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特表2024-510154吹き流し式折り畳みを用いるキャプティブカイト牽引システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】吹き流し式折り畳みを用いるキャプティブカイト牽引システム
(51)【国際特許分類】
   B63H 9/072 20200101AFI20240228BHJP
   B64U 10/60 20230101ALI20240228BHJP
   B64U 10/50 20230101ALI20240228BHJP
   B63H 9/069 20200101ALI20240228BHJP
【FI】
B63H9/072
B64U10/60
B64U10/50
B63H9/069
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553993
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2022057070
(87)【国際公開番号】W WO2022195046
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2102789
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520485893
【氏名又は名称】エアシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ガニェール,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】リゴー,ジェローム
(57)【要約】
キャプティブカイト牽引システムを展開するためのプロセスは、収納マスト(4)に対して牽引カイト(5)を飛行させるステップを含み、飛行ステップ前、牽引カイト(5)の吹き流し式折り畳みのステップも含み、
-前縁(16)の中央エリア(15)は、収納マスト(4)における第1の高さで収納マスト(4)に対して保持され、
-前縁(16)の横側部(19)は、該第1の高さよりも低い少なくとも収納マスト(4)における第2の高さで収納マスト(4)に対して保持され、
-後縁(17)は、後縁(17)に向かう横側部の相互運動によって再び閉じる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャプティブカイト牽引システムを展開するためのプロセスであって、前記キャプティブカイト牽引システムは牽引カイト(5)を含み、前記牽引カイト(5)は、風の影響下で牽引力を生成するように設計され、収納マスト(4)が設けられるベースプラットフォーム(3)に対して展開及び再折り畳みされるように設計され、前記牽引カイト(5)は、2つの横側部(25)を含む後縁(17)と、中央エリア(15)及び2つの横側部(19)を含む前縁(16)と、を有し、前記プロセスは前記牽引カイト(5)を前記収納マスト(4)に対して飛行させるステップを含み、前記プロセスは、飛行ステップ前に、前記牽引カイト(5)の吹き流し式折り畳みステップを含み、
-前記前縁(16)の前記中央エリア(15)は、前記収納マスト(4)における第1の高さで前記収納マスト(4)に対して保持され、
-前記前縁(16)の前記横側部(19)は、前記第1の高さよりも低い少なくとも前記収納マスト(4)における第2の高さで前記収納マスト(4)に対して保持され、
-前記後縁(17)は、前記後縁(17)に向かう前記横側部(19)の相互運動によって再び閉じる、プロセス。
【請求項2】
前記前縁(16)の前記中央エリア(15)の前記収納マスト(4)に対する保定は、前記前縁(16)の前記中央エリア(15)に接続されるラインの牽引によって提供されることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記前縁の前記横側部(19)の前記収納マスト(4)に対する保定は、前記前縁(16)に沿って互いに分離されながら、前記前縁(16)に固定された端をそれぞれ有する折り畳みライン(10A,10B,10C)の牽引によって提供されることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のプロセス。
【請求項4】
前記折り畳みライン(10A,10B,10C)は対称なペアで位置付けられ、折り畳みラインの各ペアは、前記前縁(16)の前記中央エリア(15)を前記前縁(16)の別のエリアに接続することと、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)の前記牽引は、折り畳みラインの各ペアの前記2つのラインで一緒に引っ張ることよって提供されることと、を特徴とする、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記前縁(16)の前記横側部(19)の前記収納マスト(4)に対する保定は、前記収納マスト(4)に沿って少なくとも3つの高さに続く対称の折り畳みライン(10A,10B,10C)の少なくとも3つのペアの牽引によって提供されることを特徴とする、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記後縁(17)の閉鎖は、前記後縁(17)に接続された少なくとも1つの閉鎖ライン(13)の牽引によって実行されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記吹き流し式折り畳みステップ中、前記閉鎖ライン(13)は、前記収納マスト(4)に沿って摺動する第1のキャリッジ(12A)によって把持されることを特徴とする、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記吹き流し式折り畳みステップ中、折り畳みライン(10A,10B,10C)は、それぞれ、前記第1のキャリッジ(12A)の下に位置するキャリッジ(12A,12B,12C)によって摺動方式で把持されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記前縁(16)の前記中央エリア(15)に接続される前記ラインは、クランプ手段(28)によって、前記中央エリア(15)に接続され、閉鎖ライン(13)に接続され、前記吹き流し式折り畳みステップは、前記閉鎖ライン(13)を解放または牽引する動作を含み、前記動作は、以下のタスク、つまり、
-前記クランプ手段(28)を開くタスクと、
-前記前縁(16)の前記中央エリア(15)に接続される前記ラインを解放または牽引して、前記閉鎖ライン(13)に対する解放または牽引を生じさせるタスクと、
-前記クランプ手段(28)を閉じるタスクと、
を含むことを特徴とする、請求項2~8の1項に記載のプロセス。
【請求項10】
キャプティブカイト牽引システムであって、
-風の影響下で牽引力を生成するように設計され、収納マスト(4)が設けられるベースプラットフォーム(3)に対して展開及び再折り畳みされるように設計されている、牽引カイト(5)であって、2つの横側部(25)を含む後縁(17)と、中央エリア(15)及び2つの横側部(19)を含む前縁(16)と、を有する、牽引カイト(5)と、
-前記前縁(16)に沿って相互に分離されながら、前記前縁(16)に固定された自由端をそれぞれ有する複数の折り畳みライン(10A,10B,10C)と、を含み、
前記牽引システムは、
-前記前縁(16)の前記中央エリア(15)に接続されるラインと、
-前記後縁(17)に接続される少なくとも1つの閉鎖ライン(13)と、
-前記中央エリア(15)に接続される前記ライン、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)、及び前記閉鎖ライン(13)に対する牽引を制御するように設計された制御ユニット(30)と、を備え、前記制御ユニット(30)は吹き流し式折り畳みモードを含み、前記吹き流し式折り畳みモードでは、前記前縁(16)の前記中央エリア(15)は、前記中央エリア(15)に接続される前記ラインを牽引することによって、前記収納マスト(4)における第1の高さで前記収納マスト(4)に対して保持され、前記前縁(16)の前記横側部(19)は、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)を牽引することによって、前記第1の高さよりも低い少なくとも前記収納マスト(4)における第2の高さで前記収納マスト(4)に対して保持され、前記後縁(17)は、前記閉鎖ライン(13)の牽引の影響下で、前記後縁(17)に向かう前記横側部(25)の相互運動によって再び閉じる、キャプティブカイト牽引システム。
【請求項11】
前記折り畳みライン(10A,10B,10C)は対称なペアで位置付けられ、折り畳みラインの各ペアは、前記前縁(16)の前記中央エリア(15)を前記前縁(16)の別のエリアに接続することと、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)の前記牽引は、折り畳みラインの各ペアの前記2つのラインで一緒に引っ張ることよって提供されることと、を特徴とする、請求項10に記載の牽引システム。
【請求項12】
前記牽引システムはキャリッジ(12A,12B,12C,12D)を備え、前記キャリッジ(12A,12B,12C,12D)は、前記収納マスト(4)に沿って摺動し、摺動方式で、前記中央エリア(15)に接続される前記ライン、及び前記折り畳みライン(10A,10B,10C)を把持するように設計され、これらのキャリッジ(12A,12B,12C,12D)は、前記制御ユニット(30)が前記吹き流し式折り畳みモードであるとき、前記収納マスト(4)に沿って互いに分離することを特徴とする、請求項10または11の1項に記載の牽引システム。
【請求項13】
前記中央エリア(15)に接続される前記ラインは、クランプ手段(28)によって前記中央エリア(15)に接続され、前記閉鎖ライン(13)に接続され、前記制御ユニット(30)が前記クランプ手段(28)を制御するように設計されているため、前記吹き流し式折り畳みモードであるとき、前記制御ユニット(30)は、連続して、
-前記クランプ手段(28)を開くことと、
-前記閉鎖ライン(13)に対する解放または牽引を生じさせながら、前記中央エリア(15)に接続される前記ラインを解放または引っ張ることと、
-前記クランプ手段(28)を閉じることと、
を行うように設計されていることを特徴とする、請求項10~12の1項に記載の牽引システム。
【請求項14】
前記閉鎖ラインは前記後縁(17)に沿って移動すると同時に、リング(33)を通過することを特徴とする、請求項10~13の1項に記載の牽引システム。
【請求項15】
前記閉鎖ライン(13)は前記後縁(17)の前記2つの横側部(25)を接続することを特徴とする、請求項14に記載の牽引システム。
【請求項16】
前記閉鎖ライン(13)は、前記後縁(17)の横側部(25)にそれぞれ位置付けられた2つのリング(33)の間にループを形成することを特徴とする、請求項15に記載の牽引システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースプラットフォームに対して牽引カイトを展開して再折り畳むように設計されているキャプティブカイト牽引システムの分野に関し、この牽引カイトは、風の影響下で牽引力を生成するように設計されている。
【0002】
このタイプの牽引システムは、車両の推進、具体的には船の推進のために(主要推進モードとして、または補助として)、発電のために、またはこのタイプの牽引力からメリットをもたらすいずれかの用途のために使用される牽引カイトの飛行の展開を可能にする。
【背景技術】
【0003】
仏国特許出願公開第3082184号明細書では、牽引カイトを展開する及び再折り畳みするためのキャプティブカイト牽引システム及びプロセスが説明されている。牽引カイトは、その前縁に固定される折り畳みラインを有し、当該システムは、少なくともこのマストに沿って2つの異なる高さで、前縁をマストに対して戻すために、少なくとも3つの折り畳みラインを引っ張るための手段を含む。
【0004】
この牽引システムでは、より効率的でより安全な展開及び再折り畳みプロセスからメリットがもたらせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3082184号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、先行技術に従ったキャプティブカイト牽引システム、及び関連の展開プロセスを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明の主題は、キャプティブカイト牽引システムを展開するためのプロセスであり、キャプティブカイト牽引システムは牽引カイトを含み、牽引カイトは、風の影響下で牽引力を生成するように設計され、収納マストが設けられるベースプラットフォームに対して展開及び再折り畳みされるように設計され、牽引カイトは、2つの横側部を含む後縁と、中央エリア及び2つの横側部を含む前縁と、を有し、このプロセスは牽引カイトを収納マストに対して飛行させるステップと、飛行ステップ前に、牽引カイトの吹き流し式折り畳みステップと、を含む。
【0008】
牽引カイトの吹き流し式折り畳みのこのステップでは、
-前縁の中央エリアは、収納マストにおける第1の高さで収納マストに対して保持され、
-前縁の横側部は、該第1の高さよりも低い少なくとも収納マストにおける第2の高さで収納マストに対して保持され、
-後縁は、後縁に向かう横側部の相互運動によって再び閉じる。
【0009】
別の目的に従って、本発明の主題はキャプティブカイト牽引システムであり、キャプティブカイト牽引システムは、
-風の影響下で牽引力を生成するように設計され、収納マストが設けられるベースプラットフォームに対して展開及び再折り畳みされるように設計されている、牽引カイトであって、2つの横側部を含む後縁と、中央エリア及び2つの横側部を含む前縁と、を有する、牽引カイトと、
-前縁に沿って相互に分離されながら、前縁に固定された自由端をそれぞれ有する複数の折り畳みラインと、を含む。
【0010】
この牽引システムは、加えて、
-前縁の中央エリアに接続されるラインと、
-後縁に接続される少なくとも1つの閉鎖ラインと、
-中央エリアに接続されるライン、折り畳みライン、及び閉鎖ラインに対する牽引を制御するように設計された制御ユニットと、を含み、この制御ユニットは吹き流し式折り畳みモードを含み、吹き流し式折り畳みモードでは、前縁の中央エリアは、中央エリアに接続されるラインを牽引することによって、収納マストにおける第1の高さで収納マストに対して保持され、前縁の横側部は、折り畳みラインを牽引することによって、該第1の高さよりも低い少なくとも収納マストにおける第2の高さで収納マストに対して保持され、後縁は、閉鎖ラインの牽引の影響下で、後縁に向かう横側部の相互運動によって再び閉じる。
【0011】
このタイプの牽引システム及びこのタイプの展開プロセスは、牽引カイトの中間吹き流し式折り畳み段階を完了することを可能にする。
【0012】
この場合、この吹き流し式折り畳みステップは、具体的には、本発明に特有の牽引カイトの形態を指定し、前縁は空気入口を形成し、後縁は、空気で充満できるポケットとして働く吹き流しの形態で結果として折り畳まれた牽引カイトに対して十分に閉じる。
【0013】
この吹き流し式折り畳み構成では、牽引カイトは、円形開口部を伴い集束管の効果がある吹き流しと同様であり、これはカイトを安定させる傾向がある。
【0014】
この幾何学構成は、折り畳みライン及び閉鎖ラインに対して誘導ラインに一緒に働くことによって動的に有利に制御でき、牽引カイトを安定させ、牽引カイトの飛行直前にあらゆる収縮を回避することを可能にする。
【0015】
この吹き流し式折り畳むステップは、また、その飛行直前に牽引カイトを膨張させ、牽引カイトに電力を提供することを可能にし、その結果、牽引カイトがその軌道またはその揚力をなくし得る不確実な段階がない飛行が行われる。
【0016】
本発明に従った展開プロセスは、単独で、または組み合わせて得られた以下の追加特徴を含み得る。
-前縁の中央エリアの収納マストに対する保定は、前縁の中央エリアに接続されるラインの牽引によって提供される、
-前縁の横側部の収納マストに対する保定は、前縁に沿って互いに分離されながら、前縁に固定された端をそれぞれ有する折り畳みラインの牽引によって提供される、
-折り畳みラインは対称なペアで位置付けられ、折り畳みラインの各ペアは、前縁の中央エリアを前縁の別のエリアに接続し、折り畳みラインの牽引は、折り畳みラインの各ペアの2つのラインで一緒に引っ張ることよって提供される、
-前縁の横側部の収納マストに対する保定は、収納マストに沿って少なくとも3つの高さに続く対称の折り畳みラインの少なくとも3つのペアの牽引によって提供される、
-後縁の閉鎖は、後縁に接続された少なくとも1つの閉鎖ラインの牽引によって実行される、
-吹き流し式折り畳みステップ中、閉鎖ラインは、収納マストに沿って摺動する第1のキャリッジによって把持される、
-吹き流し式折り畳みステップ中、折り畳みラインは、それぞれ、第1のキャリッジの下に位置するキャリッジによって摺動方式で把持される、
-前縁の中央エリアに接続される該ラインは、クランプ手段によって、中央エリアに接続され、閉鎖ラインに接続され、吹き流し式折り畳みステップは、閉鎖ラインを解放または牽引する動作を含み、動作は、以下のタスク、つまり、クランプ手段を開くタスクと、前縁の中央エリアに接続される該ラインを解放または牽引して、閉鎖ラインに対する解放または牽引を生じさせるタスクと、クランプ手段を閉じるタスクと、を含む。
【0017】
本発明に従った牽引システムは、単独で、または組み合わせて得られた以下の追加特徴を含み得る。
-折り畳みラインは対称なペアで位置付けられ、折り畳みラインの各ペアは、前縁の中央エリアを前縁の別のエリアに接続し、折り畳みラインの牽引は、折り畳みラインの各ペアの2つのラインで一緒に引っ張ることよって提供される、
-本システムはキャリッジを備え、キャリッジは、収納マストに沿って摺動し、摺動方式で、中央エリアに接続されるライン、及び折り畳みラインを把持するように設計され、これらのキャリッジは、制御ユニットが吹き流し式折り畳みモードであるとき、収納マストに沿って互いに分離する、
-中央エリアに接続されるラインは、クランプ手段によって中央エリアに接続され、閉鎖ラインに接続され、制御ユニットがクランプ手段を制御するように設計されているため、吹き流し式折り畳みモードであるとき、制御ユニットは、連続して、クランプ手段を開くことと、閉鎖ラインに対する解放または牽引を生じさせながら、中央エリアに接続されるラインを解放または引っ張ることと、クランプ手段を閉じることと、を行うように設計される、
-閉鎖ラインは後縁に沿って移動すると同時に、リングを通過する、
-閉鎖ラインは後縁の2つの横側部を接続する、
-閉鎖ラインは、後縁の横側部にそれぞれ位置付けられた2つのリングの間にループを形成する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図を参照して提供される以下の非限定的な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による、キャプティブカイト牽引システムによって推進された船を斜視図で表す。
図2】側面から見える、図1の要素を概略的に示す。
図3】前面から見える、図1のシステムの牽引カイトを表す。
図4図1のシステムを再折り畳みするステップを示す。
図5図1のシステムを再折り畳みする別のステップを示す。
図6】収納マストに沿って、折り畳み位置にある牽引カイトを示す。
図7】牽引カイトを保管するステップを示す。
図8】牽引カイトを保管する別のステップを示す。
図9】牽引カイトを展開するステップを示す。
図10】牽引カイトを展開する別のステップを示す。
図11】牽引カイトの吹き流し式折り畳みのステップを示す。
図12図11の牽引カイトを斜視図で表す。
図13】前面から見える、図11の牽引カイトを表す。
図14】牽引カイトを展開する別のステップを示す。
図15図14の牽引カイトを斜視図で表す。
図16】牽引システムの変形実施形態を示す。
図17】牽引システムの別の変形実施形態を示す。
図18】牽引カイトの後縁での閉鎖ラインの運動に関する実施形態を示す。
図19】牽引カイトの後縁での閉鎖ラインの運動に関する別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
異なる実施形態で同様かつ共通である複数の要素は、図で同じ参照符号が記載される。
【0021】
図1は、この例では、海上運送貨物船である船2に適合するキャプティブカイト牽引システム1を示す(図1では、船の前方だけが表されている)。
【0022】
本発明の例では、牽引システム1は船2の船首に適合し、燃料の節約を可能にする船の補完的推進手段として作動する。これに関連して、牽引システム1は、牽引される船のトン数に従った寸法を有し、自動的に展開して折り畳むように設計されている。
【0023】
変形として、例えば、船の主要推進手段として、いずれかの他の車両を推進させるために、発電等のために、自動的に展開して折り畳むことができるこの種類の牽引システムを必要とするいずれかの他の用途に、この牽引システム1を使用できる。
【0024】
牽引システム1は、この場合、船2のデッキに固定されるベースプラットフォーム3を含み、ベースプラットフォーム3では、システムの自動的な展開動作及び再折り畳み動作のために設計されている収納マスト4が適合される。
【0025】
牽引システム1は、また、風の影響下で、牽引力を生成するように設計されている牽引カイト5を有する。本発明の例では、牽引カイト5はパラグライダー型帆である。代替として、カイト、滑空機器、カイト型の帆等、風の影響下で牽引力を生成するように設計されたいずれかの他の飛行機器を使用できる。牽引カイト5は、従来、入射風に露出するように設計されている前縁16と、後縁17と知られている対向端とを含む。
【0026】
牽引カイト5は、牽引カイト5の飛行を制御するために、サスペンションライン6に作用するように設計されている飛行軌道制御デバイス7に、サスペンションライン6のセットによって接続される。
【0027】
牽引システム1は、加えて、飛行軌道制御デバイス7をベースプラットフォーム3に接続する牽引ライン8も有する。牽引カイト5によって生成される牽引力は、船2の推進のために、牽引ライン8によって船2に伝達され、牽引ラインはこの目的のために適切な寸法を有する。海上運送貨物船の牽引に関連する範囲内で、牽引ラインは、例えば、数センチメートルと同じ程度である可能性がある直径の繊維ケーブルである可能性がある。
【0028】
飛行軌道制御デバイス7は、牽引カイトを指向し及び位置付けるために、牽引カイト5の飛行を操縦することを可能にし、随意に、牽引カイト5が、船にかかる牽引力を増加させることを可能にする飛行形態を特徴付けることも可能にする。この場合、牽引カイト5の軌道の制御は、飛行カイトの分野における従来的方式で、特定の移動式サスペンションラインの長さを制御することによって達成される。実際に、サスペンションライン6のセットは、固定サスペンションライン(すなわち、牽引カイト5の取り付け部と、飛行軌道制御デバイス7の取り付け部との間に固定長を有するライン)と、長さが変化する移動式サスペンションラインとを含む。結果として、飛行軌道制御デバイス7は、特定の移動式サスペンションラインを引っ張る及び/または他の移動式サスペンションラインを解放するように設計され、これにより、牽引カイト5の空気力学的プロファイルは、その揚力、その軌道等を制御する目的で修正される。その軌道を制御するための牽引カイトのプロファイルの修正は従来的方式で実行されるため、ここでは、より詳細に説明しない。
【0029】
牽引カイト5は、加えて、誘導ライン9及び複数の折り畳みライン10A,10B,10Cも含み、それらの折り畳みラインは全て、少なくとも、それらの端のうちの少なくとも1つにおいて前縁16と一体になる。
【0030】
図2は、図1のように、船の牽引の段階の牽引システム1の側面図である。さらに、図2は、牽引システム1の構成要素を概略的に示す。
【0031】
牽引ライン8は、モーター、例えば電気モーターまたは油圧モーターによって制御されたウインチ11を用いてベースプラットフォーム3に接続され、モーターは、牽引カイト5が上昇することを可能にするために、牽引ライン8をほどくように設計されている、または、他方では、牽引カイト5をベースプラットフォーム3に近づけるために、この牽引ライン8を巻き上げるように設計されている。
【0032】
図1及び図2は牽引構成の牽引システム1を示し、牽引カイト5が展開し飛行中であり、本システムは船の推進に関与している。
【0033】
さらに、牽引システム1は、本発明の例では4つ存在するキャリッジ12A,12B,12C,12Dを有する。これらのキャリッジは、収納マスト4に摺動方式で固定され、それぞれ、電動式であり、収納マスト4に沿って各キャリッジの位置を制御できる。これらのキャリッジは、随意に、本明細書に説明される展開または再折り畳みの段階中、収納ラインまたは中間部、折り畳みライン10A,10B,10Cを用いて誘導ライン9を把持及び誘導するように設計されている。
【0034】
牽引カイト5は、加えて、後縁17を再び閉じることが可能になる閉鎖ライン13を含む。これらの閉鎖ライン13は牽引カイト5の横に延在し、その端の1つが後縁17に固定される一方、他端は前縁16の付近に位置付けられる。図2の破線に表される閉鎖ラインは、好ましくは、牽引カイト5の下部を移動し、変形として、牽引カイト5の上部を移動できる、または牽引カイト5の内部を通って移動できる。
【0035】
閉鎖ライン13は前縁16の付近のエリアから把持または操作でき、その結果、これらの閉鎖ライン13に対する牽引は、後縁17の1つ以上の部分に対する牽引を生じさせる。
【0036】
本発明の例では、異なる閉鎖ライン13は、前縁16から突出する1つ以上の主要ラインにグループ化される。
【0037】
閉鎖ラインは、好ましくは、収納マスト4の適切なデバイスによって把持される。キャリッジ12A,12B,12C,12Dのそれぞれは、特定のラインを選択的に把持することを可能にする自動締結手段または手動締結手段を有する。
【0038】
牽引システム1は、加えて、システムの異なるアクチュエーターのコマンド及び制御のための従来の電子手段によって構成される制御ユニット30を備える。この場合、具体的には、コマンドユニット30は、電動キャリッジ12A,12B,12C,12Dの位置ならびに運動、ウインチ11のアクション、及びシステムの動作に関与するいずれかの他のアクチュエーター、同様に、オプションの油圧ユニット及び関連のアクチュエーターを制御する。
【0039】
図3は、前面から見える、図1及び図2の位置における牽引カイト5を単独で示す。具体的には、この図3は、牽引カイト5を飛行軌道制御デバイス7に接続するサスペンションライン6のセット、誘導ライン9、及び折り畳みライン10A,10B,10Cを示す。
【0040】
本発明の例では、折り畳みラインは、折り畳みラインの3つのペアに分布し、3つのペアは、前縁16の中央部15を、前縁16に一定間隔で分布する他の点に対称的に接続する。実際に、前縁16は、
-牽引カイト5の2つの横端18の間に、前縁16の中央部に実質的に位置する、すなわち、この前縁16で実質的に等しい距離に位置する中央エリア15と、
-中央エリア15と横端18の一方との間にそれぞれ位置する2つの横側部と、を有する。
【0041】
結果として、複数の折り畳みライン10A,10B,10Cは、前縁に沿って互いに分離されながら前縁16に固定される。
【0042】
その部分に関する誘導ライン9は、中央エリア15を飛行軌道制御デバイス7に接続する。随意に、誘導ライン9は、中間部によって牽引カイト5に接続される。
【0043】
閉鎖ライン13は、また、直接的に、または誘導ライン9に接続されることによって、のいずれか一方で、前縁16の中央エリア15からアクセス可能である(図16及び図17を参照して与えられた例を参照)。
【0044】
結果として、ライン9,10A,10B,10C、及び13の全てはアクセス可能である、または前縁16の中央エリア15から作動できる。
【0045】
牽引システム1は、自動的に再折り畳み及び展開するように設計されている。ここで、図1及び図2の牽引位置から牽引システム1を再折り畳みするためのプロセスは、図4図8を参照して説明される。
【0046】
牽引カイト5が飛行段階にある図1及び図2から始まり、図4に示されるように、再折り畳みプロセスは、牽引カイト5をベースプラットフォーム3に運ぶために、ウインチ11を作動させることによって開始する。このステップは、飛行軌道制御デバイス7を、ベースプラットフォーム3に、例えば適切な支持部(表されない)に固定化する一方、牽引カイト5は風によって膨張し続ける。結果として、このステップは、好ましくは、風に対面する収納マスト4、ひいては牽引カイト5を指向することによって行われ、その結果、風向きは前縁16に垂直である。
【0047】
図4のこの位置から始まり、複数のラインはキャリッジ12A,12B,12C,12Dによって把持される。各キャリッジは、例えばフックまたは留め具等の締結手段を備え、摺動方式でラインを締め付けることを可能にする。これらの締結手段は、好ましくは、制御ユニット30によって制御されたアクチュエーターにより、自動的にラインに設置されるが、それらの締結手段は手動でも設置できる。また、キャリッジ12A,12B,12C,12Dの並進を使用して、2つのキャリッジの間の空間の運動により、いくつかのラインを牽引することによって把持されたラインを作動できる。
【0048】
本発明の例では、ラインは、以下のように、キャリッジによって把持される。
-誘導ライン9は、直接的または間接的に、第1のキャリッジ12Aによって把持される、
-折り畳みライン10Aの第1のペアは第2のキャリッジ12Bによって把持され、すなわち、キャリッジ12Bは、摺動方式で、2つのライン10Aを一緒に締め付ける、
-折り畳みライン10Bの第2のペアは第3のキャリッジ12Cによって把持される、
-折り畳みライン10Cの第3のペアは第4のキャリッジ12Dによって把持される。
【0049】
図4に示される変形に従って、キャリッジ12Aは収納ライン20を用いて誘導ライン9を留め、収納ライン20は、また制御ユニット30によって制御されたウインチ21から取得され、キャリッジ12Aのプーリーまたはリングを介して通過し、収納ライン20の端は、摺動方式で誘導ライン9に締結される。
【0050】
誘導ライン9での収納ライン20の締結及びウインチ21によってかけられた牽引は、前縁16の中央エリア15をキャリッジ12Aに対して保持することによって、ひいては収納マスト4に対して保持することによって、牽引カイト5を固定することを可能にする。
【0051】
同様に、他のキャリッジ12B,12C,12Dは、それぞれ、各対称のペアの折り畳みラインが接触する場合、中央エリア15で折り畳みライン10A,10B,10Cのペアを把持する。
【0052】
図4の位置から始まり、ライン9,10A,10B,10Cを把持した後、次に、折り畳みラインを締め付けるキャリッジ12B,12C,12Dはマスト4に沿って降下する。その降下中、キャリッジ12B,12C,12Dは、折り畳みラインに沿って摺動し、ラインのそれぞれを中央エリア15から垂直に引き出し、ひいては、牽引カイト5の2つで折り畳みが達成されるまで、横側部19をマスト4に近づける。図5は折り畳み位置へのキャリッジのこの降下の中間ステップを示し、これは、図6の斜視図で表される。この位置では、前縁16の横側部19は互いに対面する。図6のこの折り畳み位置では、牽引カイト5は、方向23及び/または方向24で、牽引カイト5を圧縮することを可能にするいずれかの手段によって収納できる。この収納は、専用の収納ラインに対する牽引、または代替として、閉鎖ライン13に対する牽引によって実行できる。閉鎖ライン13に対するこの牽引は、例えば、誘導ライン9(閉鎖ライン13に接続できる)の牽引によって及び/またはキャリッジを収納することによって実行でき、これらは表されない。
【0053】
結果として収納される牽引カイト5は、すぐに保管できる。
【0054】
概略的な図5は、キャリッジ及び牽引カイト5の協働を示す主要要素を前方に簡単に示し、軌道制御デバイス7またはサスペンションユニット6等の他の要素は、図を簡略化するために表されない。
【0055】
図6及び図7のこの位置から始まり、そして図7及び図8を参照すると、4つのキャリッジ12A,12B,12C,12Dは、次に、牽引カイト5をレセプタクル22に保管するために、収納マスト4に沿って摺動することによって降下する。このキャリッジの降下は、キャリッジの間の相互空間を維持することによって実行され、折り畳みライン10A,10B,10Cに対する牽引のメンテナンスを可能にする。結果として、牽引カイト5は、レセプタクル22に保管されるまでマストに沿って降下する。
【0056】
図8は再折り畳み位置に牽引システム1を示し、牽引カイト5は、レセプタクル22の内部に全体的に位置付けられる。
【0057】
図8のこの再折り畳み位置から始まり、ここで、牽引システム1を展開するためのプロセスは説明される。展開プロセスのステップは図8の再折り畳み位置から開始し、前述に説明した再折り畳みステップと逆順で行われる。
【0058】
キャリッジ12A,12B,12C,12Dは、最初に、収納マスト4に沿って摺動することによって持ち上がり、図6の折り畳み位置まで図7の位置に対応する位置を介して進み、牽引カイト5は、収納マスト4に沿って折り畳んで保持され、前縁16の中央エリア15は収納マスト4に対して保持される。
【0059】
図6のこの折り畳み位置は、また、図9の側面図で表される。この位置では、牽引カイト5は、さらに、収納ライン及び/または閉鎖ライン13に対する牽引のメンテナンスによって収納される。次に、牽引カイト5は、吹き流し式折り畳みステップに進む。牽引カイト5の収納が解放され、次に、ある程度の張力が閉鎖ライン13にかけられる。図10は、この段階を概略的に示し(リアリムの最大値は破線でされる)、牽引カイト5の収納を解放する一方、後縁17は閉鎖ライン13のアクションによって再び閉じる。
【0060】
次に、キャリッジ12B,12C,12Dは、図11図13に示される吹き流し式折り畳み位置まで、収納マスト4に沿って持ち上がる。この吹き流し式折り畳み位置では、
-折り畳みライン10A,10B,10Cは部分的に解放され、結果として、牽引カイト5は部分的に開く、
-閉鎖ライン13は部分的に解放される。
【0061】
この吹き流し式折り畳みステップは、図11の側面図、図12の斜視図、及び図13の前面図に示される。
【0062】
前縁16に関して、牽引カイト5が再折り畳み位置にあるとき、後縁17は、互いに対面する2つの横側部25を含む。吹き流し式折り畳みステップ中、後縁17は、後縁17に向かう横側部25の相互運動によって再び閉じる。後縁の閉鎖の概念は、横側部25が互いに部分的に近づくことにより、結果として、吹き流しの形態で折り畳まれた牽引カイト5によって作成されたレセプタクルのベースは部分的に閉じることを指す。結果として、牽引カイト5は、空気によって膨張するレセプタクルを形成する(牽引カイトは風に対面する)。前縁16の横側部19は、このレセプタクルのための開口部を形成する。
【0063】
制御ユニット30は、以下のように動作する吹き流し式折り畳みモードを含む。
-前縁16の中央エリア15は、誘導ライン9の牽引によって、収納マストにおける第1の高さ(キャリッジ12Aの高さ)で収納マスト4に対して保持される、
-前縁16の横側部19は、キャリッジ12B,12C,12Dの高さに対応する収納マスト4の3つの異なる高さで折り畳みライン10A,10B,10Cを牽引することによって、収納マスト4に対して保持され、これらの高さは該第1の高さよりも低い、
-後縁17は、閉鎖ライン13の牽引によって、後縁の横側部25を互いに近づけることによって再び閉じる。
【0064】
牽引カイト5の吹き流し式折り畳みは、風に対するある程度の安定した露出を可能にするその形態に対応する。
【0065】
図13の前面からの図に表されるように、閉鎖ライン13に対する部分的な牽引は、横側部25を互いに近づけ、その結果、単一の隙間開口部26だけが、吹き流しの形態で結果として折り畳まれた牽引カイト5によって形成されたレセプタクルのベース中に存在する。
【0066】
牽引カイト5は、風が弱まる等の不利な条件でも、安定した膨張及び保定からメリットがもたらされる。牽引カイト5の吹き流し式折り畳みは、牽引カイト5の安定化、開放、及び広げることを補助するために、牽引カイト5の形態を利用すること、ひいては、その結果として生じる引き込み及び揚力を利用することを可能にする。結果として、牽引カイト5は、その展開に好ましい位置に設置される。実際に、牽引カイト5の展開中、入射風の混乱は、牽引カイト5の展開を妨げる傾向がある、またはさらに防止する傾向がある。結果として、牽引カイト5のこの展開プロセスは、展開段階中、リスクを恐れることがなく自動化できる。
【0067】
吹き流し式折り畳み段階中、この位置で牽引カイト5によって作られる膨張レセプタクルの揚力は、好ましくは、閉鎖ライン13及び折り畳みライン10A,10B,10Cの両方に作用することによって、制御ユニット30によって動的に制御される。しかしながら、前縁16の中央エリア15は、吹き流し式折り畳み段階の全期間中、収納マスト4に対して保持される。吹き流しの形態で折り畳まれた、このタイプのカイトの動的制御の場合、閉鎖ライン13は、例えば、所与の風の状態に十分である隙間開口セクション16を取得するために制御される(引き出される、または逆に、動的に解放される)。例えば、牽引カイトに力を提供し、牽引カイトを安定させることを可能にするために、風速が下がるにつれて、後縁17が再び閉じるようになる。
【0068】
同様に、折り畳みライン10A,10B,10Cは、制御ユニット30によって動的に制御でき、制御ユニット30は、状態に従って、前縁16の横側部19をより大きいまたはより小さい程度に開くために、キャリッジ12B,12C,12Dの運動を制御する。キャリッジ12B,12C,12Dの高さは、牽引カイト5に、必要な吹き流し形態、より小さい開口部またはより大きい開口部を提供するために調整できる。前縁16は入力部を形成し、入力部の断面を調節できる。
【0069】
この吹き流し式折り畳み段階後、牽引カイト5が十分に安定し及び強力であるとき、牽引システムは、図14に示される牽引カイト5の開放ステップに進み、キャリッジ12B,12C,12Dは十分に持ち上がり、折り畳みライン10A,10B,10Cを完全に解放し、その結果、牽引カイト5は完全に開いているが、収納マスト4に対して前縁16の中央エリア15によって保持される。図15は、牽引カイト5のこの開放位置を斜視図で示す。
【0070】
次に、牽引カイト5は飛行の準備が整い、既に牽引力をかけていて、その結果、以下の展開ステップは、牽引ライン8を解放し、誘導ライン9を解放するために、ウインチ11を作動させることを含み、これにより、飛行位置に牽引カイト5の持ち上げを生じさせる。結果として、展開プロセスは完了する。
【0071】
さらに、図16及び図17は、牽引カイト5の部分図であり、閉鎖ライン13の実施形態に関する2つの例示的変形に関する。
【0072】
図16に示される第1の変形によると、
-誘導ライン9の端は、牽引カイト5の後縁17の上に(例えば、縫うことによって)固定される、
-異なる閉鎖ライン13Aは、後縁のその締結部から牽引カイト5の下部を移動し、単一の閉鎖ライン13Bに接触する。
【0073】
単一の閉鎖ライン13Bは前縁16から突出する。この例では、このライン13Bは、牽引カイトに固定されるリング27を介して出る。
【0074】
誘導ライン9及び単一の閉鎖ライン13Bは、収納マスト4のキャリッジによって互いに独立して把持でき、互いに独立して制御できる。吹き流し式折り畳みステップ中、結果として、誘導ライン9は、収納マスト4に対して把持され及び引き出される一方、単一の閉鎖ライン13Bは、最終的に、牽引カイト5の開放ステップ中に、完全に解放するために、カイト吹き流しの形態で折り畳まれた動的制御中に、引き出される、または解放する。
【0075】
この変形について、全ての実施形態に関して、誘導ライン9は、図16に示されるように、前縁16に直接接続できる、または、誘導ライン9は、中間要素に接続でき、中間要素自体は、前縁への接続部によって接続される(この接続部は、繊維接続部、リブ等の接続プレート、または中間要素を牽引カイトの前縁に接続するためのいずれかの他の手段にすることが可能である)。
【0076】
図17は、誘導ライン9及び閉鎖ラインの配置の第2の変形を示す。ここでは、閉鎖ライン13Aは、誘導ライン9が取り付けられる単一の点で接触する。言い換えれば、誘導ライン9は、閉鎖ライン13Aに延在する。閉鎖ライン13Aに延在する前に、誘導ライン9はクランプ手段28を通過し、クランプ手段28は、可撓接続31を用いて牽引カイト5に取り付けられる(または、クランプ手段28は、牽引カイト5の布に直接固定される)。
【0077】
この場合、クランプ手段28は、誘導ラインを前縁16に対して固定するために、誘導ライン9で閉鎖可能であるジョー29を備える。他方では、(例えば、制御ユニット30によって制御された電気機械コマンドを用いて)ジョー29を解放でき、ひいては、クランプ手段28における誘導ライン9の自由摺動を可能にし、その結果、誘導ライン9に対する牽引は、閉鎖ライン13に対する牽引を生じさせる。
【0078】
吹き流し式折り畳み段階前、牽引カイト5は、最初に、誘導ライン9に対する牽引により、収納マスト4に対して保持されると同時に、ジョー29を閉じる。吹き流し式折り畳み段階中、閉鎖ライン13の解放は、閉鎖ライン13に必要な解放が達成されるまで、ジョー29を開くことによって、また、誘導ライン9を解放することによって行うことができ、次に、ジョー29は、収納マスト4に対する前縁16の保定を確実にするために、もう一度閉じる。
【0079】
図18及び図19は、牽引カイト5の後縁17に閉鎖ライン13の配置の2つの実施形態を示す。
【0080】
図18を参照すると、閉鎖ライン13は、牽引カイトに固定されるリング33により後縁17に対して移動できる。代替として、リング33は、プーリーに交換できる、または摺動方式で閉鎖ライン13を保持するいずれかの他の要素に交換できる。この例では、単一の閉鎖ラインは中央リング33を2重に通過し、後縁に対してループを形成する。閉鎖ライン13の2つの螺旋構造に対する牽引は、後縁17の閉鎖を生じさせ、結果として、前述に説明した吹き流し式折り畳みを可能にする。
【0081】
図19は、閉鎖ライン13の簡略化された配置の別の例を提供する。単一の閉鎖ライン13は、後縁17に位置付けられた3つのリング33を介して通過する。閉鎖ライン13の端は、牽引カイト5で固定点32と一体になる。同様に、閉鎖ラインに対する牽引は吹き流し式折り畳みを生じさせる。
【0082】
結果として、閉鎖ライン13は、これらの横側部25の1つにそれぞれ位置付けられた2つのリング33の間にループを形成することによって、後縁17の2つの横側部25を接続する。閉鎖ライン13は、後縁17の外周を減らすように設計されているループにより投げ縄の方式で作用し、ダイヤフラムのアクションと同様のアクションによって、ループを円形にする。
【0083】
牽引システム1及びその展開プロセスの変形実施形態を想定できる。具体的には、誘導ライン、及び折り畳みラインならびに閉鎖ラインは、説明される吹き流し式折り畳みステップを確実にするために、その配置、ジオメトリ、及び数が変わる可能性がある。
【0084】
さらに、誘導ライン9は、異なる方法で牽引カイトの前縁に対する牽引の機能を満足できる。例えば、誘導ライン9は、飛行軌道制御デバイスよりもむしろ、ベースプラットフォームに直接接続できる。また、誘導ライン9は、この誘導ライン9に摺動方式で接続されるであろう収納ライン20に永久的に接続できる。
【0085】
また、吹き流し式折り畳みステップは、折り畳む前にある程度の安定性を牽引カイトに提供し、より慎重な折り畳みを保証するために、牽引カイトの再折り畳み段階中に実施できる。
【0086】
前縁と後縁との間に牽引カイトに沿った閉鎖ラインの運動は、吹き流し式折り畳みステップ中、後縁の閉鎖を確実にしながら、異なって調整できる。例えば、閉鎖ラインは、後縁に沿って、すなわち、吹き流し式折り畳み中に後縁によって構成された周縁に位置付けられた螺旋構造を含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繋留翼牽引システムを展開するためのプロセスであって、前記繋留翼牽引システムは牽引(5)を含み、前記牽引(5)は、風の影響下で牽引力を生成するように設計され、収納マスト(4)が設けられるベースプラットフォーム(3)に対して展開及び再折り畳みされるように設計され、前記牽引(5)は、2つの横側部(25)を含む後縁(17)と、中央エリア(15)及び2つの横側部(19)を含む前縁(16)と、を有し、前記プロセスは前記牽引(5)を前記収納マスト(4)に対して飛行させるステップを含み、前記プロセスは、飛行ステップ前に、前記牽引(5)の吹き流し式折り畳みステップを含み、
-前記前縁(16)の前記中央エリア(15)は、前記収納マスト(4)における第1の高さで前記収納マスト(4)に対して保持され、
-前記前縁(16)の前記横側部(19)は、前記第1の高さよりも低い少なくとも前記収納マスト(4)における第2の高さで前記収納マスト(4)に対して保持され、前縁(16)は円形開口部を伴う吹き流し式空気入口を形成し、
-前記後縁(17)は、前記後縁(17)の前記横側部(19)を互いに近づけることによって再び閉じる、プロセス。
【請求項2】
前記前縁(16)の前記中央エリア(15)の前記収納マスト(4)に対する保定は、前記前縁(16)の前記中央エリア(15)に接続されるラインの牽引によって提供されることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記前縁の前記横側部(19)の前記収納マスト(4)に対する保定は、前記前縁(16)に沿って互いに分離されながら、前記前縁(16)に固定された端をそれぞれ有する折り畳みライン(10A,10B,10C)の牽引によって提供されることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のプロセス。
【請求項4】
前記折り畳みライン(10A,10B,10C)は対称なペアで位置付けられ、折り畳みラインの各ペアは、前記前縁(16)の前記中央エリア(15)を前記前縁(16)の別のエリアに接続することと、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)の前記牽引は、折り畳みラインの各ペアの前記2つのラインで一緒に引っ張ることよって提供されることと、を特徴とする、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記前縁(16)の前記横側部(19)の前記収納マスト(4)に対する保定は、前記収納マスト(4)に沿って少なくとも3つの高さに続く対称の折り畳みライン(10A,10B,10C)の少なくとも3つのペアの牽引によって提供されることを特徴とする、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記後縁(17)の閉鎖は、前記後縁(17)に接続された少なくとも1つの閉鎖ライン(13)の牽引によって実行されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記吹き流し式折り畳みステップ中、前記閉鎖ライン(13)は、前記収納マスト(4)に沿って摺動する第1のキャリッジ(12A)によって把持されることを特徴とする、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記吹き流し式折り畳みステップ中、折り畳みライン(10A,10B,10C)は、それぞれ、前記第1のキャリッジ(12A)の下に位置するキャリッジ(12A,12B,12C)によって摺動方式で把持されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記前縁(16)の前記中央エリア(15)に接続される前記ラインは、クランプ手段(28)によって、前記中央エリア(15)に接続され、閉鎖ライン(13)に接続され、前記吹き流し式折り畳みステップは、前記閉鎖ライン(13)を解放または牽引する動作を含み、前記動作は、以下のタスク、つまり、
-前記クランプ手段(28)を開くタスクと、
-前記前縁(16)の前記中央エリア(15)に接続される前記ラインを解放または牽引して、前記閉鎖ライン(13)に対する解放または牽引を生じさせるタスクと、
-前記クランプ手段(28)を閉じるタスクと、
を含むことを特徴とする、請求項2~8の1項に記載のプロセス。
【請求項10】
繋留翼牽引システムであって、
-風の影響下で牽引力を生成するように設計され、収納マスト(4)が設けられるベースプラットフォーム(3)に対して展開及び再折り畳みされるように設計されている、牽引(5)であって、2つの横側部(25)を含む後縁(17)と、中央エリア(15)及び2つの横側部(19)を含む前縁(16)と、を有する、牽引(5)と、
-前記前縁(16)に沿って相互に分離されながら、前記前縁(16)に固定された自由端をそれぞれ有する複数の折り畳みライン(10A,10B,10C)と、を含み、
前記牽引システムは、
-前記前縁(16)の前記中央エリア(15)に接続されるラインと、
-前記後縁(17)に接続される少なくとも1つの閉鎖ライン(13)と、
-前記中央エリア(15)に接続される前記ライン、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)、及び前記閉鎖ライン(13)に対する牽引を制御するように設計された制御ユニット(30)と、を備え、前記制御ユニット(30)は吹き流し式折り畳みモードを含み、前記吹き流し式折り畳みモードでは、前記前縁(16)の前記中央エリア(15)は、前記中央エリア(15)に接続される前記ラインを牽引することによって、前記収納マスト(4)における第1の高さで前記収納マスト(4)に対して保持され、前記前縁(16)の前記横側部(19)は、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)を牽引することによって、前記第1の高さよりも低い少なくとも前記収納マスト(4)における第2の高さで前記収納マスト(4)に対して保持され、前記後縁(17)は、前記閉鎖ライン(13)の牽引の影響下で、前記後縁(17)の前記横側部(19)を互いに近づけることによって再び閉じる、繋留翼牽引システム。
【請求項11】
前記折り畳みライン(10A,10B,10C)は対称なペアで位置付けられ、折り畳みラインの各ペアは、前記前縁(16)の前記中央エリア(15)を前記前縁(16)の別のエリアに接続することと、前記折り畳みライン(10A,10B,10C)の前記牽引は、折り畳みラインの各ペアの前記2つのラインで一緒に引っ張ることよって提供されることと、を特徴とする、請求項10に記載の牽引システム。
【請求項12】
前記牽引システムはキャリッジ(12A,12B,12C,12D)を備え、前記キャリッジ(12A,12B,12C,12D)は、前記収納マスト(4)に沿って摺動し、摺動方式で、前記中央エリア(15)に接続される前記ライン、及び前記折り畳みライン(10A,10B,10C)を把持するように設計され、これらのキャリッジ(12A,12B,12C,12D)は、前記制御ユニット(30)が前記吹き流し式折り畳みモードであるとき、前記収納マスト(4)に沿って互いに分離することを特徴とする、請求項10または11の1項に記載の牽引システム。
【請求項13】
前記中央エリア(15)に接続される前記ラインは、クランプ手段(28)によって前記中央エリア(15)に接続され、前記閉鎖ライン(13)に接続され、前記制御ユニット(30)が前記クランプ手段(28)を制御するように設計されているため、前記吹き流し式折り畳みモードであるとき、前記制御ユニット(30)は、連続して、
-前記クランプ手段(28)を開くことと、
-前記閉鎖ライン(13)に対する解放または牽引を生じさせながら、前記中央エリア(15)に接続される前記ラインを解放または引っ張ることと、
-前記クランプ手段(28)を閉じることと、
を行うように設計されていることを特徴とする、請求項10~12の1項に記載の牽引システム。
【請求項14】
前記閉鎖ラインは前記後縁(17)に沿って移動すると同時に、リング(33)を通過することを特徴とする、請求項10~13の1項に記載の牽引システム。
【請求項15】
前記閉鎖ライン(13)は前記後縁(17)の前記2つの横側部(25)を接続することを特徴とする、請求項14に記載の牽引システム。
【請求項16】
前記閉鎖ライン(13)は、前記後縁(17)の横側部(25)にそれぞれ位置付けられた2つのリング(33)の間にループを形成することを特徴とする、請求項15に記載の牽引システム。
【国際調査報告】