(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】充電式固体状態リチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240227BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20240227BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240227BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240227BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240227BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240227BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240227BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20240227BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0565
H01M4/13
H01M4/38 Z
H01M4/587
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557279
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 IB2022052407
(87)【国際公開番号】W WO2022195518
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523353524
【氏名又は名称】エレクトロバヤ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ダスグプタ,シャンカル
(72)【発明者】
【氏名】ブリッジズ,コリン
(72)【発明者】
【氏名】ダスグプタ,ラジシェカール
(72)【発明者】
【氏名】メマルザデ,エルミラ
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AM16
5H029HJ02
5H050AA07
5H050AA15
5H050BA15
5H050BA16
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB13
5H050HA02
(57)【要約】
【課題】 安全性を高めて耐破損性を向上させることである。
【解決手段】 電気化学セル及び電気化学セルを調製する方法が提供される。リチウム電池又は固体状態リチウムイオン電池などの電気化学セルは、その上に堆積された固体高分子電解質を有する第1の電極であって、固体高分子電解質が、有機カーボネート液体及び解離性リチウム塩で膨潤した微孔性高分子を含む、第1の電極と、第2の電極と、を含む。電気化学セルを調製する方法は、第1の電極を提供することと、第1の電極を電解質溶液中に浸漬することと、固体高分子電解質を浸漬された第1の電極上に堆積させることと、第2の電極を固体高分子電解質の露出表面に取り付け、それによって、電気化学セルを形成することと、を含む。動作中、固体高分子電解質は、第1の電極と固体高分子電解質との間の界面において不動態化高分子層を成長させることが可能である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池を調製する方法であって、
第1の電極を提供することと、
固体高分子電解質を前記第1の電極上に形成することと、
第2の電極を前記固体高分子電解質に対して配置し、それによって、前記電池を形成することと、を含み、
動作中、前記固体高分子電解質が、前記第1の電極と前記固体高分子電解質との間の界面において不動態化高分子層を成長させることが可能である、方法。
【請求項2】
前記固体高分子電解質が、前記固体高分子電解質内で膨潤した溶媒の一部を含み、動作中、前記膨潤した溶媒の一部が、成長するデンドライトと反応して、高分子を前記デンドライト上に形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フッ素化エチレンカーボネートが、前記固体高分子電解質用の架橋剤として使用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記固体高分子電解質が、前記第1又は第2の電極の表面に重合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記不動態化高分子層が、微孔性であり、解離性リチウム塩、カーボネート溶媒混合物、及びリチウム金属表面の混合物の結果としての自己修復特性を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記不動態化高分子層が、前記第1及び/又は第2の電極に付着し、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の電極を前記固体高分子電解質に対して配置する前に、
前記第2の電極が、解離性リチウム塩とカーボネート溶媒混合物との混合溶液中に浸漬される場合、電気化学電位を前記第2の電極に印加し、それによって、固体高分子電解質の層を前記第2の電極上に形成することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記固体高分子電解質を前記第1の電極上に前記形成することと、前記固体高分子電解質の層を前記第2の電極上に前記形成することとが、同時に行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記固体高分子電解質が、高分子セラミック複合材料、又は1つ以上のイオン伝導性セラミック若しくは無機材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記固体高分子電解質が、リチウム伝導性硫化物、Li
2S、P
2S
5、リン酸リチウム、Li
3P、酸化リチウム、リチウムランタンチタン酸化物、及びリチウムランタンジルコニウム酸化物を含む材料のリストからの1つ以上の材料を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の電極が、リチウム金属、リチウム箔、処理銅箔、処理銅箔、グラファイト、リチウム化グラファイト、LiC
6、リチウムセラミックガラス、Li
4Ti
50i
2、Li
4,
4Si、若しくはLi
4,
4Geがポリフッ化ビニリデン(PVDF)と結合したものを含むか、又は
前記第2の電極が、リチウム化金属酸化物、LiCoO
2、LiFePO
4、LiMn
2O
4、LiNiO
2、Li
2FePO
4F、Li(Li
aNi
xMn
yCo
z)(NMC)、又はLi(Li
aNi
xAl
yCo
z)(NCA)、導電性炭素添加剤、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラックがPVDFと結合したものを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
電気化学セルであって、
その上に堆積された固体高分子電解質を有する第1の電極であって、前記固体高分子電解質が、有機カーボネート液体及び解離性リチウム塩で膨潤した微孔性高分子を含む、第1の電極と、
第2の電極と、を含む、電気化学セル。
【請求項13】
動作中、前記固体高分子電解質が、前記第1の電極と前記固体高分子電解質との間の界面において不動態化高分子層を成長させることが可能である、請求項12に記載の電気化学セル。
【請求項14】
前記不動態化高分子層が、前記第1及び/又は第2の電極に付着し、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する、請求項13に記載の電気化学セル。
【請求項15】
前記固体高分子電解質が、高分子セラミック複合材料、1つ以上のイオン伝導性セラミック若しくは無機材料、又はリチウム伝導性硫化物、Li
2S、P
2S
5、リン酸リチウム、Li
3P、酸化リチウム、リチウムランタンチタン酸化物、及びリチウムランタンジルコニウム酸化物を含む材料のリストからの1つ以上の材料を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「充電式固体状態リチウムイオン電池」と題された、2021年3月16日に出願された米国仮特許出願第63/161,574号、及び「充電式固体状態リチウムイオン電池」と題された、2021年5月18日に出願された米国仮特許出願第63/190,205号の優先権及び利益を主張するものであり、これらは、以下に完全に記載されているかのように、全ての適用可能な目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、リチウムイオン電池などの電気化学エネルギー貯蔵デバイス用の材料及び設計に関し、特に、リチウムイオン伝導体用の高分子材料又は高分子セラミック複合材料、及び固体状態充電式リチウムイオン電池用の電極セパレータに関する。本発明はまた、固体状態リチウムイオン電池を含む充電式電池を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池は、一般に、アノード(負極)と、カソード(正極)と、アノードとカソードとの間でリチウムイオンを伝導するための電解質と、アノードとカソードとの間の電気伝導性を防止する一方でリチウムイオンの自由な通過を提供するセパレータとを含む。リチウムイオン電池に使用される従来のセパレータは、微孔性フィルムであり、一方、リチウムイオン電池に使用される従来の電解質は、揮発性可燃性溶媒であり、これは、リチウムイオン電池が経時的に劣化するにつれて重大な安全上の懸念を引き起こし得る。
【0004】
固体セラミック電解質は、従来の電解質よりも揮発性が低く、可燃性が低いので、この問題を解決するために開発されてきた。しかしながら、固体セラミック電解質においても、例えば、振動及び他の衝撃力を伴う環境において動作する場合、その脆性性質に起因して重大な問題が生じる。例えば、電気自動車の典型的な使用中の振動及び衝撃力のこのような存在は、バッテリパック内の固体電解質に亀裂及び破損を引き起こし得る。更に、このような物理的損傷又は変質はまた、電解質自体のイオン伝導性を低下させ、それによって、電池性能の低減を引き起こす。したがって、現在入手可能な固体セラミック電解質の前述の欠点を軽減しながら、安全性を高めて、例えば電気自動車の日常的な使用中のリチウムイオン電池の性能を改善し得る耐破損性固体電解質の必要性が存在する。更に、セラミック電解質を含むこのような固体電解質の電極への界面は、多くの場合不十分であり、不十分な品質の界面に起因して大きなインピーダンスをもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書で開示される原理及びその利点をより完全に理解するために、添付図面と併せて以下の記載を参照されたい。
【
図1A】
図A1は、様々な実施形態による電気化学セルの例示的な実施形態を示す図である。
【
図1B】
図BEは、様々な実施形態による双極型電気化学セルの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】様々な実施形態によるリチウム電池を調製する方法を示すフローチャートである。
【
図3】様々な実施形態による電気化学セルを調製する方法を示すフローチャートである。
【
図4】様々な実施形態による固体状態電気化学セルを調製する方法を示すフローチャートである。
【
図5】様々な実施形態による電気化学セルを調製する方法を示すフローチャートである。
【
図6】様々な実施形態による双極型電気化学セルを調製する方法を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7A及び
図7Bは、様々な実施形態による、X線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy、XPS)の結果を示すプロット700a及び700bをそれぞれ示すグラフである。
【
図7B】
図7A及び
図7Bは、様々な実施形態による、X線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy、XPS)の結果を示すプロット700a及び700bをそれぞれ示すグラフである。
【0006】
図は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、図中の物体も互いに関係して必ずしも互いに縮尺通りに描かれているわけでもないことを理解されたい。図は、本明細書で開示される装置、系、及び方法の様々な実施形態を明確にし、理解することを意図した描写である。可能な限り、同じ又は同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。更に、図面は、決して本教示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に開示される技術は、現在利用可能な固体セラミック電解質若しくは固体高分子電解質、又はこれらのハイブリッドの前述の欠点を軽減しながら、性能並びに安全性を改善し得るリチウムイオン電池において使用され得る、可撓性で耐破損性の固体高分子電解質(本明細書では「固体電解質」又は「高分子電解質」とも称される)、及び固体高分子セラミック複合体/電解質(本明細書では「固体高分子セラミック複合電解質」又は「高分子セラミック複合電解質」とも称される)に関する。
【0008】
電極は、典型的なリチウムイオン電池の電気活性エネルギー貯蔵構成要素である。いくつかの電極は、導電性金属箔の形態であるが、いくつかの金属箔は、約10~100μmの電気活性複合材料でコーティングされ得る。アノードの場合、電気活性材料は、リチウム箔、リチウム化炭素粉末(例えば、リチウム化グラファイト若しくは他の形態のLiC6)、又はリチウムセラミックガラス(例えば、Li4Ti50i2、Si(Li4,4Si)、若しくはGe(Li4,4Ge))がポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)と結合したものであり得る。アノードの場合、電気活性材料は、典型的には、導電性炭素添加剤(例えば、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック)と混合されたリチウム化金属酸化物(例えば、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4、LiNiO2、Li2FePO4F、又はLi(LiaNixMnyCoz))がPVDFと結合したものであり得る。
【0009】
典型的なリチウムイオン電池は、アノードとカソードとの間のリチウムイオンの伝導を容易にしながら、電気伝導性を防止するためにセパレータを使用する。セパレータは、リチウムイオンの自由な通過を可能にするが、危険な短絡を引き起こす、アノードとカソードとの間の電気伝導性を遮断するように設計されている。リチウムイオン電池に使用される従来のセパレータは、例えば、2002年8月13日に付与された米国特許第6432586(B1)号において、Zhang,Z.らによって記載されている、20~80%の空隙率を有する20~70ミクロンの厚さを有する微孔性ポリプロピレンフィルムである。2019年にJournal of Solid-state Electrochemistry 23,277において、Liu,J.らによって記載されているように、セパレータを含めることによって、電池のイオン抵抗が不可避的に増加する。セパレータは、短絡を防止するのに十分な機械的強度を付与するのに十分な厚さであるが、十分なイオン伝導性を保持するのに十分な薄さでなければならない。電解質のリチウムイオン伝導性及びリチウムインベントリーは、電池が達成し得る最大電流に影響を及ぼす。高度多孔性セパレータは、リチウムインベントリーを最大にし、可能な限り、セパレータの含有に伴うイオン伝導性の損失を防止するのに役立つ。これはトレードオフの関係にあり、より多孔性の膜は弱くなり、短絡に対する保護が弱くなる。セパレータ構成要素はまた、リチウムイオン電池用の材料のコスト及び製造プロセスの複雑性を増加させ得、セパレータは、リチウムイオン電池を製造する総コストの最大10%を占める。したがって、薄膜として電気伝導性を確実に遮断し得る固体又は高分子ゲル電解質は、生成コストを削減し得、イオン伝導性を向上させ得ることが明らかになった。
【0010】
電解質は、有機液体又は高分子ゲル(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチル-メチルカーボネート、フッ素化エチレンカーボネート、ポリエチレンオキシド、又はこれらのいくつかの混合物)中に溶解された、リチウムカチオン及び無機アニオンを有する解離性リチウム塩(例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、リチウムトリフレート、リチウムビストリフリミド、又はリチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリド(LiTDI))、又はこれらのいくつかの混合物を含有する。電解質は、アノードとカソードとの間でリチウムイオンを伝導することが可能であらねばならず、固体、液体、又は両方の混合物のいずれかであり得る。
【0011】
液体電解質は、揮発性及び可燃性の溶媒を含み得、リチウム電池が経時的に劣化するので、重大な安全上の懸念を引き起こす。高分子電解質は、揮発性が低く、可燃性が低いので、固体高分子電解質は、この問題に対処するために開発されている。高分子電解質はまた、電気絶縁性でもあるので、高分子の材料強度は、機械的に堅牢なセパレータ膜も必要であるか否か、又は高分子電解質が両方の役割を満たし得るか否かを決定する。高分子電解質は、イオンを効率的に伝導するために可撓性かつ極性でなければならず、イオン伝導性高分子の種類としては、(2016年4月20日に出願された国際公開第2016/9955(A1)号において、Buisineらによって記載されているような)ポリシロキサン、(2008年4月8日に付与された米国特許第7354531(B2)号において、Smithらによって記載されているような)ポリカーボネート、(2006年6月5日に付与された米国特許第7226702(B2)号において、Vissersらによって記載されているような)ポリエチレンオキシド及び他のポリグリコール、又は(1997年3月11日に付与された米国特許第5609795(A)号において、Nishiらによって記載されているような)アクリレートが挙げられる。高分子電解質はまた、構造支持体を提供するために、互いに、又はPVDFのような他の高分子と様々な量でのこれらの高分子/コポリマーの混合物であり得る。軟質及び可撓性高分子は、より高いイオン伝導性を有するが、それらの不十分な機械的強度は、大きい厚さを意味し、電気絶縁性セパレータは、短絡を防止し、以前の特許の多くは、20ミクロンを超える厚さを有していた。複合高分子/電解質を形成するために、機械的に堅牢なセパレータと組み合わされた軟質高分子が、例えば、2001年12月14日に付与されたカナダ特許第2321431号において、Das Guptaらによって記載されている。一般に、高分子電解質は、より厚い電解質層及び追加の高分子セパレータ膜を含み、電池のイオン伝導性を増加させる。このため、高分子電解質系は、2000年8月21日に出願されたカナダ特許第2382118(A1)号における、M.Zafarら、及び1985年のJ.Power Sources,14,13における、Kellyらによる上記の特許に記載されているように、典型的な電池動作条件(-20~40℃)を超える温度で動作する必要がある。固体セラミックイオン伝導体は、余分なセパレータ構成要素を用いずに電極を確実に電気的に分離するのに十分な機械的強度を有するが、典型的には低いイオン伝導性という犠牲を払う。固体状態セラミック電解質は、2020年4月14日に付与された米国特許第20140287305A1号における、Waschmanらによって記載されているように、100~150℃で10-6~10-3S/cmのリチウム伝導性を含有する。固体セラミック電解質は、低温で高分子電解質よりも低い伝導性を有し得、系の抵抗の増加は、全体的な電池性能を低減させる。高分子の伝導性と機械的強度との間のトレードオフを考慮に入れて、高分子の厚さや薄さを決定することは、電解質/セパレータを設計する場合に非常に重要である。したがって、電極に強く付着する中程度の強度及び中程度のイオン伝導性の高分子は、高分子電解質が良好なイオン伝導性を保持するのに十分に薄い層において、電極間に良好な電子絶縁を提供することを可能にするのに有用であり得ることが明らかである。これは、固体状態高分子電池が、室温で良好な電力出力特性を有して安全に動作することを可能にする。
【0012】
固体/セラミック電解質について、振動及び他の衝撃力を伴う環境において動作する場合、セラミックの脆性性質に起因して重大な問題も生じる。EVの典型的な使用中に存在する振動及び衝撃力は、セラミック電解質に亀裂及び破損を引き起こす。これは、電解質のイオン伝導性を低下させ、全てのアノード/カソードの組み合わせについて電池性能を低減させる。本発明者らの軟質高分子電解質の追加の利点は、軟質かつ可撓性であり、電気自動車の通常動作中に生じる振動を受けた場合に破損しないことである。
【0013】
本明細書に開示される高分子電解質及び高分子複合電解質は、電気化学セル又は充電式固体状態リチウムイオン電池に使用するために提供される。開示された高分子電解質は、イオン伝導性構成要素及び機械的に堅牢な電気絶縁性セパレータとして機能し得る解離性リチウム塩を担持する不活性微孔性架橋高分子を含む。この固体状態高分子は、揮発性ではなく、可燃性のリスクを低減し、電極表面上で開始される化学反応に起因して電極上に形成される。イオン伝導性/電気絶縁性高分子を電極表面上に成長させる手法は、アノードへの堅牢な付着を付与し、厚い高分子電解質層から生じる高いイオン抵抗を制限しながら、比較的薄い層が短絡を効果的に防止することを可能にする。この高分子はまた、電解質中のリチウムインベントリーを増加させ、リチウムイオン伝導性を増加させるために、材料中に存在する解離性リチウム塩と同じか又は異なる組成の解離性リチウム塩を担持する可塑化有機カーボネート液体で含浸され得る。高分子はまた、イオン伝導性セラミック材料と混合されて、高分子セラミック複合材料を形成し得る。イオン伝導性セラミック又は無機材料は、リチウム伝導性硫化物、例えば、Li2S、P2S5、リン酸リチウム、例えば、Li3P、又はリチウム酸化物、例えば、リチウムランタンチタン酸化物、リチウムランタンジルコニウム酸化物などが挙げられるが、これらに限定されない、以下の材料のうちの1つ以上を含み得る。
【0014】
組み合わされた高分子セパレータ/電解質、又は高分子セラミック複合セパレータ/電解質は、電極が、少なくとも部分的に、カーボネート系有機液体及びLiTDI系解離性リチウム塩を含有する電解質溶液中に浸漬されている間に、アノード又はカソードに高還元性化学/電気化学環境を適用することによって得られ得る。2016年12月29日に公開された米国特許第2016/0380309(A1)号において、Bonnetらによって記載されているように、LiTDIは、水に安定であり、1ppm~10ppmの濃度で使用される場合、長寿命のリチウムイオン電池を可能にし得る電解質として周知である。LiTDIがカーボネート溶媒の重合反応を開始するプロセスは、2016年にJournal of Physical Chemistry C,50,28463において、Abrahamらによって記載されている。このため、解離性リチウム塩として少なくとも部分的にLiTDI(0.1M~1.5M)を使用することは、本発明にとって重要である。
【0015】
高還元性環境におけるLiTDIの反応は、2等量のフッ化リチウム及び1等量のリチウム2-フルオロメチレン-4,5-ジシアノイミダゾリドアニオン(LiTDI-)を生成する。LiTDI-アニオンは、有機カーボネート液体のアニオン開環重合を開始して、使用されるカーボネート溶媒混合物(モノマー)に依存する最終組成を有するポリカーボネート型高分子を形成する。本発明では、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチル-メチルカーボネート、プロピレンカーボネート、及びフッ素化エチレンカーボネートを、単独で又はイオン伝導性セラミック/無機材料と混合して、複合体を形成した混合物として、全て様々な量で使用されて、電極上に付着したポリカーボネート高分子層を形成し得る。これらのカーボネート液体の異なる比は、異なる微細構造、架橋量、及びイオン伝導性を高分子電解質/セパレータに、又はイオン伝導性セラミックを含む場合、高分子電解質セラミック複合体/セパレータに付与する。特に、フッ素化エチレンカーボネートは、架橋剤として使用され、これは、最終的に、高分子電解質/セパレータ及び高分子セラミック複合電解質/セパレータ層の機械的強度、厚さ、及びイオン/電子抵抗率を決定する。高度に架橋された高分子電解質/セパレータ又は高分子セラミック複合電解質/セパレータは、機械的に堅牢であるが、より厚くより架橋されていない層よりも少ないリチウムインベントリーを含有する。したがって、良好なイオン伝導性及び十分なリチウムインベントリーを含有する架橋量を見出すために、バランスを取る必要がある。10ppm~100,000ppmのフッ素化エチレンカーボネート濃度から生じる0.1~10ミクロンの厚さを有する高分子セパレータ/電解質又は高分子セラミック複合電解質/セパレータ層は、そのバランスを達成する。一般に、この重合によって、フッ化リチウム及びリチウムイオン伝導性高分子の電極上への堆積がもたらされ、これはまた、固体電極界面(solid electrode interface、SEI)と可撓性電解質/セパレータとが一体となった複合体ともみなされ得る。カーボネートの重合を開始するLiTDI-アニオンは、LiTDIを、リチウム金属、リチウム化グラファイトアノード、リチウム化セラミックガラスアノードと反応させることによって、又はカソード表面上での電気化学的還元によって形成され得る。
【0016】
リチウム金属アノードの場合、リチウムデンドライトの形成は、それらを充電式電池において商業的に実行可能でなくなるほどに重大な安全上の懸念であることが示されている。単結晶固体電解質は、リチウムデンドライトの形成を防止することが示されているので、固体電解質として求められている。残念ながら、電解質結晶の脆性性質に起因して、振動及び衝撃力によって電解質結晶中に破損が形成されると、亀裂内にデンドライトが形成され始める可能性があり、固体状態電池は、長期使用に対して安全でなくなる(2020年7月27日発行されたElectrochemical Energy Reviewsにおいて、Guo,Xら、及び2020年3月25日発行されたFrontiers in Materialsにおいて、Y.-B.Heらによって記載されている)。リチウムデンドライトは、一般に、固体高分子電解質中で、それらの弾性率に関係なく形成され得る(2020年2月7日に発行されたACS Energy Lettersにおいて、Zhang,Q.らによって記載されている)。電解質系は、本発明者らの高分子電解質/セパレータ/SEI、又は高分子セラミック複合電解質/セパレータ/SEIの「自己修復」を可能にし、SEI中にデンドライトが形成されるとすぐにデンドライト成長を停止させる。自己修復特性は、不動態化高分子層をリチウム上に形成するために、リチウム金属、LiTDI、及びカーボネート溶媒の間の前述の反応の結果として生じる。リチウムデンドライトが形成し始めると、それは必然的に、既存のSEIによって不動態化されていない新たなむき出しのリチウム金属表面が露出することを意味する。これが起こると、膨潤した高分子電解質中に存在するLiTDI及びエチレンカーボネートは、リチウムと反応して、SEIを再生し、先に記載されたリチウムイオン伝導性高分子電解質/セパレータ、又は高分子セラミック複合電解質/セパレータを形成する。デンドライト成長は、鋭いデンドライトポイントが、充電中にデンドライト上での増加した電流密度を引き起こすので、従来、それらの初期形成後に加速する。SEIの改質によるこの不動態化は、デンドライトが最も急速な成長段階に達する前に停止させることによって、デンドライトの成長を効果的に防止する。この新規な電解質系は、不動態化リチウムイオン伝導性の再成長を可能にし、本発明者らの高分子電解質/セパレータ系に、リチウムデンドライト成長を防止することによって多くの充電/放電サイクルを通して、安全に動作するために重要であるその自己修復特性を付与する。
【0017】
組み合わされた高分子セパレータ/電解質又は高分子セラミック複合電解質/セパレータは、アノード自体の高還元性性質に起因して、アノード(例えば、リチウム箔、リチウム化グラファイト若しくは他の形態のLiC6などのリチウム化炭素粉末、又はLi4Ti502、Li4,4Si、若しくはLi4,4GeなどのリチウムセラミックガラスがPVDFと結合したもの)上に形成され得る。LiTDIとアノードとの間の化学反応は、カーボネート溶媒の重合反応をその表面上で開始する。この場合、電解質混合物は、いくらかの量のエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチル-メチルカーボネート、プロピレンカーボネート、及びフッ素化エチレンカーボネートを、他の有機液体、LiTDI、及び他の可溶性リチウム塩とともに含有する有機液体混合物であり得る。
【0018】
解離性リチウム塩を含有する高分子電解質/セパレータ又は高分子セラミック複合電解質/セパレータは、アノードとカソードとの間に配置され、それによって、適切な集電体及びパッケージングと組み合わされる場合、充電式固体状態リチウムイオン電池を形成する。
【0019】
様々な実施形態によれば、本開示は、以下のような、a、b、c、及びdの以下の工程のうちの1つ以上を使用して、自己修復特性を有する固体高分子電解質又は高分子セラミック複合電解質/セパレータを製造するための方法を含む。
工程a:リチウムTDI及び他の解離性リチウム塩電解質(例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、リチウムトリフレート、リチウムビストリフリミド)を様々な量で含有する有機カーボネート(例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、フッ素化エチレンカーボネート、又はそれらのいくつかの混合物)を含む電解質溶液を0.1M~1.5Mの濃度で作製すること。特に、10~100,000ppmの量のフッ素化エチレンカーボネート及び0.1~1.5Mの濃度のLiTDIが使用され、他の量のカーボネート及び解離性リチウム塩が、高分子電解質/セパレータの機械的、電子的、及びイオン的特性を最適化するために使用される。
【0020】
工程b:リチウムとLiTDIとカーボネート液体との間の反応に起因して、高分子電解質/セパレータがアノードの露出面上に形成されるように、アノードを電解質溶液中に浸漬すること。アノードはまた、リチウム化グラファイト若しくは他の形態のLiC6、又はリチウムセラミックガラス(例えば、Li4Ti50i2、Si(Li4,4Si)、若しくはGe(Li4,4Ge))などの高還元性材料がPVDF(ポリフッ化ビニリデン)と結合したものも含み得る。アノードは、高分子電解質/セパレータが、0.1ミクロン~10ミクロンの厚さに達するような長さの時間、電解質溶液中に浸漬される。アノードが電解質溶液から取り除かれる場合、そこで付着性高分子電解質/セパレータ層は、過剰な有機カーボネート液体及び解離性リチウム塩で膨潤し、これは、最終的に組み立てられた電池において使用され得る。
【0021】
様々な実施形態では、アノードは、リチウム金属であり、集電体は、5~200ミクロン厚さの金属メッシュである。様々な実施形態では、集電体は、銅、アルミニウム、又はステンレス鋼を含む。様々な実施形態では、集電体は、多孔性集電体又はメッシュ集電体である。様々な実施形態では、多孔性集電体中の細孔は、リチウム金属で充填されている。様々な実施形態では、メッシュ集電体は、25%~75%の多孔性である。
【0022】
本開示の別の態様によれば、カソードは、前述の解離性リチウム塩及び有機カーボネート液体を含有する電解質溶液中に浸漬され得、高分子電解質/セパレータは、リチウム金属の還元電位(例えば、約0.1V対Li/Li+)と同様の電気化学的還元電位をカソードに印加することによって、カソードの露出面から成長させ得る。カソードは、導電性炭素添加剤(例えば、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラックなど)と混合されたリチウム化金属酸化物(例えば、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4、LiNiO2、Li2FePO4F)がPVDFと結合したものを含み得る。様々な実施形態では、高分子電解質/セパレータが、0.1~10ミクロンの範囲の厚さを有することが見出されるまで、電気化学電位が印加される。カソードが電解質溶液から取り除かれる場合、そこで付着性高分子電解質/セパレータ層は、過剰な有機カーボネート液体及び先に列挙した組成の解離性リチウム塩で膨潤し、これは、最終的に組み立てられた電池において使用され得る。
【0023】
様々な実施形態によれば、電極は、電極上に構造支持高分子メッシュを含み得る。高分子メッシュは、例えば、限定されないが、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、PVDF、セルロース誘導体、ポリイミド、又はポリエーテル-エーテル-ケトンなどの不活性、非電気活性高分子を含み得、それによって、メッシュは、約50%~90%の空隙率及び約0.1ミクロン~約10ミクロンの厚さを有する。不活性高分子メッシュの細孔は、堆積した固体高分子電解質で充填されるようになり、電極-不活性高分子メッシュ-固体高分子電解質層全体が、最終的な電池アセンブリにおいて使用され得る。
【0024】
工程c:有機カーボネート液体及びカソード/集電体に付着した解離性リチウム塩で膨潤した高分子電解質/セパレータと、対応するカソード/集電体とを組み合わせて、充電式リチウムイオン電池を形成すること。
【0025】
様々な実施形態では、有機カーボネート液体で膨潤した高分子電解質/セパレータ、及びカソード/集電体に付着した解離性リチウム塩が、対応するアノード/集電体と組み合わされて、充電式リチウムイオン電池を形成し得る。
【0026】
様々な実施形態では、有機カーボネート液体で膨潤した高分子電解質/セパレータ、及びカソード/集電体に付着した解離性リチウム塩が、同じ又は異なる有機カーボネート液体で膨潤した高分子電解質/セパレータ、及びアノード/集電体に付着した解離性リチウム塩と組み合わされて、充電式リチウムイオン電池を形成し得る。
【0027】
様々な実施形態では、解離性リチウム塩を含有する追加の有機カーボネート液体は、可塑剤として作用し、リチウムインベントリーを増加させるために、電池を組み立てる前に、高分子コーティングされたカソード/集電体又は高分子コーティングされたアノード/集電体に添加され得る。
【0028】
様々な実施形態では、単一の基材は、一方の側をカソードで、他方の側をアノードでコーティングされ得、一方又は両方の電極は、有機カーボネート液体及び解離性リチウム塩で膨潤した付着性高分子電解質/セパレータ層を有する。カソード-基材-アノード-電解質/セパレータアセンブリが、正端子と負端子との間に積層されて、高電圧双極型電池を形成し得、それによって、電圧は、電池内の積層数に依存する。この態様では、基材は、アノードとカソードとの間の直接接触を防止する集電体又は他の固体材料であり得る。
【0029】
工程d:温度又は真空を適用することによって、高分子電解質/セパレータを乾燥又は部分的乾燥させること、カレンダリングすること、又は多孔性吸収性布帛を用いて圧迫すること。
【0030】
様々な実施形態によれば、リチウム金属アノードと、有機カーボネート液体及びその表面に付着した解離性リチウム塩で膨潤した固体高分子電解質/セパレータとを有する充電式固体状態リチウムイオン電池が組み立てられ得る。この高分子電解質/セパレータは、0.1~10ミクロンの厚さを有し得、フッ素化エチレンカーボネートを10ppm~100,000ppmの濃度及び0.1M~1.5MのLiTDIの濃度で含有する有機カーボネート液体の溶液中に、集電体の一方の側に取り付けられた清浄なリチウム金属を浸漬することによって堆積し得る。この高分子電解質/セパレータは、アノードの露出面上に形成され、0.1~10ミクロンの所望の厚さが達成されるまで、不活性雰囲気中に1回又は複数回、ある長さの時間浸漬することによって形成され得る。高分子電解質に構造支持を与えるために、支持不活性高分子メッシュ(0.1~10ミクロンの厚さ、50~90%の空隙率)も加えられ得る。
【0031】
セパレータが堆積するアノードは、リチウム金属であり得るが、リチウム化グラファイト、他の形態のLiC6、又はリチウムセラミックガラス(例えば、Li4Ti50i2、Si(Li4,4Si)、若しくはGe(Li4,4Ge))がPVDFと結合したものなどの他のアノードが、合理的に使用され得る。アノードは、集電体の上部に配置された薄い金属箔、又は銅、アルミニウム、若しくはステンレス鋼を含む電気伝導性メッシュの細孔を充填するリチウムの形態であり得る。メッシュは、集電体として機能し、25~75%の空隙率、及び5~200ミクロンの厚さを有する。
【0032】
次いで、固体高分子電解質/セパレータでコーティングされたアノードは、5%の導電性炭素添加剤、5%のPVDF結合剤、及び20ミクロンの粒子径を有する90%のLi(Ni1Mn1Co1O2)を有し、金属箔集電体に取り付けられたカソードと組み合わされ得る。LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4、LiNiO2、Li2FePO4F、Li(LiaNixMnyCoz)、又は様々な組成の他のリチウム含有金属酸化物などの他のカソードが、合理的に使用され得る。
【0033】
次いで、アノード/カソード高分子電解質/セパレータアセンブリは、分析のために不活性雰囲気下で2032コインセル内に密封され得る。セルは、250mm2の活性表面積を有する。リチウムイオン電池は、300~400mAh/gの電流密度で4.2Vまで充電され、3.0Vまで放電される。アノードに付着した電解質/セパレータを含有するコインセルが、0.33mAで充電/放電される場合、25~125mVの電圧降下が観察され、室温で190~950オーム-cmの内部抵抗を示す。アノード及びカソードは、導電性炭素を含有するので、それらは、一般に無視できる抵抗(10オーム-cm未満)を有し、測定された抵抗は、ほぼ完全に電解質/セパレータに起因し得る。
【0034】
様々な実施形態では、電池は、高分子電解質/セパレータのみを用いて安全に動作し得、別個のセパレータ構成要素を必要としない。
【0035】
先に記載されたリチウム電池におけるリチウム塩は、LiTDIであるが、これに加えて、過塩素酸リチウム、リチウムトリフレート、リチウムトリフリミド、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、又は有機物質に可溶な他のリチウム塩などの他のリチウム化合物も、様々な量で同様に首尾よく使用された可能性がある。先に記載された複合電解質/セパレータの利点は、イオン伝導性であるが、電気絶縁性の層が、高分子電解質と組み合わされた微孔性セパレータが使用される場合よりも薄くなり得ることを含む。別の利点は、多孔性又は微孔性の不活性セパレータ積層体が必要とされないことであり、それによって、電解質層の伝導性及びリチウム電池が提供することができる電流を増加させる一方で、同じ又は改善された機械的強度を提供する。従来のセパレータ構成要素がないことによって、製造プロセスが簡略化され、最大10%のコスト削減が可能になる。本発明者らの特定の電解質系の利点は、高分子電解質/セパレータ/SEIに固有の可撓性を付与して、電気自動車における動作中の破損を防止し、また、SEIに自己修復特性を付与して、一般に高分子電解質を悩ませるデンドライト成長を効果的に防止する。本開示は、好ましい実施形態を参照して記載されてきたが、当業者が容易に理解するように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、修正及び変形が行われ得ることが理解されるべきである。このような修正及び変形は、本発明及び添付の特許請求の範囲の範囲内であるとみなされる。
【0036】
本明細書に開示される様々な材料、設計、及び方法に従って、エネルギー貯蔵デバイス及びそれを調製する方法が、
図1~
図7に関して更に記載される。
【0037】
図1Aは、様々な実施形態による電気化学セル100の例示的な実施形態を示す。様々な実施形態によれば、電気化学セル100は、電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、固体状態リチウム電池、固体状態リチウムイオン電池、リチウム金属電池、リチウム高分子電池、又は化学材料の電気化学を利用する任意の他のデバイスを含み得る。
【0038】
図1Aに示されるように、電気化学セル100は、第1の集電体110及び第2の集電体120を含む。第1の集電体110は、第1の電極130用であり、第2の集電体120は、第2の電極140用である。様々な実施形態では、第1の電極130は、アノードであり、第2の電極140は、カソードである。様々な実施形態では、第1の電極130は、カソードであり、第2の電極140は、アノードである。
【0039】
様々な実施形態では、第1の電極130は、リチウム金属、リチウム箔、処理銅箔、処理銅箔、グラファイト、リチウム化グラファイト、LiC6、リチウムセラミックガラス、Li4Ti50i2、Li4,4Si、又はLi4,4Geがポリフッ化ビニリデン(PVDF)と結合したものを含み得る。
【0040】
様々な実施形態では、第2の電極140は、リチウム化金属酸化物、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4、LiNiO2、Li2FePO4F、Li(LiaNixMnyCoz)(NMC)、又はLi(LiaNixAlyCoz)(NCA)、導電性炭素添加剤、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラックがPVDFと結合したものを含み得る。
【0041】
図1Aに示されるように、層150は、第1の電極130と第2の電極140との間に配設される。様々な実施形態では、層150は、電解質150と称され得る。様々な実施形態では、電解質150は、本明細書に記載される高分子電解質とセパレータとの組み合わせであり得る。様々な実施形態では、電解質150は、固体電解質であり得る。様々な実施形態では、電解質150は、固体高分子電解質であり得る。様々な実施形態では、電解質150は、固体電解質の層であり得る。様々な実施形態では、電解質150は、電解質の固体層であり得る。様々な実施形態では、電解質150は、高分子電解質の層であり得る。様々な実施形態では、電解質150は、多孔性高分子電解質の層であり得る。
【0042】
様々な実施形態では、層150は、約0.1ミクロン~約50ミクロン、約0.2ミクロン~約40ミクロン、約0.3ミクロン~約20ミクロン、約0.4ミクロン~約10ミクロン、又は約0.1ミクロン~約10ミクロンの範囲の厚さを有し得、これらの間の任意の厚さ範囲を含む。
【0043】
様々な実施形態では、層150は、約0.1M~約1.5M、約0.2M~約1.0M、約0.3M~約0.8M、約0.4M~約0.5M、約0.1M~約1.0M、又は約0.1M~約0.5Mの解離性リチウム塩濃度範囲を含有し得、これらの間の任意の濃度範囲を含む。
【0044】
様々な実施形態では、層150は、本明細書に開示されるような有機カーボネート系液体の層の約1ppm~約50重量%の量で膨潤し得る。
【0045】
図1Aに更に示されるように、電気化学セル100はまた、第1の電極130と層150との間に形成される第1の界面160と、第2の電極140と層150との間に形成される第2の界面170と、を含む。第1の界面160及び第2の界面170は、固体高分子電解質/セパレータと電気化学セル100のアノード又はカソードとの間の界面である。
【0046】
様々な実施形態では、層150は、層内で膨潤した溶媒の一部を含み得、動作中、膨潤した溶媒の一部は、成長するデンドライトと反応して、高分子をデンドライト上に形成する。様々な実施形態では、層150は、例えば固体高分子電解質用の架橋剤として使用されるフッ素化エチレンカーボネートを含み得る。様々な実施形態では、層150は、第1の電極130又は第2の電極140の表面に重合される固体高分子電解質を含み得る。様々な実施形態では、層150は、微孔性であり、解離性リチウム塩、カーボネート溶媒混合物、及びリチウム金属表面の混合物の結果としての自己修復特性を含む、不動態化高分子層を含む。様々な実施形態では、不動態化高分子層は、第1及び/又は第2の電極に付着し、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する。
【0047】
様々な実施形態では、層150は、高分子セラミック複合材料、又は1つ以上のイオン伝導性セラミック若しくは無機材料を含む固体高分子電解質を含む。様々な実施形態では、層150は、リチウム伝導性硫化物、Li2S、P2S5、リン酸リチウム、Li3P、酸化リチウム、リチウムランタンチタン酸化物、及びリチウムランタンジルコニウム酸化物を含む材料のリストからの1つ以上の材料を含み得る。
【0048】
様々な実施形態では、層150は、第1の電極130と層150の固体高分子電解質との間の界面(例えば、第1の界面160)において不動態化高分子層を成長させることが可能である固体高分子電解質を含む。様々な実施形態では、層150は、第2の電極140と層150の固体高分子電解質との間の界面(例えば、第2の界面170)において不動態化高分子層を成長させることが可能である固体高分子電解質を含む。様々な実施形態では、不動態化高分子層は、第1及び/又は第2の電極130/140に付着し、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する。
【0049】
様々な実施形態では、層150は、高分子セラミック複合材料、1つ以上のイオン伝導性セラミック若しくは無機材料、又はリチウム伝導性硫化物、Li2S、P2S5、リン酸リチウム、Li3P、酸化リチウム、リチウムランタンチタン酸化物、及びリチウムランタンジルコニウム酸化物を含む材料のリストからの1つ以上の材料を含む、固体高分子電解質を含む。
【0050】
様々な実施形態では、層150は、有機カーボネート液体及び解離性リチウム塩で膨潤した微孔性高分子を含む、電解質の固体層を含む。
【0051】
様々な実施形態では、層150は、リチウムイオン伝導性かつ電気絶縁性である電解質の固体層を含む。様々な実施形態では、層150は、第1の電極130(又はアノード)上に直接成長する電解質の固体層を含む。様々な実施形態では、層150は、第2の電極140(又はカソード)上に直接成長する電解質の固体層を含む。
【0052】
様々な実施形態では、層150は、固体高分子電解質内で膨潤した溶媒の一部を含む電解質の固体層を含み、膨潤した溶媒の一部は、成長するデンドライトと反応して、高分子をデンドライト上に形成する(例えば、自己修復する)。様々な実施形態では、層150は、固体高分子電解質用の架橋剤として使用されるフッ素化エチレンカーボネートを含む。様々な実施形態では、層150は、有機カーボネート液体混合物の組成によって決定されるモノマー組成を有するポリカーボネート又はカーボネート含有高分子を含む、高分子を含む。様々な実施形態では、層150は、第1の電極130及び/又は第2の電極140の表面に重合される電解質の固体層を含む。
【0053】
様々な実施形態では、層150は、第1の電極130及び/又は第2の電極140の表面上でカーボネート液体の重合を開始するリチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドの化学的還元反応を介して第1の電極130及び/又は第2の電極140に付着する高分子を含む。
【0054】
様々な実施形態では、層150は、多孔性である固体高分子電解質の少なくとも一部を含む。様々な実施形態では、固体高分子電解質の多孔性部分は、有機液体及び解離性リチウム塩で膨潤する。様々な実施形態では、有機液体中に溶解された解離性リチウムは、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリド、ヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウムトリフレート、リチウムトリフリミド、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、又はリチウムビストリフリミドのうちの1つ以上を含み得る。
【0055】
様々な実施形態では、層150は、電着、化学的還元、電気化学的還元、又は有機カーボネート及び解離性リチウム塩を含有する対応する溶液中への電極の浸漬によって、少なくとも1つの電極の少なくとも1つの面に堆積又は付着する、微孔性高分子を含む。様々な実施形態では、層150は、解離性リチウム塩、カーボネート溶媒混合物、及びリチウム金属表面の特定の混合物の結果としての自己修復特性を有する、微孔性高分子を含む。様々な実施形態では、層150は、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する、微孔性高分子を含む。様々な実施形態では、層150は、電気自動車における電池使用において典型的に見られる振動力及び衝撃力の結果としての破損及び亀裂に耐性を有する、微孔性高分子を含む。
【0056】
様々な実施形態では、層150は、フッ素化エチレンカーボネートと環状カーボネート溶媒との比を介して決定される、高分子の微細構造を含む。様々な実施形態では、高分子の化学的及び/又は電子的特性は、フッ素化エチレンカーボネートと環状カーボネート溶媒との比を介して決定される。様々な実施形態では、フッ素化エチレンカーボネートと環状カーボネート溶媒との比は、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約20%、約10%~約15%、又は約15%~約20%の範囲であり得、これらの間の全ての比の範囲を含む。
【0057】
様々な実施形態では、層150は、構造支持体180を含む。様々な実施形態では、構造支持体180は、不活性高分子メッシュを含み得る。様々な実施形態では、不活性高分子メッシュは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、PVDF、セルロース誘導体、ポリイミド、又はポリエーテルエーテルケトンを含み得る。
【0058】
様々な実施形態では、不活性高分子メッシュは、50%~90%の空隙率及び0.1ミクロン~10ミクロンの厚さを有し得る。様々な実施形態では、不活性構造支持メッシュは、固体高分子電解質の堆積前に電極上に配置される。
【0059】
様々な実施形態では、第1の集電体110(例えば、アノード)は、銅、アルミニウム、又はステンレス鋼から作製された金属メッシュを含み得る。様々な実施形態では、第1の集電体110は、約5ミクロン~約200ミクロンの厚さを有する。様々な実施形態では、第1の集電体110(例えば、アノード)は、アノード集電体内に細孔を含む多孔性メッシュを含み、アノード集電体の空隙率は、25%~75%の範囲である。様々な実施形態では、第1の集電体110(例えば、アノード)は、電池が充電される場合、リチウムで充填されるか、又は実質的に充填される細孔を含む。様々な実施形態では、第1の集電体110(例えば、アノード)は、電池が放電される場合、レクター(lector)がリチウムを欠いているか、又は実質的に欠いている細孔を含む。様々な実施形態では、第1の集電体110(例えば、アノード)は、電池が充電又は放電する場合、体積を変化させないリチウム金属で充填された金属メッシュを含む。
【0060】
図1Bは、様々な実施形態による双極型電気化学セル200の例示的な実施形態を示す。
図1Bに示されるように、双極型電気化学セル200は、
図1Aの電気化学セル100の2つ以上を互いに背中合わせに積層することによって構築され得る。様々な実施形態によれば、双極型電気化学セル200は、2つ以上の電気化学セル100を双極型セル配置に積層することによって構築され得るので、双極型電気化学セル200の各々の構成要素は、
図1Aに関して記載される電気化学セル100のそれぞれの構成要素を含み得、したがって、双極型電気化学セル200の様々な構成要素は、電気化学セル100の構成要素と同一、同様、又は実質的に同様であり、更に詳細には記載しない。
【0061】
図1Bに示されるように、双極型電気化学セル200は、第1のセル210a、第2のセル210b、第3のセル210bなど、210nまでを含み得る。セル210a...210bの各々は、第1の集電体110及び第2の集電体120と、第1の電極130及び第2の電極140と、層150と、第1の電極130と層150との間に形成される第1の界面160と、第2の電極140と層150との間に形成される第2の界面170とを含み得る。
図1Bに示される双極型電気化学セル200は、例えば、背中合わせに配設される第1のセル210a及び第2のセル210bを含み、それによって、第2の集電体120は、共通の集電体、例えば、第1のセル210aの第2の集電体120及び隣接する第2のセル210bの第2の集電体120’として機能する。図示されるように、第2のセル210bは、第1の電極130’及び第2の電極140’と、層150’と、第1の電極130’と層150’との間に形成される第1の界面160’と、第2の電極140’と層150’との間に形成される第2の界面170’とを含む。同様に、第3のセル210bは、同様の材料の層を含み得るが、第1のセル210aと同じ逆順序であり得るが、第2のセル210cと逆順序であり得る。したがって、共通集電体110、110’、120、及び120’は、
図1Bの双極型電気化学セル200の双極型電池積層体のそれぞれの負端子及び正端子を形成し得る。
【0062】
様々な実施形態では、双極型電気化学セル200は、
図1A及び
図1Bに関して本明細書に開示されるような組み合わされた層及び構成要素を有する高電圧双極型リチウムイオン電池に構築され得る。様々な実施形態では、この電池の電圧は、積層体内のセルの数を変更することによって変化され得る。
【0063】
図2~
図6は、様々な実施形態による、電気化学セルを調製する様々な例示的な方法を示す。
【0064】
図2は、様々な実施形態によるリチウム電池を調製する方法S100を示す。方法S100は、工程S102において、第1の電極を提供することと、工程S104において、固体高分子電解質を第1の電極上に形成することと、任意選択的に工程S106において、第2の電極が、解離性リチウム塩とカーボネート溶媒混合物との混合溶液中に浸漬される場合、電気化学電位を第2の電極に印加し、それによって、固体高分子電解質の層を第2の電極上に形成することと、工程S108において、固体高分子電解質に対して第2の電極を配置し、それによって、電池を形成することと、を含む。様々な実施形態では、動作中、固体高分子電解質は、本明細書に開示されるように、第1の電極と固体高分子電解質との間の界面において不動態化高分子層を成長させることが可能である。
【0065】
図3は、様々な実施形態による電気化学セルを調製する方法S200を示す。方法S200は、工程S202において、第1の電極を提供することと、工程S204において、第1の電極を電解質溶液中に浸漬することと、工程S206において、電解質の固体層を浸漬された第1の電極上に堆積させることと、工程S208において、第2の電極を電解質の固体層の露出表面に取り付け、それによって、本明細書に開示されるような電気化学セルを形成することと、を含む。
【0066】
図4は、様々な実施形態による固体状態電気化学セルを調製する方法S300を示す。方法S300は、工程302において、アノードを提供することと、工程S304において、固体高分子電解質をアノード上に形成することと、任意選択的に工程S306において、カソードが、解離性リチウム塩とカーボネート溶媒混合物との混合溶液中に浸漬される場合、電気化学電位をカソードに印加し、それによって、固体高分子電解質の層をカソード上に形成することと、工程S308において、固体高分子電解質に対してカソードを配置し、それによって、本明細書に開示されるような固体状態電気化学セルを形成することと、を含む。様々な実施形態では、動作中、固体高分子電解質は、アノードと固体高分子電解質との間の界面において不動態化高分子層を成長させることが可能である。
【0067】
図5は、様々な実施形態による電気化学セルを調製する方法S400を示す。方法S400は、工程S402において、カソードを提供することと、工程S404において、カソードを、解離性リチウム塩を含む混合溶液中に浸漬することと、工程S406において、多孔性高分子電解質の層を浸漬されたカソード上に成長させることと、工程S408において、アノードを多孔性高分子電解質の層の露出表面に取り付け、それによって、本明細書に開示されるような電気化学セルを形成することと、を含む。
【0068】
図6は、様々な実施形態による双極型電気化学セルを調製する方法S500を示す。方法S500は、工程S502において、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する基材を提供することと、工程S504において、第1の電極を第1の表面上に、第2の電極を第2の表面上に配設することと、工程S506において、基材を電解質溶液中に浸漬することと、工程S508において、固体高分子電解質の第1の層を第1の電極の第1の露出表面上に堆積させ、固体高分子電解質の第2の層を第2の電極の第2の露出表面上に堆積させることと、工程S510において、第1の集電体を第1の層に対して配置し、第2の集電体を第2の層に対して配置し、それによって、本明細書に開示されるような双極型電気化学セルを形成することと、を含む。
【0069】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、第1の電極又はアノードは、リチウム金属、リチウム箔、処理銅箔、グラファイト、リチウム化グラファイト、LiC6、リチウムセラミックガラス、Li4Ti50i2、Li4,4Si、又はLi4,4Geがポリフッ化ビニリデン(PVDF)と結合したものを含む。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、第2の電極又はカソードは、リチウム化金属酸化物、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4、LiNiO2、Li2FePO4F、Li(LiaNixMnyCoz)(NMC)、又はLi(LiaNixAlyCoz)(NCA)、導電性炭素添加剤、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラックがPVDFと結合したものを含む。
【0070】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質は、インサイチュ化学的堆積プロセス又は電気化学的堆積プロセスを介して第1の電極又はアノード上に形成される。
【0071】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質は、構造支持体を含む。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質の構造支持体は、不活性高分子メッシュを含む。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、不活性高分子メッシュは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、PVDF、セルロース誘導体、ポリイミド、又はポリエーテルエーテルケトンを含む。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、不活性高分子メッシュは、50%~90%の空隙率及び0.1ミクロン~10ミクロンの厚さを有する。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、不活性構造支持メッシュは、固体高分子電解質の堆積前に電極上に配置される。
【0072】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質を第2の電極又はカソード上で成長させることは、第2の電極又はカソードが混合溶液中に浸漬される場合、電気化学電位を第2の電極又はカソードに印加することを含む。
【0073】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、堆積プロセスは、(ポリカーボネートを第1又は第2の電極から形成するために)リチウム-TDI塩と環状カーボネート溶媒との化学的又は電気化学的反応を介して行われる。
【0074】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質は、0.1ミクロン~10ミクロンの範囲の厚さを有する。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質は、リチウムイオン伝導性かつ電気絶縁性である。
【0075】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質は、第1の電極又はアノード上で直接成長する。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質は、第2の電極又はカソード上で直接成長する。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質は、固体高分子電解質内で膨潤した溶媒の一部を含み、膨潤した溶媒の一部は、成長するデンドライトと反応して、高分子をデンドライト上に形成する。
【0076】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、フッ素化エチレンカーボネートは、固体高分子電解質用の架橋剤として使用される。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、高分子は、有機カーボネート液体混合物の組成によって決定されるモノマー組成を有するポリカーボネート又はカーボネート含有高分子である。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質は、第1又は第2の電極の表面に重合される。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、高分子は、アノードの表面上でカーボネート液体の重合を開始する、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドの化学的還元反応を介してアノードに付着する。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、高分子は、カソードの表面上でカーボネート液体の重合を開始する、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドの電気化学的還元反応を介してカソードに付着する。
【0077】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、付着性微孔性高分子は、電着、化学的還元、電気化学的還元、又は有機カーボネート及び解離性リチウム塩を含有する対応する溶液中への電極の浸漬によって、少なくとも1つの電極の少なくとも1つの面に堆積又は付着する。
【0078】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、微孔性高分子は、解離性リチウム塩、カーボネート溶媒混合物、及びリチウム金属表面の特定の混合物の結果としての自己修復特性を含む。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、付着性微孔性高分子は、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、付着性微孔性高分子は、電気自動車における電池使用において典型的に見られる振動力及び衝撃力の結果としての破損及び亀裂に耐性を有する。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、高分子の微細構造は、フッ素化エチレンカーボネートと環状カーボネート溶媒との比を介して決定される。
【0079】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、高分子の化学的及び/又は電子的特性は、フッ素化エチレンカーボネートと環状カーボネート溶媒との比を介して決定される。様々な実施形態では、フッ素化エチレンカーボネートと環状カーボネート溶媒との比は、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約20%、約10%~約15%、又は約15%~約20%の範囲であり得、これらの間の全ての比の範囲を含む。
【0080】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質をアノード上で成長させることは、リチウムTDI塩と環状カーボネート溶媒との電気化学的反応を介して行われる。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、混合溶液は、解離性リチウム塩を0.1M~1.5Mの濃度で含有する1つ以上の有機カーボネートを含む電解質溶液である。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリド(LiTDI)の濃度は、0.1M~1.5Mである。
【0081】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、1つ以上の有機カーボネートは、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチル-メチルカーボネート、プロピレンカーボネート、フッ素化エチレンカーボネート、又はこれらの混合物を含む。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、1つ以上の有機カーボネートは、フッ素化エチレンカーボネートを10ppm~100,000ppmの濃度で含む。
【0082】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質のうちの少なくとも一部は、多孔性部分を含む。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、固体高分子電解質の多孔性部分は、有機液体及び解離性リチウム塩で膨潤する。
【0083】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、有機液体中に溶解された解離性リチウムは、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリド、ヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウムトリフレート、リチウムトリフリミド、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、又はリチウムビストリフリミドのうちの1つ以上を含む。
【0084】
方法S100~S500の様々な実施形態によれば、アノード集電体は、銅、アルミニウム、又はステンレス鋼から作製された金属メッシュを含む。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、アノード集電体は、約5ミクロン~約200ミクロンの厚さを有する。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、アノード集電体は、アノード集電体内に細孔を含む多孔性メッシュであり、アノード集電体の空隙率は、25%~75%の範囲である。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、電池が充電される場合、アノード集電体の細孔は、リチウムで充填されるか、又は実質的に充填される。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、電池が放電される場合、アノード集電体の細孔は、リチウムを欠いているか、又は実質的に欠いている。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、リチウム金属で充填された金属メッシュを含むアノードは、電池が充電又は放電する場合、体積を変化させない。方法S100~S500の様々な実施形態によれば、電気化学セルに使用される基材は、電気伝導性である。様々な実施形態では、基材は、非電気伝導性材料を含む。
【実施例】
【0085】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の高分子電解質/セパレータであって、細孔が有機液体及び解離性リチウム塩で膨潤し、高分子が電極に付着し、高分子が電解質のイオン伝導性部分として、並びに電子絶縁性で機械的に堅牢なセパレータ構成要素として作用する、付着性微孔性高分子層を含む、高分子電解質/セパレータが挙げられる。
【0086】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の高分子電解質/セパレータであって、固体高分子電解質が、不活性高分子メッシュ(例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、PVDF、セルロース誘導体、ポリイミド、又はポリエーテルエーテルケトン)の周囲に形成され、これによって、メッシュが、約50%~約90%の空隙率、及び約0.1ミクロン~約10ミクロンの厚さを有し、これらの間の任意の厚さの値又は厚さの値の範囲を含む、高分子電解質/セパレータが挙げられる。
【0087】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の複合電解質/セパレータであって、有機液体が、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、フッ素化エチレンカーボネート、又は有機カーボネート液体のクラスのいくつかの他のカーボネートから選択される有機カーボネート又は有機カーボネートの混合物である、複合電解質/セパレータが挙げられる。
【0088】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の複合電解質/セパレータであって、有機カーボネート液体混合物が、フッ素化エチレンカーボネートを10ppm~100,000ppmの濃度で含有する、複合電解質/セパレータが挙げられる。
【0089】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の複合電解質/セパレータであって、有機液体中に溶解された解離性リチウムが、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドであり、ヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウムトリフレート、リチウムトリフリミド、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、又は別の可溶性リチウム塩などの追加のリチウム塩を含有してもしなくてもよい、複合電解質/セパレータが挙げられる。
【0090】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の複合電解質/セパレータであって、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドが、0.1M~1.5Mの濃度で存在する、複合電解質/セパレータが挙げられる。
【0091】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の複合電解質/セパレータであって、高分子が、ポリカーボネート、又は有機カーボネート液体混合物の組成に対応するモノマー組成を有するカーボネート含有高分子である、複合電解質/セパレータが挙げられる。
【0092】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の高分子電解質/セパレータであって、高分子が、アノードの表面上でカーボネート液体の重合を開始する、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドの化学的還元反応を介してアノードに付着する、高分子電解質/セパレータが挙げられる。
【0093】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の高分子電解質/セパレータであって、高分子が、カソードの表面上でカーボネート液体の重合を開始する、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドの電気化学的還元反応を介してカソードに付着する、高分子電解質/セパレータが挙げられる。
【0094】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の高分子電解質/セパレータであって、付着性微孔性高分子が、電着、化学的還元、電気化学的還元、又は有機カーボネート及び解離性リチウム塩を含有する対応する溶液中への電極の浸漬によって、少なくとも1つの電極の少なくとも1つの面に堆積又は付着する、高分子電解質/セパレータが挙げられる。
【0095】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の高分子電解質/セパレータであって、付着性微孔性高分子が、解離性リチウム塩、カーボネート溶媒混合物、及びリチウム金属表面の特定の混合物、又はアノードによって提供される他の還元環境の結果としての自己修復特性を含有する、高分子電解質/セパレータが挙げられる。
【0096】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の高分子電解質/セパレータであって、付着性微孔性高分子が、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する、高分子電解質/セパレータが挙げられる。
【0097】
非限定的な例としては、充電式固体状態リチウムイオン電池用の高分子電解質/セパレータであって、付着性微孔性高分子が、電気自動車における電池使用において典型的に見られる振動力及び衝撃力の結果としての破損及び亀裂に耐性を有する、高分子電解質/セパレータが挙げられる。
【0098】
非限定的な例としては、充電式リチウムイオン電池であって、正極と、負極と、高分子電解質/セパレータであって、電池の電極の少なくとも一方に付着し、電池のイオン伝導性構成要素及び電気絶縁性構成要素として機能する、微孔性高分子層を含む、高分子電解質/セパレータと、を含み、アノード集電体が、銅、アルミニウム、又はステンレス鋼を含む電気伝導性メッシュであり得る、充電式リチウムイオン電池が挙げられる。金属メッシュは、集電体として機能し、約25%~約75%の空隙率、及び約5ミクロン~約200ミクロンの厚さを有する。
【0099】
非限定的な例としては、充電式リチウムイオン電池であって、正極と、負極と、高分子電解質/セパレータであって、電池の電極の少なくとも一方に付着し、電池のイオン伝導性構成要素及び電気絶縁性構成要素として機能する、微孔性高分子層を含む、高分子電解質/セパレータと、を含み、高分子が、有機カーボネート液体及び解離性リチウム塩で膨潤する、充電式リチウムイオン電池が挙げられる。この電池の形態は、充電式単一セル又は充電式セルの双極型積層体であり得る。
【0100】
図7A及び
図7Bは、様々な実施形態による、X線光電子分光法(XPS)の結果を示すプロット700a及び700bをそれぞれ示す。
図7Aは、処理リチウム試料のXPS結果を示し、
図7Bは、未処理リチウム試料のXPS結果を示す。2つの試料のXPSデータを更に表にして、以下に示されるように表1に示す。
【0101】
【0102】
表1に示されるように、処理リチウム表面は、
図7Aに示されるように、未処理Li試料(
図7B)と比較して、有意に高い炭素及びフッ素のパーセンテージを有する。これは、高分子層が形成され、表面がフッ素に富んでいることを示し、これは、LiFの存在を示す。
【0103】
実施形態の列挙
実施形態1.電気化学セルを調製する方法であって、第1の電極を提供することと、第1の電極を電解質溶液中に浸漬することと、電解質の固体層を浸漬された第1の電極上に堆積させることと、第2の電極を電解質の固体層の露出表面に取り付け、それによって、電気化学セルを形成することと、を含む、方法。
【0104】
実施形態2.電池を調製する方法であって、第1の電極を提供することと、固体高分子電解質を第1の電極上に形成することと、固体高分子電解質に対して第2の電極を配置し、それによって、電池を形成することと、を含み、動作中、固体高分子電解質が、第1の電極と固体高分子電解質との間の界面において不動態化高分子層を成長させることが可能である、方法。様々な実施形態では、電池は、固体状態リチウムイオン電池である。
【0105】
実施形態3.固体状態電気化学セルを調製する方法であって、アノードを提供することと、固体高分子電解質をアノード上に形成することと、固体高分子電解質に対してカソードを配置し、それによって、固体状態電気化学セルを形成することと、を含み、動作中、固体高分子電解質が、アノードと固体高分子電解質との間の界面において不動態化高分子層を成長させることが可能である、方法。
【0106】
実施形態4.電気化学セルを調製する方法であって、カソードを提供することと、カソードを、解離性リチウム塩を含む混合溶液中に浸漬することと、多孔性高分子電解質の層を浸漬されたカソード上に成長させることと、アノードを多孔性高分子電解質の層の露出表面に取り付け、それによって、電気化学セルを形成することと、を含む、方法。
【0107】
実施形態5.双極型電気化学セルを調製する方法であって、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する基材を提供することと、第1の電極を第1の表面上に、第2の電極を第2の表面上に配設することと、基材を電解質溶液中に浸漬することと、固体高分子電解質の第1の層を第1の電極の第1の露出表面上に堆積させ、固体高分子電解質の第2の層を第2の電極の第2の露出表面上に堆積させることと、第1の集電体を第1の層に対して配置し、第2の集電体を第2の層に対して配置し、それによって、双極型電気化学セルを形成することと、を含む、方法。
【0108】
実施形態6.第1の層の堆積及び第2の層の堆積が同時に行われる、実施形態5に記載の方法。
【0109】
実施形態7.第1の電極又はアノードが、リチウム金属、リチウム箔、処理銅箔、グラファイト、リチウム化グラファイト、LiC6、リチウムセラミックガラス、Li4Ti50i2、Li4,4Si、又はLi4,4Geがポリフッ化ビニリデン(PVDF)と結合したものを含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態8.第2の電極又はカソードが、リチウム化金属酸化物、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4、LiNiO2、Li2FePO4F、Li(LiaNixMnyCoz)(NMC)、又はLi(LiaNixAlyCoz)(NCA)、導電性炭素添加剤、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラックがPVDFと結合したものを含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施形態9.固体高分子電解質が、インサイチュ化学的堆積プロセス又は電気化学的堆積プロセスを介して第1の電極又はアノード上に形成される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
実施形態10.固体高分子電解質が、構造支持体を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
実施形態11.固体高分子電解質の構造支持体が、不活性高分子メッシュを含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態12.不活性高分子メッシュが、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、PVDF、セルロース誘導体、ポリイミド、又はポリエーテルエーテルケトンを含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態13.不活性高分子メッシュが、50%~90%の空隙率及び0.1ミクロン~10ミクロンの厚さを有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
実施形態14.不活性構造支持メッシュが、固体高分子電解質の堆積前に電極上に配置される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
実施形態15.固体高分子電解質を第2の電極又はカソード上で成長させることが、第2の電極又はカソードが混合溶液中に浸漬される場合、電気化学電位を第2の電極又はカソードに印加することを含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
実施形態16.堆積プロセスが、(第1又は第2の電極からポリカーボネートを形成するために)リチウム-TDI塩と環状カーボネート溶媒との化学的又は電気化学的反応を介して行われる、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態17.固体高分子電解質が、0.1ミクロン~10ミクロンの範囲の厚さを有する、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
実施形態18.固体高分子電解質が、リチウムイオン伝導性かつ電気絶縁性である、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
実施形態19.固体高分子電解質が、第1の電極又はアノード上で直接成長する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
実施形態20.固体高分子電解質が、第2の電極又はカソード上で直接成長する、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
実施形態21.固体高分子電解質が、固体高分子電解質内で膨潤した溶媒の一部を含み、膨潤した溶媒の一部が、成長するデンドライトと反応して、高分子をデンドライト上に形成する(自己修復する)、実施形態1~20のいずれか1つの方法。
【0124】
実施形態22.フッ素化エチレンカーボネートが、固体高分子電解質用の架橋剤として使用される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
実施形態23.高分子が、有機カーボネート液体混合物の組成によって決定されるモノマー組成を有するポリカーボネート又はカーボネート含有高分子である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
実施形態24.固体高分子電解質が、第1又は第2の電極の表面に重合される、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
実施形態25.高分子が、アノードの表面上でカーボネート液体の重合を開始する、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドの化学的還元反応を介してアノードに付着する、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
実施形態26.高分子が、カソードの表面上でカーボネート液体の重合を開始する、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドの電気化学的還元反応を介してカソードに付着する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
実施形態27.付着性微孔性高分子が、電着、化学的還元、電気化学的還元、又は有機カーボネート及び解離性リチウム塩を含有する対応する溶液中への電極の浸漬によって、少なくとも1つの電極の少なくとも1つの面に堆積又は付着する、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
実施形態28.微孔性高分子が、解離性リチウム塩、カーボネート溶媒混合物、及びリチウム金属表面の特定の混合物の結果としての自己修復特性を含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
実施形態29.付着性微孔性高分子が、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
実施形態30.付着性微孔性高分子が、電気自動車における電池使用において典型的に見られる振動力及び衝撃力の結果としての破損及び亀裂に耐性を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
実施形態31.高分子の微細構造が、フッ素化エチレンカーボネートと環状カーボネート溶媒との比を介して決定される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
実施形態32.高分子の化学的及び/又は電子的特性が、フッ素化エチレンカーボネートと環状カーボネート溶媒との比を介して決定される、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態33.固体高分子電解質をアノード上で成長させることが、リチウムTDI塩と環状カーボネート溶媒との電気化学的反応を介して行われる、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態34.混合溶液が、解離性リチウム塩を0.1M~1.5Mの濃度で含有する1つ以上の有機カーボネートを含む電解質溶液である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
実施形態35.リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリド(LiTDI)の濃度が、0.1M~1.5Mである、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態36.1つ以上の有機カーボネートが、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチル-メチルカーボネート、プロピレンカーボネート、フッ素化エチレンカーボネート、又はこれらの混合物を含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
実施形態37.1つ以上の有機カーボネートが、フッ素化エチレンカーボネートを10ppm~100,000ppmの濃度で含む、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態38.固体高分子電解質のうちの少なくとも一部が、多孔性部分を含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
実施形態39.固体高分子電解質の多孔性部分が、有機液体及び解離性リチウム塩で膨潤する、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態40.有機液体中に溶解された解離性リチウムが、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリド、ヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウムトリフレート、リチウムトリフリミド、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、又はリチウムビストリフリミドのうちの1つ以上を含む、実施形態1~39のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態41.アノード集電体が、銅、アルミニウム、又はステンレス鋼から作製された金属メッシュを含む、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
実施形態42.アノード集電体が、約5ミクロン~約200ミクロンの厚さを有する、実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
実施形態43.アノード集電体が、アノード集電体内に細孔を含む多孔性メッシュであり、アノード集電体の空隙率が、25%~75%の範囲である、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態44.電池が充電される場合、アノード集電体の細孔が、リチウムで充填されるか、又は実質的に充填される、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態45.電池が放電される場合、アノード集電体の細孔が、リチウムを欠いているか、又は実質的に欠いている、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
実施形態46.リチウム金属で充填された金属メッシュを含むアノードが、電池が充電又は放電する場合、体積を変化させない、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態47.基材が、電気伝導性である、実施形態1~46のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
実施形態48.基材が、非電気伝導性材料を含む、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態49.電気化学セルであって、その上に堆積された固体高分子電解質を有する第1の電極であって、固体高分子電解質が、有機カーボネート液体及び解離性リチウム塩で膨潤した微孔性高分子を含む、第1の電極と、第2の電極と、を含む、電気化学セル。
【0152】
実施形態50.双極型電気化学セルであって、第1の表面、及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する基材と、第1の表面上に配設された第1の電極であって、基材の反対側の第1の電極の側に堆積した固体高分子電解質の第1の層を有する、第1の電極と、第2の表面上に配設された第2の電極であって、基材の反対側の第2の電極の側に堆積した固体高分子電解質の第2の層を有する、第2の電極と、ここで、固体高分子電解質の第1の層及び第2の層が、有機カーボネート液体及び解離性リチウム塩で膨潤した微孔性高分子を含み、固体高分子電解質の第1の層上に配設された第3の電極と、固体高分子電解質の第2の層上に配設された第4の電極と、を含む、双極型電気化学セル。
【0153】
実施形態51.第1の電極又はアノードが、リチウム金属、リチウム箔、処理銅箔、グラファイト、リチウム化グラファイト、LiC6、リチウムセラミックガラス、Li4Ti50i2、Li4,4Si、又はLi4,4Geがポリフッ化ビニリデン(PVDF)と結合したものを含む、実施形態49又は50に記載の電気化学セル。
【0154】
実施形態52.第2の電極又はカソードが、リチウム化金属酸化物、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4、LiNiO2、Li2FePO4F、Li(LiaNixMnyCoz)(NMC)、又はLi(LiaNixAlyCoz)(NCA)、導電性炭素添加剤、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラックがPVDFと結合したものを含む、実施形態49~51のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0155】
実施形態53.固体高分子電解質が、インサイチュ化学的又は電気化学的堆積プロセスを介して第1の電極又はアノード上に形成される、実施形態49~52のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0156】
実施形態54.固体高分子電解質が、構造支持体を含む、実施形態49~53のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0157】
実施形態55.固体高分子電解質の構造支持体が、不活性高分子メッシュを含む、実施形態49~54のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0158】
実施形態56.不活性高分子メッシュが、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、PVDF、セルロース誘導体、ポリイミド、又はポリエーテルエーテルケトンを含む、実施形態49~55のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0159】
実施形態57.不活性高分子メッシュが、50%~90%の空隙率及び0.1ミクロン~10ミクロンの厚さを有する、実施形態49~56のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0160】
実施形態58.不活性構造支持メッシュが、固体高分子電解質の堆積前に電極上に配置される、実施形態49~57のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0161】
実施形態59.固体高分子電解質を第2の電極又はカソード上で成長させることが、第2の電極又はカソードが混合溶液中に浸漬される場合、電気化学電位を第2の電極又はカソードに印加することを含む、実施形態49~58のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0162】
実施形態60.堆積プロセスが、(第1及び第2の電極からポリカーボネートを形成するために)リチウム-TDI塩と環状カーボネート溶媒との化学的又は電気化学的反応を介して行われる、実施形態49~59のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0163】
実施形態61.固体高分子電解質が、0.1ミクロン~10ミクロンの範囲の厚さを有する、実施形態49~60のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0164】
実施形態62.固体高分子電解質が、リチウムイオン伝導性かつ電気絶縁性である、実施形態49~61のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0165】
実施形態63.固体高分子電解質が、第1の電極又はアノード上で直接成長する、実施形態49~62のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0166】
実施形態64.固体高分子電解質が、第2の電極又はカソード上で直接成長する、実施形態49~63のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0167】
実施形態65.固体高分子電解質が、固体高分子電解質内で膨潤した溶媒の一部を含み、膨潤した溶媒の一部が、成長するデンドライトと反応して、高分子をデンドライト上に形成する(自己修復する)、実施形態49~64のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0168】
実施形態66.フッ素化エチレンカーボネートが、固体高分子電解質用の架橋剤として使用される、実施形態49~65のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0169】
実施形態67.高分子が、有機カーボネート液体混合物の組成によって決定されるモノマー組成を有するポリカーボネート又はカーボネート含有高分子である、実施形態49~66のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0170】
実施形態68.固体高分子電解質が、第1又は第2の電極の表面に重合される、実施形態49~67のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0171】
実施形態69.高分子が、アノードの表面上でカーボネート液体の重合を開始する、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドの化学的還元反応を介してアノードに付着する、実施形態49~68のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0172】
実施形態70.高分子が、カソードの表面上でカーボネート液体の重合を開始する、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリドの電気化学的還元反応を介してカソードに付着する、実施形態49~69のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0173】
実施形態71.付着性微孔性高分子が、電着、化学的還元、電気化学的還元、又は有機カーボネート及び解離性リチウム塩を含有する対応する溶液中への電極の浸漬によって、少なくとも1つの電極の少なくとも1つの面に堆積又は付着する、実施形態49~70のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0174】
実施形態72.微孔性高分子が、解離性リチウム塩、カーボネート溶媒混合物、及びリチウム金属表面の特定の混合物の結果としての自己修復特性を含む、実施形態49~71のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0175】
実施形態73.付着性微孔性高分子が、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する、実施形態49~72のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0176】
実施形態74.付着性微孔性高分子が、電気自動車における電池使用において典型的に見られる振動力及び衝撃力の結果としての破損及び亀裂に耐性を有する、実施形態49~73のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0177】
実施形態75.高分子の微細構造が、フッ素化エチレンカーボネートと環状カーボネート溶媒との比を介して決定される、実施形態49~74のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0178】
実施形態76.高分子の化学的及び/又は電子的特性が、フッ素化エチレンカーボネートと環状カーボネート溶媒との比を介して決定される、実施形態49~75のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0179】
実施形態77.固体高分子電解質をアノード上で成長させることが、リチウムTDI塩と環状カーボネート溶媒との電気化学的反応を介して行われる、実施形態49~76のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0180】
実施形態78.混合溶液が、解離性リチウム塩を0.1M~1.5Mの濃度で含有する1つ以上の有機カーボネートを含む電解質溶液である、実施形態49~77のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0181】
実施形態79.リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリド(LiTDI)の濃度が、0.1M~1.5Mである、実施形態49~78のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0182】
実施形態80.1つ以上の有機カーボネートが、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチル-メチルカーボネート、プロピレンカーボネート、フッ素化エチレンカーボネート、又はこれらの混合物を含む、実施形態49~79のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0183】
実施形態81.1つ以上の有機カーボネートが、フッ素化エチレンカーボネートを10ppm~100,000ppmの濃度で含む、実施形態49~80のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0184】
実施形態82.固体高分子電解質のうちの少なくとも一部が、多孔性部分を含む、実施形態49~81のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0185】
実施形態83.固体高分子電解質の多孔性部分が、有機液体及び解離性リチウム塩で膨潤する、実施形態49~82のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0186】
実施形態84.有機液体中に溶解された解離性リチウムが、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾリド、ヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウムトリフレート、リチウムトリフリミド、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、又はリチウムビストリフリミドのうちの1つ以上を含む、実施形態49~83のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0187】
実施形態85.アノード集電体が、銅、アルミニウム、又はステンレス鋼から作製された金属メッシュを含む、実施形態49~84のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0188】
実施形態86.アノード集電体が、約5ミクロン~約200ミクロンの厚さを有する、実施形態49~85のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0189】
実施形態87.アノード集電体が、アノード集電体内に細孔を含む多孔性メッシュであり、アノード集電体の空隙率が、25%~75%の範囲である、実施形態49~86のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0190】
実施形態88.電池が充電される場合、アノード集電体の細孔が、リチウムで充填されるか、又は実質的に充填される、実施形態49~87のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0191】
実施形態89.電池が放電される場合、アノード集電体の細孔が、リチウムを欠いているか、又は実質的に欠いている、実施形態49~88のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0192】
実施形態90.リチウム金属で充填された金属メッシュを含むアノードが、電池が充電又は放電する場合、体積を変化させない、実施形態49~89のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0193】
実施形態91.基材が、電気伝導性である、実施形態49~90のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0194】
実施形態92.基材が、非電気伝導性材料を含む、実施形態49~91のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0195】
実施形態93.固体高分子電解質が、高分子セラミック複合材料を含む、実施形態49~92のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0196】
実施形態94.固体高分子電解質が、1つ以上のイオン伝導性セラミック又は無機材料を含む、実施形態49~93のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0197】
実施形態95.固体高分子電解質が、リチウム伝導性硫化物、Li2S、P2S5、リン酸リチウム、Li3P、酸化リチウム、リチウムランタンチタン酸化物、及びリチウムランタンジルコニウム酸化物を含む材料のリストからの1つ以上を含む、実施形態49~94のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0198】
実施形態96.固体高分子電解質が、高分子セラミック複合材料を含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
実施形態97.固体高分子電解質が、1つ以上のイオン伝導性セラミック又は無機材料を含む、実施形態1~48、又は96のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
実施形態98.固体高分子電解質が、リチウム伝導性硫化物、Li2S、P2S5、リン酸リチウム、Li3P、酸化リチウム、リチウムランタンチタン酸化物、及びリチウムランタンジルコニウム酸化物を含む材料のリストからの1つ以上を含む、実施形態1~48、96、又は97のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
実施形態99.リチウム電池を調製する方法であって、第1の電極を提供することと、固体高分子電解質を第1の電極上に形成することと、固体高分子電解質に対して第2の電極を配置し、それによって、電池を形成することと、を含み、動作中、固体高分子電解質が、第1の電極と固体高分子電解質との間の界面において不動態化高分子層を成長させることが可能である、方法。
【0202】
実施形態100.固体高分子電解質が、固体高分子電解質内で膨潤した溶媒の一部を含み、動作中に、膨潤した溶媒の一部が、成長するデンドライトと反応して、高分子をデンドライト上に形成する、実施形態99に記載の方法。
【0203】
実施形態101.フッ素化エチレンカーボネートが、固体高分子電解質用の架橋剤として使用される、実施形態99又は100に記載の方法。
【0204】
実施形態102.固体高分子電解質が、第1又は第2の電極の表面に重合される、実施形態99~101のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
実施形態103.不動態化高分子層が、微孔性であり、解離性リチウム塩、カーボネート溶媒混合物、及びリチウム金属表面の混合物の結果としての自己修復特性を含む、実施形態99~102のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
実施形態104.不動態化高分子層が、第1及び/又は第2の電極に付着し、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する、実施形態103に記載の方法。
【0207】
実施形態105.第2の電極を固体高分子電解質に対して配置する前に、第2の電極が、解離性リチウム塩とカーボネート溶媒混合物との混合溶液中に浸漬される場合、電気化学電位を第2の電極に印加し、それによって、固体高分子電解質の層を第2の電極上に形成することを更に含む、実施形態99~104のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
実施形態106.固体高分子電解質を第1の電極上に形成することと、固体高分子電解質の層を第2の電極上に形成することとが、同時に行われる、実施形態105に記載の方法。
【0209】
実施形態107.固体高分子電解質が、高分子セラミック複合材料、又は1つ以上のイオン伝導性セラミック若しくは無機材料を含む、実施形態99~106のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
実施形態108.固体高分子電解質が、リチウム伝導性硫化物、Li2S、P2S5、リン酸リチウム、Li3P、酸化リチウム、リチウムランタンチタン酸化物、及びリチウムランタンジルコニウム酸化物を含む材料のリストからの1つ以上の材料を含む、実施形態99~107のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
実施形態109.第1の電極が、リチウム金属、リチウム箔、処理銅箔、処理銅箔、グラファイト、リチウム化グラファイト、LiC6、リチウムセラミックガラス、Li4Ti50i2、Li4,4Si、若しくはLi4,4Geがポリフッ化ビニリデン(PVDF)と結合したものを含むか、又は第2の電極が、リチウム化金属酸化物、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4、LiNiO2、Li2FePO4F、Li(LiaNixMnyCoz)(NMC)、又はLi(LiaNixAlyCoz)(NCA)、導電性炭素添加剤、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラックがPVDFと結合したものを含む、実施形態99~108のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
実施形態110.電気化学セルであって、その上に堆積された固体高分子電解質を有する第1の電極であって、固体高分子電解質が、有機カーボネート液体及び解離性リチウム塩で膨潤した微孔性高分子を含む、第1の電極と、第2の電極と、を含む、電気化学セル。
【0213】
実施形態111.動作中、固体高分子電解質が、第1の電極と固体高分子電解質との間の界面において不動態化高分子層を成長させることが可能である、実施形態110に記載の電気化学セル。
【0214】
実施形態112.不動態化高分子層が、第1及び/又は第2の電極に付着し、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する、実施形態111に記載の電気化学セル。
【0215】
実施形態113.固体高分子電解質が、高分子セラミック複合材料、1つ以上のイオン伝導性セラミック若しくは無機材料、又はリチウム伝導性硫化物、Li2S、P2S5、リン酸リチウム、Li3P、酸化リチウム、リチウムランタンチタン酸化物、及びリチウムランタンジルコニウム酸化物を含む材料のリストからの1つ以上の材料を含む、実施形態110~112のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【0216】
実施形態114.電気化学セルを調製する方法であって、第1の電極を提供することと、第1の電極を電解質溶液中に浸漬することと、電解質の固体層を浸漬された第1の電極上に堆積させることと、第2の電極を電解質の固体層の露出表面に取り付け、それによって、電気化学セルを形成することと、を含む、方法。
【0217】
実施形態115.電解質の固体層が、高分子セラミック複合材料、1つ以上のイオン伝導性セラミック若しくは無機材料、又はリチウム伝導性硫化物、Li2S、P2S5、リン酸リチウム、Li3P、酸化リチウム、リチウムランタンチタン酸化物、及びリチウムランタンジルコニウム酸化物を含む材料のリストからの1つ以上の材料を含む、実施形態114に記載の方法。
【0218】
実施形態116.電解質の固体層が、有機カーボネート液体及び解離性リチウム塩で膨潤した微孔性高分子を含む、実施形態114又は115に記載の方法。
【0219】
実施形態117.動作中、電解質の固体層が、第1の電極と電解質の固体層との間の界面において不動態化高分子層を成長させることが可能である、実施形態114~116のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
実施形態118.不動態化高分子層が、第1及び/又は第2の電極に付着し、その自己修復特性に起因してデンドライト成長を防止する、実施形態117に記載の方法。
【国際調査報告】