(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】オレフィン重合用の球状触媒成分
(51)【国際特許分類】
C08F 4/654 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
C08F4/654
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556983
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 US2022019384
(87)【国際公開番号】W WO2022197491
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】マリン,ウラジーミル・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ヒントレー,アーメド
【テーマコード(参考)】
4J128
【Fターム(参考)】
4J128AA05
4J128AB05
4J128AC05
4J128CA16A
4J128CB23A
4J128CB27A
4J128CB44A
4J128CB92A
4J128DB03A
4J128EB02
4J128EB04
4J128EC01
4J128GA05
4J128GA07
4J128GA09
4J128GA12
4J128GA21
4J128GB02
(57)【要約】
ポリオレフィンポリマーの生成に使用するための球状触媒成分を生成するプロセスは、ハロゲン化マグネシウム化合物を、溶媒であって、アルコールを含む、溶媒に溶解させて、均質溶液を形成することと、均質溶液を、界面活性剤、支持電子供与体、及び内部電子供与体の存在下で、チタン化合物で処理して、チタン単位、支持電子供与体、及び内部電子供与体を組み込んだハロゲン化マグネシウム化合物ベースを含む固体触媒成分を形成することと、を含み、触媒成分が、実質的に球状の形状及び約3μm~約150μmのD50を有する粒子を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンポリマーの生成に使用するための球状触媒成分を生成するプロセスであって、
a)ハロゲン化マグネシウム化合物を、溶媒であって、アルコールを含む、溶媒に溶解させて、均質溶液を形成することと、
b)前記均質溶液を、界面活性剤、支持電子供与体、及び任意選択で第1の内部電子供与体の存在下で、第1のチタン化合物で処理して、固体沈殿物を形成することと、
c)前記固体沈殿物を、第2の内部電子供与体の存在下で、第2のチタン化合物で処理して、前記チタン単位、前記支持電子供与体、前記第2の内部電子供与体、及び任意選択で前記第1の電子供与体を組み込むハロゲン化マグネシウム化合物ベースを含む球状触媒成分を形成することと、を含み、
前記球状触媒成分が、実質的に球状の形状を有し、かつ約3μm~約150μmのD50を呈する粒子を含む、プロセス。
【請求項2】
ポリオレフィンポリマーの生成に使用するための球状触媒成分を生成するプロセスであって、
a)ハロゲン化マグネシウム化合物を、溶媒であって、アルコールを含む、溶媒に溶解させて、均質溶液を形成することと、
b)前記均質溶液を、界面活性剤及び支持電子供与体の存在下で、第1のチタン化合物で処理して、固体沈殿物を形成することと、
c)前記固体沈殿物を第2のチタン化合物で処理して、前記チタン単位及び前記支持電子供与体を組み込むハロゲン化マグネシウム化合物ベースを含む球状触媒成分を形成することと、を含み、
前記球状触媒成分が、実質的に球状の形状を有し、かつ約3μm~約150μmのD50を呈する粒子を含む、プロセス。
【請求項3】
前記第1チタン化合物と前記第2のチタン化合物が、同じであるか又は異なり、以下の式として表され、
Ti(OR
29)
gX
3
4-g
式中、
各R
29が、独立して、C
1~C
20アルキル、C
3~C
20シクロアルキル、又はC
6~C
30アリールであり、
X
3が、Br、Cl、又はIであり、
gが、0、1、2、3、又は4である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ハロゲン化マグネシウム化合物が、式Mg(OR
30)
nCl
2-nの化合物であり、式中、R
30が、アルキル又はハロアルキルであり、nが、0又は1である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ハロゲン化マグネシウム化合物が、二塩化マグネシウムである、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記支持電子供与体が、アリールエステルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記支持電子供与体が、以下の式として表され、
【化1】
式中、
R
21が、1~20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、若しくはアリール、ヘテロ原子、又はそれらの組み合わせであり、
R
22~R
26の各々が、独立して、H、1~20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、若しくはアリール、ヘテロ原子、又はそれらのうちのいずれか2つ以上の組み合わせである、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記支持電子供与体が、アルキルベンゾエートを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記支持電子供与体が、エチルベンゾエートを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記支持電子供与体が、前記球状触媒成分中に約0.1重量%~約15重量%存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記第1の内部電子供与体及び前記第2の内部電子供与体が、独立して、ジエーテル、スクシネート、カルボキシレート誘導体、カルボネート、カルバメート、有機酸エステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、2~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物、少なくとも1つのエーテル基及び少なくとも1つのケトン基を有する化合物、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記第1の内部電子供与体及び前記第2の内部電子供与体が、独立して、以下として表され、
【化2】
式中、
X
1及びX
2が、各々、O、S、又はNR
47であり、
R
15~R
20の各々が、独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、qが、0~12の整数である。いくつかの実施形態では、R
15~R
20の各々が、独立して、F、Cl、Br、I、NR
2
46、SiR
80
3、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、qが、0~12の整数であり、
各R
46が、独立して、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール又はアルキルアリールから選択され、
R
47が、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキルであり、
各R
80が、個々に、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、
qが、0~12の整数である、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記第1の内部電子供与体及び前記第2の内部電子供与体が、独立して、以下として表され、
【化3】
式中、
X
1及びX
2が、各々、O、S、又はNR
47であり、
R
36及びR
37が、各々独立して、F、Cl、Br、I、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、-OR
45、又は-NR
2
46から選択され、
R
40、R
41、R
42、及びR
43が、各々独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、又は-OR
44であり、
R
44が、C
1~C
20アルキル、C
6~C
30アリール、C
6~C
30アラルキル、又はC
6~C
30アルキルアリールであり、
R
45が、C
1~C
20アルキル、C
6-C
20アリール、又はアルキルアリールであり、
R
46が、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキルであり、
R
47が、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキルである、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第1の内部電子供与体及び前記第2の内部電子供与体が、独立して、以下の式のうちの1つによって表され、
【化4】
式中、
R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、及びR
43が、各々独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、又は-OR
44であり、
R
44が、C
1~C
20アルキル、C
6~C
30アリール、C
6~C
30アラルキル、又はC
6~C
30アルキルアリールである、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第1の内部電子供与体及び前記第2の内部電子供与体が、独立して、以下の式のうちの1つによって表され、
【化5】
式中、
R
50、R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、R
56、及びR
57が、独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記球状触媒成分が、前記第1の内部電子供与体及び/又は前記第2の内部電子供与体を約1重量%~約25重量%の量で含有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記支持供与体と前記第1の内部供与体及び/又は前記第2の内部供与体が、同じである、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
アルコールが、C
1~C
20アルコールを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記界面活性剤が、アクリレート又はポリアクリレートを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記均質溶液を処理することが、ジ-(C
1~C
12)-アルキルエーテルを添加することを更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
Si-O基、O-Si-O基、又はこれらの両方を含有する有機ケイ素化合物を添加することを更に含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記有機ケイ素化合物が、以下として表される化合物、
R
27
nSi(OR
28)
4-n
ポリシロキサン、又はそれらのうちのいずれか2つ以上の混合物を含み、
式中、
各R
27が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり、
各R
28が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり、
nが、0、1、2、又は3である、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記沈殿物の前記形成が、炭化水素溶媒、芳香族溶媒、又はそれらの混合物の存在下で行われる、請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に従って生成された球状触媒成分。
【請求項25】
請求項24に記載の球状触媒成分、有機アルミニウム化合物を含む、オレフィン重合において使用するための触媒系。
【請求項26】
前記有機アルミニウムが、アルキルアルミニウム化合物である、請求項25のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項27】
前記アルキルアルミニウム化合物が、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、又はトリ-n-オクチルアルミニウムを含む、請求項26に記載の触媒系。
【請求項28】
外部電子供与体を更に含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項29】
前記外部電子供与体が、ポリシロキサン又は以下の式の化合物である有機ケイ素を含み、
R
40
nSi(OR
41)
4-n
式中、R
40及びR
41の各々が、独立して、炭化水素であり、nが、0≦n<4である、請求項28に記載の触媒系。
【請求項30】
活性制限剤を更に含む、請求項25~29のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項31】
オレフィンモノマーを重合又は共重合するためのプロセスであって、前記プロセスが、オレフィンモノマーを請求項25~30のいずれかに記載の触媒系と接触させて、ポリオレフィンを形成することを含む、プロセス。
【請求項32】
請求項24に記載の球状触媒成分の存在下で調製されたポリオレフィンを含むポリオレフィン粒子を含むポリマー組成物であって、前記ポリオレフィン粒子が、0.75超のb/l3のアスペクト比、0.80超の球形度指数(SPHT)、及び約0.36g/cc超の嵩密度を呈する、ポリマー組成物。
【請求項33】
前記ポリマー粒子が、0.95超の球形度指数(SPHT)を呈する、請求項32に記載のポリマー組成物。
【請求項34】
前記ポリマー粒子が、約0.40g/cc超の嵩密度を有する、請求項32又は33に記載のポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月16日に出願された米国仮特許出願第63/161,612号に対する優先権の利益を主張するものであり、それらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは、単純なオレフィンから誘導されるポリマーのクラスである。ポリオレフィンを作製する既知の方法には、チーグラー・ナッタ重合触媒の使用が含まれる。これらの触媒は、遷移金属ハロゲン化物を用いてオレフィンモノマーを重合して、様々な種類の立体化学的配置を有するポリマーを提供する。
【0003】
1種類のチーグラー・ナッタ触媒系は、上にチタン化合物及び内部電子供与体化合物が担持されているハロゲン化マグネシウム化合物によって構成される固体触媒成分を含む。アイソタクティックポリマー生成物に対する高い選択性を維持するために、触媒合成中に内部電子供与体化合物が添加される。内部電子供与体は、様々な種類のものであり得る。従来、ポリマーのより高い結晶化度が必要とされる場合、外部電子供与体化合物も重合反応中に添加される。
【0004】
過去30年の間に、多くの担持チーグラー・ナッタ触媒が開発されており、それらは、オレフィン重合反応においてはるかに高い活性を与え、それらが生成するポリマー中にはるかに高い含量の結晶性アイソタクティック画分を与える。内部及び外部電子供与体化合物の開発に伴い、ポリオレフィン触媒系は、絶えず改革されている。
【0005】
過去において、球状触媒を生成するために様々な努力がなされてきた。例えば、塩化マグネシウム及びエタノール溶液は、球状特性を有する触媒担体を生成するために、噴霧結晶化プロセスを通して供給された。
【0006】
他のプロセスにおいて、触媒担体は、マグネシウム化合物及びアルキルシリケートから形成された。アルキルシリケートは、比較的大きなサイズの触媒を形成するために使用された。アルキルシリケートの存在はまた、触媒材料を形成するための噴霧乾燥の必要性を排除しながら、触媒担体の形成を可能にした。触媒担体を形成するために、マグネシウム化合物及びアルキルシリケートを、アルコールを含有する液体媒体中で一緒に混合した。混合物を加熱して、球状特性を有する触媒担体を形成した。一態様では、例えば、液体混合物を乳化した。
【0007】
他のプロセスでは、マグネシウム化合物及びアルコールを加熱して、付加物を形成した。次いで、球状特性を有する触媒担体を形成するために、付加物を液体媒体中でエーテル、ポリマー界面活性剤、及びアルキルシリケートと接触させた。
【0008】
更に別の過去のプロセスにおいて、固体触媒成分は、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物を、アルキルエポキシド、有機リン化合物、カルボン酸又は無水物、及び炭化水素溶媒を含む混合物中に溶解させて、溶液を形成することによって生成された。固体沈殿物を形成するために、溶液をハロゲン化チタンなどのハロゲン化剤で処理する場合がある。
【0009】
しかしながら、上記のプロセスは、様々な欠点及び欠陥を有する。例えば、上記プロセスの多くは、非効率的であり、かなりのエネルギーを必要とするだけでなく、複数のプロセス工程を必要とする。したがって、現在、比較的簡単なプロセスで実質的に球状の触媒成分を生成するための触媒成分調製プロセスが必要とされている。高い触媒活性を有し、優れた嵩密度特性を有するポリオレフィンポリマーを生成する実質的に球状の触媒成分に対する必要性も存在する。
【発明の概要】
【0010】
一般に、本開示は、高い触媒活性を有することができ、比較的高い嵩密度及び実質的に球状の形態を有するポリオレフィンポリマーを生成することができる球状触媒成分に関する。触媒成分はまた、高い水素応答を示すことができ、ポリプロピレンポリマー及びポリエチレンポリマーを含む全ての異なる種類のポリオレフィンポリマーを生成するためのバルク相及び気相重合プロセスにおいて使用することができる。特に有利には、球状触媒成分は、比較的単純な沈殿プロセスで生成することができる。
【0011】
一態様では、ポリオレフィンポリマーの生成に使用するための固体触媒成分を生成する方法は、ハロゲン化マグネシウム化合物を、溶媒であって、アルコールを含む、溶媒に溶解させて、均質溶液を形成することと、均質溶液を、界面活性剤、支持電子供与体、及び第1の内部電子供与体の存在下で、第1のチタン化合物で処理して、固体沈殿物を形成することと、固体沈殿物を、第2の内部電子供与体の存在下で、第2のチタン化合物で処理して、ハロゲン化マグネシウム化合物ベース、チタン単位、支持電子供与体、並びに第1の内部電子供与体及び第2の内部電子供与体を含む固体触媒成分を形成することと、を含み、固体触媒成分が、実質的に球状の形状を有し、かつ約3μm~約150μmのD50を呈する粒子を含む。
【0012】
一態様では、ポリオレフィンポリマーの生成に使用するための固体触媒成分を生成する方法は、ハロゲン化マグネシウム化合物を、溶媒であって、アルコールを含む、溶媒に溶解させて、均質溶液を形成することと、均質溶液を、界面活性剤及び支持電子供与体の存在下で、第1のチタン化合物で処理して、ハロゲン化マグネシウム化合物ベース、チタン単位、及び支持電子供与体を含む固体触媒成分を含む固体沈殿物を形成することと、を含み、固体触媒成分が、実質的に球状の形状を有し、かつ約3μm~約150μmのD50を呈する粒子を含む。
【0013】
一態様では、ポリオレフィンポリマーの生成に使用するための固体触媒成分を生成する方法は、ハロゲン化マグネシウム化合物を、溶媒であって、アルコールを含む、溶媒に溶解させて、均質溶液を形成することと、均質溶液を、界面活性剤、支持電子供与体、及び第1の内部電子供与体の存在下で、第1のチタン化合物で処理して、固体沈殿物を形成することと、を含み、固体触媒成分を含む固体沈殿物が、ハロゲン化マグネシウム化合物ベース、チタン単位、支持電子供与体、及び第1の内部電子供与体を含み、固体触媒成分が、実質的に球状の形状を有し、かつ約3μm~約150μmのD50を呈する粒子を含む。
【0014】
一態様では、ポリオレフィンポリマーの生成に使用するための固体触媒成分を生成する方法は、ハロゲン化マグネシウム化合物を、溶媒であって、アルコールを含む、溶媒に溶解させて、均質溶液を形成することと、均質溶液を、界面活性剤及び支持電子供与体の存在下で、第1のチタン化合物で処理して、固体沈殿物を形成することと、固体沈殿物を、第2の内部供与体の存在下で、第2のチタン化合物で処理して、ハロゲン化マグネシウム化合物ベース、チタン単位、支持電子供与体、及び第2の内部電子供与体を含む固体触媒成分を形成することと、を含み、当該固体触媒成分が、実質的に球状の形状を有し、かつ約3μm~約150μmのD50を呈する粒子を含む。
【0015】
一態様では、ポリオレフィンポリマーの生成に使用するための球状触媒成分を生成するための方法が提供される。この方法は、ハロゲン化マグネシウム化合物を溶媒に溶解させて、触媒溶液を形成することを含む。溶媒は、エタノールなどのアルコールを含む。次いで、チタン化合物を、界面活性剤、支持電子供与体、及び内部電子供与体の存在下で触媒溶液に添加することができる。次いで、触媒成分を触媒溶液から沈殿させる。ハロゲン化マグネシウム化合物は、Mg(OR30)nCl2-nとして表すことができ、式中、R30は、アルキル又はハロアルキルであり、nは、0又は1である。触媒成分は、チタン化合物又は単位を組み込んだハロゲン化マグネシウム化合物ベースと、支持供与体と、を含む。任意選択で、内部電子供与体。触媒成分は、体積基準で約3ミクロン~約150ミクロンの平均粒径を有する粒子を含む。粒子はまた、実質的に球状である。例えば、粒子は、0.75超のB/L3値を有することができる。
【0016】
一態様では、ハロゲン化マグネシウム化合物は、塩化マグネシウムである。アルコールは、2-エチルヘキサノールなどのC2~C20アルコールであってもよい。一態様では、沈殿は、炭化水素溶媒、芳香族溶媒、又はそれらの混合物の存在下で行うこともできる。例えば、沈殿は、C1~C12炭素鎖を有するジアルキルエーテルの存在下で行うことができる。一方、触媒溶液中に存在する界面活性剤は、アクリレート又はポリアクリレートであってもよい。沈殿は、ケイ素化合物の存在下で行うことができる。
【0017】
上述したように、内部電子供与体を触媒溶液に添加してもよい。1つ以上の内部電子供与体は、触媒成分が沈殿する前、間、又は後に触媒溶液に添加されてもよい。一般に、任意の好適な内部電子供与体を使用することができる。一態様では、内部電子供与体は、アリールジエステルであってもよい。代替として、内部電子供与体は、ジエーテル、スクシネート、有機酸エステル、ポリカルボン酸エステル、ポリヒドロキシエステル、複素環式ポリカルボン酸エステル、無機酸エステル、脂環式ポリカルボン酸エステル、2~30個の炭素原子を有するヒドロキシ置換カルボン酸エステル化合物、少なくとも1つのエーテル基及び少なくとも1つのケトン基を有する化合物、又はそれらの混合物を含むことができる。
【0018】
上記実施形態のいずれかにおいて、内部電子供与体は、以下の式によって表されてもよく、
【0019】
【化1】
式中、X
1及びX
2が、各々O、S、又はNR
47であり、R
15~R
20の各々が、独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、qが、0~12の整数である。いくつかの実施形態では、R
15~R
20の各々が、独立して、F、Cl、Br、I、NR
2
46、SiR
80
3、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、qが、0~12の整数であり、各R
46が、独立して、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール又はアルキルアリールから選択され、R
47が、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキルである。各R
80が、個々に、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
【0020】
特定の一態様では、内部電子供与体は、以下の式のうちの1つ以上によって表され、
【0021】
【化2】
式中、R
40~R
43が、各々独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、又は-OR
44から選択され、R
44が、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキル、若しくはC
6~C
20アルキルアリールであり、R
36及びR
37が、各々独立して、F、Cl、Br、I、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、-OR
45、若しくは-NR
2
46から選択され、R
45が、C
1~C
20アルキル、C
6-C
20アリール、若しくはアルキルアリールであり、X
1及びX
2が、各々、O、S、若しくはNR
47であり、R
46が、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキルであり、かつR
47が、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキルであるか、又は
【0022】
【化3】
式中、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、及びR
43が、各々独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロアリールアルキルであるか、又は
【0023】
【化4】
式中、R
50~R
57の各々が、独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
【0024】
一般に、得られる触媒成分は、約1重量%~約20重量%の量で内部電子供与体を含有することができる。
【0025】
1つ以上の内部電子供与体に加えて、触媒成分はまた、支持電子供与体の存在下で形成される。一態様では、支持電子供与体は、モノアリールエステルを含むことができる。一態様では、支持電子供与体は、以下の式を有し、
【0026】
【化5】
式中、R
21が、1~20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、若しくはアリール、ヘテロ原子、又はそれらの組み合わせであり、R
22~R
26の各々が、独立して、H、1~20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、若しくはアリール、ヘテロ原子、又はそれらのうちのいずれか2つ以上の組み合わせである。特定の一実施形態では、支持電子供与体は、エチルベンゾエートを含む。一実施形態では、支持供与体及び内部供与体は同じである。
【0027】
一般に、触媒成分は、約0.1重量%~約15重量%の量で支持電子供与体を含有することができる。これには、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.5重量%~約15重量%、約0.5重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、又は約1重量%~約5重量%が含まれる。
【0028】
内部電子供与体及び支持電子供与体に加えて、触媒成分は、有機ケイ素化合物の存在下で形成することもできる。有機ケイ素化合物は、Si-O基、O-Si-O基、又はそれらの混合物を含有することができる。一態様では、有機ケイ素化合物は、シランである。例えば、有機ケイ素化合物は、以下の化学構造を有する化合物であり得、
R27
nSi(OR28)4-n
若しくはポリシロキサン、又はそれらのうちのいずれか2つ以上の混合物であってもよく、式中、各R27が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり、各R28が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、又は式-SiR27’n’(OR28’)3-nの基であり、各R27’が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり、各R28’が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、又は式R27’n’Si(OR28’)3-n’の基であり、nが、0、1、2、又は3であり、n’が、0、1、2、又は3である。他の例示的な有機ケイ素化合物としては、ポリシロキサンが挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、約5ミクロン~約150ミクロン、例えば約5ミクロン~約75ミクロンの平均粒径を有する球状触媒成分が生成され得る。触媒成分の球形度は、約0.8~約1.0のB/L3のアスペクト比によって特徴付けることができる。触媒成分は、触媒系を生成するための他の成分と組み合わされてもよい。例えば、本開示による触媒系は、共触媒及び少なくとも1つの外部電子供与体と組み合わされた球状触媒成分を含むことができる。少なくとも1つの外部電子供与体は、活性制限剤、選択的制御剤、又はそれらの混合物を含むことができる。
【0030】
本明細書では、触媒成分を使用して作製されるポリオレフィンポリマー、及び記載される触媒成分を使用してポリオレフィンポリマーを生成するためのプロセスも提供される。例えば、一態様では、本開示は、ポリオレフィン粒子を含むポリマー組成物を対象とする。ポリオレフィン粒子は、チーグラー・ナッタ触媒ポリオレフィンを含む。ポリオレフィン粒子は、0.85超のb/l3のアスペクト比及び約200ミクロン~約3000ミクロンのD50粒径を有することができる。ポリオレフィン粒子は、約0.36g/cc超、例えば、約0.38g/cc超、例えば約0.40g/cc超、例えば約0.42g/cc超、例えば約0.44g/cc超の嵩密度を有することができる。
【0031】
本開示の他の特徴及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施例9で生成されたポリプロピレン粒子のSEM画像である。
【
図2】実施例9で生成されたポリプロピレン粒子のSEM画像である。
【
図3】実施例7で生成されたポリエチレン粒子のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
様々な実施形態が以下に記載される。特定の実施形態は、網羅的な記載として、又は本明細書で論じられるより広い態様への限定として意図されていないことに留意されたい。特定の実施形態に関して記載された一態様は、その実施形態に限定される必要はなく、任意の他の実施形態によって履行されてもよい。
【0034】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者に理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変化するであろう。当業者には明らかでない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約(about)」は、特定の用語の最大プラス又はマイナス10%を意味するであろう。
【0035】
要素を記載する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」、並びに同様の指示対象は、本明細書において別途指示がない限り、又は内容が明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別途指示がない限り、この範囲内に属する各別個の値を個々に指す簡略な方法の役目を果たすことを意図しているに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書において記載される全ての方法は、本明細書において特に示されないか、又はそうでなければ明らかに文脈と矛盾していない限り、任意の好適な順番で実施することができる。本明細書に提供されるあらゆる及び全ての例、又は例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、実施形態をよりよく説明することを意図しているに過ぎず、別途指示がない限り、特許請求の範囲に制限を課すものではない。本明細書における文言は、任意の請求されない要素を不可欠なものとして示していると解釈されるべきではない。
【0036】
一般に、「置換された」とは、その中に含有される水素原子への1つ以上の結合が、非水素原子又は非炭素原子への結合によって置き換えられている、以下に定義される(例えば、アルキル基)ような、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、又はエーテル基を指す。置換された基は、炭素原子又は水素原子への1つ以上の結合が、ヘテロ原子への、二重又は三重結合を含む1つ以上の結合によって置き換えられている基も含む。したがって、別段の指定がない限り、置換された基は、1つ以上の置換基で置換される。いくつかの実施形態では、置換された基は、1、2、3、4、5又は6個の置換基で置換されている。置換基の例としては、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、及びI);ヒドロキシル;アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、及びヘテロシクリルアルコキシ基;カルボニル(オキソ);カルボキシル;エステル;ウレタン;オキシム;ヒドロキシルアミン;アルコキシアミン;アラルコキシアミン;チオール;硫化物;スルホキシド;スルホン;スルホニル;スルホンアミド;アミン;N-オキシド;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;アミド;尿素;アミジン;グアニジン;エナミン;イミド;イソシアネート;イソチオシアネート;シアネート;チオシアネート;イミン;ニトロ基;ニトリル(すなわち、CN)などが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アルキル」基は、1~約20個の炭素原子、典型的には1~12個の炭素原子、又はいくつかの実施形態では1~8個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖アルキル基を含む。本明細書で用いられる際、「アルキル基」は、以下に定義されるようなシクロアルキル基を含む。アルキル基は、置換又は非置換であり得る。アルキル基は、1回以上置換されていてもよい。アルキル基は、2回以上置換されていてもよい。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、及びn-オクチル基が挙げられる。分岐鎖アルキル基の例としては、限定されないが、イソプロピル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、イソペンチル基、及び1-シクロペンチル-4-メチルペンチルが挙げられる。代表的な置換されたアルキル基は、例えば、アミノ、チオ、ヒドロキシ、シアノ、アルコキシ、並びに/又はF、Cl、Br、及びI基などのハロ基で1回以上置換されていてもよい。本明細書に使用される際、ハロアルキルという用語は、1つ以上のハロ基を有するアルキル基である。いくつかの実施形態では、ハロアルキルは、ペルハロアルキル基を指す。
【0038】
シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基などの環状アルキル基であるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、3~8環員を有し、他の実施形態では、環炭素原子の数は、3~5、6、又は7個の範囲である。シクロアルキル基は、置換又は非置換であり得る。シクロアルキル基としては更に、これらに限定されないが、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニル、及びカレニル基などの多環式シクロアルキル基、並びにこれに限定されないが、デカリニルなどの縮合環が挙げられる。シクロアルキル基としてはまた、上に定義される直鎖又は分岐鎖アルキル基で置換されている環が挙げられる。代表的な置換されたシクロアルキル基は、一置換、又は2回以上置換された、これらに限定されないが、例えば2,2-、2,3-、2,4-、2,5-、若しくは2,6-二置換シクロヘキシル基又は一置換、二置換、若しくは三置換ノルボルニル若しくはシクロヘプチル基であってもよく、これらは、例えば、アルキル、アルコキシ、アミノ、チオ、ヒドロキシ、シアノ、及び/又はハロ基で置換されていてもよい。
【0039】
アルケニル基は、2~約20個の炭素原子を有し、更に少なくとも1個の二重結合を含む直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基である。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、1~12個の炭素、又は典型的には1~8個の炭素原子を有する。アルケニル基は、置換又は非置換であり得る。アルケニル基としては、例えば、とりわけ、ビニル、プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、イソブテニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、及びヘキサジエニル基が挙げられる。アルケニル基は、アルキル基と同様に置換されていてもよい。二価のアルケニル基、すなわち2個の結合点を有するアルケニル基としては、CH-CH=CH2、C=CH2、又はC=CHCH3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書で使用される際、「アリール」又は「芳香族」基は、ヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素である。アリール基としては、単環式、二環式、及び多環式環系が挙げられる。したがって、アリール基としては、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニレニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニル、アントラセニル、インデニル、インダニル、ペンタレニル、及びナフチル基が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上のアルキル基を有するアリール基は、アルカリール基と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、アリール基は、6~14個の炭素原子を含有し、他では、基の環部分に6~12又は更に6~10個の炭素原子を含有する。語句「アリール基」としては、縮合芳香族-脂肪族環系(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)などの縮合環を含有する基が挙げられる。アリール基は、置換又は非置換であり得る。
【0041】
ヘテロシクリル又は複素環は、3つ以上の環員を含有する単環式、二環式、及び多環式環化合物を含む芳香族環化合物及び非芳香族環化合物の両方を指し、3つ以上の環員のうちの1つ以上は、これらに限定されないが、N、O、及びSなどのヘテロ原子である。ヘテロシクリル基の例としては、これらに限定されないが、1~4個の窒素原子を含有する不飽和3~8員環、例えば、限定されないが、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ジヒドロピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリルなど)、テトラゾリル(例えば、1H-テトラゾリル、2H-テトラゾリルなど);1~4個の窒素原子を含有する飽和3~8員環、例えば、これらに限定されないが、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル;1~4個の窒素原子を含有する縮合不飽和複素環基、例えば、これらに限定されないが、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル;1~2個の酸素原子及び1~3個の窒素原子を含有する不飽和3~8員環、例えば、これらに限定されないが、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリルなど);1~2個の酸素原子及び1~3個の窒素原子を含有する飽和3~8員環、例えば、これに限定されないが、モルホリニル;1~2個の酸素原子及び1~3個の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環基、例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサジニル(例えば、2H-1,4-ベンゾオキサジニルなど);1~3個の硫黄原子及び1~3個の窒素原子を含有する飽和3~8員環、例えば、これに限定されないが、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリルなど);1~2個の硫黄原子及び1~3個の窒素原子を含有する飽和3~8員環、例えば、これに限定されないが、チアゾロジニル(thiazolodinyl);1~2個の硫黄原子を含有する飽和及び不飽和3~8員環、例えば、これらに限定されないが、チエニル、ジヒドロジチニル、ジヒドロジチオニル、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン;1~2個の硫黄原子及び1~3個の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環、例えば、これらに限定されないが、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアジニル(例えば、2H-1,4-ベンゾチアジニルなど)、ジヒドロベンゾチアジニル(例えば、2H-3,4-ジヒドロベンゾチアジニルなど)、酸素原子を含有する不飽和3~8員環、例えば、これに限定されないが、フリル;1~2個の酸素原子を含有する不飽和縮合複素環、例えば、ベンゾジオキソリル(例えば、1,3-ベンゾジオキソイルなど);1個の酸素及び1~2個の硫黄原子を含有する不飽和3~8員環、例えば、これに限定されないが、ジヒドロオキサチニル;1~2個の酸素原子及び1~2個の硫黄原子を含有する飽和3~8員環、例えば、1,4-オキサチアン;1~2個の硫黄原子を含有する不飽和縮合環、例えば、ベンゾチエニル、ベンゾジチニル;並びに1個の酸素原子及び1~2個の酸素原子を含む不飽和縮合複素環、例えば、ベンゾキサチニル、が挙げられる。ヘテロシクリル基はまた、環中の1つ以上のS原子が1つ又は2つの酸素原子に二重結合している、上記のもの(スルホキシド及びスルホン)を含む。例えば、ヘテロシクリル基としては、テトラヒドロチオフェンオキシド及びテトラヒドロチオフェン1,1-ジオキシドが挙げられる。典型的なヘテロシクリル基は、5又は6個の環員を含有する。したがって、例えば、ヘテロシクリル基としては、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、テトラゾリル、チオフェニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルのS原子が1つ以上のO原子に結合しているチオモルホリニル、ピロリル、ピリジニル、ホモピペラジニル、オキサゾリジン-2-オニル、ピロリジン-2-オニル、オキサゾリル、キヌクリジニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、フラニル、ジベンジルフラニル、及びテトラヒドロフラニルが挙げられる。ヘテロシクリル又は複素環は、置換されていてもよい。
【0042】
ヘテロアリール基は、5個以上の環員を含有する芳香族環化合物であり、そのうちの1つ以上は、限定されないが、N、O、及びSなどのヘテロ原子である。ヘテロアリール基には、限定されないが、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル(ピロロピリジニル)、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾピリジニル(アザベンズイミダゾリル)、ピラゾロピリジニル、トリアゾロピリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソオキサゾロピリジニル、チアナフチル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル、及びキナゾリニル基などの基が含まれる。ヘテロアリール基には、インドリル基などの全ての環が芳香族である縮合環化合物が含まれ、2,3-ジヒドロインドリル基などの環のうちの1つのみが芳香族である縮合環化合物が含まれる。「ヘテロアリール基」という語句は、縮合環化合物を含むが、この語句は、アルキル基などの環員の1つに結合した他の基を有するヘテロアリール基は含まない。むしろ、そのような置換を有するヘテロアリール基は、「置換されたヘテロアリール基」と呼ばれる。代表的な置換されたヘテロアリール基は、様々な置換基、例えば、上記に列記されたもので1回以上置換されていてもよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」及び「炭化水素」という用語は、分岐鎖若しくは非分岐鎖の飽和若しくは不飽和の、環式、多環式、縮合、又は非環式種、並びにそれらの組み合わせを含む、水素及び炭素原子のみを含有する置換基を指す。ヒドロカルビル基の非限定的な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、475アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、及びアルキニル基が挙げられる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「置換ヒドロカルビル」及び「置換炭化水素」という用語は、1つ以上の非ヒドロカルビル置換基により置換されたヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基480基の非限定的な例は、ヘテロ原子である。本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」とは、炭素又は水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、周期表のIV、V、VI、及びVII族からの非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、N、O、P、B、S、及びSiが挙げられる。置換ヒドロカルビル基はまた、ハロヒドロカルビル基及びケイ素含有ヒドロカルビル基を含む。本明細書で使用される場合、「ハロヒドロカルビル」基という用語は、1つ以上のハロゲン原子により置換されたヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「ケイ素含有ヒドロカルビル基」という用語は、1つ以上のケイ素原子により置換されたヒドロカルビル基である。ケイ素原子は、炭素鎖中にあってもよく、又はなくてもよい。
【0045】
本明細書で使用される場合、接頭辞「ハロ」は、「ハロ」接頭辞によって修飾されている基に結合しているハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、又はI)を指す。例えば、ハロアリールは、ハロゲン化アリール基である。
【0046】
本技術の化合物内に2つ以上の結合点を有する(すなわち、二価、三価、又は多価)本明細書に記載される基は、接尾辞「エン」の使用によって指定される。例えば、二価アルキル基は、アルキレン基であり、二価アリール基は、アリーレン基であり、二価ヘテロアリール基は、二価ヘテロアリーレン基であるなどである。
【0047】
一般に、本開示は、ポリオレフィンポリマー、特にポリプロピレンポリマーを生成するための触媒システムを対象とする。本開示はまた、触媒系を使用してオレフィンを重合及び共重合する方法を対象とする。
【0048】
より具体的には、本開示は、球状粒子から構成されるチーグラー・ナッタ触媒系において使用するための触媒成分を生成する方法を対象とする。特に有利には、球状触媒成分は、一段階プロセスで生成することができる。特に、ハロゲン化マグネシウム化合物を溶媒に溶解させ、触媒成分を、界面活性剤、支持電子供与体、及び1つ以上の内部電子供与体の存在下で溶液から沈殿させる。沈殿粒子は、形状が球状であるだけでなく、約5ミクロン~約150ミクロン、例えば約5ミクロン~約70ミクロンの平均粒径を有することができる。触媒系に含有される場合、本開示の触媒成分は、高い触媒活性、及び優れた嵩密度特徴を有するポリオレフィンポリマーを生成する能力を示す。加えて、触媒系は、高い水素応答性を示す。
【0049】
球状触媒成分を含有する本開示の触媒系はまた、非常に用途が広い。例えば、触媒系は、バルク重合プロセス及び気相重合プロセスにおいて使用することができる。触媒系は、ポリプロピレンポリマー及びポリエチレンポリマーを生成するために使用することもできる。
【0050】
一般に、球状触媒成分を生成する方法は、最初にハロゲン化マグネシウム化合物を溶媒に溶解させることを含む。ハロゲン化マグネシウム化合物は、例えば、塩化マグネシウムであってもよい。溶媒は、アルコール単独又は炭化水素溶媒との組み合わせであってもよい。溶媒は、ハロゲン化マグネシウム化合物との接触中に約30℃~約145℃、例えば約50℃~約140℃の温度に加熱されてもよい。
【0051】
ハロゲン化マグネシウム化合物溶液が形成された後、第1のハロゲン化チタン化合物が溶液に添加される。第1のハロゲン化チタンは、比較的低い温度、例えば約20℃未満の温度で溶液に添加されてもよい。一態様では、温度は、約-30℃~約0℃であり得る。第1のハロゲン化チタン化合物に加えて、界面活性剤及び支持電子供与体を添加してもよい。加えて、ジエーテル及びケイ素化合物を溶液に添加することもできる。
【0052】
しかしながら、試薬添加の順序を変えてもよいことに留意すべきである。いくつかの実施形態では、支持電子供与体、界面活性剤、又は/及びジエーテルは、第1のハロゲン化チタン添加の前又は後に、約-30℃~約50℃の温度で添加することができる。他の実施形態では、支持電子供与体、界面活性剤、又はエーテルは、アルコールへのハロゲン化マグネシウム化合物の溶解中に添加されてもよい。
【0053】
第1のチタン化合物が混合物に添加された後、油相エマルションが形成される。油相エマルションを加熱すると、固体沈殿物が形成される。油相エマルションは、約0℃~約110℃、例えば約50℃~約100℃の温度に加熱されてもよい。このプロセスの間に、1つ以上の内部電子供与体が添加され、触媒成分に組み込まれる。内部電子供与体は、沈殿前、沈殿中、及び/又は沈殿後に添加することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、固体沈殿物はまた、50℃~150℃の温度で第2のハロゲン化チタンで処理されてもよい。第1のハロゲン化チタンと第2のハロゲン化チタンは、同じであっても異なっていてもよい。加えて、第2のハロゲン化チタン処理中に、上述したような更なる内部供与体を添加してもよい。更なる内部供与体は、上記のような単一の材料であってもよく、又は内部供与体の混合物であってもよい。
【0055】
固体触媒成分を反応から単離し、有機溶媒(好ましくは炭化水素)で洗浄し、乾燥させることができる。洗浄された固体触媒成分は、ハロゲン化マグネシウム化合物ベース、チタン、支持電子供与体、及び内部電子供与体を含む。形成される固体触媒成分は、実質的に球状である。
【0056】
触媒成分は、一般に、約5ミクロン超、例えば約10ミクロン超、例えば約20ミクロン超、例えば約30ミクロン超、例えば約40ミクロン超の平均粒径を呈する。触媒成分粒子の平均粒径は、一般に、約150ミクロン未満、例えば約90ミクロン未満、例えば約80ミクロン未満、例えば約70ミクロン未満であり得る。上述したように、粒子は、実質的に球状であってもよい。例えば、ポリマー粒子は、約0.7超、例えば約0.75超、例えば約0.8超、例えば更に約0.85超、一般に、1未満のB/L3を有し得る。粒子形態に起因して、本開示に従って作製されたポリマー樹脂はまた、増大した嵩密度、球状粒子形態、したがって良好な流動特性を有することができる。ポリマー粒子の嵩密度は、例えば、約0.36g/cc超、例えば約0.38g/cc超、例えば約0.4g/cc超であってもよい。嵩密度は、一般に、約0.8g/cc未満である。
【0057】
嵩密度に加えて、本開示に従って作製されたポリマー樹脂は、他の改善された形態学的特徴も有することができる。ポリマー形態特性としては、例えば、平均粒径、粒径分布、粒子形状、及び表面テクスチャが挙げられる。触媒形態特性は、触媒から生成されるポリマー粒子の形態に直接影響を与えることができる。例えば、最適な粒径及び比較的狭い粒径分布を示す、実質的に球状の粒子を有する、固体触媒成分から作製されるポリオレフィンポリマーが生成することができる。改善されたポリマー形態に起因して、ポリマー粒子は、取り扱いがはるかに容易である。ポリマー粒子は、優れた流動特性を有し、加工が容易である。例えば、ポリマー粒子は、反応器からの除去がより容易であり、輸送がより容易であり、包装及び輸送がより容易である。加えて、改善された粒子特性はまた、反応器装置内のファウリングを防止する。
【0058】
上述したように、本開示の球状触媒成分を生成する方法は、最初にハロゲン化マグネシウム化合物を溶媒に溶解させることを含む。ハロゲン化マグネシウム化合物は、例えば、塩化マグネシウムであってもよい。一態様では、溶媒は、アルコールであってもよい。例えば、アルコールは、直鎖又は分岐鎖であるC2~C20アルコールであってもよい。一態様では、C2~C8アルコールが使用される。更に別の態様では、アルコールの混合物を使用して、溶媒を形成することができる。例えば、一実施形態では、溶媒は、エタノールを単独で、又は3個を超える炭素原子の炭素鎖長を有するアルコールと組み合わせて含むことができる。別の実施形態では、溶媒は、2-エチル-ヘキサノールを含む。
【0059】
1つ以上のアルコールに加えて、溶媒は、1つ以上の他の溶媒を含有することもできる。他の溶媒は、最初に存在してもよく、又はハロゲン化マグネシウム化合物がチタン化合物と組み合わされるときに後で添加されてもよい。1つ以上の他の溶媒としては、炭化水素溶媒、芳香族溶媒、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0060】
使用され得る例示的な芳香族溶媒としては、塩素化芳香族化合物が挙げられる。一態様では、例えば、芳香族溶媒は、クロロベンゼンであってもよい。ハロゲン化マグネシウム化合物が1つ以上の溶媒と組み合わされると、溶液は、一般に、約50℃超、例えば約60℃超、例えば約70℃超、例えば80℃超、及び一般に約150℃未満、例えば約130℃未満、例えば約110℃未満、例えば約100℃未満の温度に加熱され得る。均質溶液が形成され得る。塩化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム化合物は、約5重量%超、例えば約7重量%超、例えば約10重量%超、例えば約12重量%超、及び一般に約20重量%未満、例えば約17重量%未満、例えば約15重量%未満、例えば約12重量%未満の量で溶液中に存在してもよい。
【0061】
次に、第1のチタン化合物、特にハロゲン化チタン化合物を溶液に添加する。より具体的には、得られた溶液を、有機ケイ素化合物、支持電子供与体、及び内部電子供与体の存在下で、チタン化合物で処理して、固体沈殿物を形成することができる。触媒を形成するために使用されるチタン化合物は、以下の化学式:Ti(OR29)gX3
4-gを有することができ、式中、各R29が、独立して、C1~C20アルキル、C3~C20シクロアルキル、又はC6~C30アリールであり、X3が、Br、Cl、又はIであり、gが、0、1、2、3、又は4である。これらの同じチタン化合物はまた、本明細書中に記載されるように、プロセスのその後の工程において添加されてもよい。
【0062】
例示的なチタン化合物としては、チタンアルコキシド、四臭化チタン、四塩化チタン、三塩化チタン、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
球状触媒成分を生成するプロセスは、種々な成分の不存在下で生じることができる。例えば、プロセスは、エポキシ化合物の非存在下で生じることができる。加えて、プロセスは、リン化合物の不存在下で生じることができる。上記成分が存在しないことは、プロセスをより効率的にするだけでなく、得られる生成物において様々な利点を提供することもできる。
【0064】
ハロゲン化マグネシウム化合物溶液は、一般により低い温度で第1のハロゲン化チタン化合物と接触させられる。例えば、温度は、約10℃未満、例えば約0℃未満、例えば約-5℃未満、例えば約-10℃未満、及び一般に約-30℃超、例えば約-20℃超であってもよい。ハロゲン化チタン化合物は、ハロゲン化として知られるプロセスにおいてハロゲン化マグネシウム化合物溶液と接触し、これにより球状触媒成分が沈殿する。
【0065】
ハロゲン化は、触媒成分を、支持電子供与体及び/又は内部電子供与体の存在下でハロゲン化剤と接触させることを含む。ハロゲン化は、触媒成分中に存在するマグネシウム部分を、ハロゲン化マグネシウム担体へと変換し、その上にチタン部分(チタンハロゲン化物など)が堆積される。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、ハロゲン化中、支持電子供与体及び/又は内部電子供与体は、(1)マグネシウム系担体上のチタンの位置を調節し、(2)マグネシウム及びチタン部分の、それぞれのハロゲン化物への変換を促進し、(3)変換中にハロゲン化マグネシウム化合物担体の微結晶サイズを調節すると考えられる。
【0066】
沈殿物が形成された後に、第2のハロゲン化チタンをプロセスに添加してもよい。第2のチタン化合物は、第1のチタン化合物と同じであっても異なっていてもよい。一般に、第2のチタン化合物は、50℃超の温度で添加される。例えば、温度は、80℃超、又は100℃超であってもよい。内部供与体は、第2のチタン化合物処理中に添加されてもよい。
【0067】
上記のように、少なくとも1つの内部電子供与体が触媒成分の合成中に存在する。内部電子供与体は、添加された、又はそうでなければ触媒組成物の形成中に形成される化合物であり、得られる触媒担体中に存在する1つ以上の金属に少なくとも1対の電子を供与する。一実施形態では、少なくとも2つの内部電子供与体が、触媒成分の合成中に存在する。支持供与体もまた存在し得る。支持供与体は、担体合成中に添加される及び/又は触媒を構築するプロセス中に形成される試薬であり、内部電子供与体と同様に、マグネシウム表面に結合し、触媒担体中に残る。支持供与体は、通常、内部電子供与体よりも小さく(かさばらず)、触媒担体との配位が弱い。これに関して、知られていないが、支持供与体は、アルミニウム化合物などの活性化剤と接触したときに触媒担体から部分的に除去されると考えられる。支持供与体は、触媒組成物内により多くの量の他の内部電子供与体を維持する様式で、活性化中に触媒担体から優先的に除去されると考えられる。例えば、支持供与体は、より多くの量の内部電子供与体を維持するために使用され得る。
【0068】
したがって、支持供与体は、内部電子供与体のように機能するが、内部電子供与体と比較して、触媒の活性化中により多くの量が触媒担体から除去される。このようにして、支持供与体は、一次内部電子供与体を保護する二次内部電子供与体である。更に、支持供与体は、合成中に触媒担体に組み込まれ、その後、触媒担体に含有される金属にいかなる影響も及ぼすことなく触媒担体から部分的に除去されると考えられる。アルキルアルミニウムによる触媒成分の活性化中、支持電子供与体は、R27
nSi(OR28)4-nなどの外部電子供与体によって少なくとも部分的に置き換えられ(式中、各R27が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり、各R28が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、又は式-SiR27’n’(OR28’)3-nの基であり、各R27’が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり、各R28が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、又は式R27’n’Si(OR28’)3-nの基であり、nが、0、1、2、又は3であり、n’が、0、1、2、又は3である)、その結果、長期間にわたって安定する活性触媒成分が得られると考えられる。
【0069】
いくつかの実施形態では、触媒成分は、内部供与体なしで調製されてもよく、触媒成分は、支持供与体のみを組み込み、支持供与体は、重合プロセスにおいて内部供与体の役目を果たしてもよい。
【0070】
触媒成分の形態及び触媒性能は、ハロゲン化マグネシウム化合物溶液に添加され、任意選択で沈殿後に添加される異なる成分を添加することによって十分に制御される。例えば、上記のように、ハロゲン化マグネシウム化合物溶液は、界面活性剤、支持電子供与体、内部電子供与体、並びに任意選択でケイ素化合物及び/又はジエーテルと組み合わせて、ハロゲン化チタンと組み合わせることができる。上記成分をハロゲン化マグネシウム化合物溶液に添加すると、油相エマルションが生成される。油相液滴がエマルション内に形成され、次いで加熱中に沈殿する。例えば、上記のように、チタン化合物又はハロゲン化剤を、最初に約0℃未満の温度でハロゲン化マグネシウム化合物溶液と接触させる。支持電子供与体などの他の成分が添加されると、混合物は、次いで0.1~10.0℃/分の速度で、又は1.0~5.0℃/分の速度で加熱される。内部電子供与体は、最初に、及び/又はハロゲン化剤と触媒成分との間の最初の接触期間の後に、後で添加され得る。ハロゲン化の温度は、0℃~100℃(又はそれらの間の任意の値若しくは部分範囲)である。
【0071】
一実施形態では、触媒成分、支持電子供与体、内部電子供与体、及びハロゲン化剤は、同時に又は実質的に同時に添加される。ハロゲン化手順は、必要に応じて1回、2回、3回、又はそれ以上繰り返すことができる。
【0072】
ハロゲン化チタン化合物、支持電子供与体、及び内部電子供与体を、1つ以上の溶媒及び界面活性剤の存在下でマグネシウム溶液と接触させる。溶媒及び界面活性剤の選択はまた、粒子形態の制御を助けることができる。例えば、溶媒及び界面活性剤の適切な選択は、溶媒相及びマグネシウム-チタン油相を生成する。相分離は、適切な溶媒及び界面活性剤の選択によって達成される。溶媒の選択は、溶媒とマグネシウム相との間の分離を引き起こすために、他の成分と比較して、極性、密度、及び表面張力などの物理的特性の差の1つ以上を考慮することを含む。一態様では、プロセスは、トルエンが全ての用途において二相の形成を促進しないことが発見されたという点で、トルエンを使用せずに行われる。使用され得る可能な溶媒としては、アルキルベンゼン化合物、ヘキサン、ヘプタン、又は芳香族溶媒と炭化水素溶媒との混合物が挙げられる。
【0073】
一態様では、沈殿は、界面活性剤と組み合わせたジアルキルエーテルの存在下で生じる。ジアルキルエーテルは、C1~C12ジアルキルエーテルであってもよい。一方で、界面活性剤は、アクリレートであってもよい。
【0074】
例示的な表面改質剤としては、ポリマー界面活性剤、例えばアクリレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアルキルメタクリレート、又は安定化及び乳化することができる任意の他の界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。界面活性剤は、当該技術分野において既知であり、多くの界面活性剤がManufacturing Confectioner Publishing Co.,Glen Rock,N.J.によって出版されたMcCutcheonの「Volume I:Emulsifiers and Detergents」,2001,North American Edition、特に1~233頁に記載されており、これは、いくつかの界面活性剤を説明し、この点に関する開示について参照により本明細書に組み込まれる。ポリアルキルメタクリレートは、1つ以上のメタクリレートモノマー、例えば、少なくとも2つの異なるメタクリレートモノマー、少なくとも3つの異なるメタクリレートモノマーなどを含有し得るポリマーである。更に、アクリレート及びメタクリレートポリマーは、ポリマー界面活性剤が少なくとも約40重量%のアクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーを含有する限り、アクリレートポリマー及びメタクリレートポリマー以外のモノマーを含有してもよい。
【0075】
ポリマー界面活性剤に重合され得る例示的なモノマーとしては、アクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、イソベンジルアクリレート、イソデシルアクリレート、n-ドデシルアクリレート、ベンジルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシブチルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-(2-フェノキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシ化トリプロピレングリコールモノアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパン-3-エトキシレートトリアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヘプタプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリソウリトール(pentaerythouritol)トリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリソウリトール(pentaerythouritol)テトラアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、1-アクリルオキシ-3-メタクリルオキシグリセロール、2-メタクリロキシ-N-エチルモルホリン、及びアリルメタクリレートのうちの1つ以上が挙げられる。
【0076】
ある特定の実施形態では、表面改質剤は、ポリ((C1~C6)アルキル)アクリレート、ポリ((C1~C6)アルキル)メタクリレート、及びポリ((C1~C6)アルキル)アクリレートとポリ((C1~C6)アルキル)メタクリレートとのコポリマーから選択される。実施形態では、表面改質剤対ハロゲン化物含有マグネシウム化合物の比は、1:10~2:1重量%又は1:5~1:1重量%である。
【0077】
市販されているポリマー界面活性剤の例としては、RohMax Additives,GmbHから入手可能な商品名VISCOPLEX(登録商標)のものが挙げられ、製品番号1-254、1-256を有するもの、並びにNoveon/Lubrizolから入手可能な商品名CARBOPOL(登録商標)及びPEMULEN(登録商標)のものが挙げられる。
【0078】
ポリマー界面活性剤は、典型的には有機溶媒との混合物中に添加される。有機溶媒との混合物として添加される場合、界面活性剤対有機溶媒の重量比は、約1:20~約2:1である。別の実施形態では、界面活性剤対有機溶媒の重量比は、約1:10~約1:1である。更に別の実施形態では、界面活性剤対有機溶媒の重量比は、約1:4~約1:2である。
【0079】
前述のハロゲン化手順の後、得られた固体触媒組成物は、例えば、湿性フィルタケーキを生成するため、濾過により最終プロセスで用いられる反応媒体から分離される。次いで、湿性フィルタケーキを液体希釈剤ですすぐ、又は洗浄して、未反応のTiCl4を除去することができ、必要に応じて、残留液体を除去するために乾燥させてもよい。典型的には、得られた固体触媒組成物は、イソペンタン、イソオクタン、イソヘキサン、ヘキサン、ペンタン、又はオクタンなどの脂肪族炭化水素などの液体炭化水素である「洗浄液体」で1回以上洗浄される。次いで、固体触媒組成物は、分離及び乾燥され、又は炭化水素、特に更なる貯蔵若しくは使用のために鉱油などの比較的重質の炭化水素中でスラリー化され得る。
【0080】
様々な異なる種類の支持電子供与体及び内部電子供与体を、本開示の固体触媒成分に組み込むことができる。支持電子供与体の例としては、ギ酸メチル、エチルアセテート、ビニルアセテート、プロピルアセテート、オクチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、エチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルバレラート、エチルステアレート、メチルクロロアセテート、エチルジクロロアセテート、メチルメタクリレート、エチルクロトネート、ジブチルマレエート、ジエチルブチルマロネート、ジエチルジブチルマロネート、エチルシクロヘキサンカルボキシレート、ジエチル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、ジ-2-エチルヘキシル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、プロピルベンゾエート、ブチルベンゾエート、オクチルベンゾエート、シクロヘキシルベンゾエート、フェニルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルトルエート、エチルトルエート、アミルトルエート、エチルエチルベンゾエート、メチルアニセート、エチルアニセート、エチルエトキシベンゾエート、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、クマリン、フタリド、エチレンカルボネート、エチルシリケート、ブチルシリケート、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジエチル1,2-シクロヘキサンカルボキシレート、ジイソブチル1,2-シクロヘキサンカルボキシレート、ジエチルテトラヒドロフタレート及びナジック酸、ジエチルエステル、ジエチルナフタレンジカルボキシレート、ジブチルナフスレンジカルボキシレート(naphthlenedicarboxylate)、トリエチルトリメリテート及びジブチルトリメリテート、3,4-フランジカルボン酸エステル、1,2-ジアセトキシベンゼン、1-メチル-2,3-ジアセトキシベンゼン、2-メチル-2,3-ジアセトキシベンゼン、2,8-ジアセトキシナフタレン、エチレングリコールジピバレート、ブタンジオールピバレート、ベンゾイルエチルサリシレート、アセチルイソブチルサリシレート、アセチルメチルサリシレート、ジエチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ジ-n-ブチルセバケート、ジ-n-オクチルセバケート、又はジ-2-エチルヘキシルセバケートが挙げられる。いくつかの実施形態では、第1の非フタレート供与体は、メチルフォルメート、ブチルフォルメート、エチルアセテート、ビニルアセテート、プロピルアセテート、オクチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、エチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルブチレート、イソブチルブチレート、エチルバレラート、エチルステアレート、メチルクロロアセテート、エチルジクロロアセテート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルクロトネート、エチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、プロピルベンゾエート、ブチルベンゾエート、オクチルベンゾエート、シクロヘキシルベンゾエート、フェニルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、エチルp-メトキシベンゾエート、メチルp-メチルベンゾエート、エチルp-t-ブチルベンゾエート、エチルナフトエート、メチルトルエート、エチルトルエート、アミルトルエート、エチルベンゾエート、メチルアニセート、エチルアニセート、又はエチルエトキシベンゾエートである。
【0081】
一実施形態では、支持電子供与体は、以下の式を有し、
【0082】
【化6】
式中、R
21が、1~20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、若しくはアリール、ヘテロ原子、又はそれらの組み合わせであり、R
22~R
26の各々が、独立して、H、1~20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、若しくはアリール、ヘテロ原子、又はそれらのうちのいずれか2つ以上の組み合わせである。例えば、ある実施形態では、支持電子供与体は、エチルベンゾエートを含む。
【0083】
様々な異なる種類の内部電子供与体が固体触媒成分に組み込まれてもよい。一実施形態では、内部電子供与体は、フェニレン置換ジエステルなどのアリールジエステルである。一実施形態では、内部電子供与体は、以下の化学構造を有し得、
【0084】
【化7】
式中、X
1及びX
2が、各々O、S、又はNR
47であり、R
15~R
20の各々が、独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、qが、0~12の整数である。いくつかの実施形態では、R
15~R
20の各々が、独立して、F、Cl、Br、I、NR
2
46、SiR
80
3、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、qが、0~12の整数であり、各R
46が、独立して、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール又はアルキルアリールから選択され、R
47が、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキルである。各R
80は、個々に、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
【0085】
一実施形態では、内部電子供与体は、以下の式のうちの1つによって表すことができ、
【0086】
【化8】
式中、R
40~R
43が、各々独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、又は-OR
44から選択され、R
44が、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキル、若しくはC
6~C
20アルキルアリールであり、R
36及びR
37が、各々独立して、F、Cl、Br、I、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、-OR
45、若しくは-NR
2
46から選択され、R
45が、C
1~C
20アルキル、C
6-C
20アリール、若しくはアルキルアリールであり、X
1及びX
2が、各々、O、S、若しくはNR
47であり、R
46が、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキルであり、かつR
47が、H、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20アラルキルであるか、又は
【0087】
【化9】
式中、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、及びR
43が、各々独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロアリールアルキルであるか、又は
【0088】
【化10】
式中、R
50~R
57の各々が、独立して、H、ヘテロ原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
【0089】
本開示の固体触媒成分を形成する際に、有機ケイ素化合物を異なる方法で使用してもよい。例えば、有機ケイ素化合物は、触媒担体の沈殿中に使用されてもよく、又はそうでなければ触媒担体に組み込まれてもよい。加えて、有機ケイ素化合物を、活性化剤とともに触媒と接触させてもよい。
【0090】
一実施形態では、有機ケイ素化合物を使用し、触媒担体を形成する際に、マグネシウム化合物、チタン化合物、支持電子供与体、及び少なくとも1つの内部電子供与体と組み合わせることができる。一実施形態では、有機ケイ素化合物は、ケイ素対チタンのモル比が約0.05~約10、例えば約0.1~約6であるような量で触媒成分に組み込まれる。
【0091】
一実施形態では、有機ケイ素化合物は、以下の式によって表されるか、
R40
nSi(OR41)4-n
又は有機ケイ素化合物は、ポリシロキサン、又はそれらのうちのいずれか2つ以上の混合物であり、式中、R40及びR41の各々が、独立して、炭化水素であり、nが、0≦n<4である。
【0092】
有機ケイ素化合物の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビス-o-トリジメトキシシラン(tolydimethoxysilane)、ビス-m-トリジメトキシシラン(tolydimethoxysilane)、ビス-p-トリジメトキシシラン(tolydimethoxysilane)、ビス-p-トリジエトキシシラン(tolydiethoxysilane)、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、nブチルトリエトキシシラン、イソ-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アムニオプロピルトリエトキシシラン(amniopropyltriethoxysilane)、クロロトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボラントリエトキシシラン(norboranetriethoxysilane)、2-ノルボランメチルジメトキシシラン(norboranemethyldimethoxysilane)、エチルシリケート、ブチルシリケート、トリメチルフェノキシシラン、及びメチルトリアリルオキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
別の実施形態では、有機ケイ素化合物は、式:SiR42R43
m(OR44)3-mによって表され、式中、0≦m<3、例えば0≦m<2、各R42が、独立して、環状炭化水素又は置換された環状炭化水素である。R42、R43、及びR44の実例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2-メチルシクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2-エチルシクロペンチル、3-プロピルシクロペンチル、3-イソプロピルシクロペンチル、3-ブチルシクロペンチル、3-三級-ブチルシクロペンチル、2,2-ジメチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、2,5-ジメチルシクロペンチル、2,2,5-トリメチルシクロペンチル、2,3,4,5-テトラメチルシクロペンチル、2,2,5,5-テトラメチルシクロペンチル、1-シクロペンチルプロピル、1-メチル-1-シクロペンチルエチル、シクロペンテニル、2-シクロペンテニル、3-シクロペンテニル、2-メチル-1-シクロペンテニル、2-メチル-3-シクロペンテニル、3-メチル-3-シクロペンテニル、2-エチル-3-シクロペンテニル、2,2-ジメチル-3-シクロペンテニル、2,5-ジメチル-3-シクロペンテニル、2,3,4,5-テトラメチル-3-シクロペンテニル、2,2,5,5-テトラメチル-3-シクロペンテニル、1,3-シクロペンタジエニル、2,4-シクロペンタジエニル、1,4-シクロペンタジエニル、2-メチル-1,3-シクロペンタジエニル、2-メチル-2,4-シクロペンタジエニル、3-メチル-2,4-シクロペンタジエニル、2-エチル-2,4-シクロペンタジエニル、2,2-ジメチル-2,4-シクロペンタジエニル、2,3-ジメチル-2,4-シクロペンタジエニル、2,5-ジメチル-2,4-シクロペンタジエニル、2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエニル、インデニル、2-メチルインデニル、2-エチルインデニル、2-インデニル、1-メチル-2-インデニル、1,3-ジメチル-2-インデニル、インダニル、2-メチルインダニル、2-インダニル、1,3-ジメチル-2-インダニル、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-2-インデニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1-メチル-2-インデニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1,3-ジメチル-2-インデニル、フルオレニル基、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、プロピルシクロヘキシル、イソプロピルシクロヘキシル、n-ブチルシクロヘキシル、三級-ブチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、及びトリメチルシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
式:SiR42R43
m(OR44)3-mにおいて、R43及びR44は、同一であるか又は異なり、各々、炭化水素を表す。更に、R43及びR44は、アルキル基などで架橋されていてもよい。有機ケイ素化合物の実例は、R42が、シクロペンチル基であり、R43が、メチル又はシクロペンチル基などのアルキル基であり、R44が、アルキル基、特にメチル又はエチル基であるものである。
【0095】
例示的な有機ケイ素化合物としては、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、2-メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,3-ジメチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,5-ジメチルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、3-シクロペンテニルトリメトキシシラン、2,4-シクロペンタジエニルトリメトキシシラン、インデニルトリメトキシシラン、及びフルオレニルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン;ジシクロペンチルジメトキシシラン、ビス(2-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(3-三級-ブチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,5-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロブチルジエトキシシラン、シクロプロピルシクロブチルジエトキシシラン、ジシクロペンテニルジメトキシシラン、ジ(3-シクロペンテニル)ジメトキシシラン、ビス(2,5-ジメチル-3-シクロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ-2,4-シクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ビス(2,5-ジメチル-2,4-シクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ビス(1-メチル-1-シクロペンチルエチル)ジメトキシシラン、シクロペンチルシクロペンテニルジメトキシシラン、シクロペンチルシシクロペンタジエニルジメトキシシラン、ジインデニルジメトキシシラン、ビス(1,3-ジメチル-2-インデニル)ジメトキシシラン、シクロペンタジエニルジメトキシシラン、ジフルオレニルジメトキシシラン、シクロペンチルフルオレニルジメトキシシラン、インデニルフルオレニルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン;トリシクロペンチルメトキシシラン、トリシクロペンテニルメトキシシラン、トリシクロペンタジエニルメトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロペンチルエチルメトキシシラン、ジシクロペンチルメチルエトキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロペンチルジメチルエトキシシラン、ビス(2,5-ジメチルシクロペンチル)シクロペンチルメトキシシラン、ジシクロペンチルシクロペンテニルメトキシシラン、ジシクロペンチルシクロペンテナジエニルメトキシシラン(dicyclopentylcyclopentenadienylmethoxysilane)、及びジインデニルシクロペンチルメトキシシランなどのモノアルコキシシラン、並びにエチレンビス-シクロペンチルジメトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的な有機ケイ素化合物としては、ポリシロキサンが挙げられる。
【0096】
いくつかの実施形態では、球状触媒成分が形成されると、触媒成分は、ポリプロピレンポリマー及びポリエチレンポリマーなどのポリオレフィンポリマーを生成するために、様々な異なる重合プロセスにおいて使用するための触媒系に組み込まれてもよい。触媒系は、球状触媒成分を共触媒又は活性化剤及び1つ以上の外部電子供与体と組み合わせることを含むことができる。外部電子供与体は、活性制限剤及び/又は選択的制御剤であってもよい。
【0097】
活性化剤は、チタン及び塩化物結合などのチタン結合をチタン及び炭素結合に変換することができる。次いで、チタン及び炭素結合は、オレフィンモノマーを使用する重合プロセスの開始のための活性部位の役目を果たすことができる。一実施形態では、活性化剤は、AlR45
3で表されるヒドロカルビルアルミニウム化合物であり、式中、各R45が、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はヒドリドラジカルであり、少なくとも1つのR45が、ヒドロカルビルラジカルであり、2つ又は3つのR45ラジカルが、環式ラジカルに接合され、ヘテロ環式構造を形成することができ、各R45が、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビルラジカルである各R45が、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する。更なる実施形態では、各アルキルラジカルは、直鎖又は分岐鎖であり得、そのようなヒドロカルビルラジカルは、混合ラジカルであり得、すなわち、ラジカルは、アルキル、アリール、及び/又はシクロアルキルを含有し得る。好適なラジカルの非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、5,5-ジメチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシル、n-ウンデシル、n-ドデシルである。
【0098】
好適なヒドロカルビルアルミニウム化合物の非限定的な例は、次のとおりである:トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウム、二水素化イソブチルアルミニウム、二水素化n-ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリ-n-デシルアルミニウム、及びトリ-n-ドデシルアルミニウム。
【0099】
一実施形態では、トリエチルアルミニウムが使用される。アルミニウム対チタンのモル比は、約0:1~約200、又は約0.5~約20であってもよい。
【0100】
上述したように、有機ケイ素化合物は、触媒担体に組み込まれてもよく、活性化剤とともに使用されてもよい。例えば、上記のようなアルミニウム化合物は、有機ケイ素化合物とともに触媒成分に添加されてもよく、又は有機ケイ素化合物が添加された後に触媒成分に添加されてもよい。有機ケイ素化合物は、上述の有機ケイ素化合物のいずれかであってもよい。
【0101】
加えて、触媒系は、活性制限剤(activity-limiting agent、ALA)を含むことができる。本明細書で使用される場合、「活性制限剤」(「ALA」)とは、高温(すなわち、約85℃超の温度)で触媒活性を低下させる材料である。ALAは、重合反応器の不具合を抑制又はそうでなければ防止し、重合プロセスの継続を確実にする。典型的には、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、反応器温度が上昇するにつれて増加する。チーグラー・ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点温度近くで高い活性を維持する。発熱重合反応によって発生した熱は、凝集物を形成するポリマー粒子を生じさせる可能性があり、最終的にポリマー生成プロセスの継続を中断することにつながる場合がある。ALAは、高温で触媒活性を低下させ、それによって、反応器の不具合を防止し、粒子の凝集を低減(又は防止)し、重合プロセスの継続を確実にする。ALAは、アルキルアルミニウム化合物による活性化中に触媒成分に添加することもできる。
【0102】
活性制限剤はカルボン酸エステルであってもよい。脂肪族カルボン酸エステルは、C4~C30脂肪族酸エステルであり得、モノ又はポリ(2つ以上)のエステルであり得、直鎖又は分岐鎖であり得、飽和又は不飽和であり得、及びそれらの任意の組み合わせであり得る。C4~C30脂肪族酸エステルはまた、1つ以上の14、15、又は16族のヘテロ原子を含有する置換基で置換され得る。好適なC4~C30脂肪族酸エステルの非限定的な例としては、脂肪族C4~30モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C4~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アリルモノ及びジエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アルキルエステル、並びにC2~100(ポリ)グリコール又はC2~100(ポリ)グリコールエーテルのC4~20モノ又はポリカルボキシレート誘導体が挙げられる。更なる実施形態では、C4~C30脂肪族酸エステルは、ラウレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、オレエート、セバケート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジアセテート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジミリステート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジラウレート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジオレエート、グリセリルトリ(アセテート)、C2~40脂肪族カルボン酸のグリセリルトリ-エステル、及びそれらの混合物であり得る。更なる実施形態では、C4~C30脂肪族エステルは、イソプロピルミリステート、ジ-n-ブチルセバケート及び/又はペンチルバレラート、及び/又はオクチルアセテートである。
【0103】
本開示の触媒系は、全ての異なる種類の重合プロセスにおいて使用され得る。例えば、触媒系は、バルク重合プロセス及び気相プロセスにおいて使用することができる。各プロセスにおいて、1つ以上のオレフィンモノマーを重合条件下で触媒系と接触させる。
【0104】
1つ以上のオレフィンモノマーを重合反応器内に導入して、触媒系と反応させ、ポリマー、例えばポリマー粒子の流動床を形成することができる。好適なオレフィンモノマーの非限定的な例としては、エチレン、プロピレン、C4~20α-オレフィン、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなど;C4~20ジオレフィン、例えば、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、ノルボルナジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、及びジシクロペンタジエン;スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、及びp-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンを含むC8~40ビニル芳香族化合物;並びにハロゲン置換C8~40ビニル芳香族化合物、例えば、クロロスチレン及びフルオロスチレンが挙げられる。
【0105】
本明細書で使用される場合、「重合条件」とは、触媒組成物とオレフィンとの間の重合を促進して所望のポリマーを形成するのに好適な重合反応器内の温度及び圧力パラメータである。重合プロセスは、1つ、又は2つ以上の反応器内で操作する、気相、スラリー、又はバルク重合プロセスであり得る。
【0106】
一実施形態では、重合は、気相重合によって生じる。本明細書で使用される場合、「気相重合」は、流動媒体によって流動化状態に維持されたポリマー粒子の流動床を介した、触媒の存在下での上昇流動媒体(1つ以上のモノマーを含有する流動媒体)の通過である。「流動化」、「流動化された」又は「流動化する」とは、微細ポリマー粒子の床がガスの上昇流によって持ち上げられ、かき混ぜられるガス-固体接触プロセスである。流動化は、粒子の床の細隙を通る流体の上向きの流れが、粒子状物質の重量を上回る圧力差及び摩擦抵抗の増大を獲得した場合に粒子状物質の床で生じる。したがって、「流動床」とは、流動媒体の流れによって流動化された状態で懸濁された複数のポリマー粒子である。「流動媒体」は、気相反応器を通って上昇する、1つ以上のオレフィンガス、任意選択でキャリアガス(例えば、H2又はN2)及び任意選択で液体(例えば、炭化水素)である。
【0107】
典型的な気相重合反応器(又は気相反応器)は、容器(すなわち、反応器)、流動床、分配板、入口及び出口配管、圧縮機、循環ガス冷却器又は熱交換器、並びに生成物排出システムを含む。容器は、反応ゾーン及び速度低下ゾーンを含み、これらのそれぞれは分配板上に位置する。床は、反応ゾーンに位置する。一実施形態では、流動媒体は、プロピレンガスと、オレフィンなどの少なくとも1つの他のガス及び/又は水素若しくは窒素などのキャリアガスと、を含む。
【0108】
一実施形態では、接触は、触媒組成物を重合反応器に供給し、オレフィンを重合反応器に導入することによって生じる。
【0109】
しかしながら、気相重合プロセスに加えて、本開示の触媒系は、全ての異なる種類のバルク相重合プロセスにおいても使用され得ることも理解されるべきである。
【0110】
本開示の触媒系を使用して、様々な種類のポリマーを生成することができる。例えば、触媒系を使用して、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、及びポリプロピレンターポリマーを生成することができる。触媒系はまた、エラストマー特性を有する耐衝撃性ポリマーを生成するために使用することができる。
【0111】
生成されるポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒ポリオレフィンと呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、実質的に球状であり、0.75超のb/l3のアスペクト比0.80超の球形度指数(sphericity index、SPHT)、及び約0.36g/cc超の嵩密度を呈する。いくつかの実施形態では、球形度指数は、0.94超でもよい。いくつかの実施形態では、球形度は、約0.75~約0.98、又は約0.94~約0.98.である。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約0.38g/cc超の嵩密度を有する。これは、約0.40g/cc超、約0.42g/cc超、又は約0.44g/cc超の嵩密度を含み得る。いくつかの実施形態では、嵩密度は、約0.38~約0.50、又は約0.42~約0.50である。
【0112】
ポリプロピレンポリマーに加えて、本開示の触媒系は、ポリエチレンホモポリマー、ポリエチレンコポリマーなどを含むポリエチレンポリマーを生成するために使用され得る。
【0113】
上記のように、本開示の触媒系は、改善された形態を有するポリマーを生成することに加えて、球状粒子及び比較的高い嵩密度を有する様々な異なるポリマーを生成することができる。
【0114】
したがって、一般に記載される本発明は、以下の実施例を参照して、より容易に理解され、これは例示として提供され、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0115】
以下のパラメータは、以下のように定義される。
【0116】
触媒粒子形態は、それから生成されたポリマー粒子形態を示す。ポリマー粒子形態の3つのパラメータ(球形度、対称性及びアスペクト比)は、Camsizer機器を使用して決定され得る。Camsizerの特徴:
球形度 SPHT=(4πA)/P2=Cirularity2(ISO 9276-6)
式中、
Pは、粒子投影の測定された周囲/円周であり、Aは、粒子投影によって覆われた、測定された面積である。
【0117】
理想的な球の場合、SPHTは、1と定義される。そうでない場合、値は、1未満である。
【0118】
対称性は、次のように定義され、
Symm0,3=0.5(1+min(r1/r2)
式中、r1及びr2は、領域の中心から測定方向の境界までの距離である。非対称粒子の場合、Symmは、1未満である。領域の中心が粒子の外側にある場合、すなわちr1/r2<0である場合、Symmは、0.5未満である。
【0119】
XMa=r1+r2、すなわち「Symm」は、異なる方向から測定された一連の対称性値の最小値である。
【0120】
アスペクト比は、以下の式から得られ、
【0121】
【数1】
式中、x
c min及びx
Fe maxは、測定された一連のx
c及びx
Fe値のピークに達する。フェレー径xFe:測定方向に垂直に置かれた2つの接線の間の距離。凸状粒子の場合、平均フェレー径(全方向の平均値)は、同じ円周を有する円の直径に等しい。xFe maxは、測定された一連のフェレー径のうちの最長フェレー径である。アスペクト比(「B/L3」)などの触媒形態特性は、ポリマー形態の特徴付けに使用することができる。
【0122】
D10は、粒子の10%がそのサイズ未満である粒子のサイズ(直径)を表し、D50は、粒子の50%がそのサイズ未満である粒子のサイズを表し、D90は、粒子の90%がそのサイズ未満である粒子のサイズを表す。「スパン」は、粒子の粒径の分布である。この値は、以下の式に従って計算することができる。
スパン=(D90-D10)/D50
【0123】
任意のD又はスパン値の前の「PP」は、示された触媒を使用して調製されたポリプロピレンのD値又はスパン値を示す。
【0124】
BDは、嵩密度(bulk density)の略語であり、g/mlの単位で報告される。
【0125】
CEは、触媒効率(catalyst efficiency)の略語であり、1時間の重合中の触媒1グラム当たりのポリマーKg(Kg/g)の単位で報告される。
【0126】
MFRは、メルトフローレート(melt flow rate)の略語であり、g/10分の単位で報告される。MFRは、ASTM試験D1238 Tに従って測定される。
【0127】
触媒成分の粒径分析は、Malvern Mastersizer 3000機器によるレーザー光散乱法を用いて行った。トルエンを溶媒として使用する。
【0128】
IDは、内部電子供与体(internal electron donor)の略語である。
【0129】
EBは、エチルベンゾエート(ethyl benzoate)の略語である。
【0130】
TEOSは、テトラエチルオルトシリケート(tetraethylorthosilicate)の略語である。
【0131】
Syltherm(登録商標)は、Dow Chemicalから市販されているポリジメチルシロキサン/シリコーンポリマー系液体である。
【0132】
Ti、Mg、及びDはそれぞれ、組成物中のチタン、マグネシウム、及び内部供与体の各々についての重量パーセント(wt%)である。
【0133】
XSは、キシレン可溶分(xylene soluble)の略語であり、重量%の単位で報告され、これは、触媒のアイソタクティシティを表す。
【0134】
本開示に従って様々な異なる触媒成分を生成し、様々な特性について試験した。以下の各実施例において、使用した内部電子供与体(ID)は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0261273号の段落52に記載されているようなカテコールジベンゾエートであった。
【0135】
実施例1.支持供与体なしの比較。12.0gのMgCl2、49.4gの2-エチルヘキサノール、及び81.6gのヘプタンを反応器に投入し、25℃、600rpmで混合した。温度を600rpmで25℃から120℃まで上昇させ、2.5時間後にMgCl2が完全に溶解するまで120℃の温度及び600rpmで保持した。溶液を60℃に冷却し、11.06gのジブチルエーテルを添加した。温度を60℃で15分間保持した。組成物を冷却し、6.8gのViscoplex界面活性剤を14.9gのヘプタン中の混合物に添加した。14.2gのヘプタン中の5.5gのTEOSを混合物に添加した。混合物を-25℃に冷却した。260gのTiCl4を1.5時間かけて添加した。温度を上昇させ、50℃に上げ、30分間保持した。次いで、温度を90℃にし、30分間保持した。組成物を濾過し、濾液を200mlのトルエンで、90℃で10分間洗浄した。265mlのトルエンを添加し、混合物を400rpmで撹拌した。3.0gの内部電子供与体(「ID」)を5gのトルエンとともに40℃で添加し、400rpmで1時間混合した。混合物を濾過し、265mlの10%TiCl4/トルエンを添加した。混合物を400rpm及び105℃で1時間混合した。混合物を濾過した。265mlの10%TiCl4/トルエンを添加し、混合物を400rpm及び110℃で30分間混合し、濾過した。265mlの10%TiCl4/トルエンを添加し、混合物を400rpm及び110℃で30分間混合し、濾過した。265mlの10%TiCl4/トルエンを110℃で添加し、続いて混合及び濾過した。固体を65℃で、200mlのヘキサンで洗浄し、10分間撹拌した。生成物をヘキサンスラリーとして排出した。
【0136】
重合に使用される場合、得られた触媒は、低い触媒活性(26.8kg/g)、高いXS(4.51%、すなわち、低いアイソタクティシティ)、及び生成されるポリマーの低い嵩密度を示す。
【0137】
実施例2.実施例1を繰り返した。しかしながら、エチルベンゾエートをTiCl4添加の前に添加した。この実施例は、触媒活性、触媒アイソタクティシティに対するエチルベンゾエートの効果を示す。触媒活性は、26.8kg/g~56.2kg/gに増加した。ポリマーのXSは、4.51%~1.28%に減少した。内部電子供与体の取り込みが増加した。実施例1における6.9重量%の内部電子供与体と比較して、支持供与体を使用した場合、触媒成分は、15.3重量%の内部電子供与体を含有していた。
【0138】
実施例3.実施例2を繰り返した。しかしながら、8.0gのViscoplex界面活性剤を使用し、TiCl4添加後にエチルベンゾエートを添加した。この実施例は、高い内部電子供与体の取り込み、高い触媒活性(80kg/g)を示し、高い嵩密度及び高いアイソタクティシティを有するポリマーが生成された。
【0139】
実施例4.支持供与体なしの比較。実施例1を繰り返した。しかしながら、8.0gのViscoplex界面活性剤を使用した。イソアミルエーテル(14.5g)を添加した。触媒活性は、わずかに増加するが、触媒アイソタクティック性は、実施例1と比較して減少する(XS=5.35%)。
【0140】
実施例5.実施例4を繰り返した。しかしながら、11.0gのイソアミルエーテルを使用し、TiCl4を25℃で添加した後にエチルベンゾエート(5.0g)を添加した。実施例5は、触媒成分組成及び触媒性能に対する、イソアミルエーテルと組み合わせたエチルベンゾエートの効果を示す。
【0141】
実施例6.実施例4を繰り返した。しかしながら、TEOS(3.0g)及びViscoplex界面活性剤(5.0g)及びエチルベンゾエート(4.0g)の量を変化させた。
【0142】
実施例7.実施例7は、Syltherm界面活性剤を用いた触媒成分の調製を示す。触媒成分を、高い嵩密度を有するポリエチレンを生成するエチレン重合プロセスにおいて試験した。12.0gのMgCl2、0.8gのAl(OPri)3(Priは、イソプロピル(isopropyl)の略語である)、49.4gの2-エチルヘキサノール、Syltherm界面活性剤(2.5g)及び80gのヘプタンを反応器に投入した。溶液を加熱し、MgCl2が完全に溶解するまで(3.5時間)120℃で撹拌した(600rpm)。溶液を60℃に冷却し、14.5gのイソアミルエーテルを添加し、溶液を60℃で30分間保持した。溶液を室温に冷却した。6.0gのViscoplex界面活性剤を20gのヘプタンに添加した。溶液を-20℃に冷却した。混合物の粘度に基づく撹拌速度を800rpmに設定した。260gのTiCl4を-20℃で1.0時間かけて添加した。温度を50℃まで上昇させた。25℃で、5.0gのEBを添加した。混合物を50℃で30時間保持した。次いで、温度を90℃まで上昇させ、30分間保持した。混合物を濾過し、200mlのトルエンで、90℃で10分間洗浄した。混合物を濾過した。TiCl4/ヘキサン(152gのTiCl4及び60gのヘキサン)を反応器に加え、100℃で1時間加熱した。混合物を濾過し、65℃で、200mlのヘキサンで洗浄し、10分間撹拌した。生成物をヘキサンスラリーとして回収した。
【0143】
実施例8.実施例8は、2つのケイ素化合物、Syltherm界面活性剤及びTEOSを用いた触媒成分の調製を示す。触媒は、高い触媒活性を示し、高い嵩密度を有するポリマーを生成した。以下の混合物を調製した:MgCl2(12.0g)、アルミニウムイソプロポキシド(0.8g)、MgCl2(12.0g)、ヘプタン(100g)、Syltherm XLT界面活性剤(2.5g)、及び2-エチル-ヘキサノール(50g)。混合物を120℃で3.5時間加熱した。溶液を60℃に冷却し、14.5gのイソアミルエーテルを添加し、溶液を60℃で30分間保持した。溶液を室温に冷却した。TEOS(10gのヘプタン中2.0g)及び20gのヘプタン中の5.0gのViscoplex界面活性剤を添加した。溶液を-20℃に冷却した。溶液を600rpmで撹拌した。260gのTiCl4を-20℃で1.0時間かけて添加した。TiCl4添加中、混合物を700rpmで撹拌した。温度を50℃まで上昇させた。10℃で、5gのヘプタン中の5.0gのEBを添加し、組成物を50℃に加熱し、そこで30分間保持した。組成物を90℃に加熱し、そこで30分間保持し、濾過した。固体を200mlのトルエンで、90℃で10分間洗浄した。265mlの10%TiCl4/トルエンを添加した。混合物を400rpm及び105℃で1時間混合した。3.0gのIDを5gのトルエンとともに40℃で加熱しながら添加した。混合物を濾過した。265mlの10%TiCl4/トルエンを添加し、混合物を400rpmで、110℃で30分間混合し、濾過した。265mlの10%TiCl4/トルエンを添加し、混合物を400rpmで、110℃で30分間混合し、濾過した。固体を65℃で、200mlのヘキサンで洗浄し、10分間撹拌した。生成物をヘキサンスラリーとして排出した。
【0144】
実施例9.実施例9は、高い嵩密度(0.47g/cc)及び高い球形度(B/L3=0.89)を有するポリマーを生成する高活性触媒成分の調製を示す。12.0gのMgCl2(Toho)、49.4gの2-エチルヘキサノール及び80gのヘプタンを25℃で混合し、600rpmで撹拌した。温度を600rpmで25℃から120℃まで上昇させた。MgCl2が完全に溶解するまで(約5.0時間)、溶液を120℃で、600rpmで保持した。溶液を窒素雰囲気下で25℃に冷却した。温度を60℃に上げ、11.0gのイソアミルエーテルを添加した。溶液を60℃で15.0分間保持し、次いで室温に冷却した。TEOS(10gのヘプタン中3.0g)を添加し、15.0gのヘプタン中の5.0gのViscoplex界面活性剤の混合物を添加した。組成物を-20℃に冷却し、600rpmで撹拌した。260gのTiCl4を-20℃で1.0時間かけて添加した。組成物を50℃に加熱し、EB(5mlのヘプタン中4.0g)を添加した。組成物を50℃で30分間保持した。温度を90℃に上げ、60分間保持した。組成物を濾過し、200mlのトルエンで、90℃で10分間洗浄した。265mlの10%TiCl4/トルエンを添加し、組成物を400rpmで撹拌した。3.0gのIDを5gのトルエンとともに40℃で添加した。温度を400rpmで1時間85℃に保持し、次いで濾過した。265mlの10%TiCl4/トルエンを添加した。混合物を400rpm及び105℃で1時間混合した。混合物を濾過した。265mlの10%TiCl4/トルエンを添加し、混合物を400rpmで、110℃で30分間混合し、濾過した。265mlの10%TiCl4/トルエンを添加し、混合物を400rpmで、110℃で30分間混合し、濾過した。固体を65℃で、200mlのヘキサンで洗浄し、10分間撹拌した。生成物をヘキサンスラリーとして排出した。
【0145】
実施例1~9で上述した触媒成分の各々を使用して、ポリプロピレンポリマーを生成した。
【0146】
ポリプロピレンポリマーを生成するために、バルク相重合プロセスを利用した。より具体的には、実施例の触媒をプロピレン重合の方法において使用した。以下の方法を使用した。
【0147】
重合を行う前に、反応器を窒素流下、100℃で30分間焼成した。反応器を30~35℃に冷却し、共触媒(1.5mlの25重量%トリエチルアルミニウム(TEAl))、C-供与体(シクロヘキシルメチジメトキシシラン(cyclohexylmethydimethoxysilane))(1ml)、水素(5標準リットル、「SL(standard liter)」)、液体プロピレン(1500ml)をこの順序で反応器に添加した。鉱油スラリーとして装填された触媒(5~10mg)を、高圧窒素を用いて反応器に押し込んだ。重合は、70℃で1時間行った。重合後、反応器を22℃に冷却し、大気圧に排気し、ポリマーを回収した。
【0148】
以下の表1及び2は、本開示に従って作製された触媒成分の特性、及び触媒成分を使用して作製されたポリプロピレンポリマーの特性を示す。
【0149】
【0150】
【0151】
図1及び2を参照すると、上記の実施例9からのポリプロピレン粒子を示すSEM(scanning electron microscope、走査型電子顕微鏡)画像が提供されている。示されているように、ポリプロピレン粒子は、実質的に球状である。
【0152】
以下の実施例10~12では、上記の実施例3からの触媒成分を用いてポリプロピレンポリマーを生成した。実施例10~12では、水素の量を変化させた。以下のデータは、メルトフローレートに対する高い水素応答を示している。
【0153】
【0154】
実施例13~17は、上記の実施例9からの触媒成分を用いて作製されたポリプロピレンポリマーの更なる例である。再び、水素の量を変化させ、メルトフローレートに対する高い水素応答を示している。
【0155】
【0156】
実施例18及び19(表5)では、上記の実施例7で生成された触媒成分をポリエチレンポリマーの形成に使用した。ポリエチレンポリマーを、異なる量の水素を用いて形成した。
【0157】
【0158】
図3は、実施例18に従って作製されたポリエチレン粒子のSEM画像である。
【0159】
特定の実施形態を図示及び説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されているそのより広範な態様における技術から逸脱することなく、当該技術分野における通常の技術に従って変更及び修正を加えることができることを理解されたい。
【0160】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素(element)又は要素(elements)、限定(limitation)又は限定(limitations)の不存在下で好適に実践され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などの用語は、広範囲に、かつ限定せずに読み取られるべきである。加えて、本明細書で用いられる用語及び表現は、限定的なものではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、示され、記載される特徴又はそれらの一部分のいずれの等価物も除外することを意図していないが、様々な修正が特許請求される技術の範囲内で可能であることが認識される。加えて、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、具体的に列挙されたこれらの要素、並びに特許請求される技術の基本的な特徴及び新規の特徴に物質的に影響しないこれらの追加の要素を含むことが理解されよう。「からなる(consisting of)」という語句は、指定されてないあらゆる要素を除外する。
【0161】
本開示は、この出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかであるように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更及び変化が行われ得る。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び組成物は、前述の記載から当業者には明らかであろう。このような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本開示は、このような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ限定されるものである。この開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物学的系に限定されず、これらは当然変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語が、特定の実施形態を記載するためのものに過ぎず、限定するものとしては意図されていないことも理解されたい。
【0162】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関しても記載されることを認識するであろう。
【0163】
当業者によって理解されるように、あらゆる及び全ての目的で、特に書面による説明を提供するという観点で、本明細書に開示される全ての範囲は、あらゆる及び全ての可能性のある部分範囲及びその部分範囲の組み合わせも包含する。いずれの列挙された範囲も、同じ範囲が、少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに細分されることを十分に記載し、それを可能にすることが容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下部3分の1、中部3分の1、及び上部3分の1などに容易に細分され得る。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「を超える」、「未満」などの全ての文言は、列挙される数を含み、かつその後、先に考察されたように部分範囲に細分され得る範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は、各個々のメンバーを含む。
【0164】
本明細書において参照される全ての刊行物、特許出願、発行済み特許、及び他の文献は、各個々の刊行物、特許出願、発行済み特許、又は他の文献が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個々に示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる記載内容に含まれる定義は、それらが本開示における定義に矛盾する限りにおいて除外される。
【0165】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載される。
【国際調査報告】