(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】カミソリカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B26B 21/14 20060101AFI20240228BHJP
B26B 21/40 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B26B21/14 A
B26B21/40 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555562
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2022019118
(87)【国際公開番号】W WO2022192127
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】315017030
【氏名又は名称】エッジウェル パーソナル ケア ブランズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Edgewell Personal Care Brands, LLC
【住所又は居所原語表記】1350 Timberlake Manor Parkway, Chesterfield, MO 63017 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】ブラッター アラン
(72)【発明者】
【氏名】チェイセン ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ファーナルド クリストファー
(57)【要約】
カミソリカートリッジ(20)は、ガード(40)とキャップ(50)との間に刃取り付け領域(70)を有するハウジング(30)を有する。第1、第2、及び第3のカミソリ刃(80、90、100)は、刃取り付け領域に連続的に取り付けられる。オーバーガード(120)は、刃の上方に固定される。刃の刃先(82、92、102)は、定義されたような大きな鋭さを有する。刃は、刃先を支える各刃本部分と、第1及び第3の刃の刃先に接線方向である基準面(200)との間に低減された角度で取り付けられる。オーバーガードの個々の長手方向部材(150、160、170)は、各刃の上方にあり、カミソリカートリッジの前後方向で基準面より上方で漸減する高さ(H
1、H
2、H
3)を有する。さらなる長手方向部材(140)は、第1の刃の前方にあり、基準面より上方の高さを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カミソリカートリッジであって、
前部領域に設けられたガード(40)と、後部領域に設けられたキャップ(50)と、前記ガード(40)及び前記キャップ(50)を連結する対向する端部壁(60)とを有するハウジング(30)であって、前記ハウジング(30)は、前記ガード(40)と前記キャップ(50)との間に刃取り付け領域(70)を画定する、ハウジング(30)と、
各々が本明細書で定義されるような鋭さを有するそれぞれの刃先(82、92、102)を有する、前記ガード(40)に最も近い第1のカミソリ刃(80)、次の隣接する第2のカミソリ刃(90)、及び最後の第3のカミソリ刃(100)と、
前記第1のカミソリ刃(80)の前記刃先(82)及び前記第3のカミソリ刃(100)の前記刃先(102)に対して接線方向である基準面(200)であって、前記刃先(80、90、100)を支える刃体部分の各々は、前記基準面(200)に対して角度(A)である、基準面(200)と、
前記カミソリ刃(80、90、100)の上方に固定され、前記刃取り付け領域(70)に取り付けられ、前記第1のカミソリ刃(80)よりも前方の第1の長手方向部材(140)と、前記カミソリ刃(80、90、100)の上方にある第2、第3、及び第4の長手方向部材(150、160、170)とを含むオーバーガード(120)と、
を備え、
前記第2、第3、及び第4の長手方向部材(150、160、170)の各々は、前記基準面(200)より上方のそれぞれの高さ(H1、H2、H3)を有する、カミソリカートリッジ。
【請求項2】
前記オーバーガード(120)は、前記第1、第2、及び第3の長手方向部材(150、160、170)に前後方向に延びるスロット(122)を有する、請求項1に記載のカミソリカートリッジ(20)。
【請求項3】
前記オーバーガード(120)は、前記第1の長手方向部材(140)から前記第4の部材(170)まで延びる、前後方向のクロスリブ(180)をさらに含む、請求項1又は2に記載のカミソリカートリッジ(20)。
【請求項4】
前記カミソリ刃(80、90、100)の各々の前記刃先(82、92、102)は、本明細書で定義されるような約5-6.5Nの範囲の切断力の鋭さを有する、請求項1から3のいずれかに記載のカミソリカートリッジ(20)。
【請求項5】
前記角度(A)は、約20.5度である、請求項1から4のいずれかに記載のカミソリカートリッジ(20)。
【請求項6】
前記基準面(200)より上方の前記長手方向部材(150、160、170)の前記高さ(H1、H2、H3)は、前記カミソリカートリッジ(200)の前後方向で漸減する、請求項1から5のいずれかに記載のカミソリカートリッジ(20)。
【請求項7】
前記基準面(200)より上方の前記第2の長手方向部材(150)の前記高さ(H1)は、約0.287から0.212mmの範囲内にある、請求項1から6のいずれかに記載のカミソリカートリッジ(20)。
【請求項8】
前記基準面(200)より上方の前記第3の長手方向部材(160)の前記高さ(H2)は、約0.150から0.129mmの範囲内にある、請求項1から7のいずれかに記載のカミソリカートリッジ(20)。
【請求項9】
前記基準面(200)より上方の前記第4の長手方向部材(170)の前記高さ(H3)は、約0.039mmである、請求項1から8のいずれかに記載のカミソリカートリッジ(20)。
【請求項10】
前記基準面(200)より上方の前記第1の長手方向部材(140)の前記高さ(H0)は、前記基準面(200)より上方の前記第2の長手方向部材(150)の前記高さ(H1)と同じである、請求項1から9のいずれかに記載のカミソリカートリッジ(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に安全カミソリに関し、より詳細には、保護オーバーガードを有するカミソリカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一部のシェーバーのユーザーは、仮性毛包炎(PFB)及びにきびなどの皮膚疾患に悩まされている。このようなシェーバーのユーザーは、炎症を起こすことなく又は既往症を悪化させることなく、うまく髭を剃ることができるようにしたいと思っている。一部の他のユーザーは、むしろ、永久的な「5時の影(5 o’clock shadow)」がある外観を好み、この外観を維持するように髭を剃ることができるようにしたいと思っている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の目的は、オーバーガードを有するカミソリカートリッジを提供することによって、従来技術のカミソリカートリッジの制限を実質的に緩和することである。カミソリカートリッジは、ハウジングの前部領域のガードと、ハウジングの後部領域のキャップと、ガード及びキャップを連結する対向する端壁とを有するハウジングを有する。ハウジングは、ガードとキャップとの間に刃取り付け領域を画定する。第1、第2及び第3のカミソリ刃は、刃取り付け領域に連続的に取り付けられ、第1の刃は、ガードに最も近く、各カミソリ刃は、刃先を有する。基準面は、第1のカミソリ刃の刃先及び第3のカミソリ刃の刃先に対して接線方向であり、刃先を支える各刃本体部分は、基準面に対して所定の角度を成す。オーバーガードは、刃上方に固定され、第1の刃より前方にある第1の長手方向部材と、第1、第2、及び第3のカミソリ刃のそれぞれの上方にある第2、第3、及び第4の長手方向部材とを含む。各々の第1、第2、第3、及び第4の長手方向部材は、基準面より上方のそれぞれの高さを有する。
【0004】
一部の態様において、オーバーガードは、第1、第2、及び第3の長手方向部材に前後方向に延びるスロットを有する。この態様の一部の態様において、スロットは、カミソリカートリッジの前後方向に位置合わせされる。他の態様において、スロットは、省略することができる。
【0005】
一部の態様において、オーバーガードは、第1の長手方向部材から第4の長手方向部材まで延びる前後方向のクロスリブをさらに有する。
【0006】
一部の態様において、各カミソリの刃の刃先は、本明細書で定義されるような約5-6.5Nの範囲の切断力の鋭さを有する。
【0007】
一部の態様において、刃先を支える刃体部分と基準面との間の角度は、20.5度である。
【0008】
一部の態様において、基準面より上方の第2、第3、及び第4の長手方向部材の高さは、カミソリカートリッジの前後方向で漸減する。一部の態様において、基準面より上方の第2の長手方向部材の高さは、約0.287から0.212mmの範囲内にある。基準面より上方の第3の長手方向部材の高さは、約0.150から0.129mmの範囲内にある。基準面より上方の第4の長手方向部材の高さは、約0.039mmである。基準面より上方の第1の長手方向部材の高さは、基準面(200)より上方の第2の長手方向部材の高さと同じである。
【0009】
規定された方法で使用されるカミソリカートリッジは、典型的な深剃りをもたらさないが、十分な快適さをもたらす。上記の特徴及び利点は、添付の図面と併せて考慮する場合に、以下の詳細な説明を参照することでより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示のカミソリカートリッジの上部斜視図である。
【
図4】本開示の別のオーバーガードの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで図面、特に
図1を参照すると、カミソリカートリッジ20が示されている。カートリッジ20は、ハウジング30を有し、ハウジング30の前部領域にはガード40が設けられ、ハウジング30の後部領域にはキャップ50が設けられている。ガード40は、随意的に、図示するように、皮膚係合フィン、例えば、ゴム弾性フィンを備えることができる。本開示の文脈において、前部、前方、先頭など、及び、後部、後方、後続などの用語は、使用中のカミソリカートリッジ20の移動方向に対して使用される。長手方向という用語は、ハウジングの伸長方向32に対して使用される。ハウジングは、ガード40及びキャップ50を連結する対向する端壁60を有する。ハウジングは、ガード40とキャップ50との間に刃取り付け領域70(
図2を参照)を画定する。ガード40に最も近い第1のカミソリ刃80、第2の後続のカミソリ刃90、及び第3の最後部のカミソリ刃100は、刃取り付け領域70に取り付けられる。各カミソリ刃80、90、100は、それぞれの刃先82、92、102を有する(
図2及び
図3参照)。本開示のカートリッジ20には3つのカミソリ刃80、90、100が取り付けられるように記載されているが、この数量は限定されるべきではなく、より少ない(例えば、2つ)又はより多い(例えば、4つ、5つなど)カミソリ刃を有用に使用することができる。カートリッジ20の組立体の別個の構成部品であるオーバーガード120は、刃80、90、100上方に位置決めされる。保持具130、例えば、1又は2以上のアルミニウムクリップは、刃80、90、100及びオーバーガード120をハウジング30に保持するために、ハウジング30の周りに形成される。
図1に示す実施形態において、オーバーガード120の特定の要素は、皮膚係合面に毛-位置合わせスロット122を備える。スロット122は、幅0.8mm、深さ0.52mm、ピッチ1.6mmとすることができる。スロット122は、カートリッジ20の前後方向に配置すること又はオフセットすることができる。
【0012】
ハウジング30は、適切な熱可塑性ポリマーを射出成形することによって製造される。例えば、ハウジング30は、耐薬品性(通常使用される物質に対する)、耐衝撃性、及び寸法安定性を目的として、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)から形成することができる。
【0013】
オーバーガードは、引張係数1.4-210GPaの材料から製造される。例えば、オーバーガード120は、ABS又はPOMから射出成形することができる。オーバーガード120は、ダイキャスト亜鉛合金とすることができる。オーバーガード120は、例えば、穿孔工具で形成された(ステンレス)鋼とすること又は固形体を提供するために焼結される粒子状ステンレス鋼とすることができる。
【0014】
ここで
図2を参照すると、カートリッジ20の横断面が示されている。3枚刃カートリッジ20用のオーバーガード120は、本質的に4つの長手方向に延びる部材を備える。第1の部材140は、第1の刃80より前にあり、構造的(剛性的)利点をもたらす脚部142を有する。部材150、160、170は、それぞれ、3つの刃80、90、100の上方にあり、構造的(剛性的)利点が得られるようにそれぞれの脚部152、162、172を有する。
図1に戻ると、オーバーガード120は、さらなる構造的安定性の利点が得られるように、部材140から部材170まで延びる前後クロスリブ180を備える。
【0015】
図4において、別のオーバーガード120が示されており、
図1のスロット122が省略されている。
図4において、4つの長手方向に延びる部材の全ては、オーバーガード120の対向する伸長端部で相互連結されていることが分かる。
【0016】
ここで
図3を参照すると、
図2の詳細部分が示されている。基準面200は、第1及び最後の(例えば、第3の)刃80、100の刃先82、102に接線方向である。また、基準面200は、特にカミソリカートリッジが2つの刃を有する実施形態において、他方の(例えば、第2の)刃90の刃先92に接することができる。各刃先は、2.72mmに等しいスパンS1、S2だけ、基準面200に沿ったスパン寸法だけ離間する。各刃先82、92、102は、すぐ隣りで前方の長手方向部材140、150、160のそれぞれから、0.8-0.9mmの範囲の距離202、212、222だけ、それぞれ離間する。距離202、212、222は、それぞれの刃先からオーバーガード120の次の前方の皮膚係合接点まで測定される。長手方向部材150、160、170は、それぞれ、上方のそれぞれの皮膚係合面から基準面200まで、高さH1、H2、H3を有する。第1の長手方向部材140は、上部皮膚係合面から基準面200までの高さを有し、これは高さH1と等しい。刃80、90、100の各々は、刃先を支える刃本体部分が基準面200に対して約20.5度(例えば、19から21.5度の範囲)の値を有する角度Aであるように位置決めされる。角度Aは、基準面200と刃本体部分の一方の(すなわち、上部又は下部の)外面との間で画定すること、又は基準面200と刃本体部分の概念的中心面との間で(図示するように)画定することができる。この値は、多くの典型的な現代の湿式髭剃りカートリッジに見られる22-28度の範囲とすることができる角度よりもわずかに小さく、以下に説明するように、大きな鋭さの刃先と組み合わせて本装置において使用する場合に有益であることが分かっている。
【0017】
刃80、90、100の刃先82、92、102は、後述するように、典型的な現代の湿式髭剃りカートリッジに一般に見られるような従来の鋭さ、すなわち、約7から14Nを有することができ、切断力試験で測定した場合に約10-10.5Nの中央値を有する。より好ましくは、刃は、大きな鋭さ、例えば、約5-6.5Nを有する。切断力試験では、刃は、厚さ0.9mm、幅25.4mmの完全水飽和WHATMANセルロースクロマトグラフ紙を垂直に(切断される媒体に対して)15回切断する。切断速度は、15mm/minであり、紙への切り込み深さは、0.8mmである。上記の鋭さの切断力は、切断番号7から切断番号9の平均プラトー力である。
【0018】
実験装置において、以下の高さH1、H2、H3を有するカートリッジを評価した。
(表)
【0019】
H1、H2、H3の値は、カートリッジの前後方向で漸減する。制御された髭剃り試験において、本開示の出願人らは、「より鋭い」刃先、加えて、基準面に対する「低減された」刃本体角度、加えて、(例えば、例2及び例1の)基準面より上方のより大きなオーバーガード長手方向部材の高さの組み合わせによって、PFBに悩む人達に利益がもたらされ、また、ユーザーの永久的な「5時の影」の外観を目的とする、制御されたひげ長さトリミングが可能になることを見出している。
【0020】
以上、様々な実施形態を説明してきたが、これらは単に例示的に提示され、非限定的であることを理解されたい。例えば、特許請求の範囲及び何らかの1つの実施形態に関連して開示した特徴の範囲内で行うことができる修正又は変更は、単独で又は他のそれぞれの実施形態の各特徴と組み合わせて使用することができる。従って、何らかの実施形態の外延及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されず、以下の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0021】
30 ハウジング
40 ガード
50 キャップ
60 端部壁
70 刃取り付け領域
82 刃先
92 刃先
102 刃先
80 第1のカミソリ刃
90 第2のカミソリ刃
100 第3のカミソリ刃
120 オーバーガード
140 第1の長手方向部材
150 第2の長手方向部材
160 第3の長手方向部材
170 第4の長手方向部材
200 基準面
【国際調査報告】