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▶ ギンゴー バイオワークス, インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】モグロシドの生合成
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20240228BHJP
   C12N 15/52 20060101ALI20240228BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240228BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240228BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240228BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240228BHJP
   C12P 19/44 20060101ALI20240228BHJP
   C12P 15/00 20060101ALI20240228BHJP
   C12N 9/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/52 Z
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/63 Z
C12P19/44
C12P15/00
C12N9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023555541
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2022019977
(87)【国際公開番号】W WO2022192688
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/160,712
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516286741
【氏名又は名称】ギンゴー バイオワークス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,ディビーナ
(72)【発明者】
【氏名】ボーバー,ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ガーディン,ジャスティン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン,マシュー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AB05
4B064AF42
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA10
4B065AA01X
4B065AA72X
4B065AA80X
4B065AA88X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA05
4B065CA19
4B065CA41
4B065CA60
(57)【要約】
本明細書に記載されるのは、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドを産生する方法に関与するタンパク質および宿主細胞である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シトクロムb5(CB5)をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞であって、ここで、該宿主細胞が、該異種ポリヌクレオチドを含まない対照宿主細胞よりも多くのモグロールを産生でき、そしてここで、該CB5が、
a)アミノ酸配列YTGLSP(配列番号47);
b)アミノ酸配列KPLLMAIKGQIYDVS(配列番号48);
c)アミノ酸配列LQDWEYKFM(配列番号49);および/または
d)アミノ酸配列XEXGX10D(配列番号53)[ここで、
(i)Xはアミノ酸KまたはEであり;
(ii)Xはアミノ酸PまたはHであり;
(iii)Xはアミノ酸AまたはSであり;
(iv)Xはアミノ酸DまたはNであり;
(v)Xはアミノ酸PまたはHであり;
(vi)Xはアミノ酸SまたはRであり;
(vii)Xはアミノ酸EまたはNであり;
(viii)Xはアミノ酸SまたはFであり;
(ix)Xはアミノ酸QまたはEであり;および/または
(x)X10はアミノ酸AまたはIである]
を含む、宿主細胞。
【請求項2】
該CB5が、
a)アミノ酸配列X1234567EX8IX910YTGLSPX1112FFTX13LAX14151617VX18192021SX2223FX2425262728293031(配列番号50)[ここで、
(i)Xはアミノ酸EまたはQであり;
(ii)Xはアミノ酸LまたはVであり;
(iii)Xはアミノ酸YまたはWであり;
(iv)Xはアミノ酸WまたはEであり;
(v)Xはアミノ酸KまたはTであり;
(vi)Xはアミノ酸AまたはLであり;
(vii)Xはアミノ酸MまたはKであり;
(viii)Xはアミノ酸QまたはAであり;
(ix)Xはアミノ酸AまたはVであり;
(x)X10はアミノ酸WまたはAであり;
(xi)X11はアミノ酸TまたはAであり;
(xii)X12はアミノ酸AまたはTであり;
(xiii)X13はアミノ酸IまたはVであり;
(xiv)X14はアミノ酸SまたはLであり;
(xv)X15はアミノ酸MまたはGであり;
(xvi)X16はアミノ酸IまたはLであり;
(xvii)X17はアミノ酸FまたはAであり;
(xviii)X18はアミノ酸FまたはYであり;
(xix)X19はアミノ酸QまたはYであり;
(xx)X20はアミノ酸MまたはVであり;
(xxi)X21はアミノ酸VまたはIであり;
(xxii)X22はアミノ酸SまたはGであり;
(xxiii)X23はアミノ酸MまたはFであり;
(xxiv)X24はアミノ酸VまたはGであり;
(xxv)X25はアミノ酸SまたはTであり;
(xxvi)X26はアミノ酸PまたはSであり;
(xxvii)X27はアミノ酸EまたはDであり;
(xxviii)X28はアミノ酸EまたはYであり;
(xxix)X29はアミノ酸FまたはGであり;
(xxx)X30はアミノ酸NまたはSであり;および/または
(xxxi)X31はアミノ酸KまたはHである];
b)アミノ酸配列XVQXGXEXLXYDGSDX1011KPLLMAIKGQIYDVSX1213RMF(配列番号51)[ここで、
(i)Xはアミノ酸PまたはAであり;
(ii)Xはアミノ酸VまたはIであり;
(iii)Xはアミノ酸EまたはQであり;
(iv)Xはアミノ酸IまたはLであり;
(v)Xはアミノ酸SまたはTであり;
(vi)Xはアミノ酸EまたはQであり;
(vii)Xはアミノ酸EまたはQであり;
(viii)Xはアミノ酸KまたはRであり;
(ix)Xはアミノ酸QまたはAであり;
(x)X10はアミノ酸SまたはPであり;
(xi)X11はアミノ酸KまたはNであり;
(xii)X12はアミノ酸QまたはSであり;および/または
(xiii)X13はアミノ酸SまたはGである];および/または
c)アミノ酸配列LAXSFXDXTGXIXGLX1011ELX1213LQDWEYKFMX14KYVKVGX1516(配列番号52)[ここで、
(i)Xはアミノ酸KまたはLであり;
(ii)Xはアミノ酸MまたはLであり;
(iii)Xはアミノ酸EまたはKであり;
(iv)Xはアミノ酸EまたはPであり;
(v)Xはアミノ酸KまたはEであり;
(vi)Xはアミノ酸LまたはIであり;
(vii)Xはアミノ酸DまたはNであり;
(viii)Xはアミノ酸SまたはEであり;
(ix)Xはアミノ酸GまたはSであり;
(x)X10はアミノ酸PまたはEであり;
(xi)X11はアミノ酸FまたはEであり;
(xii)X12はアミノ酸EまたはVであり;
(xiii)X13はアミノ酸AまたはIであり;
(xiv)X14はアミノ酸SまたはEであり;
(xv)X15はアミノ酸TまたはEであり;および/または
(xvi)X16はアミノ酸VまたはLである]
を含む、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項3】
該CB5が次のアミノ酸配列:
a)QVWETLKEAIVAYTGLSPATFFTVLALGLAVYYVISGFFGTSDYGSH(配列番号58)またはELYWKAMEQIAWYTGLSPTAFFTILASMIFVFQMVSSMFVSPEEFNK(配列番号59);
b)PVQVGEISEEELKQYDGSDSKKPLLMAIKGQIYDVSQSRMF(配列番号60)または
AVQIGQLTEQQLRAYDGSDPNKPLLMAIKGQIYDVSSGRMF(配列番号61);
c)LAKMSFEEKDLTGDISGLGPFELEALQDWEYKFMSKYVKVGTV(配列番号62)または
LALLSFKPEDITGNIEGLSEEELVILQDWEYKFMEKYVKVGEL(配列番号63);および
d)KPAEDGPSESQAD(配列番号64)またはEHSENGHRNFEID(配列番号65)
の1以上を含む、請求項1または2に記載の宿主細胞。
【請求項4】
該CB5が
a)配列番号1における16~21位に対応する残基の位置にアミノ酸配列YTGLSP(配列番号47);
b)配列番号1における85~99位に対応する残基の位置にアミノ酸配列KPLLMAIKGQIYDVS(配列番号48);および/または
c)配列番号1における148~156位に対応する残基の位置にアミノ酸配列LQDWEYKFM(配列番号49)
を含む、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項5】
該CB5が、配列番号1の190~202位に対応する残基の位置にアミノ酸配列XEXGX10D(配列番号53)を含む、請求項1または3に記載の宿主細胞。
【請求項6】
該CB5が
a)配列番号1における4~50位に対応する残基の位置にアミノ酸配列XEXIX10YTGLSPX1112FFTX13LAX14151617VX18192021SX2223FX2425262728293031(配列番号50)、
b)配列番号1の64~104位に対応する残基の位置にアミノ酸配列XVQXGXEXLXYDGSDX1011KPLLMAIKGQIYDVSX1213RMF(配列番号51);および/または
c)配列番号1の123~165位に対応する残基の位置にアミノ酸配列LAXSFXDXTGXIXGLX1011ELX1213LQDWEYKFMX14KYVKVGX1516(配列番号52)
を含む、請求項2または請求項3に記載の宿主細胞。
【請求項7】
該CB5が次の領域:
a)配列番号1の64~104位に対応する領域;
b)配列番号1の105~122位に対応する領域;および/または
c)配列番号1の123~165位に対応する領域
の1以上において、最高で1つのヒスチジンを含む、請求項1~6の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項8】
該CB5が
a)配列番号1の64~104位に対応する領域;
b)配列番号1の105~122位に対応する領域;および/または
c)配列番号1の123~165位に対応する領域
において、ヒスチジン残基を含まない、請求項7に記載の宿主細胞。
【請求項9】
該CB5が、配列番号1、3および318の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項1~8の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項10】
該CB5が配列番号1~3および318の何れかの配列を含む、請求項9に記載の宿主細胞。
【請求項11】
該異種ポリヌクレオチドが、配列番号11~14、22~24、316~317および330~331の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項1~10の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項12】
該異種ポリヌクレオチドが配列番号11~14、22~24、316~317および330~331の何れかの配列を含む、請求項11に記載の宿主細胞。
【請求項13】
シトクロムb5(CB5)をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞であって、ここで、該CB5が、配列番号1~10および318の何れかと少なくとも90%同一である配列を含み、そしてここで、該宿主細胞がモグロールを産生できる、宿主細胞。
【請求項14】
該CB5が配列番号1~10および318の何れかの配列を含む、請求項13に記載の宿主細胞。
【請求項15】
シトクロムb5(CB5)をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞であって、ここで、該CB5が、配列番号1~4および318の何れかと少なくとも90%同一である配列を含み、そしてここで、該宿主細胞が、該異種ポリヌクレオチドを含まない対照宿主細胞よりも多くのモグロールを産生できる、宿主細胞。
【請求項16】
シトクロムb5(CB5)をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞であって、ここで、該異種ポリヌクレオチドが配列番号11~24、316~317および330~331の何れかと少なくとも90%同一である配列を含み、そしてここで、該宿主細胞がモグロールを産生できる、宿主細胞。
【請求項17】
該異種ポリヌクレオチドが配列番号11~24、316~317および330~331の何れかの配列を含む、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
シトクロムb5(CB5)をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞であって、ここで、該CB5が
a)アミノ酸配列ILRVSFRKYRKAIEQ(配列番号54);
b)アミノ酸配列RAFRPSIRFKKSHSTVPT(配列番号55);
c)アミノ酸配列KNTLYVGG(配列番号56);および/または
d)アミノ酸配列DQATQKHRSFGFVTFLEKED(配列番号57)
を含み、そしてここで、該宿主細胞が、該異種ポリヌクレオチドを含まない対照宿主細胞よりも多くのモグロールを産生できる、宿主細胞。
【請求項19】
該CB5が
a)配列番号4の23~37位に対応する残基の位置にアミノ酸配列ILRVSFRKYRKAIEQ(配列番号54);
b)配列番号4の53~70位に対応する残基の位置にアミノ酸配列RAFRPSIRFKKSHSTVPT(配列番号55);
c)配列番号4の168~175位に対応する残基の位置にアミノ酸配列KNTLYVGG(配列番号56);および/または
d)配列番号4の203~222位に対応する残基の位置にアミノ酸配列DQATQKHRSFGFVTFLEKED(配列番号57)
を含む、請求項18に記載の宿主細胞。
【請求項20】
該CB5が、配列番号4と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項18または19に記載の宿主細胞。
【請求項21】
該CB5が配列番号4を含む、請求項20に記載の宿主細胞。
【請求項22】
該異種ポリヌクレオチドが、配列番号15と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項18~21の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項23】
該異種ポリヌクレオチドが配列番号15を含む、請求項22に記載の宿主細胞。
【請求項24】
該宿主細胞が、13.5mg/Lを超えるモグロールを産生できる、請求項1~23の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項25】
該宿主細胞が、UDP-グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素、ククルビタジエノールシンターゼ(CDS)酵素、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、エポキシドヒドロラーゼ(EPH)、ラノステロールシンターゼおよびスクアレンエポキシダーゼ(SQE)の1以上をコードする1以上の異種ポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1~24の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項26】
該UGT酵素が、配列番号121と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項25に記載の宿主細胞。
【請求項27】
該CDS酵素が、配列番号226、配列番号235および配列番号232の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項25または26に記載の宿主細胞。
【請求項28】
該C11ヒドロキシラーゼが、配列番号280~281、305、315および324の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項25~27の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項29】
該シトクロムP450レダクターゼが、配列番号282~283および306~307の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項25~28の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項30】
該EPHが、配列番号284~292および309~310の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項25~29の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項31】
該SQEが、配列番号293~295、312または328の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む、請求項25~30の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項32】
該ラノステロールシンターゼが、配列番号329または336と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項25~31の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項33】
該SQEが、配列番号312または328と少なくとも90%同一である配列を含む、請求項25~32の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項34】
該宿主細胞が酵母細胞、植物細胞または細菌細胞である、請求項1~33の何れかに記載の宿主細胞。
【請求項35】
該宿主細胞が酵母細胞である、請求項34に記載の宿主細胞。
【請求項36】
該酵母細胞がサッカロマイセス・セレビシエである、請求項35に記載の宿主細胞。
【請求項37】
該酵母細胞がヤロウイア・リポリティカ細胞である、請求項35に記載の宿主細胞。
【請求項38】
該宿主細胞が細菌細胞である、請求項34に記載の宿主細胞。
【請求項39】
該細菌細胞が大腸菌細胞である、請求項38に記載の宿主細胞。
【請求項40】
請求項1~39の何れかに記載の宿主細胞を培養することを含む、モグロールを産生する方法。
【請求項41】
請求項1~39の何れかに記載の宿主細胞を培養することを含む、モグロシドを産生する方法。
【請求項42】
該モグロシドが、モグロシドI-A1(MIA1)、モグロシドIE(MIE)、モグロシドII-A1(MIIA1)、モグロシドII-A2(MIIA2)、モグロシドIII-A1(MIIIA1)、モグロシドII-E(MIIE)、モグロシドIII(MIII)、シアメノシドI、モグロシドIV(MIV)、モグロシドIVa(MIVA)、イソモグロシドIV、モグロシドIII-E(MIIIE)、モグロシドV(MV)および/またはモグロシドVI(MVI)から選択される、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1~39の何れかに記載の宿主細胞を含む、モグロールまたはモグロシドを産生するバイオリアクター。
【請求項44】
配列番号11~14、22~24、316~317および330~331の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む非天然型ポリヌクレオチド。
【請求項45】
該ポリヌクレオチドが、配列番号1~10および318の何れかと少なくとも90%同一である配列を含むシトクロムb5(CB5)をコードする、請求項44に記載の非天然型ポリヌクレオチド。
【請求項46】
請求項44または45に記載の非天然型ポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、組み換え細胞におけるモグロール前駆体、モグロールおよびモグロシドの産生に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月12日出願の「BIOSYNTHESIS OF MOGROSIDES」なる名称の米国仮出願63/160,712に基づく35 U.S.C. § 119(e)下の利益を主張し、その全開示を、全体として引用により本明細書に包含させる。
【0003】
EFS-WEBによりテキストファイルとして提出した配列表の記載
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提供した配列表を含み、ここにその全体を引用により包含させる。ASCIIファイルは2022年3月11日に作成し、G091970076WO00-SEQ-FL.TXTなる名称であり、686,922バイトサイズである。
【背景技術】
【0004】
背景
モグロシドは、ククルビタン誘導体の配糖体である。甘味料および糖代替物として高度に需要がある、モグロシドは、シライチア・グロスベノリイ(Siraitia grosvenorii)(ラカンカ)を含む食物果実で天然に合成されている。抗癌、抗酸化および抗炎症性質はモグロシドに帰属するとされているが、モグロシド生合成に関与する正確なタンパク質の特徴づけは限られている。さらに、果実からのモグロシド抽出は大きな労働力を要し、モグロシドの構造の複雑さが、デノボ化学合成をしばしば妨げている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本発明の態様は、モグロールおよび/またはモグロシドの産生に有用な宿主細胞ならびに方法を提供する。ある実施態様において、該宿主細胞はシトクロムb5(CB5)をコードする異種ポリヌクレオチドを含み、ここで、該宿主細胞は、該異種ポリヌクレオチドを含まない対照宿主細胞よりも多くのモグロールを産生でき、そしてここで、該CB5は、アミノ酸配列YTGLSP(配列番号47);アミノ酸配列KPLLMAIKGQIYDVS(配列番号48);アミノ酸配列LQDWEYKFM(配列番号49);および/またはアミノ酸配列XEXGX10D(配列番号53)を含み、ここで、Xはアミノ酸KまたはEであり;Xはアミノ酸PまたはHであり;Xはアミノ酸AまたはSであり;Xはアミノ酸DまたはNであり;Xはアミノ酸PまたはHであり;Xはアミノ酸SまたはRであり;Xはアミノ酸EまたはNであり;Xはアミノ酸SまたはFであり;Xはアミノ酸QまたはEであり;および/またはX10はアミノ酸AまたはIである。
【0006】
ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列XEXIX10YTGLSPX1112FFTX13LAX14151617VX18192021SX2223FX2425262728293031(配列番号50)を含み、ここで、Xはアミノ酸EもしくはQであり;Xはアミノ酸LもしくはVであり;Xはアミノ酸YもしくはWであり;Xはアミノ酸WもしくはEであり;Xはアミノ酸KもしくはTであり;Xはアミノ酸AもしくはLであり;Xはアミノ酸MまたはKであり;Xはアミノ酸QもしくはAであり;Xはアミノ酸AもしくはVであり;X10はアミノ酸WもしくはAであり;X11はアミノ酸TもしくはAであり;X12はアミノ酸AもしくはTであり;X13はアミノ酸IもしくはVであり;X14はアミノ酸SもしくはLであり;X15はアミノ酸MもしくはGであり;X16はアミノ酸IもしくはLであり;X17はアミノ酸FもしくはAであり;X18はアミノ酸FもしくはYであり;X19はアミノ酸QもしくはYであり;X20はアミノ酸MもしくはVであり;X21はアミノ酸VもしくはIであり;X22はアミノ酸SもしくはGであり;X23はアミノ酸MもしくはFであり;X24はアミノ酸VもしくはGであり;X25はアミノ酸SもしくはTであり;X26はアミノ酸PもしくはSであり;X27はアミノ酸EもしくはDであり;X28はアミノ酸EもしくはYであり;X29はアミノ酸FもしくはGであり;X30はアミノ酸NもしくはSであり;および/もしくはX31はアミノ酸KもしくはHである;アミノ酸配列XVQXGXEXLXYDGSDX1011KPLLMAIKGQIYDVSX1213RMF(配列番号51)を含み、ここで、Xはアミノ酸PもしくはAであり;Xはアミノ酸VもしくはIであり;Xはアミノ酸EもしくはQであり;Xはアミノ酸IもしくはLであり;Xはアミノ酸SもしくはTであり;Xはアミノ酸EもしくはQであり;Xはアミノ酸EもしくはQであり;Xはアミノ酸KもしくはRであり;Xはアミノ酸QもしくはAであり;X10はアミノ酸SもしくはPであり;X11はアミノ酸KもしくはNであり;X12はアミノ酸QもしくはSであり;および/もしくはX13はアミノ酸SもしくはGである;ならびに/またはアミノ酸配列LAXSFXDXTGXIXGLX1011ELX1213LQDWEYKFMX14KYVKVGX1516(配列番号52)を含み、ここで、Xはアミノ酸KもしくはLであり;Xはアミノ酸MもしくはLであり;Xはアミノ酸EもしくはKであり;Xはアミノ酸EもしくはPであり;Xはアミノ酸KもしくはEであり;Xはアミノ酸LもしくはIであり;Xはアミノ酸DもしくはNであり;Xはアミノ酸SもしくはEであり;Xはアミノ酸GもしくはSであり;X10はアミノ酸PもしくはEであり;X11はアミノ酸FもしくはEであり;X12はアミノ酸EもしくはVであり;X13はアミノ酸AもしくはIであり;X14はアミノ酸SもしくはEであり;X15はアミノ酸TもしくはEであり;および/もしくはX16はアミノ酸VもしくはLである。
【0007】
ある実施態様において、CB5は、次のアミノ酸配列:QVWETLKEAIVAYTGLSPATFFTVLALGLAVYYVISGFFGTSDYGSH(配列番号58)またはELYWKAMEQIAWYTGLSPTAFFTILASMIFVFQMVSSMFVSPEEFNK(配列番号59);PVQVGEISEEELKQYDGSDSKKPLLMAIKGQIYDVSQSRMF(配列番号60)またはAVQIGQLTEQQLRAYDGSDPNKPLLMAIKGQIYDVSSGRMF(配列番号61);LAKMSFEEKDLTGDISGLGPFELEALQDWEYKFMSKYVKVGTV(配列番号62)またはLALLSFKPEDITGNIEGLSEEELVILQDWEYKFMEKYVKVGEL(配列番号63);およびKPAEDGPSESQAD(配列番号64)またはEHSENGHRNFEID(配列番号65)の1以上を含む。
【0008】
ある実施態様において、CB5は、配列番号1における16~21位に対応する残基の位置にアミノ酸配列YTGLSP(配列番号47);配列番号1における85~99位に対応する残基の位置にアミノ酸配列KPLLMAIKGQIYDVS(配列番号48);および/または配列番号1における148~156位に対応する残基の位置にアミノ酸配列LQDWEYKFM(配列番号49)を含む。
【0009】
ある実施態様において、CB5は、配列番号1の190~202位に対応する残基の位置にアミノ酸配列XEXGX10D(配列番号53)を含む。
【0010】
ある実施態様において、CB5は、配列番号1の4~50位に対応する残基の位置にアミノ酸配列XEXIX10YTGLSPX1112FFTX13LAX14151617VX18192021SX2223FX2425262728293031(配列番号50);配列番号1の64~104位に対応する残基の位置にアミノ酸配列XVQXGXEXLXYDGSDX1011KPLLMAIKGQIYDVSX1213RMF(配列番号51);および/または配列番号1の123~165位に対応する残基の位置にアミノ酸配列LAXSFXDXTGXIXGLX1011ELX1213LQDWEYKFMX14KYVKVGX1516(配列番号52)を含む。
【0011】
ある実施態様において、CB5は、次の領域:配列番号1の64~104位に対応する領域;配列番号1の105~122位に対応する領域;および/または配列番号1の123~165位に対応する領域の1以上において、最高で1つのヒスチジンを含む。
【0012】
ある実施態様において、CB5は、配列番号1の64~104位に対応する領域;配列番号1の105~122位に対応する領域;および/または配列番号1の123~165位に対応する領域において、ヒスチジン残基を含まない。
【0013】
ある実施態様において、CB5は、配列番号1~3および318の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、CB5は、配列番号1~3および318の何れかの配列を含む。
【0014】
ある実施態様において、異種ポリヌクレオチドは、配列番号11~14、22~24、316~317および330~331の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、異種ポリヌクレオチドは、配列番号11~14、22~24、316~317、および330~331の何れかの配列を含む。
【0015】
本発明のさらなる態様は、シトクロムb5(CB5)をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞に関し、ここで、該CB5は、配列番号1~10および318の何れかと少なくとも90%同一である配列を含み、そしてここで、該宿主細胞は、モグロールを産生できる。
【0016】
ある実施態様において、CB5は、配列番号1~10および318の何れかの配列を含む。
【0017】
本発明のさらなる態様は、シトクロムb5(CB5)をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供し、ここで、該CB5は、配列番号1~4および318の何れかと少なくとも90%同一である配列を含み、そしてここで、該宿主細胞は、該異種ポリヌクレオチドを含まない対照宿主細胞よりも多くのモグロールを産生できる。
【0018】
本発明のさらなる態様は、シトクロムb5(CB5)をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供し、ここで、該異種ポリヌクレオチドは、配列番号11~24、316~317および330~331の何れかと少なくとも90%同一である配列を含み、そしてここで、該宿主細胞は、モグロールを産生できる。
【0019】
ある実施態様において、異種ポリヌクレオチドは、配列番号11~24、316~317および330~331の何れかの配列を含む。
【0020】
本発明のさらなる態様は、シトクロムb5(CB5)をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供し、ここで、該CB5は、アミノ酸配列ILRVSFRKYRKAIEQ(配列番号54);アミノ酸配列RAFRPSIRFKKSHSTVPT(配列番号55);アミノ酸配列KNTLYVGG(配列番号56);および/またはアミノ酸配列DQATQKHRSFGFVTFLEKED(配列番号57)を含み、そしてここで、該宿主細胞は、該異種ポリヌクレオチドを含まない対照宿主細胞よりも多くのモグロールを産生できる。
【0021】
ある実施態様において、CB5は、配列番号4の23~37位に対応する残基の位置にアミノ酸配列ILRVSFRKYRKAIEQ(配列番号54);配列番号4の53~70位に対応する残基の位置にアミノ酸配列RAFRPSIRFKKSHSTVPT(配列番号55);配列番号4の168~175位に対応する残基の位置にアミノ酸配列KNTLYVGG(配列番号56);および/または配列番号4の203~222位の対応する残基の位置にアミノ酸配列DQATQKHRSFGFVTFLEKED(配列番号57)を含む。
【0022】
ある実施態様において、CB5は、配列番号4と少なくとも90%同一である配列を含む。
【0023】
ある実施態様において、CB5は、配列番号4を含む。
【0024】
ある実施態様において、異種ポリヌクレオチドは、配列番号15と少なくとも90%同一である配列を含む。
【0025】
ある実施態様において、異種ポリヌクレオチドは、配列番号15を含む。
【0026】
ある実施態様において、宿主細胞は、13.5mg/Lを超えるモグロールを産生できる。
【0027】
ある実施態様において、宿主細胞は、UDP-グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素、ククルビタジエノールシンターゼ(CDS)酵素、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、エポキシドヒドロラーゼ(EPH)、ラノステロールシンターゼおよびスクアレンエポキシダーゼ(SQE)の1以上をコードする1以上の異種ポリヌクレオチドをさらに含む。ある実施態様において、UGT酵素は、配列番号121と少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、CDS酵素は、配列番号226、配列番号235および配列番号232の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、C11ヒドロキシラーゼは、配列番号280~281、305、315および324の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、シトクロムP450レダクターゼは、配列番号282~283および306~307の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、EPHは、配列番号284~292および309~310の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、SQEは、配列番号293~295、312または328の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む。
【0028】
ある実施態様において、ラノステロールシンターゼは、配列番号329または336と少なくとも90%同一である配列を含む。ある実施態様において、SQEは、配列番号312または328と少なくとも90%同一である配列を含む。
【0029】
ある実施態様において、宿主細胞は酵母細胞、植物細胞または細菌細胞である。ある実施態様において、宿主細胞は酵母細胞である。ある実施態様において、該酵母細胞はサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞またはヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。ある実施態様において、宿主細胞は細菌細胞である。ある実施態様において、該細菌細胞は大腸菌細胞である。
【0030】
本発明のさらなる態様は、モグロールを産生する方法であって、本発明の宿主細胞の何れかを培養することを含む方法に関する。
【0031】
本発明のさらなる態様は、モグロシドを産生する方法であって、本発明の宿主細胞の何れかを培養することを含む方法に関する。
【0032】
ある実施態様において、モグロシドは、モグロシドI-A1(MIA1)、モグロシドIE(MIE)、モグロシドII-A1(MIIA1)、モグロシドII-A2(MIIA2)、モグロシドIII-A1(MIIIA1)、モグロシドII-E(MIIE)、モグロシドIII(MIII)、シアメノシドI、モグロシドIV(MIV)、モグロシドIVa(MIVA)、イソモグロシドIV、モグロシドIII-E(MIIIE)、モグロシドV(MV)および/またはモグロシドVI(MVI)から選択される。
【0033】
本発明のさらなる態様は、モグロールまたはモグロシドを産生するバイオリアクターに関し、ここで、該バイオリアクターは、本発明の宿主細胞の何れかを含む。
【0034】
本発明のさらなる態様は、配列番号11~14、22~24、316~317および330~331の何れかと少なくとも90%同一である配列を含む非天然型ポリヌクレオチドに関する。ある実施態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号1~10および318の何れかと少なくとも90%同一である配列を含むシトクロムb5(CB5)をコードする。
【0035】
本発明のさらなる態様は、本発明の非天然型ポリヌクレオチドの何れかを含む発現ベクターに関する。
【0036】
本発明の限定の各々は、種々の本発明の実施態様を含み得る。それ故に、要素の何れか一つまたは複数要素の組み合わせを含む本発明の限定の各々が、本発明の各態様に包含され得ると見込まれる。この発明は、以下に記載されまたは図面において説明される、構成の詳細および要素の配置にその適用は限定されない。本発明は、他の実施態様が可能であり、種々の方法で実施または実行されることが可能である。
【0037】
添付する図面は、正確な比率であることは意図しない。図面は説明のためのみであり、本発明の実施可能性に必要なものではない。明確にする目的で、全ての図面に全ての要素がラベルされていない可能性がある。図面は次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A図1A~1Dは、推定されるモグロール生合成経路の図式的概略を示す。SQSはスクアレンシンターゼを示し、EPDはエポキシダーゼを示し、P450はC11ヒドロキシラーゼを示し、EPHはエポキシドヒドロラーゼを示し、CDSはククルビタジエノールシンターゼを示す。図1Aおよび図1Bは、推定されるモグロール生合成経路を示す。図1Cは、一次UGT活性の非限定的例を示す。図1Dは、二次UGT活性の非限定的例を示す。
図1B】同上。
図1C】同上。
図1D】同上。
図2A図2A~2Bは、実施例1に記載のようにスクリーニングされたライブラリーに含まれた、モグロシド生合成に関与する候補タンパク質を含む株によるモグロール産生を示すグラフである。親株669889は、候補タンパク質を含まない対照ベース株(control base strain)である。図2Aは、スクリーニングでの結果を全ての株に関して示すグラフである。図2Bは、シトクロムb5(CB5)を含む株によるモグロール産生を示すグラフである。
図2B】同上。
図3A図3A~3Bは、ヤロウイア・リポリティカ株によるモグロール産生を示すグラフである。図3Aは、配列番号1に対応する配列を有するCB5タンパク質を発現するヤロウイア・リポリティカ株(株994375)かまたは配列番号318に対応する配列を有する、同じCB5タンパク質の切断型を発現するヤロウイア・リポリティカ株(株934903)によるモグロール産生を示すグラフである。株974137は、何れのラカンカ(S.grosvenorii)シトクロムb5タンパク質も欠き、陰性対照として使用された。図3Bは、配列番号1(株1338488)、配列番号2(株1338489)、配列番号3(株1338490)に対応する配列を有するCB5タンパク質を発現するヤロウイア・リポリティカ株によるモグロール産生を示すグラフである。株1419596は、何れのラカンカシトクロムb5タンパク質も欠き、陰性対照として使用された。
図3B】同上。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な記載
モグロシドは、例えば、飲料において、天然甘味料として広く使用されている。しかしながら、デノボ合成および天然源からのモグロシド抽出にはしばしば高い製造費と低収量が伴う。本発明は、モグロール(または11,24,25-トリヒドロキシククルビタジエノール)、モグロシドおよびその前駆体を効率的に産生するよう操作された宿主細胞を提供する。方法は、ククルビタジエノールシンターゼ(CDS)酵素、UDP-グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素、C11ヒドロキシラーゼ酵素、シトクロムP450レダクターゼ酵素、エポキシドヒドロラーゼ(EPH)酵素、スクアレンエポキシダーゼ(SQE)酵素またはこれらの組み合わせの異種発現を含む。実施例1および2は、シトクロムb5(CB5)を含む、モグロール産生を増加させるタンパク質の同定および機能的特徴づけを記載する。本発明に記載のタンパク質および宿主細胞は、モグロール、モグロシドおよびその前駆体の製造に使用され得る。
【0040】
モグロールおよびモグロシドの合成
図1A~1Bは、推定されるモグロール合成経路を示す。経路における初期工程は、スクアレンから2,3-オキシドスクアレンへの変換を含む。図1Aに示すとおり、2,3-オキシドスクアレンをまずククルビタジエノールに環化し、続いてエポキシ化して24,25-エポキシククルビタジエノールを形成できるかまたは2,3-オキシドスクアレンを2,3,22,23-ジオキシドスクアレンにエポキシ化し、次いで24,25-エポキシククルビタジエノールに環化し得る。次に、24,25-エポキシククルビタジエノールを、エポキシド加水分解、次いで酸化または酸化、次いでエポキシド加水分解の後にモグロール(モグロシドのアグリコン)に変換し得る。図1Bに示すとおり、2,3-オキシドスクアレンをまずククルビタジエノールに環化し、次いでシトクロムP450 C11ヒドロキシラーゼにより11-ヒドロキシククルビタジエノールに変換し得る。次いで、シトクロムP450 C11ヒドロキシラーゼは、11-ヒドロキシククルビタジエノールを11-ヒドロキシ-24,25-エポキシククルビタジエノールに変換し得る。11-ヒドロキシ-24,25-エポキシククルビタジエノールは、エポキシドヒドロラーゼによりモグロールに変換され得る。C11ヒドロキシラーゼは、シトクロムP450レダクターゼと共に働く(図1A~1Bに示していない)。
【0041】
モグロールは、C3、C11、C24およびC25での酸素化により、他のククルビタントリテルペノイド類と区別され得る。モグロールの、例えばC3および/またはC24のグリコシル化により、モグロシドが形成され得る。
【0042】
モグロール前駆体は、スクアレン、2-3-オキシドスクアレン、2,3,22,23-ジオキシドスクアレン、ククルビタジエノール、24,25-エポキシククルビタジエノール、11-ヒドロキシククルビタジエノール、11-ヒドロキシ-24,25-エポキシククルビタジエノール、11-ヒドロキシ-ククルビタジエノール、11-オキソ-ククルビタジエノールおよび24,25-ジヒドロキシククルビタジエノールを含むが、これらに限定されない。用語「ジオキシドスクアレン」を使用して、2,3,22,23-ジエポキシスクアレンまたは2,3,22,23-ジオキシドスクアレンを言い得る。用語「2,3-エポキシスクアレン」は、用語「2-3-オキシドスクアレン」と相互交換可能に使用され得る。本明細書で使用する、モグロシド前駆体はモグロール前駆体、モグロールおよびモグロシドを含む。
【0043】
モグロシドの例は、モグロシドI-A1(MIA1)、モグロシドIE(MIEまたはM1E)、モグロシドII-A1(MIIA1またはM2A1)、モグロシドII-A2(MIIA2またはM2A2)、モグロシドIII-A1(MIIIA1またはM3A1)、モグロシドII-E(MIIEまたはM2E)、モグロシドIII(MIIIまたはM3)、シアメノシドI、モグロシドIV(MIVまたはM4)、モグロシドIVa(MIVAまたはM4A)、イソモグロシドIV、モグロシドIII-E(MIIIEまたはM3E)、モグロシドV(MVまたはM5)およびモグロシドVI(MVIまたはM6)を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、産生されるモグロシドは、Siamと称され得るシアメノシドIである。ある実施態様において、産生されるモグロシドはMIIIEである。特に断らない限り、用語「M1」、「MI」、「M2」、「MII」、「M3」、「MIII」、「M4」、「MIV」、「MV」、「M5」、「M6」および「MVI」は、複数で使用する場合、各々、モグロシドの1クラスに関する。非限定的例として、M2またはMIIは、MIIA1、MIIA、MIIA2および/またはMIIEを含み得る。
【0044】
他の実施態様において、モグロシドは、式1
【0045】
【化1】
の化合物である。
【0046】
ある実施態様において、本明細書に記載する方法は、US2019/0071705(米国特許第11,060,124号明細書として付与)、に開示の化合物1~20を含み、US2019/0071705に記載され、引用により本明細書に包含される化合物の何れかを産生するのに使用され得る。ある実施態様において、本明細書に記載する方法は、US2019/0071705に開示の化合物1~20のバリアントを含み、US2019/0071705に記載され、引用により本明細書に包含される化合物のバリアントの何れかを産生するのに使用され得る。例えば、US2019/0071705に記載の化合物のバリアントは、US2019/0071705に記載の化合物における1以上のアルファ-グリコシル結合の、1以上のベータ-グリコシル結合への置換を含み得る。ある実施態様において、US2019/0071705に記載の化合物のバリアントは、US2019/0071705に記載の化合物における1以上のベータ-グリコシル結合の、1以上のアルファ-グリコシル結合での置換を含む。ある実施態様において、US2019/0071705に記載の化合物のバリアントは、上記式1の化合物である。
【0047】
ある実施態様において、本明細書に記載の1以上のタンパク質(例えば、シトクロムb5(CB5)、UDP-グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素、ククルビタジエノールシンターゼ(CDS)酵素、C11ヒドロキシラーゼ酵素、シトクロムP450レダクターゼ酵素、エポキシドヒドロラーゼ酵素(EPH)、スクアレンエポキシダーゼ酵素(SQE)および/または本発明と関連する何れかのタンパク質)を含む宿主細胞は、少なくとも0.005mg/L、少なくとも0.01mg/L、少なくとも0.02mg/L、少なくとも0.03mg/L、少なくとも0.04mg/L、少なくとも0.05mg/L、少なくとも0.06mg/L、少なくとも0.07mg/L、少なくとも0.08mg/L、少なくとも0.09mg/L、少なくとも0.1mg/L、少なくとも0.2mg/L、少なくとも0.3mg/L、少なくとも0.4mg/L、少なくとも0.5mg/L、少なくとも0.6mg/L、少なくとも0.7mg/L、少なくとも0.8mg/L、少なくとも0.9mg/L、少なくとも1mg/L、少なくとも2mg/L、少なくとも3mg/L、少なくとも4mg/L、少なくとも5mg/L、少なくとも6mg/L、少なくとも7mg/L、少なくとも8mg/L、少なくとも9mg/L、少なくとも10mg/L、少なくとも11mg/L、少なくとも12mg/L、少なくとも13mg/L、少なくとも14mg/L、少なくとも15mg/L、少なくとも16mg/L、少なくとも17mg/L、少なくとも18mg/L、少なくとも19mg/L、少なくとも20mg/L、少なくとも21mg/L、少なくとも22mg/L、少なくとも23mg/L、少なくとも24mg/L、少なくとも25mg/L、少なくとも26mg/L、少なくとも27mg/L、少なくとも28mg/L、少なくとも29mg/L、少なくとも30mg/L、少なくとも31mg/L、少なくとも32mg/L、少なくとも33mg/L、少なくとも34mg/L、少なくとも35mg/L、少なくとも36mg/L、少なくとも37mg/L、少なくとも38mg/L、少なくとも39mg/L、少なくとも40mg/L、少なくとも41mg/L、少なくとも42mg/L、少なくとも43mg/L、少なくとも44mg/L、少なくとも45mg/L、少なくとも46mg/L、少なくとも47mg/L、少なくとも48mg/L、少なくとも49mg/L、少なくとも50mg/L、少なくとも51mg/L、少なくとも52mg/L、少なくとも53mg/L、少なくとも54mg/L、少なくとも55mg/L、少なくとも56mg/L、少なくとも57mg/L、少なくとも58mg/L、少なくとも59mg/L、少なくとも60mg/L、少なくとも61mg/L、少なくとも62mg/L、少なくとも63mg/L、少なくとも64mg/L、少なくとも65mg/L、少なくとも66mg/L、少なくとも67mg/L、少なくとも68mg/L、少なくとも69mg/L、少なくとも70mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも80mg/L、少なくとも85mg/L、少なくとも90mg/L、少なくとも95mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも125mg/L、少なくとも150mg/L、少なくとも175mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも225mg/L、少なくとも250mg/L、少なくとも275mg/L、少なくとも300mg/L、少なくとも325mg/L、少なくとも350mg/L、少なくとも375mg/L、少なくとも400mg/L、少なくとも425mg/L、少なくとも450mg/L、少なくとも475mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも1,000mg/L、少なくとも2,000mg/L、少なくとも3,000mg/L、少なくとも4,000mg/L、少なくとも5,000mg/L、少なくとも6,000mg/L、少なくとも7,000mg/L、少なくとも8,000mg/L、少なくとも9,000mg/Lまたは少なくとも10,000mg/Lの1以上のモグロシドおよび/またはモグロシド前駆体を産生できる。ある実施態様において、モグロシドは、モグロシドI-A1(MIA1)、モグロシドIE(MIEもしくはM1E)、モグロシドII-A1(MIIA1もしくはM2A1)、モグロシドII-A2(MIIA2もしくはM2A2)、モグロシドIII-A1(MIIIA1もしくはM3A1)、モグロシドII-E(MIIEもしくはM2E)、モグロシドIII(MIIIもしくはM3)、シアメノシドI、モグロシドIV(MIVもしくはM4)、モグロシドIVa(MIVAもしくはM4A)、イソモグロシドIV、モグロシドIII-E(MIIIEもしくはM3E)、モグロシドV(MVもしくはM5)またはモグロシドVI(MVIもしくはM6)である。
【0048】
シトクロムb5(CB5)
本発明の態様は、モグロール産生の促進に有用であり得るシトクロムb5(CB5)タンパク質を提供する。本明細書で使用する「シトクロムb5」または「CB5」は、脂質結合ドメインまたはシトクロムb5様ヘム結合ドメインを含むタンパク質に関する。ある実施態様において、脂質結合ドメインは、ステロイド結合ドメインである。
【0049】
CB5タンパク質は、ヘムまたは脂質結合タンパク質である。例えば、CB5は、ステロイド結合タンパク質であり得る。あるものは、電子輸送および酵素レドックス反応と関連付けられている。CB5タンパク質は、一般に、保存されたCB5ドメイン(例えば、シトクロムb5様ヘムまたはステロイド結合ドメイン)を持つ。CB5ドメインの三次構造は、高度に保存されており、ドメインは、ベータシートの各々の側にある2つの疎水性残基コアの周りに折り畳まれる。任意の理論に拘束されることは望まないが、一方の疎水性コアは、ヘムまたは脂質結合ドメインを含み得、他方の疎水性コアは、適切な立体配座の形成を促進し得る。ある実施態様において、脂質結合ドメインは、ステロイド結合ドメインである。
【0050】
特定の理論に拘束されることなく、CB5がヘム内の鉄と相互作用するには2つのヒスチジン残基が必要であり得て、それらの保存されたヒスチジン残基を含まないCB5は、ヘム結合ドメインの代わりに脂質結合ドメイン(例えば、ステロイド結合ドメイン)を含み得る。ある実施態様において、モグロール産生を増加できるCB5は、配列番号1の64~104位に対応する領域;配列番号1の105~122位に対応する領域、および/または配列番号1の123~165位に対応する領域において、2つのヒスチジン残基を含まない。ある実施態様において、モグロール産生を増加できるCB5は、配列番号1の64~104位に対応する領域;配列番号1の105~122位に対応する領域、および/または配列番号1の123~165位に対応する領域において、最高で1つのヒスチジンを含む。ある実施態様において、モグロール産生を増加できるCB5は、配列番号1の64~104位に対応する領域;配列番号1の105~122位に対応する領域、および/または配列番号1の123~165位に対応する領域において、ヒスチジン残基を含まない。
【0051】
CB5ドメインの非限定的例は、Pfam登録番号PF00173に提供される。CB5ドメインは、そのタンパク質の構造の大半を形成し得る。例えば、配列番号1~3または318参照。ある実施態様において、脂肪酸デサチュラーゼおよび/またはFMN依存性デヒドロゲナーゼなどのさらなるドメインも存在する。
【0052】
CB5タンパク質は、レドックス反応の電子伝達成分として使用され得る。例えば、CB5は、酸化反応における絶対電子供与体(obligate electron donor)として機能し得る。ある実施態様において、CB5は、シトクロムP450(例えば、C11ヒドロキシラーゼ)の電子送達相手として使用される。ある実施態様において、CB5は、NADPHからシトクロムP450酵素(例えば、C11ヒドロキシラーゼ)への電子伝達を触媒または促進する。
【0053】
ある実施態様において、CB5は、モグロール産生を促進するアロステリックの役割を果たす。非限定的例として、CB5は、P450酵素活性を支持するために、ククルビタジエノールまたはククルビタジエノール様分子の結合および配置に関与し得る。ある実施態様において、CB5は、P450酵素と立体的に相互作用して、CB5自身が直接に酵素的役割を有すことなしに、より高い活性を促進する酵素立体配座を支持する。
【0054】
酵素レドックス反応の率は、ある期間にわたる産物濃度の変化の決定を含む、何れかの適切な方法により評価され得る。質量分析法を含む、何れかの適切な方法は、基質または産物の存在を測定するために使用され得る。例えば、Schenkman et al., Pharmacology & Therapeutics 97 (2003) 139- 152; Gou et al., Plant Cell. 2019 Jun;31(6):1344-1366;Interpro登録番号IPR001199;Interpro登録番号IPR018506;Lederer Biochimie. 1994;76(7):674-92;GenBank登録番号AF332415;UniProt登録番号P40312も参照。
【0055】
ある実施態様において、CB5は、200~300アミノ酸長(例えば、210~290アミノ酸長、205~215アミノ酸長または275~295アミノ酸長)である。
【0056】
ある実施態様において、本発明のCB5は、配列番号1~24、316~318、330~331の何れかまたは本明細書に開示するもしくは当分野で知られる何れかのCB5配列と少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一(各数値間の全数値を含む)である配列(例えば、核酸またはアミノ酸配列)を含む。ある実施態様において、本発明のCB5は、配列番号1~10および318の何れかの保存的に置換されたバージョンである配列を含む。
【0057】
ある実施態様において、CB5は、1以上のモチーフを含む。非限定的例として、モチーフは、モグロール産生を増加できるCB5を、対照に比してモグロール産生を増加させないCB5と区別し得る。
【0058】
ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列YTGLSP(配列番号47);アミノ酸配列KPLLMAIKGQIYDVS(配列番号48);および/またはアミノ酸配列LQDWEYKFM(配列番号49)を含む。ある実施態様において、CB5は、配列番号1における16~21位に対応する残基の位置にアミノ酸配列YTGLSP(配列番号47);配列番号1における85~99位に対応する残基の位置にアミノ酸配列KPLLMAIKGQIYDVS(配列番号48);および/または配列番号1における148~156位に対応する残基の位置にアミノ酸配列LQDWEYKFM(配列番号49)を含む。ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列YTGLSP(配列番号47);アミノ酸配列KPLLMAIKGQIYDVS(配列番号48);および/またはアミノ酸配列LQDWEYKFM(配列番号49)を含む。ある実施態様において、CB5は、配列番号1における16~21位に対応する残基の位置にアミノ酸配列YTGLSP(配列番号47);配列番号1における85~99位に対応する残基の位置にアミノ酸配列KPLLMAIKGQIYDVS(配列番号48);および配列番号1における148~156位に対応する残基の位置にアミノ酸配列LQDWEYKFM(配列番号49)を含む。
【0059】
ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列XEXIX10YTGLSPX1112FFTX13LAX14151617VX18192021SX2223FX2425262728293031(配列番号50)を含み、ここで、Xはアミノ酸EまたはQであり;Xはアミノ酸LまたはVであり;Xはアミノ酸YまたはWであり;Xはアミノ酸WまたはEであり;Xはアミノ酸KまたはTであり;Xはアミノ酸AまたはLであり;Xはアミノ酸MまたはKであり;Xはアミノ酸QまたはAであり;Xはアミノ酸AまたはVであり;X10はアミノ酸WまたはAであり;X11はアミノ酸TまたはAであり;X12はアミノ酸AまたはTであり;X13はアミノ酸IまたはVであり;X14はアミノ酸SまたはLであり;X15はアミノ酸MまたはGであり;X16はアミノ酸IまたはLであり;X17はアミノ酸FまたはAであり;X18はアミノ酸FまたはYであり;X19はアミノ酸QまたはYであり;X20はアミノ酸MまたはVであり;X21はアミノ酸VまたはIであり;X22はアミノ酸SまたはGであり;X23はアミノ酸MまたはFであり;X24はアミノ酸VまたはGであり;X25はアミノ酸SまたはTであり;X26はアミノ酸PまたはSであり;X27はアミノ酸EまたはDであり;X28はアミノ酸EまたはYであり;X29はアミノ酸FまたはGであり;X30はアミノ酸NまたはSであり;および/またはX31はアミノ酸KまたはHである。非限定的例として、配列番号50を含むCB5は、アミノ酸配列QVWETLKEAIVAYTGLSPATFFTVLALGLAVYYVISGFFGTSDYGSH(配列番号58)またはアミノ酸配列ELYWKAMEQIAWYTGLSPTAFFTILASMIFVFQMVSSMFVSPEEFNK(配列番号59)を含み得る。ある実施態様において、CB5は、配列番号1の4~50位に対応する残基の位置に配列番号50を含み得る。
【0060】
ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列XVQXGXEXLXYDGSDX1011KPLLMAIKGQIYDVSX1213RMF(配列番号51)を含み、ここで、Xはアミノ酸PまたはAであり;Xはアミノ酸VまたはIであり;Xはアミノ酸EまたはQであり;Xはアミノ酸IまたはLであり;Xはアミノ酸SまたはTであり;Xはアミノ酸EまたはQであり;Xはアミノ酸EまたはQであり;Xはアミノ酸KまたはRであり;Xはアミノ酸QまたはAであり;X10はアミノ酸SまたはPであり;X11はアミノ酸KまたはNであり;X12はアミノ酸QまたはSであり;および/またはX13はアミノ酸SまたはGである。非限定的例として、配列番号51を含むCB5は、アミノ酸配列PVQVGEISEEELKQYDGSDSKKPLLMAIKGQIYDVSQSRMF(配列番号60)またはAVQIGQLTEQQLRAYDGSDPNKPLLMAIKGQIYDVSSGRMF(配列番号61)を含み得る。ある実施態様において、CB5は、配列番号1における64~104位に対応する残基の位置に配列番号51を含み得る。
【0061】
ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列LAXSFXDXTGXIXGLX1011ELX1213LQDWEYKFMX14KYVKVGX1516(配列番号52)を含み、ここで、Xはアミノ酸KまたはLであり;Xはアミノ酸MまたはLであり;Xはアミノ酸EまたはKであり;Xはアミノ酸EまたはPであり;Xはアミノ酸KまたはEであり;Xはアミノ酸LまたはIであり;Xはアミノ酸DまたはNであり;Xはアミノ酸SまたはEであり;Xはアミノ酸GまたはSであり;X10はアミノ酸PまたはEであり;X11はアミノ酸FまたはEであり;X12はアミノ酸EまたはVであり;X13はアミノ酸AまたはIであり;X14はアミノ酸SまたはEであり;X15はアミノ酸TまたはEであり;および/またはX16はアミノ酸VまたはLである。ある実施態様において、配列番号52を含むCB5は、LAKMSFEEKDLTGDISGLGPFELEALQDWEYKFMSKYVKVGTV(配列番号62)またはLALLSFKPEDITGNIEGLSEEELVILQDWEYKFMEKYVKVGEL(配列番号63)を含み得る。ある実施態様において、CB5は、配列番号1の123~165位に対応する残基の位置に配列番号52を含む。
【0062】
ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列XEXGX10D(配列番号53)を含み、ここで、Xはアミノ酸KまたはEであり;Xはアミノ酸PまたはHであり;Xはアミノ酸AまたはSであり;Xはアミノ酸DまたはNであり;Xはアミノ酸PまたはHであり;Xはアミノ酸SまたはRであり;Xはアミノ酸EまたはNであり;Xはアミノ酸SまたはFであり;Xはアミノ酸QまたはEであり;および/またはX10はアミノ酸AまたはIである。ある実施態様において、配列番号53を含むCB5は、KPAEDGPSESQAD(配列番号64)またはEHSENGHRNFEID(配列番号65)を含む。ある実施態様において、CB5は、配列番号1の190~202位に対応する残基の位置に配列番号53を含む。
【0063】
ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列XEXIX10YTGLSPX1112FFTX13LAX14151617VX18192021SX2223FX2425262728293031(配列番号50)を含み、ここで、Xはアミノ酸EまたはQであり;Xはアミノ酸LまたはVであり;Xはアミノ酸YまたはWであり;Xはアミノ酸WまたはEであり;Xはアミノ酸KまたはTであり;Xはアミノ酸AまたはLであり;Xはアミノ酸MまたはKであり;Xはアミノ酸QまたはAであり;Xはアミノ酸AまたはVであり;X10はアミノ酸WまたはAであり;X11はアミノ酸TまたはAであり;X12はアミノ酸AまたはTであり;X13はアミノ酸IまたはVであり;X14はアミノ酸SまたはLであり;X15はアミノ酸MまたはGであり;X16はアミノ酸IまたはLであり;X17はアミノ酸FまたはAであり;X18はアミノ酸FまたはYであり;X19はアミノ酸QまたはYであり;X20はアミノ酸MまたはVであり;X21はアミノ酸VまたはIであり;X22はアミノ酸SまたはGであり;X23はアミノ酸MまたはFであり;X24はアミノ酸VまたはGであり;X25はアミノ酸SまたはTであり;X26はアミノ酸PまたはSであり;X27はアミノ酸EまたはDであり;X28はアミノ酸EまたはYであり;X29はアミノ酸FまたはGであり;X30はアミノ酸NまたはSであり;および/またはX31はアミノ酸KまたはHである;アミノ酸配列XVQXGXEXLXYDGSDX1011KPLLMAIKGQIYDVSX1213RMF(配列番号51)を含み、ここで、Xはアミノ酸PまたはAであり;Xはアミノ酸VまたはIであり;Xはアミノ酸EまたはQであり;Xはアミノ酸IまたはLであり;Xはアミノ酸SまたはTであり;Xはアミノ酸EまたはQであり;Xはアミノ酸EまたはQであり;Xはアミノ酸KまたはRであり;Xはアミノ酸QまたはAであり;X10はアミノ酸SまたはPであり;X11はアミノ酸KまたはNであり;X12はアミノ酸QまたはSであり;および/またはX13はアミノ酸SまたはGである;ならびにアミノ酸配列LAXSFXDXTGXIXGLX1011ELX1213LQDWEYKFMX14KYVKVGX1516(配列番号52)を含み、ここで、Xはアミノ酸KまたはLであり;Xはアミノ酸MまたはLであり;Xはアミノ酸EまたはKであり;Xはアミノ酸EまたはPであり;Xはアミノ酸KまたはEであり;Xはアミノ酸LまたはIであり;Xはアミノ酸DまたはNであり;Xはアミノ酸SまたはEであり;Xはアミノ酸GまたはSであり;X10はアミノ酸PまたはEであり;X11はアミノ酸FまたはEであり;X12はアミノ酸EまたはVであり;X13はアミノ酸AまたはIであり;X14はアミノ酸SまたはEであり;X15はアミノ酸TまたはEであり;および/またはX16はアミノ酸VまたはLである。ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列XEXGX10D(配列番号53)をさらに含み、ここで、Xはアミノ酸KまたはEであり;Xはアミノ酸PまたはHであり;Xはアミノ酸AまたはSであり;Xはアミノ酸DまたはNであり;Xはアミノ酸PまたはHであり;Xはアミノ酸SまたはRであり;Xはアミノ酸EまたはNであり;Xはアミノ酸SまたはFであり;Xはアミノ酸QまたはEであり;および/またはX10はアミノ酸AまたはIである。
【0064】
ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列QVWETLKEAIVAYTGLSPATFFTVLALGLAVYYVISGFFGTSDYGSH(配列番号58)またはアミノ酸配列ELYWKAMEQIAWYTGLSPTAFFTILASMIFVFQMVSSMFVSPEEFNK(配列番号59);アミノ酸配列PVQVGEISEEELKQYDGSDSKKPLLMAIKGQIYDVSQSRMF(配列番号60)またはAVQIGQLTEQQLRAYDGSDPNKPLLMAIKGQIYDVSSGRMF(配列番号61);およびアミノ酸配列LAKMSFEEKDLTGDISGLGPFELEALQDWEYKFMSKYVKVGTV(配列番号62)またはLALLSFKPEDITGNIEGLSEEELVILQDWEYKFMEKYVKVGEL(配列番号63)を含む。ある実施態様において、CB5は、KPAEDGPSESQAD(配列番号64)またはEHSENGHRNFEID(配列番号65)をさらに含む。
【0065】
ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列ILRVSFRKYRKAIEQ(配列番号54);アミノ酸配列RAFRPSIRFKKSHSTVPT(配列番号55);アミノ酸配列KNTLYVGG(配列番号56);および/またはアミノ酸配列DQATQKHRSFGFVTFLEKED(配列番号57)を含む。ある実施態様において、CB5は、配列番号4の23~37位に対応する残基の位置にアミノ酸配列ILRVSFRKYRKAIEQ(配列番号54);配列番号4の53~70位に対応する残基の位置にアミノ酸配列RAFRPSIRFKKSHSTVPT(配列番号55);配列番号4の168~175位に対応する残基の位置にアミノ酸配列KNTLYVGG(配列番号56);および/または配列番号4の203~222位の対応する残基の位置にアミノ酸配列DQATQKHRSFGFVTFLEKED(配列番号57)を含む。ある実施態様において、CB5は、アミノ酸配列ILRVSFRKYRKAIEQ(配列番号54);アミノ酸配列RAFRPSIRFKKSHSTVPT(配列番号55);アミノ酸配列KNTLYVGG(配列番号56);およびアミノ酸配列DQATQKHRSFGFVTFLEKED(配列番号57)を含む。
【0066】
ある実施態様において、CB5は、CB5を含まない宿主細胞による、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドの産生に比して、宿主細胞による、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドの産生を少なくとも0.01%、少なくとも0.05%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、少なくとも500%、少なくとも550%、少なくとも600%、少なくとも650%、少なくとも700%、少なくとも750%、少なくとも800%、少なくとも850%、少なくとも900%、少なくとも950%または少なくとも1000%(各数値間の全数値を含む)増加できる。ある実施態様において、CB5は、CB5を含まない宿主細胞による、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドの産生に比して、宿主細胞による、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドの産生を最高で5%、最高で10%、最高で15%、最高で20%、最高で25%、最高で30%、最高で35%、最高で40%、最高で45%、最高で50%、最高で55%、最高で60%、最高で65%、最高で70%、最高で75%、最高で80%、最高で85%、最高で90%、最高で95%、最高で100%、最高で150%、最高で200%、最高で250%、最高で300%、最高で350%、最高で400%、最高で450%、最高で500%、最高で550%、最高で600%、最高で650%、最高で700%、最高で750%、最高で800%、最高で850%、最高で900%、最高で950%または最高で1000%(各数値間の全数値を含む)増加できる。ある実施態様において、CB5は、CB5を含まない宿主細胞による、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドの産生に比して、宿主細胞による、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドの産生を0.01%から1%の間、1%から10%の間、10%から20%の間、10%から50%の間、50%から100%の間、100%から200%の間、200%から300%の間、300%から400%の間、400%から500%の間、500%から600%の間、600%から700%の間、700%から800%の間、800%から900%の間、900%から1000%の間、1%から50%、1%から100%の間、1%から500%の間、または1%から1000%の間(各数値間の全数値を含む)増加できる。
【0067】
ある実施態様において、CB5を含む宿主細胞は、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドを少なくとも0.01mg/L、少なくとも0.05mg/L、少なくとも1mg/L、少なくとも5mg/L、少なくとも10mg/L、少なくとも15mg/L、少なくとも20mg/L、少なくとも25mg/L、少なくとも30mg/L、少なくとも35mg/L、少なくとも40mg/L、少なくとも45mg/L、少なくとも50mg/L、少なくとも55mg/L、少なくとも60mg/L、少なくとも65mg/L、少なくとも70mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも80mg/L、少なくとも85mg/L、少なくとも90mg/L、少なくとも95mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも150mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも250mg/L、少なくとも300mg/L、少なくとも350mg/L、少なくとも400mg/L、少なくとも450mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも550mg/L、少なくとも600mg/L、少なくとも650mg/L、少なくとも700mg/L、少なくとも750mg/L、少なくとも800mg/L、少なくとも850mg/L、少なくとも900mg/L、少なくとも950mg/Lまたは少なくとも1000mg/L(各数値間の全数値を含む)産生できる。ある実施態様において、CB5を含む宿主細胞は、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドを最高で5mg/L、最高で10mg/L、最高で15mg/L、最高で20mg/L、最高で25mg/L、最高で30mg/L、最高で35mg/L、最高で40mg/L、最高で45mg/L、最高で50mg/L、最高で55mg/L、最高で60mg/L、最高で65mg/L、最高で70mg/L、最高で75mg/L、最高で80mg/L、最高で85mg/L、最高で90mg/L、最高で95mg/L、最高で100mg/L、最高で150mg/L、最高で200mg/L、最高で250mg/L、最高で300mg/L、最高で350mg/L、最高で400mg/L、最高で450mg/L、最高で500mg/L、最高で550mg/L、最高で600mg/L、最高で650mg/L、最高で700mg/L、最高で750mg/L、最高で800mg/L、最高で850mg/L、最高で900mg/L、最高で950mg/Lまたは最高で1000mg/L産生できる。ある実施態様において、CB5を含む宿主細胞は、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドを0.01mg/Lから1mg/Lの間、1mg/Lから10mg/Lの間、10mg/Lから20mg/Lの間、10mg/Lから50mg/Lの間、50mg/Lから100mg/Lの間、100mg/Lから200mg/Lの間、200mg/Lから300mg/Lの間、300mg/Lから400mg/Lの間、400mg/Lから500mg/Lの間、500mg/Lから600mg/Lの間、600mg/Lから700mg/Lの間、700mg/Lから800mg/Lの間、800mg/Lから900mg/Lの間、900mg/Lから1000mg/Lの間、1mg/Lから50mg/Lの間、1mg/Lから100mg/Lの間、1mg/Lから500mg/Lの間、または1mg/Lから1000mg/Lの間(各数値間の全数値を含む)産生できる。非限定的例として、CB5は、1以上のスクアレンシンターゼ、エポキシダーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、C11ヒドロキシラーゼ、エポキシドヒドロラーゼおよび/またはククルビタジエノールシンターゼを含む宿主細胞による、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドの産生を増加でき得る。ある場合、CB5は、1以上のスクアレンシンターゼ、エポキシダーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、C11ヒドロキシラーゼ、エポキシドヒドロラーゼ、ククルビタジエノールシンターゼおよび/またはUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞による、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドの産生を増加できる。ある実施態様において、宿主細胞は、CB5レダクターゼをさらに含む。ある実施態様において、宿主細胞は、グルカナーゼをさらに含む。
【0068】
UDP-グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素
本発明の態様は、例えば、モグロシド(例えば、モグロシドI-A1(MIA1)、モグロシドI-E(MIE)、モグロシドII-A1(MIIA1)、モグロシドII-A2(MIIA2)、モグロシドIII-A1(MIIIA1)、モグロシドII-E(MIIE)、モグロシドIII(MIII)、シアメノシドI、モグロシドIII-E(MIIIE)、モグロシドIV、モグロシドIVa、イソモグロシドIV、モグロシドVまたはモグロシドVI)の産生に有用であり得るUDP-グリコシルトランスフェラーゼ酵素(UGT)を提供する。
【0069】
本発明で使用する、「UGT」は、UTP-糖からの化合物(例えば、モグロシドまたはモグロール)へのグリコシル基の付加を触媒できる、酵素をいう。UGTは、一次および/または二次UGTであり得る。
【0070】
「一次」UGTまたは「一次グリコシル化活性」を有するUGTは、グリコシル基を含まない化合物上の位置へのグリコシル基の付加の触媒ができるUGTをいう。例えば、一次UGTは、イソプレノイド基質(例えば、モグロール)のC3および/またはC24位へのグリコシル基の付加が可能であり得る。例えば、図1C参照。
【0071】
「二次」UGTまたは「二次グリコシル化活性」を有するUGTは、グリコシル基を既に含む化合物上のある位置へのグリコシル基の付加を触媒できるUGTをいう。例えば、図1D参照。非限定的例として、二次UGTは、モグロシドI-A1(MIA1)、モグロシドI-E(MIE)、モグロシドII-A1(MIIA1)、モグロシドII-A2(MIIA2)、モグロシドIII-A1(MIIIA1)、モグロシドII-E(MIIE)、モグロシドIII(MIII)、シアメノシドI、モグロシドIII-E(MIIIE)、モグロシドIV、モグロシドIVa、イソモグロシドIV、モグロシドVおよび/またはモグロシドVIにグリコシル基を付加し得る。
【0072】
ある実施態様において、本発明のUGT(例えば、一次または二次UGT)は、本明細書に開示するまたは当分野で知られる何れかのUGT配列と少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一(各数値間の全数値を含む)である配列(例えば、核酸またはアミノ酸配列)を含む。ある実施態様において、UGTは、配列番号121の保存的に置換されたバージョンである配列を含む。
【0073】
本発明のUGTは、酸素化部位の何れか(例えば、C3、C11、C24およびC25)でモグロールまたはモグロシドのグリコシル化が可能であり得る。ある実施態様において、UGTは、分岐グリコシル化(例えば、モグロシドのC3またはC24での分岐グリコシル化)が可能である。
【0074】
本発明のUGTのための適当な基質の非限定的例は、モグロールおよびモグロシド(例えば、モグロシドIA1(MIA1)、モグロシドIE(MIE)、モグロシドII-A1(MIIA1)、モグロシドIII-A1(MIIIA1)、モグロシドII-E(MIIE)、モグロシドIII(MIII)またはモグロシドIII-E(MIIIE)、シアメノシドI)を含む。
【0075】
ある実施態様において、本発明のUGTは、モグロシドIA1(MIA1)、モグロシドIE(MIE)、モグロシドII-A1(MIIA1)、モグロシドII-A2(MIIA2)、モグロシドIII-A1(MIIIA1)、モグロシドII-E(MIIE)、モグロシドIII(MIII)、シアメノシドI、モグロシドIII-E(MIIIE)、モグロシドIV、モグロシドIVa、イソモグロシドIVおよび/またはモグロシドVを産生できる。
【0076】
ある実施態様において、UGTは、モグロールからMIA1;モグロールからMIE1;MIA1からMIIA1;MIE1からMIIE;MIIA1からMIIIA1;MIA1からMIIE;MIIA1からMIII;MIIIA1からシアメノシドI;MIIEからMIII;MIIIからシアメノシドI;MIIEからMIIE;および/またはMIIIEからシアメノシドIの変換の触媒ができる。
【0077】
UGTの比活性などの活性は、当業者に知られるあらゆる手段により測定され得ることは認識される。ある実施態様において、UGTの比活性などの活性は、単位時間あたりの単位酵素あたりに産生されるグリコシル化モグロシドの量の測定により決定され得る。例えば、比活性などの活性は、1時間あたり酵素1グラムあたりに産生されるグリコシル化モグロシド標的のmmolで測定され得る。ある実施態様において、本発明のUGTは、1時間あたり酵素1グラムあたりに産生されるグリコシル化モグロシド標的が少なくとも0.1mmol(例えば、少なくとも1mmol、少なくとも1.5mmol、少なくとも2mmol、少なくとも2.5mmol、少なくとも3、少なくとも3.5mmol、少なくとも4mmol、少なくとも4.5mmol、少なくとも5mmol、少なくとも10mmol(各数値間の全数値を含む))である比活性などの活性を有し得る。
【0078】
ある実施態様において、本発明のUGTの比活性などの活性は、対照UGTより少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍または少なくとも100倍(各数値間の全数値を含む))大きい。ある実施態様において、対照UGTは一次UGTである。ある実施態様において、対照UGTは二次UGTである。ある実施態様において、対照UGTは、UGT94-289-1(配列番号121により提供される、ラカンカであるシライチア・グロスベノリイからの野生型UGT配列)である。ある実施態様において、アミノ酸置換を有するUGTに関して、対照UGTは、アミノ酸置換がない以外同じUGTである。
【0079】
当業者は、タンパク質に付随する構造的および/または機能的情報に基づき、タンパク質をUGT酵素として特徴づけされ得ることは認識される。例えば、タンパク質は、モグロールなどのモグロシド前駆体存在下、1以上のモグロシドを産生する能力などの、機能に基づき、UGT酵素として特徴づけされ得る。
【0080】
UGT酵素はさらに、グリコシル基を含まない化合物上の位置へのグリコシル基の付加を触媒するその機能に基づき、一次UGTとして特徴づけされ得る。UGT酵素は、グリコシル基を既に含む化合物のある位置へのグリコシル基の付加を触媒するその機能に基づき、二次UGTとして特徴づけされ得る。ある実施態様において、UGT酵素は、一次および二次UGT酵素の両方として特徴づけされ得る。
【0081】
他の実施態様において、タンパク質は、該タンパク質と既知UGT酵素間のパーセント同一性に基づき、UGT酵素として特徴づけされ得る。例えば、タンパク質は、本明細書に記載するUGT配列の何れかまたは他のUGT酵素の何れかの配列と少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一(各数値間の全数値を含む)であり得る。
【0082】
他の実施態様において、タンパク質は、該タンパク質における、UGT酵素と関連する1以上のドメインの存在に基づき、UGT酵素として特徴づけされ得る。例えば、ある実施態様において、タンパク質は、当分野で知られるUGT酵素の特徴である糖結合ドメインおよび/または触媒ドメインの存在に基づき、UGT酵素として特徴づけされ得る。ある実施態様において、触媒ドメインは、グリコシル化される基質に結合する。
【0083】
他の実施態様において、タンパク質は、既知UGT酵素の三次元構造と比較する、タンパク質の三次元構造の比較に基づき、UGT酵素として特徴づけされ得る。例えば、タンパク質は、アルファヘリックスドメイン、ベータシートドメインなどの数または位置に基づき、UGTとして特徴づけされる。UGT酵素は合成タンパク質であり得ることは認識される。
【0084】
構造的に、UGTはしばしばUDPGT(Prosite:PS00375)ドメインおよび触媒ダイアド(catalytic dyad)を含む。非限定的例として、当業者は、UGT配列をUGT94-289-1とアラインし、該UGTにおけるUGT94-289-1のヒスチジン21(H21)およびアスパラギン酸122(D122)に対応する2残基を同定することにより、該UGTにおける触媒ダイアドを同定し得る。
【0085】
UGT94-289-1のアミノ酸配列:
MDAQRGHTTTILMFPWLGYGHLSAFLELAKSLSRRNFHIYFCSTSVNLDAIKPKLPSSSSSDSIQLVELCLPSSPDQLPPHLHTTNALPPHLMPTLHQAFSMAAQHFAAILHTLAPHLLIYDSFQPWAPQLASSLNIPAINFNTTGASVLTRMLHATHYPSSKFPISEFVLHDYWKAMYSAAGGAVTKKDHKIGETLANCLHASCSVILINSFRELEEKYMDYLSVLLNKKVVPVGPLVYEPNQDGEDEGYSSIKNWLDKKEPSSTVFVSFGSEYFPSKEEMEEIAHGLEASEVHFIWVVRFPQGDNTSAIEDALPKGFLERVGERGMVVKGWAPQAKILKHWSTGGFVSHCGWNSVMESMMFGVPIIGVPMHLDQPFNAGLAEEAGVGVEAKRDPDGKIQRDEVAKLIKEVVVEKTREDVRKKAREMSEILRSKGEEKMDEMVAAISLFLKI(配列番号121)
【0086】
UGT94-289-1をコードする核酸配列の非限定的例:
atggacgcgcaacgcggacatacgactaccatcctgatgtttccgtggttggggtacggccaccttagtgcattcctcgaattagccaagagcttgtcgcgtaggaactttcatatttatttctgttccacatctgtcaatttagatgctataaaacccaaactaccatcatcttcaagttccgattctattcagcttgtagagttatgcttgccttcctcgccagaccaactacccccacacctgcatacaactaatgctctacctccacatctaatgcctaccctgcaccaggccttttcaatggcagctcaacattttgcagctatattacatactttagcaccgcacttgttaatctatgattcgttccagccttgggcgccacaattggccagctctcttaacattcctgctattaattttaataccacgggtgccagtgtgctaacaagaatgttacacgcgactcattacccatcttcaaagttcccaatctccgaatttgttttacatgattattggaaagcaatgtattcagcagctggtggtgctgttacaaaaaaggaccataaaataggagaaaccttggcaaactgtttacacgcttcttgctcggtaattctgatcaattcattcagagagttggaagaaaaatacatggattacttgtctgtcttactaaacaagaaagttgtgcccgtgggtccgcttgtttatgagccaaaccaagatggcgaagacgaaggttatagttcgataaagaattggctcgataaaaaggagccctcctcaactgtctttgtttccttcgggtccgaatattttccgtccaaagaagaaatggaagaaattgcccatggcttggaggctagcgaggtacactttatttgggtcgttagattcccacaaggagacaatacttctgcaattgaagatgcccttcctaagggttttcttgagcgagtgggcgaacgtggaatggtggttaagggttgggctcctcaggccaaaattttgaaacattggagcacaggcggtttcgtaagtcattgtggatggaatagtgttatggagagcatgatgtttggtgtacccataataggtgttccgatgcatttagatcaaccatttaatgcagggctcgcggaagaagcaggagtaggggtagaggctaaaagggaccctgatggtaagatacagagagatgaagtcgctaaactgatcaaagaagtggttgtcgaaaaaacgcgcgaagatgtcagaaagaaggctagggaaatgtctgaaattttacgttcgaaaggtgaggaaaagatggacgagatggttgcagccattagtctcttcttgaagatataa(配列番号325)
【0087】
当業者は、あらゆるUGT酵素ついて、例えば、配列のアラインおよび/または二次または三次構造の比較により、どのアミノ酸残基がUGT94-289-1(配列番号121)などの参照UGTにおける特定のアミノ酸残基に対応するかをどのようにして決定するかを容易に認識する。
【0088】
ある実施態様において、本発明のUGTは、野生型UGT94-289-1における構造モチーフに対応する(例えば、表1に示す構造モチーフに対応する)1以上の構造モチーフを含む。ある実施態様において、UGTは、表1における全構造モチーフに対応する構造モチーフを含む。ある実施態様において、UGTは、表1に示す全てではなく、一部の構造モチーフに対応する構造モチーフを含む。ある実施態様において、一部構造モチーフは、異なる長さまたは異なるらせん構造を有する点で、異なり得る。例えば、本発明のUGTは、ループ11、16、20またはこれらの組み合わせの拡張バージョンを含み得る。本発明のUGTは、UGT94-289-1における対応物(例えば、UGT94-289-1におけるループ11、16、20またはこれらの組み合わせ)より大きならせん構造を有するループを含み得る。
【0089】
表1. 参照配列UGT94-289-1(配列番号121)における構造モチーフの非限定的例
【表1-1】
【表1-2】
【0090】
ある実施態様において、UGTは、参照UGTの循環置換バージョンである。ある実施態様において、UGTは、参照UGTと異なる順番で表1からの少なくとも2つのモチーフを含む配列を含む。例えば、参照UGTが、第二モチーフのC末端に位置する第一モチーフを含むならば、循環置換UGTにおいて第一モチーフは第二モチーフのN末端に位置し得る。
【0091】
UGTは、表1におけるベータシート7、ループ16、アルファヘリックス9、ループ17、ベータシート8、ループ18、アルファヘリックス10、ループ19、ベータシート9、アルファヘリックス11、ループ20、アルファヘリックス12、ループ21、ベータシート10、ループ22、アルファヘリックス13、ループ23、ベータシート11、ループ24、アルファヘリックス14、ループ25、ベータシート12、ループ26、アルファヘリックス15、ループ27、ベータシート13、ループ28、アルファヘリックス16、ループ29、アルファヘリックス17、ループ30、アルファヘリックス18およびループ31から選択される1以上のモチーフに対応する1以上のモチーフに対してC末端に位置する、表1からのループ1、ベータシート1、ループ2、アルファヘリックス1、ループ3、ベータシート2、ループ4、アルファヘリックス2、ループ5、ベータシート3、ループ6、アルファヘリックス3、ループ7、ベータシート4、ループ8、アルファヘリックス4、ループ9、ベータシート5、ループ10、アルファヘリックス5、ループ11、アルファヘリックス6、ループ12、アルファヘリックス7、ループ13、ベータシート6、ループ14、アルファヘリックス8およびループ15から選択される1以上のモチーフを含み得る。
【0092】
ある実施態様において、UGTのN末端部分は、触媒ダイアドおよび/または基質結合部位を含む触媒部位を含む。ある実施態様において、UGTのC末端部分は、補因子結合部位を含む。本発明の態様は、循環置換されているUGTを含む。ある実施態様において、UGTの循環置換バージョンにおいて、N末端部分およびC末端部分は、全体的にまたは一部逆転し得る。例えば、循環置換UGTのC末端部分は触媒ダイアドおよび/または基質結合部位を含む触媒部位を含み得て、一方N末端部分は補因子結合部位を含み得る。ある実施態様において、UGTの循環置換バージョンはUGTをコードする異種ポリヌクレオチドを含み、ここで、該UGTは触媒ダイアドおよび補因子結合部位を含み、ここで、該触媒ダイアドは該補因子結合部位に対してC末端に位置する。
【0093】
本発明に包含される循環置換UGTは、循環置換に付されていない同じUGTと異なる性質を示し得る。ある実施態様において、このようなUGTの循環置換バージョンを発現する宿主細胞は、野生型UGT94-289-1(配列番号121)などの循環置換されていない参照UGTをコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞に比して、少なくとも1つのモグロシド前駆体の存在下、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%多い1以上のモグロシドを産生する。ある実施態様において、このようなUGTの循環置換バージョンを発現する宿主細胞は、野生型UGT94-289-1(配列番号121)などの循環置換されていない参照UGTをコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞に比して、少なくとも1つのモグロシド前駆体の存在下、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%少ない1以上のモグロシドを産生する。
【0094】
ククルビタジエノールシンターゼ(CDS)酵素
本発明の態様は、例えば、24-25エポキシ-ククルビタジエノールまたはククルビタジエノールなどのククルビタジエノール化合物の産生に有用であり得る、ククルビタジエノールシンターゼ(CDS)酵素を提供する。CDSは、オキシドスクアレン(例えば、2-3-オキシドスクアレンまたは2,3;22,23-ジエポキシスクアレン)から24-25エポキシ-ククルビタジエノールまたはククルビタジエノールなどのククルビタジエノール化合物の形成を触媒できる。
【0095】
ある実施態様において、CDSは、配列番号256の123位に対応する残基の位置にロイシンを有し、これは、引用により全体として包含させる、Takase et al. Org. Biomol. Chem., 2015, 13, 7331-7336に記載のとおり、他のオキシドスクアレンシクラーゼと区別する。
【0096】
本発明のCDSは、表6における核酸配列もしくはアミノ酸配列、配列番号184~263、299、308もしくは319から選択される配列、または本明細書に開示するもしくは当分野で知られる他の何れかのCDS配列と少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一(各数値間の全数値を含む)である配列を含み得る。ある実施態様において、CDSは、配列番号224~263または308の何れかの保存的に置換されたバージョンである配列を含む。
【0097】
ある実施態様において、CDS酵素は、AquAgaCDS16(配列番号226)、CSPI06G07180.1(配列番号235)、またはA0A1S3CBF6(配列番号232)に対応する。
【0098】
ある実施態様において、CDS酵素をコードする核酸配列は、出芽酵母を含む特定の宿主細胞における発現のために、コドン最適化され得る。ある実施態様において、コドン最適化された、CDS酵素をコードする核酸配列は、配列番号186、195または192に対応する。
【0099】
ある実施態様において、本発明のCDSは、基質としてオキシドスクアレン(例えば、2,3-オキシドスクアレンまたは2,3;22,23-ジエポキシスクアレン)を使用できる。ある実施態様において、本発明のCDSは、ククルビタジエノール化合物(例えば、24-25エポキシ-ククルビタジエノールまたはククルビタジエノール)を産生できる。ある実施態様において、本発明のCDSは、オキシドスクアレン(例えば、2-3-オキシドスクアレンまたは2,3;22,23-ジエポキシスクアレン)からククルビタジエノール化合物(例えば、24-25エポキシ-ククルビタジエノールまたはククルビタジエノール)の形成を触媒する。
【0100】
CDSの活性は、当業者に知られるあらゆる手段により測定され得ることは認識される。ある実施態様において、CDSの活性は、産生されたククルビタジエノールの正規化ピーク面積として測定され得る。ある実施態様において、この活性は、任意単位で測定される。ある実施態様において、本発明のCDSの比活性などの活性は、対照CDSより少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍または少なくとも100倍(各数値間の全数値を含む))大きい。
【0101】
当業者は、タンパク質に付随する構造的および/または機能的情報に基づき、CDS酵素としてタンパク質を特徴づけできることは認識される。例えば、ある実施態様において、タンパク質は、基質としてオキシドスクアレン(例えば、2,3-オキシドスクアレンまたは2,3;22,23-ジエポキシスクアレン)を使用して、ククルビタジエノール化合物(例えば、24-25エポキシ-ククルビタジエノールまたはククルビタジエノール)を産生する能力などの機能に基づき、CDS酵素として特徴づけされ得る。ある実施態様において、タンパク質は、少なくとも一部、配列番号256の123位に対応する位置のロイシン残基の存在に基づき、CDS酵素として特徴づけされ得る。
【0102】
ある実施態様において、CDS酵素をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、異種遺伝子を発現しない同じ宿主細胞に比して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%以上のククルビタジエノール化合物を産生する。
【0103】
他の実施態様において、タンパク質は、該タンパク質と既知CDS酵素のパーセント同一性に基づき、CDS酵素として特徴づけされ得る。例えば、タンパク質は、本明細書に記載のCDS配列の何れかまたは他のCDS酵素の何れかの配列と、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一(各数値間の全数値を含む)であり得る。他の実施態様において、タンパク質は、該タンパク質における、CDS酵素と関連する1以上のドメインの存在に基づき、CDS酵素として特徴づけされ得る。例えば、ある実施態様において、タンパク質は、当分野で知られるCDS酵素の基質溝および/または活性部位腔特徴の存在に基づき、CDS酵素として特徴づけられる。ある実施態様において、活性部位腔は、この溝へのゲートとして作用し、該腔から水を排除することを助ける、残基を含む。ある実施態様において、活性部位は、基質のエポキシドを開環するプロトンドナーとして、そして環化過程を触媒する残基を含む。
【0104】
他の実施態様において、タンパク質は、既知CDS酵素の三次元構造に対応する、タンパク質の三次元構造の比較に基づき、CDS酵素として特徴づけされ得る。CDS酵素は合成タンパク質であり得ることが認識される。
【0105】
C11ヒドロキシラーゼ酵素
本発明の態様は、例えば、モグロールの産生に有用であり得る、C11ヒドロキシラーゼ酵素を提供する。
【0106】
本発明のC11ヒドロキシラーゼは、表7および8におけるC11ヒドロキシラーゼ配列(例えば、核酸配列もしくはアミノ酸配列)、配列番号264~265、280~281、296、305,314~315、320、321、324、334もしくは335に示す配列、または本明細書に開示するもしくは当分野で知られる何れかのC11ヒドロキシラーゼ配列と少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも100%同一(各数値間の全数値を含む)である配列を含み得る。ある実施態様において、C11ヒドロキシラーゼは、配列番号280~281、305、315および324の何れかの保存的に置換されたバージョンである配列を含む。
【0107】
ある実施態様において、本発明のC11ヒドロキシラーゼは、モグロール前駆体(例えば、ククルビタジエノール、11-ヒドロキシククルビタジエノール、24,25-ジヒドロキシ-ククルビタジエノールおよび/または24,25-エポキシ-ククルビタジエノール)を酸化できる。ある実施態様において、本発明のC11ヒドロキシラーゼは、モグロールの形成を触媒する。
【0108】
C11ヒドロキシラーゼの比活性などの活性は、当業者に知られるあらゆる手段により決定され得ることは認識される。ある実施態様において、C11ヒドロキシラーゼの活性(例えば、比活性)は、単位時間あたり酵素単位あたり産生されるモグロール前駆体または産生されるモグロールの濃度として測定され得る。ある実施態様において、本発明のC11ヒドロキシラーゼは、少なくとも0.0001~0.001μmol/分/mg、少なくとも0.001~0.01μmol/分/mg、少なくとも0.01~0.1μmol/分/mgまたは少なくとも0.1~1μmol/分/mg(各数値間の全数値を含む)の活性(例えば、比活性)を有する。
【0109】
ある実施態様において、C11ヒドロキシラーゼの比活性などの活性は、対照C11ヒドロキシラーゼより少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍または少なくとも10000倍(各数値間の全数値を含む))大きい。
【0110】
シトクロムP450レダクターゼ酵素
本発明の態様は、例えば、モグロールの産生に有用であり得る、シトクロムP450レダクターゼ酵素を提供する。シトクロムP450レダクターゼは、NADPH:フェリヘモタンパク質オキシドレダクターゼ、NADPH:ヘムタンパク質オキシドレダクターゼ、NADPH:P450オキシドレダクターゼ、P450レダクターゼ、POR、CPRおよびCYPORとも称される。これらのレダクターゼは、NADPHからC11ヒドロキシラーゼへの電子移動を触媒することにより、C11ヒドロキシラーゼ活性を助長できる。
【0111】
本発明のシトクロムP450レダクターゼは、表7および8におけるシトクロムP450レダクターゼ配列(例えば、核酸配列もしくはアミノ酸配列)、配列番号266~267、282~283、297~298、306~307、323もしくは333に示す配列、または本明細書に開示するもしくは当分野で知られる何れかのシトクロムp450レダクターゼと少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも100%同一(各数値間の全数値を含む)である配列を含み得る。ある実施態様において、シトクロムP450レダクターゼは、配列番号282~283および306~307の何れかの保存的に置換されたバージョンである配列を含む。
【0112】
ある実施態様において、本発明のシトクロムP450レダクターゼは、モグロール前駆体(例えば、ククルビタジエノール、11-ヒドロキシククルビタジエノール、24,25-ジヒドロキシ-ククルビタジエノールおよび/または24,25-エポキシ-ククルビタジエノール)の酸化を促進できる。ある実施態様において、本発明のP450レダクターゼは、モグロール前駆体またはモグロールの形成を触媒する。
【0113】
シトクロムP450レダクターゼの活性(例えば、比活性)は、当業者に知られるあらゆる手段により測定され得ることは認識される。ある実施態様において、組み換えシトクロムP450レダクターゼの活性(例えば、比活性)は、C11ヒドロキシラーゼ存在下、単位時間あたり酵素単位あたり産生されるモグロール前駆体または産生されるモグロールの濃度として測定され得る。ある実施態様において、本発明のシトクロムP450レダクターゼは、少なくとも0.0001~0.001μmol/分/mg、少なくとも0.001~0.01μmol/分/mg、少なくとも0.01~0.1μmol/分/mgまたは少なくとも0.1~1μmol/分/mg(各数値間の全数値を含む)の活性(例えば、比活性)を有する。
【0114】
ある実施態様において、シトクロムP450レダクターゼの活性(例えば、比活性)は、対照シトクロムP450レダクターゼより少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍または少なくとも10000倍(各数値間の全数値を含む))大きい。
【0115】
エポキシドヒドロラーゼ酵素(EPH)
本発明の態様は、例えば、24-25エポキシ-ククルビタジエノールから24-25ジヒドロキシ-ククルビタジエノールへの変換または11-ヒドロキシ-24,25-エポキシククルビタジエノールからモグロールへの変換に有用であり得る、エポキシドヒドロラーゼ酵素(EPH)を提供する。EPHは、エポキシドを2個のヒドロキシルに変換できる。
【0116】
本発明のEPHは、表7および8におけるEPH配列(例えば、核酸配列もしくはアミノ酸配列)、配列番号268~276、284~292、300~301、309~310もしくは322に示す配列、または本明細書に開示するもしくは当分野で知られる何れかのEPH配列と少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも100%同一(各数値間の全数値を含む)である配列を含み得る。ある実施態様において、EPHは、配列番号284~292および309~310の何れかの保存的に置換されたバージョンである配列を含む。
【0117】
ある実施態様において、組み換え本発明のEPHは、ククルビタジエノール化合物におけるエポキシドの加水分解(例えば、24-25エポキシ-ククルビタジエノールにおけるエポキシドの加水分解)を促進できる。ある実施態様において、本発明のEPHは、モグロール前駆体(例えば、24-25ジヒドロキシ-ククルビタジエノール)の形成を触媒する。
【0118】
EPHの活性(例えば、比活性)は、当業者に知られるあらゆる手段により測定され得ることは認識される。ある実施態様において、EPHの活性(例えば、比活性)は、産生されるモグロール前駆体(例えば、24-25ジヒドロキシ-ククルビタジエノール)またはモグロールの濃度として測定され得る。ある実施態様において、組み換え本発明のEPHは、少なくとも1~100μg/L、少なくとも100~1000μg/L、少なくとも1~100mg/L、少なくとも100~1000mg/L、少なくとも1~10g/Lまたは少なくとも10~100g/L(各数値間の全数値を含む)の産生を可能とする。
【0119】
ある実施態様において、EPHの活性(例えば、比活性)は、対照EPHより少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍または少なくとも100倍(各数値間の全数値を含む))大きい。
【0120】
スクアレンエポキシダーゼ酵素(SQE)
本発明の態様は、スクアレン(例えば、スクアレンまたは2-3-オキシドスクアレン)を酸化して、スクアレンエポキシド(例えば、2-3-オキシドスクアレンまたは2-3,22-23-ジエポキシスクアレン)を産生できる、スクアレンエポキシダーゼ(SQE)を提供する。SQEは、スクアレンモノオキシゲナーゼとも称され得る。
【0121】
本発明のSQEは、表7および8におけるSQE配列(例えば、核酸またはアミノ酸配列)、配列番号277~279、293~295、303、312、326または328に示す配列または本明細書に開示するもしくは当分野で知られるあらゆるSQE配列と少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも100%同一(各数値間の全数値を含む)である配列を含み得る。ある実施態様において、SQEは、配列番号293~295、312または328の何れかの保存的に置換されたバージョンである配列を含む。
【0122】
ある実施態様において、本発明のSQEは、スクアレン化合物におけるエポキシド形成(例えば、スクアレンまたは2,3-オキシドスクアレンのエポキシ化)を促進できる。ある実施態様において、本発明のSQEは、モグロール前駆体(例えば、2-3-オキシドスクアレンまたは2-3,22-23-ジエポキシスクアレン)の形成を促進する。
【0123】
組み換えSQEの比活性などの活性は、単位時間あたり酵素単位あたり産生されるモグロール前駆体(例えば、2-3-オキシドスクアレンまたは2-3,22-23-ジエポキシスクアレン)の濃度として測定され得る。ある実施態様において、本発明のSQEは、少なくとも0.0000001μmol/分/mg(例えば、少なくとも0.000001μmol/分/mg、少なくとも0.00001μmol/分/mg、少なくとも0.0001μmol/分/mg、少なくとも0.001μmol/分/mg、少なくとも0.01μmol/分/mg、少なくとも0.1μmol/分/mg、少なくとも1μmol/分/mg、少なくとも10μmol/分/mgまたは少なくとも100μmol/分/mg(各数値間の全数値))の比活性などの活性を有する、
【0124】
ある実施態様において、SQEの比活性などの活性は、対照SQEより少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍または少なくとも100倍(数値間の全数値を含む))大きい。
【0125】
バリアント
本発明の態様は、CB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPH、SQEおよびラノステロールシンターゼ酵素ならびに本発明と関連する何れかのタンパク質など、記載される組み換えポリペプチドの何れかをコードするポリヌクレオチドに関する。本明細書に記載するポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列のバリアントも、本発明により包含される。バリアントは、参照配列と少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%配列同一性(数値間の全数値を含む)を共有し得る。
【0126】
特に断らない限り、用語「配列同一性」は、当分野で知られるとおり、配列比較(アライメント)により決定した、2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列間の関係をいう。ある実施態様において、配列同一性は、配列の全長にわたり決定されるが、他の実施態様において、配列同一性は、配列領域にわたり決定される。
【0127】
同一性は、一連の2以上の残基(例えば、核酸またはアミノ酸残基)間のマッチ数により決定される、2個の配列間の配列関連性の程度ともいい得る。同一性は、特定の数学的モデル、アルゴリズムまたはコンピュータープログラムにより処理されるギャップアライメント(あるならば)を伴う2以上の配列の小さいほうの間の同一マッチのパーセントを測定する。
【0128】
関連ポリペプチドまたは核酸配列の同一性は、当業者に知られる方法の何れかにより容易に計算され得る。2個の配列(例えば、核酸またはアミノ酸配列)の「パーセント同一性」は、例えば、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77, 1993におけるように改変したKarlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68, 1990のアルゴリズムを使用して決定され得る。このようなアルゴリズムは、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990のNBLAST(登録商標)およびXBLAST(登録商標)プログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。BLAST(登録商標)タンパク質サーチは、例えば、XBLASTプログラムで、スコア=50、単語長=3で実施して、本発明のタンパク質分子と相同であるアミノ酸配列を得ることができる。2配列間にギャップが存在するとき、Gapped BLAST(登録商標)を、例えば、Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402, 1997に記載のとおり実施できる。BLAST(登録商標)およびGapped BLAST(登録商標)プログラムを使用するとき、各プログラム(例えば、XBLAST(登録商標)およびNBLAST(登録商標))のデフォルトパラメータを使用できまたはパラメータを当業者により理解されるとおり適切に調整できる。
【0129】
使用され得る他の局所アライメント技術は、例えば、Smith-Watermanアルゴリズム(Smith, T.F. & Waterman, M.S. (1981) “Identification of common molecular subsequences.” J. Mol. Biol. 147:195-197)に基づく。使用され得る一般的包括的アライメント技術は、例えば、動的計画法に基づく、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman, S.B. & Wunsch, C.D. (1970) “A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequences of two proteins.” J. Mol. Biol. 48:443-453)である。
【0130】
さらに最近、Fast Optimal Global Sequence Alignment Algorithm(FOGSAA)が開発され、これは、Needleman-Wunschアルゴリズムを含む他の最適包括的アライメント方法より速く、核酸およびアミノ酸配列の包括的アライメントを作成するとされている。ある実施態様において、2個のポリペプチドの同一性を、2個のアミノ酸配列をアラインし、同一アミノ酸数を計算し、アミノ酸配列の一方の長さで除すことにより決定する。ある実施態様において、2個の核酸の同一性を、2個のヌクレオチド配列をアラインし、同一ヌクレオチド数を計算し、核酸の一方の長さで除すことにより決定する。
【0131】
複数配列アライメントのために、Clustal Omega(Sievers et al., Mol Syst Biol. 2011 Oct 11;7:539)を含むコンピュータープログラムが使用され得る。
【0132】
好ましい実施態様において、核酸またはアミノ酸配列を含む配列は、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77, 1993におけるように改変したKarlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68, 1990のアルゴリズム(例えば、BLAST(登録商標)、NBLAST(登録商標)、XBLAST(登録商標)またはGapped BLAST(登録商標)プログラム、各プログラムのデフォルトパラメータを使用)を使用して配列同一性を決定した場合、本明細書に開示の配列および/または特許請求の範囲に記載する配列などの参照配列と特定のパーセント同一性を有することが見出される。
【0133】
ある実施態様において、核酸またはアミノ酸配列を含む配列は、Smith-Watermanアルゴリズム(Smith, T.F. & Waterman, M.S. (1981) “Identification of common molecular subsequences.” J. Mol. Biol. 147:195-197)またはNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman, S.B. & Wunsch, C.D. (1970) “A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequences of two proteins.” J. Mol. Biol. 48:443-453)を使用して配列同一性を決定した場合、本明細書に開示の配列および/または特許請求の範囲に記載する配列などの参照配列と特定のパーセント同一性を有することが見出される。
【0134】
ある実施態様において、核酸またはアミノ酸配列を含む配列は、Fast Optimal Global Sequence Alignment Algorithm(FOGSAA)を使用して配列同一性を決定した場合、本明細書に開示の配列および/または特許請求の範囲に記載する配列などの参照配列と特定のパーセント同一性を有することが見出される。
【0135】
ある実施態様において、核酸またはアミノ酸配列を含む配列は、Clustal Omega(Sievers et al., Mol Syst Biol. 2011 Oct 11;7:539)を使用して配列同一性を決定した場合、本明細書に開示の配列および/または特許請求の範囲に記載する配列などの参照配列と特定のパーセント同一性を有することが見出される。
【0136】
本明細書で使用する、配列「X」における残基(例えば核酸残基またはアミノ酸残基)は、配列XおよびYを当分野で知られるアミノ酸配列アライメントツールを使用してアラインしたとき、配列「X」における該残基が異なる配列「Y」における「z」のカウンターパート位置にあるならば、該配列「Y」における「z」位または残基(例えば核酸残基またはアミノ酸残基)に対応するという。
【0137】
バリアント配列は相同配列であり得る。本明細書で使用する、相同配列は、特定のパーセント同一性(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%パーセント同一性(各数値間の全数値を含む))を共有する配列(例えば、核酸またはアミノ酸配列)であり、パラロガス配列、オルソロガス配列または収斂進化に起因する配列を含むが、これらに限定されない。パラロガス配列は、種のゲノム内の遺伝子の重複に起因し、一方オルソロガス配列は、種分化事象後分岐する。2つの異なる種は、独立して進化しているかもしれないが、各々、収斂進化の結果として、他方の種からの配列と特定のパーセント同一性を有する配列を含み得る。
【0138】
ある実施態様において、ポリペプチドバリアント(例えば、CB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPHもしくはSQEバリアント、または本発明と関連する何れかのタンパク質のバリアント)は、対照ポリペプチド(例えば、対照CB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPH、SQE、または本発明と関連する何れかのタンパク質)と二次構造(例えば、アルファヘリックス、ベータシート)を共有するドメインを含む。ある実施態様において、ポリペプチドバリアント(例えば、CB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPHもしくはSQEバリアント、または本発明と関連する何れかのタンパク質のバリアント)は、対照ポリペプチド(例えば、対照CB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPH、SQE、または本発明と関連する何れかのタンパク質)と三次構造を共有する。非限定的例として、バリアントポリペプチドは、対照ポリペプチドと比較して低い一次配列同一性(例えば、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満または5%未満配列同一性)を有するが、1以上の二次構造(例えば、ループ、アルファヘリックスまたはベータシートを含むが、これらに限定されない)を共有するかまたは対照ポリペプチドと同じ三次構造を有し得る。例えば、ループは、ベータシートとアルファヘリックス間、2個のアルファヘリックス間または2個のベータシート間に位置し得る。相同性モデリングを使用して、2以上の三次構造を比較し得る。
【0139】
当業者に知られる多様な方法により、ヌクレオチド配列に変異を付し得る。例えば、変異を、PCR指向変異、Kunkel(Kunkel, Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 82: 488-492, 1985)の方法による部位特異的変異誘発、ポリペプチドをコードする遺伝子の化学合成、遺伝子編集ツールまたはタグ(例えば、HISタグまたはGFPタグ)挿入などの挿入により付し得る。変異は、例えば、当分野で知られる何らかの方法により産生される、置換、欠失および転座を含み得る。変異を産生する方法は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrook, et al., eds., Fourth Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 2012またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons, Inc., New York, 2010などの参考書に見られ得る。
【0140】
ある実施態様において、バリアントを産生する方法は、循環置換を含む(Yu and Lutz, Trends Biotechnol. 2011 Jan;29(1):18-25)。循環置換において、ポリペプチドの直鎖状一次配列が環状化(例えば、配列のN末端とC末端の結合による)され、ポリペプチドを異なる位置で切断(「破壊」)し得る。故に、新規ポリペプチドの直鎖状一次配列は、直鎖状配列アライメント方法(例えば、Clustal OmegaまたはBLAST)により決定して、低配列同一性(例えば、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満または5%未満(各数値間の全数値を含む))を有し得る。しかしながら、2個のタンパク質の位相的分析は、2個のポリペプチドの三次構造が類似または相違することを確認し得る。特定の理論に拘束されないが、対照ポリペプチドの循環置換により作製し、対照ポリペプチドと類似する三次構造を有するバリアントポリペプチドは、類似する機能的特徴(例えば、酵素活性、酵素動力学、基質特異性または産物特異性)を有し得る。ある場合、循環置換は二次構造、三次構造または四次構造を変え、異なる機能的特徴(例えば、酵素活性が増加または低減、異なる基質特異性または異なる産物特異性)のタンパク質を生じ得る。例えば、Yu and Lutz, Trends Biotechnol. 2011 Jan;29(1):18-25参照。
【0141】
循環置換を受けたタンパク質で、タンパク質の直鎖状アミノ酸配列は、循環置換を受けていない対照タンパク質と異なることは認識される。しかしながら、循環置換を受けたタンパク質のどの残基が、循環置換を受けていない対照タンパク質における残基に対応するか、例えば、配列をアラインし、保存されたモチーフを決定するおよび/または、例えば、相同性モデリングにより、タンパク質の構造または予測構造の比較により、当業者は容易に決定できる。
【0142】
ある実施態様において、目的の配列と本明細書に記載の対照配列のパーセント同一性を決定するアルゴリズムは、これら配列間の循環置換の存在を説明する。循環置換の存在は、例えば、RASPODOM(Weiner et al., Bioinformatics. 2005 Apr 1;21(7):932-7)を含む、当分野で知られる何らかの方法を使用して検出され得る。ある実施態様において、循環置換の存在は、目的の配列と本明細書に記載の配列のパーセント同一性前に補正される(例えば、少なくとも1つの配列におけるドメインが再配列される)。本発明の特許請求の範囲は、対照配列に対するパーセント同一性が、配列の循環置換の可能性を考慮した後、計算されている配列を含むと理解される。
【0143】
組み換えCB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPH、スクアレンエポキシダーゼおよび本明細書に開示する他の何れかのタンパク質の機能的バリアントも、本発明により包含される。例えば、機能的バリアントは、1以上の同じ基質(例えば、モグロール、モグロシドまたはその前駆体)と結合するか、1以上の同じ産物(例えば、モグロール、モグロシドまたはその前駆体)を産生し得る。機能的バリアントは、当分野で知られる何らかの方法を使用して、同定され得る。例えば、上記Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68, 1990のアルゴリズムを、既知機能を有する相同タンパク質の同定に使用し得る。
【0144】
推定される機能的バリアントは、機能的にアノテートされたドメインを有するポリペプチドのサーチによっても同定され得る。Pfam(Sonnhammer et al., Proteins. 1997 Jul;28(3):405-20)を含むデータベースを使用して、特定のドメインを有するポリペプチドを同定し得る。例えば、オキシドスクアレンシクラーゼ中で、さらなるCDS酵素が、ある場合、配列番号256の123位に対応するロイシン残基を有するポリペプチドのサーチにより同定され得る。このロイシン残基は、CDS酵素の産物特異性決定と関連付けられている;この残基の変異は、例えば、産物としてシクロアルテノールまたはパルケオールをもたらす(Takase et al., Org Biomol Chem. 2015 Jul 13(26):7331-6)。
【0145】
さらなるUGT酵素が、例えば、UDPGTドメイン(PROSITE accession number PS00375)を有するポリペプチドのサーチにより、同定され得る。
【0146】
相同性モデリングも、機能に影響することなく、変異しやすいアミノ酸残基の同定に使用され得る。このような方法の非限定的例は、位置特異的スコアマトリックス(PSSM)およびエネルギー最小化プロトコールの使用を含み得る。例えば、Stormo et al., Nucleic Acids Res. 1982 May 11;10(9):2997-3011参照。
【0147】
PSSMは、野生型と単一点変異体の間の差異を決定する、ロゼッタエネルギー関数の計算と対合され得る。特定の理論に拘束されないが、潜在的に安定化する変異が、タンパク質操作(例えば、機能的ホモログの産生)で望まれる。ある実施態様において、潜在的に安定化する変異は、-0.1未満(例えば、-0.2未満、-0.3未満、-0.35未満、-0.4未満、-0.45未満、-0.5未満、-0.55未満、-0.6未満、-0.65未満、-0.7未満、-0.75未満、-0.8未満、-0.85未満、-0.9未満、-0.95未満または-1.0未満)のロゼッタエネルギー単位(R.e.u.)のΔΔGcalc値を有する。例えば、Goldenzweig et al., Mol Cell. 2016 Jul 21;63(2):337-346. doi: 10.1016/j.molcel.2016.06.012参照。
【0148】
ある実施態様において、CB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPH、もしくはSQEコード配列、または本発明と関連する何れかのタンパク質のコード配列は、対照コード配列に対応する、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100または100を超える位置に変異を含む。ある実施態様において、CB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPH、もしくはSQEコード配列、または本発明と関連する何れかのタンパク質のコード配列は、対照コード配列に対してコード配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはそれ以上のコドンに変異を含む。当業者には理解されるとおり、コドン内の変異は、遺伝暗号の縮重により、該コドンによりコードされるアミノ酸を変化させるかもしれないし、させないかもしれない。ある実施態様において、コード配列における1以上の変異は、対照ポリペプチドのアミノ酸配列に対して、コード配列のアミノ酸配列を変えない。
【0149】
ある実施態様において、組み換えCB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPHもしくはSQE配列、または本発明と関連する他の組み換えタンパク質配列における1以上の変異は、対照ポリペプチドのアミノ酸配列に対して、ポリペプチドのアミノ酸配列を変える。ある実施態様において、1以上の変異は、対照ポリペプチドのアミノ酸配列に対して組み換えポリペプチドのアミノ酸配列を変え、対照ポリペプチドに対してポリペプチドの活性を変える(増強または低減)。
【0150】
本明細書に記載する組み換えポリペプチドの何れかの、比活性を含む活性は、当分野で知られる方法を使用して測定され得る。非限定的例として、組み換えポリペプチドの活性を、その基質特異性、生産される産物、生産される産物の濃度またはこれらの何らかの組み合わせの測定により決定し得る。本明細書で使用する、組み換えポリペプチドの「比活性」は、単位時間あたりある量(例えば、濃度)の組み換えポリペプチドにより産生される特定の産物の量(例えば、濃度)をいう。
【0151】
組み換えポリペプチドコード配列における変異は、前記ポリペプチドの機能的に等価なバリアント、例えば、ポリペプチドの活性を保持するバリアントを提供するための保存的アミノ酸置換をもたらし得ることも当業者は認識する。本明細書で使用する、「保存的アミノ酸置換」または「保存的に置換された」は、アミノ酸置換がなされたタンパク質の相対的電荷またはサイズ特徴または機能的活性を変えないアミノ酸置換をいう。
【0152】
ある場合、アミノ酸は、そのR基(例えば、表2参照)により特徴づけられる。例えば、アミノ酸は、非極性脂肪族R基、正電荷R基、負電荷R基、非極性芳香族R基または極性非電荷R基を含み得る。非極性脂肪族R基を含むアミノ酸の非限定的例は、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、メチオニンおよびイソロイシンを含む。正電荷R基を含むアミノ酸の非限定的例は、リシン、アルギニンおよびヒスチジンを含む。負電荷R基を含むアミノ酸の非限定的例は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。非極性、芳香族R基を含むアミノ酸の非限定的例は、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンを含む。極性非電荷R基を含むアミノ酸の非限定的例は、セリン、スレオニン、システイン、プロリン、アスパラギンおよびグルタミンを含む。
【0153】
ポリペプチドの機能的に等価なバリアントの非限定的例は、本明細書に開示のタンパク質のアミノ酸配列に保存的アミノ酸置換を含み得る。アミノ酸の保存的置換は、次の群内のアミノ酸間でなされる置換である:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D。保存的アミノ酸置換のさらなる非限定的例を表2に提供する。
【0154】
ある実施態様において、バリアントポリペプチドの調製時、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または20を超える残基を変え得る。ある実施態様において、アミノは保存的アミノ酸置換により置換される。
【0155】
表2. 保存的アミノ酸置換の非限定的例
【表2】
【0156】
所望の性質および/または活性を有する組み換えポリペプチドバリアントを産生するためのポリペプチドのアミノ酸配列におけるアミノ酸置換は、ポリペプチドのコード配列の改変により行い得る。同様に、ポリペプチドの機能的に等価なバリアントを産生するためのポリペプチドのアミノ酸配列における保存的アミノ酸置換は、一般に組み換えポリペプチド(例えば、CB5、UGT、CDS、P450、シトクロムP450レダクターゼ、EPH、スクアレンエポキシダーゼまたは本発明と関連する何れかのタンパク質)のコード配列の改変により行う。
【0157】
宿主細胞における核酸の発現
本発明の態様は、タンパク質、その機能的修飾体およびバリアントをコードする遺伝子の組み換え発現ならびにそれに関連する使用に関する。例えば、本明細書に記載する方法を、モグロール前駆体、モグロールおよび/またはモグロシドの産生に使用され得る。
【0158】
遺伝子を含むポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドに関する用語「異種」は、用語「外来性」および用語「組み換え」と相互交換可能に使用され、生物系に人工的に供給されているポリヌクレオチド;生物系内で修飾されているポリヌクレオチド;または発現または制御が生物系内で操作されているポリヌクレオチドをいう。宿主細胞に導入されるまたは発現される異種ポリヌクレオチドは、宿主細胞と異なる生物または種由来のポリヌクレオチドであり得るかまたは合成ポリヌクレオチドであり得るかまたは宿主細胞と同じ生物または種でまた内因性に発現されるポリヌクレオチドであり得る。例えば、宿主細胞で内因性に発現されるポリヌクレオチドは、宿主細胞で天然ではない位置である;安定的または一過性に宿主細胞で組み換え発現される;宿主細胞内で修飾される;宿主細胞内で選択的に編集される;天然に存在するコピー数と異なるコピー数で宿主細胞内で発現される;またはポリヌクレオチドの発現を制御する制御領域の操作によるなど、宿主細胞内で天然ではない方法で発現されるとき、異種とみなされる。ある実施態様において、異種ポリヌクレオチドは、宿主細胞で内因性に発現されるポリヌクレオチドであるが、発現が該ポリヌクレオチドの発現を天然では制御しないプロモーターにより駆動される。他の実施態様において、異種ポリヌクレオチドは宿主細胞で内因性に発現されるポリヌクレオチドであり、その発現は該ポリヌクレオチドの発現を天然で制御するプロモーターにより駆動されるが、該プロモーターまたは他の制御領域が修飾される。ある実施態様において、プロモーターは、組み換えにより活性化または抑制される。例えば、遺伝子編集ベースの技術を使用して、内因性ポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの、内因性プロモーターを含むプロモーターからの発現を制御し得る。例えば、Chavez et al., Nat Methods. 2016 Jul; 13(7): 563-567参照。異種ポリヌクレオチドは、対照ポリヌクレオチド配列と比較して野生型配列または変異体配列を含み得る。
【0159】
本明細書に記載するCB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPH、SQEまたは本発明と関連する何れかのタンパク質などの組み換えポリペプチドの何れかをコードする核酸を、当分野で知られる何れかの方法により何れかの適切なベクターに組み込み得る。例えば、ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスベクター)を含むが、これらに限定されない発現ベクター、一過性発現に適するあらゆるベクター、構成的発現に適するあらゆるベクターまたは誘導型発現に適するあらゆるベクター(例えば、ガラクトース誘導型またはドキシサイクリン誘導型ベクター)であり得る。
【0160】
ある実施態様において、ベクターは、細胞で自律的に複製する。ベクターは、1以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含み、本明細書に記載の遺伝子を含む核酸の挿入およびライゲートのために制限エンドヌクレアーゼにより切断され、細胞で複製できる組み換えベクターが産生され得る。ベクターは、一般にDNAからなるが、RNAベクターも利用可能である。クローニングベクターは、プラスミド、フォスミド、ファージミド、ウイルスゲノムおよび人工染色体を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用する、用語「発現ベクター」または「発現構築物」は、酵母細胞などの宿主細胞における特定の核酸の転写を可能とする一連の特定の核酸要素を有する、組み換えまたは合成により産生された、核酸構築物をいう。ある実施態様において、本明細書に記載する遺伝子の核酸配列を、制御配列と操作可能に結合し、ある実施態様において、RNA転写物として発現されるように、クローニングベクターに挿入される。ある実施態様において、ベクターは、組み換えベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞を同定するための、本明細書に記載する選択可能マーカーなどの1以上のマーカーを含む。ある実施態様において、本明細書に記載する遺伝子の核酸配列はコドン最適化される。コドン最適化は、コドン最適化されていない参照配列に比して、遺伝子産物の産生を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%(各数値間の全数値を含む)増加させ得る。
【0161】
コード配列および制御配列は、コード配列と制御配列が共有結合され、コード配列の発現または転写が該制御配列の影響または制御下にあるならば、「操作可能に結合」または「操作可能に連結」されたという。コード配列が機能的タンパク質に翻訳されるならば、コード配列および制御配列は、5’制御配列におけるプロモーターの導入がコード配列を翻訳させるならばおよびコード配列と制御配列の間の結合の性質が、(1)フレームシフト変異の導入をもたらす、(2)プロモーター領域がコード配列の転写を指示する能力を妨害するまたは(3)対応するRNA転写物がタンパク質に翻訳される能力を妨害することがないならば、操作可能に結合または連結されたという。
【0162】
ある実施態様において、本明細書に記載するタンパク質の何れかをコードする核酸は、制御配列(例えば、エンハンサー配列)の制御下にある。ある実施態様において、核酸は、プロモーターの制御下発現される。プロモーターは、天然プロモーター、例えば、内因性状況で遺伝子のプロモーターであり、該遺伝子の発現の通常の制御を提供する。あるいは、プロモーターは、遺伝子の天然プロモーターと異なるプロモーター、例えば、その内因性状況における遺伝子のプロモーターと異なるプロモーターである。
【0163】
ある実施態様において、プロモーターは、真核生物プロモーターである。真核生物プロモーターの非限定的例は、当業者に知られるとおり、TDH3、PGK1、PKC1、PDC1、TEF1、TEF2、RPL18B、SSA1、TDH2、PYK1、TPI1 GAL1、GAL10、GAL7、GAL3、GAL2、MET3、MET25、HXT3、HXT7、ACT1、ADH1、ADH2、CUP1-1、ENO2およびSOD1を含む(例えば、Addgene website: blog.addgene.org/plasmids-101-the-promoter-region参照)。ある実施態様において、プロモーターは、原核生物プロモーター(例えば、バクテリオファージまたは細菌プロモーター)である。バクテリオファージプロモーターの非限定的例は、Pls1con、T3、T7、SP6およびPLを含む。細菌プロモーターの非限定的例は、Pbad、PmgrB、Ptrc2、Plac/ara、PtacおよびPmを含む。
【0164】
ある実施態様において、プロモーターは誘導型プロモーターである。本明細書で使用する、「誘導型プロモーター」は、分子の存在または不在により制御されるプロモーターである。誘導型プロモーターの非限定的例は、化学制御プロモーターおよび物理制御プロモーターを含む。化学制御プロモーターについて、転写活性は、アルコール、テトラサイクリン、ガラクトース、ステロイド、金属または他の化合物などの1以上の化合物により制御される。物理制御プロモーターについて、転写活性は、光または温度などの現象により制御され得る。テトラサイクリン制御プロモーターの非限定的例は、ヒドロテトラサイクリン(aTc)応答性プロモーターおよび他のテトラサイクリン応答性プロモーター系(例えば、テトラサイクリンリプレッサータンパク質(tetR)、テトラサイクリンオペレーター配列(tetO)およびテトラサイクリントランスアクティベーター融合タンパク質(tTA))を含む。ステロイド制御プロモーターの非限定的例は、ラットグルココルチコイド受容体、ヒトエストロゲン受容体、ガエクジソン受容体およびステロイド/レチノイド/甲状腺受容体スーパーファミリーからのプロモーターに基づくプロモーターを含む。金属制御プロモーターの非限定的例は、メタロチオネイン(金属イオンを結合および隔離するタンパク質)遺伝子に由来するプロモーターを含む。病因制御プロモーターの非限定的例は、サリチル酸、エチレンまたはベンゾチアジアゾール(BTH)により誘導されるプロモーターを含む。温度/熱誘導型プロモーターの非限定的例は、ヒートショックプロモーターを含む。光制御プロモーターの非限定的例は、植物細胞の光反応性プロモーターを含む。ある実施態様において、誘導型プロモーターはガラクトース誘導型プロモーターである。ある実施態様において、誘導型プロモーターは、1以上の生理学的条件(例えば、pH、温度、放射、浸透圧、食塩水勾配、細胞表面結合または1以上の外因性もしくは内因性誘導剤の濃度)により誘導される。外因性インデューサーまたは誘導剤の非限定的例は、アミノ酸およびアミノ酸アナログ、サッカライドおよび多糖、核酸、タンパク質転写アクティベーターおよびリプレッサー、サイトカイン、毒素、石油ベースの化合物、金属含有化合物、塩、イオン、酵素基質アナログ、ホルモンまたはこれらの何らかの組み合わせを含む。
【0165】
ある実施態様において、プロモーターは構成的プロモーターである。本明細書で使用する、「構成的プロモーター」は、遺伝子の連続的転写を可能とする非制御プロモーターをいう。構成的プロモーターの非限定的例は、TDH3、PGK1、PKC1、PDC1、TEF1、TEF2、RPL18B、SSA1、TDH2、PYK1、TPI1、HXT3、HXT7、ACT1、ADH1、ADH2、ENO2およびSOD1を含む。
【0166】
当業者に知られる他の誘導型プロモーターまたは構成的プロモーターも考慮される。
【0167】
遺伝子発現に必要な制御配列は種または細胞型により変わり得るが、一般に、必要に応じて、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列など、それぞれ転写および翻訳の開始に関与する5’非転写および5’非翻訳配列を含む。特に、このような5’非転写制御配列は、操作可能に結合した遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む。制御配列は、エンハンサー配列または上流アクティベーター配列も含み得る。ベクターは、5’リーダーまたはシグナル配列を含み得る。制御配列はターミネーター配列も含み得る。ある実施態様において、ターミネーター配列は、転写中のDNA遺伝子の終わりを示す。宿主細胞における本明細書に記載する1以上の遺伝子の発現に適する1以上の適切なベクターの選択および設計は、当業者の能力および裁量の範囲内である。
【0168】
発現に必要な要素を含む発現ベクターは市販され、当業者に知られる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2012参照)。
【0169】
ある実施態様において、宿主細胞への組み換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドの導入は、ポリヌクレオチドのゲノム統合をもたらす。ある実施態様において、宿主細胞は、ゲノムにおいて、本明細書に記載する組み換えポリペプチドの何れかをコードするポリヌクレオチド配列などのポリヌクレオチド配列を少なくとも1コピー、少なくとも2コピー、少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、少なくとも6コピー、少なくとも7コピー、少なくとも8コピー、少なくとも9コピー、少なくとも10コピー、少なくとも11コピー、少なくとも12コピー、少なくとも13コピー、少なくとも14コピー、少なくとも15コピー、少なくとも16コピー、少なくとも17コピー、少なくとも18コピー、少なくとも19コピー、少なくとも20コピー、少なくとも21コピー、少なくとも22コピー、少なくとも23コピー、少なくとも24コピー、少なくとも25コピー、少なくとも26コピー、少なくとも27コピー、少なくとも28コピー、少なくとも29コピー、少なくとも30コピー、少なくとも31コピー、少なくとも32コピー、少なくとも33コピー、少なくとも34コピー、少なくとも35コピー、少なくとも36コピー、少なくとも37コピー、少なくとも38コピー、少なくとも39コピー、少なくとも40コピー、少なくとも41コピー、少なくとも42コピー、少なくとも43コピー、少なくとも44コピー、少なくとも45コピー、少なくとも46コピー、少なくとも47コピー、少なくとも48コピー、少なくとも49コピー、少なくとも50コピー、少なくとも60コピー、少なくとも70コピー、少なくとも80コピー、少なくとも90コピー、少なくとも100コピーまたはそれ以上(各数値間のあらゆる数値を含む)含む。
【0170】
宿主細胞
本発明のタンパク質の何れかを、宿主細胞で発現させ得る。本明細書で使用する、用語「宿主細胞」は、モグロール、モグロシドおよびその前駆体の産生に使用するタンパク質をコードするポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドを発現させるために使用され得る細胞をいう。
【0171】
真核生物細胞または原核生物細胞を含む、あらゆる適当な宿主細胞を、CB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPH、SQEおよび本明細書に開示する他のタンパク質を含む組み換えポリペプチドの何れかの産生に使用できる。適当な宿主細胞は、真菌細胞(例えば、酵母細胞)、細菌細胞(例えば、大腸菌細胞)、藻類細胞、植物細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞を含む動物細胞を含むが、これらに限定されない。
【0172】
適当な酵母宿主細胞は、カンジダ、エシェリキア、ハンセヌラ、サッカロマイセス(例えば、出芽酵母)、シゾサッカロマイセス、ピキア、クルイベロマイセス(例えば、クルイベロマイセス・ラクチス)およびヤロウイア(例えば、ヤロウイア・リポリティカ)を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、酵母細胞は、ハンセヌラ・ポリモルファ、サッカロマイセス・セレビシエ、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス、サッカロマイセス・ディアスタティックス、サッカロマイセス・ノルベンシス、サッカロマイセス・クルイベリ、シゾサッカロマイセス・ポンベ、ピキア・フィンランディカ、ピキア・トレハロフィラ、ピキア・コダマエ、ピキア・メンブラナエファシエンス、ピキア・オプンティアエ、ピキア・サーモトレランス、ピキア・サリクタリア、ピキア・ケルクウム、ピキア・ピジェペリ、ピキア・スティピティス、ピキア・メタノリカ、ピキア・アングスタ、コマガタエラ・ファフィ、コマガタエラ・パストリス、クルイベロミセス・ラクティス、カンジダ・アルビカンスまたはヤロウイア・リポリティカである。
【0173】
ある実施態様において、酵母株は工業的多数体酵母株である。真菌細胞の他の非限定的例は、アスペルギルス属、ペニシリウム属、フザリウム属、リゾプス属、アクレモニウム属、アカパンカビ属、ソルダリア属、マグナポルテ属、アロミセス属、ウスティラゴ属ボトリチス属、およびトリコデルマ属から得られた細胞を含む。
【0174】
ある実施態様において、宿主細胞はクラミドモナス(例えば、クラミドモナス・ラインハルトチイ)およびフォルミディウム(P.sp.ATCC29409)などの藻類細胞である。
【0175】
他の実施態様において、宿主細胞は原核生物細胞である。適当な原核生物細胞は、グラム陽性、グラム陰性およびグラム不定細菌細胞を含む。宿主細胞は、アグロバクテリウム、アリシクロバチルス、アナバエナ、アナシスティス、アシネトバクター、アシドサーマス、アートロバクター、アゾバクター、バチルス、ビフィドバクテリウム、ブレビバクテリウム、ブチリビブリオ、ブフネラ、カンペストリス、カンプリオバクター、クロストリジウム、コリネバクテリウム、クロマチウム、コプロコッカス、エシェリキア、エンテロコッカス、エンテロバクター、エルウィニア、フソバクテリウム、フィーカリバクテリウム、フランシセラ、フラボバクテリウム、ゲオバチルス、ヘモフィルス、ヘリコバクター、クレブシエラ、ラクトバチルス、ラクトコッカス、イリオバクター、マイクロコッカス、ミクロバクテリウム、メソリゾビウム、メチロバクテリウム、メチロバクテリウム、マイコバクテリウム、ナイセリア、パントエア、シュードモナス、プロクロロコッカス、ロドバクター、ロドシュードモナス、ロドシュードモナス、ロゼブリア、ロドスピリルム、ロドコッカス、セネデスムス、ストレプトマイセス、ストレプトコッカス、シネコッカス、サッカロモノスポラ、サッカロポリスポラ、スタフィロコッカス、セラチア、サルモネラ、シゲラ、サーモアナエロバクテリウム、トロフェリマ、ツラレンシス、テメキュラ、サーモシネココッカス、サーモコッカス、ウレアプラズマ、キサントモナス、キシレラ、エルシニアおよびザイモモナスを含むが、これらに限定されない属のものであり得る。
【0176】
ある実施態様において、細菌宿主細胞は、アグロバクテリウム属(例えば、アグロバクテリウム・ラジオバクター、アグロバクテリウム・リゾゲネス、アグロバクテリウム・ルビ)、アルスロバクター属(例えば、アルスロバクター・アウレッセンス、アルスロバクター・シトレウス、アルスロバクター・グロビフォルミス、アルスロバクター・ヒドロカルボグルタミナス、アルスロバクター・マイソレンス、アルスロバクター・ニコチアナエ、アルスロバクター・パラフィネウス、アルスロバクター・プロトフォルミアエ、アルスロバクター・ロゼオパラフィナス、アルスロバクター・スルフレウス、アルスロバクター・ウレアファシエンス)またはバシラス属(例えば、バシラス・チューリンゲンシス、バシラス・アントラシス、バシラス・メガテリウム、バシラス・スブチリス、バシラス・レンタス、バシラス・サーキュランス、バシラス・プミラス、バシラス・ラクタス、バシラス・コアギュランス、バシラス・ブレビス、バシラス・フィルムス、バシラス・アルカオフィウス、バシラス・リヒェニフォルミス、バシラス・クラウジ、バシラス・ステアロテルモフィルス、バシラス・ハロデュランスおよびバシラス・アミロリクエファシエンス)のものである。具体的実施態様において、宿主細胞は、バシラス・スブチリス、バシラス・プミラス、バシラス・リヒェニフォルミス、バシラス・メガテリウム、バシラス・クラウジ、バシラス・ステアロテルモフィルスおよびバシラス・アミロリクエファシエンスを含むが、これらに限定されない工業的バシラス属である。ある実施態様において、宿主細胞は、工業的クロストリジウム属(例えば、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・テタニE88、クロストリジウム・リツセブレンス、クロストリジウム・サッカロブチリカム、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・ベイジェリンキー)。ある実施態様において、宿主細胞は、工業的コリネバクテリウム族(例えば、コリネバクテリウム・グルタミナム、コリネバクテリウム・アセトアシドフィルム)。ある実施態様において、宿主細胞は、工業的エシェリキア属(例えば、大腸菌)である。ある実施態様において、宿主細胞は、工業的エルウィニア属(例えば、エルウィニア・ウレドボラ、エルウィニア・カロトボラ、エルウィニア・アナナス、エルウィニア・ハービコラ、エルウィニア・プンクタタ、エルウィニア・テレウス)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業的パントエア属(例えば、パントエア・シトレア、パントエア・アグロメランス)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業的シュードモナス属(例えば、シュードモナス・プイチダ、シュードモナス・エアルギノーザ、シュードモナス・メバロニ)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業的ストレプトコッカス属(例えば、ストレプトコッカス・エキシミレス、ストレプトコッカス・ピオゲネシス、ストレプトコッカス・ウベリス)である。ある実施態様において、宿主細胞は工業的ストレプトマイセス属(例えば、ストレプトマイセス・アンボファシエンス、ストレプトマイセス・アクロモゲネス、ストレプトマイセス・アベルミチリス、ストレプトマイセス・コエリカラー、ストレプトマイセス・アウレオファシエンス、ストレプトマイセス・アウレウス、ストレプトマイセス・フンギシジカス、ストレプトマイセス・グリセウス、ストレプトマイセス・リビダンス)である。ある実施態様において、宿主細胞は、工業的ザイモモナス属(例えば、ザイモモナス・モビリス、ザイモモナス・リポリティカ)である。
【0177】
本発明はまた哺乳動物細胞、例えば、ヒト(293、HeLa、WI38、PER.C6およびボーズ黒色腫細胞を含む)、マウス(3T3、NS0、NS1、Sp2/0を含む)、ハムスター(CHO、BHK)、サル(COS、FRhL、Vero)およびハイブリドーマ細胞株を含む多様な動物細胞型での使用に適する。
【0178】
本発明はまた多様な植物細胞型での使用に適する。
【0179】
本明細書で使用する用語「細胞」は、単一細胞または同じ細胞株もしくは種に属する細胞集団などの細胞集団をいい得る。単数表現「細胞」の使用は、細胞集団ではなく、明示的に単一の細胞をいうと解釈されてはならない。
【0180】
宿主細胞は、野生型カウンターパートに比して遺伝子修飾を含み得る。非限定的例として、宿主細胞(例えば、出芽酵母またはヤロウイア・リポリティカ)は、次の遺伝子:ヒドロキシメチルグルタリル-CoA (HMG-CoA)レダクターゼ(HMG1)、アセチル-CoA C-アセチルトランスフェラーゼ(アセトアセチル-CoAチオラーゼ)(ERG10)、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA(HMG-CoA)シンターゼ(ERG13)、ファルネシル-ジホスフェートファルネシルトランスフェラーゼ(スクアレンシンターゼ)(ERG9)の1以上の低減または不活性化のために修飾されてよく、スクアレンエポキシダーゼ(ERG1)を過発現するよう修飾されてよくまたはラノステロールシンターゼ(ERG7)を下方制御するよう修飾されてよい。ある実施態様において、PDR1もしくはPDR3、および/またはグルカナーゼ遺伝子EXG1などの1以上のトランスポータ遺伝子の発現を減少または除去するために宿主細胞を改変する。
【0181】
ある実施態様において、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個の遺伝子を減少または不活性化させるために、宿主細胞を改変する。
【0182】
ある実施態様において、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個の遺伝子を減少または不活性化させるために宿主細胞を改変する。
【0183】
遺伝子発現の低減および/または遺伝子不活性化は、遺伝子の欠失、遺伝子への点変異導入、遺伝子短縮化、遺伝子への挿入導入、遺伝子へのタグもしくは融合の導入または遺伝子の選択的編集を含むが、これらに限定されない何れかの適当な方法で達成され得る。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの方法が使用され得る(例えば、Gardner et al., Methods Mol Biol. 2014;1205:45-78)または周知遺伝子編集技術が使用され得る。非限定的例として、遺伝子を、遺伝子置換(例えば、選択マーカーを含むマーカーで)により欠失させ得る。遺伝子を、トランスポゾン系の使用により切断することもできる(例えば、Poussu et al., Nucleic Acids Res. 2005; 33(12): e104参照)。
【0184】
本明細書に記載する組み換えポリペプチドの何れかをコードするベクターを、当分野で知られる何れかの方法を使用して適当な宿主細胞に導入し得る。酵母形質転換プロトコールの非限定的例は、引用によりその全体として本明細書に包含させる、Gietz et al., Yeast transformation can be conducted by the LiAc/SS Carrier DNA/PEG method. Methods Mol Biol. 2006;313:107-20に記載される。宿主細胞を、当業者により理解される何らかの適当な条件下で培養し得る。例えば、当分野で知られるあらゆる培地、温度およびインキュベーション条件が使用され得る。誘導型ベクターを担持する宿主細胞について、細胞を、発現を促進する適切な誘導剤と培養し得る。
【0185】
本明細書に開示の細胞のいずれも、核酸の接触および/または統合前、途中および/または、あらゆるタイプ(リッチまたは最小)およびあらゆる組成の培地で培養できる。培養条件または培養過程は、当業者により理解されるとおり、慣用の実験により最適化され得る。ある実施態様において、選択培地は種々の成分が添加される。ある実施態様において、補助的成分の濃度および量は、最適化される。ある実施態様において、培地および増殖条件(例えば、pH、温度など)の他の態様は、慣用の実験により最適化される。ある実施態様において、培地に1以上の補助的成分を添加する頻度および細胞を培養する時間は最適化される。
【0186】
本明細書に記載する細胞の培養は、当分野で知られ、かつ使用される培養容器で実施できる。ある実施態様において、通気した反応器(例えば、撹拌タンクリアクター)を細胞の培養に使用する。ある実施態様において、バイオリアクターまたは発酵槽を細胞の培養に使用する。故に、ある実施態様において、細胞は、発酵で使用される。本明細書で使用する、用語「バイオリアクター」および「発酵槽」は相互交換可能に使用され、生存生物、生存生物の一部または精製タンパク質が関与する、生物学的、生化学的および/または化学的反応が行われるハウジングまたは部分的ハウジングをいう。「大規模バイオリアクター」または「工業的規模バイオリアクター」は、商業的または準商規模で生産物を産生するのに使用するバイオリアクターをいう。大規模バイオリアクターは、一般に数リットル、数百リットル、数千リットルまたはそれ以上の範囲の体積を有する。
【0187】
バイオリアクターの非限定的例は、撹拌タンク発酵槽、回転混合デバイスで撹拌されているバイオリアクター、ケモスタット、振盪デバイスで撹拌されているバイオリアクター、気泡ポンプ発酵槽、充填床リアクター、固定床リアクター、流動床バイオリアクター、波誘発撹拌を用いるバイオリアクター、遠心性バイオリアクター、ローラーボトルおよび中空繊維バイオリアクター、ローラー装置(例えばベンチトップ、カート搭載および/または自動化改変種)、垂直積層プレート、スピナーフラスコ、撹拌またはロッキングフラスコ、振盪多ウェルプレート、MDボトル、T-フラスコ、Rouxボトル、多表面組織培養プロパゲーター、修飾発酵槽および被覆ビーズ(例えば、細胞接着阻止のために血清タンパク質、ニトロセルロースまたはカルボキシメチルセルロースで被覆されたビーズ)を含む。
【0188】
ある実施態様において、バイオリアクターは、細胞(例えば、酵母細胞)が動いている液体および/または気泡と接触する細胞培養系を含む。ある実施態様において、細胞または細胞培養物は懸濁液で増殖される。他の実施態様において、細胞または細胞培養物は、固相担体に結合される。担体系の非限定的例は、マイクロ担体(例えば、多孔性または非多孔性であり得るポリマースフェア、マイクロビーズおよびマイクロディスク)、特定の化学基(例えば、三級アミン基)で荷電された架橋ビーズ(例えば、デキストラン)、非多孔性ポリマー繊維に捕捉された細胞を含む2Dマイクロ担体、3D担体(例えば、担体繊維、中空繊維、多カートリッジリアクターおよび多孔性繊維を含み得る半透膜)、イオン交換能が低減したマイクロ担体、封入細胞、キャピラリーおよび凝集体を含む。ある実施態様において、担体は、デキストラン、ゼラチン、ガラスまたはセルロースなどの材料から製作される。
【0189】
ある実施態様において、工業的規模過程を、連続的、半連続的または非連続的モードで操作する。操作モードの非限定的例は、バッチ、流加、拡張バッチ、反復バッチ、排出/充填、回転壁、回転フラスコおよび/または潅流モードの操作である。ある実施態様において、バイオリアクターは、基質ストック、例えば炭水化物源の連続的または半連続的補充および/またはバイオリアクターからの生成物の連続的または半連続的分離を可能にする。
【0190】
ある実施態様において、バイオリアクターまたは発酵槽は、反応パラメータを測定および/または調節するためのセンサーおよび/または制御系を含む。反応パラメータの非限定的例は、生物学的パラメータ(例えば、増殖速度、細胞サイズ、細胞数、細胞密度、細胞型または細胞状態など)、化学パラメータ(例えば、pH、酸化還元電位、反応基質および/または生成物濃度、酸素濃度およびCO濃度などの溶解ガス濃度、栄養素濃度、代謝物濃度、オリゴペプチド濃度、アミノ酸濃度、ビタミン濃度、ホルモン濃度、添加剤濃度、血清濃度、イオン強度、イオン濃度、相対湿度、モル濃度、モル浸透圧濃度、他の化学物質、例えば緩衝剤、アジュバントまたは反応副産物の濃度)、物理的/機械的パラメータ(例えば、密度、伝導性、撹拌の程度、圧力および流速、剪断応力、剪断速度、粘性、色、濁度、光吸収、混合速度、変換速度ならびに温度、光強度/質などの熱力学パラメータなど)を含む。本明細書に記載のパラメータを測定するセンサーは、関連する機械および電子分野の当業者に周知である。本明細書に記載のセンサーからの入力に基づきバイオリアクターのパラメータを調節する制御系は、バイオリアクター工学の分野の当業者に周知である。
【0191】
ある実施態様において、方法はバッチ発酵(例えば、振盪フラスコ発酵)を含む。バッチ発酵(例えば、振盪フラスコ発酵)の一般的懸念は、酸素およびグルコースのレベルを含む。例えば、バッチ発酵(例えば、振盪フラスコ発酵)は、酸素およびグルコースを限定してよく、よって、ある実施態様において、株が適切に設計された流加発酵において実行する能力は過小評価されている。また、最終産物(例えば、モグロール前駆体、モグロール、モグロシド前駆体またはモグロシド)は、溶解度、毒性、細胞蓄積および分泌の観点で基質(例えば、モグロール前駆体、モグロール、モグロシド前駆体またはモグロシド)とある程度異なり得て、ある実施態様において異なる発酵力学を有し得る。
【0192】
本明細書に記載する方法は、組み換え細胞、細胞ライセートまたは単離組み換えポリペプチド(例えば、CB5、CDS、UGT、C11ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、EPH、スクアレンエポキシダーゼおよび本発明と関連する何れかのタンパク質)を使用する、モグロール前駆体(例えば、スクアレン、2,3-オキシドスクアレンまたは24-25エポキシ-ククルビタジエノール)、モグロールまたはモグロシド(例えば、MIA1、MIE1、MIIA1、MIIA2、MIIIA1、MIIE、MIII、シアメノシドI、モグロシドIV、イソモグロシドIV、MIIIEおよびモグロシドV)の産生を包含する。
【0193】
本明細書に開示の組み換え細胞の何れかにより産生されたモグロール前駆体(例えば、スクアレン、2,3-オキシドスクアレンまたは24-25エポキシ-ククルビタジエノール)、モグロール、モグロシド(例えば、MIA1、MIE、MIIA1、MIIA2、MIIIA1、MIIE、MIII、シアメノシドI、モグロシドIV、イソモグロシドIV、MIIIEおよびモグロシドV)は、当分野で知られる何らかの方法を使用して同定および抽出され得る。マススペクトロメトリー(例えば、LC-MS、GC-MS)は、同定方法の非限定的例であり、目的の化合物を抽出する一助として使用し得る。
【0194】
本明細書において使用する表現および用語は、説明の目的であり、限定としてみなしてはならない。本明細書における「含む」、「包含する」、「有する」、「含有する」、「関与する」などの用語および/またはこれらのバリエーションは、その前に挙げられた項目ならびにさらなる項目を包含することを意味する。
【0195】
本発明を次の実施例によりさらに説明し、これは、決してさらなる限定と解釈されてはならない。本明細書をとおして引用する全引用文献(文献引用文献、登録特許、公開特許出願および同時係属特許出願)の内容全体は、引用により明示的に本明細書に包含させる。
【実施例
【0196】
[実施例1]
モグロール産生を増加させるCB5タンパク質の同定および機能的特徴づけ
本実施例は、モグロール産生を促進するタンパク質を同定するために、出芽酵母におけるラカンカタンパク質のスクリーニングを記載する。ライブラリーは、その発現が、モグロシド生合成に関与するタンパク質の発現と相関し、および/またはその酵素クラスと一致した、おおよそ333個のラカンカタンパク質を含んだ。解析には、Xia et al. Gigascience. 2018 Jun 1;7(6):giy067からのトランスクリプトームデータを使用した。その発現がモグロシド生合成に関与する1以上のタンパク質の発現と相関し、および/またはその酵素クラスと一致したタンパク質が、モグロール産生を増加させるために使用され得るか否かを決定するために、モグロール産生に関して、ライブラリー全体をスクリーニングした。
【0197】
出芽酵母宿主細胞をスクリーニングに使用した。1以上のコピーのCYP1798、CYP5491、AtCPR、CPR4497、SgCDS、EPH3およびAtEPH2を発現させるように、ならびにERG9およびERG1の発現をアップレギュレートするように、ならびにERG7の発現をダウンレギュレートするように、宿主細胞ベース株を操作した。ベース株はさらに、ゲノムに組み込まれた数コピーのpPGK1_X_tSSA1を有した。「X」は、24bpであり、かつ配列GATGCACGAGCGCAACGCTCACAA(配列番号46)を有するF-Cph1認識部位に対応する。
【0198】
モグロール産生の増強に関してタンパク質ライブラリーを試験するために、インビボ(in vivo)プレートアッセイをLC-MS分析と組み合わせた。個々の遺伝子を担持するプラスミドを、モグロールを産生する出芽酵母シャーシ株に形質転換し、その染色体に組み込んだ。さらなる何れの植物タンパク質も欠く株を陰性対照として使用した。
【0199】
形質転換から得られた単一コロニーを、培養培地を含有する前培養として、26℃の振とう培養器中、1000rpmで96時間増殖させた。48時間後、前培養を産生培地に移し、26℃の振とう培養器中、1000rpmで96時間増殖させた。96時間後、有機溶媒を用いて培養を抽出し、産物形成をLC-MS分析により試験して、モグロールおよびモグロシド産生を評価した。LX2多重化カラム配置のThermo Scientific Q Exactive Focus MSを使用した。水中の12.5mM酢酸アンモニウム(pH8.0)泳動用緩衝液およびアセトニトリル勾配を用いるThermo Scientific Accucore PFPカラム(2.6μm、2.1mmX100mm)を、フルスキャンを使用するネガティブモードでの分離に使用した。
【0200】
最初に、質量に基づいて産物種を同定するために、ショート分析ランを行った。そのスクリーニングに基づいて、親株のモグロール産生を増加させた数タンパク質を同定した(表3および図2A~2B)。特に、11個のシトクロムb5(CB5)タンパク質が、スクリーニングに含まれた(図2B)。株848921、848930、848917、848922および848940により発現されるCB5タンパク質を含む、これらのCB5タンパク質のいくつかは、親株のモグロール産生を増加させることが見出された。
【0201】
モチーフ同定ソフトウェアを使用した、スクリーニングにおけるCB5タンパク質の解析は、モグロール産生を増加させなかったCB5タンパク質と比較してモグロール産生を増加させたCB5タンパク質においてエンリッチされた多数の配列モチーフを同定した。
【0202】
配列番号47~49に対応する次のモチーフ:
a)アミノ酸配列YTGLSP(配列番号47);
b)アミノ酸配列KPLLMAIKGQIYDVS(配列番号48);および
c)アミノ酸配列LQDWEYKFM(配列番号49)
が、株848917、848921、848922および848930において発現されるCB5配列中に存在する。
【0203】
配列番号50~53に対応する次のモチーフ:
a)アミノ酸配列XEXIX10YTGLSPX1112FFTX13LAX14151617VX18192021SX2223FX2425262728293031(配列番号50)[ここで、
(i)Xはアミノ酸EまたはQであり;
(ii)Xはアミノ酸LまたはVであり;
(iii)Xはアミノ酸YまたはWであり;
(iv)Xはアミノ酸WまたはEであり;
(v)Xはアミノ酸KまたはTであり;
(vi)Xはアミノ酸AまたはLであり;
(vii)Xはアミノ酸MまたはKであり;
(viii)Xはアミノ酸QまたはAであり;
(ix)Xはアミノ酸AまたはVであり;
(x)X10はアミノ酸WまたはAであり;
(xi)X11はアミノ酸TまたはAであり;
(xii)X12はアミノ酸AまたはTであり;
(xiii)X13はアミノ酸IまたはVであり;
(xiv)X14はアミノ酸SまたはLであり;
(xv)X15はアミノ酸MまたはGであり;
(xvi)X16はアミノ酸IまたはLであり;
(xvii)X17はアミノ酸FまたはAであり;
(xviii)X18はアミノ酸FまたはYであり;
(xix)X19はアミノ酸QまたはYであり;
(xx)X20はアミノ酸MまたはVであり;
(xxi)X21はアミノ酸VまたはIであり;
(xxii)X22はアミノ酸SまたはGであり;
(xxiii)X23はアミノ酸MまたはFであり;
(xxiv)X24はアミノ酸VまたはGであり;
(xxv)X25はアミノ酸SまたはTであり;
(xxvi)X26はアミノ酸PまたはSであり;
(xxvii)X27はアミノ酸EまたはDであり;
(xxviii)X28はアミノ酸EまたはYであり;
(xxix)X29はアミノ酸FまたはGであり;
(xxx)X30はアミノ酸NまたはSであり;および/または
(xxxi)X31はアミノ酸KまたはHである];
b)アミノ酸配列XVQXGXEXLXYDGSDX1011KPLLMAIKGQIYDVSX1213RMF(配列番号51)[ここで、
(i)Xはアミノ酸PまたはAであり;
(ii)Xはアミノ酸VまたはIであり;
(iii)Xはアミノ酸EまたはQであり;
(iv)Xはアミノ酸IまたはLであり;
(v)Xはアミノ酸SまたはTであり;
(vi)Xはアミノ酸EまたはQであり;
(vii)Xはアミノ酸EまたはQであり;
(viii)Xはアミノ酸KまたはRであり;
(ix)Xはアミノ酸QまたはAであり;
(x)X10はアミノ酸SまたはPであり;
(xi)X11はアミノ酸KまたはNであり;
(xii)X12はアミノ酸QまたはSであり;および/または
(xiii)X13はアミノ酸SまたはGである];
c)アミノ酸配列LAXSFXDXTGXIXGLX1011ELX1213LQDWEYKFMX14KYVKVGX1516(配列番号52)[ここで、
(i)Xはアミノ酸KまたはLであり;
(ii)Xはアミノ酸MまたはLであり;
(iii)Xはアミノ酸EまたはKであり;
(iv)Xはアミノ酸EまたはPであり;
(v)Xはアミノ酸KまたはEであり;
(vi)Xはアミノ酸LまたはIであり;
(vii)Xはアミノ酸DまたはNであり;
(viii)Xはアミノ酸SまたはEであり;
(ix)Xはアミノ酸GまたはSであり;
(x)X10はアミノ酸PまたはEであり;
(xi)X11はアミノ酸FまたはEであり;
(xii)X12はアミノ酸EまたはVであり;
(xiii)X13はアミノ酸AまたはIであり;
(xiv)X14はアミノ酸SまたはEであり;
(xv)X15はアミノ酸TまたはEであり;および/または
(xvi)X16はアミノ酸VまたはLである];ならびに
d)アミノ酸配列XEXGX10D(配列番号53)[ここで、
(i)Xはアミノ酸KまたはEであり;
(ii)Xはアミノ酸PまたはHであり;
(iii)Xはアミノ酸AまたはSであり;
(iv)Xはアミノ酸DまたはNであり;
(v)Xはアミノ酸PまたはHであり;
(vi)Xはアミノ酸SまたはRであり;
(vii)Xはアミノ酸EまたはNであり;
(viii)Xはアミノ酸SまたはFであり;
(ix)Xはアミノ酸QまたはEであり;および/または
(x)X10はアミノ酸AまたはIである]
も同じく、株848917、848921、848922および848930において発現されるCB5配列中に存在する。
【0204】
配列番号58、60、62および64に対応する次のモチーフ:
a)QVWETLKEAIVAYTGLSPATFFTVLALGLAVYYVISGFFGTSDYGSH(配列番号58);
b)PVQVGEISEEELKQYDGSDSKKPLLMAIKGQIYDVSQSRMF(配列番号60);
c)LAKMSFEEKDLTGDISGLGPFELEALQDWEYKFMSKYVKVGTV(配列番号62);および
d)KPAEDGPSESQAD(配列番号64)
が、株848917および848921において発現されるCB5配列中に存在する。
【0205】
配列番号59、61、63および65に対応する次のモチーフ:
a)ELYWKAMEQIAWYTGLSPTAFFTILASMIFVFQMVSSMFVSPEEFNK(配列番号59);
b)AVQIGQLTEQQLRAYDGSDPNKPLLMAIKGQIYDVSSGRMF(配列番号61);
c)LALLSFKPEDITGNIEGLSEEELVILQDWEYKFMEKYVKVGEL(配列番号63);および
d)EHSENGHRNFEID(配列番号65)
が、株848922および848930において発現されるCB5配列中に存在する。
【0206】
配列番号54~57に対応する次のモチーフ:
a)アミノ酸配列ILRVSFRKYRKAIEQ(配列番号54);
b)アミノ酸配列RAFRPSIRFKKSHSTVPT(配列番号55);
c)アミノ酸配列KNTLYVGG(配列番号56);および/または
d)アミノ酸配列DQATQKHRSFGFVTFLEKED(配列番号57)
が、株848940において発現されるCB5配列中に存在する。
【0207】
表3. CB5を含む株によるモグロール産生
【表3】
【0208】
表3および図2Bに示すとおり、モグロール産生の増強をもたらす複数のCB5タンパク質が、このスクリーニングにおいて同定され、それらは、シトクロムP450酵素ならびにシトクロムP450レダクターゼパートナーと相互作用し得る。
[実施例2]
【0209】
ヤロウイア・リポリティカにおけるCB5タンパク質によるモグロール産生の増加
本実施例は、実施例1において同定された代表的ラカンカシトクロムb5タンパク質が、複数の細胞型でモグロール産生を増強することを確認するための、ヤロウイア・リポリティカでの試験を記載する。
【0210】
実施例1で同定された3つのCB5タンパク質(配列番号1、配列番号2および配列番号3に対応)、ならびに配列番号1および配列番号3の切断バージョン(配列番号318に対応)を、該タンパク質が、ヤロウイア・リポリティカでのモグロールまたはモグロシド産生を増強させるか否かを決定するために、ヤロウイア・リポリティカ宿主細胞において発現させた。
【0211】
1以上のコピーのCYP1798、CYP5491-T351M、AtCPR、SgCDSおよびEPH3を発現させるように、ならびにERG1の発現をアップレギュレートするように、ならびにERG7の発現をダウンレギュレートするように、2つの異なる宿主細胞ベース株を操作した。
【0212】
モグロール産生の増強に関して、CB5タンパク質を発現する株を試験するために、インビボプレートアッセイをLC-MS分析と組み合わせた。個々の遺伝子を担持するプラスミドを、モグロールを産生するヤロウイア・リポリティカ親株に形質転換し、その染色体に組み込んだ。株974137および1419596に対応する、何れのラカンカシトクロムb5タンパク質も欠く親株を、陰性対照として使用した。形質転換から得られた単一コロニーを、培養培地を含有する前培養として、30℃の振とう培養器中、1000rpmで96時間増殖させた。48時間後、前培養を産生培地に移し、30℃の振とう培養器中、1000rpmで96時間増殖させた。96時間後、有機溶媒を用いて培養を抽出し、産物形成をLC-MS分析により試験して、モグロールおよびモグロシド産生を評価した。LX2多重化カラム配置のThermo Scientific Q Exactive Focus MSを使用した。水中の12.5mM酢酸アンモニウム(pH8.0)泳動用緩衝液およびアセトニトリル勾配を用いるThermo Scientific Accucore PFPカラム(2.6μm、2.1mmX100mm)を、フルスキャンを使用するネガティブモードでの分離に使用した。最初に、質量に基づいて産物種を同定するために、ショート分析ランを行った。
【0213】
それぞれ、株994375および934903において発現させた、配列番号1に対応する配列、ならびに配列番号318に対応する配列を有する切断型CB5-trunc、を有するCB5タンパク質は、第1の株バックグラウンドにおいて、親株974137に比してモグロール産生を増加させることが観察された(表4および図3A)。
【0214】
第2の株バックグラウンドにおいて、それぞれ、株1338488、1338490および1338489において発現させた配列番号1、配列番号2または配列番号3に対応する配列を有するCB5タンパク質は、親株1419596に比してモグロール産生を増加させることが観察された(表4および図3B)。
【0215】
前記で考察した、配列番号47~49、50~52、58、60および62に対応するモチーフが、株994375、934903および1338490において発現されるCB5配列中に存在する。
【0216】
表4. CB5タンパク質を含むヤロウイア・リポリティカ株によるモグロール産生
【表4】
【0217】
表4および図3A~3Bに示すとおり、本実施例は、実施例1で同定された代表的CB5タンパク質、および実施例1で同定されたCB5タンパク質に対する類似性を共有する、CB5タンパク質の非天然型切断型は、ヤロウイア・リポリティカ宿主細胞におけるモグロール産生を増強できることを示し、その効果が、出芽酵母細胞に限定されないことを確認する。これらのデータは、同定されたCB5タンパク質が、宿主細胞において発現される異種経路との相互作用により、モグロール産生を増強できること、およびその効果が宿主依存性でないことを示す。
【0218】
表5. CB5配列の非限定的例
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【0219】
表6. CDSの非限定的例
【表6】
【0220】
表7. C11ヒドロキシラーゼ (P450)、シトクロムP450レダクターゼ、エポキシドヒドロラーゼ(EPH)およびスクアレンエポキシダーゼの非限定的例
【表7】
【0221】
表8. 本発明と関連するさらなる酵素の配列
【表8】
【0222】
等価物
当業者は、本明細書に記載する特定の本発明の実施態様の多くの等価物を認識するかまたは、常套的なものを超えない試験を使用して、確認できる。このような等価物は次の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0223】
本明細書に開示される特許文献を含む全引用文献は、全体として、特に本明細書で引用される開示について引用により本明細書に包含される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
【配列表】
2024510210000001.app
【国際調査報告】