(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】動物由来産物などの産物を製造する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20240228BHJP
C12P 1/00 20060101ALI20240228BHJP
C12N 5/0775 20100101ALI20240228BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240228BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20240228BHJP
C12N 5/077 20100101ALI20240228BHJP
【FI】
C12N5/071
C12P1/00 Z
C12N5/0775
C12N5/10
C12N5/078
C12N5/077
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555472
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 US2022019631
(87)【国際公開番号】W WO2022192455
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523344452
【氏名又は名称】テラサキ・インスティテュート・フォー・バイオメディカル・イノベイション
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ホセイニ,セイエドバヒド
(72)【発明者】
【氏名】カデムホッセイニ,アリレザ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AG02
4B064AG13
4B064CA10
4B064CE20
4B064DA20
4B065AA90X
4B065AA92X
4B065AB01
4B065AC20
4B065BA01
4B065BC50
4B065CA60
(57)【要約】
培養肉などの動物由来産物を製造する様々なシステムおよび方法が本明細書に記載される。例えば、一実施形態は、生動物から血液成分を持続的に採取してインビトロ細胞培養に適した細胞培養培地を製造することによって細胞培養培地の成分を得る工程および、細胞培養培地中で細胞を培養して培養肉産物を製造する工程を含む。いくつかの実施形態において、本開示は一般に、例えば非ヒト動物を殺さない方法で血液成分を反復して抽出することによって、肉および他の動物由来産物の培養のための血液成分を持続的に採取することに関する。いくつかの実施形態において、非ヒト動物は、全血および/または血液産物を持続的に抽出する目的で「飼育」されることができる。いくつかの実施形態において、採取された血液産物は、培養肉産物、または筋肉組織、脂肪組織もしくはヘムなどの他の動物由来産物を製造するために使用されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ヒト生動物の血液から抽出される1つ以上の血液成分から複数の肉産物を製造することであって、肉産物の質量が屠殺後の非ヒト動物の肉の質量の少なくとも110%である、製造することを含む、方法。
【請求項2】
動物に対して採血を行うこと、および前記採血の少なくとも一部から前記肉産物を製造することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記採血から前記1つ以上の血液成分を抽出することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
血液成分の1つが血小板濃縮物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記血小板濃縮物を凍結融解して血小板溶解物を製造することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記血小板濃縮物中の血小板を溶解して血小板溶解物を製造することをさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記血小板が、超音波処理などの物理的剪断によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子が放出される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記血小板が、低浸透圧溶液によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子が放出される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
血液成分の1つが多血小板血漿を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
多血小板血漿1リットル当たり0.1kgの肉産物を製造することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記血液成分の1つが乏血小板血漿を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記血液成分の1つが血漿産物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記血漿産物1リットル当たり0.1kgの肉産物を製造することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記血漿産物を凝固させて血清産物を製造することをさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の血液成分をバイオリアクターに添加すること、および前記バイオリアクター内で細胞を培養して前記肉産物を製造することをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
複数の培養産物を製造することをさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の培養産物が皮膚を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の培養産物が皮革を含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の培養産物が羊毛を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の培養産物が器官を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の培養産物が角を含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の培養産物が乳を含む、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記非ヒト生動物が妊娠している、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記非ヒト生動物が授乳中である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記非ヒト生動物が農場で飼育される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記農場が再生農場ではない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記農場が再生農場である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
非ヒト生動物から採取される第1の採血から得られる多血小板血漿1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養すること、および
非ヒト生動物から採取される第2の採血から得られる多血小板血漿1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養すること
を含む、方法。
【請求項29】
前記非ヒト生動物から前記第1の採血を採取することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の採血が、前記非ヒト生動物の重量1kg当たりのリットルで0.1%~5%の体積を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の採血が、前記非ヒト生動物の重量1kg当たりのリットルで1%~3%の体積を有する、請求項28または29に記載の方法。
【請求項32】
アフェレーシスを使用して第1の採血から多血小板血漿を製造することをさらに含む、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
アフェレーシスを使用して前記第1の採血から前記多血小板血漿を製造することが、前記第1の採血から血液1L当たり50mL~700mLの多血小板血漿を除去することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記非ヒト生動物から前記第2の採血を採取することをさらに含む、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の採血が、前記非ヒト生動物の重量1kg当たりのリットルで0.1%~5%の体積を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の採血が、前記非ヒト生動物の重量1kg当たりのリットルで1%~3%の体積を有する、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
アフェレーシスを使用して前記第2の採血から多血小板血漿を製造することをさらに含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
アフェレーシスを使用して前記第2の採血から前記多血小板血漿を製造することが、前記第2の採血から50mL/L~700mL/Lの多血小板血漿を除去することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の採血が前記第2の採血の前に行われる、請求項28~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の採血と前記第2の採血が少なくとも1日離れている、請求項28~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の採血と前記第2の採血が少なくとも7日離れている、請求項28~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の採血と前記第2の採血が少なくとも14日離れている、請求項28~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の採血と前記第2の採血が少なくとも21日離れている、請求項28~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の採血と前記第2の採血が少なくとも28日離れている、請求項28~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記組織が培養肉産物である、請求項28~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記非ヒト生動物がウシである、請求項28~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記非ヒト生動物がヒツジである、請求項28~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記非ヒト生動物がブタである、請求項28~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記非ヒト生動物がウマである、請求項28~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記非ヒト生動物がシカである、請求項28~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記非ヒト生動物がヤギである、請求項28~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記非ヒト生動物が、ラクダ、バイソン、ゾウ、およびクジラからなる群から選択される、請求項28~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記非ヒト生動物から採取される第3の採血から細胞増殖培地を製造することをさらに含む、請求項28~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記第2の採血後に複数回の採血を採取することをさらに含む、請求項28~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
アフェレーシスを使用して前記複数回の採血から血液成分を分離することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記血液成分が血小板濃縮物を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記血小板濃縮物を凍結融解して血小板溶解物を製造することをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記血小板濃縮物中の血小板を溶解して血小板溶解物を製造することをさらに含む、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
前記血小板が、超音波処理などの物理的剪断によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子が放出される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記血小板が、低浸透圧溶液によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子が放出される、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
前記血液成分が多血小板血漿を含む、請求項55~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記血液成分が乏血小板血漿を含む、請求項55~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記血液成分が血漿産物を含む、請求項55~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記血漿産物を架橋して血清産物を製造することをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
非ヒト生動物から採取される第1の採血から得られる血漿1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養すること、および
非ヒト生動物から採取される第2の採血から得られる血漿1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養することを含む、方法。
【請求項66】
非ヒト生動物から重量1kg当たり少なくとも1mLの体積を有する第1の採血を採取すること、
第1の採血から得られる体積1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養すること、
重量1kg当たり少なくとも1mLの体積を有する第2の採血を生動物から採取すること、
第2の採血から得られる体積1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養すること
を含む、方法。
【請求項67】
複数回の採血を採取することであって、ここで各採血が前記生動物からの重量1kg当たり少なくとも1mLの体積を有する、採取すること、および
各採血から得られる体積1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養すること
をさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記第1の採血の少なくとも30体積%を前記非ヒト生動物に戻すことをさらに含む、請求項66または67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記第1の採血の少なくとも70体積%を前記非ヒト生動物に戻すことをさらに含む、請求項66~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の採血の少なくとも90体積%を前記非ヒト生動物に戻すことをさらに含む、請求項66~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
第1の採血を非ヒト生動物に戻す前に、アフェレーシスを使用して第1の採血から血液成分を分離することを含む、請求項66~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記血液成分が血小板濃縮物を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記血小板濃縮物を凍結融解して血小板溶解物を製造することをさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記血小板濃縮物を溶解して血小板溶解物を製造することをさらに含む、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
前記血小板が、超音波処理などの物理的剪断によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子が放出される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記血小板が、低浸透圧溶液によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子が放出される、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
前記血液成分が多血小板血漿を含む、請求項71~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記多血小板血漿が、前記第1の採血における正常な濃度の少なくとも2倍の血小板を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記多血小板血漿が少なくとも105個の血小板/mLを含む、請求項77または78に記載の方法。
【請求項80】
前記血液成分が乏血小板血漿を含む、請求項71~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記血液成分が血漿産物を含む、請求項71~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記血漿産物を架橋して血清産物を製造することをさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記第2の採血の少なくとも30体積%を前記非ヒト生動物に戻すことをさらに含む、請求項66~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記第2の採血の少なくとも70体積%を前記非ヒト生動物に戻すことをさらに含む、請求項66~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記第2の採血の少なくとも90体積%を前記非ヒト生動物に戻すことをさらに含む、請求項66~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記第2の採血を前記非ヒト生動物に戻す前に、アフェレーシスを使用して前記第2の採血から血液成分を分離することを含む、請求項66~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
非ヒト生動物からその動物を殺すことなく複数回の採血を採取すること、および
複数回の採血を使用して複数の培養肉産物を形成すること
を含む、方法。
【請求項88】
少なくとも2週間の期間にわたって非ヒト生動物から複数回の採血を採取すること、および
複数回の採血を使用して複数の培養肉産物を形成すること
を含む、方法。
【請求項89】
再生農場で非ヒト生動物を飼育すること、
生動物から複数回の採血を採取すること、および
複数回の採血を使用して複数の培養肉産物を形成すること
を含む、方法。
【請求項90】
再生農場で非ヒト生動物を飼育すること、
少なくとも1つの血液産物および少なくとも1つの他の産物を非ヒト生動物から採取すること、および
少なくとも1つの血液産物を使用して細胞ベースの肉を培養すること
を含む、方法。
【請求項91】
前記再生農場が少なくとも正味ゼロの二酸化炭素排出量を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記少なくとも1つの他の産物が乳を含む、請求項90または91に記載の方法。
【請求項93】
少なくとも1つの他の産物が羊毛を含む、請求項90~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
非ヒト動物がその排泄物により各牧草地の炭素含有量を非ヒト動物が存在しない同一の牧草地と比較して少なくとも50質量%増加させるように、複数の牧草地で非ヒト動物を放牧すること、
非ヒト動物から複数回の採血を採取すること、および
採取される血液を使用して細胞ベースの肉産物を製造すること
を含む、方法。
【請求項95】
前記非ヒト生動物が複数の異なる種を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記複数の牧草地で前記非ヒト動物の放牧を回転させることを含む、請求項94または95に記載の方法。
【請求項97】
牧草地を回転させることが、回転放牧がない場合の同一の牧草地と比較して、動物による温室効果ガス排出量を10質量%~50質量%減少させる、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
非ヒト動物から全血を採取すること、
全血を血液成分に分離すること、および
血液成分を使用して細胞ベースの肉を製造すること
を含む、方法。
【請求項99】
前記非ヒト動物が農場で飼育される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記農場が再生農場ではない、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記農場が再生農場である、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
アフェレーシスを使用して非ヒト生動物から少なくとも1つの血液成分を採取すること、
少なくとも1つの血液成分を使用して細胞ベースの肉産物を製造すること
を含む、方法。
【請求項103】
前記少なくとも1つの血液成分が血小板濃縮物を含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
血小板濃縮物を凍結融解して血小板溶解物を製造することをさらに含む、請求項103記載の方法。
【請求項105】
前記血小板濃縮物を溶解して血小板溶解物を製造することをさらに含む、請求項103または104に記載の方法。
【請求項106】
前記血小板が、超音波処理などの物理的剪断によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子が放出される、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記血小板が低浸透圧溶液によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子が放出される、請求項105または106に記載の方法。
【請求項108】
前記血液成分が多血小板血漿を含む、請求項102~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記血液成分が乏血小板血漿を含む、請求項102~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記血液成分が血漿産物を含む、請求項102~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記血漿産物を架橋して血清産物を製造することをさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
非ヒト生動物の血液誘導体から培養産物を製造することを含み、ここで培養動物由来産物の質量が屠殺後の非ヒト動物産物の質量の少なくとも110%である、方法。
【請求項113】
前記培養産物が皮膚を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記培養産物が皮革を含む、請求項112または113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記培養産物が毛皮を含む、請求項112~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記培養産物が毛髪を含む、請求項112~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記培養産物が羊毛を含む、請求項112~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記培養産物が器官を含む、請求項112~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記培養産物が角を含む、請求項112~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記培養産物が乳を含む、請求項112~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
非ヒト生動物からその動物を殺すことなく複数回の採血を採取すること、および
複数回の採血のうちの1つ以上を使用して培養産物を形成すること
を含む、方法。
【請求項122】
前記培養産物が皮膚を含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記培養産物が皮革を含む、請求項121または122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記培養産物が毛皮を含む、請求項121~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記培養産物が毛髪を含む、請求項121~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記培養産物が羊毛を含む、請求項121~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記培養産物が器官を含む、請求項121~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記培養産物が角を含む、請求項121~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記培養産物が乳を含む、請求項121~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
動物由来産物を製造する方法であって、以下の工程:
インビトロ細胞培養に適した細胞培養増殖培地を製造するために、非ヒト生動物から血液成分を採取することによって、細胞培養増殖培地の血液成分を得ること、および
同時に血液成分を使用して動物由来の産物を製造すること
を含む、方法。
【請求項131】
動物由来産物を製造する方法であって、以下の工程:
生動物から血液成分を採取してインビトロ細胞培養に適した細胞培養増殖培地を製造することにより、細胞培養増殖培地の増殖補助剤を得ること、および
前記細胞培養増殖培地中で細胞を培養すること
を含む、方法。
【請求項132】
前記動物由来産物がフィブリン含有組織化肉である、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記動物由来産物が脂肪様組織である、請求項131または132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
前記動物由来産物が、採取される赤血球およびその成分を含む、請求項131~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記生動物が非ヒト動物である、請求項131~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記生動物が、特に採取用の血液成分を提供する目的で飼育されている非ヒト動物である、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記血液成分が、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、シカ、ヤギ、バイソン、ゾウ、およびラクダからなる群から選択される種から採取される、請求項131~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
追加の血液成分が屠殺された動物から得られる、請求項131~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
血液成分がアフェレーシスによって生動物から採取される、請求項131~138のいずれか一項記載の方法。
【請求項140】
前記血液成分が、3~30日続く周期で動物から採取される、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
血液成分が、3~10日続く周期で動物から採取される、請求項139または140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記血液成分が多血小板血漿(PRP)を含む、請求項131~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記血液成分が血小板を含む、請求項131~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記血液成分が血漿を含む、請求項131~143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記血液成分が乏血小板血漿を含む、請求項131~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
血小板が細胞培養物に添加される、請求項143~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
血小板が、凍結融解プロセスまたは超音波処理などの物理的剪断によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子を含む血小板の内容物が放出される、請求項143~146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
血小板が、低浸透圧溶液によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子が放出される、請求項143~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
血小板が、物理的、化学的または生化学的処置によって処置されて、サイトカインおよび成長因子が放出される、請求項143~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
前記化学的および生化学的処置が、クエン酸塩、EDTA、塩化カルシウム、プラスミノーゲン活性化因子および/またはトロンビンによる処置を含む、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記物理的処置が、撹拌、エージング、および血小板の表面への付着からなる群から選択される、請求項149または150に記載の方法。
【請求項152】
前記血液成分が、細胞、タンパク質、ペプチド、ビタミン、サイトカインおよび成長因子からなる群から選択される、請求項131~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記血液成分が、ペプチド、ビタミン、サイトカインおよび成長因子からなる群から選択され、合成および/または組換えタンパク質、ペプチド、ビタミン、サイトカイン、成長因子が、細胞培養培地に添加されて、細胞の増殖および分化が促進される、請求項131~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記細胞が、培養されて、細胞ベースの肉、器官、皮膚、皮革、毛皮、毛髪、牙、乳、および角からなる群から選択されるメンバーが製造される、請求項131~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記細胞が、培養されて、細胞ベースの肉が製造される、請求項131~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記培養細胞が、脊椎動物および無脊椎動物から単離される筋芽細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、血管細胞、骨芽細胞、腱細胞、上皮細胞、哺乳動物の腺細胞および神経細胞からなる群から選択される、請求項131~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記培養細胞が、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、シカ、ヤギ、ラクダ、ネコ、イヌ、家禽、魚、カニ、エビおよび昆虫からなる群から選択される種に由来する、請求項131~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記培養細胞がバイソンに由来する、請求項131~157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記培養細胞が、ワニに由来する、請求項131~158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記培養細胞が、間葉系幹細胞および人工多能性幹細胞などの幹細胞から作製される、請求項131~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
1つの種の血液から抽出される血液成分が、同じ種の細胞の培養に使用される、請求項131~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
1つの種の血液から抽出される血液成分が、異なる種の細胞の培養に使用される、請求項131~161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記血液成分が複数の種の血液から抽出される、請求項131~162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
請求項131~163のいずれか一項に記載の方法の産物。
【請求項165】
培養肉産物である、請求項164に記載の産物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国仮特許出願第63/159,403号、2021年3月10日出願、表題「Constructs for Meat Cultivation and Other Applications」;米国仮特許出願第63/279,617号、2021年11月15日出願、表題「Constructs Comprising Fibrin or Other Blood Products for Meat Cultivation and Other Applications」;米国仮特許出願第63/279,631号、2021年11月15日出願、表題「Methods and Systems of Preparing Cultivated Meat from Blood or Cellular Biomass」;米国仮特許出願第63/279,642号、2021年11月15日出願、表題「Systems and Methods of Producing Fat Tissue for Cell-Based Meat Products」;米国仮特許出願第63/279,644号、2021年11月15日出願、表題「Production of Heme for Cell-Based Meat Products」;米国仮特許出願第63/300,577号、2022年1月18日出願、表題「Animal-Derived Antimicrobial Systems and Methods」;米国仮特許出願第63/164,397号、2021年3月22日出願、表題「Growth Factor for Laboratory Grown Meat」;米国仮特許出願第63/164,387号、2021年3月22日出願、表題「Methods of Producing Animal Derived Products」;米国仮特許出願第63/314,171号、2022年2月25日出願、表題「Growth Factors for Laboratory Grown Meat and Other Applications」;および米国仮特許出願第63/314,191号、2022年2月25日出願、表題「Methods and Systems of Producing Products Such as Animal Derived Products」の利益を主張する。これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本開示は、いくつかの態様において、生動物から持続的に得られる家畜の血液誘導体を使用した培養肉および他の動物由来産物の製造を含む、細胞培養を実行する持続可能な方法全般に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
人口増加、個人の経済的利益、都市化によって需要が増加するにつれ、世界の食肉の製造および消費は急増し続けている。2012年、国連食糧農業機関(FAO)は、世界の食肉需要が2050年までに4億5,500万トンに達すると予測した(2005年から76%増加)。同様に、世界の魚の需要は2050年までに1億4,000万トンに達すると予測されている。
【0004】
現在の大規模畜産方法は公衆衛生上の合併症、環境悪化、動物福祉への懸念と関連しているため、この需要の増加は問題となっている。ヒトの健康に関して言えば、畜産業は食中毒、食事関連の病気、抗生物質耐性、感染症と相互に関連している。特に、人獣共通感染症(ニパウイルス、インフルエンザA型など)は農業の強化と関連している。畜産業は、温室効果ガスの排出、土地利用、水利用などの環境問題にも貢献する。国連気候変動に関する政府間パネルは、2.0℃上昇に伴う大災害を軽減できる目標である地球の気温の1.5℃上昇を防ぐために温室効果ガス排出量を2030年までに45%削減する必要があると主張する2018年報告書を発表した。従来の緩和手法は、植林、土壌保全、廃棄物管理の改善のほか、税制、補助金、区画規制などを含む。これらの戦略は依然として重要であるが、気候変動の緊急性により、より革新的なアプローチを必要としてもよい。最後に、動物福祉の問題に関して言えば、毎年、ヒトの食糧システムに関して、何十億もの動物が、動物の飼育に関連して直接的(例えば、家畜の屠殺、魚介類漁)または間接的(例えば、漁業の混獲、生息地の破壊による野生生物の減少)に殺されたり、苦しめられたりしている。
【0005】
前述の問題の大部分は、従来の食肉製造に投入される原材料(つまり、動物)が本質的に不衛生、非効率、および知覚力に欠けているという事実に起因すると考えられる。食用に消費される家畜およびその他の動物を成熟して屠殺して食肉として提供できるようにするのは、時間および費用がかかるプロセスである。本開示で説明するように、製造プロセスから動物を取り除くことによって、いくつかの外部性が軽減されてもよい。
【0006】
細胞ベースの培養肉は、食品業界における最近の革新である。細胞ベースの肉は、従来の方法で動物を育てて屠殺することなく、試験管内および培養培地中で動物細胞を使用して製造される。本明細書で使用される細胞ベースの肉は、他の関連用語の中でも特に、培養肉、培養肉、細胞肉、屠殺されていない肉、および合成肉と同義である。
【0007】
哺乳類、魚および昆虫など、異なる種類の動物のさまざまな細胞ベースの肉について、かなりの量の研究が行われてきた。2030年までに世界人口は85億人を超えると予測されている。この予測では、十分な食糧製造が必要となる。米国農務省は、年間4億5,000万トンの動物排泄物が製造されていると推定している。
【0008】
培養肉または細胞ベースの肉は、動物ベースの肉に代わる代替の肉源である。細胞ベースの肉は数年以内に世界市場で一般的になると予測されているが、大きな課題の1つは培養肉の製造に伴う高コストである。残念ながら、細胞ベースの肉製造の経済性は、大規模な商業化に関しては問題がある。例えば、2013年にマーストリヒト大学が培養したビーフバーガーは、製造コストが28万400ドル(1kg当たり247万ドル)かかったと報告されている。製造プロセスは、ベンチスケール技術を使用して3か月にわたって20,000個の筋細胞を拡張する3人の研究者を含み、製造規模を拡大する試みではなく概念実証として機能した。いくつかの群は、大規模製造シナリオにおける細胞ベースの肉のコストを予測するために予備的な経済分析を実行した。2008年、In Vitro Meat Consortiumは、単細胞タンパク質製造のデータに基づいて資本コストおよび増殖培地コストをモデル化することにより、細胞ベースの肉のコストは従来の方法で飼育された鶏肉の約2倍になる可能性があると推定した。2014年、村規模の細胞ベースの肉製造の技術的、社会的、および経済的要因を推測した研究において、増殖培地の価格に応じて1kg当たり11ドルから520ドルのコスト範囲が計算された。選択された企業は、価格同等に達するためのハードルを下げるために、高価値の産物(フォアグラ、クロマグロ、カンガルー肉など)を標的にしている。
【0009】
細胞ベースの食肉製造の経済性は、増殖培地のコストを削減することで改善できる可能性がある。現在の増殖培地の最も高価な成分はウシ胎児血清(FBS)で、これは培養細胞の増殖を刺激する成長因子を含有する。しかしながら、FBSは、屠殺場などの閉鎖収集システムを介してウシ胎児から得られるものであり、持続可能または費用対効果の高い方法で製造されることを意図したものではない。この問題、および大規模畜産に関連する前述の問題を克服するために、培養肉分野では細胞ベースの肉の製造から動物および動物産物を排除してきた。例えば、この分野では、細胞ゲノムを遺伝的に操作すること(例えば、US2019/024079A1、US10920196B2、またはEP3638777A1を参照)、細胞ゲノムを遺伝的に操作すること(例えば、US2019/024079A1、US10920196B2、またはEP3638777A1を参照)、または塩基性線維芽細胞成長因子などの特定の成長因子の製造を刺激する活性化因子を細胞培養培地に添加することによって、動物由来の成長因子の不在下で細胞を成長させる方法が教示されてきた。
【0010】
当技術分野では、タンパク質、ペプチド、ビタミン、サイトカインおよび動物の血液中に存在するような成長因子を含む栄養を提供できる、細胞ベースの肉を製造するための細胞培養培地組成物の必要性が依然として存在する。したがって、動物を屠殺する必要性を最小限に抑えながら血液産物を提供するための持続可能な方法が当該技術分野において依然として必要とされている。本明細書に開示されるように、いくつかの実施形態は、血液および/または血液成分のために養殖され、肉のために屠殺されない動物から成長因子、タンパク質、ビタミンなどを採取するための様々なシステムおよび方法を対象とする。
【発明の概要】
【0011】
概要
いくつかの実施形態において、血液成分を抽出するために動物が飼育され、食肉のために屠殺されない、経済的に実行可能なプロセスが提供される。かかる動物から持続的に採取される血液成分は、細胞増殖をサポートするための細胞培養培地の栄養素として、組織化肉を製造するために必要なミクロフィブリル足場を作製するための構成要素として、また肉に色を与えるためのヘムなどの着色添加剤として使用され得る。特定の実施形態において、血液成分は、持続可能な方法で、最小限の倫理的負担で、生動物から採取することができる。したがって、いくつかの実施形態において細胞培養培地を供給し、特定の場合には動物の切傷または虐待を伴わずに細胞ベースの培養肉の費用効率の高い大量製造を支援するために、動物を使用する持続可能な方法が提供される。
【0012】
いくつかの実施形態において、一般に、特定の場合には、培養肉産物などの動物由来産物を製造することを含む、細胞培養物中で細胞を増殖させる方法であって、以下の工程:生動物から血液成分を採取することによって細胞培養培地の成分を得ること、およびインビトロ細胞培養に適した細胞培養培地を製造し、前記細胞培養培地中で細胞を培養することを含む方法が提供される。この方法は、フィブリンを含む組織化された肉、脂肪様組織を含む産物、ならびに採取される赤血球(RBC)およびその成分を含む産物などの動物由来の産物を製造するために使用されてもよい。この方法で使用される血液成分はヒトから採取することができるが、生動物は一般に非ヒト動物であり、採取用の血液産物を提供する目的で特別に飼育される典型的な家畜などである。また、培養肉産物を含むがこれに限定されない、かかる方法による産物も提供される。
【0013】
本明細書で使用される場合、「採取される」とは、動物を殺すことなく血液成分が動物から持続的に除去される方法、例えば、動物から血液が採取され、例えば遠心分離、濾過、濾過などによって選択された産物が除去され得るアフェレーシスによって、動物から除去される方法を指すことを意図する。または他の方法で分離されなかった血液の一部またはすべてが動物に戻される。このようにして、特定の実施形態によれば、乳ウシが定期的に搾乳されるのと同じ方法で動物を屠殺することなく、血小板などの産物を動物から定期的に得ることができる。赤血球(RBC)などの血液成分は通常、約8週間ごとにしか採取できないが、血小板はアフェレーシスによってほぼ毎週採取できる。したがって、血液産物は、3~30日続くサイクルで動物から採取することができ、いくつかの実施形態において、特定の成分については3~10日続くサイクルで採取することができる。特に、血漿および血小板は週に2回という頻度で採取できるが、赤血球は一般に月に1回しか採取できない。したがって、細胞培養において細胞を成長させるための栄養成分として使用される血液成分の供給源となるという特定の目的のために、動物を「飼育」して飼育することができる。いくつかの実施形態において、乳を製造するウシ、ヒツジおよびヤギ、および羊毛を製造するヒツジなどの血液産物の採取を含む、複数の目的で家畜を飼育することができる方法が記載される。
【0014】
血液成分は、事実上、血液を有する動物から採取することができるが、一般に、血液成分は、ウシ、ヒツジ、ブタまたはブタ、バイソン、ゾウ、クジラ、ウマ、シカ、ヤギ、およびラクダからなる群から選択される種から採取される。理論的には、家禽や魚を含む他のさまざまな種から血液成分を採取できるが、屠殺せずに採取することは一般に非現実的である。
【0015】
本開示のいくつかの態様は、非ヒト動物からの血液産物の持続可能な採取に関するが、屠殺された動物から得られる追加の血液および血液成分を、持続的に採取される栄養成分を補うために使用できることが企図される。
【0016】
いくつかの実施形態において、血液成分は、アフェレーシスまたは他の方法、例えば、当業者に知られているように、大気圧または高圧での赤血球の遠心分離または沈降などの重力を利用して細胞を分離することによって採取することができる。赤血球および白血球は生動物から除去され、血漿および血小板、赤血球、フィブリンおよび他のタンパク質を含む他の血液成分、および血小板およびフィブリン、アルブミン、ミネラル、ビタミンなどの他の血漿可溶性因子を含む血液成分が除去されてもよい。残りの血液産物を動物に戻す前に、成長因子が除去されてもよい。したがって、かかる血液誘導体は、倫理的負担を最小限に抑え、ヒトから血清を定期的に得るのと同様の方法で、生動物から得ることができる。メディアの例は、2021年3月22日に出願されたUSSN63/164,397に開示されているものを含み、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
いくつかの実施形態において、細胞培養物に添加できる多血小板血漿(PRP)および血小板を含む、任意の所望の血液成分を本方法によって採取することができる。いくつかの実施形態において、抽出された血小板は、凍結融解プロセスまたは超音波処理などの物理的剪断によって溶解されて、サイトカインおよび成長因子を含むその内容物が放出されることができる。抽出された血小板は、物理的、化学的、または生化学的処理によって処理されて、サイトカインおよび成長因子が放出されることもできる。
【0018】
適切な化学的および生化学的処理は、クエン酸塩、EDTA、塩化カルシウム、プラスミノーゲン活性化因子および/またはトロンビンによる処理を含むが、これらに限定されず、適切な物理的処理は、撹拌、エージング、および血小板の表面への接着からなる群から選択されるものを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、本方法で使用される血液成分は、タンパク質、ペプチド、ビタミン、サイトカインおよび成長因子からなる群から選択されるもの、ならびにペプチド、ビタミン、サイトカインおよび成長因子からなる群から選択されるものを含む。いくつかの実施形態において、合成および/または組換えタンパク質、ペプチド、ビタミン、サイトカインおよび成長因子を細胞培養培地に添加して、細胞の増殖および分化を促進することも企図される。
【0020】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って培養される細胞は、細胞ベースの肉、器官、皮膚、牙、および角からなる群から選択されるメンバーを製造するために培養されてもよく、細胞ベースの肉の需要は相当なものであると考えられる。したがって、培養細胞は、筋芽細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、血管、骨芽細胞、腱細胞上皮細胞、哺乳動物の腺、および神経細胞、ならびにウシ、ヒツジ、ブタ、ゾウ、ウマ、シカ、ヤギ、ラクダ、ネコ、イヌ、家禽、魚、カニ、エビ、バイソン、ワニ、および昆虫からなる群より選択される種の脊椎動物および無脊椎動物から単離される間葉系幹細胞および人工多能性幹細胞などの幹細胞からなる群より選択される。また、絶滅危惧種に由来するトラの肝臓やおよびサイの角などの外来動物組織の類似体を、持続可能で残酷でない方法で製造できることも考えられている。
【0021】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、1つの種の血液から抽出され、同じ種または異なる種の細胞の培養に使用される血液成分を使用して実施することができ、ここで複数の種の血液から抽出される血液産物が複数の細胞に栄養を与えるために使用される。
【0022】
さらに、培養肉などの動物由来産物を製造する様々なシステムおよび方法が本明細書に記載される。例えば、一実施形態は、生動物から血液成分を持続的に採取して細胞培養液の成分を得、インビトロ細胞培養に適した細胞培養液を製造する工程および細胞培養培地中で細胞を培養して、培養肉産物を製造する工程を含む。いくつかの実施形態において、本開示は一般に、例えば非ヒト動物を殺さない方法で血液成分を反復して抽出することによって、肉および他の動物由来産物の培養のための血液成分を持続的に採取することに関する。いくつかの実施形態において、非ヒト動物は、全血および/または血液産物を持続的に抽出する目的で「飼育」されることができる。いくつかの実施形態において、採取される血液産物は、培養肉産物、または筋肉組織、脂肪組織もしくはヘムなどの他の動物由来産物を製造するために使用されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、本開示は、例えば非ヒト動物細胞を使用して、培養肉または培養産物を製造する1つ以上の方法を対象とする。
【0024】
いくつかの実施形態において、本方法は、非ヒト生動物の血液から抽出される1つ以上の血液成分から複数の肉産物を製造することを含み、ここで肉産物の質量は屠殺後の非ヒト動物の肉の質量の少なくとも110%である。
【0025】
いくつかの実施形態において、本方法は、非ヒト生動物から採取される第1の採血から得られる多血小板血漿1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養すること、および非ヒト生動物から採取される第2の採血から得られる多血小板血漿1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、本方法は、非ヒト生動物から採取される第1の採血から得られる少なくとも0.1kgの組織/L血漿を培養すること、および非ヒト生動物から採取される第2の採血から得られる血漿1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、方法は、非ヒト生動物から重量1kg当たり少なくとも1mLの体積を有する第1の採血を採取すること、第1の採血から得られる体積1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養すること、重量1kg当たり少なくとも1mLの体積を有する第2の採血を生動物から採取すること、および第2の採血から得られる体積1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養することを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、方法は、複数回の採血を採取することであって、ここで各採血が生動物からの重量1kg当たり少なくとも1mLの体積を有する、採取すること、および各採血から得られる体積1L当たり少なくとも0.1kgの組織を培養することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、方法は、非ヒト生動物からその動物を殺すことなく複数回の採血を採取すること、および複数回の採血を使用して複数の培養肉産物を形成することを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも2週間の期間にわたって非ヒト生動物から複数回の採血を採取すること、および複数回の採血を使用して複数の培養肉産物を形成することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、方法は、再生農場で非ヒト生動物を飼育すること、生動物から複数回の採血を行うこと、および複数回の採血を使用して複数の培養肉産物を形成することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、本方法は、再生農場で非ヒト生動物を飼育すること、少なくとも1つの血液産物および少なくとも1つの他の血液産物を非ヒト生動物から採取すること、および少なくとも1つの血液産物を使用して細胞ベースの肉を培養することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、本方法は、非ヒト動物がその排泄物により各牧草地の炭素含有量を、非ヒト動物が存在しない同一の牧草地と比較して少なくとも50質量%増加させるように、複数の牧草地で非ヒト動物を放牧することと、非ヒト動物から複数回の採血を採取すること、および該採血を使用して細胞ベースの肉産物を製造することを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、方法は、非ヒト動物から全血を採取すること、全血を血液成分に分離すること、および細胞ベースの肉を製造するために血液成分を使用することを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、方法は、アフェレーシスを使用して非ヒト生動物から少なくとも1つの血液成分を採取すること、および少なくとも1つの血液成分を使用して細胞ベースの肉産物を製造することを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、本方法は、非ヒト生動物の血液誘導体から培養産物を製造することを含み、ここで培養動物由来産物の質量、屠殺後の非ヒト動物産物の質量の少なくとも110%である。
【0037】
いくつかの実施形態において、方法は、非ヒト生動物を殺すことなく複数回の採血を採取すること、および複数回の採血のうちの1つ以上を使用して培養産物を形成することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、本方法は、動物由来産物を製造することを含み、非ヒト生動物から血液成分を採取することによって細胞培養増殖培地の血液成分を得て、インビトロ細胞培養に適した細胞培養増殖培地を製造する工程、および同時に血液成分を使用して動物由来の産物を製造する工程を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、本方法は、動物由来産物を製造することを含み、生動物から血液成分を採取してインビトロ細胞培養に適した細胞培養増殖培地を製造することにより、細胞培養増殖培地の増殖補助剤を得る工程、および前記細胞培養増殖培地中で細胞を培養する工程を含む。
【0040】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態、例えば培養肉産物を製造する方法を包含する。さらに別の態様では、本開示は、例えば細胞培養増殖培地を製造するために、本明細書に記載される1つ以上の実施形態を使用する方法を包含する。
【0041】
本開示の他の利点および新規な特徴は、添付の図面と併せて考慮すると、本開示の様々な非限定的な実施形態に関する以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本開示の非限定的な実施形態は、概略的なものであり、一定の縮尺で描かれることを意図していない添付の図を参照して例として説明される。図面では、図示されている同一またはほぼ同一の各構成要素は、通常、単一の数字で表されている。明確にするために、すべての構成要素がすべての図にラベル付けされているわけではなく、また、当業者が本発明を理解できるように図示が必要でない場合には、本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されていない。図では次のようになる。
【0043】
図1は、いくつかの実施形態による、異なるウシから単離される多血小板血漿がウシ筋細胞の増殖に及ぼす影響を実証する。
【0044】
図2A~Eは、培地中の様々なウシから単離される多血小板血漿の濃度の変化がウシ筋芽細胞の増殖に及ぼす影響を示す。いくつかの実施形態によれば、多血小板血漿は、(
図2A)ウシ2371、(
図2B)ウシ4321、(
図2C)ウシ4266、(
図2D)ウシ4348、および(
図2E)ウシ14583から分離された。
【0045】
図3A~Fは、ヒト肝細胞の増殖に対する培地中の様々なウシから単離される多血小板血漿の濃度の変化の影響を示す。多血小板血漿は、いくつかの実施形態による、(
図3A)ウシ2398、(
図3B)ウシ14347、(
図3C)ウシ4266、(
図3D)ウシ2371、(
図3E)ウシ4321、および(
図3F)ウシ14424から分離された。
【0046】
図4A~Hは、いくつかの実施形態による、ウシ4266からの血液学および血液化学の結果を示しており、以下を含む:(
図4A)赤血球(M/マイクロリットル)、(
図4B)ヘモグロビン(g/dL)、(
図4C)白血球(K/マイクロリットル)、(
図4D)血小板(K/マイクロリットル)、(
図4E)フィブリノーゲン(mg/dL)、(
図4F)アルブミン(g/dL)、(
図4G)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(U/L)、および(
図4H)アルカリホスファターゼ(U/L);
【0047】
図5A~Hは、いくつかの実施形態による、ウシ4348からの血液学および血液化学の結果を示しており、以下を含む:(
図5A)赤血球(M/マイクロリットル)、(
図5B)ヘモグロビン(g/dL)、(
図5C)白血球(K/マイクロリットル)、(
図5D)血小板(K/マイクロリットル)、(
図5E)フィブリノーゲン(mg/dL)、(
図5F)アルブミン(g/dL)、(
図5G)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(U/L)、および(
図5H)アルカリホスファターゼ(U/L);
【0048】
図6A~Hは、いくつかの実施形態による、ウシ2315からの血液学および血液化学の結果を示しており、以下を含む:(
図6A)赤血球(M/マイクロリットル)、(
図6B)ヘモグロビン(g/dL)、(
図6C)白血球(K/マイクロリットル)、(
図33D)血小板(K/マイクロリットル)、(
図6E)フィブリノーゲン(mg/dL)、(
図6F)アルブミン(g/dL)、(
図6G)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(U/L)、および(
図6H)アルカリホスファターゼ(U/L);
【0049】
図7A~Hは、いくつかの実施形態による、ウシ2371からの血液学および血液化学の結果を示しており、以下を含む:(
図7A)赤血球(M/マイクロリットル)、(
図7B)ヘモグロビン(g/dL)、(
図7C)白血球(K/マイクロリットル)、(
図7D)血小板(K/マイクロリットル)、(
図7E)フィブリノーゲン(mg/dL)、(
図7F)アルブミン(g/dL)、(
図7G)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(U/L)、および(
図7H)アルカリホスファターゼ(U/L);
【0050】
図8A~Hは、いくつかの実施形態による、ウシ5211からの血液学および血液化学の結果を示しており、以下を含む:(
図8A)赤血球(M/マイクロリットル)、(
図8B)ヘモグロビン(g/dL)、(
図8C)白血球(K/マイクロリットル)、(
図8D)血小板(K/マイクロリットル)、(
図8E)フィブリノーゲン(mg/dL)、(
図8F)アルブミン(g/dL)、(
図35G)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(U/L)、および(
図8H)アルカリホスファターゼ(U/L);
【0051】
図9A~Hは、いくつかの実施形態による、ウシ5276からの血液学および血液化学の結果を示しており、以下を含む:(
図9A)赤血球(M/マイクロリットル)、(
図9B)ヘモグロビン(g/dL)、(
図9C)白血球(K/マイクロリットル)、(
図9D)血小板(K/マイクロリットル)、(
図9E)フィブリノーゲン(mg/dL)、(
図9F)アルブミン(g/dL)、(
図9G)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(U/L)、および(
図9H)アルカリホスファターゼ(U/L);
【0052】
図10A~Hは、いくつかの実施形態による、ウシ14424からの血液学および血液化学の結果を示しており、以下を含む:(
図10A)赤血球(M/マイクロリットル)、(
図10B)ヘモグロビン(g/dL)、(
図10C)白血球(K/マイクロリットル)、(
図10D)血小板(K/マイクロリットル)、(
図10E)フィブリノーゲン(mg/dL)、(
図10F)アルブミン(g/dL)、(
図10G)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(U/L)、および(
図10H)アルカリホスファターゼ(U/L);および
【0053】
図11A~Hは、いくつかの実施形態による、ウシ14583からの血液学および血液化学の結果を示しており、以下を含む:(
図11A)赤血球(M/マイクロリットル)、(
図11B)ヘモグロビン(g/dL)、(
図11C)白血球(K/マイクロリットル)、(
図11D)血小板(K/マイクロリットル)、(
図11E)フィブリノーゲン(mg/dL)、(
図38F)アルブミン(g/dL)、(
図11G)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(U/L)、および(
図11H)アルカリホスファターゼ(U/L)。
【0054】
詳細な説明
本開示は、一般に、非ヒト動物を殺さない方法で血液成分を反復して抽出することによる、肉および他の動物由来産物の培養のための「持続可能な血液成分の採取」に関する。いくつかの実施形態において、非ヒト動物は、全血および/または血液産物を持続的に抽出する目的で「飼育」されることができる。場合によっては、非生動物が、例えば血液および羊毛などの1つ以上の産物を製造するために使用され得ることを当業者は理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態において、ウシは血液産物および/または乳を製造するために使用されてもよいが、ヒツジは血液産物および/または羊毛を製造するために使用されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態は、例えば、全血または血液成分などを得るために、非ヒト動物からの反復血液収集を対象とする。例えば、いくつかの実施形態において、動物が回復して新しい血液を製造する時間を確保するために、動物から血液を一定の間隔で採取されてもよい。例えば、血液は、2週間ごと、4週間ごと、6週間ごと、2ヶ月ごとなどに動物から採取されてもよい。採血は、例えば本明細書で説明するように処理されてもよい。例えば、血液は、例えば本明細書で議論されるように、バイオリアクター内での細胞増殖を刺激する多血小板血漿を得るために使用されてもよい。このようにして、かかる細胞は、特定の実施形態において、持続可能かつ費用効果の高い方法で、例えば動物を殺すことなく得ることができる。この使用は、特定の実施形態において、炭素排出、水の使用、土地の使用などの削減をもたらしてもよい。
【0056】
例えば、いくつかの実施形態において、アフェレーシスを使用して、例えば、赤血球、血小板、血漿などの1つ以上の採血成分を除去し、採取されなかった血液成分を非ヒト動物に戻すことができる。他の実施形態において、全血を採取し、例えば遠心分離または沈降などの当業者に公知の任意の技術を使用して血液成分に分離することができる。他の実施形態は、血漿フェレーシス(すなわち、血漿産物の単離)、赤血球フェレーシス(すなわち、赤血球の単離)、血小板フェレーシス(すなわち、血小板の単離)、白血球フェレーシス(すなわち、白血球の単離)を使用して所望の血液産物を単離することを対象とする。
【0057】
上記の議論は、肉または他の産物の培養のために非ヒト動物から血液産物を持続的に採取することに一般的に向けられた特定の態様の非限定的な例である。しかしながら、上で論じたもの以外に他の実施形態も可能である。
【0058】
例えば、特定の態様は一般に、培養肉または他の産物などの培養動物由来産物を対象とする。これらは、例えば、動物から採取した細胞を使用して製造されてもよいが、次いで、細胞は、例えば、バイオリアクター、フラスコ、ペトリ皿、マイクロウェルプレート、または他の細胞培養システムを使用して、インビトロで培養される。多くの細胞培養システムが当業者には知られている。これは、動物を屠殺し、その肉または他の臓器(皮膚、内臓など)を食用やその他の用途のために採取する伝統的な技術とは全く対照的である。産物を形成するために播種される元の細胞は、生動物に由来するか、または元々由来していてもよいが、実際の産物を形成する細胞の大部分は、生動物の一部として自然に存在するのではなく、インビトロ環境で増殖または培養されたものである。
【0059】
インビトロで培養される細胞からは、さまざまな産物が形成されてもよい。例えば、特定の実施形態において、産物は、「培養肉」、すなわち、例えばヒトが食べることを目的とした肉を形成してもよい。食べるものであるため、かかる産物は、多くの場合、食用または消化可能な材料、例えば、消化されるか、または消化器系内で分解されて一般に無毒な材料を形成することができる材料で形成されることが理解される。例えば、培養肉は、動物由来の細胞(例えば、ニワトリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカ、魚、アヒル、シチメンチョウ、エビ、バイソン、クジラ、ゾウ、またはヒトが広範囲に消費することが一般的に認識されている他の動物に由来する)、例えば筋肉細胞、脂肪細胞などを含有してもよい。細胞は、野生型または天然に存在する細胞(例えば、動物から採取されるもの)であってもよいが、いくつかの実施形態において、細胞は、遺伝子操作された細胞、例えば、増殖を増加させる方法で操作された細胞を含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態において、培養肉産物は、植物由来の材料などの他の食用材料を含んでもよい。食用材料の非限定的な例は、タンパク質、炭水化物、糖類、糖類、植物性脂肪など、ならびにこれらから形成されるポリマー(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、セルロースなど)を含む。場合によっては、食用材料は、例えば体内に取り込まれると、消化されて栄養価を有するアミノ酸、糖などの栄養素を形成してもよい。しかしながら、場合によっては、可食材料が消化できない、および/または消化されて非栄養素を形成し、栄養素として吸収できないが有害な影響を与えることなく消化器系を通過できる。
【0060】
さらに、本発明は培養肉産物のみに限定されないことを理解されたい。場合によっては、本明細書に記載されているような産物は動物由来の細胞から培養されてもよいが、その産物は必ずしも食用を目的としたものではない。例えば、動物からの細胞を培養して、皮膚、毛髪、毛皮などの採取可能な様々な器官を形成してもよい。したがって、非限定的な例として、乳、皮革、羊毛、培養された毛皮などは、例えば本明細書で論じられるように、動物を犠牲にしてその皮膚または他の器官を採取するという伝統的な方法を用いることなく、培養細胞を増殖させることによって形成することができる。
【0061】
本開示のいくつかの態様は、例えばバイオリアクター内で培養肉産物または他の産物を製造するための血液成分を持続的に調達することに向けられている。いくつかの実施形態において、例えば、血小板、多血小板血漿、白血球、赤血球などを得るために、非ヒト動物から血液を収集することができる。例えば、非ヒト動物からの反復血液収集は、免疫細胞などを得るために使用されることができる。
【0062】
当業者には理解されるように、血小板、赤血球などの特定の動物由来の血液産物は、ウシ、ウマ、イヌなどのさまざまな動物から安全に採取でき、獣医学における幅広い傷害の処置に使用されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、例えば動物に健康上の問題を引き起こすことなく、血小板および赤血球などの血液成分を動物から反復して採取されてもよい。例えば、血小板および多血小板血漿は、30日ごとに少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回など、または本明細書に記載されるような他の速度で採取することができる。このようにして、動物を屠殺することなく、および/または屠殺用に動物を飼育することによる環境への悪影響なしに、血液成分を持続的に採取し、例えば培養肉、例えば細胞培養培地の製造に使用されてもよい。
【0063】
したがって、一組の実施形態において、例えば本明細書に記載されるものを含む、例えば多血小板血漿(PRP)または赤血球を得るために、非ヒト生動物から1回以上の採血または採取が行われてもよい。非ヒト生動物の例示的な実施形態は、ニワトリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ブタ、ウマ、バイソン、ゾウ、ラクダ、マトン、ヤギ、シカ、魚、アヒル、シチメンチョウ、エビ、またはヒトが広く消費するために一般的に認識されている他の動物を含む。場合によっては、血液は、例えば遠心分離およびアフェレーシスなどの適切な技術を使用して、様々な成分、例えば多血小板血漿、赤血球などを単離するために処理されてもよい。
【0064】
本開示のいくつかの態様は、例えば、培養肉産物などの産物を含むバイオリアクター、または他のバイオリアクターもしくは用途において、多血小板血漿および/または血小板溶解物を使用して細胞増殖を増強することを対象とする。例えば、いくつかの実施形態は、少なくとも1つの成長因子を含む血清溶液を製造するために、多血小板血漿および/または血小板濃縮物の培養物を活性化することを対象とする。場合によっては、細胞を血清溶液から濾別することができる。この血清溶液は(細胞の有無にかかわらず)、さまざまな用途に使用できる。例えば、細胞の接着および増殖を強化するために、同じまたは異なるバイオリアクター内で使用されてもよい。適切な用途の他の例は、例えば本明細書で論じるように製造できる生物医薬品、動物の毛皮、細胞ベースの器官などを含むが、これらに限定されない。
【0065】
血清溶液は、本明細書で論じられるように、例えば調製後比較的すぐに調製および使用されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、血清溶液は、室温または他の温度、例えば、50℃で、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月など保存することができる。非限定的な例として、いくつかの実施形態において、血清溶液を凍結乾燥してもよい。さらに、いくつかの実施形態において、凍結乾燥した血清溶液は、例えば元の濃度で、または元の血清溶液の少なくとも10倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍の濃度などのより高いまたはより低い濃度で再構成することができる。
【0066】
本開示の特定の態様は、様々な血液成分から成長因子および/または他の成分を得ることを対象とし、例えば、血小板、血漿、および/または多血小板血漿は、いくつかの実施形態において、非ヒト動物、例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカ、魚、バイソン、クジラ、ゾウ、ラクダ、アヒル、シチメンチョウ、エビなどの血液から直接単離することができる。
【0067】
したがって、多血小板血漿(PRP)は、遠心分離などによって赤血球が除去された全血から得ることができる。血漿はまた、例えばアフェレーシスを使用することによって、または例えば遠心分離を使用して多血小板血漿産物から血小板を除去することによって、全血から得ることもできる。血漿および多血小板血漿(PRP)は、トランスフォーミング成長因子ベータ、線維芽細胞成長因子、インスリン様成長因子1、インスリン様成長因子2、血管内皮成長因子、表皮成長因子、インターロイキン8、ケラチノサイト成長因子、および結合組織成長因子など、血液中に存在するさまざまな成長因子を含む。さらに、多血小板血漿中の血小板を溶解すると、血小板由来成長因子が放出される可能性がある。多血小板血漿(PRP)は、白血球およびフィブリンの含有量に基づいて、白血球豊富PRP(L-PRP)、白血球減少PRP(P-PRP)に分類できる。白血球減少型または純粋なPRP、(4)白血球多血小板フィブリンおよび純粋な多血小板フィブリン(L-PRF)としての含有量に基づいて分類されることができる。本明細書で使用される場合、「多血小板血漿」(「PRP」)は、血液中の正常な血小板濃度の少なくとも2倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍の濃度の血小板を有する血漿である。「乏血小板血漿」は、いくらかの血小板を含むが、その濃度が血液中の正常な血小板濃度よりも低い血漿である。
【0068】
血漿および/または多血小板血漿は、バイオマス製造を増強するために当業者に知られている成長因子および他の溶質を含む。例えば、血漿および/または多血小板血漿は、非ヒト細胞、例えば筋芽細胞がマイクロキャリア、例えばフィブリンマイクロキャリアに接着するのを促進することができる接着タンパク質、例えばフィブリノーゲンを含む。これは、細胞増殖を促進する血小板由来成長因子などの成長因子も含む。血漿および/または多血小板血漿のその他の溶質は、溶解タンパク質(6~8重量%)、血清アルブミン、ゴブリン、フィブリノーゲンなど)、グルコース、凝固因子、電解質(Na+、Ca2+、Mg2+、HCO3-、Cl-など)、およびホルモンなどを含む。したがって、いくつかの実施形態において、血漿および/または多血小板血漿を、DMEM、アルファ-MEM、DMEM-F12またはbasal Essential 8などの任意の細胞基礎培養培地に添加して、細胞培養増殖培地を製造することができ、そして例えば細胞ベースの肉産物を含有するバイオリアクターに添加することができる。
【0069】
場合によっては、例えばアフェレーシスにより、または例えば遠心分離、または当業者に公知の他の技術、例えばタンジェンシャルフロー濾過により、全血から直接血小板濃縮物を得ることが望ましくてもよい。いくつかの実施形態において、多血小板血漿中の最終血小板濃度は、血小板濃縮物中の少なくとも105血小板/mL、少なくとも106血小板/mL、少なくとも107血小板/mL、少なくとも108血小板/mL、少なくとも109血小板/mL、少なくとも1010血小板/mLなどである。
【0070】
本明細書で使用される場合、「アフェレーシス」とは、血液または血液産物が動物から除去され、1つ以上の成分が血液または血液産物から分離され、残りの成分が動物の循環に戻される任意のプロセスを指す。例えば、アフェレーシス装置を使用して、例えば血小板および/または血漿などの選択された血液成分を除去し、未使用の血液成分、例えば赤血球を動物に戻すことができる。このようにして、血漿および血小板は、赤血球などよりも代謝回転が高いため、より頻繁に供与することができる。場合によっては、全血試料を採取して例えば血液バッグ(抗凝固剤を含む)に保存し、例えば遠心分離で処理して、多血小板血漿、免疫細胞(すなわち軟膜)、赤血球などを分離することができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、非ヒト生動物から一定期間にわたって複数回の採血を採取することと、複数回の採血を使用して複数の培養肉産物を形成することとを含む、培養肉産物を製造するための方法が提供される。例えば、場合によっては、一定の間隔を置いてドナー動物から血液を採取することができ、その間隔は規則的であっても不規則であってもよい。採血の間に動物は回復し、新しい血液を製造することができる。任意の適切な間隔を使用することができる。例えば、血液は、2週間ごと、4週間ごと、6週間ごと、2ヶ月ごとなどに動物から採取されてもよい。さらに、場合によっては、血液は、1日を超える、2日を超える、3日を超える、4日を超える、5日を超える、6日を超える、1週間を超える、2週間を超える、3週間を超える、4週間を超える、5週間を超える、6週間を超える、7週間を超える、8週間を超える、9週間を超える、10週間を超える、11週間を超える、12週間を超える、13週間を超える、14週間を超える、15週間を超える、16週間を超えるなどの一定の期間で動物から採取されてもよい。特定の実施形態において、期間は、16週間以内、15週間以内、14週間以内、13週間以内、12週間以内、11週間以内、10週間以内、9週間以内、それ以上8週間以内、7週間以内、6週間以内、5週間以内、4週間以内、3週間以内、2週間以内、1週間以内、6週間以内日、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内などであってもよい。これらの組み合わせも可能である。例えば、該期間は、3週間から5週間の間、6日から2週間の間などであってもよい。言及したように、場合によっては、採血は比較的不規則であってもよいが、いくつかの実施形態において、採血の平均期間はこれらの範囲内にあってもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、第1の採血と二回目の採血は少なくとも24時間離れている。一例として、いくつかの実施形態において、動物から採血が行われ、適切な間隔、例えば24時間後に、追加の採血が動物から行われてもよい。このサイクルは、適切な回数だけ反復することもできる。さらに、いくつかの実施形態において、第1の採血と第2の採血は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも28日、少なくとも5週、少なくとも6週、少なくとも7週、少なくとも8週などの間隔をおいてもよい。採血はそれぞれ、次の目的で処理されてもよい。例えば、本明細書で説明するように。例えば、血液は、血小板および/または多血小板血漿を単離するために使用されてもよい。
【0073】
さらに、動物は、例えば、本明細書で議論されるような間隔をあけて、第2、第3などの採血を受けてもよい。各採取で採取される血液は、用途に応じて同じ方法で処理される場合もあれば、異なる方法で処置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、細胞増殖培地は、非ヒト生動物からの第3の採血から得られる細胞、例えば血小板溶解物を使用して製造されてもよい。いくつかの実施形態において、動物は採血と採血の間に生存しており、回復して新しい血液を製造することができる。このようにして、動物からの血液の製造が行われるが、動物からの血液の製造を継続するために動物は屠殺されない。
【0074】
例えば、一組の実施形態において、赤血球(RBC)などの血液成分は約8週間ごとに採取することができ、血小板はほぼ毎週ベースでアフェレーシスによって採取することができる。したがって、血液産物は3~30日のサイクルで動物から採取でき、特定の成分については3~10日のサイクルで採取できる。例えば、血漿および血小板は週に2回の頻度で採取でき、赤血球は月に1回の頻度で採取できる。これらは例であり、他の実施形態において、赤血球、血小板、血漿などの血液成分を異なる期間、例えば前述の期間のいずれかで採取するために、一定の間隔を置いてドナー動物から血液を採取してもよいことに留意すべきである。
【0075】
したがって、いくつかの実施形態において、細胞培養において細胞を成長させるための栄養成分として使用される血液成分の供給源となる目的で、動物を「飼育」して飼育することができる。特定の実施形態において、例えば、乳を製造するウシ、ヒツジおよびヤギ、および羊毛を製造するヒツジなどの血液産物の採取を含む、複数の目的で家畜を飼育できる方法が企図される。いくつかの実施形態において、栄養成分は、例えば本明細書で議論されるように、培養肉または他の動物由来産物を製造するために使用されてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態は、アフェレーシスを使用して非ヒト生動物から少なくとも1つの血液成分を採取し、その少なくとも1つの血液成分を使用して細胞ベースの肉産物を製造することを対象とする。例えば、いくつかの実施形態において、血液産物、例えば多血小板血漿は、採血からアフェレーシスを使用して抽出され、組織、例えば肉産物を培養するために使用されてもよい。場合によっては、第1の採血から採取される血液成分(例えば、多血小板血漿または血漿)1リットル当たり、少なくとも0.1kgの組織が培養されてもよい。他の例では、第2の採血から採取される血液成分(例えば、多血小板血漿または血漿)1リットル当たり、少なくとも0.1kgの組織が培養されてもよい。いくつかの実施形態において、第1の採血は、アフェレーシスを使用した第1の採血から、少なくとも50mL/kg、少なくとも100mL/kg、少なくとも200mL/kg、少なくとも300mL/kg、少なくとも400mL/kg、少なくとも500mL/kg、少なくとも600mL/kg、または少なくとも700mL/kgの血液成分、例えば多血小板血漿または血漿を製造することを含む。いくつかの実施形態において、第2の採血は、アフェレーシスを使用した第2の採血から、少なくとも50mL/kg、少なくとも100mL/kg、少なくとも200mL/kg、少なくとも300mL/kg、少なくとも400mL/kg、少なくとも500mL/kg、少なくとも600mL/kg、または少なくとも700mL/kgの血液成分、例えば、多血小板血漿または血漿を製造することを含む。いくつかの実施形態において、非ヒト生動物から重量1kg当たり少なくとも10mLの体積を有する第1の採血は、非ヒト生動物から採取され、第1の採血で得られる体積1リットル当たり少なくとも0.1kgの組織、例えば培養肉を培養するために使用されてもよい。非ヒト生動物から採取した重量1kg当たり少なくとも10mLの体積も有する第2の採血は、第2の採血から得た体積1リットル当たり少なくとも0.1kgの組織、例えば脂肪様組織を培養するために、採取及び使用されてもよい。いくつかの実施形態において、方法は、その後、例えば、1回目および第2の採血後に、複数回の採血を採取することであって、ここで各採血は生動物からの重量1kg当たり少なくとも10mLの体積を有する、採取すること、および各採血から得られる体積1リットル当たり少なくとも0.1kgの組織を培養することを含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、培養肉産物は、複数の動物から製造されてもよく、ここで培養肉産物の質量は複数の動物の質量の少なくとも110%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも500%、少なくとも1000%、少なくとも1500%、または少なくとも1800%である。換言すれば、特定の実施形態によれば、本明細書で論じるように細胞を培養することによって動物から採取した細胞から出発して最終的により多くの組織塊を製造し、次いで動物自体の実際の質量を製造することができる。いくつかの実施形態において、培養肉産物は非ヒト生動物から製造されてもよく、ここで培養肉産物の質量は、非ヒト生動物の質量の少なくとも110%である。他の実施形態において、培養肉産物の質量は、例えば肉産物を製造するために使用される細胞が期限である単一の動物の質量の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも60%、または少なくとも70%である。
【0078】
いくつかの実施形態において、採血は、非ヒト生動物に対して行われ、採血の少なくとも一部から培養肉産物を製造するために使用される。いくつかの実施形態において、この方法は、アフェレーシスを使用して採血から血液成分を抽出することを含む。例えば、場合によっては、例えばアフェレーシスによって採血から多血小板血漿を取り出し、その多血小板血漿を使用してバイオリアクター内で細胞を培養し、培養肉産物を製造することが望ましくてもよい。いくつかの実施形態において、抽出される血液成分は、血小板濃縮物、多血小板血漿、乏血小板血漿、および血漿産物からなる群から選択されてもよい。場合によっては、1つ以上の血液成分を操作して新しい産物を製造することが望ましくてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、この方法は、血小板濃縮物を凍結融解して血小板溶解物を製造することを含む。他の実施形態において、この方法は、血漿産物にトロンビンを添加して血漿を架橋し、血清産物を製造することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、1つ以上回の採血成分をバイオリアクターに添加することおよび、バイオリアクター内で細胞を培養して培養肉産物を製造することを含む。
【0079】
例えば、いくつかの実施形態において、バイオリアクター内で製造される培養肉産物の質量は、血液成分、例えば、多血小板血漿、血漿など、または本明細書に記載のものなどの他の塊1リットル当たり、少なくとも0.1kgの培養肉産物である。例えば、質量は、血液成分1リットル当たり、少なくとも0.2kg、少なくとも0.3kg、少なくとも0.5kg、少なくとも1kg、少なくとも1.5kg、少なくとも2kg、少なくとも2.5kg、少なくとも3kg、少なくとも4kg、少なくとも5kg、少なくとも6kg、少なくとも7kg、少なくとも8kg、少なくとも9kg、少なくとも10kgなどの培養肉産物であってもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、動物は妊娠中および/または授乳中であってもよい。理論に束縛されるものではないが、当業者は、母体血清が、妊娠中および/または授乳中の胎児の成長を促進する高レベルのホルモンおよび成長因子を含むことが多いことを理解する。場合によっては、妊娠中および/または授乳中の動物に対して採血を行うと、例えばインスリン様成長因子などの成長因子の濃度が高められた血液産物が得られてもよく、および/または培養中に動物細胞の増殖が促進されてもよい。いくつかの実施形態において、動物の妊娠中の任意の時点で血液を採取してもよい。他の実施形態において、授乳期間中の任意の時点で動物から血液を採取してもよい。
【0081】
当業者であれば理解するように、対象となる非ヒト動物は、重量1kg当たり50mLから80mLの間の内部血液量を有してもよい。例えば、ウシの血液量は典型的には重量1kg当たり約52~57mLの間であり、ウマの血液量は典型的には重量1kg当たり約70~80mLの間であり、ブタの血液量は典型的には重量1kg当たり約60~70mLの間であり、ヒツジの血液量は典型的には重量1kg当たり約55~65mL/kgである。いくつかの実施形態において、第1の採血は、非ヒト生動物の重量1kg当たりのリットルで0.1%から5%の間の体積を有する。他の実施形態において、第2の採血は、非ヒト生動物の重量1kg当たりのリットルで0.1%から5%の間の体積を有する。
【0082】
いくつかの実施形態において、第1および第2の採血は、非ヒト生動物の重量1kg当たりのリットルで1%から3%の間の体積を有する。いくつかの非限定的な実施形態は、一般に、非ヒト生動物から複数回の採血、例えば第1の採血を、動物を殺すことなく抜き取り、複数回の採血を使用して複数の培養肉産物、例えば脂肪様組織を形成する方法を対象とする。いくつかの実施形態において、この方法は、非ヒト生動物を殺すことなく複数回の採血を行い、複数回の採血を使用して複数の培養肉産物を形成することを含む。他の実施形態において、この方法は、少なくとも12週間の期間、または本明細書に記載されるような他の期間にわたって非ヒト生動物から複数回の採血を採取することを含む。採血は、全血を採取すること、または場合によっては、全血中に一般的に見られる1つ以上の血液産物を採取することを含んでもよい。全血中に一般的に見られる成分の非限定的な例は、赤血球、血小板、血漿、白血球を含む。血漿はさらに、水、溶解タンパク質(例えば、血清アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンなど)、グルコース、凝固因子、電解質(例えば、Na+、Ca2+、Mg2+、HCO3-、Cl-など)、ホルモン、二酸化炭素および酸素を含んでもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の血液産物は、例えばアフェレーシスによって得られてもよい。アフェレーシスを使用して得られてもよい血液産物の非限定的な例は、血漿(すなわち、血漿アフェレーシス)、赤血球(すなわち、赤血球アフェレーシス)、血小板(すなわち、血小板アフェレーシス)、および白血球(すなわち、白血球アフェレーシス)またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、多血小板血漿)を含む。いくつかの実施形態において、アフェレーシスを使用して多血小板血漿が得られる。例えば、いくつかの実施形態において、アフェレーシスを使用して第1の採血から多血小板血漿を製造することは、第1の採血から10mL/kgから15mL/kgの間の多血小板血漿を除去することを含む。他の実施形態において、アフェレーシスを使用して第2の採血から多血小板血漿を製造することは、第2の採血から10mL/kg~15mL/kgの多血小板血漿を除去することを含む。採血から得られる細胞、例えば血小板および/または多血小板血漿は、例えば血小板を溶解して血小板溶解物を製造し、それを細胞培養培地、例えばDMEMに添加することによって細胞培養培地を作製するために使用することができる。血小板溶解物ベースの細胞培養培地は、例えば筋肉量を増加させるために、非ヒト筋肉を含む細胞培養システム、例えばバイオリアクターに添加することができる。動物および/または植物由来の油は、複数回の採血から単離される血漿内に分散され、重合して脂肪様組織を形成することができる。血漿は高濃度の可溶性フィブリノーゲンを含み、トロンビンなどの凝固剤を添加すると、フィブリノーゲンからフィブリンへの切断が刺激され、フィブリノーゲンが自己集合して柔らかいヒドロゲルとなり、分散した油相をその中に閉じ込める。他の実施形態において、複数回の採血から単離される赤血球を、例えば凍結融解によって溶解してヘムを放出し、培養肉産物に赤みを与えるための天然肉着色料として使用してもよい。
【0083】
本明細書に記載される論文および/または方法の一部は、培養肉産物および他の培養動物由来産物の持続可能な製造を対象としているが、例えば伝統的な肉産物を製造する屠殺場からの血液および血液産物は、他の実施形態でも使用することができる。
【0084】
本開示のいくつかの態様は、再生農場などの農場で非生動物の献血者を飼育することを対象とする。本明細書において、再生農場という用語は、再生農業、農業、再生型培養者、再生放牧などと同義である。当業者には理解されるように、世界中で消費される食料の大部分は、産業革命中に普及した近代農業の一形態である集約工業農業の様々な方法を通じて培養される。しかしながら、工業的農業は、(i)動植物の生物多様性の減少、(ii)土壌、水、および大気汚染、(iii)土壌浸食、(iv)持続不可能な水消費量、(v)慢性疾患、癌、食中毒病原体、農薬、および高速食肉製造の発生、(vi)抗生物質耐性、および(vii)食品の栄養価の欠如などの問題と関連している。再生農場は、農業システムと生態系全体の相互接続に焦点を当てた、農業への総合的なアプローチである。
【0085】
再生農業は、可能な限り動物を農場に組み込むことを含んでもよい。例えば、再生放牧は、多年生および一年生の飼料で家畜を管理することによって土壌の健康を構築する再生農場の実践の1つである。現在の産業的農業慣行の成果の1つは、小麦などの単一作物を同じ土地で毎年培養する単作培養である。かかるやり方では土壌から栄養分が奪われ、作物の継続的な成長を支えるために追加費用をかけて肥料を運んだり、農場から合成肥料を輸入したりする必要がある。しかしながら、再生放牧などの家畜の適切な管理により、土壌に栄養素を置き換えるのに必要な肥料が供給され、肥料の必要性が減り、土壌有機物が増加する。例えば、健全な土壌は大量の炭素および水を捕捉し、汚染された流出量を減らす。
【0086】
場合によっては、再生農場は、例えば可能な限り頻繁に再利用およびリサイクルする実践を含んでもよい。したがって、いくつかの実施形態において、単一の動物を、血液供与および乳製造などの複数の目的に使用することができる。例えば、ウシは、培養肉産物や乳を製造するためにウシの血液を供与するために使用できる。羊は、養殖肉の製造および羊毛のために血液を供与するために使用されてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、再生農業は持続可能性を含んでもよい。いくつかの実施形態において、再生農業実践は、持続可能な方法で細胞増殖培地を提供することによって、培養肉の大規模商業化に関連する経済的ハードルを下げてもよい。現在、ウシ胎児血清は、ほとんどの細胞培養培地の標準的な増殖補助剤として使用されている。本明細書の他の箇所で述べたように、ウシ胎児血清は、屠殺場などの閉鎖収集システムを介してウシ胎児から得られ、持続可能な方法または費用対効果の高い方法で製造されることを意図したものではない。
【0088】
いくつかの実施形態において、同様の産物、例えばウシ血清は、例えば本明細書に記載される再生農業実践を使用するなど、持続可能な方法で得ることができる。例えば、血漿は、例えば、24時間ごとに、単一のウシまたは複数の異なるウシから採取されてもよい。血漿はフィブリノーゲンを含み、トロンビンの添加などにより架橋が刺激されると、ウシ胎児血清と同じ成長因子の多くを豊富に含むウシ血清が製造される。しかしながら、ウシ胎児血清とは異なり、再生農法では動物の生涯にわたって血清を反復して製造できるため、製造コストが削減されると同時に、大型動物の世話に伴う二酸化炭素排出量も削減される。例えば、1頭のウシがその生涯、例えば15~20年間にわたって、約22,000ポンドの培養肉産物を製造するのに十分な血液産物を提供すると推定されている(1頭当たり440ポンドのウシ肉で50頭のウシに相当)。
【0089】
いくつかの実施形態は、再生農場の二酸化炭素排出量の減少を定量化する方法を対象とする。例えば、いくつかの実施形態において、この方法は、非ヒト動物から全血を採取すること、全血を血液成分に分離すること、および血液成分を使用して細胞ベースの肉産物を製造することを含む。他の実施形態は、再生農場で非ヒト生動物を飼育すること、非ヒト生動物から複数回の採血を行うこと、および複数回の採血を使用して複数の培養肉産物を形成することを含む方法を対象とする。他の実施形態において、方法は、非ヒト生動物を再生農場で飼育すること、少なくとも1つの血液産物および少なくとも1つの他の産物を非ヒト生動物から採取すること、および少なくとも1つの血液産物を使用して血液産物を培養することを含む。細胞ベースの肉。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの他の産物は、乳、羊毛、卵、肥料などを含む。いくつかの実施形態において、再生農場は正味ゼロの二酸化炭素排出量を有する。
【0090】
他の実施形態において、本方法は、非ヒト動物がその排泄物により各牧草地の炭素含有量を、同一の牧草地と比較して少なくとも50質量%増加させるように、複数の牧草地で非ヒト動物を放牧することを含む。非ヒト動物が存在せず、非ヒト動物から複数回の採血が行われ、その採血を使用して細胞ベースの肉産物が製造される。非ヒト動物が放牧する畑を回転させることは、再生放牧としても知られ、放牧動物によって製造される肥料を使用して土壌を肥沃にし、健康を維持する再生農業実践である。いくつかの実施形態において、非ヒト生動物は、例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマなどの複数の異なる種を含む。いくつかの実施形態において、再生放牧は、複数の牧草地で非ヒト動物の放牧を回転することを含む。いくつかの実施形態において、牧草は、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、7日ごと、2週ごと、4週ごと、8週ごと、16週ごと、32週ごと、または52週ごとに回転されてもよい。いくつかの実施形態において、回転放牧は、回転放牧がない場合の同一の牧草地と比較して、温室効果ガス排出量を10質量%から50質量%削減してもよい。
【0091】
したがって、本開示のいくつかの態様は、例えば採血から得られる採取血液成分、例えば最初の血液採取を使用して、食品および他の用途のための培養肉産物などの組織を持続的に製造する方法を対象とする。例えば、一実施形態において、1つ以上の血液産物を使用して、細胞培養増殖培地を製造してもよい。いくつかの実施形態において、この方法は、生動物から血液成分、例えば多血小板血漿を採取してインビトロ細胞培養に適した細胞培養培地を製造すること、および前記細胞培養増殖培地内で細胞を培養することによって細胞培養培地の成分を得ることを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養増殖培地は細胞培養培地を含む。商業販売業者(例えば、Gibco、Sartoriusなど)によって購入され得る、または当業者によって合成され得る例示的な細胞培養培地は、DMEM、RPMI1640、MEM、DMEM/F12、ハムのF-10栄養混合物、ハムのF-12栄養混合物、Media199、Plasma-Lyte、PBSなどを含む。場合によっては、第1の採血から得られる、持続的に採取される血液産物、例えば、多血小板血漿および/または血小板溶解物が、例えば、細胞増殖を促進するなど、細胞培養培地の生物活性を増強するために、細胞培養培地に添加される。いくつかの実施形態において、多血小板血漿および/または血小板溶解物の濃度は、細胞培養増殖培地の少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%などである。いくつかの実施形態において、第1の採血からの組織を培養することは、第1の採血中の細胞を細胞増殖培地に曝露することを含む。
【0092】
別の例として、採取される血液産物は、フィブリンを含むマイクロキャリアまたは他の足場を製造するために使用されてもよい。これらの非限定的な例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年11月15日に出願され、Hosseiniらにより「Constructs Comprising Fibrin or Other Blood Products for Meat Cultivation and Other Applications」と題されるUS Pat. Apl. Ser. No. 63/279,617に見出されてもよい。フィブリンは、血液凝固に関与する食用の繊維状タンパク質である。これは、例えばプロテアーゼ阻害剤であるトロンビンがフィブリノーゲンに作用し、それが重合して血餅を形成することによって形成される。いくつかの実施形態において、フィブリンを受動的足場材料として使用することができる。しかし、いくつかの実施形態において、フィブリンは、細胞接着、増殖、および遊走を促進する細胞培養培地中の特定の成長因子に特異的に結合することができる。非限定的な例は、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、フォンヴィレブランド因子などを含む。
【0093】
特定の実施形態において、本明細書で論じるものなどのマイクロキャリアまたは足場を処理して、筋芽細胞などの細胞の結合を促進してもよい。マイクロキャリアまたは足場の追加の非限定的な例は、2021年3月10日に出願され、Khademhosseiniらにより「Constructs for Meat Cultivation and Other Applications」と題されるUS Pat. Apl. Ser. No. 63/159,403に見出されてもよい。例えば、マイクロキャリアまたは足場は、マイクロキャリアまたは足場に結合する成長因子を含む非ヒト血清に曝露されてもよい。成長因子は、例えば、細胞接着、増殖、および/またはマイクロキャリアまたは足場への細胞の移動を促進してもよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、マイクロキャリアまたは足場は、フィブリンなどの食用ヒドロゲルを形成する任意の材料を含んでもよい。例えば、一実施形態において、マイクロキャリアは、非ヒト血漿または多血小板血漿(PRP)から形成されてもよく、その両方が、架橋または他の方法で処理されてフィブリンヒドロゲルを形成することができる多血漿フィブリノーゲンを含む。かかる架橋は、トロンビン、カルシウム、または本明細書に記載されているような他の条件に曝露することによって達成することができる。いくつかの実施形態において、フィブリンヒドロゲルは、例えば少なくとも10重量%、場合によってはそれ以上のフィブリノーゲンを含有する非ヒト血漿および/またはPRPを使用して形成される。
【0095】
特定の実施形態において、筋芽細胞および脂肪細胞などの非ヒト細胞をマイクロキャリアまたは他の足場上に播種し、バイオリアクター内で増殖させて、培養肉産物を製造することができる。例えば、筋芽細胞はマイクロキャリア上で増殖され、いくつかの実施形態において、例えばバイオリアクターまたは他の細胞培養システム内で、分化または融合して整列した筋管を形成してもよい。
【0096】
別の例として、採取される血液産物は、脂肪様組織を製造するために使用されてもよい。脂肪エマルションは、例えば、脂肪を非ヒト血漿で乳化することによって調製されてもよい。場合によっては、脂肪を非ヒト血漿と混合することによって、脂肪に脂肪エマルジョンを形成させることができる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、血漿は、脂肪を乳化してカイロミクロンなどの脂肪粒子を形成できる成分を含むと考えられている。例えば、血漿は、かかる脂肪粒子から得られるタンパク質または界面活性剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、非ヒト血漿を処理して、脂肪模造品を形成してもよい。例えば、血漿内のフィブリンは、フィブリンを凝固させ、かつ/または例えばトロンビン、カルシウム、または本明細書に記載されるような他の凝固剤に曝露することによってフィブリンを架橋させることによって引き起こされてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、脂肪模造品は、ヒドロゲル内に含まれる脂肪エマルションを含んでもよい。ヒドロゲルは、例えば上述したように、非ヒト血漿、および/または別の成分から形成され得る。かかるヒドロゲルの非限定的な例は、アルギン酸塩、ゼラチン、または本明細書に記載されるような他のものを含む。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年11月15日に出願され、Hosseiniらにより「Systems and Methods of Producing Fat Tissue for Cell-Based Meat Products」と題されるUS Pat. Apl. Ser. No. 63/279,642を参照されたい。
【0097】
他の実施形態において、採取される赤血球は、ヘムまたはヘム含有タンパク質を提供するために使用されてもよい。例えば、一実施形態において、ヘムは、例えばバイオリアクター内で培養される非ヒト赤血球から得られてもよい。例えば、赤血球は、例えば細胞を低浸透圧水または蒸留水に曝露して非ヒト赤血球の溶解物を形成することによって溶解されてもよい。赤血球は、ミオグロビンと構造的に類似したタンパク質であるヘモグロビンを含む。ヘモグロビンはヘム部分も含有する。赤血球を溶解すると、ヘモグロビンが溶液などに放出されてもよい。さらに、これらに加えて、赤血球を溶解する他の方法を使用することもできる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年11月15日に出願され、Hosseiniらにより「Production of Heme for Cell-Based Meat Products」と題されるUS Pat. Apl. Ser. No. 63/279,644, filed Nov. 15, 2021を参照されたい。
【0098】
本開示のいくつかの態様は、例えば、本明細書に記載される採血から採取される血液成分を使用して、培養された培養肉産物を形成することに関する。いくつかの実施形態において、培養肉産物は、筋肉模造品(例えば、所望によりマイクロキャリア、例えばフィブリンマイクロキャリア上で増殖させた筋細胞)、脂肪様組織、および/または赤血球の溶解物を含む。いくつかの実施形態において、培養肉産物は以下を含む。筋肉模造品、脂肪様組織、および赤血球の溶解物は、細胞ベースの肉産物とともに任意の適切な量で存在してもよい。例えば、筋肉模造品、脂肪様組織、および赤血球の溶解物は、細胞ベースの肉産物の少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%存在し得る。%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%など、および/または95重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下などで存在してもよい。
【0099】
さらに、いくつかの実施形態において、肉のホールカットに似た構造は、トランスグルタミナーゼまたは肉のりなどの当技術分野で知られている様々な化学反応および酵素反応によって脂肪線組織と肉様組織を結合させて肉のホールカットを作ることによって製造することができる。しかしながら、ひき肉の製造にはかかる手順は必要なくてもよい。
【0100】
別の一連の実施形態において、細胞培養細胞、例えばバイオリアクター内で細胞を増殖させる包括的で持続可能な方法を提供する特定の態様が本明細書に提供される。いくつかの実施形態は、例えば、インビトロ細胞培養に適した、血液成分を含む細胞培養培地を製造するために、生きた非ヒト動物から採血を持続的に実行することによって細胞培養培地の成分を得る工程および前記細胞培養培地中で細胞を培養する工程を含む。この方法は、例えば、地球規模で行うには大規模な規模が必要であるため、細胞培養によって細胞ベースの培養肉を製造するのに有用である。細胞ベースの培養肉は、食品業界における最近の革新であり、従来の方法で動物を飼育することなく肉を製造するために、インビトロ条件および培地中で動物細胞を使用して製造される。本明細書で使用される場合、細胞ベースの肉は、他の関連用語の中でも特に、培養肉、培養肉、細胞肉、屠殺されていない肉、および合成肉と同義である。
【0101】
細胞ベースの肉を製造するための培地は、動物の血液から抽出されるタンパク質、ペプチド、ビタミン、サイトカインおよび成長因子などを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、かかる組成物は、血液、乳、羊毛、および他の資源を持続的に抽出する目的で飼育または「飼育」されている、生動物に対して行われる採血から抽出されてもよい。例えば、乳を採取するために飼育されている動物は、血液と乳の両方の採取にも使用できる。例えば、動物を殺すことなく収穫を行ってもよい。
【0102】
「血液成分を持続的に採取する」とは、非ヒト動物を殺さない方法で採血から血液成分を抽出できることを意図している。いくつかの実施形態において、これは、選択された成分、例えば栄養素、赤血球の一部、血小板、フィブリノーゲン、血漿または血清(増殖を含む)を可能にする方法で血液および/または血液産物を動物から除去することができる任意の方法を含む。動物を殺すことなく採取される因子と、赤血球などの他の血液成分が動物に戻される必要がある。かかる方法は、例えば、アフェレーシス、血漿フェレーシス、赤血球フェレーシス、血小板フェレーシス、白血球フェレーシス、遠心分離などを含む。本明細書で使用される場合、「アフェレーシス」とは、血液または血液産物が動物から除去され、1つ以上の成分が血液または血液産物から分離され、残りの成分が動物の循環に戻される任意のプロセスを指す。
【0103】
いくつかの実施形態において、アフェレーシスを実施すると、第1の採血の少なくとも50体積%、少なくとも60体積%、少なくとも70体積%、少なくとも80体積%、または少なくとも90体積%が非ヒト生動物に戻される。いくつかの実施形態において、アフェレーシスを実施すると、第2の採血の少なくとも50体積%、少なくとも60体積%、少なくとも70体積%、少なくとも80体積%、または少なくとも90体積%が非ヒト生動物に戻される。いくつかの実施形態において、第1の採血は第2の採血の前に行われる。他の実施形態において、第1の採血は、二回目の採血の後に行われてもよい。採血が2回以上行われてもよい。例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100回など、特定の動物から採血する。
【0104】
いくつかの実施形態において、第1の採血を非ヒト生動物に戻す前に、第1の採血から血小板を分離してもよい。いくつかの実施形態において、血小板は、アフェレーシスを使用して第1の採血から分離される。他の実施形態において、多血小板血漿は、第1の採血を非ヒト生動物に戻す前に、第1の採血から分離される。いくつかの実施形態において、第1の採血からの多血小板血漿の分離にはアフェレーシスが使用される。いくつかの実施形態において、第2の採血を非ヒト生動物に戻す前に、第2の採血から血小板を分離してもよい。いくつかの実施形態において、血小板は、アフェレーシスを使用して第2の採血から分離される。他の実施形態において、第2の採血を非ヒト生動物に戻す前に、第2の採血から多血小板血漿が分離される。いくつかの実施形態において、第2の採血からの多血小板血漿の分離にはアフェレーシスが使用される。
【0105】
当業者には理解されるように、アフェレーシスは、抽出された血液成分の濃度を増加させてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、アフェレーシスを使用して第1の採血から分離された多血小板血漿は、第1の採血における正常な濃度の少なくとも2倍の血小板を含む。いくつかの実施形態において、アフェレーシスを使用して第1の採血から抽出される多血小板血漿の濃度は、少なくとも105血小板/mLである。例えば、いくつかの実施形態において、アフェレーシスを使用して第2の採血から分離された多血小板血漿は、第2の採血における正常な濃度の少なくとも2倍の血小板を含む。いくつかの実施形態において、アフェレーシスを使用して第2の採血から抽出される多血小板血漿の濃度は、少なくとも105血小板/mLである。
【0106】
いくつかの方法は細胞培養培地の成分の持続可能な製造を目的としているが、伝統的な肉産物の製造などのために屠殺場から収集される血液および血液産物は、細胞ベースの肉の製造を補うために使用できる。例えば、いくつかの実施形態において、アフェレーシス機械を使用して、動物の血液から血液成分、例えば血小板、血漿、または多血小板血漿を分離し、他の細胞、例えば赤血球を動物の体に戻すために使用することができる。血漿および血小板は、動物の体内での代謝回転が速いため、赤血球よりも頻繁に供与できる。
【0107】
いくつかの実施形態において、血液成分は、例えば1つ以上の抗凝固剤を含む血液バッグに抽出され、そして例えば後で、例えば300g(100~500gの範囲)で少なくとも25分間(10~50分の範囲)遠心分離することによって処理されることができる。例えば本明細書に記載されているように、他の実施形態において他の技術も可能である。いくつかの実施形態において、血小板、血漿、または多血小板血漿を動物から採取し、一方、赤血球を動物に戻すことができる。
【0108】
一実施形態によれば、多血小板血漿(PRP)は、非ヒト生動物から得られ、細胞培養に使用されてもよい。いくつかの実施形態において、多血小板血漿のみを含む細胞培養培地は、血小板濃縮物または血漿のみと比較して、細胞増殖に対してより効果的であることが判明している。これは、PRPの分離プロセスが特定の条件下では血小板濃縮物または血漿単独の単離よりも速くてもよく、かつ/または単一工程で実行できるため、特定の実施形態において特に有用であってもよい。いくつかの実施形態において、PRPは、ウシおよびヒツジなどの血液を含む任意の種から得られてもよい。その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる、2021年3月22日に出願されたUSSN63/164,397も参照されたい。
【0109】
いくつかの実施形態において、分離された血小板および/または多血小板血漿は、例えば、サイトカインおよび成長因子を含む内容物を放出するための凍結融解プロセス、超音波処理などの物理的剪断、または他の適切な技術を使用することによって溶解することができる。いくつかの実施形態において、分離された血小板および/または多血小板血漿は、カルシウムイオン、トロンビン、またはクエン酸塩、EDTA、塩化カルシウム、プラスミノーゲンなどの他の血小板活性化試薬の添加などによって、化学的および/または生化学的に処置されて、サイトカインおよび成長因子が放出されることができる。
【0110】
別の態様によれば、アフェレーシス中に、および/または多血小板血漿(PRP)供与中の副産物として得られる赤血球の一部を溶解してヘムを放出し、細胞ベースの肉産物の色および味を増強するために使用することができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、細胞培養増殖培地は、補助増殖培地としてPRPを含んでもよい。いくつかの実施形態において、PRPには、追加の血液由来タンパク質、ペプチド、ビタミン、サイトカイン、および/または成長因子などをさらに補充してもよい。特定の実施形態において、合成および/または組換えタンパク質、ペプチド、ビタミン、サイトカイン、例えば、血漿中のものと同様の成長因子などを増殖培地に添加して、例えば、脂肪細胞または筋線維などの細胞株への細胞の増殖または分化を促進することができる。
【0112】
細胞ベースの肉産物を製造するために、PRPなどのさまざまな血液成分を基礎培養培地に添加してもよい。場合によっては、培地は、筋芽細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、血管細胞、上皮細胞、哺乳動物の腺、骨芽細胞、腱細胞、神経細胞などの初代細胞の増殖を増強するために使用されてもよく、例えば、いくつかの実施形態において、これらは、世界中で食用タンパク質の供給源として使用されている脊椎動物および無脊椎動物から単離されてもよい。これらは、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギ、ラクダ、クジラ、魚、カニ、エビ、バイソン、ワニなどの非ヒト動物を含むが、これらに限定されない。
【0113】
いくつかの実施形態において、血液成分を含む細胞培養増殖培地を使用して、例えば、間葉系幹細胞、人工多能性幹細胞などの幹細胞から作製される細胞ベースの肉を培養して、例えば、食肉の発育に必要な異なる細胞タイプを生じさせてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態において、1つの種の血液から抽出されるPRPを含む細胞培養増殖培地は、他の種からの細胞の培養、またはそれが得られる同じ種からの細胞の培養に使用することができる。
【0115】
いくつかの実施形態において、PRPを含む細胞培養増殖培地を使用して、本物の肉に似た組織化された肉繊維を培養することができる。いくつかの実施形態において、フィブリンを、バイオリアクター内で細胞を培養するための細胞足場または細胞マイクロキャリアとして使用することができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、PRPを細胞培養に使用して、例えば、抗凝固剤を中和することによってPRPにフィブリンヒドロゲルを形成させることによって、培養細胞に肉のような質感を提供することができる。例えば、カルシウムイオンおよびトロンビンまたはプロトロンビンの活性化剤を添加すると、PRPにおける可溶性フィブリノーゲンの凝固カスケードの開始が可能になる。続いて、フィブリンゲルをプレス、撹拌、剪断、粉砕などのさまざまな機械的アプローチによって物理的に処置して、フィブリル状の肉のような質感を誘導することができる。かかる肉のような質感は、牛ひき肉のバイオシミラーとして使用したり、グルタミナーゼなどのタンパク質架橋剤と結合して肉の切り身に似た機械的特性を改善したりすることができる。収穫された赤血球(RBC)およびその溶解物は、味覚、嗅覚、視覚的特性を得るために肉産物に組み込むことができる。フィブリンヒドロゲルを使用する他の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年11月15日に出願され、Hosseiniらにより「Constructs Comprising Fibrin or Other Blood Products for Meat Cultivation and Other Applications,」と題されるUS Pat. Apl. Ser. No. 63/279,617に見られてもよい。
【0117】
いくつかの実施形態において、10%の濃度(1~100%、5~50%、5~20%などの範囲)のPRPを、培養培地、またはCa2+イオンもしくはトロンビンなどの凝固を促進する他の補助剤を含有する溶液に添加することができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、フィブリンゲルの形成前に、本明細書で論じるように増殖させた細胞を、所望の濃度、例えば1000万~1億細胞/mlの細胞密度で、および/またはフィブリンに対して20%から90%w/wの範囲(例えば、フィブリンに対して80%w/w)でPRPと混合することができ、本明細書で論じるように処理することができる。
【0119】
赤身肉の色および味が望ましい場合、いくつかの実施形態において、動物から得られる赤血球溶解物は、濃度2%(例えば、0.5%~8%の範囲)で、血漿またはPRPの濃度10%(例えば、凝固溶液、例えば、DMEMまたはCaCl2中で5%~95%の範囲)で添加され、および改善された色および味を有する赤身肉様構造を得るために、上記の方法に従って処理されてもよい。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年11月15日に出願され、Hosseiniらにより「Production of Heme for Cell-Based Meat Products」と題されるUS Pat. Apl. Ser. No. 63/279,644も参照されたい。
【0120】
別の態様によれば、PRPを上記のように脂肪細胞培養物に添加し、本明細書に記載のように凝固および処理して、例えば白っぽい脂肪様組織を得ることができる。例えば、特定の実施形態において、ココナッツ油または乳脂肪(バター油)などの植物ベースの脂肪をPRPと混合して、脂肪様フィブリン組織を得ることが可能である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年11月15日に出願され、Hosseiniらにより「Systems and Methods of Producing Fat Tissue for Cell-Based Meat Products」と題されるUS Pat. Apl. Ser. No. 63/279,642を参照されたい。
【0121】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるように得られる脂肪様組織および肉様組織は、例えば、3Dプリンターを使用して押出成形して肉様の質感を有する異方性構造を形成することを含む、異なる方法によって一緒に混合することができる。
【0122】
さらに、肉のホールカットに似た構造は、特定の実施形態において、脂肪様組織と肉様組織を一緒に結合させることによって、例えば、トランスグルタミナーゼまたは肉糊などの当業者に知られている様々な化学反応および酵素反応を使用することによって製造されることができる。肉のホールカットを行うためであるが、ひき肉の製造のための他の実施形態においてかかる工程は必要なくてもよい。
【0123】
特定の実施形態において、例えば細胞ベースの肉を市場に出すために、持続可能で保持可能なFBSの代替品が必要とされている。一連の実施形態において、肉産物を培養するためのFBSの代替物としてヒト血小板溶解物(PL)を使用することができる。いくつかの実施形態によれば、ヒトPLは、幹細胞などの多くの種類の細胞に対する増殖補助剤として使用することができる。ヒトPLは、他の治療提案のための血小板供与の副産物として得られてもよい。通常、供与された血小板の有効期限は、例えば収集後1週間であり、その後は凍結されてもよく、解凍したものはヒトPLと呼ばれる。血小板はさまざまな成長因子を有してもよいため、解凍後、血小板は溶解されて成長因子が放出され、これが細胞の成長に役立ってもよい。実際、これは血小板の本来の役割であり、血管損傷部位で成長因子を放出して損傷した組織の治癒を促進する。ヒト血小板溶解物は、創傷治癒などの治療用途、または腱や軟骨などの他の損傷の治癒を助けるため、および治療用途としてヒト細胞の培養物として使用されることがいくつかあるにもかかわらず、動物血小板溶解物は治療法として考慮されていない。しかしながら、本開示はヒト血小板溶解物のみに限定されず、他の実施形態において、例えばヒト血小板溶解物に加えて、またはその代わりに、非ヒト血小板溶解物を使用できることを理解されたい。
【0124】
例えば、ウシ、ウマ、イヌなどのさまざまな動物に由来する動物由来のPLまたは多血小板血漿(PRP)も、獣医学における幅広い傷害の処置に使用されている。PLおよび/またはPRPは、健康上の問題を引き起こすことなく、非ヒト動物から供与することができる。したがって、特定の実施形態において、本明細書で説明するように、PLおよび/またはPRPを使用してもよい。
【0125】
例えば、例えば本明細書で論じられるように、細胞培養増殖培地用の成長因子を得るために、ウシおよび/または他の家畜からの持続可能な抽出によって製造されるウシPLおよびPRPの代替は、いくつかの実施形態において、かかる培地および/またはそれから製造される培養肉のコストを、例えば屠殺された家畜から製造される肉のコストと競合するレベルまで実質的に削減する。屠殺のために農場で農場ウシを育てるために使用される、16か月以内の細胞ベースの肉製造の大量効率が5倍である可能性があるだけでなく、ウシは15~20年の寿命の間に50頭のウシに相当する肉を製造するのに十分な細胞培養培地の成分を製造できてもよい。これは、細胞ベースの食肉工場のPLまたはPRP製造用の農場を使用することによって、動物ベースの肉が環境に与える影響をすべて、例えば98%削減できることを意味する。かかる動物成長因子は細胞増殖にとって重要な成分であってもよいため、特定の実施形態によれば、1つ以上の成長因子および/または例えばその有効性を高めるために多くの栄養因子を運ぶ血漿などの他の成分を添加することが可能である。
【0126】
当業者には理解されるように、上記の議論は培養肉産物の製造に限定されるものではない。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して、非ヒト生動物から持続可能な方法で他の培養産物を製造してもよい。他の実施形態において、この方法は、非ヒト生動物を殺すことなく複数回の採血を行い、複数回の採血を使用して複数の培養産物を形成することを含む。培養産物は、本明細書で前述したもののいずれかを含む、皮膚、乳、羊毛、器官、角、牙、皮革、乳、毛髪、毛皮などのバイオリアクターで生育可能な任意の産物であってもよい。
【0127】
以下は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる:米国仮特許出願第63/159,403号、2021年3月10日出願、表題「Constructs for Meat Cultivation and Other Applications」;米国仮特許出願第63/279,617号、2021年11月15日出願、表題「Constructs Comprising Fibrin or Other Blood Products for Meat Cultivation and Other Applications」;米国仮特許出願第63/279,631号、2021年11月15日出願、表題「Methods and Systems of Preparing Cultivated Meat from Blood or Cellular Biomass」;米国仮特許出願第63/279,642号、2021年11月15日出願、表題「Systems and Methods of Producing Fat Tissue for Cell-Based Meat Products」;米国仮特許出願第63/279,644号、2021年11月15日出願、表題「Production of Heme for Cell-Based Meat Products」;米国仮特許出願第63/300,577号、2022年1月18日出願、表題「Animal-Derived Antimicrobial Systems and Methods」;米国仮特許出願第63/164,397号、2021年3月22日出願、表題「Growth Factor for Laboratory Grown Meat」;米国仮特許出願第63/164,387号、2021年3月22日出願、表題「Methods of Producing Animal Derived Products」;米国仮特許出願第63/314,171号、2022年2月25日出願、表題「Growth Factors for Laboratory Grown Meat and Other Applications」;および米国仮特許出願第63/314,191号、2022年2月25日出願、表題「Methods and Systems of Producing Products Such as Animal Derived Products」。
【0128】
当業者であれば、現時点で好ましい実施形態に関する前述の説明を考慮すれば、本開示の実施における多くの修正および変形が思い浮かぶことが予想される。したがって、本発明の範囲に課すべき唯一の制限は、添付の特許請求の範囲に記載されたものだけである。
【0129】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を説明することを意図しているが、本開示の全範囲を例示するものではない。
【0130】
実施例1
この実施例では、さまざまなウシから分離された多血小板血漿の性能を実証する。表1は、使用されたウシの種類、生年月日、重量、供与された多血小板血漿の総量、および供与頻度に関する情報を含有する。次いで、各動物から多血小板血漿を採取し、細胞培養増殖培地の製造に使用した。かかる溶液の増殖能を測定するために、ウシ筋芽細胞を10%ウシ胎児血清を含むDMEMに懸濁し、培養基質への接着を可能にするために10,000細胞/ウェルの細胞密度で播種した。6時間後、培地を除去し、新鮮なDMEM(無血清)を添加した。12時間後、細胞培養培地を再度除去し、さまざまなウシからの10%ウシ多血小板血漿分離物含有DMEMに置き換えた。対照試料は、10%ウシ胎児血清または10%ブタ多血小板血漿(屠殺場から入手)とインキュベートした。続いて細胞を95%O2および5%CO2中で37℃で24時間インキュベートし、その後細胞培養培地を除去した。次いで、培養細胞をリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄してすべての培地を除去し、トリプシン処理して培養基質から剥離し、光学技術を使用して細胞数を測定した。その結果、ウシドナーから分離された多血小板血漿は、無血清培地と比較して細胞増殖を有意に増強し、ドナーウシに関係なく、ウシ胎児血清と同等の効果があることが示された(
図1)。さらに、使用したウシの種類、生年月日、重量、供与された多血小板血漿の量、供与頻度に関する情報を表1に示す。
【0131】
【0132】
実施例2
この実施例は、様々なドナーウシから単離される多血小板血漿濃度の変化(表1を参照)がウシ筋芽細胞の増殖に及ぼす影響を実証する。成熟したホルスタインウシ(2371)および数頭の若いホルスタイン未経産ウシ(4321、4266、4348、および14583)から多血小板血漿を得、最終濃度2.5wt%、5wt%、または10wt%でDMEMに添加した。かかる溶液の増殖能を測定するために、ウシ筋芽細胞を10%ウシ胎児血清含有DMEMに懸濁し、培養基質への接着を可能にするために10,000細胞/ウェルの細胞密度で播種した。6時間後、培地を除去し、新鮮なDMEM(無血清)を添加した。12時間後、細胞培養培地を再び除去し、様々な濃度のウシ多血小板血漿含有DMEMと置き換えた(上記の通り)。対照試料を、無血清DMEMまたは10%ウシ胎児血清含有DMEM中でインキュベートした。続いて細胞を95%O2および5%CO2中で37℃で24時間インキュベートし、その後細胞培養培地を除去した。次いで、培養細胞をリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄してすべての培地を除去し、トリプシン処理して培養基質から剥離し、光学技術を使用して細胞数を測定した。その結果は、多血小板血漿の濃度が増加すると細胞増殖が増加することを示し;そして、10%の多血小板血漿は、細胞増殖の促進において10%のウシ胎児血清と同じくらい効果的であることを示した(
図2A~E)。
【0133】
実施例3
この実施例は、様々なドナーウシから単離される多血小板血漿濃度を変化させること(表1を参照)がヒト肝細胞の増殖に及ぼす影響を実証する。成熟したホルスタインウシ(2371)および数頭の若いホルスタイン未経産ウシ(4321、4266、4348、および14583)から多血小板血漿を得、最終濃度2.5wt%、5wt%、7.5wt%または10wt%でDMEMに添加した。かかる溶液の増殖能を測定するために、ヒト肝細胞を10%ウシ胎児血清含有DMEMに懸濁し、培養基質への接着を可能にするために10,000細胞/ウェルの細胞密度で播種した。6時間後、培地を除去し、新鮮なDMEM(無血清)を添加した。12時間後、細胞培養培地を再び除去し、様々な濃度のウシ多血小板血漿含有DMEMと置き換えた(上記の通り)。対照試料を無血清DMEM中でインキュベートした。続いて細胞を95%O2および5%CO2中で37℃で24時間インキュベートし、その後細胞培養培地を除去した。次いで、培養細胞をリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄してすべての培地を除去し、トリプシン処理して培養基質から剥離し、光学技術を使用して細胞数を測定した。結果は、多血小板血漿の濃度が増加するにつれて細胞増殖が増加し、10%の多血小板血漿が最も効果的であることを示した(
図3A~F)。
【0134】
実施例4
この実施例は、動物ドナーの健康に対する反復採血の影響を実証する(表1を参照)。多血小板血漿を、若いホルスタイン未経産ウシ(4266、4348)から毎週、または成熟したホルスタインウシ(2315、2371)、若い去勢ウシ(5211、5276)、および若いホルスタイン未経産ウシ(14424および14583)から隔週で9週間、12週間、または13週間採取した。供与された多血小板血漿の総量は、9L~14Lであった(参考までに、ウシの総血液量は約55mL/kgで、体重1,350ポンドのウシの場合は約33Lである)。多血小板血漿の供与時に全血採取を行い、標準的な血液学および血液化学を行った。これらの検査は獣医学では日常的に行われており、動物の健康状態に関する情報が得られる。検査では、赤血球数(貧血の指標など)、ヘモグロビンレベル(貧血の指標など)、白血球数(感染症の指標など)、血小板数(凝固障害の指標など)、フィブリノーゲン濃度(例えば、凝固障害の指標)、アルブミンレベル(例えば、肝臓の健康の指標)、ASTレベル(例えば、肝損傷の指標)およびALPレベル(例えば、肝臓損傷の指標)が報告される。
図4~11に示されるように、若いまたは成熟したホルスタインウシおよび若い去勢ウシからの多血小板血漿の反復供与による健康への悪影響は観察されていない。
【0135】
本開示のいくつかの実施形態が本明細書で説明および図示されているが、当業者であれば、機能を実行し、および/または結果を得、および/または以下の1つ以上を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想像する。本明細書に記載された利点、およびかかる変形および/または修正のそれぞれは、本開示の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成は例示的なものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は特定の用途に依存することを容易に理解する。そのために本開示の教示が使用される。当業者は、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載される開示の特定の実施形態と多くの同等物を認識するか、確認することができる。したがって、前述の実施形態は例としてのみ提示されており、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、本開示は、具体的に記載および請求されたものとは異なる方法で実施されてもよいことが理解されるべきである。本開示は、本明細書に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、2つ以上のかかる機能、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、かかる機能、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。
【0136】
本明細書および参照により組み込まれる文書に矛盾する開示および/または矛盾する開示が含まれる場合には、本明細書が優先するものとする。参照により組み込まれる2つ以上の文書に、相互に矛盾する開示および/または矛盾する開示が含まれる場合、発効日の遅い文書が優先される。
【0137】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味を制御すると理解されるべきである。
【0138】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0139】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「および/または」という語句は、そのように結合された要素、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」でリストされている複数の要素は、同じように、つまり、そのように結合された要素の「1つ以上」と解釈される必要がある。「および/または」節によって特に特定される要素以外に、特に特定される要素に関連するか無関係であるかにかかわらず、他の要素が所望により存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの制限のない言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態において、Aのみを(所望によりB以外の要素を含む);別の実施形態において、Bのみ(所望によりA以外の要素を含む)を;さらに別の実施形態において、AとBの両方(所望により他の要素を含む)を指すことができる。
【0140】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「または」は、上で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は包括的である、つまり、少なくとも1つが含まれるだけでなく、いくつかの要素またはリストの要素、および所望により追加の非掲載アイテムも含まれると解釈されるものとする。「の1つのみ」または「の正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合は「からなる」など、反対のことが明確に示される用語のみが、いくつかの要素またはリストの要素のうちの正確に1つの要素を含むことを指すものとする。一般に、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、「いずれか」、「いずれか」、「いずれか1つのみ」、または「正確に1つ」などの排他的な用語が前に付けられた場合、排他的選択肢(つまり、「どちらか一方だが両方ではない」)を示すとしてのみ解釈されるものとする。
【0141】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、1つ以上の要素のリストに関して「少なくとも1つの」という語句は、本明細書における任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきである。しかしながら、要素のリスト内に具体的に列挙されているすべての要素の少なくとも1つが必ずしも含まれるわけではなく、要素のリスト内の要素の組み合わせが除外されるわけではない。この定義は、「少なくとも1つ」という語句が指す要素のリスト内で特に特定された要素以外の要素が、特に特定された要素に関連するか無関係であるかに関係なく、所望により存在してもよいことも許可する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、Bは存在せず、所望により複数を含む少なくとも1つのA(および所望によりB以外の要素を含む)を;別の実施形態において、Aは存在せず、所望により複数を含む少なくとも1つのB(および所望によりA以外の要素を含む)を;さらに別の実施形態において、所望により複数を含む少なくとも1つのA、および所望により複数を含む少なくとも1つのB(および所望により他の要素を含む)等を指すことができる。
【0142】
「約」という単語が数値に関して本明細書で使用される場合、本開示のさらに別の実施形態は、「約」という単語の存在によって修飾されないその数値を含むことを理解されたい。
【0143】
また、反対のことが明確に示されない限り、複数の工程または行為を含む本明細書に請求される任意の方法において、方法の工程または行為の順序は、必ずしも方法の工程または行為が列挙される順序に限定されない。
【0144】
特許請求の範囲および上記の明細書では、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ」、「有する」、「含有する」、「含む(involving)」、「保持する」、「からなる」などのすべての移行句は、制限のないもの、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解されるべきである。米国特許庁の特許審査手順マニュアル、セクション2111.03に規定されているように、「からなる」および「本質的にからなる」という移行句のみが、それぞれクローズドまたはセミクローズド移行句となる。
【国際調査報告】