(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】調節可能ディスプレイ及びアイトラッカーを備えた両眼アラインメントを測定するシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20240228BHJP
A61B 3/103 20060101ALI20240228BHJP
A61B 3/113 20060101ALI20240228BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
A61B3/10
A61B3/103
A61B3/113
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550170
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022016694
(87)【国際公開番号】W WO2022178055
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523314477
【氏名又は名称】ニューロレンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】クラール ジェフリー ピー
(72)【発明者】
【氏名】プラムリー アリック
(72)【発明者】
【氏名】バーナード ロニー
(72)【発明者】
【氏名】ディオス ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】ホルト トーマス ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ラビシェティ ヴィヴェック
(72)【発明者】
【氏名】リー アリ ジオン-フン
(72)【発明者】
【氏名】ラクシ フェレンク
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ジェイソン ロバート
【テーマコード(参考)】
2H199
4C316
【Fターム(参考)】
2H199CA23
2H199CA27
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA42
2H199CA48
2H199CA69
2H199CA92
2H199CA94
2H199CA95
2H199CA96
2H199CA97
4C316AA13
4C316AA15
4C316AA16
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4C316AB09
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4C316FC14
4C316FC28
4C316FY02
4C316FY05
4C316FZ01
(57)【要約】
両眼アラインメントを決定するシステムは、第1の眼に画像を表示し、第1の眼のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って長手方向に沿って作動可能である第1のディスプレイと、第1の眼の視線方向を追跡し、第1の眼の瞳孔距離を調節するよう水平側方方向に調節可能である第1のアイトラッカーアセンブリとを含む第1のオプティカルユニットと、第2の眼に画像を表示し、第2の眼のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って長手方向に沿って作動可能である第2のディスプレイと、第2の眼の視線方向を追跡し、第2の眼の瞳孔距離を調節するよう水平側方方向に調節可能である第2のアイトラッカーアセンブリとを含む第2のオプティカルユニットと、視線方向に基づいて両眼アラインメントを決定するコンピュータとを備える。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両眼アラインメントを決定するシステムであって、
第1のオプティカルユニットであって、
第1の眼に画像を表示し、前記第1の眼のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って長手方向に沿って作動可能である第1のディスプレイと、
前記第1の眼の視線方向を追跡し、前記第1の眼の瞳孔距離を調節するために水平側方方向に調節可能である第1のアイトラッカーアセンブリと、
を含む第1のオプティカルユニットと、
第2のオプティカルユニットであって、
第2の眼に画像を表示し、前記第2の眼のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って前記長手方向に沿って作動可能である第2のディスプレイと、
前記第2の眼の視線方向を追跡し、前記第2の眼の瞳孔距離を調節するために水平側方方向に調節可能である第2のアイトラッカーアセンブリと、
を含む第2のオプティカルユニットと、
前記第1のオプティカルユニット及び前記第2のオプティカルユニットに結合され、前記第1の眼及び前記第2の眼の視線方向に基づいて前記両眼アラインメントを決定するコンピュータと、を備えている、
ことを特徴とする両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項2】
前記第1のディスプレイは、前記第1のアイトラッカーアセンブリと共に構造的に調節可能であり、
前記第2のディスプレイは、前記第2のアイトラッカーアセンブリと共に構造的に調節可能である、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項3】
前記第1のアイトラッカーアセンブリは、垂直側方方向に調節可能であり、
前記第2のアイトラッカーアセンブリは、前記垂直側方方向に調節可能である、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項4】
前記第1のアイトラッカーアセンブリは、
前記第1の眼に赤外線アイトラッキングビームを投影する1又は2以上の第1の赤外線発光ダイオードと、
赤外線イメージング光によって前記第1の眼を照明する第1の赤外線光源と、
双方が前記第1の眼から反射される前記赤外線アイトラッキングビームと前記赤外線イメージング光を検出する第1の赤外線カメラと、
を含み、
前記第2のアイトラッカーアセンブリは、
前記第2の眼に赤外線アイトラッキングビームを投影する1又は2以上の第2の赤外線発光ダイオードと、
赤外線イメージング光で前記第2の眼を照明する第2の赤外線光源と、
双方が前記第2の眼から反射される前記赤外線アイトラッキングビーム及び前記赤外線イメージング光を検出する第2の赤外線カメラと、を含む、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項5】
前記第1の赤外線光源は、広範囲に分散された赤外線イメージング光によって前記第1の眼を照明するよう空間的に分配された赤外線発光ダイオードのセットを含み、
前記第2の赤外線光源は、広範囲に分散された赤外線イメージング光によって前記第2の眼を照明するよう空間的に分配された赤外線発光ダイオードのセットを含む、
請求項4に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項6】
前記1又は2以上の第1の赤外線発光ダイオードは、前記第1のアイトラッカーアセンブリの前方エリアの1つに且つ前記第1の赤外線カメラに近接して位置付けられ、
前記1又は2以上の第2の赤外線発光ダイオードは、前記第2のアイトラッカーアセンブリの前方エリアの1つに且つ前記第2の赤外線カメラに近接して位置付けられる、
請求項4に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項7】
前記コンピュータは、前記検出された反射された赤外線アイトラッキングビームと、前記検出された反射された赤外線イメージング光と、を用いて、前記第1の眼及び前記第2の眼の方位を決定する画像分析システムを含む、
請求項4に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項8】
前記画像分析システムは、
前記検出された反射された赤外線アイトラッキングビームを用いて前記第1の眼及び前記第2の眼からのプルキニエ反射を決定し、
前記検出された反射された赤外線イメージング光を用いて前記第1の眼及び前記第2の眼の瞳孔属性を決定し、
前記第1の眼及び前記第2の眼のプルキニエ反射及び瞳孔属性を、前記第1の眼及び前記第2の眼の基準プルキニエ反射及び瞳孔属性と比較することによって、前記第1の眼及び前記第2の眼の視線方向を決定する、ように構成されている、
請求項7に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項9】
前記1又は2以上の第1の赤外線発光ダイオードは、前記赤外線イメージング光によって照明する前記第1の赤外線光源との交互方式で前記赤外線アイトラッキングビームを投影し、
前記1又は2以上の第2の赤外線発光ダイオードは、前記赤外線イメージング光によって照明する前記第2の赤外線光源との交互方式で前記赤外線アイトラッキングビームを投影する、
請求項4に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項10】
前記第1のアイトラッカーアセンブリは、
前記第1のディスプレイからの画像を前記長手方向に沿って前記第1の眼に送信する、
前記第1の眼から前記反射された赤外線アイトラッキングビーム及び前記赤外線イメージング光を前記第1の赤外線カメラに側方方向にリディレクトする、
よう位置付けられた第1の可視透過型赤外線ミラーを含み、
前記第2のアイトラッカーアセンブリは、
前記第2のディスプレイからの画像を前記長手方向に沿って前記第2の眼に送信する、
前記第2の眼からの前記反射された赤外線アイトラッキングビーム及び前記赤外線イメージング光を前記第2の赤外線カメラに前記側方方向にリディレクトする、
よう位置付けられた第2の可視透過型赤外線ミラーを含む、
請求項4に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項11】
前記第1の赤外線カメラは、垂直側方及び水平側方方向の1つで前記第1の可視透過型赤外線ミラーに対して位置付けられ、
前記第2の赤外線カメラは、前記垂直側方及び前記水平側方方向の1つで前記第2の可視透過型赤外線ミラーに対して位置付けられる、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のオプティカルユニットは、
双方が前記第1の眼から反射される前記赤外線アイトラッキングビーム及び前記赤外線イメージング光を受け取り前記第1の赤外線カメラに向けて誘導し、
色収差、光学収差、乱視、及び波面の歪曲の少なくとも1つを低減する、
第1のレンズアセンブリを含み、
前記第2のオプティカルユニットは、
双方が前記第2の眼から反射される前記赤外線アイトラッキングビーム及び前記赤外線イメージング光を受け取り前記第1の赤外線カメラに向けて誘導し、
色収差、光学収差、乱視、及び波面の歪曲の少なくとも1つを低減する、
第2のレンズアセンブリを含む、
請求項4に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項13】
前記第1の赤外線カメラ及び前記第1のレンズアセンブリは、共に調節可能であり、
前記第2の赤外線カメラ及び前記第2のレンズアセンブリは、共に調節可能である、
請求項12に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項14】
前記第1のアイトラッカーアセンブリは、前記第1の眼に関する屈折情報を決定する第1の自動屈折器を含み、
前記第2のアイトラッカーアセンブリは、前記第2の眼に関する屈折情報を決定する第2の自動屈折器を含む、
請求項4に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項15】
前記第1の自動屈折器は、
波面IR光を前記第1の眼に投影する第1の赤外線光源と、
前記第1の眼からの反射された波面IR光を受け取りビームレットに分割する第1のマイクロレンズアレイと、
前記ビームレットを分析して前記第1の眼に関する屈折情報を決定する第1の波面カメラと、を含み、
前記第2の自動屈折器は、
波面IR光を前記第2の眼に投影する第2の赤外線光源と、
前記第2の眼からの反射された波面IR光を受け取りビームレットに分割する第2のマイクロレンズアレイと、
前記ビームレットを分析して前記第2の眼に関する屈折情報を決定する第2の波面カメラと、を含む、
請求項14に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項16】
前記第1の自動屈折器は、タルボット-モアレ干渉分光法、スプリットランプ技術、チェルニング収差計測法、及びレンズメータ技術の少なくとも1つを利用する、
請求項14に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項17】
前記両眼アラインメントを決定するシステムは、
前記第1のディスプレイ及び前記第1のアイトラッカーアセンブリ、並びに前記第2のディスプレイ及び前記第2のアイトラッカーアセンブリが輻輳反応を決定するよう構成され、前記第1のディスプレイ及び前記第1の自動屈折器、並びに前記第2のディスプレイ及び前記第2の自動屈折器が調節性反応を決定するように構成されることによって、統合方式で前記輻輳反応及び前記調節性反応を決定するよう構成される、
請求項14に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項18】
第1のディスプレイは、前記シミュレートされた距離に従って第1の長手方向位置に作動可能であり、
前記第1の長手方向位置は、前記第1の眼の光学屈折力に従って動的に補正され、
第2のディスプレイは、前記シミュレートされた距離に従って第2の長手方向位置に作動可能であり、
前記第2の長手方向位置は、前記第2の眼の光学屈折力に従って動的に補正される、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項19】
前記第1のオプティカルユニットと前記第2のオプティカルユニットの間の中央に位置付けられ、患者の鼻を受け入れて固定するよう構成されたノーズブリッジを備える、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項20】
前記第1のアイトラッカーアセンブリは、前記第1の眼の瞳孔距離を調節するために前記ノーズブリッジに対して前記水平側方方向に調節可能であり、
前記第2のアイトラッカーアセンブリは、前記第2の眼の瞳孔距離を調節するために前記ノーズブリッジに対して前記水平側方方向に調節可能である、
請求項19に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項21】
前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイは、
液晶ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LEDディスプレイ、量子ドットLEDディスプレイ、マイクロレンズアレイ、デジタルミラーデバイス、及び走査プロジェクタ微小電気機械システムの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項22】
前記第1のディスプレイは、前記第1の眼の光学屈折力、シリンダ、及びプリズムの少なくとも1つに従って修正された画像を前記第1の眼に表示するよう構成され、
前記第2のディスプレイは、前記第2の眼の光学屈折力、シリンダ、及びプリズムの少なくとも1つに従って修正された画像を前記第2の眼に表示するように構成される、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項23】
前記両眼アラインメントの決定を管理するために前記コンピュータと医療オペレータが対話するよう構成されたグラフィカルユーザインタフェースを備える、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項24】
前記両眼アラインメントの決定のステップに従うよう患者に指示するよう構成されたラウドスピーカと、
プッシュボタン、トラックホイール、タッチパッド、マイクロフォン、及び音声対話型デバイスからなる群から選択される、前記患者からのフィードバックを受信するよう構成された患者フィードバックポータルと、
の少なくとも1つを含む、患者通信インタフェースを備える、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項25】
前記コンピュータは、前記両眼アラインメントの決定の一部として、中心目標とブランク中心を有する画像の周りの移動する目標の周辺融合ロックとの間の角度ミスアラインメントの量として、患者の固視ずれを決定するように構成される、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項26】
前記コンピュータは、前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイが、前記両眼アラインメントの決定の一部として、ある時間の目標に固定された前記眼の1つによって異なる画像を表示した時に、前記第1の眼と前記第2の眼の間の角度ミスアラインメントの平均量として総斜位を決定するように構成される、
請求項1に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項27】
両眼アラインメントを決定するシステムであって、
第1のオプティカルユニットであって、
第1の眼に画像を表示し、前記第1の眼のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って側方作動方向に沿って作動可能である第1のディスプレイと、
前記第1の眼の視線方向を追跡し、前記第1の眼の瞳孔距離を調節するために水平側方方向に調節可能である第1のアイトラッカーアセンブリと、
を含む第1のオプティカルユニットと、
第2のアイトラッカーアセンブリであって、
第2の眼に画像を表示し、前記第2の眼のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って前記側方作動方向に沿って作動可能である第2のディスプレイと、
前記第2の眼の視線方向を追跡し、前記第2の眼の瞳孔距離を調節するために前記水平側方方向に調節可能である第2のアイトラッカーアセンブリと、
を含む第2のオプティカルユニットと、
前記第1のオプティカルユニット及び前記第2のオプティカルユニットに結合され、前記第1の眼及び前記第2の眼の視線方向に基づいて前記両眼アラインメントを決定するコンピュータと、を備える、
両眼アラインメントを決定するシステム。
【請求項28】
前記第1のアイトラッカーアセンブリは、
前記第1の眼に赤外線アイトラッキングビームを投影する1又は2以上の第1の赤外線発光ダイオードと、
赤外線イメージング光によって前記第1の眼を照明する第1の赤外線光源と、
双方が前記第1の眼から反射される前記赤外線アイトラッキングビーム及び前記赤外線イメージング光を検出するために長手方向に沿って位置付けられた第1の赤外線カメラと、
前記第1の眼からの前記反射された赤外線アイトラッキングビーム及び前記赤外線イメージング光を前記長手方向に沿って前記第1の赤外線カメラに送信し、前記第1のディスプレイの側方作動方向からの画像を前記第1の眼に向けて前記長手方向にリディレクトする、第1の赤外線透過型可視ミラーと、
を含み、
前記第2のアイトラッカーアセンブリは、
前記第2の眼に赤外線アイトラッキングビームを投影する1又は2以上の第2の赤外線発光ダイオードと、
赤外線イメージング光によって前記第2の眼を照明する1又は2以上の第2の赤外線光源と、
双方が前記第2の眼から反射される前記赤外線アイトラッキングビーム及び前記赤外線イメージング光を検出するために前記長手方向に沿って位置付けられた第2の赤外線カメラと、
前記第2の眼からの前記反射された赤外線アイトラッキングビーム及び前記赤外線イメージング光を前記長手方向に沿って前記第2の赤外線カメラに送信し、前記第2のディスプレイの側方作動方向からの画像を前記長手方向に前記第2の眼に向けてリディレクトする、第2の赤外線透過型可視ミラーと、を含む、
請求項27に記載の両眼アラインメントを決定するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、引用により全体が本明細書に組み入れられる、2017年9月5日に出願されたJeffrey P.Krall及びAric Plumleyによる「Method and System for Measuring Binocular Alignment(両眼アラインメントを測定する方法及びシステム)」という名称の米国特許出願第15/696,161号の継続出願である、2019年9月23日に出願されたJeffrey P.Krall及びAric Plumleyによる「Method and System for Measuring Binocular Alignment(両眼アラインメントを測定する方法及びシステム)」という名称の米国特許第16/579,826号の一部継続出願であり、従ってこれからの利益を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、視力を測定する方法及びシステムに関し、詳細には、両眼アライメントの測定に関する。
【背景技術】
【0003】
正常な視覚では、個人は、異なる距離に位置する物体に焦点を合わせることができる。個人は、遠見と呼ばれる遠くにある物体、及び近見と呼ばれる近い物体に焦点を合わせることができるのが理想的である。眼の光学系は、多数の筋肉を使ってこのような距離の間で焦点を変える。これらの筋肉は、遠見と近見の間を移行する時に眼の様々な態様を調節する。筋肉の調節は、レンズの焦点を調節するために水晶体の形状を微妙に変化させるステップ、眼球を回転して眼球の光軸を回転させるステップ、及び瞳孔のサイズを変えるステップを含む。
【0004】
老眼は、加齢につれて眼の水晶体レンズにおける柔軟性が失われることによって起こる近視力の自然な低下である。老眼は、近視力の屈折障害を補正する「リーディング」グラスをかけることによって一部補償することができ、これによって眼は、近くの物体を見つめる時に強く焦点を合わせる必要はない。老眼の人は、近視力と遠視力のために異なる視覚補正を必要とする。しかしながら、2つの眼鏡を使ってこれらを頻繁に変えることは煩わしいものである。絶えず眼鏡を交換しなくてよいように、近視力と遠視力の異なる視覚補正を提供する遠近両用眼鏡を用いることができる。これらの2つの視覚領域の移行は、急激であるか又は漸次的とすることができる。漸次的な移行の眼鏡は、累進多焦点レンズ(PAL)と呼ばれる。急激な変化の遠近両用眼鏡は、2つの視覚領域を分ける眼に見える線を有するが、PALは、異なる屈折度数を有する領域の間に眼に見える線又は縁部を有していない。
【0005】
この進歩の全てに関わらず、一部のタイプの視覚に関する不快さは依然として存在する。これらの不快の1つは、現代のデジタルライフスタイルにおける習慣の変化に関係付けられる。大部分及び増大する部分の専門的職業は、コンピュータ画面及びモバイルデバイスを含む、近距離デジタルインタフェースに集中する作業時間の大部分及び増大する部分を費やすよう労働者に要求する。同じことは、多くのプライベートな生活でも当てはまり、とりわけ、携帯電話でビデオゲームをすること、テキストメッセージの送受信、及びアップデートのチェックをすることに時間を費やしている。これらの仕事及び動作のシフトの全てが、以前よりも遙かに近い距離で、人々がデジタル画面、デバイス、ディスプレイ及びモニタを見るのに費やす時間を急激に増加させた。近見の画像で眼が訓練される時間が増えると、近見に伴う筋肉に過度の負担をかけることになり、快適ゾーンを超えて筋肉を痛めることが多い。これは、疲労、不快、痛み、又はデジタル的に引き起こされる片頭痛につながる可能性もある。これまで、何百万もの患者がこれらの痛みを毎日経験しているにも関わらず、これらのデジタルデバイスに関係する視覚的不快、痛み及び片頭痛の明確な因果的機序に関して広く受け入れられた意見の一致は存在しない。従って、デジタルの眼の不快に対して軽減をもたらすことができる眼鏡、又は他の視機能的解決策に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第15/696,161号
【特許文献2】米国特許第16/579,826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1-
図4は、両眼ミスアラインメントの基本的問題を示す。
図1Aは、図示した十字のような近くの物体を見る時に、視覚が2つの方法で調節していることを示している。最初に、眼1-1及び1-2の光学屈折力を調節して、距離Lの近くの物体を各眼の網膜にイメージングする。これは、多くの場合、調節性反応Aと呼ばれる。第2に、角度αだけ眼1-1及び1―2を内向きに回転し、これによって眼の視軸2-1及び2-2は同じ近くの物体に向く。この反応は、調節性輻輳ACと呼ばれることが多い。明らかな幾何学的理由のために、直線基準軸に対する調節性輻輳ACの角度αは、調節性反応Aの距離Lに直接関係付けられ、すなわち、α=α(L)である。健康的で良好にアラインされた眼では、調節性反応Aに対する調節性輻輳ACの比AC/Aは、物体の距離Lと2つの眼の瞳孔距離PDに応じて変わる幾何学的に明確な関数である。
【0008】
図1B-Cは、眼が調節性ミスアラインメントの様々な形態を頻繁に示すことを示している。
図1Bでは、2つの眼の各々が内側を向いているが、幾何学が必要とするより少ない度合いである。これは、調節性輻輳角度αがミスアラインメント角度βによって幾何学的に必要なものより小さいことになる。詳細には、眼2-1と2-2の視軸は、近くの物体を適正に見るために必要な調節性アラインメントとして示される方向に向けなければならないが、代わりに、これらは、小さい度合いで内向きに回転し代わりにリラックスした又は自然の調節性アラインメントとして示される方向に向いている。
【0009】
図1Cは、この小回転が非対称であるケースを示している。図示のケースでは、第1の眼1-1の視軸2-1は必要な調節性アラインメントの方向に適正に向いており、第2の眼1-2の視軸2-2は、調節性ミスアラインメント角度βだけミスアラインされたリラックス又は自然の調節性アラインメントの方向にだけ内向きに回転している。
【0010】
図2A-Dは、調節性ミスアラインメントの幾つかのタイプを示す。異なる学校の検眼によって及びモノグラフによって用いられるミスアラインメントの定義は、幾つかの相違を示し、これらのミスアラインメントを特徴付ける技術も変わる。従って、ここに図示した定義は、例証のみを意図し、類似及び等価のものも、図示した項目の範囲内に入る。
【0011】
議論されたミスアラインメントを適正な文脈に置くために、まず融合画像の概念を取り入れる。我々の2つの眼が同じ物体を見る時、各々の眼は、その固有の視覚認知を生成する。これらの認知は、眼から視覚野に伝わり、ここで脳が、2つの画像を融合し、視認した物体の3次元(3D)認知を生成する。検眼診断システムによって、この画像の融合をテストすることができる。例えば、同じ形状の2つの別々の物体を、単一の物体から2つの投影が来るように見せる偏向、プリズム、及びミラーによって、2つの眼に別々に投影させることができる。これらの視覚認知は、脳によって認知される単一の画像に融合されることになる。このようにして投影される物体は、融合可能物体と呼ばれ、融合可能画像を提示する。
【0012】
実験で2つの物体の間の距離が増すか、又は偏向角度が増すか、又は物体の形状が修正される場合、2つの眼への投影が異なり始める。物体の間のある距離又は差異で、2つの眼の視覚認知間の相違が閾値を超え、脳が、2つの画像を単一の認知に融合することを停止する。距離、角度、又は形状におけるこのような相違を有する物体は、非融合可能物体と呼ばれ、非融合可能画像を提示する。
【0013】
この準備により、
図2A-Dは、マレットボックスと呼ばれることの多いテストボックスによって測定される固視ずれの概念を示している。マレットボックスは、2つの垂直方向にアラインされたバーと、「XOX」水平方向「アンカー」を表示する。一部の実施において、2つのバーは、横向きにシフトすることができる。他の事例では、調節可能ミラー又はプリズムが患者の眼の前に配置され、同じ水平方向のシフトを達成する。適切な選択的光学系によって、アンカーと2つのバーの1つだけが、中心に置かれたバー5-1-cとして第1の眼1-1に対して示されており、同じアンカーに加えてもう一方のバーが、中心に置かれたバー5-2-cとして第2の眼1-2に対して示されている。アンカー及び中心に置かれたバー5-1-c及び5-2-cは、明確に融合可能である。従って、調節性ミスアラインメント問題のない患者の脳はこれらの画像を適正に融合することになる。
【0014】
図2Bは、調節性ミスアラインメントを有する患者が適正に画像を融合しないことを示している。一般的に観察されることは、両方の眼によって見られるアンカーの画像が、単一の画像に適正に融合されない間は、バーがシフトしていると認知されることである。第1の眼1-1は、シフトしたバー5-1-sを認知し、第2の眼1-2は、シフトしたバー5-2-sを認知する。画像の中心までのラインと視軸2-1及び202との間の角度γは、固視ずれと呼ばれる。
【0015】
図2C-Dは、固視ずれを相殺するか又は補償するのに必要な角度を測定する方法を示す。
図2Cのシステムでは、2つのバーがカウンターシフトされている。カウンターシフトバー5-1-xは、第1の眼1-1に対して示されており、カウンターシフトバー5-2xは、第2の眼1-2に対して示されている。バーは、患者が2つのバーがアラインされていると認知するまでカウンターシフトされる。視軸とカウンターシフトされたバーまでのラインとの間のこれらのカウンターシフトに対応する角度γ
*が測定され、更に一般的には随伴斜位と呼ばれる。
図2Dのシステムでは、バーはカウンターシフトされていない。代わりに、調節可能又は交換可能なプリズム7が患者の眼の前に挿入されている。これらのプリズムは、2つのバーが患者によってアラインされていると認知されるまで調節又は交換される。次にプリズム角度、又は屈折された視軸の屈折角度が、随伴斜位γ
*として報告される。
【0016】
図3は、部分的随伴斜位を一部強めることで、どのように固視ずれを部分的に補償するかを示している。厳密に言うと、固視ずれを完全に補償する(フル)随伴斜位は、部分的随伴斜位軸とのこの曲線の交差によって与えられる。人間の視覚が純粋に光学的な処理である場合、部分的随伴斜位は、部分的に補償される固視ずれの負に単純に等しくなるであろう。従って、曲線は、上部左隅から下部右隅を向いて、-45度傾いた起点を通る直線になる。しかしながら、
図3は、人間の視覚がもっと複雑であり、認知及び画像処理が人間の視覚に重要な役割を果たしていることを示している。
図3は、部分的に補償された固視ずれと部分的随伴斜位との間の関係の4つのタイプを示している。見ての通り、これらの線のどれも直線ではなく、これらの線のどれも起点を通らず、更にこれらのうち2つは横軸に交差していない。これらのタイプII及びIIIの関係は、部分的随伴斜位の量が固視ずれを完全には補償できないことを意味する。従って、患者の固視ずれを完全に補償する随伴斜位を決定するためには多くの問題が残っている。慣例として結びに述べているが、固視ずれは、眼が必要な程度に内向きに向かない場合は「exo(外)」と呼ばれ、眼が内向きに過度に向くときは、稀なケースで「eso(内)」と呼ばれる。
【0017】
図4A-Cは、解離性斜位と呼ばれる関連の視覚ミスアラインメントを示す。解離性斜位を特徴付けるために、
図2A-Dと同様の実験を行うことができ、相違点は、融合可能画像5-1及び5-2を示す代わりに、検眼士は、第1の眼1-1及び第2の眼1-2に対して非融合可能画像6-1-s及び6-2-sを示している。
図4Aでは、これらの非融合可能画像は十字及びバーである。
図4Bが示すように、眼が画像を融合できない状態では、視軸の1つ又は両方が外側に回転していることが多い。図示した非対称のケースでは、第2の眼1-2の視軸2-2は、調節性ミスアラインメント角度δだけ外側に回転している。この外向き回転の角度δが測定され解離性斜位と呼ばれる。様々なアプリケーションにおいて、以下のように、解離性斜位は、2つの眼に均等に分配され、従って、各眼につき解離性斜位はδ/2に等しい。場合によっては、
図1Cに示すように、解離性斜位δは、それ自体を不均等に大きくすることがあり且つこれに応じて両眼の間で分配しなければならない。
【0018】
図4Cは、特に明白な場合を示し、単純に第2の眼1-2に対して画像が示されていない時は、第2の眼1-2の視野は塞がれる。これは、非融合可能画像の極端なケースである。
図4Bに関して、ブロックに応答して、第2の眼1-2の視軸2-2は、測定可能な解離性斜位角度δだけ外向きに回転する。
【0019】
固視ずれと解離性斜位を含む調節ミスアラインメントの定量的特徴付けとして、開業医によっては、ミスアラインメント-インパクトAC/A比を用いる。AC/Aは、ディオプターDで表される、調節性距離Lによって除算された、固視ずれを減算した調節性輻輳角度α-δ/2、(プリズムディオプターを単位として正接によって表される、Δ)の比である。ACの一般的な定義は、プリズムディオプターを単位として、AC=100tan(α-δ/2)である。平均的視覚性能に対して、6-6.5Δ/DのAC/A比が必要であり、際立って、大きな母集団セグメントでは、ミスアラインメント-インパクトAC/C比の平均値は、約3.5Δ/Dになると測定された。明確に、調節性ミスアラインメントの様々な形態は、母集団の大きなパーセンテージに影響を与え、これからの軽減に向けた何れの進歩も極めて貴重である。
【0020】
検眼の対応する分野の驚くべき事実は、経験を積んだ開業医によって決定される随伴斜位角度及び解離性斜位角度が驚くほど広い変動を示すことである。異なる検眼士によって、及び時には異なる時間の同じ検眼士によって同じ患者に行われる実験は、プリズムディオプターで表される斜位角度Δを報告し、分配は、3Δと同じく標準的な偏差を有する。(1Δのプリズムディオプターは1メートル距離の1cmプリズム屈折に対応する。)これらの方法の大きなばらつきは、有効決定及び調節性ミスアラインメントの補償を妨げる。
【0021】
この例外的に大きな標準偏差は恐らく幾つかの要因に起因する。これらは、以下を含む。(1)決定の方法がキー入力として患者の主観的な反応を用いる。(2)幾つかの方法が中心画像を用いて、他は随伴斜位を決定するために周辺画像を用いる。これらの方法の相対的精度及び関連性がまだ決定的には評価されていない。(3)多くの開業医が、単一測定、又は単一方法を用いており、従って複数のテストを行うことから集めることができる可能性のある重要な医療情報から恩恵を受けない。(4)前の予備的な計画で、眼のプリズム反応がテスト画像を動かすのとは全く異なることを出願人は発見した。しかしながら、静的及び移動するテスト画像に基づく最適プリズム補正の関係を理解することは早期の段階である。(5)プリズムミスアラインメントを定義する幾つかの方法があり、更にこれらは、異なるプリズム予測及び診断を生成し、最終的には単一のプリズムを眼鏡に形成する必要がある。様々な診断的に決定されたプリズム補正を単一のプリズム処方に変換及び組み合わせる明らかな方法からは程遠い。出願人は、プリズム処方の効果及びばらつきが決定されたプリズム補正の可能性のある組み合わせにどのように依存するかを評価する重要な研究に気付かなかった。
【0022】
上記の理由の全てに対して、調節性ミスアラインメントを最適に補償するプリズムパワーを決定することには、差し迫った医療的必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述した医療的必要性に対処するために、幾つかの実施形態は、第1の眼に画像を表示し、第1の眼のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って長手方向に沿って作動可能である第1のディスプレイと、第1の眼の視線方向を追跡し、第1の眼の瞳孔距離を調節するよう水平側方方向に調節可能である第1のアイトラッカーアセンブリとを含む第1のオプティカルユニットと、第2の眼に画像を表示し、第2の眼のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って長手方向に沿って作動可能である第2のディスプレイと、第2の眼の視線方向を追跡し、第2の眼の瞳孔距離を調節するよう水平側方方向に調節可能である第2のアイトラッカーアセンブリとを含む第2のオプティカルユニットと、視線方向に基づいて両眼アラインメントを決定するコンピュータとを備えた両眼アラインメントを決定するシステムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】様々な調節性ミスアラインメントを示す図である。
【
図1B】様々な調節性ミスアラインメントを示す図である。
【
図1C】様々な調節性ミスアラインメントを示す図である。
【
図2A】調節性ミスアラインメントのタイプを決定する方法を示す図である。
【
図2B】調節性ミスアラインメントのタイプを決定する方法を示す図である。
【
図2C】調節性ミスアラインメントのタイプを決定する方法を示す図である。
【
図2D】調節性ミスアラインメントのタイプを決定する方法を示す図である。
【
図3】固視ずれと部分的随伴斜位との間の関係の4つのタイプを示す図である。
【
図4A】解離性斜位を決定する方法を示す図である。
【
図4B】解離性斜位を決定する方法を示す図である。
【
図4C】解離性斜位を決定する方法を示す図である。
【
図5】両眼ミスアラインメントを決定するシステムを示す図である。
【
図6A】両眼ミスアラインメントを決定するシステムの1つの実施形態を示す図である。
【
図6B】両眼ミスアラインメントを決定するシステムの1つの実施形態を示す図である。
【
図7】アイトラッカーによるIR画像を示す図である。
【
図8A】両眼ミスアラインメントを決定するシステムの1つの実施形態を示す図である。
【
図8B】両眼ミスアラインメントを決定するシステムの1つの実施形態を示す図である。
【
図9】両眼ミスアラインメントを決定するシステムの1つの実施形態を示す図である。
【
図11】両眼ミスアラインメントを決定する方法を示す図である。
【
図12】測定ステップの例示的詳細を示す図である。
【
図13A】測定ステップを実行するステップを示す図である。
【
図13B】測定ステップを実行するステップを示す図である。
【
図13C】測定ステップを実行するステップを示す図である。
【
図13D】測定ステップを実行するステップを示す図である。
【
図14】決定ステップの例示的詳細を示す図である。
【
図15A】決定ステップを実行するステップを示す図である。
【
図15B】決定ステップを実行するステップを示す図である。
【
図15C】決定ステップを実行するステップを示す図である。
【
図16】両眼ミスアラインメントを決定する方法の赤道下の実施形態を示す図である。
【
図17】両眼アラインメントを決定するシステムを示す図である。
【
図18A】第1のオプティカルユニットの実施形態を示す図である。
【
図18B】第1のオプティカルユニットの実施形態を示す図である。
【
図19】両眼アラインメントを決定するシステムを示す図である。
【
図20】第1のオプティカルユニットを示す透視図である。
【
図21】両眼アラインメントを決定するシステムを示す正面図である。
【
図22】グラフィカルユーザインタフェース及び患者通信インタフェースを備えた両眼アラインメントを決定するシステムの実施形態を示す図である。
【
図23】自動屈折器を備えた実施形態を示す図である。
【
図24】両眼アラインメントを決定するシステムの実施形態を示す図である。
【
図25】第1のオプティカルユニットの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本特許文書に記載されるシステムは、以下の態様において少なくとも上記の関連する医療的必要性に対処する。(1)記載されるシステム及び方法は、患者からの主観的入力なしに、客観的測定によってのみプリズム補正を決定する。この態様は単独で、結果の患者対患者及び開業医対開業医のばらつきを大幅に低減する。実際に、出願人のシステム及び方法を用いた患者の大きなサンプルの研究は、標準的な偏差を有するプリズマ補正が上述された3Δから良くて1Δ未満に低減したと決定した。この結果の標準的偏差の大幅な低減は単独で、ここに記載される方法を定量的予測診断方法の地位へと確立した。(2)このシステム及び方法は、周辺及び中心プリズマ補正がどのようにつながっているかの新しく得られる理解のために、中心及び周辺テスト画像の両方を用いる。従って、記載されるシステム及び方法は、中心及び周辺の調節性ミスアラインメントの両方を補償するための最良の妥協案を取り決める最適妥協プリズマ処方を決定する期待できるプラットフォームである。(3)記載される方法は、2つのステージを有し、従って第1のステージで取得された重要なミスアラインメント情報上に構築することによって第2のステージにおける最終的なプリズム補正を決定する。従って、この方法は、様々な方法によって決定された知識とこれらの全てによって決定された情報からの利益を統合する。(4)方法のステージの1つは、テスト画像を動かすステップを伴う。従って、最終的に決定されたプリズマ補正は、眼の動的プリズマ反応を同様に取り込み且つ統合する。(5)上述した大規模な研究の信頼できる反復性及び小さな変動性は、単一の最適化された客観的プリズマ補正を生成するために出願人の方法が客観的且つ有効性のある方式で様々な方法の出力を組み合わせたという説得力のある論拠を提示した。ここに記載される5つの態様は、個々に及び組み合わせて利点を提供する。
【0026】
図5-
図10は、両眼アラインメントを決定するシステム10を示し、
図11-
図16は、両眼アラインメントを決定する対応する方法100を示す。
【0027】
図5は、一部の実施形態において、両眼アラインメントを決定するシステム10が、第1の眼1-1及び第2の眼1-2に対して可視画像を投影するためのステレオディスプレイ20、見掛けの距離に従って投影された可視画像を修正する調節光学系30、第1の眼1-1及び第2の眼1-2の方位を追跡するアイトラッカー40、及び、ステレオディスプレイ20、調節光学系30及びアイトラッカー40に結合され、両眼アラインメントの決定を管理するコンピュータ50を含むことができるのを示している。以下では、眼には、第1の眼1-1及び第2の眼1-2とラベルを付けることにする。このラベリングは、左眼と右眼、又は逆も同様に対応することができる。
【0028】
図6Aは、システム10の一部の実施形態の詳細図を示している。一部の実施形態において、アイトラッカー40は、第1の眼1-1と第2の眼1-2に赤外線アイトラッキングビームを投影するために、システム10の前方に近付けて位置付けられた赤外線発光ダイオード、又はIR LED、42-1及び42-2、同様に、第1の眼1-1及び第2の眼1-2を赤外線イメージング光で照明する赤外線光源44-1及び44-2を含むことができる。赤外線アイトラッキングビーム及び赤外線イメージング光は、双方とも眼1-1及び1-2から反射される。アイトラッカー40は更に、赤外線(IR)カメラ48-1及び48-2を備えた赤外線(IR)テレスコープ46-1及び46-2を含み、第1の眼1-1及び第2の眼1-2から反射された赤外線アイトラッキングビーム及び赤外線イメージング光を検出することができる。
【0029】
システム10の要素の多くは、ペアで含まれ、例えば赤外線テレスコープ46-1及び46-2等である。図示を単純にするために、このような要素のペアは、誤解を招かないようにその先頭識別子のみで示され、「赤外線テレスコープ46-1及び46-2」を省略して「赤外線テレスコープ46」などのように示す。
【0030】
図7は、IRカメラ48によって検出又は感知された結果のIR画像49を示している。この実施形態では、各眼に対して4つのIR LED42-1、...42-4が別々に存在する。混乱を避けるために、特定の眼を指示する「-1」又は「-2」は、
図7の説明では省いている。ここでの「-1」...「-4」の注記は、4つのIR LEDを示し、全てがIRアイトラッキングビームを同じ眼に投影する。4つのIR LED42-1、...42-4は、4つのアイトラッキングビームを眼に投影し、これが角膜から反射して、いわゆるプルキニエスポットP1-1、...P1-4をIR画像49に生成する。「P1」の注記は、角膜の近接表面からの反射を指す。高い指数のプルキニエスポットP2、...は、被膜の近位及び遠位表面からの反射などの眼の内側の深く横たわる表面からの反射を指す。ここに記載される実施形態は、P1プルキニエスポットを利用し、他の実施形態は、高い指数のプルキニエスポットを利用することができる。
【0031】
IR光源44の反射されたIRイメージング光は、同様にIRカメラ48によって検出される。検出された反射IRイメージング光にオーバレイされた4つのプルキニエスポットP1-1、...P1-4は共に、図のようにIR画像49を形成する。
【0032】
一部の実施形態において、アイトラッカー40は、画像認識システム52を含み、プルキニエスポットP1-1、...P1-4を形成する検出された赤外線アイトラッキングビーム、及びIR画像49を共に形成する検出された赤外線イメージング光を用いて、第1の眼1-1及び第2の眼1-2の方位を決定することができる。画像認識システム52は、例えば、端認識方法を用いて、瞳孔3の輪郭の画像を抽出することができる。次に、瞳孔3の中心からの眼1の方位を決定することができる。別々に、プルキニエスポットP1-1、...P1-4から眼の方位を決定することができる。最終的に、様々な公知の画像認識及び分析技術を用いて、加重アルゴリズムを利用して2つの決定された方位を組み合わせることによって「最良結果」方位を決定することができる。画像認識システム52は、別のプロセッサ、別の特定用途向け集積回路とすることができるか、又はシステム管理コンピュータ50に配備されるソフトウェアとして実施することができる。
【0033】
図6A-Bは、システム10が、ステレオディスプレイから投影された可視画像26-1及び26-2を第1の眼1-1及び第2の眼2-2にリディレクトし、第1の眼及び第2の眼から反射された赤外線アイトラッキングビーム及び赤外線イメージング光、45-1及び45-2共に送信するための赤外線透過型可視ミラー24-1及び24-2を各眼に対して1つ含むことができる。これらの実施形態では、ステレオディスプレイ20のステレオディスプレイ画面22-1及び22-2を、システム10の主光学経路の周辺に位置付けることができ、アイトラッカー40の赤外線テレスコープ46-1及び46-2を、システム10の主光学経路に位置付けることができる。参考までに、各眼に対する調節光学系レンズ34-ミラー24-IRテレスコープ46軸は、一般的にはこの実施形態において主光学経路と呼ばれる。また、明確にするために、光学経路及びビームが図示される図では、一部のラベルを単純化している。
【0034】
図6Bは、この実施形態において、周辺ステレオディスプレイ画面22-1及び22-2が、システム10の主光学経路に向けて可視画像26-1及び26-2を投影できることを示しており、可視画像26-1及び26-2は、赤外線透過型可視ミラー24-1及び24-2によって眼1-1及び1-2に向けてリディレクトされる。同時に、反射されたIRアイトラッキングビーム及び反射されたIRイメージング光、45-1及び45-2共に、眼1-1及び1-2から反射され、同じ赤外線透過型可視ミラー24-1及び24-2によってシステム10の主光学経路に沿ってIRテレスコープ46-1及び46-2に向けて送信される。
【0035】
図8Aは、ステレオディスプレイ画面22とIRテレスコープ46の位置が交換されている別の実施形態を示す。
図8Bは、この実施形態が、反射された赤外線アイトラッキングビーム及び反射された赤外線イメージング光、45-1及び45-2共にリディレクトする可視透過型赤外線(IR)ミラー24’-1及び24’-2を含むことができ、45-1及び45-2が、第1の眼1-1及び第2の眼1-2からIRテレスコープ46-1及び46-2に反射されることを示している。同時に、可視-透過型赤外線ミラー24’-1及び24’-2は、投影された可視画像26-1及び26-2をステレオディスプレイ20のステレオディスプレイ画面22-1及び22-2から第1の眼1-1及び第2の眼1-2に送信することができる。システム10のこれらの実施形態では、ステレオディスプレイ20をシステム10の主光学経路に位置付けることができ、アイトラッカー40の赤外線テレスコープ46を、システム10の主光学経路の周辺に位置付けることができる。参考のために、この実施形態での各眼に対する調節光学系レンズ34-ミラー24-ステレオディスプレイ画面22の軸は、一般的には、この実施形態における主光学経路と呼ばれる。
【0036】
図9は、ステレオディスプレイ20が単一ステレオディスプレイ画面22及び同期グラス28を含むことができる
図8A-Bのシステム10の変種を示している。同期グラス28は、シャッターグラス又は偏向グラスとすることができる。この実施形態では、
図8A-Bの左及び右ステレオディスプレイ画面22-1及び22-2の投影された可視画像26-1及び26-2の双方が、急速交互シーケンスで単一ステレオディスプレイ画面22によって表示される。同期グラス28は、この交互シーケンスによって精密に調整することができ、急速交互方式で第1の眼1-1及び第2の眼1-2への可視画像26-1及び26-2の投影を可能にし、別々の画像の印象が2つの眼に投影されるようにする。同期グラス28は、3D映画の投影に用いられる3Dグラスに類似とすることができ、同期グラス28の2つのレンズの循環偏向を迅速に変えることができる液晶LCD層に頼ることができる。このようなシステム10は、有利とすることができるシステム10の小さなフットプリントを達成することができる。最適作動のために、ステレオディスプレイ画面22の十分に広い視野が役に立つ。
【0037】
システム10の一部の実施形態は、ミラー24又は24’を含む必要はない。これらのシステムでは、アイトラッカー40が、システム10の前方に近付けて位置付けられるIRカメラ48の小型の実装を含むことができ、IRカメラ48がステレオディスプレイ画面22による投影を塞がないように十分に大きな角度で傾けられる。アイトラッカー40をこのように実装した画像認識システム52は、実質的に傾いたIR画像49と、一部のスポットが傾斜によって覆い隠されている可能性があるプルキニエスポットP1、...P4から眼の視軸の方向を決定する幾何学変換ユニットを含むことができる。
【0038】
システム10の実施形態では、調節光学系30が、光学屈折力を変える一連の調節光学系レンズ34-1及び34-2を備えたフォロプターホイール32-1及び32-2を含むことができる。これらの調節光学系レンズ34は、第1の眼1-1と第2の眼1-2の見掛けの距離をシミュレートするのに有用である。
【0039】
方法100に関して以下に記載されるように、システム10は、患者に対して異なる見掛けの距離の可視画像26を投影するために利用することができる。これを行うには、少なくとも2つの技術的解決策を伴うことができる。第1に、可変光学屈折力を有する調節光学系レンズ34を主光学経路に挿入することで、投影される可視画像26の印象を遠くに又は近くにすることができる。第2に、可視画像26-1及び26-2を互いから近く又は遠くに投影することで、これらの画像の適切な輻輳、患者にとって見掛けの距離にあるものとしてこれらの画像を表示させる場合の別の重要な因子をシミュレートすることができる。
【0040】
一部の実施形態において、第1の技術的解決策に対して、調節光学系30は、フォロプターホイール32の代わりに、又はフォロプターホイール32と組み合わせて、曲線ミラー、トライアルレンズ、フリップイン/フリップアウトレンズ、調節可能液晶レンズ、変形可能ミラー、z方向に可動式のミラー、回転回折光学素子、平行移動回折光学素子、可変フォーカスモアレレンズ、又はフォーカスレンズグループを含むことができる。
【0041】
図10A-Bは、第2の技術的解決策として、調節光学系30が、1対の回転可能偏向器36、回転可能プリズム38、又は調節可能プリズム38(1つのみを図示)を含み、画像26-1及び26-2の投影を第1の眼1-1及び第2の眼1-2に偏向し、第1の眼及び第2の眼にとって見掛けの距離の輻輳をシミュレートできることを示している。
【0042】
一部の実施形態において、輻輳は、上記の光学要素によってだけでなく、ステレオディスプレイ画面22-1及び22-2による投影される可視画像26-1及び26-2の投影を互いに向けてシフトすること、換言すると、これらを互いに近くに投影することによってもシミュレートすることができる。
【0043】
一部のシステム10において、調節光学系30及びステレオディスプレイ20は、マイクロレンズアレイを含む単一の光照射野ディスプレイに組み合わせることができ、マイクロレンズアレイの光学特性と組み合わされたステレオディスプレイ画面22-1及び22-2上に表示される投影された可視画像26-1及び26-2を用いて、患者が見た時の投影される可視画像26-1及び26-2の見掛けの距離を変えることができる。
【0044】
一部のシステム10において、調整光学系30及びステレオディスプレイ20は、MEMSスキャナ、フォーカスモジュレータ、又は光源を含む単一の光照射野ディスプレイに組み合わせることができる。
【0045】
プリズム又は調節性ミスアラインメントの問題及びミスアラインメント問題の文脈における進歩を提供するために開発されたシステム10の実施形態を説明したが、次に、システム10の実施形態を用いて両眼ミスアラインメントを決定するための様々な方法100を説明する。
【0046】
図11-
図16は、眼1-1及び1-2の両眼アラインメントを決定するためのシステム10の上述の実施形態をどのように用いるかの方法100を示している。
【0047】
図11は、方法100の一部の実施形態が、見掛けの距離の患者の第1の眼1-1及び第2の眼1-2の解離性斜位の測定ステップ120、及び測定された解離性斜位を用いて見掛けの距離の第1の眼1-1及び第2の眼1-2の調節性輻輳の決定ステップ140を含むことができるのを示している。前述したように、方法100は、2つのステージの方法であり、従ってこの結果は、2つの異なるステージによって明らかにされた情報及び知識を統合する。
【0048】
以下に詳しく記載されるように、一部の実施形態において、測定ステップ120は、システム10のステレオディスプレイ20を用いて第1の眼1-1及び第2の眼1-2に対して非融合可能可視画像26-1及び26-2を投影するステップを含むことができる。方法100をより簡潔に説明する目的で、
図5-10の可視画像26-1及び26-2は、単に以下では画像26-1及び26-2と呼ぶことにする。
【0049】
解離性斜位を決定するために非融合可能画像を投影する実施例を、例えば
図2C-Dに関して記載している。ここで、2つの非融合可能画像6-1-s及び6-2-sは、比較できる見掛け、又は優勢の見掛けである。方法100の一部の実施形態はまた、このような比較できる優勢の非融合可能画像を投影するステップを伴う。
【0050】
他の実施形態では、投影ステップは、第1の眼1-1に対して優勢の画像を投影するステップと、第2の眼1-2に対して非優勢の画像を投影するステップを含むことができる。
図2C-Dに関して記載したように、非優勢画像を見る眼1-2は、2つの非融合可能画像を融合する脳の努力が失敗した後に彷徨い始めることが多い。これらの実施形態では、測定ステップ120が、アイトラッカー40によって眼1-1及び1-2を追跡するステップと、彷徨う眼1-2が最終的にリラックスした方位を達成した時間を決定するステップを含むことができる。このリラックス状態の達成は、例えば、眼1-2の動きが閾値より下に遅速された、又は指向性の動きからランダムなジッタに変化した、又は停止したと決定するアイトラッカー40によって推測することができる。眼1-2がリラックスした状態に達したとアイトラッカー40が決定した状態で、アイトラッカー40によって第1の眼1-1と第2の眼1-2の少なくとも1つの方位を測定することによって解離性斜位を測定することができる。
【0051】
図12は、これらのステップの実施を詳細に記載したものであり、
図13A-Dは、特定の実施形態におけるこれらのステップを示している。これらの実施形態において、測定ステップ120は以下を含むことができる。
ステレオディスプレイを用いて、見掛けの距離の輻輳により第1の眼に対して中心画像を投影するステップ122、
ステレオディスプレイを用いて、見掛けの距離の輻輳により第2の眼に対して分配された画像を投影するステップであり、中心画像及び分配された画像は非融合可能であることを特徴とするステップ124、
アイトラッカーを用いて第1の眼と第2の眼の少なくとも1つの回転を追跡するステップ126、
追跡された回転の安定性からリラックスした状態を識別するステップ128、
アイトラッカー及びコンピュータを用いてリラックスした状態の第1の眼と第2の眼の少なくとも1つの方位を測定することによって解離性斜位を測定するステップ130。
【0052】
図13Aの左のパネルは、中心画像を投影するステップ122が、中心画像201-1、このケースでは十字をシステム10のステレオディスプレイ20のステレオディスプレイ画面22-1に投影するステップを含むことができるのを示している。投影ステップ122は、見掛けの距離の輻輳206によって行うことができる。基準軸202-1は、第1の眼1-1の中心をステレオディスプレイ画面22-1の中心につなぐ中心法線として基準のために取り入れられている。これによって、見掛けの距離の輻輳206は、見掛けの距離の輻輳角度α=α(L)によって特徴付けることができ、この角度は、見掛けの距離Lの2つの眼1-1と1-2の間の途中に配置された物体を見る時に第1の眼の視軸204-1が基準軸202-1と作る角度である。一般的には、第1の眼の視軸204-1がこの線に沿って位置付けられない場合でも、見掛けの距離の輻輳206は、基準軸202-1に対して角度α(L)だけ第1の眼1-1の中心からそれた線によって表され且つ示される。
【0053】
中心画像201-1は、見掛けの距離の輻輳206をシミュレートするために見掛けの距離の輻輳角度α(L)によってのみステレオディスプレイ画面22-1の中心からずれたシーンの中心に置かれる。簡潔にするために、この角度は、輻輳角度αとだけ示されることがある。第1の眼の視軸204-1の定義は、レンズ又は調節光学系30-1の何れかの他の関連の部分を組み入れることができ、これを介して第1の眼1-1が中心画像201-1を観察する。
【0054】
図13Aの右のパネルは、第2の眼1-2に対する分配された画像、このケースでは、はっきり見える中心のないランダムなサイズ及び位置の不規則に並んだボール又は球体のセットの投影ステップ124を示している。中心画像201-1は、優勢画像の例であり、分配された画像201-2は、非優勢画像の例である。中心に置かれた優勢画像201-1及び分配された非優勢画像201-2は、非融合可能画像の例である。代替として、ステレオディスプレイ画面22-2は、
図4Cのブロックと同様に、不規則に並べられたボールの代わりに、非融合可能分配画像201-2の別の実施形態として単純に暗くすることができる。
【0055】
図13Bは、上述のように、第2の眼1-2が最初は第1の眼1-1とほぼ同じ見掛けの距離の輻輳角度αだけ内向きに回転するが、脳が非融合可能中心画像201-1と分配画像201-2の融合に失敗した後は、第2の眼1-2が彷徨うことを示している。アイトラッカー40は、さまよっている第2の眼1-2が識別ステップ128で追跡された回転の安定性からリラックスした状態に達したとオプトメトリスト又は自動化プログラムが決定するまで、第2の眼1-2の追跡ステップ126を実行することができる。この安定性は、様々な方法で、眼が停止すること、又は閾値より下になる眼のジッタの振幅、又は方向性のない彷徨いに発展する眼の方向性回転から定義することができる。
【0056】
測定ステップ130で、リラックスした状態がステップ128で識別されたら、アイトラッカー40は、はっきり見える輻輳206との第2の眼の視軸204-2との角度δを決定することによって、リラックスした第2の眼1-2の方位を測定することができる。この測定ステップ130で、δ、見掛けの距離の輻輳206からのリラックスした第2の眼1-2の角度偏差は、その解離性斜位角度δを有する解離性斜位208と呼ばれる。この定義は、
図4B-Cにかなり類似する。上述のように、小さな違いが解離性斜位の様々な開業医の定義の間に存在する。
【0057】
一部の関係のある実施形態では、追跡ステップ126は、第1の眼1-1、第2の眼1-2、又はこれらの両方の回転を追跡するステップを伴うことができる。これらの実施形態において、解離性斜位208は、第1の眼の斜位角度δ-1、第2の眼の斜位角度δ-2を測定するステップ130、及びδ-1とδ-2の平均値のあるタイプとして解離性斜位δを決定するステップから定義することができる。
【0058】
図13A-Bは、全体の測定ステップ120のステップ122-130を、近見距離、例えばLが、40cm-100cmの範囲にある場合に実行できることを示している。
【0059】
図13C-Dは、見掛けの距離がL大であり、且つ見掛けの距離の輻輳角度がα=0である時に、同じステップ122-130を距離視覚テストの一部としても実行できることを示している。関係のある実施形態において、Lは、1m-10mの範囲にあるとすることができる。ディオプターで表すと、方法100は、1-3Dに対応する近見距離で、0-0.5Dに対応する遠見距離で実行することができる。
【0060】
要約すると、測定ステップ120、方法100の第1のステージの結果は、解離性斜位208であり、解離性斜位角度がδである。方法200の第2のステージ、決定ステップ140は、決定された解離性斜位208にのみ構築されるプリズマミスアラインメントの追加のテストを実行する。従って、全体の方法100は、第1と第2のステージの組み合わせであり従って方法100は、プリズムミスアラインメントの2つの別個のテストを統合し、更に従って両眼アラインメントの2つの異なるタイプに関する知識及びデータを統合する。これを行うことで、視力の定量的に完全な治療及び定量的により優良な改良を約束する。
【0061】
図14は、決定ステップ140が、ステレオディスプレイを用いて、測定された解離性斜位によって補正される見掛けの距離の輻輳によって、第1の眼への第1の画像及び第2の眼への第2の画像を提示するステップ142を含むことができるのを示しており、ここで第1の画像と第2の画像は融合可能である。
【0062】
図15Aは、提示ステップ142の一部の実施において、第1の融合可能画像210―1を第1の眼1-1のためのステレオディスプレイ画面22-1に提示することができ、且つ第2の融合可能画像210-2を第2の眼1-2のためのステレオディスプレイ画面22-2に提示することができるのを示している。これらの融合可能画像210-1と210-2は周辺とすることができる。例えば、周辺画像210-1及び210-2は、図のように、ボール又は惑星の2つの本質的には同一の円形バンド、又はリングとすることができる。融合可能画像210-1及び210-2の中心は、見掛けの距離の輻輳206に従って互いに向かってシフトすることができ、輻輳角度αは、測定ステップ120で測定された解離性斜位δ(208)によって補正される。測定された解離性斜位δは、図のように、2つの眼の間のδ/2-δ/2として対称的に分配することができる。これらの一般的なケースでは、融合可能画像210-1と210-2の中心を、α-δ/2、基準軸202-1及び202-2に対して解離性斜位、δによって補正された輻輳角度αに従って、互いに向けてシフトすることができる。これに応答して、第1の眼の視軸204-1及び第2の眼の視軸204-2は、一般的には、融合可能画像210の中心を向いているこれらの視軸204によって示されるように、解離性斜位208によって補正された見掛けの距離の輻輳206にアラインされる。
【0063】
場合によっては、2つの眼の両眼ミスアラインメントが非対称である時、オプトメトリストは、2つの眼の間に不均等に測定された解離性斜位δを起因させる理由を有することができる。説明を包括的にする以前の協定が継続されている点にも留意されたく、説明は、「制限N-1と制限N-2のペア」を単純に「制限N」と示し、ここでこれを行うことは混乱を招かないものとする。
【0064】
融合可能画像210のシフトは、調節光学系30によって影響を受ける可能性がある。調節光学系30の設定は、L、調節性距離、又は、シリンダ又は収差によって更に補正される可能性がある患者によって好まれる眼鏡の屈折力に依存する可能性がある。
【0065】
一部の実施形態において、第1の融合可能画像210-1及び第2の融合可能画像210-2は、動的とすることができる。
図15Aで、方向性のある破線の弧は、惑星のリングがこれらの中心の周りを回転できることを示す。実験は、周辺融合可能画像210を回転させることで確実に且つ再生的に周辺プリズム効果を捉えていることを示している。提示ステップ142では、これらの融合可能画像210の回転の半径、空間分布、カラー、力学、及び速度の全てを、アラインメント情報に最適加重を提供するために調節することができる。
【0066】
一部の実施形態において、第1の画像210-1及び第2の画像210-2は静的とすることができる。一部の実施形態において、第1の画像210-1及び第2の画像210-2は中心とすることができる。これらの実施形態は、これに固有の医療的利点を提示することができる。
【0067】
提示ステップ142に投影ステップ144を続けることができることを
図14が説明し
図15Bが例証している。投影ステップ144は、第1の眼1-1への第1の追加中心画像212-1の投影と第2の眼1-2への第2の追加中心画像212-2の投影を含むことができる。これらの中心画像212は、融合可能画像210の中心に投影することができる。巡回する惑星である融合可能画像210の実施形態では、追加の中心画像212を、この巡回の中心に、例えば図のように十字として投影することができる。
【0068】
これらの2つの追加中心画像212-1及び212-2の投影ステップ144は、ステレオディスプレイ20を用いて、交互方式に実行することができる。投影ステップ144の交互方式を表現するために、追加中心画像の1つだけに実線で十字212-1が示され、他の追加中心画像、212-2は、
図15Bに破線で示されている。交互の時間は、幾つかの異なる条件に従って選択することができ、1秒より短い時間、1-100秒の範囲、場合によっては5-10秒の範囲にすることができる。
【0069】
ステップ120で測定された解離性斜位208の角度δが、眼1の両眼アラインメントを完全に取り込んだとすると、解離性斜位角度δ/2によって補正された眼1は、輻輳角度αによって追加中心画像212の投影ステップ144に調節する必要はない。これは、投影ステップ144の後で解離性斜位角度δ/2によって補正された輻輳角度αに眼の視軸204がアラインされたままになることに現れる。
【0070】
しかしながら、出願人の研究は、患者が、補正された輻輳角度α-δ/2によって追加中心画像212の投影144に応答して患者の眼1を動かし調節したことを明らかにした。これは、眼の残りの剰余プリズマアラインメントを決定するのに追加の測定が必要であることを出願人に認めさせた。これらの追加の測定は、以下のようにステップ146-154に記載している。
アイトラッカーを用いて、第1の追加中心画像の投影に応答して第1の眼の調節を追跡し、更に第2の追加中心画像の投影に応答して第2の眼の調節を追跡するステップ146、
ステレオディスプレイ及びコンピュータを用いて交互方式で、第1の眼の調節を低減するために第1の反復随伴斜位によるシフトされた第1の追加中心画像を投影し、更に第2の眼の調節を低減するために第2の反復随伴斜位によってシフトされた第2の追加中心画像を投影するステップ148、
アイトラッカーを用いて、シフトされた第1の追加中心画像の投影に応答して第1の眼の調節を追跡し、更にシフトされた第2の追加中心画像の投影に応答して第2の眼の調節を追跡するステップ150、
第1の及び第2の眼の有効調節が調節閾値より小さいかどうか決定し、更に第1の及び第2の眼の有効調節が調節閾値より大きい場合にシフトされた第1の追加中心画像を投影するステップに戻るステップ152、
第1の及び第2の眼の有効調節が調節閾値より小さい場合に、最終第1の反復随伴斜位及び最終第2の反復随伴斜位から安定化随伴斜位を識別するステップ154、
見掛けの距離に対応する調節性輻輳に対する補正として解離性斜位と安定化随伴斜位の和を識別するステップ156。これらのステップを次に詳しく記載される。
【0071】
残余プリズマミスアラインメントを決定するために、投影ステップ140の次に、アイトラッカー40を用いて、第1の追加中心画像212-1の投影に応答した第1の眼1-1の調節を追跡し、更に第2の追加中心画像212-2の投影に応答した第2の眼1-2の調節を追跡するステップ146を続けることができることを
図14は記載し
図15は例証している。
図15Bは、ε-1によって示される第1の眼の調節角度214-1によって第1の眼の視軸204-1を回転させることによって第1の眼1-1が投影ステップ144に調節し、第2の眼1-2は、ε-2によって示される第2の眼の調節角度214-2によって第2の眼の視軸204-2を回転させることによって調節することを示している。ここから、簡潔にするために、角度は、基準軸202の代わりに角度α-δ/2を有する解離性斜位によって補正される見掛けの距離の輻輳を指すことになる。調節角度ε-1及びε-2がゼロ以外であると発見された事実が、決定ステップ140の次のステップを必要とした。
【0072】
図15Cは、調節性輻輳を決定するステップ140が次に、第1の眼1-1の調節を低減するために、第1の反復随伴斜位φ(n)-1によってシフトされた第1の追加中心画像212-1を投影し、更に第2の眼1-2の調節を低減するために、第2の反復随伴斜位φ(n)-2によってシフトされた第2の追加中心画像212-2を投影するステップ148を含むことを示している。ここで、眼の調節は、以下に詳しく述べるように、調節角度の変化ε(n)-1によって測定することができる。
【0073】
明確且つ簡潔にするために、この
図15Cでは、第1の眼1-1だけが明示的に例証されている。シフトされた追加中心画像212は、眼1に線で結ばれており更にシフト画像軸216によって特徴付けられる。
図15Cは、シフトされた第1の追加中心画像212-1を第1の眼1-1に結ぶ第1のシフト画像軸216-1を示している。
【0074】
固視ずれλと、これを補償するのに必要な随伴斜位γ
*が単純に等しくなく且つ互いに逆であることを
図2-3に関して記載した。この認識と同様に、随伴斜位φ(n)-1は単純に等しくなく、且つ第1の眼の調節角度、ε(n)-1と逆である。従って、方法100の実施形態は、これらの定量を、ステップ1、2、...nで反復して決定する。ステップ指数は、φ(n)-1及びε(n)-1εとして上記の定義に示しており、第1の第1の反復随伴斜位は、φ(1)-1によって示され、第1の第2の反復随伴斜位は、φ(1)-2によって示される等々。当然、「-1」及び「-2」指数は、第1の眼1-1及び第2の眼1-2の角度をそれぞれにラベル付けすることを続け、「(1)」、「(2)」、...「(n)」指数は、反復処理の第1の、第2の、及び第nステップをラベル付けする。
【0075】
投影ステップ144のように、これらのシフトされた追加中心画像212-1及び212-2の投影ステップ148は、ステレオディスプレイ20及びコンピュータ50を用いて、交互方式で実行することができる。
【0076】
図15Cは更に、投影ステップ148の次に、アイトラッカー40を用いて、シフトされた第1の追加中心画像212-1の投影に応答した第1の眼1-1の調節を追跡し、更にシフト第2の追加中心画像212-2の投影に応答した第2の眼1-2の調節を追跡するステップ150を続けることができるのを示している。第1の眼1-1のみへの提示を指示すると、追跡ステップ150は、第1の反復随伴斜位φ(n)-1によるシフト第1の追加中心画像212-1の投影ステップ148に応答した第1の眼1-1の調節角度ε(n+1)-1の追跡を含む。
【0077】
この追跡ステップ150は、追跡ステップ146に類似である。これは、(n)から(n+1)への成長を有する反復ステップ指数によって区別される。単純化された項では、本方法の実施形態は、反復随伴斜位 φ(n)による追加中心画像212のシフト、眼1の反応性調節角度 ε(n+1)を追跡するステップ、調節角度の変化ε(n+1)-ε(n)から眼1の調節を決定するステップ、及び次に調節角度の変化 ε(n+1)-ε(n)を低減するための大きさ及び符号で選択された新しい反復随伴斜位φ(n+1)による追加中心画像212のシフトを繰り返すステップを伴う。
【0078】
一部の実施形態において、φ(n+1)-φ(n)の大きさは、ε(n+1)-ε(n):|φ(n+1)-φ(n)|=|ε(n+1)-ε(n)|.λ|ε(n+1)-ε(n)|に等しくなるように選ぶことができる。場合によっては、これらの実施形態は、ゆっくりとした輻輳を示すことができる。従って、一部の実施形態において、|φ(n+1)-φ(n)|は、λ|ε(n+1)-ε(n)|:|φ(n+1)-φ(n)|=λ|ε(n+1)-ε(n)|に等しくなるように選ぶことができ、ここでλ<1である。これらの実施形態は、最適な輻輳を示すことが多い。他の、非線形、多項式、非分析又は分析関係も、様々な実施形態で利用することができる。
【0079】
これらのステップ148及び150を繰り返し実行した後で、決定ステップ152を実行し、第1の及び第2の眼の有効調節が調節閾値より下であるかどうか決定することができる。上記のフレームワークを用いて、決定ステップ152は、調節角度の変化|ε(n+1)-ε(n)|が、閾値より小さいかどうか評価することができる。有効調節を様々な方法で定義することができる。有効調節は、眼1-1に対する眼の片方だけの調節角度の変化|ε(n+1)-ε(n)|、又は両方の眼1-1及び1-2の調節角度の変化の和、又はある加重平均値、又は非線形関係を含むことができる。
【0080】
調節角度の変化|ε(n+1)-ε(n)|が、閾値より大きい場合、本方法は、
図15Cに示すように、シフト第1の追加中心画像212の投影ステップ148に戻ることができる。
【0081】
他方では、ステップ(n)において、例えば、調節角度の変化 |ε(n)-ε(n-1)|によって特徴付けられる眼の調節が、閾値より小さいことが発見された場合、反復を停止して更に本方法は、最終第1の反復随伴斜位φ(n)-1、及び最終第2の反復随伴斜位φ(n)-2からの安定化随伴斜位φの識別ステップ154を続けることができる。また、異なる式を採用して、このステップ154で安定化随伴斜位φを定義することができる、例えば、φ=(φ(n)-1)+(φ(n)-2)。
【0082】
先行の実施形態では、解離性斜位δ及び安定化随伴斜位φは、一般的には2つの眼の両方に対して定義される。従って、1つの眼当たりの値は、対称的なケースではここで定義される角度の半分である。
【0083】
識別ステップ154の次に、見掛けの距離に対応する、調節性輻輳角度αによる調節性輻輳ACの補正としての解離性斜位δと安定化随伴斜位φの和(δ+φ)の識別ステップ156を続けることができる。これによって、方法100によって決定されたフル、又は完全に補正された調節性輻輳を、プリズムディオプターΔを単位として、対応するフル、又は完全に補正された調節性輻輳角度:[α-(δ+φ)/2]の正接を介して表現することができる。上述したように、調節性輻輳の一般的な定義は、プリズムディオプターΔにおけるAC=100tan[α-(δ+φ)/2]である。この式は、方法100の実施形態の結果が、前の方法と比較して前方の別個のステップである方式の1つを示しており、ここで解離性斜位δだけがαを補正するために用いられ、AC=100tan[α-δ/2] に変わる。前の方法と比較した別の違いは、δが決定された特定のシステム10及び方法100である。
【0084】
方法100によって完全に補正されたACを決定することによって、両眼アラインメントを特徴付けるために、AC/A比、調節性反応Aに対する調節性輻輳ACの比によって両眼アラインメントを再度特徴付けることができる。このAC/A比は、単一の距離に対して決定することができるか、又は複数の距離に対してAC及びA値から形成することができる。簡潔にするために、以下では、完全に補正された調節性輻輳ACを単純に調節性輻輳ACと呼ぶことにする。
【0085】
一部の実施形態において、方法100は、遠見の見掛けの距離Ldで方法100を実行することから生じる調節性輻輳として遠見調節性輻輳AC(Ld)を決定するステップ、及び近見の見掛けの距離Lnで方法を実行することから生じる調節性輻輳として近見調節性輻輳AC(Ln)を決定するステップを含むことができる。
【0086】
これを念頭に置いて、一部の実施形態では、第1の眼及び第2の眼の両眼アラインメントを、ディオプターの遠見調節性反応A(Ld)及び近見調節性反応A(Ln)を最初に決定することによって、遠見調節性反応A(Ld)-近見調節性反応A(Ln)によって除算された遠見調節性輻輳AC(Ld)-近見調節性輻輳AC(Ld)の比を計算することによって特徴付けて、第1の眼及び第2の眼の両眼アラインメントを特徴付けることができる。
両眼アラインメント=[AC(Ld)-AC(Ln)]/[A(Ld)-A(Ln)] (1)
【0087】
一部の実施形態において、見掛けの距離の測定ステップ120及び見掛けの距離の決定ステップ140は、調節光学系30を用いて実行することができる。
【0088】
既存の方法の欠点を上記に記載した時に、患者のフィードバックの主観性は、データにおける散乱物の1つのソース、及び制限された再現性の理由として識別されてきた。この文脈では、方法100の実施形態を、主要定量又は角度の1つを決定するために患者からの主観的反応を求めることなく実行できることを表明する。(当然ながら、例えば、快適さに関する非主観的な反応は、方法100の一部になり得る)。これは、方法100が高再現性による測定を何故提供するかという問題の1つである。
【0089】
図16は、一部の実施形態において、方法100が近見に対応する見掛けの距離で実行された時に、近見に対応する解離性斜位及び随伴輻輳を、赤道方向9の下に中心におかれた画像201を表示することによって赤道方向9の下のビューイング角度で決定できることを示している。
【0090】
出願人の大規模な実験は、方法100によって決定された調節性輻輳に基づいてプリズム眼鏡が製造された時に、この眼鏡を着けている患者が、デジタルデバイスに関係する視覚の不快さ、痛み及び片頭痛について大いに期待できる低下を報告していることを実証した。
【0091】
方法100が、以下のように前記で識別されたポイント(1)-(5)に関する解決策を開発及び統合したので、この大幅な改良は達成されたと思われる。
(1)方法100は、主要な入力として患者の主観的な反応を用いない。
(2)方法100は、周辺画像、例えば、画像124及び210と、中心画像、例えば画像201及び212の両方を用いる。
(3)方法100は、測定ステップ120と決定ステップ140の2ステージ方法を用いて、中心視覚と周辺視覚の両方に関する情報を収集及び利用する。
(4)方法100は、動いているテスト画像、例えば、画像210を用いる。
(5)方法100は、例えば、ステップ142-156で、この決定に対する調節性輻輳及びプロトコルの特定の定義を開発し、更にこの定義を用いて処方された眼鏡が眼の緊張に関係する不快を特に効果的に低下させことを広範囲のテストによって証明した。
【0092】
これらの理由の全てによって、上述したシステム10及び方法100は、眼の緊張に関わる不快、痛み及び片頭痛を低減するための期待できる新しい方法を提供する。
【0093】
図17-25は、
図8A-Bにおける両眼アラインメントを決定するためのシステム10の実施形態に類似であることを示す両眼アラインメントを決定するためのシステム310の追加の実施形態を示す。従って、類似の部分は、基本として300という同じラベルでラベル付けされている。例として、両眼アラインメントを決定するためのシステム310は、両眼アラインメントを決定するためのシステム10の1つの実施形態と考えることができ、従ってシステム10に関して記載した様々な要素及び技術を、システム310に応用、適用及びこれと組み合わせることができ、逆もまた同様である。簡潔にするために、両眼アラインメントを決定するシステム310は、単純にシステム310と呼ぶこともある。
【0094】
図17は、第1の眼1-1のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って長手方向に沿って作動可能であり第1の眼1-1に画像を表示する第1のディスプレイ322-1と、第1の眼の第1の瞳孔距離4-1に対応するよう水平側方方向に調節可能である第1の眼1-1の視線方向を追跡する第1のアイトラッカーアセンブリ340-1とを含む第1のオプティカルユニット315-1と、第2の眼1-2のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って長手方向に沿って作動可能であり第2の眼1-2に画像を表示する第2のディスプレイ322-2と、第2の眼1-2の瞳孔距離4-2に対応するよう水平側方方向に調節可能である第2の眼1-2の視線方向を追跡する第2のアイトラッカーアセンブリ340-2とを含む第2のオプティカルユニット315-2と、第1の眼1-1と第2の眼1-2の視線方向に基づいて両眼アラインメントを決定する第1のオプティカルユニット315-1及び第2のオプティカルユニット315-2に結合されたコンピュータ350とを含む両眼アラインメントを決定するシステム310を示している。
図17はまた、方向を特徴付けるための代替の方法のために側方にxyz座標系を示している。このxyz座標系を用いて、「水平側方方向」は、x軸にアラインされ、「垂直側方方向」は、y軸にアラインされ、「長手方向」は、z軸にアラインされる。このアラインメントは、厳密とすることができるか、又は一部の実施形態でのこのアラインメントは、プラスマイナス10度などの許容可能な範囲内とすることができる。
【0095】
様々な患者が、近視又は遠視の幾つかのディオプターなどの異なる処方を有する。両眼アラインメントを決定するシステム10の一部の前述した実施形態は、これらの処方をシミュレートするために異なるディオプターのレンズを備えたフォロプターホイール32-1及び32-2を用いるが、固定ステレオディスプレイ画面22-1及び22-2によって患者に画像を表示する-例えば、
図8A-Bを参照のこと。これらの実施形態は、2つの異なる公称距離の両眼アラインメントを測定する。これらの距離は、フォロプターホイール32-1及び32-2を回転させて且つ患者の処方に加えてシミュレートされた距離を表すディオプターのレンズをはめ込むことによって更にシミュレートし直される。
【0096】
両眼アラインメントを決定するシステム310の実施形態は、フォロプターホイール32-1及び32-2を含最初に、実施形態は、眼1-1及び1-2のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って長手方向に沿ってディスプレイ322-1及び322-2を作動可能にすることによって上記の機能の両方を実行する。フォロプターホイール32-1及び32-2を除去することで、両眼アラインメントを決定するシステム310の物理的サイズを、フォロプターホイール32-1及び32-2を用いる両眼アラインメントを決定するシステム10よりも著しく小さくする。これは、物理的スペースが求められるオプトメトリストの混み合ったオフィスでは利点である。更に、フォロプターホイール32-1及び32-2を用いることは、両眼アラインメントを決定するシステム10が、1ディオプターステップなどの個々のステップでしか患者の処方をシミュレートできないようにする。更なる利点として、両眼アラインメントを決定するシステム310は、長手方向に沿って基本的には連続して第1の及び第2のディスプレイ322-1及び322-2を作動することができ、従って、高精度で、可能であれば0.1ディオプター又はこれより良いディオプター内で患者の処方を連続してシミュレートすることができる。
【0097】
フォロプターホイール32-1の設計を用いるシステム10の別の問題は、フォロプターホイール32-1が新しい距離又は新しい処方をシミュレートするための新しいレンズをはめ込むために回転される時、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1がフォロプターホイール32-1のレンズを通して眼1-1を見ているので、倍率がフォロプターホイール32-1の回転と共に変化するということである。この倍率の変化は、コンピュータ350によって実行される画像分析の再較正を必要とする。この再較正は、タイムラグ及びひいてはコード化問題をもたらす可能性がある。対照的に、作動可能な第1の及び第2のディスプレイ322-1及び322-2を用いる両眼アラインメントを決定するシステム310の実施形態は、この再較正の必要性を回避し、システム310の作動を容易にする。
【0098】
一部の実施形態において、第1のディスプレイ322-1及び第2のディスプレイ322-2は、50-200mmの範囲、一部の実施形態においては、75-125mmの範囲の長手方向範囲に渡って移動することができる。第1の及び第2のディスプレイ322-1及び322-2と第1の及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-1-340-2の最も近い長手方向の距離は、5-40mm範囲とすることができ、他では、10-30mm範囲とすることができる。従って、一部の実施形態において、両眼アラインメントを決定するシステム310は、-20Dから+20Dの範囲、又はこれ未満、他では、-10Dから+10Dの範囲、又はこれ未満、更に他の実施形態では、-10Dから+20Dなどの非対称範囲、又はこれ未満の処方の光学屈折力をシミュレートすることができる。
【0099】
実施形態において、第1の及び第2のディスプレイ322-1及び322-2が眼1-1及び1-2に近く位置付けられる程、患者によって認識される視野が大きくなる。この視野は、少なくとも-30度から+30度、他では少なくとも-35度から+35度から更に大きな値に拡張することができる。従って、両眼アラインメントを決定するシステム310の一部の実施形態はまた、ローカルの盲点、又は暗点の識別、並びに周辺視覚に関する問題などの複数の利用を有する視野テストにも用いることができる。これらの症状は、緑内障又は脳障害などの様々な病気を指示することがある。
【0100】
第1の及び第2のオプティカルユニット315-1及び315-2の少なくとも一部を側方方向に調節可能にする複数の利点、及びこの調節可能性を達成するための複数の実施形態が存在する。上述のように、様々な患者の様々な瞳孔距離を調節することは、第1の及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-1及び340-2を水平側方、「x」方向に調節可能にすることで達成することができる。更に、第1の及び第2のオプティカルユニット315-315-2が固定されているシステムでは、患者がシミュレートされた近い物体を見るよう指示された時に、眼は、鼻オフセットの中心を外れた領域を通してシステムの前方レンズ(
図18の第1のレンズアセンブリ360-1を参照のこと)を介して見る。これらの前方レンズは設計された
屈折力を提供するが、これらの中心を外れた領域は、患者の両眼アラインメントの適正な決定を混乱させる意図しないプリズムを光の屈折に引き入れる。両眼アラインメントを決定するシステム310の実施形態は、第1の及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-1及び340-2を、これらに対応する前方レンズと共に水平側方方向に作動可能にすることによって、このような問題点を最小限にするか又は無くす。このようなシステム310では、近くの物体が、システム310の中心に近くシフトされた第1の及び第2の眼1-1及び1-2に画像を表示することによってシミュレートされた時に、第1の及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-1及び340-2は、これらの前方レンズと共に、両眼アラインメントを決定するシステム310の前方レンズの中心を通して患者が近くの物体を見続けるように水平側方方向に作動させることができ、これによって意図しないプリズム効果を回避する。
【0101】
水平側方調節可能性を導入する上記の動機は、第1の及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-1及び340-2を、水平側方方向に沿って調節可能又は作動可能にすることによってしか達成することができない。最初に、第1の及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-1及び340-2は、このように、これらの対応する前方レンズと共に調節可能とすることができる。更に、両眼アラインメントを決定するシステム310の一部の実施形態において、第1のディスプレイ322-1はまた、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1と共に、構造的に調節可能又は作動可能とすることもでき、更に第2のディスプレイ322-2も、第2のアイトラッカーアセンブリ340-2と共に、構造的に調節可能又は作動可能とすることができる。前方レンズの調節可能性を同様に考慮に入れる時、これらの実施形態においては、第1のオプティカルユニット315-1及び第2のオプティカルユニット315-2の全体を、
図17に示すように水平に調節可能又は作動可能とすることができる。
【0102】
更に別の調節可能性も同様に有用とすることができる。注目すべきことに、左眼と右眼の垂直位置に関して人々の中で著しい広がりがあり、2つの眼は、数ミリメートルだけ垂直にミスアランされていることが多い。このような患者は、第1の及び第2のオプティカルユニット315-1及び315-2による眼のアラインに問題を経験する可能性がある。両眼アラインメントを決定するシステム310の実施形態は、前方レンズを有する第1のアイトラッカーアセンブリ340-1を垂直側方方向に調節可能にし、更に前方レンズを有する第2のアイトラッカーアセンブリ340-2を垂直側方方向に調節可能にすることによって、この問題を管理することができる。前もって定義された座標系の言語によって、これは、y軸に沿った調節可能性に変換される。
【0103】
図18Aは、両眼アラインメントを決定するシステム310の一部の実施形態において、第1のオプティカルユニット315-1内で、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1が、1又は2以上の第1の赤外線発光ダイオード(IR LED)342-1を含み、第1の眼1-1に赤外線(IR)アイトラッキングビーム342b-1を投影できることを示している。更に、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1はまた、赤外線(IR)イメージング光344b-1によって第1の眼1-1を照明するための第1の赤外線(IR)光源344-1を含むこともできる。最終的には、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1は、第1の赤外線(IR)カメラ348-1を含み、第1の赤外線(IR)光学系346-1を介して、反射IRビーム及びIR光345b-1とまとめてラベル付けされる、第1の眼1-1から反射後のIRアイトラッキングビーム342b-1と、第1の眼1-1からの反射後のIRイメージング光344b-1を検出することができる。当然ながら、両眼アラインメントを決定するシステム310において、第2のオプティカルユニット315-2内に、第2のアイトラッカーアセンブリ340-2は、第2の眼1-2に赤外線(IR)アイトラッキングビーム342b-2を投影する1又は2以上の第2の赤外線(IR)発光ダイオード342-2、赤外線イメージング光344b-2で第2の眼1-2を照明する第2の赤外線(IR)光源344-2、及び第2のIR光学系346-2を介して、まとめて反射IRビーム及びIR光345-2とラベル付けされる、眼1-2からの反射後のIRアイトラッキングビーム342b-2と、眼1-2からの反射後のIRイメージング光344b-2を検出する第2の赤外線(IR)カメラ348-2を含むことができる。第2のアイトラッカーアセンブリ340-2が第1のアイトラッカーアセンブリ340-1に類似であるので、第2のアイトラッカーアセンブリ340-2を明示的に示す必要はない。指導のために、
図17のxyz座標系は、
図17に対して回転された視点から図示されている。
【0104】
実施形態において、第1の及び第2のIR LED342-1及び342-2の数は、1-10の範囲、一部の実施形態では2-4の範囲とすることができる。実施形態において、第1の赤外線光源344-1は、分散した赤外線イメージング光344b-1によって第1の眼1-1を照明するために空間的に分配された個々の赤外線発光ダイオードのセットを含むことができ、更に第2の赤外線光源344-2は、分散した赤外線イメージング光344b-2によって第2の眼1-2を照明するために空間的に分配された個々の赤外線発光ダイオードのセットを含むことができる。第1の及び第2の赤外線光源344-1及び344-2の個々の赤外線ダイオードは、中でも、円、弧、長方形、及び長方形アレイなどの多くの様々なパターンに位置付けることができる。これらの数は、1-50の範囲、一部の実施形態においては5-20の範囲とすることができる。赤外線イメージング光344b-1及び344b-2は、拡散器による、又は散乱ミラーによる、又は散乱表面によるものを含む様々な方法で分散するか又は均質化させることができる。
【0105】
図18A-Bは、1又は2以上の第1の赤外線(IR)発光ダイオード342-1を第1のアイトラッカーアセンブリ340-1の様々な位置に配置できることを示している。
図18Aでは、第1の赤外線(IR)発光ダイオード342-1が、第1の眼1-1の近くの第1のアイトラッカーアセンブリ340-1の前方エリアに位置付けられる。これらの設計では、IRアイトラッキングビーム342b-1が、第1のオプティカルユニット315-1の主光軸との大きな角度を作ることがあり、反射されたIR光の中心化を複雑にする可能性がある。
図18Bでは、1又は2以上の第1の赤外線(IR)発光ダイオード342-1が、中心第1のIR光学系346-1に近いことが多い、第1の赤外線(IR)カメラ348-1に近接する光学経路に沿ったアップストリームの高い方に位置付けられる。これらの設計では、IRアイトラッキングビーム342b-1を、第1のオプティカルユニット315-1の主光軸にぴったりアラインさせることができる。
【0106】
両眼アラインメントを決定するシステム310の一部の実施形態において、コンピュータ350は、画像分析システム352を含むことができるか、又はこれに接続することができ、反射されたIRアイトラッキングビーム342b-1及び342b-2を用いて、更に赤外線イメージング光344b-1及び344b-2によって形成されたIR画像を用いて、第1の眼1-1及び第2の眼1-2の向きを決定することができ、反射されたビームは共に345b-1及び345b-2のラベルが付けられている。画像分析システム352は、検出された反射された赤外線アイトラッキングビーム342b-1及び342b-2を用いて第1の眼1-1及び第2の眼1-2からのプルキニエ反射を決定する、更に赤外線イメージング光344b-1及び344b-2によって形成されたIR画像を用いて第1の眼1-1及び第2の眼1-2の瞳孔属性を決定するよう構成することができる。プルキニエ反射は、いわゆるP1、P2などの何れか1つとすることができる。プルキニエ反射は、反射する眼の視覚表面に従ってラベル付けされる。使用されることの多いプルキニエ反射の1つはP1であり、角膜の前方表面からの反射である。IRビーム342b-1は、中心P1プルキニエ反射をもたらすために角膜の先端から反射するために第1のIR LED342-1によって向けられることが多い。視線方向の決定はまた、瞳孔中心の位置などの瞳孔属性の1つ、又は瞳孔の画像が有する楕円率を決定するステップを伴うことができる。眼の光軸が、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1の主光軸にアラインされた時に、眼1-1の瞳孔は、一般的な眼では円形として現れる。眼1-1の視線方向が回転角度によってこの主光軸からそれる時に、同じ瞳孔が楕円として現れる。例えば、長軸に対する短軸の比によって与えられるこの楕円の楕円率を分析するステップ、及びこれらの軸の方向を決定するステップは、視線方向の回転角度に関する重要な情報を供給する。更に他の瞳孔属性は、虹彩をイメージングするステップ及び虹彩の特定の特徴の位置を記録するステップを伴うことができる。瞳孔属性を決定するステップは、瞳孔の正確な端を識別するために端認識ソフトウェアを含むことができる。
【0107】
このような第1の及び第2のオプティカルユニット315-1及び315-2と画像分析システム352の作動は、多くの患者にとって、患者の瞳孔が同じサイズではなく、瞳孔が完全には円でないか、又は完全にアラインされていることを思い起こすことによって設計されている。例えば、眼が完全にアラインされていない患者にとっては、2つの眼の1つが対応する第1の及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-1又は340-2の光軸にアラインされている時、他方の眼は、これに対応するアイトラッカー光軸にアラインされていない。最終的に、プルキニエ反射は、正確には先端から来ていない可能性がある。
【0108】
理想的状況からの全てのこれらの可能性のある偏差に関わらず、第1の眼と第2の眼、1-1と1-2の視線方向を決定するために、画像分析システム352は、最初にまっすぐ前方を見るよう患者に指示し、更に次に第1の及び第2のIRカメラ348-1及び348-2によって患者のプルキニエ反射PI及び瞳孔中心の位置を記録することによって作動されることが多い。(この文書の他の場所に関して、第2のアイトラッカーアセンブリ340-2は、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1に類似であるので、簡潔にするために、別の反復的な図には示していない。)加えて、眼の楕円率及び他の瞳孔属性も記録することができる。プルキニエ反射P1の位置を瞳孔中心に結ぶことを用いて、視線の方向、又は眼の光軸の方向を定義することができる。これらの記録の全ては、次の測定の基準方向として役立てるために使用される。この基準-設定ステップに次に、患者に第1の及び第2のディスプレイ322-1及び322-2によって可視画像326-1及び326-2を投影するステップを続けることができ、これは、これらの画像に反応して、プルキニエ反射、瞳孔中心及び楕円率のような他の瞳孔属性を再測定することによって達成され、第1の眼1-1及び第2の眼1-2のプルキニエ反射、瞳孔中心、及び瞳孔属性を、第1の眼1-2と第2の眼1-2の以前に決定された基準プルキニエ反射、瞳孔中心、及び瞳孔属性と比較するステップが続く。これらの測定値と基準値を比較するステップは、以下に記載されるように視線方向と視線方向の変化を決定するために用いられる。
【0109】
実施形態において、画像分析システム352は、反射IR光344b-1及び344b-2から形成されるIR画像から決定されたxy平面における瞳孔の中心の位置、及び反射IRビーム342b-1及び342b-2から決定された角膜の先端からのプルキニエ反射P1の位置を用いることができる。瞳孔中心が重なり合うか、又はxy平面における角膜先端に一致する場合、次に眼は、基準IR画像のようにまっすぐ前方を見ている。瞳孔中心及び角膜先端がxy平面においてオフセットされた時、オフセットの方向及び大きさから、画像分析システム352は、基準方向に対する各眼の視線方向の回転角度を決定することができる。
【0110】
前述のように、ごく一部の患者では、患者がまっすぐ前方を見ている時でも、瞳孔中心及び角膜先端は、基準画像でも一致しない可能性がある。しかしこれらのケースでも、画像分析システム352は、回転した眼の画像における瞳孔中心及び角膜先端の位置を取り、次にこれらの基準位置を減算して、この形成された違いから、眼が投影された可視画像326-1及び362-2に対応する眼1-1及び1-2の視線方向の回転角度を決定することができる。他の実施形態は、他の瞳孔属性及び/又は他のプルキニエ反射などの他の方法によって視線方向を決定することができる。更に他の実施形態は、プルキニエ反射のない複数の瞳孔属性を用いることができる。更に他の実施形態は、逆のことを実行、瞳孔属性なしの複数のプルキニエ反射を用いることができる。
【0111】
眼が1秒に多数回すばやい衝動性の動きを実行するので、視線方向は時間的に急速に変化する。従って、上述したプルキニエ反射及び瞳孔中心、更に可能であれば他の瞳孔属性は、これらが時間的に互いに近くで測定された場合の特定の視線方向を表す。更に逆に、これらがかなりの時間差を持って、0.1秒、又は1秒、又はこれ以上より多くの時間差を持って測定された場合、画像分析システム352によってコンピュータ計算される視線方向は、正確さがだんだん少なくなる可能性がある。このコンピューテーションの正確さを向上させるために、一部の実施形態においては1又は2以上の第1の赤外線発光ダイオード342-1が、赤外線イメージング光344b-1によって照明する第1の赤外線光源344-1によって交互方式で赤外線アイトラッキングビーム(IRビーム)342b-1を投影し、1又は2以上の第2の赤外線発光ダイオード342-2が、赤外線イメージング光344b-2によって照明する第2の赤外線光源344-2によって交互方式で赤外線アイトラッキングビーム342b-2を投影する。交互の周波数は、1-1,000Hz範囲、一部の実施形態では10-150Hz範囲、一部の実施形態では60-120Hz範囲とすることができる。これらの交互性によって、第1の及び第2のIRカメラ348-1及び348-2は、互いの1-1,000ミリ秒以内、他の実施形態では6-100ミリ秒内、更に他の実施形態では8-16ミリ秒内で、プルキニエ反射及び瞳孔中心、及び可能であれば他の瞳孔属性を決定することができる。互いに近くで、プルキニエ反射及び瞳孔中心、及び可能であれば他の瞳孔属性を決定することは、有利に画像分析システム352による視線方向のコンピューテーションの精度を上げる。上述のように、両眼アラインメントを決定するシステム310の一部の実施形態において、複数の瞳孔属性だけが決定され、システム310の他の実施形態では、複数のプルキニエ反射だけが決定される。上記の反復速度によってこれらの何れかを決定することは、視線方向の決定の精度も上げる。
【0112】
両眼アラインメントを決定するシステム310の一部の実施形態において、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1はまた、第1の眼1-1に長手方向に沿って第1のディスプレイ322-1から画像を送信し、反射された赤外線アイトラッキングビーム342b-1及び赤外線イメージング光344-1、共に345b-1とラベル付けされたものを、第1の眼1-1から第1の赤外線カメラ348-1に側方方向にリディレクトするために位置付けられた第1の可視透過型赤外線ミラー324-1を含み、第2のアイトラッカーアセンブリ340-2は、第2の眼1-2に長手方向に沿って第2のディスプレイ322-2から画像を送信し、更に反射された赤外線アイトラッキングビーム及び赤外線イメージング光、共に345b-2を、第2の眼1-2から第2の赤外線カメラ348-2に側方方向にリディレクトするよう位置付けられた第2の可視透過型赤外線ミラー324-2を含む。一部の実施形態において、第1の赤外線カメラ348-1は、垂直側方及び水平側方方向の1つに第1の可視透過型赤外線ミラー324-1に対して位置付けられ、第2の赤外線カメラ348-2は、垂直側方及び水平側方方向の1つに第2の可視透過型赤外線ミラー324-2に対して位置付けられる。水平側方方向は、
図17-18のxyz座標系のx軸に対応し、垂直側方方向は、y軸に対応する。
【0113】
例えば仮想現実ゴーグルでは、利用可能である様々なアイトラッキングディスプレイシステムが存在し、ここではIRアイトラッキングビーム及び投影された可視画像が、共通の光学経路を共有せず更に可視透過型IRミラーを利用しない。これらの設計では、アイトラッカーのIRカメラは、直接眼に向けられる。しかしながら、設計の幾何学は、これらのIRカメラが高角度から眼に向けられることを示す。従って、アイトラッキングIRビームは、画像分析システムを混乱させる長いまつげからのオクルージョンの影響を受けることが多く更にトラッキングの行き詰まりに至る可能性がある。まつげによるこのようなオクルージョン問題は、反射されたIRビーム及びIRイメージング光345b-1及び345b-2に主光学経路を共有させ、眼を標準/z/長手方向に残し、更に次に第1の及び第2の可視透過型IRミラー324-1及び324-2によってリディレクトさせることによって、両眼アラインメントを決定する本システム310で避けられる。
【0114】
既に前記で引用したように、両眼アラインメントを測定する時に、第1のディスプレイ322-1は、シミュレートされた距離に従う第1の長手方向位置に作動可能であり、第1の長手方向位置は、第1の眼1-1の光学屈折力に従って動的に補正され、第2のディスプレイ322-2は、シミュレートされた距離に従う第2の長手方向位置に作動可能であり、第2の長手方向位置は、第2の眼1-2の光学屈折力に従って動的に補正される。第1の及び第2のディスプレイ322-1及び322-2は、長手方向/z方向に沿って連続して作動可能であり、これによって患者の眼1-1及び1-2の光学屈折力、又は処方に従ってシミュレートされた距離の正確な補正を可能にする。多くの仮想現実ディスプレイが、単一のディスプレイを用いることによって経済的利点を達成し、且つこの単一のディスプレイの対応する半分に左及び右眼に画像を表示することも注目すべきである。しかしながら、このようなシステムは、2つの眼の処方が異なる多くの人にとって、ディスプレイの2つの半分を異なるz座標に動かす自由度を持たず、従って異なるz座標を求めるであろう。両眼アラインメントを決定するシステム310の実施形態は、対照的に、2つのディスプレイ322-1及び322-2が独立して作動可能である場合にこのような異なる処方に対応するのに適している。
【0115】
更に、これらの距離の両眼ミスアラインメントを決定するために異なる距離の画像をシミュレートする時、画像の水平側方位置を、コンピュータ350によって第1の及び第2のディスプレイ322-1及び322-2上で適宜に動かすことができる。
【0116】
図18A-Bはまた、第1のオプティカルユニット315-1が、第1の眼から共に反射され且つ共に345b-1とラベル付けされる赤外線アイトラッキングビーム及び赤外線イメージング光を受け取り、第1の赤外線カメラ348-1に向けて誘導し、更に、色収差、光学収差、乱視、及び波面の歪みの少なくとも1つを低減する第1のレンズアセンブリ360-1を含むことができ、第2のオプティカルユニット315-2が、第1の眼から反射され且つ共に345b-2とラベル付けがされる赤外線アイトラッキングビーム及び赤外線イメージング光を受け取り、第1の赤外線カメラ348-2に向けて誘導し、更に、色収差、光学収差、乱視、及び波面の歪みの少なくとも1つを低減する第2のレンズアセンブリ360-2を含むことができるのを示している。(第2のオプティカルユニット315-2の要素は、第1のオプティカルユニット315-1に類似しているので、簡潔にするために明示的に示していない。)
【0117】
両眼アラインメントを決定するシステム310の一部の実施形態において、第1の赤外線カメラ318-1及び第1のレンズアセンブリ360-1は共に調節可能であり、第2の赤外線カメラ348-2及び第2のレンズアセンブリ360-2は共に調節可能である。これらの2つの要素が共に調節可能ではない実施形態では、第1の及び第2のレンズアセンブリ360-1及び360-2が、中心を外したミスアライン位置に調節されている場合でも、画像の高解像度及び低歪みを保持できるように、赤外線カメラ348-1及び348-2を大きくする必要がある。逆に、第1の及び第2のレンズアセンブリ360-1及び360-2が第1の及び第2の赤外線カメラ348-1及び348-2と共に調節可能である実施形態では、第1の及びレンズアセンブリ360-1及び360-2との共線性が調節に関わらず維持されるので、第1の及び第2の赤外線カメラ348-1及び348-2を小さくすることができる。第1の及び第2の赤外線カメラ348-1及び348-2の小さなサイズは、両眼アラインメントを決定するシステム310全体のサイズを有利に低減する。
【0118】
図19は、両眼アラインメントを決定するシステム310の実施形態を示している。
図19は、
図17-18と同じ要素を示し、
図17と同様に、上部から、y方向、又は下を向く垂直側方方向を示している。特に、長手/z指向性作動の方向、及び水平側方/x方向が詳しく示されている。
【0119】
図20は、透視図からの両眼アラインメントを決定するシステム310の第1のオプティカルユニット315-1の実施形態を示す。前述した要素とは別に、第1のディスプレイ322-1を長手/z方向に沿って作動するよう構成された第1のzアクチュエータ347-1の更なる要素を見ることができる。更に、コンピュータ350との第1の結合354-1を見ることもでき、第1のディスプレイ322-1をフレキシブル又は変形可能な通信ラインのセットによってコンピュータ350に結合している。第1のディスプレイ322-1は、第1の眼1-1の光学屈折力、シリンダ、及びプリズムの少なくとも1つに従って修正された第1の眼1-1に画像を表示するよう構成することができ、更に第2のディスプレイ322-2は、第2の眼1-2の光学屈折力、シリンダ、及びプリズムの少なくとも1つに従って修正された第2の眼1-2に画像を表示するよう構成することができる。
【0120】
一部の実施形態において、第1のディスプレイ322-1及び第2のディスプレイ322-2は、液晶ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LEDディスプレイ、量子ドットLEDディスプレイ、マイクロレンズアレイ、デジタルミラーデバイス、及び走査プロジェクタ微小電気機械システムを含むことができる。
【0121】
図21は、両眼アラインメントを決定するシステム310の前方z方向からの図を示している。これは、患者が見ることのできるものである。第1の及び第2のレンズアセンブリ360-1及び360-2が示されている。これを超えて、一部の実施形態は、患者の鼻を受け入れ且つ固定するよう構成された、第1のオプティカルユニット315-1と第2のオプティカルユニット315-2の間の中心に位置付けられたノーズブリッジ370を含む。
【0122】
このような実施形態は、関係のある診断システムに対する進歩を提供する。かなりの数の関係のある診断システムが、患者が患者の顎を載せる顎あての変異形によって患者の頭と眼を固定しようとする。しかしながら、顎は、患者の頭に対する回転の軸として作用し、従って眼は、半径として顎と眼の距離によって乗せた顎の周りを回転することがあり、診断装置との回転ミスアラインメントを引き起こす。顎の代わりに鼻で患者の頭と眼を固定することによって、この残りの回転ミスアラインメントを最小限にするか又は無くすことができる。ノーズブリッジ370は、この「下向きV」形状によってこの機能を達成し、顎の代わりに、眼のごく近くの鼻の上部に患者の頭を固定する。この理由で、このような実施形態における両眼アラインメントを決定するシステム310では完全に眼が固定される。
【0123】
別の利点が
図17-
図21によって示されている。中心311として両眼アラインメントを決定するシステム310の中心を示す場合に、患者のごくわずかでは患者の第1の眼1-1の瞳孔中心と患者の第2の眼1-2の瞳孔中心が、患者の頭の対称性の中心から等しい距離にない。これらの違いは、測定が眼1-1及び1-2の対称的位置付けを仮定して分析される場合に重大なエラーを起こすのに十分である1-2mmである可能性がある。従って、両眼アラインメントを決定するシステム310の実施形態において、全体の瞳孔距離(「PD」)を患者対患者のばらつきに対応するよう調節可能にするだけでなく、中心311に対して定義される第1の/左の眼の単瞳孔距離4-1を第2の/右の眼の単瞳孔距離4-2とは関係なく調節可能にし、中心311に対して定義し直すことは有利である。実施形態において、これは、第1のアイオプティカルユニット315-1をノーズブリッジ370に対して水平側方/x方向に調節可能にして、ブロック体の矢印で指示されるように第1の眼1-1の単瞳孔距離4-1に対応できるようにし、更に第2のオプティカルユニット315-2をノーズブリッジ370に対して水平側方/x方向に調節可能にして、第2の眼1-2の単瞳孔距離4-2に対応できるようにすることによって実現される。場合によっては、第1の及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-1及び340-2をノーズブリッジ370に対して水平側方方向に調節可能にすることによってのみこの同じ目標を達成することができる。
【0124】
図22は、両眼アラインメントを決定するシステム310の実施形態の更なる特徴を示している。一部の実施形態は、両眼アラインメントの決定を管理するためのコンピュータ350と医療オペレータが対話するよう構成されたグラフィカルユーザインタフェース380を含むことができる。このグラフィカルユーザインタフェース380は、オプトメトリスト又は技術者などの医療オペレータに、第1の及び第2のIRカメラ348-1及び348-2によって取り込まれた赤外線画像、第1の眼1-1及び1-2の動き、中でも、設定する診断手順から選ばれる利用可能な診断ステップ、及び診断手順のパラメータを表示することができる。
【0125】
両眼アラインメントを決定するシステム310の更に他の実施形態は、ラウドスピーカなどの患者通信インタフェース385を含み、両眼アラインメントの決定のステップに従うよう患者に指示することができる。これらの指示は、リモートオペレータから発することができるか、又はこれらは、事前記録、及び特定の可視画像326-1及び326-2を投影するコンピュータ350に同期させることができる。患者通信インタフェース385の他の実施形態は、患者からフィードバックを受け取るための患者フィードバックポータルを含むことができる。実施例は、プッシュボタン、トラックホイール、タッチパッド、マイクロフォン、及び音声対話型デバイスを含む。これらの患者フィードバックポータルの何れによっても、患者は、診断処理のステップに応答してフィードバックを選択することができる。実施例では、コンピュータ350が第1のディスプレイ322-1の長手方向/z方向の調節を開始することができ、更に患者通信インタフェース385のラウドスピーカが、事前に記録された指示、「画像がはっきりする時間をボタンを押して示してください」を伝えることができる。患者が患者通信インタフェース385のボタンを押した時、コンピュータ350は、患者の処方、又は眼1-1の光学屈折力に関して情報を与える第1のディスプレイ322-1の長手方向/z位置を記録することができる。又は、コンピュータは、第1の及び第2のディスプレイ322-1及び322-2上の水平側方/x方向に投影された可視画像326-1及び326-2を動かすことができ、更に2つの画像326-1及び326-2が融合された時、又は2つの画像の融合が壊れた時に、プッシュボタンを介して指示するよう患者に求めることができる。2つの画像326-1及び326-2の水平側方/x位置は、患者の眼1-1及び1-2の両眼アラインメントに関して情報を与える。
【0126】
図23は、一部の実施形態において、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1が第1の自動屈折器400-1を含み、第1の眼1-1に関する屈折情報を決定することができ、更に第2のアイトラッカーアセンブリ340-2が第2の自動屈折器400-2を含み、第2の眼1-2に関する屈折情報を決定することができるのを示している。前記のように、第2の自動屈折器400-2は、第1の自動屈折器400-1に類似とすることができ、従って明示的に示す必要はない。屈折情報は、単純に方法100を実行するために必要な検査される眼の
屈折力とすることができる。例えば、患者の処方は、オプトメトリストによる最後の試験から患者にとって知られぬままに変えられている可能性がある。又はオプトメトリストが、長手方向/z方向に第1のディスプレイ322-1を動かすことに応答した調節の程度を追跡することを要求する可能性がある。又はオプトメトリストは、高次の乱視又は異常のチェックを要求する可能性がある。
【0127】
実施形態において、第1の自動屈折器400-1は、WF IR光402b-1を第1の眼1-1に投影する第1の波面(WF)赤外線(IR)光源402-1を含むことができる。この第1のWF IR光源402-1は、中でも、LED、LEDアレイ、SLEDと呼ばれるスーパールミネッセントLED、及び拡大ビームレーザを含む多くの異なる実施形態を有することができる。WF IR光402b-1は、第1のコリメータ404-1、及び第1の偏光ビームスプリッタ406-1を介して誘導することができ、第1の偏光ビームスプリッタの送信偏光面が、第1のWF IR光源402-1の偏光面にアラインされる。第1のWF IR光402b-1は、第1のビームスプリッタ410-1を介して、任意選択的には任意の第1の屈折器レンズ408-1を介して第1のアイトラッカーアセンブリ340-1の光学経路に結合することができる。ここから、WF IR光402b-1は、
図23に示すように、第1の可視透過型IRミラー324-1及び第1のレンズアセンブリ360-1を含む第1のアイトラッカーアセンブリ340-1の主光学経路を介して第1の眼1-1に誘導することができる。(一般的にペンシルビーム状の)WF IR光402b-1は次に、反射されたWF IR光402r-1として広空間角度に第1の眼1-1の網膜から反射する。反射されたWF IR光402r-1が、レンズと第1の眼1-1の角膜を介して伝播するので、この拡大波面は、レンズ及び角膜を介した屈折によって修正され、従ってレンズ及び第1の眼1-1の角膜の屈折特性に関する情報を取得する。反射されたWF IR光402r-1は、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1の主光学経路を介して戻り、第1のビームスプリッタ410-1によって分割され、更に最終的には第1のマイクロレンズアレイ412-1に向けて第1の偏光ビームスプリッタ406-1によって誘導される。この第1のマイクロレンズアレイ412-1は、第1の眼1-1から反射されたWF IR光402r-1を受け取りビームレットに分割するよう構成される。ビームレットは次に、第1の波面カメラ414-1によって取り込まれ、第1の眼1-1に関して運ぶ屈折情報を決定するために分析される。
【0128】
自動屈折器400-1の上述の実施形態は、広義にはシャック-ハルトマン波面分析器の設計に従う。他の実施形態は、タルボット-モアレ干渉分光法、スリットランプ技術、チェルニング収差計測法、レンズメータ技術などの他の波面分析設計を用いることができる。レンズメータデバイスは、実際には、球面度数/屈折度数を超える眼の光学特性を取り込むことができる。これらの特性は、中でも、円柱度数及び軸情報を含む。
【0129】
自動屈折器400-1を有する両眼アラインメントを決定するシステム310は、別の有用な診断様式を提供する。両眼アラインメント問題の1つのクラスは、「調節ラグ」と呼ばれる。これは、患者が提示距離d1にある物体を提示された時に、患者の眼がd1に等しくない異なる距離d2に焦点を合わせる現象を指す。d2はd1より大きいことが多い、すなわちd2>d1。自動屈折器400-1を備えたシステム310は、このような調節ラグを認識及び診断することができる。
【0130】
高い概念的レベルでは、両眼アラインメントを決定するシステム310の主な目標は、人間の視覚を制御する2つのシステム、すなわち、毛様筋を働かせることによって実際の距離にある物体に水晶体を合わせる焦点システムと、6つの外眼筋を働かせることによって実際の距離にある物体を見るために両眼を回転させる輻輳システムの協調及びクロスリンクを診断及び特徴付けることである。
図17-23の両眼アラインメントを決定するシステム310の実施形態は、幾つかの設計選択によってこれらのクロスリンクシステムにおける高品質の診断情報を供給し、実施形態は、長手方向/z方向に作動可能である第1の及び第2のディスプレイ322-1及び322-2によって物体をシミュレートし、実施形態は、水平側方方向に作動可能である第1の及び第2のオプティカルユニット315-1及び315-2を用い、更に任意選択的には、実施形態は、第1の及び第2の自動屈折器400-1及び400-2を含む。これらの設計選択は、両眼アラインメントを決定するこれらのシステム310を、統合された「クローズループ」方式で焦点システムと輻輳システムの協調性及びクロスリンクを診断及び特徴付けられるようにする。従って、310の両眼アラインメントを決定するシステムの実施形態は、第1のディスプレイ322-1及び第1のアイトラッカーアセンブリ340-1と、輻輳反応を決定するよう構成される第2のディスプレイ322-2及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-2とによる統合方式で輻輳反応及び調節性反応を決定するよう構成され、更に第2のディスプレイ322-2及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-2は、輻輳反応を決定するよう構成され、第1のディスプレイ322-1及び第1の自動屈折器400-1、及び第2のディスプレイ322-2及び第2の自動屈折器400-2は、調節性反応を決定するよう構成される。
【0131】
詳しくは、
図11-
図16に関して前述した両眼アラインメントを決定する方法100を最終的には参照されたい。コンピュータ350は、この方法100のステップを実行するよう構成することができる。従って、一部の実施形態では、コンピュータ350は、両眼アラインメントの決定の一部として、中心目標とブランク中心を有する画像の周りの移動目標の周辺融合ロックとの間の角度ミスアラインメントの量として患者の固視ずれを決定するよう構成することができる。
【0132】
一部の実施形態において、コンピュータ350はまた、第1のディスプレイ322-1及び第2のディスプレイ322-2が、両眼アラインメントの決定の一部として、ある時間の目標に固定された眼の1つによって異種画像を表示する時に第1の眼1-1と第2の眼1-2の間の角度ミスアラインメントの平均量として総斜位を決定するよう構成することもできる。
【0133】
図24-
図25は、第1の眼1-1のシミュレートされた距離と光学屈折力に従って側方作動方向に沿って作動可能である第1の眼1-1に画像を表示する第1のディスプレイ322-1と、第1の眼1-1の瞳孔距離を調節するために水平側方方向に調節可能である第1の眼1-1の視線方向を追跡する第1のアイトラッカーアセンブリ340-1とを含む第1のオプティカルユニット315-1と、第2の眼1-2のシミュレートされた距離及び光学屈折力に従って側方作動方向に沿って作動可能である第2の眼1-2に画像を表示する第2のディスプレイ322-2と、第2の眼1-2の瞳孔距離を調節するために水平側方方向に調節可能である第2の眼1-2の視線方向を追跡する第2のアイトラッカーアセンブリ340-2とを含む第2のオプティカルユニット315-2と、第1の眼1-1と第2の眼1-2の視線方向に基づいて両眼アラインメントを決定する第1のオプティカルユニット315-1及び第2のオプティカルユニットに結合されたコンピュータ350とを含む両眼アラインメントを決定するシステム310の関連の実施形態を示す。
図17-23の実施形態との注目すべき違いは、第1の及び第2のディスプレイ322-1と322-2の位置付けが、長手方向配置から
図24-25の実施形態における側方配置に動くことである。この違いは、全体的なシステム310の形状因子及び寸法を変え、混雑したオプトメトリストの事務所において有利とすることができる。側方作動方向は、水平側方(“x”)方向又は垂直側方(“y”)方向とすることができる。
図24では、側方作動方向は水平であり、
図25では垂直である。
【0134】
図25は、第1の眼1-1に集中するこの後者の垂直実施形態を詳しく示している。第2の眼1-2に関係する両眼アラインメントを決定するシステム310の要素は類似であり明示的には示していない。この両眼アラインメントを決定するシステム310では、第1のアイトラッカーアセンブリ340-1が、第1の眼1-1に赤外線アイトラッキングビーム342b-1を投影する1又は2以上の第1の赤外線発光ダイオード342-1、赤外線イメージング光344b-1によって第1の眼1-1を照明する幾つかの個々のLEDを含むことができる第1の赤外線光源344-1、第1の眼から双方とも反射され且つまとめて345b-1とラベル付けされる赤外線アイトラッキングビーム及び赤外線イメージング光を検出するために長手方向に沿って位置付けられた第1の赤外線カメラ348-1、及び第1の眼1-1から反射された赤外線アイトラッキングビーム及び赤外線イメージング光345b-1を第1の赤外線カメラ348-1に長手方向に沿って送信し、更に画像を第1のディスプレイ322-1の側方作動方向から第1の眼1-1に向けて長手方向にリディレクトする第1の赤外線透過型可視ミラー324’-1を含むことができる。第2のアイトラッカーアセンブリ340-2は、(分かり易いように図示しないが)第2の眼1-2に赤外線アイトラッキングビーム342b-2を投影する1又は2以上の第2の赤外線発光ダイオード342-2、赤外線イメージング光344b-2によって第2の眼1-2を照明する第2の赤外線光源344-2、第2の眼から双方とも反射され、まとめて345b-2とラベル付けされる赤外線アイトラッキングビーム及び赤外線イメージング光を検出するために長手方向に沿って位置付けられる第2の赤外線カメラ348-2、及び第2の眼1-2から反射された赤外線アイトラッキングビーム及び赤外線イメージング光345b-1を第2の赤外線カメラ348-2に長手方向に沿って送信し、更に画像を第2のディスプレイ322-2の側方作動方向から長手方向に第2の眼1-2に向けてリディレクトする第2の赤外線透過型可視ミラー324’-2を含むことができる。一般的には、眼1-1及び1-2に出入りするビームは、第1の及び第2のレンズアセンブリ360-1及び360-2を介して伝播する。
図17-23の実施形態の多くの変種及び修正は、
図24-25の実施形態における類似の実施を有することができる。例えば、水平調節性は、
図17-23の実施形態に対して記載したのと同様に、第1の及び第2のアイトラッカーアセンブリ340-1及び340-2に対してのみ実施することができるか、又は第1の及び第2のディスプレイ322-1及び322-2を互いに有するこれらのアセンブリに対して、第1の及び第2のレンズアセンブリ360-1及び360-2のあり又はなしで実施することができる。
【0135】
本明細書は、多くの詳細を包含するが、これらは、発明の範囲又は請求項に記載されることができるものの範囲に関する限定として解釈すべきではなく、本発明の特定の実施形態に固有の特徴の説明として解釈すべきである。別の実施形態の文脈において本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で記載される様々な特徴は、複数の実施形態で別々に、又は何れかの適切な部分的組み合わせで実施することもできる。更にまた、特徴は、特定の組み合わせで動作するように上記に記載され、更にそのように最初に請求項に記載されたが、請求項に記載された組み合わせからの1又は2以上の特徴は、場合によっては組み合わせから削除することができ、更に請求項に記載された組み合わせは、部分的組み合わせ又は部分的組み合わせの変形形態に向けることができる。
【国際調査報告】