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特表2024-510262複数の取り外し機構を備えるインプラント送達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】複数の取り外し機構を備えるインプラント送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20240228BHJP
【FI】
A61F2/966
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556956
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 US2022071230
(87)【国際公開番号】W WO2022198240
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/163,610
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517416374
【氏名又は名称】マイクロベンション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROVENTION, INC.
【住所又は居所原語表記】35 Enterprise, Aliso Viejo, California 92656 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ランワラ,フセイン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB42
4C267BB62
4C267CC08
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】第一の取り外し機構及び第二の取り外し機構を有するインプラントのための取り外しシステムが記載される。一定の条件に依存して、又は一つの取り外し機構が失敗したら、第一又は第二の取り外し機構のいずれか、又は両者が使用者によって起動され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用インプラントのための送達システムであって、
細長い押圧器;
該細長い押圧器の遠位端近傍に置かれたインプラント;
該インプラントが該細長い押圧器に解放可能に固定された第一の取り付けられた形態を有し、及び、該インプラントが該細長い押圧器から取り外された第一の取り外された形態を有する、第一の取り外し機構;及び
該インプラントが該細長い押圧器に解放可能に固定された第二の取り付けられた形態を有し、及び、該インプラントが該細長い押圧器から解放された第二の取り外された形態を有する、第二の取り外し機構;
を含む送達システム。
【請求項2】
該第一の取り外し機構の開始が該インプラントを該押圧器から解放し損なうと該第二の取り外し機構が該インプラントの該押圧器からの解放を開始する、請求項1の送達システム。
【請求項3】
該第一の取り外し機構又は該第二の取り外し機構のいずれかが該押圧器から該インプラントの解放を最初に開始させられ得る、請求項1の送達システム。
【請求項4】
該第一の取り外し機構がヒーター及びテザーを含み、該テザーは該インプラント及び該細長い押圧器に接続されている、請求項1の送達システム。
【請求項5】
該第二の取り外し機構がテザーに抗する位置に置かれ又は角度付けられる鋭利な縁部又は刃を含む、請求項4の送達システム。
【請求項6】
該第二の取り外し機構が、該第二の取り付けられた形態の該細長い押圧器内でテザーの第一の位置又は角度を、及び、該第二の取り外された形態の該細長い押圧器内の第二の位置又は角度であって、該テザーを切断するために、該テザーが該鋭利な縁部または刃に、少なくとも僅かな時間、対抗して位置され又は角度づけられる、第二の位置又は角度を含む、請求項5の送達システム。
【請求項7】
第二の取り外し機構が、該細長い押圧器内で第一の長手方向の位置を有し、及び該細長い押圧器内で第二の長手方向の位置を有する、可動部材を含む、請求項6の送達システム。
【請求項8】
該可動部材が、該テザーがその中に配置される第一の通路をさらに含む、請求項7の送達システム。
【請求項9】
該可動部材が、軌道を介して該細長い押圧器に取り付けられる、請求項8の送達システム。
【請求項10】
該可動部材を取り外されていない位置へと付勢する付勢部材をさらに含む、請求項9の送達システム。
【請求項11】
該第一の通路の遠位方向に配置され、及び該テザーがその中に配置される第二の通路をさらに含む、請求項8の送達システム。
【請求項12】
該第二の通路が円盤部材を通って延びる、請求項11の送達システム。
【請求項13】
該第一の取り外し機構が、熱的取り外し機構、電解的取り外し機構、又は機械的取り外し機構のうちの一つであり、及び、該第二の取り外し機構が、熱的取り外し機構、電解的取り外し機構、又は機械的取り外し機構のうちの一つである、請求項1の送達システム。
【請求項14】
該インプラントが該押圧器に取り付けられているかを判定し、及び、該第一又は第二の取り外し機構のいずれかの起動後に、該インプラントが該押圧器から解放されたかを使用者に示す、センサーをさらに含む、請求項1の送達システム。
【請求項15】
自動起動機構をさらに含み、該センサーが、該第一の取り外し機構の起動後に該インプラントが該押圧器に取り付けられていると判定したら、該自動起動機構が該第二の取り外し機構を開始する、請求項14の送達システム。
【請求項16】
該センサーが該押圧器の遠位部分のインダクタンスを感知する、請求項14の送達システム。
【請求項17】
該第一の取り外し機構及び該第二の取り外し機構が同時に起動される、請求項1の送達システム。
【請求項18】
医療用インプラントのための送達システムであって、
細長い押圧器;
該細長い押圧器の遠位端の近傍に置かれ、及び、該細長い押圧器に解放可能に固定されたインプラント;
該インプラントを該細長い押圧器から取り外す第一の取り外し手段;及び
該インプラントを該細長い押圧器から取り外す第二の取り外し手段;
を含む送達システム。
【請求項19】
該第一の取り外し手段が熱的取り外し機構を含み、該第二の取り外し手段が機械的取り外し機構を含み、該第一の取り外し手段及び該第二の取り外し手段の一方が、他方の取り外し手段が該インプラントを該細長い押圧器から完全に取り外すのを失敗した後に、該インプラントを該細長い押圧器から完全に取り外す請求項18の送達システム。
【請求項20】
医療用インプラントのための送達システムであって、
細長い押圧器の遠位端に置かれたインプラントを含み、
該押圧器は第一の取り外し機構及び第二の取り外し機構を有し、
該インプラントは、該第一の取り外し機構の起動の前に、又は、該第一の取り外し機構が該インプラントを該押圧器から取り外すのに失敗した場合に、取り付けられた形態の該押圧器に解放可能に取り付けられており、及び
該インプラントは、該第一の取り外し機構の起動の後に、又は該第二の取り外し機構の起動の後、又はその両方の場合、取り外された形態に在る該押圧器から取り外される、送達システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、修復可能な電熱取り外しシステムと題する2021年3月19日に出願された米国仮出願シリアル番号63/163,610の利益および優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
体全体に亘る標的部位を閉塞又は治療するための、移植可能な血管内治療デバイスの送達は益々一般的でより侵襲性の低い治療方法となった。例えば、移植可能な治療デバイスは血管からの出血を制御するため、腫瘍への血液供給を閉塞するため、卵管を閉塞するため、及び血管瘤(例えば頭蓋内動脈瘤)を閉塞するため、使用されてきた。いくつかの移植可能な閉塞デバイスは、マイクロコイル、拡張可能なメッシュデバイス、フィルター、ステント、及び類似のデバイスであって、標的部位へ送達することができ、及び、送達システムによって解放されるものを備える。標的部位で治療デバイス又は閉塞デバイスを送達システムから分離するのに取り外し機構が使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
第一の取り外し機構及び第二の取り外し機構を有するインプラント送達システムが記載される。第一の取り外し機構又は第二の取り外し機構のいずれか、又は両方がインプラントを取り外し及び解放するために使用されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの例では、第一の取り外し機構が第一番目に作動されるよう構成及び企図されている一次取り外し機構である一方、第二の取り外し機構が、第一の取り外し機構がインプラントを取り外し損ねた場合に、第二番目に作動されるよう企図される二次的取り外し機構である。或いは、第一の取り外し機構又は第二の取り外し機構のいずれかが第一番目に起動されるように構成及び企図され得る。さらに他の代替態様では、第一の取り外し機構及び第二の取り外し機構が同時に使用され得る。
【0005】
言い換えれば、いくつかの例では送達システムは、インプラントが細長い押圧器に解放可能に固定された第一の取り付けられた形態を有し、及び、インプラントが細長い押圧器から解放された第一の取り外された形態を有する、第一の取り外し機構と、インプラントが細長い押圧器に解放可能に固定された第二の取り付けられた形態を有し、及び、インプラントが細長い押圧器から解放された第二の取り外された形態を有する第二の取り外し機構を含む。
【0006】
一例では、取り外し機構のいずれも、熱的取り外し機構、機械的取り外し機構、電解的取り外し機構、又は熱機械的取り外し機構を有してよい。
【0007】
取り外し機構のうちの一つは、熱切断可能なテザーを機械的に破壊するように構成されていてよい。一次取り外し機構が熱的取り外し機構であってよく、熱切断可能なテザーを分離又は破断する。二次の取り外し機構は機械的取り外し機構であってよく、固定部材(例えば円盤)及び可動部材(例えば円盤)を取り外しシステムの押圧器内にさらに含んでよい。両部材はそれらを通る長手方向に配置された通路であって、それらを通ってテザーが配置される通路を有していてよい。押圧器は固定され鋭利にされた縁部をこれら2つの部材の間にさらに含む。可動部材が第一の位置にある場合、両部材におけるそれらの位置及び通路の位置は、熱切断可能なテザーが鋭利にされた縁部に接触せず、従って破断されずに残るような位置である。しかし、可動部材が押圧器内で長手方向又は軸方向に動かされたとき(例えばコントロールワイヤーを介して)、熱切断可能なテザーの角度又は位置は、テザーが鋭利にされた端部に接するように変更され、それによってテザーを破断する。従って、一次取り外し機構のヒーターが起動に失敗し、又は、起動した後送達デバイスからインプラントを完全に分離するのに失敗したら、熱切断可能なテザーが鋭利な縁部に抗して、機械的に動かされ、二次取り外し機構を介して破断され得る。
【0008】
インプラントを取り外す方法についても記載される。該方法は、インプラントをカテーテルの外へ、患者の標的部位または領域へと前進させることを含み、そこでは取り外し機構を介して閉塞デバイスが押圧器の遠位端に取り付けられている。次いで、一次取り外し機構が起動され又は作動されて、インプラントの取り外し及び解放が試みられる。一次取り外し機構が閉塞インプラントの完全な取り外しに失敗したら、二次取り外し機構が起動又は作動されて、取り外しを起こし、及びインプラントを完全に開放する。一次取り外し機構の起動又は作動は、熱切断可能なテザーの近傍のヒーターの起動又は作動さらに含み得る。二次取り外し機構の起動又は作動は、熱切断可能なテザーを破断するように、押圧器内で熱切断可能なテザーを鋭利にされた縁部に抗して機械的に配置することをさらに含み得る。
【0009】
単一の機械的取り外し機構を備える医療用インプラントのための取り外しシステムも記載される。詳細には、取り外し機構は、テザー、固定部材、可動部材及び鋭利にされた縁部を含む、上述した「二次的」取り外し機構だけを含む。他の例では、取り外しシステムは2つの取り外し機構を含み得、両者とも(ここに記載されたような)機械的、両者とも(ここに記載されたような)熱的、両者とも(ここに記載されたような)電解的、又は両者とも(ここに記載されたような)熱機械的機構である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施態様が可能であるところの、これら及び他の側面、特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら、以下の本発明の態様の記載から明らかになり、及び説明されるであろう。
【0011】
図1A図1Aは、本発明に従うインプラント送達システムの押圧器及び外側シースの側面図である。
【0012】
図1B図1Bは、本発明に従う押圧器及び押圧器に取り付けられたハンドルの側面の図である。
【0013】
図2図2は、本発明に従いインプラントを標的領域へと進める押圧器の側面図である。
【0014】
図3図3は、本発明に従う第一の位置に在る複数のインプラント取り外し機構を備える押圧器の側面図を示す。
【0015】
図4図4は、本発明に従う第二の位置に在る複数のインプラント取り外し機構を備える押圧器の側面図を示す。
【0016】
図5図5は、本発明に従う複数のインプラント取り外し機構を備える押圧器の側面図を示す。
【0017】
図6図6は、本発明に従う複数のインプラント取り外し機構を備える押圧器の側面図を示す。
【0018】
図7図7は本発明に従う単一の機械的インプラント取り外し機構を備える押圧器の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な態様が、添付図面を参照しながら記載される。しかし、発明は多くの異なる態様で具現化され得、ここに記載される実施態様に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施態様はこの開示が徹底的且つ完全であるように提供され、及び当業者に発明の範囲を完全に伝えるであろう。添付図面に図示された実施態様の詳細な記載において使用される用語は、発明を限定することが意図されたものではない。図面において、同様の番号は同様の部材を指す。異なる実施態様が記載されているが、各実施態様の特徴は、他の記載された実施態様と互換的に使用することができる。換言すれば、各実施態様の特徴のいずれかを互いに混合して使用することができ、実施態様は、図示または記載された特徴のみを含むように必ずしも厳格に解釈されるべきではない。
【0020】
本明細書では、遠位および近位という用語が使用される。別段の定義がない限り、遠位および近位は、処置中の医師を基準として使用される。従って、近位は医師に近く、遠位は患者内の標的位置に近い傾向がある。しかしながら、この用語は、装置が患者の内部にあるか外部にあるかにかかわらず適用可能である。
【0021】
本明細書は、広く医療用インプラントまたは装置のための取り外しシステムに向けられている。これらのインプラントには、詳細には、マイクロコイル、拡張可能な閉塞デバイス(例えば、拡張可能なメッシュ閉塞デバイス)、フィルター、ステント、及び送達システムによって標的部位に送達されて解放され得る類似のデバイスが含まれる。しかし、他のタイプのインプラントとの使用も可能である。.
【0022】
これらの送達システムは、その遠位端で取り外し機構を介して閉塞デバイスに取り付けられている細長い押圧器を含むことができる。該取り外し機構により、閉塞デバイスが患者の所望の位置に配備されると、医師は閉塞デバイスを取り外すことができる。動脈瘤または他の血管奇形の場合、閉塞デバイスは血液の流れを制限または遮断し、最終的に血栓症や組織増殖を引き起こす。
【0023】
閉塞デバイスを維持及び解放するために、いくつかの異なるタイプの取り外し機構が使用され得る。例えば、機械的取り外し機構、電解的取り外し機構、熱的取り外し機構、及び熱機械的取り外し機構を、閉塞デバイスの配置及び他の医療的処置をするために使用することができる。これらの取り外し機構のいくつかは何等かの弱点又は取り外し損ねる可能性を有する。取り外し損ねた場合には、インプラントを取り外す代替法が無いと、操作が煩瑣となり得る(例えば、断面スペース及び体積の制限により操作者が第二の取り外しデバイスを送達システムに挿入するのが阻まれるかもしれない)。煩瑣な操作の一例は、操作者(例えば医師)がインプラントを送達デバイスに引き戻そうとする可能性があり、それによってインプラントが標的部位から取り除かれ、デバイスが後で再度採用される場合には操作の時間が延び、又はデバイスを再び採用できない場合には操作の失敗となる。インプラントを取り外すことによって周囲の組織が損傷する可能性もある。他の例では、取り外しの失敗の後、操作者はインプラントを送達システムに引き戻し、及びインプラントをさらに近位に引き戻して送達システムから除き、次いで、第二のインプラントを採用して標的部位で取り外し、操作全体の時間を増大する可能性がある。
【0024】
取り外し機構は、押圧器の端部で、マイクロコイルの端部のボール形状と係合する機械的把持機構を利用し得る。把持機構は比較的厳格な寸法及び公差を必要とし、さもなければボール形状が把持機構から滑り出て、早まった取り外しが起こる可能性があり、また、寸法が大きすぎると、取り外しが試みられたときにボール形状が把持機構から抜け出ない可能性がある。機械的把持機構はボールから把持機構の係合を解除するためのプルワイヤーに依存してよい。プルワイヤーは、ボール形状又は把持機構に対してきつく楔止めされると、特に押圧器が血管の曲がった領域に配置されたときに、作動するのが難しいかもしれない。
【0025】
取り外しシステムは、電解的取り外しを利用してよく、それは電流を患者の血液を通してマクロコイルの取り付けワイヤーへと流し、取り付けワイヤーの腐食を起こす。取り付けワイヤーは最終的にマイクロコイルを切断して、マイクロコイルを取り外して標的部位へと配備する。しかし、動脈瘤部位が1又は複数のマイクロコイルの比較的大きい塊で充填されるときは、電流を流し及び取り付けワイヤーを腐食するためにその部位で利用できる血液が少なく、それによって、場合によってはマイクロコイルの電解的取り外しを達成するのが困難となり、取り外しが失敗する可能性がある。
【0026】
熱的取り外し機構はヒーターに近接して配置されるテザーに依ってもよい。起動されると、ヒーターがテザーを融かし又は破断してマイクロコイルを解放する。これらの熱的取り外しシステムは、ヒーターに電流を供給する、送達システム内(例えば押圧器内)の電気回路に依ってもよい。典型的には、押圧器は比較的小さい直径、比較的大きい長さを有し、患者の血管内を通って標的部位まで前進させられるときみ、顕著に折り曲げられる。これは、送達の間の電流の中断(又は回路内での途絶)又は電気回路の破壊に帰結し、医師によりヒーターが起動されるのが妨げられる可能性がある。
【0027】
取り外しシステムの第一の取り外し機構が失敗し又はそうでなければ取り外しが困難となった後に、そのインプラントを回収し又はそうでなければ取り外す、インプラントを取り外すシステムは、例えば操作者が、標的部位からインプラントを取り外すことなく、送達システムに追加の構成要素を挿入することなく、及び/又はインプラントを送達デバイスに引き戻すことなく、送達システムからインプラントを完全に取り外すのを可能にすることによって操作手順の複雑さ及び手順の失敗を回避又は最小にし得る。
【0028】
第一の取り外し機構及び第二の取り外し機構を有するインプラントの取り外しシステムが記載される。第一の取り外し機構及び第二の取り外し機構のいずれかが起動又は作動されて、取り付けられたインプラントを解放する。本明細書では主として2つの取り外し機構が記載されるが、ここに記載される取り外し機構の3つ、4つ又はより多くを備える態様も可能である。
【0029】
送達手順の間、2つの取り外し機構が医師にとって有用であるいくつかの理由があり得る。例えば、取り外し機構の1つが、医師が起動又は作動を試みた後、インプラントを取り外し損ねる可能性がある。他の取り外し機構がバックアップ取り外し機構を提供することができ、それが次いでインプラントを取り外し得る。他の例では、標的部位への位置及び/又は血管経路が、取り外し機構の1つをより望ましくないものとする可能性がある(例えば、血管の敏感な表面に望ましくない熱を供給し、又は水平方向に可動なコントロールワイヤーに突き当たる可能性がある曲がりくねった血管経路)。
【0030】
第一及び第二の取り外し機構は、機械的取り外し機構、電解的取り外し機構、熱的取り外し機構、及び熱機械的取り外し機構の任意の組み合わせであることができる。
【0031】
一の特定の例では、取り外し機構は熱的取り外し機構及び機械的取り外し機構を含んでよい。熱的取り外し機構は、ヒーターコイル、ヒーターループ、ヒータースリーブ、又はインプラントに接続されたテザーを破断するために温度が上昇するように構成された類似のデバイスを含んでよい。機械的取り外し機構は、インプラントに接続されたテザーに選択的に接触し及び切断または破断するように構成された鋭利な縁部(エッジ)を含んでよい。
【0032】
他の特定の例では、取り外しシステムは、熱的取り外し機構と電解的取り外し機構を含んでよい。熱的取り外し機構は、ヒーターコイル、ヒーターループ、ヒータースリーブ、または、インプラントに接続されたテザーを切断するために温度が上昇するように構成された同様の装置を含んでよい。電解取り外し機構は、テザーまたはテザーに接続され、特定の電流に曝されると分解する電解分解性部材を含むことができる。
【0033】
他の特定の例では、取り外し機構が電解的取り外し機構及び機械的取り外し機構を含んでよい。電解的取り外し機構は、テザーであるか、テザーに接続され電流に曝されると分解する、電解的に分解可能な部材を含み得る。機械的取り外し機構はインプラントに接続されたテザーに選択的に接触して切断または破断するように構成された鋭利な縁部を含んでよい。
【0034】
他の特定の例では、取り外しシステムは2つの独立な熱的取り外し機構を含み得る。熱的取り外し機構はヒーターコイル、ヒーターループ、ヒータースリーブ、またはインプラントに接続されたテザーを切断するために温度を上昇させるように構成された類似のデバイスを含み得る。
【0035】
他の特定の例では、取り外し機構は2つの独立した電解的取り外し機構を含んでよい。電解的取り外し機構は、テザーであるか、又はテザーに接続され特定の電流に曝されると分解する電解分解性部材を含むことができる。
【0036】
他の特定の例では、取り外し機構は、2つの機械的取り外し機構を含んでよい。機械的取り外し機構は、インプラントに接続されたテザーに選択的に接触して切断または破断するように構成された鋭利な縁部を含んでよい。
【0037】
明細書に記載された実施態様のいずれも管状カテーテル又はシース内で軸方向又は長手方向に動かされる押圧器を含んでよい。一般に、押圧器はインプラントデバイスに取り付けられた細長い部材又は本体であり、インプラントの送達及び取り外しに必要な他の構成要素を含み得る。押圧器はガイドワイヤー又は他のデバイスのために、その近位及び遠位部分に通路の開口含んでも含まなくてもよい。この点で、押圧器という用語が本明細書を通じて使用されるが、該用語は患者の血管系内を通過するサイズと形状を有するカテーテル又は任意の細長い本体を包含する。
【0038】
押圧器は2または2以上の取り外し機構を含んでよく、押圧器の近位端を介して(例えば、押圧器それ自体又は押圧器に取り付けられたハンドルを介して)さらに動かされる。
【0039】
取り付け機構の各々は、取り付けられた形態及び取り外された形態を有し得る。取り付けられた形態では、取り付け機構は、さもなければ該取り付け機構が押圧器に取り付けられたインプラントを放すのを阻止するような物理的位置、エネルギー状態(例えば電流の送達)、温度又は類似の物理的状態にある。例えば、熱的取り外しシステムはその部品(例えばヒーターコイル)を通る電流を有しない可能性があり、押圧器の雰囲気温度であるかもしれない。他の例では、電解的機構は、実質的に劣化されておらず又は腐食されていない。他の例では、機械的機構はインプラントの解放を阻止する1以上の部分の形状又は位置を有し得る。
【0040】
取り外された形態では、該取り付け機構は、通常の動作下では、該取り付け機構が押圧器に取り付けられたインプラントを押圧器から放すような物理的位置、エネルギー状態(例えば電流の送達)、温度又は類似の物理的状態にある(又は、それ以前に、状態にあった)。例えば、熱的取り外しシステムはその部品の1以上(例えばヒーターコイル)を通って電流を有し及び押圧器の雰囲気温度より高い温度の状態に在り得る(又は雰囲気温度より高い温度をそれ以前に有した)。従って、通常の状態下で、部品(例えばヒーターコイル)を通って電流が流れ及びインプラントが押圧器から解放された後、取り付け/取り外し機構及びその部品は、インプラントと押圧器が取り外された形態で、雰囲気温度へと戻ってよい。他の例では、電解的機構の1以上の部品(例えば電解テザー)は、部分的又は全体的に劣化され、又は腐食されてよい。通常の条件下で、電解的機構が、関連する部品(例えば電解テザー)を劣化し又は腐食し及びインプラントを押圧器から解放した後、取り付け/取り外し機構及びその部品は、インプラントと押圧器が取り外された形態で、電解的に中性の状態へと戻ってよい。他の例では、機械的機構の1以上の部品(例えば鋭利な縁部又は刃)は、形状、位置、又は方向を、インプラントを解放する1以上の部分の形状、位置又は方向へと変えてよい。
【0041】
取り付け機構は、取り外された形態に在る及び/又は使用者によって開始され得る形態(例えば押圧器の近位部のボタン又はワイヤーを介して)に在り得るが、取り外し機構(又はそれに関連する部品)の失敗は、インプラントが押圧器から取り外されるのを阻止し得る。従って、通常もしくは意図された状況下では、取り外し機構の1つの起動(又は作動もしくは始動)は取り外された形態へと押圧器からインプラントを取り外すことに帰結する一方、取り外し機構が失敗する可能性があり、その結果、取り外し機構の起動(又は作動もしくは始動)にも拘わらず、インプラントが押圧器から解放されず、又は取り外されない場合がある。
【0042】
本明細書の取り外し機構はインプラントが押圧器から取り外され、解放され、及び/又は分離される事を論じる。これらの用語は、押圧器からの完全な取り外し、解放、及び/又は分離を包含する。部分的な取り外し、解放、及び/又は分離(例えば取り外しの失敗又は部分的失敗)の場合、インプラントが押圧器への部分的又は残留的結合又は取り付けを依然として有する場合があり、従って、第二の取り外し機構が起動、作動、又は開始されて、完全な取り外し、解放、及び/又は分離を達成し得る。
【0043】
前述したように、複数取り外し機構の1つの利点は、仮に1つの取り外し機構が失敗しても、第二のものを作動又は起動できることである。この取り外しの失敗及び続く起動及び作動は使用者によってのみ実施されてよい。例えば、使用者は画像診断(例えば蛍光透視法)を使用して、取り外しが起きたかどうかを確認し、次いで、第二の取り外し機構を手動で起動又は作動する。これは、使用者が第二の取り外し機構の使用が必要かどうかを制御することを可能とする。
【0044】
他の例では、取り外しシステムはインプラントが押圧器から取り外されたかを(例えば押圧器の遠位部分のインダクタンスを感知することによって)監視し及び信号を送るセンサーを有してよい。取り外し機構はまた、例えば、そのセンサーが最初に起動された第一の取り外しシステムの起動後に、インプラントが取り外されていないと判定した後、第二の取り外しシステムを自動的に起動する機構をも有してよい。言い換えれば、第二の取り外しシステムは第一の取り外しシステムがインプラントの取り外しに失敗したら自動的に起動されるバックアップであることができる。このことは画像(例えば蛍光透視法)だけによっては取り外しが起きたかどうかを判定するのが難しい、いくつかの状況で有利である。
【0045】
第一及び第二の取り外しシステムは順次に起動又は作動されて(又は少なくとも起動又は作動を試みられて)よいが、2つの取り外し機構が同時に起動又は作動されることが望ましい場合もあり得る。例えば、単一のインターフェース要素(例えばボタン)が少なくとも2つの取り外し機構を同時に起動又は作動してよい。これは特に押圧器及びインプラントの撮像が困難であるときに、使用者にインプラントの取り外しが起きた事の追加の安心感を与える。テザーを含む取り外し機構の場合、テザーの部分が押圧器及びインプラントの双方から分離するのを防ぐために、近く又は同一の位置で、テザーを破断する機構を含むことが望ましい。
【0046】
一般に、ガイドワイヤーが最初に前進させられて遠位端が標的部位に配置され、次いで、カテーテル又はシースが該ガイドの上を前進させられて、その遠位端が標的部位に配置される。ガイドワイヤーはカテーテルから除去されてもよく、及び送達システムがカテーテルを通って前進させられて、その遠位端が標的部位近傍に配置される。
【0047】
送達システムの押圧器は、遠位方向に進められてインプラント(例えばマイクロコイル)を外側スリーブ又はシースの外に押す。送達システムの押圧器内の第一の取り外し機構が押圧器からインプラントを取り外そうと試みるために起動又は作動され、それは、押圧器からのインプラントの完全な取り外し及び分離に好ましくは帰結するが、いくつかの場合、部分的又は不完全な取り外しまたは分離、又は全く取り外し又は分離しない(例えば、熱的又は電解的取り外し機構の故障又は中断があった場合)事に帰結するだけかもしれない。第一の取り外しシステムの起動が、インプラントの押圧器からの完全又は全体の取り外しにならなかった場合、送達システムの押圧器内の第二の取り外しシステムが起動又は作動されて、押圧器からのインプラントの取り外し及び分離を最終的に引き起こし、インプラントを患者の標的部位に配備し得る。
【0048】
図1A、1B、2、3、および4は、インプラントを送達および取り外すように構成された送達システム100の例示的な一実施形態を示している。ここに記載されている送達システム100は2つの取り外し機構を含むが、より多くの取り外し機構を有する実施形態も可能である。
【0049】
必須ではないが、送達システム100は押圧器102、外側シース103、およびハンドル104を含んでよい。押圧器102は、その遠位端でインプラント126に、及び、その近位端でハンドル104に取り付けられている、細長い実施態様である。押圧器102は、管状の外側シース103に対して、インプラント126を外側シース103の遠位端より外に患者の標的部位内へと押し出すよう遠位に進行させられてよい。
【0050】
電気的取り外し機構、例えばヒーター、が含まれる一の態様において、ハンドル104は電源(例えばバッテリー)を含むか又はそれに取り付けられることができ、及び起動機構、例えばボタン104A含み、押圧器102の電気経路へと電流を流して取り外し機構の一つを作動することができる。
【0051】
機械的取り外し機構が含まれる一の態様では、制御ワイヤー128が(もし存在するのであれば)ハンドル104の中、又は押圧器102の遠位端の外へと通されてよい。これは、医師が制御ワイヤー128を押して、又は引いて機械的取り外し機構を作動するのを可能とする。
【0052】
一般に、押圧器102は遠位部分102Aだけでなく、その長さの大半に延びる近位部分102Bを含む。遠位部分102Aと近位部分102Bの双方は、典型的には、ポリマー又は類似の材料を含む外側管状層115を含む。典型的には、近位部分は、押圧器102にある程度の剛直さと押圧可能性を付与するために他の構造部材、例えば構造コイル116をも含む。
【0053】
本例では、遠位部分102Aは第一の取り外し機構105及び第二の取り外し機構106を含み、それらのいずれも作動または起動されて押圧器102に取り付けられたインプラント126を解放する。
【0054】
第一の取り外し機構105は、インプラント126を押圧器102に固定するように構成されたテザー119を破断し及び熱を適用することでテザーを破断するように構成された電気的に作動または起動されるヒーター機構である。この点について、テザー119の遠位部分がインプラント126に、例えば接着剤127を介して、接続されている。テザー119の近位部分は押圧器102の近位領域に接続されてもよい。これは構造コイル116、内部コアワイヤー114、第二の取り外し機構の部品、又は他の近位の押圧器部品であってよい。
【0055】
テザー119は、押圧器102の遠位部分102Aに位置し、テザー119を破断するために十分な熱を選択的に発生するように構成されたヒーターコイル108を通って又はその付近に置かれてよい。一の例では、ヒーターコイルはその遠位端付近で第一の電気ワイヤー110に、及びその近位端付近で第二の電気ワイヤー112に接続された、らせん形状を有していてよい。ワイヤー110及び112は押圧器102の近位端に延在し及び/又は連通しており、及び電源に接続されていてよい。例えば、ハンドル104は、ボタン104Aが作動又は起動されたときに、電力をワイヤー110及び112に選択的に供給し、それによって、ヒーターコイル108に熱を発生し得るバッテリー電源を含んでよい。所望により、ヒーターコイル108はより小さい直径の遠位部分とより大きい直径の近位部分を含んでよい。
【0056】
第二の取り外し機構106はインプラント126の取り外しのための代わりの機構を提供し得る。本実施例では、第一の取り外し機構105と第二の取り外し機構106の双方がテザー119を破断するように構成されているが、このことは他のタイプの機構については必ずしも必須ではないかもしれない。
【0057】
詳細には、第二の取り外し機構105はテザー119を比較的鋭利な縁部又は刃124に対して動かして、テザー119の破断を起こし、それによってインプラント126を解放するように構成されている。一の例では、テザー119を刃の縁部124に対して動かすことが、一般に、使用者が制御ワイヤー128を引っ張ると、テザー119の破断を起こすように、押圧器102の遠位部分102Aと近位部分の間に延びる制御ワイヤー102を有する機構を含み得る。言い換えれば、第二の取り外し機構105の鋭利な縁部又は刃124はテザー119の近傍に位置され、その取り外された形態において、テザー119を切断するために、テザー119が少なくとも僅かな時間、鋭利な縁部又は刃124に対抗して置かれる。
【0058】
そのような機械的取り外し機構は多くの形態を有し得る。例えば、図3及び4において、第二の取り外し機構106は、テザー119を鋭利な縁部/刃124に押し当てるようにテザー119の押圧器102内で位置又は角度を変えるように構成された機械的配置である。
【0059】
一の例において、テザー119は押圧器102内の2つの通路118A及び120Aを通して配置され得、その位置又は角度を押圧器102内で変更可能とする。この角度又は位置の変更は、通路118A及び120Aのうちの一つ又は双方を、互いに対して動かせるようにすることによって、達成できる。
【0060】
図3及び4の例では、コアワイヤー128の遠位端が通路120Aを含む可動部材120に接続されている。可動部材120は広く円盤形状体として描かれているが、管を含むほとんど任意の形状及びサイズの部材を使用することができる。可動部材120は押圧器102の軸との関連で長手方向又は軸方向に動くように構成されている(即ち、少なくとも第一の長手方向の位置及び第二の長手方向の位置を有する)。この事は、その中で可動部材120が係合して軌道122の中のみを長手方向に動くことを可能とする、長手方向の溝又は軌道122含むことによって達成し得る。所望により、可動部材120を、インプラント126が押圧器102に取り付けられたままである、デフォルトの「取り外されていない」位置へと付勢するために付勢部材(例えばバネ)が含まれてよい。
【0061】
可動部材120は既に述べた通路120Aを含み、該通路を通ってテザー119が中へ及び/又は貫通して、置かれる。構成に依存して、通路120Aは押圧器102の中央又は軸からずらされ、それによって通路120A及び可動部材120が長手方向に動かされるとき、テザー119の位置又は角度の変化を生じるようにしてもよい。
【0062】
図3に見られる、テザーを破断せず及びインプラント126を取り外さない構成の第一の位置において、可動部材120はテザー119が刃縁部(ブレードエッジ)124に抗して置かれず又は動かされないように、近位位置に置かれる。図4に見られるように制御ワイヤー128が近位に引かれると(例えば押圧器102の近位端で)、可動部材120が近位方向へと動かされ、従ってテザー119の位置及び角度を変えて、それを刃縁部124に抗して動かす。
【0063】
テザー119の角度は、所望により増大されることができ、テザー119が押圧器102内で及び刃縁部124に抗してより大きく動くことを可能とする。例えば、テザー通路118Aを有する第二の固定部材118が、可動部材120の遠位に含まれてよい。第二の固定部材118は円盤又は他の任意の形状、例えば押圧器内の側面に固定された管、であってよい。通路118Aは通路120Aの半径方向の位置と異なり、及び、所望により反対側の半径方向の位置に在り、押圧器102内でのテザー119の比較的大きい角度を生じる。
【0064】
操作において、送達システム100の遠位端が遠位に患者内の標的部位へ又はその近傍に進行させられる。例えば、図2において、送達システム100の遠位部分が患者の血管10の中で進行させられ、外側シース103の遠位開口が動脈瘤12の近傍又はその中に置かれる。押圧器102が外側シース103に対して遠位に進行させられ、インプラント126をシース103の外へと押す。図2の例では、インプラント126は、展開し及び動脈瘤12を少なくとも部分的に充填するマイクロコイルである。
【0065】
操作者(例えば医師)がインプラント126を取り外すべきであると判定すると、取り外し機構105、106の一つが起動される。再度、操作者は複数の要因に基づいて取り外し機構105、106を選んでよく、又は第一の取り外し機構をデフォルトとし、次いで、第一の取り外し機構が万が一失敗したときのバックアップ目的で第二の取り外し機構を使用してもよい。或いは、いくつかの態様において、操作者は取り外し機構105及び106の双方を同時に選んでもよい。
【0066】
例えば、ヒーターコイル108がハンドル104上のボタン104Aを押すことで起動され、ヒーターコイル108を通る電流を流す。ヒーターコイル108の温度が増すと、テザー119の破断を起こす。
【0067】
何等かの理由で、取り外し機構105が起動又は作動されたときに、テザー119が破断されない場合、取り外し機構106が起動又は作動されることができる。例えば、押圧器102の近位部分及び/又はハンドル104から制御ワイヤー128が引っ張られ得る。制御ワイヤー128が引かれると、押圧器102の遠位部分102Aにおけるテザー119の位置及び/又は角度が変わり、テザー119を刃縁部124に対して動かして、テザー119を切断又は破壊する。第一の取り外し機構105又は第二の取り外し機構106のいずれかがテザー119を破断し、インプラント126が最終的に取り外され、送達システム100を患者から取り除くことができる。
【0068】
既に述べたように、取り外し機構の他の組み合わせも可能である。
【0069】
例えば、図5は先の例と概して似ているが、電解的取り外し機構を備える第一の取り外し機構130及び類似の機械的第二の取り外し機構を含む他の態様を図示する。第一の取り外し機構130は、テザー119上に電解的分解可能部分132を含む。この点について、テザーは一つの電気ワイヤー112に電気的に接続され、及び電気回路の他の電気ワイヤー/リードが患者に接続(例えば電気リード皮膚パッドを介して)され得る。従って、回路に電流が流されると、電解的接続132が劣化し及びインプラントを離し、但し、第一の取り外し機構130が万が一失敗したときのための第二の取り外し機構106も使用可能である。
【0070】
他の例では、図6は先の例と概して類似であるが、取り外し機構105、106及び130を含む他の態様を図示する。3つ全て、又は任意の2つが含まれてよい(例えば、機構105及び130のみ、又は106及び130のみ)。
【0071】
テザー119については本明細書において既に記載された。この用語は、モノフィラメント、糸、ワイヤー又はストランドとも解され得る。
【0072】
本明細書においてヒーター又はヒーターコイルが記載される。この用語はヒーター管、ヒーターループ、ヒーターワイヤー、又は押圧器内で任意の形状の、電流が流されると発熱可能な任意の抵抗要素であるとも解され得る。
【0073】
本明細書において押圧器が記載される。この用語は、ポリマー、金属、構造コイル、電気ワイヤー、又は類似の部品を含む任意の材料で構成される任意の細長い本体であると解され得る。開示された態様では概してインプラントが押圧器に取り付けられているとして言及するが、インプラントはここで記載された取り外し機構の操作を変更することなく、送達デバイスの他の構成要素に取り付けられ得る。この文脈において、送達デバイスの他の構成要素も、この明細書で記載するように、押圧器として効果的に働き得る。
【0074】
本明細書は、概して2つ以上の取り外し機構を備えるインプラント取り外しシステムを論じるが、単一の取り外しシステムも含まれ得る。例えば図7は機械的な、第一取り外し機構のみを備える押圧器102を示す。
【0075】
実施態様及び例の追加の使用及び記載が以下に提供される。
【0076】
医療用インプラントの送達システムは、細長い押圧器、細長い押圧器の遠位端付近に置かれたインプラント、細長い押圧器からインプラントを取り外すよう構成された第一の取り外し機構、及び細長い押圧器からインプラントを取り外すよう構成された第二の取り外し機構を含んでよい。
【0077】
医療用インプラントの送達システムは、第一の取り外し機構及び第二の取り外し機構を有する細長い押圧器、細長い押圧器の遠位端付近に置かれたインプラントを含み得、インプラントは、第一の取り外し機構が取り外し状態の起動に失敗したときに、第二の取り外し機構によって起動された細長い押圧器から取り外された状態を有する。
【0078】
医療用インプラントを送達する方法は、患者の標的部位へと送達システムの遠位端を進めること;送達システムの押圧器内の第一のインプラント取り外し機構を起動すること;及び送達システムの押圧器内の第二のインプラント取り外し機構を起動することを含んでよい。方法は、第一のインプラント取り外し機構を起動することがヒーターを起動または作動することをさらに含み得る。方法は、第二のインプラント取り外し機構を起動することが機械的取り外しシステムを起動または作動することをさらに含み得る。
【0079】
本発明を特定の実施形態および用途の観点から説明してきたが、当業者であれば、この教示に照らして、特許請求された発明の精神から逸脱することなく、またはその範囲を超えることなく、追加の実施形態および修正を生み出すことができる。したがって、本明細書における図面および説明は、本発明の理解を容易にするために例示として提示されたものであり、その範囲を限定するものと解釈されるべきではないと理解されるべきである。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-11-20
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用インプラントのための送達システムであって、
細長い押圧器;
該細長い押圧器の遠位端近傍に置かれたインプラント;
該インプラントが該細長い押圧器に解放可能に固定された第一の取り付けられた形態を有し、及び、該インプラントが該細長い押圧器から取り外された第一の取り外された形態を有する、第一の取り外し機構;及び
該インプラントが該細長い押圧器に解放可能に固定された第二の取り付けられた形態を有し、及び、該インプラントが該細長い押圧器から解放された第二の取り外された形態を有する、第二の取り外し機構;
を含み、第一の取り外し機構及び第二の取り外し機構の両方が該インプラントの近位側に配置されている、送達システム。
【請求項2】
該第一の取り外し機構の開始が、該インプラントを該押圧器から解放し損なうと該第二の取り外し機構が該インプラントの該押圧器からの解放を開始する、請求項1の送達システム。
【請求項3】
該第一の取り外し機構又は該第二の取り外し機構のいずれかが該押圧器から該インプラントの解放を最初に開始させられる、請求項1の送達システム。
【請求項4】
該第一の取り外し機構がヒーター及びテザーを含み、該テザーは該インプラント及び該細長い押圧器に接続されている、請求項1の送達システム。
【請求項5】
該第二の取り外し機構がテザーに抗する位置に置かれ又は角度付けられる鋭利な縁部又は刃を含む、請求項4の送達システム。
【請求項6】
該第二の取り外し機構が、該第二の取り付けられた形態の該細長い押圧器内でテザーの第一の位置又は角度を、及び、該第二の取り外された形態の該細長い押圧器内の第二の位置又は角度であって、該テザーを切断するために、該テザーが該鋭利な縁部または刃に、少なくとも僅かな時間、対抗して位置され又は角度づけられる、第二の位置又は角度を含む、請求項5の送達システム。
【請求項7】
該第二の取り外し機構が、該細長い押圧器内で第一の長手方向の位置を有し、及び該細長い押圧器内で第二の長手方向の位置を有する、可動部材を含む、請求項6の送達システム。
【請求項8】
該可動部材が、該テザーがその中に配置される第一の通路をさらに含む、請求項7の送達システム。
【請求項9】
該可動部材が、軌道を介して該細長い押圧器に取り付けられる、請求項8の送達システム。
【請求項10】
該可動部材を取り外されていない位置へと付勢する付勢部材をさらに含む、請求項9の送達システム。
【請求項11】
該第一の通路の遠位方向に配置され、及び該テザーがその中に配置される第二の通路をさらに含む、請求項8の送達システム。
【請求項12】
該第二の通路が円盤部材を通って延びる、請求項11の送達システム。
【請求項13】
該第一の取り外し機構が、熱的取り外し機構、電解的取り外し機構、又は機械的取り外し機構のうちの一つであり、及び、該第二の取り外し機構が、熱的取り外し機構、電解的取り外し機構、又は機械的取り外し機構のうちの一つである、請求項1の送達システム。
【請求項14】
該インプラントが該押圧器に取り付けられているかを判定し、及び、該第一又は第二の取り外し機構のいずれかの起動後に、該インプラントが該押圧器から解放されたかを使用者に示す、センサーをさらに含む、請求項1の送達システム
【請求項15】
自動起動機構をさらに含み、該センサーが、該第一の取り外し機構の起動後に該インプラントが該押圧器に取り付けられていると判定したら、該自動起動機構が該第二の取り外し機構を開始する、請求項14の送達システム。
【国際調査報告】