(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】甲状腺眼症の処置のための方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240228BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240228BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240228BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20240228BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240228BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240228BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240228BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61K9/08
A61P27/02
A61P5/14
A61K39/395 D
A61K39/395 M
A61K39/395 N
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553957
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2022018737
(87)【国際公開番号】W WO2022187510
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522074970
【氏名又は名称】ホライゾン セラピューティクス アイルランド デジグネイテッド アクティビティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】HORIZON THERAPEUTICS IRELAND DAC
【住所又は居所原語表記】70 St Stephen’s Green, Saint Kevin’s, Dublin 2, D02 E2X4, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,ジェフリー ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
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4C076AA11
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4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
甲状腺関連眼症(TAO)またはグレーブス眼症もしくはグレーブス眼窩症(GO)としても知られている、甲状腺眼症(TED)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法、ならびに上記方法に有用な抗体またはその抗原結合フラグメントおよびそれらを含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域
のいずれかを含む、抗体。
【請求項2】
前記抗体は、IGF-1Rに結合し、かつIGF-1Rを阻害する、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体またはその抗原結合部分は、前記IGF-1Rへの結合のために、参照抗体またはその参照抗原結合部分と交差競合する、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
前記参照抗体は、αIR3、ダロツズマブ、ガニツマブ、キセンツズマブ、AVE1642、フィギツムマブ、デュシギツマブ、シクスツムマブ(cituxumumab)、BIIB022、ロバツムマブ、テプロツムマブ、および抗体2から選択される、請求項3に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体は、IgA、IgD、IgE、およびIgGから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体はIgGである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選択される、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体はIgG1である、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体は、
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)シグナル伝達を減少させることができ、
甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)/IGF-1Rクロストーク(すなわち、TSHR/IGF-1Rシグナロソームの形成)を阻害することができ、
眼窩繊維芽細胞中のヒアルロナン(HA)分泌を減少させることができ、
M428L/N434SまたはM252Y/S254T/T256Eの置換を含まない抗体と比較して、in vivoで長期間持続でき(すなわち、半減期がより長い)、かつ/あるいは
M428L/N434SまたはM252Y/S254T/T256Eの置換を含まない抗体と比較して、より少ない頻度で、もしくは投薬ごとにより少ない量で投薬できる、
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体は、ダロツズマブ、ガニツマブ、キセンツズマブ、AVE1642、フィギツムマブ、デュシギツマブ、シクスツムマブ、BIIB022、ロバツムマブ、テプロツムマブ、および抗体2から選択される抗体に由来した相補性決定領域(CDR)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体は、
配列番号1のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号9のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号11のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号12のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号17のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号19のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号20のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号22のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号25または配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1を含むHCDR1、配列番号26、配列番号76、または配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号33のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号34のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号35のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号36のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号37のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号38のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号41のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号43のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号44のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号49のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号50のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号51のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号52のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号53のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号54のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号57のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号58のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号59のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号60のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号61のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号62のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号84のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号85のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号86のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号87のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号88のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号89のアミノ酸配列を含むLCDR3、あるいは
配列番号84のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号92のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号86のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号87のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号93のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号89のアミノ酸配列を含むLCDR3
を含む、HCDR1、HCDR2、ならびにHCDR3のドメインを含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2、ならびにLCDR3のドメインを含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体は、ダロツズマブ、ガニツマブ、キセンツズマブ、AVE1642、フィギツムマブ、デュシギツマブ、シクスツムマブ、BIIB022、ロバツムマブ、テプロツムマブ、および抗体2から選択される抗体に由来した、重鎖可変ドメイン(V
H)ならびに軽鎖可変ドメイン(V
L)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項13】
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号31、78、または79のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号32、80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号64のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、あるいは
配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号66のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
配列番号25または配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1を含むHCDR1、配列番号26、配列番号76、または配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項15】
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項16】
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、あるいは
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体は、配列番号31、78、または79のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号32、80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項18】
前記抗体は、配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項17に記載の抗体。
【請求項19】
前記抗体は、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項18に記載の抗体。
【請求項20】
前記抗体は、配列番号81のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項19に記載の抗体。
【請求項21】
前記抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項19に記載の抗体。
【請求項22】
前記抗体は、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項19に記載の抗体。
【請求項23】
前記抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項18に記載の抗体。
【請求項24】
前記抗体は、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項23に記載の抗体。
【請求項25】
前記抗体は、配列番号81のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項23に記載の抗体。
【請求項26】
前記抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項23に記載の抗体。
【請求項27】
前記抗体は、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項23に記載の抗体。
【請求項28】
配列番号84のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号85のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号86のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号87のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号88のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号89のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項29】
前記抗体は、配列番号90を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号91を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項30】
前記抗体は、428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項31】
前記抗体は、第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項32】
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、前記抗体は、
配列番号25または配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1を含むHCDR1、配列番号26、配列番号76、または配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む、HCDR1、HCDR2、ならびにHCDR3のドメインを含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2、ならびにLCDR3のドメインを含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【請求項33】
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、前記抗体は、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む、HCDR1、HCDR2、ならびにHCDR3のドメインを含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2、ならびにLCDR3のドメインを含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【請求項34】
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、前記抗体は、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、または
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、もしくは
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む、HCDR1、HCDR2、ならびにHCDR3のドメインを含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2、ならびにLCDR3のドメインを含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【請求項35】
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、前記抗体は、
配列番号31、78、または79のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号32、80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む、抗体。
【請求項36】
前記抗体は、配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項35に記載の抗体。
【請求項37】
前記抗体は、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項36に記載の抗体。
【請求項38】
前記抗体は、配列番号81のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項36に記載の抗体。
【請求項39】
前記抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項36に記載の抗体。
【請求項40】
前記抗体は、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項36に記載の抗体。
【請求項41】
前記抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項35に記載の抗体。
【請求項42】
前記抗体は、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項41に記載の抗体。
【請求項43】
前記抗体は、配列番号81のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項41に記載の抗体。
【請求項44】
前記抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項41に記載の抗体。
【請求項45】
前記抗体は、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項41に記載の抗体。
【請求項46】
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、前記抗体は、
配列番号84のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号85のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号86のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号87のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号88のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号89のアミノ酸配列を含むLCDR3、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む、HCDR1、HCDR2、ならびにHCDR3のドメインを含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2、ならびにLCDR3のドメインを含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【請求項47】
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、前記抗体は、
配列番号7を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号8を含む軽鎖可変ドメイン、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付が、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む、抗体。
【請求項48】
前記抗体は、428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域を含む、請求項32~47のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項49】
前記抗体は、第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域を含む、請求項32~47のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項50】
請求項1~49のいずれか一項に記載の抗体のポリペプチド配列をコードする、ヌクレオチド配列。
【請求項51】
請求項50に記載のヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【請求項52】
請求項51に記載のベクターを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株。
【請求項53】
治療有効量の請求項1~49のいずれか一項に記載される抗体、および薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項54】
前記治療有効量は、1~10mg/kgの投与量を含む、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記治療有効量は、1~5mg/kgの投与量を含む、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記治療有効量は、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、または約5mg/kgの投与量を含む、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記治療有効量は、1、2、3、4、または5週間毎(すなわち、QW、Q2W、Q3W、Q4W、またはQ5W)の投与のために製剤化される、請求項53~56のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記薬学的に許容可能な担体は、静脈内(IV)または皮下(SC)投与に好適である、請求項53~57のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項59】
治療有効量の請求項14~27および請求項32~45のいずれか一項に記載される抗体を含み、前記治療有効量が、
1~60mg/kgもしくは75~4500mg、または
0.6~40mg/kgもしくは45~3000mg、または
0.3~20mg/kgもしくは22~1500mg
の投与量を含む、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項60】
IV投与のために製剤化される、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項61】
4、3、2、または1週間毎に投薬するために製剤化される、請求項60に記載の医薬組成物。
【請求項62】
治療有効量の請求項14~27および請求項32~45のいずれか一項に記載される抗体を含み、前記治療有効量が、
1~30mg/kgもしくは75~2250mg、
0.6~20mg/kgもしくは1500mg、
0.3~10mg/kgもしくは750mg
の投与量を含む、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項63】
治療有効量の請求項14~27および請求項32~45のいずれか一項に記載される抗体を含み、前記治療有効量が、
1~20mg/kgもしくは75~1500mg、
0.6~13.5mg/kgもしくは1000mg、
0.3~7mg/kgもしくは500mg
の投与量を含む、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項64】
皮下投与のために製剤化される、請求項62~63のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項65】
4、3、2、または1週間毎に投薬するために製剤化される、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項66】
請求項64に記載される医薬製剤を含む自動注射器。
【請求項67】
甲状腺眼症(TED)を有する対象のTEDを処置する方法であって、前記対象に請求項1~49のいずれか一項に記載の抗体または請求項53~65のいずれか一項に記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含む、方法。
【請求項68】
甲状腺眼症(TED)を有する対象の突出症を減少させる方法であって、前記対象に請求項1~49のいずれか一項に記載の抗体または請求項53~65のいずれか一項に記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含む、方法。
【請求項69】
前記突出症は少なくとも2mm減少する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記突出症は少なくとも3mm減少する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記突出症は少なくとも4mm減少する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記方法は、前記TEDを有する対象の臨床活動性スコア(CAS)を減少させる工程をさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
突出症は少なくとも2mm減少し、前記CASは少なくとも2ポイント減少する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記CASは少なくとも3ポイント減少する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
突出症は少なくとも3mm減少し、前記CASは少なくとも3ポイント減少する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
甲状腺眼症(TED)を有する対象の複視を処置するか、またはその重症度を低下させる方法であって、前記対象に請求項1~49のいずれか一項に記載の抗体または請求項53~65のいずれか一項に記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含む、方法。
【請求項77】
前記複視は持続性複視である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記複視は間欠性複視である、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記複視は非持続性複視である、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記複視の重症度における改善または低下は、阻害剤投与の中止後少なくとも20週間維持される、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記複視の重症度における改善または低下は、阻害剤投与の中止後少なくとも50週間維持される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
甲状腺眼症(TED)を有する対象のTEDの臨床活動性スコア(CAS)を減少させる方法であって、投与を必要とする対象に請求項1~49のいずれか一項に記載の抗体または請求項53~65のいずれか一項に記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含む、方法。
【請求項83】
前記CASは少なくとも2ポイント減少する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記CASは少なくとも3ポイント減少する、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
TEDを有する対象において、
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)シグナル伝達を減少させる、
甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)/IGF-1Rクロストーク(すなわち、TSHR/IGF-1Rシグナロソームの形成)を阻害する、および/または
眼窩繊維芽細胞中のヒアルロナン(HA)分泌を減少させる方法であって、前記方法は、投与を必要とする対象に、請求項1~49のいずれか一項に記載の抗体または請求項53~65のいずれか一項に記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含み、
前記抗体は、M428L/N434SまたはM252Y/S254T/T256Eの置換を含まない抗体と比較して、in vivoで長期間持続し(すなわち、半減期がより長い)、および/あるいは
前記抗体または医薬組成物は、前記M428L/N434SまたはM252Y/S254T/T256Eの置換を含まない抗体と比較して、より少ない頻度で、または投薬ごとにより少ない量で投与される、方法。
【請求項86】
前記治療有効量は、1~10mg/kgの投与量を含む、請求項67~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記治療有効量は、1~5mg/kgの投与量を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記治療有効量は、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、または約5mg/kgの投与量を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記治療有効量は、1、2、3、4、または5週間毎(すなわち、QW、Q2W、Q3W、Q4W、またはQ5W)に投与される、請求項67~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記治療有効量は、静脈内(IV)または皮下(SC)投与される、請求項67~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
治療有効量の請求項14~27および32~45のいずれか一項に記載される抗体を含み、前記治療有効量が、
Q3WでIVの1~5mg/kgもしくは75~375mg、または
Q2WでIVの0.6~4mg/kgもしくは45~300mg、または
QWでIVの0.3~3mg/kgもしくは22~225mg
の投与量を含む、請求項67~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
IV投与のために製剤化される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
4、3、2、または1週間毎に投薬するために製剤化される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
治療有効量の請求項14~27および請求項32~45のいずれか一項に記載される抗体を含み、前記治療有効量が、
1~30mg/kgもしくは75~2250mg、
0.6~20mg/kgもしくは1500mg、
0.3~10mg/kgもしくは750mg
の投与量を含む、請求項67~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
治療有効量の請求項14~27および請求項32~45のいずれか一項に記載される抗体を含み、前記治療有効量が、
1~20mg/kgもしくは75~1500mg、
0.6~13.5mg/kgもしくは1000mg、
0.3~7mg/kgもしくは500mg
の投与量を含む、請求項67~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
皮下投与のために製剤化される、請求項94または95のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項97】
4、3、2、または1週間毎に投薬するために製剤化される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
皮下投与が自動注射器を使用して行われる、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
請求項67~99のいずれか一項に記載される、甲状腺眼症(TED)を有する対象のTEDの処置、TEDを有する対象の突出症の減少、TEDを有する対象の複視の重症度の低下、もしくはTEDを有する対象のCASの減少のための、請求項1~49のいずれか一項に記載の抗体、または請求項53~65のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項66に記載の自動注射器の使用。
【請求項100】
請求項67~99のいずれか一項に記載される、甲状腺眼症(TED)を有する対象のTEDの処置、TEDを有する対象の突出症の減少、TEDを有する対象の複視の重症度の低下、もしくはTEDを有する対象のCASの減少のための薬剤の製造における、請求項1~49のいずれか一項に記載の抗体、または請求項53~65のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項66に記載の自動注射器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月3日に出願された米国仮特許出願第63/156,320号の利益を主張し、その開示は、その全体が本明細書に記載されるように、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
甲状腺関連眼症(TAO)、グレーブス眼症もしくはグレーブス眼窩症(GO)、甲状腺中毒性眼球突出症、甲状腺不全性眼症、および他のいくつかの用語としても知られている甲状腺眼症(TED)は、甲状腺機能不全に関連した眼窩疾患である。TAOは2種類に分類される。典型的には1~3年続く活動性TEDは、眼窩の軟組織における進行中の自己免疫/炎症反応を特徴とする。活動性TEDは、眼の軟組織の腫大およびリモデリングの原因である。活動性または急性のTEDの自己免疫/炎症反応は、自然に消散し、症状は非活動性TEDへと移行する。非活動性または慢性のTEDとは、活動性TEDの長期的な/永続的な後遺症を述べるために使用される用語である。
【背景技術】
【0003】
TEDの原因は不明である。TEDは典型的にはグレーブス甲状腺機能亢進症に関連しているが、甲状腺に影響して眼窩および眼窩周囲組織、ならびに稀に前脛骨皮膚(前脛骨粘液水腫)または指(甲状腺ばち指)において病態を引き起こす他の自己免疫性疾病の一部としても生じることがある。TEDは、眼と視力に対する二次的影響を伴って、眼窩および眼周囲の軟組織が主として影響される自己免疫性眼窩疾患である。TEDでは、眼窩軟組織、主に眼筋、および脂肪の炎症と腫大の結果、眼球が眼窩から前に押し出される(突出する)、すなわち突出症(proptosis)または眼球突出症(exophthalmos)と称される現象である。
【0004】
大部分が郊外であるミネソタコミュニティーを拠点とする試験から、TEDの年間罹患率は、女性100,000人当たり16件、および男性100,000人当たり2.9件と推定された。女性が男性よりも2.5~6倍高頻度で影響されるという女性優勢であることが分かったが、しかしながら、重度の症例は、女性よりも男性においてより頻繁に生じる。さらに、ほとんどの患者は30~50歳だが、重度の症例は、50歳より年上の患者においてより頻繁に現れるようである。TEDの症例のほとんどは視力の喪失をもたらすことはないが、この疾病は、視力を脅かす露出性角膜症、厄介な複視(複視(double vision))、および圧迫性甲状腺視神経症を引き起こす可能性がある。
【0005】
TEDは、甲状腺機能異常の全身的合併症に先立つか、同時であるか、またはそれに続くことがある。TEDの眼症状としては、上眼瞼後退、眼瞼遅滞、腫脹、発赤(紅斑)、結膜炎、および眼球膨張(眼球突出症または突出症)、結膜浮腫、眼窩周囲浮腫、および眼球運動の変化が挙げられ、これらは著しい機能的、社会的、および美容的な結果を伴う。
【0006】
突出症および眼の鬱血を含むTEDの徴候と症状の多くは、眼窩脂肪組織および眼周囲筋肉の腫大によって起こる。眼窩脂肪内の新たな脂肪細胞の発達(脂肪生成)に一部起因して、脂肪組織体積が増加する。眼窩脂肪組織および外眼筋繊維間の筋周膜結合組織内の親水性グリコサミノグリカン、主にヒアルロン酸の蓄積は、さらに脂肪コンパートメントを膨張させ、外眼筋体を肥大化させる。ヒアルロン酸は、眼窩脂肪および外眼筋内に存在する線維芽細胞によって生産され、そのin vitro合成は、IL-1β、インターフェロン-γ、血小板由来成長因子、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、およびインスリン様成長因子I(IGF-I)を含むいくつかのサイトカインならびに成長因子によって刺激される。
【0007】
TEDは、グレーブス病(GD)の自己免疫性眼窩症状であると一般に考えられる。しかしながら、グレーブス甲状腺機能亢進症の患者のおよそ30%のみが臨床的に関連性のある眼の病態を示し、このことは、これらの疾病の間に機構的な異質性および区別があることを示している。TEDの根底にある分子機構は不明瞭なままである。甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)に対してアゴニストとして作用する自己抗体の生成が、グレーブス甲状腺機能亢進症の原因であることが認められている。TSHRが病原性の過剰刺激を受けると、甲状腺ホルモン(T3およびT4)が過剰産生され、多くの組織の新陳代謝が促進されることになる。
【0008】
活動性TEDでは、自己抗体は、部分的にはヒアルロナンの過剰合成の刺激から、結合組織および脂肪の膨張を引き起こす。膨張した組織にT細胞およびB細胞が浸潤し、炎症が生じて、広範囲にリモデリングされる。TSHRが、活動性TEDの発症においてある程度の病原的役割を有し得ることが示唆されている。実際に、抗TSHR抗体とTEDの活動性の程度との間で正の相関が見出されている。しかしながら、決定的な関係性は確立されておらず、一部のTED患者はそれらの疾患の経過を通じて甲状腺機能正常のままである。
【0009】
また、インスリン様成長因子I受容体(IGF-IR)を活性化する抗体が発見され、活動性TEDに関わっている。いかなる理論にも束縛されないが、TSHRおよびIGF-IRは眼窩線維芽細胞中に物理的および機能的な複合体を形成し、IGF-IRの遮断によって、IGF-IおよびTSH依存性シグナル伝達の両方が減衰するようであると考えられている。抗体アンタゴニストを使用するIGF-IRの遮断が、TSHRおよびIGF-I依存性シグナル伝達の両方を減少させ、それにより一方の受容体に対してアゴニストとして作用する自己抗体の病理学的活性を妨げる可能性があることが示唆されている。
【0010】
IGF-IRは、多くの細胞型の増殖および代謝機能の調節に関与している、広範に発現されるヘテロテトラマータンパク質である。IGF-IRは、2つのサブユニットを含むチロシンキナーゼ受容体である。IGF-IRαがリガンド結合ドメインを含む一方で、IGF-IRβはシグナル伝達に関与しており、チロシンリン酸化部位を含んでいる。IGF-IRに対するモノクローナル抗体は、いくつかのタイプの固形腫瘍およびリンパ腫に対する治療方針として開発および評価されている。
【0011】
グレーブス病に起因する甲状腺機能亢進症の取扱いは、その疾患の特定の根底にある病原性の自己免疫機構を標的とする治療法がないので、不完全である。さらに複雑なのは中等度~重度の活動性TEDの処置である。近年はその発症機序についてよりよく理解されているが、TEDは治療の問題および困難を抱えたままである。活動性TEDを処置するための承認薬は存在していない。静脈内グルココルチコイド(ivGC)および経口グルココルチコイドは、中等度~重度の活動性TEDを有する患者を処置するために使用されるが、満足する結果となることはめったにない。部分奏功が頻繁に見られ、休薬の後の再発(反跳)は珍しくない。有害事象が生じ、最終的には多くの患者が、症状が非活動性TEDへと移行した時に行われるリハビリ手術が必要となる。
【0012】
最近では、TEDの病原性機構に特異的に介在し得る生物学的製剤の使用に注目が集められている。2015年には、2つの小規模単施設ランダム化臨床試験(RCT)により、対プラセボまたはivGCそれぞれでの、CD20+B細胞枯渇剤であるリツキシマブの効果が調査された。2つの試験の結果は矛盾しており、一つ目の試験では陰性(プラセボとの違いなし)だったが、2つ目の試験では陽性(ivGCに匹敵する有益な効果)であった。したがって、中等度~重度の活動性TEDに対するリツキシマブの効力は依然として決定されていない。欧州甲状腺学会/欧州グレーブス病眼症グループ(EUGOGO)によって公表された最近のガイドラインには、ivGCの最初の経過に対する応答が不十分な患者のセカンドライン処置の可能性として、リツキシマブが示されている。リツキシマブと同様に、アダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、またはモノクローナルもしくは小分子などの他の潜在的な治療剤がTSH受容体を遮断することに関する信頼できるエビデンスはない。進行中のRCTに基づいたインターロイキン6受容体モノクローナル抗体であるトシリズマブの使用も、依然として決定されていない。
【0013】
上記で述べたように、十分な検出力での前向きのプラセボ対照試験において有効かつ安全であると証明された、中等度~重度のTEDのための薬物療法は存在していない。ほとんどがプラセボ対照でなかった以前の臨床試験によって、高用量のグルココルチコイドを単独でまたは放射線療法との併用により、活動性眼疾患を有する患者の炎症に関連した徴候および症状を減少させ得ることを示唆しているが、突出症に最低限の影響のみを与え、用量制限的な有害反応が引き起こされる可能性がある。
【0014】
IGF-IRシグナル伝達を活性化する免疫グロブリンは、GDおよびTEDを有する患者で検出されている。さらに、IGF-Iは、チロトロピンの作用を相乗的に増強する。発症および代謝において役割を有する膜貫通チロシンキナーゼ受容体であるIGF-IRは、また免疫機能を刺激するため、自己免疫疾患における治療上の標的となり得る。IGF-IRは、眼窩繊維芽細胞と、GDならびにTEDを有する人のT細胞およびB細胞とによって過剰発現される。IGF-IRは、トランス活性化することによってTSHRとのシグナル伝達複合体を形成する。眼窩線維芽細胞および線維細胞のin vitro試験では、IGF-IR阻害抗体は、IGF-I、チロトロピン、甲状腺刺激免疫グロブリン、ならびにGDおよびTEDを有する患者から単離された免疫グロブリンの活性を減衰できることが示されている。これらの観測結果により、活動性の中等度~重度のTEDを有する患者における完全ヒト型IGF-IR阻害モノクローナル抗体であるテプロツムマブの試験が促進された。テプロツムマブは、現在TEDの処置のために承認された唯一の薬理学的療法である。延長された半減期を有する抗体を含めて、追加のヒトIGF-IR阻害モノクローナル抗体は依然として必要である。そのような半減期延長抗体は、より便利な投薬であり得、例えば、より少ない体積でおよび/もしくはより少ない量でならびに/またはより低い頻度での投薬であり得、静脈内または皮下のいずれかで投与可能であり得る。
【発明の概要】
【0015】
甲状腺眼症(TED)を処置またはその重症度を低下させる方法と、突出症、複視、TEDの臨床活動性スコア、ならびにそれらのサブセットおよび個々の測定値を減少させることといったTEDの処置において特定の処置評価項目を達成する方法と、TEDを有する対象に有効量のインスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)阻害剤を投与する工程を含む、TED患者の生活の質を改善する方法とが本明細書に提供される。
【0016】
特定のIGF-1R阻害剤は、眼窩線維芽細胞および繊維細胞によるTSHRおよびIGF-IRの提示を減少させ、IGF-I、TSH、甲状腺刺激免疫グロブリン、およびTED(TAOまたはGO)を有する患者から単離された免疫グロブリンの活性を減衰させることができる。
【0017】
上記に記載されるように、TED(TAOまたはGO)の処置は不十分なままである。テプロツムマブ(TEPEZZA(商標))の承認前は、主にグルココルチコイドからなる薬物療法は有効性が制限され、安全性の懸念が示されていた。EDに対する広範な免疫抑制処置、例えば、グルココルチコイドおよびリツキシマブが眼球突出症の限定的な減少を引き起こすことは周知である。3つの異なる蓄積量のivGC(2.25g、4.98g、7.47gのメチルプレドニソロン)を使用した最大規模のRCTでは、突出症の平均減少は、最高用量を使用しても0.6mmであった。リツキシマブを使用しても、結果に違いはなかった。さらに、TED(TAOまたはGO)の進行した症例は、大抵は眼窩減圧術などのより侵襲的な外科処置を必要としていた。上記で述べたように、TED(TAOまたはGO)の処置のための以前の治療は、有効性が制限されていただけでなく、安全性の懸念も存在していた。IGF-1R阻害モノクローナル抗体であるテプロツムマブは、TEDの処置に有効であると判明している。
【0018】
当業者によって述べられているように、「テプロツムマブの最も顕著かつ予期せぬ効果は、眼球突出症[すなわち突出症]における処置に関連する減少である」。GOに対する免疫抑制処置が、眼球突出症の限定的な減少を引き起こすことは周知であるが、本明細書に開示される方法を用いて眼球突出症を平均2.46mm(プラセボ群の0.15mmに対して)減少させた・・・いかなる薬物処置でも達成されなかったこれらの結果は、眼窩減圧術によって得られる結果に匹敵する」(Piantanida,E.and Bartalena,L.J Endocrinol Invest,2017,40,885-887)。
【0019】
テプロツムマブは様々な理由からTEDの処置に有効であるが、患者すべてがテプロツムマブを用いた処置から利益を得るとは限らない。TEDに対する代替治療法、例えば、代替様式を介して、および代替スケジュールで投与され得る異なる薬物についての満たされていない医療的なニーズが依然として存在する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施形態によって例示されるように、甲状腺眼症および関連する疾病の処置のための方法ならびに組成物が本明細書に提供される。
【0021】
実施形態
以下のものが本明細書に提供される。
【0022】
実施形態1:対象に有効量のインスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を処置する方法。
【0023】
実施形態2:対象に有効量のIGF-IR阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象の突出症を少なくとも2mm減少させる方法。
【0024】
実施形態3:突出症は少なくとも3mm減少する、実施形態2に記載の方法。
【0025】
実施形態4:突出症は少なくとも4mm減少する、実施形態3に記載の方法。
【0026】
実施形態5:上記方法は、TEDを有する対象の臨床活動性スコア(CAS)を減少させる工程をさらに含む、実施形態2に記載の方法。
【0027】
実施形態6:CASは少なくとも2ポイント減少する、実施形態5に記載の方法。
【0028】
実施形態7:CASは少なくとも3ポイント減少する、実施形態6に記載の方法。
【0029】
実施形態8:突出症は少なくとも3mm減少し、CASは少なくとも3ポイント減少する、実施形態7に記載の方法。
【0030】
実施形態9:対象に有効量のインスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象の複視を処置するか、またはその重症度を低下させる方法。
【0031】
実施形態10:複視は持続性複視である、実施形態9に記載の方法。
【0032】
実施形態11:複視は間欠性複視である、実施形態9に記載の方法。
【0033】
実施形態12:複視は非持続性複視である、実施形態9に記載の方法。
【0034】
実施形態13:複視の重症度における改善または低下は、阻害剤投与の中止後少なくとも20週間維持される、実施形態9~12のいずれか1つに記載の方法。
【0035】
実施形態14:複視の重症度における改善または低下は、阻害剤投与の中止後少なくとも50週間維持される、実施形態9~12のいずれか1つに記載の方法。
【0036】
実施形態15:対象に有効量のインスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象のTEDもしくはその症状を処置するか、またはその重症度を低下させる方法。
【0037】
実施形態16:対象に有効量のインスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象の眼球の突出症を減少させる方法。
【0038】
実施形態17:対象に有効量のインスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象のTEDの臨床活動性スコア(CAS)を減少させる方法。
【0039】
実施形態18:対象に有効量のインスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象のa)突出症を少なくとも2mm減少させ、かつb)臨床活動性スコア(CAS)を減少させる方法。
【0040】
実施形態19:突出症は少なくとも2mm減少する、実施形態15、16、および18のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
実施形態20:突出症は少なくとも3mm減少する、実施形態19に記載の方法。
【0042】
実施形態21:突出症は少なくとも4mm減少する、実施形態20に記載の方法。
【0043】
実施形態22:対象の臨床活動性スコア(CAS)は少なくとも2ポイント減少する、実施形態15~21のいずれか1つに記載の方法。
【0044】
実施形態23:対象の臨床活動性スコア(CAS)は1に減少する、実施形態22に記載の方法。
【0045】
実施形態24:対象の臨床活動性スコア(CAS)は0に減少する、実施形態23に記載の方法。
【0046】
実施形態25:対象に有効量のインスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象の生活の質を改善する方法。
【0047】
実施形態26:生活の質は、グレーブス眼症の生活の質(GO-QoL)評価またはその視覚機能サブスケールもしくは外見サブスケールのいずれかによって測定される、実施形態25に記載の方法。
【0048】
実施形態27:処置は、GO-QoLにおける≧8ポイントの改善をもたらす、実施形態26に記載の方法。
【0049】
実施形態28:処置は、GO-QoLの機能サブスケールにおける改善をもたらす、実施形態26に記載の方法。
【0050】
実施形態29:処置は、GO-QoLの外見サブスケールにおける改善をもたらす、実施形態26に記載の方法。
【0051】
実施形態30:TEDは中等度~重度のTEDである、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
実施形態31:TEDは活動性/急性のTEDである、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
実施形態32:TEDは非活動性/慢性のTEDである、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
実施形態33:対象は、IGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置の後に再発したかのいずれかである対象である、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
実施形態34:処置は、最後に投与された用量以降少なくとも20週間効果的である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
実施形態35:処置は、最後に投与された用量以降少なくとも50週間効果的である、実施形態34に記載の方法。
【0057】
実施形態36:上述のIGF-1R阻害剤は、抗体がテプロツムマブではないという条件で、抗体または小分子である、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
実施形態37:上述のIGF-1R阻害剤は、ガニツマブ、フィギツムマブ、MEDI-573、シクスツムマブ、ダロツズマブ、ロバツムマブ、AVE1642、BIIB022、キセンツズマブ、イスチラツマブ(istiratumab)、リンシチニブ、ピクロポドフィリン、BMS-754807、BMS-536924、BMS-554417、GSK1838705A、GSK1904529A、NVP-AEW541、NVP-ADW742、GTx-134、AG1024、KW-2450、PL-2258、NVP-AEW541、NSM-18、AZD3463、AZD9362、BI885578、BI893923、TT-100、XL-228、およびA-928605から選択される、実施形態36に記載の方法。
【0059】
実施形態38:上述のIGF-1R阻害剤は抗体である、実施形態36に記載の方法。
【0060】
実施形態39:上述のIGF-1R阻害剤は、ヒトの治療に好適なヒト、キメラヒト、またはヒト化のモノクローナル抗体である、実施形態37に記載の方法。
【0061】
実施形態40:抗体は、静脈内(IV)または皮下(SC)投与される、実施形態38に記載の方法。
【0062】
実施形態41:抗体はIV投与される、実施形態39に記載の方法。
【0063】
実施形態42:上述の抗体は、ガニツマブ、フィギツムマブ、MEDI-573、シクスツムマブ、ダロツズマブ、ロバツムマブ、AVE1642、BIIB022、キセンツズマブ、およびイスチラツマブから選択される、実施形態40に記載の方法。
【0064】
実施形態43:抗体はガニツマブである、実施形態42に記載の方法。
【0065】
実施形態44:ガニツマブは、
a)3週間毎にIVの1~60mg/kgもしくは75~4500mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~40mg/kgもしくは45~3000mg、または
c)毎週IVの0.3~20mg/kgもしくは22~1500mg
で投薬される、実施形態43に記載の方法。
【0066】
実施形態45:抗体はフィギツムマブである、実施形態42に記載の方法。
【0067】
実施形態46:フィギツムマブは、
a)3週間毎にIVの1~60mg/kgもしくは75~4500mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~40mg/kgもしくは45~3000mg、または
c)毎週IVの0.3~20mg/kgもしくは22~1500mg
で投薬される、実施形態45に記載の方法。
【0068】
実施形態47:抗体はシクスツムマブである、実施形態42に記載の方法。
【0069】
実施形態48:シクスツムマブは、
a)3週間毎にIVの1~45mg/kgもしくは75~3400mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~30mg/kgもしくは45~2300mg、または
c)毎週IVの0.3~15mg/kgもしくは22~1200mg
で投薬される、実施形態47に記載の方法。
【0070】
実施形態49:抗体はダロツズマブである、実施形態42に記載の方法。
【0071】
実施形態50:ダロツズマブは、
a)3週間毎にIVの1~90mg/kgもしくは75~6800mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~60mg/kgもしくは45~4500mg、または
c)毎週IVの0.3~30mg/kgもしくは22~2300mg
で投薬される、実施形態49に記載の方法。
【0072】
実施形態51:抗体はロバツムマブである、実施形態42に記載の方法。
【0073】
実施形態52:ロバツムマブは、
a)3週間毎にIVの1~75mg/kgもしくは75~5700mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~50mg/kgもしくは45~3800mg、または
c)毎週IVの0.3~25mg/kgもしくは22~1900mg
で投薬される、実施形態51に記載の方法。
【0074】
実施形態53:抗体はキセンツズマブである、実施形態42に記載の方法。
【0075】
実施形態54:キセンツズマブは、
a)3週間毎にIVの1~112mg/kgもしくは75~8400mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~75mg/kgもしくは45~5700mg、または
c)毎週IVの0.3~38mg/kgもしくは22~2900mg
で投薬される、実施形態53に記載の方法。
【0076】
実施形態55:抗体はイスチラツマブである、実施形態42に記載の方法。
【0077】
実施形態56:イスチラツマブは、
a)3週間毎にIVの1~112mg/kgもしくは75~8400mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~75mg/kgもしくは45~5700mg、または
c)毎週IVの0.3~38mg/kgもしくは22~2900mg
で投薬される、実施形態55に記載の方法。
【0078】
実施形態57:抗体はAVE1642である、実施形態42に記載の方法。
【0079】
実施形態58:AVE1642は、
a)3週間毎にIVの1~60mg/kgもしくは75~4500mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~40mg/kgもしくは45~3000mg、または
c)毎週IVの0.3~20mg/kgもしくは22~1500mg
で投薬される、実施形態57に記載の方法。
【0080】
実施形態59:抗体はBIIB022である、実施形態42に記載の方法。
【0081】
実施形態60:BIIB022は、
a)3週間毎にIVの1~75mg/kgもしくは75~5700mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~50mg/kgもしくは45~3800mg、または
c)毎週IVの0.3~25mg/kgもしくは22~1900mg
で投薬される、実施形態59に記載の方法。
【0082】
実施形態61:上述のIGF-1R阻害剤抗体は、
a)配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖、
b)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖、
c)配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖、
d)配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖、
e)配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖、
f)配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖、
g)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖、
h)配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号64のアミノ酸配列を含む軽鎖、
i)配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号66のアミノ酸配列を含む軽鎖、ならびに
j)配列番号73のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖
からなる群から選択される少なくとも1つの重鎖と少なくとも1つの軽鎖とを含む、実施形態48に記載の方法。
【0083】
実施形態62:上述のIGF-1R阻害剤は小分子である、実施形態36に記載の方法。
【0084】
実施形態63:上述のIGF-1R阻害剤は経口投薬される、実施形態61に記載の方法。
【0085】
実施形態64:上述のIGF-1R阻害剤は、リンシチニブ、ピクロポドフィリン、BMS-754807、BMS-536924、BMS-554417、GSK1838705A、GSK1904529A、NVP-AEW541、NVP-ADW742、GTx-134、AG1024、KW-2450、PL-2258、NVP-AEW541、NSM-18、AZD3463、AZD9362、BI885578、BI893923、TT-100、XL-228、およびA-928605から選択される、実施形態63に記載の方法。
【0086】
実施形態65:IGF-1R阻害剤はリンシチニブである、実施形態64に記載の方法。
【0087】
実施形態66:リンシチニブは、
a)経口で1日1回10~750mgの継続投薬もしくは1日1回10~1500mg/日の間欠投薬(14日間毎の最大7日間)、または
b)経口で1日2回6~500mgの継続投薬もしくは1日2回6~1000mg/日の間欠投薬(14日間毎の最大7日間)、または
c)経口で1日3回3~250mgの継続投薬もしくは1日3回3~500mg/日の間欠投薬(14日間毎の最大7日間)
で投薬される、実施形態65に記載の方法。
【0088】
実施形態67:IGF-1R阻害剤はピクロポドフィリンである、実施形態64に記載の方法。
【0089】
実施形態68:ピクロポドフィリンは、
a)経口で1日1回20~2000mg、または
b)経口で1日2回13~1400mg、または
c)経口で1日3回6~700mg
で投薬される、実施形態67に記載の方法。
【0090】
実施形態69:IGF-1R阻害剤はBMS-754807である、実施形態64に記載の方法。
【0091】
実施形態70:BMS-754807は、
a)経口で1日1回5~600mg、または
b)経口で1日2回3~400mg、または
c)経口で1日3回1~200mg
で投薬される、実施形態69に記載の方法。
【0092】
実施形態71:IGF-1R阻害剤はBMS-536924である、実施形態64に記載の方法。
【0093】
実施形態72:IGF-1R阻害剤はBMS-554417である、実施形態64に記載の方法。
【0094】
実施形態73:IGF-1R阻害剤はGSK1838705Aである、実施形態64に記載の方法。
【0095】
実施形態74:IGF-1R阻害剤はGSK1904529Aである、実施形態64に記載の方法。
【0096】
実施形態75:IGF-1R阻害剤はNVP-AEW541である、実施形態64に記載の方法。
【0097】
実施形態76:IGF-1R阻害剤はNVP-ADW742である、実施形態64に記載の方法。
【0098】
実施形態77:IGF-1R阻害剤はGTx-134である、実施形態64に記載の方法。
【0099】
実施形態78:IGF-1R阻害剤はAG1024である、実施形態64に記載の方法。
【0100】
実施形態79:IGF-1R阻害剤はPL-2258である、実施形態64に記載の方法。
【0101】
実施形態80:IGF-1R阻害剤はNVP-AEW541である、実施形態64に記載の方法。
【0102】
実施形態81:IGF-1R阻害剤はNSM-18である、実施形態64に記載の方法。
【0103】
実施形態82:IGF-1R阻害剤はAZD3463である、実施形態64に記載の方法。
【0104】
実施形態83:IGF-1R阻害剤はAZD9362である、実施形態64に記載の方法。
【0105】
実施形態84:IGF-1R阻害剤はBI885578である、実施形態64に記載の方法。
【0106】
実施形態85:IGF-1R阻害剤はBI893923である、実施形態64に記載の方法。
【0107】
実施形態86:IGF-1R阻害剤はTT-100である、実施形態64に記載の方法。
【0108】
実施形態87:IGF-1R阻害剤はXL-228である、実施形態64に記載の方法。
【0109】
実施形態80:IGF-1R阻害剤はA-928605である、実施形態64に記載の方法。
【0110】
実施形態88:IGF-1R阻害剤は、
a)経口で1日1回1~2000mg、または
b)経口で1日2回0.6~1400mg、または
c)経口で1日3回0.3~700mg
で投薬される、実施形態71~88のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施形態89:IGF-1R阻害剤はKW-2450である、実施形態64に記載の方法。
【0112】
実施形態90:KW-2450は、
a)経口で1日1回1~100mg、または
b)経口で1日2回0.6~70mg、または
c)経口で1日3回0.3~30mg
で投薬される、実施形態90に記載の方法。
【0113】
実施形態91:TEDは非活動性/慢性のTEDであり、IGF-1R阻害剤はテプロツムマブである、実施形態1~30および33~35のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
IGF-1R阻害剤を含む、TEDの処置のための医薬品組成物も、本明細書に提供される。
【0115】
実施形態92:
-甲状腺眼症(TED)もしくはその症状を処置するか、またはその重症度を低下させ、
-甲状腺眼症(TED)を有する対象の突出症を少なくとも2mm減少させ、
-甲状腺眼症(TED)を有する対象の複視を処置するか、またはその重症度を低下させ、
-甲状腺眼症(TED)の臨床活動性スコア(CAS)を減少させ、
-甲状腺眼症(TED)を有する対象のa)突出症を少なくとも2mm減少させ、b)臨床活動性スコア(CAS)を減少させ、かつ/または
-グレーブス眼症の生活の質(GO-QoL)評価またはその視覚機能サブスケールもしくは外見サブスケールのいずれかによって測定される、甲状腺眼症(TED)を有する対象の生活の質を改善するための、
治療有効量のインスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)阻害剤を含む医薬組成物。
【0116】
実施形態93:IGF-1R阻害剤は、ガニツマブであり、
a)3週間毎にIVの1~60mg/kgもしくは75~4500mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~40mg/kgもしくは45~3000mg、または
c)毎週IVの0.3~20mg/kgもしくは22~1500mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0117】
実施形態94:IGF-1R阻害剤は、フィギツムマブであり、
a)3週間毎にIVの1~60mg/kgもしくは75~4500mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~40mg/kgもしくは45~3000mg、または
c)毎週IVの0.3~20mg/kgもしくは22~1500mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0118】
実施形態95:IGF-1R阻害剤は、シクスツムマブであり、
a)3週間毎にIVの1~45mg/kgもしくは75~3400mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~30mg/kgもしくは45~2300mg、または
c)毎週IVの0.3~15mg/kgもしくは22~1200mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0119】
実施形態96:IGF-1R阻害剤は、ダロツズマブであり、
a)3週間毎にIVの1~90mg/kgもしくは75~6800mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~60mg/kgもしくは45~4500mg、または
c)毎週IVの0.3~30mg/kgもしくは22~2300mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0120】
実施形態97:IGF-1R阻害剤は、ロバツムマブであり、
a)3週間毎にIVの1~75mg/kgもしくは75~5700mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~50mg/kgもしくは45~3800mg、または
c)毎週IVの0.3~25mg/kgもしくは22~1900m
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0121】
実施形態98:IGF-1R阻害剤は、キセンツズマブであり、
a)3週間毎にIVの1~112mg/kgもしくは75~8400mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~75mg/kgもしくは45~5700mg、または
c)毎週IVの0.3~38mg/kgもしくは22~2900mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0122】
実施形態99:IGF-1R阻害剤は、イスチラツマブであり、
a)3週間毎にIVの1~112mg/kgもしくは75~8400mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~75mg/kgもしくは45~5700mg、または
c)毎週IVの0.3~38mg/kgもしくは22~2900mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0123】
実施形態100:IGF-1R阻害剤は、AVE1642であり、
a)3週間毎にIVの1~60mg/kgもしくは75~4500mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~40mg/kgもしくは45~3000mg、または
c)毎週IVの0.3~20mg/kgもしくは22~1500mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0124】
実施形態101:IGF-1R阻害剤は、BIIB022であり、
a)3週間毎にIVの1~75mg/kgもしくは75~5700mg、または
b)2週間毎にIVの0.6~50mg/kgもしくは45~3800mg、または
c)毎週IVの0.3~25mg/kgもしくは22~1900mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0125】
実施形態102:IGF-1R阻害剤は、リンシチニブであり、
a)経口で1日1回10~750mgの継続投薬もしくは1日1回10~1500mg/日の間欠投薬(14日間毎の最大7日間)、または
b)経口で1日2回6~500mgの継続投薬もしくは1日2回の6~1000mg/日の間欠投薬(14日間毎の最大7日間)、または
c)経口で1日3回3~250mgの継続投薬もしくは1日3回3~500mg/日の間欠投薬(14日間毎の最大7日間)
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0126】
実施形態103:IGF-1R阻害剤は、ピクロポドフィリンであり、
a)経口で1日1回20~2000mg、または
b)経口で1日2回13~1400mg、または
c)経口で1日3回6~700mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0127】
実施形態104:IGF-1R阻害剤は、BMS-754807であり、
a)経口で1日1回5~600mg、または
b)経口で1日2回3~400mg、または
c)経口で1日3回1~200mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0128】
実施形態105:IGF-1R阻害剤は、BMS-536924、BMS-554417、GSK1838705A、GSK1904529A、NVP-AEW541、NVP-ADW742、GTx-134、AG1024、PL-2258、NVP-AEW541、NSM-18、AZD3463、AZD9362、BI885578、BI893923、TT-100、XL-228、およびA-928605から選択され、
a)経口で1日1回1~2000mg、または
b)経口で1日2回0.6~1400mg、または
c)経口で1日3回0.3~700mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0129】
実施形態106:IGF-1R阻害剤は、KW-2450であり、
a)経口で1日1回1~100mg、または
b)経口で1日2回0.6~70mg、または
c)経口で1日3回0.3~30mg
の投与のために製剤化される、実施形態92に記載の医薬品組成物。
【0130】
実施形態107:AVE1642抗体は、配列番号25のアミノ酸配列をHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、実施形態57に記載の方法。
【0131】
実施形態108:抗体は、配列番号31、78、または79を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号32、80、81、82、または83を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態107に記載の方法。
【0132】
実施形態109:抗体は、配列番号78を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号80、81、82、または83を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態108に記載の方法。
【0133】
実施形態110:抗体は、配列番号80を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態109に記載の方法。
【0134】
実施形態111:抗体は、配列番号81を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態109に記載の方法。
【0135】
実施形態112:抗体は、配列番号82を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態109に記載の方法。
【0136】
実施形態113:抗体は、配列番号83を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態109に記載の方法。
【0137】
実施形態114:治療有効量のAVE1642抗体は、Q3WでIVの1~60mg/kgもしくは75~4500mg、またはQ2WでIVの0.6~40mg/kgもしくは45~3000mg、またはQWでIVの0.3~20mg/kgもしくは22~1500mgの投与量を含む、実施形態107~113のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態115:治療有効量のAVE1642抗体は、1~10mg/kgの投与量を含む、実施形態107~113のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
実施形態116:治療有効量のAVE1642抗体は、1~5mg/kgの投与量を含む、実施形態115に記載の方法。
【0140】
実施形態117:治療有効量のAVE1642抗体は、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、または約5mg/kgの投与量を含む、実施形態116に記載の方法。
【0141】
実施形態118:治療有効量のAVE1642抗体は、1、2、3、4、または5週間毎(すなわち、QW、Q2W、Q3W、Q4W、またはQ5W)に投与される、実施形態115~117のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態119:AVE1642抗体は、静脈内(IV)または皮下(SC)投与される、実施形態118に記載の方法。
【0143】
実施形態120:治療有効量のAVE1642抗体は、Q3WでIVの1~5mg/kgもしくは75~375mg、またはQ2WでIVの0.6~4mg/kgもしくは45~300mg、またはQWでIVの0.3~3mg/kgもしくは22~225mgの投与量を含む、実施形態107~113のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
実施形態121:AVE1642抗体は、428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域をさらに含む、実施形態107~120のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
実施形態122:AVE1642抗体は、428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域をさらに含む、実施形態115~117のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態123:治療有効量のAVE1642抗体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間毎(すなわち、QW、Q2W、Q3W、Q4W、Q5W、Q6W、Q7W、Q8W、Q9W、Q10W、Q11W、またはQ12W)に投与される、実施形態122に記載の方法。
【0147】
実施形態124:AVE1642抗体は、静脈内(IV)または皮下(SC)投与される、実施形態123に記載の方法。
【0148】
実施形態125:IGF-1R阻害剤は、428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域をさらに含むテプロツムマブ抗体である、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態126:IGF-1R阻害剤は、252位でメチオニンをチロシンで置換する変異(Met252Tyr)、254位でセリンをトレオニンで置換する変異(Ser254Thr)および256位でトレオニンをグルタミン酸で置換する変異(Thr256Glu)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域をさらに含むテプロツムマブ抗体である、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
実施形態127~200は意図的に省略される。
【0151】
実施形態201:
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域
のいずれかを含む、インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体。
【0152】
実施形態202:抗体は、IGF-1Rに結合し、かつIGF-1Rを阻害する、実施形態201に記載の抗体。
【0153】
実施形態203:抗体またはその抗原結合部分は、IGF-1Rへの結合のために、参照抗体またはその参照抗原結合部分と交差競合する、実施形態201または202のいずれか1つに記載の抗体。
【0154】
実施形態204:参照抗体は、αIR3、ダロツズマブ、ガニツマブ、キセンツズマブ、AVE1642、フィギツムマブ、デュシギツマブ、シクスツムマブ、BIIB022、ロバツムマブ、テプロツムマブ、および抗体2から選択される、実施形態203に記載の抗体。
【0155】
実施形態205:抗体は、IgA、IgD、IgE、およびIgGから選択される、実施形態201~204のいずれか1つに記載の抗体。
【0156】
実施形態206:抗体はIgGである、実施形態205に記載の抗体。
【0157】
実施形態207:抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選択される、実施形態206に記載の抗体。
【0158】
実施形態208:抗体はIgG1である、実施形態207に記載の抗体。
【0159】
実施形態209:抗体は、
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)シグナル伝達を減少させることができ、
甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)/IGF-1Rクロストーク(すなわち、TSHR/IGF-1Rシグナロソームの形成)を阻害することができる、
眼窩の繊維芽細胞中のヒアルロナン(HA)分泌を減少させることができ、
M428L/N434SまたはM252Y/S254T/T256Eの置換を含まない抗体と比較して、in vivoで長期間持続でき(すなわち、半減期がより長い)、かつ/あるいは
M428L/N434SまたはM252Y/S254T/T256Eの置換を含まない抗体と比較して、より少ない頻度で、または投薬ごとにより少ない量で投薬できる、
実施形態201~208のいずれか1つに記載の抗体。
【0160】
実施形態210:抗体は、ダロツズマブ、ガニツマブ、キセンツズマブ、AVE1642、フィギツムマブ、デュシギツマブ、シクスツムマブ、BIIB022、ロバツムマブ、テプロツムマブ、および抗体2から選択される抗体に由来した相補性決定領域(CDR)を含む、実施形態201~209のいずれか1つに記載の抗体。
【0161】
実施形態211:抗体は、
配列番号1のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号9のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号11のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号12のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号17のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号19のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号20のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号22のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号25または配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1を含むHCDR1、配列番号26、配列番号76、または配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号33のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号34のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号35のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号36のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号37のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号38のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号41のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号43のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号44のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号49のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号50のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号51のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号52のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号53のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号54のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号57のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号58のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号59のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号60のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号61のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号62のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号84のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号85のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号86のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号87のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号88のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号89のアミノ酸配列を含むLCDR3、あるいは
配列番号84のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号92のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号86のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号87のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号93のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号89のアミノ酸配列を含むLCDR3
を含む、HCDR1、HCDR2、ならびにHCDR3のドメインを含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2、ならびにLCDR3のドメインを含む軽鎖可変領域とを含む、実施形態201~210のいずれか1つに記載の抗体。
【0162】
実施形態212:抗体は、ダロツズマブ、ガニツマブ、キセンツズマブ、AVE1642、フィギツムマブ、デュシギツマブ、シクスツムマブ、BIIB022、ロバツムマブ、テプロツムマブ、および抗体2から選択される抗体に由来した重鎖可変ドメイン(VH)ならびに軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、実施形態201~209のいずれか1つに記載の抗体。
【0163】
実施形態213:
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号31、78、または79のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号32、80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号64のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、あるいは
配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号66のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、
配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、実施形態201~209のいずれか1つに記載の抗体。
【0164】
実施形態214:配列番号25または配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1を含むHCDR1、配列番号26、配列番号76、または配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、実施形態201~210のいずれか1つに記載の抗体。
【0165】
実施形態215:配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の抗体。
【0166】
実施形態216:
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、または
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3
を含む、実施形態201~209のいずれか1つに記載の抗体。
【0167】
実施形態217:抗体は、配列番号31、78、または79のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号32、80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態201~209のいずれか1つに記載の抗体。
【0168】
実施形態218:抗体は、配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態217に記載の抗体。
【0169】
実施形態219:抗体は、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態218に記載の抗体。
【0170】
実施形態220:抗体は、配列番号81のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態219に記載の抗体。
【0171】
実施形態221:抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態219に記載の抗体。
【0172】
実施形態222:抗体は、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態219に記載の抗体。
【0173】
実施形態223:抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態218に記載の抗体。
【0174】
実施形態224:抗体は、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態223に記載の抗体。
【0175】
実施形態225:抗体は、配列番号81のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態223に記載の抗体。
【0176】
実施形態226:抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態223に記載の抗体。
【0177】
実施形態227:抗体は、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態223に記載の抗体。
【0178】
実施形態228:配列番号84のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号85のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号86のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号87のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号88のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号89のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、実施形態201~209のいずれか1つに記載の抗体。
【0179】
実施形態229:抗体は、配列番号90を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号91を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態201~209のいずれか1つに記載の抗体。
【0180】
実施形態230:抗体は、428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域を含む、実施形態201~229のいずれか1つに記載の抗体。
【0181】
実施形態231:抗体は、252位でのチロシンである第1の変異(Met252Tyr)、254位でのトレオニンである第2の変異(Ser254Thr)、および256位でのグルタミン酸である第3の変異(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域を含む、実施形態201~229のいずれか1つに記載の抗体。
【0182】
実施形態232:インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、抗体は、
配列番号25または配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1を含むHCDR1、配列番号26、配列番号76、または配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む、HCDR1、HCDR2、ならびにHCDR3のドメインを含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2、ならびにLCDR3のドメインを含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0183】
実施形態233:インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、抗体は、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む、HCDR1、HCDR2、ならびにHCDR3のドメインを含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2、ならびにLCDR3のドメインを含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0184】
実施形態234:インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、抗体は、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号25のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号77のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、または
配列番号75のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む、HCDR1、HCDR2、ならびにHCDR3のドメインを含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2、ならびにLCDR3のドメインを含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0185】
実施形態235:インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、抗体は、
配列番号31、78、または79のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号32、80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けはKabatにあるようなEUによるものである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む。
【0186】
実施形態236:抗体は、配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態235に記載の抗体。
【0187】
実施形態237:抗体は、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態236に記載の抗体。
【0188】
実施形態238:抗体は、配列番号81のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態236に記載の抗体。
【0189】
実施形態239:抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態236に記載の抗体。
【0190】
実施形態240:抗体は、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態236に記載の抗体。
【0191】
実施形態241:抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号80、81、82、または83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態235に記載の抗体。
【0192】
実施形態242:抗体は、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態241に記載の抗体。
【0193】
実施形態243:抗体は、配列番号81のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態241に記載の抗体。
【0194】
実施形態244:抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態241に記載の抗体。
【0195】
実施形態245:抗体は、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、実施形態241に記載の抗体。
【0196】
実施形態246:インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、抗体は、
配列番号84のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号85のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号86のアミノ酸配列を含むHCDR3、配列番号87のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号88のアミノ酸配列を含むLCDR2、および配列番号89のアミノ酸配列を含むLCDR3、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、第3の変異すなわちおよび256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む、HCDR1、HCDR2、ならびにHCDR3のドメインを含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2、ならびにLCDR3のドメインを含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0197】
実施形態247:インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)に結合する抗体であって、抗体は、
配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメイン、ならびに
428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域、または
第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域のいずれか
を含む。
【0198】
実施形態248:抗体は、428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域を含む、実施形態232~247のいずれか1つに記載の抗体。
【0199】
実施形態249:抗体は、第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域を含む、実施形態232~247のいずれか1つに記載の抗体。
【0200】
実施形態250:実施形態201~249のいずれか1つに記載の抗体のポリペプチド配列をコードする、ヌクレオチド配列。
【0201】
実施形態251:実施形態250に記載のヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【0202】
実施形態252:実施形態251に記載のベクターを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株。
【0203】
実施形態253:治療有効量の実施形態201~249のいずれか1つに記載される抗体、および薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【0204】
実施形態254:治療有効量は、1~10mg/kgの投与量を含む、実施形態253に記載の医薬組成物。
【0205】
実施形態255:治療有効量は、1~5mg/kgの投与量を含む、実施形態254に記載の医薬組成物。
【0206】
実施形態256:治療有効量は、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、または約5mg/kgの投与量を含む、実施形態255に記載の医薬組成物。
【0207】
実施形態257:治療有効量は、1、2、3、4、または5週間毎(すなわち、QW、Q2W、Q3W、Q4W、またはQ5W)の投与のために製剤化される、実施形態253~256のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0208】
実施形態258:薬学的に許容可能な担体は、静脈内(IV)または皮下(SC)投与に好適である、実施形態253~257のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0209】
実施形態259:治療有効量の実施形態201~249のいずれか1つに記載される抗体を含み、治療有効量は、
1~60mg/kgもしくは75~4500mg、または
0.6~40mg/kgもしくは45~3000mg、または
0.3~20mg/kgもしくは22~1500mg
の投与量を含む、実施形態253に記載の医薬組成物。
【0210】
実施形態260:IV投与のために製剤化される、実施形態259に記載の医薬組成物。
【0211】
実施形態261:4、3、2、または1週間毎に投薬するために製剤化される、実施形態260に記載の医薬品組成物。
【0212】
実施形態262:治療有効量の実施形態201~249のいずれか1つに記載される抗体を含み、治療有効量は、
1~30mg/kgもしくは75~2250mg、
0.6~20mg/kgもしくは1500mg、
0.3~10mg/kgもしくは750mg
の投与量を含む、実施形態253に記載の医薬組成物。
【0213】
実施形態263:治療有効量の実施形態201~249のいずれか1つに記載される抗体を含み、治療有効量は、
1~20mg/kgもしくは75~1500mg、
0.6~13.5mg/kgもしくは1000mg、
0.3~7mg/kgもしくは500mg
の投与量を含む、実施形態253に記載の医薬組成物。
【0214】
実施形態264:皮下投与のために製剤化される、実施形態262~263のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0215】
実施形態265:4、3、2、または1週間毎に投薬するために製剤化される、実施形態264に記載の医薬品組成物。
【0216】
実施形態266:実施形態264に記載される医薬製剤を含む自動注射器。
【0217】
実施形態267:甲状腺眼症(TED)を有する対象のTEDを処置する方法であって、対象に実施形態201~249のいずれか1つに記載の抗体または実施形態253~265のいずれか1つに記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含む、方法。
【0218】
実施形態268:甲状腺眼症(TED)を有する対象の突出症を減少させる方法であって、対象に実施形態201~249のいずれか1つに記載の抗体または実施形態253~265のいずれか1つに記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含む、方法。
【0219】
実施形態269:突出症は少なくとも2mm減少する、実施形態268に記載の方法。
【0220】
実施形態270:突出症は少なくとも3mm減少する、実施形態269に記載の方法。
【0221】
実施形態271:突出症は少なくとも4mm減少する、実施形態270に記載の方法。
【0222】
実施形態272:上記方法は、TEDを有する対象において臨床活動性スコア(CAS)減少させる工程をさらに含む、実施形態268に記載の方法。
【0223】
実施形態273:突出症は少なくとも2mm減少し、CASは少なくとも2ポイント減少する、実施形態272に記載の方法。
【0224】
実施形態274:CASは少なくとも3ポイント減少する、実施形態273に記載の方法。
【0225】
実施形態275:突出症は少なくとも3mm減少し、CASは少なくとも3ポイント減少する、実施形態274に記載の方法。
【0226】
実施形態276:甲状腺眼症(TED)を有する対象の複視を処置するか、またはその重症度を低下させる方法であって、対象に実施形態201~249のいずれか1つに記載の抗体または実施形態253~265のいずれか1つに記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含む、方法。
【0227】
実施形態277:複視は持続性複視である、実施形態276に記載の方法。
【0228】
実施形態278:複視は間欠性複視である、実施形態276に記載の方法。
【0229】
実施形態279:複視は非持続性複視である、実施形態276に記載の方法。
【0230】
実施形態280:複視の重症度における改善または低下は、阻害剤投与の中止後少なくとも20週間維持される、実施形態276に記載の方法。
【0231】
実施形態281:複視の重症度における改善または低下は、阻害剤投与の中止後少なくとも50週間維持される、実施形態280に記載の方法。
【0232】
実施形態282:甲状腺眼症(TED)を有する対象のTEDの臨床活動性スコア(CAS)を減少させる方法であって、投与を必要とする対象に実施形態201~49のいずれか1つに記載の抗体または実施形態253~265のいずれか1つに記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含む、方法。
【0233】
実施形態283:CASは少なくとも2ポイント減少する、実施形態282に記載の方法。
【0234】
実施形態284:CASは少なくとも3ポイント減少する、実施形態283に記載の方法。
【0235】
実施形態285:TEDを有する対象において、
インスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)シグナル伝達を減少させる、
甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)/IGF-1Rクロストーク(すなわち、TSHR/IGF-1Rシグナロソームの形成)を阻害する、かつ/または
眼窩の繊維芽細胞中のヒアルロナン(HA)分泌を減少させる方法であって、
投与を必要とする対象に、請求項53~65のいずれか一項に記載の抗体または請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含み、
上述の抗体は、M428L/N434SまたはM252Y/S254T/T256Eの置換を含まない抗体と比較して、in vivoで長期間持続し(すなわち、半減期がより長い)、かつ/あるいは
上述の抗体または医薬組成物は、上述のM428L/N434SまたはM252Y/S254T/T256Eの置換を含まない抗体と比較して、より少ない頻度で、または投薬ごとにより少ない量で投与される、方法。
【0236】
実施形態286:治療有効量は、1~10mg/kgの投与量を含む、実施形態267~285のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
実施形態287:治療有効量は、1~5mg/kgの投与量を含む、実施形態286に記載の方法。
【0238】
実施形態288:治療有効量は、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、または約5mg/kgの投与量を含む、実施形態287に記載の方法。
【0239】
実施形態289:治療有効量は、1、2、3、4、または5週間毎(すなわち、QW、Q2W、Q3W、Q4W、またはQ5W)に投与される、実施形態267~288のいずれか1つに記載の方法。
【0240】
実施形態290:治療有効量は、静脈内(IV)または皮下(SC)投与される、実施形態267~289のいずれか1つに記載の方法。
【0241】
実施形態291:治療有効量の実施形態201~249のいずれか1つに記載される抗体を含み、治療有効量は、
Q3WでIVの1~5mg/kgもしくは75~375mg、または
Q2WでIVの0.6~4mg/kgもしくは45~300mg、または
QWでIVの0.3~3mg/kgもしくは22~225mg
を含む、実施形態267~285のいずれか1つに記載の方法。
【0242】
実施形態292:IV投与のために製剤化される、実施形態291に記載の方法。
【0243】
実施形態293:4、3、2、または1週間毎に投薬するために製剤化される、実施形態292に記載の方法。
【0244】
実施形態294:治療有効量の実施形態201~249のいずれか1つに記載される抗体を含み、治療有効量は、
1~30mg/kgもしくは75~2250mg、
0.6~20mg/kgもしくは1500mg、
0.3~10mg/kgもしくは750mg
の投与量を含む、実施形態267~285のいずれか1つに記載の方法。
【0245】
実施形態295:治療有効量の実施形態201~249のいずれか1つに記載される抗体を含み、治療有効量は、
1~20mg/kgもしくは75~1500mg、
0.6~13.5mg/kgもしくは1000mg、
0.3~7mg/kgもしくは500mg
の投与量を含む、実施形態267~285のいずれか1つに記載の方法。
【0246】
実施形態296:皮下投与のために製剤化される、実施形態294~295のいずれか1つに記載の方法。
【0247】
実施形態297:4、3、2、または1週間毎に投薬するために製剤化される、実施形態296に記載の方法。
【0248】
実施形態298:皮下投与は自動注射器を使用して行われる、実施形態296に記載の方法。
【0249】
実施形態299:実施形態267~298のいずれか1つに記載される、甲状腺眼症(TED)を有する対象のTEDの処置、TEDを有する対象の複視の減少、TEDを有する対象の複視の重症度の低下、もしくはTEDを有する対象におけるCASの減少のための、実施形態201~249のいずれか1つに記載の抗体、または実施形態253~265のいずれか1つに記載の医薬組成物、または実施形態266に記載の自動注射器の使用。
【0250】
実施形態300:実施形態267~298のいずれか1つに記載される、甲状腺眼症(TED)を有する対象のTEDの処置、TEDを有する対象の複視の減少、TEDを有する対象の複視の重症度の低下、もしくはTEDを有する対象におけるCASの減少のための薬剤の製造における、実施形態201~249のいずれか1つに記載の抗体、または実施形態253~265のいずれか1つに記載の医薬組成物、または実施形態266に記載の自動注射器の使用。
【0251】
また、以下の実施形態が本明細書に提供される。
【0252】
対象に有効量のインスリン様成長因子I受容体(IGF-1R)阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。
【0253】
いくつかの実施形態では、上述のIGF-1R阻害剤は抗体である。
【0254】
いくつかの実施形態では、上述のIGF-1R阻害剤抗体は、ガニツマブ、フィギツムマブ、デュシギツマブ、シクスツムマブ、ダロツズマブ、ロバツムマブ、AVE1642、BIIB022、およびキセンツズマブから選択される。
【0255】
いくつかの実施形態では、上述のIGF-1R阻害剤は小分子である。
【0256】
いくつかの実施形態では、上述のIGF-1R阻害剤小分子は、リンシチニブ、ピクロポドフィリン、BMS-754807、BMS-536924、BMS-554417、GSK1838705A、NVP-AEW541、GTx-134、およびAG1024から選択される。
【0257】
また、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺関連眼症、甲状腺眼症(TED)を有する対象の突出症を減少させる(例えば、少なくとも2mm)方法が本明細書に提供される。
【0258】
また、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺関連眼症、甲状腺眼症(TED)を有する対象の突出症を減少させ(例えば、少なくとも2mm)、臨床活動性スコア(CAS)を減少させる方法が本明細書に提供される。
【0259】
また、投与を必要とする対象に、治療有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供され、IGF-1R阻害剤は、(i)突出症を少なくとも2mm減少させ、かつ(ii)対象におけるCASを少なくとも2ポイント(下記に記載されるように、7ポイントのバージョンでのスケールで)減少させる。
【0260】
また、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象の突出症を少なくとも4mm減少させる方法が本明細書に提供される。
【0261】
また、投与を必要とする対象に、治療有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供され、IGF-1R阻害剤は、突出症を少なくとも4mm減少させる。
【0262】
また、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象の複視を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。
【0263】
また、投与を必要とする対象に、IGF-1R阻害剤および薬学的に許容可能な賦形剤または希釈剤または担体を含む有効量の医薬組成物を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。
【0264】
したがって、TED(TAOまたはGO)を有する対象の突出症を少なくとも2mm減少させる方法が本明細書に提供される。上記方法は、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む。
【0265】
また、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、TED(TAOまたはGO)を有する対象の突出症を少なくとも2mm減少させ、臨床活動性スコア(CAS)を減少させる方法が本明細書に提供される。
【0266】
また、TED(TAOまたはGO)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。上記方法は、投与を必要とする対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含み、IGF-1R阻害剤は、(i)突出症を少なくとも2mm減少させ、(ii)対象におけるCASを少なくとも2ポイント(7ポイントのバージョンでのスケールで)減少させる。
【0267】
いくつかの実施形態では、突出症または眼球突出症における減少は、2mmより大きい、例えば、2.2mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.8mm、3mm、3.2mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.8mm、4mm、4.1mm、4.2mm、4.3mm、4.4mm、4.5mm、4.6mm、4.7mm、4.8mm、4.9mm、5mm、または5mmを超える可能性がある。
【0268】
いくつかの実施形態では、CASの減少は、2ポイント以上、例えば3、4、5、6、または7ポイントである。一実施形態では、CASの減少は2ポイント以上である。別の実施形態では、減少は3ポイント以上である。さらに別の実施形態では、CASの減少は4ポイント以上である。
【0269】
また、TED(TAOまたはGO)を有する対象の突出症を少なくとも4mm減少させる方法が本明細書に提供される。上記方法は、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む。
【0270】
また、TEDを処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。上記方法は、投与を必要とする対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含み、IGF-1R阻害剤は、突出症または眼球突出症を少なくとも3mm減少させる。また、TEDを処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。上記方法は、投与を必要とする対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含み、IGF-1R阻害剤は、突出症または眼球突出症を少なくとも4mm減少させる。
【0271】
また、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、(TEDおよび複視を有する対象の)TEDと関連した複視を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。
【0272】
また、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象の複視を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。
【0273】
TEDが重度である場合、TSHおよびIGF-1受容体の活性化から眼窩組織をリモデリングすることを特徴とするこの活動性の自己免疫疾患は、TED患者に主な生活の質(QoL)の問題である過剰な細胞外マトリックスおよび突出症/複視をもたらす。
【0274】
また、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を有する対象の持続性複視(CD)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。さらに、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含み、その結果プラセボと比較して複視の改善をもたらす、複視の処置方法が本明細書に提供される。
【0275】
すべての対象が同じようにIGF-1R阻害剤の投与に応答するとは限らないことに留意されたい。患者集団に投与した場合、患者の約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%は、少なくとも2mmの突出症または眼球突出症の減少、および少なくとも2ポイントのCASの減少を伴って応答し得る。いくつかの実施形態では、応答は、患者の少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、または少なくとも80%で認められる。
【0276】
いくつかの実施形態では、IGF-1R阻害剤は、対象の少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%において突出症を少なくとも3mm減少させる。いくつかの実施形態では、IGF-1R阻害剤は、対象の少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%において突出症を少なくとも3.5mm減少させる。いくつかの実施形態では、IGF-1R阻害剤は、対象の少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%において突出症を少なくとも4mm減少させる。いくつかの実施形態では、IGF-1R阻害剤は、対象の約40%において突出症を少なくとも4mm減少させる。
【0277】
さらに、過去にIGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置に応答したが後に再発したかのいずれかである、甲状腺眼症(TED)、甲状腺関連眼症(TAO)、またはグレーブス眠症(GO)を有する対象の眼球の突出症を減少させる方法が本明細書に提供され、上記方法は上述の対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む。
【0278】
また、TEDを有する対象の眼球の突出症を、他眼(または僚眼)が2mm以上悪化することなく、少なくとも2mm減少させる方法も本明細書に提供され、上記方法は、上述の対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む。対象は、上述のIGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置の後に再発したかのいずれかである。
【0279】
いくつかの実施形態では、突出症または眼球突出症における減少は、2mmより大きい、例えば、2.2mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.8mm、3mm、3.2mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.8mm、4mm、4.1mm、4.2mm、4.3mm、4.4mm、4.5mm、4.6mm、4.7mm、4.8mm、4.9mm、5mm、または5mmを超える可能性がある。
【0280】
また、IGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置の後に再発したかのいずれかである対象の甲状腺眼症(TED)の臨床活動性スコア(CAS)を減少させる方法が本明細書に提供され、上記方法は、投与を必要とする対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、上述の対象において、CASは、1または0のいずれか(下記に記載されるように、7ポイントのバージョンでのスケールで)に減少する。
【0282】
いくつかの実施形態では、CASの減少は、2ポイント以上、例えば3、4、5、6、または7ポイントである。一実施形態では、CASの減少は2ポイント以上である。別の実施形態では、減少は3ポイント以上である。さらに別の実施形態では、CASの減少は4ポイント以上である。さらに別の実施形態では、CASの減少は5ポイント以上である。
【0283】
一実施形態では、処置の結果、CASは1に減少する。別の実施形態では、処置の結果、CASは0に減少する。
【0284】
また、IGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置に応答したが後に再発したかのいずれかである対象に、IGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。
【0285】
さらに、IGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置の後に再発したかのいずれかである対象の甲状腺眼症(TED)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供され、上記方法は、投与を必要とする対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含み、上述のIGF-1R阻害剤は、(i)眼球の突出症を少なくとも2mm減少させ、(ii)他眼(または僚眼)の2mm以上の悪化を伴わず、かつ(iii)上述の対象のCASを、1または0のいずれか(下記に記載されるように、7ポイントのバージョンでのスケールで)に減少させる。
【0286】
また、投与を必要とする対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED;TAOまたはGO)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供され、上述の抗体は、CASを1または0のいずれかに減少させるだけでなく突出を少なくとも2mm減少させる。上記で述べたように、対象は、上述のIGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置の後に再発したかのいずれかである。
【0287】
さらに、過去にIGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置に応答したが後に再発したかのいずれかである、甲状腺眼症(TED;TAOまたはGO)を有する対象のTEDを処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供され、上記方法は、投与を必要とする対象にIGF-1R阻害剤および薬学的に許容可能な賦形剤または希釈剤または担体を含む有効量の医薬組成物を投与する工程を含む。
【0288】
さらに、過去にIGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置に応答したが後に再発したかのいずれかである、甲状腺眼症(TED;TAOまたはGO)を有する対象の眼球の突出症を減少させる方法が本明細書に提供され、上記方法は上述の対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む。
【0289】
また、IGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置に応答したが後に再発したかのいずれかである対象に、IGF-1R阻害剤を投与する工程を含む、甲状腺眼症(TED;TAOまたはGO)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供される。
【0290】
さらに、IGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置に応答したが後に再発したかのいずれかである、甲状腺眼症(TED;TAOまたはGO)を有する対象の生活の質を改善する方法が本明細書に提供され、上記方法は、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む。
【0291】
さらに、IGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置に応答したが後に再発したかのいずれかである、甲状腺眼症(TED;TAOまたはGO)を有する対象の複視を処置するもしくは減少させるまたは複視の重症度を低下させる方法が本明細書に提供され、上記方法は、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む。
【0292】
いくつかの実施形態では、複視は持続性複視である。いくつかの実施形態では、複視は非持続性複視である。いくつかの実施形態では、複視は間欠性複視である。
【0293】
いくつかの実施形態では、複視の重症度における改善または低下は、IGF-1R阻害剤投与の中止後少なくとも20、30、40、または50週間維持される。いくつかの実施形態では、複視の重症度における改善または低下は、IGF-1R阻害剤投与の中止後少なくとも、20~30、30~40、40~50、または50~60週間維持される。いくつかの実施形態では、複視の重症度における改善または低下は、IGF-1R阻害剤投与の中止後少なくとも20週間維持される。いくつかの実施形態では、複視の重症度における改善または低下は、IGF-1R阻害剤投与の中止後少なくとも50週間維持される。
【0294】
さらに、IGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置に応答したが後に再発したかのいずれかである、甲状腺眼症(TED;TAOまたはGO)を有する対象の持続性複視(CD)を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供され、上記方法は、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、IGF-1R阻害剤を用いた処置は、重度のTEDを有する患者のCDのQoLを改善する。
【0295】
さらに、IGF-1R阻害剤を用いた前処置を受けており、上述の前処置に応答しなかったか、または上述の前処置に応答したが後に再発したかのいずれかである、甲状腺眼症(TED;TAOまたはGO)を有する対象の複視を処置するか、またはその重症度を低下させる方法が本明細書に提供され、上記方法は、対象に有効量のIGF-1R阻害剤を投与する工程を含み、その結果、プラセボと比較して薬物中止後51週間まで複視の改善が維持される。
【0296】
IGF-1R阻害剤は、単回用量または複数回用量で投与することができる。一実施形態では、IGF-1R阻害剤は単回用量で対象に投与される。別の実施形態では、IGF-1R阻害剤は、複数回用量で対象に投与され、数日間、数週間、または数か月間にわたって分けられる。いくつかの実施形態では、IGF-1R阻害剤は、毎週、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、毎月、2か月毎、または3か月毎に投与される。
【0297】
いくつかの実施形態では、IGF-1R阻害剤は、複数回用量で投与され、投与量は毎回同一である。いくつかの実施形態では、IGF-1R阻害剤は、複数回用量で投与され、1回目の投与時の投与量はその後の投与時の投与量と異なる(より高くまたはより低くなり得る)。いくつかの実施形態では、IGF-1R阻害剤は、複数回用量で投与され、投与量は、治療に対する対象の応答に基づいて各投与で調整される。
【0298】
投与量は、各患者の年齢、性別、人種、および体重などの異なる要因に応じて患者間でさらに変化する場合がある。一実施形態では、投与量は患者の体重によって変化する。投与量は、体重1キログラム当たりIGF-1R阻害剤約1mg~体重1キログラム当たりIGF-1R阻害剤約100mgの範囲であり得る。投与量は、例えば、体重1キログラム当たり1mg、2mg、3mg、5mg、7mg、10mg、12mg、15mg、17mg、20mg、22mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70
mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、または100mgのIGF-1R阻害剤であり得る。
【0299】
いくつかの実施形態では、投与量は、約1mg/kg~約5mg/kgのIGF-1R阻害剤である。いくつかの実施形態では、投与量は、約5mg/kg~約10mg/kgのIGF-1R阻害剤である。いくつかの実施形態では、投与量は、約10mg/kg~約15mg/kgのIGF-1R阻害剤である。いくつかの実施形態では、投与量は、約15mg/kg~約20mg/kgのIGF-1R阻害剤である。
【0300】
IGF-1R阻害剤が複数回用量で投与され、1回目の投与時の投与量がその後の投与時の投与量とは異なるいくつかの実施形態では、1回目の投与時の投与量は、約1mg/kg~約5mg/kgのIGF-1R阻害剤、約5mg/kg~約10mg/kgのIGF-1R阻害剤、約10mg/kg~約15mg/kgのIGF-1R阻害剤、約15mg/kg~約20mg/kgのIGF-1R阻害剤、または約20mg/kg~約25mg/kgのIGF-1R阻害剤である。その後の用量は初回用量より高くまたは低くなり得る。いくつかの実施形態では、その後の用量は、約1mg/kg~約5mg/kgのIGF-1R阻害剤、約5mg/kg~約10mg/kgのIGF-1R阻害剤、約10mg/kg~約15mg/kgのIGF-1R阻害剤、約15mg/kg~約20mg/kgのIGF-1R阻害剤、または約20mg/kg~約25mg/kgのIGF-1R阻害剤である。
【0301】
処置期間は、対象の治療に対する応答に依存し、約1か月または4週間~約2年または100週間の範囲であり得る。異なる実施形態では、処置は、約1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、または2年の全期間にわたって提供される可能性がある。他の実施形態では、処置は、4、6、8、10、12、14、16、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52週間の全期間にわたって提供されるか、または56、64、72、80、88、96、もしくは104週間まで延長される可能性がある。
【0302】
IGF-1R阻害剤は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)、局所、皮下、鼻腔内、腸内、舌下、膣内、または直腸の経路を含むがこれらに限定されない任意の好適な経路で投与されてもよい。ハイポスプレーも、本明細書に開示される医薬組成物を投与するのに使用されても良い。また、注射前の液体ビヒクル中の溶液または懸濁液に適している固体形態が使用されてもよい。
【0303】
上記の任意の実施形態がこれらの実施形態のいずれか1つ以上と組み合わされ得る実施形態も提供されるが、その組合せは相互排他的ではない。本明細書で使用されるとき、一方が他方と異なるものであると定義される場合、2つの実施形態は「相互排他的」である。
【0304】
定義
本開示についての理解を容易にするために、本明細書に使用されるような多くの用語および略語は以下のように定義される。
【0305】
本明細書で使用されるとき、用語「抗体」は、全抗体、モノクローナル抗体、抗体フラグメント、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、および遺伝子操作された抗体を含むがこれらに限定されない様々な形態の抗体を、特異性およびIGF-IR阻害性などの特有の性質を維持する限り包含する。
【0306】
本明細書で使用されるとき、「抗原結合フラグメント」、「フラグメント」、および「抗体フラグメント」という用語は、完全長の抗体の一部、一般的には少なくともその抗原結合部分または可変領域を含む、あらゆるフラグメントに言及するために交換可能に使用される。抗体フラグメントの例としては、ダイアボディ、単鎖抗体分子、多重特異的性抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、またはscFvが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、本明細書に使用される用語「抗体」は、抗体およびその抗原結合フラグメントの両方を含む。加えて、抗体フラグメントは、VH鎖の特性を有する、すなわちVL鎖と一体に集合することができる一本鎖ポリペプチドを含むか、またはIGF-IRに結合するVL鎖の特性を有する、すなわちVH鎖と一体に機能的抗原結合ポケットに集合することができる一本鎖ポリペプチドを含み、それによりIGF-IおよびIGF-IIがIGF-IRに結合することを阻害する特性が提供される。
【0307】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一のアミノ酸組成物の抗体分子の調製物を指す。したがって、用語「ヒトモノクローナル抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来した可変領域および定常領域を有している、単一の結合特異性を呈する抗体を指す。一実施形態では、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合したヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入遺伝子とを含むゲノムを有するトランスジェニックの非ヒト動物(例えばトランスジェニックマウス)から得たB細胞を含む、ハイブリドーマによって産生される。
【0308】
本明細書で使用される用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来した可変領域および定常領域を有する抗体を含むように意図される。本明細書に使用される用語「ヒト化抗体」は、親免疫グロブリンの特異性と比較して、フレームワークまたは「相補性決定領域」(CDR)が、異なる特異性の免疫グロブリンのCDRを含むように修飾された抗体を指す。好ましい実施形態では、「ヒト化抗体」を調製するために、マウスCDRがヒト抗体のフレームワーク領域にグラフト化される。
【0309】
用語「組み換えヒト抗体」は、本明細書で使用されるとき、SP2-0、NS0、もしくはCHO細胞などの宿主細胞またはヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体あるいは宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現された抗体などの組換え手段によって調製、発現、作製、または単離されたあらゆるヒト抗体を含むように意図される。そのような組換えヒト化抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来した可変領域および定常領域を再構成された形態で有する。
【0310】
本明細書に使用される用語「可変領域」(軽鎖の可変領域(VL)、重鎖の可変領域(VH))は、抗体を抗原に結合するのに直接関与する軽鎖および重鎖の対のそれぞれを示す。可変のヒト軽鎖および重鎖のドメインは、同一の一般的構造を有しており、各ドメインは、その配列が広く保存され、3つの「超可変領域」(または相補性決定領域、CDR)によって接続された4つのフレームワーク(FR)領域を含む。フレームワーク領域は、βシート立体構造をとり、CDRは、このβシート構造を接続するループを形成し得る。各鎖のCDRは、フレームワーク領域によりそれらの三次元構造内で保持され、他の鎖からのCDRと共に抗原結合部位を形成する。抗体の重鎖および軽鎖CDR3領域は、抗体の結合特異性/親和性において重要な役割を果たす。
【0311】
「相補性決定領域」、「CDR」、「超可変領域」、または「抗体の抗原結合部分」という用語は、本明細書で交換可能に使用され、抗原結合に関与している抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、相補性決定領域またはCDRのアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」または「FR」領域は、本明細書で定義されるような超可変領域残基以外のそれらの可変ドメイン領域である。したがって、抗体の軽鎖および重鎖は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4のドメインをN末端からC末端まで含む。特に、重鎖のCDR3は、抗原結合に最も寄与する領域である。CDR領域およびFR領域は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))の標準定義および/または「超可変ループ」からのそれらの残基に従って決定される。
【0312】
「IGF-IRへの結合」、「IGF-IRへの特異的結合」という用語は、本明細書で交換可能に使用され、in vitroアッセイ、好ましくは、抗体が表面に結合し、IGF-IRの結合は表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される結合アッセイにおけるIGF-IRへの抗体の結合を意味する。結合性は、10~8M以下、好ましくは10-13~10-9Mの結合親和性(KD)を意味する。IGF-IRへの結合性は、BIAcoreアッセイ(Pharmacia Biosensor AB、ウプサラ、スウェーデン)によって調査することができる。結合の親和性は、ka(抗体/抗原複合体からの抗体の会合の速度定数)、kd(解離定数)、およびKD(kd/ka)という用語によって定義される。本明細書で開示される方法において使用される抗体は、典型的には約10-9M以下のKDを示す。
【0313】
本明細書で開示される方法において使用される抗体またはその抗原結合フラグメントは、IGF-IおよびIGF-IIがIGF-IRに結合することを阻害する。阻害は、細胞上のIGF-IRへのIGF-I/IGF-IIの結合についてのアッセイ中でIC50として測定される。そのようなアッセイは当業者に公知であり、例えば、米国特許第7,579,157号に記載され、その全体は本明細書に援用される。IGF-IRへのIGF-IおよびIGF-IIの結合性に関する、本明細書で開示される方法で使用される抗体のIC50値は、典型的には2nM以下である。IC50値は、少なくとも3つの独立した測定値の平均値または中央値として測定される。単一のIC50値は範囲から除外されてもよい。
【0314】
用語「IGF-IRへのIGF-IおよびIGF-IIの結合を阻害する」は、本明細書で使用されるとき、in vitroアッセイにおいて細胞表の面に存在するIGF-IRへのI125で標識されたIGF-IまたはIGF-IIの結合を阻害することを指す。阻害することとは、2nM以下のIC50値であることを意味する。
【0315】
語句「治療有効の」は、疾患もしくは障害の処置または臨床評価項目を達成することに使用される活性成分の量を定量化するように意図される。
【0316】
用語「治療上許容可能な」は、過度の毒性、刺激、およびアレルギー反応なしで患者の組織に接触させて使用することに適し、合理的なベネフィット/リスク比に釣り合い、かつそれらの意図された使用に有効である、化合物(または塩、プロドラッグ、互変異性体、双性イオンの形態など)を指す。
【0317】
本明細書で使用されるとき、対象または患者の「処置」についての言及は、予防、予防治療(prophylaxis)、減弱、改善、および療法を含むように意図される。処置は、疾患の予防をさらに含んでもよい。例えば、病原体による感染の予防の場合のように、疾病予防は、疾患からの完全な防御を含んでもよく、または疾患進行の予防を含んでもよい。例えば、疾病予防は、任意のレベルでの疾患と関係する任意の影響の完全な除去(foreclosure)を意味しなくてもよいが、代わりに、臨床的に有意または検出可能なレベルでの疾患の症状の予防を意味し得る。また、疾患の予防は、後期の疾患への疾患の進行の予防を意味し得る。
【0318】
「対象」および「患者」という用語は、ヒトを含む哺乳動物すべてを意味するように本明細書で交換可能に使用される。対象の例としては、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウサギが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、対象または患者はヒトである。
【0319】
「疾患または障害に罹患した」、「疾患または障害を患った」、または「疾患または障害を有する」という用語は、本明細書で交換可能に使用され、任意の疾患、障害、症候群、もしくは症状を有する対象または患者を指す。障害の重症度のレベルの上昇または低下が、他の用語と比較して一方の用語の使用によって暗示されることはない。
【0320】
本明細書に使用される用語「疾患」は、「障害」、「症候群」、および(内科疾患におけるような)「疾病」といった用語と一般に同意語になるように意図され、ならびに交換可能に使用され、それらすべては、正常な機能を害する、ヒトまたは動物の身体あるいはその一部分の異常状態を表し、兆候および症状を見分けることによって、典型的に明らかにされ、ヒトまたは動物の寿命が短くなる、あるいは生活の質が落ちる原因である。
【0321】
用語「併用療法」は、本開示に記載される治療上の疾病または障害を処置するための2つ以上の治療剤の投与を意味する。そのような投与は、有効成分の固定比率を有する単一のカプセル、または各有効成分のための多数の別個のカプセルなどにおいて、実質的に同時の形でのこれらの治療剤の同時投与を包含する。加えて、そのような投与は、各種の治療剤の連続的な使用も包含する。いずれの場合にも、処置レジメンは、本明細書に記載の疾病または障害の処置において、複合薬の有益な効果をもたらすこととなる。
【0322】
本開示またはその好ましい実施形態の要素を説明する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その」、および「前記」は、1つ以上の要素が存在していることを意味するように意図される。「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有している」という用語は、包括的になるように意図され、列挙された要素以外に追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0323】
「および/または」という用語は、2つ以上の項目の列挙に使用される場合、それ自体で使用できる列挙された項目の任意の1つであるか、または列挙された項目の任意の1つ以上と組み合わせて使用できることを意味する。例えば、「Aおよび/またはB」という表現は、AとBのいずれかまたはその両方、つまり、A単独で、B単独で、またはAおよびBの組合せを意味するように意図される。「A、B、および/またはC」という表現は、A単独で、B単独で、C単独で、AおよびBの組合せ、AおよびCの組合せ、BおよびCの組合せ、またはA、B、およびCの組合せを意味するように意図される。
【0324】
値の範囲が開示され、n1およびn2が数字である、表記法「n1・・・からn2まで」または「n1・・・からn2の間」が使用されるとき、その後、特に指定のない限り、この表記法は、数字自体およびそれらの間の範囲を含むように意図される。この範囲は、終値の間にあり終値を含む整数であるか、または連続していてもよい。一例として、「2~6個の炭素」の範囲は、炭素が整数単位で生じるため、2、3、4、5、および6個の炭素を含むように意図される。一例として、「1~3μM(マイクロモル)」の範囲を例えると、1μM、3μM、およびそれらの間にあるすべての数字から有効数字のあらゆる数(例えば、1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)までを含むように意図される。
【0325】
本明細書で数値xに関連して使用される用語「約」は、x±10%を意味する。
【0326】
用語「含む」は、「含む」および「からなる」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、排他的にXからなり得るか、または追加の何か、例えば、X+Yを含み得る。
【0327】
単語「実質的に」は、「完全に」を除外せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要に応じて、本明細書に使用されるとき、単語「実質的に」は任意選択で省略されてもよい。
【0328】
「治療企図」集団は、ランダム化処置割り付けに従ってランダム化された臨床試験対象すべてを含む。ランダム化比較試験には、2つの主要な厄介な事態、すなわちノンコンプライアンスおよび結果欠損がたびたび生じる。この問題に対する可能性のある1つの解決策は、治療企図(ITT)解析と称される統計概念である。ITT解析は、ノンコンプライアンス、プロトコル逸脱、中止、およびランダム化の後に起こるものすべてを考慮しない。ITT解析は、当初のランダム化処置割付けから生成された予後のバランスを維持する。ITT解析では、処置効果の評価は一般に保存的である。完全な結果データがすべてのランダム化された対象に利用可能な場合、ITTアプローチのよりよい適用が可能となる。プロトコルごとの集団は、任意の主要なプロトコル違反なしで研究を終了したITT集団のサブセットとして定義される。例えば、Gupta SK,Intention-to-treat concept:A review,Perspect Clin Res.2011 Jul-Sep;2(3):109-112を参照されたい。
【0329】
本明細書で使用されるとき、「甲状腺眼症」(TED)、「甲状腺関連眼症」(TAO)、「甲状腺炎症性眼疾患(TIED)」、「グレーブス眠症」(GO)、または「グレーブス眼窩症」(GO)は、同じ障害もしくは疾病を指し、交換可能に使用される。それらはすべて、いくつかの自己免疫性甲状腺障害に関連した炎症性の眼窩病状、最も一般的には「グレーブス病」(GD)を指すが、時には他の疾患、例えば、橋本甲状腺炎を指す。
【0330】
「突出症」および「眼球突出症」という用語(眼球突出(exophthalmus)、眼球突出(exophthalmia)、または眼球突出(exorbitism)としても知られている)は、器官の前方への突起、変位、隆起、または突出を指す。本明細書に使用されるとき、該用語は、眼球の眼窩から前方への突起、前側への変位、隆起、または突出を指す。突出症および眼球突出症は同じ意味を有すると当業者の一部によって見なされ、しばしば交換可能に使用される一方で、それらの意味に微妙な違いがあると考える者もいる。眼球突出症は、一部では重度の突出症を指すため、または内分泌腺関連の突出症を指すために使用される。さらに、例えば、TED(TAOまたはGO)を有する対象の眼に関連した突出症を説明する場合、眼球突出症という用語を使用する者もいる。
【0331】
本明細書で使用されるとき、「突出症」および「眼球突出症」という用語は、交換可能に使用され、眼球の眼窩から前方への突起、前側への変位、隆起、または突出を指す。前方にのみ膨張するための開口部を有する、眼窩の硬い骨構造により、側面または背面からの眼窩軟組織の内容物の任意の増加が起こると、眼球が前方に変位することになる。突出症または眼球突出症は、感染症、炎症、腫瘍、外傷、転移、内分泌病変、血管疾患、および眼窩外病変を含むいくつかの疾患プロセスの結果であり得る。TED(TAOまたはGO)は、成人の突出症の最も一般的な原因として現在認識されている。眼球突出症は、TED(TAOまたはGO)においてしばしば見られるような両側性または(眼窩腫瘍においてしばしば見られるような)片側性のいずれかであり得る。
【0332】
眼球突出症の程度の測定は、眼球の前方への変位の程度の測定に使用される器具である眼球突出測定計を使用することで実施可能である。デバイスにより、眼窩外側縁から角膜の前部までの前方距離の測定も可能である。
【0333】
また、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンおよび磁気共鳴映像法(MRI)も、眼球突出症または突出症の程度を評価するのに使用されてもよい。CTスキャンは、TED(TAOまたはGO)の診断のための優れた画像診断法である。肥大化した外眼筋の可視化ができることに加えて、CTスキャンは、眼窩減圧術が必要な場合、外科医または臨床医に眼窩の骨の解剖学的構造の描写を提供する。MRIは、その多断面および固有のコントラスト性能により、CTスキャン試験に関連する放射線被曝なしで眼窩内容の優れた画像化を提供する。MRIは、視神経、眼窩脂肪、および外眼筋のよりよい画像化を提供するが、CTスキャンでは、眼窩の骨の構造がより良好に見える。
【0334】
また、眼窩の超音波検査も、迅速かつ高い信頼度で実施できるので、TED(TAOまたはGO)の診断および評価に使用され得る。外眼筋の高反射率および肥大化は容易に評価され、連続超音波検査も眼病の進行または安定性を評価するために使用され得る。
【0335】
現在利用可能な技術または今後利用可能になる技術に基づいて、当業者は突出症または眼球突出症の程度の診断および評価のための最良の形式を決定することができる。
【0336】
突出症の正常範囲は12~21mmであることが一般的に認められているが、正常な人の値は、年齢、性別、および人種によって異なることに留意しなければならない。例えば、正常な成人白人男性では、眼球突出の平均距離は16.5mmであり、正常の上限は21.7mmである。成人のアフリカ系アメリカ人では、平均は18.2mmであり、正常の上限は男性では24.1mm、女性では22.7mmである。成人のメキシコ人では、男性は平均15.2mm、女性は平均14.8mmとなり、イランでは、20~70歳の年齢群については、平均は14.7mmであった。成人の台湾人では、正常な対象とグレーブス眼症を有する対象とを比較すると、正常群の平均測定値は、TED群の18.3mmに対して13.9mmであった。
【0337】
1つの群内でも変動性が存在し得る。タイ南部の4つの民族集団の眼球突出度測定の平均値は、15.4mm~16.6mmの範囲であった。トルコ人患者2477名では、測定中央値は13mm、上限は17mmであり、オランダの研究では、上限は、男性では20mm、女性では16mmであった。
【0338】
眼球突出症または突出症の平均および上限は大きく異なるが、眼球間で2mmを超える差は有意であり、かつ正常ではないことが当該分野で受け入れられている。
【0339】
当業者、例えば、眼障害についての知識および処置に熟練している眼科医、外科医、または他の臨床医は、対象の年齢、性別、および人種に基づいて突出症の正常値がどういったものであるか知っており、および突出症の有無を診断または評価するだけでなく、その進行を追跡する能力を有している。
【0340】
活動性の測定または評価
TED(TAOまたはGO)の臨床症状を評価するためのいくつかの分類システムが考えられている。1969年には、WernerによってNOSPECS分類(身体的徴候または症状なし、徴候のみ、軟組織病変、突出症、外眼筋徴候、角膜病変、および失明)が報告された(Werner,S.C.American Journal of Ophthalmology,1969,68,no.4,646-648)。
【0341】
また、1977年には、改訂されたNOSPECSもWernerによって公表され、その時以来広く使用されている(Werner,S.C.American Journal of Ophthalmology,1977,83,no.5,725-727)。この分類は、臨床的重症度を等級ごとに分けるものであり、活動性TED(炎症性進行性)と非活動性TED(非炎症性定常性)とを区別する手段を提供しない。したがって、処置の指標は、疾患が活動性であるかまたは非活動性であるかどうかを考慮せずに、もっぱら症状の重症度に基づいていた。1989年には、Mourits et al.によって臨床活動性スコア(CAS)(Mourits et al.,British Journal of Ophthalmology,1989,73,no.8,639-644)が活動性疾患の程度を評価する方法として記載された。急性炎症の古典的な徴候(疼痛、発赤、腫脹、および機能障害)に基づいたこのスコアは、活動性疾患と非活動性疾患とを容易に見分けるための臨床的分類として提案され、1997年に改訂された(Mourits et al.,Clinical Endocrinology,1997.47,no.1,9-14)。このプロトコルはさらに以下に述べられる。
【0342】
本明細書で使用されるとき、CASという用語は、以下に開示されるように記載かつスコア化されたプロトコルを指す。このプロトコルによれば、以下のリストで評価されるパラメータの各々の存在について1ポイントが与えられる。全ポイントの合計は臨床的活動性を定義し、CASを提供する。初めて評価される患者については、項目1~7のみがスコア化される。CAS≧3/7は、活動性GOを示す。2回目以降(典型的には1~3か月後)に評価される患者については、項目8~10もスコア化され、CAS≧4/10が活動性疾患を示す。10項目のCASスケールも同様に存在するが、臨床試験では、多数の評価を含む縦断的研究により適している7項目のスケールが一般的に使用される。
【0343】
CASは、以下の7つの構成要素からなる。
1.自発的な球後痛、
2.意図した眼球運動(上方注視、横向きの注視、および下方注視)による疼痛、
3.結膜の発赤、
4.眼瞼の発赤、
5.結膜浮腫(結膜腫脹/浮腫)、
6.涙丘/皺襞の腫脹、および
7.眼瞼の腫脹。
各構成要素は、存在する(1ポイント)または存在していない(0ポイント)としてスコア化される。各有効性評価のスコアは存在している項目すべての合計であり、0~7の範囲で付与され、0または1は非活動性疾患を構成し、7は重度の活動性眼病を構成する。>2ポイントの変化は、臨床的に意味があると見なされる。
【0344】
項目1の自発的な眼窩痛は、眼球上もしくは眼球の裏側に疼痛または圧迫感を感じる可能性がある。細胞外マトリックスの過剰合成、体液貯留、ならびに細胞の浸潤および増大を通じて眼窩組織体積が増加する場合、この疼痛は眼窩内圧の上昇によって引き起こされ得る。項目2の注視により惹起される眼窩痛は、上、下、または横を見るときまたは見ようとしたときの眼球内の疼痛、すなわち、上方、下方、または側方の眼球運動あるいは上方、下方、または側方を注視しようとする際に伴う疼痛である可能性がある。この種の疼痛は、炎症を起こした筋肉の伸長、特に上方注視をしようとするときに生じる可能性がある。「伸長痛」は、眼窩内圧の上昇の症状である場合に予想されるように、眼球を指で押圧することによって引き起こされることはない。いずれの種類の疼痛も、抗炎症処置後に軽減することができる。したがって、これらの種類の疼痛は、眼窩内の自己免疫性炎症と直接関係があり、したがって、TEDの活動性を評価するのに有用であると見なされる。
【0345】
TED(TAOまたはGO)における腫脹は、結膜浮腫(結膜の浮腫)ならびに涙丘および/または半月襞の腫脹として見られる。両方ともTEDの活動性の徴候である。腫脹した眼瞼は、浮腫、眼窩隔膜からの脂肪の脱出、または線維性の変性症によって引き起こされる場合がある。腫脹に加えて、活動性TEDを示す他の徴候としては、発赤ならびに/または結膜、眼瞼、涙丘および/もしくは半月襞の疼痛が挙げられる。
【0346】
また、他の等級付けシステムもTED(TAOまたはGO)の評価のために開発されている。そのような例の2つは、VISA分類(視力、炎症、斜視、および外観)(Dolman,P.J.,and Rootman,J.,Ophthalmic Plastic and Reconstructive Surgery,2006,22,no.5,319-324 and Dolman,P.J.,Best Practice&Research Clinical Endocrinology&Metabolism,2012,26,no.3,229-248)、および欧州グレーブス病眼症グループ(EUGOGO)分類(Bartalena,L.,et al.,European Journal of Endocrinology,2008,158,no.3,273-285)である。両方のシステムはNOSPECS分類およびCAS分類に基づいており、活動性の徴候および重症度の程度を評価するための指標を使用している。より重要なことには、それらにより、臨床医がGOを有する患者の処置を指導することが可能になる。VISAが北米とカナダでより一般的に使用される一方で、EUGOGOは欧州で使用されている。VISAおよびEUGOGOのプロトコルは互換性がないので、それらの1つだけが特定の患者における参照として利用されるべきである。
【0347】
グレーブス眼症の生活の質(GO-QoL)
突出症(または眼球突出症)およびCASに加えて、生活の質(QoL)も、グレーブス眼症の生活の質(GO-QoL)質問表を使用して評価された。この質問表は、処置後の生活の質の改善を判定するために設計されている。いくつかの実施形態では、質問表は、本明細書に開示される方法に従って抗体またはその抗原結合フラグメントで処置された後の副作用が、グルココルチコイドを用いた処置と比較して、減少するかまたは存在しないことを判定し得る。
【0348】
GO-QoL質問表には2つの自己評価サブスケールがある。1つ目は日常活動に対する視覚機能の影響に関する一方で、2つ目は自己認識される外見の影響に関する。各サブスケールには8つの質問があり、以下の(i)はい-非常に当てはまる、(ii)はい-少し当てはまる、または(iii)いいえ-全く当てはまらないで回答される。各質問はそれぞれ0~2でスコア化され、素点の合計は次に0~100スケールに数学的に変換され、ここで、0は生活の質への最も悪い影響を表し、100は影響がないことを表す。0~100スケールでの>8ポイントの変化は、臨床的に意味があると見なされる。組み合わさったスコアは、両方のサブスケールから素点を取り入れ、再びそれらを単一の0~100スケールに変換したものである。
【0349】
重症度の測定
眼瞼裂については、患者がリラックスして座りながら、遠方を固視して第一眼位で見ている状態で、眼瞼縁間の距離(mm)が測定される。眼瞼の腫脹については、測定/評価は、「存在しない/不確か」、「中等度」、「重度」のいずれかである。眼瞼の発赤は、存在しないかまたは存在するかのいずれかである。結膜の発赤は、存在しないかまたは存在するかのいずれかである。
【0350】
結膜の浮腫は、存在しないかまたは存在するかのいずれかである。涙丘または皺襞の炎症は、存在しないかまたは存在するかのいずれかである。眼球突出症は、個々の患者に対してHertel社の同じ眼球突出測定計を用いて同じ内眼角間距離でミリメートル単位で測定された。主観的な複視は、0~3(0=複視ではない、1=間欠性、すなわち疲労時または起床時の注視の第一眼位における複視、2=非持続性、すなわち注視の極限における複視、3=持続性、すなわち第一眼位または読書眼位における継続的な複視)でスコア化される。眼筋病変については、ひき運動は度数で測定される。角膜病変は、存在しない/点状または角膜症/潰瘍のいずれかである。視神経病変については、すなわち、最高矯正視力、色覚、視神経乳頭、相対的求心性瞳孔障害に対する症状は、存在するかまたは存在しないかのいずれかである。さらに、視神経圧迫が疑われる場合、視野がチェックされる。
【0351】
重症度の分類
視力を脅かす甲状腺眼症:甲状腺性視神経症(DON)および/または角膜障害を有する患者。このカテゴリーは、即時の介入が認められている。
【0352】
中等度~重度の甲状腺眼症:眼疾患が、免疫抑制(活動性の場合に)または外科的介入(非活動性の場合に)のリスクを正当化するのに十分な影響を日常生活に及ぼしている、視力を脅かす疾患のない患者。中等度~重度の甲状腺眼症を有する患者は、≧2mmの眼瞼後退、中等度または重度の軟組織病変、人種および性別に対する正常値の≧3mmの眼球突出症、非持続性複視、または持続性複視のうちのいずれか1つ以上を通常有していた。
【0353】
軽度の甲状腺眼症:甲状腺眼症の特徴が、免疫抑制療法または外科処置を正当化するには不十分な、小さな影響のみ日常生活に及ぼしている患者。患者は、軽微な眼瞼後退(<2mm)、軽度の軟組織病変、人種および性別に対する正常値の<3mmの眼球突出症、一時的な複視または複視ではない、および潤滑剤に応答した角膜の露出のうちのいずれか1つのみ、または1つ以上を通常有している。
【0354】
複視のGorman等級付けによる評価
主観的な複視のGorman評価は、複視ではない(存在していない)、患者が疲労時または起床時の複視(間欠性)、注視の極限における複視(非持続性)、および第一眼位または読書眼位における継続的な複視(持続性)の4つのカテゴリーを含んでいる。患者は、経験している複視の等級に応じてスコア化される。≧1グレードの改善は、臨床的に意味があると見なされる。
【0355】
TEDの処置の有効性を決定するために実施可能である、臨床試験のプロトコルおよび基準を含む追加の試験ならびに導入試験は、米国特許出願公開第20190225696A1号に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0356】
さらに、本明細書に記載されるIGR-1R阻害剤は、導入試験における突出症の非応答者(試験眼の突出症が<2mm減少した)であるか、または導入試験では突出症の応答者であったが、再発による再処置の基準を満たしているかのいずれかの患者におけるTEDの処置に有用であり得る。
【0357】
抗体
本明細書に開示される方法において使用され得る抗体の例の重鎖および軽鎖の配列は、それぞれ重鎖上に3つのCDRおよび軽鎖上に3つのCDRを含んでおり、以下に提供される。CDR、重鎖、軽鎖の配列ならびに抗体のCDR、重鎖、および軽鎖をコードする核酸分子の配列は、配列表中で開示される。抗体重鎖のCDRは、CDRH1(またはHCDR1)、CDRH2(またはHCDR2)、およびCDRH3(またはHCDR3)とそれぞれ称される。同様に、抗体軽鎖のCDRは、CDRL1(またはLCDR1)、CDRL2(またはLCDR2)、およびCDRL3(またはLCDR3)とそれぞれ称される。
【0358】
また、バリアント抗体も本開示の範囲内に含まれている。したがって、本願に記載される配列のバリアントも本開示の範囲内に含まれている。そのようなバリアントは、免疫反応中にin vivoでの体細胞変異、または不死化したB細胞クローンの培養の際のin vitroでの体細胞変異によって生成された天然バリアントを含んでいる。あるいは、バリアントは、遺伝暗号の縮重に起因して生じ得るか、または転写もしくは翻訳におけるエラーに起因して産生され得る。
【0359】
改善された親和性および/または効力を有する抗体配列のさらなるバリアントは、当該分野で公知の方法を使用して得ることができ、本開示の範囲内に含まれている。例えば、さらに改善された親和性を有する抗体を得るためにアミノ酸置換が使用されてもよい。あるいは、抗体の産生のための発現系における翻訳の効率を改善するために、ヌクレオチド配列のコドン最適化を使用してもよい。さらに、本明細書に開示される核酸配列のいずれかへの定向進化法の適用によって抗体特異性または中和活性のために最適化された配列を含むポリヌクレオチドもまた、本開示の範囲内である。
【0360】
一実施形態では、バリアント抗体配列は、本願に記載される配列に対して70%以上(すなわち、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%以上)のアミノ酸配列同一性を共有し得る。いくつかの実施形態では、そのような配列同一性は、完全長の参照配列(すなわち、本願に記載される配列)に対して計算される。いくつかのさらなる実施形態では、本明細書に参照されるように、百分率同一性は、NCBI(the National Center for Biotechnology Information;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって指定されたデフォルトパラメータを用いたBLASTバージョン2.1.3を使用して決定される[Blosum 62マトリックス;ギャップオープンペナルティ=11、およびギャップ伸長ペナルティ=1]。
【0361】
本明細書に開示される方法と共に使用される抗体またはその抗原結合フラグメントは、任意のアイソタイプ(例えば、IgA、IgG、IgM;すなわち、α、γ、またはμ重鎖)のものであり得る。一実施形態では、抗体はIgGである。IgGアイソタイプ内では、抗体はIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスであり得る。抗体は、κ軽鎖またはλ軽鎖を有し得る。
【0362】
本明細書に開示される方法と共に使用される抗体またはその抗原結合フラグメントは、当業者に公知の任意の経路により投与可能である。
【0363】
抗体Fcバリアントおよび半減期
IgGなどの免疫グロブリンでは、重鎖のFc領域内の部位は、新生児受容体(FcRn)との相互作用を媒介する。FcRnへの結合は、エンドソームからエンドサイトーシスされた抗体を血流に戻して再利用し、抗体の輸送において重要な役割を果たす。完全長分子のサイズが大きいことによる腎臓濾過の阻止に伴い、このプロセスは、in vivoでの1~3週間の範囲の好都合な抗体血清半減期をもたらす。したがって、Fc上のこの領域の忠実度は、抗体の臨床的特性にとって重要である。
【0364】
抗体の他の特性は、in vivoでのそのクリアランス速度(例えば、安定性および半減期)を決定し得る。FcRn受容体への抗体結合に加えて、クリアランスおよび半減期に寄与する他の要因は、血清凝集、血清中の酵素分解、免疫系による除去をもたらす抗体の固有の免疫原性、抗原媒介性取り込み、FcR(非FcRn)媒介性取込み、および(例えば、異なる組織コンパートメントにおける)非血清分布である。
【0365】
したがって、治療用抗体の薬物動態(PK)および薬力学(PD)を変化させることができる1つの手段は、Fc内の重鎖定常ドメインを改変することによって抗体の血清半減期を増大させることによるものである。加えて、本明細書に概説される方法論に起因して、FcRnバリアントから生じる免疫原性の可能性は、著しい免疫原性を導入することなく血清半減期が増大するように、異なるIgGアイソタイプからのバリアントを取り込むことによって有意に低減される。
【0366】
Fcドメインにおける置換は、得られるタンパク質が、野生型タンパク質と比較して改善されたin vivo血清半減期を示すように選択される。in vivoでのFcタンパク質の保持を増加させるために、結合親和性の増加は、pH約7.4でより低い親和性を維持しながら、pH約6でなければならない。理論に限定されないが、エンドソーム中のpH6でのFcRnへの結合はFcを隔離するので、Fc領域はin vivoでの半減期がより長いと考えられる。次いで、エンドソームコンパートメントは、Fcを細胞表面に再利用する。コンパートメントが細胞外空間に開くと、より高いpH(約7.4)によりFcの血液中への再放出が誘導される。pH7.4でのFcRnに対するFcの親和性の増加は、Fcの血液中への再放出を妨げると考えられる。結果として、in vivoでのFcの半減期を増加させるFc変異は、一般的に、より高いpHでのFcの放出を依然として可能にしながら、より低いpHでのFcRn結合を増加させる。アミノ酸ヒスチジンは、6.0~7.4のpH範囲でその荷電状態を変化させる。したがって、Fc/FcRn複合体中の重要な位置でヒスチジン残基を見出すことは驚くべきではない。
【0367】
いくつかの実施形態では、特に低いpH(約6.0)での野生型を超えるFcRn結合の増加は、エンドソームにおけるFc/FcRn結合を促進する。いくつかの実施形態では、改変されたFcRn結合を有するFcバリアントは、別のクラスのFc受容体に対する改変された結合、FcγR(FcガンマR)をFcγR5に対する差次的結合として有することができ、特にFcγRIIIbに対する結合の増加およびFcγRIIbに対する結合の減少が、有効性の増加をもたらすことが示されている。
【0368】
いくつかの実施形態では、特定の位置での1つのIgGアイソタイプから別のアイソタイプへの置換の移入を達成することにより、不要な免疫原性がバリアントに導入される可能性を減少させるかまたは排除することができる。すなわち、IgG1は、高いエフェクター機能を含む様々な理由により、治療用抗体の共通のアイソタイプである。特定の位置のIgG2残基は、より長い血清半減期を示すタンパク質をもたらすようにIgG1骨格に導入され得る。
【0369】
いくつかの実施形態では、FcRnへの結合を改善するため、および/またはin vivoの血清半減期を増大させるため、および/または安定性のための構造の適応を可能にするなどのために、非アイソタイプのアミノ酸変化が行われる。
【0370】
当業者によって認識され、かつ以下に記載されるように、いくつかの因子が、血清中の抗体のin vivoクリアランス、したがって半減期に寄与する。1つの要因は、抗体が結合する抗原に関与しており、すなわち、同一の定常領域を有するが異なる可変領域(例えば、Fvドメイン)を有する抗体は、異なるリガンド結合効果のために異なる半減期を有し得る。しかしながら、本開示は、2つの異なる抗体の絶対半減期がこれらの抗原特異性効果に起因して異なり得るが、本明細書に記載されるFcRnバリアントは、異なるリガンドに転移して、半減期を増大させる同じ傾向を与えることができることを実証する。すなわち、一般に、FcRn結合/半減期の増大の相対的な「順序」は、本明細書で論じられるように、異なるFvを有する抗体の同じバリアントを有する抗体に追従する。
【0371】
治療用抗体内のFcバリアントは、親分子にアミノ酸変異を導入することにより作製される。この文脈における「変異」は、通常、アミノ酸置換であるが、本明細書に示されるように、アミノ酸の欠失および挿入を行うこともでき、したがって、これらも変異として定義される。
【0372】
本開示のFcバリアント抗体は、FcRnへの増加した結合および/または増加したin vivo血清半減期を示す。本明細書で使用される「FcRn」または「新生児Fc受容体」とは、IgG抗体Fc領域に結合し、FcRn遺伝子によって少なくとも部分的にコードされるタンパク質を意味する。FcRnは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含むがこれらに限定されない任意の生物からであり得る。当該技術分野で知られるように、機能的FcRnタンパク質は、重鎖と軽鎖と称されることが多い2つのポリペプチドを含む。軽鎖はベータ-2-ミクログロブリンであり、重鎖はFcRn遺伝子によってコードされる。本明細書で別段の定めのない限り、FcRnまたはFcRnタンパク質は、ベータ-2-ミクログロブリンとFcRn重鎖との複合体を指す。場合によっては、FcRnバリアントはヒトFcRn受容体に結合するか、または臨床試験を容易にするために、げっ歯類もしくは霊長類の受容体に結合するバリアントをさらに設計することが望ましい場合がある。
【0373】
いくつかの実施形態では、本開示は、組成物と対象に抗体を投与する方法とを提供し、上記抗体は、親Fc領域と比較して、第1の変異すなわち428位でのロイシン、および第2の変異すなわち434位でのセリンを含むバリアントFc領域を含み、上記抗体は、親Fc領域を含む抗体と比較して、増大した血清半減期を有しており、番号付けはEUインデックスに従っている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体は、428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域を含む。番号付けはKabatにおけるようなEUであり、置換は出発分子に対して非天然であることが理解される。以前に示されているように、これらのFcRn置換は、IgG1、IgG2、およびIgG1/G2のハイブリッド骨格において機能し、IgG3およびIgG4の骨格ならびに任意のIgGアイソフォームの誘導体にも具体的に含まれる。
【0374】
いくつかの実施形態では、本開示は、組成物と対象に抗体を投与する方法とを提供し、上記抗体は、親Fc領域と比較して、第1の変異すなわち252位でのチロシン、第2の変異すなわち254位でのトレオニン、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸を含むバリアントFc領域を含み、上記抗体は、親Fc領域を含む抗体と比較して、増大した血清半減期を有しており、番号付けはEUインデックスに従っている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体は、252位でメチオニンをチロシンで置換する変異(Met252Tyr)、254位でセリンをトレオニンで置換する変異(Ser254Thr)、および256位でトレオニンをグルタミン酸で置換する変異(Thr256Glu)を含むバリアントFc領域を含む。番号付けはKabatにおけるようなEUであり、置換は出発分子に対して非天然であることが理解される。以前に示されているように、これらのFcRn置換は、IgG1、IgG2、およびIgG1/G2のハイブリッド骨格において機能し、IgG3およびIgG4の骨格ならびに任意のIgGアイソフォームの誘導体にも具体的に含まれる。
【0375】
本開示は、抗体、Fc融合、および免疫接着に見出されるものを含む、FcRn受容体への結合が増加したFcドメインのバリアントを含む。本明細書に記載されるように、FcRnへの結合は、in vivoでのより長い血清保持をもたらす。M428L/N434Sに関連する置換を含む、種々のこのような置換が公知であるとともに、米国特許第7,317,091号、第8,084,582号、および第8,101,720号、第8,188,231号、第8,367,805号、および第8,546,543号に記載されており、そのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。同様に、M252Y/S254T/T256Eに関連するものを含む追加の置換が公知であるとともに、国際特許出願WO/2002/060919号および米国特許第7,083,784号に記載されており、そのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0376】
投薬および投与
化合物、抗体、またはその抗原結合フラグメントは、単回用量または複数回用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、治療用抗体は、単回用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、治療用抗体は、複数回用量で対象に投与され、数日間、数週間、または数か月間にわたって分けられる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、毎週、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、毎月、2か月毎、または3か月毎に投与される。
【0377】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、複数回用量で投与され、投与量は毎回同一である。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、複数回用量で投与され、1回目の投与時の投与量はその後の投与時の投与量と異なる(より高くまたはより低くなり得る)。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、複数回用量で投与され、投与量は、治療に対する対象の応答に基づいて各投与で調整される。
【0378】
投与量は、各患者の年齢、性別、人種、および体重などの異なる要因に応じて患者間でさらに変化する場合がある。いくつかの実施形態では、投与量は患者の体重によって変化する。投与量は、体重1キログラム当たり約1mgの抗体またはその抗原結合フラグメント~体重1キログラム当たり約100mgの抗体またはその抗原結合フラグメントの範囲であり得る。投与量とは、例えば、体重1キログラム当たり1mg、2mg、3mg、5mg、7mg、10mg、12mg、15mg、17mg、20mg、22mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、または100mgの抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。
【0379】
いくつかの実施形態では、用量とは、約0.3mg/kg~約10mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、投与量とは、約0.3mg/kg~約5mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、投与量とは、約0.3mg/kg~約1mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。投与量とは、例えば、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、または約10mg/kg、または前述のmg/kgの値の間にあるいずれかの数の10分の1の抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。いくつかの実施形態では、用量は毎週投与される。
【0380】
いくつかの実施形態では、用量とは、約0.6mg/kg~約20mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、投与量とは、約0.6mg/kg~約5mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、投与量とは、約0.6mg/kg~約10mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。投与量とは、例えば、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、または約20mg/kg、または前述のmg/kgの値の間にあるいずれかの数の10分の1の抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。いくつかの実施形態では、用量は2週間毎に投与される。
【0381】
いくつかの実施形態では、用量とは、約1mg/kg~約30mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、用量とは、約5mg/kg~約30mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、用量とは、約10mg/kg~約30mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。投与量とは、例えば、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約5mg/kg、約7mg/kg、約10mg/kg、約12mg/kg、約15mg/kg、約17mg/kg、約20mg/kg、約22mg/kg、約25mg/kg、または約30mg/kg、または前述のmg/kgの値の間にあるいずれかの整数および/または数の10分の1の抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。いくつかの実施形態では、用量は3週間毎に投与される。
【0382】
いくつかの実施形態では、用量とは、約1.2mg/kg~約40mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、用量とは、約5mg/kg~約40mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、用量とは、約10mg/kg~約40mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、用量とは、約20mg/kg~約40mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、用量とは、約25mg/kg~約40mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。投与量とは、例えば、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約5mg/kg、約7mg/kg、約10mg/kg、約12mg/kg、約15mg/kg、約17mg/kg、約20mg/kg、約22mg/kg、約25mg/kg、約27mg/kg、約30mg/kg、約32mg/kg、約35mg/kg、約37mg/kg、または約40mg/kg、または前述の間にあるmg/kgのいずれかの整数および/または10分の1の数の抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。いくつかの実施形態では、用量は4週間毎に投与される。
【0383】
いくつかの実施形態では、投与量とは、約1mg/kg~約5mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、投与量とは、約5mg/kg~約10mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、投与量とは、約10mg/kg~約15mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、投与量とは、約15mg/kg~約20mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0384】
いくつかの実施形態では、投与量とは、約1mg/kg~約5mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、投与量とは、約5mg/kg~約10mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、投与量とは、約10mg/kg~約15mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、投与量とは、約15mg/kg~約20mg/kgの抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0385】
抗体またはその抗原結合フラグメントが複数回用量で投与され、1回目の投与時の投与量がその後の投与時の投与量とは異なるいくつかの実施形態では、1回目の投与時の投与量は、約1mg/kg~約5mg/kgの抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または約5mg/kg~約10mg/kgの抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または約10mg/kg~約15mg/kgの抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または約15mg/kg~約20mg/kgの抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または約20mg/kg~約25mg/kgの抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。その後の用量は初回用量より高くまたは低くなり得る。いくつかの実施形態では、その後の用量とは、約1mg/kg~約5mg/kgの抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または約5mg/kg~約10mg/kgの抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または約10mg/kg~約15mg/kgの抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または約15mg/kg~約20mg/kgの抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または約20mg/kg~約25mg/kgの抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。
【0386】
小分子化合物は、1日当たり0.01~500mg/kgおよび/または1日当たり0.1mg~5gの用量で注射などを介して、経口投与されてもよい。ヒト成人に対する用量範囲は、一般に5mg/日~2g/日である。不連続単位で提供される錠剤または他の提示形態は、そのような投与量でまたはその倍数として有効である1つ以上の化合物の量を、例えば、5mg~500mg、例えば、約10mg~200mgを含有する単位を好都合に含有し得る。
【0387】
単一の剤形をもたらすために担体物質と組み合わせられ得る活性成分の量は、処置される宿主および投与の特定の様式に依存して変動する。患者に投与される化合物の正確な量は、担当する医師に委ねられる。任意の特定の患者のための具体的な用量レベルは、利用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与の時間、投与の経路、排出の速度、複合薬、処置されている正確な障害、および処置されている適応症または疾病の重症度を含む、様々な要因に依存する。また、投与の経路は、疾病およびその重症度によって変化し得る。
【0388】
付加的な投与量範囲が、本開示の全体にわたって提供される。
【0389】
処置の期間は、対象の治療に対する応答に依存し、約1か月または4週間~約2年または100週間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、処置は、約1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、14か月、16か月、18か月、20か月、22か月、または2年の全期間にわたって提供される可能性がある。いくつかの実施形態では、処置は、4、6、8、10、12、14、16、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52週間の全期間にわたって提供されるか、または56、64、72、80、88、96、もしくは104週間まで延長される可能性がある。
【0390】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、体重1キログラム当たり10mgの初回用量で開始し、3週間の間隔をあけて24週間の期間にわたり投与され、その後7回の追加の処置について1キログラム当たり20mgを投与される。いくつかの実施形態では、分子化合物は、適切な持続時間(例えば24週間)の間、1日1回(QD)、1日2回(BID)、または1日3回(TID)投与される。
【0391】
化合物、抗体、またはその抗原結合フラグメントは、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)、局所、皮下、鼻腔内、腸内、舌下、膣内、または直腸の経路を含むがこれらに限定されない任意の好適な経路で投与されてもよい。ハイポスプレーも、本明細書に開示される医薬組成物を投与するのに使用されてよい。典型的には、治療用抗体は、冷凍乾燥された(凍結乾燥された)粉末として、または溶液もしくは懸濁液のいずれかの注射物質として調製されてもよい。また、注射前の液体ビヒクル中の溶液または懸濁液に適している固体形態が使用されてもよい。
【0392】
医薬組成物
本明細書に開示される方法において使用される医薬組成物は、上記で記載された抗体または抗体フラグメント、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤のうち1つ以上を含む。担体または賦形剤は投与を容易にするかもしれないが、それ自体が組成物を受ける対象または個体に有害な抗体の産生を誘導するべきではなく、また毒性を有するものであってもならない。好適な担体は、タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性ウイルス粒子などの大きくゆっくりと代謝される巨大分子であってもよく、当業者には公知である。
【0393】
本明細書に開示される方法と共に使用される抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)、局所、皮下、鼻腔内、腸内、舌下、膣内、または直腸の経路を含むがこれらに限定されない任意の数の経路で投与されてもよい。ハイポスプレーも、本明細書に開示される医薬組成物を投与するのに使用されてよい。典型的には、治療用組成物は、溶液または懸濁液のいずれかの注射物質として調製されてもよい。また、注射前の液体ビヒクル中の溶液または懸濁液に適している固体形態が調製されてもよい。
【0394】
一実施形態では、抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは医薬品組成物は、静脈内に投与される。別の実施形態では、抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは医薬品組成物は、静脈内注射により投与される。
【0395】
組成物の直接送達は、一般的に皮下、腹腔内、静脈内、または筋肉内の注射によって達成されるか、または組織の間質腔に送達される。また、組成物は病変にも投与可能である。投与量の処置は、単回投薬スケジュールまたは複数回投薬スケジュールであってもよい。公知である抗体ベースの医薬品は、例えば、医薬品を毎日、毎週、毎月送達すべきかどうかなど投与の頻度に関係のあるガイダンスを提供する。また、頻度および投与量は、症状の重症度に依存し得る。
【0396】
組成物中の有効成分が、抗体分子、またはその抗体フラグメントもしくはバリアントおよび誘導体であることが認識されるであろう。そのため、これは胃腸管中で分解されやすい。したがって、胃腸管を使用した経路によって組成物が投与される場合、組成物は、抗体を分解から保護するが、胃腸管から吸収されると抗体を放出する薬剤を含有する必要がある。
【0397】
mAb(約150kDa)などのより大きな分子量の部分については、SC毛血管は受動的透過性が低く、mAbの全身循環への吸収は、間質腔からのリンパ取込みを介して、ならびに毛細血管内皮にわたる新生児Fc受容体(FcRn)による能動輸送を介して生じる。また、皮下組織の細胞外マトリックスは、より大きな体積(>1~2mL)でのSC注射を一般的に制限し、組換えヒアルロニダーゼまたはその可溶性フラグメント、例えばrHuPH20との共製剤化は、より高いバイオアベイラビリティを可能にすることができる。さらに、電荷、疎水性、および安定性を含むmAbの生理化学的特性は、それらのSC吸収の速度および範囲に影響を及ぼし、例えば、高い正電荷と疎水的相互作用との組合せにより吸収速度を低下させることができる。
【0398】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法での使用に好適な医薬品組成物は、皮下投与のために製剤化される。皮下投与に好適な製剤の例としては、注射用の薬学的に許容可能な担体に溶解または懸濁させることができる溶液、懸濁液、エマルジョン、および乾燥生成物が挙げられるが、これらに限定されない。抗体は、当該技術分野で公知の方法を使用して、皮下投与のために製剤化されており、また、製剤化されてもよい。
【0399】
本明細書に開示される方法での使用に好適な医薬組成物は、製薬、特に抗体薬物の製造の分野で広範に利用されるものなど、1つ以上の薬学的に許容可能な担体を含む。特に薬学的に許容可能な担体は非毒性であり、有効成分の有効性に干渉すべきではない。担体は、希釈剤、アジュバント、賦形剤、または抗体が投与されるビヒクルであってもよい。そのようなビヒクルは、液体、油、およびエマルジョンなどの液体であってもよい。例えば、0.4%生理食塩水および0.3%グリシンが使用されてもよい。それら溶液は無菌であり、一般的に粒子状物質を含まない。それらは、従来かつ周知の滅菌技術(例えば濾過)によって滅菌され得る。組成物は、pH調整剤および緩衝剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤、および着色剤などの生理学的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容可能な補助物質を含有し得る。そのような医薬製剤中の抗体の濃度は、選択された投与の特定の様式、およびタンパク質凝集などの他の懸念に応じて、変動し得、主に必要とされる用量、液量、粘度などに基づいて選択される。
【0400】
薬学的に許容可能な担体の例は、塩、緩衝剤、抗酸化剤、糖類、水性もしくは非水性の担体、防腐剤、湿潤剤、界面活性剤もしくは乳化剤、透過促進剤、またはそれらの組合せなどの、生理学的に適合性のある溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤などである。
【0401】
使用され得る緩衝液の例は、酢酸、クエン酸、ギ酸、コハク酸、リン酸、炭酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、ホウ酸、トリス緩衝液、HEPPSO、およびHEPESである。
【0402】
使用され得る抗酸化剤の例は、アスコルビン酸、メチオニン、システイン塩酸塩、硫化水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、レシチン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、および酒石酸である。
【0403】
使用され得るアミノ酸の例は、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、グリシン、アルギニン、リジン、L-ロイシン、トリロイシン、アラニン、グルタミン酸、L-トレオニン、および2-フェニルアミンである。
【0404】
使用され得る界面活性剤の例は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート-20またはポリソルベート80)、ポロキサマー(polyoxamers)(例えば、poloxamer 188)、トリトン、オクチルグリコシドナトリウム、ラウリル-スルホベタイン、ミリスチル-スルホベタイン、リノレイル-スルホベタイン、もしくはステアリル-スルホベタイン、ラウリル-サルコシン、ミリスチル-サルコシン、リノレイル-サルコシン、もしくはステアリル-サルコシン、リノレイル-ベタイン、ミリスチル-ベタイン、もしくはセチル-ベタイン、ラウラミドプロピル(lauroamidopropyl)-ベタイン、コカミドプロピル-ベタイン、リノールアミドプロピル-ベタイン、ミリスタミドプロピル-ベタイン、パルミドプロピル-ベタイン、もしくはイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウラミドプロピル(lauroamidopropyl))、ミリストアミドプロピル-ジメチルアミン、パルミドプロピル-ジメチルアミン、もしくはイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン、ココイルメチルタウリンナトリウムもしくはメチルオレイルタウリン二ナトリウム、ならびにMONAQUA(商標)シリーズ(Mona Industries社、Paterson、N.J.)、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、エチレンのコポリマー、およびプロピレングリコール(例えば、PLURONICS(商標)、PF68など)である。
【0405】
使用され得る防腐剤の例は、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀(phenylmercuric nitrite)、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、およびチメロサール、またはそれらの混合物である。
【0406】
使用され得る糖類の例は、単糖、二糖類、三糖類、多糖類、糖アルコール、還元糖、非還元糖、例えば、グルコース、スクロース、トレハロース、ラクトーゼ、フルクトース、マルトース、デキストラン、グリセリン、デキストラン、エリトリトール、グリセリン、アラビトール、シリトール(sylitol)、ソルビトール、マンニトール、メリビオース、メレジトース、ラフモース(raffmose)、マンノトリオース、スタキオース、マルトース、ラクツロース、マルツロース、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、またはイソ-マルツロースである。
【0407】
使用され得る透過促進剤の例としては、rHuPH20(Halozyme)などの組換えヒアルロニダーゼまたはその可溶性フラグメントが挙げられる。皮下投与のための液体製剤は、rHuPH20または別の可溶性ヒトヒアルロニダーゼ酵素を含み得る。rHuPH20は、同じ液体製剤に含まれていた抗体の分散が、皮下投与の間に増大するのに十分な量で存在し得る。
【0408】
医薬組成物中の薬学的に許容可能な担体の量は、担体の活性と、安定性、バイオアベイラビリティ、および/または最小限の酸化などの製剤の所望の特徴とに試験的に基づいて決定され得る。
【0409】
上記に記載されるように、上記に開示されたものなどの疾病を処置するために、本開示の方法は、抗体またはその抗原結合フラグメントを単独であるいは他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用することができる。付加的な薬学的に活性な化合物は、同時に(同じ剤形または別々の剤形のいずれかで)または連続で投与することができる。したがって、一実施形態では、本開示は、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントと、1つ以上の付加的な薬学的に活性な化合物とを治療有効量で対象に投与することによって疾病を処置する方法を含む。
【0410】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、コルチコステロイド、リツキシマブおよび他の抗CD20抗体、トシリズマブおよび他の抗IL-6抗体、またはセレン、インフリキシマブ、および他の抗TNFα抗体を含むがこれらに限定されないに既存の治療と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、TSHR阻害剤と組み合わせて使用される。
【実施例】
【0411】
典型的な実施形態は、以下の実施例1~10で提供される。以下の実施例は例示としてのみ提示され、当業者が本発明を使用する際に支援するために提示される。実施例は、いかなる方法によっても本発明の範囲を制限することを意図しない。いくつかの実施形態では、上記IGF-1R阻害剤は、以下の実施例から選択される抗体または抗体のサブセットである。いくつかの実施形態では、上記IGF-1R阻害剤は、以下の実施例から選択される小分子または小分子のサブセットである。
【0412】
実施例A
テプロツムマブ
最初に、TEDの処置用に承認されたIGF-1R阻害剤であるテプロツムマブ(TEPEZZA)が提供される。テプロツムマブおよび他の関連するIGF-1R阻害剤抗体ならびにそれらの調製方法は、US7,572,897、US20190225696、およびUS20190270820で見出すことができ、これらはその全体が参照によって本明細書に援用される。特定の実施形態では、テプロツムマブは、例えば実施例31におけるように、他のIGF-1R阻害剤の臨床試験において実対照薬として使用され得る。
【0413】
【0414】
【0415】
実施例1
ダロツズマブ
ダロツズマブおよび他の関連するIGF-1R阻害剤抗体ならびにそれらの調製方法は、WO2005/058967で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0416】
【0417】
本開示のいくつかの実施形態は、可変重鎖CDR1、可変重鎖CDR2、および可変重鎖CDR3を含む重鎖を含む抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントであり、可変重鎖CDR1は配列番号1のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR2は配列番号2のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR3は配列番号3のアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、配列番号2、および配列番号3との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列同一性を有するCDRを少なくとも含む。
【0418】
抗IGF-1R阻害剤mAbまたは抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントは、重鎖と対合して抗原結合ドメインを形成する軽鎖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、軽鎖は可変軽鎖CDR1、可変軽鎖CDR2、および可変軽鎖CDR3を含み、可変軽鎖CDR1は配列番号4のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR2は配列番号5のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR3は配列番号6のアミノ酸配列含むか、または配列番号4、配列番号5、および配列番号6との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列相同性を有するCDRを少なくとも含む。
【0419】
いくつかの実施形態では、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号7の重鎖アミノ酸配列または少なくとも配列番号7との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を含む。あるいは、またはそれに加えて、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖または配列番号8との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含み得る。
【0420】
実施例2
ガニツマブ
ガニツマブおよび他の関連するIGF-1R阻害剤抗体ならびにそれらの調製方法は、WO2006/069202で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0421】
【0422】
本開示のいくつかの実施形態は、可変重鎖CDR1、可変重鎖CDR2、および可変重鎖CDR3を含む重鎖を含む抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントであり、可変重鎖CDR1は配列番号9のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR2は配列番号10のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR3は配列番号11のアミノ酸配列を含むか、または配列番号9、配列番号10、および配列番号11との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列同一性を有するCDRを少なくとも含む。
【0423】
抗IGF-1R阻害剤mAbまたは抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントは、重鎖と対合して抗原結合ドメインを形成する軽鎖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、軽鎖は可変軽鎖CDR1、可変軽鎖CDR2、および可変軽鎖CDR3を含み、可変軽鎖CDR1は配列番号12のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR2は配列番号13のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR3は配列番号14のアミノ酸配列含むか、または配列番号12、配列番号13、および配列番号14との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列相同性を有するCDRを少なくとも含む。
【0424】
いくつかの実施形態では、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号15の重鎖アミノ酸配列または配列番号15との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含む。あるいは、またはそれに加えて、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号16のアミノ酸配列を有する軽鎖または配列番号16との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含み得る。
【0425】
実施例3
キセンツズマブ
キセンツズマブおよび他の関連するIGF-1R阻害剤抗体ならびにそれらの調製方法は、WO2014/135611で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0426】
【0427】
本開示のいくつかの実施形態は、可変重鎖CDR1、可変重鎖CDR2、および可変重鎖CDR3を含む重鎖を含む抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントであり、可変重鎖CDR1は配列番号17のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR2は配列番号18のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR3は配列番号19のアミノ酸配列を含むか、または配列番号17、配列番号18、および配列番号19との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列同一性を有するCDRを少なくとも含む。
【0428】
抗IGF-1R阻害剤mAbまたは抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントは、重鎖と対合して抗原結合ドメインを形成する軽鎖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、軽鎖は可変軽鎖CDR1、可変軽鎖CDR2、および可変軽鎖CDR3を含み、可変軽鎖CDR1は配列番号20のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR2は配列番号21のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR3は配列番号22のアミノ酸配列含むか、または配列番号20、配列番号21、および配列番号22との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列相同性を有するCDRを少なくとも含む。
【0429】
いくつかの実施形態では、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号23の重鎖アミノ酸配列または配列番号23との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含む。あるいは、またはそれに加えて、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号24のアミノ酸配列を有する軽鎖または配列番号24との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含み得る。
【0430】
実施例4
AVE1642
AVE1642および他の関連するIGF-1R阻害剤抗体ならびにそれらの調製方法は、WO2003/106621で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0431】
【0432】
【0433】
本開示のいくつかの実施形態は、可変重鎖CDR1、可変重鎖CDR2、および可変重鎖CDR3を含む重鎖を含む抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントであり、可変重鎖CDR1は配列番号25のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR2は配列番号26のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR3は配列番号27のアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、配列番号26、および配列番号27との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列同一性を有するCDRを少なくとも含む。
【0434】
抗IGF-1R阻害剤mAbまたは抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントは、重鎖と対合して抗原結合ドメインを形成する軽鎖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、軽鎖は可変軽鎖CDR1、可変軽鎖CDR2、および可変軽鎖CDR3を含み、可変軽鎖CDR1は配列番号28のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR2は配列番号29のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR3は配列番号30のアミノ酸配列含むか、または配列番号28、配列番号29、および配列番号30との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列相同性を有するCDRを少なくとも含む。
【0435】
いくつかの実施形態では、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号31の重鎖アミノ酸配列または配列番号31、79、もしくは79との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含む。あるいは、またはそれに加えて、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号32のアミノ酸配列を有する軽鎖または配列番号32、80、81、82、もしくは83との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含み得る。
【0436】
実施例5
フィギツムマブ
フィギツムマブおよび他の関連するIGF-1R阻害剤抗体ならびにそれらの調製方法は、米国特許第7,037,498号で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0437】
【0438】
本開示のいくつかの実施形態は、可変重鎖CDR1、可変重鎖CDR2、および可変重鎖CDR3を含む重鎖を含む抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントであり、可変重鎖CDR1は配列番号33のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR2は配列番号34のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR3は配列番号35のアミノ酸配列を含むか、または配列番号33、配列番号34、および配列番号35との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列同一性を有するCDRを少なくとも含む。
【0439】
抗IGF-1R阻害剤mAbまたは抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントは、重鎖と対合して抗原結合ドメインを形成する軽鎖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、軽鎖は可変軽鎖CDR1、可変軽鎖CDR2、および可変軽鎖CDR3を含み、可変軽鎖CDR1は配列番号36のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR2は配列番号37のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR3は配列番号38のアミノ酸配列含むか、または配列番号36、配列番号37、および配列番号38との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列相同性を有するCDRを少なくとも含む。
【0440】
いくつかの実施形態では、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号39の重鎖アミノ酸配列または配列番号39との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含む。あるいは、またはそれに加えて、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号40のアミノ酸配列を有する軽鎖または配列番号40との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含み得る。
【0441】
実施例6
デュシギツマブ
デュシギツマブ(MEDI-573)および他の関連するIGF-1R阻害剤抗体ならびにそれらの調製方法は、米国特許第7,939,637号で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0442】
【0443】
本開示のいくつかの実施形態は、可変重鎖CDR1、可変重鎖CDR2、および可変重鎖CDR3を含む重鎖を含む抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントであり、可変重鎖CDR1は配列番号41のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR2は配列番号42のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR3は配列番号43のアミノ酸配列を含むか、または配列番号41、配列番号42、および配列番号43との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列同一性を有するCDRを少なくとも含む。
【0444】
抗IGF-1R阻害剤mAbまたは抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントは、重鎖と対合して抗原結合ドメインを形成する軽鎖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、軽鎖は可変軽鎖CDR1、可変軽鎖CDR2、および可変軽鎖CDR3を含み、可変軽鎖CDR1は配列番号44のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR2は配列番号45のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR3は配列番号46のアミノ酸配列含むか、または配列番号44、配列番号45、および配列番号46との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列相同性を有するCDRを少なくとも含む。
【0445】
いくつかの実施形態では、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号39の重鎖アミノ酸配列または配列番号47との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含む。あるいは、またはそれに加えて、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号40のアミノ酸配列を有する軽鎖または配列番号48との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含み得る。
【0446】
実施例7
シクスツムマブ
シクスツムマブおよび他の関連するIGF-1R阻害剤抗体ならびにそれらの調製方法は、米国特許第7,638,605号で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0447】
【0448】
本開示のいくつかの実施形態は、可変重鎖CDR1、可変重鎖CDR2、および可変重鎖CDR3を含む重鎖を含む抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントであり、可変重鎖CDR1は配列番号49のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR2は配列番号50のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR3は配列番号51のアミノ酸配列を含むか、または配列番号49、配列番号50、および配列番号51との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列同一性を有するCDRを少なくとも含む。
【0449】
抗IGF-1R阻害剤mAbまたは抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントは、重鎖と対合して抗原結合ドメインを形成する軽鎖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、軽鎖は可変軽鎖CDR1、可変軽鎖CDR2、および可変軽鎖CDR3を含み、可変軽鎖CDR1は配列番号52のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR2は配列番号53のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR3は配列番号54のアミノ酸配列含むか、または配列番号52、配列番号53、および配列番号54との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列相同性を有するCDRを少なくとも含む。
【0450】
いくつかの実施形態では、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号55の重鎖アミノ酸配列または配列番号55との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含む。あるいは、またはそれに加えて、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号56のアミノ酸配列を有する軽鎖または配列番号56との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含み得る。
【0451】
実施例8
BIIB022
BIIB022および他の関連するIGF-1R阻害剤抗体ならびにそれらの調製方法は、米国特許第7,612,178号で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0452】
【0453】
本開示のいくつかの実施形態は、可変重鎖CDR1、可変重鎖CDR2、および可変重鎖CDR3を含む重鎖を含む抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントであり、可変重鎖CDR1は配列番号57のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR2は配列番号58のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR3は配列番号59のアミノ酸配列を含むか、または配列番号57、配列番号58、および配列番号59との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列同一性を有するCDRを少なくとも含む。
【0454】
抗IGF-1R阻害剤mAbまたは抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントは、重鎖と対合して抗原結合ドメインを形成する軽鎖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、軽鎖は可変軽鎖CDR1、可変軽鎖CDR2、および可変軽鎖CDR3を含み、可変軽鎖CDR1は配列番号60のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR2は配列番号61のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR3は配列番号62のアミノ酸配列含むか、または配列番号60、配列番号61、および配列番号62との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列相同性を有するCDRを少なくとも含む。
【0455】
いくつかの実施形態では、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号63の重鎖アミノ酸配列または配列番号63との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含む。あるいは、またはそれに加えて、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号64のアミノ酸配列を有する軽鎖または配列番号64との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含み得る。
【0456】
実施例9
ロバツムマブ
【0457】
【0458】
いくつかの実施形態では、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号65の重鎖アミノ酸配列または配列番号65との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含む。あるいは、またはそれに加えて、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号66のアミノ酸配列を有する軽鎖または配列番号66との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含み得る。
【0459】
いくつかの実施形態では、上記IGF-1R阻害剤は小分子である。
【0460】
実施例10
リンシチニブ
【0461】
【0462】
リンシチニブおよび他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、US8101613で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるリンシチニブおよび他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0463】
実施例11
ピクロポドフィリン
【0464】
【0465】
ピクロポドフィリン(AXL1717)および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法はUS4567253で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるピクロポドフィリンおよび他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0466】
実施例12
GTX-134
【0467】
【0468】
GTX-134および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、US8063225で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるGTX-134および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0469】
実施例13
AG1024
【0470】
【0471】
AG1024および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、WO1995024190で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるAG1024および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0472】
実施例14
BMS-536924
【0473】
【0474】
BMS-536924および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、US7081454で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるBMS-536924および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0475】
実施例15
NVP-AEW541
【0476】
【0477】
NVP-AEW541および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、US7326699で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるNVP-AEW541および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0478】
実施例16
BMS-754807
【0479】
【0480】
BMS-754807および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、US7534792で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるBMS-754807および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0481】
実施例17
GSK1838705A
【0482】
【0483】
GSK1838705Aおよび他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、US7981903で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるGSK1838705Aおよび他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0484】
実施例18
BMS-554417
【0485】
【0486】
BMS-554417および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法はUS7081454で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるBMS-554417および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0487】
実施例19
NVP-ADW742
【0488】
【0489】
NVP-ADW742および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法はUS7,326,699で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるNVP-ADW742および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0490】
実施例20
GSK1904529A
【0491】
【0492】
GSK1904529Aおよび他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法はUS8,093,239で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。その中に記載されるGSK1904529Aおよび他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0493】
実施例21
KW-2450
【0494】
【0495】
トシル酸塩として上記に示されるがこれに限定されないKW-2450、および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、WO2006080450、US7605272、およびWO2011158931で見出すことができ、これらはその全体が参照によって本明細書に援用される。本明細書に記載されるKW-2450および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0496】
実施例22
PL-225B
【0497】
【0498】
PL-225Bおよび他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法はWO2012145471およびWO2012007926で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。PL-225Bは、IGF-1Rを選択的に阻害し、腫瘍細胞の増殖の阻害および腫瘍細胞を過剰発現させるIGF-1Rの腫瘍細胞のアポトーシスの誘導をもたらす。本明細書に記載されるPL-225Bおよび他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0499】
実施例23
INSM-18、ノルジヒドログアヤレチン酸(NDGA)/マソプロコール、アクチネックス
【0500】
【0501】
INSM-18、本実施例においてINSM-18と称されるノルジヒドログアヤレチン酸(NDGA)(相対立体化学によって上記に示されており、この場合、マソプロコールまたはアクチネックスとも称されるがこれらに限定されない)および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法はUS2,373,192で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。INSM-18は、IGF-1Rおよびc-erbB2/HER2/neu受容体の活性化を阻害し、感受性腫瘍細胞集団の増殖の減少をもたらす。本明細書に記載されるINSM-18および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0502】
実施例24
AZD3463
【0503】
【0504】
AZD3463および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、US8,461,170で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。AZD3463は、クリゾチニブ耐性を克服しアポトーシスを誘導することにより神経芽細胞腫の増殖の阻害をもたらす、強力なALK/IGF-1R阻害剤である。本明細書に記載されるAZD3463および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0505】
実施例25
AZD9362
【0506】
【0507】
AZD9362および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、Degorce,SL et al.,“Discovery of a Potent,Selective,Orally Bioavailable,and Efficacious Novel 2-(Pyrazol-4-ylamino)-pyrimidine Inhibitor of the Insulin-like Growth Factor-1 Receptor(IGF-1R),”J Med Chem(2016),59(10),4859-4866で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。AZD9362はIGF-1R/InsRの二重阻害剤である。本明細書に記載されるAZD9362および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0508】
実施例26
BI885578
【0509】
【0510】
BI885578および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、US10414769、US9150578、およびSanderson MP et al.,“BI 885578,a Novel IGF1R/INSR Tyrosine Kinase Inhibitor with Pharmacokinetic Properties That Dissociate Antitumor Efficacy and Perturbation of Glucose Homeostasis,”Mol Cancer Ther 2015 Dec;14(12):2762-72で見出すことができ、それらはその全体が参照によって本明細書に援用される。BI885578は、速やかな腸管吸収および速やかな代謝クリアランスの結果としての短いインビボ半減期によって区別されるIGF1R/INSRチロシンキナーゼ阻害剤であり、細胞増殖の阻害および腫瘍におけるアポトーシスの誘導をもたらすものである。本明細書に記載されるBI885578および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0511】
実施例27
BI893923
BI893923および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、US8546443およびTitze MI et al.,“An allometric pharmacokinetic/pharmacodynamics model for BI 893923,a novel IGF-1 receptor inhibitor,”Cancer Chemother Pharmacol 2017 Mar;79(3):545-558で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。BI893923は、抗腫瘍有効性および良好な忍容性を実証するIGF1R/INSRチロシンキナーゼ阻害剤である。本明細書に記載されるBI893923および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0512】
実施例28
XL-228
【0513】
【0514】
XL-228および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法は、US20090232828で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。XL-228は、細胞増殖、細胞生存、および細胞毒性薬剤に対する抵抗性に寄与する広範囲のプロテインキナーゼ阻害剤である。本明細書に記載されるXL-228および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0515】
実施例29
A-928605
【0516】
【0517】
A-928605および他の関連するIGF-1R阻害剤小分子ならびにそれらの調製方法はUS7772231およびWO2007079164で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。A-928605は、精製酵素および細胞内のIGF-IRリン酸化の両方に対するIGF-IRの強力な阻害剤である。本明細書に記載されるA-928605および他のIGF-1R阻害剤は、本明細書に記載されるTEDを処置するための活性測定または活性評価において活性を有すると予測される。
【0518】
実施例30
イスチラツマブ(MM-141)
【0519】
イスチラツマブおよび他の関連するIGF-1R阻害剤抗体ならびにそれらの調製方法は、米国特許第8,476,409号で見出すことができ、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0520】
【0521】
本開示のいくつかの実施形態は、可変重鎖CDR1、可変重鎖CDR2、および可変重鎖CDR3を含む重鎖を含む抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントであり、可変重鎖CDR1は配列番号67のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR2は配列番号68のアミノ酸配列を含み、可変重鎖CDR3は配列番号69のアミノ酸配列を含むか、または配列番号67、配列番号68、および配列番号69との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列同一性を有するCDRを少なくとも含む。
【0522】
抗IGF-1R阻害剤mAbまたは抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントは、重鎖と対合して抗原結合ドメインを形成する軽鎖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、軽鎖は可変軽鎖CDR1、可変軽鎖CDR2、および可変軽鎖CDR3を含み、可変軽鎖CDR1は配列番号70のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR2は配列番号71のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖CDR3は配列番号72のアミノ酸配列含むか、または配列番号70、配列番号71、および配列番号72との最適アラインメント後に少なくとも80%の配列相同性を有するCDRを少なくとも含む。
【0523】
いくつかの実施形態では、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号73の重鎖アミノ酸配列または配列番号73との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含む。あるいは、またはそれに加えて、抗IGF-1R阻害剤mAbまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号74のアミノ酸配列を有する軽鎖または配列番号74との最適アラインメント後に少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖を少なくとも含み得る。
【0524】
実施例31
慢性/非活動性甲状腺眼症(TED)を有する対象におけるIGF-1R阻害を評価する、ランダム化、二重盲検、プラセボ、および/または実対照並行群多施設試験についての説明
概略。本明細書で開示される任意の治験薬について、活動性/急性または非活動性/慢性のいずれかである、中等度~重度のTED患者における有効性および安全性を判断するために、多施設、任意選択で二重盲検、ランダム化、並行群、プラセボ、および/または実対照(例えばテプロツムマブ)臨床試験を実施することができる。試験は、年齢が、両端を含めて18~80歳の男性患者および妊娠していない女性患者で実施することができる。1日目に、患者を適切な比率(例えば、1:1、2:1、または3:1)で登録して無作為に割り付けし、プラセボまたは実対照薬または本明細書で記載されるような治験薬の投与を受けさせる。ベースライン(1日目)来院前の4週間以内に対象を試験についてスクリーニングする。≦2年または>2年という疾患の期間によって対象を層別化することができる。
【0525】
患者集団。試験は、1)中等度~重度の活動性/急性TED、または2)中等度~重度の非活動性/慢性TEDのいずれかの患者における活性および安全性を評価するために設計することができる。中等度~重度の急性疾患は、i)人種/性別基準を超えたまたは患者がTEDにかかる前を超えた≧3mmの突出症、ii)臨床活動性スコアが少なくとも3であること、およびiii)症状の発症から15か月以内であるものとして定義することができる。中等度~重度の慢性疾患は、i)人種/性別基準を超えたまたは患者がTEDにかかる前を超えた≧3mmの突出症、ii)臨床活動性スコアが0または1であること、およびiii)1年以内の著しい進行または炎症症状がないものとして定義することができる。
【0526】
処置期間。処置期間の計画された期間は、任意選択の非盲検継続試験期間を含む、例えば、12、24、または48週間(3、6、または12か月間)であり得る。処置期間終了時、すなわち、必要に応じて12週目、24週目、または48週目に、主要評価項目の応答者ならびに非盲検継続試験の登録を選択しない非応答者を安全性追跡期間に組み入れる。処置期間終了時に非応答者であると見なされる対象を非盲検継続試験に登録することができる。
【0527】
すべての対象を、例えば、12週間、24週間、または48週間の処置期間に組み入れる。全ての治験薬の投与または初回の治験薬の投与は、クリニックのスタッフの監督下においてクリニックで実施する。各投与日に、治験薬の投与前に予定された評価(来診の全体を通して経過観察されるAEおよび併用薬を使用した経過観察を除く)を完了する。薬物に関連する有害事象を示す任意の対象には、追加の電話/電子メールによる連絡および来診を行い得る。
【0528】
試験評価項目。主要評価項目は、例えば、試験眼の突出症または複視のいずれかであり得る。突出症は、応答者(応答者とは、僚眼の突出症が悪化(≧2mmの増加)することなく、試験眼がベースラインから≧2mm減少したことを示す患者として定義される)の割合として評価し得るか、または連続変数(すなわち、ベースラインからの平均または中央値の変化)として評価し得、標準化された眼球突出計(例えばHertel社製)を用いて測定する。複視は、対象すべてに同一の評価を使用する限り、主観的なGormanスケール、ゴールドマン視野計、または頸部可動域による方法のいずれかを用いて評価され得る。
【0529】
連続変数として測定される副次的評価項目としては、突出症、複視、眼窩痛、下直筋上直筋、内側直筋、外側直筋、および眼窩脂肪のMDIおよびPVR、臨床活動性スコア(CAS)、ふくらはぎの周辺および病変領域、炎症性および線維性のバイオマーカー、IGF-1R阻害に関係するトランスクリプトミクス、ならびにグレーブス眼症に特有の生活の質質問表(GO-QoL)に対する結果またはその外見サブスケールおよび機能サブスケールが挙げられ得る。有害事象も評価する。
【0530】
途中で治験薬の投与を中断した対象をクリニックに再度来院させ、予定される処置期間終了評価を受けさせて、試験に残って追跡期間に参加することを勧める。
【0531】
包含基準。主な包含基準は、以下を含む。
-書面によるインフォームドコンセント。
-スクリーニング時に、両端値を含めて18~80歳の男性または女性の対象。
-慢性/非活動性TEDの場合:
・通常、眼瞼後退が>2mmであること、中等度もしくは重度の軟組織病変、および/または非持続性もしくは持続性の複視のうちの1つ以上と関連している中等度~重度の慢性/非活動性TED(視力を脅かすことはないが、日常生活にかなりの影響を及ぼす)であること。
・TEDの初期診断がスクリーニングの>2年前であること。患者の診療記録によって判断される、安定的で慢性/非活動性TEDの臨床診断が、スクリーニング前の少なくとも1年間の両眼がCAS≦1であることを示すか、または(a)スクリーニング前の少なくとも1年間は突出症の進行がないこと、(b)対象がTEDによる複視の病歴があり、スクリーニング前の少なくとも1年間は複視の進行がないこと、(c)スクリーニング前の少なくとも1年間は炎症性症状がないこと、およびスクリーニング前の少なくとも1年間は新しいTED症状がないことの全てを示すこと。
・スクリーニング時およびベースライン来院時のCASが≦1であること。
-急性/活動性TEDの場合:
・通常、眼瞼後退が≧2mmであること、中等度もしくは重度の軟組織病変、および/または非持続性もしくは持続性の複視のうちの1つ以上と関連している中等度~重度の活動性TED(視力を脅かすことはないが、日常生活にかなりの影響を及ぼす)であること。
・ベースライン前の9か月以内における活動性TED症状の発症(患者記録によって判断する)。
・スクリーニング時およびベースライン時に最も重度に発症した眼が、(7項目スケールで)CAS≧3または≧4であること。
・任意選択で、活動性TEDに関連したグレーブス病の臨床診断。
-治験責任医師の見解で(例えば、未発症の患者の写真によって)、眼球突出が人種および性別に対する正常値を≧3mm超えるか、または患者がTEDにかかる前の状態と比較して≧3mm超えること。
-対象は、制御下のベースライン疾患によって甲状腺機能正常性である必要があるか、またはスクリーニング時に軽度の甲状腺機能低下症もしくは甲状線機能亢進症(遊離サイロキシン[FT4]および遊離トリヨードサイロニン[FT3]レベルが正常範囲の上下<50%であることによって定義される)である必要がある。臨床試験の全期間にわたり、軽度の甲状腺機能低下症または甲状線機能亢進症を速やかに是正し、甲状腺機能正常性状態を維持するために、あらゆる努力をしなければならない。
-早急な外科的な眼科的介入を必要とせず、試験期間中に矯正手術/放射線照射を予定していない。
-糖尿病の対象は、HbA1c≦8.0%でなければならない。
【0532】
除外基準。患者は、以下の基準のいずれかを満たす場合、試験に参加するのに適格でない可能性がある。
-過去6か月以内の視神経病変に続発する、スネレン視標における2ラインの視力低下、新たな視野欠損または異常色覚によって定義される、視神経症に起因する最高矯正視力の低下。
-医学的処置に応答しない角膜代償不全。
-スクリーニングおよびベースライン間において、いずれかの眼でCASが≧1ポイント(慢性/非活動性TEDの場合)または試験眼で≧2ポイント(急性/活動性TEDの場合)低下すること。
-スクリーニングおよびベースライン間において、突出症が試験眼で≧2mm低下すること。
-眼窩放射線照射、眼窩減圧、または斜視手術の既往がある。
-スクリーニング前の6か月以内に、TEDの処置のための静脈内(IV)もしくは経口のステロイドまたはTEDの処置のためのステロイド点眼薬を使用すること。
-スクリーニング前の4週間以内に、TED以外の症状にコルチコステロイドを使用すること(皮膚病変のための局所用ステロイドおよび吸入ステロイドは認められる)。
-リツキシマブ(Rituxan(登録商標)またはMabThera(登録商標))による前処置。
-テプロツムマブによる前処置。
-トシリズマブ(Actemra(登録商標)またはRoactemra(登録商標)またはスクリーニング前の6か月以内の任意の他の非ステロイド系免疫抑制剤による前処置。
-スクリーニング前の60日以内に、任意の症状のために治験薬を使用することまたは試験期間中の使用が予想されること。
-治験責任医師の判断で、試験の参加を妨げるか、または試験結果の解釈を複雑にする既存の眼疾患が特定されること。
-過去12か月における悪性疾患(処置に成功した皮膚の基底/扁平上皮細胞癌を除く)
-妊娠中または授乳中の女性。
-治験責任医師の見解または対象による報告により、現在薬物またはアルコール中毒であること、あるいは過去2年以内にいずれかの病歴があること。
-生検診断によるまたは臨床的に疑わしい炎症性腸疾患(例えば、腹痛もしくは筋痙攣/仙痛を伴う出血もしくは直腸出血の有無に関わらない下痢、確立された代替診断のない4週間超の尿意切迫感、しぶり腹、もしくは失禁、または確立された代替診断のない腸炎/大腸炎の内視鏡的もしくは放射線学的エビデンス)。
-治験薬の構成成分のいずれかに対する公知の過敏症[またはmAbに対する過敏症反応の既往]。
-治験責任医師の見解により、試験の組み入れを妨げる任意の他の症状。
-以前本試験に登録されたか、またはこれまでに治験薬の臨床試験に参加したことがある。
-ヒト免疫不全ウイルス、C型肝炎、またはB型肝炎感染症であること。
-スクリーニング時、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)もしくはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が正常値上限(ULN)の>3倍であること、または糸球体濾過率の推定値が<30mL/分/1.73m2であること。
【0533】
研究の目的
【0534】
本試験の全体的な目的は、急性または慢性のTEDを有する対象を処置する際の、インスリン様増殖因子I受容体(IGF-1R)のモノクローナル抗体(mAb)または小分子阻害剤の有効性、安全性、および忍容性を調査することである。
【0535】
主目標は、慢性/非活動性TEDを有する対象の試験眼における、ベースラインから処置期間終了(12週目、24週目、または48週目)までの突出症の測定または複視の平均変化量(主観的なGormanスケール、ゴールドマン視野計、または頸部可動域による方法の改善によって測定する)により、プラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の効果を評価することである。
【0536】
他の目的としては、以下が挙げられる。
【0537】
ベースラインから12週目、24週目、および/または48週目までのグレーブス眼症の生活の質(GO-QoL)質問表の外見および視覚機能サブスケールの平均変化量により、プラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の効果を評価する。
【0538】
12週目、24週目、および/または48週目の突出症の応答者の割合(すなわち、僚眼の突出症が悪化[≧2mmの増加]することなく、試験眼がベースラインから≧2mm減少した対象の割合)により、プラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の効果を評価する。
【0539】
12週目、24週目、および/または48週目の両眼複視の応答者の割合(すなわち、ベースラインの複視が>0である、≧1グレード減少した対象の割合)により、プラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の効果を評価する。
【0540】
ベースラインから12週目、24週目、および/または48週目までの眼窩痛の平均変化量(視覚的アナログスケール[VAS]で測定する)によりプラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の効果を評価する。
【0541】
ベースラインから12週目、24週目、および/または48週目までのMRIを取得した対象の下直筋、上直筋、内直筋、外直筋、および眼窩脂肪の筋肉径指標(MDI)および画素値比(PVR)(磁気共鳴映像法(MRI)によって測定する)の平均変化量により、プラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の効果を評価する。
【0542】
12週目、24週目、および/または48週目の試験眼において臨床活動性スコア(CAS)が≧3である対象の割合により、プラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の効果を評価する。
【0543】
ベースラインで前脛骨粘液水腫(PTM)を有する対象における、ベースラインから12週目、24週目、および/または48週目までのふくらはぎの周辺および病変領域(病変の最大長および最大幅)の平均変化量により、プラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の効果を評価する。
【0544】
3、12、24、および/または48週目の炎症性および線維性バイオマーカーのベースラインからの変化量により、プラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の効果を評価する。
【0545】
3、12、24、および/または48週目のIGF-1R阻害に関連するトランスクリプトミクスのベースラインからの変化量により、プラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の効果を評価する。
【0546】
薬物動態および抗薬物抗体(ADA)の目的としては、以下が挙げられる。
【0547】
曝露を推定するために治験薬の薬物動態(PK)を評価する。
【0548】
治験薬の免疫原性を評価する。
【0549】
安全性および忍容性の目的としては、以下が挙げられる。
【0550】
有害事象(AE)の報告、特に注目すべき有害事象(AESI;高血糖症、難聴、および腓腹筋痙攣)、併用薬の使用、眼科検査、生命徴候、臨床上の安全性検査評価、心電図(ECG)、および免疫原性に基づき、プラセボまたはテプロツムマブと比較した治験薬の安全性および忍容性を評価する。
【0551】
試験中の制限
【0552】
試験は、スクリーニング(1日目より前の28日間)、処置または介入期間(1日目~12週目、24週目、および/または48週目)、ならびに処置期間終了後、例えば6週間以上の追跡の3つの段階を含む。スクリーニングは1~3回の来院を含んでいる。処置期間の間、患者を1日目/ベースライン時および3週間毎に12、24、または48週間評価する。有効性は処置期間を通じて、例えば、
-処置期間が24週間の試験の場合、1日目/ベースラインならびに12週目および24週目のCASまたは12週間もしくは48週間の処置期間に調整した同様のスケジュールにおけるCAS、
-処置期間が24週間の試験の場合、1日目/ベースラインならびに3、6、12、18、および24週目の突出症および複視または12週間もしくは48週間の処置期間に調整した同様のスケジュールにおける突出症および複視、
-処置期間が24週間の試験の場合、1日目/ベースラインならびに12週目および24週目のPTMまたは12週間もしくは48週間の処置期間に調整した同様のスケジュールにおけるPTM、および
-処置期間が24週間の試験の場合、1日目/ベースラインならびに3、6、12、18、および24週目の眼窩痛または12週間もしくは48週間の処置期間に調整した同様のスケジュールにおける眼窩痛
のように評価され得る。
【0553】
処置期間、すなわち12、24、または48週目の終了後のデータを使用して、主要評価項目および副次的評価項目を評価する。急性/活動性TED患者において0または1のCASを達成することと同様に、7つの構成要素のCASにおける2ポイントの変化は、臨床的に関連するものと見なされる。突出症は、Hertelの眼球突出計を用いて評価する。2mmの変化は、臨床的に関連するものと見なされる。生活の質は、別々にまたは組み合わせて評価される、2つのサブスケールを含む、グレーブス眼症に特有の生活の質の質問表(GO-QoL)を用いて評価し、各サブスケールのスコアならびに全体的なGO-QoLスケールのスコアは0~100ポイントの範囲であり、8ポイントの変化は、臨床的に関連するものと見なされる。主観的な複視は、主観的なGormanスケールまたはゴールドマン視野計または頸部可動域による方法の改善によって評価する。
【0554】
参加する施設の施設内審査委員会および倫理委員会ならびに治験責任医師は、研究プロトコルを承認する。全ての患者から、立ち会いの書面によるインフォームドコンセントを取得する。治験責任医師およびそのスタッフがデータを取得する。
【0555】
試験に使用される部分/介入
本試験でTEDにおける評価を受ける薬物は、実施例1~22に列挙されている生物学的薬物または小分子薬物のいずれかを含み得る。テプロツムマブはその市販されている製剤に従って提供され得る。下記に与えられるように、または必要に応じて他の治験薬が提供される。プラセボは、所与の治験薬に適切なもの、例えばIVの生理食塩水もしくは緩衝液であるか、または対応するプラセボ錠剤/カプセル剤である。表1に列挙した治験薬またはテプロツムマブもしくはプラセボのいずれかを同じ種類および投与回数で患者に投与する。投与量を下記に提供する。例えば、テプロツムマブ群に割り付けられた対象の場合、薬物を体重1kg当たり10mgの初回投与から開始して3週間毎に投与し、続いて残りの注入を1kg当たり20mgで投与し得る。投与量または投与頻度は、臨床医または試験コーディネーターが適切であると見なす場合に変更可能である。
【0556】
表1に列挙した抗IGF-R1抗体薬物について本明細書で開示するように、当技術分野において開示されているin vitroのIC50を達成する最低濃度(Cmin)から、TEDでの使用に好適な用量範囲の下限を推定した。TEDでの使用に好適な用量範囲の上限は、最大耐量(MTD)でない場合には第2相試験推奨用量(RP2D)の3倍、MTDである場合にはRP2Dの2.5倍として推定した。
【0557】
表1に列挙した抗IGF-R1小分子薬物について本明細書で開示するように、当技術分野において開示されているin vitroのIC50を達成する最高濃度(Cmax)から、TEDでの使用に好適な用量範囲の下限を推定した。TEDでの使用に好適な用量範囲の上限は、最大耐量(MTD)でない場合には第2相試験推奨用量(RP2D)の3倍、MTDである場合にはRP2Dの2.5倍として推定した。
【0558】
表1の用量範囲を、別途明記しない限り、3週間間隔(抗体)または毎日(小分子)の総投与量として示す。
【0559】
【0560】
【0561】
【0562】
【0563】
上記の表1では、*はRP2Dが当該技術分野において判明していることを示し、**は、IGF-1R阻害剤による臨床経験がこれまでに公開されていることが不明であることを示す。
【0564】
いくつかの実施形態では、他のIGF-1R抗体は、本明細書に記載されるように有用であり得、本開示内に包含されている。いくつかの実施形態では、抗IGF-R1抗体による先の臨床経験が公開されない場合、本開示で使用するのに適切な投与量は、3週間毎(Q3W)に1~112mg/kgまたは75~8400mg、または2週間毎(Q2W)に0.6~75mg/kgもしくは45~5700mg、または毎週(QW)0.3~38mg/kgもしくは22~2900mgであり得る。いくつかの実施形態では、Q4Wで投与する場合も、用量は有用である。
【0565】
いくつかの実施形態では、使用に適切な本明細書に開示される抗体の追加の投与量は、
1~30mg/kgもしくは75~2250mg(例えば、Q3WでSC)、
0.6~20mg/kgもしくは1500mg(例えば、Q2WでSC)、
0.3~10mg/kgもしくは750mg(例えば、QWでSC)、および/または
1~20mg/kgもしくは75~1500mg(例えば、Q3WでSC)、
0.6~13.5mg/kgもしくは1000mg(例えば、Q2WでSC)、
0.3~7mg/kgもしくは500mg(例えば、QWでSC)
を含む。いくつかの実施形態では、上記の投与量は、1、2、3、もしくは4週間間隔で投薬する場合、および/またはIVもしくSCで投薬する場合も適切であり得る。
【0566】
いくつかの実施形態では、他のIGF-1R小分子薬物は、本明細書に記載されるように有用であり得、本開示内に包含されている。いくつかの実施形態では、小分子IGF-1R阻害剤薬物による先の臨床経験が公表されていない場合、本開示で使用するのに適切な投与量は、1日1日の投与(QD)では1~2000mg、または1日2回の投与(BID)では0.6~1400mg、または1日3回の投与(TID)では0.3~700mgであり得る。
【0567】
処置期間の1日目に、対象を適切に治験薬にランダム化する(例えば、2:1または1:1の割合であり、疾患期間によって任意に層別化する)。活性対照薬の投与スケジュールおよび/または投与方法が異なるため、プラセボ投与(IVの生理食塩水または緩衝液または対応するプラセボ錠剤/カプセル剤)を使用して盲検性を維持する。
【0568】
詳細な試験手順
ベースライン(1日目)来院時では、より重大な突出症を有する眼を「試験眼」と定義し得る。両眼が等しく発症している場合、治験責任医師は「試験眼」を選択してもよい。有効性について両眼を評価するが、主要評価項目を評価するために試験眼を使用してもよい。
【0569】
有効性は、突出症(重症度の臨床測定の眼球突出評価として、測定値の一貫性のため、治験依頼者によって提供されるHertel社製機器を用いて測定する)、生活の質(GO-QoL質問表を用いる)、複視(重症度の臨床測定の一部として測定するか、またはゴールドマン視野計もしくは頸部可動域による方法を用いる)、CAS(7項目または10項目のスケール)、眼窩痛(10cmのVASを用いる)、眼窩MRIおよび/またはPTM(ふくらはぎの周囲および病変領域)によって評価する。
【0570】
試験薬のPKを評価するための血液試料は、1日目の投与前および処置期間終了時、例えば12週目、24週目、または48週目に採取する。血液試料を採取して炎症性および線維性バイオマーカーを分析し、1日目の処置前および試験全体にわたる処置期間後、例えば24週間の処置期間にわたり、3、12、および24週目に、IGF-1R阻害に関連するトランスクリプトミクスについて評価し得る。
【0571】
安全性は、AEおよび併用薬の使用の経過観察、免疫原性試験、眼科検査、生命徴候、臨床上の安全性検査評価、(全血球数および化学特性(甲状腺パネルおよびHbA1cを含む))、妊娠検査(適用可能である場合)、およびECGによって評価する。
【0572】
それぞれのタイミングを含む試験の手順の概要を評価スケジュール(表2)に示す。
【0573】
インフォームドコンセント:スクリーニング中に各対象からインフォームドコンセントを得る。
【0574】
包含/除外基準:スクリーニング時および1日目/ベースライン来院時、各対象で包含/除外基準を再確認する。
【0575】
人口統計:スクリーニング中に各対象から人口統計データを得てもよい。
【0576】
病歴:スクリーニング時および1日目/ベースライン来院時、各対象から甲状腺疾患歴および治療歴、TEDの病歴および治療歴、ならびに喫煙歴を含む病歴を取得する。TEDは、i)急性/活動性TED(ベースライン前の9か月以内の症状の発症)、またはii)スクリーニング前の>2年、ただし、7年以上で診断された安定的な慢性/非活動性(進行性でなく、視力を脅かすものではないが、明らかに日常生活に影響を及ぼす)TEDのいずれかである必要がある。
【0577】
体重:スクリーニング時および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、12週目/3か月目および24週目/6か月目に体重を記録してもよい。処置期間の間に体重に変化がある場合、投薬は調節され得る。試験中に取得した体重は、その後の投与のための投与計算に使用することができる。
【0578】
ランダム化:1日目(ベースライン)に対象をランダム化し、治験薬の初回投与を受けさせる。投薬前にベースライン評価を実施する。
【0579】
対象を本明細書で記載されるようにランダム化し、(a)治験薬、または(b)プラセボ、または(c)テプロツムマブを受けさせる、すなわち、治験薬とプラセボもしくはテプロツムマブとを比較するために2つのアームで試験を設計し得るか、または治験薬、プラセボ、およびテプロツムマブを比較するために3つのアームで試験を設計し得る。治験薬を、本明細書に記載されるように与える。テプロツムマブ注入:1日目(ベースライン)に注入を行い、それ以降、市販の投与に従う。プラセボの投与は、必要に応じて治験薬またはテプロツムマブの投与に合わせる。
【0580】
安全性に関する電話(電子メール)による連絡-注入の翌日:初回および2回目の注入(1日目/ベースラインおよび3日目)の場合、ならびに注入した翌日およびそれ以降に適切であると見なされた場合、研究スタッフが安全性および忍容性の観点に着目して電話(または電子メール)で連絡する。加えて、その後の任意の注入後に注入に関連する事象を示す対象にも、注入した翌日およびそれ以降に適切であると見なされた場合、研究スタッフが電話(または電子メール)で連絡する。
【0581】
有効性評価
臨床活動性スコア(CAS):スクリーニング時、1日目/ベースライン、および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、12週目/3か月目および24週目/6か月目に、各対象からCASを取得してもよい。患者が慢性/非活動性試験に組み入れられる場合、CASは、スクリーニングおよびベースライン来院時に両眼で≦1である必要がある。
【0582】
突出症および複視を含む、重症度の臨床測定:重症度の臨床測定は、スクリーニング時、1日目/ベースライン時、および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、処置期間の3週目、6週目、12週目/3か月目、18週目、および24週目/6か月目、ならびに追跡期間の30週目に入手する。
【0583】
突出症が試験眼でスクリーニングから≧2mm低下した対象は、ランダム化に適格ではない。
【0584】
前脛骨粘液水腫(PTM)評価:1日目/ベースライン時および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、12週目/3か月目および24週目/6か月目に、任意選択でPTM評価を実施してもよい。
【0585】
10cmの視覚的アナログスケールによる眼窩痛:1日目/ベースライン時および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、3週目、6週目、12週目/3か月目、18週目、および24週目/6か月目に眼窩痛を評価してもよい。
【0586】
安全性評価
妊娠検査:妊娠検査は全来院時に実施する。スクリーニング時および48週目(または処置を早期に中止した場合、最後に注入してから6か月後)に血清妊娠検査を行う。適用可能であれば投薬前に尿妊娠検査を行う。妊娠可能な女性の対象(閉経の開始がスクリーニング前の<2年であり、処置によって誘発される無月経症がスクリーニング前に<12か月間ないか、または避妊手術[卵巣および/または子宮がない]を受けていない対象を含む)に実施する。
【0587】
眼科検査:眼科検査は、スクリーニング時、1日目/ベースライン時および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、6週目、12週目/3か月目、18週目、および24週目/6か月目に実施する。
【0588】
最高矯正視力、瞳孔検査、色覚評価、石原式色覚検査表(もしくはそれに相当するもの)、または関連する赤の不飽和化、眼圧および細隙灯検査。視力の2ライン以上の低下、求心性瞳孔傷害を含む瞳孔異常の発症、眼圧の上昇、角膜浸潤の発症、ここには明記しないが、眼科医にとって懸念となる他の異常を含む、前回の来院と比較して著しい異常が認められる場合、眼科医の判断に従ってさらなる視力機能検査を実施する。
【0589】
視神経症に起因する最高矯正視力の低下(直近の6か月以内の視神経病変に続発する、スネレン視標における2ラインの視力低下、新たな視野欠損または異常色覚によって定義される)がある対象は、ランダム化に適格ではない。
【0590】
生命徴候:クリニックの全来院時に生命徴候(血圧、心拍数、呼吸数、体温)を測定する。生命徴候は、1日目の投与前および投与後に、ならびに他の投与日/注入日の投与前に測定する。注入に関連するAEが生じた場合、さらに生命徴候を経過観察する。
【0591】
12-誘導ECC:心電図(ECC)は、スクリーニング時、1日目/ベースライン時およびECGの全体、例えば、24週間の処置期間で、3週目、6週目、12週目/3か月目、および24週目/6か月目に実施する。
【0592】
臨床検査
化学的性質:化学的性質は、スクリーニング時、1日目/ベースライン時、および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、3週目、6週目、12週目/3か月目、18週目、24週目/6か月目、30週目、および36週目に眼窩を評価してもよい。
【0593】
甲状腺(FT3、FT4、THS):甲状腺レベルは、スクリーニング時、1日目/ベースライン時、および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、3週目、6週目、12週目/3か月目、18週目、24週目/6か月目、30週目、および36週目に眼窩を評価してもよい。対象は、制御下のベースライン疾患によって甲状腺機能正常性である必要があるか、または軽度の甲状腺機能低下症もしくは甲状線機能亢進症(FT4およびFT3レベルが正常範囲の<50%以上または以下であるものとして定義される)である必要がある。臨床試験の全期間にわたり、軽度の甲状腺機能低下症または甲状線機能亢進症を速やかに是正し、甲状腺機能正常性状態を維持するために、あらゆる努力をしなければならない。
【0594】
血液学的検査:血液学的検査は、スクリーニング時、1日目/ベースライン時、および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、3週目、6週目、12週目/3か月目、18週目、24週目/6か月目、30週目、および36週目に血液学的検査を評価してもよい。
【0595】
HbA1c:HbA1cレベルは、スクリーニング時および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、12週目/3か月目および24週目/6か月目に評価してもよい。HbA1cは、ランダム化のために≦8.0%である必要がある。スクリーニング後の任意の時点でHbA1cが上昇し、臨床的に重大であると見なされる場合、正常値またはベースライン値に戻るまでおよそ90日毎に繰り返す。
【0596】
ADA/Nab試料:抗薬物抗体(ADA)/中和抗体(Nab)レベルは、1日目/ベースライン時および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、3週目、12週目/3か月目、および24週目/6か月目に取得してもよい。ADA試験で試料が陽性である場合、確認検査および反応性力価検査を行った後、次に試料をNAbについて検査する。対象がNAb陽性であると検証された場合、レベルがベースラインに戻るか、または対象の値が低下もしくは安定するまで対象を追跡し得る。処置期間終了時(またはPW)にNAb検査が陽性の任意の対象について、対象の値が低下もしくは安定するまで追跡を継続し得る。
【0597】
AE/SAE評価:AE/SAEは、最大で来院毎を含み定期的に評価される。1日目の前の2週間以内および1日目の投与前に発生したAEは、ベースラインの徴候/症状であると見なされる。1日目の投与後の処置期間終了にわたって発生または悪化したAEは、処置下で発現したAE(TEAE)であると見なされる。追跡期間中に発生または悪化したAEは、投与後AEと見なされるインフォームドコンセントに署名してから試験中断後の30日にわたって発生した全てのSAEを記録する。
【0598】
併用薬:併用薬は、最大で来院毎を含み定期的に評価される。
【0599】
グレーブス眼症の生活の質(GO-QoL)質問表:GO-QoLは、1日目/ベースライン時および試験の全体で定期的に、例えば、24週間の処置期間で、6週目、12週目/3か月目、および24週目/6か月目に評価してもよい。
【0600】
PK試料:PK試料は、1日目の投与または注入の前およびその終了時ならびに試験の全体で定期的に、例えば、24週間の処置期間で、処置期間の3週目および12週目/3か月目に採取し得、処置期間終了時に単一試料が採取され得る。処置期間を途中で中断した対象のPK試料は、採取しない。
【0601】
バイオマーカー試料:バイオマーカー試料は、1日目および試験の全体、例えば、24週間の処置期間で、処置期間の3週目および12週目/3か月目に採取し得、処置期間終了時に単一試料が採取され得る。
【0602】
磁気共鳴画像法(MRI):対象は、1日目および処置期間終了時の来院時にMRIを受ける場合がある。
【0603】
試験のランダム化およびマスキング
ランダム化試験を設計して、有効性および安全性を評価する。慢性/非活動性TEDの試験の場合、(任意選択の)二重盲検処置期間中、例えば2つのブロック内で1:1、2:1、または3:1の比率で3つの処置群の1つに患者を無作為に割り付け、慢性/非活動性疾患の期間が≦2年であるかまたは>2年であるかによって層別化した。
【0604】
必要に応じて、試験群の割り付けについて認識している試験薬剤師は、マスキングされた用量および/または注入を用意し得る。緊急事態の場合にのみ、現場の首席臨床試験医師により、患者の介入または処置群(治験薬、実対照薬、またはプラセボ)が特定される。
【0605】
臨床活動性スコア(CAS)の計算
臨床活動性スコアは、自発的な球後痛、意図した眼球運動(上方注視、横向きの注視、および下方注視)による疼痛、結膜の発赤、眼瞼の発赤、結膜浮腫、涙丘/皺襞の腫脹、および眼瞼の腫脹の7つの構成要素からなる。各構成要素を、存在するかまたは存在しないかで、1または0でスコア化する。それぞれの有効性評価におけるスコアは、存在する全ての項目の合計であり、0~7の範囲で付与され、0または1は非活動性疾患となり、7は、重度の活動性眼疾患となる。急性/活動性患者では0または1のCASスコアが達成されるため、≧2ポイントの変化は、臨床的に意味があると見なされる。
【0606】
グレーブス眼症の生活の質(GO-QoL)の評価
生活の質を、GOの生活の質質問表を使用することで評価する。質問表には2つの自己評価サブスケールがあり、一方は、視覚機能の日々の活動に及ぼす影響を網羅しており、他方は、自己認知される外見の影響を評価する。視覚機能サブスケールは、運転、野外歩行、読書、テレビ鑑賞などの活動を網羅するものである。外見サブスケールは、眼病によって対象の外見が変化したか、対象に対して他人が否定的な反応をしたか、社会的孤立が生じたか、および対象が外見を隠そうとするようになったかなどの質問を対象に尋ねる。各サブスケールには8つの質問があり、はい-非常に当てはまる、はい-少し当てはまる、またはいいえ-全く当てはまらないで回答する。各質問をそれぞれ0~2でスコア化し、素点の合計は次に0~100スケールに数学的に変換し、ここで、0は生活の質への最も悪い影響を表し、100は影響がないことを表す。0~100スケールでの≧8ポイントの変化は、臨床的に意味があると示されている。組み合わさったスコアは、両方のサブスケールから素点を取り入れ、再びそれらを単一の0~100スケールに変換したものである。
【0607】
複視のGorman等級付けによる評価
主観的な複視のGorman評価は、複視ではない(存在していない)、患者が疲労時または起床時の複視(間欠性)、注視の極限における複視(非持続性)、および第一眼位または読書眼位における継続的な複視(持続性)の4つのカテゴリーを含んでいる。患者を、経験している複視の等級に応じてスコア化する。≧1グレードの改善は、臨床的に意味があると見なされる。
【0608】
心電図
12誘導ECGは、イベントスケジュール(表2)に記載する通り、対象全員に対してまたは治験責任医師の裁量により実施され得る。対象がIRの疑いがあるAEを示す場合、12誘導ECGを実施する場合がある。
【0609】
スクリーニング時、ベースライン時(1日目)および試験の全体で定期的に、例えば、24週間の処置期間で、3週目、6週目、12週目/3か月目、および24週目/6か月目に、少なくとも対象を5分間仰臥位にした後に単回の12誘導ECGの記録を行い得る。適格性判断のために、スクリーニング時に単回の反復測定を行うことができる。以下の間隔の測定値:RR間隔、PR間隔、QRS幅、QT間隔、およびQTcFを記録かつ報告し得る。評価には、臨床的重大性、トレースが正常であるかもしくは異常であるか、調律、不整脈もしくは伝導欠損の存在、形態、あらゆる心筋梗塞のエビデンスまたはSTセグメント、T波およびU波の異常についてのコメントが含まれていなければならない。
【0610】
臨床検査の安全性試験
スクリーニング時、1日目、および試験の全体で定期的に、例えば、24週間の処置期間で、処置期間の3週目、6週目、12週目/3か月目、18週目、および24週目/6か月目、ならびに追跡期間の30週目および36週目に血液(血液学的検査、臨床化学、甲状腺測定用)を採取し得る。
【0611】
HbA1cは、スクリーニング時および試験の全体で定期的に、例えば、24週間の処置期間で、処置期間の12週目/3か月目および追跡期間の24週目/6か月目に評価され得る。HbA1cは、ランダム化のために≦8.0%である必要がある。スクリーニング後の任意の時点でHbA1cが上昇し、臨床的に重大であると見なされる場合、正常値またはベースライン値に戻るまでおよそ90日毎に繰り返す。
【0612】
抗薬物抗体(ADA)/中和抗体(Nab)は、1日目および試験の全体で定期的に、例えば、24週間の処置期間で、処置期間の3週目、12週目/3か月目、および24週目/6か月目に評価され得る。ADA試験で試料が陽性である場合、確認検査および反応性力価検査を行った後、次に試料をNAbについて検査する。対象がNAb陽性であると検証された場合、レベルがベースラインに戻るか、または対象の値が低下もしくは安定するまで対象を追跡し得る。処置期間終了時(またはPW)にNAb検査が陽性の任意の対象について、対象の値が低下もしくは安定するまで追跡を継続し得る。
【0613】
安全性検査評価として、以下が挙げられ得る。
【0614】
妊娠検査:スクリーニング時および48週目(または最後に投薬もしくは注入してから6か月後)に血清妊娠検査を行う。適用可能であれば投薬前に尿妊娠検査を行う。妊娠可能な女性の対象(閉経の開始がスクリーニング前の<2年であり、処置によって誘発される無月経症がスクリーニング前に<12か月間ないか、または避妊手術[卵巣および/または子宮がない]を受けていない対象を含む)に実施する。
【0615】
眼科検査:最高矯正視力、瞳孔検査、色覚評価、石原式色覚検査表(もしくはそれに相当するもの)、または関連する赤の不飽和化、眼圧、および細隙灯検査。視力の2ライン以上の低下、求心性瞳孔傷害を含む瞳孔異常の発症、眼圧の上昇、角膜浸潤の発症、ここには明記しないが、眼科医にとって懸念となる他の異常を含む、前回の来院と比較して著しい異常が認められる場合、眼科医の判断に従ってさらなる視力機能検査を実施する。
【0616】
生命徴候:クリニックの全来院時に血圧、心拍数、呼吸数、および体温を測定する。生命徴候は、1日目および3週目の注入の前後ならびに全ての他の注入日で投与前に測定する。注入に関連するAEが生じた場合、さらに生命徴候を経過観察する。
【0617】
試験の転帰
応答のあった患者は、24週目に主要評価項目を満たすものとして定義することができる。この評価項目は、試験眼でない方の眼に対応する量の悪化がない状態で、試験眼の突出症が2mm以上減少すること、または突出症の平均もしくは中央値がベースラインから変化すること、またはベースラインの複視が>0の対象の複視が≧1グレード減少することが含まれ得る。副次的評価項目としては、突出症、複視、およびCAS(いずれも経時的な連続変数として測定される)、眼窩痛、下直筋、上直筋、内側直筋、外側直筋、および眼窩脂肪のMDIおよびPVR、ベースラインでPTMを有する対象のふくらはぎの周辺および病変領域、炎症性および線維性バイオマーカー、IGF-1R阻害に関連するトランスクリプトミクス、ならびにGO-QoL尺度を用いた患者の生活の質の評価(容貌が変化した結果としての視覚機能および心理社会的機能における制限を測定する2つのサブスケールを含む)を挙げることができる。患者を、応答のレベルによっても分類することができる。安全性は、有害事象、重篤な有害事象、および有害事象に起因する中止の発生率によって評価する。
【0618】
結果
本明細書に記載されるIGF-1R阻害剤は、急性/活動性のTEDまたは慢性/非活動性のTEDのいずれかの本明細書で開示されるような臨床試験で治験薬として試験した場合、本明細書に記載されるかまたは当業者によって変更されるようなTEDの評価項目に有効であることが予期される。
【0619】
下記の表2では、24週間の処置期間を想定し、実対照薬としてテプロツムマブを用いるかまたはそれを模倣した、すなわち注入によって3週間のサイクルで投与する評価スケジュールの一例が記載されている。この表は、説明の目的のために一例として示すものであり、下記のガイダンスと矛盾することを意味しない。当業者であれば、例えば、QWまたはQ2Wスケジュールで自動注射器を介して投与される皮下送達産物の試験、あるいは実対照薬のテプロツムマブとは対照的に、プラセボと比較した、QDで投与される経口の生体利用可能な小分子薬物の試験など、異なる投与スケジュールまたは投与経路が予期され得る場合、このようなスケジュールをどのように変更し得るかを理解するであろう。
【0620】
【0621】
【0622】
脚注:
1.スクリーニングの手順は、提供される同意書を最初に取得し、すべての評価を指定のウィンドウ内で終えるのであれば1日/クリニック来院以上にわたって行うことができる。
2.二重盲検処置期間。24週目で突出症の非応答者である対象は、対象すべてが治験薬(初回注入で10mg/kg、および残りの7回の注入では20mg/kg)を受ける非盲検継続試験に登録するのに適格性がある。
3.突出症の応答者および非盲検継続試験に登録しないことを選んだ応答者は、12週間の追跡期間に参加する。
4.対象が処置期間中に治験薬を早期中止する場合、再度クリニックに来院させ、PKおよびADAの評価のための血液試料の採取を除いた24週間の評価を受けさせる。対象に、追跡期間の試験の参加を継続するように勧める。
5.対象が、追跡期間の24週目~30週目の間に試験を早期中止する場合、再度クリニックに来院させ、退院前に30週間の評価を受けさせる。
6.30週目の来院時に進行中のSAEまたはAESIを有している対象を除いて、36週目に、対象すべてに電話または電子メールを介して連絡する。30週目の来院時に進行中のSAEまたはAESIを有している対象は、36週目にクリニックに再度来院させる。
7.妊娠可能な女性に、48週目に電話または電子メールを介して連絡し、月経周期がないかどうか尋ねて、必要に応じて再度クリニックに来院させ、血清妊娠検査を受けさせる。
8.1日目(ベースライン)に、対象をランダム化して初回用量の治験薬を受けさせるが、ベースライン評価は投薬前に行う。
9.甲状腺疾患歴および処置歴、TED歴および処置歴、ならびに喫煙歴を含む病歴。
10.TEDは、スクリーニング前の>2年、ただし、7年以上で診断された安定的な慢性/非活動性(進行性でなく、視力を脅かすものではないが、日常生活にかなりの影響を及ぼす)TEDである必要がある。
11.処置期間の間に体重に変化がある場合、投薬を調節する。12週目で計測した体重は、12週目または15週目に開始する投与の計算に使用することができる。
12.対象を、1:1の比率(慢性/非活動性の疾患の期間により層別化する)でランダム化して、a)治験薬(1日目に10mg/kg、その後残りの7回の注入にはq3Wで20mg/kg)、またはb)プラセボもしくはテプロツムマブ(全8回の注入でq3W)のいずれかを受けさせる。
13.初回および2回目の注入の翌日に、およびそれ以降に適切であると見なされた場合、安全性および忍容性の観点に着目して研究スタッフが電話(または電子メール)連絡を行う。加えて、その後の任意の注入後に注入に関連する事象を示す対象にも、注入した翌日およびそれ以降に適切であると見なされた場合、研究スタッフが電話(または電子メール)で連絡する。
14.CASは、スクリーニングおよびベースライン来院時に両眼で≦1である必要がある。
15.突出症が試験眼でスクリーニングから≧2mm減少した対象は、ランダム化に適格ではない。
16.1日目、12週目、および24週目のPTMの有無について評価する。存在する場合、ふくらはぎおよび病変の測定を行う。
17.スクリーニング時および48週目(または処置を早期に中止した場合、最後に注入してから6か月後)に血清妊娠検査を行う。適用可能であれば投薬前に尿妊娠検査を行う。妊娠可能な女性の対象(閉経の開始がスクリーニング前の<2年であり、処置によって誘発される無月経症がスクリーニング前に<12か月間ないか、または避妊手術[卵巣および/または子宮がない]を受けていない対象を含む)に実施する。
18.眼科検査:最高矯正視力、瞳孔検査、色覚評価、石原式色覚検査表(もしくはそれに相当するもの)、または関連する赤の不飽和化、眼圧、および細隙灯検査。視力の2ライン以上の低下、求心性瞳孔傷害を含む瞳孔異常の発症、眼圧の上昇、角膜浸潤の発症、ここには明記しないが、眼科医にとって懸念となる他の異常を含む、前回の来院と比較して著しい異常が認められる場合、眼科医の判断に従ってさらなる視力機能検査を実施する。
19.視神経症に起因する最高矯正視力の低下(直近の6か月以内の視神経病変に続発する、スネレン視標における2ラインの視力低下、新たな視野欠損または異常色覚によって定義される)がある対象は、ランダム化に適格ではない。
20.クリニックの全来院時に生命徴候(血圧、心拍数、呼吸数、体温)を測定する。生命徴候は、1日目および3週目の注入の前後ならびに全ての他の注入日で投与前に測定する。注入に関連するAEが生じた場合、さらに生命徴候を経過観察する。
21.対象は、制御下のベースライン疾患によって甲状腺機能正常性である必要があるか、または軽度の甲状腺機能低下症もしくは甲状線機能亢進症(FT4およびFT3レベルが正常範囲の<50%以上または以下であるものとして定義される)である必要がある。臨床試験の全期間にわたり、軽度の甲状腺機能低下症または甲状線機能亢進症を速やかに是正し、甲状腺機能正常性状態を維持するために、あらゆる努力をしなければならない。
22.HbA1cは、ランダム化のために≦8.0%である必要がある。スクリーニング後の任意の時点でHbA1cが上昇し、臨床的に重大であると見なされる場合、正常値またはベースライン値に戻るまでおよそ90日毎に繰り返す。
23.ADA試験で試料が陽性である場合、確認検査および反応性力価検査を行った後、次に試料をNAbについて検査する。対象がNAb陽性であると検証された場合、レベルがベースラインに戻るか、または対象の値が低下もしくは安定するまで対象を追跡し得る。24週目(またはPW)にNAb検査が陽性の任意の対象について、対象の値が低下または安定するまで追跡を継続し得る。
24.処置期間を早期に中止した対象からは採取しない。
25.1日目の2週間前以内および1日目の投薬前に発生したAEは、ベースラインの徴候/症状であると見なされる。1日目の投薬後の処置期間終了にわたって発生または悪化したAEは、処置下で発現したAE(TEAE)であると見なされる。追跡期間中に発生または悪化したAEは、投薬後AEと見なされる。インフォームドコンセントに署名してから試験中止後の30日にわたって発生した全てのSAEを記録する。
26.PK試料を、処置期間の1日目、3週目、および12週目の注入の前もしくはその終了時に採取し、単一の試料を24週目に採取する。
27.1つの臨床試験場にいる対象は、1日目および24週目の来院時にMRIを経験する。
【0623】
実施例32
半減期延長AVE1642
AVE1642モノクローナル抗体(ネズミ抗体EM164のヒト化形態)は、実施例4に記載されている。抗体(すなわちFcバリアント)のFc部分におけるアミノ酸置換を使用する半減期延長バージョンも、実施例31に記載されるようにTEDの処置に使用することができる。
【0624】
例えば、SYWMH(配列番号25)を含むHCDR1、EINPSNGRTN(配列番号76)を含むHCDR2、GRPDYYGSSKWYFDV(配列番号27)を含むHCDR3、RSSQSIVHSNVNTYLE(配列番号28)を含むLCDR1、KVSNRFS(配列番号29)を含むLCDR2、およびFQGSHVPPT(配列番号30)を含むLCDR3、または実施例4で開示される代替の配列を有するAVE1642ヒト化モノクローナル抗体は、428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域をさらに含み得る。
【0625】
同様に、SYWMH(配列番号25)を含むHCDR1、EINPSNGRTN(配列番号76)を含むHCDR2、GRPDYYGSSKWYFDV(配列番号27)を含むHCDR3、RSSQSIVHSNVNTYLE(配列番号28)を含むLCDR1、KVSNRFS(配列番号29)を含むLCDR2、およびFQGSHVPPT(配列番号30)を含むLCDR3、または実施例4で開示される代替の配列を有するAVE1642ヒト化モノクローナル抗体は、第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニン(Ser254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域をさらに含み得る。
【0626】
M428L/N434S置換を含む、またはM252Y/S254T/T256E置換を含むそのような半減期延長AVE1642抗体は、実施例4にのみ記載される同様の抗体よりも減少した用量および/または頻度でも効果的であると予想される。例えば、TEDならびに/または突出症および/もしくは複視の症状を有する対象の処置には、約1~5mg/kg、約1~10mg/kg、約1~20mg/kg、または約1~50mg/kgの用量で処置することが予想される。いくつかの実施形態では、この半減期延長抗体を用いたTEDの処置は、本明細書に記載されるように、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、または10mg/kgの用量で行うことが予想される。
【0627】
同様に、上記のCDRおよびM428L/N434S Fcバリアントを含むAVE1642半減期延長抗体は、静脈内(IV)だけでなく皮下(SC)の注射を介した投与に好適であると予想される。
【0628】
実施例33
半減期延長テプロツムマブ
テプロツムマブモノクローナル抗体を、実施例Aに記載する。本明細書に記述されるような抗体(すなわちFcバリアント)のFc部分におけるアミノ酸置換を使用する半減期延長バージョンも、実施例31に記載されるようにTEDの処置に使用することができる。
【0629】
例えば、配列番号84を含むHCDR1、配列番号85を含むHCDR2、配列番号86を含むHCDR3、配列番号87を含むLCDR1、配列番号88を含むLCDR2、および配列番号89を含むLCDR3を有するテプロツムマブモノクローナル抗体は、428位でメチオニンをロイシンで置換する変異(Met428Leu)、および434位でアスパラギンをセリンで置換する変異(Asn434Ser)を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域をさらに含み得る。
【0630】
同様に、配列番号84を含むHCDR1、配列番号85を含むHCDR2、配列番号86を含むHCDR3、配列番号87を含むLCDR1、配列番号88を含むLCDR2、および配列番号89を含むLCDR3を有するテプロツムマブモノクローナル抗体は、第1の変異すなわち252位でのチロシン(Met252Tyr)、第2の変異すなわち254位でのトレオニンSer254Thr)、および第3の変異すなわち256位でのグルタミン酸(Thr256Glu)を置換する変異を含むバリアントFc領域であって、アミノ酸置換の番号付けが、KabatにおけるようなEUである、バリアントFc領域をさらに含み得る。
【0631】
M428L/N434S置換またはM252Y/S254T/T256E置換のいずれかを含むそのような半減期延長テプロツムマブ抗体は、TEDの処置に効果的であると予想される。さらに、そのようなFcバリアントのないテプロツムマブ抗体と比較して、そのような半減期拡延長抗体は、より少ない頻度の投薬レジメンを必要とすることが予想される。
【0632】
実施例34
半減期延長抗IGF-1R抗体
IGF-1Rに結合かつ/またはIGF-1Rを阻害する本明細書に開示される他の抗体は、実施例1~3および5~10において開示されるものなどの適切な結合配列を使用して作ってもよく、Fc領域のM428L/N434S置換またはM252Y/S254T/T256E置換のいずれかを含む抗体は、TEDの処置に効果的であると予想される。さらに、そのようなFcバリアントのない抗体(例えばテプロツムマブ)と比較して、そのような半減期拡延長抗体は、より少ない頻度の投薬レジメンを必要とすることが予想される。
【0633】
他の実施形態
上記に述べられた詳細な記載は、当業者が本開示を実行するのを補助するために提供される。しかしながら、本明細書に記載され特許請求される開示は、これらの実施形態が本開示のいくつかの態様の例示として意図されるので、本明細書に開示された特定の実施形態によって範囲に限定されるものではない。あらゆる同等の実施形態は、本開示の範囲内にあるよう意図されている。実際に、本明細書に示され記載されたものに加えて本開示の様々な変形は、本発明の発見の精神または範囲から逸脱することなく、前述の記載から当業者にとって明らかとなる。そのような変形も、添付の特許請求の範囲内にあるように意図される。
【配列表】
【国際調査報告】