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特表2024-510151キャプティブ帆及び飛行式係留ラインに関わる運搬システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】キャプティブ帆及び飛行式係留ラインに関わる運搬システム
(51)【国際特許分類】
   B63H 9/072 20200101AFI20240228BHJP
   B64U 10/60 20230101ALI20240228BHJP
   B64U 10/50 20230101ALI20240228BHJP
   B63H 9/069 20200101ALI20240228BHJP
【FI】
B63H9/072
B64U10/60
B64U10/50
B63H9/069
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553990
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2022057122
(87)【国際公開番号】W WO2022195060
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2102788
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520485893
【氏名又は名称】エアシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルフェイユ,スワン
(72)【発明者】
【氏名】ファンタン,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ステファーヌ
(57)【要約】
キャプティブ翼牽引システム(1)は、
-固定サスペンションライン(6)及び移動式サスペンションライン(6)によって牽引翼(5)に取り付けられた軌道制御飛行デバイス(7)であって、軌道制御飛行デバイス(7)は、移動式サスペンションライン(6)を制御するように適応する、軌道制御飛行デバイス(7)と、
-軌道制御飛行デバイス(7)をベースプラットフォーム(3)に接続する牽引ライン(8)と、を含み、
-牽引翼(5)の前縁(16)を軌道制御飛行デバイス(7)に接続する誘導ライン(9)と、
-収納ライン(10)であって、収納ライン(10)の一端はベースプラットフォーム(3)に接続され、収納ライン(10)の他端は誘導ライン(9)に摺動可能に接続される、収納ライン(10)と、
-収納マスト(4)に取り付けられた偏向要素(13)と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風の影響のために牽引力を生成するように適応し、収納マスト(4)が設けられるベースプラットフォーム(3)に対して展開され及び折り畳まれるように適応する牽引翼(5)を含むキャプティブ翼牽引システム(1)であって、前記牽引翼(5)は前縁(16)及び後縁(17)を有し、前記キャプティブ翼牽引システムは、さらに、
-固定サスペンションライン(6)及び移動式サスペンションライン(6)によって、前記牽引翼(5)に取り付けられた軌道制御飛行デバイス(7)であって、前記移動式サスペンションライン(6)を制御するように適応する、軌道制御飛行デバイス(7)と、
-前記軌道制御飛行デバイス(7)を前記ベースプラットフォーム(3)に接続する牽引ライン(8)と、を含み、
前記キャプティブ翼牽引システムは、
-前記牽引翼(5)の前記前縁(16)を前記軌道制御飛行デバイス(7)に接続する誘導ライン(9)と、
-収納ライン(10)であって、前記収納ライン(10)の一端は、前記ベースプラットフォーム(3)に接続され、スライダー(15)によって、摺動方式で前記誘導ライン(9)に接続され、前記スライダー(15)は、前記収納ライン(10)の上で固定され、前記誘導ライン(9)に旋回摺動接続される、収納ライン(10)と、
-偏向要素(13)であって、前記収納マスト(4)に取り付けられ、前記偏向要素(13)を通って、前記収納ライン(10)は、前記収納ライン(10)の第1の端と、前記誘導ライン(9)への接続部との間に送られる、偏向要素(13)と、を含むことを特徴とする、キャプティブ翼牽引システム(1)。
【請求項2】
前記スライダー(15)は、前記誘導ライン(9)に沿って摺動するシャトル(114)を含み、前記シャトル(114)は前記収納ライン(10)が通過する誘導手段(63)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項3】
前記誘導ライン(9)は二重ラインから成ることと、前記シャトル(114)は前記二重ラインに摺動可能に搭載されることと、を特徴とする、請求項2に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項4】
前記軌道制御飛行デバイス(7)は、前記スライダー(15)を受けるように適応するレセプタクル(101)を含み、前記レセプタクル(101)は前記収納ライン(10)用のイモビライザー(102)を含むことを特徴とする、請求項2または3のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項5】
前記牽引ライン(8)は前記牽引ライン(8)の長さを調整するように適応する第1のウインチ(11)を用いて前記ベースプラットフォーム(3)に取り付けられ、前記収納ライン(10)は、前記収納ライン(10)の長さを調整するように適応する第2のウインチ(12)を用いて前記ベースプラットフォーム(3)に取り付けられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項6】
前記偏向要素(13)は、前記収納マスト(4)に沿って摺動する収納トロリー(14)に搭載されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項7】
キャプティブ翼牽引システムは、前記誘導ライン(9)で前記収納ライン(10)の端を保持するための手段を含み、前記保持手段は、前記収納ライン(10)の前記端が前記誘導ライン(9)に沿って自由に摺動する自由位置と、前記収納ライン(10)の前記端が前記誘導ライン(9)によって形成されたループに配置される保持位置と、を占有するように適応することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項8】
前記保持手段は、保持位置で、前記収納ライン(10)を保持するために、前記誘導ライン(9)で、ループ(36)を形成するように適応するブロック部材(22)を含むことを特徴とする、請求項7に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項9】
前記ブロック部材(22)は貫通路(23)を含み、前記貫通路(23)では、前記保持手段が前記自由位置にあるとき、前記収納ライン(10)が通過し、前記貫通路(23)では、前記保持手段が前記ロック位置にあるとき、前記誘導ライン(9)が2つに折り畳まれるように通過することを特徴とする、請求項8に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項10】
前記誘導ライン(9)は、前記牽引翼(5)の前記前縁(16)に締結された分離可能クランプ要素(25)によって、前記牽引翼(5)の前記前縁(16)に接続され、前記分離可能クランプ要素(25)は、前記誘導ライン(9)を締め付けることによって、前記誘導ライン(9)を保持するように適応することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項11】
前記分離可能クランプ要素(25)は、前記誘導ライン(9)が通過するスリーブ(37)を含み、前記誘導ライン(9)は、前記牽引翼(5)の前記前縁(16)を越えて延在する追加ライン部(24)によって延在することを特徴とする、請求項10に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項12】
前記追加ライン部(24)は前記牽引翼(5)の前記後縁(17)に接続されることを特徴とする、請求項11に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項13】
前記ブロック部材(22)は、前記分離可能クランプ要素(25)を受けるように適応するハウジング(38)を含むことを特徴とする、請求項8または9に従属するときの請求項10~12のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項14】
前記ハウジング(38)は、前記分離可能クランプ要素(25)を保持するためのラッチ(29)を含むことを特徴とする、請求項13に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項15】
前記キャプティブ翼牽引システムは、
-それぞれ、前記牽引翼(5)の前記前縁(16)に固定された端を有し、前記前縁(16)に沿って相互に分離する複数の折り畳みライン(110A,110B,110C)と、
-前記収納マスト(4)に沿って摺動するように適応する追加トロリー(19)と、
-前記牽引翼(5)の前記前縁(16)に取り付けられ、取り付け用ロッド(127A,127B,127C)が設けられた取り付け用アーム(125)を含む、キャプチャデバイス(122)であって、前記折り畳みライン(110A,110B,110C)のうちの1つは、前記取り付けロッド(127A,127B,127C)と一列になって突出する、キャプチャデバイス(122)と、を含み、
前記収納ライン(10)は前記キャプチャデバイス(122)に接続された一端を有することを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システム。
【請求項16】
前記キャプチャデバイス(122)は前記シャトル(114)用のハウジング(136)を含み、前記シャトル(114)は、前記シャトル(114)が前記誘導ライン(9)に沿って摺動する摺動構成と、前記シャトル(114)が前記ハウジング(136)に配置される収納構成との間で移動できることを特徴とする、請求項2または3に従属するときの請求項15に記載の牽引システム。
【請求項17】
前記キャプチャデバイス(122)は、取り付け位置に向かう前記取り付け用アーム(125)の旋回を制御するレバー(128)を含み、前記シャトル(114)が前記収納構成に戻るとき、前記レバー(128)は、前記シャトル(114)によって作動するように適応することを特徴とする、請求項16に記載の牽引システム。
【請求項18】
前記収納トロリー(14)は、前記キャプチャデバイス(122)用のネスティングインターフェース(135)を含むことを特徴とする、請求項6に従属するときの請求項15~17のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項19】
前記収納トロリー(14)は、前記ネスティングインターフェース(135)に対して前記キャプチャデバイス(122)を固定化するための手段を含むことを特徴とする、請求項18に記載の牽引システム。
【請求項20】
前記シャトル(114)が前記収納構成にあるとき、前記シャトル(114)は、前記ネスティングインターフェース(135)の凹形状に収容されるように適応する凸形状を有することを特徴とする、請求項16に従属するときの請求項18に記載の牽引システム。
【請求項21】
キャプティブ翼牽引システムの制御方法であって、前記方法は、前記第2のウインチ(12)が前記第1のウインチ(11)と共同して制御される前記牽引翼(5)を展開する段階及び折り畳む段階を含み、前記展開する段階及び前記折り畳む段階により、前記収納ライン(10)の前記端が前記誘導ライン(9)に沿って摺動する一方、前記軌道制御飛行要素(7)は前記ベースプラットフォーム(3)から離れる、または前記ベースプラットフォーム(3)に向かうことを特徴とする、請求項5に記載の、または請求項5に従属するときの請求項6~20のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システムの制御方法。
【請求項22】
前記牽引翼(5)を前記折り畳む段階は、
-前記収納ライン(10)を前記誘導ライン(9)上にロックするステップと、
-前記収納ライン(10)の牽引は、前記誘導ライン(9)の牽引及び前記牽引翼(5)の前記前縁(16)の牽引を駆動する収納ステップと、を含むことを特徴とする、請求項7に記載の、または請求項7に従属するときの請求項8~20のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システムを制御する、請求項21に記載の制御方法。
【請求項23】
前記折り畳む段階は、
-前記分離可能クランプ要素(25)を分離するステップであって、したがって、前記誘導ライン(9)は解放される、分離するステップと、
-前記収納ライン(10)に対する牽引が前記誘導ライン(9)及び前記追加ライン部(24)に対する牽引を駆動するステップと、を含むことを特徴とする、請求項10に記載の、または請求項10に従属するときの請求項11~20のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システムを制御するための、請求項21または22のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項24】
前記展開段階及び前記折り畳み段階は、前記収納マスト(4)に沿って前記牽引翼(5)をつり上げるまたは引き下ろすステップを含み、前記ステップ中、前記収納トロリー(14)は前記収納マスト(4)に沿って摺動し、前記収納ライン(10)は、前記収納マスト(4)に対して係留された前記牽引翼(5)の前記前縁(16)を保持するために張力がかかった状態で維持されることを特徴とする、請求項6に記載の、または請求項6に従属するときの請求項7~20のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システムを制御するための請求項21~23のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項25】
前記制御方法は、前記スライダー(15)が前記軌道制御飛行デバイス(7)の前記レセプタクルに配置される飛行段階を含み、前記収納ライン(10)の長さは、前記収納ライン(10)の緩みを維持するように制御されることを特徴とする、請求項4に記載の、または請求項4に従属するときの請求項5~20のいずれか1項に記載のキャプティブ翼牽引システムの請求項21~24のいずれか1項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースプラットフォームに対して牽引翼を展開して折り畳むように適応するキャプティブ翼牽引システムの分野に関し、その牽引翼は、風の影響により、牽引力を生成するように適応する。
【0002】
したがって、そのようなキャプティブ翼牽引システムは、発電のために、またはそのような牽引力からメリットをもたらすいずれかの用途のために、車両の推進、具体的には、船の推進に(主推進力として、または補助として)役立つ浮動式牽引翼の展開を可能にする。
【背景技術】
【0003】
米国特許第7866271号明細書では、飛行翼タイプデバイス用の展開システムが説明されている。当該システムは、マストの縦軸を中心に旋回するように適応するマストのヘッドにアダプタが設けられた伸縮自在マストを含む。命綱はマストに沿って送られ、アダプタから突出し、牽引ケーブルのずれた高さに飛行翼を保持する牽引ケーブルに摺動可能に取り付けられ、牽引ケーブルの端は翼の前縁に接続される。
【0004】
飛行翼はインフレータブル前縁を含み、命綱は、具体的には、そのインフレータブル前縁がマストヘッドアダプタに設けられた膨張手段に接触して上に運ぶことを可能にし、マストヘッドアダプタは、翼の前縁のプロファイルを補完する形状を有する。
【0005】
飛行翼を折り畳むために、牽引ケーブルは、翼をマストの高さに運ぶように、ウインチによって巻かれる。それまで、命綱は飛行段階中ウインチの近くに格納されているが、次に、回収点のトロリーによって引っ張られる。ガイドが回収点のトロリーから翼の前縁まで牽引ケーブルに沿って摺動し、マストに対して翼を引っ張る。次に、翼は巻き上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7866271号明細書
【特許文献2】国際公開第2019/239044号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、先行技術を改善する目的で、キャプティブ翼牽引システムを有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、風の影響のために牽引力を生成するように適応し、収納マストが設けられるベースプラットフォームに対して展開され及び折り畳まれるように適応する牽引翼を含むキャプティブ翼牽引システムに関し、牽引翼は前縁及び後縁を有し、このキャプティブ翼牽引システムは、さらに、
-固定サスペンションライン及び移動式サスペンションラインによって牽引翼に取り付けられた軌道制御飛行デバイスであって、軌道制御飛行デバイスは、移動式サスペンションラインを制御するように適応する、軌道制御飛行デバイスと、
-軌道制御飛行デバイスをベースプラットフォームに接続する牽引ラインと、を含む。
【0009】
このキャプティブ翼牽引システムは、さらに、
-牽引翼の前縁を軌道制御飛行デバイスに接続する誘導ラインと、
-収納ラインであって、収納ラインの一端は、ベースプラットフォームに接続され、摺動方式で誘導ラインに接続される、収納ラインと、
-偏向要素であって、収納マストに取り付けられ、偏向要素を通って、収納ラインは、収納ラインの第1の端と、誘導ラインへの接続部との間に送られる、偏向要素と、を含む。
【0010】
対象のライン、サスペンションライン、牽引ライン、誘導ライン、または収納ラインは、柔軟接続を可能にするいずれかの手段、例えば、ロープ、繊維製品、及び/または金属ケーブル等から成り得る。
【0011】
そのようなキャプティブ翼牽引システムは、インフレータブルの前縁がない牽引翼を含むいずれかのタイプの牽引翼の展開及び折り畳みを可能にし、単純であり、より優れた性能をもたらす。したがって、本システムは、全体として、展開及び折り畳み手順の修正に関連して簡略化される。
【0012】
そのようなキャプティブ翼牽引システムは、収納手段(具体的には、誘導ライン及び収納ラインによって形成された手段)からメリットをもたらし、収納手段により、牽引翼の前縁を偏向要素によって収納マストに対して保持することを可能にする。これらの収納手段は、ラインの操作が不要で、急速で、使用するのが簡単である。実際に、本システムは、牽引翼の展開動作または折り畳み動作の全てを行い、そして、ラインが取り込まれ、取り付け及び牽引手段に設置される動作に必要な翼の収納が不要である。先行技術で必要なそれらの動作は時間がかかり、自動化するのが難しい。それらの動作が自動化される場合、それらの動作は、タイミングが悪い故障を被る(具体的には、過酷な気象条件下での船の推進等の困難な環境で被る)。本発明は、キャプティブラインだけを含む収納手段により、最も困難である条件下でさえも、予見できないイベントの変化がない、全体的に自動的な展開手順及び折り畳み手順を保証する。
【0013】
偏向要素からの牽引による収納マストに対する翼の前縁の直接的な保定は、牽引翼の形状を支持する複雑なインターフェースが必要なく、これにより、収納マストの設計をより単純にし、重量をより軽く、そして低コストにすることを可能にする。
【0014】
翼の前縁も、収納マストとの複雑なインターフェースが必要なく、収納手段は、牽引翼の飛行を妨げることなく、牽引翼とベースプラットフォームとの間で常時接続を維持することを可能にする。
【0015】
サスペンションラインと同様の方式で、誘導ラインは、軌道制御飛行デバイスと牽引翼の前縁との間に送られる。誘導ラインは、一方では軌道制御飛行デバイスに取り付けられ、他方では牽引翼に前縁に取り付けられ、これは、場合により中間部を経由して行われる。誘導ラインは、好ましくは、飛行中にサスペンションラインの機能を妨げないように、翼の前縁と軌道制御飛行デバイスとの間にいずれかの牽引を発生するのに不十分な長さを有する。しかしながら、誘導ラインが過度に翼の飛行を妨げない。この理由として、誘導ラインの質量及び誘導ラインによって発生する引き込みは、サスペンションラインの質量及び引き込みと同等であり、例えばねじりから生じる混乱は予想されないためである。
【0016】
一方で、収納ラインは、以下の少なくとも2つの安定位置で占有するように、誘導ラインに沿って摺動するように適応する。
-ロックできる収納位置。その収納位置では、収納ラインの端は、高い位置にあり、翼の前縁の付近にあり、これにより、収納ラインに対する牽引により、翼の前縁に対する牽引を駆動する、
-収納ラインの端が軌道制御飛行デバイスに対して配置され、そのデバイス上に静止する、飛行位置。
【0017】
収納位置は収納マストに対して翼の前縁の動的ロッキングを可能にする一方、飛行位置は、飛行中に収納ラインを使用できる状態に維持することを可能にし、収納ラインは、その最大長が数百メートルあるのにもかかわらず、関連の引き込み及び質量により、牽引翼の前縁にかかるいずれかの力を生成しなくなる。
【0018】
軌道制御飛行デバイスは、牽引ラインの力及びサスペンションラインの牽引力の両方を支持するようにサイズ決定された機構である。飛行中、仮想的に、収納ラインの飛行質量の全ては軌道制御デバイスによって支持され、牽引翼の形状に影響を与えなく、また、翼を制御するための軌道制御飛行デバイスの適性も、牽引ラインの運動にも影響を与えない。
【0019】
収納ライン及び誘導ラインの共同作業は、一方で牽引ラインの長さを制御するタスク、他方では収納ラインの長さを制御するタスクを、一定程度まで、互いに独立して提供することを可能にする。したがって、収納ラインは、翼の前縁をロックするために制御でき、または、それとは逆に、収納マスト上に異なる高さで収納マストに対して翼の前縁を解放し、これは、牽引ラインが既定高さにある、または既定高さにないかに関係なく、そして、収納ラインに作用する牽引ラインの長さに作用する必要はない。したがって、牽引翼をつり上げるまたは引き下ろす動作は、牽引ラインを牽引マストにいずれかの高さで係留し、牽引マストに沿って牽引翼の運動中のその係留を動的に維持する可能性に対するメリットをもたらすように実行できる。
【0020】
本発明に従ったキャプティブ翼牽引システムは、別々にまたは組み合わせて、以下の追加特徴を有し得る。
-収納ラインはスライダーによって誘導ラインに摺動可能に接続される、
-スライダーは収納ラインに固定され、誘導ラインに枢動可能かつ摺動自在に接続される、
-スライダーは、誘導ラインに沿って摺動するシャトルを含み、シャトルは収納ラインが通過する誘導手段を含む、
-誘導ラインは二重ラインから成り、シャトルは二重ラインに摺動可能に搭載される、
-軌道制御飛行デバイスは、スライダーを受けるように適応するレセプタクルを含む、
-レセプタクルは収納ラインイモビライザーを含む、
-牽引ラインは牽引ラインの長さを調整するように適応する第1のウインチを用いてベースプラットフォームに取り付けられ、収納ラインは、収納ラインの長さを調整するように適応する第2のウインチを用いてベースプラットフォームに取り付けられる、
-偏向要素は、収納マストに沿って摺動する収納トロリーに搭載される、
-本システムは、収納マストに沿って収納トロリーの運動を駆動するための手段を含む、
-本システムは、誘導ライン上で収納ラインの端を保持するための手段を含み、その保持手段は、収納ラインの端が誘導ラインに沿って自由に摺動する自由位置と、収納ラインの端が誘導ラインによって形成されたループに配置される保持位置と、を占有するように適応する、
-該保持手段は、保持位置で、収納ラインを保持するために、誘導ライン上に、ループを形成するように適応するブロック部材を含む、
-ブロック部材は貫通路を含み、貫通路では、保持手段が自由位置にあるとき、収納ラインが延在し、貫通路では、保持手段がロック位置にあるとき、2つに折り畳まれた誘導ラインが延在する、
-誘導ラインは、牽引翼の前縁に取り付けられた分離可能クランプ要素によって牽引翼の前縁に接続され、分離可能クランプ要素は、誘導ラインを締め付けることによって、誘導ラインを保持するように適応する、
-分離可能クランプ要素は、誘導ラインが延在するスリーブを含み、誘導ラインは、牽引翼の前縁を越えて延在する追加ライン部によって延在する、
-追加ライン部は牽引翼の後縁に接続される、
-ブロック部材は分離可能クランプ要素を受けるように適応するハウジングを含む、
-該ハウジングは分離可能クランプ要素を保持するためのラッチを含む、
-本システムは、それぞれが、牽引翼の前縁に固定された端を有し、前縁に沿って相互に分離する複数の折り畳みラインと、収納マストに沿って摺動するように適応する追加トロリーと、牽引翼の前縁に取り付けられ、取り付け用ロッドが設けられた取り付け用アームを含む、キャプチャデバイスであって、折り畳みラインのうちの1つは、取り付けロッドと一列になって突出する、キャプチャデバイスと、を含み、収納ラインはキャプチャデバイスに接続された一端を有する、
-キャプチャデバイスはシャトル用のハウジングを含み、シャトルは、シャトルが誘導ラインに沿って摺動する摺動構成と、シャトルがハウジングに配置される収納構成との間で移動でき、
-キャプチャデバイスは、取り付け位置に向かう取り付け用アームの旋回を制御するレバーを含み、シャトルが収納構成に戻るとき、そのレバーはシャトルによって作動するように適応する、
-本システムは、収納マストに沿って摺動するように適応する収納トロリーを含み、その収納トロリーはキャプチャデバイス用のネスティングインターフェースを含む、
-収納トロリーは、ネスティングインターフェースに対してキャプチャデバイスを固定化するための手段を含む、
-シャトルが収納構成にあるとき、シャトルは、ネスティングインターフェースの凹形状に収容されるように適応する凸形状を有する、
-シャトルは楕円形状を有する。
【0021】
本発明の別の目的に従って、上記に説明したように、キャプティブ翼牽引システムを制御する方法に関する。本方法は、別々にまたは組み合わせて、以下の特徴を有し得る。
-本方法は、第2のウインチが第1のウインチと共同して制御される牽引翼を展開する段階及び牽引翼を折り畳む段階を含み、展開する段階及び折り畳む段階により、収納ラインの端が誘導ラインに沿って摺動する一方、軌道制御飛行要素はベースプラットフォームからさらに離れる、またはベースプラットフォームに近づく、
-牽引翼を折り畳む段階は、収納ラインを誘導ライン上にロックするステップと、収納ラインに対する牽引が誘導ラインに対する牽引及び牽引翼に対する前縁の牽引を駆動する収納ステップと、を含む、
-折り畳み段階は、分離可能クランプ要素を分離するステップであって、したがって、誘導ラインは解放される、分離するステップと、収納ラインに対する牽引が誘導ライン及び追加ライン部に対する牽引を駆動するステップと、を含む、
-展開段階及び折り畳み段階は、収納マストに沿って牽引翼をつり上げるまたは引き下ろすステップを含み、そのステップ中、収納トロリーは収納マストに沿って摺動し、収納ラインは、収納マストに対して係留された牽引翼の前縁を保持するために張力がかかった状態のままになる、
-本方法は、スライダーが軌道制御飛行デバイスのレセプタクルに配置される飛行段階を含み、収納ラインの長さは、収納ラインの緩みを維持するように制御される。
【0022】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図を参照して、以下の非限定的な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】飛行段階の本発明による、キャプティブ翼牽引システムの斜視図である。
図2図1のキャプティブ翼牽引システムの概略側面図である。
図3】キャプティブ翼牽引システムの牽引翼が折り畳まれるプロセスの実行中である、図1と同様の図である。
図4図3の位置でのキャプティブ翼牽引システムの概略側面図である。
図5】キャプティブ翼牽引システムを折り畳む際の後続ステップを示す。
図6】キャプティブ翼牽引システムを折り畳む際の後続ステップを示す。
図7】キャプティブ翼牽引システムを折り畳む際の後続ステップを示す。
図8図7の位置での牽引翼の斜視図である。
図9図1図8のキャプティブ翼牽引デバイスの飛行ライン及び誘導ラインの概略詳細図である。
図10図9に表される要素の機能を示す。
図11】キャプティブ翼牽引システムの第2の実施形態に関する、図9と同様の図である。
図12】第2の実施形態による、キャプティブ翼牽引システムの概略側面図である。
図13図11に表される要素の機能を示す。
図14図11に表される要素の機能を示す。
図15図11に表される要素の機能を示す。
図16】収納マストに沿った折り畳み中の本発明に従った牽引デバイスの牽引翼を示す。
図17】キャプティブ翼牽引システムの牽引翼を引き下ろすステップを示す。
図18図17のステップに続く引き下ろしステップを示す。
図19】牽引翼の前縁に接続されるキャプチャデバイスを示す大縮尺の牽引翼の図である。
図20】キャプチャデバイスの斜視図である。
図21】キャプチャデバイスの斜視図である。
図22】キャプチャデバイスの側面図である。
図23】キャプチャデバイスの部分的な斜視図である。
図24図23の断面図である。
図25図24と同様であり、キャプチャデバイスの変形である。
図26】飛行段階中のスライダーを受けるように適応するレセプタクルの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、この例では、航海用貨物船である船2に搭載されたキャプティブ翼牽引システム1を示す(船の前方だけが図1に表されている)。
【0025】
本発明の例では、キャプティブ翼牽引システム1は船2の船首に搭載され、燃料の節約を可能にする船の補完的推進手段として作動する。これに関連して、キャプティブ翼牽引システム1は、牽引される船のトン数に従ってサイズ決定され、自動的に展開して折り畳むように設計されている。
【0026】
代替として、例えば、発電等のために、いずれかの他の車両を推進させるための船の主要推進手段として、自動的に展開して折り畳むことができるこの種類のキャプティブ翼牽引システムを必要とするいずれかの他の用途に、このキャプティブ翼牽引システム1を使用できる。
【0027】
キャプティブ翼牽引システム1は、ここでは船2のデッキに固定されるベースプラットフォーム3を含み、ベースプラットフォーム3は、システムの自動的な展開動作及び折り畳み動作のために設計された収納マスト4に搭載される。
【0028】
キャプティブ翼牽引システム1は、さらに、風の影響により、牽引力を生成するように適応する牽引翼5を含む。本発明の例では、牽引翼5は、パラグライダー型帆である。代わりに、カイト、ハンググライダー、カイト型帆等、風の影響により、牽引力を生成するように適応するいずれかの他の飛行機器を利用し得る。牽引翼5は、標準的方式で、入射風に露出することを意図する前縁16と、後縁と呼ばれる対向端17とを含む。
【0029】
牽引翼5は、牽引翼5の飛行を制御するために、サスペンションライン6に作用するように適応する軌道制御飛行デバイス7に、サスペンションライン6のセットによって接続される。
【0030】
キャプティブ翼牽引システム1は、さらに、軌道制御飛行デバイス7をベースプラットフォーム3に接続する牽引ライン8を含む。翼5によって生成された牽引力は、船2の推進のために、牽引ライン8によって船2に伝達され、牽引ラインは適切にサイズ決定される。航海用貨物船の牽引に関連して、牽引ラインは、例えば、数センチメートルと同じ程度であり得る直径の繊維ケーブルであり得る。
【0031】
軌道制御飛行デバイス7は、牽引翼を指向し及び位置付けるために、牽引翼5の飛行を制御することを可能にし、場合により、牽引翼5に、飛行経路をたどることも可能にし、船にかかる牽引力を増加させることを可能にする。ここでは、牽引翼5の軌道は、飛行翼の分野における標準的方式で、特定の移動式サスペンションラインの長さを制御することによって制御される。サスペンションラインのセット6は、実際に、固定サスペンションライン(すなわち、牽引翼5の取り付け部と、軌道制御飛行デバイス7の取り付け部との間に固定長を有するライン)と、長さが変化する可能性がある移動式サスペンションラインとを含む。したがって、軌道制御飛行デバイス7は、特定の移動式サスペンションラインを引っ張る及び/または他の移動式サスペンションラインを解放するように適応し、これにより、牽引翼5の空気力学的プロファイルは、その揚力、その軌道等を制御する目的で修正される。その軌道を制御するための牽引翼のプロファイルの修正は標準的方式で実行されるため、ここでは、より詳細に説明しない。
【0032】
キャプティブ翼牽引システム1は、さらに、牽引翼5の前縁16を軌道制御飛行デバイス7に接続する誘導ライン9と、収納ライン10であって、収納ライン10の一端はベースプラットフォーム3に接続され、収納ライン10の他端は誘導ライン9に接続される、収納ライン10とを含む。これらの2つのライン9,10は、牽引翼5の展開段階及び折り畳み段階の期間中に利用される。
【0033】
誘導ライン9は、軌道制御飛行デバイス7に固定される下端と、牽引翼5の前縁16に固定される上端とを有する。誘導ライン9と牽引翼5の前縁16との間の固定は、牽引翼5の前縁16に誘導ライン9を縫う等のいずれかの適切な手段によって影響を受け得る。代替として、他の固定手段、具体的には適応性のある固定手段は、誘導ライン9を翼5の前縁16に固定するために設けられ得る(後述の第2の実施形態のように設けられる)。
【0034】
図2は、図1のように、牽引を船に加える段階のキャプティブ翼牽引システム1の側面図である。図2は、より概略的に、キャプティブ翼牽引システム1の様々な構成要素を示す。
【0035】
牽引ライン8は、モーター、例えば電気モーターまたは油圧モーターによって制御されたウインチ11によってベースプラットフォーム3に接続され、モーターは、牽引翼5が上昇することを可能にするように、牽引ライン8をほどくように適応する、または、それとは逆に、牽引翼5をベースプラットフォーム3に向かって移動させるために、その牽引ライン8を巻き取るように適応する。
【0036】
収納ライン10は、また、牽引ライン8のウインチ11から独立して、ウインチ12によって、ベースプラットフォーム3に接続される。しかしながら、ウインチ12,11は調整方式で制御される。さらに、この収納ライン10は、収納マスト4に搭載された偏向要素13によって送られる。本発明の例では、偏向要素13は、例えば、収納トロリー14または低摩擦リングに搭載されたプーリーである。収納トロリー14は、係留されたマスト4に沿って垂直に摺動し、運動を駆動するための手段を含む。
【0037】
収納ライン10の端は、スライダー15によって、誘導ライン9に接続され、本発明の例では、スライダー15は、収納ライン10の端に固定され、旋回及び摺動方式で、誘導ライン9に接続された摩擦防止リングから成る。
【0038】
図1及び図2は牽引構成のキャプティブ翼牽引システム1を示し、牽引翼5が展開し飛行中であり、本システムは船の推進に関与している。この構成では、スライダー15自体の重量及び収納ライン10の重量の影響により、スライダー15は軌道制御飛行デバイス7に静止する。この目的を達成するために、収納ライン10のウインチは、スライダー15を軌道制御飛行デバイス7に設置することを可能にするように、収納ライン10に十分な緩みを残すような方式で制御される。
【0039】
誘導ライン9の長さにより、牽引翼5の飛行を妨げないように、誘導ライン9が飛行中に牽引翼5の前縁16に牽引がかかることを防止するために、牽引翼5の全ての飛行構成でいくらかの緩みが等しくなり得る。代替として、誘導ライン9は、サスペンション機能を等しく有し得、ひいては、牽引ラインによって生じた湾曲の力を吸収することに関与し、同時に、収納ライン10の重量及び収納ライン10の引き込みによって生じた力は牽引翼5の前縁16に伝達されないことを保証する。
【0040】
軌道制御飛行デバイス7は、その上面(すなわち、牽引翼5に向いているその面)に、飛行段階中、スライダー15を受けて保持するように適応するレセプタクルを有する。レセプタクルはデバイス7のベースから成り得、ベースの形状は、スライダー15を適所に保持するように適応し、例えば平面静止面であり、スライダー15が収容され得る印、または、ここではスライダー15を構成するリングが囲むことになるデバイス7から突出する指型である。スライダー15用のこのレセプタクルは、随意に、飛行段階中、スライダー15をレセプタクルにロックするための手段を含み得る。
【0041】
ウインチ11が牽引ライン8を解放するように制御されることにより、牽引翼5がベースプラットフォーム3から離れるとき、結果として、ウインチ12も収納ライン10を解放するように制御されることにより、この収納ライン10は、その緩んだ性質を保持し、牽引翼5の飛行を妨げない。したがって、飛行構成では、誘導ライン9も収納ライン10も、牽引翼5の形状または軌道に作用しない。
【0042】
しかしながら、誘導ライン9及び収納ライン10は牽引翼5の展開段階及び折り畳み段階に関わる。図3図8は、牽引翼5を折り畳むことを可能にする連続的ステップを示す。
【0043】
図3は、システムが牽引翼5の折り畳みを開始する第1のアプローチ段階である、図1と同様の図である。このアプローチ段階中、ウインチ11が牽引ライン8を巻き取ることにより、牽引翼5はベースプラットフォーム3に近づく。ウインチ12は、同時に、収納ライン10を巻き取るように作動する。次に、牽引翼5は、軌道制御飛行デバイス7が収納トロリー14の近くの高度(図3及び図4に示される位置)に到達する。
【0044】
図5に表されるように、この位置から、ウインチ11,12の動きは、偏向要素13よりも低い高度まで軌道制御飛行デバイス7の下降を継続及び駆動する。次に、スライダー15は、自由摺動が旋回摺動接続によって可能になることにより、誘導ライン9に沿って上昇する。次に、牽引翼5及びベースプラットフォーム3が一緒に近づくにつれて、収納ライン10の端は誘導ライン9に沿って上昇し、図6の位置まで達する。その位置では、軌道制御飛行デバイス7が当接部に到達し、例えばベースプラットフォーム3に締結された支持要素に到達している状態である。図5の概略図は、単に、ベースプラットフォーム3(それ自体、単純なベースによって示される)に対して配置された軌道制御飛行デバイス7を示す。これは、実際に、ベースプラットフォームには、軌道制御飛行デバイス7が図5の位置まで移動するとき、軌道制御飛行デバイス7を支持及び保持するために、いずれかの適切なレセプタクルが設けられ得るという理解の下に行われる。
【0045】
収納マスト4の高さ及び偏向要素13の配置は、図6の位置で、スライダー15が誘導ライン9の上端に到達しており、牽引翼5の前縁16の高さで当接部に接触するように選ばれる。
【0046】
図6の位置から始まる収納動作は、収納ライン10を引っ張るために、ウインチ12を単独で作動させることを含み、これにより、図7に示される収納トロリー14に接触する収納位置まで、牽引翼5の前縁16の運動をより近くに駆動させる。
【0047】
したがって、牽引翼5は、収納マスト4に係留される前縁16によって保持される。上記に説明した全ての動作中、収納マスト4及び/または収納トロリー14が収納マスト4の縦軸を中心に旋回することにより、牽引翼5は、風に対面しているマストに係留される。
【0048】
図7の位置から、牽引翼5が風に対面して係留され、次に、折り畳み動作及び収納動作が起こり得る。
【0049】
図8は、牽引翼5を巻き上げ動作または折り畳む動作の全てにわたって維持される、この収納位置を斜視図で示す詳細図である。図8は、さらに、例として与えられた製品の細部の変形を示す。ここでは、収納マスト4は、偏向要素13を運ぶ収納トロリー14に摺動可能に搭載されるレール18を含む。また、他のトロリー19もこのレール18に設けられ、具体的には、牽引翼5に沿って接続された折り畳みライン(図示されない)を用いて牽引翼5を把持することによって、牽引翼5の効率的な折り畳みを可能にするトロリーが設けられる。国際公開第2019239044号に説明されるように、これらの追加トロリー19は、例えば、収納マスト4に沿って翼を2つに折り畳むことを可能にするトロリーである。追加トロリー19と関わる全ての折り畳み動作は実行される一方、牽引翼5の前縁16は、収納ライン10及び誘導ライン9によって、収納マスト4に対して保持される。
【0050】
キャプティブ翼牽引システム1は、好ましくは、誘導ライン9で収納ライン10の端を保持するための手段を含む。これらの保持手段は、収納ライン10の端が誘導ライン9に沿って自由に摺動する自由位置と、収納ライン10の端が誘導ライン9によって形成されたループに配置される保持位置と、を占有するように適応する。ここでは、これらの保持手段は、スライダー15が誘導ライン9の上端に当接する状態になるとき、すなわち図6に示される位置にあるとき、収納ライン10を誘導ライン9に保持するように適応する。次に、図6の位置から図7の位置まで運動を可能にする収納動作を実行でき、収納ライン10が誘導ライン9で摺動するリスクが生じない。
【0051】
図9及び図10は、誘導ライン9の収納ライン10の端を保持するために、これらの手段の一実施形態を示す。図9は、スライダー15が設けられ、牽引翼5と同じ側に位置する誘導ライン9の端と協調する収納ライン10の端を示す概略斜視図である。この例では、誘導ライン9は、バー21上のリング20によって固定される。一方で、バー21は、牽引翼5の前縁16に締結される(例えば、前縁16に縫われたハウジングに挿入される)。収納ライン14は、スライダー15が通過することを可能にするように適応する直径を有する通路23が貫通するロッキング部材22を含む。
【0052】
収納段階中、収納ライン10に加えられた牽引は、最終的に、貫通路23を通ってスライダー15の運動を駆動させる。スライダー15は、収納ライン10と一緒に、貫通路23を通過することも生じる誘導ライン9を2つに折り畳んで取り込む。したがって、ロッキング部材は、スライダー15ひいては収納ライン10を保持するように、ループ36を形成することを可能にする。
【0053】
図10は、収納動作中の保持手段のアクティベーション後、図9の要素の概略断面図である。したがって、スライダー15は通路23を通過し、収納ライン10は、ロッキング部材22を通って、2つに折り畳まれた状態で通路23の中を通過しており、保定ループ36を形成する。ここでは、誘導ライン9の緩みは、図10の構成になるまで、2つに折り畳まれた誘導ライン9のこの通過を可能にするようにサイズ決定され、この構成では、収納ライン10に対する牽引が継続することで、バー21に対して牽引を直接駆動し、したがって、収納ライン10は誘導ライン9にロックされる。
【0054】
牽引翼5が折り畳まれ巻かれると、牽引翼5は次の使用まで保管され得る。
【0055】
次に、牽引翼5は、上記に説明した動作と比較して、逆順で実行された動作によって展開し、牽引翼5は風に対面する状態が維持される。
【0056】
牽引翼5の展開中、牽引翼5を広げて牽引翼5が飛行する準備をするために、牽引翼5は、収納マスト4に対して前縁16によって保持される。次に、牽引翼5は、図7及び図8に対応する位置にあり、収納ライン10を誘導ライン9に保持するための手段がアクティブになる。
【0057】
これらの動作が完了すると、牽引翼5は、図7の位置から図6の位置に牽引翼5を向かわせる動作によって解放され、その動作は、収納ライン10を解放するウインチ12によってもたらされる。
【0058】
図9及び図10に対応する保持手段が設けられる状況では、収納ライン10を放出すると、スライダー15の運動によってロックを解除し、スライダー15は誘導ライン9の方向にロッキング部材22を再度通過する。次に、前縁16は収納トロリー14から離れる。
【0059】
次に、図6の位置から、牽引翼5は、ウインチ11,12を作動させることによって飛行し、牽引ライン8及び収納ライン10を解放する。次に、牽引翼は、図5に対応する位置を通り抜け、スライダー15は、牽引翼5が上昇するとき、収納ライン10に沿って降下する。
【0060】
次に、牽引翼5が図1及び図2の飛行位置に到達し、スライダー15は軌道制御飛行デバイス7のレセプタクルで所定の位置にある状態になる。
【0061】
図11図15は第2の実施形態を示す。第2の実施形態では、キャプティブ翼牽引システム1は、誘導ライン9を牽引翼5の前縁16に固定するための代替手段を含み、同様に、収納ライン10を誘導ライン9に保定するための補完手段も含む。第1の実施形態及び第2の実施形態の同様の要素は、図に関して同じ参照符号が記載される。
【0062】
この第2の実施形態に従って、誘導ライン9は、牽引翼5のジオメトリに対するアクションを可能にする追加ライン部24を制御する追加機能を有する。本発明の例では、追加ライン部24により、誘導ライン9が牽引翼5の前縁16を越えて延在し、牽引翼5の内部空間に入る、または牽引翼5の下もしくは上を通過する。
【0063】
例えば、この追加ライン部24は、牽引翼5の揚力の減少を可能にするリーフィングライン、牽引翼5の巻き上げを可能にする巻き付けライン、または後縁17を一緒により近づけさせるためのラインであり得、展開段階または折り畳み段階の期間中、複数の後縁を一緒に近づけさせることによって、後縁17を閉じることを可能にする。
【0064】
図11は、前縁16、誘導ライン9、収納ライン10、及び追加ライン部24の間のインターフェースに関する、この第2の実施形態に一致する構造を概略的に示す。誘導ライン9は、ここではジョー26を含む分離可能クランプ要素25を用いて牽引翼5の前縁16に固定される。分離可能クランプ要素25は、前縁16の壁を通って、例えば、前縁16を牽引翼5に縫うことによって、前縁16に固定される。分離可能クランプ要素25は、ここではスリーブ37が完全に貫通するボアによって形成されたスリーブ37を含み、誘導ライン9はボアを通過する。
【0065】
ジョー26が誘導ライン9上の弾性手段によって締め付けられることにより、誘導ライン9は第1の実施形態と同じ方式で前縁16に係合する。誘導ライン9の静止は第1の実施形態と同じ方式で機能し、上記に説明したように、スライダー15は、この誘導ライン9に沿って摺動する。
【0066】
図12は、この第2の実施形態におけるキャプティブ翼牽引システム1の概略側面図である。この図は、前縁16に固定され、誘導ライン9を固定化する分離可能クランプ要素25を示す。追加ライン部24により、牽引翼5の内部に向かって、誘導ライン9が前縁16を越えて延在する。本発明の例では、追加ライン部24は牽引翼5の後縁17を閉じることを可能にするラインである。したがって、この追加ライン部24は複数のラインに分割され、ラインの端は、様々な点27で後縁17に固定され、これにより、追加ライン部24に対する牽引が、後縁17の様々な一部を一緒に近づけさせることによって、後縁17を閉じることがもたらせる。
【0067】
図12の例では、収納トロリー14、同様に、偏向要素13を運ぶものは、分離可能クランプ要素25に結合されるように適応する。収納トロリー14はロッキング部材22を含み、ロッキング部材22の機能は、第1の実施形態(収納ライン10を誘導ライン9でロッキングする)と同じであり、ここでは、ロッキング部材22は、加えて、分離可能クランプ要素25のロッキングを可能にする。
【0068】
図13は、この第2の実施形態では、収納トロリー14に搭載されるロッキング部材の断面を概略的に示す。
【0069】
図6に対応する位置に近づくと、収納段階中の収納ライン10に対する牽引は、ロッキング部材22を通る2つに折り畳まれた誘導ライン9の通過を促進させ、ロッキング部材22での分離可能クランプ要素25の結合も促進する。分離可能締め付け部材25は、ロッキング部材22の適切なハウジング38の所定の位置にある。この例では、先細端28は、ハウジング38の中への分離可能クランプ要素25の侵入を容易にする。このハウジング38のラッチ29は溝30に係合し、分離可能クランプ要素25を適切な位置にロックする。ラッチ29は、いずれかの適切な手段、例えば、機械的または電磁気的な手段によって制御され得る。
【0070】
図13は一般的な動作を示す概略図である。実際に、ロッキング部材22及びクランプ要素25は、結合されるように適応するいずれかの形状であり得、溝等の2つに折り畳まれた誘導ライン9用の通路を提供する。
【0071】
この図13の位置は、第1の実施形態のように同じ収納動作をするために維持される。収納ライン10に対する牽引が前縁16に対する牽引を駆動することによって、翼は、前縁16によって収納マスト4に対して保持できる。
【0072】
図13の位置から始まり、この第2の実施形態は、さらに、図14及び図15に示される追加機能を可能にする。
【0073】
これらの図14及び図15では、収納トロリー14は、ロッキング部材22を形成する部分と、偏向要素13を運ぶ別の部分とを含む。この例では、ジョー26は、ここではジョー26の開放を可能にするレバー31によって示される作動手段を含む。レバー31は、収納マスト4で摺動もする別のトロリー32のアプローチによって作動する。代替として、ジョー26は、リモート制御された電気機械的手段等のいずれかの適切な手段によって開放され得る。
【0074】
図13の収納位置から始まり、したがって、分離可能クランプ要素25を分離するステップは、レバー31を作動させることによってジョー26を開放することを含む。したがって、分離可能クランプ要素25は、誘導ライン9(図15の位置)を解放する。次に、収納ライン10に対する牽引は、誘導ライン9に対する牽引を駆動するウインチ12を作動させることによって継続できる。ジョー26が開放することを考えると、誘導ライン9の牽引は、追加ライン部24に対する牽引を駆動し、結果として、偏向要素13の方向に引っ張られる。
【0075】
図14及び図15は、偏向要素13の方向に、スライダー15の運動により、追加ライン部24に対する牽引を考慮したものである。これらの概略図は、スライダー15の小さな運動の振幅を示す。これは、実際に、デバイスは、具体的には、偏向要素13の位置の選択、スライダー15が偏向要素13を越えて通過する能力、またはいずれかの他の配置によって、追加ライン部24に必要な牽引の長さに一致する振幅に適切に適応することを考えたものである。
【0076】
ウインチ12による収納ライン10に対する牽引、ひいては、追加ライン部24に対する牽引は、追加ライン部24がその機能を満足するのに必要な限り継続する。
【0077】
これに関連して、図15は収納位置にある牽引翼5を示す。牽引翼5は、前縁16によって収納マスト4に対して保持され、異なるサスペンションライン6または異なる専用折り畳みラインを保持する様々な追加トロリー19により、収納マスト4の一方の側で折り畳まれる。この構成では、牽引翼5の折り畳み中または展開中に適用され、追加ライン部24に対する牽引により、追加ライン部24が、牽引翼5の後縁17を一緒に近づかせる機能(矢印34によって示される)を満足することを可能にする。代わりに、追加ライン部24は、いずれかの他の機能、例えば、牽引翼5の巻き上げ機能(矢印33によって示される)を有し得る。
【0078】
図16から始まり、牽引翼5の展開中、収納ライン10は最初にウインチ12によって解放されると同時に、ジョー26は、追加ライン部24を解放するように開放され、牽引翼5は飛行形状をとり、その後、牽引翼5は追加トロリー19を用いて広がると同時に、牽引翼5は、収納ライン10に維持された張力により収納マスト4に対して保持されたままである。ジョー26は閉じ、追加ライン部24はそのタスクを完了したことになる。
【0079】
次に、第1の実施形態について説明されるように、収納ライン10は、牽引翼5が飛行するように解放できる。
【0080】
さらに、全ての実施形態では、キャプティブ翼牽引システム1は、引き下ろし動作(牽引翼5の折り畳みを終了する)、またはつり上げ動作(牽引翼5の展開を開始する)の簡略化からメリットを得る。これらの動作は図17及び図18に示される(サスペンションラインは、これらの図を簡略化するために表されていない)。
【0081】
図17は、図16の位置からの牽引翼の引き下ろしを示す。牽引翼5の全体は収納マスト4に対して降下して、適切なハウジング35に格納されることになる。この動作は、牽引翼5をその格納位置に維持しながら、収納トロリー14を収納マスト4に沿って下向きに摺動させることによって実行される。ここでは、これは、収納ラインの張力を維持するように、ひいては、収納トロリー14に対して前縁16を保持するように、ウインチ12を巻くことによって行われる。収納トロリー14自体が電動式であり、収納マスト4に沿ってその降下を制御でき、次に、ウインチ12はその降下に伴って動く。代替として、降下は、全体的に、ウインチ12を巻くことによって制御され得る。
【0082】
牽引翼5の引き下ろしは、図18の位置で終了する(その位置では、ハウジング35は透明に見える)。牽引翼5は全体的にハウジング35に配置されているが、ウインチ12はその位置まで収納ライン10にかかる張力を維持する。
【0083】
逆動作をするために、図18の位置からの牽引翼5の展開中、収納トロリー14は、最初に、収納マスト4に沿ってつり上げられると同時に、ウインチ12は、収納ライン10にかかる牽引力を維持しながら、収納トロリー14の上向運動を伴って収納ライン10をほどく。その結果、前縁16の収納は、牽引翼5をつり上げる動作の全ての期間中に収納トロリー14により一定に維持される。
【0084】
図19図25は、牽引翼がキャプチャデバイス122を含む実施形態に関する。本実施形態では、誘導ライン9は二重ラインであり、牽引翼5は複数の折り畳みライン110A,110B,110Cを含み、それらの折り畳みラインは、全て、少なくともそれらの端の1つで前縁16に締結される。
【0085】
牽引翼5はさらに巻き上げライン113を含み、巻き上げライン113の端は翼5の後縁17に接続される。この巻き上げライン113はキャプチャデバイス122の高さで取り込まれ得、この巻き上げライン113に対する牽引は、翼5を収納することを目的として、翼5の圧縮を促進する。
【0086】
牽引システム1は折り畳みトロリー(図8の追加トロリー19等)を含む。これらのトロリーは収納マスト4に摺動可能に固定され、トロリーは、それぞれ、収納マスト4に沿った各トロリーの位置を制御できるような駆動システムを含む。これらのトロリーは、展開段階及び折り畳み段階の期間中、曲げライン110A,110B,110C及び巻き上げライン113を取り込んで誘導するように適応する。
【0087】
折り畳みライン110A,110B,110Cは、図19に示されるように、対になって配置されている。
【0088】
図19は、前方から見える牽引翼5を示し、前縁16の中央ゾーン115を示す詳細図である。
【0089】
ここでは、本システムは、パイロン123によって中央ゾーン115の高さで牽引翼5の前縁16に接続されるキャプチャデバイス122を含む(具体的には、図22の側面図に見られる)。パイロン123は、航空機のパイロンと類似し、すなわち、航空専門用語を使用して、ジェットエンジンパイロンと言われる。パイロン123は、好ましくは、炭素繊維複合材料等の軽量で強力な材料のリブである。パイロン123は、キャプチャデバイス122と、牽引翼5の前縁16の上に縫われた補強材とに固定される。
【0090】
代替として、キャプチャデバイス122は、前縁16に対する牽引を駆動するためにキャプチャデバイス122に対する牽引を可能にする繊維リンクまたはいずれかの他の要素等、いずれかの他の柔軟性手段または剛性手段によって前縁16に接続され得る。
【0091】
キャプチャデバイス122は、本体124と、軸126を中心に本体124で旋回するようにそれぞれ搭載された2つの取り付け用アーム125とを含む。取り付け用アーム125のそれぞれは、第1の取り付け用ロッド127A、より大きい長さの第2の取り付け用ロッド127Bと、さらにより大きい長さの第3の取り付け用ロッド127Cとを含む(取り付け用ロッド127A,127B,127Cは、図19の断面に見られる)。この配置では、並置された取り付け用ロッドが増加または減少する長さを有し、その配置は、ここでは「階段」と呼ばれる。
【0092】
本発明の例では、取り付け用ロッド127A,127B,127Cは、この目的のために、取り付け用アーム125に設けられたボアに圧入された管から成る。
【0093】
取り付け用アームは、飛行位置(図19の位置)と、取り付け位置(図23の位置)との間で本体124に対して移動でき、取り付け位置では、取り付け用ロッド127A,127B,127Cは、(牽引翼5がその正常収納位置にあるとき)実質的に垂直に配置されている。
【0094】
取り付け用アーム125のそれぞれは、さらに、レバー128を含み、すなわち、軸126を越えて延在し、取り付け用アーム125を折り畳むために、取り付け用アーム125に対するアクションを可能にする部分を含む。
【0095】
中央ゾーン115を接合するこの折り畳みライン110A,110B,110D,110Cは、取り付け用ロッドと一列になって突出するように、取り付け用ロッド127A,127B,127Cに接続される。言い換えれば、取り付け用ロッドの端は折り畳みラインによって延在する。
【0096】
取り付け用ロッドが管である本発明の例では、折り畳みラインは、有利に、管に挿入され、取り付け用アーム125の固定ゾーン129まで管を完全に貫通する。
【0097】
取り付け用アーム125と本体124との間の旋回接続により、牽引翼5の飛行中、自然に取り付け用アーム125が図19に示される離れた位置をとることを可能にし、したがって、取り付け用アーム125は、前縁16でさらに遠くに接続されたその他端の方向に延在する折り畳みライン110A,110B,110Cによって決定された開口部に従って動く。キャプチャデバイス122は、さらに、図19の飛行位置に向かって取り付け用アーム125を付勢させる弾性要素(ばね等)を含み得る。
【0098】
取り付け用アーム125のこの飛行位置の機能は、取り付け用アーム125及び取り付け用ロッド127A,127B,127Cが誘導ライン9及び収納ライン10等の他のラインと絡むリスクを制限することによって、ラインの自動取り付けをより安全にする。
【0099】
本実施形態では、スライダー15はシャトル114(また、図19の断面で示される)を含む。シャトル114は、ここでは2つの横側平坦部133を伴う楕円形状の2つの摺動オリフィス132を含む。シャトル114の楕円形状は、キャプチャデバイス122の角度方向(水平軸を中心とする)及び誘導が可能になる。
【0100】
ここでは、誘導ライン9は、本体124と軌道制御飛行デバイス7との間にピンと張ったラインのペアから成る。本発明の例では、誘導ライン9の対は、本体124の当接部134の周りでループを形成する。
【0101】
したがって、誘導ライン9は、キャプチャデバイス122を用いて、中央ゾーン115に取り付けられる。
【0102】
収納ライン10はシャトル114を通過し、本体124に接続される。シャトル114は、収納ライン10が通過する誘導手段を含み、収納ライン10が自由に摺動することを可能にする。本発明の例では、この誘導手段はプーリー63(図24参照)であり、代替として、プーリーまたは低摩擦要素等のいずれかのタイプの誘導手段であり得る。したがって、収納ライン10は収納トロリー14から延在し、シャトル114を通って摺動し、本体124の方向に誘導する。
【0103】
図20及び図21は、2つの異なる視野角の斜視図でキャプチャデバイス122を示す。図20では、見ることができるキャプチャデバイス122の面は牽引翼5に向いている面である(パイロン123は表されていない)。
【0104】
図21では、キャプチャデバイス122の可視面は、収納トロリー14に向いている面である。
【0105】
キャプチャデバイス122は、収納トロリー14に固定されるネスティングインターフェース135に対面して表される(収納トロリー14の他のものは表されていない)。
【0106】
図20及び図21の位置は、牽引翼5の折り畳み中、牽引翼5を収納する動作中の中間位置を示す。この位置では、牽引ライン8は、牽引翼5の前縁16を収納トロリー14に対面させ、収納ライン10はウインチ12によって巻かれ、次に、収納ライン10に牽引がかかる。
【0107】
この動作により、シャトル114に、誘導ライン9を上昇させる。ここでは、誘導ライン9を2つに折り畳むことにより、垂直軸を中心に旋回することなく、シャトル114の摺動を可能にする。したがって、旋回摺動接続の代わりに、摺動接続が提供される。
【0108】
キャプチャデバイス122は、本体124の高さに、シャトル114を受けることを意図するハウジング136を含む。ハウジング136は、シャトル114の2つの平坦部133と協調するその横側壁によって、また、シャトル114の別の平坦部138と協調する底壁137自体によって区切られる。
【0109】
図22は、側面に見られる図20及び図21の部分を示す。ネスティングインターフェース135は、所定位置でキャプチャデバイス122の収納を可能にする要素を含む。本発明の例では、これらの要素は、本体124で段140を補完する段139を含む。また、シャトル114はこれらの位置決め要素の部分である。この理由として、シャトル114は、ネスティングインターフェース135の印141で係合するように適応するためである。さらに、段140は、力を吸収することに関して大きな利点がある。この理由として、段139及び段140の協働は、折り畳み動作中、キャプチャデバイス122にかかる垂直力の全てを吸収することを可能にするためであり、その力は15kNを超える可能性がある。
【0110】
印141は、シャッター114を受け及び位置付けることを可能にする内壁を含む。シャトル114の楕円形状及び印141の形状の補完物は、収納中、ネスティングインターフェース135に対するキャプチャデバイス122の所定の位置決めを保証する。
【0111】
また、図22は巻き上げライン113の配置を示す。キャプチャデバイス122は、本体124の上部を通って垂直に突出する巻き上げロッド142を含む。巻き上げライン113は、巻き上げロッド124と一列になって突出する。本発明の例では、巻き上げロッド142は本体124に適合する管の形態をとり、巻き上げラインはこの管を通過し、巻き上げラインの端は本体124に固定される。
【0112】
巻き上げロッド142の取り付け部と、後縁17の方向におけるその経路との間で、巻き上げライン113はループ155を形成し、管142に締結されるリング143に入る。リング143は例えば低摩擦リングである、または管もしくはプーリーの形態をとり得る。したがって、ループ55に対する牽引は、巻き上げライン113に対する牽引、ひいては牽引翼5の巻き上げを駆動する。
【0113】
さらに、図23に示されるように、牽引翼5の収納段階中の収納ライン10に対する牽引により、シャトル114を上昇させ、ハウジング136の中へのシャトル114の侵入が終了する。次に、シャトル114は、ハウジング136の内面に対して、平面が平坦部133、138の平面上の支持を可能にする寸法適合によりハウジング136に固定化される。
【0114】
したがって、シャトル114は、シャトル114が誘導ライン9に沿って摺動する摺動構成と、シャトル114がハウジング136に配置される収納構成との間で移動できる。
【0115】
また、ハウジング136の中へのシャトル114の侵入はレバー128をアクティブにし、これにより、取り付け用アーム125の閉じる動きを促進し、すなわち、垂直位置へのその運動を駆動し、シャトル114の存在により、その位置で保定する。
【0116】
キャプチャデバイス122及びシャトル114が図23の位置にあるとき、収納ライン10に対する牽引が継続することにより、これらの2つの要素が結合されるまで、ネスティングインターフェース135のより近くに、キャプチャデバイス122の運動を駆動させる。
【0117】
キャプチャデバイス122及びネスティングインターフェース135の結合は、段139,140でのネスティングによって及び印141でのシャトル114のネスティングによって必要な既定位置で効果がある。シャトル114の楕円形状は、収納ライン10をねじる場合でさえも、すなわち、収納ライン10を中心にキャプチャデバイス122が回転する場合でさえも、収納中、キャプチャデバイス122を、この既定位置に戻すことを可能にする。結果として、シャトル114が収納構成にあるとき、シャトル114の凸形状は、ネスティングインターフェース135の凹形状に収容されるように適応し、シャトル114は、必要な場合、シャトル114の楕円形状により、また収納ライン10による牽引のために、キャプチャデバイス122及びシャトル114によって形成されたアセンブリの回転を駆動する。
【0118】
図24は、キャプチャデバイス122がネスティングインターフェース135に結合された後の、キャプチャデバイス122の断面図(シャトル114の断面図)である。この位置では、牽引翼5の前縁16は、キャプチャデバイス122を用いて、収納トロリー14に係留される。収納ライン10にかかる牽引力を維持することは、キャプチャデバイス122(ネスティングインターフェースに当接する)の運動を駆動しないが、収納を維持する。
【0119】
本システムは、さらに、それらがキャプチャデバイス122から離れる後退位置と、その上、それらがネスティングインターフェース135に対してキャプチャデバイス122を固定化する固定化位置との間で移動できる固定化手段(図示されない)を含む。
【0120】
牽引翼5を折り畳むプロセス中、キャプチャデバイス122がネスティングインターフェース135に結合されるとすぐに、固定化手段はアクティブになり、その固定化位置に向かい、キャプチャデバイス122をネスティングインターフェース135に固定する。このステップから始まり、収納ライン10に対する牽引は収納を維持する必要がなくなる。
【0121】
ここでは、収納ライン10の配置を対象とする変形は、図25を参照して説明される。この変形によると、収納ライン10は本体124に永久的に取り付けられていなく、そして、追加機能を提供することを可能にする。
【0122】
この変形に関して、図25は上記に説明した図24に対応する。収納ライン10は、本体124の底壁137でオリフィス156を通過し、牽引翼5の方向に追加部162によって延在する。収納ライン10がオリフィス156から出るとき、収納ライン10は、ここでは、弾性要素によって閉じたままのジョー157を含むクランプ手段によって固定される。
【0123】
したがって、キャプチャデバイス122はクランプ手段を含む。クランプ手段は、収納ライン10がキャプチャデバイス122に固定されたままである締め付け位置を占有し、収納ライン10がキャプチャデバイス10に対して自由に摺動する放出位置を占有するように適応する。
【0124】
収納ライン10がジョー157を越えて延在することで、収納ライン10のこの追加部162が、牽引翼5の追加機能を提供することを可能にする。その機能は、例えば、牽引翼5の空気力学的プロファイルに対するアクション、または牽引翼5の後縁を閉じるアクションに関し得る。
【0125】
この追加機能は、ジョー157の開放を命令し、収納ライン10に牽引がかかることによって行われ、これにより、牽引ライン10のこの追加部162に対する牽引を駆動し、ひいては、例えば、後縁17の形状を変更させる牽引によって、この追加機能を実行する。
【0126】
キャプチャデバイス122が固定化された後、ジョー157は開放されることが命令され、その結果、収納ライン10に対する牽引は、収納を維持することの有用性が何もなくなる。
【0127】
図26は、飛行段階中のスライダー15を受けるように適応するレセプタクルの例を示す。このレセプタクル101は、軌道制御飛行デバイス7の上面100に固定される。ここでは、レセプタクル101は、スライダー15の形状に一致する円筒形ハウジングによって形成され、本発明の例では、スライダー15は、2つに折り畳まれた誘導ライン9を伴い、前述の実施形態のシャトルと同様のシャトル114を含む。牽引翼5の展開中、スライダー15がデバイス7の方向に誘導ライン9に沿って摺動における進行位置のその端に到達するとき、スライダー15はレセプタクル101の所定の位置にある。
【0128】
さらに、ロッキング手段は、レセプタクル101で収納ライン10及びスライダー15を固定化するために設けられる。本発明の例では、これらの手段はパッシブであり、2つのジョーを一緒に近づかせる弾性手段を含むラインイモビライザー102から成る。収納ライン10が、わずかな下向きの牽引(下向きの牽引でさえも、例えば、収納ライン10自体の重量による牽引)を受けるとき、収納ライン10はイモビライザー102に固定化されることになる。逆に、牽引翼が折り畳み段階であるとき、収納ライン10は、(収納マスト4のより近くで牽引翼5の運動中)上向きの牽引を受け、これにより、収納ライン10をイモビライザー102から抽出させる。
【0129】
代替として、これらのロッキング手段はアクティブであり、例えば、そのレセプタクルでスライダー5を直接固定化すること、または収納ラインを固定化することが可能である制御アクチュエーターから成り得る。
【0130】
レセプタクル101により、収納ライン10は、軌道制御飛行デバイス7で、全体的に、かつ固定方式で静止する。したがって、収納ライン10の重量及び収納ライン10に対する引き込みは、飛行段階中、牽引翼5の前縁16を妨げない。
【0131】
キャプティブ翼牽引システム1の変形実施形態を使用し得る。具体的には、複数の実施形態及び変形は組み合わされ得る。
図1
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図3
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【国際調査報告】