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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】モジュール式磁束制御
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/70 20160101AFI20240228BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240228BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20240228BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240228BHJP
   B60L 53/35 20190101ALI20240228BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H02J50/70
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/12
B60L53/12
B60L53/35
B60L5/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557269
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 US2022011868
(87)【国際公開番号】W WO2022197348
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】17/207,257
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514287443
【氏名又は名称】インダクトイーブイ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】シュラフェル、ピーター シー.
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン、フランシス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォード、マシュー エル.
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB08
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC07
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC26
5H125FF15
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 車両のワイヤレス充電のためのモジュール式コイルアセンブリは、人体またはその他の生物が存在する可能性のある領域における電磁場(EMF)レベルを制限するように設計されたコイル形状および通信を備える。前記モジュール式コイルアセンブリは、例えば、並列方向の位相相殺、または(1x3、2x3のアレイ構成の場合)対角線対前後の位相相殺を提供することにより、自動車の車台によって提供される遮蔽領域内に、磁場の大部分が留まるように磁場を成形する能力を備えて設計されている。各コイルの電力レベルおよび周波数オフセット対補償を制御することで、相殺を改善し、磁場への暴露の可能性を低減することができる。各コイルアセンブリから発生する磁束密度の位相相殺は、例えば、オフセット125°で約50%の相殺、オフセット180°で約100%までの相殺など、提供される範囲にわたって変化する。車両および充電ステーションの充電プロファイルを利用することによって、充電中の磁束密度の相殺を最大限にすることができる。
【選択図】 図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
nxm配列のコイルアセンブリを有するコイルアレイであって、
n≧1およびm≧2であり、前記コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各コイルアセンブリは、充電時に近接するコイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、1つのコイルアセンブリによって伝送される充電信号が近接するコイルアセンブリによって伝送される充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記近接するコイルアセンブリが同位相である場合のの追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
コイルアレイ。
【請求項2】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、当該コイルアレイは地面に設置されているものであり、さらに、
当該コイルアレイに関連付けられ、充電される車両に関連付けられた通信装置から設定パラメータを受信する通信装置と、前記設定パラメータを使用して当該コイルアレイの充電パラメータを設定する充電場所サーバーとを有し、これにより、充電時に前記追加磁束密度の大部分が前記車両の立入禁止区域内に留まるものである、コイルアレイ。
【請求項3】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、各コイルアセンブリは、異なる電源によって駆動され、所定の振幅を有する充電信号を伝送するものである、コイルアレイ。
【請求項4】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、前記コイルアセンブリによって伝送される充電信号は、前記近接するコイルアセンブリによって伝送される充電信号と約180°位相がずれているものである、コイルアレイ。
【請求項5】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=2、m=2であり、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第1の対と、
互いに隣接して配置され、かつ前記コイルアセンブリの第1の対と平行に配置されたコイルアセンブリの第2の対と
を有し、
前記コイルアセンブリの第1および第2の対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各コイルアセンブリは別々の電源によって給電されるものであり、
前記コイルアセンブリの第1および第2の対の各々は、同一の伝送周波数および電力レベルを共有するが、当該各対におけるコイルアセンブリ間には一定の位相差が存在するものである、コイルアレイ。
【請求項6】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=2、m=2であり、
互いに対角線上に配置されたコイルアセンブリの第1の対と、
互いに対角線上に配置され、かつ前記コイルアセンブリの第1の対とx-y方向において並列に配置されたコイルアセンブリの第2の対と
を有し、
前記コイルアセンブリの第1および第2の対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各コイルアセンブリは別々の電源によって給電されるものであり、
前記コイルアセンブリの第1の対は、第1の周波数および電力レベルを共有し、
前記コイルアセンブリの第2の対は、第2の周波数および電力レベルを共有し、
前記第1および第2の周波数は異なるものであり、それにより、各コイルアセンブリは、充電時においてx-y方向に隣接するコイルアセンブリと一定の位相差を有するものである、
コイルアレイ。
【請求項7】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=2、m=2であり、
互いに並列に配置されたコイルアセンブリの第1の対と、
互いに並列に配置され、かつ前記コイルアセンブリの第1の対と平行に配置されたコイルアセンブリの第2の対と
を有し、
前記コイルアセンブリの第1および第2の対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各コイルアセンブリは別々の電源によって給電されるものであり、
前記コイルアセンブリの第1の対は、第1の周波数および電力レベルを共有し、
前記コイルアセンブリの第2の対は、第2の周波数および電力レベルを共有し、
前記第1および第2の周波数は異なるものであり、それにより、各コイルアセンブリは、充電時においてx-y方向に隣接するコイルアセンブリと一定の位相差を有するものである、
コイルアレイ。
【請求項8】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=1、m=3であり、
一列に配置された第1、第2、および第3のコイルアセンブリを有し、
前記第1および第3コイルアセンブリは、第1の周波数と、第1の位相と、第1の電力レベルとを有する第1の充電信号を出力するものであり、
前記第2のコイルアセンブリは、前記第1のコイルアセンブリと前記第3のコイルアセンブリとの間に配置され、前記第1の周波数および第1の電力レベルを有する第2の充電信号を出力するものであり、
前記第2の充電信号は、前記第1の充電信号と位相がずれているものである、
コイルアレイ。
【請求項9】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=1、m=3であり、
一列に配置された第1、第2、および第3のコイルアセンブリを有し、
前記第1および第3コイルアセンブリは、第1の周波数と、第1の位相と、第1の電力レベルとを有する第1の充電信号を出力するものであり、
前記第2のコイルアセンブリは、前記第1のコイルアセンブリと前記第3のコイルアセンブリとの間に配置され、前記第1の周波数を有する第2の充電信号を出力するものであり、
前記第2の充電信号は、前記第1の充電信号と位相がずれているとともに、前記電力レベルとは異なる第2の電力レベルを有するものであり、当該第2の電力レベルは、前記第1、第2、および第3のコイルアセンブリが同一の電力レベルを有する充電信号を出力した場合に発生する追加磁束密度と比べ、加磁束密度を低減させるように設定されているものである、
コイルアレイ。
【請求項10】
請求項9記載のコイルアレイにおいて、前記第1および第2の電力レベルは、前記加磁束密度を成形するために調整されるものであり、それにより、充電時に前記加磁束密度の大部分が前記車両の立入禁止区域内に留まるものである、コイルアレイ。
【請求項11】
請求項9記載のコイルアレイにおいて、前記第1および第2の電力レベルは、前記第1および第3のコイルアセンブリが、前記第2のコイルアセンブリによって伝送される電流と約180°位相のずれた電流を伝送する場合に、前記第1および第3のコイルアセンブリ対前記第2のコイルアセンブリ間の電流比と、相殺される磁束密度の割合との関数である曲線上で、前記第1および第2の充電信号間の磁束の相殺が最大となる領域に設定されるものであり、
前記第1および第2の電力レベルは、前記第1および第2の充電信号間の最小磁束相殺値が磁束密度の最大の割合と対応する点に近似するように設定されるものである、
コイルアレイ。
【請求項12】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=2、m=3であり、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第1の対と、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第2の対と、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第3の対と
を有し、
コイルアセンブリの各対は、互いに平行に配置され、第1の周波数を有する第1の充電信号を出力するものであり、
コイルアセンブリの各対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各対における各コイルアセンブリは、別々の電源によって給電されるものであり、
コイルアセンブリの各対における1のコイルアセンブリは、充電時においてx-y方向に隣接するコイルアセンブリと一定の位相差を有する充電信号を出力するものである、
コイルアレイ。
【請求項13】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=2、m=3であり、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第1の対と、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第2の対と、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第3の対と
を有し、
コイルアセンブリの各対は、互いに平行に配置され、第1の周波数を有する第1の充電信号を出力するものであり、
コイルアセンブリの各対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各対における各コイルアセンブリは、別々の電源によって給電されるものであり、
コイルアセンブリの各対における第1のコイルアセンブリは、コイルアセンブリの各対における第2のコイルアセンブリと一定の位相差を有するものであり、
コイルアセンブリの各対における1のコイルアセンブリは、隣接するコイルアセンブリの対における隣接する1のコイルアセンブリによって出力される充電信号と同一の位相を有する充電信号を出力するものである、
コイルアレイ。
【請求項14】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、各コイルアセンブリは、充電時に、隣接するコイルアセンブリの充電信号と25°~180°位相がずれた周波数で充電信号を生成するものである、コイルアレイ。
【請求項15】
ワイヤレス電力伝送システムであって、
nxm配列の車両コイルアセンブリを有する車両コイルアレイであって、
n≧1およびm≧2であり、前記車両コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各車両コイルアセンブリは、充電時に隣接する車両コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を受信するものであり、それにより、各車両コイルアセンブリによって受信された充電信号がx-y方向に隣接する車両コイルアセンブリによって受信された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する車両コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記車両コイルアレイと、
rxs配列の地上コイルアセンブリを有する地上コイルアレイであって、
r≧nおよびs≧mであり、前記地上コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各地上コイルアセンブリは、充電時に隣接する地上コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、各地上コイルアセンブリによって生成された充電信号がx-y方向に隣接する地上コイルアセンブリによって生成された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する地上コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記地上コイルアレイと
を有する、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項16】
請求項15記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記地上コイルアレイは、車両コイルアセンブリが作動していないことを検出した場合、充電信号を送信するために、動作可能な車両コイルアセンブリに位置合わせされた地上コイルアセンブリのみを作動させるものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項17】
請求項15記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、さらに、
各車両コイルアセンブリのデフォルト測定値および履歴測定値に関する充電プロファイルにアクセスするために、充電時に前記車両コイルアレイまたは前記地上コイルアレイの少なくとも1つによってアクセス可能なデータリポジトリを有し、
前記充電プロファイルは、充電時に充電パラメータを設定するための周波数応答および充電モデルを含むものである、
ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項18】
請求項17記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記充電プロファイルは、前記車両コイルアセンブリの周波数オフセット、前記地上コイルアセンブリの型、モデル、および製造業者、前記車両コイルアセンブリの数、前記車両コイルアセンブリの位置、前記車両コイルアセンブリの最小および最大電流および電圧維持、前記車両コイルアセンブリの健全状態、前記車両コイルアセンブリの温度制限、前記車両コイルアセンブリの温度測定値、または前記車両コイルアセンブリの冷却可能性のうちの少なくとも1つを有するものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項19】
請求項17記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記地上コイルアレイは、充電される車両の充電プロファイルから当該充電される車両の車両コイルアセンブリの数および配置を取得し、前記コイルアセンブリのrxs配列から、充電される車両の車両コイルアセンブリの数および配置に対応する地上コイルアセンブリのパターンを選択して、充電信号を送信するものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項20】
請求項17記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記データリポジトリは、さらに、位置合わせされた車両コイルアセンブリまたは車両コイルアセンブリの対に基づいて、各地上コイルアセンブリまたは地上コイルアセンブリの対の磁気信号特性を含む、前記地上コイルアセンブリの充電パラメータを格納するものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項21】
請求項20記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記地上コイルアセンブリの前記充電パラメータは、充電時の瞬時電力レベル、充電信号の周波数、周波数ドリフト、信号位相オフセット、または公称コイル間の間隔のうちの少なくとも1つを含むものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項22】
請求項20記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記地上コイルアセンブリの前記充電パラメータは、電力供給能力と、環境要因と、内部温度、使用状況、地上コイルアセンブリ当たりのコイル数、地上コイルアセンブリ当たりの巻数、または前記地上コイルアセンブリが表面実装型であるか、若しくは埋込み型であるか、のうちの少なくとも1つを含む地上コイルアセンブリの条件とのうちの少なくとも1つを含むものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項23】
請求項20記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記地上コイルアセンブリの前記充電パラメータは、前記地上コイルアセンブリの型、モデル、および製造業者、前記地上コイルアセンブリの自動位置合わせ能力、前記地上コイルアセンブリの最小および最大電流および電圧維持、前記地上コイルアセンブリで利用可能な通信プロトコル、または前記地上コイルアセンブリの通信帯域幅のうちの少なくとも1つを含むものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項24】
ワイヤレス電力伝送システムであって、
nxm配列の車両コイルアセンブリを有する車両コイルアレイであって、
n≧1およびm≧2であり、前記車両コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各車両コイルアセンブリは、充電時に隣接する車両コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、各車両コイルアセンブリによって生成された充電信号がx-y方向に隣接する車両コイルアセンブリによって生成された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する車両コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記車両コイルアレイと、
rxs配列の地上コイルアセンブリを有する地上コイルアレイであって、
r≧nおよびs≧mであり、前記地上コイルアセンブリは合同な直線x-yの格子パターンに配置されており、
各地上コイルアセンブリは、充電時に隣接する地上コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を受信するものであり、それにより、各地上コイルアセンブリによって受信された充電信号がx-y方向に隣接する地上コイルアセンブリによって受信された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接するコイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記地上コイルアレイと
を有する、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項25】
ワイヤレス電力伝送システムであって、
nxm配列の地上コイルアセンブリを有する地上コイルアレイであって、
n≧1およびm≧2であり、前記地上コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各地上コイルアセンブリは、充電時に隣接する地上コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、各地上コイルアセンブリによって生成された充電信号がx-y方向に隣接する地上コイルアセンブリによって生成された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する地上コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記地上コイルアレイと、
rxs配列の車両コイルアセンブリを有する車両コイルアレイであって、
r≧nおよびs≧mであり、前記車両コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各車両コイルアセンブリは、充電時に隣接する車両コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を受信するものであり、それにより、各車両コイルアセンブリによって受信された充電信号がx-y方向に隣接する車両コイルアセンブリによって受信された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する車両コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記車両コイルアレイと
を有する、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項26】
電動車両用充電システムであって、
複数のコイルアレイであって、各コイルアレイは、一定の周波数で充電信号を生成する少なくとも1つのコイルアセンブリを有するものである、前記複数のコイルアレイと、
前記複数のコイルアレイによって生成された充電信号によって発生する総磁束を測定する少なくとも1つのセンサと、
磁束密度の追加的高密度領域を特定する手段と、
前記磁束密度の追加的高密度領域の近傍にあるコイルアレイの少なくとも1つの電力、位相、周波数オフセットの少なくとも1つを調整する手段であって、これにより、前記磁束密度の追加的高密度領域における磁束密度が低減されるものである、前記調整する手段と
を有する、電動車両用充電システム。
【請求項27】
電動車両を充電する方法であって、
充電スタンドおよび前記電動車両が相互に通信を開始する工程と、
前記充電スタンドが、設定データを前記電動車両から受信する工程であって、前記設定データは、前記電動車両を充電するように前記充電スタンドを設定するためのものであり、前記電動車両の製造業者、前記電動車両のモデル、または、立入禁止区域のうちの少なくとも1つを含むものである、前記受信する工程と、
前記充電スタンドが、前記設定データに基づいて地上一次コイルを作動させ、当該作動された一次コイルに関連付けられた電力レベルを駆動して前記立入禁止区域内に大部分留まる磁束密度を有する充電信号を生成する工程と
を有する、方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、さらに、
前記電動車両の製造業者、または前記電動車両のモデルを使用して、作動させるべき一次コイル、および当該作動させるべき一次コイルの電力レベルについて、データベースで検索する工程を有する、方法。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、前記充電スタンドは、前記受信した設定データに基づいて決定された、前記電動車両の二次コイルのレイアウトに従って、前記地上一次コイルを作動させる、方法。
【請求項30】
請求項27記載の方法において、前記充電スタンドは、前記充電信号によって生成される磁束の大部分が前記立入禁止区域内に適合するように、前記設定データに基づいた充電信号のパラメータを必要に応じて調整する、方法。
【請求項31】
請求項27記載の方法において、前記充電スタンドおよび前記電動車両が相互に通信を開始する工程は、前記充電スタンドが、待機状態にあるときに誘導通信ビーコンを発信し、前記電動車両から応答を受信することで、前記電動車両が前記充電スタンドに接近していることを確認する工程を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、磁気誘導を利用してワイヤレス充電を行うワイヤレス電力伝送コイルシステムについて記載する。このワイヤレス電力伝送コイルシステムは、発生する全磁束の制御を可能にするモジュール式コイルアセンブリを含む。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス電力伝送(WPT)は、空芯変圧器における磁気誘導を利用する。ファラデーの磁気誘導の法則に記述されているように、一次コイル(送信側)と二次コイル(受信側)と間の磁束鎖交(magnetic flux linkage)により、送信装置から受信装置へ電力が伝送される。
【0003】
磁気誘導によるワイヤレス電力伝送は19世紀に導入されたが、長距離電力伝送に適した導電路を形成する大気の能力に対して誤解があり、商業的には失敗した。ワイヤレス電力伝送用野外変圧器については、「Apparatus for transmission of electrical energy(電気エネルギーの伝送装置)」と題する、1900年5月15日付で発行された米国特許第649,621号、および「System of transmission of electrical energy(電気エネルギーの伝送システム)」と題する、1900年3月20日付で発行された米国特許第645,576号でニコラ テスラによって特許が取得されている。
【0004】
近年、磁気誘導によるワイヤレス電力伝送は、電気機器の充電、および最近では電動車両の充電に使用されている。効率的な電力伝送および周囲環境への磁束漏洩を最小限に抑えるために、磁束を正確に制御することが望ましい。例えば、米国特許第8,934,857号に記載されているように、無給電アンテナを送信アンテナに近接して使用することで、例えば、小型送信アンテナのカバレッジエリアを拡張、または大型送信アンテナの磁場を集中させて、ワイヤレス電力送信機によって生成された磁場分布の選択的な変更が行われてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の詳細な説明においてさらに説明する概念の一部を簡略化した形で導入するために様々な実施例を説明する。本概要は、特許請求の範囲における発明特定事項の範囲の限定するために使用することを意図するものではない。
【0006】
例示的な実施形態において、nxm配列のコイルアセンブリを含むコイルアレイが提供され、ここで、n≧1およびm≧2であり、前記コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されている。各コイルアセンブリは、充電時に近接するコイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、1つのコイルアセンブリによって伝送される充電信号が近接するコイルアセンブリによって伝送される充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記近接するコイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減する。前記コイルアレイは、地面に設置することができ、さらに、当該コイルアレイに関連付けられ、充電される車両に関連付けられた通信装置から設定パラメータを受信する通信装置を含む。充電場所サーバーは、前記設定パラメータを使用して前記コイルアレイの充電パラメータを提供することができる。前記充電パラメータを前記コイルアレイに適用することにより、充電時に発生する追加磁束密度の大部分を車両の立入禁止区域内に留めることができる。
【0007】
各コイルアセンブリは、異なる電源によって駆動されてもよく、所定の振幅を有する充電信号を伝送することができる。前記コイルアセンブリによって伝送される充電信号は、前記近接するコイルアセンブリによって伝送される充電信号と約180°位相がずれており、これによって相殺的干渉が起こる。例示的な実施形態において、各コイルアセンブリは、充電時に、隣接するコイルアセンブリの充電信号と25°~180°位相がずれた周波数で充電信号を生成するが、依然として有利な結果を得ることができる。
【0008】
n=2、m=2である、コイルアレイの例示的な構成において、当該コイルアレイは、互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第1の対と、互いに隣接して配置され、かつ前記コイルアセンブリの第1の対と平行に配置されたコイルアセンブリの第2の対とを有することができる。前記コイルアセンブリの第1および第2の対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各コイルアセンブリは別々の電源によって給電されてもよい。前記コイルアセンブリの第1および第2の対の各々は、同一の伝送周波数および電力レベルを共有するが、当該各対におけるコイルアセンブリ間には一定の位相差が存在し、それによって所望の相殺的干渉が提供される。
【0009】
n=2、m=2である、コイルアレイの別の構成において、当該コイルアレイは、互いに対角線上に配置されたコイルアセンブリの第1の対と、互いに対角線上に配置され、かつ前記コイルアセンブリの第1の対とx-y方向において並列に配置されたコイルアセンブリの第2の対とを有することができる。前記コイルアセンブリの第1および第2の対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各コイルアセンブリは別々の電源によって給電されてもよい。前記コイルアセンブリの第1の対は、第1の周波数および電力レベルを共有し、前記コイルアセンブリの第2の対は、第2の周波数および電力レベルを共有することができ、前記第1および第2の周波数は異なるものであり、それにより、各コイルアセンブリは、充電時においてx-y方向に隣接するコイルアセンブリと一定の位相差を有する。
【0010】
n=2、m=2である、コイルアレイのさらに別の構成において、当該コイルアレイは、互いに並列に配置されたコイルアセンブリの第1の対と、互いに並列に配置され、かつ前記コイルアセンブリの第1の対と平行に配置されたコイルアセンブリの第2の対とを有することができる。前記コイルアセンブリの第1および第2の対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各コイルアセンブリは別々の電源によって給電されてもよい。前記コイルアセンブリの第1の対は、第1の周波数および電力レベルを共有し、前記コイルアセンブリの第2の対は、第2の周波数および電力レベルを共有することができ、前記第1および第2の周波数は異なるものであり、それにより、各コイルアセンブリは、充電時においてx-y方向に隣接するコイルアセンブリと一定の位相差を有する。
【0011】
n=1、m=3である、コイルアレイのさらなる構成において、当該コイルアレイは、一列に配置された第1、第2、および第3のコイルアセンブリを有することができる。前記第1および第3コイルアセンブリは、第1の周波数と、第1の位相と、第1の電力レベルとを有する第1の充電信号を出力することができる。前記第2のコイルアセンブリは、前記第1のコイルアセンブリと前記第3のコイルアセンブリとの間に配置され、前記第1の周波数を有する第2の充電信号を出力するように構成されている。但し、前記第2の充電信号は、前記第1の充電信号と位相がずれているとともに、前記第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルを有するものであり、当該第2の電力レベルは、前記第1、第2、および第3のコイルアセンブリが同一の電力レベルを出力した場合に発生する追加磁束密度と比べ、追加磁束密度を低減させるように設定されている。前記前記第1および第2の電力レベルは、充電時に前記加磁束密度を成形するために調整され、それにより、前記加磁束密度の大部分が前記車両の立入禁止区域内に留めることができるという利点がある。
【0012】
例示的な実施形態において、前記第1および第2の電力レベルは、前記第1および第3のコイルアセンブリが、前記第2のコイルアセンブリによって伝送される電流と約180°位相のずれた電流を伝送する場合に、前記第1および第3のコイルアセンブリ対前記第2のコイルアセンブリ間の電流比と、相殺される磁束密度の割合との関数である曲線上で、前記第1および第2の充電信号間の磁束の相殺が最大となる領域に設定することができる。前記第1および第2の電力レベルは、前記第1および第2の充電信号間の最小磁束相殺値が最大化される点に近似するように設定することができる。
【0013】
n=2、m=3である、コイルアレイのさらに別の構成において、当該コイルアレイは、互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第1の対と、互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第2の対と、互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第3の対とを有することができる。コイルアセンブリの各対は、互いに平行に配置され、第1の周波数を有する第1の充電信号を出力することができる。コイルアセンブリの各対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各対における各コイルアセンブリは、別々の電源によって給電されてもよい。コイルアセンブリの各対における1のコイルアセンブリは、充電時においてx-y方向に隣接するコイルアセンブリと一定の位相差を有する充電信号を出力することができ、それによって所望の相殺的干渉が提供される。
【0014】
n=2、m=3である、コイルアレイのさらなる構成において、当該コイルアレイは、互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第1の対と、互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第2の対と、互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第3の対とを有することができる。コイルアセンブリの各対は、互いに平行に配置され、第1の周波数を有する第1の充電信号を出力することができる。コイルアセンブリの各対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各対における各コイルアセンブリは、別々の電源によって給電されてもよい。コイルアセンブリの各対における第1のコイルアセンブリは、コイルアセンブリの各対における第2のコイルアセンブリと一定の位相差を有し、それにより、コイルアセンブリの各対における1のコイルアセンブリは、隣接するコイルアセンブリの対における隣接する1のコイルアセンブリによって出力される充電信号と同一の位相を有する充電信号を出力する。
【0015】
別の例示的な実施形態において、車両コイルアレイと、地上コイルアレイとを含むワイヤレス電力伝送システムが提供される。前記車両コイルアレイは、nxm配列の車両コイルアセンブリを含むことができ、ここで、n≧1およびm≧2であり、前記車両コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されている。各車両コイルアセンブリは、充電時に隣接する車両コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を受信し、それにより、各車両コイルアセンブリによって受信された充電信号がx-y方向に隣接する車両コイルアセンブリによって受信された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する車両コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減する。同様に、前記地上コイルアレイは、rxs配列の地上コイルアセンブリを有することができ、ここで、r≧nおよびs≧mであり、前記地上コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されている。各地上コイルアセンブリは、充電時に隣接する地上コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成し、それにより、各地上コイルアセンブリによって生成された充電信号がx-y方向に隣接する地上コイルアセンブリによって生成された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する地上コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減する。
【0016】
前記ワイヤレス電力伝送システムの例示的な実施形態において、前記地上コイルアレイは、車両コイルアセンブリが作動していないことを検出した場合、充電信号を送信するために、動作可能な車両コイルアセンブリに位置合わせされた地上コイルアセンブリのみを作動させることができる。また、各車両コイルアセンブリのデフォルト測定値および履歴測定値に関する充電プロファイルにアクセスするために、充電時に前記車両コイルアレイおよび/または前記地上コイルアレイの少なくとも1つによってアクセス可能なデータリポジトリを提供することができる。前記充電プロファイルは、充電時に充電パラメータを設定するための周波数応答および充電モデルを含むことができる。
【0017】
前記ワイヤレス電力伝送システムの例示的な実施形態において、前記充電プロファイルは、前記車両コイルアセンブリの周波数オフセット、前記地上コイルアセンブリの型、モデル、および製造業者、前記車両コイルアセンブリの数、前記車両コイルアセンブリの位置、前記車両コイルアセンブリの最小および最大電流および電圧維持、前記車両コイルアセンブリの健全状態、前記車両コイルアセンブリの温度制限、前記車両コイルアセンブリの温度測定値、および/または前記車両コイルアセンブリの冷却可能性を含んでもよい。前記地上コイルアレイはまた、充電される車両の充電プロファイルから当該充電される車両の車両コイルアセンブリの数および配置を取得し、前記コイルアセンブリのrxs配列から、充電される車両の車両コイルアセンブリの数および配置に対応する地上コイルアセンブリのパターンを選択して、充電信号を送信することができる。
【0018】
前記ワイヤレス電力伝送システムの別の例示的な実施形態において、前記データリポジトリは、さらに、位置合わせされた車両コイルアセンブリまたは車両コイルアセンブリの対に基づいて、各地上コイルアセンブリまたは地上コイルアセンブリの対の磁気信号特性を含む、前記地上コイルアセンブリの充電パラメータを格納することができる。前記地上コイルアセンブリの前記充電パラメータは、充電時の瞬時電力レベル、充電信号の周波数、周波数ドリフト、信号位相オフセット、および/または公称コイル間の間隔を含むことができる。前記地上コイルアセンブリの前記充電パラメータはまた、電力供給能力、環境要因、および/または内部温度、使用状況、地上コイルアセンブリ当たりのコイル数、地上コイルアセンブリ当たりの巻数、および/または前記地上コイルアセンブリが表面実装型であるか、若しくは埋込み型であるかを含む地上コイルアセンブリの条件を含んでもよい。前記地上コイルアセンブリの前記充電パラメータは、前記地上コイルアセンブリの型、モデル、および製造業者、前記地上コイルアセンブリの自動位置合わせ能力、前記地上コイルアセンブリの最小および最大電流および電圧維持、前記地上コイルアセンブリで利用可能な通信プロトコル、および/または前記地上コイルアセンブリの通信帯域幅をさらに含んでもよい。
【0019】
さらなる例示的な実施形態において、車両コイルアレイと、地上コイルアレイとを含むワイヤレス電力伝送システムが提供され、前記車両コイルアレイは、前記地上コイルアレイにエネルギーを伝送する。前記車両コイルアレイは、nxm配列の車両コイルアセンブリを含むことができ、ここで、n≧1およびm≧2であり、前記車両コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されている。各車両コイルアセンブリは、充電時に隣接する車両コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、各車両コイルアセンブリによって生成された充電信号がx-y方向に隣接する車両コイルアセンブリによって生成された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する車両コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減する。前記地上コイルアレイは、rxs配列の地上コイルアセンブリを含むことができ、ここで、r≧nおよびs≧mであり、前記地上コイルアセンブリは合同な直線x-yの格子パターンに配置されている。各地上コイルアセンブリは、充電時に隣接する地上コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を受信し、それにより、各地上コイルアセンブリによって受信された充電信号がx-y方向に隣接する地上コイルアセンブリによって受信された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接するコイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減する。
【0020】
前記ワイヤレス電力伝送システムの別の例示的な実施形態において、車両コイルアレイは地上コイルアレイよりも大きい。この実施形態は、nxm配列の地上コイルアセンブリを有する地上コイルアレイを含み、ここで、n≧1およびm≧2であり、前記地上コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されている。各地上コイルアセンブリは、充電時に隣接する地上コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、各地上コイルアセンブリによって生成された充電信号がx-y方向に隣接する地上コイルアセンブリによって生成された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する地上コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減する。前記車両コイルアレイは、rxs配列の車両コイルアセンブリを有することができ、ここで、r≧nおよびs≧mであり、前記車両コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されている。各車両コイルアセンブリは、充電時に隣接する車両コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を受信し、それにより、各車両コイルアセンブリによって受信された充電信号がx-y方向に隣接する車両コイルアセンブリによって受信された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する車両コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減する。
【0021】
また、複数のコイルアレイを含む電動車両用充電システムが提供され、各コイルアレイは、一定の周波数で充電信号を生成する少なくとも1つのコイルアセンブリを有する。前記複数のコイルアレイによって生成された充電信号によって発生する総磁束を測定する少なくとも1つのセンサも提供される。磁束密度の追加的高密度領域を特定する手段、および前記磁束密度の追加的高密度領域の近傍にあるコイルアレイの少なくとも1つの電力、位相、および/または周波数オフセットを調整する手段も提供され、これにより、前記磁束密度の追加的高密度領域における磁束密度が低減される。
【0022】
電動車両を充電する方法もまた記載され、この方法により、充電スタンドおよび前記電動車両は相互に通信を開始し、前記充電スタンドは、前記電動車両を充電するように前記充電スタンドを設定するための設定データを前記電動車両から受信する。前記設定データは、前記電動車両の製造業者、前記電動車両のモデル、および/または、立入禁止区域を含むことができる。次に、前記充電スタンドは、前記設定データに基づいて地上一次コイルを作動させ、当該作動された一次コイルに関連付けられた電力レベルを駆動して前記立入禁止区域内を超えて拡張しない磁束密度を有する充電信号を生成する。例えば、前記電動車両の製造業者、または前記電動車両のモデルを使用して、作動させるべき一次コイル、および当該作動させるべき一次コイルの電力レベルについて、データベースで検索することができる。前記充電スタンドは、前記受信した設定データに基づいて決定された、前記電動車両の二次コイルのレイアウトに従って、前記地上一次コイルを作動させることができる。前記充電スタンドは、さらに、前記充電信号によって生成される磁束が前記立入禁止区域内に適合するように、前記設定データに基づいた充電信号のパラメータを必要に応じて調整することができる。
【0023】
例示的な実施形態において、前記充電スタンドおよび前記電動車両は、前記充電スタンドが、待機状態にあるときに誘導通信ビーコンを発信し、前記電動車両から応答を受信することで、前記電動車両が前記充電スタンドに接近していることを確認することにより、相互に通信を開始することができる。
【0024】
本発明の概要は、進歩性を有する発明特定事項の観点を簡略化して導入するために提供するものであり、以下の発明の詳細な説明の記載においてこの進歩性を有する発明特定事項をさらに詳細に説明する。本発明の概要において記載した要素の特定の組み合わせおよび順序は、特許請求の範囲における発明特定事項の要素を限定することを意図するものではない。むしろ、本発明の概要は、以下の発明の詳細な説明に記載する実施形態の一部の概要例を提供するものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の上記のおよびその他の有益な特徴および利点は、添付の図面とともに以下の詳細な説明により明らかになると考えられる。
図1図1は、従来技術の二次コイルアセンブリおよび一次コイルアセンブリのコンポーネントの上位設計を示す。
図2図2は、2つの正弦波信号の追加の破壊的相殺を示す。
図3A図3Aは、例示的な実施形態における、一直線上に配置された一次コイルアセンブリの物理的特性を幾何学的に示す。
図3B図3Bは、例示的な実施形態における、平行に配置された一次コイルアセンブリの単一の対の物理的特性を幾何学的に示す。
図3C図3Cは、例示的な実施形態における、平行に配置された一次コイルアセンブリの複数の対の物理的特性を幾何学的に示す。
図4図4は、単一の一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリの対によって生成された磁束密度を示す。
図5A図5Aは、一直線上に配置された、一対のモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリの組によって、同相の充電セッション中に生成された磁束密度をトポグラフィー画像として示すものである。
図5B図5Bは、一直線上に配置された、一対のモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリの組によって、位相のずれた充電セッション中に生成された磁束密度をトポグラフィー画像として示すものである。
図5C図5Cは、平行に配置された、一対のモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリの組によって、位相のずれた充電セッション中に生成された磁束密度をトポグラフィー画像として示すものである。
図6A図6Aは、4つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された2x2クラスタによって、同相の充電セッション中に生成された磁束密度を示す。
図6B図6Bは、並列に配置された、4つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された2x2クラスタによって、位相のずれた充電セッション中に生成された磁束密度を示す。この構成においては、対角線上の組は同相であり、隣接した組は位相がずれている。
図6C図6Cは、対角線上に対をなす、4つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された2x2クラスタによって、位相のずれた充電セッション中に生成された磁束密度を示す。
図6D図6Dは、並列に配置された、4つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された2x2クラスタによって、位相のずれた充電セッション中に生成された磁束密度を示す。この構成においては、対角線上の組は位相がずれている。
図7A図7Aは、一直線上に配置された、3つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された1x3クラスタによって、同相の充電セッション中に生成された磁束密度を示す。
図7B図7Bは、一直線上に配置された、3つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された1x3クラスタによって、位相のずれた充電セッション中に生成された磁束密度を示す。
図7C図7Cは、一直線上に配置された、3つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された1x3クラスタによって、電力制御を伴う、位相のずれた充電セッション中に生成された磁束密度を示す。
図7D図7Dは、電力制御を伴う、位相のずれた充電セッション中に、一直線上に配置された、3つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された1x3クラスタによって達成可能な磁束の相殺の範囲を示す。
図8A図8Aは、6つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された2x3クラスタによって、同相の充電セッション中に生成された磁束密度を示す。
図8B図8Bは、6つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された2x3クラスタによって、対角線上の対において位相のずれた充電セッション中に生成された磁束密度を示す。
図8C図8Cは、6つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された2x3クラスタによって、並列に配置された対において位相のずれた充電セッション中に生成された磁束密度を示す。
図9図9は、セダン型電動車両に単一の二次コイルアセンブリを実装する際の例示的な配置を示す。
図10図10は、バン型電動車両に単一の二次コイルアセンブリの対を実装する際の例示的な配置を示す。
図11図11は、トランジットバス型電動車両に3つの二次コイルアセンブリからなるクラスタを実装する際の例示的な配置を示す。
図12図12は、通勤バス型電動車両に6つの二次コイルアセンブリからなるクラスタを実装する際の例示的な配置を示す。
図13図13は、4つのモジュール式一次コイルアセンブリおよび二次コイルアセンブリからなる組で構成された2x2クラスタにおける、磁束の相殺に対する対角線上の対の位相差のグラフを示す。
図14図14は、例示的な1実施形態における、ワイヤレス電力伝送システムのコンポーネントの上位設計を示す。
図15図15は、ワイヤレス充電セッション中の電動車両のサブシステムを図式的に示す。
図16図16は、誘導結合式ワイヤレス充電セッションのための無線信号を示す。
図17図17は、例示的な1実施形態における電動車両の充電方法を示す。
図18図18は、例示的な1実施形態における、広域磁束管理を備えた充電ステーションを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に記載するワイヤレス電力伝送コイルシステムおよび方法は、以下の詳細な説明を本開示の一部である添付の図面および実施形態と関連付けて参照することでより理解される。また、本記載は、本明細書に記載する、および/または本明細書に示す特定の製品、方法、条件またはパラメータに限定されるものではないこと、さらに、本明細書で使用される用語は、例示的に特定の実施形態を説明することのみを目的として使用されているものであり、特許請求の範囲に記載する発明特定事項を限定することを意図するものではないことを理解されたい。同様に、可能な機構、動作形態、または改良の必要性の理由に関する任意の説明は例示のみを目的とするものであり、本明細書に記載する発明特定事項は、このような示唆された機構、動作形態、または改良の必要性の理由が正確性、若しくは不正確性よって制約されるものではない。本明細書全体を通して、本説明は方法、および当該方法を実施するシステム/ソフトウェアの双方を言及することを理解されたい。
【0027】
次に、図1図18を参照して、例示的な実施形態を詳細に説明する。本明細書は、可能な実施態様の詳細な説明を提供するが、そのような詳細は例示的であることを意図しており、決して本発明の発明特定事項の範囲を限定するものではないことに留意されたい。本明細書において、「電池」という用語は、一般的な化学エネルギー貯蔵システムを表すために使用され、その他の携帯型エネルギー貯蔵システム(例えば、固体電池、可逆性燃料電池、ウルトラキャパシタ)と置換できること、またはその他の携帯型エネルギー貯蔵システムによって補足またはハイブリッド化することができることに留意されたい。また、使用例の多くは、車載システムに電力を供給し、定置電動車両(EV)の電池を充電するために使用されるワイヤレス電力伝送(WPT)システムに関するのものであるが、このような使用用途は決して唯一の使用用途ではない。
【0028】
一対の導電性一次コイルと二次コイルとの間の磁気結合によって電力伝送が可能であることは周知である。このようなシステムは、一般にワイヤレス電力伝送(WPT)システムとして知られている。クラスタ状に配置された対称コイルに基づくモジュール式ワイヤレス電力伝送(WPT)は、製造可能性、配置の柔軟性、動的プロビジョニング、および高電力伝送効率において利点を提供することが分かっている。
【0029】
オープンコア形変圧器をベースとするワイヤレス電力伝送システムの一対のコイルによって生成される磁束は、電力レベルに応じて変化する。高電力システムでは、磁束によって電磁ノイズが発生し、人体曝露限度を超える可能性がある。
【0030】
空芯変圧器ベースのワイヤレス電力伝送(WPT)システムはすべて、当該システムの近接領域を超えて広がる磁束を発生させる。この磁束に関連するエネルギーの大部分(95%超)は、交流交流周期ごとにワイヤレス電力伝送(WPT)変圧器回路の静電容量に再循環される。再循環されないエネルギーの大部分(99%超)は、コイル内およびその周辺の磁性体、誘電体、導電性材料内で熱エネルギーとなる。エネルギーのごく一部は放射されるが、このエネルギーに関連する高周波(RF)電磁波は非電離放射線(NIR)の一種である。エネルギー移動により、磁束の大部分が磁気コイル間を通過すること、また、この領域(区域1)では人体および電子機器の暴露限度を超えていることが分かる。コイルの周囲の外側であって、電動車両の周辺内(すなわち、立入禁止区域または区域2の内)の近接場における磁束密度は、人体および/または電子機器の暴露限度を超える可能性がある。立入禁止区域の境界線(区域3)の外側では、発生する総磁束密度は、設定閾値外で単調減少する。
【0031】
測定可能な磁束は、立入禁止区域の境界線内である区域1および区域2で主に発生する。立入禁止区域の外側では、閾値未満の磁束密度のみが許容される。立入禁止区域の閾値は、法的機関または規制機関を通じて、オペレーターの判断、若しくは磁気の影響に対する人体の知覚の限度によって設定することができる。
【0032】
ワイヤレス電力伝送(WPT)システムの一次コイルなどの電磁気的に短いアンテナの場合、近接場の範囲は、アンテナ0からλ/2πまでの距離として定義され、ここでλは波長である。例示的な85kHzのワイヤレス電力伝送(WPT)システムでは、これは、近接場の範囲が561メートルを超える範囲であり、磁場強度および磁場電力が、近接場における磁気充電信号(magnetic charging signal)に対して、それぞれ1/(r)および1/(r)の割合(ここで、r=半径)で低下することを意味する。磁場強度(H磁場、アンペア/メートルで測定)は、線形磁性体(linear magnetic material)および非磁性体(空気、グラスファイバー、真空など)における磁束密度(B磁場、テスラで測定)に比例定数を掛けたものに等しい。
【0033】
システムの誘導エネルギーを蓄積し、電力伝送を媒介する再循環磁束は、放射線ではないが、人体が暴露される恐れのある領域に存在する可能性がある。高周波(RF)電磁場(EMFs)に対する人体曝露に関するガイドラインは、米国電気電子学会の文書、C95.1-2019-IEEE Standard for Safety Levels with Respect to Human Exposure to Electric,Magnetic,andElectromagnetic Fields,0 Hz-to-300 GHz(0Hz~300GHzの電場、磁場、および電磁場への人体曝露に関する安全レベルの基準:IEEE C95.1-2019)、および国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の文書、GUIDELINES FOR LIMITING EXPOSURE TO ELECTROMAGNETICFIELDS(100 KHZ-TO-300GHZ)(電磁場(100KHZ~300GHZ)に対する暴露を制限するためのガイドライン)に記載されている。
【0034】
ワイヤレス電力伝送(WPT)システムによって生成される高周波(RF)電磁場を低減させて、曝露に関するガイドラインに確実に準拠する一方で、システムのより高い電力スループットを可能にすることは、製造業者および使用者の双方の利益となる。コイル間の効率が低いと、それに応じて非循環磁束のレベルが高くなるため、非循環磁束を最小限に抑えることは、曝露に関するガイドラインに関わらず、製造業者および使用者の利益となる。
【0035】
磁場を低減するための能動的および受動的方法は、当技術分野で周知である。外部磁場を抑制可能な一定の磁場体積を生成するために補助的なコイルを使用する、ヘルムホルツコイルおよびマクスウェルコイルなどの能動的システムは、その周知例である。
【0036】
受動的磁気遮蔽法では、高比透磁率および高飽和点を有する強磁性材料を使用して磁束を誘導する、若しくは反磁性体を使用して磁束をシフトさせる。これらの材料の例は、ASTM A753-08(2013);「Standard Specification for Wrought Nickel-Iron Soft Magnetic Alloys(鍛錬ニッケル鉄軟磁性合金標準仕様書)」およびMIL-N-14411 Revision C,November 23,1977;「NICKEL-IRON ALLOY,HIGH MAGNETIC PERMEABILITY,SHEET,STRIP,AND WIRE(高比透磁率ニッケル鉄合金製シート、ストリップ、およびワイヤー)」に記載されている。
【0037】
能動的および受動的方法の双方は、ワイヤレス電力伝送システムで使用される場合、望ましくない磁束を抑制する有効性という点を超えて、欠点があることが分かっている。例えば、能動的方法では、(例えば、巻線、放熱器、ループ(複数可)などの)追加の磁気構造の設置が必要となる場合があり、当該構造は、正しい振幅、周波数、および位相の相殺信号(cancellation signal)を生成するために電力供給する必要がある。このような能動的な寄生方法の一例は、米国特許第9,306,635号に記載されている。多くの能動的な事例では、フィードバック制御ループを作製するために1若しくはそれ以上の磁気感応アンテナが必要となる。能動制御システムは、寄生給電型相殺ループにより、必然的にワイヤレス電力伝送(WPT)システムの電力伝送効率を低下させる。一方、受動的システムでは、材料、設置、配備の初期コスト、および各ワイヤレス充電時の前後に機械的に遮蔽体を所定の位置に移動させるために必要な装置の継続的な維持費の両方の負担がある。
【0038】
例示的な実施形態における協調的な磁束低減システムおよび方法は、寄生ループおよび遮蔽材料の移動を必要とせず、電力効率を高め、可動部品の必要性を除去する。本明細書で説明する協調的な磁束低減システムは、ワイヤレス電力伝送装置以外の追加的な装置の装備を必要としない。当業者であれば理解するように、協調的な磁束低減システムは、整合する二次コイルアセンブリを充電する2若しくはそれ以上の共同配備された一次コイルアセンブリを有するモジュール式一次コイル構造を必要とする場合がある。
【0039】
協調的な相殺法では、クラスタに配備された電力伝送用一次コイルおよび二次コイル(一対)を隣接する一対のコイルと組み合わせ、充電信号電圧、電流、および位相を調整することにより、ワイヤレス電力伝送(WPT)システムによって生成される総磁束量が大幅に低減される結果となる。補助的な無給電型相殺ループやコイルは必要ない。サポートされるコイルのクラスタ構成には、例えば、1x2、2x2、2x3などがある。不対クラスタ構成(例えば、1x3、1x5)もまた、クラスタ内の近接および/または隣接コイルとのバーチャルな組み合わせによって利益を得ることができ、この場合クラスタ内の各コイルに対して電圧、電流、位相が調整される。
【0040】
クラスタは、特定の用途(例えば、自動車、小型トラックなどの電動車両の車両等級)に合わせてサイズ設定することができ、これにより、二次コイルのクラスタのサイズおよび形状に適合するように一次コイルを動的に選択することが可能となる。地上配備に応じて、クラスタ構成を動的にプロビジョニングすることができる。一例として、2x1の2次クラスタを備えた電動車両(EV)は、3x2の地上側クラスタによって充電することができ、位置合わせされた一対のコイルごとに位相、電圧、電流制御された電力伝送を利用して、磁束を低減することができる。
【0041】
充電器と充電される機器または装置との間で双方向通信を利用すること(例えば、「Near field, full duplex data link for use in static and dynamic resonant induction wireless charging(静的および動的共鳴誘導ワイヤレス充電で使用する近接場全二重データリンク)」と題する、米国特許第10,135,496号など)によって、ほぼリアルタイムのイベントおよびステータス(例えば、電池充電レベルなど)の通信が可能になるだけでなく、車両制御装置(例えば、電池管理システム(BMS))と充電ステーション(例えば、各地上側アセンブリ(GA)および各地上側アセンブリ(GA)のクラスタをタスク処理する充電ステーションの制御装置)との間で、各システムの能力に関する情報を交換することができる。
【0042】
本明細書の図4図8Cに示す一定磁束密度の等値線は、一次コイルアセンブリと二次コイルアセンブリとの間で伝送される電力に依存する。各図において、全体的な磁束密度は一次コイル電流に対して線形的に変化するため、一次コイルアセンブリのクラスタへの入力電流が変化すると、等値線の間隔が縮小または拡張するが、磁束密度の等値線の地形マッピングの全体的な形状は変化しない。これは、各クラスタ、および図示する各電流・位相関係についても当てはまる。
【0043】
図1
図1は従来の誘導結合されたワイヤレス電力伝送用の一次および二次コイルアセンブリの対100における主要コンポーネントの分解図である。
【0044】
例示的実施形態において、二次コイルアセンブリ105は、電動車両(EV)の下部に設置されるものであり、車両の電池管理システム(BMS)(図示しない)に接続されている。本実施形態において、二次コイルアセンブリ105は、電動車両(EV)の下側に取り付けられているが、他の搭載位置でも可能である。
【0045】
電磁場(EMF)シールド101が、電動車両(EV)への機械的および電力的な相互接続を提供するのとともに、電動車両(EV)の金属コンポーネントに誘導される渦電流を防止する。
【0046】
実質的にフェライト材料からなる連続したフラットスラブまたは成形された連続シートである二次裏打ちコア102は、磁束を車両から離れる方向に方向転換する機能を有する。本明細書で使用される「裏打ちコア」および「フェライト」は、磁束を誘導するのに使用される材料を説明するために用いられるものであるが、斯かる材料の選択を制限するものではない。斯かる用語は、どちらも高浸透率の磁気材料構築用の一般用語として使用されるものであるが、この場合、高浸透率とは、1よりも実質的に大きい(名目上100超)の比透磁率を意味する。フェライトと言う用語は、裏打ちコアの構築に使用できる他の類似の材料の使用を除外するものではなく、フラットスラブまたは成形シートに製造可能な層状金属シート、粉末状酸化物、焼結された粉末状酸化物、および/または非晶質金属がそれに含まれてもよい。
【0047】
二次コイル103は、磁気的に伝送されるエネルギーの伝送装置であり、導体の平面状螺旋部(すなわち巻線)を有していてもよい。螺旋部は円形であっても長方形であってもよく、裏打ちコア102および電磁場(EMF)シールド101よりも面積または直径が小さい。例示的な螺旋コイルの形状は、全体が参照として本明細書に組み込まれる、「WIRELESS POWER TRANSFER THIN PROFILE COIL ASSEMBLY(ワイヤレス電力伝送用薄型コイル)」と題する米国特許出願第16/615,290号において、図7~10との関連で記載されている。
【0048】
二次コイルアセンブリのカバー104は、液体や粉塵の侵入から電子装置を保護するための、軽量で磁気的に不活性な筐体である。
【0049】
図1の実施形態において、一次コイルアセンブリ110は、舗道表面上または舗道表面と面一となるように地下に設置される。
【0050】
一次コイルアセンブリのカバー106は、重負荷に対応可能であるとともに、一次コイルアセンブリへの液体および粉塵の侵入を防止できる磁気的に不活性な筐体である。
【0051】
一次コイル107は、磁気的に伝送されるエネルギーの送信装置であり、導体の平面状螺旋部(すなわち巻線)を有していてもよい。螺旋部は円形であっても長方形であってもよい。磁束の望ましくない発生を最小限に抑えるため、一次コイル107と二次コイル103は面積または直径が同一であるが、コイル巻数は異なっていてもよい。双方向システムにおいては、一次コイル107と二次コイル103は、電力が車両から地上へ伝送されるのを可能にする役割および方向を交換可能であることに注目されたい。
【0052】
実質的にフェライト材料からなる連続したフラットスラブまたは成形された連続シートである一次裏打ちコア108は、磁束を地上から離れる方向に方向転換し、二次コイル103の方向に誘導する機能を有する。
【0053】
地上プレート109は、一次コイルアセンブリの他の部分を機械的に支持する機能を有する。地上プレートは、電気接地への相互接続を提供してもよい。磁場特性に実質的に影響しない電気コネクタ、構造部材、冷却配管、およびセンサについては図1に図示しない。
【0054】
図2
図2は、正弦波対破壊的相殺(destructive cancellation)を例示している。時間(X軸)および振幅(Y軸)で作図される第1の信号201は、波長202、振幅203、および位相ゼロ(0)の特性を示す。第2の信号205も時間(X軸)および振幅(Y軸)で図示されている。第2の信号205は、第1の信号201と同一の振幅206および波長207を有しているが、位相差208は180°である。信号201および205が合わされると、第3の時間(X軸)および振幅(Y軸)座標系で示される結果的信号209は、信号201および205間の180°の位相差による相殺的干渉によりゼロとなる。
【0055】
図3A
図3Aは、一直線上に配置された、一対のモジュール式一次コイルアセンブリのセット300(地上側アセンブリ(GA)としても知られる)の物理的特性を示す。一次コイルは長方形(通常、正方形)または楕円形(通常、円形)の螺旋部であってもよい。第1の一次コイルアセンブリ301は、隣接/近接した第2の一次コイルアセンブリ302と共に配置されている。隣接した一次コイルアセンブリ301および302は、間隔304によって分離されている。この例の場合、隣接した一次コイルアセンブリ301および302は、長さ305および幅306が同一であり、軸303に沿って充電される車両の移動方向310に一直線上に配置され、直線関係にある。隣接した一次コイルアセンブリ301および302の中間点307および308(ボアサイト(boresight)としても知られる)は、距離309によって分離されている。
【0056】
間隔304は、各モジュール式一次コイルアセンブリ301および302を電気的および磁気的に分離する機能を果たす。(米国特許出願第16/615,290、「WIRELESS POWER TRANSFER THIN PROFILE COIL ASSEMBLY(ワイヤレス電力伝送用薄型コイル)」)の図7~10に示されるように)裏打ちコア層および電磁場(EMF)シールドはコイル巻線よりも大きいので、間隔304は、近接したコイルアセンブリの電磁(EM)シールド間の距離である。磁気分離は、第1の一次コイルアセンブリ301から第2の一次コイルアセンブリ302に移動する磁束、および一次コイルアセンブリから当該一次コイルアセンブリとは整列していない近接した第2のコイルアセンブリに移動する磁束の加算(または破壊的相殺による減算)を防ぐように間隔304のサイズを設定することにより達成される。一直線上の構成に基づいてより大型のクラスタを作製するために、隣接した二次アセンブリ間に必要な分離間隔304を維持しつつ、追加の二次アセンブリ(および対応する地上ベースの一次アセンブリ)を車両の車台(chassis)の長さを限度として、クラスタの末端部に追加可能である。一直線上に配置されたクラスタの前方部は、図3Aにおいて、充電される車両の移動方向左側310と定義される。
【0057】
図3B
図3Bは、例示的実施形態において、一次コイルアセンブリの単一の平行に配置された対(parallel pair)を有する充電スタンドクラスタ311の物理的特性を幾何学的に示す。一次アセンブリのコイルは長方形(通常、正方形)または楕円形(通常、円形)の螺旋部であってもよい。第1の一次コイルアセンブリ301は、隣接/近接した第2の一次コイルアセンブリ302と共に配置されており、アセンブリ301および302は、車両の車台の中心線303の両側に対称的に配置されている。隣接した一次コイルアセンブリ301および302は、間隔304によって分離されている。この例の場合、隣接した一次コイルアセンブリ301および302は、長さ305および幅306において同一であり、軸303に沿って一列に配列されている。隣接した一次コイルアセンブリ301および302の中間点307および308(ボアサイトとしても知られる)は、距離309によって分離されている。平行クラスタ311の前方部は、図3Bにおいて、充電される車両の移動方向左側310と定義される。
【0058】
図3C
図3Cは、一次コイルアセンブリの2x2クラスタ312の物理的特性を幾何学的に示すものであり、第1の対301、302および第2の対313、314が並列に配置されており、各対のうちの一次コイルアセンブリの一つが車両の車台中心線303のいずれかの側に配置されている。第1の平行一次コイルアセンブリの対301、302は、第1の間隔304によって互いに分離されている。第1の平行一次コイルアセンブリの対301、302は、距離309によって分離されたボアサイト307および308を各々有している。第2の平行一次コイルアセンブリの対313、314は、第1の間隔304によって互いに分離されている。第2の平行一次コイルアセンブリの対313、314は、距離309によって分離されたボアサイト315および316をそれぞれ有している。平行一次コイルアセンブリの対の各対は直線的に位置合わせされ、第2の間隔318によって分離され、それにより、ボアサイト308、315および309、316の各々は、第2の距離317により、充電される車両の移動方向310の左右に分離されている。2x2クラスタ312は、2つの並列に配置された対、2つの対角線上の対、さらに2つの前後の対として特徴付けることができる。
【0059】
車両の車台中心線303のいずれかの側に平行に対を追加することにより追加の隣接一次アセンブリ(2x2n)を設置して、図3Cに示すモジュール式クラスタを拡張することができる。隣接した一次アセンブリは、一次アセンブリのモジュール式クラスタにおける最も近接した一次アセンブリ(複数も可)であり、全て接している。モジュール式クラスタにおいて隣接していない一次アセンブリは、近接一次アセンブリと定義される。2x2(およびさらに大きい2xn(n>2))クラスタにおける一次コイルアセンブリ間のの対では、並列(車両の中心線のいずれかの側に平行)、対角線上、または前後(両方共、車両の中心線の同じ側)が使用されてもよい。
【0060】
一次アセンブリのクラスタ(単一の一次アセンブリまたは一次アセンブリの単一クラスタを含む)はワイヤレス充電スタンドと呼ばれる。地理的にグループ分けされたワイヤレス充電スタンドのセットは、ワイヤレス充電ステーションと呼ばれる。共通制御下の大型ワイヤレス充電スタンド群は、ワイヤレス充電デポまたはワイヤレス充電設備と定義される場合がある。
【0061】
商業的に配置された200kWシステム(各々50kWの4つの一次コイルアセンブリで、20kHzの中央周波数を有する)は、近接した一次コイルアセンブリ間に101.6mmの分離を有していた。その後、商業的に設置された300kWシステム(各々75kWの4つの一次コイルアセンブリで、85kHzの中央周波数を有する)は、75mmの分離を有していた。一次コイルアセンブリ(および対応する二次コイルアセンブリ)のさらに狭い間隔は、機械および設置を考慮して調整可能であり、その場合、位置合わせのずれにおける干渉を減らし、それにより一次および二次コイルアセンブリの対の間の位置合わせずれへの全体的感度を減少させるように最小間隔が維持される。
【0062】
誘導結合されたワイヤレス電力伝送システムが能動的になると、一次および二次コイルにおける交流により磁束が発生する。コイルを取り巻く領域において、斯かる磁束の分布は、各コイルの磁気中心に位置する双極子源の磁場に関する方程式によって十分近似できる。斯かる磁場は一般的にトロイダル(ドーナツ)形状を有しており、磁束はポロイダル方向(ドーナツの穴をループする方向)へ向かう。あらゆる磁気双極子源同様、場の強さ(磁束密度に等しい)は、双極子からの距離の三乗に比例して低下する(1/r3)。
【0063】
1つの実際的な200kWの実施形態において、一次コイルアセンブリは各々902mmの長さ、902mmの幅であった。第2の実際的な300kWの実施形態において、一次コイルアセンブリは各々725mmの長さ、675mmの幅であった。
【0064】
図4
図4は、デカルト座標系で作図された、単一の大型一次コイルアセンブリ401によって発生する一定磁束密度の等値線を示しており、両軸は、充電セッション中における一次コイルアセンブリの中心からの距離(メートル)を示している。これは、電動車両の車体からの遮蔽が一切考慮されていないので、最悪のモデルケースである。
【0065】
図4の磁場は、有限要素法(FEM)計算を用いて他の導電性材料(渦電流源)および磁性材料の存在下において、導電性コイルによって発生する磁束密度を決定することでモデル化された。
【0066】
電力が二次コイルアセンブリ(図示しない)へ能動的に伝送されると、全磁束密度は、一次コイルアセンブリ401の中心からの距離が増加するにつれて減少する。電力が二次コイルアセンブリ(図示しない)へ能動的に伝送されると、全磁束密度は、一次コイルアセンブリ401の中心からの距離が増加するにつれて減少する。一次コイルアセンブリ401を直接取り巻く第1の等値線404は、316μT(マイクロテスラ)の一定磁束密度を示す。第2の等値線405は、100μTの定磁束密度を示す。第3の等値線406は、31.6μTの定磁束密度を示す。第4の等値線407は、10μTの定磁束密度を示す。第5の等値線408は、3.16μTの定磁束密度を示す。第6の等値線409は、1μTの定磁束密度を示す。
【0067】
安全な磁場曝露限界に関して最近提案された曝露規則には、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)および技術専門工学および規格協会である米国電気電子学会(IEEE)の規則が含まれる。米国連邦通信委員会は、Docket ET 19-226,「Targeted Changes to the Commission Rules Regarding Human Exposure to Radiofrequency Electromagnetic Fields(高周波電磁場への人体曝露に関する委員会規則の一部変更」において、磁気曝露に関する新たな制限がワイヤレス電力伝送に必要であるか否かを調査している。
【0068】
基準85キロヘルツの磁気充電信号に関して、(「Guidlines for limiting exposure to electromagnetic fields(電磁場への曝露を制限するためのガイドライン)(100kHz~300GHz)、Health Phys 118; March 2020」)により提案されたICNIRP制限は27μT(31.6μT等値線に極めて近い)であり、(「IEEE C95.1-2019 - IEEE Standard for Safety Levels with Respect to Human Exposure to Electric,Magnetic,and Electromagnetic Fields,0Hz to 300GHz(0Hz~300GHzの電場、磁場、および電磁場への人体曝露に関する安全レベルの基準:IEEE C95.1-2019」による)関連するIEEE制限は200μT(316μT等値線と31.6μT等値線の間)である。
【0069】
図5A
図5Aは、デカルト座標系で作図され、一直線上に配置された、一対のモジュール式一次コイルアセンブリ501および502によって発生する一定磁束密度の等値線を示しており、両軸は、同位相充電セッション中における一次コイルアセンブリ501および502の対の間隔内の中心点からの距離(メートル)を示している。この場合、モジュール式一次コイルアセンブリ501および502の対は共通電源から電力を供給され、磁気制御装置(図示しない)によって設定された実質的に同一の振幅、周波数、および位相磁気信号を送信する。この例の場合、モジュール式一次コイルアセンブリ501および502は、合同な直線状格子パターンに従って平面充填されている。
【0070】
追加磁束密度(additive magnetic flux density)が、一定磁束密度の等値線によって示されている。第1の等値線505は316μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線506は100μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線507は31.6μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線508は10μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線509は3.16μTの一定磁束密度を示している。第6の等値線510は1μTの一定磁束密度を示している。
【0071】
自動車(1.8メートル)の公称幅503および公称長504が、特定の実施形態用に図示されている。図示されているように、図5Aに示されるモジュール式一次コイルアセンブリの対は、自動車の充電での使用に好適である。車両の下側に二次コイルアセンブリ(複数も可)を配置することにより、乗客も近くの第三者も磁束遮蔽を享受でき、立ち入り禁止区域は、車両の下側に入り込むことによってのみ侵入可能となる。作動していない場合、磁気充電信号は存在するが、それは低電力の誘導通信信号に過ぎない。
【0072】
車両、トラック、バス、および他の道路ベースの車両は一定の設計に従うものであり、車両の幅よりも長さの方が大きい。(単一の一次コイルアセンブリの円形磁場(図1を参照)に対し)一般的に楕円形の磁場パターンと比べると、図5Aの1x2コイルアセンブリは、金属製の車体からの追加遮蔽が得られ、しかも車体、車両フレーム、および車輪によって立ち入り禁止区域が提供されるという二つの利点がある。
【0073】
全ての電動車両(EV)に関し、個々の二次コイルアセンブリのセットは、各車両に永久的に関連付けられている。各二次コイルアセンブリ用の周波数応答に関する情報は、車両によって、あるいは中央(地面側)リポジトリにおいて維持することができる。各対について、各一次コイルアセンブリ用に充電周波数を調整することにより、(例えば、二次コイルアセンブリの製造業者、型、モデルの違いによって生じる)周波数応答の不一致が最小限に抑えられる。新しい周波数の対は位相のずれがあるため、磁束の実質的な相殺の達成には効率の低下が伴う。
【0074】
図5B
図5Bは、デカルト座標系で作図され、一直線上に配置された、一対のモジュール式一次コイルアセンブリ501および502によって発生する一定磁束密度の等値線を示しており、両軸は、位相のずれた充電セッション中における一次コイルアセンブリ501および502の対の間隔内の中心点からの距離(メートル)を示している。この例の場合、モジュール式一次コイルアセンブリ501および502は、合同な直線状格子パターンに従って平面充填されている。この場合、一直線上に配置された、一対のモジュール式一次コイルアセンブリ501および502は、複数の電源から電力を供給され、所定の振幅および周波数で同一の磁気充電信号を発生させるが、磁気充電信号間の位相差は約180°に設定されている。この文脈で使用される場合、「約」は+/―10°を意味する。
【0075】
2つの充電信号によって生じる追加磁束密度が、等値線によって示されている。第1の等値線508は316μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線509は100μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線510は31.6μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線511は10μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線512は3.16μTの一定磁束密度を示している。第6の等値線513は1μTの一定磁束密度を示している。
【0076】
自動車(1.8メートル)の公称幅503および公称長504が、特定の実施形態用に図示されている。図から分かるように、図5Bに示されるモジュール式一次コイルアセンブリの対は、自動車の充電充電での使用に好適である。車両の下側に二次コイルアセンブリ(複数も可)を配置することにより、乗客も近くの第三者も磁束遮蔽を享受でき、立ち入り禁止区域は、車両の下側に入り込むことによってのみ侵入可能となる。作動していない場合、磁気充電信号は全く存在しない。
【0077】
図5C
図5Cは、デカルト座標系で作図され、並列に配置された、一対のモジュール式一次コイルアセンブリ501および502によって発生する一定磁束密度の等値線を組織分布的に示しており、両軸は、位相のずれた充電セッション中における一次コイルアセンブリ501および502の対の間隔内の中心点からの距離(メートル)を示している。この例の場合、モジュール式一次コイルアセンブリ501および502は、合同な直線状格子パターンに従って平面充填されている。この場合、モジュール式一次コイルアセンブリ501および502の対は、複数の電源から電力を供給され、決定された振幅および周波数で同一の磁気充電信号を発生させるが、磁気充電信号間の位相差は約180°に設定されている。2つの充電信号によって生じる追加磁束密度が等値線によって示されており、90度回転されている点を除けば図5Bの実施形態と同じである。
【0078】
2つの充電信号に関する結果的な追加磁束密度が、等値線によって示されている。第1の等値線505は316μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線506は100μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線507は31.6μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線507は31.6μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線512は1μTの一定磁束密度を示している。
【0079】
自動車(1.8メートル)の公称幅503および公称長504が、特定の実施形態用に図示されている。図示されるように、図5Cに示される一対のモジュール式一次コイルアセンブリの2x1の並列構成は、(本実施形態において二次コイルアセンブリを車両の下側に配置する場合)磁束の広面積が車台によって形成される立ち入り禁止区域の外側になるので、図5Bに示される1x2の一直線上の配列構成と比べて、自動車の充電使用には適していない。
【0080】
車両、トラック、バス、およびその他の路上車両は一定の設計に従うものであり、車両幅よりも長さの方が大きく、しかも車両幅は道路線幅によって制限されているので、一定磁束密度の等値線の幾何学的形状は、金属製の車体によって提供される追加の遮蔽の効果を利用することが好ましい。車体、車両フレーム、および車輪によって提供される一次コイルアセンブリの周囲の立ち入り禁止区域によって、潜在的な電磁場(EMF)への曝露がさらに制限可能であることに注目されたい。
【0081】
図6A
図6Aは、2x2クラスタに配列された4つの一次コイルアセンブリのモジュール式クラスタを示している。個々の一次コイルアセンブリのサイズを考慮すると、この幾何学的配置は、バン、トラック、トレーラー、またはバスの車体の下に設置するのに適している。図6Aにおいて、一次コイルアセンブリの各々は共通電源から電力を供給されており、伝送周波数、位相、および電力レベルを共有している。この例の場合、モジュール式一次コイルアセンブリ601、602、603、および604は、合同な直線状格子パターンに従って平面充填されている。
【0082】
同位相充電セッション中の追加磁束密度が、デカルト座標系で作図された一定磁束密度の等値線によって示されており、原点が一次コイルアセンブリの2x2クラスタの中心に置かれている。第1の等値線607は100μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線608は31.6μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線609は10μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線610は3.16μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線611は1μTの一定磁束密度を示している。
【0083】
人体への曝露に関して言えば、4つの一次コイルアセンブリ601、602、603、および604の全てが同じ周波数および位相を伝送しているこのシナリオは、磁束密度の最悪の場合を示している。公称自動車幅605および長さ606から分かるように、4x4クラスタは、斯かる寸法の自動車の下に設置される可能性は小さい。しかし、バス(公称車台幅2.6メートル)などの大型の車両は追加の重なり、したがって増加した磁束密度から乗客や近くの第三者のための遮蔽を提供する。
【0084】
図6B
図6Bは、2x2クラスタに配列された4つの一次コイルアセンブリのモジュール式クラスタを示している。この例において、モジュール式一次コイルアセンブリ601、602、603、および604は、合同な直線状格子パターンに従って平面充填されている。さらに、この例において、一次コイルアセンブリは、第1の対601、602および第2の対い603、604に分離されており、各対は、個別の電源から電力を提供されるか、若しくは個別に電力を供給されるが、同じ伝送周波数および電力レベルを共有する(但し、並列に配置された一次コイルアセンブリの対の間には一定の位相差(例えば、180°)がある)。
【0085】
上述したように、位相のずれた充電セッション中における一次コイルアセンブリの対の間の位相差は、伝送された磁気充電信号の相殺的干渉をもたらす。追加磁束密度が、デカルト座標系で作図された一定磁束密度の等値線によって示されており、原点が一次コイルアセンブリの2x2クラスタの中心に置かれている。第1の等値線614は100μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線615は31.6μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線616は10μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線617は3.16μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線618は1μTの一定磁束密度を示している。
【0086】
(1μT等値線618で示される)結果的な磁場の形状は、面積が減少しているだけでなく、乗客の乗り降りが予想される電動車両(EV)側で減少している。バス(基準車台幅2.6メートル)などの大型の車両は追加の重なり、したがって増加した磁束密度から乗客や近くの第三者のための遮蔽を提供する。
【0087】
図6C
図6Cは、2x2クラスタに配列された4つの一次コイルアセンブリのモジュール式クラスタを示している。この例の場合、モジュール式一次コイルアセンブリ601、602、603、および604は、合同な直線状格子パターンに従って平面充填されている。
【0088】
本実施形態において、一次コイルアセンブリは、対角線上の第1の対601、603および対角線上の第2の対602、604に分離されており、各対は個別の電源から電力を提供されている(または個別に電力を供給されている)が、各対は対となる一次コイルアセンブリ間で同じ電力レベルおよび一定の位相差(例えば、約180°)を共有している。二次アセンブリ(図示しない)の周波数オフセットを補償するために、第1の対角線上の一次コイルの対601、603は、位相のずれた充電セッション中に、第2の対角線上の一次コイルの対602、604とは異なる周波数で伝送されるように設定される。
【0089】
第1の等値線614は100μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線615は31.6μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線616は10μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線617は3.16μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線618は1μTの一定磁束密度を示している。
【0090】
磁束等値線の結果的なパターンは丸まった正方形の形状を有しているが、図6Aに示される基準パターンおよび面積よりも磁束密度が減少しており、有利である。磁場パターンの成形も、クラスタの側面が減少、ひいては電動車両(EV)の側面が顕著となるという点でも有利である。
【0091】
図6D
図6Dは、2x2クラスタに配列された4つの一次コイルアセンブリのモジュール式クラスタを示している。この例の場合、モジュール式一次コイルアセンブリ601、602、603、および604は、合同な直線状格子パターンに従って平面充填されている。但し、この例において、一次コイルアセンブリは、並列に配置された第1の対601、604および並列に配置された第2の対602、603に分離されており、各対は個別の電源から電力を提供されるか、若しくは個別に電力を供給されるが、同じ伝送周波数および電力レベルを共有している(但し、位相のずれた充電セッション中に、並列に配置されたの第1および第2の対の一次コイルアセンブリ間に一定の位相差(例えば、180°)がある)。
【0092】
図6Dにおいて、第1の等値線614は100μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線615は31.6μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線616は10μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線617は3.16μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線618は1μTの一定磁束密度を示している。
【0093】
図6B(並列に配置された、位相のずれた一次コイルアセンブリの対)および図6C(位相のずれた一次コイルアセンブリの対角線上の対)との比較から分かるように、並列構成では、対角線上の構成ほど磁束密度が低減しない。
【0094】
図7A
図7Aは、1x3クラスタに配列された3つの一次コイルアセンブリのモジュール式クラスタである。この幾何学的配列は、バン、トラック、トレーラー、またはバスの車台の下に設置されることを意図している。この例の場合、モジュール式一次コイルアセンブリ701、702、および703は、合同な直線状格子パターンに従って平面充填されている。
【0095】
同位相充電セッション中の追加磁束密度が、デカルト座標系で作図された一定磁束密度の等値線によって示されており、原点が中央の一次コイルアセンブリ702の中心に置かれている。第1の等値線706は316μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線707は100μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線708は31.6μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線709は10μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線710は3.16μTの一定磁束密度を示している。第6の等値線711は1μTの一定磁束密度を示している。
【0096】
一定磁束密度の等値線の全体的パターンでは、電動車両(EV)の中心線に沿ったクラスタの配列により近傍の第三者に最大限の隔離および遮蔽が提供されるため、発生する電磁場(EMF)の減少が望ましいワイヤレス電力伝送(WPT)で使用されるのに適している。
【0097】
図7B
図7Bは、1x3クラスタに配列された3つの一次コイルアセンブリのモジュール式クラスタである。個々の一次コイルアセンブリのサイズを考慮すると、この幾何学的配置は、バン、トラック、トレーラー、またはバスの車体の下に設置するのに適している。この例において、モジュール式一次コイルアセンブリ701、702、および703は、一列に配置される(合同な直線状格子パターンに従った平面充填が利用される)。デカルト平面は、中央の一次コイルアセンブリ702の中心点にその中心が置かれる。
【0098】
上述したように、一次コイルアセンブリの対の間の位相差によって、位相のずれた充電セッション中に、伝送された磁気充電信号の相殺的干渉が生じる。3つの一次コイルアセンブリをクラスタにする場合、対の変更形態が必要となる。同じ充電信号電力、周波数、および位相を伝送するように第1の一次コイルアセンブリ701および第3の一次コイルアセンブリ703を設定し、次に、同じ電力および周波数であるが第1の一次コイルアセンブリ701および第3の一次コイルアセンブリ703とは位相が異なる充電信号を伝送するように中央の一次コイルアセンブリ702を設定することにより、磁束密度の実質的な低減が達成できる。
【0099】
追加磁束密度が、デカルト座標系で作図された一定磁束密度の等値線によって示されており、原点が中央一次コイルアセンブリ702の中心に置かれている。第1の等値線713は316μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線714は100μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線715は31.6μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線716は10μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線717は3.16μTの一定磁束密度を示している。第6の等値線718は1μTの一定磁束密度を示している。
【0100】
磁場等値線によって示される磁場の低減は、公称の図7Aと比べ、相当量である。等値線が電動車両(EV)の側面で相当低減される磁場成形も有利である。
【0101】
図7C
図7Cは、1x3クラスタに配列された3つの一次コイルアセンブリのモジュール式クラスタである。この例において、モジュール式一次コイルアセンブリ701、702、および703は、一列に配置される(合同な直線状格子パターンに従った平面充填が利用される)。デカルト平面は、中央の一次コイルアセンブリ702の中心点にその中心が置かれる。
【0102】
同一の充電信号電力、周波数、および位相を伝送するように第1の一次コイルアセンブリ701および第3の一次コイルアセンブリ703を設定することに加え、次に、同一の周波数であるが第1の一次コイルアセンブリ701および第3の一次コイルアセンブリ703とは位相がずれた(例えば、180°)充電信号を伝送するように中央の一次コイルアセンブリ702を設定することにより、中央の一次コイルアセンブリ702の電力を増加でき(あるいは、第1の一次コイルアセンブリ701および第3の一次コイルアセンブリ703の充電信号の電力を削減でき)、位相調整のみで達成可能なレベルよりも大きいレベルの低減が磁束密度において達成できる。
【0103】
電力制御を伴う位相のずれた充電セッションである本例において、外側の一次コイル701および703は、中央の一次コイル702の電流の70%の電流を流すように設定される。したがって、電力レベルは、外側のコイル701おより703において50%、中央のコイル702において50%である。第1の等値線721は100μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線722は31.6μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線723は10μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線724は3.16μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線725は1μTの一定磁束密度を示している。
【0104】
(磁束密度等値線によって示される)磁場の面積は、電力制御により低減される。さらに電力制御レベルの調整を用いて、電動車両(EV)の車台遮蔽および立ち入り禁止区域に最も適合した形状に磁束密度を成形できる。
【0105】
図7D
図7Dは、1x3一次コイルアセンブリのクラスタを使用する際の、位相のずれた充電セッション中の有効磁束密度をバーチャルの相殺対電力制御で示す。磁気相殺対電流差の割合は、外側の2つのコイルの電流が中央のコイルと180°位相がずれており、外側のコイル電流が中央コイルの電流に比例して変化する場合に得られる。図7Dにおいて、X軸は内側および外側のコイルセット間の電流比(パーセント表示)を示し、Y軸は、一方のコイルセット(例えば、外側のコイル)が他方のセット(例えば、内側のコイル)が流す電流と約180°位相のずれた電流を流す場合に相殺される磁束密度の割合を示している。
【0106】
曲線726は、通常の車両端に対応する連結器の横の線(1.3m)に沿って達成可能な磁束密度の相殺の最大値を示す。曲線726は、3つの領域729、730、および731を有している。領域729では、外側のセットの電流は、最大の相殺を可能にするには低すぎる。領域730において、外側のセットの電流は、最大の相殺を可能にするのに適切なレベルである。領域731では、外側のセットの電流は、最大の相殺を可能にするには高すぎる。領域730または731での動作により、磁束の低減という利点が提供されるとともに、状況に応じて供給電力の調整が行われる。
【0107】
曲線727は、通常の車両端に対応する連結器の横の線(1.3m)に沿って達成可能な磁束密度の相殺の最小値(最悪の場合)を示す。曲線727は2つの領域732および733を有しており、728において最大となる。領域732において、外側セットの電流が増加するにつれて、最小の相殺も増加する。領域733において、外側セットの電流が増加するにつれて、最小の相殺は減少する。これらの領域は、最小の相殺が最大値に達する点を取り囲んでいる。当該点もまた、曲線726の最大相殺領域730にあるため、動作を当該点に近似させることにより、磁場の全体的な低減が最大になる。
【0108】
図8A
図8Aは、同位相充電セッション中の、2x3クラスタに配列された6つのモジュール式一次コイルアセンブリのクラスタを示す。個々の一次コイルアセンブリのサイズを考慮すると、この幾何学的配置は、トラック、トレーラー、またはバスなどの大型車両の下部に設置するのに適している。この例において、合同な直線状格子パターンに従って平面充填された後、モジュール式一次コイルアセンブリ801、802、および803は第1の列に配置され、モジュール式一次コイルアセンブリ804、805、および806は第2の列に配置される。デカルト平面は、中央の対である一次コイルアセンブリ802および805間の中心点にその中心が置かれる。
【0109】
第1の等値線807は316μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線808は100μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線809は31.6μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線810は3.16μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線811は1μTの一定磁束密度を示している。
【0110】
図8B
図8Bは、2x3クラスタに配置された6つの一次コイルアセンブリのモジュール式クラスタを示す。この幾何学的配置は、大型トラック、トレーラー、またはバスの車台の下部に設置されることを意図している。この例において、モジュール式一次コイルアセンブリ801、802、803、804、805、および806は、車両の長さに沿った横2列x縦3列(2x3)の合同な直線状格子パターンに従って平面充填されている。
【0111】
図8Bにおいて、磁気エネルギーは、第1の対801および804、第2の対802および805、ならびに第3の対803および806による、0°および180°の位相シフトのオフセットによって伝送される。斯かる対角線上のパターンにより、充電セッション中、各一次および二次コイルアセンブリの組には、反対の位相オフセットを有する組のみが近接することになる。
【0112】
追加磁束密度が、デカルト座標系で作図された一定磁束密度の等値線によって示されており、原点が一次コイルアセンブリ802と一次コイルアセンブリ805の中心におけるクラスタの中央に置かれている。第1の等値線814は316μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線815は100μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線816は31.6μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線817は10μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線818は3.16μTの一定磁束密度を示している。第6の等値線819は1μTの一定磁束密度を示している。
【0113】
等値線によって示されるように、磁束密度は、(図8Aに示されるように)6つの一次コイルアセンブリの全てが同位相で伝送される場合と比べ、1メートル、2メートル、および3メートル領域で大幅に減少している。図8Bに示す、磁束密度の等値線によって表される磁場の形状は、側面方向に大幅に良好に減少している。二次コイルアセンブリが車両の中心線に沿って配置されると仮定すると、車両の車台は、斯かる構成において、磁束の遮蔽および磁束によるヒト立ち入り禁止区域の双方を提供する。
【0114】
図8C
図8Cにおいて、磁気エネルギーは、並列に配置された対における、位相のずれた充電セッション中に、第1の対801、804、第2の対802、805、および第3の対803、806により、0°および180°位相シフトで伝送される。このパターンは、左側対右側の磁束相殺系を設定する。
【0115】
追加磁束密度が、デカルト座標系で作図された一定磁束密度の等値線によって示されており、原点が一次コイルアセンブリ802と一次コイルアセンブリ805の中心におけるクラスタの中央に置かれている。第1の等値線820は316μTの一定磁束密度を示している。第2の等値線821は100μTの一定磁束密度を示している。第3の等値線822は31.6μTの一定磁束密度を示している。第4の等値線823は10μTの一定磁束密度を示している。第5の等値線824は3.16μTの一定磁束密度を示している。第6の等値線825は1μTの一定磁束密度を示している。
【0116】
並列に配置された対による相殺では、同等の磁束密度が生成され、面積がより増加するとともに有利な形状は減少する。電動車両(EV)側面への同等な磁束密度範囲の増加は、近くの第三者および乗り降りする乗客への曝露の低減と言う目的に反するものである。
【0117】
図9
図9は、タクシーとして一般的に使用されるタイプの一般的な電気自動車またはハイブリッドのセダンに関する2つの図である。側面図901は、例示的な単一の車両搭載二次コイルアセンブリ903を示す。二次コイルアセンブリは、受信装置または車両アセンブリ(VA)としても知られる。
【0118】
透視上面図902は、セダン車台の左側対右側の中心かつ前輪のすぐ後ろ(凸凹な地面によるコイルアセンブリへの損傷の可能性を減らすため)へ配置される二次コイルアセンブリ904を示す。立ち入り禁止区域905は、車両の下部構造の周囲によって形成される比較的アクセス不能な領域を示す。例示的実施形態において、充電中に形成される磁場は有利に形成されており、十分立ち入り禁止区域905内に限定されている。
【0119】
図10
図10は、輸送車両として一般的に使用されるタイプの一般的な電気自動車またはハイブリッドのバンに関する2つの図である。側面図1001は、車両搭載二次コイルアセンブリ1003および1004の1x2の対に関する位置決めオプションを示す。透視上面図1002は、セダン車台の左側対右側の中心線に沿い、前輪のすぐ後ろ(凸凹な地面によるコイルアセンブリへの損傷の可能性を減らすため)近くに配置される第1の1005および第2の1006受信装置を搭載するための好ましい位置を示す。立ち入り禁止区域1007は、車両の下部構造の周囲によって形成される比較的アクセス不能な領域を示す。充電中に形成される磁場は有利に形成されており、十分立ち入り禁止区域1007内に限定されている。
【0120】
図11
図11は、一般的な電気またはハイブリッドの路線バスに関する2つの図である。側面図1101は、車両搭載二次コイルアセンブリの2x2クラスタ1103に関する位置合わせオプションを示す。透視上面図1102は、車台左側対右側の中心線に沿い、前輪のすぐ後ろ(凸凹な地面によるコイルアセンブリへの損傷の可能性を減らすため)近くに配置される二次クラスタ1104を搭載するための好ましい位置を示す。立ち入り禁止区域1105は、車両の下部構造の周囲によって形成される比較的アクセス不能な領域を示す。充電中に形成される磁場は有利に形成されており、十分立ち入り禁止区域1105内に限定されている。
【0121】
図12
図12は、一般的な電気またはハイブリッドのバスの二次(すなわち受信装置)クラスタの例を、側面図1201および透視上面図1202で示している。側面図1201は、車両搭載二次コイルアセンブリの2x3クラスタ1203に関する位置合わせオプションを示す。透視上面図1202は、バス車台の左側対右側の下側の中心線に沿い、前輪のすぐ後ろ(凸凹な地面によるコイルアセンブリへの損傷の可能性を減らすため)近くに例示的2x3二次クラスタ1204を搭載するための例示的位置を示す。立ち入り禁止区域1205は、車両の下部構造の周囲によって形成される比較的アクセス不能な領域を示す。充電中に形成される磁場は有利に形成されており、十分立ち入り禁止区域1205内に限定されている。上述した通り、閾値未満の磁束密度だけが、立ち入り禁止領域の外側で許容される。
【0122】
図9~12は、(縁石、スピードバンプによる損傷の可能性を少なくする)機械的考慮と、磁気発生を減少させる磁気遮蔽としての金属製車台の使用との間の技術的なトレードオフを示している。車両の車台は様々であり、モジュール式二次アセンブリの数も多様なので、(供給電力、周波数、位相、および二次アセンブリレイアウトを通して調整される破壊的相殺を用いて)磁束への曝露を最小限に抑えるような磁場を形成する手腕は実用面で増加する。
【0123】
図9~12において、立ち入り禁止区域の周囲は金属車台または下部機構の輪郭と一致するように示されている。代替実施形態においては、立ち入り禁止区域は、車両の周囲によって形成される領域よりも小さい部分またはそれよりも大きい広がりであってもよく、異なるレベルの磁束密度に対応する複数の領域であってもよい。小さい部分は、例えば、異物検出(FOD)システムまたは生物検出(LOD)システムのセンサ範囲によって制限されてもよい。大きい領域は、物理的バリアまたは表示によって制限される立ち入り禁止領域によって画成されてもよい。FODまたはLODシステムのセンサ範囲は、車両輪郭よりも大きい立ち入り禁止区域を規定するのに使用されてもよい。斯かる小さいまたは大きい立ち入り禁止区域は、閾値を超えた磁束密度領域の発生に関して、望ましい形状を成形するのに使用されてもよい。あるいは、発生した磁場領域の形状は、立ち入り禁止区域のサイズおよび境界を調整するのに使用されてもよい。
【0124】
図13
図13は、(図6Bに示すような4つの一次および二次コイルアセンブリからなる組で、対角線上に対となっている)代表的な2x2クラスタにおける磁束密度の相殺のグラフを示す。X軸は対となるセット間の位相角を示す。Y軸は、クラスタの中央から(通常の路線バスまたは通学用バスの端に対応する)1.3メートルの位置の、磁束密度相殺量を示す。2つの線1301、1302は、異なる位相角における、異なる磁束密度相殺量を示している。第1の線1301は、クラスタの中心から1.3mの半径円に沿って達成可能な磁束密度相殺の最大量を示す。斯かる最大相殺は、一般的に、2x2クラスタによって形成される格子の軸に沿っている。第2の線1302は、クラスタの中心から1.3mの半径円に沿って達成可能な磁束密度相殺の最小量を示す。斯かる最小相殺は、一般的に、2x2クラスタによって形成される格子の対角線に沿っている。
【0125】
全ての位相オフセットが、最高状態1301においても最悪状態1302においても何らかの相殺を示しているが、最悪の場合の線は、座標の一次アセンブリの対の間の0°~25°までの位相オフセットである第1の領域1303においては、相殺は実質的に全く達成されていない(<1%)。したがって、25°~180°へ延びる第2の領域1304における位相オフセットが好ましい。
【0126】
図14
図14は、電池貯蔵装置を有する電動車両用に本明細書に記載するモジュール式コイルアセンブリを組み込むように構成された高出力ワイヤレス伝送システムを示す。電池貯蔵装置には、湿電池、乾電池、固体電池、ならびに容量性貯蔵装置、可逆燃料電池、およびそれらの組み合わせ(すなわち、ハイブリッドエネルギー貯蔵装置)が含まれる。
【0127】
このシステムにおいて、地上側電子機器1401は、一次コイルアセンブリ1402へ調整済み電力信号を提供する。高出力システムにおいては、一次コイルアセンブリ1402は、一次コイル巻線1403および整合コンデンサ1404および1405を有する平衡直列構成を有していることが好ましい。
【0128】
一次コイルアセンブリ1402によって生成される磁気信号を受信するのに、エアギャップ1410を介して、二次コイルアセンブリ1406が使用される。二次コイルアセンブリ1406も、二次コイル巻線1407および整合コンデンサ1408および1409を含む平衡直列構成を有していてもよい。二次コイルアセンブリ1406によって生成されるAC電力レベル、周波数、および位相(すなわち、AC信号データ)はセンサ1411によって測定され、その測定値が、デジタルデータリンク1412を通して能動型整流器制御装置(ARC)1413へ報告される。能動型整流器制御装置(ARC)1413は、AC信号データを用いて、能動型整流を最適化するため、ゼロクロスを決定するための信号予測モデルを作成する。整流制御信号は、制御リンク1417を通して、能動型整流器1416へ送信され、そこでAC信号入力1415が受信され、当該AC信号入力がDC電力出力1419に変換される。整流器モジュールの温度センサ(図示しない)は、デジタルデータリンク1418を用いて、能動型整流器制御装置(ARC)1413に報告を行う。電力調整装置1420が整流器1416のDC出力1419を受信し、フィルタ1421でリップルおよびノイズを除去し、電池パック1424を充電する。調整済みDC信号特性はセンサ1422によって監視され、デジタルデータリンク1423を通して能動型整流器制御装置(ARC)1413へ報告される。
【0129】
単一の一般的なコンピュータ、またはコンピュータおよびソフトウェアデータベースのクラスタとして具体化された、あるいは地理的に複数の異なる場所に分散され、各々が計算資源およびデータベースを有するように具体化された、地面側のデータリポジトリ1426は、車両に搭載された各二次コイルアセンブリ用に、デフォルト測定値および履歴測定値に関する充電プロファイルを維持することができる。リポジトリ1426は、車両が充電されている際に充電セッションパラメータを設定するように、データネットワーク1427を通して、充電場所制御装置1428(現場管理ソフトエアおよびデータベースソフトウェアを実行する一般コンピュータまたはコンピュータクラスタ)によって要求される可能性がある性能データ(周波数応答および充電モデルを含む)を有している。
【0130】
斯かる充電セッションパラメータは、位置合わせされた二次コイル(または位置合わせされた一次および二次コイルの対)および局地的条件、例えば、電力供給能力、環境要因(例えば、温度)および設置された一次コイルアセンブリの状態(例えば、内部温度(複数も可)、使用状況、一次のコイル数、一次の巻数、表面実装型または埋込み型の一次コイルアセンブリ(複数も可)など)に基づいて、各一次コイルアセンブリまたは一次コイルアセンブリの対の磁気信号特性(例えば、充電セッション中の瞬時電力レベル、ベース信号周波数、周波数ドリフト、信号位相オフセット、およびコイル間の基準間隔)を含んでいてもよい。
【0131】
充電セッションパラメータは、以下の表1に示されるタイプの一次コイルアセンブリまたは一次コイルアセンブリの対の充電器プロファイルを含んでもよい。
【0132】
【表1】
【0133】
自動車充電関連のデータもデータリポジトリ1426に保存することができる。斯かるデータは、電池老朽化情報(例えば、1若しくはそれ以上の充電セッションに関する、充電時間対電池充電状態)、ならびに二次コイルアセンブリの車台上の位置、および電動車両(EV)車体によって提供される電磁(EM)シールドを含んでもよい。
【0134】
以下の表2は、データリポジトリ1426に保存される、および/または車両側に保存され、充電中に地上側の充電器に送信される、例示的な車両充電プロファイルを提供する。
【0135】
【表2】
【0136】
ワイヤレス電力伝送(WPT)システムは、充電場所制御装置1428を介して車両充電プロファイルおよび準リアルタイムデータにアクセスすることにより、セッション開始時および充電セッション中に、一次コイルアセンブリセンサからのデータ、および誘導通信システム(図示せず)を介したエアギャップ1410の反対側の二次コイルアセンブリおよび/または負荷からのフィードバックに基づいて、各一次コイルを再構成することができる。
【0137】
充電場所制御装置1428へのアクセスは、デジタルデータリンク1429、1430を介して行われ、その場合、第1の一次および二次コイルアセンブリ1431ならびに第2の一次および二次コイルアセンブリ1432の各々は、同じプロファイル情報へアクセスする。充電スタンドにおいて一次および二次コイルアセンブリ1431、1432によって生成された電流は、電池のプラス端子および電池のマイナス端子で組み合わされ、車両電池パック1424の充電に使用される。
【0138】
第1の能動型整流器制御装置(ARC)1413および第2の能動型整流器制御装置(ARC)(図示しない)は、ACおよびDC電力特性を、ネットワーク化された制御装置1414へ保存およびデジタルデータリンク1435を介して報告するために、当該ネットワーク化された制御装置に報告する。
【0139】
図15
図15は、例示的実施形態において、自動ワイヤレス充電に関連する上位レベルの電動車両システムを示している。図示するように、電動車両1500は、一次地上コイルアセンブリ1501からワイレス充電を受信する二次車両コイルアセンブリ1502(この場合、単一のコイルユニット)を備えている。電池管理システム(BMS)1509は、電池パック1504の監視および管理を行う。本明細書で使用される場合、「電池パック」と言う用語は、一般的な化学エネルギー保存システムを意味するものであり、他の携帯用エネルギー保存システム(例えば、固体電池、可逆燃料電池、ウルトラキャパシタ)で置き換え、補充、またはそれらと組み合わせることができる。電池管理システム(BMS)1509は、アルゴリズムに基づき、性能を管理するとともに、充電率を設定し、充電レベルおよび温度を監視しつつ個々の電池(または電池貯蔵装置)の充電/放電の均衡を取ることにより、電池の範囲および寿命を最大にする。
【0140】
電池管理システム(BMS)1509は、二次アセンブリ1502が提供する誘導通信送受信システムによってサポートされるダウンリンクデータリンク1505およびアプリンクデータリンク1506を介して送信されるメッセージにより、充電セッション(および関連するロジスティクス、課金、およびセンサの読み取り)を制御する。電池管理システム(BMS)1509に保存されるデータには、身元証明および認可に関する情報、電池の電圧、および最大電流レベル設定が含まれる。電池管理システム(BMS)1509には、任意に、車両および搭載された二次アセンブリに関する磁気充電データプロファイルのローカルバージョンまたがサブセットが含まれてもよい。ワイヤレス充電制御装置1503は、データリンク1507を介して車両ネットワークおよび誘導通信送受信システム間の変換し、橋渡しする機能を有する。電池管理システム(BMS)1509は、例えば、制御装置エリアネットワーク(CAN)バスを介して実装される、有線または無線のデータリンク1510を介して電池パック1504から送信されるセンサデータを受信する。
【0141】
二次車両コイルアセンブリ1502は、高電流バス1508を介して電池パックへ直流を伝送する。電池パック1504が完全に充電されている場合、待ち行列にいる間、位置合わせの際、および充電スタンドの最大電流レベル設定と通信している間に、通信、娯楽、および環境制御などの車両1500の車載システムと電流を分流または共有することができる。
【0142】
図16
図16は、例示的実施形態において、単一の充電スタンドにおける自動ワイヤレス充電で使用される、ワイヤレス充電信号および範囲を示している。自動充電において、舗道1602の表面と面一に埋め込まれた地上側一次アセンブリ1601は、充電中、車両の二次アセンブリ1603との間で、実質的な位置合わせおよび通信を行う。この例において、二次アセンブリ1603は、車両の車台1604の下側に搭載されている。
【0143】
充電信号1605が開始される前に、例えば、本明細書にこの参照により組み込まれる米国特許第10,135,496号に記載されているような通信装置を使用し、誘導通信リンクを用いて、アップリンク1606およびダウンリンク1607データパスが確立される。誘導リンク1606および1607は、地上側一次コイルアセンブリ1601のサイズ(約500ミリメーター)を僅かに上回る接近範囲1608および出発範囲1609によって限定される電力である。位置合わせプロセスに関する追加情報は、「Method and apparatus for the alignment of a vehicle and charging coil prior to wireless charging(ワイヤレス充電前の車両および充電コイルの位置合わせのための方法および装置)」と題する、米国特許第10,814,729号、「Method of and apparatus for detecting coil alignment error in wireless inductive power transmisssion(ワイヤレス誘導電力伝送におけるコイルの位置合わせ誤差を検出する方法および装置)」と題する、米国特許第10,193,400号、および「Method and apparatus for the alignment of vehicles prior to wireless charging including a transmission line that leaks a signal for alignment(位置合わせ信号を漏洩する伝送路を含む、ワイヤレス充電前の車両の位置合わせのための方法および装置)」と題する、米国特許第10,040,360号に記載されており、当該内容は、この参照により本明細書に組み込まれる。代替短距離ローカルエリアワイヤレスネットワーキング技術(例えば、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi)または長距離ワイヤレス広域ネットワーク(WWAN)技術(例えば、LTE、Connected-Carワイヤレスパケットデータシステム、Vehicle-to-Infrastructure(V2I)、Vehicle-to-Everything(V2X)などの携帯電話技術)が使用できる。
【0144】
図17
図17は、例示的実施形態において、電動車両を充電する方法1700を示すフローチャートである。図示された例において、充電スタンドは、双方向通信が開始されるまで待機状態1701にある。充電スタンドは、待機状態中、誘導通信ビーコンを発信する。代替的に、充電スタンドは、無線通信システム(ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)または広域無線通信システム(例えば、セルラパケット無線システム))を通して、または電動車両が充電スタンドに接近しつつあることを示す別の車両検出機構を通して充電場所の制御装置1428が到着情報を受信し、命令を送信する場合にのみ、ビーコンを発信を開始する。
【0145】
双方向通信は、通信開始状態1702で開始される。通信開始状態1702に入るために、双方向通信リンクが設定され、充電用の認証および認可が確立される。一次コイルアセンブリ(複数も可)と二次コイルアセンブリ(複数も可)との位置合わせが行われる前に通信開始状態1702が開始され、信頼できる双方向リンクが保証された後、設定データ取得1703が開始される場合もあるが、プロファイル取得状態1704は、位置合わせが完了するまで開始されない。
【0146】
双方向通信が開始および確立され(したがって、電動車両(EV)の存在が確証され)ると、電動車両(EV)のコンピュータシステムと地面側の認証サービス、認可サービス、および支払いサービスとの間で充電セッション設定データの受け渡しが可能となる。この設定データ取得状態1703の一部または別個のプロファイル取得状態1704の一部として、電動車両(EV)の誘導充電能力に関する詳細が取得される。設定データ取得状態1703は、要求される車両の充電電力レベルに関する詳細を含んでいてもよい。
【0147】
電動車両(EV)の充電プロファイルは、電動車両(EV)の設計者および運転者の選択に基づいて、いくつかの方法で取得可能である。1つの例では、電動車両(EV)のコンピュータシステム(例えば、電池管理システム(BMS)または自動運転システム(ADS))は、ダウンロード対象の充電プロファイルを含む。別の例では、充電プロファイルは、設定データ取得状態1703で以前に取得された電動車両(EV)の情報を用いて、地面側のデータリポジトリからダウンロードされる。あるいは、(電動車両(EV)、地面側リポジトリ、またはローカルキャッシュから入手される)一般的な電動車両(EV)型/モデル/製造業者の充電プロファイルが使用されてもよいし、充電プロファイル情報や電動車両(EV)型/モデル/製造業者情報が入手可能でない場合は、検出された電動車両(EV)の二次コイルアセンブリの数およびレイアウトに基づいて、デフォルト充電プロファイルが使用されてもよい。
【0148】
プロファイル取得状態1704において充電プロファイルが取得されると、充電パラメータ設定状態1705が開始される。充電パラメータ設定状態1705において、各一次コイルアセンブリ用の充電信号が、周波数、振幅、および位相に関して設定される。充電信号用のパラメータは、取得された磁気プロファイルおよび要求されている充電電力レベルに基づいて、大部分が立ち入り禁止区域内にある磁場を有する充電信号に設定される。
【0149】
充電スタンドは、充電開始状態1706の開始で充電信号をオンにする。充電が開始されると、充電状態1707は、充電が完了または終了したことが1708で決定されるまで維持される。通常の完了イベントには、電動車両(EV)によるセッションの終わり(例えば、電池の完全充電)、充電場所制御装置1428によるセッションの終了(例えば、元払い認証レベルが満たされた場合)、あるいは一次または二次コイルアセンブリによるセッションの終了(例えば、電動車両(EV)が充電スタンドを超えたことの検出)が含まれる。通常の充電セッション完了イベントの後、充電スタンドの状態は待機状態1701へ戻る。異常なセッション終了イベント(例えば、過熱の検出)は障害と見なされ、充電セッション1707の即時終了となり、充電スタンドは、当該障害が解決されるまで停止状態1709に設定される。
【0150】
追加実施形態
双方向
密接結合された電力伝送コイルのみが関与しているので、前述した位相、周波数、および電力制御を用いて、低減された全磁束での双方向電力伝送が可能である。双方向電力伝送には、車両へのDC-AC変換の追加、ならびにローカルACグリッド供給のための、地上側におけるAC-DC-AC変換またはAC/AC変換が要求される場合がある。
【0151】
様々な組み合わせ
誘導通信リンク、ならびに各一次コイルアセンブリにおける充電信号の周波数、電力レベル、および位相の制御により、十分大型の格子の建設が可能である。各充電セッションにおいて、一次コイルアセンブリのユニークなパターンが、電力伝送用に選択できる。1つの例では、一次コイルアセンブリの3x3の格子が建設される。電動車両(EV)は、電動車両(EV)上の二次コイルアセンブリの数および配置を決定する車両プロファイルを用い、一次コイルアセンブリのセットが電動車両(EV)の二次コイルアセンブリと位置合わせされるように電動車両(EV)へ送信される車線インジケーターまたは通信信号を通して、運転者または自動操縦によって操縦可能である。3x3の例は、二次コイルアセンブリの3x3アレイを有する車両だけでなく、(地上側の3x3コイルアセンブリの適切なサブセットが作動される場合に)1x1、1x2、1x3、および2x3アレイを有する車両でも充電可能である。
【0152】
特定の場合、電動車両(EV)は、小さいアレイを有する一次コイルアセンブリから充電可能である。例えば、2つの一次コイルアセンブリが6つの二次コイルアセンブリのうちの2つに位置合わせされる場合、2x3二次アレイを充電するのに、1x2一次アレイが使用できる。
【0153】
電動車両(EV)が作動していないの1若しくはそれ以上の二次コイルアセンブリを有している場合、充電ステーションは、機能する二次コイルアセンブリに位置合わせされる一次コイルアセンブリのみを用いて、電動車両(EV)を充電できる。
【0154】
それぞれの状況において、ならびに任意に電動車両(EV)の磁気充電プロファイルに基づいて、一次コイルアセンブリによって生成される充電信号の周波数、位相、および電力は、磁気放射を制限するように調整可能である。
【0155】
広域における均衡
各モジュール式一次コイルアセンブリについて周波数、位相、および電力を制御する機能は、単一の充電スタンド(単一の車両に対応する一次コイルアセンブリのクラスタ)だけでなく、複数の充電スタンドを密集して配備した場合(例えば、停車場、駐車場、交通待ち行列、または駅構内)においても適用される。
【0156】
最大磁場(例えば、磁場密度)のマッピングは、配備場所におけるセンサの測定値またはモデリングにより作成可能である。モデルは、充電スタンドまたは他の関連電子機器から発生する総磁束密度を測定するのに使用可能な1若しくはそれ以上の個別アンテナのリアルタイムのローカルセンサアレイを用いて、作成または増強できる。
【0157】
3次元的総磁束密度は、プロセッサによって計算される、若しくは磁束密度の追加的「高密度領域」を特定する手段として機能する処理能力を有するセンサを通して取得される。一連の最高状態/最悪状態モデルは、斯かる特定する手段により生成できる。同様に、地上レベルモデルおよびヘッドレベルモデルは、斯かる特定する手段により生成できる。
【0158】
電力、位相、および周波数オフセットは、磁気充電信号の均衡を回復し、望ましい安全/曝露閾値(例えば、FCC Part15、Part 18、IEEE C.95またはICNRIP閾値の運転者規定部分)を超える磁束密度の領域を減少させる、または排除ために使用することができる。
【0159】
図18
図18は、例示的実施形態において、広域磁束管理を備えた充電ステーションを図示したものである。図18の実施形態は、複数のモジュール式ワイヤレス充電スタンドの調整を通して、磁場を均衡化する。充電ステーション1801は、舗装領域1802および造園領域1803を含む。造園領域1803は、ワイヤレス充電スタンドへの電力の伝送に必要な電源供給装置(図示しない)を含み、路肩、ワイヤ障壁、壁を設置することにより、作動中に充電スタンド1804によって生成される磁束を分離および包囲することができる。占有された充電スタンド1805、1806、および1807は磁束を発生させ、一方、作動していない充電スタンド1804は休止している。追加磁束密度の領域を最小限に抑えるため、作動中の充電スタンド1805、1806、および1807の位相を調整するのに、所定のモデルが適用される。本明細書記載の相殺的干渉を通して広域磁束軽減計画を増強、監視、または補足するため、1若しくはそれ以上の磁気アンテナ1808が設置されてもよい。この実施形態においては、中央に置かれた単一の監視アンテナステーション1808が示されている。既知の追加的高密度領域あるいは保護されていない歩行者交通領域において、充電ステーションの周囲を監視する手段として、ならびに必要に応じて相殺的干渉信号を提供するための手段として、複数のアンテナステーションが配置されてもよい。アンテナステーションは、磁束密度の追加的高密度領域の近辺においてコイルアセンブリの電力、位相、および/または周波数オフセットを調整するため、信号を各コイルアセンブリへ提供し、各コイルアセンブリからの充電信号を均衡化させて、磁束密度の追加的高密度領域における磁束密度を減少させることができる。
【0160】
結論
当業者であれば、本明細書に記載されたトポロジーおよび回路実装方法により、コイルアセンブリが搭載された車両の寸法および特徴に応じて磁束密度を制御可能であることを理解するものと考えられる。
【0161】
使用した実施例および図は、幾何学的に対称な一次コイルおよび二次コイルアセンブリのクラスタを説明するものであり、この場合、各コイルは同一平面上に配置されている。同一サイズのコイルおよび同一平面上のコイル配置を使用することで、説明の容易化を図った。非対称コイル、非直線グリッド配置、および非共平面配置では、磁場生成を管理するために本明細書で説明した原理と技術を使用することができるが、性能が低下する可能性がある。
【0162】
上記で様々な実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は例示的な目的のみで提示されているものであり、限定的なものではないことを理解されたい。例えば、上述したシステムおよび方法に関連する要素のいずれも上述した望ましい機能のうち任意の機能を採用することができる。したがって、好適な実施形態の範囲は、上述した例示的な実施形態のうち任意の実施形態によって限定されるべきではない。
【0163】
本明細書で説明したように、本明細書に記載した方法の態様を実施する論理、コマンド、または命令は、デスクトップまたはノートブックパーソナルコンピュータ、タブレット、ネットブック、およびスマートフォンなどのモバイルデバイス、クライアント端末、およびサーバによってホストされるマシンインスタンスなどのコンピューティングシステムのための任意の数のフォームファクタを含むコンピューティングシステムにおいて提供することができる。本明細書に記載した別の実施形態は、本明細書に記載される技術を別の形態に組み込むことを含むものであり、当該形態は、当該技術の機能を実行する各手段を有する装置を含む、プログラムドロジック、ハードウェア構成、または特殊なコンポーネントもしくはモジュールの別の形態を含む。このような技術の機能を実施するために使用される各アルゴリズムは、本明細書に記載される電子的動作の一部またはすべてのシーケンス、または添付の図面および詳細な説明に記載されるその他の態様を含むことができる。本明細書に記載された方法を実施するための命令を含むシステムおよびコンピュータ可読媒体はまた、例示的な実施形態を構成する。
【0164】
本明細書に記載した能動的整流器制御装置1413、車両の電流充電場所制御装置1428、および/または車両充電制御装置1414の監視機能および制御機能は、1実施形態においてソフトウェアで実施することができる。ソフトウェアは、ローカルまたはネットワーク接続された1若しくはそれ以上の複数の非一時的メモリまたはその他のタイプのハードウェアベースの記憶装置などのコンピュータ可読媒体またはコンピュータ可読記憶装置に格納されたコンピュータ実行可能命令で構成されてもよい。さらに、このような機能はモジュールに対応し、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。必要に応じて複数の機能を1若しくはそれ以上のモジュールで実行可能であり、記載した実施形態は単なる例に過ぎない。ソフトウェアは、パーソナルコンピュータ、サーバ、または特定用途向けにプログラムされた機械に変更されたその他のコンピュータシステムなどのコンピュータシステム上で動作するデジタルシグナルプロセッサ、ASIC(特定用途向け集積回路)、マイクロプロセッサ、またはその他のタイプのプロセッサで実行することができる。
【0165】
本明細書で説明したように、本実施例は、プロセッサ、論理、または多数のコンポーネント、モジュール、または機構(「モジュール」と言う。)を含むことができ、若しくは当該モジュール上で動作することができる。モジュールは、指定された動作を実行することができる有形エンティティ(例えば、ハードウェア)であり、特定の態様で構成または配置されてもよい。一例として、回路は、モジュールとして指定された態様で(例えば、内部に、または他の回路などの外部エンティティに対して)配置されてもよい。一例において、1若しくはそれ以上のコンピュータシステム(例えば、スタンドアロン、クライアントまたはサーバコンピュータシステム)、または1若しくはそれ以上のハードウェアプロセッサの全体または一部は、指定された動作を実行するように動作するモジュールとしてのファームウェアまたはソフトウェア(例えば、命令、アプリケーションの一部分、またはアプリケーション)によって構成されてもよい。一例において、ソフトウェアは、機械可読媒体上に存在してもよい。ソフトウェアは、モジュールの基礎となるハードウェアによって実行されることで、ハードウェアに指定動作を実行させる。
【0166】
したがって、「モジュール」という用語は、有形ハードウェアおよび/またはソフトウェアエンティティを包含するものであり、当該エンティティは、物理的に構築、または(例えば、ハードウェアにより実現される)特定用途向けに構成、または一時的に構成され(例えば、プログラムされ)、指定された態様で動作、若しくは本明細書に記載される任意の動作の一部または全部を実行するものであると理解される。モジュールが一時的に構成される例を考えると、各モジュールは、任意の瞬間時においてインスタンス化される必要はない。例えば、モジュールがソフトウェアを使用して構成された汎用ハードウェアプロセッサからなる場合、汎用ハードウェアプロセッサは、異なる時点でそれぞれの異なるモジュールとして構成されてもよい。したがって、ソフトウェアは、例えば、ある時点では特定のモジュールを構成し、異なる時点では異なるモジュールを構成するように、ハードウェアプロセッサを構成することができる。
【0167】
当業者であれば、本明細書に含まれる開示は車両への電力供給に関するものであるが、これは多くの可能な用途の1つに過ぎず、非車両用途を含む他の実施形態も可能であることを理解されたい。例えば、当業者であれば、歯ブラシ、携帯電話、およびその他の装置を充電するために使用される充電器(例えば、PowerMat(商標))など、携帯型家電装置用充電器のなどの非車両誘導充電用途において多数の用途があることを理解すると考えられる。したがって、これらの用途およびその他の用途は、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
nxm配列のコイルアセンブリを有するコイルアレイであって、
n≧1およびm≧2であり、前記コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各コイルアセンブリは、充電時に近接するコイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、1つのコイルアセンブリによって伝送される充電信号が近接するコイルアセンブリによって伝送される充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記近接するコイルアセンブリが同位相である場合のの追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
コイルアレイ。
【請求項2】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、当該コイルアレイは地面に設置されているものであり、さらに、
当該コイルアレイに関連付けられ、充電される車両に関連付けられた通信装置から設定パラメータを受信する通信装置と、前記設定パラメータを使用して当該コイルアレイの充電パラメータを設定する充電場所サーバーとを有し、これにより、充電時に前記追加磁束密度の大部分が前記車両の立入禁止区域内に留まるものである、コイルアレイ。
【請求項3】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、各コイルアセンブリは、異なる電源によって駆動され、所定の振幅を有する充電信号を伝送するものである、コイルアレイ。
【請求項4】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、前記コイルアセンブリによって伝送される充電信号は、前記近接するコイルアセンブリによって伝送される充電信号と約180°位相がずれているものである、コイルアレイ。
【請求項5】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=2、m=2であり、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第1の対と、
互いに隣接して配置され、かつ前記コイルアセンブリの第1の対と平行に配置されたコイルアセンブリの第2の対と
を有し、
前記コイルアセンブリの第1および第2の対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各コイルアセンブリは別々の電源によって給電されるものであり、
前記コイルアセンブリの第1および第2の対の各々は、同一の伝送周波数および電力レベルを共有するが、当該各対におけるコイルアセンブリ間には一定の位相差が存在するものである、コイルアレイ。
【請求項6】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=2、m=2であり、
互いに対角線上に配置されたコイルアセンブリの第1の対と、
互いに対角線上に配置され、かつ前記コイルアセンブリの第1の対とx-y方向において並列に配置されたコイルアセンブリの第2の対と
を有し、
前記コイルアセンブリの第1および第2の対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各コイルアセンブリは別々の電源によって給電されるものであり、
前記コイルアセンブリの第1の対は、第1の周波数および電力レベルを共有し、
前記コイルアセンブリの第2の対は、第2の周波数および電力レベルを共有し、
前記第1および第2の周波数は異なるものであり、それにより、各コイルアセンブリは、充電時においてx-y方向に隣接するコイルアセンブリと一定の位相差を有するものである、
コイルアレイ。
【請求項7】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=2、m=2であり、
互いに並列に配置されたコイルアセンブリの第1の対と、
互いに並列に配置され、かつ前記コイルアセンブリの第1の対と平行に配置されたコイルアセンブリの第2の対と
を有し、
前記コイルアセンブリの第1および第2の対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各コイルアセンブリは別々の電源によって給電されるものであり、
前記コイルアセンブリの第1の対は、第1の周波数および電力レベルを共有し、
前記コイルアセンブリの第2の対は、第2の周波数および電力レベルを共有し、
前記第1および第2の周波数は異なるものであり、それにより、各コイルアセンブリは、充電時においてx-y方向に隣接するコイルアセンブリと一定の位相差を有するものである、
コイルアレイ。
【請求項8】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=1、m=3であり、
一列に配置された第1、第2、および第3のコイルアセンブリを有し、
前記第1および第3コイルアセンブリは、第1の周波数と、第1の位相と、第1の電力レベルとを有する第1の充電信号を出力するものであり、
前記第2のコイルアセンブリは、前記第1のコイルアセンブリと前記第3のコイルアセンブリとの間に配置され、前記第1の周波数および第1の電力レベルを有する第2の充電信号を出力するものであり、
前記第2の充電信号は、前記第1の充電信号と位相がずれているものである、
コイルアレイ。
【請求項9】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=1、m=3であり、
一列に配置された第1、第2、および第3のコイルアセンブリを有し、
前記第1および第3コイルアセンブリは、第1の周波数と、第1の位相と、第1の電力レベルとを有する第1の充電信号を出力するものであり、
前記第2のコイルアセンブリは、前記第1のコイルアセンブリと前記第3のコイルアセンブリとの間に配置され、前記第1の周波数を有する第2の充電信号を出力するものであり、
前記第2の充電信号は、前記第1の充電信号と位相がずれているとともに、前記電力レベルとは異なる第2の電力レベルを有するものであり、当該第2の電力レベルは、前記第1、第2、および第3のコイルアセンブリが同一の電力レベルを有する充電信号を出力した場合に発生する追加磁束密度と比べ、加磁束密度を低減させるように設定されているものである、
コイルアレイ。
【請求項10】
請求項9記載のコイルアレイにおいて、前記第1および第2の電力レベルは、前記加磁束密度を成形するために調整されるものであり、それにより、充電時に前記加磁束密度の大部分が前記車両の立入禁止区域内に留まるものである、コイルアレイ。
【請求項11】
請求項9記載のコイルアレイにおいて、前記第1および第2の電力レベルは、前記第1および第3のコイルアセンブリが、前記第2のコイルアセンブリによって伝送される電流と約180°位相のずれた電流を伝送する場合に、前記第1および第3のコイルアセンブリ対前記第2のコイルアセンブリ間の電流比と、相殺される磁束密度の割合との関数である曲線上で、前記第1および第2の充電信号間の磁束の相殺が最大となる領域に設定されるものであり、
前記第1および第2の電力レベルは、前記第1および第2の充電信号間の最小磁束相殺値が磁束密度の最大の割合と対応する点に近似するように設定されるものである、
コイルアレイ。
【請求項12】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=2、m=3であり、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第1の対と、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第2の対と、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第3の対と
を有し、
コイルアセンブリの各対は、互いに平行に配置され、第1の周波数を有する第1の充電信号を出力するものであり、
コイルアセンブリの各対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各対における各コイルアセンブリは、別々の電源によって給電されるものであり、
コイルアセンブリの各対における1のコイルアセンブリは、充電時においてx-y方向に隣接するコイルアセンブリと一定の位相差を有する充電信号を出力するものである、
コイルアレイ。
【請求項13】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、n=2、m=3であり、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第1の対と、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第2の対と、
互いに隣接して配置されたコイルアセンブリの第3の対と
を有し、
コイルアセンブリの各対は、互いに平行に配置され、第1の周波数を有する第1の充電信号を出力するものであり、
コイルアセンブリの各対は、対応する第1および第2の電源によって給電されるか、若しくは各対における各コイルアセンブリは、別々の電源によって給電されるものであり、
コイルアセンブリの各対における第1のコイルアセンブリは、コイルアセンブリの各対における第2のコイルアセンブリと一定の位相差を有するものであり、
コイルアセンブリの各対における1のコイルアセンブリは、隣接するコイルアセンブリの対における隣接する1のコイルアセンブリによって出力される充電信号と同一の位相を有する充電信号を出力するものである、
コイルアレイ。
【請求項14】
請求項1記載のコイルアレイにおいて、各コイルアセンブリは、充電時に、隣接するコイルアセンブリの充電信号と25°~180°位相がずれた周波数で充電信号を生成するものである、コイルアレイ。
【請求項15】
ワイヤレス電力伝送システムであって、
nxm配列の車両コイルアセンブリを有する車両コイルアレイであって、
n≧1およびm≧2であり、前記車両コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各車両コイルアセンブリは、充電時に隣接する車両コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を受信するものであり、それにより、各車両コイルアセンブリによって受信された充電信号がx-y方向に隣接する車両コイルアセンブリによって受信された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する車両コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記車両コイルアレイと、
rxs配列の地上コイルアセンブリを有する地上コイルアレイであって、
r≧nおよびs≧mであり、前記地上コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各地上コイルアセンブリは、充電時に隣接する地上コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、各地上コイルアセンブリによって生成された充電信号がx-y方向に隣接する地上コイルアセンブリによって生成された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する地上コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記地上コイルアレイと
を有する、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項16】
請求項15記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記地上コイルアレイは、車両コイルアセンブリが作動していないことを検出した場合、充電信号を送信するために、動作可能な車両コイルアセンブリに位置合わせされた地上コイルアセンブリのみを作動させるものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項17】
請求項15記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、さらに、
各車両コイルアセンブリのデフォルト測定値および履歴測定値に関する充電プロファイルにアクセスするために、充電時に前記車両コイルアレイまたは前記地上コイルアレイの少なくとも1つによってアクセス可能なデータリポジトリを有し、
前記充電プロファイルは、充電時に充電パラメータを設定するための周波数応答および充電モデルを含むものである、
ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項18】
請求項17記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記充電プロファイルは、前記車両コイルアセンブリの周波数オフセット、前記地上コイルアセンブリの型、モデル、および製造業者、前記車両コイルアセンブリの数、前記車両コイルアセンブリの位置、前記車両コイルアセンブリの最小および最大電流および電圧維持、前記車両コイルアセンブリの健全状態、前記車両コイルアセンブリの温度制限、前記車両コイルアセンブリの温度測定値、または前記車両コイルアセンブリの冷却可能性のうちの少なくとも1つを有するものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項19】
請求項17記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記地上コイルアレイは、充電される車両の充電プロファイルから当該充電される車両の車両コイルアセンブリの数および配置を取得し、前記コイルアセンブリのrxs配列から、充電される車両の車両コイルアセンブリの数および配置に対応する地上コイルアセンブリのパターンを選択して、充電信号を送信するものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項20】
請求項17記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記データリポジトリは、さらに、位置合わせされた車両コイルアセンブリまたは車両コイルアセンブリの対に基づいて、各地上コイルアセンブリまたは地上コイルアセンブリの対の磁気信号特性を含む、前記地上コイルアセンブリの充電パラメータを格納するものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項21】
請求項20記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記地上コイルアセンブリの前記充電パラメータは、充電時の瞬時電力レベル、充電信号の周波数、周波数ドリフト、信号位相オフセット、または公称コイル間の間隔のうちの少なくとも1つを含むものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項22】
請求項20記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記地上コイルアセンブリの前記充電パラメータは、電力供給能力と、環境要因と、内部温度、使用状況、地上コイルアセンブリ当たりのコイル数、地上コイルアセンブリ当たりの巻数、または前記地上コイルアセンブリが表面実装型であるか、若しくは埋込み型であるか、のうちの少なくとも1つを含む地上コイルアセンブリの条件とのうちの少なくとも1つを含むものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項23】
請求項20記載のワイヤレス電力伝送システムにおいて、前記地上コイルアセンブリの前記充電パラメータは、前記地上コイルアセンブリの型、モデル、および製造業者、前記地上コイルアセンブリの自動位置合わせ能力、前記地上コイルアセンブリの最小および最大電流および電圧維持、前記地上コイルアセンブリで利用可能な通信プロトコル、または前記地上コイルアセンブリの通信帯域幅のうちの少なくとも1つを含むものである、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項24】
ワイヤレス電力伝送システムであって、
nxm配列の車両コイルアセンブリを有する車両コイルアレイであって、
n≧1およびm≧2であり、前記車両コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各車両コイルアセンブリは、充電時に隣接する車両コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、各車両コイルアセンブリによって生成された充電信号がx-y方向に隣接する車両コイルアセンブリによって生成された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する車両コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記車両コイルアレイと、
rxs配列の地上コイルアセンブリを有する地上コイルアレイであって、
r≧nおよびs≧mであり、前記地上コイルアセンブリは合同な直線x-yの格子パターンに配置されており、
各地上コイルアセンブリは、充電時に隣接する地上コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を受信するものであり、それにより、各地上コイルアセンブリによって受信された充電信号がx-y方向に隣接する地上コイルアセンブリによって受信された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接するコイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記地上コイルアレイと
を有する、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項25】
ワイヤレス電力伝送システムであって、
nxm配列の地上コイルアセンブリを有する地上コイルアレイであって、
n≧1およびm≧2であり、前記地上コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各地上コイルアセンブリは、充電時に隣接する地上コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を生成するものであり、それにより、各地上コイルアセンブリによって生成された充電信号がx-y方向に隣接する地上コイルアセンブリによって生成された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する地上コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記地上コイルアレイと、
rxs配列の車両コイルアセンブリを有する車両コイルアレイであって、
r≧nおよびs≧mであり、前記車両コイルアセンブリは直線x-yの格子パターンに配置されており、
各車両コイルアセンブリは、充電時に隣接する車両コイルアセンブリの充電信号と位相のずれた周波数で充電信号を受信するものであり、それにより、各車両コイルアセンブリによって受信された充電信号がx-y方向に隣接する車両コイルアセンブリによって受信された充電信号を相殺的に干渉し、充電時に前記x-y方向に隣接する車両コイルアセンブリが同位相である場合の追加磁束密度と比べ、充電時に追加磁束密度が低減するものである、
前記車両コイルアレイと
を有する、ワイヤレス電力伝送システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
近年、磁気誘導によるワイヤレス電力伝送は、電気機器の充電、および最近では電動車両の充電に使用されている。効率的な電力伝送および周囲環境への磁束漏洩を最小限に抑えるために、磁束を正確に制御することが望ましい。例えば、米国特許第8,934,857号に記載されているように、無給電アンテナを送信アンテナに近接して使用することで、例えば、小型送信アンテナのカバレッジエリアを拡張、または大型送信アンテナの磁場を集中させて、ワイヤレス電力送信機によって生成された磁場分布の選択的な変更が行われてきた。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 国際公開第2015/037690号
(特許文献2) 米国特許第9,889,757号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2016/0087477号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2020/0021147号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2012/0086281号明細書
(特許文献6) 米国特許出願公開第2011/0278940号明細書
(特許文献7) 米国特許出願公開第2019/0097447号明細書
(特許文献8) 米国特許出願公開第2016/0013661号明細書
【国際調査報告】