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特表2024-510256真菌を含有するテクスチャードタンパク質材料、これを作製する方法、及びその使用
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  • 特表-真菌を含有するテクスチャードタンパク質材料、これを作製する方法、及びその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】真菌を含有するテクスチャードタンパク質材料、これを作製する方法、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A23J 3/26 20060101AFI20240228BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240228BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20240228BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20240228BHJP
   A23L 31/00 20160101ALI20240228BHJP
【FI】
A23J3/26
A23L5/00 J
A23L13/00 Z
A23L5/00 A
A23J3/00 502
A23L31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556918
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 US2022020575
(87)【国際公開番号】W WO2022197816
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/161,865
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521554594
【氏名又は名称】テラミノ インク.
【氏名又は名称原語表記】TERRAMINO INC.
【住所又は居所原語表記】2940 7th Street, Berkeley, California 94710 The United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ニクソン ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】リー キンバリー
(72)【発明者】
【氏名】フレルカ ジョン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B042
【Fターム(参考)】
4B018MD80
4B018MF02
4B018MF04
4B035LC03
4B035LC16
4B035LE05
4B035LG12
4B035LG15
4B035LG50
4B035LK02
4B035LP32
4B042AC05
4B042AD36
4B042AK06
4B042AK10
4B042AK16
4B042AP30
(57)【要約】
真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品を製造する方法が記載されており、これらの方法は、一般的に、真菌ベースタンパク質供給源を提供することと、真菌ベースタンパク質供給源を他の成分(二次タンパク質供給源を含む)と混合してブレンドを形成することと、ブレンドを押出することとを含む。この方法は、真菌ベースタンパク質の真菌繊維を無傷のままにしながら二次タンパク質を変性させる操作パラメータを使用して押出を実施することを含み得る。真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品も記載されており、真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品は、真菌繊維の周辺及び周囲に形成された変性非真菌タンパク質のネットワークと整列させた無傷の真菌繊維を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品を成形する方法であって、
複数の真菌繊維を含む、真菌ベースタンパク質供給源を提供することと、
前記真菌ベースタンパク質供給源を少なくとも1種の二次タンパク質供給源と混合してブレンドを形成することと、
前記ブレンドを押出して、真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品を成形すること
を含み、
前記ブレンドを押出することを、二次タンパク質が変性され、前記真菌繊維の40%超が無傷のまま残るような手法で実行される、方法。
【請求項2】
押出が、剪断力、高圧、及び高温を前記ブレンドに適用することを含み、前記剪断力、高圧、及び高温を、前記二次タンパク質が変性され、前記真菌繊維の40%超が無傷のまま残るように設定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブレンドを押出することを、二次ベースタンパク質が変性された後に、変性タンパク質が、伸長され、前記複数の真菌繊維の周囲及び周辺に変性タンパク質のネットワークを形成するような手法でさらに実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ブレンドを押出することを、前記変性タンパク質のネットワークを前記複数の真菌繊維と整列させるような手法でさらに実行する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ブレンドを押出することを、前記真菌繊維の95%超が無傷のまま残るように実行する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記二次タンパク質供給源が、前記真菌ベースタンパク質供給源の前記真菌繊維が破壊される剪断力、圧力、及び/又は温度よりも、より低い剪断力、より低い圧力、及び/又はより低い温度で変性する非真菌タンパク質を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ブレンドを押出するために使用される前記剪断力、圧力、及び/又は温度が、前記真菌ベースタンパク質供給源の前記真菌繊維のいずれも破壊しない、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレンドを押出して前記真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品を成形する前に、前記二次タンパク質供給源の一部又は全てを部分的又は完全に変性させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記二次タンパク質供給源の一部又は全てを部分的又は完全に変性させることを、前記真菌ベースタンパク質供給源と前記少なくとも1種の二次タンパク質供給源とを混合して前記ブレンドを形成した後に実行し、二次タンパク質供給源の一部又は全てを部分的又は完全に変性させることを、真菌タンパク質供給源の前記真菌繊維の60%超を破壊しない手法で実行する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の無傷の真菌繊維を含む真菌ベースタンパク質供給源と、
前記複数の無傷の真菌繊維の周囲及び周辺に配置された変性タンパク質の複数のネットワークとを含む、真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品。
【請求項11】
前記複数の真菌繊維がパターン状に配置されている、請求項10に記載の真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品。
【請求項12】
変性タンパク質の前記複数のネットワークが、前記複数の真菌繊維と整列している、請求項10に記載の真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品。
【請求項13】
脂肪、着香剤、結合剤、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項10に記載の真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品。
【請求項14】
前記真菌ベースタンパク質供給源が、前記真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品の少なくとも50重量%を占める、請求項10に記載の真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品。
【請求項15】
変性タンパク質の前記複数のネットワークが、真菌タンパク質濃縮物又は真菌タンパク質単離物に由来する、請求項10に記載の真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2021年3月16日に出願された米国仮特許出願第63/161,865号の優先権を主張するものであり、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書には、真菌を含有するテクスチャードタンパク質材料、真菌を含有するテクスチャードタンパク質材料を作製する方法、及び真菌を含有するテクスチャードタンパク質材料の使用が記載されている。
【背景技術】
【0003】
代替肉、肉類似物、及び肉模倣物は、一般的に、肉(魚介類を含み得る)のテクスチャ、フレーバー、及び栄養を模倣するための着香剤、脂肪、結合剤、及びタンパク質の組み合わせとして定義される。味、テクスチャ、及び栄養の点で肉にできるだけ似た代替肉を生成するために多大な尽力がなされてきた。しかしながら、現在までのところ、代替肉は、一般的に、これらのカテゴリーのうち、複数とは言わないまでも、少なくとも1つについて不十分である。
【0004】
代替肉が一般的に天然肉を十分に模倣することができない1つの理由は、代替肉が代替肉の主要構成要素として植物を使用していることである。植物バイオマスは、セルロースを有し、水分が多く、かつ硬く、天然肉のテクスチャに似たものにするのが容易ではない。したがって、微細構造レベルでより「肉のような」テクスチャを達成するためには、植物からのタンパク質を抽出し、続いて、押出する必要がある。しかしながら、天然肉の筋繊維の微細構造は、植物ベースタンパク質ではまだ十分に再現することができない。
【0005】
植物ベースの肉代替品で経験され得る別の問題は、肉を模倣するために典型的に肉代替品に添加されるフレーバーに加えて、植物由来の異臭又は苦味を避けるために、マスキング剤及び/又は特別な(かつ通常は無駄な)植物加工技術が典型的に必要とされることである。これによって、植物ベースの肉代替品の調製の複雑性が増す可能性がある。
【0006】
代替肉を製造するための現在知られているプロセスが多くの場合に直面する別の問題は、コスト及び効率に関する。植物ベースの肉は、一般的に、製造コスト及び効率の点で動物ベースの肉よりもはるかに良好であるが、代替肉で使用されるタンパク質濃縮物又はタンパク質単離物を作製するために植物ベースタンパク質を加工すると、典型的には、廃棄される大量の植物バイオマスが生じる。これによって、プロセスは、コストがより高くなり、同時に効率が低下する。
【0007】
上記の全てのことにもかかわらず、テクスチャード植物タンパク質(TVP)は、少なくとも1970年代から存在する周知かつ人気の食品である。TVPを調製するプロセスは、一般的に、加圧下で脱脂タンパク質粉末を水と混合して、熱可塑性の塊を生成し、次いで、これをダイに通して押出して、タンパク質性TVP製品を生成することを伴う。TVPは、典型的には、乾燥~半乾燥微粒子として提供され、この乾燥~半乾燥微粒子は、蒸気処理又は煮沸処理によって再水和されると、外観及びテクスチャが肉に似るため、肉のような製品を生成するために使用することができる。TVPを作製するプロセスで使用される脱脂タンパク質粉末は、多くの場合、脱脂大豆粉であるが、小麦、えんどう豆、又は他の豆類などの他の材料も使用することができる。
【0008】
しかしながら、TVPは、一般的に、その主要タンパク質供給源に関して、例えば、大豆、小麦、又は他の野菜に依存しているため、上述の問題の全てを抱えている。したがって、現在、先に論じた問題の一部又は全てを抱えていないTVPのような製品の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0009】
この発明の概要は、以下で発明を実施するための形態においてさらに記載されている概念の選択を簡略化された形式で紹介すべく設けられる。この発明の概要及び前述の背景技術は、特許請求されている主題の重要な態様又は本質的な態様を特定することを意図してはいない。さらに、この発明の概要は、特許請求されている主題の範囲を決定する際の補助としての使用を意図してはいない。
【0010】
いくつかの実施形態では、真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品を成形する方法が記載されている。この方法は、複数種の真菌繊維を含む真菌ベースタンパク質供給源を提供するステップと、真菌ベースタンパク質供給源を少なくとも1種の二次タンパク質供給源と混合してブレンドを形成するステップと、ブレンドを押出して真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品を成形するステップとを含み得る。ブレンドを押出することを、二次タンパク質が変性され、真菌繊維の40%超が無傷のまま残るような手法で実行することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品が記載されている。真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品は、複数の無傷の真菌繊維を含む真菌ベースタンパク質供給源と、複数の無傷の真菌繊維の周囲及び周辺に配置された変性タンパク質の複数のネットワークとを含む。
【0012】
本明細書に記載されている技術のこれら及び他の態様は、本明細書の発明を実施するための形態及び図面を考慮すると明らかになるであろう。しかしながら、特許請求される主題の範囲は、発行された通りの特許請求の範囲によって決定されるべきであり、所定の主題が、背景技術で言及されたいずれか若しくは全ての問題に対処するか又は発明の概要に列挙されているいずれかの特徴若しくは態様を含むかどうかによって決定されるべきではないと理解されたい。
【0013】
好ましい実施形態を含む、開示されている技術の非限定的かつ非網羅的な実施形態は、以下の図を参照して記載されており、同様の参照番号は、特に指定されていない限り、様々な図を通して同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本明細書に記載されている様々な実施形態による、真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品を製造するための方法を図示するフローチャートである。
図2】本明細書に記載されている様々な実施形態による、真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品を製造するための方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態は、本明細書の一部を形成し、かつ実例として特定の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、以下でより完全に記載されている。これらの実施形態は、当業者が本発明を実践することができるように十分に詳細に開示されている。しかしながら、実施形態は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味合いで取られるべきではない。
【0016】
本明細書には、タンパク質供給源として真菌を含有するテクスチャードタンパク質食品及びこれを作製する方法の様々な実施形態が記載されている。テクスチャードタンパク質食品中のタンパク質供給源としての真菌の使用は、いくつかの理由で利益があり得る。系統学的に言うと、真菌は、植物よりも動物により密接に関連しており、このことは、真菌がテクスチャードタンパク質食品に組み込まれると、テクスチャードタンパク質食品が、肉に似たテクスチャ、味、及び栄養上の利益を呈することを意味する。例えば、糸状菌の菌糸体は、構造レベルでは動物の筋繊維とおよそ同じサイズであり、このことは、これらが、複雑なマトリックス中に配置された場合に、肉に似たテクスチャを有することを意味する。したがって、真菌を組み込んだテクスチャードタンパク質食品は、肉代替品又は肉類似物として使用される場合に特に有用である。真菌の微細構造と、例えばHMEC(以下でより詳細に論じられる)を介して形成されるより大きなテクスチャとの組み合わせは、最終的に、肉のようなテクスチャを複数のサイズスケールで同時に生成する。
【0017】
さらに、本明細書に記載されているような真菌を含むテクスチャードタンパク質食品のプロファイルは非アレルギー性であり得、このことは、両方とも一般的なアレルゲンである小麦及び/又は大豆などを含む従来のTVPよりも有利である。
【0018】
本明細書に記載されているような真菌を含むテクスチャードタンパク質食品は、真菌ベースタンパク質の味が中性であるため、改善された味も有し得る。真菌ベースタンパク質は、味が中性であるため、テクスチャードタンパク質食品は、特別な手法で加工する必要がない、及び/又はタンパク質の味を抑制することを目的としたマスキング成分を含む必要がない。その代わりに、望ましい着香剤を単純に添加することによって、望まれるどのような味もテクスチャードタンパク質食品に提供することが比較的容易である。使用することができる真菌バイオマスは、味が中性的であり、肉又は魚介類により似た味がするより優れた味わいの製品を達成するためにより少ない成分を使用することを可能にする。さらに、様々な実施形態で使用することができる真菌バイオマスは、わずかに風味豊かで旨味があり、それによって、テクスチャードタンパク質食品は、ヒトの味覚にとって直感的に楽しい風味豊かなベースタンパク質を作製するために使用される、より優れたベースタンパク質供給源になる。
【0019】
さらに、本明細書に記載されている真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品は、糸状菌からのバイオマスを使用することができ、生産プロセスを極めて効率的にすることができる。この特定のタイプの真菌の使用は、通常であれば廃棄物又は使用不可能なものとして処理され得る材料が、その代わりに、極めて栄養密度が高い高タンパク質の食物になることを意味する。したがって、アップサイクルプロセスの結果として、有利な環境外部性が達成され、本明細書に記載されているプロセスは、高タンパク質製品又は肉/魚介類代替品における最終的な使用のための植物の栽培などよりもはるかに負荷が低い可能性がある。
【0020】
図1に関して、真菌を含むテクスチャードタンパク質食品を製造するための方法100の様々な実施形態を図示するフローチャートは、概して、真菌タンパク質供給源を提供するステップ110と、真菌タンパク質供給源の水分含有量を調整する任意選択的なステップ120と、真菌タンパク質供給源を二次タンパク質供給源及び/又は他の成分と混合して、それによってブレンドを形成する任意選択的なステップ130と、ブレンドを押出して、それによってテクスチャードタンパク質食品を成形するステップ140とを含む。ステップ120及び130は、方法100全体にとって任意選択的であるため、これらのステップは、図1では破線のボックスを使用して示されている。ステップ120及びは、方法100から完全に省略されても、又は任意の順序で方法100に任意選択的に含まれてもよい。
【0021】
真菌タンパク質供給源を提供するステップ110に関して、任意のタイプの真菌を、本明細書に記載されている方法によって製造すべきテクスチャードタンパク質食品の真菌タンパク質供給源として使用することができる。いくつかの実施形態では、無傷の真菌繊維を有する真菌細胞全体をステップ110で提供する。いくつかの実施形態では、ステップ110で提供される真菌タンパク質供給源は、液体又は固体発酵から増殖した真菌材料である。他の実施形態では、真菌供給源は、結実菌の菌糸体、すなわち、食用キノコから得られる。ステップ110で使用することができる真菌タンパク質供給源の非限定的な例は、アスペルギルス属(Aspergillus genus)からの真菌、フザリウム属(Fusarium genus)からの真菌、及びニューロスポラ属(Neurospora genus)からの真菌を含む。1つの特定の例では、真菌タンパク質供給源は麹である。
【0022】
任意選択的なステップ120に関して、ステップ110で提供される真菌タンパク質供給源の水分含有量を調整してもよい。必要に応じて、水分含有量を増加又は減少させる任意の手法を使用することができる。いくつかの例では、真菌タンパク質供給源の水分含有量を調整するために、蒸気の注入、水の直接添加及び混合、適用若しくは加熱、真空の適用、並びに/又は遠心分離を使用することができる。
【0023】
含水量に加えて、真菌タンパク質供給源の様々な他のパラメータを任意選択的なステップ120の一部として調整することができる。いくつかの実施形態では、調整すべき真菌タンパク質供給源の他のパラメータを、実行すべき押出プロセス及び/又は最終製品の望ましい特性に少なくとも部分的に基づいて選択する。必要に応じて調整することができる真菌タンパク質供給源の、例示的ではあるが限定的ではないパラメータは、総タンパク質含有量、タンパク質分散性(好ましくは、20~70)、窒素溶解指数、油含有量(好ましくは、0.5~6.5%)、繊維含有量(6%まで)、及び粒径(好ましくは、38~180ミクロン)を含む。
【0024】
任意選択的なステップ130に関して、真菌タンパク質供給源を、最終的なテクスチャードタンパク質食品に含むべき他の成分と混合することができる。ステップ130は、真菌タンパク質供給源を1種以上の二次タンパク質供給源及び/又は1種以上の非タンパク質材料と混合することを含み得る。真菌タンパク質供給源と混合され得る非タンパク質成分の、例示的ではあるが限定的ではない例は、フレーバー剤、脂肪、結合剤、並びにタンパク質の結合及び押出を促進する添加剤を含む。二次タンパク質供給源は、任意の非真菌タンパク質供給源、並びに分離、単離、抽出、又は他の方法で真菌に由来するタンパク質(例えば、真菌タンパク質単離物又は真菌タンパク質濃縮物)を含み得る。一般的に言うと、二次タンパク質供給源は、真菌繊維を破壊せずには真菌タンパク質に到達することができないような、無傷の真菌繊維を有する真菌タンパク質供給源を除外する。真菌タンパク質供給源と混合され得る非真菌二次タンパク質供給源の例は、小麦粉、タンパク質濃縮物、及び/又はマメ科植物(大豆、ひよこ豆、えんどう豆、レンズ豆、空豆、白インゲン豆)若しくは穀物(小麦グルテン)からのタンパク質単離物を含む。
【0025】
真菌及び二次タンパク質供給源の両方が使用される場合、二次タンパク質供給源に対する真菌の任意の比率を使用することができるが、いくつかの実施形態では、真菌ベースタンパク質は、総タンパク質含有量の50重量%超であるか、又はタンパク質含有量の少なくとも過半数若しくは大部分の供給源である。いくつかの実施形態では、真菌ベースタンパク質は、総タンパク質含有量の70重量%超、75重量%超、80重量%超、85重量%超、90重量%超、又は95重量%超である。
【0026】
真菌タンパク質供給源を他の成分と混合する任意の手法を任意選択的なステップ130で使用することができる。いくつかの実施形態では、成分及び/又はタンパク質供給源の損傷を避けるために、混合を比較的低い剪断又は力で実施する。いくつかの実施形態では、成分を緊密及び/又は均一に混合して、それによって成分のブレンドを形成するまで、混合を実行する。
【0027】
いくつかの実施形態では、任意選択的なステップ130におけるブレンドの調製は、真菌タンパク質供給源を少なくとも1種のタンパク質粉末(例えば、非真菌タンパク質粉末、又は単離された真菌タンパク質を含むタンパク質粉末)と混合することを含む。そのような実施形態では、真菌タンパク質供給源は、タンパク質粉末と混合されるとき、湿潤していても、又は乾燥していてもよい。真菌タンパク質供給源が湿潤している実施形態では、湿潤した真菌タンパク質供給源とタンパク質粉末との混合は、真菌タンパク質供給源から周囲のタンパク質粉末への水分の拡散を可能にするために、一定期間にわたって実施することができる。真菌タンパク質供給源からタンパク質粉末への水分の拡散は、混合物がより低い温度(例えば、冷蔵温度)で保持されている場合、長期間継続し得る。
【0028】
真菌タンパク質供給源と混合すべき成分の全てが任意選択的なステップ130で真菌タンパク質供給源と混合される必要はない。押出ステップ150に関して以下により詳細に論じられるように、真菌タンパク質供給源と混合すべき成分の一部又は全てを、押出ステップ150の一部として真菌タンパク質供給源とブレンドすることができる。そのような実施形態では、押出設備は、例えば、成分を押出機に圧送するインラインミキサを含んでいてもよく、その時点で、真菌タンパク質供給源との混合が行われる。
【0029】
図1には示されていないが、任意選択的なステップ130で形成されたブレンドの水分含有量を調整する追加の任意選択的なステップを押出の前に実行することができる。ブレンドの水分含有量の調整は、ブレンドの生成中及び/又はその後に実行することができる。ブレンドの水分含有量の調整は、水分含有量を添加又は除去することを含み得る。いくつかの実施形態では、ブレンドの水分含有量を押出のためのブレンドの調製の一部として調整する(以下でより詳細に記載されているステップ150)。任意選択的なステップ120(真菌タンパク質供給源の含水量を調整すること)と同様に、必要に応じて、ブレンドの水分含有量を増加又は減少させる任意の手法を使用することができる。いくつかの例では、蒸気の注入、水の直接添加及び混合、適用若しくは加熱、真空の適用、並びに/又は遠心分離を使用する。いくつかの実施形態では、ブレンドの水分含有量を押出前に低減させる。そのような実施形態では、水分の一部を除去することが望ましいが、高粘度のペーストを生成するほどではない。
【0030】
真菌タンパク質供給源を提供すること(ステップ110)と真菌タンパク質供給源を押出すること(他の成分と任意選択的にブレンド)との間の任意の時点で、二次タンパク質の一部又は全てを部分的又は完全に変性させる任意選択的なステップを実施することができる。二次タンパク質を部分的又は完全に変性させる任意選択的なステップは、これが、押出中に変性することがより容易であるように、並びに/又は押出中に伸長、整列及びネットワーク形成に即座に利用可能であるように二次タンパク質をより良好に調整するために、実行することができる。二次タンパク質の部分的又は完全な変性のみを実行するという前提で、部分的又は完全なタンパク質変性を実行する任意の手法をこの任意選択的なステップの一部として使用することができる。真菌繊維の破壊につながり得るプロセス及び/又は加工パラメータを避けるように注意すべきである。いくつかの非限定的な例では、タンパク質変性を、自己溶解(真菌の内因性の酵素による細胞破砕)によって、熱処理によって、又は外因性酵素、酸若しくは物理的破砕による処理によって実施する。
【0031】
いくつかの実施形態では、任意選択的な変性ステップは、押出中の変性をより容易にするために二次タンパク質を調製することを目的とする。すなわち、任意選択的なステップは、二次タンパク質を部分的に変性させることはあるが完全に変性させることはないため、部分的な変性が押出前に実施されない場合に必要になり得るよりも、押出中に二次タンパク質の変性を完了するために必要とされる厳しい押出操作パラメータがより少なくて済む。事前変性ステップが、より少ない厳しい押出操作パラメータで押出中に二次タンパク質の完全な変性を可能にするため、このようにして、変性がより困難な(例えば、変性を達成するためにより高い剪断力、温度、及び/又は圧力を必要とする)二次タンパク質が、本明細書に記載されている方法における使用に利用可能になり得る。
【0032】
ステップ140では、真菌タンパク質供給源と他の成分とのブレンドを押出に供して、真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品を製造する。この開示は、一般的に押出及び押出機の使用について言及しているが、材料を可塑化し、タンパク質の三次構造を改変し、かつ繊維状のテクスチャを生成するように熱、剪断及び/又は圧力をブレンドに適用するために使用することができる任意の押出機、成形機、又は他の同様のタイプの設備を使用することができると理解されるべきである。いくつかの実施形態では、これらの力の適用は、材料を「調理」することであると考えられる。
【0033】
押出プロセスを実行するために、任意のタイプの押出機、成形機、又は同様の設備を使用することができる。例示的ではあるが限定的ではない押出機は、単軸押出機及び二軸押出機を含む。必要に応じて調整することができる押出機及び押出プロセスの操作パラメータは、軸プロファイル、押出機の長さ/直径比、回転速度、回転方向、軸構成、区分け、並びに様々な区画にわたる温度及び/又は圧力プロファイルを含むが、これらに限定されることはない。
【0034】
いくつかの実施形態では、使用される特定の押出プロセス及び/又は設備は、一般的に、押出される材料の水分含有量に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、低水分押出又は中間水分押出を実行するが(特に、例えば、乾燥したテクスチャード植物タンパク質タイプ製品の製造に適切である)、他の実施形態では、高水分押出調理(HMEC)を使用する(特に、例えば、高水分肉類似物(HMMA)の製造に適切である)。一般的に言うと、押出機に通される材料の水分含有量が50%超である場合、押出プロセスは高水分押出調理であるが、10~25%の範囲の水分含有量は低/中間水分押出プロセスに従う。
【0035】
一般的に言うと、押出ステップ140は、真菌タンパク質供給源(これはブレンドの一部であり得る)を押出機又は成形機のホッパー又は同様の装填構成要素に装填すること、任意選択的に、押出すべき材料の含水量を調整するために水を添加又は除去すること、材料を押出すること、次いで、使用される押出プロセスの特定のタイプ及び成形される製品に応じて様々な任意選択的な後加工ステップを実施することを含む。
【0036】
ブレンドを押出機の装填構成要素に装填した後に、任意の望ましい水分レベルを達成するために水分を添加又は除去することができる。水分含有量を増加させるために水を添加する場合、例えば、押出機に装填されたブレンドへの水の直接添加によって、又は蒸気注入によって、水分含有量を増加させることができる。
【0037】
押出機に供給される材料が「湿潤」している(すなわち、比較的高い水分含有量を有する)実施形態では、押出中に材料に添加される水の量は、乾燥粉末が投入材料である場合の押出中に添加される水の量と比較して低減される。押出中のこの水の添加がより少ないにもかかわらず、押出製品の水分含有量は、乾燥粉末投入物から成形された押出製品の水分含有量と同様である。
【0038】
先に言及したように、押出機には、成分を真菌タンパク質供給源又はブレンドに添加するためのインラインミキサも取り付けられていてもよく、そのため、これらの成分は、これが押出機に入るとき又はこれを通過するときに、真菌タンパク質供給源又はブレンドに添加される。そのようなインラインミキサを介して添加することができる例示的な成分は、着香剤又は二次タンパク質供給源を含む。いくつかの実施形態では、ステップ110で提供される真菌タンパク質供給源に添加すべき全ての成分を、インラインミキサを介して添加するが、他の実施形態では、いくつかの成分を、押出の開始前にブレンドを形成するために真菌タンパク質供給源と混合し(ステップ130)、残りの成分を、押出ステップ140中にインラインミキサを介して添加する。
【0039】
押出中に、材料のブレンド(真菌タンパク質供給源を含む)を、剪断力、増加した温度、及び増加した圧力に供する。したがって、押出は、押出によって製造されたテクスチャードタンパク質食品内で真菌タンパク質供給源の真菌繊維の規則配列を少なくとももたらす。押出前に、真菌繊維は、ブレンド全体に本質的にランダムな配置で分散されている。押出プロセスは、真菌繊維を、規則的に再配置して、例えば、ブレンドを剪断力に供するために使用される機構によって一般的に規定される規則的なパターンにする。例えば、使用される押出機が二軸押出機である場合、真菌繊維の規則的な再配置は、二軸の回転と二軸によって真菌繊維に付与される剪断力とによって付与されるパターンに従うことになる。これは、例えば、真菌繊維の螺旋状又はコルクスクリュー状の配置の形態を取り得る。
【0040】
図2を参照すると、図1に示されている一般的な方法100の1つの特定の好ましい実施形態が図示されている。方法200は、概して、真菌タンパク質供給源を提供するステップ210と、ブレンドを形成するために真菌タンパク質供給源を少なくとも1種の二次タンパク質供給源と混合するステップ220と、二次タンパク質供給源中のタンパク質を変性させるが真菌タンパク質供給源中に存在するかなりの量の無傷の真菌繊維を破損させない又は破壊しない押出機操作パラメータを使用してブレンドを押出するステップ230とを含む。本明細書で使用される場合、「かなりの」という用語(及びその変形形態)は、60%超を意味する。したがって、押出ステップ230の目的は、二次タンパク質を変性させるが真菌タンパク質供給源中の真菌繊維の60%よりも多くを破壊しない又は破損させない押出操作パラメータを選択することである。いくつかの実施形態では、真菌繊維の破壊についてのより低い許容度が許される。例えば、いくつかの実施形態では、押出破断が、真菌繊維の55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、又は5%未満であることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、押出が、真菌繊維を全く破壊しないか、又は1%未満破壊することが好ましい。
【0041】
ステップ210を参照すると、真菌タンパク質供給源が提供される。このステップは、先により詳細に論じたステップ110と同様又は同一であり得る。
【0042】
ステップ220を参照すると、真菌タンパク質供給源は、ブレンドを形成するために少なくとも1種の二次タンパク質供給源と混合される。先により詳細に記載されているような他の成分も真菌タンパク質供給源と混合することができるが、少なくとも1種の二次タンパク質供給源をステップ220の一部として真菌タンパク質供給源と混合する必要がある。真菌タンパク質供給源及び少なくとも1種の二次タンパク質供給源を混合する特定の手法は限定されておらず、二次タンパク質供給源を真菌タンパク質供給源と混合するタイミングも限定されていない。いくつかの実施形態では、ステップ230における押出の開始前に、ブレンドを形成するために二次タンパク質供給源を真菌タンパク質供給源と混合するが、他の実施形態では、二次タンパク質供給源を押出ステップ230(例えば、真菌タンパク質供給源を押出機に供給するときに二次タンパク質供給源及び真菌タンパク質供給源をまとめて混合するために、二次タンパク質供給源を、インラインミキサを介して押出機に導入すること)の一部として真菌タンパク質供給源と混合する。
【0043】
いくつかの実施形態では、真菌タンパク質供給源と混合される二次タンパク質供給源を、具体的には、真菌タンパク質供給源中の真菌繊維の崩壊若しくは破壊を何ら又は少なくともかなりの割合で生じさせない押出操作パラメータを下回る押出操作パラメータでタンパク質が変性するタンパク質供給源として選択する。言い換えるなら、二次タンパク質供給源は、最小限の剪断、温度、及び/又は圧力範囲に曝された場合にそのタンパク質が比較的容易に変性されるタンパク質供給源である。容易に変性される二次タンパク質供給源の選択は、真菌タンパク質供給源の真菌繊維の破壊又は崩壊を完全に又はかなり避けながら二次タンパク質供給源のタンパク質を部分的又は完全に変性させる操作パラメータで押出を実行することができることを確実にするのに役立つ。この基準を満たす例示的な二次タンパク質供給源は、グロブリン、グルテリン、及びプロラミンなどの球状タンパク質を含む。
【0044】
ステップ220でブレンドを生成するときに使用される真菌タンパク質供給源に対する二次タンパク質供給源の比率は、一般的に、制限されていない。いくつかの実施形態では、真菌タンパク質供給源は、ブレンドの過半数又は大部分の構成要素である。いくつかの実施形態では、ブレンドは、少なくとも50重量%の真菌タンパク質供給源を含むが、より少ない真菌タンパク質供給源量(例えば、10重量%、20重量%、30重量%、又は40重量%)を使用することができる。
【0045】
ステップ220における少なくとも1種の二次(及び容易に変性される)タンパク質供給源及び真菌タンパク質供給源の混合に続いて、ステップ230において、ブレンドを押出に供する。押出ステップは、押出ステップ140の先の記載と同様又は同一の手法で、押出ステップ140に関して先に記載されているのと同様又は同一の設備を使用して実行することができる。しかしながら、押出ステップ230は、押出プロセスが二次タンパク質供給源のタンパク質を変性させるが真菌タンパク質供給源の真菌繊維を完全には又はかなりは破壊しない又は破損させないように操作パラメータ(例えば、剪断力、温度、及び圧力)を調整する点で、押出ステップ140とは異なり得る。一般的に言うと、これは、真菌タンパク質供給源中の真菌繊維の破壊を開始するのに必要な操作パラメータを下回る操作パラメータの任意の組み合わせを選択することを少なくとも必要とする。いくつかの実施形態では、タンパク質の変性が、真菌タンパク質供給源の真菌繊維の破損又は破壊を開始するのに必要な押出操作パラメータをかなり下回って起こるように、二次タンパク質供給源を選択する。これは、真菌タンパク質供給源の真菌繊維の破壊又は破損を開始するのに必要な押出操作パラメータを十分に下回るがなおも二次タンパク質供給源のタンパク質を容易に変性させる押出操作パラメータの使用を可能にすることができる。これは、真菌タンパク質供給源の真菌繊維がほとんど~全く破壊されないことをさらに確実にするのに役立つ。
【0046】
ステップ230の目的は、真菌タンパク質供給源の真菌繊維が無傷のままでありながら二次タンパク質を変性させるような手法で押出を実施することである。これが達成されると、二次タンパク質供給源の変性タンパク質は、押出プロセス中に伸長される。伸長した変性タンパク質も、押出を続けた結果、無傷の真菌繊維と整列される。最後に、伸長した変性タンパク質鎖は、真菌繊維の周辺に変性タンパク質鎖のネットワーク又はマトリックスを形成するために互いに相互作用し始める。この構成の結果、天然肉のテクスチャをよく模倣したテクスチャを有するテクスチャードタンパク質食品が製造される。さらに、無傷の真菌繊維の周辺に形成されてこれと整列された変性タンパク質鎖のネットワークは、テクスチャードタンパク質製品内に十分な不均一性を生成し、それによって、天然肉に対する製品の模倣度のさらなる改善が生じる。例えば、この不均一性によって、食品は、引き裂いたときに不均一に破けるが、これは、天然肉を引き裂いた結果を模倣するものである。この不均一性がないと、テクスチャードタンパク質製品は、不自然に均一に破け得る。
【0047】
図1のステップ140又は図2のステップ230の一般的な押出プロセスに続いて、実行された特定の押出プロセス(例えば、中間水分押出対高水分押出調理)などに基づいて、様々な追加の任意選択的なステップを実施することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、後加工ステップは冷却ステップを含む。HMMAを調製するためにHMECを使用する場合、押出材料中の繊維を伸長させるために押出物を冷却ダイに通過させることによって、押出後冷却を実行することができる。
【0049】
他の任意選択的な後加工ステップでは、切断及び/又は成形ステップを実行することができる。例えば、材料が押出機から出るときに、製造される製品のあらゆる種類の形状を提供するために様々な切断及び/又は成形ステップを実行することができる。
【0050】
さらなる別の任意選択的な後加工ステップでは、乾燥ステップを実行することができる。例えば、切断/成形に続いて、特にテクスチャード植物タンパク質タイプ製品を製造するための中間水分押出の場合、乾燥ステップを実行することができる。
【0051】
任意の適切な手段を介した押出物の任意選択的な乾燥に続いて、追加の切断ステップ、例えば、細断、造形などを実行することができる。これらの切断ステップに続いて、追加のフレーバーリング及び/又はコーティングを実施することができる。最後に、完成した製品の保管の準備をするステップを実行することができる。テクスチャード植物タンパク質タイプ製品の場合、これは、水分含有量を低減させるために製品を乾燥させることを含み得るが、HMMAの場合、製品は、冷蔵又は冷凍され得る。
【0052】
このようにして製造された、真菌を含む最終的なテクスチャードタンパク質食品は、様々な目的に使用することができ、その主要なものは、ヒトの食品(肉及び魚介類代替品、並びにタンパク質が内在するスナック及び他のテクスチャード食物)としての使用である。代替的な使用は、例えば、動物及びペットの飼料、又は複合材料などの食物以外の使用を含む。最終的な製品は、さらなる発酵プロセスのための飼料として使用することもできる。
【0053】
本明細書に記載されている真菌ベースのテクスチャードタンパク質食品は、一般的に、真菌タンパク質供給源、並びに任意選択的に、フレーバー剤、脂肪、結合剤、及び他の二次タンパク質供給源などの他の成分を含む。いくつかの実施形態では、真菌タンパク質供給源は、テクスチャードタンパク質食品の過半数又は大部分の構成要素である。いくつかの実施形態では、真菌タンパク質供給源は、テクスチャードタンパク質食品の50重量%超である。
【0054】
いくつかの実施形態では、テクスチャードタンパク質食品は、規則配列された無傷の真菌繊維を含む。真菌繊維を、テクスチャードタンパク質食品を成形するために使用される押出プロセスによって規則配列することができる。先により詳細に記載したように、規則配列された真菌タンパク質は、一般的に、押出中にブレンドに適用される剪断力によって付与される規則配列を有し得る。いくつかの実施形態では、真菌繊維の配置に対するこの規則配列は、整列配置であると考えられるが、真菌繊維は、一軸整列される必要がないか、又は一軸整列していなくてもよい。その代わりに、整列は、押出中に適用される剪断力に基づき得る。二軸が使用される押出プロセスの場合、真菌繊維にもたらされる整列は、螺旋状又はコルクスクリュー状の方向又はパターンであり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、テクスチャードタンパク質食品の構造は、二次タンパク質の変性鎖の多数のネットワークをさらに含む。先により詳細に論じたように、これらのネットワークは、押出中に生成される。より具体的には、二次タンパク質供給源のタンパク質は、押出プロセスの操作パラメータによって変性される。変性されると、押出によって、破れたアミノ酸鎖の伸長がもたらされる。伸長中に、及び押出が進行するにつれて、破れたアミノ酸鎖は、互いに結合し始め、それによって、変性二次タンパク質のネットワークを形成する。これらのネットワークは、真菌の断片の周辺に分散しており、押出中に適用される剪断力を理由に、一般的に、真菌繊維と整列される(すなわち、概して平行に配置される)。
【0056】
重要なのは、押出加工を、真菌タンパク質供給源中の真菌繊維の破壊又は崩壊を防止するような手法で実行することである。一般的に言うと、真菌タンパク質を変性させるためには、まず真菌繊維を破壊して、それによって、タンパク質を露出させる必要がある。したがって、真菌タンパク質の変性を避けるために押出を実行する1つの手法は、真菌繊維の破壊をもたらさない押出の操作パラメータ(例えば、剪断、温度、及び圧力)を選択することである。そのようにすると、最終的なテクスチャードタンパク質食品は、一般的に、規則的なパターンで配置され、かつ無傷の真菌繊維の周辺及び周囲に形成された変性二次タンパク質のネットワーク又はマトリックスと整列された、複数の破壊されていない(すなわち、無傷の)真菌繊維を含む。
【0057】
前述のことから、本発明の特定の実施形態を説明の目的で本明細書に記載してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変形形態を加えることができると理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて、限定されることはない。
【0058】
技術を特定の構造及び材料に特有の言葉で記載してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明は、記載されている特定の構造及び材料に必ずしも限定されないと理解されたい。むしろ、特定の態様は、特許請求される発明を実施する形態として記載される。本発明の多くの実施形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実践することができるため、本発明は、以下に添付されている特許請求の範囲に属する。
【0059】
特に示されていない限り、本明細書(特許請求の範囲を除く)で使用されている寸法、物理的特性などを表すものなどの全ての数値又は表現は、全ての場合において「およそ」という用語によって修飾されるものとして理解される。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、「およそ」という用語によって修飾されている明細書又は特許請求の範囲に列挙されている各数値パラメータは少なくとも、列挙されている有効数字の数の観点で、かつ丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。さらに、本明細書に開示されている全ての範囲は、そこに含まれているあらゆる部分範囲又はあらゆる個別の値を列挙する特許請求の範囲を包含し、かつそれを支持するものと理解されたい。例えば、1~10の指定された範囲は、最小値1と最大値10との間の及び/又はこれらを含むあらゆる部分範囲又は個別の値、すなわち、1以上の最小値で始まり10以下の最大値で終わる全ての部分範囲(例えば、5.5~10、2.34~3.56など)又は1~10の任意の値(例えば、3、5.8、9.9994など)を列挙する特許請求の範囲を含み、かつそれを支持すると考えられるべきである。

図1
図2
【国際調査報告】