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特表2024-510274アミノヘテロアリール化合物および組成物
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  • 特表-アミノヘテロアリール化合物および組成物 図1
  • 特表-アミノヘテロアリール化合物および組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】アミノヘテロアリール化合物および組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/82 20060101AFI20240228BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20240228BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240228BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
C07D213/82 CSP
A61P43/00 111
A61P37/06
A61P29/00
A61P35/00
A61P3/00
A61P15/00
A61P3/10
A61P25/00
A61P25/28
A61P19/08
A61P17/06
A61P37/02
A61P1/04
A61P29/00 101
A61P11/06
A61P11/00
A61P35/02
A61K31/444
C07D401/12
A61K31/506
C07D403/12
A61K31/501
A61K31/4439
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557092
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2021106028
(87)【国際公開番号】W WO2022193499
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/081177
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523192093
【氏名又は名称】アンルイ バイオメディカル テクノロジー (グァンヂョウ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ダイ
(72)【発明者】
【氏名】ディン、チァン
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA53
4C055BB03
4C055BB04
4C055CA58
4C055CB06
4C055CB08
4C055DA52
4C055DB08
4C055EA01
4C055FA11
4C055FA15
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC28
4C063CC29
4C063CC41
4C063CC42
4C063DD12
4C063DD25
4C063DD28
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC38
4C086BC41
4C086BC42
4C086BC60
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA68
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB05
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC21
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、チロシンキナーゼ2(TYK2)に関連する新規の化合物(たとえば、式IまたはII)、医薬組成物、および使用方法である。本明細書の化合物は、典型的にはTYK2阻害剤であり、自己免疫障害または炎症性障害等の様々な疾患または障害、たとえば、乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、および/または全身性エリテマトーデスを、治療するために使用され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
XはCHまたはNであり、
は、0~7個の重水素原子で置換されたC1-3アルキルであり、
は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-4ヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
は、出現毎に独立して、ハロゲン、任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC1-4ヘテロアルキルであり、
jは、0、1、2、または3であり、
は、1~3個のR、S(O)、またはORで任意に置換されたC1-6アルキルであり、
pは0、1、または2であり、
は、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、1~3個のRA1で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
は、1~3個のRA1で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
は、水素、または1~3個のRA2で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
A1は、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、またはCNであり、
A2は、出現毎に独立して、FまたはOHであり、
は、
【化2】
、または-L-L-Q-Gであり、
10は、出現毎に独立して、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)であり、
10Bは、出現毎に独立して、ハロゲン、CN、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)であり、
は、O、C=(O)NH、または空値であり、
は、C1-4アルキレン、または空値であり、
Qは、任意に置換されたヘテロ環、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
Gは、CN、
【化3】
、またはマイケルアクセプターであり、
11は、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである、
化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
XはCHである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
XはNである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
は、CH、C、CD、またはCDCDである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
は、シクロプロピル、シクロブチル等の3~6員のシクロアルキルであり、当該シクロアルキルは、CN、ハロゲン(たとえばF)、OH、および任意に置換されたC1-6アルキルから独立して選択される1~4個の置換基で任意に置換されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
は、CN、ハロゲン、OH、および任意に置換されたC1-6アルキルから独立して選択される1~4個の置換基で任意に置換されたシクロプロピルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
はシクロプロピルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
jは1である、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
は、出現毎に独立して、F、Cl、または任意にFで置換されたC1-4アルキルである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
jは0である、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
はOMeである、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
は、
【化4】
であり、R10は任意に置換されたC3-6シクロアルキルであり、R10Bは任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
10は、
【化5】
であり、R10Bはメチル、CF、またはシクロプロピルである、請求項12に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
は、-L-L-Q-Gである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
はOである、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
は空値である、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
はC=(O)NHである
【化6】
、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
は空値である、請求項14~17のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
は、C1-4アルキレン、たとえばCHである、請求項14~17のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
Qは、N、O、およびSから独立して選択される1または2個の環ヘテロ原子を有する4~7員の単環式ヘテロ環であり、当該単環式ヘテロ環は、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、請求項14~19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
Qは、
【化7】
から選択される4~7員の単環式ヘテロ環である、請求項14~19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
Qは、
【化8】
から選択される4~7員の単環式ヘテロ環である、請求項14~19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
Qは、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する6~12員の二環式ヘテロ環であり、当該二環式ヘテロ環は、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシであり、前記二環式ヘテロ環は、縮合、スピロ、または架橋二環式であり、環の1つは任意に芳香環またはヘテロ芳香環である、請求項14~19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
Qは、
【化9】
から選択される6~10員二単環式ヘテロ環であって、これらの各々は、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換され、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、請求項14~19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
Qは、
【化10】
から選択される6~10員の二環式ヘテロ環である、請求項14~19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
Qは、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する5または6員のヘテロアリールであり、当該ヘテロアリールは、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、請求項14~19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
Qは、ピリジンまたはピリミジンであり、当該ピリジンまたはピリミジンは、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、請求項14~19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
Qは、
【化11】
である、請求項14~19のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
GはCNである、請求項14~28のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
Gは、
【化12】
であり、R11は、水素、またはメチルなどのハロゲンで任意に置換されたC1-4アルキルである、請求項14~28のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項31】
Gは、マイケルアクセプターである、請求項14~28のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項32】
Gは、
【化13】
である、請求項14~28のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
は、
【化14】
から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
は、
【化15】
から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
は、
【化16】
から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項36】
本明細書の表1の化合物、もしくは例1~15の化合物から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【請求項38】
対象または生体サンプルを、有効量の請求項1~36のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項37に記載の医薬組成物と接触させることを含む、対象または生体サンプルにおいてTYK2を阻害する方法。
【請求項39】
治療有効量の請求項1~36のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象におけるTYK2媒介疾患または障害を治療または予防する方法。
【請求項40】
TYK2が仲介する疾患または障害は、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、増殖性疾患または障害、内分泌疾患または障害(たとえば、多嚢胞性卵巣症候群、クルーゾン症候群、または1型糖尿病)、神経疾患または障害(たとえば、アルツハイマー病)、および/または移植に関連する疾患もしくは障害(たとえば、移植拒絶反応または移植片対宿主病)である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
TYK2が仲介する疾患または障害は、1型糖尿病、強直性脊椎炎、皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、全身性硬化症、乾癬、ベーチェット病、POEMS症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、およびそれらの組み合わせから選択される、自己免疫疾患または障害である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
TYK2が仲介する疾患または障害は、関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、乾癬、肝腫大、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患およびそれらの組み合わせから選択される、炎症性疾患または障害である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
TYK2が仲介する疾患または障害は、血液癌(たとえば、T細胞白血病、たとえばT細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)等の白血病)等の増殖性疾患または障害である、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
TYK2が仲介する疾患または障害は、I型インターフェロン、IL-10、IL-12、および/またはIL-23シグナル伝達に関連する、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
治療有効量の請求項1~36のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における乾癬を治療する方法。
【請求項46】
治療有効量の請求項1~36のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における乾癬性関節炎を治療する方法。
【請求項47】
治療有効量の請求項1~36のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における全身性エリテマトーデスを治療する方法。
【請求項48】
治療有効量の請求項1~36のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象におけるクローン病を治療する方法。
【請求項49】
治療有効量の請求項1~36のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における潰瘍性大腸炎を治療する方法。
【請求項50】
治療有効量の請求項1~36のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における炎症性腸疾患を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2021年3月16日に出願された国際出願番号PCT/CN2021/081177号に基づき優先権を主張し、その内容全体が参照により明確に援用される。
【0002】
様々な実施形態において、本開示は一般的に、新規のヘテロアリール化合物、それを含む組成物、製造方法、およびそれを使用する方法、たとえば、チロシンキナーゼ2(TYK2)を阻害するため、および/または本明細書に記載される様々な疾患もしくは障害を治療もしくは予防するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
チロシンキナーゼ2(TYK2)は、非受容体型チロシンキナーゼのヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーのメンバーである。TYK2は、マウスとヒトとの両方において、IL-12、IL-23およびI型インターフェロン(たとえば、IFN-アルファまたはIFN-ベータ)の受容体の下流のシグナル伝達カスケードの調節に重要であることが示されてきた。TYK2は、転写因子のシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)ファミリーのメンバーの受容体誘導性リン酸化を仲介するが、これは、STATタンパク質の二量体化およびSTAT依存性の炎症遺伝子の転写をもたらす重要なシグナルである。
【0004】
自己免疫疾患、炎症性疾患等の様々な疾患および障害が、TYKに関連する/仲介されることが知られている。臨床的に、TYK2阻害剤であるBMS-98615が、現在、乾癬治療のための第III相試験が行われている。BMS-98615は、クローン病、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患等の他の疾患を治療するための様々な試験も行われている。治療を必要とする多様な患者に治療効果を提供するために、新規のTYK2阻害剤が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施形態において、本開示は、新規に設計されたTYK2阻害剤としてのヘテロアリール化合物に部分的に基づき、偽キナーゼドメインまたはJH2ドメインに結合することができる。本明細書の化合物および組成物は、自己免疫疾患または炎症性障害等の様々な疾患または障害、たとえば、乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、および/または全身性エリテマトーデスの治療のために有用である。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態は、式IもしくはIIの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩に向けられている。
【化1】
式中、X、R、R、R、j、R、およびRは、それぞれの式について本明細書で定義する。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、本明細書で定義されたI-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3の下位式を有し得る。また、いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書の表1に示される化合物から選択される特定の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示は、1種以上の本開示の化合物および任意に薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物が提供される。医薬組成物は、典型的には経口投与のために製剤化され得る。
【0008】
また、いくつかの実施形態では、本開示は、対象または生体サンプルにおいてTYK2を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、対象または生体サンプルを、有効量の1種以上の本開示の化合物、たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物と、接触させることを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象におけるTYK2が仲介する疾患または障害を治療または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、有効量の本開示の1種以上の化合物または本明細書の医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、有効量の式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、TYK2が仲介する疾患または障害は、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、増殖性疾患または障害、内分泌疾患または障害、神経疾患または障害、および/または移植に関連する疾患もしくは障害である。いくつかの実施形態では、TYK2が仲介する疾患または障害は、乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、および/または全身性エリテマトーデスである。いくつかの実施形態では、投与は経口投与である。いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、さらなる治療剤を対象に投与することをさらに含む。
【0010】
上述の概要と以下の詳細な説明との両方は、代表的および説明的なもののみであり、本明細書の発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】マウスにおいて、実施例4の化合物を2.5mpk、5mpk、7.5mpk、または10mpkで経口投与した後の、IL-12/IL-18により誘導されるインターフェロンガンマの生成の減少をを示す棒グラフである。5mpkのBMS986165は陽性対照として使用された。
図2】マウスにおいて、2.5mpk、5mpk、または10mpkで実施例5の化合物を経口投与した後の、IL-12/IL-18により誘導されるインターフェロンガンマの生成の減少をを示す棒グラフである。5mpkのBMS986165は陽性対照として使用された。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な実施形態において、本開示はTYK2の阻害、および/または本明細書に記載される様々な疾患または障害の治療または予防のために有用な化合物または組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、以下のような様々な目的に向けられている。たとえば、本開示の1つの目的は、本明細書に記載されるin vitroおよび/またはin vivo法で試験した場合に、BMS986165と比較した場合に同様の効能を有するようなTYK2阻害剤を提供することである。本開示の1つの目的は、本明細書に記載される方法で試験した場合に、BMS986165と比較した場合に同様またはそれ以上の選択性を有するTYK2阻害剤等の、他のJAKキナーゼよりもより選択的なTYK2阻害剤を提供することである。本開示の1つの目的は、マウス、ラット、イヌ、もしくは他の動物種、またはヒトにおいてBMS986165と比較した場合に同様またはそれ以上の薬物動態プロファイルを有するもの等の、経口で生物学的に利用可能なTYK2阻害剤を提供することである。本開示の1つの目的は、本明細書に記載されるTYK2阻害剤の合成方法、該TYK2阻害剤を含む医薬組成物、本明細書に記載されるTYK2阻害剤またはそれらの組成物の、本明細書に記載される様々な疾患または障害の治療または予防のための使用等である。いくつかの実施形態では、TYK2阻害剤は本明細書で定義される式IまたはIIの化合物である。本明細書に記載される様々な実施形態は、本開示のこれらの非限定的な目的の1つ以上を達成することができる。
【0013】
(化合物)
いくつかの実施形態では、本開示は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化2】
式中、
XはCHまたはNであり、
は、0~7個の重水素原子で置換されたC1-3アルキルであり、
は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-4ヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
は、出現毎に独立して、ハロゲン、任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC1-4ヘテロアルキルであり、
jは、0、1、2、または3であり、
は、1~3個のR、S(O)、またはORで任意に置換されたC1-6アルキルであり、
pは0、1、または2であり、
は、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、1~3個のRA1で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
は、1~3個のRA1で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
は、水素、または1~3個のRA2で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
A1は、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、またはCNであり、
A2は、出現毎に独立して、FまたはOHであり、
は、
【化3】
等の、任意に置換されたヘテロシクリルまたは任意に置換されたヘテロアリールであるか、またはRは、L-L-Q-Gであり、
10は、出現毎に独立して、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)であり、
10Bは、出現毎に独立して、ハロゲン、CN、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)であり、
は、O、C=(O)NH、または空値であり、
は、C1-4アルキレン、または空値であり、
Qは、任意に置換されたヘテロ環または任意に置換されたヘテロアリールであり、
Gは、CN、
【化4】
、またはマイケルアクセプターであり、
11は、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。
【0014】
いくつかの実施形態では、式IのXはCHであってもよく、式Iの化合物は式I-1を有するものとして特徴付けられ得る。
【化5】
【0015】
いくつかの実施形態では、式IのXはNであってもよく、式Iの化合物は式I-2を有するものとして特徴付けられ得る。
【化6】
【0016】
式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、典型的には、重水素原子で任意に置換されたメチル基またはエチル基である。たとえば、いくつかの実施形態では、Rは、CH、C、CD、またはCDCDである。いくつかの好適な実施形態では、RはCDである。
【0017】
には様々な基が適している。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、任意に置換されたメチル、エチル、またはイソプロピル等の任意に置換されたC1-6アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、任意に置換されたC1-4ヘテロアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)であってもよい。シクロアルキルは、典型的には、3~8個の環炭素、より典型的には3~6個の環炭素を有する単環または二環式(縮合、スピロ、または架橋二環式を含む)であってもよい。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)であってもよい。ヘテロシクリルは、典型的には、4~10個の環原子と、N、O、およびSから独立して選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する単環または二環式(縮合、スピロ、または架橋二環式を含む)であってもよい。より典型的には、ヘテロシクリルは、4~8個の環原子と、N、O、およびSから独立して選択される1または2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、任意に置換されたヘテロアリールであってもよい。ヘテロアリールは、典型的には、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する5または6員のヘテロアリールである。置換される場合、C1-6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールは、1個以上、典型的には1~5個の独立して選択される置換基で置換されてもよく、置換基には本明細書に記載される任意の置換基が含まれる。
【0018】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、シクロプロピル、シクロブチル等の、任意に置換された3~6員のシクロアルキルであってもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、C3-6シクロアルキルであってもよく、CN、ハロゲン(たとえばF)、OH、および任意に置換されたC1-6アルキルから独立して選択される1~4個(たとえば、1、2、または3個)の置換基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、C3-6シクロアルキルであってもよく、CN、F、Cl、OH、および任意にFで置換されたC1-4アルキルから独立して選択される1~4個(たとえば、1、2、または3個)の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0019】
いくつかの特定の実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、CN、ハロゲン、OH、および任意に置換されたC1-6アルキルから独立して選択される1~4個の置換基で任意に置換されたシクロプロピルであってもよい。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、CN、F、Cl、OH、および任意にFで置換されたC1-4アルキルから独立して選択される1~4個(たとえば、1、2、または3個)の置換基で任意に置換されたシクロプロピルであってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRは、シクロっプロピルであってもよい。
【0021】
式I(たとえば、式I-1またはI-2)中に描かれているフェニル基は、独立して選択される1~3個のR基で任意にさらに置換されていてもよく、たとえば、jは1、2、または3である。いくつかの実施形態では、jは0である。いくつかの実施形態では、jは1である。いくつかの実施形態では、jは2である。いくつかの実施形態では、1個のR基は、Rに対してパラ位の位置で置換されている。存在する場合、Rは、出現毎に独立して、ハロゲン、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4ヘテロアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、Rは、出現毎に独立して、F、Cl、または任意にFで置換されたC1-4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、jは1であり、RはF等のハロゲンであってもよい。いくつかの実施形態では、jは1であり、Rは任意にFで置換されたメチルまたはエチル等の任意に置換されたC1-4アルキルであってもよい。
【0022】
式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRには様々な基が適している。いくつかの実施形態では、Rは1~3個のRで任意に置換されたC1-6アルキルであって、Rは、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、任意に1~3個のRA1で置換されたC1-6アルキルであり、RA1は、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、またはCNである。たとえば、いくつかの実施形態では、Rは1~3個のRで任意に置換されたC1-4アルキルであって、Rは、出現毎に独立して、F、OH、または任意に1~3個のFで置換されたC1-4アルキルである。
【0023】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRはS(O)であって、pは0、1、または2であり、Rは1~3個のRA1で任意に置換されたC1-6アルキルであり、RA1は、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、またはCNである。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRはS(O)であって、Rは1~3個のRA1で任意に置換されたC1-4アルキルであり、RA1は、出現毎に独立して、F、OH、またはCNである。
【0024】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRはORであって、Rは、水素、または任意に1~3個のRA2で置換されたC1-6アルキルであり、RA2は、出現毎に独立してFまたはOHである。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRはOHである。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRはORであって、Rは、1~3個のRA2で任意に置換されたC1-4アルキルであり、RA2は、出現毎に独立してFまたはOHである。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRはORであって、Rは、メチル等のC1-4アルキルである。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRはORであって、Rは、1~3個のFで任意に置換されたC1-4アルキルである。
【0025】
いくつかの好適な実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2)のRはOMeである。たとえば、いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、またはI-2-A-4を有するものとして特徴付けられ得る。
【化7-1】
【化7-2】
式中、j、R、R、R、およびRは、本明細書に記載されるもののいずれかを任意の組み合わせで含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、1~4個の環ヘテロ原子を有する5または6員の置換されたヘテロアリール等の、任意に置換されたヘテロアリールであってもよく、たとえば、置換されたピリジル、置換されたピリミジニル、置換されたトリアゾリル等である。置換される場合、ヘテロアリールは、典型的には、ハロゲン、OH、CN、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-6ヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、および任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)から独立して選択される1~2個の置換基で置換される。たとえば、典型的には、ヘテロアリールは、F、Cl、OH、CN、任意に1~3個のSで置換されたC1-4アルキル、任意に1~3個のSで置換されたC1-4アルコキシル、任意に1~3個のSで置換されたC3-6シクロアルキル、および任意に1~3個のSで置換された4~8員のヘテロシクリルから独立して選択される1または2個の置換基で置換されてもよく、Sは出現毎に独立してF、OH、またはC1-4アルコキシであり、Sは出現毎に独立してオキソ、F、任意にFで置換されたC1-4アルキル、OH、または任意にFで置換されたC1-4ヘテロアルキルである。Rとして任意に置換されたヘテロアリールの例には、本明細書で例示されるものが含まれる。
【0027】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、ヘテロシクリルで任意に置換されてもよい。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する、任意に置換された単環式(たとえば単環式4~8員)ヘテロシクリル基であってもよい。いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する、任意に置換されたヘテロシクリル基であってもよく、6~10員のスピロ、架橋、または縮合二環式ヘテロシクリル等のスピロ、架橋、または架橋環系を含む。置換される場合、ヘテロシクリルは、典型的には、オキソ、ハロゲン、OH、CN、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-6ヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、および任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)から独立して選択される。たとえば、典型的には、ヘテロシクリルは、F、Cl、OH、CN、任意に1~3個のSで置換されたC1-4アルキル、任意に1~3個のSで置換されたC1-4アルコキシル、任意に1~3個のSで置換されたC3-6シクロアルキル、および任意に1~3個のSで置換された4~8員のヘテロシクリルから独立して選択される1~2個の置換基で置換されてもよく、Sは出現毎に独立してF、OH、またはC1-4アルコキシであり、Sは出現毎に独立してオキソ、F、任意にFで置換されたC1-4アルキル、OH、または任意にFで置換されたC1-4ヘテロアルキルである。Rとして任意に置換されたヘテロシクリルの例には、本明細書で例示されるものが含まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、置換されたピリミジンであり、たとえば、式Iのフェニル基のパラ位に1個の置換基を有し、1個以上のさらなる置換基で任意に置換される。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化8】
であってもよく、R10は、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)である。たとえば、いくつかの実施形態では、R10は、任意に置換されたC3-6シクロアルキル等の任意に置換されたシクロアルキルである。いくつかの特定の実施形態では、R10は、
【化9】
であってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、任意に置換されたピリジンであり、たとえば、式Iのフェニル基のパラ位に1個の置換基を有し、1個以上のさらなる置換基で任意に置換される。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化10】
であってもよく、R10は、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)である。たとえば、いくつかの実施形態では、R10は、任意に置換されたC3-6シクロアルキル等の任意に置換されたシクロアルキルである。いくつかの特定の実施形態では、R10は、
【化11】
であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、置換されたピリミジノンであり、たとえば、式Iのフェニル基のパラ位に1個の置換基を有し、1個以上のさらなる置換基で任意に置換される。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化12】
であってもよく、R10は、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)である。たとえば、いくつかの実施形態では、R10は、任意に置換されたC3-6シクロアルキル等の任意に置換されたシクロアルキルである。いくつかの特定の実施形態では、R10は、
【化13】
であってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、任意に置換された、1,2,3-トリアゾールまたは1,2,4-トリアゾール等のトリアゾールである。典型的には、トリアゾールは環窒素原子を通じて式Iのフェニル基と接続する。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化14】
等の置換された1,2,4-トリアゾールであってもよく、R10Bは、ハロゲン、CN、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(C3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)である。いくつかの実施形態では、R10Bは、任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。いくつかの特定の実施形態では、R10Bは、メチル、CF、またはシクロプロピルであってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化15】
等の置換された1,2,3-トリアゾールであってもよく、R10Bは、ハロゲン、CN、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(C3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)である。いくつかの実施形態では、R10Bは、任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。いくつかの特定の実施形態では、R10Bは、メチル、CF、またはシクロプロピルであってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化16】
等の置換された1,2,3-トリアゾールであってもよく、R10Bは、ハロゲン、CN、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(C3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)である。いくつかの実施形態では、R10Bは、任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。いくつかの特定の実施形態では、R10Bは、メチル、CF、またはシクロプロピルであってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、任意に置換されたイミダゾロンである。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、3,5-ジヒドロ-4H-イミダゾール-4-オンであってもよく、5位は
【化17】
等の四級中心である。
【0035】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、任意に置換されたピラゾロンである。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化18】
等の置換された2,4-ジヒドロ-H-ピラゾール-3-オンであって、R10Bは、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(C3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)である。いくつかの実施形態では、R10Bは、任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。いくつかの特定の実施形態では、R10Bは、メチル、CF、またはシクロプロピルであってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、任意に置換されたオキサジアゾロンである。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化19】
等の置換された1,3,4-オキサジアゾール-2(H)-オンであって、R10Bは、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(C3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)である。いくつかの実施形態では、R10Bは、任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。いくつかの特定の実施形態では、R10Bは、メチル、CF、またはシクロプロピルであってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、任意に置換されたトリアゾロンである。たとえば、いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化20】
等の置換された1,2-ジヒドロ-H-1,2,4-トリアゾール-3-オンであって、R10Bは、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(C3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)である。いくつかの実施形態では、R10Bは、任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。いくつかの特定の実施形態では、R10Bは、メチル、CF、またはシクロプロピルであってもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1、I-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、本明細書で定義される-L-L-Q-Gに従った式を有するものとして特徴付けられ得る。たとえば、いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式I-1-BまたはI-2-Bを有するものとして特徴づけられ得る。
【化21】
式中、L、L、Q、G、j、R、R、R、およびRは、本明細書に記載されるもののいずれかを任意の組み合わせで含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、LはOである。
【0040】
いくつかの実施形態では、Lは、
【化22】
等のC=(O)NHである(G、Q、およびLは、分子の残りの部分との接続方向を示すために示されている)。
【0041】
いくつかの実施形態では、Lは空値である。
【0042】
いくつかの実施形態では、Lは、メチレン等のC1-4アルキレンである。
【0043】
いくつかの実施形態では、Lは空値である。
【0044】
Qは、典型的には、置換されたヘテロ環である。たとえば、いくつかの実施形態では、Qは、N、O、およびSから独立して選択される1または2個の環ヘテロ原子を有する4~7員の単環式ヘテロ環であり、任意に置換されている。いくつかの実施形態では、置換される場合、4~7員の単環式ヘテロ環は、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で置換されてもよく、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、任意にFで置換されたC1-4アルコキシである。いくつかの実施形態では、Qは、
【化23】
から選択される4~7員の単環式ヘテロ環であってもよい。いくつかの好適な実施形態では、Qは、
【化24】
から選択される4~7員の単環式ヘテロ環であってもよい。
【0045】
また、いくつかの実施形態では、Qは、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する6~12員の二環式ヘテロ環であり、任意に置換されている。いくつかの実施形態では、置換される場合、6~12員の二環式ヘテロ環は、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で置換されてもよく、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである。6~12員の二環式ヘテロ環は、縮合、スピロ、または架橋二環式であってもよく、環の1つは任意に芳香環またはヘテロ芳香環である。たとえば、いくつかの実施形態では、Qは、
【化25】
から選択される6~10員二単環式ヘテロ環であってもよく、これらの各々は、たとえば、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で置換され、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである。いくつかの実施形態では、Qは、
【化26】
から選択される6~10員の二環式ヘテロ環であってもよい。
【0046】
また、いくつかの実施形態では、Qは置換されたヘテロアリールであってもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、Qは、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する5または6員のヘテロアリールであって、たとえば1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で置換され、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、任意にFで置換されたC1-4アルコキシである。いくつかの実施形態では、Qは、ピリジンまたはピリミジンであって、たとえば1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で置換され、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、任意にFで置換されたC1-4アルコキシである。いくつかの実施形態では、Qは、
【化27】
である。
【0047】
いくつかの実施形態では、GはCNである。
【0048】
いくつかの実施形態では、Gは
【化28】
であって、R11は、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R11は、水素、または、FもしくはCl等のハロゲンで任意に置換された、メチル等のC1-4アルキルである。
【0049】
いくつかの実施形態では、Gは
【化29】
であって、R11は、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R11は、水素、または、FもしくはCl等のハロゲンで任意に置換された、メチル等のC1-4アルキルである。
【0050】
いくつかの実施形態では、Gはマイケルアクセプターである。典型的には、Gはマイケルアクセプターであり、α,β-不飽和カルボニル基を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、Gは、
【化30】
であってもよい。
【0051】
、L、QおよびGの組み合わせは特に限定されない。たとえば、いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3を有するものとして特徴付けられ得る。
【化31】
式中、Q、G、j、R、R、R、およびRは、本明細書に記載されるもののいずれかを任意の組み合わせで含む。また、L、L、QおよびGの例示的な組み合わせは、表1の化合物等のように本明細書に示される。
【0052】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化32】
であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化33】
から選択され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、式I(たとえば、式I-1またはI-2、または本明細書に記載される適切な下位式のいずれか)のRは、
【化34】
から選択され得る。
【0055】
また、いくつかの実施形態では、本開示は、表1に示される化合物から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0056】
表1 化合物のリスト
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【0057】
また、いくつかの実施形態では、本開示は、例1~15から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0058】
【化35-1】
【化35-2】
【0059】
本明細書の化合物は、本開示を考慮して、当業者により調製され得る。例示的な手順は、例1~15の調製についての実施例の項に示される。
【0060】
また、いくつかの実施形態では、本開示は式IIの化合物を提供する。
【化36】
式中、式IIの変数は、式IIのjが0、1または2のみであり得ることを除き、式Iまたはその下位式に関連して本明細書に記載されているもののいずれかであることができる、化合物を提供する。
【0061】
たとえば、いくつかの例示的な実施形態では、本開示は以下のものを提供する。
【0062】
[1] 式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【化37】
式中、
XはCHまたはNであり、
は、0~7個の重水素原子で置換されたC1-3アルキルであり、
は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-4ヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
は、出現毎に独立して、ハロゲン、任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC1-4ヘテロアルキルであり、
jは、0、1、または2であり、
は、1~3個のR、S(O)、またはORで任意に置換されたC1-6アルキルであり、
pは0、1、または2であり、
は、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、1~3個のRA1で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
は、1~3個のRA1で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
は、水素、または1~3個のRA2で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
A1は、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、またはCNであり、
A2は、出現毎に独立して、FまたはOHであり、
は、
【化38】
、またはL-L-Q-Gであり、
10は、出現毎に独立して、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)であり、
10Bは、出現毎に独立して、ハロゲン、CN、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)であり、
は、O、C=(O)NH、または空値であり、
は、C1-4アルキレン、または空値であり、
Qは、任意に置換されたヘテロ環であり、
Gは、CN、
【化39】
、またはマイケルアクセプターであり、
11は、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。
【0063】
[2] XはCHである、[1]の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0064】
[3] XはNである、[1]の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0065】
[4] RはCH、C、CD、またはCDCDである、[1]~[3]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0066】
[5] Rは、シクロプロピル、シクロブチル等の3~6員のシクロアルキルであり、CN、ハロゲン(たとえばF)、OH、および任意に置換されたC1-6アルキルから独立して選択される1~4個の置換基で任意に置換されている、[1]~[4]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0067】
[6] Rは、CN、ハロゲン、OH、および任意に置換されたC1-6アルキルから独立して選択される1~4個の置換基で任意に置換されたシクロプロピルである、[1]~[4]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0068】
[7] Rはシクロプロピルである、[1]~[4]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0069】
[8] jは1である、[1]~[7]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0070】
[9] Rは、出現毎に独立して、F、Cl、任意にFで置換されたC1-4アルキルである、[1]~[8]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0071】
[10] jは0である、[1]~[7]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0072】
[11] RはOMeである、[1]~[10]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0073】
[12] Rは、
【化40】
であり、R10は任意に置換されたC3-6シクロアルキルであり、R10Bは任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである、[1]~[11]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0074】
[13] R10は、
【化41】
であり、R10Bはメチル、CF、またはシクロプロピルである、[12]の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0075】
[14] Rは、-L-L-Q-Gである、[1]~[11]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0076】
[15] LはOである、[14]の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0077】
[16] Lは空値である、[14]の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0078】
[17] LはC=(O)NHである、[14]の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【化42】
【0079】
[18] Lは空値である、[14]~[17]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0080】
[19] Lは、C1-4アルキレン、たとえばCHである、[14]~[17]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0081】
[20] Qは、N、O、およびSから独立して選択される1または2個の環ヘテロ原子を有する4~7員の単環式ヘテロ環であり、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、
s1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、
[14]~[19]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0082】
[21] Qは、
【化43】
から選択される4~7員の単環式ヘテロ環である、[14]~[19]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0083】
[22] Qは、
【化44】
から選択される4~7員の単環式ヘテロ環である、[14]~[19]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0084】
[23] Qは、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する6~12員の二環式ヘテロ環であり、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、
s1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシであり、
二環式ヘテロ環は、縮合、スピロ、または架橋二環式であり、環の1つは任意に芳香環またはヘテロ芳香環である、
[14]~[19]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0085】
[24] Qは、
【化45】
から選択される6~10員二単環式ヘテロ環であって、これらの各々は、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で置換され、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、[14]~[19]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0086】
[25] Qは、
【化46】
から選択される6~10員の二環式ヘテロ環である、[14]~[19]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0087】
[26] Qは、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する5または6員のヘテロアリールであり、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、
s1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、
[14]~[19]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0088】
[27] Qは、ピリジンまたはピリミジンであり、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、
s1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、
[14]~[19]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0089】
[28] Qは、
【化47】
である、[14]~[19]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0090】
[29] GはCNである、[14]~[28]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0091】
[30] Gは、
【化48】
であり、R11は、水素、またはメチルなどの任意にハロゲンで置換されたC1-4アルキルである、[14]~[28]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0092】
[31] Gは、マイケルアクセプターである、[14]~[28]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0093】
[32] Gは、
【化49】
である、[14]~[28]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0094】
[33] Rは、
【化50】
から選択される、[1]~[11]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0095】
[34] Rは、
【化51】
から選択される、[1]~[11]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0096】
[35] Rは、
【化52】
から選択される、[1]~[11]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0097】
[36] [1]~[35]のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【0098】
[37] 対象または生体サンプルを、有効量の[1]~[35]のいずれか1つの化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または[36]の医薬組成物と接触させることを含む、対象または生体サンプルにおいてTYK2を阻害する方法。
【0099】
[38] 治療有効量の[1]~[35]のいずれか1つの化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または[36]の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象におけるTYK2が仲介する疾患または障害を治療または予防する方法。
【0100】
[39] TYK2が仲介する疾患または障害は、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、増殖性疾患または障害、内分泌疾患または障害(たとえば、多嚢胞性卵巣症候群、クルーゾン症候群、または1型糖尿病)、神経疾患または障害(たとえば、アルツハイマー病)、および/または移植に関連する疾患もしくは障害(たとえば、移植拒絶反応または移植片対宿主病)である、[38]の方法。
【0101】
[40] TYK2が仲介する疾患または障害は、1型糖尿病、強直性脊椎炎、皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、全身性硬化症、乾癬、ベーチェット病、POEMS症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、およびそれらの組み合わせから選択される、自己免疫疾患または障害である、[38]の方法。
【0102】
[41] TYK2が仲介する疾患または障害は、関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、乾癬、肝腫大、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患およびそれらの組み合わせから選択される、炎症性疾患または障害である、[38]の方法。
【0103】
[42] TYK2が仲介する疾患または障害は、血液癌(たとえば、T細胞白血病、たとえばT細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)等の白血病)等の増殖性疾患または障害である、[38]の方法。
【0104】
[43] TYK2が仲介する疾患または障害は、I型インターフェロン、IL-10、IL-12、および/またはIL-23シグナル伝達に関連する、[38]の方法。
【0105】
[44] 治療有効量の[1]~[35]のいずれか1つの化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または[36]の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における乾癬を治療する方法。
【0106】
[45] 治療有効量の[1]~[35]のいずれか1つの化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または[36]の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における乾癬性関節炎を治療する方法。
【0107】
[46] 治療有効量の[1]~[35]のいずれか1つの化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または[36]の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における全身性エリテマトーデスを治療する方法。
【0108】
[47] 治療有効量の[1]~[35]のいずれか1つの化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または[36]の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象におけるクローン病を治療する方法。
【0109】
[48] 治療有効量の[1]~[35]のいずれか1つの化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または[36]の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における潰瘍性大腸炎を治療する方法。
【0110】
[49] 治療有効量の[1]~[35]のいずれか1つの化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または[36]の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における炎症性腸疾患を治療する方法。
【0111】
(医薬組成物)
ある実施形態は、本開示の1種以上の化合物を含む医薬組成物に向けられている。
【0112】
医薬組成物は、薬学的に許容される添加剤を任意に含み得る。いくつかの実施形態では、本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式II、もしくは本明細書の表1に示される化合物のいずれか、もしくは例1~15の化合物のいずれか、またはそれらの薬学的に許容される塩)、および薬学的に許容される添加剤を含む。薬学的に許容される添加剤は、本分野で知られている。非限定的な適切な添加剤には、たとえば、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、香味料、保湿剤、潤滑剤、香料、保存料、推進剤、離型剤、殺菌剤、甘味料、可溶化剤、湿潤剤、およびそれらの混合物等の、カプセル化材料または添加物が含まれる。医薬組成物の製剤化において使用される様々な添加剤、およびその調製のための既知の技術を開示する、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy、21版、A.R.Gennaro(Lippincott,Williams&Wilkins社、ボルチモア、Md、2005年;参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【0113】
医薬組成物は、1種以上の本開示の化合物を含み得る。たとえば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物のいずれか、もしくは本明細書の表1に示される化合物、もしくは例1~15の化合物のいずれか、またはそれらの薬学的に許容される塩を、たとえば、治療有効量で含む。本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、医薬組成物は、治療有効量の、本明細書の表1に示される化合物から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み得る。本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、医薬組成物は、
【化53-1】
【化53-2】
から選択される化合物、その許容される塩を含むことができ、典型的には、化合物またはその薬学的に許容される塩は、本明細書に記載される疾患または障害のために治療有効量で存在する。
【0114】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与のために製剤化され得る。経口製剤は、カプセル、ピル、カシェ剤、トローチ、錠剤等の、それぞれが所定量の活性化合物を含有する個別の単位で;粉末または顆粒として;水性または非水性の液体中の溶液または分散液として;または、水中油型もしくは油中水型のエマルションとして、提示され得る。経口投与のための医薬組成物の調製のための添加剤は、当該分野において知られている。非限定的な適切な添加剤には、たとえば、寒天、アルギン酸、水酸化アルミニウム、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、1,3-ブチレングリコール、カルボマー、ヒマシ油、セルロース、酢酸セルロース、ココアバター、コーンスターチ、コーン油、綿実油、クロスポビドン、ジグリセリド、エタノール、エチルセルロース、ラウリン酸エチル、オレイン酸エチル、脂肪酸エステル、ゼラチン、胚芽油、グルコース、グリセロール、落花生油、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、イソプロパノール、等張食塩水、乳糖、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、麦芽、マンニトール、モノグリセリド、オリーブ油、ピーナッツ油、リン酸カリウム、ジャガイモデンプン、ポビドン、プロピレングリコール、リンゲル液、サフラワー油、ゴマ油、カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビトールナトリウム、大豆油、ステアリン酸、フマル酸ステアリル、ショ糖、界面活性剤、タルク、トラガカント、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリグリセリド、水、およびそれらの混合物が含まれる。
【0115】
本開示の化合物は、単独で、互いに組み合わせて、または1種以上のさらなる治療剤、たとえばさらなるTYK2阻害剤、NSAID等のさらなる抗炎症剤と組み合わせて、使用され得る。これらのさらなる治療剤には、それらのTYK2阻害剤、および、たとえば、これらの各々の内容全体が参照により本明細書に援用される、国際公開第2014/074661号、国際公開第2015/069310号、国際公開第2015/089143号、国際公開第2017/087590号、国際公開第2018/067432号、国際公開第2018/071794号、国際公開第2018/075937号、国際公開第2018/093968号、国際公開第2019/023468号、国際公開第2019/103952号、国際公開第2019/183186号、国際公開第2020/055636号、国際公開第2020/081508号、国際公開第2020/086616号、国際公開第2020/092196号、国際公開第2020/112937号、国際公開第2020/123225号、および国際公開第2020/156311号等のPCT公開文献、CN111909140、米国特許第9,505,748号明細書、米国特許第10,000,480号明細書、および米国特許第10,294,256号明細書に開示されたTYK2阻害剤との併用に適したさらなる薬剤等の、当該分野で知られる薬剤が含まれる。
【0116】
1種以上のさらなる治療剤と組み合わせて使用する場合、本開示の化合物または本明細書の医薬組成物は、そのようなさらなる治療剤と同時に、または任意の順序で連続的に、対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1種以上の本開示の化合物と、1種以上のさらなる治療剤とを、単一の組成剤中に含み得る。いくつかの実施形態では、1種以上の本開示の化合物を含む医薬組成物は、1種以上のさらなる治療剤を含む悦の医薬組成物も含むキット中に含まれ得る。
【0117】
医薬組成物は、使用目的、化合物の効力および選択性等の様々な要因に基づき、様々な量の本開示の化合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の本開示の化合物を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の本開示の化合物、および薬学的に許容される添加剤を含む。本明細書で使用される場合、治療有効量の本開示の化合物は、乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、および/または全身性エリテマトーデス等の本明細書に記載される疾患または障害の治療に有効な量であり、治療の受容者、治療される障害、疾患の状態およびその重度、化合物を含む組成物、投与時間、投与経路、治療期間、化合物の効能、クリアランス速度、および他の薬剤が共投与されるか否かに依拠し得る。
【0118】
(治療の方法/使用)
本開示の化合物は、様々な有用性がある。たとえば、本開示の化合物は、TYK2が仲介する疾患または障害の治療および/または予防のための医薬活性物質として使用することができる。したがって、本開示のいくつかの実施形態は、治療を必要とする対象における乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、および/または全身性エリテマトーデス等の、治療を必要とする対象におけるTYK2が仲介する疾患または障害を治療または予防するために、1種以上の本開示の化合物または本明細書の医薬組成物を使用する方法にも向けられている。
【0119】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象または生体サンプルを、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または本明細書に記載された医薬組成物と、接触させることを含む、対象または生体サンプルにおいてTYK2を阻害する方法を提供する。
【0120】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象におけるTYK2が仲介する疾患または障害を治療または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、TYK2が仲介する疾患または障害は、I型インターフェロン、IL-10、IL-12、および/またはIL-23シグナル伝達に関連する。いくつかの実施形態では、TYK2が仲介する疾患または障害は、IL-12、IL-2、3および/またはIFNαに関連する。いくつかの実施形態では、TYK2が仲介する疾患または障害は、I型インターフェロンシグナル伝達に関連する。いくつかの実施形態では、TYK2が仲介する疾患または障害は、IL-10シグナル伝達に関連する。いくつかの実施形態では、TYK2が仲介する疾患または障害は、IL-12シグナル伝達に関連する。いくつかの実施形態では、TYK2が仲介する疾患または障害は、IL-23シグナル伝達に関連する。いくつかの実施形態では、TYK2が仲介する疾患または障害は、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、増殖性疾患または障害、内分泌疾患または障害(たとえば、多嚢胞性卵巣症候群、クルーゾン症候群、または1型糖尿病)、神経疾患または障害(たとえば、アルツハイマー病)、および/または移植に関連する疾患もしくは障害(たとえば、移植拒絶反応または移植片対宿主病)である。いくつかの実施形態では、内分泌疾患または障害は、多嚢胞性卵巣症候群、クルーゾン症候群、または1型糖尿病である。いくつかの実施形態では、神経疾患または障害は、アルツハイマー病である。
【0121】
また、いくつかの実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における自己免疫疾患または障害を治療または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患または障害は、1型糖尿病、強直性脊椎炎、皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、全身性硬化症、乾癬、ベーチェット病、POEMS症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0122】
また、いくつかの実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における炎症性疾患または障害を治療または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、炎症性疾患または障害は、関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、乾癬、肝腫大、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患およびそれらの組み合わせから選択される。
【0123】
また、いくつかの実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における、血液癌(たとえば、T細胞白血病、たとえばT細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)等の白血病)等の増殖性疾患または障害を治療または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、増殖性疾患または障害は、真性多血症、骨髄線維症、または本態性血小板増加症である。いくつかの実施形態では、増殖性疾患または障害は、血液癌である。いくつかの実施形態では、増殖性疾患または障害は、白血病である。いくつかの実施形態では、白血病は、T細胞白血病である。いくつかの実施形態では、T細胞白血病は、T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)である。いくつかの実施形態では、増殖性疾患または障害は、TYK2の1つ以上の活性化変異と関連する。いくつかの実施形態では、TYK2の活性化変異は、FERMドメイン、JH2ドメイン、またはキナーゼドメインの変異である。いくつかの実施形態では、TYK2の活性化変異は、G36D、S47N、R25H、V731I、E957D、および/またはR1027Hから選択される。
【0124】
また、いくつかの実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における皮膚の炎症またはアレルギー症状を治療または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、皮膚の炎症またはアレルギー症状は、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、尋常性ざ瘡、他の皮膚の炎症またはアレルギー症状、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0125】
また、いくつかの特定の実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における乾癬を治療する方法を提供する。
【0126】
また、いくつかの特定の実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における乾癬性関節炎を治療する方法を提供する。
【0127】
また、いくつかの特定の実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における全身性エリテマトーデスを治療する方法を提供する。
【0128】
また、いくつかの特定の実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象におけるクローン病を治療する方法を提供する。
【0129】
また、いくつかの特定の実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における潰瘍性大腸炎を治療する方法を提供する。
【0130】
また、いくつかの特定の実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物(たとえば、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIの化合物、もしくは本明細書の表1に示されるいずれかの化合物、もしくは実施例1~15のいずれかの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩)、または治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における炎症性腸疾患を治療する方法を提供する。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物、または本明細書に記載される医薬組成物は、限定されないが、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、慢性閉塞性肺疾患等の炎症性疾患;バセドウ病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚ループス、ループス腎炎、円板状エリテマトーデス、乾癬等の自己免疫疾患;CAPS、TRAPS、FMF、成人発症スティル、全身型若年性特発性関節炎、痛風、痛風性関節炎等の自己炎症性疾患;2型糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞を含む代謝疾患;骨吸収疾患、変形性関節症、骨粗鬆症、多発性骨髄腫に関する疾患または障害等の破壊性骨疾患または障害;急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病等の増殖性疾患または障害;固形腫瘍、眼血管新生、および乳児血管腫を含む血管新生疾患または障害等の血管新生疾患または障害;敗血症、敗血症性ショック、および細菌性赤痢等の感染性疾患;アルツハイマー病、パーキンソン病、外傷による脳虚血または神経変性疾患、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫等の神経変性疾患;HIV感染およびCMV網膜炎、AIDS等の腫瘍性およびウイルス性疾患を含む、IL-23、IL-12および/またはIFNαに関連する、TYK2が仲介する疾患または障害の治療に使用することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物、または本明細書に記載される医薬組成物は、非限定的に、膵炎(急性または慢性)、喘息、アレルギー、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚ループス、ループス腎炎、円板状エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、バセドウ病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、エンドトキシンによる炎症反応、結核、アテローム性動脈硬化症、筋変性、悪液質、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、外傷性関節炎、風疹性関節炎、急性滑膜炎、膵β細胞病;大量の好中球浸潤を特徴とする疾患;リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎およびその他の関節炎、脳性マラリア、慢性肺炎性疾患、珪肺症、肺サルコイドーシス、骨吸収疾患、同種移植片拒絶、感染による発熱および筋肉痛、感染による二次性悪液質、、ケロイド形成、瘢痕組織形成、潰瘍性大腸炎、化膿症、インフルエンザ、骨粗鬆症、変形性関節症、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、敗血症、敗血症性ショック、細菌性赤痢;アルツハイマー病、パーキンソン病、脳虚血、または外傷による神経変性疾患;固形腫瘍、眼血管新生、および小児血管腫を含む血管新生疾患または障害;急性肝炎感染(A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎を含む)、HIV感染およびCMV網膜炎、AIDS、ARCまたは悪性腫瘍、およびヘルペスを含むウイルス性疾患;脳卒中、心筋虚血、脳卒中心臓発作における虚血、臓器低酸素症[これは低酸素症であるべきである]、血管過形成、心臓および腎臓再灌流傷害、血栓症、心肥大、トロンビンによる血小板凝集、内毒素血症および/または中毒性ショック症候群、プロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素2に関連する症状、および尋常性天疱瘡を含む、IL-23、IL-12および/またはIFNαに関連する、TYK2が仲介する疾患または障害の治療に使用することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物、または本明細書に記載される医薬組成物は、クローン病、潰瘍性大腸炎、同種移植片拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、および/または尋常性天疱瘡の治療に使用することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物、または本明細書に記載される医薬組成物は、脳卒中に起因する脳虚血再灌流傷害および/または心筋梗塞に起因する心臓虚血再灌流傷害を含む虚血再灌流傷害の治療に使用することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物、または本明細書に記載される医薬組成物は、多発性骨髄腫の治療に使用することができる。
【0133】
本明細書で開示される化合物、組成物、および/または方法で適切に治療することができる疾患または障害には、たとえば、これらの各々の内容全体が参照により本明細書に援用される、国際公開第2014/074661号、国際公開第2015/069310号、国際公開第2015/089143号、国際公開第2017/087590号、国際公開第2018/067432号、国際公開第2018/071794号、国際公開第2018/075937号、国際公開第2018/093968号、国際公開第2019/023468号、国際公開第2019/103952号、国際公開第2019/183186号、国際公開第2020/055636号、国際公開第2020/081508号、国際公開第2020/086616号、国際公開第2020/092196号、国際公開第2020/112937号、国際公開第2020/123225号、および国際公開第2020/156311号等のPCT公開文献、CN111909140、米国特許第9,505,748号明細書、米国特許第10,000,480号明細書、および米国特許第10,294,256号明細書に開示されたような、TYK2により仲介される任意の既知の疾患または障害が含まれる。
【0134】
本開示の化合物は、既知のTYK2阻害剤よりも有利であり得る。本明細書でin vivoモデルで試験された代表的な化合物は、試験された陽性対照と比較して同様の有効性を有することが示された。たとえば、本明細書の生物学的実施例5に従って試験される場合、化合物例5は、10mpkでIL-12/IL-18誘導IFN-γ産生を有意に阻害し、ビヒクル投与群と比較して93%以上減少し、試験された陽性対照(例えばBMS986165)と同様の有効性であった。図2も参照されたい。また、本明細書の生物学的実施例5に従って試験される場合、化合物例4は、2.5、5、7.5および10mpkの用量で、それぞれ52.7%、76.0%、88.6%および93.3%IFN-γ産生を用量依存的に阻害した。図1も参照されたい。本明細書でヒトIL-23を導入したマウス乾癬モデルにおいて(生物学的実施例6)、化合物例4および5は、試験された陽性対照(BMS986165)に匹敵する有効性で、用量依存的にIL-23誘導性乾癬からマウスを保護することがわかった。
【0135】
さらに、機能細胞ベースのアッセイの結果は、ほんk愛児の化合物は、他のJAKキナーゼよりもより選択的であり得ることを示唆している。生物学的実施例4の表3を参照されたい。たとえば、化合物例4は、IFN-ガンマレポーターアッセイ(JAK1/2)において、10μM超のIC50を有することが見出され、化合物例4および5は、IL-2レポーターアッセイ(JAK1/3)において、10μM超のIC50を有することが見出された。実施例の項に示されるように、本明細書で示されるIL-23レポーターアッセイにおいて、化合物例4は約18nMのIC50を示し、化合物5は約6nMのIC50を示した。また、化合物例4および5は、IFNアルファ/ベータレポーターアッセイ(JAK1/TYK2)で試験され、それぞれ4nMおよび5nMのIC50を有することがわかった。同様のアッセイ条件下で試験した場合、BMS986165は、IFN-ガンマレポーターアッセイ(JAK1/2)で1087nM、IL-2レポーターアッセイ(JAK1/3)で221nM、IL-23レポーターアッセイ(JAK2/TYK2)で3.5nM、IFNアルファ/ベータレポーターアッセイ(JAK1/TYK2)で1.3nMのIC50値を有することがわかった。したがって、これらの結果は、本開示の代表的な化合物は、文献化合物(たとえば、Wrobleski,S.T.,J.Med.Chem,62:8973-8995(2019)を参照)と比較して、より選択的であり得る。
【0136】
生物学的実施例7にさらに示されるように、選択された化合物例5は、研究により対応するマウスのPKプロファイルがBMS986165とほぼ同じであることが示されたが、イヌにおいて、BMS986165と比較してAUCおよびCmaxがより高く、優れた薬物動態を有することがわかった。他のJAKキナーゼよりもより良好な選択性と併せて、このより良好なPKプロファイルは、イヌまたはヒト等の大型の動物におけるより良好なin vivoプロファイルと、より良好な安全性プロファイルにつながり得る。
【0137】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「TYK2が仲介する」疾患、障害、および/または症状という用語は、TYK2またはその変異体が関与することが知られている疾患または他の有害な症状を意味する。そのようなTYK2が仲介する疾患または障害には、限定されないが、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、増殖性疾患または障害、内分泌疾患または障害、神経疾患または障害、および移植に関連する疾患または障害が含まれる。
【0138】
本明細書の方法における投与は限定されない。たとえば、いくつかの実施形態では、投与は、経口、経鼻、経皮、肺、吸入、頬、舌下、腹腔内、皮下、筋肉内、静脈内、直腸、胸腔内、くも膜下腔内、および非経口であり得る。いくつかの実施形態では、投与は経口である。
【0139】
本開示の化合物は、単剤療法または併用療法で使用することができる。本明細書に記載される方法に従ったいくつかの実施形態では、本開示の化合物は、唯一の活性成分として投与され得る。また、本明細書に記載される方法に従ったいくつかの実施形態では、本開示の化合物は、さらなる治療剤と、同時にまたは任意の順序で連続的に、治療を必用とする対象に共投与され得る。
【0140】
本明細書に記載される方法のための用量を含む投薬レジメンは、変更および調整することができ、治療の受容者、治療される障害、疾患の状態およびその重度、化合物を含む組成物、投与時間、投与経路、治療期間、化合物の効能、クリアランス速度、および他の薬剤が共投与されるか否かに依拠し得る。
【0141】
(定義)
すべての部分およびそれらの組み合わせについて、適切な原子価が維持されることが理解されるべきである。
【0142】
また、本明細書における可変部位の特定の実施形態は、同じ識別子を有する別の特定の実施形態と同じであっても異なっていてもよいことが理解されるべきである。
【0143】
式I、または場合によりその下位式の化合物中の変数に適切な基は、独立して選択される。式I、または場合によりその下位式の化合物中の変数に有用な非限定的な基には、本明細書の表1または例1~15に記載される特定の化合物に示されるように、それぞれの基のいずれかが、個々に、または任意の組み合わせで含まれる。たとえば、いくつかの実施形態では、式IのRとして適切な基には、特定の化合物に示された他の変数に関係なく、本明細書の表1または例1~15に記載される特定の化合物に示されるR基のいずれかが含まれる。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、本明細書の表1または例1~15に記載される特定の化合物にしたがって少なくとも1つの変数(たとえば、L)と組み合わせて、本明細書の表1または例1~15に記載される特定の化合物に示されるR基のいずれかにしたがってR基を含み、Rおよび少なくとも1つの変数は、同じ化合物または異なる化合物に由来することができる。そのような組み合わせはいずれも企図され、本開示の範囲内にある。
【0144】
記載された本開示の実施形態は、組み合わせることができる。そのような組み合わせは、企図され、本開示の範囲内にある。たとえば、式Iのj、X、R、R、R、R、およびRのいずれか1つ以上の定義が、場合によりj、X、R、R、R、R、およびRの他の1つ以上の定義と組み合わせることができることが企図されており、組み合わせから得られる化合物は本開示の範囲内にある。
【0145】
記号
【化54】
は、結合として使用されるか、結合に垂直に(または交差して)表示されるかにかかわらず、表示された部分が分子の残りの部分に付着している点を示す。当業者に理解されるであろうように、連結性を示すために、記号
【化55】
の先にすぐ連結基または基が示され得ることに注意すべきである。
【0146】
特定の官能基の定義および化学用語は、以下により詳細に記載されている。化学元素は、元素周期表、CAS式、Handbook of Chemistry and Physics、第75版、中表紙により、特定の官能基は、一般的に、そこに記載されているように定義される。さらに、有機化学の一般的な原則、特定の官能基、および反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,ソーサリト,1999年;Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,第5版,John Wiley & Sons,Inc.,ニューヨーク,2001年;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,ニューヨーク,1989年;およびCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,第3版, Cambridge University Press,ケンブリッジ,1987年に記載されている。本開示は、本明細書に記載される置換基の例示列挙により、如何様にも限定されることを意図されない。
【0147】
本明細書に記載される化合物は、1個以上の不斉中心を含み、したがって様々な立体異性型、たとえば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーとして存在することができる。たとえば、本明細書に記載される化合物は、個別のエナンチオマー、ジアステレオマー、または幾何異性体の型であり得るか、または、ラセミ混合物および1種以上の立体異性体濃縮混合物を含む立体異性体の混合物の型であり得る。異性体は、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ならびに、キラル塩の形成および結晶化当業者に知られる方法により混合物から分離することができ;または、好ましい異性体は、不斉合成により調製することができる。たとえば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,ニューヨーク,1981年);Wilen et al.,Tetrahedron33:2725(1977年);Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962年);およびWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972年)を参照されたい。本開示は、さらに、他の異性体を実質的に含まない個別の異性体として、あるいはラセミ混合物を含む様々な異性体の混合物として本明細書に記載される化合物を包含する。立体異性体が特に描かれる場合、文脈から明らかでない限り、特定の不正中心および軸不斉に関して理解されるべきであり、化合物は、重量で、HPLC面積で、もしくはその療法で、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満である、または検出されない量の他の立体異性体等、描かれたままの立体異性体として優勢に存在し得る。立体異性体の存在および/または量は、キラルHPLCの使用を含み、本開示の観点で当業者が決定することができる。
【0148】
数値範囲が羅列される場合、各数値、および範囲の中の部分範囲が包含されることが意図される。たとえば、「C1-6」は、C、C、C、C、C、C、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、C3-6、C3-5、C3-4、C4-6、C4-5、およびC5-6を包含することが意図される。
【0149】
本明細書で使用される場合、「本開示の化合物(単数または複数)」という用語は、式I(たとえば、I-1、I-2、I-1-A、I-1-A-1、I-1-A-2、I-1-A-3、I-1-A-4、I-2-A、I-2-A-1、I-2-A-2、I-2-A-3、I-2-A-4、I-1-B、I-1-B-1、I-1-B-2、I-1-B-3、I-2-B、I-2-B-1、I-2-B-2、またはI-2-B-3)、式IIに従って本明細書に記載される化合物、もしくは例1~15の化合物、それらの同位体化合物(単数または複数)(1個以上の水素原子が天然存在量以上の重水素原子で置換された重水素化類似体等、たとえば、化合物がCH基を有する場合のCD類似体)、それらの可能な位置異性体、可能な機械生体、可能な立体異性体(ジアステレオマー、エナンチオマー、およびラセミ混合物を含む)、それらの互変異性体、それらの配座異性体、薬学的に許容されるそれらのエステル、および/または可能な薬学的に許容されるそれらの塩(たとえば、HCl塩等の酸付加塩、またはNa塩等の塩基付加塩)をいう。例1~15の化合物は、例1、例2、~例15として標識された本明細書の化合物として理解されるべきであり;実施例の項で示されるように、別に標識された化合物と混同されるべきではない。本開示の化合物の水和物および溶媒和物は、本開示の組成物とみなされ、化合物(単数または複数)はそれぞれ、水または溶媒と会合している。
【0150】
本開示の化合物は、天最も多く存在する原子質量または質量番号とは異なる原子質量または質量番号を有する1種以上の原子を含む、同位体標識または同位体濃縮型で存在し得る。同位体は、放射性または非放射性の同位体であり得る。水素、炭素、リン、硫黄、フッ素、塩素、および要素等の原子の同位体には、限定されないが、H、H、13C、14C、15N、18O、32P、35S、18F、36Cl、および125Iが含まれる。これらの他の同位体および/または他の原子を含む化合物は、この発明の範囲内にある。
【0151】
本明細書で使用される場合、化合物の「投与」、化合物を「投与する」という言い回し、またはこれらの他の変形は、化合物または化合物のプロドラッグを、治療を必要とする個体に提供することを意味する。
【0152】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「アルキル」という用語は、直鎖または分岐鎖の脂肪族飽和炭化水素をいう。いくつかの実施形態では、アルキルは、1~12個の炭素原子(たとえば、C1-12アルキル)、または示された数の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は、単鎖C1-10アルキル基である。別の実施形態では、アルキル基は、分岐鎖C3-10アルキル基である。別の実施形態では、アルキル基は、単鎖C1-6アルキル基である。別の実施形態では、アルキル基は、分岐鎖C3-6アルキル基である。別の実施形態では、アルキル基は、単鎖C1-4アルキル基である。たとえば、C1-4アルキル基には、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル)、イソプロピル、ブチル(n-ブチル、)、sec-ブチル、tert-ブチル、およびイソブチルが含まれる。本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「アルキレン」という用語は、アルキル基に由来する二価のラジカルをいう。たとえば、非限定的な短鎖アルキレン基には、-CH-CH-CH-CH-、-CH-CH-CH-、-CH-CH-等が含まれる。
【0153】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「アルケニル」という用語は、1個以上、たとえば、1、2、または3個の炭素-炭素二重結合を含む直鎖または分岐鎖の脂肪族飽和炭化水素をいう。ある実施形態では、アルケニル基は、C2-6アルケニル基である。別の実施形態では、アルケニル基は、C2-4アルケニル基である。非限定的な例示的なアルケニル基には、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、sec-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルが含まれる。
【0154】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「アルキニル」という用語は、1個以上、たとえば、1~3個の炭素-炭素三重結合を含む直鎖または分岐鎖の脂肪族飽和炭化水素をいう。ある実施形態では、アルキニルは、1個の炭素-炭素三重結合を有する。ある実施形態では、アルキニル基は、C2-6アルキニル基である。別の実施形態では、アルキニル基は、C2-4アルキニル基である。非限定的な例示的なアルケニル基には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2-ブチニル基、ペンチニル基、およびヘキシニル基が含まれる。
【0155】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「アルコキシ」という用語は、式ORa1のラジカルをいい、RA1はアルキルである。
【0156】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「シクロアルコキシ」という用語は、式ORa1のラジカルをいい、RA1はシクロアルキルである。
【0157】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「ハロアルキル」という用語は、1個以上のフッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素原子で置換されたアルキルをいう。好適な実施形態では、ハロアルキルは、1、2、または3個のフッ素原子で置換されたアルキル基である。ある実施形態では、ハロアルキル基は、C1-10ハロアルキル基である。ある実施形態では、ハロアルキル基は、C1-6ハロアルキル基である。ある実施形態では、ハロアルキル基は、C1-4ハロアルキル基である。
【0158】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の用語との組み合わせで使用される「ヘテロアルキル」という用語は、別段の言及がない限り、たとえば、鎖中に2~10個の炭素等の2~14個の炭素を有する安定的な直鎖または分岐鎖アルキルであり、1個以上の炭素が、S、O、PおよびNから選択されるヘテロ原子で置き換えられており、窒素、リン、および硫黄原子は、任意に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されてもよい。ヘテロ原子(単数または複数)のS、O、PおよびNは、ヘテロアルキル基の内部の任意位置、またはアルキル基が分子の残りの部分に結合している位置に配置されてもよい。ヘテロアルキルが置換されていると言及される場合、置換基(単数または複数)は、炭素原子(単数または複数)に付着した1個以上の水素原子、および/またはヘテロアルキルのヘテロ原子(単数または複数)を置換することができる。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルは、C1-4ヘテロアルキルであり、1~4個の炭素原子を有する本明細書で定義されるヘテロアルキルをいう。C1-4ヘテロアルキルの例には、限定されないが、CH-CH-N(CH)-CH等のCヘテロアルキル、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH等のCヘテロアルキル、-CH-CH-OH、-CH-CH-NH、-CH-NH(CH)、-O-CH-CH等のCヘテロアルキル、および-CH-OH、-CH-NH、-O-CH等のCヘテロアルキルが含まれる。同様に、それ自体で、または他の基の一部として使用される「ヘテロアルキレン」という用語は、限定されないが、-CH-CH-O-CH-CH-および-O-CH-CH-NH-CH-に代表される、ヘテロアルキルに由来する二価のラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子は、鎖の端のいずれか、または両方を占めることもできる(たとえば、オルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基では、連結基の式が書かれている方向によって連結基の方向が暗示されることはない。「ヘテロアルキル」が記載され、続いて-NR’R’’等の特定のヘテロアルキル基が記載される場合、ヘテロアルキルという用語および-NR’R’’は重複でも相互排他的でもないことが理解されるであろう。むしろ、特定のヘテロアルキル基は、明確さを加えるために記載される。したがって、「ヘテロアルキル」という用語は、-NR’R’’等の特定のヘテロアルキル基を除くものとして本明細書で解釈されるべきではない。
【0159】
それ自体で、または他の基の一部として使用される「カルボシクリル」という用語は、非芳香環系に少なくとも3個の炭素原子、たとえば、3~10個の環炭素原子(「C3-10カルボシクリル」)、および0個のヘテロ原子を有する、非芳香環炭化水素のラジカルをいう。カルボシクリル基は、単環式(「単環式カルボシクリル」)、または、二環式(「二環式カルボシクリル」)等の縮合、架橋、もしくはスピロ環系のいずれであってもよく、飽和であってもよいし、部分的に不飽和であってもよい。誤解を避けるために、本明細書のカルボシクリル基には、カルボシクリル環が全体として芳香族ではない場合は、1個以上の環がアリール環である環系も含まれ、付着点が任意の環上にあってもよい。非限定的な例示的なカルボシクリル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、デカリン、アダマンチル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルが含まれる。本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「カルボシクリレン」という用語は、本明細書で定義されるカルボシクリル基に由来する二価のラジカルをいう。
【0160】
いくつかの実施形態では、「カルボシクリル」は完全に飽和しており、シクロアルキルとしても言及される。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは3~10個の環炭素原子を有し得る(「C3-10シクロアルキル」)。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、単環式である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、縮合、架橋、またはスピロ二環式C5-10シクロアルキルである。
【0161】
それ自体で、または他の基の一部として使用される「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環」という用語は、環炭素原子と、1~4個の環ヘテロ原子等の少なくとも1個の環ヘテロ原子とを有する、3~14員等の3員以上の非芳香環系をいい、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、およびケイ素から独立して選択される。1個以上の窒素原子を含むヘテロシクリル基では、付着点は、結合価が許す限り、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)、または、縮合、架橋、もしくはスピロ二環式(「二環式ヘテロシクリル」)等の縮合、架橋、もしくはスピロ環系のいずれであってもよく、飽和であってもよいし、部分的に不飽和であってもよい。ヘテロシクリル二環系は、1個または両方の環に1個以上のヘテロ原子を含むことができ、付着点は任意の環上にあってもよい。誤解を避けるために、本明細書のヘテロシクリル基には、1個以上の環が本明細書で定義される炭素環である環系も含まれ、付着点が任意の環上にあってもよい。さらに、本明細書のヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル環が全体としてヘテロアリール環ではない場合は、1個以上の環がアリールまたはヘテロアリール環である環系も含まれ、付着点が任意の環上にあってもよい。本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「ヘテロシクリレン」という用語は、本明細書で定義されるヘテロシクリル基に由来する二価のラジカルをいう。ヘテロシクリルまたはヘテロシクリレンは、炭素または窒素原子を介して、分子の残りの部分と任意に連結され得る。
【0162】
例示的な非限定的なヘテロシクリル基には、アジルジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、ピロリル-2,5-ジオン、ジオキソラニル、オキサスルフラニル、ジスルフラニル、オキサゾリジン-2-オン、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、チアジアゾリニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、チアニル、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニル、トリアジナニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、アゾカニル、オキセカニル、チオカニル、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリノニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等が含まれる。
【0163】
それ自体で、または他の基の一部として使用される「アリール」という用語は、芳香環系中に6~14個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を有する、単環式または多環式(たとえば、二環式または三環式)の4n+2芳香環系(たとえば、環アレイ中に6、10、または14個のパイ電子が共有される)のラジカルをいう(C6-14アリール)。いくつかの実施形態では、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(Cアリール;たとえばフェニル)。いくつかの実施形態では、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(C10アリール;たとえばm1-ナフチルおよび2-ナフチル等のナフチル)。いくつかの実施形態では、アリール基は、14個の環炭素原子を有する(C14アリール;たとえばアントラシル)。本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「アリーレン」という用語は、本明細書に記載されるアリール基に由来する二価のラジカルをいう。
【0164】
それ自体で、または他の基の一部として使用される「アラルキル」という用語は、1個以上のアリール基で置換、好ましくは1個のアリール基で置換されたアルキルをいう。アラルキルの例には、ベンジル、フェネチル等が含まれる。アラルキルが任意に置換されると言及される場合、アラルキルのアルキル部分またはアリール部分のいずれかが任意に置換され得る。
【0165】
それ自体で、または他の基の一部として使用される「ヘテロアリール」という用語は、芳香環系中に環炭素原子、および少なくとも1個、好ましくは1~4個の環ヘテロ原子を有する、5~14員の単環式または多環式(たとえば、二環式または三環式)の4n+2芳香環系(たとえば、環アレイ中に6~10個のパイ電子が共有される)のラジカルをいい、各ヘテロ原子は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される(「5~14員ヘテロアリール」)。1個以上の窒素原子を含むヘテロアリール基において、付着点は、結合価が許す限り、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロアリール二環系は、1個または両方の環に、1または2個のヘテロ原子を含むことができる。1個の環がヘテロ原子を含まない二環ヘテロアリール基(たとえば、インドリル、キノリニル等)において、付着点はいずれかの環、すなわち、ヘテロ原子を有する環(たとえば2-インドリル)またはヘテロ原子を含まない環(たとえば5-インドリル)のいずれかであり得る。本明細書で使用される場合、それ自体で、または他の基の一部として使用される「ヘテロアリーレン」という本明細書に記載されるヘテロアリール基に由来する二価のラジカルをいう。
【0166】
例示的な非限定的なヘテロアリール基には、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルが含まれる。
【0167】
それ自体で、または他の基の一部として使用される「ヘテロアラルキル」という用語は、1個以上のヘテロアリール基で置換、好ましくは1個のヘテロアリール基で置換されたアルキルをいう。ヘテロアルキルが任意に置換されると言及される場合、ヘテロアラルキルのアルキル部分またはヘテロアリール部分のいずれかが任意に置換され得る。
【0168】
任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、および任意に置換されたヘテロアリール基等の「任意に置換された」基は、置換されていないまたは置換されたそれぞれの基をいう。一般的に、「置換された」という用語は、「任意に」という用語が先行するか否かに関わらず、基(たとえば、炭素または窒素原子)に存在する少なくとも1個の水素が許容される置換基、たとえば置換により安定的な化合物、たとえば転位、環化、脱離、または他の反応等により自発的な変換を受けない化合物になる置換基で置換されることをいう。特に言及しない限り、「置換された」基は、基の1個以上の置換され得る位置に置換基を有し、一定の構造中に2個以上の位置が置換される場合、置換基は各位置で同じでも異なってもよい。典型的には、置換される場合、本明細書の任意に置換された基は1~5個の置換基で置換され得る。置換基は、適用できる場合、炭素原子置換基、窒素原子置換基、酸素原子置換基、または硫黄原子置換基であり得る。2個の任意の置換基が連結して任意に置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール間を形成してもよい。置換基は、利用可能な炭素、酸素、または窒素原子のいずれかで起こり得、スピロ環を形成することができる。典型的には、本明細書での置換は、O-SO-O、O-SO-N、およびN-SO-Nを除いて、O-O、O-N、S-S、S-N(SO-N結合を除く)、ヘテロ原子-ハロゲン、または-C(O)-S結合、または3つ以上の連続するヘテロ原子をもたらさないが、但し、安定的な芳香系での場合、そのような結合または接続の一部が許され得る。
【0169】
広い観点では、本明細書で許容される置換基には、有機化合物の非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族の置換基が含まれる。許容される置換基は、許容される置換基は、適切な有機化合物に対して1個以上であり得、同じでも異なっていてもよい。本開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、および/または、ヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載される有機化合物の許容されるいずれかの置換基を有し得る。置換基は、本明細書に記載されるいずれかの置換基、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシル等)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメート等)、アルコキシ、シクロアルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、硫酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、適切な場合はそれぞれ置換され得る。
【0170】
例示的な置換基には、限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、-アルキレン-アリール、-アリーレン-アルキル、-アルキレン-ヘテロアリール、-アルケニレン-ヘテロアリール、-アルキニレン-ヘテロアリール、-OH、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、-O-アルキル、-O-ハロアルキル、-アルキレン-O-アルキル、-O-アリール、-O-アルキレン-アリール、アシル、-C(O)-アリール、ハロ、-NO、-CN、-SF、-C(O)OH、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-アルキレン-アリール、-S(O)-アルキル、-S(O)-アルキル、-S(O)-アリール、-S(O)-アリール、-S(O)-ヘテロアリール、-S(O)-ヘテロアリール、-S-アルキル、-S-アリール、-S-ヘテロアリール、-S-アルキレン-アリール、-S-アルキレン-ヘテロアリール、-S(O)-アルキレン-アリール、-S(O)-アルキレン-ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、-O-C(O)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-シクロアルキル、-C(=N-CN)-NH、-C(=NH)-NH、-C(=NH)-NH(アルキル)、-N(Y)(Y)、-アルキレン-N(Y)(Y)、-C(O)N(Y)(Y)および-S(O)N(Y)(Y)が含まれ、YおよびYは、同じでも異なってもよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、および-アルキレン-アリールから独立して選択される。
【0171】
適切な置換基のいくつかの例には、限定されないが、(C-C)アルキル基、(C-C)アルケニル基、(C-C)アルキニル基、(C-C10)シクロアルキル基、ハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、ハロゲン化された(C-C)アルキル基(限定されないがたとえば、-CF)、-O-(C-C)アルキル基、-OH、-S-(C-C)アルキル基、-SH、-NH(C-C)アルキル基、-N((C-C)アルキル)基、-NH、-C(O)NH、-C(O)NH(C-C)アルキル基、-C(O)N((C-C)アルキル)、-NHC(O)H、-NHC(O)(C-C)アルキル基、-NHC(O)(C-C)cycloアルキル基、-N((C-C)アルキル)C(O)H、-N((C-C)アルキル)C(O)(C-C)アルキル基、-NHC(O)NH、-NHC(O)NH(C-C)アルキル基、-N((C-C)アルキル)C(O)NH基、-NHC(O)N((C-C)アルキル)基、-N((C-C)アルキル)C(O)N((C-C)アルキル)基、-N((C-C)アルキル)C(O)NH((C-C)アルキル)、-C(O)H、-C(O)(C-C)アルキル基、-CN、-NO、-S(O)(C-C)アルキル基、-S(O)(C-C)アルキル基、-S(O)N((C-C)アルキル)基、-S(O)NH(C-C)アルキル基、-S(O)NH(C-C)シクロアルキル基、-S(O)NH基、-NHS(O)(C-C)アルキル基、-N((C-C)アルキル)S(O)(C-C)アルキル基、-(C-C)アルキル-O-(C-C)アルキル基、-O-(C-C)アルキル-O-(C-C)アルキル基、-C(O)OH、-C(O)O(C-C)アルキル基、NHOH、NHO(C-C)アルキル基、-O-ハロゲン化された(C-C)アルキル基(限定されないがたとえば、-OCF)、-S(O)-ハロゲン化された(C-C)アルキル基(限定されないがたとえば、-S(O)CF)、-S-ハロゲン化された(C-C)アルキル基(限定されないがたとえば、-SCF)、-(C-C)ヘテロ環(限定されないがたとえば、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ピラノルモルフォリン)、-(C-C)ヘテロアリール(限定されないがたとえば、テトラゾール、イミダゾール、フラン、ピラジネオルピラゾール)、フェニル、-NHC(O)O-(C-C)アルキル基、-N((C-C)アルキル)C(O)O-(C-C)アルキル基、-C(=NH)-(C-C)アルキル基、-C(=NOH)-(C-C)アルキル基、または-C(=N-O-(C-C)アルキル)-(C-C)アルキル基が含まれる。
【0172】
例示的な炭素原子置換基には、限定されないが、ハロゲン、-CN、-NO、-N、ヒドロキシル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミド、スルホンアミド、チオール、アシル、カルボン酸、エステル、スルホン、スルホキシド、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、C3-10カルボシクリル、C6-10アリール、3~10員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリール等が含まれる。たとえば、例示的な炭素原子置換基には、F、Cl、-CN、-SOH、-SOH、-OH、-OC1-6アルキル、-NH、-N(C1-6アルキル)、-NH(C1-6アルキル)、-SH、-SC1-6アルキル、-C(=O)(C1-6アルキル)、-COH、-CO(C1-6アルキル)、-OC(=O)(C1-6アルキル)、-OCO(C1-6アルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)N(C1-6アルキル)、-OC(=O)NH(C1-6アルキル)、-NHC(=O)(C1-6アルキル)、-N(C1-6アルキル)C(=O)(C1-6アルキル)、-NHCO(C1-6アルキル)、-NHC(=O)N(C1-6アルキル)、-NHC(=O)NH(C1-6アルキル)、-NHC(=O)NH、-NHSO(C1-6アルキル)、-SON(C1-6アルキル)、-SONH(C1-6アルキル)、-SONH,-SO1-6アルキル、-SOOC1-6アルキル、-OSO1-6アルキル、-SOC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10カルボシクリル、C6-10アリール、3~10員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールが含まれてもよく;または2つのジェミナル置換基が結合して=Oを形成することができる。
【0173】
窒素原子は、結合価が許す限り、置換されても置換されなくてもよく、第1、第2、第3、および第4の窒素原子が含まれ得る。例示的な窒素原子置換基には、限定されないが、アシル基、エステル、スルホン、スルホキシド、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、および5~14員ヘテロアリールが含まれ、または窒素原子に付着した2個の置換基が結合して3~14員ヘテロシクリルもしくは5~14員ヘテロアリール間を形成し、各アルキル、アルケニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、本明細書で定義されるようにさらに置換され得る。ある実施形態では、窒素原子上に存在する置換基は、窒素保護基(アミノ保護基ともいう)である。窒素保護基は当該分野でよく知られており、参照により本明細書に援用される、Protective Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,第3版,John Wiley&Sons,1999年に詳述されるものが含まれる。例示的な窒素保護基には、限定されないが、カルボベンジルオキシ(Cbz)基、p-メトキシベンジルカルボニル(MozまたはMeOZ)基、tert-ブチルオキシカルボニル(BOC)基、Troc、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基等のカルバメートを形成するもの、アセチル、ベンジル等のアミンを形成するもの、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル等のベンジリックアミンを形成するもの、トシル、ノシル等のスルホンアミドを形成するもの、p-メトキシフェニル等のその他のものが含まれる。
【0174】
例示的な酸素原子置換基には、限定されないが、アシル基、エステル、スルホン酸塩、スルホキシド、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、および5~14員ヘテロアリールが含まれ、各アルキル、アルケニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、本明細書で定義されるようにさらに置換され得る。ある実施形態では、酸素原子上に存在する酸素原子置換基は、酸素保護基(ヒドロキシル保護基ともいう)である。酸素保護基は当該分野でよく知られており、参照により本明細書に援用される、Protective Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,第3版,John Wiley&Sons,1999年に詳述されるものが含まれる。例示的な酸素保護基には、限定されないが、メチル、アリル、ベンジル、4-メトキシベンジル、メトキシルメチル (MOM)、メトキシルメチル、ベンジルオキシメチル(BOM)、2-メトキシエトキシメチル(MEM)等の置換ベンジル等のアルキルエーテルまたは置換アルキルエーテルを形成するもの、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)等のシリルエーテルを形成するもの、テトラヒドロピラニル(THP)等のアセタールまたはケタールを形成するもの、ギ酸塩、酢酸塩、クロロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メトキシ酢酸塩等のエステルを形成するもの、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート、トシレート(Ts)等の炭酸塩またはスルホン酸塩を形成するものが含まれる。
【0175】
特に反対の記載がない限り、置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが化学的に許容され、かつ安定的な化合物となる場合にのみ許容される。「安定的な」化合物は、調製および単離をすることができ、かつその構造および特性が、化合物を本明細書に記載された目的(たとえば、対象への治療投与)のために使用するを可能にするのに十分な期間にわたって本質的に変化しない、または変化しないようにすることができる化合物である。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書の「任意に置換された」アルキル、アルキレン、ヘテロアルキル、ヘテロアルキレン、アルケニル、アルキニル、炭素環、カルボシクリレン、シクロアルキル、シクロアルキレン、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリレンは、それぞれ、独立して、F、OH、保護されたヒドロキシル、オキソ(可能な場合)、NH、保護されたアミノ、NH(C1-4アルキル)またはその保護された誘導体、N(C1-4ルキル((C1-4アルキル)、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルコキシ、フェニル、独立してO、S、およびNから選択される1、2、または3個の環ヘテロ原子を含む5または6員のヘテロアリール、独立してO、S、およびNから選択される1または2個の環ヘテロ原子を含む3~7員のヘテロシクリルから選択される1、2、3、または4個の置換基で置換されないか、または置換されることができ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルの各々は、独立してF、-OH、オキソ(可能な場合)、C1-4アルキル、フルオロ置換されたC1-4アルキル(たとえばCF)、C1-4アルコキシ、およびフルオロ置換されたC1-4アルコキシから選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態では、本明細書の「任意に置換された」アリール、アリーレン、ヘテロアリール、またはヘテロアリーレン基は、それぞれ、独立して、F、-OH、-CN、NH、保護されたアミノ、NH(C1-4アルキル)またはその保護された誘導体、N(C1-4ルキル((C1-4アルキル)、-S(=O)(C1-4アルキル)、-SO(C1-4アルキル)、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルコキシ、フェニル、独立してO、S、およびNから選択される1、2、または3個の環ヘテロ原子を含む5または6員のヘテロアリール、独立してO、S、およびNから選択される1または2個の環ヘテロ原子を含む3~7員のヘテロシクリルから選択される1、2、3、または4個の置換基で置換されないか、または置換されることができ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルの各々は、独立してF、-OH、オキソ(可能な場合)、C1-4アルキル、フルオロ置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、およびフルオロ置換されたC1-4アルコキシから選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換される。
【0177】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、ヨウ素(ヨード、-I)をいう。
【0178】
「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしでヒトおよび下等動物の組織に接触して使用するのに適しており、かつ、妥当なベネフィット/リスク比に見合ったものである塩をいう。薬学的に許容される塩は当該分野で良く知られている。
【0179】
「互変異性体」または「互変異性の」という用語は、互変異性により相互転換できる2種以上の化合物をいう。互変異性体の正確な比率は、たとえば温度、溶媒、およびpHを含むいくつかの要因に依存する。互変異性は当業者に知られている。例示的な互変異性には、ケト-エノール、アミド-イミド、ラクタム-ラクチム、エナミン-イミン、およびエナミン-(異なるエナミン)互変異性が含まれる。
【0180】
本明細書で使用される場合、「対象」(あるいは本明細書で「患者」ともいう)は、治療、観察、実験の対象となった動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトをいう。
【0181】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」等の用語は、疾患もしくは状態、および/またはそれらに関連する症状を除去する、軽減させる、または改善することをいう。除外されるわけではないが、疾患またはは状態の治療は、疾患もしくは状態、またはそれらに関連する症状が完全に除去されることを要求しない。本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」等の用語には、「予防処置」が含まれてもよく、これは、疾患もしくは状態を有していないが、疾患もしくは状態の罹患、または疾患もしくは状態の再発の危険がある、またはしやすい対象における、疾患もしくは状態の罹患、または以前にコントロールされていた疾患もしくは状態の再発の可能性を低減することをいう。「治療する」という用語および同義語は、本明細書に記載される化合物の治療有効量を、そのような治療を必要とする対象に投与することを想定している。
【0182】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、限定されないが疾患の予防または治療を含む、意図された用途を達成するのに十分な量の、本明細書に記載される化合物、または化合物の組み合わせをいう。治療有効量は、意図された用途(in vitroまたはin vivo)、または治療される対象および疾患状態(たとえば、対象の体重、年齢、性別)、疾患状態の重度、投与方法等に基づいて変わり得、当業者により容易に決定され得る。また、この用語は、標的細胞および/または組織において特定の反応を誘導するであろう用量にも適用される。具体的な用量は、選択される特定の化合物、従うべき投与レジメン、化合物が他の化合物と併用投与されるか否か、投与のタイミング、投与される組織、および化合物が運ばれる物理的な送達システムによって異なる。
【0183】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」には、明示的に記載されているか、または文脈からそのようなことが意図されていないことが明らかでない限り、複数形の参照が含まれる。
【0184】
本明細書の「Aおよび/またはB」等の句において使用される「および/または」という用語は、AおよびB;AまたはB;A(単独);およびB(単独)の両方を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」等の句において使用される「および/または」という用語は、以下の実施形態の各々を包含することが意図される:A、B、およびC;;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0185】
見出しおよび小見出しは、利便性および/または形式的遵守のみのために使用され、主題の技術を限定するものではなく、主題の技術の記載の解釈に関連して参照されない。主題の開示の1つの見出しまたは1つの小見出しの下に記載された特徴は、様々な実施形態において、他の見出しまたは小見出しの下に記載された特徴と組み合わせてもよい。さらに、1つの見出しまたは1つの小見出しの下にあるすべての特徴が、実施形態において併用されるとは限らない。
【0186】
(実施例)
本明細書の実施形態の様々な出発物質、中間体、化合物は、必要に応じて、沈殿、濾過、結晶化、蒸発、蒸留、およびクロマトグラフィー等の従来技術を使用して単離および精製することができる。これらの化合物の特性評価は、融点、質量スペクトル、核磁気共鳴、その他様々な分光分析等による従来技術方法を用いて行うことができる。本明細書に記載される生成物の合成を行うステップの例示的な実施形態は、以下でより詳細に説明する。
【0187】
(化合物例1. 4-((3-(((5-アクリルアミドピリジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-6-(シクロプロパンカルボキサミド)-N-(メチル-d3)ニコチンアミド)
【化56】
【0188】
ステップ1:tert-ブチル(6-シアノピリジン-3-イル)カルバメートの合成。THF(20mL)中の5-アミノピコリノニトリル(1.0g、8.40mmol、1.0当量)、TEA(2.50g、25.2mmol、3.0当量)およびDMAP(103mg、0.84mmol、0.1当量)の溶液に、BoCO(2.75g、12.6mmol、1.5当量)を加えた。溶液を60℃で一晩撹拌し、LCMSで全部検出した。溶液を濃縮し、フラッシュカラム(石油エーテル中の30~50%酢酸エチル)により精製し、黄色の固体としてtert-ブチル(6-シアノピリジン-3-イル)カルバメート(1.4g、76.1%)を得た。LC-MS/ESI:m/z=220.2[M+H]
【0189】
ステップ2:tert-ブチル(6-(アミノメチル)ピリジン-3-イル)カルバメートの合成。NH/MeOH(30mL)中のtert-ブチル(6-シアノピリジン-3-イル)カルバメート(1.4g、6.39mmol)の溶液に、Pd/C(140mg)を加えた。溶液を、H2下、室温で一晩撹拌し、LCMSで全部検出した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、残渣をフラッシュカラム(石油エーテル中の50~100%酢酸エチル)により精製し、黄色の固体としてtert-ブチル(6-(アミノメチル)ピリジン-3-イル)カルバメート(1.0g、70.1%)を得た。LC-MS/ESI:m/z=224.2 [M+H]
【0190】
ステップ3:(E)-4-(4-メトキシフェニル)-2-(2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)-8-((2-メチルプロピリデン)アミノ)-6-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリド[2,3-b]ピラジン-3(4H)-オンの合成。室温のジクロロメタン(100mL)中の4,6-ジクロロニコチン酸(5g、20.05mmol、 1.0当量)のスラリーに、塩化オキサリル(2.96mL、33.85mmol、1.7当量)を加え、次いでDMFを10滴滴下し、若干の沸騰による泡立ちを起こした。混合物を室温で1.5時間撹拌し、ほぼ透明な溶液を形成した。反応物を濃縮し、残渣をジクロロエタン(30mL)に溶解し、再濃縮し、これを繰り返して過剰な塩化オキサリルの完全な除去を確実にした。得られた粗酸塩化物をジクロロメタン(100mL)に溶解し、塩化メチル-d3-アンモニウム(2.39g、33.85mmol、1.7当量)を加え、混合物を氷浴で冷却し、すぐにジイソプロピルエチルアミン(13.65mL、78.17mmol、2.3当量)をシリンジで滴下した。添加完了後、氷浴を除去して得られた混合物を室温まで加温し、一晩撹拌した。混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、1NのHCl水溶液(3×100mL)と、その後のブラインで洗浄し、その後無水NaSOで乾燥し、デカンテーションして真空下で濃縮した。これにより2.7gのオフホワイトの固体が得られ、これをフラッシュカラム(石油エーテル中の30~50%酢酸エチル)により精製し、白色の固体としてtert-ブチル(6-(アミノメチル)ピリジン-3-イル)カルバメート(4.0g、74.1%)を得た。LC-MS/ESI: m/z=208.2[M+H]
【0191】
ステップ4:3-((2-クロロ-5-((メチル-d3)カルバモイル)ピリジン-4-イル)アミノ)-2-メトキシ安息香酸の合成。THF(20mL)中の4,6-ジクロロ-N-(メチル-d3)ニコチンアミド(900mg、4.35mmol、1.0当量)および3-アミノ-2-メトキシ安息香酸(900mg、4.35mmol、1.0当量)の溶液に、LiHMDS(4.35mL、THF中1M)を室温で滴下して加えた。溶液を室温で2時間撹拌し、LCMSで全部検出した。溶液をHCl水溶液(10mL、0.5mol/L)でクエンチし、EA(20mL×3)で抽出した。有機層をブライン(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、フラッシュカラム(石油エーテル中の50~100%酢酸エチル)により精製し、黄色の固体として3-((2-クロロ-5-((メチル-d3)カルバモイル)ピリジン-4-イル)アミノ)-2-メトキシ安息香酸(650mg、収率40.8%)を得た。LC-MS/ESI:m/z=339.2[M+H]
【0192】
ステップ5:tert-ブチル(6-((3-((2-クロロ-5-((メチル-d3)カルバモイル)ピリジン-4-イル)アミノ)-2-メトキシベンズアミド)メチル)ピリジン-3-イル)カルバメートの合成。DCM(10mL)中の3-((2-クロロ-5-((メチル-d3)カルバモイル)ピリジン-4-イル)アミノ)-2-メトキシ安息香酸(600mg、1.78mmol、1当量)、TEA(539mg、5.33mmol、3当量)の溶液に、HATU(720mg、1.87mmol、1.05当量)を加えた。溶液を室温で0.5時間撹拌し、次いでtert-ブチル(6-(アミノメチル)ピリジン-3-イル)カルバメート(417mg、1.87mmol、1.05当量)を加えて反応させた。溶液を室温で2時間撹拌し、LCMSで全部検出した。溶液を濃縮し、フラッシュカラム(石油エーテル中の50~70%酢酸エチル)により精製し、黄色の固体としてtert-ブチル(6-((3-((2-クロロ-5-((メチル-d3)カルバモイル)ピリジン-4-イル)アミノ)-2-メトキシベンズアミド)メチル)ピリジン-3-イル)カルバメート(900mg、93.4%)を得た。LC-MS/ESI:m/z=544.2[M+H]
【0193】
ステップ6:tert-ブチル(6-((3-((2-(シクロプロパンカルボキサミド)-5-((メチル-d3)カルバモイル)ピリジン-4-イル)アミノ)-2-メトキシベンズアミド)メチル)ピリジン-3-イル)カルバメートの合成。ジオキサン(20mL)中のtert-ブチル(6-((3-((2-クロロ-5-((メチル-d3)カルバモイル)ピリジン-4-イル)アミノ)-2-メトキシベンズアミド)メチル)ピリジン-3-イル)カルバメート(450mg、0.83mmol、1当量)、シクロプロパンカルボキサミド(141mg、1.66mmol、2当量)、CsCO(822mg、2.52mmol、3当量)、キサントホス(96mg、0.17mmol、0.2当量)の溶液に、Pd(dba)(76mg、0.083mmol、0.1当量)を加えた。溶液をN下、120℃で一晩撹拌し、LCMSで全部検出した。溶液を濃縮し、フラッシュカラム(石油エーテル中の70~100%酢酸エチル)により精製し、黄色の固体としてtert-ブチル(6-((3-((2-(シクロプロパンカルボキサミド)-5-((メチル-d3)カルバモイル)ピリジン-4-イル)アミノ)-2-メトキシベンズアミド)メチル)ピリジン-3-イル)カルバメート(360mg、73.4%)を得た。LC-MS/ESI:m/z=593.3[M+H]
【0194】
ステップ7:4-((3-(((5-アミノピリジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-6-(シクロプロパンカルボキサミド)-N-(メチル-d3)ニコチンアミドの合成。DCM(10mL)中のtert-ブチル(6-((3-((2-(シクロプロパンカルボキサミド)-5-((メチル-d3)カルバモイル)ピリジン-4-イル)アミノ)-2-メトキシベンズアミド)メチル)ピリジン-3-イル)カルバメート(360mg、0.61mmol)の溶液に、HCl/ジオキサン(10mL、4M/L)を加えた。溶液を室温で3時間撹拌し、LCMSで全部検出した。混合物をDCM(15mL)に溶解し、NaHCO3(aq.)(10mL、2N)で中和し、DCM(20mL×3)で抽出した。有機層をブライン(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して残渣をフラッシュカラム(DCM中の5~10%MeOH)により精製し、黄色の固体として4-((3-(((5-アミノピリジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-6-(シクロプロパンカルボキサミド)-N-(メチル-d3)ニコチンアミド(250mg、83.5%)を得た。LC-MS/ESI:m/z=493.2[M+H]
【0195】
ステップ8:例1、4-((3-(((5-アクリルアミドピリジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-6-(シクロプロパンカルボキサミド)-N-(メチルd3)ニコチンアミドの合成。DCM(1mL)およびDMF(1mL)中の4-((3-(((5-アミノピリジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-6-(シクロプロパンカルボキサミド)-N-(メチル-d3)ニコチンアミド(50mg、0.10mmol、1.0当量)の溶液に、塩化アクリロイル(10mg、0.11mmol、1.1当量)を加えた。溶液を0℃で3時間撹拌し、LCMSで全部検出した。混合物をNaHCO3(aq.)(10mL、2N)で中和し、EA(20mL×3)で抽出した。有機層をブライン(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残渣をPre-HPLCにより精製して、白色の固体として4-((3-(((5-アクリルアミドピリジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-6-(シクロプロパンカルボキサミド)-N-(メチルd3)ニコチンアミド(30mg、54.1%)を得た。LC-MS/ESI:m/z=545.3[M-H]-,HNMR(400MHz,DMSO)δ10.84(s,1H),10.71(s,1H),10.38(s,1H),8.96(t,J=5.8Hz,1H),8.79(d,J=2.3Hz,1H),8.64(s,1H),8.52(s,1H),8.10(dd,J=8.5,2.4Hz,1H),7.97(s,1H),7.55(d,J=7.9Hz,1H),7.40(d,J=8.3Hz,2H),7.25(t,J=7.9Hz,1H),6.45(dd,J=17.0,10.1Hz,1H),6.29(dd,J=17.0,1.9Hz,1H),5.80(dd,J=10.1,1.8Hz,1H),4.56(d,J=5.7Hz,2H),3.73(s,3H),2.01-1.93(m,1H),0.78(d,J=6.1Hz,4H).
【0196】
(化合物例2. 4-((3-(((5-(2-クロロアセトアミド)ピリジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-6-(シクロプロパンカルボキサミド)-N-(メチル-d3)ニコチンアミド)
【化57】
【0197】
DCM(2mL)およびDMF(2mL)中の4-((3-(((5-アミノピリジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-6-(シクロプロパンカルボキサミド)-N-(メチル-d3)ニコチンアミド(100mg、0.20mmol、1.0当量)の溶液に、2-クロロアセチルクロリド(25mg、0.22mmol、1.1当量)を加えた。溶液を0℃で3時間撹拌し、LCMSで全部検出した。混合物をNaHCO3水溶液(10mL、2N)で中和し、EA(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残渣をPre-HPLCにより精製して、白色の固体として4-((3-(((5-(2-クロロアセトアミド)ピリジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-6-(シクロプロパンカルボキサミド)-N-(メチル-d3)ニコチンアミド(40mg、34.6%)を得た。LC-MS/ESI:m/z=567.2[M-H]HNMR(400MHz,DMSO)δ10.78(s,1H),10.69(s,1H),10.52(s,1H),8.96(t,J=5.8Hz,1H),8.71(d,J=2.3Hz,1H),8.61(s,1H),8.53(s,1H),8.03(s,1H),8.02(dd,J=7.9,2.3Hz,1H),7.55(dd,J=7.9,1.3Hz,1H),7.38(dd,J=11.5,5.0Hz,H),7.24(t,J=7.9Hz,1H),4.56(d,J=5.8Hz,H),4.30(s,H),3.73(s,H),2.03-1.92(m,1H),0.77(d,J=5.9Hz,4H).
【0198】
(化合物例3. 6-(シクロプロパンカルボキサミド)-4-((3-(1-シクロプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ニコチンアミド)
【化58】
【0199】
ステップ1:化合物12の合成。トルエン(30mL)中の6-クロロピリミジン-4(3H)-オン(1.00g、7.66mmol)の溶液に、シクロプロピルボロン酸(1.32g、15.32mmol)、KCO(2.12g、15.32mmol)、o-フェナントロリン(180.2mg、0.99mmol)およびCu(OAc)2(181.9mg、0.99mmol)を室温で加えた。混合物を、O(15psi)雰囲気下で、70℃で17時間撹拌した。反応完了後、得られた混合物を酢酸エチル(60mL)で希釈し、5分間撹拌した後に濾過した。濾液を水(30mL)およびブライン(30mL)で連続的に洗浄し、無水NaSOで乾燥し、次いで濾過後に真空下で蒸発乾固した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:1~10:1)により精製して、白色の固体として化合物12(464mg、35.50%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:171(M+H)
【0200】
ステップ2:化合物14の合成。ジオキサン(24mL)および水(3mL)中の化合物12(100.0mg、0.586mmol)溶液に、化合物13(146.0mg、0.586mmol)、KPO(623.5mg、2.930mmol)、Pd(dppf)Cl(65.1mg、0.09mmol)を室温で加えた。混合物を、N雰囲気下、130℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、得られた混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、濾過した。濾液を水(25mL)およびブライン(25mL)で連続的に洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過後に真空下で蒸発濃縮した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1~100:5)により精製して、黄色の油として化合物14(124mg、82.22%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:258(M+H)
【0201】
ステップ3:化合物15の合成。THF(10mL)の化合物14(124mg、0.48mmol)および2(100mg、0.48mmol)の溶液に、1MのLiHMDS/THF(1.45mL、1.44mmol)溶液を5分間かけて加えた。混合物を室温で1.5時間撹拌し、その後水(5mL)をゆっくり加えてクエンチした。得られた混合物を、1N HCl水溶液でpH9~10に調整し、次いで酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(15mL)およびブライン(15mL)で連続的に洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過後に真空下で濃縮乾固した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1~100:5)により精製して、白色の固体として化合物15(67.0mg、32.41%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:429(M+H)
【0202】
ステップ4:例3の合成。ジオキサン(5mL)中の化合物15(67.0mg、0.16mmol)に、16(39.88mg、0.47mmol)、CsCO(101.8mg、0.31mmol)、Pd(dba)(14.2mg、0.02mmol)およびキサントホス(18.2mg、0.02mmol)を室温で加えた。混合物を、N雰囲気下、130℃で7時間撹拌した。室温に冷却後、得られた混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、濾過した。濾液を水(20mL)およびブライン(20mL)で連続的に洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過後に真空下で濃縮乾固した。残渣をpre-HPLC(カラム:YMC Triart C8 250*20mm I.D,5um、流量:14ml/min、勾配:HO中の0%~55%アセトニトリルおよびHO中の0.1%FA)により精製して、白色の固体として6-(シクロプロパンカルボキサミド)-4-((3-(1-シクロプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ニコチンアミドである例3(13mg、17.43%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:478(M+H)+.1H-NMR(400MHz,MeOD)δ8.45(s,1H),8.40(s,1H),8.02(s,1H),7.61(s,1H),7.59(s,1H),7.27(t,J=8.0Hz,1H),7.07(d,J=0.6Hz,1H),3.67(s,H),3.28(dd,J=7.5,4.2Hz,1H),1.89-1.80(m,1H),1.18(q,J=7.4Hz,H),1.05-0.99(m,H),0.94(dt,J=7.7,3.9Hz,H),0.87(ddd,J=10.8,6.9,3.9Hz,H).
【0203】
(化合物例4. 6-(シクロプロパンカルボキサミド)-4-((3-(1-シクロプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イル)-2-メトキシフェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド)
【化59】
【0204】
ステップA:SM1の合成。1,4-ジオキサン(100mL)中の3-ブロモ-2-メトキシアニリンA1(6.0g、29.7mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロレン)(11.2g、44.54mmol)、Pd(dppf)Cl(1.45g、1.78mmol)、および酢酸カリウム(8.7g、89mmol)の混合物を、耐圧瓶中で、110℃で20時間加熱した。室温に冷却直後、混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、セライトを通して濾過した。濾液を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0~40%、酢酸エチル/ヘキサン)にかけて、白色の固体としてSM1(5.4g、22.9mmol、収率77%)を得た。LC-MS(ESI)m/z250[M+H]
【0205】
ステップB:B2の合成。LiBr(9.23g、106.28mmol、1.1当量)、水(8mL)およびアセトニトリル(60mL)をガラス瓶に入れ、室温で撹拌した。メチル4,6-ジクロロピリダジン-3-カルボキシレート B1(20g、96.61mmol、1当量)を加えた。次いでDIEA(14.98g、115.94mmol、1.2当量)を加えた。反応物を3時間撹拌し、沈殿物を濾過し、アセトニトリル(4mL)で洗浄し、残渣を真空で乾燥して、白色の固体としてB2(14.9g、79.9%)を得た。LC-MS(ESI):m/z191,193[M-H]
【0206】
ステップC:B3の合成。B2(15g、77.73mmol、1当量)およびDMF(568mg、7.77mmol、0.1当量)を窒素下でDCM(150mL)に加えた。その後、塩化オキサリル(11.84g、93.27mmol、1.2当量)を0℃で混合物に滴下して加えた。反応物を室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、その後DCM(100mL)を加えた。DCMを除去して、4,6-ジクロロピリダジン-3-カルボニルクロリド(15.4、93.7%)を得た。LC-MS(ESI):m/z207.1[M+MeOH]
【0207】
ステップD:SM2の合成。DCM(150mL)中の4,6-ジクロロピリダジン-3-カルボニルクロリド(15.4g、72.84mmol、1.1当量)、およびDIEA(8.56g、66.22mmol、2.0当量)の溶液。塩酸メタン-d3-アミン(4.67g、66.22mmol、1当量)を混合物に加え、反応物を室温で2時間撹拌した。その後、混合物を0.5NHClにゆっくりと加え、有機層を水とブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにかけて、4,6-ジクロロ-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミドSM2(8.6g、62.1%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.90(s,1H),8.48(s,1H).LC-MS(ESI):m/z206.1[M+H]
【0208】
ステップE:17の合成。トルエン(300mL)中の16(10.0g、76.6mmol)の溶液に、シクロプロピルボロン酸(13.2g、153.2mmol)、KCO(21.2g、153.2mmol)、o-フェナントロリン(1.80g、9.9mmol)およびCu(OAc)(1.82g、9.9mmol)を室温で加えた。混合物を、O(15psi)雰囲気下、70℃で17時間撹拌した。反応完了後、得られた混合物を酢酸エチル(600mL)で希釈し、5分間撹拌した後に濾過した。濾液を水(300mL)およびブライン(300mL)で連続的に洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過後に真空下で蒸発乾固した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:1~10:1)により精製して、白色の固体として17(3.03g、23.5%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:171[M+H]
【0209】
ステップF:18の合成。ジオキサン(320mL)およびHO(40mL)中の17(2.40g、14.07mmol)の溶液に、SM1(3.86g、15.48mmol)、KPO(14.93g、70.34mmol)、Pd(dppf)Cl(1.54g、2.11mmol)を室温で加えた。混合物を、N雰囲気下、120℃で4時間撹拌した。室温に冷却後、得られた混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、濾過した。濾液を水(25mL)およびブライン(25mL)で連続的に洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過後に真空下で濃縮乾固した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1~100:5)により精製して、黄色の油として18(3.10g、85.64%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:258(M+H)
【0210】
ステップG:19の合成。THF(150mL)中の18(3.10g、12.05mmol)およびSM2(2.52g、0.48mmol)の溶液に、1MのLiHMDS/THF(36.15mL、250.85mmol)の溶液を15分間かけて加えた。混合物を室温で1.5時間撹拌し、その後水(50mL)をゆっくりと加えてクエンチした。得られた混合物を、1NのHCl水溶液でpH9~10に調整し、その後酢酸エチル(25mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(20mL)およびブライン(20mL)で連続的に洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過後に真空下で濃縮乾固した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1~100:5)により精製して、黄色の固体として19(4.28g、82.63%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:429[M+H]
【0211】
ステップH:例4の合成。ジオキサン(70mL)中の19(4.20g、9.77mmol)の溶液に、シクロプロパンカルボキサミド20(914.6mg、10.75mmol)、CsCO(6.37g、19.54mmol)、Pd(dba)(894.7mg、0.97mmol)およびキサントホス(1.13g、1.95mmol)を室温で加えた。CEMマイクロ波反応装置でのマイクロ波照射(100W)下で、混合物を140℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、得られた混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、濾過した。濾液を(25mL)およびブライン(25mL)で連続的に洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過後に真空下で濃縮乾固した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1~100:5)により精製して、黄色の固体として粗固体(2.4g)を得た。残渣にMeOH(10mL)を加え、30分間撹拌した後、得られたスラリーを濾過した。濾過ケーキをMeOH(2mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて純粋な例4(1.74g、37.22%)を得た。H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ11.33(s,1H),10.96(s,1H),9.15(s,1H),8.48(s,1H),8.13(s,1H),7.62(d,J=7.8Hz,1H),7.55(d,J=7.7Hz,1H),7.31(t,J=7.9Hz,1H),6.87(s,1H),3.60(s,H),3.29-3.22(m,1H),2.13-2.03(m,1H),1.07-0.96(m,4H),0.82(d,J=4.6Hz,4H).LC-MS(ESI)m/z:478[M+H]
【0212】
(化合物例5. 6-(シクロプロパンカルボキサミド)-4-((2-メトキシ-3-(3-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド)
【化60】
【0213】
ステップ1:化合物22の合成。300mLのHCl(18%、水性)の溶液に、21(65g、323.3mmol)を0℃で加えた。次いで、400mLのHOに溶解したNaNO(33.5g、485mmol)を混合物中に0℃で滴下して加え、0℃で1時間撹拌した。次いで、120mLの濃HCl中のSnCl(123g、647mmol)の溶液を混合物中に0℃で滴下して加えた(反応が発熱しないように注意)。完了後、混合物を室温に加温し、2時間撹拌した。混合物を濾過し、固体を少量の水で洗浄した。固体を300mLの飽和KCO溶液および400mLのEtOAcに溶解した。有機層を分離し、水層をEtOAc(200mL×2)で抽出した。有機層を合わせて、無水NaSOで乾燥し、次いで真空下で蒸発させた。残渣をPE/EtOAc(2:1~1:1)で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製し、白色の固体として22(40g、57.1%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:217、219[M+H]
【0214】
ステップ2:23の合成。DCM(300mL)中の22(40.0g、184.2mmol)の溶液に、TEA(37.3g、368.5mmol)、ACO(28.2g、276.4mmol)を0℃で加えた。混合物を、N雰囲気下、室温で3時間撹拌した。その後、得られた混合物を氷水(300mL)に注ぎ、DCM(300mL×2)で抽出し、無水NaSOで乾燥し、次いで真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=10:1~0:1)により精製して、白色の固体として純粋な23(22g、46.1%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:259,261(M+H)
【0215】
ステップ3:24の合成。Tol(150mL)中の23(8g、30.9mmol)の溶液に、POCl(4.97g、32.4mmol)を室温で加えた。シールチューブ中で、混合物を80℃で2時間撹拌した。その後、得られた混合物を真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル)で精製して、黄色の油として化合物24(5.8g、67.7%)を得た。
【0216】
ステップ4:26の合成。MeCN(180mL)中の24(5.8g、20.9mmol)および1-メチル-1H-イミダゾール(4.3g、52.2mmol)の溶液を90℃で15時間撹拌し、DIPEA(8.1g、62.7mmol)およびDMSO(90mL)を加え、100℃でさらに15時間撹拌した。その後、得られた混合物を氷水(200mL)に注ぎ、EtOAc(200mL×3)で抽出し、水(300mL)およびブライン(300mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、次いで真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~1:1)により精製して、茶色の油として26(2.1g、37.5%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:268,270[M+H]
【0217】
ステップ5:27の合成。ジオキサン(20mL)中の26(2.1g、7.9mmol)およびPhC=NH(1.72g、9.5mmol)の溶液に、Pd(dba)(201mg、0.35mmol)、キサントホス(300、0.52mmol)およびCsCO(7.7g、23.6mmol)を加えた。混合物を密封し、120℃で12時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮乾固した。その後残渣を20mLのTHFおよび5mLのHCl(18%、水性)の溶液中に加えた。混合物を4時間撹拌した。混合物を15mLの飽和KCOで塩基性化し、20mLのEtOAcで3回抽出した。有機層を合わせて、無水NaSOで乾燥し、次いで真空下で蒸発させた。残渣をPE/EtOAc(3:1~2:1)で溶出するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色の固体として27(1.1g、68.8%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:205[M+H]
【0218】
ステップ6:化合物29の合成。THF(20mL)中の27(1.1g、5.4mmol)および28(1.35g、6.48mmol)の溶液に、LiHMDS(12.4mL、12.4mmol)を0℃で加えた。混合物を、N雰囲気下、室温で2時間撹拌した。その後、得られた混合物を、飽和NHCl(20mL)中に注ぎ、EtOAc(30mL×3)で抽出し、無水NaSOで乾燥し、次いで真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1~2:1)により精製して、白色の固体として29(1.8g、88.7%)を得た。LC/MS(ESI)m/z:377.0[M+H]
【0219】
ステップ7:例5の合成。ジオキサン(20mL)中の29(1.5g、4.0mmol)およびシクロプロパンカルボキサミド30(408mg、4.8mmol)の溶液に、Pd(dba)(201mg、0.35mmol)、キサントホス(300、0.52mmol)およびCsCO(3.9g、12mmol)を加えた。混合物を密封し、135℃で12時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮乾固させた。残渣を、CHCl/MeOH(4:1~2:1)で溶出するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋な例5(0.9g、53.0%).を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.37(s,1H),11.05(s,1H),9.17(s,1H),8.82(s,1H),8.18(s,1H),7.54(d,1H),7.46(d,1H),7.35(t,1H),3.55(s,H),2.38(s,H),2.15-2.05(m,1H),0.83(s,4H).LC-MS(ESI):m/z426[M+H]
【0220】
(化合物例6~15)
以下の例は、上記の例1~5に示されるのと同様の手順に従って調製された。代表的な特性データを以下の表に示す。
【0221】
【表1a-1】
【表1a-2】
【表1a-3】
【0222】
(生物学的実施例1.TYK2 JH2ドメイン結合アッセイ)
アッセイは、アッセイバッファー(50mM HEPES、pH7.5、100gml-1BSA、5%DMSO)中に80g/mlの銅-ポリビニルトルエンシンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズ(PerkinElmerLifeSciences、カタログ番号RPNQ0095)、H3プローブ(20nM)、N末端Hisタグ化TYK2偽キナーゼドメイン(2.5nM、Pharmaronにより精製)、および試験化合物を含む最終アッセイ容量20μLで、384穴プレートで行った。室温で30分間インキュベートした後、シンチレーションカウントにより決定された[H]3結合の置換により、阻害を計算した。用量-応答曲線を作成し、H3プローブ結合を50%阻害するのに必要な濃度(IC50)を決定した。
【0223】
(生物学的実施例2.HEK-Blue(商標)IL23細胞におけるIL-23誘導STAT3 QUANTI-Blue)
HEK-Blue(商標)IL-23細胞を2×10細胞/mlに調製し、5000細胞/ウェルを加え、化合物+細胞を含むプレートを37℃で1時間インキュベートする。インキュベート中にIL-23を調製し(最終濃度0.1ng/mL)、培地中に調製したサイトカインを適切なウェルに、1ウェルあたり2μl添加する。プレートを37℃で一晩インキュベートした。翌日、QUANTI-Blue溶液を調製した。透明な平底の新しい384穴プレートに18μlのQUANTI-Blue溶液を加え、次いで、一晩経ったプレートから、誘導および処理をしたHEK-Blue細胞上清を2μl加えた。プレートを37℃で2時間インキュベートし、SEAPレベルを決定した。
【0224】
生物学的実施例1および2に記載された手順に従って試験された本発明の代表的な化合物(上述の化合物例1~15)の生物学的活性データを、以下の表2で提供する。また、対照化合物BMS-986165(J.Med.Chem.2019,62,20,8973-8995)も、生物学的実施例1および2に従って試験された。BMS986165は以下のような構造を有するとされている。
【化61】
【0225】
【表2】
【0226】
(生物学的実施例3.ヒトPBMCにおけるIL-12誘導pSTAT4)
凍結したヒトPBMCを融かし、血清を含む完全培地に再懸濁し、次いで細胞を1.6×10細胞/mlに希釈した。2.5μLの化合物またはDMSOを、所望の濃度でウェルに加え、37℃で1時間インキュベートする。2.5μLの刺激物質(終濃度1.7ng/mLのIL-12)を30分間かけて加え、次いで調製した細胞ライセートを用いてpSTAT4解析を行い、製造元のプロトコールに従ってAlphaLISAアッセイにより解析する。アッセイでの化合物の最終DMSO濃度は、0.1%である。
【0227】
(生物学的実施例4.他のJAKキナーゼより高い選択性)
この実施例は、本開示の例示された化合物(化合物例4および5)とBMS986165との選択性特性を比較する。結果を以下の表3に示す。
【0228】
【表3】
【0229】
本実施例の表3で参照したアッセイにおいて、本開示の選択された化合物およびBMS9861615の活性を試験するために、以下の手順に従った。
【0230】
Tyk2およびJak1 JH2 HTRFの結合は、J Med Chem.62(20):8973-8995(2019)に記載された手順に従って試験した。
【0231】
IFN-アルファ/ベータレポーターアッセイ。HEK-Blue(商標)IFN-a/b細胞(1~3×10細胞/ウェル/100ml)を、DMEM(10%HFBS+1%PS)とともに96穴プレートに播種、5%CO、37℃で一晩インキュベート。DMSO中の希釈化合物。3倍希釈で10用量。化合物を細胞プレートに添加、5%CO、37℃で1時間インキュベート。IFN-アルファ/ベータ(5U/ml)を細胞プレートに添加、5%CO、37℃で一晩インキュベート。QUANTI-Blue溶液の準備:100μlのQB試薬および100μlのQBバッファーを9800μlの滅菌水に添加。細胞上清とQUANTI-Blue溶液を1対10の比率で使用、37℃で2時間インキュベート。OD630を読み取り。
【0232】
IL-2レポーターアッセイ。HEK-Blue(商標)IL-2細胞(1~3×10細胞/ウェル/100ml)を、DMEM(10%HFBS+1%PS)とともに96穴プレートに播種、5%CO、37℃で一晩インキュベート。DMSO中の希釈化合物。3倍希釈で10用量。化合物を細胞プレートに添加、5%CO、37℃で1時間インキュベート。IL-2(1ng/mL)を細胞プレートに添加、5%CO、37℃で一晩インキュベート。QUANTI-Blue溶液の準備:100μlのQB試薬および100μlのQBバッファーを9800μlの滅菌水に添加。細胞上清とQUANTI-Blue溶液を1対10の比率で使用、37℃で2時間インキュベート。OD630を読み取り。
【0233】
IFN-γレポーターアッセイ。HEK-Dual(商標)IFN-γ細胞(1~3×10細胞/ウェル/100ml)を、DMEM(10%HFBS+1%PS)とともに96穴プレートに播種、5%CO、37℃で一晩インキュベート。DMSO中の希釈化合物。3倍希釈で10用量。化合物を細胞プレートに添加、5%CO、37℃で1時間インキュベート。IFN-γ(0.1ng/mL)を細胞プレートに添加、5%CO、37℃で一晩インキュベート。QUANTI-Blue溶液の準備:100μlのQB試薬および100μlのQBバッファーを9800μlの滅菌水に添加。細胞上清とQUANTI-Blue溶液を1対10の比率で使用、37℃で2時間インキュベート。OD630を読み取り。
【0234】
上の表3からわかるように、本開示の選択された化合物は、BMS986165と比較した場合に、少なくともin vitroアッセイでの試験において、他のJAKキナーゼに対してよりも選択的であることがわかった。
【0235】
(生物学的実施例5.IL-12/IL-18誘導性IFN-ガンマのin vitro阻害)
本開示の選択された例示的な化合物(化合物例4および5)、およびBMS986165を、メスのC57BL/6Jマウス(Charles River)に経口投与した。1時間後、0.05μgの組換えラットIL-12をIV投与した。IL-12投与のさらに1時間後、1μgの組換えラットIL-18をIV投与した。3時間後、ELISAによるIFNγの解析のために、血液を採取し、遠心分離により血清を得た。結果は、本明細書の代表的な試験化合物が、用量依存的にIFN産生を阻害し得ることを示す。図1(化合物例4)および2(化合物例5)を参照されたい。
【0236】
(生物学的実施例6.in vivoマウス乾癬モデル)
また、本開示の選択された例示的な化合物を、ヒトIL-23により誘導されたマウス乾癬モデルで試験した。乾癬は、組換えヒトIL-23の左耳への皮内注射により、6~8週齢のメスのC57BL/6Jマウス(Charles River)に誘導された。IL-23注射は、研究の1日目から9日目まで、1日おきに行われた。7.5、15、30mg/kgの選択された化合物と、陽性対照としての15mg/kgのBMS986165は、経口経管栄養によりBIDで投与し、最初の用量は最初のIL-23注射の前の晩に投与された。耳への注射の前に、耳の厚さを1日おきに測定した。結果は、本明細書の代表的な試験化合物は、用量依存的に、IL-23誘導性乾癬からマウスを守ることを示す。
【0237】
(生物学的実施例7.イヌのPK)
また、薬物動態の研究のために、本開示の選択された例示的な化合物をイヌで試験した。ビーグル犬は、治療前に水を自由に摂取できる状態で一晩絶食させた。用量投与の前に、すべての用量溶液を新たに調製した。静脈内投与の動物群は、1mg・kg-1の化合物の単回用量を投与された。血清サンプル用の、投与前、投与後5、15、30分間、1、2、4、8、12、および24時間で、静脈を通じて、EDTA-K2で抗凝固剤処置をしたチューブに血液を採取した。胃内投与の動物群は、5mg・kg-1の化合物の単回用量を投与された。投与前、5、15、30分間、1、2、4、8、12、および24時間で、静脈を通じて、EDTA-K2で抗凝固剤処置をしたチューブに血清サンプル(~0.5mL)用の血液を採取した。血液サンプルを数回転倒混和し、遠心分離するまで氷水上に置いた。4℃にセットした遠心分離機で、1500~1600gで10分間サンプルを遠心分離し(採取の20分以内)、血清を得た。分離後、即座に血清サンプルを移して冷凍し、解析前に-70℃未満にセットした冷凍庫で保存した。
【0238】
選択されたPKの結果を以下の表4に示す。
【表4】
【0239】
まとめおよび要約のセクションは、本発明者によって企図された本発明の例示的な実施形態の1つ以上を説明し得るが、全てではなく、したがって、本発明および添付の特許請求の範囲を如何様にも限定することは意図されない。
【0240】
本発明は、特定の機能の実装とその関係を示す機能的ビルディングブロックの助けにより上記で説明してきた。これらの機能的ビルディングブロックの境界は、記載の便宜上、本明細書では任意に定義されている。規定された機能およびその関係が適切に実行される限り、代替的な境界が定義され得る。
【0241】
属として記載された本発明の態様に関して、すべての個々の種が、個別に本発明の別の態様とみなされる。本発明の態様がある特徴を「含む」と記載される場合、実施形態は、当該特徴「からなる」または「から本質的になる」も考えられる。
【0242】
具体的な実施形態の上記記載は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにするものであり、他者は、当業者の知識を適用することにより、過度な実験を行うことなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、そのような具体的な実施形態を様々な用途に容易に変更および/または適合させることができる。したがって、そのような適合および変更は、本明細書で提示される教示および指針に基づき、開示された実施形態の意味および均等物の範囲内であることを意図している。本明細書の用語または語法が、教示および指針に照らして当業者に解釈されるべきであるように、本明細書の語法または用語は、説明の目的のためであり限定ではないことが理解されるべきである。
【0243】
本発明の広さおよび範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0244】
本明細書に記載される様々な態様、実施形態、および選択肢のすべては、いずれかの、および全ての変形において組み合わせることができる。
【0245】
本明細書で言及されているすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により援用されることが具体的かつ個別に示されているのと同様の程度で、参照により本明細書に援用される。この文書中の用語の意味または定義のいずれかが、参照により援用される文書中の同一の用語の意味または定義のいずれかと矛盾する場合、本文書においてその用語に割り当てられた意味または定義が適用されるものとする。
【0246】
(付記)
(付記1)
式I
【化62】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
XはCHまたはNであり、
は、0~7個の重水素原子で置換されたC1-3アルキルであり、
は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-4ヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
は、出現毎に独立して、ハロゲン、任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC1-4ヘテロアルキルであり、
jは、0、1、2、または3であり、
は、1~3個のR、S(O)、またはORで任意に置換されたC1-6アルキルであり、
pは0、1、または2であり、
は、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、1~3個のRA1で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
は、1~3個のRA1で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
は、水素、または1~3個のRA2で任意に置換されたC1-6アルキルであり、
A1は、出現毎に独立して、ハロゲン、OH、またはCNであり、
A2は、出現毎に独立して、FまたはOHであり、
は、
【化63】
、または-L-L-Q-Gであり、
10は、出現毎に独立して、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)であり、
10Bは、出現毎に独立して、ハロゲン、CN、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(たとえばC3-6シクロアルキル)、または任意に置換されたヘテロシクリル(たとえば4~8員ヘテロシクリル)であり、
は、O、C=(O)NH、または空値であり、
は、C1-4アルキレン、または空値であり、
Qは、任意に置換されたヘテロ環、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
Gは、CN、
【化64】
、またはマイケルアクセプターであり、
11は、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである、
化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0247】
(付記2)
XはCHである、付記1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0248】
(付記3)
XはNである、付記1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0249】
(付記4)
は、CH、C、CD、またはCDCDである、付記1~3のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0250】
(付記5)
は、シクロプロピル、シクロブチル等の3~6員のシクロアルキルであり、当該シクロアルキルは、CN、ハロゲン(たとえばF)、OH、および任意に置換されたC1-6アルキルから独立して選択される1~4個の置換基で任意に置換されている、付記1~4のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0251】
(付記6)
は、CN、ハロゲン、OH、および任意に置換されたC1-6アルキルから独立して選択される1~4個の置換基で任意に置換されたシクロプロピルである、付記1~4のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0252】
(付記7)
はシクロプロピルである、付記1~4のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0253】
(付記8)
jは1である、付記1~7のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0254】
(付記9)
は、出現毎に独立して、F、Cl、または任意にFで置換されたC1-4アルキルである、付記1~8のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0255】
(付記10)
jは0である、付記1~7のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0256】
(付記11)
はOMeである、付記1~10のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0257】
(付記12)
は、
【化65】
であり、R10は任意に置換されたC3-6シクロアルキルであり、R10Bは任意に置換されたC1-4アルキル、または任意に置換されたC3-6シクロアルキルである、付記1~11のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0258】
(付記13)
10は、
【化66】
であり、R10Bはメチル、CF、またはシクロプロピルである、付記12に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0259】
(付記14)
は、-L-L-Q-Gである、付記1~11のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0260】
(付記15)
はOである、付記14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0261】
(付記16)
は空値である、付記14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0262】
(付記17)
はC=(O)NHである
【化67】
、付記14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0263】
(付記18)
は空値である、付記14~17のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0264】
(付記19)
は、C1-4アルキレン、たとえばCHである、付記14~17のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0265】
(付記20)
Qは、N、O、およびSから独立して選択される1または2個の環ヘテロ原子を有する4~7員の単環式ヘテロ環であり、当該単環式ヘテロ環は、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、付記14~19のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0266】
(付記21)
Qは、
【化68】
から選択される4~7員の単環式ヘテロ環である、付記14~19のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0267】
(付記22)
Qは、
【化69】
から選択される4~7員の単環式ヘテロ環である、付記14~19のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0268】
(付記23)
Qは、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する6~12員の二環式ヘテロ環であり、当該二環式ヘテロ環は、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシであり、前記二環式ヘテロ環は、縮合、スピロ、または架橋二環式であり、環の1つは任意に芳香環またはヘテロ芳香環である、付記14~19のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0269】
(付記24)
Qは、
【化70】
から選択される6~10員二単環式ヘテロ環であって、これらの各々は、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換され、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、付記14~19のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0270】
(付記25)
Qは、
【化71】
から選択される6~10員の二環式ヘテロ環である、付記14~19のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0271】
(付記26)
Qは、N、O、およびSから独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する5または6員のヘテロアリールであり、当該ヘテロアリールは、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、付記14~19のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0272】
(付記27)
Qは、ピリジンまたはピリミジンであり、当該ピリジンまたはピリミジンは、1個以上(たとえば、1、2、または3個)のRs1で任意に置換されており、Rs1は、出現毎に独立して、F、Cl、CN、OH、オキソ(結合価が許す限り)、任意にFで置換されたC1-4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、または任意にFで置換されたC1-4アルコキシである、付記14~19のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0273】
(付記28)
Qは、
【化72】
である、付記14~19のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0274】
(付記29)
GはCNである、付記14~28のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0275】
(付記30)
Gは、
【化73】
であり、R11は、水素、またはメチルなどのハロゲンで任意に置換されたC1-4アルキルである、付記14~28のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0276】
(付記31)
Gは、マイケルアクセプターである、付記14~28のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0277】
(付記32)
Gは、
【化74】
である、付記14~28のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0278】
(付記33)
は、
【化75】
から選択される、付記1~11のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0279】
(付記34)
は、
【化76】
から選択される、付記1~11のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0280】
(付記35)
は、
【化77】
から選択される、付記1~11のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0281】
(付記36)
本明細書の表1の化合物、もしくは例1~15の化合物から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0282】
(付記37)
付記1~36のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【0283】
(付記38)
対象または生体サンプルを、有効量の付記1~36のいずれか1つに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または付記37に記載の医薬組成物と接触させることを含む、対象または生体サンプルにおいてTYK2を阻害する方法。
【0284】
(付記39)
治療有効量の付記1~36のいずれか1つに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または付記37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象におけるTYK2媒介疾患または障害を治療または予防する方法。
【0285】
(付記40)
TYK2が仲介する疾患または障害は、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、増殖性疾患または障害、内分泌疾患または障害(たとえば、多嚢胞性卵巣症候群、クルーゾン症候群、または1型糖尿病)、神経疾患または障害(たとえば、アルツハイマー病)、および/または移植に関連する疾患もしくは障害(たとえば、移植拒絶反応または移植片対宿主病)である、付記39に記載の方法。
【0286】
(付記41)
TYK2が仲介する疾患または障害は、1型糖尿病、強直性脊椎炎、皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、全身性硬化症、乾癬、ベーチェット病、POEMS症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、およびそれらの組み合わせから選択される、自己免疫疾患または障害である、付記39に記載の方法。
【0287】
(付記42)
TYK2が仲介する疾患または障害は、関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、乾癬、肝腫大、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患およびそれらの組み合わせから選択される、炎症性疾患または障害である、付記39に記載の方法。
【0288】
(付記43)
TYK2が仲介する疾患または障害は、血液癌(たとえば、T細胞白血病、たとえばT細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)等の白血病)等の増殖性疾患または障害である、付記39に記載の方法。
【0289】
(付記44)
TYK2が仲介する疾患または障害は、I型インターフェロン、IL-10、IL-12、および/またはIL-23シグナル伝達に関連する、付記39に記載の方法。
【0290】
(付記45)
治療有効量の付記1~36のいずれか1つに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または付記37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における乾癬を治療する方法。
【0291】
(付記46)
治療有効量の付記1~36のいずれか1つに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または付記37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における乾癬性関節炎を治療する方法。
【0292】
(付記47)
治療有効量の付記1~36のいずれか1つに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または付記37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における全身性エリテマトーデスを治療する方法。
【0293】
(付記48)
治療有効量の付記1~36のいずれか1つに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または付記37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象におけるクローン病を治療する方法。
【0294】
(付記49)
治療有効量の付記1~36のいずれか1つに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または付記37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における潰瘍性大腸炎を治療する方法。
【0295】
(付記50)
治療有効量の付記1~36のいずれか1つに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または付記37に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における炎症性腸疾患を治療する方法。
図1
図2
【国際調査報告】