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▶ キング・アブドゥッラー・ユニバーシティ・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジーの特許一覧 ▶ サウジ アラビアン オイル カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】多機能性潤滑剤添加剤及び選択方法
(51)【国際特許分類】
   C10M 145/32 20060101AFI20240228BHJP
   C08G 65/16 20060101ALI20240228BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20240228BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20240228BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
C10M145/32
C08G65/16
C08L71/00 Y
C10N30:06
C10N40:25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556826
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 IB2022052276
(87)【国際公開番号】W WO2022195452
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/161,087
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521340171
【氏名又は名称】キング・アブドゥッラー・ユニバーシティ・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】599130449
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スブラム・マニ・サラティ
(72)【発明者】
【氏名】ニコス・ハジクリスティディス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィコ・ラデルタ
(72)【発明者】
【氏名】ツ-ファン・ホン
【テーマコード(参考)】
4H104
4J002
4J005
【Fターム(参考)】
4H104CB17C
4H104DA02A
4H104LA03
4H104PA41
4J002CH031
4J002EA016
4J005AA04
4J005AA06
4J005BB02
(57)【要約】
表面を潤滑するためのブレンド(320)は、潤滑剤(322)、及び潤滑剤(322)と混合されたポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤(216)を含む。ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤(216)は、モノマーM1を有する第1のブロック及びモノマーM2を有する第2のブロックを含む。第1のモノマーM1は、ヘキセンオキシド、HO、又はオクテンオキシド、OOを含み、第2のモノマーM2は、プロピレンオキシド、POを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を潤滑するためのブレンド(320)であって、
潤滑剤(322)、及び
前記潤滑剤(322)と混合されたポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤(216)
を含み、
前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤(216)が、モノマーM1を含む第1のブロック及びモノマーM2を含む第2のブロックを含み、
前記第1のモノマーM1が、ヘキセンオキシド、HO、又はオクテンオキシド、OOを含み、及び前記第2のモノマーM2が、プロピレンオキシド、POを含む、
ブレンド。
【請求項2】
前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤が、スチレンオキシド、SOを有するモノマーM3を含む第3のブロックを更に含む、請求項1に記載のブレンド。
【請求項3】
OO対PO対SOの比が、有機触媒開環重合(ROP)で形成されたとき、(100):(50~200):(25~100)である、請求項2に記載のブレンド。
【請求項4】
前記有機触媒ROPが、トリエチルボラン、TEB、及びホスファゼン塩基、t-BuP2を触媒として、及び開始剤Iを使用し、OO:PO:SO:I:P2:TEBの完全比が(100):(50~200):(25~100):1:(0.6±0.12):(0.3±0.06)である、請求項3に記載のブレンド。
【請求項5】
前記開始剤Iがエイコサノールであり、前記潤滑剤がモーターオイルである、請求項4に記載のブレンド。
【請求項6】
前記第1のモノマーM1が、前記潤滑剤中の前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤の溶解度と前記潤滑剤の粘度とを同時に増大させる脂肪族側鎖を有するように選択される、請求項2に記載のブレンド。
【請求項7】
前記第2のモノマーM2が、縮合ポリマーフィルムの形成を促進させて、2つの金属面の間の擦れ面の金属接触を低減させるように選択される、請求項6に記載のブレンド。
【請求項8】
前記第3のモノマーM3が、前記潤滑剤の熱安定性を増大させるように選択される、請求項7に記載のブレンド。
【請求項9】
前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤が、ブロック重合される、請求項1に記載のブレンド。
【請求項10】
前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤が、約10から22kg/molの範囲内の分子量を有する、請求項1に記載のブレンド。
【請求項11】
前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤が、5質量%又はそれよりも少なく、前記潤滑剤が、残りの部分である、請求項1に記載のブレンド。
【請求項12】
潤滑剤(322)用のポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤(216)であって、
ヘキセンオキシド、HO、又はオクテンオキシド、OO、又はラウリルグリシジルエーテル、LGE、又は2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、EHGEを含む第1のモノマーM1
プロピレンオキシド、POを含む第2のモノマーM2、及び
スチレンオキシド、SOを含む第3のモノマーM3
を含む、ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤(216)。
【請求項13】
OO対PO対SOの比が、有機触媒開環重合(ROP)で形成されたとき、(100):(50~200):(25~100)である、請求項12に記載の添加剤。
【請求項14】
前記有機触媒ROPが、トリエチルボラン、TEB、及びホスファゼン塩基、t-BuP2を触媒として、及び開始剤Iを使用し、OO:PO:SO:I:P2:TEBの完全比が(100):(50~200):(25~100):1:(0.6±0.12):(0.3±0.06)であり、前記開始剤Iがエイコサノールである、請求項13に記載の添加剤。
【請求項15】
表面を潤滑するためのブレンド(320)を作製するための方法であって、
潤滑剤(322)を用意する工程(1200)、
脂肪族側鎖を有するように第1のモノマーM1を選択する工程(1202)であり、前記潤滑剤(322)中のポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤(216)の溶解度及び前記潤滑剤の粘度を同時に増大させる工程(1202)、
2つの金属面の間で擦れ面の金属接触を低減させるため、縮合ポリマーフィルムの形成を促進させるように第2のモノマーM2を選択する工程(1204)、
前記潤滑剤(322)の熱安定性を増大させるように、第3のモノマーM3を選択する工程(1206)、
有機触媒開環重合(ROP)プロセスを適用することによって、前記第1から第3のモノマー(M1からM3)をベースにした前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤(216)を作製する工程(1208)、及び
前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤(216)を前記潤滑剤(322)と混合して、前記ブレンド(320)を得る工程(1210)
を含み、
前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤(216)が5質量%又はそれよりも少なく、前記潤滑剤(322)が、前記ブレンド(320)の残りの部分である、方法。
【請求項16】
OO対PO対SOの比が、形成されたときに(100):(50~200):(25~100)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記有機触媒ROPプロセスが、トリエチルボラン、TEB、及びホスファゼン塩基、t-BuP2を触媒として、並びにエイコサノールを開始剤Iとして使用する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
OO:PO:SO:I:P2:TEBの完全比が、(100):(50~200):(25~100):1:(0.6±0.12):(0.3±0.06)である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤が、ブロック重合される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤が、約10から22kg/molの範囲内の分子量を有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる2021年3月15日に出願された「多機能性潤滑剤添加剤及びその調製方法」という名称の、米国仮特許出願第63/161,087号の優先権を主張する。
【0002】
本明細書に開示される対象の実施形態は、一般に、多機能性潤滑剤添加剤並びにそれを選択し及び/又は形成するための方法に関し、より詳細には、良好な油溶性及び高い潤滑性能を示す多機能性潤滑剤添加剤を設計し作製することに関する。
【背景技術】
【0003】
潤滑剤は、天然の及び人工の可動部品に広く存在する。それらは寄生摩擦エネルギー損失を緩和し、運動量移動効率を改善し、及び機械稼動寿命を延ばすのに重要な役割を演ずる。既存の市販の潤滑剤は、摩擦調整剤、耐摩耗剤、増粘剤、流動点降下剤、抗酸化剤、分散剤、及び洗浄剤等の多数の添加剤を含有する。それらの複雑な化学相互作用は、有効な潤滑剤の配合を特に難しくする。自動車産業はそれによって多機能性潤滑剤添加剤を、燃焼機関で使用される油とブレンドすることを好む。例えば、ジアルキルジチオ二リン酸亜鉛(ZDDP)は、燃焼機関で動作するときに滑面の摩擦及び摩耗を低減させ且つ同時に潤滑剤の酸化安定性を高めることが周知である。それにも関わらず、内燃(IC)機関でZDDPを消費することは、腐食性スラッジを生成し、処理システム後に自動車の排気を分解し、有害なSox放出を放出する。益々厳しくなる環境規制は、ZDDPをその他の添加剤に置き換えるように自動車産業に圧力を加える。
【0004】
多機能性ポリマー添加剤は、ZDDPの置換えに適していると考えられる。この理由は、ポリマー材料の利用が、膨大な分子設計及び多くの機能性の組合せを伴うからである。例えば、ポリ(アルキルメタクリレート)(PAMA)は、摩擦の低減、材料の耐摩耗特性の強化、及び潤滑剤のレオロジー特性の改善において、その多機能的役割が認識されている。しかしながらPAMAは、極端な環境で、即ち高温及び高ストレスIC機関往復運動で素早く分解して、燃費を劣化させる望ましくないポリマー及び粘性摩擦種を生成し得る。それによって広範にわたる研究が、PAMAの熱及び剪断安定性を改善するためになされてきた。産業界及び学界は、種々のモノマー、ナノ材料、ポリマートポロジー、及び化学官能基を有するPAMAの分子設計も探求した。それにも関わらず、潤滑剤添加剤として多官能性を提供するその他のポリマー材料の探求には限りがある。
【0005】
ポリエポキシドは、製薬、包装、消泡剤、及び柔軟剤の産業を含む、多くの産業で広く適用されてきた[1]。それらの多様性、最小限に抑えられた環境への影響、及び経済的な拡張性により、最近では潤滑剤の適用例が検討された[2, 3]。例えば、ポリ(プロピレングリコール)としても公知のポリ(プロピレンオキシド)は、商用の潤滑剤として容易に配合することができる[2]。これらの酸化物は、その他の添加剤と混合され且つその他の油潤滑性能を高める基油として利用することもできる。ポリ(プロピレンオキシド)由来のコポリマーは、多機能性潤滑剤添加剤として現在研究されている[3]。それらは表面堆積制御を強化し、潤滑剤を濃厚にし、且つ境界潤滑性能を改善することができる。
【0006】
しかしながら、これらの酸化物をベースにする既存の潤滑剤添加剤は、様々な適用例で使用される油と容易に混合されず、したがって非常に効率的ではない。更に、これらの潤滑剤添加剤を製造するのに現在使用される反応は、金属系又は有機金属系触媒を含み[2]、除去するのが難しい触媒残留物をもたらす。これらの金属触媒残留物は、潤滑剤添加剤の性質に影響を及ぼし、潤滑剤の全体的な性能を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、その他の多機能性潤滑剤添加剤の必要性に加え、金属触媒を含まず、油溶性を高め、且つ潤滑性能を改善する、潤滑剤添加剤を作製するための新しい方法も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、表面を潤滑させるためのブレンドであって、潤滑剤及びポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤をこの潤滑剤と混合したものを含む。ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤は、モノマーM1を有する第1のブロックと、モノマーM2を有する第2のブロックとを含む。第1のモノマーM1は、ヘキセンオキシド、HO、又はオクテンオキシド、OOを含み、第2のモノマーM2は、プロピレンオキシドPOを含む、ブレンドがある。
【0009】
別の実施形態によれば、潤滑剤用のポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤であって、ヘキセンオキシド、HO、又はオクテンオキシド、OO、又はラウリルグリシジルエーテル、LGE、又は2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、EHGEを含む第1のモノマーM1、プロピレンオキシド、POを含む第2のモノマーM2、及びスチレンオキシド、SOを含む第3のモノマーM3を含む、ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤がある。
【0010】
更に別の実施形態では、表面を潤滑させるためのブレンドを作製するための方法がある。方法は、潤滑剤を提供する工程、潤滑剤中のポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤の溶解度及び潤滑剤の粘度を同時に増大させる脂肪族側鎖を有する第1のモノマーM1を選択する工程、縮合ポリマーフィルムの形成を促進させて、2つの金属面の間の擦れ面の金属接触を低減させる第2のモノマーM2を選択する工程、潤滑剤の熱安定性を増大させる第3のモノマーM3を選択する工程、有機触媒開環重合(ROP)プロセスを適用することによって第1から第3のモノマー(M1からM3)をベースにしたポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤を作製する工程、及びポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤を潤滑剤と混合してブレンドを得る工程を含む。ポリエポキシドコ(ター)ポリマー添加剤は、5質量%又はそれよりも少なく、潤滑剤は、ブレンドの残りの部分である。
【0011】
本発明の、より完全な理解のため、次に添付図面と併せて以下の記述を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ポリエポキシドコポリマー又はターポリマーをベースにした潤滑剤添加剤を作製するための方法のフローチャートである。
図2】ポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤を作製するのに使用される有機触媒開環重合プロセスを概略的に示す図である。
図3A】シリンダー内のピストン移動、及び2つの間の潤滑フィルムの存在を示す図である。
図3B】伝統的な潤滑剤を使用したときにピストン及びシリンダーの表面の損傷を示す図である。
図3C】新規なポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤を使用したときの、損傷が少ない表面を示す図である。
図3D】潤滑剤中のポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤を、より詳細に示す図である。
図3E】ポリエポキシドターポリマー添加剤の様々なモノマーを明らかにする図である。
図4】エイコサノールから開始され、且つ室温でt-BuP2/TEB触媒により触媒された、様々なポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤を示す図である。
図5】ポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤ブレンド油の、レオロジー特性を示す図である。
図6】モーターオイル、ホモ-、ジ-、及びトリブロックポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤ブレンド油であって、2.5及び5質量%の添加剤を含有するものの、分解温度を示す図である。
図7】計算された温度及びブレンド潤滑剤の熱分解中に観察された偏差を示す図である。
図8】種々の油-潤滑表面で測定された摩擦学的パラメーターを示す図である。
図9A】50Nから500Nのプログラムされた荷重及び50℃で維持された表面温度に関して、新規な潤滑剤添加剤の摩擦係数値を示す図である。
図9B】50Nから500Nのプログラムされた荷重及び50℃で維持された表面温度に関して、新規な潤滑剤添加剤の電気接触抵抗値を示す図である。
図10A】一定荷重50N及び50から200℃に上昇させた表面温度に関する、上記と同じ数量を示す図である。
図10B】一定荷重50N及び50から200℃に上昇させた表面温度に関する、上記と同じ数量を示す図である。
図11A】種々のポリエーテルブレンド油により潤滑させた擦れ面に堆積された摩擦生成物のRamanスペクトルの比較を示す図である。
図11B】種々のポリエーテルブレンド油により潤滑させた擦れ面に堆積された摩擦生成物のRamanスペクトルの比較を示す図である。
図12】ポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤の成分を選択し、添加剤油ブレンドを作製するための方法の、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態の以下の記述は、添付図面を指す。異なる図面における同じ参照符号は、同じ又は類似の要素を特定する。以下の詳細な記述は本発明を限定しない。代わりに本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲によって定められる。下記の実施形態は、簡略化のため、高い油溶性及び改善された潤滑性能を実現するために選択されるジブロック-及びトリブロックコ-又はターポリマーに関して論じられる。そのような多機能性潤滑剤添加剤を構築させる方法も論じられ、この方法は、現在使用される方法が引き込む金属残留物を回避する。しかしながら、次に論じられることになる実施形態は、ジブロック-及びトリブロックコ-又はターポリマーに限定されず、その他のポリマーに適用されてもよい。
【0014】
本明細書全体を通した「一実施形態」又は「実施形態」という言及は、実施形態に関連して記述される特定のフィーチャー、構造、又は特徴が、開示される対象の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって本明細書の全体を通した様々な場所での「一実施形態では」又は「実施形態では」という文言の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。更に特定のフィーチャー、構造、又は特徴は、1つ又は複数の実施形態で任意の適切な手法で組み合わされてもよい。
【0015】
実施形態によれば、多機能性潤滑剤添加剤、例えばポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤は、ヘキセンオキシド、HO、又はオクテンオキシド、OO、又はラウリルグリシジルエーテル、LGE、又は2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、EHGEを含むモノマーM1を含む少なくとも第1のブロックを含むように設計される。多機能性潤滑剤添加剤は更に、プロピレンオキシドをベースにし得るモノマーM2を含む第2のブロックを含む。多機能性潤滑剤添加剤は、スチレンオキシド、SOを有するM3を含む第3のブロックを更に含んでもよい。多機能性潤滑剤添加剤は、これらのブロックの少なくとも2つを含む。本出願では、ブロックコポリマーは、2種の異なるホモポリマーが一緒に共有結合し且つ反復単位の「ブロック」を形成したときに形成されたコポリマーである。例えばポリマーは:ブロックコポリマーである-Y-Y-Y-Y-Y-Y-Y-Y-Y-X-X-X-X-X-X-X-X-X-X-(式中、-Y-Y-Y-Y-Y-Y-Y-Y-Y及び- X-X-X-X-X- X-X-X-X-X-基は個々のブロックである。)のように一緒に接合されたX及びYモノマーで構成することができる。最も小さいブロックは、いくつかのモノマーを含んでもよい。
【0016】
開環重合(ROP)は、十分に定められたポリエポキシドコ-又はターポリマーに向けて概ね使用される合成方法である[1]。ポリエポキシドの調製はしばしば、金属系又は有機金属触媒を含む[2]。上記にて論じたように、除去するのが難しい残りの触媒残留物は、潤滑剤添加剤の性質に悪影響を及ぼす可能性がある。そのような課題が、有機触媒ROP法の急速な開発を引き起こした[4~6]。最も将来性ある有機触媒の1種は、トリエチルボラン(TEB)及びホスファゼン塩基t-BuP2のLewis対である。この触媒/活性化剤の組合せは、高効率、良好な選択性、及び狭い多分散性を有するエポキシドのリビング/制御ROPを促進させる。TEB/t-BuP2触媒による有機触媒ROPは、十分に定められた触媒残留物を含まないポリエポキシドコ-又はターポリマーを製作し、同時に様々な分子フィーチャーを有するポリエポキシドコ-又はターポリマーを、要求に合わせて設計する可能性を与える道を切り開く。これらのフィーチャーを得て、本発明者らは、潤滑剤添加剤として使用されることになるTEB/t-BuP2により触媒されたROPを介して金属残留物を含まない機能性ポリエポキシドコ-又はターポリマーを合成した。
【0017】
より詳細には、高性能多機能性潤滑剤添加剤を実現するために、3つのパラメーターを制御する必要がある:(a)熱安定性、(b)レオロジー特性、及び(c)境界潤滑性能(耐摩擦/摩耗特性)。本発明者らは、これらの要件を満たすポリエーテル系ジ-及びトリブロックコ(ター)ポリマーを設計/合成することができた。一実施形態によれば、第1のブロックは、脂肪族側鎖を有するポリエーテルを含有し(ヘキセンオキシド(HO)又はオクテンオキシド(OO))、油中の添加剤の溶解度及び油の粘度を同時に改善することができる。したがってこのブロックは、油と十分に混合しない既存の潤滑剤添加剤が直面する問題を解決する。第2のブロックは、ポリ(プロピレンオキシド)PPOであることが選択され、縮合ポリマーフィルムの形成を促進させ、したがって擦れ面の金属接触を低減させる。第3のブロックは、潤滑剤の熱安定性を改善することが予測される、スチレンオキシドSOモノマーを含むように選択される。熱安定性を実現するための動機は、より極端な条件で動作する(即ち、より高い負荷及び温度)、高度に小型化されたターボチャージ付き火花点火機関のニーズを満たすことである。
【0018】
この又は別の実施形態では、本発明者らは、機械的切断に対してより強い抵抗性(即ち、より大きい剪断安定性)を持続させるので、分子量が100kg mol-1未満のポリエーテルブロックコ(ター)ポリマーを更に目標とした。このことは、分解したポリマーの摩擦種により引き起こされた耐摩耗効果が最小限に抑えられた状態で、境界潤滑性能も実現させる。
【0019】
上記にて論じた特徴を有する潤滑添加剤を形成するための方法を、図1及び図2に関して次に提示する。グローブボックス(Ar雰囲気)内で、撹拌棒を備えた乾燥重合フラスコに、工程100(図1に示される方法のフローチャートを参照)で、潤滑剤添加剤の新規な開始剤である100mg(0.168mmol)の脱水エイコサノール200(即ち、図2に示される脂肪族アルコール、C20H42O)を投入した。更に、16.8μL(3.36μmol)のt-BuP2、及び触媒202である134μL(0.134mmol)のTEB、及び1mLの脱水トルエン204をフラスコに添加する。混合物200/202/204を、全てのエイコサノール200が室温で完全に溶解するまで工程102で撹拌した。第1のモノマーM1、例えばOO(2mL、16.8mmol)を工程104でブレンドに添加し、重合を、グローブボックス内で室温で行って、第1の重合ブレンド210を得た。第1のモノマーM1は、ヘキセンオキシドHO、ラウリルグリシジルエーテル、LGE、又は2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、EHGE(これらのモノマーの構造を図2に示す)の1種であってもよい。一適用例で、アルキル側基、例えば直鎖状又は分枝鎖状のヘキシル、ヘプチル、オクチル等を有する任意の環状エーテルを、第1のモノマーM1として使用してもよい。ROPを、1H NMR分光法によってモニターした。24時間後、OOの変換率はほぼ100%であった。工程106で、1mLの重合混合物210を引き出し、THF中の安息香酸溶液によってクエンチ処理した。工程108で、2mLの第2のモノマーM2、例えばPOを残りの重合混合物210に添加して、ジブロックコポリマー212を合成した。工程110で、1mLの重合混合物212を引き出し、クエンチ処理した。工程112で、2mLの第3のモノマーM3、例えばSOをリビングジブロックコポリマー212に添加して第3のブロックを形成し、最終トリブロックポリマー(ターポリマー)214を得た。20時間を超えた後、工程114で安息香酸溶液を添加することにより重合を停止した。3滴にアリコートを引き出して、NMRにより第2のモノマーの変換率を決定した。重合混合物の残りを、工程116で5mLのジクロロメタン(DCM)で希釈し、混合し、中性アルミナ粉末で1時間撹拌して、触媒残留物を除去した。最終多機能性コ(ター)ポリマー216を、工程118で減圧下で濃縮し、40℃で24時間真空乾燥した。第1のモノマーM1は、C4H9又はC6H13又はC11H25O又はC8H18OであってもよいR1基を含み、第2のモノマーM2は、CH3であってもよいR2基を含み、第3のモノマーM3は、C6H5であってもよいR3基を含むことに留意されたい。図2はブロックコポリマー及びターポリマーを示すが、同じ化学組成を有するランダムコポリマー及びターポリマーが形成されてもよく、潤滑剤添加剤として使用されてもよい。コポリマーは、2つの異なるモノマーで作製されたポリマーであると本明細書では理解されるが、ターポリマーは、3つの異なるモノマーで作製されたポリマーであると本明細書では理解されることに、留意されたい。上記論じた方法は、いずれかのタイプのポリマーを形成するのに使用することができる。
【0020】
上記にて論じた新規な潤滑剤添加剤は、モノマーの適切な組合せを選択することによって、熱安定性、摩擦低減、及び粘度改善の任意の組合せを実現するように構成/設計/選択することができる。例えば図3Aから図3Cは、IC機関300の文脈内でそのように設計された潤滑剤添加剤の可能性ある使用を示す。本質的に、ピストン310は、シリンダー312内を典型的な上下運動で移動し、その結果、ピストンとシリンダーとの間の界面314に強力な摩擦がもたらされる。典型的な潤滑剤が使用されるとき、図3Bに示されるように表面損傷が界面314に出現し、一方、新規な多機能性コ(ター)ポリマー216(即ち、ブレンド320)と混合された潤滑剤の使用は、図3Cに示されるように損傷を最小限に抑える。図3Dは、界面314に存在している潤滑剤322及び多機能性コ(ター)ポリマー216を含むブレンド320を示し、それと共に図3Dは、所望の特徴を実現することが可能な様々なモノマーM1からM3を有するコ(ター)ポリマー216を示す。各モノマーは、上記にて論じた方法に基づき、添加剤の少なくとも1つの機能性を実現するように選択されることを留意されたい。
【0021】
上記にて論じたように形成された2.5から5.0質量%のポリエポキシド系コ-又はターポリマーとブレンドされた潤滑剤の2つの試料を、調査した。それらのレオロジー特性は、ASTM D7042規格に従い、レオロジーメーターを使用して決定した。調製された潤滑剤の熱安定性を、同時熱分析器を使用して評価した。油潤滑性能及びそれらの境界フィルム形成能を、ECRセンサーで連結された摩擦学的試験装置で研究した。低滑動速度(50mm/s)を適用して、境界(及び混合)潤滑レジームで油潤滑に似せた。配合された油の耐荷重能は、50Nから500N(1.7から3.7GPaに相当)の試験荷重により様々であり、一方、それらの熱感受性は、試験表面温度を25から200℃に変更することによって研究した。摩耗トラックで発生した摩擦種を、Raman分光法を使用して調査した。
【0022】
次に論じられるように作製されたポリエポキシドコ-又はターポリマーを、有効な潤滑剤配合物に必要とされる3つのパラメーター、即ち(a)熱安定性、(b)レオロジー特性、及び(c)境界潤滑性能(耐摩擦/摩耗特性)に関して調査した。上記にて論じたように、本発明者らにより作製された潤滑剤添加剤は、種々のモノマー、即ち第1のタイプのモノマーとしてHO又はOO又はLGE又はEHGEを有するエポキシドと第2のモノマーとしてのPOとのROPを用いた。更に、OO、PO、及びSOのトリブロックターポリマーを、同じ方法に従い合成した。これらの潤滑剤添加剤の研究に基づき、脂肪族鎖を含む第1のモノマーM1は、潤滑剤中への添加剤の溶解度と添加剤/潤滑剤の摩擦/摩耗低減能とを同時に改善/増大させることが観察された。ポリ(ヘキセンオキシド)(PHO)とポリ(オクテンオキシド)(POO)とを含む2種の親油性ホモポリマーを、ベンチマークとして作用させるように試験中に使用した。新規な潤滑剤添加剤の第2のモノマーM2は、擦れ面の金属接触を低減させる縮合重合フィルム形成を促進させるように設計する。POは、HO及びOO及びLGE及びEHGEの1種と逐次ブロック共重合されて、それぞれポリ(ヘキセンオキシド-ブロック-プロピレンオキシド)(PHO-b-PPO)及び/又はポリ(オクテンオキシド-ブロック-プロピレンオキシド)(POO-b-PPO)及び/又はポリ(ラウリルグリシジルエーテル-b-ポリ(プロピレンオキシド)、PLGE-b-PPO、及び/又はポリ(2-エチルヘキシルグリシジルエーテル)-b-(ポリ(プロピレンオキシド)、PEHGE-b-PPOを実現する。第3のモノマーM3、例えばSOは、更にリビングPOO-b-PPO鎖端から共重合されて、潤滑剤の油の熱安定性を最大限にすることができるように、POO-b-PPO-b-PSOを生成する(同じ方法を使用してPHO-b-PPO-b-PSOを発生させてもよい。)。1つの適用例では、これらの条件下で得られる潤滑剤添加剤が機械的切断に対して更に強力な耐性(即ち、より大きい剪断安定性)を実現するので、低分子量ポリエポキシドコ-又はターポリマーのROPが目標とされた。SOモノマーは、上記列挙されたその他のブロックコポリマーのいずれかに添加できることに留意されたい。
【0023】
多数のブロックを有するポリエポキシドコ(ター)ポリマーは、複雑な分子内及び分子間相互作用を伴う。これらの相互作用を決定し又は特徴付けるため、本発明者らは電気接触抵抗(ECR)測定を適用して油潤滑面上の金属接触の発生を追跡した。ECR測定により、機能化ポリマー、イオン性液体、ナノ粒子、ZDDP、及び有機摩擦調整剤等、様々な添加剤と配合されたとして、潤滑剤の境界フィルム形成能を首尾良く評価した。油潤滑面上で、金属接触の数を推定するための測定されたECR曲率は、種々の潤滑剤添加剤による滑面上での境界フィルム形成の有効性と説明することができる。滑面上での境界フィルム形成の、解析された動態フィーチャーは、潤滑性能に、即ち摩擦及び摩耗に更に結び付けることができ、ブレンドされた添加剤から得られた関連ある界面相互作用を解釈するために利用することができる。
【0024】
合成された添加剤216を、潤滑剤、例えばグループIIの基油(AramcoPrima グレード230油、AP230)とそれぞれ2.5及び5.0質量%でブレンドした。潤滑剤とブレンドされた添加剤の質量パーセンテージは、1から10質量%の範囲にすることができる。全てのコ(ター)ポリマー216は、優れた溶解度を示した。それにも関わらず、試験前に、全ての調製された潤滑剤配合物を、室温の水浴中で30秒間、超音波処理した。ポリエポキシドを含有する、調製された潤滑剤ブレンド320のレオロジー特性を、ASTM D7042規格に従い決定した。各潤滑剤の40℃及び100℃での動粘度を、ASTM D2270/ISO 2909に指定された方法に従って計算された粘度指数により測定した。調製された潤滑剤の熱安定性を、熱重量分析器(TGA)を使用して調査した。TGAは、連続20sccm(即ち、分当たり標準立方センチメートル)窒素パージ下で、室温から500℃まで加熱上昇率10℃/分で、同時熱分析器(STA)で行った。AP230基油、ポリエポキシド、及びそれぞれの潤滑剤ブレンド(2.5及び5.0質量%)の熱重量測定及び示差熱重量測定の質量損失プロファイルを、獲得した。
【0025】
各潤滑剤配合物の摩擦学的性質を、標準化された摩擦学的試験装置で研究した。約50μLの潤滑剤を、ボールオンディスク構成に配置した。それらの境界潤滑性能を、50Nの制御荷重の下、温度50℃、滑動速度50mm/秒(1mm、25Hzストロークに相当)で30分間の線形往復運動で評価した。配合された潤滑剤の耐荷重能を、温度及び滑動速度をそれぞれ50℃及び50mm/秒で保持しながら50Nから500Nで研究し;各工程を5分間保持し、停止させることなく別の荷重レベルまで増大させた。温度感受性は、50℃から200℃で研究した。各温度工程を5分間保持した。適用された荷重及び滑動速度を、それぞれ50N及び50mm/秒で制御した。ポリエポキシドがブレンドされた油による全ての摩擦学的試験結果は、良好な再現性を示した。
【0026】
境界フィルム成長を最初に研究した。電気接触抵抗センサーを摩擦学的試験装置に設置した。センサーは、調節可能な電流量を備えていた(±1μAから±250mA)。境界フィルム成長の動態(又は金属接触の数)を、滑面上でin-situ測定された電気抵抗(R)によって評価し:
【0027】
【数1】
【0028】
式中、Vは電位であり、Iはボールとディスクとの間を流れる電流である。
【0029】
全ての表面分析の前に、全ての接触対を石油エーテルで穏やかに濯ぎ、引き続き一晩、真空乾燥した。潤滑剤耐摩耗性能を、ボール摩耗体積(VBall)で評価し、これは下記の方程式:
【0030】
【数2】
【0031】
を使用して計算され、式中、dは摩耗痕直径であり、rはボール半径であり、Nは垂直荷重であり、Sは滑動距離である。擦られたボールの摩耗痕直径を、光学顕微鏡を使用して測定した。
【0032】
生成された摩耗痕跡(擦られたディスク)の化学組成プロファイルを、Raman分光法を使用して分析した。適正な光強度(20mW)を有するコバルト源の可視光(473nm)を利用して、関連あるRamanスペクトルを誘起した。スペクトルを、200cm-1から3000cm-1で、1800cm-1のグレーティング、5秒の積分、及び3回の累積で収集した。3から5つのランダムスポットを測定して、種々の油潤滑面から発生させた定常状態の化学組成プロファイルを示した。
【0033】
合成したポリエポキシド添加剤216の分子量を、NMR分光法及びゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法を使用して決定し、それらを図4のTable 1(表1)に列挙する。NMRスペクトルを分析して、Table 1(表1)のそれぞれ目標とされるポリエポキシドコ-又はターポリマーの首尾良くなされた合成を確認した。ホモ-及びコポリマーの全てのGPC軌跡は狭い分布を示し、これはt-BuP2/TEBにより触媒された、十分制御された共-又は三元重合を示す。DSC分析は、全てのコ(ター)ポリマーが、0℃よりも低いTgを有することを明らかにした。全てのコ(ター)ポリマーの低Tgは、ポリエポキシド主鎖に沿った可撓性のC-O結合及びアルキル側鎖の高い移動度から得られた。全体として、Table 1(表1)の合成されたポリエポキシドは、約10から22kg/molの範囲の低分子量、狭い多分散性を有し、残留物を含まなかった。十分に定められたポリエポキシドコ(ター)ポリマー216は、潤滑剤添加剤としてのそれらの正確な挙動を理解するために、及びそれらの基礎をなす潤滑メカニズムを論じるために、以下の分析を行わせた。様々なモノマーM1からM3、触媒t-BuP2及びTEB、並びに開始剤Iの比は、±20%の範囲内で変化し得ることに留意されたい。一適用例では、POO-b-PPO-b-PSOポリエポキシドターポリマーに関し、有機触媒ROPプロセスで形成されたときにOO対PO対SOの部分比が100:120:35であり、OO:PO:SO:I:P2:TEBの完全比は100:120:35:1:0.6:0.3である。しかしながら部分比は、(100):(50~200):(25~100)であってもよく、完全比は(100):(50~200):(25~100):1:(0.6±0.12):(0.3±0.06)であってもよい。
【0034】
図5のTable 2(表2)は、低い処理速度(2.5から5.0質量%)での新規のポリエポキシド添加剤216に関して高い粘度指数を示す。より長いアルキル鎖を有するポリエポキシド、即ちPOO及びPOO-b-PPOは、一般に、AP230油に対してより良好な粘度調整をもたらした。2.5から5.0質量%のPOOをブレンドすることは、粘度指数(VI)を約100から160に改善し、一方、PHOを添加することは、VIを約120まで増大させた。特に、PPO由来のコ(ター)ポリマーは、50%高い分子量を有するが、それぞれのホモポリマー、即ちPOOと比較したときに、類似の粘度指数の改善を示した。この挙動は、種々の温度でのPOO-b-PPOの不釣合いな増粘力、即ち、より低い温度での良好な油の増粘力でありながらより高い温度での不十分な油の増粘に起因する。この現象は、異なるサイズのアルキルペンダント基による熱誘起型分子コイル膨潤によって理解することができる。より長いアルキル鎖、例えばPOOは、分散流体(AP230油)でより多くの分子コイルの絡みを伴い、低い及び高い温度で強力な油の増粘力をもたらす。一方、より強力な分子内水素結合をもたらす更に短いアルキル鎖は、分子コイルの拡張を阻害し、より高い温度で、炭化水素で構成された基油によって分子コイルの絡みを低減させた。したがってPOO-b-PPO-ブレンド油は、PPOブロックとの共重合により粘度指数に関して限られた改善しか示さなかった。
【0035】
特に、POO-b-PPOへの追加のPSOブロックは、油のレオロジー挙動に対して強力な拮抗作用を示した。POO-b-PPO-b-PSOターポリマーは、特にそれらの比較的小さい比率(約20質量%)が理由で予測しなかったことであるが、粘度指数を90まで低減させた。このレオロジー挙動は、より低い温度でのみ有効であったそれらの油の増粘力に起因する。より低い温度で、π-π相互作用は主に分子内であり、一方、相互作用は高温で分子内及び分子間力まで拡張された。そのような挙動は、それらの熱誘起性コイル拡張を制限し、ベース流体との絡みを創出し、それによってPOO-b-PPO-b-PSO-配合油の粘度指数を低減させた。この知見は、スチレン由来のコポリマーを含有する潤滑剤のレオロジー特性に該当した。強力な油の増粘力は低温でのみ実証され、一般的なIC機関の適用例では欠点を示し、例えば困難な冷間始動、高い剪断力、及び不十分な燃費を示した。
【0036】
これらの実施形態で利用されたポリエポキシドが、図4及び図5のTable 1(表1)及びTable 2(表2)の両方でそれぞれ例示される約10から20kg/molに及ぶ低分子量を有することは、注目に値する。ポリエポキシド216の低分子量は、極端な環境での適用例で高剪断応力に抵抗する1つの理由であるが、それらの粘度調整力は通常、それほど効率的ではない。それでも本発明者らは、低分子量のポリエポキシドコポリマーであっても、100kg/molから300kg/molに及ぶ類似の増粘力を高分子量ポリ(アルキルメタクリレート)にもたらすことを観察した。ポリエポキシドコポリマーによる粘度指数の改善は2から5質量%のみ必要とし、これは低分子量ポリ(アルキルメタクリレート)(最大12.5質量%)の粘度調整よりも非常に低かった。それにも関わらず、ポリマー構造は、それらの油の増粘力においても役割を果たしていた。
【0037】
AP230油、ホモ-及びブロック-ポリエポキシド216、並びに2.5及び5.0質量%の添加剤を含有する油(即ち、ブレンド320)の熱安定性も、図6のTable 3(表3)に示されるように調査した。この表は、上述の、調製された潤滑剤試料の5%及び50%の質量損失で記録された温度を提供する。特定の質量損失に該当する温度は、当初の基油(AP230)よりも、ポリマーブレンドを有する潤滑剤で高かった。例えば、示差的質量損失プロファイルにおける質量損失の最大速度での温度(Tmax)は、より高いレジームにシフトした。このシフトは、ブレンドされたポリエポキシドコ(ター)ポリマー216によって与えられた熱安定性に起因する可能性がある。AP230に関するTmaxは約325℃であり、一方、ポリエポキシドコ(ター)ポリマーとブレンドされているときは、より高いレジーム(約400℃)にシフトすることが見出された。特に、POO-b-PPO-b-PSOとブレンドされた油は最高Tmax(約405℃)を生成し、これは図1の合成戦略を確認するものであり、潤滑剤の熱安定性を高めるラジカルスカベンジャーとしてSOを利用するものである。
【0038】
油とブレンドされたポリエポキシドコ(ター)ポリマーとの間の相互作用を、下記の方程式:
【0039】
【数3】
【0040】
に基づいて分析し、式中、Tdx%は質量損失x%での実験温度を表し、ブレンド分率(ポリエポキシドの)は、図6のTable 3(表3)に示されるように2.5及び5.0質量%に及んだ。
【0041】
【数4】
【0042】
は、ポリマー及び油を混合することによって生成された理想温度として示された。ΔTxを、x%の質量損失での、
【0043】
【数5】
【0044】
と、
【0045】
【数6】
【0046】
との間の差として記録し、基油とポリマーとの間の相互作用を量子化する。
【0047】
図7のTable(表4)は、油とポリエポキシドコ(ター)ポリマー216との間の相乗効果を示す。全ての配合された潤滑剤に関して計算されたΔT5%及びΔT50%は、プラスであり、50℃よりも大きかった。ポリエポキシドコ(ター)ポリマーブレンド濃度の増大は、ΔT5%及びΔT50%を約5℃だけ更に上昇させ、その結果、強化された熱安定性が得られた。特に最大ΔT5%及びΔT50%は、PPOで構成されたコ(ター)ポリマーとブレンドされた潤滑剤であり、POブロックとの高い熱安定性の相乗効果を示し、SOブロックにより更に強化された。
【0048】
油、及びポリエポキシドコ(ター)ポリマー216とブレンドされた油の、油潤滑性能も、図8のTable 5(表5)に示されるように調査した。Table 5(表5)は、種々のポリエポキシドコ(ター)ポリマー216で改善された境界潤滑性能を示す。PHO及びPOOの、油へのブレンドは、摩擦を約10から25%低減させ、ボール摩耗体積は約15から50%低減した。ジブロックコポリマー216、PHO-b-PPO及びPOO-b-PPOの利用はそれぞれ、摩擦及び摩耗を約40及び85%降下させ、PHO及びPOOポリマーと比較したときに有意な改善であった。ターポリマー、即ちPOO-b-PPO-b-PSOも、単純なポリマーに対して改善された油の潤滑性能を示し、その摩擦及び摩耗の低減は約35及び75%であった。高い潤滑性能は、滑面でのポリエポキシドコ(ター)ポリマー216による境界フィルム形成に起因する可能性がある。それにも関わらず、Table 5(表5)にも示される2.5から5.0質量%のブレンド濃度の増大は、有意ではない変化をもたらし、これはブレンドポリマーと滑面との間の飽和相互作用、例えばポリマー境界フィルムによる完全な表面被覆に起因する可能性がある。
【0049】
Table 5(表5)は、平均ECRと境界潤滑性能、即ち摩擦及び摩耗体積との間の反比例関係も実証する。例えばAP230油によって潤滑された表面は、最も低い平均ECR(約20mΩ)及び最も悪い潤滑性能、例えば最大摩擦及び摩耗をもたらした。AP230油へのポリエポキシドホモポリマーのブレンドは、平均ECRを約90mΩに上昇させた。ポリエポキシドコ(ター)ポリマー216の利用は、平均ECRを数百mΩまで更に増大させた。増大した平均ECRは、滑面上に生成された、より電気的に絶縁する材料を示す。これらの電気絶縁材料の形成は、改善された境界潤滑の原因になる。それらは表面吸着ポリマー、増粘油フィルム、又は一般にはトライボフィルムと呼ばれる摩擦種のいずれかである。より詳細には、より少ない金属接触を有する油の潤滑は、境界潤滑レジームで摩擦及び摩耗の低減をもたらした。
【0050】
注目すべきは、モノマーM3を含有する第3のブロック、例えばPSOが、境界潤滑性能を劣化させることである。POO-b-PPO油ブレンドと比較して、POO-b-PPO-b-PSO油ブレンドは、より少ない摩擦及び摩耗の低減を示した。更にそれらの表面が約100から300mΩで測定され、PPO-b-PPO油ブレンドよりも多くの金属接触を示した。
【0051】
図9A及び9Bは、純粋な油、公知の添加剤を有する油、及び新規な添加剤216を有する油に関する摩擦及びECR値が、種々の試験荷重に関してどのように変化するかを示す。AP230油により潤滑された表面は、線形運動の開始時に、より高い摩擦を示した。図9Aのジグザグ摩擦曲線910は、慣らし期間での頻繁な金属接触及び不適切な油の潤滑に起因する可能性がある。試験荷重の増大は、AP230油-潤滑面で鋭い摩擦曲線ピークを生成し、AP230のみによる油の潤滑が不十分な耐荷重能を有することを示す。一方、耐荷重能は、POO及びPOO-b-PPO-b-PSO添加剤に関して50から100Nに増大し、POO-b-PPO添加剤に関しては最大200Nであった。図9Bで測定されたECRにより示されるように、高い耐荷重能は、表面吸着ポリエポキシド、増粘油フィルム、又は摩擦生成形成に起因する可能性がある。注目すべきは、荷重の増大が、全ての油潤滑面に関してECRを低減させたことである。1つの可能性ある根拠は、滑面での電気絶縁材料の応力支援型除去とすることができる。その他の可能性ある理由は、より高い接触圧力での接触対の塑性変形とすることができ、これは金属接触領域の数を増加させ且つECR値を低減させる。それにも関わらず、高荷重及び高頻度線形往復運動に対する境界フィルム抵抗は、潤滑剤の耐荷重能のメカニズムを説明した。
【0052】
図10A及び10Bは、種々の油潤滑面での温度上昇(曲線1010及び1012を参照)の影響を示す。測定されたECRにより示されるように、電気絶縁材料の量は、全ての温度でAP230油潤滑面上で無視できた。POO-b-PPO及びPOO-b-PPO-b-PSO添加剤で潤滑された表面は、より高いECRを生成し、150℃よりも低い温度でCOFを効果的に低減させた。測定されたCOFは、ポリエポキシドコ(ター)ポリマーが、それらの境界潤滑性能をIC機関関連の適用例で確実にできることを示した。表面温度の上昇に関するその他の興味深いフィーチャーは、全ての油潤滑面に関し、それらのCOF及びECR曲率がそれぞれ約0.15及び100mΩに変換されたことであった。おそらく、より高い表面温度は、高頻度及び高荷重の表面の擦れにより、油膜を収縮させ且つ加熱された鉄基材の塑性変形を引き起こした。連続線形往復運動は油を除去し、滑面を研摩し、類似の数の金属接触を生成し、最終的には同じCOF及びECRをもたらした。
【0053】
種々のポリエポキシドコ(ター)ポリマー油ブレンドにより潤滑したときの、擦れ面の表面形態の画像が得られ、それらは擦れ面が、炭化水素系潤滑剤により一般に生成される暗色の炭素状材料によって覆われることを示した。全ての擦れ面を石油エーテルで清浄化し、ほとんどの油、ポリマー、及び分解種を除去した。したがって得られたRamanスペクトルは、表面に強力に結合する化学種を示した。多数のRamanスペクトルは、生成された摩擦種を表す化学組成プロファイルを示すよう、選択されたレジームから提供された。
【0054】
図11A及び図11Bは、擦れ面上に生成された種々の化学種を示すRamanスペクトルを示す。それらには、酸化鉄、無秩序な黒鉛、及び分解した潤滑剤からの様々な摩擦種が含まれる。最初の4つのピークは、ゲータイト(α-FeOOH、約275、475、及び580cm-1で)及びレピドクロサイト(γ-FeOOH、約380cm-1で)を含む種々の酸化鉄に起因する可能性がある。それらは擦れ面上の種々の機械エネルギー分布によって推進された。表面の粗さは、活性化エネルギーが表面滑動によって低下した場合、材料の摩耗、又は酸化鉄を形成する浸透した酸素分子との更なる相互作用をもたらした。これらの表面粗さによる炭化水素の擦れは、それらの分解、吸着、及び重合も誘発し、これらが炭素状材料形成の原因になる。例えば約1350cm-1に中心が位置付けられたブロードスペクトルは、無秩序なDモード黒鉛に起因する可能性があるが、約1580cm-1に位置付けられたピークは、Gモード黒鉛に割り当てられる可能性がある(炭素原子の平面内振動)。一方、多数のピークは、図11A及び図11Bに示されるように、AP230油から分解した様々な摩擦種に起因する可能性がある。それにも関わらず本発明者らは、AP230油により潤滑された表面と比較して、種々のポリエポキシドコ(ター)ポリマー油ブレンドによってフィーチャーされたいかなる特別なスペクトルも観察しなかった。これは堆積された摩擦生成物の化学種が、種々の潤滑剤で潤滑された表面上で類似したことを示す。
【0055】
図11A及び図11Bのスペクトル比の分析は、配合された潤滑剤のタイプとは無関係に、酸化鉄が、全ての擦れ面上で支配的な種であることを示した。一方、ポリエポキシドがブレンドされた油は、酸化鉄の形成、Gモード黒鉛、及び分解したAP230油によりフィーチャーされた多数の摩擦種を低減させた。この現象は、ポリエポキシドコ(ター)ポリマーブレンド油により指向された摩擦化学反応に起因する。測定されたECR曲率は、この考察を裏付ける。より少ない金属接触は、ポリエポキシドコ(ター)ポリマーにより潤滑されたときに表面に接触したときの機械エネルギーの低減と解釈された。AP230油によって消費されることが裏付けられた機械エネルギーは、表面吸着ポリエポキシドに移動し、それによってAP230油の分解を低減させると共に滑面での酸化鉄の発生も低減させた。ポリエポキシドコ(ター)ポリマー油ブレンドは、CO-O-CO無水物によりフィーチャーされたスペクトルを生成し、これは滑面での酸素原子の剥奪を示し;それによって、油の分解又は表面酸化に関連した摩擦化学反応が、油膜及び擦れ面への低減した酸素の浸透によってクエンチ処理された。
【0056】
これら全ての試験は、純粋なAP230及び種々のポリエポキシド-ブレンド油により潤滑された表面が、類似のスペクトルを示したことを示す(図11A及び図11B参照)。より大きい平均ECRは、Table 4(表4)に示されるように、ポリマー境界フィルムの構築の結果であり、摩擦及び摩耗の低減の原因であった。更にこれらの試験は、ポリエポキシドコ-又はターポリマー油ブレンドで高められた境界潤滑が、生成された摩擦種よりも(図11A及び図11Bを参照)、ポリマー境界フィルム成長動態(図9Aから図10Bを参照)によってより支配的であったことを示唆する。これは、生成された摩擦種が、種々のポリエポキシドコ-又はターポリマーを配合したとしても油の潤滑性能にほとんど影響を示さないことによる。代わりに種々の油配合物は、ECR上昇を発生させるまでの時間に影響を与え、より速い表面保護(図9Aから図10Bを参照)、より効率的な境界フィルム形成、及び高められた境界潤滑性能を伴う(Table 4(表4)を参照)。
【0057】
したがって、上記導入されたポリエポキシドコ-又はターポリマーは、下記の分子フィーチャーの1つ又は複数を有して、既存のポリマー系添加剤と比較したときに、種々に振る舞うと結論付けられる:
【0058】
親油性ブロック、即ちPHO及びPOOは、熱誘起性分子コイル拡張を可能にし、潤滑剤を効果的に増粘させ且つ粘度指数を増大させる。
【0059】
親水性ブロック、即ちPPOは、より増粘性の及びより速い境界フィルム形成と、改善された境界油潤滑性能を誘起する。
【0060】
ベンジル含有ブロック、即ちPSOは、油の熱安定性を改善させつつ、π-π分子内及び分子間相互作用がポリエポキシド粘度指数を低下させ且つ境界フィルム形成を妨げる。
【0061】
したがってアルキル鎖長を変化させることにより、ポリエポキシドコ-又はターポリマーのレオロジー及び境界潤滑性能を効果的に設計することが可能である。アリール基で構成されたポリエポキシドコ-又はターポリマーを利用することは、ポリマーの粘度調整力を低下させたので、回避されるべきである。このことは、分子コイル拡張及びそれらの潤滑剤との絡み合いを阻害する、強力なπ-π分子内及び分子間相互作用に起因する。
【0062】
表面を潤滑するためのブレンド320を作製するための方法を、図12に関して次に論じる。方法は、モーターオイルであってもよい潤滑剤を用意する工程1200、脂肪族側鎖を有するように第1のモノマーM1を選択する工程1202であり、潤滑剤中のポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤の溶解度及び潤滑剤の粘度を同時に増大させる工程1202、2つの金属面の間の擦れ面の金属接触を低減させるように縮合ポリマーフィルムの形成を促進させる第2のモノマーM2を選択する工程1204、潤滑剤の熱安定性を増大させるように第3のモノマーM3を選択する工程1206、有機触媒開環重合(ROP)プロセスで第1から第3のモノマー(M1からM3)をベースにしたポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤を作製する工程1208、及びポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤を潤滑剤と混合してブレンドを得る工程1210を含む。ポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤は、5質量%又はそれより少なく、潤滑剤は、ブレンドの残りの部分である。
【0063】
一実施形態では、OO対PO対SOの比が、形成されたときに(100±20):(120±24):(35±7)である。有機触媒ROPプロセスは、トリエチルボラン、TEB、及びホスファゼン塩基、t-BuP2を触媒として、及び開始剤Iを使用する。OO:PO:SO:I:P2:TEBの完全比は、(100±20):(120±24):(35±7):1:(0.6±0.12):(0.3±0.06)である。ポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤は、ブロック重合される。ポリエポキシドコ-又はターポリマー添加剤は、約10から22kg/molの範囲内の分子量を有する。
【0064】
開示された実施形態は、種々のモノマーを有するポリマー潤滑剤添加剤を提供し、各モノマーは、所望の性質、例えば熱安定性、摩擦低減、油溶性、粘度の改善等を実現するために選択されるものである。例えば、粘度を増大させ且つ摩擦係数を低減させるため、POO-b-PPO及びPHO-b-PPOは潤滑配合物に最も良く適している。一方、POO-b-PPO-b-PSOは、より良い熱安定性を与えるが、粘度の増大及びCOFの低減は、POO-b-PPO及びPHO-b-PPOの場合よりも少ない。この記述は、本発明を限定するものではないと理解すべきである。対照的に実施形態は、添付される特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内に含まれる代替例、修正例、及び均等物を包含するものとする。更に、実施形態の詳細な説明では、多数の特定の詳細が、請求項に記載される本発明の包括的理解を提供するために記述される。しかしながら当業者なら、様々な実施形態がそのような特定の詳細なしに実施され得ることを理解されよう。
【0065】
本発明の実施形態のフィーチャー及び要素は、特定の組合せで実施形態で記述されるが、各フィーチャー又は要素は、実施形態のその他のフィーチャー及び要素なしで単独で、又は本明細書に開示されるその他のフィーチャー及び要素と共に又はそれらなしで様々な組合せで使用することができる。
【0066】
この書き留められた記述は、任意のデバイス又はシステムの作製及び使用並びに任意の組み込まれた方法を行うことを含めて当業者がそれを実施できるように、開示された対象の実施例を使用する。対象の特許可能な範囲は請求項によって定められ、当業者が思い浮かべるその他の実施例を含んでもよい。そのようなその他の実施例は、請求項の範囲内にあるものとする。
【0067】
本明細書に列挙される全ての刊行物の内容全体は、参照により本特許出願に組み込まれる。
(参考文献)
【符号の説明】
【0068】
210 第1の重合ブレンド
212 ジブロックコポリマー
214 トリブロックポリマー
216 機能性コ(ター)ポリマー
300 IC機関
310 ピストン
312 シリンダー
314 界面
320 ブレンド
322 潤滑剤
910 摩擦曲線
1010 温度上昇曲線
1012 温度上昇曲線
M1 第1のモノマー
M2 第2のモノマー
M3 第3のモノマー
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
【国際調査報告】