピン巻線を製造するために、折り返し装置の折り返し軸に平行な反対方向に、ワイヤコームのうちの別のものに対して直線的にずらされる。
【0060】
本明細書に開示される本発明の実施形態、特に、連続的なヘアピン巻線を製造するための方法において、ワイヤコームは、平らにされた螺旋状のリボンの複数のおよび好ましくは全てのワイヤと同時に係合する。
【0061】
本明細書に開示される本発明の実施形態、特に、連続的なヘアピン巻線を製造するための方法において、ワイヤコームの係合が、軸方向張力下で1つまたは複数のワイヤがスプールから供給されることなく行われる。
【0062】
本明細書に開示される本発明の実施形態、特に、連続的なヘアピン巻線を製造するための方法において、ステーター巻線は、ステーターコアのスロットの中に、嵌め込まれない。
【0063】
本明細書に開示される本発明の実施形態において、ワイヤは、各々が導体絶縁体に包まれた複数の導体、例えば、リッツ線、特に、丸みを帯びた導体または丸みを帯びたリッツ線、から構成されることが可能である。導体の組み合わせられた配置、すなわち、導体パッケージは、それ自身、外側の絶縁体に包まれることが可能である。複数の好ましい丸みを帯びた導体が、互いに対して平坦な形状に、特に、平行四辺形の形状に配置可能であり、それによって、高いフィルファクターを有しかつ渦電流が低減された連続的なヘアピン巻線に適した平坦なワイヤを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明に記載されている開示は、本明細書において以下に与えられた詳細な記載および添付の図面から、より完全に理解されるであろう。添付の特許請求の範囲において記載された開示が、これら詳細な記載および添付の図面に限定されると考えるべきではない。図面は、以下の通りである。
【0065】
図1】先行技術に係る、傾斜角のもとで配置された波巻きのステーター巻線を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る傾斜していない直線セグメントを有する、略螺旋状のヘアピン形状を有する連続的なヘアピン巻線を模式的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る矩形状のワイヤの断面を模式的に示す図である。
図4】先行技術に係る、本発明にも有用である波巻きのワイヤ束の断面を模式的に示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る装置の詳細な断面図を模式的に示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る回転電気機械装置を、当該装置の内部を露出させるために部分的に切り欠いて模式的に示す図である。
図7】先行技術に係る単一のヘアピンワイヤセグメントを模式的に示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線の一部を模式的に示す図である。
図9a】本発明の3つの実施形態に係る3つの異なるワイヤ折り返し部を模式的に示す図である。
図9b】本発明の3つの実施形態に係る3つの異なるワイヤ折り返し部を模式的に示す図である。
図9c】本発明の3つの実施形態に係る3つの異なるワイヤ折り返し部を模式的に示す図である。
図10】本発明の実施形態に係るワイヤオフセット曲げ部を模式的に示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る、互いにインターレースされた連続的なヘアピン巻線の3つの相を模式的に示す図である。
図12】本発明の実施形態に係る、互いにインターレースされた連続的な2組のヘアピン巻線の3つの相を模式的に示す図である。
図13a】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13b】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13c】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13d】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13e】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13f】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13g】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13h】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13i】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13j】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13k】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13l】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13m】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13n】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示すである図。
図13o】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図14a】本発明の実施形態に係る平らにされた略螺旋状のヘアピン状リボンおよび連続的なヘアピン巻線を形成するために、オフセット曲げを行い、その間の直線セグメントを平らにされた螺旋状のリボンとなるように曲げる2つのステップを模式的に表す図である。
図14b】本発明の実施形態に係る平らにされた略螺旋状のヘアピン状リボンおよび連続的なヘアピン巻線を形成するために、オフセット曲げを行い、その間の直線なセグメントを平らな螺旋状のリボンとなるように曲げる2つのステップを模式的に表す図である。
図15a】平坦な連続的なヘアピン巻線を、本発明の実施形態に係る円筒状の連続的なヘアピン巻線となるように巻くためのいくつかのステップを模式的に示す図である。
図15b】平坦な連続的なヘアピン巻線を、本発明の実施形態に係る円筒状の連続的なヘアピン巻線となるように巻くためのいくつかのステップを模式的に示す図である。
図15c】平坦な連続的なヘアピン巻線を、本発明の実施形態に係る円筒状の連続的なヘアピン巻線となるように巻くためのいくつかのステップを模式的に示す図である。
図16】巻線が3相の2つの組を有しかつ各組の各相は3つのターンを有する単一のワイヤから成る、本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線の配線図を模式的に示す図である。
図17】巻線が2組の3つの相を有する本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線の配線図であって、6つのターンを有する単一のワイヤが、両方の組における対応する相が同じ単一のワイヤよって一緒に形成されるように各相のために使用される、配線図を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
特定の実施形態について詳細に参照されるであろう。これら特定の実施形態の実施例は、添付の図面に示され、これら図面において、いくつかの特徴が示されるが、全ての特徴が示されるわけではない。実際に、本明細書に開示される実施形態は、多くの異なる形態で具現化可能であり、本明細書に説明される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。さらに、これらの実施形態は、互いに組わせることも可能である。可能であるときはいつでも、同様の引用符号が、同様の構成要素または部品を引用するために、使用されるであろう。全ての同様の構成要素が、全ての図において引用符号を有するわけではない。
【0067】
図1は、アイアンレスモーターに適した先行技術のステーター巻線の模式的な部分図である。ステーター巻線は、支持部(図示せず)のまわりに巻かれたワイヤ3を有し、ワイヤ3は、折り返し線Fに沿って折り返される。ワイヤ3は、互いに隣り合って密に詰められているが、例示的目的のために、全てのワイヤ3が示されるわけではない。次の隣のワイヤ3、すなわち、折り返し線Fの前後の次のワイヤまたはワイヤセグメント3における電流は、反対方向に流れる。さらに、ステーター巻線は、第1の側21および第2の側22を有し、各ワイヤにおける電流は、第1の側21においては第1の方向に流れ、第2の側22においては(全体として巻線に対して)反対方向に流れる。ローター13の極131(明確には図示せず)も図示されている。次の隣のワイヤ3の間またはワイヤセグメントの間の距離は、極131の間の中心間距離に相当する。図示されるようなステーター巻線は、いくつかの欠点を有する。第1に、個々のワイヤ3は、極131に対して傾斜角度をなし、すなわち、厳密な螺旋を形成し、したがって、巻線によって生成される電磁場が、極131の(電)磁場と最適に相互作用しない。なぜなら、それらは、互いに対して小さな傾斜角度をなすからである。さらに、第1の側21のワイヤ3は、第2の側22のワイヤ3との大きな重複領域を有し、その結果、この重複領域において生成された電磁場が部分的に打ち消される。この大きな重複領域を避けるために、一般的には、ローターの極131の長手方向の延在が、ステーター巻線の長手方向の延在よりも小さい。折り返し線Fが、ローター極131の端からかなりの距離を置いて配置されることが、図においてわかる。
【0068】
図2は、本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線2の模式的な部分図を示す。図1にあるように、全てのワイヤ3が示されているわけではない。図1に類似して、ワイヤ3および次の隣のワイヤ3における電流が、反対方向に流れる。さらに、連続的なヘアピン巻線2は、第1の層21および第2の層22を有し、各ワイヤ3において矢印の方向によって示されるように、各ワイヤ3における電流は、第1の層21においては第1の方向に流れ、第2の層22においては(全体として連続的なヘアピン巻線2に沿って)反対方向に流れる。ローター13の極131(明確には図示せず)も図示される。次の隣のワイヤ3の間の距離は、極131の間の中心間距離に相当する。
【0069】
先行技術の図1と比べて、本実施形態のワイヤ3は、最適な電磁相互作用を保証するために極131と並べられた直線セグメント33を有する。第2に、第1の層21における所定のワイヤ3と第2の層22における同じワイヤ3との間に折り返しセグメント35を含む重複領域は、ローター極131の端領域において誘導電磁場のキャンセレーションによる性能ロスを避けるために、全体的にローター極131の端領域から完全に除去される。構成、特に、ワイヤ3の曲げ角度に応じて、折り曲げ線Fは、先行技術に比べて、極131の端領域のより近くに移動させることが可能であり、連続的なヘアピン巻線2のよりコンパクトな設計を可能にする。
【0070】
図3は、本発明の1つの実施形態に係るワイヤ3の断面図を示す。ワイヤ3は、丸みを帯びた角を有する略矩形状断面を有する。ワイヤ3は、好ましくは銅または銅の合金である内部導体31と、外側絶縁体32と、を有する。ワイヤ3は、例えば、丸みを帯びたワイヤを矩形形状に巻くことによって、または直接的に、例えば、矩形形状に押し出し形成することによって、製造できる。代替的には、ワイヤ3は、楕円形状を有するか、または、その他の平らな形状を有する。ワイヤ3のアスペクト比(断面幅に対する断面高さの比)が、1:1と5:1との間にあることが可能であり、好ましくは、2:1である。
【0071】
図4は、先行技術に係るワイヤ3の断面図を示す。ワイヤ3は、外側絶縁体32に包まれた複数の丸みを帯びた導体31を備えている。図3の実施形態と比較して、ワイヤ3は、丸みを帯びた導体31の間のスペースにより、より低いフィルファクターを有する。それにもかかわらず、そのような先行技術のワイヤ3を、本発明においても使用可能である。
【0072】
他の実施形態によれば、ワイヤ3は、導体31を封入する円によって図4において示されるような導体絶縁体に各々が包まれる複数の導体31、特に、丸みを帯びた導体31、例えば、リッツ線から構成される。導体31の組み合わされた配置3a、すなわち、導体パッケージ3aは、それ自身、外側絶縁体32に包まれ得る。さらなる実施形態によれば、複数の丸みを帯びた導体31が、互いに対して、平行四辺形のような形(例えば、六角形状のパッキング)で配置される。つまり、導体31の中心軸のうちの4つは、平行四辺形の角を形成する。この形状により、導体31の間のスペースが減るので、ワイヤ3(導体パッケージ3a)のフィルファクターを高める。
【0073】
図4に示される、導体パッケージ3a、特に、リッツ線31を含む導体パッケージ3aは、図3に示されるような単一の矩形形状のまたは平坦なワイヤ3と比べて、さらなる有利な点を有する。導体パッケージ3は、よりフレキシブルであり、したがって、平らな略螺旋状のリボンになるように曲げることが容易である。導体パッケージ3aも、連続的なヘアピン巻線において、回転電気機械装置において、渦電流損を低減することが可能である。渦電流損の低減は、導体パッケージ3aの内側の導体絶縁体によって境界付けられた導電断面領域が小さくなったことに起因すると考えられる。
【0074】
図5は、本発明の1つの実施形態に係る回転電気機械装置1の断面的な2D部分図を非常に模式的に示す。装置1は、ケーシング11を有する。ケーシング11は、略円筒状の内側表面111と、略円筒状の外側表面112と、を有する。ケーシング11は、透磁性材料、特に、鉄合金で作られた積層スタックから構成される。1つの実施形態において、ケーシング11は、螺旋状に巻かれかつラミネート加工された透磁性材料、特に、鉄合金、の薄い細片から構成される。アイアンレス・ステーター12は、装置1の内側に、ケーシング11の隣に配置される。ケーシング11は、アイアンレス・ステーター12の領域の中へは延在しない。アイアンレス・ステーター12は、連続的なヘアピン巻線2を含む。乱雑さを低減するために、連続的なヘアピン巻線2の一部だけが示される。特に、連続的なヘアピン巻線2の第1の層21および第2の層22に属する2つのワイヤ3が示されている。2つの層21および22は、円筒状ステーター12の中心軸から半径方向に互いに上下に配置される。当該装置は、ケーシング11を囲むことができるシェル14を備えて示される。ローター13は、例えば内側に配置され、環状円筒形ギャップ15によって、アイアンレス・ステーター12から分離される。ローター13の極131は、トルクを生成するために、ステーター12によって生成される電磁場と相互作用する。ケーシング11およびローター13が、どのように電磁場の線を効果的に閉じるかを説明するために、電磁場の線が、描かれている。
【0075】
実施形態に応じて、ローター13は、非同期誘導電磁気装置1またはリラクタンス型のローターのための、永久磁石ローター、「かご型」ローター、である。開示されている連続的なヘアピン巻線2は、ローター13が永久磁石を有する同期ACモーターまたは発電機におけるアイアンレス・ステーター12に特に適している一方で、他のタイプの電磁気装置のための他のタイプのステーター巻線における使用に対しても適しており、非同期ローターのための短絡されたケージ巻線として使用することも可能である。
【0076】
図6は、電気機械装置1の内部を示すための切欠きを有する、本発明の一実施形態に係る電気機械装置1の非常に模式的な斜視図を示す。ケーシング11は、円筒状領域を包囲する。連続的なヘアピン巻線2は、ケーシング11の内側表面111に対して配置される(連続的なヘアピン巻線2の一部のみが、例示的目的のために示される)。ローター13は、円筒軸Aについて連続的なヘアピン巻線2と同軸上に配置される。ローター13においてトルクを生成するために、上記のローターの極131は、連続的なヘアピン巻線2の誘導電磁場と相互作用する。連続的なヘアピン巻線2は、2つの層、内側層21および外側層22、を有する。連続的なヘアピン巻線22は、2組の3相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2を有し、第1の組の相巻線U1、および第2の組の対応する相巻線U2は、同じ電気的位相を有する(図6には示されていないが、例えば、ともに結合されてもよい)。連続的なヘアピン巻線2の電気的な接続が効率的でありかつ複雑でないように、連続的なヘアピン巻線2は、回転電気機械装置1の同じ領域において、相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2の各々のための入力リード線23を有する。特に、全ての入力リード線は、共通の、好ましくは小さな方位角領域の範囲内にある。例えば、スターグラウンド24またはデルタ結線を形成するために、各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2の端は、相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2のうちの少なくとも1つの他の相巻線に、電気的に結合される。ローター13の極131は、長手方向において、連続的なヘアピン巻線2の直線セグメント33の領域を越えて延在しない。
【0077】
図6においてわかるように、ケーシング11が、ローター13と同様に、全体のアイアンレス・ステーター12を径方向に包囲する。具体的には、ケーシング11は、アイアンレス・ステーター12の全体の外側表面のまわりに延在し、連続的なヘアピン巻線2を収容する。特に、連続的なヘアピン巻線2は、その全体の軸方向の延在(すなわち、中心軸Aに平行な延在)に沿って、ケーシング11によって覆われる。ケーシング11、および、特に、ケーシング11の内側表面111は、アイアンレス・ステーター12に隣接して配置され、それによって、アイアンレス・ステーター12、および、特に、連続的なヘアピン巻線2、を所定の位置に保持する。ケーシング11の範囲内に全体的に配置されるアイアンレス・ステーター12は、それによって、機械的損傷、衝撃、および汚染から、ケーシング11によって保護される。アイアンレス・ステーター12がケーシング11によって部分的にのみ覆われている実施形態において(図6には示されない)、アイアンレス・ステーター12の少なくとも覆われた部分は、ケーシング11によって保護される。
【0078】
当該電気機械装置は、ケーシング11の径方向の広がりに比べて径方向の延在が小さいステーター12を有するという技術的に有利な点を有する。
【0079】
図7は、先行技術に係る特徴的なヘアピン形状を有する単一のワイヤ3を模式的に示す。直線セグメント33が、曲げセグメント34の間に配置され、曲げセグメント34は、折り返しセグメント35によって分離される。先行技術によれば、複数のそのような単一ヘアピンが、スロット付きのステーター鉄の中へ挿入され、例えば、レーザービーム溶接を使用して、共に電気的に結合される。
【0080】
図8は、一実施形態に係る連続的なヘアピン巻線2の相巻線U1の単一のワイヤ3を模式的に示す。理解を容易にするために、単一のワイヤ3を有する単一の相巻線U1のみが示され、図12においては、複数の相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が示される。単一のワイヤ3は、折り返しセグメント35を有し、折り返しセグメント35は、ワイヤ3のいくつかのセグメントが第1の層21の中にありかつワイヤ3の他のセグメントが第2の層22の中にあるように、折り返し線Fにおいて折り返される。さらに、隣り合う直線セグメント33が、距離Dずらされるように、曲げセグメント34は、オフセット曲げ部、特に、上記の折り返し線の前の第1のオフセット曲げ部、および上記の折り返し線の後の第2のオフセット曲げ部、を含む。第1の層21の1つの直線セグメント33から第2の層22の次の直線セグメント33への推移は、第1の曲げセグメント34、折り返しセグメント35、および第2の曲げセグメント34に沿って進む。曲げセグメント34は、直線セグメント33に対して所定の角度で配置され、折り返しセグメント35まで直線状に延在する。1つの直線セグメント33から次の直線セグメント33への推移は、いわゆる波巻きにおいて一般的であるような、半円に沿っても、円弧に沿っても、あるいは連続的な半径を有する別の曲げセグメントに沿っても、進まない。
【0081】
図9a~9cは、本発明の様々な実施形態に係るワイヤ3における折り返しセグメント35および曲げセグメント34の側面からの図を模式的に示す。図9aにおいて、ワイヤ3は、第1層21と第2層22との間に隙間なしに折り重ねられる。図9bにおいて、ワイヤ3は、第1層21と第2層22との間に隙間を残して折り重ねられる。図9cにおいて、ワイヤ3は、折り返しセグメント35が図9aおよび図9bにおけるよりも大きな曲率半径を有する「P」形状に、折り重ねられる。これは、より多くのスペースを必要とするが、ワイヤ絶縁体は、圧縮されたり伸ばされたりしない。本実施形態において、ケーシング11は、ステーター12とケーシング11との組み合わせ(図示せず)の全体的な厚さを減らすために曲げセグメント35を受容するように構成された環状の凹部を有することが好ましい。図9aおよび図9bに示されるような実施形態において、ワイヤ3の折り返し領域35、特に、折り返しセグメント35の外側半径は、第1の層21の外側表面を越えて延在せず、第2の層22の外側表面を越えて延在しない。
【0082】
図10は、直線セグメント33と折り返しセグメント35との間に配置されたオフセット曲げ部としてのワイヤ3の曲げセグメント34を非常に模式的に示す。
【0083】
図11および図12は、1組の相巻線U1、V1、W1と、2組の相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2と、を有する連続的なヘアピン巻線2を、それぞれ、非常に模式的に示す。図の明確性のために、単一のワイヤ3のみを有する各相巻線、U1、V1、W1、U2、V2、W2が示されるが、各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2のための1つまた複数の隣り合うワイヤ3が予見される。特に、第1の層21および第2の層22がワイヤ3で密に詰められるような各相巻線、U1、V1、W1、U2、V2、W2のための3つまたは5つの隣り合うワイヤ3が予見される。前の図、特に、図7および図8において説明されたように、ワイヤは、曲げセグメント34およびそれらの間の折り返しセグメント35とともに、直線セグメント33を有し、折り返しセグメント35は、折り返し線Fに沿って折り返される。図12において、特に、第2の組の対応する相巻線U2、V2、W2のワイヤ3を覆うように第1組の所定の相巻線U1、V1、W1の各ワイヤ3を配置することによって(すなわち、一方のワイヤ3は、第1の層21にあり、他方は、第2の層22にある)、かつ、電流がこれら重なっているワイヤ3において同じ方向に流れるように配置することによって、第2の組の相巻線U2、V2、W2が、生成される電磁場が補足的なものであるように、第1の組の相巻線U1、V1、W1に対して配置される。
【0084】
ステーター鉄がヘアピン巻線を配置するためのスロットを有する電気モーターにおける使用に適切な連続的なヘアピン巻線を製造するための既知の方法がある。これら既知の方法は、最初にワイヤをオフセット曲げし、曲げたワイヤを板またはリボンのまわりに巻くこと、を含む。これら既知の方法は、本発明に係る電気機械装置1のアイアンレス・ステーター12のための連続的なヘアピン巻線2を製造するのに適切ではない。なぜなら、先行技術に係る多く連続的なヘアピン巻線は、自立していないか、または、自立性がより低く、かつ、特に、ワイヤの間の間隔の一様性に関して、精密さがより低い公差を有するために、それらは、適切ではない。これは、一般的に、スロットを有するアイアンステーターに対する問題点ではない。なぜなら、ステーター巻線におけるわずかな変形をもたらす連続的なヘアピン巻線は、いずれの場合にも、スロットの中に導入されるからである。さらに、スロットは連続的なヘアピン巻線への追加的な構造的な支持を提供するので、連続的なヘアピン巻線が構造的に自立することはさほど重要ではない。
【0085】
連続的なヘアピン巻線を製造するための先行技術における既知の方法は、本明細書に記載される本発明に係る製造方法のものと同じ連続的なヘアピン巻線2における一様性を達成することができない。特に、それらは、電気機械装置1の高効率でコンパクトな高性能アイアンレス・ステーター12に必要なワイヤ3の間の要求される間隔一定不変性を達成することはできない。これは、既知の方法が、ワイヤを折り重ねる前にまずワイヤをオフセット曲げすること、を含むからである。既知の方法における曲げられたワイヤは、ある張力下で折り返されなければならないので、得られた巻線の規則性を低減させるオフセット曲げ部が直線状になることが起きる。代替的なものとして、ワイヤが、より低い張力によって折り返すことが可能であるが、複雑なワイヤの張力緩和手段を必要とするか、またはワイヤの非常に時間をかけた折り重ねを必要とし、得られた巻線が湾曲する可能性がある。
【0086】
全く対照的に、本明細書に記載されるような本発明に係る製造方法は、アイアンレス・ステーターを特に備える電気機械装置の幾何学的必要性に完全にマッチした自立した、精密な形状の略螺旋状の連続的なヘアピン巻線の簡易化された、高精度の速い製造を可能にする。
【0087】
図13a~13oは、本発明に係る連続的なヘアピン巻線2を製造するために使用される折り返し装置4の一連の非常に模式的な斜視図を示す。特に、図13a~13eは、各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が単一のターンを有する1つまたは複数のワイヤ3、すなわち、単一の折り返し方向R1への折り返しステップの単一シーケンスにおいて平らな略螺旋状のリボンを得るために折り重ねられた1つまたは複数のワイヤ3から構成される連続的なヘアピン巻線2を製造するために使用される方法の実施形態に関する。図13f~13oは、以下においてより詳細に説明されるように、特に、各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が(前方向および後方向に)複数のターンを有する単一のワイヤ3から構成される連続的なヘアピン巻線2を製造するために使用される方法の実施形態関する。簡潔さの目的のために、折り返し装置4の様々な部品および構成要素が、初めて現れた図においてのみ、詳細に説明されるであろう。
【0088】
さらに、図13a~13nは、明確性のために、単一のワイヤ3のみが連続的なヘアピン巻線2を形成するために巻かれている状態で示される。実施形態に応じて、リボン状に配置される複数の隣り合うワイヤ3が存在することが可能であり、また、リボンの複数のワイヤ3が同時に折り重ねられるように、隣り合うワイヤ3の間に隙間が選択的に存在する。1つを超えるワイヤを同時に折り返すことは、生産性および製造効率を高めるが、製造の複雑さも高める。高められた複雑さの問題は、本明細書に記載されるような製造方法を使用するとき、特に、記載したような折り返し装置を使用するときに克服される。上記したように、もし、各ワイヤ3が単一のターンのみを有していれば、全ての相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が、同時に折り返すことが可能であり、複雑さは比較的低い。しかし、もし、各ワイヤ3が複数のターン、例えば、3つのターンを有し、かつ所定のワイヤ3が、例えば、相巻線U2、V2、W2の第2の組の相巻線U2と同様に、相巻線U1、V1、W1の第1の組の相巻線U1に関係づけられていれば、複雑さは、本明細書に記載される戻し曲げのためにより高くなる。
【0089】
図13aは、折り返し軸414まわりを回転可能な折り返し部材41を有する折り返し装置4を示す。折り返し部材41は、第1の面411と、実質的に第1の面411とは反対側の第2の面412と、を有する。折り返し部材41は、連続的なヘアピン巻線のための保持部材をともに形成する2つの略平坦であるかまたはくさび形の板415および416を、それらの間に隙間417を有する平面配置において備える。折り返し部材41は、第1の面411と第2の面412との間に2つの直線状でかつ平行な対向する縁部を有し、これら縁部は、互いに平行であり、折り返し軸414にも平行である。折り返し部材41は、折り返し部材41上に、特に、第1の面411と第2の面412との間の縁部の上にまたはこれら縁部の近くに配置されたスペーサ要素413をさらに有する。複数のワイヤ3が、平坦なリボン状に配置され(明確性のために、ただ1つのワイヤ3が示される)、かつ折り返し部材41を横切って配置される。平坦なリボン状のワイヤ3は、直線ワイヤ3であり、断面の短い辺が互いに対向するように配置される。平坦なリボン状のワイヤ3は、ワイヤ3を等間隔空けるように構成されたスペーサ要素413と係合するように、折り返し部材41を横切って配置される。平坦なリボンは、折り返し軸414に対して斜角(90°に等しくない)で折り返し部材41を横切って配置される。当該斜角は、折り返し部材の一方の縁部における平坦なリボンの位置と反対側の縁部における平坦なリボンの位置との間の(折り返し軸414の方向の)横方向の距離が平坦なリボンの幅の略半分であるように選択できる。このことは、折り返しの間に得られる平らな螺旋状のリボンが、一定間隔が空けられたワイヤ3で2つの層21および22を有することを保証する。コイル、スプール、またはリールから供給されるワイヤ3は、矯正部材46を使用して直線状にされ、ワイヤガイド部材44によって所定の位置に案内され、所定の位置に保持される。ワイヤ3は、所定の持続した逆張力を使用して矯正部材46を通って供給される。矯正部材46は、例えば、1つまたは2つの平面におけるローラーである。ワイヤガイド部材は、リボンの各ワイヤ3が正しく方向付けられて配置されることを保証し、また、ワイヤ3における予め決められたレベルの張力を保証する。折り返し装置4は、選択的に、折り返しの間にワイヤ3のリボンを所定の場所に保持する1つまたは複数の折り返し部材45をさらに含む。折り返し部材45は、スペーサ要素413の領域に配置され、特に、折り返し部材45は、スペーサ要素413と接触し、それによってワイヤ3を決まった場所に保持する。折り返し部材45は、ワイヤ3に対して転がるローラーとして具体化されることが可能であり、ワイヤ3が折り返しの間に折り返し部材41に隣接したままであることを保証する。ワイヤ3のリボンは、折り返し部材の第1の面411を横切って配置され、そのため、形成されることになる平らな螺旋状のリボンの第1の層21は、第1の面411に隣接する。
【0090】
図13bは、第1の回転方向R1に折り返し軸414のまわりに回転可能な折り返し部材41として形成される、折り返しセグメント35の折り返しの最中にある折り返し装置4を示す。ワイヤ折り返し部材45は、折り返しの間、ワイヤ3のリボンを所定の位置に保持する。ガイド部材44は、折り返しセグメント35が適切に形成されることを保証するためにワイヤに適切に張力がかけられることを保証する。ガイド部材44折り返し部材41との間のワイヤ3のリボンは、直線状にされる、すなわち、直線状であるので、ワイヤ3は、高いレベルの張力下にあることが可能であり、したがって、回転部材41が、折り返しセグメント35を適切に形成しながら、特に、特定の旋回半径によって、迅速に回転できる。
【0091】
図13cは、最初の折り返しセグメント35が折り返された後の折り返し装置4を示す。折り返し部材41は、その初期位置から、180°にわたって回転した。第2の層22は、第2の板412に隣接する。
【0092】
図13dは、プロセスの間の連続する折り返しにさらに沿う折り返し装置4を示す。
【0093】
図13eは、ワイヤ3のリボンが平らな螺旋状のリボンとなるように折り返された後の折り返し装置4を示す。一実施形態において、平らにされた螺旋状のリボンは、第1の板415および第2の板416を互いに近づくように移動させることによって板415と板416との間の隙間417を減らすことを含むステップによって、折り返し装置4から取り除かれる。得られる平らにされた螺旋状のスパイラルは、第1の層21および第2の層を有し、図14aおよび図14bに関して以下に説明されるような平らにされた螺旋状のスパイラルのワイヤ3となるように曲げられたヘアピン形状を有するための用意が整っている。
【0094】
各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が、単一で途切れのないワイヤ3から成る別の実施形態において、平らにされた螺旋状のリボンを得ることは、図13fから13oに関して以下に記載されるようなステップをさらに含む。
【0095】
図13fは、リボンの戻し曲げの間に水平面において90°回転させた後の折り返し装置4を示す。リボンの各ワイヤ3は、戻し曲げゾーン25における戻し曲げ部材43のまわりに90°曲げられる。戻し曲げ部材43は、例えば、ピンとして具現化される。一実施形態において、戻し曲げ部材43は、実質的に、折り返し部材41の平面に直交する垂直方向に延在し、リボンの各ワイヤ3は、戻し曲げ部材43上の異なる高さ位置において同時に曲げられる。効率的には、各ワイヤ3に対する曲げゾーン25が直前の折り返しセグメント35から異なる距離において生じるように、戻し曲げ部材43は配置される。これにより、ワイヤ3が水平配置に戻されたときに各ワイヤ戻し曲げ部が重なり合わなくなり、平らにされた螺旋状のリボンが薄いままであることが保証される。
【0096】
図13gは、リボンの戻し曲げの間に水平面において、さらに90°だけ回転させた後の折り返し装置4を示す。リボンの各ワイヤ3は、各ワイヤ3が合計で180°戻し曲げられるように、戻し曲げ部材43のまわりに、さらに90°曲げられる。戻し曲げゾーン25の後のワイヤ3は、戻し曲げゾーン25の前のワイヤ3から平行にずらされる。戻し曲げゾーン25の後のワイヤ、および戻し曲げゾーン25の前のワイヤ3は、共に、平らな螺旋状のリボンの第2の層22に関連づけられる。
【0097】
図13hは、戻し曲げが行われた後ワイヤ3のリボンの折り返しの最中の折り返し装置4を示す。2回目に折り返し部材41のまわりにおいてリボンを折り返すために、折り返し部材41は、折り返し軸414のまわりに、第1の回転方向R1とは反対の第2の回転方向R2に回転される。平らにされた螺旋状のリボンが2つの平坦な層21および22を備えるように、ワイヤは、ガイド部材44によって、平らにされた螺旋状のリボンの隙間の中へと案内される。第2の層22は隠されていて見えない。
【0098】
図13iは、第2の折り返しシーケンスが完了し、したがって2つのターンが得られた後の、折り返し装置4を示す。第2の折り返しシーケンスの後、ガイド部材44によって案内されたワイヤ3は、ワイヤ3の反対側の端部と同じ層21に属する。
【0099】
図13jは、リボンの第2の戻し曲げの間に水平面において90°回転させられた後の折り返し装置4を示す。リボンの各ワイヤ3は、第2の戻し曲げゾーン25において、戻し曲げ部材43のまわりに90°曲げられる。
【0100】
図13kは、リボンの第2の戻し曲げの間に水平面において、さらに90°回転させられた後の折り返し装置4を示す。リボンの各ワイヤ3は、各ワイヤ3が合計で180°戻し曲げられるようにして、戻し曲げ部材43のまわりに、さらに90°曲げられる。戻し曲げゾーン25の後のワイヤ3は、戻し曲げゾーン25の前のワイヤ3から、平行にずらされる。戻し曲げゾーン25の後のワイヤ、および戻し曲げゾーン25の前のワイヤ3は、共に、平らにされた螺旋状のリボンの第1の層21に関係づけられる。
【0101】
図13lは、平らにされた螺旋状のリボンの第3のターンの折り返しの最中の折り返し装置4を示す。折り返し部材41は、折り返し軸414のまわりに、第1の方向R1に回転される。ガイド部材44は、リボンのワイヤ3を、平らにされた螺旋状のリボンの残りの隙間の中へと案内するように構成され、特に、ワイヤ3をスペーサ要素413に占有されていないスペースの中へ案内する。
【0102】
図13mは、平らにされた螺旋状のリボンの第3のターンを得るために折り返しシーケンスにおいてさらに沿う折り返し装置4を示す。
【0103】
図13nは、第3のターンが得られた後の折り返し装置4を示す。ガイド部材44によって保持されるワイヤ3の端部が、第1の層21に属するワイヤ3の他方の端部とは逆に第2の層に属することがわかる。一実施形態において、ワイヤ3は切断される。第1の組の相巻線U1、V1、W1および第2の組の相巻線U2、V2、W2に対して別々のワイヤ3が存在してもよい。
【0104】
一実施形態において、ワイヤ3は、上記したように、新しい戻し曲げゾーン25において、戻し曲げられる(例えば、図13mを参照)。新しい戻し曲げゾーン25は、戻し曲げされたワイヤ3が第2の組の相巻線U2、V2、W2の対応するワイヤ3のための適切な隙間を占めるように所定の距離だけ分離されている。これらステップにおいて上記したような折り返しは、図13nと同様の状況に達するまで、繰り返される。この戻し曲げおよび折り返しの継続は、上記したものと同様であるため、別の図には示されない。その後、ワイヤ3は切断される。これにより、各相U1、V1、W1の第1の組および第2の組のための単一で途切れのないワイヤ3が得られる。
【0105】
図13oは、2組の相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2を有する完全に折り曲げられた平らな螺旋状のリボンを示す。各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2は、それぞれ、単一のワイヤ3から成り、3つのターンを有する。第1の層21および第2の層22のワイヤ3は、隙間なく配置される。上記したように、平らにされた螺旋状のリボンは、第1の板415および第2の板416を互いに近づくように移動させることにより板415と板416との間の隙間417を減らすことを含むステップよって、折り返し装置4から取り除かれる。
【0106】
図14aおよび14bは、平らな略螺旋状のリボンに形成され、結果として連続的なヘアピン巻線2となる平らな螺旋状のリボンを示す。図において乱雑さを低減するために、限られた数のワイヤ3のみが示される。
【0107】
図14aは、平らな螺旋状のリボンのワイヤ3と係合したいくつかのワイヤコーム(wire combs)42を示す。特に、4つのワイヤコーム42が、各層21および22のために使用され、一対のワイヤコーム42が、導入すべき曲げセグメント34の各組に対して必要とされる。
【0108】
図14bは、略螺旋状のヘアピン形状を後で提供するための曲げ部を導入するために互いに横方向にずらされたワイヤコーム42を示す。それによって、曲げセグメント34に隣接する直線セグメント33を有する連続的なヘアピン巻線2を形成する。
【0109】
図14aおよび14bは各々、8つのワイヤコーム42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42hを示す。ワイヤコーム42c、42d、42e、42fは、平らな螺旋状のリボンに対して斜角をなしてずらされる。8つのワイヤコーム42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42hのうちの4つのワイヤコーム42c、42d;42e、42fの第1の組の範囲内で、ワイヤコームは、略螺旋状のヘアピン形状を形成するための曲げセグメント34を導入するために、互いに横方向にずらされ、それによって、連続的なヘアピン巻線2を形成する。特に、4つのずらされたワイヤコーム42c、42d、42e、42fに対応する4つの矢印によって示される図14bにおいてわかるように、これら4つのワイヤコーム42c、42d、42e、42fは、ワイヤコームの2つの移動可能な対を形成する。当該2つの移動可能な対において、対となる部材は、曲げセグメント34を導入するために、相互にずらされる。例えば、一対のワイヤコームを形成する2つのワイヤコーム42d、42fは、直線セグメント33および曲げセグメント34を導入するために、互いに対して横方向にずらされる(すなわち、反対の横方向に動かされる)。2つのワイヤコーム42d、42fは各々、直線セグメント33がワイヤコーム42d、42fの延在に垂直になるような距離だけ、移動される。折り返しセグメント35の隣に配置されるその他のワイヤコーム42a、42b、42g、42hは、ずらされず、連続的なヘアピン巻線2の直線セグメント33がワイヤコーム42c、42e;42d、42fの横方向の移動によって中間において形成される間、ワイヤ3を定位置において保持する。ワイヤコーム42c、42d、42e、42fの各々は、平らな螺旋状のリボンの一方側と係合する。ワイヤコーム42c、42d、42e、42fの各々は、平坦な連続的なヘアピン巻線2を構成する直線セグメント33を作りだすために横方向にずれることによって平らな螺旋状のリボンの当該一方側の部分を動かす。つまり、一対のワイヤコーム42d、42fのうちの一方が、連続的なヘアピン巻線2を製造するための一対のワイヤコーム42d、42fのうちの他方と比べて、折り返し装置4(図14aおよび図14bにおいて図せず)の折り返し軸414(図14aおよび図14bにおいて図せず)に平行な反対方向にずらされる。同様に、平らな螺旋状のリボンの反対側において、一対のワイヤコーム42cおよび42eのうちの一方が、曲げセグメント34の間に直線セグメント33を形成するために、対となる他方の部材42e、42cに対して反対の横方向に移動する。
【0110】
図14aおよび14bは、2組の相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2を有する全体の平らな螺旋状のリボンをさらに示す。各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2は、ワイヤコーム42c、42d、42e、42fの横方向のずらしによってヘアピン形状を有する平らな略螺旋状のリボンとなるように形成される。別の実施形態において、平らな螺旋状のリボンは、ただ1組の相巻線を有するか、または2つを超える相巻線を有する。この実施形態の相巻線と係合するワイヤコーム42c、42d、42e、42fの横方向のずらしによってヘアピン形状を有する平らな略螺旋状のリボンを形成することも、この実施形態において可能である。
【0111】
図15a~15cは、平坦な連続的なヘアピン巻線2がどのようにして環状円筒形の連続的なヘアピン巻線2となるように巻かれるのかを示す。上記した一連の折り返しステップ(および選択的には戻し曲げ)の後に得られる平らな連続的なヘアピン巻線2が、図15aに示される。
【0112】
図15aは、2つの層21、22を有する連続的なヘアピン巻線2を、第1の層21が見えていて第2の層22が連続的なヘアピン巻線2の裏側にある状態で示す(図15aでは部分的にのみ見える)。連続的なヘアピン巻線2の第1の側縁において、第1の組の相巻線U1、V1、W1の連続的なヘアピン巻線2の側で、第2の層22が、第1の層21を超えて延在する。連続的なヘアピン巻線2の反対側の側縁において、第1の層21が、第2の層22を超えて延在する。図15bおよび15cに示されるように、連続的なヘアピン巻線2が円筒形状となるように巻かれる時に、これら2つの延在の領域は、互いに重なる。
【0113】
図15bは、部分的に巻かれた連続的なヘアピン巻線2を示し、また、上記した延在の2つの領域が形状に関して相補的であり、連続的なヘアピン巻線2が円筒形状となるように巻かれる時にこれら延在の領域がどのように互いに重なるかを示す。
【0114】
図15cは、ひとたび連続的なヘアピン巻線2が円筒形状となるように巻かれた時の連続的なヘアピン巻線2を示す。示されるように、全ての相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が、連続的なヘアピン巻線2の同じ側に、かつ、比較的小さい同じ方位角範囲内に、入力リード線23を有する。このことは、連続的なヘアピン巻線2を、例えば、電源および/またはモーターコントローラに電気的に接続することにとって有益である。さらに、入力リードに対してワイヤ3の反対側の端部も、同じ領域にあり、相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2の間のスターグラウンドまたはデルタ結線が容易に形成されることを可能にする。第1の組の各相巻線U1、V1、W1、および、それぞれ対応する第2の組の各相巻線U2、V2、W2は、同じ位相を有する。それらは、並列に、または直列に配線され得る。
【0115】
円筒形状の連続的なヘアピン巻線2は、構造的に自立している。構造的な安定性が、オフセット曲げの領域において層21および22を接着することによって、高められことが可能である。連続的なヘアピン巻線2は、特に、連続的なヘアピン巻線2を少しも変形させたり曲げる必要がなく、円筒状のケーシング11の中へ、容易にかつ迅速に挿入される。このことは、連続的なヘアピン巻線2が、一定に間隔が空けられたワイヤ3で最適な形状を維持することを保証する。そのような最適な形状の連続的なヘアピン巻線2は、特に、連続的なヘアピン巻線2とローター13との間に非常に小さい隙間(1mm未満)を有する電気機械装置1のために、必要とされる。小さな隙間を有することは、より高い電磁気効率を達成することにとって、特に、電気機械装置1が、できるだけコンパクトに維持されることになる半径方向の厚さを有して環状円筒形である(環状円筒形ローターを有する)実施形態にとって、明らかに有利である。
【0116】
1つの実施形態において、さらなる構造的支持を提供するために、ワイヤ3間の電気的な絶縁をさらに高めるために、また、ワイヤ3からの熱輸送を向上させるために、連続的なヘアピン巻線2には、硬化可能なポッティング材料を使用してポッティングを施すことができる。
【0117】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線2は、挿入後に接合材を使用してケーシング11に接合させることによって、当該ケーシングにおいて固定される。
【0118】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線2のポッティング、および連続的なヘアピン巻線2のケーシング11への接合は、連続的なヘアピン巻線2がケーシング11の中に挿入されかつ連続的なヘアピン巻線2をケーシング11にさらに接合させる硬化可能なポッティング材料が施される単一のステップにおいて、行われる。
【0119】
図16は、連続的なヘアピン巻線2の非常に模式的な配線トポロジーを示し、特に、各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が3つのターンを有する単一で途切れのないワイヤ3から成る本発明の一実施形態における第1のおよび第2の戻し曲げゾーン25を示す。連続的なヘアピン巻線2の全体の折り重ね部分が省略され、各ワイヤ3の接続を示す矢印によって模式的に置き換えられる(乱雑さを避けるために1つのワイヤ3だけにラベルが付けられる)。さらに、純粋に例示的な目的のために、第2の組の相巻線U2、V2、W2が、これらの間の電気的な接続がより明らかに図示できるように、第1の組の相巻線U1、V1、W1の下方に示される。ワイヤ3が、連続的なヘアピン巻線2を通じて1つのターンを完了させた後、戻し曲げされ、相巻線U2、V2、W2の第2の組のうちの対応する相巻線U2と関係づけられ、連続的なヘアピン巻線2における第2のターンを完了する。そして、2回目の戻し曲げが行われ、2回目の戻し曲げの後、第1の組の相巻線U1、V1、W1のうちの相巻線U1と再度関係づけられる。ワイヤ3は、ひとたび取り除かれれば、元の位置へと隣接して配置され、連続的なヘアピン巻線における第3のターンを完了させる。この図において、戻し曲げられたワイヤは全て、より簡単な製造を提供する同じ方向に戻し曲げられる。
【0120】
図17は、連続的なヘアピン巻線2の非常に模式的な配線トポロジーを示す。図17は、図16と同様であるが、相巻線U1、V1、W1の第1の組のワイヤ3が第2の組の相巻線U2、V2、W2のワイヤ3としても機能することが可能であるように戻し曲げられた第1組の相巻線U1、V1、W1のワイヤ3の出口(outlet)を有する非常に模式的な配線トポロジーを示す。各ワイヤ3は6つのターンを有し、それらのうちの3つは、第1の組の相巻線U1、V1、W1の部分としてのものであり、他の3つは、第2の組の相巻線U2、V2、W2の部分としてのものである。単一で途切れのないワイヤ3が特定の相巻線U1、V1、W1の両方を形成しかつ同じワイヤ3が第2の組の対応する相巻線U2、V2、W2も形成する1つの実施形態において、ワイヤ3は、偶数個のターンを有する。戻し曲げは、上記した戻し曲げゾーンと同様の追加の戻し曲げゾーン25において行われる。ワイヤ3は、第2の組の相巻線U2、V2、W2を形成した後、スターグラウンド24を形成するために共に結合される。本実施形態の有利な点は、2組の相巻線U1、V1,W1、U2、V2、W2を形成するために、3つのワイヤだけが必要とされるということと、必要とされる唯一の電気的な結合は、スターグラウンド24のためのものであるということと、である。このことが、必要とされる電気的な結合の数を絶対最小限にまで減らす。電気的結合を形成することはさらなる時間がかかり、電気的な効率を低減させ、かつエラーを起こしやすいプロセスであるため、特に有利である。
【符号の説明】
【0121】
1 回転電気機械装置、電気モーター、発電機
11 ケーシング
111 (ケーシングの)内側表面
112 (ケーシングの)外側表面
12 環状円筒形アイアンレス・ステーター
13 ローター
131 ローター極
14 シェル
15 ステーター-ローターギャップ
2 連続的なヘアピン巻線
21 (連続的なヘアピン巻線の)第1の層
22 (連続的なヘアピン巻線の)第2の層
23 リード線
24 スターグラウンド
25 戻し曲げゾーン
G グラウンド
F 折り返し線
D ずらし距離
3 (複数の)ワイヤ
3a 導体パッケージ
31 ワイヤ導体、丸みを帯びた導体、リッツ線
32 ワイヤ絶縁体
33 直線セグメント
34 曲げセグメント、オフセット曲げ部
35 折り返しセグメント
4 折り返し装置
41 折り返し部材
411 折り返し部材の第1の面
412 折り返し部材の第2の面
413 スペーサ要素
414 折り返し軸
415 第1の平坦な板
416 第2の平坦な板
417 (第1の板と第2の板との間の)隙間
42、42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42h ワイヤコーム
43 (複数の)戻し曲げ部材
44 (複数の)ワイヤガイド部材
45 (複数の)ワイヤ折り返し部材
46 ワイヤを矯正する部材
R1 (回転または折り返しの)第1の方向
R2 (回転または折り返しの)第2の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10
図11
図12
図13a
図13b
図13c
図13d
図13e
図13f
図13g
図13h
図13i
図13j
図13k
図13l
図13m
図13n
図13o
図14a
図14b
図15a
図15b
図15c
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状の内側表面(111)および/または略円筒状の外側表面(112)を有するケーシング(11)と、
それぞれ、前記ケーシング(11)の前記略円筒状の内側表面(111)または前記略円筒状の外側表面(112)に隣接して配置された環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)であって、少なくとも2つの層(21、22)を有する連続的なヘアピン巻線(2)を含む、環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)と、
前記アイアンレス・ステーター(12)と同軸上に配置されるローター(13)と、
を備える、回転電気機械装置(1)。
【請求項2】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、1つまたは複数の略矩形状のまたは平坦な絶縁されたワイヤ(3)から成り、好ましくは、高さに対する幅の比が、1:1:~5:1の範囲である、より好ましくは、2:1であるワイヤ(3)から成る、請求項1に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項3】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、複数のインターレースされた相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を備え、
各相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)は、1つまたは複数の隣り合うワイヤ(3)から成り、好ましくは、1つ~5つの隣り合うワイヤ(3)を備え、より好ましくは、1つのワイヤ(3)を備えるか、または、
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、複数のインターレースされた相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を備え、
各相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)は、単一で途切れのないワイヤ(3)から成り、前記ワイヤ(3)は、前記ステーター(12)の環状円筒形のまわりに複数のターン、好ましくは、3つのターンまたは5つのターン、を有し、
特に、前記複数のターンは、請求項15の方法によって形成される、
請求項1または2に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項4】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、2組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)、前記ステーター(2)の前記環状円筒形に沿って第1方向に延びる相巻線(U1、V1、W1)の第1の組と、前記ステーター(12)の前記環状円筒形に沿って、第1方向とは反対の第2の方向に延びる相巻線(U2、V2、W2)の第2の組と、を備え、
両方の組は、前記ステーター(12)の軸方向(A)から見たときに、60°未満、好ましくは、45°未満の方位角(ψ)の範囲内で、前記ステーター(12)の同じ端上に入力リード線(23)を有する、
請求項3に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項5】
前記ワイヤ(3)の折り返し領域(35)、特に、折り返しセグメント(35)の外側半径が、前記第1の層(21)の外側表面を越えて延在せず、前記第2の層(22)の外側表面を越えて延在しない、請求項1~4のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項6】
前記ローター(13)は、前記回転電気機械装置(1)が空の内側の円筒状領域を有するように環状円筒形であり、特に、
前記回転電気機械装置(1)は、前記ローター(13)の内側に追加のステーターをさらに備え、
前記追加のステーターは、追加の連続的なヘアピン巻線を有し、前記追加の連続的なヘアピン巻線は、特に、請求項1~5のいずれか1項に記載の連続的なヘアピン巻線(2)である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項7】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、硬化可能なポッティング材料によって、封入されおよび/または前記ケーシング(11)に固定される、請求項1~6のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項8】
前記ケーシング(11)は、環状円筒形ケーシング(11)を形成するために螺旋状に巻かれた積層された透磁性材料の細片、好ましくは、鉄合金の細片を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項9】
前記回転電気機械装置(1)が、電気モーター、特に、ラジアルフラックスモーターである、および/または、
前記回転電気機械装置(1)が、発電機、特にラジアルフラックス発電機である、請求項1~8のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)。
【請求項10】
アイアンレス・ステーター(12)のための連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための方法、特に、請求項1~9のいずれか1項に記載の回転電気機械装置(1)のためのステーター(12)または追加のステーターのための連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための方法であって、
前記方法は、
複数のワイヤ(3)を直線状に並列にリボン状に配置するステップと、
前記複数のワイヤ(3)のリボンを、前記リボンの長手方向軸に沿って存在する連続した折り返し線(F)に沿って続けて第1の回転方向(R1)に、折り重ねるステップであって、前記折り返し線(F)は、連続して折り重ねられるリボンが第1の層(21)および第2の層(22)を提供する平らな螺旋状のリボンを形成するように、前記長手方向軸に対して斜角をなしている、ステップと、
略螺旋状のリボンが形成されるように、直線セグメント(33)が前記平らな螺旋状のリボンの前記折り返し線(F)に対して略垂直に延びるように各連続する折り返し線(F)の間の直線セグメント(33)を、前記平らな螺旋状のリボンの各ワイヤ(3)となるように曲げるステップと、
環状円筒形の連続的なヘアピン巻線(2)を形成するために、前記直線セグメント(33)が円筒形状の円筒軸に略平行に延びる状態で、前記平らな略螺旋状のリボンを、前記円筒形状になるように巻くステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記ワイヤ(3)の折り返しセグメント(35)の外側半径が、前記第1の層(21)の外側表面を越えて延在せず、前記第2の層(22)の外側表面を越えて延在しない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ワイヤ(3)は、矩形状のまたは平坦な絶縁されたワイヤ(3)であり、好ましくは、高さに対する幅の比が、1:1~5:1の範囲、より好ましくは、2:1であるワイヤ(3)である、
請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記ワイヤ(3)は、導体パッケージ(3a)を形成するために各々が導体絶縁体に包まれた複数の丸みを帯びた導体(31)、特に、リッツ線(31)から構成され、特に、前記導体パッケージは(3a)は、外側の絶縁体(32)に包まれ、特に、
前記複数の丸みを帯びた導体(31)は、互いに対して平坦な形状に、特に、平行四辺形の形状に配置され、それによって、矩形状のまたは平らにされたワイヤ(3)を形成する、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
硬化可能なポッティング材料を使用して前記連続的なヘアピン巻線(2)をポッティングするステップをさらに含み、および/または
前記回転電気機械装置(1)において前記連続的なヘアピン巻線(2)を取り付けるために、
略円筒状の内側表面(111)を有するケーシング(11)の中に、前記連続的なヘアピン巻線(2)を挿入するステップ、または
略円筒状の外側表面(112)を有する前記ケーシング(11)上に、または前記装置(1)の支持部上に、前記連続的なヘアピン巻線(2)を取り付けるステップ、
をさらに含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、複数のインターレースされた相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を備え、各相巻線は、単一の途切れのないワイヤ(3)から成り、前記単一で途切れのないワイヤ(3)は、前記ステーター(12)の環状円筒形のまわりに複数のターン、好ましくは、3つのターンまたは5つのターン、を有し、
前記複数のターンは、
各相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)に対して1つのワイヤとなっている複数のワイヤを、前記直線状に並列に前記ワイヤ(3)の間に隙間を残してリボン状に配置することと、
隙間を有する前記平らな螺旋状のリボンを形成するために、前記複数のワイヤのリボンを、前記リボンの長手方向軸に沿って存在する連続した折り返し線(F)に沿って続けて第1の回転方向(R1)に、折り重ねることと、
戻し曲げゾーン(25)において合計で180°前記複数のワイヤ(3)を曲げることによって前記複数のワイヤを戻し曲げることと、
前記複数のワイヤ(3)が前記平らな螺旋状のリボンの隙間の中へと折り重ねられるように前記平らな螺旋状のリボンのまわりに直前の回転方向(R1、R2)とは反対の第2の回転方向(R2、R1)に前記複数のワイヤ(3)を折り重ねることと、
所望の数のターンが得られるまで、戻し曲げること、および折り重ねることを繰り返すことと、
によって形成される、
請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、2組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を有し、
特定の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)の特定の単一のワイヤ(3)は、前記戻し曲げの前に、第1の組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)に関係づけられ、かつ、前記戻し曲げの後に、第2の組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)に関係づけられるか、またはそれとは逆に関係づけられる、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記戻し曲げゾーン(25)は、前記平らな螺旋状リボンの平面に対して垂直でありかつ特にz-方向に沿う1つまたは複数の曲げ軸を備え、
前記ワイヤ(3)を戻し曲げることは、前記1つまたは複数の曲げ軸のまわりに各単一のワイヤ(3)を曲げることを含む、
請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
特定のワイヤ(3)に対して、前記戻し曲げゾーンの直前の前記ワイヤ(3)の第1の直線セグメント(33)、および前記戻し曲げゾーンの直後の前記ワイヤ(3)の第2の直線セグメント(33)は、両方とも、前記第1の層(21)または前記第2の層(22)のいずれかに属する、請求項10~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記曲げるステップは、2つのオフセット曲げ部を、前記複数のワイヤ(3)の各々となるように曲げること、を含み、それによって、前記オフセット曲げ部の間に存在し、平行で、かつ互いに対してずらされる前記直線セグメント(33)を提供し、それによって、曲げの後のリボンの前記略螺旋状の形状を形成し、および/または
前記巻くステップの後に、前記連続的なヘアピンステーター巻線(2)が重複領域を形成し、当該重複領域において、以前は前記平らな螺旋状のリボンの第1の端部に位置する第1の層(21)が、以前は前記平らな螺旋状のリボンの第2の端部に位置する第2の層(22)と重なる、
請求項10~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
折り返し装置(4)を使用し連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための方法、特に、請求項10~19のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記折り返し装置(4)は、折り返し部材(41)を備え、
前記折り返し部材(41)は、
第1の面(411)および第2の面(412)と、
スペーサ要素(413)と、
そのまわりに前記折り返し部材(41)が回転可能である折り返し軸(414)と、
を有し、
複数のワイヤ(3)のリボンを折り重ねることは、
前記折り返し軸(414)に対して傾斜角をなして前記折り返し部材(41)の前記第1の面(411)に横切って前記複数のワイヤ(3)の前記リボンを配置するステップであって、前記複数のワイヤ(3)は、前記スペーサ要素(413)によって分離される、ステップと、
前記リボンが前記折り返し部材(41)の前記第1の面(411)および前記第2の面(412)のまわりに連続的に繰り返し巻かれ、それによって、前記平らな螺旋状リボンを形成するように、前記折り返し部材(41)を、前記折り返し軸(414)のまわりに回転させるステップと、
を備える、
方法。
【請求項21】
前記折り返し装置(4)は、1つまたは複数のワイヤコーム(42)をさらに備え、
前記直線セグメント(33)を前記平らにされた螺旋状のリボンの各ワイヤ3となるように曲げ、それによって、略螺旋状のリボンを形成することは、
前記1つまたは複数のワイヤコーム(42)を、前記平らな螺旋状のリボンのワイヤ(3)と、特に、前記平らな螺旋状のリボンの複数のまたは全てのワイヤ(3)と同時に、係合させるステップと、
前記オフセット曲げ部を各ワイヤ(3)となるように曲げてかつそれらの間で直線セグメント(33)を曲げるために、前記ワイヤ(3)の長さに関して前記1つまたは複数のワイヤコーム(42)を横方向にずらすステップと、
を含み、特に、
前記ワイヤコーム(42c、42d)の少なくとも1つは、前記連続的なヘアピン巻線(2)を製造するために、前記ワイヤコーム(42e、42f)の別のものに対して、前記折り返し装置(4)の前記折り返し軸(414)に平行な反対方向に、横方向にずらされる、
連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記折り返し装置(4)は、特にz-方向に沿って延在させた1つまたは複数の戻し曲げ部材(43)を備え、
前記ワイヤ(3)を戻し曲げることは、
特に、前記平らにされた螺旋状のリボンの第1の平面において、前記折り返し装置(4)を、前記1つまたは複数の戻し曲げ部材(43)のまわりに回転させるステップであって、前記第1の平面は、前記巻くステップの前において前記第1および第2の層(21、22)に平行である、ステップ、
を含む、
請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記単一のワイヤ(3)を戻し曲げることは、
同じ戻し曲げ部材のまわりにおいて所定の組のワイヤ(3)を戻し曲げるステップであって、前記所定の組の各ワイヤ(3)は、同じ前記戻し曲げ部材(43)上において異なる高さ位置において、曲げられる、ステップ、
を含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ワイヤ(3)を戻し曲げることは、
特に合計で180°の戻し曲げを完了させた後、前記ワイヤ(3)の各々が、前記z-方向に直交する平面において他のいずれのワイヤ(3)とも重ならないように、前記戻し曲げ部材(43)を配置するステップ、
を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための折り返し装置(4)であって、
前記折り返し装置(4)は、
折り返し軸(414)のまわりに回転可能な折り返し部材(41)であって、第1の面411(411)および第2の面(412)を有する折り返し部材(41)と、
ワイヤ(3)を受容しかつそれらの間隔を空けるように構成されたスペーサ要素(413)と、
を備え、
前記折り返し装置(4)は、前記ワイヤ(3)と係合するように構成された1つまたは複数のワイヤコーム(42)をさらに備え、
前記ワイヤコーム(42)は、前記折り返し装置(4)の前記折り返し軸(414)に平行な方向に、前記折り返し部材(41)に沿ってずらされることが可能であり、特に、
前記ワイヤコーム(42c、42e)のうちの少なくとも1つは、前記連続的なヘアピン巻線(2)を製造するために、前記折り返し装置(4)の前記折り返し軸(414)に平行な反対方向に、前記ワイヤコーム(42d、42f)のうちの別のものに対して直線的にずらされる、
折り返し装置(4)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械装置、ステーター巻線の製造方法、およびステーター巻線を製造するための折り返し装置に関する。また、本発明は、ステーター巻線の製造方法によって得られるステーター巻線に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モーターおよび発電機などの回転電気機械装置が、公知であり、多くの国内の工業的適用および自動車の用途において使用され、それらの意図した使用に応じて、多くの大きさと種類において利用可能である。多くの電気機械装置において、ステーターの電気巻線に印加された交流電流が、回転電磁場を生成し、これがローターにおけるトルクを引き起こす。ローターは、例えば、回転電磁場と相互作用する一組の永久磁石、ローターコイルまたはローター巻線、ローター導体であって、誘導された電流が当該ローター導体を通じて電磁場を生成する、ローター導体、または、軟磁性材料であって、当該軟磁性材料においてローターの非永久磁極が誘導される、軟磁性材料、を有する。
【0003】
電気モーターまたは発電機は、一般的に、ステーター鉄とステーター巻線とを有するステーターを有する。ステーター巻線は、ステーター鉄のスロットの内部に配置される。ステーター鉄は、一般的に、磁性合金材料の積層されたシートのスタックであり、磁束を方向付けるための媒体の機能と、ステーター巻線を構造的に支持する機能とを有する。ステーター巻線は、ステーター鉄のスロットにおいてステーターの内側で巻かれるリッツ線、または、ステーター鉄のスロットの中に挿入され、例えば、レーザー溶接を使用することによって共に電気的に結合される単一のヘアピン巻線セグメント、などの様々な形態の導体を備える。
【0004】
しかし、アイアンレスモーターは、内側において高い透磁性の材料も、巻線の領域の中へと延在する材料も有していない。
【0005】
アイアンレスモーターは、一般的に、例えば、独国特許出願公開第3401776号明細書および独国特許発明第4414527号明細書に開示されるようなコイルの簡単な巻線を有する。独国特許出願公開第102011111352号明細書、米国特許第4924125号明細書、および米国特許第4211452号明細書などのさらなる先行技術は、電気的接続要素によって互いに機械的に結合された、回転軸に平行な直線状の導電性セグメントを備える巻線を示す。
【0006】
独国特許出願公開第102005051059号明細書には、複数の単一巻線コイルで形成されたアイアンレス巻線を有する電気モーターであって、単一コイルが、屋根瓦のように互いに重なる、電気モーターが開示されている。
【0007】
米国特許出願公開第2013/0300241号明細書には、回転軸に対して傾斜した角度で環状円筒形ボビンのまわりに巻かれた複数の巻線を備える円筒状のアイアンレス・ステーターコイルが開示されている。
【0008】
国際公開第2008/119120号には、波巻きの配置、およびその製造方法が、開示されている。
【0009】
米国特許出願公開第2013/0241369号明細書には、自動車用回転電気機械、および巻線アセンブリの製造方法が、開示されている。
【0010】
欧州特許出願公開第1469579号明細書には、電気回転機械、特に、車両用発電機などの電気回転機械に含まれるステーターが、開示されている。
【発明の概要】
【0011】
本明細書に開示される実施形態の目的は、先行技術の1つまたは複数の不利益を克服する、回転電気機械装置、そのような回転電気機械装置のためのステーター巻線の製造方法、およびそのようなステーター巻線を製造するための折り返し装置を、提供することである。
【0012】
特に、本明細書に開示された実施形態の目的は、先行技術から知られているものと比べて改善された電気効率を有する回転電気機械装置、例えば、電気モーターまたは発電機、を提供することである。さらに、ステーター巻線のより速くかつよりより信頼できる製造を可能にする、そのような回転電気機械装置のためのステーター巻線の製造方法が、開示される。さらに、当該製造方法は、巻線が簡易化された方法でかつ低コストで製造されることを可能にする。これら目的は、独立請求項の主題によって達成される。加えて、さらに有利な実施形態は、従属請求項、請求項の組み合わせから、ならびに明細書および図から明らかになる。その中では、様々な実施形態を、排他的な代替物である場合を除き、一般的に、互いに組み合わせることが可能である。
【0013】
本開示は、回転電気機械装置であって、当該装置が内側ローターを有するかまたは外側ローターを有するかに応じて略円筒状の内側表面および/または外側表面を有するケーシングを備える回転電気機械装置に関する。略円筒状という用語は、「円筒形状から逸脱するかまたは逸脱しない円筒状のマントルの形状を含む。環状円筒形ステーターは、内側ローターの場合においてはケーシングの略円筒状の内側表面に隣接して、または、外側ローターの場合においてはケーシングの略円筒状の外側表面に隣接して、それぞれ、配置され、ステーターは、少なくとも2つの層、特に、ちょうど2つの層または2つの倍数の層、を有する連続的なヘアピン巻線を含む。ケーシングは、環状円筒形アイアンレス・ステーターのための支持構造として機能する。
【0014】
ローターは、内側ローターの場合にはステーターの内側、あるいは外側ローターの場合にはステーターの外側のいずれかに、アイアンレス・ステーターと同軸上に配置される。
【0015】
当該装置は、固定して配置されたステーターと、回転可能なローターと、を含む。回転電気機械装置は、例えば、電気モーターまたは発電機である。特に、当該装置は、リング状電気モーターまたはリング状発電機であり、および/または、特に、ラジアルフラックス電気モーターまたはラジアルフラックス発電機である。ステーターがケーシングの内側に配置されるかまたはケーシングの外側に配置されるかに応じて、ケーシングは、略円筒状の内側表面または外側表面、あるいはその両方を有する。ケーシングの円筒状内側および/または外側表面は、大きな突起のない略円筒状である。特に、ケーシングの内側および/または外側表面は、連続的なヘアピン巻線を受容するように構成されたスロットを有していない。ケーシングは、ステーターの領域の中へ、特に、連続的なヘアピン巻線の領域の中へと延在しないので、ステーターは、一般に、アイアンレス・ステーターと呼ばれ、高い透磁性の材料が巻線の内側にないか、巻線の領域まで延びていない。
【0016】
アイアンレス・ステーターを有することの有利な点は、当該電気機械装置がより高い電気効率を有し、径方向の寸法においてより少なくスペースしか必要とせず、特に、低減された径方向の寸法の環状円筒形に製造できることである。さらに、アイアンレス・ステーターを有する当該電気機械装置は、顕著なコギング効果を有さない。しかし、現在まで、アイアンレスモーターは、一般的に、小さいサイズのかつ小さいパワーの電気モーターにのみに適用されるか、または小さいサイズのかつ小さいパワーの電気モーターに主に適用されてきた。高性能のステーターおよび/またはローター巻線がないために、アイアンレスモーターは、産業上の適用または自動車への適用などの、電気的にハイパワーの適用において、これまでのところ広く使用されてこなかった。
【0017】
本発明の連続的なヘアピン巻線は、ヘアピンの形をしたワイヤであって、ローターの回転軸と同軸上にある連続的なヘアピン巻線の円筒軸に平行に延びる直線状の巻線セグメントを提供するワイヤを備えている。第1の直線状のセグメントの隣に、当該直線状セグメントの一端または両端上において、ワイヤは、続く第2の直線状セグメントが第1の直線状セグメントと逆並列に離れて延びるように、折り返されて曲げられる。ヘアピン巻線は、1つ、2つ、または少数の直線状セグメントを備えることによって定められる各ヘアピン巻線セクションが次のヘアピン巻線セクションと連続するという点で連続的である。特に、溶接、はんだ付け、または同様の技術によって引き起こされるヘアピン巻線セクションの間の電気的接合の必要がない。しかし、連続的なヘアピン巻線のワイヤは、以下において詳細に説明されるように、例えば、連続的なヘアピン巻線の異なる相をスターグラウンドするまたはデルタ結線するために、なんらかの溶接または同様の技術によって、それらの端部において最終的に結合されてもよい。連続的なヘアピン巻線は、径方向から見たときに一方が他方の上にある2層のヘアピンワイヤを有する。連続的なステーター巻線の周りにおいて見たときに、所定のワイヤが、例えば、第1の層から第2の層へと、またはその反対に位置を変える。第1の直線状セグメントが第1の層に配置され、その後、第2の、後に続く、または次の直線状セグメントが第2の層に配置される。
【0018】
一実施形態において、ケーシングは、略円筒状の内側表面または円筒状のマントル表面を有する。ステーターは、ケーシングの円筒状内側表面に隣り合ってケーシングの内側に配置される。この実施形態において、ローターは、内側ローターである。
【0019】
1つの実施形態において、内側ローターは、それ自身、当該電気機械装置が円筒形状の空の領域を部分的に囲むような、リング-円筒状ローターである。このことが、例えば、特定の適用に対するリング-形状モーターを組み立てることを可能にする。
【0020】
1つの実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、1つまたは複数の略矩形のまたは平らなワイヤであって、絶縁されたワイヤから成る。好ましくは、ワイヤは、1:1~5:1の範囲で高さに対する幅のアスペクト比を有する。より好ましくは、当該アスペクト比は、2:1である。特定のアスペクト比が、当該装置の適用に応じて選択される。ワイヤは、引き出されるか、または巻かれるかのいずれかである。ワイヤは、好ましくは銅で作られた導電コアと、外側の絶縁層と、を有する。さらに、ワイヤのコーナー半径の形状も、用途、特に、ワイヤの外側の絶縁層の設計に依存する。
【0021】
一実施形態において、ワイヤは、導体パッケージを形成するために各々が導体絶縁体に包まれた複数の丸みを帯びた導体、特に、リッツ線から構成され、特に、導体パッケージは、外側の絶縁体に包まれる。
【0022】
一実施形態において、複数の丸みを帯びた導体は、互いに平坦な形状に、特に、平行四辺形の形状に配置され、それによって、矩形状のまたは平らなワイヤを形成する。
【0023】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、複数のインターレースされた相巻線を備えることが可能であり、各相巻線は、1つまたは複数の隣り合うワイヤから成り、好ましくは、1つ~5つの隣り合うワイヤを備え、より好ましくは、1つ~3つの隣り合うワイヤを備える。好ましくは、各相が交流電源によって駆動される3つの相巻線が使用され、各相巻線は、他の相巻線に関して120°の位相角だけシフトされた電流によって駆動される。各相巻線が有するワイヤの数は、用途に依存する。特に、当該数は、ステーターが構成される誘導電磁気極の数と、使用されるワイヤのアスペクト比と、に依存する。より少数のワイヤが、アイアンレス・ステーターにおける導体のフィルファクターを大きくする。例えば、所定の相巻線の全てのワイヤを共に電気的に結合するために、各相巻線のワイヤは、入力リード線が配置される領域のみにおいて、共に電気的に結合されてもよい。各相巻線のワイヤは、(星型結線としても知られる)スターグラウンドまたはデルタ結線を形成するために電気的に結合させることも可能である。
【0024】
代替的な実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、複数のインターレースされた相巻線を備えることが可能である。各相巻き線は、ステーターの周りに複数のターン、好ましくは3つのターンまたは5つのターンを有する単一で途切れのないワイヤから成る。この実施形態において、例えば溶接または同様のものによるより少数の電気的接合が必要とされ、または、当該電気的接合を必要としない。なぜなら各相巻線は、単一で途切れのないワイヤのみから成るからである。ターンの数は、ステーターに必要とされる円筒形状に巻かれるときに所定のヘアピンワイヤが連続的なヘアピン巻線を1周する回数を指す。つまり、ターンの数は、円筒形状に巻かれる前の略平面形状である時に、例えば、平面形状に沿って前方向に延びるときに、または平面形状に沿って後方向に延びる戻し曲げを作った後、所定のヘアピンワイヤが当該ヘアピン巻線に沿って延びる回数のことも指す。各ワイヤは、所定のターンにおいて当該ワイヤが同じワイヤの別のターンに隣り合うようにして配置できる。特に、各ワイヤは、同じワイヤの隣り合うターンが連続的なヘアピン巻線によって生成されることになる磁場に寄与するのに役立つように所定のターンにおいて当該ワイヤが別のターンにおける同じワイヤに隣り合うように配置できる。別の実施形態において、各ワイヤは、所定のターンにおいて当該ワイヤが同じワイヤの別のターンと隣り合わないように配置できる。別の実施形態において、各ワイヤは、所定のターンが別のターンにおいて対応するローターの1つまたは複数の極距離だけ同じワイヤに対してオフセットされるように配置できる。後者の場合において、ワイヤはいわゆる極オフセットを有する。ここでは、同じワイヤの隣り合わないターンが、ローターの対応する隣り合わない極において連続的なヘアピン巻線によって生成されることになる磁場に寄与する。
【0025】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、2組の相巻線を有する。第1の組の相巻線は、第1の方向にステーターの円筒状の形状のまわりに延びるかまたは周回するかあるいは当該円筒状の形状を1周する。第2の組の相巻線は、第1の方向とは反対の第2の方向にステーターを周回する。ステーターの軸方向から見たときに、両方の組は、ステーターの同じ端部に入力リード線を有し、60°未満、好ましくは、45°未満の方位角ψの範囲内にある。第2の組の相巻線を、逆相巻線と呼ぶこともできる。したがって、第1の組の相巻線の各々は、第2の組の(逆)相巻線の対応する逆相巻線を有する。第1の組の相巻線のワイヤおよび対応する相巻線の対応するワイヤが相互に補強する電磁場を生成するように相巻線が配置された状態で、第1の組の相巻線、および第2の組の対応する相巻線が、同相に、電気的に作動される。
【0026】
一実施形態において、ケーシングの略円筒状の内側表面および/または略円筒状の外側表面は、環状円筒形アイアンレス・ステーターの軸方向の延在の3分の1超、好ましくは半分超、より好ましくは3分の2超の延在に沿って延在する。つまり、ケーシングは、環状円筒形アイアンレス・ステーターを、その軸方向の延在の大部分に沿って支持して保持する。このことが、ケーシングおよびアイアンレス・ステーターのアセンブリの安定性を高める。さらに、本実施形態は、ケーシングと環状円筒形アイアンレス・ステーターとの間の接続要素が当該装置の関連のある部分上においてより簡単に組み立てることができるという利益を生み出す。加えて、本実施形態は、回転電気機械装置の動作の間の不均衡の可能性を低減する。別の実施形態によれば、ケーシングの略円筒状の内側表面および/または略円筒状の外側表面は、環状円筒形アイアンレス・ステーターの全体の軸方向延在に沿って延在する。
【0027】
本実施形態は、回転電気機械装置の全体の安定性をさらに高め、特に、所望の形状でヘアピン巻線を備える全体の環状円筒形アイアンレス・ステーターを保持することの助けとなる。加えて、もしアイアンレス・ステーターが、ケーシングの範囲内に全体的に配置されれば、それは、機械的な損傷、衝撃、および汚染から好適に保護される。もし、アイアンレス・ステーターが、ケーシングによって部分的にのみ覆われていれば、アイアンレス・ステーターの少なくとも覆われている部分は、ケーシングによって保護される。
【0028】
回転電気機械装置の1つの実施形態、または連続的なヘアピン巻線を製造するための方法の1つの実施形態において、ワイヤの折り返し領域、特に、折り返しセグメントの外側半径は、第1の層の外面または包絡面を越えて延在せず、第2の層の外面または包絡面を越えて延在しない。
【0029】
第1の組の相巻線の所定の相巻線、および第2の組の相巻線の対応する相巻線が、同じ単一で途切れのないワイヤから形成される実施形態において、当該ワイヤは、連続的なヘアピン巻線において、偶数個の総ターン数、より好ましくは、6個のターンまたは10個のターン、を有する。本実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、好ましくは、3本のワイヤから成り、これらワイヤが各々、所定の数のターンにおいて、所定の相巻線を形成し、同数のターンにおいて、逆相巻線を形成する。
【0030】
一実施形態において、回転電気機械装置は、連続的なヘアピン巻線に供給される電流によって駆動される電気モーターとして構成される。それによって、トルクがローターにおいて生成される。
【0031】
一実施形態において、回転電気機械装置は、ローターに加えたトルクから電流を生成する発電機として、構成される。
【0032】
一実施形態において、ローターは、回転電気機械装置が空の内側の円筒状領域を有するように環状円筒形である。回転電気機械装置は、環状円筒形ローターの内側に追加のステーターをさらに備えることができる。特に、追加のステーターは、追加の連続的なヘアピン巻線であって、本明細書において開示されるような連続的なヘアピン巻線として特に設計される追加のヘアピン巻を有することができる。追加のステーターは、ローターを付加的に駆動するために使用できる。追加のステーターは、回転電気機械装置の支持部に取り付けることができる。
【0033】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線が、硬化可能なポッティング材料によって、封入されるおよび/またはケーシングに固定されることが可能である。
【0034】
一実施形態において、ケーシングは、積層された透磁性材料のスタック、好ましくは、鉄合金のスタックを備えることができる。この積層スタックは、渦電流損を低減し、磁束線を最適にする。積層スタックは、環状円筒形の形状を有する。それは、複数の環状円筒形の鉄合金板を備える。これら鉄合金板は、渦電流が1つの鉄合金板から別の鉄合金板へと通過することができないように電気的な絶縁材料において積層される。
【0035】
一実施形態において、ケーシングは、環状円筒形ケーシングの部分を形成するために螺旋状に巻かれた積層された透磁性材料の細片、好ましくは、鉄合金の細片を備える。ここで、「積層される」とは、透磁性材料が、一方の主表面上にまたは両方の主表面上に、絶縁層または絶縁コーティングを備える、ということを意味する。主表面は、細片が螺旋状の形に巻かれるときに互いに面するまたは互いに接触する細片の表面を意味する。具体的には、一定の厚さと幅の積層された透磁性材料の連続的な細片が、円筒状支持部の周りに螺旋状に巻かれ、それによって、環状円筒形のケーシングの部分を形成する螺旋状の積層スタックを形成する。螺旋状の積層スタックは、渦電流が、ケーシングの円筒軸に沿って、直接、進むことはできないが、代わりに、より長い螺旋状の経路に沿ってケーシングの円筒軸の周りを進まなければならない、という有利な点を有する。ケーシングは、上記説明したように本出願の全体を通して、好ましくは、ステーターの領域の中へ、特に、連続的なヘアピン巻線の領域の中へ延在することにはなっていない。積層された材料の当該薄い細片が、渦電流損を低減する。薄い板を積み重ねる代わりに環状円筒形を形成するために螺旋状に細片を巻くことの有利な点は、製造は簡易化され、したがって、製造時間および製造コストも著しく減らされる、ということである。加えて、1つの連続した細片から作られた環状円筒形のケーシングは、一体構造を形成する自立した環状円筒形ケーシングという結果となることができる。特に、このように形成された環状円筒形ケーシングは、薄板を積み重ねる場合と同様に、構造的支持をもたらすために軸方向貫通孔を通じて挿入されることになるピンを必要としない。そのような軸方向貫通孔およびピンを避けることによって、ケーシングは、同じ構造的安定性を達成するためにより薄く製造することが可能であり、追加の製造ステップを必要としない。
【0036】
回転電気機械装置に加えて、本発明は、アイアンレス・ステーターのための連続的なヘアピン巻線を製造するための方法に関する。特に、本方法は、本明細書において記載されたような回転電気機械装置のためのステーターまたは追加的なステーターのための連続的なヘアピン巻線を製造することに関する。本方法は、複数のワイヤを直線状に並列にリボン状に配置するステップを含む。複数のワイヤをリボン状に配置することを、前のステップにおいて行うことができる。例えば、ドラム上に、好ましくは、ワイヤが弾性的にのみ曲げられてしたがって曲げられずに直線状にドラムから外れるほど十分大きなドラム上に複数のワイヤを巻くときに、行うことができる。複数のワイヤを配置することは、異なるドラムからの複数のワイヤを並列にまとめることによっても行うことが可能である。ワイヤは、曲げられずに、リボン状に互いに平行となるように、好ましくは、ワイヤの短辺が互いに向かい合って配置される。
【0037】
本実施形態によって、ワイヤが、共に近接して配置されるか、またはワイヤの間に隙間を有して配置される。本方法も、第1の回転方向に複数のワイヤのリボンを折り重ねるステップ、特に、(リボンの長手方向軸が各ワイヤの長手方向軸に平行である状態で)リボンの長手方向に沿って存在する連続した折り返し線に沿って連続的にリボンを折り返すステップ、を含む。折り返し線は、連続して折り重ねられるリボンが第1の層および第2の層を提供する平らな螺旋状のリボンを形成するように、リボンの長手方向軸に対して斜角をなしている。リボンの各層は、略平坦である。斜角は、直交角ではなく、平らな螺旋状のリボンの巻き角度またはらせん角度に対応する。巻き角度は、リボンの幅(それ自体、相巻線の数、各相巻線のワイヤの数、各ワイヤの断面幅、および隣り合うワイヤの間の距離、の関数として選択できる)、および連続する折り返し線の間の距離を含むいくつかのパラメータに依存する。折り返し線は、折り重ねられたリボンが平らな螺旋状のリボンを形成するように、リボンに沿って等間隔で配置されることが可能である。本方法は、直線セグメントが平らな螺旋状のリボンの折り返し線に対して略垂直に延びるように各連続する折り返し線の間の直線セグメントを、完成した平らな螺旋状のリボンの各ワイヤとなるように曲げるステップを含む。当該曲げるステップは、ヘアピン形状をワイヤに導入する。特に、各ワイヤは、折り重ねられたリボンの各層が平坦なままであるように、リボンの平面に対して垂直な軸のまわりで曲げられる。つまり、第1のオフセット曲げ部が各折り返し線の前に作り出されかつ第2のオフセット曲げ部が各折り返し線の後に作り出されるように、横方向に曲げられる。それによって、2つの曲げセグメントの間に直線セグメントを含むヘアピン形状のセグメントを有する略螺旋状のリボンが、形成される。本方法は、環状円筒形の連続的なヘアピン巻線を形成するために、直線セグメントが円筒形状の円筒軸に略平行に延びる状態で、平らな略螺旋状のリボンを、円筒形状になるように巻くステップも含む。
【0038】
一実施形態において、本方法は、硬化可能なポッティング材料を使用して連続的なヘアピン巻線をポッティングするステップをさらに含むことができる。ポッティング材料は、例えば、二液型ポッティング材料、または(例えば、UV硬化を使用した)硬化可能なポッティング材料である。連続的なヘアピン巻線は、その連続的にインターレースされたヘアピン巻線のために、相当な構造的安定性を既に有するが、構造的安定性をさらに向上させるために、ワイヤの間の電気的絶縁性をさらに向上させるために、そして、抵抗損失による熱をワイヤから除去することを向上させるために、ポッティング材料を連続的なヘアピン巻線に導入することができる。
【0039】
一実施形態において、本方法は、回転電気機械装置において連続的なヘアピン巻線を取り付けるために、略円筒状の内側表面を有するケーシングの中に、連続的なヘアピン巻線を挿入すること、をさらに含むことができる。先行技術と比べて、当該挿入ステップは、ケーシングまたはステーター鉄の溝またはノッチに中にヘアピン巻線を配置することを伴わないことに注意する。したがって、本発明のケーシングは、スロット、溝、またはノッチがなくてもよい。挿入された連続的なヘアピン巻線は、例えば、内側のケーシングに接合されてもよい。挿入された連続的なヘアピン巻線は、上記したポッティングステップと共に、特に、同じ硬化可能なポッティング材料を使用して、ケーシングに接合されてもよい。ステップのこの組み合わせは、製造スピードを高め、連続的なヘアピン巻線とケーシングとの間の非常に良好な嵌合をさらに保証する。加えて、または代替的に、本方法は、回転電気機械装置において連続的なヘアピン巻線を取り付けるための略円筒状の外側表面を有するケーシングの中に連続的なヘアピン巻線を挿入すること、をさらに含むことができる。回転電気機械装置が外側ローターを有する時に、この構成が使用できる。加えて、本方法は、第2の連続的なヘアピン巻線を回転電気機械装置の支持部に取り付けることによって第2の連続的なステーター巻線を回転電気機械装置に追加すること、をさらに含むことが可能であり、第2の連続的なヘアピン巻線は、第1の連続的なヘアピン巻線と同軸上にあり、ローターはそれらの間に配置される。
【0040】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、複数のインターレースされた相巻線を備えることが可能である。各相巻線は、ステーターの環状円筒形環状円筒形のまわりに複数のターン、好ましくは3つのターンまたは5つのターンを有する単一で途切れのないワイヤから成る。単一で途切れのないワイヤは、その長さに沿って電気的な接合を有する必要はない。複数のターンは、各相巻線に対して1つのワイヤとなっている複数のワイヤを、直線状に並列にワイヤの間に隙間を残してリボン状に配置することによって形成される。各隙間は、ワイヤを受容するほど十分に広く、2つの隣り合うワイヤの間に複数の隙間があってもよい。複数のワイヤのリボンは、第1の回転方向に折り重ねられる。特に、平らな螺旋状のリボンを形成するリボンの長手方向軸に沿って存在する連続した折り返し線に沿って連続的にリボンが折り返される。平らな螺旋状のリボンは、隙間を有する。本方法は、戻し曲げゾーンにおいて合計180°だけ複数のワイヤを曲げることによる複数のワイヤの戻し曲げを含む。戻し曲げの後にリボンにおける隙間が占められるように、各ワイヤは、戻し曲げられる。本方法は、複数のワイヤが平らな螺旋状のリボンの隙間の中へと折り重ねられるように平らな螺旋状のリボンのまわりに第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に複数のワイヤを折り重ねること、を含む。戻し曲げのステップ、および折り重ねのステップは、所望の数のターンが得られるまで、繰り返される。ひとたび所望の数のターンが得られると、リボンにおける全ての隙間が埋められ、平らな螺旋状のリボンは、2つの層を有し、各層は、並んで配置させられたワイヤを備える。
【0041】
一実施形態において、戻し曲げゾーンは、平らな螺旋状リボンの平面に対して垂直でありかつ特にz-方向に沿う1つまたは複数の曲げ軸を備える。ワイヤを戻し曲げするステップは、1つまたは複数の曲げ軸のまわりに各単一のワイヤを曲げること、を含む。ワイヤを戻し曲げるステップは、例えば、各単一ワイヤを約90°だけ2回曲げること、を含む。2つの90°の曲げは、戻し曲げされたワイヤが平らな螺旋状のリボンにおける適切な隙間を占めるように所定の距離離される。
【0042】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、別々の連続的なヘアピン巻線から作られる2組の相巻線を有することができる。単一の連続的なヘアピン巻線を形成するために、2つの別々の連続的なヘアピン巻線が積み重ねられることが可能であり、またはインターレースされることが可能である。
【0043】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線は、単一で途切れのないワイヤから作られる2組の相巻線を有することができる。特定の相巻線の特定の単一のワイヤが、戻し曲げゾーンにおいて戻し曲げされ、戻し曲げされたワイヤが第2の組の相巻線の対応するワイヤに対する特定の隙間を占めるように所定の距離だけ離される。単一のワイヤは、戻し曲げの前に第1の相巻線に関係づけられ、かつ戻し曲げの後に第2の組の相巻線に関係づけられることが可能であり、またはそれとは逆にして関係づけられることが可能である。戻し曲げゾーンの前のワイヤの第1のセグメント、および戻し曲げゾーンの後のワイヤの第2のセグメントは、共に、第1の層および第2の層から選択される同じ層に属することができる。
【0044】
複数のワイヤの戻し曲げによって、複数のインターレースされた相巻線を備える連続的なヘアピン巻線であって、各相巻線が、ステーターのまわりに複数のターン、好ましくは3つのターンまたは5つのターンを有する単一で途切れのないワイヤから成る、連続的なヘアピン巻線を作り出すことが可能である。本実施形態において、例えば溶接または同様のものによるより少数の電気的接合が必要とされることが可能であり、または、当該電気的接合を必要としないことが可能である。なぜなら各相巻線は、単一で途切れのないワイヤのみから成るからである。ターンの数は、ステーターに必要とされる円筒形状に巻かれるときに所定のヘアピンワイヤが連続的なヘアピン巻線を1周する回数を指す。つまり、ターンの数は、円筒形状に巻かれる前の略平面形状における時に、例えば、平面形状に沿って前方方向に延びるときに、または平面形状に沿って後方方向に延びる戻し曲げを作った後、所定のヘアピンワイヤが当該ヘアピン巻線軸に沿って延びる回数のことも指す。各ワイヤは、所定のターンにおいて当該ワイヤが同じワイヤの別のターンに隣り合うようにして配置できる。特に、各ワイヤは、同じワイヤの隣り合うターンが連続的なヘアピン巻線によって生成されることになる磁場に寄与するのに役立つように所定のターンにおいて当該ワイヤが別のターンにおける同じワイヤに隣り合うように配置できる。別の実施形態において、各ワイヤは、所定のターンにおいて当該ワイヤが同じワイヤの別のターンに隣接しないように配置できる。別の実施形態において、各ワイヤは、所定のターンが別のターンにおいて対応するローターの1つまたは複数の極距離(pole distance)だけ同じワイヤに対してオフセットされるように配置できる。後者の場合において、ワイヤはいわゆる極オフセット(pole offset)を有し、ここでは、同じワイヤの隣り合わないターンが、ローターの隣り合わない極において連続的なヘアピン巻線によって生成されることになる磁場に寄与する。
【0045】
一実施形態において、曲げるステップは、2つのオフセット曲げ部で複数のワイヤの各々を曲げること、を含み、それによって、オフセット曲げ部の間に存在し、互いに平行で、かつ互いにずらされる直線セグメントを提供する。それによって、曲げの後のリボンの略螺旋状の形状が形成される。オフセット曲げ部のいずれかの側の直線セグメントが、平行なままであるようにして、各オフセット曲げ部は、特定の角度の第1の曲げ部と、反対方向の同じ特定の角度の第2の曲げ部とを含む。曲げの特定の半径および曲げの特定の角度は、用途に依存し、特に、ワイヤのアスペクト比、および各ワイヤのまわりの絶縁の種類または厚さに依存する。
【0046】
一実施形態において、連続的なヘアピンステーターを巻いて円筒形状にした後、連続的なヘアピン巻線は、重複領域を形成する。当該重複領域において、平らな螺旋状のリボンの第1の端部に位置する第1の層が、平らな螺旋状のリボンの第2の端部に位置する第2の層と重なる。この重複領域は、リボンの折り重ねの結果である。第1の層は、平らな螺旋状のリボンの一端に突起を有し、第2の層は、平らな螺旋状のリボンの他端に突起を有する。これらの突起は、連続的なヘアピン巻線が巻かれて円筒形状にされたときに第1の層および第2の層が互いに合致しかつ各々がワイヤの略一様な分布を有する連続的な内側の円筒状層および連続的な外側の円筒状層をそれぞれ形成するようにして相補的であるように互いに平面方向に部分的にずらされている。
【0047】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線を製造するための上記した方法は、折り返し部材を備える折り返し装置を使用することを含む。折り返し部材は、第1の面および第2の面と、スペーサ要素と、そのまわりで折り返し部材が回転可能である折り返し軸と、を有する。複数のワイヤのリボンを折り重ねることは、折り返し軸に対して傾斜角をなして折り返し部材の第1の面にわたって複数のワイヤのリボンを配置することを含む。複数のワイヤは、スペーサ要素によって分離される。スペーサ要素は、例えば、リボンのワイヤを受容しかつ適切にそれらに間隔を空けるように構成された、折り返し部材からの突起、または当該折り返し部材の中への凹み、である。リボンが折り返し部材の第1の面および第2の面のまわりに連続的に繰り返し巻かれ、それによって、平らな螺旋状リボンを形成するように、折り返し部材は、折り返し軸のまわりに回転される。
【0048】
一実施形態において、折り返し装置は、1つまたは複数のワイヤコームを、さらに備える。ワイヤコームは、スペーサ要素に類似し、ワイヤを保持するように構成される。直線セグメントを平らな螺旋状のリボンの各ワイヤとなるように曲げることは、1つまたは複数のワイヤコームを、平らな螺旋状のリボンのワイヤと係合させることと、オフセット曲げ部を各ワイヤとなるように曲げてかつそれらの間で直線セグメントを曲げるためにワイヤの長さに対して1つまたは複数のワイヤコームを横方向にずらすことと、を含む。その結果、螺旋状のリボンは、略螺旋状リボンに再成形される。ワイヤコームは、例えば、ワイヤと係合して折り返し部材に対してワイヤを押圧するように構成される。ワイヤコームは、このとき、折り返し部材に沿ってずらされる。
【0049】
一実施形態において、少なくとも1つのワイヤコームは、連続的なヘアピン巻線を製造するために、折り返し装置の折り返し軸に平行な反対方向に、ワイヤコームのうちの別のものに対して直線的にずらされる。本実施形態によれば、ワイヤコームは、1つのずらしステップの間に、したがって特に速く、ヘアピン巻線の直線セグメントを曲げるという有利な実現性を生み出す。さらなる有利な点は、ワイヤコームが、平らな螺旋状のリボンの好ましくは全てのワイヤと同時に係合する、ということである。別の有利な点は、ワイヤコームの係合が、軸方向張力下で1つまたは複数のワイヤがスプールから供給されることなく行われる、ということである。
【0050】
一実施形態において、折り返し部材は、保持部材を備える。平らな螺旋状のリボンが、保持部材上で折り重ねられる。保持部は、平面において互いの隣に配置されかつ隙間によって分離された2つの平坦な板によって形成される。また、連続的なヘアピン巻線の製造は、隙間を低減するために平坦な板を共に動かしかつ折り重ねられた平らな螺旋状のリボンから平坦な板を引き出すことによって、平らな螺旋状のリボンから保持部材を除去すること、をさらに含む。平坦な板の間に隙間を有することによって、平坦な板は、例えば、平らな螺旋状のリボンから容易に、かつ折り重ねられた平らな略螺旋状のリボンを邪魔することなく、連続的に、除去することが可能である。このことが、ワイヤ絶縁が損傷を受ける可能性、または平らな略螺旋状のリボンの規定された形状が損なわれる可能性を減らす。
【0051】
一実施形態において、折り返し装置は、平らな螺旋状のリボンの平面からz-方向に沿って特に延在した1つまたは複数の戻し曲げ部材を備える。ワイヤを戻し曲げることは、平らな螺旋状のリボンの特に第1の平面において1つまたは複数の戻し曲げ部材のまわりで折り返し装置を回転させること、を含む。当該第1の平面は、ヘアピン形状に曲げるステップの前において、特に、巻くステップの前において、第1のおよび第2の層に平行である。1つまたは複数の戻し曲げ部材のまわりで、または1つまたは複数の戻し曲げ部材の領域にある軸のまわりで、折り返し装置を回転させるステップに対して、折り返し装置が回転可能なテーブル上に配置されることは有利であり得る。
【0052】
一実施形態において、単一のワイヤを戻し曲げることは、同じ戻し曲げ部材のまわりで、所定の組の全てのワイヤを戻し曲げることを含む。当該所定の組の各ワイヤが、同じ戻し曲げ部材上において異なる高さ位置において曲げられる。ワイヤの弾性的柔軟性により、いくつかのワイヤが、単一の組にともにグループ分けされ、同じ戻し曲げ部材のまわりで同時に曲げられることが可能である。ワイヤにおける曲げ部が互いに重なることなく、それによって垂直方向に、より多くのスペースを占有することを保証するために、各ワイヤは、平らな螺旋状のリボンの平面の上方において異なる高さ位置において曲げられる。このことは、ワイヤを非弾性的に曲げることなく可能である。その結果、曲げ部が、水平方向位置に戻される時に、ワイヤにおける曲げ部は、これら曲げ部が互いに重ならないようにして、横方向に互いからずらされる。
【0053】
一実施形態において、ワイヤを戻し曲げることは、同じ第1の戻し曲げ部材のまわりで、かつ同じ第2の戻し曲げ部材のまわりで、所定の組の全てのワイヤを戻し曲げることを含み、特に合計で180°の戻し曲げを完了させた後、当該所定の組の各ワイヤは、これらワイヤが略平坦な位置に戻された後に、z-方向と直交する平面において、少なくとも一定の距離だけ、同じ組の他のワイヤから離されるようにして、当該所定の組の各ワイヤは、第1の同じ戻し曲げ部材および第2の同じ戻し曲げ部材上において異なる高さ位置において曲げられる。
【0054】
1つの実施形態において、ワイヤを戻し曲げることは、特に合計で180°の戻し曲げを完了させた後、ワイヤの各々が、z-方向と直交する平面において他のいずれのワイヤとも重ならないように戻し曲げ部材を配置すること、を有する。
【0055】
回転電気機械装置、およびアイアンレス・ステーターのための連続的なヘアピン巻線を製造するための方法に加えて、本発明は、連続的なヘアピン巻線を製造するための折り返し装置にも関する。折り返し装置は、折り返し部材を備える。折り返し部材は、第1の面および第2の面と、スペーサ要素と、そのまわりで折り返し部材が回転可能である折り返し軸と、を有する。スペーサ要素は、例えば、ワイヤを受容しかつ適切にそれらに間隔を空けるように構成された、折り返し部材からの突起、または当該折り返し部材の中への凹み、である。
【0056】
一実施形態において、折り返し装置は、1つまたは複数のワイヤコームを、さらに備える。ワイヤコームは、スペーサ要素に類似し、平らな螺旋状のリボンのワイヤを保持するように構成される。ワイヤコームは、ワイヤと係合するように構成され、かつワイヤの長さに対して1つまたは複数のワイヤコームを横方向にずらすことによってオフセット曲げ部を各ワイヤとなるように曲げてかつそれらの間で直線セグメントを曲げるように構成される。ワイヤコームは、例えば、ワイヤと係合して折り返し部材に対してワイヤを押圧するように構成される。ワイヤコームは、このとき、折り返し部材に沿ってずらされる。
【0057】
一実施形態において、折り返し部材は、平面において互いの隣に配置されかつ隙間によって分離された2つの平坦な板によって形成された保持部材を備え、保持部材は、隙間を減らすために平坦な板が互いに向かって移動できるようにして、構成される。
【0058】
1つの実施形態において、折り返し装置は、ワイヤを戻し曲げるための1つまたは複数の戻し曲げ部材を備える。
【0059】
一実施形態において、少なくとも1つのワイヤコームは、連続的なヘアピン巻線を製造するために、折り返し装置の折り返し軸に平行な反対方向に、ワイヤコームのうちの別のものに対して直線的にずらされる。
【0060】
本明細書に開示される本発明の実施形態、特に、連続的なヘアピン巻線を製造するための方法において、ワイヤコームは、平らにされた螺旋状のリボンの複数のおよび好ましくは全てのワイヤと同時に係合する。
【0061】
本明細書に開示される本発明の実施形態、特に、連続的なヘアピン巻線を製造するための方法において、ワイヤコームの係合が、軸方向張力下で1つまたは複数のワイヤがスプールから供給されることなく行われる。
【0062】
本明細書に開示される本発明の実施形態、特に、連続的なヘアピン巻線を製造するための方法において、ステーター巻線は、ステーターコアのスロットの中に、嵌め込まれない。
【0063】
本明細書に開示される本発明の実施形態において、ワイヤは、各々が導体絶縁体に包まれた複数の導体、例えば、リッツ線、特に、丸みを帯びた導体または丸みを帯びたリッツ線、から構成されることが可能である。導体の組み合わせられた配置、すなわち、導体パッケージは、それ自身、外側の絶縁体に包まれることが可能である。複数の好ましい丸みを帯びた導体が、互いに対して平坦な形状に、特に、平行四辺形の形状に配置可能であり、それによって、高いフィルファクターを有しかつ渦電流が低減された連続的なヘアピン巻線に適した平坦なワイヤを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明に記載されている開示は、本明細書において以下に与えられた詳細な記載および添付の図面から、より完全に理解されるであろう。添付の特許請求の範囲において記載された開示が、これら詳細な記載および添付の図面に限定されると考えるべきではない。図面は、以下の通りである。
【0065】
図1】先行技術に係る、傾斜角のもとで配置された波巻きのステーター巻線を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る傾斜していない直線セグメントを有する、略螺旋状のヘアピン形状を有する連続的なヘアピン巻線を模式的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る矩形状のワイヤの断面を模式的に示す図である。
図4】先行技術に係る、本発明にも有用である波巻きのワイヤ束の断面を模式的に示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る装置の詳細な断面図を模式的に示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る回転電気機械装置を、当該装置の内部を露出させるために部分的に切り欠いて模式的に示す図である。
図7】先行技術に係る単一のヘアピンワイヤセグメントを模式的に示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線の一部を模式的に示す図である。
図9a】本発明の3つの実施形態に係る3つの異なるワイヤ折り返し部を模式的に示す図である。
図9b】本発明の3つの実施形態に係る3つの異なるワイヤ折り返し部を模式的に示す図である。
図9c】本発明の3つの実施形態に係る3つの異なるワイヤ折り返し部を模式的に示す図である。
図10】本発明の実施形態に係るワイヤオフセット曲げ部を模式的に示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る、互いにインターレースされた連続的なヘアピン巻線の3つの相を模式的に示す図である。
図12】本発明の実施形態に係る、互いにインターレースされた連続的な2組のヘアピン巻線の3つの相を模式的に示す図である。
図13a】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13b】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13c】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13d】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13e】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13f】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13g】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13h】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13i】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13j】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13k】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13l】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13m】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図13n】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示すである図。
図13o】本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線を製造するためのステップの数および折り返し装置を模式的に示す図である。
図14a】本発明の実施形態に係る平らにされた略螺旋状のヘアピン状リボンおよび連続的なヘアピン巻線を形成するために、オフセット曲げを行い、その間の直線セグメントを平らにされた螺旋状のリボンとなるように曲げる2つのステップを模式的に表す図である。
図14b】本発明の実施形態に係る平らにされた略螺旋状のヘアピン状リボンおよび連続的なヘアピン巻線を形成するために、オフセット曲げを行い、その間の直線なセグメントを平らな螺旋状のリボンとなるように曲げる2つのステップを模式的に表す図である。
図15a】平坦な連続的なヘアピン巻線を、本発明の実施形態に係る円筒状の連続的なヘアピン巻線となるように巻くためのいくつかのステップを模式的に示す図である。
図15b】平坦な連続的なヘアピン巻線を、本発明の実施形態に係る円筒状の連続的なヘアピン巻線となるように巻くためのいくつかのステップを模式的に示す図である。
図15c】平坦な連続的なヘアピン巻線を、本発明の実施形態に係る円筒状の連続的なヘアピン巻線となるように巻くためのいくつかのステップを模式的に示す図である。
図16】巻線が3相の2つの組を有しかつ各組の各相は3つのターンを有する単一のワイヤから成る、本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線の配線図を模式的に示す図である。
図17】巻線が2組の3つの相を有する本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線の配線図であって、6つのターンを有する単一のワイヤが、両方の組における対応する相が同じ単一のワイヤよって一緒に形成されるように各相のために使用される、配線図を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
特定の実施形態について詳細に参照されるであろう。これら特定の実施形態の実施例は、添付の図面に示され、これら図面において、いくつかの特徴が示されるが、全ての特徴が示されるわけではない。実際に、本明細書に開示される実施形態は、多くの異なる形態で具現化可能であり、本明細書に説明される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。さらに、これらの実施形態は、互いに組わせることも可能である。可能であるときはいつでも、同様の引用符号が、同様の構成要素または部品を引用するために、使用されるであろう。全ての同様の構成要素が、全ての図において引用符号を有するわけではない。
【0067】
図1は、アイアンレスモーターに適した先行技術のステーター巻線の模式的な部分図である。ステーター巻線は、支持部(図示せず)のまわりに巻かれたワイヤ3を有し、ワイヤ3は、折り返し線Fに沿って折り返される。ワイヤ3は、互いに隣り合って密に詰められているが、例示的目的のために、全てのワイヤ3が示されるわけではない。次の隣のワイヤ3、すなわち、折り返し線Fの前後の次のワイヤまたはワイヤセグメント3における電流は、反対方向に流れる。さらに、ステーター巻線は、第1の側21および第2の側22を有し、各ワイヤにおける電流は、第1の側21においては第1の方向に流れ、第2の側22においては(全体として巻線に対して)反対方向に流れる。ローター13の極131(明確には図示せず)も図示されている。次の隣のワイヤ3の間またはワイヤセグメントの間の距離は、極131の間の中心間距離に相当する。図示されるようなステーター巻線は、いくつかの欠点を有する。第1に、個々のワイヤ3は、極131に対して傾斜角度をなし、すなわち、厳密な螺旋を形成し、したがって、巻線によって生成される電磁場が、極131の(電)磁場と最適に相互作用しない。なぜなら、それらは、互いに対して小さな傾斜角度をなすからである。さらに、第1の側21のワイヤ3は、第2の側22のワイヤ3との大きな重複領域を有し、その結果、この重複領域において生成された電磁場が部分的に打ち消される。この大きな重複領域を避けるために、一般的には、ローターの極131の長手方向の延在が、ステーター巻線の長手方向の延在よりも小さい。折り返し線Fが、ローター極131の端からかなりの距離を置いて配置されることが、図においてわかる。
【0068】
図2は、本発明の実施形態に係る連続的なヘアピン巻線2の模式的な部分図を示す。図1にあるように、全てのワイヤ3が示されているわけではない。図1に類似して、ワイヤ3および次の隣のワイヤ3における電流が、反対方向に流れる。さらに、連続的なヘアピン巻線2は、第1の層21および第2の層22を有し、各ワイヤ3において矢印の方向によって示されるように、各ワイヤ3における電流は、第1の層21においては第1の方向に流れ、第2の層22においては(全体として連続的なヘアピン巻線2に沿って)反対方向に流れる。ローター13の極131(明確には図示せず)も図示される。次の隣のワイヤ3の間の距離は、極131の間の中心間距離に相当する。
【0069】
先行技術の図1と比べて、本実施形態のワイヤ3は、最適な電磁相互作用を保証するために極131と並べられた直線セグメント33を有する。第2に、第1の層21における所定のワイヤ3と第2の層22における同じワイヤ3との間に折り返しセグメント35を含む重複領域は、ローター極131の端領域において誘導電磁場のキャンセレーションによる性能ロスを避けるために、全体的にローター極131の端領域から完全に除去される。構成、特に、ワイヤ3の曲げ角度に応じて、折り曲げ線Fは、先行技術に比べて、極131の端領域のより近くに移動させることが可能であり、連続的なヘアピン巻線2のよりコンパクトな設計を可能にする。
【0070】
図3は、本発明の1つの実施形態に係るワイヤ3の断面図を示す。ワイヤ3は、丸みを帯びた角を有する略矩形状断面を有する。ワイヤ3は、好ましくは銅または銅の合金である内部導体31と、外側絶縁体32と、を有する。ワイヤ3は、例えば、丸みを帯びたワイヤを矩形形状に巻くことによって、または直接的に、例えば、矩形形状に押し出し形成することによって、製造できる。代替的には、ワイヤ3は、楕円形状を有するか、または、その他の平らな形状を有する。ワイヤ3のアスペクト比(断面幅に対する断面高さの比)が、1:1と5:1との間にあることが可能であり、好ましくは、2:1である。
【0071】
図4は、先行技術に係るワイヤ3の断面図を示す。ワイヤ3は、外側絶縁体32に包まれた複数の丸みを帯びた導体31を備えている。図3の実施形態と比較して、ワイヤ3は、丸みを帯びた導体31の間のスペースにより、より低いフィルファクターを有する。それにもかかわらず、そのような先行技術のワイヤ3を、本発明においても使用可能である。
【0072】
他の実施形態によれば、ワイヤ3は、導体31を封入する円によって図4において示されるような導体絶縁体に各々が包まれる複数の導体31、特に、丸みを帯びた導体31、例えば、リッツ線から構成される。導体31の組み合わされた配置3a、すなわち、導体パッケージ3aは、それ自身、外側絶縁体32に包まれ得る。さらなる実施形態によれば、複数の丸みを帯びた導体31が、互いに対して、平行四辺形のような形(例えば、六角形状のパッキング)で配置される。つまり、導体31の中心軸のうちの4つは、平行四辺形の角を形成する。この形状により、導体31の間のスペースが減るので、ワイヤ3(導体パッケージ3a)のフィルファクターを高める。
【0073】
図4に示される、導体パッケージ3a、特に、リッツ線31を含む導体パッケージ3aは、図3に示されるような単一の矩形形状のまたは平坦なワイヤ3と比べて、さらなる有利な点を有する。導体パッケージ3は、よりフレキシブルであり、したがって、平らな略螺旋状のリボンになるように曲げることが容易である。導体パッケージ3aも、連続的なヘアピン巻線において、回転電気機械装置において、渦電流損を低減することが可能である。渦電流損の低減は、導体パッケージ3aの内側の導体絶縁体によって境界付けられた導電断面領域が小さくなったことに起因すると考えられる。
【0074】
図5は、本発明の1つの実施形態に係る回転電気機械装置1の断面的な2D部分図を非常に模式的に示す。装置1は、ケーシング11を有する。ケーシング11は、略円筒状の内側表面111と、略円筒状の外側表面112と、を有する。ケーシング11は、透磁性材料、特に、鉄合金で作られた積層スタックから構成される。1つの実施形態において、ケーシング11は、螺旋状に巻かれかつラミネート加工された透磁性材料、特に、鉄合金、の薄い細片から構成される。アイアンレス・ステーター12は、装置1の内側に、ケーシング11の隣に配置される。ケーシング11は、アイアンレス・ステーター12の領域の中へは延在しない。アイアンレス・ステーター12は、連続的なヘアピン巻線2を含む。乱雑さを低減するために、連続的なヘアピン巻線2の一部だけが示される。特に、連続的なヘアピン巻線2の第1の層21および第2の層22に属する2つのワイヤ3が示されている。2つの層21および22は、円筒状ステーター12の中心軸から半径方向に互いに上下に配置される。当該装置は、ケーシング11を囲むことができるシェル14を備えて示される。ローター13は、例えば内側に配置され、環状円筒形ギャップ15によって、アイアンレス・ステーター12から分離される。ローター13の極131は、トルクを生成するために、ステーター12によって生成される電磁場と相互作用する。ケーシング11およびローター13が、どのように電磁場の線を効果的に閉じるかを説明するために、電磁場の線が、描かれている。
【0075】
実施形態に応じて、ローター13は、非同期誘導電磁気装置1またはリラクタンス型のローターのための、永久磁石ローター、「かご型」ローター、である。開示されている連続的なヘアピン巻線2は、ローター13が永久磁石を有する同期ACモーターまたは発電機におけるアイアンレス・ステーター12に特に適している一方で、他のタイプの電磁気装置のための他のタイプのステーター巻線における使用に対しても適しており、非同期ローターのための短絡されたケージ巻線として使用することも可能である。
【0076】
図6は、電気機械装置1の内部を示すための切欠きを有する、本発明の一実施形態に係る電気機械装置1の非常に模式的な斜視図を示す。ケーシング11は、円筒状領域を包囲する。連続的なヘアピン巻線2は、ケーシング11の内側表面111に対して配置される(連続的なヘアピン巻線2の一部のみが、例示的目的のために示される)。ローター13は、円筒軸Aについて連続的なヘアピン巻線2と同軸上に配置される。ローター13においてトルクを生成するために、上記のローターの極131は、連続的なヘアピン巻線2の誘導電磁場と相互作用する。連続的なヘアピン巻線2は、2つの層、内側層21および外側層22、を有する。連続的なヘアピン巻線22は、2組の3相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2を有し、第1の組の相巻線U1、および第2の組の対応する相巻線U2は、同じ電気的位相を有する(図6には示されていないが、例えば、ともに結合されてもよい)。連続的なヘアピン巻線2の電気的な接続が効率的でありかつ複雑でないように、連続的なヘアピン巻線2は、回転電気機械装置1の同じ領域において、相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2の各々のための入力リード線23を有する。特に、全ての入力リード線は、共通の、好ましくは小さな方位角領域の範囲内にある。例えば、スターグラウンド24またはデルタ結線を形成するために、各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2の端は、相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2のうちの少なくとも1つの他の相巻線に、電気的に結合される。ローター13の極131は、長手方向において、連続的なヘアピン巻線2の直線セグメント33の領域を越えて延在しない。
【0077】
図6においてわかるように、ケーシング11が、ローター13と同様に、全体のアイアンレス・ステーター12を径方向に包囲する。具体的には、ケーシング11は、アイアンレス・ステーター12の全体の外側表面のまわりに延在し、連続的なヘアピン巻線2を収容する。特に、連続的なヘアピン巻線2は、その全体の軸方向の延在(すなわち、中心軸Aに平行な延在)に沿って、ケーシング11によって覆われる。ケーシング11、および、特に、ケーシング11の内側表面111は、アイアンレス・ステーター12に隣接して配置され、それによって、アイアンレス・ステーター12、および、特に、連続的なヘアピン巻線2、を所定の位置に保持する。ケーシング11の範囲内に全体的に配置されるアイアンレス・ステーター12は、それによって、機械的損傷、衝撃、および汚染から、ケーシング11によって保護される。アイアンレス・ステーター12がケーシング11によって部分的にのみ覆われている実施形態において(図6には示されない)、アイアンレス・ステーター12の少なくとも覆われた部分は、ケーシング11によって保護される。
【0078】
当該電気機械装置は、ケーシング11の径方向の広がりに比べて径方向の延在が小さいステーター12を有するという技術的に有利な点を有する。
【0079】
図7は、先行技術に係る特徴的なヘアピン形状を有する単一のワイヤ3を模式的に示す。直線セグメント33が、曲げセグメント34の間に配置され、曲げセグメント34は、折り返しセグメント35によって分離される。先行技術によれば、複数のそのような単一ヘアピンが、スロット付きのステーター鉄の中へ挿入され、例えば、レーザービーム溶接を使用して、共に電気的に結合される。
【0080】
図8は、一実施形態に係る連続的なヘアピン巻線2の相巻線U1の単一のワイヤ3を模式的に示す。理解を容易にするために、単一のワイヤ3を有する単一の相巻線U1のみが示され、図12においては、複数の相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が示される。単一のワイヤ3は、折り返しセグメント35を有し、折り返しセグメント35は、ワイヤ3のいくつかのセグメントが第1の層21の中にありかつワイヤ3の他のセグメントが第2の層22の中にあるように、折り返し線Fにおいて折り返される。さらに、隣り合う直線セグメント33が、距離Dずらされるように、曲げセグメント34は、オフセット曲げ部、特に、上記の折り返し線の前の第1のオフセット曲げ部、および上記の折り返し線の後の第2のオフセット曲げ部、を含む。第1の層21の1つの直線セグメント33から第2の層22の次の直線セグメント33への推移は、第1の曲げセグメント34、折り返しセグメント35、および第2の曲げセグメント34に沿って進む。曲げセグメント34は、直線セグメント33に対して所定の角度で配置され、折り返しセグメント35まで直線状に延在する。1つの直線セグメント33から次の直線セグメント33への推移は、いわゆる波巻きにおいて一般的であるような、半円に沿っても、円弧に沿っても、あるいは連続的な半径を有する別の曲げセグメントに沿っても、進まない。
【0081】
図9a~9cは、本発明の様々な実施形態に係るワイヤ3における折り返しセグメント35および曲げセグメント34の側面からの図を模式的に示す。図9aにおいて、ワイヤ3は、第1層21と第2層22との間に隙間なしに折り重ねられる。図9bにおいて、ワイヤ3は、第1層21と第2層22との間に隙間を残して折り重ねられる。図9cにおいて、ワイヤ3は、折り返しセグメント35が図9aおよび図9bにおけるよりも大きな曲率半径を有する「P」形状に、折り重ねられる。これは、より多くのスペースを必要とするが、ワイヤ絶縁体は、圧縮されたり伸ばされたりしない。本実施形態において、ケーシング11は、ステーター12とケーシング11との組み合わせ(図示せず)の全体的な厚さを減らすために曲げセグメント35を受容するように構成された環状の凹部を有することが好ましい。図9aおよび図9bに示されるような実施形態において、ワイヤ3の折り返し領域35、特に、折り返しセグメント35の外側半径は、第1の層21の外側表面を越えて延在せず、第2の層22の外側表面を越えて延在しない。
【0082】
図10は、直線セグメント33と折り返しセグメント35との間に配置されたオフセット曲げ部としてのワイヤ3の曲げセグメント34を非常に模式的に示す。
【0083】
図11および図12は、1組の相巻線U1、V1、W1と、2組の相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2と、を有する連続的なヘアピン巻線2を、それぞれ、非常に模式的に示す。図の明確性のために、単一のワイヤ3のみを有する各相巻線、U1、V1、W1、U2、V2、W2が示されるが、各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2のための1つまた複数の隣り合うワイヤ3が予見される。特に、第1の層21および第2の層22がワイヤ3で密に詰められるような各相巻線、U1、V1、W1、U2、V2、W2のための3つまたは5つの隣り合うワイヤ3が予見される。前の図、特に、図7および図8において説明されたように、ワイヤは、曲げセグメント34およびそれらの間の折り返しセグメント35とともに、直線セグメント33を有し、折り返しセグメント35は、折り返し線Fに沿って折り返される。図12において、特に、第2の組の対応する相巻線U2、V2、W2のワイヤ3を覆うように第1組の所定の相巻線U1、V1、W1の各ワイヤ3を配置することによって(すなわち、一方のワイヤ3は、第1の層21にあり、他方は、第2の層22にある)、かつ、電流がこれら重なっているワイヤ3において同じ方向に流れるように配置することによって、第2の組の相巻線U2、V2、W2が、生成される電磁場が補足的なものであるように、第1の組の相巻線U1、V1、W1に対して配置される。
【0084】
ステーター鉄がヘアピン巻線を配置するためのスロットを有する電気モーターにおける使用に適切な連続的なヘアピン巻線を製造するための既知の方法がある。これら既知の方法は、最初にワイヤをオフセット曲げし、曲げたワイヤを板またはリボンのまわりに巻くこと、を含む。これら既知の方法は、本発明に係る電気機械装置1のアイアンレス・ステーター12のための連続的なヘアピン巻線2を製造するのに適切ではない。なぜなら、先行技術に係る多く連続的なヘアピン巻線は、自立していないか、または、自立性がより低く、かつ、特に、ワイヤの間の間隔の一様性に関して、精密さがより低い公差を有するために、それらは、適切ではない。これは、一般的に、スロットを有するアイアンステーターに対する問題点ではない。なぜなら、ステーター巻線におけるわずかな変形をもたらす連続的なヘアピン巻線は、いずれの場合にも、スロットの中に導入されるからである。さらに、スロットは連続的なヘアピン巻線への追加的な構造的な支持を提供するので、連続的なヘアピン巻線が構造的に自立することはさほど重要ではない。
【0085】
連続的なヘアピン巻線を製造するための先行技術における既知の方法は、本明細書に記載される本発明に係る製造方法のものと同じ連続的なヘアピン巻線2における一様性を達成することができない。特に、それらは、電気機械装置1の高効率でコンパクトな高性能アイアンレス・ステーター12に必要なワイヤ3の間の要求される間隔一定不変性を達成することはできない。これは、既知の方法が、ワイヤを折り重ねる前にまずワイヤをオフセット曲げすること、を含むからである。既知の方法における曲げられたワイヤは、ある張力下で折り返されなければならないので、得られた巻線の規則性を低減させるオフセット曲げ部が直線状になることが起きる。代替的なものとして、ワイヤが、より低い張力によって折り返すことが可能であるが、複雑なワイヤの張力緩和手段を必要とするか、またはワイヤの非常に時間をかけた折り重ねを必要とし、得られた巻線が湾曲する可能性がある。
【0086】
全く対照的に、本明細書に記載されるような本発明に係る製造方法は、アイアンレス・ステーターを特に備える電気機械装置の幾何学的必要性に完全にマッチした自立した、精密な形状の略螺旋状の連続的なヘアピン巻線の簡易化された、高精度の速い製造を可能にする。
【0087】
図13a~13oは、本発明に係る連続的なヘアピン巻線2を製造するために使用される折り返し装置4の一連の非常に模式的な斜視図を示す。特に、図13a~13eは、各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が単一のターンを有する1つまたは複数のワイヤ3、すなわち、単一の折り返し方向R1への折り返しステップの単一シーケンスにおいて平らな略螺旋状のリボンを得るために折り重ねられた1つまたは複数のワイヤ3から構成される連続的なヘアピン巻線2を製造するために使用される方法の実施形態に関する。図13f~13oは、以下においてより詳細に説明されるように、特に、各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が(前方向および後方向に)複数のターンを有する単一のワイヤ3から構成される連続的なヘアピン巻線2を製造するために使用される方法の実施形態関する。簡潔さの目的のために、折り返し装置4の様々な部品および構成要素が、初めて現れた図においてのみ、詳細に説明されるであろう。
【0088】
さらに、図13a~13nは、明確性のために、単一のワイヤ3のみが連続的なヘアピン巻線2を形成するために巻かれている状態で示される。実施形態に応じて、リボン状に配置される複数の隣り合うワイヤ3が存在することが可能であり、また、リボンの複数のワイヤ3が同時に折り重ねられるように、隣り合うワイヤ3の間に隙間が選択的に存在する。1つを超えるワイヤを同時に折り返すことは、生産性および製造効率を高めるが、製造の複雑さも高める。高められた複雑さの問題は、本明細書に記載されるような製造方法を使用するとき、特に、記載したような折り返し装置を使用するときに克服される。上記したように、もし、各ワイヤ3が単一のターンのみを有していれば、全ての相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が、同時に折り返すことが可能であり、複雑さは比較的低い。しかし、もし、各ワイヤ3が複数のターン、例えば、3つのターンを有し、かつ所定のワイヤ3が、例えば、相巻線U2、V2、W2の第2の組の相巻線U2と同様に、相巻線U1、V1、W1の第1の組の相巻線U1に関係づけられていれば、複雑さは、本明細書に記載される戻し曲げのためにより高くなる。
【0089】
図13aは、折り返し軸414まわりを回転可能な折り返し部材41を有する折り返し装置4を示す。折り返し部材41は、第1の面411と、実質的に第1の面411とは反対側の第2の面412と、を有する。折り返し部材41は、連続的なヘアピン巻線のための保持部材をともに形成する2つの略平坦であるかまたはくさび形の板415および416を、それらの間に隙間417を有する平面配置において備える。折り返し部材41は、第1の面411と第2の面412との間に2つの直線状でかつ平行な対向する縁部を有し、これら縁部は、互いに平行であり、折り返し軸414にも平行である。折り返し部材41は、折り返し部材41上に、特に、第1の面411と第2の面412との間の縁部の上にまたはこれら縁部の近くに配置されたスペーサ要素413をさらに有する。複数のワイヤ3が、平坦なリボン状に配置され(明確性のために、ただ1つのワイヤ3が示される)、かつ折り返し部材41を横切って配置される。平坦なリボン状のワイヤ3は、直線ワイヤ3であり、断面の短い辺が互いに対向するように配置される。平坦なリボン状のワイヤ3は、ワイヤ3を等間隔空けるように構成されたスペーサ要素413と係合するように、折り返し部材41を横切って配置される。平坦なリボンは、折り返し軸414に対して斜角(90°に等しくない)で折り返し部材41を横切って配置される。当該斜角は、折り返し部材の一方の縁部における平坦なリボンの位置と反対側の縁部における平坦なリボンの位置との間の(折り返し軸414の方向の)横方向の距離が平坦なリボンの幅の略半分であるように選択できる。このことは、折り返しの間に得られる平らな螺旋状のリボンが、一定間隔が空けられたワイヤ3で2つの層21および22を有することを保証する。コイル、スプール、またはリールから供給されるワイヤ3は、矯正部材46を使用して直線状にされ、ワイヤガイド部材44によって所定の位置に案内され、所定の位置に保持される。ワイヤ3は、所定の持続した逆張力を使用して矯正部材46を通って供給される。矯正部材46は、例えば、1つまたは2つの平面におけるローラーである。ワイヤガイド部材は、リボンの各ワイヤ3が正しく方向付けられて配置されることを保証し、また、ワイヤ3における予め決められたレベルの張力を保証する。折り返し装置4は、選択的に、折り返しの間にワイヤ3のリボンを所定の場所に保持する1つまたは複数の折り返し部材45をさらに含む。折り返し部材45は、スペーサ要素413の領域に配置され、特に、折り返し部材45は、スペーサ要素413と接触し、それによってワイヤ3を決まった場所に保持する。折り返し部材45は、ワイヤ3に対して転がるローラーとして具体化されることが可能であり、ワイヤ3が折り返しの間に折り返し部材41に隣接したままであることを保証する。ワイヤ3のリボンは、折り返し部材の第1の面411を横切って配置され、そのため、形成されることになる平らな螺旋状のリボンの第1の層21は、第1の面411に隣接する。
【0090】
図13bは、第1の回転方向R1に折り返し軸414のまわりに回転可能な折り返し部材41として形成される、折り返しセグメント35の折り返しの最中にある折り返し装置4を示す。ワイヤ折り返し部材45は、折り返しの間、ワイヤ3のリボンを所定の位置に保持する。ガイド部材44は、折り返しセグメント35が適切に形成されることを保証するためにワイヤに適切に張力がかけられることを保証する。ガイド部材44折り返し部材41との間のワイヤ3のリボンは、直線状にされる、すなわち、直線状であるので、ワイヤ3は、高いレベルの張力下にあることが可能であり、したがって、回転部材41が、折り返しセグメント35を適切に形成しながら、特に、特定の旋回半径によって、迅速に回転できる。
【0091】
図13cは、最初の折り返しセグメント35が折り返された後の折り返し装置4を示す。折り返し部材41は、その初期位置から、180°にわたって回転した。第2の層22は、第2の板412に隣接する。
【0092】
図13dは、プロセスの間の連続する折り返しにさらに沿う折り返し装置4を示す。
【0093】
図13eは、ワイヤ3のリボンが平らな螺旋状のリボンとなるように折り返された後の折り返し装置4を示す。一実施形態において、平らにされた螺旋状のリボンは、第1の板415および第2の板416を互いに近づくように移動させることによって板415と板416との間の隙間417を減らすことを含むステップによって、折り返し装置4から取り除かれる。得られる平らにされた螺旋状のスパイラルは、第1の層21および第2の層を有し、図14aおよび図14bに関して以下に説明されるような平らにされた螺旋状のスパイラルのワイヤ3となるように曲げられたヘアピン形状を有するための用意が整っている。
【0094】
各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が、単一で途切れのないワイヤ3から成る別の実施形態において、平らにされた螺旋状のリボンを得ることは、図13fから13oに関して以下に記載されるようなステップをさらに含む。
【0095】
図13fは、リボンの戻し曲げの間に水平面において90°回転させた後の折り返し装置4を示す。リボンの各ワイヤ3は、戻し曲げゾーン25における戻し曲げ部材43のまわりに90°曲げられる。戻し曲げ部材43は、例えば、ピンとして具現化される。一実施形態において、戻し曲げ部材43は、実質的に、折り返し部材41の平面に直交する垂直方向に延在し、リボンの各ワイヤ3は、戻し曲げ部材43上の異なる高さ位置において同時に曲げられる。効率的には、各ワイヤ3に対する曲げゾーン25が直前の折り返しセグメント35から異なる距離において生じるように、戻し曲げ部材43は配置される。これにより、ワイヤ3が水平配置に戻されたときに各ワイヤ戻し曲げ部が重なり合わなくなり、平らにされた螺旋状のリボンが薄いままであることが保証される。
【0096】
図13gは、リボンの戻し曲げの間に水平面において、さらに90°だけ回転させた後の折り返し装置4を示す。リボンの各ワイヤ3は、各ワイヤ3が合計で180°戻し曲げられるように、戻し曲げ部材43のまわりに、さらに90°曲げられる。戻し曲げゾーン25の後のワイヤ3は、戻し曲げゾーン25の前のワイヤ3から平行にずらされる。戻し曲げゾーン25の後のワイヤ、および戻し曲げゾーン25の前のワイヤ3は、共に、平らな螺旋状のリボンの第2の層22に関連づけられる。
【0097】
図13hは、戻し曲げが行われた後ワイヤ3のリボンの折り返しの最中の折り返し装置4を示す。2回目に折り返し部材41のまわりにおいてリボンを折り返すために、折り返し部材41は、折り返し軸414のまわりに、第1の回転方向R1とは反対の第2の回転方向R2に回転される。平らにされた螺旋状のリボンが2つの平坦な層21および22を備えるように、ワイヤは、ガイド部材44によって、平らにされた螺旋状のリボンの隙間の中へと案内される。第2の層22は隠されていて見えない。
【0098】
図13iは、第2の折り返しシーケンスが完了し、したがって2つのターンが得られた後の、折り返し装置4を示す。第2の折り返しシーケンスの後、ガイド部材44によって案内されたワイヤ3は、ワイヤ3の反対側の端部と同じ層21に属する。
【0099】
図13jは、リボンの第2の戻し曲げの間に水平面において90°回転させられた後の折り返し装置4を示す。リボンの各ワイヤ3は、第2の戻し曲げゾーン25において、戻し曲げ部材43のまわりに90°曲げられる。
【0100】
図13kは、リボンの第2の戻し曲げの間に水平面において、さらに90°回転させられた後の折り返し装置4を示す。リボンの各ワイヤ3は、各ワイヤ3が合計で180°戻し曲げられるようにして、戻し曲げ部材43のまわりに、さらに90°曲げられる。戻し曲げゾーン25の後のワイヤ3は、戻し曲げゾーン25の前のワイヤ3から、平行にずらされる。戻し曲げゾーン25の後のワイヤ、および戻し曲げゾーン25の前のワイヤ3は、共に、平らにされた螺旋状のリボンの第1の層21に関係づけられる。
【0101】
図13lは、平らにされた螺旋状のリボンの第3のターンの折り返しの最中の折り返し装置4を示す。折り返し部材41は、折り返し軸414のまわりに、第1の方向R1に回転される。ガイド部材44は、リボンのワイヤ3を、平らにされた螺旋状のリボンの残りの隙間の中へと案内するように構成され、特に、ワイヤ3をスペーサ要素413に占有されていないスペースの中へ案内する。
【0102】
図13mは、平らにされた螺旋状のリボンの第3のターンを得るために折り返しシーケンスにおいてさらに沿う折り返し装置4を示す。
【0103】
図13nは、第3のターンが得られた後の折り返し装置4を示す。ガイド部材44によって保持されるワイヤ3の端部が、第1の層21に属するワイヤ3の他方の端部とは逆に第2の層に属することがわかる。一実施形態において、ワイヤ3は切断される。第1の組の相巻線U1、V1、W1および第2の組の相巻線U2、V2、W2に対して別々のワイヤ3が存在してもよい。
【0104】
一実施形態において、ワイヤ3は、上記したように、新しい戻し曲げゾーン25において、戻し曲げられる(例えば、図13mを参照)。新しい戻し曲げゾーン25は、戻し曲げされたワイヤ3が第2の組の相巻線U2、V2、W2の対応するワイヤ3のための適切な隙間を占めるように所定の距離だけ分離されている。これらステップにおいて上記したような折り返しは、図13nと同様の状況に達するまで、繰り返される。この戻し曲げおよび折り返しの継続は、上記したものと同様であるため、別の図には示されない。その後、ワイヤ3は切断される。これにより、各相U1、V1、W1の第1の組および第2の組のための単一で途切れのないワイヤ3が得られる。
【0105】
図13oは、2組の相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2を有する完全に折り曲げられた平らな螺旋状のリボンを示す。各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2は、それぞれ、単一のワイヤ3から成り、3つのターンを有する。第1の層21および第2の層22のワイヤ3は、隙間なく配置される。上記したように、平らにされた螺旋状のリボンは、第1の板415および第2の板416を互いに近づくように移動させることにより板415と板416との間の隙間417を減らすことを含むステップよって、折り返し装置4から取り除かれる。
【0106】
図14aおよび14bは、平らな略螺旋状のリボンに形成され、結果として連続的なヘアピン巻線2となる平らな螺旋状のリボンを示す。図において乱雑さを低減するために、限られた数のワイヤ3のみが示される。
【0107】
図14aは、平らな螺旋状のリボンのワイヤ3と係合したいくつかのワイヤコーム(wire combs)42を示す。特に、4つのワイヤコーム42が、各層21および22のために使用され、一対のワイヤコーム42が、導入すべき曲げセグメント34の各組に対して必要とされる。
【0108】
図14bは、略螺旋状のヘアピン形状を後で提供するための曲げ部を導入するために互いに横方向にずらされたワイヤコーム42を示す。それによって、曲げセグメント34に隣接する直線セグメント33を有する連続的なヘアピン巻線2を形成する。
【0109】
図14aおよび14bは各々、8つのワイヤコーム42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42hを示す。ワイヤコーム42c、42d、42e、42fは、平らな螺旋状のリボンに対して斜角をなしてずらされる。8つのワイヤコーム42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42hのうちの4つのワイヤコーム42c、42d;42e、42fの第1の組の範囲内で、ワイヤコームは、略螺旋状のヘアピン形状を形成するための曲げセグメント34を導入するために、互いに横方向にずらされ、それによって、連続的なヘアピン巻線2を形成する。特に、4つのずらされたワイヤコーム42c、42d、42e、42fに対応する4つの矢印によって示される図14bにおいてわかるように、これら4つのワイヤコーム42c、42d、42e、42fは、ワイヤコームの2つの移動可能な対を形成する。当該2つの移動可能な対において、対となる部材は、曲げセグメント34を導入するために、相互にずらされる。例えば、一対のワイヤコームを形成する2つのワイヤコーム42d、42fは、直線セグメント33および曲げセグメント34を導入するために、互いに対して横方向にずらされる(すなわち、反対の横方向に動かされる)。2つのワイヤコーム42d、42fは各々、直線セグメント33がワイヤコーム42d、42fの延在に垂直になるような距離だけ、移動される。折り返しセグメント35の隣に配置されるその他のワイヤコーム42a、42b、42g、42hは、ずらされず、連続的なヘアピン巻線2の直線セグメント33がワイヤコーム42c、42e;42d、42fの横方向の移動によって中間において形成される間、ワイヤ3を定位置において保持する。ワイヤコーム42c、42d、42e、42fの各々は、平らな螺旋状のリボンの一方側と係合する。ワイヤコーム42c、42d、42e、42fの各々は、平坦な連続的なヘアピン巻線2を構成する直線セグメント33を作りだすために横方向にずれることによって平らな螺旋状のリボンの当該一方側の部分を動かす。つまり、一対のワイヤコーム42d、42fのうちの一方が、連続的なヘアピン巻線2を製造するための一対のワイヤコーム42d、42fのうちの他方と比べて、折り返し装置4(図14aおよび図14bにおいて図せず)の折り返し軸414(図14aおよび図14bにおいて図せず)に平行な反対方向にずらされる。同様に、平らな螺旋状のリボンの反対側において、一対のワイヤコーム42cおよび42eのうちの一方が、曲げセグメント34の間に直線セグメント33を形成するために、対となる他方の部材42e、42cに対して反対の横方向に移動する。
【0110】
図14aおよび14bは、2組の相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2を有する全体の平らな螺旋状のリボンをさらに示す。各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2は、ワイヤコーム42c、42d、42e、42fの横方向のずらしによってヘアピン形状を有する平らな略螺旋状のリボンとなるように形成される。別の実施形態において、平らな螺旋状のリボンは、ただ1組の相巻線を有するか、または2つを超える相巻線を有する。この実施形態の相巻線と係合するワイヤコーム42c、42d、42e、42fの横方向のずらしによってヘアピン形状を有する平らな略螺旋状のリボンを形成することも、この実施形態において可能である。
【0111】
図15a~15cは、平坦な連続的なヘアピン巻線2がどのようにして環状円筒形の連続的なヘアピン巻線2となるように巻かれるのかを示す。上記した一連の折り返しステップ(および選択的には戻し曲げ)の後に得られる平らな連続的なヘアピン巻線2が、図15aに示される。
【0112】
図15aは、2つの層21、22を有する連続的なヘアピン巻線2を、第1の層21が見えていて第2の層22が連続的なヘアピン巻線2の裏側にある状態で示す(図15aでは部分的にのみ見える)。連続的なヘアピン巻線2の第1の側縁において、第1の組の相巻線U1、V1、W1の連続的なヘアピン巻線2の側で、第2の層22が、第1の層21を超えて延在する。連続的なヘアピン巻線2の反対側の側縁において、第1の層21が、第2の層22を超えて延在する。図15bおよび15cに示されるように、連続的なヘアピン巻線2が円筒形状となるように巻かれる時に、これら2つの延在の領域は、互いに重なる。
【0113】
図15bは、部分的に巻かれた連続的なヘアピン巻線2を示し、また、上記した延在の2つの領域が形状に関して相補的であり、連続的なヘアピン巻線2が円筒形状となるように巻かれる時にこれら延在の領域がどのように互いに重なるかを示す。
【0114】
図15cは、ひとたび連続的なヘアピン巻線2が円筒形状となるように巻かれた時の連続的なヘアピン巻線2を示す。示されるように、全ての相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が、連続的なヘアピン巻線2の同じ側に、かつ、比較的小さい同じ方位角範囲内に、入力リード線23を有する。このことは、連続的なヘアピン巻線2を、例えば、電源および/またはモーターコントローラに電気的に接続することにとって有益である。さらに、入力リードに対してワイヤ3の反対側の端部も、同じ領域にあり、相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2の間のスターグラウンドまたはデルタ結線が容易に形成されることを可能にする。第1の組の各相巻線U1、V1、W1、および、それぞれ対応する第2の組の各相巻線U2、V2、W2は、同じ位相を有する。それらは、並列に、または直列に配線され得る。
【0115】
円筒形状の連続的なヘアピン巻線2は、構造的に自立している。構造的な安定性が、オフセット曲げの領域において層21および22を接着することによって、高められことが可能である。連続的なヘアピン巻線2は、特に、連続的なヘアピン巻線2を少しも変形させたり曲げる必要がなく、円筒状のケーシング11の中へ、容易にかつ迅速に挿入される。このことは、連続的なヘアピン巻線2が、一定に間隔が空けられたワイヤ3で最適な形状を維持することを保証する。そのような最適な形状の連続的なヘアピン巻線2は、特に、連続的なヘアピン巻線2とローター13との間に非常に小さい隙間(1mm未満)を有する電気機械装置1のために、必要とされる。小さな隙間を有することは、より高い電磁気効率を達成することにとって、特に、電気機械装置1が、できるだけコンパクトに維持されることになる半径方向の厚さを有して環状円筒形である(環状円筒形ローターを有する)実施形態にとって、明らかに有利である。
【0116】
1つの実施形態において、さらなる構造的支持を提供するために、ワイヤ3間の電気的な絶縁をさらに高めるために、また、ワイヤ3からの熱輸送を向上させるために、連続的なヘアピン巻線2には、硬化可能なポッティング材料を使用してポッティングを施すことができる。
【0117】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線2は、挿入後に接合材を使用してケーシング11に接合させることによって、当該ケーシングにおいて固定される。
【0118】
一実施形態において、連続的なヘアピン巻線2のポッティング、および連続的なヘアピン巻線2のケーシング11への接合は、連続的なヘアピン巻線2がケーシング11の中に挿入されかつ連続的なヘアピン巻線2をケーシング11にさらに接合させる硬化可能なポッティング材料が施される単一のステップにおいて、行われる。
【0119】
図16は、連続的なヘアピン巻線2の非常に模式的な配線トポロジーを示し、特に、各相巻線U1、V1、W1、U2、V2、W2が3つのターンを有する単一で途切れのないワイヤ3から成る本発明の一実施形態における第1のおよび第2の戻し曲げゾーン25を示す。連続的なヘアピン巻線2の全体の折り重ね部分が省略され、各ワイヤ3の接続を示す矢印によって模式的に置き換えられる(乱雑さを避けるために1つのワイヤ3だけにラベルが付けられる)。さらに、純粋に例示的な目的のために、第2の組の相巻線U2、V2、W2が、これらの間の電気的な接続がより明らかに図示できるように、第1の組の相巻線U1、V1、W1の下方に示される。ワイヤ3が、連続的なヘアピン巻線2を通じて1つのターンを完了させた後、戻し曲げされ、相巻線U2、V2、W2の第2の組のうちの対応する相巻線U2と関係づけられ、連続的なヘアピン巻線2における第2のターンを完了する。そして、2回目の戻し曲げが行われ、2回目の戻し曲げの後、第1の組の相巻線U1、V1、W1のうちの相巻線U1と再度関係づけられる。ワイヤ3は、ひとたび取り除かれれば、元の位置へと隣接して配置され、連続的なヘアピン巻線における第3のターンを完了させる。この図において、戻し曲げられたワイヤは全て、より簡単な製造を提供する同じ方向に戻し曲げられる。
【0120】
図17は、連続的なヘアピン巻線2の非常に模式的な配線トポロジーを示す。図17は、図16と同様であるが、相巻線U1、V1、W1の第1の組のワイヤ3が第2の組の相巻線U2、V2、W2のワイヤ3としても機能することが可能であるように戻し曲げられた第1組の相巻線U1、V1、W1のワイヤ3の出口(outlet)を有する非常に模式的な配線トポロジーを示す。各ワイヤ3は6つのターンを有し、それらのうちの3つは、第1の組の相巻線U1、V1、W1の部分としてのものであり、他の3つは、第2の組の相巻線U2、V2、W2の部分としてのものである。単一で途切れのないワイヤ3が特定の相巻線U1、V1、W1の両方を形成しかつ同じワイヤ3が第2の組の対応する相巻線U2、V2、W2も形成する1つの実施形態において、ワイヤ3は、偶数個のターンを有する。戻し曲げは、上記した戻し曲げゾーンと同様の追加の戻し曲げゾーン25において行われる。ワイヤ3は、第2の組の相巻線U2、V2、W2を形成した後、スターグラウンド24を形成するために共に結合される。本実施形態の有利な点は、2組の相巻線U1、V1,W1、U2、V2、W2を形成するために、3つのワイヤだけが必要とされるということと、必要とされる唯一の電気的な結合は、スターグラウンド24のためのものであるということと、である。このことが、必要とされる電気的な結合の数を絶対最小限にまで減らす。電気的結合を形成することはさらなる時間がかかり、電気的な効率を低減させ、かつエラーを起こしやすいプロセスであるため、特に有利である。
【0121】
本開示は、以下の付記に係る実施形態を含む。
[付記1]
略円筒状の内側表面(111)および/または略円筒状の外側表面(112)を有するケーシング(11)と、
それぞれ、前記ケーシング(11)の前記略円筒状の内側表面(111)または前記略円筒状の外側表面(112)に隣接して配置された環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)であって、少なくとも2つの層(21、22)を有する連続的なヘアピン巻線(2)を含む、環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)と、
前記アイアンレス・ステーター(12)と同軸上に配置されるローター(13)と、
を備える、回転電気機械装置(1)。
[付記2]
前記ケーシング(11)は、略円筒状の内側表面(111)を有し、前記ステーター(12)は、前記ケーシング(11)の前記内側表面(111)に隣接して前記ケーシング(11)の内側に配置される、付記1に記載の回転電気機械装置(1)。
[付記3]
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、1つまたは複数の略矩形状のまたは平坦な絶縁されたワイヤ(3)から成り、好ましくは、高さに対する幅の比が、1:1:~5:1の範囲である、より好ましくは、2:1であるワイヤ(3)から成る、付記1または2に記載の回転電気機械装置(1)。
[付記4]
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、複数のインターレースされた相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を備え、
各相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)は、1つまたは複数の隣り合うワイヤ(3)から成り、好ましくは、1つ~5つの隣り合うワイヤ(3)を備え、より好ましくは、1つのワイヤ(3)を備える、
付記1~3のいずれか1つに記載の回転電気機械装置(1)。
[付記5]
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、複数のインターレースされた相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を備え、
各相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)は、単一で途切れのないワイヤ(3)から成り、前記ワイヤ(3)は、前記ステーター(12)の環状円筒形のまわりに複数のターン、好ましくは、3つのターンまたは5つのターン、を有し、
特に、前記複数のターンは、付記22に記載の方法によって形成される、
付記1~3のいずれか1つに記載の回転電気機械装置(1)。
[付記6]
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、2組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)、前記ステーター(2)の前記環状円筒形に沿って第1方向に延びる相巻線(U1、V1、W1)の第1の組と、前記ステーター(12)の前記環状円筒形に沿って、第1方向とは反対の第2の方向に延びる相巻線(U2、V2、W2)の第2の組と、を備え、
両方の組は、前記ステーター(12)の軸方向(A)から見たときに、60°未満、好ましくは、45°未満の方位角(ψ)の範囲内で、前記ステーター(12)の同じ端上に入力リード線(23)を有する、
付記4または5に記載の回転電気機械装置(1)。
[付記7]
前記ケーシング(11)の前記略円筒状の内側表面(111)および/または前記略円筒状の外側表面(112)は、前記環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)の軸方向に沿って延在し、または、環状円筒形アイアンレス・ステーター(12)の軸方向に沿ってその長さの3分の1より長く、好ましくは半分より長く、より好ましくは3分の2より長く延在する、付記1~6のいずれか1つに記載の回転電気機械装置(1)。
[付記8]
前記ワイヤ(3)の折り返し領域(35)、特に、折り返しセグメント(35)の外側半径が、前記第1の層(21)の外側表面を越えて延在せず、前記第2の層(22)の外側表面を越えて延在しない、付記1~7のいずれか1つに記載の回転電気機械装置(1)。
[付記9]
前記ローター(13)は、前記回転電気機械装置(1)が空の内側の円筒状領域を有するように環状円筒形である、付記1~8のいずれか1つに記載の回転電気機械装置(1)。
[付記10]
回転電気機械装置(1)であって、
前記回転電気機械装置(1)は、前記ローター(13)の内側に追加のステーターをさらに備え、
前記追加のステーターは、追加の連続的なヘアピン巻線を有し、前記追加の連続的なヘアピン巻線は、特に、付記1~9のいずれか1つに記載の連続的なヘアピン巻線(2)である、
付記9に記載の回転電気機械装置(1)。
[付記11]
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、硬化可能なポッティング材料によって、封入されおよび/または前記ケーシング(11)に固定される、付記1~10のいずれか1つに記載の回転電気機械装置(1)。
[付記12]
前記ケーシング(11)は、環状円筒形ケーシング(11)を形成するために螺旋状に巻かれた積層された透磁性材料の細片、好ましくは、鉄合金の細片を備える、付記1~11のいずれか1つに記載の回転電気機械装置(1)。
[付記13]
前記回転電気機械装置(1)が、電気モーター、特に、ラジアルフラックスモーターである、回転電気機械装置(1)。
[付記14]
前記回転電気機械装置(1)が、発電機、特にラジアルフラックス発電機である、回転電気機械装置(1)。
[付記15]
アイアンレス・ステーター(12)のための連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための方法、特に、付記1~14のいずれか1つに記載の回転電気機械装置(1)のためのステーター(12)または追加のステーターのための連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための方法であって、
前記方法は、
複数のワイヤ(3)を直線状に並列にリボン状に配置するステップと、
前記複数のワイヤ(3)のリボンを、前記リボンの長手方向軸に沿って存在する連続した折り返し線(F)に沿って続けて第1の回転方向(R1)に、折り重ねるステップであって、前記折り返し線(F)は、連続して折り重ねられるリボンが第1の層(21)および第2の層(22)を提供する平らな螺旋状のリボンを形成するように、前記長手方向軸に対して斜角をなしている、ステップと、
略螺旋状のリボンが形成されるように、直線セグメント(33)が前記平らな螺旋状のリボンの前記折り返し線(F)に対して略垂直に延びるように各連続する折り返し線(F)の間の直線セグメント(33)を、前記平らな螺旋状のリボンの各ワイヤ(3)となるように曲げるステップと、
環状円筒形の連続的なヘアピン巻線(2)を形成するために、前記直線セグメント(33)が円筒形状の円筒軸に略平行に延びる状態で、前記平らな略螺旋状のリボンを、前記円筒形状になるように巻くステップと、
を含む、方法。
[付記16]
前記ワイヤ(3)の折り返しセグメント(35)の外側半径が、前記第1の層(21)の外側表面を越えて延在せず、前記第2の層(22)の外側表面を越えて延在しない、付記15に記載の方法。
[付記17]
前記ワイヤ(3)は、矩形状のまたは平坦な絶縁されたワイヤ(3)であり、好ましくは、高さに対する幅の比が、1:1~5:1の範囲、より好ましくは、2:1であるワイヤ(3)である、
付記15または16に記載の方法。
[付記18]
前記ワイヤ(3)は、導体パッケージ(3a)を形成するために各々が導体絶縁体に包まれた複数の丸みを帯びた導体(31)、特に、リッツ線(31)から構成され、特に、前記導体パッケージは(3a)は、外側の絶縁体(32)に包まれる、付記15~17のいずれか1つに記載の方法。
[付記19]
前記複数の丸みを帯びた導体(31)は、互いに対して平坦な形状に、特に、平行四辺形の形状に配置され、それによって、矩形状のまたは平らにされたワイヤ(3)を形成する、付記18に記載の方法。
[付記20]
硬化可能なポッティング材料を使用して前記連続的なヘアピン巻線(2)をポッティングするステップをさらに含む、付記15~19のいずれか1つに記載の方法。
[付記21]
前記回転電気機械装置(1)において前記連続的なヘアピン巻線(2)を取り付けるために、
略円筒状の内側表面(111)を有するケーシング(11)の中に、前記連続的なヘアピン巻線(2)を挿入するステップ、または
略円筒状の外側表面(112)を有する前記ケーシング(11)上に、または前記装置(1)の支持部上に、前記連続的なヘアピン巻線(2)を取り付けるステップ、
をさらに含む、付記15~20のいずれか1つに記載の方法。
[付記22]
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、複数のインターレースされた相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を備え、各相巻線は、単一の途切れのないワイヤ(3)から成り、前記単一で途切れのないワイヤ(3)は、前記ステーター(12)の環状円筒形のまわりに複数のターン、好ましくは、3つのターンまたは5つのターン、を有し、
前記複数のターンは、
各相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)に対して1つのワイヤとなっている複数のワイヤを、前記直線状に並列に前記ワイヤ(3)の間に隙間を残してリボン状に配置することと、
隙間を有する前記平らな螺旋状のリボンを形成するために、前記複数のワイヤのリボンを、前記リボンの長手方向軸に沿って存在する連続した折り返し線(F)に沿って続けて第1の回転方向(R1)に、折り重ねることと、
戻し曲げゾーン(25)において合計で180°前記複数のワイヤ(3)を曲げることによって前記複数のワイヤを戻し曲げることと、
前記複数のワイヤ(3)が前記平らな螺旋状のリボンの隙間の中へと折り重ねられるように前記平らな螺旋状のリボンのまわりに直前の回転方向(R1、R2)とは反対の第2の回転方向(R2、R1)に前記複数のワイヤ(3)を折り重ねることと、
所望の数のターンが得られるまで、戻し曲げること、および折り重ねることを繰り返すことと、
によって形成される、
付記15~21のいずれか1つに記載の方法。
[付記23]
前記連続的なヘアピン巻線(2)は、2組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)を有し、
特定の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)の特定の単一のワイヤ(3)は、前記戻し曲げの前に、第1の組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)に関係づけられ、かつ、前記戻し曲げの後に、第2の組の相巻線(U1、V1、W1、U2、V2、W2)に関係づけられるか、またはそれとは逆に関係づけられる、
付記22に記載の方法。
[付記24]
前記戻し曲げゾーン(25)は、前記平らな螺旋状リボンの平面に対して垂直でありかつ特にz-方向に沿う1つまたは複数の曲げ軸を備え、
前記ワイヤ(3)を戻し曲げることは、前記1つまたは複数の曲げ軸のまわりに各単一のワイヤ(3)を曲げることを含む、
付記22または23に記載の方法。
[付記25]
特定のワイヤ(3)に対して、前記戻し曲げゾーンの直前の前記ワイヤ(3)の第1の直線セグメント(33)、および前記戻し曲げゾーンの直後の前記ワイヤ(3)の第2の直線セグメント(33)は、両方とも、前記第1の層(21)または前記第2の層(22)のいずれかに属する、付記15~24のいずれか1つに記載の方法。
[付記26]
前記曲げるステップは、2つのオフセット曲げ部を、前記複数のワイヤ(3)の各々となるように曲げること、を含み、それによって、前記オフセット曲げ部の間に存在し、平行で、かつ互いに対してずらされる前記直線セグメント(33)を提供し、それによって、曲げの後のリボンの前記略螺旋状の形状を形成する、
付記15~25のいずれか1つに記載の方法。
[付記27]
前記巻くステップの後に、前記連続的なヘアピンステーター巻線(2)が重複領域を形成し、当該重複領域において、以前は前記平らな螺旋状のリボンの第1の端部に位置する第1の層(21)が、以前は前記平らな螺旋状のリボンの第2の端部に位置する第2の層(22)と重なる、
付記15~26のいずれか1つに記載の方法。
[付記28]
折り返し装置(4)を使用し連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための方法、特に、付記15~27のいずれか1つに記載の製造方法であって、
前記折り返し装置(4)は、折り返し部材(41)を備え、
前記折り返し部材(41)は、
第1の面(411)および第2の面(412)と、
スペーサ要素(413)と、
そのまわりに前記折り返し部材(41)が回転可能である折り返し軸(414)と、
を有し、
複数のワイヤ(3)のリボンを折り重ねることは、
前記折り返し軸(414)に対して傾斜角をなして前記折り返し部材(41)の前記第1の面(411)に横切って前記複数のワイヤ(3)の前記リボンを配置するステップであって、前記複数のワイヤ(3)は、前記スペーサ要素(413)によって分離される、ステップと、
前記リボンが前記折り返し部材(41)の前記第1の面(411)および前記第2の面(412)のまわりに連続的に繰り返し巻かれ、それによって、前記平らな螺旋状リボンを形成するように、前記折り返し部材(41)を、前記折り返し軸(414)のまわりに回転させるステップと、
を備える、
方法。
[付記29]
前記折り返し装置(4)は、1つまたは複数のワイヤコーム(42)をさらに備え、
前記直線セグメント(33)を前記平らにされた螺旋状のリボンの各ワイヤ3となるように曲げ、それによって、略螺旋状のリボンを形成することは、
前記1つまたは複数のワイヤコーム(42)を、前記平らな螺旋状のリボンのワイヤ(3)と、特に、前記平らな螺旋状のリボンの複数のまたは全てのワイヤ(3)と同時に、係合させるステップと、
前記オフセット曲げ部を各ワイヤ(3)となるように曲げてかつそれらの間で直線セグメント(33)を曲げるために、前記ワイヤ(3)の長さに関して前記1つまたは複数のワイヤコーム(42)を横方向にずらすステップと、
を含む、
連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための、付記28に記載の方法。
[付記30]
前記ワイヤコーム(42c、42d)の少なくとも1つは、前記連続的なヘアピン巻線(2)を製造するために、前記ワイヤコーム(42e、42f)の別のものに対して、前記折り返し装置(4)の前記折り返し軸(414)に平行な反対方向に、横方向にずらされる、
連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための、付記29に記載の方法。
[付記31]
前記折り返し部材(41)は、保持部材(415、416、417)を備え、前記保持部材(415、416、417)上へと前記平らな螺旋状のリボンが、折り重ねられ、前記保持部材(415、416、417)は、平面においてかつ互いの隣に配置されかつ隙間(417)によって分離された2つの平坦な板(415、416)によって形成され、
前記連続的なヘアピン巻線(2)の製造は、前記保持部材(415、416、417)を、前記平坦な螺旋状のリボンから除去するステップをさらに含み、
前記保持部材(415、416、417)を前記平坦な螺旋状のリボンから除去する前記ステップは、
前記隙間(417)を減らすために前記平坦な板(415、416)をともに移動させることと、
前記平坦な板(415、416)を、前記折り重ねられた平らにされた略螺旋状のリボンからから引き出すこと
によって行われる、
連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための、付記28~30のいずれか1つに記載の方法。
[付記32]
前記折り返し装置(4)は、特にz-方向に沿って延在させた1つまたは複数の戻し曲げ部材(43)を備え、
前記ワイヤ(3)を戻し曲げることは、
特に、前記平らにされた螺旋状のリボンの第1の平面において、前記折り返し装置(4)を、前記1つまたは複数の戻し曲げ部材(43)のまわりに回転させるステップであって、前記第1の平面は、前記巻くステップの前において前記第1および第2の層(21、22)に平行である、ステップ、
を含む、
付記28~31のいずれか1つに記載の方法。
[付記33]
前記単一のワイヤ(3)を戻し曲げることは、
同じ戻し曲げ部材のまわりにおいて所定の組のワイヤ(3)を戻し曲げるステップであって、前記所定の組の各ワイヤ(3)は、同じ前記戻し曲げ部材(43)上において異なる高さ位置において、曲げられる、ステップ、
を含む、
付記32に記載の方法。
[付記34]
前記ワイヤ(3)を戻し曲げることは、
特に合計で180°の戻し曲げを完了させた後、前記ワイヤ(3)の各々が、前記z-方向に直交する平面において他のいずれのワイヤ(3)とも重ならないように、前記戻し曲げ部材(43)を配置するステップ、
を含む、
付記33に記載の方法。
[付記35]
連続的なヘアピン巻線(2)を製造するための折り返し装置(4)であって、
前記折り返し装置(4)は、
折り返し軸(414)のまわりに回転可能な折り返し部材(41)であって、第1の面411(411)および第2の面(412)を有する折り返し部材(41)と、
ワイヤ(3)を受容しかつそれらの間隔を空けるように構成されたスペーサ要素(413)と、
を備える、
折り返し装置(4)。
[付記36]
前記折り返し装置(4)は、前記ワイヤ(3)と係合するように構成された1つまたは複数のワイヤコーム(42)をさらに備え、
前記ワイヤコーム(42)は、前記折り返し装置(4)の前記折り返し軸(414)に平行な方向に、前記折り返し部材(41)に沿ってずらされることが可能である、
付記35に記載の折り返し装置(4)。
[付記37]
前記ワイヤコーム(42c、42e)のうちの少なくとも1つは、前記連続的なヘアピン巻線(2)を製造するために、前記折り返し装置(4)の前記折り返し軸(414)に平行な反対方向に、前記ワイヤコーム(42d、42f)のうちの別のものに対して直線的にずらされる、
付記36に記載の折り返し装置(4)。
【符号の説明】
【0122】
1 回転電気機械装置、電気モーター、発電機
11 ケーシング
111 (ケーシングの)内側表面
112 (ケーシングの)外側表面
12 環状円筒形アイアンレス・ステーター
13 ローター
131 ローター極
14 シェル
15 ステーター-ローターギャップ
2 連続的なヘアピン巻線
21 (連続的なヘアピン巻線の)第1の層
22 (連続的なヘアピン巻線の)第2の層
23 リード線
24 スターグラウンド
25 戻し曲げゾーン
G グラウンド
F 折り返し線
D ずらし距離
3 (複数の)ワイヤ
3a 導体パッケージ
31 ワイヤ導体、丸みを帯びた導体、リッツ線
32 ワイヤ絶縁体
33 直線セグメント
34 曲げセグメント、オフセット曲げ部
35 折り返しセグメント
4 折り返し装置
41 折り返し部材
411 折り返し部材の第1の面
412 折り返し部材の第2の面
413 スペーサ要素
414 折り返し軸
415 第1の平坦な板
416 第2の平坦な板
417 (第1の板と第2の板との間の)隙間
42、42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42h ワイヤコーム
43 (複数の)戻し曲げ部材
44 (複数の)ワイヤガイド部材
45 (複数の)ワイヤ折り返し部材
46 ワイヤを矯正する部材
R1 (回転または折り返しの)第1の方向
R2 (回転または折り返しの)第2の方向
【国際調査報告】