(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ガス燃焼炉
(51)【国際特許分類】
C03B 5/00 20060101AFI20240227BHJP
C03C 13/06 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C03B5/00
C03C13/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557162
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2022056474
(87)【国際公開番号】W WO2022194747
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500336306
【氏名又は名称】ロックウール アクティーゼルスカブ
【住所又は居所原語表記】Hovedgaden 584, 2640 Hedehusene, DENMARK
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ラーシュ エルメキルド
【テーマコード(参考)】
4G014
4G062
【Fターム(参考)】
4G014AC01
4G062AA05
4G062BB01
4G062DA05
4G062DA06
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4G062KK10
4G062NN34
(57)【要約】
本発明は、ガス燃料を用いてサイクロン燃焼炉を運転するための装置及び方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物溶融物の製造方法であって、
サイクロン炉、粒子状鉱物原材料、ガス燃料、及び酸化剤を提供する工程、
ガス燃料を、1又は複数の第一の注入ポートから前記炉に注入する工程、
酸化剤を、1又は複数の第二の注入ポートから前記炉に注入する工程、
鉱物原材料を、1又は複数の第三の注入ポートから前記炉に注入する工程、
前記ガス燃料を、前記酸化剤と共に燃焼させ、それによって前記鉱物原材料を溶融する工程、
を含み、
前記ガス燃料、酸化剤、及び鉱物原材料はすべて、前記炉の上部に注入され、
前記サイクロン炉の中心を通る垂直軸線を中心に測定した場合に、前記第二の注入ポートのいずれからも20度未満の分離角である第一の注入ポートが存在しないような分離角で、各第一の注入ポートが、前記1又は複数の第二の注入ポートから間隔をあけられていることを特徴とする、方法。
【請求項2】
各第二の注入ポートが、第三の注入ポートと一体化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サイクロン炉の中心を通る垂直軸線を中心に測定した場合に、前記第三の注入ポートのいずれからも20度未満の分離角である第一の注入ポートが存在しないような分離角で、各第一の注入ポートが、前記1又は複数の第三の注入ポートから間隔をあけられている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1又は複数の第一の注入ポートを通して注入された前記ガス燃料が、前記炉中のエネルギーの少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%を供給する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記炉が、本体及びフタを備え、前記第一の注入ポートが、前記フタを通り抜けている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記炉が、本体壁を有する本体及びフタを備え、前記本体が、上部セクション、中央セクション、及び下部セクションを備え、前記第二及び第三の注入ポートが、前記本体壁の前記上部セクションを通り抜けている、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1又は複数の第一の注入ポートの各々が、前記炉の前記フタから30~90度の角度で配置される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記鉱物原材料が、重量%の単位で以下の組成:
SiO
2:30~51
Al
2O
3:少なくとも14、15、16、又は18;35、30、26、又は23以下
CaO:8~30
MgO:2~25
FeO(Fe
2O
3を含む):4~15
FeO+MgO:10~30
Na
2O+K
2O:10まで
CaO+Na
2O+K
2O:10~30
TiO
2:6まで
TiO
2+FeO:4~18
B
2O
3:5まで
P
2O
5:8まで
他:8まで、
を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化剤が、空気、酸素、又は酸素富化空気であり、好ましくは酸素富化空気である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
鉱物原材料を溶融するためのサイクロン炉であって、
炉本体、炉のフタ、ガス燃料を前記炉に注入するための1又は複数の第一の注入ポート、酸化剤を前記炉に注入するための1又は複数の第二の注入ポート、及び鉱物原材料を前記炉に注入するための1又は複数の第三の注入ポート、を備え、
前記炉本体は、上部セクション、中央セクション、及び下部セクションを備えており、
前記サイクロン炉の中心を通る垂直軸線を中心に測定した場合に、前記第二の注入ポートのいずれからも20度未満の分離角である第一の注入ポートが存在しないような分離角で、各第一の注入ポートが、前記1又は複数の第二の注入ポートから間隔をあけられていること、並びに
前記第一の注入ポート、前記第二の注入ポート、及び前記第三の注入ポートの各々が、それぞれ、前記ガス燃料、前記酸化剤、及び前記鉱物原材料を前記炉の前記上部に注入するように構成されていること、
を特徴とする、サイクロン炉。
【請求項11】
各第二の注入ポートが、第三の注入ポートと一体化されている、請求項10に記載のサイクロン炉。
【請求項12】
前記サイクロン炉の中心を通る垂直軸線を中心に測定した場合に、前記第三の注入ポートのいずれからも20度未満の分離角である第一の注入ポートが存在しないような分離角で、各第一の注入ポートが、前記1又は複数の第三の注入ポートから間隔をあけられている、請求項10又は請求項11に記載のサイクロン炉。
【請求項13】
前記炉が、本体壁及びフタを備え、前記第一の注入ポートが、前記フタを通り抜けている、請求項10~12のいずれか一項に記載のサイクロン炉。
【請求項14】
前記1又は複数の第一の注入ポートの各々が、前記炉の前記フタから30~90度の角度で配置される、請求項13に記載のサイクロン炉。
【請求項15】
前記炉が、本体壁及びフタを備え、前記本体壁が、上部セクション、中央セクション、及び下部セクションを備え、前記第二及び第三の注入ポートが、前記本体壁の前記上部セクションを通り抜けている、請求項10~14のいずれか一項に記載のサイクロン炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物材料を溶融するための炉の分野に含まれ、特に、繊維の製造方法において鉱物材料を溶融するための炉の分野に含まれる。
【背景技術】
【0002】
サイクロン炉は、鉱物溶融方法の分野において確立されている。
【0003】
既存のサイクロン炉の稼働は、単独で、又は主として石炭で、又は他の固体若しくは液体燃料で行われる。石炭は、ゆっくり燃焼する火炎を発生させることから、サイクロン炉の運転過程における一次燃料として特に有益である。国際公開第2014057130(A1)号は、サイクロン炉の中央領域の下端部において、総燃料エネルギーの40%未満を成す二次ガス燃料を所望に応じて注入し、そこに火炎を提供することを可能とするものである。鉱物原材料を溶融するために用いられる一次燃料は、粒子状である。
【0004】
米国特許第3077094号には、空気、ガス燃料、及び所望に応じて原材料が、炉へ投入される前に一緒に混合されるサイクロン炉が開示されている。ガス燃料は、この構成においてすぐに燃焼する。
【0005】
国際公開第2016/092100(A1)号は、鉱物原材料を溶融するために、固体又は液体の一次燃料を用いている。ガス燃料は、二次燃料として用いられてよく、一次燃料よりもサイクロン炉の下側のセクションで、粒子状燃料と共に共注入される。これによって、ガス燃料がすぐに燃焼して二次粒子状燃料を予備加熱し、サイクロン炉の下側のセクション、溶融池の近くに安定な火炎が発生する。この構成では、石炭などの安価な燃料を効率的に使用することができ、同時に高い品質の溶融物が得られる。国際公開第2016/092100(A1)号では、粒子状(すなわち、固体又は液体)燃料が一次燃料として必須であり、ガス燃料は、粒子状燃料と組み合わせてサイクロン炉の下側のセクションに注入されるだけである。
【0006】
欧州特許出願公開第1944873(A1)号には、一次燃料が粒子状、特に石炭である、鉱物材料を溶融するためのサイクロン炉が開示されている。粒子状燃料のみが、チャンバーの上部から注入され、溶融段階で使用される。ガス燃料は、溶融池の上部に火炎を形成する目的で、炉の下側のセクションに粒子状燃料と組み合わせて導入される。この火炎は、溶融池の温度を制御するために、さらに言うと炉から排出される鉱物溶融物の粘度を制御するために有利であるとされている。しかし、この文書では、一次燃料として粒子状燃料が必須である。
【0007】
石炭及び他の粒子状燃料は、経済的な理由からサイクロン炉での使用に広く普及してきたが、溶融方法の環境特性を改善するためには、ガス燃料を単独の燃料として、又は一次燃料として使用することが望ましい。本発明の開発の過程において、同じ炉設備を用いて粒子状燃料をガス燃料に直接置き換えることは、成功しなかった。ガス燃料は、粒子状燃料よりも非常に素早く、石炭よりも短い火炎で燃焼する。粒子状燃料をガス燃料に直接置き換えた結果、スラグが形成することに起因して燃料入口ポートが閉塞したため、この方法は実現不可能であった。ガス燃料の非常に素早い燃焼速度は、鉱物原材料の瞬時に近い焼結をもたらし、これが望ましくない入口部の閉塞を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、鉱物溶融物を製造するためにサイクロン炉でガス燃料を用いる装置及び方法を提供し、それによって、溶融物の品質及び装置寿命を維持しながら、方法の環境特性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、鉱物材料を溶融する方法を提供し、その方法は、サイクロン炉、粒子状鉱物原材料、ガス燃料、及び酸化剤を提供する工程;1又は複数の第一の注入ポートから、ガス燃料を炉に注入する工程;1又は複数の第二の注入ポートから、酸化剤を炉に注入する工程;1又は複数の第三の注入ポートから、鉱物原材料を炉に注入する工程;ガス燃料を、酸化剤と共に燃焼させ、それによって鉱物原材料を溶融する工程、を含み、サイクロン炉の中心を通る垂直軸線を中心に測定した場合に、第二の注入ポートのいずれからも20度未満の分離角である第一の注入ポートが存在しないような分離角で、各第一の注入ポートが、1又は複数の第二の注入ポートから間隔をあけられていることを特徴とする。
【0010】
本発明はまた、単独燃料又は一次燃料としてガス燃料を用いて鉱物材料を溶融するためのサイクロン炉も提供し、炉は、本体壁を有する炉本体、炉のフタ、ガス燃料を炉に注入するための1又は複数の第一の注入ポート、酸化剤を炉に注入するための1又は複数の第二の注入ポート、及び鉱物原材料を炉に注入するための1又は複数の第三の注入ポートを備え、炉本体は、上部セクション、中央セクション、及び下部セクションを備えており、1又は複数の第一の注入ポート、1又は複数の第二の注入ポート、及び1又は複数の第三の注入ポートが、それぞれ、ガス燃料、酸化剤、及び鉱物原材料を炉の上部セクションに注入すること、並びにサイクロン炉の中心を通る垂直軸線を中心に測定した場合に、第二の注入ポートのいずれからも20度未満の分離角である第一の注入ポートが存在しないような分離角で、各第一の注入ポートが、1又は複数の第二の注入ポートから間隔をあけられていること、を特徴とする。
【0011】
本発明の一次燃料は、ガス燃料である。ガス燃料は、天然ガス、バイオガス、シェールガス、若しくは他の入手可能なガスの種類、又はこれらの組み合わせであってよい。好ましくは、この方法におけるエネルギーの少なくとも60%が、より好ましくはエネルギーの少なくとも80%が、ガス燃料由来である。本発明において、唯一の燃料がガスであってもよい。これは、石炭などの粒子状燃料を低減、又はさらには排除して、本方法の環境特性を改善するという利点を有する。
【0012】
追加のバーナー、又はジュール加熱のための電極が、溶融池の上に備えられていてもよい、又は溶融池内に沈められていてもよい。これらのバーナー又は電極は、鉱物溶融物を均質化する補助となる。
【0013】
酸化剤は、空気、酸素、又は酸素富化空気であってよい。好ましくは、酸素富化空気が本発明で用いられ、これは、供給空気中に酸素を注入することによって実現することができる。純粋酸素を用いることで、炉の体積を小さくできるが、この方法のコストが上昇し、一方空気単独の場合、コストは削減されるが、酸素富化空気の場合よりも大きい炉体積が必要となる。
【0014】
鉱物原材料は、好ましくは粒子状である。好ましくは、原材料粒子は、ミリメートルスケールのサイズを有する。好ましくは、少なくとも99%の粒子、特にはすべての粒子が、直径4mmよりも小さく、及び好ましくは、重量基準で50%の粒子が、直径2mmよりも小さい。組成物は、人造ガラス質繊維(MMVF)を形成するのに一般に適しているいかなるガラス、石、又はスラグ組成物であってもよい。好ましくは、繊維の組成は、重量%の単位で酸化物として算出された以下のパラメータの範囲内である。
SiO2:少なくとも30、32、35、又は37;51、48、45、又は43以下
Al2O3:少なくとも14、15、16、又は18;35、30、26、又は23以下
CaO:少なくとも8又は10;30、25、又は20以下
MgO:少なくとも2又は5;25、20、又は15以下
FeO(Fe2O3を含む):少なくとも4又は5;15、12、又は10以下
FeO+MgO:少なくとも10、12、又は15;30、25、又は20以下
Na2O+K2O:ゼロ又は少なくとも1;10以下
CaO+Na2O+K2O:少なくとも10又は15;30又は25以下
TiO2:ゼロ又は少なくとも1;6、4、又は2以下
TiO2+FeO:少なくとも4又は6;18又は12以下
B2O3:ゼロ又は少なくとも1;5又は3以下
P2O5:ゼロ又は少なくとも1;8又は5以下
他:ゼロ又は少なくとも1;8又は5以下
【0015】
本方法では、炉は、サイクロン炉として公知の構造を有し得る。特に、好ましくは実質的に円筒形である上部セクション、好ましくは実質的に円錐台形である中央セクション、及び好ましく実質的に円筒形である下部セクションを備える構造を有し得る。下部セクションには、鉱物溶融物を回収し、清澄化する(fining)ための溶融池が設けられていてもよい。
【0016】
ガス燃料、酸化剤、及び鉱物原材料はすべて、好ましくは、炉の上部又は上部近辺から注入される。
【0017】
好ましくは、各第二の注入ポートは、酸化剤と鉱物原材料とが一緒に注入されるように、第三の注入ポートと一体化される。この場合、ガス燃料は、注入される際に、酸化剤及び鉱物原材料の両方から分離される。
【0018】
ガス燃料は、好ましくは、炉のフタを通して注入される。
【0019】
炉の上部セクションでは、追加の燃料が注入されないことが好ましい。
【0020】
追加のガス燃料は、炉の下部セクションに、通常は溶融池のすぐ上に、さらなる注入ポートを介して注入され得る。炉の上部に近い第一の注入ポートを通して注入される燃料から発生される本方法のためのエネルギーの割合は、通常、少なくとも40%、好ましくは45~55%、特に約50%である。
【0021】
鉱物原材料及び酸化剤は、好ましくは、炉の本体側壁を通して注入される。
【0022】
ガス燃料のための各注入ポートは、酸化剤のための入口部のいずれからも少なくとも20度離れて配置される。この分離により、燃焼、及びそれによる熱の放出が、充分にゆっくり発生することが確保される。分離角は、炉の中心を通る垂直軸線を中心に測定される。
【0023】
フタを通してガス燃料を注入することは、さらに、炉に注入した瞬間におけるガス燃料と酸化剤との分離を促進する。この分離により、ガス燃料は熱エネルギーの放出を制御しつつよりゆっくりと燃焼し、その結果、鉱物原材料が鉱物材料入口部の閉塞にその後繋がり得る入口部での焼結を起こすよりもむしろ炉の内部で溶融する。側壁ではなくフタを通してガス燃料を注入することに対するさらなる利点は、炉の内壁の摩耗が大きく低減されることである。
【0024】
ガス燃料が炉のフタを通して注入される場合、ガス燃料注入ポートは、フタから上向きに30°~90°の角度であってよい。ガス燃料と鉱物原材料及び酸化剤とのより良好な混合のためには、低い角度の方が好ましく、それによって、ガス燃料は、空気流を通して渦を巻き、制御された状態で燃焼して鉱物原材料を溶融する。30°未満の非常に低い角度は好ましくなく、なぜなら、特に分厚い水冷式の炉のフタが用いられる場合に、より長い注入ランス(injection lance)が必要となるからである。
【0025】
ガス燃料及び気体酸化剤は、化学量論比で又は超化学量論比(酸素過剰)で供給され得る。天然ガス対酸素富化空気の体積比としては、1:4~1:15、特に1:5~1:8の範囲が、本発明の装置にとって特に適切であり得る。
【0026】
ガス燃料及び酸化剤は、それぞれ独立して、20~100m/秒、好ましくは40~80m/秒の範囲内の注入速度を有し得る。粒子状原材料は、20~60m/秒、好ましくは30~40m/秒の範囲内の注入速度を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明に係る炉の模式的上面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明に係る炉の上部分の模式的垂直断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る例示的な炉を図に示す。
【0029】
図1は、炉1の模式的上面図を示す。ガス燃料注入ポート2は、排気出口部4を中心に備えた炉のフタ3を通り抜けている。鉱物原材料及び酸化剤(空気又は酸素富化空気など)は、炉1の本体側壁の上部に位置する注入ポート5を介して、一緒に炉に注入される。概略円筒形である炉1の上部には、単一の連続する本体側壁が存在する。
【0030】
ガス燃料注入ポート2は、互いから等しい角距離の間隔とされている。ガス燃料注入ポート2の間の分離角は、
図1に角度Aとして示される。この場合、4つのそのような注入ポート2が、炉の周囲に沿って等間隔に存在することから、それは90°である。鉱物原材料及び酸化剤のための注入ポート5は、互いから等しい角距離の間隔とされている。注入ポート5の間の分離角は、
図1に角度Bとして示される。この場合、4つのそのような注入ポート5が、炉の周囲に沿って等間隔に存在することから、それは90°である。各注入ポート5が、最も近くにあるガス燃料注入ポート2から少なくとも20度の角距離の間隔とされていることが分かるであろう。各注入ポートと最も近いガス燃料注入ポート2との間の分離角は、角度Cとして示され、この実施形態では、約45°である。分離角は、この模式的上面図の中心点を中心に測定される。
【0031】
鉱物原材料、酸化剤、及びガス燃料は、炉1に接線方向に注入され、サイクロンシステムで又はサイクロンシステムに近づきながら、循環流で移動する。ガス燃料注入ポート2の位置及び角度が意味することは、ガス燃料が酸化剤と鉱物原材料との流れの中に注入され、鉱物原材料がガス燃料の燃焼と共に溶融するように、よりゆっくりした混合及びエネルギー放出が促進されることである。
【0032】
図2は、本発明に従う炉1の側面断面図を示す。鉱物原材料及び酸化剤(通常は、空気、酸素、又は酸素富化空気)は、ポート5を通して一緒に注入される。具体的には、この実施形態において、酸化剤は入口部5aを通して、鉱物原材料は入口部5bを通して投入され、これら2つの成分は、炉1の上部セクション1aに一緒に投入される。別の選択肢として(図示せず)、原材料は、酸化剤の入口部に隣接する位置から、フタ3を通して注
入され得る。酸素富化空気が酸化剤として用いられる場合、これは、入口部5aで、空気流中に酸素を注入することによって実現することができる。
【0033】
炉1の内部における材料の流動の全体的な方向も、
図2に示す。酸化剤及び鉱物原材料が提供する流れの中に、炉のフタを通り抜けているポート2を介してガス燃料が注入される。注入ポート2の各々は、炉のフタから30~90度の角度Dで配置される。このことにより、燃料の燃焼から放出されるエネルギーが鉱物原材料を溶融させる一方で、燃料が、燃焼前に排気管4から吸引排出されることなく燃焼することで混合の遅延が可能となる。鉱物材料が溶融し、炉を中央セクション1bまで及び下部セクション1c(
図2には示さず)に落下する間、循環流は継続する。
【0034】
図3は、炉1の外部の模式図を示す。概略円筒形の上部セクション1a、概略円錐台形の中央セクション1b、及び概略円筒形の下部セクション1cが示される。鉱物原材料及び酸化剤のためのポート5、及びガス燃料のためのポート2は、炉1の上部に位置する。具体的には、ガス燃料ポート2は、炉のフタ3を通り抜けており、鉱物原材料及び酸化剤のためのポート5は、炉1の上部セクション1aの本体側壁を通り抜けている。
【0035】
溶融した鉱物材料を加熱し、精製(refine)するために、さらなるバーナー又は電極などの追加の加熱装置が、中央セクション1b及び/又は下部セクション1cに実装されてもよい。しかし、一次燃料源は、ガス燃料であり、鉱物材料を溶融するためのエネルギーは、炉1の上部又は上部近くから注入されるガス燃料によって供給される。
【0036】
下部セクション1cには、鉱物溶融物のための出口部6が備えられる。
図3では、出口部6は、サイフォンの形態を取っている。出口部6は、別の選択肢として、炉1の基部に備えられていてもよい(図示せず)。
【0037】
鉱物溶融物は、内部遠心装置(紡糸カップ(spinning cup))又は外部遠心装置(カスケード紡績機(cascade spinner))などの繊維化装置に輸送され得る。そこで、鉱物溶融物は、従来の方法で繊維に変換され、続いて、やはり従来の方法で、鉱物繊維製品へと形成することができる。
【国際調査報告】