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  • 特表-導波管フェンス支持体 図1
  • 特表-導波管フェンス支持体 図2
  • 特表-導波管フェンス支持体 図3
  • 特表-導波管フェンス支持体 図4
  • 特表-導波管フェンス支持体 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】導波管フェンス支持体
(51)【国際特許分類】
   H01P 11/00 20060101AFI20240228BHJP
   H01P 3/12 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H01P11/00 101
H01P3/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549115
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022011858
(87)【国際公開番号】W WO2022173541
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】17/176,115
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ドワイエン,ラクエル,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ダフィー,ブライアン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ギル,ジュディス,イー.
(72)【発明者】
【氏名】クレック,エリカ
(72)【発明者】
【氏名】ステインバーグ,ジャコブ
【テーマコード(参考)】
5J014
【Fターム(参考)】
5J014DA02
(57)【要約】
レーダーシステム用の導波管を製造する方法は、初期層を形成し、続いて初期層上に一連の構築層を初期層から最終層に向かう構築方向に形成することによって、導波管の積層造形構築を形成することを含む。一連の構築層を形成することは、一連の構築層内に形成された支持体によって支持される張り出し特徴部を形成することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダーシステム用の導波管を製造する方法であって、
初期層を形成し、続いて前記初期層上に一連の構築層を前記初期層から最終層に向かう構築方向に形成することによって、導波管の積層造形構築を形成することであって、前記一連の構築層を形成することは、前記一連の構築層内に形成された支持体によって支持される張り出し特徴部を形成することを含む、前記形成すること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記支持体を形成することは、初期支持層から、前記張り出し特徴部の最初の層に接触する最終支持層までの連続層で、前記支持体を構築することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最終支持層は前記張り出し特徴部の前記最初の層に、複数の離間して配置された点で接触する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記支持体は、前記最終支持層の下にある複数の上部ノッチ層を含み、前記上部ノッチ層及び最終支持層は、前記支持体と前記張り出し特徴部との間に複数の上部ノッチを形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記上部ノッチのそれぞれは、すべてV字形で、前記張り出し特徴部から離れるにつれて狭くなる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記初期支持層は、前記積層造形構築の下層に、複数の離間して配置された点で接触する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記支持体を形成することは、前記初期支持層の上方に複数の下部ノッチ層を形成することを含み、前記下部ノッチ層及び前記初期支持層は、前記下層と前記支持体との間に複数の下部ノッチを形成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記下部ノッチのそれぞれは、すべてV字形で、前記下層から離れるにつれて狭くなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記支持体を形成することは、前記支持体の破壊を容易にするように構成された、前記支持体を通る複数の貫通孔を有する前記支持体を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記支持体を形成することは、隣接する特徴部から前記支持体をオフセットして形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記積層造形構築はレーダー導波管であり、前記張り出し特徴部は、前記構築方向に延びる電磁(EM)波路を横切るフェンスである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記フェンスは、前記EM波路の側壁及び前記構築方向に対して垂直に90度に向けられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フェンス及びEM波路は、前記積層造形構築内に形成された複数のフェンス及び個々のEM波路のうちの1つであり、前記フェンス及びEM波路は導波管構成内に一緒に配列される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
各EM波路は、前記個々のフェンスを支持する3本の支柱を含み、前記支持体は、前記支柱によって互いに離間して配置された4つの支持体のうちの1つである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記積層造形構築から前記支持体を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記積層造形構築から前記支持体を除去することは、前記支持体と積層造形構築との接触点を破壊することを含み、前記接触点は、前記支持体内に形成されたノッチ間にある、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記積層造形構築から前記支持体を除去することは、手動のバリ取りプロセスを含み、前記手動のバリ取りプロセスは、前記支持体を除去した後に、前記支持体と前記積層造形構築との間の接触点から表面粗さを取り除いて、前記接触点から離れた残りの積層造形構築の平滑度と同等またはそれを超えるようにすることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記積層造形構築を形成することは、粉末床溶融結合を用いてAlSi10Mg材料の前記積層造形構築を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記初期層を構築プレート上に形成し、前記支持体を形成することを、前記張り出し特徴部を前記構築プレートに固定することなく行う、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
レーダーシステム用の導波管を製造する方法であって、
非積層造形導波管を形成することであって、電磁(EM)波路を横切る張り出し特徴部と前記導波管の表面との間に複数の支持体を形成することを含む、前記形成することと、
前記導波管から前記支持体を除去することであって、前記導波管から前記支持体を除去することは、前記支持体と導波管との接触点を破壊することを含み、前記接触点は、前記支持体内に形成されたノッチ間にある、前記除去することと、
前記導波管から手動でバリ取りすることであって、前記手動のバリ取りは、前記支持体を除去した後に、前記支持体と前記導波管との間の前記接触点から表面粗さを取り除いて、前記接触点から離れた残りの導波管の平滑度と同等またはそれを超えるようにすることを含む、前記バリ取りすることと、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許出願第17/176,115号(2021年2月15日出願)の利益を主張する。なおこの文献の開示は、その全体において参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
連邦政府支援の研究に関する声明文
本発明は、米国陸軍契約司令部レッドストーンによって授与された政府契約W31P4Q-15-C-0022に基づく政府の支援により行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本開示は全般的に、積層造形に関し、詳細には、レーダーシステムなどで使用される導波管用の積層造形に関する。
【背景技術】
【0004】
レーダーシステムは導波管を使用して電磁(EM)波エネルギーを誘導する。導波管のホーンがEM波を導入し、または空気との間でEM波を受け取ることがある。典型的な導波管のホーンは、電気特性をより良好にするために導波管またはホーン構造を調整または他の方法で変更するフェンス特徴部を含むことができる。これらのフェンス特徴部作製が非常に難しく、通常、鋳造または極めて複雑なろう付けが必要である。
【0005】
最近、積層造形により、Cバンド以下の周波数での無線周波数(RF)導波管及びホーン構造が作製されることが分かった。多くの導波管形状には、電気応答を調整する特別な特徴部が含まれるが、この形状は機械加工及びろう付けが難しい。たとえば、一部のレーダーシステムは、高次の電気モードを抑制するためのフェンス形状を有する。
【0006】
従来技術は、その使用目的にとって満足のいくものであると考えられてきた。しかし、導波管システムにおけるフェンス形状を作製するためのシステム及び方法の改良に対する必要性が常に存在している。本開示では、この必要性に対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0007】
レーダーシステム用の導波管を製造する方法は、初期層を形成し、続いて初期層上に一連の構築層を初期層から最終層に向かう構築方向に形成することによって、導波管の積層造形構築を形成することを含む。一連の構築層を形成することは、一連の構築層内に形成された支持体によって支持される張り出し特徴部を形成することを含む。積層造形構築を形成することは、粉末床溶融結合を用いて、AlSi10Mg材料の積層造形構築を形成することを含むことができる。初期層を構築プレート上に形成することができ、支持体を形成することを、張り出し特徴部を構築プレートに固定することなく行うことができる。
【0008】
支持体を形成することは、初期支持層から、張り出し特徴部の最初の層に接触する最終支持層までの連続層で、支持体を構築することを含むことができる。最終支持層は、張り出し特徴部の最初の層に、複数の離間して配置された点で接触することができる。初期支持層は、積層造形構築の下層に、複数の離間して配置された点で接触することができる。支持体を形成することは、隣接する特徴部から支持体をオフセットして形成することを含むことができる。
【0009】
支持体は、最終支持層の下にある複数の上部ノッチ層を含むことができる。上部ノッチ層及び最終支持層は、支持体と張り出し特徴部との間に複数の上部ノッチを形成することができる。上部ノッチのそれぞれは、V字形で、張り出し特徴部から離れるにつれて狭くなることができる。また支持体を形成することは、初期支持層の上方に複数の下部ノッチ層を形成することを含むこともできる。下部ノッチ層及び初期支持層は、下層と支持体との間に複数の下部ノッチを形成することができる。下部ノッチのそれぞれは、V字形で、下層から離れるにつれて狭くなることができる。支持体を形成することは、支持体の破壊を容易にするように構成された、支持体を通る複数の貫通孔を有する支持体を形成することを含むことができる。
【0010】
積層造形構築はレーダー導波管とすることができ、張り出し特徴部は、構築方向に延びる電磁(EM)波路を横切るフェンスとすることができる。フェンスは、EM波路の側壁及び構築方向に対して垂直に90度に向けることができる。フェンス及びEM波路は、積層造形構築内に形成された複数のフェンス及び個々のEM波路のうちの1つとすることができ、フェンス及びEM波路は導波管構成内に一緒に配列することができる。各EM波路は、個々のフェンスを支持する3本の支柱を含むことができ、支持体は、支柱によって互いに離間して配置された4つの支持体のうちの1つとすることができる。
【0011】
本方法は、積層造形構築から支持体を除去することを含むことができ、積層造形構築から支持体を除去することは、支持体と積層造形構築との接触点を破壊することを含むことができ、接触点は、支持体内に形成されたノッチ間にある。また積層造形構築から支持体を除去することは、手動のバリ取りプロセスを含むこともできる。手動のバリ取りプロセスは、支持体を除去した後に、支持体と積層造形構築との間の接触点から表面粗さを取り除いて、接触点から離れた残りの積層造形構築の平滑度と同等またはそれを超えるようにすることを含むことができる。
【0012】
レーダーシステム用の導波管を製造する方法は、非積層造形導波管を形成することであって、電磁(EM)波路を横切る張り出し特徴部と導波管の表面との間に支持体を形成することを含む、形成することと、導波管から支持体を除去することと、を含むことができる。
【0013】
主題の開示のシステム及び方法のこれら及び他の特徴部は、以下の詳細な説明と併せて図面から、当業者に容易に明らかになるであろう。
【0014】
主題の開示が属する分野の当業者が、過度な実験をすることなく、主題の開示のデバイス及び方法の製造及び使用方法を容易に理解するように、その実施形態を、特定の図を参照して本明細書において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示により構築された積層造形構築の実施形態の側面斜視図であり、導波管を示す図である。
図2図1の導波管の上面斜視図であり、張り出し特徴部を示す図である。
図3図3の張り出し特徴部の拡大概略斜視図である。
図4図3の張り出し特徴部の概略斜視図であり、構築の積層造形中に張り出し特徴部の下に含まれる支持体を示す図である。
図5図4の支持体の拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照する。図面では、同様の参照数字が、主題の開示の同様の構造的特徴または態様を特定する。説明及び例示の目的上、限定することなく、本開示によるシステムの実施形態の部分図を図1に示し、参照符号100によって全般的に指定する。本開示によるシステムの他の実施形態、またはその態様は、後述するように図2~4に示す。本明細書に記載のシステム及び方法を用いて、導波管システム内にフェンス形状を作製することができる。
【0017】
レーダーシステム用の導波管100を製造する方法が開示される。本明細書に記載する方法は、積層造形導波管100に関して記載されるが、当業者であれば分かるように、以下の方法の少なくとも一部を、非積層造形導波管、または張り出し特徴部を有する任意の積層造形構築を製造するために使用することができる。
【0018】
図1~2に示すように、積層造形構築(たとえば導波管100)を形成することができる。初期層102を(たとえば構築プレート上に)形成し、続いて初期層上に一連の構築層を、初期層102から最終層110に向かう構築方向(たとえば矢印104)に形成することができる。一連の構築層を形成することは、支持体108(図4に示す)によって支持された張り出し特徴部106を形成することを含むことができる。張り出し特徴部106は、電磁(EM)波路130を横切るフェンス(たとえば、導波管100の電気特性を調整または改善するため)とすることができる。波路130は構築方向104に延びる。支持体108を一連の構築層内に形成することができ、張り出し106特徴部を構築プレートに固定することなく行うことができる。導波管100は、レーザ粉末床溶融結合、たとえばAlSi10Mgを含む粉体層を用いて形成することができる。
【0019】
図2~4を参照して、フェンス106は、EM波路130の側壁132及び構築方向104に対して垂直に90度に向けることができる。フェンス106及びEM波路130は、導波管100内に形成された複数のフェンス106及び個々のEM波路130のうちの1つとすることができ、各フェンス106及びEM波路130は互いに同一または類似とすることができる。実施形態では、フェンス106及びEM波路130は、図1~2の完成した導波管100に示すように、導波管構成内に一緒に配列することができる。各EM波路130は、たとえばCバンド導波用に、それぞれの個々のフェンス106を支持する3本の支柱134を含むことができ、支持体108は、支柱134によって互いに離間して配置された任意の数の支持体108のうちの1つとすることができる。4つの支持体108を図4に示しているが、当然のことながら、たとえば、導波管100内で使用される支柱134の総数に応じて、任意の数の支持体108を使用することができる。
【0020】
支持体108は、初期支持層112から、張り出し特徴部106の最初の層116に接触する最終支持層114までの連続層で、構築することができる。初期支持層112及び最終支持層114は、導波管の下層118及びフェンス106の最初の層116に、複数の離間して配置された点(接点136)で、それぞれ接触することができる。支持体108は導波管100に複数の点で接触するため、後述するように、構築後の支持体の除去が容易になり、表面仕上げを改善することができる。同様に、支持体108を、隣接する垂直特徴部(たとえば、側壁132及び/または支柱134)からオフセットして構築して、さらなる接触点が形成されることを避けることができる。支持体108が垂直部分特徴部に直接隣接して構築された場合、垂直部分特徴部が粗さ及びバリを示すことになる。したがって、オフセットによってそのような粗さ及びバリが防止され、構築中の表面品質が向上する。
【0021】
図3~5を参照して、支持体108は、最終支持層114の下にある複数の上部ノッチ層120を含むことができる。上部ノッチ層120及び最終支持層114は、支持体108と張り出し特徴部106との間に複数の上部ノッチ122を形成することができる。上部ノッチ120のそれぞれは、V字形で、張り出し特徴部106から離れるにつれて狭くなることができる。同様に、複数の下部ノッチ層124を初期支持層112の上方に形成することができる。したがって、複数の下部ノッチ126が下層118と支持体108との間に形成される。下部ノッチ126のそれぞれも、V字形で、下層118から離れるにつれて狭くなることができる。さらに、支持体108は、積層造形構築の完了後に支持体108を除去するときに支持体108の破壊を容易にするように構成された、支持体を通って画定された複数の貫通孔128を含む。
【0022】
導波管100の構築が完了した後に、支持体108を導波管100から除去することができる。支持体108を除去することは、支持体108と導波管100との間の接触点136(たとえば、支持体108と下層118及び張り出し特徴部106との間の界面における)を破壊することを含むことができる。接触点136は、ノッチ122、126の間にある。また支持体108を除去することは、手動のバリ取りプロセスなどのさらなる表面処理を含むことができる。手動のバリ取りプロセスは、支持体108の除去後に、支持体108と導波管100との間の接触点(たとえば、接点136)から表面粗さを取り除くことを含むことができる。支持体108の形状は、バリ取りのために除去されたときに、接触点136の表面が、接触点から離れた残りの導波管100の平滑度と同等またはそれを超えるようなものにすることができる。
【0023】
従来の導波管は通常、難しい高温製造特性を必要とする鋳造設計またはろう付けであり、リードタイム及びコストが増加し、プログラムのリスクが生じる可能性がある。さらに、鋳造またはろう付け導波管内にフェンス特徴部を作製することは、構築及び表面仕上げが極めて複雑になる可能性があるため、フェンス構造の表面品質が損なわれる可能性がある。前述し図面に示したように、本開示の方法及びシステムによって、表面粗さが300マイクロインチRa未満の改善されたフェンス形状が提供される。主題の開示の装置及び方法に図示し説明してきたが、当業者であれば容易に分かるように、主題の開示の範囲から逸脱することなく、変形及び/または変更を施してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】