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特表2024-510031煤煙中、車両の排気ガス中又は空気中に高密度又は超高密度で存在する微細粒子、超微細粒子及びナノ粒子を高効率に負帯電させるイオン化槽
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  • 特表-煤煙中、車両の排気ガス中又は空気中に高密度又は超高密度で存在する微細粒子、超微細粒子及びナノ粒子を高効率に負帯電させるイオン化槽 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】煤煙中、車両の排気ガス中又は空気中に高密度又は超高密度で存在する微細粒子、超微細粒子及びナノ粒子を高効率に負帯電させるイオン化槽
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/41 20060101AFI20240227BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20240227BHJP
   B03C 3/47 20060101ALI20240227BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20240227BHJP
   B03C 3/68 20060101ALI20240227BHJP
   F24F 8/192 20210101ALI20240227BHJP
【FI】
B03C3/41 A
B03C3/40 A
B03C3/47
A61L9/16 Z
B03C3/68 Z
F24F8/192
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557283
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 IB2022052260
(87)【国際公開番号】W WO2022195438
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021000006584
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523353627
【氏名又は名称】ヴァネッラ サルヴァトーレ
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(72)【発明者】
【氏名】ヴァネッラ サルヴァトーレ
【テーマコード(参考)】
4C180
4D054
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA16
4C180DD11
4C180HH02
4D054AA03
4D054AA11
4D054BA02
4D054BB02
4D054BB12
4D054BC03
4D054BC31
4D054CA18
4D054EA07
4D054EA10
(57)【要約】
煤煙若しくは車両の排気ガスにより構成された、空気流又は室内環境の空気の空気流中に存在する微細粒子、超微細粒子及びナノ粒子を負帯電するのに適したイオン化槽であって、前記空気流は、これらの粒子が取り除かれるのに適したものであり、前記イオン化槽は、前記空気流(F)中に含まれる前記固体粒子(P)が、前記イオン化槽(1)を通過する際に、前記固体粒子を負に帯電するのに適していて、前記イオン化槽は、細長く、好ましくはプレート状をしていて、互いに向かい合う第1部材(6)及び第2部材(7)を備えたイオン化部(2)を構成する本体(5)を有し、前記第1部材(6)には、前記第2部材(7)とは異なる電位を生ずるように、負電圧が印加され、前記第1及び第2部材(6、7)は、前記空気流(F)用の通路(10)を構成し;前記第1部材(6)は、先端が尖った複数個の細長部材(14)を支持し、前記細長部材は、前記空気流(F)に対して直交するように前記通路(10)内に突出し、前記細長部材(14)は、前記電位差により前記第2部材(7)に向かう電子流を発生し、前記空気流中に存在する前記固体粒子(P)と交錯して前記固体粒子を負に帯電するのに適している。
さらに、前記負帯電するのに適したイオン化槽を備えた空気清浄器について権利主張する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
煤煙若しくは車両の排気ガスにより構成された、空気流又は室内環境の空気の空気流中に存在する微細固体粒子、超微細固体粒子及びナノ粒子を負帯電するのに適したイオン化槽(1)であって、
前記空気流は、これらの粒子が取り除かれるのに適したものであり、
前記負帯電を行うイオン化槽(1)は、前記空気流(F)中に含まれる前記固体粒子(P)が、前記イオン化槽(1)を通過する際に、前記固体粒子を負に帯電するのに適していて、
前記イオン化槽(1)は、細長く互いに向かい合う第1部材(6)及び第2部材(7)を備えたイオン化部(2)を構成する本体(5)を有し、
前記第1部材(6)には、前記第2部材(7)とは異なる電位を生ずるように、負電圧が印加され、
前記第1及び第2部材(6、7)は、前記空気流(F)用の通路(10)を構成し、
前記第1部材(6)は、先端が尖った複数個の細長部材(14)を支持し、前記細長部材は、前記空気流(F)に対して直交するように前記通路(10)内に突出し、前記第2部材(7)に向かう電子流を発生し、前記空気流中に存在する前記固体粒子(P)と交錯して前記固体粒子を負に帯電するのに適した、イオン化槽において、
前記空気流(F)が移動する前記通路(10)内に突出する、前記先端が尖った複数個の細長部材(14)の各細長部材は、枝分かれした形状を有し、前記細長部材の各々は、前記電子流が生じる先端チップ(18)を備えた複数個の線状部材を有することを特徴とするイオン化槽。
【請求項2】
前記先端が尖った、枝分かれした複数個の細長部材(14)は、前記第1部材(6)に同一の列で配置されるか、又は、列を異ならして配置されることを特徴とする、請求項1に記載のイオン化槽。
【請求項3】
前記先端が尖った細長部材の各々は、前記第1部材(6)に接続された基部(14A)を備え、前記チップ(18)を備えた線状部材は、前記基部から突出し、前記線状部材は、前記基部から枝分かれすることを特徴とする、請求項2に記載のイオン化槽。
【請求項4】
前記チップ(18)を備えた線状部材は、前記基部(14A)上で円錐状に拡開していることを特徴とする、請求項3に記載のイオン化槽。
【請求項5】
前記第1部材(6)及び/又は第2部材(7)は、直線状構造体の形態をしており、前記第2部材は、正電圧を印加されるか、又は接地されることを特徴とする、請求項1に記載のイオン化槽。
【請求項6】
前記第1部材(6)及び/又は第2部材(7)は、フラットな又は曲線状のプレート体形態をしており、前記第2部材は、正電圧を印加されるか、又はアースされることを特徴とする、請求項1に記載のイオン化槽。
【請求項7】
前記第1部材(6)は、前記第2部材(7)と平行であることを特徴とする、請求項5又は6に記載のイオン化槽。
【請求項8】
前記イオン化部(2)の本体(5)の第1部材(6)は、複数個の前記先端が尖った細長部材を支持する、2個の向かい合って並ぶ面(6A、6B)を有し、前記面(6A、6B)の各々は、前記イオン化部(2)の本体(5)の第2部材(7)に向かい合って設けられることを特徴とする、請求項1に記載のイオン化槽。
【請求項9】
前記イオン化部(2)は、複数個の第1部材(6)を複数個の第2部材(7)間に有し、前記空気流用の各通路(10)が、第1部材と第2部材との間に設けられ、前記イオン化部(2)は、前記イオン化部(2)内に前記空気流用の複数個の通路(10)を有することを特徴とする、請求項1に記載のイオン化槽。
【請求項10】
前記第1及び第2部材(6、7)は、少なくとも部分的に絶縁された材料で形成された端部材(8、9)により支持されることを特徴とする、請求項1に記載のイオン化槽。
【請求項11】
前記固体粒子は、灰等の不活性物質、又はウイルス、細菌、胞子、カビ、真菌等の生物学的に活性な物質で構成されることを特徴とする、請求項1に記載のイオン化槽。
【請求項12】
空気清浄器(100)を通過する超微細固体粒子(P)及びナノ粒子を含む空気流(F)を浄化するのに適するイオン式空気清浄器であって、
前記空気清浄器(100)は、イオン化部(2)と回収部(3)とを有し、
前記イオン化部(2)は、前記空気流(F)に含まれる前記固体粒子が前記空気清浄器(100)のイオン化部(2)を通過する際、前記固体粒子(P)を負に帯電するのに適しており、
前記回収部(3)は、前記イオン化部(2)の出口において、前記負に帯電された固体粒子(P)を回収して、前記空気流(F)から前記固体粒子を除去するのに適しており、
前記回収部(3)は、前記空気流(F)の方向において、イオン化槽(1)のイオン化部(2)の下流に設けられ、
前記回収部(3)は、少なくとも2個のプレート(30、31)であって、第1プレート(30)が正の電圧値を有し、第2プレート(31)の負の電圧値を有するか、又はアースされるか、若しくは中性点電位状態にされ、
前記少なくとも2個のプレート(30、31)は、前記イオン化部(2)から流出する空気流(Fout)用の通路を画定し、
前記第1プレート(30)は、前記空気流(F)中に存在する前記負に帯電された固体粒子(P)を引き付けることにより、前記空気流から前記負に帯電された固体粒子(P)を除去する、イオン式空気清浄器において、
前記イオン化部(2)は、請求項1に記載したイオン化槽(1)に組み込まれていることを特徴とする、イオン式空気清浄器。
【請求項13】
前記第1プレート(30)は、少なくとも1個の紫外線ランプと協働して前記生物学的に活性な粒子を、前記第1プレート(30)に引き付けて不活性化することを特徴とする、請求項12に記載のイオン化槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象とすることは、独立請求項の前提事項部に記載した空気流中に存在する、超微細粒子及びナノ粒子等の粒子を負帯電させるイオン化槽にある。さらに、本発明の対象とすることは、こうした負帯電を行うイオン化槽を備えた、負帯電させるイオン化空気清浄器にある。
【0002】
本発明は、大煙突又は煙突からの煤塵、若しくは内燃機関車両の排気ガスにより構成された、空気流中に存在し又は室内環境の空気中に存在する微細粒子、超微細粒子及びナノ粒子を高効率に負帯電させるイオン化槽に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の空気浄化システムが、数十年に亘って知られている。空気浄化システムの幾つかは、静電フィルタを用い、空気中に存在する固体粒子に正イオンを生じさせて固体粒子を捕捉する。このイオン化は、固体粒子から電子を取り去って固体粒子を正にイオン化することによって静電フィルタ内で行われる。
【0004】
こうして正に帯電された固体粒子を含む空気流は、正極と負極とを備えた電界中を通過させられる。正極は、正に帯電された粒子をはねつけ、一方、負極は、正に帯電された粒子を引き付けて負極に堆積させる。
【0005】
このタイプの空気清浄器は、大きさが数ミクロンメータ以上である「粗い」固体粒子を阻止する機能がある。しかしながら、除去性能は、小型粒子及び中型粒子(数ミクロンメータを超える粒子)に対しては満足がいくものであるが、これらよりも小径の粒子に関しては、より正確には、煤煙、ガス又は空気中に、1リットル当たり数千又は数億個を超える値の粒子となる、100nmよりも小さい超微粒子及びナノ粒子に関しては、除去性能は、極めて限られたものであり、無視できるものではない。
【0006】
この種の静電式フィルタシステムは、空気中に存在する粒子が、とりわけ、石炭又は木の燃焼物に由来していて、粒子が、静電フィルタで効率的に捕捉できる大きさを持つ粒子であった、1980年乃至1990年の期間までは、重宝されていた。
【0007】
しかしながら、過去数十年に亘って、空気中には、いままでよりも小径な粒子が増えてきており、粒子径は、数ナノメータ乃至10ミクロンメータ程の間である。こうした粒子は、工場及び車両により排出され、濾過により留め置いていた、粒子径が大である粒子に、ほとんど全面的に取って代わっている。
【0008】
しかしながら、上記したように、極めて微細な粒径を持つ排出粒子が存在している。所謂ナノ粒子(NP)及び超微粒子(UFP)であって、それぞれ、粒径が、50nm乃至1nm、及び100nm乃至50nmである。これらの粒子は、著しく不安定であり、これらの粒子が発生した場所から想到遠方まで(何千Kmも)風に運ばれ、極めてゆっくりと地面に落下する。
【0009】
最近の疫学的研究に示されているように、これらの粒子を吸い込むと、極めて危険である。例えば、2002年のエー・ネマ―(A. Nemmar)等による「人体の血液循環への吸い込み粒子の通過」(Passage of Inhaled Particles Into the Blood Circulation in Humans)、2014年のプラシャント・クマー(Prashant Kumar)等による「都市における超微粒子」(Ultrafine particles in cities)、及び2010年の刊行物「サンフランシスコ湾地域での超微粒子状物質の研究」(Ultrafine Particulate Matter Study in the San Francisco Bay Area)を参照されたい。
【0010】
これらの研究によれば、UFP又はNPのような粒子が、多くの疾病の原因である。
【0011】
特に、これらの粒子は、一旦吸い込まれると、肺膜によって留め置かれず、肺膜を通過して血中に入ることが観察されている。したがって、これらの粒子は、体細胞に達することがあり、これらの粒子は、粒子径が小さいので、細胞膜を通過して、ついには、細胞のリボ核酸中に入ることがある。
【0012】
UFP又はNPのような粒子を補足しようとして、新規な装置が開発され、例えば、国際公開第2020/104488号及び米国特許公開第2017/0341087号があり、空気中に存在するこれらの粒子を負に帯電させるのに適したユニット又はイオン化部の組合せ構造が提供されており、イオン化部を集合したユニットを備える。こうした装置は、空気清浄器と定義される。
【0013】
このように、こうした公知の空気清浄器は、通過する空気流内に存在する、これらの粒子を負に帯電されるための第1イオン化部を備え、例えば、室内環境で使用される。これら公知の空気清浄器は、形状及び大きさが区々である。上記したように、これらの清浄器は、イオン化部と回収部とを備える。
【0014】
取り分け、公知の解決手段では、イオン化部は、複数個のチップによるコロナ原理、すなわち適切な負電圧を印加されたチップ効果を活用して、チップの周囲に電子領域又は電子雲を生成するように空間に電子を放出して、空気流中に存在する固体粒子に負電荷を転送するのに適している。この点、上記の先行技術では、軸線が空気流に対して平行又は直交するように配置され、空気流中に置かれる、複数個の細長のエミッタ部材(先が尖っているもの)を備えたイオン化部又はイオン化ユニットが開示されている。これら細長のエミッタ部材は、負の電圧源に接続されて、自由端(チップ)の周囲に、コロナ放電により電子雲を生成して、空気流中の固体粒子を負に帯電させる電子を放出する。空気流は、複数個の細長のエミッタ部材、煤煙、気体、又は室内環境中の空気からなる流体と接触する。
【0015】
このように粒子が帯電されている空気流は、イオン化部の後段となる、空気清浄器の回収ユニット又は回収部に向かって移動する。回収ユニット又は回収部は、負電荷が空気清浄器のイオン化部により既に移転された固体粒子を回収する役目を負っている。この目的を果たすため、回収ユニット又は回収部は、複数個の平行に配置されたプレートであって、プレート間に正の電界を生成するプレートを備える。特に、回収部は、負に帯電された固体粒子を引き付ける、正電圧を印加された回収プレートと、負に帯電した粒子を正の電圧を印加されたプレートの方に追いやる目的を持つ負電圧を印加されるプレートを備える。
【0016】
負電圧を印加させたプレートの代わりに、アースされたプレート、又は負電圧を印加されず、アースもされない中性点電位プレートを用いてもよい。
【0017】
正電圧を印加された回収プレートと、負電圧を印加され、又はアースされ、若しくは中性点電位であるプレートとの間の電界の値が大きければ大きいほど、プレート間の電界を通過するイオン化された粒子を捕捉する可能性が増大し、したがって、空気清浄器の除去性能が向上する。
【0018】
しかしながら、上記先行技術文献にも記載されているように、鋭く尖った部材(例えば、三角形状に尖った部材)の周囲に電子雲を生成する能力は、空気中に過度なオゾンが生成されないようにする観点から制限される。したがって、コロナ放電のみを行って空気中の超微粒子及びナノ粒子を負帯電させる、先行技術における解決手段では、効率的でないことが分かった。
【0019】
近年、超微粒子及びナノ粒子の問題は、内燃機関車両による汚染により、著しく鮮明になってきており、空気1リットル当たりの超微粒子及びナノ粒子の濃度は、著しく増加している。
【0020】
一例として、2017年に、ローマでの限定された交通渋滞地域で、空気の検査が行われた。この検査によれば、空気1リットル当たり、約20個のMP10粒子と、約176個のPM2.5粒子と、約1203個のPM1粒子と、約58×10個の超微粒子及びナノ粒子(UFP及びNP)とが存在することが分かった。このことから分かるように、超微粒子及びナノ粒子の値は、平均サイズの粒子及び微粒子の値をはるかに超えており、測定対象となった地域に居住する人々の健康に、(上記で指摘した理由で)重大な潜在的危険をもたらしている。
【0021】
実際に行った研究および試験によれば、大気中に存在する粒子の濃度は、粒子の大きさに関連することが分かった。空気1リットル当たりの微粒子(大きさが10μm乃至0.3μmである)の濃度は、数万個であるのに対して、超微粒子及びナノ粒子(UFP及びNP)は、空気1リットル当たり1億個以上の極めて高い濃度であり、煤煙や、内燃機関車両の排ガスでは、さらに高い値に達し得る。
【0022】
室内環境で、1リットルの空気内に存在する超微粒子及びナノ粒子の濃度は、屋外環境中での超微粒子及びナノ粒子の濃度よりも、はるかに高く、3乃至4倍に等しい値になり得る。超微粒子及びナノ粒子の濃度は、工場、焼却炉、エネルギー生産工場、石油精製工場等の排出源の近傍又は非近傍、交通混雑道路の近傍に応じて、場所により変動する。
【0023】
近年、超微粒子及びナノ粒子の濃度は、間断なく増加していることが観測される。これは、数の上で絶えず増加する数十万もの放出源が、地球に存在すること、雨滴又は雪の形成により既に排出された粒子を減少させる能力が低下したこと、又は粒子間の凝集現象を原因とする。
【0024】
明らかに、コロナ放電により空気中の固体粒子をイオン化する能力は、固体粒子の濃度が増加するにつれて、又、固体粒子の大きさが減少するにつれて減少する。この結果、超微粒子及びナノ粒子が捕捉される可能性が著しく低下し、イオン化に基づいて作動する空気、煤煙又は排ガスの浄化システムの除去性能レベルを低くする。具体的には、こうした原因により、先行技術に従って製造されたイオン式空気清浄器の除去性能は、大径粒子(0.5乃至1μm、1μm乃至2.5μm、及び2.5乃至10μm)については、小径粒子よりも極めて高い。これは、粒子の大きさが増加するにつれてイオン化能力が増加するので、大径粒子に対しては、イオン化能力が高くなることにも原因がある。
【0025】
これに対して、大きさ又は粒径が極めて小さい固体粒子(超微粒子及びナノ粒子)については、先行技術に従って製造されたイオン式空気清浄器は、除去性能の点で著しく低い。これは、大きさ又は粒径の極めて小さい固体粒子に対するイオン化能力は、粒子自体の大きさが小さいことと、大きさ又は粒径が極めて小さい固体粒子の濃度が、空気1cmすなわち1リットル当たり大径粒子の濃度の千又は1万倍以上であることとの両方の理由で、極めて低いからである。
【0026】
特に、最近の空気清浄器では、負電圧を印加され、空気流の方向に又は空気流に直交して配置されるチップ状電子放出部材は、コロナ放電であるため、電子放出部材の先端周囲に、「限定した」量の電子を放出する。放出された電子は、空気流に極めて高い濃度で存在する微粒子、超微粒子、又はナノ微粒子の限られた部分のみを捕捉されるのに十分なレベルでイオン化できる。したがって、粒子を負に帯電させる能力は限定的となり、空気清浄器により捕捉される粒子の割合も限定的となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、イオン化槽中を通過し、微粒子及び極めて微細な粒子すなわち超微粒子(UFP)及びナノ粒子(NP)を高濃度又は超高濃度で含む空気流と、効率的に混じり合うのに適したイオン化槽であって、この交わりにより、これらの粒子を負電荷に帯電させてから、微粒子を空気流から除去できる、負帯電させるイオン化槽を提供することにある。
【0028】
より具体的には、本発明の目的は、大きさが10nm未満までで、煙突、大煙突からの煤煙、内燃機関の排ガス中、したがって空気中に超高濃度(cm当たり数千万個)で存在する粒子である、微粒子及び極めて微細な粒子すなわち超微粒子及びナノ粒子を含む空気流との交わり効率を高める、負帯電させるイオン化槽を提供することにある。
【0029】
本発明のもう一つの目的は、室内環境で用いて室内空気を効率的に浄化することができるとともに、煤煙が出る、煙突、大煙突又は内燃機関を備えた車両の排気パイプの開口に用いることもできる、上記のタイプの負帯電させるイオン化槽を提供することにある。
【0030】
本発明のもう一つの目的は、UFP及びNPのような粒子に関して、高い除去性能を持つ、上記のタイプの負帯電させるイオン化槽を備えた空気清浄器を提供することにある。
【0031】
本発明のもう一つの目的は、微粒子、超微粒子及びナノ微粒子から空気を効率的に浄化するのに用いることができるだけでなく、室内環境又は温度及び湿度により空気処理工場に存在する、あらゆる種類及び大きさをした微生物汚染(ウイルス、胞子、細菌、カビ又は真菌による汚染)を劇的に減少させることができる、空気清浄器を提供することにある。
【0032】
本発明のもう一つの目的は、製造が簡単ではあるが費用対効果が高い、上記したタイプの空気清浄器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0033】
これらの目的、及び当業者にはより明らかとなる他の目的は、特許請求の範囲に記載した空気清浄器に用いる、負帯電させるイオン化槽によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明がより理解できるように、非限定的な例を示す、次の図面を添付する。
図1】本発明の保護範囲に属さない、負帯電させるイオン化槽を備えた空気清浄器であって、その基本部品を示す斜視図である。
図2図1の線2-2における断面図である。
図3図1に示す、本発明の保護範囲に属さない空気清浄器に使用する負帯電させるイオン化槽の第1態様の正面図である。
図4図3に示す、本発明の保護範囲に属さない空気清浄器に使用する負帯電させるイオン化槽の変形例の正面図である。
図5】本発明の保護範囲に属する、負帯電させるイオン化槽の別の変形例の正面図である。
図6】簡明化のため構成部材の一部を省略し、二段式負帯電させるイオン化槽として負帯電させるイオン化槽を構成した、本発明の保護範囲に属さない別の態様を示す。
図7】簡明化のため構成部材の一部を省略し、二段式負帯電させるイオン化槽として負帯電させるイオン化槽を構成した、本発明の保護範囲に属さない別の態様を示す。
図8】簡明化のため構成部材の一部を省略し、二段式負帯電させるイオン化槽として負帯電させるイオン化槽を構成した、本発明の別の実施形態を示す。
図9図8に示す実施形態の拡大斜視図である。
図10】本発明に係る負帯電させるイオン化槽の別の変形例の斜視図を示す。
図11】電源を備えた、図10に示す変形例の正面側斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
上記図面を参照すると、イオン式空気清浄器100と、空気浄化又は空気消毒を行うことを目的とする主要部材とが図示してある。この種の空気清浄器は、負帯電させるイオン化槽1と回収部3とを備える。
【0036】
より具体的には、イオン化槽1は、空気流中に存在する粒子(微粒子、超微粒子又はナノ粒子)に負電荷を与えるのに適するイオン化部2を備える。空気流は、イオン化槽1を通過して、回収部3は、この種の粒子を捕捉して留め置き、これにより、空気流から除去する。イオン化槽のイオン化部2と回収部3とは、互いに近接して設けられる。
【0037】
簡略化した態様では、図3乃至5を参照すると、図3及び4に示す態様は、本発明の保護対象とするものではないが、イオン化槽1は、側面部材又は端部材6、7、8及び9を有する多角形体5を備え、これら側面部材又は端部材は、直線状構造体(例えば、任意の断面形状を持つ棒状体)又は互いに平行に設けられた平面体(例えば、板状体)で構成される。特に、多角形体5は、第1部材6と、これから離れて設けられる第2部材7と、第1及び第2部材を接続する側面部材又は端部材8及び9と、粒子を浮遊状態で搬送する空気流F用の通路10を備える。空気流は、添付図面の幾つか(例えば、図7及び8)では、イオン化部2への流入段階(FIN)及びイオン化部からの流出段階(FOUT)で示してあり、矢印を付してある。
【0038】
粒子すなわち微粒子は、微粒状態又は超微粒状態であってよく、10nm未満の微細なナノ粒子であってもよく、1cm当たりの密度が、高い状態で存在していてもよい。
【0039】
空気清浄器1は、室内環境にある空気を浄化し、又は煙突から排出される煤煙若しくは車両からの排気ガスを浄化するのに使用できる。
【0040】
イオン化槽1のイオン化部2についての説明に戻ると、イオン化部は、上述したイオン化槽1の第1及び第2部材6、7により構成される。このイオン化部2は、多角形体5の第1部材6から突出し、第2部材7に向かって通路10内に突出する複数個の細長部材14を備える。これら細長部材14は、イオン化部2内を通過する空気流Fに対して直交するように配置される。図10に示すイオン化部2の実施形態に関して図示するように、第1部材6は、バッテリー16又はこの他の電気エネルギー発生装置の負極に接続される(接続は、一重線で示してある)。一方、第2部材7は、バッテリー16の正極に接続される(この接続は、二重線で示してある)か、又は、こうする代わりに接地(アース)される。
【0041】
これにより、通路10内で、多角形体5の第1及び第2部材6、7の間に所定値の電位差を生じさせる。第1部材6は、負電圧に接続されているので、細長(鋭端)部材14にも、第2部材7に対する電圧差が印加される。
【0042】
本発明の実施形態の一つを示す図5を参照すると、細長部材の各々は、枝分かれした数個のチップ18(又は、複数個のチップ)を備え、これらチップは、第2部材7に向かって突出する線状部材の各先端にある。これらチップ18は、細長部材毎に、第1部材6に接続される単一の基部14Aに接続される。
【0043】
枝分かれした細長部材14の各々のチップ18は、基本的に全体として、高流量の電子流(チップにより放出される)を発生するのに適した電極を構成し、電子流は、正電圧を印加され、又は接地された第2部材7に向かって空気流Fに直交して移動する。
【0044】
各々の細長部材14が枝分かれした形状をするという特徴により、細長部材の各々から高流量の電子流が発生され、電子流は、チップの各々が突出する基部14Aの位置に対して、広範な通過領域10を占める。実際、細長部材は、第2部材7に向かって通路10内で領域の大部分を占めるように円錐状に拡開してもよい。これにより、第1部材6に接続された単一の基部14Aから高流量の電子が発生され、上述したイオン化槽2を備える清浄器により、UFP又はNPと略称される粒子に対してほぼ100%の除去性能をもたらすことができる。こうした性能は、従来技術、例えば、上述した先行特許文献に記載されたもので得ることが可能なものよりも著しく高い。本発明によるイオン化槽2では、固体粒子は、固体粒子が、コロナ放電により生成された電子雲を細長部材14のチップの周りを通過することによっては、イオン化されないが、固体粒子は、イオン化槽2の第1及び第2部材6及び7間を移動する電子流に衝突することによりイオン化される。これら枝分かれした細長部材14は、同じ列に、好ましくは、数個の連続した列に、適切に互い違いになった状態でもよいが、設けられることにより、通路10内で超高密度の負電荷流を放出するとよい。通路内では、公知のように自然又は強制対流により通路内に引き戻された空気が、移動する。例えば、大気の場合、空気は、清浄器を使用して処理するのに、m/hの流量に応じて(種々のタイプ又は大きさの)ファンにより通常移動される。空気流F内に存在する固体粒子9に衝突する負電荷(電子)は、これら固体粒子を負にイオン化する。
【0045】
高流量の負電荷が、線状部材とチップとを有し円錐状に拡開する枝分かれした、全ての細長部材により発生され、これら細長部材が、空気流Fに対して直交するように配置されることにより、微粒子、超微粒子又はナノ粒子に該当する大きさを持つ粒子を、負に帯電させることができる。このことは、どのような種類の固体粒子にも生じることは明らかであり、固体粒子が、不活性物質(例えば、灰、車両の排気ガス)であろうと、有機物、例えば、いかなる種類若しくは大きさのウイルス、細菌又は微生物であろうとも、空気により搬送されるいずれの固体粒子についても当てはまる。
【0046】
第1部材6及び第2部材7は、複数個の実質的に線状体、例えば、図8、9、10及び11に示すように、複数個の実質的に直線状体、例えば、棒体、又は、好ましくは、板状体で構成してもよい。
【0047】
図8及び9には、枝分かれした細長部材14、すなわち、細長部材の各々が先端チップ18を持つ複数個の線状部材を有するイオン化部2を備える、図5に示す解決手段の変形例を示す。細長部材は、流入空気流(FIN)が、上述のように負に帯電されている固体粒子を運ぶ出口(FOUT)まで移動する通路10中へ、板状部材として構成された第1部材6(同様に板状に形成された第2部材7同士の間に配置される)の平行面6A、6Bの各々からそれぞれに対して直交して突出する。
【0048】
明らかなように、第1部材6の各々は、負に帯電され(負の電圧が印加されており)、一方、第2部材7の各々は、正の負の電圧が印加されるか、又は接地(アース)される。
【0049】
本発明の別の変形例を、図10及び11に示す。この変形例では、先に説明した部材に対応する部材には、同じ符号を用いて示してある。この変形例の解決手段では、イオン化部2が、複数個の枝分かれした細長部材14を有する複数個の第1部材6を備え、これら枝分かれした細長部材は、図5及び8に示すものと同様な形状をし、第2部材7の各々の方を向いている。しかし、この変形例では、第2部材7は、第2部材の互いに平行な面7A、7Bにより、2個の第1部材6と作用し合っている。このことは、イオン化槽1の多角形体5の両端にある第2部材の各々の場合を除いて、明らかである。先に述べたように、第1部材6の各々は、負電圧であり、一方、第2部材の各々は、アース(又は接地)されており、すなわち、電源の正極に接続される。
【0050】
側面部材すなわち端部材8及び9に渡って背中合わせになって設けられる第1及び第2部材6及び7の場合には、第1及び第2部材間には、適切な絶縁体が設けられることは言うまでもない。
【0051】
全ての実施形態において、第1部材6と第2部材7との間の距離は、印加される電圧に応じて定められる。
【0052】
まさしく非限定的な例では、第1部材6は、6KVが印加されてよく、前記距離は、20mm乃至30mmの間でよい。第1部材の電圧(負電圧)、及び第1及び第2部材6及び7間の距離を調整すると、第1及び第2部材6及び7の表面を拡大するのと同様に、UFP又はNPと略称される固体粒子に対する印加効果を増加できる。さらに、電圧、距離及び面積拡大は、処理する空気量に応じて調節してもよく、処理する空気量は、1時間当たり数立方メートル(例えば、10m/h)から数万立方メートル(例えば、10×10/h乃至50×10/h)の範囲にもなる。
【0053】
第1及び第2部材6及び7、並びに細長部材14の材料は、それ自体公知である導電材料(例えば、銅)から選択され、同様に、端部材8及び9用の絶縁材についても、それ自体公知のタイプから選択される。
【0054】
イオン化槽1と共にイオン式空気清浄器100を構成する回収部3(図1、2及び11参照)に関しては、回収部は、イオン化部2(回収部3は、空気流の流れ方向において、イオン化槽1のイオン化部2の下流にある)から流出し、空気流中に存在する負に帯電した固体粒子を保有する空気流Foutを受け止めることができる形状と大きさとをしたプレート(又は管体)の集合体で構成される。
【0055】
回収部がプレートで構成される場合、回収部3のプレートの集合体は、2対以上のプレート30及び31を備え、各対の第1プレート30には正の電圧値が印加され、第2プレート31には、負の電圧値が印加されるか、又は接地(アース)されるか、若しくは、負でなく接地(アース)もされない状態(すなわち、中性点電位状態)にされる。したがって、各プレート対30及び31は、イオン化部から流出する空気流Fout用の通路33を画定し、通路内では、負に帯電した固体粒子が、第1プレート30(正電圧が印加)に引き付けられ、負電荷が印加された第2プレート31にはじかれるか、又は負でなく接地もされない状態(すなわち、中性点電位状態)にされたプレートからは、何らの影響も受けない。こうして、前記固体粒子は、それ自体公知のやり方で(必要に応じて)後工程で清掃される第1プレート30により回収される。
【0056】
図11には、第1プレート30に電力を供給し、第2プレート32に所望の適正電圧を印加する、電源35に回収部3を接続する例を図示してある。
【0057】
さらに、本発明のもう一つの観点によれば、回収部3には、複数個の適切な紫外線ランプを適所に設け、有機汚染物質(ウイルス、細菌、胞子、カビ、真菌等で構成される)が堆積している第1プレート30の表面を照射して、有機汚染物質を不活性化してもよい。こうすると、浄化済み空気流からUFP又はNPのような固体粒子を取り除くことができるだけでなく、浄化済み空気流から、不活性化されたウイルス、細菌、胞子、カビ、真菌等(感染させ、自己複製することもできない状態にある)も除去できる。
【0058】
したがって、イオン式空気清浄器100は、不活性な、又は生物学的に活性な微粒子で構成される固体粒子を、室内環境でcm当たり数十個又は数万個の以下の、又は煙突の煤塵及び内燃機関車両の排気ガスでは、cm当たり数十万個の以下の超微細サイズの固体粒子、又はナノ粒子ですら、空気をろ過浄化できる。
【0059】
こうしたことは、従来清浄器で用いられている方法とは異なるやり方で、煤煙中の及び排ガス中の高密度な微粒子、超微粒子又はナノ粒子を極めて効率的にイオン化できる本発明によるイオン化槽によりもたらされる。煤煙又は排ガスが、電子の激しい流れ中を通過した後でも、電子流の奥行を測定すること、したがって、固体粒子が、電子の激しい流れを通過するのに要する時間を知ることができ、固体粒子が負に帯電することを増加できる。この結果、これらの粒子が、イオン化槽3の正極となるプレート(又はパイプ)により生成される電界中を通過する際に、粒子を次々と捕捉するのが容易になる。
【0060】
高流量の煤煙又は排ガスが、高濃度の微粒子、超微粒子又はナノ粒子を含んでいると、イオン化槽内にある先端チップ18から飛び出る、高流量の電子流を用いる、極めて効率的なイオン化装置を利用する必要性が高まる。先端チップには、第2部材7に向かって適切な負電圧が印加される。第2部材には、適切な正電圧が印加されるか、又はアースされる。電子流の流路、すなわち、微粒子、超微粒子又はナノ粒子が、高流量の電子流中を流れる空間は、イオン化槽の奥行を、すなわち第1及び第2部材6及び7間の奥行を単に伸ばすことによって延長できる。
【0061】
本発明によるイオン化槽内では、複数個の連続した列になって多数のチップ18から放出され、負電圧で電力供給され、第2部材7の正電界で引き付けられる電子の数は、より一層増加する。さらに、電子流は、煤煙、排ガス又は室内環境の空気流に対して直交するように移動するので、これらの中にある固体粒子は、一層多くの電子流中を通過して、粒子の捕捉を容易化する大きな負の帯電にさらされるので、空気清浄器全体として、従来の解決手段を用いて得られる除去率に比べて、極めて高い除去率を得ることができる。特に、上述したように、煤煙及び排ガス内に、さらには、室内環境の空気内ですら、高密度で通常存在する、超微粒子及びナノ微粒子(寸法が、1nm乃至100nmである)に関して顕著である。
【0062】
本発明の幾つかの実施形態について説明した。しかしながら、上記説明に基づいて、他の多くの変形例を、特許請求の範囲に記載した本発明の保護範囲から逸脱することなく、案出できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
空気清浄器100は、室内環境にある空気を浄化し、又は煙突から排出される煤煙若しくは車両からの排気ガスを浄化するのに使用できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
各々の細長部材14が枝分かれした形状をするという特徴により、細長部材の各々から高流量の電子流が発生され、電子流は、チップの各々が突出する基部14Aの位置に対して、広範な通過領域10を占める。実際、細長部材は、第2部材7に向かって通路10内で領域の大部分を占めるように円錐状に拡開してもよい。これにより、第1部材6に接続された単一の基部14Aから高流量の電子が発生され、上述したイオン化槽2を備える清浄器により、UFP又はNPと略称される粒子に対してほぼ100%の除去性能をもたらすことができる。こうした性能は、従来技術、例えば、上述した先行特許文献に記載されたもので得ることが可能なものよりも著しく高い。本発明によるイオン化槽2では、固体粒子は、固体粒子が、コロナ放電により生成された電子雲を細長部材14のチップの周りを通過することによっては、イオン化されないが、固体粒子は、イオン化槽2の第1及び第2部材6及び7間を移動する電子流に衝突することによりイオン化される。これら枝分かれした細長部材14は、同じ列に、好ましくは、数個の連続した列に、適切に互い違いになった状態でもよいが、設けられることにより、通路10内で超高密度の負電荷流を放出するとよい。通路内では、公知のように自然又は強制対流により通路内に引き戻された空気が、移動する。例えば、大気の場合、空気は、清浄器を使用して処理するのに、m/hの流量に応じて(種々のタイプ又は大きさの)ファンにより通常移動される。空気流F内に存在する固体粒子に衝突する負電荷(電子)は、これら固体粒子を負にイオン化する。
【国際調査報告】