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特表2024-510062ハウジング及びその修復方法、関連する二次電池、電池モジュール、電池パックならびに電力消費装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ハウジング及びその修復方法、関連する二次電池、電池モジュール、電池パックならびに電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/121 20210101AFI20240228BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20240228BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20240228BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240228BHJP
   H01M 50/122 20210101ALN20240228BHJP
【FI】
H01M50/121
H01M50/124
H01M50/131
H01M10/42 Z
H01M50/122
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535554
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2022073450
(87)【国際公開番号】W WO2023137748
(87)【国際公開日】2023-07-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】徐 冶
(72)【発明者】
【氏名】伍 ▲順▼宏
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 仁▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲賓▼
(72)【発明者】
【氏名】▲嚴▼ 尊光
(72)【発明者】
【氏名】高 佳静
【テーマコード(参考)】
5H011
5H030
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011AA09
5H011CC02
5H011CC05
5H011CC10
5H011DD09
5H011KK00
5H011KK01
5H011KK06
5H030AA06
5H030AA09
5H030AS01
5H030AS08
5H030AS11
(57)【要約】
本出願は、二次電池用のハウジングを提供し、ここで、前記ハウジングの外面は、絶縁層を有し、前記絶縁層に修復部があり、ここで、前記修復部は、硬化性材料により形成された、上部のキノコ状蓋と下部のキノコ状蓋支持部を含むキノコ状構造であり、前記キノコ状蓋支持部は、前記絶縁層の内部に埋め込まれ、前記キノコ状蓋は、前記絶縁層から突出し、且つ前記キノコ状蓋の下面は、前記絶縁層の上面に覆われ、ここで、前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最長サイズ≧前記キノコ状蓋支持部の幅w+電池の沿面距離Lである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングであって、前記ハウジングの外面は、絶縁層を有し、前記絶縁層に修復部があり、ここで、
前記修復部は、硬化性材料により形成された、上部のキノコ状蓋と下部のキノコ状蓋支持部を含むキノコ状構造であり、前記キノコ状蓋支持部は、前記絶縁層の内部に埋め込まれ、前記キノコ状蓋は、前記絶縁層から突出し、且つ前記キノコ状蓋の下面は、前記絶縁層の上面に覆われ、ここで、
前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最長サイズ≧前記キノコ状蓋支持部の幅w+電池の沿面距離Lである、ハウジング。
【請求項2】
前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最大厚さ≧1/2前記絶縁層の厚さtである、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記キノコ状蓋支持部の前記絶縁層の内部に埋め込まれる深さ≦1/2前記絶縁層の厚さtである、請求項1又は2に記載のハウジング。
【請求項4】
前記硬化性材料の絶縁層表面での濡れ角θは、1°<θ<90°を満たし、且つ前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋支持部の幅w≧10t×cotθ+3であり、ここで、tは前記絶縁層の厚さであり、単位はミリメートルである、請求項1~3のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項5】
前記硬化性材料は、光硬化材料又は熱硬化材料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項6】
前記光硬化材料又は熱硬化材料の粘度は30~500mPa.sである、請求項5に記載のハウジング。
【請求項7】
前記光硬化材料は、紫外線硬化材料であり、前記紫外線硬化材料は、
本体樹脂30~60重量%と、
稀釈モノマー30~50重量%と、
光開始剤3~15重量%と、
他の助剤0~20重量%とを含み、
上記含有量は、光硬化材料の総重量に基づいて計算され、且つ各成分の含有量の和は、100重量%である、請求項5又は6に記載のハウジング。
【請求項8】
前記熱硬化材料は、
本体樹脂45~70重量%と、
触媒0.1~5重量%と、
助剤29.9~50重量%とを含み、
上記含有量は、熱硬化材料の総重量に基づいて計算され、且つ各成分の含有量の和は、100重量%である、請求項5又は6に記載のハウジング。
【請求項9】
前記稀釈モノマーは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレート又はイソボルニルメタクリレートから選択され、好ましくは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレートから選択され、前記光開始剤は、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-アセトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドのうちの少なくとも一つから選択される、請求項7に記載のハウジング。
【請求項10】
ハウジングの修復方法であって、
前記ハウジングの外面の欠陥領域を位置決めし、欠陥領域の境界を識別する欠陥位置決めステップa)と、
欠陥領域の一部の絶縁層を除去して、欠陥領域全体を覆う凹溝を形成する絶縁層除去ステップb)と、
硬化性材料で凹溝を補修して、キノコ状蓋支持部を形成し、その後、予備硬化を行うキノコ状蓋支持部形成ステップc)と、
硬化性材料で表面層を補修し、その後、最終硬化を行って、キノコ状蓋を形成し、且つ前記キノコ状蓋を前記キノコ状蓋支持部と一緒に硬化することにより、キノコ状構造を形成するキノコ状蓋形成ステップd)とを含み、
ここで、上記ステップa)~ステップd)により形成されたハウジングの外面は、絶縁層を有し、前記絶縁層に修復部があり、ここで、
前記修復部は、硬化性材料により形成された、上部の前記キノコ状蓋と下部の前記キノコ状蓋支持部を含むキノコ状構造であり、前記キノコ状蓋支持部は、前記絶縁層の内部に埋め込まれ、前記キノコ状蓋は、前記絶縁層から突出し、且つ前記キノコ状蓋の下面は、前記絶縁層の上面に覆われ、前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最長サイズ≧前記キノコ状蓋支持部の幅w+電池の沿面距離Lである、ハウジングの修復方法。
【請求項11】
前記ステップb)では、前記凹溝の水平方向における投影面積>前記欠陥領域の水平方向における投影面積である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップc)では、前記キノコ状蓋支持部を形成するために、前記硬化性材料の補修厚さは、前記キノコ状蓋支持部の深さから(キノコ状蓋支持部の深さ+前記絶縁層の厚さtの10%)までである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップc)の予備硬化とステップd)の最終硬化に必要なエネルギーは、同じであるか、又は異なっている、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップc)の前に、前記凹溝の表面に対してプラズマクリーニングを行う、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載のハウジング又は請求項10~14のいずれか一項に記載の方法で修復されたハウジングを含み、ここで、前記ハウジングの内部には電極アセンブリと電解液が含まれ、又は、前記ハウジングの内部には電極アセンブリと固体/半固体電解質が含まれる、二次電池。
【請求項16】
請求項15に記載の二次電池を含む、電池モジュール。
【請求項17】
請求項16に記載の電池モジュールを含む、電池パック。
【請求項18】
請求項15に記載の二次電池、請求項16に記載の電池モジュール又は請求項17に記載の電池パックのうちの少なくとも一つを含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リチウム電池技術分野に関し、特にハウジング及びその修復方法、二次電池、電池モジュール、電池パックならびに電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池の応用範囲が益々広くなることに伴い、リチウムイオン電池は、水力、火力、風力と太陽光発電所等のエネルギー貯蔵電源システム、及び電動ツール、電動自転車、電動オートバイク、電気自動車、軍事装備、航空宇宙等の複数の分野に広く応用されている。現在、アルミニウムシェルの電池コアを主とする電池ユニット又は電池パックが組み立てられており、且つ接続片が溶接された後、この時、電池コアの外面の絶縁層(例えば絶縁膜、絶縁ワニス又は他のコーティング又は被覆層)に破損又は傷つきが発生すれば、電池ユニット(又はモジュール)又は電池パック全体は、絶縁耐圧問題により廃棄されてしまうことがある(寧徳時代新能源技術有限会社だけで2020年の年間廃棄率は0.2%に達し、>1億元のコスト損失額をもたらした)。
【0003】
電池又は電池パックは、製造された後にその全体構造が取り外されることができず、この時、絶縁層の破損が発生すれば、絶縁層を完全に除去した後に再修復することができない。従来の修復方法は、一般的には、感圧テープを用いて欠陥領域でパッチングするが、感圧テープの弾性率が低い(<2MPa)ため、複数回振動衝撃した後に、元のパッチング位置でクリープ問題によりシワ又は変位が発生し、それによって電池の安全性と耐用年数を保証することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、上記課題に鑑みてなされたものであり、キノコ状構造の修復部を有する絶縁層を含み、振動衝撃中に変位とシワが発生しないことを実現するとともに、修復後のハウジングの絶縁耐圧性能を保証し、且つ沿面距離が電池の元の技術要求を満たすことができることを効果的に保証でき、電池又は電池パックの廃棄を引き起こさない二次電池用のハウジングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本出願は、ハウジングを提供し、ここで、前記ハウジングの外面は、絶縁層を有し、前記絶縁層に修復部があり、ここで、
前記修復部は、硬化性材料により形成された、上部のキノコ状蓋と下部のキノコ状蓋支持部を含むキノコ状構造であり、前記キノコ状蓋支持部は、前記絶縁層の内部に埋め込まれ、前記キノコ状蓋は、前記絶縁層から突出し、且つ前記キノコ状蓋の下面は、前記絶縁層の上面に覆われ、ここで、
前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最長サイズ≧前記キノコ状蓋支持部の幅w+電池の沿面距離Lである。
【0006】
本出願は、ハウジングにキノコ状構造の修復部を形成することにより、振動衝撃中に変位とシワが発生しないことを実現するとともに、修復後のハウジングの絶縁耐圧性能を保証し、且つ前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最長サイズ≧前記キノコ状蓋支持部の幅w+電池の沿面距離Lであることにより、沿面距離が電池の元の技術要求を満たすことができることを効果的に保証でき、電池又は電池パックの廃棄を引き起こさない。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最大厚さ≧1/2前記絶縁層の厚さtである。これにより、ハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記キノコ状蓋支持部の前記絶縁層の内部に埋め込まれる深さ≦1/2前記絶縁層の厚さtである。これにより、元の絶縁層の完全性を最大限保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記硬化性材料の絶縁層表面での濡れ角θは、1°<θ<90°を満たし、且つ前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋支持部の幅w≧10t×cotθ+3であり、ここで、tは前記絶縁層の厚さであり、単位はミリメートルである。これにより、前記硬化性材料は、絶縁層の内部に十分に浸潤し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記硬化性材料は、光硬化材料又は熱硬化材料を含む。これにより、修復部と元の絶縁層との結合力を保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記光硬化材料又は熱硬化材料の粘度は30~500mPa.sである。これにより、修復部と元の絶縁層との結合力を保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記光硬化材料は、紫外線(UV)硬化材料であり、前記紫外線硬化材料は、
本体樹脂30~60重量%と、
稀釈モノマー30~50重量%と、
光開始剤3~15重量%と、
他の助剤0~20重量%とを含み、
上記含有量は、光硬化材料の総重量に基づいて計算され、且つ各成分の含有量の和は、100重量%である。これにより、修復部と元の絶縁層との結合力を保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記熱硬化材料は、
本体樹脂45~70重量%と、
触媒0.1~5重量%と、
助剤29.9~50重量%とを含み、
上記含有量は、熱硬化材料の総重量に基づいて計算され、且つ各成分の含有量の和は、100重量%である。これにより、修復部と元の絶縁層との結合力を保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0014】
いずれかの実施形態において、前記稀釈モノマーは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレート又はイソボルニルメタクリレートから選択され、好ましくは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレートから選択され、前記光開始剤は、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-アセトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドのうちの少なくとも一つから選択される。これにより、修復部と元の絶縁層との結合力を保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0015】
本出願の第2の態様は、ハウジングの修復方法をさらに提供し、該方法は、
前記ハウジングの外面の欠陥領域を位置決めし、欠陥領域の境界を識別する欠陥位置決めステップa)と、
欠陥領域の一部の絶縁層を除去して、欠陥領域全体を覆う凹溝を形成する絶縁層除去ステップb)と、
硬化性材料で凹溝を補修して、キノコ状蓋支持部を形成し、その後、予備硬化を行うキノコ状蓋支持部形成ステップc)と、
硬化性材料で表面層を補修し、その後、最終硬化を行って、キノコ状蓋を形成し、且つ前記キノコ状蓋を前記キノコ状蓋支持部と一緒に硬化することにより、キノコ状構造を形成するキノコ状蓋形成ステップd)とを含み、
ここで、上記ステップa)~ステップd)により形成されたハウジングの外面は、絶縁層を有し、前記絶縁層に修復部があり、ここで、
前記修復部は、硬化性材料により形成された、上部のキノコ状蓋と下部のキノコ状蓋支持部を含むキノコ状構造であり、前記キノコ状蓋支持部は、前記絶縁層の内部に埋め込まれ、前記キノコ状蓋は、前記絶縁層から突出し、且つ前記キノコ状蓋の下面は、前記絶縁層の上面に覆われ、前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最長サイズ≧前記キノコ状蓋支持部の幅w+電池の沿面距離Lである。そこで、二回の補修により、キノコ状の修復部を形成し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0016】
本出願の第3の態様は、二次電池を提供し、該二次電池は、本出願の第1の態様に記載のハウジング又は本出願の第2の態様に記載の方法で修復されたハウジングを含み、ここで、前記ハウジングの内部には電極アセンブリと電解液が含まれ、又は、前記ハウジングの内部には電極アセンブリと固体/半固体電解質が含まれる。
【0017】
本出願の第4の態様は、本出願の第3の態様の二次電池を含む電池モジュールを提供する。
【0018】
本出願の第5の態様は、本出願の第4の態様の電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0019】
本出願の第6の態様は、本出願の第3の態様の二次電池、本出願の第4の態様の電池モジュール、又は本出願の第5の態様の電池パックから選択される少なくとも一つを含む電力消費装置を提供する。
【0020】
本出願は、ハウジングに特定のサイズのキノコ状構造の修復部を形成することにより、振動衝撃中に変位とシワが発生しないことを実現するとともに、修復後のハウジングの絶縁耐圧性能を保証し、且つ沿面距離が電池の元の技術要求を満たすことができることを効果的に保証し、電池又は電池パックの廃棄を引き起こさない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ハウジングの修復部の構造概略図であり、ここで、Iは欠陥領域を表し、11はハウジングを表し、12は絶縁層を表し、13は修復部を表す。
図2】本出願の一実施形態の二次電池の概略図である。
図3図2に示される本出願の一実施形態の二次電池の分解図である。
図4】本出願の一実施形態の電池モジュールの概略図である。
図5】本出願の一実施形態の電池パックの概略図である。
図6図5に示される本出願の一実施形態の電池パックの分解図である。
図7】本出願の一実施形態の二次電池が電源として用いられる電力消費装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を適当に参照しながら、本出願のハウジング及びその修復方法、二次電池、電池モジュール、電池パックならびに電力消費装置を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。しかし、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを回避し、当業者に容易に理解させるためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載された主題を限定するためのものではない。
【0023】
本出願に開示される「範囲」は、下限及び上限の形式で限定され、所定範囲は、特定の範囲の境界を限定する1つの下限と1つの上限を選定することによって限定される。このように限定される範囲は、端値を含んでもよく含まなくてもよく、任意に組み合わせてもよく、即ち、任意の下限と任意の上限とを組み合わせて1つの範囲を形成してもよい。例えば、特定のパラメータについて60~120と80~110の範囲が列挙されている場合、60~110と80~120の範囲も予想されると理解される。なお、最小範囲値1と2、最大範囲値3、4と5が列挙されている場合、以下の範囲の1~3、1~4、1~5、2~3、2~4と2~5は全て予想されている。本出願において、別段の記載がない限り、数値範囲「a~b」は、aないしbの間の全ての実数の組み合わせを表す短縮表現であり、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、数値範囲「0~5」は、本明細書で「0~5」の間の全ての実数がリストアップされていることを意味し、「0~5」はこれら数値の組み合わせの省略表示にすぎない。また、あるパラメータ≧2の整数であると記述している場合、該パラメータは例えば、整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0024】
特に説明されていない限り、本出願の全ての実施形態及び選択可能な実施形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成してもよい。
【0025】
特に説明されていない限り、本出願の全ての技術的特徴及び選択可能な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成してもよい。
【0026】
特に説明されていない限り、本出願の全てのステップは、順次行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順次行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、前記方法が順次行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順次行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上に言及された前記方法がステップ(c)をさらに含むことは、ステップ(c)がいずれかの順で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)と(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)と(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)と(b)などを含んでもよい。
【0027】
特に説明されていない限り、本出願で言及した「含む」と「包含」は、開放型を表し、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、リストアップされていない他の成分をさらに含み又は包含してもよく、リストアップされた成分のみを含み又は包含してもよいことを表してもよい。
【0028】
特に説明されていない限り、本出願において、用語「又は」は包括的である。例えば、「A又はB」という語句は、「A、B、又はAとBの両方」を表す。より具体的には、以下のいずれか一つの条件は、いずれも「A又はB」という条件を満たす。Aが真であり(又は存在し)且つBが偽であり(又は存在せず)、Aが偽であり(又は存在せず)且つBが真であり(又は存在し)、又はAとBがいずれも真である(又は存在する)。
【0029】
現在、アルミニウムシェルの電池コアを主とする電池ユニット又は電池パックが組み立てられており、且つ接続片が溶接された後、この時、電池コアの外面の絶縁層(例えば絶縁膜、絶縁ワニス又は他のコーティング又は被覆層)に破損又は傷つきが発生すれば、電池ユニット(又はモジュール)又は電池パック全体は、絶縁耐圧問題により廃棄されてしまうことがある(寧徳時代新能源科技だけの2020年の年間廃棄率は0.2%に達し、>1億元のコスト損失額をもたらした)。
【0030】
電池又は電池パックは、製造された後にその全体構造が取り外されることができず、この時、絶縁層の破損が発生すれば、絶縁層を完全に除去した後に再修復することができない。従来の修復方法は、一般的には、感圧テープを用いて欠陥領域でパッチングするが、感圧テープの弾性率が低い(<2MPa)ため、複数回振動衝撃した後に、元のパッチング位置でクリープ問題によりシワ又は変位が発生し、それによって電池の安全性と耐用年数を保証することができない。発明者は、大量の研究を経て、本出願の第1の態様のハウジングが特定のサイズのキノコ状構造の修復部により電池の安全性を確保できることを発見した。
【0031】
ハウジング
本出願の一実施形態において、本出願は、ハウジングを提供し、ここで、前記ハウジングの外面は、絶縁層を有し、前記絶縁層に修復部があり、ここで、
前記修復部は、硬化性材料により形成された、上部のキノコ状蓋と下部のキノコ状蓋支持部を含むキノコ状構造であり、前記キノコ状蓋支持部は、前記絶縁層の内部に埋め込まれ、前記キノコ状蓋は、前記絶縁層から突出し、且つ前記キノコ状蓋の下面は、前記絶縁層の上面に覆われ、ここで、
前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最長サイズ≧前記キノコ状蓋支持部の幅w+電池の沿面距離Lである。
【0032】
メカニズムがまだよく分かっていないが、本出願者は、本出願がハウジングにキノコ状構造の修復部を形成することにより、振動衝撃中に変位とシワが発生しないことを実現するとともに、修復後のハウジングの絶縁耐圧性能を保証し、且つ前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最長サイズ≧前記キノコ状蓋支持部の幅w+電池の沿面距離Lであることにより、沿面距離が電池の元の技術要求を満たすことができることを効果的に保証でき、電池又は電池パックの廃棄を引き起こさないことを意外に発見した。
【0033】
いくつかの実施形態において、前記ハウジングは、二次電池に用いられる。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記キノコ状蓋の上面図が規則的な円形である場合、前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最長サイズは、前記円形の直径であり、キノコ状蓋の直径とも呼ばれる。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記電池の沿面距離Lは、絶縁表面に沿って測定された二つの導電部材の間又は導電部材と機器の保護界面との間の最短経路である。異なる使用状況で、導体の周りの絶縁材料が電気的に分極されるため、絶縁材料は、帯電現象を呈する。動力電池の沿面距離の規範は、一般的に国家標準『GB/T 16935.1-2008低圧システムにおける機器の絶縁協調第1の部分:原理、要求及び試験』を参照しながら、表を調べて得られる。有効電圧800V、材料グループ1、汚染レベル3に応じて、対応する沿面距離が≧10mmであると要求されるため、現在、動力電池パックのために設計された沿面距離は≧10mmである。本発明の実施例も該要求に応じて設計される。
【0036】
いくつかの実施形態において、前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最大厚さ≧1/2前記絶縁層の厚さtである。これにより、ハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記キノコ状蓋支持部の前記絶縁層の内部に埋め込まれる深さ≦1/2前記絶縁層の厚さtである。これにより、元の絶縁層の完全性を最大限保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0038】
いくつかの実施形態において、前記硬化性材料の絶縁層表面での濡れ角θは、1°<θ<90°を満たし、且つ前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋支持部の幅w≧10t×cotθ+3であり、ここで、tは前記絶縁層の厚さであり、単位はミリメートルである。これにより、前記硬化性材料は、絶縁層の内部に十分に浸潤し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0039】
前記硬化性材料の絶縁層表面での濡れ角は、液体の硬化性材料と絶縁層との接触点で硬化性材料と、絶縁層界面と硬化性材料の表面との接線とのなす角を指す。
【0040】
前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋支持部の幅は、キノコ状蓋支持部の断面において水平距離が最も大きい幅を指す。いくつかの実施形態において、前記キノコ状蓋支持部の水平断面が規則的な円形である場合、前記キノコ状蓋支持部の幅は、前記円形の直径を指し、キノコ状蓋支持部の直径とも呼ばれる。
【0041】
いくつかの実施形態において、前記硬化性材料は、光硬化材料又は熱硬化材料を含む。これにより、修復部と元の絶縁層との結合力を保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0042】
いくつかの実施形態において、前記光硬化材料又は熱硬化材料の粘度は30~500mPa.sである。これにより、修復部と元の絶縁層との結合力を保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記光硬化材料は、紫外線(UV)硬化材料であり、前記紫外線硬化材料は、
本体樹脂30~60重量%と、
稀釈モノマー30~50重量%と、
光開始剤3~15重量%と、
他の助剤0~20重量%とを含み、
上記含有量は、光硬化材料の総重量に基づいて計算され、且つ各成分の含有量の和は、100重量%である。これにより、修復部と元の絶縁層との結合力を保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0044】
いくつかの実施形態において、前記熱硬化材料は、
本体樹脂45~70重量%と、
触媒0.1~5重量%と、
他の助剤29.9~50重量%とを含み、
上記含有量は、熱硬化材料の総重量に基づいて計算され、且つ各成分の含有量の和は、100重量%である。これにより、修復部と元の絶縁層との結合力を保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0045】
いくつかの実施形態において、UV硬化材料と熱硬化材料における前記本体樹脂は、同じであるか、又は異なっており、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂(例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル)又はエポキシアクリレート系樹脂からそれぞれ独立的に選択されてもよく、好ましくは、アクリレート系樹脂、及びエポキシアクリレート系樹脂である。
【0046】
いくつかの実施形態において、UV硬化材料における前記稀釈モノマーは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレート又はイソボルニルメタクリレートから選択され、好ましくは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレートから選択される。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記光開始剤は、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-アセトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドのうちの少なくとも一つから選択される。これにより、修復部と元の絶縁層との結合力を保証し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0048】
いくつかの実施形態において、前記触媒は、ジクミルペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、ジクミルヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルスーパーオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルベンゼンペルオキシドエステル、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシド又はジ-tert-ブチルペルオキシドから選択される。これらの触媒は、単独で使用されてもよいか、又は複数種組み合わせて使用されてもよい。クミルヒドロペルオキシドが好ましい。
【0049】
いくつかの実施形態において、UV硬化材料と熱硬化材料における前記他の助剤は、同じであるか、又は異なっており、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、フィラー、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤などをそれぞれ独立的に含んでもよい。
【0050】
前記光安定剤は、ヒンダードアミン系、例えばセバシン酸ビス1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリドール、CHISORB292、CHISORB770、ベンゾフェノン系又はベンゾトリアゾール系であってもよい。
【0051】
前記熱安定剤は、ジブチル錫ジラウレート又は脂肪酸亜鉛である。
【0052】
前記可塑剤は、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニルイソオクチル、スルホン酸アルキル系可塑剤のうちの少なくとも一つである。
【0053】
前記フィラーは、軽質炭酸カルシウム、脂肪酸又は脂肪酸塩変性炭酸カルシウム、焼カオリン、ヒュームドシリカ、PVCパウダー、タルクパウダー、有機モンモリロナイト、珪藻土、二酸化チタン、中空球、カーボンブラック、硫酸バリウム、チタンホワイトパウダーのうちの少なくとも一つである。
【0054】
前記レべリング剤は、ポリアクリレート又はシリコーン樹脂又はフルオロカーボン界面活性剤、フッ素変性アクリレート又はそれらの組み合わせ、例えばドイツビックケミー社製のBYK333、BYK360、Glide 432、Flow 300、Efka 3600、摩能化工有限会社製の1154などの一つ以上の混合物を含むが、それらに限らない。
【0055】
前記消泡剤は、有機ポリマー又はシリコーン樹脂又はそれらの組み合わせ、例えばポリジメチルシロキサン、徳謙2700、海名斯DF7015、BYK-141などの一つ以上を含むが、それらに限らない。
【0056】
前記顔料分散剤は、長鎖ポリ脂肪酸とポリアミノ塩などの合成高分子類、多価カルボン酸塩、ケイ素系とチタン系カップリング剤などの顔料親和基含有ポリマーなどの一つ以上の組み合わせ、例えばドイツビックケミー社製のBYK163、BYK164、BYK358N、核心化学会社製のDisuper S28のうちの一つ以上を含むが、それらに限らない。
【0057】
前記UV硬化材料は、一瞬で乾燥可能であるか、又は極めて迅速に硬化可能であるため、迅速な再修復及び硬化時間が厳しく要求される状況に有利である。前記熱硬化材料は、硬化時間がUV硬化材料より遅いが、そのレベリング効果が高く、且つ熱硬化時に材料と絶縁層の浸潤効果が高く、得られた修復部の品質が高い。
【0058】
いくつかの実施形態において、本出願は、ハウジングの修復方法をさらに提供し、該方法は、
前記ハウジングの外面の欠陥領域を位置決めし、欠陥領域の境界を識別する欠陥位置決めステップa)と、
欠陥領域の一部の絶縁層を除去して、欠陥領域全体を覆う凹溝を形成する絶縁層除去ステップb)と、
硬化性材料で凹溝を補修して、キノコ状蓋支持部を形成し、その後、予備硬化を行うキノコ状蓋支持部形成ステップc)と、
硬化性材料で表面層を補修し、その後、最終硬化を行って、キノコ状蓋を形成し、且つ前記キノコ状蓋を前記キノコ状蓋支持部と一緒に硬化することにより、キノコ状構造を形成するキノコ状蓋形成ステップd)とを含み、
ここで、上記ステップa)~ステップd)により形成されたハウジングの外面は、絶縁層を有し、前記絶縁層に修復部があり、ここで、
前記修復部は、硬化性材料により形成された、上部のキノコ状蓋と下部のキノコ状蓋支持部を含むキノコ状構造であり、前記キノコ状蓋支持部は、前記絶縁層の内部に埋め込まれ、前記キノコ状蓋は、前記絶縁層から突出し、且つ前記キノコ状蓋の下面は、前記絶縁層の上面に覆われ、前記絶縁層の表面に垂直な前記修復部のいずれかの断面において、前記キノコ状蓋の最長サイズ≧前記キノコ状蓋支持部の幅w+電池の沿面距離Lである。そこで、二回の補修により、キノコ状の修復部を形成し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を保証する。
【0059】
いくつかの実施形態において、前記ステップa)では、欠陥領域は、電池管理システム(BMS)により位置決めされる。BMSでは、欠陥領域が出現すると、温度又は電圧は異常になり、即ちフィードバックされた電圧は0V又は他の低電圧値になり、又はサーミスタ(NTC)により収集された温度は明らかに上昇する。
【0060】
欠陥領域の境界は、走査型電子顕微鏡又は視覚カメラ(CCD)により識別される。
【0061】
いくつかの実施形態において、前記ステップb)では、前記凹溝の水平方向における投影面積>前記欠陥領域の水平方向における投影面積である。これにより、欠陥領域が完全に修復されることを保証し、ハウジングの絶縁耐圧性能を確保する。
【0062】
いくつかの実施形態において、ステップb)では、凹溝の深さは、キノコ状蓋支持部の深さに略等しく、凹溝の幅は、キノコ状蓋支持部の幅wに略等しい。同時に説明すべきこととして、一般的には、キノコ状蓋支持部の幅wは、欠陥領域の幅以上であるべきであり、欠陥領域の幅が小さく、ひいては3ミリメートル未満である場合、キノコ状蓋支持部の幅wは、w≧10t×cotθ+3を満たすべきであり、ここで、tは前記絶縁層の厚さであり、単位はミリメートルであり、θは硬化性材料の絶縁層表面での濡れ角である。
【0063】
いくつかの実施形態において、ステップb)では、レーザークリーニング又は機械的研削によって一部の絶縁層を除去する。前記レーザークリーニングは、パルスファイバレーザー又は炭酸ガスレーザーによって非金属コーティングにレーザーエネルギーを吸収させ、熱傷と熱膨張によってコーティングの一部を除去することである。前記機械的研削は、ミーリング又は研削によって機械加工を行うことにより一定の厚さのコーティングを除去することである。
【0064】
いくつかの実施形態において、ステップc)では、前記キノコ状蓋支持部を形成するために、前記硬化性材料の補修厚さは、前記キノコ状蓋支持部の深さから(キノコ状蓋支持部+前記絶縁層の厚さtの10%)までである。これにより、硬化性材料が凹溝に十分に浸潤してキノコ状蓋支持部を形成することを確保し、それによってハウジングの絶縁耐圧性能を確保する。
【0065】
いくつかの実施形態において、ステップc)の予備硬化とステップd)の最終硬化に必要なエネルギーは、同じであるか、又は異なっている。前記硬化性材料が光硬化材料である場合、照射エネルギーは2000~4000mJ/cm^2である。ここで、UV照射エネルギーは、厚さに比例し、総エネルギーは、
E=E0*tであり、
tは、一層のコーティング厚さ(cm)であり、
E0は、単位厚さに必要なエネルギー(mJ/cm)である。
【0066】
前記硬化性材料が熱硬化材料である場合、ステップc)の予備硬化とステップd)の最終硬化の加熱温度は、それぞれ独立的に、予備硬化60~80℃、好ましくは、70~80℃であり(安全温度の範囲内で高い温度を選択することにより予備硬化の時間長を短縮することができ、温度が高すぎると、電池コアに不可逆的な損傷が発生する)、最終硬化35~60℃、好ましくは、40~50℃である。
【0067】
いくつかの実施形態において、前記硬化性材料は、本明細書の上記内容に記載されるとおりである。
【0068】
いくつかの実施形態において、ステップc)の前に、前記凹溝の表面に対してプラズマクリーニングを行う。これにより、絶縁層の表面張力を向上させ、絶縁層の表面極性を高め、修復部と絶縁層との結合力を向上させることができる。
【0069】
そのため、いくつかの実施形態において、本出願の方法は、
前記ハウジングの外面の欠陥領域を位置決めし、欠陥領域の境界を識別する欠陥位置決めステップa)と、
欠陥領域の一部の絶縁層を除去して、欠陥領域全体を覆う凹溝を形成する絶縁層除去ステップb)と、
前記凹溝の表面に対してプラズマクリーニングを行うステップc0)と、
硬化性材料で凹溝を補修して、キノコ状蓋支持部を形成し、その後、予備硬化を行うキノコ状蓋支持部形成ステップc)と、
硬化性材料で表面層を補修し、その後、最終硬化を行って、キノコ状蓋を形成し、且つ前記キノコ状蓋を前記キノコ状蓋支持部と一緒に硬化することにより、キノコ状構造を形成するキノコ状蓋形成ステップd)とを含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、ステップc)とステップd)では、前記補修は、インクジェットプリントプロセスと精密ディスペンスプロセスによって行われる。前記インクジェットプリントプロセスは、硬化性材料を用いてインクジェットプリンタによって指定領域に正確にプリントして一定の厚さの修復部を形成することである。精密ディスペンスプロセスは、正確かつ計量の小さいディスペンス機器を用いて硬化性材料を指定領域にディスペンスして一定の厚さの修復部を形成することである。
【0071】
いくつかの実施形態において、本出願は、二次電池をさらに提供し、該二次電池は、請求項1~9のいずれか一項に記載のハウジング又は請求項10~14のいずれか一項に記載の方法で修復されたハウジングを含み、ここで、前記ハウジングの内部には電極アセンブリと電解液が含まれ、又は、前記ハウジングの内部には電極アセンブリと固体/半固体電解質が含まれる。
【0072】
前記二次電池の絶縁性能は、500Vの直流電流(DC)でその絶縁抵抗(GΩ)を測定することにより特徴付けられる。前記二次電池の絶縁阻抗≧10GΩである。
【0073】
前記二次電池の耐圧性能は、2700Vの直流電流(DC)でその漏洩電流(mA)を測定することにより特徴付けられる。前記二次電池の漏洩電流≦0.1mAである。
【0074】
通常、二次電池は、正極板と、負極板と、電解質と、セパレータとを含む。電池の充放電過程において、活性イオンは正極板と負極板との間に往復してインターカレーションやデインターカレーションをする。電解質は、正極板と負極板との間でイオンを伝導する役割を果たす。セパレータは、正極板と負極板との間に設けられ、主に正負極の短絡を防止する役割を果たすとともに、イオンを通過させることができる。
【0075】
[正極板]
正極板は、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設置される正極膜層とを含み、前記正極膜層は、本出願第1の態様の正極活物質を含む。
【0076】
例示的に、正極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、正極膜層は、正極集電体の対向する二つの表面のいずれか一つ又は両者に設けられている。
【0077】
いくつかの実施形態において、前記正極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。例えば、金属箔シートとして、アルミニウム箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料基材と高分子材料基材の少なくとも一つの表面に形成された金属層とを含んでもよい。複合集電体は、金属材料(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)に形成することによって形成されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態において、正極活物質は、当分野でよく知られている電池用の正極活物質を採用してもよい。一例として、正極活物質は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩、リチウム遷移金属酸化物及びそれぞれの改質化合物のうちの少なくとも一つの材料を含んでもよい。しかし、本出願では、これらの材料に限定されず、さらに電池の正極活物質として使用可能な他の従来の材料を使用してもよい。これらの正極活物質は、一つのみを単独に使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。ここで、リチウム遷移金属酸化物の例は、リチウムコバルト酸化物(例えば、LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(例えば、LiNiO)、リチウムマンガン酸化物(例えば、LiMnO、LiMn)、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM333と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25(NCM211と略称されてもよい)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2(NCM622と略称されてもよい)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM811と略称されてもよい)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、LiNi0.85Co0.15Al0.05)及びその改質化合物などのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限られない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例は、リン酸鉄リチウム(例えば、LiFePO(LFPと略称されてもよい))、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム(例えば、LiMnPO)、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限られない。
【0079】
いくつかの実施形態において、正極膜層は、任意選択的に、接着剤をさらに含む。一例として、前記接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び含フッ素アクリレート系樹脂のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、正極膜層は、任意選択的に、導電剤をさらに含む。一例として、前記導電剤は、超伝導性カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、およびカーボンナノファイバーのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、以下の方式で正極板を製造することができ、正極板を製造するための上記成分、例えば、正極活物質、導電剤、接着剤といずれかの他の成分を溶媒(例えば、N-メチルピロリドン)に分散させて、正極スラリーを形成し、正極スラリーを正極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスなどの工程を経た後、正極板が得られる。
【0082】
[負極板]
負極板は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に設けられた負極膜層とを含み、前記負極膜層は、負極活物質を含む。
【0083】
例として、負極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、負極膜層は、負極集電体の対向する二つの表面のいずれか一方又は両方に設置される。
【0084】
いくつかの実施形態において、前記負極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。例えば、金属箔シートとして、銅箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料基材と高分子材料基材の少なくとも一つの表面に形成された金属層とを含んでもよい。複合集電体は、金属材料(銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)に形成することによって形成されてもよい。
【0085】
いくつかの実施形態において、負極活物質は、当分野でよく知られている電池用の負極活物質を採用してもよい。一例として、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコン系材料、スズ系材料及びチタン酸リチウムのうちの少なくとも一つを含んでもよい。前記シリコン系材料は、シリコン単体、シリコン酸化物、シリコン炭素複合体、シリコン窒素複合体及びシリコン合金のうちの少なくとも一つから選択されてもよい。前記スズ系材料は、スズ単体、スズ酸化物及びスズ合金のうちの少なくとも一つから選択されてもよい。しかし、本出願では、これらの材料に限定されず、さらに電池の負極活物質として使用可能な他の従来の材料を使用してもよい。これらの負極活物質は、一つのみを単独に使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、負極膜層は、任意選択的に、接着剤をさらに含む。前記接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、負極膜層は、任意選択的に、導電剤をさらに含む。導電剤は、超伝導性カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態において、負極膜層は、任意選択的に、他の助剤、例えば、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))などをさらに含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、以下の方式で負極板を製造することができ、負極板を製造するための上記成分、例えば、負極活物質、導電剤、接着剤といずれかの他の成分を溶媒(例えば、脱イオン水)に分散させて、負極スラリーを形成し、負極スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスなどの工程を経た後、負極板が得られる。
【0090】
[電解質]
電解質は、正極板と負極板との間でイオンを伝導する役割を果たす。本出願は、電解質の種類を具体的に限定せず、需要に応じて選択することができる。例えば、電解質は、液体、ゲル状又は全固体であってもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、前記電解質は、電解液を採用する。前記電解液は、電解質塩と溶媒とを含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、リチウムビスフルオロスルホンイミド、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート及びリチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェートのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態において、溶媒は、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸ジプロピル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、炭酸ブチレン、炭酸フルオロエチレン、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、1,4-ブチロラクトンン、スルホラン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン及びジエチルスルホンのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、前記電解液は、任意選択的に、添加剤をさらに含む。例えば、添加剤は、負極被膜形成添加剤と、正極被膜形成添加剤とを含んでいてもよいし、電池のいくつかの性能を改善できる添加剤、例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温又は低温性能を改善する添加剤などをさらに含んでいてもよい。
【0095】
[セパレータ]
いくつかの実施形態において、二次電池は、セパレータをさらに含む。本出願では、セパレータの種類に対して特に制限することはなく、よく知られている、良好な化学的安定性と機械的安定性を有するいずれかの多孔質構造のセパレータを選択してもよい。
【0096】
いくつかの実施の形態において、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。セパレータは、単層薄膜であってもよく、多層複合薄膜であってもよく、特に制限はない。セパレータが多層複合薄膜である場合、各層の材料は同じであってもよく、異なってもよく、特に制限はない。
【0097】
いくつかの実施形態において、正極板と負極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリを製造してもよい。
【0098】
[ハウジング]
いくつかの実施形態において、二次電池は、本発明のハウジングを含む。前記ハウジングの内部には上記電極アセンブリと電解液が含まれ、又は、前記ハウジングの内部には上記電極アセンブリと固体/半固体電解質が含まれる。
【0099】
いくつかの実施形態において、二次電池のハウジングは、硬質プラスチックシェル、アルミニウムシェル、スチールシェルなどの硬質シェルであってもよい。
【0100】
本出願では、二次電池の形状は、特に制限されず、円柱状、四角形又は他のいずれかの形状であってもよい。例えば、図2は、一例としての角形構造の二次電池5である。
【0101】
いくつかの実施形態において、図3を参照すると、ハウジングは、筐体51とカバープレート53を含んでもよい。ここでは、筐体51は、底板と底板に接続された側板とを含んでもよく、底板と側板とで取り囲んで収容キャビティを形成する。筐体51は収容キャビティに連通する開口を有し、カバープレート53は、前記開口をカバーして設けられることによって前記収容キャビティを閉鎖することができる。正極板と負極板とセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は、前記収容キャビティ内にパッケージングされる。電解液は、電極アセンブリ52に浸潤する。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は一つ又は複数であってもよく、当業者は実際の具体的な需要に応じて選択してもよい。
【0102】
いくつかの実施の形態では、二次電池を電池モジュールに組み立てもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の数は一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者は電池モジュールの応用と容量に基づいて選択してもよい。
【0103】
図4は、一例としての電池モジュール4である。図4を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の縦方向に沿って順に並べて設けられてもよい。無論、任意の他の方式に従って配置してもよい。さらに、該複数の二次電池5を締め具で固定してもよい。
【0104】
選択可能には、電池モジュール4は、複数の二次電池5を収容する収容空間を有する筐体をさらに備えていてもよい。
【0105】
いくつかの実施形態において、上記電池モジュールは、さらに電池パックに組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者は電池パックの応用と容量に基づいて選択してもよい。
【0106】
図5図6は、一例としての電池パック1である。図5図6を参照すると、電池パック1には、電池ケースと電池ケースの中に設けられた複数の電池モジュール4が含まれてもよい。電池ケースは上ケース2と下ケース3とを含み、上ケース2は、下ケース3をカバーして設けられ、且つ電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール4は、任意の方式に従って電池ケースの中に配置されてもよい。
【0107】
また、本出願は、本出願による二次電池、電池モジュール、又は電池パックのうちの少なくとも一つを含む電力消費装置をさらに提供する。前記二次電池、電池モジュール、又は電池パックは、前記電力消費装置の電源として用いられてもよいし、前記電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記電力消費装置は、移動体設備(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶と衛星、エネルギー貯蔵システムなどを含んでもよいが、それらに限らない。
【0108】
前記電力消費装置として、その使用上の需要に応じて二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択してもよい。
【0109】
図7は、一例としての電力消費装置である。該電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。該電力消費装置は二次電池に対する高出力及び高エネルギー密度の要求を満たすために、電池パック又は電池モジュールを用いることができる。
【0110】
別の例としての装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコンなどであってもよい。該装置は、一般に軽量化が求められており、二次電池を電源として採用することができる。
【0111】
実施例
以下では、本出願の実施例を説明する。以下に記述されている実施例は、例示的なもので、本出願を解釈することのみに用いられ、本出願を制限するものとして理解すべきではない。実施例において具体的な技術又は条件が明記されていないものは、当技術分野の文献に記述されている技術若しくは条件、又は製品説明書に従って実行する。使用する試薬又は機器について、製造メーカーが明記されていないものは、いずれも市販で購入できる一般的な製品である。
【0112】
使用される材料
UV硬化材料A、それは、以下を含む:
本体樹脂:アクリレートプレポリマー55重量%
稀釈モノマー:イソボルニルアクリレート22重量%
稀釈モノマー:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート15重量%
光開始剤:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-アセトン4重量%
光開始剤:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド2重量%
レベリング剤:ドイツビックケミー社製のByk360 2重量%。
UV硬化材料B、それは、以下を含む:
本体樹脂:エポキシアクリレートプレポリマー35重量%、
稀釈モノマー:イソボルニルアクリレート30重量%、
稀釈モノマー:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート20重量%
光開始剤:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4重量%
光開始剤:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド2重量%
レベリング剤:ドイツビックケミー社製のByk360 2重量%
顔料分散剤:核心化学会社製のDisuper S28 1重量%
フィラー:チタンホワイトパウダー5重量%
フィラー:硫酸バリウム1重量%。
2成分複合熱硬化材料(質量比A:B=4:1)、それは、以下を含む:
A成分:
メタクリル酸メチル(MMA)60g
フィラー:チタンホワイトパウダー30g
触媒:クミルヒドロペルオキシド0.5g
レベリング剤:ポリメチルフェニルシリコーン0.5g
消泡剤:ポリジメチルシロキサン1.0g
B成分:
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)5.0g
トリエトキシアニリン0.5g
酢酸ブチル7.5g。
【0113】
実施例
実施例1
修復されるべきハウジングを備える二次電池を提供し、ここで、その沿面距離の最小値は(800V電圧プラトー、材料グループ1に応じて)10mmであり、ハウジングの絶縁層の厚さは110μmであり、そのハウジングに対して、
a)1500Vの電圧に外付けされた接触式線走査方式によってハウジングの外面を検出し、平面内でx、y方向に応じてそれぞれ走査し、走査後に漏洩電流≧1mAと判断した時に欠陥ポイントを見つけ、xとy座標の交差点が欠陥の中心点であり、それによって前記ハウジングの外面の欠陥領域を位置決めし、そして2D視覚カメラ(メーカーはキーエンスである)を用いて欠陥領域の境界(前記欠陥領域のサイズは0.8mm×1.2mmである)を識別する欠陥位置決めステップと、
b)1000Wのファイバパルスレーザーでクリーニングして前記欠陥領域の一部の絶縁層を除去し、直径がφ3mmで、深さが50μmである凹溝を形成する絶縁層除去ステップと、
c)インクジェットプリント方式によってUV硬化材料Aで凹溝を補修して、直径がφ3mmで、深さが50μmであるキノコ状蓋支持部を形成し、その後、1000mJ/cm2の照射エネルギーで2s照射して予備硬化を行うキノコ状蓋支持部形成ステップと、
d)インクジェットプリント方式によってUV硬化材料Aで表面層を補修し、その後、1500mJ/cm■の照射エネルギーで2.5s照射して最終硬化を行い、厚さが100μmで、直径がφ15mmであるキノコ状蓋を形成し、且つ前記キノコ状蓋を前記キノコ状蓋支持部と一緒に硬化することにより、キノコ状構造の修復部を形成するキノコ状蓋形成ステップとによって、修復を行った。
【0114】
上記修復された二次電池の絶縁抵抗、漏洩電流、振動衝撃及び接着強度を試験した。関連パラメータ及び結果は、表1にまとめられる。
【0115】
実施例2~10
実施例1と同じステップを繰り返し、相違点は、キノコ状蓋の厚さと直径、キノコ状蓋支持部の深さと直径を変更し、UV硬化材料BをUV硬化材料Aに置き換えることにある。
【0116】
上記修復された二次電池の絶縁抵抗、漏洩電流、振動衝撃及び接着強度を試験した。関連パラメータ及び結果は、表1にまとめられる。
【0117】
実施例11
実施例1と同じステップを繰り返し、相違点は、
c)精密ディスペンス方式によって熱硬化材料で凹溝を補修して、キノコ状蓋支持部を形成し、その後、70℃の温度で10min加熱して予備硬化を行うキノコ状蓋支持部形成ステップと、
d)精密ディスペンス方式によって熱硬化材料で表面層を補修し、その後、60℃の温度で4h加熱して最終硬化を行い、厚さが40μmで、直径がφ3mmであるキノコ状蓋を形成し、且つ前記キノコ状蓋を前記キノコ状蓋支持部と一緒に硬化することにより、キノコ状構造の修復部を形成するキノコ状蓋形成ステップとにある。
【0118】
上記修復された二次電池の絶縁抵抗、漏洩電流、振動衝撃及び接着強度を試験した。結果は、表1にまとめられる。
【0119】
実施例12~14
実施例11と同じステップを繰り返し、相違点は、キノコ状蓋の厚さと直径を変更することにある。上記修復された二次電池の絶縁抵抗、漏洩電流、振動衝撃及び接着強度を試験する。結果は、表1にまとめられる。
【0120】
比較例1
実施例1と同じステップを繰り返し、相違点は、凹溝の深さが100μm(>1/2元のコーティング厚さ)であり、元のコーティングが略完全に除去されることにある。上記修復された二次電池の絶縁抵抗、漏洩電流、振動衝撃及び接着強度を試験した。結果は、表1にまとめられる。
【0121】
比較例2
a)欠陥の位置決めは、実施例1のステップaと同じであり、
b)欠陥の補修では、大きさが10mm×10mmで、総厚さが110μmである感圧テープ(ここで、感圧テープの総厚さは60μmであり、PETフィルムの総厚さは50μmである)を元のコーティングの欠陥領域の上方に接着し、欠陥位置が真ん中にあることを確認し、
c)テープの圧着では、重量が5kgで、テープとの接触面の大きさが50mm×50mmである補助圧着モジュールをテープの真上に圧着し、1min保圧し、
上記修復された二次電池の絶縁抵抗、漏洩電流、振動衝撃及び接着性能を試験し、関連パラメータ及び結果は、表1にまとめられる。
【0122】
関連する試験方法
二次電池の耐圧漏洩電流試験
電池を試験ツール内に入れ、ツールの内壁は、導電性発泡材質であり、柔軟な導電性発泡体により、ツールは、電池コアの五つの面(頂面以外の五つの平面であり、コーナーエッジを含む)と十分に接触でき、絶縁耐圧試験機(プロバイダ:日置電機株式会社)を使用し、正極プローブを電池コアのトップカバーのベアアルミ位置に接触させ、負極プローブをツール内の導電性発泡体に接続した。
【0123】
絶縁耐圧試験機の試験電圧を2700VDC(DCは直流電流である)に、昇圧時間を1sに、保圧時間を60sに調整し、試験を起動した後にレコーダーに表示された漏洩電流値を観察し、漏洩電流値≦0.1mAである場合、合格であり、該電流値を超えるか、又はレコーダーが2700VDCに昇圧する前に警報を出す場合、不合格と判断した。
【0124】
二次電池の絶縁阻抗試験
電池を試験ツール内に入れ、ツールの内壁は、導電性発泡材質であり、柔軟な導電性発泡体により、ツールは、電池コアの五つの面(頂面以外の五つの平面であり、コーナーエッジを含む)と十分に接触でき、絶縁耐圧試験機(プロバイダ:日置電機株式会社)を使用し、正極プローブを電池コアのトップカバーのベアアルミ位置に接触させ、負極プローブをツール内の導電性発泡体に接続した。
【0125】
絶縁耐圧試験機の試験電圧を1000VDC(DCは直流電流である)に、試験時間を5sに調整し、試験を起動した後にレコーダーに表示された抵抗値を観察し、抵抗値≧10GΩである場合、合格であり、10GΩ以下である場合、不合格と判断した。
【0126】
振動衝撃試験(変位とシワが発生するかどうか)
a)振動衝撃試験は、電池ユニット又は電池パックシステムを用いて行われ、本実施例で用いられるのは、1P108S(1並列108直列)電池パックシステムであり、試験の前にシステムSOC(SOCは、残量が正常の容量に占める比率であり、値は0~1にある)を正常のSOC範囲の50%以上に調整した。
【0127】
振動試験については、GB38031-2020『電気自動車用動力蓄電池安全要求』の第8.2.1章における試験方法を参照すればよく、表2を参照しながら、x、y、zという三つの方向における振動試験を行った(xは車両の走行方向であり、yは走行方向に垂直な水平方向であり、zは走行方向に垂直な鉛直方向である)。振動試験が終了すると、2h観察した後、電池パックシステムを取り外し、電池コアの外部絶縁層(再修復された絶縁層)が完璧であるかどうか、シワ、変位などの現象があるかどうかを目で観察し、ある場合、試験が不合格であると判断した。
【0128】
b)衝撃試験は、振動試験と同じ型番の電池パックシステムを用いて行われ、GB38031-2020『電気自動車用動力蓄電池安全要求』の第8.2.2章を参照して試験を行い、試験対象に表4で規定された半正弦波を施し、±z方向においてそれぞれ6回であり、合計12回である。衝撃試験が終了すると、2h観察した後、電池パックシステムを取り外し、電池コアの外部絶縁層(再修復された絶縁層)が完璧であるかどうか、シワ、変位などの現象があるかどうかを目で観察し、ある場合、試験が不合格であると判断した。
【0129】
接着強度試験(せん断方向の強度のみを試験した)
GB/T 7124-2008『接着剤引張りせん断強度の測定』を参照した。
【0130】
1)せん断強度試験について、サンプルを10000Nの引張試験機に挟持した後(試験クランプに試験片の厚さに相当する一つのガスケットをそれぞれ設置し、サンプルの受け力が接着平面に平行となるようにし、上下のクランプが明らかに回転しないように制御することに注意した)、引張試験機の試験速度を5mm/minに設定し、「引張力」、「変位」、「最大引張力」という三つの選択肢をすべてクリアし、引張試験機を起動し、サンプルが引き抜かれることを観察しながら待ち、サンプルが引き抜かれると、この時の「最大引張力」の数値と「変位」の数値を記録し、且つ引き抜き位置の状況(界面破壊AFであるか、それとも、接着剤本体の凝集破壊CFであるか)を記録した。
【0131】
2)高温高湿保存について、各実施例と比較例のハウジングサンプルを85℃、相対湿度85%の恒温恒湿箱に一定の時間保存し、保存時間が1000hに達した後に取り出し、常温で2h静置した後にステップ1の方式を参照して1000hせん断強度を試験し、1000hせん断強度が≧2.0MPaであり、且つ失効モードが修復部の脱落又は引き裂きである場合、合格と判断し、即ち該サンプルは、1000hせん断強度試験を満たし、そうではない場合、不合格である。
【0132】
表1各実施例と比較例の関連パラメータと試験結果
実施例番号
補修材料
キノコ状蓋支持部
キノコ状蓋
絶縁抵抗/GΩ
漏洩電流/mA
振動衝撃中に変位とシワが発生するかどうか
1000hせん断強度試験を満たすかどうか


深さ/μm
直径/mm
厚さ/μm





UV-A
50
15
100
>10
<0.1
いいえ
はい

UV-A
30

40
0.26
>1
いいえ
はい

UV-A
30

150
0.29
>1
いいえ
はい

UV-A
30
27
40
1.10
0.55
いいえ
はい

UV-A
30
27
150
>10
<0.1
いいえ
はい

UV-A
70

40
0.33
>1
いいえ
はい

UV-A
70

150
0.20
>1
いいえ
はい

UV-A
70
27
40
0.90
0.26
いいえ
はい

UV-A
70
27
150
>10
<0.1
いいえ
いいえ
10
UV-B
50
15
100
>10
<0.1
いいえ
はい
11
熱硬化
50

40
0.18
>1
いいえ
はい
12
熱硬化
50

150
0.51
>1
いいえ
はい
13
熱硬化
50
27
40
1.7
0.26
いいえ
はい
14
熱硬化
50
27
150
>10
<0.1
いいえ
はい
比較例1
UV-A
100
15
100
2.2
<0.1
いいえ
いいえ
比較例2
感圧テープ
総厚さ110μmの感圧テープで修復する
>10
<0.1
はい
いいえ
【0133】
上記結果からわかるように、本発明の関連パラメータに合致する実施例1、5、10、14は、絶縁、耐圧、振動衝撃及び接着強度の点で高い効果を得た。
【0134】
これに対して、比較例1は、すべての絶縁層厚さを除去した後、その絶縁抵抗と接着強度がいずれも本発明の実施例に及ばなかった。比較例2は、感圧テープで絶縁層の欠陥を修復した結果、その絶縁耐圧性能が従来の技術の需要を満たすことができたが、振動衝撃中にシワと変位が発生しやすく、且つ接着強度の要求を満たすことができなかった。
【0135】
説明すべきこととして、本出願は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は例に過ぎず、本出願の技術案の範囲内で、技術思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用と効果を奏する実施形態は、いずれも本出願の技術範囲内に含まれるものとする。なお、本出願の主旨から逸脱しない範囲内で、実施形態に対して当業者が想到し得る様々な変形を実施し、実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される他の形態も、本出願の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0136】
I ・・・欠陥領域
1 ・・・電池パック
2 ・・・上ケース
3 ・・・下ケース
4 ・・・電池モジュール
5 ・・・二次電池
11 ・・・ハウジング
12 ・・・絶縁層
13 ・・・修復部
51 ・・・筐体
52 ・・・電極アセンブリ
53 ・・・トップカバーアセンブリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】