IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウィー テック ソリューションズ オーイーの特許一覧

特表2024-510037発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジンのための保護装置
<>
  • 特表-発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジンのための保護装置 図1
  • 特表-発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジンのための保護装置 図2
  • 特表-発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジンのための保護装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジンのための保護装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
H02P9/04 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557680
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 FI2022050170
(87)【国際公開番号】W WO2022195169
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21163484.5
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523356259
【氏名又は名称】ウィー テック ソリューションズ オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストルバッカ、マーテン
(72)【発明者】
【氏名】アルホ、ティモ
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590AB15
5H590CA09
5H590CA22
5H590CD01
5H590CD03
5H590CE03
5H590FC21
5H590FC26
5H590JB20
(57)【要約】
発明の保護装置は、サーキットブレーカ(5A、5B、5C)を備えた出力線(4A、4B 4C)を有する発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジン用である。保護装置は、各出力線(4A、4B 4C)用の熱抵抗バンク(8A、8B、8C)およびサーキットブレーカ(9A、9B、9C)を含む。サーキットブレーカ(9A、9B、9C)は、同じ出力線(4A、4B、4C)のサーキットブレーカ(5A、5B、5C)と並列に出力線に接続され、熱抵抗バンク(8A、8B、8C)は、出力線のサーキットブレーカを介して各出力線(4A、4B、4C)に接続可能である。保護装置は、サーキットブレーカを監視し、サーキットブレーカを制御するために、サーキットブレーカ及びサーキットブレーカへの接続を有する制御ユニット(11)を更に含む。少なくとも1つの出力線(4A、4B、4C)のサーキットブレーカ(5A、5B、5C)が開路に稼動する場合、制御ユニットは、熱抵抗バンク(8A、8B、8C)を出力線(4A、4B、4C)に接続するように出力線のサーキットブレーカ(9A、9B、9C)を制御するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーキットブレーカ(5A、5B、5C)を有する同期式又は非同期式の発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジンのための保護装置であって、
前記保護装置は、出力線(4A、4B、4C)の各々毎に熱抵抗バンク(8A、8B、8C)とサーキットブレーカ(9A、9B、9C)とを備え、サーキットブレーカは、同じ前記出力線(4A、4B、4C)の前記サーキットブレーカ(5A、5B、5C)と並列に出力線に接続され、前記熱抵抗バンク(8A、8B、8C)は、前記出力線の前記サーキットブレーカを介して、前記出力線(4A、4B、4C)の各々に接続可能であり、
前記保護装置は、前記サーキットブレーカを監視し、前記サーキットブレーカを制御するために、前記サーキットブレーカ及び前記サーキットブレーカへの接続部を有する制御ユニット(11)をさらに備え、
少なくとも1つの前記出力線(4A、4B 4C)の前記サーキットブレーカ(5A、5B、5C)が稼動して開く場合、前記制御ユニットが、前記熱抵抗バンク(8A、8B、8C)を前記出力線(4A、4B 4C)に接続するように前記出力線の前記サーキットブレーカ(9A、9B、9C)を制御するように配置される、ことを特徴とする保護装置。
【請求項2】
抵抗バンク(8A、8B、8C)は、前記出力線の三相システムの各々にデルタ接続又はスター接続で接続された3つの抵抗ユニットを有することを特徴とする、請求項1に記載の保護装置。
【請求項3】
3つの抵抗ユニット(8A、8B、8C)の各々が、並列または直列の1つまたは複数の抵抗を備えることを特徴とする、請求項2に記載の保護装置。
【請求項4】
前記抵抗バンク(8A、8B、8C)の抵抗値は、前記抵抗バンクが前記2ストロークエンジン(1)への燃料噴射をカットする時間及び前記2ストロークエンジンの残りの燃料を燃焼する時間を提供するために、少なくとも2秒間、前記2ストロークエンジン(1)に対して十分なカウンタトルクを供給するように設計されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の保護装置。
【請求項5】
前記制御ユニット(11)は、前記エンジン速度/負荷制御システム(15)との接続部(14)を有し、前記エンジン速度/負荷制御システムへ稼動/電気的故障状況を通信し、
前記サーキットブレーカを監視し、前記サーキットブレーカを制御するために、前記サーキットブレーカ及び前記サーキットブレーカへの接続部(12、13)を有し、
一つの、または複数の前記サーキットブレーカが稼動されるときに、前記出力線の前記サーキットブレーカ(9A、9B、9C)を制御して前記熱抵抗バンク(8A、8B、8C)を前記出力線(4A、4B 4C)に接続するように前記制御ユニットが配置され、本発明の前記制御ユニット(11)が、一つの、または複数の稼動動作からの情報を受信することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の保護装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記稼動/電気的故障状況を他のコントローラ/システムに通信するために、前記他のコントローラ/システムに接続可能にさらに構成されることを特徴とする、請求項6に記載の保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジンの保護装置に関する。発電機は同期または非同期が可能である。
【背景技術】
【0002】
2ストローク内燃エンジンのようなエンジンは、発電機を機関に接続して電力生成に使用される。発電機は、それがエンジンの主/プロペラシャフトの周りにあれば、いわゆる軸発電機、または例えばエンジンのフライホイールに接続することができる他のタイプの発電機とすることができる。更に、発電機を磁化させるために、発電機は永久磁石発電機又は別個の電圧調整制御システム(小型発電機用の「AVR」及びより大きなユニット用の「静止励磁機」と呼ばれる)を有する発電機とすることができる。エンジンと軸発電機の組み合わせは、発電機セットと呼ばれることがよくある。
【0003】
実際には、エンジン制御システムや保護システムなど、他の装置もエンジンと共に使用される(多くの場合、原動機と呼ばれる)。
【0004】
上述のように、内燃エンジンに接続された発電機は、発電に使用される。それらは発電所や船舶で使用される。船舶では、内燃エンジンはまた、船舶の推進システムに接続されてもよく、この場合、船舶の推進および電力グリッドのための動力を生成する。ただし、船舶に発電機を備えた機関は、発電のみに使用することができる。
【0005】
4ストローク機関(4ストローク内燃エンジン)と2ストローク機関(2ストローク内燃エンジン)が動力生成に用いられている。これらのエンジンには、さまざまな燃料を使用する能力がある。
【0006】
発電機は、定速運転する場合にサーキットブレーカを介して船舶の電力グリッドに接続される。また、可変速度で動作する場合は、可変周波数ドライブ(VFD) (周波数トランス)とサーキットブレーカを介する。そのため、(主軸/プロペラ軸の周りの軸発電機のような)発電機は、動力の一部を電力形式に変換し、船舶の電力グリッドに接続された負荷に使用することができる。発電機は、船舶および陸上の両方で、グリッドの負荷状況、したがって内燃エンジンでの発電量が変化する場合に使用するのに特に適している。
【0007】
発電機とエンジンの組み合わせは、故障事例に対する保護および制御システムを有するので、通常、良好に機能する。しかし、保護システムがそれほど効率的に機能しない状況が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、発電機に接続されて動力を供給する2ストローク内燃エンジンの保護を改善することである。より正確には、本発明は、2ストロークエンジンの過速度を防止する独立した過速度保護装置である。状況によっては、2ストロークエンジンが速度超過する可能性があることが知られている。2ストロークエンジンが発電ユニットとして運転されているとき、すなわち、負荷として発電機のみを有しており、発電機(したがって、エンジンも)が電力グリッドに電力を供給しないように稼動されているとき、2ストロークエンジンは速度超過になることがある。目的は、独立請求項に記載された方法で達成される。従属請求項は、本発明の異なる実施形態を説明する。
【0009】
発明の保護装置は、サーキットブレーカ5A、5B、5Cを備えた出力線4A、4B、4Cを有する発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジン用である。この保護装置は、各出力線4A、4B、4Cに対して、熱抵抗バンク8A、8B、8Cと、サーキットブレーカ9A、9B、9Cを含む。このサーキットブレーカ9A、9B、9Cは、同じ出力線4A、4B、4Cのサーキットブレーカ5A、5B、5Cと並列に出力線に接続され、熱抵抗バンク8A、8B、8Cは、出力線のサーキットブレーカを介して各出力線4A、4B、4Cに接続可能になっている。
【0010】
保護装置は、サーキットブレーカを監視し、サーキットブレーカを制御するために、サーキットブレーカ及びサーキットブレーカへの接続を有する制御ユニット11を更に含む。少なくとも1つの出力線4A、4B、4Cのうちのサーキットブレーカ5A、5B、5Cが開路するように稼動された場合、制御ユニットは、熱抵抗バンク8A、8B、8Cを出力線4A、4B、4Cに接続するように出力線のサーキットブレーカ9A、9B、9Cを制御するように配置される。
【0011】
したがって、発明のシステムは、例えばブレーカの稼動により電力負荷のかなりの部分が瞬間的に切断される場合に、2ストロークエンジンが過速度になるのを防止するように設計される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明による保護装置の概略例を示す。
図2図2は、抵抗バンクが発電機速度の機能としてカウンタトルクを与える様子を示す。
図3図3は、2ストロークエンジンが全負荷で全速力運転される場合の抵抗バンクの起動例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明による保護装置の概略例を示す。図1は装置の従来とは異なる部分を模式的に示しているだけであり、実際の解決手段はより複雑な構造を有している可能性があることに留意されたい。概略図は、本発明を表現する目的でより良いものが選択されている。
【0014】
発明の保護装置は、サーキットブレーカ5A、5B、5Cを備えた出力線4A、4B、4Cを有する発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジン用である。発電機は、同期発電機または非同期発電機を使用できる。この保護装置は、各出力線4A、4B、4Cに対して、熱抵抗バンク8A、8B、8Cと、サーキットブレーカ9A、9B、9Cを含む。サーキットブレーカ9A、9B、9Cは、同じ出力線4A、4B 4Cのサーキットブレーカ5A、5B、5Cと並列に出力線に接続され、熱抵抗バンク8A、8B、8Cは、出力線のサーキットブレーカを介して各出力線4A、4B 4Cに接続可能である。
【0015】
エンジン1のメイン/プロペラシャフト3には、発電機2以外の負荷はない。したがって、2ストロークエンジン1の負荷の大部分は、電力負荷である(軽微な部分は、エンジン1および発電機2の機械的摩擦および回転質量である)。
【0016】
軸発電機の実施形態の場合、実施形態はまた、歯車装置、例えば、ステップアップ歯車又は遊星歯車を含むことができる。このような実施形態は、発電機の速度を上げ、トルクを下げ、結果的に発電機のサイズを小さくするために使用することができる。
【0017】
保護装置は、サーキットブレーカを監視し、サーキットブレーカを制御するために、サーキットブレーカ及びサーキットブレーカへの接続部12、13を有する制御ユニット11を更に備える。少なくとも1つの出力線4A、4B、4Cのうちのサーキットブレーカ5A、5B、5Cが開路するように稼動される場合、制御ユニットは、熱抵抗バンク8A、8B、8Cを出力線4A、4B、4Cに接続するように出力線のサーキットブレーカ9A、9B、9Cを制御するように配置される。
【0018】
サーキットブレーカ5A、5B、5Cは、周波数変圧器6A、6B、6Cと関連しており、これらはそのような発明の一部ではない。図からわかるように、各出力線4A、4B、4Cは、それ自身の周波数変成器を有する。図1は、1つの線4A、4B、4Cが3相について実際に線を意味する3重三相システムを説明することができ、これもまた、3重三相システムを説明するための一般的な方法である。
【0019】
異なる実施形態は、発電機からの2つ以上の並列3相出力線を有することができる。より小さいシステムは、単一の3相システムのみを有することができ、一方、より大きいシステムは、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の並列3相システムを有することができる(すなわち、発電機は、単一、二重、三重、四重またはそれ以上の巻線構成で構築される)。
【0020】
周波数変圧器の出力線7A、7B、7Cは、例えば、船舶の電力分配システムや、例えば配電用の陸上の任意の他の電力分配システムのような、システムの主回路ブレーカボードに接続される。
【0021】
本発明による前記保護装置として、熱抵抗バンク8A、8B、8Cと、各出力線用のサーキットブレーカ9A、9B、9Cとを備える。各サーキットブレーカは、同じ出力線のサーキットブレーカと並列にそれぞれの出力線10A、10B、10Cに接続され、熱抵抗バンク8A、8B、8Cは、出力線のサーキットブレーカを介して各出力線に接続可能である。したがって、各三相出力のための熱抵抗バンクは、デルタ接続またはスター接続することができる3つの抵抗ユニット8A、8B、8Cを有する。言い換えると、各三相出力線にはデルタ接続またはスター接続のいずれかに接続された三相抵抗バンクがある。
【0022】
エンジンコントローラや保護リレーシステムのように、発電機を保護するための異なる装置や、2ストロークエンジンの速度/負荷を制御するための異なる装置があることに言及する価値がある。本発明は、エンジンを過速度から保護するための別のシステムである。
【0023】
エンジン速度/負荷制御システムは、速度と負荷の機能として正しい量の燃料を噴射すると同時に、エンジン速度を維持し、結果的に負荷を安定させるタスクを実行する。更に、エンジン速度/負荷制御システムは、パラメータ化されたトリガー点で燃料噴射をカットする一次過速度保護機能も組み込んでいる。本発明は、独立したシステムである二次過速度保護システムを提供し、一次過速度システムが反応しなかった場合に本発明が作動する。このような状況は、何らかの理由でサーキットブレーカが作動した場合に発生することがある。制御ユニットは、エンジン速度/負荷制御システムとの接続部を有し、稼動/電気的故障状況をエンジン速度/負荷制御システムに伝達する。
【0024】
本発明は、燃料噴射をカットするためにエンジン速度/負荷制御システムに(すなわち本発明以外のシステムに)情報を提供し、また、抵抗バンクからシステムにトルクを誘起することによってエンジンが過回転するのを防止しながら、エンジンに残った燃料を燃焼させる時間を提供する。
【0025】
制御ユニット11は、さらに、前記稼動/電気的故障状況を他の制御装置/システムに通信するために、(周波数変圧器制御装置のような)他の制御装置/システムに接続可能なように構成することができる。さらに、制御ユニットは、前記エンジン速度/負荷制御システム及び他のコントローラ/システムから情報を受信することができる。
【0026】
注目に値するように、本発明は、多くの構成要素および装置を有するシステムで使用される。システムにおいて起こり得る故障モード及び故障効果を識別するために、発明のシステムは独立して作用するが、前記エンジン速度/負荷制御システム及び他のコントローラとして、本発明を他の装置に接続することができる。そのため、故障モード影響解析(FMEA)が可能である。従って、例えば故障及び他の有害な又は危険な状況において一つの、または複数のサーキットブレーカが稼動されると、本発明の制御ユニット11は一つの、または複数の稼動動作から情報を受信し、出力線のサーキットブレーカ9A、9B、9Cを制御して熱抵抗バンク8A、8B、8Cを一つの、または複数の稼動動作に応答として各出力線に接続する。各抵抗バンクは、デルタ接続またはスター接続のいずれかで発電機相間に接続された3つの抵抗/ 抵抗構造で構成される。
【0027】
熱抵抗バンクの抵抗値は、熱抵抗バンク8A、8B、8Cが、2ストロークエンジン1への燃料注入をカットするために、エンジン速度/負荷制御システムに時間を与え、また、2ストロークエンジン1に残っている燃料を燃焼する時間を与えるために、2ストロークエンジン1に十分なカウンタトルクを、少なくとも2秒間供給するように設計されている。
【0028】
図1に示すように、サーキットブレーカと制御及び保護システム11との間の接続部12を明確にするために、サーキットブレーカと制御及び保護システム11との間の接続部13は、1つの出力線4A、すなわちサーキットブレーカ5A及びサーキットブレーカ9Aに対して示されている。他の出力線についての同様の接続部は、短い破線を使用して図示されている。
【0029】
制御ユニット11を概略的に示す。実用的な実施形態に応じて、1つの実体または分散された実体とすることができる。
【0030】
抵抗バンクの熱抵抗は発電機の出力線に利用されるので、抵抗は、著しい電力負荷低減状況の場合にのみ接続される。抵抗は、それらによって供給されるカウンタトルクが、妥当な時間、例えば少なくとも2秒間(例えば、2~3秒間)の2ストロークエンジンの速度上昇を制限するように設計され、その結果、エンジン制御システムは、燃料噴射をカットするのに十分な時間を有し、エンジンは、過度の速度を過ぎることなく、残りの燃料を燃焼することができる。
【0031】
図2は、熱抵抗バンク8A、8B、8Cによってもたらされる発電機速度及びカウンタトルクの機能を示す。この例では、周波数変圧器システム(1つの周波数変圧器システムは、軸発電機当たりの全電力の1/3である)の定格電力は3MWであり、抵抗バンクの定格電力は、その33%、すなわち約1MWである。
【0032】
発明の過速度保護システムによって誘発される全体的なカウンタトルクは、少なくとも1つのサーキットブレーカの稼動前の電力グリッドの負荷状況に依存しない。電力グリッドは、船舶グリッドまたは陸上の発電所に接続されたグリッドとすることができる。抵抗バンクの電力は、電力および速度の機能である発電機トルクにのみ依存するので、発電機トルクは、抵抗バンクがどの程度カウンタトルクをエンジンに誘導するかを規定している。
【0033】
図3は、発電機の速度と負荷(電力グリッドの負荷)が定格値である例を示している。つまり、エンジンは発電機の定格速度(フルスピード)で運転されており、グリッドの負荷はフルになっている。
【0034】
1秒で、電力負荷状況の稼動が起こる。すなわち、何らかの理由で1、2または3つの周波数変圧器システムのいずれかがドロップアウトし、短い反応時間の後、過速度保護システムが2秒間作動する。すなわち、サーキットブレーカ9A、9Bおよび9Cが、抵抗バンクを出力線に接続するために2秒間閉鎖される。2秒後にサーキットブレーカが開く。線31は、1つの周波数変圧器システムが稼動している状況を示す。線32は、2つの周波数変圧器システムが稼動している状況を示す。線33は、3つの周波数変圧器システムが稼動している状況を示す。注目すべきことであるが、発電機のトルクは、3秒後にシステムに残っている負荷レベルまで低下し、このレベルは、稼動状態、すなわちゼロ、1つまたは2つの周波数変圧器システムがオンラインのままになっている後にどれだけの電力負荷が残っているかに依存する。図3の例は、単に例示であることに留意されたい。船舶の電力分配システムにおいて、残りの電力負荷は、船上での実際の消費にも依存する。制御システム11は、発電機システムへのトルク誘導を平滑化するために、サーキットブレーカ9A、9B、及び9Cの投入時間を順序付けることができ、又は順序付けしない。これは、エンジンの燃料噴射が終了し、残りの燃料がエンジンで燃焼したことによる。
【0035】
1つの周波数変圧器システムがドロップアウトしてから過速度保護システムが起動するまでの反応時間中は、他の2つの周波数変圧器システムが1つの周波数変圧器システムの損失を補う可能性があるため、発電機の負荷がまったく変化していない。(オンラインとなっている残りの2番目/3番目のものが、1/3の負荷を拾うことを想定している)。状況に気づくことで、エンジンスピード/負荷コントローラがこれに反応する場合がある。この場合、抵抗バンクは使用されないので、不要である。これにより、グリッドはできるだけ安定した状態に保たれる。
【0036】
注目に値するように、発電システムは、可変速度および可変負荷で動作することができる。
【0037】
本発明は、2ストロークエンジン、及び2ストロークエンジンに接続された発電機を有する発電機セット装置に対して、信頼性のある追加の過速度保護を提供する。上記の例は、軸発電機および2ストロークエンジンの一定の出力に対して設計されているが、他の設計スケールを使用することもできることは明らかである。
【0038】
以上のことから、本発明は、本文に記載した実施の形態に限定されるものではなく、独立請求項の範囲において、他の多くの異なる実施の形態で実施することができることは明らかである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジンの保護装置に関する。発電機は同期または非同期することができる
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
2ストローク内燃エンジンのようなエンジンは、発電機を機関に接続して電力生成に使用される。発電機は、それがエンジンの主/プロペラシャフトの周りにあれば、いわゆる軸発電機、または例えばエンジンのフライホイールに接続することができる他のタイプの発電機とすることができる。更に、発電機を磁化させるために、発電機は永久磁石発電機又は別個の電圧調整制御システム(小型発電機用の「AVR」及びより大きなユニット用の「静止励磁機」と呼ばれる)を有する発電機とすることができる。エンジンと発電機の組み合わせは、発電機セットと呼ばれることがよくある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
発明の保護装置は、第1のサーキットブレーカ5A、5B、5Cを備えた出力線4A、4B、4Cを有する発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジン用である。この保護装置は、各出力線4A、4B、4Cに対して、熱抵抗バンク8A、8B、8Cと、第2のサーキットブレーカ9A、9B、9Cを含む。この第2のサーキットブレーカ9A、9B、9Cは、前記発電機と第1のサーキットブレーカ5A、5B、5Cとの間で、同じ出力線4A、4B、4Cの前記第1のサーキットブレーカ5A、5B、5Cと共に出力線に接続され、熱抵抗バンク8A、8B、8Cは、出力線の第2のサーキットブレーカを介して各出力線4A、4B、4Cに接続可能になっている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
保護装置は、第1のサーキットブレーカを監視し、第2のサーキットブレーカを制御するために、第1のサーキットブレーカ及び第2のサーキットブレーカへの接続を有する制御ユニット11を更に含む。少なくとも1つの出力線4A、4B、4Cのうちの第1のサーキットブレーカ5A、5B、5Cが開路するように稼動された場合、制御ユニットは、熱抵抗バンク8A、8B、8Cを出力線4A、4B、4Cに接続するように出力線の第2のサーキットブレーカ9A、9B、9Cを制御するように配置される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
発明の保護装置は、第1のサーキットブレーカ5A、5B、5Cを備えた出力線4A、4B、4Cを有する発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジン用である。発電機は、同期発電機または非同期発電機を使用できる。この保護装置は、各出力線4A、4B、4Cに対して、熱抵抗バンク8A、8B、8Cと、第2のサーキットブレーカ9A、9B、9Cを含む。第2のサーキットブレーカ9A、9B、9Cは、同じ出力線4A、4B 4Cの第1のサーキットブレーカ5A、5B、5Cと並列に出力線に接続され、熱抵抗バンク8A、8B、8Cは、出力線の第2のサーキットブレーカを介して各出力線4A、4B 4Cに接続可能である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
保護装置は、第1のサーキットブレーカを監視し、第2のサーキットブレーカを制御するために、第1のサーキットブレーカ及び第2のサーキットブレーカへの接続部12、13を有する制御ユニット11を更に備える。少なくとも1つの出力線4A、4B、4Cのうちの第1のサーキットブレーカ5A、5B、5Cが開路するように稼動される場合、制御ユニットは、熱抵抗バンク8A、8B、8Cを出力線4A、4B、4Cに接続するように出力線の第2のサーキットブレーカ9A、9B、9Cを制御するように配置される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
第1のサーキットブレーカ5A、5B、5Cは、周波数変圧器6A、6B、6Cと関連しており、これらはそのような発明の一部ではない。図からわかるように、各出力線4A、4B、4Cは、それ自身の周波数変成器を有する。図1は、1つの線4A、4B、4Cが3相について実際に線を意味する3重三相システムを説明することができ、これもまた、3重三相システムを説明するための一般的な方法である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明による前記保護装置として、熱抵抗バンク8A、8B、8Cと、各出力線用の第2のサーキットブレーカ9A、9B、9Cとを備える。各第2のサーキットブレーカは、同じ出力線の第1のサーキットブレーカと並列にそれぞれの出力線10A、10B、10Cに接続され、熱抵抗バンク8A、8B、8Cは、出力線の第2のサーキットブレーカを介して各出力線に接続可能である。したがって、各三相出力のための熱抵抗バンクは、デルタ接続またはスター接続することができる3つの抵抗ユニット8A、8B、8Cを有する。言い換えると、各三相出力線にはデルタ接続またはスター接続のいずれかに接続された三相抵抗バンクがある。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
エンジン速度/負荷制御システムは、速度と負荷の機能として正しい量の燃料を噴射すると同時に、エンジン速度を維持し、結果的に負荷を安定させるタスクを実行する。更に、エンジン速度/負荷制御システムは、パラメータ化されたトリガー点で燃料噴射をカットする一次過速度保護機能も組み込んでいる。本発明は、独立したシステムである二次過速度保護システムを提供し、一次過速度システムが反応しなかった場合に本発明が作動する。このような状況は、何らかの理由で第1のサーキットブレーカが作動した場合に発生することがある。制御ユニットは、エンジン速度/負荷制御システムとの接続部を有し、稼動/電気的故障状況をエンジン速度/負荷制御システムに伝達する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
注目に値するように、本発明は、多くの構成要素および装置を有するシステムで使用される。システムにおいて起こり得る故障モード及び故障効果を識別するために、発明のシステムは独立して作用するが、前記エンジン速度/負荷制御システム及び他のコントローラとして、本発明を他の装置に接続することができる。そのため、故障モード影響解析(FMEA)が可能である。従って、例えば故障及び他の有害な又は危険な状況において一つの、または複数のサーキットブレーカが稼動されると、本発明の制御ユニット11は一つの、または複数の稼動動作から情報を受信し、出力線の第2のサーキットブレーカ9A、9B、9Cを制御して熱抵抗バンク8A、8B、8Cを一つの、または複数の稼動動作に応答として各出力線に接続する。各抵抗バンクは、デルタ接続またはスター接続のいずれかで発電機相間に接続された3つの抵抗/ 抵抗構造で構成される。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
図1に示すように、第1のサーキットブレーカと制御及び保護システム11との間の接続部12を明確にするために、第2のサーキットブレーカと制御及び保護システム11との間の接続部13は、1つの出力線4A、すなわち第1のサーキットブレーカ5A及び第2のサーキットブレーカ9Aに対して示されている。他の出力線についての同様の接続部は、短い破線を使用して図示されている。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
1秒で、電力負荷状況の稼動が起こる。すなわち、何らかの理由で1、2または3つの周波数変圧器システムのいずれかがドロップアウトし、短い反応時間の後、過速度保護システムが2秒間作動する。すなわち、第2のサーキットブレーカ9A、9Bおよび9Cが、抵抗バンクを出力線に接続するために2秒間閉鎖される。2秒後に第2のサーキットブレーカが開く。線31は、1つの周波数変圧器システムが稼動している状況を示す。線32は、2つの周波数変圧器システムが稼動している状況を示す。線33は、3つの周波数変圧器システムが稼動している状況を示す。注目すべきことであるが、発電機のトルクは、3秒後にシステムに残っている負荷レベルまで低下し、このレベルは、稼動状態、すなわちゼロ、1つまたは2つの周波数変圧器システムがオンラインのままになっている後にどれだけの電力負荷が残っているかに依存する。図3の例は、単に例示であることに留意されたい。船舶の電力分配システムにおいて、残りの電力負荷は、船上での実際の消費にも依存する。制御システム11は、発電機システムへのトルク誘導を平滑化するために、第2のサーキットブレーカ9A、9B、及び9Cの投入時間を順序付けることができ、又は順序付けしない。これは、エンジンの燃料噴射が終了し、残りの燃料がエンジンで燃焼したことによる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサーキットブレーカ(5A、5B、5C)を有する同期式又は非同期式の発電機に動力を供給する2ストローク内燃エンジン(1)の保護装置であって、前記保護装置が過速度保護機能を有するエンジン速度/負荷制御システム(15)を備え、
前記保護装置は、出力線(4A、4B、4C)の各々毎に熱抵抗バンク(8A、8B、8C)と第2のサーキットブレーカ(9A、9B、9C)とを含む補助過速度保護システムをさらに備え、第2のサーキットブレーカは、前記発電機と第1のサーキットブレーカとの間で、同じ前記出力線(4A、4B、4C)の前記第1のサーキットブレーカ(5A、5B、5C)と共に出力線に接続され、前記熱抵抗バンク(8A、8B、8C)は、前記出力線の前記第2のサーキットブレーカを介して、前記出力線(4A、4B、4C)の各々に接続可能であり、
前記補助過速度保護システムは、前記第1のサーキットブレーカを監視し、前記第2のサーキットブレーカを制御するために、前記第1のサーキットブレーカ及び前記第2のサーキットブレーカへの接続部と前記エンジン速度/負荷制御システム(15)との接続部とを有する制御ユニット(11)をさらに備え、
少なくとも1つの前記出力線(4A、4B 4C)の前記第1のサーキットブレーカ(5A、5B、5C)が稼動して開く場合、前記制御ユニット(11)が、前記熱抵抗バンク(8A、8B、8C)を前記出力線(4A、4B 4C)に接続するように前記出力線の前記第2のサーキットブレーカ(9A、9B、9C)を制御するように配置される、ことを特徴とする保護装置。
【請求項2】
前記熱抵抗バンク(8A、8B、8C)は、前記出力線の三相システムの各々にデルタ接続又はスター接続で接続された3つの抵抗ユニットを有することを特徴とする、請求項1に記載の保護装置。
【請求項3】
前記3つの抵抗ユニットの各々が、並列または直列の1つまたは複数の抵抗を備えることを特徴とする、請求項2に記載の保護装置。
【請求項4】
前記抵抗バンク(8A、8B、8C)の抵抗値は、前記熱抵抗バンク(8A、8B、8C)が前記2ストローク内燃エンジン(1)への燃料噴射をカットする時間及び前記2ストローク内燃エンジン(1)の残りの燃料を燃焼する時間を提供するために、少なくとも2秒間、前記2ストローク内燃エンジン(1)に対して十分なカウンタトルクを供給するように設計されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の保護装置。
【請求項5】
前記制御ユニット(11)は、前記エンジン速度/負荷制御システム(15)との接続部(14)を有し、前記エンジン速度/負荷制御システムへ稼動/電気的故障状況を通信し、
前記第1のサーキットブレーカを監視し、前記第2のサーキットブレーカを制御するために、前記第1のサーキットブレーカ及び前記第2のサーキットブレーカへの接続部(12、13)を有し、
一つの、または複数の前記第1のサーキットブレーカが稼動されるときに、前記出力線の前記第2のサーキットブレーカ(9A、9B、9C)を制御して前記熱抵抗バンク(8A、8B、8C)を前記出力線(4A、4B 4C)に接続するように前記制御ユニット(11)が配置され、前記制御ユニット(11)が、一つの、または複数の稼動動作からの情報を受信することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の保護装置。
【請求項6】
前記制御ユニット(11)は、前記稼動/電気的故障状況を他のコントローラ/システムに通信するために、前記他のコントローラ/システムに接続可能にさらに構成されることを特徴とする、請求項に記載の保護装置。
【国際調査報告】