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特表2024-510136小RAの幅の狭いベースの改変二重磁気トンネル接合構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】小RAの幅の狭いベースの改変二重磁気トンネル接合構造体
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20240228BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20240228BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553620
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 EP2022054680
(87)【国際公開番号】W WO2022194510
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】17/204,403
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ワーレッジ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フー、グオハン
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA05
4M119BB01
4M119CC05
4M119DD06
4M119DD10
4M119DD17
4M119JJ03
4M119JJ04
4M119JJ13
4M119JJ15
5F092AA12
5F092AB07
5F092AD04
5F092AD25
5F092BB23
5F092BB35
5F092BB36
5F092BB43
5F092BC03
5F092BC04
5F092BC12
5F092CA02
5F092CA03
5F092CA09
(57)【要約】
幅の狭いベースと、スピン拡散層との界面を形成するトンネル・バリア層の抵抗面積積(RA)を小さくするスピン拡散層(すなわち非磁性スピン伝導金属層)の使用とを含む、改変二重磁気トンネル接合(mDMTJ)構造体が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変二重磁気トンネル接合(mDMTJ)構造体であって、
第1の磁気参照層と、
前記第1の磁気参照層の表面に接触する第1の表面を有する第1のトンネル・バリア層と、
前記第1のトンネル・バリア層の前記第1の表面とは反対側の前記第1のトンネル・バリア層の第2の表面に接触する第1の表面を有する非磁性スピン伝導金属層と、
前記非磁性スピン伝導金属層の前記第1の表面とは反対側の前記非磁性スピン伝導金属層の第2の表面に接触する第1の表面を有する磁気自由層と、
前記磁気自由層の前記第1の表面とは反対側の前記磁気自由層の第2の表面に接触する第1の表面を有する第2のトンネル・バリア層と、
前記第2のトンネル・バリア層の前記第1の表面とは反対側の前記第2のトンネル・バリア層の第2の表面に接触する第1の表面を有する第2の磁気参照層と
を備え、前記第1のトンネル・バリア層が第1の抵抗面積積RAを有し、前記第2のトンネル・バリア層が第2のRAを有し、前記第1のRAが大きくとも前記第2のRAの5分の1未満である、mDMTJ構造体。
【請求項2】
前記第1のRAが1オーム・ミクロン以下である、請求項1に記載のmDMTJ構造体。
【請求項3】
前記非磁性スピン伝導金属層が、前記第1のトンネル・バリア層に対して1オーム・ミクロン未満の小さいRAを与え、その上さらにスピン・トルクを供給する、請求項1に記載のmDMTJ構造体。
【請求項4】
前記第1のトンネル・バリア層は酸化マグネシウム(MgO)で構成され、前記非磁性スピン伝導金属層が銅(Cu)で、または他の元素を1%未満含む銅(Cu)を主体として構成される、請求項1に記載のmDMTJ構造体。
【請求項5】
前記銅がFCC111テクスチャを有する、請求項4に記載のmDMTJ構造体。
【請求項6】
前記第1のトンネル・バリア層はMgOで構成され、前記非磁性スピン伝導金属層が、1原子%未満の窒化物含有量を有する窒化銅(CuN)合金、または20原子%未満のホウ素含有量を有する銅ホウ素(CuB)合金で構成される、請求項1に記載のmDMTJ構造体。
【請求項7】
前記第1の磁気参照層は前記mDMTJ構造体の最下部に位置し、前記第2の磁気参照層が前記mDMTJ構造体の最上部に位置する、請求項1に記載のmDMTJ構造体。
【請求項8】
前記第1の磁気参照層と前記第2の磁気参照層の少なくとも一方が、下側磁気参照層と、反強磁性カップリング層と、上側磁気参照層とを備える、請求項7に記載のmDMTJ構造体。
【請求項9】
前記第1の磁気参照層、前記第1のトンネル・バリア層、前記非磁性スピン伝導金属層、前記磁気自由層、前記第2のトンネル・バリア層、および前記第2の磁気参照層が、同じ横方向寸法を有する、請求項7に記載のmDMTJ構造体。
【請求項10】
前記第2の磁気参照層は前記mDMTJ構造体の最下部に位置し、前記第1の磁気参照層が前記mDMTJ構造体の最上部に位置する、請求項1に記載のmDMTJ構造体。
【請求項11】
前記第1の磁気参照層と前記第2の磁気参照層の少なくとも一方は、下側磁気参照層と、反強磁性カップリング層と、上側磁気参照層とを備える、請求項10に記載のmDMTJ構造体。
【請求項12】
前記第1の磁気参照層、前記第1のトンネル・バリア層、前記非磁性スピン伝導金属層、前記磁気自由層、前記第2のトンネル・バリア層、および前記第2の磁気参照層が、同じ横方向寸法を有する、請求項10に記載のmDMTJ構造体。
【請求項13】
スピン伝達トルク(STT)磁気トンネル接合(MTJ)メモリ要素であって、
第1の電極と第2の電極との間に挟まれた、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の改変二重磁気トンネル接合(mDMTJ)構造体を含む、STT MTJメモリ要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM:magnetoresistive random access memory)に関する。より詳細には、本発明は、スピン伝達トルク(STT:spin-transfer torque)MRAMの性能を向上させ、半導体技術(CMOS(complementary metaloxide semiconductor)技術など)のバックエンド(BEOL:back-end-of-the-line)処理に統合され得る改変二重磁気トンネル接合(mDMTJ:modified double magnetic tunnel junction)構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
MRAMは、データを磁気記憶要素によって記憶する不揮発性ランダム・アクセス・メモリ技術である。これらの要素は、通常、各々が磁化を保持することができる、薄い誘電体層(すなわちトンネル・バリア層)によって分離された2枚の強磁性体プレートから形成されている。2枚のプレートの一方(すなわち磁気参照層または磁気ピン止め層)は磁気モーメントの向きが特定の向きに固定された磁石であり、もう一方のプレート(すなわち磁気自由層)の磁化は少なくとも2つの異なる向きに変えることができ、メモリ用途のための0と1などの異なるデジタル状態を表現する。MRAMでは、このような要素は磁気トンネル接合(MTJ:magnetic tunnel junction)構造体と呼ばれることがある。図1は、磁気参照層12と、トンネル・バリア層14と、磁気自由層16とを含む、先行技術のMTJ構造体10を示す。磁気参照層12に示す唯一の矢印はその層の可能な向きを示し、磁気自由層16に示された2つの矢印はその層における向きがスイッチされ得ることを示す。
【0003】
図1のMTJ構造体10では、磁気参照層12の磁化は1つの向きに固定されている(例えば上を向いている)が、磁気自由層16の向きは、磁場または電荷電流を発生させるスピン伝達トルクなどの何らかの外力によって「スイッチ」され得る。小さい電流(いずれかの極性の)を用いてデバイスの抵抗を読み取ることができ、これは磁気自由層16と磁気参照層12の磁化の相対的な向きに依存する。抵抗は典型的には、磁化が逆平行であるときに高く、平行であるときに小さくなる(ただし、材料によっては逆転することがある)。
【0004】
図1に示すMTJ構造体10を使用することができるMRAMの1つのタイプは、STT MRAMである。STT MRAMは、磁界を利用して有値要素を反転させる従来のMRAMより、低消費電力でスケーラビリティに優れるという利点を有する。STT MRAMでは、スピン伝達トルクを利用して磁気自由層の向きを反転(スイッチ)させる。STT MRAMデバイスでは、MTJ構造体を通過する電流を用いて、MTJメモリ要素のビット状態をスイッチ、すなわち「書き込む」。MTJ構造体中を下向きに通過する電流は、磁気自由層16を磁気参照層12と平行にするが、MTJ構造体中を上向きに通過する電流は、磁気自由層16を磁気参照層12と逆平行にする。
【0005】
STT MRAMでは、メモリの面積密度を向上させるために、小さいトランジスタの大きさに合わせてスイッチング電流を低減することが求められている。スイッチング電流を約2分の1に低減する1つの方法は、図2に示すような二重磁気トンネル接合(DMTJ:double magnetic tunnel junction)構造体20の概念である。図2のDMTJ構造体20は、第1の磁気参照層22と、第1のトンネル・バリア層24と、磁気自由層26と、第2のトンネル・バリア層28と、第2の磁気参照層30とを含む。第1の磁気参照層22および第2の磁気参照層30の各々に示す唯一の矢印はその層の可能な向きを示し、磁気自由層26の2つの矢印はその層における向きがスイッチされ得ることを示す。図2に示すDMTJ構造体の1つの欠点は、スイッチング電流を減少させるとともに、トンネル磁気抵抗(TMR:tunnel magnetoresistance)も低減させ、デバイスの効率的な読み出しを阻害することである。
【0006】
したがって、DMTJ構造体が、(小電流時の)効率的なスイッチングおよび迅速な読み出し(高TMR)を示すように、構造体内のTMRの低下を抑えながらスイッチング電流を低減させたDMTJ構造体を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
幅の狭いベース、およびスピン拡散層との界面を形成するトンネル・バリア層に対して小さい抵抗面積積(RA:resistance-area product)を与えるスピン拡散層(すなわち、非磁性スピン伝導金属層)の使用を含む、改変二重磁気トンネル接合(mDMTJ)構造体が提供される。「幅の狭いベース」は、接合部の直径が、接合部の下部と接合部の上部とでほぼ同じであることを意味する。「小さいRA」は、1オーム・ミクロン以下のRAを意味する。本発明のmDMTJ構造体は、効率的なスイッチング(小電流)と迅速な読み出し(高TMR)とを示す。「小電流」とは、同程度のエラーのない書き込みを達成するために、典型的な単一のMTJデバイスによって必要とされる電流よりも小さい電流を意味する。いくつかの実施形態では、小電流は、20~50μAに達するか、またはそれ未満であり得る。「高TMR」とは、典型的なDMTJデバイスが達成するよりも高い値のトンネル磁気抵抗を意味する。いくつかの実施形態では、高いTMRは100~200%に達するか、またはそれを上回り得る。
【0008】
本発明の一態様では、効率的なスイッチングと迅速な読み出しとを示すmDMTJ構造体が提供される。一実施形態において、mDMTJ構造体は、第1の磁気参照層と、第1の磁気参照層の表面に接触する第1の表面を有する第1のトンネル・バリア層と、第1のトンネル・バリア層の第1の表面とは反対側の第1のトンネル・バリア層の第2の表面に接触する第1の表面を有する非磁性スピン伝導金属層(すなわち、スピン拡散層)と、非磁性スピン伝導金属層の第1の表面とは反対側の非磁性スピン伝導金属層の第2の表面に接触する第1の表面を有する磁気自由層と、磁気自由層の第1の表面とは反対側の磁気自由層の第2の表面に接触する第1の表面を有する第2のトンネル・バリア層と、第2のトンネル・バリア層の第1の表面とは反対側の第2のトンネル・バリア層の第2の表面に接触する第1の表面を有する第2の磁気参照層とを含む。本発明によれば、第1のトンネル・バリア層は第1の抵抗面積積RAを有し、第2のトンネル・バリア層は第2のRAを有し、第1のRAは大きくとも第2のRAの5分の1未満である。
【0009】
本発明の別の態様では、STT MTJメモリ要素が提供される。一実施形態において、STT MTJメモリ要素は、第1の電極と第2の電極との間に挟まれたmDMTJ構造体を含む。mDMTJ構造体は、第1の磁気参照層と、第1の磁気参照層の表面に接触する第1の表面を有する第1のトンネル・バリア層と、第1のトンネル・バリア層の第1の表面とは反対側の第1のトンネル・バリア層の第2の表面に接触する第1の表面を有する非磁性スピン伝導金属層と、非磁性スピン伝導金属層の第1の表面とは反対側の非磁性スピン伝導金属層の第2の表面に接触する第1の表面を有する磁気自由層と、磁気自由層の第1の表面とは反対側の磁気自由層の第2の表面に接触する第1の表面を有する第2のトンネル・バリア層と、第2のトンネル・バリア層の第1の表面とは反対側の第2のトンネル・バリア層の第2の表面に接触する第1の表面を有する第2の磁気参照層とを含む。本発明によれば、第1のトンネル・バリア層は第1の抵抗面積積RAを有し、第2のトンネル・バリア層は第2のRAを有し、第1のRAは大きくとも第2のRAの5分の1未満である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】先行技術のMTJ構造体の断面図である。
図2】先行技術のDMTJ構造体の断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるmDMTJ構造体の断面図である。
図4図3に示す、第1の磁気参照層および第2の磁気参照層の一方または両方に採用され得る磁気参照層の断面図であり、この磁気参照層は、下部磁気参照層と、合成反強磁性カップリング層と、上部磁気参照層とを含み、かかる用途において、図3に示す参照層のモーメントの向きは、トンネル・バリアに接触する1層の合成反強磁性カップリング層のモーメントの向きに一致する。
図5】本発明の一実施形態によるmDMTJ構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、以下の議論および添付の図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。図面は例示を目的としてのみ与えられ、そのため、図面は正確な比率で描かれていないことに留意されたい。類似の対応する要素は、類似の参照番号で参照されることにも留意されたい。
【0012】
本発明の様々な実施形態の理解を可能にするために、以下の説明において、特定の構造体、構成要素、材料、寸法、処理ステップおよび技術などを多数、具体的に詳述する。しかしながら、本発明の様々な実施形態は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることが、当業者には理解されよう。他の例では、本発明を不明瞭にすることを避けるために、よく知られた構造または処理ステップを詳細には記述しない。
【0013】
層、領域、または基板としての要素が別の要素の「上に(on)」または「上に(over)」あると表される場合、その要素は別の要素の上に直接あることができ、または介在要素も存在し得ることは理解されよう。一方、ある要素が別の要素の「直接上に(directly on)」または「直接上に(directly over)」あると表される場合、介在する要素は存在しない。また、ある要素が別の要素の「下に(beneath)」または「下に(under)」あると表される場合、別の要素の直接下に(directly beneath)または直接下に(directly under)あることもあれば、介在する要素が存在することもあることは理解されよう。一方、ある要素が別の要素の「直接下に(directly beneath)」または「直接下に(directly under)」あると表される場合、介在する要素は存在しない。
【0014】
米国特許出願第16/671,995号は、2つのトンネル・バリア層と2つの磁気参照層とを含むmDMTJ構造体を提供する。このmDMTJ構造体は、磁気自由層に上下両方の界面からスピン・トルクがかかるため、スイッチング電流が単一トンネル接合デバイスよりも小さい。第1のトンネル・バリア層の寄生抵抗を低減する(磁気抵抗を低減する)ためには、第1のトンネル・バリア層は第2のトンネル・バリア層よりも広くされる。米国特許出願第16/671,995号の図5A図5B図7Aおよび図7Bを参照されたい。「よりも広く」とは、第1のトンネル・バリアの直径が第2のトンネル・バリアの直径の2~4倍であることを意味する。スピン拡散層は、非磁性スピン伝導金属であり、第1のトンネル・バリア層をトンネルしたスピンを集め、磁気自由層まで輸送するために使用される。スピン拡散層により、磁気自由層を小面積(したがって小さいスイッチング電流)に保ちながら、第1のトンネル・バリア層は大面積(したがって低抵抗)にすることが可能になる。
【0015】
本発明は、上記で定義したような幅の狭いベースを含むmDMTJ構造体、および非磁性スピン伝導金属層との界面を形成するトンネル・バリア層(すなわち、第1のトンネル・バリア層)に対して上記で定義したような小さいRAを示すスピン拡散層(以下、非磁性スピン伝導金属層と呼ぶ)の使用を提供する。本発明のmDMTJ構造体は、効率的なスイッチング(上記定義による小電流)と迅速な読み出し(上記定義による高TMR)を示す。
【0016】
非磁性スピン伝導金属層材料および第1のトンネル・バリア材料は、ピンホールを着実に回避するのに十分な厚さではないトンネル・バリア厚さに対して、それらが共同で、好ましくは、上記で定義されたような1オーム・ミクロン未満の小さいRAをもたらすように選択される。例えば、MgOトンネル・バリア層の場合、ピンホールを着実に回避するためには、トンネル・バリア層の厚さは典型的には約1nm必要である。ほとんどの電極材料(ほとんどのスピン拡散層材料やCoFeBなどのほとんどの磁性材料を含む)については、この厚さはおよそ5~20オーム・ミクロンのRAを示す。しかし、いくつかの非磁性スピン伝導金属層材料(以下に定義する)には、1オーム・ミクロン未満の小さいRAを示し、その上さらにスピン・トルクを供給するものもある。この小さいRAのバリアにより幅の狭いベースを使用することが可能となり、その結果、構造体全体がほぼ同じ直径を有する。これにより、幅の広いベースの改変二重磁気トンネル接合のプロセスの複雑さを回避し、大幅にコストを削減する。
【0017】
特に、本発明は、例えば図3および図5に示すようなmDMTJ構造体100を提供する。mDMTJ構造体100は、BEOLに統合されて、STT MRAMの構成要素として使用することができる。例えば、図3および図5に示すようなmDMTJ構造体100は、第1の磁気参照層102と、第1の磁気参照層102の表面に接触する第1の表面を有する第1のトンネル・バリア層104と、第1のトンネル・バリア層104の第1の表面とは反対側の第1のトンネル・バリア層104の第2の表面に接触する第1の表面を有する非磁性スピン伝導金属層106と、非磁性スピン伝導金属層106の第1の表面とは反対側の非磁性スピン伝導金属層106の第2の表面に接触する第1の表面を有する磁気自由層108と、磁気自由層108の第1の表面とは反対側の磁気自由層108の第2の表面に接触する第1の表面を有する第2のトンネル・バリア層110と、第2のトンネル・バリア層110の第1の表面とは反対側の第2のトンネル・バリア層110の第2の表面に接触する第1の表面を有する第2の磁気参照層112とを含む。
【0018】
本発明に従って、第1のトンネル・バリア層104は第1の抵抗面積積RAを有し、第2のトンネル・バリア層110は第2のRAを有し、第1のRAは大きくとも第2のRAの5分の1未満であり、より典型的には大きくとも7分の1未満であり、さらに典型的には10分の1未満である。本発明のいくつかの実施形態では、第1のトンネル・バリア層110の第1のRAは、1オーム・ミクロン以下である。本発明の他の実施形態では、第1のトンネル・バリア層110の第1のRAは、0.1オーム・ミクロン~2オーム・ミクロンである。小さいRAにもかかわらず、第1のトンネル・バリア層104は依然として磁気自由層108にスピン・トルクを供給することに留意されたい。
【0019】
本発明のmDMTJ構造体において、非磁性スピン伝導金属層106は、スピン反転散乱寿命が長く、RAが1オーム・ミクロン未満と小さいスピン保存金属材料である。「スピン反転散乱寿命が長い」とは、電子は、電子のスピンが反転するまでに10ナノメートルより長い距離を移動することができることを意味する。非磁性スピン伝導金属層106は、第1のトンネル・バリア層104をトンネルする際に第1の磁気参照層102によって分極されたスピン流を受け取り、そのスピン流を磁気自由層108に効果的に伝達してSTT誘導スイッチングを補助する。同時に、非磁性スピン伝導金属層106は、非磁性スピン伝導金属層106と第1のトンネル・バリア層104との界面における状態密度(DOS:density-of-states)のスピン分極を0にする。その結果、第1のトンネル・バリア層104にわたる磁気抵抗が0になり、したがって、例えば図2に示すような先行技術のDMTJ構造体の悩みである磁気抵抗キャンセル効果が回避される。
【0020】
非磁性スピン伝導金属層106と第1のトンネル・バリア層104との間の界面におけるDOSスピン分極のこの低減は、第1の磁気参照層102に入り得る、磁気自由層108によって規定される分極をもつスピン流も顕著に低減させ、したがって、スピン・トルク、および磁気自由層108からの磁気参照層102のSTT関連の擾乱を低減させる。このように、mDMTJ構造体100は、効率的なスイッチング(上記定義による小電流)、迅速な読み出し(上記定義による高TMR)、および参照層(102)の磁気状態に対する潜在的擾乱(書き込みエラーの原因にもなり得る擾乱)の低減を示す。
【0021】
最初に図3を参照すると、本発明の実施形態によるmDMTJ構造体100が図示されている。図3のmDMTJ構造体100は、第1の磁気参照層102と、第1の磁気参照層102の表面に接触する第1のトンネル・バリア層104と、第1のトンネル・バリア層104の表面に接触する非磁性スピン伝導金属層106と、非磁性スピン伝導金属層106の表面に接触する磁気自由層108と、磁気自由層108の表面に接触する第2のトンネル・バリア層110と、第2のトンネル・バリア層110の表面に接触する第2の磁気参照層112とを含む。図示するように、図3のmDMTJ構造体100は、第1の電極90と第2の電極120との間に配置される。mDMTJ構造体100と、第1の電極90と、第2の電極120とは、集合的にSTT MTJメモリ要素を提供する。
【0022】
図3にも残りの図面のいずれにも描いていないが、mDMTJ構造体100は、BEOLに存在する配線誘電体材料を含む、様々な誘電体材料層中に埋め込むことができる。図3にも残りの図面のいずれにも描いていないが、MRAMを含まないデバイス領域は、図面に描かれたMRAMを含むデバイス領域の横に隣接して配置することができる。
【0023】
第1の電極90は、BEOLに存在する配線レベルのうちの1つの配線誘電体材料層中に埋め込まれた、例えば銅包含構造などの電気伝導構造の表面(リセス部でも非リセス部でも)上に存在し得る。第1の電極90は、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、RuTa、RuTaN、Co、CoWP、CoN、W、WNまたはそれらの任意の組合せで構成することができる。第1の電極90は、他のよく知られた電極材料で構成することもできる。第1の電極90は、2nm~25nmの厚さを有することができ、他の厚さも可能であり、第1の電極90の厚さとして使用することができる。第1の電極90は、例えば、スパッタリング、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)、化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)、プラズマ強化化学気相成長(PECVD:plasma enhanced chemical vapor deposition)または物理気相成長(PVD:physical vapor deposition)などの堆積プロセスによって形成することができる。エッチ・バック・プロセス、平坦化プロセス(例えば、化学的機械研磨、すなわちCMP(chemical mechanical polishing)など)、またはパターニング・プロセス(例えば、リソグラフィおよびエッチングなど)が、第1の電極90を形成する導電性材料の堆積に続き得る。
【0024】
次に、図3に示すように、mDMTJ構造体100は、第1の電極90上に形成される。図3において、第1の磁気参照層102は、mDMTJ構造体100の最下部に位置し、第2の磁気参照層112は、mDMTJ構造体100の最上部に位置している。図3において、第1の磁気参照層102、第1のトンネル・バリア層104、および非磁性スピン伝導金属層106の各々は第1の横方向寸法を有し、磁気自由層108、第2のトンネル・バリア層110、および第2の磁気参照層112の各々は第2の横方向寸法を有し、第2の横方向寸法は第1の横方向寸法と同じである。したがって、図3に示すmDMTJ構造体100中に存在する様々な層の各々は、互いに関連する、垂直に揃えられたかまたは制御された側壁傾斜で揃えられた最外側側壁を有する。
【0025】
mDMTJ構造体100の様々な材料層は、例えば、スパッタリング、プラズマ強化原子層堆積(PEALD:plasma enhanced atomic layer deposition)、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)またはマグネトロン・スパッタリングを含む物理気相成長(PVD)などの1つまたは複数の堆積プロセスを利用して形成することができる。いくつかの実施形態では、mDMTJ構造体100の様々な材料層は、様々な材料層の堆積の間に真空を破ることなく形成することができる。他の実施形態では、mDMTJ構造体100の様々な材料層は、様々な材料層の1つまたは複数の堆積の間に真空を破ることによって形成することができる。本発明のいくつかの実施形態では、非磁性スピン伝導金属層106の下側部分が形成され、その後に非磁性スピン伝導金属層106の上側部分が形成されるように、非磁性スピン伝導金属層106は別々の堆積ステップで形成される。非磁性スピン伝導金属層106の上側部分と下側部分は、同じ非磁性スピン導電性金属材料で構成されている。非磁性スピン伝導金属層106が存在することによって、同一材料金属界面が、高温(400℃など)のアニーリングによってより容易に「修復」され、界面に関連する欠陥の影響が最小化されるため、その材料層の形成の途中で真空を破ることが実行可能になる。
【0026】
第1の磁気参照層102は固定磁化を有する。第1の磁気参照層102は、トンネル・バリア界面で大きいスピン分極を示す、金属あるいは1つまたは複数の金属を含む金属合金(またはその積層体)で構成することができる。他の実施形態では、第1の磁気参照層102の形成のための例示的な金属は、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、ホウ素、またはマンガンを含む。例示的な金属合金は、上記で例示した金属を含み得る。別の実施形態では、第1の磁気参照層102は、(1)上述の金属を用いた、金属または金属合金あるいはその組合せで形成されたスピン分極の大きい領域と、(2)強い垂直磁気異方性(強いPMA(perpendicular magnetic anisotropy))を示す、1つまたは複数の材料で構成された領域とを有する多層配置であり得る。使用することができる強いPMAの例示的材料は、コバルト、ニッケル、プラチナ、パラジウム、イリジウム、ルテニウムなどの金属を含み、交互層として配置することができる。強PMA領域は、強い固有のまたはバルクの(界面とは異なる)PMAを示す合金も含むことができ、例示的な合金は、コバルト-鉄-テルビウム、コバルト-鉄-ガドリニウム、コバルト-クロム-プラチナ、コバルト-プラチナ、コバルト-パラジウム、鉄-プラチナ、または鉄-パラジウム、あるいはその組合せを含む。合金は交互層として配置することができる。一実施形態では、これらの材料と領域との組合せも、第1の磁気参照層102として採用することができる。いくつかの実施形態では、第1の磁気参照層102は、下側磁気参照層と、合成反強磁性カップリング層と、上側磁気参照層とを含むことができる。第1の磁気参照層102についてのこの実施形態は、図4に関して本明細書で以下により詳細に説明する。
【0027】
第1のトンネル・バリア層104は、非磁性スピン伝導金属層106と界面で接すると、スピン流を生成するが、第2のトンネル・バリアのTMRに対抗するTMRに寄与しないように構成される。第1のトンネル・バリア層104は、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、および酸化チタンなどの絶縁体材料、または半導体や低バンドギャップ絶縁体など、スピン分極を保ちつつ電気トンネル・コンダクタンスの高い材料で構成される。好ましい一実施形態では、第1のトンネル・バリア層104は酸化マグネシウムで構成されている。
【0028】
非磁性スピン伝導金属層106は、上記で定義したような長いスピン反転散乱寿命をもつスピン保存金属材料であって、第1のトンネル・バリア層104に1オーム・ミクロン未満のRAを与えるもので構成されている。非磁性スピン伝導金属層106の材料は、純銅(Cu)、または例えば窒素(N)、ホウ素(B)またはベリリウム(Be)などの他の元素を1%未満含む銅(Cu)、または窒化銅(CuN)合金であってCuN合金の窒化物含有量が1原子%未満であるCuN合金、または銅ホウ素(CuB)合金であってCuB合金のホウ素含有量が20原子%未満であるCuB合金を含むがそれに限定されない。非磁性スピン伝導金属層106として例示された材料は、典型的には、酸化マグネシウムからなる第1のトンネル・バリア層104と組み合わせて使用され、第1のトンネル・バリア層104に第1のRAを与える。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、非磁性スピン伝導金属層106の材料は、非磁性スピン伝導金属層106と第1のトンネル・バリア層104との間の界面における高いDOSを促進することができる選択された結晶方位を有する。例えば、FCC111テクスチャを有する銅の層(すなわち、純Cuまたは上述の元素のいずれかを含むCu)を採用することができる。
【0030】
非磁性スピン伝導金属層106は、受け取ったスピン流を磁気自由層108に伝達するのに適切な厚さを有している。一実施形態では、非磁性スピン伝導金属層106の厚さは2nm~20nmである。ただし、非磁性スピン伝導金属層106の厚さが受け取ったスピン流を磁気自由層108に伝達するのに十分である限り、他の厚さは可能である。
【0031】
磁気自由層108は、第1の磁気参照層102および第2の磁気参照層112の磁化の向きに対して磁化の向きを変えられ得る磁性材料(または磁性材料積層体)で構成することができる。磁気自由層108の例示的な磁性材料は、コバルト、鉄、コバルト-鉄の合金、ニッケル、ニッケル-鉄の合金、コバルト-鉄-ホウ素の合金の、合金または多層膜あるいはその組合せを含む。
【0032】
第2のトンネル・バリア層110は絶縁体材料で構成され、磁気自由層108と第2の磁気参照層112との間に適切なトンネル抵抗を与えるような厚さで形成されている。第2のトンネル・バリア層110の例示的な材料は、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、および酸化チタン、または半導体もしくは低バンドギャップ絶縁体などの、高い電気トンネル・コンダクタンスの材料を含む。いくつかの実施形態では、第2のトンネル・バリア層110は、第1のトンネル・バリア層104と組成的に同じ絶縁体材料で構成されている。他の実施形態では、第2のトンネル・バリア層110は、第1のトンネル・バリア層104と組成的に異なる絶縁体材料で構成されている。第2のトンネル・バリア層110は、ピンホールの形成を回避するのに十分な厚さを有する。
【0033】
第2の磁気参照層112も固定磁化を有する。第2の磁気参照層112は、大きいスピン分極を示す、金属あるいは1つまたは複数の金属を含む金属合金(またはその積層体)で構成することができる。他の実施形態では、第2の磁気参照層112を形成する例示的な金属は、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、ホウ素、またはマンガンを含む。例示的な金属合金は、上記で例示した金属を含むことができる。別の実施形態では、第2の磁気参照層112は、(1)上述の金属を用いた、金属または金属合金あるいはその組合せで形成されたスピン分極の大きい領域と、(2)強い垂直磁気異方性(強いPMA)を示す、1つまたは複数の材料で構成された領域とを有する多層配置であり得る。使用することができる強いPMAの例示的材料は、コバルト、ニッケル、プラチナ、パラジウム、イリジウム、ルテニウムなどの金属を含み、交互層として配置することができる。強PMA領域は、強い固有のまたはバルクの(界面とは異なる)PMAを示す合金も含むことができ、例示的な合金は、コバルト-鉄-テルビウム、コバルト-鉄-ガドリニウム、コバルト-クロム-プラチナ、コバルト-プラチナ、コバルト-パラジウム、鉄-プラチナ、または鉄-パラジウム、あるいはその組合せを含む。合金は交互層として配置することができる。一実施形態では、これらの材料と領域との組合せも、第2の磁気参照層112として採用することができる。いくつかの実施形態では、第2の磁気参照層112は、下側磁気参照層と、合成反強磁性カップリング層と、上側磁気参照層とを含むことができる。第2の磁気参照層112についてのこの実施形態は、図4に関して本明細書で以下でより詳細に説明する。
【0034】
第2の電極120は、第1の電極90と同様に、導電性金属材料の1つで構成することができる。いくつかの実施形態では、第2の電極120は、第1の電極90と組成的に同じ導電性金属材料で構成することができる。別の実施形態では、第2の電極120は、第1の電極90と組成的に異なる導電性金属材料で構成することができる。第2の電極120は、2nm~25nmの厚さを有することができ、他の厚さも可能であり、第2の電極120の厚さとして使用することができる。第2の電極120は、例えば、スパッタリング、原子層堆積(ALD)、化学気相成長(CVD)、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)または物理気相成長(PVD)などの堆積プロセスによって形成することができる。
【0035】
ここで図4を参照すると、図3または図5に示す、第1の磁気参照層102および第2の磁気参照層112の一方、または両方に採用することができる磁気参照層113が図示されている。図4の磁気参照層113は、下側磁気参照層114と、合成反強磁性カップリング層116と、上側磁気参照層118とを含む。下側磁気参照層114は、第1の磁気参照層102または第2の磁気参照層112として上述のいずれかの磁性材料で構成され得る。合成反強磁性カップリング層116は、磁気参照層113の下側および上側磁気層114,118を逆平行の方式でカップリングすることができる非磁性材料で構成される。合成反強磁性カップリング層116として用いられ得る例示的な非磁性材料は、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)またはロジウム(Rh)を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、合成反強磁性カップリング層116は、0.2nm~1.2nmの厚さを有することができるが、他の厚さが可能であり、合成反強磁性カップリング層116の厚さとして使用することができる。上側磁気参照層118は、第1の磁気参照層102または第2の磁気参照層112として上述の磁性材料のうちの1つで構成することができる。典型的には、上側磁気参照層118は、下側磁気参照層114と組成的に異なる。
【0036】
一実施形態では、磁気参照層113は、第2の磁気参照層112として採用されるが、第1の磁気参照層102としては採用されない。別の実施形態では、磁気参照層113は、第2の磁気参照層112と第1の磁気参照層102の両方として採用される。さらに別の実施形態では、磁気参照層113は、第1の磁気参照層102として採用されるが、第2の磁気参照層112としては採用されない。
【0037】
次に図5を参照すると、本発明のさらに別の実施形態によるmDMTJ構造体100を図示しており、図5のmDMTJ構造体100は、第1の磁気参照層102が構造体の最上部に位置するように、図3に示すmDMTJ構造体を180°反転したものである。図5のmDMTJ構造体100は、上記で定義された第1の磁気参照層102と、第1の磁気参照層102の表面に接触する上記で定義された第1のトンネル・バリア層104と、第1のトンネル・バリア層104の表面に接触する上記で定義された非磁性スピン伝導金属層106と、非磁性スピン伝導金属層106の表面に接触する上記で定義された磁気自由層108と、磁気自由層108の表面に接触する上記で定義された第2のトンネル・バリア層110と、第2のトンネル・バリア層110の表面に接触する上記で定義された第2の磁気参照層112とを含む。図5に示すmDMTJ構造体100は、第1の磁気参照層102がmDMTJ構造体の最上部に位置し、第2の磁気参照層112がmDMTJ構造体の最下部に位置する実施形態を示している。
【0038】
図示しないが、図5のDMTJ構造体100は、上記で定義された第1の電極と、以下で定義される第2の電極との間に配置される。mDMTJ構造体100と、第1の電極と、第2の電極とは、集合的にSTT MTJメモリ要素を提供する。
【0039】
mDMTJ構造体の最上部に位置する第1の磁気参照層102と、mDMTJ構造体の最下部に位置する第2の磁気参照層112とを有するmDMTJ100である図5図3に示す構造体を180°反転したもの)において、第1の磁気参照層102、第1のトンネル・バリア層104、および非磁性スピン伝導金属層106の各々は第1の横方向寸法を有し、磁気自由層108、第2のトンネル・バリア層110、および第2の磁気参照層112の各々は第2の横方向寸法を有し、第2の横方向寸法は第1の横方向寸法と同じである。したがって、図5に示すmDMTJ構造体100に存在する様々な層の各々は、互いに垂直に揃えられた最外側の側壁を有する。
【0040】
本発明をその好ましい実施形態に関して特に示し、説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細における前述およびその他の変更を行い得ることは、当業者には理解されよう。したがって、本発明は、説明および図示された厳密な形態および詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】