(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】折り畳みラインを把持するためのデバイスを備える繋留翼牽引システム
(51)【国際特許分類】
B63H 9/10 20060101AFI20240228BHJP
B63H 9/069 20200101ALI20240228BHJP
【FI】
B63H9/10
B63H9/069
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553991
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2022056883
(87)【国際公開番号】W WO2022194963
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520485893
【氏名又は名称】エアシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ファンタン,ニコラス
(57)【要約】
繋留翼牽引システムは、牽引翼と、ベースプラットフォームと、係留マストと、複数の折り畳みラインと、係留マストに沿って摺動するように適応する折り畳みキャリッジと、牽引翼の前縁に取り付けられ、フッキングステム(27A,27B,27C)が設けられたフッキングアーム(25)を有する入力デバイス(22)であって、折り畳みラインのうちの1つがフッキングステム(27A,27B,27C)の延長線に突出する、入力デバイス(22)と、を含み、折り畳みキャリッジは、後退位置と、把持フックがフッキングステム(27A,27B,27C)を囲む把持位置との間で移動可能である把持フックを含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繋留翼牽引システムであって、
-風の影響下で牽引力を生成するように設計された牽引翼(5)であって、前縁(16)及び後縁(17)を有する、牽引翼(5)と、
-前記牽引翼(5)が牽引ライン(8)を介して接続されるベースプラットフォーム(3)であって、前記牽引翼(5)は前記ベースプラットフォーム(3)に対して展開され折り畳まれるように設計されている、ベースプラットフォーム(3)と、
-前記ベースプラットフォーム(3)に配置された前記牽引翼(5)用の係留マスト(4)と、
-それぞれ、前記牽引翼(5)の前記前縁(16)に固定された端を有する複数の折り畳みライン(10A,10B,10C)であって、前記端は前記前縁(16)に沿って相互に離間する、複数の折り畳みライン(10A,10B,10C)と、を有し、
前記繋留翼牽引システムは、
-前記係留マスト(4)に沿って摺動するように設計された折り畳みキャリッジ(12C,12D,12E)と、
-前記牽引翼(5)の前記前縁(16)に取り付けられ、締結ロッド(27A,27B,27C)が設けられた締結アーム(25)を有するキャプチャリングデバイス(22)であって、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)のうちの1つは、前記締結ロッド(27A,27B,27C)から連続して突出する、キャプチャリングデバイス(22)と、を有し、
前記折り畳みキャリッジ(12C,12D,12E)は、後退位置とキャプチャリング位置との間で移動可能であるキャプチャリングフック(46A,46B,46C)を有し、前記キャプチャリング位置では、前記キャプチャリングフック(46A,46B,46C)は前記締結ロッド(27A,27B,27C)を囲むことを特徴とする、繋留翼牽引システム。
【請求項2】
前記牽引システムは、前記キャプチャリングデバイス(22)を前記ベースプラットフォーム(3)に接続する係留ライン(20)を有することを特徴とする、請求項1に記載の牽引システム。
【請求項3】
-前記キャプチャリングデバイス(22)は前記前縁(16)の中央ゾーン(15)に取り付けられ、
-前記折り畳みライン(10A,10B,10C)は、それぞれ、前記中央ゾーン(15)と前記前縁(16)の横側部(19)との間に延在し、
-前記締結ロッド(27A,27B,27C)から突出する前記折り畳みライン(10A,10B,10C)は、反対端によって、前記横側部(19)の1つに接続されることを特徴とする、請求項1乃至2のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項4】
前記キャプチャリングデバイス(22)は、飛行位置と締結位置との間で旋回することが可能であるように、前記締結アーム(25)が搭載される本体(24)を有し、前記締結位置では、前記締結ロッド(27A,27B,27C)は実質的に垂直に配置されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項5】
前記締結ロッド(27A,27B,27C)は前記折り畳みライン(10A,10B,10C)が通過する管を有し、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)は、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)の端によって、前記締結アーム(25)に接続されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項6】
前記牽引システムは、
-前記キャプチャリングデバイス(22)を前記飛行軌道制御デバイス(7)に接続する、誘導ライン(9)と、
-前記誘導ライン(9)に沿って摺動できるシャトル(14)であって、前記シャトル(14)は、前記係留ライン(20)が通過する誘導手段(63)を有する、シャトル(14)と、
を有することを特徴とする、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項7】
前記キャプチャリングデバイス(22)は前記シャトル(14)用の受容部(36)を有し、前記シャトル(14)は、前記シャトル(14)が前記誘導ライン(9)に沿って摺動する摺動構成と、前記シャトル(14)が前記受容部(36)に配置される係留構成との間で移動可能であり、前記係留構成では、前記シャトル(14)は前記受容部に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の牽引システム。
【請求項8】
前記キャプチャリングデバイス(22)は、前記締結位置に向かう前記締結アーム(25)の旋回を制御するためのレバー(28)を有し、前記シャトル(14)が前記係留構成に達するとき、前記レバー(28)は前記シャトル(14)によって作動するように設計されることを特徴とする、請求項4に従属するとき請求項7に記載の牽引システム。
【請求項9】
前記牽引システムは前記係留マスト(4)に沿って摺動するように設計された係留キャリッジ(12B)を有し、前記係留キャリッジ(12B)は、前記キャプチャリングデバイス(22)用の連動インターフェース(35)を有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項10】
前記係留キャリッジ(12B)は、前記連動インターフェース(35)に対して前記キャプチャリングデバイス(22)を固定化するための手段を有することを特徴とする、請求項9に記載の牽引システム。
【請求項11】
前記固定化手段は、後退位置と固定化位置との間で移動可能である固定化フック(48,49)を有し、前記固定化位置では、前記固定化フック(48,49)は前記連動インターフェース(35)に対して前記締結アーム(25)をロックすることを特徴とする、請求項10に記載の牽引システム。
【請求項12】
前記シャトル(14)が前記係留構成にあるとき、前記シャトル(14)は前記連動インターフェース(35)の凹形状が受けるのに適切な凸形状を有することを特徴とする、請求項7に従属するとき請求項10または11のいずれかに記載の牽引システム。
【請求項13】
前記シャトル(14)は楕円形状を有することを特徴とする、請求項12に記載の牽引システム。
【請求項14】
-前記折り畳みライン(10A,10B,10C)はペアになって配置され、前記折り畳みラインのペアは、前記キャプチャリングデバイス(22)を、前記キャプチャリングデバイス(22)の一方の側で対称的になる前記前縁(16)の点に接続し、
-前記キャプチャリングデバイスは、折り畳みライン(10A,10B,10C)のペアが存在する数と同数の締結ロッド(27A,27B,27C)がそれぞれ設けられた2つの締結アーム(25)を有することを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項15】
前記締結ロッド(27A,27B,27C)は段階的に配置されていることを特徴とする、請求項14に記載の牽引システム。
【請求項16】
前記牽引システムは折り畳みライン(10A,10B,10C)のペアと同数の折り畳みキャリッジ(12C,12D,12E)を有し、折り畳みキャリッジ(10A,10B,10C)のそれぞれは、後退位置とキャプチャリング位置との間で移動可能であるキャプチャリングフック(46A,46B,46C)のペアを有し、キャプチャリング位置では、前記キャプチャリングフック(46A,46B,46C)のペアは前記2つの締結アーム(25)の前記締結ロッド(27A,27B,27C)を囲むことを特徴とする、請求項14または15のいずれかに記載の牽引システム。
【請求項17】
-前記牽引翼(5)は、前記牽引翼(5)を巻き上げるように設計された巻き上げライン(13)を有し、
-前記キャプチャリングデバイス(22)は巻き上げロッド(42)を有し、前記巻き上げライン(13)は前記巻き上げロッド(42)から連続して突出し、
-前記牽引システムは、前記係留マスト(4)に沿って摺動するように設計された巻き上げキャリッジ(12A)を有し、前記巻き上げキャリッジ(12A)は、後退位置とキャプチャリング位置との間で移動可能である巻き上げフック(47)を有し、前記キャプチャリング位置では、前記巻き上げフック(47)は前記巻き上げロッド(42)を囲むことを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項18】
前記キャプチャリングデバイス(22)はクランプ手段(57)を有し、前記クランプ手段(57)は、前記係留ライン(20)が前記キャプチャリングデバイス(22)の適所に固定されたままであるクランプ位置を占めるように設計され、前記係留ライン(20)が前記キャプチャリングデバイス(20)に対して自由に摺動する解放位置を占めるように設計されることを特徴とする、請求項2乃至17のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項19】
前記係留ライン(20)は、前記牽引翼(5)に取り付けられた追加部(62)によって、前記キャプチャリングデバイス(22)を越えて連続し、前記クランプ手段(57)が前記解放位置にあるとき、前記係留ライン(20)は、前記牽引翼(5)の形態に対する追加作用を及ぼすように設計されることを特徴とする、請求項18に記載の牽引システム。
【請求項20】
前記キャプチャリングフック(46A,46B,46C)は、前記係留マスト(4)に沿って摺動するように設計された別のキャリッジによって作動する機構によって制御されることを特徴とする、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか1項に記載の牽引システムの牽引翼を展開する、または折り畳むためのプロセスであって、前記プロセスは、前記締結ロッド(27A,27B,27C)が前記キャプチャリングフック(46A,46B,46C)に対面する位置で、前記キャプチャリングデバイス(22)を前記折り畳みキャリッジ(12C,12D,12E)に対して固定化するステップを含むことを特徴とするプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースプラットフォームに対して牽引翼を展開して折り畳むように設計されている繋留翼牽引システムの分野に関し、牽引翼は、風の影響下で牽引力を生成するように設計されている。
【0002】
そのような牽引システムは、発電のために、またはそのような牽引力からメリットをもたらすいずれかの用途のために、車両の推進、特に、船の推進に(主推進力として、または補助として)使用される浮動式牽引翼を展開することを可能にする。
【背景技術】
【0003】
仏国特許出願公開第3082184号明細書では、牽引翼を展開する及び折り畳むための繋留翼牽引システム及び方法が説明されている。牽引翼は、その前縁の固定された折り畳みラインを有し、当該システムは、このマストに沿って少なくとも2つの異なる高さで、前縁をマストに接触させるために、少なくとも3つの折り畳みラインを引っ張るための手段を有する。
【0004】
この牽引システムでは、より効率的で信頼性が高い展開及び折り畳み方法からメリットがもたらせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3082184号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、先行技術の繋留翼牽引システムを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的を達成するために、本発明は繋留翼牽引システムに関し、繋留翼牽引システムは、
-風の影響下で牽引力を生成するように設計された牽引翼であって、前縁及び後縁を有する、牽引翼と、
-牽引翼が牽引ラインを介して接続されるベースプラットフォームであって、牽引翼はベースプラットフォームに対して展開され折り畳まれるように設計されている、ベースプラットフォームと、
-ベースプラットフォームに配置された牽引翼用の係留マストと、
-それぞれが、牽引翼の前縁に固定された端を有する複数の折り畳みラインであって、端は前縁に沿って相互に離間する、複数の折り畳みラインと、を有する。
【0008】
この繋留翼牽引システムは、また、
-係留マストに沿って摺動するように設計された折り畳みキャリッジと、
-牽引翼の前縁に取り付けられ、締結ロッドが設けられた締結アームを有するキャプチャリングデバイスであって、折り畳みラインのうちの1つは、締結ロッドから連続して突出する、キャプチャリングデバイスと、を有し、折り畳みキャリッジは、後退位置とキャプチャリング位置との間で移動可能であるキャプチャリングフックを有し、キャプチャリング位置では、キャプチャリングフックは締結ロッドを囲む。
【0009】
別の目的に従って、本発明は、そのような牽引システムの牽引翼を展開するまたは折り畳むためのプロセスに関し、本プロセスは、締結ロッドがキャプチャリングフックに対面する位置で、キャプチャリングデバイスを折り畳みキャリッジに対して固定化するステップを含む。
【0010】
本文全体を通して、「1つ/1個のキャリッジ(one/a carriage)」、「1つ/1個の締結アーム(one/a fastening arm)」、「1つ/1個のロッド(one/a rod)」、及び「1つ/1個のフック(one/a hook)」という語句における「1つの(one)」または「1個の(a)」という用語は、「少なくとも1つ(at least one)」を意味するものと理解されたい。
【0011】
そのような繋留翼牽引システムは、例えば、天候、車両または船の運動等に関する外部状況に関係なく、高レベルの安全性により、折り畳みラインの自動取り込みからメリットをもたらす。
【0012】
したがって、そのような牽引システムを全体的に自動化できる。次に、牽引システムを展開するまたは折り畳むために、オペレーターの介入が必要ない。具体的には、折り畳みラインの取り込みは、そのようなシステムの自動化における重要点である。この理由として、これらのラインは定義上柔軟性があり動的であるため、それらのラインの締結は難しく、先行技術では、概して、例えばスナップ式フックタイプの取り付けによる、折り畳みラインの取り込みを確実にするために人間の介入が必要になること、または、同様に、ラインを自動的に取り込むために、ラインを伸張することが必要になる複雑で顕著な固定化デバイスも必要になること、が挙げられる。
【0013】
本発明は、特に、(展開段階または折り畳み段階の期間中)係留マストへの牽引翼の前縁の係留を利用して、折り畳みラインの位置に関係なく、また応力下で設置することなく、折り畳みラインの取り込み及び誘導を安全に実施することを可能にする。
【0014】
本発明は、折り畳みラインがキャプチャリングデバイスによって取り込まれた後、1つ以上の折り畳みキャリッジを簡単に摺動させることによって、折り畳みラインを係留マストに沿って垂直に配置することにより、牽引翼を折り畳むことを可能にする。
【0015】
折り畳みラインを取り込むための手段は、複数の折り畳みラインを同時に取り込む一方、さらに、これらの折り畳みライン(または折り畳みラインのペア)の個々の管理を確実にすることを可能にし、そして、単一の取り込み動作後、マストに沿ってそれらの折り畳みラインを連続的に運ぶことも可能にする。
【0016】
本発明に従った牽引システムは、単独で、または組み合わせて、以下の追加特徴を有し得る。
-本システムは、キャプチャリングデバイスをベースプラットフォームに接続する係留ラインを有する、
-キャプチャリングデバイスは前縁の中央ゾーンに取り付けられ、折り畳みラインは、それぞれ、中央ゾーンと前縁の横側部との間に延在し、締結ロッドから突出する折り畳みラインは、反対端によって、横側部の1つに接続される、
-キャプチャリングデバイスは、飛行位置と締結位置との間で旋回することが可能であるように、締結アームが搭載される本体を有し、締結位置では、締結ロッドは実質的に垂直に配置される、
-締結ロッドは折り畳みラインが通過する管を有し、折り畳みラインは、その端によって、締結アームに接続される、
-本システムは、キャプチャリングデバイスを飛行軌道制御デバイスに接続する、誘導ラインと、誘導ラインに沿って摺動できるシャトルであって、このシャトルは、係留ラインが通過する誘導手段を有する、シャトルと、を有する、
-キャプチャリングデバイスはシャトル用の受容部を有し、シャトルは、シャトルが誘導ラインに沿って摺動する摺動構成と、シャトルが受容部に配置される係留構成との間で移動可能である、
-キャプチャリングデバイスは、締結位置に向かう締結アームの旋回を制御するためのレバーを有し、シャトルが係留構成に達するとき、このレバーはシャトルによって作動するように設計されている、
-本システムは係留マストに沿って摺動するように設計された係留キャリッジを有し、この係留キャリッジは、キャプチャリングデバイス用の連動インターフェースを有する、
-係留キャリッジは、連動インターフェースに対してキャプチャリングデバイスを固定化するための手段を有する、
-固定化手段は、後退位置と固定化位置との間で移動可能である固定化フックを有し、固定化位置では、固定化フックは連動インターフェースに対して締結アームをロックする、
-シャトルが係留構成にあるとき、シャトルは、連動インターフェースの凹形状で受けるように設計された凸形状を有する、
-シャトルは楕円形状を有する、
-折り畳みラインはペアになって配置され、折り畳みラインのペアは、キャプチャリングデバイスを、キャプチャリングデバイスの一方の側で対称的になる前縁の点に接続し、キャプチャリングデバイスは、折り畳みラインのペアが存在する数と同数の締結ロッドがそれぞれ設けられた2つの締結アームを有する、
-締結ロッドは段階的に配置されている、
-本システムは折り畳みラインのペアと同数の折り畳みキャリッジを有し、折り畳みキャリッジのそれぞれは、後退位置とキャプチャリング位置との間で移動できるキャプチャリングフックのペアを有し、キャプチャリング位置では、キャプチャリングフックのペアは2つの締結アームの締結ロッドを囲む、
-牽引翼は、牽引翼を巻き上げるように設計された巻き上げラインを有し、キャプチャリングデバイスは巻き上げロッドを有し、巻き上げラインは巻き上げロッドから連続して突出し、牽引システムは、係留マストに沿って摺動するように設計された巻き上げキャリッジを有し、巻き上げキャリッジは、後退位置とキャプチャリング位置との間で移動可能である巻き上げフックを有し、キャプチャリング位置では、巻き上げフックは巻き上げロッドを囲む、
-キャプチャリングデバイスはクランプ手段を有し、クランプ手段は、係留ラインがキャプチャリングデバイスで適所に固定されたままであるクランプ位置を占めるように設計され、また、係留ラインがキャプチャリングデバイスに対して自由に摺動する解放位置を占めるように設計されている、
-係留ラインは、牽引翼に取り付けられた追加部によって、キャプチャリングデバイスを越えて連続し、クランプ手段が解放位置にあるとき、係留ラインは、牽引翼の形態に対する追加作用を及ぼすように設計されている、
-キャプチャリングフックは、係留マストに沿って摺動するように設計された別のキャリッジによって作動する機構によって制御される。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図を参照して、以下の非限定的な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による、牽引システムの斜視図である。
【
図4】牽引翼の折り畳み段階中、牽引システムの側面図を示す。
【
図5】折り畳まれているときの牽引翼の部分斜視図である。
【
図6】牽引翼の別の折り畳み段階中、牽引システムの側面図を示す。
【
図7】係留するマストに沿って折り畳まれた牽引翼を示す。
【
図8】牽引翼の前縁に接続されるキャプチャリングデバイスを示す牽引翼の拡大図である。
【
図10】キャプチャリングデバイスの斜視図である。
【
図11】キャプチャリングデバイスの斜視図である。
【
図12】キャプチャリングデバイスの側面図である。
【
図13】キャプチャリングデバイスの部分斜視図である。
【
図14】折り畳みキャリッジの連動インターフェースの変形を示す。
【
図16】牽引翼の折り畳みステップ中、牽引システムのキャプチャリングデバイス及びキャリッジを示す。
【
図17】牽引翼の別の折り畳みステップ中、牽引システムのキャプチャリングデバイス及びキャリッジを示す。
【
図19】牽引翼の別の折り畳みステップ中、牽引システムのキャプチャリングデバイス及びキャリッジを示す。
【
図20】キャプチャリングデバイスの第2の実施形態に関して、
図15と同様である。
【
図21】キャプチャリングデバイスの第2の実施形態に関して、
図18と同様である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
様々な実施形態で同様かつ共通である複数の要素は同じ参照符号が記載される。
【0020】
図1は、この例では、海上運送貨物船である船2に搭載された繋留翼牽引システム1を示す(
図1では、船の前方だけが示されている)。
【0021】
本発明の例では、繋留翼牽引システム1は船2の船首に搭載され、燃料を節約することを可能にする船の補完的推進手段として作動する。これに関連して、翼牽引システム1は、輸送される船のトン数に応じて寸法決定され、自動的に展開して折り畳むことが意図されている。
【0022】
変形では、この牽引システム1は、例えば、発電等のために、いずれかの他の車両を推進させるための船の主要推進手段として、そのような自動的に折り畳み可能及び展開可能な牽引システムが望まれるいずれかの他の用途で使用され得る。
【0023】
翼牽引システム1は、この場合、船2のデッキの適所に固定されるベースプラットフォーム3を含み、ベースプラットフォーム3は、システムの自動的な折り畳み動作及び展開動作のために設けられた係留マスト4に搭載される。
【0024】
牽引システム1は、また、風の影響下で、牽引力を生成するように設計されている牽引翼5を有する。本発明の例では、牽引翼5はパラグライダー型帆である。代替として、カイト、滑空機器、カイト型の帆等、風の影響下で牽引力を生成するように設計されたいずれかの他の飛行機器を利用し得る。牽引翼5は、従来、周囲風に露出することを意図する前縁16と、後縁17と呼ばれる対向端とを含む。
【0025】
牽引翼5は、牽引翼5の飛行を操縦するために、サスペンションライン6に作用するように設計された飛行軌道制御デバイス7に、サスペンションライ6のアセンブリによって接続される。
【0026】
牽引システム1は、また、飛行軌道制御デバイス7をベースプラットフォーム3に接続する牽引ライン8も含む。翼5によって生成された牽引力は、船2を推進するために、牽引ライン8によって船2に伝達され、牽引ラインは適切に寸法決定される。海上運送貨物船の牽引に関連する範囲内で、牽引ラインは、例えば、直径が数センチメートルに達し得る繊維ケーブルであり得る。
【0027】
飛行軌道制御デバイス7は、牽引翼を指向し及び位置付けるために、牽引翼5の飛行を操縦することを可能にし、場合により、牽引翼5に、船にかかる牽引力を増加させることを可能にする飛行経路をたどることも可能する。この場合、牽引翼5の軌道の制御は、飛行翼の分野における従来的な方法で、特定の移動式サスペンションラインの長さを制御することによって達成される。サスペンションラインのセット6は、特に、固定サスペンションライン(すなわち、牽引翼5の取り付け具と、飛行軌道制御デバイス7の取り付け具との間に固定長を有するライン)と、長さが変化する可能性がある移動式サスペンションラインとを有する。結果として、飛行軌道制御デバイス7は、特定の移動式サスペンションラインを引っ張る及び/または他の移動式サスペンションラインを緩めるように設計され、これにより、牽引翼5の空気力学的プロファイルは、その揚力、その軌道等を制御する目的で修正される。その軌道を制御するための牽引翼のプロファイルの修正は従来式で行われるため、ここでは、より詳細に説明しない。
【0028】
牽引翼5は、また、誘導ライン9及び複数の折り畳みライン10A,10B,10Cも有し、それらの折り畳みラインは、全て、それらの端のうちの少なくとも1つで前縁16に固定される。
【0029】
図2は、
図1のように、船の牽引の段階の牽引システム1の側面図である。
図2は、また、牽引システム1の構成要素を概略的に示す。
【0030】
牽引ライン8は、モーター、例えば電気モーターまたは油圧モーターによって制御されたウインチ11を介してベースプラットフォーム3に接続され、モーターは、牽引翼5が上昇することを可能にするように、牽引ライン8をほどくように設計されている、または、それとは逆に、牽引翼5をベースプラットフォーム3に向かって運ぶために、この牽引ライン8を巻き上げるように設計されている。
【0031】
図1及び
図2は牽引構成の牽引システム1を示し、牽引翼5が展開し飛行中であり、本システムは船の推進に寄与している。
【0032】
牽引翼5は、複数のラインに分割される巻き上げライン13(
図2に破線で示される)を有し、巻き上げライン13の端は翼5の後縁17に接続される。この巻き上げライン13は牽引翼5の後縁16に取り込むことができ、この巻き上げライン13に対する牽引は、翼5を収納することを目的として、圧縮により翼5を巻き上げさせる。
【0033】
本発明の例では、牽引システム1は、いくつかのキャリッジのうち5つのキャリッジ12A,12B,12C,12D,12Eを有する。これらのキャリッジは、係留マスト4で摺動自在に固定され、それぞれ、係留マスト4に沿って各キャリッジの位置を管理できるような駆動部を有する。これらのキャリッジは、後述される展開段階及び折り畳み段階の期間中、折り畳みライン10A,10B,10C及び巻き上げライン13を取り込んで誘導するように設けられる。
【0034】
これらのキャリッジは以下のように配置される。
-キャリッジ12Aは、巻き上げキャリッジであり、巻き上げライン13を取り込むように設計されている、
-キャリッジ12Bは、係留キャリッジであり、牽引翼5の前縁16の係留を確実にするように設計されている、
-キャリッジ12Cは、第1の折り畳みキャリッジであり、折り畳みライン10Aの第1のペアを取り込むように設計されている、
-キャリッジ12Dは、第2の折り畳みキャリッジであり、折り畳みライン10Bの第2のペアを取り込むように設計されている、
-キャリッジ12Eは、第3の折り畳みキャリッジであり、折り畳みライン10Cの第3のペアを取り込むように設計されている。
【0035】
変形では、牽引システム1は折り畳みラインまたは巻き上げラインを取り込むのに必要な数と同数のキャリッジを有し、キャリッジの数は、説明される例に関連して変わる可能性がある。
【0036】
折り畳みライン10A,10B,10Cは、
図3に示されるように、ペアになって配置されている。本発明の説明では、牽引翼5の前縁16は中央ゾーン15に分割され、2つの横端19は、中央ゾーン15と前縁16の横端18のそれぞれとの間で、この中央ゾーン15の一方の側で延在する。
【0037】
この
図3では、牽引翼5の前面図は、以下のように、折り畳みライン10A,10B,10Cのルートと、前縁16に対する折り畳みライン10A,10B,10Cの配置とを示す。
-折り畳みライン10Aの第1のペアは2つのラインを有し、2つのラインは、それぞれ、前縁16の中央ゾーン15で接続された第1の端と、前縁16の横側部19のうちの1つにおいて、中央ゾーン15から一定距離で前縁16に直接接続される第2の端と、を有する、
-折り畳みライン10Bの第2のペアは2つのラインを有し、2つのラインは、それぞれ、中央ゾーン15で接続された第1の端と、横側部19のうちの1つにおいて、前縁16に直接接続される第2の端と、を有し、この例では、横側部19のそれぞれの大体中央にあり、すなわち、横側ゾーン15と横端18との間の大体中間にある、
-折り畳みライン10Cの第3のペアは、中央ゾーン15を、横端18の付近にある前縁16の一部にそれぞれ接続する2つのラインを有する。
【0038】
図3は、また、中心部15と飛行軌道制御デバイス7との間に、誘導ライン9のルートを示す。
【0039】
再度、
図2を参照すると、牽引システム1はベースプラットフォーム3に搭載された係留ウインチ21で巻き上げられる係留ライン20を有する。係留ライン20はウインチ21から出て、次に、1つ以上のプーリーによって、係留キャリッジ12Bの中に誘導される(または低摩擦要素によって、または係留ライン20を係留キャリッジ12Bに摺動自在に送ることを可能にするいずれかの他の要素によって誘導される)。次に、係留ライン20は、誘導ライン9に沿って摺動できるシャトル14に入る。
【0040】
開始点のように
図1及び
図2の牽引構成をとると、牽引翼5は、下記に説明されるプロセスに従って折り畳むことができる。
【0041】
図1及び
図2の位置から、ウインチ11及びウインチ21は、最初に、牽引ライン8及び係留ライン20を後退させ、その結果、飛行軌道制御デバイス7はベースプラットフォーム3に静止する一方、牽引翼5が降下するにつれて、シャトル14は誘導ライン9に沿って上昇する。
【0042】
この動作は、以下のように、
図4の位置になるまで継続する。
-飛行軌道制御デバイス7は、ベースプラットフォーム3に、例えば適切な支持部(示されない)に静止する、
-シャトル14は、誘導ライン9の全長にわたって、中央ゾーン15の付近にある端まで上向きに摺動している。
【0043】
係留ライン20は、係留キャリッジ12Bに入り、牽引によって係留キャリッジ12Bに対して前縁16を保持する。次に、牽引翼5は、この係留位置にロックされ(後述される)、係留ライン20にかかる張力は必要なくなり、そしてラインを取り込むことができる。
【0044】
ラインを取り込むために、以下の動作を行う(これらの動作は、必ずしも、この順番で行われるわけではない)。
-キャリッジ12Aは巻き上げライン13を取り込む、
-第1の折り畳みキャリッジ12Cは、折り畳みライン10Aの第1のペアを取り込む、
-第2の折り畳みキャリッジ12Dは、折り畳みライン10Bの第2のペアを取り込む、
-第3の折り畳みキャリッジ12Eは、折り畳みライン10Cの第3のペアを取り込む。
【0045】
下記に記載されるように、ラインは、キャリッジのフック、キャプチャリングデバイスによって取り込まれる。
【0046】
次に、折り畳みキャリッジ12C,12D,12Eは、捕えられているラインに沿って、それらのフックを摺動させることによって、係留マスト4に沿って降下し始める。
【0047】
図5は、折り畳みキャリッジのこの降下動作を示す斜視図である。次に、折り畳みキャリッジ12C,12D,12Eのそれぞれは、ラインが係留マスト4に沿って中央ゾーン15から垂直に伸張する構成に徐々に向かう折り畳みラインのそれぞれを取り込み(ラインは係留キャリッジ12Bに係留され、そのラインは適所に固定されたままになる)。この動作により、横側部19が係留マスト4に沿って垂直に戻ることが可能になる。
【0048】
図6(側面図)及び
図7(斜視図)は、この折り畳み動作の後の、すなわち、折り畳みキャリッジ12C,12D,12Eがそれぞれ各々の最低位置にあるときの、牽引翼5を示す。
【0049】
次に、牽引翼5は係留マスト4に沿って折り畳まれ、すなわち、前縁16の2つの横側部19が係留マスト4に沿って垂直に延在する一方、中央ゾーン15は係留キャリッジ12Bに係留されたままになる。
【0050】
次に、
図6及び
図7のこの位置から、翼5を巻き上げることができる。巻き上げキャリッジ12A(巻き上げライン13を取り込んでいる)は、次に、係留マスト4に沿って上向きに摺動させられ、ひいては、巻き上げライン13を牽引することによって、牽引翼5を巻き上げさせる。本発明の例では、後縁17を前縁16に近づけることによって、巻き上げは圧縮によって行われる。
【0051】
図6を参照すると、牽引翼5は、係留ライン20、係留キャリッジ12B、シャトル14、及びキャプチャリングデバイス22の相互作用によって、係留キャリッジ12Bに係留される。
【0052】
図8は
図3の詳細図であり、牽引翼5の前面図を示し、そして中央ゾーン15と、キャプチャリングデバイス22を介して、前縁16の中央ゾーン15への折り畳みライン10A,10B,10C及び巻き上げライン13の取り付けとを示す。
【0053】
キャプチャリングデバイス22は、パイロン23によって中央ゾーン15で牽引翼15の前縁16に接続される(特に、
図12の側面図に見られる)。結果として、パイロン23は航空機のパイロンと類似し、すなわち、航空用語で、ジェットエンジンパイロンと呼ばれる。パイロン23は、好ましくは、炭素繊維複合材料等の軽量で強力な材料のリブで作られている。パイロン23は、キャプチャリングデバイス22と、牽引翼5の前縁16に縫われた補強材とに固定される。
【0054】
変形では、キャプチャリングデバイス22は、キャプチャリングデバイス22に対する牽引により前縁16に対する牽引を生じさせることを可能にする繊維留め具またはいずれかの他の要素等、いずれかの他の柔軟性手段または剛性手段によって前縁16に接続され得る。
【0055】
キャプチャリングデバイス22は、本体24と、2つの締結アーム25とを有し、締結アーム25は、ピン26を中心にそれぞれが旋回することが可能になるように、この本体24に搭載されている。締結アーム25のそれぞれは、第1の締結ロッド27A、長い第2の締結ロッド27B、及びさらに長い第3の締結ロッド27Cを有する(締結ロッド27A,27B,27Cは、
図8の断面に見られる)。この配置では、並置された締結ロッドが増加または減少する長さを有し、その配置は、この場合、「段状」と呼ばれる。
【0056】
本発明の例では、締結ロッド27A,27B,27Cは、この目的のために、締結アーム25でその端に設けられたボアに圧入された管から成る。
【0057】
締結アームは、飛行位置(
図8の位置)と、取り付け位置(
図13の位置)との間で本体24に対して移動でき、取り付け位置では、締結ロッド27A,27B,27Cは、(牽引翼5がその正常係留位置にあるとき)実質的に垂直に配置されている。
【0058】
締結アーム25のそれぞれは、さらに、レバー28を有し、すなわち、ピン26を越えて延在する部分を有し、締結アーム25に作用し、締結アーム25を折り畳むことを可能にする。
【0059】
中央ゾーン15に接合する折り畳みライン10A,10B,10D,10Cのそれぞれは、この締結ロッドから連続して突出するように、締結ロッド27A,27B,27Cに接続される。言い換えれば、締結ロッドの端は折り畳みラインによって継続する。
【0060】
締結ロッドが管によって形成される本発明の例では、折り畳みラインは、有利に、管に挿入され、全て、締結アーム25の固定ゾーン29まで管を貫通する。
【0061】
図9は、固定ゾーン29の詳細図である。折り畳みライン10A,10B,10Cのそれぞれは、締結ロッド27A,27B,27Cの管を通過し、固定ゾーン29に導かれる。折り畳みライン10A,10B,10Cのそれぞれの端は、例えば、折り畳みライン10A,10B,10Cの継ぎ目31を通過する貫通ピン30によって適所に保持される。
【0062】
締結アーム25と本体24との間のピボット接続は、締結アーム25が、自然に牽引翼5の飛行中、
図8に示される離間位置をとることを可能にし、結果として、締結アーム25は、前縁16でさらに遠くに接続されるその他端の方向に延在する折り畳みライン10A,10B,10Cによって決定された開口部に従う。キャプチャリングデバイス22は、加えて、
図8のその飛行位置に向かうように締結アーム25を付勢する弾性要素(ばね等)を有し得る。
【0063】
締結アーム25のこの飛行位置の機能は、締結アーム25及び締結ロッド27A,27B,27Cが誘導ライン9及び係留ライン20等の他のラインと絡むリスクを制限することによって、ラインの自動取り付けをより安全にする。
【0064】
また、シャトル14は
図8の断面に示される。シャトル14は2つの摺動オリフィス32を有し、この場合、2つの横側平坦33を伴う楕円形状を有する。シャトル14の楕円形状は、キャプチャリングデバイス22の誘導及び角度方向(水平軸を中心とする)が可能になる。
【0065】
この場合、誘導ライン9は、本体24と飛行軌道制御デバイス7との間に伸張するラインのペアで構成される。本発明の例では、誘導ライン9のペアは、本体24の止め具34の周りでループを形成する。
【0066】
結果として、誘導ライン9は、キャプチャリングデバイス22を介して、中央ゾーン15に取り付けられる。
【0067】
係留ライン20はシャトル14を通過し、本体24に接続される。シャトル14は、係留ライン20が通過する誘導手段を有し、誘導手段により、係留ライン20が自由に摺動することが可能になる。本発明の例では、この誘導手段は滑車63(
図15参照)によって形成され、変形では、プーリーまたは低摩擦要素等のいずれかのタイプの誘導手段によって形成できる。結果として、係留ライン20は、係留キャリッジ14を摺動してシャトル14を通過し、本体24の方向に誘導する。
【0068】
図10及び
図11は、2つの異なる視野角の斜視図でキャプチャリングデバイス22を示す。
図10では、キャプチャリングデバイス22の可視面は、牽引翼5に向いている面である(ヨーク23は示されていない)。
【0069】
図11では、キャプチャリングデバイス22の可視面は、係留キャリッジ12Bに向いている面である。
【0070】
キャプチャリングデバイス22は、係留キャリッジ12Bに固定される連動インターフェース35に対面している状態で示される(係留キャリッジ12Bの静止は示されていない)。
【0071】
図10及び
図11の位置は、牽引翼5の折り畳みプロセス中、牽引翼5を係留するための動作中の中間位置を示す。この位置では、牽引ライン8は、牽引翼5に沿って運ばれ、その結果、前縁16は係留キャリッジ12Bに対面し、係留ライン20は、ウインチ21によって巻き上げられる過程の最中であり、次に、係留ライン20に牽引がかかる(
図11の矢印によって示される)。
【0072】
この動作により、シャトル14を誘導ライン9に沿って上昇させる。ここでは、誘導ライン9を2つに折り畳むことにより、垂直軸を中心に旋回することなく、シャトル14が摺動することを可能にする。結果として、摺動ピボット接続の代わりに、摺動接続を確実にする。
【0073】
キャプチャリングデバイス22は、本体24に、シャトル14を受けることを意図する受容部36を有する。受容部36は、シャトル14の2つの平坦部33と相互作用するその横側壁によって、また、シャトル14の別の平坦部38と相互作用する底壁37自体によって区切られる。
【0074】
図12は、
図10及び
図11の部分を側面図で示す。連動インターフェース35は、キャプチャリングデバイス22を所定位置に係留するための要素を有する。本発明の例では、これらの要素は、本体24のくぼみ40を補完するくぼみ39を有する。また、シャトル14は、これらの位置決め要素の部分でもある。この理由として、連動インターフェース35の圧痕41に係合することが意図されるためである。くぼみ40は、さらに、力に反応することに関してかなりの利点がある。この理由として、くぼみ39及びくぼみ40の相互作用により、折り畳み動作中、キャプチャリングデバイス22にかかる垂直力の全てに反応することが可能になり、これらの力は15kNよりも大きくなる可能性がある。
【0075】
圧痕41は、シャトル14を受けて位置決めするための内壁を有する。シャトル14の卵形及び圧痕41の補完形状により、キャプチャリングデバイス22が連動インターフェース35に係留するとき、所定の位置決めが確実になる。
【0076】
また、
図12は巻き上げライン13の配置を示す。キャプチャリングデバイス22は、本体24の上に垂直に突出する巻き上げロッド42を有する。巻き上げライン13は巻き上げライン24から連続して突出する。本発明の例では、巻き上げライン42は本体24に適合する管によって形成され、巻き上げラインはこの管を通過し、巻き上げラインの端は本体24に固定されている。
【0077】
巻き上げロッド42の取り付け部と、後縁17に向かうその進路との間で、巻き上げライン13はループ55を形成し、管42と一体になっているリング43に入る。リング43は例えば低摩擦リングである、または管もしくはプーリーによって形成され得る。結果として、ループ55に対する牽引は、巻き上げライン13に対する牽引、ひいては牽引翼5の巻き上げを生じさせる。
【0078】
さらに、
図13に示されるように、牽引ラインの係留段階中の係留ライン20に対する牽引により、シャトル14を上昇させ、シャトル14が受容部36に侵入することが終了する。シャトル14は、次に、寸法適合により受容部36に固定化され、これにより、平坦部33,38の表面が、受容部36の内面に対して支えることを可能にする。
【0079】
結果として、シャトル14は、シャトル14が誘導ライン9に沿って摺動する摺動構成と、シャトル14が受容部36に配置される係留構成との間で移動可能である。
【0080】
また、受容部36の中へのシャトル14の侵入はレバー28をアクティブにし、これにより、締結アーム25を接近させ、すなわち、垂直位置に移送させ、シャトル14の存在により、この位置で保持される。
【0081】
キャプチャリングデバイス22及びシャトル14が
図13の位置にあるとき、係留ライン20に対する牽引が継続することは、これらの2つの要素が結合されるまで、連動インターフェース35のより近くに、キャプチャリングデバイス22を移動させる。
【0082】
キャプチャリングデバイス22及び連動インターフェース35は、くぼみ39,40を連結することによって、また、圧痕41でシャトル14を連結することによって、必要な既定位置に結合される。シャトル14の卵形は、係留ライン20をねじる場合でさえも、すなわち、係留ライン20を中心にキャプチャリングデバイス22が回転する場合でさえも、係留中、キャプチャリングデバイス22を、この既定位置に運ぶことを可能にする。結果として、シャトルが係留構成にあるとき、シャトル14の凸形状は、連動インターフェース35の凹形状で受けるように設計され、シャトル14は、必要な場合、係留ライン20の牽引下で、シャトル14の卵形により、キャプチャリングデバイス22及びシャトル14によって形成されたアセンブリを回転させる。
【0083】
図14は連動インターフェース35の変形実施形態を示し、連動インターフェース35は、本体24に対する補完受容部44と、キャプチャリングデバイス22及び連動インターフェース35の結合段階中、この受容部44に向かうキャプチャリングデバイス22の軌道を導くことを意図する傾斜壁45とを有する。
【0084】
図15は、連動インターフェース35に結合された後のキャプチャリングデバイス22(及びシャトル14)の断面図である。この位置では、牽引翼5の前縁16は、キャプチャリングデバイス22を介して、係留キャリッジ12Bに係留される。係留ライン20にかかる牽引力を維持することは、キャプチャリングデバイス22(連動インターフェースに当接する)を変位させないが、係留を維持する。
【0085】
図16は、結果として係留キャリッジ12Bに係留されたキャプチャリングデバイス22を示す。また、この図は他のキャリッジ12A,12C,12D,12Eを示す。キャリッジのそれぞれは、アクチュエーター64A,64B,64C,64D,64Eによって制御された係留マスト4に沿って摺動できる。本発明の例では、アクチュエーター64A,64B,64C,64D,64Eは、係留マスト4に固定されたラックと噛合するピニオンをそれぞれが制御する電気モーターである(ピニオン及びラックは図に見ることができない)。
【0086】
係留キャリッジ12Bは上側固定化フック48と、下側固定化フック49のペアとを有し、それらの固定化フックは、それらがキャプチャリングデバイス22から離間する後退位置と、それらが各々本体24及び締結アーム25を連動インターフェース35に対してロックする固定化位置(
図16に示される位置)との間で移動可能である。
【0087】
折り畳みキャリッジ12C,12D,12Eのそれぞれは、キャプチャリングフック46A,46B,46Cのペアを有し、これらのキャプチャリングフックのペアのそれぞれは、折り畳みライン10A,10B,10Cの対応するペアを留めることが意図されている。これらのフック12C,12D,12Eは、
図16の後退位置にある。
【0088】
巻き上げキャリッジ12Aは、ループ55を経由して巻き上げライン13を作動させることを意図するキャプチャリングフック47を有する。
図16では、また、キャプチャリングフック47は後退する。
【0089】
フック46A,46B,46C,47,48は、対応するキャリッジの一体型ヨークで旋回できるフックである。
【0090】
図16に示されるように、牽引翼5を折り畳むプロセス中、キャプチャリングデバイス22が連動インターフェース35に結合されると、係留キャリッジ12Bの固定化フック48,49は、その固定化位置に向かってアクティブになり、キャプチャリングデバイス22を連動インターフェース35に固定する。このステップ後、係留ライン20に対する牽引は係留を維持する必要がなくなる。
【0091】
上側固定化フック48は本体24の上部を締め付ける一方、下側固定化フック49は、クランプは締結アーム25を、固定ゾーン29で締め付け、すなわち、締結ロッド27A,27B,27Cの上方で締め付ける。
【0092】
フック48,49は、電気モーターまたはリモート制御式磁気作動手段によって制御された旋回手段等のいずれかの手段によってアクティブになり得る。本発明の例では、
図17及び
図18を参照すると、フック48,49は、巻き上げキャリッジ12Aの運動によって作動する。
図17は、機構が見えるように、透視図でキャリッジを示す。フック48,49はそれぞれキャリッジに回転可能に搭載され、シャフトまたはピニオンのいずれか一方によって作動する。制御シャフト50は、ピニオンの配置により、フック48(1個)、49(2個)の3個のセットの回転を作動させることを可能にする。
【0093】
図18は、これらの要素の動作原理を示す概略図である。制御シャフト50は、その端に、巻き上げキャリッジ12Aと一体になる螺旋状カムウェイ52と相互作用するように設計されたつまみ51を有し、その結果、係留キャリッジ12Bのより近くへの巻き上げキャリッジ12Aの運動により、制御シャフト50を回転させ、ひいては、フック48,49をそれらの後退位置に向かって動かせ、係留キャリッジ12Bから離れる巻き上げキャリッジ12Aの運動により、フック48,49をそれらの固定化位置に向かって動かせる。トーションばね等の弾性要素は、フック48,49をそれらの固定化位置に向けて付勢させる。
【0094】
図18に示されるように、同じタイプの機構は、係留キャリッジ12Bから離れる巻き上げキャリッジ12Aの運動が継続し、また、螺旋状カムウェイ54と相互作用する制御シャフト53によるそのキャプチャリング位置に向かって巻き上げフック47が動くことが可能になる。
【0095】
上述と同じように、また、折り畳みキャリッジ12C,12D,12Eのキャプチャリングフック46A,46B,46Cは、締結ロッド27A,27B,27Cにわたって、キャプチャリングフック46A,46B,46Cを接近させることを可能にするいずれかの手段によって管理され得る。本発明の例では、キャプチャリングフック46A,46B,46Cは、好ましくは、上記の同じタイプの制御によって、つまり、制御シャフト、つまみ、及び螺旋状カムウェイを用いて、対応する折り畳みキャリッジを前述のキャリッジから離すことによって、それらのキャプチャリング位置に移送される。
【0096】
したがって、
図19を参照すると、巻き上げキャリッジ12Aは、最初に、係留キャリッジ12Bからわずかに離れ、これにより、固定化フック48,49を接近させ、キャプチャリングデバイス22を固定化させる。次に、巻き上げキャリッジ12Aはこの位置にあるままであり、フック47は後退位置にある。
【0097】
次に、
図19に示されるように、折り畳みキャリッジ12C,12D,12Eは、それぞれ、互いに離れて移動しながら、係留マスト4に沿って降下し始め、その結果、フック46A,46B,46Cのペアは、締結ロッド27A,27B,27Cにわたって接近する。
【0098】
第1の折り畳みキャリッジ12Cのフック46Aのそれぞれは、3つの締結ロッド27A,27B,27Cにわたって接近し、すなわち、第1の締結ロッド27Aの端の真上に向かって動く。
【0099】
第2の折り畳みキャリッジ12Dのフック46Bのそれぞれは、2つの締結ロッド27B,27Cにわたって接近し、すなわち、第2の締結ロッド27Bの端の真上に向かって動く。
【0100】
第3の折り畳みキャリッジ12Eのフック46Cのそれぞれは、第3の締結ロッド27Cだけにわたって接近し、すなわち、第3の締結ロッド27Cの端の真上に向かって動く。
【0101】
結果として、
図19のこの位置では、折り畳みフック46A,46B,46Cのペアのそれぞれは、対応する折り畳みライン10A,10B,10Cの終端の真上にある。
【0102】
図19の位置から、折り畳みキャリッジ12C,12D,12Eは以下のように降下し続ける。
-第3の折り畳みライン10Cはキャプチャリングフック46Cによって垂直に伸張し、キャプチャリングフック46Cは、これらの折り畳みライン10Cに沿って摺動することによって、係留マスト4に沿って降下する、
-第2の折り畳みライン10Bはキャプチャリングフック46Bによって垂直に伸張し、キャプチャリングフック46Bは、これらの折り畳みライン10Bと、キャプチャリングフック46Cによって事前に垂直に伸びている折り畳みライン10Cとに沿って摺動することによって、係留マスト4に沿って降下する、
-第2の折り畳みライン10Aはキャプチャリングフック46Aによって垂直に伸張し、キャプチャリングフック46Aは、これらの折り畳みライン10Aと、キャプチャリングフック46B,46Cによって事前に垂直に伸びている折り畳みライン10B,10Cとに沿って摺動することによって、係留マスト4に沿って降下する。
【0103】
キャリッジが降下するにつれて、フック46A,46B,46Cは、結果として、それらの対応する折り畳みラインで摺動し、この折り畳みラインが係留マスト4に沿って垂直に伸びる。
【0104】
図6及び
図7の折り畳み位置に到達するまで、この降下は継続する。
【0105】
折り畳み位置に到達すると、牽引翼5を巻き上げることができる。この動作は、係留マスト4に沿って上昇する巻き上げキャリッジ12Aによって行われ、これは、最初に、巻き上げフック47を巻き上げロッド42にわたって接近させる(
図19参照)。次に、巻き上げキャリッジ12Aの上昇が継続することにより、ループ55に対して牽引を生じさせる(ループ55は
図12に見えるが、他の図では、示されていない)。
【0106】
結果として、キャプチャリングデバイス22は、係留キャリッジ12Bへの牽引翼5の前縁16の急速で安全な係留を確実にすることを可能にし、また、折り畳みライン10A,10B,10C及び巻き上げライン13のそれぞれの自動的で完璧なフック留めも確実にする。
【0107】
ここで、
図20及び
図21を参照して、係留ライン20の配置に関する第2の実施形態を説明する。本実施形態によると、係留ライン20は、本体24に永久的に取り付けられていなく、そして、追加機能を行うことを可能にする。
【0108】
図20は上記に説明した
図15に対応し、この第2の実施形態の変形が示される。係留ライン20は、本体24の底壁37に形成されたオリフィス56を通過し、牽引翼5の方向に追加部62によって延長する。オリフィス56からの出口において、係留ライン20は、この場合、弾性要素によって閉鎖されたままのジョー57を有するクランプ手段によって固定される。
【0109】
結果として、キャプチャリングデバイス22はクランプ手段を有し、クランプ手段は、係留ライン20がキャプチャリングデバイス22で適所に固定されたままであるクランプ位置を占めるように設計され、また、係留ライン20がキャプチャリングデバイス20に対して自由に摺動する解放位置を占めるように設計されている。
【0110】
ジョー57を越えて係留ライン20が延長することで、係留ライン20のこの追加部62が、牽引翼5の内部で追加機能を行うことが可能になる。この機能は、例えば、牽引翼5の空気力学的プロファイルに対するアクション、または牽引翼5の後縁を閉じるアクションに関し得る。
【0111】
この追加機能は、ジョー57を開放させることによって、また収納ライン20に牽引をかけることによって行われ、これにより、牽引ライン20のこの追加部62に対する牽引を生じさせ、ひいては、例えば、後縁17の形状を変更させる牽引によって、この追加機能を実行させる。
【0112】
キャプチャリングデバイス22が固定化フック48,49によって固定化された後、ジョー57を開放させ、その結果、係留ライン20に対する牽引は、係留を維持することが有用でなくなる。
【0113】
図21は、(
図18と同様の概略図で)ジョー57及びその制御の一実施形態を示す。この場合、ジョー57は、ジョー57を開くことを可能にする開放レバー58と関連付けられる。開放レバー及びジョー57は、係留ライン20の締め付けに対応するそれらの位置に向かう弾性要素によって付勢される。
【0114】
開放レバー58はロッド59によって作動し、ロッド59は、その端にカムウェイ61を有するバー60と相互作用する。バー60に向かう巻き上げキャリッジ12Aの運動によって、バー60が下向きに押されるとき、バー60は、ロッド59を後退させる(ひいては、開放レバー58を解放させる)ことを意図し、これにより、ジョー57を閉鎖させる。逆に、キャプチャリングデバイスを固定化した後、巻き上げキャリッジ12Aが係留キャリッジ12Bから離れることが継続することで、ジョー57を開放させ、ひいては、係留ライン20の追加部62を解放させる。
【0115】
変形では、ジョー57は、牽引翼5の内部で追加機能を実行するために、係留ライン20をキャプチャリングデバイス22から分離することを可能にするいずれかの他の手段によって制御できる。
【0116】
これらの動作の終わりに、牽引翼を折り畳み(
図6及び
図7)、巻き上げることをもたらし、次に、例えば、翼を適切なコンテナに収納するために、マストに沿ってキャリッジのセットを摺動させることによって、牽引翼5が保管されるまで、牽引翼5を折り畳むためのプロセスは継続する。
【0117】
結果として、牽引翼5を折り畳むためのプロセスが終了する。
【0118】
次に、牽引翼5を展開するためのプロセスは、次の使用期間中、上記に説明した動作と同じ動作が行われるが、逆順で実行される。
【0119】
変形実施形態が実施され得る。例えば、ラインは、締結ロッドの端または巻き上げロッドの端に直接取り付けられ得る。当然ながら、特定の用途に対応させるために、キャリッジ、フック、及びラインの数は変わる可能性がある。
【0120】
さらに、この場合、ジョー57で構成されるクランプ手段は、代替として、ラインの牽引を防止するためのいずれかの他の手段によって形成され得る、例えば、繊維スリーブロッキング手段によって形成される。
【国際調査報告】