(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】免疫疾患を治療するための二機能性分子
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20240228BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240228BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240228BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20240228BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240228BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240228BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240228BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240228BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240228BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240228BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240228BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240228BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240228BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240228BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240228BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240228BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240228BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240228BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240228BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240228BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C07K14/705
A61K47/65
A61K39/395 N
A61K47/64
A61K39/395 Y
A61P37/02
A61P37/08
A61P17/00
A61P25/00
A61P1/00
A61P1/16
A61P37/06
A61P3/06
A61P3/10
A61P17/14
A61P21/00
A61K38/02
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557247
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 US2022020194
(87)【国際公開番号】W WO2022197610
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】512257473
【氏名又は名称】ジェイエヌ バイオサイエンシーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鶴下 直也
(72)【発明者】
【氏名】ツォ, ジェイ. ユン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076CC01
4C076CC07
4C076CC16
4C076CC18
4C076CC21
4C076CC41
4C076EE41
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4C084AA02
4C084BA21
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4C084ZA75
4C084ZA89
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4C084ZB13
4C084ZC33
4C085AA14
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4C085DD33
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、CD122に特異的に結合する抗体と、CTLA-4の細胞外ドメインとを含む二機能性分子とを含む。前記二機能性分子は、CD122並びにCTLA-4リガンドであるCD80及びCD86に特異的に結合して免疫活性化におけるそれらの機能を阻害する。前記二機能性分子は、CD122と、そのリガンドIL-2及びIL-15との相互作用を阻害でき、CD80及びCD86とそれらの対抗受容体CD28との相互作用を阻害できる。これらの二機能性分子は、免疫障害の治療のための単一の治療薬として免疫応答のシグナル2及び3を抑制できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD122に結合してCD122とIL-2及びIL-15との相互作用を阻害する抗体を含む二機能性分子であって、前記抗体は、N末端又はC末端でCTLA-4の細胞外ドメインに結合される二機能性分子。
【請求項2】
前記抗体は、重鎖定常領域に結合した成熟重鎖可変領域を含む重鎖と、軽鎖定常領域に結合した成熟軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む、請求項1に記載の二機能性分子。
【請求項3】
前記抗体は、前記重鎖定常領域のC末端又は前記軽鎖定常領域のC末端を介して前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合される、請求項2に記載の二機能性分子。
【請求項4】
前記抗体は、前記成熟重鎖可変領域のN末端又は前記成熟軽鎖可変領域のN末端を介して前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合される、請求項2に記載の二機能性分子。
【請求項5】
前記抗体は、ポリペプチドリンカーを介して前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合される、請求項1から4のいずれか1項に記載の二機能性分子。
【請求項6】
前記ポリペプチドリンカーは、配列番号11、36又は50のアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の二機能性分子。
【請求項7】
2つのコピーの重鎖と、2つのコピーの軽鎖とを含むヘテロ二量体の形態である、請求項2から6のいずれか1項に記載の二機能性分子。
【請求項8】
前記抗体は、それぞれ配列番号17-19を含む3つの重鎖CDRと、それぞれ配列番号20-22を含む3つの軽鎖CDRを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の二機能性分子。
【請求項9】
前記抗体は、配列番号37を含む成熟重鎖可変領域と、配列番号40を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項8に記載の二機能性分子。
【請求項10】
前記重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号8と、配列番号9を含む軽鎖とを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の二機能性分子。
【請求項11】
前記成熟重鎖は、配列番号13又は16を含む鎖として前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号9を含む、請求項3に記載の二機能性分子。
【請求項12】
前記成熟軽鎖は、配列番号34を含む鎖として前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号8又は33を含む、請求項3に記載の二機能性分子。
【請求項13】
前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号39を含む鎖として前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号9を含む、請求項4に記載の二機能性分子。
【請求項14】
前記成熟軽鎖は、配列番号42を含む鎖として前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号8又は33を含む、請求項4に記載の二機能性分子。
【請求項15】
前記抗体は、それぞれ配列番号23-25を含む3つの重鎖CDRと、それぞれ配列番号26-28を含む3つの軽鎖CDRとを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の二機能性分子。
【請求項16】
前記抗体は、配列番号29を含む成熟重鎖可変領域と、配列番号30を含む成熟軽鎖可変領域とを含む、請求項15に記載の二機能性分子。
【請求項17】
前記抗体は、C末端リジンを省略可能な配列番号53を含む成熟重鎖と、配列番号54を含む成熟軽鎖とを含む、請求項15に記載の二機能性分子。
【請求項18】
前記成熟重鎖は、配列番号57を含む鎖として前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号54を含む、請求項3に記載の二機能性分子。
【請求項19】
前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号56を含む鎖として前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号54を含む、請求項4に記載の二機能性分子。
【請求項20】
前記抗体は、それぞれ配列番号59-61を含む3つの重鎖CDRと、それぞれ配列番号63-65を含む3つの軽鎖CDRとを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の二機能性分子。
【請求項21】
前記成熟重鎖可変領域は、配列番号58を含み、前記成熟軽鎖可変領域は、配列番号62を含む、請求項20に記載の二機能性分子。
【請求項22】
前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号66を含み、前記成熟軽鎖は、配列番号67を含む、請求項20に記載の二機能性分子。
【請求項23】
前記成熟重鎖は、配列番号71を含む鎖として前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号67を含む、請求項3に記載の二機能性分子。
【請求項24】
前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号70を含む鎖として前記CTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号67を含む、請求項4に記載の二機能性分子。
【請求項25】
前記抗体は、ヒトIgG1κアイソタイプを含む、請求項1から24のいずれか1項に記載の二機能性分子。
【請求項26】
前記重鎖定常領域は、エフェクター機能を低下させる1つ以上の変異を有する、請求項2から25のいずれか1項に記載の二機能性分子。
【請求項27】
前記変異は、L234A及びL235Aである、請求項26に記載の二機能性分子。
【請求項28】
前記細胞外ドメインは、ヒトCTLA-4のものである、請求項1に記載の二機能性分子。
【請求項29】
前記CTLA-4の細胞外ドメインは、配列番号10を含む、請求項1に記載の二機能性分子。
【請求項30】
前記CTLA-4の細胞外ドメインは、配列番号14を含む、請求項1に記載の二機能性分子。
【請求項31】
請求項1から30のいずれか1項に記載の二機能性分子と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項32】
免疫障害を有する対象を治療するための方法であって、有効なレジメンンの請求項1から30のいずれか1項に記載の二機能性分子を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項33】
前記免疫障害は、白斑、円形脱毛症、1型糖尿病、セリアック病、非アルコール性脂肪性肝炎、皮膚同種移植片拒絶反応、多発性硬化症、多発性筋炎、アレルギー性皮膚炎、原発性胆汁性肝硬変、ベーチェット病、潰瘍性大腸炎のいずれか1つである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記免疫障害は、移植片拒絶反応又は移植片対宿主病である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記免疫障害は、自己免疫疾患である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
ヒトCD122に対する抗体であって、前記抗体は、それぞれ配列番号59-61を含む3つの重鎖CDRと、それぞれ配列番号63-65を含む3つの軽鎖CDRとを含む、抗体。
【請求項37】
配列番号58を含む成熟重鎖可変領域と、配列番号62を含む成熟軽鎖可変領域とを含む、請求項36に記載の抗体。
【請求項38】
前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号66を含み、前記成熟軽鎖は、配列番号67を含む、請求項36に記載の抗体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本発明は、2021年3月16日に出願されたUS63/161,713の利益を主張し、全ての目的のためにその全体が参考として組み込まれる。
【配列表の参照】
【0002】
本出願は、2022年3月1日に作成され、118キロバイトの574245SEQLISTという名前のファイル内の配列表を含み、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
抗原特異的免疫応答は、多層な正及び負の制御因子によって制御される複雑な生物学的プロセスである。T細胞は、抗原提示細胞(APC)上の主要組織適合性複合体(MHC、ヒトタンパク質のHLAとも呼ばれる)分子によって提示される同族ペプチド抗原を認識することによりT細胞受容体(TCR)を介して最初に刺激される。T細胞活性化のためのTCRとMHC(又はHLA)間の最初の相互作用は、シグナル1と呼ばれる。最適なT細胞活性化は、CD28スーパーファミリーに属するCD28やICOSなどの共刺激分子によって提供される第2のシグナル(シグナル2)が必要とされる。免疫系はさらに、TNF受容体スーパーファミリーに属するCD40、OX40、GITR、CD27、HVEM、4-1BBなどの他の共刺激分子によって正に制御され、PD-1、TIGIT、TIM-3、LAG-3、BTLA、VISTA、CD96及びCD112Rなどのチェックポイント分子によって負に制御される。これらの共刺激分子とチェックポイント分子は、細胞の種類と発生段階に依存して発現し、体内の免疫応答を繊細に制御する。Pardoll, Nat. Rev. Cancer, 12:252-264, 2012; Mahoney et al., Nat. Rev. Drug Discov. 14:561-584, 2015; Shin et al., Curr. Opin. Immunol. 33:23-35, 2015; Marquez-Rodas et al. Ann. Transl. Med. 3:267, 2015; Mercier et al., Front. Immunol. 6:418, 2015; Topalian et al., Cancer Cell 27: 450-461, 2015; Baumeister et al., Annu. Rev. Immunol. 34:539-573, 2016; Ward-Kavanagh et al., Immunity 44:1005-1019, 2016; Torphy et al., Int. J. Mol. Sci. 18:2642, 2017をご参照されたい。
【0004】
CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4;CD152とも呼ばれる)は、免疫応答の負の制御因子である。CTLA-4は、APCの表面に発現するCD80(B7-1とも呼ばれる)及びCD86(B7-2とも呼ばれる)に結合し、CD80及びCD86とT細胞上に発現するCD28との相互作用を妨害し、CD28媒介性T細胞共刺激をブロックする。アバタセプトは、ヒトガンマ-1重鎖(CTLA4-Ig)のFc領域に融合したヒトCTLA-4の細胞外ドメインを含む組換えタンパク質である。アバタセプトは、成人関節リウマチ、若年性多関節特発性関節炎、成人乾癬性関節炎の治療薬として米国での販売が承認された。アバタセプトの後継であるベラタセプトもCTLA4-Ig融合タンパク質であり、CD80及びCD86への結合を強化するためにCTLA-4領域に2つのアミノ酸置換(1つは29位でのアラニン残基からチロシン残基への置換(A29Y)、もう1つは104位でのロイシン残基からグルタミン酸残基への置換(L104E))を有する(Larsen et al., Am. J. Transplant. 5:443-453, 2005; Oshima et al., Protein Eng. Des. Sel. 29:159-167, 2016)。ベラタセプトは、腎臓同種移植片拒絶反応の予防を目的として米国での販売が承認された。アバタセプトとベラタセプトのレビューについては、Moreland et al., Nat. Rev. Drug Disc. 5:185-186, 2006; Esensten et al., Immunity 44:973-988, 2016; Perez et al., Transplantation 102:1440-1452, 2008; Gallo et al., PLoS ONE 15:e0240335, 2020をご参照されたい。
【0005】
サイトカインやケモカインなどの様々な分泌タンパク質は、免疫細胞の特定のサブセットの活性化、分化、増殖、維持、抑制を促進することにより、免疫応答の制御にも関与する。T細胞に対するサイトカインの作用は、シグナル3と呼ばれることが多く、T細胞の活性化、分化、増殖に必要な第3のメカニズムである(Gutcher et al., J. Clin. Invest. 117:1119-1127, 2007; Curtsinger et al., Curr. Opin. Immunol. 22:333-340, 2010; Hurton et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 113:E7788-E7797, 2016)。
【0006】
インターロイキン-15(IL-15)は、ナチュラルキラー(NK)細胞とCD8+メモリーT細胞の活性化、増殖、維持に必要な炎症誘発性サイトカインである。IL-15は、主にAPCによって分泌され、同じ細胞又は近くの細胞の表面に発現するIL-15受容体αサブユニット(CD215とも呼ばれる)によって高親和性で捕捉される。次に、細胞表面のIL-15/CD215複合体は、別の細胞表面のCD122(IL-2及びIL-15受容体のβ鎖サブユニット)及びCD132(一般的なγチェーン)分子を含むIL-15受容体に提示され、細胞機能(IL-15のトランス提示)を誘導するための細胞内シグナル伝達を引き起こす。Waldmann et al., Annu. Rev. Immunol. 17:19-49, 1999; Stonier et al., Immunol. Lett. 127:85-92, 2010; Anthony et al., Research and Reports in Biology, 6:25-37, 2015; Fehniger, J. Immunol. 202:3125-3126, 2019; Yang et al., Cancers 12:3586, 2020をご参照されたい。
【0007】
最近の研究では、様々な自己免疫疾患が自己反応するCD8+メモリーT細胞によって引き起こされ、その一部は組織内に存在することが示されている(組織常在性メモリーT細胞;Topham et al., Front. Immunol. 9: Article 515, 2018)。IL-15とCD122(IL-15受容体)の間の相互作用をブロックする抗CD122モノクローナル抗体は、白斑(Richmond et al., Sci. Trans. Med. 10:eaam7710, 2018)、円形脱毛症(Xing et al., Nat. Med. 20:1043-1049, 2014)、1型糖尿病(Chen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 110:13534-13539, 2013; Yuan et al. JCI Insight 3:e96600, 2018)、セリアック病(Yokoyama et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 106:15849-15854, 2009)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)(Dudek et al., Nature 592: 444-449, 2021)及び皮膚同種移植片拒絶反応(Mathews et al., J. Clin. Invest. 128:4557-4572, 2018)のマウスモデルにおいて治療効果があることが報告されている。CD8+メモリーT細胞の役割は、多発性硬化症(Fransen et al., Brain 143:1714-1730, 2020)、多発性筋炎(Kamiya et al., Rheumatol. 59:224-232, 2020)、アレルギー性皮膚炎(Gadsboll et al., J. Invest. Dermatol. 140:806-815, 2020)、原発性胆汁性肝硬変(Yang et al., J. Immunol. 186:1259-1267, 2011)、ベーチェット病(Yu et al., Clin. Exp. Immunol. 137:437-443, 2004)、及び潰瘍性大腸炎(Nemeth et al., Cureus 9:e1177, 2017; Boland et al., Sci. Immunol. 5:eabb4432, 2020)の発症にも関与する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、CD122と結合してCD122とIL-2及びIL-15との相互作用を阻害するとともに、N末端又はC末端でCTLA-4の細胞外ドメインに結合する抗体を含む二機能性分子を提供する。
【0009】
任意に、前記抗体は、C末端でCTLA-4の細胞外ドメインに結合する重鎖定常領域に結合した成熟重鎖可変領域を含む重鎖と、軽鎖定常領域に結合した成熟軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む。任意に、前記抗体は、重鎖定常領域のC末端又は軽鎖定常領域のC末端を介してCTLA-4の細胞外ドメインに結合する。任意に、前記抗体は、成熟重鎖可変領域のN末端又は成熟軽鎖可変領域のN末端を介してCTLA-4の細胞外ドメインに結合される。任意に、前記重鎖又は軽鎖は、ポリペプチドリンカーを介してCTLA-4の細胞外ドメインに結合される。任意に、前記ポリペプチドリンカーは、配列番号11、36又は50のアミノ酸配列を含む。任意に、前記二機能性分子は、重鎖の2つのコピー及び軽鎖の2つのコピーを含むヘテロ二量体の形態である。任意に、前記抗体は、それぞれ配列番号17-19を有する3つの重鎖CDR及びそれぞれ配列番号20-22を有する3つの軽鎖CDRを含む。任意に、前記抗体は、配列番号37を有する成熟重鎖可変領域及び配列番号40を有する軽鎖可変領域を含む。任意に、前記重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号8を含み、前記軽鎖は、配列番号9を含む。任意に、前記成熟重鎖は、配列番号13又は16を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、成熟軽鎖は、配列番号9を含む。任意に、前記成熟軽鎖は、配列番号34を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号8又は33を含む。任意に、前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号39を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号9を含む。任意に、前記成熟軽鎖は、配列番号42を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号8又は33を含む。
【0010】
任意に、前記抗体は、それぞれ配列番号23-25を有する3つの重鎖CDR及びそれぞれ配列番号26-28を有する3つの軽鎖CDRを含む。任意に、前記抗体は、配列番号29を有する成熟重鎖可変領域及び配列番号30を有する成熟軽鎖可変領域を含む。任意に、前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号53を含み、前記成熟軽鎖は、配列番号54を含む。任意に、前記成熟重鎖は、配列番号57を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号54を含む。任意に、前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号56を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号54を含む。
【0011】
任意に、前記抗体は、それぞれ配列番号59-61を有する3つの重鎖CDR及びそれぞれ配列番号63-65を有する3つの軽鎖CDRを含む。任意に、前記成熟重鎖可変領域は、配列番号58を含み、前記成熟軽鎖可変領域は、配列番号62を含む。任意に、前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号66を含み、前記成熟軽鎖は、配列番号67を含む。任意に、前記成熟重鎖は、配列番号71を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号67を含む。任意に、前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号70を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、前記成熟軽鎖は、配列番号67を含む。
【0012】
任意に、前記抗体は、ヒトIgG1κアイソタイプを有する。任意に、前記重鎖定常領域は、エフェクター機能を低下させる1つ以上の変異を有する。任意に、前記変異は、L234A及びL235Aである。任意に、前記細胞外ドメインは、ヒトCTLA-4の細胞外ドメインである。任意に、前記CTLA-4の細胞外ドメインは、配列番号10を含む。任意に、前記CTLA-4の細胞外ドメインは、配列番号14を含む。
【0013】
本発明は、上述したいずれかの二機能性分子と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0014】
本発明は、有効なレジメンの上述したいずれかの二機能性分子を対象に投与することを含む、免疫障害を有する対象を治療するための方法をさらに提供する。任意に、前記免疫障害は、白斑、円形脱毛症、1型糖尿病、セリアック病、非アルコール性脂肪性肝炎、皮膚同種移植片拒絶反応、多発性硬化症、多発性筋炎、アレルギー性皮膚炎、原発性胆汁性肝硬変、ベーチェット病、及び潰瘍性大腸炎のいずれかである。任意に、前記免疫障害は、移植片拒絶反応又は移植片対宿主病である。任意に、前記免疫障害は、自己免疫疾患である。
【0015】
本発明は、ヒトCD122に対する抗体をさらに提供する。前記抗体は、それぞれ配列番号59-61を有する3つの重鎖CDR及びそれぞれ配列番号63-65を有する3つの軽鎖CDRを含む。任意に、前記抗体は、配列番号58を有する成熟重鎖可変領域及び配列番号62を有する成熟軽鎖可変領域を含む。任意に、前記成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号66を含み、前記成熟軽鎖は、配列番号67を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1A、Bは、発現ベクターpHuABC2p(A)並びにpHC624及びpHC625(B)の概略構造を示す。
【0017】
【
図2】二機能性分子HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEの概略構造を示す。
【0018】
【
図3】CD122へのHuABC2、HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEの結合を示す。二重分析の平均吸光度レベルが標準偏差バーで示される。
【0019】
【
図4】CD80へのHuABC2、HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEの結合を示す。二重分析の平均吸光度レベルが標準偏差バーで示される。
【0020】
【
図5】CD86へのHuABC2、HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEの結合を示す。二重分析の平均吸光度レベルが標準偏差バーで示される。
【0021】
【
図6】
図6A、B、Cは、発現ベクターpHC623(A)、pHC640(B)、及びpHC641(C)の概略構造を示す。
【0022】
【
図7】
図7A、B、Cは、二機能性分子HuABC2-Ck-CTLA4YE(A)、HuABC2-CTLA4YE-VH(B)及びHuABC2-CTLA4YE-Vk(C)の概略構造を示す。
【0023】
【
図8】
図8A、B、Cは、発現ベクターpFCm553(A)、pFCm554(B)、及びpFCm148(C)の概略構造を示す。
【0024】
【
図9】
図9A、B、Cは、CHO-K1/CD80細胞(A)、CHO-K1/CD86細胞(B)、及びRamos細胞(C)への二機能性分子の結合のフローサイトメトリー分析を示す。
【0025】
【
図10】NS0/CD122細胞への二機能性分子の結合のフローサイトメトリー分析を示す。
【0026】
【
図11】混合リンパ球反応におけるヒトT細胞の増殖を示す。
【0027】
【
図12】混合リンパ球反応におけるIFN-γの発現を示す。
【0028】
【
図13】
図13A、Bは、CHO-K1/CD80細胞(A)及びCHO-K1/CD86細胞(B)への二機能性分子の結合のフローサイトメトリー分析を示す。 定義
【0029】
二機能性分子又は他の生物学的実体は、通常、単離された形態で提供される。これは、生物学的実体が通常、少なくとも50%w/wのその生産又は精製から生じる純粋な干渉タンパク質及び他の汚染物質であることを意味するが、この実体が、その使用を容易にすることを目的とした過剰の薬学的に許容される担体又は他のビヒクルと組み合わされる可能性を排除するものではない。場合によっては、実体は、少なくとも60、70、80、90、95又は99%w/wの生産又は精製からの純粋な干渉タンパク質及び汚染物質である場合がある。多くの場合、単離された実体は、精製後に残る主要な高分子種である。
【0030】
CD122、CD80、又はCD86などの標的タンパク質への二機能性分子の特異的結合は、少なくとも106、107、108、109、又は1010M-1の親和性を意味する。特異的結合は、検出可能な程度に大きく、少なくとも1つの無関係な標的に発生する非特異的結合と区別できる。特異的結合は、特定の官能基間の結合形成又は特定の空間的フィット(例えば、ロックとキーのタイプ)の結果である可能性があるのに対し、非特異的結合は通常、ファンデルワールス力の結果である。しかし、特異的結合は、分子が1つだけの標的に結合することを必ずしも意味するわけではない。二機能性分子は、複数の標的に結合する。
【0031】
基本的な抗体の構造単位は、サブユニットのテトラマーである。各テトラマーは、2つの同一のポリペプチド鎖のペアを含み、各ペアは、1つの「軽」(約25kDa)及び1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分には、主に抗原認識に関わる約100~110個以上のアミノ酸を含む可変領域が含まれている。この可変領域は、最初は切断可能なシグナルペプチドと結合して発現する。シグナルペプチドを含まない可変領域は、成熟可変領域と呼ばれることもある。従って、例えば、軽鎖成熟可変領域とは、軽鎖シグナルペプチドを含まない軽鎖可変領域を意味する。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域を定義する。
【0032】
軽鎖は、カッパ又はラムダに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロンに分類され、それぞれ抗体のアイソタイプをIgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEとして定義する。軽鎖と重鎖では、可変領域と定常領域が約12個以上のアミノ酸を含む「J」領域で結合しており、重鎖には約10個以上のアミノ酸を含む「D」領域が含まれている(典型的にはFundamental Immunology (Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y., 1989), Ch. 7を参照)(全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる)。
【0033】
各軽/重鎖ペアの成熟可変領域は、抗体結合部位を形成する。従って、インタクト抗体は、2つの結合部位を有する。天然の抗体では、結合部位は同じである。可変領域はすべて、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)に、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる3つの超可変領域が結合した、同じ典型的な構造を示す。各ペアの2本の鎖からのCDRは、フレームワーク領域によって整列され、特定のエピトープへの結合を可能にする。N-末端からC-末端にかけて、軽鎖、重鎖可変領域ともにドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987 and 1991)、又はChothia & Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987); Chothia et al., Nature 342:878-883 (1989)の定義に従う。また、Kabatは、異なる重鎖間又は異なる軽鎖間の対応する残基に同じ番号を割り当てる、広く使用されている番号付け規則(Kabatナンバリング)を提供する。
【0034】
用語「抗体」には、完全な抗体及びその結合断片が含まれる。典型的には、断片は、別個の重鎖、軽鎖Fab、Fab'、F(ab')2、F(ab)c、Dab、ナノボディ、及びFvを含む標的への特異的結合に関して、断片が由来するインタクトな抗体と競合する。断片は、組換えDNA技術によって、又は完全な免疫グロブリンの酵素的若しくは化学的分離によって生成することができる。
【0035】
用語「エピトープ」は、抗体又は二機能性分子が結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、連続したアミノ酸又は1つ以上の蛋白質の三次元フォールディングによって並置された非連続のアミノ酸から形成され得る。連続したアミノ酸から形成されたエピトープ(線状エピトープとも呼ばれる)は、典型的には変性溶媒にさらされても保持されるのに対し、三次元フォールディングによって形成されたエピトープ(コンフォメーショナルエピトープとも呼ばれる)は、典型的には変性溶媒で処理されると失われる。エピトープは、典型的には、少なくとも3個、より一般的には、少なくとも5個又は8~10個のアミノ酸を含み、独特の空間的コンフォメーションを有している。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法としては、例えば、X線結晶構造解析や2次元核磁気共鳴などを含む。例えば、Epitope Mapping Protocols, in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Glenn E. Morris, Ed. (1996)をご参照されたい。
【0036】
同じ又は重複するエピトープを認識する抗体は、ある抗体が別の抗体の標的抗原への結合と競合する能力を示す単純なイムノアッセイで識別できる。また、抗体のエピトープは、抗原と結合した抗体のX線結晶構造解析により、接触残基を特定することでも定義できる。また、一方の抗体の結合を減少又は排除する抗原の全てのアミノ酸変異が他方の結合を減少又は排除する場合、2つの抗体は同じエピトープを持つ。一方の抗体の結合を減少又は排除するいくつかのアミノ酸変異が他方の結合を減少又は排除する場合、2つの抗体は重複するエピトープを有する。
【0037】
抗体間の競合は、試験下の抗体が参照抗体の共通抗原への特異的結合を阻害するアッセイによって決定される(例えば、Junghans et al., Cancer Res. 50:1495, 1990を参照)。過剰な試験抗体(例えば、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍又は100倍)が、競合結合アッセイで測定されるように、参照抗体の結合を少なくとも50%、好ましくは75%、90%又は99%阻害する場合、試験抗体は参照抗体と競合する。競合アッセイによって同定された抗体(競合抗体)には、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、及び立体障害が生じるために参照抗体によって結合されるエピトープに十分に近接した隣接エピトープに結合する抗体を含む。
【0038】
「対象」という用語は、予防的又は治療的な治療を受けるヒト及び他の哺乳類の対象を含む。文脈から明らかでない限り、そのような治療法を試験するために使用される動物モデルも含まれる。
【0039】
アミノ酸の置換を保存的又は非保存的に分類する目的で、アミノ酸は以下のようにグループ化される。グループI(疎水性側鎖):met, ala, val, leu, ile、グループII(中性親水性側鎖):cys, ser, thr、グループIII(酸性側鎖):asp, gluグループIV(塩基性側鎖):asn, gln, his, lys, argグループV(鎖の配向に影響を与える残基):gly, pro、及びグループVI(芳香族側鎖):trp, tyr, phe。保存的置換は、同じクラスのアミノ酸同士を置換することである。非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することである。
【0040】
配列同一性のパーセンテージは、Kabatナンバリング規則に従って最大限にアラインメントされた抗体配列を使用して決定される。アラインメント後、対象抗体領域(例えば、重鎖又は軽鎖の全成熟可変領域)を参照抗体の同じ領域と比較する場合、対象抗体領域と参照抗体領域間の配列同一性百分率は、対象抗体領域と参照抗体領域の両方において同じアミノ酸が占有する位置の数を、ギャップを考慮せずに、これらの2領域のアライメントした位置の総数で割り、100を掛けて百分率に変換したものである。非抗体配列について、配列同一性は、Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.のBESTFIT、FASTA、TFASTAなどのアルゴリズムを用いて、デフォルトのギャップパラメータを使用して、又は検査によって配列を整列させ、最良のアライメント(即ち、比較ウィンドウ上で最も高い配列類似性の割合をもたらす)を得ることによって決定できる。配列同一性の割合は、最適にアラインメントされた2つの配列を比較ウィンドウで比較し、両配列において同一の残基が出現する位置の数を決定して一致位置の数を求め、一致位置の数を比較ウィンドウのギャップを考慮しない一致位置及び不一致位置の総数(即ち、ウィンドウサイズ)で除算し、その結果に100を乗じて配列同一性の割合を算出する。特に明記しない限り、2つの配列間の比較のウィンドウは、(a)比較される2つの配列の短い方の全長;又は(b)少なくとも25個の連続したヌクレオチド;の長い方によって定義される。
【0041】
値が基準値の指定された係数内にあると特徴づけられる場合、明細書は、係数内の基準値よりも高い値又は低い値を交互に開示するものとして理解されるべきである。
【0042】
1つ以上の列挙された要素を「含む」組成物又は方法は、特に列挙されていない他の要素を含み得る。例えば、二官能性分子を含む組成物は、二官能性分子を単独で、又は他の成分と組み合わせて含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0043】
I. 全般的な事項
【0044】
本発明は、CD122及びCTLA-4の細胞外ドメインに特異的に結合する抗体を含む二機能性分子を提供する。前記二機能性分子は、CD122及びCTLA-4リガンドであるCD80及びCD86に特異的に結合してそれらの免疫活性化における機能を阻害する。前記二機能性分子は、CD122とそのリガンドIL-2及びIL-15との相互作用を阻害し、CD80及びCD86とそれらの対抗受容体CD28との相互作用を阻害することができる。これらの二機能性分子は、免疫障害を治療するための単一治療薬として免疫応答のシグナル2及び3を抑制することができる。
【0045】
二機能性分子に含める例示的な抗CD122抗体は、CD122に結合してCD122とIL-2及びIL-15との相互作用をブロックするヒト化抗CD122 IgG1/κモノクローナル抗体であるHuABC2及びHuABC101である(US9,028,830)。二機能性分子に含める別の例示的な抗CD122抗体は、CD122に結合してCD122とIL-2及びIL-15との相互作用をブロックするヒト化抗CD122 IgG1/κモノクローナル抗体であるHuABC77である。HuABC77のCDRは、重鎖について配列番号59-61、軽鎖について配列番号63-65である。HuABC2は、免疫系におけるシグナル3ブロッカーと見なすことができ、NK細胞及びCD8+メモリーT細胞のサプレッサーとして機能する。HuABC2は、非ヒト霊長類における腎同種移植片拒絶反応の予防に治療効果があった(Landolfi et al., Abstract No. 185, American Transplant Congress, 2013; Mathews et al. supra)。
II. CD122及びそれに対する抗体
【0046】
特に明記しない限り、CD122はヒトCD122を意味する。例示的なヒトCD122配列には、Swiss Protアクセッション番号P14784が割り当てられている。シグナルペプチドを含まないヒトCD122の成熟配列は、配列番号31に示される。その既知の天然対立遺伝子バリアントには、10L→V:dbSNP rs57770674、83S→F:dbSNP rs2228143、及び391D→E:dbSNP rs228942が含まれる。完全なヒトCD122配列は551個のアミノ酸を有し、そのうちのアミノ酸1~26はシグナルペプチドである。およそ残基27~240が細胞外ドメインを構成する。およそ残基241~265は膜貫通ドメインを構成し、およそ残基266~551は細胞質ドメインを構成する。本発明に使用される抗体及び二機能性分子は、CD122の細胞外ドメイン内のエピトープに結合する。
【0047】
CD122は、CD132、CD25、及び/又はIL-15Rα(CD215とも呼ばれる)と組み合わせて受容体を構成する。簡単に言えば、CD122とCD132の組み合わせは、IL-2とIL-15に対して中程度の親和性を有する受容体を構成する。CD122、CD132及びCD25の組み合わせは、IL-2に対して高親和性を有する受容体を構成する。CD122、CD132及びIL-15Rαの組み合わせは、IL-15に対して高い親和性を有する受容体を構成する。
【0048】
特に明記しない限り、CD132、CD25、及び/又はIL-15Rαは、これらのタンパク質のヒト型を指す。例示的なヒトCD132のヒト配列は、Swiss Prot P31785と指定されている。それは、369アミノ酸からなるタンパク質であり、そのおよそ残基1~22がシグナルペプチド、23~262が細胞外ドメイン、263~283が膜貫通ドメイン、284~369が細胞質ドメインである。
【0049】
例示的なCD25のヒト配列は、Swiss Prot P01589としてされている。それは、272残基のアミノ酸配列であり、そのおよそ残基1~21がシグナルペプチド、残基22~240が細胞外ドメイン、残基241~259が膜貫通領域、残基260~272が細胞質ドメインである。
【0050】
例示的なIL-15Rαのヒト配列は、Swiss Prot Q13261と指定されている。それは267残基のタンパク質であり、そのうちおよそ1~30がシグナルペプチド、31~205が細胞外ドメイン、206~228が膜貫通領域、229~267が細胞質ドメインである。
【0051】
文脈から特に明らかでない限り、上記の受容体の1つへの言及は、少なくともタンパク質の細胞外ドメインを意味し、通常は切断可能なシグナルペプチド以外の完全なタンパク質を意味する。
【0052】
上記の受容体はIL-2及び/又はIL-15に結合し、後者はシス又はトランスで存在する可能性がある。文脈から特に明らかでない限り、これらの分子はこれらのタンパク質のヒト型を指す。例示的なヒトIL-2の配列は、Swiss Prot P60568と指定されている。それは153アミノ酸のタンパク質配列であり、そのうちのアミノ酸1~20がシグナルペプチドである。例示的なヒトIL-15の配列は、Swiss Prot P40933と指定されている。それは162アミノ酸からなるタンパク質であり、そのうちのアミノ酸1~29がシグナルペプチドである。文脈から他のことが明らかでない限り、IL-2又はIL-15への言及は、シグナル配列が除去された成熟タンパク質を意味する。
【0053】
本発明は、CD122タンパク質内のエピトープに結合するモノクローナル抗体を使用する。ABC2及びABC101と指定されている抗体は、そのような2つの例示的なマウス抗体である。ABC2及びABC101は、両方ともヒトCD122に特異的に結合する。ABC2及びABC101はさらに、カニクイザルCD122に特異的に結合すること、並びにマウス及びイヌCD122に有意に結合しないことを特徴とする。CD122への結合は、CD122単独及び/又は上述したCD122を組み込んだ受容体のいずれかへの結合によって証明することができる。このようなモノクローナル抗体は、単剤として、CD122を組み込んだ受容体がIL-2及びIL-15の両方に結合し、それらに応答して細胞増殖のシグナル伝達を行うのを実質的に阻害する能力を有することを特徴とする。
【0054】
好ましい抗体及びそのような抗体を組み込んだ二機能性分子は、CD122を組み込んだ低親和性受容体及び高親和性受容体の両方のIL-2及びIL-15への結合を阻害し、シス及びトランスの両方でIL-15結合を阻害することができる。
【0055】
阻害は、試験される抗体又は抗体を組み込んだ二機能性分子の存在下で、CD122を組み込んだ受容体が細胞上で発現し、IL-2又はIL-15に結合する結合アッセイによって証明することができる。また、阻害は、IL-2又はIL-15の存在下で適切な細胞上でCD122を組み込んだ受容体を発現させ、IL-2又はIL-15が媒介する細胞増殖に対するモノクローナル抗体又は抗体を組み込んだ二機能性分子の効果を評価することによって証明することができる。IL-15の阻害は、このようなフォーマットでシス又はトランスで試験することができる。阻害を示すための例示的なアッセイフォーマットは、米国特許第9,028,830号に記載されている。任意に、試験抗体又は二機能性分子の阻害は、CD122若しくはその受容体共成分、IL-2及びIL-15、又は抗体を欠くビヒクルに結合しない無関係な対照抗体と比較して実証することができる。
【0056】
実質的な阻害とは、IL-2又はIL-15によって媒介される結合、細胞増殖及び/又は他の機能活性の少なくとも25、30、40、50、又は75%(例えば、25~75%又は30~70%)の阻害を意味する。阻害は、通常、抗体又は二機能性分子が、IL-2又はIL-15リガンドに対して100倍モル過剰以下(例えば、2~50、2~10、又は2~5倍モル過剰)である場合に実証される。機能アッセイでは、IL-2又はIL-15は通常、試験対象の抗体又は二機能性分子の非存在下で完全な機能活性を刺激するのに必要な最小限のレベルで存在する。抗体又は二機能性分子は通常、50nMと5μMの間の濃度で存在する。好ましい抗体又は二機能性分子は、IL-2では低親和性又は高親和性受容体(又は両方)との相互作用の少なくとも40%の阻害を示し、シス及びトランスで存在するIL-15では、少なくとも40%の阻害を示す。阻害の程度は、米国特許第9,028,830号の実施例2及び8に記載されているように、TF-1β細胞へのIL-15のトランス提示によって媒介される増殖の50%阻害に必要な抗体又は二機能性分子の濃度(IC50)によって定量することもできる。抗体又は二官能性分子の濃度は2μg/ml未満、好ましくは1μg/ml未満、例えば約0.1~1又は0.5~1μg/mlである。さらに、米国特許第9,028,830号の実施例8に記載されているような、高親和性IL-2受容体を有する細胞に対するIL-2媒介TF-1αβ増殖の50%阻害に必要な抗体又は二機能性分子の濃度は、好ましくは100又は50μg/ml未満、例えば、10-50μg/mlである。
【0057】
これらの結果から明らかなように、本発明の抗体又は二機能性分子のIC50は、阻害される相互作用の性質に依存する。高親和性IL-2受容体を有する細胞では、抗CD122抗体又は二機能性分子は、IL-15のトランス提示を阻害するよりも、IL-2を阻害する方がはるかに困難である(即ち、より高濃度の同じ抗体又は二機能性分子が必要となる)。中程度の親和性IL-2受容体のみを有する細胞では、可溶性IL-2又はIL-15を阻害するよりも、IL-15トランス提示を阻害する方が困難である(即ち、より高濃度の同じ抗体又は二機能性分子が必要となる)。
【0058】
いくつかの抗体は、ABC2又はABC101と呼ばれる抗体と同じ又は重複するエピトープに結合する。ABC2及びそのヒト化バージョンは、CD122に結合し、CD122とIL-2及びIL-15との相互作用をブロックするモノクローナル抗体であり、NK細胞及びCD8+メモリーT細胞の免疫抑制因子として機能する。したがって、ABC2とそのヒト化バージョンは、免疫系におけるシグナル3ブロッカーとみなすことができる。
【0059】
ABC2の重鎖及び軽鎖CDRの配列は配列番号17~19に示され、Kabatによって定義された軽鎖CDRは配列番号20~22に示される。Kabatによって定義されたABC101の重鎖CDR及び軽鎖CDRは、それぞれ配列番号23~25及び26~28に示される。マウス及びヒト化バージョンの完全な配列は、米国特許第9,028,830号に提供されている。このような結合特異性を有する他の抗体は、CD122又は所望のエピトープを含むその一部でマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は他の動物種を免疫し、得られた抗体をCD122への結合(場合によりABC2又はABC101と競合する)についてスクリーニングすることによって産生することができる。次いで、このようなアッセイによって同定された抗体は、実施例に記載されるように、又は他の方法によってIL-2及びIL-15相互作用の両方を阻害する能力についてスクリーニングすることができる。CD122抗原の変異型に対して抗体をスクリーニングして、変異変化の集合に対してABC2又はABC101と同じ又は類似の結合プロファイルを示す抗体を同定することもできる。変異は、CD122抗体の細胞外ドメイン全体、又はエピトープが存在することが知られているセクションを通じて、一度に1残基ずつ、又はより広い間隔での、アラニン(又はアラニンがすでに存在する場合、セリン)による体系的な置換であり得る。
【0060】
CD122の残基42、43、及び65での変異は、ABC2のCD122への特異的結合を阻害する(例えば、米国特許第9,028,830号の実施例に記載されているような陽性対照抗FLAG抗体の<10%の結合)。同様に、配列番号31の残基65、70及び133での変異は、ABC101のCD122への特異的結合を阻害する。結合に影響を与える残基が比較的少なく、残基の間隔が典型的な線状エピトープ(たとえば、3~20個の連続したアミノ酸)よりも広いため、これらの結果は、ABC101及びおそらくABC2が立体構造エピトープに結合することを示している。また、結合に影響を与える残基の1つ又は複数は、抗体と直接接触することなくアロステリックに影響を与える可能性がある。アラニンではなくスレオニンによる残基65の変異導入が結合を阻害するという観察は、この残基がアロステリックに結合に影響を与える可能性があることを示唆している。CD122の残基42、43、65、70、及び133のうちの1つ又は複数を含むエピトープ、特に残基42、65、及び133の1つ又は複数を含むエピトープに結合する他の抗体は、ABC2及びABC101と有用な阻害特性を共有する可能性が高い。したがって、CD122の1つ又は複数の残基42、43及び65、特に残基42及び65の変異導入によって特異的結合が阻害される抗体は、ABC2と同様の特性を共有する可能性が高い。いくつかのこのような抗体は、CD122の残基42、43及び/若しくは65を含むか又はそれらからなるエピトープに結合する。いくつかのそのような抗体は、残基42及び43を含むか又はそれらからなり、残基65が抗体の結合にアロステリックに影響を与えるエピトープに結合する。エピトープは、特定のアミノ酸(42、43及び65)の1、2若しくは3つすべてを含むか又はそれらからなるエピトープ(例えば、2-5、3-5、3-10、3-15、3-20、5-10、5-15又は5-20個の連続したアミノ酸)のように線状であってもよく、或いは特定のアミノ酸の1、2若しくは3つすべてを含むか又はそれらからなる立体構造であってもよい。CD122の残基65、70及び133の1、2又は3つすべてでの変異導入によって特異的結合が阻害される抗体は、ABC101と同様の阻害特性を示す可能性がある。いくつかのこのような抗体は、CD122の残基65及び/若しくは133を含むか又はそれらからなるエピトープに結合する。このようなエピトープは、特定のアミノ酸(65、70及び133)の1、2若しくは3つすべてを含むか、又はそれらからなるエピトープ(例えば、2-5、3-5、3-10、3-15、3-20、5-10、5-15又は5-20個の連続したアミノ酸)のような直線状であってもよく、或いは特定のアミノ酸の1、2若しくは3つすべてを含むか又はそれらからなる立体構造であってもよい。本発明のいくつかの抗体は、配列番号31の残基39又は41でのアラニンによる置換によって実質的に阻害されることなく(例えば、米国特許第9,028,830号の実施例に記載されるように、陽性対照抗体の少なくとも50%に結合する)、CD122に特異的に結合する。上記の抗体タイプのいずれにも、CD122の残基39又は41を含まないエピトープに特異的に結合する抗体が含まれ、言い換えれば、これらの抗体のCD122への結合は、これらの残基の置換によって検出可能に阻害されない(実施例に記載のように、陽性対照抗FLAG抗体の50%を超えて結合する)。
【0061】
1つ又は複数の特定の残基を含むエピトープに結合する抗体は、これらの1つ又は複数の残基を含むCD122の断片で免疫することによって生成することができる。この断片は、例えば、CD122からの100、50、25、10又は5個以下の連続したアミノ酸を有し得る。このような断片には通常、配列番号31の少なくとも5、6、7、8又は9個の連続した残基がある。この断片は、断片に対する抗体応答を誘導するのに役立つ担体に結合することができ、及び/又はこのような応答を誘導するのに役立つアジュバントと組み合わせることができる。また、所望の残基に結合する抗体は、フィブロネクチンIIIドメイン1及び/又は2の完全長CD122(シグナル配列以外)又は完全長細胞外ドメイン(シグナル配列以外)で免疫することによって得ることができる。次いで、このような抗体を、特定の残基の変異体と比較したヒト及びマウスのCD122のハイブリッドに対する異なる結合、又は野生型CD122に対する異なる結合についてスクリーニングすることができる。ヒトとマウスのCD122のハイブリッドに対するスクリーニングは、フィブロネクチンIIIドメイン1及び/又は2などのCD122内の特定のドメインに結合する抗体をマッピングする。変異体に対するスクリーニングは、結合特異性をより正確に定義し、結合が残基43、43、65、70及び/又は133の変異導入によって阻害されるとともに例示された抗体の阻害剤特性を共有する可能性がある抗体の同定を可能にする。
【0062】
選択されたネズミ抗体(例えば、ABC2又はABC101)の結合特異性を有する抗体はまた、ファージディスプレイ法の変形型を用いて生産できる。Winter, WO 92/20791を参照。この方法は、ヒト抗体を生産するのに特に適している。この方法では、選択されたネズミ抗体の重鎖又は軽鎖可変領域のいずれかが出発材料として使用される。例えば、軽鎖可変領域を出発物質として選択した場合、ファージライブラリーは、メンバーが同じ軽鎖可変領域(即ち、ネズミ出発物質)及び異なる重鎖可変領域を提示するように構成されている。重鎖可変領域は、例えば、再配列ヒト重鎖可変領域のライブラリーから得ることができる。CD122に強い特異的結合を示すファージ(例えば、少なくとも108及び好ましくは少なくとも109M-1)が選択される。その後、このファージ由来の重鎖可変領域は、さらなるファージライブラリーを構築するための出発物質として役立つ。このライブラリーでは、各ファージは、同じ重鎖可変領域(即ち、第1のディスプレイライブラリーから特定された領域)及び異なる軽鎖可変領域を提示する。軽鎖可変領域は、例えば、再配列ヒト可変軽鎖領域のライブラリーから取得できる。ここでも、CD122に対して強力な特異的結合を示すファージが選択される。得られた抗体は、典型的には、ネズミ出発物質と同一又は類似のエピトープ特異性を有する。
【0063】
他の抗体は、ABC2又はABC101及びそれらのヒト化形態などの例示的な抗体の重鎖及び軽鎖をコードするcDNAの変異導入によって取得できる。成熟重鎖及び/又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列においてABC2又はABC101及びそれらのヒト化形態と少なくとも90%、95%又は99%同一であり、その機能特性を保持するモノクローナル抗体、及び/又は少数の機能的に重要でないアミノ酸置換(例えば、保存的置換)、欠失、若しくは挿入によってそれぞれの抗体とは異なるモノクローナル抗体も本発明に含まれる。Kabatによって定義されるような、ABC2又はABC101の対応するCDRと90%、95%、99%又は100%同一であるKabatの定義による少なくとも1つ、好ましくは全6つのCDRを有するモノクローナル抗体も含まれる。
【0064】
その他の非ヒトモノクローナル抗体、例えば、ネズミ、モルモット、霊長類、ウサギ又はラットのCD122に対する抗体の生産は、例えば、動物をCD122又はその断片又はCD122を保有する細胞(任意に、上記で述べた共受容体タンパク質と同時発現)で免役することによって実現できる。Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (CSHP NY, 1988)(全ての目的のために参照により組み込まれる)を参照。このような免疫原は、ペプチド合成又は組換え発現によって、天然源から取得できる。任意に、キャリア蛋白質と融合又は別複合化して投与できる。任意に、免疫原はアジュバントと共に投与できる。アジュバントのいくつかの種類は、以下に記載されるように使用できる。完全フロイントアジュバントと、それに続く不完全アジュバントは、実験動物の免疫化に好ましい。ウサギ又はモルモットが典型的には、ポリクローナル抗体を作製するために使用される。マウスは、典型的には、モノクローナル抗体を作製するために使用される。抗体は、CD122への特異的結合により、スクリーニングされる。抗体は、CD122の特定の領域への結合のためにさらにスクリーニングされる。このようなスクリーニングは、CD122の欠失変異体のコレクションへの抗体の結合を測定し、どの欠失変異体が抗体に結合するかを測定することによって達成できる。結合は、例えば、ウェスタンブロット、FACS又はELISAにより評価できる。
【0065】
ヒト化抗体は、非ヒト「ドナー」抗体からのCDRがヒト「アクセプター」抗体配列に移植されている、遺伝子操作された抗体である(例えば、Queen, US 5,530,101 and 5,585,089; Winter, US 5,225,539; Carter, US 6,407,213; Adair, US 5,859,205; Foote, US 6,881,557を参照)。アクセプター抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、そのような配列の複合体、ヒト抗体配列のコンセンサス配列、又は、生殖細胞系領域配列であってもよい。従って、ヒト化抗体は、完全に又は実質的にドナー抗体に由来するCDRのいくつか又は全て、並びに、完全に又は実質的にヒト抗体配列に由来する、定常領域(存在する場合)及び可変領域フレームワーク配列を有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、完全に又は実質的にドナー抗体重鎖に由来する、少なくとも1つ、2つ、通常は3つ全てのCDR、並びに、実質的にヒト重鎖可変領域フレームワーク配列及び定常領域配列に由来する、重鎖定常領域(存在する場合)及び重鎖可変領域フレームワーク配列を有する。同様に、ヒト化軽鎖は、完全に又は実質的にドナー抗体軽鎖に由来する、少なくとも1つ、2つ、通常は3つ全てのCDR、並びに、実質的にヒト軽鎖可変領域フレームワーク配列及び定常領域配列に由来する、軽鎖定常領域(存在する場合)及び軽鎖可変領域フレームワーク配列を有する。ナノボディ及びdAbsを除き、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖及びヒト化軽鎖を含む。ヒト化抗体におけるCDRは、対応するCDR間で、対応残基(Kabatの規定による)の少なくとも85%、90%、95%又は100%が同一であるときは、非ヒト抗体における対応するCDRに実質的に由来する。抗体鎖の可変領域フレームワーク配列又は抗体鎖の定常領域は、カバトの規定による対応残基の少なくとも85%、90%、95%又は100%が同一であるときは、それぞれ、ヒト可変領域フレームワーク配列又はヒト定常領域に実質的に由来する。
【0066】
ヒト化抗体は、しばしば、非ヒト(マウスなど)抗体由来の6つ全てのCDR(好ましくは、Kabatの定義による)を取り込んでいるが、ヒト化抗体は、全てよりも少ないCDR(例えば、非ヒト(マウスなど)抗体由来の少なくとも3つ、4つ又は5つのCDR)にて作製することもできる(例えば、Pascalis et al., J. Immunol. 169:3076, 2002; Vajdos et al., Journal of Molecular Biology, 320: 415-428, 2002; Iwahashi et al., Mol. Immunol. 36:1079-1091, 1999; Tamura et al, Journal of Immunology, 164:1432-1441, 2000)。
【0067】
いくつかの抗体では、CDRの一部のみ、即ち、SDRと呼ばれる結合に必要なCDR残基のサブセットは、ヒト化抗体において結合を保持するために必要とされる。抗原に接触せず、SDR中に存在しないCDR残基は、以前の研究に基づいて(例えば、CDR H2中の残基H60~H65は必要とされない場合が多い)、Chothia超可変性ループ(Chothia, J. Mol. Biol. 196:901, 1987)の外側にあるKabat CDRの領域から分子モデリング及び/若しくは経験的に、又はGonzales et al., Mol. Immunol. 41: 863, 2004に記載の通りに特定できる。このようなヒト化抗体では、1つ以上のドナーCDR残基が存在しないか、又はドナーCDR全体が除去されている位置において、その位置を占めるアミノ酸は、アクセプター抗体配列中の対応する位置(Kabatナンバリングによる)を占めるアミノ酸であり得る。CDR中に包含するドナーアミノ酸のためのアクセプターのこのような置換の数は、競合する考慮事項のバランスを反映している。このような置換は、潜在的に、ヒト化抗体中のネズミアミノ酸の数を減少させ、結果として潜在的な免疫原性を減少させる点で都合がよい。しかし、置換はまた、親和性の変化を生ずることがあり、親和性の顕著な低下は避けるのが好ましい。CDR内の置換の位置及び置換するアミノ酸も経験的に選択できる。
【0068】
ヒトアクセプター抗体配列は、ヒトアクセプター配列の可変領域フレームワークとドナー抗体鎖の対応する可変領域フレームワークとの間に高度な配列同一性(例えば、65~85%の同一性)を提供するために、任意に、多くの既知のヒト抗体配列の中から選択できる。
【0069】
ヒト可変領域フレームワーク残基由来の特定のアミノ酸は、CDR立体構造及び/又は抗原への結合に対するそれらの可能な影響に基づいて置換に関し選択できる。このような可能な影響の研究は、モデリング、特定の位置でのアミノ酸の特徴の検査、又は特定のアミノ酸の置換若しくは変異導入の効果の経験的観察によるものである。
【0070】
例えば、アミノ酸が非ヒト可変領域フレームワーク残基と選択したヒト可変領域フレームワーク残基との間で異なる場合、ヒトフレームワークアミノ酸は、非ヒト抗体由来の等価のフレームワークアミノ酸によって置換でき、その際、アミノ酸が、
(1)直接抗原と非共有結合する、
(2)CDR領域に隣接している、
(3)そうでなければ、CDR領域と相互作用する(例えば、CDR領域の約6オングストローム内である)
ことを想定することは合理的である。
【0071】
他の置換候補は、ヒト免疫グロブリンにとってその位置のものとしては通常とは異なるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。これらのアミノ酸は、非ヒトドナー抗体の等価位置のアミノ酸又はより典型的なヒト免疫グロブリンの等価位置由来のアミノ酸で置換できる。他の置換候補は、ヒト免疫グロブリンにとってその位置のものとしては通常とは異なるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。
【0072】
本発明の例示的なヒト化抗体は、ABC2のヒト化形態であり、配列番号2の残基23~128の成熟軽鎖可変領域及び配列番号1の残基20~140の成熟重鎖可変領域を特徴とし、HuABC2と呼ばれる。本発明は、HuABC2のバリアントも提供する。このような変異体は、典型的には、少数(例えば、典型的には1、2、3、5又は10以下)の置換、欠失、又は挿入によってHuABC2の配列と異なる。このような違いは通常フレームワーク内にあるが、CDR内でも発生する可能性がある。例えば、H28、H48、H49、H68、H93及びL71の位置における置換のサブセットのみを行うことができる。ヒト化mAbのCDRと接触していないフレームワーク残基の多くは、ドナーマウスmAb又は他のマウス又はヒト抗体の対応する位置からのアミノ酸の置換に対応することができ、多くの潜在的なCDR接触残基さえも置換されやすく、CDR内のアミノ酸さえも変化する可能性がある。CDR置換の一例は、CDR内の残基を、可変領域フレームワークを供給するために使用されるヒトアクセプター配列の対応する位置を占める残基で置換することである。
【0073】
多くの場合、変異型ヒト化ABC2配列で行われた置換は、置換されたHuABC2アミノ酸に対して保存的である。好ましくは、HuABC2の置換(保存的かどうかにかかわらず)は、ヒト化mAbの結合親和性又は効力(即ち、そのCD122、IL-2、IL-15などの受容体間の相互作用を阻害する能力(例えば、本実施例又はバリアントヒト化ABC2抗体の背景に記載されるアッセイの一部又はすべてにおける効力は、HuABC2の効力と本質的に同じであり、即ち、実験誤差の範囲内である))に実質的な影響を与えない。好ましくは、成熟変異体軽鎖及び重鎖V領域配列は、それぞれのHuABC2成熟軽鎖及び重鎖V領域と少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一である。さらに、他のヒト抗体アクセプター配列、特にABC2の可変領域フレームワーク配列と高い配列同一性を有する配列も、ヒト化抗体可変領域フレームワーク配列を提供するのに適している。
【0074】
いくつかのHuABC2のバリアントにおいて、例示された抗体に関連して言及されるアクセプターからドナーへの置換の位置(即ち、H28、H48、H49、H68、H93及びL71)の少なくとも1、2、3、4、5、又は6つすべてが、好ましくはそれぞれ残基T、I、A、I、A、及びY(マウスドナー抗体重鎖の対応する位置を占める残基)によって占められる。いくつかのバリアントにおいて、位置H42はGによって占めされる。重鎖アクセプター配列がDA430129 cDNA(GenBankアクセッション番号)によってコードされる配列以外である場合、又は軽鎖アクセプター配列がM29469 cDNA(GenBankアクセッション番号)によってコードされる配列以外である場合、アクセプターからドナーへの置換は、指定された位置を占める残基がアクセプターとドナーの間ですでに同じであるかどうかに応じて、特定の可変フレームワーク領域の位置の指定された占有に必要な場合もあれば、必要でない場合もある。
【0075】
本発明の別の例示的なヒト化抗体は、ABC101のヒト化形態であり、配列番号30の成熟軽鎖可変領域及び配列番号29の成熟重鎖可変領域を特徴とし、HuABC101と呼ばれる。本発明は、HuABC101のバリアントも提供する。このような変異体は、典型的には、少数(例えば、典型的には1、2、3、5又は10以下)の置換、欠失又は挿入によってHuABC101の配列と異なる。このような違いは通常フレームワーク内にあるが、CDR内でも発生する可能性がある。例えば、H27、H30、H48、H66、H67、H71及びL49の位置における置換のサブセットのみを行うことができる。ヒト化抗体のCDRと接触していないフレームワーク残基の多くは、ドナーマウス抗体又は他のマウス又はヒト抗体の対応する位置からのアミノ酸の置換に対応することができ、多くの潜在的なCDR接触残基さえも置換されやすく、CDR内のアミノ酸さえも変化する可能性がある。CDR置換の一例は、CDR内の残基を、可変領域フレームワークを供給するために使用されるヒトアクセプター配列の対応する位置を占める残基で置換することである。
【0076】
多くの場合、変異型ヒト化ABC101配列で行われた置換は、置換されたHuABC101アミノ酸に対して保存的である。好ましくは、HuABC101の置換(保存的かどうかにかかわらず)は、ヒト化mAbの結合親和性又は効力(即ち、そのCD122、IL-2、IL-15などの受容体間の相互作用を阻害する能力(例えば、バリアントヒト化ABC101抗体の本明細書に記載のアッセイの一部又はすべてにおける効力は、HuABC101の効力と本質的に同じであり、即ち、実験誤差の範囲内である))に実質的な影響を与えない。好ましくは、成熟変異体軽鎖及び重鎖V領域配列は、それぞれのHuABC101成熟軽鎖及び重鎖V領域と少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一である。さらに、他のヒト抗体可変領域フレームワークアクセプター配列、特にABC101の可変領域フレームワーク配列と高い配列同一性を有する配列も、ヒト化抗体フレームワークを提供するのに適している。
【0077】
いくつかのHuABC101のバリアントにおいて、例示された抗体に関連して言及されるアクセプターからドナーへの置換の位置(即ち、H27、H30、H48、H66、H67、H71及びL49)の少なくとも1、2、3、4、5、6又は7つすべてが、好ましくはそれぞれ残基Y、T、M、Q、I、R及びK(マウスドナー抗体重鎖の対応する位置を占める残基)によって占められる。重鎖アクセプター配列がDA936142 cDNA(GenBankアクセッション番号)によってコードされる配列以外である場合、又は軽鎖アクセプター配列がZ46622 cDNA(GenBankアクセッション番号)によってコードされる配列以外である場合、アクセプターからドナーへの置換は、指定された位置を占める残基がアクセプターとドナーの間ですでに同じであるかどうかに応じて、特定の可変フレームワーク領域の位置の指定された占有に必要な場合もあれば、必要でない場合もある。
【0078】
本発明は、非ヒト抗体、特に、例示的なABC2及びABC101抗体のキメラ及びベニア化型を使用することもできる。
【0079】
キメラ抗体は、非ヒト抗体(例えば、マウス)の軽鎖及び重鎖の成熟可変領域をヒト軽鎖及び重鎖定常領域と組み合わせた抗体である。このような抗体は、実質的に又は完全にマウス抗体の結合特異性を保持し、ヒト配列の約2/3である。
【0080】
ベニア化抗体は、CDRのいくつか及び通常は全て並びに非ヒト抗体の非ヒト可変領域フレームワーク残基の一部を保持しているが、B-又はT-細胞エピトープ、例えば、露出した残基(Padlan, Mol. Immunol. 28:489, 1991)に寄与し得る他の可変領域フレームワーク残基がヒト抗体配列の対応する位置由来の残基と置換されているヒト化抗体の一種である。その結果、CDRが完全に又は実質的に非ヒト抗体に由来し、非ヒト抗体の可変領域フレームワークが置換によってよりヒト様に作られた抗体が得られる。ABC2又はABC101抗体のベニア化型は本発明に含まれる。
【0081】
CD122に対するヒト抗体は、以下に記載の様々な技術により得られる。いくつかのヒト抗体は、実施例に記載のマウスモノクローナル抗体の1種などの、特定のマウス抗体と同じエピトープ特異性を有するように、上記又は別の、競合結合実験により、Winterのファージディスプレイ方法により、選択される。また、CD122の断片のみを標的抗原として使用することにより、及び/又はCD122の欠失変異体のコレクションに対する抗体をスクリーニングすることにより、特定のエピトープ特異性についてヒト抗体をスクリーニングできる。
【0082】
ヒト抗体の生産方法は、Oestberg et al., Hybridoma 2:361-367 (1983); Oestberg, US4,634,664; 及びEngleman et al., US4,634,666のトリオーマ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニックマウスの使用(例えば、Lonberg et al., WO93/12227 (1993); US 5,877,397, US 5,874,299, US 5,814,318, US 5,789,650, US 5,770,429, US 5,661,016, US 5,633,425, US 5,625,126, US 5,569,825, US 5,545,806, Nature 148, 1547-1553 (1994), Nature Biotechnology 14, 826 (1996), Kucherlapati, WO 91/10741 (1991))及びファージディスプレイ法(例えば、Dower et al., WO 91/17271; McCafferty et al., WO 92/01047, US 5,877,218, US 5,871,907, US 5,858,657, US 5,837,242, US 5,733,743及びUS 5,565,332)を含む。
III. 定常領域の選択
【0083】
キメラ抗体、ヒト化抗体(ベニヤ化抗体を含む)、又はヒト抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、ヒト定常領域の少なくとも一部に結合することができる。定常領域の選択は、部分的には、抗体依存性補体及び/又は細胞媒介細胞毒性が望ましいかどうかに依存する。例えば、ヒトアイソタイプIgG1及びIgG3には補体媒介細胞毒性があるが、ヒトアイソタイプIgG2及びIgG4にはない。軽鎖定常領域は、λ又はκであってもよい。抗体は、2つの軽鎖と2つの重鎖を含む四量体;別々の重鎖及び軽鎖;Fab、Fab'、F(ab')2及びFv;又は重鎖と軽鎖の可変ドメインがスペーサーを介して結合した単鎖抗体として発現することができる。
【0084】
ヒト定常領域は、異なる個体間でアロタイプ変異及びイソアロタイプ変異を示す。即ち、定常領域は、1つ以上の多型位置で別々の個体において異なり得る。イソアロタイプは、イソアロタイプを認識する血清が1つ以上の他のアイソタイプの非多型領域に結合する点で、アロタイプとは異なる。ヒト定常領域への言及は、任意の天然のアロタイプ又は天然のアロタイプ中の多態性位置を占める残基の任意の順列を有する定常領域を含む。
【0085】
重鎖のC末端リシンなどの軽鎖及び/又は重鎖のアミノ末端又はカルボキシ末端における1つ又はいくつかのアミノ酸は、分子の一部又は全てを欠損していても、又は誘導体化されていてもよい。置換は、補体媒介性細胞傷害若しくはADCCなどのエフェクター機能を低減又は増加させるために(例えば、Winter et al., US Patent No. 5,624,821; Tso et al., US Patent No. 5,834,597; 及びLazar et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103:4005, 2006参照)、又はヒトにおける半減期を延長するために定常領域で行われ得る(例えば、Hinton et al., J. Biol. Chem. 279:6213, 2004参照)。抗体の半減期を増加させるための例示的な置換には、位置250におけるGln及び/又は位置428におけるLeuを含む(定常領域のEUナンバリング)。位置234、235、236及び/若しくは237のいずれか又は全ての置換は、Fcγ受容体、特に、FcγRI受容体の親和性を低下させる(例えば、US 6,624,821参照)。例示的な置換は、234位と235位でのLeuからAlaへの置換(それぞれL234AとL235A)を含む二重変異である(Hazareh et al., J. Virol. 75: 12161-12168, 2001)。任意に、ヒトIgG2中の234、236及び/又は237はアラニンと置換され、位置235はグルタミンと置換される(例えば、US 5,624,821参照)。
IV. CTLA-4の細胞外ドメイン
【0086】
CTLA-4は免疫応答の負の制御因子である。CTLA-4は、APCの表面に発現するCD80及びCD86に特異的に結合し、CD80及びCD86とT細胞上に発現するCD28との相互作用を阻害し、それによってCD28が媒介するT細胞の共刺激を阻害する。
【0087】
CTLA-4の例示的なヒト型には、Swiss Prot P16410が割り当てられている。この形態は223個のアミノ酸を有し、そのうち、残基1~35がシグナルペプチド、残基36~161が細胞外ドメイン、残基162~182が膜貫通ドメイン、残基173~223が細胞質ドメインである。例示的な細胞外ドメインは、本明細書において配列番号10に示され、Swiss Prot配列の残基38~160に対応する。CTLA-4の細胞外ドメインへの言及には、配列番号10;最大1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個の置換、欠失又は挿入を有するバリアント;及び配列番号10と少なくとも90、95、95又は99%の同一性を有する変異体が含まれる。このようなバリアントは自然なものであってもよく誘導されたものであってもよく、その例はP16410の注釈に示される。バリアントは、他の種のCTLA-4に存在する代替アミノ酸を表すこともできる。CD80及びCD86への結合を増強又は阻害する置換を同定するために、CTLA-4に系統的変異導入を実施した(Xu et al., J. Immunol. 189:4470-4477, 2012)。高親和性変異の例には、K28H、K28T、A29H、A29T、A29Y、A29W及びT30Gが含まれる。これら及び他の変異は、左側の野生型アミノ酸残基、中央の配列番号10におけるそれらの位置、及び右側の変異導入後のアミノ酸残基によって命名される。51位のT、53位のM、54位のM、58位のL、及び61位のLにおける変異も、一方又は両方のリガンドへの結合に有利な影響を与える。モチーフ97MYPPPY102は変異、特にCD80との相互作用に対して不耐性であったが、CD80とCD86の親和性バランスを変える有益な変異はこの保存されたモチーフ(93位にK、96位にL、104位にL)に隣接してクラスター化されていた。CD80及びCD86への結合がより強いCTLA-4変異体は、Douthwaite et al. (J. Immunol. 198:528-537, 2017)及びOshima et al. (Protein Eng. Des. Sel. 29:159-167, 2016)にも開示されている。結合を増強する好ましいバリアントには、A29Y及びL104Eが含まれる。これら及び他の変異は、配列番号10における位置によって番号が付けられ、或いは配列番号10とは異なる数の残基を有する配列中に存在する場合、それぞれの配列が最大限に整列されたときの、他の配列における変異の位置に対する配列番号10の対応する位置によって番号が付けられる。P16410からの追加の隣接アミノ酸は、配列番号10の片側又は両側に含まれても含まれなくてもよい。
【0088】
CTLA-4とそのバリアントは、CD80及びCD86に対して特異的な結合を示す。B7-1又はBB1としても知られるヒトCD80の例示的な形態は、Swiss-Prot P33681によって提供される。B7-2としても知られるヒトCD86の例示的な形態は、Swiss-Prot P42081によって提供される。CD80及びCD86は、CD28と相互作用する。ヒトCD28の例示的な形態は、Swiss-Prot P10747によって提供される。
【0089】
ベラタセプトは、ヒトγ-1重鎖(CTLA4-Ig)(配列番号49)のFc 領域に融合したヒトCTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4、CD152とも呼ばれる)の細胞外ドメインを含む組換えタンパク質である。CD80(B7-1とも呼ばれる)及びCD86(B7-2とも呼ばれる)への結合を強化するために、ベラタセプトのCTLA-4領域は、2つのアミノ酸置換(1つは29位でのアラニン残基からチロシン残基への置換、もう1つは104位でのロイシン残基からグルタミン酸残基への置換(L104E))を有する(Larsen et al., Am. J. Transplant. 5:443-453, 2005; Oshima et al., Protein Eng. Des. Sel. 29:159-167, 2016)。ベラタセプトは、腎臓同種移植片拒絶反応の予防を目的として米国での販売が承認された。ベラタセプトのレビューについては、Perez et al., Transplantation 102:1440-1452, 2008; Gallo et al., PLoS ONE 15:e0240335, 2020をご参照されたい。
【0090】
ベラタセプトの前身であるアバタセプトもまた、ヒトγ-1重鎖のFc領域に融合したヒトCTLA-4の野生型細胞外ドメインを含む組換えタンパク質である。CTLA-4領域にはアミノ酸置換が導入されていない。アバタセプトは、ベラタセプトと同様に、CD80及びCD86とCD28の相互作用をブロックすることにより免疫抑制剤として機能する。アバタセプトは、成人関節リウマチ、若年性多関節特発性関節炎、成人乾癬性関節炎の治療薬として米国での販売が承認された。アバタセプトのレビューについては、Moreland et al., Nat. Rev. Drug Disc. 5:185-186, 2006; Esensten et al., Immunity 44:973-988, 2016をご参照されたい。アバタセプトは腎同種移植片拒絶反応の抑制に効果的であると報告されている(Badell et al., Am. J. Transplant. 19:2342-2349, 2019)。アバタセプトやベラタセプトなどのCTLA-4の細胞外ドメイン部分がCD80及びCD86に結合することは、T細胞活性化経路のCD28媒介シグナル2を阻害することにより免疫応答を阻害する。
V. 二機能性分子
【0091】
本発明の二機能性分子は、上記でさらに説明したCD122に対する抗体を上記のCTLA-4の細胞外ドメインと組み合わせる。CTLA-4の細胞外ドメインは、抗体の重鎖のC末端に結合して融合タンパク質を構成することができる。したがって、例示的な二機能性分子は、成熟重鎖可変領域及び重鎖定常領域のC末端でCTLA-4の細胞外ドメインに融合した重鎖定常領域を含む抗体重鎖と、成熟軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含む軽鎖とを含む。CTLA-4の細胞外ドメインは、軽鎖のC末端に結合することもできる。したがって、別の例示的な二機能性分子は、成熟重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含む抗体重鎖と、成熟軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域のC末端でCTLA-4の細胞外ドメインに融合した軽鎖定常領域を含む軽鎖とを含む。CTLA-4の細胞外ドメインは、抗体の重鎖又は軽鎖可変領域のN末端に結合することもできる。したがって、別の例示的な二機能性分子は、成熟重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含む抗体重鎖と、成熟軽鎖可変領域及び重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のN末端でCTLA-4の細胞外ドメインに結合される軽鎖定常領域を含む軽鎖とを含む。重鎖又は軽鎖のCTLA-4への結合は、直接的であってもよく、又は柔軟なペプチドリンカーを介するなど間接的であってもよい。柔軟なペプチドリンカーは、主に又は排他的にグリシン残基とセリン残基から形成することができる(例えば、配列番号11、36及び50)。重鎖と軽鎖は、通常の抗体と同様に互いに会合することができる。また、会合した2対の重鎖と軽鎖は互いに二量体化して、重鎖又は軽鎖のN末端又はC末端に結合したCTLA-4の細胞外ドメインを除いて、通常の抗体に類似したヘテロ二量体構造を形成することができる。重鎖定常領域は、任意にC末端を介してCTLA-4の細胞外ドメインに結合した正常な重鎖定常領域(例えば、CH1、ヒンジ、CH2及びCH3)に存在する領域のいずれか又はすべてを含むことができる。CTLA-4の細胞外ドメインが抗体重鎖定常領域のC末端に融合した場合、重鎖定常領域のC末端へのCTLA-4の細胞外ドメインの融合は、CTLA-4の細胞外ドメインが重鎖定常領域のN末端に融合したアバタセプト又はベラタセプトとは逆である。
【0092】
HuABC2抗体に基づく例示的な二機能性分子において、成熟重鎖は、配列番号13又は16を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、成熟軽鎖は、配列番号9を含む。別の例示的な二機能性分子において、成熟軽鎖は、配列番号34を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号8又は33を含む。別の例示的な二機能性分子において、成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号39を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、成熟軽鎖は、配列番号9を含む。別の例示的な二機能性分子において、成熟軽鎖は、配列番号42を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号8又は33を含む。
【0093】
HuABC101抗体に基づく例示的な二機能性分子において、成熟重鎖は、配列番号57を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、成熟軽鎖は、配列番号54を含む。別の例示的な二機能性分子において、成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号56を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、成熟軽鎖は、配列番号54を含む。
【0094】
HuABC77抗体に基づく例示的な二機能性分子において、成熟重鎖は、配列番号71を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、成熟軽鎖は、配列番号67を含む。別の二機能性分子において、成熟重鎖は、C末端リジンを省略可能な配列番号70を含む鎖としてCTLA-4の細胞外ドメインに結合され、成熟軽鎖は、配列番号67を含む。
【0095】
このような二機能性分子は、CD122、CD80、CD86のそれぞれに特異的な結合を示し、CD122とリガンドIL-2及びIL-15との相互作用を阻害し、CD80及びCD86とCD28との相互作用を阻害する。任意に、CD122に対する二官能性分子の結合親和性は、実験誤差の範囲内で二官能性分子に組み込まれた抗CD122抗体の結合親和性と同じであるか、又は5、3又は2倍以内である。任意に、二機能性分子によるCD122のIL-2又はIL-15への結合の阻害は、実験誤差の範囲内で二機能性分子単独で組み込まれた抗CD122抗体による阻害と同じであるか、又は5、3若しくは2倍以内である。任意に、CD80及びCD86に対する二機能性分子の結合親和性は、実験誤差の範囲内で重鎖定常領域に結合した二機能性分子に組み込まれたCTLA-4の細胞外ドメイン(例えば、アバタセプト又はベラタセプト)と同じであるか、又は5、3若しくは2倍以内である。任意に、二官能性分子によるCD80及び/又はCD86のCD28への結合の阻害は、実験誤差の範囲内で二機能性分子に組み込まれた定常領域又は可変領域に結合したCTLA-4の細胞外ドメインによる阻害と同じであるか、又は5、3若しくは2倍以内である。任意に、二機能性分子は、その抗体又は細胞外ドメイン成分が等モル用量で個別に達成できるものと比較して、免疫応答のより大きな阻害又は免疫障害の治療におけるより大きな有効性を示す。任意に、二機能性分子は、その抗体又は細胞外ドメイン成分のそれぞれと比較して、阻害又は有効性において少なくとも相加的、好ましくは相乗的な増加を示す。任意に、二機能性分子は、その成分である抗体と細胞外ドメインを等モル比で別々の分子として同時投与した場合と比較して、各薬剤のモル数が等しい場合ではより大きな阻害又は有効性を示す。二機能性分子の一部ではない細胞外ドメインを含む比較では、細胞外ドメインを単独で使用することも、N末端又はC末端のいずれかでIgG定常領域に融合させることもできる。任意に、二機能性分子は、その成分である抗CD122抗体とアバタセプト又はベラタセプトのいずれかを同時投与した場合と比較して、より大きな阻害又は有効性を示し、比較は各薬剤の等モル量で行われる。
VI. 二機能性分子の発現
【0096】
本発明の二機能性分子は、典型的には、抗体の発現に類似した技術を使用する組換え発現によって生成される。CTLA-4の細胞外ドメインに結合した重鎖及び軽鎖をコードする核酸又は重鎖及びCTLA-4の細胞外ドメインに結合した軽鎖をコードする核酸が発現してコードされたポリペプチドが生成され、それらが会合して二機能性分子を形成する。組換え核酸構築物は、典型的には、天然に結合したプロモーター領域又は異種プロモーター領域を含む、これらの鎖のコード配列に操作可能に結合したされた発現制御配列を含む。好ましくは、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトできるベクター内の真核生物プロモーターシステムである。ベクターが適切な宿主に組み込まれると、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベル発現、並びに二機能性分子の収集及び精製に適した条件下で維持される。
【0097】
哺乳類細胞は、免疫グロブリン又はその断片をコードするヌクレオチドセグメントを発現するために使用できる。Winnacker, From Genes~Clones, (VCH Publishers, NY, 1987)を参照。完全な異種蛋白質を分泌することができるいくつかの適切な宿主細胞株が開発されており、これらには、CHO細胞株、様々なCOS細胞株、HeLa細胞、HEK293細胞、L細胞、並びにSP2/0及びNS0を含む非抗体生産ミエローマを含む。細胞は、非ヒトであり得る。これらの細胞用の発現ベクターは、複製起点、プロモーター、エンハンサーなどの発現制御配列(Queen et al., Immunol. Rev. 89:49 (1986))、並びにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写終結配列などの必要な情報処理部位を含むことができる。発現制御配列は、内因性遺伝子、サイトメガロウィルス、SV40、アデノウィルス、及びウシパピローマウィルスなどに由来するプロモーターを含むことができる(Co et al., J. Immunol. 148:1149 (1992)を参照)。
【0098】
発現させると、二機能性分子は、HPLC精製、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動法などを含む、当技術分野の標準的な手順に従って精製できる(概要はScopes, Protein Purification (Springer-Verlag, NY, 1982)参照)。
VII. 医薬組成物及び治療方法
【0099】
二機能性分子は、様々な望ましくない免疫応答、特にCD122、CD80及びCD86のいずれかとそれらのリガンド又は受容体によって媒介される免疫応答を抑制するために使用することができ、それらの相互作用は、本発明の二機能性分子によって阻害される。
【0100】
本発明の二機能性分子によって治療可能な免疫障害の1つのカテゴリーは、移植拒絶反応である。同種細胞又は臓器(例えば、皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、骨髄など)が宿主に移植される場合(即ち、ドナーとドニーは同じ種の異なる個体である)、宿主の免疫系は、移植片内の外来抗原に対する免疫応答を開始し(宿主対移植片疾患)、移植組織を破壊する可能性が高い。本発明の二機能性分子は、とりわけ、ドニーにおける同種抗原誘発免疫応答をブロックするのに有用である。
【0101】
本発明の二機能性分子の関連した用途は、「移植片対宿主」病(GVHD)に関与する免疫応答を調節することである。GVHDは、免疫学的にコンピテント細胞が同種異系レシピエントに移植されたときに発生する潜在的に致死的な疾患である。この状況では、ドナーの免疫担当細胞がレシピエントの組織を攻撃する可能性がある。皮膚、腸上皮、肝臓の組織は頻繁に標的となり、GVHDの経過中に破壊される可能性がある。この疾患は、骨髄移植など、免疫組織を移植する場合に特に深刻な問題を引き起こすが、心臓移植や肝臓移植などの他の症例でもそれほど重篤ではないGVHDが報告されている。
【0102】
免疫抑制が望ましいさらに別の状況は、1型糖尿病、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、スティフパーソン症候群、関節リウマチ、重症筋無力症、エリテマトーデス、セリアック病、乾癬、ぶどう膜炎、円形脱毛症、原発性胆汁性肝硬変などの自己免疫疾患の治療である。これらの自己免疫疾患では、体が自身の抗原の1つに対して細胞性免疫応答及び/又は体液性免疫応答を発生させ、その抗原の破壊につながり、潜在的に身体障害及び/又は致命的な結果をもたらす。自己免疫疾患は、本発明の二機能性分子を投与することによって治療される。
【0103】
本発明の二官能性分子によって治療可能な他の自己免疫疾患には、喘息、アレルギー、白斑、多発性筋炎、アレルギー性皮膚炎、及びベーチェット病が含まれる。治療可能な他の自己免疫疾患には、特発性血小板減少性紫斑病、川崎病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性全身性エリテマトーデス、自己免疫性好中球減少症1型糖尿病、急性播種性脳脊髄炎、急性運動軸索神経障害、アジソン病、脂肪症、成人発症のスチル病、強直性脊椎炎、抗糸球体基底膜腎炎、抗好中球細胞質抗体関連血管炎、抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体脳炎、抗リン脂質症候群、抗合成酵素症候群、再生不良性貧血、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性脳炎、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性睾丸炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性多内分泌症候群、自己免疫性多内分泌症候群2型、自己免疫性多内分泌症候群3型、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、頭部集中性硬化症、ベーチェット病、ビッカースタッフ脳炎、水疱性類天疱瘡、慢性疲労症候群、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素疾患、複合性局所疼痛症候群、CREST症候群、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、円板状エリテマトーデス、子宮内膜症、付着部炎、付着部炎関連関節炎、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、フェルティ症候群、線維筋痛症、胃炎、妊娠性類天疱瘡、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、バセドウ病、バセドウ眼症、橋本脳症、橋本甲状腺炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、化膿性汗腺炎、特発性拡張型心筋症、特発性炎症性脱髄疾患、IgA腎症、IgG4関連全身性疾患、封入体筋炎、炎症性腸疾患(IBD)、中間型ぶどう膜炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、ランバート・イートン筋無力症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA疾患、ループス腎炎、ループス血管炎、ライム病、メニエール病、顕微鏡的大腸炎、顕微鏡的多発血管炎、混合性結合組織病、モーレン潰瘍、モルフェア、ミュシャ・ハーベルマン病、心筋炎、筋炎、視神経脊髄炎、神経ミオトニー、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、視神経炎、オルド甲状腺炎、回文リウマチ、腫瘍随伴性小脳変性症、パリー・ロンバーグ症候群、牧師館・ターナー症候群、連鎖球菌、尋常性天疱瘡、悪性貧血、苔癬性粃糠疹及び急性痘瘡に関連する小児自己免疫性精神神経障害、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性免疫不全症、原発性硬化性胆管炎、進行性炎症性神経障害、乾癬性関節炎、純赤血球形成不全、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、再発性多発性軟骨炎、レストレスレッグ症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、リウマチ性血管炎、サルコイドーシス、シュニッツラー症候群、強皮症、シェーグレン症候群、亜急性細菌性心内膜炎、スーサック症候群、シデナム舞踏病、交感神経性眼炎、全身性強皮症、血小板減少症、トロサ・ハント症候群、横断性脊髄炎、未分化結合組織病、蕁麻疹、蕁麻疹性血管炎、血管炎が含まれる。
【0104】
免疫疾患は上記のようにカテゴリーに細分化できるが、これらのカテゴリーは必ずしも相互に排他的であるわけではなく、また、治療は疾患が分類されるカテゴリーに依存するものでもない。
【0105】
本発明の二機能性分子によって治療可能な他の疾患には、がん、特に白血病(例えば、T細胞大顆粒リンパ球白血病)又はリンパ腫などの血液悪性腫瘍が含まれる。いくつかのこのようながんは、タンパク質(例えば、例示された二機能性分子の1つを使用するイムノアッセイによる)又はmRNAレベルで測定される、検出可能なレベルのCD122、CD80及び/又はCD86を示す。 いくつかのそのような癌は、好ましくは同じ対象からの同じ種類の非がん性組織と比較してCD122、CD80及び/又はCD86のレベルの上昇を示す。任意に、がんにおけるCD122、CD80又はCD86のレベルは、治療を行う前に測定される。
【0106】
二機能性分子は効果的レジメで投与され、これは、発症を遅らせる、重症度を低減する、さらなる悪化を抑制する、及び/又は障害の少なくとも1つの徴候又は症状を改善する投与量、投与経路及び投与頻度を含む投与計画を意味する。対象が既に障害に罹患している場合は、レジメンは治療的に有効なレジメンと称される場合もある。対象が母集団に比べて障害の高いリスクを有するが、まだ症状がない場合、レジメンは、予防用に有効なレジメンと称される場合もある。いくつかの事例では、治療的又は予防的有効性は、同じ対象のヒストリカルコントロール又は過去の経験に対して個別の対象で観察され得る。他のケースでは、治療的又は予防的有効性は、非処置対象のコントロール集団に比べて、処置対象集団の臨床前又は臨床試験中に実証できる。
【0107】
二機能性分子の例示的投与量は、0.1~20mg/kg、又は0.5~5mg/kg体重(例えば、0.5、1、2、3、4又は5mg/kg)又は固定投与量として、10~1500mgである。投与量は、特に、対象の状態及び前の処置がある場合その応答に、処置が予防的であるか又は治療的であるか、及び障害が急性であるか又は慢性であるかに依存する。
【0108】
投与は、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、鼻腔内又は筋肉内投与であり得る。静脈内又は皮下投与により体循環中に投与することが好ましい。静脈内投与は、例えば、30~90分にわたる輸注であり得る。
【0109】
投与頻度は、特に、循環中の二機能性分子の半減期、対象の状態及び投与経路に依存する。頻度は、対象の状態又は処置される障害の進行の変化に応じて、毎日、毎週、毎月、3ヶ月毎、又は不規則な間隔とできる。静脈内投与の例示的頻度は、処置の原因によって毎週~3ヶ月毎であるが、さらに多い又は少ない頻度の投与も可能である。皮下投与としては、例示的投与頻度は、毎日から毎月であるが、さらに多い又は少ない頻度の投与も可能である。
【0110】
投薬の回数は、障害が急性であるか慢性であるか及び処置に対する障害の応答に依存する。急性障害又は慢性障害の急性悪化に対しては、多くの場合1~10回の服用量である。時には、急性障害又は慢性障害の急性悪化に対しては、必要に応じ分割形態とした、単一急速投与量で十分である。急性障害又は急性悪化の再発に対しては、処置を反復し得る。慢性障害に対しては、二機能性分子は、規則的な間隔、例えば、毎週、隔週、毎月、3ヶ月毎、6ヶ月毎を少なくとも1、5又は10年間、又は対象の一生の間投与され得る。
【0111】
非経口投与用の医薬組成物は、好ましくは無菌であり、実質的に等張であり、GMP条件下で製造される。医薬組成物は、単位剤形(すなわち、単回投与の用量)で提供することができる。医薬組成物は、1つ以上の薬理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤又は助剤を使用して製剤化することができる。製剤は、選択される投与経路によって異なる。注射の場合、二官能性分子は水溶液、好ましくはハンクス液、リンガー液、又は生理食塩水又は酢酸緩衝液(注射部位の不快感を軽減するため)などの生理学的に適合する緩衝液中で製剤化することができる。溶液は、懸濁剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの配合剤を含むことができる。さらに、二官能性分子は、使用前に適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水で構成するために凍結乾燥された形態であってもよい。
【0112】
本発明の二官能性分子による治療は、治療される疾患に対して有効な他の治療と組み合わせることができる。免疫疾患の治療では、従来の治療法には、マスト細胞脱顆粒阻害剤、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、及びアザチオプリン、シクロホスファミド、ロイケラン、FK506、シクロスポリンなどのより強力な抗炎症薬が含まれる。Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ)やHumira(登録商標)(アダリムマブ)などの生物学的抗炎症剤も使用できる。癌の治療に使用される場合、本発明の二機能性分子は、化学療法、放射線、幹細胞治療、手術、又はHER2抗原に対するハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)、VEGFに対するアバスチン(登録商標)(ベバシズマブ)、EGF受容体に対する抗体(エルビタックス(登録商標)、セツキシマブ)、ベクティビックス(登録商標)(パニツムマブ)などの他の生物学的製剤による治療と組み合わせることができる。化学療法剤には、クロランブシル、シクロホスファミド又はメルファラン、カルボプラチナム、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、及びミトキサントロン、メトトレキサート、フルダラビン、及びシタラビン、エトポシド又はトポテカン、ビンクリスチン及びビンブラスチンが含まれる。
VIII. その他の用途
【0113】
二機能性分子は、臨床診断又は治療又は研究において、CD122、CD80及び/又はCD86を検出するために使用することができる。例えば、二機能性分子は、T細胞上のCD122、CD80及び/又はCD86の存在を対象が治療可能な免疫介在性疾患に罹患している兆候として検出するために使用することができる。がん上のCD122、CD80及び/又はCD86の発現はまた、がんが本発明の二機能性分子による治療を受けやすいことを示す。この二機能性分子は、T細胞及び様々な刺激に対する T 細胞の応答を検出するための実験室研究用の研究試薬として販売することもできます。このような使用では、二機能性分子を蛍光分子、スピン標識分子、酵素、又は放射性同位体で標識することができ、CD122、CD80、又はCD86のアッセイを実行するために必要なすべての試薬を備えたキットの形で提供することができる。二官能性分子は、例えばアフィニティークロマトグラフィーによって、CD122、CD80、及び/又はCD86を精製するために使用することもできる。
【0114】
上又は下で引用された全ての特許出願、ウェブサイト、その他の出版物、アクセッション番号などは、全ての目的のために、個々の項目が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、その全体が参照により組み込まれる。ある配列の異なるバージョンが異なる時期にアクセッション番号に関連付けられている場合、本出願の有効出願日におけるアクセッション番号に関連付けられたバージョンを意味する。有効出願日とは、該当する場合はアクセッション番号を参照して、実際の出願日と優先権出願の出願日のうち、どちらか早い方を指す。同様に、出版物やウェブサイトなどの異なるバージョンが異なる時期に公開されている場合、他に指示がない限り、本願の有効出願日に最も最近公開されたバージョンを意味する。本発明の任意の特徴、工程、要素、実施形態、又は側面は、特に他に示されていない限り、他のものと組み合わせて使用できる。本発明は、明確さと理解のために、例示及び実施例を用いてある程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲内で特定の変更及び修正を実施できることは明らかであろう。
【0115】
実施例1: 一般的な方法及び材料
遺伝子クローニング、変異誘発、プラスミド構築、ELISA及びフローサイトメトリーは、Green及びSambrook (Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 4th ed., 2012, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)、Greenfield(Antibodies, A Laboratory Manual, 2nd ed., 2014, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)、Kostelnyら(Int. J. Cancer 93:556-565, 2001)、Coleら(J. Immunol. 159:3613-3621, 1997)及びTsurushitaら(Methods 36:69-83, 2005)に記載の標準的な実験技術や、ベンダーのプロトコルに従って実施した。
【0116】
HuABC2は、(i)IL-2及びIL-15受容体のβ鎖サブユニット(CD122とも呼ばれる)に結合し、(ii)IL-2及びIL-15とそれぞれの受容体との相互作用をブロックするヒト化抗CD122 IgG1/κモノクローナル抗体である(US特許第9,028,830号)。HuABC2の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列は、
MKLWLNWVFLLTLLHGIQCEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSS(配列番号1)
である。成熟HuABC2 VHは、配列番号1の20位のグルタミン酸残基から始まる。
【0117】
HuABC2の成熟軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列は、
MDFQVQIFSFLLISASVIVSRGEIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIK(配列番号2)
である。成熟HuABC2 VLは、配列番号2の23位のグルタミン酸残基から始まる。
【0118】
哺乳動物細胞におけるHuABC2の産生のためのプラスミドベクターpHuABC2pの概略構造を
図1Aに示す。図のSalI部位から時計回りに進み、pHuABC2pには、抗体重鎖遺伝子の転写を開始するためのヒトサイトメガロウイルス(CMV)主要即時初期プロモーター及びエンハンサー(CMV-P)で始まる重鎖転写ユニットが含まれる。CMVプロモーターの後には、HuABC2 VHをコードするVHエクソンが続く。HuABC2VH は、介在イントロンを含む CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3エクソンを含むヒトγ-1重鎖定常領域と、CH3エクソンに続くポリアデニル化部位を含むゲノム配列である。重鎖遺伝子配列の後には、軽鎖転写ユニットは、CMVプロモーターで始まり、HuABC2 VL をコードするエクソンと、その前にイントロンの一部を含むヒトカッパ鎖定常領域(Ck)エクソンを含むゲノム配列が続き、ポリアデニル化部位はCkエクソンに続く。軽鎖遺伝子の後には、SV40初期プロモーター(SV40-P)、ピューロマイシン耐性のためのピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子(puro)、及びSV40ポリアデニル化部位を含むセグメント(SV40-A)が続く。最後に、このプラスミドは、細菌の複製起点(pUC ori)及びβラクタマーゼ遺伝子(βラクタマーゼ)を含むプラスミドpUC19の一部を含む。制限酵素部位の位置を図に示す。矢印は転写の方向を示す。
【0119】
pHuABC2pにおいてコードされるヒトγ-1重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3領域のアミノ酸配列はそれぞれ
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKV(配列番号3)、
EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号4)、
APELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK(配列番号5)、及び
GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号6)
である。
pHuABC2pにおいてコードされるCk領域のアミノ酸配列は、
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC (配列番号7)
である。
【0120】
pHuABC2pにおいてコードされる成熟重鎖のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号8)
である。
【0121】
pHuABC2pにおいてコードされる成熟軽鎖のアミノ酸配列は、
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号9)
である。
HuABC2の発現のためにpHuABC2pで安定にトランスフェクトされたCHO-K1細胞(CHO-K1/pHuABC2p)をSFM4CHO培地(HyClone Laboratories, Logan, UT)で増殖させた。HuABC2の精製のために、CHO-K1/pHuABC2p細胞の培養上清をprotein-A Sepharose(登録商標)カラム(HiTrap(登録商標)MabSelect SuReTM, GE Healthcare, Piscataway, NJ)にロードした。カラムをPBSで洗浄した後、0.1M NaClを含有する0.1Mグリシン-HCl緩衝液(pH3.0)でHuABC2を溶出した。1M Tris-HCl(pH8.0)で中和後、透析により溶出した抗体の緩衝液をPBSに交換した。抗体濃度は、280nm(1.4OD=1mg/ml)での吸光度を測定することによって決定された。
【0122】
実施例2: CD80、CD86、CD122に結合する二官能性分子
T 細胞上のCD28への抗原提示細胞上のCD80又はCD86の結合は、免疫応答を強化する。CTLA-4はCD80及びCD86に結合し、CD28との相互作用をブロックし、T細胞の活性化を抑制する(Esensten et al., Immunity 44:973-988, 2016)。
【0123】
HuABC2に免疫共刺激分子CD28の機能をブロックする能力を持たせるために、pHuABC2pのCH3エクソンを、N末端でCH3の最後から2番目のアミノ酸残基(Gly)に融合したヒトCTLA-4(配列番号10)(CH3-CTLA4融合体))の細胞外ドメインをコードするように修飾した。柔軟なポリペプチドリンカー(SGGGGSG;配列番号11)を、CH3-CTLA4融合体におけるCH3とCTLA-4の間に配置した。CH3-CTLA4融合体のアミノ酸配列は、
GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD(配列番号12)
である。さらに、CH2の234位と235位(EUナンバーリング)のロイシン残基を両方ともアラニン残基に変更し、Fcγ受容体への結合を排除した(Hezareh et al., J. Virol. 75:12161-12168, 2001)。得られたpHuABC2p由来の発現ベクターをpHC624と名付けた。pHC624の概略構造を
図1Bに示す。
【0124】
pHC624においてコードされる、C末端でリンカー(下線)(後ろにCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したHuABC2の成熟重鎖のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD(配列番号13)
である。
【0125】
pHC624においてコードされる成熟軽鎖のアミノ酸配列は、pHuABC2pにおいてコードされる成熟軽鎖配列と同じである(配列番号9)。pHC624によってコードされる、重鎖の末端でCTLA-4に融合した修飾型HuABC2をHuABC2-CTLA4と名付けた。HuABC2-CTLA4の概略構造を
図2に示す。
【0126】
CTLA-4の細胞外ドメイン(配列番号10)を2つのアミノ酸残基の置換によって修飾した。そのうちの1つは、配列番号10の29位のアラニン残基からチロシン残基への置換(A29Y)である。もう一つは、配列番号10の104位のロイシン残基からグルタミン酸残基への置換(L104E)である。得られた修飾CTLA-4(バリアントCTLA-4)の細胞外ドメインのアミノ酸配列は、
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD(配列番号14)
である。バリアントCTLA-4をコードするDNA断片を使用して、pHC624内の野生型CTLA-4をコードする領域を置換した。得られた発現ベクターをpHC625(pHC622とも呼ばれる)と名付けた。pHC625の概略構造を
図1Bに示す。
【0127】
pHC625及びpHC622においてコードされる修飾CH3-CTLA4融合体のアミノ酸配列は、
GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD(配列番号15)
である。リンカー配列には下線が引かれている。
【0128】
pHC625及びpHC622においてコードされるC末端でリンカー(下線)(後ろにバリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したHuABC2の成熟重鎖のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD(配列番号16)
である。
【0129】
pHC625及びpHC622においてコードされる成熟軽鎖のアミノ酸配列は、pHuABC2pにおいてコードされる成熟軽鎖配列と同じである(配列番号9)。pHC625及びpHC622においてコードされる重鎖の末端でバリアントCTLA-4に融合した修飾HuABC2をHuABC2-CTLA4YEと名付けた。
【0130】
実施例3: CD80、CD86及びCD122に結合する二機能性分子の一時的な発現と特性評価
発現ベクターpHC624及びpHC625を、培養上清中のそれぞれHuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEの分泌のために、Durocherら(Nucl. Acids Res. 30:e9 2002)の手順によってヒト胎児腎臓細胞株HEK293に個別にトランスフェクトした。HEK293細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS; HyClone, Logan, UT)を含むDME培地中、37℃、7.5%CO2インキュベーター内で増殖させた。培養上清中のHuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEの発現レベルをサンドイッチELISAにより測定した。典型的な実験では、ELISAプレートのウェルをPBS中のヤギ抗ヒトγ重鎖ポリクローナル抗体でコーティングし、洗浄緩衝液(0.05% Tween 20を含むPBS)で洗浄し、ブロッキング緩衝液(2%スキムミルク及び0.05% Tween 20を含むPBS)でブロックした。ウェルを洗浄緩衝液で洗浄した後、ELISA緩衝液(1%のスキムミルク及び0.025%のTween 20を含むPBS)で適切に希釈した試験サンプルをウェルに適用した。ELISA緩衝液で適切に希釈した精製HuABC2を標準として使用した。1時間インキュベートし、洗浄緩衝液で洗浄した後、HRP結合ヤギ抗ヒトκ鎖ポリクローナル抗体を使用して、結合した抗体を検出した。30分間インキュベートし、洗浄緩衝液で洗浄した後、ABTS基質 (Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を添加することによって発色を開始し、2%シュウ酸で停止させた。吸光度は405nmで読み取られた。
【0131】
HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEのヒトCD122、CD80及びCD86への結合をELISAによって分析した。ELISAプレートのウェルを、1μg/mlのPBS中のCD122(ヒトIL-2Rβ/CD122タンパク質, Fc Tag; Cat. No. ILB-H5253, Acro Biosystems, Newark, DE)、CD80(ヒトB7-1 / CD80タンパク質, Mouse IgG2a Tag; Cat. No. B71-H52A4, Acro Biosystems)又はCD86(ヒトB7-2 / CD86タンパク質, Fc Tag; Cat. No. CD6-H5257, Acro Biosystems)でコーティングした。ブロッキング緩衝液でブロッキングし、洗浄緩衝液でウェルを洗浄した後、0.5μg/mlの一過性発現HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YE並びにELISA緩衝液での2倍段階希釈物を2つずつウェルに適用した。0.5μg/mlの精製HuABC2及び2倍段階希釈物を対照として使用した。室温で1時間インキュベートし、洗浄緩衝液で洗浄した後、HRP結合ヤギ抗ヒトκ鎖ポリクローナル抗体を使用して、結合した抗体を検出した。30分間インキュベートし、洗浄緩衝液で洗浄した後、ABTS基質を添加することによって発色を開始し、2%シュウ酸で停止させた。吸光度は405nmで読み取られた。
【0132】
図3、4及び5は、ヒトCD122、CD80及びCD86のそれぞれに対するHuABC2、HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEの結合に関するELISA試験の結果を示す。HuABC2、HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEは、用量依存的にCD122に結合した(
図3)。CD122への結合パターン間に有意差は認められなかった。CD80については、HuABC2は結合のバックグラウンドレベルのみを示したが、HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEは用量依存的にCD80に結合した(
図4)。同様に、CD86については、HuABC2は結合のバックグラウンドレベルのみを示したが、HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEは用量依存的にCD86に結合した(
図5)。HuABC2-CTLA4及びHuABC2-CTLA4YEは両方とも、HuABC2由来のCD122への結合能力に加えて、CD80及びCD86への結合能力を獲得したが、HuABC2-CTLA4YEは、HuABC2-CTLA4よりもCD80及びCD86のそれぞれに対してより強い結合を示した(
図4及び5)。
実施例4: HuABC2軽鎖のC末端でのCTLA-4の融合
【0133】
CTLA-4に融合した別の形態のHuABC2を生成するために、N末端でCkの最後のアミノ酸残基(Cys)に融合したヒトCTLA-4のバリアント形態(バリアントCTLA-4;配列番号14)の細胞外ドメイン(Ck-CTLA4YE融合体)をコードするように、pHuABC2pのCkエクソン(
図1A)を修飾した。柔軟なポリペプチドリンカー(SGGGGSG;配列番号11)をCk-CTLA4YE融合体のCkとCTLA-4の間に配置した。得られたpHuABC2p由来の発現ベクターをpHC623と名付けた。pHC623のCH2の234位と235位(EUナンバリング)のロイシン残基を両方ともアラニン残基に変更し、Fcγ受容体への結合を排除した(Hezareh et al., J. Virol. 75:12161-12168, 2001)。pHC623の概略構造を
図6Aに示す。
【0134】
pHC623においてコードされるCk-CTLA4YE融合体のアミノ酸配列は、
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD(配列番号32)
である。リンカー配列には下線が引かれている。
【0135】
pHC623においてコードされる成熟重鎖のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号33)
である。
【0136】
pHC623においてコードされるC末端でリンカー(下線)(後ろにバリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したHuABC2の成熟軽鎖のアミノ酸配列は、
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD(配列番号34)
である。
【0137】
pHC623においてコードされる軽鎖末端のバリアントCTLA-4に融合した修飾HuABC2をHuABC2-Ck-CTLA4YEと名付けた。HuABC2-Ck-CTLA4YEの概略構造を
図7Aに示す。
【0138】
実施例5: HuABC2重鎖のN末端でのCTLA-4の融合
pHuABC2p内のHuABC2 VHをコードするVHエクソンを修飾することによってCTLA-4に融合したHuABC2の代替形態を構築した。前に合成シグナルペプチド(MGWSWIFFFLLSGTASVLS;配列番号35)、後ろに柔軟なポリペプチドリンカー(SGGGGSGGGGS; 配列番号36)があるバリアントCTLA-4(配列番号14)を成熟HuABC2 VH (配列番号37)のN末端に融合してCTLA-4-HuABC2 VH融合体(CTLA4YE-VH融合体)を生成した。CTLA4YE-VH融合体のアミノ酸配列は、
MGWSWIFFFLLSGTASVLSMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSS(配列番号38)
である。リンカー配列には下線が引かれている。成熟CTLA4YE-VH融合体は、配列番号38の20位で始まる。
【0139】
得られたpHuABC2p由来の発現ベクターをpHC640と名付けた。pHC640のCH2の234位と235位(EUナンバリング)のロイシン残基を両方ともアラニン残基に変更し、Fcγ受容体への結合を排除する。pHC640の概略構造を
図6Bに示す。
【0140】
pHC640においてコードされるN末端で後ろにリンカー(下線)続くバリアントCTLA-4の細胞外ドメインに融合したHuABC2の成熟重鎖のアミノ酸配列は、
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号39)
である。
【0141】
pHC640においてコードされる成熟軽鎖のアミノ酸配列は、pHuABC2pにおいてコードされる成熟軽鎖配列と同じである(配列番号9)。
【0142】
pHC640においてコードされる成熟重鎖のN末端でバリアントCTLA-4に融合した修飾HuABC2をHuABC2-CTLA4YE-VHと名付けた。HuABC2-CTLA4YE-VHの概略構造を
図7Bに示す。
【0143】
実施例6: HuABC2軽鎖のN末端でのCTLA-4の融合
pHuABC2p内のHuABC2 VLをコードするVkエクソンを修飾することによってCTLA-4に融合したHuABC2のさらなる形態を構築した。前に合成シグナルペプチド(配列番号35)、後ろに柔軟なポリペプチドリンカー(SGGGGSGGGGS;配列番号36)があるバリアントCTLA-4(配列番号14)を成熟HuABC2 VL(配列番号40)のN末端に融合してCTLA-4-HuABC2 VL融合体(CTLA4YE-Vk融合体)を生成した。CTLA4YE-Vk融合体のアミノ酸配列は、
MGWSWIFFFLLSGTASVLSMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIK(配列番号41)
である。リンカー配列には下線が引かれている。成熟CTLA4YE-Vk融合体は、配列番号41の20位で始まる。
【0144】
得られたpHuABC2p由来の発現ベクターをpHC641と名付けた。pHC641のCH2の234位及び235位(EUナンバリング)のロイシン残基を両方ともアラニン残基に変更し、Fcγ受容体への結合を排除する。pHC641の概略構造は、
図6Cに示される。
【0145】
pHC641にコードされる成熟重鎖のアミノ酸配列は、pHC623にコードされる成熟重鎖配列と同じである(配列番号33)。
【0146】
pHC641においてコードされるN末端でバリアントCTLA-4の細胞外ドメイン(後ろにリンカー(下線)が続く)に融合したHuABC2の成熟軽鎖のアミノ酸配列は、
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号42)
である。
【0147】
pHC641においてコードされる、成熟軽鎖のN末端でバリアントCTLA-4に融合した修飾HuABC2を、HuABC2-CTLA4YE-Vkと名付けた。HuABC2-CTLA4YE-Vkの概略構造を
図7Cに示す。
【0148】
実施例7: CTLA-4に融合したHuABC2の発現と精製
5つの発現ベクター(pHuABC2p、pHC622、pHC623、pHC640及びpHC641)のそれぞれを有するCHO-K1安定トランスフェクタントを、上記のように作製した。培養上清中の抗体発現を、上記のようにサンドイッチELISAによって分析した。HuABC2、HuABC2-CTLA4YE(HuABC2-CH3-CTLA4YEとも呼ばれる)、HuABC2-Ck-CTLA4YE、HuABC2-CTLA4YE-VH、及びHuABC2-CTLA4YE-Vk抗体のそれぞれを高レベルで産生するCHO-K1安定トランスフェクタントをSFM4CHOで拡張した。HuABC2及びそのCTLA-4融合体を、上記のようにプロテインAカラムクロマトグラフィーによって培養上清から精製した。
【0149】
精製HuABC2、HuABC2-CH3-CTLA4YE、HuABC2-Ck-CTLA4YE、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-Vkを標準手順に従って還元条件下でSDS-PAGEによって特性評価した。これらの抗体はそれぞれ、2つの主要なポリペプチドで構成されていることが判明した。それらのおおよそのサイズについて、HuABCは250kD及び25kD、HuABC2-CH3-CTLA4YEは65kD及び25kD、HuABC2-Ck-CTLA4YEは50kD及び40kD、HuABC2-CTLA4YE-VHは65kD及び25kD、HuABC2-CTLA4YE-Vkは50kD及び40kDであった。
【0150】
実施例8: CTLA-4に融合したHuABC2のCD80、CD86及びCD122への結合
HuABC2-CH3-CTLA4YE、HuABC2-Ck-CTLA4YE、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-Vkの特性を分析するには、2つの発現ベクター(pFCm553及びpFCm554)を、細胞表面上でそれぞれ組換えヒトCD80及びCD86を発現するために構築した。
【0151】
発現ベクターpFCm553(
図8A)は、(a)軽鎖転写ユニットが除去されたこと、(b)HuABC2の重鎖をコードするSpeI-EagI断片が、ヒトCD80の細胞外領域(配列番号43)、FLAGポリペプチド(DYKDDDDK;配列番号44)及びヒトCD55由来のGPIアンカーシグナル(PNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTTGLLGTLVTMGLLT;配列番号45)(CD80-FLAG-GPI)が続く合成シグナルペプチドをコードするDNA断片(配列番号35)で置換されたこと以外、pHuABC2pと同じ構造を有する。成熟CD80-FLAG-GPIのアミノ酸配列は、
VIHVTKEVKEVATLSCGHNVSVEELAQTRIYWQKEKKMVLTMMSGDMNIWPEYKNRTIFDITNNLSIVILALRPSDEGTYECVVLKYEKDAFKREHLAEVTLSVKADFPTPSISDFEIPTSNIRRIICSTSGGFPEPHLSWLENGEELNAINTTVSQDPETELYAVSSKLDFNMTTNHSFMCLIKYGHLRVNQTFNWNTTKQEHFPDNTGGGDYKDDDDKGGGPNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTGLLGTLVTMGLLT(配列番号46)
である。
【0152】
他の発現ベクターpFCm554(
図8B)において、pFCm553のCD80コード領域は、ヒトCD86の細胞外ドメインのコード領域(配列番号47)によって置換され、FLAGペプチド及びGPIアンカーシグナルに融合したヒトCD86(CD86-FLAG-GPI)を発現する。成熟CD86-FLAG-GPIのアミノ酸配列は、
LKIQAYFNETADLPCQFANSQNQSLSELVVFWQDQENLVLNEVYLGKEKFDSVHSKYMGRTSFDSDSWTLRLHNLQIKDKGLYQCIIHHKKPTGMIRIHQMNSELSVLANFSQPEIVPISNITENVYINLTCSSIHGYPEPKKMSVLLRTKNSTIEYDGIMQKSQDNVTELYDVSISLSVSFPDVTSNMTIFCILETDKTRLLSSPFSIELEDPQPPPDHTGGGDYKDDDDKGGGPNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTGLLGTLVTMGLLT(配列番号48)
である。
【0153】
CD80-FLAG-GPI(CHO-K1/CD80)及びCD86-FLAG-GPI(CHO-K1/CD86)を発現するCHO-K1安定トランスフェクタントを、上記のように、それぞれpFCm553及びpFCm554を用いたエレクトロポレーションによって生成した。HuABC2-CH3-CTLA4YE、HuABC2-Ck-CTLA4YE、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-VkのCHO-K1/CD80及びCHO-K1/CD86細胞への結合をフローサイトメトリーによって分析した。ベラタセプト(LEA29Y及びNulojixとも知られている;配列番号49)は、配列番号10の29位でアラニン残基からチロシン残基への置換(A29Y)、及び104位でロイシン残基からグルタミン酸残基への別の置換(L104E)を有するCTLA4-Ig融合タンパク質である(Larsen et al., Am. J. Transplant. 5:443-453, 2005; Oshima et al., Protein Eng. Des. Sel. 29:159-167, 2016)。それは、Creative Biomart (Cat. No. THP-0109, Shirley, NY)から購入され、実験の参照として使用された。
【0154】
10μg/mlから開始して4倍段階希釈を5段階行った精製試験サンプル(HuABC2-CH3-CTLA4YE、HuABC2-Ck-CTLA4YE、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-Vk)及びベラタセプトを、FACS緩衝液(0.5%BSA及び0.05%アジ化ナトリウムを含むPBS)中でCHO-K1/CD80細胞又はCHO-K1/CD86細胞とともに4℃で30分間インキュベートした。FACS緩衝液で洗浄した後、細胞をFACS緩衝液中でPE標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(SouthernBiotech, Birmingham, AL)とともに4℃で20分間インキュベートした。洗浄及びFACS緩衝液中での懸濁後、染色された細胞をフローサイトメトリーに供した。
【0155】
HuABC2-CH3-CTLA4YE、HuABC2-Ck-CTLA4YE、HuABC2-CTLA4YE-VH、HuABC2-CTLA4YE-Vk及びベラタセプトのCHO-K1/CD80細胞への結合パターンを
図9Aに示す。HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-VkのCD80への結合は、ベラタセプトの結合よりわずかに弱かったが、HuABC2-CH3-CTLA4YE及びHuABC2-Ck-CTLA4YEの結合は、ベラタセプトの結合よりもはるかに弱かった。例えば、625ng/mlでのCHO-K1/CD80細胞への結合の平均チャネル蛍光(MCF)値について、ベラタセプトは1,583、HuABC2-CH3-CTLA4YEは425、HuABC2-Ck-CTLA4YEは307、HuABC2-CTLA4YE-VHは1,313、HuABC2- CTLA4YE-Vkは1,310であった。Nulojix(belatacept, Bristol Myers Squibb)の添付文書によれば、ベラタセプトの分子量は約90キロダルトン(kD)であり、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-Vk(両方とも約180kD)の分子量のおよそ半分であり、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-VkのCD80への結合(ここで、CTLA-4がそれぞれ重鎖及び軽鎖のN末端に融合している)は、モルベースでベラタセプトの結合に匹敵した。対照的に、CTLA-4がそれぞれ重鎖及び軽鎖のC末端に融合しているHuABC2-CH3-CTLA4YE及びHuABC2-Ck-CTLA4YEの結合は、予想外にベラタセプトの結合よりもはるかに弱かった。
【0156】
HuABC2-CH3-CTLA4YE、HuABC2-Ck-CTLA4YE、HuABC2-CTLA4YE-VH、HuABC2-CTLA4YE-Vk及びベラタセプトのCHO-K1/CD86細胞への結合パターンを
図9Bに示す。CHO-K1/CD80細胞の場合と同様に、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-VkのCD86への結合は、ベラタセプトの結合よりわずかに弱かった一方、HuABC2-CH3-CTLA4YE及びHuABC2-Ck-CTLA4YEの結合は、ベラタセプトの結合よりもはるかに弱かった。例えば、625ng/mlでのCHO-K1/CD86細胞への結合のMCF値について、ベラタセプトでは1,179、HuABC2-CH3-CTLA4YEでは221、HuABC2-Ck-CTLA4YEでは13、HuABC2-CTLA4YE-VHでは1,288、HuABC2-CTLA4YE-Vkでは956であった。HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-VkのCD86への結合は、モルベースでベラタセプトの結合に匹敵した一方、HuABC2-CH3-CTLA4YE及びHuABC2-Ck-CTLA4YEの結合は、予想外にベラタセプトの結合よりもはるかに弱かった。
【0157】
HuABC2-CH3-CTLA4YE、HuABC2-Ck-CTLA4YE、HuABC2-CTLA4YE-VH、HuABC2-CTLA4YE-Vk及びベラタセプトの結合特性を、上記のようにフローサイトメトリーによってヒトバーキットリンパ腫細胞株ラモスを用いてさらに調べた。結果を
図9Cに示す。625ng/mlでのRamos細胞への結合のMCF値について、ベラタセプトでは539、HuABC2-CH3-CTLA4YEでは 63、HuABC2-Ck-CTLA4YEでは60、HuABC2-CTLA4YE-VHでは611、HuABC2-CTLA4YE-Vkでは715であった。CHO-K1/CD80細胞及びCHO-K1/CD86細胞で観察されたように、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-VkのRamos細胞への結合は、ベラタセプトの結合に匹敵した一方、HuABC2-CH3-CTLA4YE及びHuABC2-Ck-CTLA4YEの結合は、ベラタセプトの結合よりもはるかに弱かった。
【0158】
実施例9: CH3とCTLA-4の間のリンカーの修飾
HuABC2-CH3-CTLA4YEは、ベラタセプト及びHuABC2-CTLA4YE-VHと比較した場合、CD80及びCD86に対して弱い結合を示した(
図9A及びB)。CD80及びCD86への結合に対するCH3とCTLA-4の間の柔軟なポリペプチドリンカーの影響を評価するために、HuABC2-CH3-CTLA4YEをコードするpHC625内のCH3とCTLA-4を結合するポリペプチドリンカー(SGGGGSG;配列番号11)の配列を改変することによって、2つの新しい発現ベクターを生成した。得られたベクターの1つであるpHC634におけるCH3とCTLA-4との間のポリペプチドリンカーの配列は、SGGGGSGGGGS(配列番号36)である。pHC634から発現された修飾HuABC2-CH3-CTLA4YEをHuABC2-CH3-CTLA4YE-Xと名付けた。得られたベクターpHC635におけるCH3とCTLA-4の間のポリペプチドリンカー配列は、SGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号50)であった。pHC635から発現された修飾HuABC2-CH3-CTLA4YEをHuABC2-CH3-CTLA4YE-Yと名付けた。
【0159】
3つの発現ベクター(pHC625、pHC634及びpHC635)のそれぞれを、上記のようにHEK293細胞にトランスフェクトした。培養上清中のHuABC2-CH3-CTLA4YE、HuABC2-CH3-CTLA4YE-X及びHuABC2-CH3-CTLA4YE-Yの発現レベルを、上記のようにサンドイッチELISAによって測定した。HuABC2-CH3-CTLA4YE、HuABC2-CH3-CTLA4YE-X及びHuABC2-CH3-CTLA4YE-YのCHO-K1/CD80及びCHO-K1/CD86細胞のそれぞれへの結合を、上記のようにフローサイトメトリーによって分析した。HuABC2-CH3-CTLA4YE、HuABC2-CH3-CTLA4YE-X及びHuABC2-CH3-CTLA4YE-Yは、CD80とCD86への結合に明らかな違いを示さなかった。
【0160】
実施例10: CD122への結合
HuABC2の重鎖又は軽鎖のN末端でのCTLA-4の結合がその抗原結合を妨げる可能性を評価するために、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-VkのCD122への結合能力をHuABC2と比較した。発現ベクターpFCm148(
図8C)は、CD80及びピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼのコード領域がそれぞれヒトCD122(配列番号51)及びキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(
図8Cではgptとして示される)の細胞外ドメインによって置換された以外、pFCm553(
図8A)と同じ構造を有する。pFCm148においてコードされるFLAGペプチド及びGPIアンカーシグナルに融合した成熟ヒトCD122(CD122-FLAG-GPI)のアミノ酸配列は、
AVNGTSQFTCFYNSRANISCVWSQDGALQDTSCQVHAWPDRRRWNQTCELLPVSQASWACNLILGAPDSQKLTTVDIVTLRVLCREGVRWRVMAIQDFKPFENLRLMAPISLQVVHVETHRCNISWEISQASHYFERHLEFEARTLSPGHTWEEAPLLTLKQKQEWICLETLTPDTQYEFQVRVKPLQGEFTTWSPWSQPLAFRTKPAALGKDTTGGGDYKDDDDKGGGPNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTGLLGTLVTMGLLT(配列番号52)
である。
【0161】
マウス骨髄腫細胞株NS0をpFCm148によるエレクトロポレーションによって安定にトランスフェクトし、標準手順に従ってキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼの発現について選択した。表面上にCD122-FLAG-GPIを発現するNS0安定トランスフェクタント(NS0/CD122)を、HuABC2、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-VkのCD122への結合の分析に使用した。
【0162】
HuABC2、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-Vkのそれぞれを、2.5μg/mlで開始して4段階の4倍段階希釈を行い、FACS緩衝液中でNS0/CD122細胞と共に4℃で30分間インキュベートした。FACS緩衝液で洗浄した後、細胞をPE標識ヤギ抗ヒトIgG抗体と共に4℃で20分間インキュベートした。洗浄してFACS緩衝液に懸濁した後、細胞をフローサイトメトリーに供した。
図10に示すように、HuABC2、HuABC2-CTLA4YE-VH、及びHuABC2-CTLA4YE-Vkは、CD122への結合に関して明確な違いを示さなかった。したがって、HuABC2の抗原結合は、その重鎖又は軽鎖のN末端へのCTLA-4の融合によって悪影響を受けなかった。
【0163】
実施例11: CTLA-4に融合したHuABC2の免疫抑制活性
CTLA-4に融合したHuABC2が免疫応答を抑制する活性を、CD3+T細胞と同種異系単球由来樹状細胞(Mo-DC)を用いた混合リンパ球反応(MLR)によって調べた(Latek et al., Transplantation,87: 926-933, 2009; Goenka et al., J. Immunol, 206:1102-1113, 2021)。CD3+T細胞を、MojoSortヒトCD3 T細胞分離キット(BioLegend, San Diego, CA)を使用してヒト末梢血単核球(PBMC)から精製し、2.5μMのCellTrace Far Red(Thermo Fisher Scientific)で標識した。成熟Mo-DCを生成するために、CD14+単球を、CD14 MicroBeads、ヒト(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を使用して異なるドナーのヒトPBMCから単離し、10% FBS(Life Technologies, Grand Islands, NY)、10mM HEPES、1mMピルビン酸ナトリウム、250IU/mlヒトIL-4(BioLegend)及び800 IU/mlヒトGM-CSF(BioLegend)を添加したRPMI 1640培地中、7.5% CO2インキュベーター、37℃で6日間インキュベートし、さらに、10% FBS、10mM HEPES、1mMピルビン酸ナトリウム、1,000IU/mlヒトIL-6(BioLegend)、200IU/mlヒトIL-1β(BioLegend)及び1,000IU/mlヒトTNF-α(BioLegend)を添加したRPMI 1640培地中で1日間増殖させた。
【0164】
MLRは、3μg/mlの各試験サンプル又はそれらの組み合わせの存在下又は非存在下で、10%FBS、10mM HEPES、1mM ピルビン酸ナトリウムを添加したRPMI 1640培地中でCellTrace Far Redで標識されたCD3+T細胞と同種異系成熟Mo-DCを2:1で混合することによって実施された。7.5%CO2インキュベーター中、37℃で6日間インキュベートした後、細胞をHelix NP Green(BioLegend)で染色し、フローサイトメトリーに供した。Helix NP GreenとCellTrace Far Redの蛍光レベルを使用して、それぞれ細胞の生存率と増殖をモニタリングした。CellTrace Far Redによって染色されなかったため蛍光が陰性であったMo-DCは分析から除外された。CellTrace Far Red細胞増殖キット(Thermo Fisher Scientific)のユーザガイドに従ってCellTrace Far Redの蛍光レベルによってT細胞の増殖をモニタリングし、増殖しているT細胞の数を生存T細胞の総数で割ることによって計算した。
【0165】
MLRにおけるT細胞増殖の解析結果を
図11に示す。生存T細胞集団における増殖しているT細胞の割合は、試験サンプルなしでは46.3%、ベラタセプトでは7.9%、HuABC2では23.2%、ベラタセプトとHuABC2の併用では1.7%、HuABC2-CH3-CTLA4YEでは18.4%、HuABC2-Ck-CTLA4YEでは27.9%、HuABC2-CTLA4YE-VHでは2.5%、HuABC2-CTLA4-Vkでは2.4%であった。HuABC2-CTLA4YE-VHとHuABC2-CTLA4-Vkは両方とも、ベラタセプトとHuABC2のそれぞれよりも強力にT細胞増殖を抑制し、HuABC2とベラタセプトの併用とほぼ同じ効率でT細胞増殖を抑制した。HuABC2-CH3-CTLA4YE及びHuABC2-Ck-CTLA4YEのそれぞれのT細胞増殖を抑制する活性は、HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4-Vkよりもはるかに弱かった。
【0166】
ELISA MAX Deluxe Set Human IFN-γキット(BioLegend)を使用して測定したMLR培養上清中の炎症誘発性サイトカインIFN-γのレベルは、試験サンプルなしで8,217pg/ml、ベラタセプトで744pg/ml、HuABC2で5,459 pg/ml、ベラタセプトとHuABC2の併用で170pg/ml、HuABC2-CH3-CTLA4YEで837pg/ml、HuABC2-Ck-CTLA4YEで2,984 pg/ml、HuABC2-CTLA4YE-VHで167pg/ml、HuABC2-CTLA4YE-Vkで182pg/mlであった(
図12)。HuABC2-CTLA4YE-VH及びHuABC2-CTLA4YE-Vkは両方とも、HuABC2とベラタセプトの併用と同じくらい強力にIFN-γの産生を抑制した。
【0167】
実施例12: CTLA-4に融合したHuABC101
哺乳類細胞においてベクターpHuABC101から発現されるHuABC101は、HuABC101 VH(配列番号29)及びHuABC101 VL(配列番号30)を含むヒト化抗CD122 IgG1/κ抗体である。pHuABC101の構造は、HuABC2 VH、HuABC2 VL及びピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼのコード領域がそれぞれHuABC101 VH、HuABC101 VL及びキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼによって置換された以外、pHuABC2pと同じである(
図1A)。
【0168】
pHuABC101においてコードされる成熟重鎖のアミノ酸配列は、
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGYSITNDNHWWNWIRQHPGKGLEWMGYIDSSGSSDNNPSLKSQITISRDTSKNQLSLKLSSVTAADTAVYYCARGGGRDYYGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
である。
【0169】
HuABC101においてコードされる成熟軽鎖のアミノ酸配列は、
DIVMTQSPDSLGVSLGERATINCRASQSVSTSSYSYVHWYQQKPGQPPKLLIKYASNLESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQHSWDIPFTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号54)
である。
【0170】
変異体CTLA-4(配列番号14)をpHuABC101中の成熟HuABC101 VHのN末端に融合させて、新しい発現ベクターpHC642を生成した。pHC642内のHuABC101 VHに融合したCTLA-4のコード領域は、N末端からC末端へ、合成シグナルペプチド(配列番号35)、バリアントCTLA-4(配列番号14)、柔軟なポリペプチドリンカー(SGGGGSGGGGS;配列番号36)、及び成熟HuABC101 VH(配列番号29)(CTLA4YE-HuABC101 VH融合体)を含む。CTLA4YE-HuABC101 VH融合体のアミノ酸配列は、
MGWSWIFFFLLSGTASVLSMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSQVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGYSITNDNHWWNWIRQHPGKGLEWMGYIDSSGSSDNNPSLKSQITISRDTSKNQLSLKLSSVTAADTAVYYCARGGGRDYYGMDYWGQGTTVTVSS(配列番号55)
である。リンカー配列には下線が引かれている。成熟CTLA4YE-HuABC101 VH融合体は、配列番号55の20位で始まる。
【0171】
pHC642においてコードされる成熟軽鎖のアミノ酸配列は、pHuABC101においてコードされる成熟軽鎖配列と同じである(配列番号54)。pHC642においてコードされるN末端でバリアントCTLA-4の細胞外ドメイン(後ろにリンカー(下線)が続く)に融合したHuABC101の成熟重鎖のアミノ酸配列は、
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSQVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGYSITNDNHWWNWIRQHPGKGLEWMGYIDSSGSSDNNPSLKSQITISRDTSKNQLSLKLSSVTAADTAVYYCARGGGRDYYGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号56)
である。重鎖のN末端でCTLA-4に融合した修飾HuABC101(HuABC101-CTLA4YE-VHと名付けた)をpHC642から発現させる。
【0172】
別の発現ベクターを、柔軟なポリペプチドリンカー(配列番号11)、続いてバリアントCTLA-4(配列番号14)をpHuABC101におけるCH3の最後から2番目のグリシン残基に融合することによって構築した。得られたベクターpHC630においてコードされる成熟軽鎖のアミノ酸配列は、pHuABC101においてコードされる成熟軽鎖配列(配列番号54)と同じである。pHC630においてコードされるC末端でリンカー(下線)(後ろバリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したHuABC101の成熟重鎖のアミノ酸配列は、
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGYSITNDNHWWNWIRQHPGKGLEWMGYIDSSGSSDNNPSLKSQITISRDTSKNQLSLKLSSVTAADTAVYYCARGGGRDYYGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD(配列番号57)
である。重鎖のC末端でCTLA-4に融合した修飾HuABC101(HuABC101-CH3-CTLA4YEと呼ばれる)は、pHC630から発現される。
【0173】
2つの発現ベクター(pHC642及びpHC630)を、上記のようにHEK293細胞に個別にトランスフェクトした。培養上清中のそれらの発現レベルは、上記のようにサンドイッチELISAによって測定した。一過性に発現したHuABC101-CTLA4YE-VH及びHuABC101-CH3-CTLA4YEのCD80及びCD86への結合を、上記のようにフローサイトメトリーによって分析した。ベラタセプトは、CD80及びCD86への結合の参照として使用された。
【0174】
200ng/mlでのHuABC101-CTLA4YE-VH、HuABC101-CH3-CTLA4YE及びベラタセプトのCHO-K1/CD80細胞への結合に関するMCF値は、それぞれ1163、291及び1876であった。200ng/mlでのHuABC101-CTLA4YE-VH、HuABC101-CH3-CTLA4YE及びベラタセプトのCHO-K1/CD86細胞への結合に関するMCF値は、それぞれ745、108及び917であった。HuABC101-CH3-CTLA4YEのCD80及びCD86のそれぞれへの結合は、HuABC101-CTLA4YE-VHの結合よりもはるかに弱かった。CTLA-4に融合したHuABC2で観察されたように、HuABC101の重鎖のC末端へのCTLA-4の融合は、予想外にCD80及びCD86への結合を減少させた。
【0175】
実施例13: CTLA-4に融合したHuABC77D
ヒト及びカニクイザルのCD122に結合してその機能をブロックするIgG/カッパモノクローナル抗体ABC77を産生するマウスハイブリドーマを、米国特許第9,028,830号に記載されているように、GenomONE CF EX細胞融合試薬(Cosmo Bio, Carlsbad, CA)を使用する標準的な細胞融合技術に従って、JN Biosciences(Mountain View, CA)で単離した。ABC77のVH及びVLの配列決定及びヒト化は、Trushitaら(Methods 36:69~83, 2005)に記載されているように実施した。
【0176】
ヒト化ABC77 VH(HuABC77D VH)のアミノ酸配列は
MDFGLIFFIVALLKGVQCEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSS(配列番号58)
である。Kabatらの定義(上記)に基づくHuABC77D VHのCDR1、2及び3のアミノ酸配列は、それぞれRYWMS(配列番号59)、EINPDSSTINYAPSLKD(配列番号60)及びHDYDEGIYFDY(配列番号61)である。成熟HuABC77D VHは、配列番号58の19位で始まる。
【0177】
ヒト化ABC77 VL(HuABC77D VL)のアミノ酸配列は、
MDFQVQIFSFLLISASVIISRGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSRVIYMHWYQQKPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSSNPPTFGGGTKVEIK(配列番号62)
である。HuABC77D VLのKabatらの定義(上記)に基づくCDR1、2及び3のアミノ酸配列は、それぞれSASSRVIYMH(配列番号63)、DTSKLAS(配列番号64)及びQQWSSNPPT(配列番号65)である。成熟HuABC77D VLは、配列番号62の23位で始まる。
【0178】
発現ベクターpHuABC77Dは、pHuABC2pの誘導体であり、HuABC2 VH及びVLのコード領域がそれぞれHuABC77D VH及びVLのコード領域で置換される。pHuABC77DのCH2の234位と235位(EUナンバリング)のロイシン残基を両方ともアラニン残基に変更し、Fcγ受容体への結合を排除した(Hezareh et al., J. Virol. 75:12161-12168, 2001)。
【0179】
pHuABC77Dにおいてコードされる成熟重鎖のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号66)
である。
【0180】
pHuABC77Dにおいてコードされる成熟軽鎖のアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSRVIYMHWYQQKPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSSNPPTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号67)
である。
【0181】
pHuABC77Dで安定にトランスフェクトされたCHO-K1細胞を生成し、上記のようにSFM4CHO培地で増殖させた。ヒト化ABC77 IgG1/カッパ抗体(HuABC77D)を上記のように培養上清から精製した。HuABC77Dは、(i)ヒト及びカニクイザルCD122への特異的結合、及び(ii)ヒトCD122とヒトIL-2及びIL-15との相互作用のブロックを示した。
【0182】
バリアントCTLA-4(配列番号14)をpHuABC77D中の成熟HuABC77D VHのN末端に融合して新しい発現ベクターpHC644を生成した。pHC644におけるHuABC77D VHに融合したCTLA-4のコード領域は、N末端からC末端へ、合成シグナルペプチド(配列番号35)、バリアントCTLA-4(配列番号14)、柔軟なポリペプチドリンカー(SGGGGSGGGGS;配列番号36)、及び成熟HuABC77D VH(配列番号68)を含む(CTLA4YE-HuABC77D VH融合体)。成熟CTLA4YE-HuABC77D VH融合体のアミノ酸配列は、
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSS(配列番号69)
である。リンカー配列には下線が引かれている。
【0183】
pHC644においてコードされる成熟軽鎖のアミノ酸配列は、pHuABC77Dにおいてコードされる成熟軽鎖配列と同じである(配列番号67)。pHC644においてコードされるN末端でバリアントCTLA-4の細胞外ドメイン(後ろにリンカー(下線)が続く)に融合したHuABC77Dの成熟重鎖のアミノ酸配列は、
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号70)
である。重鎖のN末端でCTLA-4に融合した修飾HuABC77D(HuABC77D-CTLA4YE-VHと呼ばれる)は、pHC644から発現される。
【0184】
別の発現ベクターは、変異体CTLA-4(配列番号14)をpHuABC77D中のCH3の最後から2番目のグリシン残基に融合することによって構築した。得られたベクターpHC645においてコードされる成熟軽鎖のアミノ酸配列は、pHuABC77Dにおいてコードされる成熟軽鎖配列(配列番号67)と同じである。pHC645においてコードされるC末端でリンカー(下線)(バリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したHuABC77Dの成熟重鎖のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD(配列番号71)
である。重鎖のC末端でCTLA-4に融合した修飾HuABC77D(HuABC77D-CH3-CTLA4YEと呼ばれる)は、pHC645から発現される。
【0185】
2つの発現ベクター(pHC644及びpHC645)を、上記のようにHEK293細胞に個別にトランスフェクトした。培養上清中のそれらの発現レベルは、上記のようにサンドイッチELISAによって測定した。HuABC77D-CH3-CTLA4YE及びHuABC77D-CTLA4YE-VHのCHO-K1/CD80及びCHO-K1/CD86細胞への結合を、上記のようにフローサイトメトリーによって分析した。ベラタセプトは、CD80及びCD86への結合の参照として使用された。試験サンプルは、500ng/mlで4段階の3倍連続希釈で使用された。
【0186】
CHO-K1/CD80細胞及びCHO-K1/CD86細胞への結合の結果をそれぞれ
図13A及びBに示す。BelataceptとHuABC77D-CTLA4YE-VHは、CD80及びCD86のそれぞれに対して同じレベルの結合を示した一方、HuABC77D-CH3-CTLA4YEの結合は、ベラタセプトとHuABC77D-CTLA4YE-VHの結合と比較するとはるかに弱かった。500ng/mlでのベラタセプト、HuABC77D-CTLA4YE-VH及びHuABC77D-CH3-CTLA4YEのCHO-K1/CD80細胞への結合に関するMCF値は、それぞれ4390、4594及び1809であった。500ng/mlのベラタセプト、HuABC77D-CTLA4YE-VH及びHuABC77D-CH3-CTLA4YEのCHO-K1/CD86細胞への結合に関するMCF値は、それぞれ723、794及び118であった。HuABC2及びHuABC101で観察されたように、重鎖のC末端へのCTLA-4の融合は、CD80及びCD86へのHuABC77Dの結合を予想外に減少させた。
【0187】
HuABC77D、HuABC77D-CTLA4YE-VH及びHuABC77D-CH3-CTLA4YEのCD122への結合を、上記のように、NS0/CD122細胞を使用するフローサイトメトリーによって分析した。HuABC77D、HuABC77D-CTLA4YE-VH、及びHuABC77D-CH3-CTLA4YEの間でCD122結合パターンに大きな差異は観察されなかった。この結果は、HuABC77D重鎖のN末端でのCTLA-4の融合がHuABC77Dの抗原結合に悪影響を及ぼさないことを示している。
【0188】
配列表
配列番号1
HuABC2 VHのアミノ酸配列
MKLWLNWVFLLTLLHGIQCEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSS
配列番号2
HuABC2 VLのアミノ酸配列
MDFQVQIFSFLLISASVIVSRGEIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIK
配列番号3
pHuABC2pにおいてコードされるヒトγ-1重鎖のCH1領域のアミノ酸配列
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKV
配列番号4
pHuABC2pにおいてコードされるヒトγ-1重鎖のヒンジ領域のアミノ酸配列
EPKSCDKTHTCPPCP
配列番号5
pHuABC2pにおいてコードされるヒトγ-1重鎖のCH2領域のアミノ酸配列
APELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK
配列番号6
pHuABC2pにおいてコードされるヒトγ-1重鎖のCH3領域のアミノ酸配列
GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号7
pHuABC2pにおいてコードされるCk領域のアミノ酸配列
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号8
pHuABC2pにおいてコードされるHuABC2の成熟重鎖のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号9
pHuABC2pにおいてコードされるHuABC2の成熟軽鎖のアミノ酸配列
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号10
ヒトCTLA-4の細胞外ドメインのアミノ酸配列
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
配列番号11
柔軟なポリペプチドリンカーのアミノ酸配列
SGGGGSG
配列番号12
pHC624においてコードされるCH3とリンカー及びCTLA-4の細胞外ドメインとの融合体(CH3-CTLA4融合体)のアミノ酸配列
GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
配列番号13
pHC624においてコードされるC末端でリンカー(後ろにCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したHuABC2の成熟重鎖のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
配列番号14
A29Y及びL104E変異を有するバリアントヒトCTLA-4の細胞外ドメイン(バリアントCTLA-4)のアミノ酸配列
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
配列番号15
pHC625及びpHC622においてコードされるC末端でリンカー(後ろにバリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したCH3のアミノ酸配列
GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
配列番号16
pHC625及びpHC622においてコードされるC末端でリンカー(後ろにバリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したHuABC2の成熟重鎖のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
配列番号17
ABC2 VH CDR1のアミノ酸配列
DFYME
配列番号18
ABC2 VH CDR2のアミノ酸配列
ASRNKANDYTTEYSASVKG
配列番号19
ABC2 VH CDR3のアミノ酸配列
SYYRYDGMDY
配列番号20
ABC2 VL CDR1のアミノ酸配列
SAISSVSYMY
配列番号21
ABC2 VL CDR2のアミノ酸配列
DTSNLVS
配列番号22
ABC2 VL CDR3のアミノ酸配列
QQWNTYPYT
配列番号23
ABC101 VH CDR1のアミノ酸配列
NDNHWWN
配列番号24
ABC101 VH CDR2のアミノ酸配列
YIDSSGSSDNNPSLKS
配列番号25
ABC101 VH CDR3のアミノ酸配列
GGGRDYYGMDY
配列番号26
ABC101 VL CDR1のアミノ酸配列
RASQSVSTSSYSYVH
配列番号27
ABC101 VL CDR2のアミノ酸配列
YASNLES
配列番号28
ABC101 VL CDR3のアミノ酸配列
QHSWDIPFT
配列番号29
成熟HuABC101 VHのアミノ酸配列
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGYSITNDNHWWNWIRQHPGKGLEWMGYIDSSGSSDNNPSLKSQITISRDTSKNQLSLKLSSVTAADTAVYYCARGGGRDYYGMDYWGQGTTVTVSS
配列番号30
成熟HuABC101 VLのアミノ酸配列
DIVMTQSPDSLGVSLGERATINCRASQSVSTSSYSYVHWYQQKPGQPPKLLIKYASNLESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQHSWDIPFTFGQGTKLEIK
配列番号31
成熟ヒトCD122のアミノ酸配列
AVNGTSQFTCFYNSRANISCVWSQDGALQDTSCQVHAWPDRRRWNQTCELLPVSQASWACNLILGAPDSQKLTTVDIVTLRVLCREGVRWRVMAIQDFKPFENLRLMAPISLQVVHVETHRCNISWEISQASHYFERHLEFEARTLSPGHTWEEAPLLTLKQKQEWICLETLTPDTQYEFQVRVKPLQGEFTTWSPWSQPLAFRTKPAALGKDTIPWLGHLLVGLSGAFGFIILVYLLINCRNTGPWLKKVLKCNTPDPSKFFSQLSSEHGGDVQKWLSSPFPSSSFSPGGLAPEISPLEVLERDKVTQLLLQQDKVPEPASLSSNHSLTSCFTNQGYFFFHLPDALEIEACQVYFTYDPYSEEDPDEGVAGAPTGSSPQPLQPLSGEDDAYCTFPSRDDLLLFSPSLLGGPSPPSTAPGGSGAGEERMPPSLQERVPRDWDPQPLGPPTPGVPDLVDFQPPPELVLREAGEEVPDAGPREGVSFPWSRPPGQGEFRALNARLPLNTDAYLSLQELQGQDPTHLV
配列番号32
pHC623においてコードされるリンカー(後ろにバリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したCk(Ck-CTLA4YE融合体)のアミノ酸配列
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
配列番号33
pHC623においてコードされるHuABC2の成熟重鎖のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号34
pHC623においてコードされるC末端でリンカー(後ろにバリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したHuABC2の成熟軽鎖のアミノ酸配列
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
配列番号35
合成シグナルペプチドのアミノ酸配列
MGWSWIFFFLLSGTASVLS
配列番号36
柔軟なポリペプチドリンカーのアミノ酸配列
SGGGGSGGGGS
配列番号37
成熟HuABC2 VHのアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSS
配列番号38
N末端でシグナルペプチド(後ろにリンカー及びバリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合した成熟HuABC2 VH(CTLA4YE-VH融合体)のアミノ酸配列
MGWSWIFFFLLSGTASVLSMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSS
配列番号39
pHC640においてコードされるN末端でバリアントCTLA-4の細胞外ドメイン(後ろにリンカーが続く)に融合したHuABC2の成熟重鎖のアミノ酸配列
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDFYMEWVRQAPGKGLEWIAASRNKANDYTTEYSASVKGRFIVSRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARSYYRYDGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号40
成熟HuABC2 VLのアミノ酸配列
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIK
配列番号41
N末端でバリアントCTLA-4の細胞外ドメイン(後ろにリンカーが続く)に融合した成熟HuABC2 VL(CTLA4YE-Vk融合体)のアミノ酸配列
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIK
配列番号42
pHC641においてコードされるN末端でバリアントCTLA-4の細胞外ドメイン(後ろにリンカーが続く)に融合したHuABC2の成熟軽鎖のアミノ酸配列
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSAISSVSYMYWYQQKPGQAPRLLIYDTSNLVSGVPARFSGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWNTYPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号43
ヒトCD80の細胞外領域のアミノ酸配列
VIHVTKEVKEVATLSCGHNVSVEELAQTRIYWQKEKKMVLTMMSGDMNIWPEYKNRTIFDITNNLSIVILALRPSDEGTYECVVLKYEKDAFKREHLAEVTLSVKADFPTPSISDFEIPTSNIRRIICSTSGGFPEPHLSWLENGEELNAINTTVSQDPETELYAVSSKLDFNMTTNHSFMCLIKYGHLRVNQTFNWNTTKQEHFPDN
配列番号44
FLAGポリペプチドのアミノ酸配列
DYKDDDDK
配列番号45
ヒトCD55由来のGPIアンカレッジシグナルのアミノ酸配列
PNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTGLLGTLVTMGLLT
配列番号46
成熟CD80-FLAG-GPIのアミノ酸配列
VIHVTKEVKEVATLSCGHNVSVEELAQTRIYWQKEKKMVLTMMSGDMNIWPEYKNRTIFDITNNLSIVILALRPSDEGTYECVVLKYEKDAFKREHLAEVTLSVKADFPTPSISDFEIPTSNIRRIICSTSGGFPEPHLSWLENGEELNAINTTVSQDPETELYAVSSKLDFNMTTNHSFMCLIKYGHLRVNQTFNWNTTKQEHFPDNTGGGDYKDDDDKGGGPNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTGLLGTLVTMGLLT
配列番号47
ヒトCD86の細胞外領域のアミノ酸配列
LKIQAYFNETADLPCQFANSQNQSLSELVVFWQDQENLVLNEVYLGKEKFDSVHSKYMGRTSFDSDSWTLRLHNLQIKDKGLYQCIIHHKKPTGMIRIHQMNSELSVLANFSQPEIVPISNITENVYINLTCSSIHGYPEPKKMSVLLRTKNSTIEYDGIMQKSQDNVTELYDVSISLSVSFPDVTSNMTIFCILETDKTRLLSSPFSIELEDPQPPPDH
配列番号48
成熟CD86-FLAG-GPIのアミノ酸配列
LKIQAYFNETADLPCQFANSQNQSLSELVVFWQDQENLVLNEVYLGKEKFDSVHSKYMGRTSFDSDSWTLRLHNLQIKDKGLYQCIIHHKKPTGMIRIHQMNSELSVLANFSQPEIVPISNITENVYINLTCSSIHGYPEPKKMSVLLRTKNSTIEYDGIMQKSQDNVTELYDVSISLSVSFPDVTSNMTIFCILETDKTRLLSSPFSIELEDPQPPPDHTGGGDYKDDDDKGGGPNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTGLLGTLVTMGLLT
配列番号49
ベラタセプトのアミノ酸配列
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDQEPKSSDKTHTSPPSPAPELLGGSSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号50
ポリペプチドリンカーのアミノ酸配列
SGGGGSGGGGSGGGGS
配列番号51
ヒトCD122の細胞外ドメインのアミノ酸配列
AVNGTSQFTCFYNSRANISCVWSQDGALQDTSCQVHAWPDRRRWNQTCELLPVSQASWACNLILGAPDSQKLTTVDIVTLRVLCREGVRWRVMAIQDFKPFENLRLMAPISLQVVHVETHRCNISWEISQASHYFERHLEFEARTLSPGHTWEEAPLLTLKQKQEWICLETLTPDTQYEFQVRVKPLQGEFTTWSPWSQPLAFRTKPAALGKDT
配列番号52
pFCm148においてコードされるCD122-FLAG-GPIのアミノ酸配列
AVNGTSQFTCFYNSRANISCVWSQDGALQDTSCQVHAWPDRRRWNQTCELLPVSQASWACNLILGAPDSQKLTTVDIVTLRVLCREGVRWRVMAIQDFKPFENLRLMAPISLQVVHVETHRCNISWEISQASHYFERHLEFEARTLSPGHTWEEAPLLTLKQKQEWICLETLTPDTQYEFQVRVKPLQGEFTTWSPWSQPLAFRTKPAALGKDTTGGGDYKDDDDKGGGPNKGSGTTSGTTRLLSGHTCFTLTGLLGTLVTMGLLT
配列番号53
pHuABC101においてコードされるHuABC101の成熟重鎖のアミノ酸配列
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGYSITNDNHWWNWIRQHPGKGLEWMGYIDSSGSSDNNPSLKSQITISRDTSKNQLSLKLSSVTAADTAVYYCARGGGRDYYGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号54
pHuABC101においてコードされるHuABC101の成熟軽鎖のアミノ酸配列
DIVMTQSPDSLGVSLGERATINCRASQSVSTSSYSYVHWYQQKPGQPPKLLIKYASNLESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQHSWDIPFTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号55
N末端でバリアントCTLA-4の細胞外ドメイン(後ろにリンカーが続く)に融合した成熟HuABC101 VH(CTLA4YE-HuABC101 VH融合体)のアミノ酸配列
MGWSWIFFFLLSGTASVLSMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSQVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGYSITNDNHWWNWIRQHPGKGLEWMGYIDSSGSSDNNPSLKSQITISRDTSKNQLSLKLSSVTAADTAVYYCARGGGRDYYGMDYWGQGTTVTVSS
配列番号56
pHC642においてコードされるN末端でバリアントCTLA-4の細胞外ドメイン(後ろにリンカーが続く)に融合したHuABC101の成熟重鎖のアミノ酸配列
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSQVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGYSITNDNHWWNWIRQHPGKGLEWMGYIDSSGSSDNNPSLKSQITISRDTSKNQLSLKLSSVTAADTAVYYCARGGGRDYYGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号57
pHC630においてコードされるC末端でリンカー(後ろにバリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したHuABC101の成熟重鎖のアミノ酸配列
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGYSITNDNHWWNWIRQHPGKGLEWMGYIDSSGSSDNNPSLKSQITISRDTSKNQLSLKLSSVTAADTAVYYCARGGGRDYYGMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
配列番号58
HuABC77D VHのアミノ酸配列
MDFGLIFFIVALLKGVQCEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSS
配列番号59
HuABC77D VH CDR1のアミノ酸配列
RYWMS
配列番号60
HuABC77D VH CDR2のアミノ酸配列
EINPDSSTINYAPSLKD
配列番号61
HuABC77D VH CDR3のアミノ酸配列
HDYDEGIYFDY
配列番号62
HuABC77D VLのアミノ酸配列
MDFQVQIFSFLLISASVIISRGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSRVIYMHWYQQKPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSSNPPTFGGGTKVEIK
配列番号63
HuABC77D VL CDR1のアミノ酸配列
SASSRVIYMH
配列番号64
HuABC77D VL CDR2のアミノ酸配列
DTSKLAS
配列番号65
HuABC77D VL CDR3のアミノ酸配列
QQWSSNPPT
配列番号66
pHuABC77DにおいてコードされるHuABC77Dの成熟重鎖のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号67
pHuABC77DにおいてコードされるHuABC77Dの成熟軽鎖のアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSRVIYMHWYQQKPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSSNPPTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号68
成熟HuABC77D VHのアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSS
配列番号69
N末端でバリアントCTLA-4の細胞外ドメイン(後ろにリンカーが続く)に融合した成熟HuABC77D VH(CTLA4YE-HuABC77D VH融合体)のアミノ酸配列
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSS
配列番号70
pHC644においてコードされるN末端でバリアントCTLA-4の細胞外ドメイン(後ろにリンカーが続く)に融合したHuABC77Dの成熟重鎖のアミノ酸配列
MHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号71
pHC645においてコードされるC末端でリンカー(後ろにバリアントCTLA-4の細胞外ドメインが続く)に融合したHuABC77Dの成熟重鎖のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFSRYWMSWVRQAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARHDYDEGIYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGSGGGGSGMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKYTEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYEGIGNGTQIYVIDPEPCPDSD
【配列表】
【国際調査報告】