(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】波形データを用いたリソース分配システムの検査ゾーンの識別
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240228BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553969
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 US2022018973
(87)【国際公開番号】W WO2022187669
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523325484
【氏名又は名称】ランディス・ギア・テクノロジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ラドゴウスキー,ジョン
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC08
5G064BA09
5G064CB06
5G064CB16
5G064DA03
5G066AA09
5G066AE04
5G066AE09
5G066HA13
(57)【要約】
電力などのリソースの一時的な停止や劣化は、収集ポイントによって収集された波形データの異常を識別することによって検出できる。収集ポイントは、リソース分配システム全体に分散され、ヘッドエンドシステムにデータを通信するように構成される。ヘッドエンドシステムはデータを処理して異常を識別し、さまざまな収集ポイントで収集された波形データを関連付ける。相関データを持つ収集ポイントの地理的位置は、地理的領域を識別するために使用される。無人航空機は、地理的領域の検査を実施し、検査データを収集するために使用される場合がある。検査データはヘッドエンドシステムに送信されてもよい。波形データと検査データは、異常の原因に対処するために展開する正しいリソースを決定するために使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソース分配システムの異常を識別する方法であって、
前記方法は、
配電システムの少なくとも一部のトポロジ情報を提供することであって、前記トポロジ情報が配電システム内の複数の収集ポイント及び複数の電力資産の地理的位置情報を含む、ことと、
通信ネットワークを介して前記複数の収集ポイントから電力パラメータデータを受信することであって、前記電力パラメータデータが複数の間隔にわたって前記複数の収集ポイントによって収集されたデータに対応する、ことと、
前記電力パラメータデータを処理することとを含み、
前記電力パラメータデータを処理することは、
第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータを処理して、前記第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータが、第1の間隔セット内の第1の異常に対応する第1の所定の特性を含むか否かを判定することと、
前記第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータが前記第1の所定の特性を含む場合、第2の収集ポイントを選択することと、
前記第2の収集ポイントから受信した電力パラメータデータが、前記第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータと相関するか否かを判断することと、
前記第2の収集ポイントから受信した電力パラメータデータが前記第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータと相関する場合、前記トポロジ情報を使用して、前記第1の収集ポイントの地理的位置と第2の収集ポイントの地理的位置を含む地理的領域を決定することと、
無人航空機(UAV)を地理的領域に配備することと、
UAVから検査データを受信することであって、前記検査データが配電システムの電力資産のサブセットの画像を含む、ことと、
第1の異常及び検査データに基づいて、第1のリソース及び第1の地理的サブ領域を識別することとを含む、方法。
【請求項2】
前記検査データは、UAVによって受信される地理的領域内の第3の収集ポイントから受信される電力パラメータデータを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トポロジ情報は、リソース分配システム内の前記収集ポイント及び前記電力資産の相対位置情報を含み、
前記第2の収集ポイントを選択することは、
前記第1の収集ポイントの上流にある共通の電力資産を識別することと、
共通の電力資産の下流にある収集ポイントのサブセットを識別することと、
前記収集ポイントのサブセットから第2の収集ポイントを選択することとを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記地理的領域は、共通の電力資産の地理的位置を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電力パラメータデータは前記複数の収集ポイントから定期的に受信される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の所定の特性は、所定の数の間隔における所定の電圧範囲外の電圧に対応する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のリソースは交換用変圧器であり、
前記第1の地理的サブ領域は故障した変圧器の地理的位置を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータを処理して、前記第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータが第2の異常に対応する第2の所定の特性を含むか否かを判定することと、
前記第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータが前記第2の異常に対応する第2の所定の特性を含むとき、前記第2の異常の開始に関連する時刻及び前記第2の異常の継続時間に関連する時刻を含む、前記第2の異常の指示子を格納することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、
前記第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータが、前記第2の異常に対応する第2の所定の特性を含むという判断に基づき、第2の地理的領域における前記第1の収集ポイントの地理的位置を含むことと、
無人航空機(UAV)を第2地理的領域に配備することと、
UAVから追加の検査データを受信することとをさらに含み、
前記追加の検査データは、前記第1の収集ポイントに動作可能に接続された電力資産の画像をさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
リソース分配システムの停止に対応する方法であって、
前記方法は、
配電システムの少なくとも一部のトポロジ情報を提供することであって、前記トポロジ情報が前記配電システム内の複数の収集ポイント及び複数の電力資産の地理的位置情報を含む、ことと、
通信ネットワークを介して前記複数の収集ポイントから電力パラメータデータを受信することであって、第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータが停電を示す特性を含む、ことと、
前記電力パラメータデータを処理することとを含み、
前記電力パラメータデータを処理することは、
第1の収集ポイントからの停電を示す電力パラメータデータの受信に応答して、第2の収集ポイントを識別することであって、前記第1及び第2の収集ポイントが共通の上流電力資産を有する、ことと、
前記第1の収集ポイントの電力パラメータデータを前記第2の収集ポイントの電力パラメータデータと比較して、第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータが第2の収集ポイントから受信した電力パラメータデータと相関するか否かを判定することと、
により実行され、
前記方法は、
前記第1の収集ポイントから受信した電力パラメータデータが、前記第2の収集ポイントから受信した電力パラメータデータと相関するとき、前記トポロジ情報を使用して、前記第1の収集ポイントの地理的位置、前記第2の収集ポイントの地理的位置、及び共通上流電力資産の地理的位置を含む地理的領域を決定することと、
無人航空機(UAV)を地理的領域に配備することと、
UAVから検査データを受信することであって、前記検査データは共通の上流電力資産を含み、配電システムの電力資産のサブセットの画像を含むこと、
前記第1及び第2の収集ポイントの電力パラメータデータ及び前記検査データに部分的に基づいて、第1の交換リソース及び第1の地理的サブ領域を識別することと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記検査データは、UAVによって受信される地理的領域内の第3の収集ポイントから受信される電力パラメータデータを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記トポロジ情報は、前記複数の収集ポイント及び前記電力資産の相対位置情報を含み、
前記第2の収集ポイントを識別することは、
前記第1の収集ポイントの上流に位置する共通の上流電力資産を識別することと、
前記共通の上流電力資産の下流に位置する前記複数の収集ポイントのサブセットを識別することと、
前記複数の収集ポイントのサブセットから第2の収集ポイントを選択することと、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の交換リソースは交換用変圧器であり、前記第1の地理的サブ領域は故障した変圧器の地理的位置を含む。
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
リソース分配システムの異常を識別するためのシステムであって、
前記リソース分配システムはヘッドエンドシステムを備え、
前記ヘッドエンドシステムは、
前記リソース分配システムのトポロジ情報を保存し、
前記リソース分配システム内に分散された複数の収集ポイントから電力パラメータデータを受信し、
前記複数の収集ポイントから受信した電力パラメータデータを分析して前記複数の収集ポイントのセットを識別し、ここで、前記複数の収集ポイントのセットの電力パラメータデータには相関があり、前記複数の収集ポイントのセットの電力パラメータデータは異常に対応し、
前記トポロジ情報を使用して、前記複数の収集ポイントのセット内の収集ポイントの地理的位置を含む地理的領域を決定し、
前記地理的領域に配備された無人航空機(UAV)から検査データを受信するために構成され、
UAVは、
前記地理的領域を横断し、
前記地理的領域から検査データを収集し、
前記検査データをヘッドエンドシステムに送信するために構成され、
第1のリソース及び第1の地理的サブ領域は、異常及び検査データに基づいて識別される、
システム。
【請求項15】
前記検査データは、UAVによって地理的領域内の複数の収集ポイントから受信された電力パラメータデータを含む、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記トポロジ情報は、リソース分配システム内の複数の収集ポイント及び電力資産の相対位置情報を含み、
前記地理的領域を決定することはさらに、
一連の収集ポイントの上流に位置する共通の上流電力資産を識別することと、
前記地理的領域における共通の上流電力資産の地理的位置を含むことと、
をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1のリソースは交換用変圧器であり、第1の地理的サブ領域は故障した変圧器の地理的位置を含む、
請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の収集ポイントから受信した電力パラメータデータを分析することは、
第1の収集ポイントからの電力パラメータデータが、異常に対応する第1の所定の特性を含むことを決定することと、
第2の収集ポイントを選択することと、
前記第2の収集ポイントからの電力パラメータデータが前記第1の収集ポイントからの電力パラメータデータと相関するか否かを判断することと、
を含む、
請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2の収集ポイントを選択することは、
前記第1の収集ポイントの上流にある電力資産を識別することと、
前記電力資産の下流にある複数の収集ポイントのサブセットを識別することと、
収集ポイントのサブセットから第2の収集ポイントを選択することと、
を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記電力資産は変圧器であり、前記第1の収集ポイントはメータであり、前記第2の収集ポイントはメータである、
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リソース分配システムにおける異常の識別に関し、具体的には、異常の原因に対処するためのリソースを識別するために、リソース分配ネットワーク内の様々なポイントから収集された電力パラメータデータ及び地理的領域から受信された画像を使用することに関する。
【0002】
関連出願
本出願は、2021年3月5日に出願された米国特許出願第63/156,992号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
リソース配電システムに停電又はその他の問題が発生した場合、リソースプロバイダは一般に、サービスプロバイダの顧客が経験するサービスの中断を最小限に抑えるために、可能な限り迅速に問題に対処しようとする。例えば、暴風雨により、枝が送電線に接触したり、変圧器が故障したりして、送電網の影響を受ける部分に接続されている構内への電力が喪失又は低下することがある。一時的な電力損失や電力劣化は、電力網全体に分布するメータやセンサなどの複数の収集ポイントによって検出される電力パラメータデータの異常として識別可能な場合がある。停電などの問題は、問題の原因にかかわらず、顧客には同じように見えるかもしれない。しかし、原因によって問題に対処するために必要な設備やリソースの種類が決まるため、問題の原因を識別することは重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、リソースプロバイダは、問題又は問題の原因に関係なく、すべての問題に対して同じタイプの機器及びリソースを配置することをデフォルトとするか、又は問題に対処するために機器及びリソースを配置する前に、問題の原因を識別するために手動検査を必要とする場合がある。
【0005】
さらに、一部の停止又は障害は一時的なものであり、通常はリソース分配ネットワーク上の瞬間的な障害によって引き起こされる。一時的な障害は、停電のような将来の持続的な問題が発生する可能性のある場所についての洞察を与えることができる。例えば、断続的に送電線に接触する植生が、一時的な障害の原因である場合がある。その植生に対処しなければ、やがてより持続的な障害を引き起こす可能性がある。電力供給者は一般的に送電線周辺の植生管理を行っているが、現在の植生管理プログラムはスケジュールに基づいている。スケジュール化された植生管理プログラムでは、一時的な障害情報は考慮されない。従って、リソース配給ネットワークにおける異常や問題の位置と原因を識別する改良された方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、リソース分配システムにおける異常を識別し、異常の原因に対処するために必要な機器又はリソースを決定するための方法を含む。メータ及びセンサなどの複数の収集ポイントは、リソース分配システム全体に分散される。各収集ポイントは、通信ネットワークを通じて電力パラメータデータをリモートシステムに送信する。一実施形態では、リソース分配システムは電力分配システムであり、リモートシステムはヘッドエンドシステムである。
【0007】
電力パラメータデータは、ヘッドエンドシステムの処理ユニット、又はヘッドエンドシステムの外部に位置するコンピューティングデバイスで処理される。電力パラメータデータは、電力パラメータデータに異常が存在するか否かを判断するために処理される。最初の収集ポイントで収集された電力パラメータデータにおいて異常が識別された場合、追加の収集ポイントからの電力パラメータデータを考慮して、異常を示した最初の収集ポイントからの電力パラメータデータと相関する電力パラメータデータを有する他の収集ポイントを識別することができる。
【0008】
一旦システムが相関する電力パラメータデータを有する複数の収集ポイントのセットを識別すると、システムは配電システムのトポロジ情報を使用して、複数の収集ポイントのセット内の収集ポイントの位置を包含する地理的領域を決定する。トポロジ情報は、リソース分配システム内の複数の収集ポイント及び複数の資産の地理的位置情報、ならびにある資産又は収集ポイントがリソース分配システム内の別の資産又は収集ポイントの上流又は下流にあるか否かを決定するために使用できる相対的位置情報を含む。地理的領域はまた、異常を示したパワーパラメータデータと緩やかに相関するパワーパラメータデータを有する他の収集ポイントの位置、又は複数の収集ポイントのセットに対する相対的な位置が、それらが異常に関連する可能性があることを示す資産の位置を含むことができる。
【0009】
地理的領域が決定されると、無人航空機が地理的領域に配備され得る。無人航空機は、地理的領域内のリソース分配システムの部分の画像データを含む、地理的領域からデータを収集する。相関する電力パラメータデータ及び無人航空機によって収集された検査データに基づいて、異常の原因に対処するために必要なリソースが識別され、配備され得る。
【0010】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読むと、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的な配電システムの一部を示すブロック図である。
【
図2】配電システムのための例示的な通信ネットワークの一部を示すブロック図である。
【
図3】複数の収集ポイントから受信されたデータの例示的な比較を示す図である。
【
図4】機器及びリソースを識別及び配備するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図5】機械学習モデルを生成するための例示的な方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明は、リソース分配システム内の複数の収集ポイントで収集された電力パラメータデータと、複数の収集ポイントに関連する地理的領域の画像データとを使用して、分配ネットワーク内の問題にタイムリーかつ効率的に対応するシステムを提供する。複数の収集ポイントは、ネットワーク内の資産又はデバイスに関連付けられ、又は専用の収集ポイントであってもよい。各収集ポイントは、そのポイントにおけるリソースの1つ又は複数のパラメータを監視し、監視されたパラメータに関連するデータを収集する。
【0013】
各収集ポイントはデータを解析してもよいし、解析のためにデータを別のデバイスに送信してもよい。解析は、潜在的な問題を示す異常があることをデータが示しているか否かを決定する。異常がある場合、システムは他の収集ポイントからのデータを分析し、潜在的な問題が他の収集ポイントによっても検出されたか否かを判断することができる。
【0014】
システムは、潜在的な問題を検出したと識別された収集ポイントを含む地理的領域を決定する。地理的領域が識別されると、システムは無人航空機(UAV)又はドローンを配備し、地理的領域及び場合によっては隣接する地理的領域から画像又はデータを収集する。UAVからの画像とデータ、及び複数の収集ポイントから収集されたデータは、問題のタイプと範囲を識別するために使用される。問題が識別されると、その問題に対処するために必要な機器やリソースが適切な場所に配備される。
【0015】
例示的な配電システム
本発明は、
図1に示すような配電システムで実施することができる。電力分配システム100の図示された部分は、発電設備110を含む。発電設備110によって生成される電力は、例えば、三相交流(AC)電力であってよい。三相電力供給システムでは、3本の導線が、共通の基準に対して同じ周波数及び電圧振幅の交流電流を流すが、それぞれの間には3分の1周期の位相差がある。電力は、送電線115を経由して変電所120に高電圧(例えば、約140~750kV)で伝送される場合がある。
【0016】
電力変電所120では、降圧変圧器130が高圧電力を、配電電圧又は「中」電圧と呼ばれる顧客の使用に適した電圧レベル(通常は約13kV)に降圧することがある。降圧された3相電力は、給電線140a、140b、140cを介して配電変圧器150、155に伝送され、配電変圧器150、155はさらに電圧を降圧することができる(例えば、住宅用顧客向けには120~240V)。
【0017】
各配電変圧器150、155は、単相及び/又は三相電力を住宅及び/又は商業施設に供給することができる。配電変圧器150、155から、電力は、電気メータ160を介して顧客構内に供給される。電気メータ160は、負荷(例えば、顧客構内)と配電変圧器150、155との間に接続されてもよい。三相変圧器155は、三相電力を顧客構内に供給することができる。
【0018】
収集ポイントは、電気計器160、センサ180、及び周波数、電圧、電流、電力品質、又は位相角などの1つ又は複数の電力パラメータを感知する他のデバイスを含むことができる。一部のセンサは、変電所や配電変圧器などの電力資産に関連付けられることがある。他のセンサは、資産の存在に関係なく、配電網に沿った場所に関連付けられることがある。
図1のセンサの図示された位置は単に例示的なものであり、センサは他の位置に配置されてもよく、センサの追加又は減少もまた使用されてもよいことが理解されるべきである。また、図示されている以外の電力資産が配電システムに含まれてもよい。
【0019】
図1から分かるように、各収集ポイントは配電システム100の1つ以上のセグメントに接続されている(例えば、メータはサービスドロップを介して配電変圧器に接続されている)。ヘッドエンドシステム又は別のシステムは、配電システムのトポロジ情報を維持することができる。トポロジ情報は、ネットワーク内のメータ、センサ、資産、及び他のデバイスの地理的位置情報を含む場合がある。地理的位置情報は、緯度経度座標、ストリートアドレス、相対的位置情報、又はデバイスの地理的位置を識別する任意の他のタイプの情報を含んでよい。トポロジ情報は、デバイスがどのように接続されているかを示す接続情報を含むこともある。例えば、トポロジ情報は、どのメータが特定の変圧器に接続されているか、又はどのセンサが特定の変電所に関連付けられているかを示すことができる。トポロジ情報は、配電システム内の複数の収集ポイントの相対的な位置を決定するために使用されてもよい。例えば、トポロジ情報は、あるメータが別のメータよりも変電所からさらに下流に位置しているか否かを示す。
【0020】
例示的通信ネットワーク
複数の収集ポイントは、
図2に示されるような通信ネットワーク上で通信することができる。
図2に示されるように、無線メッシュネットワーク140は、電力メータ160及びセンサ180などの複数の収集ポイントが、メッシュネットワーク上の他のデバイスと、又はヘッドエンドシステム104などの他のリモートデバイスと通信することを可能にする。
【0021】
メータ160及びセンサ180は、それぞれのルートノード114にデータを送信することができる。ルートノード114は、受信したデータをヘッドエンドシステム104などのリモートシステムに転送することができる。ルートノード114は、それ自体でデータを測定及び処理するように構成することもできる。ルートノード114は、パーソナルエリアネットワーク(PAN)コーディネータ、ゲートウェイ、又はヘッドエンドシステム104及びメッシュネットワーク上のデバイスと通信可能な任意の他のデバイスであってもよい。
【0022】
ルートノード114は、インターネット、イントラネット、又は任意の他のデータ通信ネットワークなどの別のネットワーク170を介して、収集されたデータをヘッドエンドシステム104に送信することができる。ヘッドエンドシステム104は、ルートノード114からデータ又はメッセージのストリームを受信する中央処理システムとして機能することができる。ヘッドエンドシステム104、又は公益事業会社に関連する別のシステムは、請求、性能分析、又はトラブルシューティングなどの様々な目的のために、収集されたデータを処理又は分析することができる。
【0023】
メータ、センサ、及び他のデバイスを通信可能に接続するメッシュネットワーク140は、配電システム100内の電力を分配するためのネットワークとは別であってもよく、オーバーレイすることができることをさらに理解されたい。そのため、メッシュネットワーク140において隣同士である2つのメータ160は、配電システムにおいて隣同士、すなわち互いに接続されていない場合があり、その逆もまた同様である。
【0024】
メータ、センサ、及び他のデバイスは、
図2に図示された無線メッシュネットワーク以外の通信ネットワークを使用してもよい。通信ネットワークは、セルラーネットワーク、有線ネットワーク、又はPLC(電力線通信)ネットワークを含んでもよく、複数のタイプのネットワークの組み合わせであってもよい。
【0025】
複数の収集ポイントは、その電力パラメータデータを定期的にヘッドエンドシステムに送信してもよいし、電力パラメータデータを処理し、処理結果に基づいてデータを送信してもよいし、ヘッドエンドシステムからの問い合わせに応答して電力パラメータデータ又はその他の情報を送信してもよい。
【0026】
収集ポイントがメータである場合、メータは、エネルギーが消費された時間を含め、メータに関連する構内又は負荷によって消費されたエネルギー量に関する情報も収集することができる。メータは、この情報をヘッドエンドシステムに定期的に送信してもよい。ある実施例では、メータは、ある間隔の間に消費されたエネルギーを報告することによって、消費情報を報告する。メータは、間隔に1つの時間期間(例えば、15分間隔又は60分間隔)を使用し、報告に異なる時間期間(例えば、24時間に1回)を使用することができる。メータは、消費情報の送信に使用されるのと同じ通信で電力パラメータデータを送信してもよく、電力パラメータデータを適切な間隔と関連付けてもよい。あるいは、メータは、異なる間隔、異なるスケジュール、又は他の種類の基準を使用して、電力パラメータを送信してもよい。
【0027】
電力パラメータデータの例示的相関関係
ヘッドエンドシステムが収集ポイントから電力パラメータデータを受信した後、システムはデータを処理することができる。
図3は、電圧データを処理する例を示している。他の種類の電力パラメータも、同様の方法で関連付けられる可能性がある。
図3は、4つの異なる収集ポイントA、B、C、Dによってそれぞれ異なる時点で測定された電圧値を示している。波形302A~302Dから分かるように、電圧値には時間の経過に伴う変動(例えば、ピークやディップ)が存在する可能性がある。ある収集ポイントで変動が検出されると、同じ変圧器や同じ配電線など、共通の構成要素に接続されている収集ポイントも、ほぼ同時に変動を検出することがある。各装置を接続する電線の抵抗により、変動が減衰する可能性があることに注意してください。
【0028】
波形が問題を示しているか否かを判断するために、システムは、識別の値、値の範囲、又は識別のタイプの遷移又はパターンを含む、波形の識別の特性を探すことができる。システムは、電圧など1種類のパラメータを考慮してもよいし、パラメータの組み合わせを考慮してもよい。特性は、当初は予め決定されていてもよく、システムが様々な異常や範囲外の状態に対応する波形に関する追加のデータや情報を収集するにつれて、時間の経過とともに改良されていく可能性がある。いくつかの実施例では、機械学習モデルが、特性又は特性に関連する潜在的な問題を決定するために使用される。
【0029】
図3に示す収集ポイントAの波形又は波形の一部が問題を示すと判断された場合、システムは同様の状態を経験している他の収集ポイントを検索する。システムは、任意で、最初に、収集ポイントAから一定の距離内にある、収集ポイントAと一定の関係にある、又は共通の資産に接続されている他のデバイスを考慮するように、検索に優先順位を付けることができる。他の要因も、収集ポイントに関連する資産又は資産のタイプ、収集ポイントと以前に相関関係にあった収集ポイント、又はシステム固有の要因を含むがこれらに限定されない、追加の収集ポイントの検索に優先順位をつけるために使用することができる。
【0030】
システムは、収集ポイントB、C、及びDの波形が類似の条件を示すと識別した場合、波形又は波形の一部を収集ポイントAの波形と比較することができる。比較は、波形302Aのデータと他の波形302B~302Dのそれぞれのデータとの間の相互相関を使用することができる。他のタイプの比較又は相関を使用することもできる。
【0031】
図3の例では、収集ポイントA、B、及びDの波形が相関していることがわかり、システムは複数の収集ポイントを1つのセットにグループ化する。システムは、配電網のトポロジカルデータを使用して、複数の収集ポイントのセットを含む地理的領域を決定することができる。地理的領域は、複数の収集ポイントの地理的位置、配電系統の送電線を含む資産の地理的位置、又はそれらの組み合わせを参照して定義することができる。地理的領域が複数の収集ポイントの地理的位置を参照して定義される場合、地理的領域は、複数の収集ポイントの各々の周囲の予め定義された領域を含むことができる。地理的領域が資産の地理的位置を参照して定義される場合、地理的領域は、複数の収集ポイントと、複数の収集ポイントに関連する、又は複数の収集ポイントの間に位置するあらゆる資産とを接続する線の各々の周りの予め定義された領域を含むことができる。
【0032】
いくつかの実施例では、システムは、収集ポイントCの波形は、収集ポイントCを収集ポイントの同じセットに含めるために、収集ポイントA、B、及びDの波形と十分に類似していない(すなわち、波形402Aと十分に密接に相関していない)が、波形402Cは波形402Aと緩く相関していると判定することができる。収集ポイントCの地理的位置が収集ポイントA、B、Dの地理的領域に隣接又は近接している場合、地理的領域は収集ポイントCの地理的位置を含むように修正されてもよい。収集ポイントCの地理的位置が収集ポイントA、B、Dの地理的領域からかなり離れた位置にある場合、地理的領域に追加されなくてもよい。近くの地理的位置は、遠くの位置よりも関連する情報を提供する可能性がある。なぜなら、遠くの位置は、異なる変電所又は配電網の無関係な部分に関連する可能性が高いからである。機械学習モデルは、地理的領域を決定するため、又は地理的条件に近くの場所を含めるタイミングを決定するために使用されることがある。
【0033】
配電網の問題に対処するための例示的な方法
図4は、配電系統の問題に対処するための機器及びリソースを識別し、配備するための方法の一例を示す。方法の実行に先立ち、システムは配電システムのトポロジ情報を取得する。402において、ヘッドエンドシステムは、1つ以上の収集ポイントからデータを受信する。データは電力パラメータデータを含み得る。場合によっては、複数の収集ポイントは定期的に電力パラメータデータを送信する。他のケースでは、収集ポイントは、収集した電力パラメータデータを分析して、データが異常を示すか否かを判断し、それらの分析が潜在的な問題を示す場合にのみデータを送信する。他の場合には、システムは、収集した電力パラメータデータを送信するように複数の収集ポイントに要求を送信する。また、停電を示す特性など、識別の状態又は特性を検出するとすぐに収集ポイントがデータを送信する特別な場合もある。システムは、データを取得するためにこれらのアプローチの1つ以上を使用することができる。例えば、複数の収集ポイントが、その分析が潜在的な問題を示す場合にのみ電力パラメータデータを送信するように構成されている場合、ヘッドエンドシステムが1つの収集ポイントから電力パラメータデータを受信すると、他の収集デバイスから電力パラメータデータを要求することができる。あるいは、複数の収集ポイントは、スケジュールに基づいて定期的にデータを送信し、特定(識別)の条件が検出された場合に直ちにデータを送信するように構成することもできる。
【0034】
データを分析する際、複数の収集ポイント又はデータを受信するシステムは、波形シグネチャ及び/又は様々なパラメータ値の1つ以上の所定の範囲又はしきい値を使用して、データが潜在的な問題又は異常を示すか否かを判断することができる。406での判定が異常なしであれば、方法はブロック402に戻り、追加の電力パラメータデータの受信を待つ。
【0035】
ブロック404-406は、システムが複数の収集ポイントから電力パラメータデータを定期的に受信し、データを処理してデータが異常を示すか否かを判断するオプションを示す。406で異常がある場合、システムは408でデータを他の収集ポイントから受信したデータと相関させる。相関関係に基づいて、システムは410において、同様の状態を経験している他の収集ポイントを複数の収集ポイントのセット(集合)として識別する。一旦システムが複数の収集ポイントのセットを識別すると、システムはトポロジ情報を使用して、412において収集ポイントのセットを含む検査ゾーン又は地理的領域を識別する。システムが、当該セットと緩く相関する電力パラメータデータを有する収集ポイントを識別した場合、システムは、その収集ポイントの地理的位置も含むように地理的領域を選択することができる。
【0036】
システムは、414において地理的領域に関連する検査データを取得する。検査データは、UAVを地理的領域に配備し、UAVがその領域を横断する際にUAVによって取得される他のタイプのデータと同様に視覚情報を受信することによって取得することができる。視覚情報は、地理的領域内の配電網の部分及び周辺領域の他の要素の画像データを含み得る。UAVは、資産から一定の距離以内に撮影された画像や一定の角度から撮影された画像など、一定の基準を満たす画像データを取得するように構成されていてもよい。また、基準は、1つの資産又は状態の複数の画像が必要とされる場合及び複数の画像が互いにどのように関連するかを指定することができる。
【0037】
検査データを取得した後、システム又はシステムオペレータは、問題が存在するか否か、問題が存在する場合、416の問題に対処するためにどのような種類の機器及び人員を含むリソースが必要であるかを決定する。この決定は、収集された電力パラメータデータと検査データの両方に基づく。例えば、木の枝が線路に接触していることに起因する問題に対処するために必要な機器及び人員は、故障した変圧器に対処するために必要な機器及び人員とは異なる場合がある。設備とリソースが識別されると、適切な場所に配備される。
【0038】
異常の一例は、故障した変圧器や停止した線路などの故障資産によって引き起こされる局所的な停電である。資産の下流に位置する複数の収集ポイントによって収集された電力パラメータデータは停電を反映する可能性があるが、配電網の他の部分に位置する複数の収集ポイントによって収集された電力パラメータデータは停電を反映しないか、又は一時的な停電のみを反映する可能性がある。ヘッドエンドシステムは、データを分析し、相関するデータを持つ収集ポイントを決定することができる。また、システムは、トポロジ情報を使用して、相関データを有する収集ポイントの位置を決定してもよい。トポロジ情報に基づいて、システムは、相関データを有する収集ポイントの上流に位置する1つ以上の資産を識別してもよい。システムは、相関データに関連する収集ポイントの地理的位置及び上流の資産(複数可)を含む地理的領域を識別することができる。UAVが地理的領域に配備され、地理的領域から取得された画像データをヘッドエンドシステムに送り返す。システムは画像データを処理して、識別のタイプの資産又は状態を識別することができる。画像データから資産又は状態のタイプが認識された場合、システムは問題の原因、問題に関連する場所又は地理的小領域を決定し、問題に対処するために必要な機器又はリソースを識別することができる。画像データが、故障した資産が変圧器であることを示す場合、交換用の変圧器、及び変圧器を交換するために必要な装置及びリソースが、故障した変圧器が配置されている配電網内の場所に配備される可能性がある。画像データが、故障がダウンしたラインであることを示す場合、ラインの修理と交換に必要な機器とリソースは、ラインがダウンしているサブリージョンに配備される。
【0039】
別の例としては、送電線の一部に接触する植物によって引き起こされる、局所的な一時的な範囲外電圧が挙げられる。近くにある複数の収集ポイントによって収集された電力パラメータデータは、断続的な範囲外の電圧、又は場合によっては断続的な停電に対応する異常を反映している可能性がある。ヘッドエンドシステムは、複数の収集ポイントから受信したデータを分析し、相関するデータを持つ収集ポイントのセットを識別することができる。相関関係は、検出された電圧の大きさ、大きさが範囲外であると最初に判断される時間又は間隔、大きさが範囲外のままである時間又は間隔の数、又は植生の問題を示すと判断されたその他の要因と考えることができる。
【0040】
システムは、相関データに関連付けられた複数の収集ポイントの地理的位置を含む地理的領域を識別することができる。UAVは地理的領域に展開され、地理的領域から取得した画像データをヘッドエンドシステムに送り返す。画像データが、識別のエリアのラインの周囲の植生にメンテナンスが必要であることを示している場合、メンテナンスを実行するために必要な機器とリソースがそのエリアに配備される可能性がある。展開のタイミングは、次回の定期メンテナンスに合わせて機器とリソースが展開されるように、メンテナンススケジュールと調整することができる。あるいは、機器及びリソースは、より高い優先順位を有する可能性がある機器又はリソースに対する他の要求を考慮して、できるだけ早く配備されてもよい。
【0041】
システムは、異常を識別するために、電力パラメータデータや画像データ以外のデータやその他の要素を考慮する場合がある。嵐や強風により、植物が送電線の一部に接触する可能性が高まる可能性があるため、システムは気象条件を考慮する場合がある。気象条件に関連する情報は、UAVから受信することも、気象又は環境データを記録及び維持する別のシステムから取得することもできる。
【0042】
いくつかの実施形態では、UAVは、無線メッシュネットワークなどの通信ネットワークを介して収集ポイントと通信できる通信デバイスを含む。UAVが地理的領域を移動しているとき、通信ネットワークに接続されていない収集ポイントの範囲内に入る可能性がある。収集ポイントは、動作しなくなった親ノードを介して通信した可能性があり、別の親ノードを見つけることができなかった可能性がある。収集ポイントがUAVと通信できる場合、UAVは、異常を評価するために使用できる電力パラメータデータ又は他のデータを収集ポイントから受信することができる。収集ポイントから受信したデータは、検査データの一部としてヘッドエンドシステムに送信される場合がある。
【0043】
UAVは、問題の評価に役立つ可能性のあるあらゆる種類のデータを収集できる。画像データには、写真、動画撮影、又は赤外線や無線周波数イメージングなどの特殊な機能が含まれるが、これらに限定されない。他のタイプのデータには、収集ポイントから受信したデータや環境データが含まれるが、これらに限定されない。UAVは、地理的領域を移動している間、又は検査が完了すると、ヘッドエンドシステムにデータを送信できる。UAVのルート又は検査ゾーンは、UAVの配備中に変更される場合がある。UAVが展開中に検査データを送信する場合、受信したデータに基づいて検査ゾーンが変更される可能性がある。一部のシステムでは、複数のUAVが存在し、UAVが展開される複数の場所が存在する場合がある。
【0044】
機械学習モデルの例
上記のシステム及びデバイスでは1つ以上の機械学習モデルが動作する場合がある。モデルには、ヘッドエンドシステム又は収集ポイントでの異常を示す1つ又は複数の電力パラメータの特性を識別するためのモデル、電力パラメータに基づいて識別の種類の問題を判断するためのモデルが含まれるが、これらに限定されない。データ及び/又は検査データ、UAVによる検査のための地理的領域を決定するためのモデル及び/又は地理的領域内でUAVを航行するためのモデル、及び識別のタイプの問題に基づいて識別のタイプの機器又はリソースを決定するためのモデル。
【0045】
異常を示す電力パラメータの特性を識別するモデルは、回帰モデルを使用して実施できる。線形回帰モデルと非線形回帰モデルの両方を使用できる。各回帰モデルは、データセットを使用して学習及び検証できる。データセットは、さまざまな条件、日付、時刻にわたる過去の期間から収集された電力パラメータデータに基づいている。条件、日付、時刻はモデルの入力を定義するために使用でき、過去の異常又は問題はモデルの出力を定義するために使用できる。収集ポイントで動作するモデルに使用されるデータセットは、ヘッドエンドシステムで動作するモデルに使用されるデータセットとは異なる場合がある。
【0046】
データセットは、学習データセットと検証データセットに分割される。学習データセットは回帰モデルの学習に使用され、検証データセットは学習されたモデルの検証に使用される。学習と検証中に、モデルで使用される重みは、モデルが許容可能なレベルの精度を提供するまで調整される。モデルの精度を測定する1つのオプションは、モデルが異常を正しく予測する回数の割合を決定することを含む。モデルが検証されると、収集ポイント又はヘッドエンドシステムに展開できる。デプロイされたモデルのパフォーマンスが監視され、追加のデータが収集されるため、必要に応じて新しいデータセットを使用してモデルを再学習できる。再学習されたモデルは、元のモデルを置き換えるために展開できる。
【0047】
導入する機器又はリソースの種類を決定するモデルは、異常に対応する特性を識別するモデルで使用されるデータとは異なる種類のデータを含む学習セットを使用する場合がある。データセットは、電力パラメータデータ又は異常、検査データ、メンテナンス及び修理データ、及びさまざまな条件、日付、時刻にわたる過去の期間から収集された電力資産データに基づく場合がある。電力パラメータデータ又は異常、検査データ、電力資産データはモデル入力を定義するために使用でき、履歴保守及び修理データはモデル出力を定義するために使用できる。
【0048】
図5は、システムで使用され得る1つ以上のモデルの線形回帰モデルを学習及び検証するための例示的な方法を示す。データセット502は、学習データセット504及び検証データセット506を含む。学習データセットは、線形回帰モデル508を学習するために使用される。学習済みモデル510が利用可能になると、検証データセットは、学習済みモデルを検証するために使用される。モデルを学習及び検証するプロセスは、学習と検証の両方での価格出力の精度を向上させるためにモデルで使用される重みを調整するなど、
図5には示されていない多くの追加ステップを含む。モデルが検証されると(512)、展開することができる。
【0049】
収集ポイントは、電力パラメータデータを収集するための通信モジュール、プロセッサ、メモリ、及び測定回路を含むことができる。プロセッサは、収集ポイントによって実行される機能を制御する。メモリには、プロセッサがその機能を実行するために必要なデータ、収集ポイントによって生成されたその他のデータ、及びオプションで1つ以上の検証された機械学習モデルが格納される。収集ポイントは、メモリ又は別のタイプのコンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令を含むことができ、プロセッサは、本明細書に記載される機能を提供するために命令を実行することができる。収集ポイントには、追加のモジュール又はコンポーネントが含まれる場合もある。たとえば、収集ポイントにはセンサが含まれる場合があり、収集ポイントがメータの場合は、追加の計測コンポーネントが含まれる場合がある。
【0050】
ヘッドエンドシステムは、1つ以上の通信モジュール、1つ以上のプロセッサ、及びメモリを含むことができる。ヘッドエンドシステムは、収集ポイント及びUAVから受信したデータ、トポロジ情報、及び他のデータを格納する1つ又は複数のデータ記憶装置を含むか、又はそれらと通信することもできる。1つ又は複数のプロセッサは、ヘッドエンドシステムによって実行される機能を制御する。メモリには、プロセッサがその機能を実行するために必要なデータ、ヘッドエンドシステムによって生成されたデータ、及びオプションで1つ以上の検証された機械学習モデルが保存される。コンピュータ実行可能命令は、メモリ又は別のタイプのコンピュータ可読媒体に格納することができ、1つ又は複数のプロセッサが命令を実行して、本明細書に記載される機能を提供することができる。ヘッドエンドシステムには、追加のモジュール又はコンポーネントが含まれる場合もある。
【0051】
UAVには、カメラ又は他のタイプの画像キャプチャデバイス、通信モジュール、プロセッサ、メモリ、及びナビゲーション制御装置が含まれる場合がある。ヘッドエンドシステム、UAVを操縦しているオペレータ、及び収集ポイントとの通信をサポートするために、通信モジュールは複数の通信ネットワーク上で通信するように構成するか、UAVに複数の通信モジュールを含めることができる。プロセッサは、UAVによって実行される機能を制御する。メモリには、プロセッサがその機能を実行するために必要なデータ、UAVによって生成又は収集されたその他のデータ、及びオプションで1つ以上の検証された機械学習モデルが保存される。コンピュータ実行可能命令は、メモリ又は別のタイプのコンピュータ可読媒体に格納することができ、1つ又は複数のプロセッサが命令を実行して、本明細書に記載される機能を提供することができる。UAVには、環境条件を検出するセンサなどの追加のモジュール又はコンポーネントも含まれる場合がある。
【0052】
一部の実施例では、システムは完全に自動化されているため、収集ポイント、ヘッドエンドシステム、及びUAVは手動入力を必要とせずに動作する。例えば、
図4に関連して説明した動作は自動的に実行することができる。他の実施例では、1つ以上の操作で手動による監視や手動入力が必要になる場合がある。単一システム内で自動操作と手動操作をさまざまに組み合わせることができる。
【0053】
一実施形態では、UAVは自動的に地理的領域をナビゲートし、検査データを収集することができるが、別の実施形態では、システムオペレータがUAVのナビゲーション又はデータ収集を制御することができる。別の例では、ヘッドエンドシステムは、あるシステム内の機器及びリソースを自動的に識別することができるが、システムオペレータは、別のシステム内の機器及びリソースを選択することができる。
【0054】
本発明の主題は、その識別の態様に関して詳細に説明されているが、当業者であれば、前述の理解を得るにあたり、そのような態様に対する変更、変形、及び均等物を容易に生み出すことができることが理解されるであろう。したがって、本開示は、限定ではなく例示の目的で提示されており、当該技術の当業者には容易に明らかなような本主題へのそのような修正、変形、及び/又は追加を含むことを妨げるものではないことを理解されたい。
【国際調査報告】