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特表2024-510025翼連結部材及び分割翼を有するピッチ制御風力タービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】翼連結部材及び分割翼を有するピッチ制御風力タービン
(51)【国際特許分類】
   F03D 1/06 20060101AFI20240227BHJP
   F03D 7/04 20060101ALI20240227BHJP
   F03D 13/40 20160101ALI20240227BHJP
【FI】
F03D1/06 A
F03D7/04 E
F03D13/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557258
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 DK2022050051
(87)【国際公開番号】W WO2022194333
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】PA202100803
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,トーマス エス. ビェルトラップ
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,ロバート トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン,トーベン ジュール
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB77
3H178CC02
3H178DD08X
3H178DD31X
3H178DD67X
(57)【要約】
タワー(2)と、タワー(2)に取り付けられたナセル(3)と、ナセル(3)に回転可能に取り付けられたハブ(4)と、少なくとも3つの風力タービン翼(5)とを備えるピッチ制御風力タービン(1)が開示される。各風力タービン翼(5)は、ハブ(4)に接続された根元端部(6)と先端端部(7)との間に延在する。風力タービン(1)は、少なくとも3つの翼接続部材(8)をさらに備え、各翼接続部材(8)は、1つの風力タービン翼(5)上の接続点(9)と隣接する風力タービン翼(5)上の接続点(9)との間に延在する。風力タービン翼(5)は、根元端部(6)を含む内側翼部(5a)と、先端端部(7)を含む外側翼部(5b)とを備え、内側翼部(5a)と外側翼部(5b)とは、分割位置(10)で互いに接続されている。分割位置(10)は、根元端部(6)と接続点(9)との間に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワー(2)と、前記タワー(2)に取り付けられたナセル(3)と、前記ナセル(3)に回転可能に取り付けられたハブ(4)と、少なくとも3つの風力タービン翼(5)とを備えるピッチ制御風力タービン(1)であって、
各風力タービン翼(5)は、前記ハブ(4)に接続された根元端部(6)と先端端部(7)との間に延在し、前記風力タービン(1)は、少なくとも3つの翼接続部材(8)をさらに備え、
各翼接続部材(8)は、1つの風力タービン翼(5)上の接続点(9)と隣接する風力タービン翼(5)上の接続点(9)との間に延在し、
所与の風力タービン翼(5)上の前記接続点(9)は、前記風力タービン翼(5)の前記根元端部(6)からある距離を置いて、かつ前記先端端部(7)からある距離を置いて配置され、
前記風力タービン翼(5)は、前記根元端部(6)を含む内側翼部(5a)と、前記先端端部(7)を含む外側翼部(5b)とを備え、前記内側翼部(5a)と前記外側翼部(5b)とは、前記根元端部(6)と前記接続点(9)との間に配置された分割位置(10)で互いに接続され、
前記風力タービン翼(5)の前記接続点(9)は、前記根元端部(6)から前記先端端部(7)までの前記風力タービン翼(5)の長さの20%から70%の間である、前記根元端部(6)からの距離に配置されていることを特徴とする、ピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項2】
前記風力タービン翼(5)の前記分割位置(10)は、前記根元端部(6)から前記先端端部(7)までの前記風力タービン翼(5)の長さの15%から60%の間の前記根元端部(6)からの距離に配置される、請求項1に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項3】
前記風力タービン翼の前記分割位置(10)は、前記風力タービン翼の厚さ対翼弦比が24%から70%となる位置に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項4】
前記風力タービン翼(5)の前記分割位置(10)は、最大翼弦を規定する位置に配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項5】
前記風力タービン翼(5)の前記分割位置(10)は、前記風力タービン翼(5)の重心又はその近傍の位置に配置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項6】
前記風力タービン翼(5)の前記分割位置(10)は、前記先端端部(7)から50m~100mの距離に配置されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項7】
前記風力タービン翼(5)の前記接続点(9)は、前記根元端部(6)から前記先端端部(7)までの前記風力タービン翼(5)の長さの25%から60%の間の前記根元端部(6)からの距離に配置される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項8】
各風力タービン翼(5)は、少なくとも1つの中間翼部(5c)をさらに備え、前記内側翼部(5a)及び前記中間翼部(5c)は、第1の分割位置(10a)で互いに接続され、前記中間翼部(5c)及び前記外側翼部(5b)は、第2の分割位置(10b)で互いに接続され、少なくとも前記第1の分割位置(10a)は、前記根元端部(6)と前記接続点(9)との間に配置される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項9】
前記第2の分割位置(10b)は、前記接続点(9)と前記先端端部(7)との間に配置されている、請求項8に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項10】
各風力タービン翼(5)には、少なくとも2つの接続点(9)が設けられており、前記分割位置(10)は、前記根元端部(6)と第1の接続点(9)との間に配置されており、第2の接続点(9)は、前記第1の接続点(9)と前記先端端部(7)との間に配置されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項11】
少なくとも3つのプレテンション部材(11)をさらに備え、各プレテンション部材(11)は、前記翼接続部材(8)のうちの1つ及びハブ部(4)に接続され、各プレテンション部材(11)は、それが接続される前記翼接続部材(8)にプレテンションを提供する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項12】
前記風力タービン翼(5)と前記ハブ(4)とを相互接続するハブ延長部をさらに備える、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項13】
前記翼接続部材(8)は、前記風力タービン翼(5)に取り付けられた、又は前記風力タービン翼(5)の一部を形成する軸受構造体(16)を介して、前記それぞれの風力タービン翼(5)に接続される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項14】
各風力タービン翼の前記根元端部(6)は、ピッチ軸受を介して前記ハブ(4)に接続されている、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項15】
各風力タービン翼(5)は、前記分割位置(10)に配置されたピッチ軸受(12)を備え、前記外側翼部(5b)が前記内側翼部(5a)に対してピッチング運動を行うことを可能にする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項16】
各風力タービン翼(5)は、前記接続点(9)に配置されたピッチ軸受を備え、前記接続点(9)から前記先端端部(7)まで延在する前記風力タービン翼(5)の部分が、前記根元端部(6)から前記接続点(9)まで延在する前記風力タービン翼(5)の部分に対してピッチング運動を行うことを可能にする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項17】
各風力タービン翼(5)の前記内側翼部(5a)は、第1の内側翼部(5a’)及び第2の内側翼部(5a’’)を含み、前記第1の内側翼部(5a’)は、前記内側翼部(5a)の前縁(13)を含み、前記第2の内側翼部(5a’’)は、前記内側翼部(5a)の後縁(14)を含み、前記第1の内側翼部(5a’)及び前記第2の内側翼部(5a’’)は、前記風力タービン翼(5)の長さによって画定される方向に沿って延在する分割境界面(15)に沿って互いに接続される、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項18】
前記風力タービン(1)は、アップウィンド風力タービンである、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワーと、タワーに取り付けられたナセルと、ナセルに回転可能に取り付けられたハブと、風力タービン翼の全ピッチ及び/又は部分ピッチを可能にするピッチ機構を介してハブに接続された少なくとも3つの風力タービン翼とを備えるピッチ制御風力タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンの動作中、風力タービンの構成要素は様々な負荷を受ける。例えば、風力タービンの風力タービン翼には、風力タービン翼に作用する重力に起因する負荷、風力タービン翼に作用する風圧に起因する負荷、風向や風速の変化、乱流等に起因する負荷等が作用する。風力タービン翼に作用する重力は、主として風力タービン翼にエッジ方向の負荷を生じさせ、風力タービン翼に作用する風は、主として風力タービン翼にフラップ方向の負荷を生じさせる。
【0003】
風力タービンのサイズが増大するにつれて、風力タービンにかかる負荷も増大する。そのような増大した負荷に対処するために、風力タービンを製造するために使用される材料の量を増大させる。しかしながら、これは、風力タービンの重量ならびに製造コストを増加させる。
【0004】
さらに、風力タービン翼のサイズが大きくなるにつれて、風力タービン翼を輸送することがますます困難になる。これに対する1つの解決策は、風力タービン翼を少なくとも3つの部品で製造することであり、これらの部品は別々に輸送され、風力タービンが配置される現場で互いに接合されて完全な風力タービン翼を形成する。これは、「分割風力タービン翼」と呼ばれることもある。しかしながら、このように風力タービン翼を分割することは、風力タービン翼の強度に悪影響があるという意味で、風力タービン翼に脆弱性を与える可能性がある。
【0005】
従来技術の分割風力タービン翼では、予想される負荷が低い位置で分割するために、分割位置は、通常、風力タービン翼の根元端部よりも風力タービン翼の先端端部にかなり近く配置され、すなわち、負荷を処理する風力タービン翼の能力に対する不利益を最小限にすることができる。例えば、分割位置は、風力タービン翼の長さの70%から75%である根元端部からの距離に配置されてもよい。しかしながら、分割位置を根元端部からこのように遠くに配置することは、風力タービン翼に必要な強度を提供するために分割位置において必要とされる追加の質量を担持するために、風力タービン翼の内側部分に追加の質量を追加する必要がある。さらに、例えば、翼部品間の接続部にサービス又はメンテナンスを提供する目的で、分割位置にアクセスすることは困難であり、通常、大型クレーンの使用を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態の目的は、負荷を処理する風力タービンの能力を低下させることなく、かつ製造コストを増加させることなく、大型の風力タービン翼を輸送することを可能にするピッチ制御風力タービンを提供することである。
【0007】
本発明の実施形態のさらなる目的は、分割風力タービン翼を有するピッチ制御された風力タービンを提供することであり、これは、翼部品間の接続の容易なサービス及びメンテナンスを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、タワーと、タワーに取り付けられたナセルと、ナセルに回転可能に取り付けられたハブと、少なくとも3つの風力タービン翼とを備えるピッチ制御風力タービンであって、各風力タービン翼は、ハブに接続された根元端部と先端端部との間に延在し、風力タービンは、少なくとも3つの翼接続部材をさらに備え、各翼接続部材は、1つの風力タービン翼上の接続点と隣接する風力タービン翼上の接続点との間に延在し、所与の風力タービン翼上の接続点は、風力タービン翼の根元端部からある距離を置いて、かつ先端端部からある距離を置いて配置される。
【0009】
風力タービン翼は、根元端部を含む内側翼部と、先端端部を含む外側翼部とを備え、内側翼部と外側翼部とは、根元端部と接続点との間に配置された分割位置で互いに接続されている。
【0010】
したがって、本発明は、ピッチ制御された風力タービンを提供することであって、すなわち、風力タービンの動作中に、風力タービン翼と到来する風との間の迎え角を調整するために、実質的に長手方向のピッチ軸の周りを回転することができる風力タービン翼を備える風力タービンを提供する。風力タービン翼全体が回転可能であってもよく、その場合、風力タービン翼は、通常、風力タービン翼の根元端部に配置されたピッチ軸受を介して風力タービンのハブに接続される。これは、「フルピッチ」と呼ばれることもある。フルピッチの場合、分割位置の一方の側の翼部が分割位置の他方の側の翼部に対して分割位置でピッチングが起こり得ないように、フル翼ピッチを一緒にすることが好ましい。これは、分割位置における翼部品間の比較的単純な接続を可能にする。代替として、風力タービン翼の一部のみが回転可能であってもよく、その場合、ピッチ軸受は、通常、回転可能な風力タービン翼の一部と風力タービンのハブに固定して接続される風力タービン翼の一部との間に設けられる。これは、「部分ピッチ」と呼ばれることがある。これについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0011】
風力タービンは、水平軸風力タービンであることが好ましい。
【0012】
風力タービンは、タワーと、タワーに取り付けられたナセルとを備える。風力タービンは、ナセルに回転可能に取り付けられたハブと、少なくとも3つの風力タービン翼とをさらに備える。各風力タービン翼は、ハブに接続された根元端部と先端端部との間に延在する。このため、風力タービン翼は、ナセルに対してハブと共に回転し、風力タービン翼の先端はハブから離れる方向を向く。上述したように、各風力タービン翼の少なくとも一部は、ハブに対して回転することができ、すなわち、ピッチング運動を行うことができる。ハブ及び風力タービン翼は、風力タービンのロータを形成する。
【0013】
ナセルは、通常、風の方向にしたがってロータを適切に方向付けるために、ナセルがタワーに対して回転することを可能にするヨーシステムを介してタワーに取り付けられる。
【0014】
風力タービンは、少なくとも3つの翼接続部材をさらに備える。各翼接続部材は、1つの風力タービン翼上の接続点と、隣接する風力タービン翼上の接続点との間に延在する。したがって、各接続部材は、2つの隣接する風力タービン翼を相互接続する。所与の風力タービン翼上の接続点は、風力タービン翼の根元端部からある距離に、かつ先端端部からある距離に配置される。 したがって、接続点は、根元端部にも先端端部にも配置されず、むしろ、これら2つの極端の間の位置に、各端部に対してゼロでない距離で配置される。
【0015】
本文脈において、接続部材及びプレテンション部材における「部材」という用語は、金属ワイヤ(スチールワイヤなど)、ポリマー繊維(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、アラミドなど)、無機繊維(例えば、炭素繊維など)の編組又は撚りロープ、又はそのような材料のハイブリッドロープ、複合引抜成形、金属ロッドなどの任意の適切な種類のテンション部材を包含するように広く解釈されるべきである。
【0016】
翼接続部材は、風力タービン翼上の負荷、特にエッジ方向の負荷及びフラップ方向の負荷が、翼接続部材を介して風力タービン翼間で「共有」されるという意味で、風力タービン翼を互いに相互に支持させる。それによって、風力タービンの動作中に風力タービン翼にかかる負荷は、より高い材料厚さを必要とすることなく、それによって重量の増加及びより高い製造コストを必要とすることなく対処することができる。
【0017】
各風力タービン翼は、根元端部を含む内側翼部と、先端端部を含む外側翼部とを含む。内側翼部及び外側翼部は、分割位置で互いに接続される。このため、風力タービン翼は、上述したように分割風力タービン翼であり、風力タービン翼の内側翼部分と外側翼部分とを別々に風力タービンの現場に搬送することができる。これは、風力タービン翼の長さが輸送目的のための最大許容長さを超える風力タービンの設計を可能にする。
【0018】
分割位置は、根元端部と接続点との間に配置される。したがって、翼接続部材は、外側翼部又は外側翼部を接続する分割位置に接続され、分割位置は、風力タービン翼に沿って接続点よりも内側の位置又は接続点を含む位置に配置される。
【0019】
したがって、分割位置は、翼接続部材によって提供される負荷分担が重要である位置に配置される。したがって、風力タービン翼のこの部分に生じる負荷は、翼接続部材を有さない同様の風力タービン翼の場合よりも著しく低い。したがって、風力タービン翼の分割によって引き起こされる風力タービン翼の強度低下は、予想される負荷に対処する風力タービン翼の能力を損なうことなく、風力タービン翼のこの部分に導入することができる。換言すれば、翼接続部材は、翼分割によって導入された強度低下を補償する。
【0020】
したがって、翼接続部材と、分割位置と接続点との相対位置とにより、風力タービン翼の製造コストを大幅に増加させることなく、かつ負荷を処理する風力タービン翼の能力を損なうことなく、通常の輸送要件を超える長さを有する風力タービン翼を有する風力タービンを設計することが可能である。
【0021】
内側翼部及び外側翼部は、ボルト接続によって互いに接続されてもよい。代替として、内側翼部及び外側翼部は、適切な接合技術によって互いに接続されてもよく、例えば、翼部は、互いに接着されてもよい。また、内側翼部と外側翼部は、軸受を介して互いに連結されてもよい。これについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0022】
風力タービン翼の分割位置は、根元端部から先端端部までの風力タービン翼の長さの15%から60%の間、例えば20%から50%の間、例えば25%から40%の間の根元端部からの距離に配置することができる。
【0023】
この実施形態によれば、分割位置は、根元端部から十分に離れて配置され、先端端部からも十分に離れて配置される。さらに、内側翼部及び外側翼部はかなりの長さを有するが、いずれの翼部も輸送仕様を超える長さを有さないことが保証される。さらに、分割位置は、メンテナンス又はサービス目的のためにハブから容易にアクセスできるように、根元端部に十分に近い。
【0024】
風力タービン翼の分割位置は、風力タービン翼の厚さ対翼弦比が24%から70%、例えば24.5%から55.0%、例えば26%から50%となる位置に配置することができる。
【0025】
この実施形態によれば、分割位置は、根元端部からも十分に離れ、先端端部からも十分に離れた位置に配置され、すなわち、上述の所見は、ここでも同様に適用可能である。
【0026】
風力タービン翼の分割位置は、最大翼弦を規定する位置に配置されていてもよい。
【0027】
この実施形態によれば、内側翼部と外側翼部との間に中間翼部を挿入することが可能であり、中間翼は、その全長に沿って最大翼弦を画定する。これにより、内側翼部及び外側翼部のそれぞれに対して同じ金型を使用して、様々な長さの風力タービン翼を製造することができる。様々な長さの中間翼部を適用することができ、それによって、様々なロータ直径を有する一連のモジュール設計された風力タービンを最小の製造コストで製造することが可能になる。これについては、以下でさらに詳細に説明する。同様に、異なる内側翼部を同一の外側翼部に適用することによって、様々な根元直径を有する風力タービン翼を製造することができる。
【0028】
風力タービン翼の分割位置は、風力タービン翼の重心又はその近傍の位置に配置されていてもよい。例えば、分割位置は、風力タービン翼の重心から風力タービン翼の長さの5%以下の離れた位置に配置されていてもよい。
【0029】
風力タービン翼を風力タービンに取り付ける場合、吊り上げ中に風力タービン翼のバランスを取るために、風力タービン翼の重心又はその近傍で吊り上げ装置を風力タービン翼に取り付けることが有利である。分割位置を風力タービン翼の重心に又は重心の近くに配置することによって、この位置における風力タービン翼の補強が既に提供されており、すなわち、吊り上げ装置を取り付けるための追加の補強は必要とされない。
【0030】
風力タービン翼の分割位置は、先端端部から50m~100m、例えば60m~80m、例えば65m~75mの距離に配置されてもよく、これは、従来の手段によって取り扱うことができる風力タービン翼の外側部分をもたらし、特に風力タービン翼の分割位置が60m~80m、例えば65m~75mである場合、外側部分は道路によって輸送することができる。
【0031】
陸上輸送によって100mを超える長さを有する物品を輸送することは、しばしば困難かつ高価であり、不可能でさえある。一方、輸送制限を超えることなく可能な限り長い外側翼部を提供することは、内側翼部を可能な限り短くし、それによって分割位置を可能な限り根元端の近くに配置することになるので、有利である。これにより、サービス又はメンテナンスのために、ハブから内側翼部と外側翼部との間の接続部へのアクセスが容易になる。
【0032】
代替的に又は追加的に、風力タービン翼の分割位置は、外側翼部の重量と内側翼部の重量とが略等しくなる位置に配置されていてもよい。それによって、翼部品の輸送、取り扱い、及び持ち上げ中の重量要件をより容易に満たすことができる。
【0033】
風力タービン翼の接続点は、根元端部から先端端部までの風力タービン翼の長さの20%から70%の間、例えば25%から60%の間、例えば30%から55%の間である根元端部からの距離に配置されてもよい。接続点は、風力タービン翼の翼部又は分割位置とすることができる。
【0034】
この実施形態によれば、上記翼連結部材は、上記風力タービン翼の根元端部から十分に離れ、かつ、上記風力タービン翼の先端から十分に離れた位置で上記風力タービン翼に連結している。
【0035】
風力タービン翼に沿った接続点の位置は、考慮に入れる必要がある様々な問題を適切にバランスさせるように選択することができる。例えば、接続点を風力タービン翼の先端端部の近くに配置することにより、翼接続部材による風力タービン翼への非常に効率的な支持がもたらされる。しかしながら、これは、ロータの回転中に翼接続部材によって引き起こされる高い抗力を犠牲にし、それによってエネルギー生成を減少させる。他方では、風力タービン翼の根元端部の近くに接続点を位置決めすることは、翼接続部材によって引き起こされる低い抗力をもたらし、それによって、風力タービンのエネルギー生成に対する悪影響を最小限に抑える。しかしながら、翼接続部材による風力タービン翼の支持は、あまり効率的ではない。接続点を風力タービン翼の長さの20%から70%である根元端部からの距離に配置することによって、これらの考慮事項は、許容できない抗力を導入することなく効率的な支持が得られるようにバランスがとられる。さらに、この領域内に接続部を配置することによって、風力タービン翼の構造的剛性が十分に高い場合に、翼接続部材が風力タービン翼に取り付けられることが保証される。例えば、風力タービン翼の構造的剛性は、先端端部に向かって減少し、すなわち、翼接続部材を先端端部の極めて近くに接続すると、風力タービン翼の著しい予変形が生じる可能性があり、これは、翼をピッチングする能力を妨げる可能性がある。特定の翼部に配置される接続点は、この翼部が別の翼部に接続される分割位置も包含する。
【0036】
各風力タービン翼は、少なくとも1つの中間翼部をさらに備え、内側翼部及び中間翼部は、第1の分割位置で互いに接続され、中間翼部及び外側翼部は、第2の分割位置で互いに接続され、少なくとも第1の分割位置は、根元端部と接続点との間に配置することができる。
【0037】
この実施形態によれば、風力タービン翼は、少なくとも3つの部分、すなわち、内側翼部、外側翼部、及び中間翼部から製造される。中間翼部は、内側翼部と外側翼部との間に配置されている。2つ以上の中間翼部が内側翼部と外側翼部との間で端と端とを接して接続されることは除外されないが、以下では、明確にするために1つの中間翼のみが記載される。
【0038】
この実施形態によれば、風力タービン翼は3つの翼部を備えるので、それはまた、隣接する翼部が互いに接続される2つの分割位置を画定する。より具体的には、内側翼部及び中間翼部は、第1の分割位置で互いに接続され、中間翼部及び外側翼部は、第2の分割位置で互いに接続される。このため、第1の分割位置は、第2の分割位置よりも根元端部側であり、第2の分割位置は、第1の分割位置よりも先端端部側である。
【0039】
少なくとも第1の分割位置は、根元端部と接続点との間に、すなわち、上述したように配置される。
【0040】
第2の分割位置は、接続点と先端端部との間に配置されてもよい。この実施形態によれば、接続点は中間翼部上に形成される。
【0041】
翼接続部材によって提供される支持は、風力タービン翼の根元端部と接続点との間に配置された風力タービン翼の部分において、接続点と先端端部との間に配置された風力タービン翼の部分よりも顕著であるが、後者の部分における風力タービン翼への負荷は、翼接続部材によって依然として低減される。したがって、第1の分割位置が根元端と接続点との間に配置されていれば、風力タービン翼のこの部分に第2の分割位置を位置させることも可能である。
【0042】
代替として、第1の分割位置及び第2の分割位置は、風力タービン翼の根元端部と接続点との間に、すなわち、翼接続部材によって提供される支持が最も高い影響を有する風力タービン翼の部分に配置することができる。
【0043】
少なくとも1つの中間翼部を内側翼部と外側翼部との間に挿入することを可能にすることによって、モジュール式翼設計を提供することができ、様々な長さの風力タービン翼を、同一の内側翼部及び外側翼部と、内側翼部と外側翼部との間に配置された様々な長さの中間翼部及び/又は様々な数の中間翼部とを用いて製造することができる。それによって、多数の異なる翼サイズのための内側翼部を製造するために1つの金型設計のみが必要とされ、外側翼部のために1つの金型設計のみが必要とされる。これにより、製造コストが大幅に低減されると共に、生産ラインにおいて複数の異なるロータ直径を有する風力タービンが可能になる。
【0044】
上述のように、中間翼部は、その全長に沿って一定の翼弦を有することができ、分割位置は、最大翼弦を画定する位置に配置することができる。
【0045】
各風力タービン翼には、少なくとも2つの接続点が設けられており、分割位置は、根元端部と第1の接続点との間に配置されており、第2の接続点は、第1の接続点と先端端部との間に配置されていてもよい。
【0046】
この実施形態によれば、風力タービン翼は、風力タービン翼の長さに沿った2つの異なる位置で、すなわち、2つの異なるロータ半径位置で、風力タービン翼に接続された少なくとも2組の翼接続部材を介して互いを支持する。これにより、2つの隣接する風力タービン翼が1つの翼接続部材のみを介して接続される実施形態と比較して、翼接続部材によって風力タービン翼に提供される支持が増加する。さらに、分割位置は、接続点の両方に対して内側に配置される。したがって、分割位置は、2組の翼接続部材によって提供される支持から十分に利益を得る風力タービン翼の一部に配置される。
【0047】
ピッチ制御風力タービンは、少なくとも3つのプレテンション部材をさらに備えてもよく、各プレテンション部材は、翼接続部材のうちの1つ及びハブ部に接続され、それによって、各プレテンション部材は、好ましくは翼接続部材の一部(翼接続点間の中間の翼接続部材の点など)をハブに向かって付勢することによって、それが接続される翼接続部材にプレテンションを提供する。
【0048】
この実施形態によれば、プレテンション部材は、翼接続部材をハブに向かって引っ張り、それによって、プレテンション部材は、翼接続部材にプレテンションを提供する。
【0049】
翼接続部材は、プレテンション部材の剛性とは異なる剛性を有してもよく、又は、翼接続部材及びプレテンション部材の剛性は同一であってもよい。
【0050】
本文脈において、「ハブ部」という用語は、ハブ、又はナセルに対してハブと共に回転するという意味でハブに接続された部品もしくは要素を意味すると解釈されるべきである。そのような部品又は要素は、ハブと共に回転する限り、ハブの外側表面に接続されてもよく、ハブから突出してもよく、ハブの内側に位置付けられてもよく、又は任意の他の好適な方法で位置付けられてもよい。
【0051】
プレテンション部材は、例えば、風力タービン翼上の接続点のそれぞれから離れた位置で、例えば、接続点に対して実質的に等しい距離で、すなわち、翼接続部材に沿って風力タービン翼間のほぼ中間で、翼接続部材に接続されてもよい。
【0052】
この実施形態によれば、翼接続部材内のプレテンションは、翼接続部材とハブ部とを相互接続するプレテンション部材によって提供されるので、ハブから、翼接続部材内と同様に、プレテンション部材内のプレテンションを制御することが可能であり、それによって、サービス又はプレテンションの調整のための容易なアクセスを提供する。さらに、所与のプレテンションに対して平均フラップ方向負荷がどの程度影響を受けるかを調整することが可能である。例えば、短いプレテンション部材は、長いプレテンション部材よりも平均フラップ方向曲げモーメントへの影響が小さい。最後に、プレテンションシステムは、翼接続部材よりも柔らかくすることができるので、部材が緩むリスクが低減される。
【0053】
プレテンション部材は、翼接続部材に調整可能なプレテンションを提供するように配置されてもよく、又は提供されるプレテンションは一定であってもよい。
【0054】
ピッチ制御風力タービンは、風力タービン翼とハブとを相互接続するハブ延長部をさらに備えることができる。
【0055】
本文脈において、「ハブ延長部」という用語は、一方の端部でハブに接続され、反対側の端部で風力タービン翼の根元端部に接続される構成要素を意味するものと解釈されるべきである。これにより、ハブと風力タービン翼との間に距離が導入される。風力タービン翼は、例えば、ピッチ軸受を介してハブ延長部に接続されてもよく、それによって、風力タービン翼がハブ延長部に対して、それによってハブに対してピッチング運動を行うことを可能にする。ハブ延長部は、空気力学的形状を有してもよく、又は翼、渦発生器、ガーニーフラップ、ストールバリアなどの空気力学的強化要素を備えてもよい。代替として、ハブ延長部は、任意の他の適切な形状、例えば円筒形状を有してもよい。
【0056】
ハブ延長部は、風力タービン翼の設計を変更することなく、ロータ直径を増大させることを可能にする。ロータ直径の増大は発電量の増大をもたらすので、それによって、風力タービン翼を製造するために使用される金型を交換することなく、所与の風力タービンモデルの公称電力を増大させることが可能である。
【0057】
翼接続部材は、風力タービン翼に取り付けられた、又は風力タービン翼の一部を形成する軸受構造体を介して、それぞれの風力タービン翼に接続されてもよい。軸受構造体は、例えば、ころ軸受、滑り軸受、球面軸受、又は任意の他の好適な種類の軸受であってもよく、又はそれらを含んでもよい。
【0058】
軸受構造体は、風力タービン翼が軸受構造体を介して翼接続部材に対して回転することを可能にする。それによって、風力タービン翼は、翼接続部材に影響を及ぼすことなくピッチング運動を行うことができ、それによって、ピッチング中に翼接続部材に望ましくない負荷、ねじれ、又は張力が加わることが回避される。
【0059】
軸受構造体が球面軸受であるか、又は球面軸受を備える場合、翼接続部材は、接続点を中心として風力タービン翼に対して自由に回転することができる。これにより、接続点において、翼接続部材と風力タービン翼との間で張力のみが伝達される。
【0060】
軸受構造体が風力タービン翼から突出している、又は風力タービン翼に対して周方向に配置されている場合、軸受構造体の領域における風力タービン翼の空気力学的特性を改善するために、軸受構造体にフェアリング又は同様の空気力学的構造体を設けることができる。
【0061】
各風力タービン翼の根元端部は、ピッチ軸受を介してハブに接続することができる。
【0062】
本実施形態によれば、ピッチング運動を行う際に風力タービン翼全体が回転する。これは、「フルピッチ」と呼ばれることもある。
【0063】
代替的に又は追加的に、各風力タービン翼は、分割位置に配置されたピッチ軸受を備えることができ、それによって、外側翼部が内側翼部に対してピッチング運動を行うことを可能にする。これは、「部分ピッチ」と呼ばれることがある。
【0064】
部分ピッチを行うことができる風力タービン翼は、風力タービン翼の一部分が風力タービン翼の別の部分に対してピッチ運動を行うことを可能にするために、内側翼部と外側翼部とに分割される必要がある。したがって、この目的のための分割位置は、本発明による風力タービン翼に沿って配置されることが有利である。
【0065】
代替として、各風力タービン翼は、接続点に配置されたピッチ軸受を備えることができ、それによって、接続点から先端端部まで延在する風力タービン翼の部分が、根元端部から接続点まで延在する風力タービン翼の部分に対してピッチング運動を行うことを可能にする。
【0066】
本実施形態によれば、風力タービン翼は、上述したように風力タービン翼の根元端部に配置される分割位置と、翼連結部材が風力タービン翼に連結される位置との少なくとも2箇所で分割されている。
【0067】
各風力タービン翼の内側翼部は、第1の内側翼部及び第2の内側翼部を含むことができ、第1の内側翼部は、内側翼部の前縁を含み、第2の内側翼部は、内側翼部の後縁を含み、第1の内側翼部及び第2の内側翼部は、風力タービン翼の長さによって画定される方向に沿って延在する分割境界面に沿って互いに接続することができる。
【0068】
この実施形態によれば、風力タービン翼の長手方向に対して横方向に分割されることとは別に、風力タービン翼はまた、この長手方向に沿って分割される。しかしながら、この追加の分割は、内側翼部にのみ存在する。風力タービン翼の翼弦は、先端端部側よりも根元端部側の方が大きくなることが予想される。大型の風力タービン翼では、最大翼弦長が最大輸送寸法を超えることがある。したがって、風力タービン翼を輸送することを可能にするために、風力タービン翼を翼弦方向に対して横方向に分割することが適切である。このような分割は、「翼弦延長」と呼ばれることがある。
【0069】
ピッチ制御風力タービンは、アップウィンド風力タービン、すなわち、ロータが到来する風に向けられる風力タービンであってもよい。代替として、風力タービンは、ダウンウィンド風力タービン、すなわち、ロータが到来する風から離れる方向に向けられる風力タービンであってもよい。
【0070】
本発明は、添付の図面を参照してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明の第1の実施形態によるピッチ制御風力タービンを示す。
図2】本発明の第1の実施形態によるピッチ制御風力タービンを示す。
図3】本発明の第1の実施形態によるピッチ制御風力タービンを示す。
図4】本発明の第2の実施形態によるピッチ制御風力タービンを示す。
図5】本発明の第2の実施形態によるピッチ制御風力タービンを示す。
図6】本発明の第3の実施形態によるピッチ制御風力タービンを示す。
図7】本発明の第3の実施形態によるピッチ制御風力タービンを示す。
図8】本発明の一実施形態に係る風力タービン用の風力タービン翼の斜視図である。
図9】本発明の代替的な実施形態による風力タービン用の風力タービン翼の側面図である。
図10】本発明の一実施形態による風力タービン用の風力タービン翼への翼接続部材の接続を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る風力タービン用の風力タービン翼に翼連結部材を連結するための軸受構造体を示す。
図12】本発明の一実施形態に係る風力タービン用の風力タービン翼に翼連結部材を連結するための軸受構造体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1図3は、本発明の第1の実施形態によるピッチ制御風力タービン1を示す。図1は風力タービン1の正面図であり、図2は風力タービン1の側面図であり、図3は風力タービン1の詳細を示す。
【0073】
風力タービン1は、タワー2と、タワー2に取り付けられたナセル3と、ナセルに取り付けられたハブ4とを備えている。ハブ4には、3枚の風力タービン翼5が接続されている。各風力タービン翼5は、ハブ4に接続された根元端部6と、反対側に配置された先端端部7との間に延在する。
【0074】
風力タービン1は、3つの翼接続部材8をさらに備える。各翼接続部材8は、それぞれの風力タービン翼5における接続点9に連結されることによって、2つの隣接する風力タービン翼5を相互接続する。風力タービン翼5は、風力タービン翼5上の負荷、特にエッジ方向の負荷及びフラップ方向の負荷が、翼接続部材8を介して風力タービン翼5の間で共有されるという意味で、翼接続部材8を介して互いに相互に支持することができる。特に、根元端部6と接続点9との間に配置された風力タービン翼5の部分における負荷は、翼接続部材8の存在により低減される。
【0075】
各風力タービン翼5は、根元端部6を含む内側翼部5aと、先端端部7を含む外側翼部5bとを含む。内側翼部5aと外側翼部5bとは、分割位置10において互いに接続されている。すなわち、風力タービン翼5は、いわゆる「分割翼」である。これにより、内側翼部5aと外側翼部5bとを別々に製造し、風力タービン1の現場に別々に輸送することができ、風力タービン1の現場で内側翼部5aと外側翼部5bとを組み立てて、風力タービン翼5を形成することができる。したがって、風力タービン翼5の長さは、輸送要件によって決定される最大長さを超えることが許容される。
【0076】
分割位置10は、根元端部6と接続点9、すなわち、翼接続部材8が風力タービン翼5に接続される点との間に配置される。このように、分割位置10は、翼接続部材8による大幅な負荷低減が期待される風力タービン翼5の部分に配置されている。したがって、風力タービン翼5は、風力タービン翼5を分割することによって導入される風力タービン翼5の弱さにも関わらず、風力タービン1の動作中に発生する負荷に対処することができることが予想され得る。
【0077】
また、この部分に分割位置10を配置することで、ハブ4から分割位置10に容易にアクセスすることができる。
【0078】
図4及び図5は、本発明の第2の実施形態によるピッチ制御風力タービン1を示す。図4は、風力タービン1の正面図であり、図5は、風力タービン1の詳細を示す。
【0079】
図4及び図5の風力タービン1は、図1図3の風力タービン1と非常に類似しているので、ここでは詳細に説明しない。
【0080】
図4及び図5の風力タービン1は、3つのプレテンション部材11をさらに備える。各プレテンション部材11は、風力タービン翼5における接続点9間のほぼ中間で、翼接続部材8のうちの1つに接続され、ハブ4に接続される。したがって、プレテンション部材11は、翼接続部材8をハブ4に向かって引っ張り、それによって翼接続部材8にプレテンションを提供する。
【0081】
これにより、翼接続部材8におけるプレテンションは、プレテンション部材11によって調整することができ、これにより、翼接続部材8を介して互いに支持する風力タービン翼5の伸長を制御することができる。
【0082】
翼接続部材8は、例えば2つのサブパーツ又はセクションなどの1つ又は複数のサブパーツを備えることができる。これは、風力タービンがプレテンション部材を備える場合に特に有利である。ここで、その接続部材8は、例えば、好ましくは、2つのサブセクションを備えることができ、各セクションは、翼接続点をコネクタ要素(図示せず)に接続しており、コネクタ要素には、プレテンション部材も接続される。これは、その接続部材とプレテンション部材との間の安全で中心に置かれた接続を可能にする。
【0083】
図6及び図7は、本発明の第3の実施形態によるピッチ制御風力タービン1を示す。図6は、風力タービン1の正面図であり、図7は、風力タービン1の詳細を示す。
【0084】
図6及び図7の風力タービン1は、図1図3の風力タービン1と非常に類似しているので、ここでは詳細に説明しない。
【0085】
図6及び図7の風力タービン1では、各風力タービン翼5は、内側翼部5aと外側翼部5bとの間に配置された中間翼部5cをさらに備える。内側翼部5aと中間翼部5cとは第1の分割位置10aで接続され、中間翼部5cと外側翼部5bとは第2の分割位置10bで接続されている。したがって、各風力タービン翼5は、3つの翼部5a、5b、5cに分割され、2つの分割位置10a、10bを画定する。両方の分割位置10a、10bは、根元端部6と接続点9との間に、すなわち、翼接続部材8によって提供される支持によって生じる負荷低減が最も顕著であると予想される風力タービン翼5の部分に配置される。別の例(図示せず)では、翼接続点は、中間翼部5c上にある。翼接続点は、内側翼部5a上にあってもよいが、これは、その接続部材によって担持される負荷が比較的低くなるので、好ましくない。
【0086】
風力タービン翼5を3つの部分に分割することにより、輸送上の制約と衝突することなく、さらに長い風力タービン翼5が可能になる。さらに、これは、風力タービン1のロータ直径が、内側翼部5a及び外側翼部5bの設計を変更することなく、中間翼部5cの長さを適切に選択することによって変更され得るという意味で、風力タービン1のモジュール設計を可能にする。
【0087】
図8は、本発明の一実施形態に係る風力タービン用の風力タービン翼5の斜視図である。図1図3を参照して上述したように、風力タービン翼5は、分割位置10において互いに接続された内側翼部5a及び外側翼部5bを備える。
【0088】
内側翼部5aと外側翼部5bとは、ピッチ軸受12を介して連結されている。それによって、外側翼部5bは、内側翼部5aに対してピッチング運動を行うことができ、すなわち、部分的なピッチを行うことができる。
【0089】
図9は、本発明の別の実施形態に係る風力タービン用の風力タービン翼5の側面図である。風力タービン翼5は、内側翼部5aと外側翼部5bとが分割位置10で連結されて構成されている。
【0090】
内側翼部5aは、第1の内側翼部5a’及び第2の内側翼部5a’’を備える。第1の内側翼部5a’は、内側翼部5aの前縁13を備え、第2の内側翼部5a’’は、内側翼部5aの後縁14を備える。
【0091】
第1の内側翼部5a’及び第2の内側翼部5a’’は、風力タービン翼5の長さによって画定される方向に実質的に沿って、かつ分割位置10における内側翼部5aと外側翼部5bとの間の横方向分割境界面に対して実質的に垂直に延在する分割境界面15に沿って互いに接続される。したがって、図9に示される風力タービン翼5は、3つの部分、すなわち、第1の内側翼部5a’、第2の内側翼部5a’’、及び外側翼部5bに分割される。ここで、翼接続点は、好ましくは、分割位置を含む第1の内側翼部5a’又は外側部5b上にある。
【0092】
風力タービン翼5の翼弦は、内側翼部5aの方が外側翼部5bよりも大きい。内側翼部5aを第1の内側翼部5a’と第2の内側翼部5a’’とに分割することによって、翼部5a’、5a’’、5bのいずれも、最大輸送の制約を超える幅を有さないようになる。
【0093】
図10は、本発明の一実施形態に係る風力タービン用の風力タービン翼5の一部を示す斜視図である。より具体的には、図10は、接続点9、すなわち翼接続部材8が風力タービン翼5に接続される位置を含む風力タービン翼5の一部を示す。
【0094】
翼接続部材8は、軸受構造体16を介して風力タービン翼5に接続されている。これにより、翼接続部材8に影響を与えることなく、風力タービン翼5をピッチング運動させることができる。これにより、風力タービン翼5のピッチング中に翼接続部材8に望ましくない負荷、ねじれ又は張力が加わることが回避される。
【0095】
図11及び図12は、本発明の一実施形態による、翼接続部材を風力タービン用の風力タービン翼に接続するための2つの異なる軸受構造体16を示す。例えば、図11及び図12の軸受構造体16は、図10に示す風力タービン翼に適用されてもよい。
【0096】
板状構造体17は、風力タービン翼に取り付けられている。図11及び図12は、この取り付けを提供するための2つの異なる構造を示す。
【0097】
翼接続部材は、板状構造体17に回転可能に取り付けられたアイレット18に取り付けられており、これにより、板状構造体17が取り付けられた風力タービン翼は、アイレット18に対して、ひいては、アイレット18に接続された翼接続部材に対してピッチング運動を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】