(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】スパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20240228BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
C23C14/34 T
H05H1/46 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554921
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2022078197
(87)【国際公開番号】W WO2022188645
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】202110269016.2
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521497279
【氏名又は名称】チャンスー フェイヴァード ナノテクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ゾン ジアン
【テーマコード(参考)】
2G084
4K029
【Fターム(参考)】
2G084AA04
2G084BB02
2G084BB14
2G084CC04
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084DD14
2G084DD22
2G084DD38
2G084DD63
4K029AA24
4K029CA05
4K029CA06
4K029DA04
4K029DC13
4K029DC35
(57)【要約】
本発明は、スパッタリングコーティング装置とスパッタリングコーティングアセンブリを開示しており、前記スパッタリングコーティング装置は、ターゲット材を衝撃してスパッタリングコーティング方式により基体の表面に膜層を形成するためのものであり、前記スパッタリングコーティング装置は、反応室を有する反応キャビティと、電極アセンブリと、放電コイルアセンブリとを含み、前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリは前記反応室内に設けられ、スパッタリングコーティング時に、前記基体は前記反応室内に収容され、前記ターゲット材は前記電極アセンブリに設けられ、前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリとは無線周波数電源に電気的に接続され、前記無線周波数電源によって前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリに、動作させる無線周波数電流を提供することで、前記基体の表面に堆積して膜層を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット材を衝撃してスパッタリングコーティング方式により基体の表面に膜層を形成するためのスパッタリングコーティング装置であって、
反応室を有する反応キャビティと、
電極アセンブリと、
放電コイルアセンブリと、を含み、
前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリは前記反応室内に設けられ、スパッタリングコーティング時に、前記基体は前記反応室内に収容され、前記ターゲット材は前記電極アセンブリに設けられ、前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリとは無線周波数電源に電気的に接続され、前記無線周波数電源によって前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリに、動作させる無線周波数電流を提供することで、前記基体の表面に堆積して膜層を形成することを特徴とするスパッタリングコーティング装置。
【請求項2】
前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の放電側に積層設置された誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層に積層設置されることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項3】
前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項4】
前記放電コイルアセンブリは前記電極アセンブリの下方に位置し、前記基体は、前記放電コイルアセンブリの下方に設けられるのに適していることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項5】
前記放電コイルアセンブリは、コイルと離隔スリーブを含み、前記コイルは前記離隔スリーブに巻かれたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項6】
前記離隔スリーブは、第1の開口、第2の開口及び離隔空間を有し、前記離隔空間は、前記第1の開口と前記第2の開口を介して外部に連通し、前記第1の開口は前記ターゲット材に向けられ、前記第2の開口は前記基体に向けられることを特徴とする請求項5に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項7】
前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリの一端は、前記無線周波数電源の出力端に共通に接続され、前記反応キャビティと前記放電コイルアセンブリの他端は、前記無線周波数電源の接地端に共通に接続されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項8】
前記放電コイルアセンブリの中軸線は前記電極アセンブリに対して垂直であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項9】
前記放電電極アセンブリ、前記放電コイルアセンブリ及び前記基体は、垂直方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項10】
前記放電コイルアセンブリは、コイルを含み、前記コイルは平面ソレノイドコイルであり、前記コイルは前記電極アセンブリの一側面に設けられることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項11】
前記電極アセンブリは内空間を有し、前記放電コイルアセンブリは前記内空間に設けられることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項12】
前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の外側を取り囲む誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層外側に設けられることを特徴とする請求項11に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項13】
前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられることを特徴とする請求項11に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項14】
前記放電コイルアセンブリは、前記電極アセンブリと同軸に設置されることを特徴とする請求項12~13のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項15】
前記放電電極は、複数の電極ユニットを含み、複数の前記電極ユニットが環状に配置されることで前記内空間が形成され、隣接する2つの前記電極ユニットの間には間隙が設けられていることを特徴とする請求項12~13のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項16】
絶縁材料は、前記間隙に充填されることを特徴とする請求項15に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項17】
前記誘電体層は連続筒状構造であることを特徴とする請求項12に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項18】
ターゲット材を衝撃してスパッタリングコーティング方式により基体の表面に膜層を形成するためのスパッタリングコーティング設備であって、
反応室を有する反応キャビティと、
電極アセンブリと、
放電コイルアセンブリと、
無線周波数電源と、を含み、
前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリは前記反応キャビティの前記反応室内に設けられ、前記ターゲット材は前記電極アセンブリに設けられ、スパッタリングコーティング時に、前記基体は前記反応室内に収容され、前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリとは前記無線周波数電源に電気的に接続され、前記無線周波数電源によって前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリに、動作させる無線周波数電流を提供することで、前記基体の表面に堆積して膜層を形成することを特徴とするスパッタリングコーティング設備。
【請求項19】
前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の放電側に積層設置された誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層に積層設置されることを特徴とする請求項18に記載のスパッタリングコーティング設備。
【請求項20】
前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられることを特徴とする請求項18に記載のスパッタリングコーティング設備。
【請求項21】
前記放電コイルアセンブリは、コイルと離隔スリーブを含み、前記コイルは前記離隔スリーブに巻かれたことを特徴とする請求項18~20のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング設備。
【請求項22】
前記放電コイルアセンブリは、コイルを含み、前記コイルは平面ソレノイドコイルであり、前記コイルは前記電極アセンブリの一側面に設けられることを特徴とする請求項18~20のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング設備。
【請求項23】
前記電極アセンブリは内空間を有し、前記放電コイルアセンブリは前記内空間に設けられることを特徴とする請求項18に記載のスパッタリングコーティング設備。
【請求項24】
前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の外側を取り囲む誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層外側に設けられることを特徴とする請求項23に記載のスパッタリングコーティング設備。
【請求項25】
反応キャビティ内に取り付けられ、前記反応キャビティで基体をスパッタリングコーティングするのに適するスパッタリングコーティング放電アセンブリであって、
電極アセンブリと、
コイルと、を含み、
スパッタリングコーティング時に、ターゲット材は前記電極アセンブリに設けられ、前記コイルは前記ターゲット材に設けられ、前記電極アセンブリと前記コイルとは無線周波数電源に電気的に接続され、前記無線周波数電源によって前記電極アセンブリと前記コイルに、動作させる無線周波数電流を提供することで、前記基体の表面に堆積して膜層を形成することを特徴とするスパッタリングコーティング放電アセンブリ。
【請求項26】
前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の放電側に積層設置された誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層に積層設置されることを特徴とする請求項25に記載のスパッタリングコーティング放電アセンブリ。
【請求項27】
前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられることを特徴とする請求項25に記載のスパッタリングコーティング放電アセンブリ。
【請求項28】
前記コイルは平面ソレノイドコイルであり、前記コイルは前記放電電極の一側面に設けられることを特徴とする請求項26~27のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング放電アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年03月12日にて、中国特許庁に提出され、出願番号が202110269016.2であり、発明の名称が「スパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリ」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用されることで、本出願に結合される。
【0002】
本発明は、コーティングという分野に関し、さらに、スパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
スパッタリングコーティングは、表面コート層を製作する物理的気相成長法として広く採用されているものであり、真空室では荷電粒子によりターゲットの表面に衝撃し、衝撃されて出てきた粒子を基材の表面に堆積させてコート層を形成する技術である。従来の真空蒸着に比べて、スパッタリングコーティングは、膜層と基材の間の付着力が強く、高融点物質フィルムの製造を容易にし、反応性スパッタリングを行って化合物膜を製造することが可能である等のような、多くの利点がある。
【0004】
最も簡単なスパッタリングコーティング方法は、直流ダイオードスパッタリングであり、一対の陰極と陽極でグロー放電構造を構成し、さらにスパッタリングコーティングを行う方法である。直流ダイオードスパッタリング方法において、陰極をスパッタリングターゲットとして、コーティング対象である基材を2つの電極間又は陽極に置き、適当な空気圧で、2つの電極間に直流高圧を印加し、ガスを放電させてプラズマを生成させ、そのうちのイオンが陰極電界の作用で、陰極ターゲットへの衝撃を加速し、ターゲット物質が表面からスパッタリングされて出て、基材の表面に堆積されてコート層が形成される。しかし、直流ダイオードの放電効率が低いためプラズマ密度が低く、スパッタリング収率及び堆積率が低くなってしまう。直流ダイオードスパッタリングは実際にほとんど使用されていない。
【0005】
スパッタリングコーティング効率を高めるために、人々は、一般的な直流ダイオードスパッタリングを改善し、陰極ターゲットの背後に磁石を取り付け、陰極の付近に数百ガウス以上の強い磁場を形成し、電子を陰極の付近に拘束することで、放電効率を大幅に高め、スパッタリング率を大幅に高めるということは、よく知られている直流マグネトロンスパッタリング方法である。直流マグネトロンスパッタリング方法は、金属、合金、導電性化合物コート層の製作に非常に広く応用されている。
【0006】
しかし、絶縁材料を陰極として放電を発生させることができないため、直流ダイオードスパッタリング方法も直流マグネトロンスパッタリング方法も絶縁材料コート層の製作に使用できない。スパッタリング効果を利用して絶縁材料コート層を製作するために、人々は、無線周波数放電を利用することを考え、2つの電極間に無線周波数電圧を印加し、絶縁材料であるターゲット材をシート状にして無線周波数駆動電極に固定し、コーティング対象である基材を2つの電極間又は接地電極に置く。無線周波数電界は、絶縁材料であるターゲットを通って両極間で放電してプラズマを生成し、プラズマとともに絶縁材料であるターゲットの表面に作用し自己バイアスを形成し、イオンによるターゲット材への衝撃を加速して、ターゲット物質がスパッタリングされて出て基材の表面に堆積されてコート層が形成される。このような無線周波数放電を利用したスパッタリングコーティング方法は、無線周波数スパッタリングと呼ばれる。典型的な無線周波数スパッタリング周波数は13.56MHzである。
【0007】
直流ダイオードスパッタリング方法と類似し、無線周波数スパッタリング方法にも、放電効率が低く、プラズマ密度が低く、スパッタリング収率及び堆積率が低いという問題がある。この問題を解決するために、自然な解決策の1つとして、無線周波数放電とマグネトロン陰極を組合せ、即ち、無線周波数電圧をマグネトロンスパッタリングターゲットに加えるものであり、これが無線周波数マグネトロンスパッタリングである。
【0008】
しかしながら、無線周波数マグネトロンスパッタリングでは、直流マグネトロンスパッタリングの直流ダイオードスパッタリングに対する顕著な堆積効率の向上は得られなかった。無線周波数スパッタリングに対して、無線周波数マグネトロンスパッタリングの堆積率の向上は非常に限られている。典型的な直流マグネトロンスパッタリングの堆積率は1分毎に数百ナノメートルであるのに対して、典型的な無線周波数マグネトロンスパッタリングの堆積率は1分毎に数ナノメートルしかなく、このような低い堆積率は、産業における無線周波数マグネトロンスパッタリングの応用を著しく制約している。多くの産業における絶縁フィルムの製作には、通常は不純物や、汚染などの問題を伴うにもかかわらず、許容可能なのコート層効率を得るために化学气相堆積等の代替手段を採用している。無線周波数マグネトロンスパッタリングは、コストを無視した基礎的な科学研究で採用されることが多い。
【0009】
実際には、プラズマ物理知識を利用して詳しく分析すると、無線周波数マグネトロンスパッタリングは1つの合理的な解決策ではないことが分かる。ターゲットの付近に磁場が存在することにより、電子のサイクロトロン運動によって電子の無線周波数電界への応答が抑制され、電子による無線周波数エネルギーの吸收が抑制される。そこで、一方では、イオン化を弱め、他方では、自己バイアス効果を弱めるため、衝撃ターゲット材のイオンのエネルギーとフラックスも効果的に増大させることができない。これは、無線周波数マグネトロンスパッタリングの堆積効率が顕著に向上できない理由である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの利点は、プラズマ密度を高めるために磁場を形成する必要がなく、磁場の存在による電子サイクロトロンを回避するスパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリを提供することである。
【0011】
本発明の1つの利点は、放電コイルと電極との協働により、ターゲット材の付近空間に高密度プラズマを形成して、膜層を迅速に形成するスパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリを提供することである。
【0012】
本発明の1つの利点は、絶縁又は非絶縁材料の膜層を形成することができ、つまり、膜層材料のタイプの制限が少ないスパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリを提供することである。
【0013】
本発明の1つの利点は、磁場を使用せずに動作するので、磁気的に拘束されたプラズマに起因する空間の不均一性が回避され、形成される膜層がより均一になるスパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリを提供することである。
【0014】
本発明の1つの利点は、電極、ターゲット材及び放電コイルは、互いにカバーする領域が大きいため、ターゲット材のエッチングが均一であり、ターゲット材の利用率が高いスパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリを提供することである。
【0015】
本発明の1つの利点は、誘電体層によって電極とターゲット材とを離隔して、異なるタイプのターゲット材を基体の表面に効率的に堆積させることができ、ターゲット材の電気的性能によりその堆積効率に影響を与えることはないスパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリを提供することである。
【0016】
本発明の1つの利点は、一実施例では、離隔スリーブによりコイル放電領域を拘束し、さらに、電極放電領域と放電コイルの放電領域が順方向に結合されてから互いに原料ガスに作用するスパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリを提供することである。
【0017】
本発明の1つの利点は、スパッタリングの堆積領域は、電極と放電コイルの付近、例えば、上方、下方、垂直方向、斜め上又は斜め下に位置するスパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリを提供することである。
【0018】
本発明の1つの利点は、一実施例では、堆積領域は電極とコイルの平行領域に位置し、ターゲット材の周囲で多層又はバッチでコーティングを行うことを容易にするスパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリを提供することである。
【0019】
本発明の1つの利点は、一実施例では、複数のスパッタリングの堆積領域を並行に形成し、大面積又はバッチでスパッタリング堆積コーティングを行うことを容易にするスパッタリングコーティング装置と設備及びそのスパッタリングコーティングアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以上の少なくとも1つの利点を実現するために、本発明の一態様は、スパッタリングコーティング装置を提供し、ターゲット材を衝撃してスパッタリングコーティング方式により基体の表面に膜層を形成するためのスパッタリングコーティング装置であって、
反応室を有する反応キャビティと、
電極アセンブリと、
放電コイルアセンブリと、を含み、
前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリは前記反応室内に設けられ、スパッタリングコーティング時に、前記基体は前記反応室内に収容され、前記ターゲット材は前記電極アセンブリに設けられ、前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリとは無線周波数電源に電気的に接続され、前記無線周波数電源によって前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリに、動作させる無線周波数電流を提供することで、前記基体の表面に堆積して膜層を形成する。
【0021】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の放電側に積層設置された誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層に積層設置される。
【0022】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられる。
【0023】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記放電コイルアセンブリは前記電極アセンブリの下方に位置し、前記基体は、前記放電コイルアセンブリの下方に設けられるのに適している。
【0024】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記放電コイルアセンブリは、コイルと離隔スリーブを含み、前記コイルは前記離隔スリーブに巻かれた。
【0025】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記離隔スリーブは、第1の開口、第2の開口及び離隔空間を有し、前記離隔空間は、前記第1の開口と前記第2の開口を介して外部に連通し、前記第1の開口は前記ターゲット材に向けられ、前記第2の開口は前記基体に向けられる。
【0026】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリの一端は、前記無線周波数電源の出力端に共通に接続され、前記反応キャビティと前記放電コイルアセンブリの他端は、前記無線周波数電源の接地端に共通に接続される。
【0027】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記放電コイルアセンブリの中軸線は前記電極アセンブリに対して垂直である。
【0028】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記放電コイルアセンブリは、コイルを含み、前記コイルは平面ソレノイドコイルであり、前記コイルは前記放電電極の一側面に設けられる。
【0029】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記電極アセンブリは内空間を有し、前記放電コイルアセンブリは前記内空間に設けられる。
【0030】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の外側を取り囲む誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層外側に設けられる。
【0031】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられる。
【0032】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記放電コイルアセンブリは、前記電極アセンブリと同軸に設置される。
【0033】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記放電電極は、複数の電極ユニットを含み、複数の前記電極ユニットが環状に配置されることで前記内空間が形成され、隣接する2つの前記電極ユニットの間には間隙が設けられている。
【0034】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、絶縁材料は、前記間隙に充填される。
【0035】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング装置によれば、前記誘電体層は連続筒状構造である。
【0036】
本発明の別の態様は、スパッタリングコーティング設備を提供し、ターゲット材を衝撃してスパッタリングコーティング方式により基体の表面に膜層を形成するためのスパッタリングコーティング設備であって、
反応室を有する反応キャビティと、
電極アセンブリと、
放電コイルアセンブリと、
無線周波数電源と、を含み、
前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリは前記反応キャビティの前記反応室内に設けられ、前記ターゲット材は前記電極アセンブリに設けられ、スパッタリングコーティング時に、前記基体は前記反応室内に収容され、前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリとは前記無線周波数電源に電気的に接続され、前記無線周波数電源によって前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリに、動作させる無線周波数電流を提供することで、前記基体の表面に堆積して膜層を形成する。
【0037】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング設備によれば、前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の放電側に積層設置された誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層に積層設置される。
【0038】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング設備によれば、前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられる。
【0039】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング設備によれば、前記放電コイルアセンブリは、コイルと離隔スリーブを含み、前記コイルは前記離隔スリーブに巻かれた。
【0040】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング設備によれば、前記放電コイルアセンブリは、コイルを含み、前記コイルは平面ソレノイドコイルであり、前記コイルは前記電極アセンブリの一側面に設けられる。
【0041】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング設備によれば、前記電極アセンブリは内空間を有し、前記放電コイルアセンブリは前記内空間に設けられる。
【0042】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング設備によれば、前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の外側を取り囲む誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層外側に設けられる。
【0043】
本発明の別の態様は、スパッタリングコーティング放電アセンブリを提供し、反応キャビティ内に取り付けられ、前記反応キャビティで基体をスパッタリングコーティングするのに適するスパッタリングコーティング放電アセンブリであって、
電極アセンブリと、
コイルと、を含み、
スパッタリングコーティング時に、前記ターゲット材は前記電極アセンブリに設けられ、前記コイルは前記ターゲット材に設けられ、前記電極アセンブリと前記コイルとは無線周波数電源に電気的に接続され、前記無線周波数電源によって前記電極アセンブリと前記コイルに、動作させる無線周波数電流を提供することで、前記基体の表面に堆積して膜層を形成する。
【0044】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング放電アセンブリによれば、前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の放電側に積層設置された誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層に積層設置される。
【0045】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング放電アセンブリによれば、前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられる。
【0046】
一実施例に記載のスパッタリングコーティング放電アセンブリによれば、前記放電コイルアセンブリは、コイルを含み、前記コイルは平面ソレノイドコイルであり、前記コイルは前記放電電極の一側面に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の第1の実施例によるスパッタリングコーティング装置の概略図である。
【
図2A】本発明の第1の実施例によるスパッタリングコーティング装置の電極アセンブリと放電コイルアセンブリの異なる実施形態における相対位置の概略図である。
【
図2B】本発明の第1の実施例によるスパッタリングコーティング装置の電極アセンブリと放電コイルアセンブリの異なる実施形態における相対位置の概略図である。
【
図3A】本発明の第1の実施例によるスパッタリングコーティング装置の放電コイルアセンブリとターゲット材の異なる実施形態における相対位置の概略図である。
【
図3B】本発明の第1の実施例によるスパッタリングコーティング装置の放電コイルアセンブリとターゲット材の異なる実施形態における相対位置の概略図である。
【
図4】本発明の第2の実施例によるスパッタリングコーティング装置の概略図である。
【
図5】本発明の第2の実施例によるスパッタリングコーティング装置の多層スタンドの概略図である。
【
図6】本発明の第3の実施例によるスパッタリングコーティング装置の概略図である。
【
図7】本発明の第4の実施例によるスパッタリングコーティング装置の概略図である。
【
図8】本発明の第5の実施例によるスパッタリングコーティング装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下の記載は、当業者が本発明を実現できるように本発明を開示するためである。以下の記載における好適な実施例は、例示とするだけであり、当業者は、他の自明な変形を想到できる。以下の記載に定められる本発明の基本的原理は、他の実施案、変形案、改善案、均等案、及び本発明の精神と範囲を逸脱しない他の技術案に適用されることができる。
【0049】
当業者が理解すべきなのは、本発明の開示において、用語である「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」等が指示する方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、示された装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構造され操作されることを指示又は暗示することがなく、本発明の記載を便利にしかう記載を簡単化するためだけであり、よって、上記用語は、本発明に対する制限と理解できない。
【0050】
理解するように、用語である「一」は、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」と理解すべきであり、即ち、一実施例において、1つの素子の数は1つであってもよく、別の実施例において、この素子の数は複数であってもよく、用語である「一」は、数量に対する制限と理解できない。
【0051】
「一実施例」、「実施例」、「例示的な実施例」、「様々な実施例」、「いくつかの実施例」等の引用指示のような本発明を記載する実施例は、特定の特徴、構造又は特性を含むことができるが、それぞれの実施例は、この特徴、構造又は特性を含む必要があるわけではない。なお、いくつかの実施例は、他の実施例について記載した特徴におけるいくつか、全ての特徴を有してもよく、又はこのような特徴を有しなくてもよい。
【0052】
図1は、本発明の第1の実施例によるスパッタリングコーティング装置1の概略図である。
図2A-2Bは、本発明の第1の実施例によるスパッタリングコーティング装置の電極アセンブリと放電コイルアセンブリの異なる実施形態における相対位置の概略図である。
図3A-3Bは、本発明の第1の実施例によるスパッタリングコーティング装置の放電コイルアセンブリとターゲット材の異なる実施形態における相対位置の概略図である。
【0053】
図1を参照し、本発明は、スパッタリングコーティング装置1を提供し、前記スパッタリングコーティング装置1は、荷電粒子によりターゲット材200の表面に衝撃し、衝撃されて出てきた粒子を基体100の表面に堆積させてコート層又はフィルムを形成する。つまり、前記スパッタリングコーティング装置1は、スパッタリングコーティングのプロセス原理により前記基体100の表面又は所定の位置にフィルムを形成する。
【0054】
前記スパッタリングコーティング装置1は、スパッタリングコーティング方式により絶縁膜層又は非絶縁膜層を形成するのに適し、例えば、金属、合金、導電性化合物で形成されたコート層が挙げられるが、これらに限定されず、絶縁コート層の原料として、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンドライクカーボンが挙げられるが、これらに限定されず、導電コート層として、例えば、窒化チタン、窒化クロム、酸化インジウムスズ、イットリウム・バリウム・銅酸化物 が挙げられるが、これらに限定されず、前記ターゲット材200として、例えば、ケイ素、アルミニウム、チタン、クロム、黒鉛、窒化ホウ素、酸化インジウムスズ、イットリウム・バリウム・銅酸化物 が挙げられるが、これらに限定されていない。
【0055】
前記スパッタリングコーティング装置1は、反応キャビティ10、電極アセンブリ20、及び放電コイルアセンブリ30を含む。前記反応キャビティ10は、スパッタリングコーティングの作業空間を提供するための反応室101を有する。スパッタリングコーティング時に、前記ターゲット材200と前記基体100は前記反応室101内に収容され、前記ターゲット材200は前記電極アセンブリ20に取り付けられる。前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30は前記反応キャビティ10の前記反応室101内に設けられることで、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30との協働放電によるスパッタリングコーティングを容易にする。好ましくは、前記反応キャビティ10は、金属キャビティであるため、前記電極アセンブリ20と協働して放電する。
【0056】
前記反応キャビティ10の前記反応室101には、コーティングに必要な反応原料、プラズマ源ガス、又は不活性ガスのような他の副原料が導入されるのに適している。つまり、スパッタリングコーティング時に、ターゲット材200を構成する材料と導入された反応ガス原料とは共同して堆積されて膜層が形成される。
【0057】
前記スパッタリングコーティング装置1の前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30は、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30に対して動作させる無線周波数電流を提供するための無線周波数電源40に電気的に接続可能である。本発明の一実施例では、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30は1つの前記無線周波数電源40に共通に接続され、つまり、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30は電源を共用し、若しくは、並列に接続されており、それらは一致する動作電位を持つ。本発明の別の実施では、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30は、それぞれ2つの独立した前記無線周波数電源40に電気的に接続されることができ、つまり、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30とはそれぞれ独立して制御可能である。前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30は、独立して制御されると、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30は、それぞれ2つの異なる周波数の電源によって制御されることができ、例えば、前記放電コイルアセンブリ30には13.56MHz-60MHzの高周波が負荷され、前記電極アセンブリ20には300kHz-13.56MHzの低周波が負荷されることで、2つの電源の間の相互干渉を防止する。好ましくは、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30は電源を共用しており、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30は電源を共用する場合に、電源の間の相互同期の問題を制御する必要がなく、相互干渉が発生しない。
【0058】
特筆に値するのは、前記無線周波数電源40は、前記スパッタリングコーティング装置1に含まれる1つの部材であってもよく、直接的に購入される前記スパッタリングコーティング装置1と協働して動作する装置のような独立した装置であってもよく、本発明はこの点に関しては限定されない。前記無線周波数電源40と前記スパッタリングコーティング装置1はスパッタリングコーティング設備を構成する。前記無線周波数電源40は、前記スパッタリングコーティング装置1に直接的に取り付けられてもよく、又は独立して配置されてもよい。
【0059】
本発明の一実施例では、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30の一端は、前記無線周波数電源40の出力端に共通に接続され、前記反応キャビティ10と前記放電コイルアセンブリ30の他端は、前記無線周波数電源40の接地端に共通に接続される。
【0060】
本発明の一実施例では、前記スパッタリングコーティング装置1は、前記反応キャビティ10の前記反応室101内へ反応ガス原料又はプラズマ源等を搬送するための原料供給装置に接続可能である。前記反応キャビティ10は、前記反応キャビティ10の前記反応室101を予め設定された空気圧範囲内に維持するように前記反応キャビティ10の前記反応室101内のガスを抽出するための抽気装置に接続可能である。
【0061】
前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30とは、互いに協働してスパッタリングコーティングアセンブリを構成する。前記基体の表面でスパッタリングコーティングを行うように、前記スパッタリングコーティングアセンブリは前記反応室101内に設けられ、前記スパッタリングコーティングアセンブリは前記無線周波数電源40に接続するのに適している。
【0062】
前記電極アセンブリ20は、放電電極21と、前記放電電極21に設けられた誘電体層22とを含む。前記ターゲット材200は、前記誘電体層22に接続されるのに適している。つまり、前記誘電体層22は、前記放電電極21と前記ターゲット材200との間に設けられ、若しくは、前記誘電体層22は、前記放電電極21と前記ターゲット材200とを離隔する。さらに、前記誘電体層22と前記ターゲット材200は、前記放電電極21の放電側に設けられる。
【0063】
特筆に値するのは、前記ターゲット材200は金属材料である場合に、前記ターゲット材200は前記放電電極21に直接的に設けられると、前記ターゲット材200は前記放電電極21に導通して、励起されたターゲット材200ではなく、直接的に放電する部分となることにより、スパッタリング過程は進行できない。一方、前記誘電体層22の設置により、金属タイプ若しくは導電型のターゲット材200が前記放電電極21から離隔するため、前記ターゲット材200は、前記放電電極21から近い位置にあるが、電極に直接的に導通しないので、前記放電電極21はより良好な放電作用を発揮することができる。
【0064】
前記誘電体層22は、プラズマと前記放電電極21との間に伝導電流が形成されることを阻止するために使用され、前記ターゲット材200の表面に自己バイアス電圧を発生させ、効率的なスパッタリングを実現する。耐圧、耐熱、伝熱と静電結合効率を総合的に考慮して、前記誘電体層22の材料は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、石英、マイカ、ポリテトラフルオロエチレンから選ばれる1種であってもよい。好ましくは、前記誘電体層22の厚さは0.2~2mmである。前記ターゲット材200は導電材料である場合に、前記誘電体層22は必須であり、前記ターゲット材200は絶縁材料である場合に、その自体が前記誘電体層22の役割を兼ねることができ、前記誘電体層22は不要となってもよい。
【0065】
前記ターゲット材200は、前記誘電体層22に交換可能に取り付けられ、つまり、コーティングタイプの要求に応じて、異なるタイプのターゲット材200を交換することができる。
【0066】
本発明の一実施例では、前記放電電極21は、1つの平面電極であり、つまり、前記放電電極21は、平面構造であり、若しくは、前記放電電極21の放電領域は平面位置である。さらに、前記放電電極21は動作時に、下方には、前記ターゲット材200を覆う放電領域を形成する。
【0067】
本発明の一実施例では、前記誘電体層22は前記放電電極21に積層設置され、つまり、前記誘電体層22も平面板型材料である。
【0068】
前記ターゲット材200は前記誘電体層22に積層設置され、前記ターゲット材200は平面板型材料である。つまり、前記放電電極21、前記誘電体層22及び前記ターゲット材200は順次に積層設置されている。
【0069】
本発明の一実施例では、前記放電電極21、前記誘電体層22及び前記ターゲット材200は、固定素子によって積層固定され、前記固定素子の固定方式として、例えば、挟み固定、押出固定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
前記放電コイルアセンブリ30は、前記電極アセンブリ20の近傍領域に設けられ、近傍位置により、前記電極アセンブリ20の放電領域と前記放電コイルアセンブリ30の放電領域が互いに補強されることができればよい。好ましくは、本発明の一実施例では、前記放電コイルアセンブリ30は前記電極アセンブリ20の下方に設けられ、このような形態では、前記放電コイルの放電領域と前記電極アセンブリ20の放電領域との順方向の重複領域が多く、前記ターゲット材200に対する励起作用の補強に有利である。本発明の別の実施例では、前記放電コイルアセンブリ30は、互いにずらす又は下方を取り囲むように、前記電極アセンブリ20の周側に設けられてもよい。
図2A、2Bは、本発明の第1の実施例によるスパッタリングコーティング装置1の電極アセンブリ20と放電コイルアセンブリ30の異なる実施形態における相対位置の概略図である。
【0071】
コーティング時に、前記基体100は、前記放電コイルアセンブリ30の下方又は付近位置に設けられる。さらに、前記基体100は、前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30とが共同して作用する放電領域に設けられ、若しくは、前記基体100は、前記電極アセンブリ20の放電領域と前記放電コイルアセンブリ30の放電領域とが重複する領域に設けられ、これによって、前記電極アセンブリ20の無線周波数放電作用と前記放電コイルアセンブリ30の放電作用により前記ターゲット材200に協働して作用することができ、前記ターゲット材200の原子を効率よく励起することでき、かつ、密度が高いプラズマを迅速に形成し、即ち、前記基体100の表面に膜層を迅速に形成する。
【0072】
前記放電コイルアセンブリ30は、コイル31と離隔スリーブ32とを含み、前記コイル31は、前記離隔スリーブ32に螺旋状に巻かれた。好ましくは、前記離隔スリーブ32は、絶縁材料であり、例えば、セラミック材料で構成されたものである。前記離隔スリーブ32は、前記離隔スリーブ32の内外空間を拘束及び離隔する。前記放電コイルアセンブリ30は、前記放電電極21の下方に略垂直に設けられる。言い換えれば、前記コイル31の中軸線は前記電極アセンブリ20に対して垂直である。
【0073】
本発明の一実施例では、前記離隔スリーブ32は、第1の開口3201、第2の開口3202及び離隔空間3203を有し、前記第1の開口3201と前記第2の開口3202とは、対向する両側に位置し、前記離隔空間3203は、前記第1の開口3201と前記第2の開口3202を介して外部にそれぞれ連通する。前記第1の開口3201と前記電極アセンブリ20とは対向し、つまり、前記電極アセンブリ20の放電領域は前記離隔空間3203の内部に向けられている。言い換えれば、前記離隔スリーブ32は、前記電極アセンブリ20の放電領域を前記離隔空間3203内に離隔及び拘束する。
【0074】
前記離隔スリーブ32は、前記コイル31に対して巻付け位置を提供するとともに放電領域を拘束する。さらに、前記離隔空間3203内には、前記電極アセンブリ20の放電領域と前記コイル31の放電領域とは重複している。言い換えれば、動作時に、前記離隔空間3203内には、前記電極アセンブリ20の放電作用と前記コイル31の放電作用の両方が生じる。
【0075】
前記基体100は前記第2の開口3202に向けられ、若しくは、前記基体100は前記第2の開口3202の付近に設けられる。さらに、前記基体100は前記第2の開口3202の下方の近傍位置に設けられる。
【0076】
本発明の一実施例では、前記離隔スリーブ32は、直線状に延びる筒状であり、前記電極アセンブリ20、前記ターゲット材200、前記離隔スリーブ32、及び前記コイル31の位置は、重力方向に沿って設置され又は垂直方向に沿って配置される。スパッタリングの堆積領域は、電極と放電コイルの付近、例えば、上方、下方、垂直方向、斜め上又は斜め下に位置する。
【0077】
本発明の他の実施例では、前記電極アセンブリ20、前記放電コイルアセンブリ30及び前記基体100は、位置をずらして設置されてもよい。
【0078】
図2A、2Bは、本発明の第1の実施例によるスパッタリングコーティング装置1の放電コイルアセンブリ30とターゲット材200の異なる実施形態における相対位置の概略図である。一実施例では、
図1を参照し、前記基体100は前記放電コイルの下方に設けられ、若しくは、前記基体100は前記第2の開口3202下方に設けられる。
図2Aを参照し、少なくとも2つの前記放電コイルアセンブリ30は、前記電極アセンブリ20の下方の、例えば、周回位置又は対称的な分布のような、ずらした位置に設けられる。
図2Bを参照し、少なくとも2つの前記放電コイルアセンブリ30は前記電極アセンブリ20の下方に設けられる。別の実施例では、
図3Aを参照し、前記基体100は前記放電コイルアセンブリ30の側方の下方位置に設けられる。
図3Bを参照し、複数の前記基体100は前記放電コイルアセンブリ30の下方を取り囲む。
【0079】
特筆に値するのは、
図1、
図2A-2B及び
図3A-3Bは、それぞれ、放電アセンブリ、放電コイルアセンブリ30及び放電コイルアセンブリ30とターゲット材200の異なる実施形態の相対位置関係を示し、本発明の他の実施例では、前記放電電極21、コイル31及びターゲット材200の3者間の位置関係は、上記の配置の組み合わせ又は他の配置関係であってもよく、本発明の基本的な相互作用の原理から逸脱することなく、本発明はこの点に関しては限定されない。
【0080】
本発明の一実施例では、前記放電電極21と前記コイル31の過熱を回避するために、前記放電電極21と前記コイル31は水冷装置に接続されている。前記コイル31の外部への放電を回避するために、前記コイル31の周辺にシールド層が設けられる。
【0081】
本発明の一実施例では、前記スパッタリングコーティング装置1の全体の組立方式は、以下の通り、
前記無線周波数電源40は、前記反応キャビティ10の外部に取り付けられ、前記放電電極21、前記誘電体層22、前記ターゲット材200、前記コイル31及び前記離隔スリーブ32は、いずれも前記反応キャビティ10の内部に取り付けられる。前記放電電極21の下方には前記誘電体層22と前記ターゲット材200とが順次に取り付けられる。前記ターゲット材200の下方位置には前記離隔スリーブ32が取り付けられ、前記コイル31は前記離隔スリーブ32の外部に巻回されている。前記電極と前記コイル31の一端は、前記反応キャビティ10外の前記無線周波数電源40の出力端に共通に接続される。前記反応キャビティ10と前記コイル31の他端は、前記無線周波数電源40の接地端に共通に接続される。前記基体100は、前記コイル31の下方に設けられ、前記ターゲット材200から一定の距離をおいて前記ターゲット材200に面して載置され、スパッタリングされて出てきたターゲット材200の原子を前記基体100の表面に堆積させてフィルムを形成する。
【0082】
本発明の一実施例では、前記スパッタリングコーティング装置1のコーティングの動作過程は、以下の通り、
スパッタリングコーティング時に、前記反応キャビティ10を真空引きして不活性ガスと反応ガスを充填し、前記無線周波数電源40を起動し、一方では、前記コイル31における無線周波数電流は、前記離隔スリーブ32の内部における前記ターゲット材200に近い空間で誘導放電により高密度プラズマが生成され、他方では、前記電極での無線周波数電圧は前記ターゲット材200の付近に空間のプラズマと共同して作用し、前記ターゲット材200の表面に自己バイアス電圧を発生させ、プラズマのイオンによる前記ターゲット材200への衝撃を加速して、前記ターゲット材200の原子をスパッタリングして外部に飛ばし、スパッタリングされて出てきたターゲット材200の原子を下方に位置する前記基体100の表面に堆積させてフィルムを形成する。
【0083】
図4は、本発明の第2の実施例によるスパッタリングコーティング装置1の概略図である。
【0084】
本発明のこの実施例では、前記スパッタリングコーティング装置1の前記電極アセンブリ20は内空間201を有し、前記放電コイルアセンブリ30は前記内空間201に設けられる。言い換えれば、前記電極アセンブリ20は前記コイル31のアセンブリの外部を囲む。
【0085】
前記電極アセンブリ20は、放電電極21と、前記放電電極21に設けられた誘電体層22とを含む。前記ターゲット材200は、前記誘電体層22に接続されるのに適している。つまり、前記誘電体層22は、前記放電電極21と前記ターゲット材200との間に設けられ、若しくは、前記誘電体層22は、前記放電電極21と前記ターゲット材200とを離隔する。さらに、前記誘電体層22と前記ターゲット材200は前記放電電極21の放電側に設けられる。
【0086】
さらに、前記コイル31は前記放電電極21の内側に位置し、前記ターゲット材200は前記放電電極21の外側に位置し、前記基体100は、前記ターゲット材200の外部空間に設けられるのに適している。
【0087】
本発明の一実施例では、前記コイル31はソレノイドコイルであり、例えば、前記コイル31は全体として前記放電電極21に略平行に設けられることが挙げられるが、これらに限定されない。前記コイル31と前記放電電極21とは、いずれも垂直方向に沿って設けられ、即ち、重力方向に沿って設けられる。本発明の別の実施例では、前記コイル31はソレノイドコイルであり、前記コイル31は全体として前記放電電極21に略垂直に設けられ、例えば、前記放電電極21は重力方向又は垂直方向に沿って配置され、前記コイル31は水平方向に沿って配置され、又は前記放電電極21は水平方向に沿って配置され、前記コイル31は重力方向又は垂直方向に沿って配置される。
【0088】
前記放電電極21は極板ユニットを含み、複数の前記極板ユニットは、前記内空間201を離隔するように囲んで形成する。本発明の一実施例では、隣接する2つの前記極板ユニットの間には間隙が設けられ、前記間隙は、2つの前記極板ユニットを離隔して、前記コイル31が前記放電電極21に渦電流を誘起することを回避する。本発明の一実施例では、前記コイル31が前記放電電極21に渦電流を誘起することを回避するために、前記間隙は絶縁材料で充填される。隣接する2つの前記極板ユニットは導線によって電気的に接続される。
【0089】
さらに、前記誘電体層22は前記放電電極21の外部を取り囲む。これに応じて、前記誘電体層22は、連続した環状構造を形成し前記放電電極21の外部に積層設置される。
【0090】
一実施例では、前記ターゲット材200は連続した環状に設置され、つまり、前記ターゲット材200の形状は前記誘電体層22の形状とほぼ一致している。別の実施例では、前記ターゲット材200は、前記極板ユニットの形状と一致するように設置され、例えば長手状であり、前記誘電体層22の外部に間隔をおいて設置される。
【0091】
本発明の一実施例では、前記放電電極21、前記誘電体層22及び前記ターゲット材200は、順次に内から外へ一体に接合され、前記コイル31は前記電極アセンブリ20の前記内空間201に取り付けられ、前記コイル31は、前記放電電極21と同軸に設置される。前記誘電体層22内側に位置する前記内空間201は前記反応キャビティ10の前記反応室101と離隔される。
【0092】
本発明の一実施例では、前記スパッタリングコーティング装置1は、1組の密封キャップ23を含み、1組の前記密封キャップ23は、それぞれ前記電極アセンブリ20の両端に密封して設けられ、好ましくは、前記誘電体層22の両端部は前記放電電極21から突出され、1組の前記密封キャップ23は前記誘電体層22の両端に接続される。
【0093】
特筆に値するのは、前記放電電極21の前記内空間201は、前記反応室101に密封して離隔されるので、前記コイル31の動作時に発生する熱量を放散するために、前記内空間201内は、放熱材料又は放熱の液体で充填されることができる。コーティング動作時に、前記誘電体層22の内部空間は前記反応室101と離隔され、前記内空間201を真空引きする必要がないため、前記コイル31の内部での放電を回避し、一方、前記誘電体層22の内部空間に冷却気流が流通され、その中の前記放電電極21と前記コイル31を冷却して過熱を回避する。
【0094】
前記ターゲット材200は導電材料である場合に、前記放電電極21は複数の分離された前記電極ユニットから構成され、かつ隣接する2つの前記電極ユニットの間には軸方向に延びる前記間隙が設けられ、前記ターゲット材200は絶縁材料である場合に、前記放電電極21は、板型の前記電極ユニットで囲まれた筒状であってもよい。
【0095】
前記基体100は前記ターゲット材200の外部に設けられ、つまり、筒状の前記電極アセンブリの周囲の全体に前記基体100が設けられることが可能であり、即ち、体積が大きなコーティング空間を形成して、大量又は大面積のコーティングを容易にする。
【0096】
本発明の一実施例では、
図5を参照し、前記スパッタリングコーティング装置1は、前記電極アセンブリ20の外部を取り囲む多層スタンド50を含む。複数の前記基体100は、前記多層スタンド50に載置可能である。つまり、前記電極アセンブリ20の外部の周囲空間において、異なる高さでもコーティングを行うことができる。
【0097】
本発明の一実施例では、前記スパッタリングコーティング装置1の全体の組立方式は、以下の通り、
前記無線周波数電源40は、前記反応キャビティ10の外部に取り付けられ、前記放電電極21、前記誘電体層22、前記ターゲット材200、前記コイル31及び前記離隔スリーブ32は、いずれも前記反応キャビティ10の内部に取り付けられる。複数の柱パネル状の前記電極ユニットを円筒状に囲み、各柱パネルの間には軸方向の間隙を残し又は絶縁材料を充填し、各柱パネルの間を導線で繋ぐ。前記誘電体層22は完全な円筒である。前記ターゲット材200は導電材料である場合に、複数の柱パネルによって円筒状に囲まれ、各柱パネルの間には軸方向の隙間が残され、前記ターゲット材200は絶縁材料である場合に、複数の柱パネルによって円筒状には囲まれてもよいし、完全な円筒であってもよい。
【0098】
前記放電電極21、前記誘電体層22及び前記ターゲット材200は順次に内から外へセットされている。前記コイル31は前記放電電極21内部に取り付けられ、前記放電電極21と同軸であり、前記誘電体層22の内部空間は前記反応室101と離隔され、真空引きされない。前記放電電極21と前記コイル31の一端は、前記反応キャビティ10外の前記無線周波数電源40の出力端に共通に接続され、前記反応キャビティ10と前記コイル31の他端は、前記無線周波数電源40の接地端に共通に接続される。前記基体100は、前記ターゲット材200の外側に設けられ、前記ターゲット材200から一定の距離をおいてターゲット材200に面して設置され、スパッタリングされて出てきたターゲット材200の原子を前記基体100の表面に堆積させてフィルムを形成する。
【0099】
本発明の一実施例では、前記スパッタリングコーティング装置1のコーティングの動作過程は、以下の通り、
スパッタリングコーティング時に、前記反応キャビティ10を真空引きして不活性ガスと反応ガスを充填し、前記無線周波数電源40を起動し、一方では、前記コイル31における無線周波数電流は、前記ターゲット材200の外側に誘導放電により高密度プラズマが生成され、他方では、前記放電電極21での無線周波数電圧は前記ターゲット材200の付近に空間のプラズマと共同して作用し、前記ターゲット材200の表面に自己バイアス電圧を発生させ、プラズマのイオンによる前記ターゲット材200への衝撃を加速して、前記ターゲット材200の原子をスパッタリングして外部に飛ばし、スパッタリングされて出てきたターゲット材200の原子を前記基体100の表面に堆積させてフィルムを形成する。
【0100】
図6は、本発明の第3の実施例によるスパッタリングコーティング装置1の概略図である。
【0101】
本発明のこの実施例では、第1の実施例との相違点は、前記スパッタリングコーティング装置1は、2組の電極アセンブリ20と放電コイルアセンブリ30を含み、それぞれが協働して動作し、全体的なコーティング面積を増大させる。
【0102】
さらに、2組の前記電極アセンブリ20と放電コイルアセンブリ30とは並列に設けられる。つまり、2組の電極アセンブリ20の一端は、前記無線周波数電源40の出力端に共通に接続され、2組の前記放電コイルアセンブリ30の一端は、それぞれ前記無線周波数電源40の出力端に接続され、前記反応キャビティ10は、前記無線周波数電源40の接地端に接続され、2組の前記放電コイルアセンブリ30の他端は、前記無線周波数電源40の接地端に接続される。
【0103】
さらに、2組の電極アセンブリ20の2つの前記ターゲット材200は同一面になり近接して配置され、2つの前記放電コイルアセンブリ30の2つの前記コイル31は、直列インダクタンスを低減するために逆向きに巻かれている。
【0104】
本発明のこの実施例では、並列である2組の前記電極アセンブリ20と放電コイルを例として説明し、本発明の他の実施例では、より多くの組の前記電極アセンブリ20と放電コイルをさらに含むこともでき、類似した方法で水平に拡張され、かつ2つの互いに近接した前記コイル31は逆向きに巻かれている。
【0105】
図7は、本発明の第4の実施例によるスパッタリングコーティング装置1の概略図である。
【0106】
本発明のこの実施例では、上記の第1の実施例との相違点は、前記放電電極21の下方には、前記誘電体層22が設けられていないことである。つまり、前記ターゲット材200は、前記放電電極21の下方に直接的に設けられる。この実施例は、絶縁材料コーティングに好適である。
【0107】
上記の第2の実施例は、類似した変化をすることもでき、前記誘電体層22が不要となり、絶縁材料コーティングに使用される。
【0108】
図8は、本発明の第5の実施例によるスパッタリングコーティング装置1の概略図である。
【0109】
本発明のこの実施例では、前記放電コイルアセンブリ30はコイル31を含み、前記コイル31は平面ソレノイドコイルである。前記平面ソレノイドコイルは、前記放電電極21の一側に直接的に設けられる。さらに、前記コイル31は、前記放電電極21の非放電側に分離可能に固定され、言い換えれば、前記ターゲット材200と前記コイル31とは、それぞれ前記放電電極21の両側に位置する。
【0110】
さらに、前記放電電極21は極板ユニットを含み、複数の前記極板ユニットは離隔して設置される。本発明の一実施例では、隣接する2つの前記極板ユニットの間には間隙が設けられ、前記間隙は、2つの前記極板ユニットを離隔して、前記コイル31が前記放電電極21に渦電流を誘起することを回避する。本発明の一実施例では、前記コイル31が前記放電電極21に渦電流を誘起することを回避するために、前記間隙は絶縁材料で充填される。隣接する2つの前記極板ユニットは導線によって電気的に接続される。
【0111】
特筆に値するのは、本発明のこの実施例では、前記放電電極21、アセンブリ20及び前記コイル31は集積的に設置されて、1つの全体としての移動可能なアセンブリを形成し、全体として異なるの動作位置への取り付けを容易にし、前記コイル31に付加的な取り付け条件を提供することを回避する。
【0112】
前記電極アセンブリ20と前記放電コイルアセンブリ30の前記コイル31とは、互いに協働してスパッタリングコーティングアセンブリを構成する。前記スパッタリングコーティングアセンブリは前記反応室101内に設けられ、前記スパッタリングコーティングアセンブリは、前記無線周波数電源40に接続されるのに適して、前記基体の表面でスパッタリングコーティングを行う。
【0113】
上記の実施例から全体的に分かるように、従来技術のスパッタリングコーティング方式よりも、本発明の技術案は、多くの利点を持ち、即ち、
動作原理から、プラズマ密度を高めるために磁場を形成する必要がなく、磁場の存在による電子サイクロトロンを回避する。
【0114】
放電コイルと電極との協働により、ターゲット材の付近空間に高密度プラズマを形成して、膜層を迅速に形成する。
【0115】
絶縁又は非絶縁材料の膜層を形成することができ、つまり、膜層材料のタイプの制限が少なく、
それが磁場を使用せずに動作するので、磁気的に拘束されたプラズマに起因する空間の不均一性が回避され、形成される膜層がより均一になる。
【0116】
電極、ターゲット材及び放電コイルは、互いにカバーする領域が大きいため、ターゲット材のエッチングが均一であり、ターゲット材の利用率が高い。
【0117】
誘電体層によって電極とターゲット材とを離隔して、異なるタイプのターゲット材を基体の表面に効率的に堆積させることができ、ターゲット材の電気的性能によりその堆積効率に影響を与えることはない。
【0118】
離隔スリーブによりコイル放電領域を拘束し、さらに、電極放電領域と放電コイルの放電領域が順方向に結合されてから直接的に基体の表面に堆積するようになる。
【0119】
一実施例では、スパッタリングの堆積領域は電極と放電コイルの下方に位置し、平面的に重力方向にコーティングする。
【0120】
一実施例では、堆積領域は電極とコイルの平行領域に位置し、ターゲット材の周囲で多層又はバッチでコーティングを行うことを容易にする。
【0121】
一実施例では、複数のスパッタリングの堆積領域を並行に形成し、大面積又はバッチでスパッタリング堆積コーティングを行うことを容易にする。
【0122】
当業者が理解すべきことは、前記の記載及び図面に示す本発明の実施例は、あくまでも例示であって、本発明を限定するものではない。本発明の目的は、完全に効果的に達成された。本発明の機能及び構成原理は、実施例に示されて説明されたが、本発明の実施形態は、前記原理を逸脱することなく、様々な変形又は補正も可能である。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット材を衝撃してスパッタリングコーティング方式により基体の表面に膜層を形成するためのスパッタリングコーティング装置であって、
反応室を有する反応キャビティと、
電極アセンブリと、
放電コイルアセンブリと、を含み、
前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリは前記反応室内に設けられ、スパッタリングコーティング時に、前記基体は前記反応室内に収容され、前記ターゲット材は前記電極アセンブリに設けられ、前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリとは無線周波数電源に電気的に接続され、前記無線周波数電源によって前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリに、動作させる無線周波数電流を提供することで、前記基体の表面に堆積して膜層を形成することを特徴とするスパッタリングコーティング装置。
【請求項2】
前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の放電側に積層設置された誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層に積層設置され、
又は、前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項3】
前記放電コイルアセンブリは前記電極アセンブリの下方に位置し、前記基体は、前記放電コイルアセンブリの下方に設けられるのに適していることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項4】
前記放電コイルアセンブリは、コイルと離隔スリーブを含み、前記コイルは前記離隔スリーブに巻かれたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項5】
前記離隔スリーブは、第1の開口、第2の開口及び離隔空間を有し、前記離隔空間は、前記第1の開口と前記第2の開口を介して外部に連通し、前記第1の開口は前記ターゲット材に向けられ、前記第2の開口は前記基体に向けられることを特徴とする請求項4に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項6】
前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリの一端は、前記無線周波数電源の出力端に共通に接続され、前記反応キャビティと前記放電コイルアセンブリの他端は、前記無線周波数電源の接地端に共通に接続されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項7】
前記放電コイルアセンブリの中軸線は前記電極アセンブリに対して垂直であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項8】
前記放電電極アセンブリ、前記放電コイルアセンブリ及び前記基体は、垂直方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項9】
前記放電コイルアセンブリは、コイルを含み、前記コイルは平面ソレノイドコイルであり、前記コイルは前記電極アセンブリの一側面に設けられることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項10】
前記電極アセンブリは内空間を有し、前記放電コイルアセンブリは前記内空間に設けられることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項11】
前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の外側を取り囲む誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層外側に設けられ、
又は、前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられることを特徴とする請求項10に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項12】
前記放電コイルアセンブリは、前記電極アセンブリと同軸に設置されることを特徴とする請求項11に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項13】
前記放電電極は、複数の電極ユニットを含み、複数の前記電極ユニットが環状に配置されることで前記内空間が形成され、隣接する2つの前記電極ユニットの間には間隙が設けられていることを特徴とする請求項11に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項14】
絶縁材料は、前記間隙に充填されることを特徴とする請求項13に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項15】
前記誘電体層は連続筒状構造であることを特徴とする請求項11に記載のスパッタリングコーティング装置。
【請求項16】
ターゲット材を衝撃してスパッタリングコーティング方式により基体の表面に膜層を形成するためのスパッタリングコーティング設備であって、
反応室を有する反応キャビティと、
電極アセンブリと、
放電コイルアセンブリと、
無線周波数電源と、を含み、
前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリは前記反応キャビティの前記反応室内に設けられ、前記ターゲット材は前記電極アセンブリに設けられ、スパッタリングコーティング時に、前記基体は前記反応室内に収容され、前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリとは前記無線周波数電源に電気的に接続され、前記無線周波数電源によって前記電極アセンブリと前記放電コイルアセンブリに、動作させる無線周波数電流を提供することで、前記基体の表面に堆積して膜層を形成することを特徴とするスパッタリングコーティング設備。
【請求項17】
前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の放電側に積層設置された誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層に積層設置され、
又は、前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられることを特徴とする請求項16に記載のスパッタリングコーティング設備。
【請求項18】
前記放電コイルアセンブリは、コイルと離隔スリーブを含み、前記コイルは前記離隔スリーブに巻かれ、
又は、前記放電コイルアセンブリは、コイルを含み、前記コイルは平面ソレノイドコイルであり、前記コイルは前記電極アセンブリの一側面に設けられることを特徴とする請求項16~17のいずれか1項に記載のスパッタリングコーティング設備。
【請求項19】
前記電極アセンブリは内空間を有し、前記放電コイルアセンブリは前記内空間に設けられることを特徴とする請求項16に記載のスパッタリングコーティング設備。
【請求項20】
前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の外側を取り囲む誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層外側に設けられることを特徴とする請求項19に記載のスパッタリングコーティング設備。
【請求項21】
反応キャビティ内に取り付けられ、前記反応キャビティで基体をスパッタリングコーティングするのに適するスパッタリングコーティング放電アセンブリであって、
電極アセンブリと、
コイルと、を含み、
スパッタリングコーティング時に、ターゲット材は前記電極アセンブリに設けられ、前記コイルは前記ターゲット材に設けられ、前記電極アセンブリと前記コイルとは無線周波数電源に電気的に接続され、前記無線周波数電源によって前記電極アセンブリと前記コイルに、動作させる無線周波数電流を提供することで、前記基体の表面に堆積して膜層を形成することを特徴とするスパッタリングコーティング放電アセンブリ。
【請求項22】
前記電極アセンブリは、放電電極と、前記放電電極の放電側に積層設置された誘電体層とを含み、前記ターゲット材は前記誘電体層に積層設置され、
又は、前記電極アセンブリは放電電極を含み、前記ターゲット材は、前記放電電極の放電側に直接的に設けられることを特徴とする請求項21に記載のスパッタリングコーティング放電アセンブリ。
【請求項23】
前記コイルは平面ソレノイドコイルであり、前記コイルは前記放電電極の一側面に設けられることを特徴とする請求項22に記載のスパッタリングコーティング放電アセンブリ。
【国際調査報告】