(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】外骨格を有する細長本体
(51)【国際特許分類】
F16G 13/16 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
F16G13/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556850
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 GB2022050665
(87)【国際公開番号】W WO2022195275
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517421530
【氏名又は名称】ジール イノベーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バロン ニール アンソニー
(57)【要約】
単一の平面内で曲がるように適合された細長本体は、ロープに沿って密接に離間した一連の個々の管状要素内に延在するロープを備える。各要素は、平面の2つの対向する側面に、その隣接する要素の凹部と係合する延長部分を有し、部分および凹部の輪郭は、前記平面内の隣接する要素の相対回転を可能にする。したがって、管状要素は、ロープが切断されることができる前に破られなければならないロープの周りの外骨格を形成する。管状要素の幾何学的形状は、隙間にもかかわらず、外骨格が破損しない限りロープに容易にアクセスできないようなものとすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の平面内で曲がるように適合された細長本体であって、
一連の個々の管状要素内に延在するロープであって、該一連の個々の管状要素は該ロープに沿って密接に離間するロープを備え、各要素が、前記平面の2つの対向する側面に、その隣接する要素の凹部に係合する延長部分を有し、前記部分および凹部の輪郭が、前記平面内の隣接する要素の相対回転を可能にする、細長本体。
【請求項2】
前記ロープがワイヤロープである、請求項1に記載の本体。
【請求項3】
前記ロープが圧縮ワイヤロープである、請求項2に記載の本体。
【請求項4】
前記ロープが、螺旋状に巻かれた金属コアに巻かれた金属ストランドを備える、請求項2または請求項3に記載の本体。
【請求項5】
前記2つの対向する側面の前記延長部分および凹部が、前記平面内の両方の意味で前記本体が曲げられることができる限界を画定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の本体。
【請求項6】
前記管状要素が、前記平面に実質的に垂直な第3の側面に、前記平面内の一方向への前記本体の曲げを制限する並置された部分を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の本体。
【請求項7】
各管状要素が、耐切断性材料を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の本体。
【請求項8】
各管状要素内の前記ロープの周りにシムまたは樹脂ポリマーフィラーを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の本体。
【請求項9】
各管状要素が、骨格構造である、請求項1から8のいずれか一項に記載の本体。
【請求項10】
各管状要素が有孔管である、請求項1から8のいずれか一項に記載の本体。
【請求項11】
各要素が、成形するために切断され、圧着クリンチおよび溶接のうちの一方によって固定された閉鎖縁部を有する管に閉じられた単一の金属プレスを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の本体。
【請求項12】
各要素が、成形するように切断され、圧着クリンチおよび溶接のうちの一方によって固定された閉鎖縁部を有する管に閉じられた2つの一致する金属プレスを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の本体。
【請求項13】
前記プレスが、補強ストリップのためのチャネルを形成する隆起部を有して形成される、請求項11または請求項12に記載の本体。
【請求項14】
各管状要素が、前記平面の少なくとも一方の側面に、前記係合する延長部分および凹部と位置合わせされた補強ストリップを有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の本体。
【請求項15】
各要素が、耐切断性材料を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の本体。
【請求項16】
前記耐切断性材料が、各管状要素に適用される、請求項15に記載の本体。
【請求項17】
前記本体のそれぞれの端部に相補的なロックユニットを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の本体を備えるセキュリティ装置。
【請求項19】
前記一連の管状要素の各端部が、前記ロープの端部に取り付けられたシェルに受け入れられる、請求項18に記載のセキュリティ装置。
【請求項20】
請求項1から16のいずれか一項に記載の複数の本体を備え、各本体内の管状要素が隣接する本体内の管状要素に連結されている、可撓性プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ装置に関し、細長本体の2つの端部が一緒に保持されなければならないセキュリティ装置における特定の用途を有する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、これらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/103327号パンフレットおよび国際公開第2015/087067号パンフレット、米国特許第5,706,679号明細書および米国特許第6,510,717号明細書を含む様々な特許公報に記載されている方法で荷物および軽車両を固定するために使用されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/103327号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2015/087067号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,706,679号明細書
【特許文献4】米国特許第6,510,717号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2013/0068341号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、可撓性プレートまたは平面物品の一部として使用されることもできる可撓性本体の形態のそのような細長本体を対象とする。本発明の目的は、切断しようとする試みに対する増大した抵抗を提供する本体を提供することである。また、接続された複数の管を備えるケーブルシースを開示する米国特許出願公開第2013/0068341号明細書も参照されたい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、単一の平面内で曲がるように適合された細長本体は、ロープに沿って密接に離間した一連の個々の管状要素内に延在するロープを備える。各要素は、平面の2つの対向する側面に、その隣接する要素の凹部と係合する延長部分を有し、部分および凹部の輪郭は、前記平面内の隣接する要素の相対回転を可能にする。要素は、互いに独立しており、隣接する要素間に半径方向の係合または重なりはない。したがって、管状要素は、ロープが切断されることができる前に破られなければならないロープの周りの外骨格を形成する。管状要素の幾何学的形状は、隙間にもかかわらず、外骨格が破損しない限りロープに容易にアクセスできないようなものとすることができる。
【0006】
本発明の細長本体の軸を画定するロープは、通常、ワイヤロープ、好ましくは圧縮ワイヤロープである。そのようなロープは、螺旋状に巻かれた金属コアに巻かれた金属ストランドを備え得る。いくつかの実施形態では、ロープは、チェーンに置き換えられることができる。しかしながら、ロープは、流体、気体または液体用の電子導体またはキャリアなどの特定の目的を果たし得る。「ロープ」という用語は、本出願の文脈においてこの広い意味を有すると理解されるべきである。
【0007】
本発明の好ましい実施形態は、それらの曲げ平面内の一方向の曲げを制限している。これは、本体がその一方向に曲げられることが求められるときに係合する平面に対して実質的に垂直な第3の側面に並置された部分を有する管状要素を使用することによって達成されることができる。この構成では、それぞれの要素部分は、本体が実質的に直線状であるときに係合するように設計されることができる。
【0008】
各管状要素は、通常、耐切断性材料を含む。適切な材料の例は、サーメット;タングステンカーバイド;炭化チタン;チタンナイトライド、およびチタンカーボンナイトライドである。耐切断性材料は、通常、各要素の全体を形成しないが、その一部とすることができ、または要素上にコーティングされることができる。これは、火炎溶射またはレーザクラッディングによって達成されることができる。
【0009】
本発明にかかる細長本体内の各管状要素は、中実、好ましくは金属管、鋳造、成形または製造されることができるが、好ましくは骨格構造または有孔管である。例えば、製造された要素は、成形するために切断され、圧着クリンチおよび溶接のうちの一方によって固定された閉鎖縁部を有する管に閉じられた単一の金属プレスを備えてもよい。別のものは、形状に切断され、圧着クリンチおよび溶接のうちの一方によって固定された閉鎖縁部を有する管に閉じられた2つの一致する金属プレスを備えてもよい。そのような製造された要素は、補強ストリップのためのチャネルを形成する隆起部を有して形成されることができる。しかしながら、本発明の全ての実施形態では、好ましくは前記平面の少なくとも1つの側面に、係合する延長部分および凹部と位置合わせされた何らかの形態の補強ストリップが設けられてもよい。
【0010】
本発明にかかる本体内のロープの曲げに対応するために、ロープは、周囲の管状要素に対して移動することが可能にされなければならない。典型的には、外骨格の各端部は、ロープに取り付けられたシェル内に受け入れられ、本体が曲げられるときに必要とされるものに対応するシェル内のそれぞれの管状要素の軸方向移動を可能にする。ロープは、本体の用途に応じて、1つのシェルまたは両方のシェルを越えて延在し得る。あるいは、各シェルは、本体の長さを画定するためにロープ端部に固定して取り付けられてもよい。そのようなシェルは、互いに取り付けるための、またはクロージャの部品を分離するためのロックユニットであってもよい。したがって、本発明にかかる細長本体は、セキュリティ装置に特に使用される。単純なそのような装置は、それぞれの端部に相補的なロックユニットを含む本発明の本体である。典型的な用途は、自転車またはオートバイのロックである。
【0011】
ロープおよび管状要素の相対移動はまた、ロープに固定されている本体の各端部の要素との要素の間隔または係合の程度によって提供されることができる。要素を密接に係合させることは、比較的限られた曲げで剛性である本体をもたらす。要素間の係合を緩めるほど、より多くの曲げが可能になる。例えば自転車ロックのようにループとして閉じるように設計されている場合、係合は、本体が曲げられて本体とともに端部を実質的に剛性に閉じてロックすることができるようなものであることが推奨される。
【0012】
本発明の本体の別の用途は、可撓性プレートの形成である。複数の本体が、曲げ平面と共通の平面内に横並びに置かれてもよく、各本体内の管状要素は、隣接する本体内の管状要素に連結される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで、本発明を、例として、添付の概略図を参照して説明する。
【
図1】端部ユニットを示すために部分的に破断されている、本発明にかかる細長本体を示している。
【
図2】本発明の本体内に骨格構造を有する管状要素を示している。
【
図5】2つの構成要素から形成された管状要素の断面図を示している。
【
図6】セキュリティ装置を形成するように延長された本発明にかかる細長本体を示している。
【
図7】
図6のものと同様の細長本体を備えるセキュリティ装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す細長本体は、ロープの長さ4に沿って相互係合する複数の管状本体2を有する。本体は、直線部分6および単一の平面内で湾曲した部分8を有して配置される。各要素は、その近傍の凹部12に受け入れられる延長部10を有する。要素2は接続されていないが、密接に係合しており、延長部10および凹部12の一致した弓形縁部は、その隣接部に対する各要素の回転を可能にする。それらの密接な係合は、本体がその係合を増加させる方向に曲げられると、延長部および凹部が接触し、そのような曲げを防止または制限することを意味する。要素2には、ロープ4の反対側に同様に配置された延長部および凹部が形成されている。このようにして、本体の曲げは、実質的に単一の平面に制限される。延長部および凹部の配置もまた、
図1に示される曲げ本体の外側および内側に形成され、図示される方向への曲げを可能にするが、直線を超える他の方向への曲げを防止する。図から分かるように、外側延長部および凹部は接触しており、内側延長部および凹部は、直線部分6において分離されている。このようにして、管状要素の内側輪郭および外側輪郭の設計は、本体がその曲げ平面内のいずれかの方向に曲がることができる限界を設定する。
【0015】
ロープ4は、通常、撚られたストランドまたは圧縮ワイヤを含む金属ロープであり、典型的な直径は10~20mmである。管状要素は、軸方向の移動を可能にするのに十分なロープの周りに比較的密着しており、ロープ直径の7~15%の壁厚を有する。しかしながら、それらの半径方向の厚さは、それらが形成される材料に依存し、図示されているLのように、延長部分の頂点から凹部の基部までの長さは、ロープ直径の約2倍である。
【0016】
本発明にかかる典型的な本体は、約1.5mm(ロープ直径の9~10%)の壁厚を有する鋼管要素内に標準的な14mmの金属ロープを有する。各要素の長さLは、ロープの直径の約2倍であり、例えば30mmであり、全長は約40mmである。各延長部および凹部の全深さは、約10mmである。
【0017】
本体の曲げに対応するために、延長部分10と管状要素の端部の凹部12とは一致しない。例えば、凹部は、直線からの両方の意味での曲げを可能にするために、延長部よりも浅くすることができる。しかしながら、図示されている実施形態では、各凹部の一方の縁部は、図示されている意味のみでの直線からの曲げを可能にするために、24において示されているように切り取られるか、または省略される。切り欠きは、典型的には2~3mmであるが、本体のどの最大曲率が必要とされるかに応じて選択されてもよい。
【0018】
図1の本体の各端部において、ロープ4は、それぞれの末端管状要素2を受け入れる断面において示されたシェル14に取り付けられている。本体は、曲げの限界で示されており、その結果、シェル14は、両方の末端要素を実質的に囲む。シェルおよび管状要素のうちの一方または両方が、本体が曲がり得る限界を決定することが理解されよう。
【0019】
図1に示す本体は、その構造を示している。これは、特定の用途において使用するために拡張または短縮され得ることが理解されよう。例えば、拡張形態では、シェル14は、本体が全体として自転車またはオートバイのロックとして使用するためのロック可能なループを形成するように、ロックユニットに相補的であってもよく、ロックユニットに取り付けられてもよい。短縮された形態では、1つまたは両方のシェルがそれぞれの物品に解放可能に取り付けられた状態で、単に1つの物品を別の物品にロックするために使用されることができる。
【0020】
図2は、管状要素2の列を示し、そのそれぞれは、骨格構造を形成する金属鋳造物である。各延長部10と凹部12との間には、サーメット;タングステンカーバイド;炭化チタン;チタンナイトライド、およびチタンカーボンナイトライドなどの耐切断性材料の補強ストリップ16が延在している。同様のストリップが反対側に形成され、18に示すように、曲げ本体の外側および内側のうちの一方または両方に形成されてもよい。当然ながら、要素全体を耐切断性材料で形成されることができるが、ほとんどの用途では、ここに示すようなストリップで十分であり、金属合金などの他の材料で鋳造された要素に適用される。ストリップは、本体が曲げられているか直線状であるかにかかわらず、従来のワイヤカッターにアクセスを提供し得る隙間を避けるために、少なくとも2つの側面で重なり合うように配置される。
【0021】
図3および
図4は、金属プレスから形成された管状要素2の異なる設計を示している。それらは、それらの重量を減少させる孔を有するが、
図2の骨格構造のもののようなこれらの開口部は、全体として本体を切断しようとする際にロープへのアクセスを容易にしないように成形されて配置される。プレスされた要素は、管を形成するように成形および圧着、クリンチまたは溶接された単一のプレスまたは整合プレスから形成され得る。耐切断性材料がこれらの要素に適用され得るが、
図5を参照して以下に説明する方法で適用することが好ましい。
【0022】
図5は、縁部20において互いに圧着、クリンチ、または溶接された2つの同一のプレスから形成された管状要素の断面を示している。図示の断面はまた、耐切断性材料のための内部チャネルを形成する隆起部22を有する。プレスは、例えば火炎溶射またはレーザクラッディングによって適用されることができる耐切断性材料のために、内部または外部の異なるチャネルを形成するように成形され得ることが理解されよう。
【0023】
図6に示すセキュリティ装置は、
図1のものと同様の本体であるが、自転車またはオートバイのロックのようにループを完成させることができるように、延長された長さからなる。本体の各端部において、適合された管状要素26、28は、ロープを受け入れて保持するシェルを形成する。要素26および28は、ループを閉じるために、ロック機構(図示せず)によって直接的または間接的に結合されてもよい。機構は、要素26、28の一部を形成する雄および雌のロックユニット、またはそれぞれの要素がロックされることができる別個のユニットを備えることができる。本体は、通常、ポリマーカバー(図示せず)内に収容され、
図7の実施形態に示すように、布スリーブ30内に封入されてもよい。
図7に見られるように、本体(カバー)およびスリーブの端部は、ロック36のユニット32および34に受け入れられる。
図6および
図7の各実施形態では、図示された形状の本体は非常に剛性であり、本体の曲げは、さらなる曲げを抑制するために管状要素を密接に係合させた。
【国際調査報告】