(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】パーキンソン病に罹った患者のウェアリングオフ状態を予測するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0531 20210101AFI20240227BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61B5/0531
A61B10/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557280
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 IB2022052423
(87)【国際公開番号】W WO2022195529
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021000006362
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523353557
【氏名又は名称】オフエット エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジェンティーレ,ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】ルッゾン,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】マンカ,クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】デ ミトリ,ロベルタ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA06
4C127BB03
4C127CC06
4C127GG16
(57)【要約】
パーキンソン病に罹った患者のウェアリングオフ状態を予測するためのデバイスであって、それは、患者の皮膚コンダクタンスに関連付けられた電気量を検出するよう、かつ対応した測定信号を生成するよう、配置された皮膚電位センサ(2);測定信号を受信するための皮膚電位センサ(2)に接続され、かつ患者の皮膚における皮膚コンダクタンスを表わす生理的パラメータ(PF)の値を得るよう配置された、電子制御ユニット(3);電子制御ユニット(3)に動作可能に接続され、かつオフ通知信号を発するために電子制御ユニット(3)によって起動可能である、通信ユニット(4)、を備える。電子制御ユニット(3)は、処理モジュール(7)を備え、それは可動の時間窓(FT)内で皮膚コンダクタンスの増加を示す生理的パラメータ(PF)の、全体的な時間変動を検出するよう、及び、この全体的な時間変動を、特定の閾値(VS)と比較するよう、配置される。それによって、通信ユニット(4)を制御して、考えられる最も近いウェアリングオフの確認を事前に警告することを可能にすることで、好適な動作を可能にする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキンソン病に罹った患者のウェアリングオフ状態を予測するためのデバイス(1)であって、
患者の皮膚に設置するよう意図され、患者の皮膚コンダクタンスに関連付けられた少なくとも1つの電気量を検出するよう配置され、かつ対応した測定信号を生成する、皮膚電位センサ(2)と、
前記測定信号を受信するために、前記皮膚電位センサ(2)に動作可能に接続され、かつ前記測定信号から、感謝の皮膚における皮膚コンダクタンスを表わす生理的パラメータ(PF)の値の時間経過を得るよう配置された、電子制御ユニット(3)と、
通信ユニット(4)であって、少なくとも1つのオフ通知信号を発するために、前記通信ユニット(4)を制御するよう配置された前記電子制御ユニット(3)に動作可能に接続された、通信ユニット(4)と、
を備え、
前記電子制御ユニット(3)は、少なくとも1つの処理モジュール(7)を備え、前記処理モジュール(7)は、
前記生理的パラメータ(PF)の値の前記時間経過において、30秒よりも長い持続時間である特性の可動の時間窓(FT)を画定するように、及び
値の前記時間経過に沿って進行させることによって、前記時間窓(FT)を更新するように、
配置され、
前記時間窓(FT)の各更新のために、前記処理モジュール(7)は、
前記時間窓(FT)内で、前記時間窓(FT)内の皮膚コンダクタンスの増加を示す前記生理的パラメータ(PF)の全体的な時間変動を、前記時間窓(FT)に含まれた前記時間経過の値を処理することによって、計算するように、
前記全体的な時間変動を、特定の閾値(VS)と比較するように、
前記閾値(VS)よりも大きい前記全体的な時間変動を用いて、前記通信ユニット(4)が前記オフ通知信号を発するのを可能にするよう適合された、少なくとも1つの制御信号(SC)を、前記通信ユニット(4)に送信するように、
配置された、デバイス(1)。
【請求項2】
前記処理モジュール(7)は、前記時間窓(FT)における前記生理的パラメータ(PF)の時間微分に応じて、前記全体的な時間変動を判断するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
前記処理モジュール(7)は、前記時間窓(FT)内で計算された前記生理的パラメータ(PF)の時間微分の平均値に応じて、前記全体的な時間変動を判断するように配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記時間窓(FT)は、約5分以下であることを特徴とする、請求項1~3の内いずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
前記時間窓(FT)は、実質的に1~3分で構成されることを特徴とする、請求項4に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記処理モジュール(7)は、前記時間窓(FT)における前記生理的パラメータ(PF)の、少なくとも1つの最大値と最小値との間における差に応じて、前記時間変動を判断するように配置されることを特徴とする、請求項1~5の内いずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
前記閾値(VS)は、前記生理的パラメータ(PF)の値の前記時間経過におけるピーク値に応じて、決定されることを特徴とする、請求項1~6の内いずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
前記電子制御ユニット(3)は、較正状態で設定されるように配置され、特定の較正時間間隔(IT)において、前記処理モジュール(7)は、値の前記時間経過における前記ピーク値を検出するように、かつ前記ピーク値に応じて前記閾値(VS)を計算するように配置されることを特徴とする、請求項7に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
前記閾値(VS)は、前記較正時間間隔(IT)で検出された前記ピーク値の少なくとも1つの平均値の関数であることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス(1)。
【請求項10】
前記時間経過は、ピーク期間(PP)を備え、そこでは1つまたは複数の前記ピーク値が含まれ、
ここで前記デバイス(1)は、前記較正状態において、前記処理モジュール(7)が、前記ピーク期間(PP)の外側における前記時間経過の値に応じて、少なくとも1つの静止基準値(VRR)、及び前記ピーク値に応じて少なくとも1つのピーク基準値(VRP)を決定するように、かつ前記ピーク基準値(VRP)と前記静止基準値(VRR)との間の差に応じて前記閾値(VS)を計算するように、配置されることを特徴とする、請求項8または9に記載のデバイス(1)。
【請求項11】
前記閾値(VS)は、前記静止基準値(VRR)と前記ピーク基準値(VRP)との間の差における、約1/3~1/7で構成されることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス(1)。
【請求項12】
前記生理的パラメータ(PF)の前記全体的な時間変動は、前記時間窓(FT)で検出された前記生理的パラメータ(PF)の値の増加と、前記時間窓(FT)の持続時間との間の比率として得られることを特徴とする、請求項1~11の内いずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項13】
前記生理的パラメータ(PF)の前記全体的な時間変動は、前記生理的パラメータ(PF)の進行が、主に全ての前記時間窓(FT)内で進む傾きを示すことを特徴とする、請求項1~12の内いずれか一項に記載のデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病に罹った患者の、ウェアリングオフ状態を予測するためのデバイスに関する。
【0002】
本デバイスは、特に神経学の分野で利用可能な、生体医学デバイスの分野に分類され、パーキンソン病に罹った対象者の特定の臨床状況(ウェアリングオフ状態と称する)を検出するためのものである。
【0003】
詳細には、本デバイスは、事前に患者のウェアリングオフ状態の発現を予測して、好適な介入手段を使用できるよう、患者によって装着されるように適合され、有利には病院または回復環境(病院、養護施設など)、及び自宅または公的環境の両方で使用されることが意図される。
【背景技術】
【0004】
精神医学もしくは神経学の分野において、または中枢神経系の全体的な臨床状況の分野において、患者の臨床状態の変動に対する客観的なバイオマーカーを識別するための、特別な要望が存在する。このような要望は、臨床試験の分野、及び中枢神経系の病理を被る患者に適用される治療処置の両方に、特に重要である。
【0005】
近年、装着可能な電子器具が開発されており、それは、検出されたデータの分析を可能にするために、特定のバイオマーカー(心拍数、運動状態、呼吸数など)の検出、及びデジタルフォーマットの収集を可能にする。
【0006】
詳細には、パーキンソン病の研究及び処置において、このような病気が関わる(例えば震えまたは運動ブロック状態など)、中枢神経系の変質による運動障害を、監視することを可能にするバイオマーカーを検出することは、特に重要である。
【0007】
しかし、運動症状に加えて、さらに他の非常に強い症状もあり、それらは、薬剤処置に対する多かれ少なかれ正確な応答にも関係付けられる。それらは、心臓血管障害、発汗、運動障害、苦痛、睡眠障害などを含んだ、広範な症状に現われる。
【0008】
当初の症状の制御を実現するのを可能にする、(例えばレボドパに基づいた)治療処置が開発されてきたとしても、効果が切れた処理に対応することによって、ならびに薬剤によって誘導される無意識の動きまたは運動異常によって、数年の間に、患者はしばしば合併症を発症させる。
【0009】
具体的には、パーキンソン病に罹った患者が被る特定の症状は、所謂ウェアリングオフ状態の始まりに関係付けられる。
【0010】
このようなウェアリングオフ状態は臨床段階であり、それは一般的に、病気が進行した段階における合併症の後に生じ、そこで患者は、たとえ良好に調整された薬物療法を行っても、比較的長期間の全身の運動ブロック(motor blocks)を被る。そこで、震え、運動の硬直または鈍さ、運動開始の困難、無意識の運動、運動異常、筋失調症などの症状が現れる場合があり、それは、不安、疲労、気分の変化、思考の困難さ、動揺などの、心身の特性の症状が付随する場合がある。
【0011】
現在の技術において、前述のウェアリングオフ状態の監視及び研究は、患者から収集された自己評価アンケートの分析によって実施される。しかしそれらは、患者自身の主観的評価に関係付けられた信頼性の課題が提起される(例えばフラシ―ボ効果による)。
【0012】
震え、及び運動異常のウェアリングオフブロック(運動の大幅な減退)の評価を実施するよう、患者の運動を検出するよう適合された加速度計が設けられた、(上述のタイプの)装着可能な電子デバイスによる監視を実行することも、知られている。このデバイスのタイプの、いくつかの例が、米国特許第9,393,418号明細書、及び米国特許第9,602,046号明細書に記載されている。
【0013】
それでも、このような公知のタイプのデバイスは、患者の運動を測定することによって、運動症状の検出及び定量化のみに焦点を合わせた評価の実行を可能にする。特に、このような解決策は、機能を監視するためだけに利用可能であるが、ウェアリングオフ状態を予測する症状を識別するために有用な、いかなる情報を得ることも可能にしない。
【0014】
生物医学分野のいくつかの研究から(例えばMaziluらによる「Prediction of Freezing of Gait in Parkinson’s From Physiological Wearables:An Exploratory Study」,IEEE Journal of Biomedical and Health Informatics,Vol.19,No.6の記事)、パーキンソン病に罹った人が被る、所謂フリージング状態(またはすくみ足歩行)を特徴付けるために、皮膚コンダクタンスの変動を観察することも、知られている。詳細には、フリージング状態は、短い期間(数秒から数分)の運動を行うために、一時的で制御されない不能状態の形態で表わされる。このような症状は、特に歩いているときに突然起こるが、話すため、書くため、及び目を開けるための運動にも影響する場合がある。
【0015】
それでも、フリージング状態は、前述のウェアリングオフ状態とは完全に異なる臨床性質を有するので、それらは、このようなウェアリングオフ状態を予想する症状を識別するための、有用な指標を提供できるとは思われない。
【0016】
欧州特許第3076868号明細書は、皮膚コンダクタンスの検出によって、バーンアウト及び/または慢性疲労症候群段階を監視するための、公知のタイプのデバイスを開示している。詳細には、このようなデバイスは、例えば上昇する傾き、上昇時間、ピークの高さ及び数など、信号のピークと相互に関連した皮膚コンダクタンス信号の特徴を計算するよう適合される。
【0017】
欧州特許第1519679号明細書は、鎮静状態の患者の自律神経系を監視するための、公知のタイプのデバイスを記載している。詳細には、このようなデバイスは、特定の時間期間内で生じる信号のピークの数及び頻度に基づいて、神経系に関する情報の検出を提供する。
【0018】
しかし、公知のタイプである後者のデバイスも、ウェアリングオフ状態を予測する症状を識別するための有用な情報を提供できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第9,393,418号明細書
【特許文献2】米国特許第9,602,046号明細書
【特許文献3】欧州特許第3076868号明細書
【特許文献4】欧州特許第1519679号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Maziluらによる「Prediction of Freezing of Gait in Parkinson’s From Physiological Wearables:An Exploratory Study」,IEEE Journal of Biomedical and Health Informatics,Vol.19,No. 6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
この状況において、本発明の主な目的は、公知の解決策によって表わされた欠点を、パーキンソン病に罹った患者のウェアリングオフ状態を予想するためのデバイスを提供することによって、克服することである。そのデバイスは、事前に確実な方法でウェアリングオフ状態の開始を予測することが可能である。
【0022】
本発明の別の目的は、患者のウェアリングオフ状態の開始に関して、事前に別の対象に警告するのを可能にする、パーキンソン病に罹った患者のウェアリングオフ状態を予測するためのデバイスを提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、患者が快適かつ容易に装着でき、特に彼/彼女が彼/彼女の手を使用し続けるのを可能にする、パーキンソン病に罹った患者のウェアリングオフ状態を予測するためのデバイスを提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、大きさが縮小された、パーキンソン病に罹った患者のウェアリングオフ状態を予測するためのデバイスに関する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の技術的特徴は、前述の目的に従い、以下で記載される特許請求の範囲の内容において、明確に見出される。それらの利点は、添付の図を参照した以下の詳細の説明から、より明白となるが、これらの図は、本発明の単なる例示及び非限定の実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本デバイスが患者によって装着され得る、身体の考えられる位置を例示する図である。
【
図2】腕または手首に装着されるよう適合された、本デバイスの実施形態例を示す図である。
【
図3】本発明の目的である本デバイスの、簡略化したブロック図である。
【
図4】本発明の目的である本デバイスによって、特定の時間期間(20時間)で検出された、(皮膚コンダクタンスによって与えられた)生理的パラメータの時間経過の、第1の臨床例を記録したグラフである。
【
図5】前述の第1の例に関する2つのグラフである。その内の、上のグラフは、
図4に例示された皮膚コンダクタンスの時間経過を示し(このようなパラメータの値は、特定の要因に従って標準化され、皮膚コンダクタンスの等張成分(tonic component)は重ねられている)、第2のグラフは、同じ時間期間で、患者の運動を表わす本デバイスによって検出された測定値を示す。
【
図6】第2の臨床例に関する2つのグラフである。その内の、上のグラフは、13時間の特定の時間期間における皮膚コンダクタンスの時間経過を示し(このようなパラメータの値は、特定の要因に従って標準化され、皮膚コンダクタンスの等張成分(tonic component)は重ねられている)、第2のグラフは、同じ時間期間で、患者の運動を表わす本デバイスによって検出された測定値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付の図を参照すると、参照番号1は全体的に、本発明の目的である、パーキンソン病に罹った患者のウェアリングオフ状態を予想するためのデバイスを示す。
【0028】
デバイス1は、使用者によって特定の身体の位置に装着されるよう意図され、患者のウェアリングオフ状態の、開始の少し前(例えば10~30分)に検出する目的を有する。
【0029】
知られているように、パーキンソン病の対象におけるウェアリングオフ状態は、患者が比較的長期間の全身の運動ブロック(motor blocks)を被り(この症状は、震え、運動の硬直または鈍さ、運動開始の困難、無意識の運動、運動異常、筋失調症などで表わすことができる)、それは良好に調整された薬物療法の存在においても発生する。
【0030】
図1の適用例を参照すると、本発明の目的であるデバイス1を、腕、手首、指、ウエスト、胸、肩、首など、患者の身体における複数の可能な部分に適用するよう配置することができる。
【0031】
例えばデバイス1が、手首または腕に適用するよう配置された場合、デバイス1はブレスレット形状で構成され、身体のこのような部分の周りに適用するよう意図される。
【0032】
図3の例示的な図を参照すると、デバイス1は、患者の皮膚に配置するよう意図された皮膚電位センサ2を備える。このような皮膚電位センサ2は、患者自身の皮膚コンダクタンスに関連付けられた、少なくとも1つの電気量を検出するため、及び対応した測定信号(好ましくは電気タイプ)を生成するために、配置される。
【0033】
追加として、デバイス1は電子制御ユニット3を備え、それは前述の測定信号を受信するために、皮膚電位センサ2に動作可能に(好ましくは電気的に)接続され、皮膚センサ2から、患者の皮膚における皮膚コンダクタンスを表わす、生理的パラメータPFの値の時間経過を得るために配置される。
【0034】
詳細には、このような生理的パラメータPFは、患者の皮膚における皮膚電位に関係付けられた情報を表わし、有利には同じ皮膚コンダクタンスに相当する。
【0035】
電子制御ユニット3によって得られた生理的パラメータPFの、時間経過における1つの例が、
図4のグラフに例示され、以下で詳細に説明する。
【0036】
デバイス1は、電子制御ユニット3に動作可能に接続された通信ユニット4も備える。電子制御ユニット3は、このような通信ユニット4上で制御するよう配置され、患者のウェアリングオフ状態が到達に近付くことを示すためのオフ通知信号を発する。
【0037】
有利には、デバイス1は、1つまたは複数の、好ましくは可撓性材料の連結要素5を備え、患者の身体における対応した部分(腕、手首、指、胸など)に押し付けるよう配置される。
【0038】
例えば、デバイス1を位置付けるのに望ましい身体の部分の周りに巻いて締め付けることが可能な、バンドまたはベルトの形態に、連結要素5を形状付けることができる。
【0039】
詳細には、
図1の実施形態を参照すると、連結要素5は、閉鎖されるか、またはループとして閉鎖可能で、腕または手首など、患者の身体における部分の周りに締め付けるよう意図された、可撓性バンドを備える。
【0040】
好ましくは、デバイス1は支持本体6を備える。それは連結要素5に固定され、支持するよう配置され、かつ有利には皮膚電位センサ2と、電子制御ユニット3と、通信ユニット4とを含む。
【0041】
有利には、皮膚電位センサ2は、電気量を検出するために、患者の皮膚に接触して設置されるよう配置され、それによって皮膚電位、特に皮膚コンダクタンスを導出することが可能である。
【0042】
例えば、皮膚電位センサ2は、皮膚における2つの離隔された位置に接触して設置されるよう意図された、2つの電極と、これら2つの電極間に、所定の電圧を印加するよう適合された、直流電圧生成器とを備え、電流が2つの電極間における皮膚ゾーンに作用するようにする。
【0043】
このような電流の強度は、皮膚抵抗(したがって皮膚コンダクタンス)に依存するため、この電流を検出することによって、皮膚電位センサ2は、患者の皮膚コンダクタンスに関係付けられた電気測定値を検出するよう適合される。
【0044】
例えば、皮膚電位センサ2は、1つまたは複数の伝導度測定器を用いて実現することができる。
【0045】
当然ながら、このような皮膚電位センサ2は、抵抗センサを用いて、または一般的に皮膚コンダクタンスに関係付けられた電気量を検出できる電気量センサを用いて、実現することもできる。詳細には、皮膚電位センサ2は容量性タイプであってもよい。
【0046】
知られているように、皮膚の皮膚電位(特に皮膚コンダクタンス)は、皮膚の汗腺の状態に応じて変化し、汗腺の機能は、自律神経系によって支配される。詳細には、自律神経系の活発な活動は、汗腺の活発な活動に相当し、その結果皮膚コンダクタンスを増加させ、その逆も同様である。
【0047】
通常、皮膚コンダクタンスは、個人の異なる環境における情動行動を分析するために利用される。
【0048】
驚くことに、パーキンソン病の患者におけるウェアリングオフ状態の評価が、皮膚コンダクタンスの全体の進行の、継続された大幅な増加によって、少なくとも数分(特に10~30分)先立って成されることが確認された。例えば、
図4のグラフにおいて、患者の対応したウェアリングオフ期間に先行して起こる、皮膚コンダクタンスの進行における複数のピークを識別することが可能である。詳細には、このようなピークは、それらの上昇セクションにおいて、皮膚の伝導性が継続して大幅に上昇し、それは少なくとも数分の時間間隔の間、維持される。
【0049】
したがって、自律神経系の生理的活動は、ウェアリングオフ状態の前に特に変動することが立証され(皮膚コンダクタンスのピークから検出可能)、それによって好適な事前通告(例えば約10~30分)を伴い、ウェアリングオフ状態を予測することを可能にする。
【0050】
詳細には、
図4のグラフにおける例でも視認できるように、(この場合皮膚コンダクタンスによって構成される)生理的パラメータPFの時間経過は、ピーク期間PPを備え、そこでは生理的パラメータPFの値は、患者が実質的に通常状態の安静時に得られた基線値に対して、増加する。
【0051】
ピーク期間PPの上昇セクション後(通常は10~30分後)に、患者はウェアリングオフ状態を被ることが判明した。したがって、生理的パラメータPFの時間経過における前述のピーク期間PPは、後続のウェアリングオフ状態に関係付けられた自律神経系の活動の増加によるものである。
【0052】
本発明の基礎となる概念によると、電子制御ユニット3は処理モジュール7を備え、それは生理的パラメータPFにおける前述の連続した値において、30秒以上持続した特定の可動の時間窓FTを画定するよう配置される。
【0053】
処理モジュール7は、生理的パラメータPFの連続した値に沿って、生理的パラメータPFを進めることによって、このような可動の時間窓FTを周期的に更新するようにも、配置される。
【0054】
詳細には、皮膚電位センサ2による、新たに獲得した各測定信号のため、したがって時間経過における生理的パラメータPFの新たな値の、その後の計算のために、処理モジュール7は、時間窓FTの始点における生理的パラメータPFの1つまたは複数を追加するよう配置される。それに応じて、時間窓FTの終点における1つまたは複数の値を除去するために、時間窓FTの同じ大きさを維持し、かつ値の時間経過に沿って、時間窓FTを前方へ移動させる。
【0055】
時間窓FTの各更新のために、処理モジュール7は、時間窓FT内で、時間窓FT自体の中で皮膚コンダクタンスの増加(正の増加として意図される)を示す生理的パラメータPFの、全体的な時間変動を計算するよう配置される。前述の全体的な時間変動は、時間窓FTに含まれた時間経過の値を処理することによって計算され、それによってこのような時間窓FT内における生理的パラメータPFの明確な増加を識別し、特定の計算アルゴリズムを実行する。それに関しては、以下でいくつかの例を提供する。
【0056】
追加として、処理モジュール7は、生理的パラメータの全体的な時間変動を、特定の閾値VSと比較するために配置され、それによって、生理的パラメータPF(特に皮膚コンダクタンス)の時間経過内で、このような生理的パラメータPFの値の大幅な増加を検出する。それは、ウェアリングオフ状態の評価の表示とすることができる。
【0057】
詳細には、前述の閾値VSに基づいて区別された、生理的パラメータPFのこのような大幅な増加は、ウェアリングオフ状態の最も近い評価の表示として、皮膚コンダクタンスの大きさ及び持続期間のピークを検出する。
【0058】
時間窓FT内の生理的パラメータPFの値における全体的な時間変動が、閾値VSよりも大きいとき(すなわち大幅な増加が識別されたとき)、電子制御ユニット3が、対応したオフ通知信号を発することができるよう適合された制御信号SCを、通信ユニット4へ送信するように、電子制御ユニット3は構成される。
【0059】
したがって、このようなオフ通知信号は、例えば考えられる最も近いウェアリングオフを、第三者または患者自身に警告するのを可能にし、それによって好適な行為(例えば適切な支援介入または治療処置動作)を可能にする。
【0060】
詳細には、上述のように、(生理的パラメータPFの時間経過におけるピーク期間PPを示す)大幅な増加が、このような(閾値VSよりも大きい)増加の大きさ、及び(時間窓FTによって判断された)それらの持続時間に応じて、区別される。
【0061】
このようなパラメータ(閾値VS、時間窓FT)は、生理的パラメータPFの全体的な進行の継続的な変動を識別するのを可能にする。このような変動の平均傾きは、ウェアリングオフ状態に先立つ生理的パラメータPFのピークに達するのを示すために、十分に大きい。
【0062】
実質的に、生理的パラメータPFの全体的な時間変動は、明確な変動を表わし、それに対してこのような生理的パラメータPFの進行は、全ての時間窓FT内(すなわち、このような時間窓FTの開始から終了まで)で影響を受ける。
【0063】
有利には、生理的パラメータPFの全体的な時間変動は、時間窓FTで検出された生理的パラメータPFの値の増加と、時間窓FTの持続時間によって与えられた、このような変動が生じる時間と、の間の比率として得られる。
【0064】
詳細には、生理的パラメータPFの全体的な時間変動は、実質的に、生理的パラメータPF自体の進行が主に時間窓FT内で行われる傾きの表示である。実質的に、このような主な傾きが、閾値VSよりも大きい場合、それは患者のウェアリングオフ状態に先行することができる、生理的パラメータPFの大幅な増加を示す。
【0065】
有利には、生理的パラメータPFの全体的な時間変動は、時間窓FT内で確認できる、局所的増加及び局所的減少の両方に依存する。
【0066】
有利には、処理モジュール7は、時間窓FT内で計算された、生理的パラメータPF自体の時間微分に応じて、生理的パラメータPFの全体的な時間変動を判断するために配置される。
【0067】
詳細には、生理的パラメータPFの時間微分は、時間窓FT内における生理的パラメータPFの全ての値、または一部の値のみを使用することによって計算することができる。
【0068】
好ましくは、本発明の特定の実施形態によると、前述の時間窓FT内で、処理モジュール7は、時間窓FT内で検出された生理的パラメータPFの、少なくとも1つの最大値と最小値との間における差に応じて、生理的パラメータPFの時間変動を計算するよう適合される。
【0069】
例えば、全体的な時間変動は、最大値と最小値との間に存在する時間間隔(時間窓FT内)に関連して、時間窓FT内に存在する生理的パラメータPFの最大値と最小値との間における差、として計算することができる。
【0070】
異なる実施形態によると、全体的な時間変動は、時間窓FT内の生理的パラメータPFにおける時間微分の平均値から得られる。
【0071】
有利には、時間窓FTは、約5分以下であり、好ましくは実質的に1~3分から構成され、例えば2分である。
【0072】
詳細には、時間窓FTのこのような値は、皮膚コンダクタンスのピーク期間PPの評価を表わすのに十分に大きい時間期間において、実質的に連続して起こる生理的パラメータPFの時間変動を、識別するのを可能にする。それは、最も近いウェアリングオフ状態の評価の兆候である。
【0073】
上記で示したように、時間窓FTの間に起こる時間変動は、それらが前述の閾値VSよりも大きい場合、大幅な増加として選択される。
【0074】
詳細には、本説明において、生理的パラメータPFの値及び変動は、絶対値として意図される。なぜなら、生理的パラメータPFのこのような値は、考えられる特定の生理的パラメータPFに応じて、(例えば皮膚コンダクタンスではなく皮膚抵抗を考慮すると)正または負と成る場合があるためである。
【0075】
任意のケースにおいて、生理的パラメータPFの対象の時間変動は、患者の皮膚コンダクタンスの、正の増加を表わす(すなわち生理的パラメータPFの進行の全体的な傾きが増加する特定の変動)。例えば、生理的パラメータPFが皮膚コンダクタンスと一致する場合、時間変動は正の変動となる。しかし、生理的パラメータPFが皮膚抵抗と一致する場合、時間変動は負の変動となる。
【0076】
一般的に、ピーク値及び基線値の両方、同様に大幅増加の大きさ及び速度(傾き)について、生理的パラメータPF(特に皮膚コンダクタンス)で得られた値は、患者によって変化する場合がある。追加として、このような値は、皮膚電位センサ3が位置付けられた身体の部分に応じても変化する場合がある。したがって、閾値VS及び時間窓FTは、このような適用要因に応じて、特にこのような患者に実行された生理的パラメータPFの測定値に基づいて、配置される。
【0077】
有利には、閾値VSは、生理的パラメータPFの値の時間経過における、少なくとも一部分で検出されたピーク値に応じて、決定される。
【0078】
好ましくは、電子制御ユニット3は、較正状態において設定されるよう配置され、そこで電子制御ユニット3は、生理的パラメータPFの値の時間経過における、特定の較正時間間隔ITで得られた値に基づいて、閾値VSは決定される。
【0079】
例えば、電子制御ユニット3は、その動作の当初段階において、例えば特定の患者に最初に適用された後の較正状態で設定することができる。
【0080】
好ましくは、電子制御ユニット3が較正状態で動作する、較正時間間隔ITは、数時間、例えば3~6時間の持続時間を有する。
【0081】
詳細には、較正状態において、処理モジュール7は、前述の較正時間間隔ITで評価された生理的パラメータPFの値の連続における、ピーク値(または最大値)を検出するよう配置され、このピーク値に応じて閾値VSを計算する。
【0082】
より詳細には、較正状態において、処理モジュール7は、ピーク期間PPの外側で検出された時間経過値に応じた、少なくとも1つの静止基準値(rest reference value)VPRを決定するよう配置され、そこで、皮膚の発汗の大幅な変動を判断する状態及び/または活動を、(ウェアリングオフ状態に加えて)個人が受けないとき、生理的パラメータPFは、基線値に実質的に安定して近付いたままとなる(それは通常、対象によって変動する)。
【0083】
例えば、基線値を決定するために利用する値は、上限値を下回るか、及び/または、特定の判断値を下回って(派生した)変動を有するか、で選択される。
【0084】
追加として、較正状態において、処理モジュール7は、ピーク期間PP、すなわち生理的パラメータPFが基線値に対して大きく増加した期間において、評価されたピーク値に応じて、ピーク基準値VRPを決定するよう配置される。
【0085】
詳細には、静止基準値VRR及びピーク基準値VRPは、時間経過の値を、例えばノイズ、障害、スプリアス振動などによる些細な値を除去するよう適合された、処理関数(フィルタリング、平均など)にかけることによって、得ることができる。
【0086】
例えば、静止基準値VRRは、ウェアリングオフ状態に関係付けられない、起こり得る要因(通常は不規則)による、基線値からの考えられるさらなる強い逸脱を排除して、PP期間の外側における生理的パラメータPFの値の平均値として得られる。
【0087】
例えば、ピーク基準値VRPは、複数のピーク期間で到達した最大値の平均として得られる。
【0088】
有利には、処理モジュール7は、静止基準値VRRとピーク基準値VPRとの間の差(特にその差の絶対値)に応じて、閾値VSを計算するよう適合される。
【0089】
例えば、静止基準値VRRとピーク基準値VPR(したがって有利には閾値VS)との間の、前述の差は、少なくともマイクロジーメンスのレベルであり、特に数マイクロジーメンスのレベルと数十マイクロジーメンスのレベルとの間で構成される。
【0090】
好適には、閾値VSは、(特定の固定要因または可変要因による)前述の差に比例し、好ましくはこの差を下回る。
【0091】
詳細には、閾値VSは、静止基準値VRRとピーク基準値VRPとの間における差の、約1/3~1/7の間で構成される。
【0092】
例えば、閾値VSは、以下のように得ることができる:
VS=(VRP-VRR)/5
【0093】
もしくは、例えば較正状態を実行する前に、閾値VSは、例えば対象の資料から導出された値から得られた、異なる規準に基づいて設定することができる。
【0094】
有利には、デバイス1の電子制御ユニット3は、電子プロセッサ(好ましくはマイクロプロセッサ)を備え、それは、上述の機能を実行するよう好適にプログラムされる。
【0095】
好ましくは、電子制御ユニット3の処理モジュール7は、前述の電子プロセッサに一体化され、例えばこのような電子プロセッサにインストールされた特定のプログラムを用いて実行される。当然ながら、代替として、処理モジュール7は、前述の電子プロセッサとは異なるハードウェア構成要素を用いて実行することもできる。
【0096】
有利には、デバイス1の通信ユニット4は、オフ通知信号を、このような信号を受信して第三者に警告信号を手配するよう適合された遠隔ユニットへ送信できる、ワイヤレス通信モジュール(無線送信機など)を備える。このような遠隔ユニットは、例えば可搬デバイス(スマートフォン、ピープルファインダ、好適な受信機など)、制御ステーションのコンピュータ、または一般に医療施術者、看護師、親類などの人が利用できる電子デバイスを、これらの人が、患者の考えられる最も近いウェアリングオフ状態を考慮して好適な準備を行うことができるように、備える。
【0097】
好ましくは、特定の実施形態により、デバイス1は、通信ユニット4に接続された(場合によっては通信ユニット4にも一体化された)信号送信ユニットを備える。それは、オフ通知信号を受信した後に、音響信号、視覚信号、または触覚信号を、患者自身または近くの人に警告するために、発することができる。
【0098】
別の特定の実施形態によると、通信デバイス4は、特定の薬剤治療に従って、患者に対する1つまたは複数の薬剤の投与を調整するよう適合された装置に、信号を送信するよう配置される。
【0099】
例えば
図2に例示した実施形態を用いた例によると、処理モジュール7及び通信ユニット4は、例えばデバイス1の支持本体6上で、近くに取り付けられる。
【0100】
代替の実施形態によると、処理モジュール7及び通信ユニット4は、例えば(サーバなどの)遠隔プロセッサに、離して取り付けられる。デバイス1は送信機を備える。この送信機は、処理モジュール7及び通信ユニット4が、それらの機能を、上述のように遠隔で完了できるように、電気測定値及び/または生理的パラメータPFの連続した値を遠隔プロセッサへ送信するよう適合された、電子制御ユニット3に接続される。
【0101】
好ましくは、前述の較正状態中及びその後の動作中に、生理的パラメータPFの値を検出するために利用される、デバイス1のハードウェア及びソフトウェアは、同じ支持本体6に設置される。
【0102】
もしくは、前述の較正状態中に、生理的パラメータPFの値を検出するために利用される、デバイス1のハードウェア及びソフトウェアは、デバイス1の別個のユニットに配置される。
【0103】
有利には、デバイス1は、患者に適用するよう意図され、かつ対応した検出信号を生成するよう、患者自身の身体の運動学的変数を測定するよう適合された、少なくとも1つの慣性センサ8を備える。
【0104】
好ましくは、慣性センサ8は、デバイス1の支持本体6に取り付けることができ、例えば加速度計またはジャイロスコープを備えることができる。
【0105】
慣性センサ8は、電子制御ユニット3へ前述の検出信号を送信するよう、電子制御ユニット3に動作可能に接続され、そこから電子制御ユニット3は、患者が実行する運動の頻度、強度、及びタイプに関する情報を得ることができる。
【0106】
このような情報は、これら生理的パラメータPF間の特定の相互作用を識別するために、生理的パラメータPFの時間経過に、有利に相関付けることができる。
【0107】
例えば、
図4のグラフは、20時間の時間期間の間、皮膚電位センサ3によって検出された測定値に基づいて得られた、生理的パラメータPF(この場合皮膚コンダクタンスに相当)の時間経過の試験例を示す。
【0108】
同じグラフは、
図5の上部分に(皮膚コンダクタンスの標準化された値を伴い)示され、その一方でこの
図5の下部分において別のグラフが示され、それは、同じ前述の時間期間で慣性センサ3によって検出され、かつ患者によって完了された運動の頻度及び強度を表わす、測定値の時間経過を示す。
【0109】
図6のグラフは、第2の臨床例において異なる患者で導出された前述の情報を示す。
【0110】
垂直ラインによって、さらにこのグラフに示されるのは、ウェアリングオフ状態が患者に生じた瞬間である。
【0111】
検出され得るように、ウェアリングオフ状態は、対応したピーク期間PPの生理的パラメータPFの値が増加した後、特にこのようなピーク期間PPの下降段階中に評価された。
【0112】
追加として、
図5及び
図6の下のグラフで立証され得るように、ウェアリングオフの瞬間において、慣性センサ8によって検出された測定値は、実質的に底値であり、患者の運動を表わすピークは欠如する。そのため患者による実質的な運動が無いことを実証することは、ウェアリングオフ状態が存在することと一致する。
【0113】
有利には、電子制御ユニット3は、電気センサ3と、好ましくは慣性センサ8に接続された、信号9のための調整モジュールと、を備える。それは、このようなセンサ3、8によって生成された測定信号及び検出信号のそれぞれを受信するためである。このような調整モジュール9は、特に(例えばノイズ、障害などによる)スプリアス成分を、フィルタリング、補間、平滑化の動作などの、信号を処理及び/または変換するための特定の処理によって除去するために、このような測定信号/検出信号を処理するよう配置される。
【0114】
調整モジュール9は、含まれたデータを電気制御ユニット3自体によって正確に処理することを促進する方法で調整された、測定信号/検出信号を、電気制御ユニット3に送信するために、電気制御ユニット3に接続される。
【0115】
有利には、デバイス1は、例えばバッテリなどの電源ユニット10を備え、動作に好適な電気エネルギー(好ましくは直流電流)を提供するよう、電子制御ユニット3、皮膚電位センサ2、通信ユニット4、及び好ましくは慣性センサ8に電気接続される。このような電源ユニット10は、例えばデバイス1の支持本体6内に設置される。
【0116】
以下では、前述のタイプのデバイス1を作動させるための方法を説明する。
【0117】
以下では、たとえ本方法を、上記で考慮した全ての特徴が備わった調整デバイスに適用できるものと意図されなければならないとしても、説明を簡潔にするために、今まで紹介されたものと同じ名称を参照する。
【0118】
このような作動方法は、特に患者自身にデバイス1を装着させることによって、皮膚電位センサ2を患者の皮膚に適用される。好ましくは、皮膚電位センサ2、特にその電極は、皮膚に接触して設置される。
【0119】
皮膚電位センサ2は、電子制御ユニット3へ送信される対応した測定信号を生成する方法で、患者の皮膚コンダクタンスに関連付けられた少なくとも1つの電気量を検出するために起動される。
【0120】
したがって、電子制御ユニット3は、測定信号を皮膚電位センサ2から受信し、そこから患者の皮膚の皮膚コンダクタンスを表わす生理的パラメータPFの値の、時間経過を得る。
【0121】
電子制御ユニット3は、生理的パラメータPFの値に応じて、通信ユニット4を制御して、患者のウェアリングオフ状態の最も近い評価を示す、少なくとも1つのオフ通知信号を発する。
【0122】
この作動方法は、電子制御ユニット3の処理モジュール7が、生理的パラメータPFの値の時間経過において、30秒以上、好ましくは約5分を下回り、特に約1~3分で構成された持続時間である、特定の可動な時間窓FTを画定する。
【0123】
皮膚電位センサ2による新たな測定信号の獲得(及び、それによる生理的パラメータPFの対応した新たな値の獲得)の後における、モジュールの更新は、上記で既に説明したことに従って、生理的パラメータPFで得られた値の時間経過に沿って進行させることによって、時間窓FTの更新動作を繰り返し行う。
【0124】
時間窓FTの全ての更新動作により、処理モジュール7は、時間窓FT内の皮膚コンダクタンスの増加を示す生理的パラメータPFの全体的な時間変動を、時間窓FT自体の中で計算する。このような計算は、時間窓FT内に含まれた時間経過の値を処理することによって得られる。
【0125】
有利には、前述の生理的パラメータPFの時間変動は、特にそれについて上記で説明したことに従って、時間窓FT内の生理的パラメータPFの時間微分によって、得られる。
【0126】
本方法によると、処理モジュール7は、生理的パラメータPFの全体的な時間変動を、特定の閾値VSと比較して、この全体的な時間変動が、この閾値VSよりも大きい場合、通信ユニット4へ制御信号SCを送信し、通信ユニット4が、オフ通知信号を発するのを可能にして、(上記で説明したように)最も近いウェアリングオフ状態を、患者または第三者に警告するのを可能にする。
【0127】
有利には、デバイス1を作動させるための方法は、較正ステップを提供し、閾値VSを設定するよう、好ましくはデバイス1が最初に患者に適用されたときに行われる。
【0128】
より詳細には、この較正ステップにおいて、電子制御ユニット3が、上記で説明したことに従った、生理的パラメータPFの値の時間経過における特定の較正時間間隔ITで獲得された値に基づいて、閾値VSを決定する、前述の較正状態において、電子制御ユニット3は、例えば使用者によって可能な好適な制御によって設定される。
【0129】
このように、本発明は、事前に設けた目的を達成したものと考えられる。
【国際調査報告】