(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】チルゼパチド治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/26 20060101AFI20240228BHJP
C07K 14/605 20060101ALI20240228BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240228BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240228BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A61K38/26
C07K14/605 ZNA
A61P3/10
A61P9/12
A61P9/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549547
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 US2022014957
(87)【国際公開番号】W WO2022177742
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100227008
【氏名又は名称】大賀 沙央里
(72)【発明者】
【氏名】バンク,マティス クリスティアーン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス ランド,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】リーズメイヤー,ジェフリー スコット
(72)【発明者】
【氏名】ロドリグエス ベルナルディノ,エンジェル
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084DB35
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZA42
4C084ZC35
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA19
4H045CA40
4H045DA30
4H045EA20
(57)【要約】
本発明の実施形態は、必要とする患者においてHDL-Cを増加させるための方法に関する。本発明の一実施形態は、高血圧を低下させる方法に関する。一実施形態は、難治性2型糖尿病に罹患している患者について、正常なHbA1C血糖を提供するための治療方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする患者において難治性2型糖尿病を治療する方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記患者は、2型糖尿病に少なくとも8年間罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者のHbA
1c目標は、7%未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者のHbA
1c目標は、5.7%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記患者のHbA
1cは、10%超である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記患者のHbA
1cは、11%超である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記患者の年齢は、少なくとも46歳である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記患者の年齢は、少なくとも60歳である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記患者は、SGLT2阻害薬を摂取している、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者は、メトホルミンを摂取している、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記患者は、基礎インスリンを投与されていない、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記患者は、メトホルミン及びSGLT2阻害薬を摂取しているが、HbA
1c目標を達成していない、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩での治療は、少なくとも40週間継続する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者は、チルゼパチドを少なくとも50週間投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記患者は、チルゼパチドを少なくとも2年間投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記患者は、非肥満である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記有効量は、5mgである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記有効量は、10mgである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記有効量は、15mgである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記患者は、高血圧症を併発している、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記患者は、低HDL-Cを併発している、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記患者は、肥満を併発している、請求項1~15又は17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記患者は、少なくとも2つの心血管危険因子を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記患者は、心血管危険因子を有さない、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記患者は、少なくとも10年間、2型糖尿病に罹患している、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
必要とする患者において高血圧症を治療する方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項27】
前記患者は、少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記患者は、難治性2型糖尿病に罹患している、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記患者のHbA
1c目標は、7%未満である、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記患者のHbA
1c目標は、5.7%以下である、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記患者のHbA
1cは、10%超である、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記患者のHbA
1cは、11%超である、請求項26~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記患者の年齢は、少なくとも46歳である、請求項26~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者の年齢は、少なくとも60歳である、請求項26~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記患者は、SGLT2阻害薬を摂取している、請求項26~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記患者は、メトホルミンを摂取している、請求項26~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記患者は、基礎インスリンを投与されていない、請求項26~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記患者は、メトホルミン及びSGLT2阻害薬を摂取しているが、HbA
1c目標を達成していない、請求項26~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記チルゼパチドでの治療は、少なくとも40週間継続される、請求項26~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記患者は、肥満を併発している、請求項26~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記患者は、非肥満である、請求項26~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記有効量は、5mgである、請求項26~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記有効量は、10mgである、請求項26~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記有効量は、15mgである、請求項26~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記患者は、低HDL-Cを併発している、請求項26~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記患者は、少なくとも2つの心血管危険因子を有する、請求項26~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記高血圧症は、高血圧クリーゼである、請求項26~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記方法は、高血圧クリーゼを予防する、請求項26~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記方法は、脳卒中を予防する、請求項26~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
必要とする患者においてHDL-Cを上昇させる方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項51】
前記患者は、少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記患者は、難治性2型糖尿病に罹患している、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
前記患者の年齢は、少なくとも46歳である、請求項50~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記患者の年齢は、少なくとも60歳である、請求項50~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記患者は、SGLT2阻害薬を摂取している、請求項50~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記患者は、メトホルミンを摂取している、請求項50~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記患者は、基礎インスリンを投与されていない、請求項50~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記チルゼパチドでの治療は、少なくとも40週間継続される、請求項50~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記患者は、非肥満である、請求項50~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記有効量は、5mgである、請求項50~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記有効量は、10mgである、請求項50~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記有効量は、15mgである、請求項50~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記患者は、少なくとも2つの心血管危険因子を有する、請求項50~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記患者は、高血圧症を併発している、請求項50~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記チルゼパチドの投与は、少なくとも50週間継続される、請求項50~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
チルゼパチドの週1回の投与は、少なくとも2年間継続される、請求項50~65のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の分野に関する。メトホルミン及びSGLT-2治療で推奨される血糖目標値に達しない患者における難治性(refractory)2型糖尿病(type 2 diabetes、T2D)の治療方法が、提供される。HDL-Cレベルを増加させることを必要とする患者においてHDL-Cレベルを増加させることに関する方法が、提供される。血圧の低下を必要とする患者において血圧を低下させる方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】実質的に実施例1に記載されるように行われた臨床試験において、52週目に観察された有効性エスティマンド(estimand)を用いたHDL-C増加をグラフで示す。
【
図2】実質的に実施例2に記載されるように行われた臨床試験において、40週目に観察された有効性エスティマンドを用いたHDL-C増加をグラフで示す。
【
図3】実質的に実施例1に記載される臨床試験における収縮期血圧の低下をグラフで示す。
【
図4】実質的に実施例1に記載される臨床試験における拡張期血圧の低下をグラフで示す。
【発明の詳細な説明】
【0003】
糖化ヘモグロビン(HbA1c)は、糖尿病における血糖制御の重要なマーカーであると考えられている。米国糖尿病協会(American Diabetes Association、ADA)ガイドラインは、5.7%以下のHbA1cを有する患者が正常血糖とみなされることを示している。HbA1cについて患者の治療目標は、患者によって異なり得る。しかしながら、HbA1cの不十分な制御が続くことは、糖尿病に関連する合併症の発症に過度に寄与する。2型糖尿病に罹患している患者は、多くの場合、ADA治療パラダイムを用いた治療にもかかわらず、正常な血糖を達成することができない。正常範囲内ではないにもかかわらず、ADAガイドラインは、食事、運動、メトホルミン、経口糖尿病治療、それに続く基礎インスリンの現在の治療の選択肢の後に、7%以下の合理的なHbA1c治療目標を示唆している。しかしながら、多くの患者は、臨床治療にもかかわらずHbA1c目標に達することができず、難治性2型糖尿病に罹患していると考えられる。
【0004】
難治性2型糖尿病は、一般に、(比較的安定な)インスリン抵抗性のバックグラウンドに対して、時間とともにますます深刻になるインスリン分泌障害、又はβ細胞障害によって説明される。少なくとも8年間2型糖尿病を患って生活している患者は、難治性2型糖尿病に罹患している可能性がより高い。したがって、難治性2型糖尿病に罹患している患者において、正常又は正常に近い血糖を提供する治療方法が望まれている。難治性2型糖尿病に罹患している患者において、正常又は正常に近い血糖を提供する治療方法であって、患者が2型糖尿病を少なくとも8年間治療している、治療方法が望まれている。
【0005】
米国人成人のほぼ半数が高血圧である。高血圧は、脳卒中、冠動脈性心疾患(coronary heart disease、CHD)、及び他の重大な健康上の脅威の危険因子である。2型糖尿病かつ肥満である多くの患者は、高血圧を経験する。しかしながら、糖尿病のための承認された治療は、典型的には、高血圧の制御にほとんど又は全く効果を有さない。高血圧を管理するための治療選択肢が望まれている。糖尿病患者の高血圧を治療する方法が望まれている。
【0006】
高密度リポタンパク質コレステロール(high-density lipoprotein cholesterol、HDL-C)の低い血清レベルは、冠動脈性心疾患(CHD)の別の既知の危険因子である。2型糖尿病患者は、HDL-Cの低い血清レベルを経験することが多い。しかしながら、承認された糖尿病治療は一般に、HDL-Cを上昇させることができない。長期縦断集団研究により、HDL-CがCHDを発症するリスクと逆にかつ独立して関連することが確認されている。HDL-Cレベルを増加させる薬物療法が望まれている。2型糖尿病に罹患している患者においてHDL-Cを上昇させる治療方法が望まれている。
【0007】
本発明は、高血圧を治療、予防又は遅延させる方法であって、チルゼパチド若しくはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。本発明は更に、2型糖尿病と診断された患者における高血圧を治療、予防又は遅延させる方法であって、チルゼパチド若しくはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0008】
本発明は、低HDL-Cを治療、予防又は遅延させる方法であって、チルゼパチド若しくはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。本発明は更に、2型糖尿病と診断された患者におけるHDL-Cを治療、予防又は遅延させる方法であって、チルゼパチド若しくはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0009】
本発明は、2型糖尿病に少なくとも8年間罹患している患者の難治性2型糖尿病を治療、予防又は遅延させる方法であって、チルゼパチド若しくはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0010】
本発明は、2型糖尿病に少なくとも8年間罹患している患者の難治性2型糖尿病を治療する方法であって、チルゼパチド若しくはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0011】
一実施形態では、難治性2型糖尿病の治療を必要とする患者は、10%を超えるHbA1cを有する。
【0012】
一実施形態では、難治性2型糖尿病の治療を必要とする患者は、11%を超えるHbA1cを有する。
【0013】
一実施形態では、難治性2型糖尿病の治療を必要とする患者は、5.7%のHbA1c治療目標を有する。一実施形態では、難治性2型糖尿病の治療を必要とする患者は、5.7%以下のHbA1c治療目標を有する。
【0014】
一実施形態では、難治性2型糖尿病の治療を必要とする患者は、6%のHbA1c治療目標を有する。
【0015】
一実施形態では、難治性2型糖尿病の治療を必要とする患者は、7%のHbA1c治療目標を有する。
【0016】
本発明は、メトホルミン、SGLT-2又はメトホルミン+SGLT-2阻害薬に対して非応答性である患者の難治性2型糖尿病を治療する方法であって、チルゼパチド若しくはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0017】
したがって、一実施形態は、高血圧を治療、予防又は遅延させることを必要とする患者の、高血圧を治療、予防又は遅延する方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を患者に週1回投与することを含む、方法を提供する。更なる実施形態は、2型糖尿病と診断された患者の高血圧を治療する方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を患者に週1回投与することを含む、方法を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、患者の高血圧を予防又は遅延させる方法であって、治療有効量のチルゼパチドを週1回患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0019】
別の態様では、本発明は、2型糖尿病と診断された患者の高血圧を予防又は遅延させる方法であって、治療有効量のチルゼパチドを週1回患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、患者の高血圧を治療、予防又はその発症を遅延させるための医薬品を調製するためのチルゼパチドの使用であって、医薬品は週1回投与される、使用を提供する。
【0021】
本発明は、高血圧を治療、予防又は遅延させるための方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0022】
一実施形態では、高血圧の治療を必要とする患者は、2型糖尿病に罹患しており、かつ非肥満である。
【0023】
一実施形態では、高血圧の治療を必要とする患者は、2型糖尿病に罹患しており、かつ肥満である。
【0024】
一実施形態では、高血圧の治療を必要とする患者は、難治性2型糖尿病に罹患している。
【0025】
一実施形態では、高血圧の治療を必要とする患者は、少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している。
【0026】
したがって、一実施形態は、難治性2型糖尿病の患者における高血圧クリーゼを治療、予防又はその発症を遅延させる方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0027】
一実施形態では、高血圧クリーゼの治療を必要とする患者は、2型糖尿病に罹患しており、かつ非肥満である。
【0028】
一実施形態では、高血圧クリーゼの治療を必要とする患者は、2型糖尿病に罹患している、かつ肥満である。
【0029】
一実施形態では、高血圧クリーゼの治療を必要とする患者は、難治性2型糖尿病に罹患している。
【0030】
一実施形態では、高血圧クリーゼの治療を必要とする患者は、少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している。
【0031】
したがって、一実施形態は、患者における低HDL-Cを治療、予防又はその発症を遅延させる方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0032】
別の態様では、本発明は、患者における高血圧クリーゼを予防又は遅延させる方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0033】
別の態様では、本発明は、患者における低HDL-Cを予防又は遅延させる方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0034】
別の態様では、本発明は、少なくとも1年、2年、3年、4年又は5年にわたって経口抗糖尿病薬を用いた2型糖尿病の臨床治療を受けている患者における高血圧を治療する方法であって、患者のHbA1cは7%を超え、有効量のチルゼパチド又は薬学的に許容されるその塩を週1回患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0035】
別の態様では、本発明は、2型真性糖尿病(type 2 diabetes mellitus)に罹患しており、かつ高血圧のリスクがある患者における血糖制御を改善する方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回患者に投与することを含み、患者が高血圧クリーゼを経験するリスクの低減を提供する、方法を提供する。
【0036】
別の態様では、本発明は、2型真性糖尿病に罹患しており、かつ高血圧のリスクがある患者における血糖制御を改善する方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、少なくとも30週間患者に投与することを含み、患者が高血圧クリーゼを経験するリスクの低減を提供する、方法を提供する。
【0037】
別の態様では、本発明は、肥満であり、かつ高血圧のリスクがある患者における体重管理を改善する方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回患者に投与することを含み、患者が高血圧クリーゼを経験するリスクの低減を提供する、方法を提供する。
【0038】
別の態様では、本発明は、患者における高血圧を治療するための方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回患者に投与することを含み、患者の体重は患者の正常体重範囲内である、方法を提供する。
【0039】
別の態様では、本発明は、肥満であり、かつ高血圧のリスクがある患者における体重管理を改善する方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回患者に投与することを含み、方法は、患者が高血圧を経験するリスクの低減を提供する、方法を提供する。
【0040】
別の態様では、本発明は、高血圧クリーゼを治療、予防又はその発症を遅延させるのに使用するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、そのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0041】
別の態様では、高血圧の治療、予防又はその発症の遅延における使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0042】
別の態様では、一実施形態は、高血圧を治療、予防又はその発症を遅延させるための医薬品を調製するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の使用であって、医薬品は週1回投与される、使用である。
【0043】
別の態様では、高血圧を治療、予防又はその発症を遅延させるための医薬品を調製するためのチルゼパチドの使用であって、医薬品は週1回投与される、使用が提供される。
【0044】
別の態様では、一実施形態は、高血圧クリーゼを治療、予防又はその発症を遅延させるための医薬品の調製のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容可能な塩の使用であって、医薬品は週1回投与される、使用である。
【0045】
別の態様では、高血圧クリーゼを治療、予防又はその発症を遅延させるための医薬品の調製のためのチルゼパチドの使用であって、医薬品は週1回投与される、使用が提供される。
【0046】
米国特許第9474780号は、チルゼパチドについて記載及び特許請求する。本明細書で使用する場合、「チルゼパチド」という用語は、配列番号1のアミノ酸配列を有する任意のGIP/GLP-1受容体アゴニストを指し、当該タンパク質の承認を求める当事者が、実際にそのタンパク質をチルゼパチドとして同定しているか、又はいくつかの他の用語を使用しているかにかかわらず、Eli Lilly and Companyによって規制当局に提出されたチルゼパチドに関する全体的又は部分的なデータに依存する、GIP/GLP-1受容体アゴニスト生成物の承認を求める規制提出書類の対象である任意のタンパク質を含む。チルゼパチドは、GIP/GLP-1受容体に作用し、インスリンの合成及び分泌の刺激を生じさせ、T2DM患者における血糖制御の改善を提供することが示されている。
【0047】
本明細書で使用する場合、「高血圧クリーゼ」とは、血圧が危険なほど高く、患者の器官又は生命を脅かし得ることを意味する。高血圧クリーゼは、典型的には、少なくとも180/120である血圧である。高血圧は、一般に130/80の収縮期/拡張期血圧である。
【0048】
本明細書で使用する場合、「難治性2型糖尿病」は、メトホルミンなどの経口標準治療薬を使用してHbA1c目標を達成することができない患者を指す。
【0049】
本明細書で使用する場合、「HbA1c目標」は、患者の臨床治療計画によって決定され、臨床的に許容される方法を使用して測定される、患者によって達成される所望の平均HbA1cレベルを意味する。現在のADAガイドラインは、食事、運動、メトホルミン、経口糖尿病治療、それに続く基礎インスリンの現在の治療選択肢の後に、7%以下の合理的なHbA1c治療目標を示唆している。しかしながら、多くの患者は、臨床治療にもかかわらずHbA1c目標に達することができず、難治性2型糖尿病に罹患していると考えられる。一実施形態では、HbA1c目標は7%以下である。一実施形態では、HbA1c目標は5.7%以下である。
【0050】
Framingham研究(12年の追跡期間中)のベースラインでCHDがなかった49~82歳の男女のうち、高いHDL-Cレベルを有する参加者(80パーセンタイル)は、低いHDL-Cレベルを有する参加者(20パーセンタイル)と比較して、心血管事象のリスクが50パーセント低かった2。Prospective Cardiovascular Munster(PROCAM)研究(約4,500人のボランティア、年齢16~65歳、6年間追跡)において、HDL-C<35mg/dlを有する個体は、HDL-C≧35mg/dlを有する個体よりも4倍高い冠状動脈のリスクを有することが見出された。Assmann G et al.,High-density lipoprotein cholesterol as a predictor of coronary heart disease risk.The PROCAM experience and pathophysiological implications for reverse cholesterol transport.Atherosclerosis.1996;124(Suppl):S11-S20を参照。Gordonらは、HDL-Cが1mg/dl増加するごとに、個体に対する複合心血管のリスクが2~3パーセント減少することを示唆した。Gordon DJ et al.High-density lipoprotein cholesterol and cardiovascular disease:four prospective American studies.Circulation.1989;79:8-15。Veterans Administration HDL Intervention Trial(VA-HIT)からの結果は、初期に低HDL-Cを有する患者において、わずか6パーセントのHDL-Cの中程度の増加が、冠動脈の罹患率及び死亡率の両方を24パーセントまで有意に減少させたことを示した。Rubins HB,et al.,Gemfibrozil for the secondary prevention of coronary heart disease in men with low levels of high-density lipoprotein cholesterol.Veterans Affairs High-Density Lipoprotein Cholesterol Intervention Trial Study Group.N Engl J Med.1999;341:410-8。
【0051】
HDL-Cを増加させるための現在の治療は、運動の増加及び食事性脂肪の減少などの生活習慣の改善を含み得る。多くの場合、生活習慣の改善は、所望のHDL-Cの増加を達成するのに不十分である。HDL-Cの上昇を必要とする患者のための治療の選択肢が必要である。低HDL-Cを治療、予防又は遅延させる療法に対する必要性が存在する。
【0052】
本明細書で使用する場合、「治療」、「治療する」、「治療すること」などの用語は、疾患、状態若しくは障害の進行を遅延又は減弱させることを含むことを意味する。また、これらの用語は、障害又は状態が実際に排除されていない場合でも、かつ障害又は状態の進行自体が遅延又は反転されない場合でも、障害若しくは状態の1つ以上の症状を緩和、寛解、減衰、排除又は軽減することも含む。
【0053】
本明細書で使用する場合、「予防する」、「予防すること」、「予防」などの用語は、疾患、状態、障害又は症状の発症の回避を含むことを意味する。
【0054】
本明細書で使用する場合、「遅延させる」、「遅延させること」などの用語は、疾患、状態、障害又は症状の発症までの発生する期間を増加させることを含むことを意味する。
【0055】
複数の転帰に関連して本明細書で使用される場合、「複合」という用語は、転帰のうちのいずれかのうちの最初のものが発生することを指す。
【0056】
「HDL-Cの増加」という用語は、測定されたHDL-Cレベルがベースラインから増加することを意味する。一実施形態では、HDL-Cの増加の変化は、統計的に有意な増加である。一実施形態では、HDL-Cの増加は、ベースラインからの2%超の増加である。一実施形態では、HDL-Cの増加は、ベースラインからの5%超の増加である。一実施形態では、HDL-Cの増加は、ベースラインからの7%超の増加である。一実施形態では、HDL-Cの増加は、ベースラインからの10%超の増加である。
【0057】
「治療有効量」は、本発明の方法若しくは使用についてのチルゼパチド若しくはその薬学的に許容される塩、又は本発明の方法若しくは使用についてのチルゼパチド若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の量であって、研究者、医師又は他の臨床医によって求められている患者の生物学的若しくは医学的応答又は患者における所望の治療効果を誘発するであろう量を意味する。チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別及び体重、並びに個体における所望の応答を誘発するチルゼパチドの能力などの要因に応じて変動し得る。有効量はまた、治療的に有益な影響が、毒性又は有害な影響を上回る量である。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法で使用するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、5、10及び15mgからなる群から選択される。特定の実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、5.0mgである。特定の実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、10.0mgである。特定の実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、15.0mgである。
【0058】
追加の実施形態を以下に説明する。
【0059】
一実施形態では、2型真性糖尿病に罹患している患者の血糖制御を改善し、HDL-Cを増加させる方法であって、チルゼパチド又は薬学的に許容されるその塩を治療有効量で患者に週1回、少なくとも30週間投与することを含む、方法。
【0060】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも40週間投与される。一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも52週間投与される。
【0061】
高血圧及び正常なHbA1c血糖
患者における高血圧を治療、予防又はその発症を遅延させる方法であって、治療有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、患者に投与することを含む、方法。一実施形態では、高血圧は、高血圧及び高血圧クリーゼからなる群から選択される。
【0062】
患者における高血圧を予防又は遅延させる方法であって、治療有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、患者に投与することを含む、方法。
【0063】
2型真性糖尿病と診断された患者における血糖制御を改善し、患者の高血圧を治療、予防又は遅延させる方法であって、治療有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回患者に投与することを含む、方法。
【0064】
一実施形態では、方法により、患者が高血圧を経験するリスクが低減される。一実施形態では、方法により、患者が高血圧クリーゼを経験するリスクが低減される。一実施形態では、方法により、患者が臨床的に低いHDL-Cを経験するリスクが低減される。
【0065】
2型真性糖尿病に罹患している患者における血糖制御を改善する方法であって、治療有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、患者に投与することを含み、方法により、患者が高血圧を経験するリスクが低減される、方法。
【0066】
患者は2型真性糖尿病に罹患している、上の実施形態のいずれかに記載の方法。患者は難治性2型糖尿病に罹患している、上の実施形態のいずれかに記載の方法。患者は2型糖尿病に少なくとも8年間罹患している、上の実施形態のいずれかに記載の方法。患者は2型糖尿病に少なくとも10年間罹患している、上の実施形態のいずれかに記載の方法。週1回のチルゼパチドの投与は少なくとも40週間継続する、上の実施形態のいずれかに記載の方法。患者は非肥満である、上の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0067】
患者は、T2DM、高血圧、減少したHDL-C及び肥満のうちの1つ以上を有する、上の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0068】
一実施形態では、患者は、高血圧を伴わない複数の心血管危険因子、又は臨床的に有意な高血圧のいずれかを有する。
【0069】
一実施形態では、患者は、複数の心血管危険因子、又は11%を超えるHbA1cレベルのいずれかを有する。
【0070】
本明細書で使用する場合、「心血管危険因子」は、現在のタバコの使用(任意の形態のタバコ);過去6か月以内に、高コレステロール血症を治療するための少なくとも1つの承認された脂質改善療法(lipid modifying therapy)の使用、又は報告された未治療の低密度リポタンパク質コレステロール(low-density lipoprotein cholesterol、LDL-C)≧3.4mmol/L(100mg/dL); 過去6か月以内に、報告された治療済み若しくは未治療の男性については1.0mmol/L(40mg/dL)未満、及び女性については1.3mmol/L(50mg/dL)未満の高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、又はトリグリセリド≧2.3mmol/L(150mg/dL);高血圧を治療するための少なくとも1つの血圧治療薬の使用、又は未治療の収縮期血圧(systolic blood pressure、SBP)≧130mmHg若しくは拡張期血圧(diastolic blood pressure、DBP)≧80mmHg;男性については102cm;女性については88cmの測定された腰部周囲;からなる群から選択される心血管疾患のリスクを意味する。
【0071】
本明細書で使用する場合、「非肥満」は、適用可能な基準によって肥満ではない患者を意味する。一実施形態では、非肥満患者は、30BMI未満の肥満度指数を有する。
【0072】
本明細書で使用する場合、「併発している」は、患者が2つ以上の医学的状態を有すると診断されることを意味する。
【0073】
一実施形態では、患者の高血圧クリーゼのリスクは、少なくとも約14%低減される。
【0074】
一実施形態では、患者の高血圧クリーゼのリスクは、少なくとも約10%低減される。
【0075】
一実施形態では、HDL-Cレベルは増加される。一実施形態では、HDL-Cレベルは、臨床的に望ましいレベルまで増加される。一実施形態では、2型真性糖尿病に罹患している患者の血糖制御を改善し、HDL-Cを増加させる方法であって、チルゼパチド又は薬学的に許容されるその塩を治療有効量で患者に週1回、少なくとも30週間投与することを含む、方法である。
【0076】
一実施形態では、高血圧による入院又は死亡の併発リスクは、低減される。
【0077】
一実施形態では、高血圧による死亡又は入院のリスクは、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩で治療された患者において低減される。
【0078】
一実施形態では、高血圧及び5.7%超のHbA1cの併発リスクは、低減される。一実施形態では、低HDL-C、高血圧及び7%超のHbA1cの併発リスクは、低減される。
【0079】
一実施形態では、低HDL-C、高血圧及び5.7%超のHbA1cの併発リスクは、低減される。
【0080】
一実施形態では、低HDL-C、高血圧及び6%超のHbA1cの併発リスクは、低減される。
【0081】
難治性2型糖尿病に罹患している患者におけるHbA1c血糖値を正常にする方法であって、治療有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、患者に投与することを含む、方法。
【0082】
一実施形態では、チルゼパチドの量は、約5.0mg、約10.0mg及び約15.0mgからなる群から選択される。一実施形態では、チルゼパチドの量は、約7.5mg及び約12.5mgからなる群から選択される。
【0083】
一実施形態では、チルゼパチドの量は、約5.0mgである。
【0084】
一実施形態では、チルゼパチドの量は、約10.0mgである。
【0085】
一実施形態では、チルゼパチドの量は、約15.0mgである。
【0086】
一実施形態では、チルゼパチドの用量は、約5.0mgである。
【0087】
一実施形態では、チルゼパチドの用量は、約10.0mgである。
【0088】
一実施形態では、チルゼパチドの用量は、約15.0mgである。
【0089】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は、用量漸増プロトコルを使用して投与される。
【0090】
一実施形態では、患者は、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を使用する治療の前に、少なくとも1年間、1つ又は2つの経口糖尿病薬を使用しても、HbA1C<7%を達成できない。
【0091】
一実施形態では、患者は、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を使用する治療の前に、少なくとも1年間、1つ又は2つの経口薬を使用しても、HbA1C<8%を達成できない。
【0092】
一実施形態では、患者は、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を使用する治療の前に、少なくとも1年間、1つ又は2つの経口薬を使用しても、HbA1C<10%を達成できない。
【0093】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の週1回の投与は、少なくとも30週間継続される。一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の週1回の投与は、少なくとも40週間継続される。一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の週1回の投与は、少なくとも50週間継続される。一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の週1回の投与は、少なくとも2年間継続される。一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の週1回の投与は、少なくとも3年間継続される。一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の週1回の投与は、少なくとも5年間継続される。
【0094】
一実施形態では、チルゼパチドの用量は、15mg/週である。一実施形態では、チルゼパチドの用量は、10mg/週である。一実施形態では、チルゼパチドの用量は、5mg/週である。
【0095】
一実施形態では、患者が2型糖尿病と診断されたのは、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与する、少なくとも8年前である。
【0096】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者が2型糖尿病と診断されたのは、チルゼパチドを投与する、少なくとも10年前である。
【0097】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者が2型糖尿病と診断されたのは、チルゼパチドを投与する、少なくとも13年前である。
【0098】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、少なくとも46歳である。
【0099】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、少なくとも55歳である。
【0100】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、少なくとも60歳である。
【0101】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、メトホルミン及びSGLT2経口薬も投与される。
【0102】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、SGLT2経口薬も投与される。
【0103】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、メトホルミンも投与される。
【0104】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、基礎インスリンも投与される。
【0105】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、メトホルミン及び基礎インスリンも投与される。
【0106】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、SGLT2及び基礎インスリンも投与される。
【0107】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、メトホルミン、SGLT2及び基礎インスリンも投与される。
【0108】
一実施形態では、基礎インスリンは、インスリングラルギンである。
【0109】
一実施形態では、基礎インスリンは、インスリンデグルデクである。
【0110】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、SGLT2経口医薬品も投与される。
【0111】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、メトホルミン、SGLT2経口、及びインスリンデグルデクも投与される。
【0112】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、メトホルミン、SGLT2経口、及びインスリンデグルデクも投与される。
【0113】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、メトホルミン、SGLT2経口、及びインスリングラルギンも投与される。
【0114】
一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、メトホルミン及びインスリングラルギンも投与される。
【0115】
上の実施形態のいずれかで使用するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0116】
上の実施形態のうちのいずれかのための医薬品の調製におけるチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の使用。
【0117】
更なる実施形態が以下の実施例に記載されており、これらは限定的であると解釈されるものではない。
【0118】
一実施形態は、患者における高血圧を治療、予防又は遅延させるのに使用するための、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。更なる実施形態は、2型糖尿病と診断された患者における高血圧を治療するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0119】
別の実施形態では、本発明は、患者における高血圧を予防又は遅延させるのに使用するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、患者は、2型糖尿病と診断されている。更なる実施形態では、患者は、2型糖尿病に罹患しており、かつ非肥満である。別の実施形態では、患者は、2型糖尿病に罹患しており、かつ肥満である。更なる実施形態では、患者は、難治性2型糖尿病に罹患している。別の更なる実施形態では、患者は、少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している。
【0120】
別の実施形態では、本発明は、患者の高血圧クリーゼを治療、予防又はその発症を遅延させるのに使用するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、患者は、2型糖尿病と診断されている。更なる実施形態では、患者は、2型糖尿病に罹患しており、かつ非肥満である。別の実施形態では、患者は、2型糖尿病に罹患しており、かつ肥満である。更なる実施形態では、患者は、難治性2型糖尿病に罹患している。別の更なる実施形態では、患者は、少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している。
【0121】
別の実施形態では、本発明は、患者の低HDL-Cを治療、予防又はその発症を遅延させるのに使用するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0122】
別の実施形態では、本発明は、患者の低HDL-Cを予防又はその発症を遅延させるのに使用するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0123】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1年、2年、3年、4年又は5年間、経口抗糖尿病薬を用いて2型糖尿病の臨床治療を受けている患者の高血圧の治療に使用するための、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、患者のHbA1cは7%超であり、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0124】
別の実施形態では、本発明は、2型真性糖尿病に罹患しており、かつ高血圧のリスクがある患者における血糖制御を改善するのに使用するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも30週間、週1回投与される。
【0125】
別の実施形態では、本発明は、肥満であり、かつ高血圧のリスクがある患者における体重管理を改善するのに使用するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0126】
別の実施形態では、本発明は、患者の高血圧を治療するのに使用するためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与され、患者の体重は患者にとって正常な体重の範囲内である、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、以下を提供する。
【0127】
実施形態1.患者における難治性2型糖尿病の治療に使用するための、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、当該チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0128】
実施形態2.患者における高血圧の治療に使用するための、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、当該チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0129】
実施形態3.患者におけるHDL-Cを上昇させるのに使用するための、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩であって、当該チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は週1回投与される、チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0130】
実施形態4.当該患者は少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している、実施形態1~3のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0131】
実施形態5.当該患者のHbA1c目標は7%未満である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0132】
実施形態6.当該患者のHbA1c目標は5.7%以下である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0133】
実施形態7.当該患者のHbA1cは10%超である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0134】
実施形態8.当該患者のHbA1cは11%超である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0135】
実施形態9.当該患者の年齢は少なくとも46歳である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0136】
実施形態10.当該患者の年齢は少なくとも60歳である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0137】
実施形態11.当該患者はSGLT2阻害薬を摂取している、実施形態1~10のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0138】
実施形態12.当該患者はメトホルミンを摂取している、実施形態1~11のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0139】
実施形態13.当該患者は基礎インスリンを投与されていない、実施形態1~12のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0140】
実施形態14.当該患者は、メトホルミン及びSGLT2阻害薬を摂取しているが、HbA1c目標を達成していない、実施形態1~13のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0141】
実施形態15.当該チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも40週間投与される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0142】
実施形態16.当該チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも50週間投与される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0143】
実施形態17.当該チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも2年間投与される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0144】
実施形態18.当該患者は非肥満である、実施形態1~17のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0145】
実施形態19.当該チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の週1回の用量は5mgである、実施形態1~18のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0146】
実施形態20.当該チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の週1回の用量は10mgである、実施形態1~18のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0147】
実施形態21.当該チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩の週1回の用量は15mgである、実施形態1~18のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0148】
実施形態22.当該患者は、高血圧症を併発している、実施形態1~21のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0149】
実施形態23.当該患者は、低HDL-Cを併発している、実施形態1~22のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0150】
実施形態24.当該患者は、肥満を併発している、実施形態1~17又は19~22のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0151】
実施形態25.当該患者は、少なくとも2つの心血管危険因子を有する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0152】
実施形態26.当該患者は、心血管危険因子を有さない、実施形態1~21のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0153】
実施形態27.当該患者は、少なくとも10年間、2型糖尿病に罹患している、実施形態1~26のいずれか1つに記載の使用のためのチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩。
【0154】
本明細書で使用する場合、「エスティマンド」とは、特定の規制機関による要件に起因するチルゼパチドの効力を決定するために評価される-効力及び治療レジメン-を指す。有効性エスティマンドを使用し、試験薬を中止する前、又は持続する重篤な高血糖のための救援療法を開始する前のヒトにおける結果を評価する。治療レジメンエスティマンド-米国食品医薬品局を含む特定の規制当局によって必要とされる-は、チルゼパチドへのアドヒアランス又は持続する重篤な高血糖のための救援療法の導入にかかわらず、試験におけるヒトの治療効果を評価する。
【実施例】
【0155】
実施例1.チルゼパチドを用いた臨床試験
以下の表1に記載される登録基準は、典型的な糖尿病診療において見られる患者に類似する参加者を含み、経口治療に不応性である2型糖尿病に罹患しているいくらかの患者を含むように設計される。老人患者が含まれる。2型糖尿病の平均持続期間は約8年である。試験は52週間継続する。
【0156】
【0157】
試験は、スクリーニング来診に続いて、一重盲検の3週間のプラセボ導入期間からなるように設計されている。その後、患者は、チルゼパチド5、10若しくは15mg(漸増用量プロトコルを使用して投与)又はインスリンデグルデク(標準滴定プロトコル)にランダム化され、およそ1か月間隔で追跡される。インスリンデグルデクを受ける患者は、試験の間、標準的なインスリンデグルデク滴定プロトコルに従う。試験プロトコルは、標準的な臨床方法を使用した、各来診時の血圧測定、並びに試験開始時及び52週目の血清脂質プロファイルを含む。実施例1の方法を用いた血圧測定を、
図3及び
図4に示す。実施例1の方法を用いたHDL-Cレベルを、
図1に示す。
【0158】
チルゼパチド治療を受けた参加者の92.6パーセントまでが、米国糖尿病協会が糖尿病患者に推奨する目標値である、7パーセント未満のHbA1cを達成した。試験においてチルゼパチドを受けた参加者の48.5パーセントまでが、5.7パーセント未満のHbA1c-糖尿病でないヒトにおいて見られるレベル-を達成した。
【0159】
【0160】
52週目でのインスリンデグルデクの平均用量は、1日当たり48.8単位である。
【0161】
実施例2.チルゼパチドを用いた臨床試験
以下の表3に示される登録基準は、2型糖尿病経口治療に不応性であると考えられる患者を含む。しかしながら、経口糖尿病治療は、試験を通して継続する。2型糖尿病の平均持続期間は、約13年である。試験は、40週間継続する。
【0162】
臨床試験2、表3
【0163】
【0164】
試験は、スクリーニング来診に続いて、3週間の導入期間からなるように設計されている。その後、患者は、メトホルミンと併用又は非併用のインスリングラルギンによる以前の治療への追加として、チルゼパチド5、10若しくは15mg又はプラセボによる40週間の無作為化二重盲検試験を開始する。インスリングラルギンの用量は、検証された「トリート・トゥー・ターゲット・アルゴリズム(treat-to-target algorithm)」を使用して、試験全体を通して滴定した。患者は、およそ1週間間隔で、次いでおよそ1か月間隔で追跡される。試験プロトコルは、標準的な臨床方法を使用した、各来診時の血圧測定、並びに試験開始時及び40週目の血清脂質プロファイルを含む。
【0165】
チルゼパチドの3つの用量(5mg、10mg及び15mg)は、臨床治験用量を使用して、2型糖尿病に罹患している成人において、メトホルミンと併用又は非併用の漸増インスリングラルギンに対する追加として、プラセボと比較して、ベースラインからの優れたHbA1c低減及び体重減少を実証した。3つのチルゼパチドの用量にわたって、参加者の最大97.4パーセントが、7パーセント未満のHbA1cを達成した。更に、最も高いチルゼパチド用量で治療された参加者の62.4パーセントが、5.7パーセント未満のHbA1cを達成した。
【0166】
【0167】
【0168】
実施例1の方法を用いたHDL-Cレベルを、
図1に示す。
【0169】
配列
配列番号1
チルゼパチド
YX1EGTFTSDYSIX2LDKIAQKAFVQWLIAGGPSSGAPPPS
X1は、Aibであり、X2は、Aibであり、20位のKは、(2-[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γGlu)1-CO-(CH2)18-CO2HでのK側鎖のイプシロン-アミノ基へのコンジュゲーションを通じて化学的に修飾され、C末端アミノ酸は、C末端一級アミドとしてアミド化されている。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする患者において難治性2型糖尿病を治療する
ための医薬組成物であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩
を含み、前記医薬組成物は週1回、前記患者に投与
される、医薬組成物。
【請求項2】
前記患者は、2型糖尿病に少なくとも8年間罹患している、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項3】
前記患者のHbA
1c目標は、7%未満である、請求項1又は2に記載の
医薬組成物。
【請求項4】
前記患者のHbA
1c目標は、5.7%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項5】
前記患者のHbA
1cは、10%超である、請求項1~4のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項6】
前記患者のHbA
1cは、11%超である、請求項1~4のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項7】
前記患者の年齢は、少なくとも46歳である、請求項1~6のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項8】
前記患者の年齢は、少なくとも60歳である、請求項1~7のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項9】
前記患者は、SGLT2阻害薬を摂取している、請求項1~8のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項10】
前記患者は、メトホルミンを摂取している、請求項1~9のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項11】
前記患者は、基礎インスリンを投与されていない、請求項1~10のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項12】
前記患者は、メトホルミン及びSGLT2阻害薬を摂取しているが、HbA
1c目標を達成していない、請求項1~11のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項13】
前記チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩での治療は、少なくとも40週間継続する、請求項1~12のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項14】
前記患者は、チルゼパチドを少なくとも50週間投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項15】
前記患者は、チルゼパチドを少なくとも2年間投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項16】
前記患者は、非肥満である、請求項1~15のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項17】
前記有効量は、5mgである、請求項1~16のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項18】
前記有効量は、10mgである、請求項1~16のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項19】
前記有効量は、15mgである、請求項1~16のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項20】
前記患者は、高血圧症を併発している、請求項1~19のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項21】
前記患者は、低HDL-Cを併発している、請求項1~20のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項22】
前記患者は、肥満を併発している、請求項1~15又は17~19のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項23】
前記患者は、少なくとも2つの心血管危険因子を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項24】
前記患者は、心血管危険因子を有さない、請求項1~19のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項25】
前記患者は、少なくとも10年間、2型糖尿病に罹患している、請求項1~24のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項26】
必要とする患者において高血圧症を治療する
ための医薬組成物であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を
含み、前記医薬組成物は週1回、前記患者に投与
される、医薬組成物。
【請求項27】
前記患者は、少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している、請求項26に記載の
医薬組成物。
【請求項28】
前記患者は、難治性2型糖尿病に罹患している、請求項26又は27に記載の
医薬組成物。
【請求項29】
前記患者のHbA
1c目標は、7%未満である、請求項27又は28に記載の
医薬組成物。
【請求項30】
前記患者のHbA
1c目標は、5.7%以下である、請求項26~29のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項31】
前記患者のHbA
1cは、10%超である、請求項26~30のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項32】
前記患者のHbA
1cは、11%超である、請求項26~31のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項33】
前記患者の年齢は、少なくとも46歳である、請求項26~32のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項34】
前記患者の年齢は、少なくとも60歳である、請求項26~33のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項35】
前記患者は、SGLT2阻害薬を摂取している、請求項26~34のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項36】
前記患者は、メトホルミンを摂取している、請求項26~35のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項37】
前記患者は、基礎インスリンを投与されていない、請求項26~36のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項38】
前記患者は、メトホルミン及びSGLT2阻害薬を摂取しているが、HbA
1c目標を達成していない、請求項26~37のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項39】
前記チルゼパチドでの治療は、少なくとも40週間継続される、請求項26~38のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項40】
前記患者は、肥満を併発している、請求項26~39のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項41】
前記患者は、非肥満である、請求項26~39のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項42】
前記有効量は、5mgである、請求項26~41のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項43】
前記有効量は、10mgである、請求項26~41のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項44】
前記有効量は、15mgである、請求項26~41のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項45】
前記患者は、低HDL-Cを併発している、請求項26~44のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項46】
前記患者は、少なくとも2つの心血管危険因子を有する、請求項26~45のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項47】
前記高血圧症は、高血圧クリーゼである、請求項26~46のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項48】
前記
医薬組成物は、高血圧クリーゼを予防する、請求項26~47のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項49】
前記
医薬組成物は、脳卒中を予防する、請求項26~48のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項50】
必要とする患者においてHDL-Cを上昇させる
ための医薬組成物であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を
含み、前記医薬組成物は週1回、前記患者に投与
される、医薬組成物。
【請求項51】
前記患者は、少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している、請求項50に記載の
医薬組成物。
【請求項52】
前記患者は、難治性2型糖尿病に罹患している、請求項50又は51に記載の
医薬組成物。
【請求項53】
前記患者の年齢は、少なくとも46歳である、請求項50~52のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項54】
前記患者の年齢は、少なくとも60歳である、請求項50~53のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項55】
前記患者は、SGLT2阻害薬を摂取している、請求項50~54のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項56】
前記患者は、メトホルミンを摂取している、請求項50~55のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項57】
前記患者は、基礎インスリンを投与されていない、請求項50~56のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項58】
前記チルゼパチドでの治療は、少なくとも40週間継続される、請求項50~57のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項59】
前記患者は、非肥満である、請求項50~58のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項60】
前記有効量は、5mgである、請求項50~59のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項61】
前記有効量は、10mgである、請求項50~59のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項62】
前記有効量は、15mgである、請求項50~59のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項63】
前記患者は、少なくとも2つの心血管危険因子を有する、請求項50~62のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項64】
前記患者は、高血圧症を併発している、請求項50~63のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項65】
前記チルゼパチドの投与は、少なくとも50週間継続される、請求項50~64のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項66】
チルゼパチドの週1回の投与は、少なくとも2年間継続される、請求項50~65のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0169
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0169】
配列
配列番号1
チルゼパチド
YX1EGTFTSDYSIX2LDKIAQKAFVQWLIAGGPSSGAPPPS
X1は、Aibであり、X2は、Aibであり、20位のKは、(2-[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γGlu)1-CO-(CH2)18-CO2HでのK側鎖のイプシロン-アミノ基へのコンジュゲーションを通じて化学的に修飾され、C末端アミノ酸は、C末端一級アミドとしてアミド化されている。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 必要とする患者において難治性2型糖尿病を治療する方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、前記患者に投与することを含む、方法。
[2] 前記患者は、2型糖尿病に少なくとも8年間罹患している、[1]に記載の方法。
[3] 前記患者のHbA
1c
目標は、7%未満である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記患者のHbA
1c
目標は、5.7%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 前記患者のHbA
1c
は、10%超である、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 前記患者のHbA
1c
は、11%超である、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[7] 前記患者の年齢は、少なくとも46歳である、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 前記患者の年齢は、少なくとも60歳である、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 前記患者は、SGLT2阻害薬を摂取している、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10] 前記患者は、メトホルミンを摂取している、[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11] 前記患者は、基礎インスリンを投与されていない、[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12] 前記患者は、メトホルミン及びSGLT2阻害薬を摂取しているが、HbA
1c
目標を達成していない、[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13] 前記チルゼパチド又はその薬学的に許容される塩での治療は、少なくとも40週間継続する、[1]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14] 前記患者は、チルゼパチドを少なくとも50週間投与される、[1]~[13]のいずれかに記載の方法。
[15] 前記患者は、チルゼパチドを少なくとも2年間投与される、[1]~[14]のいずれかに記載の方法。
[16] 前記患者は、非肥満である、[1]~[15]のいずれかに記載の方法。
[17] 前記有効量は、5mgである、[1]~[16]のいずれかに記載の方法。
[18] 前記有効量は、10mgである、[1]~[16]のいずれかに記載の方法。
[19] 前記有効量は、15mgである、[1]~[16]のいずれかに記載の方法。
[20] 前記患者は、高血圧症を併発している、[1]~[19]のいずれかに記載の方法。
[21] 前記患者は、低HDL-Cを併発している、[1]~[20]のいずれかに記載の方法。
[22] 前記患者は、肥満を併発している、[1]~[15]又は[17]~[19]のいずれかに記載の方法。
[23] 前記患者は、少なくとも2つの心血管危険因子を有する、[1]~[22]のいずれかに記載の方法。
[24] 前記患者は、心血管危険因子を有さない、[1]~[19]のいずれかに記載の方法。
[25] 前記患者は、少なくとも10年間、2型糖尿病に罹患している、[1]~[24]のいずれかに記載の方法。
[26] 必要とする患者において高血圧症を治療する方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、前記患者に投与することを含む、方法。
[27] 前記患者は、少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している、[26]に記載の方法。
[28] 前記患者は、難治性2型糖尿病に罹患している、[26]又は[27]に記載の方法。
[29] 前記患者のHbA
1c
目標は、7%未満である、[27]又は[28]に記載の方法。
[30] 前記患者のHbA
1c
目標は、5.7%以下である、[26]~[29]のいずれかに記載の方法。
[31] 前記患者のHbA
1c
は、10%超である、[26]~[30]のいずれかに記載の方法。
[32] 前記患者のHbA
1c
は、11%超である、[26]~[31]のいずれかに記載の方法。
[33] 前記患者の年齢は、少なくとも46歳である、[26]~[32]のいずれかに記載の方法。
[34] 前記患者の年齢は、少なくとも60歳である、[26]~[33]のいずれかに記載の方法。
[35] 前記患者は、SGLT2阻害薬を摂取している、[26]~[34]のいずれかに記載の方法。
[36] 前記患者は、メトホルミンを摂取している、[26]~[35]のいずれかに記載の方法。
[37] 前記患者は、基礎インスリンを投与されていない、[26]~[36]のいずれかに記載の方法。
[38] 前記患者は、メトホルミン及びSGLT2阻害薬を摂取しているが、HbA
1c
目標を達成していない、[26]~[37]のいずれかに記載の方法。
[39] 前記チルゼパチドでの治療は、少なくとも40週間継続される、[26]~[38]のいずれかに記載の方法。
[40] 前記患者は、肥満を併発している、[26]~[39]のいずれかに記載の方法。
[41] 前記患者は、非肥満である、[26]~[39]のいずれかに記載の方法。
[42] 前記有効量は、5mgである、[26]~[41]のいずれかに記載の方法。
[43] 前記有効量は、10mgである、[26]~[41]のいずれかに記載の方法。
[44] 前記有効量は、15mgである、[26]~[41]のいずれかに記載の方法。
[45] 前記患者は、低HDL-Cを併発している、[26]~[44]のいずれかに記載の方法。
[46] 前記患者は、少なくとも2つの心血管危険因子を有する、[26]~[45]のいずれかに記載の方法。
[47] 前記高血圧症は、高血圧クリーゼである、[26]~[46]のいずれかに記載の方法。
[48] 前記方法は、高血圧クリーゼを予防する、[26]~[47]のいずれかに記載の方法。
[49] 前記方法は、脳卒中を予防する、[26]~[48]のいずれかに記載の方法。
[50] 必要とする患者においてHDL-Cを上昇させる方法であって、有効量のチルゼパチド又はその薬学的に許容される塩を週1回、前記患者に投与することを含む、方法。
[51] 前記患者は、少なくとも8年間、2型糖尿病に罹患している、[50]に記載の方法。
[52] 前記患者は、難治性2型糖尿病に罹患している、[50]又は[51]に記載の方法。
[53] 前記患者の年齢は、少なくとも46歳である、[50]~[52]のいずれかに記載の方法。
[54] 前記患者の年齢は、少なくとも60歳である、[50]~[53]のいずれかに記載の方法。
[55] 前記患者は、SGLT2阻害薬を摂取している、[50]~[54]のいずれかに記載の方法。
[56] 前記患者は、メトホルミンを摂取している、[50]~[55]のいずれかに記載の方法。
[57] 前記患者は、基礎インスリンを投与されていない、[50]~[56]のいずれかに記載の方法。
[58] 前記チルゼパチドでの治療は、少なくとも40週間継続される、[50]~[57]のいずれかに記載の方法。
[59] 前記患者は、非肥満である、[50]~[58]のいずれかに記載の方法。
[60] 前記有効量は、5mgである、[50]~[59]のいずれかに記載の方法。
[61] 前記有効量は、10mgである、[50]~[59]のいずれかに記載の方法。
[62] 前記有効量は、15mgである、[50]~[59]のいずれかに記載の方法。
[63] 前記患者は、少なくとも2つの心血管危険因子を有する、[50]~[62]のいずれかに記載の方法。
[64] 前記患者は、高血圧症を併発している、[50]~[63]のいずれかに記載の方法。
[65] 前記チルゼパチドの投与は、少なくとも50週間継続される、[50]~[64]のいずれかに記載の方法。
[66] チルゼパチドの週1回の投与は、少なくとも2年間継続される、[50]~[65]のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】