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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】医療外科用チューブ
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/04 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A61M16/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557169
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 GB2022000025
(87)【国際公開番号】W WO2022195243
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2103603.3
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509342843
【氏名又は名称】スミスズ メディカル インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ローラ ベス モートン
(72)【発明者】
【氏名】アイーシャ ビンテシディク
(72)【発明者】
【氏名】ネイル スティーブン ビーシー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジョン ウーズナム
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー トーマス ジェフリー
(57)【要約】
カフ付き気管チューブは、内側部品30を有するシャフト10を備える。内側部品30は、部品の外側に沿うリブ33に沿って延在するインフレーションルーメン23を有する。リブ33は、内側部品の患者側の端部14の後方に短い距離で終端する。インフレーションルーメン23は、内側部品30の上に付けられてリブの患者側の端部を覆う外層51によって閉じられる。2つの、リブ33を通る近接して離間された開口部54は、シャフトの患者側の端部の周りに固定されたシリコーンシーリングカフ13の膨張可能な領域において、離間される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(10)と、前記シャフトの前方の、患者側の端部(14)に向かう膨張可能なカフ(13)と、膨張流体が前記カフの内部に、または前記カフの内部から供給されるルーメン(23)と、を含む、医療外科用チューブであって、前記ルーメン(23)は、内側管状部品(30)の壁に沿って形成され、前記部品の前記患者側の端部(14)に向かって第1位置(24)まで延在し、前記ルーメン(23)は、前記第1位置(24)の後方の第2位置(25)で外部に開くように配置され、前記カフの膨張可能領域の内部で前記カフ(13)の長さに沿って位置決めされ、前記チューブは外側管状部品(51)を含み、前記外側管状部品(51)は、前記第1位置で前記ルーメン(23)を閉塞するために、前記内側部品(30)の少なくとも主要部分に沿って前記第1位置(24)の上に延在することを特徴とする、医療外科用チューブ。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブであって、前記ルーメン(23)は、前記内側部品(30)の外側に突出するリブ(33)に沿って延在することを特徴とする、チューブ。
【請求項3】
請求項2に記載のチューブであって、前記リブ(33)は、前記内側部品(30)の前記患者側の端部(14)の後方に短い距離で終端することを特徴とする、チューブ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のチューブであって、前記チューブは、内側管状部品(30)と外側管状部品(51)との間に補強部材(40)を含み、前記補強部材(40)は、それに沿って前記リブ(33)が延在する長手方向のギャップを残して、前記内側部品(30)の周囲の一部分に延在することを特徴とする、チューブ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のチューブであって、前記ルーメン(23)は、長手方向に互いに離間された2つの場所(54)で前記カフ(13)内に開くことを特徴とする、チューブ。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のチューブであって、前記カフ(13)はシリコーン製であることを特徴とする、チューブ。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のチューブであって、前記チューブは気管チューブであることを特徴とする、チューブ。
【請求項8】
カフ付き医療外科用チューブの製造方法であって、内側管状部品(30)を形成するステップであって、前記内側管状部品(30)は、中央のボア(32)と、前記内側部品の外側に沿う長手方向のリブ(33)と、前記リブ(33)の長さに沿って延在して前記内側部品(30)の患者側の端部(14)に向かって開くインフレーションルーメン(23)と、を有するステップと、前記ルーメンの端部をブロックするために、その長さの少なくとも大部分に沿って前記内側部品(30)の上および前記ルーメン(23)の開いた患者側の端部(24)の上に外層(51)を付けるステップと、ブロックされた前記端部の後方で前記インフレーションルーメン(23)内に開口部(54)を形成するステップと、前記開口部の上にシーリングカフ(13)を付けるステップと、を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記インフレーションルーメン(23)が前記内側部品の前記患者側の端部(14)の後方に短い距離で開くように、前記外層(51)を付けるステップの前に、前記リブ(33)の短い長さをその患者側の端部(24)で除去するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法であって、前記外層(51)を付けるステップの前に、それに沿って前記リブ(33)が延在する長手方向のギャップを残して前記内側部品の周囲の一部分に延在するように、補強部材(40)を前記内側部品(30)に付けるステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項8~10の何れか一項に記載の方法によって形成された医療外科用チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトと、シャフトの前方の、患者側の端部に向かう膨張可能なカフと、膨張流体がカフの内部に、またはカフの内部から供給されるルーメンと、を含む種類の、医療外科用チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
気管チューブは、患者の換気、呼吸、または自発呼吸を可能にするために使用される。気管切開チューブは外科手術によって頸部に形成された開口部を介して、一方の端部が気管の中に位置し、他方の端部が頸部表面に隣接する患者の外側に位置するように、気管内に挿入される。気管切開チューブは、手術室で実施される外科的カットダウン法、または緊急時に実施することができる輪状甲状靭帯切開術などの異なる技法によって挿入することができる。
【0003】
気管切開チューブは一般に、より長期的な換気のために使用される、または、口若しくは鼻を介してエアウェイを挿入することができない場合に使用される。患者は、気管切開チューブを介して呼吸しながら意識を保つ場合が多い。気管切開チューブは、大気に通じるように開かれてもよいし、または配管によって、何らかの形態の人工呼吸器に接続されてもよい。チューブは、フランジによって所定の位置にしっかりと固定される。フランジは、チューブに固定され、チューブの両側で外側に延在するように位置決めされる。
【0004】
気管切開チューブは、様々な材料から製造することができて、通常、PVC、ポリウレタンまたはシリコーンなどの、曲げることが可能なプラスチック材料から製造される。気管切開チューブ、および他の医療外科用チューブはまた、気体がチューブのボアに沿って流れるべく閉じ込められるように、気管とのシールを形成するために、その患者側の端部に向かって何らかの形態のシーリング手段を備えることが多い。通常、このシーリング手段は、チューブに沿って延在するインフレーションルーメンを介して膨張される膨張可能なシーリングカフの形態をとる。インフレーションルーメンは、チューブのシャフトの壁と共に押し出す、または成形することができる。この場合、ルーメンは、シーリングカフの領域において外部に開かれ、シャフトの患者側の端部でこれの遠位で閉じられて、膨張流体が逃げるのを防止しなければならない。通常、ルーメンは、シャフトの外側を通ってルーメン内に切断することによって、カフの領域で開かれる。ルーメンは、軸と同様の材料のプラグをルーメンの開口端に挿入し、それを接着剤で適所に結合するなどの二次操作によって、患者側の端部で閉じられる。このプロセスによって、結果的に、閉塞部の周りに容認できない粗い縁部がもたらされる可能性がある。それによって、チューブの廃棄が必要となる可能性がある。このこと、およびシーリング操作にかかる時間は、追加コストにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、代替的な医療外科用チューブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、上記で特定された種類の医療外科用チューブが提供される。この医療外科用チューブは以下を特徴とする。すなわち、ルーメンは、内側管状部品の壁に沿って形成され、部品の患者側の端部に向かって第1位置まで延在する。ルーメンは、第1位置の後方の第2位置で外部に開くように配置され、カフの膨張可能領域の内部でカフの長さに沿って位置決めされる。チューブは、外側管状部品を含む。外側管状部品は、第1位置でルーメンを閉塞するために、内側部品の少なくとも主要部分に沿って第1位置の上に延在する。
【0007】
ルーメンは、好適には内側部品の外側に突出するリブに沿って延在する。リブは、好適には内側部品の患者側の端部の後方に短い距離で終端する。チューブは、内側管状部品と外側管状部品との間に補強部材を含むことができる。補強部材は、それに沿ってリブが延在する長手方向のギャップを残して、内側部品の周囲の一部分に延在する。ルーメンは、長手方向に互いに離間された2つの場所でカフ内に開くことができる。カフは、好適にはシリコーン製である。チューブは気管チューブであってもよい。
【0008】
本発明の別の態様によれば、カフ付き医療外科用チューブの製造方法が提供される。この方法は、内側管状部品を形成するステップであって、内側管状部品は、中央のボアと、内側部品の外側に沿う長手方向のリブと、リブの長さに沿って延在して内側部品の患者側の端部に向かって開くインフレーションルーメンと、を有するステップと、ルーメンの端部をブロックするために、その長さの少なくとも大部分に沿って内側部品の上およびルーメンの開いた患者側の端部の上に外層を付けるステップと、ブロックされた端部の後方でインフレーションルーメン内に開口部を形成するステップと、開口部の上にシーリングカフを付けるステップと、を含む。
【0009】
方法は、インフレーションルーメンが内側部品の患者側の端部の後方に短い距離で開くように、外層を付けるステップの前に、リブの短い長さを患者側の端部で除去するステップを含むことができる。方法は、外層を付けるステップの前に、それに沿ってリブが延在する長手方向のギャップを残して内側部品の周囲の一部分に延在するように、補強部材を内側部品に付けるステップを含むことができる。
【0010】
本発明の更なる態様によれば、本発明の上記の他の態様による方法によって製造されたチューブが提供される。
【0011】
次に、添付の図面を参照しながら、例示用の本発明による気管切開チューブについて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】気管切開チューブの側面図である。
図2】製造の第1段階におけるチューブの内側部品の前方の患者側の端部の斜視図である。
図3図2に示される部品の製造の後続段階の斜視図である。
図4】外側補強部材を追加した図3に示される部品の斜視図である。
図5】製造の後期段階で、シーリングカフを追加する前の、チューブシャフトの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、気管切開チューブ1は、全体的に湾曲したシャフト10と、横方向に延在してシャフトの後方に取り付けられたマウンティングまたはネックフランジ11と、機械側の端部12と、アタッチメントエンドカラー15および16によってシャフトの遠位の、前方の、または患者側の端部14に取り付けられたシーリングカフ13と、を有する。カフ13は、好適には、収縮時にシャフト10を密接に包囲する形状の、シリコーンなどの、弾性材料製である。シャフト10も、好適にはシリコーン製である。しかしながら、他の材料を、カフおよびシャフトの両方のために使用することもできる。オスの、テーパ形のコネクタ17は、シャフト10の近位の、後方の、または機械側の端部12に取り付けられ、人工呼吸器などへと延在する呼吸チューブ(図示せず)の一端にある相手側コネクタとチューブを接続するために使用される。代替的に、コネクタ17は、患者が自発呼吸しているところで開いたままにすることができる。チューブはまた、カフを膨張および収縮させるために、シーリングカフ13の内側へ、および内側から膨張流体を供給するための手段20を含む。カフ13を膨張させるために使用される膨張流体は、空気などのガス、または水などの液体とすることができる。
【0014】
カフ13の内側に膨張流体を供給するための手段20は、複合型のインフレーションインジケータと、膨張配管22の機械側の端部に接続された弁付きコネクタ21と、を含む。フランジ11内部の、反対側の、患者側の端部において、膨張配管22は、シャフト10の壁の内部に形成されたインフレーションルーメン23の機械側の端部と接続する。インフレーションルーメン23は、患者側の端部14の後方に短い距離で離間された第1位置24でブロックされる。インフレーションルーメン23は、そのブロックされた端部24の後方に短い距離にある第2位置25において、2つのアタッチメントカラー15および16の間、すなわちカフの膨張可能領域の内部で、シーリングカフ13内に開く。
【0015】
シャフト10の構造の更なる詳細は、図2~5も参照して、その製造方法についての以下の説明から明らかになるであろう。
【0016】
第1ステップは、図2に示される種類の内側管状部品30を提供することである。管状部品30は、円形断面の中央の同軸のボア32を有する連続する円筒壁31を有する。部品30はまた、一体型の長手方向のリブ33を含む。長手方向のリブ33は、部品30の外側の全長に沿って延在し、円形ボアを有する。円形ボアは、メインボア32と平行し、インフレーションルーメン23を提供する。
【0017】
次の、第2ステップは、図3に示されるように、部品30の患者側の端部14からリブ33の短い長さを、除去する、または削ることである。その結果、インフレーションルーメン23は、患者側の端部から短い距離で離間された位置24で外部に開く。これは、機械加工または切削を伴うような、任意の従来の手動または自動のトリミング動作によって行うことができる。除去されるリブ33の長さは、患者側の端部14と、インフレーションルーメン23がシーリングカフ13内に開く位置25との間の距離よりも短い。除去されるリブ33の厚さは、図示のように、下にある壁31の少量を含んでもよく、または壁上に残るリブの少量を残してもよい。
【0018】
この段階で、図4に示されるように、最適な補強部材40を部品30に追加して、サブアセンブリ50を形成することが可能である。補強部材40は、剛性要素42によって形成されるC字型断面コイル41の形態である。剛性要素42は、リブ33が延在する長手方向のギャップ43を残すジグザグまたはブストロフェドン型であり、部品30の周りの一部分に延在する。補強部材40は、鉄系金属、金属アマルガム、硬質ポリマー、セラミックなどであってもよい。補強部材40は、所定の形状に予備成形され、次いで、管状部品30の上にクリップ留めされ得る、その周囲に巻き付けられ得る、またはそれに沿って摺動させることができる。この補強は、任意選択であり、省略されてもよく、または代替的な補強が使用されてもよい。
【0019】
次のステップは、図5に示されるように、任意の補強部材40を有するサブアセンブリ50を型内に配置し、サブアセンブリの湾曲した外面の周りに適合するプラスチックまたはエラストマーの形態の外側部品51をオーバーモールドすることである。これが実行される前に、薄いマンドレル(図示せず)を、機械側の端部から、リブ33のインフレーションルーメン23に沿って、前方のまたは患者側の端部が、ルーメンの開いた患者側の端部に近接する、またはそこに来る、またはそこからちょうど突出するまで、通される。マンドレルの目的は、オーバーモールド層51の材料が、ルーメン23に沿って後方に遠く流れて、シーリングカフ13内への開口部25が形成される位置をブロックすることを防止することである。オーバーモールドした後、マンドレルは除去される。モールドキャビティは、カフの両端でカラー15および16を受容するために、浅い環状リセス52および隆起した接着剤ダム53などの外面形成をシャフト10上に画定することができる。図5には、カフ13の前端のための表面構造のみが示されている。したがって、オーバーモールドプロセスは、インフレーションルーメン23の端部を閉塞するために、いかなる追加操作をする必要なしに、シャフト10の患者側の端部14に、先端を完全に画定する。外層51をオーバーモールドした後、1つまたは複数の開口部54は、外層およびその下にあるリブ33を通ってインフレーションルーメン23内に切り込まれる。その結果、これが、シーリングカフ13がそのカラー15および16によって取り付けられる位置の間で、すなわち、カフの膨張可能領域において、外部に、中央に開く。この実施例に示されるように、カフ13内への開口部25は、シャフト10に沿って長手方向に互いに近接して離間された場所で、リブ33を通ってルーメン23内に切り込まれた2つのスロット54によって提供される。ルーメン23から2つ以上の出口を提供することは、カフがインフレーション開口部に隣接するシャフトに接触する部分で収縮して膨張流体の体積をカフの内部にトラップするリスクを低減することによって、シーリングカフ13のより均一な収縮を確実にすることを助けることができる。それはまた、カフ13のより均一な膨張を促進するのを助けることもできる。
【0020】
インフレーションルーメン23の後方の、機械側の端部への接続は、任意の従来の方法によって行うことができる。典型的には、開口部は、シャフト10の外側を通って、フランジ11の領域のインフレーションルーメン23内に形成される。硬いPTFEカップリング(図示せず)の一端は、インフレーションルーメン23内に形成された開口部に挿入され、所定の位置に接着結合される。インフレーションライン22の前端は、カップリングの反対側の端部上に接着結合される。次いで、フランジ11は、この接続部の上で滑らされ、この接続部を保護し、隠し、そして所定の位置に結合される。
【0021】
インフレーションルーメンリブ33の患者側の端部がオーバーモールドの前に除去されることは、必須ではない。なぜなら、内側部品30は、外側補強部材の追加の有無にかかわらず、図2に示される状態のままにすることができて、次いで外層でオーバーモールドすることができ、その結果、これが、インフレーションルーメン23の開口端をブロックし、同時に、患者側の端部に短い円筒形の先端を形成することができるためである。
【0022】
本発明は、気管切開チューブに限定されず、シーリングカフを有する他のチューブに使用することができる。シーリングカフは、カフに自然な膨張形状を与え、インフレーションルーメンに負圧を加えることによって挿入および除去のためにより平坦な構成に吸い込まれる発泡体などの、弾力材を含む自己膨張型であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】