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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】検証機能付きクイックコネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/12 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
F16L37/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557012
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 US2022020533
(87)【国際公開番号】W WO2022197791
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】17/205,301
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517289000
【氏名又は名称】ティーアイ グループ オートモーティブ システムズ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギャビー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ライディン コーディ
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AA01
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106BE25
3J106CA19
3J106EA03
3J106EB05
3J106EC01
3J106EC07
3J106ED33
3J106EE02
(57)【要約】
流体ライン内の雄部材と取り外し自在な接続を行うためのクイックコネクタカップリングは、コネクタ本体の貫通孔内に延びる大きさを有する管状形状を有する雄部材を受けるための貫通孔を有するコネクタ本体と、コネクタ本体内に雄部材を解放可能に固定するリテーナと、コネクタ本体の外側に延びる少なくとも1つのアームを含む検証機と、を含む。さらに、検証機は、コネクタ本体に結合され、雄部材がコネクタ本体と確実に接続されると、ラッチ解除位置からラッチ位置に移動する。コネクタ本体は、少なくとも1つの検証要素を有し、検証要素は、ラッチ解除位置にある検証機から延びる少なくとも1つのアームによって少なくとも部分的に覆われている。検証機がラッチ位置に移動すると、コネクタ本体の検証要素は覆われなくなって読み取り可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ラインの雄部材と分離可能な接続を行うためのクイックコネクタカップリングであって、
前記雄部材を受ける貫通孔を有するコネクタ本体と、
前記コネクタ本体に形成された少なくとも1つの検証要素と、
前記コネクタ本体の外側に延びる少なくとも1つのアームを有する検証機と、
を備え、
前記雄部材は、前記コネクタ本体の前記貫通孔内に延びる大きさの管状形状を有し、
前記検証機は、前記コネクタ本体に結合され、前記雄部材が前記コネクタ本体と確実に接続されたとき、ラッチ解除位置からラッチ位置に移動し、
前記コネクタ本体の前記少なくとも1つの検証要素は、前記ラッチ解除位置では、前記検証機から延びる前記少なくとも1つのアームによって少なくとも部分的に覆われ、
前記検証機が前記ラッチ解除位置から前記ラッチ位置に移動すると、前記コネクタ本体の前記検証要素が覆われなくなって読み取り可能となる、ことを特徴とするクイックコネクタカップリング。
【請求項2】
前記少なくとも1つの検証要素は、前記コネクタ本体の外側面に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項3】
前記少なくとも1つの検証要素は、前記コネクタ本体の後方リムと最後方リムとの間に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項4】
少なくとも1つの前記検証要素は、QRコード、バーコード、データマトリックスコード又はカラーコードとして形成された読み取り可能なコードである、ことを特徴とする請求項1に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項5】
前記検証機は、前記検証機の接続部材から後方に延びる結合上端部を有する一対のアームで形成され、
前記一対のアームの各々は、前記コネクタ本体の長手方向軸に沿って前記一対のアームから横断方向に延びる延長端部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項6】
前記コネクタ本体に前記雄部材を固定するリテーナをさらに備え、
前記検証機は、前記リテーナとともに単一ユニットとして形成されている、ことを特徴とする請求項5に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項7】
前記コネクタ本体に前記雄部材を固定するリテーナをさらに備え、
前記検証機は、前記リテーナと相互に作用する一対のフィンガ部を備える、ことを特徴とする請求項5に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項8】
前記検証機の前記アームは、前記検証機の前記一対のフィンガ部から長手方向に離間している、ことを特徴とする請求項7に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項9】
前記検証機の前記延長端部は、前記コネクタ本体の後方リムと最後方リムとの間に配置され、前記コネクタ本体の外側面に沿って移動する、ことを特徴とする請求項5に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項10】
前記検証機の前記ラッチ解除位置において、前記検証要素は、前記検証機の前記延長端部によって少なくとも部分的に覆われており、
前記検証機が前記ラッチ解除位置から前記ラッチ位置に移動すると、前記検証要素は、前記延長端部の移動によって完全に覆われなくなる、ことを特徴とする請求項9に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項11】
前記検証要素は、前記検証要素が読み取られると、前記クイックコネクタカップリングに関する情報を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項12】
前記少なくとも1つの検証要素は、印刷、レーザーマーキング、ラベリング又は刻印によって前記コネクタ本体の外側面に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項13】
流体ラインの雄部材と分離可能な接続を行うためのクイックコネクタカップリングであって、
前記雄部材を受ける貫通孔を有するコネクタ本体と、
前記雄部材を前記コネクタ本体に固定するリテーナと、
前記コネクタ本体に結合され、前記雄部材が前記コネクタ本体と確実に接続されたとき、ラッチ解除位置からラッチ位置に移動する検証機と、
を備え、
前記雄部材は、前記コネクタ本体の前記貫通孔内に延びる大きさの管状形状を有し、
前記コネクタ本体は少なくとも1つの検証要素を有し、
前記コネクタ本体の前記少なくとも1つの検証要素は、前記検証機が前記ラッチ解除位置から前記ラッチ位置に移動すると読み取り可能となる、ことを特徴とするクイックコネクタカップリング。
【請求項14】
前記コネクタ本体の外側面を部分的に覆う前記検証機は少なくとも1つのアームを備え、
前記少なくとも1つのアームは、前記検証機が前記ラッチ解除位置から前記ラッチ位置に移動すると、前記コネクタ本体の前記外側面に沿って移動する、ことを特徴とする請求項13に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項15】
前記コネクタ本体の前記外側面に設けられた前記少なくとも1つの検証要素は、前記検証機が前記ラッチ解除位置にあるとき、前記検証機の前記アームによって少なくとも部分的に覆われて読み取り不可能となる、ことを特徴とする請求項14に記載のクイックコネクタカップリング。
【請求項16】
前記コネクタ本体の前記外側面に設けられた前記少なくとも1つの検証要素は、前記検証機が前記ラッチ位置に移動すると、前記アームの移動によって完全に覆われなくなって読み取り可能となる、ことを特徴とする請求項14に記載のクイックコネクタカップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年3月18日に出願された米国出願第17/205,301号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、流体ラインアセンブリにおいて取り外し自在な接続を行うためのクイックコネクタカップリングに関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、単に本発明に関連する背景情報を説明するものであり、先行技術を構成するものではない。
【0004】
クイックコネクタは、自動車及びその他の分野でよく知られた装置であり、2つ以上のパイプ、チューブ、又は同様の部品同士を便利、迅速、且つ、流体密に接続することができるコネクタアセンブリである。クイックコネクタは、エンジン冷却回路、あるいは、最近では電気自動車並びにハイブリッド自動車のバッテリを冷却するための冷却回路に使用されるチューブの接続に一般的に使用されている。クイックコネクタアセンブリは、パイプ又はチューブなどの雄部材を備える。雄部材は、クイックコネクタの雌コネクタ本体に受容されて、密閉状態で保持される。クイックコネクタアセンブリは、2つの部品又は導管間に流体接続をもたらし、2つの部品間に流体ラインを確立するために使用される。
【0005】
雄部材と雌コネクタ本体を固定するためにクイックコネクタを使用することは、密閉され固定された流体ラインを最小限の時間及び費用で確立するという点において有利である。このようなクイックコネクタアセンブリは、例えば、自動車の内燃機関の流体ラインシステムにおいて、及び、電気自動車又はハイブリッド自動車を含む自動車の冷却回路において、非常に有用である。さらに、信頼性が高く安全なクイックコネクタカップリングは、ブレーキラインシステム、燃料ラインシステム、冷却水ラインシステム、及びその他の導管システムにも使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のクイックコネクタの多くは、接続される部品をロックすることに関連した多くの欠点を有しており、その結果、接続の失敗、減圧、漏出などが生じることが判明した。密閉され固定された流体ラインを効果的に組み立てるために、クイックコネクタのための多くの機構及び方法が継続的に開発され、様々な流体ラインシステムで使用されている。
【0007】
本発明は、流体ラインアセンブリの雌コネクタに雄部材を固定するためのクイックコネクタに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、流体ラインの雄部材と分離可能な接続を行うためのクイックコネクタカップリング(quick connector coupling)は、雄部材を受容する貫通孔を有するコネクタ本体と、コネクタ本体に形成された少なくとも1つの検証要素(verification element)と、コネクタ本体の外側に延びる少なくとも1つのアームを有する検証機(verifier)と、を備える。雄部材は、コネクタ本体の貫通孔内に延びる大きさの管状形状を有する。検証機は、コネクタ本体に結合され、雄部材がコネクタ本体と確実に接続されると、ラッチ解除位置からラッチ位置に移動する。さらに、コネクタ本体の少なくとも1つの検証要素は、ラッチ解除位置では、検証機から延びる少なくとも1つのアームによって少なくとも部分的に覆われており、検証機がラッチ解除位置からラッチ位置に移動すると、コネクタ本体の少なくとも1つの検証要素は覆われなくなって読み取り可能となる。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、クイックコネクタカップリングは、コネクタ本体に雄部材を取り外し自在に固定するリテーナをさらに備える。雄部材は、アップセット部を有し、リテーナと係合される。
【0010】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも1つの検証要素は、コネクタ本体の外側面に取り付けられ、コネクタ本体の後方リムと最後方リムとの間に配置される。さらに、少なくとも1つの検証要素は、QRコード(登録商標)、バーコード、データマトリックスコード又は有色コードとして形成された読み取り可能なコードである。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、検証機は、一対のアームを有して形成される。一対のアームは、検証機の連結部材から後方に延びる結合上端部を有する。各アームは、コネクタ本体の長手方向軸に沿って一対のアームから横断方向に延びる延長端部を有する。さらに、クイックコネクタカップリングは、雄部材をコネクタ本体に固定するリテーナを備える。検証機は、リテーナと相互作用する一対のフィンガ部を備える。検証機のアームは、検証機の一対のフィンガ部から長手方向に離間して配置されている。
【0012】
本発明のさらなる態様によれば、クイックコネクタカップリングは、コネクタ本体に雄部材を固定するリテーナを備える。検証機は、リテーナとともに単一ユニットとして形成されている。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、検証機の延長端部は、コネクタ本体の後方リムと最後方リムとの間に配置され、コネクタ本体の外側面に沿って移動する。さらに、検証機のラッチ解除位置では、検証要素は、検証機の延長端部によって少なくとも部分的に覆われており、検証機がラッチ解除位置からラッチ位置に移動すると、検証要素は、延長端部の移動によって完全に覆われなくなる。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、検証要素が読み取られると、検証要素はクイックコネクタカップリングに関する情報を生成する。例えば、検証要素は、クイックコネクタに関連する読み取り可能な情報、特に、コネクタの製造業者、品番、種類及び材料、製造日並びにバッチ番号などに関連する情報を含む。少なくとも1つの検証要素は、印刷、レーザーマーキング、ラベリングあるいは刻印によって、コネクタ本体の外側面に設けられる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、流体ラインにおいて雄部材と分離可能な接続を行うためのクイックコネクタカップリングは、雄部材を受容するための貫通孔を有するコネクタ本体と、コネクタ本体内に雄部材を固定するリテーナと、コネクタ本体に結合され、雄部材がコネクタ本体と確実に接続されるとラッチ解除位置からラッチ位置に移動する検証機と、を備える。雄部材は、コネクタ本体の貫通孔内に延びる大きさの管状形状を有する。さらに、コネクタ本体は、少なくとも1つの検証要素を備え、この検証要素は、検証機がラッチ解除位置からラッチ位置に移動すると、読み取り可能となる。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、検証機は、少なくとも1つのアームを備え、アームは、コネクタ本体の外側面を部分的に覆い、検証機がラッチ解除位置からラッチ位置に移動すると、コネクタ本体の外側面に沿って移動する。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、コネクタ本体の外側面に設けられた少なくとも1つの検証要素は、検証機のアームによって少なくとも部分的に覆われ、検証機がラッチ解除位置にあるとき、読み取り不可能となる。さらに、コネクタ本体の外側面に設けられた少なくとも1つの検証要素は、検証機がラッチ位置に移動すると、アームの動きによって完全に覆われなくなり、読み取り可能となる。
【0018】
さらなる詳部及び利点は、添付図面の以下の詳細な説明から明らかになる。図面は、純粋に例示を目的として本明細書で提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0019】
次に、本発明の良好な理解のため、添付図面を参照しながら、例示としてその様々な形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施例による、クイックコネクタカップリングの透視図である。
図1A図1Aは、図1のクイックコネクタカップリングにおけるコネクタ本体及び雄部材の透視図である。
図2図2は、図1のクイックコネクタカップリングの側方断面図である。
図3図3は、図1の雌コネクタ本体の透視図である。
図3A図3Aは、本発明の別の実施例による雌コネクタ本体の透視図である。
図4図4は、図3の雌コネクタ本体の側面図である。
図5図5は、図3の雌コネクタ本体の側方断面図である。
図6図6は、本発明の別の実施例による、クイックコネクタの透視図である。
図6A図6Aは、本発明の別の実施例による別のコネクタ本体を有するクイックコネクタの透視図である。
図7図7は、図1のリテーナの透視図である。
図8図8は、図1の検証機の透視図である。
図9図9は、図8の検証機の異なる透視図である。
図10図10は、図1の検証機のラッチ解除位置における、リテーナ及び検証機を備えるコネクタ本体の透視図である。
図11図11は、図10の検証機のラッチ解除位置における、リテーナ及び検証機を備えるコネクタ本体の異なる透視図である。
図12図12は、図10の検証機のラッチ解除位置における、リテーナ及び検証機を備えるコネクタ本体の側方断面図である。
図13図13は、本発明の別の実施例による、単一ユニットとしてリテーナと組み合わされた検証機を有するクイックコネクタの透視図である。
図14A図14Aは、図13のラッチ解除位置における、雄部材が挿入されたクイックコネクタカップリングの透視図である。
図14B図14Bは、図13のラッチ位置における、雄部材が挿入されたクイックコネクタカップリングの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載された図面は、説明のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明又はその適用もしくは用途を限定することを意図するものではない。図面全体を通して、対応する参照数字は、同様あるいは対応する部分及び特徴を示すと理解されたい。
【0023】
本発明のクイックコネクタカップリングは、流体ラインアセンブリに関連して図示されている。本発明のクイックコネクタカップリングは、剛性チューブと、他の流体搬送部品、特にフレキシブルホースとの間の取り外し自在な接続部として示されている。しかし、クイックコネクタカップリングは、自動車内の加圧の有無を問わず、流体経路の剛性要素の接続など、流体密であるが取り外し自在な接続が望まれる多くの他の用途を含む。
【0024】
図面をより詳細に参照すると、図1及び図1Aは、分離可能な接続部を流体ラインに形成するためのクイックコネクタカップリング(quick connector coupling)10を示している。クイックコネクタカップリング10は、コネクタ本体12と、雄部材14と、を備える。図2において、クイックコネクタカップリング10は、リテーナ100(例えば、主ラッチ、図7参照)及び検証機(verifier)200(例えば、補助ラッチ、図8及び図9参照)によって、取り外し自在に共に固定されている。さらに、図1及び図1Aに示すように、クイックコネクタカップリング10は、コード(例えば、QRコード(商標登録)、バーコード、データマトリックスコード、あるいは単色もしくは多色のカラーコード)の形態である少なくとも1つの検証要素90を備える。例えば、QRコード(商標登録)はコネクタ本体12の外側面に印刷される。検証要素90の機能については、以下でさらに詳細に説明する。雄部材14は、流体ラインシステムの一部を形成する中空チューブの端部に形成される。コネクタ本体12と雄部材14とは、流体ラインに分離可能な継手を形成するように接続される。
【0025】
図1図1A及び図2に示すように、雄部材14は、半径方向に拡大したアップセット部16を備える。アップセット部は、開放チューブ端部又は先端部18から所定の距離を隔てて形成されている。雄部材14のコネクタ本体12への挿入を容易にするために、チューブ端部又は先端部18は、丸みが付けられていてもよいし、テーパ状をなしていてもよい。チューブの外側面によって画定された平滑な略円筒形シール面20は、アップセット部16と、チューブ端部又は先端部18との間に延びている。チューブは、チューブ端部から離間した方向へとアップセット部16を越えて延びており、略平滑な円筒面22を画定する。平滑な円筒面22は、円筒形シール面20と概ね同じ直径を有する。本発明の他の形態によれば、雄部材14は、アップセット部の代わりに、雄部材14の外側面に形成された溝を有してもよい。チューブの外側面は、内側に窪んだ溝を有し(図示せず)、雄部材の溝は、コネクタ本体の内側でリテーナ及び/又は検証機とともに保持されるように適合される。
【0026】
図3~5は、雌コネクタ本体12を詳細に示している。図5に示すように、コネクタ本体12は、壁部24の半径方向内側面により画定される。当該半径方向内側面は略円筒形であり、かつ階段状をなしている。コネクタ本体12は、雄部材14を受容する本体26と、単一のユニットとして本体26から延びる円筒形のステム28と、を備える。円筒形のステム28は、ホース接続端部34を有し、本体26の長手方向軸Xに直交するように90°傾斜している。しかし、本発明の他の形態によれば、ホース接続端部34を有する円筒形のステム28は、長手方向軸Xに沿って本体26から直線状(180度、図6参照)に延びていてもよい。さらに、本発明の他の形態におけるコネクタ本体は、ステム28を備えずに形成されてもよく、ステムの代わりに閉鎖面を有するキャップ(図示せず)によってコネクタ本体(チューブ端受容部)が覆われてもよい。
【0027】
本発明の別の実施例により、コネクタ本体12は、リテーナ本体11及びチューブ接続本体13など2つの異なる部品によって組み合わされてもよい。チューブ接続本体13は、図6Aに示すように、力嵌め、篏合あるいは材料接合(例えば、溶接)によって、リテーナ本体11に着脱可能に結合される。したがって、チューブ接続本体13とリテーナ本体11とによって形成されるコネクタ本体12において、検証要素90はチューブ接続本体13に配置される。しかし、本発明の他の形態では、検証要素90は、リテーナ本体11に配置されてもよい。さらに、コネクタ本体12の外形状は、本発明から逸脱することなく、任意の所望の形状とすることができる。
【0028】
本体26及び円筒形のステム28を有するコネクタ本体12は、単一のユニットとして、一般にプラスチック材料(例えば、ポリアミド)から形成される。図5に示すように、壁部24の内側面は、長手方向軸Xを中心とする貫通孔30を画定している。コネクタ本体12の貫通孔30は、コネクタ本体12を完全に貫通して、長手方向軸Xに沿って雄部材受容端部32からチューブ端受容部40まで延び、さらに横断方向に向けてホース接続端部34まで延びている。本明細書において、後方という用語は、概ね長手方向軸Xに沿った雄部材受容端部32からチューブ端受容部40に向かう方向を意味するために使用し、前方という用語は、長手方向軸Xに沿った、後方の反対方向を意味する。
【0029】
図3~5に示すように、コネクタ本体12は、ハウジング部36、シールチャンバ38、チューブ端受容部40及びステム28を備える。ハウジング部36は、雄部材受容端部32に隣接している。ハウジング部36は、前方リム42と後方リム48とによって画定される。前方リム42は、雄部材受容端部32において貫通孔30への開口部46を画定する平坦な前方面44を有する。後方リム48は、貫通孔30に開口する隙間又は空間50によって前方リム42から隔てられている。前方リム42及び後方リム48は、共に、頂部支持部材52及び底部支持部材56によって連結されている。さらに、後方リム48の前方面からは、中央本体支柱54が延びている。底部支持部材56の下側湾曲面は、後方リム48の半径方向最外端から半径方向内側に凹んでおり、これにより、底部支持部材56、並びに、前方リム42及び後方リム48は、リテーナ100のクロスメンバ104を受容するポケット58を画定する。
【0030】
図3及び図3Aに示すように、例えば、頂部支持部材52は、前方リム42と後方リム48との間に連結されている。後方リム48の頂部は、検証機200の内側面204を受容する凹部60を備える。後方リム48の凹部60は、頂部支持部材52に設けられている。図3に示すように、コネクタ本体12は、最後方リム84をさらに備える。最後方リム84は、コネクタ本体12の周囲を半径方向に延び、シールチャンバ38とチューブ端受容部40との間に配置される。さらに、後方リム48及び最後方リム84は、長手方向軸Xに沿って軸方向に延びる支持部材86で連結されている。しかし、本発明の他の形態によれば、コネクタ本体12は、最後方リム84なしで形成されてもよい(図3A参照)。図3Aに示す例では、少なくとも1つの検証要素90が、コネクタ本体12の外側面の片側又は両側に取り付けられている。
【0031】
図3及び図4に示すように、コネクタ本体12は、コードの形態をなす少なくとも1つの検証要素90を有する。例えば、本願では、検証要素90は、QRコード(登録商標)として形成される。QRコードは、後方リム48と最後方リム84との間のコネクタ本体12の外側面に配置されて設けられている。図3及び図4に示すように、QRコードは、読み取り可能又は視認可能な位置において、シールチャンバ38の両側面に印刷されるか、あるいは埋め込まれる。しかし、検証要素90(例えば、QRコード)は、クイックコネクタカップリング10の動作に応じて、コネクタ本体12の他の場所に取り付けられてもよい。さらに、検証要素90は、本発明の他の形態によれば、読み取り可能又は視認可能な位置として、検証機200又はリテーナ100などの他の構成要素に取り付けられてもよい。
【0032】
検証要素90は読み取り可能なコードであり、好ましくはQRコード及びバーコードなどの機械的に読み取り可能なコードである。例えば、このコードは、スキャナ及びモバイル機器(図示せず)などの読み取り装置によって読み取られる。これにより、雄部材14がコネクタ本体12に完全に挿入され、クイックコネクタカップリング10が適切に接続されていること、すなわち、リテーナ100及び検証機200によってラッチされていることが検証される。さらに、コードは、クイックコネクタカップリング10に関連する読み取り可能な情報を含んでいてもよく、この情報は、コネクタ本体12と雄部材14とが適切に接続された後に読み取られる。
【0033】
図5において、シールチャンバ38は、ハウジング部36の軸方向後方に形成されている。シールチャンバ38は、シールチャンバ38内のハウジング部36に対して、壁部24の縮径部分によって画定される。シールチャンバ38は、シール要素を収容するために設けられ、コネクタ本体12と雄部材14との間に流体シールを形成する。図2に示すように、剛性スペーサリング66によって分離された2つのOリングシール62,64が、シールチャンバ38と雄部材14との間で半径方向に配設されている。Oリングシール62,64は、シールチャンバ38内でぴったりと嵌合し、雄部材14のシール面20の外周にぴったりと嵌合する大きさを有する。Oリングシール62,64は、中空スペーサスリーブ68によってシールチャンバ38に固定されている。中空スペーサスリーブ68は、スリーブ68の外周に隆起環状部70を有することで、貫通孔30内でのスペーサスリーブ68の固定を強化する。
【0034】
チューブ端受容部40は、シールチャンバ38の軸方向後方に形成されている。チューブ端受容部40は、シールチャンバ38に対して縮径した、軸方向後方に延びる壁部24の縮径部分によって画定される。チューブ端受容部40は、雄部材14のシール面20を受容し、誘導又は案内する大きさを有する。さらに、ステム28は、壁部24の最小径部分によって画定された流体通路72を備える。流体通路72は、チューブ端受容部40の小径部からホース接続端部34まで横断方向に連通している。ステム28は、流体ラインにおいて別の部品への接続を容易にするように構成されている。例えば、コネクタ本体12は、フレキシブルホース(図示せず)と接続するように形成されている。前述したように、流体ラインシステムを完成させるために、他の任意の適切な接続配置を用いてもよい。
【0035】
図7は、クイックコネクタカップリング10のリテーナ100を示している。好ましくは、リテーナ100は、プラスチックなどの弾力性のあるフレキシブルな材料で形成される。リテーナ100は、ハウジング部36の底部スロット74を通って横断方向に延在し、コネクタ本体12に着脱自在に結合される。リテーナ100は、一対の細長い概ね平行な脚部102を備える。脚部102は、クロスメンバ104から延び、クロスメンバ104によって一端で結合されている。解除突起部106は、クロスメンバ104の半径方向内側面に形成され、脚部102の後方面から軸方向に延びている。クロスメンバ104は、脚部102間において、雄部材14の円筒形シール面20の外径にほぼ等しい離間距離を有している。脚部102は、ハウジング部36の底部スロット74の軸方向長さにほぼ等しいが、それより僅かに短い軸方向長さを有する。脚部102の横幅は、底部スロット74の横幅よりもかなり狭く、脚部102の外方へ広げて、雄部材の挿入及び取り外しを許容するようになっている。さらに、クロスメンバ104の軸方向長さは、脚部102の軸方向長さよりも実質的に長い。
【0036】
各脚部102は、クロスメンバ104から離間した端部に形成されたラッチ108を備える。リテーナ100がコネクタ本体12に完全に挿入されると、ラッチ108は、コネクタ本体12に対する位置にリテーナ100をロックする。ラッチ108は、コネクタ本体12の頂部支持部材52によって画定されたロック肩部76に係合して、リテーナ100を所定位置に取り外し自在にロックする。図7に示すように、各脚部102は、リード領域112を有する傾斜表面110をさらに備える。リード領域112は、脚部102の前方面114に形成されている。リード領域112は、各脚部102の前方面114から半径方向内側かつ軸方向後方に傾斜し、各脚部102の前方面114と後方面116との略中間部分において終端している。
【0037】
一対のリード領域112のリード端部同士の間隔は、前方面114に隣接して最大となる。この間隔は、雄部材14に形成されたアップセット部16の外径又は外側面にほぼ等しい。リード領域112の内縁部118において、この間隔は、雄部材14のシール面20の外径にほぼ等しい。リード領域112のラッチ108に近い部分は、雄部材のアップセット部16の環状の輪郭に一致するように内側に湾曲している。この形状は、コネクタ本体12を通る雄部材14の誘導及びセンタリングを補助する。
【0038】
図8及び図9は、頂部スロット78及び側部スロット80内に配置される要素を有する検証機200を示している。検証機200は、コネクタ本体12に着脱自在に取り付けられる。また、検証機200は、プラスチックなどの弾力性がありフレキシブルな材料で成形されることが好ましい。検証機200は、コネクタ本体12において、湾曲した底部支持部材56に向かって、且つ、湾曲した底部支持部材56から離れるように、頂部支持部材52に対して横断方向に摺動可能であり、これにより、リテーナ100は、半径方向ラッチ位置と半径方向ラッチ解除位置との間で横断方向に摺動可能である。
【0039】
検証機200は、半径方向内側面204を有する接続部材202を備える。リテーナビーム206が接続部材202から延びている。リテーナビーム206と同じ方向に接続部材202から下方に、横断方向に離間した一対のフィンガ部208が延びている。当該フィンガ部208は、弾力を有して湾曲している。コネクタ本体12に取り付けられると、内側面204は、コネクタ本体12の頂部スロット78とほぼ重なり、リテーナビーム206は、頂部スロット78内に摺動可能に配置される。各フィンガ部208は、側部スロット80に配置される。
【0040】
各フィンガ部208は、ナックル部210を備える。ナックル部210は、横断方向内側に延在するフック部212を有する。フィンガ部208のフック部212は、検証機200がラッチ解除位置にあるとき、頂部支持部材52によって画定されたロックリッジ部82に係合し、コネクタ本体12に対して検証機200を取り外し自在に固定する。検証機200のリテーナビーム206は、横断方向の幅が広い拡幅部分214と、横断方向の幅が狭い狭幅部分216とを有する。拡幅部分214の横断方向の幅は、頂部支持部材52に形成された頂部スロット78の拡幅部分の横断方向の幅よりも僅かに狭く、狭幅部分216の横断方向の幅は、頂部スロット78の狭幅部分の横断方向の幅よりも僅かに狭くなっており、検証機200がラッチ位置とラッチ解除位置との間を移動できるようになっている。
【0041】
図8に示すように、検証機200の各フィンガ部208は、延長ビーム218をさらに備える。延長ビーム218は、ナックル部210の端部から延びて、自由端又は遠位端に形成された検証用タブ220において終端する。検証用タブ220及び延長ビーム218の後方面222は、ナックル部210の後方面と同一平面にある。しかし、検証用タブ220及び延長ビーム218の前方面224は、ナックル部210の前方面から軸方向後方に離間して配置され、延長ビーム218及び検証用タブ220の軸方向厚さは、ナックル部210の軸方向厚さよりも薄くなっている。延長ビーム218及び検証用タブ220の厚さとナックル部210の厚さとの差は、雄部材14のアップセット部16の厚さ又は軸方向の長さと、少なくとも同じである。
【0042】
各検証用タブ220は、検証用タブ220の前方面224に形成された導入ランプ面226を備える。導入ランプ面226は、各検証用タブ220の前方面224から半径方向内側方及び軸方向後方に傾斜している。導入ランプ面226の形状及び間隔は、雄部材14のアップセット部16の環状輪郭と一致し、検証機200がラッチ解除位置にあるとき、雄部材14がコネクタ本体12へ挿入されると、アップセット部16は導入ランプ面226と接触する。対向する検証用タブ220同士の間隔は、検証機200がラッチ解除位置にあるとき、円筒形シール面20が検証用タブ220と接触せずにコネクタ本体12に挿入されるのに必要な間隔よりも大きくなっている。組み立てられた構成では、検証用タブ220は、コネクタ本体12の中央本体支柱54に係合する形状及び大きさであり、これにより、検証機200は、ラッチ解除位置からラッチ位置に移動する。
【0043】
検証機200は、コネクタ本体12の外側に延びる少なくとも1つのアーム228をさらに備える。図9の実施例では、検証機200は、一対のフィンガ部208と同じ方向である、接続部材202から下方に延びる一対のアーム228をさらに備える。一対のアーム228及び一対のフィンガ部208は、コネクタ本体12の長手方向軸Xにおいて互いに離間している。これにより、検証機200がコネクタ本体12に最初に組み立てられたとき、一対のフィンガ部208と一対のアーム228との間の空間234がコネクタ本体12の後方リム48を受容するように構成される(図1及び図1A参照)。図9に示すように、一対のアーム228は、検証機200の接続部材202から後方に延びる結合上端部230を有する。これにより、検証機200の一対のフィンガ部208は、コネクタ本体12の内側に結合され、検証機200の一対のアーム228は、コネクタ本体12の外側に配置される。特に、検証機200がコネクタ本体12に取り付けられると、一対のアーム228は、コネクタ本体12の円筒形シールチャンバ38の外側に半径方向(又は周方向)に配置される。
【0044】
さらに、図1及び図1Aにおいて、各アーム228は、延長端部232を有する。延長端部232は、コネクタ本体12の長手方向軸Xに沿って後方に延び、コネクタ本体12の後方リム48と最後方リム84との間に配置される。延長端部232は、リム48及び84の範囲内に半径方向に配置され、両リムはアーム228の誘導移動を助ける。アーム228及び延長端部232は、リム48,84を越えて半径方向に延びる部分を有してもよい。延長端部232は、検証機200のラッチ解除位置で、コネクタ本体12に設けられた検証要素90を覆うのに十分な大きさとなっている。検証機200がラッチ解除位置にあるとき、検証機200の延長端部232は、コネクタ本体12の外側面88に設けられた検証要素90を覆い、検証要素90が読み取り不可能又は検出不可能となる。検証機200がラッチ解除位置からラッチ位置に移動すると、検証機200の延長端部232を横断方向に(又はコネクタ本体の外側面に沿って)下方に移動し、検証要素90を覆わなくなり、検証要素90がスキャナ又はモバイル機器(図示せず)によって読み取られるようになる。さらに、検証機200を横断方向に移動させてラッチ位置からラッチ解除位置に戻すと、検証要素90は再び覆われて、読み取り不可能になる。
【0045】
図10図11及び図12は、検証機200のラッチ解除位置における、リテーナ100及び検証機200が取り付けられた状態のコネクタ本体12を示している。リテーナ100の脚部102は、ハウジング部36において底部スロット74に挿入され、クロスメンバ104は、ハウジング部36のポケット58に配置される。脚部102がハウジング部36に挿入されると、脚部102は内側にはねて、ラッチ108が頂部支持部材52のロック肩部76に係合した状態となり、リテーナ100をコネクタ本体12に固定する。さらに、リテーナ100がコネクタ本体12に固定されると、脚部102のリード領域112は雄部材受容端部32と面する。
【0046】
カプリングは、検証機200をラッチ解除位置からラッチ位置に位置決めすることで完了する。ラッチ解除位置では、検証機200は、コネクタ本体12に対して軸方向及び半径方向移動が阻止される。ナックル部210の前方面及び後方面と、前方リム42及び後方リム48との当接関係により、ハウジング部36内における検証機200の軸方向の移動が阻止される。フィンガ部208のフック部212と頂部支持部材52のロックリッジ部82との係合により、半径方向内側又は横断方向上方への検証機200の移動が阻止される。さらに、検証用タブ220と中央本体支柱54との当接関係により、半径方向外側又は横断方向下方への検証機200の移動が阻止される。この状態では、検証機200は、ラッチ解除位置から移動できず、コネクタ本体12の検証要素90は、検証機200の延長端部232によって覆われるため、検証要素90を読み取ること又は検出することができない。
【0047】
図1図1A及び図2に示すように、次いで、ラッチ解除位置でリテーナ100及び検証機200がコネクタ本体12に適切に取り付けられた状態で、雄部材14がコネクタ本体12に挿入される。雄部材14の円筒形シール面20は、脚部102の間を通り、シールチャンバ38に入る。雄部材14のアップセット部16が脚部102と接触すると、脚部102のリード領域112は、軸方向内向きの力を十分に加えることで、アップセット部16が脚部102の間を通過することを許容する。アップセット部16が脚部102の間を通過するとき、アップセット部16はリード領域112に沿って移動し、脚部102が半径方向外側に撓む。アップセット部16が脚部102を通過し終えると、脚部102はアップセット部16の後方でロック位置まではね戻る。脚部102の後方面116は、アップセット部16に当接し、コネクタ本体12から雄部材が不用意に抜けるのを防止する。さらに、取り付けられたリテーナ100のクロスメンバ104を内側に押すことによって、雄部材14は、コネクタ本体12から抜き取られる。
【0048】
リテーナ100の脚部102がロック位置にある状態では、アップセット部16は、検証機200のフィンガ部208を側部スロット80内で横断方向外側に撓ませる。検証用タブ220は、貫通孔30の軸Xの横断方向上方に位置し、且つ、同様に雄部材14の軸Xの横断方向上方に位置するので、雄部材14がコネクタ本体12へと後方に挿入されると、アップセット部16の上方側の半部(上方側の半周部分)は、フィンガ部208の導入ランプ面226と接触する。アップセット部16の上方側の半部とフィンガ部208との接触により、フィンガ部208に後方への力が加わるだけでなく、フィンガ部208に上方への力が加わり、横断方向上方又は雄部材14の軸Xから検証機200を半径方向外側に押すので、検証用タブ220が中央本体支柱54を通過でき、フィンガ部208は、妨げられずに半径方向又は横断方向外側に拡開する。
【0049】
上述したように、検証機200のフィンガ部208は、雄部材14のアップセット部16がリテーナ100の脚部102を完全に通過した後(すなわち、雄部材14がコネクタ本体12に完全に挿入され、リテーナ100の脚部102がロック位置にある状態)においてのみ、横断方向外側に拡開する。雄部材14がコネクタ本体12に完全に挿入されたときに、接続部材202に対する(コネクタ本体12に向けた)横断方向下方又は半径方向内側の力とともに、検証機200をラッチ位置に位置決めすることによってクイックコネクタカップリング10が完成する。ラッチ位置では、リテーナビーム206の後方面は、雄部材14のアップセット部16と軸方向に当接する関係にある。リテーナビーム206とアップセット部16との間における前記軸方向の当接関係は、リテーナ100が雄部材14をロックし損なった場合に、検証機200に対して、雄部材14をコネクタ本体12に保持するための検証機能をもたらす。また、リテーナビーム206の半径方向内側面は、雄部材14の外側面と接している。ラッチ位置まで半径方向内側に移動する検証機200の性能により、使用者は、雄部材14がコネクタ本体12に適切に挿入されたことを視覚的に検証することができる。
【0050】
上述のような視覚的検証を提供することに加えて、本発明の検証機200は、スキャナ又はモバイル機器などの読み取り機に、雄部材14がコネクタ本体12に正しく挿入され、コネクタ本体12に正しく接続されたというコネクタ結合状態を読み取らせるか、あるいは検出させることもできる。図1及び図1Aに示すように、本発明のクイックコネクタカップリング10は、QRコード又はバーコードなどの検証要素90を備える。検証要素90は、検証機200がラッチ位置にあるとき、読み取り可能及び/又は検出可能となり、一方、検証機200がラッチ解除位置にあるとき、読み取り不可能及び/又は検出不可能となる。検証機200のラッチ解除位置(図1A参照)では、コネクタ本体12の外側面88に設けられた検証要素90は、検証機200の延長端部232によって部分的又は完全に覆われるので、検証要素90は延長端部232によって遮られ、読み取り可能又は検出可能ではなくなり、読み取り機によって読み取ることができない。雄部材14がコネクタ本体12に挿入され、検証機200がラッチ解除位置からラッチ位置(図1参照)まで下降すると、延長端部232は、コネクタ本体の外側面に沿って、つまり、コネクタ本体12の長手方向軸Xを横断する方向(横断方向)で下方に移動し、検証要素90は延長端部232によって覆われなくなるので、読み取り可能又は検出可能となり、読み取り機によって読み取られる。本発明で読み取り可能又は検出可能な検証要素90は、雄部材14がコネクタ本体12に適切に挿入されていることを明確に示す。
【0051】
本発明の別の実施例により、図13は、リテーナ302とともに単一ユニットとして形成された検証機300を示す。リテーナ302及び検証機300は、一体部品であるか、あるいは、力嵌め式又は篏合式に接続される。コネクタ本体312は、コネクタ本体312の外側面に配置された少なくとも1つの検証要素90を備える。図13に示すように、コネクタ本体312は、リテーナ302と組み合わされた検証機300を受容するハウジング部336を除いて、図1及び図1Aのコネクタ本体12と概ね同じ特徴を有する。リテーナ302は、2つのリテーナ脚部301を備え、検証機300は、一対のロックフィンガ部303を備える。2つのリテーナ脚部301と一対のロックフィンガ部303とは、検証機300に形成されたクロスバー306に取り付けられる。さらに、検証機300は、少なくとも1つのアーム328を備える。アーム328は、コネクタ本体312の外側に延びるとともに、延長端部332を有し、検証機300がラッチ解除位置にあるとき、検証要素90を覆う(図14A参照)。図14Bに示すように、検証機300がラッチ解除位置からラッチ位置に移動すると、図1及び図1Aの実施例に関し説明したように、検証要素90が覆われなくなるため、検証要素90の読み取りが可能となる。
【0052】
図14A及び図14Bに示すように、コネクタ本体312のハウジング部336は、検証機300を受容し、且つ、コネクタ本体312に挿入される雄部材14の接続を固定するように形成されている。リテーナ302と組み合わされた検証機300を有するコネクタ本体312は、2014年10月23日に出願され、発明の名称が「カプラ」である、米国特許第9,677,699B2号(参照により本明細書に組み込まれる)におけるTIイージーロックコネクタに使用され得る。
【0053】
本発明において、「読み取り可能」又は「検出可能」という用語は、特に、読み取り機によってコードを完全且つ正確に読み取ることができることを意味する。例えば、検証機200のラッチ解除位置(図1A)では、コード(検証要素90)を完全に読み取ることができない。なぜなら、コードは検証機200の延長端部232によって完全に又は部分的に覆われているからである。従って、コネクタ本体12の検証要素90は、読み取り可能でも、検出可能でもない。雄部材14がコネクタ本体12に適切に挿入されると、検証機200をラッチ位置まで下降させることができ、コードが完全に覆われなくなるため、図1の実施例に示すように、コードが読み取り可能となり、読み取り機によって完全に読み取ることができる。
【0054】
本発明によれば、検証要素90は、印刷、レーザーマーキング、ラベリング、刻印などの方法のうち少なくとも1つによってコネクタ本体12に設けられる。さらに、検証要素90には、クイックコネクタに関連する読み取り可能な情報、特に、コネクタの製造者、品番、タイプ並びに材料、製造日、及びバッチ番号に関連する情報が含まれる。このような情報は、コネクタの組立及び保守の過程において有益である。本発明の検証要素90は、正しい接続の検証とクイックコネクタのコネクタ固有の情報とを組み合わせたものである。
【0055】
図1及び図1Aに示すように、クイックコネクタカップリング10の正しい接続の明確な表示又はクイックコネクタカップリング10の正しい接続の検証は、上述した簡単な手段によって達成される。従って、本発明の検証要素90を備えたクイックコネクタカップリング10は、低い製造コストによって達成することができる。さらに、クイックコネクタカップリング10の正しい接続の検証又は表示という、簡単でありながら機能的に非常に信頼性の高いプロセスにより、クイックコネクタの接続におけるエラーが発生しにくくなるため、接続時のエラーを実質的に排除することができる。
【0056】
本発明の様々な形態に関する前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。前述の説明は、網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に鑑み、多くの変更又は変形が可能である。記載された形態は、本発明の原理の最良の例証及びその実際の応用例の説明を提供し、それによって当業者が、意図された特定用途に適した様々な形態で、様々な変更を加えて、本発明を利用できるようにするために選択され、説明されている。このような変更及び変形はすべて、それらが公正、合法的、且つ公平に権利を与えられる範囲に従って解釈されたとき、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲内に含まれる。
図1
図1A
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図6A
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
【国際調査報告】