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特表2024-510105H2S捕捉のためのトリアジンを含むシリカナノ粒子の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】H2S捕捉のためのトリアジンを含むシリカナノ粒子の使用
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20240228BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20240228BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240228BHJP
   C01B 33/149 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B01D53/14 210
B01D53/14 100
B01J20/22 A
B01J20/30
C01B33/149
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550171
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2022016946
(87)【国際公開番号】W WO2022178232
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/151,212
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523261838
【氏名又は名称】ニッサン ケミカル アメリカ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NISSAN CHEMICAL AMERICA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】10333 Richmond Avenue,Suite 1100 Houston,Texas 77042(US)
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マグワイア-ボイル,サミュエル,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】サウスウェル,ジョン,エドモンド
【テーマコード(参考)】
4D020
4G066
4G072
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020AA04
4D020BA16
4D020BA19
4D020BB05
4D020CA05
4D020CB08
4G066AA22C
4G066AB10B
4G066AB13B
4G066BA09
4G066BA36
4G066CA24
4G066CA35
4G066DA01
4G066DA04
4G066FA03
4G066FA21
4G072AA25
4G072AA28
4G072AA41
4G072BB05
4G072CC01
4G072DD06
4G072EE01
4G072GG02
4G072GG03
4G072HH18
4G072JJ28
4G072JJ46
4G072LL06
4G072LL13
4G072MM01
4G072QQ06
4G072RR05
4G072RR07
4G072RR12
4G072UU11
(57)【要約】
ストリームからHSを除去する方法であって、シリカナノ粒子組成物、及び場合によりトリアジンを加えるステップを含み、ストリームが、油ストリーム、ガスストリーム、CO点源浄化ストリーム、及び地熱エネルギーシステムストリームからなる群から選択される、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリームからHSを除去する方法であって、
c)1つ以上の含水酸性シリカナノ粒子組成物、及び
d)1つ以上のトリアジン化合物
を加えるステップを含み、
前記ストリームが、油ストリーム、ガスストリーム、CO点源浄化ストリーム、及び地熱エネルギーシステムストリームからなる群から選択される、前記方法。
【請求項2】
存在する前記トリアジンの1つがヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(ヒドロキシエチル)-s-トリアジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ストリームが油ストリームである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ストリームがガスストリームである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ストリームがCO点源浄化ストリームである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ストリームが地熱エネルギーシステムストリームである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油ストリーム、ガスストリーム、CO点源浄化及び地熱エネルギーシステムから硫化水素(HS)を除去するために使用される化学物質の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
硫化水素は、多くのガス田からの天然ガス中に存在する。また、油ストリーム、ガスストリーム、CO点源浄化及び地熱エネルギーシステムにも存在する可能性がある。
【0003】
これは有毒で腐食性があり、非常に不快な臭いを有するため、極めて望ましくない成分である。したがって、その除去のためのいくつかの方法が開発されている。
【0004】
そのような方法の1つは、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)ヘキサヒドロ-s-トリアジンの水溶液をガスストリームに注入することである。トリアジンは液体捕捉剤であるため、このプロセスは、1日当たり最大でおよそ50kgのHSまで経済的であり、比較的低濃度のHSを含むストリームで約5ppmまでHSを除去する。しかし、反応の生成物及び詳細が不明であるため、HS除去に最適な条件を常に適用できるとは限らない。「Hydrolysis of 1,3,5-Tris(2-hydroxyethyl)hexahydro-s-triazine and Its Reaction with H2S, Ind. Eng. Chem. Res. 2001, 40, 6051-6054, page 6051. https://www.corrosionpedia.com/definition/1645/hydrogen-sulfide-scavenger-h2s-scavengerを参照されたい。
【0005】
硫化水素(HS)捕捉剤は、炭化水素及び化学物質の処理施設で広く使用されている特殊化された化学添加物または燃料添加物である。これらの特殊化された化学物質は、HSと選択的に反応してこれを除去し、生成物及びプロセスの仕様を満たすのに役立つ。HSについて処理される生成物には、貯蔵タンク、タンカー船、鉄道車両、及びパイプライン内の原油、燃料、及び他の精製石油生成物が含まれる。
【0006】
硫化水素は、鋼と直接反応して硫化鉄腐食膜を作ることにより、またはパイプ内の液体/ガス混合物の酸性度を高めることにより、パイプ類に損傷を与える可能性がある。HSは、水に溶解すると酸化されて元素硫黄を生じ得る。これはまた、金属表面と直接接触すると、硫化鉄腐食膜を生成し得る。したがって、原油からHSを可能な限り迅速かつ効率的に除去することが不可欠である。最も一般的に使用されている液体HS捕捉剤であるトリアジンは、シクロヘキサンに似た複素環式構造であるが、3つの炭素原子が窒素原子に置き換えられている。油田用語のトリアジンは、IUPAC慣用名のトリアジナンとは異なる。
【0007】
トリアジンには、窒素原子の置換位置に基づいて、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、及び1,3,5-トリアジン(別名s-トリアジン)という3つのバリエーションが存在する。
【0008】
他の官能基での水素原子の置換を含むさらなるバリエーションが、様々な産業で使用されている。この置換は、1、2、3、4、5、または6の任意の数の「R」位置で発生する。異なる置換は、HSとの異なる反応性、トリアジンの溶解度の変化、及び反応生成物(「R」基)の溶解度の変化をもたらす。したがって、トリアジンは、用途または廃棄上の考慮事項により良く適合するように「調整」することができる。
【0009】
直接注入
直接注入用途において、トリアジンは、通常は噴霧クイルを用いてガスまたは混合流体のストリームに直接噴霧される。除去速度は、反応速度ではなく、トリアジン溶液へのHSの溶解に依存する。結果として、ガス流量、接触時間、及びミストのサイズと分布が最終的な捕捉剤の性能に寄与する。この方法は、良好な環状ミスト流、及び反応に十分な時間がある場合に、HSを除去するのに優れている。ほとんどの供給元は、最良の結果を得るために、生成物との接触時間を最低でも15~20秒とすることを推奨している。生成物へのHSの溶解により典型的な効率は低くなるが、約40%の除去効率が合理的に期待できる。直接注入を効果的にするには、注入位置及び生成物の選択の慎重な検討を使用する必要がある。
【0010】
接触塔では、トリアジンが充填された塔を通して供給ガスがバブリングされる。ガスが液体中で泡立つにつれて、ガスはトリアジンに溶解し、HSが除去される。この用途における制限要因は、気泡の表面積、溶液の濃度、及び気泡通過時間(接触時間)である。気泡が細かいほど反応速度は向上するが、不要な発泡が生じる可能性がある。この用途は、高いガス流量には適していない。接触塔のHS除去効率ははるかに高く、最大80%である。結果として、はるかに少ない化学物質が使用され、運用費用(「OPEX」)の大幅な削減が実現できる。しかし、接触塔及び化学物質貯蔵庫はかなりの空間及び重量を要するため、オフショア用途にはあまり実用的でない。
【0011】
1モルのトリアジンが2モルのHSと反応すると、主な副生成物であるジチアジンが生じる。中間生成物が形成されるが、稀にしか見られない。2ステップの反応中に放出されるR基は供給元によって異なり、溶解度に合わせて調整できる。反応を続けると、不溶性のトリチアン生成物が形成される可能性がある。
【0012】
反応したトリアジン副生成物は容易に生分解可能であり、比較的非毒性である。未反応の過剰なトリアジンは水生毒性が極めて高く、生産水または海水と共に炭酸塩スケールを形成する傾向がある。これは、エマルジョンの安定化、及びオーバーボードの水中油(OIW)含有量の増加をもたらし得る。
【0013】
未反応のトリアジンは、脱塩プロセスに影響を与え、原油蒸留ユニット内の腐食の加速を引き起こし得るため、製油所にとっても問題である。また、グリコール及びアミンユニットで発泡を引き起こし、グリコールユニットの変色を引き起こす可能性がある。過剰なトリアジンの使用による不快な臭いも報告されているが、一部の供給元は低臭バージョンを提供している。トリアジン自体は比較的安全に取り扱えるが、接触すると化学熱傷を引き起こし得る。
【0014】
トリアジン及び誘導体は、世界中で多くの運用者及び施設によって首尾よく使用されている。スケールの改善及びリザーバの刺激を含め、低濃度HSの制御が必須である様々な他の用途でも使用されている。米国では、サワーシェールガスの生産で一般的に使用されている。
【0015】
トリアジン及び誘導体は主に、低レベル(<100ポンド毎100万標準立方フィートすなわち「ppmv/mmscf」)のHSを除去するために使用されている。接触塔を使用してこれらを適用すると、HS除去の効率を(2倍まで)高めることができるが、200ppmv/mmscfを超えるHSレベルには、アミン系のスイートニングユニットの使用が必要となる。トリアジンは、HSに加えて高レベルのCOが酸性ガスストリームに含まれる状況でも好ましい。トリアジンはH2Sと優先的に反応し、その反応はCOによって抑制されないため、不必要な化学物質の消費が回避される。また、濃縮されたサワーな排ガスストリームを収容または廃棄できない場合にも好ましい。
【0016】
2018年10月11日に公開されたUS2018/291284A1「Microparticles For Capturing Mercaptans」は、Ecolabに譲渡されている。現在放棄されているこの特許出願では、原油及び天然ガスの生産、輸送、貯蔵、及び分離、ならびに口腔衛生に関連する用途に有用な捕捉性及び防汚性のナノ粒子組成物が記載され、特許請求されている。特に、原油及び天然ガスの生産、輸送、貯蔵、及び分離、ならびに口腔衛生に関連する用途における、捕捉剤及び防汚剤としてのナノ粒子組成物を作製する方法も開示されている。
【0017】
Faeze Tari Et.Al.,「Modified and Systematic Synthesis of Zinc Oxide-Silica Composite Nanoparticles with Optimum Surface Area as a Proper H2S Sorbent」,Canadian Journal of Chemical Engineering,vol.95,No.4,1 April 2017,pages 737-743には、容易かつ体系的なプロセスを介して高表面積の酸化亜鉛/シリカ複合ナノ粒子を合成するために行われた研究について記載されている。このようなナノ粒子の適用における表面積の重要性に関し、中心複合計画と組み合わせた応答曲面法(RSM-CCD)を介して、酢酸亜鉛溶液の濃度、pH、及び焼成温度を含む反応パラメータの変化により、この因子の変動が研究された。最適表面積(337m-1)及び非最適表面積(95m-1)を持つ0.1g/g(10重量%)のZnO/シリカサンプル2つの比較により、約18nmの平均直径を有する最適条件で調製されたナノ粒子が吸着剤1グラム当たり約13mgのHS吸着能力を示すことが示された。
【0018】
US5980845「Regeneration of Hydrogen Sulfide Scavengers」は、1999年11月9日に交付された。この交付済み米国特許では、高い硫化物捕捉能力を持ち、固体形成の低減または消失をもたらし、環境上の懸念を呈する化学物質の使用を回避する硫化物捕捉剤溶液及びプロセスが記載され、特許請求されている。本発明は、ある特定の捕捉剤溶液が硫化水素及びメルカプタンなどの硫化物と反応するときに遊離するアミン、炭酸アミン、またはアミンの他の誘導体と反応させる目的で、ジアルデヒド、好ましくはエタンジアールを利用する。アミンを遊離させることが発見された捕捉剤溶液は、アミンとアルデヒドとの間の反応によって形成されるものである。
【0019】
US2013/004393「Synergistic Method for Enhanced H2S/Mercaptan Scavenging」は、米国特許第9,463,989号B2として2016年10月11日に交付された。この特許では、ジアルデヒド(例えばグリオキサール)及び窒素含有捕捉剤(例えばトリアジン)を使用して、硫化水素(HS)及び/またはメルカプタンを含む媒体に別々に注入して、そこからHS及び/またはメルカプタンを捕捉すると、ジアルデヒド及び窒素含有捕捉剤の総量は同じだがジアルデヒドまたは窒素含有捕捉剤を単独で使用した場合の使用と比べて、相乗的により良い反応速度及び全体的な捕捉効率すなわち容量がもたらされることが記載され、特許請求されている。媒体には、水相、気相、炭化水素相、ならびに気相及び/または炭化水素相と水相との混合物が含まれ得る。
【0020】
US2009/065445A1、「Aromatic Imine Compounds for use as Sulfide Scavengers」は、米国特許第7,985,881号B2として2011年7月26に交付された。この特許では、芳香族イミン化合物に関する組成物及び方法、ならびにそれらの使用方法が記載され、特許請求されている。この化合物は、芳香族アルデヒド及びアミノまたはアミノ誘導体から形成される。この化合物及びその誘導体は、例えば、水及び石油生成物の両方に使用するための硫化水素及びメルカプタン捕捉剤として有用である。
【0021】
US2018/345212、「Architectured Materials as Additives to Reduce or Inhibit Solid Formation and Scale Deposition and Improve Hydrogen Sulfide Scavenging」は、2018年12月6日に公開された。この特許出願では、単独で、あるいはアルデヒド系、トリアジン系、及び/または金属系の硫化水素捕捉剤と併せて使用され得る星型ポリマー、超分岐ポリマー、及びデンドリマーなどの構造化された材料から構成された添加物を、水流または炭化水素流に導入することを含む、炭化水素流もしくは水流から硫化水素を捕捉する、及び/または固体もしくはスケールの形成を低減もしくは抑制する方法が記載され、特許請求されている。硫化水素を含む流体と、硫化水素を捕捉する、または星型ポリマー、超分岐ポリマー、及びデンドリマーなどの構造化された材料で構成された固体及びスケールの形成を低減もしくは抑制するための添加物とを含む、処理された流体。この流体は、アルデヒド系、トリアジン系、及び/または金属系の硫化水素捕捉剤をさらに含み得る。
【0022】
Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol 435,(著作権)Materials Research Societyで発表されたL.Chu et al,「Glycidoxypropyltrimethoxysilane Modified Colloidal Silica Coatings」には、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)及びポリアミン硬化剤を含むコロイダルシリカ粒子の懸濁液からのコーティングの調製が記載されている。GPSはまず、混合を増進するために、エタノール(30重量%)を含む含水シリカ懸濁液に添加された。塩基性シリカ懸濁液へのGPSの添加は、シランモノマー及びオリゴマーの間の縮合に有利に働き、沈降をもたらした。対照的に、酸性条件では、ATR-FTIRによって追跡した場合、シランがシリカに吸着する縮合が減速した。GPS添加及びエイジングの後、懸濁液のpHが上昇し、ポリアミンが添加され、ポリエステルウェブ上にコーティングが調製された。GPS修飾を施したコーティングは、未修飾のシリカコーティングよりも密度が高く、より良好にポリマー基質に接着し、より厚くすることができた。
【0023】
「Surface Chemical and hermodynamic Properties of γglycidoxy-propyltrimethoxysilane-treated alumina:an XPS and IGC study」,Chehimi et al,J.Mat. Chem.,2001,11,533-543,(著作権)The Royal Society of Chemistry 200では、アルミナ及び水和アルミナを水溶液中の加水分解γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)で処理したことが記載されている。その後、粉末を室温から120℃までの範囲の様々な温度で乾燥させた。ヒドロキシル部位を作るために使用された水和処理がGPS吸着に関して効率的であることが分かった。GPSの取り込みは定量的XPS分析によって決定され、水和粉末は室温を除くすべての乾燥温度で最も高い取り込みを呈した。
【発明の概要】
【0024】
特許請求される本発明の第1の態様は、ストリームからHSを除去する方法であって、
a)1つ以上の含水酸性シリカナノ粒子組成物、及び
b)1つ以上のトリアジン化合物
を加えるステップを含み、
ストリームが、油ストリーム、ガスストリーム、CO点源浄化ストリーム、及び地熱エネルギーシステムストリームからなる群から選択される、方法である。
【0025】
特許請求される本発明の第2の態様は、存在するトリアジンの1つがヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(ヒドロキシエチル)-s-トリアジンである、本発明の第1の態様の方法である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この特許出願の目的上、シリカナノ粒子には、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、及びシリカ-アルミナナノ粒子が含まれる。
【0027】
シリカナノ粒子は、以下のような、あらゆる形態の沈降したSiOから供給される。
a)乾燥シリカ、
b)ヒュームドシリカ、
c)コロイダルシリカ、
d)オルガノシランと反応したシリカを含む、表面処理されたシリカ、
e)金属または金属酸化物とシリカの組み合わせ、及び
f)沈降シリカ。
【0028】
コロイダルシリカの表面を修飾する公知の方法には、次のようなものがある。
1.シリカ以外の無機酸化物の共有結合。
2.小分子、オリゴマー、またはポリマー有機材料(PEG処理、アミンまたはポリアミン、硫化物など)の非共有結合。
3.オリゴマー種及びポリマー種を含む有機分子の共有結合:
a.オルガノシラン/チタン酸塩/ジルコン酸塩/ゲルミン酸塩(germinate)との反応。
b.オルガノシラン/チタン酸塩/ジルコン酸塩/ゲルミン酸塩オリゴマーの形成後の、コロイダルシリカ表面とのこれらの反応。
c.コロイダルシリカ表面から始まるオリゴマー/樹枝状/超分岐/ポリマー種のシラン処理後の反応後形成。
d.オリゴマー/樹枝状/超分岐/ポリマーシラン/ジルコン酸塩/チタン酸塩の形成と、それに続くSiO表面への反応。
【0029】
コロイダルシリカに含まれるシリカ粒子は、任意の好適な平均直径を有し得る。本明細書で使用される場合、シリカ粒子の平均直径は、シリカ粒子の平均最大断面寸法を指す。ある実施形態において、シリカ粒子は、約0.1nm~約100nmの平均直径を有し得る。ある実施形態において、シリカ粒子は、約1nm~約100nmの平均直径を有し得る。ある実施形態において、シリカ粒子は、約5nm~約100nmの平均直径を有し得る。ある実施形態において、シリカ粒子は、約1nm~約50nmの平均直径を有し得る。ある実施形態において、シリカ粒子は、約5nm~約50nmの平均直径を有し得る。ある実施形態において、シリカ粒子は、約1nm~約40nmの平均直径を有し得る。ある実施形態において、シリカ粒子は、約5nm~約40nmの平均直径を有し得る。ある実施形態において、シリカ粒子は、約1nm~約30nmの平均直径を有し得る。ある実施形態において、シリカ粒子は、約5nm~約30nmの平均直径を有し得る。ある実施形態において、シリカ粒子は、約7nm~約20nmの平均直径を有し得る。
【0030】
ある実施形態において、シリカ粒子は、約30nm以下の平均直径を有する。別の実施形態において、シリカ粒子は、約25nm以下の平均直径を有し得る。別の実施形態において、シリカ粒子は、約20nm以下の平均直径を有し得る。別の実施形態において、シリカ粒子は、約15nm以下の平均直径を有し得る。別の実施形態において、シリカ粒子は、約10nm以下の平均直径を有し得る。別の実施形態において、シリカ粒子は、約7nm以下の平均直径を有し得る。別の実施形態において、シリカ粒子は、少なくとも約5nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、シリカ粒子は、少なくとも約7nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、シリカ粒子は、少なくとも約10nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、シリカ粒子は、少なくとも約15nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、シリカ粒子は、少なくとも約20nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、シリカ粒子は、少なくとも約25nmの平均直径を有し得る。上記で言及した範囲の組み合わせも可能である。
【0031】
コロイダルシリカはフレキシブルテクノロジー媒体であり、用途に基づいてカスタマイズされた表面処理が可能である。ある実施形態において、シリカはグリシドキシプロピルトリメトキシシラン官能性シリカである。GPTMS官能化シリカには、Nissan Chemical AmericaからST-V3として入手可能なアルカリ性ゾルシリカが含まれる。別のGPTMS官能化シリカは、Nissan Chemical AmericaからST-OV3として入手可能な酸性タイプのシリカゾルである。
【0032】
H2Sユニット当たりに使用されるシリカナノ粒子の量は次のとおりである:ある実施形態では、H2S 3ユニット当たりシリカナノ粒子1ユニット、別の実施形態では、H2S 5ユニット当たりシリカナノ粒子1ユニット、別の実施形態では、H2S 10ユニット当たりシリカナノ粒子1ユニット。
【0033】
アルミナナノ粒子は、以下のような、あらゆる形態の沈降したAlから供給される。
a)乾燥アルミナ、
b)ヒュームドアルミナ、
c)コロイダルアルミナ、
d)オルガノシランと反応したアルミナを含む、表面処理されたアルミナ、
e)金属または金属酸化物とアルミナの組み合わせ、及び
f)沈降アルミナ。
【0034】
コロイダルアルミナの表面を修飾する公知の方法には、次のようなものがある。
1.アルミナ以外の無機酸化物の共有結合。
2.小分子、オリゴマー、またはポリマー有機材料(PEG処理、アミンまたはポリアミン、硫化物など)の非共有結合。
3.オリゴマー種及びポリマー種を含む有機分子の共有結合:
a.オルガノシラン/チタン酸塩/ジルコン酸塩/ゲルミン酸塩との反応。
b.オルガノシラン/チタン酸塩/ジルコン酸塩/ゲルミン酸塩オリゴマーの形成後の、コロイダルアルミナ表面とのこれらの反応。
c.コロイダルアルミナ表面から始まるオリゴマー/樹枝状/超分岐/ポリマー種のシラン処理後の反応後形成。
d.オリゴマー/樹枝状/超分岐/ポリマーシラン/ジルコン酸塩/チタン酸塩の形成と、それに続くAl表面への反応。
【0035】
コロイダルアルミナに含まれるアルミナ粒子は、任意の好適な平均直径を有し得る。本明細書で使用される場合、アルミナ粒子の平均直径は、アルミナ粒子の平均最大断面寸法を指す。ある実施形態において、アルミナ粒子は、約0.1nm~約100nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、アルミナ粒子は、約1nm~約100nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、アルミナ粒子は、約5nm~約100nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、アルミナ粒子は、約1nm~約50nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、アルミナ粒子は、約5nm~約50nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、アルミナ粒子は、約1nm~約40nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、アルミナ粒子は、約5nm~約40nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、アルミナ粒子は、約1nm~約30nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、アルミナ粒子は、約5nm~約30nmの平均直径を有し得る。別の実施形態において、アルミナ粒子は、約7nm~約20nmの平均直径を有し得る。
【0036】
ある実施形態において、アルミナ粒子は、約30nm以下の平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、約25nm以下の平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、約20nm以下の平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、約15nm以下の平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、約10nm以下の平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、約7nm以下の平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、少なくとも約5nmの平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、少なくとも約7nmの平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、少なくとも約10nmの平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、少なくとも約15nmの平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、少なくとも約20nmの平均直径を有する。ある実施形態において、アルミナ粒子は、少なくとも約25nmの平均直径を有する。上記で言及した範囲の組み合わせも可能である。
【0037】
コロイダルアルミナはフレキシブルテクノロジー媒体であり、用途に基づいてカスタマイズされた表面処理が可能である。ある実施形態において、アルミナはGPTMS官能性アルミナである。グリシドキシプロピルトリメトキシシラン官能性アルミナには、Nissan Chemical AmericaからAT-V6として入手可能なアルカリ性ゾルシリカが含まれる。別のGPTMS官能化アルミナは、Nissan Chemical AmericaからAT-OV6として入手可能な酸性タイプのシリカゾルである。
【0038】
H2Sユニット当たりに使用されるアルミナナノ粒子の量は次のとおりである:H2S 3ユニット当たりアルミナナノ粒子1ユニット、別の実施形態では、H2S 5ユニット当たりアルミナナノ粒子1ユニット、別の実施形態では、H2S 10ユニット当たりアルミナナノ粒子1ユニット。
【0039】
ナノ粒子のいくつかの例には、球形の粒子、溶融シリカもしくは溶融アルミナなどの溶融粒子、またはラズベリー型の形態を形成するようにオートクレーブ内で成長させた粒子、または細長いシリカ粒子が含まれ得る。これらの粒子は裸であるか、または表面処理されている。表面処理される場合、極性でも非極性でもよい。
【0040】
表面処理は、HS吸着剤が必要とされる領域への輸送中及び送達のためにナノ粒子を安定にするのに十分である。安定性は、共有結合性相互作用、電荷間相互作用、双極子間相互作用、または電荷-双極子間相互作用によって達成される。
【0041】
特許請求される本発明において有用なトリアジンは、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、及び1,3,5-トリアジン(別名s-トリアジン)を含むが、これらに限定されない。特許請求される本発明において有用なトリアジンには、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(ヒドロキシエチル)-s-トリアジンが含まれる。
【0042】
トリアジンはアルカリ性であり、炭酸塩スケーリングを引き起こし得る。トリアジンは市販されている。
【0043】
トリアジンは、H2S 3ユニット当たり約0.1ユニットから約1ユニットのレベルでプロセス中に存在し得る。ユニットは、グラム、ポンド、モルなどのような、あらゆる定量的測度を意味し得る。
【0044】
CO点源浄化については、“Evaluation of CO Purification Requirements and the Selection of Processes for Impurities Deep Removal from the CO Product Stream”, Zeina Abbas et al, Energy Procedia,Volume 37,2013,Pages 2389-2396に記載されている。基準の発電所、燃料の種類、及び使用される捕集方法に応じて、CO生成物ストリームには、パイプライン輸送、地中貯蔵、及び/または原油増進回収(EOR)用途に悪影響を与え得るいくつかの不純物が含まれる。すべての悪影響について、各用途で厳しい品質基準を設定し、COストリームをこれらの用途のいずれかに供する前に浄化する必要がある。
【0045】
Abbasの論文では、COストリームの仕様と、従来の燃焼後捕集技術からの不純物とが評価されている。さらに、パイプライン輸送、EOR、及び地中貯蔵のためのCO制限浄化要件が評価されている。COストリームに存在する不純物のレベルとその制限目標とを比較すると、運用上の懸念により徹底的な除去が必要となる2つの主要な不純物が、それぞれ300ppmv~10ppmv及び7.3%~50ppmvの酸素及び水であることが分かった。さらに、酸素及び水を除去するための妥当な技術のリストが検討され、その後、最も有望な技術の選択が行われる。水素の接触酸化ならびに冷却及び凝縮が、それぞれ酸素及び水を除去するための最も有望な技術であることが分かった。
【0046】
「地熱エネルギーシステムストリーム」は次のように説明される。
・ 温水が高圧下で井戸を通して地下深くから汲み上げられる。
・ 水が地表に達すると圧力が下がり、それによって水が蒸気に変わる。
・ この蒸気が、電気を生成する発電機に接続されたタービンを回転させる。
・ 蒸気は冷却塔で冷却され、凝縮して水に戻る。
【実施例
【0047】
材料:
Stepanquat 200は、Stepan Corpから市販されているヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(ヒドロキシエチル)-s-トリアジンの78.5%活性溶液である。
【0048】
ST-O40、ST-30、ST-OV4、PGM-ST、ST-C、ST-V3、及びMT-STは、Nissan Chemical America Corporationから市販されているコロイダルシリカ製品である。
【0049】
オルガノシラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒、NaHCO、CuCl-HO、及びグリオキサールは、Sigma Aldrich Corpから購入した。
【0050】
合成例1:Nissan Chemical America Corporationの1000mLのSnowtex(登録商標)ST-30(含水アルカリ性コロイダルシリカ分散体、30重量%のSiO固形分、10~15の粒径中央値)を、添加漏斗、温度計、電圧調整器に接続された加熱マントル、及び直径2インチの三方弁混合ブレードを備えたミキサーが取り付けられた2000mLの4口ガラス反応器に入れた。混合を150rpmで始動し、シリカゾルを50℃にした。49.98gのアミノエチルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(CAS#35141-30-1、Sigma-Aldrich)を秤量して添加漏斗に入れた。添加漏斗を反応器の頂部に取り付け、シランを1秒当たり2滴の滴下速度で撹拌しているシリカゾルにゆっくりと加えた。すべてのオルガノシランを反応物に添加した後、混合物を50℃で3時間撹拌させた。完成した表面処理済みアルカリ性シリカを、貯蔵及び使用のために2LのNalgeneボトルに注ぎ出した。
【0051】
合成例2:
1.4LのSnowtex(登録商標)O-XS(含水酸性コロイダルシリカ分散体、10重量%コロイダルシリカ粒径中央値5nm)を4口反応釜に移した。この容器に9.6Lの蒸留水も加えた。塩化銅(II)無水物(CuCl-HO、Sigma Aldrich)13.87gを反応フラスコに加え、軽く撹拌しながら室温で溶解させた。NaHCO(Sigma Aldrich ACS試薬グレード、≧99.7%)のストック溶液(「溶液A」)を調製した(12.6Lの蒸留水に溶解した47.04gのNaHCO、最終濃度0.04M)。反応容器内の撹拌速度を9500rpmに増加させて、激しい撹拌を達成した。溶液Aを添加漏斗によって反応物に毎分10~15mLでゆっくりと加えた。溶液Aを完全に添加した後、反応物を室温で30分間撹拌させ、内容物を貯蔵及び使用のために取り出した。
【0052】
合成例3:
Snowtex(登録商標)PGM-ST(酸性コロイダルシリカの溶媒分散体、プロピレングリコールモノメチルエーテル中に分散した30重量%のSiO2粒径中央値10~15nm)450gを1000mLの4口反応フラスコに入れた。合成例1と同様に、反応器にミキサー、温度計、及び加熱マントル/電圧調整器を取り付けた。4.05gの3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Sigma Aldrich)を添加漏斗に加え、反応器に取り付けた。PGM-STを穏やかに撹拌しながら50℃にし、メルカプトプロピルトリメトキシシランを添加漏斗によって添加が完了するまで1滴/秒で滴加した。反応物を3時間50℃に保ち、次いで表面処理したシリカゾルを貯蔵及び使用のためにNalgene容器に注ぎ出した。
【0053】
実施例1、比較:
1000mLのNalgeneボトルに、300gの蒸留水、300gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(「PGM」)溶媒、及び300gのStepanquat 200を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0054】
実施例2:
1000mLのNalgeneボトルに、300gの蒸留水、300gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒、及び300gの合成例1の流体を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0055】
実施例3、比較:
1000mLのNalgeneボトルに、700gの蒸留水、及び300gのStepanquat 200を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0056】
実施例4:
1000mLのNalgeneボトルに、300gの蒸留水、300gのST-O40(Nissan Chemical America Corporationから入手可能な含水酸性コロイダルシリカ)、及び300gのStepanquat 200を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0057】
実施例5:
1000mLのNalgeneボトルに、300gの蒸留水、300gの合成例2の流体、及び300gのStepanquat 200を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0058】
実施例6:
1000mLのNalgeneボトルに、300gの蒸留水、300gのST-OV4(Nissan Chemical America Corporationから入手可能な含水酸性親水性表面処理コロイダルシリカ)、及び300gのStepanquat 200を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0059】
実施例7:
1000mLのNalgeneボトルに、300gの蒸留水、300gの合成例3の流体、及び300gのStepanquat 200を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0060】
実施例8:
1000mLのNalgeneボトルに、375gのグリオキサール水溶液(Sigma Aldrich、37.5重量%)及び625gのST-C(Nissan Chemical America Corporationから入手可能な酸化アルミニウムで部分的に表面処理された含水アルカリ性コロイダルシリカ分散体)を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0061】
実施例9:
1000mLのNalgeneボトルに、375gのグリオキサール水溶液(Sigma Aldrich、37.5重量%)及び625gのST-O40(Nissan Chemical America Corporationから入手可能な含水酸性コロイダルシリカ分散体)を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0062】
実施例10:
1000mLのNalgeneボトルに、375gのグリオキサール水溶液(Sigma Aldrich、37.5重量%)及び625gのST-V3(Nissan Chemical America Corporationから入手可能な含水アルカリ性親水性表面処理コロイダルシリカ分散体)を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0063】
実施例11:
1000mLのNalgeneボトルに、375gのグリオキサール水溶液(Sigma Aldrich、37.5重量%)及び625gのMT-ST(Nissan Chemical America Corporationから入手可能な、メタノールに分散させた、SiO2 30重量%、粒径中央値10~15nmの溶媒系酸性コロイダルシリカ)を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0064】
実施例12:比較
1000mLのNalgeneボトルに、375gのグリオキサール水溶液(Sigma Aldrich、37.5重量%)及び625gの蒸留水を入れた。容器を30秒間激しく振盪することにより、内容物を十分に混合した。
【0065】
MEAトリアジンは、すべての発明例及び比較例で一定の濃度に保った。同様に、グリオキサールの濃度は、すべての発明例及び比較例で一定に保った。
【0066】
H2S除去試験
試験した各溶液を総溶液300gで重量平衡にし、オーバーヘッドポートを備えた容器に入れて容器ヘッドスペース内のHS含有量を測定した。ヘッドスペースポートは、Drager Pac(登録商標)3500ガスモニター(Dragerwerk AG&Co.KGaA)に接続した。10%HS/90%窒素の混合ガスを標準速度475mL/分で試験溶液にバブリングし、溶液を22℃に保ち、ヘッドスペースのHS含有量をモニターした。読み取り値0は、ガスが試験溶液を通過した後、センサーが流動ガスストリーム中のHSを検出していないことを意味する。容器ヘッドスペースのHS含有量を毎分1回継続的にモニターし、ガスモニターの読み取り値が40のHS含有量に達した時点で、HSと反応する溶液中の試験例が消費されたとみなし、実験を停止した。最初のHS読み取りまでの時間及び完全なHS破過までの時間を記録し、対照/比較例と比較した。
【0067】
結果の概要
列挙されている分数は、検出器がH2Sについて「0」の値を検出した時間の長さを示す。この表は、H2Sの除去に関して最高の性能から最低の性能へと順序付けされている。
【表1】
【0068】
実施例に関する所見:
1. 実施例1:これは、水とPGM溶媒との混合物に溶解したMEAトリアジンを用いたトリアジン対照/比較例である。この実施例は非常に良好な性能を示し、水に溶解した同じ濃度のMEAトリアジン単独よりもはるかに優れていた。これに拘束される意図はないが、PGMがトリアジン+H2S反応において実際に非常に有益である可能性があると考えられる。
【0069】
2. 実施例2(トリアジンと組み合わせたアミン官能性SiO2)は、比較例と比較して非常に良好な性能を示し、初期H2S破過までの時間及び最終破過までの時間(H2S読み取り値が、サンプルの上部のヘッドスペースで40%のレベルに達したとき)が改善/遅延した。
【0070】
3. 実施例3はトリアジン+水の対照であり、これらの時間をすべてのトリアジン+ナノシリカの実施例に対して比較して使用した。実施例3は、サワーガス処理用のMEAトリアジン流体の標準フィールドグレード流体を例示する。
【0071】
4. 実施例4(ST-O40、含水酸性シリカ+トリアジン)は、すべてのトリアジン+ナノシリカの実施例の中で最も優れた性能を示した。これに拘束される意図はないが、酸性シリカ表面の固体酸性度がおそらくトリアジン+H2S反応をより完全にする触媒として作用し、初期H2S破過及び完全なH2S破過までの時間を大幅に改善/遅延させると考えられる。
【0072】
5. 実施例5(銅官能化ナノシリカ+トリアジン)は、初期H2S破過及び完全なH2S破過までの時間の改善/遅延において比較的良好な性能を示した。この実施例は、遷移金属官能性シリカの唯一の実施例である(実施例8に存在するアルミニウムは「ポスト遷移金属」であるため、真の遷移金属とはみなされないことに留意されたい)。
【0073】
6. 実施例6(ST-OV4+トリアジン)は、親水性有機表面処理で官能化された含水酸性シリカであり、Nissan Chemical Americaから市販されている。この実施例は、対照(実施例3)と比較して、H2S初期破過までの時間はわずかに悪かったが、完全なH2S破過までの時間は大幅に改善された。
【0074】
7. 実施例7(PGM+トリアジンに分散されたメルカプト官能性ナノシリカ)では、初期H2S破過までの時間がわずかに改善され、完全なH2S破過までの時間が大幅に改善された。これに拘束される意図はないが、メルカプト表面官能基はトリアジン+H2S反応におけるポリマー形成を妨害し得ると考えられる。
【0075】
8. 実施例8は、グリオキサールと組み合わせたST-C(酸化アルミニウム表面を有する含水アルカリ性コロイダルシリカ)である。グリオキサール単独と比較して、ST-C+グリオキサールのこの組み合わせは、初期H2S破過までの時間と完全なH2S破過までの時間との両方において劇的な改善を示した。グリオキサール+ナノシリカの実施例は比較的良好な性能を示した。実施例8に存在するアルミニウムは「ポスト遷移金属」であるため、真の遷移金属とはみなされないことに留意されたい。
【0076】
9. 実施例9(ST-O40+グリオキサール)は、グリオキサール単独よりもはるかに優れた性能を示した。
【0077】
10. 実施例10(ST-V3、親水性有機表面処理を施した含水アルカリ性シリカ+グリオキサール)は、グリオキサール単独と比較して非常に良好な性能を示した。
【0078】
11. 実施例11(メタノールに分散した酸性シリカ)は良好な性能を示さず、この実施例はすべての中で最悪の結果をもたらした。これに拘束される意図はないが、MT-STは、H2SJとの反応からグリオキサールを完全に不活性化したと考えられる。
【0079】
12. 実施例12は、グリオキサール及び水のみの溶液であり、ナノテクノロジーを加えていない比較例である。
【国際調査報告】