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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】エネルギー分配のための装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240228BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240228BHJP
   B60L 50/75 20190101ALN20240228BHJP
   B60L 3/00 20190101ALN20240228BHJP
【FI】
H02J7/00 303E
H01M8/04 H
H02J7/00 S
B60L50/75
B60L3/00 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548676
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2022054171
(87)【国際公開番号】W WO2022175504
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021000940.1
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522100316
【氏名又は名称】セルセントリック・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・イェッセ
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・ライツ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・アスファルグ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・クーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミーン・ピーク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーアス・ポスヴェルト
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ビーシンガー
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
5G503AA05
5G503BA04
5G503BB05
5G503CA11
5G503CC02
5G503EA02
5G503FA06
5G503FA16
5G503GB03
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC12
5H125EE38
5H125FF30
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC01
5H127EE29
5H127FF03
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの燃料電池スタック(2)と高電圧バッテリー(3)を備える燃料電池システムにおけるエネルギー分配のための装置(1)であって、燃料電池スタック(2)および高電圧バッテリー(3)用の電気接続部を備え、少なくとも1つの通信インターフェイス(12、14)を備え、コンバータ(5)、高電圧バッテリー(3)と燃料電池スタック(2)を分離するためのバッテリー保護スイッチ(9)、および燃料電池スタック(2)の両極を接続するための緊急停止機構(6)を備え、バッテリー安全スイッチ(9)が、コンバータ(5)と高電圧バッテリー(3)の間に配置されている、装置(1)に関する。本発明による装置は、EMCフィルター(10)が設けられていること、およびバッテリー保護スイッチ(9)が、接続部の両者の電極を分離するために設けられていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃料電池スタック(2)と高電圧バッテリー(3)を備える燃料電池システムにおけるエネルギー分配のための装置(1)であって、前記燃料電池スタック(2)および前記高電圧バッテリー(3)用の電気接続部を備え、少なくとも1つの通信インターフェイス(12、14)を備え、コンバータ(5)、前記高電圧バッテリー(3)と前記燃料電池スタック(2)を分離するためのバッテリー保護スイッチ(9)、および前記燃料電池スタック(2)の両極を接続するための緊急停止機構(6)を備え、前記バッテリー安全スイッチ(9)が、前記コンバータ(5)と前記高電圧バッテリー(3)との間に配置されている、前記装置(1)において、
EMCフィルター(10)が設けられていること、および前記バッテリー保護スイッチ(9)が、前記接続部の両者の電極を分離するために設けられていることを特徴とする、前記装置(1)。
【請求項2】
前記緊急停止機構(6)が、火工式の閉鎖器を含み、かつ外部通信インターフェイス(14)と接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
マイクロコントローラ(13)が、構成要素(5、9)を制御するために設けられており、かつ外部通信インターフェイス(12)と接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
絶縁抵抗監視機構(15)が設けられており、前記絶縁抵抗監視機構(15)が、とりわけ前記緊急停止機構(6)と前記コンバータ(5)の間に配置されていることを特徴とする、請求項1、2、または3に記載の装置(1)。
【請求項5】
ガルバニック絶縁された調整可能な変圧器(16)が設けられており、前記変圧器(16)が、高電圧プリチャージのために備えられており、かつ前記コンバータ/5)の低電圧側と接続されており、かつ前記マイクロコントローラ(13)によって制御可能であることを特徴とする、請求項3または4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記コンバータ(5)が、一方向性に形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の装置(1)。
【請求項7】
開回路時の電圧制限機構(7)が設けられており、前記機構(7)が、前記燃料電池スタック(2)と前記コンバータ(5)の間に配置されており、かつ前記マイクロコントローラ(13)によって制御可能であることを特徴とする、請求項3から6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
少なくとも1つのヒューズ(11)によって防御された、前記燃料電池システムの補助ユニットのための少なくとも1つの電気接続部が、前記EMCフィルター(10)と前記高電圧バッテリー(3)の間に設けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
主要消費機器が、前記装置(1)のバッテリー端子を介して接続されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記燃料電池スタック(2)に取り付けるための共通のハウジング(4)が設けられていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルで詳しく定義されている種類に基づく燃料電池システムにおけるエネルギー分配のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムにおけるエネルギーの分配は、たいてい、燃料電池そのものの領域内に取り付けられたいわゆる燃料電池インターフェイス(Fuel Cell Interface)によって行われる。この関連では、例えば本出願人の特許文献1を、または特許文献2もしくは特許文献3も指摘することができる。基本的には、このような構造は特許文献4からも既に知られている。
【特許文献1】DE102014017953A1
【特許文献2】US2020/0235411A1
【特許文献3】US2015/0295401A1
【特許文献4】DE10006781A1
【0003】
このようなFuel Cell Interfaceを備えた分野の電気エネルギーシステムは特許文献5が説明している。この場合、直流コンバータの後方で、したがって直流コンバータとバッテリーの間で、バッテリー保護スイッチによるバッテリーのための緊急停止が実現されている。燃料電池そのものは直流コンバータの反対側に配置されており、燃料電池の方で緊急放電機構を有している。
【特許文献5】DE102018213159A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
つまり本発明の課題は、燃料電池インターフェイスまたはFuel Cell Interface(FCI)の原理的には従来技術から知られているこの構造をさらに改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は本発明により、請求項1における、ここではとりわけ請求項1の特徴部分における特徴を有するエネルギーを分配するための装置によって解決される。有利な形態および変形形態は、その従属請求項から明らかである。
【0006】
本発明による装置の構造は、従来技術における構造と同等に、燃料電池とバッテリーの組合せを備えており、この両者の構成要素の間に、コンバータが配置され、ならびに燃料電池の両極を接続するための緊急停止機構およびバッテリーと燃料電池を分離するためのバッテリー保護スイッチが配置されている。このバッテリー保護スイッチは、コンバータとバッテリーの間に配置されている。これに関しては従来技術とは違い本発明による装置では、バッテリー保護スイッチが、接続の両者の電極を分離するために設けられている。さらにEMCフィルターが設けられている。
【0007】
したがって本発明による装置の構造は、この構造の電磁両立性(EMC)を保証しており、かつバッテリー保護スイッチが相応の電磁開閉器により、コンバータとバッテリーの間で、両者の極を高い信頼性で分離するので、バッテリー保護スイッチが開かれる場合の安全性を高めている。これに関し、コンバータの後方にバッテリー保護スイッチを配置することで、上記の従来技術において長らく通常であったコンバータ前の配置の場合より低い電流をスイッチングすればよいという利点が生じる。
【0008】
緊急停止機構は、非常に有利な一変形形態に基づく本発明による装置内では火工式の閉鎖器として形成されているかまたは火工式の閉鎖器を含むことができ、かつ外部通信インターフェイスと接続することができる。このような火工式の閉鎖器は、例えば、この装置を備えた車両のクラッシュ・センサーと接続することができる。事故の場合、例えばエアバッグが作動する場合またはそれに類する場合には、このセンサー機器によって同時に信号を、上述の有利な変形形態における本発明による装置に送信することができ、これにより、火工式の閉鎖器が作動して燃料電池スタックの両極が接続される。
【0009】
本発明による装置のさらなる非常に有利な一形態は、この場合、マイクロコントローラが構成要素を制御するために設けられており、このマイクロコントローラの方で、外部通信インターフェイスに対する接続を有していることを企図する。この接続は、とりわけ、上述の形態における火工式の閉鎖器の接続とは違う接続であり得る。これに関し、構成要素は、典型的には昇圧コンバータとして動作する少なくとも1つのコンバータと、マイクロコントローラの制御信号に応じて電気接続部の両者の極を分離するために典型的には電磁開閉器として形成されているバッテリー保護スイッチとを含んでいる。
【0010】
本発明による装置のさらなる非常に好適な一形態によれば、絶縁抵抗監視機構がさらに設けられていてもよく、この絶縁抵抗監視機構は、とりわけ緊急停止機構とコンバータの間に、つまりコンバータの燃料電池に面した側に配置されている。この機構も、外部通信インターフェイスと、または外部通信インターフェイスの1つと接続することができる。つまり本発明による装置のこの有利な形態では、絶縁抵抗測定により、燃料インターフェイスの絶縁の問題のない確実な機能を検査することができる。これに関しては、プラス極もマイナス極もグラウンドに対して測定される。この絶縁抵抗は、数メガオームの大きさでなければならず、典型的には相応の規準に基づいて予め設定されている。この場合、絶縁抵抗監視機構によって絶縁抵抗のその時々の値を測定および監視することができ、これにより、絶縁抵抗が悪化した場合には、とりわけ絶縁抵抗が予め設定された限界値より下に低下すると、アラームを作動させることができ、アラームはこの場合、さらなるアクション、例えば緊急停止またはそれに類することを可能にする。
【0011】
その代わりにまたはそれに加えて、本発明による装置のさらなる非常に好適な一形態によれば、ガルバニック絶縁された調整可能な変圧器をさらに設けることができ、この変圧器は、高電圧プリチャージのために備えられており、かつこの装置の低電圧端子と接続されている。この変圧器はさらに、上述の有利な形態に基づいてマイクロコントローラが設けられている場合には、マイクロコントローラによって制御されていてもよい。これにより、Fuel Cell Interfaceの電圧を、バッテリーの電圧レベルに適合させることが簡単に可能である。つまり、低電圧による高電圧プリチャージの電圧調整のための目標値として、バッテリー側での電圧を考慮することができる。これはとりわけ、燃料電池スタックに、その媒体、つまり空気または酸素を供給する前に既に、典型的には電磁開閉器によって実現されている高電圧バッテリーの接点を接続することを可能にする。この場合、本来のDC/DCコンバータ自体は、本発明による装置の有利な一変形形態に基づいて規定されているように、昇圧コンバータとして一方向性に実施することができる。
【0012】
さらなる非常に好適な一形態は、開回路の電圧制限機構をさらに設けており、この機構もマイクロコントローラによって制御されている。これにより、燃料電池スタックの電圧の制限、いわゆるVoltage Clippingが可能である。とりわけ、高電圧プリチャージのための変圧器を備えた本発明による燃料電池システムの前述の形態と組み合わせることで、このVoltage Clippingをもはや専用の部品として実現するのではなく本来のDC/DCコンバータによって一緒に実施することができ、これが構造をまたさらに簡略化する。つまり、コンバータによって燃料電池スタックに負荷を掛けることもできるので、電圧制限を完全に省略してもよく、それに伴い、つい先ほど述べた任意の電圧制限器を完全になくしてもよい。
【0013】
ところで本発明による装置のさらなる非常に好適な一形態は、燃料電池システムの補助ユニット、つまり例えば空気用搬送機構、水素再循環ブロワー、およびその類似物のために、EMCフィルターとバッテリー接続部の間で、ヒューズによって防御された少なくとも1つの電気接続部をさらに設けており、したがってこの装置により、これらの構成要素にも直接的に出力を供給することができ、かつこの装置内にあるヒューズによってこれらの構成要素も防御することができる。有利な一形態によれば、この場合、構造を単純かつコンパクトに保つため、これらの消費機器自体を、バッテリー接続部を介してまたはバッテリーに並列に一緒に接続することができる。
【0014】
本発明による企図の有利な一変形形態によれば、この場合、この装置全体を共通のハウジング内に集積することができ、このハウジングは、燃料電池、つまり燃料電池スタックに取り付けるために形成されている。つまり、燃料電池インターフェイスが、燃料電池スタックの構造内に、とりわけ燃料電池スタックのハウジングの中または傍で集積され、これにより、ケーブル敷設コストが相応に減少し、かつ本発明による装置により、ただ1つの効率的なインターフェイス・モジュールが実現される。
【0015】
本発明による装置のさらなる有利な形態は、以下に図を参照しながら詳しく説明する例示的実施形態からも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態における本発明による装置の有り得る構造を示す図である。
図2】第2の実施形態における本発明による装置の有り得る構造を示す図である。
図3】第3の実施形態における本発明による装置の有り得る構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による装置1は、燃料電池インターフェイスとして働き、かつ図1の図示に相応して、示唆した燃料電池スタック2と、3で表した高電圧バッテリーとの間に配置されている。装置1は、とりわけ、ここでは具体的に図示しているのではなく示唆しているだけのハウジング4内に配置することができ、ハウジング4は、とりわけ、燃料電池スタック2と接続して形成されている。この燃料電池インターフェイスとしての装置1は、昇圧コンバータの電流分配ユニットの機能ならびに燃料電池スタック2および/またはバッテリー3のための相応の保護機能を、共通の構造ユニットまたはモジュール内で組み合わせている。つまり装置1は、燃料電池スタック2と高電圧バッテリー3の間で、電流および電圧の最適で安価な変換を可能にする。その際、燃料電池スタック2の相対的に低い電圧が、DC/DCコンバータ5(以下では単にコンバータ5と言い、典型的には昇圧コンバータとして動作する)により、バッテリー3のより高い電圧へと昇圧され、このとき出力はほぼ同じであり、それに応じて電流は低くなる。
【0018】
つまり、燃料電池インターフェイスとしての装置1は、昇圧コンバータとしてのこのコンバータ5の機能を、燃料電池スタック2のために必要な保護機能と、スイッチング機能と、測定機能と、分配機能とを含めて表している。装置1は、コンバータと、保護機能と、出力の分配コンセプトとの効率的な組合せを表しており、この分配コンセプトは、とりわけ、例えば乗用車または特にトラックのような車両内での燃料電池の使用のために最適化することができる。これはすべて、共通のハウジング4内で可能であり、ハウジング4は、モジュール化を可能にし、かつ異なる機能を1つのモジュール内で組み合わせる。この組み合わせることが、構造空間および費用を節約し、さらに、とりわけハウジング4が直接的に燃料電池スタック2の領域内に、好ましくはそのスタック・ハウジングに配置される場合、接続部の構成要素および導線を削減することができる。つまり装置1は、例えば車両、特にトラック内でのモバイル燃料電池の適用に対してとりわけ、大量生産に関するかなりの費用削減を可能にする。これは、ハードウェアに関しても、取り付け時の時間および費用の節減に関しても当てはまる。
【0019】
このような装置1の図1に示した第1の有り得る構造は、ハウジング4内に、既に論じたコンバータ5を含んでいる。このコンバータ5と、装置1の傍の燃料電池スタック2または燃料電池スタック2の電気接続部との間には、火工式の閉鎖機構6と、開回路時の電圧制限機構7がある。その次に、燃料電池側にもバッテリー側にも相応の受動放電オプション8を有する昇圧コンバータとして既に論じたコンバータ5が続いている。これらの受動放電オプションはそれぞれ8で表されている。それから、コンバータ5と高電圧バッテリー3用の接続部との間にバッテリー安全スイッチ9が続いており、このバッテリー安全スイッチ9により、ここで図示しているように、必要の際に電気接続部の両者の極を分離することができる。バッテリー安全スイッチ9には、この場合、受動放電を有するEMCフィルター10が隣接している。それだけでなく、電流(A)および電圧(V)を測定するためのセンサーが設けられている。そのうえヒューズ11が設けられており、これらのヒューズ11は、例えばファンホイール、フローコンプレッサー、冷媒ポンプ、またはその類似物の電流供給のため、補助ユニットに外部から電流供給するための相応のインターフェイス19とともに備えられている。装置1は、マイクロコントローラ13が接続されている外部通信インターフェイス12をさらに含んでおり、マイクロコントローラ13は、少なくとも電圧制限機構7、コンバータ5、およびバッテリー安全スイッチ9の制御のために設けられている。火工式の閉鎖機構6は、典型的には、例えば車両のクラッシュ・センサーと相応に接続された専用の外部通信インターフェイス14を備えている。
【0020】
装置1のこの構造の場合、バッテリー安全スイッチ9はコンバータ5の後方に配置されており、上で示したように、コンバータ5のこの側では、昇圧コンバータとしてのコンバータ5の典型的な使用により、確かにより高い電圧が存在しているが、かなり低い電流が存在しているので、これにより、バッテリー安全スイッチ9の相応のスイッチまたは電磁開閉器をより小さく設計することができる。これは、装置1の単純で安価な構造に関してさらなる1つの構造を生じさせる。装置1の重量を相応に減らすため、ここではガルバニック絶縁なしの昇圧コンバータを設けることができる。つまり、コンバータ5によって電圧調整が行われるので、別個のプリチャージ回路を省略することができる。
【0021】
既に論じたように、火工式の閉鎖機構6はその専用の外部通信インターフェイス14を介して外部の通信機構に接続することができる。装置1を備えた車両の、例えばバッテリー3が燃料電池スタック2から分離されるようなクラッシュの場合には、火工式の閉鎖機構により、燃料電池スタック2を短絡、したがって放電させることができる。ここで、火工式の閉鎖機構6の後方に配置された電圧制限部7は、燃料電池スタック2を含む燃料電池システムの起動のため、燃料電池スタック2の開回路電圧を相応に下げる働きをする。つまり電圧制限部は、コンバータ5の起動を防御するために、燃料電池システムの起動の際の燃料電池スタック2の開回路電圧を、高電圧バッテリー3の電圧より下に保つ。燃料電池システムの電気消費機器、つまり、とりわけ車両用の駆動モータは、接続部18を介してバッテリー3に並列にまたは装置1のバッテリー接続部に接続される。LV接続部17は、車両のオンボード・ネットワークの低電圧(LV)をマイクロコントローラ13に供給することを保証する。
【0022】
図2の図示では、本発明による装置1の代替的なおよび拡張された一形態を認識することができる。この形態は、実質的には、これまでに既に説明してきたのと同じ構成要素を含んでいる。これらの構成要素にはそれぞれ同じ符号を付している。それに加えてこの形態は、装置1の絶縁の問題のないおよび確実な機能を検査できる絶縁抵抗監視機構15を含んでいる。このために、プラス極もマイナス極もグラウンドに対して測定される。その間の絶縁抵抗は数メガオームでなければならない。絶縁抵抗が、例えば相応の規準に基づいて予め設定された限界値を下回る場合、アラームを作動させることができ、場合によっては安全を保証するためにシステムをオフにすることができる。
【0023】
装置1のここで図示している実施形態は、これに加え、ガルバニック絶縁された調整可能な変圧器16をさらに含んでおり、変圧器16は、燃料電池インターフェイスの電圧を高電圧バッテリーの電圧レベルに適合させるために、低電圧による高電圧プリチャージを可能にする。このために、低電圧による高電圧プリチャージの電圧調整のための目標値として、バッテリー側の電圧が考慮される。これは、LV端子17の低電圧を高電圧(HV)に変圧するガルバニック絶縁された調整可能な変圧器16によって実現されている。変圧器16もマイクロコントローラ13によって相応に制御または調節される。このような低電圧プリチャージの利点は、燃料電池インターフェイスの接点の、高電圧バッテリー3への接続が、燃料電池スタック2にその媒体を供給する前に既に可能であることである。この場合、本来のコンバータ5は、純粋な昇圧コンバータとして一方向性に実施され得る。コンバータ5はこの場合、電圧の制限も一緒に担うことができる。このために、燃料電池スタック2にコンバータ5によって的確に負荷を掛けることができ、それにより、図3での実施形態で示されているように、電圧制限およびそのために必要な機構7を完全に省略することができる。
【0024】
低電圧による高電圧プリチャージのさらなる利点は、燃料電池スタックの起動時に、燃料電池スタック2に負荷ピークで負荷が掛かることを防止できることにある。そのうえ、燃料電池スタック内の異常を探すためのテストが、それだけより単純に構成され得る。

図1
図2
図3
【国際調査報告】