(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】折り畳み可能代替心臓弁のためのデバイス、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022564777
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 US2021038886
(87)【国際公開番号】W WO2021217155
(87)【国際公開日】2021-10-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522415922
【氏名又は名称】リバルブ ソリューションズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】サンズ ジュリー ローガン
(72)【発明者】
【氏名】ペリー ケネス ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】ウルフマン エドワード イアン
(72)【発明者】
【氏名】アーレンス フィリップ アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC04
4C097CC12
4C097DD01
4C097DD09
4C097DD10
4C097DD14
4C097EE11
4C097FF12
4C097SB02
4C097SB03
(57)【要約】
本明細書に開示するのは、流入端と流出端とを備える管状編組フレームを備え、かつ流入端から垂直に離れるように延びる1又は2以上の交連ポストを備える代替心臓弁システムのためのシステム及び方法である。弁システムは、小葉アセンブリを更に備え、小葉アセンブリは、少なくとも1つの弁小葉を備え、少なくとも1つの小葉は、流入端と、流出端と、流入端から水平に離れるように延びる1又は2以上の交連タブとを備え、少なくとも1つの小葉の1又は2以上の交連タブは、管状編組フレームの1又は2以上の交連ポストに接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
代替心臓弁システムであって、
流入端と流出端とを備える管状編組フレームと、
流入端と、流出端と、該流入端から水平に離れるように延びる1又は2以上の交連タブとを有する少なくとも1つの弁小葉を備える小葉アセンブリと、を備え、
前記少なくとも1つの小葉の前記1又は2以上の交連タブは、前記管状編組フレームの前記流入端に接続されている、
ことを特徴とする代替心臓弁システム。
【請求項2】
前記管状編組フレームは、前記流入端から垂直に離れるように延びる1又は2以上の交連ポストを更に備え、
前記少なくとも1つの小葉の前記1又は2以上の交連タブは、前記管状編組フレームの前記1又は2以上の交連ポストに接続される、
請求項1に記載の代替心臓弁システム。
【請求項3】
前記管状編組フレームは、前記流入端及び前記流出端の一方又は両方の上に1又は2以上のループ構造を更に備えている、
請求項1に記載の代替心臓弁システム。
【請求項4】
前記管状編組フレームは、前記1又は2以上の交連ポスト内に1又は2以上のループ構造を更に備えている、
請求項2に記載の代替心臓弁システム。
【請求項5】
前記管状編組フレームは、前記流入端及び流出端の一方又は両方から水平に離れるように延びる1又は2以上のワイヤコイルを更に備えている、
請求項1に記載の代替心臓弁システム。
【請求項6】
前記管状編組フレームは、1又は2以上のワイヤの編組であり、
前記1又は2以上のワイヤの前記編組は、ジグザグ編組又は上下編組のいずれかであり、
前記1又は2以上のワイヤは、ニチノールワイヤ、ステンレス鋼、コバルトクロム、及びナイロンの1つから構成されている、
請求項1に記載の代替心臓弁システム。
【請求項7】
前記管状編組フレームの前記流入端及び前記流出端の一方又は両方に沿ってカフを更に備え、
前記カフは、前記管状編組フレームの内側又は外側のいずれかに位置決めされる、
請求項1に記載の代替心臓弁システム。
【請求項8】
前記管状編組フレームの前記流入端及び前記流出端の一方又は両方に沿ってスカートを更に備えている、
請求項1に記載の代替心臓弁システム。
【請求項9】
前記小葉アセンブリは、2又は3以上の弁小葉を備え、
前記2又は3以上の小葉の前記1又は2以上の交連タブは接続され、
前記2又は3以上の弁小葉の前記流出端は、接続されてy字形状を形成する、
請求項1に記載の代替心臓弁システム。
【請求項10】
前記接続された1又は2以上の交連タブ及び前記2又は3以上の弁小葉の前記接続された流出端は、縫合、融合、及び縫合の1又は2以上によって接続されている、
請求項9に記載の代替心臓弁システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの弁小葉は動物組織及びポリマーの一方又は両方で作られている、
請求項1に記載の代替心臓弁システム。
【請求項12】
1又は2以上の列の縫い目が、前記小葉アセンブリを前記管状編組フレームに接続し、
前記1又は2以上の列の縫い目は、前記管状編組フレームの前記流入端に沿って、該管状編組フレームの前記流出端に沿って、及び該管状編組フレームの該流入端及び流出端間での1又は2以上に従って周方向に位置決めされている、
請求項1に記載の代替心臓弁システム。
【請求項13】
流入端と流出端とを備える管状編組フレームと、
流入端と、流出端と、該流入端から水平に離れるように延びる1又は2以上の交連タブとを備える少なくとも1つの弁小葉を備える小葉アセンブリと、を備える代替心臓弁システムを調製する方法であって、
前記少なくとも1つの小葉の前記1又は2以上の交連タブを前記管状編組フレームの前記流入端に接続する段階、
を特徴とする方法。
【請求項14】
前記管状編組フレームは、前記流入端から垂直に離れるように延びる1又は2以上の交連ポストを更に備え、方法が、
前記少なくとも1つの小葉の前記1又は2以上の交連タブを前記管状編組フレームの前記1又は2以上の交連ポストに接続する段階、
を更に備えている、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記管状編組フレームは、前記流入端及び前記流出端の一方又は両方の上に1又は2以上のループ構造を更に備えている、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記管状編組フレームは、前記1又は2以上の交連ポスト内に1又は2以上のループ構造を更に備えている、
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記管状編組フレームは、前記流入端及び流出端の一方又は両方から水平に離れるように延びる1又は2以上のワイヤコイルを更に備えている、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記管状編組フレームは、1又は2以上のワイヤの編組であり、
前記1又は2以上のワイヤの前記編組は、ジグザグ編組又は上下編組のいずれかであり、
前記1又は2以上のワイヤは、ニチノールワイヤ、ステンレス鋼、コバルトクロム、及びナイロンの1つから構成される、
請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記管状編組フレームの前記流入端及び前記流出端の一方又は両方に沿ってカフを接続する段階を更に備え、
前記カフは、前記管状編組フレームの内側又は外側のいずれかに接続される、
請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記管状編組フレームの前記流入端及び前記流出端の一方又は両方に沿ってスカートを接続する段階を更に備えている、
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、以下の文献の全ての内容が、それらの全体が列挙されるかのようにこの引用によって本明細書に組み込まれ、かつそれらに対して優先権及び利益が主張される2020年4月24日出願の「迅速に埋込可能及び置換可能な心臓弁に関するデバイス、システム、及び方法(Devices,Systems and Methods Relating To Quickly Implantable and Replaceable Heart Valves)」という名称の米国仮特許出願第63/015,353号に対する利益を主張し、かつ2020年5月15日出願の「折り畳み可能及び展開可能な代替心臓弁のためのデバイス、システム、及び方法(Devices,Systems,and Methods For a Collapsible and Expandable Replacement Heart Valve)」という名称の米国仮特許出願第63/025,881号に対する利益を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、一般的に代替心臓弁技術に関連し、より具体的には、高度に可撓性、弾力性、格納可能、かつ置換可能である折り畳み可能及び展開可能な心臓弁アセンブリのためのデバイス、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
全心臓切開手術のような心臓弁医療介入は、血液が心臓を通って適正に流れることを保つように協働する4つの心臓弁の1又は2以上の疾患を治療するのに頻繁に必要とされる。心臓弁の置換及び/又は修復は、弁が「漏れやすい」時(例えば、僧帽弁逆流がある)又は弁が狭くなって適正に開かない時(例えば、僧帽弁狭窄)に頻繁に必要とされる。典型的には、僧帽弁置換のような心臓弁置換は、代替的、機械的、及び/又は組織(生体)弁による心臓の元の(生来の)弁の置換を伴う。
【0004】
弁及び/又はそれらを担持するフレームの置換による共通の問題は、弁小葉(弁状構造)の劣化、特にレーザ切断ニチノールフレームによるフレームの破損又は障害、及び自然弁輪のサイズの望ましくない変化を備える。代替心臓弁は、それらが移植された後に追加の問題を呈する。例えば、代替弁は、それが心臓内の望ましい場所に置かれた後に移動又は移行する場合があり、又はその場所は、送出中に血液の適正な方向の流れを許さない場合がある。代替弁はまた、容易に取り出し可能ではなく、最も多くの場合にその理由は、そのような取り出しが周囲の心臓組織を損傷する可能性があるからである。これは、例えば、代替弁が、それが自然心臓に移植された時に適正かつ正確に定位置に置かれなかった場合に、並びに代替弁が初期移植の何年後かに発生する場合がある故障し始める時に特に問題である可能性がある。追加の問題は、典型的な代替弁、特にレーザ切断弁フレームは、比較的硬くて柔軟性がなく、ポンピングしている心臓の動的移動と共に撓まない弁をもたらすことである。そのような非柔軟な弁は、そのような動的移動に適合せず、これは、移植中又はその後に心臓面に外傷を引き起こし、フレーム自体に破損を引き起こし、他に問題を引き起こすか又はそれを悪化させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すなわち、必要なものは、心臓内の望ましい場所の中へのコンパクトかつ確実な送出とカテーテルを通じてなどで移植されている又は取り出されている時の心臓弁の展開及び格納の簡便な制御とを可能にする代替心臓弁のためのデバイス、システム、及び方法である。そのような代替心臓弁は、心臓の動的移動に整合する、適合する、又は他にそれを妨害しないように妥当な可撓性を提供しなければならない。同じくそれは、置換手順中に及びその後に心臓を通る適正な方向の血流を保証しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下は、本発明の開示の一部の実施形態の基本的な理解を提供するために例示的実施形態の簡単な概要を提示するものである。この概要は、例示的実施形態の広範な概要ではない。それは、例示的実施形態の重要な又は決定的な要素を識別するようにも又は添付の特許請求の範囲を説明するようにも意図していない。その唯一の目的は、本明細書で以下に提示するより詳細な説明への導入として簡単な形態で例示的実施形態の一部の概念を提示することである。以下の全体説明とそれに続く詳細説明との両方は、単に例示的かつ説明的であり、限定的ではないことは理解されるものとする。
【0007】
本発明の開示は、高度に可撓性、弾力性、格納可能、及び置換可能である折り畳み可能な代替心臓弁アセンブリのためのデバイス、システム、及び方法に関する。本明細書に開示するように、弁アセンブリは、再発性僧帽弁逆流のような問題が生じた場合に移植の何年か後に置換される機能を有する。
【0008】
好ましい実施形態では、心臓弁システムは、流入端と流出端とを備える管状編組フレームを備えることができる。弁システムは、小葉アセンブリを更に備えることができ、小葉アセンブリは、少なくとも1つの弁小葉を備え、少なくとも1つの小葉は、流入端と、流出端と、流入端から水平に離れるように延びる1又は2以上の交連タブとを備え、少なくとも1つの小葉の1又は2以上の交連タブは、管状編組フレームの1又は2以上の交連ポストに接続される。一部の実施形態では、管状編組フレームは、流入端から垂直に離れるように延びる1又は2以上の交連ポストを備えることができる。
【0009】
本発明の開示の更に他の利点、実施形態、及び特徴は、本発明の開示を実施するのに最適な最良モードの1つを単に例示的に本発明の開示の好ましい実施形態を示して説明している以下の説明から当業者には直ちに明らかになるであろう。以下で認められることになるが、本発明の開示は、全て本明細書の範囲から逸脱することなく又はそれを限定することなく他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、様々な明白な実施形態において修正が可能である。従って、図面及び説明は、限定的ではなく本質的に例示的であると見なされることになる。
【0010】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、本発明の開示の実施形態を例示するものであり、上記で提示した概要説明及び下記で提供する図面の詳細説明と共に本発明の開示の原理を説明するように機能する。ある一定の事例では、本発明の開示の理解に対して必要ではない又は他の詳細を認識することを困難にする詳細は除外されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図2】本明細書に開示する管状編組取り出し可能フレームの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図3】本明細書に開示する管状編組取り出し可能フレームの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図4】本明細書に開示する管状編組取り出し可能フレームの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図5】本明細書に開示する管状編組取り出し可能フレームの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図6】本明細書に開示する管状編組取り出し可能フレームの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図7】本明細書に開示する小葉パネルの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図8】本明細書に開示する小葉パネルの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図9】本明細書に開示するZ弁インサートの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図10A】本明細書に開示する小葉パネルパターンの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図10B】本明細書に開示する小葉パネルパターンの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図10C】本明細書に開示する小葉パネルパターンの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図11A】本明細書に開示する小葉パネルパターンの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図11B】本明細書に開示する小葉パネルパターンの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図11C】本明細書に開示する小葉パネルパターンの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図11D】本明細書に開示する小葉パネルパターンの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図12】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図13】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図14】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図15】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図16】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図17】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図18】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図19】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリの取り出しシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図20】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図21】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図22】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図23】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図24】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図25】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図26】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図27】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図28】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図29】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムのコルセットの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図30】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図31】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図32】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図33】本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示する図である。
【
図34】本明細書に開示する取り出し可能フレームのための編組構成の実施形態を全体的に例示する図である。
【
図35】本明細書に開示する取り出し可能フレームのための編組構成の実施形態を全体的に例示する図である。
【
図36】本明細書に開示する取り出し可能フレームのための編組構成の実施形態を全体的に例示する図である。
【
図37】本明細書に開示する取り出し可能フレームのための編組構成の実施形態を全体的に例示する図である。
【
図38】本明細書に開示する取り出し可能フレームのための編組構成の実施形態を全体的に例示する図である。
【
図39】本明細書に開示する取り出し可能フレームのための編組構成の実施形態を全体的に例示する図である。
【
図40】本明細書に開示する取り出し可能フレームのための編組構成の実施形態を全体的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のシステム及び方法を開示及び説明する前に、これらのシステム及び方法が特定の方法、特定の構成要素、又は特定の実施に限定されないことは理解されるものとする。同様に、本明細書に使用する用語法は、特定の実施形態を説明することのみを目的としたものであり、限定的であるように意図したものではないことも理解されるものとする。図面を参照して様々な実施形態を説明する。以下の説明では、議論の目的で1又は2以上の実施形態の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細を陳述する。しかし、これらの具体的な詳細を用いずに様々な実施形態を実施することができることは明らかである。この他の点としてこれらの実施形態を説明することを容易にするために、公知の構造及びデバイスをブロック図に示している。
【0013】
本明細書に開示するのは、一緒に密封部分を提供するように機能する少なくとも編組の折り畳み可能フレーム及び小葉アセンブリを備える折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムである。弁アセンブリは、カテーテルを通して送出することができ、かつ独立弁置換物又は既存受容器構造内に置かれるもののいずれかとして実施することができる。弁アセンブリは、カテーテル送出、位置決め、部分展開、及び取り出しのための付属品及び追加の特徴を更に備えることができる。
【0014】
図1は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示している。
図1に示すように、弁アセンブリ100は、管状編組フレーム110と、そこに組み込まれた小葉アセンブリ120とを含むことができ、フレーム110は、1又は2以上の交連ポスト140を含む。交連ポスト140は、小葉アセンブリ120の下流部分のための取付点として定めることができる。好ましい実施形態では、フレームは、3つの交連ポストを備えるが、フレームが2つ又は4つの交連ポストを有することが一般的であり、4よりも多いか又は全く持たない場合がある。これらの交連ポスト140は、弁の周りに対称に配置する必要もなく、同じ高さである必要もない。圧縮されると、交連ポストは、非柔軟性小葉材料を変形させることなく受け入れるように弾性変形することができる。
【0015】
弁アセンブリ100は、交連ポスト140に縫い付けられた1又は2以上のタブ130を更に備えることができる。更に、弁アセンブリ100は、小葉アセンブリの中心線160の円周に沿ってフレーム110を小葉アセンブリ120に接続するベース縫い目150をフレーム110の結び付け交差点の列に沿って備えることができる。ベース縫い目150は、機能的な弁アセンブリ100の流入縁を表す縫い目線として定めることができる。
【0016】
すなわち、
図1に示すように、弁システムは、流入端と、流出端と、流入端から垂直に離れるように延びる1又は2以上の交連ポストとを備える管状編組フレームを備えることができる。弁システムは、流入端と、流出端と、流入端から水平に離れるように延びる1又は2以上の交連タブとを備える少なくとも1つの弁小葉を備える小葉アセンブリを更に備えることができ、少なくとも1つの小葉の1又は2以上の交連タブは、管状編組フレームの1又は2以上の交連ポストに接続される。
【0017】
本明細書に開示する弁アセンブリは、最小限の編組ワイヤ構造を新しい小葉アセンブリ設計と組合せて、戦略的方式でのこれら両方の互いの統合が他の既存経皮送出弁よりもかなり小さい非常に扁平なものに圧縮することができる弁を提供することで新規性を有し、従来技術に優る改善である。更に、この弁アセンブリの設計は、経皮技術又は低侵襲手術技術のいずれかによる容易な取り出しに対するオプションを生成する。
【0018】
従来技術に優る本発明の開示の利益は、弁アセンブリの送出を受け入れるためのより低侵襲性でより外傷が小さい穿刺を含むがこれらに限定されない。更に、弁アセンブリのプロファイル、及びワイヤ編組フレームと小葉アセンブリと取り付け戦略との組合せが、より可撓性の高い送出システムを可能にする。これは、可撓性ワイヤフレームの性質に起因し、かつ弁が比較的短く、送出カテーテル内での可撓性を可能にするからである。これらの因子の組合せは、より外傷が小さい送出、より正確な送出、及びどのように送出するかに関するより潤沢なオプションを可能にする。
【0019】
更に、経皮技術又は低侵襲技術によって取り出す機能は、この弁アセンブリの独特の利点である。現在の従来型移植弁は、機能不良又は使用不能になった場合に、大きな手術技術によって取り出すか、又は第2の弁を機能不良弁内に埋め込むかのいずれかを行わなければならない。これらのオプションの両方が重大な欠点を有する。大手術は、年齢又は身体状態の理由から患者によって回避される。更に、弁を既存弁内に埋め込むと新しく移植された弁が損なわれ、意図する通りに機能しない場合はオプションが少なくなる。
【0020】
本明細書に開示する本発明のシステム、デバイス、及び方法は、高度に可撓性、弾力性、格納可能、及び再発性弁逆流のような問題がもたらされた場合の移植の何年か後の置換を含め置換可能である代替心臓弁フレームを含む。
【0021】
一実施形態では、代替心臓弁システムは、代替心臓弁を保持する取り出し可能フレーム部分(すなわち、弁小葉アレイ、ブタ弁小葉、又は弁を一般的に一方向に通る血流を選択的に許可/阻止する他の構造のような血流調整器)と、取り出し可能フレーム部分を取り出し可能に維持するようにサイズ決定及び構成された受容器フレーム部分とを備える。これらのフレーム部分の両方を有利に編組ニチノールで製造することができるが、ステンレス鋼、コバルトクロム、ナイロンのようなポリマー、又はレーザ切断ニチノールのような他の材料を使用することができる。組織小葉又は他の血流調整器は、例えば、僧帽弁を備えるヒト心臓内の4つのオリフィスのいずれか1つを通る流れを調整する弁の機能を実施するように構成されるが、システムは、三尖弁、肺動脈弁、又は大動脈弁のように構成し、かつこれらの弁に使用する/位置付けることができる。
【0022】
本明細書に記載の代替心臓弁システムのフレーム部分、特に取り出し可能フレーム部分は、単一(又は複数)のワイヤ編組で製造することができる。そのようなフレーム部分は、例えば、ワイヤ巻き付けの上巻き-下巻き構成に従って円筒形マンドレルの上でニチノールワイヤを用いて構成することができる。フレームがニチノール又は他の形状記憶材料で製造される場合に、原位置で展開された後に無応力構造を生成するようにフレームを形状設定することができる。ある一定の状況に関するワイヤ編組フレームのいくつかの利点は、そのようなワイヤ編組フレームを展開する時と送出カテーテル又は取り出しカテーテルの中に含まれて束縛されている時との両方でフレームの流入端と流出端とに位置し、そのようなカテーテル内配置に起因して内向きに曲げられるフレームの先端頂点を除いて実質的に無応力であるように構成することができる点である。
【0023】
心弁取り出し可能フレームは、弁小葉又は他の一方向性弁構造を収容する。小葉は、ウシ心膜(又は他の材料)から切断され、縁部に沿って互いに縫合され、融合されて又は他に取り付けられてフレームにその構造の流入縁に沿って取り付けることができる。
【0024】
取り出し可能フレーム部分及び受容器フレーム部分の各々及び両方を備える代替心臓弁システムは、流入端と流出端を有する。流入は、血液がフレーム/システムの中に流れ込むフレーム/システムの端部を参照し、それに対して流出は、血液がフレーム/システムから流れ出すフレーム/システムの端部を参照する。例えば、フレーム/システムが僧帽弁内に展開される時に、流出端は左心室内に位置付けられ、それに対して流入端は、左心房内に位置付けられる。
【0025】
心臓弁システムのフレーム部分は、別々に又はユニットとして提供することができる。例えば、取り出し可能フレーム部分と受容器フレーム部分は、手術によって埋め込むことができ、又は単一カテーテル内で互いに接続された状態又は分離された状態、又は別個のカテーテル内で分離された状態のいずれかでカテーテル搬送することができる。取り出し可能フレーム部分と受容器フレーム部分は、分離された状態と特に単一カテーテル内で供給される時との両方で必要に応じてカテーテルの寸法まで、例えば、26F、24F、18F、16F、14F、又はそれ未満程度まで小さく圧縮することができる。代替心臓弁システムは、一般的に一方向流れ制御を提供する。
【0026】
代替心臓弁システムの展開中に、代替心臓弁システムを回転及び並進又はその組合せのような物理的運動によって位置決め及び再位置決めすることができるように、システムの一方又は両方の端部は、カテーテル送出システムとの機械的接続を維持するように構成される。送出カテーテルから完全に解除された状態で、代替心臓弁システムは、例えば、必要に応じてターゲット部位にある組織に対する半径方向力を発生させる展開及び/又は自己展開により、又はターゲット組織に接続する固着要素により、又は別の方式でシステムの受容器フレーム部分を意図する自然心臓に固定する。そのような固定接触は、典型的には、自然心臓弁の流入側及び/又は流出側のいずれかでの自然心臓の弁小葉及び/又は弁輪、及び/又は自然心臓構造のような意図する自然心臓弁との接触を含む。実施形態では、受容器フレーム部分及び/又は取り出し可能フレーム部分は、ターゲットオリフィスを埋めるためにほぼ円筒形又はD字形の断面を有する。取り出し可能フレーム部分と受容器フレーム部分は、取り出し可能フレーム部分が受容器フレーム部分の中に入れ子になるように適合するか又は同じ断面形状を有することができる。
【0027】
一部の実施形態では、取り出し可能フレーム部分と受容器フレーム部分は、ターゲット僧帽弁又は他のターゲット場所の中への送出に関して単一心臓カテーテルの中に一緒に嵌合するように互いに協働的にサイズ決定及び構成される。取り出し可能フレーム部分と受容器フレーム部分は、送出カテーテル内で単一ユニットとして、すなわち、これら2つの部分が互いに機械的に接続された接続時形態で搬送することができる。この構成は、送出カテーテルが、これらのフレームの一方のみを制御することによってフレームシステムの両方の部分を制御すること、例えば、近位フレーム部分を用いて遠位フレーム部分(遠位フレーム部分は、送出カテーテルの端部を最初に抜け出すフレーム部分)を制御することを有利に可能にすることができる。
【0028】
取り出し可能フレーム部分と受容器フレーム部分は、送出カテーテル内で未接続形態で搬送することができ、この場合に、これら2つの部分は互いに機械的に接続されない。この構成は、送出カテーテルがフレーム部分の各々を独立に制御することを有利に可能にすることができ、かつこれらのフレームを備える送出カテーテルの可撓性及び捩れ特性を高めることができ、これらのことは、送出カテーテルを患者の身体、すなわち、血管系を通して望ましいターゲットまで搬送している間と代替弁をターゲットで/まで送出している間との両方で有利とすることができる。
【0029】
一部の実施形態では、取り出し可能部分弁フレーム及び受容器フレーム部分の各々は、長さが約50mmよりも短く、40mm、30mm、又は25mmとすることができる。
【0030】
ある一定の実施形態では、フレーム部分は、約1’’、3/4’’、1/2’’、3/8’’、又は1/4’’(インチ)程度まで小さい曲率半径で曲げることができる。
【0031】
一部の展開方法では、2つのフレーム部分を未接続方式で搬送し、次に、これらのフレームの一方(一般的に、遠位フレーム)の少なくとも実質的な部分は、心臓内のターゲット場所の中を含むターゲット心臓の中に押し込まれているか又は他に入れ込まれている間に互いに機械的に接続することができる。
【0032】
これらの方法は、送出カテーテル内の分離フレーム搬送の利点を利用することができ、同時に送出カテーテルの制御要素との単一フレーム接続だけによって両方(又は2よりも多くが存在する場合はそれ以上)のフレーム部分を制御する機能を利用することができる。これは、受容器フレーム部分をターゲット心臓内のより的確な場所に展開するためのフレームシステムの部分展開、それに続く操作を有利に可能にすることができ(完全な引き戻しさえも)、又はターゲット場所でのより望ましい場所、向きなどへのフレームシステムの完全展開、それに続く操作/引き戻しさえも有利に可能にすることができる。
【0033】
ターゲット場所の中への代替心臓弁システムの完全展開の後に、取り出し可能フレーム部分は、受容器フレーム部分からの取り出し可能フレーム部分の取り出し段階が、必要に応じて取り出し可能フレーム部分を受容器フレーム部分から寄せ集めて引っ張る段階、取り出し可能フレーム部分を受容器フレーム部分から捻って引っ張る段階、取り出し可能フレーム部分を受容器フレーム部分から捻って押圧する段階、又は他の段階を含むように、取り出し可能に受容器フレーム部分の中に維持される。一般的に、取り出し可能フレーム部分は、心臓内のターゲット場所の中への受容器フレーム部分の接続を実質的に妨害又は破断することなく、かつ自然心臓組織を損傷することなく受容器フレーム部分から引き戻される。例えば、受容器フレームからの取り出し可能フレームの取り出しは、そのような取り出し中に、並びに新しい弁及び取り出し可能フレームアセンブリの再挿入中に、代替弁組織も、ターゲット組織も、フレーム要素も遊離させない。取り出し可能フレームを受容器フレームから取り出すための例示的な力は、1.5ポンド未満、1ポンド未満、0.75ポンド未満、0.5ポンド未満、又は0.25ポンド未満を含む。
【0034】
受容器フレーム部分内に維持された取り出し可能フレーム部分は、高度の可撓性を有することができる。ある一定の実施形態では、取り出し可能フレーム部分は、受容器フレーム部分よりも実質的に高い可撓性を有する。取り出し可能フレーム部分及び/又は受容器フレーム部分は、編組ワイヤで製造することができる。編組ワイヤは、必要に応じてニチノール、ステンレス鋼、又は他の材料とすることができる。
【0035】
一部の実施形態では、取り出し可能フレーム部分と受容器フレーム部分は、a)代替心臓弁システムを保持する心臓弁内の血流の力に対して取り出し可能フレーム部分を受容器フレーム部分内に取り出し可能に維持し、かつb)周囲のターゲット心臓組織を損傷することなく取り出し可能フレーム部分を受容器フレーム部分から解除するように協働的にサイズ決定及び構成することができる。心臓弁は、僧帽弁又は他のターゲット心臓弁とすることができる。自然心臓組織は、自然心臓弁組織とすることができる。
【0036】
取り出し可能フレーム部分と受容器フレーム部分は、ターゲット僧帽弁への送出に関して単一心臓カテーテルの中に嵌合するように協働的にサイズ決定及び接続することができる。取り出し可能フレーム部分は、受容器フレーム部分からの取り出し可能フレーム部分の取り出しが、取り出し可能フレーム部分を受容器フレーム部分を通してその流入端に向けて押圧するか又は引っ張る段階を含むことができるように受容器フレーム部分の中に維持することができる。取り出し可能フレーム部分は、受容器フレーム部分からの取り出し可能フレーム部分の取り出しが、取り出し可能フレーム部分を受容器フレーム部分からその流出端に向けて押圧するか又は引っ張る段階を含むことができるように受容器フレーム部分の中に維持することができる。取り出し可能フレーム部分は、自然心腔に置かれる時に自然心腔の側面に実質的に触れないように構成することができる。
【0037】
編組ワイヤの交差点は、完全展開構成では20°から30°の交差角を含み、又は完全圧縮構成では圧縮されたワイヤが互いに対して実質的に平行になるように約0°から5°の交差角を含む。取り出し可能フレーム部分又は受容器フレーム部分内にある交差角は、均一又は不均一とすることができる。
【0038】
編組ワイヤの尖角は、完全展開構成では20°から30°であり、完全圧縮構成では、尖部で折り返すワイヤがそれ自体に対して実質的に平行であるように160°から180°である。取り出し可能フレーム部分又は受容器フレーム部分内にある尖角は、均一又は不均一とすることができる。
【0039】
組み合わされた受容器フレーム部分とその内部の取り出し可能フレーム部分とは、組合せで約1’’よりも小さく、3/4’’、1/2’’、3/8’’、又は1/4’’である曲率半径で曲がることができるような可撓性を有する。
【0040】
すなわち、本方法は、移植中に取り出し可能フレーム部分を受容器フレーム部分から取り出す段階と、取り出し可能フレーム部分を受容器フレーム部分の中に再挿入する段階とを備えることができる。更に、本方法は、移植が完了した後に、ターゲット心臓弁内に位置付けられた代替心臓弁システムにカテーテルのみを通してアクセスする段階と、弁及び取り出し可能フレームアセンブリを受容器フレーム部分から取り出す段階とを備えることができる。そのような方法は、弁及び取り出し可能フレームアセンブリを受容器フレーム部分から取り出した後に、受容器フレーム部分内にあった弁及び取り出し可能フレームアセンブリを第2の異なる弁及び取り出し可能フレームアセンブリで置換する段階を更に含むことができる。
【0041】
これらの実施形態は、初期配置の後に患者の身体、心臓、又はターゲット心臓弁のいずれに対する過度の損傷もなく組織弁のような心臓血流調整器の置換を容易にすることを可能にする。代替弁は、心臓弁の置換を必要とするという問題を欠点とするので、置換が容易になることは非常に有利である。代替弁及び/又はそれらを担持するフレームに関連付けられた一般的な問題は、小葉が劣化する可能性があること、特にレーザ切断ニチノールフレームの場合にフレームが破損する又は他に障害を起こす可能性があること、及び自然弁輪のサイズが不適切に変化する可能性があることを含む。このシステムなどは、これらの問題の1又は2以上を低減する又は更に排除する。
【0042】
一部の実施形態では、交連ポストは、取り出し可能フレーム部分の「自由端」、すなわち、受容器フレーム部分に接続されていない取り出し可能フレーム部分の端部上に提供することができる。交連ポストは、小葉組織を固着させるように構成することができ、例えば、三小葉弁の各交連のための接続場所を提供するために3つの交連ポストを受容器フレーム部分の周りに実質的に等距離に配置することができる。三小葉弁の交連が等距離でない場合に、弁フレームの交連ポストは、そのような弁交連の場所に適合するように構成することができる。別の例では、二小葉弁に対して2つの交連ポストを使用することができる。交連ポストの個数が小葉の個数に等しい必要がない場合を含む他の弁-交連ポストの向き及び構成を提供することができる。そのような交連ポストは、小葉又は他の一方向性弁構造を保持するための固着点を提供することができ、送出カテーテル及び/又は取り出しカテーテルのための展開取付点を提供することができる。
【0043】
小葉の取り付けは、取り出し可能フレームによって担持されたカフに対して行うこともでき、又は取り出し可能フレーム構造と円筒形とすることができる受容器フレームとの間の血流を防止するために流入端に密封ゾーンを生成するための他の材料を提供することができる。取り出し可能フレーム部分及び受容器フレーム部分内には、把持器、位置決め器、固着器、又は取り出しフックのような把持要素、位置決め要素、固定要素、及び取り出し要素を含めることができる。そのような固定要素は、医師又は他のユーザがターゲット心臓弁内に構造を正確に位置決めし、必要に応じて展開後に取り出し可能フレーム構造を容易に取り出すことを可能にする。そのような容易な低影響の取り出しを実施するための例示的な方法は、例えば、蛍光透視下でのカテーテルを用いた経皮アクセスのような公知の心臓手順を含む。
【0044】
一部の実施形態では、取り出し可能フレーム部分は、例えば、編組ワイヤで製造された時にターゲット部位の中に埋め込むべき代替心臓弁システムの初期フレームである1次受容器フレーム部分の中に挿入されるように構成することができ、この受容器フレーム部分は永久に埋め込むことができる。次に、取り出し可能フレーム弁アセンブリが、代替心臓弁システムの2次部分として移植され又は挿入され、この取り出し可能フレーム部分/弁及び取り出し可能フレームアセンブリは永久に埋め込むことはできないが、代わりに一部の実施形態では意図する自然心臓組織への損傷なく容易に引き戻して置換することができる。一般的に、この受容器フレーム部分は、自然ターゲット部位の中に永久に移植されるように構成され、それに対して弁アセンブリ(すなわち、血流調整器弁と取り出し可能フレーム部分とを含むアセンブリ)は、移植後最長で数年又はそれよりも長くにわたって例えばカテーテル手順によって取り出し可能であるように構成される。すなわち、編組ワイヤの取り出し可能フレーム部分及び受容器フレーム部分のシステムは、これらのフレームが協働して心組織に接続され、血流を制御するために組織小葉を定められた場所に保持し、心血流の力に対抗するほど十分に強いが、依然として置換組織弁及び/又は弁及び取り出し可能フレームアセンブリの容易で自然心臓を損傷することのない置換も可能にするように構成することができる。
【0045】
分離されたエンティティへのこの分割は、弁フレーム、すなわち、取り出し可能フレーム部分を完全な弁システムが単体である場合よりも軽量のワイヤを用いて構成することを可能にすることができる。そのようなより軽量のワイヤの例示的実施形態は、0.009’’径から0.015’’径までのニチノールワイヤを含む。そのようなシステムの1つの利点は、より軽量な2次/取り出し可能弁部分を硬めのフレームよりも多く圧縮することができ、従って、2次/取り出し可能弁部分をより小さいカテーテル内で送出し、このカテーテルによって取り出すことができる点である。更に、これは、より広範な患者が治療を受けることを可能にする。
【0046】
この編組ワイヤフレームの別の利点は、カテーテル寸法まで圧縮された時に、取り出し可能フレーム部分が、そのいずれかの端部でのフレーム尖部でのみピーク歪み値を含む有意な歪み値を受ける点である。それとは対照的に、ジグザグ特徴部の列を有する典型的な経皮代替弁は、その構造の全長に沿って大きい外向きの歪みを受ける。従って、この編組ワイヤフレームは、より小さい曲げ曲率半径(0.75’’よりも小さい0.5’’のような)、取り出し可能弁フレームを位置決めする/再位置決めするのに必要とされる力及びトルクの減少、及び迅速な順次展開に関していくつかの構造(例えば、弁構造を有する受容器/固着システム)を単一カテーテルの中に「積み重ねる」機能を与える。この編組ワイヤフレームの別の利点は、本明細書に記載のフレームの低減された外向き力プロファイルに起因するより良い位置精度及び再位置決めの容易さである。
【0047】
編組のワイヤは、各交差点で互いに独立に移動又は摺動することができる。この摺動性は、ユーザが、特定の患者又はターゲット部位のような特定の状況に対して個々の部分及びその一部を含む代替心臓弁システムを構成することができるように、高度の設計及び構成オプションを与える。編組フレームの強度は、ワイヤの特定の望ましい巻き数及び/又は構成を提供することによって選択することができる。ターゲット場所に展開された時に本明細書に記載のフレーム部分によって作用される例示的な外向き半径方向力は、少なくとも約0.15N、0.2N、0.3N、及び0.4Nを含む。ターゲット場所に展開された時に本明細書に記載のフレーム部分によって作用される例示的な外向き半径方向力は、少なくとも約1N、1.5N、及び2Nを含む。
【0048】
必要に応じて、巻き付けは、ジグザグパターン及び編組角で編組することができる。編組ワイヤが互いに交差する時にそのような編組角の例は、展開時構成では15°、20°、30°、又は45°の交差角を含む。編組ワイヤが互いに交差する時にそのような編組角の例は、圧縮(カテーテル内)構成では交差するワイヤが互いに対して実質的に平行であるように約0°から5°を含む。そのような編組交差角は、フレームを通して均一とすることができ、又は例えばフレーム内の様々な場所で異なる編組/フレーム弾力性又は半径方向圧力を実施するために不均一とすることができる。
【0049】
ワイヤ構造内の尖部にある各曲げ部又は「肘部」によって半径方向力を提供する。従って、フレームは、弁及び取り出し可能フレームアセンブリを正しく展開された状態に保つことを助けるか又は望ましい巻き数を選択することによって小葉機能の適正な支持を可能にするための半径方向力のような特に望ましい力を達成するように正確に構成することができる。ワイヤ編組によって作用される力は、ワイヤ径、「肘」角、ワイヤ交差数、及びフレームの円周の周りのジグザグのようなパラメータの組合せを選択又は修正することによって構成することができる。これは、弁閉鎖力、送出力、展開力、及び取り出し力のような特定の性能基準に関して選択的なフレーム構成を可能にする。圧縮形態(カテーテル内)のフレームでの例示的な尖角又は肘角は、尖部で折り返すワイヤが、それ自体に対して実質的に平行であるように160°から180°である。展開時形態(展開構成)のフレームでの例示的な尖角又は肘角は、約60°、70°、80°から90°を含む。そのような尖角は、フレームを通して均一とすることができ、又は例えば尖部毎に異なる尖角であること又は単一尖部内で様々な角度を有することのいずれかによって不均一とすることができる。不均一な尖角は、フレーム内の様々な場所で異なる編組/フレーム弾力性又は半径方向圧力を実施するのに役立たせることができる。
【0050】
過去に置かれた受容器に対する取り出し可能フレームの望ましい操作、制御、及び固着を提供するための取り外し可能な把持要素及びロッキング要素をフレームの中に組み込むことができる。
【0051】
一部の実施形態では、一方向血流調整器は、生体適合性、耐久性を有し、更に開閉する機能を有し、密封して血流を阻止するために有限の接合領域のみを有する移動可能面に寄与する組織小葉を含む。小葉は、例えば、縫合材料を用いた縫合及び/又は組織溶接によって互いに取り付けることができる。組織の内殖及び内皮化を制御する、例えば、展開後に取り出し可能フレーム部分を完全に取り出すことができるように組織の内殖及び内皮化を選択的に促進又は阻害するような組織及び布材料を小葉に対して選択することができる。フレーム材料の組合せを含むフレーム材料も、組織の内殖/内皮化を制御するように選択することができる。
【0052】
展開後に取り出し可能フレーム部分を取り出すように構成されたループ、フック、及び縫合糸など、及びその組合せのような固定要素は、そこに担持された弁を一般的に含む取り出し可能フレーム部分がより小さいサイズに縮小されて取り出し可能フレーム部分を受容器フレーム部分から引き戻すことができるように構成される。一例として、取り出し可能フレーム部分は、その完全展開直径の2分の1まで縮小することができる。その後に、必要に応じて、取り出し可能フレーム部分は、例えば、最大直径の20~30%まで遠隔で圧縮することができる。次に、取り出し可能フレーム部分は、カテーテル又はシース、例えば、24Fシースの中に引き込むことができ、ターゲット弁部位からの取り出しに関してカテーテルの中に引き込むことを可能にする。そのような取り出しは、必要に応じて経心尖的、経中隔的、経大動脈的、又は他に行うことができる。例示的な取り出し要素は、取り出し可能フレーム部分がターゲット部位内に展開される間に原位置で取り出し可能フレーム部分に存在するストリング又はワイヤを含み、このストリングは、取り出しカテーテルの中に捕捉され、取り出し及び置換に関して取り出し可能フレームを受容器フレーム部分から引き出す又は押し出すことができるように取り出し可能フレーム部分の直径を縮小するか又は小さくするために捻るか又は他に使用することができる。これは、デバイスを受容器フレーム部分から押し出して/引き出して取り出しカテーテル内の取り出しシースの中に入れるのに使用される全体の力を低減することができる。
【0053】
図2は、本明細書に開示する管状編組取り出し可能フレームの実施形態を全体的に例示している。
図2に示すように、フレームは、自然弁内への移植に関して構成することができる。取り出し可能フレーム部分210は、上部と底部、すなわち、流入端と流出端とに尖部又は肘部220を有するジグザグに織成されたワイヤから製造される。このワイヤ編組は、周方向に加算的であり、すなわち、円周の周りの各追加のワイヤの折り返しが編組編物/フレームに密度を追加し、従って、潜在的な半径方向力を提供する。僧帽弁置換システムのこの例では、送出カテーテルに対する遠位端又は取り出し可能フレーム部分210を受容器フレーム部分から取り出すために取り出しカテーテルが引っ張る取り出しカテーテルに対する近位端とすることができる流入端では、いくつかの肘部又は尖部は、交連ポスト230(一般的に、3つのそのようなポストが存在するが、個数は必要に応じて変更することができる)を形成するように構成することができ、いくつかの肘部は、カテーテル取り付けループ240のような送出特徴部又は取り出し特徴部を形成するように構成することができる。フレームは、サイズが変化することができ、例えば、僧帽弁に関して構成される時に直径が23cmで長さが23cmとすることができる。編組ワイヤは、例えば、0.010’’から0.020’’、例えば、約0.014’’のワイヤ径を有するニチノール又はステンレス鋼とすることができる。例えば、硬めの又はそれ程硬くないフレームを構成するために必要に応じて太め又は細めのワイヤを選択することができる。
【0054】
図3は、本明細書に開示する管状編組取り出し可能フレームの実施形態を全体的に例示している。編組弁フレームは、小葉を支持し、密封部分を提供する単線ワイヤ又は複線ワイヤの編組自然展開フレームとして定めることができる。
図3に示すように、対応する長さ、直径、遠位端、及び近位端を有する管状フレーム300は、遠位端に1又は2以上の交連ポスト310を含み、遠位端と近位端の両方にループ320を含む。交連ポスト310は、一般的に、管状フレーム300から最小限の量、例えば、フレーム300の長さの10~30%だけ延びる。ループ320は、フレーム300を含む材料の単純な300~360度のループバックとすることができ、又は360度よりも大きく、例えば、2巻回フレーム材料とすることができる。ループ320は、フレーム300に安定した端部を与え、送出機構に縫合糸をループさせる手段を与え、小葉構造に対する取り付け手段を提供し、巻回部でのピーク応力/歪みを低減する。これらの特徴は、システムの半径方向力を強めるか又は弱めるように設計することができる。更に、ループ320は、蛍光透視下での視認性を達成するための放射線不透過マーカを配置するのに使用することができる。
【0055】
図4は、本明細書に開示する管状編組取り出し可能フレームの実施形態を全体的に例示している。
図4に示すように、編組フレーム400はサイズが異なることが可能である。例えば、交連ポスト410は、フレーム400の遠位端からより遠くまで延びることができる。この実施形態では、交連ポスト410は、360度よりも大きく、ほぼ2つの完全なループを生成するループ420を有する。フレーム400の本体の中心430は、フレーム400の遠位端と、小葉構造の近位端を縫合するための縫合線を生成することができる近位端との間に安定した中心線を与える。この安定した中心線の実施形態は、縫合糸を用いて編組内の交差点の運動を束縛し、水平及び/又は垂直に向けることができるものとして定められる編組ひもである。一般的に、フレーム400の近位端は、360度の縫合線内で小葉構造に接続するための構造を提供し、弁が受容器の中に挿入される時に弁機能に対する密封ゾーンを生成するのに使用することができる。一般的に、密封ゾーンは、ベース縫い目に対してほぼ平行でその流入側にあり、小葉アセンブリをフレーム又はカフに取り付けられるように機能する流入縫い目とベース縫い目の間であり、それによって密封が発生するより大きい区域を提供するフレームの外側の領域を意味する。密封リングの使用などによる密封は、小葉が流れ制御を提供する間の両側からの血流の阻止を意味する。上述の中心線は、編組構造が送出に関して圧縮された時に細長になり、従って、近位端と遠位端とが互いに中心から等距離まで遠ざかることに起因して安定である。
【0056】
図5は、本明細書に開示する管状編組フレームの実施形態を全体的に例示している。
図5に示すように、編組フレーム500は、交連ポスト510と密封ゾーン520とを含むことができ、本明細書に開示する他の実施形態と比較した時にかなり短い編組チューブ長を有するが、依然として小葉構造への接続に必要な最小限のフレームを提供する。
【0057】
図6は、本明細書に開示する管状編組取り出し可能フレームの実施形態を全体的に例示している。
図6は、フレーム円周のタンジェントと平行な軸線を有するワイヤコイル620及び630との交連1610のような追加の特徴を含む編組フレーム600を開示している。コイル620及び630は、交連610の強度を高めるためのバネとして作用することができ、交連610は、弁の閉鎖中に流動力に対する抵抗力を与える。コイルは、弁性能を最適化するためのパラメータ、例えば、ワイヤ径、ループコイル径、及びコイル巻数を用いて設計することができる。更に、コイル620及び630は、フレームを受容器に取り外し可能に接合するためのラッチを生成するように設計された変動を含むことができる。コイルの丸い性質は、円筒形又は更に特別仕様の非対称である形状のような受容形状に係合するためのバネ状のラッチを生成する。コイル630の延長ラッチ特徴部は、ラッチコイル630を弁軸線の中心に向けて引き込むと考えられるひもと連携使用することができ、ラッチコイル630を曲げて受容器から解除する。
【0058】
図7は、本明細書に開示する小葉パネルの実施形態を全体的に例示している。更に、
図7は、単一小葉パターン710の側面図を開示している。一実施形態では、3つの小葉パターンを交連継ぎ目720に沿って互いに縫合、結合、又は他に接続することができる。小葉は、ブタ又はウシの心膜のような動物組織又は生体適合性布から製造することができる。その上の部分は、互いに縫合された時に、交連ポストにわたって適合して接着するポケットを形成するように構成することができる。一部の実施形態では、僧帽代替弁などに関して小葉は、0.005’’厚から0.030’’厚であり、各辺に沿って1.5cmから3cmである。
【0059】
図8は、本明細書に開示する小葉パネルの実施形態を全体的に例示している。小葉パネルは、合成材料又は生体材料から切断されて単一弁小葉として機能するパターンとして定めることができる。例えば、切除されたブタ又はウシの心膜を小葉パネルに使用することができる。2又は3以上の小葉パネルの組合せ及び取り付けは、Z弁インサートのような小葉アセンブリを生成する。
図8に示すように、小葉パネル800は、完成した弁の中に組み込まれた時に弁の接合閉鎖ゾーンになる遠位端810を含むことができ、この場合に、3つの近位端が互いに強制的に接合と呼ぶY字形態にされて弁を閉鎖する。遠位端810の外側端部820は、弁小葉を交連ポストに縫合するのに使用されるタブを有する。近位端の近くでは、ベース縫い目ゾーン830が使用され、それ自体によって又は流入縫い目ゾーン840との組合せで密封ゾーンを提供する。流入縫い目840は、ベース縫い目に対してほぼ平行でその流入側にあり、Z弁インサートをフレーム又はカフに取り付けられるように機能する。流入縫い目とベース縫い目の間である材料は、Z弁インサートの連続部分とするか又はZ弁インサートに縫合された異なる材料とすることができる。
【0060】
Z弁インサートの縁部継ぎ目で発してワイヤを沿って小葉の縁部を定め、オプションとしてフレーム及び/又はカフのワイヤの1つをもたらす縫い目として腹部縫い目が定められる。腹部縫い目が取り付けられるワイヤは、小葉の耐久性及び性能を更に改善するように形状設定することができる。フレームの外側又は内側のいずれかに置かれた追加の材料としてカフを定めることができ、フレームの上部及び底部に沿って延ばすことができるが、カフは、最低でもベース縫い目の上方及び下方に取り付けられる。腹部縫い目は、小葉の耐久性及び血行動態性能を改善する目的をもたらす。弁腹部縫い目850は、小葉の遠位外側セクションから中央中心部に向けて傾斜し、一実施形態では編組フレーム又は外側カフのいずれかに縫合することができる。蛇腹部分860が、腹部の底部を生成し、フレームに縫合される又はされない場合がある。腹部縫い目850の蛇腹部分860は、ほぼ小葉の中心にあり、折り畳み性を改善するように機能する取り付け中断部又は腹部縫い目の続きとして定めることができる。
【0061】
図9は、本明細書に開示するZ弁インサートの実施形態を全体的に例示している。
図9に示すように、Z弁インサート900は3つの小葉パネルを含むことができ、各小葉パネルの交連端部910は、それ自体に沿って互いに接続され、縫い合わされて管状の円筒形構造を生成する。これらの縁部は平行とするか又は耐久性及び血行動態性能を最適化するように指定された角度を有することができる。Z弁インサート900は、ベース縫い目の流入側にZ弁インサート900の下側タブを重ねることによって達成された任意的な管状部分を含むことができる。一実施形態では、Z弁インサート900は、管状フレームの交連ポストにベース縫い目を通して取り付けられる。ベース縫い目は、管状フレームの上部、中央部に位置付けするか又は底部に沿って位置付けることができる。別の実施形態では、ベース縫い目線及び流入縫い目線は、小葉、編組、及びカフを通過することができ、ベース縫い目と流入縫い目の間である弁フレームの外側の領域が密封ゾーンを生成する。
【0062】
図10A~
図10Cは、小葉パネルのパターンの実施形態を全体的に例示している。
図10Aの実施形態は、小葉アセンブリの図を開示している。
図10Bは、3つの別個の小葉を組み合わせたパターンを開示している。
図10Cは、追加のカフ材料の取り付けを可能にする直線縁部を示すアセンブリの変形である。
【0063】
図11Aは、カフ1155を近位端に有する小葉パターン1150の好ましい実施形態を開示している。カフ1155は、フレームの近位端の上に巻き付いて内側密封ゾーンに加えて外側密封ゾーンを生成するのに使用することができる。
【0064】
図11Bは、組み合わされてカフを組み込んだ3つの小葉を例示している。
【0065】
図11Cは、弁アセンブリの長さにわたって完全な外側フレームを密封するように機能することができるより大きいサイズのカフを開示している。
【0066】
図11Dは、組合せ三片小葉の拡大バージョンを開示している。
【0067】
図12は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示している。
図12に示すように、小葉は、互いに及び/又はフレームに縫合によって組み込むことができる。小葉は、交連継ぎ目1210の場所で接合され、次に、交連ポスト、並びにフレーム上のワイヤ又はワイヤ交差点のような他の点又はフレームに取り付けられた材料に縫合される、溶接される、又は他に取り付けることができ、例えば、小葉は、フレームに取り付けられたカフに取り付けられる。組立が完了すると、これらの小葉は、流体圧が遠位で高まった時に小葉がYパターン1220で閉鎖又は接合作動するように協働して流出に対して閉鎖する(僧帽弁の弁小葉の中に移植された時に遠位で)。
【0068】
図13は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示している。一実施形態では、スカート1310は、フレームの内側と適合してそこを実質的に覆い、このスカート1310は、小葉と取り出し可能フレーム部分の間にも置かれる。図示の実施形態では、スカート1310は、拡張期中に血液の流入に起因して静水圧が高まった時に接合して閉鎖するように小葉に与圧するパラシュート状特徴部を形成するようにサイズが拡大する。
【0069】
図14は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示している。
図14に示すように、弁システムは、互い及びフレームへのスカート及び小葉の縫合接続部1410を含むことができる。
【0070】
図15は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示している。
図15の弁アセンブリは、構造に中心線1510及びベースライン縫い目の場所で縫い付けられ、更に近位編組端部でも流入縫い目線1520に沿って縫い付けられたより長い小葉によって達成された延長密封ゾーンを含む。
【0071】
図16は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示している。
図16に示すように、弁アセンブリ1600は、管状の編組フレーム及びそこに組み込まれた小葉構造に加えて、弁アセンブリ1600の近位部分を覆うカフ1610を含むことができる。カフ1610は、フレームに取り付けられた材料として定めることができ、フレームの外側又は内側のいずれかに配置することができ、フレームの上部及び底部に沿って延ばすことができ、一部の実施形態ではベース縫い目1620の上方及び下方に取り付けることができる。別の実施形態では、カフ1610は、流入縫い目線1630のそばに並べて取り付けることができる。カフ材料は、弾性として編組と共に変形するか、又は非弾性ものとし、編組ワイヤが、取り付けられたカフの中/周囲を摺動するか、又はこれら両方の組合せとすることができる。カフは、ポリマーコーティング(例えば、chronosil)又は連続的な編布、織布、又は編組布を含むことができる。更に、カフは、継ぎ目付きで又は管状構造で巻き上げることができる。
【0072】
別の実施形態では、連続カフは、編組弁フレームの外側のカフになるようにベースライン縫い目の場所でZ弁インサートに縫合してこのフレームの流入縁の周りに巻き付けることができる。更に、別個の実施形態では、弁は、内側カフと外側カフの両方、及び/又は編組弁フレームの個別部分を覆う部分カフを有することができる。
【0073】
一般的に、カフ1610は、フレームのワイヤを覆い、それによって密封ゾーンを提供するのに使用され、密封ゾーン又は密封リングは、小葉が流れ制御を提供する間に両側からの血流を阻止するように形成される。密封ゾーンは、可撓性材料又は非柔軟材料のいずれかから構成される。カフ1610は、Z弁インサートをフレームに取り付ける目的に寄与する。好ましい実施形態では、カフ1610は、フレームの上縁及び底縁に沿って又は交差点の列に沿って取り付けられる。カフ1610は、編組交差点の運動を妨害しない縫い目などを用いて及び全ての隣接ワイヤに沿ってフレームに取り付けることができる。
【0074】
図17は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示している。
図17に示すように、一実施形態では、弁アセンブリ1710は、編組フレームと、その外側にある長いカフカバー1715とを含む。完全な外側フレームを覆うこのカフは、延長密封ゾーンとして機能することができる。腹部縫い目1720をフレームに縫合することができ、それに対して蛇腹縫い目1725はフレームには縫い付けられない。この実施形態では、緩いY字形状で弁を閉鎖するように接合した遠位小葉端部1730が示されている。一部の実施形態では、弁接合区域は、3つ全ての小葉の間の十分で有効な接触を保証し、更に弁の完全な閉鎖を保証するための何らかの「弛緩性」を含むことができる。小葉は、ブタ心膜のような組織又は当業技術で公知の他の材料で構成することができる。一部の場合に、動物から切除された弁又はその一部を本発明の開示のフレーム構造内に縫い込むことができる。
【0075】
図18は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示している。
図18に示すように、弁アセンブリは、交連ポストと小葉タブとの組合せ1840と、小葉端部と、接合ゾーン1830と、腹部縫い目1820と、蛇腹縫い目1825と、ベース縫い目1845と、流入縫い目1850とを含むことができる。
【0076】
図19は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリの取り出しシステムの実施形態を全体的に例示している。
図19は、送出後の心構造及び受容器からの弁の取り出しのための取り出しシステム1900の実施形態を開示している。取り出しシステム1900は、編組フレームのループ1920の中に永久に組み込むことができるひも1910を含むことができる。一部の実施形態では、ひも1910は、蛍光透視下での視認性を達成するために放射線不透過材料を含むことができる。ひも1910は、カテーテル上にあってカテーテル又は特殊設計の受容器の中に引き込むことができる1又は2以上の取り出しフックによって捕捉することができる。ひも1910とフックとの張力は、弁を部分的に圧縮し、それを受容器から分離することができる。
【0077】
一実施形態では、捕捉ストリングとも呼ぶひもは、取り出し可能フレームの流入端の周りの円の全周を縫うように通される。ひも1910は、交連ポストの周り及びワイヤ肘部を通して縫うように通すことができる。ひも1910は、取り出しカテーテルによって弁を取り出すのに使用することができる。例えば、ひも1910は、取り出しカテーテルによって捕捉されて半径方向内向きに引張(すなわち、引かれた)状態にすることができ、更にこの引張は、フレームを半径方向内向きに引っ張り、それによって永久移植受容器フレーム部分から離れるように引っ張る。更に、
図19には、送出カテーテル接続要素1930が示されている。一部の実施形態では、送出カテーテル接続要素1930は、フレームの流出端上の交互肘部で生成される。他の実施形態では、弁システムの様々な部分は、例えば大動脈弁又は肺動脈弁と適合するように、又は特定の患者の心臓及び心臓弁のサイズ、強度、構成、疾患状態、又は他のもののパラメータをユーザの望み通りにフィットさせるのに必要に応じてサイズ、個数、及び形状が異なるように構成することができる。
【0078】
図20は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示している。
図20に示すように、送出カテーテル接続要素2020は、送出又は取り出しのための係合に適するようにかつロック縫合糸又はロックストリング2030による送出カテーテルからの解除に適するように構成することができる。ひも及びそのカテーテル取り付けループの逆の場合と同様に、送出カテーテル接続要素2020はロック縫合糸2030を保持する。送出中に、送出カテーテルは、ロック縫合糸2030を半径方向内向きに引張(すなわち、引かれた)状態にし、更にこの引張は、送出カテーテル接続要素2020を半径方向内向きに引っ張り、この引っ張りは、取り出し可能フレーム部分2010をこのカテーテル内に保持し、かつ永久移植受容器フレーム部分の捕捉要素内で自由に保持されるほど十分に小さい直径方向に小さい形態に保持する。次に、送出カテーテルが、取り出し可能フレーム部分を半径方向に展開させ、それによって受容器フレーム部分の中にロックさせることにより、ロック縫合糸2030上の張力を解除することができる。必要に応じて、取り出し可能フレーム部分の全体が受容器フレーム部分の中に望ましい位置、向きなどで正確に置かれるまで、ロック縫合糸2030上の張力を繰り返し再度印加及び解除することができる。
【0079】
図21は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。
図21に示すように、弁システムは、送出カテーテルの遠位端の中に挿入することができる。
図21は、送出又は取り出しのための例示的機構を更に示している。この実施形態では、複数の縫合糸2130は、ポート2150を通してリール2140に固定的に取り付けられ、かつ送出カテーテルの中に担持されたポスト又は心棒2170の周りに例えば同軸配置で摺動可能にループ2160にされる。各縫合糸はまた、交連ポスト2110又は送出特徴部2120を中に縫うように通される。リール2140及び心棒2170は、取り出し可能フレーム部分を折り畳む又は展開させるために駆動機構によって回転される。取り出し可能フレーム部分が所望通りに展開されて置かれた状態で、心棒2170がリール2140に対して引き戻されて遠位ループ2160が解除され、それによって取り出し可能フレーム部分は完全に拡張することができ、従って、それは完全に展開される。
【0080】
図22は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。
図22に示すように、受容器フレーム弁アセンブリ2270は、送出リール機構を含むことができる。
図22には部分的に展開された状態で示されている受容器フレーム弁アセンブリ2270は、コルセット2260を備える送出カテーテル2290内に入れられる。受容器フレーム弁アセンブリ2270は、送出カテーテル接続要素2220に係合して送出カテーテルに取り外し可能にロックされるロック縫合糸2230によってカテーテル内に折り畳み形態で維持される。このロック縫合糸2230は、望ましい状態になるまで送出カテーテル2290の中に弁の端部を保つのに使用することができる。リール2250に係合する駆動機構2280は、遠位弁の解除を制御すると考えられることを示すことができる。
【0081】
図23は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。好ましくは、近位又は流入側の送出システムである。
図23に示すように、送出システムは、圧縮された弁2310と、縫合線2330によって摺動可能に維持されたループ2320とを含むことができる。縫合線2330は、送出カテーテル2350の中に組み込まれたブッシング2340を通る経路を辿る。縫合糸2330は、必要に応じて弁アセンブリの展開及び維持を制御することができる。
【0082】
図24は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。
図24に示すように、各ループ2420は、その中を縫うように通された縫合糸2430を有し、縫合糸2430は、マニホルド2410上のブッシング2440から抜け出てそこに戻る。縫合糸2430のパターンは、ループの反対側にあるブッシングから出発してループを通り、次に、ブッシングに戻る方向を交替し、それによって縫合糸は、中心線を通るベクトルを有する張力を発生させる。このパターンは、送出カテーテルの中心を通って延びる配管2420を避けながら各フレームループに関して上述の中心線張力ベクトルを与えるという利点を有する。更に、このパターンは、ループを縮小し、それを可能な限り中心の近くに保つ張力を与えるという利点を有する。当業者は、各縫合糸が、送出カテーテルに対して固定された端部と、長さが適正に構成された時に弁の展開を正確に制御するように縫合糸の残りと協働させて引っ張るか又は解除することができる反対端とを有することを理解することができるであろう。弁が解除されることになる時に、縫合糸を切断/解除して引き戻すことができる。この機構は、近位弁の展開を支配的に制御するのに使用することができるが、遠位弁を制御するためにも使用することもできると考えられる。
【0083】
図25は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。
図25に示すように、遠位弁の制御のための送出システム2500は、短い縫合糸2520に摺動可能に接続された遠位弁ループ2510を含むことができる。縫合糸2520は、漏斗形ブッシング2530を通過し、ネジ切りロッド2550内のチャネル2540を通して案内され、遠位先端2580内に摺動可能に維持されたワイヤ2570上のループ2560で終端する。ワイヤ2570には、送出システムの近位端でアクセス可能である。送出の前にループ2510を圧縮位置に引っ張るために、ブッシング2530を押圧するようにノブ2590が回される。弁は、ワイヤ2570を引っ張って縫合糸2520の一端を解除することによって解除される。
【0084】
図26は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。
図26は、追加の構造と共に組み合わせたアセンブリの遠位破断側面
図2600と遠位外観
図2695とを開示している。
図26は、近位解除機構マニホルド2620を有する圧縮形態にある弁2610を開示している。マニホルド2620は、ベアリング2630に当接させることができ、ベアリング2630は、それとマニホルド2620との間、時に別のブッシング2640との間で何らかの角度的可動結合を可能にする。これらのブッシングは、縫合糸及び中心配管がこれらのブッシングを通ることを可能にしながら何らかの角度的可動結合を可能にすることができる。遠位弁に対する解除機構は、漏斗形ブッシング2650と、ノブ2660と、ネジ切りロッド2670と、遠位先端2680とを含む。更に、送出の前に体内への挿入に関して弁の完全な圧縮と滑らかな外面とを保証するためにアセンブリにわたって押圧された外側シース2685が示されている。その後に、このシースは、弁及び解除機構を露出するために体外から近位に格納することができる。構造設計によって何らかの量の可撓性が得られる角度的可動結合ゾーンは、点2690で示している。
【0085】
図27は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。
図27に示すように、送出カテーテル2710のような展開システムは、その周りにあって展開システム内で圧縮された弁システムを直接に覆うように又はその直近に置かれた1又は2以上のコルセット2720を含むことができる。コルセット2720は、弁システムの経カテーテル配置中に受ける問題に対処する。特に、弁システムの経カテーテル送出中に、展開システムは、弁システムを自然弁に送出するために数センチメートルの短い距離の間に約180度の鋭い折り返しを行わなければならない。圧縮された弁システムは、展開システム内でシースに対して有意な力を作用するので、この鋭い折り返しは、自然展開弁システムの解除を阻害し、シースの引き戻しが困難又は不可能であり、鋭い折り返しの周りにシースを引き戻そうと試みる結果としてカテーテル及び弁の変位がもたらされる。展開システム上へのコルセット2720の配置は、カテーテル及び弁システムの変位を最小にする。
【0086】
好ましい実施形態では、コルセット2720は、矩形又は正方形であり、ダクロン、リップストップナイロン、又は類似の布のような非柔軟性布で製造される。コルセット2720の布は、x方向とy方向の両方に非柔軟であって0.002~0.006’’(インチ)内にわたることが可能な厚みと対応する重量とを有する密な織布を含む。コルセット2720の布は、その合わさる端部が直近にあるが重ならないようなチューブに形成することができる。合わさる端部は、解除縫合糸と呼ぶ交替縫い目2730を有することができ、解除縫合糸は、定められた場所にある時に引張ワイヤ2740が互いに合わさる端部を維持し、引張ワイヤ2740が解除縫合糸によって引っ張り出される時に、合わさる端部が解除されて分離する方式で引張ワイヤ2740の周りをループして戻る。一部の実施形態では、引張ワイヤ2740は、それが解除縫合糸を通して引っ張られた後に取り出しのためのコルセット2720の一部分を提供するように構成することができる。引張ワイヤは、組立中に偶発的な離脱を防止するための曲げ端部を含むことができる。最終組立後に、引張ワイヤの端部にあるこれらの曲げ部は切り落とされる。
【0087】
引張ワイヤ2740は、一般的に、直径が0.010~0.020’’であり、テフロン、パリレン、又はシリコーンなどのような摩擦低減コーティングで被覆された非常に可撓性が高いステンレス鋼又はニチノールで構成することができる。引張ワイヤ2740は、弁アセンブリが存在するカテーテルの遠位端から、カテーテルを制御して引張ワイヤ2740及び取り出しひも2750を固定/解除するためのハンドルを使用して送出カテーテルの近位端まで並進させることができる。カテーテルは、全てのワイヤ及びひもがその中を通って並進する単一管腔を使用することができ、各ワイヤ及びひもに対する複数の管腔を有することができ、その組合せを含むことができる。送出システムがその中を通って並進するより大きいガイドカテーテルが送出システムによって使用される場合に、解除されたコルセットをひもを用いてこのガイドの中に引き込み、その後に取り出すことができる。コルセットと引張ワイヤとの組合せは、ワイヤを引っ張るための力が非常に小さく、この引張を180度の折り返しの周りで容易に行うことができ、従って、カテーテル及び弁の変位が最小にされることで従来技術の解除システムに優る利益を提供する。
【0088】
図28は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。
【0089】
図29は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムのコルセットの実施形態を全体的に例示している。
図29に示すように、コルセット2910は、解除後にコルセット2910を取り出すために取り付けられたひも2920を含むことができ、ひも2920は、ワイヤ、ストリング、又は縫合糸で製造される。
図29は、コルセット2910の解除縫合糸2930を更に開示している。一実施形態では、コルセットは、0.375’’OD、0.350’’IDのチューブ(27F)の上に形成される。弁アセンブリは、ステント圧着ツールを用いて圧縮されてチューブの内側に装填される。次に、コルセットと弁アセンブリは、コルセットが弁アセンブリの上にあるように、その後に同時にチューブから押し出される。
【0090】
図30は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。
図30に示すように、弁アセンブリを展開するために、市販の送出カテーテル又は特別仕様のカテーテル、又は他のシステム構成要素の送出のための簡便な導管として作用するような案内カテーテル3010を使用することができる。一実施形態では、固着器3050を腱索に送出するための2つのレール3020がカテーテルから延びることができる(必要に応じてより多いか又はより少ないレールを使用することができる)。受容器送出カテーテル3030は、受容器フレーム部分3060を送出することができる。更に、弁及び取り出し可能フレームアセンブリカテーテル3040は、弁及び取り出し可能フレームアセンブリ3070を送出することができる。
【0091】
図31は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。
図31に示すように、代替心臓弁システムは、協働するように構成された受容器フレーム部分3130に取り外し可能に接続するようにサイズ決定及び構成された弁及び取り出し可能フレームアセンブリ3140(取り出し可能フレーム部分の中に保持された組織弁又は他の血流調整器を含む)を含むことができる。一実施形態では、受容器フレーム部分3130は、僧帽弁のような弁の腱索の中に固着することができる固着器システム3120を含む。固着器システム3120は、案内カテーテル3110を通して自然心臓内のターゲット部位に伝達され、かつ構成要素を順次及び/又は予め接続された形態で送出することができ、この場合に、最初に固着器3120がレール(点線として示す)を通してターゲット部位の中に置かれる。別の実施形態では、受容器フレーム部分3130は、協働するように構成された固着器システム3120に取り外し可能に接続するようにサイズ決定及び構成され、固着器システム3120は、送出時に受容器フレーム部分3130が固着器3120の中に置かれてそれに取り付けられ、その後に、弁及び取り出し可能フレームアセンブリ3140が受容器フレーム部分3130の内側に置かれるように弁の腱索の中に固着することができる。
【0092】
図32は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムの実施形態を全体的に例示している。
図32に示すように、受容器フレーム部分の固着器は、自然ターゲット心臓弁内の定められた場所にロックすることができ、受容器フレーム部分は、心臓弁システムを保持する機能を有する。
【0093】
図33は、本明細書に開示する折り畳み可能心臓弁アセンブリシステムのための展開システムの実施形態を全体的に例示している。
図33に示すように、望ましいターゲット心構造への代替心臓弁システムの構成要素の展開に関していくつかの方法が利用可能である。
図33は、これらの構成要素を僧帽弁構造に送出するのに適する少なくとも3つの異なる経路を描いている。「経心尖」手法は、鼠径部3320内で案内カテーテル3310を静脈の中に挿入し、更に心房中隔を通して僧帽弁に至るまで挿入する段階を含む。「経大動脈」手法は、鼠径部3330内で案内カテーテル3310を動脈の中に挿入し、かつ大動脈弁を通して僧帽弁に至るまで挿入する段階を含む。代わりの「経心尖」手法3340は、心臓を手術で露出させて案内カテーテル3310をターゲット心臓の心尖部の中に挿入する段階を含む。
【0094】
他の実施形態では、最初に案内カテーテルを患者の身体に配置することができ、次に、案内カテーテル内又はターゲット部位内のいずれかで受容器フレーム部分とは別個とするか又はそれに取り外し可能に取り付けられたものとすることができるレールが、カテーテルを通してターゲット部位の中に置かれる。固着器は、腱索のような望ましい心構造に係合する。次に、送出案内レールの近位端が受容器フレーム部分の上のカラーの中を縫うように通された後に受容器フレーム部分が案内カテーテルを通して置かれ、受容器フレーム部分は固着器に取り付けられ、従って、望ましい意図する自然心構造の場所に置かれる。次に、受容器フレーム部分は、受容器送出案内カテーテルから解除され、次に、このカテーテルは、患者の少なくとも心臓から一般的には身体から引き戻される。更に、固着器がレールから解除され、レールは引き戻される。その後に、弁送出カテーテルが案内カテーテルに置かれ、例えば、弁及び取り出し可能フレームアセンブリを受容器フレーム部分の中に部分的又は完全に挿入することにより、及び/又は弁及び取り出し可能フレームアセンブリを受容器フレーム部分に機械的に取り付けることによって弁及び取り出し可能フレームアセンブリが受容器フレーム部分に送出されて接続される。
【0095】
図34は、本明細書に開示する取り出し可能フレームのための編組構成の実施形態を全体的に例示している。
図31は、取り出し可能フレーム部分に適する2つの例示的な編組構成を開示している。これらの構成は、ワイヤが1周回毎に4回交差する実施形態と、ワイヤが1周回毎に6回交差する実施形態とを開示している。これらの実施形態は、更に交連ポストを示し、ワイヤ交差点での例示的な角度を明らかにしている。
【0096】
図35~
図40は、本明細書に開示する取り出し可能フレームのための編組構成の実施形態を全体的に例示している。
【0097】
他の実施形態では、代替心臓弁システムは、以下の通りに実施及び/又は使用することができる。レール及び固着器は、ターゲット心臓弁を横断するように経皮的に並進される。レールを担持し、案内カテーテルを通して固着器を実施するシースは、固着器のフックを露出させるために部分的に引き戻され、次に、フックは、弁腱及び/又は他の弁下構造に係合する(ターゲット弁に部分的に依存して)ように操作される。フックがターゲット部位内で所望通りに係合すると、取り出し可能フレーム部分を保持するように構成された受容器フレーム部分がレール上に装填され、受容器フレーム部分上の嵌合特徴部が固着器の対応する嵌合ゾーンの上に適正に位置付けられるように定められた場所に摺動される。次に、受容器フレーム部分が展開される。展開された状態で、受容器と固着器とが結合して基本的に1つの完全な固着器/受容器ユニット、すなわち、原位置固着器-受容器フレームユニットになる。次に、ワイヤロックをトルクチューブから係合解除させて近位に引っ張ることにより、固着器が送出案内カテーテルから解除される。更に、弁及び取り出し可能フレームアセンブリは、同じか又は異なるカテーテルを通して送出され、原位置で固着器/受容器ユニットに取り付けられる。
【0098】
上記で示した実施形態は、限定的ではない。例えば、受容器フレーム部分と弁及び取り出し可能フレームアセンブリとを1つの送出カテーテル内に組み合わせるもの、レール/固着器と受容器フレーム部分とを1つの送出カテーテルに組み合わせるもの、又は上述の様々な組合せを含む他の送出機構が可能である。
【0099】
他の実施形態では、取り出し可能フレーム部分の製造時に(フレームがマンドレル上で構成されている時にわたって)、フレーム変形は、0.2mm、0.3mm、0.4mm、又は0.5mmの内半径を含む適切な尖部曲げ半径を含む。そのような半径は、カテーテル内構成に折り畳まれた時に0.1mm又はそれ未満まで縮小することができる。
【0100】
本明細書に記載のフレーム、ひも、コーティングなどを構成するのに適する材料は、ユーザ又は患者の要求又は必要に応じて選択及び構成することができる。例えば、材料カバー又はコーティングは、フレーム、固着器の内皮被覆率を改善する内皮化促進剤のような特定の細胞応答及び分子応答を誘起するように選択及び構成することができる。他のコーティングなどは、生体適合性を改善するが、組織の内殖/融合を阻害又は排除するように選択することができる。この内皮化の阻害は、本明細書に記載のフレーム間又はこれらのフレームとターゲット組織の間の癒着、すなわち、細胞接続を最小限にしか破断せずにターゲット部位から本明細書に記載のデバイスを取り出す機能を改善することができる。内皮化促進剤の例は、VEGF増殖因子を含む。内皮化防止剤の例は、医療適格のフカン及び抗VEGF薬、例えば、ベバシズマブ(モノクローナル抗体)、ラニビズマブ(抗体誘導体)、ペガプタニブ(アプタマー)、ラパチニブ、スニチニブ、及びソラフェニブ(チロシンキナーゼを阻害する経口低分子剤)、VEGFトラップアイ(融合蛋白質)、並びにsiRNA-ベバシラニブ及びadPEDFのような諸々の薬剤を含む。
【0101】
一部の実施形態では、生理活性促進薬剤及び同じ生理活性の防止剤は、例えば、単一フレームを含む本明細書に記載のデバイス、システムのような様々な選択区域上に提供される。例えば、1つの場所に内皮化促進剤を提供することができ、別の場所に内皮化防止剤を提供することができる。これらの薬剤の場所は、例えば、非自然組織接続要素の自由な動き又は容易な取り出しを改善しながら固着器又は受容器フレームの接続自然組織要素(いずれかが存在する場合)のような永久要素の内殖を容易にするように構成することができる。自然組織応答には、化学的性質/組成、構造寸法、孔サイズ、及び面トポグラフィを含むがこれらに限定されない材料又はコーティングの性質のユーザ選択によって影響を及ぼすことができる。
【0102】
他の実施形態では、弁システムの材料は不活性とすることができ、又は周囲の自然組織との又はそれに対する制御式又は予想可能な反応性を有することができる。反応性機構は、代替心臓弁システムの永久移植部分への自然ターゲット部位の内皮取り付けを容易にするような細胞反応を誘起するように選択することができる。一部の実施形態では、フレーム材料及び/又はそのコーティングの反応性機構は、材料を自然心筋のような自然組織の中に融合させる軽度から強度の組織内殖を誘起するように選択することができる。一部の実施形態では、フレーム材料及び/又はそのコーティングの反応性機構は、血栓又は炎症/瘢痕化のような特定の反応を抑制するように選択することができる。そのような抗瘢痕化/抗線維性癒着材料の一例は、医療適格フカンである。
【0103】
コーティング及び他の材料は、生体適合性を容易にするように選択することができる。適切なコーティングは、ポリマー及び化学気相蒸着セラミック、例えば、低温等方性炭素を含む。コーティング及び他の材料は、選択される特定の治療効果を有する薬物を含むことができる。布タイプの材料は、織布、編組布、編布などとすることができる。材料は、支持部材又は支柱間を張る高分子膜のような膜又はシートを形成することができる。適切な材料の一例は、選択される望ましい多孔率を有するePTFEを含むePTFEである。
【0104】
フレームの物理特性は、アクションの適正なシーケンスを保証するためにデバイスの1つのフレーム部分がデバイスの別のフレーム部分と比較してより低速に最終構成に展開されることのような時間依存応答を含むことができる。そのような時間依存応答は、取り出し可能フレーム部分と受容器フレーム部分との間、又は単一フレームの異なるセクション内で変化することが可能である。
【0105】
送出システムのフレーム内の及び/又はフレーム間の材料は、デバイスの展開/取り出しを助けるように選択及び構成することができる。そのような構成の一例は、送出中に血流を調整する「傘」を生成するための材料をカテーテルから延びる展開ワイヤ又は制御ワイヤ間に配置するものである。そのような構成では又は互いに対するフレーム部材の物理的支持又は拘束を与えるために又は小葉を取り付けるために、布のような材料を有利に使用することができる。
【0106】
追加の望ましい特性は、例えば、デバイスを展開するための力を低減するためにフレーム間の潤滑性又は送出カテーテルの内面に対する本明細書に記載のシステムの潤滑性を高めるようにテフロン材を提供することによって選択される構成要素の潤滑性を含むことができる。この潤滑性は、外科医又は他のユーザへの戦術的なフィードバックを改善することができる。
【0107】
例えば、コーティング、布、及び組織を含む材料の特性などは、小葉の範囲、フレームの範囲、又は1つのフレームと次のフレームの間を含むデバイスの局所区域内で変化させることが可能である。例えば、構造の1つの部分から例えば半径方向内向きに移動し、別の部分と比較して弱くなる組織内殖反応を誘起するように材料を含むことができる。同様に、デバイスの局所区域の特性を変化させるためにコーティングを除去するか又は選択的に堆積させることができる。
【0108】
他の実施形態は、例えば、説明した実施形態の場合とは異なる順序で特徴を与えるか又は適用すること、一実施形態から個々の特徴を取り出し、そのような特徴を別の実施形態の中に組み込むこと、実施形態から1又は2以上の特徴を除去すること、又は実施形態から1又は2以上の特徴を除去し、それと共に1又は2以上の他の実施形態から取り出した1又は2以上の特徴を追加することに対応する実施形態を含むいくつかの図で説明した又は図示した特徴の組合せ及び部分結合をそのような組合せ及び部分結合に組み込まれる特徴の利点をもたらしながら含むことができる。この段落に使用する1又は複数の「特徴」は、装置の構造及び/又は機能、製造又はシステムの製品、及び/又は方法の段階、実施、又は方式を指す場合がある。
【0109】
本明細書を通じて「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」などへの参照は、説明する実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を有することができるが、全ての実施形態が必ずしもこれらの特定の特徴、構造、又は特性を含まない場合があることを示している。更に、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。更に、特定の特徴、構造、又は特性を一実施形態に関して説明する時は、明示的に説明するか否かに関わらず、この説明が、他の実施形態に関するそのような特徴、構造、又は特性に影響を及ぼすことは当業者の知識範囲内であろう。
【0110】
状況が明らかに他を示さない限り、(1)「及び」という言葉は接続的であることを示し、(2)「又は」という言葉は離接的であることを示し、(3)物品を離接的に表し、それに「又はこれらの両方」、という言葉が続く時に、接続的であること及び離接的であることの両方を意図し、(4)連記する最後の2つの品目の間の「及び」又は「又は」という言葉は、連記する全ての項目に適用される。
【0111】
複数の名詞が後に続く「1又は2以上」という用語を用いて群を表す場合に、この群の1又は2以上の構成要素を指示するための当該名詞のいずれかの追加の使用は、その名詞の単数形と複数形の両方を示すものとする。例えば、群の「構成要素」の記載が後に続く「1又は2以上の構成要素」を有するとして表す群は、当該群に唯1つの構成要素しか存在しない場合は「当該構成要素」を意味するものとする。
【0112】
複数形ではない名詞は、1又は2以上を意味する。従って、本明細書では、複数形ではない名詞、「1又は2以上」で表される名詞、及び「少なくとも1つ」で表される名詞は、交換可能に使用することができる。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、交換可能に使用することができることにも注意されたい。
【国際調査報告】