(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】キシリレンジイソシアネート組成物及びその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
C07C 265/14 20060101AFI20240228BHJP
C07C 263/20 20060101ALI20240228BHJP
C08G 18/62 20060101ALI20240228BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20240228BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20240228BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
C07C265/14
C07C263/20
C08G18/62 075
C08G18/10
C08G18/32 006
G02B1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555433
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 CN2022080069
(87)【国際公開番号】W WO2022188825
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】202210217405.5
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110262179.8
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516296371
【氏名又は名称】万華化学集団股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WANHUA CHEMICAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.17, TIANSHAN ROAD, YEDA, YANTAI CITY,SHANDONG PROVINCE, CHINA.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朱付林
(72)【発明者】
【氏名】尚永華
(72)【発明者】
【氏名】李建峰
(72)【発明者】
【氏名】劉偉傑
(72)【発明者】
【氏名】王鵬
(72)【発明者】
【氏名】李文濱
(72)【発明者】
【氏名】王鵬飛
(72)【発明者】
【氏名】呉謙
(72)【発明者】
【氏名】劉偉
(72)【発明者】
【氏名】黎源
【テーマコード(参考)】
4H006
4J034
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB48
4H006AD11
4H006BD82
4J034BA02
4J034BA03
4J034BA08
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4J034CA05
4J034CA32
4J034CB03
4J034CB04
4J034CC03
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4J034DP03
4J034DP15
4J034GA03
4J034GA33
4J034GA48
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA11
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4J034HC61
4J034HC71
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB01
4J034KC17
4J034KD16
4J034KE02
4J034MA03
4J034RA12
4J034RA13
(57)【要約】
キシリレンジイソシアネート組成物及びその調製方法と使用であって、前記キシリレンジイソシアネート組成物は、キシリレンジイソシアネートと、0.2~500ppmの式(1)で示される化合物とを含む。提供されたキシリレンジイソシアネート組成物により調製された樹脂は、優れる耐変色性能を有し、樹脂の黄変及び/又は白濁を効果的に抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシリレンジイソシアネートと、0.2~500ppmの式(1)で示される化合物とを含む、キシリレンジイソシアネート組成物。
【化1】
【請求項2】
臭素含有化合物をさらに含み、
臭素元素の質量で、前記臭素含有化合物の含有量は0.5~50ppmである、請求項1に記載のキシリレンジイソシアネート組成物。
【請求項3】
前記キシリレンジイソシアネートは、1,2-キシリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート又は1,4-キシリレンジイソシアネートのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含み、1,3-キシリレンジイソシアネート及び/又は1,4-キシリレンジイソシアネートが好ましく、1,3-ベンゾメチレンイソシアネートがより好ましく、
好ましくは、前記式(1)で示される化合物は、
、
又は
のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む、請求項1又は2に記載のキシリレンジイソシアネート組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のキシリレンジイソシアネート組成物の調製方法であって、
ステップ(1):キシリレンジアミン又はキシリレンジアミン塩酸塩を反応溶媒の存在下でホスゲンとイソシアネート化反応させ、キシリレンジイソシアネート及び式(1)で示される化合物を含む反応生成物を得るイソシアネート化工程と、
ステップ(2):ステップ(1)で得られた反応生成物に対して脱溶媒を行い、離脱された溶媒を精製して再利用溶媒を得て、その後ステップ(1)の反応系に戻す溶媒の分離及び精製工程と、
ステップ(3):ステップ(2)で得られた脱溶媒反応生成物を分離して純化し、前記キシリレンジイソシアネート組成物を得る分離工程とを含む、調製方法。
【請求項5】
前記反応溶媒は新鮮な溶媒及び/又は再利用溶媒を含み、
好ましくは、前記反応溶媒の水分含有量は1~500ppmであり、
好ましくは、前記再利用溶媒の水分含有量は1~500ppmである、請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載のキシリレンジイソシアネート組成物が変性されて得られた変性物組成物であるキシリレンジイソシアネート組成物の変性組成物であって、
前記変性組成物における変性されたキシリレンジイソシアネートは、
(a)イソシアヌレート基、(b)ウレトジオン基、(c)ビューレット基、(d)ウレタン基、(e)ウレイド基、(f)イミノオキサジアジンジオン基、(g)アロファネート基、(h)ウレトンイミン基又は(i)カルボジイミド基のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む、キシリレンジイソシアネート組成物の変性組成物。
【請求項7】
A剤とB剤を含み、
前記A剤は請求項1~3のいずれか一項に記載のキシリレンジイソシアネート組成物及び/又は請求項6に記載の変性組成物を含み、
前記B剤は活性水素基含有物質を含む、二成分ポリウレタン原料。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載のキシリレンジイソシアネート組成物と活性水素基含有物質を反応させてなるか、又は請求項6に記載の変性組成物と活性水素基含有物質を反応させてなる、ポリウレタン樹脂。
【請求項9】
請求項8に記載のポリウレタン樹脂を含む、エラストマー材料。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか一項に記載のキシリレンジイソシアネート組成物とポリチオール化合物を重合させてなるか、又は請求項6に記載の変性組成物とポリチオール化合物を重合させてなり、
好ましくは、前記光学材料はプラスチックレンズ材料、自動車ランプカバー材料、透明屋根材、スマートフォン又はタブレットのレンズ材料を含む、光学材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はイソシアネートの技術分野に関し、特にキシリレンジイソシアネート組成物及びその調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
キシリレンジイソシアネートは脂肪族イソシアネートに属し、従来、ポリウレタン樹脂の原料として様々な産業製品に使用可能であり、特に光学材料に広く使用されている。キシリレンジイソシアネートは、キシリレンジアミンとホスゲン(塩化カルボニル)を反応させることにより得ることができ、この反応を行うときに副生物として塩化物が生じることが知られている(例えば、特許出願GB1194459A参照)。
【0003】
しかしながら、ポリウレタン樹脂については、目的及び用途に応じて、優れる耐変色性を有することが要求される。しかし、特許出願GB1194459Aに記載のキシリレンジイソシアネートで製造されたポリウレタン樹脂は、十分な耐変色性を確保できない場合がある。
【0004】
そのため、本分野では耐変色性に優れる樹脂を安定的に製造できるキシリレンジイソシアネート原料の提供が早急に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下は、本文について詳しく説明する主題の概要である。本概要は、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0006】
従来の技術の不足に対して、本願の第1の目的は、キシリレンジイソシアネート組成物を提供することにある。前記キシリレンジイソシアネート組成物により調製されたポリウレタン樹脂は優れる耐変色性能を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本願は下記の技術案を採用する。
本願はキシリレンジイソシアネート組成物を提供し、前記キシリレンジイソシアネート組成物は、キシリレンジイソシアネートと、0.2~500ppm(例えば、0.4ppm、0.6ppm、0.8ppm、1ppm、5ppm、6ppm、10ppm、12ppm、15ppm、20ppm、40ppm、50ppm、60ppm、100ppm、150ppm、200ppm、210ppm、250ppm、300ppm、320ppm、350ppm、400ppm、450ppm、500ppmなど)の式(1)で示される化合物とを含む。
【化1】
【0008】
本願の研究者は、研究において、キシリレンジイソシアネート組成物に式(1)の化合物を0.2~500ppm含むと、調製された樹脂は優れる耐変色性能を有し、樹脂の黄変及び/又は白濁を効果的に抑制し、含有量が0.2ppm未満又は500ppm超であると、いずれも耐変色性能を劣化させることを見出した。
【0009】
本願のキシリレンジイソシアネート組成物は、キシリレンジイソシアネートを主成分として97wt.%以上含むほぼ単一の化合物(すなわち、キシリレンジイソシアネート)であるが、化学式(1)で示される化合物を副成分として含むため、キシリレンジイソシアネート組成物と定義する。
【0010】
本願では、キシリレンジイソシアネート組成物をXDI組成物と記し、キシリレンジイソシアネートをXDIと記し、化学式(1)で示される化合物(イソシアナトメチルベンズアルデヒド)をIBAと記す。
【0011】
好ましくは、前記キシリレンジイソシアネート組成物には臭素化合物をさらに含み、
臭素元素の質量で、前記臭素含有化合物の含有量は0.5~50ppmであり、例えば、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、5ppm、6ppm、7ppm、8ppm、9ppm、10ppm、11ppm、12ppm、13ppm、14ppm、15ppm、16ppm、17ppm、18ppm、19ppm、20ppm、21ppm、22ppm、23ppm、24ppm、25ppm、26ppm、27ppm、28ppm、29ppm、30ppm、31ppm、32ppm、33ppm、34ppm、35ppm、36ppm、37ppm、38ppm、39ppm、40ppm、41ppm、42ppm、43ppm、44ppm、45ppm、46ppm、47ppm、48ppm、49ppmなどである。臭素の含有量が高すぎると、調製された樹脂の耐黄変性能の劣化を招来し、臭素の含有量が低すぎると、活性が高く、調製された樹脂が不均一になることを招来する。
【0012】
本願では、式(1)で示される化合物及び臭素化合物の含有量はいずれも組成物の総質量に基づくものである。
【0013】
好ましくは、前記キシリレンジイソシアネートは、1,2-キシリレンジイソシアネート(o-キシリレンジイソシアネート、o-XDI)、1,3-キシリレンジイソシアネート(m-キシリレンジイソシアネート、m-XDI)又は1,4-キシリレンジイソシアネート(p-キシリレンジイソシアネート、p-XDI)のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含み、1,3-キシリレンジイソシアネート及び/又は1,4-キシリレンジイソシアネートが好ましく、1,3-ベンゾメチレンイソシアネートがより好ましい。
【0014】
好ましくは、前記式(1)で示される化合物は、
、
又は
のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0015】
本願では、IBAは後述のXDIの製造において副生物として生じるものであり、もちろん、人為的に添加して要求される含有量を得ることもできる。IBAは、構造異性体として、o-IBA、m-IBA、p-IBAを含む。これらのIBAの構造異性体はXDI組成物に1種又は2種以上含まれてもよい。
【0016】
本願では、IBAの含有割合はガスクロマトグラフィーによる分析により測定することができる。
【0017】
本願の第2の目的は、前記キシリレンジイソシアネート組成物の調製方法を提供することにあり、前記調製方法は、
ステップ(1):キシリレンジアミン又はキシリレンジアミン塩酸塩を反応溶媒の存在下でホスゲンとイソシアネート化反応させ、キシリレンジイソシアネート及び式(1)で示される化合物を含む反応生成物を得るイソシアネート化工程と、
ステップ(2):ステップ(1)で得られた反応生成物に対して脱溶媒を行い、離脱された溶媒を精製して再利用溶媒を得て、その後ステップ(1)の反応系に戻す溶媒の分離及び精製工程と、
ステップ(3):ステップ(2)で得られた脱溶媒反応生成物を分離して純化し、前記キシリレンジイソシアネート組成物を得る分離工程とを含む。
【0018】
ステップ(1)のイソシアネート化工程をホスゲン化法と呼ばれてもよく、イソシアネート化反応はホスゲン化反応である。
【0019】
ホスゲン化法として、具体的には、例えば、キシリレンジアミンを直接的にホスゲンと反応させる方法(冷熱二段階ホスゲン化法でもある)、キシリレンジアミンと塩酸(塩化水素)を反応させて得られた塩酸塩を、ホスゲンと反応溶媒中で反応させる方法(アミン塩酸塩のホスゲン化法ともいう)などが挙げられ、好ましくはアミン塩酸塩のホスゲン化法が挙げられる。
【0020】
好ましくは、前記キシリレンジアミン塩酸塩は塩形成工程により調製されたものであり、前記塩形成工程は、反応溶媒の存在下でキシリレンジアミンと塩化水素を混合させ、塩形成反応を行い、前記キシリレンジアミン塩酸塩を得ることを含む。塩形成工程で実際に得られるのはキシリレンジアミン塩酸塩を含むスラリーであり、該スラリーはイソシアネート化工程に直接使用される。
【0021】
好ましくは、前記キシリレンジアミン(XDA)は1,2-キシリレンジアミン(o-キシリレンジアミン(o-XDA))、1,3-キシリレンジアミン(m-キシリレンジアミン(m-XDA))又は1,4-キシリレンジアミン(p-キシリレンジアミン(p-XDA))のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0022】
好ましくは、前記塩形成工程は、反応溶媒中に塩化水素ガスを導入してから、キシリレンジアミンを含む反応溶媒アミン溶液を加え、その後前記塩化水素ガスとアミン溶液を攪拌混合し、塩形成反応を行い、前記キシリレンジアミン塩酸塩を得ることを含む。
【0023】
好ましくは、前記アミン溶液におけるキシリレンジアミンの含有量は1.0wt.%以上であり、例えば、4wt.%、5wt.%、6wt.%、7wt.%、8wt.%、9wt.%、10wt.%、11wt.%、12wt.%、13wt.%、14wt.%、15wt.%、16wt.%、17wt.%、18wt.%、19wt.%、20wt.%などであり、3.0wt.%以上であることが好ましい。
【0024】
好ましくは、前記アミン溶液におけるキシリレンジアミンの含有量は50wt.%以下であり、30wt.%以下であることが好ましい。
【0025】
好ましくは、前記塩形成工程での塩形成温度は0℃以上であり、例えば、1℃、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃などであり、10℃以上であることが好ましい。
【0026】
好ましくは、前記塩形成工程での塩形成温度は160℃以下であり、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましい。
【0027】
好ましくは、前記塩形成工程は常圧又は加圧条件下で行う。
【0028】
好ましくは、前記塩形成工程の圧力(ゲージ圧)は0.01MPaG以上であり、例えば、0.1MPaG、0.2MPaG、0.5MPaG、0.6MPaG、0.7MPaG、0.8MPaG、0.9MPaGなどであり、0.02MPaG以上であることがより好ましい。
【0029】
好ましくは、前記塩形成工程の圧力(ゲージ圧)は1.0MPaG以下であり、0.5MPaG以下であることが好ましく、0.4MPaG以下であることがより好ましい。
【0030】
好ましくは、ステップ(1)は具体的に、キシリレンジアミン塩酸塩にホスゲンガスを導入してイソシアネート化反応を行い、キシリレンジイソシアネート及び式(1)で示される化合物を含む反応生成物を得ることを含む。
【0031】
キシリレンジアミン塩酸塩を用いてホスゲンとイソシアネート化反応を行う場合に、以下のパラメータが好適であることにより、目標含有量の式(1)の化合物を得ることができる。なお、IBAをXDI組成物に添加することにより、XDI組成物におけるIBAの含有割合を調整することもできる。
【0032】
好ましくは、前記ホスゲンのモル量は前記キシリレンジアミン塩酸塩のモル量の4倍以上であり、例えば、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、12倍、14倍、16倍、18倍、20倍、22倍、24倍、26倍、28倍、30倍、32倍、34倍、36倍、38倍、40倍、42倍、44倍、46倍、48倍などであり、5倍以上であることが好ましく、6倍以上であることがより好ましい。
【0033】
好ましくは、前記ホスゲンのモル量は前記キシリレンジアミン塩酸塩のモル量の50倍以下であり、40倍以下であることが好ましく,30倍以下であることがより好ましい。
【0034】
好ましくは、前記イソシアネート化工程での反応温度は80℃以上であり、例えば、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃などであり、100℃以上であることが好ましい。
【0035】
好ましくは、前記イソシアネート化工程での反応温度は180℃以下であり、170℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましい。
【0036】
好ましくは、前記イソシアネート化反応の時間は2h以上であり、例えば、3h、4h、6h、8h、10h、12h、14h、16h、18h、20h、22h、24hなどであり、4h以上であることが好ましい。
【0037】
好ましくは、前記イソシアネート化反応の時間は25h以下であり、20h以下であることが好ましい。
【0038】
好ましくは、前記イソシアネート化反応は常圧又は加圧条件下で行う。
【0039】
好ましくは、前記イソシアネート化反応の圧力(ゲージ圧)は0MPaG以上であり、例えば、0.0004MPaG、0.0008MPaG、0.001MPaG、0.002MPaG、0.006MPaG、0.01MPaG、0.02MPaG、0.03MPaG、0.05MPaG、0.1MPaG、0.2MPaG、0.3MPaG、0.4MPaG、0.5MPaG、0.6MPaGなどであり、0.0005MPaG以上であることが好ましく、0.001MPaG以上であることがより好ましく、0.003MPaG以上であることがさらに好ましく、0.01MPaG以上であることがとりわけ好ましく、0.02MPaG以上であることが特別に好ましく、0.03MPaG以上であることが最も好ましい。
【0040】
好ましくは、前記イソシアネート化反応の圧力(ゲージ圧)は0.6MPaG以下であり、0.4MPaG以下であることが好ましく、0.2MPaG以下であることがより好ましい。
【0041】
好ましくは、前記イソシアネート化工程はバッチ工程又は連続工程であり、連続工程であることが好ましい。
【0042】
連続工程は、攪拌槽で生成されたスラリー(XDA塩酸塩)を攪拌槽から攪拌槽とは別の反応槽に連続的に輸送し、反応槽でXDA塩酸塩とホスゲンを反応させるとともに、反応液(反応物質)を連続的に反応槽から取り出すことである。本願では、連続工程の反応釜の数については特に限定されず、例示的には、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上であってもよい。
【0043】
必要に応じて、イソシアネート化工程の反応生成物に対して、脱気工程、溶媒の分離及び精製工程を実施でき、既知の脱気塔を利用して残りの塩化カルボニルガス、副生物として生じた塩化水素などのガスを反応生成物から除去する。溶媒の分離及び精製工程において、既知の蒸留塔を利用して反応溶媒を反応液から留去する。溶媒は精製された後、大部が塩形成及びイソシアネート化工程に戻る。
【0044】
本願では、反応溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、例えば、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなおどの脂環族炭化水素類、例えば、クロロトルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、例えば、ニトロベンゼン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N’-ジメチルイミダゾリジノンなどの窒素含有化合物類、例えば、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、例えば、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸エトキシエチルなどの脂肪酸エステル類、例えば、サリチル酸メチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、安息香酸メチルなどの芳香族カルボン酸エステル類などが挙げられる。反応溶媒は単独使用又は2種以上を併用することができる。反応溶媒のうち、ハロゲン化芳香族炭化水素類であることが好ましく、クロロベンゼン及ジクロロベンゼンであることがより好ましい。
【0045】
前記反応溶媒は新鮮な溶媒及び/又は再利用溶媒を含み、「新鮮な溶媒」とは、イソシアネート化工程を初めて経験する反応溶媒又は溶媒のシステムでの消費に伴って追加される溶媒である。
【0046】
好ましくは、前記反応溶媒の水分含有量は1~500ppmであり、例えば、2ppm、5ppm、10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm、70ppm、80ppm、90ppm、100ppm、110ppm、120ppm、130ppm、140ppm、150ppm、160ppm、170ppm、180ppm、190ppm、200ppm、210ppm、220ppm、230ppm、240ppm、250ppm、260ppm、270ppm、280ppm、290ppm、300ppm、310ppm、320ppm、330ppm、340ppm、350ppm、360ppm、370ppm、380ppm、390ppm、400ppm、410ppm、420ppm、430ppm、440ppm、450ppm、460ppm、470ppm、480ppm、490ppmなどである。
【0047】
好ましくは、前記再利用溶媒の水分含有量は1~500ppmであり、例えば、2ppm、5ppm、10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm、70ppm、80ppm、90ppm、100ppm、110ppm、120ppm、130ppm、140ppm、150ppm、160ppm、170ppm、180ppm、190ppm、200ppm、210ppm、220ppm、230ppm、240ppm、250ppm、260ppm、270ppm、280ppm、290ppm、300ppm、310ppm、320ppm、330ppm、340ppm、350ppm、360ppm、370ppm、380ppm、390ppm、400ppm、410ppm、420ppm、430ppm、440ppm、450ppm、460ppm、470ppm、480ppm、490ppmなどである。
【0048】
本願の好ましい技術案では、再利用溶媒の水分含有量を1~500ppmに制御するのは、IBA含有量が0.2~500ppmの範囲内にある組成物を得ることに寄与し、水分含有量が高すぎると、イソシアネート化工程及び分離工程の副反応の増加をもたらし、さらにIBA含有量が高すぎることをもたらす。水分含有量が低すぎると、IBAの生成に不利である。
【0049】
注目すべきは、新鮮な溶媒の水分が不合格であり、システムに入った後、溶媒精製により水分が合格した後に反応に関与する必要があることである。
【0050】
本願では、反応溶媒及び/又は再利用溶媒の水分は溶媒精製塔により制御可能である。
【0051】
好ましくは、前記溶媒精製塔は棚段蒸留塔又は充填式蒸留塔を含む。
【0052】
好ましくは、前記溶媒精製塔の理論段数は2以上であり、例えば、4、6、8、10、14、18、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58などであり、5以上であることが好ましい。
【0053】
好ましくは、前記溶媒精製塔の理論段数は60以下であり、40以下であることが好ましい。
【0054】
好ましくは、前記溶媒精製塔の塔頂圧力は0.1kPa以上であり、例えば、0.2kPa、1kPa、5kPa、10kPa、30kPa、50kPa、70kPa、100kPaなどであり、1kPa以上であることが好ましい。
【0055】
好ましくは、前記溶媒精製塔の塔頂圧力は300kpa以下であり、100kPa以下であることが好ましい。
【0056】
好ましくは、前記溶媒精製塔の塔頂還流比は0.01以上であり、例えば、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、18、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、70、80、90などであり、5以上であることが好ましい。
【0057】
好ましくは、前記溶媒精製塔の塔頂還流比は100以下であり、90以下であることが好ましい。
【0058】
好ましくは、前記再利用溶媒の水分含有量は1~500ppmであり、例えば、10ppm、20ppm、40ppm、50ppm、80ppm、100ppm、120ppm、140ppm、160ppm、180ppm、200ppm、220ppm、240ppm、260ppm、280ppm、300ppm、320ppm、340ppm、360ppm、380ppm、400ppm、420ppm、440ppm、460ppm、480ppmなどである。
【0059】
必要に応じて、上記脱溶媒の反応生成物に対して、脱タール工程を実施することができる。既知の脱タール機器、例えば短行程蒸発器などを利用してタール成分を反応液から除去する。なお、脱タール工程によってタール成分を除去した反応物質を中間品物質と記す。
【0060】
また、必要に応じて、中間品物質を蒸留及び純化することができ、純化の方法は特に制限されず、工業的分離技術、例えば、蒸留、晶析などを利用して実施することができる。
【0061】
好ましくは、前記蒸留は蒸留塔で行う。
【0062】
好ましくは、前記蒸留塔は棚段蒸留塔又は充填式蒸留塔を含む。
【0063】
本願の好ましい技術案では、反応条件及び分離条件を制御することにより、IBAの割合を上記の範囲に調整することができる。なお、IBAをXDI組成物に添加することにより、XDI組成物におけるIBAの含有割合を調整することもできる。
【0064】
好ましくは、前記蒸留塔の理論段数は2以上であり、例えば、4、6、8、10、14、18、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58などであり、5以上であることが好ましい。
【0065】
好ましくは、前記蒸留塔の理論段数は60以下であり、40以下であることが好ましい。
【0066】
好ましくは、前記蒸留塔の塔頂圧力は0.1kPa以上であり、例えば、0.2kPa、0.4kPa、0.6kPa、0.8kPa、1kPa、1.5kPa、2kPa、2.5kPa、3kPa、3.5kPaなどであり、0.15kPa以上であることが好ましい。
【0067】
好ましくは、前記蒸留塔の塔頂圧力は4kPa以下であり、2.5kPa以下であることが好ましい。
【0068】
好ましくは、前記蒸留塔の塔頂還流比は0.01以上であり、例えば、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、18、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58などであり、0.1以上であることが好ましい。
【0069】
好ましくは、前記蒸留塔の塔頂還流比は60以下であり、40以下であることが好ましい。
【0070】
本願の好ましい技術案では、上記のXDI組成物の製造方法は、例えば、
図1に示す機器流れ図を利用して実施可能である。
図1に示すように、主に1つの塩形成釜1を含み、後述のイソシアネート化ユニットにおいて、3ステップの連続式イソシアネート化工程(順に第1ホスゲン化釜2、第2ホスゲン化釜3及び第3ホスゲン化釜4で行う)を実施し、上記の溶媒の含水量、ホスゲンの供給割合、反応温度、反応圧力及び平均滞留時間などを適当に調整することにより、XDI及びIBAの生成量を調整する。ホスゲン化釜の次で脱ホスゲン塔5及び脱溶媒塔6を設けて反応液に対して脱ホスゲン及び脱溶媒を行い、溶媒は溶媒精製塔9を経て水分含有量が制御された後に再利用する。且つ、脱溶媒塔6の次で脱タール器7を設けて、脱溶媒の反応生成物は、脱タール工程を行い、その後精留塔8に入れて精留し、最終生成物を得る。
【0071】
そして、後述の精留分離で上記の塔頂還流比などを適当に調整することにより、XDI組成物におけるIBAの含有割合を調整する。
【0072】
具体的には、まず、塩形成釜に反応溶媒を仕込む。その後、上記の供給割合で塩化水素供給ラインを介して塩形成釜の底部に塩化水素ガスを連続的に供給する。また、アミン供給ラインを介して、塩形成釜の頂部に反応溶媒にXDAを溶解させた上記のアミン溶液を連続的に供給する。その後、塩形成釜の内部を上記の塩形成温度及び塩形成圧力に維持しながら、攪拌羽根で塩化水素ガス及びアミン溶液を攪拌混合する(塩形成工程)。これにより、XDA塩酸塩を含むスラリーを製造する。
【0073】
その後、塩酸塩輸送ラインを介してホスゲン化釜の頂部にXDA塩酸塩を含むスラリーを連続的に輸送する。すなわち、塩形成釜に塩化水素ガス及びアミン溶液を連続的に供給しながら、XDA塩酸塩を含むスラリーを塩形成釜から連続的に取り出し、ホスゲン化釜に輸送する。
【0074】
次に、上記の供給割合で、第1ホスゲン化釜、第2ホスゲン化釜及び第3ホスゲン化釜のそれぞれの頂部には、チューブを挿入してホスゲンを連続的に供給する。その後、第1ホスゲン化釜の内部を上記の反応温度及び反応圧力に維持しながら、スラリー及びホスゲンを攪拌混合する(第1のステップのイソシアネート化工程)。これにより、XDA塩酸塩と塩化カルボニルを反応させ、主成分としてXDIを生成し、副生物としてIBA及び臭素含有化合物又はその中間体を生成する。
【0075】
その後、反応物質輸送ラインを介して、第2ホスゲン化釜の頂部にXDI、IBA、臭素含有化合物及び反応溶媒などを含む反応液を連続的に輸送する。すなわち、第1ホスゲン化釜にスラリー及びホスゲンを連続的に供給しながら、一次ホスゲン化液を第1ホスゲン化釜から連続的に取り出し、第2ホスゲン化釜に輸送する。
【0076】
次に、第2ホスゲン化釜の内部を上記の反応温度及び反応圧力に維持しながら、第2ホスゲン化釜で一次反応物質及びホスゲンを攪拌混合する(第2のステップのイソシアネート化工程)。
【0077】
同様に、第3ホスゲン化釜も、二次反応物質を投入しながら、ホスゲン化反応を行う(第3のステップのイソシアネート化工程)。
【0078】
これにより、塩形成工程及びイソシアネート化工程を連続的に実施する。
【0079】
その後、XDI、IBA及び臭素含有化合物又はその中間体及び反応溶媒などを含む反応液を製造する。なお、3ステップのイソシアネート化工程での滞留時間の合計は上記の範囲である。
【0080】
次に、反応物質輸送ラインを介して脱ホスゲン塔の塔中部位に上記のホスゲン化反応液を連続的に輸送する。脱ホスゲン塔により、ホスゲン化液をホスゲン及び塩化水素などを含むガス、XDI、IBA及び臭素含有化合物又はその中間体及び反応溶媒などを含む液状の脱気物質に分離する(脱気工程)。
【0081】
次に、脱気物質輸送ラインを介して、脱溶媒塔の塔中に脱気物質を連続的に輸送する。その後、脱溶媒塔を利用して反応溶媒を脱気物質から留去(溶媒の分離及び精製工程)し、XDI、IBA及び臭素含有化合物又はその中間体を含む脱溶媒物質を得る。
【0082】
反応溶媒は溶媒精製塔を経て改めて塩形成及び光化反応系に戻り、塔の操作条件(塔頂圧力、塔頂還流比、滞留時間)を制御することにより、再利用溶媒の含水量を制御する。
【0083】
次に、脱溶媒物質輸送ラインを介して、脱タール器の上部に脱溶媒物質を連続的に輸送する。その後、脱タール器を利用してタール成分を脱溶媒物質から除去し、XDI、IBA及び臭素含有化合物を含む中間品物質を得る(脱タール工程)。
【0084】
次に、中間品物質輸送ラインを介して精留塔の塔中に中間品物質を連続的に輸送する。その後、前述の精留工程の条件(塔底温度、塔頂温度、塔頂圧力、塔底還流比、塔頂還流比及び滞留時間)下で、低沸物を中間品物質から留去し、塔中部下寄りからXDI組成物を採取する。
【0085】
これにより、XDI、IBA及び臭素含有化合物を含むXDI組成物を連続的に製造することができる。
【0086】
本願の第3の目的はキシリレンジイソシアネート組成物の変性組成物を提供することにあり、前記変性組成物は第1の目的に記載のキシリレンジイソシアネート組成物が変性されて得られた変性物組成物であり、前記変性組成物における変性されたキシリレンジイソシアネートは、(a)イソシアヌレート基、(b)ウレトジオン基、(c)ビュウレット基、(d)ウレタン基、(e)ウレイド基、(f)イミノオキサジアジンジオン基、(g)アロファネート基、(h)ウレトイミン基又は(i)カルボジイミド基のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0087】
当業者は、必要に応じて、既知の方法を利用してXDI組成物を変性してXDI変性組成物を得ることができ、XDI変性組成物はポリイソシアネート成分及び活性水素基含有成分として、ポリウレタン樹脂の原料として好適に利用される。
【0088】
より具体的には、上記(a)の官能基(イソシアヌレート基)を含む変性XDIはXDIの三量体であり、例えば、既知のイソシアヌレート化触媒の存在下でXDI組成物を反応させ、その中のXDIをイソシアヌレート化することにより得ることができる。
【0089】
上記(b)の官能基(アロファネート基)を含む変性XDIは、XDI組成物をアルコールと反応させた後、既知のアロファネート化触媒の存在下でさらに反応させることにより得ることができる。
【0090】
上記(c)の官能基(ビューレット基)を含む変性XDIは、XDI組成物を、例えば、水、第三級アルコール(例えば、第三級ブタノールなど)、第二級アミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど)と反応させた後、既知のビューレット化触媒の存在下でさらに反応させることにより得ることができる。
【0091】
上記(d)の官能基(ウレタン基)を含む変性XDIは、XDI組成物とポリオール成分(例えば、トリメチロールプロパンなど)との反応により得ることができる。
【0092】
上記(e)の官能基(ウレイド基)を含む変性XDIは、XDI組成物と水、ポリアミン成分(後述)などの反応により得ることができる。
【0093】
上記(f)の官能基(イミノオキサジアジンジオン基)を含む変性XDI(非対称性三量体)は、既知のイミノオキサジアジンジオン化触媒の存在下でXDI組成物を反応させ、XDIをイミノオキサジアジンジオン化(例えば、三量化)させることにより得ることができる。
【0094】
上記(g)の官能基(ウレトジオン基)を含む変性XDIは、90℃~200℃程度でXDI組成物を加熱する方法により、又は既知のウレトジオン化触媒の存在下で反応させ、XDIをウレトジオン化(例えば、二量化)させることにより得ることができる。
【0095】
上記(h)の官能基(ウレトンイミン基)を含む変性XDIは、既知のカルボジイミド化触媒の存在下でXDI組成物を反応させてカルボジイミド基を形成した後、該カルボジイミド基にXDIを付加することにより得ることができる。
【0096】
上記(i)の官能基(カルボジイミド基)を含む変性XDIは、既知のカルボジイミド化触媒の存在下でXDI組成物を反応させることにより得ることができる。
【0097】
なお、XDI変性組成物は、上記(a)~(i)の官能基を少なくとも1種含めばよく、2種以上含んでもよい。このようなXDI変性組成物は、上記の反応を適当に併用することにより生成することができる。また、XDI変性組成物は単独使用又は2種以上を併用することができる。
【0098】
本願の第4の目的は、二成分ポリウレタン原料を提供することにあり、前記二成分ポリウレタン原料はA剤とB剤を含み、
前記A剤は第1の目的に記載のキシリレンジイソシアネート組成物及び/又は第3の目的に記載の変性組成物を含み、
前記B剤は活性水素基含有物質を含む。
【0099】
XDI組成物及び/又はXDI変性組成物を含むイソシアネート成分をA剤、活性水素基含有成分をB剤とする二液型樹脂原料は、例えば、塗料、接着剤などのコーティング原料、二成分硬化型シール原料、ポッティング剤などの用途に好適に使用できる。このような二成分型樹脂原料は、使用直前にそれぞれ調製されたA剤(硬化剤)とB剤(主剤)を配合した原料である。
【0100】
コーティング原料はコーティング層を形成するための二成分硬化型樹脂原料であり、A剤(硬化剤)及びB剤(主剤)を含む。コーティング層には塗料、接着剤などを含んでもよい。
【0101】
塗料としてコーティング原料を用いるときに、例えば、プラスチック用塗料、自動車外装用塗料、自動車内装用塗料、電気/電子材料用塗料、光学材料(レンズなど)用塗料、建材用塗料、ガラスコーティング層塗料、木工塗料、フィルムコーティング塗料、インク塗料、人工皮革用塗料(コーティング剤)、タンク用塗料(コーティング剤)などが挙げられる。
【0102】
A剤については、例える、ポリイソシアネート成分として、例えば、XDI変性組成物(以下、コーティング用XDI変性組成物と記す)を含み、好ましくは、上記(a)の官能基(イソシアヌレート基)を含むXDI変性組成物、及び/又は上記(d)の官能基(ウレタン基)を含むXDI変性組成物を含む。また、必要に応じて、A剤は他の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネートを含んでもよい。
【0103】
XDI変性組成物には、変性に用いられるXDI組成物におけるIBAの含有割合は、0.2ppm以上であり、500ppm以下である。
【0104】
コーティング用XDI組成物におけるIBAの含有割合が上記範囲内であると、コーティング材の変色を抑制することができる。
【0105】
B剤については、例える、活性水素基含有成分として、例えば、上記の高分子量ポリオールを含む。コーティング原料としての高分子量ポリオール(以下、コーティング用高分子量ポリオールと記す〕に関して、例えば、上記のアクリル酸系ポリオール、上記のポリエステルポリオール、上記のフルオロポリオールが挙げられる。
【0106】
また、必要に応じて、適当な割合でB剤にウレタン化触媒、加水分解防止剤、消泡剤、界面活性剤、摺動付与剤、表面調整剤、酸化防止剤、耐候安定剤、顔料、染料、フィラー、樹脂粉末などを配合することができる。
【0107】
コーティング材の形成方法として、例えば、A剤とB剤を混合し、既知の方法を利用して該混合液をコーティング対象物に塗布して硬化させる。
【0108】
これにより、コーティング材を形成可能である。このようなコーティング材料は耐変色性に優れる。
【0109】
湿熱耐久試験(2000時間)におけるコーティング層の色差(Δb)は、例えば0.5以上であり、例えば2.4以下であり、好ましくは2.2以下であり、より好ましくは2.0以下であり、さらに好ましくは1.9以下である。
【0110】
本願の第5の目的はポリウレタン樹脂を提供することにあり、前記ポリウレタン樹脂は、第1の目的に記載のキシリレンジイソシアネート組成物と活性水素基含有物質を反応させてなるか、又は第3の目的に記載の変性組成物と活性水素基含有物質を反応させてなる。
【0111】
活性水素基含有物質として、例えば、ポリオール成分(主にヒドロキシル基を2つ以上有するポリオールを含む成分)、ポリチオール成分(主にメルカプト基(チオール基)を2つ以上有するポリチオールを含む成分)、ポリアミン成分(主にアミノ基を2つ以上有するポリアミンを含む化合物)などが挙げられる。
【0112】
ポリオール成分として、例えば、低分子量ポリオール及び高分子量ポリオールが挙げられる。
【0113】
低分子量ポリオールは、ヒドロキシル基を2つ以上有する数平均分子量が60以上且つ400未満の化合物である。
【0114】
低分子量ポリオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルカン(7-22)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、アルカン-1,2-ジオール(C(炭素数、以下同様)17-20)、イソソルビド、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジメタノール及びそれらの混合物、1,4-シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテニル-3,8-ジオール、ビスフェノールAなどのジオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリトリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどのペンタオール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ガラクチトール、タリトール、イノシトール、ジペンタエリトリトールなどの6価アルコール、例えば、ベルセイトールなどの7価アルコール、例えば、スクロースなどの8価アルコールなどが挙げられる。
【0115】
また、上記のアルコールを開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加させた、数平均分子量が60以上且つ400未満のポリアルキレンオキシド(2種以上のアルキレンオキシドを含むランダム及び/又はブロック共重合体。)も低分子量ポリオールに含まれる。
【0116】
高分子量ポリオールは、ヒドロキシル基を2つ以上有する数平均分子量が400以上、例えば10000以下、好ましくは5000以下の化合物である。高分子量ポリオールとして、例える、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリル酸系ポリオール、ポリシロキサンポリオール、フルオロポリオール、及びビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
【0117】
ポリエーテルポリオールとして、例えば、ポリオキシ(C2~C3)アルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。ポリオキシ(C2~C3)アルキレンポリオールとして、例えば、上記の低分子量ポリオールを開始剤としての、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのC2~3アルキレンオキシドの付加重合体(2種以上のアルキレンオキシドを含むランダム及び/又はブロック共重合体。)が挙げられる。また、ポリオキシ(C2~3)アルキレン基として、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレン共重合体なども挙げられる。
【0118】
ポリテトラメチレンエーテルグリコールとして、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られた開環重合体(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)、テトラヒドロフランの重合単位を上記のジオールと共重合して得られた非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0119】
また、フルフラールなどの植物由来の原料から製造されたテトラヒドロフランを出発原料とする植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールも挙げられる。
【0120】
ポリトリメチレンエーテルグリコールとして、例えば、植物由来の1,3-プロパンジオールの重縮合により製造されたポリオールが挙げられる。
【0121】
ポリエステルポリオールとして、例えば、既知の条件下で上記の低分子量ポリオール(好ましくは、ジオール)を多塩基酸(好ましくは、二塩基酸)と反応させて得られた重縮合体が挙げられる。
【0122】
多塩基酸として、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,1-ジメチル-1,3-ジカルボキシプロパン、3-メチル-3-エチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸(C11~C13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマ酸、水素化ダイマー酸、HET酸などの他のカルボン酸、及びこれらのカルボン酸に由来する酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、2-アルキル(C12~C18)無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、及びこれらのカルボン酸などに由来する酸ハライド、例えば、オキサリルクロリド、アジピン酸クロリド、ドデカンジオイルジクロリドなどが挙げられる。
【0123】
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、既知の条件下で上記の低分子量ポリオールを、ヒドロキシル基を含む植物油脂肪酸(例えば、リシノール酸を含むヒマシ脂肪酸、12-ヒドロキシルステアリン酸を含む水添ヒマシ脂肪酸など)などのヒドロキシルカルボン酸と縮合反応させて得られた植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0124】
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記の低分子量ポリオール(好ましくは、ジオール)を開始剤とし、例えば、ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られたポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール及びそれらを上記のジオールと共重合して得られたラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0125】
ポリカーボネートポリオールとして、例えば、上記の低分子量ポリオール(好ましくはジオール)を開始剤とするエチレンカルボナートの開環重合体、例えば、上記のジオールを開環重合体と共重合して得られた非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0126】
また、ポリウレタンポリオールに関して、ヒドロキシル基とイソシアネート基の当量比(OH/NCO)が1を超える割合で、上記の方法で得られたポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及び/又はポリカーボネートポリオールを、上記ポリイソシアネート(XDIを含む。以下同様)と反応させることによって得られたポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、又はポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどが挙げられる。
【0127】
エポキシポリオールとして、例えば、上記の低分子量ポリオールと、例えばエピクロロヒドリン、β-メチルエピクロロヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとの反応により得られたエポキシポリオールなどが挙げられる。
【0128】
植物油ポリオールとして、例えば、ヒマシ油、ヤシ油などのヒドロキシル基を含む植物油などが挙げられる。例えば、ヒマシ油ポリオール、又はヒマシ油ポリオールとポリプロピレンポリオールとの反応により得られたエステル変性ヒマシ油ポリオールなどが挙げられる。
【0129】
ポリオレフィンポリオールとして、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分鹸化のエチレン-酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0130】
アクリル酸系ポリオールとして、例えば、ヒドロキシル基を含むアクリレートを、ヒドロキシル基を含むアクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーと共重合させることによって得られた共重合体が挙げられる。
【0131】
ヒドロキシル基を含むアクリレートとして、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,2-ジヒドロキシメチルブチル、ポリヒドロキシルアルキルマレイン酸エステル、ポリヒドロキシルアルキルフマル酸エステルなどが挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルなどが挙げられる。
【0132】
共重合性ビニルモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル(炭素数1~12)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
【0133】
芳香族ビニルモノマーは、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を含むビニルモノマー、又はそのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3-(2-イソシアネート-2-プロピル)-α-メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むビニルモノマーなどである。
【0134】
そして、アクリル酸系ポリオールは、適当な溶媒及び重合開始剤の存在下でこれらのヒドロキシル基を含むアクリレート及び共重合性ビニルモノマーを共重合させることにより得ることができる。
【0135】
また、アクリル酸系ポリオールは、例えば、ポリシロキサンポリオール、フルオロポリオールを含む。
【0136】
ポリシロキサンポリオールとして、例えば、上記のアクリル酸系ポリオールの共重合に、共重合性ビニルモノマーとして、例えばγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニル基を含むポリシロキサン化合物を配合して得られたアクリル酸系ポリオールが挙げられる。
【0137】
フルオロポリオールとして、例えば、上記のアクリル酸系ポリオールの共重合に、共重合性ビニルモノマーとして、例えばテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのビニル基を含むフッ素化合物を配合して得られたアクリル酸系ポリオールが挙げられる。
【0138】
ビニルモノマー変性ポリオールは、上記の高分子量ポリオールと上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどのビニルモノマーの反応により得ることができる。
【0139】
上記ポリオール成分は単独使用又は2種以上を併用することができる。
【0140】
また、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分の反応において、活性水素基とイソシアネート基の当量比が1未満であると、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端重合体が生成し、活性水素基とイソシアネート基の当量比が1を超えると、分子末端に活性水素基を有する活性水素基末端重合体が生成する。イソシアネート基末端重合体及び活性水素基末端重合体は、いずれも樹脂(ポリウレタン樹脂)に含まれる。イソシアネート基末端ポリマーは一成分硬化型樹脂である。
【0141】
ポリウレタン樹脂の用途として、具体的には、インク、転写箔、粘着剤、結着剤、ゲル、エラストマー、フォーム、接着剤、液硬化型シール材、RIM成形品、微発泡ポリウレタン、各種のマイクロカプセル、光学材料、水性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線(例えば、電子線、紫外線など)硬化性樹脂、人工及び合成皮革、凝固粉、ロボット部材、移動部材、医療保健材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の基材樹脂、透明性ゴム、透明性硬質樹脂、防水材、フィルム、シート材、チューブ、プレート、スピーカー、センサー類、有機エレクトロルミネッセンス部材、太陽光発電部材、ロボット部材、ウェアラブル部材、スポーツ用品、レジャー用品、医療用品、介護用品、住宅用部材、音響部材、照明部材、シャンデリア、屋外電灯、包装、防振/耐震/制振部材、防音部材、日用品、雑貨、緩衝器、寝具、応力吸収材、応力緩和材、自動車の内装・外装部材、輸送機部材、オフィス自動化機器用部材、雑貨表面保護部材、自己修復材、健康器具などの用途に好適に使用可能である。
【0142】
本願の第6の目的はエラストマー材料を提供することにあり、前記エラストマー材料は第5の目的に記載のポリウレタン樹脂を含む。
【0143】
エラストマーとして、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、熱硬化性ポリウレタンエラストマー(TSU)、圧延可能型ポリウレタンエラストマーなどが挙げられる。
【0144】
エラストマーは、XDIと高分子量ポリオールの反応により形成されたソフトセグメントと、XDIと低分子量ポリオール及び/又は低分子量ポリアミンの反応により形成されたハードセグメントとを含む。
【0145】
このようなエラストマーは、例えば、ポリイソシアネート成分、高分子量ポリオール(活性水素基含有成分)と低分子量ポリオール及/又は低分子量ポリアミン(活性水素基含有成分)の反応により製造することができる。すなわち、ポリイソシアネート成分、高分子量ポリオール及び低分子量ポリオール及び/又は低分子量ポリアミンはエラストマー原料である。
【0146】
エラストマー原料である高分子量ポリオールに関して、例えば、上記のポリエステルポリオール(例えば、ポりカプロラクトンポリオール、アジピン酸系ポリエステルポリオール(多塩基酸としてアジピン酸を用いるポリエステルポリオール))、上記のポリカーボネートポリオール、上記のポリテトラメチレンエーテルグリコール(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)が挙げられ、好ましくはアジピン酸系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0147】
エラストマー原料である低分子量ポリオールに関して、例えば、エチレングリコール、1,4-ブタンジオールなどが挙げられ、好ましくは1,4-ブタンジオールが挙げられる。
【0148】
エラストマー原料である低分子量ポリアミンに関して、例えば、上記の低分子量ポリアミンが挙げられる。
【0149】
エラストマーは、例えば、ワンショット法又はプレポリマー法などの既知の方法で製造することができる。
【0150】
なお、エラストマーの製造方法に関して、例えば、バルク重合、溶液重合などが利用可能である。
【0151】
また、エラストマーの製造方法において、必要に応じて、例えば、アミン類、有機金属化合物(例えば、有機スズ系化合物、好ましくはジブチルジクロロスズなど)などの既知のウレタン化触媒をエラストマー原料に添加してもよい。さらに、必要に応じて、適当な割合で、可塑剤、アンチブロッキング剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、黄変防止剤、酸化防止剤、離型剤、顔料、染料、潤滑剤、造核剤、フィラー、加水分解防止剤などをエラストマーに配合してもよい。
【0152】
これによりエラストマーを製造することができる。このようなエラストマーは、白濁を抑制し、耐変色性に優れるだけでなく、機械的物性(伸びと強度)に優れる。
【0153】
キセノンランプ照射試験(240時間)時のエラストマーの色差(Δb)は、例えば1.0以上であり、例えば3.9未満、好ましくは3.5以下であり、より好ましくは3.0以下である。キセノンランプ照射試験におけるエラストマーの色差は、後述の実施例に記載の方法に従って測定する。
【0154】
本願の第7の目的は光学材料を提供することにあり、前記光学材料は第1の目的に記載のキシリレンジイソシアネート組成物とポリチオール化合物を重合させてなるか、又は第3の目的に記載の変性組成物とポリチオール化合物を重合させてなる。
【0155】
本願では、ポリチオール化合物とは少なくとも2つのチオール基を含む化合物である。
【0156】
好ましくは、前記光学材料はプラスチックレンズ材料、自動車ランプカバー材料、透明屋根材、スマートフォン又はタブレットのレンズ材料を含む。
【0157】
好ましくは、前記ポリチオール化合物は、メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,1-プロパンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、2,2-プロパンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,1-シクロヘキサンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジチオール、3,4-ジメトキシブタン-1,2-ジチオール、2-メチルシクロヘキサン-2,3-ジチオール、1,1-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2-メルカプトエチル)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(2-メルカプトアセテート)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(3-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラ(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、テトラ(メルカプトメチル)メタンなどの脂肪族ポリチオール化合物;
1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3-トリメルカプトベンゼン、1,2,4-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,2,3-トリ(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4-トリ(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリ(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3-トリ(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4-トリ(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリ(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,3-ジ(p-メトキシフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、1,3-ジフェニルプロパン-2,2-ジチオール、フェニルメタン-1,1-ジチオール、2,4-ジ(p-メルカプトフェニル)ペンタンなどの芳香族ポリチオール化合物;
1,2-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3-トリ(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリ(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリ(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3-トリ(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4-トリ(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5-トリ(メルカプトエチルチオ)ベンゼンなど、及びそれらのアルキル化物などのメルカプト基以外に硫黄原子を含む芳香族ポリチオール化合物;
ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピル)エタン、1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3-トリ(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリ(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリ(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチア-1,11-ウンデカンジチオール、テトラ(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラ(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラ(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、ビス(1,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィドなどのメルカプト基以外に硫黄原子を含む脂肪族ポリチオール化合物、及びそれらのメルカプト酢酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル;
ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(2-メルカプトアセテート)、1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオ二酢酸ビス(2-メルカプトエチル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチル)、4,4-チオジ酪酸ビス(2-メルカプトエチル)、ジチオ二酢酸ビス(2-メルカプトエチル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチル)、4,4-ジチオジ酪酸ビス(2-メルカプトエチル)、チオ二酢酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオ二酢酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)などの他のメルカプト基以外に硫黄原子及びエステル結合を含む脂肪族ポリチオール化合物;
3,4-チオフェンジチオール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールなどのメルカプト基以外に硫黄原子を含む複素環化合物;
2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1-ヒドロキシル-4-メルカプトシクロヘキサン、2,4-ジメルカプトフェノール、2-メルカプトヒドロキノン、4-メルカプトフェノール、3,4-ジメルカプト-2-プロパノール、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、1,2-ジメルカプト-1,3-ブタンジオール、ペンタエリトリトールトリ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールモノ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールトリ(メルカプトアセテート)、ジペンタエリトリトールペンタ(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル-トリ(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1-ヒドロキシエチルチオ-3-メルカプトエチルチオベンゼンなどのメルカプト基以外にヒドロキシル基を含む化合物;
1,1,3,3-テトラ(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラ(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアシクロヘキサン、1,1,5,5-テトラ(メルカプトメチルチオ)-3-チアペンタン、1,1,6,6-テトラ(メルカプトメチルチオ)-3,4-ジチアヘキサン、2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチルメルカプタン、2-(4,5-ジメルカプト-2-チオペンチル)-1,3-ジチアシクロペンタン、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-ジチアシクロペンタン、2,5-ビス(4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアブチル)-1,4-ジチアン、2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-プロパンジチオール、3-メルカプトメチルチオ-1,7-ジメルカプト-2,6-ジチアヘプタン、3,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,9-ジメルカプト-2,5,8-トリチアノナン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,9-ジメルカプト-2,5,8-トリチアノナン、3-メルカプトメチルチオ-1,6-ジメルカプト-2,5-ジチアヘキサン、2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチアシクロブタン、1,1,9,9-テトラ(メルカプトメチルチオ)-5-(3,3-ビス(メルカプトメチルチオ)-1-チアプロピル)3,7-ジチアノナン、トリ(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、トリ(4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアブチル)メタン、テトラ(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、テトラ(4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアブチル)メタン、3,5,9,11-テトラ(メルカプトメチルチオ)-1,13-ジメルカプト-2,6,8,12-テトラチアトリデカン、3,5,9,11,15,17-ヘキサ(メルカプトメチルチオ)-1,19-ジメルカプト-2,6,8,12,14,18-ヘキサチアノナデカン、9-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-3,5,13,15-テトラ(メルカプトメチルチオ)-1,17-ジメルカプト-2,6,8,10,12,16-ヘキサチアヘプタデカン、3,4,8,9-テトラ(メルカプトメチルチオ)-1,11-ジメルカプト-2,5,7,10-テトラチアウンデカン、3,4,8,9,13,14-ヘキサ(メルカプトメチルチオ)-1,16-ジメルカプト-2,5,7,10,12,15-ヘキサチアヘキサデカン、8-{ビス(メルカプトメチルチオ)メチル}-3,4,12,13-テトラ(メルカプトメチルチオ)-1,15-ジメルカプト-2,5,7,9,11,14-ヘキサチアペンタデカン、4,6-ビス{3,5-ビス(メルカプトメチルチオ)-7-メルカプト-2,6-ジチアヘプチルチオ}-1,3-ジチアン、4-{3,5-ビス(メルカプトメチルチオ)-7-メルカプト-2,6-ジチアヘプチルチオ}-6-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチアン、1,1-ビス{4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ}-3,3-ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3-ビス{4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ}-1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1-{4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ}-3-{2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル}-7,9-ビス(メルカプトメチルチオ)-2,4,6,10-テトラチアウンデカン、1-{4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ}-3-{2-(1,3-ジチアシクロブチル)}メチル-7,9-ビス(メルカプトメチルチオ)-2,4,6,10-テトラチアウンデカン、1,5-ビス{4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ}-3-{2-(1,3-ジチアシクロブチル)}メチル-2,4-ジチアペンタン、4,6-ビス[3-{2-(1,3-ジチアシクロブチル)}メチル-5-メルカプト-2,4-ジチアペンチルチオ]-1,3-ジチアン、4,6-ビス{4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ}-1,3-ジチアン、4-{4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ}-6-{4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ}-1,3-ジチアン、3-{2-(1,3-ジチアシクロブチル)}メチル-7,9-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,11-ジメルカプト-2,4,6,10-テトラチアウンデカン、9-{2-(1,3-ジチアシクロブチル)}メチル-3,5,13,15-テトラ(メルカプトメチルチオ)-1,17-ジメルカプト-2,6,8,10,12,16-ヘキサチアヘプタデカン、3-{2-(1,3-ジチアシクロブチル)}メチル-7,9,13,15-テトラ(メルカプトメチルチオ)-1,17-ジメルカプト-2,4,6,10,12,16-ヘキサチアヘプタデカン、3,7-ビス{2-(1,3-ジチアシクロブチル)}メチル-1,9-ジメルカプト-2,4,6,8-テトラチアノナン、4-{3,4,8,9-テトラ(メルカプトメチルチオ)-11-メルカプト-2,5,7,10-テトラチアウンデカン}-5-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチアシクロペンタン、4,5-ビス{3,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-6-メルカプト-2,5-ジチアヘキシルチオ}-1,3-ジチアシクロペンタン、4-{3,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-6-メルカプト-2,5-ジチアヘキシルチオ}-5-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチアシクロペンタン、4-{3-ビス(メルカプトメチルチオ)メチル-5,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-8-メルカプト-2,4,7-トリチアオクチル}-5-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチアシクロペンタン、2-[ビス{3,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-6-メルカプト-2,5-ジチアヘキシルチオ}メチル]-1,3-ジチアシクロブタン、2-{3,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-6-メルカプト-2,5-ジチアヘキシルチオ}メルカプトメチルチオメチル-1,3-ジチアシクロブタン、2-{3,4,8,9-テトラ(メルカプトメチルチオ)-11-メルカプト-2,5,7,10-テトラチアウンデカンチオ}メルカプトメチルチオメチル-1,3-ジチアシクロブタン、2-{3-ビス(メルカプトメチルチオ)メチル-5,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-8-メルカプト-2,4,7-トリチアオクチル}メルカプトメチルチオメチル-1,3-ジチアシクロブタン、4,5-ビス[1-{2-(1,3-ジチアシクロブチル)}-3-メルカプト-2-チアプロピルチオ]-1,3-ジチアシクロペンタン、4-[1-{2-(1,3-ジチアシクロブチル)}-3-メルカプト-2-チアプロピルチオ]-5-{1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)-4-メルカプト-3-チアブチルチオ}-1,3-ジチアシクロペンタン、2-[ビス{4-(5-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチオラン)チオ}]メチル-1、3-ジチアシクロブタン、4-{4-(5-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチオラン)チオ}-5-[1-{2-(1,3-ジチアシクロブチル)}-3-メルカプト-2-チアプロピルチオ]-1,3-ジチアシクロペンタン、及びそれらのオリゴマーなどのジチオアセタール(dithioacetal)又はジチオケタール(dithioketal)骨格を有する化合物;
トリ(メルカプトメチルチオ)メタン、トリ(メルカプトエチルチオ)メタン、1,1,5,5-テトラ(メルカプトメチルチオ)-2,4-ジチアペンタン、ビス(4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアブチル)(メルカプトメチルチオ)メタン、トリ(4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアブチル)メタン、2,4,6-トリ(メルカプトメチルチオ)-1,3,5-トリチアシクロヘキサン、2,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3,5-トリチアシクロヘキサン、1,1,3,3-テトラ(メルカプトメチルチオ)-2-チアプロパン、ビス(メルカプトメチル)メチルチオ-1,3,5-トリチアシクロヘキサン、トリ((4-メルカプトメチル-2,5-ジチアシクロヘキシル-1-イル)メチルチオ)メタン、2,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアシクロペンタン、2-メルカプトエチルチオ-4-メルカプトメチル-1,3-ジチアシクロペンタン、2-(2,3-ジメルカプトプロピルチオ)-1,3-ジチアシクロペンタン、4-メルカプトメチル-2-(2,3-ジメルカプトプロピルチオ)-1,3-ジチアシクロペンタン、4-メルカプトメチル-2-(1,3-ジメルカプト-2-プロピルチオ)-1,3-ジチアシクロペンタン、トリ(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)-1-チアエチル)メタン、トリ(3,3-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアプロピル)メタン、トリ(4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-3-チアブチル)メタン、2,4,6-トリ(3,3-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアプロピル)-1,3,5-トリチアシクロヘキサン、テトラ(3,3-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアプロピル)メタンなど、及びそれらのオリゴマーなどのオルトトリチオギ酸エステル骨格を有する化合物;
3,3’-ジ(メルカプトメチルチオ)-1,5-ジメルカプト-2,4-ジチアペンタン、2,2’-ジ(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアシクロペンタン、2,7-ジ(メルカプトメチル)-1,4,5,9-テトラチアスピロ[4,4]ノナン、3,9-ジメルカプト-1,5,7,11-テトラチアスピロ[5,5]ウンデカン、及びそれらのオリゴマーなどのオルトテトラチオ炭酸エステル骨格を有する化合物などから選ばれる。
【0158】
しかし、ポリチオール化合物は以上に挙げられた各化合物に限定されない。また、以上に挙げられた各化合物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0159】
以上に挙げられた化合物のうち、特に好ましくは、1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチア-1,11-ウンデカンジチオール、ペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3-テトラ(メルカプトメチルチオ)プロパン及び2-メルカプトエタノールからなる群の少なく1種のポリチオール化合物を使用する。
【0160】
好ましくは、光学材料の調製方法は重合触媒の存在下で行い、前記重合触媒は、有機スズ類化合物であることが好ましく、ジブチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズなどのジアルキルハロゲン化スズ類、ジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレートなどのジアルキルスズジカルボン酸類が挙げられる。
【0161】
また、目的に応じて、前記光学材料の製造方法において、必要に応じて、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤、離型剤などの各種の助剤を添加していてもよい。
【0162】
ポリウレタン類樹脂からなる光学材料は、通常に射出重合により製造される。具体的には,ポリチオール化合物とイソシアネート化合物を混合し、適当な助剤を添加していてもよい。必要がある場合、適当な方法を採用してこの混合液(重合性組成物)を脱泡した後、光学材料用モールド型に注入し、通常は低温から高温まで徐々に加熱して重合させる。その後、離型によって光学材料を得る。
【0163】
光学材料用XDI組成物又はXDI変性組成物のIBAの含有割合が0.2ppm以上であり、500ppm以下であると、光学材料用XDI組成物又はXDI変性組成物から、光学材料を安定的に製造する。光学材料用XDI組成物又はXDI変性組成物におけるIBAの含有割合が上記上限以下であると、光学材料の変色を抑制できる。
【0164】
本願に係る光学材料の黄変指数YIは1.7以内、最低1.5に制御可能である。
【発明の効果】
【0165】
従来の技術に比較して、本願は以下の有益な効果を有する。
本願に係るキシリレンジイソシアネート組成物に0.2~500ppmの式(1)の化合物を含み、その調製された樹脂は、優れる耐変色性能を有し、樹脂の黄変及び/又は白濁を効果的に抑制する。
【0166】
詳細な説明を読んで理解した後、他の方面を明らかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【
図1】本願の具体的実施形態においてキシリレンジイソシアネート組成物を調製する装置流れ図である。
【符号の説明】
【0168】
1-塩形成釜、2-第1ホスゲン化釜、3-第2ホスゲン化釜、4-第3ホスゲン化釜、5-脱ホスゲン塔、6-脱溶媒塔、7-脱タール器、8-精留塔、9-溶媒精製塔。
【発明を実施するための形態】
【0169】
(一)本願において、関連テストの測定方法は次のとおりである。
【0170】
1、化合物IBAの含有割合
まず、標準物質として下記に記載の合成される純度99mol%のIBAを用いて、下記の条件下でガスクロマトグラフィーで分析し、得られたガスクロマトグラムの面積値から検量線を作成した(外部標準法)。
分析機器:Agilent 5977B GCMS、
カラム:DB-5(30m×0.25mm×0.25um)、
オーブン温度:50℃で2分間保持し、5mL/minの速度で80℃まで昇温してから、15mL/minの速度で280℃まで昇温し、10分間保持し、
分離比:スプリットレス、
注入口温度:280℃、
検出温度:300℃、
キャリアガス:ヘリウムガス、
キャリアガス流量:1mL/min(定流量)、
注入量:1μL、
検出方法:SIMはイオンスキャンモード(161、132)が選択された。
【0171】
2、キシリレンジイソシアネートの含有割合
後述の実施例における純度99mol%のXDIを標準物質とし、内部標準法を利用して下記の条件下で、ガスクロマトグラフィーで分析した。
機器:Agilent 7890。
(1)カラム:DB-5(30m×0.25mm×0.25μm)、(2)注入量:0.5μL、(3)分流比:1/30、(4)注入口温度:260℃、(5)カラム流速:1.5mL/min、(6)プログラム昇温:100℃で1分間保持し、10℃/minで280℃まで昇温し、20分間保持し、(7)FID検出器温度:280℃、(8)水素ガス流速:40mL/min、空気流速:400mL/min。
【0172】
3、XDIにおける臭素元素の含有量はICP-OES分析により測定された。
機器:Thermo Scientific ICAP 7200 ICP-OES。
【0173】
4、再利用溶媒の含水量はカールフィッシャー水分計により測定された。
機器:Metrohm915 KF Ti-Touch。
【0174】
5、光学材料のイエローインデックス値(Y.I.値)の計算
中国標準GB/T-2409-1980に応じてレンズのイエローインデックスを測定した。
【0175】
後述の各実施例及び各比較例の光学材料を厚さ9mm、直径75mmの円形平板プラスチックレンズとし、分光光度計を用いて、三刺激値x、y、zを測定した。下記式でY.I.を算出した。
【数1】
【0176】
なお、Y.I.値が小さいほどプラスチックレンズの色相がよく、Y.I.値が大きいほど色相が悪いという関係がある。
【0177】
6、エラストマーの耐候性試験
次に、射出成形機(型番:NEX-140、台富機械)を用いて後述の各実施例及び各比較例のエラストマーを、スクリュー回転数100rpm、バレル温度150~235℃の設定で、金型温度20℃、射出時間10秒、射出速度60mm/s及び冷却時間45秒の条件下で射出成形を実施した。
【0178】
23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で、得られたシート材(厚さ2mm)を7日間養生し、後述の各実施例及び各比較例のエラストマーシート材を得た。
【0179】
そして、色彩色素計でエラストマーシート材のb値(b1、初期値)を測定した後、キセノンランプ照射試験を実施した。240時間経過後、エラストマーシート材のb値(b2)を上記と同様に測定した。キセノンランプ照射試験(240時間)におけるエラストマーシート材の色差Δb(=|b2-b1|)を計算した。
【0180】
なお、キセノンランプ照射試験については、スーパーキセノンウエザメーター(威邦儀器)を用いて、ブラックパネル温度89℃、相対湿度50%、キセノンランプ放射照度100W/m2(照射波長300~400nm)の条件下で実施した。
【0181】
7、コーティング層の湿熱耐久試験における色差(変着色)
色差計(3nh NR10QC)で後述の各実施例及び各比較例のコーティング層が形成されたポリエチレンテレフタレート基材(以下、サンプルと記す。)のb値(b1、初期値)を測定した。次に、恒温恒湿器(高鉄儀器)を用いて、85℃、相対湿度85%の条件下で、サンプルを2000時間保持した。2000時間経過後のサンプルのb値(b2)を上記と同様に測定した。湿熱試験におけるコーティング層の色差Δb(=|b2-b1|)を算出した。
【0182】
(二)標準物質の準備
下記の合成経路に従って、上記化学式(1)に示すIBAを合成した。
【化2】
【0183】
還流冷却管と分水器を取り付けた50mlの三つ口フラスコに、3-シアノベンズアルデヒド6.5g(50mmol)、エチレングリコール4.35g(70mmol)、帯水剤のシクロヘキサン15mL及び珪藻土0.4g(3-シアノベンズアルデヒドの質量の6%)を加え、2時間加熱還流攪拌した後に冷却し、珪藻土をろ過して回収し、回転蒸発してシクロヘキサンを除去した後に、無色透明の芳香液体3-シアノベンズアルデヒドエチレンアセタール7.88gを得て、収率は90%であった。
【0184】
室温で、3-シアノベンズアルデヒドエチレンアセタール674mg(3.85mmol)とテトラヒドロフラン14.0mLの混合溶液に、ボラン-ジメチルスルフィドコンプレックスのテトラヒドロフラン溶液10.1mL(19.2mmol)を滴下した後、23時間攪拌して反応させた。
【0185】
反応後、反応液を氷で冷却しながら、反応液に水10mLを滴下し、その後、2M塩酸2.5mL(5.0mmol)を添加して室温で2時間反応させた。次に、反応液に酢酸エチル20mLを添加し、攪拌しながら反応液を洗浄した。酢酸エチル層を分液除去した後、反応液に1M水酸化ナトリウム6mLを添加し、ジクロロメタン15mLで反応液を4回抽出操作し、得られたジクロロメタン層を硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、ジクロロメタン層から硫酸マグネシウムをろ過した後、ジクロロメタンを留去し、3-(アミンメチル)ベンズアルデヒド434.0mg(2.28mmol)を得た。
【0186】
1H-NMR(270MHz,CDCl3)で得られた3-(アミンメチル)ベンズアルデヒドを分析した。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ9.88(s,1H),8.69(b,2H),7.65-7.40(m,4H),4.35(s,2H)。
【0187】
次に、上記で得られた3-(アミンメチル)ベンズアルデヒド337.4mg(1.78mmol)とクロロベンゼン7.0mLの混合溶液にホスゲンを導入して120℃で反応させ、反応液が澄明になったときに反応を停止させた。室温まで冷却し、クロロベンゼンを留去し、濃縮液を得て、3-(イソシアナトメチル)ベンズアルデヒド(IBA)278.0mg(1.29mmol)を得た。
【0188】
1H-NMR(270MHz,CDCl3)、13C-NMR(100MHz,CDCl3)で得られた3-(イソシアナトメチル)ベンズアルデヒド(IBA)を分析した。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ9.86(s,1H)、7.65-7.36(m,4H)、4.63(s,2H)。
13C-NMR(100MHz,CDCl3)δ191.0、139.4、139.2、133.7、130.1、129.1、126.9、125.0、54.6。
【0189】
本願の理解を容易にするために、本願は下記のように実施例を列挙した。当業者には、その実施例が本願に対する理解を支援するだけのものであり、本願に対する具体的な制限とみなされるべきではないことを明らかにすべきである。
【0190】
なお、「部」及び「%」は、特に明記しない限り、質量を基準とした。
【0191】
[実施例1~7、比較例1]
その実施例及び比較例はそれぞれXDI組成物を提供し、その具体的な組成の詳細は表1に示した。
【0192】
XDI組成物の調製方法は次のとおりである。
図1に示す流れでXDI組成物を製造した。詳細には、クロロベンゼン800質量部を
図1に示す塩形成釜に仕込む。次に、塩形成釜内の塩形成温度を30℃に調整するとともに、塩形成釜内の塩形成圧力(ゲージ圧)を0.05MPaGに調整した。その後、塩化水素供給ラインにより、塩形成釜にHClガス128質量部を導入するとともに、アミン供給ラインにより、塩形成釜に1,3-XDA 150質量部とクロロベンゼン1050質量部との混合溶液(アミン溶液)を仕込む。これにより、1,3-XDA塩酸塩の濃度が11.5wt.%であるスラリーを調製した。
【0193】
次に、64質量部/hrの供給速度で、HClガスを塩化水素供給ラインにより塩形成釜に連続的に吹き込むとともに、1000質量部/hrの供給速度でアミン供給ラインにより塩形成釜に1,3-XDAの濃度が7.5wt.%であるアミン溶液を仕込み、同時に塩酸塩輸送ラインを介して第1ホスゲン化釜に1,3-XDA塩酸塩を含むスラリーを輸送した。
【0194】
次に、表1に示す供給速度で、第1、2、3ホスゲン化釜にホスゲンを連続的に導入した。3つの反応釜の反応温度及び反応圧力(ゲージ圧)と、1,3-XDA塩酸塩1molに対するホスゲンの供給割合及び再利用溶媒の水分含有量を表1に示した。
【0195】
これにより、1,3-XDA塩酸塩とホスゲンを反応させ、1,3-XDIを生成し、1,3-XDIを含む反応物質を調製した。また、未反応のホスゲンの一部は凝縮器でホスゲン化釜に凝縮された。
【0196】
次に、光化学反応液を脱ホスゲン塔に連続的に輸送した。その後、脱ホスゲン塔で反応物質を脱気した。次に、脱気物質輸送ラインを介して、脱気物質を脱ホスゲン塔から排出し、脱溶媒塔に連続的に輸送した。これにより、m-1,3-XDIの濃度が95wt.%である脱溶媒物質120質量部を調製した。
【0197】
次に、脱溶媒物質輸送ラインを介して脱溶媒物質を脱溶媒塔から排出し、離脱された溶媒を溶媒精製塔で精製して再利用した。
【0198】
溶媒精製塔に理論段数が15に相当する充填物が充填されており、その操作条件は以下のとおりである。
塔底温度:80~130℃、
塔頂温度:60~120℃、
塔頂圧力:表1に示し、
塔頂還流比:表1に示し、
滞留時間:0.5~10h、
再利用溶媒中の水分含有量の制御:表1に示した。
【0199】
脱溶媒させた物質を脱タール器に連続的に輸送した。その後、脱タール器で脱溶媒物質を脱タールし、中間品物質を調製した。中間品物質におけるクロロベンゼン(MCB)、XDI、IBA及び臭素元素の含有割合を表1に示した。
【0200】
次に、100質量部/hrの供給速度で精留塔に中間品物質を連続的に輸送した。精留塔には、理論段数が20に相当する充填物が充填されている。その後、精留塔において、塔頂から軽成分を離脱させ、塔からXDI組成物製品を採取した。
【0201】
精留塔での精留条件は次のとおりである。
塔底温度:145~160℃、
塔頂温度:100~130℃、
塔頂圧力:0~500Pa、
滞留時間:1~10h、
精留工程の採取量及び塔頂還流比は表1に示した。
【0202】
これにより、XDI組成物を製造した。XDI組成物におけるXDI、IBA、臭素元素の含有割合を表1に示した。
【0203】
[比較例2]
実施例1で得られたXDI組成物を窒素ガス保護下で、比較例3におけるXDI組成物と1:1で混合して比較例2のXDI組成物を得た。
【0204】
[比較例3]
比較例3として、特許出願US5196572Aの実施例1で調製されたXDIを用いた。
【0205】
【0206】
使用性能テスト
上記実施例及び比較例のXDI組成物を各種樹脂材料の調製に用い、性能評価を行い、具体的には、以下のとおりである。
【0207】
1、エラストマー(TPU)
(1)調製方法
攪拌機、温度計、還流管及び窒素供給ラインを備える四つ口フラスコに、実施例1~7及び比較例1、2、3のそれぞれのXDI組成物(ポリイソシアネート成分)198質量部と、数平均分子量が2000であるアジピン酸系ポリエステルポリオール(三井化学社製、TAKELAC U-2024、活性水素基含有成分)531.2質量部とを仕込み、窒素ガス雰囲気下、80℃で、NCO基含有量が9.1wt.%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを製造した。
【0208】
また、耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals、IRGANOX 245)3.9質量部と、アジピン酸ジイソノニル(XIYASHIJI)で触媒のオクタン酸錫(Innochem試剤)を4wt.%に希釈した溶液0.07質量部とを、イソシアネート基末端プレポリマーに添加し、機械攪拌機(ドイツIKA、RW20)を用いて600rpmの攪拌で、約1分間撹拌して混合した。次に、鎖延長剤として予め80℃に調整した1,4-ブタンジオール(Innochem試剤)131.9質量部をイソシアネート基末端プレポリマーに添加した。さらに、全体が均一になるまでイソシアネート基末端プレポリマーと鎖延長剤の混合液を約2分間よく攪拌した。
【0209】
次に、混合液を予め温度を150℃に調整したステンレス製の盤に流し込み、150℃で1時間反応させ、次に100℃で23時間反応させてエラストマーを製造した。
【0210】
その後、エラストマーを盤から取り外し、室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で7日間養生した。
【0211】
(2)性能評価
得られたエラストマー(TPU)のキセノンランプ照射試験における色差を測定し、その結果を表2に示した。
【0212】
2、光学材料(プラスチックレンズ材料)
(1)調製方法
フラスコにジブチルジクロロスズ0.001質量部、内部離型剤(Stepan社製、ZELECUN、酸性リン酸エステル)0.07質量部、紫外線吸収剤(堺化学工業社製、Biosorb 583)0.05質量部、実施例1~7及び比較例1、2、3のそれぞれのXDI組成物36.4質量部を仕込む。その後、25℃でこれらを1時間攪拌して溶解させ、ポリイソシアネート成分を調製した。
【0213】
その後、該ポリイソシアネート成分に1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパン(ポリチオール成分)33.6質量部を仕込んで混合し、重合性組成物を調製した。
【0214】
600Paで該重合性組成物を1時間脱泡した後、3μmのPTFEフィルターでろ過した。その後、ガラスモールドとテープからなる鋳型に注入した。該鋳型をオーブンに投入し、10℃から120℃まで徐々に昇温し、18時間重合を行った。重合終了後、鋳型をオーブンから取り出し、離型して、光学材料を製造した。
【0215】
(2)性能評価
得られたプラスチックレンズのY.I.値を測定した。その結果を表2に示した。
【0216】
3、二成分ポリウレタン塗布材料(A剤及びB剤を含む)
(1)調製方法
A剤-1の調製
実施例1~7及び比較例1、2、3のそれぞれのXDI組成物463.3質量部とトリメチロールプロパン36.7質量部とを混合し、窒素ガス雰囲気下で、70℃で6時間反応させた。該反応液について、薄膜蒸留装置を用いて未反応のXDIを留去することにより、XDI変性物組成物を製造した。XDI変性物組成物は、XDIとトリメチロールプロパンとの反応生成物であるウレタン基を含んだ。
【0217】
固形分が75wt.%となるように該XDI変性組成物に酢酸エチルを添加し、ポリイソシアネート成分(A剤-1)を製造した。なお、ポリイソシアネート成分におけるNCO基含有量は11.8wt.%である。
【0218】
A剤-2の調製
実施例1~7及び比較例1、2、3のそれぞれのXDI組成物100質量部に1,3-ブタンジオール2質量部を添加し、窒素ガス雰囲気下で75℃まで昇温し、ウレタン化反応を2時間行った。XDIのイソシアネート基と1,3-ブタンジオールのヒドロキシル基の当量比(NCO/OH)は24である。次に、同じ温度下で、イソシアヌレート化触媒として、テトラブチルアンモニウムの水酸化物の溶液(37%メタノール溶液)0.1phr(固形分換算で0.037phr)を配合し、反応開始4時間後にイソシアヌレート化反応を終了した。得られた反応液を薄膜蒸留装置(温度150℃、真空度50Pa)を通って、未反応のXDIを除去し(蒸留収率60wt.%)、これによりXDI変性物組成物を製造した。XDI変性物組成物はXDIの三量体であるイソシアヌレート基を含んだ。固形分が75wt.%になるように、該XDI変性物組成物に酢酸エチルを添加し、ポリイソシアネート成分(A剤-2)を製造した。
【0219】
B剤の調製について
ペイントシェーカーでフルオロポリオール(DAIKIN INDUSTRIES,LTD.製、ZEFFLE GK-570、固形分水酸基価:64mgKOH/g、溶媒:酢酸ブチル)40質量部、酸化チタン(石原産業社製、CR93)52.5質量部、酢酸ブチル33.8質量部及び直径2mmのガラスビーズ110質量部を2時間撹拌した。その後、ろ過により該混合液からガラスビーズを除去した。その後、固形分濃度が58wt.%になるように溶媒を添加し、活性水素基含有成分(B剤)を製造した。活性水素基含有成分における酸化チタンの含有割合は45wt.%であった。
【0220】
(2)性能評価
イソシアネート基とヒドロキシル基(NCO/OH)の当量比が1.0になるように、得られたポリイソシアネート成分(A剤-1又はA剤-2)及び活性水素基含有成分(B剤)を混合し、混合液を調製した。次に、NV値(塗膜成分質量)が60%になるように、混合液に酢酸ブチルを添加した。その後、混合液をポリエチレンテレフタレート(PET)基材の表面に塗布し、120℃で2分間加熱して硬化させた。次に、60℃で混合液が塗布されたPET基材を2日間養生した。これにより、PET基材に厚さが約15μmであるコーティング層を形成した。
【0221】
該コーティング層の耐候性(湿熱試験におけるコーティング層の色差Δb(=|b2-b1|))を測定した。その結果を表2に示した。
【0222】
【0223】
表1から、本願はXDI組成物におけるIBAの含有量を0.2~500ppm内に制御することにより、組成物で調製された樹脂の耐変色性能を効果的に向上させることができ、IBAの含有量は500nm超(比較例1)であり、0.2ppm未満(比較例2)又は完全にIBAを含まない場合、耐変色性能はいずれも本願に及ばず、本願に係るXDI組成物は各種の樹脂材料において一層よい使用将来性を持っていることがわかった。
【国際調査報告】