(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】細胞分析のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/04 20060101AFI20240228BHJP
C12M 1/34 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
C12Q1/04
C12M1/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550164
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 US2022016748
(87)【国際公開番号】W WO2022178095
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523313676
【氏名又は名称】ディープセル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DEEPCELL, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100226263
【氏名又は名称】中田 未来生
(72)【発明者】
【氏名】マドクト マサエリ
(72)【発明者】
【氏名】マヤ サレク
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB01
4B029FA02
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ05
4B063QS36
4B063QX01
(57)【要約】
本開示は、細胞を分類及びソートするためのシステム及び方法を提供する。本方法は、細胞の画像データを処理して、細胞の異なるタイプ又は状態に対応する複数の形態学的に区別されたクラスタを含む細胞形態マップを生成するステップを備えることができる。本方法は、形態学的に区別されたクラスタの1つ以上との近接性、相関性、共通性に基づいて細胞画像試料を自動的に分類するために分類器を使用することを備えることができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、単一細胞のタグなし画像を含む、ステップと、
(b)細胞形態マップを生成するために画像データを処理するステップであって、前記細胞形態マップは、前記細胞の異なるタイプ又は状態に対応する複数の形態学的に区別されたクラスタを含む、ステップと
(c)前記細胞形態マップを使用して分類器を訓練するステップと、
(d)前記分類器を使用して、形態学的に区別されたクラスタの一つ以上とのその近接性、相関性、又は共通性に基づいて細胞画像試料を自動的に分類するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項A1に記載の方法において、前記形態学的に区別されたクラスタの各クラスタは、所定のアノテーションスキーマに基づいてアノテーション付けされる、方法。
【請求項3】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記分類器は、前記細胞画像試料中の1つ以上の細胞のタイプ、状態、若しくは特性に関する事前の知識又は情報を必要とせずに、前記細胞画像試料を自動的に分類するように構成される、方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記細胞形態マップが、前記処理された画像データからの1つ以上の形態学的特徴に基づいて生成される、方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記細胞形態マップが、1つ以上の形態学的特徴のオントロジーを含む、方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記1つ以上の形態学的特徴は、前記画像データ中のピクセルの独特なグループに起因する、方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記単一細胞画像を前記複数の形態学的に区別されたクラスタにグループ化するために、機械学習アルゴリズムを使用して、前記画像データを処理する、方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記機械学習アルゴリズムが、前記単一細胞の各細胞から前記1つ以上の形態学的特徴を抽出するように構成される、方法。
【請求項9】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記機械学習アルゴリズムが教師なし学習に基づく、方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データを処理するステップは、前記形態学的に区別されたクラスタの各クラスタにアノテーション付けして、前記形態学的に区別されたクラスタの前記各クラスタに属するアノテーション付き細胞画像を生成することを更に備える、方法。
【請求項11】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、1人以上のユーザが前記形態学的に区別されたクラスタをキュレート、検証、編集、及び/又はアノテーション付けすることを可能にする対話型アノテーションツールが提供される、方法。
【請求項12】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記対話型アノテーションツールは、前記1人以上のユーザが、所定のアノテーションスキーマを使用して各クラスタにアノテーション付けすることを可能にする、方法。
【請求項13】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記対話型アノテーションツールは、前記1人以上のユーザが、誤ってクラスタ化された細胞を除外することを可能にする、方法。
【請求項14】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記対話型アノテーションツールは、前記1人以上のユーザが、前記クラスタから破片又は細胞塊を除外することを可能にする、方法。
【請求項15】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記対話型アノテーションツールは、前記1人以上のユーザが前記クラスタに重みを割り当てることを可能にする、方法。
【請求項16】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記対話型アノテーションツールは、仮想クラウドソーシングプラットフォーム上で、前記1人以上のユーザから構成されるコミュニティに提供される、方法。
【請求項17】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記分類器は、試料中の細胞の既知又は未知の集団の両方に対して使用可能である、方法。
【請求項18】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記クラスタの1つ以上は、サブクラスタを備える、方法。
【請求項19】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記クラスタの2つ以上が重複する、方法。
【請求項20】
(a)試料を処理し、前記試料の細胞画像データを得るステップと、
(b)ユーザにとって潜在的に目的になる1つ以上の形態学的特徴を同定するために前記細胞画像データを処理するステップと、
(c)グラフィカルユーザインターフェース(GUI)上に、前記1つ以上の形態学的特徴に関連するパターン又はプロファイルを視覚化して表示するステップと、
を備える、方法。
【請求項21】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データは、細胞形態マップを使用して処理され、前記細胞形態マップは、細胞の異なるタイプ又は状態に対応する複数の形態学的に区別されたクラスタを含む、方法。
【請求項22】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記GUIは、前記ユーザが、試料のソートの基準を置くために前記形態学的特徴の1つ以上を選択することを可能にする、方法。
【請求項23】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記GUIは、前記ユーザが、前記1つ以上の形態学的特徴を有する前記マップの1つ以上の領域を選択することを可能にする、方法。
【請求項24】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記GUIは、前記ユーザが、前記1つ以上の領域を包含するバウンディングボックスを描画するための対話型ツールを使用することにより、前記1つ以上の領域を選択することを可能にする、方法。
【請求項25】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記バウンディングボックスが、任意のユーザ定義の形状及び/又はサイズを有するように構成される、方法。
【請求項26】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記GUIを介して前記ユーザから入力を受信するステップであって、前記入力は、前記マップの前記形態学的特徴又はクラスタの前記ユーザの選択を含む、ステップを更に備える、方法。
【請求項27】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記試料から細胞のグループをソートするステップであって、前記細胞のグループは、前記選択された形態学的特徴を有している、ステップを更に備える、方法。
【請求項28】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記1つ以上の形態学的特徴は、前記ユーザにより前記GUIに入力された基準のセットに基づいて、前記ユーザにとって潜在的に目的になると同定される、方法。
【請求項29】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記1つ以上の形態学的特徴は、前記ユーザにより行われた1つ以上の以前の試料実行に基づいて、前記ユーザにとって潜在的に目的になると同定される、方法。
【請求項30】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記1つ以上の形態学的特徴は、前記ユーザの研究目的に基づいて、前記ユーザにとって潜在的に目的になると同定される、方法。
【請求項31】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記1つ以上の形態学的特徴は、前記試料を処理して1分以内に前記細胞画像データから同定される、方法。
【請求項32】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記1つ以上の形態学的特徴は、前記試料を処理して5分以内に前記細胞画像データから同定される、方法。
【請求項33】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記1つ以上の形態学的特徴は、前記試料を処理して10分以内に前記細胞画像データから同定される、方法。
【請求項34】
細胞分析プラットフォームであって、該細胞分析プラットフォームは、
複数の所定の細胞のクラスに対応する形態学的に区別されたクラスタにグループ化される複数のアノテーション付き単一細胞画像を有するデータベースを備える細胞形態アトラス(CMA)と、
少なくとも形態学的特徴に基づいて異なる細胞のタイプ及び/又は状態を同定するために、前記CMAからのデータセットを使用して訓練及び検証された複数のモデルを含むモデリングライブラリと、
(1)試料から採取された1つ以上の画像を分類するため、及び/又は(2)前記1つ以上の画像に基づいて前記試料の品質又は状態を評価するために、前記モデリングライブラリからの前記モデルの1つ以上を使用する分類器を備える分析モジュールと、
を備える、細胞分析プラットフォーム。
【請求項35】
請求項C1に記載のプラットフォームにおいて、各クラスタは、1つ以上の共通又は類似の形態学的特徴を提示する細胞の集団を含む、プラットフォーム。
【請求項36】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、細胞の各集団は、同じ細胞のタイプ又は異なる細胞のタイプである、プラットフォーム。
【請求項37】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記1つ以上の画像は、個々の単一細胞を描写する、プラットフォーム。
【請求項38】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記1つ以上の画像は、細胞のクラスタを描写する、プラットフォーム。
【請求項39】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記試料は細胞の混合物を含む、プラットフォーム。
【請求項40】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記試料の前記質又は状態は、集合体レベルで評価される、プラットフォーム。
【請求項41】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記試料の前記質又は状態が、前記試料の調製又はプライミング状態を示している、プラットフォーム。
【請求項42】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記試料の前記質又は状態は、前記試料の生存力を示している、プラットフォーム。
【請求項43】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記プラットフォームは、ユーザが前記モデリングライブラリから1つ以上のモデルを訓練することを可能にするツールを備える、プラットフォーム。
【請求項44】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ツールは、前記ユーザにより提供された試料の初期画像データセットに基づいて、前記ユーザが前記1つ以上のモデルを訓練するために必要とするラベルの数及び/又はデータの量を決定するように構成される、プラットフォーム。
【請求項45】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ラベルの数及び/又は前記データの量は、前記1つ以上の訓練されたモデルを使用して前記ユーザが分化することに興味を有する2つ以上のクラスタ間の分離可能性の程度に少なくとも基づいて決定される、プラットフォーム。
【請求項46】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ラベルの数及び/又は前記データの量は、さらに、前記2つ以上のクラスタ間の形態学的特徴の変動性又は差異に少なくとも基づいて決定される、プラットフォーム。
【請求項47】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ツールは、2つ以上の細胞のタイプ若しくはクラスタ間の細胞分類を改善するため、又は分化を改善するために、1つ以上のモデルを更に訓練するのに追加ラベル及び/又は追加データが必要かどうかを判定し、前記ユーザに通知するように構成される、プラットフォーム。
【請求項48】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ツールは、前記ユーザが前記ユーザの好み/ニーズを満たすように前記1つ以上のモデルをカスタマイズできるように構成される、プラットフォーム。
【請求項49】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ツールは、前記ユーザが2つ以上のモデルを結合又は融合することを可能にするよう構成される、プラットフォーム。
【請求項50】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記複数のモデルは、複数の異なる細胞のタイプの間で判別するために構成され、使用される、プラットフォーム。
【請求項51】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記複数の異なる細胞のタイプは、fNRBC、NSCLC、HCC、又は免疫細胞の複数のサブタイプを含む、プラットフォーム。
【請求項52】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記複数のモデルは、前記細胞のタイプ及び/又は状態に関連し、それを示している形態学的属性/特徴/特性を取り出すように構成される、プラットフォーム。
【請求項53】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記分類器は、前記CMAに存在せず、かつ前記複数のモデルが訓練されていない新たな細胞のクラスに関する判別情報を提供する能力を有する、プラットフォーム。
【請求項54】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記複数のモデルは、1つ以上の標的細胞を同定する際に、約0.97より大きい受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)指標により特徴付けられるような感度の高度及び感度を有する正確な細胞分類性能を実証するために検証される、プラットフォーム。
【請求項55】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記分類器は、1:1000から1:100,000の範囲の希釈濃度において標的細胞を同定及び判別する能力を有する、プラットフォーム。
【請求項56】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記分類機は、悪性細胞の異なるサブクラス間を区別する能力を有する、プラットフォーム。
【請求項57】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記分類器は、前記試料内の個々の細胞が各々、前記CMA内の各所定の細胞のクラスに属する予測確率を含む予測確率のセットを生成するように構成される、プラットフォーム。
【請求項58】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記予測確率のセットは、前記CMA内の前記利用可能な細胞のクラスにわたる予測ベクトルとして提供される、プラットフォーム。
【請求項59】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記分析モジュールは、前記予測確率のセットに基づいて、各単一細胞を前記CMA内の前記所定のクラスの一つに割り当てるように構成される、プラットフォーム。
【請求項60】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記モデルの1つ以上が、前記1つ以上の画像から検出された破片又は細胞塊の量に基づいて前記試料の前記質を評価するように構成される、プラットフォーム。
【請求項61】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記モデルの1つ以上が、生細胞/生存可能細胞と死細胞/損傷細胞との比に基づいて前記試料の前記質を評価するように構成される、プラットフォーム。
【請求項62】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記複数のモデルは、1つ以上の深層ニューラルネットワークモデルを含む、プラットフォーム。
【請求項63】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記1つ以上の深層ニューラルネットワークモデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む、プラットフォーム。
【請求項64】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記モデリングデータベース内の前記複数のモデルは、新たな形態学的に区別されたクラスタが同定され、前記CMAに追加されるにつれて、継続的に訓練され、検証される、プラットフォーム。
【請求項65】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記CMA内の前記クラスタは、ゲノミクス、プロテオミクス、又はトランスクリプトミクスに基づく1つ以上の細胞分子プロファイルにマッピングされる、プラットフォーム。
【請求項66】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記マッピングは、新たな分子マーカーの同定又は開発に使用される、プラットフォーム。
【請求項67】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記分析モジュールは、前記分類器において使用する前記モデリングデータベースからのモデルをユーザがカスタマイズし選択することを可能にするインターフェースを備える、プラットフォーム。
【請求項68】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記分析モジュールによって得られた結果に基づいて、前記試料の細胞組成を示すレポートを生成するように構成される報告モジュールを更に備える、プラットフォーム。
【請求項69】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記レポートは、前記試料内の全ての単一細胞の形態マップを描写する視覚化を含む、プラットフォーム。
【請求項70】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記視覚化は、均一多様体近似投影(UMAP)グラフを含む、プラットフォーム
【請求項71】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記視覚化は、3次元以上の多次元形態マップを含む、プラットフォーム。
【請求項72】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記レポートは、前記実際の細胞のクラスに対する各細胞のクラスの分類器予測パーセンテージのヒートマップ表現を含む、プラットフォーム。
【請求項73】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ヒートマップ表現は、1つ以上の抽出された特徴と個々の細胞のタイプとの間の相関を表示する、プラットフォーム。
【請求項74】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記複数のモデルは、ニューラルネットワークを備え、前記抽出された特徴は、前記ニューラルネットワークの隠れ層から抽出される、プラットフォーム。
【請求項75】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、ユーザにより入力された1つ以上の目的のクラスに基づいて、実質的にリアルタイムで前記試料中の前記細胞をソートするように構成されるソートモジュールを更に備える、プラットフォーム。
【請求項76】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ソートされた細胞は、下流の分子評価/プロファイリングのために収集される、プラットフォーム。
【請求項77】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記試料は、2つ以上の試験試料を含み、前記分析モジュールは、各試験試料の形態学的プロファイルを決定するように構成される、プラットフォーム。
【請求項78】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記分析モジュールは、前記2つ以上の試験試料間の前記形態学的プロファイルを比較するように更に構成される、プラットフォーム。
【請求項79】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記形態学的プロファイルの比較は、前記試験試料が薬剤候補と接触させられた後の各試験試料の反応を査定するために使用される、プラットフォーム。
【請求項80】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記形態学的プロファイルの比較は、前記試験試料が異なる薬物候補と接触させられた後の前記試験試料の反応を分けるために使用される、プラットフォーム。
【請求項81】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記形態学的プロファイルの比較は、各試験試料における細胞死の程度又は割合を判定するために使用される、プラットフォーム。
【請求項82】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記形態学的プロファイルの比較は、各試験試料における細胞のストレス若しくは損傷の程度又は割合を判定するために使用される、プラットフォーム。
【請求項83】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記形態学的プロファイルの比較は、試験試料が処理されているか、又は未処理であるかを判定するために使用される、プラットフォーム。
【請求項84】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記プラットフォームは、複数の異なる細胞のタイプを連続的に、ラベリングし、ソートするためのインラインエンドツーエンドパイプラインソリューションを提供する、プラットフォーム。
【請求項85】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記CMAは、形態学的に区別された細胞の新たなクラスタ及び/又は新たなモデルを組み込むために、拡大縮小可能、拡張可能、及び一般化可能である、プラットフォーム。
【請求項86】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記モデリングライブラリは、新たなタイプの機械学習モデルを組み込むために拡大縮小可能、拡張可能、及び一般化可能である、プラットフォーム。
【請求項87】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記分析モジュールは、新たなクラスタと前記CMA中の細胞の既存のクラスタとの間の相関を検出するように構成される、プラットフォーム。
【請求項88】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記モデリングライブラリの前記モデルの1つ以上は、除去可能又は新たなモデルで置換可能である、プラットフォーム。
【請求項89】
(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、複数の異なるイメージングモダリティを使用して捕捉された単一細胞の画像を含むステップと、
(b)前記画像データを使用してモデルを訓練するステップと、
(c)集束ツールの補助と共に前記モデルを使用し、試料が処理されている際に、流路内の試料中の1つ以上の細胞の空間的位置をリアルタイムで自動的に調整するステップと、
を備える、方法。
【請求項90】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記モデルは、前記1つ以上の細胞を分類するために使用され、前記1つ以上の細胞の前記空間的位置は、細胞のタイプに基づいて調整される、方法。
【請求項91】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データが前記細胞の焦点内画像を含む、方法。
【請求項92】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データが前記細胞の焦点外画像を含む、方法。
【請求項93】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記焦点内及び焦点外画像が、試料の処理中の焦点の変化の影響をサンプリングするために、様々な焦点条件下で捕捉される、方法。
【請求項94】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データが前記細胞の明視野画像を含む、方法。
【請求項95】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データが前記細胞の暗視野画像を含む、方法。
【請求項96】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データが染色された細胞の蛍光画像を含む、方法。
【請求項97】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データが前記細胞のカラー画像を含む、方法。
【請求項98】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データが細胞のモノクロ画像を含む、方法。
【請求項99】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記モデルは、前記異なるイメージングモダリティに基づく細胞形態マップを含む、方法。
【請求項100】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、画像データが前記流路に沿った複数の位置において捕捉された前記単一細胞の画像を含む、方法。
【請求項101】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記複数の位置は、前記流路内の異なる平面上に位置する、方法。
【請求項102】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記異なる平面は、垂直軸上に位置する、方法。
【請求項103】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記異なる平面は、水平軸上に位置する、方法。
【請求項104】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記異なる平面は、前記流路の縦軸上に位置する、方法。
【請求項105】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記複数の位置は、前記流路内の同一平面上に位置する、方法。
【請求項106】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データが異なる角度で捕捉された前記単一細胞の画像を含む、方法。
【請求項107】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データが前記流路内の異なる視点から捕捉された前記単一細胞の画像を含む、方法。
【請求項108】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記モデルを訓練する前に、前記画像データを前記異なるイメージングモダリティの1つ以上でアノテーション付けする、方法。
【請求項109】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データ中の各画像を前記流路内の対応する位置でアノテーション付けする、方法。
【請求項110】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記流路内の前記位置は、空間座標のセットとして定義される、方法。
【請求項111】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データ中の各画像は、タイムスタンプが付される、方法。
【請求項112】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データ中の各画像を、細胞のタイプ又は状態でアノテーション付けする、方法。
【請求項113】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記モデルを訓練する前に、前記画像データ中の1つ以上の画像の改変レプリカを生成するステップを更に備える、方法。
【請求項114】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記改変レプリカは、微小粒子若しくはピクセルレベルの収差を模倣するために、水平若しくは垂直画像反転、直交回転、ガウスノイズ、コントラスト変動、又はノイズ導入を含む1つ以上の増強技術を使用して生成する、方法。
【請求項115】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記集束ツールは、流体力学的集束及び慣性集束を利用する、方法。
【請求項116】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記モデル及び前記集束ツールは、前記試料中の前記1つ以上の細胞を単一のZ平面上及び前記流路に沿った単一の横方向軌跡上に集束させるために使用する、方法。
【請求項117】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、1つ以上の微小流体素子の補助と共に前記モデルを使用し、前記試料が処理されている際に、前記流路内の前記試料中の前記1つ以上の細胞の速度をリアルタイムで自動的に調整するステップを更に備える、方法。
【請求項118】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記1つ以上の微小流体素子は、バルブ及びポンプを含む、方法。
【請求項119】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記モデルは、前記1つ以上の細胞を分類するために使用され、前記1つ以上の細胞の前記速度は、細胞のタイプに基づいて調整される、方法。
【請求項120】
(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、様々な焦点条件下で捕捉された単一細胞の画像を含む、ステップと、
(b)前記画像データを使用してモデルを訓練するステップと、
(c)前記モデルを使用して、試料が処理されている際に、流路内の前記試料中の1つ以上の細胞の1つ以上の画像の焦点を評価するステップと、
(d)前記モデルにより評価された前記画像の焦点に基づき、イメージング焦点面をリアルタイムで自動的に調整するステップと、
を備える、方法。
【請求項121】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記モデルは、前記1つ以上の細胞を分類するために使用され、前記イメージング焦点面は、細胞のタイプに基づいて調整される、方法。
【請求項122】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記様々な焦点条件は、焦点内条件及び焦点外条件を含む、方法。
【請求項123】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記イメージング焦点面は、前記1つ以上の細胞の後続の画像に焦点が合うように自動的に調整される、方法。
【請求項124】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記イメージング焦点面は、前記1つ以上の細胞の後続画像の鮮明度を高めるように自動的に調整される、方法。
【請求項125】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記イメージング焦点面は、前記1つ以上の細胞の異なる部分に焦点を合わせるように調整される、方法。
【請求項126】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記異なる部分は、前記1つ以上の細胞の上部、中間部、又は下部を含む、方法。
【請求項127】
(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、複数の異なるイメージングモダリティを使用して捕捉された単一細胞の画像を含む、ステップと、
(b)前記画像データを使用して画像処理ツールを訓練するステップと、
(c)前記画像処理ツールを使用して、試料が処理されている際に、前記試料中の1つ以上の細胞の1つ以上の画像からアーチファクトを自動的に同定、考慮、及び/又は除外するステップと、
を備える、方法。
【請求項128】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記異なるイメージングモダリティが、前記画像処理ツールを訓練するために使用される前記画像データに、細胞画像特性の変動を系統的に組み込む、又は誘発する、方法。
【請求項129】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記アーチファクトは、前記1つ以上の画像の捕捉の間の最適でないイメージング条件によるものである、方法。
【請求項130】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記最適でないイメージング条件は、光の変動及び/又は過飽和を含む、方法。
【請求項131】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記最適でないイメージング条件は、振動、位置ずれ又は電力サージ/変動を含む外部要因により誘発される、方法。
【請求項132】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記アーチファクトは、イメージング光源の劣化によるものである、方法。
【請求項133】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記アーチファクトは、光学系の破片又は欠陥によるものである、方法。
【請求項134】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記アーチファクトは、前記試料に内在する破片又は塊によるものである、方法。
【請求項135】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記アーチファクトは、前記試料を処理しているシステム内の破片又は未知の物体によるものである、方法。
【請求項136】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記アーチファクトは、前記試料を処理しているマイクロ流体チップの変形変化によるものであり、前記変形変化は、前記チップの収縮又は膨潤を含む、方法。
【請求項137】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像処理ツールは、(a)前記試料中の前記1つ以上の細胞の前記1つ以上の画像を、(b)前記流路内の同一又は類似の位置内の細胞の参照画像のセット、と比較して、前記1つ以上の画像と前記参照画像のセットとの間の差異を判定するように構成される、方法。
【請求項138】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像処理ツールは、前記1つ以上の画像を編集して前記差異を考慮又は補正するように構成される、方法。
【請求項139】
請求項1~138のいずれか1項に記載の方法において、前記画像処理ツールは、前記差分に重みを割り当てるように構成される、方法。
【請求項140】
オンラインクラウドソーシングプラットフォームであって、該オンラインクラウドソーシングプラットフォームは、
複数の所与の細胞のクラスに対応する形態学的に区別されたクラスタにグループ化された複数の単一細胞画像を格納するデータベースと、
1つ以上のモデルを含むモデリングライブラリと、
ユーザのコミュニティのためのウェブポータルであって、前記ウェブポータルは、前記ユーザが(1)前記データベースへの1つ以上の既存画像若しくは新たな画像のアップロード、ダウンロード、検索、キュレート、アノテーション、若しくは編集、(2)前記データベースからのデータセットを使用する1つ以上のモデルの訓練若しくは検証、及び/又は(3)前記モデリングライブラリへの新たなモデルのアップロードを行うことを可能にするグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を備える、ウェブポータルと、
を備える、オンラインクラウドソーシングプラットフォーム。
【請求項141】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記1つ以上のモデルは、機械学習モデルを含むプラットフォーム。
【請求項142】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ウェブポータルは、前記ユーザが1つ以上のモデルを互いに買う、売る、共有する、又は交換することを可能にするように構成される、プラットフォーム。
【請求項143】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ウェブポータルは、新たなアノテーション付き細胞画像で前記データベースを更新するためにインセンティブを前記ユーザに発生させるように構成される、プラットフォーム。
【請求項144】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ウェブポータルは、新たなモデルで前記モデリングライブラリを更新するためにインセンティブを前記ユーザに発生させるように構成される、プラットフォーム。
【請求項145】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ウェブポータルは、前記ユーザが前記データベース内のアノテーション付き画像にレーティングを割り当てることを可能にするように構成される、プラットフォーム。
【請求項146】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ウェブポータルは、前記ユーザが前記モデリングライブラリ内の前記モデルにレーティングを割り当てることを可能にするように構成される、プラットフォーム。
【請求項147】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ウェブポータルは、前記ユーザが細胞分析データを互いに共有することを可能にするよう構成される、プラットフォーム。
【請求項148】
前記請求項のいずれか1つに記載のプラットフォームにおいて、前記ウェブポータルは、前記ユーザが様々な細胞のタイプ及び/又は状態のオントロジーマップを作成することを可能にするよう構成される、プラットフォーム。
【請求項149】
対象における疾患原因を同定する方法であって、該方法は、
(a)前記対象から生物学的試料を得るステップと、
(b)前記試料を担体に懸濁し、前記生物学的試料の構成成分を(i)単一ラインに流し、(ii)前記担体に対して回転させるステップと、
(c)前記構成成分のソートと実質的に同時に同定される少なくとも1つの形態学的特徴に基づいて、前記構成成分を少なくとも2つの集団にソートするステップと、
(d)前記少なくとも2つの集団のうちの少なくとも1つの集団により示されるような前記対象の疾患原因を判定するステップと、
を備える、方法。
【請求項150】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記構成成分は、前記単一ライン内で規則的に間隔を空けられる、方法。
【請求項151】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記担体は、前記生物学的試料の少なくとも前記構成成分を囲むハウジングを備え、前記構成成分は、前記ハウジングに対して回転する、方法。
【請求項152】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記疾患原因は病原体であり、最後の1つの集団が前記病原体を含む、方法。
【請求項153】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記方法は、前記病原体のゲノムの少なくとも一部を配列決定するステップを更に備える、方法。
【請求項154】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記病原体はウイルスである、方法。
【請求項155】
請前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記疾患原因は、(i)前記少なくとも1つの集団における前記構成成分の数と、(ii)前記少なくとも2つの集団の異なる集団における前記構成成分の数との間の比較により示される、方法。
【請求項156】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記疾患原因は、前記少なくとも1つの集団の配列情報により示される、方法。
【請求項157】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記少なくとも1つの集団は、抗体産生細胞を含む、方法。
【請求項158】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記少なくとも1つの集団は、免疫細胞を含む、方法。
【請求項159】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記構成成分は、複数の細胞を含む、方法。
【請求項160】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記少なくとも1つの形態学的特徴は、ソートする前記ステップの前又は実質的に同時に、前記構成成分の前記1つ以上の画像を分析することにより同定する、方法。
【請求項161】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記少なくとも1つの形態学的特徴は、複数の形態学的特徴を含む、方法。
【請求項162】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記生物学的試料の前記構成成分は、ラベルなしである、方法。
【請求項163】
前記請求項のいずれか1つに記載の方法において、前記画像データは、機械学習アルゴリズムを使用して処理され、前記単一細胞画像を前記複数の形態学的に区別されたクラスタにグループ化する、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年2月19日に出願された米国仮特許出願第63/151,394号及び2021年4月13日に出願された米国仮特許出願第63/174,182号の利益を主張するものであり、これらの各出願は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
細胞の分析(例えば、細胞のタイプ又は状態の判定)は、例えば、タグ付け(例えば、細胞内の目的の標的タンパク質に対する抗体などのようなポリペプチドで染色したもの、細胞内の目的の標的遺伝子に対するポリヌクレオチドで染色したもの、ポリメラーゼ連鎖反応を介して細胞の遺伝子発現プロファイルを分析するためのプローブで染色したもの、若しくは標的タンパク質により修飾された低分子基質で染色したもの)、又は細胞の配列決定データ(例えば、遺伝子断片分析、全ゲノム配列決定、全ゲノム配列決定、全エクソーム配列決定、RNA-seqなど)を調べることにより達成することができる。このような方法は、細胞のタイプ(例えば、幹細胞若しくは分化細胞)又は細胞の状態(例えば、健常細胞若しくは疾患細胞など)を同定するために使用される。このような方法は、時間がかかり、及び/又はコストがかかり得る細胞の治療(例えば、抗体染色、細胞溶解、又は配列決定など)を必要とし得る。
【発明の概要】
【0003】
上述の観点から、本明細書において、細胞(例えば、以前に特徴付けされていない細胞又は未知の細胞)を分析するための代替的な方法及びシステムの必要性が認識される。例えば、本明細書で認識されることは、例えば、細胞中の標的タンパク質又は目的の遺伝子にタグを付ける、細胞の配列決定データを得る等のための細胞の前処理なく細胞を分析する方法の必要性である。
【0004】
従って、いくつかの実施形態において、本開示は、細胞の1つ以上の形態学的特徴に基づいて細胞を分析する(例えば、自動的に分類する)ための方法及びシステムを提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、細胞の1つ以上の形態学的特徴に基づいて細胞を複数のサブ集団にソートするための方法及びシステムを提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、例えば、1つ以上の新たな画像から抽出された細胞の1つ以上の形態学的特徴に基づいて、細胞の1つ以上のニュース画像を分析するために使用することができる異なる細胞のアノテーション付き画像の参照データベース(例えば、ライブラリ、アトラスなど)を提供する。
【0005】
本開示の一態様は、以下を備える方法を提供する:(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、単一細胞のタグなし画像を含む、ステップ;(b)細胞形態マップを生成するために画像データを処理するステップであって、前記細胞形態マップは、前記細胞の異なるタイプ又は状態に対応する複数の形態学的に区別されたクラスタを含む、ステップ;(c)前記細胞形態マップを使用して分類器を訓練するステップ;及び(d)前記分類器を使用して、形態学的に区別されたクラスタの一つ以上とのその近接性、相関性、又は共通性に基づいて細胞画像試料を自動的に分類するステップ。
【0006】
本開示の別の態様は、以下を備える方法を提供する:(a)試料を処理し、前記試料の細胞画像データを得るステップ;(b)ユーザにとって潜在的に目的になる1つ以上の形態学的特徴を同定するために前記細胞画像データを処理するステップ;及び(c)グラフィカルユーザインターフェース(GUI)上に、前記1つ以上の形態学的特徴に関連するパターン又はプロファイルを視覚化して表示するステップ。
【0007】
本開示の別の態様は、以下を備える細胞分析プラットフォームを提供する:複数の所定の細胞のクラスに対応する形態学的に区別されたクラスタにグループ化される複数のアノテーション付き単一細胞画像を有するデータベースを備える細胞形態アトラス(CMA);少なくとも形態学的特徴に基づいて異なる細胞のタイプ及び/又は状態を同定するために、前記CMAからのデータセットを使用して訓練及び検証された複数のモデルを含むモデリングライブラリ;及び(1)試料から採取された1つ以上の画像を分類するため、及び/又は(2)前記1つ以上の画像に基づいて前記試料の品質又は状態を評価するために、前記モデリングライブラリからの前記モデルの1つ以上を使用する分類器を備える分析モジュール。
【0008】
本開示の別の態様は、以下を備える方法を提供する:(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、複数の異なるイメージングモダリティを使用して捕捉された単一細胞の画像を含むステップ;(b)前記画像データを使用してモデルを訓練するステップ;及び(c)集束ツールの補助と共に前記モデルを使用し、試料が処理されている際に、流路内の試料中の1つ以上の細胞の空間的位置をリアルタイムで自動的に調整するステップ。
【0009】
本開示の別の態様は、以下を備える方法を提供する:(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、様々な焦点条件下で捕捉された単一細胞の画像を含む、ステップ;(b)前記画像データを使用してモデルを訓練するステップ;(c)前記モデルを使用して、試料が処理されている際に、流路内の前記試料中の1つ以上の細胞の1つ以上の画像の焦点を評価するステップ;及び(d)前記モデルにより評価された前記画像の焦点に基づき、イメージング焦点面をリアルタイムで自動的に調整するステップ。
【0010】
本開示の別の態様は、以下を備える方法を提供する:(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、複数の異なるイメージングモダリティを使用して捕捉された単一細胞の画像を含む、ステップ;(b)前記画像データを使用して画像処理ツールを訓練するステップ;及び(c)前記画像処理ツールを使用して、試料が処理されている際に、前記試料中の1つ以上の細胞の1つ以上の画像からアーチファクトを自動的に同定、説明、及び/又は除外するステップ。
【0011】
本開示の別の態様は、以下を備えるオンラインクラウドソーシングプラットフォームを提供する:複数の所与の細胞のクラスに対応する形態学的に区別されたクラスタにグループ化された複数の単一細胞画像を格納するデータベース;1つ以上のモデルを含むモデリングライブラリ;及びユーザのコミュニティのためのウェブポータルであって、前記ウェブポータルは、前記ユーザが(1)前記データベースへの1つ以上の既存画像若しくは新たな画像のアップロード、ダウンロード、検索、キュレート、アノテーション、若しくは編集、(2)前記データベースからのデータセットを使用する1つ以上のモデルの訓練若しくは検証、及び/又は(3)前記モデリングライブラリへの新たなモデルのアップロードを行うことを可能にするグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を備える、ウェブポータル。
【0012】
本開示の別の態様は、1つ以上のコンピュータプロセッサによる実行時に、上記又は本明細書の他の箇所のいずれかの方法を実施する機械実行可能コードを備える非一過性のコンピュータ可読媒体を提供する。
【0013】
本開示の別の態様は、1つ以上のコンピュータプロセッサと、それに結合されたコンピュータメモリとを備えるシステムを提供する。前記コンピュータメモリは、前記1つ以上のコンピュータプロセッサによる実行時に、上記又は本明細書の他の箇所のいずれかの方法を実施する機械実行可能コードを備える。
【0014】
本開示の別の態様は、対象における疾患原因を同定する方法を提供し、該方法は、以下を備える:(a)前記対象から生物学的試料を得るステップ;(b)前記試料を担体に懸濁し、前記生物学的試料の構成成分を(i)単一ラインに流し、(ii)前記担体に対して回転させるステップ;(c)前記構成成分のソートと実質的に同時に同定される少なくとも1つの形態学的特徴に基づいて、前記構成成分を少なくとも2つの集団にソートするステップ;及び(d)前記少なくとも2つの集団のうちの少なくとも1つの集団により示されるような前記対象の疾患原因を判定するステップ。
【0015】
本開示の追加的な態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され記載される以下の詳細な説明から、当業者に容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、様々な明白な点で修正が可能である。従って、図面及び説明は、本質的に例示的なものとみなされ、限定的なものとはみなされない。
【0016】
参照による組込み
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願、並びにNCBIアクセッション番号は、各個々の刊行物、特許、特許出願、又はNCBIアクセッション番号が、参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示される場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物及び特許、特許出願、又はNCBIアクセッション番号が、本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲においては、本明細書が、いずれのそのような矛盾する資料にも取って代わる、及び/又はそれらを優先することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の新規的な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に明らかにされている。本開示の特徴及び利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を明らかにする以下の詳細な説明、及び添付の図面(本明細書では「図(「Figure」及び「FIG」もまた)を参照することによって得られるであろう。
【0018】
【
図1】細胞を分類するための例示的な方法を概略的に図示する。
【
図2】細胞の画像データの分析データを表現する異なる方法を概略的に図示する。
【
図3】細胞の集団の画像データの分析の異なる表現を概略的に図示する。
【
図4】細胞の画像データを分析する方法とユーザが対話する方法を概略的に図示する。
【
図5】1つ以上の細胞の画像データを分析するための細胞分析プラットフォームを概略的に図示する。
【
図6】1つ以上の細胞をソートするためのマイクロ流体システムの一例を概略的に図示する。
【
図7】本明細書で提供される方法を実施するためにプログラムされる、又はその他の態様で構成されるコンピュータシステムを示す。
【
図8】
図8a~fは、1つ以上の細胞を分類及びソートするための例示的なシステムを概略的に図示する。
【
図9】
図9a~eは、モデル訓練、分析、及びソートモードの描写を示す。
【
図10】
図10a~mは、本明細書で開示される畳み込みニューラルネットワーク(CNN)細胞分類器の性能を示す。
【
図11】
図11a~dは、細胞形態のプロット及び分析の例を示す。
【
図12】
図12a~eは、細胞形態のプロット及び分析の追加例を示す。
【
図13】非小細胞肺がん(NSCLC)腺がん細胞に対する統合勾配アプローチの適用を表し、他の細胞のタイプとして推論することに反対するピクセルに加えて、NSCLCとして推論することを支持するピクセルを表す。
【
図14】
図9a及びbは、細胞のランダムソートの結果を図示する
【
図15】濃縮前と濃縮後の対照混合物におけるTP53遺伝子中のフレームシフト突然変異c.572_572delCの割合を示す。細胞株H522及びA549は、それぞれこのフレームシフト変異についてホモ接合体及び野生タイプである。
【
図16】対照DNA混合物における一塩基多型(SNP)ベースの混合分率の推定の精度を示す。各組成試料は2個体による250pgのバルクDNAを含んでおり、第2の個体からのDNAの混合比率は5%、10%、20%、30%、40%、60%、80%、及び90%に設定した。既知の混合比率と推定された混合比率の間には、密接な一致が見られた。
【
図17】全血への40細胞/mlのスパイクインから、本明細書に開示されたソートプラットフォームを使用して濃縮されたA549細胞の純度の判定を示す。純度及び血液試料の遺伝子型は、期待値最大化(EM)アルゴリズムを用いて推定した。緑色の三角形、青色の菱形、及び赤色の円は、スパイクイン混合物のベースとして使用した血液試料におけるAA、AB、及びBB遺伝子型をそれぞれ意味し、点線は、推定純度43%における3つの血液遺伝子型の予想される対立遺伝子分率を示し、これは線の傾きでもある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の様々な実施形態が本明細書に示され、記載されてきたが、そのような実施形態が例示としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。当業者は、本開示から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換が起こし得る。本明細書に記載される本開示の実施形態に対する様々な代替が採用され得ることが理解されるべきである。
【0020】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本出願が支配する。また、文脈上別段の定めがない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0021】
I.概要
【0022】
細胞の一つ以上の形態学的性質は、例えば、細胞のタイプ及び細胞の状態を研究するため、又は疾患を診断するために使用することができる。いくつかの場合、細胞の形状は細胞周期のマーカーの一つとすることができる。真核細胞は、出芽又は分裂を起こす酵母細胞などのように、細胞周期に依存し得る形状の物理的変化を示すことができる。いくつかの場合、細胞の形状は細胞の状態の指標となり得、かくして、臨床診断に使用される指標となり得る。いくつかの場合、血球の形状は、多くの臨床状態、疾患、薬剤のために変化することがある(例えば、寄生虫感染から生じた赤血球の形態の変化)。細胞を分析するために使用することができる細胞の形態学的性質の追加的な例は、細胞膜の特徴、核対細胞質比、核外被形態、及びクロマチン構造を含むが、これらに限定されない。本明細書で提供される方法、システム、及びデータベースは、細胞のこのような形態学的性質に基づいて(例えば、単独で)細胞(例えば、以前に特徴付けされていない細胞又は未知の細胞)を分析するために使用することができる。
【0023】
細胞の1つ以上の画像と、そこから抽出された細胞の1つ以上の形態学的特徴とに基づいて細胞を分析することは、細胞を分析(例えば、同定)する他の利用された方法(例えば、DNA分析又はゲノミクス、RNA分析又はトランスクリプトミクス、タンパク質分析又はプロテオミクス、代謝物分析又はメタボロミクスなど)に依存する必要なく、分析の精度を維持又は向上させながら、細胞分析システム及び方法の速度並びに/又は拡張性を向上することができる。いくつかの場合、形態学的特徴に基づく細胞の集団の分析は、他の方法では同定されないような細胞又は細胞の集まり(例えば、細胞のクラスタ)を定義するための固有の、又は新たなパラメータを発見することができる。
【0024】
II.細胞分析のための方法及びプラットフォーム
【0025】
本開示は、様々な方法、例えば細胞を分析又は分類するための方法、及びそのような方法を行なうために使用可能な、又は実行可能なプラットフォームについて記載する。本方法は、複数の細胞の画像データを得るステップを備えることができ、ここで画像データは、単一細胞のタグなし画像を含む。本方法は、細胞形態マップ(例えば、1つ以上の細胞形態マップ)を生成するために画像データを処理するステップを更に備えることができる。細胞形態マップは、細胞の異なるタイプ又は状態に対応する複数の形態学的に区別されたクラスタを含むことができる。本方法は、細胞形態マップを使用して分類器(例えば、細胞クラスタリング機械学習アルゴリズム又は深層学習アルゴリズム)を訓練することを更に備えることができる。いくつかの場合、分類器を、形態学的に区別されたクラスタの1つ以上とのその近接性、相関性、又は共通性に基づいて細胞画像試料を分類する(例えば、自動的に分類する)ように構成することができる。このように、いくつかの場合、本方法は、細胞画像試料を適宜分類(例えば、自動的に分類)するために分類器を使用することを更に備えることができる。
【0026】
本明細書で使用する細胞の「形態(morphology)」という用語は、一般的に細胞の形、構造、及び/又は構成を指す。細胞の形態は、例えば、形状、サイズ、配列、形、構造、細胞の一つ以上の内部及び/若しくは外部部分のパターン、又は陰影(例えば、色、グレースケールなど)などのような細胞の外観の一つ以上の側面を含むことができる。細胞の形状の非限定的な例は、円形、楕円形、シュモー状、ダンベル状、星状、平板状、鱗片状、柱状、侵襲状、1つ以上の凹状に形成された壁を有するもの、1つ以上の凸状に形成された壁を有するもの、延長されたもの、付属器を有するもの、繊毛を有するもの、角度を有するもの、角を有するものなどを含むことができるが、これらに限定されない。細胞の形態学的特徴は、細胞の治療(例えば、低分子染色又は抗体染色)と共に視覚化されてもよい。あるいは、細胞の形態学的特徴は、画像又は映像で視覚化されるような治療を必要としない場合があり、かつ必要ではない。
【0027】
本明細書で使用する「タグ」という用語は、一般的に、蛍光、分光、光化学、生化学、免疫化学、電気、光学、化学、又は他の手段により検出可能な異種組成物を指す。タグは、例えば、ポリペプチド(例えば、抗体又はそのフラグメント)、標的核酸配列と少なくとも部分的な相補性を提示する核酸分子(例えば、デオキシリボ核酸、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)分子))、又は標的エピトープに結合するように構成される小分子(例えば、ポリペプチド配列、ポリヌクレオチド配列、1つ以上の多糖部分)であり得る。いくつかの場合、タグは、色素(例えば、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、Quantum Dots、CY3及びCY5)、ビオチン-ストレプトアビジン結合体、磁気ビーズ、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、及びそれらのような)、放射性標識(例えば、3H、125I、35S、14C、又は32P)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、及びELISAで一般的に使用されるその他)、並びにコロイド状金又は着色ガラス若しくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどのような熱量ラベルなどのような1つ以上の光学的に検出可能な部位で官能基化(例えば、共有結合的又は非共有結合的に)され得る。いくつかの場合、検出可能部位の有無にかかわらず、本明細書に開示されるようなタグは、例えば、写真フィルム又はシンチレーションカウンタを使用する(例えば、放射性標識の場合)、光検出器を使用する(例えば、蛍光マーカーの場合)、酵素を提供する(例えば、酵素的に修飾可能な基質の場合)などにより検出され得る。あるいは、又はそれに加えて、タグは、目的の細胞の遺伝情報、例えば、細胞の1つ以上の画像を捕捉した後に得られた遺伝情報を含む任意のデータの表現であり得る。
【0028】
本明細書で使用する「クラスタ」という用語は、あるグループ(例えば、第1のクラスタ)のデータポイントが他のグループ(例えば、第2のクラスタ)のデータポイントよりも互いに類似しているような、データポイントのグループを一般的に指す。クラスタは、データポイントの近接性に基づいて、クラスタの中心傾向の測定に対して一緒にグループ化された類似のデータポイント(例えば、各データポイントは細胞又は細胞の画像を表す)のグループとすることができる。例えば、細胞の集団は、各細胞の1つ以上の形態学的性質に基づいて(例えば、各細胞の1つ以上の画像を分析することによって)分析することができ、各細胞は、各細胞の1つ以上の形態学的性質に基づいてマップ上にデータポイントとしてプロットすることができる。続いて、データポイントの近接性に基づいて、複数のデータポイントを含む1つ以上のクラスタを作成する。各クラスタの中心傾向は、1つ以上のアルゴリズム(例えば、階層クラスタリングモデル、K平均アルゴリズム、統計分布モデルなど)により測定することができる。例えば、中心傾向の測定はクラスタの算術平均であってもよく、この場合、データポイントは、クラスタ中の平均値への近接性(例えば、K平均クラスタリング)、それらの相関性、又はそれらの共通性に基づいてつなぎ合わされる。
【0029】
本明細書で使用する「分類器」という用語は、一般的に、学習モデルを使用し、訓練データセット(例えば、特定のクラスの例を備えるデータセット)上で学習アルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)を適用することにより訓練することができる分析モデル(例えば、メタモデル)を指す。いくつかの場合、各々が特定のクラス(例えば、特定の細胞のタイプ又はクラス)に属するとマークされた訓練例/ケースのセットが与えられると、訓練アルゴリズムは、新たな例/ケース(例えば、細胞又は細胞のグループの新たなデータポイント)をあるカテゴリ又はもう一方のカテゴリに割り当てる能力を有する分類器モデルを構築することができる(例えば、モデルを非確率的分類器にさせるために)。いくつかの場合、分類器モデルは新たなカテゴリを作成し、新たな例/ケースを新たなカテゴリに割り当てる能力を有することができる。いくつかの場合、分類器モデルは、訓練モデルに基づいて生成される実際に訓練された分類器とすることもできる。
【0030】
本明細書で使用される「細胞のタイプ」という用語は、一般に、由来の組織及び種、分化状態、健常/正常又は病的か、細胞周期のステージ、生存力などのような1つ以上の基準に従った細胞の種類、同一性、又は分類を指す。非限定的な例では、「細胞のタイプ」という用語は、胚性幹細胞、神経前駆細胞、筋芽細胞、中胚葉細胞などのような、特定の種類の細胞を特に指すことができる。
【0031】
本明細書で使用される「細胞の状態」という用語は、一般的に、活性化された神経細胞又は免疫細胞などのような活性化細胞、休眠中の神経細胞又は免疫細胞などのような休眠細胞、分裂中の細胞、静止中の細胞、又は細胞周期のいずれかのステージにある細胞などのように、細胞の特定の状態を指すが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で使用される「細胞周期」という用語は、一般的に、細胞が分裂(例えば、増殖)するときに起こる変化の生理学的及び/又は形態学的な進行を指す。細胞周期の異なるフェーズの例には、「間期」、「前記」、「中期」、「後期」、及び「終期」を含むことができる。加えて、細胞周期の一部は「M(有糸分裂)」、「S(合成)」、「G0」、「G1(ギャップ1)」、「G2(ギャップ2)」であり得る。さらに、細胞周期は、上記の名称の相の中間的な進行の期間を含むことができる。
【0033】
図1は、細胞を分類するための例示的な方法を概略的に図示する。本方法は、単一細胞のタグなし画像/動画を含む画像データ110(例えば、単一細胞のタグなし画像/動画からなる画像データ110)を処理するステップを備えるなることができる。本明細書に開示されるような様々なクラスタリング分析モデル120を使用して、画像データ110を処理して、画像データ110から細胞の1つ以上の形態学的性質を抽出し、抽出された1つ以上の形態学的性質に基づいて細胞形態マップ130Aを生成することができる。例えば、細胞形態マップ130Aは、次元1と次元2として2つの形態学的性質に基づいて生成することができる。細胞形態マップ130Aは、データポイントの1つ以上のクラスタ(例えば、クラスタA、B、及びC)を含むことができ、各データポイントは画像データ110からの個々の細胞を表す。細胞形態マップ130A及びその中のクラスタA~Cは、分類器150を訓練するために使用することができる。続いて、新たな細胞の新たな画像140を得て、訓練された分類器150により処理して、細胞画像140から1つ以上の形態学的特徴を自動的に抽出して分析し、それをデータポイントとして細胞形態マップ130A上にプロットすることができる。細胞形態マップ130A上の1つ以上の形態学的に区別されたクラスタA~Cの近接性、相関性、又は共通性に基づいて、分類器150は新たな細胞を自動的に分類することができる。分類器150は、新たな画像データ140中の細胞がクラスタCに属する確率(例えば、新たな画像データ140中の細胞が他のクラスタA/BよりもクラスタCと1つ以上の共通点及び/又は特徴を共有する可能性)を判定することができる。例えば、分類器150は、タグなし画像140及びそこから抽出された細胞の1つ以上の形態学的特徴の分析のみに基づいて、新たな画像データ140中の細胞がクラスタCに属する確率が95%、クラスタBに属する確率が1%、クラスタAに属する確率が4%であると判定し、報告することができる。
【0034】
本明細書で開示されるような1つ以上の細胞の画像及び/又は映像(例えば、複数の画像及び/又は映像)(例えば、
図1の画像データ110のそれ)は、細胞が流体(例えば、緩衝液などのような水性液体)中に浮遊している間、及び/又は細胞が移動している間(例えば、マイクロ流路を横切って搬送されている間)に捕捉することができる。例えば、細胞はゲル状又は固体状の媒質中に懸濁されていなくてもよく、懸濁させる必要もない。液体は、細胞の自然環境と異種である液体を含むことができる。例えば、対象の血液からの細胞は、(i)血液の少なくとも一部と(ii)血液と異種である緩衝液とを含む液体に懸濁させることができる。細胞は、固定化(例えば、固体組織に埋め込む、若しくは組織学用にスライドガラスなどのような顕微鏡用スライドに貼り付けする)させなくてもよく、又は基質に付着させなくてもよい。細胞は、細胞の画像及び/又は映像が捕捉されるとき、その自然環境又はニッチ(例えば、人為的な介入によって対象から回収されない場合、その細胞がいるであろう組織の一部)から単離されていてもよい。例えば、画像及び/又は映像は、組織学的なイメージングからのものでない場合があり、かつ組織学的なイメージングからのものである必要もない。細胞の画像及び/又は映像を得る前に、細胞はスライス又は切片化されていない場合があり、またその必要もなく、そのように、画像及び/ 又は映像の捕捉中、細胞は全体として実質的に無傷のままであってもよい。
【0035】
画像データが処理されるとき、例えば細胞の1つ以上の形態学的特徴を抽出するために、各細胞画像は、抽出された1つ以上の形態学的特徴及び/又は細胞画像が特定のクラスタに属するという情報(例えば確率)をアノテーションしてもよい。
【0036】
細胞形態マップは、データポイントの1つ以上のクラスタを視覚的(例えば、グラフィカル)に表現することができる。細胞形態マップは、1次元(1D)表現(例えば、1つのパラメータ又は次元としての1つの形態学的性質に基づく)、又は2次元(2D)表現(例えば、2つのパラメータ又は次元としての2つの形態学的性質に基づく)、3次元(3D)表現(例えば、3つのパラメータ又は次元としての3つの形態学的性質に基づく)、4次元(4D)表現などのような多次元表現とすることができる。いくつかの場合、細胞形態マップをブロッティングするために使用される複数の形態学的性質のうちの1つの形態学的性質を、区別可能な色(例えば、ヒートマップ)、数字、文字(例えば、1つ以上の言語のテキスト)、及び/又は記号(例えば、正方形、楕円形、三角形、四角形など)などのような非軸パラメータ(例えば、x軸、y軸、又はz軸でないもの)として表現することができる。例えば、ヒートマップは、細胞のクラス、細胞のタイプ、又は細胞の状態に対する各細胞の分類器予測パーセンテージを表現するための比色スケールとして使用することができる。
【0037】
細胞形態マップは、処理された画像データから1つ以上の形態学的特徴(例えば、特性、プロファイル、指紋など)に基づいて生成することができる。本明細書に開示されるような、細胞の1つ以上の画像から抽出され得る細胞の1つ以上の形態学的性質の非限定的な例としては、(i)細胞又は細胞の1つ以上の構成要素(例えば、細胞膜、核、ミトコンドリア)の形状、曲率、サイズ(例えば、直径、長さ、幅、円周)、面積、体積、テクスチャ、厚さ、丸みなど、(ii)細胞内の細胞の1つ以上のコンテンツ(例えば、細胞膜、核、ミトコンドリアなど)の数又は位置(中心、中心ずれなど)、(iii)細胞又はその一部に対応する画像の領域(例えば、画像内の独特なピクセルのグループ)の光学特性(例えば、発光、透過、反射、吸光度、蛍光、発光など)。
【0038】
本明細書に開示されるクラスタリングの非限定的な例としては、ハードクラスタリング(例えば、細胞がクラスタに属するか否かを判定すること)、ソフトクラスタリング(例えば、細胞が各クラスタに属する可能性を一定程度判定すること)、厳密パーティショニングクラスタリング(例えば、各細胞が確実に1つのクラスタに属するか否かを判定すること)、外れ値付き厳密パーティショニングクラスタリング(例えば、セルがどのクラスタにも属さないか否かも判定する)、重複クラスタリング(例えば、セルが複数のクラスタに属するか否かを判定する)、階層クラスタリング(例えば、子クラスタに属するセルが親クラスタにも属するか否かを判定する)、及び部分空間クラスタリング(例えば、クラスタが重複しないと予期されるか否かを判定する)。
【0039】
本明細書で開示されるような細胞クラスタリング及び/又は細胞形態マップの生成は、細胞の単一の形態学的性質に基づくことができる。あるいは、細胞クラスタリング及び/又は細胞形態マップの生成は、細胞の複数の異なる形態学的性質に基づくことができる。いくつかの場合、細胞の複数の異なる形態学的性質は同じ重み又は異なる重みを有することができる。重みは、本明細書に開示されるように、(i)1つ以上の細胞クラスタを生成するため、(ii)細胞形態マップを生成するため、又は(iii)新たな細胞画像を分析し、細胞画像を分類するため、に分類器を訓練する際、又は使用する際に、各形態学的性質の互いに相対的な重要性又は影響力を示す値とすることができる。例えば、細胞の形状に50%、細胞の面積に40%、細胞膜のテクスチャ(例えば粗さ)に10%の重み付けをすることにより、細胞クラスタリングを行うことができる。いくつかの場合、本明細書に開示される分類器は、新たな細胞画像データの分析中に細胞の複数の異なる形態学的性質の重みを調整し、それによって最適な細胞クラスタリング及び細胞形態マップをもたらすように構成することができる。異なる重みを有する複数の異なる形態学的性質は、細胞のクラスタリング及び/又は細胞形態マップの生成のために同じ分析ステップ中に利用することができる。
【0040】
複数の異なる形態学的性質は階層的に分析することができる。いくつかの場合、第1の形態学的性質は、パラメータとして使用して、複数の細胞の画像データを分析し、クラスタの初期セットを生成することができる。続いて、第2の異なる形態学的性質は、(i)クラスタの初期セットを修正する(例えば、クラスタの初期セット間の配列を最適化する、クラスタの初期セットのいくつかのクラスタを再グループ化するなど)ため、及び/又は(ii)クラスタの初期セットのクラスタ内に複数のサブクラスタを生成するために、第2のパラメータとして使用することができる。いくつかの場合、第1の形態学的性質は、複数の細胞の画像データを分析してクラスタの初期セットを生成し、1次元細胞形態マップを生成するために、パラメータとして使用することができる。続いて、第2の形態学的性質は、1次元細胞形態マップのクラスタを更に分析し、クラスタを修正して2次元細胞形態マップ(例えば、第1の形態学的性質に基づく第1の軸パラメータと第2の形態学的性質に基づく第2の軸パラメータ)を生成するために、パラメータとして使用することができる。
【0041】
本明細書に開示されるような階層クラスタリングのいくつかの場合では、画像データから抽出される初期形態学的特徴に基づいてクラスタの初期セットを生成することができ、クラスタの初期セットの1つ以上のクラスタは、初期形態学的特徴の第2の形態学的特徴又はサブ特徴に基づく複数のサブクラスタを含むことができる。例えば、初期形態学的特徴は幹細胞とすることができ(又はそうでない)、サブ特徴は異なるタイプの幹細胞(例えば、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、間葉系幹細胞、筋肉幹細胞など)とすることができる。別の例では、初期はがん細胞とすることができ(又はそうでない)、サブ特徴は異なるタイプのがん細胞(例えば、肉腫細胞、肉腫細胞、白血病細胞、リンパ腫細胞、多発性骨髄腫細胞、黒色腫細胞など)とすることができる。別の例では、初期はがん細胞とすることができ(又はそうでない)、サブ特徴はがん細胞の異なるステージ(例えば、休止期、増殖期、アポトーシス期など)とすることができる。
【0042】
各データポイントは、個々の細胞又は複数の細胞の集まり(例えば、少なくとも又は最大で約2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個の細胞)を表すことができる。各データポイントは個々の画像(例えば、単一細胞又は複数の細胞の)又は複数の画像の集まり(例えば、同じ単一細胞又は異なる細胞の少なくとも若しくは最大で約2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個の画像)を表すことができる。
【0043】
細胞形態マップは、少なくとも又は最大で約1、少なくとも又は最大で約2、少なくとも又は最大で約3、少なくとも又は最大で約4、少なくとも又は最大で約5、少なくとも又は最大で約6、少なくとも又は最大で約7、少なくとも又は最大で約8、少なくとも又は最大で約9、少なくとも又は最大で約10、少なくとも又は最大で約15、少なくとも又は最大で約20、少なくとも又は最大で約30、少なくとも又は最大で約40、少なくとも又は最大で約50、少なくとも又は最大で約60、少なくとも又は最大で約70、少なくとも又は最大で約80個、少なくとも又は最大で約90個、少なくとも又は最大で約100、少なくとも又は最大で約150、少なくとも又は最大で約200、少なくとも又は最大で約300、少なくとも又は最大で約400、少なくとも又は最大で約500のクラスタを含むことができる。
【0044】
本明細書に開示されるような各クラスタは、複数のサブクラスタ、例えば、少なくとも又は最大で約2、少なくとも又は最大で約3、少なくとも又は最大で約4、少なくとも又は最大で約5、少なくとも又は最大で約6、少なくとも又は最大で約7、少なくとも又は最大で約8、少なくとも又は最大で約9、少なくとも又は最大で約10、少なくとも又は最大で約15、少なくとも又は最大で約20、少なくとも又は最大で約30、少なくとも又は最大で約40、少なくとも又は最大で約50、少なくとも又は最大で約60、少なくとも又は最大で約70、少なくとも又は最大で約80、少なくとも又は最大で約90個、少なくとも又は最大で約100、少なくとも又は最大で約150、少なくとも又は最大で約200、少なくとも又は最大で約300、少なくとも又は最大で約400、少なくとも又は最大で約500のサブクラスタを含むことができる。
【0045】
クラスタ(又はサブクラスタ)は、同じタイプ/状態のセルを表すデータポイントを含むことができる。あるいは、クラスタ(又はサブクラスタ)は、異なるタイプ/状態の細胞を表すデータポイントを含むことができる。
【0046】
クラスタ(又はサブクラスタ)は、例えば、少なくとも又は最大で約1、少なくとも又は最大で約2、少なくとも又は最大で約3、少なくとも又は最大で約4、少なくとも又は最大で約5、少なくとも又は最大で約6、少なくとも又は最大で約7、少なくとも又は最大で約8、少なくとも又は最大で約9、少なくとも又は最大で約10、少なくとも又は最大で約15、少なくとも又は最大で約20、少なくとも又は最大で約30、少なくとも又は最大で約40、少なくとも又は最大で約50、少なくとも又は最大で約60、少なくとも又は最大で約70、少なくとも又は最大で約80、少なくとも又は最大で約90個、少なくとも又は最大で約100、少なくとも又は最大で約150、少なくとも又は最大で約200、少なくとも又は最大で約300、少なくとも又は最大で約400、少なくとも又は最大で約500、少なくとも又は最大で約1000、少なくとも又は最大で約2000、少なくとも又は最大で約3000、少なくとも又は最大で約4000、少なくとも又は最大で約5000、少なくとも又は最大で約10000、少なくとも又は最大で約50000、又は少なくとも又は最大で約100000のデータポイントを含むことができる。
【0047】
2つ以上のクラスタは、細胞形態マップで重なっていてもよい。あるいは、どのクラスタも、細胞形態マップでクラスタが重ならなくてもよい。いくつかの場合、2つ以上のクラスタ間の重複の許容度は、処理されるべき画像データ中のデータの質、状態、又はサイズに応じて(例えば、手動又は機械学習アルゴリズムにより自動的に)調整可能であってもよい。
【0048】
本明細書で開示するクラスタ(又はサブクラスタ)は、境界(例えば、実線又は破線)で表すことができる。あるいは、クラスタ又はサブクラスタは、境界で表現されていない場合があり、かつ境界で表現される必要もなく、互いの近接性に基づいて他のクラスタサブクラスタと区別可能であってもよい。
【0049】
クラスタ(若しくはサブクラスタ)又はクラスタに関する情報を含むデータは、1つ以上のアノテーションスキーマ(例えば、所定のアノテーションスキーマ)に基づいてアノテーションすることができる。このようなアノテーションは、手動(例えば、本明細書に開示される方法若しくはシステムのユーザにより)又は自動(例えば、本明細書に開示される機械学習アルゴリズムのいずれかにより)とすることができる。クラスタリングのアノテーションは、クラスタを生成するため、又はクラスタに1つ以上のデータポイントを割り当てるために分析された細胞の1つ以上の形態学的性質(例えば、細胞の形状、細胞の面積、光学的特性など)に関係させることができる。あるいは、クラスタリングのアノテーションは、クラスタを生成するため、若しくは1つ以上のデータポイントをクラスタに割り当てるために使用又は分析されていない情報(例えば、ゲノミクス、トランスクリプトミクス、又はプロテオミクスなど)に関係させることもできる。このような場合、アノテーションを利用して、各クラスタに情報の追加的な「層」を追加することができる。
【0050】
いくつかの場合、1人以上のユーザが、本明細書に記載の方法の任意の処理を修正することを可能にする対話型アノテーションツールを提供することができる。例えば、対話型アノテーションツールは、ユーザが形態学的に区別されたクラスタをキュレート、検証、編集、及び/又はアノテーションすることを可能にすることができる。別の例では、対話型アノテーションツールは、画像データを処理し、画像データから1つ以上の形態学的特徴を抽出し、クラスタ及び/又は細胞形態マップを生成するための基礎として使用される抽出された形態学的特徴の1つ以上をユーザが選択できるようにすることができる。クラスタ及び/又は細胞形態マップの生成後、対話型アノテーションツールは、(i)所定のアノテーションスキーマ、又は(ii)新たなユーザ定義のアノテーションスキーマを使用して、ユーザが各クラスタ及び/又は細胞形態マップにアノテーションすることを可能にすることができる。別の例では、対話型アノテーションツールは、クラスタリング及び/又はマッププロットのために、ユーザが異なる形態学的特徴に異なる重みを割り当てることを可能にすることができる。別の例では、対話型アノテーションツールは、クラスタリング及び/又はマッププロットのために、使用するべきイメージングデータ(若しくはどの細胞)、及び/又は破棄するべきイメージングデータ(若しくはどの細胞、細胞塊、アーチファクト、若しくは破片)をユーザが選択することを可能にすることができる。ユーザは、誤ってクラスタ化された細胞を手動で同定することができ、又は、機械学習アルゴリズムは、各クラスタ内の細胞の確率値若しくは相関値を提供し、異常値(例えば、クラスタの確率値/相関値の結果を一定の割合の値で変化させるデータポイント)を同定することができる。このように、ユーザは対話型アノテーションツールを介して外れ値を移動させ、細胞形態マップを更に調整し、例えば「より高い解像度」のマップをもたらすように選択することができる。
【0051】
本明細書に開示されるような1つ以上の細胞形態マップは、本明細書に開示されるような1つ以上の分類器(例えば、少なくとも又は最大で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の分類器)を訓練するために使用することができる。各分類器は、細胞の1つ以上の画像を分析し(例えば、細胞の1つ以上の形態学的特徴を抽出するために)、細胞を(例えば、細胞の状態のタイプに基づいて)細胞の1つ以上の判定されたクラス又はカテゴリにカテゴリ化(又は分類)するように訓練することができる。あるいは、分類器は、例えば、その細胞が他の細胞の既存のどのカテゴリとも形態的に区別されると判定したとき、その細胞を新たなカテゴリにカテゴリ化(又は分類)するために新たなカテゴリを作成するように訓練することができる。
【0052】
本明細書で開示する機械学習アルゴリズムは、細胞の画像データから細胞の1つ以上の形態学的特徴を抽出するように構成することができる。機械学習アルゴリズムは、抽出された形態学的特徴に基づいて新たなデータセットを形成することができ、新たなデータセットは細胞の元の画像データを含んでいない場合があり、かつ含んでいる必要はない。いくつかの例では、画像データの元の画像のレプリカは、例えば、画像データの画像の完全性を保つために、例えば、新たな画像のいずれかを訓練に使用する前に、本明細書に開示するデータベースに格納することができる。いくつかの例では、画像データ中の元の画像の処理された画像は、分類器訓練の間又はそれに続いて、本明細書に開示されるデータベースに格納することができる。いくつかの実施例では、本明細書に開示されるように新たに抽出された形態学的特徴のいずれかを、ユーザにとって目的の細胞又は細胞の集団の新たな分子マーカーとして利用することができる。本明細書で開示される細胞分析プラットフォームは、処理された細胞の非形態学的データ(例えば、ゲノミクスデータ、トランスクリプトミクスデータ、プロテオミクスデータ、メタボロミクスデータ)を含む1つ以上のデータベースと動作可能に結合され得るので、新たに抽出された形態学的特徴を提示する細胞の選択された集団を、それらの非形態学的性質により、更に分析して、細胞の選択された集団では共通であるが他の細胞では共通でない目的のタンパク質又は遺伝子を同定し、それにより、そのような目的のタンパク質又は遺伝子を、細胞のそのように選択された集団を同定するために使用することができる新たな分子マーカーであると判定することができる。
【0053】
いくつかの場合、本明細書に開示されるような1つ以上の細胞形態マップの少なくとも一部を訓練データセットとして機械学習アルゴリズムに適用することにより、分類器を訓練することができる。分類器を訓練するための機械学習アルゴリズムの非限定的な例としては、教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習、強化学習、自己学習、特徴学習、異常検出、アソシエーションルールなどを含むことができる。いくつかの場合、分類器は、そのような訓練データセット上で1つ以上の学習モデルを使用することにより、訓練することができる。学習モデルの非限定的な例としては、人工ニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク、Uネットアーキテクチャニューラルネットワークなど)、バックプロパゲーション、ブースティング、決定木、サポートベクトルマシン、回帰分析、ベイジアンネットワーク、遺伝的アルゴリズム、カーネル推定器、条件付きランダムフィールド、ランダムフォレスト、分類器のアンサンブル、最小複雑度機械(MCM)、おそらくほぼ正しい学習(PACT)などを含むことができる。
【0054】
いくつかの場合、ニューラルネットワークは、AlexNet、VGGNet、GoogLeNet、ResNet(残差ネットワーク)、DenseNet、及びInceptionネットワークなどのようなニューラルネットワークの改造により設計される。いくつかの例では、強化されたニューラルネットワークは、ResNet(例えば、ResNet18、ResNet34、ResNet50、ResNet101、及びResNet152)又はインセプションネットワークの改造により設計される。いくつかの態様において、改造は、主に推論時間及び/又は推論精度を含む改善をするために遂行される一連のネットワークサージェイオペレーションを含む。
【0055】
本明細書に開示されるような機械学習アルゴリズムは、1つ以上のクラスタリングアルゴリズムを利用して、同じクラスタ内の物体が他のクラスタ内の物体よりも(1つ以上の形態学的特徴において)互いに類似し得ることを判定することができる。クラスタリングアルゴリズムの非限定的な例は、接続性モデル(例えば、階層的クラスタリング)、セントロイドモデル(例えば、K平均アルゴリズム)、分布モデル(例えば、期待値最大化アルゴリズム)、密度モデル(例えば、ノイズを伴うアプリケーションの密度ベースの空間クラスタリング(DBSCAN)、クラスタリング構造を同定するための点の整列(OPTICS))、部分空間モデル(例えば、バイクラスタリング)、グループモデル、グラフベースモデル(例えば、高連結部分グラフ(HCS)クラスタリングアルゴリズム)、単一グラフモデル、及びニューラルモデル(例えば、教師なしニューラルネットワークを使用)を含むが、これらに限定されない。機械学習アルゴリズムは、複数のモデルを、例えば、等しい重みで、又は異なる重みで利用することができる。
【0056】
いくつかの場合、教師なし及び自己教師ありのアプローチを使用して、細胞の画像データのラベリングを迅速化することができる。教師なしの場合、細胞画像のために埋め込み(embedding)を生成することができる。例えば、埋め込みは、元の画像データよりも次元を下げた空間における画像の表現とすることができる。このような埋め込みは、互いに類似する画像をクラスタリングするために使用することができる。このように、ラベラーは細胞を一括してラベリングするように構成することができ、1つ以上の細胞を手動でラベリングするのに比べてスループットを向上させることができる。
【0057】
いくつかの場合、自己教師あり学習の場合では、細胞の画像データのラベリングに、試料に関する付加的なメタ情報(例えば、追加的な非形態学的情報)(例えば、試料を提供した患者にどのような疾患が知られているか、又は関連しているか)を使用することができる。
【0058】
いくつかの場合、埋め込みの生成には、所定の細胞のタイプについて訓練されたニューラルネットを使用することができる。本明細書で説明する埋め込みを生成するために、所定の画像データ(例えば、既知の細胞のタイプ及び/又は状態の画像データ)について訓練されたニューラルネットの中間層を使用することができる。訓練されたモデル/分類器に画像データ/試料データの十分な多様性を提供することにより、この方法は将来、細胞をクラスタリングする正確な方法を提供することができる。
【0059】
いくつかの場合、埋め込みの生成は異なるタスクのために訓練されたニューラルネットを使用することができる。本明細書で記載する埋め込みを生成するために、異なるタスクのために訓練されたニューラルネットの中間層(例えば、ImageNetなどのような正規のデータセットで訓練されたニューラルネット)を使用する。理論に拘泥せずに述べると、これは、画像データをラベリングする際に除去しなければ導入される可能性のあるバイアスを除去しながら、画像分類に重要である特徴(例えば、エッジ及び曲線)に焦点を当てることを可能にすることができる。
【0060】
いくつかの場合、埋め込みの生成にオートエンコーダを使用することができる。本明細書で記載する埋め込みを生成するために、オートエンコーダを使用することができ、この場合、入力と出力は実質的に同じ画像とすることができ、埋め込みを抽出するためにスクイーズ層を使用することができる。スクイーズ層は、モデルに画像のより小さな表現を学習させることができ、このより小さな表現は、(例えば出力として)画像を再現するのに十分な情報を有する場合がある。
【0061】
いくつかの場合、本明細書で開示するような画像データ又は細胞のクラスタリングベースのラベリングのために、拡張訓練データセットを使用することができる。訓練データセットの拡張に伴い、例えば、ラベリングミスの累積によるモデル性能の低下を回避するために、ラベリングの1回以上の改定(例えば、手動の再ラベリング)が必要となる場合がある。このような手動の再ラベリングは、大規模では実行不可能であり、かつデータのランダムなサブセットに対してされるとき効果がない場合がある。かくして、再ラベリングの可能性のある画像を系統的に表面化するために、例えば、他のクラスのメンバーとクラスタ化する場合があるラベル付き画像を同定するために、類似の埋め込みベースのクラスタリングを使用することができる。このような例は、不正確又は曖昧なラベルが濃縮されている可能性が高く、これを(例えば、自動又は手動で)除去することができる。
【0062】
いくつかの場合、適応的画像補強(adaptive image augmentation)を使用することができる。本明細書で開示されるモデル及び分類器を画像データ中のアーチファクトに対してより頑健にするために、(1)アーチファクトを有する1つ以上の画像を同定することができ、(2)アーチファクトを有する同定されたそのような画像を(例えば、モデル/分類器を訓練するための)訓練パイプラインに追加することができる。アーチファクトを有する画像を同定することは、(1a)細胞をイメージングしている間に、画像フレームの1つ以上の追加セクションを切り取ることができ、このフレームは、細胞なしの背景のみを含んでいることが期待されること;(2a)背景画像は、1つ以上の特性(例えば、明るさなどのような光学的特性)における任意の変化をチェックすることができること;及び(3a)特性にそのような変化を有する1つ以上の画像にフラグを付ける/ラベリングすること;を備えることができる。同定された画像を訓練パイプラインに追加することは、(2a)変更された特性(例えば、背景中央値色)の平均特徴を最初に計算することにより、増強としてフラグ付け/ラベリングされた1つ以上の画像を追加すること;(2b)画像データから平均特徴を減算する(例えば、画像の各ピクセルについて中央値を減算する)ことによりデルタ画像を作成すること;(3c)デルタ画像を訓練パイプラインに追加すること;を備えることができる。
【0063】
細胞形態マップの1つ以上の次元は、例えば、主成分分析(PCA)、多次元スケーリング(MDS)、t-分布確率的近傍埋め込み(t-SNE)、及び一様多様体近似及び投影(UMAP)などの様々なアプローチ(例えば、次元削減アプローチ)により表すことができる。例えば、UMAPは次元削減のための機械学習技法である。UMAPは、リーマン幾何学と代数的位相幾何学に基づく理論的枠組みから構築することができる。UMAPは、1つ以上の細胞の形態学的性質などのような、実世界のデータに適用される実用的な拡大縮小可能なアルゴリズムに利用することができる。
【0064】
本明細書で開示される細胞形態マップは、1つ以上の形態学的特徴のオントロジーを備えることができる。オントロジーは、画像データから分析された様々なデータポイント(例えば、各々が細胞を表す)間の関係を表すための代替媒体とすることができる。例えば、オントロジーは、ノードがエッジによりリンクされ得る情報のデータ構造とすることができる。エッジは2つのノード間の関係を定義するために使用できる。例えば、細胞形態マップはサブクラスタを備えるクラスタを含むことができ、クラスタとサブクラスタとの関係はノード/エッジオントロジーで表現することができる(例えば、エッジは、サブクラスの、属の、一部の、幹細胞の、分化した、子孫の、病的状態の、標的、勧誘、相互作用する、同じ組織、異なる組織などのような関係を記述するため使用することができる)。
【0065】
いくつかの場合、形態学とゲノミクスの1対1のマッピングが利用できる。単一細胞の画像、又は複数の「類似の見た目の」細胞の画像を、その/それらの分子プロファイル(例えば、ゲノミクス、プロテオミクス、トランスクリプトミクスなど)にマッピングすることができる。いくつかの例では、分類器ベースのバーコード化が行われ得る。各ソートイベント(例えば、陽性分類器)は、独特のバーコード(例えば、核酸又は低分子バーコード)を有する個々のウェル又は液滴に、ソートされた細胞を押し込むことができる。その個々の分類の陽性イベントに使用された正確なバーコードを記録し、追跡することができる。それに続いて、細胞を溶解し、バーコードと共に分子分析することができる。その後、分子分析の結果を、細胞が流路中を流れている間/流れていた間に捕捉された個々の(又は集団(アンサンブル)の)ソートされた細胞の画像に(例えば、1対1で)マッピングすることができる。いくつかの例では、クラスベースのソートを利用することができる。少なくとも形態学的特徴に基づいて同じクラスに分類された細胞は、所定のバーコードされたマテリアルと共に一つのウェル又は液滴にソートされ、細胞は溶解され、分子分析され、それから、本明細書で開示されるような一対一のマッピングに任意の分子情報を使用することができる。
【0066】
図2は、細胞の画像データの分析データの異なる表現方法を概略的に図示する。異なる核(例えば、小核及び大核)を有する細胞(例えば、円形細胞及び正方形細胞)のタグなし画像データ210は、本明細書に開示される方法のいずれかにより(例えば、1つ以上の形態学的特徴の抽出に基づいて)分析することができる。例えば、本明細書に開示する分類器のいずれかを使用して、画像データ210を分析し、4つの区別可能なクラスタ:クラスタA(円形細胞、小核)、クラスタB(円形細胞、大核)、クラスタC(正方形細胞、小核)、及びクラスタD(正方形細胞、大核)を含む細胞形態マップ220にプロットすることができる。分類器は、細胞形態学的オントロジー230で表現することもでき、このオントロジーでは、トップノード(「細胞形状」)が、ノード間の関係を定義するために、エッジ(「サブクラスである」)を介して2つのサブノード(「円形細胞」及び「直方体細胞」)に接続することができる。また各サブノードは、それらの関係を定義するために、エッジ(「一部である」)を介してそれ自身のサブノード(「小核」及び「大核」)に接続することもできる。サブノード(例えば「小核」及び「大核」)はまた、それらの関係を更に定義するために1つ以上のエッジ(「類似している」)を介して接続することができる。
【0067】
本明細書で記載する細胞形態マップ又は細胞形態学的オントロジーは、各細胞の1つ以上の非形態学的データで更にアノテーションすることができる。
図3に示すように、
図2のオントロジー230は、細胞を分類するために使用される画像データから抽出不可能な場合がある細胞に関する情報(例えば、本明細書に開示するように、分子バーコードを介して得られる分子プロファイル)で更にアノテーションすることができる。このような非形態学的データの非限定的な例は、細胞培養(例えば、増殖、分化など)、細胞透過固定、プローブによる細胞染色、マスサイトメトリー、多重イオンビームイメージング(MIBI)、共焦点イメージング、核酸(例えば、DNA、RNA)又はタンパク質抽出、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、標的核酸濃縮、配列決定、配列マッピングなどを含むが、これらに限定されない追加的な治療及び/又は分析から得ることができる。
【0068】
細胞の染色(又はタグ付け)に使用されるプローブの例は、蛍光プローブ(例えば、胎児細胞のX、Y、13、18及び21などのような染色体を染色するためのもの)、発色プローブ、直接免疫試薬(例えば、ラベル付けされた一次抗体)、間接免疫試薬(例えば、二次酵素に結合した非標識一次抗体)、量子ドット、蛍光核酸染色(DAPI、臭化エチジウム、サイバーグリーン、サイバーゴールド、サイバーブルー、Ribogreen、Picogreen、YoPro-1、YoPro-2、YoPro-3、YOYo、Oligreenアクリジンオレンジ、チアゾールオレンジ、プロピジウムヨード、又はHoesteなどのような)、光子を放出する別のプローブ、又は放射性プローブを含むが、これらに限定されない。
【0069】
いくつかの場合、追加分析のための機材は、核型分析、in situハイブリダイゼーション(ISH)(例.蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、発色in situハイブリダイゼーション(CISH)、ナノ金in situハイブリダイゼーション(NISH))、制限断片長多型(RFLP)分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術、フローサイトメトリー、電子顕微鏡、量子ドット分析、又は一塩基多型(SNP)若しくはRNAのレベルの検出を行うコンピュータ実行ロジックを備えてもよい。
【0070】
画像データの分析(例えば、画像データから1つ以上の形態学的特徴を抽出すること、画像データに基づいてクラスタリング及び/又は細胞形態マップを決定すること等)は、(例えば、自動的に)約1時間、50分、40分、30分、25分、20分、15分、10分、9分、8分、7分、6分、5分、4分、3分、2分、1分、50秒、40秒、30秒、20秒、10秒、5秒、1秒、又はそれ未満の時間内に(例えば、自動的に)行うことができる、いくつかの場合、このような分析はリアルタイムで行うことができる。
【0071】
本明細書に開示されるように、クラスタ又は細胞形態マップを生成するために利用される1つ以上の形態学的特徴は、(例えば、1つ以上の機械学習アルゴリズムにより)自動的に選択することができ、又は代替的に、ユーザインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI))を介してユーザにより手動で選択することができる。GUIは、例えば、(i)画像データから抽出された1つ以上の形態学的パラメータ(例えば、画像、単語、記号、所与のコード等として表される)、(ii)1つ以上のクラスタを含む細胞形態マップ、又は(iii)細胞形態学的オントロジー、の視覚化を示すことができる。ユーザは、GUIを介して、クラスタ及び細胞形態学的マップを実際に生成する前に、クラスタ及び細胞形態学的マップを生成するために使用するべき形態学的パラメータを選択することができる。ユーザは、生成されたクラスタ及び細胞形態学的マップに関するレポートを見た又は受信した時点で、使用する形態学的パラメータのタイプを遡及的に修正することができ、それにより(i)クラスタリング又は細胞形態学的マッピングを修正し、及び/又は(ii)新たなクラスタ又は新たな細胞形態学的マップを作成することができる。いくつかの場合、ユーザは、さらなる分析又は細胞についてのさらなる処理(例えば、将来又はリアルタイムにおけるソート)のために、除外するべき領域又は含めるべき領域を一つ以上選択することができる。例えば、本明細書で開示されるようなマイクロ流体システムを利用して、細胞の集団から各細胞の画像を捕捉し、本明細書で開示される方法のいずれかを利用して、そのような画像データを分析し、細胞の集団を表すクラスタを含む細胞形態マップを生成することができる。ユーザはソートすべき1つ以上のクラスタ又はサブクラスタを選択することができ、その入力をマイクロ流体システムに提供し、それに応じて細胞の少なくとも一部をマイクロ流体システムの1つ以上のサブチャンネルに(例えばリアルタイムで)ソートすることができる。あるいは、ユーザは(例えば、アーチファクト、破片、又は死細胞を取り除くために)ソート中に除外するべき1つ以上のクラスタ又はサブクラスタを選択することができ、その入力をマイクロ流体システムに提供し、そのようなアーチファクト、破片、又は死細胞なしに、それに応じて細胞の少なくとも一部をマイクロ流体システムの1つ以上のサブチャンネルに(例えば、リアルタイムで)ソートすることができる。
【0072】
図4は、本明細書に開示された方法のいずれか1つと(例えばGUIを介して)ユーザが対話するための方法を概略的に図示する。複数の細胞の画像データ410は、本明細書に開示される方法のいずれか1つを介して処理され、複数の細胞を異なるクラスタA、B、C、及びDのデータポイントとして表す細胞形態マップ420Aを生成することができる。ユーザは、クラスタに分類された細胞の1つ以上の画像450a、b、c、dを視覚化するために各クラスタ又は各クラスタ内のデータポイントを選択することができる。画像を視覚化すると、ユーザは1つ以上のデータポイントの周囲又はクラスタの周囲に(例えば、任意のユーザ定義の形状及び/又はサイズを介して)ボックス440を描くことができる。例えば、ユーザは「破片」データポイントのクラスタの周囲にボックス440を描いて、例えば選択されたクラスタを除去し、新たな細胞形態マップ420Bを生成することができる。ユーザ入力は、細胞分類アルゴリズム(例えば、本明細書に開示されるような1つ以上の分類器)、マッピングアルゴリズム、細胞流動機構(例えば、細胞の速度、流路内での細胞の位置決め、フローセルの中を流れる細胞の1つ以上の画像/動画を捕捉するイメージングモジュール(本明細書ではイメージングデバイスとも称される)の1つ以上のセンサ/カメラのイメージング焦点距離/面の調整など)、流路中の細胞ソート機構、流路中の細胞ソート指示などを更新する。例えば、ユーザの選択に応じて、選択されたデータポイント内の1つ以上の共通形態学的特徴(例えば、選択されたデータポイントを選択されていないデータと区別する特徴)を同定するように分類器を訓練することができる。選択されたグループの特徴は、さらなる分析のために、類似の特徴を有する他の試料から他の細胞を更に同定するために、又は、例えば細胞ソートのために、類似の特徴を有する細胞を廃棄するために使用することができる。
【0073】
本開示はまた、例えば細胞を分析又は分類するための細胞分析プラットフォームについても記載する。細胞分析プラットフォームは、本明細書に開示された方法のいずれか一つの産物であり得る。あるいは、又はそれに加えて、細胞分析プラットフォームは、本明細書に開示された方法のいずれか1つを実行するためのベースとして使用することができる。例えば、細胞分析プラットフォームは、様々な細胞クラスタの新たな細胞形態マップを生成するために、単一細胞のタグなし画像を含む画像データを処理するために使用することができる。別の例では、細胞分析プラットフォームは、単一細胞のタグなし画像を含む画像データを処理して、既知の細胞又は細胞形態マップの予め決定された(例えば、予め分析された)画像と細胞を比較し、画像データからの単一細胞を、例えば、細胞ソートのために分類できるようにするために使用することができる。
【0074】
図5は、1つ以上の細胞の画像データを分析するための細胞分析プラットフォーム(例えば、機械学習/人工知能プラットフォーム)の一例を図示する。細胞分析プラットフォーム500は、細胞形態アトラス(CMA)505を備えることができる。CMA505は、複数の分類(例えば、所定の細胞のクラス)に対応する形態学的に区別されたクラスタ(例えば、細胞形態マップ、又は細胞形態学的オントロジーのようなテキストで表される)にグループ化された複数のアノテーション付き単一細胞の画像を有するデータベース510を備えてもよい。CMA505は、1つ以上の細胞の画像/動画を含む画像データを処理し、少なくとも形態学的特徴に基づいて異なる細胞のタイプ及び/又は状態を同定するために、CMA505からのデータセットを使用して訓練及び検証される1つ以上のモデル(例えば、本明細書に開示される1つ以上の機械学習アルゴリズムなどを備えるモデリングライブラリ520)を備えるモデリングユニットを備えることができる。CMA505は、本明細書に開示されるような1つ以上の分類器を備える分析モジュール530を備えることができる。分類器は、例えば、(1)試料から採取された1つ以上の画像を分類し、(2)1つ以上の画像に基づいて試料の品質又は状態を評価し、(3)マッピングモジュール540を使用することを介して、そのような1つ以上の画像を表す1つ以上のデータポイントを細胞形態マップ(又は細胞形態学的オントロジー)にマッピングするために、モデリングライブラリ520からのモデルのうちの1つ以上を使用することができる。CMA505は、1つ以上の細胞の画像/動画を含む画像データを受信するために1つ以上の追加データベース570に動作可能に結合され得る。例えば、データベース570からの画像データは、フローセル590のイメージングモジュール592から得ることができ、このイメージングモジュール592もCMA505に動作可能に結合され得る。フローセルは、標的細胞を含む、又は含む疑いのある試料の流れを誘導し、イメージングモジュール592により試料内のコンテンツ(例えば、細胞)の1つ以上の画像を捕捉することができる。イメージングモジュール592により得た画像データはいずれも、CMA505及び/又は新たな画像データベース570に直接送信することができる。あるいは、又はそれに加えて、CMA505は、例えば、本明細書に開示されるようなデータポイント、クラスタ、マップ、オントロジー、画像のいずれかに更にアノテーションするために、細胞のいずれかの非形態学的データ(例えば、ゲノミクス、トランスクリプトミクス、又はプロテオミクスなど)を含む1つ以上の追加データベース580に動作可能に結合され得る。CMA505は、ユーザが情報を受信するため、及び/又は入力(例えば、本明細書に開示される方法の任意の部分を修正又は支援するための指示)を提供するためのGUI560を備えるユーザデバイス550(例えば、ディスプレイを備えるコンピュータ又はモバイルデバイス)に動作可能に結合され得る。CMA及び/又はユーザによりなされた任意の分類は、フローセル590のソートモジュール594への入力として提供され得る。分類に基づいて、ソートモジュールは、例えば、(i)目的の1つ以上の細胞をソートするためにフローセル590のソートジャンクションにおいて1つ以上のソート機構を作動させるとき、(ii)複数のサブチャネルのうちのどのサブチャネルをソートのために各単一細胞に向けるかを決定することができる。いくつかの場合、ソートされた細胞は、さらなる分析、例えば、ゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクスなどのような下流の分子評価及び/又はプロファイリングのために収集することができる。
【0075】
本明細書に開示された方法又はプラットフォームのいずれも、ユーザが細胞クラスタリング及び/又は細胞分類のための1つ以上のモデル(例えば、モデリングライブラリから)を訓練することを可能にするツールとして使用することができる。例えば、ユーザは試料の初期画像データセットをプラットフォームに提供してもよく、プラットフォームは画像データの初期セットを処理してもよい。処理に基づき、プラットフォームは、試料の初期画像データセットに基づき、ユーザが1つ以上のモデルを訓練するために必要なラベルの数及び/又はデータ量を判定することができる。いくつかの例では、プラットフォームは、画像データの初期セットが正確な細胞分類又は細胞形態マップを提供するには不十分であり得ると判定することができる。例えば、プラットフォームは、初期の細胞形態マップをプロットし、マップ中のデータポイントの近接性(又は分離性)、相関性、又は共通性(例えば、マップ中に区別可能なクラスタが存在しないか否か、マップ内のクラスタが互いに近すぎるか否かなど)に基づいて、強化された処理、分類、及び/又はソートに必要とされるラベルの数及び/又はデータ量をユーザに推奨することができる。別の例では、プラットフォームは、ユーザが、画像データの初期セットを再分析するために、異なるモデル(例えば、クラスタリングモデル)又は分類器、モデル又は分類器の異なる組み合わせを選択することを可能にすることができる。
【0076】
細胞の画像、細胞、若しくは細胞を含む試料、の品質又は状態を判定するために、本明細書に開示された方法又はプラットフォームのいずれかを使用することができる。細胞の品質又は状態は単一細胞レベルで判定することができる。あるいは、細胞の品質又は状態は集合体レベル(例えば、試料全体又は試料の一部)で判定することもできる。品質又は状態は、例えば、数系(例えば、1から10までの数の目盛、1%から100%までのパーセンテージの目盛)、記号系、又は色系に基づいて判定し、報告することができる。例えば、品質又は状態は、試料の調製又はプライミング状態(例えば、試料が十分な数の細胞を有するか否か、試料が多すぎるアーチファクト、破片を有するか否かなど)を示す、又は試料の生存力(例えば、試料が所定の閾値を超える量の「死滅した」細胞を有するか否か)を示すことができる。
【0077】
(例えば、マイクロ流路を使用する細胞の実際のソートの前に)インシリコで細胞をソートするために、本明細書に開示された方法又はプラットフォームのいずれかを使用することができる。インシリコでのソートは、例えば、複数の異なる細胞のタイプ(例えば、異なるがん細胞のタイプ、異なる免疫細胞のタイプなど)、細胞の状態、細胞の品質間、及び/又はこれらの間で判別するためとすることができる。本明細書で開示される方法及びプラットフォームは、判別のために予め決められた形態学的性質(例えば、プラットフォームで提供される)を利用することができる。あるいは、又はそれに加えて、新たに取り出された形態学的性質を、判別のための入力データに基づいて取り出す(例えば、生成する)ことができる。いくつかの場合、画像データを処理するために、新たなモデル及び/若しくは分類器を訓練又は生成することができる。いくつかの場合、新たに取り出された形態学的性質は、例えば、既知の複数の異なる細胞のタイプ、細胞の状態、細胞の品質間及び/又はそれらの間の判別に使用することができる。あるいは、又はそれに加えて、新たに取り出された形態学的性質は、(例えば、インシリコで、又はマイクロ流体システムを介して)細胞をソートするための新たなクラス(又は分類)を作成するために使用することができる。本明細書で開示されるような新たに取り出された形態学的性質は、(例えば、インシリコ又はマイクロ流体システムを介して)細胞ソートの精度又は感度を高められ得る。
【0078】
細胞のインシリコでのソートに続いて、(例えば、マイクロ流体システム又はフローセルを介して)インシリコでのソートに基づいた実際の細胞のソートは、約1時間未満、50分未満、40分未満、30分未満、25分未満、20分未満、15分未満、10分未満、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、1分未満、50秒未満、40秒未満、30秒未満、20秒未満、10秒未満、5秒未満、1秒未満、又はそれ未満で行なわれ得る。いくつかの場合、インシリコソート及び実際のソートはリアルタイムで起き得る。
【0079】
本明細書に開示される方法又はプラットフォームのいずれかにおいて、モデル及び/又は分類器を検証することができる(例えば、正確な細胞分類性能を実証する能力について)。利用され得る検証メトリクスの非限定的な例は、閾値メトリクス(例えば、精度、Fメジャー、カッパ、マクロ平均精度、平均クラス加重精度、最適化精度、調整幾何平均、バランス精度など)、ランキング方法及びメトリクス(例えば、受信者動作特性(ROC)分析又は「曲線下ROC面積(ROC AUC)」)、及び確率的メトリクス(例えば、二乗平均平方根誤差)を含むが、これらに限定されない。例えば、ROC AUCが0.5より大きい、0.55より大きい、0.6より大きい、0.65より大きい、0.7より大きい、0.75より大きい、0.8より大きい、0.85より大きい、0.9より大きい、0.91より大きい、0.92より大きい、0.93より大きい、0.94より大きい、0.95より大きい、0.96より大きい、0.97より大きい、0.98より大きい、0.99より大きい又はそれより大きいとき、モデル若しくは分類器はバランスが取れている、又は正確であると判定することができる。
【0080】
本明細書に開示された方法及びラットフォームのいずれかにおいて、細胞の画像は、細胞を調製し、試料(例えば、緩衝液試料)中で希釈したとき、得ることができる。細胞は、例えば、組織(例えば、固形組織、血液、血清、髄液、尿など)中の細胞の現実の濃度と比較して、希釈濃度まで希釈することができる。本明細書に開示される方法又はプラットフォームは、約500~約1,000,000倍の要素により希釈された試料(例えば、生物学的試料又はその誘導体)に相容れ得る。本明細書に開示される方法又はプラットフォームは、少なくとも約500倍の要素により希釈された試料に相容れ得る。本明細書に開示される方法又はプラットフォームは、最大約1,000,000倍の要素により希釈された試料に相容れ得る。本明細書に開示される方法又はプラットフォームは、約500~約1,000倍、約500~約2,000倍、約500~約5,000倍、約500~約10,000倍、約500~約20,000倍、約500~約50,000倍、約500~約100,000倍、約500~約200,000倍、約500~約500,000倍、約500~約1,000,000倍、約1,000~約2,000倍、約1,000~約5,000倍、約1、000~約10,000、約1,000~約20,000、約1,000~約50,000、約1,000~約100,000、約1,000~約200,000倍、約1,000~約500,000倍、約1,000~約1,000,000倍、約2,000~約5、000倍、2,000~10,000倍、2,000~20,000倍、2,000~50,000倍、2,000~100,000倍、2,000~200,000倍、2,000~500,000倍、2,000~1,000,000倍、約5,000~約10,000倍、約5,000~約20,000倍、約5,000~約50,000倍、約5,000~約100,000倍、約5,000~約200,000倍、約5,000~約500,000倍、約5,000~約1,000,000倍、約10,000~約20,000倍、約10,000~約50,000倍、約10,000~約100,000倍、約10,000~約200,000倍、約10,000~約500,000倍、約10,000~約1,000,000倍、約20,000~約50,000倍、約20,000~約100,000倍、約2万~約200,000倍、約2万~約500,000倍、約2万~約1,000,000倍、約50,000~約100,000倍、約50,000~約200,000倍、約50,000~約500,000倍、約50,000~約1,000,000倍、約100,000~約200,000倍、約100,000~約500,000倍、約100,000~約1,000,000倍、約200,000~約500,000倍、約200,000~約1,000,000倍、又は約500,000~約1,000,000倍の要素により希釈された試料に相容れ得る。本明細書に開示される方法及びプラットフォームは、約500倍、約1,000倍、約2,000倍、約5,000倍、約10,000倍、約20,000倍、約50,000倍、約100,000倍、約200,000、約500,000、又は約1,000,000倍の要素により希釈された試料に相容れ得る。
【0081】
本明細書に開示される方法又はプラットフォームのいずれかにおいて、分類器は、個々の細胞又は細胞のクラスタが細胞のクラス(例えば、本明細書に開示されるようなCMAにおいて提供される所定の細胞のクラス内)に属するという予測確率を(例えば、形態学的クラスタリング及び分析に基づいて)、例えば、報告モジュールを介して生成することができる。報告モジュールは、本明細書に開示されるようなGUIを介してユーザと通信することができる。あるいは、又はそれに加えて、分類器は、個々の細胞又は細胞のクラスタが複数の細胞のクラス(例えば、本明細書に開示されるようなCMAからの複数の全ての所定の細胞のクラス)に属するという予測ベクトルを生成することができる。ベクトルは、1次元(例えば、異なる細胞のクラスの単一の行)、2次元(例えば、組織起源vs細胞のタイプのなどのような2次元)、3次元などとすることができる。いくつかの場合、試料から得られた画像データの処理と分析に基づいて、分類器は試料の組成、例えば1つ以上の細胞タイプの分布を示すレポートを作成することができ、各細胞のタイプは試料内の相対的な割合で示される。試料の各細胞には、最も可能性の高い細胞のタイプと、1つ以上の可能性の低い細胞のタイプをアノテーションすることもできる。
【0082】
本明細書に開示された方法及びプラットフォームのいずれか1つは、1つ以上の細胞の画像データを処理して、1つ以上の細胞の1つ以上の形態測定マップを生成する能力を有することができる。単一細胞(又は細胞クラスタ)の1つ以上の画像を分析するために利用できる形態計測モデルの非限定的な例は、例えば、単純な形態計測(例えば、長さ、幅、質量、角度、比率、面積などに基づく)、ランドマークベースの幾何学的形態計測(例えば、細胞の1つ以上の構成要素の空間情報、交差点など)、プロクルステスベースの幾何学的形態計測(例えば、画像データから平行移動、拡大縮小、及び/又は回転によって変化する非形状情報を除去することによって)、ユークリッド距離行列分析、差分形態計測、及び輪郭分析を含む。形態測定マップは多次元(例えば、2D、3Dなど)であり得る。GUIを介して、形態測定マップをユーザに報告することができる。
【0083】
2つ以上の試料(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれより多い試験試料)を処理、分析、分類、及び/又は比較するために、本明細書に開示される方法又はプラットフォーム(例えば、分析モジュール)のいずれかを使用することができる。2つ以上の試料を各々分析して、各試料の形態学的プロファイル(例えば、細胞形態マップ)を決定することができる。例えば、2つ以上の試料の形態学的プロファイルは、健康コホートの試料又は目的の疾患の代表的な画像データの試料との比較で、患者の試料の疾患状態を同定するために比較することができる。別の例では、対象の状態の進行を監視するために、2つ以上の試料の形態学的プロファイルを比較、例えば、治療(例えば、試験薬候補、化学療法、固形腫瘍の外科的切除など)前の対象からの第1の細胞のセットの第1の画像データと、治療後の対象からの第2の細胞のセットの第2の画像データとを比較するすることができる。第2の細胞のセットは、対象から第1の細胞のセットを得てから少なくとも約1週間後、少なくとも約2週間後、少なくとも約3週間後、少なくとも約4週間後、少なくとも約2ヶ月後、又は少なくとも約3ヶ月後に対象から得ることができる。異なる例では、2つ以上の異なるコホート(例えば、ヒトの対象、動物の対象、又はin vitro/ex vivoで試験される細胞)における2つ以上の異なる治療選択肢(例えば、異なる試験薬)の効果を監視するために、2つ以上の試料の形態学的プロファイルを比較することができる。したがって、本明細書に開示されるシステム及び方法は、所望の効果(例えば、閾値以上の治療効果)をもたらす薬剤及び/又は療法を選択するために(例えば、目的の細胞のタイプ又は目的の特性を提示する細胞のソート又は濃縮を介して)利用することができる。
【0084】
本明細書に開示されるプラットフォーム(例えば、細胞分析プラットフォーム)のいずれかは、提供されるイメージングデータの形態学的分析に少なくとも部分的な一部に基づいて(例えば、それだけに基づいて)、複数の異なる細胞のタイプ及び/又は状態の連続的なラベリング及び/又はソートのためのインラインのエンドツーエンドのパイプラインソリューションを提供することができる。プラットフォームにより使用されるモデリングライブラリは、大量のデータに対して拡大縮小可能であり、拡張可能であり(例えば、1つ以上のモデル又は分類器が変更される)、及び/又は一般化可能(例えば、試料間のーアーチファクト、破片、背景のランダムな物体、画像/映像の歪みなどのようなーデータの摂動に対してより強い耐性)とすることができる。モデリングライブラリのいずれかは、機械学習アルゴリズム若しくは人工知能により、又はユーザにより、自動的に削除又は新たなモデルで更新してもよい。
【0085】
本明細書で開示される方法及びプラットフォームのいずれも、本明細書で開示されるようなマイクロ流体システムの1つ以上のパラメータを調整することができる。細胞が流路を通って流れているとき、イメージングモジュール(例えば、センサ、カメラ)が細胞の画像/映像を捕捉し、新たな画像データを生成することができる。画像データは、本開示の方法及びプラットフォームにより(例えば、リアルタイムで)処理し、分析され、マイクロ流体システムの1つ以上のパラメータの有無を判定するためのモデル(例えば、機械学習モデル)を訓練することができる。
【0086】
いくつかの場合、モデルは、細胞の流れが速すぎる、又は遅すぎると判定し、(i)細胞の速度(例えば、細胞を運ぶ流体媒体の速度を調整することを介して)及び/又は(ii)流路を流れる細胞の画像/動画を捕捉しているカメラの画像記録速度を調整するように、マイクロ流体システムに指示を送ることができる。
【0087】
いくつかの場合、モデルは、細胞が画像/動画の焦点内、又は焦点外を判定し、(i)フローセル内の細胞の場所を調整する(例えば、流体力学的焦点合わせ及び/又は慣性焦点合わせを介して、流路の中心に向かって又は中心から離れるように細胞を移動させる)、及び/又は(ii)流路を通って流れる細胞の画像/動画を捕捉しているカメラの焦点距離/面を調整するように、マイクロ流体システムに指示を送ることができる。焦点距離/平面を調整することは、分析された同じ細胞に対して(例えば、下流にあるカメラの焦点距離/平面の調整する)又は後続の細胞に対して行うことができる。焦点距離/平面を調整することは、画像の鮮明度を高める、又はぼやけを軽減することができる。焦点距離/面は、細胞の分類されたタイプ又は状態に基づいて調整することができる。いくつかの例では、焦点距離/平面を調整することは、細胞の全ての部分上で焦点合わせ/明瞭度を高めることを可能にすることができる。いくつかの例では、焦点距離/平面を調整することは、細胞の異なる部分(全ての部分ではない)上で焦点合わせ/明瞭度を高めることを可能にすることができる。理論に拘泥せずに述べると、焦点外画像は、そうしなければ焦点内画像から取り出せない場合がある細胞の形態学的特徴を抽出するために本明細書に開示された方法のいずれでも使用可能であってよく、又はその逆も然りである。このように、いくつかの場合、細胞の焦点内画像及び焦点外画像の両方を捕捉するようにイメージングモジュールに指示することは、本明細書に開示する細胞の分析のいくつかの精度を高めることができる。あるいは、又はそれに加えて、モデルはマイクロ流体システムに指示を送り、流れを修正し、カメラに対する細胞の角度を調整し、細胞又は後続細胞の異なる部分に対する焦点を調整することができる。本明細書で開示されるような異なる部分は、細胞の上部、中間部、下部、膜、核、ミトコンドリアなどを含み得る。
【0088】
(高さ又はz次元に関して)正しい焦点で細胞をイメージングするために、従来行われていることは、フーリエ変換又はラプラス変換のような情報理論的な方法を使用して画像の「焦点測定値」を計算することである。
【0089】
いくつかの場合、双方向が焦点外(OOF)で細胞をイメージングする(例えば、第1の方向でOOFである1つ以上の第1の画像と、第1の方向とは異なる第2の方向―反対方向などのような―でOOFである1つ以上の第2の画像)。例えば、2つの反対方向にOOFである画像は、「明るいOOF」画像及び「暗いOOF」画像と呼ばれることがあり、これらは、zフォーカスを双方向に変更することにより、得られ得る。本明細書で開示する分類器を、明るいOOF画像及び暗いOOF画像の両方を含む画像データを用いて訓練することができる。訓練された分類器は、細胞の新たな画像データに対して推論を実行するために(例えば、リアルタイムで)使用され、各画像を明るいOOF画像、暗いOOF画像、及び任意選択でOOFでない画像(例えば、明るい/暗いOOF画像に対してOOFでない)として分類することができる。分類器は、画像データ内の明るいOOF画像のパーセンテージ、暗いOOF画像のパーセンテージ、又は明るいOOF画像及び暗いOOF画像の両方のパーセンテージを測定することもできる。例えば、明るいOOF画像の割合、暗いOOF画像の割合、又は明るいOOF画像及び暗いOOF画像の両方の割合のいずれかが閾値(例えば、所定の閾値)を超えている場合、そのとき、分類器は、イメージングデバイス(例えば、本明細書に開示されるようなマイクロ流体システムによる)が正しい焦点距離/面で細胞をイメージングしていない可能性があると判定することができる。分類器は、ユーザデバイスのGUIを介して、イメージングデバイスの焦点距離/面を調整するようにユーザに指示することができる。いくつかの実施例では、分類器は、OOF画像を含む画像データの分析に基づいて、OOFイメージングの減少量をもたらすように、イメージングデバイスを調整するために必要とされる場合がある焦点距離/面の調整の方向及び程度を判定することができる。いくつかの実施例では、分類器及びマイクロ流体デバイスは、機械学習/人工知能コントローラに動作可能に結合することができ、分類器の判定に応じてイメージングデバイスの焦点距離/面を自動的に調整することができる。
【0090】
OOF画像(例えば、明るいOOF、暗いOOF、又はその両方)の割合の閾値(例えば、所定の閾値)は、約0.1%~約20%とすることができる。OOF画像(例えば、明るいOOF、暗いOOF、又は両方)の割合の閾値(例えば、所定の閾値)は、少なくとも約0.1%とすることができる。OOF画像(例えば、明るいOOF、暗いOOF、又はその両方)の割合の閾値(例えば、所定の閾値)は、最大で約20%とすることができる。OOF画像(例えば、明るいOOF、暗いOOF、又はその両方)のパーセンテージの閾値(例えば、所定の閾値)は、約0.1%~約0.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約2%、約0.1%~約4%、約0.1%~約6%、約0.1%~約8%、約0.1%~約10%、約0.1%~約15%、約0.1%~約20%、約0.5%~約1%、約0.5%~約2%、約0.5%~約4%、約0.5%~約6%、約0.5%~約8%、約0.5%~約10%、約0.5%~約15%、約0.5%~約20%、約1%~約2%、約1%~約4%、約1%~約6%、約1%~約8%、約1%~約10%、約1%~約15%、約1%~約20%、約2%~約4%、約2%~約6%、約2%~約8%、約2%~約10%、約2%~約15%、約2%~約20%、約4%~約6%、約4%~約8%、約4%~約10%、約4%~約15%、約4%~約20%、約6%~約8%、約6%~約10%、約6%~約15%、約6%~約20%、約8%~約10%、約8%~約15%、約8%~約20%、約10%~約15%、約10%~約20%、又は約15%~約20%とすることができる。OOF画像(例えば、明るいOOF、暗いOOF、又はその両方)の割合の閾値(例えば、所定の閾値)は、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約4%、約6%、約8%、約10%、約15%、又は約20%とすることができる。
【0091】
いくつかの場合、モデルは、異なるモダリティの画像が本明細書に開示される分析のいずれかに必要であると判定することができる。様々なモダリティの画像は、明視野画像、暗視野画像、蛍光画像(例えば、染料で染色された細胞の画像)、焦点内画像、焦点外画像、グレースケール画像、モノクローム画像、マルチクローム画像などを含むことができる。
【0092】
本明細書で開示されるモデル又は分類器はいずれも、1つのイメージングモダリティでアノテーション付き画像データのセットで訓練することができる。あるいは、モデル/分類器は、複数の異なるイメージングモダリティ(例えば、2、3、4、5、又はそれより多い異なるイメージングモダリティ)でアノテーション付き画像データのセットで訓練することができる。本明細書に開示されるモデル/分類器のいずれも、流路内の場所又は位置を示す空間座標のアノテーション付き画像データのセットで訓練することができる。本明細書で開示されるモデル/分類器のいずれも、タイムスタンプのアノテーション付き画像データのセットで訓練することができ、画像のセットを、それらが取られた時間に基づいて処理することができる。
【0093】
画像データの画像は、水平若しくは垂直画像反転、直交回転、ガウスノイズ、コントラスト変動、又は微小粒子若しくはピクセルレベル収差を模倣するためのノイズ導入などのような様々な画像処理方法で処理することができる。1つ以上の処理方法は、画像のレプリカを生成、又は画像を分析するために使用することができる。いくつかの場合、画像を、(例えば、1つ以上のデコンボリューションアルゴリズムを使用することにより)低解像度画像又は低次元画像へ処理することができる。
【0094】
本明細書に開示される方法のいずれかにおいて、画像データから画像又は動画を処理することは、自動で又はユーザによる手動で、画像/動画から1つ以上のアーチファクトを同定し、考慮し、及び/又は除外することを含むことができる。同定されると、アーチファクトは、画像処理又は画像分析を訓練するために、モデル又は分類器のいずれかに供給され得る。アーチファクトは、画像/映像中の1つ以上の細胞のタイプ又は状態を分類する際に考慮することができる。アーチファクトは、画像/映像中の細胞のタイプ又は状態の判定から除外することができる。アーチファクトは、本明細書に開示されるモデル/分類器のいずれかによってインシリコで除去することができ、アーチファクトを除外する画像/映像の新たなレプリカ又は修正バリアントは、本明細書に開示されるようにデータベースに格納することができる。アーチファクトは、例えば、破片(例えば、死細胞、埃など)、細胞の画像/動画を捕捉する間の光学的条件(例えば、光の変動、過飽和、露光不足、光源の劣化など)、外的要因(例えば、振動、照明又は光学センサ/カメラに対するマイクロ流体チップの位置ずれ、電力サージ/変動など)、及びマイクロ流体システムの変化(マイクロ流路又はマイクロ流体チップ全体の変形/収縮/膨張など)からのものであり得る。アーチファクトは既知であり得る。アーチファクトは未知のものであり得、本明細書に開示するモデル又は分類器は、画像処理及び分析において新たなアーチファクトを同定し、考慮し、及び/又は除外することができるように、新たなアーチファクトの1つ以上のパラメータを定義するように構成することができる。
【0095】
いくつかの場合、本明細書に開示する複数のアーチファクトを、画像/映像の処理又は分析中に同定し、考慮し、及び/又は除外することができる。複数のアーチファクトは、同じ重み付け(例えば、画像/映像の処理又は分析に同じ程度の影響を有すると判定される)をすることができ、又は異なる重み付け(例えば、画像/映像の処理又は分析に異なる程度の影響を有すると判定される)をすることができる。複数のアーチファクトに対する重みの割り当ては、ユーザにより手動で指示する、又は本明細書に開示するモデル/分類器により自動的に判定することができる。
【0096】
いくつかの場合、(例えば、細胞の有無にかかわらず)流路の1つ以上の参照画像又は動画をデータベースに格納し、アーチファクトの同定、説明、及び/又は除外を支援するための参照のフレームとして使用することができる。参照画像/映像は、マイクロ流体システムの使用前に得ることができる。参照画像/映像は、マイクロ流体システムの使用中に得ることができる。参照画像/映像は、光学センサ/カメラが少なくとも又は最大で約5個、少なくとも又は最大で約10個、少なくとも又は最大で約20個、少なくとも又は最大で約50個、少なくとも又は最大で約100個、少なくとも又は最大で約200個、少なくとも又は最大で約500個、少なくとも又は最大で約1,000個、少なくとも又は最大で約2,000個、少なくとも又は最大で約5,000個、少なくとも又は最大で約10,000個、少なくとも又は最大で約20,000個、少なくとも又は最大で約50,000個、少なくとも又は最大で約100,000個の画像を捕捉するたびになどのようにマイクロ流体システムの使用中に定期的に得ることができる。参照画像/映像は、マイクロ流体システムが少なくとも又は最大で約5回、少なくとも又は最大で約10回、少なくとも又は最大で約20回、少なくとも又は最大で約50回、少なくとも又は最大で約100回、少なくとも又は最大で約200回、少なくとも又は最大で約500回、少なくとも又は最大で約1,000回、少なくとも又は最大で約2,000回、少なくとも又は最大で約5,000回、少なくとも又は最大で約10,000回、少なくとも又は最大で約20,000回、少なくとも又は最大で約50,000回、少なくとも又は最大で約100,000回通過するたびになどのようなマイクロ流体システムの使用中に定期的に得ることができる。参照画像/映像は、光学センサ/カメラが少なくとも又は最大で約5個、少なくとも又は最大で約10個、少なくとも又は最大で約20個、少なくとも又は最大で約50個、少なくとも又は最大で約100個、少なくとも又は最大で約200個、少なくとも又は最大で約500個、少なくとも又は最大で約1,000個、少なくとも又は最大で約2,000個、少なくとも又は最大で約5,000個、少なくとも又は最大で約10,000個、少なくとも又は最大で約20,000個、少なくとも又は最大で約50,000個、少なくとも又は最大で約100,000個の画像を捕捉するとなどのようなマイクロ流体システムの使用中の目印となる期間に得ることができる。
【0097】
本明細書に開示される方法及びプラットフォームは、約1,000画像/秒~約100,000,000画像/秒の速度で画像データを処理(例えば、修正、分析、分類)するために利用することができる。画像データ処理の速度は、少なくとも約1,000画像/秒とすることができる。画像データ処理の速度は、最大で約100,000,000画像/秒とすることができる。画像データ処理の速度は、約1,000画像/秒~約5,000画像/秒、約1,000画像/秒~約10,000画像/秒、約1,000画像/秒~約50,000画像/秒、約1,000画像/秒~約100,000画像/秒、約1,000画像/秒~約500,000画像/秒、約1,000画像/秒~約1,000,000画像/秒、約1,000画像/秒~約5,000,000画像/秒、約1,000画像/秒~約10,000,000画像/秒、約1,000画像/秒~約50,000,000画像/秒、約1,000画像/秒~約100,000,000画像/秒、約5,000画像/秒~約10,000画像/秒、約5,000画像/秒~約50,000画像/秒、約5,000画像/秒~約100,000画像/秒、約5,000画像/秒~約500,000画像/秒、約5,000画像/秒~約1,000,000画像/秒、約5,000画像/秒~約5,000,000画像/秒、約5,000画像/秒~約10,000,000画像/秒、約5,000画像/秒~約50,000,000画像/秒、約5,000画像/秒~約100,000,000画像/秒、約10,000画像/秒~約50,000画像/秒、約10,000画像/秒~約100,000画像/秒、約10,000画像/秒~約500,000画像/秒、約10,000画像/秒~約1,000,000画像/秒、約10,000画像/秒~約5,000,000画像/秒、約10,000画像/秒~約10,000,000画像/秒、約10,000画像/秒~約50,000,000画像/秒、約10,000画像/秒~約100,000,000画像/秒、約50,000画像/秒~約100,000画像/秒、約50,000画像/秒~約500,000画像/秒、約50,000画像/秒~約1,000,000画像/秒、約50,000画像/秒~約5,000,000画像/秒、約50,000画像/秒~約10,000,000画像/秒、約50,000画像/秒~約50,000,000画像/秒、約50,000画像/秒~約100,000,000画像/秒、約100,000画像/秒~約500,000画像/秒、約100,000画像/秒~約1,000,000画像/秒、約100,000画像/秒~約5,000,000画像/秒、約100,000画像/秒~約10,000,000画像/秒、約100,000画像/秒~約50,000,000画像/秒、約100,000画像/秒~約100,000,000画像/秒、約500,000画像/秒~約1,000,000画像/秒、約500,000画像/秒~約5,000,000画像/秒、約500,000画像/秒~約1,000,000画像/秒、約500,000画像/秒~約50,000,000画像/秒、約500,000画像/秒~約100,000,000画像/秒、約1,000,000画像/秒~約500,000画像/秒、約1,000,000画像/秒~約10,000,000画像/秒、約1,000,000画像/秒~約50,000,000画像/秒、約1,000,000画像/秒~約100,000,000画像/秒、約5,000,000画像/秒~約10,000,000画像/秒、約5,000,000画像/秒~約50,000,000画像/秒、約5,000,000画像/秒~約100,000,000画像/秒、約10,000,000画像/秒~約50,000,000画像/秒、約10,000,000画像/秒~約100,000,000画像/秒、又は約50,000,000画像/秒~約100,000,000画像/秒とすることができる。画像データ処理の速度は、約1,000画像/秒、約5,000画像/秒、約10,000画像/秒、約50,000画像/秒、約100,000画像/秒、約500,000画像/秒、約1,000,000画像/秒、約5,000,000画像/秒、約10,000,000画像/秒、約50,000,000画像/秒、又は約100,000,000画像/秒とすることができる。
【0098】
本明細書に開示される方法及びプラットフォームは、約1,000セル/秒~約100,000,000セル/秒の速度で画像データを処理(例えば、修正、分析、分類)するために利用することができる。画像データ処理の速度は、少なくとも約1,000セル/秒とすることができる。画像データ処理の速度は、最大で約100,000,000セル/秒とすることができる。画像データ処理の速度は、約1,000セル/秒~約5,000セル/秒、約1,000セル/秒~約10,000セル/秒、約1,000セル/秒~約50,000セル/秒、約1,000セル/秒~約100,000セル/秒、約1,000セル/秒~約500,000セル/秒、約1,000セル/秒~約1,000,000セル/秒、約1,000セル/秒~約5,000,000セル/秒、約1,000セル/秒~約10,000,000セル/秒、約1,000セル/秒~約50,000,000セル/秒、約1,000セル/秒~約100,000,000セル/秒、約5,000セル/秒~約10,000セル/秒、約5,000セル/秒~約50,000セル/秒、約5,000セル/秒~約100,000セル/秒、約5,000セル/秒~約500,000セル/秒、約5,000セル/秒~約1,000,000セル/秒、約5,000セル/秒~約5,000,000セル/秒、約5,000セル/秒~約10,000,000セル/秒、約5,000セル/秒~約50,000,000セル/秒、約5,000セル/秒~約100,000,000セル/秒、約10,000セル/秒~約50,000セル/秒、約10,000セル/秒~約100,000セル/秒、約10,000セル/秒~約500,000セル/秒、約10,000セル/秒~約1,000,000セル/秒、約10,000個/秒~約5,000,000セル/秒、約10,000セル/秒~約10,000,000セル/秒、約10,000セル/秒~約50,000,000セル/秒、約10,000セル/秒~約100,000,000セル/秒、約50,000セル/秒~約100,000セル/秒、約50,000セル/秒~約500,000セル/秒、約50,000セル/秒~約1,000,000セル/秒、約50,000セル/秒~約5,000,000セル/秒、約50,000セル/秒~約10,000,000セル/秒、約50,000セル/秒~約50,000,000セル/秒、約50,000セル/秒~約100,000,000セル/秒、約100,000セル/秒~約500,000セル/秒、約100,000セル/秒~約1,000,000セル/秒、約100,000セル/秒~約5,000,000セル/秒、約100,000セル/秒~約10,000,000セル/秒、約100,000セル/秒~約50,000,000セル/秒、約100,000セル/秒~約100,000,000セル/秒、約500,000セル/秒~約1,000,000セリ/秒、約500,000セル/秒~約5,000,000セル/秒、約500,000セル/秒~約10,000,000セル/秒、約500,000セル/秒~約50,000,000セル/秒、約500,000セル/秒~約100,000,000セル/秒、約1,000,000セル/秒~約5,000,000セル/秒、約1,000,000セル/秒~約10,000,000セル/秒、約1,000,000セル/秒~約50,000,000セル/秒、約1,000,000セル/秒~約100,000,000セル/秒、約5,000,000セル/秒~約10,000,000セル/秒、約5,000,000セル/秒~約50,000,000セル/秒、約5,000,000セル/秒~約100,000,000セル/秒、約10,000,000セル/秒~約50,000,000セル/秒、約10,000,000セル/秒~約100,000,000セル/秒、又は約50,000,000セル/秒~約100,000,000セル/秒とすることができる。画像データ処理の速度は、約1,000セル/秒、約5,000セル/秒、約10,000セル/秒、約50,000セル/秒、約100,000セル/秒、約500,000セル/秒、約1,000,000セル/秒、約5,000,000セル/秒、約10,000,000セル/秒、約50,000,000セル/秒、又は約100,000,000セル/秒とすることができる。
【0099】
本明細書に開示される方法及びプラットフォームは、約1,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒の速度で画像データを処理(例えば、修正、分析、分類)するために利用することができる。画像データ処理の速度は、少なくとも約1,000データポイント/秒とすることができる。画像データ処理の速度は、最大で約100,000,000データポイント/秒とすることができる。画像データ処理の速度は、約1,000データポイント/秒~約5,000データポイント/秒、約1,000データポイント/秒~約10,000データポイント/秒、約1,000データポイント/秒~約50,000データポイント/秒、約1,000データポイント/秒~約100,000データポイント/秒、約1,000データポイント/秒~約500,000データポイント/秒、約1,000データポイント/秒~約1,000,000データポイント/秒、約1,000データポイント/秒~約5,000,000データポイント/秒、約1,000データポイント/秒~約10,000,000データポイント/秒、約1,000データポイント/秒~約50,000,000データポイント/秒、約1,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒、約5,000データポイント/秒~約10,000データポイント/秒、約5,000データポイント/秒~約50,000データポイント/秒、約5,000データポイント/秒~約100,000データポイント/秒、約5,000データポイント/秒~約500,000データポイント/秒、約5,000データポイント/秒~約1,000,000データポイント/秒、約5,000データポイント/秒~約5,000,000データポイント/秒、約5,000データポイント/秒~約1,000,000データポイント/秒、約5,000データポイント/秒~約50,000,000データポイント/秒、約5,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒、約10,000データポイント/秒~約50,000データポイント/秒、約10,000データポイント/秒~約100,000データポイント/秒、約10,000データポイント/秒~約500,000データポイント/秒、約10,000データポイント/秒~約1,000,000データポイント/秒、約10,000データポイント/秒~約5,000,000データポイント/秒、約10,000データポイント/秒~約10,000,000データポイント/秒、約10,000データポイント/秒~約50,000,000データポイント/秒、約10,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒、約50,000データポイント/秒~約100,000データポイント/秒、約50,000データポイント/秒~約500,000データポイント/秒、約50,000データポイント/秒~約1,000,000データポイント/秒、約50,000データポイント/秒~約5,000,000データポイント/秒、約50,000データポイント/秒~約10,000,000データポイント/秒、約50,000データポイント/秒~約50,000,000データポイント/秒、約50,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒、約100,000データポイント/秒~約500,000データポイント/秒、約100,000データポイント/秒~約1,000,000データポイント/秒、約100,000データポイント/秒~約5,000,000データポイント/秒、約100,000データポイント/秒~約1,000,000データポイント/秒、約100,000データポイント/秒~約50,000,000データポイント/秒、約100,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒、約500,000データポイント/秒~約1,000,000データポイント/秒、約500,000データポイント/秒~約5,000,000データポイント/秒、約500,000データポイント/秒~約10,000,000データポイント/秒、約500,000データポイント/秒~約50,000,000データポイント/秒、約500,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒、約1,000,000データポイント/秒~約5,000,000データポイント/秒、約1,000,000データポイント/秒~約10,000,000データポイント/秒、約1,000,000データポイント/秒~約10,000,000データポイント/秒、約1,000,000データポイント/秒~約500,000,000データポイント/秒、約1,000,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒、約5,000,000データポイント/秒~約10,000,000データポイント/秒、約5,000,000データポイント/秒~約50,000,000データポイント/秒、約5,000,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒、約10,000,000データポイント/秒~約50,000,000データポイント/秒、約10,000,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒、又は約50,000,000データポイント/秒~約100,000,000データポイント/秒とすることができる。画像データ処理の速度は、約1,000データポイント/秒、約5,000データポイント/秒、約10,000データポイント/秒、約50,000データポイント/秒、約100,000データポイント/秒、約500,000データポイント/秒、約1,000,000データポイント/秒、約5,000,000データポイント/秒、約10,000,000データポイント/秒、約50,000,000データポイント/秒、又は約100,000,000データポイント/秒とすることができる。
【0100】
本明細書に開示される方法又はプラットフォームのいずれかを、オンラインクラウドソーシングプラットフォームに動作可能に結合することができる。オンラインクラウドソーシングプラットフォームは、本明細書に開示されるデータベースのいずれかを備えることができる。例えば、データベースは、複数の細胞のクラス(例えば、所定の細胞のタイプ又は状態)に対応する形態学的に区別されたクラスタにグループ化された複数の単一細胞の画像を格納することができる。オンラインクラウドソーシングプラットフォームは、本明細書に開示されるような1つ以上のモデル又は分類器(例えば、本明細書に開示されるような1つ以上の機械学習モデル/分類器を備えるモデリングライブラリ)を備えることができる。オンラインクラウドソーシングプラットフォームは、ユーザのコミュニティがコンテンツを共有するためのウェブポータルを備えることができ、例えば、(1)データベースへの1つ以上の既存の画像若しくは新たな画像のアップロード、ダウンロード、検索、キュレーション、アノテーション、若しくは編集、(2)データベースからのデータセットを使用する1つ以上のモデル/分類器の訓練若しくは検証、及び/又は(3)モデリングライブラリへの新たなモデルのアップロードを行うことができる。いくつかの場合、オンラインクラウドソーシングプラットフォームは、ユーザがモデル/分類器を互いに買う、売る、共有、又は交換することを可能にすることができる。
【0101】
いくつかの場合、ウェブポータルは、新たなアノテーション付き細胞画像、モデル及び/又は分類器でデータベースを更新するためにインセンティブをユーザに発生させるように構成することができる。インセンティブは金銭であってもよい。インセンティブは、グローバルCMA、モデル、及び/又は分類器への追加アクセスであってもよい。いくつかの場合、ウェブポータルは、例えば他のユーザからのアノテーション付き細胞画像、モデル、及び/又は分類器のいずれかをダウンロードし、使用し、レビューする(例えば、評価又はコメントを残す)ためにインセンティブをユーザに発生させるように構成することができる。
【0102】
いくつかの場合、(i)アノテーション付き細胞画像、(ii)細胞形態マップ若しくはオントロジー、(iii)及び/又は(iv)分類器を、ウェブポータルを介してユーザから収集することにより、グローバル細胞形態アトラス(グローバルCMA)を生成することができる。グローバルCMAは、それからウェブポータルを介してユーザと共有することができる。全てのユーザがグローバルCMAへのアクセスを有する。あるいは、具体的に定義されたユーザが、グローバルCMAの具体的に定義された部分へのアクセスを有するすることができる。例えば、がんセンターは、グローバルCMAの「がん細胞」部分に、例えばサブスクリプションベースのサービスを介してアクセスを有することができる。同様の方法で、ウェブポータルを介してユーザから収集されたアノテーション付き細胞画像、モデル、及び/又は分類に基づいて、グローバルモデル又は分類器を生成してもよい。
【0103】
III.細胞分析の追加的態様
【0104】
細胞をソートするために、開示されたシステム及び方法のいずれかを利用することができる。細胞は流路を通して誘導することができ、1つ以上のイメージングデバイス(例えば、センサ、カメラ)は、通過する細胞の1つ以上の画像/動画を捕捉するように構成することができる。続いて、細胞の画像/映像を、本明細書で開示するようにリアルタイムで分析し(例えば、分類器により、細胞を細胞形態マップのデータポイントとしてプロットし、その細胞が属する可能性の高いクラスタを決定し、選択されたクラスタに基づいて細胞の最終的な分類を決定する)、(i)細胞をソートするか否か、及び/又は(ii)複数のサブチャネルのうちどのサブチャネルに細胞をソートするかを判定するために、リアルタイムで(例えば、機械学習アルゴリズムにより自動的に)判定ができるようにすることができる。
【0105】
本明細書に開示されるシステム及び方法のいずれも、リアルタイムで処理する又は行う(例えば、自動的に)ことができる。本明細書において互換的に使用される「リアルタイム(real time)」又は「リアル-タイム(real-time)」という用語は、一般的に、最近得られた(例えば、収集又は受信された)データを使用して行うイベント(例えば、操作、処理、方法、技術、計算、計算、分析、最適化など)を指す。イベントの例は、細胞を分類するための細胞の1つ以上の画像の分析、分類及びソートのための1つ以上の深層学習アルゴリズム(例えば、ニューラルネットワーク)の更新、細胞又は流路のイメージングの任意の分析に基づく流路内の1つ以上の処理の制御(例えば、ソート分岐部による1つ以上のバルブの作動など)を含むが、これらに限定されない。いくつかの場合、リアルタイムイベントは、ほぼ即座に、又は、少なくとも0.0001ms、0.0005ms、0.001ms、0.005ms、0.01ms、0.05ms、0.1ms、0.5ms、1ms、5ms、0.01秒、0.05秒、0.1秒、0.5秒、1秒、若しくはそれより多い時間内などのような十分短い時間スパン内に行われてもよい。いくつかの場合、リアルタイムイベントはほぼ即座に、又は、最大で1秒、0.5秒、0.1秒、0.05秒、0.01秒、5秒ms、1秒ms、0.5ms、0.1ms、0.05ms、0.01ms、0.005ms、0.001ms、0.0005ms、0.0001ms、又はそれ未満以内などのような十分短い時間スパン内に行われてもよい。
【0106】
本明細書に開示される細胞ソートシステムは、細胞がその経路を通って搬送されるように構成された流路を備えることができる。細胞ソートシステムは、細胞が流路を通って搬送される際に、複数の異なる角度から細胞の画像を捕捉するように構成されるイメージングデバイスを備えることができる。細胞ソートシステムは、深層学習アルゴリズムを使用して画像を分析し、細胞のソートを可能にするように構成されるプロセッサを備えることができる。細胞ソートシステムは、細胞分類システムとすることができる。いくつかの場合、流路は、いずれの細胞もない溶媒(例えば、液体、水、培地、アルコールなど)を搬送するように構成することができる。細胞ソートシステムは、流路に対してイメージングデバイスを相対的に移動させるための1つ以上の機構(例えば、モーター)を有することができる。このような移動は相対的移動とすることができ、そしてかくして、移動する部品はイメージングデバイス、その経路、又はその両方とすることができる。プロセッサは、そのような相対移動を制御するように更に構成することができる。
【0107】
本明細書に開示されるシステム及び方法のいずれも、例えば、細胞のラベリングなしで、標的細胞又は細胞の標的集団を濃縮するために利用することができる。本明細書で使用される場合、「濃縮」という用語は、複数種のプール(例えば、複数の細胞のタイプのプール)における少なくとも1つの種(例えば、目的の細胞の1つのタイプ)の相対的な割合(例えば、パーセンテージ)の変化を指し、この場合、少なくとも1つの種の割合は、複数種のプールからの1つ以上の他の種に対して相対的に増加する。いくつかの場合、本開示のシステム及び方法は、複数の細胞のタイプのプールにおいて、プール中の別の細胞のタイプの割合と比較して、目的の細胞のタイプ(例えば、疾患細胞、癌細胞、健常細胞など)を、少なくとも約0.1倍、少なくとも約0.2倍、少なくとも約0.5倍、少なくとも約0.8倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約80倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍、少なくとも約800倍、少なくとも約1,000倍、少なくとも約2,000倍、少なくとも約5,000倍、少なくとも約8,000倍、少なくとも約10,000倍、少なくとも約20,000倍、少なくとも約50,000倍、少なくとも約80,000倍、少なくとも約100,000倍、少なくとも約200,000倍、少なくとも約500,000倍、少なくとも約800,000倍、少なくとも約1,000,000倍、又はそれより高く濃縮するために利用することができる。
【0108】
理論に拘泥せずに述べると、本明細書に開示されるような(例えば、細胞形態ベースの分類を介した)1つ以上の細胞のソート又は濃縮は、(i)目的の核酸組成、(ii)目的のトランスクリプトーム組成、及び/又は(ii)目的のタンパク質発現プロファイルを提示する細胞のソート又は濃縮を遂げることができる。いくつかの場合、(i)、(ii)、及び(iii)のいずれか1つは、特定の形態(例えば、神経細胞様形態を導く神経細胞遺伝子発現プロファイル、がん細胞様形態を導くがん遺伝子発現プロファイル、幹細胞様形態を導く幹性遺伝子発現プロファイルなど)を有する細胞を生じ得、かつ、このように、細胞形態を介した細胞のソート又は濃縮は、(i)、(ii)、及び(iii)のいずれか1つを提示する細胞を間接的にソート又は濃縮することができる。
【0109】
本明細書に開示されたシステム及び方法のいずれも、目的の細胞のタイプのソート又は濃縮された試料を生成するために利用することができ、目的とする細胞のタイプの割合に関するこのような試料の純度は、少なくとも約70%、少なくとも約72%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約82%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%とすることができる。
【0110】
本明細書に開示されるシステム及び方法のいくつかの実施形態では、ソート又は濃縮される細胞は、ソート又は濃縮に続いて又はその間に有糸分裂から生じない場合がある。例えば、ソート又は濃縮される細胞は、ソート又は濃縮の対象となる元の細胞の集団中に発見され得る。
【0111】
本明細書に開示されたシステム及び方法のいくつかの実施形態では、細胞のプールからの細胞のソート又は濃縮は、細胞の1つ以上の特性(例えば、内因性遺伝子などのような1つ以上の遺伝子の発現又は活性レベル)を実質的に変化させない場合がある。例えば、細胞のソート又は濃縮は、細胞中の目的の遺伝子の発現又は活性レベルを実質的に変化(例えば、減少及び/又は増加)させない場合がある。別の例では、細胞のソート又は濃縮は、細胞の転写プロファイルを実質的に変化させない場合がある。いくつかの場合、本明細書に開示されるような細胞のソート又は濃縮に際して、細胞の1つ以上の特性の変化の程度(例えば、細胞のソート若しくは濃縮の前と比較する、又は細胞ソート若しくは濃縮の目的ではない対照細胞と比較したするような)は、約20%以下、約19%以下、約18%以下、約17%以下、約16%以下、約15%以下、約14%以下、約13%以下、約12%以下、約11%以下、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、約0.9%以下、約0.8%以下、約0.7%以下、約0.6%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下、又は約0.1%以下である場合がある。
【0112】
マイクロ流体システム及びその方法
図6Aは、フローセル設計(例えば、マイクロ流体設計)を有する、本明細書に開示されるような細胞ソートシステムの概略図を示し、さらなる詳細は
図6Bに図示する。細胞ソートシステムは、機械学習又は人工知能コントローラに動作可能に連結することができる。そのようなML/AIコントローラは、本明細書に開示される方法のいずれかを行うように構成することができる。そのようなML/AIコントローラは、本明細書に開示されるプラットフォームのいずれかに動作可能に結合することができる。
【0113】
運用では、試料1102が調製され、ポンプ1104(例えば、シリンジポンプ)によりフローセル1105、又はフロースルーデバイスに注入される。いくつかの実施形態では、フローセル1105はマイクロ流体デバイスである。
図6Aは、シリンジポンプを利用する分類及び/又はソートシステムを図示しているが、重力供給、蠕動、又は多数の圧力システムのいずれかなどのような(ただし、これらに限定されない)多数の灌流システムのいずれかを使用することができる。いくつかの実施形態では、試料は固定及び染色により調製される。いくつかの例では、試料は生細胞を含む。容易に理解できるように、試料を調製する具体的なやり方は、特定の用途の要件に大きく依存する。
【0114】
フローユニットの例は、シリンジポンプ、真空ポンプ、アクチュエータ(例えば、リニア、空気圧、油圧など)、コンプレッサー、又は1つ以上の粒子(例えば、分類、ソート、及び/又は分析されるべき1つ以上の細胞)を含んでもよく、又は含まなくてもよい流体に圧力(正圧、負圧、その交互など)を作用させる任意の他の適切なデバイスであってよいが、これらに限定されない。フローユニットは、流体をマイクロ流路内へ、又はマイクロ流路から遠ざけて、上昇、圧縮、移動、及び/又は移送するように構成されてもよい。いくつかの例では、フローユニットは、陽圧、陽圧と真空圧の交互、陰圧、陰圧と真空圧の交互、及び/又は真空圧のみを供給するように構成されてもよい。本開示のフローセルは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれより多いフローユニットを備えてもよい。フローセルは、最大で10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のフローユニットを備えてもよい。
【0115】
各フローユニットは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれより多い流体の供給源と流体連通していてもよい。各フローユニットは、最大で10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1の流体と流体連通していてもよい。流体は粒子(例えば細胞)を含んでいてもよい。あるいは、流体は流体なしであってもよい。フローユニットは、フローユニットのマイクロ流路内の流体の流速を維持、増加、及び/又は減少させるように構成されてもよい。このように、フローユニットは、粒子の流速(例えば、マイクロ流路の下流)を維持、増加、及び/又は減少させるように構成されてもよい。フローユニットは、フローユニットのマイクロ流路内の流体の流速を加速又は減速し、それにより粒子の流速を加速又は減速するように構成されてもよい。
【0116】
流体は、液体又は気体(例えば、空気、アルゴン、窒素など)であってもよい。液体は、水溶液(例えば、水、緩衝液、生理食塩水など)であってもよい。あるいは、液体は油であってもよい。いくつかの場合、1つ以上の水溶液のみをマイクロ流路に誘導してもよい。あるいは、1つ以上の油のみをマイクロ流路に誘導してもよい。別の代替案では、水溶液と油の両方がマイクロ流路に誘導されてもよい。いくつかの例では、(i)水溶液は、油に懸濁された液滴(例えば、粒子を含むエマルジョン)を形成してもよく、又は(ii)油は、水溶液に懸濁された液滴(例えば、粒子を含むエマルジョン)を形成してもよい。
【0117】
容易に理解され得るように、これらに限定されないが、所与の分類及び/又はソートシステムに適切な蠕動システム及び重力供給を含む任意の灌流システムを利用することができる。
【0118】
上述のように、フローセル1105は、連続的にイメージングされる単一の流線に試料からの細胞を集束させる流体デバイスとして実施することができる。図示された実施形態では、細胞ラインは光源1106(例えば、アークランプのようなランプ)と、フローセル1105のイメージング領域1138に光を導く光学系1110とにより照明される。対物レンズ系1112は、光を高速カメラシステム114のセンサに向けることにより、細胞を拡大する。
【0119】
いくつかの実施形態では、10×、20×、40×、60×、80×、100×、又は200×の対物レンズが細胞を拡大するために使用される。いくつかの実施形態では、10×の対物レンズが細胞を拡大するために使用される。いくつかの実施形態では、細胞を拡大するために20×対物レンズが使用される。いくつかの実施形態では、細胞を拡大するために40×対物レンズが使用される。いくつかの実施形態では、60×の対物レンズが細胞を拡大するために使用される。いくつかの実施形態では、80×の対物レンズが細胞を拡大するために使用される。いくつかの実施形態では、100×の対物レンズが細胞を拡大するために使用される。いくつかの実施形態では、200×の対物レンズが細胞を拡大するために使用される。いくつかの実施形態では、細胞を拡大するために10×から200×の対物レンズが使用され、例えば、細胞を拡大するために10×から20×、10×から40×、10×から60×、10×から80×、又は10×から100×の対物レンズが使用される。
【0120】
当業者であれば容易に理解できるように、使用する具体的な倍率は大きく異なり得、所与のイメージングシステムと目的の細胞のタイプの要件に大きく依存する。
【0121】
いくつかの実施形態では、細胞の画像を捕捉するために、1つ以上のイメージングデバイスを使用することができる。いくつかの態様では、イメージングデバイスは高速カメラである。いくつかの態様では、イメージングデバイスはマイクロ秒の露光時間を有する高速カメラである。いくつかの例では、露光時間は1ミリ秒である。いくつかの例では、露光時間は1ミリ秒(ms)から0.75ミリ秒の間である。いくつかの例では、露光時間は1ミリ秒から0.50ミリ秒の間である。いくつかの例では、露光時間は1ミリ秒から0.25ミリ秒の間である。いくつかの例では、露光時間は0.75ミリ秒から0.50ミリ秒の間である。いくつかの例では、露光時間は0.75msから0.25msの間である。いくつかの例では、露光時間は0.50msから0.25msの間である。いくつかの例では、露光時間は0.25msから0.1msの間である。いくつかの例では、露光時間は0.1msから0.01msの間である。いくつかの例では、露光時間は0.1msから0.001msの間である。いくつかの態様において、露光時間は0.1msから1マイクロ秒(μs)の間である。いくつかの態様において、露光時間は1μsから0.1μsの間である。いくつかの態様において、露光時間は1μsから0.01μsの間である。いくつかの態様において、露光時間は0.1μsから0.01μsの間である。いくつかの態様において、露光時間は1μsから0.001μsの間である。いくつかの態様において、露光時間は0.1μsから0.001μsの間である。いくつかの態様において、露光時間は0.01μsから0.001μsの間である。
【0122】
いくつかの場合、フローセル1105は、イメージング領域1138上又はイメージング領域1138に隣接して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれより多いイメージングデバイス(例えば、高速カメラシステム114)を備えることができる。いくつかの場合、フローセルは、イメージング領域1138上又はイメージング領域1138に隣接する最大で10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1つのイメージングデバイスを備えてもよい。いくつかの場合、フローセル1105は複数のイメージングデバイスを備えてもよい。複数のイメージングデバイスの各々は、同じ光源からの光を使用してもよい。あるいは、複数のイメージングデバイスの各々は、異なる光源からの光を使用してもよい。複数のイメージングデバイスは、互いに対して並列及び/又は直列に構成されてもよい。複数のイメージングデバイスは、フローセル1105の1つ以上の側面(例えば、隣接する2つの側面又は対向する2つの側面)に構成されてもよい。複数のイメージングデバイスは、(i)フローセル1105の長さ(例えば、フローセル1105の直線路の長さ)、又は(ii)フローセル1105中の1つ以上の粒子(例えば、1つ以上の細胞)の移動方向に関して、同じ軸又は異なる軸に沿ってイメージング領域1138を見るように構成されてもよい。
【0123】
本開示の1つ以上のイメージングデバイスは、1つ以上の細胞をイメージングしている間、例えばイメージング領域1138において、静止していてもよい。あるいは、1つ以上のイメージングデバイスは、1つ以上の細胞をイメージングしている間、流路に対して(例えば、流路の長さに沿って、流路に向かって、及び/又は流路から離れるように、流路の円周に関して接線方向に、など)移動してもよい。いくつかの例では、1つ以上のイメージングデバイスは、例えば、ステッパーアクチュエータ、リニアアクチュエータ、油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、電気アクチュエータ、磁気アクチュエータ、機械アクチュエータ(例えば、ラック&ピニオン、チェーンなど)などのような1つ以上のアクチュエータに動作可能に結合されてもよい。
【0124】
いくつかの場合、フローセル1105は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれより多いイメージング領域(例えば、イメージング領域1138)を備えてもよい。いくつかの場合、フローセル1105は、最大で10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1つのイメージング領域を備えてもよい。いくつかの例では、フローセル1115は複数のイメージング領域を備えてもよく、複数のイメージング領域は互いに対して並列及び/又は直列に構成されてよい。複数のイメージング領域は、互いに流体連通していてもよく、又はしていなくてもよい。一例では、第1のイメージング領域と第2のイメージング領域は、第1のイメージング領域を通過する第1の流体が第2のイメージング領域を通過しないように、並列に構成されてもよい。別の例では、第1のイメージング領域と第2のイメージング領域は、第1のイメージング領域を通過する第1の流体が第2のイメージング領域も通過するように、直列に構成されてもよい。
【0125】
イメージングシステムのイメージングデバイス(例えば、高速カメラ)は、フローセル又はフローセル中の任意のコンテンツ(例えば、細胞)により反射される及び/又はそれから透過される電磁放射線の少なくとも一部を検出する電磁放射線センサ(例えば、IRセンサ、カラーセンサなど)を備えることができる。イメージングデバイスは、X線(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又はそれより多い)と動作可能に通信することができる。電磁放射線は、X線(約0.1ナノメートル(nm)~約10.0nm、又は約1018ヘルツ(Hz)~約1016ヘルツ)、紫外線(UV)(約10.0nm~約380nm、又は約8×1016Hz~約1015Hz)、可視光線(約380nm~約750nm、又は約8×1014Hz~約4×1014Hz)、赤外(IR)光(約750nm~約0.1センチメートル(cm)、又は約4×1014Hz~約5×1011Hz)、及びマイクロ波(約0.1cm~約100cm、又は約108Hz~約5×1011Hz)を含むが、これらに限定されない電磁放射線の1つ以上の供給源を備えることができる。いくつかの場合、電磁放射源は環境光であることができるので、このように、細胞ソートシステムは追加の電磁放射源を有しなくてもよい。
【0126】
イメージングデバイスは、細胞の2次元画像(例えば、1つ以上のピクセル)及び/又は細胞の三次元画像(例えば、1つ以上のボクセル)を取るように構成することができる。
【0127】
容易に理解することができるように、露光時間は異なるシステム間で異なり得、所与の用途の要件又は、流速に限定されないなどのような所与のシステムの制限に大きく依存し得る。画像は取得され、画像分析アルゴリズムを使用して分析することができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、画像を取得し、捕捉後に分析する。いくつかの態様では、画像をリアルタイムで連続的に取得し、分析する。物体追跡ソフトウェアを使用して、カメラの視野内にある間、単一細胞を検出し、追跡することができる。それから、バックグラウンドサブトラクションを行うことができる。多くの実施形態において、フローセル1106は、細胞をイメージングする際に回転させ、各細胞の複数の画像を分析のためにコンピューティングシステム1116に提供する。いくつかの実施形態では、複数の画像は複数の細胞の角度からの画像を含む。
【0129】
流速及び流路寸法は、複数の異なる角度(すなわち、複数の細胞の角度)から同一の細胞の複数の画像を得るために判定することができる。ある角度から次の角度への回転の程度は均一であってもよく、不均一であってもよい。いくつかの例では、細胞の360°の全景が捕捉される。いくつかの実施形態では、連続するフレーム間で細胞が90°回転する4つの画像が提供される。いくつかの実施形態では、連続するフレーム間で細胞が45°回転する8枚の画像が提供される。いくつかの実施形態では、連続するフレーム間で細胞が15°回転する24枚の画像が提供される。いくつかの実施形態では、細胞が第1のフレームと第2のフレームとの間で第1の角度で回転し、細胞が第2のフレームと第3のフレームとの間で第2の角度で回転する3つ以上の画像が提供され、ここで第1の角度と第2の角度は異なる。いくつかの例では、細胞の360°の全景が撮影されなくてもよく、結果となる同じ細胞の複数の画像は、細胞を分類する(例えば、細胞の特定のタイプを決定する)のに十分であり得る。
【0130】
細胞は複数の側面を有し得る。細胞の複数の側面は、経路を通って細胞の搬送(流れ)の方向に関して定義することができる。いくつかの場合、細胞は、停止側、上側と対向する底側、前側(例えば、細胞の流れの方向に向かう側)、前側と対向する後側、左側、及び/又は左側と対向する右側を含むことができる。いくつかの場合、細胞の画像は、複数の角度から捕捉された複数の画像を含むことができ、複数の画像は、(1)細胞の上側から捕捉された画像、(2)細胞の下側から捕捉された画像、(3)細胞の前側から捕捉された画像、(4)細胞の後側から捕捉された画像、(5)細胞の左側から捕捉された画像、及び/又は(6)細胞の右側から捕捉された画像を含むことができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、個々の細胞の複数の画像を重ね合わせることにより、細胞の2次元「ホログラム」を生成することができる。「ホログラム」は、細胞の形態学的特徴を含むがこれに限定されない特徴に基づいて、細胞の特性を自動的に分類するために分析することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、各細胞について、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の画像が捕捉される。いくつかの実施形態では、各細胞について5個以上の画像が捕捉される。いくつかの実施形態では、各細胞について5~10個の画像が捕捉される。いくつかの実施形態では、各細胞について10個以上の画像が捕捉される。いくつかの実施形態では、各細胞について10~20個の画像が捕捉される。いくつかの実施形態では、各細胞について20個以上の画像が捕捉される。いくつかの実施形態では、各細胞について20~50個の画像が捕捉される。いくつかの実施形態では、各細胞について50個以上の画像が捕捉される。いくつかの実施形態では、各細胞について50~100個の画像が捕捉される。いくつかの実施形態では、各細胞について100個以上の画像が捕捉されるま。いくつかの場合、各細胞について、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、又はそれより多い画像が、複数の異なる角度で捕捉されてもよい。いくつかの場合、最大で50、40、30、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2個の画像が、複数の異なる角度で各細胞について捕捉されてもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、イメージングデバイスを、複数の角度から細胞の複数の画像を捕捉するように移動する。いくつかの態様では、画像は水平軸に対して0度から90度の間の角度で捕捉される。いくつかの態様では、画像は水平軸に対して90度から180度の間の角度で捕捉される。いくつかの態様では、画像は水平軸に対して180度から270度の間の角度で捕捉される。いくつかの態様では、画像は水平軸に対して270度から360度の間の角度で捕捉される。
【0134】
いくつかの実施形態では、複数のイメージングデバイス(例えば複数のカメラ)が使用され、各デバイスは特定の細胞の角度から細胞の画像を捕捉する。いくつかの態様では、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のカメラが使用される。いくつかの態様では、10個以上のカメラが使用され、各カメラが特定の細胞の角度から細胞をイメージングする。
【0135】
容易に理解されるように、捕捉される画像の数は、所与の用途の要件又は所与のシステムの限界に依存する。いくつかの実施形態では、フローセルは細胞を集束、整列、及び/又は回転させるための異なる領域を有する。集束領域、整列領域、及び細胞の回転領域は、特定の順序で試料に影響を与えるものとして論じられるが、当業者であれば、試料中の細胞の集束、整列、及び/又は回転を任意の順序で行うことができる様々な領域を異なるように配列することができることを理解するであろう。本開示の一実施形態に従って実装されたマイクロ流体デバイス内の領域を
図6Bに図示する。フローセル1105は、凝集物/破片又は塵埃粒子による経路の詰まりを防止するための濾過領域1130を含んでもよい。細胞は、細胞を細胞の単一流線に集束させる領域1132を通過し、それから、整列領域1134により間隔を置かれる。いくつかの実施形態では、集束領域は「慣性集束」を利用して細胞の単一流線を形成する。いくつかの実施形態では、集束領域は「流体力学的集束」を利用して細胞を細胞の単一流線に集束させる。任意選択で、イメージングの前に、回転領域1136により細胞に回転を授けられる。任意に回転している細胞は、それから、フローセルを出る前に、イメージングのために細胞が照明されるイメージング領域1138を通過することができる。これらの様々な領域は、以下でさらに詳細に説明され、論じられる。いくつかの場合、回転領域1136がイメージング領域1138に先行してもよい。いくつかの場合、回転領域1136は、イメージング領域1138の一部(例えば、フローセル内の細胞の移動に関する開始部分、中間部分、及び/又は終了部分)であってもよい。いくつかの場合、イメージング領域1138は回転領域1136の一部であってもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、単一の細胞が、イメージングデバイス、例えばカメラの視野内にイメージングされる。いくつかの実施形態では、複数の細胞がイメージングデバイスの同じ視野内にイメージングされる。いくつかの態様では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の細胞がイメージングデバイスの同じ視野内にイメージングされる。いくつかの態様では、最大100個の細胞がイメージングデバイスの同じ視野内にイメージングされる。いくつかの例では、10~100個の細胞がイメージングデバイスの同じ視野内にイメージングされ、例えば、10~20細胞、10~30細胞、10~40細胞、10~50細胞、10~60細胞、10~80細胞、10~90細胞、20~30細胞、20~40細胞、20~50細胞、20~60細胞、20~70細胞、20~80細胞、20~90細胞、30~40細胞、40~50細胞、40~60細胞、40~70細胞、40~80細胞、40~90細胞、50~60細胞、50~70細胞、50~80細胞、50~90細胞、60~70細胞、60~80細胞、60~90細胞、70~80細胞、70~90細胞、90~100細胞がイメージングデバイスの同じ視野内にイメージングされる。
【0137】
いくつかの場合、流路の軸に垂直な流路の断面を横切って、単一の細胞だけを搬送することができるようにしてもよい。いくつかの場合、複数の細胞(例えば、少なくとも2、3、4、5、又はそれより多い細胞、最大で5、4、3、2、又は1個の細胞)を、流路の軸に垂直な流路の断面を横切って同時に搬送することができるようにしてもよい。このような場合、イメージングデバイス(又はイメージングデバイスに動作可能にリンクされたプロセッサ)は、複数の細胞の各々が流路に沿って搬送されるのを追跡するように構成されてもよい。
【0138】
イメージングデバイスは、とりわけ、カメラ、対物レンズ系及び光源を含むことができる。多くの実施形態において、上述したものと類似のフローセルは、最小限の作製時間及びコストが要求されるために標準的な2Dマイクロ流体作製技術を使用して作製することができる。
【0139】
特定の分類及び/又はソートシステム、フローセル、並びにマイクロ流体デバイスが、
図6A及び
図6Bに関して上述されているが、分類及び/又はソートシステム、フローセル、並びにマイクロ流体デバイスは、本開示の様々な実施形態に従って、特定の用途の要件に適切な様々な方法のいずれかで実施することができる。本開示のいくつかの実施形態に従った分類及び/又はソートシステムにおいて利用することができるマイクロ流体デバイスの特定の要素は、以下で更に論ずる。
【0140】
いくつかの場合、実施形態において、マイクロ流体システムは、イメージングデバイス(例えば、1つ以上のカメラ)に動作可能に結合されたマイクロ流体チップ(例えば、細胞を流すための1つ以上のマイクロ流路を備える)を備えることができる。マイクロ流体デバイスは、イメージングデバイスを備えることができ、チップはデバイスに挿入することができ、イメージングデバイスをチップのチャネルのイメージング領域に位置合わせすることができる。チップをイメージングのために正確な位置に位置合わせするために、チップは、デバイス全体に対する又はイメージングデバイスに対するチップ(ゆえに、チップのチャネルのイメージング領域)の位置決めを決定するためにイメージングされ得る1つ以上の位置決め識別子(例えば、数字、文字、記号、又は他の図面などのようなパターン)を備えることができる。デバイス内のチップの画像ベースの位置合わせ(例えば、自動位置合わせ)のために、デバイスへの結合時にチップの1つ以上の画像を捕捉することができ、画像を、本明細書に開示される方法のいずれかにより(例えば、本明細書に開示されるモデル又は分類器を使用して)分析して、チップの位置合わせの程度又はスコアを判定することができる。位置決め識別子は、デバイス内でチップを保持するステージを、イメージングユニットに対する正しい場所に向かってデバイス内で移動するようにナビゲートするための「ガイド」とすることができる。
【0141】
いくつかの場合、ステージを正確な位置の範囲又は画像ユニットに対する正確な位置にナビゲートするために、ルールベースの画像処理を使用することができる。
【0142】
いくつかの場合、ステージを画像ユニットに対する正確なイメージング位置にナビゲートするために、本明細書で開示する機械学習/人工知能手法を修正又は訓練することができ、耐性を高めることができる。
【0143】
いくつかの場合、強化学習に基づく位置合わせ及び焦点合わせを実施するために、本明細書で開示する機械学習/人工知能方法を修正又は訓練することができる。機材又は画像ユニットに対するチップの位置合わせ処理は、例えばX軸若しくはY軸のいずれかでチップを保持するステージを移動させること、及び/又はZ軸上でイメージング面を移動させることを伴うことができる。訓練処理において、(i)チップは、X、Y、及びZの場所(例えば、ランダムに選択される)から開始することができ、(ii)チップ及び/又はチップを保持するステージの1つ以上の画像に基づいて、モデルが、ステージの移動ベクトル及びイメージング面の移動を決定することができ、(iii)そのような移動ベクトルがチップを最適な画像ユニットに対する相対的なX、Y、及びZの場所に近づけられ得るか否かに従って、誤差項をモデルの損失として決定することができ、そして、(iv)誤差の大きさは、一定である、又は現在のX、Y、及びZの場所が最適なX、Y、及びZの場所(例えば、予め決めておいてもよい)からどれだけ離れているかに比例する、のいずれかとすることができる。このような訓練されたモデルは、例えば、イメージング面に対する移動ベクトル及び/又は移動を決定するために使用され、チップと画像ユニット(例えば、1つ以上のセンサ)との間の相対的な位置合わせを強化することができる。
【0144】
位置合わせは、画像の捕捉に続いて起こすことができる。あるいは、又はそれに加えて、位置合わせは、チップの位置決め識別子の画像/動画を捕捉している間にリアルタイムで起こすことができる。
【0145】
本開示のフローセルの1つ以上の流路は、様々な形状及びサイズを有することができる。例えば、
図6A及び
図6Bを参照すると、流路の少なくとも一部(例えば、集束領域1132、整列領域1134、回転領域1136、イメージング領域1138、その間の接続領域など)は、円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、若しくは任意の部分的形状又はそれらの形状の組み合わせである断面を有してもよい。
【0146】
いくつかの実施形態において、本開示のシステムは、長方形又は正方形の断面を有する直線路を備える。いくつかの態様において、本開示のシステムは、丸い断面を有する直線路を備える。いくつかの態様において、本システムは、半楕円形断面を有する直路を備える。いくつかの態様において、本システムは、螺旋状路を備える。いくつかの態様において、本システムは、矩形断面を有する円形路を備える。いくつかの態様において、本システムは、円形断面を有する長方形路を有する円形路を備える。いくつかの態様において、システムは、半楕円形断面を有する円形路を備える。いくつかの態様において、本システムは、矩形断面を有する幅が伸縮する経路を備える。いくつかの態様において、本システムは、円形断面で幅が拡大及び縮小する経路を備える。いくつかの態様において、本システムは半楕円形断面で幅が拡大及び縮小する経路を備える。
【0147】
集束領域
流路は、1つ以上の細胞を流線に集束させるように形成された1つ以上の壁を備えることができる。流路は、細胞を流線に集束させるための壁を備える集束領域を備えることができる。マイクロ流体デバイス上の集束領域は、細胞の無秩序な流れを取り込み、様々な力(例えば慣性揚力(壁効果及びせん断勾配力)又は流体力学的力)を利用して、流れ内の細胞を細胞の流線に集束させることができる。いくつかの実施形態では、細胞は単一の流線に集束される。いくつかの例では、細胞は複数の流線、例えば少なくとも2本、少なくとも3本、少なくとも4本、少なくとも5本、少なくとも6本、少なくとも7本、少なくとも8本、少なくとも9本、又は少なくとも10本の流線に集束される。
【0148】
集束領域は、上流セクションを介してランダムに配列された細胞の流れを受け取る。細胞は収縮され、拡張されたセクションの領域に流れ込み、その中でランダムに配列された細胞は細胞の単一の流線に集束される。集束は細胞に作用する慣性揚力(壁効果及び剪断勾配力)の作用により駆動され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、集束領域は周期的パターンを形成する曲線的壁で形成される。いくつかの実施形態では、パターンは一連の正方形の伸縮を形成する。他の実施形態では、パターンは正弦波状である。さらなる実施形態では、正弦波パターンは、非対称パターンを形成するように歪んでいる。集束領域は、広い流速範囲で細胞を集束させるのに効果的であり得る。図示された実施形態では、正方形の伸縮とは対照的に、非対称の正弦波のような構造が使用される。これは、粒子流線の後方に二次渦及び二次流れによる形成を防ぐのに役に立つ。このようにして、図示された構造は、細胞を単一の横方向の平衡の場所に、より迅速かつ正確に集束させることを可能にする。回転及び湾曲路も慣性領域で使用することができるが、これらは他のモジュールとの統合を複雑にし得る。最後に、経路幅が経路の高さより大きい直線路も、細胞を単一の横方向の場所に集束させるために使用できる。しかしながら、この場合、z面に複数の平衡の場所が存在することにより、イメージング焦点面が固定されることが望ましいため、イメージングに問題が生まれ得る。容易に理解されるように、マイクロ流路の長さに沿って伸縮する断面を提供する、又は細胞を集束させることができる様々な構造のいずれもが、特定の用途の要件に応じて適切に利用され得る。
【0150】
細胞ソートシステムは、流路の軸に沿って流路内の幅及び/又は高さに細胞を集束させるように構成することができる。細胞は、流路の断面の中心又は中心から外れるように集束させることができる。細胞は流路の断面の側面(例えば壁面)に集束させることができる。経路断面内の細胞の集束位置は、細胞が経路を通って搬送される際に均一であってもよく、又は不均一であってもよい。
【0151】
マイクロ流路内の集束領域の具体的な実施態様を上述したが、細胞を単一の流線に集束させる様々な経路構成のいずれも、本開示の様々な実施態様に従って、特定の用途の要件に適切なように利用することができる。
【0152】
整列領域
マイクロ流路は、本開示のいくつかの実施形態に従って、集束領域により形成される細胞の単一の流線に整列させるように設計することができる。本開示のいくつかの実施形態に従ったマイクロ流路は、挟み込み領域及び湾曲路を有する整列領域を含む。整列領域は、細胞を整列させ、イメージングを容易にするために単一細胞を互いに離間させる。いくつかの実施形態では、整列することは、慣性揚力とディーン抗力とを細胞に適用するようにマイクロ流路を形成することにより達成される。
【0153】
異なる幾何学、整列、及び/又は組み合わせが使用され得る。いくつかの実施形態では、湾曲路を使用せずに、ピンチ領域を集束流路の下流に配置することができる。湾曲路を追加することは、粒子が下流に移動する際に単一の横方向の場所をたどる可能性を高めるだけでなく、より迅速かつ制御された整列に役立つ。容易に理解できるように、整列領域の具体的な構成は、所与の用途の要件に基づいてほぼ決定される。
【0154】
細胞回転領域及びイメージング領域
本開示のフローセルのマイクロ流路のアーキテクチャは、マイクロ流路に沿った細胞の流れを調節するように制御(例えば、修正、最適化など)してもよい。細胞流の例としては、(i)細胞の集束(例えば、単一の流線への集束)、及び(ii)細胞がマイクロ流路の長さを流下する際の(例えば、単一の流線内での)1つ以上の細胞の回転を含んでもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ流路は、本開示の多くの実施形態に従って、整列された細胞に回転を付与するように構成することができる。本開示のいくつかの実施形態に従ったマイクロ流路の1つ以上の細胞回転領域(例えば、細胞回転領域1136)は、粒子なしの緩衝液の共流を使用して、細胞を横切って差速度勾配を適用するために共流を使用することにより細胞回転を誘発する。いくつかの場合、細胞回転領域は、少なくとも1、2、3、4、5、又はそれより多い緩衝液(例えば、粒子なし、又はポリマー粒子若しくは磁性粒子などのような1つ以上の粒子を含んでいる)の共流を導入して、経路内の1つ以上の細胞に回転を付与することができる。いくつかの例では、細胞回転領域は、経路内の1つ以上の細胞に回転を付与するために、最大で5、4、3、2、又は1つの緩衝液の共流を導入することができる。いくつかの例では、複数の緩衝液は細胞回転領域の長さに沿って同じ場所で共流されてもよく、又は細胞回転領域の長さに沿って異なる位置で順次に共流されてもよい。いくつかの例では、複数の緩衝液は同じであってもよく、又は異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ流路の細胞回転領域は、回転軸が細胞下流側移動軸に対して垂直であり、細胞の横方向の移動に対して平行であるように、2層作製処理を使用して作製される。
【0155】
細胞は、細胞が流下する際にタンブリング及び/又は回転している間、細胞回転領域の少なくとも一部でイメージングされてもよい。あるいは、又はそれに加えて、細胞は細胞回転領域に隣接する、又は細胞回転領域の下流にあるイメージング領域でイメージングされてもよい。いくつかの例では、細胞は流路内を単一の流線で流れていてもよく、細胞は単一の流線内で回転しながらイメージングされてもよい。細胞の回転速度は一定でもよく、又はイメージング領域の長さに沿って変化させてもよい。これは、異なる角度での細胞のイメージングを可能にする場合があり(例えば、細胞の回転による複数の角度から撮影された細胞の複数の画像から)、単一の画像又は有意な範囲で回転していない細胞の一連の画像で捕捉され得るよりも、細胞の特徴に関するより正確な情報を提供し得る。また、これは、画像全体の回転の角度が既知であるため、利用可能なソフトウェアを使用して細胞の3D再構成を可能にする。あるいは、各画像から細胞を分析(例えば、分類)するために、一連の画像の一つ一つの画像を個別に分析することもできる。いくつかの場合、一連の画像の個々の分析の結果を集計して、最終的な判断(例えば、細胞の分類)を決定してもよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、マイクロ流路の細胞回転領域は、本開示の実施形態に従ったイメージング領域の前に、注入された共流を組み込む。共流は、細胞を回すためにz面(イメージング面に垂直)に導入されてもよい。イメージングはx-y面で行われるため、y軸に平行な軸を中心とした細胞の回転は、以前の画像では隠されていたかもしれない細胞の一部を回転させることにより、後続の各画像で見えるようにすることで、追加情報を提供する。経路の次元が変化するため、点x0において、速度勾配が細胞全体に適用され、これにより、細胞を回すことができる。細胞の角速度は、経路と細胞の次元、及びQ1(主経路流速)とQ2(共経路流速)との比に依存し、所与の用途の要求に適切なように設定することができる。いくつかの実施形態では、細胞回転領域は、細胞に回転を与えるための細胞全体の速度勾配の変化を開始するために、マイクロ流路の1次元の増加を組み込む。いくつかの態様において、マイクロ流路の細胞回転領域は、本開示の実施形態に従って、イメージング領域の前にマイクロ流路の断面のz軸次元の増加を組み込む。チャネルの高さの変化は、マイクロ流路のz軸における細胞全体の速度勾配の変化を開始することができ、これは共流を使用する際と同様に細胞を回転させることができる。
【0157】
流れる細胞
いくつかの実施形態では、本開示のシステム及び方法は、マイクロ流路内の細胞を集束させる。本明細書で使用される集束という用語は、広義には細胞/複数の細胞の移動の軌跡を制御することを意味し、細胞がマイクロ流路内を動いて進む場所及び/又は速度を制御することを含む。いくつかの実施形態では、粒子がマイクロ流路の中を動いて進む横方向の場所及び/又は速度を制御することは、細胞が分岐点に到着する時間を正確に予測することを可能にする。その後、細胞は正確にソートされ得る。マイクロ流路内での細胞の集束に重要なパラメータには、経路幾何学、粒子サイズ、システム全体のスループット、試料濃度、イメージングスループット、視野のサイズ、及びソートの方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0158】
いくつかの実施形態では、集束は慣性力を使用して達成される。いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、慣性集束を使用して細胞を経路の下部から一定の高さに集束させる。これらの実施形態では、対物レンズからの細胞の距離は等しく、全ての細胞の画像が鮮明になる。そのため、核の形状、構造、サイズなどのような細胞の詳細が、出力された画像に、ぼかしを最小限に抑えて明瞭に現れる。いくつかの態様において、本明細書に開示されたシステムは、調節可能なイメージング集束面を有する。いくつかの態様において、集束面は、対物レンズ又はステージを動かすことにより調整される。いくつかの態様において、最良の集束面は、異なる面及びイメージングされた細胞が最も高いフーリエ振幅を有する面で映像を記録することにより見出され、このように、最も高い詳細度及び最も高い解像度を有する面が最良の平面である。
【0159】
いくつかの実施形態では、イメージングされる目的の細胞について一貫したzの高さを得るために本開示のシステム及び方法は、流体力学ベースのz集束システムを利用する。いくつかの態様において、設計は、主流と側流のための複数の入口を使用する流体力学的集束を含む。いくつかの態様では、流体力学ベースのz集束システムはトリプルパンチ設計である。いくつかの態様では、設計は3つの入り口を用いた流体力学的集束を含み、2つの側流が中央で細胞を摘み取る。ある種の経路設計は、二重のz集束点が作成される場合があり、トリプルパンチ設計に類似するダブルパンチ設計が、一貫した集束画像を入手するために2つの集束点の一方に物体を送るために使用されてもよい。いくつかの態様では、設計は2つの入口を有する流体力学的集束を含み、1つの側流路のみが使用され、細胞は流路壁近傍に集束される。いくつかの態様では、流体力学的集束は、細胞を含んでいない側流と細胞を含んでいる中央の入口を含む。側流路の流量と主流路の流量の比が細胞集束領域の幅を決定する。いくつかの態様において、設計は上記の組み合わせである。全ての態様において、設計は本明細書に開示された分岐及びソート機構と統合可能である。いくつかの態様において、流体力学ベースのz集束システムは慣性ベースのz集束と併用される。
【0160】
いくつかの実施形態では、「粒子」、「物体(objects)」、「細胞(cells)」という用語は互換的に使用される。いくつかの態様において、細胞は生細胞である。いくつかの態様において、細胞は固定細胞(例えば、メタノール中又はパラホルムアルデヒド中の)である。いくつかの場合、1つ以上の細胞は、フローセルを流れる間、基質(例えば、ポリマービーズ又は磁性ビーズ)に結合(例えば、共有結合的又は非共有結合的に取り付け)していてもよい。いくつかの場合、フローセルを流れる間、細胞はいかなる基質にも結合されなくてよい。
【0161】
イメージング及び分類
本開示の様々な実施形態に従って、分類及び/又はソートシステムによって捕捉された細胞の画像を分類するために、様々な技術を利用することができる。いくつかの実施形態では、画像キャプチャは、手動又は画像分析ソフトウェアによってのうちのいずれかでさらなる分析/分類のために保存される。任意の適切な画像分析ソフトウェアを、画像分析のために使用することができる。いくつかの実施形態では、画像分析はOpenCVを使用して行われる。いくつかの実施形態では、分析及び分類はリアルタイムで行われる。
【0162】
いくつかの実施形態では、本開示のシステム及び方法は、流れ中の物体の複数の画像を収集することを備える。いくつかの態様において、複数の画像は、少なくとも20個の細胞の画像を含む。いくつかの態様において、複数の画像は、少なくとも19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2個の細胞の画像を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞の角度からの画像を含む複数の画像は、粒子が単一の視点からイメージングされた場合、典型的には隠れるであろう粒子からの範囲外の特徴を導出するのに役立つ。いくつかの態様では、理論に拘泥せずに述べると、複数の細胞の角度からの画像を含む複数の画像は、複数の画像が多次元再構成(例えば、2次元ホログラム又は三次元再構成)に結合される場合、典型的には隠れるであろう粒子から範囲外の特徴を導出するのに役立つ。
【0163】
いくつかの実施形態では、本開示のシステム及び方法は、追跡能力を可能にし、システム及び方法は、カメラの下で粒子(例えば、細胞)を追跡し、どのフレームが同じ粒子に属するかの知識を維持する。いくつかの実施形態では、粒子は、分類及び/又はソートされるまで追跡される。いくつかの場合、粒子は、粒子の1つ以上の形態学的(例えば、形状、サイズ、面積、体積、テクスチャ、厚さ、丸さなど)及び/又は光学的(例えば、光の放出、透過、反射率、吸光度、蛍光、ルミネセンスなど)特性により追跡されてもよい。いくつかの例では、各粒子は、1つ以上の形態学的及び/又は光学的特性に基づいてスコア(例えば、特性スコア)を割り当てられ、それにより、粒子がマイクロ流路を動いて進む際に粒子を追跡及び確認してもよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、本開示のシステム及び方法は、カメラの特定の視野で単一の粒子をイメージングすることを備える。いくつかの態様において、本開示のシステム及び方法は、カメラの同じ視野で複数の粒子をイメージングする。カメラの同じ視野で複数の粒子をイメージングすることは、追加の利点を提供することができ、例えば、複数の粒子のデータ収集及び送信を一括することにより、システムのスループットが増大するだろう。いくつかの例では、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又はそれより多い粒子がカメラの同じ視野にイメージングされる。いくつかの例では、100~200個の粒子がカメラの同じ視野にイメージングされる。いくつかの例では、最大で約100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2個の粒子がカメラの同じ視野にイメージングされる。いくつかの場合、同じ視野にイメージングされる粒子(例えば、細胞)の数は、フローセルの動作の間を通して、変更されなくてもよい。あるいは、同じ視野にイメージングされる粒子(例えば、細胞)の数は、例えば、分類及び/又はソート処理の品質又は精度に悪影響を及ぼすことなく分類及び/又はソート処理の速度を向上させるために、フローセルの動作全体の間を通してリアルタイムで変更されてもよい。
【0165】
イメージング領域は、集束領域及び整列領域の下流であってもよい。このように、イメージング領域は、集束領域及び整列領域の一部でなくてもよい。一例では、集束領域は、粒子分析(例えば、細胞分類)のために使用される1つ以上の画像を捕捉するように構成されるイメージングデバイスを備えなくてもよく、又はイメージングデバイスに動作可能に結合されなくてもよい。
【0166】
ソート
いくつかの実施形態では、本開示のシステム及び方法は、粒子の流れを能動的にソートする。本明細書で使用されるソート又はソーティングという用語は、1つ以上の所望の特性を有する粒子、例えば細胞を物理的に分離することを指す。所望の特性は、分析された、及び/又は細胞の画像から得られた細胞の特徴を含むことができる。細胞の特徴の例は、サイズ、形状、体積、電磁波の吸収率及び/又は透過率(例えば、蛍光強度、ルミネセンス強度など)、又は生存力(例えば、生細胞を使用するとき)を含むことができる。
【0167】
流路は複数の経路に分岐することができ、細胞ソートシステムは、細胞の分析画像に基づいて複数の経路のうちの選択された経路に細胞を誘導することにより細胞をソートするように構成することができる。分析画像は細胞の1つ以上の特徴を示すものであってもよく、その特徴は細胞のソートのパラメータとして使用される。いくつかの場合、複数の経路の1つ以上の経路は複数のサブ経路を有することができ、複数のサブ経路は、一旦ソートされた細胞を更にソートするために使用することができる。
【0168】
細胞のソートは、細胞の集団から1つ以上の標的細胞を単離することを備えてもよい。標的細胞は、標的細胞を集団の他の細胞から分離しておく別個のリザーバに単離してもよい。細胞のソートの精度は、細胞の集団中の標的細胞のうち、同定され、別個のリザーバにソートされた細胞の割合(例えば、パーセンテージ)で定義されてもよい。いくつかの場合、本明細書で提供されるフローセルの細胞のソートの精度は、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれより高く(例えば、99.9%若しくは100%)てもよい。いくつかの場合、本明細書で提供されるフローセルの細胞のソートの精度は、最大で100%、99%、98%、7%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、又はそれ未満であってもよい。
【0169】
いくつかの場合、細胞のソートは少なくとも1セル/秒、5セル/秒、10セル/秒、50セル/秒、100セル/秒、500セル/秒、1,000セル/秒、5,000セル/秒、10,000セル/秒、50,000セル/秒、又はそれより大きい速度で行われてもよい。いくつかの場合、細胞ソートは、最大で50,000セル/秒、10,000セル/秒、5,000セル/秒、1,000セル/秒、500セル/秒、100セル/秒、50セル/秒、10セル/秒、5セル/秒、1セル/秒、又はそれ未満の速度で行われてもよい
【0170】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、能動的ソート機構を使用する。様々な実施形態において、能動的ソートは、分析及び意思決定プラットフォーム並びに方法から独立している。様々な実施形態において、ソートは、ソーターにより行われ、これは、意思決定ユニット(例えば分類器)、又は任意の他の外部ユニットから信号を受信し、それから、細胞が分岐点に到着する際に細胞をソートする。本明細書で使用される分岐という用語は、1つ以上の所望の特性を有する細胞を、2つ以上の経路のうちの1つにソート又は誘導し、かつ1つ以上の所望の特性を有さない細胞を残りの経路に誘導するような、2つ以上の経路への流路の終端を指す。いくつかの実施形態では、流路は少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれより多い経路に終端する。いくつかの実施形態では、流路は、最大で10、9、8、7、6、5、4、3、又は2つの経路に終端する。いくつかの実施形態では、流路は2つの経路に終端し、かつ1つ以上の所望の特性を有する細胞は2つの経路の一方(正路)に誘導され、1つ以上の所望の特性を有さない細胞は他方の経路(負路)に誘導される。いくつかの実施形態では、流路は3つの経路で終端し、かつ、第1の所望の特性を有する細胞は3つの経路のうちの1つに誘導され、第2の所望の特性を有する細胞は3つの経路のうちの別の経路に誘導され、第1の所望の特性及び第2の所望の特性を有しない細胞は3つの経路のうちの残りの経路に誘導される。
【0171】
いくつかの実施形態では、ソートはソーターによって行われる。ソーターは、粒子が分岐点に到着する正確な時間を予測することにより機能してもよい。粒子の到着時間を予測するために、ソーターは任意の適用可能な方法を使用することができる。いくつかの例では、ソーターは、(i)分岐の上流にある粒子の速度(例えば、マイクロ流路の長さに沿った粒子の下流速度)、及び(ii)速度測定/計算位置と分岐との間の距離、を使用すすることにより、粒子の到着時間を予測する。いくつかの例では、ソーターは一定の遅延時間を入力として使用することにより、粒子の到着時間を予測する。
【0172】
いくつかの場合、細胞の分岐点到着前に、ソーターは粒子(例えば細胞)の速度を少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、又はそれより多い回数、測定してもよい。いくつかの場合、細胞の分岐点到着前に、ソーターは粒子の速度を最大5回、4回、3回、2回、又は1回測定してもよい。いくつかの場合、ソーターは少なくとも1、2、3、4、5、又はそれより多いセンサを使用してもよい。いくつかの場合、ソーターは最大で5、4、3、2、又は1個のセンサを使用してもよい。センサの例としては、イメージングデバイス(例えば、高速カメラなどのカメラ)、1点又は多点光(例えば、レーザー)検出器などであってもよい。
図6A及び6Bを参照すると、ソーターは、イメージング領域1138に配置された又はイメージング領域1138に隣接するイメージングデバイス(例えば、高速カメラシステム114)のいずれか1つを使用してもよい。いくつかの例では、同じイメージングデバイスを使用して、細胞が経路内で回転及び移動している際に細胞の1つ以上の画像を捕捉してもよく、1つ以上の画像を分析して、(i)細胞を分類し、(ii)経路内の細胞の回転速度及び/又は横方向の速度を測定し、分岐部への細胞の到達時間を予測してもよい。いくつかの例では、ソーターはイメージング領域1138のイメージングデバイスとは異なる1つ以上のセンサを使用してもよい。ソーターは、(i)イメージング領域1138の上流、(ii)イメージング領域1138において、及び/又は(iii)イメージング領域1138の下流で粒子の速度を測定してもよい。
【0173】
ソーターは、コンピュータプロセッサなどのようなプロセッサを備えてもよく、又はプロセッサに動作可能に結合されてもよい。そのようなプロセッサは、イメージングデバイス114に動作可能に結合されたプロセッサ1116であってもよく、又は別のプロセッサであってもよい。プロセッサは、粒子の速度(粒子の回転速度及び/又は下流速度)を計算し、分岐部への粒子の到着時間を予測するように構成されてもよい。プロセッサは、分岐部の1つ以上のバルブに動作可能に結合されてもよい。プロセッサは、分岐部と流体連通する任意の経路を開閉するようにバルブに指示するように構成されてもよい。プロセッサは、バルブの動作(例えば、開放又は閉鎖)がいつ完了するかを予測し、測定するように構成されていてもよい。
【0174】
いくつかの例では、ソーターは、(i)粒子の到着時間を予測すること、及び/又は(ii)粒子が分岐に到着した際に粒子を検出することが可能である(例えば、イメージングデバイスなどのようなセンサを備える)自己内蔵ユニットを備えてもよい。粒子をソートするために、自己内臓ユニットにより検出されるような粒子が分岐に到着する順序は、意思決定ユニット(例えば分類器)からの受信信号の順序と一致させてもよい。いくつかの態様において、制御された粒子は、必要に応じて順序を合わせ、更新するために使用される。いくつかの例では、意思決定ユニットが第1の細胞、第2の細胞、第3の細胞をそれぞれ分類し、ソーターは、第1の細胞、第2の細胞、第3の細胞がそれぞれ同じ順序で分類されていることを確認してもよい。順序が確認された場合、分類及びソート機構(又は深層学習アルゴリズム)は同じままでよい。分類とソートとの間で順序が異なる場合、そのとき、分類及び/又はソート機構(又は深層学習アルゴリズム)は、手動若しくは自動で更新又は最適化されてもよい。いくつかの態様において、制御された粒子は細胞(例えば、生細胞又は死細胞)であってもよい。
【0175】
いくつかの態様において、制御された粒子は、特殊な較正ビーズ(例えば、プラスチックビーズ、金属ビーズ、磁気ビーズなど)であってもよい。いくつかの実施形態では、使用される較正ビーズは、約1μMから約50μMの範囲のサイズを有するポリスチレンビーズである。いくつかの実施形態では、使用される校正ビーズは、少なくとも約1μMのサイズのポリスチレンビーズである。いくつかの実施形態では、使用される較正ビーズは、最大で約50μMのサイズのポリスチレンビーズである。いくつかの実施形態では、使用される較正ビーズは、約1μM~約3μM、約1μM~約5μM、約1μM~約6μM、約1μM~約10μM、約1μM~約15μM、約1μM~約20μM、約1μM~約25μM、約1μM~約30μM、約1μM~約35μM、約1μM~約40μM、約1μM~約50μM、約3μM~約5μM、約3μM~約6μM、約3μM~約10μM、約3μM~約15μM、約3μM~約20μM、約3μM~約25μM、約3μM~約30μM、約3μM~約35μM、約3μM~約40μM、約3μM~約50μM、約5μM~約6μM、約5μM~約10μM、約5μM~約15μM、約5μM~約20μM、約5μM~約25μM、約5μM~約30μM、約5μM~約35μM、約5μM~約40μM、約5μM~約50μM、約6μM~約10μM、約6μM~約15μM、約6μM~約20μM、約6μM~約25μM、約6μM~約30μM、約6μM~約35μM、約6μM~約40μM、約6μM~約50μM、約10μM~約15μM、約10μM~約20μM、約10μM~約25μM、約10μM~約30μM、約10μM~約35μM、約10μM~約40μM、約10μM~約50μM、約15μM~約20μM、約15μM~約25μM、約15μM~約30μM、約15μM~約35μM、約15μM~約40μM、約15μM~約50μM、約20μM~約25μM、約20μM~約30μM、約20μM~約35μM、約20μM~約40μM、約20μM~約50μM、約25μM~約30μM、約25μM~約35μM、約25μM~約40μM、約25μM~約50μM、約30μM~約35μM、約30μM~約40μM、約30μM~約50μM、約35μM~約50μM、又は約40μM~約50μMの範囲のサイズを有するポリスチレンビーズである。いくつかの実施形態では、使用される較正ビーズは、約1μM、約3μM、約5μM、約6μM、約10μM、約15μM、約20μM、約25μM、約30μM、約35μM、約40μM、又は約50μMのサイズを有するポリスチレンビーズである。
【0176】
いくつかの実施形態では、ソーター(又は、分岐に配置された、若しくは分岐に隣接した追加のセンサ)は、粒子(例えば、細胞)が分岐に到達したことを検証するように構成されてもよい。いくつかの例では、ソーターは、分岐における粒子(例えば、細胞)の実際の到着時間を測定するように構成されてもよい。ソーターは、予測された到達時間、実際の到達時間、任意の速度の調整前の経路の下流の粒子の速度、及び/又はそのような速度の調整後のチャネルの下流の粒子の速度を分析(例えば、比較)してもよい。分析に基づいて、ソーターはフローセルの任意の動作(例えば、細胞集束、細胞回転、細胞速度の制御、細胞分類アルゴリズム、バルブ作動処理など)を修正してもよい。ソーターによる検証は、フローセルのあらゆる動作のクローズドループ及びリアルタイムの更新に使用されてもよい。
【0177】
いくつかの場合、ソートのための1つ以上の細胞の到着時間を予測するために、本明細書に開示されるシステム、方法、及びプラットフォームは、細胞のイメージングに基づいて、又は光(例えば、レーザー)を伴う細胞の追跡に基づいて、遅延時間(例えば、一定の遅延時間)を動的に調整することができる。変化(例えば、流速、複数の細胞の集合体の速度、経路中の細胞の横方向の位置など)を検出することによって、遅延時間(例えば、細胞が分岐点に到達する時間)を予測し、リアルタイムで(例えば、数ミリ秒ごとに)調節することができる。このような変化を常に読み取り、それに応じて遅延時間を調整するフィードバックループを設計することができる。あるいは、又はそれに加えて、遅延時間を細胞/粒子ごとに調整することもできる。遅延時間は、各個々の細胞について、例えばその速度、経路中の横方向の場所、及び/又は経路に沿った特定の位置への到達時間(例えば、レーザー又は他の方法に基づく追跡を使用して)に基づいて、個別に計算することができる。それから、計算された遅延時間を個々の細胞/粒子に適用することができる(例えば、細胞が陽性細胞又は標的細胞である場合、その特定の遅延時間又は所定の遅延時間に従ってソートを行うことができる)。
【0178】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法において使用されるソーターは、本明細書に開示されるように、自己学習細胞ソートシステム又はインテリジェント細胞ソートシステムである。これらのソートシステムは、ソートの出力に基づいて継続的に学習することができる。例えば、細胞の試料がソートされ、ソートされた細胞が分析され、この分析結果が分類器にフィードバックされる。いくつかの例では、「陽性」としてソートされた細胞(すなわち、標的細胞又は目的の細胞)が分析され、検証されてもよい。いくつかの例では、「陰性」(すなわち、非標的細胞又は目的ではない細胞)としてソートされた細胞が分析され、検証されてもよい。いくつかの例では、陽性細胞と陰性細胞の両方が検証されてもよい。ソートされた細胞のこのような検証(例えば、二次的なイメージングと分類とに基づく)は、一次的な細胞分類アルゴリズムのクローズドループ及びリアルタイムの更新のために使用されてもよい。
【0179】
いくつかの場合、ソート中にフラッシュ機構を使用することができる。フラッシュ機構は、特定のバケット又はウェルにソートされるべきと決定された細胞がそこに行き着く(例えば、経路又は排出口の様々な部分に滞留しない)ことを保証することができる。フラッシュ機構は、経路及び排出口が最大限の耐久性のために清潔で破片なしで保たれることを保証することができる。フラッシュ機構は、細胞がソートされるべきウェル又は液滴に、追加の溶液/試薬(例えば、細胞溶解緩衝液、バーコード試薬など)を注入することができる。フラッシュ機構は、流体をソートの方向に所定のケイデンスで流す役割を担う別個の一連の経路及び/又はバルブにより供給され得る。
【0180】
ソート技術
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法及びシステムは、粒子をソートするために任意のソート技術を使用することができる。収集リザーバの少なくとも一部は、流体、例えば緩衝液で予め充填されていてもよく、又はされていなくてもよい。いくつかの実施形態において、ソート技術は、分岐の一方の側で経路を閉鎖し、他方の側で所望の細胞を収集することを備える。いくつかの態様において、経路の閉鎖は、任意の既知の技術を採用することによって遂行することができる。いくつかの態様では、閉鎖は圧力の活用により遂行される。いくつかの例では、圧力は空気圧作動である。いくつかの態様において、圧力は陽圧又は陰圧とすることができる。いくつかの実施態様では、陽圧が使用される。いくつかの例では、圧力を加え、上層と下層との間の軟膜を偏向させることにより、分岐の片側が閉じられる。粒子(例えば、細胞)イメージング、分析、及びソートのシステム並びに方法の他の態様は、国際出願第PCT/US2017/033676号及び国際出願第PCT/US2019/046557号に更に記載されており、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0181】
試料及びデータ収集
様々な実施形態において、本開示のシステム及び方法は、粒子がソートされた後に粒子を収集するように設計された1つ以上のリザーバを備える。いくつかの実施形態において、ソートされるべき細胞の数は、約1セル~約1,000,000セルである。いくつかの実施形態において、ソートされるべき細胞の数は、少なくとも約1セルである。いくつかの実施形態において、ソートされるべき細動の数は、最大で約1,000,000セルである。いくつかの実施形態において、ソートされるべき細胞の数は、約1セル~約100セル、約1セル~約500セル、約1セル~約1,000セル、約1セル~約5,000セル、約1セル~約10,000セル、約1セル~約50,000セル、約1セル~約100,000セル、約1セル~約500,000セル、約1セル~約1,000,000セル、約100セル~約500セル、約100セル~約1,000セル、約100セル~約5,000セル、約100セル~約10,000セル、約100セル~約50,000セル、約100セル~約100,000セル、約100セル~約500,000セル、約100セル~約1,000,000セル、約500セル~約1,000セル、約500セル~約5,000セル、約500セル~約10,000セル、約500セル~約50,000セル、約500セル~約100,000セル、約500セル~約500,000セル、約500セル~約1,000,000セル、約1,000セル~約5,000セル、約1,000セル~約10,000セル、約1,000セル~約50,000セル、約1,000セル~約100,000セル、約1,000セル~約500,000セル、約1,000セル~約1,000,000セル、約5,000セル~約10,000セル、約5,000セル~約50,000セル、約5,000セル~約100,000セル、約5,000セル~約500,000セル、約5,000セル~約1,000,000セル、約10,000セル~約50,000セル、約10,000セル~約100,000セル、約10,000セル~約500,000セル、約10,000セル~約1,000,000セル、約50,000セル~約100,000セル、約50,000セル~約500,000セル、約50,000セル~約1,000,000セル、約100,000セル~約500,000セル、約100,000セル~約1,000,000セル、又は約500,000セル~約1,000,000セルである。いくつかの実施形態において、ソートされるべき細胞の数は、約1セル、約100セル、約500セル、約1,000セル、約5,000セル、約10,000セル、約50,000セル、約100,000セル、約500,000セル、又は約1,000,000セルである。
【0182】
いくつかの実施形態において、ソートされるべき細胞の数は、100~500セル、200~500セル、300~500セル、350~500セル、400~500セル、又は450~500セルである。いくつかの実施形態では、リザーバはミリリットル規模のリザーバであってもよい。いくつかの例では、1つ以上のリザーバは緩衝液で予め満たされ、ソートされた細胞は緩衝液中に格納される。緩衝液を使用することは、細胞の体積を増やすことに役立ち、そのから、例えば、ピペットなどで容易に扱うことができる。いくつかの例では、緩衝液はリン酸緩衝液、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0183】
いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、収集リザーバから希少物体を押し出すために、陰性物体を含んでいない緩衝液のポケットが陽性出力経路に送られる細胞ソート技術を備える。いくつかの態様において、追加の緩衝液は、一旦経路が綺麗に洗浄されると(例えば、本明細書に開示されるような洗浄機構を使用して)、実行の終わりに全ての陽性物体を洗い流すために陽性出力経路に送られる。
【0184】
いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、細胞回収技術を備え、ここで、ソートされた細胞は、下流の分析(例えば、分子分析)のために回収することができる。細胞回収技術の非限定的な例は、遠心分離による回収、ピペットによる直接回収、ウェル中の細胞の直接溶解、剥離可能なチューブでのソート、96ウェルプレート又は384ウェルプレートに寄託するための単一細胞ディスペンサーへの供給、を含むことができる。
【0185】
リアルタイム統合
いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、人工知能(AI)アルゴリズムを実行し、分類結果をリアルタイムでシステムに適用するために、グラフィック処理ユニット(GPU)及びデジタル信号プロセッサ(DSP)が使用される、技術の組み合わせを備える。いくつかの態様において、本開示のシステム及び方法は、リアルタイム細胞ソートのためのハイブリッド方法を備える。
【0186】
いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、フィードバックループ(例えば、自動フィードバックループ)を備える。例えば、システム及び方法は、(i)バイタル信号を監視し、(ii)読み取られるべき信号に基づいてシステム及び方法の1つ以上のパラメータを微調整するように構成することができる。実行(例えば、細胞イメージング、分類、及び/又はソートのためのマイクロ流路の使用)の開始時又は実行中、プロセッサ(例えば、本明細書に開示されるようなML/AIプロセッサ)は、1つ以上の選択されたパラメータ(例えば、流速、細胞速度など)の目標値を指定することができる。あるいは、又はそれに加えて、実行の質を反映する(例えば、自動的に反映する)他の信号(例えば、最後にイメージングされた100個の細胞内の焦点外の細胞の数)をフィードバックループで利用することができる。フィードバックループは、本明細書に開示されたパラメータ/信号の値を(例えば、リアルタイムで)受信し、所定の目標値及び/又は1つ以上の一般的な指令(例えば、焦点外の細胞は少ないほどよい)に基づいて、フィードバックループは調整(例えば、圧力システム、照明、ステージなどの調整)を容易にすることができる。いくつかの場合、フィードバックループは、マイクロ流体システムが応答しない、又は機能不全(例えば、許容できる読み取り値の範囲外の読み取り値を出力する)である縮退シナリオを監視及び/又は処理するように設計することができる。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示のシステム及び方法は、試料のタイプに対する予想真陽性率に基づいて細胞分類閾値を調整することができる。予想真陽性率は、同じ患者又は類似の病態を有する他の患者からの1回以上の以前の実行で集められた統計からのものでとすることができる。このようなアプローチは、イメージング、ひいてはそこからのいずれかの推論に影響するような実行ごとのばらつき(例えば、照明、チップ製造のばらつきなど)を中和するのに役立つ。
【0188】
検証
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、イメージングなどのような詳細情報を入手することなく粒子の存在を検出する検証ユニットを更に備える。いくつかの例では、検証ユニットは、1つ以上の目的のために使用されてもよい。いくつかの例では、検証ユニットは、分岐に近づく粒子を検出し、正確なソートを可能にする。いくつかの例では、検証ユニットは、粒子が分岐と流体連通するサブ経路の1つにソートされた後の粒子を検出する。いくつかの例では、検証ユニットは、複数のレーザースポット、例えば2つのレーザースポットでタイミング情報を提供する。いくつかの実施例では、検証ユニットは、イメージング時間を参照することによってタイミング情報を提供する。いくつかの実施例では、検証ユニットは、正確な時間遅延情報及び/又は粒子の流速を提供する。
【0189】
試料
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び方法によって分析される粒子(例えば、細胞)は、試料中に含まれる。試料は、対象から得られた生物学的試料であってもよい。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、対象からの生検試料を含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、対象からの組織試料を含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、対象からの液体生検を含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、固体生物学的試料、例えば腫瘍試料であることができる。いくつかの実施形態において、対象からの試料は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約100%の腫瘍からの腫瘍細胞を含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、試料は液体生物学的試料とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は、血液試料(例えば、全血、血漿、又は血清)とすることができる。全血試料は、フィコール試薬の使用により、細胞成分(例えば、血漿、血清)と細胞成分との分離に供することができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は尿試料とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は、リンパ周囲試料とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は、糞便試料とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は、唾液とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は精液とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は羊水とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は、脳脊髄液とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は、胆汁とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は汗とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は涙とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は痰とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は滑液とすることができる。いくつかの実施形態において、液体生物学的試料は嘔吐物とすることができる。
【0191】
いくつかの実施形態では、試料を一定期間にわたって収集することができ、本明細書に開示されるシステム及び方法を使用して、試料を互いに、又は標準試料と比較してもよい。いくつかの実施形態において、標準試料は、異なる対象、例えば、健康であることが知られている異なる対象又は不健康であることが知られている異なる対象から得られた比較試料である。試料は、一定の時間間隔で収集することもでき、又は不規則な時間間隔で断続的に収集することもできる。
【0192】
いくつかの実施形態では、対象は動物(例えば、ヒト、ラット、ブタ、ウマ、ウシ、イヌ、マウス)であってもよい。いくつかの実施態様において、対象はヒトであり、試料はヒト試料である。試料はヒト胎児試料であってもよい。試料は胎盤試料(例えば、胎盤細胞を含む)であってもよい。試料は、多細胞組織(例えば、臓器(例えば、脳、肝臓、肺、腎臓、前立腺、卵巣、脾臓、リンパ節、甲状腺、膵臓、心臓、骨格筋、腸、喉頭、食道、胃)、胚盤胞)からのものであってもよい。試料は細胞培養からの細胞であってもよい。いくつかの試料では、対象は妊娠しているヒト、又は妊娠が疑われるヒトである。
【0193】
試料は複数の細胞を含んでもよい。試料は、複数の同じタイプの細胞を含んでもよい。試料は複数の異なるタイプの細胞を含んでもよい。試料は、細胞周期及び/又は分化経路において同じ時点にある複数の細胞を含んでもよい。試料は、細胞周期及び/又は分化経路において異なる時点にある複数の細胞を含んでもよい。
【0194】
複数の試料は、1つ以上の悪性細胞を含んでもよい。1つ以上の悪性細胞は、腫瘍、肉腫、又は白血病に由来してもよい。
【0195】
複数の試料は、少なくとも1つの体液を含んでもよい。体液は、血液、尿、リンパ液、唾液を含んでもよい。複数の試料は、少なくとも1つの血液試料を含んでもよい。
【0196】
複数の試料は、1つ以上の生物学的組織からの少なくとも1つの細胞を含んでもよい。1つ以上の生体組織は、骨、心臓、胸腺、動脈、血管、肺、筋肉、胃、腸、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓、胆嚢、甲状腺、副腎、乳腺、卵巣、前立腺、睾丸、皮膚、脂肪、眼球又は脳であってよい。
【0197】
生物学的組織は、感染組織、疾患組織、悪性組織、石灰化組織又は健康な組織を含んでもよい。
【0198】
非侵襲的出生前検査(NIPT)
胎児異常の検出と性別判定のための従来の出生前スクリーニング法は、羊水穿刺及び絨毛絨毛サンプリング(CVS)などのような侵襲的技術を通して取得した胎児試料を使用する。また、超音波画像診断も、神経管、心臓、腎臓、四肢及び類似に係るようなものなどの構造的奇形を検出するために使用する。21トリソミー(ダウン症候群)、クラインフェルター症候群、13トリソミー(パタウ症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)などのような余分な染色体の存在又は、ターナー症候群などのような染色体の欠如、様々な転座及び欠失、などのような染色体異常は、現在CVS及び/又は羊水穿刺を使用して検出することができる。どちらの技術も慎重な取り扱いを必要とし、母体と妊娠に対してある程度のリスクが存在する。
【0199】
出生前診断は、35歳を超えた女性、及び/又は均衡型転座又は微小欠失のような遺伝性疾患を伴うことが知られている女性に提供される。
【0200】
絨毛膜絨毛サンプリング(CVS)は、妊娠第9週から第14週の間に行われる。CVSは、子宮頸部を通してカテーテルの挿入、又は対象/患者の腹部に針の挿入を伴う。針又はカテーテルは、絨毛膜絨毛として知られる胎盤の小さい試料を除去するために使用する。それから、CVS検査後1~2週間以内に胎児核型が決定される。CVS手順の侵襲的な性質のために、手順に関係した流産のリスクが2~4%ある。CVSはまた、吸引された胎盤組織からの出血又は塞栓症によると推定される四肢の発育不全などのような胎児異常のリスクの増加とも関連する。
【0201】
羊水穿刺は、妊娠第16週から第20週の間に行われる。羊水穿刺は、腹部を通して患者の子宮内に細い針の挿入を伴う。この手技は0.5~1%の流産のリスクを伴う。羊水は針により吸引され、胎児線維芽細胞は更に1~2週間培養され、それに続いて、細胞遺伝学的分析及び/又は蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)分析が施される。
【0202】
最近、胎児の異常を予測し、妊娠中に起こりうる合併症を予測する技術が開発された。これらの技術は、材料的な血液又は血清試料を使用し、α-フェトプロテイン(AFP)、ヒト絨毛性ゴナドトロフィン(hCG)、及びエストリオールを含む3つの特異的マーカーの使用に焦点を当てている。これら3つのマーカーは、ダウン症及び神経管欠損症のスクリーニングに使用される。母体血清は現在、染色体異数性及び神経管欠損症の生化学的スクリーニングに使用される。
【0203】
母体と胎児との間の有核細胞の通過は、よく研究されている現象である。母体の血液中に存在する胎児細胞を非侵襲的出生前診断に使用することは、従来の侵襲的手法に通常関連するリスクを防ぐ。胎児細胞は、妊娠第1期中の母体血液からの胎児絨毛細胞、白血球、有核赤血球を含む。この、母体血からの絨毛芽細胞の単離は、その多核形態と抗体の利用可能性とにより制限され、一方で、白血球の単離は、母体の白血球と胎児の白血球とを分ける独特な細胞マーカーがないために限界がある。さらに、白血球は母体の血液中に27年間も残存する可能性があるため、以前の妊娠からの残存細胞が母体の血液中に存在する可能性が高い。
【0204】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、非侵襲的出生前検査(NIPT)のために使用し、その方法は、妊娠中の女性からの母体血清又は血漿試料を分析するために使用する。いくつかの態様において、本システム及び方法は、非侵襲的出生前診断に使用する。いくつかの態様において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、母体血液に由来する母体血清又は血漿試料を分析するために使用することができる。いくつかの態様では、わずか10μLの血清又は血漿を使用することができる。いくつかの態様において、精度を高めるために、より大きな試料を使用し、ここで使用される試料の量は、検出されるべき状態又は特性に依存する。
【0205】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、性別判定、血液型検査及び他の遺伝子型検査、母体における子癇前症の検出、胎児DNA自体又は母体血清若しくは血漿中の胎児DNAの量若しくは質のいずれかに関連する任意の母体又は胎児の状態又は特性の判定、並びに胎児に存在する主要若しくは軽微な胎児奇形又は遺伝病の同定を含むがこれらに限定されない非侵襲的出生前診断のために使用する。いくつかの態様において、胎児はヒト胎児である。
【0206】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、母親の血液試料から血清又は血漿を分析するために使用し、血清又は血漿の調製は、標準的な技術によって遂行され、核酸抽出工程に供される。いくつかの態様において、血清又は血漿は、フェノール/クロロホルム抽出が後に続くプロテイナーゼK治療に使用して抽出される。
【0207】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び方法は、妊娠中の女性対象から取得した母体血清又は血漿から細胞をイメージングするために使用される。いくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様において、妊娠中の女性ヒト対象は35歳を超える。いくつかの態様において、妊娠した女性のヒト対象は、遺伝子疾患を伴うことが知られている。いくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様において、妊娠している女性のヒト対象は35歳を超えており、遺伝性疾患を伴うことが知られている。
【0208】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び方法は、母親の血清又は血漿から胎児細胞を分析するために使用する。いくつかの態様において、本明細書に開示されるシステム及び方法を使用する非侵襲的出生前検査に使用される細胞は、胎児絨毛細胞、白血球、有核赤血球などのような胎児細胞である。いくつかの態様において、胎児細胞は、妊娠第1期中の母体血液からのものである。
【0209】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、絨毛細胞を含む胎児細胞を使用する非侵襲的出生前診断に使用する。いくつかの態様において、本開示を使用する絨毛細胞は、吸引を使用して子宮頸管から回収される。いくつかの態様において、本開示を使用する絨毛細胞は、サイトブラシ又は綿棒を使用して子宮頸管から回収される。いくつかの態様において、本開示を使用する絨毛細胞は、頸管内洗浄を使用して頸管から回収される。いくつかの態様において、本開示を使用する絨毛細胞は、子宮内洗浄を使用して頸管から回収される。
【0210】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、母体の血清又は血漿から胎児細胞を分析するために使用し、細胞集団は、混合され、かつ胎児細胞及び母体細胞を含む。いくつかの態様において、本開示のシステム及び方法は、混合細胞集団中の胚細胞又は胎児細胞を同定するために使用する。いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、混合細胞集団中の胚細胞又は胎児細胞を同定するために使用し、核のサイズ及び形状は、混合集団中の胚細胞又は胎児細胞を同定するために使用される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、細胞集団から胎児細胞をソートするために使用する。
【0211】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、胎児有核赤血球(RBC)の計数を測定するために使用し、胎児有核RBCの計数(又は割合)の増加は、胎児異数性の存在を示す。いくつかの例では、対照試料(例えば、非妊娠個体からの既知の血液試料又は血漿試料)を比較のために使用してもよい。いくつかの場合、本明細書に開示されるシステム及び方法は、胎児に異常状態が存在する可能性(すなわち、確率)を提供するために使用する。
【0212】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、絨毛芽細胞の計数を同定、分類、及び/又は測定するために使用する。いくつかの場合、採血中に母親から収集された絨毛細胞は、胎児の遺伝子異常を判定することができる。
【0213】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、妊娠中の女性対象から取得した母体の血清又は血漿から細胞をイメージングするために使用される。いくつかの態様において、細胞はラベル付けされていない。いくつかの態様において、細胞は流れの中にある。いくつかの態様において、細胞は異なる角度からイメージングされる。いくつかの態様において、細胞は生細胞である。いくつかの態様において、細胞は本開示のシステム内の流路に収容され、流路は複数の細胞を単一の流線内で間隔を空けるように形成される壁を有する。いくつかの態様において、細胞は、本開示のシステム内の流路に収容され、流路は、単一の流線内で複数の細胞を回転させるように形成される壁を有する。
【0214】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、妊娠中の女性対象から取得した母体血清又は血漿から細胞をイメージングするために使用する。いくつかの態様において、本開示のシステム及び方法を使用して、細胞の複数の画像が収集される。いくつかの態様において、複数の画像は、対象において特定の疾患状態が存在するか否かを判定するために分析され、ここで、細胞は、イメージングの間、流れの中にあり、複数の画像は、複数の角度からの細胞の画像を含む。いくつかの態様において、対象は胎児である。いくつかの態様において、対象は妊娠中の女性である。
【0215】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、母体細胞又は胎児細胞を分類及びソートすることができ、ソートされた材料又は胎児細胞は、分子分析(例えば、ゲノミクス、プロテオミクス、トランスクリプトミクスなど)のために更に分析することができる。いくつかの場合、母体細胞と胎児細胞との混合物を(例えば、サブプール又は単一細胞として)、本明細書に開示されるような対分子分析のために分析することができる。
【0216】
精子分析
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及びシステムで使用される試料は、精液試料であり、本開示のシステム及び方法は、精子の質及び/又は性別を同定するために使用される。これらの実施形態において、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の方法に従って対象からの精液試料をイメージングすることと、精液試料中の精子を1つ以上の特徴について分析することとを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステム及び方法は、精子の計数を得るために使用する。いくつかの態様において、本明細書に記載のシステム及び方法は、精子の生存力及び/又は健康に関する情報を得るために使用する。いくつかの態様において、本明細書に記載のシステム及び方法は、精子の性別に関する情報を得るために使用する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のソートシステム及び方法は、所望の形態学的特徴を有する精子の自動濃縮に使用する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法及びシステムに従って得られた濃縮精子は、体外受精のために使用する。いくつかの態様において、特徴は、健康、運動性、及び/又は性別に関連する。
【0217】
循環子宮内膜細胞
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、例えば、他の外科的方法(例えば、腹腔鏡下での視覚化又は生検)の代替的又は付加的アプローチとして子宮内膜症の非侵襲的診断のために、循環子宮内膜細胞を検出するために利用することができる。提供された試料中の循環中の1つ以上の子宮内膜細胞の存在の判定、それらの計数、それらの単離、及び/又はそれに続く分子分析(例えば、子宮内膜症と一致する遺伝子発現について)は、子宮内膜症の検出に役立つことができる。同様のアプローチは、循環子宮内膜がん細胞の検出/分析、例えば、子宮体がん/子宮内膜がんの検出のために利用することができる。
【0218】
循環内皮細胞
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、循環内皮細胞を検出するために利用することができる。内皮は、例えば、末梢血管疾患、脳卒中、心臓病、糖尿病、インスリン抵抗性、慢性腎不全、腫瘍増殖、転移、静脈血栓症、重症ウイルス感染症などのような疾患に関与(例えば、直接関与)し得る。このように、血管内皮の機能不全はヒトの疾患(例えば、子癇前症(妊娠に特有な疾患)、心内膜炎など)の特徴の一つとなり得る。例えば、循環内皮細胞の検出は、心血管疾患の検出に利用できる。ソートされた内皮細胞は、分子プロファイリング、例えば、様々な血管疾患状態の存在下での特異的血管内皮細胞RNA発現について更に分析することができる。
【0219】
がん細胞
多くのがんは、既存の診断手順及び診断処理の低い感度のため、疾患の後期ステージで診断される。米国では毎年150万人以上ががんと診断され、そのうち600,000人が死亡している。現在、最初のがんスクリーニングの手順は腫瘍の検出を伴う。乳がんなどのような多くのがん腫瘍は、自己又は臨床検査によって検出される。しかしながら、これらの腫瘍は通常、凡そ109の細胞が含まれるときに、腫瘍の容積が1mL又は1ccに達した後のみ、検出される。マンモグラフィによる定期スクリーニングはより感度が高く、腫瘍が触知できるようになる前に検出することを可能にするが、腫瘍の直径が1インチに達した後しか検出できない。MRI、陽電子放射断層撮影法(PET)、単光子放射断層撮影法(SPECT)は、マンモグラフィにより検出できるよりもより小さな腫瘍でさえ明らかにすることができる。しかしながら、これらのイメージング法には重大な欠点が存在する。磁気共鳴イメージング法(MRI)の造影剤は有毒であり、かつ、SPECT又はPET検査に伝えられる放射性核種は電離放射線の発生源である。卵巣がんは比較的解像度が低いため、発生しつつある腫瘍の微細な解剖学的構造を明らかにするためには、妊娠の可能性を保護するためにあらゆる予防措置を講じながら、コンピュータ断層撮影(CT)又はMRIを用いつ数回のフォローアップスキャンがしばしば必要となる。加えて、これらの診断技術は全て、専用の施設、高価な機器、十分に訓練されたスタッフ、及び財政的保障を必要とする。
【0220】
がんは一般的に、疑わしい組織試料を得て、顕微鏡の下、悪性細胞の存在について、その組織を調べることにより、患者を診断する。この処理は、疑わしい組織の解剖学的位置がわかっているとき、比較的簡単であるが、すぐに同定可能な腫瘍又は前がん病変がないとき、非常に困難になり得る。例えば、喀痰試料から肺がんの存在を検出するには、試料中に1つ以上の比較的稀ながん細胞が存在する必要がある。それゆえに、試料が肺の状態を知覚的かつ正確に反映しない場合、肺がんを有する患者が適切に診断されない場合がある。
【0221】
スライドガラスにマウントされた細胞を利用する従来の光学顕微鏡法では、焦点面の深さ、サンプリング角度に限界があり、かつ、通常、細胞を画像の平面中で重なり合うようにさせるという細胞調製の問題があるため、2D及び3Dの測定はおおよそしかできない。光学顕微鏡のもう一つの欠点は、狭い焦点面内の領域のみが分析のための正確なデータを提供する対物レンズを通した視界という固有の制限である。
【0222】
フローサイトメトリー法は、一般的に、流体の流れの中で細胞を1つずつ流動させることにより、細胞の重なりの問題を克服する。残念ながら、フローサイトメトリーシステムは、従前の光学顕微鏡と同質の細胞の画像を生成することはできず、かつ、いずれの場合も、画像は3次元ではない。
【0223】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、個々の細胞の3次元画像データの取得を可能にし、ここで、細胞集団からの個々の細胞の各々は、複数の角度からイメージングされる。いくつかの態様において、本開示はがんの診断に使用し、ここで、個々のがん細胞は、同定され、追跡され、グループ化される。いくつかの態様において、細胞は生きている。
【0224】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、対象におけるがん診断のために使用され、本方法は、細胞の複数の画像を収集するために、対象からの生物学的試料中の細胞をイメージングするステップと、対象中にがん細胞が存在するか否かを判定するために、複数の画像を分析するステップとを備え、がん細胞は、イメージング中、流れの中にあり、回転しており、複数の画像は、異なる回転角度からの画像を含む。
【0225】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、がん細胞検出に使用し、がん細胞は生物学的試料からのものであり、本開示のシステムを通過する際に検出及び追跡される。
【0226】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、哺乳動物対象から取得された生物学的試料からがん細胞を同定するために使用し、細胞集団は、核の詳細、核の輪郭、核小体の有無、細胞質の質、細胞質の量、核のアスペクト比、細胞質のアスペクト比、又は核と細胞質の比により分析される。いくつかの態様において、同定された癌細胞は、リンパ腫、骨髄腫、神経芽腫、乳がん、卵巣がん、肺がん、横紋筋肉腫、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃がん、結腸がん、膵臓がん、膀胱がん、精巣がん、リンパ腫、甲状腺がん、神経芽腫、食道がん、泌尿生殖器がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、副腎皮質がん、又は前立腺がんを含むがこれらに限定されない哺乳動物試料中のがんの存在を示す。いくつかの態様において、がんは転移性がんである。いくつかの態様において、がんは早期がんである。
【0227】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、対象から多数の細胞をイメージングし、細胞の複数の画像を収集し、複数の画像の1つ以上の分析に基づいて細胞を分類するために使用され、複数の画像は、複数の細胞の角度からの画像を含み、細胞が分類されるまで細胞が追跡される。いくつかの態様において、追跡された細胞はがん性であるとして分類される。いくつかの態様において、対象はヒトである。
【0228】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示された方法で使用される細胞は生細胞である。いくつかの態様において、がん性細胞として分類された細胞は、潜在的な薬剤化合物のスクリーニング、生物学的に活性な分子の試験、及び/又はさらなる研究のために単離され、それに続いて培養される。
【0229】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、哺乳動物対象からの細胞集団からがん細胞を同定するために使用する。いくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、がんの進行を判定するために使用し、対象からの試料は、2つの異なる時点から得られ、本開示の方法を使用して比較される。いくつかの態様において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、抗がん治療の有効性を判定するために使用し、対象からの試料は、抗がん治療前及び抗がん治療後に得られ、本開示の方法を使用して2つの試料を比較する。
【0230】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、迅速に訓練されたニューラルネットワークを使用するがん検出システムを備え、ニューラルネットワークは、細胞の生画像を分析することによりがん性細胞を検出し、画像のピクセルからの画像情報をニューラルネットワークに提供する。いくつかの態様において、ニューラルネットワークは、細胞の画像に由来する情報、とりわけ、細胞の面積、平均強度、形状、テクスチャ、及びDNA(pgDNA)を使用して、がん性細胞の認識及び同定を行う。いくつかの態様において、ニューラルネットワークは、角2次モーメント、コントラスト、相関係数、2乗和、差分モーメント、逆差分モーメント、総平均、総分散、総エントロピー、エントリー、差分分散、差分エントロピー、情報尺度、最大相関係数、変動係数、ピーク遷移確率、対角分散、対角モーメント、第2対角モーメント、積モーメント、三角対称性、及びブロブネス(blobness)の間で、細胞の画像に由来するテクスチャ情報を使用して、がん性細胞の認識を行う。
【0231】
目的のがんの非限定的な例は、黒色腫、無棘細胞がん、音響神経腫、無棘黒子型黒色腫、肢端黒色腫、急性好酸球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単球性白血病、成熟を伴う急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄樹状細胞白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、アダマンチノーマ、腺がん、腺様嚢胞がん、腺腫、腺腫様歯原性腫瘍、副腎皮質がん、成人T細胞白血病、進行性NK細胞白血病、エイズ関連がん、エイズ関連リンパ腫、肺胞軟部肉腫、骨髄芽球性線維腫、肛門がん、未分化大細胞リンパ腫、未分化甲状腺がん、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、血管筋脂肪腫、血管肉腫、付属器がん、星細胞腫、非定型奇形ラブドイド腫瘍、基底細胞がん、基底様がん、B細胞白血病、B細胞リンパ腫、ベリニー管がん、胆道がん、膀胱がん、芽細胞腫、骨がん、骨腫瘍、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳がん、ブレナー腫瘍、気管支腫瘍、気管支肺胞がん、褐色腫瘍、バーキットリンパ腫、原発部位不明がん、カルチノイド腫瘍、がん腫、非浸潤がん、陰茎がん、原発部位不癌腫、がん肉腫、キャッスルマン病、中枢神経系胚性腫瘍、小脳星細胞腫、脳星細胞腫、子宮頸がん、胆管がん、軟骨腫、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛がん、脈絡叢乳頭腫、慢性リンパ性白血病、慢性単球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、慢性好中球性白血病、透明細胞腫、結腸がん、大腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、デゴス病、デゴス病、隆起性皮膚線維肉腫、真皮様嚢胞、異形成小円形細胞腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、異形成神経上皮腫瘍、胚細胞がん、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜がん、子宮内膜子宮体がん、子宮内膜様腫瘍、腸症関連T細胞リンパ腫、上衣芽細胞腫、上衣腫、上皮肉腫、赤芽球白血病、食道がん、弾性神経芽細胞腫、ユーイングファミリー腫瘍、ユーイングファミリー肉腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、乳房外パジェット病、卵管がん、胎内胎児、線維腫、線維肉腫,毛包リンパ腫,毛包性甲状腺がん、胆嚢がん、胆嚢がん、ガングリオグリオーマ、ガングリオニューロマ、胃がん、胃リンパ腫、消化管がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、消化管間質腫瘍、生殖細胞腫瘍、胚芽腫、妊娠性絨毛がん、妊娠性絨毛腫瘍、骨巨細胞腫、多形膠芽腫、神経膠腫、小脳膠腫症、グロムス腫瘍、グルカゴノーマ、性腺芽腫、顆粒膜細胞腫、毛様細胞白血病、毛様細胞白血病、頭頸部がん、頭頸部がん、心臓がん、血管芽腫、血管外皮腫、血管肉腫、血液学的悪性腫瘍、肝細胞がん、肝脾性T細胞リンパ腫、遺伝性乳がん卵巣がん症候群、ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視床下部神経膠腫、炎症性乳がん、眼内黒色腫、膵島細胞がん、膵島細胞腫瘍、若年性骨髄単球性白血病、カポジ肉腫、カポジ肉腫、腎臓がん、クラツキン腫瘍、クルーケンベルク腫瘍、喉頭がん、悪性黒子型黒色腫、白血病、口唇及び口腔がん、脂肪肉腫、肺がん、黄体腫、リンパ管腫、リンパ管肉腫、リンパ上皮腫、リンパ性白血病、リンパ腫、マクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、悪性線維性組織球腫、骨悪性線維性組織球腫、悪性神経膠腫、悪性中皮腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、悪性横紋体腫瘍、悪性トリトン腫瘍、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肥満細胞白血病、縦隔胚細胞腫瘍、縦隔腫瘍、甲状腺髄様がん、髄芽腫、髄芽腫上皮腫、黒色腫、黒色腫、髄膜腫、メルケル細胞腫、中皮腫、潜伏原発転移性扁平上皮がん、転移性尿路上皮がん、混合ミュラー腫瘍、単球性白血病、口腔がん、粘液性腫瘍、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫、菌状息肉症、骨髄異形成性疾患、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄性肉腫、骨髄増殖性疾患、粘液腫、鼻腔がん、上咽頭がん、上咽頭がん、新生物(Neoplasm)、神経鞘腫、神経芽腫、神経線維腫、神経鞘腫、結節性黒色腫、非ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚がん、非小細胞肺がん、眼腫瘍、乏突起星細胞腫、乏突起膠腫、腫瘍細胞腫、視神経鞘髄膜腫、口腔がん、口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫、骨肉腫、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、乳房パジェット病、パンコースト腫瘍、膵臓がん、膵臓がん、甲状腺乳頭がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、血管周囲上皮細胞腫、咽頭がん、褐色細胞腫、中間分化松果体実質腫瘍、松果体芽細胞腫、下垂体細胞腫、下垂体腺腫、下垂体腫瘍、形質細胞新生物、肺胞胚腫、多胚腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性胸水リンパ腫、原発性肝細胞がん、原発性肝がん、原発性腹膜がん、原発性神経外胚葉腫瘍、前立腺がん、腹膜偽粘液腫、直腸がん、腎細胞がん、15番染色体上のNUT遺伝子が関与する呼吸器管がん、網膜芽細胞腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、リヒター転移、仙骨尾骨奇形腫、唾液腺がん、肉腫、神経鞘腫症、皮脂腺がん、二次性腫瘍、セミノーマ、漿液性腫瘍、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、性索-間質腫瘍、セザリー症候群、シグネット輪細胞腫、皮膚がん、小青色円形細胞腫、小細胞がん、小細胞肺がん、小細胞リンパ腫、小腸がん、軟部肉腫、ソマトスタチノーマ、すすイボ、脊髄腫瘍、脊髄腫瘍、脾臓辺縁帯リンパ腫、扁平上皮がん、胃がん、表在拡大型黒色腫、脳室上原性神経外胚葉腫瘍、表面上皮間質腫瘍、滑膜肉腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病、T細胞大顆粒リンパ球性白血病、T細胞白血病、T細胞リンパ腫、T細胞前リンパ球性白血病、奇形腫、末端リンパ管がん、精巣がん、肉腫、咽頭がん、胸腺がん、胸腺腫、甲状腺がん、腎盂尿管移行細胞がん、移行細胞がん、尿管がん、尿道がん、尿路性器腫瘍、子宮肉腫、ブドウ膜黒色腫、膣がん、バーナー・モリソン症候群、疣状がん、視覚路神経膠腫、外陰がん、ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症、ワルチン腫瘍、及びウィルムス腫瘍を含む。
【0232】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、循環腫瘍細胞又は液体腫瘍を検出及び/又はソートすることができる。原発腫瘍が以前に切除されている、又は他の理由でアクセスできない場合では、主要組織の生検は有効な選択肢ではないことがある。そのため、播種されたがん細胞は、血液、腹膜又は胸膜液、尿などの中の循環腫瘍細胞(CTC)などのような体液中に、はるかに低い濃度及び純度で見出され得るる。
【0233】
免疫細胞
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されたシステム及び方法は、特定のタイプ又はサブタイプの免疫細胞を単離するために利用することができる。異なるタイプの免疫細胞の例は、これらに限定されないが、好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、リンパ球(例えば、B細胞、T細胞)を含むことができる。異なるタイプの免疫細胞の追加的な例は、これらに限定されないが、ネイティブ免疫細胞、及び人工免疫細胞(例えば、異種サイトカイン、サイトカイン受容体、抗原、抗原受容体(例えば、キメラ抗原受容体又はCAR)などを発現するように人工されたもの)を含むことができる。異なるサブタイプの免疫細胞(例.T細胞)の例は、これらに限定されないが、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、又は終末分化したエフェクターメモリーT細胞などのようなメモリーT細胞及びそのサブタイプ、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未成熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連不変性T(MAIT)細胞、自然発生的で適応的な制御性T(Treg)細胞、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、α/βT細胞、及びδ/γT細胞などのようなヘルパーT細胞を含むことができる。免疫細胞の異なるサブタイプの追加的な例は、これらに限定されないが、以下の遺伝子の1つ以上のアップレギュレーション又はダウンレギュレーションを含むことができる:CD3、CD4、CD8、CCR7、CD45RA、CD38、HLA、CD45RO、CCR4、CD24、CD127、CCR6、CXCR3、CD24、CD38、CD19、CD19、CD20、CD27、IgD、CD14、CD16、CD56、CD11c、及びCD123。例えば、T細胞は、CD38+/HLA-DR+CD4+活性化T細胞又はCD38+/HLA-DR+/CD8+活性化T細胞を含むことができる。他の例では、単球は、CD16+非古典的単球又はCD16-古典的単球を含むことができる。別の例では、樹状細胞は、CD11c+骨髄性樹状細胞又はCD123+形質細胞様樹状細胞を含むことができる。別の例では、NK細胞は、CD16+NK細胞又はCD16-NK細胞を含むことができる。いくつかの場合、本明細書に開示される免疫細胞は、抗体産生細胞として特徴付けられてもよい。
【0234】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、T細胞の集団から特定のタイプ又はサブタイプのT細胞(例えば、CAR T細胞)を単離するために利用することができる。CAR T細胞は、例えば免疫療法に使用するための人工T細胞受容体を産生するように遺伝子操作された細胞とすることができる。CAR T細胞は、本明細書に開示されるシステム及び方法を仕様して分類及びソートされ、例えば薬剤開発への応用のために、更に培養し、増殖することができる。
【0235】
ヒト細胞からの細菌
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は細菌検出に使用され、ここで、細菌を含んでいるヒト細胞は生物学的試料からのものであり、本開示のシステムを通過する際に検出及び追跡される。
【0236】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、試料中に存在する細菌の3次元イメージングデータの取得を可能にし、各個々の細菌は、複数の角度からイメージングされる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、細菌検出のために使用し、細菌は、生物学的試料からのものであり、本開示のシステムを通過する際に検出及び追跡される。
【0237】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、血液、血小板、及び輸血用の他の血液製剤、並びに尿を含む液体中の細菌を検出するために使用する。いくつかの態様において、本開示は、流体試料中に存在する可能性のある無傷の細菌細胞の疑いのあるものから無傷の真核細胞を単離する方法を提供する。いくつかの態様において、本開示は、これらに限定されないが、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、サルモネラ菌(Salmonella choleraesuis)、セラチア菌(Serratia marcesens)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、及びビリダンス連鎖球菌(Streptococcus viridans)を含む特定の細菌種を同定する。
【0238】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、迅速に訓練されたニューラルネットワークを使用する細菌検出システムを備え、ニューラルネットワークは、細胞の生画像を分析することにより細菌を検出し、画像のピクセルからのイメージング情報をニューラルネットワークに提供する。いくつかの態様において、ニューラルネットワークは、細菌の画像に由来する情報、とりわけ、面積、平均強度、形状、テクスチャ、及び細胞のDNA(pgDNA)を使用して、細菌の認識及び同定を行う。いくつかの態様において、ニューラルネットワークは、角2次モーメント、コントラスト、相関係数、2乗和、差分モーメント、逆差分モーメント、和平均、和分散、和エントロピー、エントリー、差分分散、差分エントロピー、情報尺度、最大相関係数、変動係数、ピーク遷移確率、対角分散、対角モーメント、第2対角モーメント、積モーメント、三角対称性及びブロブネスの中で、細胞の画像に由来するテクスチャ情報を使用して、がん性細胞の認識を行う。
【0239】
敗血症
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、敗血症の検出及び/又は同定のために使用する。理論に拘泥せずに述べると、敗血症などのような血液学的細菌感染を有する対象の形質細胞(例えば、白血球、リンパ球などのような骨髄系細胞)は、血液学的細菌感染を有しない対象の形質細胞とは異なる形態学的特徴(例えば、幾何学的、テクスチャ、形状、縦横比、面積など)を提示する場合がある。このように、いくつかの例では、本明細書で提供される分類及びソートの処理は、敗血症の診断に使用されてもよい。
【0240】
鎌状赤血球症
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、鎌状赤血球の検出及び/又は同定のために使用する。いくつかの態様において、本明細書に開示するシステム及び方法は、細胞をイメージングし、その細胞が鎌状細胞であるかを判定するために使用する。本開示の方法は、鎌状細胞であると判定された細胞を収集するために更に使用してもよい。いくつかの実施形態において、細胞は対象からの生物学的試料からのものであり、本明細書に開示される方法は、対象が鎌状赤血球疾患に罹患している、又は罹患しやすいかを判定するために使用される。いくつかの実施形態において、鎌状赤血球疾患は鎌状赤血球貧血である。
【0241】
生体試料中の結晶
血液及び/又は尿中の結晶を検出するために使用される現在の診断方法には、放射線学的方法、血清学的方法、超音波学的方法、及び酵素学的方法を含む。
【0242】
尿の結晶は、いくつかの異なるタイプがある場合がある。最も一般的な結晶は、ストルバイト(マグネシウム-アンモニウム-リン酸塩)、シュウ酸塩、尿酸塩、システイン、又はケイ酸塩で形成されるが、ビリルビン、炭酸カルシウム、又はリン酸カルシウムなどのような他の物質で構成される場合もある。
【0243】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、生物学的試料中の結晶の検出に使用する。いくつかの態様において、検出された結晶は形成される。いくつかの態様において、対象からの生物学的試料は、生物学的試料が結晶を含むか否かを判定するために、本明細書に記載の方法に従ってイメージングされる。いくつかの態様において、生物学的試料は血液である。いくつかの態様において、血液は対象の静脈血である。いくつかの態様において、生物学的試料は尿である。いくつかの態様において、対象はヒト、ウマ、ウサギ、モルモット、又はヤギである。いくつかの態様において、本開示の方法は、試料から結晶を単離及び収集するために更に利用してもよい。いくつかの態様において、生物学的試料は対象からのものであり、本開示のシステム及び方法は、対象が疾患若しくは状態に罹患しているか、又は罹患しやすいかを判定するために使用される。
【0244】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、生物学的試料からの結晶の分析に使用する。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、結晶をイメージングするために使用してもよく、結晶画像は、これらに限定されないが、結晶の形状、サイズ、テクスチャ、形態、及び色を含むもののために分析されてもよい。いくつかの実施形態では、生物学的試料は対象からのものであり、本明細書に開示される方法は、対象が疾患又は状態に罹患しているか否かを判定するために使用する。いくつかの例では、対象はヒトである。例えば、本開示の方法は、ヒト対象の血液試料中の結晶を分析するために使用してもよく、その結果は、対象が、慢性白血病又はリウマチ性白血病を含むがこれらに限定されない病理学的状態に罹患しているか否かを判定するために使用されてもよい。いくつかの態様において、生体試料は尿試料である。
【0245】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、生体試料中に結晶が発見された場合、結晶の3次元イメージングデータの取得を可能にし、個々の結晶は複数の角度からイメージングされる。
【0246】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、迅速に訓練されたニューラルネットワークを使用する結晶検出システムを備え、ニューラルネットワークは、複数の結晶の生画像を分析することにより結晶を検出し、画像のピクセルからのイメージング情報をニューラルネットワークに提供する。いくつかの態様において、ニューラルネットワークは、結晶の画像に由来する情報、とりわけ、面積、平均強度、形状、テクスチャを使用して、複数の結晶の認識及び同定を行う。いくつかの態様において、ニューラルネットワークは、角2次モーメント、コントラスト、相関係数、2乗和、差分モーメント、逆差分モーメント、和平均、和分散、和エントロピー、エントリー、差分分散、差分エントロピー、情報尺度、最大相関係数、変動係数、ピーク遷移確率、対角分散、対角モーメント、第2対角モーメント、積モーメント、三角対称性、ブロブネスの中で、細胞の画像に由来するテクスチャ情報を使用して結晶の認識を行う。
【0247】
液体生検
液体生検は、原発性又は再発性の疾患を有するがん患者からの血液及び/又は尿の収集と、血液及び/又は尿中のがん関連バイオマーカーの分析とを備える。液体生検は、医師が腫瘍に関する広範囲の情報を発見することを可能にする外科的生検に代わる簡単かつ非侵襲的なものである。液体生検は、患者の疾患の進行、退縮、再発、及び/又は治療に対する反応を監視するための実行可能な非侵襲的方法として、ますます認識されつつある。
【0248】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、液体生検診断に使用し、生検は、本開示のシステムに通される液体生物学的試料である。いくつかの態様において、液体生検に使用される液体生物学的試料は、5mL未満の液体である。いくつかの態様において、液体生検に使用される液体生物学的試料は、4mL未満の液体である。いくつかの態様において、液体生検に使用される液体生物学的試料は、3mL未満の液体である。いくつかの態様において、液体生検に使用される液体生物学的試料は、2mL未満の液体である。いくつかの態様において、液体生検に使用される液体生物学的試料は、1mL未満の液体である。いくつかの態様において、液体生検に使用される液体生物学的試料は、血漿を入手するために遠心分離される。
【0249】
いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、体液試料評価に使用し、ここで、試料内の細胞は、イメージング及び分析され、試料内の全成分、試料中の異常の有無、及び同じ患者又は他の健康な個人のベースラインからの以前にイメージング又は検査された試料との比較を含むレポートが生成される。
【0250】
いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、結核(TB)及び後天性免疫不全症(AIDS)を含むがこれらに限定されない免疫疾患の診断に使用し、炎症促進性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインを放出する能力を調べるために、本明細書に開示されるシステムにおいて白血球がイメージングされる。
【0251】
いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、患者の白血球をイメージングし、それらの白血球の炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインを放出する能力の変化を分析することにより、免疫調節療法に対する患者の免疫応答を評価するために使用する。
【0252】
いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、患者の白血球を単離し、その炎症促進性及び抗炎症性サイトカインを放出する能力に対する標的治療薬の効果を分析することにより、治療薬の有効性を同定するため、及び/又は薬剤の選択若しくはその投与量を導くために使用する。
【0253】
いくつかの実施形態において、本開示のシステム及び方法は、細胞の画像を得て、所望の表現型を有する細胞を単離することにより、幹細胞由来の組織細胞の純粋な試料を単離するために使用する。
【0254】
生物学的活性分子の試験
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、生物学的に活性な分子、例えば薬物の試験に使用する。いくつかの実施形態において、本開示の方法は、試料から所望の細胞を収集し、それから、収集した細胞に対する生物学的活性分子の効果を試験するために、所望の細胞を生物学的活性分子で治療するために使用する。
【0255】
いくつかの実施形態において、本開示の方法及びシステムは、治療薬の有効性を同定するために使用する。いくつかの態様において、本明細書に開示されるシステムを使用した治療薬の効能の同定は、治療前後の細胞の画像を得て、その画像を分析して、細胞が目的の治療薬に反応したか否かを判定することにより、遂行する。
【0256】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、疾患細胞検出に使用し、疾患細胞は生物学的試料からのものであり、本開示のシステムを通過する際に検出及び追跡される。いくつかの態様において、疾患細胞は単離され、さらなる研究のためにグループ化される。
【0257】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法で使用される細胞は生細胞である。いくつかの態様において、疾患細胞として分類された細胞は、潜在的な薬剤化合物のスクリーニング、生物学的活性分子の試験、及び/又はさらなる研究のために単離され、それに続いて培養される。
【0258】
本開示はある特定の態様において記載してきたが、多くの追加的な修正と変形が当業者には明らかであろう。それゆえに、本開示は、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、具体的に記載された以外の方法で実施され得ることが理解される。このように、本開示のいくつかの実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
【0259】
ポイントオブケア診断
本明細書に開示されたシステム及び方法(例えば、ソート又は濃縮のためなどのような細胞形態学ベースの分類)のいずれか1つを、ポイントオブケア診断に利用することができる。ポイントオブケア診断学又はポイントオブケア診断学は、例えば、病院、救急部、集中治療室、プライマリケア設定、医療センター、患者の自宅、医師のオフィス、薬局、又は緊急事態の現場などのようなポイントオブケア環境における対象(例えば、患者)の1つ以上の試料(例えば、血液試料などのような生検試料)の分析を包含し得る。本明細書に開示されるようなポイントオブケア診断は、病原体(例えば、任意の感染因子、細菌、ウイルスなど)の同定、対象における免疫応答の同定(例えば、特定の免疫細胞のタイプの分類及び/又はソートを介して)、目的の細胞(例えば、疾患細胞、健康細胞など)の計数の生成などのために利用することができる。
【0260】
ポイントオブケア全血球計算(CBC)
CBCは、血液又は血漿中の細胞のタイプと数に関する情報を提供してもよい。白血球(WBC)の計数は、急性感染及び/又は炎症のバイオマーカーとして使用されてもよい。上昇したWBCは、感染、炎症、組織傷害、白血病、及びアレルギーと関連する可能性がある一方、WBCの計数の減少は、ウイルス感染、免疫不全、急性白血病、及び骨髄不全と関連する可能性がある。このように、効率的なポイントオブケアCBCは、そのような情報を必要とするあらゆる臨床判断処理を強化(例えば、促進)する可能性がある。かくして、施設(例えば、病院、薬局、任意のポイントオブケアサイトなど)は、対象の血液(又は血漿)を分析してCBCを得るために、本開示のフローセルの任意の対象実施形態を備えてもよい。さらに、本明細書で提供されるフローセルは、対象に対する各治療(例えば、がん患者に対する化学療法治療)の前後でWBCの数を追跡するためにCBCを提供してもよい。この通り、いくつかの場合、本明細書で提供されるフローセルは、中央検査室又はサテライト検査室でしばしば行われる血液学的分析ベースのCBCの必要性を否定し得る。
【0261】
コンピュータシステム
本開示は、本開示の方法を実施するようにプログラムされたコンピュータシステムを提供する。
図7は、細胞の1つ以上の画像を捕捉及び/又は分析するようにプログラムされる、さもなければ、構成されるコンピュータシステム701を示す。コンピュータシステム701は、例えば、ポンプ、バルブ、及びイメージングデバイスなどのような本開示の細胞ソートシステムの構成要素の様々な態様を調節することができる。コンピュータシステム701は、ユーザの電子デバイス、又は電子デバイスに対して遠隔に位置するコンピュータシステムとすることができる。電子デバイスはモバイル電子デバイスであってもよい。
【0262】
コンピュータシステム701は、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」ともいう)705を含み、これは、シングルコア又はマルチコアプロセッサ、又は並列処理のための複数のプロセッサとすることができる。コンピュータシステム701はまた、メモリ又はメモリロケーション710(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶ユニット715(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース720(例えば、ネットワークアダプタ)、並びにキャッシュ、他のメモリ、データ記憶及び/又は電子ディスプレイアダプタなどのような周辺デバイス725を含む。メモリ710、記憶ユニット715、インターフェース720及び周辺デバイス725は、マザーボードなどのような通信バス(実線)を通してCPU705と通信する。記憶ユニット715は、データを格納するためのデータ記憶ユニット(又はデータリポジトリ)とすることができる。コンピュータシステム701は、通信インターフェース720の補助と共に、コンピュータネットワーク(「ネットワーク」)730に動作可能に結合することができる。ネットワーク730は、インターネット、一般的なネットワーク及び/若しくはエクストラネット、又はインターネットと通信するイントラネット及び/若しくはエクストラネットとすることができる。ネットワーク730は、いくつかの場合、電気通信ネットワーク及び/又はデータネットワークである。ネットワーク730は、クラウドコンピューティングなどのような分散コンピューティングを可能にすることができる1つ以上のコンピュータサーバを含むことができる。ネットワーク730は、いくつかの場合、コンピュータシステム701の補助と共に、ピアツーピアネットワークを実装することができ、これは、コンピュータシステム701に結合されたデバイスがクライアント又はサーバとして動作することを可能にしてもよい。
【0263】
CPU705は、一連の機械可読命令を実行することができ、これは、プログラム又はソフトウェアで具体化することができる。命令は、メモリ710などのようなメモリロケーションに格納してもよい。命令は、CPU705に指示することができ、CPU705は、続いて、本開示の方法を実施するようにCPU705をプログラム又は他の方法で構成することができる。CPU705によって行われる動作の例は、フェッチ、デコード、実行、及びライトバックを含むことができる。
【0264】
CPU705は、集積回路などのような回路の一部とすることができる。システム701の1つ以上の他の構成要素を回路に含めることができる。いくつかの場合、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0265】
記憶ユニット715は、ドライバ、ライブラリ、保存されたプログラムなどのようなファイルを格納することができる。記憶ユニット715は、ユーザデータ、例えば、ユーザプリファレンス及びユーザプログラムを格納することができる。コンピュータシステム701は、いくつかの場合、イントラネット又はインターネットを通してコンピュータシステム701と通信するリモートサーバ上に位置するなどのようなコンピュータシステム701の外部にある1つ以上の追加データ記憶ユニットを含むことができる。
【0266】
コンピュータシステム701は、ネットワーク730を通して1つ以上のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム701は、ユーザのリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例は、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレートPC又はタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)のiPad、Samsung(登録商標)のGalaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)のiPhone、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、又はパーソナルデジタルアシスタントを含む。ユーザは、ネットワーク730を介してコンピュータシステム701にアクセスすることができる。
【0267】
本明細書に記載の方法は、例えばメモリ710又は電子記憶ユニット715上などのようなコンピュータシステム701の電子的な格納場所に格納された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実施することができる。機械実行可能コード又は機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供することができる。使用中、コードはプロセッサ705により実行することができる。いくつかの場合、コードは、記憶ユニット715から取り出され、プロセッサ705によりすぐにアクセスできるようにメモリ710に格納することができる。いくつかの場合、電子記憶ユニット715を使わずに、機械実行可能命令をメモリ710に格納することもできる。
【0268】
コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサを有するマシンで使用するために、プリコンパイルして構成することができ、又は実行時にコンパイルすることもできる。コードは、プリコンパイル又はアズコンパイルのやり方で実行できるように選択できるプログラミング言語上で供給することができる。
【0269】
コンピュータシステム701などのような本明細書で提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングで具現化することができる。本技術の様々な態様は、典型的には、一種の機械可読媒体に担持されるか、若しくは具体化される機械(若しくはプロセッサ)実行可能コード及び/若しくは関連データの形態の「製品」又は「製造品」と考えてもよい。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)又はハードディスクなどのような電子記憶ユニットに格納することができる。「記憶」タイプの媒体は、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどのような、コンピュータ、プロセッサ、若しくはそれらのようなものの有形メモリ、若しくはその関連モジュールのいずれか又は全てを含むことができ、ソフトウェアプログラミングのための非一過性のストレージをいつでも提供することができる。ソフトウェアの全部又は一部は、インターネット又は他の様々な電気通信ネットワークを通じて通信することがあってもよい。このような通信は、例えば、管理サーバ又はホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへのように、あるコンピュータ又はプロセッサから別のコンピュータ又はプロセッサへのソフトウェアのロードを、例えば可能にしてもよい。このように、ソフトウェア要素を搭載する場合がある別のタイプの媒体は、ローカルデバイス間の物理的インターフェース全体で、有線及び光固定回線ネットワークを通して、及び様々なエアリンクを超えて使用されるなどのような、光、電気、電磁波を含む。有線又は無線リンク、光リンク、又はそれらのようなものなどのようにこのような波を伝送する物理的要素も、ソフトウェアを搭載するメディアとして考えてもよい。本明細書で使用する場合、非一過性の有形の「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータ又は機械「可読媒体」などのような用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与するあらゆる媒体を指す。
【0270】
そのため、コンピュータ実行可能コードなどのような機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体、物理的伝送媒体を含むが、これらに限定されない多くの形態をとってもよい。不揮発性記憶媒体は、例えば、図面に示すデータベース等を実装するために使用され得るなどのような、任意のコンピュータ、又はそのようなものの記憶デバイスのいずれかなどのような、光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性記憶媒体は、このようなコンピュータプラットフォームの主メモリなどのような動的メモリを含む。有形伝送媒体は、コンピュータシステム内のバスを備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバを含む。搬送波伝送媒体は、電気信号若しくは電磁信号、又は無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に発生するなどのような音響波若しくは光波の形をとってもよい。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、それゆえに、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD-ROM、DVD若しくはDVD-ROM、他の任意の光学媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを有する他の任意の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、データ若しくは命令を伝送する搬送波、そのような搬送波を伝送するケーブル若しくはリンク、又はコンピュータがプログラミングコード及び/若しくはデータを読み取る場合がある他の任意の媒体を含む。これらの形態のコンピュータ可読媒体の多くは、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行のためにプロセッサに伝えることに関与してもよい。
【0271】
コンピュータシステム701は、例えば、細胞ソートシステムの経路を通って搬送される細胞の1つ以上の画像を提供するためのユーザインターフェース(UI)740を備える電子ディスプレイ735を含むか、又はそれと通信することができる。いくつかの場合、コンピュータシステム701は、画像のライブフィードバックを提供するように構成することができる。UIの例は、限定されないが、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)及びウェブベースのユーザインターフェースを含む。
【0272】
本開示の方法及びシステムは、1つ以上のアルゴリズムの手段により実装することができる。アルゴリズムは、中央処理ユニット705による実行時にソフトウェアの手段で実装することができる。アルゴリズムは、例えば、細胞のソートを可能にするための深層学習アルゴリズムとすることができる。
【0273】
実施例
以下の具体例は例示であり、かつ非限定的である。本明細書に記載される実施例は、前のセクションに記載される様々な実施形態を参照し、非限定的な支援を提供する。
【0274】
実施例1.インテリジェントな形態学ベースの単一細胞分析及びソート(iMAS)
従来の細胞分類及びソート技術は、予備知識又は当て推量(例えば、細胞バイオマーカー又は物理的特性)に依存することにより制限され得る。本明細書で記載することは、マイクロ流体工学、流れの中のラベルなしの単一細胞の高解像度イメージング、細胞の形態に基づく細胞の拡大縮小可能なプロファイリングと正確な分類とを可能にする畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、目的の細胞を単離し濃縮するソート機構を結合したシステム(例えば、プラットフォーム)及び方法プラットフォームである。モデル及び分類器は、例えば、胎児性有核赤血球(fNRBC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肝細胞がん(HCC)、及び免疫細胞の複数のサブタイプといった複数の細胞のタイプ間を判別するように開発/訓練される。訓練データには使用されていない細胞を含む検証結果は、以下の内容の高精度の細胞分類を示している:このモデル/分類器は、血液細胞を背景にしたNSCLC及びHCC細胞株の分類において、0.999の測定を超えるROC曲線下面積(AUC)を達成した。モデル/分類器から抽出された特徴は、訓練されていない細胞クラスの判別情報を提供することが実証され、CNNが細胞のタイプと状態についての広い情報が可能な形態学的属性を取り出すことが示唆された。モデル/分類器を訓練し、特定の問題にチューニングすることで、目的の細胞を同定する精度が向上した。本明細書に開示されたシステム及び方法は、WBC又は全血とのスパイクイン混合物から、1:100,000という低濃度でNSCLC細胞の分離に成功することを実証し、複数の細胞株で25,000xを超える濃縮を達成し、ソートされた細胞において腫瘍特異的変異の濃縮を実証した。本明細書に開示されたシステム及び方法は、大規模に収集された高解像度の細胞画像を適用したディープラーニングが、流れ中の細胞を正確に分類することができ、広範な用途のために目的の希少細胞をラベルなしで分離することを可能にできることを実証している。
【0275】
例2.iMASの導入
ハイスループットの単一細胞マルチオミクス分析は、正常な発達と疾患処理を細胞分解能において理解するために使用することができる。例えば、単一細胞シーケンス技術は、単一細胞のゲノム、エピゲノム、トランスクリプトーム、タンパク質プロファイルを大規模に理解することを可能にする。このような情報は、従来の標的ベースの仮説駆動型アプローチに内在するバイアスと制限なしで、生物学的処理の全体像を提供することができる。遺伝子型と表現型の関連は、マッピングするのは困難な一方で、生物学的モデルがどのように機能するかを理解するのに役立つことができる。しかしながら、上記の分析手法にも、例えば、目的の細胞の表現型の説明が(十分かつ定量的であるのとは対照的に)不十分で定性的であるように課題と失敗がないわけではない。このように、本開示のシステム及び方法(例えば、iMAS)は、細胞の表現型評価を標準化し、スケールするために利用することができる。
【0276】
本開示のシステム及び方法は、細胞の表現型に基づく細胞の分析とマッピングを拡大することができる。細胞形態に対する人間の理解は、それを説明する人間の言語の境界内にとどめられ得る。伝統的に、細胞形態を「読む(reading)」ことは、個々の細胞の特徴(例えば、核と細胞質の比、核の丸さ、核膜の滑らかさ、クロマチンの分布、核膜の溝の存在など)を認識及び/又は物理的に判別する細胞病理学者の能力に依存し得る。しかしながら、このようなヒトベースの形態学的パラメータは定量性に欠け得、かくして標準化が困難である。加えて、標準化されたやり方でのデータ収集は容易ではない場合がある。異なる検査室は、様々な異なるイメージングモダリティに依存する。スライドの調整、染色、取り扱い手順が分析に影響を及ぼし、標準化と再現性に課題を寄与し得る。このように、本開示のシステム及び方法は、例えば「ビッグデータ」アプローチにおいて、細胞形態データを収集し分析するための定量的で拡大縮小可能な方法という満たされていないニーズを果たし得る。
【0277】
本開示のシステム及び方法は、例えば、画像セグメンテーションを複雑化及び/又は複合化し得る画像データ中の重複細胞、細胞がイメージングスライド上に固定された角度が不明瞭であることなどのような多数の課題が導入される生物学的試料(例えば、塗抹標本)から単一細胞の画像を抽出するための課題を果たし得る。本開示のシステム及び方法は、病理学的スライドの画像ベースの分析に対する満たされていないニーズを果たし得る。
【0278】
本開示のシステム及び方法は、流れの中の単一細胞の高解像度イメージングに基づく、AIを活用した形態学的細胞分析及びソートプラットフォームを備える。ソートの能力は、形態学と細胞レベルでの分子分析とを直結させ、形態学に基づいて細胞を分類できる超精密機械学習モデルを訓練し検証するために、大規模でのデータアノテーションを可能にする。本明細書で開示されるのは、数千万個のアノテーション付き細胞の訓練データセットを高解像度で蓄積し、様々な細胞のタイプ(及び細胞の状態)の高精度の分類を生じさせるための、連続的なラベリング、訓練、ソートパイプラインである。本明細書で実証されるのは、循環腫瘍細胞(例えば腫瘍学)と循環胎児有核赤血球(例えば出生前診断)を含む希少細胞捕捉アプリケーションにより着想を得た、極端なスパイクイン比でのPBMCに対する目的の細胞のタイプの濃縮である。本システムのマイクロ流路を流れる細胞は、ラベルなしの明視野イメージングと最小限の細胞ストレスのおかげで、処理終了時に無傷で生存し続けることができる。本開示のシステム及び方法は、様々な細胞のタイプをクラスタ化するための形態学の力と、他の「オミックス」データを視覚化するための最先端技術と同様に、組織レベルの形態学的不均一性をプロファイリングするためにこのツールを使用する可能性を実証する。
【0279】
実施例3.方法と材料
A.マイクロ流体工学
【0280】
各チップの設計は、マイクロ流路の高さを15μmから40μmの間で有し、処理されるべき最大の細胞よりも数μm大きくなるように選択される。入力ポートのフィルター領域は、大きな粒子、細胞、又は細胞の凝集体が流路に入るのを防ぐ。緩衝液試薬(1X PBS)を細胞懸濁液と並行して左右の流れに導入することで、細胞を流路の中央付近で水平方向に一定の速度で流すことを保つ流体力学的な集束を実現した。使用した流速(~0.1m/s)は、慣性集束の効果が現れるのに十分な高さでもあり、細胞を流路の中心に近い、垂直に離間した2つの平面の近傍にとどめた。
【0281】
B.流れの中の細胞の明視野イメージング
【0282】
マイクロ流体チップは、横方向(水平方向)のXY制御と、焦点合わせのための微細なZ制御を有するステージ上にマウントされた。対物レンズ、カメラ、レーザー光学系、及び流体コンポーネントは全て同じプラットフォームにマウントされた。マイクロ流体チップがプラットフォームにロードされた後、自動的に位置合わせが行われ、焦点合わせアルゴリズムを使ってイメージング領域を視野に収めた。超高輝度LED照明光(SOLA SE)がイメージング領域に照射され、各細胞の複数の画像が、各細胞が流れた際にイメージングされた。高倍率の対物レンズ(ライカ40X~100X)を通して明視野画像を取り、超高速カメラに映し出した。これらの高解像度細胞画像は、細胞の形状とサイズだけでなく、細胞質内と細胞核内の微細な構造的特徴も明らかにし、それらの形態に基づく細胞のタイプ及び状態の判別に有用であることが判明した。
【0283】
C.ソフトウェアと機械学習
【0284】
ソフトウェアの作業負荷はCPU、GPU、マイクロコントローラー(MCU)に分散される。)カメラは、新たな画像の利用可能性について定期的にポーリングされた。カメラからの画像フレームは、専用の1Gbpsイーサネット接続上で回収された。画像はその中の細胞の中心に切り取られ、切り取られた画像は、関連する細胞のカテゴリについて訓練された最適化畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による分類のためにGPUに送られた。CNNはInception V3モデルアーキテクチャーに基づいていた。CNNはTensorFlowを使用して書かれ、対応する細胞カテゴリでアノテーション付き細胞画像を使用して訓練された。NVidia TensorRTは、NVidia GPUでの推論に使用された最適化されたモデルを作成するために使用された。CNNからの分類推論はマイクロコントローラーに送られ、マイクロコントローラーは、バルブのトグリングをソート位置における細胞の到着に同期させるためのスイッチング信号を順に送った。スループットを最大化するため、画像処理は、複数の細胞が同時にパイプラインの異なるステージに入ることができるように、並列パイプラインで起こった。GPUの主な使い方は、最適化された畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を実行することであった。画像からセルを切り取るなどの基本的な画像処理タスクの一部はCPUで行われた。CPUはまた、全てのハードウェアコンポーネントの制御と、監視のためのセンサデータの読み込みにも使われた。
【0285】
D.データの増強とモデルの訓練
【0286】
いくつかの段階が、細胞画像の特性のばらつきを系統的に訓練データに取り込むことによりCNN分類器をイメージングアーチファクトに対して頑健にするために踏まれた。機材が実行中の焦点の変化の影響をサンプリングするため、様々な焦点条件で細胞をイメージングした。機材間のばらつきをサンプリングするため、機材の4つのレプリカにわたって画像を集めた。分類器の訓練に使用した細胞画像の改変レプリカを生成するために、いくつかの増強法が実装された。これらは、画像の水平及び垂直反転、直交回転、ガウスノイズ、及びコントラスト変化などのような標準的なオーグメンテーション技術を含んでいた。また、微小粒子及びピクセルレベルの収差を模倣するために、画像にソルトアンドペッパーノイズも加えた。マイクロ流体チップ上のチップの変動性及び試料に関係したイメージングアーチファクトをシミュレートするカスタム増強アルゴリズムを開発するために、画像特性の系統的な変動が研究された。
【0287】
全ての細胞画像を、インセプションアーキテクチャと互換性を持たせるために、299x299ピクセルにリサイズした。正常成人血液に存在する細胞種、胎児血液に特異的な細胞種、絨毛細胞株、並びにNSCLC、HCC、膵臓がん、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、及び急性骨髄性白血病(AML)による複数のがん細胞株を含むモデルを訓練した。CNNモデルは、機材が実行中の自動焦点合わせにこの情報を使用するためと、誤分類の可能性から焦点外の細胞画像を除外する両方のために、焦点外の画像を検出するようにも訓練された。
【0288】
E.AIアシストの細胞画像のアノテーション
【0289】
正常成人血液、胎児血液、絨毛細胞株、並びにNSCLC、HCC、膵臓がん、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、及び急性骨髄性白血病(AML)に由来する複数の細胞株を含む、2,570万個の細胞からの高解像度画像が収集された。超高速明視野カメラにより、細胞懸濁液がマイクロ流体チップ中の狭い直線経路を流れる際の画像を収集した。このスケールでの細胞アノテーションを容易にするために、自己教師あり、教師なし、及び半教師ありの学習で、技術の組み合わせを展開した。最初に、対象と試料のソースデータを使用して、各細胞に許容されるクラスラベルのセットを制限した;一例として、妊娠していない成人対象による細胞は、胎児細胞のクラスアノテーションは禁止された。次に、インセプション V3アーキテクチャで事前に訓練された2つの畳み込みニューラルネット(CNN)のうちの1つの隠れ層から、各細胞画像について64次元の特徴ベクトルを抽出した:1つはImageNetデータセットで訓練されたもの、そして、もう1つは異なる画像データから手動でラベル付けされた細胞画像のサブセットで訓練されたものである。続いて、これらの特徴ベクトルの凝集型クラスタリングを使用して、データセットを形態学的に類似したクラスタに分割し、手作業によるラベリングに供し、これにより、大規模での効率的な細胞アノテーションが容易になった。
【0290】
その後の細胞分類の精度を更に高めるために、反復的なやり方で以前の訓練されたモデルの予測から同定された偽陽性を、選択的にアノテーションした。最後に、能動学習アプローチによって触発されたより豊富なクラスの難しい例を与えることにより、判別されるべきクラスのバランスを取った。難しい例は、より少ない訓練セットで訓練されたモデルが誤った推論を行ったものとして同定した。
【0291】
F.細胞ソート
【0292】
細胞ソートは、分岐点の下流の流路の陽性側(標的)と陰性側(廃棄)の両方に内蔵された空気圧マイクロバルブを使用して行われた。バルブのタイミングは、DSPベースのマイクロコントローラー回路により、0.1ミリ秒(ms)の時間精度で制御された。CNNが細胞を標的カテゴリに属すると推論したとき、バルブのトグリングが流れの分岐点への細胞の到着に同期するようにスイッチング信号のタイミングが調整され、細胞は標的細胞が収集されるマイクロ流体チップ上のリザーバ(陽性ウェルとも呼ばれる)に流れ込んだ。CNNが、ある細胞が標的カテゴリに属さないと判断した場合、その細胞は廃棄チューブに流れ込んだ。通過する細胞を検出するために、ソートの流れの分岐の下流にある陽性と陰性の両方の出力経路に楕円形のレーザービームを集光し、かつ、それによりソートパフォーマンスをリアルタイムで監視した。
【0293】
G.血液処理と細胞培養
【0294】
全ての血液試料は、治験審査委員会(IRB)承認のプロトコルに従って外部施設で収集され、各ケースについてインフォームドコンセントが得られた。成人対照及び母体の血液試料について、白血球(WBC)は、最初に遠心分離することにより全血から単離し、それからバフィーコートを赤血球(RBC)溶解緩衝液(Roche)で溶解し、それからPBS(Thermo Fisher Scientific)で洗浄した。胎児細胞は、RBC溶解緩衝液で直接溶解し、それからPBSで洗浄することにより、胎児血液から単離した。細胞は、それから、4%パラホルムアルデヒド(Electron Microscopy Sciences)で固定し、PBS中4℃で長期用のために保管した。A549、NCI-H1975、NCI-H23(H23)、NCI-H522(H522)、NCI-H810、Hep G2(HEPG2)、SNU-182、SNU-449、SNU-387、Hep 3B2.1-7(HEP3B)、BxPC-3、PANC-1、Kasumi-1、Reh、及びHTR-8/SVneo細胞株を購入した(例えば、ATCCから)。
【0295】
混合ベースとしてWBCを使用するスパイクイン実験では、がん細胞株又は胎児細胞を最初に4%パラホルムアルデヒドで固定し、WBCに混合するまで保管した。細胞株を全血にスパイクインする実験では、最初に生きたA549細胞をCellTracker Green CMFDA(Thermo Fisher Scientific)で染色し、それから全血(EDTA)に所定の比率(例えば、10mlの血液中に400個又は4000個の細胞)でスパイクインし、続いてバフィーコート赤血球溶解及び固定を行った。本明細書で開示するソーターにロードする前に、磁気ビーズ(Miltenyi)を使用してCD45陽性WBC細胞の選択的な消耗により、細胞混合物をあらかじめ濃縮した。試料の20%をフローサイトメトリー分析用に保存し、CD45消耗前後の全細胞数とがん細胞数を推定した。フローサイトメトリー分析に基づくと、CD45磁気ビーズ枯渇ステップは、A549細胞の11~15倍の濃縮を生じさせた。
【0296】
それに続く形態学的特徴付けのためのヒト免疫細胞の単離のために、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、標準的な密度勾配分離により全血から最初に単離した。簡単に説明すると、全血を1XPBSで1:1に希釈し、かつ、Ficoll-Paque培地の上に重層した。チューブを400×g、室温で40分間遠心し、単核球画分を回収した。細胞をそれから、室温で20分間、4%PFAで固定し、PBSで洗浄した。PBMCを一次抗体のパネル(CD45、CD3、CD16、CD19及びCD14)でラベリングし、BD AriaII機材でT細胞(CD3+CD16/CD56-)、B細胞(CD3-CD16/CD56-CD14-CD19+)、NK細胞(CD3-CD16/CD56+)及び古典的単球(CD3-CD16/CD56-CD14+CD19-)についてソートした。
【0297】
H.分子分析
【0298】
個々の血液ドナーの細胞株及びWBCを、エクソン一塩基多型(SNPs)用の95アッセイと性別ID用の9アッセイを含んだ標的化SampleIDパネル(Swift Biosciences)を使用して、次世代シーケンシングにより遺伝子型決定した。簡単に説明すると、QIAGEN DNeasy Blood & Tissue Kit(Qiagen)を使用してバルク細胞からゲノムDNAを抽出し、それから、1ng DNAをインプットとして使用し、アンプリコンパネルを増幅し、かつシーケンスライブラリを調製した。がん細胞については、TP53遺伝子(Swift Biosciences)の20アッセイを含むパネルをSampleIDパネルとプールし、共通SNPsとTP53変異状態の両方について遺伝子型を測定した。ATCCとCOSMICのアノテーションから、A549細胞はTP53野生型、NCI-H522細胞はホモ接合性のフレームシフト変異(c.572_572delC)を持つことが知られている。バルクジェノタイピングの結果、これら2つの細胞株の相対的な変異状態が確認された。
【0299】
いくつかの実験(例えば、統合勾配アプローチ)では、細胞をマイクロ流体チップの陽性出口ウェルからPCRチューブに回収し、Extracta DNA Prep for PCR(Quanta Bio)を使用して直接溶解した。細胞溶解物は前述のSwiftパネルで増幅され、NGSについて同じライブラリ調製手順がそれに続いた。全てのライブラリは、MiniSeq 2x150 bpキット(Illumina)を使用してIllumina MiniSeq機材で配列決定した。
【0300】
I.一次配列決定分析とQC
【0301】
BWA-MEMアライナーを使用して、シーケンスリードを参照ゲノムに位置合わせした。SNPアレル計数は、bcftoolsを使用して要約した。SNPデータは品質管理チェックにかけた:各試料は、SNPあたりの平均カバレッジが200より多く有することが要求され、各SNP遺伝子座は、全試料にわたるカバレッジの中央値が、考慮すべきSNPの中央値の0.1xより多いことが必要であり、試料の個々のSNPアッセイは、カバレッジの深さが50より多いことが必要であった。89のSNPアッセイが、混合分析でのさらなる使用のために、この根拠に基づいて選択された。QCに失敗した試料及び個々のSNPアッセイは、遺伝子型判定と混合比率の推定とから除外された。
【0302】
J.SNP分析による混合比率の推定
【0303】
スパイクイン実験のための各混合のベースを形成する純粋な2倍体試料を、ホモ接合SN内の誤差の内部推定を組み込んだ最尤推定を使用して、各SNPについて3つの2倍体遺伝子型(AA、AB、BB)にクラスタ化した。対象の成分(腫瘍細胞株又は胎児試料)の混合比率は、0.005で考慮された(0.0、0.005、0.01、...、1.0)刻みにおける全ての離散混合分率を考慮した最尤推定(MLE)を使用して決定した。可能性のある各混合割合について、各SNPにおける予想対立遺伝子割合を、2つの混合成分における対立遺伝子割合を線形結合することにより決定した。各試料とSNPの組み合わせに対応する二項対数尤度は、予想対立遺伝子割合と、ベース遺伝子型がヘテロ接合(AB)であり、かつスパイクイン成分遺伝子型がホモ接合(AA又はBB)である混合SNPにおける対立遺伝子割合の分散から推定されるSNPあたりの有効独立リード数Nと、を使用して計算された。混合データから直接Nを推定し、共有対立遺伝子分率を有すると予想されるSNPを使用することにより、この手順は、リードの数がサンプリングされた独立分子の数を上回る場合がある低入力に対して頑強である。各可能な混合割合の全体対数尤度は、各SNPからの寄与の合計として計算され、混合割合は、最も高い全体対数尤度が得られるものとして推定される。この手順の正確さは、既知の組成によるDNA混合物で検証された(
図16)。各複合試料は250pgのDNAを含有し、2番目の個体からのDNAの混合比率は5%、10%、20%、30%、40%、60%、80%、90%に設定された。既知の混合比率とSNPベースの純度の推定値(
図16)との間には、密接な対応関係が得られた。
【0304】
K.期待値最大化(EM)アルゴリズムによる遺伝子型と試料純度の共同推定
【0305】
2つのケースでは、遺伝子型と混合分率は、混合物中のSNPの対立遺伝子割合φから共同で推定された:(i)胎児細胞に加えていくつかの母体細胞を含んだ胎児試料Fet1の遺伝子型判定をするため(ii)全血へのA549細胞のスパイクインのため。各ケースにおいて、混合成分の一方の遺伝子型、G0と命名した、は純粋な試料(前者では母体DNAから、後者では純粋なA549細胞株から)から得られ、一方で、もう一つの試料の遺伝子型、Gと命名した(前者では胎児試料に、後者では無関係な血液試料に対応する)、はデータから推定された。母体試料は2倍体として遺伝子型判定されたが、純粋なA549については、その細胞株の既知の低3倍性に沿って、遺伝子型の許容される対立遺伝子分率は0、1/3、1/2、2/3、及び1であった。期待値最大化(EM)手順をそれから使用して、純度と欠失遺伝子型を共同で推定した。簡単に説明すると、G及び現在の純度の推定値fが与えられると、許容される欠失遺伝子型ごとに2項尤度を推定し、最尤推定値を使用してGを更新した。Gが与えられると、fの修正推定値は、同一のGのSNP上で観測された対立遺伝子割合φとG0との間の期待される線形関係を使用して、線形回帰により得られた。この手順は、両成分が同一ホモ接合であるSNPによる誤差率の推定値が組み込んだ。この手順は、純度推定値の変化<0.0001と定義される収束まで繰り返された。40セル/mlの濃度から始めた濃縮されたA549細胞のEM手順の結果を補足
図17に示す。3本の点線は、遺伝子型を与えて純度を推定するために使用された線形回帰を描写する;それらの傾きは、最終的な純度の推定値0.43に等しい。
【0306】
L.材料
【0307】
分類器の訓練と検証のために、5,080万の画像が収集された。深層畳み込みニューラルネットを訓練するために、2,570万の細胞のデータセットがイメージングされた:正常な成人の44の血液試料のWBCが収集され、2,200万の細胞画像となった。加えて、18の胎児血液試料が収集され、280万のイメージングされた細胞をもたらした。4つのNSCLC細胞株から合計156,000の細胞、4つのHCC細胞株から合計400,000の細胞、そして、4つのその他の細胞株から別の合計440,000の細胞がイメージングされた。分類器の結果を検証するために、上記の細胞のタイプの111の試料から2,510万細胞の分かれたデータセットが集められた。NSCLCについてはNCI-H522(H522)細胞株を、HCCについてはHep3B2.1-7(HEP3B2)細胞株を検証でそれぞれ試料として使用した。
【0308】
実施例4.プラットフォームの開発
本明細書で開示されるプラットフォームは、z軸を横切る焦点の狭い帯域を得るために、単一の横方向軌跡に沿って閉じ込めた懸濁液中の細胞の投入と流れを可能にすることができる(
図8a~8f)。
【0309】
図8aは、マイクロ流体チップと、本開示のソータープラットフォームの入出力と、を示す。懸濁液中の細胞及びシース液中の細胞は、ユーザによって入力された実行パラメータ:標的細胞のタイプ、及びソートが目的である場合、ソートする細胞の数の上限、とともに入力される。実行が完了すると、システムは、試料構成(処理された全細胞の数とタイプ)、及び実行の長さ、分析された細胞の数、イメージングの質、試料の質を含む実行のパラメータのレポートを生成する。ソートオプションが選択された場合、チップ上のリザーバに単離された細胞、並びにソートされた細胞の数、収集された細胞の純度、及びソートの収率のレポート、が出力される。
図8bを参照すると、流体力学的焦点と慣性焦点の組み合わせが、細胞を単一のz平面と単一の横方向軌道に焦点合わせするために使用される。
図8cと
図8dを参照すると、図は、ソフトウェア(
図8c)とハードウェア部品(
図8d)の異なるコンポーネント間の相互作用を示している。分類器は
図8eに拡大され、画像収集の処理、及び流れの中の単一細胞の自動化されたリアルタイム評価を描写している。画像が取られた後、個々の細胞画像は自動物体検出モジュールを使用して切り取られ、切り取られた画像はそれから、関係ある細胞で訓練された深層ニューラルネットワークモデルにかけられる。各画像について、モデルは利用可能な細胞のクラスにわたる予測ベクトルを生成し、選択規則(例えばargmax)に従って推論が行われるだろう。モデルは画像のz焦点面を推論することもできる。破片及び細胞塊の割合も「試料の質」の代用としてニューラルネットワークモデルにより予測してもよい。
図8fはソートの性能を示す。純度と収率との間のトレードオフが、1時間以内に130,000、500,000、1,000,000の細胞をソートするプロファイリングについて、3つの異なるモードで示されている。
【0310】
流体力学的フォーカシングと慣性フォーカシングの組合せを使用して、プラットフォームは、マイクロ流体チップのイメージングゾーンを通過するような細胞の超高速明視野画像を収集することができる(
図8A及び8B)。処理のために単一細胞画像を捕捉するために、切り出された画像を、関係ある細胞のタイプの画像で訓練されたインセプションアーキテクチャに基づく深層畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に送り込む前に、自動物体検出モジュールが組み込まれ、細胞を中心に各画像を切り出した。
【0311】
細胞を目的のカテゴリに分類することに加えて、CNNは、各画像の焦点(Z面中)を評価し、破片と細胞のクラスタを同定するように訓練され、かくして、試料の品質を評価するための情報が提供された(
図8E)。CNNが推論した細胞のタイプをリアルタイムで使用して、細胞を、標的カテゴリ用の陽性ザーバ(細胞収集リザーバ)又は廃棄物排出口のいずれかにソートするための空気圧バルブを調節するように、フィードバックループが考案された(
図8A)。リザーバ中のソートされた細胞を、それから下流の処理と分子分析のために回収することができた。
【0312】
図9Aは、流れの中の単一細胞の高解像度画像を示す。
図9bを参照すると、AIAIA(AIアシストの画像のアノテーション(AI-Assisted Image Annotation))が、個々の細胞画像を形態学的に類似する細胞のグループにクラスタ化するために使用されている。専門家がラベリングツールを使って細胞クラスタを調整し、一括ラベリングする。この例では、AML細胞がWBC細胞群に誤ってクラスタ化され、細胞塊(破片)を示す画像がNSCLC細胞グループに誤ってクラスタ化されている。これらのエラーは「エキスパートクリーンアップ」ステップにより修正される。
図9cを参照すると、アノテーション付き細胞は、それから細胞形態アトラス(CMA)に統合される。
図9dを参照すると、CMAは次世代モデルの訓練セットと検証セットの両方を生成するために使用される。
図9eを参照すると、ソート実験中、
図9dに示された事前に訓練されたモデルは、リアルタイムで細胞のタイプ(クラス)を推論するために使用される。濃縮された細胞はデバイスから回収される。回収された細胞は分子プロファイリングのために更に処理される。
【0313】
本プラットフォームは複数の異なるモードで実行された。訓練/検証モードでは、
図9A~9C)では、収集された試料の画像は、AIアシストの画像のアノテーション(AIAIA)に供給され、教師なし学習を使用して細胞を形態学的に別個のサブクラスタにグループ化するように構成された。AIAIAを使用して、ユーザは誤ってクラスタ化された細胞を除去することでサブクラスタをクリーンアップし、所定のアノテーションスキーマに基づいて各クラスタにアノテーションすることができる。アノテーション付きの細胞画像は、専門家がアノテーションした単一細胞の画像データベースである細胞形態アトラス(Cell Morphology Atlas)(CMA)に統合される。CMAは訓練セットと検証セットに分けられ、特定の細胞のタイプ及び/又は状態を同定することを目的としたCNNモデルの訓練と評価に使用される。分析モード(
図9D)では、収集された画像は、CMAを使用して以前に訓練されたモデルに供給され、目的の試料の構成を実証するレポートが生成される。UMAPの視覚化は、試料内の全ての単一細胞の形態マップを描写するために使用される。試料内の各個々の細胞がCMA内のすべての定義済み細胞クラスに属するという分類器の予測を示す予測確率のセットも生成される。ソートモード(
図9E)では、収集された画像はリアルタイムでCNNに渡され、各単一細胞をCMA内の所定のクラスの一つに割り当てる決定がその場で行われる。目的のクラスに基づいて、標的細胞はリアルタイムでソートされ、下流の分子評価用に出力される。
【0314】
例5.細胞ソーター性能の特性化
本明細書で開示するソーターの性能を、1ミリリットル当たり100万WBCの濃度で調製した均一な細胞懸濁液を使用して査定した。各試料は2.2μl/分の流速でマイクロ流体チップに導入され、これは毎分2,160の細胞の処理量に相当した。1×PBS緩衝液のサイド試薬を、試料の流速の2倍以上で同時に導入し、イメージングとソートのために、目的の細胞を流線の中心に誘導した。
【0315】
流れの中でイメージングされた細胞の断片(0.5%)がランダムに選択され、マイクロ流体チップの陽性ウェルにソートされた。両側の分岐接合の下流にあるレーザースポットを使用して細胞の通過をマークし、それにより真陽性(TP)、偽陽性(FP)、及び偽陰性(FN)のソートイベントをカウントした。各実験において、合計~10,000個のイメージングされた細胞の中から50個の細胞がソートのために選択され、収率(感度又は再現性)と純度(精度又は陽性予測値)の測定基準は、それぞれTP/(TP+FN)及びTP/(TP+FP)として計算された。
【0316】
図14a及び14bは、異なるウィンドウサイズ(25、30、35及び40ミリ秒)を使用したWBC試料の0.5%ランダムソートの性能を示す。合計341の実験が、2つのハードウェアシステム上の21のマイクロ流体デバイス(7つのフォトレジストモールドセットからそれぞれ3つのチップ)において、4つのウィンドウサイズにわたって実行された。
図14a:収率:理論曲線は、標準偏差5msの細胞到着時間の正規分布を仮定している。適合曲線は、93%の検出限界レベルを追加している。
図14b:純度:実線と点線は、様々な細胞スループットにおける理論値;測定値と理論値を一致させるため、各細胞の周囲に±3msの排除ゾーンを想定している。両グラフの誤差バーは、各ウィンドウサイズにおける生実験データの1標準偏差(合計2σ)を表す。
【0317】
収量と純度との間のトレードオフのキーとなる要因は、ウィンドウサイズ(各ソートイベントで流れが陽性ウェルに向かって迂回される期間)である可能性がある。341回の実験実行から収集された4つの異なるウィンドウサイズに対する収率と純度の測定基準を
図14Aに示す。各ウィンドウサイズについて、21のマイクロ流体デバイス、7つのフォトレジストモールドセット、及び2つの機材にわたって分散された、少なくとも77の独立した実行からデータが収集された。細胞の流速は、任意の所与のウィンドウサイズで観察される偽陽性の数に影響し、かくして純度に影響する。収率は偽陽性率の影響を受けないため、かくして主にウィンドウサイズに依存する。標準偏差5msでの細胞の正規分布通過時間に基づき、細胞流速の変化による純度への予想される影響を示す理論曲線を追加している。測定された純度は理論的予想とほぼ一致しているが、一方で収率は予想より約7%低い。代表的な例として、これらの結果は、25msのウィンドウサイズと2,160セル/mの流速の場合、細胞の0.5%を占める希少成分のソートされた細胞は、約90%の収率、及び約60%の純度であることを示唆している。測定されたデータは、複数のマイクロ流体デバイス、機材、及び実行の全部でソート性能の一貫性を示している。1時間以内に分析する目的の細胞数が与えられると、所望の純度対収率を達成するために、バルブパラメータ(
図14B)を調整することができる。
【0318】
例6.細胞形態のCNNモデルは、多様な細胞のタイプを高い精度で分類する
訓練されたCNN分類器の性能を、NSCLC細胞株からの206,673の細胞、HCC細胞株からの76,592の細胞、成人血液PBMCからの192,306の細胞、及び胎児試料からの12,253の有核赤血球(fnRBC)を含んだ検証データセットで測定した。さらに、全てのがんクラスについて、検証データセットにおける各クラスで評価された特定の細胞株も、訓練に使用されたものとは別個であった。
【0319】
図10Aは、NSCLC、HCC、fNRBCの3つの細胞カテゴリの受信者動作特性(ROC)曲線を示している。
図10a~10cを参照すると、がん細胞株について、各々2つのROC曲線が示されている:1つは各カテゴリの陽性選択について、そして、もう1つは陰性選択について、特に非血液細胞の選択について。挿入図は、ROC曲線の左上部分を拡大したもので、偽陽性率が非常に低く、分類モード間の違いを強調している。NSCLCを達成したAUCは0.9842(陽性選択)と0.9996(陰性選択)である;HCCのAUCは0.9986(陽性選択)と0.9999(陰性選択)、fNRBCのAUCは0.97(陽性選択)である。
図10d~10fは、各細胞カテゴリについて、異なる割合での推定精度-再現性曲線を示す。精度は推定された純度、再現性は標的細胞の収量に対応する。各細胞カテゴリについて、異なる標的細胞の割合に対する3つの曲線が示されている:1:1000、1:10,000、及び1:100,000。
図10gは、各カテゴリの細胞を適切なクラスに割り当てる予測確率を図示するバイオリンプロットを示す。例えば、左上のプロットは、WBCとNSCLCがWBC(P WBC)などとして分類される確率分布を示す。
図10h及び10iを参照すると、フローサイトメトリー分析は、2つのNSCLC細胞株(A549及びH522)におけるCD45とEpCAMの発現を示している。
図10j及び10kは、1:1000、1:10,000、及び1:100,000の仮想混合物におけるPBMCに対してNSCLC細胞を同定するためにEpCAMを使用した場合の性能を示す精度再現性プロットを示す。
図10l(又は10L)を参照すると、90%より大きい再現性が望ましいと仮定すると、棒グラフは、1:1000から1:100,000の混合比において、WBCのバックグラウンドに対してH522又はA549細胞を同定するための、本明細書に開示されるようなモデル対EpCAMにより達成可能な精度を示している。
図10mは、分類器の予測(y軸)対実際の細胞のクラス(x軸)のヒートマップ表現を示し、NSCLCとHCCの純度間の明確な区別を含む、各組の細胞を区別する高い分類器の精度を示している。
【0320】
10a~10cを参照すると、3つのカテゴリ(NSCLC、HCC、fNRBC)に対する受信者動作特性(ROC)曲線が示されている。各細胞カテゴリについて、分類器の性能のグローバルな評価のための曲線下面積(AUC)指標が計算された。
図10d~10fは、WBCのバックグラウンドに対する目的の細胞の比が1:1000、1:10,000、又は1:100,000と低い混合物に対する分類器の期待される純度及び収率を評価するための予測精度-再現曲線を示している。
【0321】
NSCLC細胞株、NCI-H522、及びHCC細胞株HEP3B2.1-7に対するモデルの性能を査定するために、標的細胞を同定するための2つの異なるストラテジを試験した:(1)陽性選択(標的細胞のクラス:NSCLC+又はHCC+を選択)と(2)陰性選択(全ての非血液細胞:WBC-を選択)。これらの細胞株に対する分類器の性能評価指標は、NSCLCクラスについて、それぞれ陽性選択で0.9842、及び陰性選択で0.9996のAUCを、HCCクラスについて、それぞれ陽性で0.9986、及び陰性で0.9999のAUCをもたらした(
図10a及び10b)。加えて、両方の分類モードにおいて、極めて低い偽陽性率が実証された(
図10a及び10bの挿入図)。どちらの場合もAUCは陰性選択戦略の方が優れて得るが、どちらの場合も陽性選択戦略の方が低い偽陽性率で高い収率を可能にし得る(FPR<0.0004)。fnRBCについては、陽性選択モードのみが評価され、0.97のAUCをもたらした(
図10c)。
【0322】
目的の細胞の確実な検出をサポートする分類器の性能をよりよく理解するために、それらの細胞がインシリコ混合物中の希少成分であるときの精度-再現曲線を生成した(
図10d-10f)。それらの各々は陽性選択に基づくものであった。検証の結果、1:100,000という最も極端な希釈を考慮した場合でさえ、分類器はfNRBCとHCCの試験された試料において、70%より大きい陽性適中率(PPV)で標的細胞の半分の検出をサポートすることを示唆している。NSCLCクラスでさえ、半数の標的細胞を検出する予測PPVは15%より大きい値である。これほどの大きさの分類器性能のばらつきは、同じがんクラスの細胞株が互いに意味のある形態学的差異を有し得るためのようである。WBCに対する同定に関係するような各クラスの確率分布も
図10gに示す。
【0323】
次に、WBCのバックグラウンドに対してNSCLC細胞及びHCC細胞を同定する際に、本明細書に開示した分類法の精度とEpCAM発現の精度とを比較した。
図10h及び10iは、A549細胞及びH522細胞と同様に、WBC集団におけるEpCA及びCD45発現のフローサイトメトリー評価を示している。次に、NSCLC細胞を精製するためにEpCAM発現を使用するアプローチの性能を推定するために、フローサイトメトリーデータから精度/再現性グラフを導き出した(
図10j及び10k)。これを
図10dと比較すると、2つのアプローチ(我々のモデル対EpCAM発現)がどのような精度を生み出すことができるのか、いずれの所望の再現率についても推定することができる。一例として、90%より高い再現率(収率)が望ましい場合、異なる希釈範囲(1:1000、1:10,000、及び1:100,000)において、形態学ベースの分類器がEpCAMベースの同定よりも優れていることを実証し得る(
図10l)。
【0324】
また、この分類器が互いに異なる悪性細胞を同定できるか否かも調べた。
図10mは、それらの実際のクラスに対する各細胞クラスの分類器予測パーセンテージのヒートマップ表現である。これは、形態学が異なるがん細胞のタイプを互いに対して正確に同定するために使用できることを示している。
【0325】
実施例7.希少細胞の濃縮のための分類とソートの同時実施
2つのNSCLC細胞株の細胞及び1つの胎児試料の細胞の同時分類と濃縮を特徴付けた。各々の場合において、目的の細胞は、正確な既知の割合で、遺伝的に別個の試料からのWBCのはるかに大きなセットにスパイクされた。胎児細胞は、マッチした母体血からのWBCにスパイクされ、NSCLCの細胞株からの細胞は無関係な個人からのWBCにスパイクされた。各混合物は、それから本明細書で開示したようにプラットフォームに導入された。目的のクラス(fNRBC又はNSCLC)に属するとして分類器により同定された細胞は、リアルタイムでソートされ、それに続いて回収された。これらのスパイクイン試験で使用された2つのNSCLC細胞株は、A549であり、A549からの細胞画像は分類器を訓練するために使用され、H522は分類器の訓練には使用されなかった。この2つの細胞株はまた、異なる変異プロファイルを有する:A549は必須がん抑制遺伝子であるTP53が野生型であることが知られているが、一方でNCI-H522はCOSMICデータベースで報告されているTP53のホモ接合性フレームシフト欠失を伝える。A549細胞はまた、EpCAMの発現が低い、又は一貫していないことが特徴付けられており、EpCAM表面マーカーベースの濃縮がこの細胞株にとって非効率的であろうことを示唆している。EpCAM発現は、フローサイトメトリーを使用して評価した(
図10h、10i、及び10k)。
【0326】
各スパイクイン混合物について、システムから回収されたソートされた細胞の純度は、SNPのパネルにおける対立遺伝子分率を分析することにより評価した。既知のスパイクイン混合物の割合と最終純度の比較から、分析された試料の各々について達成された濃縮の程度が計算された。このプラットフォームは、A549とH522の細胞で同様の濃縮度と純度を、前者が分類器を訓練するために使用され、かつ後者はそうでないときでさえ、達成することができた(表1)。最も低いスパイクインの割合である1:100,000で調査したものは、A549とH522で19.5%と30%の純度が達成され、それぞれ13,900倍と30,000倍の濃縮度に相当した。
【0327】
ソートされた細胞株混合物の各々において、TP53遺伝子のフレームシフト一塩基欠失(c.572_572delC)もアッセイされた、H522細胞株はホモ接合体であり、A549細胞株は野生型である。このフレームシフト変異を含んでいる全シーケンスリードの割合を
図15に示す。この結果は、表1に描写したSNPのパネルからの推定値と大まかに一致している。調査した中で最も低い割合である1:100,000で開始した場合でも、フレームシフトは、23%の対立遺伝子分率でソート後の濃縮細胞から抽出されたDNA中に存在することが観察された。このことは、機能的に重要ながん変異は、それらを含んでいる細胞がここで調査した最も低い割合よりも極めて低い割合で存在するときでさえ、検出され得ることを示している。
【表1】
【0328】
実施例8.全血からの希少細胞の濃縮
液体生検のワークフローを模倣するため、蛍光でラベル付けされたA549生細胞を40cells/ml及び400cells/mlの濃度で全血にスパイクインした。スパイクイン細胞濃度は、転移性非小細胞肺がんにおける循環腫瘍細胞を模倣するために選ばれた。続いて、血液試料を標準的なバフィーコート遠心分離、赤血球溶解、及び細胞固定で処理した。細胞混合物は、次にCD45磁性ビーズで処理し、CD45陽性WBCの大部分を除去し、目的の細胞を事前濃縮した。事前に濃縮された細胞は、標的のA549細胞のイメージング、分類、及びソートのためにマイクロ流体チップにロードされた。WBCに対するA549細胞の比率は、最初の赤血球溶解後とCD45枯渇後もフロー分析から推定された。最終的に回収されたソートされた細胞の純度は、A549細胞株と濃縮細胞の両方でSNPパネルの対立遺伝子分率を共同分析することにより推定した。各初期濃度に対応する2つの複製についての結果を表2に示す。CD45枯渇の後に試料内のA549細胞の割合は、400NSCLCセル/mlを有する混合物で13x及び15x、40NSCLCセル/mlを有する混合物で11xと6.7xにそれぞれ増加した。回収されたソートされた試料は、400セル/mlの複製で55%及び80%、それぞれが、10,900倍より高い、29,000倍より高い全体的な濃縮に相当)、40セル/mlの複製で43%及び35%(それぞれが、33,500倍倍より高い、27,800倍より高い全体的な濃縮に相当)の最終的な純度を有した。このような高いレベルの純度の達成は、この濃縮処理の検出の限界が、探索された範囲よりもかなり低い可能性が高いことを示唆している。
【表2】
【0329】
例9.CNNの埋め込みは、関係するタイプの細胞間の相関を明らかにする
複雑な混合細胞における細胞画像分類のためのCNNモデルの高い感度と特異性の確立を有して、細胞のクラス内とクラス間の相関を更に研究した。
【0330】
図11aは、CNN分類器により分析されたクラスからサンプリングされた細胞のUMAP描写を示す。各点単一のラベリングされた細胞を表す。データは畳み込みニューラルネットワーク(CNN)内の64ノードの全結合隠れ層から抽出された。Hep G2(HEPG2)、Hep 3B2.1-7(HEP3B2)、及びSNU-182(SNU182)はHCC細胞株である。H522、H23、及びA549はNSCLC細胞株。fNRBCは3つの胎児試料からの細胞プールによるものであり、白血球(WBC)は3人の別個の対象から抽出した。棒グラフは、訓練セットのカテゴリの各々の個々のデータ点の数を示す。
図11bは、細胞の中心から推論判定を駆動しているピクセルの距離のヒートマップを示す。一例として、fnRBCの推論に最も寄与するピクセルは核の境界に当たる。
図11cはモデルの完全連結層のヒートマップ表現を示す。各地区は単一細胞である。明確なパターンが形成され、異なる細胞のタイプを分離している。
図11dは示された次元の値により着色された形態学的プロファイルのUMAP投影を示す。
【0331】
形態学的特徴はCNN内の64ノードの完全連結隠れ層から抽出され、各点が単一細胞を表すUMAPで表現された(
図11a)。Hep G2、Hep 3B2.1-7、及びSNU-182はHCC細胞株で、このうちSNU-182とHep G2からの細胞は分類器を訓練するために使用し、Hep 3B2.1-7からの細胞は分類器を検証するために使用した。H522、H23、及びA549はNSCLC細胞株で、このうちA549とH23が訓練に、H522が検証に使用された。比較のために、3つの胎児試料のプールによるfNRBCと、3つの別個の成人対象の血液から抽出した白血球(WBC)を分析した。示されたfnRBC又はWBCのいずれもモデルを訓練するために使用しなかった。UMAPプロットは、研究されたHCC細胞株は全て互いに近くに密集していることを示している。対照的に、NSCLC細胞株も互いに近くに密集しているが、より大きなばらつきを示しており、これはCNNモデルの検証で使用された細胞株であるH522の分類器性能がわずかに低いことにも反映されている。しかしながら、白血球はより多様な相関構造を示し、白血球のいくつかの形態学的に変異したサブクラスの存在と一致する。
【0332】
関係する試料内で実証された細胞の類似性の視覚化は、本明細書に開示された分類器が、それを訓練した細胞のクラスの特性で形態学的特徴を取り出す能力を有すること、また、各細胞のカテゴリについて、より大きく、より形態学的に多様な代表的な試料のセットを使用することは、モデルの性能を更に向上させ、一般化することができることを示唆している。
【0333】
分類器が分類判定を駆動するために画像中の重要なピクセルとして同定しているものについてより良く理解するために、ディープネットに基づく帰属アルゴリズム(例えば、統合勾配アルゴリズム)が実装された。その目的は、例えば、どの画像ピクセルが細胞のタイプの推論を支持するか、又は否定するかを示すことであった。
図11bに示すように、ヒートマップ内の(i)推論決定を支持するピクセル、及び(ii)細胞の中心との間の距離は、各クラスについての400の細胞のセットにわたる支持又は一致の程度を示す。
【0334】
次に、モデルの64ノードの完全連結隠れ層の特徴と細胞のタイプの特徴のいずれかの間に強い相関関係があるか否かを調べた。この目的のために、
図11Cに示すような行が64のノードを示し、列は各試料内の個々の細胞を示すデータのヒートマップ表現が生成された。ヒートマップ内には、PBMC、fNRBC、及びがん細胞に関連するシグネチャプロファイルを示す明確なブロックが形成されている。がん細胞集団の中では、HCC細胞株とNSCLC細胞株との明確な区別がされている。特定のがん細胞のタイプにおいて、いくつかの細胞株は、より別個の形態学的プロファイルを示す。例えば、A549はH522及びH23と比較して、より独特なプロファイルを示す。同様に、UMAP表現にも見られるように、SNU182は、HCCカテゴリ内のHEP3B2及びHEPG2と比較して、わずかに異なるシグネチャを提示する。
【0335】
がん細胞における形態学的変化の重要なドライバは、転移の重要な前駆体である上皮間葉転換(EMT)であり得る。現在の研究で分析された細胞株のいくつかは、それらのEMT状態に関して以前に調査されていた。HCC細胞株HepG2及びHep3Bは上皮性であるとして特徴付けられ得る一方で、SNU-182はいくつかの間葉性の特徴を提示しているように見える。NSCLC細胞株H522及びH23は、それぞれ形態学的に「間葉性のような」、及び間葉性であるとして特徴付けられ得る。EMTは、電子タバコ由来の液体及びエアロゾルに暴露されることによりA549細胞に誘発され得る。本実施例における細胞株のサンプリングは、EMT状態と形態学的なリンクをしっかりと確立するには少なすぎるかもしれないが、理論に拘泥せずに述べると、
図11aに見られる同じカテゴリの細胞株全体のばらつきの一部は、EMT中に変わる細胞形態の態様に関係している場合がある。
【0336】
次に、個々の特徴をより深く研究した。
図11aに見られるのと同じようなUMAPを生成すると、
図11dに示されるように、モデルの完全連結層の選択された単一の特徴(ノード)の値が強調表示された。
図11dに示すように、NSCLC(左上)、HCC(右上)、fNRBC(左下)、及びWBC(右下)と高度に相関する個々の次元があった。
【0337】
例10.CNNの埋め込みは、新規の細胞のクラス間の違いを明らかにする
CNN分類器が、それが訓練された細胞のクラスを越えて汎化するために、細胞形態の十分豊かな表現を取り出すことができるか否かを調べるために、既知のタイプの免疫細胞を分類し表現するための本明細書に開示されたシステム及び方法の能力が調査された。
【0338】
調査された各免疫細胞のタイプ―古典的な単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、CD4 T細胞、及びB細胞、並びに活性化CD4 T細胞―が得られた。続く形態学的特徴付けのためのヒト免疫細胞の単離のために、最初にヒト末梢血単核細胞(PBMC)を標準的な密度勾配分離により全血から単離した。簡単に説明すると、全血をPBSで1:1に希釈し、Ficoll-Paque培地の上に重層した。チューブを400×g、室温で40分間遠心し、単核球画分を収集した。細胞は、それから室温で20分間、4%パラホルムアルデヒドで固定し、PBSで洗浄した。PBMCは、一次抗体のパネル(例えば、CD45、CD3、CD16、CD19、及びCD14)でラベル付けし、かつ、T細胞(例えば、CD3+CD16/CD56-)、B細胞(例えば、CD3-CD16/CD56-CD14-CD19+)、NK細胞(例えば、CD3-CD16/CD56+)、及び古典的単球(例えば、CD3-CD16/CD56-CD14+CD19-)についてソートした。
【0339】
T細胞活性化のために、まず新鮮なPBMCからヒトナイーブCD4+ T細胞を単離し(例えば、EasySep Human Naive CD4+ T細胞単離キットを用いて)、次に10%のウシ胎児血清と1%のペンストレップを含んでいるRPMI培地で培養し、30U/mL IL-2及び25ul/1M細胞CD3/CD28ダイナビーズで活性化した。活性化T細胞は培養3~4日後に再懸濁し、磁気スタンドでビーズを除去した。活性化T細胞の純度はフローサイトメトリーを使用してCD25+/CD69+画分として測定され、65%から87%であると推定された。細胞懸濁液は、それから、マイクロ流体チップに導入し、イメージングした。細胞画像は、本明細書に開示されているように、CMAの少なくともサブセットについて事前に訓練されたCNNで処理されたが、免疫細胞のサブタイプについては訓練されていなかった。破片又は焦点外として同定された細胞は、さらなる分析から除外された。続いて、ニューラルネットワークの最後の前の隠れ層から、各細胞画像に対して64次元の特徴ベクトルが抽出された(例えば、アノテーションのために細胞をクラスタ化するのに使用した手順と相似して)。特徴データの主成分分析(PCA)の第1の成分は、慣性集束下での流れに関連する2つの平面に細胞を分割するために使用した。
【0340】
図12aは、免疫細胞について訓練されていないCNNを使用した免疫細胞のUMAP描写を示す。各点は単一細胞を表す。特徴ベクトルは、免疫細胞のカテゴリについて訓練されていないCNNの64ノードの全結合層から抽出した。描写された細胞のカテゴリは、古典的単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、CD4 Tナイーブ細胞、CD4 T活性化細胞、及びB細胞である。
図12bは免疫細胞のサブタイプのヒートマップの描写を示す。Y軸はCNNの完全連結層の異なる特徴を示す。
図12cは、示された次元の値で着色された形態プロファイルのUMAP投影を示す。
図12dは、免疫細胞について特別に訓練されたCNNを使用した免疫細胞のUMAP描写を示す。
図12eは、
図12dに湯体するCNNの64ノードの値のヒートマップを示す。
【0341】
免疫細胞懸濁液は、それからマイクロ流体チップに導入し、細胞の画像を収集した。細胞画像は、本明細書で開示するように、CMAを使用して事前に訓練されたCNNで処理されたが、免疫細胞のアノテーションについては訓練されていなかった。破片又は焦点外の細胞として同定された細胞は、さらなる分析から除外された。各細胞画像の64次元の特徴ベクトルが、アノテーションのために細胞のクラスタ化に使用された手順と相似して、ニューラルネットワークの最後の前の隠れ層から抽出された。特徴データの主成分分析(PCA)の第1の成分は、慣性集束下での流れに関連する2つの平面に細胞を分割するために使用された。
図12aに、流れの面の1つに対するこれらの形態学的特徴ベクトルのUMAP視覚化を描写している。プロット上で互いに近い点は、訓練されていないCNNのレンズを通して見た際の形態の類似性を示している。この視覚化では、古典的単球、CD4 Tナイーブ細胞、及びCD4 T活性化細胞は、NK細胞やB細胞とは分かれて明確に集合しているのが見える。特定の次元に対する形態学的特徴のUMAP投影(
図12c)は、単一の次元と特定のサブタイプとの間に強い相関を示す。
【0342】
このように、多様な細胞のタイプのセットで訓練されたCNNは、明示的に訓練されていない細胞のタイプを区別できるようになる細胞形態の空間の豊かな表現を発展させることがわかった。これは、様々な用途において、形態学的特徴による新規の細胞のタイプ及び状態の分類のための教師なしアプローチの発展に有望である。これらのデータはまた、より多くのアノテーション付き細胞画像の収集に伴い、より優れた分類性能を達成するだろう免疫細胞モデルを訓練できる可能性があり得ることを示唆している。
【0343】
例11.特定の問題にチューニングされたCNNは精度が向上した
次に、免疫細胞のサブタイプを含むCNNを訓練することで、これらのサブタイプ間のよりよい分離に影響することができるか否かを調べた。上述と同様に、古典的単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、CD4 T ナイーブ細胞及び活性化細胞、並びにB細胞を、ドナー試料の特定のサブセットから生成した。この画像は、本明細書で開示するマイクロ流体システム/プラットフォームで取られ、免疫細胞CNNの訓練セットとして使用された。検証のために、同じ細胞試料を分かれたドナー試料のグループから作成した。
図12dは、この免疫細胞CNNからの検証セットの64次元の特徴ベクトルのUMAP投影である。上記と同様に、特徴データのPCAの第1の成分を使用して、慣性集束に関連する2つの平面を補正した。
【0344】
免疫細胞のサブタイプについて訓練されたことのないモデル(
図12a)と比較すると、事前に訓練されたモデルは免疫細胞のサブタイプ間でよりより良い分離を生成する。このモデルは純粋に免疫細胞について訓練されているので、他の全ての細胞のタイプについて訓練されたモデル(
図12b)と比べて、64次元の特徴ベクトル中に、あるサブタイプ対別のサブタイプの同定に特に寄与する特徴がより多く存在する(
図12e)。微細な形態学的差異を有するこれらのサブタイプに対して訓練されたことのないモデルにおいて、ヒートマップ表現(
図12b)に描写されるように、まだ独特なシグネチャが見えることは注目に値する。
【0345】
例12.統合勾配アプローチ
また、統合勾配(Integrated Gradients)という、どの画像ピクセルが細胞のタイプの推論を支持することができるか、又は否定することができるかを実証するアプローチも実装された。このアイデアは、いくつかの自然な公理を保存してもよい方法で、画像ピクセルに対して推論されたクラス確率の勾配を計算するというスマートなバリエーションに基づく。勾配の大きさを最大にするピクセルが重要なピクセルであると判定され、符号によってそのピクセルが推論を支持してもよいか、又は否定してもよいかを判定することができる。推論された細胞のタイプを支持するピクセルと、他の細胞のタイプを否定するピクセルの両方が分析された。
図13は、WBC、fnRBC、及び肝がん細胞のタイプを否定してプローブされたNSCLC細胞の例を実証する。このモデルは、細胞膜のサイズ及び形状を示すピクセルとともに、核と細胞質の両方の特徴を見ることができる。細胞は二重核小体を有することがあり、これはNSCLC推論を支持するピクセルにより観察されるように見える。本明細書で開示されるモデルは、他の核の特徴、並びに細胞質の特徴、例えば液胞及びクロマチンパターンのスルースイープもまた行うことができる。
【0346】
実施形態
以下の非限定的な実施形態は、本発明の例示を提供するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0347】
実施形態1.一態様では、本開示は、以下を備える方法を提供する:
(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、単一細胞のタグなし画像を含む、ステップ;
(b)細胞形態マップを生成するために画像データを処理するステップであって、前記細胞形態マップは、前記細胞の異なるタイプ又は状態に対応する複数の形態学的に区別されたクラスタを含む、ステップ;
(c)前記細胞形態マップを使用して分類器を訓練するステップ;及び
(d)前記分類器を使用して、形態学的に区別されたクラスタの一つ以上とのその近接性、相関性、又は共通性に基づいて細胞画像試料を自動的に分類するステップ;
任意選択で:
(1)前記形態学的に区別されたクラスタの各クラスタは、所定のアノテーションスキーマに基づいてアノテーション付けされる;及び/又は
(2)前記分類器は、前記細胞画像試料中の1つ以上の細胞のタイプ、状態、若しくは特性に関する事前の知識又は情報を必要とせずに、前記細胞画像試料を自動的に分類するように構成される;及び/又は
(3)前記細胞形態マップが、前記処理された画像データからの1つ以上の形態学的特徴に基づいて生成される;及び/又は
(4)前記細胞形態マップが、1つ以上の形態学的特徴のオントロジーを含む;及び/又は、
(5)前記1つ以上の形態学的特徴は、前記画像データ中のピクセルの独特なグループに起因する;及び/又は
(6)前記単一細胞画像を前記複数の形態学的に区別されたクラスタにグループ化するために、機械学習アルゴリズムを使用して、前記画像データを処理する;及び/又は、
(7)前記機械学習アルゴリズムが、前記単一細胞の各細胞から前記1つ以上の形態学的特徴を抽出するように構成される;及び/又は
(8)前記機械学習アルゴリズムが教師なし学習に基づく;及び/又は
(9)前記画像データを処理するステップは、前記形態学的に区別されたクラスタの各クラスタにアノテーション付けして、前記形態学的に区別されたクラスタの前記各クラスタに属するアノテーション付き細胞画像を生成することを更に備える;及び/又は
(10)1人以上のユーザが前記形態学的に区別されたクラスタをキュレート、検証、編集、及び/又はアノテーション付けすることを可能にする対話型アノテーションツールが提供される;及び/又は
(11)前記対話型アノテーションツールは、前記1人以上のユーザが、所定のアノテーションスキーマを使用して各クラスタにアノテーション付けすることを可能にする;及び/又は
(12)前記対話型アノテーションツールは、前記1人以上のユーザが、誤ってクラスタ化された細胞を除外することを可能にする;及び/又は
(13)前記対話型アノテーションツールは、前記1人以上のユーザが、前記クラスタから破片又は細胞塊を除外することを可能にする;及び/又は
(14)前記対話型アノテーションツールは、前記1人以上のユーザが前記クラスタに重みを割り当てることを可能にする;及び/又は
(15)前記対話型アノテーションツールは、仮想クラウドソーシングプラットフォーム上で、前記1人以上のユーザから構成されるコミュニティに提供される;及び/又は
(16)前記分類器は、試料中の細胞の既知又は未知の集団の両方に対して使用可能である;及び/又は
(17)前記クラスタの1つ以上は、サブクラスタを備える;及び/又は
(18)前記クラスタの2つ以上が重複する。
【0348】
実施形態2.本開示の一態様は、以下を備える方法を提供する:
(a)試料を処理し、前記試料の細胞画像データを得るステップ;
(b)ユーザにとって潜在的に目的になる1つ以上の形態学的特徴を同定するために前記細胞画像データを処理するステップ;及び
(c)グラフィカルユーザインターフェース(GUI)上に、前記1つ以上の形態学的特徴に関連するパターン又はプロファイルを視覚化して表示するステップ、
任意選択で:
(1)前記画像データは、細胞形態マップを使用して処理され、前記細胞形態マップは、細胞の異なるタイプ又は状態に対応する複数の形態学的に区別されたクラスタを含む、及び/又は
(2)前記GUIは、前記ユーザが、試料のソートの基準を置くために前記形態学的特徴の1つ以上を選択することを可能にする;及び/又は
(3)前記GUIは、前記ユーザが、前記1つ以上の形態学的特徴を有する前記マップの1つ以上の領域を選択することを可能にする;及び/又は
(4)前記GUIは、前記ユーザが、前記1つ以上の領域を包含するバウンディングボックスを描画するための対話型ツールを使用することにより、前記1つ以上の領域を選択することを可能にする;及び/又は
(5)前記バウンディングボックスが、任意のユーザ定義の形状及び/又はサイズを有するように構成される;及び/又は
(6)前記方法は、前記GUIを介して前記ユーザから入力を受信するステップであって、前記入力は、前記マップの前記形態学的特徴又はクラスタの前記ユーザの選択を含む、ステップを更に備える;及び/又は
(7)前記方法は、前記試料から細胞のグループをソートするステップであって、前記細胞のグループは、前記選択された形態学的特徴を有している、ステップを更に備える;及び/又は
(8)1つ以上の形態学的特徴が、前記1つ以上の形態学的特徴は、前記ユーザにより前記GUIに入力された基準のセットに基づいて、前記ユーザにとって潜在的に目的になると同定される;及び/又は
(9)前記1つ以上の形態学的特徴は、前記ユーザにより行われた1つ以上の以前の試料実行に基づいて、前記ユーザにとって潜在的に目的になると同定される;及び/又は
(10)前記1つ以上の形態学的特徴は、前記ユーザの研究目的に基づいて、前記ユーザにとって潜在的に目的になると同定される;及び/又は、
(11)前記1つ以上の形態学的特徴は、前記試料を処理して1分以内に前記細胞画像データから同定される;及び/又は
(12)前記1つ以上の形態学的特徴は、前記試料を処理して5分以内に前記細胞画像データから同定される;及び/又は
(13)前記1つ以上の形態学的特徴は、前記試料を処理して10分以内に前記細胞画像データから同定される。
【0349】
実施形態3.本開示の一態様は、以下を備える細胞分析プラットフォームを提供する:
複数の所定の細胞のクラスに対応する形態学的に区別されたクラスタにグループ化される複数のアノテーション付き単一細胞画像を有するデータベースを備える細胞形態アトラス(CMA);
少なくとも形態学的特徴に基づいて異なる細胞のタイプ及び/又は状態を同定するために、前記CMAからのデータセットを使用して訓練及び検証された複数のモデルを含むモデリングライブラリ;及び
(1)試料から採取された1つ以上の画像を分類するため、及び/又は(2)前記1つ以上の画像に基づいて前記試料の品質又は状態を評価するために、前記モデリングライブラリからの前記モデルの1つ以上を使用する分類器を備える分析モジュール、
任意選択で:
(1a)各クラスタは、1つ以上の共通又は類似の形態学的特徴を提示する細胞の集団を含む;及び/又は
(1b)細胞の各集団は、同じ細胞のタイプ又は異なる細胞のタイプである;及び/又は
(1c)前記1つ以上の画像は、個々の単一細胞を描写する;及び/又は
(1d)前記1つ以上の画像は、細胞のクラスタを描写する;及び/又は
(1e)前記試料は細胞の混合物を含む;及び/又は
(1f)前記試料の前記質又は状態は、集合体レベルで評価される;及び/又は
(1g)前記試料の前記質又は状態は、前記試料の調製又はプライミング状態を示している;及び/又は
(1h)前記試料の前記質又は状態は、前記試料の生存力を示している;及び/又は
(2a)前記プラットフォームは、ユーザが前記モデリングライブラリから1つ以上のモデルを訓練することを可能にするツールを備える;及び/又は
(2b)前記ツールは、前記ユーザにより提供された試料の初期画像データセットに基づいて、前記ユーザが前記1つ以上のモデルを訓練するために必要とするラベルの数及び/又はデータの量を決定するように構成される;及び/又は
(2c)前記ラベルの数及び/又は前記データの量は、前記1つ以上の訓練されたモデルを使用して前記ユーザが分化することに興味を有する2つ以上のクラスタ間の分離可能性の程度に少なくとも基づいて決定される;及び/又は
(2d)前記ラベルの数及び/又は前記データの量は、さらに、前記2つ以上のクラスタ間の形態学的特徴の変動性又は差異に少なくとも基づいて決定される;及び/又は
(2e)前記ツールは、2つ以上の細胞のタイプ若しくはクラスタ間の細胞分類を改善するため、又は分化を改善するために、1つ以上のモデルを更に訓練するのに追加ラベル及び/又は追加データが必要かどうかを判定し、前記ユーザに通知するように構成される;及び/又は
(2f)前記ツールは、前記ユーザが前記ユーザの好み/ニーズを満たすように前記1つ以上のモデルをカスタマイズできるように構成される;及び/又は
(2g)前記ツールは、前記ユーザが2つ以上のモデルを結合又は融合することを可能にするよう構成される;及び/又は
(3a)前記複数のモデルは、複数の異なる細胞のタイプの間で判別するために構成され、使用される;及び/又は
(3b)前記複数の異なる細胞のタイプは、fNRBC、NSCLC、HCC、又は免疫細胞の複数のサブタイプを含む;及び/又は
(3c)前記複数のモデルは、前記細胞のタイプ及び/又は状態に関連し、それを示している形態学的属性/特徴/特性を取り出すように構成される;及び/又は
(3d)前記分類器は、前記CMAに存在せず、かつ前記複数のモデルが訓練されていない新たな細胞のクラスに関する判別情報を提供する能力を有する;及び/又は
(3e)前記複数のモデルは、1つ以上の標的細胞を同定する際に、約0.97より大きい受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)指標により特徴付けられるような感度の高度及び感度を有する正確な細胞分類性能を実証するために検証される;及び/又は
(3f)前記分類器は、1:1000から1:100,000の範囲の希釈濃度において標的細胞を同定及び判別する能力を有する;及び/又は
(3g)前記分類機は、悪性細胞の異なるサブクラス間を区別する能力を有する;及び/又は
(3h)前記分類器は、前記試料内の個々の細胞が各々、前記CMA内の各所定の細胞のクラスに属する予測確率を含む予測確率のセットを生成するように構成される;及び/又は
(3i)前記予測確率のセットは、前記CMA内の前記利用可能な細胞のクラスにわたる予測ベクトルとして提供される;及び/又は
(3j)前記分析モジュールは、前記予測確率のセットに基づいて、各単一細胞を前記CMA内の前記所定のクラスの一つに割り当てるように構成される;及び/又は
(3k)前記モデルの1つ以上が、前記1つ以上の画像から検出された破片又は細胞塊の量に基づいて前記試料の前記質を評価するように構成される;及び/又は
(3l)前記モデルの1つ以上が、生細胞/生存可能細胞と死細胞/損傷細胞との比に基づいて前記試料の前記質を評価するように構成される;及び/又は
(3m)前記複数のモデルは、1つ以上の深層ニューラルネットワークモデルを含む;及び/又は
(3n)前記1つ以上の深層ニューラルネットワークモデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む;及び/又は
(3o)前記モデリングデータベース内の前記複数のモデルは、新たな形態学的に区別されたクラスタが同定され、前記CMAに追加されるにつれて、継続的に訓練され、検証される;及び/又は
(3p)前記CMA内の前記クラスタは、ゲノミクス、プロテオミクス、又はトランスクリプトミクスに基づく1つ以上の細胞分子プロファイルにマッピングされる;及び/又は
(3q)前記マッピングは、新たな分子マーカーの同定又は開発に使用される;及び/又は
(4a)前記分析モジュールは、前記分類器において使用する前記モデリングデータベースからのモデルをユーザがカスタマイズし選択することを可能にするインターフェースを備える;及び/又は
(4b)前記プラットフォームは、前記分析モジュールによって得られた結果に基づいて、前記試料の細胞組成を示すレポートを生成するように構成される報告モジュールを更に備える;及び/又は
(4c)前記レポートは、前記試料内の全ての単一細胞の形態マップを描写する視覚化を含む;及び/又は
(4d)前記視覚化は、均一多様体近似投影(UMAP)グラフを含む;及び/又は
(4e)前記視覚化は、3次元以上の多次元形態マップを含む;及び/又は
(4f)前記レポートは、前記実際の細胞のクラスに対する各細胞のクラスの分類器予測パーセンテージのヒートマップ表現を含む;及び/又は
(4g)前記ヒートマップ表現は、1つ以上の抽出された特徴と個々の細胞のタイプとの間の相関を表示する;及び/又は
(4h)前記複数のモデルは、ニューラルネットワークを備え、前記抽出された特徴は、前記ニューラルネットワークの隠れ層から抽出される;及び/又は
(5a)前記プラットフォームは、ユーザにより入力された1つ以上の目的のクラスに基づいて、実質的にリアルタイムで前記試料中の前記細胞をソートするように構成されるソートモジュールを更に備える;及び/又は
(5b)前記ソートされた細胞は、下流の分子評価/プロファイリングのために収集される;及び/又は
(6a)前記試料は、2つ以上の試験試料を含み、前記分析モジュールは、各試験試料の形態学的プロファイルを決定するように構成される;及び/又は
(6b)前記分析モジュールは、前記2つ以上の試験試料間の前記形態学的プロファイルを比較するように更に構成される;及び/又は
(6c)前記形態学的プロファイルの比較は、前記試験試料が薬剤候補と接触させられた後の各試験試料の反応を査定するために使用される;及び/又は
(6d)前記形態学的プロファイルの比較は、前記試験試料が異なる薬物候補と接触させられた後の前記試験試料の反応を分けるために使用される;及び/又は
(6e)前記形態学的プロファイルの比較は、各試験試料における細胞死の程度又は割合を判定するために使用される;及び/又は
(6f)前記形態学的プロファイルの比較は、各試験試料における細胞のストレス若しくは損傷の程度又は割合を判定するために使用される;及び/又は
(6g)前記形態学的プロファイルの比較は、試験試料が処理されているか、又は未処理であるかを判定するために使用される;及び/又は
(7a)前記プラットフォームは、複数の異なる細胞のタイプを連続的に、ラベリングし、ソートするためのインラインエンドツーエンドパイプラインソリューションを提供する;及び/又は
(7b)前記CMAは、形態学的に区別された細胞の新たなクラスタ及び/又は新たなモデルを組み込むために、拡大縮小可能、拡張可能、及び一般化可能である;及び/又は
(7c)前記モデリングライブラリは、新たなタイプの機械学習モデルを組み込むために拡大縮小可能、拡張可能、及び一般化可能である;及び/又は
(7d)前記分析モジュールは、新たなクラスタと前記CMA中の細胞の既存のクラスタとの間の相関を検出するように構成される;及び/又は
(7e)前記モデリングライブラリの前記モデルの1つ以上は、除去可能又は新たなモデルで置換可能である。
【0350】
実施形態4.本開示の一態様は、以下を備える方法を提供する:
(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、複数の異なるイメージングモダリティを使用して捕捉された単一細胞の画像を含むステップ;
(b)前記画像データを使用してモデルを訓練するステップ;及び
(c)集束ツールの補助と共に前記モデルを使用し、試料が処理されている際に、流路内の試料中の1つ以上の細胞の空間的位置をリアルタイムで自動的に調整するステップ。
任意選択で:
(1)前記1つ以上の細胞を分類するために使用され、前記1つ以上の細胞の前記空間的位置は、細胞のタイプに基づいて調整される;及び/又は
(2a)前記画像データが前記細胞の焦点内画像を含む;及び/又は
(2b)前記画像データが前記細胞の焦点外画像を含む;及び/又は
(2c)前記焦点内及び焦点外画像が、試料の処理中の焦点の変化の影響をサンプリングするために、様々な焦点条件下で捕捉される;及び/又は
(2d)前記画像データが前記細胞の明視野画像を含む;及び/又は
(2e)前記画像データが前記細胞の暗視野画像を含む;及び/又は
(2f)前記画像データが染色された細胞の蛍光画像を含む;及び/又は
(2g)前記画像データが前記細胞のカラー画像を含む;及び/又は
(2h)前記画像データが細胞のモノクロ画像を含む;及び/又は
(2i)前記モデルは、前記異なるイメージングモダリティに基づく細胞形態マップを含む;及び/又は
(3a)画像データが前記流路に沿った複数の位置において捕捉された前記単一細胞の画像を含む;及び/又は
(3b)前記複数の位置は、前記流路内の異なる平面上に位置する;及び/又は
(3c)前記異なる平面は、垂直軸上に位置する;及び/又は
(3d)前記異なる平面は、水平軸上に位置する;及び/又は
(3e)前記異なる平面は、前記流路の縦軸上に位置する;及び/又は
(3f)前記複数の位置は、前記流路内の同一平面上に位置する;及び/又は
(3g)前記画像データが異なる角度で捕捉された前記単一細胞の画像を含む;及び/又は
(3h)前記画像データが前記流路内の異なる視点から捕捉された前記単一細胞の画像を含む;及び/又は
(4a)前記モデルを訓練する前に、前記画像データを前記異なるイメージングモダリティの1つ以上でアノテーション付けする;及び/又は
(4b)前記画像データ中の各画像を前記流路内の対応する位置でアノテーション付けする;及び/又は
(4c)前記流路内の前記位置は、空間座標のセットとして定義される;及び/又は
(4d)前記画像データ中の各画像は、タイムスタンプが付される;及び/又は
(4e)前記画像データ中の各画像を、細胞のタイプ又は状態でアノテーション付けする;及び/又は
(5a)前記方法は、前記モデルを訓練する前に、前記画像データ中の1つ以上の画像の改変レプリカを生成するステップを更に備える;及び/又は
(5b)前記改変レプリカは、微小粒子若しくはピクセルレベルの収差を模倣するために、水平若しくは垂直画像反転、直交回転、ガウスノイズ、コントラスト変動、又はノイズ導入を含む1つ以上の増強技術を使用して生成する;及び/又は
(6a)前記集束ツールは、流体力学的集束及び慣性集束を利用する;及び/又は
(6b)前記モデル及び前記集束ツールは、前記試料中の前記1つ以上の細胞を単一のZ平面上及び前記流路に沿った単一の横方向軌跡上に集束させるために使用する;及び/又は
(6c)1つ以上の微小流体素子の補助と共に前記モデルを使用し、前記試料が処理されている際に、前記流路内の前記試料中の前記1つ以上の細胞の速度をリアルタイムで自動的に調整するステップを更に備える;及び/又は
(6d)前記1つ以上の微小流体素子は、バルブ及びポンプを含む;及び/又は
(6e)前記モデルは、前記1つ以上の細胞を分類するために使用され、前記1つ以上の細胞の前記速度は、細胞のタイプに基づいて調整される。
【0351】
実施形態5.本開示の一態様は、以下を備える方法を提供する:
(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、様々な焦点条件下で捕捉された単一細胞の画像を含む、ステップ;
(b)前記画像データを使用してモデルを訓練するステップ;
(c)前記モデルを使用して、試料が処理されている際に、流路内の前記試料中の1つ以上の細胞の1つ以上の画像の焦点を評価するステップ;及び
(d)前記モデルにより評価された前記画像の焦点に基づき、イメージング焦点面をリアルタイムで自動的に調整するステップ、
任意選択で:
(1)前記モデルは、前記1つ以上の細胞を分類するために使用され、前記イメージング焦点面は、細胞のタイプに基づいて調整される;及び/又は
(2)前記様々な焦点条件は、焦点内条件及び焦点外条件を含む;及び/又は
(3)前記イメージング焦点面は、前記1つ以上の細胞の後続の画像に焦点が合うように自動的に調整される;及び/又は
(4)前記イメージング焦点面は、前記1つ以上の細胞の後続画像の鮮明度を高めるように自動的に調整される;及び/又は
(5)前記イメージング焦点面は、前記1つ以上の細胞の異なる部分に焦点を合わせるように調整される;及び/又は
(6)前記異なる部分は、前記1つ以上の細胞の上部、中間部、又は下部を含む。
【0352】
実施形態6.本開示の一態様は、以下を備える方法を提供する:
(a)複数の細胞の画像データを得るステップであって、前記画像データは、複数の異なるイメージングモダリティを使用して捕捉された単一細胞の画像を含む、ステップ;
(b)前記画像データを使用して画像処理ツールを訓練するステップ;及び
(c)前記画像処理ツールを使用して、試料が処理されている際に、前記試料中の1つ以上の細胞の1つ以上の画像からアーチファクトを自動的に同定、考慮、及び/又は除外するステップ、
任意選択で
(1)前記異なるイメージングモダリティが、前記画像処理ツールを訓練するために使用される前記画像データに、細胞画像特性の変動を系統的に組み込む、又は誘発する;及び/又は
(2)前記1つ以上の画像の捕捉の間の最適でないイメージング条件によるものである;及び/又は
(3)前記最適でないイメージング条件は、光の変動及び/又は過飽和を含む;及び/又は
(4)前記最適でないイメージング条件は、振動、位置ずれ又は電力サージ/変動を含む外部要因により誘発される;及び/又は
(5)前記アーチファクトは、イメージング光源の劣化によるものである;及び/又は
(6)前記アーチファクトは、光学系の破片又は欠陥によるものである;及び/又は
(7)前記アーチファクトは、前記試料に内在する破片又は塊によるものである;及び/又は
(8)前記アーチファクトは、前記試料を処理しているシステム内の破片又は未知の物体によるものである;及び/又は
(9)前記アーチファクトは、前記試料を処理しているマイクロ流体チップの変形変化によるものであり、前記変形変化は、前記チップの収縮又は膨潤を含む;及び/又は
(10)前記画像処理ツールは、(a)前記試料中の前記1つ以上の細胞の前記1つ以上の画像を、(b)前記流路内の同一又は類似の位置内の細胞の参照画像のセット、と比較して、前記1つ以上の画像と前記参照画像のセットとの間の差異を判定するように構成される;及び/又は
(11)前記画像処理ツールは、前記1つ以上の画像を編集して前記差異を考慮又は補正するように構成される;及び/又は
(12)前記画像処理ツールは、前記差分に重みを割り当てるように構成される。
【0353】
実施形態7.本開示の一態様は、以下を備えるオンラインクラウドソーシングプラットフォームを提供する:
複数の所与の細胞のクラスに対応する形態学的に区別されたクラスタにグループ化された複数の単一細胞画像を格納するデータベース;
1つ以上のモデルを含むモデリングライブラリ;
ユーザのコミュニティのためのウェブポータルであって、前記ウェブポータルは、前記ユーザが(1)前記データベースへの1つ以上の既存画像若しくは新たな画像のアップロード、ダウンロード、検索、キュレート、アノテーション、若しくは編集、(2)前記データベースからのデータセットを使用する1つ以上のモデルの訓練若しくは検証、及び/又は(3)前記モデリングライブラリへの新たなモデルのアップロードを行うことを可能にするグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を備える、ウェブポータル、
任意選択で:
(1)前記1つ以上のモデルは、機械学習モデルを含む;及び/又は
(2)前記ウェブポータルは、前記ユーザが1つ以上のモデルを互いに買う、売る、共有する、又は交換することを可能にするように構成される;及び/又は
(3)前記ウェブポータルは、新たなアノテーション付き細胞画像で前記データベースを更新するためにインセンティブを前記ユーザに発生させるように構成される;及び/又は
(4)前記ウェブポータルは、新たなモデルで前記モデリングライブラリを更新するためにインセンティブを前記ユーザに発生させるように構成される;及び/又は
(5)前記ウェブポータルは、前記ユーザが前記データベース内のアノテーション付き画像にレーティングを割り当てることを可能にするように構成される;及び/又は
(6)前記ウェブポータルは、前記ユーザが前記モデリングライブラリ内の前記モデルにレーティングを割り当てることを可能にするように構成される;及び/又は
(7)前記ウェブポータルは、前記ユーザが細胞分析データを互いに共有することを可能にするよう構成される;及び/又は
(8)前記ウェブポータルは、前記ユーザが様々な細胞のタイプ及び/又は状態のオントロジーマップを作成することを可能にするよう構成される。
【0354】
実施形態8.本開示の一態様は、対象における疾患原因を同定する方法を提供し、該方法は以下を備える:
(a)前記対象から生物学的試料を得るステップ;
(b)前記試料を担体に懸濁し、前記生物学的試料の構成成分を(i)単一ラインに流し、(ii)前記担体に対して回転させるステップ;
(c)前記構成成分のソートと実質的に同時に同定される少なくとも1つの形態学的特徴に基づいて、前記構成成分を少なくとも2つの集団にソートするステップ;及び
(d)前記少なくとも2つの集団のうちの少なくとも1つの集団により示されるような前記対象の疾患原因を判定するステップ、
任意選択で:
(1)記構成成分は、前記単一ライン内で規則的に間隔を空けられる;及び/又は
(2)前記担体は、前記生物学的試料の少なくとも前記構成成分を囲むハウジングを備え、前記構成成分は、前記ハウジングに対して回転する;及び/又は
(3)前記疾患原因は病原体であり、最後の1つの集団が前記病原体を含む;及び/又は
(4)前記方法は、前記病原体のゲノムの少なくとも一部を配列決定するステップを更に備える;及び/又は
(5)前記病原体はウイルスである;及び/又は
(6)前記疾患原因は、(i)前記少なくとも1つの集団における前記構成成分の数と、(ii)前記少なくとも2つの集団の異なる集団における前記構成成分の数との間の比較により示される;及び/又は
(7)前記疾患原因は、前記少なくとも1つの集団の配列情報により示される;及び/又は
(8)前記少なくとも1つの集団は、抗体産生細胞を含む;及び/又は
(9)前記少なくとも1つの集団は、免疫細胞を含む;及び/又は
(10)前記構成成分は、複数の細胞を含む;及び/又は
(11)前記少なくとも1つの形態学的特徴は、ソートする前記ステップの前又は実質的に同時に、前記構成成分の前記1つ以上の画像を分析することにより同定する;及び/又は
(12)前記少なくとも1つの形態学的特徴は、複数の形態学的特徴を含む;及び/又は
(13)前記生物学的試料の前記構成成分は、ラベルなしである;及び/又は
(14)前記画像データは、機械学習アルゴリズムを使用して処理され、前記単一細胞画像を前記複数の形態学的に区別されたクラスタにグループ化する。
【0355】
本明細書において、本発明の好ましい実施形態が示され、説明されてきたが、そのような実施形態が例示のためにのみ提供されていることは、当業者には明らかであろう。本発明が、本明細書内で提供される特定の例によって限定されることは意図されていない。本発明を前述の明細書を参照して説明したが、本明細書における実施形態の説明及び図は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者は、本開示から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換が起こすだろう。さらに、本発明の全ての態様は、様々な条件及び変数に依存する本明細書に記載された特定の描写、構成又は相対的な割合に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替が、本発明を実施する際に採用され得ることが理解されるべきである。それゆえに、本発明は、そのようないずれの代替物、変更、変形、又は等価物も対象とすることが企図される。以下の請求項が本発明の範囲を定義し、これらの請求項の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの等価物がそれによってカバーされることが意図される。
【国際調査報告】