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特表2024-510234可動ドアまたは窓用の磁気ロックシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】可動ドアまたは窓用の磁気ロックシステム
(51)【国際特許分類】
   E05C 1/04 20060101AFI20240228BHJP
   E05C 9/10 20060101ALI20240228BHJP
   E05C 19/16 20060101ALI20240228BHJP
   E05C 17/56 20060101ALI20240228BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
E05C1/04 D
E05C9/10
E05C19/16 Z
E05C17/56
E05D15/06 119
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556559
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 IB2022052417
(87)【国際公開番号】W WO2022195526
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2021/5203
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358741
【氏名又は名称】レンソン、サンプロテクション、スクリーンズ、ナムローゼ、フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】RENSON SUNPROTECTION SCREENS NV
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】スティン、コルパート
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン、バンデンドリーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト、ベンヤミン、レナート、ド、フレーヌ
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034BA01
2E034CA01
2E034EA03
(57)【要約】
本発明は、ドアまたは窓等の可動物体をフレームに固定するための手段および方法に関する。特に、本発明は、可動物体をフレームに解除可能に装着するように構成された磁気ロックシステムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動ドアまたは窓等の可動物体(10)をフレーム(20)に解除可能に固定するための磁気ロックシステム(50)であって、
‐前記フレーム(20)に装着される少なくとも1つのストッパ要素(200)と、
‐前記可動物体(10)に装着される少なくとも1つのブロック部材(100)であって、
〇前記ブロック部材(100)が妨げられることなく前記ストッパ要素(200)を過ぎて移動可能であるように構成された後退状態と、
〇前記ブロック部材(100)が前記ストッパ要素(200)まで移動した場合に、前記ブロック部材(100)を前記ストッパ要素(200)に固定するように構成された延出状態と、
の間で移動するように構成されたブロック部材(100)と、
‐前記可動物体(10)に装着されるとともに前記ブロック部材(100)に接続するロック機構(30)であって、
〇第1状態において、前記ブロック部材(100)を非接続にしてこれを前記延出状態まで移動させるように、
〇第2状態において、前記ブロック部材(100)を前記後退状態にする、および/または前記後退状態に保持するように、
選択的に構成されるロック機構(30)と、
を備え、
前記ブロック部材(100)は磁石を備え、前記ストッパ要素(200)は磁気吸着材料を備え、および/またはこの逆であり、前記延出状態において、前記磁気吸着材料に対する前記磁石の吸着力により、前記ブロック部材(100)が前記ストッパ要素(200)に固定されるように構成される、
磁気ロックシステム(50)において、
前記ロックシステム(50)は、前記フレーム(20)に対する前記可動物体(10)の移動をもたらすように構成された移動機構(40)をさらに備え、
前記移動機構(40)は、前記ブロック部材(100)を装着するための第1開口と前記ブロック部材(100)に接続する張力ケーブル(310)を装着するための第2開口とを有する通路(410)を有するホルダ(400)を備え、
前記ホルダ(400)は、前記移動機構(40)と前記可動物体(10)との間に装着される、
ことを特徴とする磁気ロックシステム(50)。
【請求項2】
前記ロック機構(30)は、
‐前記ブロック部材(100)に接続する一端部を有する張力ケーブル(310)と、
‐前記張力ケーブル(310)に作用することにより、前記ロック機構(30)を前記第1状態と前記第2状態との間で選択的に切り替えるように構成されたロック部品と、
をさらに備える、
請求項1に記載のロックシステム。
【請求項3】
前記移動機構(40)は前記フレーム(20)内で移動する、
請求項1または2に記載のロックシステム。
【請求項4】
前記ストッパ要素(200)は、前記延出状態にある前記ブロック部材(100)を挿入して機械的に固定するように構成された凹部(210)を備える、
請求項1~3の一項に記載のロックシステム(50)。
【請求項5】
前記ロックシステム(50)は、複数のストッパ要素(200)、例えば2つまたは3つのストッパ要素(200)を備え、
前記ストッパ要素(200)は、前記フレーム(20)の前記長さに沿って種々の位置に、好適には互いから等距離をおいて装着されることにより、前記可動物体(10)は、前記フレーム(20)の前記長さに沿って種々の位置でロックされ得る、
請求項1~4の一項に記載のロックシステム(50)。
【請求項6】
前記ロック機構(30)は、
‐一端部において前記ブロック部材(100)に接続する張力ケーブル(310)であって、前記ブロック部材(100)の前記延出状態への前記移動を制限するように構成された張力ケーブル(310)と、
前記ブロック部材(100)を前記後退状態にクランプすることにより前記張力ケーブル(310)に張力を付与するように構成された張力機構(320)と、
‐前記張力ケーブル(310)に作用することにより、前記ロック機構(30)を前記第1状態と前記第2状態との間で選択的に切り替えるように構成されたロック部品と、
を備える、
請求項1~5の一項に記載のロックシステム(50)。
【請求項7】
前記ロック部品は、前記張力ケーブル(310)が延びる少なくとも1つ、好適には少なくとも2つの開口が設けられた枢動体(330)を備え、
前記枢動体(330)の回転により、前記張力ケーブル(310)が少なくとも部分的に曲がるように構成される、
請求項6に記載のロックシステム(50)。
【請求項8】
前記ロック機構(30)は、前記ブロック部材(100)と前記枢動体(330)との間に配置された、前記張力ケーブル(310)を支持するための支持要素(350)を備え、前記支持要素(350)では、好適には前記張力ケーブル(310)が開口またはスロットを通る、
請求項7に記載のロックシステム(50)。
【請求項9】
前記ロック機構(30)は、前記枢動体(330)に連結されたハンドル(340)であって、前記枢動体(330)を選択的に回転させるように構成されたハンドル(340)を備える、
請求項7または8の一項に記載のロックシステム(50)。
【請求項10】
前記張力ケーブル(310)は、一端部において第1の好適には上方のブロック部材(100)に接続するとともに、別の端部において第2の好適には下方のブロック部材(100)に接続する、
請求項6~9の一項に記載のロックシステム(50)。
【請求項11】
前記ロックシステム(50)は、前記フレーム(20)における前記可動物体(10)の移動をもたらすように構成された移動機構(40)をさらに備え、
前記移動機構(40)は、前記ブロック部材(100)を装着するための第1開口と前記張力ケーブル(310)を装着するための第2開口とを有する通路(410)を有するホルダ(400)を備え、
前記ホルダ(400)は、前記移動機構(40)と前記張力機構(320)との間に装着される、
請求項6~10の一項に記載のロックシステム(50)。
【請求項12】
前記張力機構(320)は、前記ホルダ(400)を前記移動機構(40)に対してクランプするように構成されたクランプバネ等のバネシステム(325)を備える、
請求項11に記載のロックシステム(50)。
【請求項13】
前記張力機構(320)は、前記バネシステム(325)および/または前記バネシステム(325)に接続する接続ピース(326)に対して開口する挿入スロット(321)を備え、
前記ホルダ(400)は、当該挿入スロット(321)に挿入可能なストッパ(420)を備え、
好適には、前記ストッパ(420)は、フランジを形成する、
請求項12に記載のロックシステム(50)
【請求項14】
前記張力機構(320)は、前記張力機構(320)の最大張力範囲を制御することにより前記張力機構(320)と前記移動機構(40)との間の前記距離を調節するように構成されたアジャスタ(327)を備え、
好適には、前記アジャスタ(327)は、回動時に前記バネシステム(325)および/または前記接続ピース(326)に作用するボルト等の回転可能な要素を備える、
請求項11~13の一項に記載のロックシステム(50)。
【請求項15】
‐フレーム(20)、および前記フレーム(20)に移動可能に装着される可動ドアまたは窓等の可動物体(10)と、
‐前記可動物体(10)を前記フレーム(20)に解除可能に固定するための請求項1~14の一項に記載の磁気ロックシステム(50)と、
を備える、可動ドアまたは窓用のアセンブリ。
【請求項16】
可動物体をフレームに解除可能に固定するための請求項1~14の一項に記載の磁気ロックシステムを組み立てるための方法であって、
(a)前記フレームに移動可能に装着されるように構成された前記可動物体を提供するステップであって、前記可動物体はロック機構を備えるステップと、
(b)少なくとも1つのストッパ要素を前記フレームの上部および/または下部に装着するステップと、
(c)前記フレーム(20)に対する前記可動物体(10)の移動をもたらすように構成された移動機構(40)であって、前記ブロック部材(100)を装着するための第1開口と前記ブロック部材(100)に接続する張力ケーブル(310)を装着するための第2開口とを有する通路(410)を有するホルダ(400)を備える移動機構(40)を装着し、前記ホルダ(400)を前記移動機構(40)と前記可動物体(10)との間に装着するステップと、
(d)張力ケーブルを前記ロック機構に装着するステップと、
(e)ブロック部材を前記可動物体の対応する前記上部および/または下部に装着し、前記ブロック部材を前記張力ケーブルに接続するステップと、
を備える方法。
【請求項17】
可動物体をフレームに、好適には前記フレームに対する前記可動物体の2つ以上の異なる位置において解除可能に固定するための請求項1~14の一項に記載の磁気ロックシステムの使用。
【請求項18】
居住スペースを閉鎖するためのパーテーション、壁、ドア、窓、好適には摺動ドアまたは摺動窓としての、請求項15に記載のアセンブリの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアまたは窓等の可動物体をフレームに固定するための手段および方法に関する。特に、本発明は、可動物体をフレームに解除可能に固定するように構成された磁気ロックシステムを提供する。
【背景技術】
【0002】
摺動ドアまたは窓を支持するシステムは、ガイドを設けられた固定フレームからなる。摺動ドアまたは窓は、例えばベアリングまたはローラによりガイド上を摺動往復することができる。フレームの一側において、摺動ドアまたは窓をロックするロック機構が装着され得る。最近の摺動ドアまたは窓では、フックロックが選択されることが多い。これにより、ドアがフレームにフック留めされ得る。典型的なフックロックは、フレームの内壁に装着されたロック機構に係合可能なフック部が設けられた可動部品からなる。
【0003】
他の種類のロック機構も存在するが、どれを選択しても、一般的に使い勝手と柔軟性に欠ける。ユーザは、ロック機構が操作可能となる前に、最初にドアを完全に閉めなければならない。最近の装置では、例えば複数の摺動ドアまたは窓が互いに接続している場合、ドアまたは窓をガイドに沿った種々の位置で固定することが有利である。
【0004】
柔軟なロックは、例えば複数のロック機構をフレームに設けることで達成され得るが、この場合、ユーザは、開口がロック機構の可動部品と重なる正しいドアまたは窓の位置を繰り返し探す必要がある。このような動作を行うことは、ユーザにとって非常に望ましくない。また、これにより、システムが複雑になり、コストアップにつながる。
【0005】
CN102797395Aから、通信機器のハウジング用のドアロックシステムが知られている。このドアロックシステムは、ドアに面する溝、ドアフレームまたは単にフレーム、ドアの周縁の周りに装着された4つの磁石を備えている。ドアロックシステムは、ドアの周縁の対応する位置に装着された4つの対応する伸縮可能なブロックを備えている。ハンドルに接続したそれぞれのケーブルを締めることで伸縮可能なブロックを後退位置に保持することにより、ドアをドアフレームに配置することができる。ドアをドアフレームに配置してドアの伸縮可能なブロックをドアフレームのドアに対面する溝に位置合わせさせた後、ケーブルによりブロックが摺動し得るようにハンドルを操作することによって、4つの伸縮可能なブロックをドアフレームの溝において一緒に移動させることができる。そして、伸縮可能なブロックは、これらの伸縮可能なブロックの反対側に配置された磁石により、ドアフレームの溝内に吸着されて保持される。
【0006】
このようなシステムの欠点は、伸縮可能なブロックがドアフレームの溝に進入するように、まずドアをドアフレームに対して位置合わせさせる必要があることである。この位置合わせの間、ブロックを後退位置に維持するようにハンドルを作動させたままにしなければならない。ブロックと溝との位置合わせが完了してから、初めてハンドルを作動解除してブロックをドアフレームの溝に摺動させることができる。すべてのブロックを1つのハンドルで操作できるとはいえ、4つのブロックすべてをドアフレームの溝に正確に位置合わせさせるには、複雑で正確な操作が必要である一方で、オペレータは、この位置合わせが達成されるまで、ハンドルをずっと完全に作動位置に維持し続けなければならない。
【0007】
必要とされる位置合わせを理由として、確実で堅固な閉鎖を達成することは困難である。または、ブロックと溝との正確な位置合わせが必要であるため、位置合わせの精度が不十分であれば、ブロックが溝に進入しない恐れがある。または、十分に大きな公差を設けなければならないため、閉鎖状態において、ドアが過度に往復し得る、例えば、強風負荷の下で、望ましくない動きをする恐れがある。これにより、変形および/またはガタツキのような望ましくない音が生じ得る。また、このようなハウジングのドアは、ドアフレーム内に1つの位置においてしか導入できず、ドアロックにより、ドアフレーム内の1つの位置、すなわちドアがドアフレームを完全に閉鎖する閉鎖位置においてしか固定できないことが明瞭である。また、ハウジングのこのようなドアは、取り外し可能なアクセスドアまたはカバーに関するものであって、摺動ドアやヒンジドアに関するものではないことも明瞭である。最後に、閉鎖状態において、可動ブロックは、ドアの周縁とドアフレームとの間のスペースを介してアクセス可能なままであるため、可動ブロックの望ましくない動作を防止することは困難である。例えば、ドアをロック解除する許容されないアクセスを防止することは困難である。
【0008】
WO2014/094071A1は、ドアを閉鎖位置にあるドアフレームにロックするためのロック機構について記載している。ロック機構は、ドアの上部および下部に伸縮可能な磁性ボルトを備えている。ドアの閉鎖位置において、これらの磁性ボルトは、ドアの周縁を囲むドアフレームの強磁性ブロックに、位置合わせされる。磁気吸引力により、この位置合わせ状態に達するとすぐに、伸縮可能な磁性ボルトは、ドアフレームにおける強磁性ブロックに対してロック位置までドアから押し出される。伸縮可能な磁性ボルトにケーブルで接続したハンドルにより、ボルトをそれらの後退位置まで戻すことができる。換言すれば、このハンドルを作動させると、伸縮可能な磁性ボルトと強磁性ブロックとの連結が、再び解除される。ドアフレームにおいて、強磁性ブロックの高さに、磁性ボルトが強磁性ブロックまで貫通可能なチャネルが設けられて、ドアは閉鎖位置にロックされる。ここでも、ロックをもたらすために必要な位置合わせを理由として、以下の欠点が存在する。すなわち、確実で堅固な閉鎖を達成することは困難である。または、伸縮可能な磁性ボルトと強磁性ブロック用のチャネルとの正確な位置合わせが必要であるため、十分に正確でない位置合わせによりロックができない恐れがある。または、十分に大きな公差を設けなければならないため、閉鎖状態では、ロック状態において過度のクリアランスが生じる恐れがあり、その結果、例えば望ましくない移動、変形または望ましくない音が生じる。ドアフレーム上の1つの位置、すなわちドアがドアフレームのストッパに対して最も外側の位置に配置される閉鎖位置においてしか、ドアをロックできないことがここでも明瞭である。上述と同様に、ここでも、閉鎖状態において、伸縮可能な磁性ボルトは、ドアの周縁とドアフレームとの間のスペースを介してアクセス可能なままであるため、ドアを閉じる際に伸縮可能な磁性ボルトが好ましくなく操作されてドアが許可なくロック解除されることを防止するように、複雑な連結システムを、ケーブルが伸縮可能な磁性ボルトに接続する高さに設ける必要がある。
【0009】
US2020/0048934A1において、磁性的にトリガされるロック機構が記載されている。ドアフレーム内の磁石がドアの周縁のロック機構における磁石と位置合わせされると、ドアフレーム内の磁石は、事前に張力を付与された伸縮可能なボルトをトリガして、後退位置から延出位置に移動させる。延出位置において、ボルトはドアフレーム内の対応する開口に係合してドアがロックされる。ハンドルは、ケーブルにより、伸縮可能なボルトを後退クランプ位置に戻すことができる。しかしながら、このハンドルは、ドアがドアフレームにおける磁性トリガから十分に離れるまで、伸縮可能なボルトをクランプ位置に維持しなければならない。ここでも、ロックをもたらすために必要な位置合わせを理由として、以下の欠点が存在する。すなわち、確実で堅固な閉鎖を達成することは困難になる。または、伸縮可能なボルトと開口とドアフレームにおける磁性トリガとの正確な位置合わせを達成することが必要であるため、十分に正確でない位置合わせによりロックができない恐れがある。または、十分に大きな公差を設けなければならないため、閉鎖状態では、ロック状態において過度のクリアランスが生じる恐れがあり、その結果、例えば望ましくない移動、変形または望ましくない音が生じる。またここでも、ドアフレーム上の1つの位置、すなわち、ドアがドアフレームのストッパに対して最も外側の位置に配置される閉鎖位置においてしか、ドアをロックできないことが明瞭である。上述と同様に、ロック状態において、伸縮可能なボルトは、ドアの周縁とドアフレームとの間のスペースを介してアクセス可能なままであるため、ドアを閉じる際に伸縮可能なボルトが好ましくなく操作されてドアが許可なくロック解除されることを防止するように、複雑な連結システムをケーブルが伸縮可能なボルトに接続する高さに設ける必要がある。
【0010】
したがって、従来技術の欠点を是正する新規で改良されたロック機構の開発が必要とされている。特に、複雑な操作および/または追加部品を必要とせずに、ユーザが摺動ドアまたは窓をフレームに単純かつ使い勝手よく固定できる柔軟なロック機構が必要とされている。また、より堅固で確実なロックを可能にするこの種のロック機構が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
上述の従来技術のニーズおよび欠点に対処すべく、本件発明者らは、摺動ドアまたは窓を支持するシステムのための方法および手段を開発した。特に、本発明は、フレームの摺動ガイドに配置される摺動ドアまたは窓等の可動物体を固定するための磁気ロックシステムに関する。ロックシステムは、物体の上部または下部がフレームの摺動ガイドに固定される片側構造用、または物体の上部および下部の両方が固定される両側構造用に構成され得る。
【0012】
本発明の一態様は、可動ドアまたは窓等の可動物体をフレームに解除可能に固定するための磁気ロックシステムであって、前記フレームに装着される少なくとも1つのストッパ要素と、前記可動物体に装着される少なくとも1つのブロック部材であって、前記ブロック部材が妨げられることなく前記ストッパ要素を過ぎて移動可能であるように構成された後退状態と、前記ブロック部材が前記ストッパ要素まで移動した場合に、前記ブロック部材を前記ストッパ要素に固定するように構成された延出状態と、の間で移動するように構成されたブロック部材と、前記可動物体に装着されるとともに前記ブロック部材に接続するロック機構であって、第1状態において、前記ブロック部材を前記後退状態にする、および/または前記後退状態に維持するように、第2状態において、前記ブロック部材を非接続にしてこれを前記延出状態まで移動させるように、選択的に構成されるロック機構と、を備え、前記ブロック部材は磁石を備え、前記ストッパ要素は磁気吸着材料を備え、および/またはこの逆であり、前記延出状態において、前記磁気吸着材料に対する前記磁石の吸着力により、前記ブロック部材が前記ストッパ要素に固定されるように構成される、磁気ロックシステムに関する。
【0013】
本発明の一態様によれば、
可動ドアまたは窓等の可動物体をフレームに解除可能に固定するための磁気ロックシステムであって、
‐前記フレームに装着される少なくとも1つのストッパ要素と、
‐前記可動物体に装着される少なくとも1つのブロック部材であって、
〇前記ブロック部材が妨げられることなく前記ストッパ要素を過ぎて移動可能であるように構成された後退状態と、
〇前記ブロック部材が前記ストッパ要素まで移動した場合に、前記ブロック部材を前記ストッパ要素に固定するように構成された延出状態と、
の間で移動するように構成されたブロック部材と、
‐前記可動物体に装着されるとともに前記ブロック部材に接続するロック機構であって、
〇第1状態において、前記ブロック部材を非接続にしてこれを前記延出状態まで移動させるように、
〇第2状態において、前記ブロック部材を前記後退状態にする、および/または前記後退状態に維持するように、
選択的に構成されるロック機構と、
を備え、
前記ブロック部材は磁石を備え、前記ストッパ要素は磁気吸着材料を備え、および/またはこの逆であり、前記延出状態において、前記磁気吸着材料に対する前記磁石の吸着力により、前記ブロック部材が前記ストッパ要素に固定されるように構成される、
磁気ロックシステムにおいて、
前記ロックシステムは、前記フレームに対する前記可動物体の移動をもたらすように構成された移動機構をさらに備え、
前記移動機構は、前記ブロック部材を装着するための第1開口と前記ブロック部材に接続する張力ケーブルを装着するための第2開口とを有する通路を有するホルダを備え、
前記ホルダは、前記移動機構と前記可動物体との間に装着される、
ことを特徴とする磁気ロックシステムが提供される。
【0014】
このようにして、移動機構によりフレーム内でのストッパ要素に対する可動物体の位置合わせが改善されるため、堅固で確実なロックが達成され得る。また、移動機構のホルダはブロック部材を保護するため、フレームと可動物体との間のスペースを介した望ましくない操作が防止される。
【0015】
好適な実施形態によれば、前記ロック機構は、
‐一端部において前記ブロック部材に接続する張力ケーブルと、
‐前記張力ケーブルに作用することにより、前記ロック機構を前記第1状態と前記第2状態との間で選択的に接続するように構成されたロック部品と、
をさらに備えるロックシステムが提供される。
【0016】
このタイプのロック機構は、製造が単純である。
【0017】
好適な実施形態によれば、前記移動機構は前記フレーム内で移動するロックシステムが提供される。特に可動物体が摺動窓または摺動ドアを備える特定の実施形態によれば、フレームは、摺動ドアまたは摺動窓の移動方向において延びる、摺動ドアまたは摺動窓用の細長いガイドプロファイルを備える、またはこれから構成される。
【0018】
このようにして、移動機構により、ブロック部材とストッパ要素との良好な位置合わせが単純な態様で達成され得る。また、ブロック部材の可動部は、ホルダおよびフレームにより保護される。
【0019】
好適な実施形態において、少なくとも1つのブロック部材は、可動物体の上部および/または下部に装着され、少なくとも1つのストッパ要素は、フレームの対応する上部および/または下部に装着される。
【0020】
好適な実施形態において、少なくとも1つのブロック部材は、可動物体の上方外壁および/または下方外壁に装着され、少なくとも1つのストッパ要素は、フレームの対応する上方内壁および/または下方内壁に装着される。
【0021】
好適な実施形態において、ロックシステムは、少なくとも2つのブロック部材を備える。第1の上方ブロック部材は、可動物体の上部に装着され、第2の下方ブロック部材は、可動物体の下部に装着される。少なくとも2つのストッパ要素は、これに対応して、フレームの上部および下部において、好適には対向する位置に装着される。
【0022】
好適な実施形態において、ロックシステムは、少なくとも2つのブロック部材を備える。第1の上方ブロック部材は、上方外壁に装着され、第2の下方ブロック部材は、可動物体の下方外壁に装着される。少なくとも2つのストッパ要素は、これに対応して、フレームの上方内壁および下方内壁において、好適には対向する位置に装着される。
【0023】
好適な実施形態において、前記ストッパ要素は、前記延出状態にある前記ブロック部材を挿入して機械的に固定するように構成された凹部を備える。
【0024】
特定の実施形態によれば、凹部を有するストッパ要素は、好適には、磁気吸着材料を有する縁部が凹部の周囲に、可動物体の移動方向において位置するとともに、ストッパ要素からの凹部よりも可動物体から小さい距離をおいて位置するように装着される。好適な実施形態によれば、この縁部は、凹部よりもブロック部材に近い。
【0025】
これにより、ブロック部材がストッパ要素まで届かなければならない距離が、凹部からの距離よりも小さくなるという利点が得られる。
【0026】
好適な実施形態によれば、ストッパ要素は、フレームに沿った可動物体の移動によりブロック部材が凹部の方向においてさらに移動する際、既にストッパ要素に磁気的に吸着されて凹部に到達したブロック部材が、ストッパ要素に対する磁気吸着力に基づいて凹部に進入するように構成される。
【0027】
これにより、さらに迅速で確実かつ堅固な接続という利点が得られる。なぜならば、ブロック部材がこの延出状態まで届かなければならない追加距離は、完全なる後退状態と完全なる延出状態との間の距離よりも制限されているからである。
【0028】
好適な実施形態によれば、ブロック部材とストッパ要素との接続は、可動物体の移動のみにより、換言すれば、さらなる動作や操作を必要とせずに達成される。
【0029】
好適な実施形態によれば、ストッパが凹部に対向して配置されている場合、後退状態にあるブロック部材の凹部までの距離は非常に大きいため、ブロック部材は、第1の非接続状態から磁気吸引力に基づいてストッパまで移動しない。これにより、単純なロック機構を使用できるという利点が得られる。ブロック部材を後退位置に維持し、そして可動物体をこのストッパにより決められたフレーム内の位置から移動させ得る手段が必ずしも必要ない、またはロック機構の正しいさらなる動作が必要である。
【0030】
好適な実施形態において、前記ロックシステムは、複数のストッパ要素、例えば2つのストッパ要素を備え、前記ストッパ要素は、前記フレームの前記長さに沿って種々の位置に、好適には互いから等距離をおいて装着されることにより、前記ブロック部材は過ぎてまたは迄移動できる。このような実施形態によれば、ストッパ要素は、可動物体がフレームの長さに沿った種々の位置でロックされ得るように装着されることが明瞭である。
【0031】
好適な実施形態において、前記ロック機構は、一端部において前記ブロック部材に接続する張力ケーブルであって、前記ブロック部材の前記延出状態への前記移動を制限するように構成された張力ケーブルと、前記ブロック部材を前記後退状態にクランプすることにより前記張力ケーブルを張力下で維持するように構成された張力機構と、前記張力ケーブルに作用することにより、前記ロック機構を前記第1状態と前記第2状態との間で選択的に接続するように構成されたロック部品と、を備える。
【0032】
好適な実施形態において、張力ケーブルは、一端部において第1の好適には上方のブロック部材に接続し、別の端部において第2の好適には下方のブロック部材に接続する。好適な実施形態において、ロックシステムは、前記張力ケーブルが延びる少なくとも1つの開口が設けられた枢動体を備え、前記枢動体の回転により、前記張力ケーブルが曲がることによりブロック部材を後退状態まで移動させるように構成される。
【0033】
好適な実施形態において、前記ロック機構は、前記ブロック部材と前記枢動体との間に配置された、前記張力ケーブルを支持するための支持要素を備え、前記支持要素では、好適には前記張力ケーブル開口またはスロットを通る。
【0034】
好適な実施形態において、前記ロック機構は、前記枢動体に連結されたハンドルであって、前記枢動体を回転させるように構成されたハンドルを備える。
【0035】
好適な実施形態において、ハンドルは、ハンドルの動作をブロックするように構成されたブロック機構を備える。
【0036】
好適な実施形態において、前記ロックシステムは、前記フレームにおける前記可動物体の移動をもたらすように構成された移動機構を備え、前記移動機構は、前記ブロック部材を装着するための第1開口と前記張力ケーブルを装着するための第2開口とを有する通路を有するホルダを備え、前記ホルダは、前記移動機構と前記張力機構との間に装着される。
【0037】
好適な実施形態において、前記張力機構は、前記ホルダを前記移動機構に対してクランプするように構成されたクランプバネ等のバネシステムを備える。
【0038】
好適な実施形態において、前記張力機構は、前記バネシステムおよび/または前記バネシステムに接続する接続ピースに対して開口する挿入スロットを備え、前記ホルダは、当該挿入スロットに挿入可能なストッパを備える。好適な実施形態において、前記ストッパは、フランジである。
【0039】
好適な実施形態において、前記張力機構は、前記張力機構の最大張力範囲を制御することにより前記張力機構と前記移動機構との間の前記距離を調節するように構成されたアジャスタを備える。
【0040】
好適な実施形態において、前記アジャスタは、回動時に前記バネシステムおよび/または前記接続ピースに作用するボルト等の回転可能な要素を備える。
【0041】
本発明の一態様は、フレーム、および前記フレームに移動可能に配置される可動ドアまたは窓等の可動物体と、前記可動物体を前記フレームに、好適には前記フレームに対する前記可動物体の2つ以上の異なる位置において解除可能に固定するための本明細書に記載の磁気ロックシステムと、を備える、ドアまたは窓支持システムに関する。
【0042】
本発明の一態様は、バルコニー、ベランダ、またはテラス等の居住スペースを閉鎖するためのパーテーション、壁、ドア、窓、または閉鎖体、好適には摺動ドアまたは摺動窓としての、本明細書に記載のドアまたは窓支持システムの使用に関する。
【0043】
本発明の一態様は、
‐フレーム、および前記フレームに移動可能に装着される可動ドアまたは窓等の可動物体と、
‐前記可動物体を前記フレームに解除可能に固定するための本発明の一態様による磁気ロックシステムと、
を備える、可動ドアまたは窓用のアセンブリに関する。
【0044】
本発明の一態様によれば、可動物体をフレームに解除可能に固定するための本発明の一態様による磁気ロックシステムを組み立てるための方法であって、
(a)前記フレームに移動可能に装着されるように構成された前記可動物体を提供するステップであって、前記可動物体はロック機構を備えるステップと、
(b)少なくとも1つのストッパ要素を前記フレームの上部および/または下部に装着するステップと、
(c)前記フレーム(20)に対する前記可動物体(10)の移動をもたらすように構成された移動機構(40)であって、前記ブロック部材(100)を装着するための第1開口と前記ブロック部材(100)に接続する張力ケーブル(310)を装着するための第2開口とを有する通路(410)を有するホルダ(400)を備える移動機構(40)を装着し、前記ホルダ(400)を前記移動機構(40)と前記可動物体(10)との間に装着するステップと、
(d)張力ケーブルを前記ロック機構に装着するステップと、
(e)ブロック部材を前記可動物体の対応する前記上部および/または下部に装着し、前記ブロック部材を前記張力ケーブルに接続するステップと、
を備える方法が提供される。
【0045】
本発明の一態様によれば、可動物体をフレームに解除可能に固定するための本発明の一態様による磁気ロックシステムの使用が提供される。
【0046】
好適な実施形態によれば、可動物体は、好適には、前記フレームに対する前記可動物体の2つ以上の異なる位置において解除可能に固定される。
【0047】
本発明の特徴をより良く説明するために、本発明のいくつかの好適な実施形態を、限定することなく添付図面に示す。
【0048】
以下の符号番号が、図面、特許請求の範囲、および実施例を通じて採用される;磁気ロックシステム(50);可動物体(10);ブロック部材(100);フレーム(20);ストッパ要素(200);凹部(210);装着要素(220);ロック機構(30);張力ケーブル(310);張力機構(320);挿入スロット(321);バネシステム(325);接続ピース(326);アジャスタ(327);装着要素(328);枢動体(330);ハンドル(340);支持要素(350);移動機構(40);ホルダ(400);開口(410);ストッパ(420);ローラ(450)。図面および参照符号は、実施例1において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、本明細書で説明する磁気ロックシステム(50)の斜視図である。
図2図2は、本明細書で説明する磁気ロックシステム(50)の断面図である。
図3図3は、本明細書で説明する磁気ロック機構(30)の斜視図である。
図4図4は、本明細書で説明する磁気ロック機構(30)の分解図である。
図5A図5Aは、本明細書で説明する移動機構(40)の斜視図である。
図5B図5Bは、本明細書で説明する移動機構(40)の上面図である。
図5C図5Cは、本明細書で説明する移動機構(40)の断面側面図である。
図6A図6Aは、本明細書で説明するホルダ(400)の斜視図である。
図6B図6Bは、本明細書で説明するホルダ(400)の上面図である。
図6C図6Cは、本明細書で説明するホルダ(400)の断面側面図である。
図7A図7Aは、本明細書で説明するストッパ要素(200)の斜視図である。
図7B図7Bは、本明細書で説明するストッパ要素(200)の上面図である。
図7C図7Cは、本明細書で説明するストッパ要素(200)の断面側面図である。
図8A図8Aは、本明細書で説明する張力機構(320)の斜視図である。
図8B図8Bは、本明細書で説明する張力機構(320)の上面図である。
図8C図8Cは、本明細書で説明する張力機構(320)の断面側面図である。
図9図9は、代替実施形態の図2と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明によるシステムおよび方法について説明する前に、本発明は、説明された特定のシステムおよび方法または組み合わせに限定されないことを理解すべきである。なぜならば、このようなシステムおよび方法ならびに組み合わせは当然ながら変化し得るからである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、限定を意図するものではないことを明確に理解すべきである。
【0051】
本明細書で引用されるすべての文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0052】
以下に本文中で使用される場合、単数形は、文脈が明瞭に異なる場合を除き、単数形および複数形の両方を含む。
【0053】
以下で使用される「備える」は、「含む」または「包含する」と同義であり、包括的またはオープンであって、さらなる名称のない部材、要素または方法ステップを排除しない。用語「備える」は、用語「包含する」を含む。
【0054】
数字の範囲を使用した数値の列挙は、これらの範囲内のすべての値および端数、ならびに記載の端点を含む。
【0055】
パラメータ、量、時間等の測定可能な値に言及する際に使用される用語「約」は、特定された値の上下に±10%以下、好適には±5%以下、より好適には±1%以下、さらに好適には±0.1%以下の変動を含むことが意図されている。ただし、変動が本明細書に記載の発明で機能するために適用可能な場合に限る。「約」という用語がそれ自体で指す値も、既知であるとされたことを理解すべきである。
【0056】
本発明の種々の態様について、以下の節でさらに定義する。このように定義された各態様は、反対のことが明確に記載されていない限り、別の態様または複数の態様と組み合わせられ得る。特に、「好適」または「有利」と記載された特徴は、「好適」および/または「有利」と記載された他の特徴または特性と組み合わせられ得る。本明細書における「一実施形態」または「実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して記載される特定の機能、構造、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態において適用可能であることを意味する。本明細書において「一実施形態において」または「実施形態」という文言が様々な箇所で記載されている場合、必ずしも同一の実施形態を指すわけではないが、これを排除するものではない。さらに、記載された特徴、構造または特性は、本明細書に基づいて当業者には明瞭であるように、任意の適切な方法で組み合わせられ得る。本発明の説明において、その一部を構成し、本発明の特定の実施形態を示す添付図面を参照する。特定の要素に連結された括弧内または太字の数字は、それによって要素を限定することなく、例としてそれぞれの要素を示している。本発明の範囲内にありつつ、他の実施形態を使用し得ること、および構造的または論理的な変更が加えられ得ることを理解すべきである。以下の詳細な説明は限定的なものとみなされるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0057】
別段の定義がない限り、技術用語および科学用語を含めて本発明において既知のすべての用語は、すべて、当業者に通常理解される意味を有する。さらなるガイドとして、本発明の説明で使用される用語のさらなる説明のために定義を採用する。
【0058】
上述の従来技術のニーズおよび欠点に対処するために、本件発明者らは、ドアまたは窓支持システムのための方法および手段を開発した。特に、本発明は、移動可能にフレームに配置される可動ドアまたは窓等の可動物体を固定するための磁気ロックシステムに関する。可動物体は、例えば、摺動ドアまたは窓を形成するように、フレームに摺動可能に配置され得る。可動物体は、例えば、傾動ドアまたは窓を形成するように、フレームに傾動可能に配置され得る。
【0059】
以下に、磁気ロックシステムの種々の態様について最初に概要を説明し、次いで具体的な実施形態についてより詳細に説明する。最初の概要は、読者が構造概念をより迅速に理解する助けとなることを意図したものであるが、その最も重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、記載された本発明の範囲を限定することを意図したものでもない。
【0060】
図1は、可動物体10のフレームに大部分が組み込まれた磁気ロックシステム50の好適な実施形態の例を示す。可動物体10は、フレームの内壁に接触して配置されることにより、例えばフレームの長手方向において移動可能である。一例として、移動機構40が、フレーム20に装着され得る。移動機構40は、物体10を移動させるための複数のホイール450を備えている。図示の実施形態例によれば、移動機構40は、可動物体10が、フレーム20の長手方向軸に沿って、例えばホイール450または他の適切なガイド手段により移動できるように構成されていることが明瞭である。また、図示の実施形態例によれば、移動機構40が装着されたフレーム20の部分は、可動物体10(図示の実施形態例によれば摺動ドアまたは摺動窓)上に装着された細長いプロファイルを備えることも明瞭である。また、図示の実施形態例によれば、フレーム20のこの細長いプロファイルは、移動機構40の断面を実質的に完全または完全に囲むこと、換言すれば、移動機構40は、実質的に完全または完全にフレーム20の細長いプロファイル内で、フレーム20の細長いプロファイルの長手方向において移動することも明瞭である。移動機構40がフレーム内に配置される、および/またはフレーム内で移動する代替実施形態例が可能であることが明瞭である。図示の実施形態例によれば、このプロファイルは、実質的にU字状またはU字状の断面を備え、その開口は、可動物体10と移動機構40とを接続できるように可動物体10に向けられている。以下により詳細に説明するように、図示の実施形態例によれば、移動機構40は、例えば、以下により詳細に説明するように例えば張力機構320として機能し得る接続ピース320または任意の他の適切な接続ピース、および、この接続ピース320と可動物体10との間に装着されたホルダ400により、可動物体10に装着されている。ホルダ400が可動物体10に接続ピース320または張力機構以外の何らかの適切な態様で可動物体10に装着される代替的実施形態が可能であることが明瞭である。好適には、ホルダ400は可動物体10に、またはその内部に装着される、または換言すれば、フレーム20に対向して配置された可動物体10の周縁に、またはその内部に装着されることが明瞭である。換言すれば、好適には、ホルダ400は、可動物体10と移動機構40との間に装着される。換言すれば、ホルダ400は、可動物体10の周縁と移動機構40が装着されるフレームの隣接する部分との間の距離をつなぐように装着されている。
【0061】
このことは、摺動窓または摺動ドア等の可動物体10の場合に、特に有利である。なぜならば、以下により詳細に説明するように、このようにして、ホルダ400に装着されたブロック部材100が、望ましくない操作から保護されるからである。また、ブロック部材100用のホルダ400が、フレーム20に装着された移動機構40により、同様にこのフレーム200に装着されたストッパ要素200に対して良好に整列するため、有利である。また、このように良好に整列することにより、およびブロック部材100がストッパ要素200まで届かなければならない距離が短いことにより、ブロック部材100をストッパ要素200により堅固に係合できることが明瞭である。ホルダは、強磁性材料で構成されていない。ホルダは、例えば、アルミニウム、プラスチック等から構成されている。
【0062】
図示のように、ロックシステム50は、ブロック部材100を備えている。ブロック部材100は、フレーム内において移動機構40のレベルに装着され得るとともに、張力ケーブル310と張力機構320との組み合わせにより所望の位置に保持される。これについては以下でより詳細に説明する。図示のように、この張力ケーブル310は、鉛直方向に可動物体10のフレームを通過して、回転時に張力ケーブル310に作用するように構成された枢動体330に沿って延びている。枢動体330は、ハンドル340の位置を調整することにより、少なくとも2つの状態間で回転可能である。
【0063】
図2を参照して、ロック機構30についてさらに説明する。図示のように、ブロック部材100は、ホルダ400内にその開放端部に沿って装着されている。このホルダ400は、一方では移動機構40の端部と他方では張力機構320の端部との間でクランプされている。図3に示すように、ホルダ400は、張力機構320の一側に設けられた挿入スロット321に沿って張力機構320内に摺動する。張力機構320は、接続ピース326を介してホルダ400の下側に連結するクランプバネ325を備えている。図示のアセンブリによれば、クランプバネ326は、ホルダ400ならびにブロック部材100および移動機構40を所望の位置に位置決めすることができる。図3に示すものと同様の代替実施形態によれば、ホルダ400は、張力機構320に任意の適切な態様で装着され得ることが明瞭である。張力機構320は、特定の実施形態によれば、例えば図9に示すように、ホルダ400を可動物体10に装着する接続ピース320として作製され得る。図9では、同様の要素が、同様の参照符号で示され、他の実施形態について説明したのと同様の態様で機能する。
【0064】
この接続ピース320は、特定の実施形態によれば、張力ケーブル310用の張力機構を用いずに作製され得るとともに、例えばホルダ400を可動物体10に装着し得る。図9に示す実施形態例によれば、張力ケーブル310は、例えば一端部において可動物体10に、例えば可動物体10の周縁を形成する細長いプロファイルに取り付けられ得ることが明瞭である。概略的に示すように、摺動体330、または上述の枢動体330と同様に他の適切な態様で移動する本体330は、少なくとも2つの状態間で移動することができる。例えば前記移動体330を備えるロック部品のさらに他の実施形態が可能であることが明瞭である。
【0065】
図示の実施形態例によれば、第1状態において、張力ケーブル310は、妨げられることなく移動体330に沿って移動可能である。これにより、ブロック部材100は、後退状態から延出状態まで自由に移動する。第2状態において、図9に示すように、移動体330が張力ケーブル310に作用することで、張力ケーブル310はより高い張力を付与される。これにより、ブロック部材100の移動は、後退状態に制限される。ホルダ400が可動物体10に任意の他の適切な態様で、例えば、適切な接続ピース320または任意の他の適切な装着要素を利用することで直接的に装着されるさらなる実施形態が可能であることが明瞭である。
【0066】
さらに、このような実施形態によれば、ホルダは、フレーム20内で可動物体10と移動機構40との間に取り付けられている、または装着されていることが明瞭である。換言すれば、ホルダ400は、フレーム20内で可動物体10を移動機構40に装着する。したがって、ホルダは、移動機構40と可動物体10との間に装着される、または、換言すれば、ホルダ400は、可動物体10と移動機構40との間で延びていることが明瞭である。したがって、このようにして、ホルダ400がフレーム20と可動物体10との間の間隙をつなぐことで、この間隙内のブロック部材100を保護していることが明瞭である。
【0067】
また、図示の実施形態例によれば、フレーム20は、可動物体10の上方に装着されていることも明瞭である。また、ストッパ200が、フレーム20内において、移動機構に装着されたホルダ400よりも高い位置に配置されていることも明瞭である。また、このような実施形態において、ストッパ200とブロック部材100との間の距離が十分に大きく重力の力が磁気吸着力よりも大きい場合、ブロック部材100は重力の作用で自動的に後退状態に戻ることも明瞭である。
【0068】
図2に示すように、ホルダ400には、さらに開口410設けられており、この開口410を通過して、一端部においてブロック部材100に取り付けられた張力ケーブル310が延び得る。張力ケーブルにより、ブロック部材100がホルダ400内で移動できる範囲が決まる。上述のアセンブリによれば、張力機構320は、ホルダ400を所望の位置に配置することにより、張力ケーブル310に張力を付与する。張力ケーブル310は、他方の端部(図示せず)において、ロック機構30の部品に、または可動物体10の下側壁に設けられた開口に同様に移動可能に配置された別のブロック部材100に接続し得る。
【0069】
上述のように、枢動体330は、少なくとも2つの状態間で回転可能である。第1状態において、張力ケーブル310は妨げられることなく枢動体330に沿って延び得るため、ブロック部材100は後退状態から延出状態まで自由に移動する。第2状態において、枢動体330が張力ケーブル310に作用することで、張力ケーブル310は高い張力を付与される。これにより、ブロック部材100の移動は後退状態に制限される。このようにして、枢動体330が、張力ケーブル310に作用することによりロック機構30を選択的に第1状態と第2状態との間で切り替えるように構成されたロック部品の実施形態を形成することが明瞭である。
【0070】
図示のアセンブリによれば、後退状態にあるブロック部材100の移動は、上述の2つの状態、具体的には、ブロック部材100が延出状態まで自由に移動する第1位置とブロック部材が後退状態に保持される第2位置との間で、選択的に制限され得る。
【0071】
図示のアセンブリによれば、延出位置にあるブロック部材100の移動は、上述の2つの状態、具体的には、ブロック部材100が延出状態に留まり得る第1状態とブロック部材が後退状態に移動する第2状態との間で、選択的に適合され得る。
【0072】
図2は、枢動体330の実施形態を示す。枢動体330は、2つの凸部を備え、その各々には、一端部に張力ケーブル310が延びる開口が設けられている。枢動体330が回転すると、張力ケーブル310は、これらの凸部により側方に押される/引き寄せられる結果、曲がる。このため、張力ケーブル310の長さ、すなわち、枢動体330とブロック部材100との間で延びる部分は、いわば制限される。張力ケーブル310は、こうしてブロック部材100を上述の第2状態にする、またはこれを第2状態に保持する。
【0073】
図4を参照すると、ロックシステム50は、さらにストッパ要素200を備えていることが示されている。ストッパ要素200は、フレーム内の1つ以上の所望の停止位置に組み込まれ得る。ストッパ要素200は、例えば、移動機構40が移動し得るフレーム20の内壁にボルト留めされるプレートを備え得る。図示の実施形態例によれば、ストッパ要素200は、例えば適切な装着要素220によりフレーム20の内部に装着され得るが、代替実施形態によれば、例えば他の適切なネジ要素、接続要素、接着接合等の任意の適切な要素または接続部が、ストッパ要素200をフレームに装着するために使用され得ることが明瞭である。ストッパ要素200は、ブロック部材100がストッパ要素200まで移動して延出位置に自由に移動できるようになった場合に、ブロック部材100を固定するように構成されている。ストッパ要素200には、ノッチやスロット等の凹部210が設けられ得る。凹部210において、ブロック部材100は少なくとも部分的に移動し得る。適切な凹部210の例を、例えば図7に示す。この結果、可動物体10を機械的にフレーム20に固定するためのブロックが達成され得る。
【0074】
凹部210におけるブロック部材100の移動は、一方でブロック部材100と他方でストッパ要素200との間に磁気吸着力を与えることでもたらされ得る。一例として、ブロック部材100は磁石を備え得る。そして、ストッパ要素200は、磁気吸着材料を備え得る、またはこれから作製され得る。このため、磁気吸着力により、ブロック部材100が延出状態まで移動する、すなわち、移動してストッパ要素200に進入することが保証され得る。上述のロック機構30によってブロック部材100を後退位置まで動かすことにより、磁気吸着力は遮断され得る。特定の実施形態によれば、凹部を有するストッパ要素200は、好適には、凹部の周囲に可動物体の移動方向において、ストッパ要素200からの凹部よりも可動物体10からの距離が小さい位置に位置する磁気吸着材料が存在するように装着される。好適には、ストッパ要素200の接近時に、ブロック部材100は、まず凹部210の隣のストッパ要素200の当該縁部に磁気的に吸着され得ることが明瞭である。当該縁部は、凹部よりもブロック部材100に近いため、磁気吸着力は強いものであり、ブロック部材100がストッパ要素200まで届かなければならない距離は、凹部までの距離よりも小さくなり得る。次に、可動物体10のフレーム20に沿った移動、例えば、図示のようにフレーム20の細長いプロファイルの長手方向に沿った移動によるブロック部材100の凹部の方向におけるさらなる移動により、ストッパ要素200に向けて既に磁気的に吸着され凹部210に到達しつつあるブロック部材100は、凹部210にストッパ要素200に対する磁気吸着力に基づいてより迅速かつ簡単に進入し得ることが明瞭である。なぜならば、ブロック部材100がこの延出状態に向けて届かなければならない追加の距離は、同様に、完全なる後退状態と完全なる延出状態との間の距離よりも、さらに制限されているからである。
【0075】
これにより、ブロック部材100とストッパ要素200との接続が、好適には可動物体の移動のみにより、追加の動作または操作を必要とせずに、堅固かつ確実に達成され得るという利点を提供する。これは、例えば、摺動ドアまたは摺動窓のフレームまたはガイドレールの長手方向に沿った中間位置においてストッパを使用する場合に有利である。なぜならば、可動物体10の移動速度が速くても、ストッパ200の所望の位置にて確実にロックすることができるからである。
【0076】
好適な実施形態によれば、後退状態にあるブロック部材100から凹部210までの距離は、ストッパ200が凹部210に対向して配置されている場合、ブロック部材100が第1の非接続状態から磁気吸着力に基づいてストッパ200に向けて移動しないように十分に大きい。これにより、特にブロック部材100の上方に配置されたストッパ200の場合、ブロック部材をロック機構30で後退状態とすることによりブロック部材100をストッパ200の凹部210から解放することによって磁気ロックシステム50をロック解除する際、ブロック部材100は、それが凹部の高さに位置する限り、ストッパ200に対する磁気吸着力により戻らないようにすることができる。これにより、シンプルなロック機構30が使用できるという利点が得られる。ブロック部材100を後退位置に維持するために手段を設ける必要がない、またはロック機構30の正しいさらなる操作が必要である。これにより、可動物体10は、このストッパ200により決められたフレーム内の位置から遠ざけられる。
【0077】
本発明の利点およびさらなる適合をさらに説明するため、磁気ロックシステムの具体的な実施形態について以下により詳細に説明する。当業者には、別段の記載がない限り、本明細書に記載の態様を互いに組み合わせ売ることを理解されるであろう。したがって、具体的な態様の特定の実施形態は、明示的な説明がなくても別の態様の実施形態ともみなされ得る。例えば、ロックシステムの実施形態は、前記ロックシステムの製造のための実施形態、前記ロックシステムの使用等も形成する。
【0078】
本発明の一態様は、可動ドアまたは窓等の可動物体をフレームに解除可能に固定するための磁気ロックシステムに関する。一実施形態において、ロックシステムは、前記フレームに装着される少なくとも1つのストッパ要素と、前記可動物体に装着される少なくとも1つのブロック部材であって、前記ブロック部材が妨げられることなく前記ストッパ要素を過ぎて移動可能であるように構成された後退状態と、前記ブロック部材が前記ストッパ要素まで移動した場合に、前記ブロック部材を前記ストッパ要素に固定するように構成された延出状態と、の間で移動するように構成されたブロック部材と、前記可動物体に装着されるとともに前記ブロック部材に接続するロック機構であって、第1状態において、前記ブロック部材を非接続にしてこれを前記延出状態まで移動させるように、第2状態において、前記ブロック部材を前記後退状態にする、および/または前記後退状態に維持するように、選択的に構成されるロック機構と、を備え、前記ブロック部材は磁石を備え、前記ストッパ要素は磁気吸着材料を備え、および/またはこの逆であり、前記延出状態において、前記磁気吸着材料に対する前記磁石の吸着力により、前記ブロック部材が前記ストッパ要素に固定されるように構成される。さらに、好適な実施形態によれば、磁気ロックシステム50は、可動物体10をフレーム20に解除可能に固定するように構成され、可動物体10は常にフレーム20に接続したままであることが明瞭である。
【0079】
例えば、摺動ドアまたは摺動窓をフレーム20に解除可能に固定するように、磁気ロックシステム50は、摺動ドアまたは摺動窓を、フレーム20の長手方向軸に沿った1つ以上の位置において解除可能に固定するように構成されている。ブロック部材100の後退状態において、摺動ドアまたは摺動窓は、フレーム20の長手方向において、1つ以上のストッパ要素200を過ぎて移動し得る。ブロック部材100の延出状態において、フレーム20の長手方向における摺動ドアまたは摺動窓の移動は、1つ以上のストッパ要素200のうちの1つの高さにおいて防止されている。例えば、図9に示すように、複数のストッパ要素200が摺動窓または摺動ドアのフレーム20の長手方向において使用される特定の実施形態によれば、磁気ロックシステム50は、フレーム20の長手方向に沿った種々の対応する位置で、摺動窓のブロック部材100を当該位置に対応するストッパ要素に固定することにより、摺動窓または摺動ドアがロックされ得るように構成されていることが明瞭である。
【0080】
本明細書に記載の磁気ロックシステムは、複雑な操作や設定を必要とすることなく、可動物体を確実かつ使い勝手よくロックすることができるという利点を有する。一実施形態において、ユーザは、物体の現在位置に関係なく、例えば、ドアまたは窓が完全または部分的に開いている場合に、ロック機構を作動させてドアまたは窓を閉鎖中に自動的に固定することを選択し得る。さらなる実施形態において、ユーザは、例えば、複数の可動物体が互いに連続的に接続されて可動物体を部分的に閉鎖できる場合、物体をフレームの種々の位置で固定することも選択し得る。
【0081】
本明細書に記載の磁気ロックシステムは、ロックをもたらすために必要な可動部品の個数を制限することもできる。これにより、システムの複雑さが軽減され、不具合や摩耗の恐れが制限される。これは、耐用年数を長くする耐久性のある解決策を提供し得る。一実施形態において、ロックは、従来技術のシステムよりも迅速かつ柔軟に行われ得る。
【0082】
また、本明細書に記載のロックシステムは、物体および/またはフレームのより美的な外観仕上げを得るために、より簡単に見えなくされ得る。特に、本ロック機構の部品は、物体および/またはフレームの壁に完全に組み込まれ得る。これにより、ユーザに、連続した壁、すなわちスロットや凸部からなる中断のない壁が製造されているような印象を与えることができる。また、熱伝達を促進する開口が少ないため、システムの熱損失が改善され得る。
【0083】
本明細書に記載のロックシステムは、物体の上部または下部がフレームに固定される片側構成、および物体の上部および下部の両方がフレームに固定される両側構成において製造され得る。両側構成は、物体をよりしっかりと固定できるが、論理的に設計が複雑になる。当業者には、これらの片側実施形態および両側実施形態が例示であり、ロックシステムは、原理的により複雑な構成にも適合可能であることが理解されるであろう。
【0084】
一実施形態において、本発明は、物体の上部または下部がフレームまたはガイドに固定される片側ロックシステムを提供する。片側ロックシステムは、可動物体の上部または下部に装着される少なくとも1つのブロック部材と、フレームの対応する上部または下部に装着される少なくとも1つのストッパ要素と、を備え得る。片側ロックシステムには、フレームの上方ガイドまたは下方ガイドに、好適にはガイドの見えない通路に可動物体におけるブロック部材の位置に対応して組み込まれる少なくとも1つのストッパ要素が設けられ得る。
【0085】
一実施形態において、本発明は、物体の上部および下部の両方がフレームまたはガイドの上部および下部に固定される両側ロックシステムを提供する。両側ロックシステムは、少なくとも2つのブロック部材、すなわち、可動物体の上部に装着された第1の上方ブロック部材および可動物体の下部に装着された第2の下方ブロック部材と、装着されたフレームの上部および下部に対応する少なくとも2つのストッパ要素と、を備え得る。ストッパ要素は、可動物体におけるブロック部材の位置に対応する、フレームまたはガイドにおける対向する位置に組み込まれ得る。
【0086】
本明細書で使用するフレーム、フレーミング、またはフレームワークとは、ドアまたは窓等の可動物体が配置される剛性構造体を指す。フレームは、典型的には、支持用の壁に固定されて、バルコニー、ベランダ、またはテラス等の居住スペースを閉鎖し得る。フレームの内壁には、可動物体の移動を設定するための手段が設けられ得る。一実施形態において、可動物体には、物体がフレームに対して摺動できるようにフレームに接触している摺動手段が設けられ得る。フレームには、ガイドが設けられ得る。ガイド上を、物体はフレームの長手方向において移動し得る。物体は、典型的には、水平方向において移動し得るが、本発明は鉛直方向の摺動システムにも適用可能である。別の実施形態において、可動物体には傾動手段が設けられ得る。傾動手段は、物体がフレームに対して傾動可能であるようにフレームに接触している。
【0087】
当業者には、本明細書に記載のロック機構が、使用される移動手段や駆動部等の移動機構の特定の実施形態に限定されないことが理解されるであろう。一例として、ロック機構は、吊り下げ摺動システムとともに採用され得る。吊り下げ摺動システムにおいて、可動物体は、フレームまたはガイドの上壁に設けられた2つのトロリーハンガーに「吊り下げ」られている。一例として、ロック機構は、ローラ摺動システムとともに採用され得る。ローラ摺動システムにおいて、可動物体は、フレームまたはガイドの下壁に設けられたホイールまたは軸受に配置される。ロック機構は、屋内用途でも屋外用途でも使用可能である。
【0088】
本明細書で使用する可動物体とは、フレームに移動可能に配置されるドアまたは窓を指す。可動物体は、例えば、フレームに摺動可能に配置されて摺動ドアまたは窓を形成し得る。可動物体は、例えば、フレームに傾動可能に配置されて傾動ドアまたは窓を形成し得る。当業者には、本明細書に記載のロック機構が、ドアまたは窓の特定の実施形態に限定されないことが理解されるであろう。ドアについての言及は、窓または同様の可動物体についての言及でもあり、本明細書に記載されるドアの好適な実施形態は、窓の好適な実施形態を同様に形成する。一例として、ドアまたは窓は、1つのフレームプロファイル、または互いに結合した複数のフレームプロファイルにより形成され得る。物体は、選択的に、ガラス加工を施され得る。
【0089】
本明細書における「左」、「右」、「前方」、「後方」、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「中央」、「横/側方」等の相対的な用語は、説明を目的として使用されるものであり、必ずしも絶対的な位置を説明するためのものではない。使用される用語は、説明される向きに応じて適切な状況において相互に交換可能であることが理解されるであろう。このため、本明細書に記載の実施形態は、例えば、図示および/または記載の配向以外でも使用され得る。一例として、「横」は、上方、下方、および/または側方(例えば、左側または右側)の位置および/または方向と一致し得る。
【0090】
磁石は、磁場を発生させる物体に関する。一実施形態において、永久磁石は、磁性金属または磁性複合材料等の磁性材料または磁化材料から構成され得る。当業者には、ロックシステムが磁石または磁性材料の特別なタイプに限定されないことが理解されるであろう。別の実施形態において、磁石は、電磁石であってもよい。
【0091】
ブロック部材は、磁石用の適切なハウジングを形成する。これにより、この磁石を可動物体に移動可能に装着することができる。したがって、ブロック部材は、磁気ブロック部材とも記載され得る。これは単なる可能な一実施形態に過ぎず、簡単に逆にすることができる、すなわち、ストッパ要素が磁石を備え、ブロック部材がこの磁石に吸着されるのに適した材料を備えるようにできることが明瞭であるべきである。当業者であれば、本明細書に記載のロックシステムに必要な調整を実施できると想定される。
【0092】
図4を参照して、ブロック部材100の好適な実施形態について説明する。ブロック部材100は、磁石および/または磁気吸着材料を装着および固定するように構成された開口を備え得る。この開口の直径が、磁石および/または材料の直径におおよそ対応している場合、有利である。これにより、磁石および/または材料がしっかりと固定され得る。また、図示のように、ブロック部材100は、開口のいずれかの側において張力ケーブル310に取り付けられ得る。この目的のために、ブロック部材100には、張力ケーブル310の一端部を固定するためのフック等の取付要素が設けられ得る。
【0093】
ブロック部材は、磁石が生成する磁界をブロックする磁気遮断材料から構成され得る。これにより、磁石は、ネジ等のシステムの近傍の部品を望ましくなく吸着することができない。当業者には、ブロック部材を設けることにより、ロックシステムの製造や装着が簡単になるが、磁石はブロック部材を有さない実施形態、すなわち磁石それ自体がブロック部材を形成する実施形態にも原理的に適用され得ることが理解されるであろう。
【0094】
ブロック部材は、可動物体の一側に設けられたホルダに配置され得る。これにより、可動物体は、後述のようにロック機構により移動可能である。好適な実施形態において、ブロック部材は、少なくとも直線方向において移動可能である。これにより、ブロック部材は、少なくとも2つの状態、具体的には、ブロック部材が可動物体の中心方向に、すなわちフレームから離れるように移動する後退状態と、ブロック部材が可動物体の横方向において、すなわちフレームに向かって移動する延出状態との間で移動することができる。当業者には、後退状態と延出状態との間の距離が、磁気球威引力の強さや可動物体に対する移動機構の高さ調節に応じて調節され得ることが理解されるであろう。
【0095】
フレームまたはフレームのガイドには、延出状態にあるブロック部材を固定するように構成された少なくとも1つのストッパ要素が設けられる。このストッパ要素は、磁性材料から構成され得る、または磁気吸着材料、すなわち、磁石に吸着されるのに適した材料を備え得る。一実施形態において、ストッパ要素は、鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性材料から構成され得る。別の実施形態において、ストッパ要素は、反対の極性を有する磁性材料または磁化材料から構成され得る。
【0096】
一実施形態において、ストッパ要素は、ブロック部材を少なくとも受容し固定するように構成されたノッチまたはスロット等の凹部を備え得る。ブロック部材は、この凹部に部分的に、好適には完全に嵌合する、ブロック部材の一端部に設けられた幅広のヘッド部を備え得る。凹部の直径がブロック部材の直径、好適にはブロック部材のヘッド部の直径におおよそ対応する場合、有利である。これにより、望ましくない変位が防止され得る。
【0097】
ストッパ要素は、フレームまたはフレームのガイドにおいて、ブロック部材が設けられた可動物体の側に対応する側に組み込まれ得る。この結果、可動物体に設けられた磁石とフレームに設けられたストッパ要素、またはこの逆の間に磁気吸着力が生じる。この吸着力により、ブロック部材が摺動して上述の凹部に進入することで、後述のように好適には移動機構により可動物体が固定され得る。当業者には、フレームの残りの部分、すなわちストッパ要素の部分を形成しない部分が、好適には、不要な磁気吸着力を回避すべくポリマー等の非磁性材料から構成され得ることが理解されるであろう。
【0098】
図7を参照すると、ストッパ要素200の好適な実施形態が記載されている。ストッパ要素200は、磁気吸着力の結果としてブロック部材を適用し固定するように構成された凹部210を有する長方形のプレートを備え得る。図示のように、ストッパ要素200のプレートは、このプレートの屈曲角度に対応する深さを有する凹部が簡単に作製され得るように、いずれかの側で湾曲していてもよい。
【0099】
一実施形態において、開口が、装着要素220を配置するようにストッパ要素200に設けられ得る。これにより、ストッパ要素200は、フレームの一側に装着され得る。装着要素は、例えば、フレームの開口にネジ留めされるボルトまたはナット、またはフレームの壁に固定されるプレートであり得る。これにより、ロックシステムを装着する際に、ユーザのニーズ、またはドアまたは窓の支持システムの構成に合わせて、ストッパ要素の位置を容易に調整することができる。当業者には、ストッパ要素がフレームに他の態様で固定され得ること、または代替的にその内部に組み込まれ得ることが理解されるであろう。
【0100】
上述のように、ブロック部材は、ロック機構の状態に応じて2つの状態間で移動可能である。後退状態において、ブロック部材はストッパ要素を過ぎて移動するため、可動物体はフレーム内で妨げられることなく移動可能である。延出状態において、ブロック部材は、移動機構の移動をブロックするため、可動物体はフレーム内で固定される。
【0101】
一実施形態において、複数のストッパ要素が、フレームの長さにおいて種々の位置に組み込まれ得る。これにより、可動物体は、好適にはユーザが決める種々の位置で固定され得る。磁石はストッパ要素を超えて移動する際、自動的に磁気的に吸着されるため、ユーザは、ストッパ要素の位置を探す必要はなく、可動物体を所望のストッパ要素の位置を摺動させればよいだけである。これにより、使いやすいシステムであって、フレーム内の複数の位置での可動物体の柔軟なロックを可能とするシステムが提供される。
【0102】
上述のように、可動物体は、フレーム内での可動物体の移動をもたらすように構成された移動機構を備えている。移動機構は、一例として、可動物体をフレームに対して変位および/または傾動させる摺動手段および/または傾動手段を備え得る。当業者には、本明細書に記載のロック機構が、特定の移動手段、方向および/またはその駆動に限定されないことが理解されるであろう。
【0103】
一実施形態において、可動物体には、物体をフレームに亘って変位させる摺動手段が設けられている。摺動手段は、例えば、複数のホイール、ローラ、または軸受を備え得る。ホイールは、一例として、典型的に屋内用途に提供されるように中実であってもよいし、典型的に屋外用途に提供されるように中空であってもよい。摺動手段は、好適には上方ガイドおよび/または下方ガイドに設けられた隠し通路において、フレームに組み込まれ得る。これにより、摺動手段を完全に見えなくすることができる。当業者には、摺動手段および少なくとも1つのストッパ要素が同一の摺動ガイドに組み込まれる場合、望まれない限りこれらは互いをブロックすべきでないことが理解されるであろう。
【0104】
一実施形態において、ブロック部材は、移動機構に移動可能に配置され得る。これにより、横方向において、ブロック部材は、ストッパ要素の凹部に摺動して進入することができる。ブロック部材を移動機構に直接的に接続することにより、移動手段の変位が直接的にブロックされ得るため、可動物体はより効率的に固定され得る。任意で、例えばホイールやローラの回転を阻止することにより、ブロック部材の変位が移動手段のさらなる移動をブロックし得る。
【0105】
図5を参照すると、移動機構40の好適な実施形態が記載されている。移動機構40は、複数の摺動手段が回転可能に結合された細長い本体を備え得る。これらの摺動手段は、本実施形態において、ブロック部材の両側に対となって配置された4つのホイール40のセットとして示されている。
【0106】
さらなる実施形態において、ロックシステムは、ブロック部材を保持する、そして任意で保護するホルダを備え得る。ホルダは、移動機構と張力機構との間において、移動不可能に配置され得る。ホルダが一方で移動機構の端部と他方で張力機構の端部との間にクランプされる場合、有利である。このようなアセンブリにより、以下により詳細に説明するように、移動機構の高さを調節することができる。
【0107】
図6を参照して、ホルダ400の好適な実施形態について説明する。ホルダ400は、ブロック部材100を装着および固定するように構成された少なくとも1つの開放端部を有する通路410を備え得る。この通路410の直径がブロック部材100の直径におおよそ対応する場合、有利である。これにより、ブロック部材の移動が、1つの軸に限定され得る。すなわち、ブロック部材は、後退状態と延出状態との間で直線的にしか移動し得ない。図示のように、通路410は、好適には第1開口に対してホルダ400のいずれかの側に設けられた第2開口であって、張力ケーブル310を装着するための第2開口を備え得る。これにより、張力ケーブル310は、ブロック部材100に直接的に取り付けられ得る。
【0108】
ホルダ400は、好適にはブロック部材の反対側に配置されたストッパ420も備え得る。ストッパ420は、ホルダ400を装着するための後述の張力機構320の挿入スロット321に摺動して進入し得る。図示のように、このストッパ120は、フランジを形成し得る。ホルダ400の摺動は、ブロック部材の移動を1つの軸に制限し得る。これにより、ホルダは、側方に移動できない。
【0109】
図5に示すように、ホルダ400は、移動機構40の細長い本体の一側に設けられた通路に部分的に装着され得る。ホルダ400は、ホルダがこの通路を移動して完全に通過しないようにするフランジ等の幅広部分を備え得る。これにより、ホルダは、一方で移動機構40と他方で張力機構との間にクランプされ得るため、以下で詳述するように、張力機構によるブロック部材の調節が容易になる。
【0110】
ロック機構は、可動物体におけるブロック部材の位置を、上述の後退状態と延出状態との間で変更するように構成された装置を備えている。したがって、ロック機構により、ユーザは、可動物体をフレーム内において固定するか、または自由に移動させるかを選択することができる。構成に応じて、ロック機構により、ユーザは、フレーム内において可動物体が固定される位置を選択することもできる。
【0111】
好適な実施形態において、ロック機構は、一端部においてブロック部材に接続する張力ケーブルであって、ブロック部材の移動を好適には横方向において制限するように配置された張力ケーブルと、ブロック部材を延出状態にクランプすることで、張力ケーブルに張力を付与する張力機構と、張力ケーブルに作用することでブロック部材を移動させる、好適にはブロック部材を後退位置に引き寄せる移動部品と、を備えている。
【0112】
張力ケーブルは、延出状態にあるブロック部材の所望の位置に対応する長さを有し得る。張力ケーブルは、プロファイル壁やプロファイル壁に設けられた凸部等の可動物体の静止部品に固定されてもよいし、ロック機構の一部を形成する可動部品に固定されてもよい。
【0113】
好適な実施形態において、張力ケーブルは、両側において、2つの好適には対向するブロック部材に接続している。具体的には、張力ケーブルは、一端部において、第1の好適には上方のブロック部材に接続し得るとともに、他方の端部において第2の好適には下方のブロック部材に接続し得る。これにより、これら2つのブロック部材の位置を、単一のロック機構で同時に調整することができる。このため、両側ロックシステムの特に効率的な実施形態が、その複雑さを増すことなく形成される。また、これにより、ブロック部材が可動物体の中心から等距離にあることが保証され得る。各ブロック部材の位置を個別に設定する必要がないため、ロックシステムの装着が容易になる。
【0114】
ケーブルに対する張力は、ブロック部材に作用する、好適にはブロック部材を横方向に押す/引き寄せる張力機構を設けることによりもたらされ得る。張力機構は、好適には、可動物体の一側において、可動物体とフレームとの間に装着される。好適な実施形態において、張力機構は、可動物体の上壁および/または下壁、または可動物体のフレームに装着される。例えば、ネジまたはボルト等の装着要素を配置するために、開口が張力機構に設けられ得る。張力を付与するために、張力機構は、弾性材料および/またはバネ性材料で構成されるバネシステムを備え得る。これにより、バネシステムは、それが曲げられたり延ばされたり圧縮されたりしても、その元の形状に戻ることができる。適切なバネシステムの例は、クランプバネである。
【0115】
好適な実施形態において、張力手段は、可動物体の壁とブロック部材との間に配置されるクランプバネ等のバネを備え得る。これにより、張力手段は、ブロック部材および/またはこのブロック部材に連結された接続ピースを横方向に、すなわちフレームに向けて押す。可動部品同志の摩擦が制限されるため、摩耗の恐れの少ないロックを実現するための特に確実な実施形態が形成される。
【0116】
バネシステムの弾性は、例えば張力ケーブルの長さやブロック部材の重量に依存する荷重の強さに適合され得る。材料の選択に応じて、バネシステムはより硬い、または高い剛性を有し得る、あるいは、より柔らかい、または高い弾性を有し得る。当業者には、材料の選択がどのようにバネシステムの弾力性に影響するかが理解されていると想定される。
【0117】
一実施形態において、張力機構は、張力機構の最大張力範囲を制御することにより、張力機構と移動機構との間の距離を調整するように構成されたアジャスタを備え得る。張力機構は可動物体の一側に装着されるため、フレームにおける移動機構の高さを調節することができる。
【0118】
アジャスタは、長さおよび/または位置を調節可能であり得る。これにより、アジャスタは、上述のバネシステムおよび/またはバネシステムに連結した接続ピースに作用することができる。一例として、アジャスタは、回動時にバネシステムおよび/または接続ピースを押すように構成されたボルト等の回転可能な要素であり得る。これにより、調節可能な張力機構が提供され、ロック機構の複雑さが低減され得る。
【0119】
図8を参照すると、張力機構320の好適な実施形態が記載されている。張力機構320は、可動物体の一側に装着され得る細長い本体を備え得る。この目的のために、ブロック部材は、ネジまたはボルト等の装着要素328を配置するための開口を備えている。
【0120】
張力機構320の一側には、ホルダ400を横向きに挿入するための挿入スロット321が設けられ得る。ホルダ400は、先の図6に示すように、好適には、挿入スロット321に挿入され得る移行部を有するストッパ420を備えている。ホルダ400の挿入により、ホルダ400は張力機構と結合され得る。これにより、ホルダ400は、横方向に固定されるが、鉛直方向において、すなわち張力機構320と移動機構40との間の方向においては依然として移動可能である。
【0121】
図8Cに示すように、接続ピース326が設けられる。接続ピース326は、第1端部が挿入スロットに配置され、別の位置においてクランプバネ325に連結してレバーを形成している。この結果、クランプバネ325は、後退したブロック部材100を接続ピース326を介して横方向に押すことができる。
【0122】
同じく図8Cに示すように、接続ピース326は、アジャスタ327にも接続している。アジャスタ327は、接続ピース326の中央方向における移動を、部分的または完全に、すなわちアジャスタ327の設定に応じてブロックする。図8Aに示すように、アジャスタ327の位置は、回転可能に調整され得る。
【0123】
ロック機構は、枢動体に連結したハンドルを備え得る。ハンドルは、例えば回動させたり押し込んだりすることにより作動させると、枢動体を回転させるように構成され得る。当業者には、他の回転機構が存在すること、およびハンドルはロック機構の複雑さを制限する使用が簡単な例示的実施形態を表すに過ぎないことが理解されるであろう。枢動体は、回転時に、例えば張力ケーブルを曲げることにより張力ケーブルに作用するように配置され得る。枢動体には、例えば、張力ケーブルを把持することでブロック部材を後退状態に引き寄せる、または後退状態に維持するエッジまたはグリッパ等の突出部品が設けられ得る。
【0124】
一実施形態において、ハンドルは、ハンドルの動作をブロックするように構成されたブロック機構を備え得る。ブロック機構は、例えば、このハンドルをある状態に固定するフックまたはロックであり得る。この結果、可動物体は、フレームによりしっかりと固定され得る。
【0125】
一実施形態において、枢動体には、張力ケーブルが延びる開口が設けられる。これにより、回転時に、張力ケーブルが部分的に曲げられることで、枢動体に向かって、または枢動体から変位する、すなわち、部分的に横方向に引き寄せられる、または押される。枢動体が張力ケーブルに作用すると、張力ケーブルは横方向に曲げられることを理解されたい。この結果、枢動体とブロック部材との間の張力ケーブルの長さが短くなるため、ブロック部材は枢動体側に引き寄せられる、すなわち後退状態に引き寄せられる。このようなロック機構は、一端部においてブロック部材100に接続するとともにその他端部において可動物体10に固定される張力ケーブルとも相互作用し得ることが明瞭である。このようなロック機構は、一端部において可動物体の一端部に接続するブロック部材100に接続するとともにその他端部において可動物体10の反対側の端部におけるブロック部材100に固定される張力ケーブルとも相互作用し得ることが明瞭である。張力ケーブルに張力を付与するための張力機構を有さないこのような機構の実施形態も可能であることが明瞭である。このような実施形態によれば、ブロック部材100は、ケーブルに対するロック機構の動作を通じて、および/または、例えばブロック部材100がストッパ要素200に吸着されていない場合には重力により、後退状態に保持され得る。
【0126】
好適な実施形態において、ロック機構は、可動物体に完全に組み込まれ得る。可動物体には、ロック機構の配置および装着用のスペースを提供する中空のフレームワークが設けられ得る。
【0127】
本発明の一態様は、任意でガイドを設けられたフレーム、および前記フレームに移動可能に装着された可動ドアまたは窓等の可動物体と、可動物体をフレームに、または任意でガイドに固定するための上述の磁気ロックシステムと、を備える可動ドアまたは窓システム用のアセンブリに関する。本明細書に記載の磁気ロックシステムの好適な実施形態は、ドアまたは窓支持システムの好適な実施形態も形成することを理解されたい。
【0128】
本発明の一態様は、可動物体をフレームに固定するための本明細書に記載の磁気ロックシステムの使用に関する。上述の磁気ロックシステムの好適な実施形態は、磁気ロックシステムの使用の好適な実施形態も形成することを理解されたい。
【0129】
本発明の一態様は、バルコニー、ベランダ、またはテラス等の居住スペースを閉鎖するためのパーテーション、壁、ドア、窓、または閉鎖体としての、可動ドアまたは窓システム用の本明細書に記載のアセンブリの使用に関する。本明細書に記載のドアまたは窓支持システムの好適な実施形態は、ドアまたは窓支持システムの使用の好適な実施形態も形成することを理解されたい。
【0130】
本発明の一態様は、磁気ロックシステムを可動物体に装着する方法に関する。本明細書に記載の磁気ロックシステムの好適な実施形態は、本方法の好適な実施形態も形成することを理解されたい。
【0131】
一実施形態において、本方法は、
(a)フレームに移動可能に装着されるように構成された可動物体を提供するステップであって、前記可動物体はロック機構を備えるステップと、
(b)少なくとも1つのストッパ要素を前記フレームの上部および/または下部に装着するステップと、
(c)張力機構を前記可動物体の対応する上部および/または下部に装着するステップと、
(d)張力ケーブルを前記ロック機構に装着するステップと、
(e)ブロック部材を前記可動物体の対応する前記上部および/または下部に装着し、前記ブロック部材を前記張力ケーブルに接続するステップと、
(f)前記張力ケーブルに前記張力機構を用いて張力を付与するステップと、
を備える。
【0132】
以下のステップを備える、可動物体を解除可能に固定するための磁気ロックシステムをフレームに組み付けるこのような方法の代替実施形態であって、
(a)前記フレームに移動可能に装着されるように構成された前記可動物体を提供するステップであって、前記可動物体はロック機構を備えるステップと、
(b)少なくとも1つのストッパ要素を前記フレームの上部および/または下部に装着するステップと、
(c)前記フレーム20に対する前記可動物体10の移動をもたらすように構成された移動機構40であって、前記ブロック部材100を装着するための第1開口と前記ブロック部材100に接続する張力ケーブル310を装着するための第2開口とを有する通路410を有するホルダ400を備える移動機構40を装着し、前記ホルダ400を前記移動機構40と前記可動物体10との間に装着するステップと、
(d)張力ケーブルを前記ロック機構に装着するステップと、
(e)ブロック部材を前記可動物体の対応する前記上部および/または下部に装着し、前記ブロック部材を前記張力ケーブルに接続するステップと、
を備える代替実施形態が可能であることが明瞭である。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
【国際調査報告】