(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ピストン機構、流体制御機構及びその使用
(51)【国際特許分類】
F16K 31/50 20060101AFI20240228BHJP
F16K 11/22 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
F16K31/50 Z
F16K11/22 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539929
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2021143088
(87)【国際公開番号】W WO2022143900
(87)【国際公開日】2022-07-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523240659
【氏名又は名称】恒泰医療有限公司
【氏名又は名称原語表記】EVERLAST HEALTHCARE LIMITED
【住所又は居所原語表記】6/F Manulife Place, 348 Kwun Tong Road Kowloon, Hong Kong (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】趙海峰
【テーマコード(参考)】
3H063
3H067
【Fターム(参考)】
3H063AA01
3H063BB32
3H063DA14
3H063DB02
3H063DB06
3H067AA32
3H067BB08
3H067CC32
3H067CC44
3H067DD05
3H067DD32
3H067DD43
3H067FF11
(57)【要約】
本発明によれば、チャンバ、チャンバ壁、チャンバ内に位置するピストン、及び1つ又は複数の流体通路を含み、前記チャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通し、前記流体通路のチャンバに連通する開口は、チャンバの底部に位置する流体制御機構が提供される。本発明によれば、チャンバ、チャンバ、チャンバ内に位置するピストン及びピストン運動制御具を含み、前記ピストン運動制御具は、雄ネジを有し、チャンバ壁とネジペアを形成し、ピストン運動制御具はネジに沿って回転してチャンバ内を移動して、前記ピストンをチャンバ内で同じ移動させるピストン機構が提供される。本発明で提供されるピストン機構及び流体制御設備は、マイクロ又は小型流路システムにおける液体を正確に制御することができる。
【選択図】
図3(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体制御機構であって、
チャンバ、チャンバ壁、及びチャンバ内に位置するピストンとピストン運動制御具を有し、前記ピストン運動制御具は、雄ネジを有し、前記雄ネジは、チャンバ壁上の雌ネジとネジペアを構成し、ピストン運動制御具は、ネジにそって回転してチャンバ内で移動することによって前記ピストンをチャンバ内で移動させ、
前記流体制御機構は、1つ又は複数の流体通路をさらに含み、
前記チャンバは、前記1つ又は複数の流体通路に連通し、前記流体通路のチャンバに連通する開口は、チャンバ内に位置し、前記ピストンは、チャンバ内で運動して前記開口を本発明の別の態様において、ことによってチャンバと流体通路との連通を遮断することができることを特徴とする、流体制御機構。
【請求項2】
前記流体通路のチャンバに連通する開口は、チャンバの底部に位置し、前記ピストンは、チャンバの底部まで運動して前記開口を本発明の別の態様において、ことによってチャンバと流体通路との連通を遮断することができることを特徴とする、請求項1に記載の流体制御機構。
【請求項3】
前記ピストン運動制御具の下端は、ピストンロッドを有し、前記ピストンロッドと前記ピストンとの接触部位は、前記ピストンに摺接され、ピストン運動制御具は、ネジに沿って回転してチャンバ内を移動することで前記ピストンをチャンバ内で移動させ、前記ピストンロッドの回転は、ピストンの回転をほとんど引き起こさないことを特徴とする、請求項2に記載の流体制御機構。
【請求項4】
前記ピストンロッドの底部は、突起を有し、前記ピストンの頂部は、前記突起に適合する凹みを有し、前記ピストンロッドは、前記突起が前記ピストンの頂部の凹みに挿入されることによってピストンに摺接され、突起の回転は、ピストンの回転をほとんど引き起こすことがなく、ピストンロッドは、空洞内を上下運動することでピストンを上下運動させることを特徴とする、請求項3に記載の流体制御機構。
【請求項5】
前記ピストンの底部は、ピストン支持体を有し、前記ピストン支持体は、ピストンの底部に位置する突起であり、ピストン支持体が自然な変形状態にある場合、ピストンのチャンバ底部に接触する部位は、流体通路のチャンバに連通する開口を覆わず、前記突起は、圧力を受けたときに変形して平らに押され、これによって、ピストンの底部全体はチャンバの底部と完全に接触して流体通路のチャンバに連通する開口を本発明の別の態様において、これにより、チャンバと流体通路との連通が遮断されることを特徴とする、請求項1に記載の流体制御機構。
【請求項6】
前記ピストンの断面は、直径が約0.5mm-25mm、好ましくは約1-20mm、より好ましくは約3-15mmであることを特徴とする、請求項1に記載の流体制御機構。
【請求項7】
前記ピストン運動制御具の運動を制御する操作機構をさらに含み、好ましくは、前記操作機構と前記ピストン運動制御具とは、分割可能であることを特徴とする、請求項1に記載の流体制御機構。
【請求項8】
前記操作機構は、操作ロッドと、操作ロッド運動機構とを含み、好ましくは、前記ピストン運動制御具は、前記操作ロッドの挿入に適する空洞を有し、前記操作ロッドは、前記ピストン運動制御具の空洞に挿入された後、前記空洞と係合状態を形成し、前記操作ロッドは回転するときに前記ピストン運動制御具を回転させることができることを特徴とする、請求項7に記載の流体制御機構。
【請求項9】
前記操作ロッド運動機構は、前記操作ロッドの上下運動及び回転を制御する部品、例えば、操作ロッドの回転を制御するモータ(例えば、電動ドライバーであり、操作ロッドの回転方向、回転速度、回転角度、停止トルクなどのパラメータを設定することができる)を含むことを特徴とする、請求項8に記載の流体制御機構。
【請求項10】
外殻及びサンプル入口と、
請求項1から9のいずれか1項に記載の流体制御機構と、
を含む流体制御設備であって、
前記流体制御設備は、チャンバ、チャンバ壁、及びチャンバ内に位置するピストンとピストン運動制御具を有し、前記ピストン運動制御具は、雄ネジを有し、前記雄ネジは、チャンバ壁上の雌ネジとネジペアを構成し、ピストン運動制御具は、ネジにそって回転してチャンバ内で移動することによって前記ピストンをチャンバ内で移動させ、
前記流体制御機構は、1つ又は複数の流体通路をさらに含み、
前記チャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通し、前記流体通路のチャンバに連通する開口は、チャンバの底部に位置し、前記ピストンは、チャンバの底部まで運動して前記開口を本発明の別の態様において、ことでチャンバと流体通路との連通を遮断することができることを特徴とする、流体制御設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月31日に提出された中国特許出願第202011639849.5号(発明の名称:ピストン機構、流体制御機構及びその使用)の優先権を主張し、その全内容は参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バイオテクノロジー及び設備使用の分野に関し、具体的には、新しいピストン機構及び流体制御機構、並びに前記ピストン機構又は流体制御機構を使用する流体制御設備に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ又は小型流路システムは、化学、生物、医療などの様々な分野において広く使用されている。マイクロ又は小型流路システムの流体に対する制御は、マイクロ流体応用を実現するための基礎であり、非常に重要な意義を有する。
【0004】
現在、マイクロ又は小型流路システムの流体の制御分野には、動力源とバルブの2つの主な問題がある。動力源は、マイクロ流体のキャリア(例えば、チップ、管路など)内での運動に動力を提供するものであり、現在、一般的に使用されている方式は、注射式、遠心式、空気圧式などを含む。バルブは、マイクロ体のキャリア内での運動を制御するものである。マイクロ流体はスケールが非常に小さいため、そのキャリアの内部で、十分な精度、十分な数、かつ容易に遮断可能なバルブを構築することは、非常に困難である。注射ポンプは、最もよく使用される動力源であり、流体を注射器内に吸い込み、さらに注射器をマイクロ流体のキャリア(以下、「キャリア」)の入口に接続した後、高精度の注射ポンプを用いて注射器を押すことにより、マイクロ流体のキャリアへの注入を実現する。しかし、このような操作は、手順が多く、流体サンプルの切換が困難で、マイクロ流体の自動化注入を実現しにくい。
【0005】
当該技術分野では、マイクロ又は小型流路システムの流体をより効果的で便利に制御可能な機構、装置及び方法は、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、
チャンバ、チャンバ壁、チャンバ内に位置するピストン、並びに1つ又は複数の流体通路を有し、
前記チャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通し、前記流体通路のチャンバに連通する開口は、チャンバの底部に位置し、前記ピストンは、チャンバの底部まで運動して前記開口を本発明の別の態様において、ことでチャンバと流体通路との連通を遮断することができる流体制御機構が提供される。
【0007】
本発明で提供される前記流体制御機構は、小型及びマイクロ流体設備に適した流体制御装置であり、液体などの流体材料を収容及び転移するために使用される。その流路のサイズは、ミリメータ及びマイクロメータオーダーであり、例えば、約0.05-5mmである。前記流体制御装置がマイクロ流体システム、例えば、マイクロ流体制御システムに使用される場合、その流路サイズは、マイクロメータオーダーであり、例えば、その流路の断面の幅は、約0.05-0.5mmである。前記流体制御装置が小型流体システム、例えば、キットなどに使用される場合、その流路サイズは、ミリメータオーダーであり、例えば、その流路の断面の幅は、約0.1-5mmである。
【0008】
動作中、本発明で提供される流体制御機構の前記流体通路は、通常水平に配置される。前記チャンバは、前記流体通路に垂直である。前記ピストンは、チャンバ内を上下移動する。前記流体通路は、チャンバの下方から上向きの開口を介してチャンバの底部に接続される。これによって、前記ピストンは、チャンバの底部まで運動したときに、流体通路のチャンバに連通する開口を効果的に覆い、流体通路とチャンバとの流体連通を遮断することができる。
【0009】
本発明の一態様において、前記流体制御機構におけるチャンバは、2つ以上の流体通路に連通する。前記ピストンがチャンバの底部に位置しない場合、ピストンは、前記開口を覆わないため、前記2つ以上の流体通路通は、チャンバを介して互いに流体連通する。前記ピストンがチャンバの底部まで運動して前記開口を覆った場合、各流体通路の流体連通は遮断される。
【0010】
本発明の別の態様において、前記流体制御機構におけるチャンバは、1つの流体通路に連通する。前記ピストンがチャンバの底部に位置しない場合、ピストンは前記開口を覆わないため、前記流体通路はチャンバに流体連通する。前記ピストン運動がチャンバの底部まで運動して前記開口を覆った場合、流体通路とチャンバとの流体連通は遮断される。
【0011】
本発明の一態様において、前記流体制御機構における流体通路の断面は、楕円、矩形、正方形、円形などを含む様々な形状であってもよい。本発明の一態様において、前記流体通路の断面の幅は、約0.1mm-5mm、好ましくは約0.2mm-2mm、より好ましくは約0.3mm-1mmである。本発明の一態様において、前記流体通路のチャンバに連通する開口は、通常前記流体通路の断面と同じである。
【0012】
本発明において、前記ピストン機構のピストンは、ゴム、ポリマーなどの材料で作製することができ、ある程度の変形能力を有し、前記ピストン機構のチャンバの壁に密着して液体が通らない密閉空間を形成することができ、チャンバ内でのピストンの良好な運動性を保持し、ピストンがチャンバの底部まで運動して圧力を受けたときに流体通路のチャンバに連通する開口を密封し、各流体通路間の流体連通を完全に遮断することができる。本発明において、前記ピストン具有与チャンバ相配合的形状和サイズ。本発明の一態様において、前記ピストンは、円形であり、その直径が約0.5mm-25mm、好ましくは約1mm-20mm、より好ましくは約3mm-15mmである。
【0013】
本発明で提供される流体制御設備において、チャンバ内での前記ピストンの運動は、機械伝達によって制御することができる。例えば、ピストンは、コンロッドに固定接続され、コンロッドを押引してチャンバにおけるピストンの位置を制御する。ピストンがチャンバの底部まで運動したときに、それを引き続き圧力を与えることができ、これによって、ピストンは変形し、流体通路のチャンバに連通する開口を密封し、各流体通路間の流体連通を遮断する。本発明の他の実施形態において、ピストンの運動は、他の方式、例えば、気圧伝達又は液圧伝達などによって制御することもできる。
【0014】
本発明の一態様において、前記流体制御機構のチャンバ内は、ピストン運動制御具をさらに含む。前記ピストン運動制御具は、雄ネジを有し、チャンバ壁上の雌ネジとネジペアを形成する。ピストン運動制御具は、ネジに沿って回転してチャンバ内を移動し、前記ピストンのチャンバ内での移動を制御する。ピストン運動制御具がネジに沿って回転するときに、ピストン運動制御具は、チャンバ内をチャンバの軸線に沿って移動し、即ち、チャンバ内を上向き又は下向きに運動する。前記流体制御機構の設置により、ピストン運動制御具は、ピストンをチャンバ内で移動させ、例えば、チャンバに対する同じ移動が発生する。
【0015】
本発明の一態様において、在前記流体制御機構において、前記ピストン運動制御具の下端は、ピストンロッドを有し、前記ピストンロッドは、ピストンに接続される。本発明の別の態様において、前記ピストンロッドは、前記ピストンに固定接続される(例えば、前記ピストンロッドと前記ピストンは一体構造である)。ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内を移動する際に、ピストンロッドを介して前記ピストンをチャンバ内で移動させる。本発明の別の態様において、前記ピストンロッドと前記ピストンが接触する部位は、前記ピストンに摺接させる。ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内を移動する際に、前記ピストンロッドの回転は、ほとんどピストンの回転を引き起こさず、前記ピストンのみをチャンバ内で移動させる。例えば、前記ピストンロッドの底部は、突起(例えば、球状又は類球状の突起)を有する。前記ピストンの頂部は、前記突起に適合した凹みを有する。前記ピストンロッドは、前記突起が前記ピストンの頂部の凹みに挿入されることでピストンに摺接される。本発明において、前記ピストンの材料は、適切な硬さとある程度の弾性を有し、比較的小さい力を受けたときに一定の形態を保持することができる。例えば、凹みの形状を保持することにより、ピストンロッドが上下運動する際に前記突起に対する包み及び制限を維持することができ、これによって、ピストンの上下運動を駆動する。また、前記ピストンロッドの突起及び前記ピストンの材料は、両者の間に適切な摩擦力を有し、これによって、突起の回転は、ほとんどピストンの回転を引き起こさない。
【0016】
本発明の一態様において、前記流体制御機構では、ピストン運動制御具とピストンとの間に固定接続が存在しない。本発明の別の態様において、提供されるピストン機構では、ピストンの底部は、ピストン支持体を有し、前記ピストン支持体は、ピストンの底部に位置する突起であり、弾性材料で作製され、その自然な変形状態下でピストンの底部と接触する部位が流体通路のチャンバに連通する開口を覆わず、圧力を受けた場合(例えば、ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内をピストンの方向へ運動し、ピストンと接触してそれをチャンバの底部に押し付ける場合)に変形し、ピストンの底部全体とチャンバの底部が完全に接触して流体通路のチャンバに連通する開口を覆うまで圧縮され、これによって、チャンバと流体通路との連通は遮断される。ピストンが受けた圧力がなくなったとき(例えば、ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内でピストンを離れた方向へ運動するとき)に、ピストン支持体は、その自然な変形状態(即ち、ピストンが追加の圧力を受けていない場合でのピストン支持体の自然変形)に回復する。この状態下で、ピストン支持体とピストン底部の接触部位は、流体通路のチャンバに連通するいずれかの開口を覆わないため、各流体通路は、チャンバを介して互いに流体連通する。
【0017】
本発明の一態様において、前記流体制御機構におけるチャンバ内は、ピストン運動制御具をさらに含む。前記ピストン運動制御具は、雄ネジを有し、チャンバ壁上の雌ネジとネジペアを形成する。ピストン運動制御具は、ネジに沿って回転してチャンバ内を移動するとともに、前記ピストンのチャンバ内での移動を制御する。本発明の流体制御機構において、ピストン運動制御具とピストンとは、固定接続されてもよい。本発明の一態様において、前記流体制御機構では、ピストン運動制御具とピストンとの間に在固定接続が存在しない。本発明の一態様において、前記流体制御機構は、前記ピストン運動制御具の運動を制御する操作機構をさらに含む。本発明の一態様において、前記操作機構と前記ピストン運動制御具とは、分離可能である。
【0018】
本発明の一態様において、前記操作機構は、操作ロッド及び操作ロッド運動機構を含む。好ましくは、前記ピストン運動制御具は、前記操作ロッドの挿入に適した空洞を有する。前記操作ロッドは、前記ピストン運動制御具の空洞に挿入された後、前記空洞と係合状態を形成する。前記操作ロッドは、回転する際に前記ピストン運動制御具を回転させることができる。
【0019】
本発明の一態様において、前記操作ロッド運動機構は、前記操作ロッドの上下運動及び回転を制御する部品を含み、例えば、操作ロッドの回転を制御するモータを含む。好ましくは、操作ロッドの回転を制御するモータは、電動ドライバーであり、操作ロッドの回転方向、回転速度、回転角度、停止トルクなどのパラメータを設定することができる。
【0020】
本発明の一態様において、前記操作ロッドは、四角又は六角スクリューである。
【0021】
本発明によれば、
チャンバ及びチャンバ壁と、
チャンバ内に位置するピストン及びピストン運動制御具と、
を有し、
前記ピストン運動制御具は、雄ネジを有し、前記雄ネジは、チャンバ壁上の雌ネジとネジペアを形成し、ピストン運動制御具は、ネジに沿って回転してチャンバ内を移動することにより前記ピストンをチャンバ内で移動させるピストン機構がさらに提供される。
【0022】
本発明において、ピストン運動制御具がネジに沿って回転するときに、ピストン運動制御具は、チャンバ内を上向き又は下向きに運動し、即ち、チャンバ軸線に対して移動する。本発明において、前記ピストン機構の設置により、ピストン運動制御具は、ピストンのチャンバ内での運動(例えば、同じ方向の移動)を制御することができる。
【0023】
本発明の一態様において、前記流体制御機構のチャンバ内は、ピストン運動制御具をさらに含む。前記ピストン運動制御具は、雄ネジを有し、チャンバ壁上の雌ネジとネジペアを形成する。ピストン運動制御具はネジに沿って回転してチャンバ内を移動し、前記ピストンのチャンバ内での移動を制御する。本発明の前記流体制御機構において、ピストン運動制御具とピストンとは、固定接続されてもよい。本発明の一態様において、前記流体制御機構では、ピストン運動制御具とピストンとの間に固定接続がない。本発明の一態様において、前記流体制御機構は、前記ピストン運動制御具の運動を制御する操作機構をさらに含む。本発明の一態様において、前記操作機構と前記ピストン運動制御具とは分離可能である。
【0024】
本発明の一態様において、前記操作機構は、操作ロッドと、操作ロッド運動機構とを含む。好ましくは、前記ピストン運動制御具は、前記操作ロッドの挿入に適した空洞を有する。
【0025】
本発明の一態様において、前記操作ロッド運動機構は、前記操作ロッドの上下運動及び回転を制御する部品を含み、例えば、操作ロッドの回転を制御するモータを含む。好ましくは、操作ロッドの回転を制御するモータは、電動ドライバーであり、操作ロッドの回転方向、回転速度、回転角度、停止トルクなどのパラメータを設定することができる。
【0026】
本発明の一態様において、前記操作ロッドは、四角又は六角スクリューである。
【0027】
本発明の一態様において、提供されるピストン機構のチャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通する。前記流体通路のチャンバに連通する開口は、チャンバの底部に位置する。前記ピストンは、チャンバの底部まで運動して前記開口を覆うことができる。これによって、チャンバと流体通路との連通は遮断される。本発明の別の態様において、前記チャンバは、2つ以上の流体通路に連通する。前記ピストンがチャンバの底部に位置しない場合、ピストンは、前記開口を覆わず、前記2つ以上の流体通路は、ピストンチャンバを介して互いに流体連通する。前記ピストンがチャンバの底部まで運動して前記開口を覆った場合、各流体通路の流体連通は遮断される。
【0028】
本発明の一態様において、提供されるピストン機構では、前記ピストン運動制御具の下端は、ピストンロッドを有する。前記ピストンロッドは、ピストンに接続される。本発明の別の態様において、前記ピストンロッドは、前記ピストンに固定接続される(例えば、前記ピストンロッドと前記ピストンとは一体構造である)。ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内を移動するときに、ピストンロッドを介して前記ピストンをチャンバ内で移動させる。本発明の別の態様では、前記ピストンロッドの前記ピストンと接触する部位は、前記ピストンに摺接される。ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内を移動するときに、前記ピストンロッドの回転は、ピストンの回転をほとんど引き起こさず、前記ピストンをチャンバ内で移動させるだけである。例えば、前記ピストンロッドの底部は、突起(例えば、球状又は類球状の突起)を有する。前記ピストンの頂部は、前記突起に適合した凹みを有する。前記ピストンロッドは、前記球状突起を介して前記ピストンの頂部の凹みに挿入されることによりピストンに摺接される。本発明において、前記ピストンの材料は、適切な硬度と特定の弾性を有し、比較的小さい力を受けた場合、一定の形態を保持することができる。例えば、凹みの形状を保持することにより、ピストンロッドが上下運動するときに前記突起に対する包み及び制限を維持することができる。これによって、ピストンを上下運動させる。また、前記ピストンロッドの突起及び前記ピストンの材料は、両者が適切な摩擦力を持たせるものであり、これによって、球状突起の回転は、ピストンの回転をほとんど引き起こさない。
【0029】
本発明の一態様において、提供されるピストン機構では、ピストン運動制御具とピストンとの間には固定接続が存在しない。本発明の別の態様において、提供されるピストン機構では、ピストンの底部は、ピストン支持体を有する。前記ピストン支持体は、ピストンの底部に位置する突起であり、弾性材料で作製され、自然な変形状態下でピストンの底部と接触する部位は、流体通路のチャンバに連通する開口を覆わず、圧力を受けた場合(例えば、ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内をピストンの方向へ運動し、ピストンと接触してそれをチャンバの底部へ押し付ける場合)に変形してピストンの底部全体がチャンバの底部と完全に接触するまで押し付けられて流体通路のチャンバに連通する開口を覆う。これによって、チャンバと流体通路との連通は遮断される。ピストンが受けた圧力がなくなった(例えば、ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内をピストンから離れる方向へ運動する)場合、ピストン支持体は、その自然な変形状態(即ち、ピストンが追加の圧力を受けていない場合でのピストン支持体の自然変形)に回復する。この状態では、ピストン支持体のピストン底部と接触する部位は、流体通路のチャンバに連通するいずれかの開口を覆わず、各流体通路はチャンバを介して互いに流体連通する。
【0030】
本発明によれば、
外殻及びサンプル入口と、
1つ又は複数の本発明で提供される流体制御機構又はピストン機構と、
を含み、
前記流体制御機構又はピストン機構は、チャンバと、チャンバ壁と、チャンバ内に位置するピストンとを含み、及び1つ又は複数の流体通路を含み、
前記チャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通し、前記流体通路のチャンバに連通する開口は、チャンバの底部に位置し、前記ピストンは、チャンバの底部まで運動して前記開口を覆うことによりチャンバと流体通路との連通を遮断することができる流体制御設備がさらに提供される。
【0031】
本発明で提供される流体制御設備は、小型及びマイクロ流体設備に適用され、液体などの流体材料の貯蔵及び転送に適用される。前記流体制御装置がマイクロ流体制御システムに使用される場合、その流路サイズは、マイクロメータオーダーであり、例えば、その流路断面の幅は、約0.05-0.5mmである。前記流体制御装置が小型流体システム(例えば、キットなど)に使用される場合、その流路サイズは、ミリメータオーダーであり、例えば、その流路断面の幅は、約0.1-5mmである。
【0032】
本発明の別の態様において、前記流体制御設備は、少なくとも1つの第1ピストン機構及び少なくとも1つの第2ピストン機構を含む。前記第1ピストン機構及び前記第2ピストン機構は、それぞれ流体通路に連通する第1チャンバ及び第2チャンバを有する。前記第1チャンバ内は、第1ピストンを有し、前記第2チャンバ内は、第2ピストンを有する。第1ピストンは、第1チャンバに対して第1運動を行い、第2ピストンは、第2チャンバに対して第2運動を行う。第1運動及び第2運動により、第1ピストンと第2ピストンが第1チャンバ及び第2チャンバ内で引き起こす容積変化は同じであるが、作用効果が反対である。前記第1ピストン機構及び前記第2ピストン機構は、そのピストンが流体通路を遮断する位置まで運動可能なように設けられる。前記少なくとも1つの第1ピストン機構及び少なくとも1つの第2ピストン機構のうちの1つ又は複数は、前記流体制御機構の設置方式を有する。例えば、第1チャンバ又は第2チャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通し、前記流体通路の第1チャンバ又は第2チャンバに連通する開口は、チャンバの底部に位置し、第1ピストン又は第2ピストンは、チャンバの底部まで運動して前記開口を遮断することでチャンバと流体通路との連通を遮断することができる。
【0033】
本発明の別の態様において、前記流体制御設備における前記第1ピストン機構及び第2ピストン機構のうちの1つ又は2つと、前記流体通路との間には、ピストンバルブ機構を有する。前記ピストンバルブ機構は、前記流体通路に連通するバルブチャンバ及びバルブチャンバ内のバルブピストンを有する。バルブピストンは、前記流体通路に連通する開口を閉塞する位置まで運動することができ、これによって、流路の遮断が達成される。前記ピストンバルブ機構のうちの1つ又は複数は、前記流体制御機構の設置方式を有する。例えば、バルブチャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通し、前記流体通路のバルブチャンバに連通する開口は、バルブチャンバの底部に位置し、バルブピストンは、バルブチャンバの底部まで運動して前記開口を覆うことでバルブチャンバと流体通路との連通を遮断することができる。
【0034】
本発明の一態様において、前記流体制御設備は、液体材料、気体材料、乳剤材料、スラリー材料、固体材料を溶解した流体材料、及び固体粒子が懸濁された流体材料の収容に適用される。
【0035】
本発明の一態様において、前記流体制御設備はキットであり、其可用于感染源の同定、遺伝病、がんの検出、又は遺伝子変異の検出に適用できる。本発明の一態様において、前記キットは、サンプル中の生理活性物質(例えば、核酸又はタンパク質)の検出に使用できる。前記キットは、サンプル若しくは様々な反応試薬を収容する空間、又は様々な反応を行うための空間を有する。前記サンプル又は様々な反応試薬は、流体の形で前記各収容空間の間を流動することができる。前記反応は、サンプル中の組織又は細胞の溶解、核酸又はタンパク質サンプルの濃化又は抽出、核酸の増幅反応、核酸若しくはその増幅産物又はそれが持つ信号に対する検出などを含む。
【0036】
本発明によれば、
外殻及びサンプル入口と、
1つ又は複数の流体通路と、
1つ又は複数の前記本発明で提供されるピストン機構と、
を含み、
前記ピストン機構は、
チャンバ及びチャンバ壁と、
チャンバ内に位置するピストン及びピストン運動制御具と、
を含み、
前記ピストン運動制御具は、雄ネジを有し、チャンバ壁とネジペアを形成し、ピストン運動制御具は、ネジに沿って回転してチャンバ内を移動し、前記ピストンをチャンバ内で同じ移動させる小型流体制御設備がさらに提供される。
【0037】
本発明の別の態様において、前記小型流体制御設備は、少なくとも1つの第1ピストン機構及び少なくとも1つの第2ピストン機構を含む。前記第1ピストン機構及び前記第2ピストン機構は、それぞれ流体通路に連通する第1チャンバ及び第2チャンバを有する。前記第1チャンバ内は、第1ピストンを有し、前記第2チャンバ内は、第2ピストンを有する。第1ピストンは、第1チャンバに対して第1運動を行い、第2ピストンは、第2チャンバに対して第2運動を行う。第1運動及び第2運動により、第1ピストンと第2ピストンが第1チャンバ及び第2チャンバ内で引き起こされる容積変化は同じであるが、作用効果が反対である。前記第1ピストン機構及び前記第2ピストン機構は、そのピストンがそれの位置するチャンバ内で流体通路との連通を遮断する位置まで運動するように設けられる。前記少なくとも1つの第1ピストン機構及び少なくとも1つの第2ピストン機構のうちの1つ又は複数は、前記ピストン機構の設置方式を有する。例えば、第1チャンバ又は第2チャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通し、前記流体通路の第1チャンバ又は第2チャンバに連通する開口は、チャンバの底部に位置し、第1ピストン又は第2ピストンは、チャンバの底部まで運動して前記開口を覆うことによりチャンバと流体通路との連通を遮断することができる。
【0038】
本発明の別の態様において、前記小型流体制御設備における前記第1ピストン機構及び第2ピストン機構のうちの1つ又は2つと、前記流体通路との間には、ピストンバルブ機構を有する。前記ピストンバルブ機構は、前記流体通路に連通するバルブチャンバ及びバルブチャンバ内のバルブピストンを有する。バルブピストンは、前記流体通路に連通する開口を閉鎖する位置まで運動可能であり、これによって、流路の遮断が達成される。前記ピストンバルブ機構のうちの1つ又は複数は、前記ピストン機構の設置方式を有する。例えば、バルブチャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通し、前記流体通路のバルブチャンバに連通する開口は、バルブチャンバの底部に位置し、バルブピストンは、バルブチャンバの底部まで運動して前記開口を覆うことでバルブチャンバと流体通路との連通を遮断することができる。
【0039】
本発明の一態様において、前記小型流体制御設備は、液体材料、気体材料、乳剤材料、スラリー材料、固体材料を溶解した流体材料、及び固体粒子が懸濁された流体材料の収容に適用される。
【0040】
本発明の一態様において、前記流体制御設備はキットであり、其可用于感染源の同定、遺伝病、がんの検出、又は遺伝子変異の検出に適用できる。本発明の一態様において、前記キットは、サンプル中の生理活性物質(例えば、核酸又はタンパク質)の検出に使用できる。前記キットは、サンプル若しくは様々な反応試薬を収容する空間、又は様々な反応を行うための空間を有する。前記サンプル又は様々な反応試薬は、流体の形で前記各収容空間の間を流動することができる。前記反応は、サンプル中の組織又は細胞の溶解、核酸又はタンパク質サンプルの濃化又は抽出、核酸の増幅反応、核酸若しくはその増幅産物又はそれが持つ信号に対する検出などを含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかなように、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例だけであり、当業者が創造的努力なしでこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】
図1は、例示的な流体制御装置の構造模式図及び動作フローチャートである。
図1(a)-(f)は、本発明で提供される流体制御装置の構造模式図及び動作フローである。
【
図2】
図2は、流体の貯蔵及び出力ユニットを有する流体制御装置を例示する三次元構造模式図である。
図2(a)は、本発明に係る流体の貯蔵及び出力ユニットを有する流体制御装置を例示する。
図2(b)は、本発明に係る流体の貯蔵及び出力ユニットを有する別の流体制御装置を例示する。
【
図3】
図3は、別の流体制御設備を例示する構造模式図である。
図3(a)は、この流体制御設備の立体構造模式図である。
図3(b)及び
図3(c)は、
図3(a)に示される例示的な流体制御設備の断面図であり、それぞれ2つの動作状態を示す。
【
図4】
図4は、本発明に係る別の流体制御設備に使用されるピストン機構の断面模式図である。
図4(a)及び
図4(b)は、それぞれ2つの動作状態を示す。
【
図5】
図5は、本発明に係る別の例示的な流体制御設備の模式図である。
図5(a)は、この例示的な流体制御設備に使用されるピストン機構の部分断面模式図である。
図5(b)は、本発明に係るこの例示的な流体制御設備の立体模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の別の例示的な流体制御設備の模式図である。
図6(a)及び
図6(b)は、この例示的な流体制御設備の断面模式図であり、それぞれ2つの動作状態を示す。
図6(c)は、本発明に係るこの例示的な流体制御設備の立体模式図であり、それぞれ
図6(a)に示される動作状態を示す。
【
図7】
図7は、本発明に係る別の例示的な流体制御設備及びそれに使用されるピストン機構の断面模式図及び動作模式図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る別の例示的な流体制御設備及びそれに使用されるピストン機構の断面模式図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る別の例示的な流体制御設備及びそれに使用されるピストン機構の断面模式図及び動作模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の実施例の目的、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を明確で完全に説明する。明らかなように、以下の実施例は、本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的努力なしで得た全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0043】
実施例1
本出願人の別の中国特許出願第202010092879.2号及び本願の優先権基礎となる出願には、流体制御装置が記載されている。この流体制御装置は、マイクロ流体制御設備又はキットなどのマイクロ若しくは小型流路システムに適用することができ、複数のピストン機構の異なる組み合わせを使用することにより、流体の注入又は貯蔵、及び流体の流れ方向/流量の制御を実現する。この出願の全ては、本発明の一部又は本発明で提供される技術的手段の対照として本明細書に組み込まれる。
【0044】
図1は、本発明に係る例示的な流体制御装置の構造模式図及び動作模式図である。
図1(a)に示すように、この流体制御装置は、流体通路2を有し、前記流路の壁1は、流路側壁と底部とを含む。
【0045】
この流体制御装置は、2つ又は複数のピストン機構により流体の流動(静止又は運動)、その流れ方向及び/又は流量を制御する。
図1の例示的な流体制御装置は、ピストン機構3と、ピストン機構4とを含み、それぞれ流路2に連通するチャンバ31及びチャンバ41を有する。チャンバ31内にピストン32を有し、チャンバ41内にピストン42を有する。この流体制御装置は、2つ以上のピストン機構を含んでもよい。
【0046】
図1に示される流体制御装置では、ピストンの運動は、気圧伝達によって制御されてもよい。他の実施形態において、ピストンの運動は、機械伝達によって制御されてもよい。例えば、ピストン32及び/又は42は、ピストンコンロッドに固定接続され、押引コンロッドによってチャンバにおけるピストンの位置及び運動を制御する。
図1に示される本発明で提供される流体制御装置では、ピストン32及び/又は42は、流体通路が遮断されるように、流体通路2の底部まで押し付けることができる。
【0047】
図1に示される流体制御装置が動作する際に、ピストン機構3と4は同時に動作し、その中の2つのピストンは同時に反対方向で動作し、対応するチャンバ内において引き起こす容積変化は同じであるが、作用が反対である。つまり、1つのピストン機構におけるチャンバ内の容積が大きくなるのに対し、もう1つのピストン機構におけるチャンバ内の容積が小さくなる。本発明の一態様では、前記2つ以上のピストン機構のピストン断面は同じである。そのため、2つのピストン機構が同時動作する際に、それぞれのピストンの運動速度を同じに制御することにより、対応するチャンバ内に引き起こされる体積の変化は同じ、作用は反対となることができる。
【0048】
図1に示される流体制御装置は、前記ピストン機構3及び4のうちの1つ又は2つと、流体通路との間のバルブをさらに含む。前記バルブによりピストン機構と流体通路の流体連通を制御する。例えば、前記バルブは、ピストン機構と流体通路との間の流体連通を遮断又は部分的に遮断することができる。
図1に示される流体制御装置において、前記バルブはピストン機構である。
図1に示すように、ピストン機構3の上流にはピストンバルブ機構8が設けられる。ピストンバルブ機構8は、バルブチャンバ81を有し、その内部にバルブピストン82を有する。バルブチャンバ81とチャンバ31は、バルブ流路211により連通する。流路211のバルブチャンバ81内における開口84は、チャンバの壁に位置し、即ち、開口は、流体通路2よりも高い位置に位置する。バルブピストン82は、流体通路2の底部まで押し付けられて流体通路を遮断することができる。また、バルブピストン82の厚さは、開口84の幅よりも大きい。これによって、バルブピストン82は、開口84を十分に閉塞し、バルブチャンバ81とチャンバ31との間の流路の遮断を実現することができる。
【0049】
図1に示される流体制御装置において、ピストン機構4の下流には、ピストンバルブ機構9が設けられる。ピストンバルブ機構9は、バルブチャンバ91を有し、その内部にはバルブピストン92を有する。バルブチャンバ91と出口流路10とは、バルブ流路231により連通する。バルブ流路231のバルブチャンバ91内における開口94は、流体ベースよりも高いチャンバの壁に位置する。バルブピストン92及び開口94の設置により、バルブピストン92が下に押し付けられると、開口94が完全に閉塞され、流路の閉鎖が実現される。
【0050】
流体制御装置の動作フローを
図1(a)-
図1(i)に示す。
【0051】
図2は、流体の貯蔵及び出力ユニットを有する流体制御装置を例示する三次元構造模式図である。
【0052】
図2(a)に示される流体制御装置は、外殻100と流路200を有する。流路200は、主流路201と分岐流路202を含む。この流体制御装置は、3つのピストン機構300、400及び500を含む。ピストン機構300及び500は、主流路201に位置し、ピストン機構400は、分岐流路202の末端に位置する。この例示的な流体制御装置において、ピストンの運動を制御することにより流体の注入又は貯蔵を実現する
図1の方法と同様に、液体をピストン機構300から主流路201を経て分岐流路202を通してピストン機構400のチャンバ401に導入することができる。例えば、ピストン機構300のピストン302を押し下げると同時にピストン機構400のピストン402を引き上げることにより、貯蔵を必要とする液体は、ピストン機構300のチャンバ301から主流路201を経て分岐流路202を通してピストン機構400のチャンバ401に入る。貯蔵される液体の体積は、必要に応じてピストン402の引き上げ距離により調整することができる。この例示的な流体制御装置において、ピストン機構300のピストン302が固定されたままであり、主流路の流体のスムーズな通過を阻害することがなく、ピストン機構400のピストン402を引き上げることにより、貯蔵を必要とする液体は、直接、入口から主流路201を経て分岐流路202を通してピストン機構400のチャンバ401に入る。
【0053】
同様に、ピストン402及び502を操作することにより、流体をピストン機構400のチャンバ401及びピストン機構500のチャンバ501又は流路間において移動又は滞留させることができる。
【0054】
図2(b)に示される例示的な流体制御装置は、
図2(a)に示される例示的な流体制御装置をもとに、分岐流路202、即ち、ピストン機構400と主流路201との間に、ピストンバルブ機構600がさらに設けられる。前記ピストンバルブ機構600は、バルブチャンバ601を有する。バルブチャンバ601内にはバルブピストン602を有する。バルブピストン602は、分岐流路202の底部まで押し付けられて流体通路を遮断することができる。
図4(b)に示される例示的な流体制御装置において、主流路201に接続される分岐流路202のバルブチャンバ601における開口は、チャンバの壁に位置する(即ち、ピストンバルブ機構600と流路が連通するバルブ流路が形成される)。この例示的な流体制御装置において、主流路201に接続される分岐流路202及び/又はピストンバルブ機構600に接続される分岐流路202のバルブチャンバ601における開口は、チャンバの壁に位置する。
【0055】
図1及び
図2に示される流体制御装置において、ピストン機構及びピストンバルブ機構の流体通路に連通する開口、並びにピストン機構のピストンバルブ機構に連通する開口は、いずれもチャンバの壁に設けられる。例えば、
図1(a)におけるピストン機構3及び4と流路との間に連通する開口、並びに
図2(a)におけるピストン機構300及び400と流路との間に連通する開口は、いずれもチャンバ底部の壁に設けられる。さらに、例えば、
図1(a)におけるピストンバルブ機構8とピストン機構3との間の流路開口、並びに
図2(a)におけるピストンバルブ機構600と流路202との間の流路開口は、いずれもバルブチャンバ内における流体ベースよりも高い壁に設けられる。
【0056】
実施例2
本発明において、マイクロ流体制御設備又はキットなどのマイクロ又は小型流路システムに使用されるピストン機構、及び前記ピストン機構を用いた流体制御設備を提供する。
【0057】
図3は、本発明の例示的な流体制御設備の構造模式図である。
図3(a)は、この流体制御設備の立体模式図である。
図3(a)に示すように、本発明の一実施形態において、流体制御設備が提供される。前記流体制御設備は、複数の流体通路1020を含み、前記流体通路は、前記流体制御設備の底部に設けられる。前記流体通路2の壁1010(流路側壁1011と底部1012などを含む)の材料は、シリカ、シリコン、石英、ガラス又はポリマー材料(例えば、PDMS、プラスチックなど)を含むが、これらに限定されない。本発明で提供される流体制御装置は、小型及びマイクロ流体設備に適用され、液体などの流体材料の収容及び転移に使用され、その流路のサイズは、ミリメータとマイクロメータオーダーであり、例えば、約0.05-5mmである。前記流体制御装置がマイクロ流体制御システムに使用される場合、その流路サイズは、マイクロメータオーダーであり、例えば、その流路の断面の幅は約0.05-0.5mmである。本発明の一態様では、前記流路の断面の幅は約0.05-0.5mm、好ましくは約0.05mm-0.2mmである。前記流体制御装置が小型流体システム、例えば、キットなどに使用される場合、その流路サイズは、ミリメータオーダーであり、例えば、その流路の断面の幅は約0.1-5mmである。本発明の一態様では、前記流体通路の流路の断面は、楕円、矩形、正方形、円形などの様々な形状であってもよい。本発明の一態様では、前記流体通路の流路の断面の幅は約0.1-5mm、好ましくは約0.2mm-2mmである。
【0058】
前記流体制御設備は、ピストン機構2000を有する。前記ピストン機構は、チャンバ壁2010と、チャンバ壁により制限された空間によって形成されたチャンバ2020と、チャンバ内を移動可能なピストン2030とを有する。
図3(a)に示すように、チャンバ2020の底部は、複数の流体通路に連通する。前記流体通路のチャンバに連通する開口2040は、いずれもピストン機構のチャンバの底部に位置する。前記ピストン2030は、ピストン機構のチャンバ底部まで運動して流体通路のチャンバに連通する開口2040を本発明の別の態様において、ことで流体通路とチャンバとの連通を遮断することができる。前記ピストンがチャンバの底部に位置しない場合、ピストンは前記開口を覆わないため、前記複数の流体通路は、チャンバを介して互いに流体連通する。前記ピストンがチャンバ底部まで運動して前記開口を閉塞すると、各流体通路の流体連通は遮断される。
【0059】
本発明において、前記ピストン機構のピストンは、ゴム、ポリマーなどの材料で作成することができ、ある程度の変形能力を有するため、前記ピストン機構のチャンバの壁に密着することで液体が通過できない密閉空間が形成されるとともに、チャンバ内でのピストンの良好な運動性が保持され、ピストンがチャンバの底部まで運動して圧力を受ける場合、流体通路とチャンバとを連通させる開口が密閉され、各流体通路間の流体連通が遮断される。本発明において、前記ピストンは、チャンバに適合する形状及びサイズを有する。本発明の一態様では、前記ピストンは、円形であり、その直径が約1mm-30mm、好ましくは5-20mmである。
【0060】
本発明において、前記ピストン機構のチャンバ壁を形成する材料は、一般的に前記流体通路の壁の材料と同じである。
【0061】
図3(a)に示すように、チャンバ2020は、複数の流体通路1020に連通することができる。前記流体通路のチャンバに連通する開口2040は、いずれもチャンバの底部に位置し、流体通路1021及び1022は、同一断面に位置する2つの流体通路である。
【0062】
図3(b)及び(c)は、
図3(a)に示される例示的な流体制御設備の流体通路1021及び1022を通った断面図である。前記流体通路は、流路側壁1011及び底部1012によって制限されてなる。流体通路のチャンバに連通する開口2040は、いずれもチャンバの底部に位置する。流路側壁の頂部1013は、チャンバ底部の一部を構成する。
図3(b)に示すように、前記ピストンがチャンバの底部に位置しない場合、ピストンは、前記開口を覆わず、前記複数の流体通路(流体通路1010及び1022)は、チャンバを介して互いに流体連通する。
図3(c)に示すように、当前記ピストンがチャンバの底部まで運動して前記開口を覆った場合、各流体通路の流体連通は遮断される。
【0063】
本発明で提供される流体制御設備において、チャンバ内でのピストンの運動は、機械伝達によって制御することができる。例えば、ピストンはコンロッドに固定接続され、押引コンロッドによってチャンバにおけるピストンの位置を制御する。ピストンがチャンバの底部まで運動した後、それを引き続き圧力を加えることができる。これによって、ピストンは変形し、流体通路のチャンバに連通する開口を密閉し、各流体通路間の流体連通を完全に遮断することができる。本発明の他の実施形態において、ピストンの運動は、気圧伝達又は液圧伝達などの他の方式によって制御することもできる。
【0064】
図4は、本発明の別の例示的な流体制御設備に使用されるピストン機構の断面模式図である。ピストン機構2000は、チャンバ壁2010と、チャンバ壁によって制限された空間で形成されたチャンバ2020と、チャンバ内を移動可能なピストン2030と、ピストンの運動を制御するためのピストン運動制御具2050とを含む。
図4に示される例示的なピストン機構において、ピストン運動制御具2050は、雄ネジ2051を有し、チャンバ壁2010上の雌ネジとネジペアを構成する。ピストン運動制御具2050がネジに沿って回転すると、ピストン運動制御具は、チャンバ2020内を上向き又は下向きに運動し、即ち、チャンバの軸線に対して移動する。
図4に示される例示的なピストン機構において、ピストン運動制御具の下端は、ピストンロッド2052を有する。ピストンロッド2052は、ピストン2030に固定接続される。本発明の一実施形態において、ピストン運動制御具(ピストンロッド2052を含む)は、ピストン2030と共に一体の部材である。ピストン運動制御具2050がネジに沿って回転してチャンバ2020内を上向き又は下向きに運動する際に、ピストンロッドによって前記ピストンは、チャンバ内を同様の運動を行う。
【0065】
図4(a)に示すように、前記ピストンがチャンバの底部に位置しない場合、ピストンは、前記開口を覆わず、前記複数の流体通路(流体通路1021及び1022を含む)は、チャンバを介して互いに流体連通する。
図4(b)に示すように、前記ピストン運動がチャンバの底部に運動して前記開口を覆った場合、各流体通路の流体連通は遮断される。
【0066】
図5は、本発明の別の例示的な流体制御設備の模式図である。
図5(a)は、この例示的な流体制御設備に使用されるピストン機構の部分断面模式図である。
図5(a)に示される例示的なピストン機構において、ピストン運動制御具2050は、雄ネジ2051を有し、ピストンのチャンバ壁(図示せず)とネジペアを構成する。ピストン運動制御具2050がネジに沿って回転すると、ピストン運動制御具は、ピストンのチャンバ(図示せず)内を上向き又は下向きに運動する。
図5に示される例示的なピストン機構において、ピストン運動制御具の下端は、ピストンロッド2052を有する。ピストンロッド2052の底部は、球状突起2053を有する。ピストン2030の頂部は、前記球状突起2053に応じた凹み2031を有する。ピストン運動制御具は、ピストンロッド底部の球状突起2053をピストン2030の頂部の凹み2031に挿入することによりピストンに摺接される。ピストンの材料は、適切な硬度とある程度の弾性を有し、比較的小さい力を受けたときに一定の形態を保持することができる。例えば、ピストンロッドがチャンバ内を上下運動するときに前記球状突起に対する包み及び制限を保持できるように凹みの形状を保持し、これによって、ピストンをチャンバ内で上下運動させる。また、前記ピストンロッドの球状突起及び前記ピストンの材料は、両者の間に適切な摩擦力を有し、球状突起の回転がピストンの回転をほとんど引き起こさない材料である。これによって、ピストン運動制御具2050がネジに沿って回転してチャンバ2020内を上向き又は下向きに運動する際に、ピストンロッド底部の球状突起2053によって前記ピストンをチャンバ内で同様に上向き又は下向きに運動させる。
【0067】
図5(b)は、本発明の例示的な流体制御設備の立体模式図である。
図5(b)に示すように、ピストン機構2000のピストン運動制御具2050の下端のピストンロッドの底部は、球状突起2053を有する。ピストン2030は、前記球状突起2053に応じた凹み2031を有する。ピストン運動制御具は、ピストンロッド底部の球状突起2053をピストン2030の頂部の凹み2031に挿入することによりピストンに可動接続される。ピストン運動制御具2050は、雄ネジ2051を有し、ピストンのチャンバ壁2010とネジペアを構成する。ピストン運動制御具2050がネジに沿って回転すると、ピストン運動制御具は、ピストンのチャンバ2020内を上向き又は下向きに運動する。チャンバ2020の底部は、複数の流体通路1020に連通し、前記流体通路のチャンバに連通する開口2040は、いずれもピストンのチャンバ底部に位置する。前記ピストン2030は、ピストン運動制御具2050の駆動によってピストンのチャンバの底部まで移動して流体通路のチャンバに連通する開口2040を覆って流体の連通を遮断する。
【0068】
図6は、本発明の別の例示的な流体制御設備の模式図である。
図6(a)及び(b)は、この例示的な流体制御設備の断面模式図である。
図6(a)及び(b)に示される例示的な設備のピストン機構において、前記流体制御設備は、ピストン機構2000を有する。前記ピストン機構は、チャンバ壁2010と、チャンバ壁によって制限された空間で形成されたチャンバ2020と、チャンバ内を移動可能なピストン2030とを有する。ピストン運動制御具2050は、雄ネジ2051を有し、ピストンのチャンバ壁2010上の雌ネジとネジペアを構成する。ピストン運動制御具2050がネジに沿って回転すると、ピストン運動制御具は、ピストンのチャンバ内を上向き又は下向きに運動する。
図6に示される例示的なピストン機構において、ピストン運動制御具とピストン2030との間に固定接続がない。ピストンの底部は、ピストン支持体2032を有する。ピストン支持体2032は、ピストンの底部に位置する突起であり、弾性を有する材料で作成され、圧力を受けると変形して圧縮される。ピストンが圧力を受けた場合(例えば、ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内をピストンの方向へ運動し、ピストンと接触してそれをチャンバの底部に押し付ける場合)、ピストン支持体は平らに押され、ピストンの底部全体がチャンバの底部と完全に接触して全ての流体通路(図示される流体通路1021及び1022)のチャンバに連通する開口2040を本発明の別の態様において、ことで各流体通路の流体連通を遮断する(
図6(b))。ピストンが受ける圧力がなくなった場合(例えば、ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内をピストンから離れた方向へ運動する場合)、ピストン支持体2032は、その自然な変形状態(即ち、ピストンが圧力を受けていない状態でのピストン支持体2032の自然な変形)に回復し、この状態で、ピストン支持体はピストンを押し上げ、ピストン底部のチャンバ底部と接触する箇所(即ち、ピストン支持体がある位置)は、流体通路のチャンバに連通するいずれかの開口2040も覆わないため、各流体通路はチャンバを介して互いに流体連通する(
図6(a))。
【0069】
図6(c)は、本発明の例示的な流体制御設備の立体模式図である。
図6(a)に示される動作状態、即ち、ピストンが受ける圧力がなくなった(例えば、ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内をピストンから離れる方向へ運動する)場合、ピストン支持体2032は、その自然な変形状態(即ち、ピストンが追加の圧力を受けない場合のピストン支持体2032の自然変形)に回復する。立体図から明らかなに分かるように、ピストン支持体とピストン底部が接触する部位は、流体通路のチャンバに連通するいずれかの開口2040も覆わないため、ピストン支持体2032がその自然な変形状態にある場合、各流体通路は、チャンバを介して互いに流体連通する。
【0070】
図7は、本発明の別の例示的な流体制御設備の模式図である。
図7(a)及び(b)は、この例示的な流体制御設備の断面模式図である。
図7(a)及び(b)に示される例示的な設備のピストン機構において、前記流体制御設備は、ピストン機構2000を含む。前記ピストン機構は、チャンバ壁2010と、チャンバ壁によって制限された空間で形成されたチャンバ2020と、チャンバを移動可能なピストン2030とを有する。ピストン運動制御具2050は、雄ネジ2051を有し、ピストンのチャンバ壁2010の雌ネジとネジペアを構成する。ピストン運動制御具2050がネジに沿って回転すると、ピストン運動制御具は、ピストンのチャンバ内を上向き又は下向きに運動する。
図7に示される例示的なピストン機構において、ピストン運動制御具2050の運動は、ピストン運動制御具の操作機構3000によって調整される。
図7(a)に示すように、前記操作機構は、操作ロッド3010と、操作ロッド運動機構とを含む。操作ロッドは、回転又は上下運動することができる。前記ピストン運動制御具は、前記操作ロッドの挿入に適した空洞を有する。前記操作ロッドは、前記ピストン運動制御具の空洞に挿入されると、前記空洞と係合状態を形成する。前記操作ロッドの回転に伴って、前記ピストン運動制御具は回転する。前記操作ロッド運動機構は、前記操作ロッドの上下運動及び回転を制御する部品を含み、例えば、図示される操作ロッドの回転を制御するモータを含む。本発明において、前記操作ロッド運動モータは、電動ドライバー3020であってもよく、操作ロッドの回転方向、回転速度、回転角度、停止トルクなどのパラメータを設定することができる。前記ピストン運動制御具2050は、操作ロッドの挿入に適した空洞2055を有する。空洞の断面は、操作ロッド(例えば
図7示実施例中的四角或六角スクリュー)に適合する形状を有する。
図7(a)は、ピストン運動制御具の下向き運動を制御する模式図である。
図7(a)に示すように、前記操作ロッドがピストン運動制御具の空洞に挿入された後、操作ロッドの時計回りの回転によって、ピストン運動制御具2050をネジに沿って回転させることができ、ピストン運動制御具は、チャンバ2020内を下向きに運動する。本発明の一態様では、前記操作ロッドは、ゆっくりと回転しながらピストン運動制御具の空洞に挿入することができる。回転しながら挿入することによって、操作ロッド上の稜は、チャンバの内部に噛み合うことができるため、位置合わせの問題を効果的に解決することができる。
図7に示される例示的なピストン機構において、ピストン運動制御具とピストン2030との間に固定接続が存在しない。ピストンの底部は、ピストン支持体2032を有する。ピストン支持体2032は、ピストンの底部に位置する突起であり、弾性材料で作成され、圧力を受けると変形して圧縮される。ピストンが圧力を受けた場合(例えば、ピストン運動制御具がネジに沿って回転してチャンバ内をピストンの方向へ運動し、ピストンと接触してそれをチャンバの底部へ押し付ける場合)、ピストン支持体は平らに押され、ピストン底部全体はチャンバの底部と完全に接触して流体通路(図示される流体通路1021及び1022)のチャンバに連通する全ての開口2040を覆い、これによって、各流体通路の流体連通が遮断される(
図7(a))。ピストンが受けた圧力がなくなると、ピストン支持体2032は、その自然な変形状態に回復し、この状態下でピストン支持体によってピストン底部のチャンバ底部と接触する部位は流体通路のチャンバに連通するいずれかの開口2040も覆わず、各流体通路は、チャンバを介して互いに流体連通する(
図7(b))。操作ロッドの運動距離を調整することによりピストン運動制御具とピストン2030との接触及び圧迫を調整することができる。また、チャンバ壁2010によるピストン運動制御具の位置規制、及び電動ドライバー3020のトルク閾値を設定することによって、ピストン運動制御具が位置規制まで運動し、ピストン運動制御具内の操作ロッドが受けたトルクが電動ドライバーに設定された停止トルク値を超えた後、電動ドライバーは、モータの回転を停止させ、これによって、操作ロッドを抜き出すことができる。本発明において、1つの操作ロッド及び操作ロッド運動機構により複数のピストン機構を制御することができる。操作ロッドを1つのピストン機構から取り外した後、他のピストン機構の位置に移すことができる。
【0071】
図7(b)は、ピストン運動制御具の上向き運動を制御する模式図である。
図7(a)に示すように、前記操作ロッドが空洞に挿入された後、操作ロッドの反時計回りの回転は、ピストン運動制御具2050をネジに沿って回転させることができ、これによって、ピストン運動制御具は、チャンバ2020内を上向きに運動する。ピストンが受けた圧力がなくなった場合(例えば、ピストン運動制御具がピストンと接触しない場合)、ピストン支持体2032は、その自然な変形状態(即ち、ピストンが追加の圧力を受けていない場合のピストン支持体2032の自然変形)に回復する。この状態下で、ピストン支持体のピストン底部と接触する部位は、流体通路のチャンバに連通するいずれかの開口2040も覆わず、各流体通路は、チャンバを介して互いに流体連する。ピストン運動制御具が頂部まで運動したときに、位置規制の存在により、トルクが大きくなり、電動ドライバーに設定された停止トルク値を超えた後、電動ドライバーは、操作ロッドの回転を停止させるため、操作ロッドを取り外すことができる。
【0072】
図8は、本発明の別の例示的な流体制御設備及びそれに使用されるピストン機構の断面模式図である。ピストン機構2000は、チャンバ壁2010と、チャンバ壁によって制限された空間で形成されたチャンバ2020と、チャンバ内を移動可能なピストン2030と、ピストンの運動を制御するためのピストン運動制御具2050とを有する。前記ピストン機構のチャンバの底部は、1つの流体通路1020の分岐流路1030に連通し、分岐流路1030のチャンバに連通する開口1031は、チャンバの底部に位置する。前記ピストンは、チャンバの底部まで運動して前記開口を本発明の別の態様において、ことでチャンバと流体通路との連通を遮断することができる。
図7に示されるピストン機構において、ピストン運動制御具2050は、雄ネジ2051を有し、チャンバ壁2010とネジペアを構成する。ピストン運動制御具2050がネジに沿って回転すると、ピストン運動制御具は、チャンバ2020内を上向き又は下向きに運動する。ピストン運動制御具の下端は、ピストンロッド2052を有し、ピストンロッド2052は、ピストン2030に接続される。ピストン運動制御具2050がネジに沿って回転してチャンバ2020内を上向き又は下向きに運動する際に、ピストンロッドによって前記ピストンはチャンバ内を同様の運動を行う。
【0073】
図9は、本発明の別の例示的な流体制御設備及びそれに使用されるピストン機構の断面模式図である。ピストン機構2000は、チャンバ壁2010と、チャンバ壁によって制限された空間で形成されたチャンバ2020と、チャンバ内を移動可能なピストン2030と、ピストンの運動を制御するための操作ロッド3100とを有する。制御ロッドの底部は、球状突起3120を有する。前記ピストン機構のチャンバの底部は、流体通路1020の分岐流路1030に連通する。分岐流路1030のチャンバに連通する開口1031は、チャンバの底部に位置する。前記ピストンは、チャンバの底部まで運動して前記開口を本発明の別の態様において、ことでチャンバと流体通路との連通を遮断することができる。ピストン2030は、前記球状突起2053に適合する凹み2031を有する。操作ロッドは、底部の球状突起3120をピストン2030の頂部凹み2031に挿入することでピストンに可動接続される。操作ロッドは、回転又は上下運動することができる。前記操作ロッドの運動を制御する機構は、前記操作ロッドの上下運動及び回転を制御する部品を含み、例えば、図示される操作ロッドの回転を制御するモータを含む。本発明において、前記操作ロッド運動モータは、電動ドライバー3130であってもよく、操作ロッドの回転方向、回転速度、回転角度、停止トルクなどのパラメータを設定することができる。
図9(a)は、ピストンの下向き運動を制御する模式図である。
図9(a)に示すように、前記操作ロッドがピストン2030の頂部の凹み2031に挿入された後、操作ロッドの下向き運動に伴って、ピストンは下向きに運動する。本発明の一態様において、前記操作ロッドは、ゆっくりと回転しながらピストンの頂部の凹みに挿入することができ、これによって、位置合わせの問題が効果的に解決される。
図9(b)は、ピストンの上向き運動を制御する模式図である。
図9(b)に示すように、前記操作ロッドがピストン2030の頂部の凹み2031に挿入された後、操作ロッドの上向き運動は、ピストンを上向きに運動させることができる。
【0074】
図8及び
図9に示すように、ピストン2030が上昇してチャンバの底部から離れると、流体通路1020中の液体は、チャンバに吸い込まれる。ピストン運動制御具2050の移動方向、位置及び速度によって、チャンバに入る液体を正確に吸い取り、放出又は保留することができ、チャンバに対する液体の進出速度を正確に制御することができる。これによって、前記流体制御設備は、マイクロ流体制御設備又はキットなどのマイクロ若しくは小型流路システムの応用において、システム内部における特定の領域でのある流体の滞留(貯蔵)又は放出されて反応に関与する必要を満たすことができる。
【0075】
実施例2で説明された流体制御設備及び/又はそれに使用されるピストン機構は、マイクロ流体制御設備又はキットなどのマイクロ若しくは小型流路システムに使用することができる。実施例2で説明された流体制御設備及び/又はそれに使用されるピストン機構は、各チャンバ間の液体の運動をより効果的に制御することができ、チャンバ内の液体の貯蔵量、流路での液体の運動速度、流路と流路間の連通又は遮断などをより正確に制御することができる。
【0076】
実施例2で説明された流体制御設備及び/又はそれに使用されるピストン機構は、実施例1に示される流体制御装置に適用することができる。実施例2で説明された流体制御設備及び/又はそれに使用されるピストン機構は、実施例1に示される流体制御装置又はその中の前記ピストン機構若しくはピストンバルブ機構のうちの1つ又は複数を代替することができる。例えば、実施例1で説明された流体制御装置は、少なくとも1つの第1ピストン機構及び少なくとも1つの第2ピストン機構を含む。前記第1ピストン機構及び前記第2ピストン機構は、それぞれ流体通路に連通する第1チャンバ及び第2チャンバを有する。前記第1チャンバ内には第1ピストンを有し、前記第2チャンバ内には第2ピストンを有する。第1ピストンは、第1チャンバに対して第1運動を行い、第2ピストンは、第2チャンバに対して第2運動を行う。第1運動及び第2運動により、第1ピストン及び第2ピストンが第1チャンバ及び第2チャンバ内に引き起こす容積変化が同じであるが、作用効果が反対である。前記少なくとも第1ピストン機構及び少なくとも1つの第2ピストン機構のうちの1つ又は複数は、実施例2で説明された流体制御機構であり、或いは、その第1チャンバ又は第2チャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通する。前記流体通路のチャンバに連通する開口は、チャンバの底部に位置する。第1ピストン又は第2ピストンは、チャンバの底部まで運動して前記開口を本発明の別の態様において、ことによりチャンバと流体通路との連通を遮断することができる。また、例えば、実施例1で説明された流体制御装置における前記第1ピストン機構及び第2ピストン機構のうちの1つ又は2つと、前記流体通路との間にピストンバルブ機構を有する。前記ピストンバルブ機構は、前記流体通路に連通するバルブチャンバ及びバルブチャンバ内のバルブピストンを有する。前記ピストンバルブ機構のうちの1つ又は複数は、前記流体制御機構又はその中のピストン機構であってもよく、即ち、バルブチャンバの底部は、1つ又は複数の流体通路に連通する。前記流体通路のバルブチャンバに連通する開口は、バルブチャンバの底部に位置する。バルブピストンは、バルブチャンバの底部まで運動して前記開口を本発明の別の態様において、ことができ、これによって、バルブチャンバと流体通路との連通が遮断される。
【0077】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を制限するものではない。本発明の思想及び原則内になされる全ての修正、同等置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】